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#1
第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第8号
昭和四十四年六月六日(金曜日)
   午後一時二十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮崎 正義君
    理 事
                平島 敏夫君
                横山 フク君
                森 元治郎君
                矢追 秀彦君
    委 員
                石原慎太郎君
                鹿島 俊雄君
                金丸 冨夫君
                源田  実君
                永野 鎮雄君
                鍋島 直紹君
                船田  譲君
                矢野  登君
                竹田 現照君
                森中 守義君
                向井 長年君
   国務大臣
       国 務 大 臣  木内 四郎君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        平泉  渉君
       科学技術庁長官
       官房長      馬場 一也君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       郵政政務次官   木村 睦男君
       電気通信監理官  柏木 輝彦君
       郵政省電波監理
       局長       石川 忠夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○宇宙開発事業団法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 理事会の申し合わせの報告をさしていただきます。
 本日の理事会におきまして、本委員会の運営に関する申し合わせについて慎重に検討いたしましたところ、次のとおり申し合わせましたので御報告いたします。
 一、定例日は従来の慣行を尊重し、常時定足数  を確保する。
 二、質疑通告者の発言を尊重し、慎重に審議を  尽くす。
 三、必要に応じ参考人の意見を聴取し、公聴
  会、連合審査会を開催する。
 四、強行採決は慎しむ。
 以上でございますが、別に御発言もなければ、当委員会といたしましては、理事会申し合わせのとおり運営するようつとめてまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(宮崎正義君) それでは、宇宙開発事業団法案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○森中守義君 技術庁と郵政両方にお尋ねいたしますが、四十二年の十二月二十日に審議会から長期計画の大綱が出されておりますね。この中に大体開発のスケジュールが組んであるようですが、ロケットの開発及び衛星の開発、大体この大綱に示しているようなスケジュールで進んでいるかどうか、あるいは、その可能性があるのかないのか、最初にそれをお尋ねしておきます。
#5
○国務大臣(木内四郎君) いま御指摘のように、昨年の末に、予算要求の段階におきまして、宇宙開発委員会のほうから、当面処置すべき問題につきまして、四十六年には電離層観測衛星、四十八年度には実験静止衛星を打ち上げる、こういうことで、それに必要なことの申し出がありまして、それに基づきまして予算も編成しておりまするし、また、諸般の手続を進めておりますので、ただいまのところ、スケジュールどおりにいくものと確信いたしております。
#6
○森中守義君 スケジュールどおりに進んでいるということはたいへんけっこうなことですがね。むろん、ロケットの場合には、はたして予定どおり国産の開発ができるかどうか、ずいぶん疑問を持たれておる節もあるようであります。そこで、アメリカ側から、場合によっては、ロケットの開発のためには、しばしば議論が展開されましたように、技術援助をやってもよろしい、こういうことが伝えられているのです。そこで、先般も、全く国内における技術体制によって自主的な開発ができる、アメリカからはそれらの関係の援助を求めなくていいのだ、こういうことのようでありましたが、それに間違いありませんか。
#7
○国務大臣(木内四郎君) この進行状況についてたいへん御心配願っておるのでありまして、私ども感謝を申し上げておりますが、私どもは、この予定のスケジュールどおりものごとはいま運ばれておると思っております。
 そこで、いまお話がありました、御案内のとおり、昨年の正月にアメリカから、いわゆるジョンソン・メモによりまして、日本で希望するならばできるだけ援助をしようということで、それに対して、昨年の十二月、私どものほうはその申し出を多として、そうして私どもの意見も、もうすでにごらんになっていると思いますが、述べまして、そうしていよいよそれでは具体的な交渉に入ろうということで、交渉に入っておるわけであります。
 そこで、いまお話のありましたように、私どもは、この宇宙開発につきましては自主的に民主的にこれをやっていきたい、かように思っておりますけれども、自主的ということは、何もかも自分たちで開発するという意味じゃありません。先進諸国においてすでに開発したものに対しまして、われわれは自主的に必要なものは移入する、導入する、こういう方針でおりまするし、宇宙開発委員会においても、その旨先ほどお話しの昨年の答申においてその点は明らかにしております。先進諸国でおかした失敗を私どもは繰り返すようなことのないように、しかし、われわれの自主性をあくまでもそこなわない範囲において先進国の技術は大いに導入するというのが私どもの方針です。それで、それによって私どもはスケジュールどおりいくものと確信いたしております。
#8
○森中守義君 それで、しばしば議論してきましたように、アメリカがロケット開発のための技術の提供をする場合には、第三国にその構造機密等が漏洩することを非常におそれる。しかるがゆえに機密を保持する何らかの立法措置を講じてはどうか、こういうことが第一段階にあったようであります。そのことがだんだん後退をしてきて、もういまや、長官が言われたように、そういう高度な機密保持を必要とするような導入は、それはしないということであって、もうすべてアメリカから技術の導入を求めないということでもないようですね。
 しかしながら、当然なこととは言いながら、特殊な技術の防衛のための立法措置は講じないのだ、これは総理からも何回も聞いておりますから、当然な措置として歓迎をしておりますが、全く導入しないのだ、アメリカから何も援助を求めないのだというようなことでない限り、ある程度、いま両国間において何がしかのこういう問題の話が進んでいるのじゃないか、こういうように思うのです。したがって、開発に必要な部分は導入するということであれば、一体いつごろそういう内容について日米の話し合いがまとまるのか、その内容はどういうものであるか、その辺の現状あるいは若干の展望、そういうものを少し説明しておいてもらいたい。
#9
○国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、アメリカのほうのメモ、これをお読みになっても、いまお話しになったように、日本は第三国に出しちゃいかぬとか、いろいろなことを書いてあります。しかし、あれはアメリカ側の話をしたことに対するメモでありまして、私どもはそれをそのままアクセプトはいたしておりません。したがって、あれは協定の文書でも何でもない。私どものほうから十二月に出しましたメモをごらんになればおわかりになると思います。私どもは、その点についてアクセプトしたという字は一言も使っておりません。ただ、私どもはっきりしましたのは、機密保持のための法律をつくることはしないという態度をはっきりしている。これは、総理の声明もあり、私どものメモの最後のところに明瞭に書いてあります。そこでしからば、そういう態度でアメリカから必要なものを導入できるかというと、私どもは導入できる、かように思っております。軍事機密などでよそに漏れては困るようなものはアメリカは出してこないだろう、初めから私どもはそう思っております。もちろん、それまで無条件に出してこられれば、これも非常にいい面もありましょうが、私どもは初めから、アメリカ側は外に漏れちゃいかぬような問題は出してこない、こういう腹をもってこの問題に取り組んでおります。しかし、それでも、そういうものはもらわなくてもやっていけるというのが私どもの今日の確信です。そこで、その点で私はお答えは尽きておるのじゃないかと思いますが、もし足らない点がありましたら、ひとつまた御指摘を願いたいと思います。
#10
○森中守義君 答えが不十分じゃなくて、的をはずれております。いまそういうことを私は聞いておるわけじゃない。すでにそれは過去のものとしてきちんと整理がついておる。つまり、立法措置を講じて機密を保持しなければならぬという、そういう段階は解消したようだから、それは歓迎する、こう言っておる。そこで、これから長官のほうでは、全部自前の開発ではない、ある部分についてはアメリカの技術援助を求めることもしなければなるまいという答弁になっておる。じゃ、そういうことについて、いつの段階で最終的な取りきめをするのか、その内容はどうなのか、こういう聞き方ですから、説明不十分ではなくて、説明の的をはずれておるということですよ。
#11
○国務大臣(木内四郎君) 説明の的をはずれたのじゃなくて、途中までだったと思います。そこでお聞き願えれば補足的な説明を申し上げたいと思います。たいへん失礼しました。
 そういうようないきさつで、この春以来、日米両国間において外交のルートを通じて相談しているわけです。私どものほうの必要とする項目について、いろいろこれをあげて相談しているわけです。近く、ほぼ成案を得て最終の結論を得るようになると思います。その際には私どもこれを公表して、皆さま方にお示ししたいと思いますが、ただいまはまだ外交交渉の途中でありまするので、従来からの慣例に従いまして、今日の段階でここで発表することは差し控えたい、かように思います。
#12
○森中守義君 むろん、外交交渉の過程だから公表をはばかるということはわからぬでもありませんが、いま細大漏らさず全くコンクリートにその状態を言えと、こう言っておるのじゃない。大づかみに言って、いつの時期に大体この辺のものだというくらいのことは言えないのですか。
#13
○国務大臣(木内四郎君) それですから、いま申し上げたのですが、ほぼ最終段階に来ておる。近く最終の結論を見る。したがって、近く公表することができるという状態になります。何日ということまでは申し上げることはできません。ただ、近い将来において発表することができると思っております。
#14
○森中守義君 これは少し私の意見になりますが、さっき解消したとは言いながら、経過を考えてみた場合に、開発のために技術援助をしよう――これはむろん新聞を根拠にして私はものを言っておるわけですが、機密立法を代償として求めるというのも、はなはだ見識のないことだ、こういうように思っておる。ただし、実際に今回出された法案の内容を見ますと、衆議院段階でだいぶ議論が発展したようですが、要するに、平和利用に限定するというようなことが法案の中にどこにもないわけです。それを衆議院で修正議決をして、初めて平和利用に限るという条項が入ったということなんですが、しばしば長官あるいは総理から、軍事的なものに結合する考えはないのだ、そういう説明は聞いておったのでけれども、それだけではやはり安心ならない。安心ならない要素としては、アメリカがそういう立法措置を当初求めてきたという経緯等から考えても、多少はやはり疑わざるを得なかった。しかし、衆議院で議決修正されていますから、それはそれとしていいのですけれども、例の佐藤・ジョンソン共同コミュニケの中に、宇宙開発については一つの項目としてかなり重要な点を指摘している。どういうことかといえば、「総理大臣と大統領は、宇宙空間の平和的探査と利用について討議し、宇宙空間の平和利用に向かっての人類の進歩の過程における新たな道標である月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する」以下云々、こういうことで、両国最高首脳の合意に達した共同コミュニケでも平和に限ると、こう言っているのですよ。それが何がゆえに機密立法等を求めてきたのか、実に心外千万だったわけです。しかし、問題は、国会における立法段階において平和利用ということが入ったわけですから、これは行政当局の意向とはずいぶん進んだものだと私は理解するのですが、よもや、そういう立法措置は講じないのだが、自後技術の導入をする場合、いろいろこういったような条件はまさかつかないでしょうね。その辺をかなり危惧するがゆえに、内容はどういうものなのか、こういうことをしきりに強調したいし、聞きたいのですが、そういう心配は要りませんか。
#15
○国務大臣(木内四郎君) どうも私は人がいいせいですか、人の言うことを信用するほうのたちなんですよ。信頼というのが基礎だと思うのですが、御案内のように、いまもお読みになったように、総理大臣と向こうの大統領との共同コミュニケにも、平和利用というものがはっきり書いてあります。そこで、総理大臣もたびたびこのことを繰り返しておりますし、私どもも、もう平和利用に限る、日本には平和利用以外の字は字引きにない。私どもは平和利用に徹しているつもりですが、それで御信頼願えると私どもは思っておったのです。そこで法律にもこれを入れなかった。特に今度の法律は事業主体の組織について規定している法律で、政策を規定する法律じゃないのです、基本法などと違って。ですから、それに対して私どもは、総理も再三再四声明しているし、私もたびたび繰り返しているし、それで平和利用ということは御理解願え、御信用願える、かように思いまして、この法律にはそういうことを入れなかった。ことに、これは事業主体の組織をきめる法律で、政策をきめる法律じゃないから、私どもは要らないと思ったのですが、衆議院においては入れておいたほうがいいだろうということで御修正になった。だから、御修正になった以上、私どもは尊重しますけれども、私どもの当初の考えはそうであります。法律にあろうとなかろうと、もう平和利用に徹しているのですから、その点を御理解願いたい。
 それからアメリカのメモにアンレス・アザーワイズ・アグリードとかなんとかいうことばを使ってありましたが、これはことばのあやであって、これは向こうのメモなんです。たまたま、どういう間違いか、そういう字が入っておりましたけれども、私どもが申し上げているように、平和利用に徹してわれわれはそれ以外のことを考えないのですから、私どものほうの回答をお読みになっていただけばおわかりになるように、平和利用に限ることを書いてあります。それで私は御信頼願いたいというのが私どもの考えであります。
#16
○森中守義君 その、信頼するしないというのは、やはりそれは議論していけばきりがないだろうけれども、そういう単なることばの上のやりとりじゃ私はないと思う。
 それならば、もう少し進んで聞きますが、学術会議が原子力の平和利用に検討を加えた自主、民主、公開、この三つの原則というものは、宇宙の開発にも当然適用すべきものだ、したがって、二回にわたって、この三原則をあらためて立法化すべきであると、こういう案件を採択した経過がありますね。したがって、当然、今回の事業団法案の提案の前提になるべき基本法というものは制定されてしかるべきじゃないかと思う。それを、どういうわけなのか、原子力基本法はできたんだが、宇宙開発基本法というのは全然できていないじゃないですか。出す意思をお持ちになっていないようですね。その辺のことがやっぱり気になるんです。で、学術会議が二回にわたるこういう採択をしたことを尊重されるのかされないのか。現状においては尊重されていない。しかも政府提案は、信頼してほしい、信頼されていると思ったから別に平和条項を入れなかったんだ、こういうお話ですけれども、あなたがいつまでも長官をやっておるわけでないのだから、そして人によって法律というものは左右される懸念も多分にありますから、われわれとしては、どうしても基本法を前提において制定しておくべきだ、こう思うんですがね。一体宇宙開発基本法の制定をされるつもりですか。なぜしない。
#17
○国務大臣(木内四郎君) この基本法の制定は、もう必要なことは私どもも認めておりまして、なるべく早く制定いたしたいと思いまして心を砕いておるわけです。先ほど来、学術会議のお話がありました。学術会議でも、自主、民主、公開という議論はあったようでありまするけれども、原子力基本法をつくる際のいきさつは、御案内のとおり、学術会議の中にもそういう御意見もあったようでありますが、あれは各党派が超党派的に考えて、自主、民主、公開だけでなく、さらに国際協力とか、そういうことを加えて、各党が超党派的にお考えになって、これが適当であると思っておきめになったものと私は了解しておるんです。まあ、それはそれとして、今度宇宙開発につきましても、宇宙開発委員会の前身で宇宙開発審議会というものがあります。それの一号答申から四号答申まで、これはすでに皆さん方のお手元にその答申はお配りしてあるからよくお読み願っておると思うんですが、それにおきましては、はっきりとして、とにかく宇宙開発は平和目的に限る、自主、民主、公開の原則でいくんだということが書いてあります。そこで、昨年これが改組されまして宇宙開発委員会というものになりまして、その設置の法案は、こちらでは内閣委員会で御審議を願って、昨年御承認を得て、昨年の夏以来設置されておるんですが、この委員会の設置をお認め願った際におきまして、やはり、こういう基本法をなるべく早くつくれ、そうしてこういう平和の原則を入れるようにというお考えがありました。私どもは、そのとおりにいたします、できるだけすみやかにいたしますということは、当時申し上げておるわけです。
 そこで、政府におきましても、その点について心を砕いていろいろ研究しましたところが、これはなかなかむずかしい問題があること、これからいまちょっと申し上げようと思うんですが、この設置法制定当時に衆議院でも参議院でも附帯決議をおつけになりました。その趣旨をどういうふうによく盛り込むことができるかという問題が一つあります。さらに、この宇宙開発基本法の対象をどうするか、こういう問題があります。それからまた、宇宙開発を行なうにあたっての主要施策の項目その他をどう盛り込むべきか、これは簡単なようでなかなか簡単でない。ことに対象の問題について、基本法をつくる以上は、まず宇宙というものの定義を下さなければならない。ところが、宇宙という定義は、宇宙条約、月その他の天体に関する条約はすでにわが国も加盟しましたけれども、とにかく国際的にも宇宙というものの定義というものが今日きまっておらないのですね。そこで、国連においてこの定義をきめようと思って特別の委員会を設けて検討しているが、なかなかきまらない。そういう事態であります。そこで、われわれのほうで簡単に定義をきめてやった場合に、国連のほうの定義と違っているというようなことが起きるというと、そこにまた支障を来たしたりする。そこで、そういう状態もながめていかなければならぬとか、いろいろな問題がありまして、困難な問題があります。その点を衆議院のほうの科技特のほうの委員会に御報告しておるわけです。そこで、われわれとしては積極的にこれに取り組んでおるのですが、衆議院のほうにおかれましても、この問題が非常に困難だという事態をお認めになって、そして宇宙開発の基本問題に関する小委員会というものを設けて、この問題に取り組んで研究しておられるという段階です。そこで、私どもはそれに対して積極的に御協力をして、そしてなるべく早くひとつ成案を得て宇宙開発基本法が制定されることを私どもは期待いたしております。
 ところで、しからば基本法ができるまでわれわれは事業団の設立を待っていることができるかというと、そうはいかない。これは、去年開発委員会をお設け願って、そこにおいて企画、調整の機関ができまして、計画を樹立したりする機関ができましたが、実施機関というものが一本になっていなくて、ばらばらになっている。そこで、何とかしてここに宇宙開発の実施機関を設けなくちゃならぬ。そこで、この宇宙開発事業団というものを提案いたしまして御審議を願っているというような段階であります。決してこの基本法の制定をおろそかにしているものでないということを十分御了解願いたいと思います。
#18
○森中守義君 大体経過としてはわかりましたが、私は、はたして宇宙の定義があるないという議論は、必ずしも長官の言われるようには賛成しがたい。定義もないのに、何で、じゃ、こういうことをやるのですか。日本は日本なりに宇宙に対する定義、そういうものを持っているでしょう。そういいかげんなことをやっているとは思わないのですね。まあしかし、それはそれとして、結局実際問題として三原則というものは事業団をつくったあとでも具体的に消化できますか。研究の成果はこの三原則に従って処理されるおつもりですか。あるいは基本法が制定されなければしないというつもりですか
#19
○国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、私はさっきも申しましたように、法律があろうがなかろうが、私どもは平和に徹し、自主、民主、公開の原則を守っていくということを申し上げているのですから、それには間違いありません。御信頼をお願いいたしたいと思います。
#20
○森中守義君 そこで、郵政関係、さっきちょっと答弁がなかったのですが、衛星の開発は予定どおり進んでおりますか。
#21
○政府委員(木村睦男君) 先ほど科学技術庁長官からもお話がありましたように、衛星の中で電離層観測衛星、これは四十六年に実験用のを打ち上げるべくやっております。それから通信衛星については、四十八年を目途といたしまして実験用の打ち上げをやろうということで、ただいまのところは順調に進んでおります。
#22
○森中守義君 そこで、その省庁間の共管ということですから、どちらでお答えいただいたほうがいいかわかりませんが、通信衛星の場合、その他のたとえば気象衛星等と異って、直ちに商業化の方向に進まざるを得ない、こういうことになろうかと思うのですね。したがって、そういう方策というものが四十八年以降どういう方法によって商業化していくか。その組織形態、あるいは運営形態、そういうものは検討されておりますか。
#23
○国務大臣(木内四郎君) いまの御質問の趣旨、ちょっと私了解しがたい点があるので、お答えする点に不十分な点があるかもしれませんが、ありましたら、あとでひとつお示し願えばお答えいたしたいと思います。
 今度共管になったことですね。共管の点については御質問のお答えにはならないかもしれませんが、今日の状態を見ますというと、宇宙開発は各省にいろいろばらばらになっている。これは何とかして一元化の方向に持っていかなければならぬということは、宇宙開発審議会におきましてもすでにこれを答申しておられますから、そういう線に沿って一元化の方向に進むように今度の法律案はできております。そこで、所管大臣としましては、すなわち科学技術庁に属しており、内閣総理大臣と同時に郵政大臣、これは電離層の観測の衛星の打ち上げ、あるいはその他に関係があるものですから、今度電波研究所の一部がこちらのほうに入ってくる関係がありまして、郵政大臣を主務大臣にした。今後、他の部門におきましても、順次そちらのほうに入っていき得るような形にこの法律案はできております。入ってきた場合には、その所管の大臣も主務大臣として加えるというような形になっておりますので、今後一元化がだんだん進むに従って、そういう所管大臣も加ってくる、こういうことになるものであるということを御了解願いたいと思います。
#24
○政府委員(木村睦男君) この実験用の衛星打ち上げに成功したあとの商業化の問題についていま御質問がございましたが、実は、先ほど申し上げましたように、四十八年、つまりもう三、四年先に実験用の通信衛星を打ち上げようということでやっておりますので、まだ二、三年の期間もございます。それからその間に、これを商業用にいかに利用して、その利用するための機構等の問題でございますが、現在の時点では、まだそこまで検討はいたしておりません。今後、この衛星を利用いたします需要の関係、あるいは同時に通信手段としてマイクロウェーブも依然としてあるわけでございますので、そういう利用の側の今後の変化等も考えました上で商業化についてのいろんな問題を研究していきたい、かように考えております。
#25
○森中守義君 共管のことを別にお尋ねしたわけではなかったのですよ。ただ、いま郵政の政務次官のお答えですがね。せっかくのお答えでありますけれども、なるほど期間的にはあと数年あります。その間にいろいろ検討を加えて、きちんとしたものをつくるんだという考えのようですけれども、ここで事業団をつくろうというからには、一とおりの内容的なものを立法段階においてお示しになっておかないと、とにかくつくってくれ、法律だけはひとつ一人前にしておいてほしい、中身はあとからするんだということでは、これはいささか立法府に対する親切なやり方では私はないと思うんですね。その点、私は率直に言って、手ぬかりというよりも、なぜそういう内容的なものが詰められていないのか、たいへんこれは不満ですよ。
 そこで、これは実用実験通信衛星ということになれば、わが国のみ、一国のみで利用するという立場をとるのですか、あるいは、周辺の幾つかの国にもその利用を提供しようということに考えておられるのですか。
#26
○政府委員(木村睦男君) 今回事業団をつくりましたゆえんのものは、完成後の運用あるいはこれを商業ベースに乗せてどうやるかということよりも、さしあたってこの衛星を打ち上げるための、開発のための事業団ということで、これを一元化しようということで、これを事業団にやらせようということでスタートをいたしましたもので、まずその方面に主力を尽くそうというわけでございます。その後におきまして、いよいよ打ち上げに成功し、これが一般通信用として使えるという段階に近づくころになりましてから、それらの機構その他を考えても私は決して時期はおそくない、かように考えておるようなわけでございます。
 なお、ただいまの御質問の中で、打ち上げられた衛星は一体国内で使うか、あるいは国際間で近隣諸国と使うかという問題でございますが、これは、実はいまそのための国際会議が持たれておりまして、目下その国際会議において検討いたしております。この国際会議において結論が出るのを待ちまして、それらの問題は解決していく、かように考えております。
#27
○森中守義君 どうも少し問題がありますね。それならば、この事業団というのは開発だけに限定されたものですか。しかし、出されている法案の要綱等でいけば、そういうようには読めない。およそ宇宙関係に関する限り事業団が統一的にしかも一元的にという、こういう正確な表現はないにしても、包括的にそういう思想を持っておるのですよ。ところが、いま郵政省の政務次官の御説明からいけば、この事業団はあくまでも開発を主体にしたものであって、上げた星をどこにどう利用するか、どういう状態で使っていくかということは、この事業団の主要な任務ではない、その時点で検討するのだということになると、ずいぶん事業団の性格の私どもの受けとめ方が違います。私は、この法案が出されたときに、明らかに開発、そしてその延長としての利用、こういうもの全部包括した事業団だという受け取り方をしておる。そうでないと言われるならば、これはまた議論が別に発展をいたしますが、提案の趣旨がそういうことであれば、そのとおりに受けとめておきましょう。しかし、それは将来においてかなり問題を残すような気がしてならない。それが一つ。
 それから一国だけで利用するのか、周辺国すなわち幾つかの国際間において利用するかは、つまりインテルサットのワクの中できめるのだ、こういうことなんですけれども、確かに究極的にはそれが非常に大きな障壁になることだけはわかります。わかるけれども、開発計画そして実施、わが国はわが国で固有の目的を持っていたほうがいいんじゃないですか。私が聞きたいのはそれなんです。打ち上げをした、開発はやったんだが、きめるのはそれは国際会議なんだ、インテルサットのワクの中できめるのだということになれば、これまた開発の本旨とだいぶ変わってくるような気がしてしようがないのですね。一体固有の目的を持つのか、すべて国際会議に打ち上げたものはゆだねるのか、その辺、もう少し正確にしておいてもらいませんと、これまた将来に非常に大きな禍根を残すと思う。もし政務次官で少し御答弁があれであれば、専門の局長が見えておるようですから、局長からでももう少し正確なお答えを願っておきたい。
#28
○国務大臣(木内四郎君) 郵政省のほうからお答えがあると思うのですが、私からも一言申し上げておきたいのは、いまいろいろお話がありましたが、この事業団は目的は開発にあるわけです。この第一条をごらんになっていただくとわかりますように、開発であるが、同時に利用の促進に寄与するようにさせる。利用の問題というのは別なんでして、それはそれといたしまして、開発が主体でありまして、もって利用の促進に寄与する、こういうことになっております。いまお話がありましたインテルサットの問題につきましては、郵政省のほうから御説明があると思います。
#29
○政府委員(石川忠夫君) 今後打ち上げる衛星の目的についての御質問にお答えいたしますと、これは将来の予測でございますが、最近までの電波に対する、あるいは無線に対する需要というふうなものは、ものすごい数字、勢いで伸びておりまして、このままでやってまいりますと、マイクロウェーブだけではとうてい通信の需要をまかない切れないというような事態も数年のうちには来るだろう、こういうことが予測されまして、こういった国内における各種の通信需要をまかなうためにも、やはり高い波を開発し、しかも衛星通信によって新たな需要をまかなう。こういうことがどうしても必要になってこようということが、今後通信衛星をどうしても開発しなければならないという一つの大きな理由でございます。
#30
○森中守義君 そこで、端的に、わが国だけで利用するために上げるのか、あるいは多数国間に提供することも考えているのか、まあその辺があまり正確でないんですね。もう少しはっきりしてください。
#31
○政府委員(石川忠夫君) ただいま打ち上げを計画しております、四十八年度に上げます衛星は、その名称に冠しておりますとおり実験用でございまして、高いミリ波を使ってどういうふうな通信需要に使えるか、こういうことを実験しよう、その他の実験もございますが、実験用に使おうということでございますので、これが国際的になるか、国内的になるかということは、ちょっとここで明確に申し上げられないのでございます。
 それから次に、商業化した場合についての先ほどの御質問でございますけれども、これにつきましては、やはりそのときのインテルサットの結論によりまして、あるいは――日本としては、ぜひとも、地域と申しますか、相当広範囲における衛星通信をやりたい、こういう考えを持っているにしても、国際会議の結果というものがございますので、そういったものがどうなるかによって左右されるのではないか、かように考えておる次第でございます。
#32
○森中守義君 やはり答えにならないですね。あなた何も、すべて物事を緊張して精密に考える必要はありませんよ。こういう、いまの石川局長のお話からいえば、あくまでも実験段階までのことしか考えていない、こういうことのようですね。しかし、多数の国民というものは、宇宙開発の必要性、そのことは直ちに社会性、あるいは経済性、そういう全体的にどう寄与させていくのか、実験のみを求めているんじゃないですね。ですから実験にとどまるための開発ではなくて、これはあくまでも実用化し、社会経済活動に寄与させるということが、衛星の、ことに通信衛星の私は目的だと、こういうことだと思う。それならば、ある程度先を少し展望しておくのも、こういう法案の制定の場合には、あまりにも当然なことじゃないですか。しかし、いまやそれはもう、実用段階に入ってどうするこうするということは考えません、ただ研究をする、ただ開発をする、そのための実験だけなんですよということならば、わざわざ事業団をつくる必要もなければ、多額の国費を投じて仕事をやってもらう必要もないんだ。やはり国民の期待するものは、直ちにそれが茶の間において、家庭生活、社会生活にどう恩典を受けるかということを期待しているわけですからね。それならば、実験されたあとどうなるかというぐらいのことは少し述べておいてもらわないと、全然構想がないということはないでしょう。郵政省といえども、技術庁といえども、そういう構想も持たないで、とにかく開発をやろう、実験をしよう、それだけの段階にとどまった考えであろうとは思えない。それならば、少し前向きの姿勢で、こうしたい、ああしたいというふうな意見が述べられても、ちっともおかしくないと思う。同時に、やはりインテルサットという障壁を前にして、非常に慎重なお答えのようですけれども、日本の固有の意見としては一体どうなんだ。わが国だけの利用にとどめるのか、多数国間にもその恩典を分け与えようということにあるのか、インテルサットがどういうことになるか、それは別問題です。わが国の基本的な姿勢というものが明確になっておらなければ、国際会議に臨むもヘチマもないじゃないですか。私は、現状においては、わが国はそういう国際会議において固有の見解を述べる権利、こういうものは当然留保されていると思う。したがって、インテルサットがどういう答えを出すかは次の問題として、この時点でわが国はこう考える、こういうことくらいは少しおっしゃっていただかなければ、全然これは何のために法案を審議しているのか、わけがわからない。そういう意味で、あらためてお尋ねをしたい。
#33
○政府委員(木村睦男君) 全くおっしゃるとおりでございまして、実験といいましても、実験で終わるのが目的ではなくて、そのあとの実用化を考えての実験、したがって、実用化を考えた場合にはどういう構想かということでございますが、端的に申し上げますというと、いまお話しになりましたように、国内の目的だけに使うのであれば、それは自由に使えるわけでございます。ですから、それはもう国際条約もヘチマもありません。すぐ使えるのです。そこで、これをさらに地域衛星として使うということも考えておるわけであります。
 そこで、地域衛星ということになりますと、国際協定というものがそこに出てまいりますので、わが国の主張といたしましては、この国際会議、インテルサットの会議におきましても、地域衛星の打ち上げの方向ですでにこの会議でも主張いたしております。したがいまして、実用化したあとのわが国における通信衛星の使用の方向というものは、いまお示しのような方向で考えております。また、インテルサットの会議においてもこれを主張し続けております。国際間の問題につきましては、お説のとおりに、その協定あるいは会議の結論がどう出るかということによって最終的にはきまるということでございますので、御了承を願いたいと思います。
#34
○森中守義君 大体それではっきりいたしました。そこで、問題はいよいよ国際会議に移っていくわけですが、四十五年がインテルサットの恒久制度化の年度になる。それで、十一月ですかね、次の会合は。先般の第一回の国際会議でかなり検討されたことをいろいろ聞いてみて、その検討に拍手を送る。さて、いよいよ十一月に開かれる四十五年からの恒久制度の場に臨み、一体、地域衛星の打上げを留保するか、あるいはそのことが国際会議において認められる、その辺の感触はどうなんですか。これは商業化の一つのポイントになってくると思う。つまり、一国だけで利用するには、木村政務次官が言われるように、きょうでもあしたでも、いよいよ打ち上げが成功すればすぐできる。だが、そうやればこれはたいへんな金高なものにつきますね。わが国が開発したすぐれた技術というものを周辺の諸国に分け与えたいという気持はありますよ。しかし、それがインテルサットという障害にぶつかる場合、はたして地域衛星としての可能性を持つのか持たないのか。これがいよいよ十一月という場面を迎えるわけですが、すでに閣内においてそろそろ問題にならざるを得ない重要な課題だと思うのですね。柏木さんどうですか、その辺の国際会議の様相というのは。
#35
○政府委員(柏木輝彦君) ただいまの日本の宇宙通信衛星の開発は、実用第一を主眼にするということをあわせ検討されながら、まず実験通信衛星をなるべく早く開発していくということに向かって進んでおられるというふうに考えておりますが、郵政省のインテルサットの関係で、考え方といたしましては、その利用の方法がいろいろあり得るわけでございますが、その一つの方法としての地域的な利用というものに向かっていく場合に、これが支障にならない、日本といたしましても地域的な利用の権利を確保しておくという方向で努力するということで第一回の会議に臨んでおるわけでございます。この地域衛星、いわゆる地域衛星というものの内容も、大きく申しまして二つの問題があるわけでございます。一つは、国際公衆通信そのものに使うものでございますが、これについては、技術的にはもうすでに商業化されたインテルサットが運用されているわけであります。それからもう一つの問題は、まだこれから実用化され、現在開発の初期の段階と考えていいかと思いますが、いろいろの特殊の衛星、たとえば航行、航海用でございますとか、気象衛星でございますとか、測地衛星というようなことが日本国内でも最近いろいろ問題になっているようでございますが、これはまだインテルサットといたしましてもその実用化することにはなっておらないわけでございます。こういうようなものも、国内だけで使う場合もあり得るわけでございますが、数カ国が寄り合ってこういうものを使う、いわゆる地域的な使用をするという方法もあるわけでございます。この二つの問題につきまして、インテルサットの協定におきましては討議をいたしておるわけでございます。日本といたしましては、この両者の立場のうちに、特に特殊衛星につきましては、これは各国の宇宙開発に関します宇宙条約の権利としてこれを主張しているのでございまして、この考え方に同調する国は相当たくさんありまして、この特殊用途の地域衛星につきましては、相当それはインテルサットとしても自由に各国に認めるという方向で議論がなされております。まだ最終結論はされておりませんですが、一定の技術的な条件というものがあるわけでございます。波の使用の問題でございますとか、あるいは衛星軌道の問題でございますとか、そういうものにつきまして、インテルサットとどういうような調整をするかということは残っていると思いますが、原則としてそういうような特殊通信分野の地域的な使用方法は各国の自由にまかせる方向でまとまるというのが一つの見通しでございます。
 それからもう一つのほうは、固有の国際通信用もございます。これは、インテルサットが現にその業務を行なっておりまして、各国もそれを主とした目的でインテルサットに加入をしておるわけでございます。このインテルサットの運営と申しますのは、やはり日本では国際電信電話会社が参加しておりますように、一種の商業ベースで行なうわけでございますので、このインテルサットの行ないます業務が、商業的にも健全な国際的な協力のもとで行なわれていくというのが一つの考え方であると思います。ただしかし、各国も宇宙開発をしたい、あるいは地域的な連帯性というものをこの通信衛星によって強めるという要請もあるわけでございますので、日本といたしましても、今後の宇宙開発の技術的な必要性等からしても、こういうものもインテルサットのワク内で使用できるようにすることがいいのではないかという提案をしているわけでございます。もともとインテルサットの主唱者でありますアメリカにおきましては、この商業用国際公衆通信業務と申しますものにつきましては、これはすべてインテルサットでやるのが結局は各国の利益のためになるのじゃないかという主張をして、インテルサットのメンバーが独自に地域的な利用をするというための公衆通信衛星を上げるということについては反対をしております。また、アメリカだけでございませんで、東南アジアにもありますが、後進国側にはこの考え方に賛成な国が相当多いのでございます。なぜかと申しますと、インテルサットで上げております星に対してさらにほかの星を上げますと、そちらの星に対しましての通信利用がインテルサットの自分たちが参加している分から取られてしまう。それだけ商業的に打撃を受ける。これが各使用国にとっては非常な負担になるというところで、この地域衛星という考え方に対して反対している国が多いのでございます。しかし一方、ヨーロッパ等の国におきましては、またヨーロッパとしての一つのすでに地域的な計画も進めておるわけでございまして、これらの国におきましては、地域的な衛星も公衆通信につきましても利用できるようにしたいということで、日本と同じような立場で主張を続けております。この問題は、まだどういうふうに結論が出るか、見通しが困難な問題でございますが、当初よりはかなり地域衛星を認めていくべきじゃないかという考え方が強まってきております。ただ、これにつきましても、どういうような条件でこれを認めていくかということにつきまして、まだ十分議論が尽くされておりませんので、そういう点につきましては、今後の十一月の会議におきましての詰められた問題になってくるかと存じます。
#36
○森中守義君 承っておりますと、やや楽観的な面もあり、他面、非常に悲観的な面もある。むろろ、これからの国際会議の模様によるわけでしょうが、いまにわかにその答えをここで得ようとするのは非常に困難だということはわかります。しかし、要約すれば、幸いにして地域衛星打ち上げの認めを得られた場合、これは問題ない。それがだめだということになった場合、一体どうなるか。だめだという場合には、あくまでも、先ほど政務次官が言われたように、わが国一国だけの利用にとどまるのですね。それでも私は価値のないことだとは思いませんが、しかし、通信衛星ということは、これはやはり衛星の性質からしても相当広範囲に、多数の国々にいろんな形で寄与していくということが本来の目的でなくちゃならぬと、こう思う。そこで、どうにもならなくなった場合、ことに気になりますのは――なるほどヨーロッパ諸国は賛成しているように聞いております。みずからも地域衛星を上げたい、あるいは上げている国もある。しかし、わが国の場合には、何といっても東アジア、あいはアジア全域、まあこういうことにエリアを一応見ていかざるを得ないのじゃないか。そうなれば、先ほど柏木さんが言われるようにアジアの国々において、やや、日本の衛星の打ち上げ、しかもそれを利用するということには賛意を表していない、インテルサット中心にやろうじゃないかという意見が強いようなお話がありました。また、いろんな報道等によっても、そういうことが言われているんですね。その辺が、周辺の国々が同意を与えない、インテルサットによるべきだということになれば、非常に困難な場面が露呈されてくるような気がしてしようがないんですね。
 それで、木内長官、あるいは木村政務次官のほうで、もしぎりぎり、インテルサットが認めなかった、そういう際に一国だけにとどめるということであるのか、あるいは、かわるべき何かの方策を考えていくべきであるというような見解をお持ちなのか、そこまで問い詰めるのは、これから先の国際会議を前にしまして少々議論が飛躍し過ぎるような気もいたしますけれども、お答えができなければそれでもけっこうですが、でき得べくんば、そういうぎりぎりの場合にはどうするのか、まあこの辺のことは、述べられるならば述べてもらいたいと思います。
#37
○国務大臣(木内四郎君) いまの御質問ですけれども、私の聞いております範囲においては、郵政大臣はあくまでもその貫徹を期する、こう言っておりまするので、これが貫徹できない場合のことは実は私どもは考えておらないんです。郵政大臣は、あくまで貫徹するし、そういう自信があると言って、委員会でも、予算委員会でも御答弁になっていることはお聞きになっていると思いますので、この委員会におきましても、あるいは郵政大臣はすでに答弁されたと思いますが、私はそういうように聞いております。
#38
○政府委員(木村睦男君) ただいま長官のお話のとおりでございまして、事前のことでございますから、悲観的に見る場合と楽観して見る場合とがございますが、少なくとも地域衛星としての機能を果たすべく、インテルサットの来たるべき会議においても主張をし続けて貫徹いたしたい、かように考えております。ただ、熱意だけありましても、会議でございますから、それで必ずしも目的を達成することもむずかしい点もございますので、いま御指摘のような、たとえば東南アジア各国等に対する事前の同意、了解工作、そういうこともあわせてやりながら、目的達成のために努力いたしていって、必ず実現したい、こう考えております。
#39
○森中守義君 決意を了といたしますし、ぜひその実現のために全力を傾注していただきたい。
 そこで、少しくどいようですが、先般の国際会議に臨む際に、本来ならばあれでがちんときまるべきものがきまらなかったんで、一応暫定的に従来の暫定協定でいこうと、こうなったようです。しかし、当時において事業団法の制定が予定されて、しかも四十六年、四十八年に打ち上げが予定されて国際会議に臨んだわけですからね。いま政務次官から言われるように、関係諸国との工作、協調ということは、当然その会議に臨むにあたって行なわれたものであろう、こう思うんです。したがって、当時の反応はどうであったか。しかも、その反応を踏まえて国際会議に臨み、それが残念ながら必ずしも全面的に同意を得られないというような状態が先ほど説明があったんですが、この前の場合の了解工作あるいは同意工作というものはどういうものであったか、なぜそれが必ずしもわが国の思うような状態に諸外国がなかったのか、そしてまた、これから先、工作を続けると言われるのだけれども、その見通しがあるのか、ないのか、その点を念のために伺っておきたいと思います。
#40
○政府委員(柏木輝彦君) この問題、事前工作と申しますか、関係国に対する接触の内容と申しますか、日本は地域衛星をこういう形で、こういう条件で上げるから、関係諸国は同意してもらいたい、こういうような条件にはまだなっておらないのでございます。つまり、今度の会議は、各国の権利義務といたしまして基本的にそういう権利を認め合うかどうかということでございますので、日本が地域衛星を具体的に提案をいたしまして、それの条件によりまして、ある国は賛成し、ある国は反対であるという場ではないのでございます。したがいまして、インテルサットというようなワク内におきまして各国の権利義務として宇宙条約の関係を考えながら今後どうあるべきかという形におきましての地域衛星というものを認めるべきであるか認めないのがいいかという議論の場であったわけでございます。
 地域衛星につきましては、特に国際公衆通信の地域衛星につきましてはいろいろ利害関係の複雑な問題があることと思います。と申しますのは、端的に申しますと、一つの通信衛星を上げて、それを利用し合うサービスを提供するのは通信事業者でございます。通信事業者は、そのユーザーに提供する料金といたしまして、なるべくコストの安い回線をつくらなければならないわけでございます。したがいまして、インテルサットのいまの星と、そのほかにまた国際通信用の地域衛星を上げるといたしますと、そこに生まれてくる星の回線の経済性という問題が一つございます。また、もちろんそのほかに、そういう新しい星に対してまた別に地上局をつくると数十億かかるわけでございます。そういう費用負担をどうするかというような問題も出てくるわけでございます。これが純然たる商業ベースで、ことに後進国においてできるかどうかという問題も、またこれからの問題でございます。いろいろの国際協力の問題とか援助問題というものもその間にあるいは出てくるかとも存じますが、こういうような具体的な日本の計画に対して各国がどうするかという問題は、いままでの場合には煮詰められておらないわけでございまして、したがいまして、各国に対する事前の話し合いと申しますのも、このような中身には入っておりませんので、インテルサットという体制のもとにおいて地域衛星というものが一体あったほうがいいか、あるいは、これは全然問題にならぬ、当初から問題にならぬ、もう最初からインテルサットの星だけを利用したほうがいいのかというような考え方のことでございまして、したがいまして、十分こちらのほうの計画のうまみを、長所を示しながら各国にアプローチするというようなことはできなかったわけでございます。
#41
○森中守義君 時間のワクが少し迫りましたので、あと何問かで終わりたいと思います。
 郵政省の場合ですね。事業団に人の移管、あるいは物の提供、こういうものがだいぶ多いようですけれども、人の移管は大体どういう計画でしょうか。
#42
○政府委員(石川忠夫君) 研究所から二十三名定員が事業団へ行く、こういうことでございます。
#43
○森中守義君 これは、予算書からいきますと、大体十月を発足のときにしている。九月までに二十三名の予算が編成されている。十月以降は落ちていますね。これは、なるほど予定がそうなんだから、予算の編成上そういうことになったかと思うのですが、法案のことですから成立するかどうかわからない、あまり手回しよくこういうことをやられるということは、予算の審議権を持っている国会という立場からいきますと、はなはだ行政府は越権のさたであるというような気がしないでもない。まあしかし、幸いにして、これは何とかしなくちゃなるまいということでほとんど国会の意向も固まっておりますから、そのことについてあえて言いませんけれども、二十三名の内容は大体どういうことになるのですか。つまり職分といいますかね。どういう人を何名、どういう人を何名という、そういう職種別というか、それが内訳がわかっておれば、内容的に御披露いただきたい。
#44
○政府委員(石川忠夫君) まだはっきりしておりませんが、大体は研究職で二十三名、こういう方針でございます。
#45
○森中守義君 二十三名移管をしたあとに、電波研究所には全く宇宙開発の研究部門というのは残らないのですか。あるいは何がしか残るのですか。
#46
○政府委員(石川忠夫君) 衛星開発に関連しましては、その研究が残ります。が、宇宙研究としては、その他現実にやっている研究が残っております。
#47
○森中守義君 そこで、そろそろ十月といえば人選もしなければならぬ段階にくるんじゃないかと思う。そこで、出す場合に、今日の国家公務員法等々からいけば、当然一たん退職をして出すんですか、それとも出向ですか。
#48
○政府委員(石川忠夫君) これは、退職して事業団へ行くと、こういうことでございます。
#49
○森中守義君 結果的に研究職を中心にしてということになれは、事業団で開発に従事をした――これもいろいろ段階があるでしょうがね。ある部門の研究開発をすでに終了した、任務を終了したのに、依然として事業団に置くとか、あるいは任務を終了すれば一たんまた郵政省に引き取るとか、その辺の関係はどうなんですか。
#50
○政府委員(石川忠夫君) これは、希望によりまして、戻りたいという者は戻れる仕組みでございます。
#51
○森中守義君 仕組みといっても、別に法律上の仕組みとも何ともわからないと思うんですが、何かきちんとしたそういうものをつくっておくんですか。
#52
○政府委員(石川晃夫君) ただいまの件についてお答え申し上げます。
 このたびの事業団が発足いたしますと、科学技術庁の宇宙開発推進本部と、それから電波研究所のほうと、それからもう一つは、科学技術庁の航空宇宙技術研究所と、この三つから公務員として出向する方が出てくるわけでございます。その場合に、ただいまお話ございました復帰の問題でございますが、これは、当初事業団へ移るときに復帰希望をいたしまして事業団へまいった場合には、また公務員として帰る場合には帰れるようになっております。
#53
○森中守義君 帰れるようになっているというのは、内規か何かつくるんですか。
#54
○政府委員(石川晃夫君) 年金等につきましても、これは法律によりまして継続されるようなことになっております。退職の問題につきましては、退職手当法がございまして、それから共済関係につきましては国家公務員共済組合法で、この二つが充当されるわけでございます。
#55
○森中守義君 そこで、退職であって、出向ではない。しかし、帰ることは本人の希望にゆだねる、そういうものであれば、その限りにおいては問題ではない。ところが、二十三名すでにもう郵政の場合には十月から実際に予算が切れるわけですよね。もちろん、半年とか一年という、そういう短期間のことは予想されないけれども、まあかなりの期間がたてば、おそらく出たいとか、帰りたいという、こういう問題が起こってくるはずなんです。そこで、出たい、帰りたいということで、一対一はよろしい。つまり、帰る人も一である、行たい人も一であったという場合には、これは関係ない。つまり差しかえになりますからね。しかし、帰る者が五人も六人も出た場合、しかも行きたいという人がいない場合、明らかにこれは差しかえでない。そうなると、先般制定された新定員法によって、かなり国家公務員の定数というものはワクをはめられている。こういう場合にはどうなるんですか。
#56
○政府委員(石川晃夫君) 定員法によりまして、やはり先生おっしゃいましたように、一対一ということになるわけでございます。ただ、その時期につきましては、それは各省庁の状況を判断いたしまして、また、復帰希望者の復帰の希望の条件というものによりまして、その時点においてそれぞれのところで考えることになっております。
#57
○森中守義君 これは、想定されない開発とか研究とかと違いますからね。よほど慎重にお考えいただいておかないと、事業団それ自体混乱を起こしますよ。むしろ、はっきりお答え願っておくほうがいいんじゃないんですか。つまり、定員が切れているんですから、五名なら五名、また戻さなければならぬ、戻りたいという希望がある場合には、直ちに定員上の措置をとる、また、そういう措置をとらなければ、これはできないわけですからね。そのことをここではっきりしておいてもらわないと、具体的に選考にかかる場合、しかも、復帰は可能である、その希望どおりにしようということであっても、それは定員の問題で非常に実現困難になりますよ。だから、これはあとはもう受け入れ側の郵政の立場にも関係するわけですがね。郵政に帰ってくるわけだから、その場合に、相当数のものが帰りたいという場合には、定員法上直ちに措置をとる、いつでも引き受けできるような定員法上の対応策をとる、こういうお答えをいただいておかないと、これはちょっと問題ですよ。
#58
○政府委員(石川忠夫君) お話の筋はよくわかりましたので、研究いたしまして、その対応策をとるようにいたしたいと思います
#59
○森中守義君 これは研究じゃ困るんだよ。もうすぐ選考にかからなくちゃならない。直ちに合意に達しまして二十三名の人が出ましょう。それはいつでも復帰がかなえられる、こういう条件が技術庁の石川局長によって明らかにされたわけだからね。ところが、必ず実際の選考の経過の中にはその問題が出ます。だから、これは研究じゃ困るんだ。むしろ、引き受けるということがはっきりしている以上、復帰ができるという以上、定員法上の問題は心配ない、引き取りますということをはっきり速記録に残しておかなければ、これは簡単にいきませんよ。研究じゃない、開発じゃない、人の問題だから、そこをはっきりしておいてもらいたい。へんだよ、それは。
#60
○政府委員(木村睦男君) お話の点は、もちろん復帰を認める場合にはその措置をいろいろ講ずるわけでございまして、どうしても定員改正をしなければならない場合には、定員改正もいたします。また、欠員等がありまして、定員改正なくして戻れる場合もありますから、そのときに応じまして、帰れるような万全の措置をとります。
#61
○森中守義君 ちょっとこまかなことになりますが、二十三名の職員諸君が出る場合、かなり俸給がよくなりますね。いわゆる減給減俸でやるんじゃないんでしょう。事業団に行けばよくなるはずです、幾らか。そこで、よくなって、もとに戻った場合に、その人がかりに三年行っておったとすれば、三年間のベースアップであるとか、あるいは定期昇給であるとか、そういうものを見込んでなお格差があった場合に、もとに戻すんですか。あるいは、事業団の減給減俸で帰るんですか。その辺どうですか。
#62
○政府委員(石川晃夫君) いま御質問の、一度事業団に参りまして、また帰る場合でございますが、この事業団に参りましたら、事業団におきます給与基準によりまして給与を支給されるわけでございます。帰りましたときには、これはやはり国家公務員法によりまして給与が支給されるということになっております。したがいまして帰ったために、帰るときに事業団の給与そのままということはあり得ないと存じます。
#63
○森中守義君 これは、これからの問題ですからね。慎重に扱ってもらわなくちゃならぬのだが、定員の問題と違って、そこまでこの問題はがちっと取りきめを国会でしてもらう必要もないかと思いますが、よほどこれは慎重にやってもらいたい。
 それから、事業団には労働組合の存在を認めるんですか。それとも組合は存在させないんですか。
#64
○政府委員(石川晃夫君) ほかの事業団の例を見ましても、組合が結成されているものがございますので、これは組合が結成されるものというふうに考えております。
#65
○森中守義君 いや、それは当然ワク内に入るべき職員諸君の自由な意思によって結成すればよろしい、するしないは自主性にまかせる、こういうように理解していいですね。
#66
○政府委員(石川晃夫君) そのように解釈していただいてけっこうです。
#67
○森中守義君 それから事業団の位置ですが、これ、いまの電波研究所の一部を借用するようになっているんですが、これは借用か、それとも移管ですか。
#68
○政府委員(石川晃夫君) 電波研究所の件につきましては、この事業団が発足いたしましたときに、出資の形で、現在の電波研究所におきまする人工衛星の開発の施設が出資されるわけでございます。したがいまして、財産そのものは事業団の財産になるわけでございます。その場所、現在作業をやっております場所をどのようにするかという問題につきましては、借用のかっこうをとるか、あるいは買収のかっこうをとるか、その点については今後の問題と考えております。
#69
○森中守義君 郵政省、そのとおりですか。現物出資のつもりで、研究所の用地なりあるいは物件その他研究の資材等を提供するのですか。
#70
○政府委員(石川忠夫君) 土地は入っておりませんが、その上の工作物は向こうへ財産として移管することになっております。
#71
○森中守義君 それは、物件はそうであったにしましても、やはり用地等もこの際はっきりしておくほうがいいんじゃないですか。それと、暫定的に電波研究所の中におろうというのか、あるいはおりを見て適当な土地等があればそちらに移っていこうというのか。つまり、恒久的か暫定的か、その辺はどうですか。
#72
○政府委員(石川晃夫君) 財産の件につきましては、この事業団法が通りますと、さっそく設立委員会をつくりまして、その会におきまして出資の問題が検討されるわけでございます。そうして、その場合に、場所をどのようにするかという問題も、将来の問題として検討されることもあるかと存じます。私たちの現在の考え方といたしましては、電波研究所の施設等含めまして、一つの試験センター的なものが心要ではなかろうかと考えております。その試験センター的なものを現在の位置に求めるか、あるいは別の個所に設けるか、それは今後検討を進めていきたいと存じます。
#73
○森中守義君 最後に、郵政の政務次官と局長に、要望なり希望を付してお答えを願っておきたいと思うのですが、二十三名の移管については、私はやや気になる点がないでもない。しかし、いま個々的に、具体的にいろんな状態を想定しても、しかたがないのですが、少なくとも、行かんとする諸君については個別に十二分に合意に達するように、よろしいですか、つまり、強制的にやらされた、命令によって移されたというふうなことがあり得ようとも思いませんが、要するに、二十三名の人選にあたっては、関係者におかれて十二分に合意に達するように最大の努力と誠意を尽くしてもらいたい。より関係者の話し合いをたんねんにやってほしい、そういうように希望しておきたいと思うのですが、お約束いただけますか。
#74
○政府委員(木村睦男君) もちろん、人事の問題でございますので、いま御指摘の点は十二分に考慮いたしまして、円滑にこれを進めたい、かように考えております。
#75
○森中守義君 大体時間がまいりましたので、この程度で私の質問を終わりたいと思いますが、最後に一言申し上げておきたいのは、やはり衛星通信の商業化の問題、これが、先ほど来議論しましたように、一国の利用にとどめるか、多数国間にこれを及ぼすか、しかも、多数国間に及ぼさなければ本来の開発の価値もかなり減殺される、こういう認識を持つわけです。そうなると、直ちに国際会議、いわゆるインテルサットというものが一つの障害になる。ついては、先ほど長官並びに政務次官より政府を代表してかたい決意の表明がありましたので、無条件にそれを信頼いたします。ついては、十一月の国際会議には、わが国の主張があくまでも実現するように、政府あげて検討されるように期待をいたしておきます。
#76
○矢追秀彦君 時間の関係で簡単に質問いたしますが、具体的にお答えを願いたいと思いますが、今回の衛星の打ち上げにおける技術の波及効果について、具体的にどのような効果を期待をされておりますか。それを伺いたいと思います。
#77
○国務大臣(木内四郎君) 御案内のように、宇宙開発ばかりじゃありません、このごろのナショナルプロジェクト、原子力についても同様でございますけれども、こういうものは科学の粋を集めて大規模に、しかも計画的に組織的に総合的にやられるものでありまして、これに伴うところの波及効果というものは非常に大きいということは、ひとり日本でわれわれが考えているだけでなくて、アメリカその他諸国におきましても考えておられるところであります。いろいろの点がありますが、具体的の点は政府委員からひとつ御説明させたいと思います。
#78
○政府委員(石川晃夫君) ただいま大臣からお答えいたしましたように、宇宙開発を行ないますと、非常にいろいろな方面への波及効果があるというふうにいわれておるわけでございます。これは、このように大きな、いわゆるビッグサイエンスというふうに称せられておりますものは、あらゆる先導的な技術が必要でございますし、それと従来の技術というものが総合一体化されまして宇宙開発というようなものに進むわけでございます。例をあげてみますと、宇宙開発に必要とするものは、あらゆる科学と申しますか、そういうものが総合されまして、たとえば物理学、数学、天文学、さらに化学、生物学、医学、こういうような非常に広範な学問をまた必要といたしますし、その学問から生じます材料技術とかあるいは機械技術、さらに構造に対する技術、冶金技術、さらに相当大きな部門を占めます電子技術、いわゆるエレクトロニクスでございますが、このような技術、それから真空技術、あるいは高温低温、このような技術、また、流体技術、医療技術、このようにたくさんの技術が総合化されるわけでございます。さらに、これがほかの技術と異なりますのは、いわゆるシステム技術でございます。これは、一つの大きなプロジェクトをつくりまして、そのプロジェクトをどのようにして遂行するかということも、新しくこのようなビッグサイエンスに必要となる技術でございます。さらに、そのプロセスをどういうふうに持っていくかということも、これも一つの大きな技術でございまして、このようなものが総合されまして初めて宇宙開発というものが進んでいくわけでございます。具体的に、このようなものがどのようになって一般社会に影響をもたらしていくか、いわゆる波及されていくかといいますと、この宇宙開発を行ないますために、その途中において開発されたもの、あるいは宇宙開発を行ないましたためにできたものを一般民間に使用するというようなものがあるわけでございまして、たとえば、現在テレビ等に使われておりますIC回路もこの宇宙開発から生まれた一つの技術でございます。さらに衛星のように非常に小さなものに載せるために装置の小型化ということが考えられております。これがIC回路を生む原因にもなっておりますし、さらに、モーターについても非常に小さなマイクロモーターというものも宇宙開発から生まれてきたものでございます。このマイクロモーターなどが、医学におきましてはいわゆる人工心臓というものにも使用されてくるようになっているわけでございます。先ほどの高温技術、低温技術というような問題から、いわゆる耐熱セラミックとか、あるいは耐熱プラスチック、こういうものも生産されてきております。そのほか、ロケットのほうからまいりましたものとしましては、このロケットの胴体をつくります、従来は高張力の鋼板を使っておりましたが、それが強化プラスチックによってかわり得ると、この強化プラスチックというものもあらゆる方面に使われておりますし、今後、私たちの推測といたしましては、海洋開発などにも相当重視される材料ではなかろうかというふうに存じております。そのほか、非常に家庭的なものでございますが、いわゆるこげつかないフライパンだとか、あるいはこげつかないアイロンだとか、こういうものにも宇宙開発に使用された技術が生きているわけでございます。
#79
○矢追秀彦君 アメリカとかソ連においては、かなり宇宙開発が進んでおるわけでありますけれども、日本が今後やるにあたって、いまいろいろおっしゃいましたけれども、日本独得の新技術として今回の開発において特に力を入れてやろうとしておられるものはあるのかどうか、その点お伺いしたい。
#80
○政府委員(石川晃夫君) 私たちの宇宙開発がまだ緒についたばかりでございまして、まず第一の目的は、ロケット及び衛星というものに重点を注いで全力を注いでやらないといけないというふうに感じております。したがいまして、どの波及効果をねらっているかということにつきましては、まだいまの段階ではお答えできないわけでございますが、ただいまお話ししましたように、いろいろ諸外国において開発されたものと同じようなものが、わが国においてもまたいずれ宇宙開発の段階において使用されるわけでございまして、それから種々の副産物的な波及効果が出てくるものと考えております。しかし、だだいま現時点におきましては、どのようなものということはまだ検討しておりません。
#81
○矢追秀彦君 国産化率ということがよく問題になりますけれども、この旧プロジェクトにおける国産化率をどのようにお考えになっておりますか、技術導入の問題を含めて。
#82
○政府委員(石川晃夫君) 私たちの考えております宇宙開発におきましては、自主的な態度をもちまして日本の宇宙開発を行なうということで進んでおりますが、やはり先進国におきましての技術というものをある程度導入しなければ、われわれとしては現時点においては目標の時点までに衛星を打ち上げるということは困難かと存じております。しかし、私たちの最終的な考えとしましては、あらゆるロケット、衛星を国産ということは当然考えられるわけでございますが、ただ、現時点におきましては、先ほど申しましたように、いろいろ外国の技術を導入することによって、かえって日本の技術を促進させるというようなものがございますので、その点は外国からの技術導入ということも考えております。一例をあげますと、やはり現在の時点におきましての日本のウイークポイントは、やはり誘導制御の技術というものがウイークポイントになっておると思います。したがいまして、この点につきましては、はなはだ不本意ではございますが、やはり外国からの技術導入によって、早く外国の技術に追いついて、さらに追い越すということを考えております。
#83
○矢追秀彦君 さっきの技術の波及効果の問題ですが、アメリカのNASAでは技術利用局というものを設けて、そうして地域的に多数の宇宙開発利用センターをつくって、そうして民間に積極的にPRをしておる、このように聞いておりますが、わが国でもこういうふうなことはお考えになるんでしょうか、こういう形のものは。
#84
○政府委員(石川晃夫君) 私たちとしまして、いますぐ組織をつくって云々というわけにはまいりませんが、やはりそのような宇宙開発から生まれた技術をなるべく一般社会に貢献できるような体制はとりたいと思っております。
#85
○矢追秀彦君 民間への委託の問題ですけれども、これはどういう方式で委託をされますか。
#86
○政府委員(石川晃夫君) 宇宙開発の段階におきましては、基本的な要目なり設計なりというものはこの事業団で行なわれるわけでございます。これを行ないます途中におきまして、委託問題としましては、やはり開発途中における開発に直接付随した研究というものは、これは委託して、それぞれ国立の研究機関なり大学、あるいは民間の機関といったところで委託研究をしてもらう場合もあるわけでございます。ただし、これは直接開発に関係した研究内容のものでございます。そのほか、ロケットの試作というようなものにつきましても、部分的には民間への委託ということは行なわれると存じます。
#87
○矢追秀彦君 この研究は、この仕事はどの会社という、その委託をきめる方法ですね、これはどうするか、これが一つと、もう一つは、もしそこで何かすばらしい開発、研究をある会社が行なって、そうして新しい技術がそこで開発された場合、その会社はそれを利用してさらに自分の何らかの応用に使って、それで商売、と言うとあれですけれども、そういうことは可能なのか、そういうことはいけないようにしているのか、その点はいかがになっておりますか。
#88
○政府委員(石川晃夫君) 会社に委託する場合でございますが、この場合は、やはりその会社の技術的特徴というものも判断して、技術的にすぐれた会社に委託するわけでございます。なお、その会社が委託された技術を使いまして、それでまたそれ以外のものをいろいろつくっていくということは可能ではございますが、しかしながら、この委託の内容につきましては、事業団と会社の間の契約によりまして、たとえば商業機密的なもの、いわゆる特許とか、そのようなものにつきましては、これは契約の中においてそれは使用が可能か不可能かということが決定されるということになっております。
#89
○矢追秀彦君 その決定の機関はどこですか。
#90
○政府委員(石川晃夫君) 開発の段階におきましては、事業団が行なうことになっております。
#91
○矢追秀彦君 先ほどからも問題になっておりました平和利用の問題でありますけれども、各国とも人工衛星あるいは宇宙ロケットを開発しておりますが、これが、実情は詳しいことは秘密でわからないのですけれども、一応軍事面にかなり利用されてくる、将来アメリカが飛ばしている人工衛星あるいはソ連が飛ばしている人工衛星が、軍事目的の衛星がふえてきた場合、現在の日本の防衛に対する考え方も将来変わる可能性が出てくるのじゃないか。そういった場合、平和に限ると言っておっても、それを軍事目的に変えなれけばならぬような、もし環境になった場合、それでもなおかつ平和利用とされるか。それは、宇宙事業団はそれでいって、防衛庁としては別に軍事面のほうを考えていく、そういうふうになるのか。あくまで、衛星、ロケット、それに関しても、もう宇宙事業団が平和ということで、はっきり線を引いて、いかなる衛星も、たとえば防衛庁でも飛ばさせない、そこまで力があるのかどうか。いま問題にならないかと思いますけれども、遠い将来、必ず私は問題になってくるのじゃないかと、こう思うのですが、いかがですか。
#92
○国務大臣(木内四郎君) いろいろ御意見がありましたが、御案内のように、今度の法案は、私どもは初めから平和目的に限るというつもりでありまして、それで御信頼願いたいと思っておりましたから、平和目的に限りというのは法案の中に入れておらなかったのでございますが、衆議院のほうにおきまして「平和の目的に限り、」という字句を第一条にお入れになりまして、さらに衆議院の本会議の決議として、宇宙の開発利用に関する基本方針という決議によりまして、これはあくまで平和目的に限りという合意ができておりますので、それの存しておる限りにおいては、いま御心配のような問題は私は起こってこないと、かように考えております。
#93
○矢追秀彦君 防衛庁では、将来計画の中に衛星の問題は入っておりますか。ロケットが出てくるのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
#94
○国務大臣(木内四郎君) 防衛庁においてさようなことを考えておるというようなことは毛頭聞いておりません。少しも聞いておりません。
#95
○矢追秀彦君 防衛庁では、じゃ、どの範囲までを……。きょう防衛庁をお呼びすればよっかたんですが、ロケットの面であれば、どの範囲までを開発しようとしているのか。ミサイルとか、そういうものはいろいろやるわけですけれども、その点はどうですか。
#96
○国務大臣(木内四郎君) 防衛庁のことは私どもは承知いたしておりません。私どもは、これを防衛庁に使わせるということは全然考えておりません。
#97
○矢追秀彦君 まあ、そういう、防衛庁には使わせないといっても、防衛庁のほうがやり出して、先ほど言ったように、将来の問題を私は非常に心配するわけです。したがって、私は、日本としてできることは、やはり世界のこういった衛星というものが軍事利用されないと、そういったための条約とか、そういうふうなものをやはり日本として強力に推し進める必要があるんではないか、さように思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
#98
○国務大臣(木内四郎君) いまの御意見、これは外交上の問題でありますが、御案内のように、月その他の天体の利用に関する条約によりましては、月その他の天体は平和利用に限るということになっておりますので、こういうことが改まってこない限りは、そういう問題は起こってこない、このように思います。そういう必要はないのじゃないかと思っております。
#99
○矢追秀彦君 月だけはそうであっも、そうでないものは……。
#100
○国務大臣(木内四郎君) 月その他の天体……。
#101
○矢追秀彦君 天体ですけれども、途中で回しているのは天体と関係ないのです。いま通信衛星だといっておっても、それが切りかわる可能性が出てくる。いま海底の軍事利用がいろんな面で問題になっておりますけれども、やはりこういうものと関連して、私は日本がイニシアチブをとって、こういった面を推し進めるべきだ。こういう面はあまり日本の発言というのはないのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。私も不勉強かもしれませんけれども……。
#102
○国務大臣(木内四郎君) 条約の条文のこまかな点がありますので、政府委員にかわって答弁いたさせます。
#103
○政府委員(石川晃夫君) ただいま先生御指摘の宇宙条約でございますが、これは、「月その他の天体を含む宇宙空間」というもので、宇宙空間も含んでいるわけでございます。したがいまして、その宇宙空間というものをどういうふうに定義するかということによって、内容も相当詳細になってくるかとも存じますが、その点におきまして、国際間におきましても宇宙の平和利用という面について非常に関心を持っておりますし、わが国におきましても、従来からこの宇宙空間の平和利用ということを内外ともに、国際会議、あるいは国内におきましても、その点につきましては十分推進しているわけでございます。
#104
○向井長年君 長官にお伺いしますが、先ほどから、今回の事業団は一元化したと、実施機関として一元化したということをたびたび言われておるのですが、非常にけっこうなことであります。一元化ということはいいことであります。ところで、政府の今日までの態度として、そういう機関を一元化していく方向を、今日までほかのものはとっていないのです。特に、三年前につくられました原子力の動燃事業団、これに対しまして、特に、当時は二階堂長官でしたか、鍋島さんもおられますけれども、われわれが当時、なぜ原子力開発を一元化しないのかと、事業団をつくるならば、特に東海の研究所もあるのではないか、これを合わせて原子力開発の一元化をはかるべきではないかということをたびたびわれわれ言って、主張してきたのです。ところが、いやそうではないんだ、動力の国産炉と、それから燃料の再処理、これの開発のために事業団をつくるのだということで、そのままになってできたわけです。だから、いま言うように、こういう宇宙開発事業団、そういう一貫性がないのですよ。いわゆる一元化という立場から考えて、いまやはり現長官は、原子力の動燃事業団等につきましても一元化すべきじゃないかという方向でなければならぬと思うのですが、この点いかがですか。
#105
○国務大臣(木内四郎君) まあ、いろいろな機関がありまして、これを一つの中に入れたらどうかという御意見もありますが、その例として、いま動燃事業団と原研その他をおあげになられましたが、動燃事業団におきましては、核燃料の問題、開発の問題、それから動力炉、新型転換炉、高速増殖炉、そういう特殊な使命を持っておりますから、そこへ原研まですべて一緒にするというのも一つの手ではありますけれども、私はやはり、原研のような機関があってもいいと思うんです。あれは今日百億円余りの予算を使い、二千人余りの研究員、非常に膨大な研究費がかかる。まあ、日本ではあれだけ大きな研究機関はないんですが、あれで原子力のあらゆる部面を研究しているわけでありまして、原子力のことは御案内のように非常に複雑であり、これから先どこまで、どういう方向に発展していくかわからないものでありますので、ひとり動燃事業団だけではなく、やはり原子力研究所というものもあってもいいと思いますし、また、そのほかにたとえば放射線医学の研究所も、これも一つにすれば一つにするという考えもありますけれども、これはやっぱり医学の研究機関として私はあってもいいんじゃないか、あるいはまた、さっき政府委員から答弁しましたように、いろいろな材料の研究があります。そういう研究所もあってもいい。それはひとり原子力関係だけじゃない。また宇宙開発関係だけじゃない。すべての問題に通用する問題でありますから、それも私はあってしかるべきものじゃないか。まあ、できるものはできるだけ一緒にするということが適当なことじゃないかと思います。たとえば宇宙開発のごときは、ロケットで衛星を打ち上げる、これは一つの問題ですから、それについて各方面においてばらばらにやっているということは、これは適当でありませんので、できるだけ一元化の方向に向かっていく、こういうことで私はいいんじゃないか。今度の事業団というものはその第一歩であります。まだ完全ではありませんけれども、だんだん一元化の方向に向かって進んでいきたい、かように思っております。
#106
○向井長年君 私がそういう問題をなぜ引用し、取り上げておるかというと、事業団の性格というものが、先ほど言ったように、動燃事業団をつくらないで、原子力研究所が動燃の研究をしたってかまわないんですよ。そうでしょう。そこに人員を送り、資金を投入して、そこでやろうとすれば、それはできるわけです。それをやらないでやろうとすることは、事業団そのものに対して、これは一つのやはりメーカーという問題、あるいは資金という問題、この資金も、ただ国の予算だけではなくして、民間からもたくさんに出さそうという、そういう一つの性格を持っておるから、私はその問題を引用したわけです。そうでしょう。当時、二千億という、十年間の間に二千億という資金を政府が出すんだということを当時の長官は言明しておるんですよね。しかし、いまどうですか。いま、民間からそれに対する資金集めのためにきゅうきゅうとしておるじゃないですか。できるだけ国産炉を開発するためには、何としても政府自身なり、国自身が一大決意をして資金を投入するんだということが、なかなかそれは思うようにいかない。したがって、民間からこれを出資させなければならぬということで、相当いま無理を言っておるのじゃないですか。長官、どうですか。
#107
○国務大臣(木内四郎君) いろいろ御心配願って感謝にたえないのですが、動燃事業団のほうの事業は、大部分において政府の資金によってやっていますから、それは資金の面からいけば心配はない、かように考えております。予算だけでない。債務負担行為におきましても、予算額よりもはるかに多いものを計上しているということ、事業の遂行には政府として支障を来たすようなことは絶対にいたさない、かように考えております。
#108
○向井長年君 宇宙開発事業団の資本金というのですか、五億とか書いてありますが、大体これ、先ほどから言うように、人工衛星及びロケット、これを一応成功させようとすれば、どれくらいの予算、裏づけを考えていますか。
#109
○政府委員(石川晃夫君) 私たちが現在までに考えておりますのは、Qロケットをつくりまして、それを改良開発いたしましてNロケットにつなぐということを考えております。そのNロケットが開発されるまでのケースとしましては、大体千数百億かかるというふうに考えております。詳細につきましては、宇宙開発委員会におきまして、その経費につきましていろいろ計画を立てていくわけでございますが、現在までの事務局の試算といたしまして、大体手数百億ということを考えております。
#110
○向井長年君 その千数百億の金を政府みずから出すということでしょう。国が出すわけですね。ですから、これに対しては、計画としてやはり年度年度予算で組んでいかなければいかぬのですね。それはどういう程度をいま考えているのですか。いわゆるこれは四十六年、四十八年ですか、これまでにひとつ成功さそうとするならば、年間どれくらいの予算を考えて、これを投入していこうとするのか。いかがですか。
#111
○政府委員(石川晃夫君) ただいま申し上げましたように、Nロケットの開発までには千数百億ということでございまして、その期間といたしましては、現時点から考えますと、大体五カ年程度になると存じます。したがいまして、算術的には、それを五で割ればいいわけでございますけれども、しかしこの開発の状況というものによりまして、ある時期には資金的に非常にピークの時期が来るわけでございます。したがいまして、計画を相当綿密に立てましてその経費を算出しなければ、いまの時点におきまして、何年度幾らということは、ここでにお答えいたしかねると存じます。
#112
○向井長年君 長官、これは自信あるのですか。政府側――政府側というか、大蔵省側からこの金を予算化する自信がありますか。
#113
○国務大臣(木内四郎君) 政府としても、このナショナルプロジェクトを認めて、そして法案まで出して御審議を願ってやっているわけですから、それの遂行に必要な予算は、私は必ず政府が出す、私も、また私のあとにくる長官も、必ずこれを獲得し得るものと私は確信しております。
#114
○向井長年君 原子力の動燃事業団のときにも、二階堂長官はそれを明言したのです。大体初年度はどれくらいとか、続いてこうだ、これはきちっとしたなには言えないけれども、必要経費は必ずこれは確保するという明言をされたけれども、確保されてないのですよ。そして民間に依存しているでしょう。そういう点を、長官として自信あるのかということを私は聞いているのです。事実上、事業団ができても、これ、どうですか、政府みずからもちろん考えるけれども、民間からもこれは出資さすのでしょう。どうなんですか、この事業団は。
#115
○国務大臣(木内四郎君) お答えいたしますが、動燃事業団の予算が確保されておらぬということは、私はないと思っております。動燃事業団から要求がありまして、事業を計画するに必要な予算及び債務負担行為は、私はこれを十分に認めてあると思っております。少なくも、事業遂行に必要な限度において認められておると思います。この宇宙開発事業団につきましては、政府の予算によるところの出資、ことしは、これは当初五億円になっておりますが、予算によりまして、約二十八億円ぐらいのものをやることになっております、ことしは。それから、さらにいまの宇宙開発推進本部の資産を引き継ぐ、それから電波研究所の資産を引き継ぐ、こういうものも加わってくる。そのほかに、民間からの出資、そのほかの出資と書いてありますが、これは私は、当初、ただいまのところ、ごくわずかなもの、名目的な、協賛的の出資だと思います。これは一億円にもならぬ出資だと思います。この政府の事業に対して、やはりひとつおつき合いいたしましょうという協賛的な出資を見込んでおるわけであります。今後は、これが開発が進みまして、さらにこれを利用する場合によりましては、NHKとか、電電公社その他からも出資があることになるだろう。これは利用の段階ですから、その出資は完全に生きてくる出資であると思っております。
#116
○向井長年君 宇宙開発委員会とそれから事業団との問題ですが、特に委員会というのは企画とか審議をやって、その基本方針に基づいて実施機関として事業団が行なう、こう言われているのですが、これは事実上どうなんですか。ほんとうに実施機関といえば、完全に事業団で実施を行なっていくということになるのだが、これはやはり設計、基本のそういうものはやるけれども、実際の技術的な問題についてはこれはメーカーにやらすのじゃないですか。先ほど委託ということばが出ていますね。必要に応じて委託、こう言うているけれども、実際はこれはやはり委託にしなければならぬということになるのじゃないですか。あるいは技術開発、あるいはまた若干の導入開発もあるでしょう。導入改良開発というか。国産化国産化と言うけれども、完全国産化になるのか。やはり、アメリカならアメリカ、外国からの導入改良開発という、こういう形がおそらく出てくるのではなかろうか。こう私たちは思うのですけれども、そういう場合に、設計とかあるいはそういう意味においての仕事は事業団でやるけれども、実際は委託してメーカーにやらすということになるのじゃないですか。この点、どうですか。
#117
○国務大臣(木内四郎君) 御案内のように、この宇宙開発委員会は、国が行なう宇宙開発の基本計画を定めます。これは非常に急速に進歩し、大きく変化する今日の状態ですから、そう遠い先までというわけにはいきませんけれども、少なくとも十年ぐらい先を展望しまして、次はさしあたり五年くらいの計画を立てるというのがいまの方針でありまして、せっかく審議をしてもらっておりますので、近く答申を得ることになると思います。その前に、昨年の秋に、予算要求の際に、さっき申しましたように、当初においては四十六年に電離層観測衛星、四十八年度には実験的静止衛星を打ち上げることを目的としてやる、こういうことを申しましたが、そういうものを含めて、いま申しましたように、十年くらいを展望して、五年くらいの基本計画を立てる。それに基づいて総理大臣は、今度は基本的な開発計画をきめるわけです。そうして、それによって事業団が仕事をしていく。そうして事業団はやはり基本的の設計その他、いろいろやるでしょう。それから開発のスケジュールもやるでしょう。しかし、事業団においてはそれをつくっておるわけじゃないですから、衛星一つつくるにしても、つくっておるわけじゃないですから、それはやはり民間に委託して、民間は委託を受けた場合には、設計どおりにするというのもあるし、ものによっては、さらに研究開発を加えていかなくちゃならぬ面もある。そこで委託研究というものが出てくる。その過程において、日本のものでは間に合わぬ、外国のものを入れなければならぬというときには、その会社がアメリカその他から入れてくるでしょう。その基本については、例のジョンソン・メモなどにおいて政府間において十分に協定をする。それに基づいてメーカーが必要なものは輸入する、こういうことになると思います。
#118
○向井長年君 私の一番心配することは、事業団というのは、えてしてこれはトンネル会社になる可能性があるのです。資金を集めてそのメーカーにやらす。設計はもちろんやります。その程度で、悪く言うならば、学者のおもちゃになっちゃいかぬということです。やはり実質的に開発し、寄与しなければならぬというやつが、うっかりするとおもちゃになってしまうような傾向があるから、この点を私は警戒して、いまこの問題を取り上げているわけですが、したがって、言うなればボード的な性格を持つ。いわゆる参謀本部的な性格を持って、実際はメーカーにやらす、こういうことになるだろうと私は思うのです。おそらくそうだと。そこで、問題は、そういう中からやるならば、この宇宙開発委員会のいわゆる計画と、そしてこれからの技術の設計と、そういう問題とあわせてメーカーの委託、こういう三段階になってくるでしょう。そうですね。そうすれば、委員会できめられたことを、実施部隊として、一つの設計、改良、技術開発をやるのだけれども、それは事実メーカーにどんどんやらしていく、そういう形になるのじゃないですか。そうでしょう。
#119
○国務大臣(木内四郎君) あるいは三段階になることはお説のとおりですけれども、この委員会は基本的な計画を立てるわけです。それに基づいて、実施の計画はやはり事業団において詳細に立てる。それで、メーカーのほうでそのままやれるものもあるし、さらにそれに研究開発を加えなきゃならぬという問題も出てくると、こういうふうになるだろうと思います。
#120
○向井長年君 最後に。
 そこで、これまた役員が、理事長だか副理事長だかありますがね。こういう人たちは、大体まあ政府のほうで任命されるんでしょうが、こういう人たちの選考というものはどうしてやるんですか。やはり、その技術その他、人格、識見、すべてたんのうの人がやると思うんだけれども、この選考はどういう形でやられるわけですか。どういう分野から。
#121
○国務大臣(木内四郎君) 幹部については、まあ財界その他各方面に信望のある、信頼の高い人、で、しかも事業経営の能力の十分にある人、また、今度のこの事業の管理能力も十分にあるような人を集めて、有能なトップマネジメントをできるような組織にいたしたい、かように思っております。そこで、役人はどうなのかというお話ですが、今度の事業はまあ国家的の大事業であり、非常に膨大な予算も使う大事業でありまするので、官学民の最も優秀な人々を集めて、そしてそれらの人々によってこのトップマネジメントを構成し、あるいは下の組織を構成いたしたい、かように思っております。したがいまして、役人も有能な者はやるし、民間からも、官学民、学校のほうからもひとつ出てもらう。大いにこれに注意して、この事業を遂行するに支障のないような人を集めるように努力いたしたいと思っております。
#122
○森元治郎君 大臣、どうでしょう。これ、いろいろこれまで審議してきて感ずるんだが、宇宙開発事業団という名前は少しでか過ぎたと、名と体が合わない、やはり人工衛星開発事業団のほうが、要らぬ答弁しないでも、すらっとすなおにいったと思うんだな。これは、動燃事業団だってそうですよ。あなたは、何かっていうと、事業をやる事業団の組織でございますから、開発基本法とは何とかかんとかという弁解ばかりしてるでしょう。ああ言わないで、ずばり、人工衛星打ち上げの事業団なんだと言えば、あっさり通っちまうんだな。いまになってそういう感想は浮かびませんか。
#123
○国務大臣(木内四郎君) 森委員からせっかくの御意見ですけれども、宇宙開発は私どもの想像以上に非常に急速な高度な発展をしてきている。しかも、短期間にここまできてる。これから先十年というと、おそらく私は非常な拡大的発展をするだろうと思う。そこで、そういう意味からいうと、名前が少し小さ過ぎるんじゃないかということを考えるぐらいなんですけれども、まだ宇宙の定義もきまっておらないような際ですからして、まあこの際宇宙開発という点で遠慮してるようなわけです。ざっくばらんに申しますけれども、あまり大き過ぎるというわけでもないと思いますが、今後これがますますこの名前に沿って発展していくようにひとつやりたいと思いまするし、員各位の格別の御支援をお願いいたしたいと思います。
#124
○森元治郎君 そうやって十年先の網なんて張ってないで、私はイギリス式にこういうものはやったほうがいいと思う。一つ一つ具体的にやって、だんだんにいろいろな事業団ができてくる。その上に統一ある宇宙開発事業団という中に包含してもいいと思うのですが、これは少しく背伸びした感がある。背伸びしたくせに、アメリカから技術導入しなければ誘導制御装置関係はうまくいかないのだという泣き言も片っ方で言っている。だから私は申し上げたのです。
 そこでアメリカとの話し合いですが、去年の一月ジョンソンのメモが来て、これに対する回答は去年の暮れでしたね。なぜこれまでの時間がかかったか。たぶん、想像するのに、開発委員会が途中でできたので、それからその人たちが考えてやったのでしょうが、どういう理由で時間がかかったのですか。
#125
○国務大臣(木内四郎君) いまの森委員のお話のとおりです。あの手紙、メモが一月に来ていましたけれども、その後宇宙開発委員会というものをお認め願うということになりまして、それはこの前の春の国会でおきめ願った。それから、どうせ委員会ができるのだからということで、委員会に付議したりしていた事情もあったようです。そこで、昨年の暮れに、あまり長くほうっておくわけにもいきませんので、いろいろ研究した結果、返事を出した。あの返事も、ごらんになればおわかり願うと思うのですが、向こうの言ったとおりには書いてないのです。やはり、こちらの意向が相当に入れてあるわけなんです。そこで多少手間がとれたようなわけでありますが、それからあと、外交交渉、外交ルートを通じまして協議しまして、ほぼまとまっておるわけですから、近く皆さん方のほうに公表しまして、現実に技術を導入するようにいたしたい、かように思っております。
#126
○森元治郎君 四月の中旬にお互いの話が大体合意に達して、アメリカは本国に請訓をしているという段階だと聞くのだが、違いますか。
#127
○国務大臣(木内四郎君) 政府委員のほうからひとつお答えいたします。
#128
○政府委員(石川晃夫君) 一部の新聞にはそのようなことも載っておりましたが、大体昨年の十二月に当方より米国のほうへ返事を出したわけでございます。そのときに、具体的な話し合いに入ろうということで、ことしの一月から入ったわけでございますが、四月中旬というわけではございませんで、やはり外交交渉でございますので、話が行ったり来たりいたしまして、時間を食っております。ただいま大臣からお話ございましたように、おおむね了解の線に達したのは最近でございまして、まだこれにつきましても最終的な決定という段階には至っていないわけでございます。内容につきましては、外交交渉のことでございますので、この席上申しかねますが、大体そのようなことで進んでいるわけでございます。
#129
○森元治郎君 大体合意には達したようですね、大筋はね。
 そこで、誘導制御装置など、付表に希望の名前が書いてあるわけですね。そのおもだったものが誘導制御装置だと聞いておりますが、その他御発表になっても一向差しつかえないのじゃないですか、技術導入に関するアーティクルズのうちの三つ四つなり。
#130
○国務大臣(木内四郎君) いまお話のように、向こうから導入する事項につきましては、付表のようになっておるようですが、いま最終段階で、妥結するといいますか、向こうから最終的の返事のないこの間においてこれを公表することは、私ども差し控えたいと思います。近くそれが参りますれば、皆さん方に公表するようにいたしたいと、かように思っております。
#131
○森元治郎君 たいへんな機密事項ではないのだろうし、機密事項は、向こうも、大臣がおっしゃるように、日本にあかしもしないし、日本も要求はしていないだろうと思うので、そうたいへんに隠される必要もないのじゃないだろうかと思うが、調整局長、専門家、どうですか。
#132
○政府委員(石川晃夫君) この内容につきましては、やはり外交慣例もございますので、私たちお話してもよいわけですけれども、そういうような内容でございますので、ちょっとここでは公表いたしかねます。
#133
○森元治郎君 沖繩返還交渉だって、基地の態様はどうしましょうとか、事前協議はどうしようとか、三つも四つもあるでしょうよ。外交交渉といっても、機械の部品の話なんだから、いわゆるアイデアもあれば、ヒントもあれば、いろいろあるだろうと思うが、たいへんなことはないだろうと思うが、どうしてひた隠しにするのですか。それがかえって疑惑を起こしているところもあるのじゃないかと思うが、どうですか。
#134
○政府委員(石川晃夫君) 別に隠しているわけじゃございませんで、外交上の慣例によって行なっておるというわけでございます。
#135
○森元治郎君 外交上のそういう慣例ばかりではないのですよ。こんな技術的な話は出したって一向差しつかえない。名前を言えば内容がわかっちまうものでもないしね。大体ロケットあるいは工CBMと言ったからといって、お互いに何もICBMを知っているわけでもないというのと同じように、これはやっぱり出したほうがいいと思う。出なければけっこうです。
 そこで、これはノートの交換、文書の交換になるのですね。交換公文というか、公文の交換でサインするわけですね。これは国会の承認は求めるのですか。求めないのですか。
#136
○国務大臣(木内四郎君) いま相談をしているところは、別にこれは国会の承認を得るような交換公文の形になるものでは私はないと思っております。
#137
○森元治郎君 交換公文の形式になるわけですか、形式は。
#138
○国務大臣(木内四郎君) まだそのことはきまっておりませんけれども、私は、国会の承認を得るような交換公文というような形にはならないだろうと思っております。
#139
○森元治郎君 これは、やはり内容を拝見しないと私らもわからぬから、国会に出すかどうかもわからぬが、事の次第は、やはり国会の承認を求めるような性質のものになりゃせぬかというふうに思うのです。これはあなたが内容を発表しないから、これ以上進められませんがね。
 それから、使用目的は平和目的に限る、これが宇宙開発の基本だということはお互いにわかっているわけだね。そこで、いつも同じ議論、質問応答があるのですが、平和じゃない利用とは何だということの定義が、あるいはディフィニションというか、こういうふうに使えば非平和的なものなんだということを明らかにしてもらうと、私は理解が早いと思うのですがね。
#140
○国務大臣(木内四郎君) この前衆議院でもお答えしたのですが、軍事目的は平和の目的でない、こういうことに私ども解釈しております。
#141
○森元治郎君 これは、木内長官くらいの長老――明治も中期生まれの人は、そういう禅問答のようなことを言うけれども、科学の世界なんだから、やっぱりこんなふうに使えば軍事的なんだということを、ひとつ次の機会にでも、専門家に聞いて、ここで返事をしてもらいたいと思うのです。目的が平和だからといって軍事物をそのまま強弁することもできないこともないのですね。まあ、そんなことはしないだろうけれども、どんなふうになれば一体非平和的なのか、あるいは軍事的になるおそれがある使い方というのはどういうことを言うのか、そんなのも少しく整理して、次の機会にでもお聞かせ願えれば幸いだと思います。
 これは要望にとどめて、もう一点で終わりますが、これはもう何回もお聞きになったと思うが、私はっきり記憶がないので、失礼ですが、もう一回伺いたいのは、衛星打ち上げの年度がきまっておりますが、アメリカの技術導入がなくてもこの年には上げられるという年度の設定なのか、それが来なければそれよりおくれるのか、あるいは、先ほどN、Qロケットなどの所要経費千五百億とかなんとか言っている、ああいう金の面も大きくなるのか、アメリカの技術導入と打ち上げ予定との関係、それを伺って、私の質問を終わります。
#142
○国務大臣(木内四郎君) 先ほどもちょっと申し上げたところですけれども、アメリカからわれわれの予定している必要な技術を導入することを前提として、四十六年度、四十八年度ということを考えております。
#143
○委員長(宮崎正義君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(宮崎正義君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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