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#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
昭和四十四年四月十二日(土曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     多田 省吾君     渋谷 邦彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本茂一郎君
    理 事
                鶴園 哲夫君
                黒柳  明君
                松下 正寿君
    委 員
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                長屋  茂君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                山本 利壽君
                達田 龍彦君
                春日 正一君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   参考人
       琉球政府立法院
       議長       星   克君
       琉球政府立法院
       議員       伊良波長幸君
       琉球政府立法院
       議員       大田 昌知君
       琉球政府立法院
       議員       金城 英浩君
       琉球政府立法院
       議員       岸本 利実君
       琉球政府立法院
       議員       古堅 実吉君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査(沖繩問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本茂一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月三日多田省吾君が委員を辞任され、その補欠として渋谷邦彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本茂一郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査中、沖繩問題に関する件について、現在沖繩から上京中の
     琉球政府立法院議長  星   克君
     琉球政府立法院議員  伊良波長幸君
     同          大田 昌知君
     同          金城 英浩君
     同          岸本 利実君
     同          古堅 実吉君
 以上六名の方々に本日参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本茂一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山本茂一郎君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査中、沖繩問題に関する件を議題といたします。
 これより参考人の方から御意見を承ることとなりますが、この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 今回、沖繩から上京されて御多忙な日程の中を本特別委員会に参考人として御出席をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。
 本日は、沖繩問題に関する件につきまして御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、全部の参考人から御意見を聴取するのがたてまえでございますが、時間等の都合によりまして全員の方から御意見を聴取することができませんので、代表といたしまして、星参考人から十五分程度、ついで各党お一人十分程度それぞれ御意見を述べていただき、そのあと、委員からの質疑の際、残りの方を含めて、お答えをお願いいたしたいと思います。また、御発言の順序等につきましては、私のほうから順次指名させていただきます。
 まず、星参考人からお願いいたします。
#6
○参考人(星克君) たいへん御多忙の中をわざわざ私どもをお呼びいただきまして、当委員会で陳情のできます機会を与えていただきました委員長ほか委員諸賢の御厚情に対し、つつしんで御礼を申し上げるものでございます。
 私どもは、去る七日に沖繩立法院におきまして二つの要請決議を満場一致で議決をいたしました。その一つは、一日も早く施政権を返していただくよう格別の御配慮をお願いしますという趣旨のものでございます。申すまでもなく、施政権が分離されましてやがて四分の一世紀になんなんとする実に長い時間が経過いたしました。その間、県民一人残らず、いつの日になったら母国に帰れるか、これだけが念願の最も大きなものでございました。立法院におきましても、このような住民の心情を、過去においてすでに十六回決議をいたしまして、本土並びに米国の政府要路に提出をいたし、かつ、機会あるたびに熱心に陳情を続けてまいったのであります。しかし、最近に至りまして、もうほんとうにうれしい情報を承りました。それは、今回の国会において、「沖繩国会」と言われるほどに熱心に沖繩問題が論議されているということを百万県民は心から喜び、ほんとうに期待をかけておるものでございます。そういうさなかにおきまして立法院では決議を行なったのでありますが、今回の決議が従来の決議と変わった点は、従来は、単に返していただきたい、帰りたい、こういう要求でございました。今回の決議の中には、返る際の方法論に触れております。それは、いろいろ各党各派に見解の相違はありましたけれども、そのうちの最も基本的な問題は基地の態様でございます。
 御承知のとおり、沖繩は、沖繩に米軍基地があるというよりも、むしろ、米軍基地の中に住民が住んでおると言っても過言ではないほど基地の島でございまして、返った場合どうなるだろうか、これが県民の大きな関心事でございます。本土にも米軍の基地はございますけれども、その量において質において、まるで異質の米軍基地が存在することは御承知のとおりであります。そこで、今回決議の中には、少なくとも核基地あるいは米軍の自由使用を認めるような基地であってはならない、これだけは復帰に際して本土政府の責任でもって防ぎとめていただきたい、これを申し述べてございます。
 その次に、国会に参加さしていただきたい、つまり国政に参加方の要請決議を、これまた全会一致で決議いたしました。
 私どもは申すまでもなく日本国民であるということは、施政権を持っているところのアメリカですら、公式文書によって、声明によって、これを認めております。しかしながら、自分の国の政治に関与できないということは、ほんとうにさびしい限りであります。まあ、民主国家における国民的人権の最たるものは参政権ではないでしょうか。しかるに、私どもにはそれが与えられておらない。いわゆる施政権の壁にさえぎられて、祖国が敗戦から立ち上がっていまや世界トップの繁栄した国に至るその間の国政に参与ができなかったということを、県民は何よりの悲しみといたしております。ところで、今回の国会においても熱心に沖繩論争が行なわれておるけれども、何ら国会に県民代表の声の反映ができないということは非常な不満でございます。そういうわけで、沖繩の問題がまさに処理されようとしている今日、一日も早く国会に参加ができるように御配慮をお願い申し上げたいということでございます。これにも、方法論として、この場合、聞き及びますと、いろいろ制限が加えられるような論争があるようでございます。あるいは憲法との関係、あるいは米国の持っておる施政権とのかね合いの関係上、国会議員どおりはまかりならぬという意見はよく聞かされます。私どもは、憲法に違反してでもいいからぜひとも国会議員並みにしてくださいということは決して申し上げる所存はございません。立憲国家として、むしろ憲法を大事にしていただきたい、憲法にいささかでも違反するようなことがあってはなりませんというつもりでございます。さて、沖繩県民が国会に参加する時分に憲法に違反するというのは一体どの条項だろうか。この点は正直な話、一向理解ができないのであります。そういうわけで、私どもの御要望は、あくまでも国会議員並み、そうして国民の一人として国政に参加し責任ある言論を堂々と述べて、一億国民に伍していきたい、願いはただこれだけでございます。
 そういう二つの御要望をひっさげましてこちらへ参ったのでありますが、私どもが現地で聞き及ぶ情報では、いろいろ解散の気配もあるし、国会参加はもうこれうるさい問題であるからあと回しということになっているらしいということをお聞きしまして、実は非常にびっくりして参りました。こちらへ参りまして、これが全く杞憂であったということがわかってほっとしておるのであります。与野党どちらにお伺いしても、いずれも熱心に、それこそ優先的に御高配いただいておることを見聞いたしまして、非常に感謝申し上げております。どうぞ今国会を逸することなく、ぜひとも、県民代表が二十四年ぶりに国会において国民としての権利や義務が果たせるよう御考慮をお願いするものでございますが、米国の施政権があるということもよく承知いたしております。しかし米国の現在の施政権というのは、十年前、二十年前に比べまして非常に質が変化しておることもいなめない事実でございますが、施政権、いわゆる統治権というようなものは、御承知のとおり絶対的であり、排他的であるという特質があるようでございますけれども、もう今日では決してアメリカはさように考えておりません。なるほど十年以前は日本政府の援助を要求すると内政干渉だといって非常に顔をしかめたのも事実でございます。私どもが本土政府に陳情に参りますと、君たちには外交権はない――一体日本は外国ですかと議論したものでございますが、いまどき全然そういうことはございません。ないばかりでなく、現実は、沖繩の予算はアメリカと本土の援助を受けておりますけれども、アメリカの援助のほうは、本土援助よりぐっと下回っております。また共同声明から見ましても、アメリカとして、自分らの治めている施政権の内容の中に排他的ということは全然考えておらない、特に本土に関する限り。むしろ日本とアメリカが共同して沖繩を統治しよう、いわゆる共同統治というところに質が変わってきております。まあそういう点で、決してアメリカの施政権にこだわる必要はなかろう。むしろ日本が主導権をとって、われわれの国民はわれわれがめんどう見るのだということを開き直っていただいても、決してアメリカはどうのこうのということはないじゃないか、またあってはならないと、さように考えるのであります。長い二十四年の歴史の中に、ほんとうに祖国が立ち上がりまして、それに引きかえて沖繩はまだまだ立ちおくれております。大きな格差がございます。一例をあげますと、地方自治によりまして府県の財政も非常に伸展しております。地方自治も発展をしてまいりました。それは、新しい憲法によってわざわざ一章が設けられ、地方自治が尊重されたたまものでありますが、その戦後の恩典は沖繩には及んでおりません。いわゆる三割自治といわれております七割の国庫補助は、沖繩はもう遠い夢でございまして、自分の財政に依存しているものが七割、そうして本土政府とアメリカ政府に依存している補助金が三割、まるで本土の逆でございます。
 まあこういうような実情にございますので、本土の責任でもって今回の国政参加を勇断をもって実現されまして、私どもがともどもに祖国に相まみえる日が一緒にもたらされることに御配慮いただきますことを御要請申し上げまして、開陳を終わりたいと思います。
#7
○委員長(山本茂一郎君) 次に、大田参考人お願いいたします。
#8
○参考人(大田昌知君) ただいま御指名にあずかりました大田でございます。沖繩自由民主党所属でございます。
 本日は、本特別委員会の参考人として出席し、いろいろ申し上げる機会を与えていただきましたことを光栄に存じます。
 ただいま星参考人から説明申し上げました点につきまして、本参考人から追加ふえんして説明を申し上げたいと思います。
 端的に申し上げまして、沖繩県民は、いまこの秋に訪米される佐藤総理の対米折衝によって、沖繩の施政権の返還が必ずめどをつけられる、そうしてわれわれの国政参加がこの六十一国会において必ず実現するのだというような強い確信と、また待望を持っておるわけでございます。もちろん施政権の返還につきましては、全面返還であり、本来の国民としての基本権を回復するということでございます。それと同時に、国政の参加につきましても、国民としての基本権を回復し、本土国民と同様な参政権が実現するということでございます。施政権の返還につきましては、われわれは今秋の佐藤訪米の、第三次訪米によりまして必ずこれが実現されることを期待しております。またそういうふうに解決していただかなければならないと、こういうふうに確信しておるのでございます。
 沖繩の施政権が返還されて、そうして日本の主権を回復し、沖繩県民が祖国へ復帰することは、単にわれわれ沖繩百万県民の宿願であるばかりでなくて、主権国日本といたしましても、完全な独立を達成するために果たさなければならない至上の使命であるということは、私が申し上げるまでもないことだと思います。
 日本がいま米ソに次ぐ驚異的な経済社会の発展を見たという今日におきまして、一部国民が、たとえそれが国の安全とかまた国の繁栄のため、またはアジアの安全や世界平和の維持促進のためという理由があるにいたしましても、四分の一世紀になんなんとする長期間、異民族、他国の支配にゆだねられて、自決権の認められない非民主的な社会状態に置かれるということは、これは一億国民が許すべきことではないと、こういうふうに考えるのであります。
 沖繩の米軍基地の大きな役割りというのも、これは現実の問題として認めざるを得ないわけでありますし、また沖繩の基地がいかに沖繩の経済の発展に影響したかということについても、これは現実の問題であります。しかし、その基地依存が経済の健全な発展に及ぼしている影響、いわゆる跛行的経済組織の形態になってきたが、それは長期的経済ビジョンを立てないままに、また長期的計画を持たないがままにそのまま推移してきまして、そうして幾多のひずみがそこに生じておるという沖繩の経済の状態から見ました場合に、これをいかにすれば解決するかということにつきましては、やはり復帰のめどを立てて、そうしてその期限に、復帰の際におきまして、沖繩の経済と社会の格差を是正し、一体化の政策を進めて、そうして復帰の際に何ら憂いのない復帰の実現ができるような体制を整えていくということが必要ではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、しかしいまの実態におきましては、やはりその長期的なビジョンがなくて、そうして長期計画というものもないままに推移してきております。六五年の沖繩の経済の状況から申し上げますと、本土の一人当たりの国民所得の約六五%内外になっておりますけれども、しかし現在におきましては六一%、また六八年度、六九年度は、従来伸展してきた平均一三%の経済伸長率が九%、一〇%に落ちる可能性を示しておるわけでございます。これはとりもなおさず、やはりそこに復帰のめどをはっきりさせて、そして確たる長期計画というものを策定しないということによるかと、こう思うのでございます。また一方におきましては、基地から生ずる公害が頻発いたしまして、住民の経済に大きな影響を及ぼしておるということも見のがすことのできない状態でございます。そういう実態でございまして、われわれはどうしても、この秋におきまして佐藤総理が訪米されるこの機会に、どうしてもこの施政権の返還を獲得していただきたい、期限のめどをつけていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 まあ、いま国会でもいろいろ論議されております、安全保障体制をどうするか、また基地の態様はどうあるべきか、こういうことは、国の安全、また国の繁栄という問題から当然論議されるべき問題でありますけれども、しかしわれわれは、あくまでも主権を回復してもらいたい。一日でも早く主権を回復して、そして本来の姿に返してもらいたい、これが沖繩県民の共通する願望であります。そういう意味におきまして、ぜひとも国会におきましても、この秋の訪米においては佐藤総理が対米折衝によって必ずこのめどをつけてもらうようにバックアップしていただきますことを心からお願い申し上げる次第でございます。
 それから、国政参加の問題につきまして申し上げますと、先ほど星参考人から申し上げましたのでありますが、要はわれわれの基本権を回復するということ、そしてこの重要な時期に、沖繩県民不在のままでこの沖繩問題を、国政で、国政にのせて取り扱っていただきたくない。そして、われわれが参加するその場において沖繩の将来の問題をきめていただきたい、こういうことがわれわれの念願でございます。国政は、国民の厳粛な信託によるもので、その権利は国民に由来し、その権能は国民の代表が行使すべきことは、憲法に明示されてきました民主国家としての統治原理でありますことは申すまでもありません。沖繩の県民を国政にのせるについては、単に沖繩問題として取り上げるべきではなくして、国政全般として取り上げ、特に主権回復という基本的問題に関連することでありますので、全国民の代表的権能によって処理されるべきものであると、私たちはこう考えております。したがいまして、沖繩県民不在のままで沖繩問題に関する国政を決定することは、主権が国民に存するという憲法の精神にももとるものであり、沖繩県民の意思が反映されない国会の権能は不完全なものであって、全国民の代表機関とは言えないのではないかと、こういうような考えを持つものでございます。法制意見といたしましても、この沖繩の国政参加につきましては、まず施政権がアメリカにあるという前提に立ちまして、日米双方の合意と、そうして国民の合意が成立いたしますならば、これは実現するであろうというふうに私たちは本土における法制意見を受け取っておるわけでございます。この日米の合意は、すでに昨年の十月の日米協議委員会におきまして、沖繩県代表を国政に参加させること、さらにまた、本土の日本における法律制度が許す最大限の権限を与えるということにつきましても、すでに合意が達成されておる。これは、いわゆる最大限の権限を与えるということにつきましては、すでにアメリカの合意を得ておりますので、その一〇〇%を実現するということは、国内の、国会の権限にゆだねられておると、かように私たちは考えておるものでございます。まあそういう見地からいたしまして、アメリカの施政権がいま沖繩に壁をつくっておるということでありましても、アメリカの合意が成立し、そうして国民の合意が成立いたしますならば、沖繩の国政参加は必ず実現するものと私たちはかように思っておるわけでございます。先ほど星参考人からも申し上げましたように、しかし、この沖繩の参政権が憲法に触れるような基本的なものがありますならば、私たちはこれをしいて曲げてこれをやってもらいたいということではありません。しかし、いま申し上げましたように、憲法の適用は、やはり国民の合意で成立する、その国民の合意はあくまでも国会を通してこれが具現されるということから考えました場合に、どうしても国会の意思が決定することによってこの国政の参加が実現されるものと、こういうふうに考えております。まあそういう点につきましては、どうぞ国会におきまして、また当特別委員会におきまして十分に御審議くださいまして、一日も早く、この六十一国会で国政参加が実現するような措置をとっていただきたくお願い申し上げる次第でございます。
 以上、ふえんいたしまして、お願い並びに御説明申し上げます。
#9
○委員長(山本茂一郎君) 次に、古堅参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(古堅実吉君) 古堅でございます。
 沖繩の返還の問題と国政参加の問題については、何もいまに始まったことでございませんで、これまで沖繩のほうからたび重なる代表団のいろいろの要請などを受けられて、議員の皆さんもよく御存じだと思います。そういう意味で、時間がございませんので、基本的な点についてだけ述べたいと思います。
 返還の問題についてなんですが、私たちが主張しておるところの沖繩を返還しろという要求は、沖繩がかつて日本の領土でなくなったことがないという厳然たる事実と、沖繩県民がかつて日本国民でなくなった、国籍を失ったことがないのだという、この厳然たる事実に立脚しております。日本は第二次世界大戦によって敗戦し、無条件降服をし、沖繩はアメリカの占領支配下に置かれた。そうして沖繩県民は、講和条約締結によって沖繩からアメリカが手を引き、沖繩が完全に祖国の施政下に返ることを一日も早く実現するように、心からこのように待ち望んでおりました。ところで、平和条約を結んだときの日本政府は、沖繩県民のすべての意思であった、直ちに沖繩を返す、かような内容の平和条約を結べというこの要求を無視して、沖繩をアメリカに売り渡すような形での平和条約を結んだ。それが日米の合意によってなされ、いままで日本政府は、この平和条約第三条に基づきアメリカに施政権を与えたこの立場というものを是認し続け、それに基づいて、アメリカの支配に沖繩県民をゆだねた。そしてこの沖繩たるや、アメリカのアジアにおける戦争と侵略の政策によって、いまやベトナムの侵略戦争をはじめアジアにおける緊張の根源地となり、アメリカのアジアにおけるところの許しがたいこのような政策の展開のかなめとなっております。このようなことを考える場合に、沖繩県民の基本的な、沖繩を返せ、日本の主権を回復しろというこの要求は、日本の独立とアジアにおける平和の立場からの基本的な要求であります。私たちがアメリカの支配を打ち破って沖繩の完全返還をかちとるということは、日本国民としての名誉を回復する道だと思います。国会が沖繩の返還について真剣に考えるということは、国の最高機関たる国会が、国の名誉にかけて、自国の領土を、自国の国民を、あるべき正しい姿に戻すという基本的な立場から出発しなきゃいけない最も大事な点じゃないか、民族の誇りを持って解決すべき大事な点じゃないか、このように考えます。
 国政参加の問題なんですが、その前に、先ほども議長から強調がございましたけれども、このような沖繩返還についての論議がなされてくる中で、アメリカの戦争と侵略の政策の根拠地となっている沖繩の現状の基地をそのまま認めて、核つき・基地自由使用の返還論というものが論議されるに至っております。沖繩県民は、アメリカのこのような核つき・基地自由使用という形の返還というものは、沖繩県民が二十数年にわたって苦しみ続けてきたところのこの苦しみを解消する道ではないと、平和を確立する道ではないと、県民の基本的な人権を回復する道ではないという立場から、核つき・基地自由使用であってはならないということを、特にこのたびの決議においては、県民の意思を代表する立法院において明らかにしておりますので、その点もぜひおくみ取りいただきたいと思います。
 国政参加の問題についてなんですが、これについても、私たちは一度だって日本国民としてその国籍を奪われたことがないという立場に立っての基本的な私たちの要求であります。したがって、この問題は国会にいろいろと陳情があると思いますけれども、たとえば経済的な問題について、その程度のことは与えられるだろう、その程度のことは予算に計上できるだろうという形で審議できる筋合いのものとは本質的に違う私たちの要請だという立場からお受け取り願いたいと思います。これは勘案できる、国政参加というものについて、その程度のことは認められるだろう、その程度のことは憲法が許せるだろうというふうな形で勘案できる筋合いのものではないと思います。いままでアメリカが施政権を握っておるということで、県民の国政参加は許されないという立場をとられ続けてまいりました。私たちの立場からこれは許せない立場でありましたけれども、これまでそうなされてまいりました。そして昨年十月九日、第十五回日米協議委員会において、その合意したという内容については、私たちがどうしても同意できない内容ではなかろうかと思われる発表をされたものとなっておりますけれども、いずれにしても、国政参加というものについて何らかの形で同意しなくちゃいけないところまできた。そういう形で今国会においていろいろ論議されておりますけれども、いまなお、特に衆参両院の法制局関係からの意見として、憲法のもとにおいては、本土における国会議員並みの沖繩選出の国会議員の資格権限を与えるわけにいかないなどという強い意見があるやに聞いております。私たちは、そういう意見に対して実に心外に思います。どのように堅固につくられた建物でも、ビルディングでも、これは決してその姿がそのまま永久に続くものではありません。確かに固定したように見えますが、それをそのまま放置しておっても、その建物は腐敗し、なくなっていきます。人為的にも、いかに大きなビルディングでさえもいまは移動できるというほどに科学が進んでおります。ましていわんや政治においてつくられたその概念、つくられたその法律そのものが、その解釈において、またその状態において、永遠に変わらぬなどということはこれはばかげた話であります。事実、数ヵ月前までオブザーバー方式でしか参加させられないというような形で論議されておった憲法学者でも、いまはオブザーバー方式でなければならないというようなことはもう表面切って主張できないところに至っているのです。なぜか。憲法が変わったのか――憲法は何ら変わっておりません。これは政治的な立場であります。私たちは、沖繩県民の選出にかかる国会議員の資格権限において、本土選出にかかる国会議員並みの資格権限が与えられないということは、憲法論議ではない、政治姿勢そのものだというふうに考えております。アメリカの施政権といえども、いろいろの形でその実体というものが変わってまいりました。先ほども団長から説明がありましたけれども、これまでいろいろとアメリカの施政権というものを行使するについて、きわめて排他的に日本政府の介入を全く許さないような立場でありました。そのアメリカのあり方が、私たち、私、人民党の立場からすれば、県民の戦いと、またアメリカが沖繩を支配しにくくなったので、日本自由民主党政府にいろいろと手助けをしてもらいたいというような立場からこのような経過になってきたのではないかとも考えますけれども、そういう政治的見解は別問題として、いずれにしてもアメリカに施政権があるというそのもとにおいて、援護法関係、国籍法、いろいろの法律が沖繩の人たちに適用されております。アメリカの施政権下においてこのような形での法律が適用できるのに、なぜその他のものについて同じような形での適用というものが考えられぬか、できると思います。施政権というものは、決してつくられたビルディングがそのままの形で動かすことのできないようなものというふうな形で理解されてはならないのと同じように、政治のあり方としてつくられておるところの法律そのものについて、また施政権といういろいろな形で変化のあり得る問題については、そのような立場から日米がその問題について取っ組みさえすれば、沖繩県民の基本的な要求というものは必ずいれられると思います。憲法のもとにおいて、表決権の与えられない国会議員などというものは、沖繩県民を二十数年にわたっていろいろ差別的な取り扱いをし、県民に民族的屈辱を与え続けてきたということは、長年にわたり許すことのできないような問題に、重ねてさらに二重の新たな県民に対する屈辱を加えるものでしかないというふうに考えます。いまの国会というのは、沖繩が日本の領土でなくなったということがなかったということが認められる限りにおいて、沖繩県民が日本国民であるということがなくなったことがないということを認める限りにおいては、沖繩県民の選出にかかる国会議員が参加してない形での国会の構成であるだけに、不完全な国会の構成だと私は思います。そういう意味合いにおいて、憲法のもとにおいて、国会は、国の最高機関として認められた全国民を代表するものによって構成されると、はっきりうたわれている。ところが、いまや、このような形での方向がだんだん進められつつあるとはいえ、現実には、国会は全国民を代表するものによって構成されているとはかりにも言いえない、沖繩県民の選出にかかる国会議員は除外されています。参加できないようになっています。そのような意味合いにおいて、国会が、皆さん国会議員の名においてこの国会をほんとうに名誉あらしめるために、国会の構成としての名誉を回復するためにも、一日も早く沖繩県民の選出にかかる国会議員を参加させ、そして憲法のもとにおいて、その趣旨に基づいて完全な国会の構成を一日も早く期して奮闘するということこそが私たちの要請にもこたえてくださる道でありますし、国会議員の皆さんが果たさなければならない大事な点かと、私はこのように信じます。
 また憲法は法のもとの平等を自明の原理としてうたっております。沖繩県民の選出にかかる議員が国会の一構成員として認められるということがあるならば、この構成員の一員たるものに、国会議員として名のつくものの一部に、私たちは表決権も完全にあるけれども、おまえたちは表決権はないぞというふうな形での差別取り扱いをしていい国会議員というものを憲法のもとにおいてあらしめていいかどうか、私は、沖繩県民の国政参加の要請の問題と関連し、憲法との関連においてかりに論議するならば、そのような立場から論議すべきであって、県民の選出にかかる国会議員を、本土において選出される国会議員並みの資格、権限を与えられないのではないかというふうな立場からの論議というものはあらしめてはならないと思います。なるほど沖繩がこのようなもとにおかれて……
#11
○委員長(山本茂一郎君) 議事の整理上、簡明にお願いいたします。
#12
○参考人(古堅実吉君) 条約三条をはじめ、沖繩の地位が変則的なものであるだけに、法制的にもどこから見てもすっきりしたものは出し得ないと思います。すっきりしたものは出し得ないけれども、しかし基本的にはどの立場を貫くべきかということをはっきりさした上で、ぜひ県民のこのような強い要請を実現していただくよう、国会が、衆参両院において最善の御努力を払われますことをお願い申し上げて、終わりたいと思います。
#13
○委員長(山本茂一郎君) 次に、岸本参考人にお願いいたします。
#14
○参考人(岸本利実君) 御指名をいただきました社会党所属の岸本でございます。
 この二つの決議につきましては、立法院におきまして全会一致の決議でございますから、われわれは各党の代表ではなくて立法院全体の、県民の代表であるわけでございますが、意見開陳を党を代表して求められておりますので、これから、団長の説明につけ加えまして意見の開陳をいたしたいと存じます。
 沖繩返還、国政参加につきまして御当局を回ってみましたところ、憲法上の問題、施政権の問題、各党の思惑、大体そういう三つの点に障害があるやに受け取れる節がございました。しかし私たちが今日まで県民が歩んできた道を振り返りますと、憲法論議ももう一ぺん沖繩が切り離された時点に返って論議をしていただきたい。日本国憲法、特に戦後の平和主義、民主主義、国民主権を規定した憲法が出発をいたしまして、憲法の保障する恵沢があまねく国民に与えられなければならない、主権は国民にあるという規定をしながら出発した平和憲法が成立いたしまして、その後四年半の時点におきまして、この憲法を制約する平和条約三条と安保条約が締結をされました。その時点においてすでにこのような条約というものが憲法に違反しておると私たちは思います。なぜあの時点で国民がアメリカ主権のもとにすべてゆだねられなければならなかったのか、その時点で憲法論議をすれば、明らかにあの条約は不当だったと思いますし、違法だったと思います。あの当時にそのような議論がなされないままに、県民はアメリカ主権のもとに軍事占領を、体のいい国際条約で固定化されまして、日本政府はまたアメリカの統治権絶対的な観念に立ちまして、いかに県民が人権を奪われようと、土地を強奪されようと、あるいは基地の中で殺されて犯人もあがらないという状況が出てきておっても、あるいは軍労働者が団結権、団体交渉権、団体行動権を奪われておっても、どうにも手も足も出ないという態度を堅持してまいりました。私たちはかりに一歩譲ってアメリカに統治権を許したにしても、統治権の行使については、日本国憲法の保障する内容を要求すべきだったのが筋合いだと思います。しかし、日本政府はそうではありませんでした。アメリカの施政権を絶対視いたしまして、今日まですべての面で沖繩県民の人権は奪い去られて、生活が抑圧された中で暮らしてまいりました。ですから私たちは現地におきましても、日本国憲法のもとに返りたいという要求を持ちつつも、実力で戦わざるを得ませんでした。最近実現を見ました主席公選もそのとおりであります。主席公選は、何回にわたる現地におけるアメリカの方針に私たちはまっこうから反対をいたしまして、四年ほど前には、立法院において一部の政党によってこれが選挙に持ち込まれようとしたときに、労働者が立法院を取り巻いて、はずみに立法院の中に乱入をするという事件がありまして、いまだにその裁判が係属いたしております。この戦いの中から主席公選は実現をし、アメリカは譲歩として大統領行政命令を改めてきたのです。また三年ほど前には、沖繩で民側の裁判所で係属中の事件が取り上げられる裁判移送問題もありました。これに対しても、実力で戦ってアメリカに譲歩させることを実現したわけであります。
 これに引きかえて日本政府の努力は、はなはだ私たちには不満であったと思いますし、消極的であったと思います。このような中で、日本政府が今日まで、最近におきましてもとっている態度は、沖繩における米軍基地の重要性の確認であります。こういうことは絶対に沖繩県民に受け入れられません。二十四年前に去った大戦におきまして、二十万の国民が現地で死にました。大東亜共栄圏のかなめ石としての沖繩は任務を負わされまして、破壊の道を進めさせられました。戦後の日本政府に誠意があるならば、あの沖繩の土地を平和のメッカにすべき任務があったはずであります。そうでなくて、今日またアメリカのアジア戦略のかなめ石に位置づけられておるということは一体どういうことなんでしょう。これは、たとえ国会の中で九割の議員さんがお集まりになって、沖繩の米軍基地は重要だと認められても、沖繩県民には認められません。われわれは、去った第二次大戦の日米の戦争責任、戦争犯罪というものを永久に糾弾いたします。ですから、沖繩にある米軍基地をいかにこれからも重要だと言ってみても受け入れられないことでありますから、その点を御配慮いただきまして、日米の交渉の場におきまして沖繩返還について都合のいい方針を出されても、現地の人には協力を得られないということは御念頭に置いていただきたいと思います。その考えのあらわれの一つとして、今回の返還決議の中に、核つき・基地の自由使用はまかりならぬという表現が出ておる次第でございます。
 さらに、憲法上の問題に関連いたしまして、このように憲法が出発して間もなく、この憲法を制約する条約を受け入れてきて今日までまいりまして、国民はこの憲法を守る義務があり、特に公務員は、国会議員を含めましてこれを護持していく任務があるはずであります。したがって、不完全なこの現在の憲法、平和条約三条と安保条約で制約をされたこの憲法というものは、どうしても完全な姿に戻すべきが政府並びに国会の任務だと思います。そうしますならば、国政参加につきましても、全く本土と同様の資格におきます完全な国政参加が実現されなければならないし、一刻も早く実現を見なければならないと思います。これを、現時点に立脚いたしまして、憲法との関連があるということは、私は憲法論議の上でさか立ちではないだろうか、そういうふうに思う次第であります。ですから、憲法の解釈につきまして、文理解釈、もちろんいろいろの解釈がありましょうけれども、一体いままで歩んできた道が不完全であったという認識に立ちますならば、いかにこれを完全にするかというのは、憲法の拡大解釈でない、誤った適用ではなくて、憲法を護持する政府並びに国会の当然の任務だと思います。そのことによりまして、先ほどの参考人から申されました不完全な構成の国会というものが完全になり、権威あるほんとの国民の国会ということになるはずであります。その点をお含みおき願いたいと思います。
 それから、アメリカの施政権との関連におきまして、それでは国会で沖繩選出の議員がいろいろの議決をした法律が沖繩に適用できるかどうかという疑問があるそうでありますが、私は、それは思惑ではなくして、実際にやってみて、統治権の行使という段階におきまして、アメリカが、この法律の適用はまずい、君らがきめた国会の中でのこの法律の沖繩適用は困るからやめてもらいたいという、統治権の発動の段階で、行使の段階で問題があるならばいざ知らず、国会がそういうことを前提にして、この国政参加の立法手続におきまして思惑で二の足を踏むということは考えられないと思います。したがいまして、完全無欠な、本土議員と全く同権限の立法をしていただくことは何ら差しつかえないと思います。あとは、統治権の行使の段階においてどう処理されるかは、その時点での問題だと思います。
 次に、各党の思惑でございますが、これにつきましてはどの政党も、まずいものを出して現地から総スカンを食らわされはしないだろうかという思惑もあるそうでありますが、いまさっき述べました観点から話し合いをしていただきまして、この問題が前進をしなかった一つの理由は、各政党の中でいろいろの論議をかわされ、問題点を抽出をしながら、各党間の腹の探り合い、思惑がありまして、国会の場に、正式の機関の場にのらなかったのが一番の停滞の理由じゃなかろうかと思う次第でございます。したがって、これまで研究された各党の意見は、今国会として必ず衆参両院の議運なり沖特なりで正式に議題とされていただきまして、大いに討論をしていただき、問題があるならあるでわれわれにもお示しをしていただくことにいたしまして、ぜひ実現をさしていただきたいと思う次第であります。
 それから、党の思惑の中で一つ気になりますことは、特に自由民主党の態度の中に、これは全部ではございませんが、いま沖繩返還の交渉に入ろうとする時点におきまして、この国政参加の問題は、臼井代議士の表現を借りますと、大事の中の小事ということで、慎重に取り扱わなければならぬという御発言がきのうの沖特であったのでございますが、私は反対に、このような全く国会の主体的な立場において取り組むべき問題が処理されなくて、はたして沖繩返還の場合に、いかなる返還の取りきめがなされるのであろうか、これを非常に心配いたします。国政参加くらいに取り組めないでおいて、沖繩返還は、それじゃ核つき・基地使用で決着をつけるのかという気持ちを逆に持たされたわけであります。そういうことから、この国政参加につきましても、どうしても今国会で流さずに成立さしていただきたいし、全く皆さん同様のような完全な参加をお願いいたしたいわけであります。
 私は、第五十一国会――昭和四十一年でございますが、そのときに、三つの決議をひっさげまして、五名の立法院の代表の一人として参りました。あのときには、沖特の設置と、戦前の郵便貯金の解決の問題と、この国政参加の問題でございました。そのときの議事録も持っておりますが、その中で、国政参加問題について主として発言されましたわれわれ同志知花委員の発言の中には……
#15
○委員長(山本茂一郎君) 簡明に願います。
#16
○参考人(岸本利実君) この種決議が最後のものであるように、国政参加についての陳情を、もうまたと陳情をせずして実現を見ますようにということを委員会の中で特に強調いたしたのでございますが、残念ながらそれ以来取り上げられずに今日まで遷延したことについて不満を表明すると同時に、どうぞこの今国会で実現を見ますように要請をいたしたいと思います。
 ありがとうございました。
#17
○委員長(山本茂一郎君) ただいまの参考人の御意見に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
#18
○春日正一君 星参考人にお尋ねいたします。
 施政権返還の問題、基地の態様その他で各党の意見の食い違いがある。しかし、少なくとも国政参加の問題では、全面的な参加という点ではいささかの食い違いもないということですね。
#19
○参考人(星克君) さようでございます。
#20
○委員長(山本茂一郎君) それでは、沖繩問題に関する件につきましての参考人からの意見聴取はこの程度にいたします。
 参考人各位には御多忙中にもかかわらず長時間にわたり御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。お述べをいただきました御意見は、今後の委員会の審議にきわめて有益な参考になることと存じます。ここに厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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