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#1
第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和四十四年四月十一日(金曜日)
   午後一時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月五日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     矢追 秀彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮崎 正義君
    理 事
                平島 敏夫君
                横山 フク君
                森 元治郎君
                矢追 秀彦君
    委 員
                岩動 道行君
                石原慎太郎君
                金丸 冨夫君
                永野 鎮雄君
                鍋島 直紹君
                船田  譲君
                矢野  登君
   国務大臣
       国 務 大 臣  木内 四郎君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        平泉  渉君
       科学技術庁長官
       官房長      馬場 一也君
       科学技術庁計画
       局長       鈴木 春夫君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       科学技術庁振興
       局長       佐々木 学君
       科学技術庁原子
       力局長      梅澤 邦臣君
       特許庁長官    荒玉 義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       水産庁生産部海
       洋第一課長    角道 謙一君
       水産庁調査研究
       部研究第一課長  松下 友成君
       通商産業省鉱山
       石炭局開発課長  高橋  清君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (原子力問題に関する件)
 (海洋開発に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮崎正義君) それでは、ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 四月五日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(宮崎正義君) ただいまの委員の異動に伴い、本委員会は理事が一名欠員になっております。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に矢追秀彦君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(宮崎正義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。森君。
#6
○森元治郎君 短い時間で三つ、四つ伺います。
 この間、御案内で理化学研究所を見せてもらいまして、ありがとうございました。あのとき、問題のアルミナ隔膜というものを見せてもらったんですが、特許の価値は十分あると思うんだが、そういう措置をとられますか。
#7
○政府委員(梅澤邦臣君) 先般、研究者がまだ特許を出しておりませんと申しておりました。しかし、内容そのもの、まだあれは隔膜でやった、まあ単体でやりました研究でございます。したがいまして、もう少し実験データをとりまして、今年度の予算でまた進めまして、その途中の段階で、特許にするかしないか、その点についての検討は進められると、こう思っております。
#8
○森元治郎君 単体で、理研として、もし特許の申請をする場合は、個人ではなくて、みんなのグループの作業ですから、グループの申請ということになるのですか、理研として。
#9
○政府委員(梅澤邦臣君) 特許にいたします場合に――先般先生方に見ていただきましたのは、事実上は理研の研究費で、経常研究費で進めた分野でございます。それから、そのあと続けます分野につきましては、私たちのほうから平和利用委託費というのがございまして、委託費が回って、それで研究を進めているわけでございます。そうしますと、委託費に関係してまいりました場合には、契約がございまして、その契約からまいりますと、その実施しました、研究を実施した、そこが特許を出します。それで、そこに特許権を持たせるという契約になっております。ただ、その実施をする場合の権利、これは委託しましたところが持ちますので、うちの長官がそれを持っておりまして、それを実施する場合には、科学技術庁長官の指示によって実施をするということになるわけでございます。
#10
○森元治郎君 実際問題として、あの特許を、特許料を払って使いましょうといったようなことは想像できますか。
#11
○政府委員(梅澤邦臣君) 先般御説明いたしましたように、四十七年度に実際にあの方法をやるかやらないかの方向がきまるわけでございますので、特許を出しましても、実用化になる方向であるかどうか、その点はまだ、いま海とも山とも考えられないところじゃないかと思います。
#12
○森元治郎君 専門家同士だから、あれだけの新聞記事を見れば、われわれと違って、専門家が見ればピンと来るものがあって、すぐわかるんじゃないかな。
#13
○政府委員(梅澤邦臣君) これは、特許を出す場合もございますが、事実上あすこで、具体的に申し上げますと、膜がございます。あの膜の穴のあけ方、あるいは穴の大きさの大体のところは出しておりますが、そういうところのノーハウというのは、特許を出します場合も、できるだけ秘密にいたしております。したがいまして、現在、あの新聞に出ていました程度を見まして、いざあれをやろうとした場合に、膜そのもののつくり方、あるいは実験をしまして得たデータのときの圧力のかけ方、そういう点については、あれを見ただけでは不可能であると、そういうふうに研究者の方々もおっしゃっておるわけです。
#14
○森元治郎君 これは原則論として伺いたいんだが、早いおそいはあっても、科学に関する限りは、やがて同じ水準に、おくれたものは達していくようなんですね。原爆はアメリカしか持っていなかったといったのが、もう今日では、ほんとうにおそろしいくらいに、つくれる条件のそろった国が多いといわれるので、五年なり十年の差があればみんな追いつけるものだ、科学の勉強の土台が同じなんですから、そういうふうなことは考えられないんですか。一般論として伺います。
#15
○政府委員(梅澤邦臣君) 一般論といたしますと、やはり、研究がおくれた場合、あるいは研究員を増強するなり、金をふやして、タイミングを早くするということはできますが、しかし、なかなか追いつけないというのが一般論だと思います。ただ、今度の場合で申しますと、今度の場合は、すべてアメリカにしろヨーロッパにしろ、全部極秘でございます。したがって、あれをやるには、あの研究を進めます場合については、全部自力でいかなければいけないという現状でございます。したがいまして、その間にできるだけのことをしてやれば、向こうの研究段階に、研究を進めた段階には、タイミングは少しおくれましても、実際的には追いつけるのではないかと、こう思っております。
#16
○森元治郎君 米ソは、よその国に核兵器転用のおそれがあるような情報は、資材はもちろん、情報も教えないということになっていますがね、米ソは。それじゃ、持たないほうのわれわれが情報をよそに教えた、あるいは御本尊のアメリカに教えた、教えるということは、さらに核の研究をアクセレレートするものとして、国でやらないほうがいいのだというふうなことになるのですか、どうですか。
#17
○政府委員(梅澤邦臣君) 今度の場合で申し上げますと、あのアルミナでやります、アルミナの膜で行ないました研究につきましては、アメリカでも事実上あの膜を使って一応研究をしたことはあるのではないか、まあその点はこっちのほうが、先ほどのようにおくれていたということが言えます。そういう関係において、ああいうものを使ったという今度の情報程度でございましたら、これは特に日本が情報をよそに無理して流したといいますか、あるいは流し過ぎたという段階ではないのではないかと、そう思っております。
#18
○森元治郎君 アメリカが、どういうふうにしてつくったのかといって聞いてきた場合に、教えられませんと言うのか、教えるのか。まあ、義務の問題と好意の問題、あるいは法律関係。
#19
○政府委員(梅澤邦臣君) これから、私たちのほうの平和利用の研究費が出ていますから、その関係から、当然そういう情報のキャッチが参りました場合には、それについて大臣の承認を得る、それで行なう形になります。したがいまして、今後の内容の詳しいものを出すという場合には、すべて科学技術庁のほうと、それから研究者と、それから研究者のおります機関と、そこの打ち合わせをして、公表すべきものはするという形で進みたいと思っております。
#20
○森元治郎君 一つは、アメリカから、どんなものか教えてくれないかという申し込みがあったかどうか。それから、大臣の許可を得てというのは、ただ国務大臣技術庁長官の許可なのか、総理の許可を得るのか、この法律的な根拠は何によるのですか。
#21
○政府委員(梅澤邦臣君) 先般の発表は、先ほど申し上げましたように、理研自身の金でやった分が多うございます。したがいまして、理研の所長の判断、理研の理事長の判断でございます。その判断で、発表してよろしいということになっていると聞いております。しかし、今後あれを進めます場合に、原子力平和利用委託費が入りますので、その関係から、いよいよ今度はうちの大臣の承認ということになります。現在まで、平和利用委託費でございますが、これを出した件数というのがたくさんございますが、それが、やはり公表する場合には、うちの大臣の許可をもらっているケースが非常に多うございます。
#22
○森元治郎君 法律的な裏づけというものはあるのですか。
#23
○政府委員(梅澤邦臣君) これは、委託費を出します場合に、契約条項の中に明記されております。
#24
○森元治郎君 きのうは平和利用と軍事利用の違いなどについて伺おうと思ったのですが、それをはずしまして、その査察ということ、これは私の一つの勉強のために伺いたいんだが、国際原子力機関あたりがあちらこちら回る場合の査察の尺度といいますかね、そういうものを教えてもらいたいと思います。
#25
○政府委員(梅澤邦臣君) IAEAの査察につきましては、その基本的考え方からまいりますと、平和活動の分野で利用されます核物質が軍事目的に転用されることを防止するというのが基本の観念でございます。したがいまして、それを目的として査察いたしますので、その査察の前に、われわれのほうから、記録報告書というのを向こうときめまして報告されております。その報告書あるいは記録どおりに、こちらの工程どおりにいっているかということを見に参ります。見に参ります場合に、たとえば東海発電所は随時来れるという形になっております。それから原子力研究所等につきましては、研究用でございますので、年に数回、大体実績としては年に一度くらいでございます。その辺の査察を受けておりますが、その査察を受けます場合には、やはり、先ほど来ございますノーハウ、あるいは独創技術というものがございます。この関係につきましては、査察をする場合に、その記録報告書を見て、できるだけそういう技術は見ないで済むような方法をとる。けれども、万が一見なければならない場合に、見た場合には、それは帰ってもその個人として絶対発表はいたさないということを大体主体として現在査察が行なわれております。
#26
○森元治郎君 いまの原子力機関でやっている査察というものは、平和利用が軍事利用をやっているおそれはないということを的確に承知できるものか。隠せば隠せるものなんだろうか。これは科学の問題ですから、三百代言みたいなことじゃなくて、もっと調べやすいとは思うものの、十分これでわかるものなんですか。
#27
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在のところは、十分過ぎるほどわかるんではないかと、私たちは考えております。したがいまして、査察もこれからたくさんふえてまいります。できるだけ合理的に機械的な査察をすべきではないか。したがいまして、私たち日本政府といたしましても、査察に関する合理化の研究費というものを委託いたしまして、日本の会社でもその研究を進めております。それで、今後査察ができるだけ手軽にできて、しかもその点が十分わかるようにという方法の開発をやり、それから、現在やっております査察の方法も、まだIAEAにしましても、やったのはまだはしりでございます。したがいまして、お互いにそのやり方についても、打ち合わせというのを進めながら現在やっているわけでございます。
#28
○森元治郎君 査察という仕事がたいへん……。日本のウイーンに駐在する方でしたか、局長のお話を小耳にはさんだところでは、たいへんあちらこちらかけ回って疲れが出たんでしょう、からだを悪くして、なくなったというようなことですが、査察というのはそれくらい、気疲れ、からだを使うものなんですか。
#29
○政府委員(梅澤邦臣君) IAEAの査察官というのは相当おりますが、やはり査察官は各国を回ります。大体一回に三人ぐらいが一度に参ります。したがいまして、査察の分になりますと査察ばかりしているわけでございます。したがいまして、多い人では年に七、八回海外を歩く。その歩くこと自身がたいへんなことだと聞いております。しかし、査察のやり方につきましては、向こうでそのときそのとき基準をつくりまして、その基準でやっております。やはり、まだ初めてのことなので、査察員の養成も兼ねて、いわば非常に気苦労の多い仕事であるということは間違いないと思います。
#30
○森元治郎君 次に、これは新聞記事を土台に伺うんですが、日本は、去年の日米原子力協定で、三十年間に百六十一トンの濃縮ウランの安定供給を受けるということが契約されたわけですが、新聞では何か、オークリッジとか、大きな三つの会社を民間に払い下げたいんで、これについていろんな会社、百五十とか三十とかに意見を聞いているんですかね。それで、よかったらば払い下げることになるんでしょう。そうすると、この新聞によれば、値段が、こちらからの委託加工賃が高くなるんじゃないか、向こうから買うやつが値段が上がるんじゃないか、それからまた、この間の理研で見せてもらったああいうものをつくるんでは、将来自分のところで遠からぬ将来につくり始めて、百六十一トンに期待しないでも済むんじゃないかといったようなことの不安心があるなどという記事が出ておったんですが、どういうふうに当局は考えますか。
#31
○政府委員(梅澤邦臣君) 濃縮ウラン工場を民間に払い下げる傾向というのは、六四年から向こうでも始まりました。したがいまして、日米協約を結びますときにも、幾分そのうわさはあったわけでございます。しかし、今度百六十一トンで向こうと結びました内容につきましては、政府で結びましたことで、それにつきましては向こうの政府がたとえ会社が民間系になりましても、約束ということで百六十一トンについては確保できることになっております。ただ、先ほどおっしゃられました値段の問題でございます。これにつきましては、いま入っていますのは百六十一トンの一部でございます。これにつきましても、アメリカにおいて市場でやっておる、発電所で使っていますところに入れております燃料の値段、それと同等で来るということに契約はなっております。したがいまして、値段を幾らでこれから先百六十一トン入れるという決定的な値段はきまっておりません。アメリカの電力会社で使うと同等で日本にも出すということでございますので、もちろん、民間に行きまして、アメリカの発電所が買う値段が上がれば、やはり日本に来るのも上がるかもしれない。その点においては、アメリカより差がついて日本に納められるということはございません。
 それからもう一つ、濃縮ウランの問題でございますが、これにつきましては、御存じの高速増殖炉のプルトニウム燃料を使う炉でございますが、これは昭和六十年ごろにそれが実施化の模様が出てくるわけでございます。それまでは濃縮ウランの利用というのが相当ふえてくるわけでございます。その後になりますと減るということが期待されるわけでございます。しかし、先ほど先生おっしゃいました百六十一トンという量は、実は昭和四十七年ごろまでに十三機日本で発電所がかかりますが、十三機が三十年間運転する燃料としての確保でございます。したがいまして、それ以上に建設を始める分については、あらためて向こうとの量の交渉をするということになっております。その点にも今後問題がございますので、そのことが一つと、先ほどの六十年以降のプルトニウムにかわる、燃料がかわってくる状況というのを判断しながら濃縮ウランの問題は取り上げていって、日本でやるか、どうするかということは考えなきゃいけないというのが現状だと思います。
#32
○森元治郎君 最後のを聞きそこなったんだが、一番最後のところは、どんな話でしたか。
#33
○政府委員(梅澤邦臣君) 濃縮ウランの今後の持っていき方でございますが、それにつきましては、プルトニウムに燃料がかわってくる時期と、それから日本で今後濃縮ウランを、もしたよるとすればアメリカにたよるわけでございますが、それがどのくらいの量が五十年代からふえていくかというところをかね合いにしまして、そこで、ウラン濃縮の設備を日本でどうやって単独でいくかというところは判断しなければならないと思います。その点につきましては、まず四十七年度に、拡散法とそれから遠心分離法の経済価値を判断して、その持っていき方を決定するということを、いま原子力委員会できめておりますので、その時期ごろまでに燃料の対策という問題を調査いたしまして判断を加えていかなければいけないというのが現状だと思います。
#34
○森元治郎君 民間に払い下げがきまれば、やはり価格の面でアメリカの市場の値段に左右されて高くなるおそれはあるわけですね。そういう場合に、われわれが原子力協定を結んだときは、さようなことを予想してあの協定を結んだわけではない。もちろん、六四年ごろからそういう話があったことは確かだけれども、その点は、何か、廉価で安定供給される道を講ずるような合意議事録なり、あるいは両方の公文の交換なり、そんなものはあるのですか。
#35
○政府委員(梅澤邦臣君) ウラン濃縮の値段でございますが、これにつきましては、現在のアメリカが政府でやっておりましても、やはり市場の価格というものを考えて、アメリカ市場に払い下げる場合と同じ値段で日本に入れてくると、もちろん、いま先生おっしゃいました民間企業に移ればそれだけ燃料費が高くなるだろうと、しかしこれは、いまそういう点等を検討しているのだろうと思いますが、民間に払い下げる場合の条件等を五月一日までにアンケートを出していま調査途中で、その後、実際にこの払い下げるのをどうするか、どういう条件でいくか、あるいはどういうことを、その後の公聴会で考える、その公聴会で考えます検討資料をいま集めているというのがアメリカの現在でございます。したがいまして、五月一日までに向こうのいろいろな考え方の条件が出ます。それから向こうがほんとうに民間に払い下げるか、ある程度このまま続けていくかという検討が具体的に始まるのだろうと思います。それまでは詳細はわかりませんが、現在の燃料の問題につきましては、アメリカ自身も、当然、電気の発電に対して、アメリカの会社が燃料を自分でつくれば高くなるということでいきますと、電力会社のほう自身がそれだけコストが上がってしまうわけでございますので、その点は、たとえ移っても、それほど値上げがされるということは現在のところは考えられないのじゃないか。その点についても十分向こうの情報をキャッチしようという考え方でございます。
#36
○森元治郎君 アメリカなんというのは、どこにしまってあるか知らぬが、相当人殺し用のものがあるんだが、それでもこわして回せばよさそうに思うんだが、そういう提案も、何かアメリカがそんなものを五、六万トン出して、一般に、電力用に分けてやってはどうかみたいなようなおもしろい話があったが、そういうことがあり得るのですか。
#37
○政府委員(梅澤邦臣君) いまの話は、ただいま正式に私どもも聞いておりません。そういうことはないんじゃないかと思っております。といいますのは、現在、濃縮ウランの工場そのもののでき方でございますが、これは、そういう大量に余っちゃうという方向よりも、世界に供給する分野を入れて計画的につくっております。したがいまして、それほど余って、隠すというような能力までは持っていないのじゃないか、こう思っております。
#38
○森元治郎君 それから、原子爆弾をつくれるというのは、どういう条件がそろえばいいのか。しろうと考えでいけば、工業生産力、GNPの大きいということはもちろんだが、そういうこと、あるいは大きな電力もできる、それから冶金の技術というか、これを包んで運ぶ、そういうような冶金の技術とか、あるいは重水素なんというのは、これはたぶん水からとるのだろうから、これはあるとして、硫酸だか硝酸だか、そういうようなものも、案外手軽につくれるようなんですね。昔はアメリカしかできないと思っていたんだが、だんだん手軽にできそうになってきたと思うのだが、何か、私が申し上げた条件のほかに、それが欠けていればだめだというものがあるかどうか。もちろん、つくるという意思がなければこれは別として、つくるという意思がある上に、いま申し上げたような条件、自動車製造なんかの工業力も入るのでしょう。何か足りないところありますか。
#39
○政府委員(梅澤邦臣君) 御質問の、私も専門家でございませんので、事実、爆弾がつくれるかどうか、それからつくる場合にはどんな技術がほかに必要か、一つ考えられますのは、発電に使います場合には、なるべく中性子でおそく熱を出すようにしている。いわば、おそくしているわけでございます。一ぺんにぼっと燃えてしまえば発電に困ります。そういう点においては、爆弾のほうは逆に早くぼっといくというところの違いというのは、全くそこが違うと思います。そういう点で、技術としては、日本はやりませんで、そういう点の技術というものは全くないと思います。ほかに、やっぱり、こういうものをやります場合には、先生おっしゃいますように、冶金関係で、材料の純度の問題、あるいは加工技術の問題、こういうものの関連技術としますと、平和利用で相当伸びております。その関係から、そういう問題は時間的には相当かかるかもしれませんが、そういう技術というのは日本には相当あると、こう思っております。
#40
○森元治郎君 これは先の話ですが、だんだん原爆のようなものの材料が日本でどんどんと生産されるようになってくると、外国はもちろん、国内でもポテンシャルが上がってきますから、非常に心配する向きも出てくるだろうと思うのですね。そういうときに、何かはっきりしたものを、こうすれば原水爆ができないのだというあるフォーミュラーをつくることが大事なんじゃないか。たとえば、ああいう原水爆なんというのは局長も見たことないんだろうと思うんだがね。いろいろなものが寄せ集まって初めて力が発揮できると思うのですよ。何かピン一本でも抜けていれば、どかんとならない仕組みになっているのだろうと、しろうと考えでも思うので、それを、こうばらばらに配置して、その結果を、ちょうど国会で何とか白書といったようなものが、農業関係、中小企業、科学技術の白書が出るように、国会を通じて常時発表させるようにしておくと要らぬ内外の不安、疑いというものは防げるのじゃないかと思うのです。どんなふうに考えられるか。いまのところはまだ緒についたばかりで問題ないが、ここ十年となると、力は十分盛り上がってまいりますから、そうして頭が特別いい日本人ですから、やれという一声かければ、あしたでもできてしまうくらいの、まあこすっからい達者な人間ですからね。その点を、ひとつ関係者のあなたから聞いてみたいと思います。
#41
○政府委員(梅澤邦臣君) もちろん。原子力は、現在平和利用に徹するということでございます。それをきめるために原子力委員会がございまして、したがいまして、原子力委員会はそこで長期計画等の承認をして、それを公表いたしております。その関係で、はっきりと、こういうことをやるのだということを具体化しておりますので、その関係から、いかに総合的にまとめて研究を進めれば原爆がつくれるというようなことはやらないのだということが明らかに現在のところ公表されているわけであります。その点は、そういうことのために原子力委員会もございますし、それから原子力委員会は長期計画を出しますし、そうして重要事項については全部意見を聞いてやります。意見を聞いた場合に、総理はそれを尊重しなければいけないということで進めております。それは公開になっておりますので、いま先生のおっしゃいました問題の方向には、われわれとすれば絶対進める方法はないということでございますし、それからもう一つ、そういうことの不安感があるので公表しろということは、長期計画等で将来の見通し等の問題がございますが、それでPRしているというのが現状だと思います。
#42
○森元治郎君 おそらく、原子力基本法ができるときに、自主、民主、公開とは何だという御議論はさんざんおやりになったと思うんですが、また繰り返しになるかもしれませんが、公開という裏には機密ということが当然くっつかってくるわけです。一体機密とは何だという議論も相当やったと思う。機密とは具体的には何だということ、あるいはまた、ものをつくる過程において、きょうの機密はあしたにはもう普通だれもわかっておる。そういう機密というものはこれは指定できるのかどうか。きょうの段階ではこれは機密、あすの段階ではそれはもうだれもわかっておる常識だ。その機密というものは指定があるんですか。
#43
○政府委員(梅澤邦臣君) 研究成果を公開しなければならないと基本法に書いてございます。この場合の研究の成果という考え方でございますが、成果というものは、ある項目を十年たっても成果という考えではなく私たちはとっております。その途中の段階で公表すべきときが、あればそのときに、タイミング、時間とやり方、そういうことを考えて公表すべきだと思います。ただ、その公表いたします場合に、それを早く知らせておいたほうがいいという場合と、それからまだ内容的に、これを出した場合に見た人に誤解を与える場合があるという場合がその場合ございまして、そこが公表すべき時期を考えなければいけないというところだと思います。したがいまして、そうなりますと、その間に、機密といいますか、あるいはそういう公表をしないほうがいいという分野が当然出てまいります。これは、どういう研究をやりましても、やはり途中の段階でそういうものが当然あるのではないか。たとえば、会社で商業機密というものがございますが、これは会社独特の技術を持っているがために、どうしてもノーハウを押えておくということがございます。その関係上から、やはり基本法で研究の成果と書いたところには非常な意味があるのではないか。したがいまして、段階段階で成果が出ました場合には当然公表いたしますが、その成果の出る途中には、当然、その秘密というか、あるいは発表しない段階を置くというのがあり得る、こう思っております。
#44
○森元治郎君 そこで、そういうものを判定する基準、ヤード・スティックというか、そういうものがあるかどうか。どういう機関がそれをやるのか。随時その関係者が集まってきめるのか。それからまた、将来裁判所も、技術裁判所みたいなものをつくらなければならぬ時代がくるのではないかと思うんですね。昔の旧式の物理化学の程度の判検事ではこなしきれませんよ。そのような頭では。これは技術裁判所のようなものをつくらなければならないと思いますが、それはどうですか。
#45
○政府委員(梅澤邦臣君) いまの公開する場合でございますが、たとえば、動燃、原研等を申し上げますと、すべて公開する場合には理事長の承認を経なければいけないということで、すべて承認を経る内部の規則ができております。それでやりますし、それから先ほどのような委託費とか、そういうものを出した場合には長官の承認を経なければ出せないという場合もございます。これは大体契約とかあるいは内部の規定とか、そういうところできめております。
 それから技術の裁判、これは私もちょっと、将来できるか――産業スパイとかいろいろなことがございますので、いろいろ裁判の範囲が広がってまいりますが、技術の場合一番困りますのは、その技術の研究成果といいますか、そういう内容はやった人自身が一番よく知っておるわけでございます。そういう関係から、いざつくろうとしましても、なかなかむずかしいのではないか。普通の裁判とはちょっと違った形になるんではないかと思いますが、これはそうなりますのも、まだそう時期が近いとは……。近いのかどうか、ちょっと私たちのほうもわかりません。
#46
○森元治郎君 それで、最後に具体的なお話を伺い、一問で終わりますが、福島県と東電で、原子力発電所の安全確保に関する協定書というのがつい一週間ばかり前ぐらいにできたわけですね。これに関連して伺うんですが、かねがね地方自治体では――私は茨城県ですから特に伺うんですが、ああいう原子力施設のあるところの安全性、県知事や市町村長にしてみれば、そこに住んでいる人の生命や福祉、いろんなことのめんどうを見る責任を持っておるわけですね。ですから、安全性の問題などについては、自治体のほうも事業主と同じように何らかの関連をしていきたい。災害防止もあるだろうし、周辺地帯の整備の問題もいろいろあるし、自治体はそのことを希望する。ところが、当局のほうを見ていると、技術庁でも事業者でも、変なしろうとが介入することは好まないような、あまり関心を示さない態度のように外からは見えるんです。そうして、全国でたぶん十五ぐらいの県ですか、原子力関係の県が合同してそういう趣旨の要望書をしばしば出しているようです。そこへ今度は、福島県で東電と放射能の測定という一点だけにしぼったような協定ができたんですが、地方自治体からの重ね重ねの要望にはどういうふうにこたえられるつもりか。たとえば県知事は、その事業者やなんかが、技術庁なり政府なり、そういうところへものを申請して許可とか認可をもらうときには、自治体の長を経由してやらしてくれないか、もしそれがだめならば、せめてこういうものを出すよというようなことを見せてくれないかという、きわめて遠慮した希望もあるようです。これについてひとつ御意見を伺います。
#47
○政府委員(梅澤邦臣君) 地方の都道府県から要望の内容を大別いたしますと、許認可に際しまして地方公共団体の意見を聞いてくれないかというのが一つでございます。もう一つは、福島のような、周辺モニタリングの体制整備をはかるべきである、県としてもはかるべきだということでございます。
 その初めの許認可の問題でございますが、これにつきましては、現在やはり一つの統一基準で許認可いたしております。したがいまして、地方地方で許認可という場合に、あまり権限が入りますと、その点にアンバランスがくるんではないか、したがいましてここ当分の間は、やはり国として許認可については当然進めていきます。しかし、やはり地元の問題等がございますから、その関係として、実質的には地方公共団体とお話し合いは当然進めるという形で進んでおります。
 それからモニタリングの問題につきましては、これは福島、そのほか前々から福井県でもつくられておりますし、今度福井県では少し強化した形に考えられております。これは要するに、やはり地元の方々が安心してそばにいられるということの関係から、そういうモニタリングの公正なる評価と申しますか、そういうことをやっていく機関でございます。これにつきましては、われわれもできるだけの援助と、それから必要に応じましてはその委員にもなるというところの努力、それからこういうものはそうあるべきであるという進み方でございます。ただ、県あるいは県ごとによりましては、あまりに科学技術庁なり政府が入ってまいりますと、中立性と申しますか、自主性と申しますか、そういう関係のかね合いもございます。したがいまして、そこにはフレキシビリティをおいておりまして、できるだけそういうものの公正なる立場で進んでいくということには、われわれのほうも援助いたします。しかし、その自主性を向こうでなるべく守っていただいて進めていくというような形で、今度の福島県と東電の場合もできております。それから福井県におきましても、これもほぼ同様なものができ上がっております。いまのところ、原子力発電所は、具体的に着工してやっているのはこの二つでございますので、これから先どんどんふえてまいりまする場合には、当然こういうことが考えられますが、現在といたしましては、やはり県の立場、地元の立場、そういうものの立場が公正に通るというような形でやっていただきまして、われわれのほうは、それに、できるだけ必要に応じ、あるいは向こうの要望に応じ、できるだけ援助していくというたてまえでいかしていただきたい、こう思っております。
#48
○森元治郎君 茨城県の場合はどういうふうになっておりますか。
#49
○政府委員(梅澤邦臣君) 茨城県につきましては、これは全く例外の扱いでございます。と申しますのは、茨城県は、国のセンターといたしましては原研、動燃等がございます。したがいまして、原子力局からも、あそこには水戸事務所というのが出ておりまして、国としての機関が多うございますセンターでございますので、あそこだけは別の考え方で進め、水戸事務所等も入りまして現地にいろんな観測体制等をやりますが、できるだけ国がやるという形で設備をいたしておるわけでございます。
#50
○森元治郎君 ああいうふうに密集しているところでは、やはり茨城県の岩上知事からも何回も、私が申し上げたようなことを、県がもう少し一緒に介入するというか、一緒にやりたいということを申し入れたんだが、これを拒否しているように見えるのだが、どうですか。
#51
○政府委員(梅澤邦臣君) 拒否は実際にはしておりません。ただ、先ほど申し上げました、中立的にやってもらったほうがいいんじゃないかという立場を強調いたしましたので、拒否という考え方でとられたニュアンスが少しございます。しかし、私たちが通産省とともにやはりモニタリングを進めて、それの公正なる評価をしていただく立場はそこにあっていいんじゃないか、そういうものはなるべくあるほうがいいという考え方で進めていることは事実でございます。
#52
○森元治郎君 大臣、どうですか。県や地元の人の応援がなければ何にもできないのですから、あそこの東海村、勝田、あの辺の村ですね、那珂湊、ああいうもので、みんなやはり心配だ。われわれも、自分の自治体の住民の命はもちろん、健康にも関係するし、それから福祉の問題にも関係するのですから、何か合同の会合があっても、国の変なメンツなんかが下がるわけでもないだろうし、十分笑いながら理解のもとに原子力事業が円滑に進むように思うのですが、大臣、どうですか。
#53
○国務大臣(木内四郎君) 私は、先般来、原子炉の設置について、安全第一でなくちゃならぬということを繰り返して申し上げておるつもりなんですが、その安全第一も、この原子力委員会のきめた基準等に従って科学的にこれは十分に安全だということはもちろん必要ですけれども、それだけではいかぬ。やはり社会的に、その周辺の環境の人たちが、その住民の人たちが十分理解し、納得して、安心していられるような体制にしなくちゃならぬ。それを第一に考えておるということを申し上げてきておるつもりなんですが、そこで、いま原子力局長からも申し上げましたように、そういう趣旨から、地方で原子炉をつくるような場合に、その設置者がもちろん原子力委員会のきめた基準をかたく守っていかなければならぬ。そのために、モニタリングをこしらえて、よくこれの数値を検査していかなければならぬことはもちろんですが、それに対して、地方の公共団体の人などを参加させて、そうして地方の人たちが十分に自分たちも参加して、しかも理解し、納得して、安心していくようにしなければ、これから先、原子力産業の発展は期することができない、こう思いまして、科学技術庁におきましては、そういう方針で原子炉の設置者に対して指導といいますか、そういうふうな指導をしてきておるわけでございます。
 そこで、さっきから申し上げておるように、福井県では、すでに日本原子力発電会社と関西電力との間にそういう契約もできており、今回、東北電力と福島県との間にもそういうものができた。これは非常にけっこうなことだ。ところで、いまも原子力局長が申しましたように、東海村、あの周辺には原子力関係の施設が非常に多い。また、さらに再処理工場も設置しようというような段階でありますので、それにつきましても、もちろん科学技術庁としては、科学的に十分この安全性を確保するような措置を講じていかなければならぬことはもちろんですけれども、それに加えて、さらに地方の方々にも十分、福島県あるいは福井県のように十分に参画していただいて、あるいは十分に理解し、納得していただきたい、こう私ども常に考えておったのです。ところが、ときたまたま、この間再処理工場の設置の安全性を調べました委員会におきまして、海洋に対する影響の項のもとでありますけれども、この間も申しましたように、周辺環境における監視の結果、すなわちモニタリングの結果を公正に評価し得るような権威ある中央機構というものを整備することが必要だと、こういう一項が入っておるわけであります。それは、いま森委員のおっしゃるところにぴったり合っておるのであります。私ども平素から考えておるところにも合っておりまするので、その問題につきましては、今後前向きに、原子力委員会であの報告書を検討する場合によく検討しまして、そうしてこれについて十分考慮を加えてまいりたい、かように考えておる次第であります。
#54
○森元治郎君 そこで、地元の要望は、いわゆる規制法といわれる現行制度では、原子力施設の設置運営に何ら地元は関与できないのだ、したがって、責任を十分に果たせないから、ひとつ法の一部改正をしてもらえないかという具体的なのがあるのですが、法改正にまで進む準備検討はしておるのですか。しなくても済む、やれると思いますか。
#55
○政府委員(梅澤邦臣君) そういう御要望はございます。しかし、まだ原子力発電所の着工しておるのはわずかでございます。したがいまして、いまそれに関係する県も少ないのでございます。私たちのほうは、現在の規制法を改正して早急にその県を入れるよりも、やはり国全体の統一的な考え方の基準で進むほうが、まだいまの時期としてはいいのではないか。したがいまして、将来としては考えるということで、現在は、検討はいたしておりますが、さしあたって、そういうことで規制法を変える等の処置はまだ早いのではないかというふうな考え方でございます。
#56
○森元治郎君 これで終わりますが、いまの大臣の答弁の方向でいってもらいたいが、どうもお役人というのは、しろうとを一緒にして話しするというのは権威にかかわると思うのか、これは非常にまずいんだね。やはり、一般の地元の人の希望があるときには、いろりばたを囲んで、茶わん酒を飲んで話したほうがよほどわかるんですよ。陳情に来て、原子力局長の大きなじゅうたん敷いた部屋なんかに来てしゃべると半分しか言えないし、そういうふうに、やっぱり民間の人ともっと接触していくというのでなければ、原子力の円滑な発展ということはむずかしいんじゃないかと思う。みんな住民が変な気持ちを持っている。そういうことを十分考えて、私はいますぐ法改正とは言わないまでも、まあ中央機関でやることも、トライしてみることもいいでしょう。が、同時に、早く現実に地元の人の要望にこたえる道を考えてもらいたいと思う。もう一ぺん大臣ひとつ。これで終わります。
#57
○国務大臣(木内四郎君) ただいまお述べになった御意見、まことにごもっともでありまして、それは私ども先ほどから申しましたように、平素から考えている考え方に全く合致しておると思います。しかし、現在の段階におきましては、法律を改正しなくても、幾らもそういうことはできると思います。まあ法律を改正する必要があればもちろん改正しますけれども、しなくても十分地方の人々に参加してもらって、そして理解してもらって、納得して、これなら安心だと、そういう気持ちで地方の方々に御協力願えれば非常にしあわせだと思います。
#58
○委員長(宮崎正義君) 矢追君。
#59
○矢追秀彦君 私は、先ほども少し問題になっておりました公開の問題でありますけれども、これについて具体的な問題を取り上げてお伺いしたいと思います。
 初めに、動燃事業団法の第二十四条に基づいてつくられた業務委託基準についてお伺いしたいんですが、これが実施された趣旨及びその内容について、あらましを説明願いたい。
#60
○政府委員(梅澤邦臣君) 動燃事業団は、自分のところでもちろん仕事をいたしますが、非常に金額も多く、また研究者も分散いたしておりますので、会社あるいは原研等に委託する分野が非常に多うございます。したがいまして、その委託する場合の規定というのをつくったわけでございます。それで、その規定をつくります場合には、やはり一番問題になりますのは、研究が進みましたものを発表する段階、あるいは途中の段階という問題がございます。その点につきまして、その規定によりますと、たとえば原研の場合で、現在のお話でございますが、申し上げますが、「事業団は、事業団が承認する場合を除き、受託者に対し委託業務の内容および成果等について発表または公開させないものとする。」というのがこの三十一日まで使われておりました。しかし、これは実質的には、ただことばの言い回しが非常に悪いんではないかということだけはございますが、実際には、よそに発表する場合には当然委託した先の承認を得てくれというのは、これは当然だと思います。これは、ほかの理研その他、あるいはほかの個所でも、すべて大体そういう規則になっております。ただ、非常にこの文章がきついんではないかということが前々から言われておりまして、この四月一日からは、「この契約に基づく委託研究の内容および結果について発表または公開しようとするときは、あらかじめ書面により甲の承認を受けるものとする。」と、まあ裏側から書いたわけでございますが、内容として全く同じであります。その点、先ほどの公開ということがございますが、研究の成果を発表する場合に、こちらがそこに研究をお願いしてやってもらった場合には、こちらの研究との関連もございます。したがいまして、それを発表する場合には常にこちらの承認をとってくれということで、この規定が守られているわけでございます。
#61
○矢追秀彦君 いままで具体的にいろいろ委託をされておると思いますが、どういうところに委託をされておりますか。全部ではなくても、割合でもけっこうですが、民間と、あるいは原研等と。
#62
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力研究所、それから日本原子力発電株式会社、住友原子力工業、東芝電気、富士電機、日立製作所、三菱原子力、それから東京大学、原子力学会、日本溶接協会、日本揮発油、原子力安全研究協会と、これに、数はばらばらでございますが、主としてこういうところに現在まで委託した実績がございます。
#63
○矢追秀彦君 まあ、いま言われた場所はわかりましたのですけれども、大体仕事の量からいいまして、民間のほうとそうでないほうとは、どちらが多いでしょう。
#64
○政府委員(梅澤邦臣君) 一番数として多うございますのが、日本原子力研究所でございます。これが、いまちょうど基礎段階の研究の進み方でございますから、それが多うございます。民間と合わせますと、大体半分ぐらいが、いまのところ原子力研究所でございまして、残る、半分よりちょっと多うございますが、それが民間でございます。したがいまして、大学と日本原子力研究所合わせて約半分ぐらいではないかと思っております。
#65
○矢追秀彦君 いま、この第十条、少しことばを変えられましたけれども、結局、具体的にも問題がありまして、これは四月七日の北海道新聞、それから同じく同日の日経の朝刊にも出ておったのですが、立教大学で開かれた日本物理学会年会の素粒子論の学者の集まりで、その委託業務の成果の発表、公開を原則として禁止しておる、このことが問題になったのでありますが、このことは、科学技術庁としてはどの程度事実を認識されておるか、お伺いしたい。
#66
○政府委員(梅澤邦臣君) 先般の学術会議の、本式の会議ではございませんで、その一部の有志の集まりでこの話が出たということは、私たちも存じております。しかし、この話が出ました問題につきまして私たちも調査いたしておりますが、実際的には、原研で実ったものが動燃に移っているという現在でございます。それから原研につとめていた方も動燃に移っております。その間で研究したものの実績のまあ行き来がございました。その関係から、発表する段階におきましても、そういう関係で、事後の手続をとったり、あるいは手続に間違いがあったりしたということのいきさつは、その間にあったようでございます。しかし、これは現在、そういういきさつがないようにしようということで検討中でございます。もちろん、たとえばある委員会でこういうものを動燃として発表したいと、こういう考え方で、その研究をやられた方、いいだろうとおっしゃっていましたが、それが所の了解を得るのが事後になってしまったというのがいままでの経緯でございまして、そういうような関係から手続上の不備があったのではないかと思っております。あとは、あまり現在のところでは、実際的に原研と動燃とでひどい問題が起こっているということはございません。
#67
○矢追秀彦君 まあ、これは新聞の記事だけですので、私も事実はまだ確かめてはおりませんけれども、事業団が原研から提出されたレポートの表紙をはがし事業団名で学会に発表した例が二、三あった、そういうことで問題になったということですが、そこで、結局、研究者の間では、やはり学者、研究者の重大な道義違反である、それから成果の発表、公開というのは、原研の業績、研究者の活動を示すものであるので、メーカー委託の場合と同じ扱いでは困る、あるいは発表、公開の禁止または制限は原子力基本法の精神から考えてよくない、というようなことで問題になっていると書いてありますけれども、いまの局長の答弁では、これとはだいぶ違うように思うのですけれども、いかがでしょうか。
#68
○政府委員(梅澤邦臣君) その新聞、私も詳しくは読んでおりません。それは、委託を原研に動燃からしたものの中に表紙をかえたものがあるというふうに書いてございますが、実際に原研に委託したものにはそれはございません。それで、先ほど申しました点は、原研への委託というようなことではなくて、研究を進めていって、その報告書を書くという場合に、前からの問題から、何となく人と人とのつながりで、事後承諾で発表したのが二件ほどございます。それが実際的に中身が同じでありながら表紙が事業団になっていたということでございまして、この点につきましては、当然原研の承諾をあらかじめとってやるべきところを、研究者もいいだろうということで発表して、あとから承認をもらったというケースが確かに二件ほどあったと思います。その点は確かに手続としてはまずい点があったと思うんで、その点を変えることにして、今後ないようにいたしたいと、こう思っております。
#69
○矢追秀彦君 結局、そういうことが出てくるのは、この十条――先ほどもことばがきつかったから変えたなんて簡単におっしゃいますけれども、やはり民間にかなり委託されておるわけですから、民間としてはいろいろ企業秘密ということでやはり発表したくないという問題が出てくるんじゃないか、その場合、事業団としてはどうしても発表をしなきゃならぬ場合、もしその委託した民間がそれを拒んだ場合は、これはどうなりますか。
#70
○政府委員(梅澤邦臣君) 動燃は動燃の考え方の一つの基本法を守るという形でできております。したがいまして、その観念におきまして契約を結んでやるわけでございますが、契約は、御存じのように、向こうが発表する場合にはこっちの承認をとるという形でございます。したがいまして、その研究の途中で成果が出て発表すべきだというときには当然発表します。と申しますのは、こちらが金を出して委託していることでございますので、その成果につきましてはこちらがもらうというのが当然でございます。したがいまして、その財産といたしましてはこれは動燃のものでございますから、動燃が当然それを発表するということになると、こう思っております。
#71
○矢追秀彦君 ということは、民間のほうは拒否はできないと、こう考えてよろしいんですか。
#72
○政府委員(梅澤邦臣君) 原則としてはそう考えます。ただ、先ほど申し上げましたように、動燃自身も、こういうものが民間のノーハウのものとして、やはりそこでのノーハウとして動燃自身も発表しないほうがいいと考えた場合には、当然それは残ると思います。これは、両者が協議すべきこまかい分野はある程度残ってくると、こう思っております。
#73
○矢追秀彦君 これを公開するかしないかということをきめる基準といいますか、考え方の基準はどこに置かれておりますか。
#74
○政府委員(梅澤邦臣君) これは、先ほどちょっと申し上げましたが、もちろん、動燃の理事長がその権限を持つということでこの規則ができておりますので、公開をする場合の裁決は動燃理事長がいたします。ただ、その公開すべきかすべきでないかという問題につきましては、当然その基本法の精神というものを動燃理事長が受け持ってやっておりますので、その範囲内で決定をされるという考え方だと思います。
#75
○矢追秀彦君 基本法からいうと、やはり全部を公開すべきであると、こう考えるわけですけれども、やはり今後いろんな問題が出てくるかと思いますので、この点は確認をしておきたいんですけれども、いまの話だと、結局、理事長のほうの権限といいますか、その辺で理事長が判断をする、その理事長が判断をする基準をどこに置くか。普通は公開するのが原則です。ですから、どうしても公開してはいけないということが出てはならないんですけれども、もしされた場合にどういう基準でされたか、その基準がなければ非常にこれから問題が出てくるんじゃないかと思うんですが、その点を聞いているわけなんです。
#76
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力基本法にございます研究の成果の公開、成果は公開しなければならないと、この一番の問題は、研究の成果ということばの読み方の問題だと思います。成果は当然その途中の段階でも出ます。しかし、その成果が出ました途中の段階のすべてのものを公開するということは、私たちあり得ないと思います。できるだけ早く、重複した研究を進めたりするということのないように、こちらが全部発表する、しかし、その段階におきましては、発表して誤解を生む場合がございます。そういう関係を十分考えまして、これは早く発表すべきであると、早く発表すべきであるという、早くという気持ちでこれは進められていく形になると思います。
 そういう考え方からまいりますと、やはりまだ研究の途中の段階と申しますか、そういう段階では発表しきれない段階、それから研究成果を出しました場合にも、次の研究につながることがあって、ある一部をそこで隠さなければならない点もある。それをつけたがために、よそから、ほかの専門家から誤解を受けるというようなデータもございます。そういう関係から、やはりその途中の段階ではまだ発表し得ない分野があるということは当然ではないかと思っております。
#77
○矢追秀彦君 いま途中の段階のことだけを言われましたけれども、もちろん、私もある程度は理解できますけれども、じゃ、どこで完成とするか、こういう非常に原子力のような高級な学問というものは、どこで終わるかということは、なかなかそこをきめつけることはむずかしいと思います。どんな研究でもやはり連続していくものでありますし、ある程度の区切りというか、段階がつけば、私は、公開を研究者としてはやりたくなると思うのですが、その研究者が発表したい、そういうふうに言えば、そういう考えを持てば、事業団としては、その意思を十分尊重して、学会に発表するなり、あるいは世間に公開するなりということを自由に許されるのか、その点はいかがですか。
#78
○政府委員(梅澤邦臣君) もちろん、学会あるいはその他で公表する場合、これについて、理事長は、できるだけその学会等に極力知らせたいということで、発表を促進する形で承認しているというのが現状でございます。しかし、先ほど先生おっしゃいました途中の段階でそれをどこがやるのかというのがございますが、研究をやります場合に、やはり原子力委員会で長期計画をつくりまして、その長期計画で分担をきめまして、その分担が動燃なり原研に移るわけであります。その分担が与えられましたものについては、その研究は最後までやるのが動燃でございますから、その途中の段階でやはり発表し得ないということがそこにございまして、もちろんそれが発表できるまで研究を進めるというのは、分担を引き受けたところが全部やらなければならないのではないかと思っております。
#79
○矢追秀彦君 そうすると、この原研とか事業団によって委託されてやった仕事の場合には、大学で研究しているようなわけにはいかない、やはりきびしい制約があるというふうに感じられますけれども、その点はいかがですか。
#80
○政府委員(梅澤邦臣君) 私も大学のことは詳しくは存じませんが、大学でも受託研究をやっております。民間から受けた場合、その民間から受けたものを研究者がやりまして、やはりそれを発表する場合には、その上の長の人の承認を得なければ発表できないと聞いております。したがいまして、やはり発表する段階というものは、研究者が自分がやったものをそのままやるよりも、そのグループリーダーになった方といいますか、あるいはそれを担当する部長、大学でもやっぱり発表の時期を判断する人が上にいて、そこの了解を得て発表するという形と聞いております。その点は、研究を進めていきます場合は、強弱はございましょうが、やはりその段階は当然大学でも国でもみなあるのではないか、こう思っております。
#81
○矢追秀彦君 その、民間から大学が委託されて研究をする場合、それはある程度そういうことはあるかと思いますけれども、普通、自分で研究をやっている場合は、自分でここで一応区切りができた、そう考えて発表したいと、自由にやっているわけです。もちろん、その共同研究の場合には、リーダーの人とも相談しますけれども、それはあくまでも、その研究がこの程度で発表したほうがいい、途中の段階であっても、やはり自分の研究としてはこれだけ進歩したということを発表するようなことが必要と判断したから発表するのであって、民間から受託されてやる、前の場合とは少し違う。事業団の場合は民間とは違うわけですから、だから私は、やはり大学の研究者の発表と同じように、やはりその研究者なりが、ある程度の成果が出たと、これは発表してもよろしいと本人が判断すれば、私は公開してもいいんじゃないかと思う。もちろん、それを事業団がある程度――もちろん相談しないでやるのは、これはあれかと思いますけれども、その自由を、学者の発表の自由というものを大幅に認めるような方向にいかなけりゃいけないと、こう考えるわけですけれども、その点はいかがですか。
#82
○政府委員(梅澤邦臣君) たとえば、事業団、原研は、やはり国の費用で国策としてやってるところでございますし、したがいまして、そこでやりましたものは国の財産だと思います。そういうものを広く発表するということは当然でございますが、そういうものを発表する段階というのがございます。その段階を考える相談というものが、あるところであっていいんではないか。当然、そのときに、ただ大学の、たとえば学者さん方の個人研究で、きょうやったやつをあした言うというような形というものは、われわれのほうの国の機関なり、国から委託の外郭団体では、そこまでゆるくはできないと思います。やはり、その発表する段階というのはいつであるか、そういう内容に基づきまして段階をきめていくということが、この間には当然あり得るんではないかと、こう思っております。しかし、そういうことで発表を極秘にして押えるという傾向が多いということではなくて、発表をすることを頭に置いて、そういう考え方で進められておるというのがいまのやり方ではないかと、こう思っております。
#83
○矢追秀彦君 少し話は変わりますけれども、先ほど、事業団が委託してやったんだから、事業団の財産であるから、事業団が発表せよと言えば民間は大体拒めないと、こういう意味のことを言われましたけれども、これは今回の理研での濃縮ウランの成功の問題ですが、この場合は住友が非常に援助をしておるわけですね。こういう場合はどうなりますですか。
#84
○政府委員(梅澤邦臣君) 先般発表いたしました件につきましては、たぶん住友のほうの金だと思います。まだ私たちのほうの委託費が出ておらないときの成果が今度発表されております。その関係からまいりますと、両者でやはり共同研究契約を結んでいるはずでございます。その間で打ち合わせをいたしまして、もちろん、住友でやった分野については、住友のノーハウとして、これは発表されてないということになると思います。この点は、研究者同士の共同研究体制としての、研究者と会社と打ち合わせで進めているというのが現状だと思います。
#85
○矢追秀彦君 そういう半々になった場合ですね。事業団のほうは発表してほしい、民間のほうはいやだ、こういうふうにいった場合はどうなりますか。さっきのはわかりましたけれども、民間がかなりお金を出してるのは。
#86
○政府委員(梅澤邦臣君) その点は、やはりそこに問題が起きましたらば、やはり向こうの経営者と理研の経営者の幹部との相談で、そこはそれぞれ解決しなきゃいけないんじゃないか。しかし、ああいう共同研究をやります場合には、研究の内容と範囲というのがきまりますから、その間の問題として、当然事前にそういうことの打ち合わせば、了解といいますか、考え方は進められていると思います。
#87
○矢追秀彦君 特許庁長官にお伺いしますけれども、商業機密という問題と特許の問題なんですが、最近、産業スパイということ、スパイ罪というのも問題に出てきているわけでありますけれども、特許が非常におそいから、だからやはりこういう会社の秘密はやむを得ない、したがって、それを盗んだ産業スパイについては罪が成立をする、こういうような考え方から出ておると思うんですけれどもね。こういう場合、特許をもっと早く公開するようにしたほうがいいのではないかと、こう、要するに審査が非常におそいのを早くやるというふうに改正をすべきではないかというように考えるのですが、商業秘密と特許という問題について、特許庁としてはどういうふうに考えておりますか。
#88
○政府委員(荒玉義人君) ノーハウの問題につきましては、二つの角度からございます。一つは、御承知のように、ノーハウというのは秘密のものでございます。したがいまして、特許が早くなっても、私はノーハウは残ると思います。といいますのは、あくまでも秘密のものを保護するということでございますが、特許で全部カバーできないノーハウもございますし、もちろん、特許発明そのものももちろんございますが、本来ノーハウといいますのは秘密のものでございますから、それを保護するかどうかということは、大部分は私は特許法と別な問題かと思います。ただし、特許に関係する問題といたしましては、御承知のように、特許法と申しますものは、公開をいたしまして、その代償として独占権を与える、こういうことでございます。したがいまして、本来のノーハウといいますのは、先ほど言いましたように、あくまで秘密を前提にするわけでございますので、これは別の体系で私は保護すべきだろうと思います。
 これは私見にわたるかと思いますが、そういうものについては不正競争防止法の体系であるとか、あるいは刑法の体系であるとか、ほんとうのノーハウの保護というものはそういうような体系でやるのが普通ではないかと思います。ただし、特許法とは全然関係のないことではございませんし、審査がおくれますと、いわゆる独占権の発生がおそくなります。したがいまして、ノーハウそのものももちろん、さっき言いましたように、特許発明そのものである場合もあるわけであります。そういう意味では非常に関係してまいります。われわれといたしましては、そういうことを引っくるめまして、やはり審査が早いということは――御承知のように、特許権というのは、先ほど言いましたように、二面がございます。早く技術を公開するという面、それから独占権が発生するという両者でございまして、やはり審査が早いということは、特許発明でカバーされたノーハウはもちろん保護されると同時に、本来の特許制度の目的にも、やはりおそいということは弊害があるわけでございます。そういう面で、やはり早くすることはぜひ必要だと、かように思います。
#89
○矢追秀彦君 いま、秘密保持ということは残ると言われましたけれども、いま問題にしておる原子力とか、こういうものを公開をしない、国益の問題から、あるいは企業の問題から、公開をしないということがこれから非常に出てくると思う。しかし、もし特許のほうが、さっき言ったように、もっともっとスピードが上がって、認可がおりるということになってくれば、私は、たとえ公開をしても、技術の発展には役立つし、むしろ公開したほうが技術は進歩する。特に原子力の場合は、やはり平和利用ということを、わが国は第一番にうたっているわけですから、別に公開をしてはならぬという理由は何もないと思う。しかも、特許というものが特許制度で技術の利益は保護されておる、こう考えるわけです。そういった面で、やはり公開をしないというような、秘密ということをできるだけなくする助けに特許制度というものはなり得るのかどうか、そういう点をもう一回お聞きしたいと思います。
#90
○政府委員(荒玉義人君) 先ほどから言いましたように、ノーハウといいますと、特許発明といいますものはいろいろケースがあるかと思います。たとえて言いますと、特許の場合、一応高温高圧という形で、ある方法として特許発明になるわけでございます。おそらく、ノーハウといいますのは、そのうちの高温といいましても、ピンからキリまでございまして、何度がベストモードである、一番いいということが、いわゆるノーハウだろうと思います。まあノーハウを引っくるめまして、われわれといたしましては、やはり公開を早くしなければいかぬ、これが技術の進歩を、おそければおそいほど阻害するわけであります。いまのような状態でまいりますと、やはり審査はどうしても長期化せざるを得ない。出願の数、あるいは一方、サーチすべき文献の範囲、こういうものは、御承知のように、減るわけはなくて、ふえる一方でございます。同時に、逆に民間の需要は、御承知のように、技術進歩が非常に激しゅうございます。昔の発明でございますと、いわゆるアイデアから実際の製品になるまでは相当長期間、いまですと、原子力関係でも大体十年以内くらいだろうと思います。これは一般論ですが。そういう時代でございますので、早くやはり公開しないと、先ほど御指摘のような技術進歩を阻害するという面が一日一日多くなってくる。今回の法律改正は、われわれ考えましたのは、出願から一年半たてば強制的に公開していくと、こういう制度をとりましたのも、やはり技術公開がおくれるということに伴う弊害を除去する目的からでございます。で、一年半たって強制公開する、発明者自身は、何らかの保護がないと困りますので、発明者に対しては補償金請求権というものを与えることによりまして、早く公開され、権利の保護は早い時期に保護される状態におきたいと、かように思って法律案を提案しておる次第でございます。
#91
○矢追秀彦君 次に、原子力基本法の、平和、それから民主、公開というこの原則は、あくまでも軍事転用禁止ということが主たる目的であって、企業秘密までは及ばないという見解を原子力委員会がとっておられると、このように聞いておるのですが、その点はいかがですか。
#92
○政府委員(梅澤邦臣君) これは、もちろんいま先生おっしゃいましたように、軍事研究につながりやすい秘密研究をなくそうというのが一つのねらいでございます。
#93
○矢追秀彦君 だから、その企業秘密の場合は、やはり秘密としていいわけですか。この点いかがですか。
#94
○政府委員(梅澤邦臣君) 研究テーマ、研究を進めますテーマをつくりますときに、そのテーマそのものが平和研究でなければできません。したがいまして、その内容につきましては、大体のところは全部わかってまいります。ただ、その中に一部ノーハウがございます。したがいまして、それが発表できないということはございますが、それにつきましては、それが軍事研究をやっているのだということにはならないと思います。その点は、初めからその研究課題そのものを設定する場合に、平和利用のことでいっているわけでございますから、その範囲内の一部にノーハウがあるということでございます。
#95
○矢追秀彦君 まあこれから各企業においてもいろいろこういう原子力関係の仕事もされていくと思います。また、これから、会社によっては、要するに兵器ですね、それをつくられる場合も出てくると思います。そういった場合、事原子力に関しては、いまありましたように、一切、テーマ、研究の方法、それから製造のあり方というものを、そういうものを全部政府としてチェックをして、そしてこれはあくまでも絶対軍事にはいかない方向のものであると、こういうことをチェックをした上で許可をすると、こういうことは現在のたてまえでできるようになっているのか、もしできなければ、そのようにする方向なのか、その点をお伺いしたい。
#96
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力に関する限りは、原子力平和利用と書いてございます。平和利用しかできないとございますから、当然、会社が平和利用以外のものをやろうという場合には、やれないことになっております。その関係から、長期計画、その他やるべきことというのはきめられて進んでいるわけでございます。そういう関係からいたしますと、全くそういうことはあり得ないと私たちは考えております。
#97
○矢追秀彦君 まあ、あり得ないでしょうけれども、念のためにそれをチェックする機関というものがあるのですか。そういう制度は。
#98
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力につきましては、いま原子力産業の育成で私たちはやっております。そうしまして、委託費等で民間を伸ばしているわけでございます。この委託費をやる場合のテーマの指定課題というものは、原子力委員会の承認を得てやっております。そういう関係から、目標というものをはっきり出しております。そういうことでいきますと、全く民間でそういうことはできません。ただ、先生おっしゃいますように、もちろん、それには規制法、それから先ほどお話がございましたが、国際査察というのがございます。その関係からも当然できないということが出ております。それから、ただ民間自身がほんとうの極秘で、隠れて何かやっているということまで言われますと、その点は、民間の会社内だけで、全く隠れて個人会社が何かやっているということについての規制というのは、これはちょっと無理ではないかと思っております。
#99
○森元治郎君 関連して……。
 科学でも、ひょうたんから駒が出るということもあるのじゃないですか。研究テーマがきまる、それで、会社がその目標に向かって、その範囲内で平和目的で研究を進めていく、そのうちに思わざるものが出る、それがとんでもないたいへんなことになって、すばらしい軍事的に効果のあるものが、貢献するものができるかもしれないが、それはどうなりますか。それは予測しない、もう目的どおりにいくのだ、そういうものなら、もう研究しなくても結論はわかっているのだから、研究する必要はないのだな。
#100
○政府委員(梅澤邦臣君) それは平和目的に限るということで、研究の途中の成果でそれが出まして、いざそれを使うところで、そこでとめられます。したがいまして、それは研究の中身で、そういうときの成果がこっちにも使えるぞというものがあるかもしれません、あり得ると思います。しかし、それを、それじゃ利用する範囲としてどうするかというところに一番問題があると思います。利用のときに、平和利用に限るのだといいますから、もうその点で、それはたとえ出ましても、日本としては、やれないということになるのではないかと思います。
#101
○森元治郎君 もう一つ……。
 しかし、先ほど矢追さんに対する御答弁の中に、結論、成果、いわゆる最初与えた課題に対する答えの成果は公表するが、その過程は公表しないとなれば、いま言ったものを軍事に利用しようと平和に利用しようと、これは機密に属するから、出さないで隠れて残ってしまうのじゃないか。利用しない限りは。そこらに、おっかないものが机の下に入っているというようなことになりはしないか。
#102
○政府委員(梅澤邦臣君) 一番問題になりますのは、やはりウランだとかプルトニウムの問題であると思います。規制法によりまして、ウラン、プルトニウムの管理というものは、グラム単位まで全部厳格にこれは規制することになっておりますので、そういう関係から、たとえそういう技術が出まして、それを何かに使おうと思ったときには、そっちのほうの規制と、査察がございますから、その関係から、とうていやることはできないという、一方締め方がございます。そういうところで、平和利用以外には使えないということになる形に十分なっているのではないかと思います。
#103
○矢追秀彦君 もう一つお伺いしますけれども、動燃事業団の副理事長の話として新聞に出ている中で、「事業団は米国と技術情報を交換しているが、何もかも公表されてしまうと、交換の責任が持てなくなるので、この基準を作った。「公開の原則」は、商業機密に関するものについては関係ないはずだ。」こう言われておりますけれども、このアメリカとの技術交換への責任が持てなくなる。このように言われますが、一面から考えますと、アメリカへの技術の完全依存というふうなことも考えられるわけです。したがいまして、その公開禁止の処置が許されていくとなりますと、いつまでも日本の技術の進歩というものはかえってなくなる、また、アメリカの提携に寄り過ぎると、いま西ドイツで非常に困っているように、身動きがとれなくなってしまうというような面も出てくるわけです。そういった面から考えても、やはり公開という線で大幅に公開をしていくという原則は、やはり貫いていったほうが日本の将来から考えても有利なんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点はいかがでしょう。
#104
○政府委員(梅澤邦臣君) それはどういう立場でおっしゃたのか私もはっきり存じませんが、考え方といたしましては、アメリカと事実上高速増殖炉の研究等で、中の一部を共同研究するという場合もございます。共同研究を結んだ場合には、その範囲内として、お互いに、先ほどと同じでございますが、公開する場合には、公開する場合を考えなければいけません。そういう関係で副理事長がおっしゃっているのだろうと思いますが、もちろん、全般的に、アメリカと完全に手を結んでいるから、アメリカが困るから公開しないのだということではないと、こう私は解釈いたしております。
#105
○矢追秀彦君 この問題について、最後に長官にお伺いしますけれども、今後原子力ということが、動燃事業団を中心として、特に日本における高速増殖炉あるいは新型転換炉の開発というのは、大きな、世界的な注目にもなってくると思います。しかし、わが国の技術を世界に公開する、むしろそれが私は大きく平和というものに役立ってくると思うのです。それが、アメリカが持って帰って、すぐ原子爆弾をつくられたら、これは困りますけれども、そういうことじゃなしに、ほんとうに平和というものの上から、あるいは公開という上から、極力、今後の問題については、日本がこういう優秀な研究をやっているのだと、そういうことを世界に示していくことが、かえってやはり日本の平和と安全にもつながると私は思うのですが、公開という問題について長官の所信をお伺いしたい。
#106
○国務大臣(木内四郎君) いろいろ、平和利用と公開のことについて御心配のようでございますが、御案内のように、原子力基本法第二条によりまして、あくまで平和利用に限るとはっきりなっております。そこで、今後科学技術が非常に進歩してきて、いろいろな技術を日本も身につけることになるかもしれません。しかし、いろいろな技術は開発されましても、われわれは原子力の利用はあくまで平和目的に限る、こういうことでやっておるのでありますし、さらにまた、公開の原則です。これも先ほど来いろいろ御質問がございましたが、その研究の成果はあくまで公開する、われわれはそういう方針でやっているわけですが、ただしかし、先ほどもお話ししましたように、ある技術を開発した、それをやはり国家で、国の機関で開発すれば、これは国家の財産ですから、この財産はやはり一面において守る義務が私どもにあると思うのです。したがいまして、これは当然、いい開発であれば、これは特許を請求することになります。特許権が設定をされれば、当然公開されることになると思います。しかし、それが特許権が設定されるまでの期間において、いろいろ研究者の関係もありまするが、商業機密というものは、私は当然保護されるべきもので、適当に保護していかなければならぬものだと、かように考えております。しかし、そういう制限以外は私どもはあくまで公開の原則を守っていきたい、かように考えております。
#107
○矢追秀彦君 時間もだいぶたちましたので、あと、まとめて簡単に海洋開発の問題をお尋ねして終わりたいと思いますが、この間から予算委員会でも、かなり海洋資源の開発については問題が取り上げられました。したがいまして、大きい問題についてはかなり出ておりますので、私は具体的な問題について幾つかお伺いをしたいと思いますが、一番問題になっているのは、やはり大陸だな条約の加盟の問題であろうと思います。この問題についても、外務大臣あるいは農林大臣から予算委員会では答弁がありまして、一応加盟はしないという、現状のままでいくという線が強かったのですが、特にタラバガニの問題がこれに大きくからんでくるのじゃないかと思いますが、まず、このタラバガニはあくまでソ連の主張を承認したものでいくのか、あるいはタラバガニも向こうの言うような海底資源ではなくて、普通の動くものである、こういうことにして説得さして、そしてその上で大陸だな条約に加盟をする方向に持っていくのか、その点、水産庁と科学技術庁のほうと、両方からお伺いしたいと思います。
#108
○国務大臣(木内四郎君) 大陸だなの条約の問題、なかなかいろいろむずかしい問題を含んでいると思うのです。そこで、わが国といたしましては、この問題に対しては慎重に検討していかなければならぬという態度をとっております。いまお話しのタラバガニの問題ですけれども、あの条約によりますと、海底の鉱物資源に対しては沿岸国の権利はある。この沿岸国の権利というものは、あの条約に加盟されている国際法上、慣習法として大陸だなの鉱物資源は沿岸国に権利があるということが認められておりますし、また、ヘーグの国際裁判所におきましても、ごく最近に、その沿岸国の権利を認めるという判決が下っておりまするので、鉱物資源については差しつかえないと思います。問題は、水産資源の問題になってくると思うのです。そこで、わが国はタラバガニは動いておるものだ、泳いでいるものだ、こういう主張を持っているわけですね。したがって、沿岸国はこれに対して権利があるわけじゃないのだ、こういう主張を持っていますが、ソ連はこれと逆に、これは海底をはって歩いているもので、海底についているものだ、こういう主張をとっているものですから、これは水産庁のほうからお答えがあると思うのですが、そういうことで両国の意見が対立しているわけなんです。その点はすでに矢追委員も御了解になっているのだと思うのですが、そういう意味で水産庁と意見が違うのです。
 そこで、これに加盟するかどうかという問題は、これは外務大臣からもたびたびお答えしているように、わが国はいまこれに加盟する必要はない。が、しかし、鉱物資源の問題は確保できる、こういうたてまえをとっていることは、予算委員会で外務大臣から御答弁申し上げたとおりであります。
#109
○説明員(角道謙一君) いまも木内長官から概要御説明ございましたとおりでございます。実は、タラバガニの問題は、ソ連が一九六〇年に大陸だな条約に加入しましたときから問題はあったわけでございますが、昨年の二月六日にソ連で最高会議幹部会令というものをつくりまして、初めて大陸だな条約に基づく国内法が成立した。そこで、タラバガニはソ連の国家財産である、したがって、これをとるには、政府間の取りきめかあるいはソ連政府の許可を要する、外国人がやる場合にはその政府間取りきめあるいはソ連政府の許可がない限りはだめである、それに対しては、漁船の没収であるとか、漁獲物の没収あるいは懲役に処するとか、そういうきびしい態度を出しております。
 そこで、昨年の日ソ漁業委員会でタラバガニ問題につきましてずいぶん紛糾いたしました結果、昨年については前年どおり、従来どおり特例ということで、日ソ漁業委員会のワク内で処理をしたということになっております。その後、昨年の暮れに、ソ連側から、やはり同じタラバガニの問題につきまして、この問題について日ソ漁業委員会に先立って話し合いをしたいという申し入れがあったわけです。そこで、わがほうといたしましても、二月の初めから、この問題をできるだけ日ソ漁業委員会前に解決をしたいということで、この交渉に応じました。二月の六日からやはりこのタラバガニの交渉をやっております。しかし、この交渉におきましても、ソ連政府は、カニは大陸だな資源である、そうして沿岸国の資源に属するものであるという主張を非常に強く持っております。わが国は、いま長官が申されましたように、従来からタラバガニは歴史的に確立された国際慣行ということから見ましても、これは公海漁業の資源である、そういうことで、タラバガニが大陸だな資源であるという立場を認めることはできないということで、現在に至るまで約二月余り交渉が長引いているわけであります。現在、交渉はほぼ最終的段階に達しておりますが、わが国といたしましては、従来の法的立場を傷つけないということでこの政府間協定をまとめたいということに考えております。
 御参考までに、同様に、タラバガニにつきましては、東部ベーリング海にブリストル湾がございますが、そこで、やはり大陸だな条約に入っておりますアメリカと、長年そのブリストル湾でタラバガニについて開発をしてきたわが国とで、昭和三十九年以来、これと同様の問題が起こっております。そこで、昭和三十九年に、米国との間では、行政協定によりまして日米タラバガニ協定というものを結びまして、そこで、アメリカ政府は、あくまでタラバガニは沿岸国の主権に属する大陸だな資源であるという立場をとっておりますが、わが国は、これに対しまして、タラバガニは公海資源であるということを提起をいたしまして、お互いにこの立場を併記をしながら、わが国が長年その水域で開発に従事してきたという歴史的事実にかんがみまして、わが国のタラバガニ漁業を確保するということで双方で合意を見ております。
 以上でございます。
#110
○矢追秀彦君 そうすると、アメリカもソ連も、ともに、そのタラバガニは、要するに、浮遊生物ではないということを言っているわけですね。そうすると、わが国だけがそういうことを言っておるわけですけれども、学問的にはどうなんですか、純学問的な立場から言って。
#111
○説明員(角道謙一君) 問題は、この大陸だな条約の解釈にあるかと思います。で、大陸だな条約には、大陸だな資源としまして、鉱物資源のほかに、定着種族に属する生物資源も大陸だな資源であるというふうに書いてありますが、この定着種族に属します生物資源の範囲につきましては明確に書いておりません。そこで、たしか予算委員会の分科会でも、水産庁長官からも御説明申し上げたと思いますが、これについてはいろいろ解釈が分かれております。第一の点は、大陸だな条約制定当時、いろいろ経緯がございまして、定着種族に属する生物資源の範囲としまして、委員会の段階では、たとえば遊泳種族及び甲殻類は除くというような規定が入っていたわけでございます。それが、最終的に採択される段階で、この遊泳種族というものと甲殻類を除くという規定が削除されたわけです。この削除されました経緯については両説ございまして、遊泳種族及び甲殻類というものはこの大陸だな上面を、あるいは水中を広範に移動する、したがって、そういうものは入れるべきではないということで、当然入らないという解釈で、これを除かれたというふうに私どものほうは理解をしております。同時にまた、カニは、生態から見ましても、日本あるいはアメリカでも、種々放流試験等をやっておりますけれども、たとえば年間に三百六十海里移動するとか、一日の移動距離が十一海里であるというふうに、非常に広範に大陸だな上あるいは海中を移動しておる。こういうふうなものが大陸だな資源であるとすれば、大陸だな上層でのいわゆる泳ぐ魚も大陸だな資源になりかねないということもありますので、これは、当然、大陸だな資源には入らないというようにわれわれは思っております。そういう大陸だな条約の制定経緯、あるいはカニの実態から見ましても、これは大陸だな資源ではないというふうにわが国では考えておるわけでございます。
#112
○矢追秀彦君 わが国が考えておっても、向こう側が考えていないわけですから、結局、何といいますか、もっと説得力があるように持っていかないと、向こうだって承服しないでしょう。それとも、結局、逆にそれを押していくか、あるいはもう日本がその大陸だな条約に入るか、そうしてあとは、協定を結んで、向こうへわが国の窮状を訴えて、とらしてもらうというようなことでいけないものか、その辺の判断、これから先の問題、まあいろいろ議論は出ておりますけれども、重ねてお伺いします。
#113
○説明員(角道謙一君) ただいまの点でございますが、現に私はそういう見解を持っておりますし、たとえば、フランスだったかと思いますが、フランスも同様の見解があるというように承知しております。ただ、現実にアメリカあるいはソ連がタラバガニは大陸だな資源であるというように主張して、そこで今回はこういう交渉になったわけでございますから、この時点におきましてわれわれが大陸だな条約に入るという場合には、現にあります日米タラバガニ協定、あるいは現在交渉中の日ソのタラバガニの交渉についても非常に悪影響を与える。われわれとしましても、それを認めるわけにはいかないわけでございます。で、われわれとしましては、確かにこのカニの問題、日ソの間で非常に大きな問題になっておりますが、ソ連側の主張を認めて、こちらが窮状を訴えて漁を継続するというようなことは、わが国の国益からも決してとるべき方法ではない、あくまでわれわれの主張を貫きたい、かように考えております。
#114
○矢追秀彦君 通産省にお伺いしますけれども、この大陸だな条約に入らなくても、十分海底の鉱物資源をわが国の所有物として開発ができると、こう言われておりますけれども、絶対的にそれが守られていくものかどうか。たとえば、アメリカあたりが入ってきて石油の発掘等がやられる場合ですね、強引にやればできないことはないのじゃないか、このように思いますが、その点はどうですか。
#115
○説明員(高橋清君) 最初の大陸だなの条約の加盟問題でございますが、長官の御説明のとおりに、大陸だなの鉱物資源につきましては、これを探査いたしましたり、開発するための権利につきましては、沿岸国が主権的な権利を持っていることは国際慣行として認められておりますので、大陸だなに賦存いたします鉱物資源を開発するに関しまして、わが国といたしましても、大陸だな条約に加盟いたさずとも、この開発については支障がないというふうに通産省は考えております。ただ、わが国を取りまきます大陸だなの鉱物資源の開発が非常に進捗いたしまして、大陸だな条約に加盟する必要性が強くなった場合には、もちろん関係各省とも十分相談の上、その今後の対処方針をきめていきたいとは思っておりますが、現段階におきましては加盟する必要はないというふうに考えております。
 なお、御指摘の外国資本が入ってきて、わが国の大陸だなの開発をいろいろすると、この点に関しましては、問題といたしましては外資法その他、別の領域の問題でございますので、大陸だな条約の加盟の問題とは別の問題であるというふうに私どもは考えております。
#116
○矢追秀彦君 まあ、いまのお話を伺っていると、結局、大陸だな条約に入らなくても開発までは支障がない。ただし、もし開発されて石油が相当ある、それからまた外国資本が入ってくる場合はその問題とは別になるのでとおっしゃいましたけれども、そうなると、あとは自由に外国ができると、こういうことですか。
#117
○説明員(高橋清君) 外国資本が入ってくる場合は、これはただいま申し述べたとおり、外資法上の問題がございまして、外資法に照らしまして、そういったような外国資本が入ってくるということがわが国経済の発展に寄与するかどうか等々、そういった観点から別途審査いたすべき問題でございまして、わが国の大陸だな条約加盟問題とは全然関係のない問題でございます。
#118
○矢追秀彦君 この日本の近海で掘られる場合と、今度逆に、わが国が他国の大陸だなで石油の採掘をする場合ですね。こちらが大陸だな条約に入っていないから、入っていないのが不利か有利か、その点、どうですか。
#119
○説明員(高橋清君) この点につきましては、全く関係がございません。わが国が、他国の大陸だなにございます鉱物資源、たとえば石油に関します利権等々を取得する場合は、石油業界の慣例といたしまして、利権料その他を支払うことになっておりますので、いずれにいたしましても、その資源が相手国の大陸だなにあろうが、あるいはなかろうが、ともかくも利権料をいろいろなかっこうで支払うことになっておりますので、大陸だな条約にわが国が入っておるか入っていないかといったことは、利権交渉には全然関係がない、支障を来たさないというふうに私どもは考えております。
#120
○矢追秀彦君 次に、海底資源の調査の問題でありますけれども、これもまだ、あまり日本では十分に行なわれてないと思うんですが、現在の潜水艦が「しんかい」一隻というふうな状態でありますし、また、海底地図というものもまだできておりませんので、そういった調査に対して、もっと国が積極的にやる必要があると思いますけれども、海底地図なんかは早急に私はつくらなくちゃならぬと思うんですけれども、その点はいかがお考えですか。
#121
○国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、御案内のように、海洋は非常に豊富な資源を包蔵いたしております。そこで、各国とも非常に熱心に積極的に総合的にいま開発に乗り出しているわけですが、わが国におきましても、あるいは鉱物資源、あるいはいま問題になった水産資源、その他の開発のために、これまでまあ伝統的といっていいですか、伝統的の技術によって、それぞれ開発に努力してまいっておるんですけれども、最近におきましては、海洋開発は、このごろの非常に進歩してきた科学技術ですね、これをも総合的に集めまして、非常に進歩した海洋工学を駆使しまして、大規模に積極的に総合的に開発に着手しているのが各国の例なんでありまして、こういう点から見ますと、これはまあ、はなはだ残念なことですけれども、わが国においてはだいぶ立ちおくれている、こういうような状態でございます。そこで、わが国といたしましては、この海洋開発、しかも近代的の海洋工学を駆使した海洋開発に進まなくちゃならぬというので、いま着々態勢を整えて、そしてその準備にかかっておるというようなわけでありまして、いまお話しの潜水調査船は、すでに完成しまして、私どものほうから予算を出しましたが、海上保安庁のほうでこれを引き受けまして管理しておるわけです。それを共用の設備として各省でこれを使おうということで。それから、本年度の予算におきましては、海中の作業基地、こういうものの建設にいよいよ着手する、こういうようなことになっておりますので、まあおそまきながら、これによりまして海洋開発を大いに進めてまいりたい、かように考えておるわけです。
#122
○矢追秀彦君 こういった海洋開発を進めるにあたって、科学技術庁の中になりますか、あるいはまた、独立をした開発に関する機構というものはどうしてもつくらなくちゃいけないと思うんです。今年度の予算では無理だと思いますけれども、ぜひ早急に政府における体制づくりですね。これをやらなければならない。各国においては相当強力な機関ができているのですけれども、そういうような機関をおつくりになる考えについて、どういうお考えを持っておるか、お伺いしておきます。
#123
○国務大臣(木内四郎君) まことにごもっともな御意見でありまして、政府におきましては、そういう点にかんがみまして、ことしから非常に積極的にやろうということでありまして、従来の経費に比べまして、すでに予算委員会でも御答弁申し上げたと思うんですけれども、ほかの一般の経費は一五・八%ぐらいの増ですけれども、海洋関係の費用は八七%、まあ画期的の増額をはかっておるようなわけです。なお、さらにこれは何倍にもふやしたらいいじゃないかという御意見もあるかもしれませんけれども、まあ態勢が整わず、準備が整わぬうちに経費ばかり何倍にしましても、経費の使用の効率性をそこなうおそれがありまするので、本年度はこの程度にいたしました。
 科学技術庁におきましては、御案内のように、従来は海洋開発という予算の項目がなかったわけです。そこで、特別研究促進調整費というもののうちから潜水調査船などの経費を支出して出したというようなわけでございましたが、ことしはいいろなことがありましたけれども、海洋開発の研究調査費という別の項を立ててやってもらうというようなことになっておりまするし、それから、これはさっきも申しましたように、大規模な開発計画を立てなくちゃならぬというので、海洋科学技術審議会におきまして、鉱物資源部会、生物資源の部会、あるいは海洋環境部会、あるいはまた共通技術施設の部会というようなものを設けまして、そうして海洋科学技術の開発計画をせっかくいま検討してもらっておるわけでございまして、近くその答申が出ることになりまするし、また、この予算につきましても、いま申しましたようなわけでありまするが、さらに、私どものほうとしましては、総合調整の立場から予算の見積もりの基準の調整をはかりましたり、あるいはまた、さらに足らないところは海洋特別研究促進調整費からも支出する、こういうようなふうにしておるわけですけれども、開発の体制の問題につきましては、御案内のように、非常に海洋の問題は広範多岐にわたっているのです。宇宙の開発とか原子力の開発の問題ももちろん複雑ですけれども、これは目的がもう一つにしぼられておるのです。海洋のほうは非常に広範多岐にわたっております。それにつきましては、従来から鉱物資源は通産省、水産の資源は農林省、いろいろなところで所管しておりまして、伝統的ないろいろな政策もありまするので、宇宙開発とか原子力の平和利用というようなふうに開発実施機関を一本にこの際統制するというようなことは非常に困難であります。困難ではありますが、しかし、そこに総合性、計画性がなくちゃなりませんので、いま申し上げました海洋開発科学技術審議会におきまして、そういう総合的の計画を立ててもらっておる、こういうふうな段階でございます。
#124
○矢追秀彦君 これからやる場合、やはり技術者というのが大きな問題になってきますけれども、その養成も考えなくちゃいけないと思いますが、それについて、現在ある大学に海洋工学部というふうなものをつくっていくか、あるいはそういう技術者の養成をするための研修センターというふうなものをつくったほうがいいのか、そういった点はどういうふうにお考えになっておりますか。技術者の養成という点。
#125
○国務大臣(木内四郎君) いま、国立大学のほうでは、実は海洋工学はありませんけれども、東海大学に海洋工学のものを一つ設けておられるのでありまして、もちろん、大学によりまして基礎的の研究をされるのも必要でありまするけれども、何しろ問題が、さっき申しましたように非常に広範多岐にわたっておりまして、一つの機関に集中してやるというようなわけにはまいりません。しかし、海洋工学はやはり大いに進めなければなりませんし、先般も申しましたように、わが国の海洋工学はだいぶ立ちおくれておるのです。そこで、一つの例をとって申しますというと、国連の海底平和利用委員会、アドホック委員会の去年の六月の報告によりますと、その報告では、現時点、すなわち去年の六月の時点において最深の掘さく可能のところは二百メートルだ、こういうことを言っていますけれども、それが去年の終わりには四百メートルになるだろう、いま開発しているところの機械を使えば四百メートルになるだろう、そしてことしの末には五百メートルのところまで掘さくが可能になるだろう、こういうことが報告書に書いてあります。これを頭に置いて私どものほうの現在の情勢を見ますというと、秋田その他で日本が石油天然ガスを掘っておりますが、それは海底の水深三十メートル、こういうようなところであります。いろいろなことがありまするけれども、いずれにしても、とにかく権利はありましても技術がないと問題になりませんので、技術を身につけ開発しておくということが必要だと思いまするので、あらゆる方法を講じまして、関係各省と十分連絡をとりまして、そのほうにひとつ開発を進めてまいりたい、かように存じております。
#126
○矢追秀彦君 最後にいたしますけれども、水産庁のほうにお伺いしますが、今後海洋の開発が始まった場合、鉱物資源をとる、あるいは海底に都市をつくる、娯楽センター等をつくっていく、そういった場合に、やはり漁業というのは相当影響を受けると思うのですね。どこに何をつくるかによって、やはりその近所には魚は住めなくなるような状態になるかもわかりません。それと、もう一つは、養殖という問題もだいぶ出てまいりますので、現在の日本の漁業のあり方をかなり変えていかなければならないのではないか、この海底開発と相まって、そういった点について、これからの日本の漁業は、こういう海洋資源の開発を考えた場合、どのようにしていくことがいいのか、そういう方向はどのような考えを持っておられるか。その点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#127
○説明員(松下友成君) わが国の経済成長に伴いまして、水産物の需要というものは今後ますます増大する傾向にあるわけでございますが、海洋生物資源の開発利用につきましても、水産庁といたしましては積極的に取り組む必要があるというふうに考えております。このために、沿岸の漁場におきましては、浅海漁場の開発等、いわゆる「つくる漁業」の推進につとめてまいりたいというふうに考えております。同時に、遠洋の漁場におきましては、新漁場の開発等、積極的に推進してまいりたいと考えております。従来、海洋水産資源の開発は、主として水産業による生物資源の開発でございましたが、今後、海底の鉱物資源の開発ということが、ただいま御指摘のように加わってくると考えられるわけでございます。で、海洋の環境というものは非常に流動的なものでございますので、こういった鉱物資源の開発が行なわれるに際しましては、既存の漁業の実態、それから今後の水産資源の開発というものに十分な配慮を加えまして、総合的な見地から調整がなされることが必要であるというふうに、かように考えている次第でございます。
    ―――――――――――――
#128
○委員長(宮崎正義君) ほかに御発言がなければ、この際、参考人の出面要求に関する件について、おはかりいたしたいと思います。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、十六日及び十八日の委員会において、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、いかがでございましょうか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会することにいたします。
   午後三時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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