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#1
第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
昭和四十四年四月十六日(水曜日)
   午後一時十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮崎 正義君
    理 事
                平島 敏夫君
                横山 フク君
                森 元治郎君
                矢追 秀彦君
    委 員
                岩動 道行君
                金丸 冨夫君
                永野 鎮雄君
                船田  譲君
                矢野  登君
                向井 長年君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        平泉  渉君
       科学技術庁長官
       官房長      馬場 一也君
   説明員
       科学技術庁研究
       調整局宇宙開発
       参事官      謝敷 宗登君
   参考人
       日本学術会議宇
       宙空間研究特別
       委員会委員長   宮地 政司君
       宇宙開発委員会
       委員       大野 勝三君
       宇宙開発委員会
       委員       吉識 雅夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (宇宙開発に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 本日は、宇宙開発に関しまして、参考人の方々から御意見を聴取することといたします。
 参考人の方々には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席くださいまして、感謝にたえません。それぞれ御専門の立場から御発言をお願いしたいと存じます。
 なお、時間の都合上、お一人二十分程度にお願いいたしたいと思います。
 それでは、まず、宇宙開発委員会委員大野勝三君にお願いいたします。
#3
○参考人(大野勝三君) 本日は、宇宙開発につきまして若干申し上げます機会を与えていただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 まず、私からは、最初に宇宙開発に関する一般的なことを申し上げ、それから後半で、わが国の宇宙開発について若干の意見を申し上げたいと存じます。
 最近におきまする宇宙開発あるいは宇宙技術の進展は、まことに目ざましいものがございまして、御承知のとおり、人間衛星船によりまして月への着陸を試み、そうして再び地球に帰還するというような、実に想像を絶する大計画も、ここ数カ月の間には夢ではなくなろうといたしております。このほか、火星、金星等の惑星の実体を探査し、あるいは宇宙空間のもろもろの現象を観測するいわゆる科学衛星も続々と打ち上げられており、宇宙開発の実利用の面におきましても、あるいは通信、あるいは気象、その他航行、測地、資源探査等、直接に人類の幸福の増進と文化の向上に寄与する諸計画が着々と具体化され、または具体化されようといたしておるのであります。
 御承知のとおり、宇宙開発は広範かつ先端的な科学技術を総合的に駆使するものでありますから、その推進は、また科学技術全般の水準を向上させ、広範な新技術の開発を生み出す原動力となるものでございます。これらのことから、宇宙開発は、いわゆる今日のビッグサイエンスといたしまして、先進諸国はもとより、数多くの国々におきまして最大の関心事となっておるわけでございます。そういたしまして、これらの国々における宇宙開発は、近年急速に進みつつあるのでありまして、その概要を申し上げますと、たとえば、フランスは、昭和四十年十一月に自国のロケットによる最初の人工衛星打ち上げに成功しておりますほか、幾つかの科学衛星、観測衛星等を、自力により、あるいはアメリカ、ソ連等との協力によって打ち上げておりますのでありますが、この例は、イギリスその他の欧州諸国においても、その程度の差はございますが、同じような状況でありまして、ことに西欧の諸国は、一九六二年以来、いわゆる俗にELDOと申しておりますが、欧州宇宙ロケット開発機構、それからもう一つは、ESRO、欧州宇宙研究機関といったようなものも構成いたしまして、前者は七カ国、後者は十カ国がこれに加盟をいたしまして、共同してロケットの開発あるいは衛星の開発を進めておるのであります。このほか、フランスは西独とタイアップいたしまして、俗にシンフォニー計画と言われておりますが、この通信衛星、静止通信衛星をここ一、二年のうちに打ち上げる計画を進めておるのでございます。まあ、この場合、アメリカとソ連のことは申しませんでしたが、これはもう、ずば抜けて宇宙開発あるいは宇宙技術の面で世界の国々をはるかに追い越し進んでおりますことは、これは皆さますでに御承知のとおりであります。
 このように、先進国における宇宙開発の進展に比べまして、わが国における宇宙開発は、諸般の事情から、かなり立ちおくれていることを、残念ながら認めなければならないのであります。
 しかしながら、わが国は、宇宙開発の基盤となる科学技術全般の水準におきましては、少なくとも西欧諸国に比べまして、決して劣っているわけではないと考えるものであります。すなわち、宇宙開発の中心となるロケットにつきましては、すでに東京大学宇宙航空研究所が中心となって、直径一、四メートルの固体燃料ロケットを開発した実績がありますし、また、科学技術庁の宇宙開発推進本部を中心といたしました液体燃料ロケットの開発も進みつつあるなど、相当の技術的水準に達しておるのであります。また、いわゆるエレクトロニクス、電子工学の分野におきましては、わが国の技術水準はすでに世界の最高レベルに負けない程度に発達しておると申しても過言ではないと存じます。御承知のように、最初の商業通信衛星といたしまして、インテルサットの機構ができ上がりましたのが昭和三十八年でございましたが、そのときよりもさらに前に、わが国におきましては、茨城に国際電信電話会社の手によります地球局が建設されておりますし、その後、その地球局は改善されまして、いわゆる世界の最高水準に到達する標準地球局といたしまして、第一、第二の二つのセットの設備が完成いたしておりますほか、山口県にも第三の地球局が――これも世界の水準、標準局でありますが、できているというわけでありますが、それらの施設、各種の通信機器、あるいはアンテナ等の部品等は全部国産品でできておりますし、工事ももちろん国産技術をもって完成されておるようなわけでございます。この技術が土台となりまして、最近世界の各地に地球局が、つまり衛星通信のためにぜひとも必要な地球局が建設されつつありますが、この地球局建設の工事の入札には日本のメーカー筋が多数参加いたしておりまして、あるいは実際にその受注に成功し、あるいは技術指導に乗り出すといったようなぐあいで、これは、わが国のこの面における技術水準が相当高く世界的に評価されているということを裏書きするものと言えるかと存ずるのであります。
 このような技術的な背景をもとにしまして、開発体制を整備し、必要な資金と人員を投入する等、本格的に宇宙開発に取り組むといたしますならば、わが国が西欧諸国へ追いつき追い越す可能性は十分にあると考えられる次第でございます。
 しかしながら、現状をこのままに放置いたしておりますれば、技術力において必ずしも劣っていないわが国の場合といえども、国際場裏におきましては、宇宙開発に関するおくれをとらないとも限りませんし、また、ひいては、いろいろな面でわが国の国益に不利な結果をもたらすということもないとは限らないと考えられるのであります。これは、たとえば通信衛星の面を一つとって考えてみましても、国際商業通信衛星機構には、わが国はすでに、先ほど申しましたとおり、数年前よりこれに加盟し、いまやアメリカに次いで有力なメンバーとなり、ユーザーとなっておるのでありますけれども、この通信衛星の将来を展望いたしてみますと、南北に非常に長遠な距離を持っておりますわが国の国内通信の面におきましても、有力な通信手段としての将来性を持っておりますほか、アジア地域等を考えました場合の地域衛星、さらには近い将来に実現されるであろうと考えられます放送衛星等のことを考えますと、わが国が独自の開発を進めるのでないと、将来国際的協力の面におきましても、また、国際商業通信衛星機構自体の恒久化という問題を考えてみましても、不利な面が出ないとは限らないと憂えられる次第でございます。
 いまは通信のことを申し上げましたが、通信の分野のみならず、気象観測の分野におきましても、現在わが国は、世界気象機構、WMOの地域センターとしまして、アジア地域の資料収集、気象監視などの活動を行なっておるのでありますが、今後とも引き続き、地域センターとしての地位を確保し、先進的な立場を保つためには、気象衛星に関する技術の開発利用を積極的に進める必要があると考えるのであります。そのほか、航行、測地、あるいは資源調査、そういったようないわゆる実用衛星の面におきましても、決して手をこまねいて諸外国の進歩発展をながめているということは許されないわけでございます。
 と申しますのは、これらの実用衛星を考えました場合、最も有効なのは、赤道上に地球の自転のスピードと合わせました俗に申します静止衛星、これを利用することが最も有効と考えられておるのでありますが、この静止衛星を打ち上をげます高度、あるいは打ち上げる位置、そういうものが、非常に無限大に広い宇宙に打ち上げるのでありますから、幾らでもできるように考えられますが、実はそうではございませんで、高度に一定の制限があり、大体三万六千キロメートルの上空、そうして位置が赤道上のきまった地点、そうして、これも電波を使うものでありますから、電波の相互干渉のないように星を打ち上げる必要があるといいますと、現在のところでは、まず二度の間隔をもって衛星を静止させることが必要だと言われております。二度の間隔と申しますと、赤道上に、三百六十度のうちに百八十個しか上げられないということになります。百八十個の静止衛星を各国がそれぞれ――国際的な共同使用、共同で使用しようという場面が非常に広いと思いますけれども、それぞれの国が、その国の必要によって静止衛星を使いたいという場合、あるいはその地域の利用のためにその静止衛星を使いたいということが考えられますとすれば、これはまことに窮屈な打ち上げの位置と言わなければならぬと思います。そうすれば、自然、近い将来におきまして、この打ち上げの地点の割り当てというような問題が国際的にも取り上げられ、各国の協調をとる必要が当然予想されるのであります。そういった場合に、受け身で、自分でその衛星を打ち上げ、あるいはロケットを開発するという技術を持っていません場合には、自然、発言力が弱くなるということは避けがたいかと考えられるのであります。
 そういうわけでありますから、まさに開幕されようといたしております宇宙時代に対処いたしまして、わが国益を守り、わが国の産業経済、学術文化、その他もろもろの全体の利益の向上のためをはかろうとするならば、どうしても、わが国の国力、国の事業としての宇宙開発の推進をはからなければならないと考える次第でございます。これは、すでに国会におかれましてもその必要を認められ、昨年、宇宙開発委員会というものをおつくりいただいたわけでありますが、その宇宙開発委員会設置法を御審議になりました国会の御意見というものを受けまして、昨年夏発足いたしました宇宙開発委員会は、わが国の事業として最も効率的に、統一的に、総合的にこの宇宙開発の仕事を進めていくために、たとえば、各省にまたがっております宇宙開発の予算の取りまとめをするとか、あるいは宇宙開発それ自体の実施機関として何か統一的なものがほしい、たとえば特殊法人といったようなものをつくって、そうして各省の繩張りを越え、あるいはひとり官と言わず、民間あるいは学界の優秀な技術を集結して、そうして集中的に一つの計画に沿って星の開発、ロケットの開発を進めて、わが国の宇宙開発をしっかりと軌道に乗せる必要があるというふうな意見を固めまして、御承知のように、昨年十一月、暫定的ではありますが、大体四十四年度以降五カ年間を目途といたしまして、その間に、四十六年には中間段階の実用実験衛星といたしましての電離層観測衛星を打ち上げる。この場合には、これまで東京大学で開発されましたMロケットを土台にいたしまして、それをさらに改善いたしました、Qロケットと俗に申しておりますが、これは、固体・固体・液体・固体と四段に積み上げました直径約一・六メートル、八十キログラム程度のものを千キロ上げるという力のあるロケットでございますが、これを開発いたしまして、四十六年には実用実験衛星を打ち上げる。これは電離層観測衛星でございます。それからまた、引き続きそのロケットの改善を続けまして、四十八年度までには、俗にNロケットと申しておりますが、これはそのQロケットをさらに強力にしたものでございますが、このNロケットを使いまして、わが国最初の静止通信衛星、これは実験用通信衛星でございますが、これを打ち上げるという方針をきめたわけでございます。
 この計画は、四十六年といい、四十八年といい、時間的には決して余裕が十分と申すわけにはまいりませんのでありますけれども、先ほど述べましたわが国の技術力の一つの潜在能力と申しますか、実力、そういうものの背景を考え合わしてみますというと、さっき申しました、これまでの技術を結集いたしまして、いわゆる官学民、この三者の総合的な力を活用いたしますならば、決して達成不可能な計画ではないと、かように考えておる次第であります。
 そのいわゆる宇宙開発の計画とか方針を定めますものとしては、宇宙開発委員会ができたのでございますが、いま申しましたような開発を実際に推進していく、その統一的な実施機関といたしましては、特殊法人等を考えたらどうかという、これは国会でもそういう御議論があったのを受けて、宇宙開発委員会においても全くそのとおりと考えまして、先ほど申し述べましたような方針あるいは結論を打ち出しておるわけでありますが、具体的には、これがただいまおそらく皆さま方の御審議をわずらわす段階に立ち至っていると思われるのでありますが、例の宇宙開発事業団でございます。この宇宙開発事業団という特殊法人につきましては、そういうものを考える趣旨は、これは政府御当局からも十分に国会に御説明があったことと存じますが、宇宙委員会としても、ぜひこれが国会で御承認をいただきまして、一日もすみやかに統一的な総合的な開発体制が確立されることを心から熱望いたしておるものでございます。
 外国の例をまた持ち出して恐縮でございますが、すべての国、アメリカとソ連は、それぞれほんとうに独力で非常に驚異に値するような宇宙開発を進めておりますが、その他の国におきましては、それぞれ非常に人も金も大量に投入することを必要とします宇宙開発の事業をうまく取り運んでいきますために、いろいろなくふうをいたしておりまして、まあ、米ソを除けば、非常に意欲的な欧州のフランスの例をとってみましても、これは政府直接の機関のほかに、統一宇宙研究所といったようなものをつくって、これにすべて計画の統一責任を負わせて開発を進めておりますし、イギリス、ドイツの例を見ましても、大体同じような構想を持って宇宙開発を進めておりますほか、これらの国は、先ほど申しましたように、七カ国共同で主としてロケットの開発を進めておりますELDOとか、あるいは衛星の開発その他宇宙開発の研究面を総合的に進めるESROといったような、これは十カ国加盟しておりますが、そういうものをもって、いずれも膨大な国家資金あるいは人材、そういうものをむだなく効果的に宇宙開発の面に投入する組織のくふうについていろいろ考えているような次第でございます。
 以上で、はなはだまとまりがございませんが、私の意見を申し上げさせていただきました。
#4
○委員長(宮崎正義君) どうもありがとうございました。
 次に、日本学術会議宇宙空間研究特別委員会委員長宮地政司君にお願いいたします。
#5
○参考人(宮地政司君) 本日お話し申し上げる問題点をまず申しますと、私に与えられました題は、人工衛星の利用に関する将来展望、将来どうなるかという問題と、わが国においてそれにどう対処すればいいかという問題、開発の一元化と事業団の問題、この二つの大きな問題をしばらくお話し申し上げようと思います。
 まず最初に、現状の概観を申し上げたいと思うのでございますが、人工衛星を使って宇宙の研究を始めましたのが、いまからちょうど十数年前でございます。ちょうど地球観測年というものが、御記憶でございますかどうか、十年ほど前に、そういう大きな世界的な研究を世界各国が共同いたしましてやったことがございます。その二、三年前、ちょうど昭和三十年だと思っておりますが、それの準備会議がブラッセルで開かれたことがございます。その席でアメリカの代表が立ち上がりまして、実は今度の研究に人工衛星というものを打ち上げて、そうして地球の非常に高いところを研究する、ついては、これを大いに利用していただきたいということを述べたのであります。当時のアメリカの大統領が、この間なくなりましたアイゼンハワーでありますが、アイゼンハワーのメッセージをそのときに読み上げました。アイゼンハワーが申しましたのは、アメリカはこの打ち上げによりまして科学の進歩のために人工衛星というものを役立てようと考えるのだということを言っておりました。いわゆる科学研究を主体にしましてこの人工衛星というものを最初に打ち上げる計画ができたわけであります。ところが、実際に打ち上げたのはソ連でございまして、当時のソ連の人工衛星が初めて打ち上がったときには、スプートニク、ショックと称して、世界じゅうがいろいろ騒いだのは御記憶と思います。こういう時代になりますと、経済、政治、軍事、あらゆるものがたいへん大きな影響を受けるだろうというので、世界じゅうがたいへん騒いだわけでございます。しかしながら、実際にその最初の人工衛星の利用というのは、自然科学の研究として生まれたものであります。
 しばらくいたしまして、非常に高いところのいろいろの性質がわかってまいりますと、次に出てまいりましたのは、この空間を利用しようということでございます。いわゆる空間の実利用と呼んでおりますが、それによりましていろいろなことができるということがわかったわけでございます。これはあとで申し上げますが、そういうことがわかりまして、これはどうしても世界じゅうで大いにやらなくちゃいけないということになりまして、学問的にはそれを取り上げる連合体がございます。宇宙空間の研究というのは、半政府機関として進める、そういうものもございますし、民間の団体もございます。一方、国連では、国連でこれを大いに活用しようという動きもございます。一方、こういう有用なものになりますと、いろいろ軍事的な利用というようなこともありまして、そのために、国連が、例の宇宙平和利用条約というものを、国際的な協約として結ぶようにしております。そういうものができたわけでございます。
 それから、最近の、御存じのように、月へまで人間を送る、これがどういうふうな意味を持つか。いろいろ問題がございますが、そういうような時代になってきたわけでございます。
 全般的に申しますと、科学研究のためにはなくてはならないものになる。新しい宇宙観というものが確立されつつあるということ、それから一方、実際の社会生活のためには、実利用と申しまして、通信衛星とか、気象衛星とか、いろいろなものが出てまいりました。これまた洋々としてその先があるわけでございまして、これに手をつけないでこまねいておりますと、いわば低開発国に落ちてしまうというようなことをヨーロッパなんかではみんな言っております。一方では、宇宙を研究開発するために、いろいろな、いわゆる波及効果とわれわれが言っておりますが、そういう副産物がたくさん出てまいりまして、それがたとえばアメリカから日本にどんどん入ってまいります。日本は安閑としていままでの工業だけではやっていけないというおそれがあるというのが現状でございます。
 しからば将来どうなるかというようなことを、ざっと申し上げますと、昨年開かれました国連の宇宙開発関係の委員会におけるその事務局長の報告がございますが、それにのっとって大体お話し申し上げたいんですが、
 まず、科学的な研究、これはもう幾らでも次々と出てまいりますので、それを進められることは当然でございます。これは、将来とも人間が知識を求める限り続けられるものでございます。
 次に、実際の利用の問題といたしまして、たとえば気象衛星を取り上げてみます。さっき話がございましたが、世界気象機構というのが国連の中にございまして、それの報告を見ますと、一九七〇年代の半ばまでには気象衛星を使っていろいろな予報ができるために、年々その災害のために世界じゅうで失っておる五兆円という金が浮かぶであろうということを報告しております。実際日本なんかでそういうことができるようになりますと、どれだけ利益があるか、ちょっとわかりませんが、少なくとも日本では、台風の予報だとか、それから集中豪雨の問題、津波が来るか、その予報、そういったようなものが的確にできるということになりますというと、非常に大きな利益をこうむるわけでございます。現在の気象衛星は、アメリカでつくった気象衛星が飛んでおりまして、それは人類一般に現在では開放せられております。三十五カ国の国々が約五十カ所の地球受信所をつくりまして、それを受けて、そしてそれを天気予報のために使って利用しておるわけでございます。将来は、これがもっと進みますと、予報はもちろん的確になりますし、もう一歩進めて、気象を修正することさえできるんじゃないかというようなことが予想されております。
 それから次に、通信衛星を取り上げてみますと、先ほどもお話がございましたが、すでに通信衛星は、御承知のように、商業用の企業として成り立っております。この通信衛星は現在のところ三つに分かれておりますが、現在使われておりますように、日本とたとえばアメリカとの間の通信をやるといったような二点間の通信、それからNHKなんかで考えておりますいわゆる放送衛星というようなものが考えられております。これはもう衛星から直接放送をいたしますので、これは政治的にも非常に大きな影響を与える、最も将来おそるべき、また重大な問題だと考えられるものでございます。現在のところは、それができるのはやはり一九七〇年代の半ばだろうということを報告しております。
 それで、その二点間の通信をやるのと、放送衛星のように広く放送する、その中間に、分配衛星というものが考えられております。これは、国連なんかが大いに奨励いたしまして、いわゆる発展途上の国々のために、たとえば人口問題の解決とか、農業の指導とか、鉱山技師の養成とか、看護婦の養成、そういったものに利用しようとして考えられております。たとえば、国連が援助をいたしまして、インドのアメダバッドというところに実験衛星地上局というのをつくりまして、そうしてそこで訓練を行なっております。これは、将来インド洋中心のまわりの国々のために活用しようというわけで、現在それを訓練しております。そういうものを使いまして、もし教育放送のようなものができますならば、その報告に述べておりますのでは、二十年後には、いわゆる発展途上の国々の文盲を全部なくすることができ、そうして、いままで地球上でかつて見たことのない、教育をみな受けた人間がこの国々を発展さすだろうということを述べております。これは、テレビ一つを通しまして、そうして各国のことばによる音声のほうの放送はそれぞれの国々でやる。そういうような方法で、人口問題とか、農業問題を大いに推し進めていこうというようなことを、国連がいま先頭に立って進めているのが実情でございます。
 それから航行衛星というのがございますが、これは将来、交通の管制――一九七〇年代の半ばころには、いまの交通量の三倍になるだろうということが予想されております。そうした混み合った飛行機、船舶、そういったものを管理するということは非常に大きな問題でございますが、それを将来はその航行衛星でやっていこう、もちろん、航行衛星は、その船または飛行機の位置を時々刻刻つかまえておりまして、そうして救難にも役立てようというわけでございます。
 それからもう一つ、資源衛星と呼ばれているものがございます。これは、いろいろなことに利用できるものでございますから、多目的衛星とも呼ばれておりますが、これはほうぼうに関係しております。たとえば、農業、林業、そういったようなことに関係いたしまして、収穫の大体の予想をいたしますとか、病害虫を発見するとか、そういうことに使われますし、またそれが、地質、鉱物の発見に使われております。たとえば、油田の発見とか、いろいろな鉱山、これは、上のほうから写真を写しまして見ますと地形的に判断ができます。そのほかに、いろいろな調査する方法がございます。それから、海洋のほうへこれを使いますと、海流の流れ、たとえば日本なんかでは黒潮の動きというのが非常に漁業と関係しておりまして、そういったものと結びつけまして漁業に役立てることもできる、将来は鯨のいる場所までつかまえることができるとまで言われております。それから日本なんかでは、北海道から北の海氷の問題なんかは重要な問題だと思います。そういうことに使われる。それから地図をつくることにも使われますし、日本では将来大きな問題になります水資源の開発、そういうことにも利用できるというのでございます。このほかにも、生物衛星とか、いろいろございます。これの利用のほうは今後もいろいろ考えられまして発展させられるものだと思います。
 もう一つ、最後に、こういう研究の過程におきまして、先ほど申しましたような波及効果というのが出てまいります。いままでやられました中で、いわゆるリモートコントロールなんかもその一つでございますし、それから、最近だいぶん、はやってまいりました計算機を使った経営をするとか、いろいろなものを管理するというようなこと、こういうシステムが、この宇宙開発のためのいわゆる波及効果として、あらゆる分野に広がっておるものでございます。こういったようなものが将来とも幾らでも出てくると私なんかは考えております。
 そこで、日本ではどうしたらいいかという問題でございますが、日本は、御承知のように、国は狭いところで、資源もございませんし、たくさんの人間がとにかくおるわけでございます。それが今日の繁栄を導いたのは科学技術の発展だとわれわれは思うのでございますが、国の独立のためには科学技術自体も独立でなくちゃならないと私は考えるのでございますが、じゃ、その科学技術をそういう意味で振興するためにどうすればいいか。これは二通りございまして、個々の分野の科学技術を育てていくというのが一つ。これはいままでのやり方でございますが、その上にもう一つ、先ほどちょっと話がございましたが、巨大科学、ビッグサイエンスというものを取り上げることが必要であると考えるのでございます。これは最近の新しい行き方だと思うのでございますが、最初に私が申し上げました地球観測年が行なわれたときにわれわれが感じたことは、今後は、いわゆる宇宙と南極と海洋であると考えたのでございます。現在、日本では、南極を取り上げ、そして宇宙を取り上げ、近くはまた海洋を取り上げる。この三つは、ちょうど領土権のない、世界じゅう共通の人間の場でございます。そこで、その一つとして、この宇宙開発というのがいまあるわけでございまして、これを巨大科学として取り上げる場合に必要なことは、いわゆる研究資金、開発資金という金の問題と、それからそれに従事します科学者、技術者の問題、それから設備の問題、組織の問題、そういったものを考えなくちゃならないのでございます。同時に、そうした非常に膨大な組織のものを運営していく上には、全体的に企画をし、調整をし、そしてそれを評価して推進するものがなくちゃならない。その二つのものが必要だと思います。そのやり方については、いまの宇宙開発をアメリカなんかでやりました、そのお手本があるわけであります。いわゆるシステム・デザインと申しますか、システム・エンジニアリングと申しますか、そういったものが最近ほうぼうで使われておるわけでございます。
 そこで、一体日本ではどうしたらよいかというのが問題でございますが、今後やることといたしましては、先ほど申し上げましたように、科学研究、これは、学問の進歩のために、これはもう知識を求めるのは人間性でございますから、必ず行なわれるであろう。それから実用的な開発、これも必ずやらなくてはならない。これをやらないで放置すれば転落するだけであると考えます。その場合に、しからば何でもやるのか、たいへんな金をお互いに日本はださなければならないかということが問題ございますが、宇宙開発は、先ほどから申しましたように、ほとんどがみな、国際協力、お互いにいわゆる地球的な問題でございまして、お互いに国際協力の線で進めるものがたくさんございます。これは、いまの商業通信衛星の組織でもそうでございますが、一つの企業として成り立った場合に、世界じゅうが協力してやろうと……。これは、インテルサットに対してインタースプートニクが出てまいりまして、いろいろ問題がございますが、とにかく、世界じゅう手をつないでやるという国際協力の線がございます。ですから、それはそれで進める。だから、それの仲間入りをして進めるというのが一つ。もう一つは、日本独自にやらなくちゃならないものがあると思います。たとえば、気象衛星にいたしましても、国際的な気象衛星というものもございましょうし、日本がそれを持ちまして日本独自にどうしてもやらなくちゃならないものが将来出てくると思うのでございます。そういうような意味で、日本だけでやらなくちゃならないものもあるという、その二つのことを考慮して、それが何であるかということを考えなくちゃならないと思うのでございます。
 で、まあとりあえず日本なんかでは、将来、この気象衛星は、国際的なものとともに、日本独自のものを持つ必要があるんじゃないか。それからまた、最近のように国全体としていろんなものを開発するためには、いわゆる資源衛星のようなものを打ち上げておきまして、時々刻々日本の中で変わっていくものを見つめていく必要があるんじゃないか、こういうように思います。ことに、日本が将来東南アジア方面へもし大いに協力するつもりがあるならば、いわゆる放送衛星のようなもので、たとえば教育放送に大いに力を尽くすといったようなことを日本でやらなくちゃならないんじゃないか、こういうように思います。
 さて、そのためにどういう体制にすればよいかということでございますが、これは、御存じのように、日本では最初に出発いたしましたのが東大で――東大といっては、ことばが悪いのでございますが、科学者がいわゆる自然科学の研究のために最初ロケットを打ち上げ始めたと思うのでございます。ここ十年間そういうことをやってきたわけでございます。そこで、新しくさら地に大きな宇宙開発の殿堂を建てるというのではなしに、もうすでに一本の大きな東大の柱が立っておったわけでございます。そこで、実用というものを日本でどうしてもやらなくちゃならなくなりまして、それをやるために科学技術庁が新しく推進をはかって、各省庁の要求によりまして、いろいろなものがいま研究され、それを開発されようとしておるわけでございます。そこで、そういったものをばらばらにやるというのは問題があるので、これを一本化しなくちゃならない。そのためには、一つのかさの中へ入って、これを一体化するのではございません。一つのものにするのではなくて、それぞれの分野で自主的にやるものをまとめて調整をする、そういったような意味でいまの委員会ができたと思います。そういうものがなくてはならないということで、それをつくっていただいたと思います。で、委員会は出発いたしまして、その一つのかさのもとに大学があり、各省庁の研究があり、するのでございます。さて、その大学は、御存じのように、自主的にいろいろなことをやっていきますので、ここでこういうことをやれという命令を下すわけにはいきません。そこで、どうしても実際に何かやる事業団のようなものがほしい。それは必ずしも事業団でなくてもいいわけでございますが、われわれが考えましたのは、事業団という形をとれば、官学民といったようなものが、うまくそれの中に入ってやれるという組織がそうでございまして、それならばそうしていただくのが一番よかろう。つまり、一番問題は、日本では一番先頭に立っております学者の連中をどのようにしてそれに参加させるかということが一つの大きな課題だったのであります。そういうふうにしてこの事業団が育つならば、いまの東大のほうでいろいろやっておることと両方をうまくまとめまして開発が進むだろうというふうに考えます。そのようにするならば、いわゆる責任を持った宇宙開発を進められる。何をやるかというこまかい具体的な問題に関しましては、この委員会のほうできめていただき、それを進めていくことが必要であると考えるのであります。
 で、もう科学技術は、御承知のように、どんどん進んでいきます。いろいろなものがどんどん変わってしまいます。変わってくると同時に、政治、経済教育、あらゆるものが変わってまいります。それをやはり推し進めるのが科学技術である。その科学技術をやるためには、先ほど申しましたように、ここの分野を育てると同時に、こうした巨大科学を進めていただきたい。これは私たちの希望でございます。
#6
○委員長(宮崎正義君) どうもありがとうございました。
 次に、宇宙開発委員会委員吉識雅夫君、お願いいたします。
#7
○参考人(吉識雅夫君) 吉識でございます。
 私これから申し上げたいと思いますのは、宇宙開発委員会が発足いたしましてからいままで半年ほどたっているわけでございますが、その間におきまして、委員会におきます審議の、どういうことをしたかということの状況につきましてお話し申し上げたいと思います。
 宇宙開発委員会は、御承知のとおり、昨年の五月二日に委員会が設置されまして、八月の十六日に第一回の委員の会合が行なわれたのでございます。それから現在までに委員会は二十八回行なわれておりまして、そのほか、公式の委員会ではございませんが、懇談会、その他委員の連中が集まっていろいろ話をしたのが約二十八回ございます。
 それで、取り上げましたおもな議題は、まず最初に、委員会の議事規則といったような事務的なものもございますが、最初の仕事は、四十四年度の宇宙開発関係の経費の見積もり方針、それから各省から出されております概算要求の審議でございます。これは、関係の各省庁から四十四年度に関する宇宙開発の経費として出されたものを、内容を承りまして委員会として審議をし、そしてそれを委員会の決定として総理大臣に申し上げる、こういう手続をいたしたのでございますが、このために何回か相当の回数の委員会を開いております。
 それから次の問題は、宇宙開発計画の策定でございます。と申しますのは、宇宙開発委員会が発足する前に、御承知のとおり、宇宙開発の審議会がございまして、これで五年くらいの間の宇宙開発計画というものについての審議会の答申がございましたわけでございますが、それを、今後さらにその答申を受けまして、四十四年度以降約五カ年の間の人工衛星及びそれの衛星打ち上げ用のロケットの開発、それから打ち上げました人工衛星の追跡、それに必要な施設の整備、開発体制の整備、人材の養成、国際協力の推進といったような問題につきまして計画を立てよう、さらにその後の五カ年くらいを考えまして、その後の――現在からいえば十カ年先になるわけでございますが、その間の宇宙開発の展望と申しますか、ビジョンというようなものを考えまして、その後日本としてはどんなことをやったらよいかということを考える。これは、四十四年からすぐつながります五年の間のいろいろな施策にも関連を持ちますので、そういうことの計画の策定をしたい、こういうのがねらいでございます。これにつきましては、委員会の審議の結果、その策定のための基本方針というものを、昨年の十一月に委員会で決定いたしまして、それに盛り込む大筋の内容等は検討を加えたのでございます。
 それで、その問題を実施していきますのにつきましては、委員会は御承知のとおり非常勤の委員四人でなっておりますので、これだけでは専門的な問題につきましての検討ができかねますので、部会というものをつくりまして、そこで専門の学者の方、産業界の方、それぞれ関係の方においで願いまして御審議を願う、その御審議願いましたのに従って委員会は検討していこう、こういう考え方でございます。部会は三つ置きましたのでございますが、一つは、総合部会というものでございまして、それと、ロケット部会と、人工衛星部会とございます。その三つの部会を置きまして、いろいろだだいま申し上げましたような、今後の五年間、それからさらにはその先の五年というようなビジョンを加えて検討をしていただいておる、こういうことでございます。
 この関係は、各部会はそれぞれ三回あるいは四回くらいずつ現在までに開催されておりますが、その内容を簡単に申し上げますと、
 人工衛星部会におきましては、もうすでにお話があったかと思いますけれども、現在までに審議会等でおきめを願っておりますところの電離層の観測衛星、それから実験用の通信衛星を上げる、そういうものが必要であるということ、それからそういうようなもののほかに、いろいろ、気象衛星であるとか、航行用の航行衛星であるとか、測地衛星であるとかいったような各種のもの、それから、ただいま宮地先生からお話がございました科学、サイエンスの観測に関する衛星、これも四つばかりすでに案をおきめになっているようでございますが、そういうようなものの、どういうふうな大さきになるであろうかとか、それをどういう軌道に乗せたらいいだろうかというようなことを、衛星部会におきまして御検討になっております。
 それからロケット部会のほうは、そういうような衛星を打ち上げるために必要なロケットは何であるかということについての御検討を願っておるわけでございまして、これは、大体従来の審議会で考えられておりましたQ、Nというようなロケット、それだけでいける部分と、それからそれらを、クラスター方式と申しまして、幾つか合わした方式でやるというならば、何キロの衛星をどのくらいのところまで上げられるかというようなこと、それから、それ以上の大きなもの、たとえば通信衛星でございますと約七百五十キロくらいのものになるばかりという御推定なんでございますが、これを静止衛星の軌道に乗せるためには、いまのNロケット程度でいけるであろうかどうであろうか、それのクラスター方式というようなことでできるであろうか、さらにもっと大きな、直径が二メートルであるとか、あるいは三メートルといったような大きな衛星にしなければならないであろうか、といったような問題点を検討しておるのでございます。それで、特にロケット部会では、そういうような問題のほかに、ロケットの大きさが大きくりなますと、ロケット自体の研究のほかに、一つ大きな問題といたしまして、大型化いたしますと輸送の問題が一つの大きな問題として出てくる。三メートル以上にもなりますと、国内の輸送、これは、道路であるとか、道路よりか主として橋とかトンネルその他だと思うのでございますが、そういうところに大きなものは通りにくいという面もございます。そういうことになりますと、発射をいたします発射基地、これは現在種子島でございますが、種子島においてそういうふうなものを組み立てる工場を考えなければいけないのじゃないかといったような、そういうふうな付随した問題も出ておるのでございます。それから、できるだけ経済的な体系でやるためには、単にロケットを大型化するだけではございませんで、いろいろな科学的なくふうをすることによって、形はそれほど大型化しなくとも何らかのくふうによってやれるのじゃないか、そういう種類の研究もやったらいいだろうというようなことが議論されておる段階でございます。
 それから総合部会におきましては、それらの両部会のある程度の検討を待ちまして、それを総合的に御検討になりまして、どういうふうにしたら、いまの投資効果と申しますか、まあできるだけ費用を少なくして効果があがるかとか、それから、どういう衛星を上げることが日本の産業なり何なりにどういう関連を持つかといったような、投資効果というような種類の問題も含めまして、目下御検討中でございますが、まあ大体、従来から考えております四十八年度までの数年間につきましては、従来考えられておりました科学衛星と電離層観測衛星、実験用の通信衛星というようなところでいくべきであろうというようなことがほぼ固まりつつあるように伺っております。まだ最終的には、はっきり伺っておりませんが、現在までの状況はそういうふうに伺っております。
 それから、委員会のもう一つの仕事は、これもすでにお話があったかと思いますが、そういうふうな打ち上げをし、それから衛星、それからロケットの開発というような業務を遂行するために、事業団という種類のものをつくりませんと、現在の宇宙開発本部というような組織では、いろいろの点ぐあいが悪いということで、宇宙開発事業団というものの法案についての考え方の検討をするということもいたしたのでございます。それからあと、宇宙空間の利用と平和利用というような問題、それから宇宙開発基本法に関する問題、まあこれらは私どもの委員会の直接の所掌であるかどうか、多少問題のあるところでございますが、まあそれらについても論議をいたしております。
 非常に簡単でございますが、大体私どもの委員会で現在までの検討しております状況を申し上げました次第でございます。
#8
○委員長(宮崎正義君) どうもありがとうございました。
 それでは、参考人に対して御質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#9
○森元治郎君 それじゃ、吉識さん、あとの五年のお話――最初の五年、あとの五年のこれからの委員会のビジョンというもの、あとの五年は何でしたっけ。聞き漏らしたので……。
#10
○参考人(吉識雅夫君) あとの五年はまだ……。先ほど申し上げましたように、電離層の観測衛星とか、実験通信衛星というのが、最初の五年のところでは、まず大体それは固まったと申し上げていいと思うんです。
 その後のものにつきましては、気象衛星であるとか――気象衛星というのは、衛星を打ち上げまして、それから写真をとりまして雲の状況を調べるとか、あるいは温度分布といったようなものを調べまして、そういうことから気象の変化を調べようといったような種類の衛星です。それからもう一つは、航行衛星。これは、船であるとか飛行機といったようなものが、だんだん数が多くなってまいりますと、それの位置測定のために、衛星を使って位置を測定することが非常に便利であり、また、ものによっては衛星でなければ機能を十分に発揮しない、こういうようなものがある。そういうものでございます。それからさらには、測地衛星と申しまして、これは、日本の地図と申しますか、日本列島の位置が、日本列島一つといたしますと、いまの測地の技術というのは非常に発達をしておりますので、かなり正確なものができておるのでございますが、これが海を隔たりましたよその国との相対的の関係になりますと、なかなかむずかしい問題がございまして、こういうのを衛星を使ってやりますと、かなり正確に出ている。これは各国ともそういうことをやろうとしているようでございますが、日本としても自分の受け持つ範囲はやらなけりゃならぬということなんでございます。たとえば、小笠原あたりでも、現在の技術では数百メートルから一キロくらいの程度の誤差が現在の地図ではあるらしゅうございます。そういうようなものはいろいろなことに障害を起こしますので、そういうようなものをやりたいとか、いろんなものが名前としてはあがっておりますが、これはまだ決定しているわけでもございません。どういうふうにとっていくかという今後の問題だと思います。
#11
○森元治郎君 いろいろ書いたものや新聞記事、先生のお話を承って感ずるのですが、名前はなるほど宇宙、たいへん大きな話の開発委員会。ところが、いまねらっているところは、高度にして三万六千キロ程度、そうして、やることは、各省の関係で言うと、電電公社とか、運輸省とか、非常に小さいことの第一段階なんですね。宇宙開発というから、私はもう少し、五年先じゃなくて、もっと先の大きなことも聞かれるのかと思ったところが、科学技術というところに制約されるのでしょう。きょう現在、あすあたりのまず手始めという技術的なことに非常に局限されているような感じがするのですが、夢といいますか、そういうのを聞きたかったと思ったのですがね。
#12
○参考人(吉識雅夫君) 夢と申しますか、そこらのところはいま部会で、先ほど申し上げましたように、御検討中なんでございますが、科学の面におきましては、相当、宇宙空間におけるいろいろの科学現象を測定しようという御計画はお持ちでございますので、この点では、かなり進んだビジョンをお持ちなんじゃないかと思いますが、ただ、宇宙の問題といたしまして、たとえば月に行くとか、何に行くというような種類のことになりますと、これはまたたいへんななにを金額的にも要しますし、まだ、現在のところでは、そういうことまでは考えられていないようでございますが、今後の部会の御審議はどうなりますか、私まだつかんでおりませんので、お答えをいたしかねます。
#13
○森元治郎君 宮地参考人に伺いたいのだが、先ほどのお話でも、静止衛星を赤道で打ち上げる場合に、三百六十度だから、二度の間隔で百八十個打ち上げられる。だから、力のあるものは百八十個のうち五割も六割も取ってしまうことができるかもしれないというような問題が想像されるのですが、日本は、技術はとにかく、頭脳として、あるいは原理的に相当世界に負けない頭を持っていると思うので、この分野でも、やはり軍事問題との関連で、平和的に利用するシフィエアを確保する――そういうようなことを米ソが言ってからではなく、こういう平和な日本が先手を打って宣言なり意見を世界に示すことが大事じゃないかと思うのです。南極条約とか、あるいは宇宙の条約もできましたが、どうしても米ソあたが先手を打ってしまう。両方で拮抗する。自分の勢力分野を守ろうとするような、自分のために条約ができたような感じがしますが、日本のような純中立的な、科学的中立の立場から、これからの衛星のような場合でも、何か、平和利用、どの国もこれから伸びる国がみんな利用できるような大きなプリシンプルを世界に宣言してリードしていく気概があってもいいんじゃなかと思うんですがね。
#14
○参考人(宮地政司君) いまおっしゃいましたこと、これは科学的な国際会議の場ではすべて平和利用ということが先頭に立っておりますから、問題なく進めております。
 それから、たとえば、先ほどお話がありました測地衛星、これは軍事的につくられたものでございますが、これを使って、国際的にいま、各国の間の地図のくくりつけ、連絡と申しますか、コオーディネーションをやろうじゃないかというようなことも、これはわれわれから言い出して一緒にやろうということになって、アメリカは軍事機密を解除したような例もございます。
 それから、いまおっしゃいましたのは、日本としてそういう宣言でもしたらどうか――これは学術会議なんかが先頭に立ってやることであると思いますんですが、学術会議はかねがね、そういうことを常にあらゆる面で宣言していると思います。ただ、特に宇宙開発として取り立ててはおりませんが、学問が軍事に利用せられないようにというようなことは、学術会議がいつも唱えておることだと思っております。
 それから、先ほどちょっと、わが国としても宇宙基本法といったようなものをつくるというお話がございましたが、これも学術会議から、原子力基本法のような形をとって、日本でも宇宙開発をやる以上は、そういったものをつくってくれということをお願いしているわけでございます。
 そんなことで御返事になりますか。
#15
○森元治郎君 私がいまこの静止衛星のような例をとって申し上げたのは、なるほど南極条約では、いままでのああいう関係条約では、たいへん各国が平和な条約を結んだようだが、現実を見ると、適当に、やはり南極でもあちこち探検隊のシフィエアを広げちゃって、自然に自分の勢力範囲みたいものができつつあるんですね。だれも口には言いませんが。そういうことをやっぱり宇宙でやらせないためには、過去のそういうことも参考にして、大きな原則でもぶち出して、米ソあたりにぐずぐず言わせないだけのリードをしてもらいたいという、こういうことを希望したいんです。
#16
○参考人(宮地政司君) ありがとうございます。できるだけ努力するつもりでございます。
#17
○岩動道行君 私は、どなたにお聞きしていいのかわかりませんですが、人工衛星ができた場合に、ごく卑近な問題として、テレビ放送が、たとえばいまは山間地においては非常に聴視できないところがあるので、ずいぶん金をかけて見えるように施設をふやしてやっておられるわけなんですけれども、これが、衛星ができた場合には、そういう問題は完全に解消できるのかどうか。それからまた、世界的なテレビ番組といったようなものが可能になってくる時代も考えられるんじゃないかと思いますが、非常に革命的な、テレビに影響があるような感じがするのですが、その辺については一体どういう見通しになっているのか、教えていただきたいんです。
#18
○参考人(宮地政司君) 私は専門家でないですから、よくわかりませんが、いまお話しになりましたように、山間僻地のどこへでも宇宙中継でやれば届くはずであります。ただ、問題点は、波長の問題がございまして、それが非常に問題になっているようでございます。国際的に問題になっております。それで、特に日本のように、もうすでに相当地上の中継網といいますか、放送網ができておりますと、大した利益にはならないようでございますけれども、新しく、たとえばアフリカとか、いろんな国でつくるというようなことになりますと、一挙にできるわけでございます。それで、テレビを一つ備えつけまして、あとは、ことばだけはそれぞれのところへ放送することができる。山間僻地のどこにでも行くわけでございまして、その場合に一つの大きな問題になりますのは、受信するアンテナをどうするかということでございまして、いま日本とアメリカとやっておりますアンテナが非常に大きなアンテナでございます。たいへん金のかかるものを使っております。それからもう一つのやり方は、放送衛星と申しまして、途中で受けたものを今度は二次的に放送するようにいたします。ちょうど日本で僻地に小さな増幅器が備えつけてあると同じようなことでございます。最終的な形は、いまの直接放送する、これは、先ほど申しましたように、一九七〇年代の半ばにはそれができるだろうと見込まれておりますが、これはたいへん大きな金がかかるので、なかなかむずかしい問題だと思いますけれども、しかし、その方向へ動いていることは確かでございまして、あらゆるものがそちらへ向いております。いまの国連なんかでも、かなり力を入れて、そしてそういうものを一挙に解決しようとしているようでございます。
#19
○船田譲君 ちょっと、いまのに関連して一間、よろしゅうございますか。
 大野先生か宮地先生かわからないのですが、いまの通信衛星なり放送衛星なり地域衛星、国内衛星として上がった場合に、いまVのほかにUテレビをやっておりますけれども、やるようになってまいりましたね。狭い地域で割り当てていくわけですけれども、そういう衛星が上がりましたときには、今度は、Uもお互いにカバレージがオーバーラップしましてUの地域放送性というものがなくなってくるのじゃないかと感じるのですが、いかがでございましょうか。
#20
○参考人(宮地政司君) 私も、これは専門でございませんので、よく存じませんですが、その点で、いま国際的にも割り当てが非常に問題になっております。国内的にもそれは問題になると思いますが、それで、まだはっきりした見通しはないようでございますが、必ず確保せられることだと思っております。
#21
○岩動道行君 それで、一九七〇年代にはそういうものができる可能性があるし、ばく大な金がかかるというのですが、一体、日本で日本独自のものをつくるとすれば、どのくらい金がかかるものですか。
#22
○参考人(宮地政司君) 全然私には、ちょっといまわかりません。ただいま考えられておりますのは、たとえば、アフリカとかアルゼンチンなんかの例で、先ほど申しました国連への報告によりますと、そのほうが経済的であるということを言っております。地上施設を新しくつくるよりも、一挙に、そのほうが経済的だということを報告しております。
#23
○岩動道行君 おおよその見当は、どのくらいのものなんですか。
#24
○参考人(宮地政司君) 全然私は存じません。
#25
○説明員(謝敷宗登君) お答え申し上げます。
 いまの点に関しまして、放送衛星に二種類ございまして、先ほど宮地先生からお話のございました、直接家庭に、家庭の受信機で受信できるように、人工衛星から電波を出す放送衛星、それから、小集団の、地域的に小さな局をつくりまして、そこから家庭には普通のテレビの中継のように地上系を使うという二つの種類がございまして、現在主としてやられております後者の分配衛星と称しているものについては、技術的にもだいぶ検討が進んできております。前者の、直接放送衛星になりますと、これは結局、非常に微弱な電波になりますので、まず、上の人工衛星に積みます発電能力を高めるか、あるいは下の受信者のアンテナを大きくするか、どっちかをとらなければならぬわけです。現在のところ、直接放送衛星をやるとすれば、その重さが一トンをこすようなものにしなければいかぬとか、場合によりますと、発電能力を上げるために原子力をつかったような発電機を上げなければいかぬ、こういう問題がございまして、最近、国連でも、放送衛星につきましては重大な関心を持ちまして、宇宙空間平和利用委員会の中に、直接放送衛星に関します専門家のパネルの検討会がありましたが、そこでも、価格の面については、現在ではなかなかまだ算定し得る段階ではないというような結論が出て、現在、技術的に各国で専門家が研究を進めておる、こういう状態でございます。
#26
○岩動道行君 われわれは、森先生とは違って、ごく卑近な、卑俗的な事柄なんですが、たとえば選挙法を改正して、テレビで政見放送をやるという選挙法改正をいま検討中なわけですけれども、その場合に、やはり難視聴地域があるので一つ問題があるというようなこともあるわけなんです。したがって、いまのような高いところから一挙にやれば、そういう問題が解決するし、国民全部が立候補者の顔と意見を聞くこともできるというような時代が一日も早く来なければいけないと思うわけなんですが、そういう政治的な観点からもこれは進めなければいかぬし、と同時に、いまお話があったように、宇宙から電波をあれしますと、それぞれの国がかってなことをやって、妨害をしたり、宣伝をしたり、非常にその面においての混乱が起こるということから、国際的な条約、規約というものがどうしても必要だと思うのですが、その点についての御研究なり、御見解はどうでしょうか。
#27
○参考人(大野勝三君) ただいまお尋ねの点は、おっしゃったとおりの線にたぶんいくものじゃないだろうかと考えております。非常にこれは国際的に複雑な関係を生ずるものですから。
 それから、先ほどお尋ねのありました、放送衛星はどのぐらいかかるのだろうかという放送衛星の実際の見積もりは、まだはっきりわかっておりませんけれども、御参考までに申し上げますと、昨年の暮れに、例の商業衛星通信機構で発注しました第四号衛星というのがございます。これは、プロトタイプ一個と、ほかに四個の星を一緒に発注しておりますが、七千二百万ドルです。ですから、プロトタイプを合わせますと、一個千五百万ドル前後になりますね。相当高いものでございます。
#28
○向井長年君 全く不勉強で申しわけないのですが、参考人の御三方にお尋ねいたしますが、宇宙開発委員会の性格、特に先ほどからも意見として言われております、今後早急に事業団をつくって、宇宙開発に備えたい、こういうお話もございましたが、大体、宇宙開発委員会というのは、先ほど森先生も言われたように、ビジョンをつくり、あるいは計画を持ち、実施に移していこう、こういうことだと思うのですが、そうなりますと、その実施部隊は、どこでこれがおのおのやられるのか、あるいは、今後事業団がつくられれば、その事業団というのがいわゆる研究開発部隊になるのか、あるいはまた、ただそこの一つのボード的な性格になるのか、この点ちょっと私わからないのです。したがって、宇宙開発委員会と事業団、あるいはまた重要な通信衛星にしても、ロケットにしても、あるいは将来の人工衛星にしても、あらゆる部面で研究開発が行なわれなければならぬ。その研究開発と、その計画と、それに伴う実施部隊、どういう形でやられるのか。これはまあ政府側に聞くのが当然かもしれませんが、ちょっとお尋ねいたしたい。
#29
○参考人(吉識雅夫君) いまの御質問の点でございますが、これは多少私の個人的なあれが入るかもしれませんのですが、私の感じでは、事業団の一番大きな任務は、やはり計画の問題が一番大きくなると思います。それから開発研究は、自分のところですべてをやるというわけにはどうしてもいかない、ある程度は、もちろんゼロではございませんが、相当部分はやりますけれども、大きな部分は、どっかへ委託せざるを得ないだろう、こう思います。
 それと、もう一つは、打ち上げ、それから追跡、追跡も一部よそに頼まなければならないところも出てくると思いますが、打ち上げ業務は全部やる、大体そういう分担ではなかろうかと私考えております。
#30
○向井長年君 しからば、その事業団をつくって、事業団といえば、政府から金を出させるとか、よそから出資させるとか、この金の問題の一つの機関としてはわかるんですが、そうすると、事業団そのものは直接の研究開発をやる部隊になるのか、やはり委員会と同じようにボード的性格を持つのか、この点、どうなんでしょうか。
#31
○説明員(謝敷宗登君) お答え申し上げます。
 宇宙開発委員会におきましては、事業団法の二十四条だと記憶しておりますが、書いてございますように、宇宙開発に関する基本計画をきめていただく。基本計画の場合には、どういったスケジュールで、どういうものを今日日本として打ち上げ、それを実現していくかという骨子が大体きめられると思います。それから、技術的にロケットをつくり、打ち上げ、人工衛星を追跡するという段階までには、技術的には相当こまかい計画、先ほど吉識先生から計画とおっしゃられた問題がございます。計画の中には、あの種の構造物をつくります場合に、工学的には、基本計画、基本設計、詳細設計、こういう段階を追ってやっていきますし、最近のアメリカ等の例から見ますと、非常に広範で総合的な計画でございますので、システムエンジニアリングの新しい手法を使ってやっていかなければならぬということになってくるかと思います。で、そのうちで、事業団の中には、ロケット開発を担当しますグループと人工衛星の開発を担当するグループと、直接には二つ、それから企画グループと三つが出てくると思います。したがいまして、詳細設計までは入りませんが、基本計画、基本設計の段階は当然事業団がやってまいる。あと、計画に従いまして、基本設計に従いまして、具体的に製造設計と申しますか、詳細設計といいますか、詳細設計から製造設計になるわけですが、その段階では、むしろ民間の試作メーカーのほうが得意であり、かつ陣容もそろっているということで、おそらくそちらに、生産にかかわる研究開発設計は委託することになろうかと思います。それで、さらに、試作させまして、それを受け取り、全部を組み上げるという責任は、これは事業団が持ってやる。あと、それで物ができ上がりますと、打ち上げと追跡をやってまいる。こういうような形で、技術的に、前者のシステムデザインによります基本計画、基本設計というところが、事業団として特に力を入れてやっていただきたいと考えている技術的な内容だと考えます。
#32
○永野鎮雄君 いままでの質問で大体あれですが、どなたにお尋ねしたらいいのかわかりませんが、宇宙開発委員会の組織は、先ほどの御説明ですと、非常勤委員が四人だと、したがって、部会も具体的には三つ設けてやっておる、こういうお話でした。部会というのは、どういうふうな組織になっているのですか。
#33
○説明員(謝敷宗登君) 宇宙開発委員会の事務は各省共同でやることになっておりまして、科学技術庁がその総括をやるというたてまえになっております。その立場から御説明申し上げますと、部会は、先ほど吉識先生からお話のありましたように、開発計画総合部会とロケット開発部会と、それから人工衛星開発部会と分けて置いてあります。これは当然非常勤でございまして、宇宙開発委員会には専門委員を置くことができるという規定になっております。各界の有識者の方に専門委員として御参集いただきまして、非常につめてやっておりますときには一週間に一回程度で、現在、ロケットの開発と人工衛星とあります。それを終わる段階に来ましたら、持ち寄りまして総合部会でまた検討し、またそれをさらにもう一回各専門のロケット開発部会、人工衛星部会にフィードバックするというようなやり方でやっております。専門委員は、全体でたしか予算的には八十人以内だったと記憶しております。
#34
○永野鎮雄君 大体わかりましたが、私しろうとですから、中身についてお尋ねをするのはちょっと失礼かもしれませんが、そういうふうなあり方で開発委員会を設けた趣旨が達成できるというか、やれると、委員の方々お考えですか。
#35
○参考人(吉識雅夫君) ただいまの御質問でございますが、宇宙開発委員会の目的から申しましても、全員が非常勤の委員であるということは、やっぱり困るだろうと思います。
 それから、ただいまの部会を設けてやっておりますということは、これは将来のビジョン並びに計画というようなことで非常に専門的な積み上げをいたしませんと、単に大所高所だけの判定ではいけませんので、そういうことになりますと、これはやはり委員会の委員だけでは幾ら常勤の委員をつくってもやっぱりぐあい悪いのでありまして、専門が非常に多岐にわたり、また、高度な専門的な技術が要る問題でございますから、これは常勤の委員をつくっても、やはりそういう形態はある面では持たなければなるまい、こういうふうに思っております。
#36
○参考人(宮地政司君) 先ほど費用のことを聞かれましたが、ここに資料がございまして、わかりましたので、ちょっと申し上げます。
 これは一九六六年の刊行資料に基づいておるものでございまして、多少変わっておりましょうが、インドで計画したことによりますと、宇宙及び地上の放送施設全体の年間総費用が約一千万ドル、一千四十万ドルと見積られておる。それで、教育放送で学ぶ学生が、一九七〇年には八千九百万人に達すると推定されるというのが一つございます。そういたしますと、一人当たりの年間の費用というのは〇・一二ドル。それからもう一つございますのは、ペルーでやはり同じような計画をしておりまして、これは年間の総費用が六百五十万ドル。地域が狭いと安くなっているようでございます。それからナイジェリアで同じようなことが考えられておりますが、これは年間総費用が五百六十万ドル。これは、先ほど申しましたように、衛星及び地上、両方の総費用、年間の費用でございます。
#37
○岩動道行君 それは本体と維持費ですか。本体そのものはどのくらいですか。先ほどの話だと、大体千何百万ドル、五、六十億という話でしたね。
#38
○参考人(大野勝三君) 製作費はそんなものです。
#39
○参考人(吉識雅夫君) いまのお話に多少つけ加えますと、私、数字がいま実はわかりませんが、衛星のほかに、日本で打ち上げるといたしますと、ロケットの開発をやる、これが、先ほども申し上げましたように、重量がまあ二、三百から四、五百くらいまでは、現在のQ、Nといったようなものである程度いくだろう、多少の改良でできると思うのでございますが、先ほど謝敷参事官からお話がございましたように、直接放送のようなことになりまして一トンをこすというようなものになりますと、これのロケットの開発にはやっぱり相当金がかかるものだろう、こう思っております。
#40
○森元治郎君 私一つ伺いますが、日本は科学技術の実力は優等生のようにあるから、何かをやるときにヒントをもらえば、もっと大きく進歩するだろうと思うんです。ところで、話を衛星にだけ限って伺いますが、燃料であるとか、ロケットの胴体部分であるとか、星であるとかいうようなものについて、進んでいるアメリカあたりから何か一つ教えてもらえば、ああそうだといって、すぐこれをつくっていける。一体、そういうことは全部秘密なのか、聞こうとしないのか、アメリカに教えてくれと言わないのか、金を払うから教えてくれと言ってもいいんだが言わないのか、かりに言っても向こうは一切教えないのか、その辺はどうなっていますか。
#41
○参考人(大野勝三君) まことにごもっともな御質問だと思います。もうすでに御承知おきかとも存じますが、昨年の一月に、当時の駐日アメリカ大使のジョンソンさんから日本の佐藤総理大臣にあてまして、衛星開発あるいはロケットの開発について必要な技術はアメリカは提供する用意があります、日本側で受け入れる態勢が整い次第いつでも教えてあげますという趣旨の書簡といいますか、メモランダムといいますか、そういうものが来ておるのでございますので、それを受けまして、政府の御当局におかれましては、たとえば全然無条件にそういう技術の導入ができるものかどうか、いろいろの点があるものですから、御検討になっておるようでございますが、私どものうかがい知りましたところでは、大体その辺の条件についての話し合いも詰めの段階に来ておるようでございまして、近く、いわゆる技術導入について、あるいは交流と言ったほうがいいのかもしれませんが、そういうことについての協定のようなものができるように承っております。
#42
○岩動道行君 いまのは、民間ベースでいくのですか、それとも政府間ベースでいくんですか。
#43
○参考人(大野勝三君) ただいまの話は、政府間ベースでございます。しかし、政府間ベースの取りきめが先にできておりませんと、民間ベースの技術導入につきましても、御承知のように、アメリカでは無条件にはそれを認めておりませんから、政府間の了解があれば、民間ベースの導入が容易に行なわれるようになると、こういうふうに了解しております。
#44
○矢追秀彦君 静止衛星を打ち上げる位置の確保についての見通しでありますけれども、一説では、全世界で六十個とか百八十個とか、そういうことを言われておるわけでありますけれども、打ち上げる場合の位置の確保についての日本としての見通しは、どう考えておりますか。
#45
○参考人(大野勝三君) 静止衛星を地球上の軌道に乗せますのに、やはり位置の限界があるということを先ほど申し上げましたことに関連しての御質問と承知いたしますが、大原則といたしましては、その位置の確保ということについて、何ら制限、取りきめ等はございません。大原則は、すでに御承知のとおり、宇宙空間は世界の各国が自由に平等にこれを利用することができるという、例の宇宙条約の保障もございますので、ただ、かってに各国がそれを上げますと混乱が起こることをおもんぱかってでございましょう、国連事務総長に対しまして、星を打ち上げますと、これを通報するという義務は各国が負わされております。ですから、ただいまのところは、空間に打ち上げました衛星は無数にございますけれども、赤道上に上げられました静止衛星の数は、まだごく知れたものでございます。ですから、ここ数年の間にまず席をとっておかなければ星は上げられないという心配は起こりそうにはございません。
#46
○矢追秀彦君 燃料についてお伺いしますけれども、液体と固体と、学問的に言って、どちらがよろしいでしょうか。
#47
○説明員(謝敷宗登君) これは、燃料の推力だけの問題を取り上げますと、液体ロケットのほうが、固体ロケットよりは現在のところは性能が上でございます。それで、ただ、その液体ロケット、固体ロケット、それぞれ燃料の改良開発が行なわれておりますので、今後は、それぞれさらに発展していくというふうに考えています。
#48
○矢追秀彦君 ちょっと違った質問になるかと思いますけれども、エックス線天文学ですか、日本における、これは現在どういうふうな状態でしょうか。今後どういうふうになりましょうか。
#49
○参考人(宮地政司君) エックス線天文学は、ごく最近発達したものでございまして、ロケットとか人工衛星によって初めて発見されたものでございます。これは、空気の下で観測いたしますと見えないのでございますが、空気の外へ出ますと、空気の吸収がございませんので、見えます。驚きましたことには、全然われわれ地上から何ものもないものであるのにかかわらず、非常に明るくエックス線を出しているという天体がたくさんございます。最近、だいぶそれが問題になっております。それで、日本では、ロケットにエックス線観測器を積みまして、そしてその星の位置をきめる、そういう非常にこまかい位置をきめるやり方、方法を、実は東京大学の宇宙航空研究所の小田稔教授がつくりまして、そして国際的に非常に称賛されたわけであります。こまかくその位置をはかることができた。そのために、今度は、東京大学の東京天文台に属しております岡山の天文台で、そのエックス線天体の地上からの姿を写真にとることができました。いままでは、地上からは見えないものだと考えられておりましたが、大澤教授がこれを発見いたしました。世界で最初に発見いたしました。たいへんな称賛を博したわけでございます。そういう意味で、エックス線天体につきましては、日本が学界にも相当な大きな位置を占めております。
 そういう次第でございます。
#50
○矢追秀彦君 いまおっしゃったように、せっかく日本で先べんをつけたのでありますけれども、やはり他国もかなり追い上げてきておるのじゃないかと思うのですけれども、その点、いかがですか。
#51
○参考人(宮地政司君) 日本では、岡山の天文台がこれを、直径が約一メートルでございますが、アメリカには二メートル半の直径をもった大きな望遠鏡がございますので、日本がその発見を電報で通告いたしますと、すぐ今度はアメリカがやり出しまして、そうなってきますと、望遠鏡の差から、それはアメリカのほうがどんどんいい結果を出しておるようでございます。国際的に、大きな望遠鏡を持っておるところでは、みんな同じような方法でやっております。同時に、このロケット及び人工衛星でエックス線の観測を、エックス線天体をさがしておるというのが実情でございます。そのさがせるのは、いま、アメリカとそれからソ連しかございません。日本は、その中の機会を供与しておるという、知恵を供与しておるというところでございます。もちろん、アメリカ、ソ連も大いにやっております。
#52
○委員長(宮崎正義君) ほかに御質疑もなければ、本日はこの程度といたします。
 参考人の皆さまにお礼を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見を拝聴さしていただきまして、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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