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1969/12/02 第62回国会 参議院 参議院会議録情報 第062回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第2号
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1969/12/02 第62回国会 参議院

参議院会議録情報 第062回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第2号

#1
第062回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第2号
昭和四十四年十二月二日(火曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月一日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     渡辺  武君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         瀬谷 英行君
    理 事
                大谷 贇雄君
                黒木 利克君
                内田 善利君
    委 員
                青木 一男君
                木島 義夫君
               久次米健太郎君
                佐藤 一郎君
                菅野 儀作君
                土屋 義彦君
                村上 春藏君
                山内 一郎君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                田中寿美子君
                小平 芳平君
                田渕 哲也君
                渡辺  武君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局公害部長    城戸 謙次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○継続調査要求に関する件
○公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(瀬谷英行君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 昨一日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(瀬谷英行君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 産業公害及び交通対策樹立に関する調査につきましては、国会が閉会になりました場合においても、なお調査を継続することとし、本院規則第五十二条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(瀬谷英行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に特別委員会会議録弟御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(瀬谷英行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#6
○委員長(瀬谷英行君) 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案(閣法第二三号)(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#7
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案について御説明申し上げます。
 本法案は、公害対策基本法の精神にのっとり、公害のうち著しい大気の汚染または水質の汚濁の影響による疾病の多発した地域と、当該地域における大気の汚染または水質の汚濁にかかる疾病を指定し、指定地域にかかる当該疾病にかかった者に対し、医療費等の給付を行ない、もって公害にかかる健康被害の救済をはかることを目的とするものであります。
 何とぞ御可決あらんことをお願い申し上げます。
#8
○委員長(瀬谷英行君) それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○田中寿美子君 たいへん時間が短うございますので……。この法案については、前国会で相当私ども議論いたしました。特に衆議院では詳細に議論してきておりますので、たくさんの問題点がございますけれども、それは省きまして、二、三点にしぼってお伺いしたいと思います。
 第一点は、公害による健康被害の認定の基準なんですけれども、公害にかかっている者に対する対策が非常に急を要するということは、この法律の提案理由にも書いてあるんですけれども、公害病は非常にその後ますます拡大し、発見されてきております。そしてことしの初めごろ、総理大臣が、公害は必要悪であると言われたような認識のしかたは、もう政府においても変えていられると思うんですが、認定の基準をですね、たとえば安中のカドミウムによる被害、第二イタイイタイ病がすでに発生していると言われているんですけれども、そういうものに対して、先日被害者の全国大会がございましたときに、私も交渉に被害者と一緒に厚生省に参りました。その際に、たとえばあのように十数年ほったらかして、関節がすっかり折れてしまうような状況になってから対策をとったんではだめなんで、予防措置が大切であるということを話しましたときに、今度は骨までカドミウムの害が至るその段階で、公害病と認定すべきか、それともその前段階で要注意者とか、あるいはあの地域が要観察地域に指定されましたですね。そういうところに住んでいる者に対する対策あるいは健康診断をすべきであるというようなことや、これに対する対策、こういうことを考えるべきだと思うんです。いま認定患者の数は非常に制限されております。こういうことに対して、今後どういう考え方をもって対処されるのかということをお伺いしたい。
#10
○国務大臣(斎藤昇君) 田中委員のおっしゃいますように、公害は予防がまず一番大事だと存じます。したがいまして、公害病発生のおそれがありそうだというところにつきましては、健康診断あるいはそういった方面をさらに充実をしてまいりたいと思います。同時にこれが公害病であるということがはっきりいたしましたら、できるだけすみやかに本法案が、このような趣旨のものがさらに拡大して適用されるように努力してまいりたいと、かように考える次第でございます。
#11
○田中寿美子君 その点ですけれども、公害病であるということがはっきりしたらということなんですね。そういうものの認定の基準なんですね。いま非常に制限されているわけなんで、公害病かもしれないという疑わしい段階、つまり要注意者の段階でこれに対して医療の給付をするとか、検診をするとかそういう考え方を将来持ってるかどうかということなんです。もう少し具体的に。
#12
○国務大臣(斎藤昇君) 公害病であるかどうかという認定は、それはやはり医学的、学問的な問題でございますから、したがって、その検討に待たなければならないと思います。公害病であるのかないのかまだわからないといろ状況、その状況のもとにおいてこういった法律をそのまま適用するということは困難だと存じますが、まあ事情に応じまして必要な措置もあるいは考えていかなければなるまいかと、かように考えておりますが、十分これは検討いたしてまいりたいと思います。
#13
○田中寿美子君 その認定するまでにたいへん時間がかかるのですね。水俣病の場合もそうだと思いますが、それですでに、たとえば安中のように東邦亜鉛からカドミウムが流れて、そして最近の厚生省の調査によると、単に水だけではなくて大気の中にもいろいろ入っているということがわかってきている、そういう地域に住む者に対して、認定患者にならない前の予防対策が、何か具体案があるかということです。たとえば、ぜんそくの場合もそうです。四日市にしても、川崎にしても、あるいは大阪、東京にしても、こういう者に対する対策をお伺いしておきたいのです。
#14
○説明員(城戸謙次君) ただいま先生御指摘になりました特に安中、その他のカドミウム汚染につきましては、目下公害の調査研究委託費によりまして委託調査、その他環境調査を進めている段階でございます。特に四十三年度に群馬県が実施いたしました全地区住民の健康調査の結果、鑑別診断を必要とする判定されました要観察者が九人おります。また対馬にも三人おります。こういう方々に対しましては、カドミウムの慢性中海の鑑別診断をできるだけする。慢性中毒としての鑑別診断が医学的に可能であるということになりますと、いわゆるイタイイタイ病というような、骨まで進行しました段階に至らなくても、その診断名のもとに早期に治療する、こういうことにいたしたいと思います。そのための必要な対策等も、そういうことになれば当然やるべきだと考えているわけでございます。
 先生、大気汚染の問題にもお触れになりましたが、私ども大気汚染のはなはだしい地区につきましては、救済法が成立いたしますれば、今後順次調査地区といたしまして救済法を適用すべきかどうかの検討を進めることにいたしたいと思っております。ただ、その他もっと広く一般的な公害の見地から健康診断すべきであるということは先般先生おっしゃいましたが、このような面につきましては、恒常的な保健サービスの問題を環境保健についていかに体系づけていくかということでございまして、効果的に制度化していくためには、既存の他制度との調整も必要でございます。こういうことで環境保健サービスの体系についての研究班をひとつ設けまして検討をしておるような状況でございます。
#15
○田中寿美子君 公害施策はほんとうに急を要すると思います。どんどん広がっていきますので、特に子供たちが、ぜんそくなんかに一番幼児がかかっている率が高いですが、学童に対して、そういう大気の汚染のある地域についての学童の検診というのは特に実施するのか、あるいは老人に、五十歳以上なら五十歳以上の者とかいうふうに検診をぜひ実現するというような方向にいくべきだと思いますが、その辺はいかがですか。
#16
○説明員(城戸謙次君) ただいま申し上げましたように、現在検討中の段階でございますが、御指摘の学校につきましては、今年度を含めまして、五年間にわたりまして各地で調査をいたしております。こういうデータを基礎にいたしまして、ただいま申し上げました研究班を中心に今後の検診につきましての具体策を検討してまいりたい、かように考えております。
#17
○田中寿美子君 まだいろいろありますが、時間があれですから……。認定の基準というのは、今後もう少し公害病の認定を広げるというようなこと、これはいろいろの制限がございますね、所得制限とか地域制限とか……そういう方向に向かって進んでいただきたいと思います。
 次に、カネミ油症の被害者の救済の問題ですけれども、これは食品に有毒なカネクロールの入った油を食べて中毒症状を起こしたもので、九百人以上のカネミ油症の被害者が出たわけです。これに対して、厚生大臣あるいは厚生省は、公害に準じて救済の道を考えるというふらにおっしゃっているようですが、それはどのようなお考えでございますか、御説明いただきたいと思います。
#18
○国務大臣(斎藤昇君) いまカネミのいわゆる中毒患者についての取り扱いのお話がございました。中毒患者の方々の治療、それから全快がなかなかはかばかしくございません。したがって、結論といたしましては、私は、やはり公害に準じたような救済の手を伸べる必要があるのじゃないか、かように考えまして、いま事務当局に命じまして検討を進めておるわけでございます。できましたら次の通常国会にそういったような法律案を提案いたしたい、そう思って検討いたしておりますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
#19
○田中寿美子君 その内容は、そうしますと、大体公害にかかる健康被害の救済法というような考え方でございますか。
#20
○国務大臣(斎藤昇君) 大体そういう考え方で進んでおります。
#21
○田中寿美子君 これは非常に発生源がはっきりしている問題なんですけれども、それで患者がしばしば自分で街頭に立って訴えてカンパを集めなければならないような状況にいるわけなんです。現在会社側は、健康保険の自己負担分を負担したり、それから幾らかの医療費を負担している状況ですけれども、たとえば九大だけが長い間指定の病院――最近北九州には治療センターができまして、そこに出かけていく患者という者は、遠くから、田川とか北九州から出ていきますのに、たとえば交通費だけでも往復一人六百七十円もかかる。一家五人が患者になっている家もあります。そういう面の救済が伴わない。これは今度の医療救済法案全体の欠点だと思いますが、生活保障とか休業補償がないということが欠点だと思いますが、実情からして、自己負担分を負担してもらうというだけではほんとうに困る。あのような状況ですと、仕事も結局やれなくなるし、失業状態である、こういうことでございますので、こういう点に特に配慮したような対策をお考えになっていないかどうか、お伺いをしたいのです。
#22
○政府委員(金光克己君) ただいま大臣から御説明ございましたように、現在この問題については事務的に検討中でございまして、公害医療救済制度にいたしましても、何と申しましても、第一には患者の医療を十分行なえるようにするという精神でございますから、ただいまのような問題もその中には関連を持ってくるのでございますが、現在の段階におきましては検討中であるというようなことでございまして、先生の御意見も参考にしながら、今後検討さしていただきたいと思います。
#23
○田中寿美子君 調査研究、検討中というのが公害病に絶対に多いので、みんな間に合わないのです。取り返しのつかない状態になって死んだ人も出てくるということで、人間の命を大事にするということから、救済治療をまず先にして、立てかえておいて、あとから発生源がはっきりしてそこから取り立てるという方法を確立していただきたいと思います。
 まだ言いたいことたくさんありますけれども、特にこの病気については治療法がまだ見つかっていない。調査費は厚生省百五十万出され、今度八百万になったんですか。調査費そのものも非常に少ないし、それから医療機関をもっとふやしてもらわないと、各地にあるわけですね、このカネミの被害者は。そういうとについては……。
#24
○政府委員(金光克己君) ただいま研究費の問題が出ましたが、本年度は、科学技術庁の特別研究促進調整費を、約三千万円でございますが、三千万円これに充てまして、その医療の研究あるいは健康診断等を実施することにいたしております。そのうち臨床面に関しましては千九百万円を予定いたしております。その前に、若干科学研究費から補助金を出しておるわけでございます。かようなことでございますが、実は十月中旬に福岡県におきまして、カネミの患者が発生しております関係県の関係者を集めまして、そしてこの医療研究につきましてのいろいろの研究協議をいたしました。それから、その精密検診等につきまして今後どらやっていくかというようなことにつきましてもいろいろと協議をいたしまして、それにつきまして必面な面につきましては、先ほど申し上げました研究費の交付をやっていただくということ、それから患者の問題につきましては、カネミの会社とも十分連絡をとるようにいたしまして、そういった医療面につきましては十分な配慮をしていこうという計画で進んでおるわけでございます。
#25
○田中寿美子君 カネミの社長は、治療法が見つかるまでは補償しないというようなことを言っているわけですからね。研究調査と言いながら、時間かかりますので大至急これは進めていただくように、厚生大臣も何回かこれに対してはできるだけのことをするという声明をしていらっしゃいますから、ぜひ厚生大臣本気でやっていただきたいと思います。
 それから、時間がありませんので、カネミの問題にも関連しながら、厚生行政の問題なんですが、十月十日に、私ども社会党の議員並びに弁護団その他で編成した調査団が行きましたときに、発見しましたというよりはいろいろ説明を受けた、例のカネクロールが漏れたパイプのピンホールですね、ああいう問題を考えてみますと、あれの責任はどこが負うのかという問題なんです。そのときの調査団に対する説明によりますと、労働省の労働基準監督署が責任者なんだ、厚生省ではない、責任行政ではないのかどうか、あるいは厚生省ではないのか、あるいは工場の施設に関連しては通産省なのかどうか、その辺問題があると思うんです。一体、公害の行政が非常に各方面にわたっているためにみなそれぞれ責任を回避されるという点がありますので、その点はっきりさしていただきたい。今後どういうふうにそれをなさいますか、厚生省は。
#26
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、厚生省の立場から考えまして、少なくとも政治的には責任がないとは言えないと思っております。いままでの法律、規則等から考えますると責任がないのでありますけれども、しかしながら、ああいったおそれのあるような製造方法で万一穴があいたならばそういうものが入ってくるというような、そういう製造方法で食品を製造するということは許すべきではない、こういうように考えまして、今後はそういった設備も十分見た上でなければ許可をしないというように方針を改めます。当初からそうであるべきであったろうと思います。
#27
○田中寿美子君 監督するのはどこですか。これはカネミに限らないでしょう。食品の機械はたいへんきたなくされている状況であります。
#28
○国務大臣(斎藤昇君) 食品にも許可をいたします際に、そういう製造工程も十分見た上でだいじょうぶだという確認をすべき責任があると、かように考えますので、そういうように規則を改めます。
#29
○田中寿美子君 それは初めだけでなく、製造開始しているときの監督はどらですか。
#30
○政府委員(金光克己君) ただいま大臣から御説明がございましたように、この七月の食品衛生法の政省令の改正におきまして、従来、この米ぬか油等の製造業種につきましては許可業種として扱っていなかったわけでございまして、びん詰め、かん詰め等の業種として一括して扱っておったわけでございます。したがいまして、こういった業種に対しましての製造基準というものもこれは都道府県の細則でつくることになっておりますけれども、従来はつくっていなかったということでございまして、先般の改正によりまして許可業種としたということによりまして施設基準等もつくりまして、これに対しまして製造中の監督もする、こういう形でございます。
#31
○田中寿美子君 ぜひやっていただきたいと思うのです。
 それじゃ、これで終わります。
#32
○内田善利君 四点だけお尋ねしたいと思います。
 公害にかかる健康被害の救済について、本法案は医療費等の支給にとどまっていて、生活困窮者、生活援護の手当措置が除外されております。この点についてお聞きしたいと思いますが、たとえば弔慰金、患者の更生費、生計維持を援助するための事業資金、あるいは技能習得資金などの貸付制度を設けるとか、あるいは償還不能の患者に対しては償還免除の制度を設けるとか、こういったことが除外されておるようでございますが、公明党としては、こういったことについても法案を提出しておりますが、この救済内容の拡大を大臣は考えておられるかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
#33
○国務大臣(斎藤昇君) 今回の法案は、まずさしあたって、とにかく緊急を要するというものにしぼったわけでございますが、できるだけこういった公害患者のないようにしていくということが本旨でございまするので、したがって、いつまでもこういった公害患者の出ないというようにすることがまず先決だと考えているわけでございます。しかし、現にかかっている者につきましては、ただいまお話もございますので、その他の各種の法律等も勘案をいたしまして、前向きに検討をいたしてまいりたいと思います。
#34
○内田善利君 次に、医療費等の支給についてお尋ねいたしますが、これは衆議院の委員会でも相当問題になったと思いますけれども、たとえば四日市の場合を例にとりますと、四日市以外に居住していて四日市に通勤している人で公害病と見られる病気にかかった者。次に四日市に居住していて公害病にかかった人が他へ転出した者。次に、いままで他の土地に住んでおった人が四日市に移住してきて公害病になった場合。こういった場合の滞在期間あるいは居住期間はどのように算出されるのか。その点についてお伺いしたいと思います。
#35
○説明員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、私どもとしましては、居住期間の要件の規定といたしましては大気汚染にかかる疾病だけを考えておりまして、これを厚生大臣が定める疾病として規定いたしたい、かように考えております。それで、ただいま御指摘の、居住している場合のどのくらいの期間を認定のための前提条件とするかという点でございますが、この点は三年間程度考えております。
 それから通勤の場合でございますが、他から通勤の場合につきましては、大体八時間程度その指定地域に勤務しておるという前提で、一日八時間程度勤務しておるという前提で、五年間程度現在考えております。
 それから次に、資格を得て医療を受けていた人が他に転出した場合でございますが、この場合につきましては、三年間程度継続して支給をいたしまして、そのあと打ち切ると、こういうようなことを考えております。
#36
○内田善利君 それで十分と考えられるわけですか。
#37
○説明員(城戸謙次君) この点につきましては、このような慢性気管支炎等の疾病が、いわゆる公害との関係におきまして非特異的な関係にあると、必ずしも公害だけで発生するものでないということでございますので、私どもとしましては、この点に対していろいろ関係の医者、医学者等の意見を参考にいたしまして検討いたしているわけでございまして、最終的にはもう少し検討いたした上で結論を出したいと思っておりますが、その結論によって出てきたところで十分やっていくべきでなかろうかと思います。
#38
○内田善利君 この問題につきましては、また後ほど委員会等で質疑していきたいと思いますので、次に移ります。
 第九条の「介護手当の支給」についてですが、最後のほらに、「ただし」以下として、「ただし、その者が介護者に対し介護に要する費用を支出しないで介護を受けている場合は、この限りでない。」と、このように明記されておるわけですが、たとえば身内の者に介護を受けている場合支給されないということになると思いますけれども、介護のため家庭の家事を犠牲にして、家事は何もできずに介護に当たっているという奥さん等もおりますし、また経済的に困って、介護の必要があっても手当が出せなくて介護を受けていない、そういう患者もおられるわけですけれども、こういう場合も支給されないということになると思いますが、介護を必要とする患者に対しては全員介護手当を支給すべきであると、このように思うわけでございますが、なおまた、所得制限を一切課さないということを私たち公明党は主張しておるわけでございますが、こらいった点、公害救済の本旨に沿っていないのじゃないか、このように思いますが、この点についてお聞きしたいと思います。
#39
○説明員(城戸謙次君) ただいまの介護手当の点でございますが、介護手当は、現在介護を現に必要としていると、かつ介護に要する費用を支出しました場合に、その現金の支出に対応しました支給をする、こういう立て方をいたしておるわけでございます。したがって、御指摘のように、家族等の介護の場合一部はずれる場合があるわけでございますが、これはやはり同一世帯に属し、つまり生計が一つである家族が無料で介護しているという例が代表的なケースになるわけでございまして、その運用にあたりましては実情に即しました配慮をしたいと考えております。
 また、所得制限等の点につきましては、この制度が現在の緊急の救済を必要とする医療につきまして定められた制度でございまして、この運営につきましてできるだけ応急の措置に間に合うような措置をしていくというために、自分で自己負担能力がある人は一応はずしまして、今回の制度としてこのようにいたした次第であります。
#40
○内田善利君 この点についてもまた後ほど委員会等に移していきたいと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 最後に附則についてお聞きしたいと思いますが、附則の二項ですけれども、「政府は、公害対策基本法第二条第一項に規定する公害のうち、第一条に規定するもの以外のものに係る疾病に関し検討するものとする。」といたしてありますが、この検討とは具体的にどういうことなのか、お聞きしたいと思います。
 全部一括して質問いたしますが、現にこの規定に入ってない、たとえば騒音の場合について見ましても、東名高速道路のインターチェンジとかあるいは環状七号線の交差点付近の住民の中には、車の騒音のために夜も眠られないとか、不眠症の結果ノイローゼとなって満足に勤務もできないと、このようになってしまった人も出ておるわけなんですが、こういう人のことを考えた場合に、すみやかに検討することを大臣の口からお聞きしたいと、このように思います。また検討した結果、近い将来この法案を改正する必要を認めておられるのかどらか。改定を前提としてこのように検討するということになっておるのかどらか。こういった点についてはっきりひとつお答え願いたいと思います。
#41
○国務大臣(斎藤昇君) 検討するということは、検討をした上で、公害による健康被害があるということがわかったならばこの法律を改正をするという前提でございます。そこで検討をすることにつきましてはできるだけ早急に、急ぎまして、たとえば騒音につきましては、健康被害がはたしてあるのかないのか、これはやはり医学的、学問的な研究が必要でございますので、これらをいま急いでおるわけでございます。その他につきましてもできるだけ検討を急いでまいりたいと考えております。
#42
○渡辺武君 ただいま議題となっておりますこの法案の第十七条に、「事業者は、」第十六条第一項の指定を受けた法人に対し、「同項の拠出金にあてるため拠出を行なうものとする。」こういうことが書かれておりますけれども、ここにいわれておる事業者というのは、これはどういう事業者か、公害発生の原因になっておる事業者に限られておるのか、あるいはまた、そうでないのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#43
○説明員(城戸謙次君) ただいまの事業者の定義でございますが、これは公害対策基本法に書かれておるところの事業者でございまして、具体的に公害が発生しているかいなかということは問わないのでございます。
#44
○渡辺武君 ここに、「拠出を行なうものとする。」というふらに書かれておりますけれども、この拠出というのは、これは義務的なのか、また、金額はどのくらいと考えておられるのか、その点を次にお聞きしたいと思います。
#45
○説明員(城戸謙次君) この事業者の拠出は、民法法人が公害防止事業団との契約に基づいて拠出するものでございまして、法律による義務というのではなく、そういうような事業団との契約に基づく義務として拠出する、こういう体系になるのでございます。
#46
○渡辺武君 それですと、全く任意のもの、契約する上で各事業者が任意の契約をするというような形になると思いますけれども、それでは公害発生の原因になっておる個々の企業の公害発生に対する責任というものが全くあいまいにされると思いますが、どうでしょうか。
#47
○説明員(城戸謙次君) 今回の制度は、公害の発生しておる発生原因者がある、その原因者は民事責任があるという前提に立ちながら、しかもこれを故意過失を必要とする、あるいは因果関係を必要とする、そういう場合に立証困難だ、裁判上時日がかかってむずかしい問題がある、こういうような点を考慮いたしまして、応急の措置として考えたものでございます。したがって、民事上の責任というのはあくまであとに残っておるわけでございます。そういう点で私どもとしては、この制度をいまのような形で運営するということで企業の加害者的な責任がぼやけると、さようには考えておりません。
#48
○渡辺武君 そうしますと、この民法上の法人ですね、これはいま申しましたように、個々の企業者契約に基づいて拠出金を集めるということになるわけですね。そうすると、それではその民法上の法人の設立の責任者は一体だれになるのか。
#49
○説明員(城戸謙次君) この設立は個々の事業者が設立発起人となり、相糾合いたしまして設立いたすわけでございますが、この監督官庁といたしましては通産大臣でございます。
#50
○渡辺武君 そうすると、その場合に、通産大臣もしくは厚生大臣は、この民法上の法人の設立についてどういう基準で指定をするのか、その基準を明らかにしていただきたいと思います。
#51
○国務大臣(斎藤昇君) この問題は、御承知のように、大気汚染につきましてはたとえば亜硫酸ガスの汚染という場合は、大きな工場もあるし、小さな工場もあるし、それからいろいろな原因者がたくさん集まっておるわけです。どの工場がどれだけということをはっきり確定するわけにはなかなかまいらない。したがって、そういった事業に関係のある方々が共同してそういった政治的な負担をしようじゃないか、またしてくれないかということで、それではそういうようにいたしましょうという話し合いでできておりますので、したがって、これはそういった関係のおもだった方々の何といいますか、話し合いをわれわれも十分尊重し、現実にこれができるという政治的なまた見通しももちまして、すでに出発をしかけてもらっておるわけでございますから、この法案ができましたら、いま申し上げたような法人が十分できるという確信をもっておるわけでございます。
#52
○渡辺武君 いまの御答弁を伺っておりますと、たとえばイタイイタイ病にしましてもあるいは水俣病にしましても、ああいう悲惨な事件を起こした責任が大企業にあるということは現実が証明していることだと思うのです。ところが、その大企業の責任について非常に不明確である、あいまいであるというふうにしか考えられないわけです。ただいまの御答弁の中で責任の所在が十分に明らかにできない、急速に明らかにできないというための臨時措置だというふらにおっしゃいましたけれども、もし企業の責任が明らかにできない場合でも、急速にこの被害者の被害を救済するためには、たとえば行政上で立てかえ払いというような制度をとって、国または自治体が被害者の補償のために一時立てかえをする、そして責任が明らかになった段階で企業からそれを取り立てるというような措置をとればいいんじゃないかというふうに思います。同時にまた、公害発生の原因が大企業にあるということからして、やはり公害問題については無過失責任賠償制度、これをはっきりと確立して、その見地に立って大企業の責任を追及すべきだというふうに思いますが、どらですか。
#53
○国務大臣(斎藤昇君) この法律はいわゆる損害賠償を国がまず立てかえてやるという趣旨ではございません。それは民事上の問題として当然責任は追及されるべき問題であります、はっきりいたしますならば。この法律はそういった事柄とは別個に、社会保障的な見地から捨ておけないということで、原因者がだれであるかないかということにかかわらず、社会保障としての完全を期してまいりたい、こういう法案でございますから、したがって、加害者の損害賠償、損害責任というものとは全然これは無関係だとお考えをいただきたいと思います。ただ、社会保障的なことをどうしてもやらなければなりませんが、その場合に、これらに関係のある人たちからも社会保障に、まあ何といいますか、財政的に寄与してもらうということで、先ほど申し上げました法人が生まれつつある、その話し合いができたと、こういうことでございます。
#54
○渡辺武君 最後に一言だけ。そうしますと、やはり公害発生に最大の責任を持っておる大企業の責任を事実上免罪するということにならざるを得ないと思います。社会保障的と言われましたけれども、被害者の救済についても、先ほど同僚委員の質問の中でも明らかなように、所得制限その他いろいろ制限をつけられておりますし、また、公害の範囲についても大気汚染、水質汚濁の二点に限られておる。しかも地域的にほんのわずかなところを指定するということです。基地公害、騒音、振動、悪臭等のさまざまな公害、これは事実上救済されないという状態になっております。私どもは、やはり公害の救済をもっと徹底的に行なうと同時に、公害そのものを防止するためにもう少し政府が積極的に取り組むことを強く要求するものです。特にやはり一番問題なのは、大企業の責任をあいまいにするのではなくして、公害発生源である大企業に公害発生防止装置を取りつけることを義務づげて、これに違反した場合にはきびしく処罰するということが最低限必要だというふうに思います。それからまた、いま政府のきめております環境基準あるいは排出基準などが非常にゆるやかなものでありますし、同時にまた、それに伴う罰則などもこれは実にゆるやかで、これではとうてい公害の発生を防止することができないというふうに思います。したがって、環境基準をもつときびしくすると同時に、各個々の企業の排出基準は環境基準に合致するように排出量を規制するなどして当然規制し、罰則ももっときびしくすべきだというふうに思います。同時に、公害防止のための行政の権限、これを大幅に各都道府県知事などに委譲して、都道府県知事がそれぞれの地域の住民の要望に基づいて敏速に公害防止の措置をとれるようにすることが何よりも重要じゃないだろうか。同時にまた、公害紛争などを迅速に解決し、公害の原因や被害の調査あるいは公害防止の対策を立案して知事などに勧告するために、各都道府県などに公選制の公害委員会をつくる。このことによって住民の要望が公害防止の上に正しく反映できるようになるのではないかというように考えております。その点についての厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
#55
○国務大臣(斎藤昇君) 政府といたしましても、私はもちろんでありますが、公害のない社会状態をつくり上げたい、これが念願でございます。したがいまして、ただいまおっしゃいました環境基準にいたしましても、あるいは排出基準にいたしましても、できるだけ技術的にまた経済的に可能な限りやって強化をいたしてまいりたい、かように考えております。技術の進歩その他も伴って、少なくともいまおっしゃいますような事柄ができるだけ早い機会に実現をするように、これがわれわれの理想であり、一番の力を入れるべき点だと、かように考えております。したがって、通産省におきましてもそういうつもりで、あるいは場合によったら財政的援助もやって、公害防止の諸施策を強化をしてまいりたい。逐次その施策を推進してまいっておりますので、この七とも御協力と御鞭撻をいただきたいと思います。
#56
○委員長(瀬谷英行君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(瀬谷英行君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#60
○田中寿美子君 私は、この際、ただいま可決されました公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案に対する各派共同の附帯決議案を提案いたします。
 時間の関係もございますので、案文の朗読は省略いたしますが、お手元に配付してある印刷物のとおりでございますので、よろしく御賛成くださいますようお願いいたします。
#61
○委員長(瀬谷英行君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#62
○委員長(瀬谷英行君) それじゃ、速記をつけて。
 ただいまの田中君提出の附帯決議案を議題といたします。
 田中君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#63
○委員長(瀬谷英行君) 全会一致と認めます。よって、田中君提出の附帯決議案は本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対して、厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。斎藤厚生大臣。
#64
○国務大臣(斎藤昇君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、実現につとめる所存でございます。
#65
○委員長(瀬谷英行君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(瀬谷英行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十四分散会
     ―――――・―――――
 〔参照〕
   公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)
 政府は、公害の予防及び除去に関する総合対策を強力に推進することが先決であることに充分留意するとともに、公害に係る被害の救済については、公害被害者の立揚に立つて、救済制度を一層整備充実するよう、次の事項の実現に努力すべきである。
一、公害に係る健康被害の救済は、医療費等の支給に止まらず、今後すみやかに葬祭料等をも含めた救済内容の拡大を図ること。
二、医療費等の支給について、所得制限その他の制限が存することは、議論のあることにかんがみ、公害救済の本旨に立つて、従来の救済に関する行政的措置を基礎とし、実態に即した運用を図ること。
三、費用の支弁に閧する事業者の拠出については、公害に関する事業者の責務にかんがみ、今後これが運営については適切な措置を講ずること。
四、公害に係る物的被害の救済制度及び生活保障について、具体的措置を前向きに検討すること。
 右決議する。

ソース: 国立国会図書館
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