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1968/06/20 第61回国会 参議院 参議院会議録情報 第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
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1968/06/20 第61回国会 参議院

参議院会議録情報 第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号

#1
第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
昭和四十四年六月二十日(金曜日)
   午後二時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     須藤 五郎君     野坂 参三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮崎 正義君
    理 事
                平島 敏夫君
                竹田 現照君
                矢追 秀彦君
    委 員
                岩動 道行君
                石原慎太郎君
                永野 鎮雄君
                船田  譲君
                森 元治郎君
                森中 守義君
                向井 長年君
   国務大臣
       国 務 大 臣  木内 四郎君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        平泉  渉君
       科学技術庁長官
       官房長      馬場 一也君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       科学技術庁原子
       力局長      梅澤 邦臣君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (ロケット打ち上げに関する件)
 (核拡散防止条約に関する件)
 (高速増殖炉に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 六月十七日、須藤五郎君が委員を辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(宮崎正義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
 石原君。
#4
○石原慎太郎君 幾つかの問題について、大臣と関係政府委員の方々にお伺いしたいと思います。
 日本のロケットというのは、どうも世間一般のイメージでいいますと、いかにも上がらないイメージが非常に強い。何か、打ち上げても軌道に乗らなかったり、失敗というイメージが強い。これに対して政府なり関係者のPRが非常に不足していると思いますが、大まかに御質問いたしますけれども、その後日本のロケットの打ち上げの準備というものは、思惑どおりのピッチで進んでおりますでしょうか。もし進んでいないならば、幾つかの障害があると思いますけれども、そのおもなる障害はどのようなものか、いま一度お伺いしたい。
#5
○国務大臣(木内四郎君) いよいよ、宇宙開発事業団法案を御承認願いまして、開発実施機関が設けられることになりました。そこで、私どものほうとしましても、予定どおりに宇宙開発の事業を進めてまいりたい、かように思います。何ぶんにも、この宇宙開発の事業というのは非常に大きな仕事でございまして、しかも、これは急速にまわりの情勢が進んでまいっております。そこで、わが国におきましても、宇宙開発の委員会によりまして、遠いところのことはちょっと想定できないんですけれども、今後十年間を展望しまして、そして今後五年間に実施すべき点を定めておるわけであります。それは、御案内のように、昭和四十六年度に電離層観測衛星を打ち上げる、四十八年度には実験静止衛星を打ち上げる、こういう計画になっておりまして、その計画に向かって着々進行いたしておるのでありまして、いままでのところ、私が報告を受けているところによりますと、大体において予定のとおり進行いたしておるというのが実情でございます。
 なお、こまかなことにつきましては、担当の局長も参っておりますので、御質問に応じましてお答えするようにいたしたと思います。
#6
○石原慎太郎君 先般内之浦で打ち上げられましたロケットの着水水域の漁民がこの実験を非常に妨害いたしましたが、直接科学技術庁に関係ないことかもしれませんけれども、私常々思いますことは、日本の漁民というのは非常に不当に水利権を持っておりまして、こういった実験に関しましても、それが非常に障害になっている。先般の事件もその一つの例だと思いますが、こういうふうに非常に国をあげての大きな意義を持つ実験に関しての漁民の水利権に対する何か法的な抑制といいますか、そういったものについて特別な措置をおとりになるおつもりはございませんか。科学技術庁のほうから要請される、そういうお考えがありますかどうか。
#7
○国務大臣(木内四郎君) いま御心配になっていただきまして、私どもとしては非常に感謝にたえないのでありますが、昨年、実は宮崎県、鹿児島県、大分県その他の関係各県の漁業組合との間にいろいろ問題がありまして、そのために打ち上げが若干延びたような点があったわけであります。種子島周辺漁業対策協議会というものを、こちらにおきまして関係各省の次官クラスで設置しまして、いろいろ研究しまして、そうしてあそこで打ち上げによって受ける漁業の損害金額を大体目安にしまして、損害の補償じゃありませんけれども、漁業の振興対策を講じることにしまして、その必要な経費三億七千万円を昨年度は支出しまして、漁業組合との問題を一応昨年度は解決いたしまして、この正月から打ち上げた、こういうようなわけであります。なお、四十四年度の問題につきましても多少問題かありまして、地元からいろいろ要求がありますが、これにつきましてもせっかくただいま交渉中でございます。
 その根本の漁業権の問題につきましては、いまお話がありましたように、非常に過大な漁業権を持っておるというお話でありましたが、その点は、私ども必ずしも過大とは思っておらないのですけれども、この漁業権の問題については、もちろんいろいろな問題かあり得ると思うのですが、これは、いまお話がありましたように、実は私どものほうの問題でありませんので、現状の漁業権の状態のもとにおいて、それに対する解決策を種子島周辺漁業対策協議会において検討して、そうして漁業組合のほうと折衝し、県も仲介に入れまして、中に入れたりしまして、そうして今日まで解決してまいっておるような状況でございます。
#8
○石原慎太郎君 ロケットの打ち上げに限らず、これから、世界全体の傾向としまして、海洋開発というのが非常に積極的に行なわれなければならない時代にかかっておりますが、そういうときに、一種のロケットにおける土地収用法のような思い切った措置を講じませんと、大きなプロジェクトが非常に阻害されるというおそれがあると思います。これは、私の提案と申しますか、サゼスションという程度にとどめまして、ロケットについて少し具体的にお伺いしたいのですが、大臣でなくとも、専門政府委員のほうでけっこうでございます。
 従来、ロケットの燃料につきまして、固体燃料と液体燃料の二つの燃料がございます。これが二つの組織で研究されてまいりましたけれども、これは、もっと非常に長距離を飛ぶロケット、そうして制御性の非常に精密なロケットという形になりますと、この二つの燃料が並行されて搭載されるべき段階に近い将来さしかかると思いますけれども、その二つの研究のジョイントというものが、組織的にも、あるいは技術的にも、うまくいく可能性がどの程度あるか、そういった点についてお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(石川晃夫君) ただいまの点についてお答え申し上げます。
 人工衛星を打ち上げるロケットの燃料といたしましては、御承知のように、大きく分けまして、固体燃料というものと液体燃料という二つがあるわけでございます。このおのおのの燃料のメリットと申しますか、メリット、デメリットというようなものを申し上げますと、固体燃料を使いますロケットとしましては、液体燃料を使いますロケットに比べまして非常に簡単な構造ででき上がるわけでございます。しかし、これは、ロケットの中に推薬を詰めまして、それが燃焼するわけでございますが、それが燃焼いたしますには一定の速度をもちまして一定の分量の燃料が燃えるためのこまかな操作ができないという欠点があるわけでございます。燃焼自体は非常に簡単でございますが、その操作といたしましては、非常に精密な誘導制御というようなものまでこれに組み込むことが困難な状態でございます。したがいまして、通信衛星とかあるいは実用衛星というようなものまで、静止軌道まで打ち上げようというロケットにつきましては、精密な誘導制御というものが特に必要でございますので、その意味におきまして、やはり団体燃料ロケットというものはあまり利益がないんじゃないかというふうに考えられております。
 また一方、液体燃料としましては、それとちょうど反対でございまして、液体の燃料と酸化剤を合わせまして、それを燃焼させるわけでございますので、非常に量のコントロールというものもできますので、その点、精密な誘導制御というものが十分できるというふうに考えております。
 科学技術庁といたしましては、現在計画いたしておりまするロケットとしまして、この両方の性格を合わせて、成果を利用いたしましてロケットを開発したいということでございまして、この固体ロケットにつきましては、従来から東京大学がこの開発をやっているわけでございます。したがいまして、この東京大学で行なっておりました固体ロケットの成果を利用いたしまして、さらに従来から科学技術庁で行なっておりました液体ロケットの成果というものを組み合わせまして、今後のQロケット、さらにNロケットというものを開発したいというふうに存じておるわけでございます。したがいまして、どちらが有利ということではなしに、われわれの判断としましては、両方合わせまして、そうして従来からございました固体燃料ロケットに対する技術、それから液体燃料に関する技術、こういうものを組み合わせまして、それを組織的に組み合わせまして、ひとつりっぱなロケットをつくりたいということでやっておるわけであります。
 詳細につきましては、担当の参事官が参っておりますので、そのほうから御説明いたしたいと思います。
#10
○石原慎太郎君 糸川博士の事件がございましたが、人間関係と申しますか、研究の組織というものも、いろいろ相互の摩擦というものが考えられると思いますし、非常に研究の支障を来たしていると仄聞しますけれども、その点、科学技術庁の持っていらっしゃるプロジェクトに対しまして組織的な総合調整というものは、うまくいったのでしょうか。それとも、まだ何か幾ぶん問題が残っておりますでしょうか。
#11
○政府委員(石川晃夫君) 現在、わが国において行なっておりますロケットの開発につきましては、従来から、先ほど申しました固体燃料を使いまして東京大学がミューロケットを開発してきたわけでございます。科学技術庁といたしましては、固体と液体とを合わせまして、Qロケット、さらにNロケット、そういうものをやっているわけでございまして、私たちといたしましては、東京大学で得ました成果というものを十分活用したいというふうに考えておりますので、その間の連絡と申しますか、技術的な交換というものにつきましては、現在科学技術庁でこの開発に従事しております宇宙開発推進本部の中の運営委員会の中に東京大学の先生方も入っていただきまして、その点は遺憾ないよう期しているわけでございます。
#12
○石原慎太郎君 そこで、違う問題についてちょっとお伺いしたいのです。
 四月十二日ですか、ソ連の科学アカデミーのレフ・A・アルチモビッチ博士が、その研究の中で二千万度の水素ガスの磁場内への閉じ込めに成功したということを発表しまして、アメリカの学者も、非常に大きな成功であって、水爆のエネルギーを一種のカン詰めにすることができる可能性を持っていると……。これができますと、いろいろな可能性が、事業的にも企業的にもできてくると思いますけれども、この研究、核融合反応の動力化のために必要なプラズマの成功について、もし資料がございましたら、もう少し詳しく、新聞報道よりも詳しくお伺いできたらと思います。
#13
○国務大臣(木内四郎君) いま御質問の核融合の問題、これは非常に大きな問題でありまして、各国ともに熱心な研究をやっておる最中であるように私は承知しております。わが国におきましても、そういう状態にかんがみまして、昨年度の原子力委員会において、調査の基本的な方針をきめまして、そうして、この四十四年度、すなわち本年度の予算に、核融合研究の予算を計上しているような次第でございます。
 そこで、いまお話しのソ連の研究も、新聞には大きく伝えられておりますが、非常にこれはむずかしい問題であって、私どもの承知しているところでは、ごく初歩といいますが、ごく初めの段階の研究のようでありまするけれども、そこまで成功したということはやはり大きな成果でありまして、今後これをどういうふうに利用していくか、発展さしていくかというととは重大な問題でありまして、非常な技術的な問題でありまするので、原子力局長のほうから詳細に御説明させたいと思います。
#14
○政府委員(梅澤邦臣君) いま、大臣が詳細とおっしゃいましたが、私らのほうもそれほど詳細じゃございません。私たちの知っている範囲内のことを申し上げたいと思いますが、ソ連のクルチャトフ原子力研究所でトカマック三号という機械がございますが、これを使いまして、これは外部誘導体のトーラス型装置、イオン密度が一立方センチ当たり一〇の一四乗個、絶対温度が四百万度のプラズマを約五十分の一秒間閉じ込めることに成功した、中性子の発生を確認したということが伝えられております。それがいま学界の理論と比べてどの程度かと申しますと、学界のトーラス型装置で核融合反応が理論的にこうなるだろうという条件がございます、その条件でいきますと、イオン密度一立方センチメートル当たり一〇の一五乗個ということになります。そうすると、たしか一〇の一四乗でございます。そこに差がございます。絶対温度も三千万度に対して四百万度、それから閉じ込めが一秒間程度できるということになりますが、いまのは五十分の一秒でございます。しかし、その差がございますけれども、これは、その装置を非常に大きくすればそこまでいくという可能性は出ております。したがいまして、いままでやって発表されています内容からいきますと、相当のところへ進んでいるのではないかと。ただ、この方法は、日本のと比べますと、日本は内部型の押し込めでやっております。これは外部のところの押し込めということで、日本では、一応内部型でやりましてからこの方法をコンバインしてやってみたいという考え方をとっていますが、このトカマックという方法でこれだけのデータが出ているということは、やはり相当進んでいると解釈してもいいんじゃないかと思います。
#15
○石原慎太郎君 それじゃ次に、核拡散防止条約について科学技術庁の見解を少し伺いたいと思います。
 御承知のように、日本も核に関してのいろいろな技術的なポテンシャルを非常に高く持っておりますけれども、特に核兵器に関しましては、超大国が非常に技術的に先行し、量においても質においてもはるかに遠いところにございますが、しかし、なおいろいろな形で核の拡散というものが世界の情勢の中で考えられております。まあハーマン・カーンのような学者は、核の拡散が決して現段階では核戦争の発生を意味しないということを言っておりますし、私もその所説にむしろ賛同している立場、ものの考え方を持っております。この条約に対する日本の態度、批准の態度というものを、いろいろわれわれはもう少し突っ込んで考えておかないと、時間も間に合わないんではないかというような気がいたします。
 私、さきに外務委員会で、先般来日しました西独のキージンガー首相が立つ前に、日本に来て総理並びに他の閣僚と会談される一つの大きな目的として、この核防条約に対する両国の共通した立場を照らし合って、どのような条件をつけるかという話し合いをするであろうと聞きましたが、外務大臣のお答えでは、そういった話し合いは内容としてなかったように聞きましたが、いずれにしても、私は、この条約の受け入れ方によっては、日本が持っている原子力に関する技術的なポテンシャルというものを非常におびやかされる、減殺される可能性があるのではないかという危惧を持ちますけれども、この点、大臣並びに局長の、まず総体的に見て、この条約の受け入れ方によっては、日本の技術的なポテンシャルがそこなわれる可能性があるかないかという見解を伺いたいと思います。
#16
○国務大臣(木内四郎君) ただいま問題になっております、非常に大事な条約の一つだと思うのですが、いまお話にありましたこの条約をごらんになっていただきますというと、まず第一におわかりになることは、この条約においては、核兵器の保有国と非保有国との間の技術的の格差を非常に生じてきやしないかという一つのおそれがあるわけです。それからさらに、この保障措置、査察上の条項、これが核保有国と非保有国との間において非常に違ってくる、不平等性がそこにあるというような点もありますし、さらにまた、この査察をする場合に、それがその国の経済的あるいは技術的の発展を阻害しないように、こういう点は条約には書いてありまするけれども、そういう問題も一つありまするし、さらにまた、核爆発の実験によるところの利益、これを非保有国にどういうふうに及ぼすべきか、非保有国がどういうふうにしてこの核保有国の核爆発実験に伴うところの利益――技術的な利益等がある、それをどういうふうに均てんされるか、どういうふうにこれを与えられるかという問題、そういういろいろな問題があることは、一読なさればすぐおわかりになる問題だと思う。それほど明瞭な問題なんですが、そういうわけで、いろいろな問題がありまするので、わが国としては、外交上の関係等はまあ別にいたしましても、この技術的の面からだけ見ましても、相当これは慎重に考慮して取り扱っていかなければならぬ問題だと、かように思っております。
 いまキージンガー首相のお話がありましたが、外務大臣の言われますとおり、直接この問題の話はなかったようですけれども、あのあとの新聞記者会見で、キージンガー首相の言っているところによりますると、自分たちはこの条約の条文を直してもらおうということまでは考えないけれども、この適用に際して、いま私の申し上げましたようなことも言っているのだと思うのですが、適用にあたっていろいろ考えなければならぬ問題があるということは、新聞記者会見で言っていることを新聞の記事で見ました。キージンガー首相との関係はその程度だと思うのであります。
 いずれにしましても、いま申しましたようないろいろな問題が技術的にもありまするので、今後慎重に取り扱っていかなければならぬと思います。
#17
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま大臣がおっしゃいましたのに、ちょっとこまかく申し上げますと、もちろん、この核防条約のあとには、当然、何といいますか、ベース・アグリーメントとか、いろいろなものがついてくると思うのであります。その関係として、科学技術庁のほうで技術的問題点があるというところを申し上げますと、要するに、核爆発装置、これの開発が禁止になっております。したがいまして、そういうものが、核保有国と保有国でないところの技術交流がないというところを、どの程度まで技術交流してくれるかというような内容のところが問題になるわけであります。
 それからもう一つは、もちろん、いま核爆発装置というのは爆弾みたいに思われておりますが、将来ある時期が来ますと、たとえば山をくずすとか、そういう平和利用だけにしか使えない爆発装置も出てくる可能性もございます。そういうものに対する研究をやっていいのか、あるいはある時期には進める時期が来るのではないか、そういう点の問題点が一つ、交渉過程にはあると思います。
 それが一つと、もう二つございますが、核兵器保有国が保障措置を受けなくて済むという形になっております。それで、もちろんアメリカ等、自主的に平和利用の分は受けますという国は出ておりますが、その点におきます不平等性、それのところの関係を一律にどうして持っていくかという問題がございます。それから、われわれやはり査察を受けますが、査察を受けました場合に、いかに簡素化していくかというところのこまかい点の問題がございます。
 最後に、核爆発の平和利用による成果といいますか、成果を非核保有国がいかに享受するか、これは、現在の形でまいりますと、たとえばアメリカ、保有国が、日本の――何といいますか、いろいろなところで平和利用にお使いになりますが、その平和利用にお使いになるものを、たとえば日本でやるというような場合に、いまでは、向こうの管理下で向こうがやるという形になります。それをもしやるならどういう形で受けるべきか、そういうようなこまかい取りきめ、そういうようなところが、技術的にわれわれとしては問題点としてあるのではないか、そういうふうに考えます。
#18
○岩動道行君 関連して。
 いま大臣が、非常に慎重にこの問題は検討する必要があると、こうおっしゃったのですが、この慎重はたいへんけっこうなんですが、いまわれわれの考え方から見ると、いま日本が核の問題の開発に非常に力を入れているこのときに、何かそういったようなものを押えられてしまうような、そういう内容になりがちであるような印象が非常に深い。もちろん、兵器としてこれを活用するなんということは毛頭考えられないことなんですけれども、そちらのほうから制約が非常に大きくなってくるのじゃないか、そういう意味で、私は、慎重にお考えになるとおっしゃるけれども、むしろ消極的なお考えでこの問題を検討されておられるのではないか、その点はもう少し明確に、ただ慎重ということでなしに、お考えをお示しいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(木内四郎君) いま御指摘の点、非常に重大な問題だと思うのですけれども、これは、技術的な面などは、いま私が申し上げまして、また局長からも補足して御説明申し上げましたように、いろいろ問題があるのです。わが国の技術の開発についてマイナスになるような面が少なからずあるんじゃないかという、そういう点があるのです。これは外交上非常に大きな問題でありますので、単に私どものほうの技術的の立場からの意見でこのことを処理するというわけにまいらない点もあるんじゃないかと思います。そういう点も考慮してのことだと思うのですが、キージンガー首相は、さっき私が申しましたように、別に条文を直すまでの自分たちのいわれはないが、その運用にあたってのいろいろな不利にならないような保証を求めたいというような意味のことを言われておったと思うのです。私どもも、そういう点については今後十分配意していかなければならないと思うのです。しかし、私どもの表現としては、慎重に取り扱っていくという以外にいまのところは申し上げられない、かように思います。
#20
○岩動道行君 お話の趣旨もわかりますが、今度は日本も軍縮会議のメンバーに入るという、非常に重要な役割りを果たすことになってきております。そういう場においては、もちろんいろいろこの問題についての発言あるいは検討もしなければならないのですけれども、やはり日本の今後の二十一世紀へ向かっての国力の発展を考えた場合には、核開発にいかなる制約も受けないような、き然たる態度で前向きにこの問題と取り組んでいただきたい。ことに技術的な立場から大いに閣内においても御発言をいただきたいということを特に希望を申し上げて私の関連を終わります。
#21
○石原慎太郎君 いま岩動委員が御質問と要請をされましたが、私も同じことを申し上げたかったのですけれども、外交にとっての非常に大きな問題であることは疑いをいれませんが、しかし、外交なるものは、そもそも外交のための外交ではないので、われわれ日本という国のさまざまな利益というものを守るために外交がある。その中の一つに、当然、科学技術というものについての日本の持っているポテンシャルがあると思う。なお、それをいろいろな形で制約するおそれのある条約を結ばざるを得ないというときには、日本が持っている高い技術水準というもの、あるいはポテンシャルというものが、これはやはり外交的なオプションになるわけですから、こういったものを外務省がフルに使って、この条約というものをできるだけわが国の利益につながるような形へ持っていくべきだと思います。当然、これに対して科学技術庁が外務省に努力させるべく、これを基本的に裏づけする、バックアップをするというネットワークが絶対に必要だと思いますけれども、慎重に慎重にということをたびたび関係者が言っていらっしゃいますが、いままで外務省と科学技術庁との間でこの条約に関してどう事を運んでいくかという話し合いが、どういう形で何度あって、そしてどういう結論のごときものが出ているかということを伺いたいと思います。
#22
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在まで、科学技術庁と外務省とでは、私たち、と申しますか、局長同士あるいは課長同士というところで、こまかい打ち合わせをしております。その段階といたしましては、いろいろ技術的に見て、査察の問題、その他についての問題点、それから、こちらはこうしてもらいたいという考え方を出して、向こうもそれをどう思うかというようなところの打ち合わせを、最近、一時は一週間に一度くらいずつやりまして、現在進めているところは進めておる。現在、私たちも積極的に、やはり査察その他を簡素化してもらいたい、そういうような考え方で、問題点というものは逐一外務省のほうにお願いしているわけであります。
#23
○石原慎太郎君 その話の結果、どういう条件を日本がつける姿勢をとるか、まだわかりませんが、少なくとも、いま提示されている条約をあのままの形で受け入れたとき、批准したときに、日本の科学技術にとって私は非常にデメリットがあるということを感じますが、この点、あのままあれを受け入れてデメリットがあるかないかという点、いかにお考えでしょうか。
#24
○国務大臣(木内四郎君) いまの問題にお答えする前に、ちょっと触れておきたいと思うのですが、すでに御案内だと思うのですが、この核防条約の案というものは、初めの案といまの案と、だいぶこれ、変わってきているわけです。初めの案がありました当時に、私どものほうにおきまして、原子力委員会でいろいろ検討してもらいまして、その意見を外務省のほうにも申し入れて、それで、その意見の中の相当の部分は今度のいまの案に取り入れられておるわけです。なお、多少足らぬ点はありまするけれども、だいぶ取り入れられてきておるのです。そのことをちょっと申し上げておきたいと思うのです。
 それから、いまの案によりますと、いろいろ問題があることはさっき申し上げたとおりです。一方は核爆発の実験をここまでしている、私のほうは、非保有国のほうはそういう核爆発装置の開発をしてはいかぬということになりますと、それによって技術的の格差が生じてくる。それから、いまの査察の問題、これはあとの不平等性の問題ですが、そういう問題がありまするし、また、平和利用の面におきまして、核爆発実験に伴うところの利益、いろいろな技術上の利益というものは、そういう核爆発を実施しないというのと、するというのとでは、そこに相当の差が出てくると、こう考えなければならぬ、こう思います。
#25
○石原慎太郎君 そうしますと、この条約を批准するに際していろいろな付帯条件をなおつけ加えなければ、この条約が現在の形のままではわが国にいろいろな制約をもたらす、同時に、それがわが国の科学技術にとってのデメリットを生じ得ると、大臣も政府関係者もお考えと解釈してよろしいでしょうか。
#26
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど申し上げましたように、ある程度デメリットになる可能性のある分は申し上げました。しかし、これを実施する場合には別のアグリーメント等がございまして、この関係で、こまかくやっていきますと、それが有利的な立場になるという考え方も出てまいります。したがいまして、それの内容の検討をこれから向こうとこまかく検討していくという形の段階でその点は明快になってくるのじゃないか。したがいまして、完全にこの辺がデメリットになってしまうというところまでの突き詰めばいたされておりません。
#27
○石原慎太郎君 一つ仮説的な質問をいたしますけれども、現在日本が輸入している、たとえばウエスチングハウスの原子炉といったようなものを、逆に日本がいま国産の炉として持っていた場合に、もちろん、先ほど出ました付帯事項、いろいろなアグリーメントというものがございましょうが、それに加えて、なお、その形がきまらない前に――そういう仮説も非常に無意味かと思いますけれども、いずれにしても、たとえばウエスチングハウスのような炉をわれわれが国産の炉として持っていた場合、この核拡散防止条約が直接に非常に日本にとっても不利益を与え得るのではないかと私は思いますけれども、そういう点、いかがお考えですか。
#28
○政府委員(梅澤邦臣君) いまの先生のお話にも出てまいりました、たとえばいまの国産で持っていたという形でございますが、確かに、今度の条約でまいりますと、向こうから燃料をもらってやるものは当然押えられます。しかし、それと関連しまして、日本の燃料を使う場合も押えられる、査察を受けるわけでございます。したがいまして、これに入りますと、日本にあります原子力設備で核物質を使っているものはみな査察を受けるという点において、いまのウエスチングハウスのものをそのまま持ってきて、自分でつくったならいいじゃないかという点でありながら、自分の燃料で自分でつくればいいじゃないかという点においても査察を受けるという点は、確かに今度の条約の中で問題点としてございます。
#29
○石原慎太郎君 それから、たとえば、現在行なわれている原子炉の燃料の計算コードとか、あるいはまた、日本がこれから向かいつつある非常に高いポテンシャルを持っている高速増殖炉といったもののたとえば炉の安全度であるとか、あるいは増殖率の他の炉に比べての相違であるとか、あるいはプルトニウムのダブリング・タイムとか、そういったものがつまり査察によって漏れることで、国産の炉というものの商品性が国際市場の中で非常に脅かされる。つまり、言ってみると、相手側からけちをつけられやすい。ドイツなどは、そういう点で非常に反対しているようですし、ドイツにはユーラトムの壁がありますが、日本にはないという意味で、私は、日本が将来持ち得る国産炉というものを、さらに東南アジアなりどこなりに一つの商品として輸出し、そういった形で日本が経済的あるいは開発の面でも、東南アジアというものをカバーしていくために、非常にこれはブレーキになるおそれがあると思うのですが、いかがでございますか。
#30
○政府委員(梅澤邦臣君) この条約の中に、もちろん査察を受けました場合に――受ける前に、大体の機種、設計図、こういうものを現在でも出すことになっております。したがいまして、その形がわかります。それから、それに基づきまして査察が参りますので、いまおっしゃいましたとおり、査察が来ましたときに、もちろんこの条約の中では、日本の経済性あるいは商業機密、こういうものについては漏らさないようにするという条項はございます。しかし、見られてしまう。したがいまして、見た査察官は、それをよそへ発表しないようにするということになっておりますが、まあ、それがいかにうまく運用されるかという点は問題であろうと思います。したがいまして、形といたしましては、そういうものは当然外に漏れないようにできるという形になっております。それの実施のしかたといいますか、そういう点の面で、いま先生のおっしゃったことは当然ございまして、この点は十分慎重に考えていかなければいけないと思っております。
#31
○石原慎太郎君 まあ、原子力というものは、これからやっていく新しい文明社会のいわば骨組みのようなものでして、これを高度な形のものとして持つということは、これが日本がこれからやっていく新しい文明のイニシアチブをとるという可能性を持つということにもなり得るわけです。こういった問題に対してわれわれが条約的に制約を受けるということは、何といっても非常に大きな問題があると思います。ひとつ、外務省と科学技術庁と綿密に連絡をとられまして、あくまでも将来の日本の国益を守るという形でこの条約をわれわれが受け入れるという方向でお考えを願いたいと思います。たとえば、査察の機械化であるとか、予告であるとか、基準というものの有利な設定とか、いろいろ問題があると思いますが、それらについて綿密なお話し合いを願いまして、こういった条約についてわれわれに態度を示していただきたいと思います。
 それから先ほど岩動委員からお話がありましたが、われわれが核兵器の保有を毛頭考えていないという設定自体が実は昨今危うくなっているということは、これは、いいか悪いかという結論は私はここで申し上げませんけれども、新聞の調査を見ましても、実に四五%というものが日本の核の保有を是認している。これからやってまいります外交情勢、国際情勢というものの中で、もちろん、日本が核戦争をするというようなばかげたことはどの為政者もしないでしょうけれども、しかし、外交の上で平等なステータスというものをとるためにも、あるいは、アジア、中近東の施政者が変わったときにそういうところで起こる紛争の解決というものを、われわれが平和裏の解決というものを求めるがゆえに、そういったものを自分の外交の立場のギャランティとして持たざるを得ないときが来るのではないか。私はそういう時期が来るのではないかという気がいたします。でありますから、こうなってまいりますと、核拡散防止条約自体がレーゾンデートルを失うわけでありますが、そういった事態を十分見越されまして、科学技術庁がこういう条約に対する将来の日本の国益というものを考えた態度を強く示していただきたいと思います。
 以上をもって質問を終わります。
#32
○岩動道行君 ちょっと関連して。
 いま石原委員も最終的な御意見を発表されたのですが、私も実は、一九七〇年代すでに日本は世界的な平和の役割りを果たすためにはどういう姿になるかということを考えてみます場合には、急いでいまの核防条約に入ることはいかがであろうかという疑念を非常に強く持っている一人なんでございます。たしか、ことしの一月か昨年の暮れごろには、一九七〇年代の日本の果たすべき役割りという短い文章がニューズ・ウイークかなにかに出ておりましたが、一九七〇年代の後半には日本は核兵器を持つようにならざるを得ないだろうというような予告的な文章も出ておったのを私は記憶いたしておるのでありますが、今日のわれわれの考えとしては、もちろんそのことは考えていない。また、考えられない現状ではございまするけれども、しかし、いたずらに急いでこの核防条約に参画する、何かそれが一つの誇りであるかのような、そんな感じでいたずらにペースに巻き込まれない、き然たる態度でこの問題に対処する、これをひとつぜひ政府として、内閣として、お考えをいただきたいということを重ねて私も申し上げたいと思います。
#33
○委員長(宮崎正義君) 矢追君。
#34
○矢追秀彦君 この前に、委託基準のことについて、研究成果の発表等について少し質問をいたしましたが、今回、高速増殖炉技術協力に関する契約書というものを動燃事業団として結ばれるということで、その案文を現在作成をされておる、このように聞いておりますが、これはどういう趣旨でおつくりになるものか、それをまずお伺いしたいのです。
#35
○政府委員(梅澤邦臣君) 御説明申し上げます。
 米国の原子力委員会と、それから動燃事業団との間におきまして、高速増殖炉に関する協力協定、これを本年の三月に締結いたしました。それで、その本協定におきましては、液体金属冷却高速増殖炉、この関係に関しましての情報交換、その他の協力ということを主眼としてやるものでございます。それで、この協定が三月に結ばれましたので、いよいよ国内といたしましてそれに対処するという関係から、現在、先生のいまおっしゃいました高速増殖炉技術協力に関する契約というのを、動燃、原研、それからこれに関係しております民間会社というところで契約を結んでいくわけでございます。その契約の内容につきましては、まだ全部煮詰まっておりませんが、目下、早急に煮詰めるという段階になっておるのが現状でございます。
#36
○矢追秀彦君 いま言われた米国原子力委員会と動燃事業団との間の協力協定の文書というものは、これは公表され得るものか、それとも、されないものか、その点をお伺いしたい。
#37
○政府委員(梅澤邦臣君) 実はマル秘となっていると思います。しかし、このことは日本の中ではございません。海外と協力関係を結びます場合に、日英、日米、いろいろございます。そのときに、ほかの国と結びます場合に、前の別の国と結んだものを先例にするとかなんとかいうことにされて、われわれのほうの有利性がなくなっては困るということで、一応その協定につきましては、国内の方々には当然お見せいたしますが、一応そういうことで慎重に扱うという形の扱いになっておると、そう存じております。
#38
○矢追秀彦君 現在私が手元に持っておるのは、この契約書の四月二十一日につくられた案文でありますけれども、その後変更になっており、また変え得るという検討がありましたら答弁を願いたいのですが、ここでは、動燃事業団と原子力研究所、それと原子力委員会と、こういう関係になっておりますが、先ほど民間等のことも触れられましたけれども、民間という関係はここには出てこないように思うのですが、いま検討の中に入れられておるのか、それとも、こういう契約書は、一々、そういう関係の団体等がありましたら、それと結ばれるというものなのか、その点はいかがですか。
#39
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま私が民間と申し上げましたのは、科学技術庁の中に原子力平和利用研究委託費というのがございます。それで科学技術庁といたしましては研究を委託しています会社がございます。そこで、この関連をやっておりますので、その関係のものも当然技術協力の範囲内に入れる、その範囲内のことを申し上げたわけでございます。
#40
○矢追秀彦君 この四番目の「技術情報の提供」というところでありますけれども、この(1)のところで「乙が、甲との間の業務委託等に基づいて、高速増殖炉に関する調査、研究、開発、試験、試作等の業務を行なって得た技術情報。」、これはいいとして、その次の二番目の「乙が、甲から提供を受けた技術情報を主体として利用し得た技術情報。」、さらに、「乙が、高速増殖炉に関し、自ら行なった調査、研究、開発、試験、試作等により、現在所有する全ての技術情報および所有することになる全ての技術情報。――まあ、原研でやったものもすべて提供する。これはもちろんわかるのですけれども、何か、これだけ見ておりますと、原子力研究所の自主性というものが失われるような気がするのですが、その点はいかがですか。
#41
○政府委員(梅澤邦臣君) この技術協力契約の第四項の動燃事業団の立場と申しますか、その点を御説明させていただきたいと思います。
 こういう海外とやります場合に、やっぱり窓口というものを一つにきめたほうがいいではないかということで、窓口という立場から動燃をきめたわけでございます。したがいまして、原研で行なっていますこういう研究の成果その他については一応動燃にまとめる。それで動燃がそれを受けまして一本化して、これを海外に連絡する。それから、向こうから参りましたものも動燃でまず受けまして、それで関係のところに送るという体制として、動燃を窓口にしたわけでございます。そういう関係から、こういう条項で出していただきたいという項目がここに出ておるわけでございます。したがいまして、これが直接、何と申しますか、原研の自主性をくずすというふうには私たちは考えておりません。
#42
○矢追秀彦君 原研が動燃に報告するのは、あくまでも原研に委託をした業務に限られているわけですね。その点をお聞かせいただきたい。
#43
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど最初に申し上げましたが、大体この協定では、液体金属冷却高速増殖炉の研究開発と、それに伴うものでございます。したがいまして、その範囲内におきまして向こうと技術協力いたします。そうしますと、動燃がみずからやって、それで、動燃から原研に委託している以外にも範囲が入ってまいります。その分野につきましても窓口を動燃にしているという状態でございます。
#44
○矢追秀彦君 私が聞いているのは、いま言われたアメリカから言ってくるところの、液体金属高速増殖炉、これに関する研究について情報を交換しなければならない、その研究に限るといっても、非常に研究というのはむずかしいと思うのですけれども、その点の範囲というのは明確になっているわけですか。要するに、アメリカと日本の間に協定が結ばれている研究の範囲ですね。それは、何か関連して新しいものが出てきた場合、ちょっと詳しい専門的なことは私よくわかりませんけれども、やはり問題が起こるのではないか。日本で何か新しく開発をされた、それをアメリカに報告をした場合、向こうで一挙に何かを生産されてしまう。日本としては、せっかくの研究が――もちろん、公開ということはいいのでありますけれども、ある程度日本の利益を考えなくちゃいけない、そういった場合に、やはりアメリカは実行力が非常に強いのでありますから、現在の段階で、そういう場合にまた問題が出てくる。あくまでも向こうから日本の動燃がいろいろの技術を提供してもらって、そうして日本の開発のプラスになる、これに対して、ある程度こちらも、それによって開発した場合は、これは渡さなければならぬ、それはわかるのですけれども、その範囲というのですか、それがどの辺までになっておるか、それをお伺いします。
#45
○政府委員(梅澤邦臣君) その範囲、しかた等につきましては、この中間に運営会議というのが設けてございます。その運営会議が原研その他関係のところに入っておりまして、そこでどういう範囲でどういこうというのを申し合わせをしまして、それで進んでいくという形をとっております。そこで、いま先生のおっしゃいました中身といいますか、どういうものを出そうとかというところは、その範囲から選ばれて出てくることになります。もちろん、それを考えます場合には、向こうから来ている量、内容等々を勘案してこちらも考えていかざるを得ないということになると思います。
#46
○矢追秀彦君 五番目のところに、「乙は、甲から提供を受けた技術情報のうち、INFORMAL、RESTRICTED、COMMERCIAL、CONFIDENTI−AL等の公表制限の標記があるものについては、その内容の外部への漏えい、または、関係者以外への供覧を防止するよう万全の措置を講じなければならない。ただし、丙が公表を行なった場合においては、自動的に公表制限等が解除されたものとみなす。」。このアメリカから来るところのこういった公表制限の標記のある基準というのはどういうものですか。その点の話し合いはあるわけですか。要するに、アメリカが何でもかんでも公表制限をしてきた場合だと、日本としては公表できない。それをもとにして日本が研究をして新しい理論がわかったとか、新しいものが開発されたのに、学会で発表することもできなくなる、そういうことが起こり得る。このアメリカの公表制限はどういうものかということは日本側としては了解されているのかどうか。この点はいかがですか。
#47
○政府委員(梅澤邦臣君) いま私たちのほうで向こうの言い分を了解しておりますのには、一つは、やはり情報と申しますか、その情報の中で財産的価値を有するもの、いわば財産権を保護するために、そういうものについて、ある一時公表してもらっちゃ困るというのがついてくるものがございます。それからもう一つは、ノーハウと申しますか、そういう点から、これはたとえば三ヵ月とか、あるいはある時期まで公表しないでくれ、こういうものがついてきた場合、それは守ってあげましょうという形でございます。しかし、それを受けました場合には、これは決して動燃だけに置くわけではございませんで、動燃から、そういう約束がついておりますというのをつけて、この研究をやっていますところ、そこには全部流すという形になっております。
#48
○矢追秀彦君 現在の日本の動燃、これが現在計画しているもの、高速増殖炉あるいは新型転換炉もありますが、これが今後開発されるに必要なアメリカの情報というのは、現在の日本のレベルからいってどれくらい必要なのか、もし現在の日本の技術でアメリカからの情報がそんなに必要でないとなれば、こういうふうな協力協定というものがなくても、日本独自で開発をして、それを日本は平和に利用し、さらにそれをむしろ海外に売り渡す、と言いますとあまりことばはよくありませんけれども、日本が世界で最初に高速増殖炉は成功させる、こういうような方向に持っていったほうがいいのじゃないか。何か、アメリカというものの力、アメリカというものによって日本の研究というもののスピードが鈍らされるような感じを受けないでもないのですが、その点はいかがですか。
#49
○政府委員(梅澤邦臣君) この協定を結びますときの考え方でございますが、当然、いまの考え方は考慮に入れました。と申しますのは、向こうから私たちがもらうがためにこの協定を入れるという考え方ではございません。逆に、米国自身が協定を結ぼうじゃないか、向こうが非常にそういう意向が強うございまして、私たちも当然結んで、いいデータをもらったほうがいい、それからもう一つは、国際交流で世界的な研究で競争をするということになりますと、向こうの情報を見てこっちも競争できるということで、初めから五分五分と申しますか、そういう考え方でこの協定は結んだわけでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃいます、送るデータの量と申しますか、そういうものの量というのはどの程度になりますか、これから実績で出てまいりますが、考え方といたしましては、両方対等でこれはいきたいという方針のもとにこれは考慮されております。
#50
○矢追秀彦君 いま五分五分と言われましたけれども、さきに申し上げた、現在日本がアメリカから、高速増殖炉と新型転換炉の開発でかなりおくれている、かなりもらわなければならないと考えられる分野といいますか、それはどういうものですか。具体的にお伺いしたい。
#51
○政府委員(梅澤邦臣君) 私いま気がついておりますのは、やはりナトリウム技術でございます。その点がおくれをとっていて、それについてはもらいたいと思っております。それからふるいは炉物理関係のこまかい点でございますが、炉物理関係については日本も相当やっておりますが、それと比較するという立場からいって、向こうの炉物理研究のデータというものはもらいたい。そういうようなところがおもな問題点になると考えております。
#52
○矢追秀彦君 見通しとして、これは前のときもだいぶ議論になりましたけれども、高速増殖炉と新型転換炉ですね。この開発はどういう目安をおつけになっておるか、この点、お伺いしたい。現在高速増殖炉をやっておりますけれども、その完成の時期とか現在の進みぐあい。前に議論になりましたが。
#53
○政府委員(梅澤邦臣君) 高速増殖炉につきましては、御存じのように、ことしの予算で初めて実験炉に着手ということになりました。したがいまして、もう間もなく、設計ができましたものを安全審査いたしまして、この暮れまでに安全審査を終えたいと思います。そうして実験炉に着手いたしまして、実験炉に約三年半程度かかると思います。それで、その実験炉が終わります途中から原型炉の研究に着手いたします。それで、原型炉の設計をいたしまして、それが大体、現在の考え方では、電気出力が二十万から三十万キロワットの原型炉をつくろうとしておりまして、その原型炉が臨界に達するという時期を大体五一年という目安で私たちやっております。それで、五十一年に臨界に達しまして、それから実際の実用化の研究を進めようというのが現在の考え方でございます。
#54
○矢追秀彦君 ちょっと話は戻りまして恐縮ですが、この5の一番目にあります、「乙は、甲から提供を受けた技術情報を公表しまたは、外部発表に引用しようとする場合それが丙によって公表されていないときは、甲の文書による同意を得なければならない。」、これは、さっきも申しましたアメリカの原子力委員会によってかなり左右されている一つの条項にならないかと考えるのですが、その点、いかがでしょうか。
#55
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど申しましたように、大体向こうから制限をつけてくるのは、先ほどの二項目程度だと思います。したがいまして、そういうものを発表する時期はいつがいいかということを聞いて、聞くと言いますか、向うから通知してくる、そういうところでそれを堂々と発表するという形になると思います。したがいまして、これはその公表を制限するとかということではなくて、時期をきめたりなにかする、そういう関係としての同意の文書、そういうふうに私は解釈いたしております。
#56
○矢追秀彦君 あと、5の3、4、5、6、かなりこまかい点まで一々、甲の許可であるとか、甲に届け出るとか、こういうふうになっているわけですけれども、やはりここまでこまかいことが必要なのかどうか、この点をお伺いしておきます。
#57
○政府委員(梅澤邦臣君) これはまだ途中でございますが、やはり原研と動燃で非常にこれはスムーズに持っていきたいと思います。スムーズにいきますためには、いま考えられます点は、非常にこまかく一応問題を提起して、それについては十分話し合いをしていこうということで進めておりまして、非常にこまかくなっております。その点は、やはり研究者同士の、中身につきましても非常にこまかくなりますので、できるならば将来あまりもんちゃくの起こらないように、できるだけこまかくやってもらったほうがいいのではないかというのが私たちの考え方でございます。
#58
○矢追秀彦君 この協定は大体案文の途中ですが、いつごろにはこれを完成されるか、どういうふうな手続でこれは実施されていくのか、どこが監督をして、どうするか、その点についてお伺いしておきたい。
#59
○政府委員(梅澤邦臣君) 実際的に見ますと、私たちのほうは、できるだけ原研の自主性、動燃の自主性という考え方から、両者でまとまったものは、できるだけそのまままとめていきたい、こういうふうに思っております。しかし、両者でこの話し合いがつきました暁には、私たちのほうに報告していただきまして、私たちもその内容を見せていただいて、そこで本物にしていきたい。しかし、実際にその資料を交換したり送ったりする判定をしますのは、動燃、原研、そのほうの研究をやっている人たちでございます。そういう関係から、動燃、原研のおっしゃることを受けて、できるだけ中身に入れて、それに対して私たちのほうは援助するという形で、でき上がりましたら報告を受けて、それを見て発効したい、こう思っております。それから時期につきましては、まだこういう状態でございますので、早急にやりたいということでお願いしておりますが、いまここで、今日一ぱいとかなんとか、ちょっとまだ申し上げられない状況でございます。
#60
○矢追秀彦君 この協定の内容は、アメリカの原子力委員会には相談をするわけですか。そうして向こうはチェックする。――こちらの自由でいけるわけですか。
#61
○政府委員(梅澤邦臣君) アメリカとはこの三月にきめたわけでございます。この問題は国内的な問題でございます。したがいまして、この中身につきましてはアメリカと相談いたしません。日本だけで中身がうまくいけばよろしいので、日本でやることになっております。
#62
○矢追秀彦君 あと、実際協定についてお伺いしたかったのですが、あまり公表するとぐあい悪いことだとおっしゃいますので、こちらのほうはやめておきますけれども、原研で研究している人が学会でいろいろ発表する場合の自由が、この協定によって妨げられることは絶対にないか、そういう点なんですが、その点はいかがですか。
#63
○政府委員(梅澤邦臣君) 原研が学会その他に発表いたします場合には理事長の許可をとるという、中の基準はございます。したがって、これの前にはその点が引っかかってくると思います。また、実際的に研究者の方々が研究をおやりになります場合には、当然、ナショナルプロジェクトと申しますか、あるいは動燃で実際的にタイミングをきめてやる研究、あるいはそれを促進するための研究をやる、いわば動燃から委託研究と申しますか、それをやります場合には、当然、それは研究者そのものが引き受けてそれをやっております以上、データその他については動燃にできるだけ早く通知をしてもらいたいと思っております。そういう関係から、それがだめだと言えば別でございますが、そういう考え方で進んでおります。それがまた自主性ではないか。自主性というものの呼び方でございますが、できるだけ公開することは当然でございますけれども、そういう契約研究と申しますか、そういう考え方で、国の計画にタッチした研究を進めている場合には、できるだけ御本人が、たとえばデータがまだ満足でないから出せないというようなときはもちろん別でございますが、やはり所としてそれは早くやらないと国の計画が進まないという場合には、ふるって出していただくという考え方でいかなければならない、こう思っております。
#64
○矢追秀彦君 少し協定が引っかかるような答弁でありましたけれども、いま言われたように、この協定は、要するにこの契約書の場合は、アメリカに相談する必要もないと、こういうふうにおっしゃったわけですが、特にアメリカから実際ぐあいの悪いようなことは私は流してこないと思うんですね、情報は、実際問題として。で、いろいろノーハウとか財産権の問題等で、公表制限という標記が来ることはあると思いますけれども、実際に研究の開発という問題ですね。大体学会等で発表される問題というのは、理論的な問題、あるいは実際具体的に開発された技術の問題、あるいは研究データ、それぐらいのことだと私は思うんですけれども、そういう問題は、そんなにアメリカがぐあいが悪いというような情報は流してこないし、したがって、日本独自の、といいますか、ある程度は日本の力で研究をし、そしてそれで開発されたものだと思いますので、要するに事業団さえ了解をすれば自由に学会で発表してもいいんじゃないかと、このように考えるんですが、その点はいかがでしょう。
#65
○政府委員(梅澤邦臣君) まあ、アメリカ側からの申し出でいきますと、もちろん向こうには機密法がございます。したがって、機密法に入るものは出てこないと思います。しかし、できるだけの弔のを出すといって、先ほどのように、外に一般には出さないでくれという情報まで来たわけでございます。そういう考え方からすれば、そういうことを勘案していけば、相当のデータはくれるんではないかと考えております。もちろん、しかし、それとバランスをとって日本も出さなければいけない。したがいまして、先ほど申し上げました運営会議というのがございますが、そこで当然皆さんで相談して、その運営会議において、こういうものは出すべきだという基準は考えながら進めざるを得ないと思います。そういうことで進めまして、出すべきものは出すという考え方でいくと思います。
 また、出しますものが、さっき先生のおっしゃいました学会で発表してから出すかどうかということでございますが、これはやはり、学会に出す場合のまた研究成果の書き方と、それからこういうものの協力で出すものと中身の書き方がだいぶ違ってくるのだろうと思います。そういう関係から、必ずしも学会に出してからという考え方にはならないし、たとえば向こうで湿式の研究をやった、こちらで乾式の研究をやった、途中の段階で交換したほうが進むというので、学会で発表する前にデータの交換をしたいということもあると思います。そういうことでございますので、いろいろ向こうと交換したりなんかする場合には、事こまやかに進めていかなければならないのではないか、こう思っております。
#66
○矢追秀彦君 最後に、このアメリカとの協定、またこの契約書を含めまして、基本法の自主、民主、公開の三原則に抵触するかしないか、この点はいかがですか。
#67
○政府委員(梅澤邦臣君) 私たちは、原子力基本法がございますので、原子力基本法に抵触しない範囲でなければ仕事ができないと思っております。その点は抵触しない方向で進んでいる、こういうふうに確信いたしております。
#68
○委員長(宮崎正義君) ほかに御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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