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#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第9号
昭和四十四年六月四日(水曜日)
   午後一時十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本茂一郎君
    理 事
                源田  実君
    委 員
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                長屋  茂君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                山本 利壽君
                川村 清一君
                達田 龍彦君
                渋谷 邦彦君
   国務大臣
       国 務 大 臣  床次 徳二君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  影山  勇君
       厚生省薬務局薬
       事課長      野海 勝視君
       農林省畜産局参
       事官       平松甲子雄君
       運輸省船員局労
       政課長      石原  明君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関
 する暫定措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査(沖繩の医療問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本茂一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案
 を議題といたします。
 本案に対する政府側の説明はすでに聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○達田龍彦君 この法案は、日米琉諮問委員会の助言ないしは勧告に基づいて今回提出されたわけであります。そこで私は、法案の提出の前提になりますところの諮問委員会の問題について、まず若干質問をしてみたいと考えておるのであります。
 この諮問委員会の性格あるいは権限あるいは運営というものについては、沖繩の現地でも、あるいは日本の本土でも、この評価をめぐっていろいろ議論のあるところであります。とりわけ、最近沖繩における軍政面における問題に対して諮問委員会がどう対処していくかという問題については、いろいろ今日問題があるところであります。さらにまた、諮問委員会それ自体の持つ役割りについても、一部の評価によると、これは現状の固定化をねらっておるものであるという意見もあるし、また一部では、今日の現状を少しでも前進させるという役割りを諮問委員会が果たしておるという評価もあるのであります。私は、これらの意見についていろいろ政治的にも御論議があるところだと思うのでありますけれども、今日までの経過の中で諮問委員会が果たしてきた役割りとこれに対する評価を一体日本政府はどういうふうにしておるか、まず、長官から具体的に明快に御説明いただきたいと思うのであります。
#4
○国務大臣(床次徳二君) 日米琉諮問委員会は、一昨年日米合意によりまして、将来沖繩が日本に復帰いたしました際におきまして、復帰の際におけるところの摩擦をできるだけ少なくするという意味におきまして、本土との一体化を実現することを話し合ったわけでありまするが、そのときのやはり一体化に資するところの一つの機関として設立せられたのでありまして、必要な勧告をすることが職務でありまするが、これは高等弁務官に属するところの権限のもとにおけるところの機関という、仕事の範囲はその範囲内になっておりまして、性格から申しますると、アメリカ、日本、琉球政府それぞれ出しておりますので、国際的な機関であると言えると思います。
 なお、その権能は、高等弁務官の権限の範囲内のことでありまするが、しかし、仕事は、高等弁務官に対しまして勧告という形でもって、本土と沖繩またアメリカとの間の意思の疎通をはかりまして、そして将来復帰の際におけるところの摩擦を避けるために必要な事項を審議いたしまして勧告を出しておりまして、今日まで三十四件にわたりまして諮問に対する答申をいたしておりまして、それがそれぞれ行政府また地元において必要なものは法制化するし、また現実に仕事に移すという形になっておるのであります。お手元にただいま御審議中の、沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案も、やはりその諮問委員会の答申の一つの結論であるわけであります。そのようなわけでありまして、私どもは、今日まで諮問委員会の果たしてまいりましたところの役割りは大きく将来の復帰の前提として役立っておると思うのであります。
 なお、その行ないまする権限というものにつきましては、高等弁務官に与えられた権限の範囲内でありまするが、しかし、その「範囲内」の仕事にありましても、特に住民の社会福祉の問題経済の安定の問題、保健教育の問題等を推進することが役割りになっておるのでありまして、したがって、ただいまも御質問にありましたが、政治的な問題あるいは施政権の復帰そのものに関する問題等につきましては、これは取り扱っていないのでありまして、高等弁務官の権限の中にありますものだけにつきまして行なっておる次第であります。しかし、非常ないい役割りを果たしておったと私は思うのであります。ただ、経過的に申しますると、昨年の後半と申しまするか、一時、この諮問委員会が休んでおりました。なぜかと申しますると、主席の選挙の後におきまして、新しい屋良主席の琉球政府が、はたして諮問委員会というものに対してどういう態度に出るかということに対してのいろいろ疑義がありましたので検討しておられたと思うのでありますが、ことしになりましてから、引き続いて諮問委員会の活用を期するという形になりまして、今日諮問委員会がまた働き始めておるようなわけでございます。さような意味におきまして、一時におきましては、諮問委員会は現状を固定化するための便法ではないかというふうな意見もあったわけでありますが、現実において行なっておりますることは、復帰に対する準備行為であることが次第次第に判明しております。したがって、新政権――屋良政権におきましてもその点を評価しておると思うのでありまして、この点は、現実の固定化ではなしに、復帰に対する準備対策としてやはり必要なものだというふうに判断いたした結果であると思うのでありまして、もちろん、本土政府におきましては、復帰に対する、すなわち一体化に対する大きな役割りを果たすものとして私どもは高く評価しておる次第であります。
#5
○達田龍彦君 諮問委員会の役割りとその評価に対する政府の答弁でありますけれども、実態的に私はその役割りと評価について全面的にこれを理解し、そうして賛同する立場をとることができないのであります。今日までの事例の中でそれは実証できるのでありますけれども、ここで論議をすることが必ずしもいいことではないと判断をいたしますから、さらに具体的な問題を含めて御質問を続けたいと思うのであります。
 そこで、特にこの高等弁務官の地位、それから権限、あるいは諮問委員会に対する運営、役割り、こういう問題は、私どもは特に重要な問題を持っておると考えておるのであります。それは、御承知のとおり、高等弁務官は軍事面と行政面の権限を持っておるのでありまして、一方では軍の司令官であり、一方では高等弁務官として民生行政安定の問題を持っておるのであります。ところが、いま長官の御説明によりますと、法律でもそうなっておるのでありますけれども、日米琉諮問委員会の中における位置づけ、役割りの中で考えてみた場合に、軍事面の問題は今後の問題として諮問委員会の中で扱うべきではないという態度をとられて今日まで進んでまいっておるのでありますけれども、そういう意味では二つの権限を持っている高等弁務官の立場として、今日また軍事面を除いて沖繩問題の民生行政というものが一つでも解決する問題があるのかというと、私はほとんどないと言ってもいい現状にあるのではないかと思うのであります。そういう立場から、この大統領の行政命令によって拒否権を持つところの高等弁務官それ自体が、行政面の問題に対して問題をどうさばいていくかということは、ある意味では二つの矛盾を持っておるのではないかと私は思うのでありまして、そういう面の運営と考え方、そういう問題について日本政府はどういうふうに考えておられるのかお尋ねをしておきたいと思うのであります。
#6
○国務大臣(床次徳二君) 高等弁務官自体は、大統領の行政命令によるところの行政機関でありまして、それはその権限に対しまして行政権を行使しておるわけでありますが、この点につきましては、従来から見ますると、次第次第にいわゆる地方自治に対しまして関心を深めてまいりました。だいぶ改善されてまいった。言いかえまするならば、琉球政府の権限が広くなってきて改善のあとを見ておると思うのであります。しかし、御指摘のとおり、高等弁務官は同時に同じ人が司令官でもあるということは事実であります。しかし、高等弁務官に関する限り、これは行政的な立場、他面において司令官というわけでありまして、軍政に関係しない行政はないと言えば言える状態でありますが、しかし、与えられた行政権内におきましてはできるだけ努力をいたしておりまして、この点は改善のあとを見ておるのであります。なお、本土政府といたしましても、諮問委員会におきましては軍事面に対する問題あるいは外交問題、施政権の問題等に対しまして諮問委員会を通じて論議することはございませんけれども、しかし、別のルート、すなわち本来の外交ルート、日米ルートの関係がありますので、このルートによって話し合いをいたしておるわけでございまして、したがって、沖繩全体の立場から見まするならば、県民の福祉増進という点につきましてはできるだけのことをいたしておると考えております。
#7
○達田龍彦君 従来まで高等弁務官が、諮問委員会において勧告ないしは助言をした場合について、法的な立場というのですか、元来は拒否権を持っているわけでありますけれども、この勧告に対して拒否権を行使したことがあるのかないのか。それから、将来の問題としてそういうことが現実の問題として起こり得るのかどうか、法律的な立場としては、起こり得る可能性を持つわけでありますけれども、現実の問題としてどうなのか、将来も、予想される範囲ではどうなのか、お答えをいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(床次徳二君) この点は、アメリカを代表するアメリカ代表は、委員会で米政府を代表して意見を申しております。また、本土政府を代表する日本代表は、本土政府の意見を十分参酌して諮問委員会において発言をしておるという状態でありますので、諮問委員会におきまして結論が出ました場合におきまして、その答申に対して高等弁務官が反対するということはございません。今日までも拒否した事例はありませんし、今後におきましても私はさようなことは起こらないと思うのでございます。なお、もちろん琉球政府におきましても琉球政府代表を出しておりますので、この結論に対しましては十分了解いたしまして努力をいたしておる次第でございます。ただ、実際の問題から申しますると、琉球政府自体が、きまりましたことを処理するのにおくれておるという問題は、現実の姿として起こっておるのでありまするが、できるだけ遅延いたさないように、私ども琉球政府に対しましても協力いたしましてその実現につとめておるのでありまして、なお、過去におきまして答申を得ました事柄等につきましても、すでに予算面等におきましても十分配意いたしまして、これが実現ができますように私どもも処理しておるのでありまして、本年度におきましては、たとえば軍の離職者の対策なんというものも、本土におけるところの軍離職者と同じ取り扱いをすることができますように五千万円の予算を計上しておる。しかし、現実におきましては、地元におきましてこれに対応するところの立法化ができないために、実際上におきましては、軍離職者に対する現実の救済は、いまのところは間に合わないという時間上のズレができておりますが、しかし、これはできるだけ急いで、やはり立法院において法案をつくるべきものであるし、また、つくるつもりのようでありますから、さようなズレはだんだんなくなる、かように考えております。
#9
○達田龍彦君 そうなりますと、この諮問委員会で取り扱われておる内容を見てまいりますと、政府のほうではきわめて高く評価をされておるようでありますけれども、屋良主席をはじめ沖繩のほうでは必ずしも政府が評価するような立場でこれを見ておりません。とりわけ、過般問題になりましたB52の問題あるいは原潜の汚染の問題等、こういう軍事面から出てくる民生の不安定の問題について諮問委員会がこれを取り扱うべきではない。とりわけ、高等弁務官がそういう態度表明を行なったということに対して、諮問委員会というのは全然役に立たぬではないかという意見が強く現地住民の中から台頭してまいっておる現状等もあるわけであります。私は、そういう意味で、むしろこれらの問題に対しては、政府が評価するということよりも、直接の沖繩の住民がまさに諮問委員会を高く評価するという立場で運営されることがより重大ではないか、より大切ではないかと、こういうふうに考えるのであります。そういう意味において、将来さらに諮問委員会の運営あるいは勧告のあり方等については、政府も十分沖繩の住民の意思をくんで、そうしてさらに積極的に御努力をしていただかなければならぬ、こう考えておるわけであります。そこで、諮問委員会の今日までの経過の中で現実に自治権が拡大されたというような具体的な問題があり、自治権の拡大につながったような具体的な問題があるか、具体的にあれば、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
#10
○国務大臣(床次徳二君) お答え申し上げます。
 諮問委員会自体につきまして先ほど御意見がありましたが、たとえばB52の問題、原潜の問題等取り扱うことが不十分ではないかというお話がありましたが、しかし、これは外交ルートにおきましてわれわれ本土政府側としてアメリカに交渉いたしておるわけでございまして、住民の意向というものは、本土政府によりまして十分アメリカに理解さしておるわけであります。私どもは、やはりこの点は諮問委員会を通じないからいけないのだというよりも、諮問委員会をそのために軽く評価すべきではないと思っておるのであります。お手元に、諮問委員会が答申されました件数がございますが、この勧告が実施されるということは、とりもなおさず、本土と沖繩と同じベースの状態になり得るということでありますので、私はやはり地元の住民の方も漸次この実質につきまして評価ができるものと思っておるわけでございます。
 なお、自治権の拡大等の問題は、高等弁務官の権限にありますものと、それから高等弁務官にないものとあるわけでございます。すでにたとえば主席の公選のごときもの、その他布令布告の改廃というもの等も、日米の合意以後、漸次行なわれておるわけであります。この点は、私は相当地元の住民のために改善を見ておると思うのであります。なお、自治権の拡大につきましては、かなり多数のいわゆる布令布告の改廃という問題がありまして、これに対しまして高等弁務官が取り扱いましたもの等につきましては、民立法の成立を条件として廃止し得ると発表したのが二十九の布告布令になります。なお、そのうち未廃止のもの十四についてでも、できるだけすみやかに琉球政府が必要と認めるところの民立法化の措置をとることを期待しておるような状態でありまして、この点はかなり自治権の拡大に役立っておると思うのであります。
#11
○達田龍彦君 そうしますと、そういう自治権の拡大につながっておるような問題が諮問委員会で取り上げられ、それが一つずつ実行されてまいりまして、言うなれば行政水準の一体化、あるいはその他経済の一体化というものが漸次進められておるということに一応評価できるのではないかと思うんでありますけれども、そのことは、反面、とらえ方によっては、施政権の一部ずつの返還、あるいは段階的解消という姿を持っておるのではないかと私は考えるのであります。政府は、そういう状態に対して、私がいま申し上げたような施政権の一部の返還であり、あるいは段階的な解消に、ある一面見ていくと、つながってるという解釈が立つわけでありますけれども、そういう評価をされておるのかどうか。
#12
○国務大臣(床次徳二君) すなわち、一体化ということにつきましては、復帰の際の摩擦をなくすということであります。この点は格差をなくして同じレベルに持っていくと、制度的にも、また現実の経済生活あるいは県民生活そのものにつきましても、一体化するということでありまして、お説のとおりの見方から見ますと、その分はもう本土に復帰しているという状態だとも言えるわけであります。したがって、私どもは高く評価してよろしいと。あとは、施政権そのものによりまして、法律的な裏づけによりまして、復帰いたしますれば、名実ともに復帰ができたということになると私ども考えておるわけであります。
#13
○達田龍彦君 まあ、具体的に見てまいりますと、施政権の一部返還ないしは段階的解消といってまいりましても、高等弁務官がこれを認める、認めないによって問題がきまる。ここに施政権をアメリカが持っておる、持ってないという根本があるわけでありますね。したがって、沖繩の復帰というものがきまってまいりますと、それがストレートで日本が決定できるというかっこうになってまいるわけでありますけれども、問題は、ここら辺で一番問題になるのは、やはり軍事面と行政面のかね合いの問題がやはり一番問題であろうと思うんであります。高等弁務官がこの権限を行使する場合について、軍事面の問題についてはきわめてきびしく「ノー」の立場をとって絶対権限として行政権を執行いたしておるわけでありますけれども、私は、将来の日米琉諮問委員会の扱う事案あるいは運営については、司令官の軍事面に対する権限というものに対して、私たちは、沖繩住民の教育、文化、福祉、こういう面から、そういう面を中心にして、軍事面の問題についてはこれを極力そういう面からの取り上げによって制約を加えていくという姿勢がない限り、日米琉諮問委員会の果たす役割りというのは、沖繩住民に対しては非常に大きな不満を与え、そうして、その役割りがないではないかという意見を持たせる結果になってくるのではないかと思うのであります。今日諮問委員会が幾つかの問題に対して勧告を行ない、琉球政府と日本政府によって立法措置あるいは行政措置がとられてまいった内容というものは、それらの軍事面を避けた問題に対しての
 一致を見た問題に対する実施でありまして、私は、そういう状態では、将来の真の意味での沖繩の復帰に備える行政面のズレ、あるいは経済面のズレ、あるいは一体化を促進するための方向としては、だんだん不満が多くなり問題の解決が少なくなるという結果になるのではないかと思うのであります。そういう意味で、日本政府も沖繩の住民の気持ちを気持ちとして沖繩の行政面における水準を上げるということは、とりもなおさず、軍事面を制約して、そして教育、文化、福祉等の問題を前面に出して問題を解決するという姿勢がない限り、だんだん問題は解決がしにくくなるという私は観点に立っておるわけでありますので、この私の考えに対して、政府は将来のこの日米琉諮問委員会に対する姿勢としてどういうふうに進めようとされておるのかお考えを承っておきたいと思うのであります。
#14
○国務大臣(床次徳二君) 日米琉諮問委員会の将来の姿でありますが、私どもは、これは復帰までの暫定的なものであると考えておるわけであります。承御知のごとく、現在愛知外相がアメリカと交渉しておりますが、この秋には総理が直接交渉されるわけであります。これによりまして復帰のめどがつくわけであります。したがって、復帰のめどがつきました際におきましては、本土に復帰が実現の際におきましては、全面的に施政権が日本に返るわけであります。私は、このことが県民にとりまして非常に大きな福祉というか、絶対的なと申しましてもいいことであると考えておるのであります。その施政権の復帰が円満にでき、また復帰の際におきまして問題のないようにするということが今日までの諮問委員会の役割りである。したがって、これは暫定的なものでありまして、私どもは、復帰のめどが具体的につきました際におきましては、むしろ今後受け入れ態勢をどうするか、本土への受け入れ態勢に対してより重点が入るのではないかと思っております。もちろん、軍事基地の問題、これは沖繩の現状から申しまして、非常に大きな県民に対する生活の圧迫になっておる、重圧が加わっておるということも、これは当然了承しておるわけであります。できるだけ県民の福祉の立場から見ましてこの点を検討すべきことはもちろんでございます。この点、日米間におきましても、復帰問題と同時に、「基地の態様」ということばによってあらわされておりまするが、今後どう処置するかということ等は、やはり同じく日米の交渉になるわけであります。したがって、高等弁務官自体を相手にいたしまして基本的な軍事の問題に対して論ずるということはむしろ適切でない。高等弁務官が持っておりまする権限の範囲内の問題を諮問委員会におきまして極力改善をいたすというのが諮問委員会の今日のあり方でございます。本質的に申しますならば、やはり日米の間において沖繩の軍事問題は解決せられるべきものである。これまた、私は復帰とあわせて大事な問題だと考えております。
#15
○達田龍彦君 諮問委員会の権限あるいは運営あるいは性格等については、まだいろいろ私は今日問題があると考えておりますけれども、時間の関係もございますから、先に進んで質問を続けてみたいと考えるのであります。
 それで、若干観点を変えてまいりますけれども、この諮問委員会の運営の問題について一言、二言お尋ねをしておきたいと思うのでありますけれども、この運営をはかる場合において、当然この諮問委員会に出てまいります議題は琉球政府の持ち込む議題が非常に多いのではないかと私は思うのであります。その場合に、琉球政府が諮問委員会に持ち込む議題を諮問委員会の議案として決定するということは、もちろん諮問委員会は三者構成でございますから、三者の構成の中で意見の一致を見て諮問委員会で取り上げるということになると思うのであります。過去、この諮問委員会の運営の中で、琉球政府が持ち込んだいわゆる議案にしたいという問題に対して、三者の一致した意見が求められないで議案にならなかったという例があるのかないのか。あるとすれば、具体的にはどういう問題がならなかったのか、お尋ねをしておきたいと思うのであります。
#16
○国務大臣(床次徳二君) 諮問委員会の議題のあり方でありまするが、実際問題から申しますると、琉球政府代表と本土政府の代表とがよく話し合いましてそうして出したものですから、出したものがものにならなかったということは現実において非常に少なかった。大体両者が話し合って見込みのあるものを出しておりますので、円満に処理ができておるものと考えておるわけであります。たとえば、御意見のように、地元で提案してこれはものにならなかったという議題は、実は議題としては私はないと思う。ただ、御指摘のありましたように、B52の問題、原潜の問題などというものは、地元側としては取り上げたいという気持ちは持っておったと思うのでありまするが、議題としてこれを正式に三者において懇談するということはなかった。ただ、こういうことを議題としたいという要望は主席から弁務官に申し入ればあったと私ども考えております。
#17
○達田龍彦君 そうしますと、いま長官の御説明にもありましたように、大体琉球政府と日本政府は事前に話を一致させて議案とするかどうかをきめていくと、こういう話であります。その場合に、もちろん一番問題になるのはアメリカの民政府の立場であろうと思うんでありますけれども、いままで日本とそれから琉球政府で一致した問題で、民政府の反対で議題にならなかった問題があるのじゃないか。どうですか。
#18
○国務大臣(床次徳二君) 本土政府、琉球政府代表が持ち出しまして、そうして議題とならなかったもの、具体的には私いまここでもって存じておりませんが、いわゆる正式な会議とするかしないかということで検討中という議題はあると思います。
#19
○達田龍彦君 それからもう一点は、今回問題になっておりますところの例の原潜の問題あるいはB52の撤去の問題に対して、琉球政府は強くこれを諮問委員会の議題として取り上げ何らかの方途を講じてもらいたいという強い意思があったのでありますけれども、その場合に日本政府としてはこれに対してどういう立場をおとりになったのか、お尋ねしておきたいと思います。
#20
○国務大臣(床次徳二君) B52、原潜の問題に対しましては、これは本土政府も非常な関心を持っておるのでありまして、諮問委員会で取り上げておりませんが本土政府自体が、アメリカに対しまして、地元の意見というものを十分に申し添えまして、B52によるところの住民の不安を増さないようにという趣旨において、数回にわたって申し入れを行なっておるわけでございます。これは外交ルートにおいて申し入れております。なお、原潜の調査の問題につきましては、従来アメリカでもって行なっておりましたところの調査に対しまして、やはり地元の参加がなければ不安解消にはならないという気持ちが明らかでありましたので、本土政府といたしましても、この原潜の汚染調査等に対しましては、技術協力という立場に立って協力するということを申し入れて、今日調査団を派遣いたしましてすでに帰ってまいった次第であります。今後いかなる方法でもってこれに協力するかということに対しまして、具体的に米側におきましても検討いたしておる次第であります。これは諮問委員会自体としては議題となりませんでしたけれども、しかし、諮問委員会の元来の事項でございませんので、本土政府におきましてアメリカと直接折衝いたしました結果、さように解決し進行しておる次第であります。
#21
○達田龍彦君 これらの問題が元来諮問委員会の諮問事項ではないという解釈論議にも、私は相当解釈の問題があると思うのであります。先ほど私が何回か申し上げているように、民生行政の安定をはかるためには、沖繩における軍事面の問題が非常に大きな問題をウエートとして持っておるわけでありますから、これを抜きにした民生行政の安定ということは、まずもって沖繩の場合には私は考えられぬと思うのであります。したがって、諮問委員会の果たす役割りが行政面を中心にするということであってみても、沖繩における軍事面の及ぼす影響が大きいだけに、この問題に触れないで民生行政の安定はないし、一体化の方向というものもきわめて不完全なものにならざるを得ないと私は考えるのであります。そういう意味で、原潜あるいはB52の問題にいたしましても、やはり諮問委員会の権限あるいは運営から考えてまいりましても、やはり現地の直接のそういう住民の声を取り上げて、そうして諮問委員会として高等弁務官に対してぜひ撤去してほしい、あるいは汚染度の調査について協力してほしいということは、その機関を通じてアメリカ政府に住民の意思として、住民の強い気持ちとして取り上げていくということが当然私はなされなければならぬ、こう思うんであります。そういう姿勢があって初めて日米琉諮問委員会に対する住民の協力も得られると思う。また、住民もその諮問委員会に対して大きな期待を持っていくと思うのであります。そうして盛り上がる気持ちの中から自治権の拡大が進められ、一体化の水準が高められるという姿勢があって初めて私は一体化は住民のための一体化となると思うのであります。もちろん、軍事面の問題あるいは基本的な外交政策の問題について外交ルートで問題を解決することもその一つでありますけれども、それだけにたよるんではなくて、諮問委員会の中で沖繩の場合についてはそういう問題を取り上げてやっていくということが当然あってしかるべきであるし、そういう方向をとらなければならぬと私は思うのでありますが、この点が一つと、もう一つは、そういう立場に立った場合における日本政府の態度であります。私は、いまの長官のお話によりまして非常に残念に思うことは、そういう問題は諮問委員会の性格として、権限として取り上ぐべきではないという態度を日本政府がとることそれ自体に非常に私は問題があると思うのであります。それは、日本政府はむしろ日本国民であるところの沖繩の住民の意思を尊重して、そういう立場から沖繩の住民の問題を日本の問題としてアメリカに要求をする、あるいは勧告の中に取り入れてこれを是正させるという姿勢があってしかるべきだと思うのであります。したがって、諮問委員会のそういう内容についてこれを取り上げるような日本政府の立場があって私はしかるべきであると思うんでありますけれども、それに対して先ほど長官が言われたような姿勢は、まことにもって私は非常に不満でありまして、そういう点についてさらに十分なる御説明をいただきたいと思います。
#22
○国務大臣(床次徳二君) 本来、諮問委員会を置きます際におきまして、日本とアメリカと話し合いをいたしまして、その合意に基づまして諮問委員会を置いたのでありまして、しかも、その置きました際におきましては、先ほど申し上げましたように、復帰の際におけるところの摩擦を最小限にして円滑な復帰を実現する、格差を是正するということが目的であったわけであります。その範囲が社会福祉の増進あるいは経済等の問題に限るということで、日本とアメリカとそういう合意をいたしまして置いた形になっておるのでありまして、本土政府の姿勢から申しますると、諮問委員会で果たすべき職責と、本土政府みずから立ち上がってアメリカと折衝すべきことと、おのずから明らかに分かれておったわけであります。したがって、いまのB52あるいはその他の問題は、これは当然本土政府が地元の立場、県民の立場を十分反映してアメリカと折衝しておる。実際そういうふうに努力いたしまして結論が出ております。したがって、諮問委員会は諮問委員会として設置の目的に従って行なっておればよろしい。また、その仕事も相当たくさん残されておると思うのでありまして、御意見のごとく、住民の福祉の関係が軍事とも関係がまことにあるじゃないか、その点はさようでございますけれども、元来諮問委員会の目的がさような設置目的でございますので、むしろ諮問委員会を通ぜずして本土政府でやるほうがより適切であるし、また、これが私は今日の場合正しい道であると考えておるのであります。
 なお、原潜等の問題につきましては、数回の折衝があり、私も高等弁務官に会いました際におきましてこの点に触れたのでありまするが、今日におきましては、さきに申し上げましたように、本土政府からも技術者を派遣いたしまして、そして地元側で行ないまするところの調査、これは米側ですでに認めておるのでありますが、その地元で行ないまするところの調査に対して本土から援助をするということになっておるのでありまして、一応この点は解決いたしておると思うのであります。
#23
○達田龍彦君 この諮問委員会の評価と運営の問題あるいはどこまで諮問委員会が権限を持って勧告を行なうかということについては、私の考えと長官の考えでは、いろいろ論議してみてもこれは一致をいたさないようであります。したがって、時間の関係もありますから、ここで論議することを差し控え、いずれまた機会をとらえて一体化の問題と沖繩の施政権復帰の問題とを含めて論議をしていきたいと考えておるのであります。
 そこで、時間が非常にないわけでありますけれども、具体的に法案の内容について若干触れまして私の質問を終わりたいと思います。
 それは、今回この暫定措置法が提案をされておりますけれども、この「免許試験及び免許資格」でありますけれども、たいへん多種多様、多岐にわたっておるわけでありますが、今回取り上げられた何項目かがあるわけでありますが、取り上げられなかった問題にはどういう問題点があって取り上げられなかったのか。抽象的には提案理由の中で説明がされておりますけれども、抽象的な説明ではなかなか理解できませんので、内容的にどういうふうにあってこれが今回取り上げられないような結果になったのか、それをまずお伺いしておきたいと思うのであります。
#24
○国務大臣(床次徳二君) この法案の中において取り上げなかったもの――大きなものは医師と弁護士が代表的なものであると思うのであります。これは、地元におきまするところの医師の養成と申しまするか、これが従来なかったのでありまして、医師自体はほとんど本土において勉強しておるという立場からここになかったのと、なお、弁護士等におきましては、地元の弁護士の試験その他の資格と本土の資格と相当差があるわけでありまして、今度の一体化によって地元の弁護士をそのまま本土の弁護士と同じ資格にいたしますと、復帰いたしました後におきましていろいろ混乱が生ずる。沖繩の人がそのまま本土におきまして開業ができるということになりますことに対していろいろと問題があったわけでありまして、したがって、この点は今回の対象にせずに、しばらくその暫定的な措置方法等につきましては検討いたしたいという立場で臨んでおるわけでありまして、あとさらに詳しく御説明申し上げたいと思いますが、その他の問題につきましては大体本土と同じレベルの者、また、本土が試験を地元において執行いたしまして、そうして必要な資格を与えるという形にしてあるのでありまして、したがって、この法律によりましてそれぞれの資格を持つことになりますると、復帰いたしました際におきまして直ちに地元でもってそれぞれ仕事ができると同時に、本土法が全部沖繩に及びまするから、本土法によって本土の資格を得た者がそのまま活動できるということになるわけでありまして、したがって、復帰の際の摩擦が避け得るということでありまして、あらゆるいわゆる法律的に認められましたものの資格というものをこれで処理していきたいと思っております。若干残っておりますものにつきましては、政府委員からお答えいたします。
#25
○政府委員(加藤泰守君) 基本的には、いま長官が触れられたとおりでございます。大体、措置をとらなかったものを分類してみますと、一つは、本土には制度があるけれども沖繩には現在制度がない、したがって、試験を実施するかしないかという問題は別にいたしまして、向こうの資格をこちらに通用させるような方法をとる必要がないというのでございます。たとえば不動産鑑定士とか、あるいは海事代理士とか通訳案内業とか消防設備士、そういうようなものは大体これに当たると思います。次に、資格そのものが他の場所では通用しないようなものもございます。水先案内人がその例と言えるだろうと思います。これは港湾ごとに免許が与えられるという形になっておりますので、あるところで免許をもらいましてもほかの港湾では通用しないというようなことになろうかと思います。したがって、こういうものも今回の措置では提案をする範囲でない、こういうことになるわけです。それからもう一つ、これは一番重要なことでございますが、また長官が触れられたことでもございますが、受験資格とかその他に非常に差がある、それでこのまま向こうの資格者をこちらの有資格者とするのに問題があるというものでございます。弁護士の問題について長官が触れられましたように、弁護士資格については相当な差がございます。したがって、この点をどういうふうにするかということはわれわれとしても非常に頭を悩ましているところでございますが、目下、法務省、それから裁判所、それから日弁連等で検討していただいております。このところで具体的な結論が出ますれば、できましたらこの法律の一部改正なりをいたしてしかるべき措置をとりたい、そういうふうに考えておるわけでござます。
#26
○達田龍彦君 私も、これは具体的にいろいろ調べてみればまだ問題があるのではないかと思いますが、そういう具体的に問題をまだつかんでおりませんので、実は論議を深めることが非常にむずかしいのでありますけれども、いま長官からも参事官からもお話があったように、受験資格に差がある。これは私は非常に問題が多い内容であろうと思うのであります。それは、まずやっぱりやらなければならぬことは、試験の水準を高めるための措置を十分とっていかなければならぬと思います。たとえば、いろいろ養成機関の問題だとか、研究機関の問題だとか、学校の問題だとか、そういう施設がまず十分でないためにこの試験が受けさせられない、こういうことになっておると思います。これは予算の問題が伴いますし、同時に、琉球政府の行政措置がこれに一体化されていかないと、日本の政府もまたそれに援助をするという措置をとらなければ、これは私は一気に解決することは困難だと思うのであります。しかし、そういう問題を早目に日本政府の援助によって琉球政府もそれにこたえて早急に完全な施設をつくっていくということは、今日私は必要ではないかと思うのであります。でありますから、これらのものの水準を高めるための援助、こういう問題について具体的にどういう御計画を持って進められようとしておるのか、また、どういう進め方をされておるのか、ひとつ御説明をいただいておきたいと思います。
#27
○国務大臣(床次徳二君) 元来、沖繩におきましては本土と経済的にかなり力に差がありますし、行政力にも差があるし、また制度におきましても充実を欠いておった、普及度が非常に少なかったと思われるのであります。したがって、いわゆる一体化対策として昨年閣議決定いたしましたけれども、いわゆる社会制度そのものを同じ制度にするばかりでなしに、制度を実施いたします生活そのもの自体を本土と同じレベルに持ってくる。経済生活なり国民生活を同じようにするように財政的の援助をはかるということに一体化の目標を持っておりまして、この点は自治行政の行財政の問題につきましても、また、産業基盤の育成という問題にいたしましても、一般諸制度につきましても、一般的にそれを考えていきたい。少なくとも三年間には本土と同じようにするというのを目標にして実施いたしておるのでありまして、本年度の予算におきましては、二百二十七億の援助予算を計上いたしておりますが、これは実質的にやはり本土と同じような制度を実施できるように、なお、生活程度が本土と格差のなくなるようにという意味におきまして着手いたしました第一年度であります。引き続き第二年次、第三年次と、現地の緊急の度に応じましてその一体化政策を遂行してまいりたいと思うのでございます。単に資格を標準にするというばかりではなしに、現実の生活、県民生活並びに経済状態そのものを本土と同じようなレベルに上げるように努力いたしたい、これが復帰までの私どもの目標であります。なお、復帰いたしました後におきましても、御承知のごとく、単に一体化するばかりではなしに、現地の経済力というものも、長い間本土から離れておりましたので、蓄積資本等もだいぶ欠けております。また、産業の振興等も相当基本的に立ちおくれておりますので、これを改善するための振興計画と申しますか、を立てまして、そうして基地経済偏重のものを、一般平和産業といいますか、それをひとつ確立いたしたい。さような見当でもって本土との一体化に努力する。さらに、今後は振興計画というものでもって名実ともに本土との一体化をはかってまいりたいと思っております。
#28
○達田龍彦君 それで、もう一つちょっと心配になりますのは、そういう資格を与えてまいりますと、これは本土とある意味で一体化されるわけでありますか、各資格者の――ことばは適切でないかもしれませんが――需給関係が沖繩でとうなってくるのかということが心配になるのであります。いま長官も御指摘がありましたように、沖繩の持つ背景というものが、行政水準の問題にしても、あるいは経済水準あるいは生活水準、文化水準においても、非常に本土と大きな格差がある。低い。こういう今日の状態における資格者の需給というものが一応バランスがとれておったのではないかと思うのであります、沖繩では。ところが、そういう本土との大きな格差がある中において、資格、免許の試験等についての水準を本土と一体化される状態で持ち込んだ場合に、これらの人々の需給関係というものが、たとえばある商売によってはきわめて強い過当競争が行なわれる問題が出てくる。あるいは、場合によっては、沖繩では商売にならないからこっちに全部出てくるとか、いろいろそういう流動関係というものが私は出てくるのではないかと思っております。それらの問題について現実にどうなっておるかという、そういう資料を総理府ではお持ちであろうと思いますけれども、そういう資料を私持ちませんけれども、そういうこともひとつ心配であります。そういう点について今日どういう現状にあって将来どういう見通しを持っておるか、試験をしてそうして認めたけれども、結果としてそういう問題が起こるということになりますと、やっぱり混乱が起こってまいりますから、それらの問題についてどういう見通しをお持ちなのか、これはひとつ、計数的な根拠があれば、こういう根拠があるからこうなるのだという、感じではなく、ひとつ御説明をいただきたいと思うのであります。
#29
○国務大臣(床次徳二君) これに関係いたします資格者の数等は調べてありますので御説明いたしたいと思いますが、一般的に申しまして、私どもが今後一番懸念いたしておりますことは、医者が少ないということであります。正式の資格を持ちました医者が非常に少ない。しかも、わずかの医者が那覇に集中しておるということであります。これは本土のいわゆる過疎の地帯と同じ状態、特に離島等もありますので、この現象がはなはだしいというわけであります。私どもから申しますると、将来社会保障制度を実施いたします際におきましても、いまの医療職員また保健関係の職員の数では十分な社会保障制度の実施がおくれるんじゃないか、これを懸念しておるのでありまして、できるだけ早く社会保障関係の、特に医療保障関係の職員の充実をいたしたい、かように考えております。したがって、現在地元においては医師が少ないのでありますが、本土と一体化したために本土から大ぜい出かけていって地元を荒らすという心配もあるかと思いますが、なかなか沖繩に行き手がないので実は困っておるような状態で、医者に関しましては、名実ともにできるだけすみやかに不足を補ってまいりたい。なお、保健関係職員につきましても同様に考えられますので、今日、琉球大学に対しまして保健学部の設置をいたしまして、まず学校を設置し養成の手始めを第一着手にいたしたのでありますが、これは将来の社会保障の制度の一体化のために備えたものでございます。その他各種の職員等におきましても、地元の割合が本土の数と比べて大きいものもありますが、しかし、同じ資格を持ちました以上、今後本土に参りまして開業いたすことになるのでありますが、これは自由であります。むしろ、本土の者が向こうへ行って地元の既得権を侵すという懸念があるかと思いますが、いまの状態におきましてはさような職業はない、十分地元は地元として技術的に競争できるんじゃないかと思っております。むしろ私どもが懸念しておりますることは経済的の問題。現在地元におきまするところの関税的な措置によりまして、本土との制度の異なりますことによりまして、繁栄と申しますか、存続しておる産業が、一体化になりまして影響を受けるんじゃないか、この点は私ども非常に懸念しておるのであります。この対策はひとつ具体的に緻密に講じてまいりたいと思うのであります。御存じのごとく、製糖業、これは甘味資源特別措置法がありますので、砂糖は復帰後におきましてもそうたいした影響はないと思っております。それから次の産業として指摘すべきものはパイナップルかん詰め業でありますが、これはいわゆる自由化の波によりまして自由化がひどく行なわれますと、影響を受けやすい。しかし、今日のところにおきましては、外割り制度を実施してこれを押えておりますので、どうやら維持しておりますが、将来の自由化の波に対しましてやはりある程度まで守らなければならないと考えております。その他、今日現地におきましては、特殊の物品税と申しますか、島内産品でできるだけ自給自足させる意味におきまして物品税という課税をいたしております。わきから申しますと輸入税に当たるものかと思います。そのために本土からの物資の輸入に対して保護されておる形になっておりますが、一体化になりまするとこの問題を措置しなければならないわけでありまして、私どもも、復帰の際における暫定措置といたしましてこれをいまから検討してまいりたい。なお、本質的に申しますると、ドルの問題、通貨がドルで、一体化になります際におきましてこれを円にどういう形で切りかえるかという問題もあると思います。私どもは、単なる資格制度という意味でなしに、現実の県民生活を考えました際におけるところの復帰の摩擦を少なくするという立場に立って、これから具体的に措置を検討してまいりたいと思っております。
#30
○政府委員(加藤泰守君) いま長官が話されましたとおりでございますが、本土の有資格者は沖繩においては大体そのまま認めるような制度になっております。したがって、こっちから向こうへ行って向こうの業界が混乱を起こすということは、長官がいま触れられたように、ほとんどないだろうというふうに推定しておりますが、ただ、逆に向こうから有資格者がこちらへ来るという問題は、やはり長官がいま触れられたとおり、多少問題のあることもあろうかと思いますが、しかし、この問題は、やはり復帰に伴いまして自分の営んでいる仕事が一体復帰したあと認められるのかどうか、そういうような住民の不安をどうやって解消するかという問題が先だろうと思います。したがって、それに伴いまして、もし沖繩の方々が本土に来られてしまうということからくる沖繩の需給関係が問題になるとすれば、それは別の手当てで十分考えて措置すべきであろうというふうには考えているわけでございますが、具体的にどの程度の数字になるのかという点は、必ずしもはっきりつかんでいるわけではございませんが、大体の数を申し上げますと、弁護士あるいは判検事の資格を有する者等は現在二百八名ぐらいでございます。それから、法務省関係の土地家屋調査士は、登録している者が約二百名、未登録の者が百名くらいいる。だから、合計三百名くらいであろうと思います。公認会計士は約二十名でございます。ほかに外国公認会計士というのが二名おります。これは今回の対象になっておりませんので、二十名でございます。税理士の資格を有する者は七十二名おります。それから、計理士が八名くらいおります。あと、厚生省関係の栄養士とか調理師とか理容師とか、そういうものをひっくるめますと、全体で八千九百名くらいになる。通産関係の電気工事士の免許とか、あるいは液化ガスの関係の作業主任者の資格とか、あるいは火薬類の販売主任者の資格等関係者が約二千八百名程度いるかと思います。郵政関係の無線従事者は二千三百八十名といわれております。それから、船員関係では二千九百七十五名という数字がありますが、あと、建築士、測量士等建設関係が五百名くらい。それから行政書士関係が四百四十六人。ただし、行政書士会に入っている者が二百三十一名となっております。危険物取扱主任四百八十人。以上、ややラフな数字でございますが、全体で一万八千九百名くらいであろうということでございます。このほか、長官が触れられた医師関係――お医者さんですが、これが四百十一名、歯医者さんが百十五名等でございます。−先ほどの数字には弁護士は入っておりません。大体、沖繩の有資格者はそういうことでございます。これらの方の本土復帰の際における資格をこの法律で明確にしてあげたいということでございます。
#31
○達田龍彦君 時間がございませんからこれで最後にしたいと思うのですが、いま御説明がありましたけれども、こういう有資格者の需給関係が将来相当アンバランスが出てまいるのではないかという気がしてならない。もちろん、これは本土の場合だって過疎・過密の関係から、離島僻地の場合における医者の確保ということは、離島の行政としてはたいへん重要な問題、深刻な問題になっておりますね。そういう関係で、ひとり沖繩だけの問題ではなくなるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、特殊な条件下にある沖繩の現状でございますから、もちろん、資格者の不安定な状態を解消してやるということが中心的なるねらいであるにしても、住民の置かれている福祉行政の立場から考えて、あるいは民生行政の立場から考えても、やはり沖繩にそういう有資格者の人々が適当な数だけいつも確保されておるというこういう配慮は、当然していかなければならぬ行政措置ではないかと私は思うのであります。いま参事官の話では、別途手当てをし措置をするという話でありますけれども、私は、いままでの沖繩の住民感情として、軍政府の中に非常に大きな権利を制限をされて非常に苦しい生活をしておる島民の気持ちとしては、この際という気持ちにもなりかねませんから、特別な配慮をして、これらの問題については早急な措置をしてもらわなければならぬ。私は、できればこの暫定措置法の裏打ちとして、同時に特別な措置をする施策を出さなければならないのではないかと思うのでありますけれども、その特別な措置というのは一体どういうことを意味されておるのか、その計画と将来の見通しをひとつお伺いをして質問を終わりたいと思います。
#32
○国務大臣(床次徳二君) 特に考慮いたさなければなりませんのは、私は、やはり社会保障の関係、医師だと思うのであります。医師、保健関係者に対しまして特別な措置をいたしたい。従来からも学費、奨学金等を提供してずいぶん養成しておるのでありまするが、資格を取りますると本土でもって就職いたしまして、現地に帰らない。こういう欠点があったのであります。これは本土のいわゆる過疎地帯と同じであり、しかも、離島の多い現地でありますので、よけいその差が多かったと思います。今後におきましては、やはり離島、僻地でありましても、そういう必要な職員が定着できるように、やはり身分上と申しますか、経済的な特別な配慮が必要である。まず養成機関等から考えまして今日手をつけておるのでありますが、さような措置をいたしたいと思うのであります。
 その他の職業等につきましては、むしろ、どちらかと申しますると、沖繩で教育を受けてそうして本土で働くという、活動しておる人が従来から非常に多いのでありまするが、しかし、現地が経済力がないために必要な養成機関がなかったという点もいろいろあったと思います。こういう点に対しましては、学校施設その他に関しまして、いわゆる一体化政策によりまして相当補助を強化いたしまして、そうして養成等につとめております。
 なお、勤労者等の技能養成等に対しましても、本年度におきましてそういう機関も設置しておるようなわけであります。できるだけ本土と同じレベルでもって県民が復帰を迎えることのできるだけの準備はできるだけ早くいたしたい。かようなつもりで今日計画をいたしておる次第であります。
#33
○大松博文君 ことしの二月、沖繩へ調査団として参りまして、そのとき、ランパート高等弁務官それからカーペンター民政官と会談しました際に、高等弁務官また民政官とも、日米琉諮問委員会の活躍を高く評価して、また、本土、沖繩一体化の実現のためにこの諮問委員会に対して支援を惜しまないという態度を表明されました。また、政府も三カ年計画を立て一体化推進に非常な苦心をされておるということはわかります。また、沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案、たいへんいいのでございますが、少しおそいというような気がするわけでございます。
 そうして次に二、三の質問をいたしたいと思いますが、このたびの本土の免許資格の措置に対応して、琉球政府において当然必要な処置が講じられなければなりませんが、琉球政府は対応処置としてどのような準備をされておりますか。また、「この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する」こととなっておりますが、この時点に対応して琉球政府の準備がどうなっているのでしょうか。おそらくこれは双方話し合っておることだろうと思いますが、念のためにお聞きしたいと思います。
#34
○国務大臣(床次徳二君) この法律は、復帰の際におけるところの摩擦を避ける、その瞬間において本土と一体化しておることが必要なわけでありまして、しかし、県民から申しますると、できるだけ不安がないことが望ましい。それで、諮問によりまして今回提案したようなわけであります。今回の提案によりまして、現在資格を持っておる人は、この法律によって、本土に復帰しても自由に使えるのだ、本土並みの資格が得られるのだということがわかりますので安心すると思いますので今日御審議を願っておるわけでございまして、これに漏れておりまするもの、数種類ありまするが、この点につきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、話し合いをいたしまして、できるだけすみやかにやはりその資格の結末をつけてまいりたいと思っておる次第であります。
 なお、これに対応するところの地元の措置でございますが、ことしこの法案が通りますると、施行後に行なわれます試験のうち、現地でもって施行する試験があります。そういうものは現地の協力を得なければならぬわけであります。それに対して必要な措置を講じてまいるわけでございます。
#35
○政府委員(加藤泰守君) ちょっと補足させていただきますが、この法律は本土においてとる措置が中心でございます。先ほどちょっと申し上げましたように、沖繩においては、実は本土の有資格者に対する措置というのは大部分現在とっております。そういう状態でございますので、これと対応するような形で、たとえば公認会計士についてはこうだというような、そういう対応するような形でこれを沖繩で立法しなければならないとは考えていないのであります。ただ、必要なものもございますので、琉球政府のほうで現在立案中であるというふうに聞いております。したがいまして、沖繩のほうでどういう案をつくっているのか、それはまだ私確認しておりませんけれども、沖繩のほうはこれを受けてもちろんうまく向こうに乗るように考えてくれていると思います。これは諮問委員会の勧告に基づいて当然琉球政府がとるべきものでございますので、そういう形になっているはずでございます。ただ、沖繩のほうでそういう措置をとらなくても、この法律自体はいつでも施行できるという関係になろうかというふうに思います。たとえば、中央の法律以外に都道府県で条例をつくるというようなことがなくても、法律自体は自主的に施行できるものであるというふうに考えるわけでございます。そういうことでございますので、この法律がもし御承認いただきますれば、できるだけ早く施行して、第三条に基づく国家試験を沖繩においてできるだけ早く実施するように配慮していきたいというふうに考えているわけでございまして、公布後六カ月というふうに一応しておりますけれども、実は公布の日から施行するというぐらいな気持ちでいるわけでございます。
#36
○大松博文君 この免許試験を沖繩で実施する場合に、その事務を管理する行政庁は、試験の要領その他必要な事項を内閣総理大臣を経由して琉球政府に通知することになっておるが、その広報業務等は沖繩ではどういうふうになっておるか。これは事前了承にはなっておるのだろうと思いますが、その要領だけでいいから御説明願いたいと思います。
#37
○国務大臣(床次徳二君) 直接の事務は総理府の沖繩にありますところの事務所でもって取り扱ってまいりますが、なお一般の周知公告等につきましては、本土の官報に当たります「公報」というものを琉球政府で出しております。これの紙面におきまして一般広報をしてもらう、協力を願うことになっております。
#38
○大松博文君 この日米琉諮問委員会勧告附則に示された七十六の免許資格に対する措置、この中で国の免許資格というのが四十三、それから一応県の免許資格、これに準ずるものが三十三、計七十六、そして一応国のほうでは沖繩の免許試験を認めるものが十二、それから沖繩で試験を実施するものが十八、それから今回措置のなかったものが二十というようになっておりますが、これが県のほうでは、今回措置しなかったものが十一。そのどちらとも措置しなかったものの中で、国のほうでは制度がないからというので十二、それから県のほうでは制度のないものということで五つということがございますが、私、これ制度があろうとなかろうと、一体化なり、沖繩のレベルアップ、平等化、そしてもう近々一体化になるというときには、こういう制度がないからというのではなくて、これをつくっていってそして本土と一体にしなければいけないのでございますが、この十二と五つというのは一体何があるのか、これをひとつ説明していただきたいと思います。
#39
○政府委員(加藤泰守君) 国の免許資格のうち十二が制度のないものということでございますが、その中には現在医療関係、医者の関係で申しますと、医者そのものはまあ現地にございますけれども、医学部が実は現地にないわけです。それで医学部の卒業生というものは実は本土の大学を卒業して帰る方ということになりますけれども、本土の大学では従来は国家試験がその一年後に行なわれるようになっておりましたのが、昨年の改正によりまして、卒業と同時に国家試験を受けられるようになっておるわけでございます。そういうことでございますので、そういう関係のものにつきましては、現在沖繩にそういう教育機関そのものがございませんので、そういうような関係のものは今回はずしていると、こういう趣旨でございます。
 それから水先人……
#40
○大松博文君 ちょっと待ってください。いま言われましたのは、これは対象となるものが何とか何とかという意味であって、その現在沖繩に制度のないものです。これ、ちょっと私調べましたんですが、現在の免許で制度のないものというのが農業の改良普及員、それから林業改良普及員、水産業改良普及員、消防設備士、社会保険労務士、この五つがあります。
 それからもう一つ、国のほうのやつでは、高等学校教員資格試験、これは武道、計算実務。それから管理栄養士、理学療法士、作業療法士、熱管理士、中小企業診断員、衛生管理者、海事代理士、通訳案内業、航空従事者技能証明、運航管理者技能検定、不動産鑑定士、専門技術員、これは農業。それから林業専門技術員、水産業専門技術員、農業改良研究員、歯科技工士ということになっていたように思うのですが、これは間違いございませんか。
#41
○政府委員(加藤泰守君) ちょっと資料の見間違いで違って申しわけございません。いま先生の仰せのとおりでございます。
#42
○大松博文君 そして、こういうものがありますが、沖繩にその制度がなくても現実には沖繩ではもう必要に迫られてやっているような状態だと思うのです。そして、このような事実を見るときに、こういう措置について事前に琉球政府と話しておるわけであるから、当然私は措置されるべきだと思うのです。これに対する御見解を伺いたい。
#43
○政府委員(加藤泰守君) 制度のないものにつきましては、もちろん今後制度をつくっていくという措置をとったほうがいいものもあろうかと思います。その点につきましては、われわれといたしましても、それまでに制度をつくってはっきりとした資格を与えた上で本土の資格のほうに結びつけていくような措置は当然考えていくべきだろうと思います。ただ、すべてについてそういうふうにしたほうがいいのかということは、個々の資格について十分検討した上で考えるべきだろうというふうに思うわけです。一応この十二と五つ、合計十七ございますけれども、このものにつきましては、われわれといたしましては、これから一体化を進める間に、必要ならば制度を設けて本土との間の資格の結びつきを考える。そのためにはもちろんこの法律の一部改正というようなことをまた将来お願いしなければならないこともあろうかと思いますが、制度のないもので、しかもそれと似たような仕事を現在沖繩でやっている場合はどうかという場合も別にあろうかと思います。その問題につきましては、この法律は、現在沖繩で資格を与えられている、そういう与えられている人に対してどういう措置をとるかということを考えた法律でありまして、先生の御指摘もそういう点についての御指摘であろうかと思いますが、その点につきましては、もちろん別の法律を十分考えて、場合によりますれば、一定期間の暫定措置として認めて、さらにそれについて何らかの、たとえば講習等をやってその資格を認めるかどうか、そういうようなことをこれから十分考えて、現地の実情をよく把握した上で、復帰までの措置において考えていきたい、そういうふうに思うわけでございます。
#44
○大松博文君 次に、この対象となる者が存在しないもの、医療関係。先ほど長官が言われましたように、これは私もこの二月向こうへ参りましたときに、この医療関係というのは、これは事人命に関し非常に重要なことだ。沖繩へ参りますと、これは離島が六十八とか言っておりますが、そのうち人の住んでいるのが三分の一――二十八という程度らしいのでございますが、しかし、これは非常に地理的にも日本以上の過疎である。そして、そういうところも非常に困っておるという実情を私いろいろ聞きまして、これも今後一体化となるということをいろいろ勘案しますと、存在しないものであるということからこれを除外しているということは、私はちょっとこれじゃいけないのじゃなかろうかという気がするのでございますが、現在沖繩では人口が大体九十八万強だという、こういうことからしまして、先ほど申しておりましたが、医師の数が四百四十七名ですか、そして本土の同規模の人口と比較した場合にも、大体これは二分の一程度。そして、先ほど言われておりましたが、歯医者にしても沖繩では百二十三名しかおらない。そうすると、二千百六十名に対して医者一人。そうすると、大体本土で平均しますと医者一人に対して八百九十五名、こういう状態だ。これは歯医者にしましても、歯医者一人に対して七千八百七十名だ。そうすると、本土は何ぼかというと、一人に対して二千七百四十七名。看護婦というのは、この間私新聞を見ましたところが、沖繩の看護婦養成所を出た方が就職できなくて困っているという話でありますが、実際調べてみると、看護婦さんというのは非常に少ない。そんなに多い数じゃなかったのでございますが、これも七百三十四名だ。そしてまた、ほかの、大体人口が九十八万程度というところを調べますと、看護婦さんというのは大体二千三百名から二千四百名おります。こういうことから言っても、看護婦というのは非常に少ない。そうすると、沖繩ではこの養成機関というのは二カ所あるそうでございますが、これでも私、今後足らないのじゃなかろうかと非常に心配しておるわけでございますが、ちょうど先ほど総務長官が言われましたように、医者が足らないからといって、国費留学生の状況を説明されましたが、私もこれを見て驚いたのでございますが、昭和二十八年には、これは医学のほうですが、留学者七人のうち帰ってきたのは五人だ。昭和二十九年が六人留学して帰ってきたのは四人。三十年が八人留学して帰ってきたのは五人。こういう状態になっていっておりまして、今度は三十六年くらいになりますと、二十四人留学して帰ってきたのは八人。三十七年になりますと、二十五人留学して帰ってきたのがたったの六人。三十八年になりますと、三十五人のうち帰ってきたのがたったの三人しかおりません。こういうように、出ていけは帰らずに――まあ、沖繩のほうは施設も悪い、いろいろな待遇それから環境というようなことも考えると、本土のほうに残ってしまって帰るのがいやだと。そうして、だんだん医学の国費留学生をふやしていっておるという状況です。このままにしておれば、幾ら出しておったところで、沖繩県に帰る方々がなくなってしまう。こういうことを考えると、ひとつここで何か措置を講じなければいけないのじゃなかろうかという気持ちを私持つわけですが、これに対してはどういう御意見でございましょうか。
#45
○国務大臣(床次徳二君) ただいま御意見のとおり、過去におきまして私どももこの点非常に心配しておったのですが、これの対策をどうするかという点でありますが、先年来、日本医師会長とも相談いたしまして、そうして、今日琉球大学の附属病院と申しますか、建設中であります新那覇病院というものを新設いたしまして、そうして本土の大学を卒業しました者がその新那覇病院に行きまして実地研修をする。そうしていろいろと将来の研究も続け得るような一つのセンターにして、そうして、教育は本土で受ける、しかし実習と研究は地元に帰ってできるという道を開いてまいりたい。したがって、今日新那覇病院の建設を非常に急いでおるわけで、これを基幹といたしまして、先ほど申し上げました保健関係職員を養成していく。保健学部は地元で事が足りますので、保健学部を置きまして、医療関係者をふやしてまいりたい。さような措置でもって、今後沖繩に必要な医療職員並びに関係保健職員というものの充実を期してまいりたい。看護婦の養成等におきましても同様であります。
 なお、その反面におきまして、過去におきましては医者が少なかったという問題につきましては、社会保障制度が実施されていなかったという点が大きな隘路で、医者側から申しますと、収入の確保が得られなかったゆえんである。これが本土と同じように社会保障制度が実施されますならば、医者並びに病院等の経営も非常に裏づけがはっきりしてまいります。したがって、かような病院の新設によるところの足どめ策、同時に本土と同一制度の実施等によりまして、相応じまして復帰ができるのじゃないかと思っております。しかし、何と申しましても、全体が離島、僻地というような状態でありますので、やはりその離島僻地対策という立場に立って特別な措置を今後いたしてまいりたいと思っております。何よりも一番住民が口にいたしておりますのは、医療保険がおくれておるという点が一番痛痒を感ずることでありますので、私どもも、社会保障制度特に医療保障制度を一日も早く実施できるように、今後重点を置きまして努力したいと考えております。
#46
○大松博文君 それと沖繩にもう一つ介補という制度がございます。そうしてこの介補というのは、現在沖繩におきまして五十七名おりますが、今後この制度をどういうようにしていかれるわけでございますか、一体化になりますと。現在、介補というのは、昔の軍隊時代の衛生兵だったというような方が、医者が非常に足りないというので、これに医者的行為をさせようということから認めたそうでございますが、こういうことで今後認めていくのじゃ、これじゃえらいことになってしまうなと私も思いましたが、こういう面でも、介補というのを、一つ何かの法案をつくってそうしてその中に入れる考えがございますか、ございませんか。
#47
○国務大臣(床次徳二君) 医者の不足に対しまして医介補というのが存在しておったのでございますが、これは先年暮れにおきまして制度的には廃止をいたしましたが、現実におきまして医介補の存在を暫定的に認めておる次第でございます。したがって、今後復帰の際におきまして急速にこれをなくすることができるかどうか、また、今後の医師の充実等のぐあいから見てなかなか容易なことではないかと思っておりますので、医介補に対する暫定措置というものは別途研究さしていただきたいと思います。今日関係方面と相談いたしておる次第であります。
#48
○大松博文君 それから次には、さっき達田さんが言われておりましたが、行政上の必要がないもの、これは水先案内、通関士というのがございます。これが今後――現在は施政権がアメリカにあるということからしてこのままになっておるのでございましょうが、これが今後一体化になったときには、すぐにこういうことが必要になってくるのじゃなかろうか。現在の那覇港というのは、現在は一級港とか二級港とかいう指定は受けておりません。しかし、今後一体化になったとぎには一級港とか二級港、こういう指定を受けることになれば、当然この通関士とか水先案内――パイロットというのが必要になる。そうすると、いまからこういうことをしておかなければいけないとともに、また向こうのこういう方が本土に来られてすぐにそういう仕事をやりたいということがある。そういうときに、一々こちらまで来なければ試験を受けられないということになると、非常に不都合だと思います。この際、こういうものも、私は、行政上の必要がないこととは言いながら、一体化になったときの必要があるのだから、だから当然私は入れるべきじゃなかろうかと思います。これに対する御意見をお伺いしたいと思います。
#49
○説明員(石原明君) 水先人についてお答えいたします。水先人には、それぞれ水先区についてその水先の事情を知っておるということが前提となって免許されるわけでございまして、試験も水先区の実情に即してやるというたてまえになっております。したがいまして、本土のほうには三十の水先がございますけれども、それぞれの水先の実情に習熟しておりませんと、試験を一体化しても、これにパスするということは困難であろうかと思います。そこで、沖繩のほうには、現在那覇港には水先が現にございまして、強制水先区となっておりまして、那覇港の状況によく通暁した人を水先人として免許しております。したがいまして、それぞれ事情がよくわかる人が出てきまして、そして水先を必要とする水先区に試験を受けたいという人が出てくるようなときには考える必要があるかと思いますが、現在のところはまだそういったような情勢になっておりません。今後そういった時期を待って検討していきたいと思います。
#50
○政府委員(加藤泰守君) 通関士につきましては、先生御指摘のように、本土におきまして通関士の設置義務が課せられておりますのは、京浜、名古屋、大阪、神戸、関門の五大港でございます。まあ那覇港が将来こういうものに匹敵するようなあれとして発展していくかどうかにつきましては、そういう点につきましては、もちろん沖繩の今後の振興策ともからみがございまして、われわれとしては、そういうふうに持っていけることが望ましいと思っておりますけれども、いま直ちにこの問題を試験を実施するという形で処理しなければならないかどうか、その点はもうちょっと考えるべきじゃなかろうかと、そこらあたりの振興策等とのからみで十分検討してしかるべきではないかというふうに思うわけでございます。
#51
○大松博文君 これは、そういうことをしてあげなければいけないのだから、そういうことを考えるとして、やはり私はやるべきだと思うのでございます。
 その次に、制度があるが試験がないもの救命艇手がございます。救命艇手というのは、これは日本でも何かこういう船員さんになれば一応救命艇手の資格はみな持っているという話を聞きましたが、やはり沖繩でもこの救命艇手というのは人命にかかわる大事な問題でございまして、またこういう仕事をしておる人を野放しにしておるというのが沖繩の現状ではなかろうか。こういうことでは一番いけないのであって、こういうものを、私どうしてもこれをこのままにしておかずに、ここで制度があるが試験がないというのじゃなくして、やはり試験をしてレベルアップして、そしてそれをはっきり認めるように私はしなければいけないと思います。制度があるが試験がないもので、そのまま除外したというところに、私はちょっと納得できないところがございます。
#52
○説明員(石原明君) 救命艇手につきましては、日本も、それから沖繩も、それぞれ制度がございまして、救命艇手になる適任証書がございますが、その交付を受けるためには、試験を受けてその能力があるというふうに認められた場合と、それから一定の資格をとりまして能力があるというふうに認定された場合と、二色ございます。そこで実態は、試験を受けて、そうしてその資格、能力があるというふうに認められるような方はほとんどないわけでございまして、沖繩のほうはちょっとわかりませんけれども、日本のほうの本土の側ですと、四十二年度に全体で千四百三十九人の申請がございまして、すべてこれは合格しておりますけれども、そのうちの一人だけが、試験を申請して、試験の結果と、こういうことでございまして、残りの千四百三十八人は、それぞれの資格があるということが、能力があるという認定を受けて、適任証書を交付している、こういうことでございます。そこで、今回どういうふうにしようかといろいろ検討いたしましたけれども、現在その認定をするのが大部分でございますけれども、その認定の基準に救命艇手規則というのがございまして、それの中の七条に、それぞれ、これこれの学校を卒業したとか、あるいはこういうような乗船の経験者というのがございまして、それに並びまして「その他前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者」はこういうことができるということになっております。したがいまして、法律上での措置はいたしておりませんけれども、運輸省令で同等の能力があるということが認められれば認定して適任証書を交付することが可能でございます。そこで、その方法によりまして今後それぞれ必要なものにつきましては処置をしていきたい、こう考えまして、今回の法律の改正には織り込まなかったという状況でございます。
#53
○大松博文君 次に、実績に乏しいもので自動車整備工というのがございます。これは、大体沖繩というのは電車もなければ汽軍もない、こういうところで自動車が交通機関の随一だ。こういうことで、戦後というものは本土よりももっと早く自動車というものが私は普及しておったのだろうと思いますが、あちらに行きましても、この前いろいろの人が言っているのは、沖繩の人は四倍の車の保有量を持っているのだということを言っておりましたが、十人に大体一人ぐらい車を持っている。そういうところで、いままでもやっておりましたが、ちょうど昨年自動車整備工の法令ができたというようなことからして、まで実績が乏しいとはいますが、それでは、あれほどまでに車が発展しておる中で、これが試験とれなければ、本土まで来なければ試験がとれぬということになると、これはあまりにも不都合だ。そうして、これは実績に乏しい以上に程度が低いとお考えになっているのかもわかりませんが、あれほどのいままでの実績からしますと、そんなに程度が低いと私はとうてい思えないわけでございます。事故にしましても、本土よりも沖繩のほうが少ないのじゃないかと思うぐらいです。こういうことからしますと、どうしても自動車整備工なんかは今回のこれに入れて、そうして試験をして資格者をたくさんつくってあげるべきだと思うのございますが、いかがでしょうか。
#54
○政府委員(加藤泰守君) 自動車整備士につきましては、先生御指摘のとおり、昨年制度ができたわけでございます。それで、昨年の十二月一日にあちらで検定試験を実施いたしております。これは琉球政府の試験でございますが、その場合に同一の問題で実施したわけでございます。これは本土と期日を同じうして実施したわけでございますが、その試験の実施結果等を十分しんしゃく検討してみたい、そういうふうに思って、この立案の段階では入れていないわけでございますが、その実施した試験の結果等を十分検討して、やはり本土の試験を沖繩に実施したほうがいいという結論になれば、もちろん第三条の第十七号の政令で指定することもできますので、そういうふうな方向で処理をしたいと考えております。ただ私、この試験結果について、はたしてどの程度のレベルであったのかよく承知しておりませんので、その点触れるわけにはいきませんけれども、もしレベルが低いということで、本土と同じような試験をしたんでは合格者が少なくて需要に満たないということになるとすれば、ちょっといまの第三条の十七号で指定するのはちゅうちょせざるを得ないわけでありまして、そういうような関係でございますので、十分琉球政府との間で打ち合わせをしてその点判断していきたいというふうに考えております。
#55
○大松博文君 次には、沖繩に格差のあるものという中に、先ほども申しておりましたが、毒物劇物取り扱い、それから家畜人工授精師というものがございますが、これは劇物毒物でございますから、こういうものを格差が違うからといってそのままほうっておいてもこれはえらいことになる、こういうものこそ特に必要になるんじゃないかと思いますが、まあ本土のほうの産業界、こういうものをいろいろ見て向こうと比べますと、やはり向こうのほうが低開発的にもなっているからして、使う毒物劇物にしてもやはりあちらのほうではそれほど危険度が少ないんじゃなかろうかと、こういうところにも、そのままにしたというか、格差というものが大きく生じてきたんじゃなかろうかと思いますが、しかし、今後一体化になっていくとそういうことは言っておれませんので、特にこんなものはそのままにしておいてはいかぬ。そこで、本土と一体化するようなはっきりしたものをつくって、その試験において資格をとらすということを私はやらなきゃいかぬと思うんですが、なぜこれを抜いたか、一番大切なものを抜いたか、私ちょっとわかりかねますので、説明していただきたいと思います。
#56
○説明員(野海勝視君) 沖繩におきましては、やはり本土と同様に毒物劇物取締法が制定されておりまして、毒物営業者はその製造所あるいは営業所また店舗ごとに専任の毒物劇物取扱責任者を置いて毒劇物による保健衛生上の危害の防止に当たらせにゃいかぬというたてまえをとっております。しかしながら、現実には、毒物劇物に指定されております範囲が本土の場合よりもかなり狭いということ、それから製造なり流通しております毒物劇物の種類が非常に局限されておるようでございます。それからまた、試験の制度につきまして若干従来異なった点がございまして、そういう面から沖繩における取扱責任者の試験を本土と同様な評価をすることはむずかしいという判断をしたわけでござます。しかしながら、沖繩のほうで制度的にも逐次本土と合わせるような改正が行なわれておりまして、制度的な面ではほとんど差がないというような現状になっております。ただ、現実に取り扱っております毒物劇物の範囲でなおかなり差がございますので、向こうで現在行なっております試験の内容あるいはその結果を十分検討いたしまして、できるだけそういう慮配をしてすみやかにその一体化の措置を講じてまいりたいと考えておる次第でござます。
#57
○大松博文君 昨年の六月に本土との格差是正調整をやられたわけでございます。まあそういうことがございますので、そういう格差がもう現在ないと私は思うのでございますが、ちょっと聞くところによると、この法案を作成するときにこういうところとの調整が間に合わなくなってこれが残ったんだというようなことも聞きましたが、実際はそうじゃないんでございますか、実際これでございますか。
#58
○説明員(野海勝視君) 先ほど申し上げましたように、制度的な面におきまして若干の食い違いがあったものが、昨年六月に施行されました法律改正によりまして日本とほぼ同様のたてまえになったわけでございます。制度的な面におきましては本土とほとんど同じでございます。その点若干内部の連絡の不行き届きの面もあったわけでございますけれども、ただ、劇物毒物の指定の範囲なり、それから現実に製造なり流通しております毒物劇物の種類においては、かなり本土と比べて狭いという実情がございますので、そういう点も一つございまして、なお向こうの試験の内容、結果等を十分検討いたしまして、できるだけすみやかに一体化の措置をとりたいということでございます。いま制度の面では先生のおっしゃいましたとおりでございますので、若干の食い違いがあったわけでございます。
#59
○大松博文君 時間がございませんので、もうあと二つくらいにしぼらせていただきますが、いろいろ議論されております司法試験でございますが、この前も私が沖繩に参りましたときに、高等裁判所の首席判事が私に言っておりました、が本土の研修所でいろいろ研修している連中、沖繩から行っている連中も同等の資格があるのだということを私に言っておりましたが、これはあちらでは、試験に合格する人、また二年以上法律関係の実務についた人、これはまあ自動的に資格者になる、また判検事を五年以上勤務した人もその資格を与えられるということになっておりますが、沖繩県の方のこういう司法試験に合格した方、それと本土の方、この差が現在それほどまでにあるのかないのか私非常に疑問に思うのでございますが、そのとき首席判事が私に言っておりましたのは、本土は非常に弁護士が少ない、これは何かというと、次から次へとたとえば弁護士をつくっていくなれば、そういうものをつくられちゃ困るというので日弁連が押えているから少ないのだ、実際は沖繩県くらいはいるんだよと言っておりましたが、こういう点いろいろ考えましても、やはりこういう制度というものは、私この中にも織り込んでいって、そして同じように、同じレベルにしていかなければならないという気持ちを持っておりますのと、最後に、今回の措置で除かれているのが獣医師だ。これは私沖繩をいろいろと見てみますと、沖繩というのは今後畜産というものに持っていかなければならないと思います。サトウキビ、あるいはパインにしても、特に砂糖というのは、粗糖でいいますと、沖繩が大体七万六千七百九十三円だ、キューバが一万八千三百三十八円、オーストラリアが二万二千四十三円、アフリカが一万九千百五十六円、台湾が二万六千八百二十円、こういう値段だ。これが沖繩でございますと、糖価安定事業団による買い入れ等に関する特別措置法という法律で手厚く保護されて現在やっておる。またパインにしても同様だ。パインの値段をちょっと調べましても、一倍半から二倍くらいだ。これは一ケース三号かんで三ダース入りが四十三年で沖繩が九ドル八十一セント、台湾が六ドル三十三セント、大体そういう数字になっていきますが、保護してこういう状態だ。そうして、これが一体化になった場合には、日本の国の一つの県にはこういう変わったものができるのだなということにはなりますが、しかしそれだけでは現在のような自由化の時代には成り立っていかない。そして台風とか、そして水が非常に不足だという現状を考え合わせますと、私は畜産で、そういうことが非常に今後課題になっていくだろうと思います。そういうときに対して、獣医師というものの資格のあれが何一つない。そして、現在獣医師が沖繩には百八十七名おるそうでございますが、しかし、沖繩の今後を考えましたときには、この百八十七名では私は少ないだろうと思う。そうして沖繩でも、現在、琉球大学には、農学部というのがあって、畜産科なんかはございます。そうしてこういう畜産科では、いわゆる人工受精師というような方の資格は与えられるでございましょうが、この獣医師という資格はこれでは与えられない。獣医学科というものをつくっていかなければいけない。そうして沖繩が、七七年には十カ年計画も達成するときだ。こういうことで、肉牛というものが現在は大体二万五百二十頭くらいおりますが、これを六万にするといわれております。また乳牛ですと、いま千六百六十頭くらい。それを将来六千頭にするというようなことをいろいろ考え合わせましても、こういうものを今後やっていかなければいけない時代だ。そうしますと、この獣医師というものが特に大切に私はなっていくと思いますが、この点に関しても、こういう中に私は入れていかなければいけない。それが、獣医師とか、また薬事法、そうして薬剤師法、こういうものが全然入っておらないというのは、私は、なぜ入れなかったのだろうか、その入れなかった理由をお聞きをしたい。そうして、これをもって私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#60
○説明員(平松甲子雄君) 沖繩において今後の産業として畜産が重要なウエートを占めるであろうということは、先生ただいま御指摘のとおりで、先生ただいまお話しの畜産振興十カ年計画というものが沖繩で計画されておるということも、お話のとおりでございます。で、獣医師の件について今度の免許可の一体化の中にどうして入れなかったかということでございますが、沖繩にも獣医師法というものがございますが、その獣医師法の中で、獣医師の試験を受ける受験資格というものがございますが、その受験資格といたしましては、日本の正規の大学において獣医学の四年以上にわたる課程を修めてそれを卒業した者、それから日本及び外国の公認された獣医学校を卒業しまたは外国で獣医師の免許を得た者であって獣医師免許審議会が日本の正規の大学の獣医学の四年以上の課程を終えた者と同等以上の学力及び技能を有すると認定した者、こうした二項目が要件とされておるわけでございまして、先生御指摘のように、琉球大学の学科といたしまして畜産学科はございますものの、獣医学科がないというような状況でございますから、現在の状態におきましては、沖繩の獣医師の試験を受ける者ですら、日本の学校を卒業した者あるいはそういう獣医師の日本の免許を持っておる者で学校を卒業したものと同等の能力を有する者の中から選ぶというようなことでございますので、まず沖繩の畜産を振興するという必要がございますので、学校においてその面の拡充をするというようなことが必要であろう、これも先生のお説のとおりであろうと思います。ただ、沖繩の畜産振興につきましては、私どもいままでいろいろ相談を受けておりますので、技術者を派遣したりして協力をいたしておるわけでございますが、事学校でございますので、文部省の関係もございますので、文部省とも、あるいは総理府とも連絡の上、私どもも畜産振興に力をかすという意味において、そういう面の教育が重要であるということを先方にお願いをいたしたいというふうに思います。
#61
○説明員(影山勇君) ただいまの御質問中に、司法試験についてお触れになりましたので、一言御説明申し上げます。
 沖繩の弁護士資格、いわゆる法曹資格と申しておりますが、これは本土との間に非常な差があるものでございますので、その一体化をどういうふうに扱うかということは、裁判所あるいは弁護士会等の意向、それから現地の法曹関係者等の各方面の意向を聞きまして検討をいたしたいと思っております。何ぶんにも、いま申しましたように資格が非常に複雑でございますので、かなり検討に困難があるかと思いますけれども、法務省といたしましては、いま鋭意この問題の検討を続けておるという状態でございます。できる限り早い機会に何か成案を得たいというふうに考えております。
#62
○渋谷邦彦君 いま審議されております法案につきましては、衆議院の段階でもいろいろ論議がなされ、また会議録を見ましても、そこで論議された中でなおかつ疑問に思いますことがありますので、その問題について焦点をしぼりお尋ねをしたり、いまも問題になっております弁護士の問題、医者の問題をもう少しくお聞きしたいと、こう思います。
 再三、先ほど来、長官をはじめ、非常に程度が低いと、こういうことで、弁護士の問題についてはその取り扱いに苦慮されているようなお話がございました。まあ程度が低いとするならば、一体どの程度に程度が低いのか、この辺からお伺いをしたいと思うわけです。
#63
○説明員(影山勇君) 弁護士の問題でございますけれども、程度と申しますか、わが国の本土の弁護士の資格は、御承知のように、司法試験という国家試験を通りまして二年間研修をいたすわけでございますが、沖繩の場合ですと、こういう本土の資格を有し、かつ沖繩の弁護士会に登録した弁護士のほかに、公認の法律学校を卒業した後二年以上法律的な実務につけばよろしい。それから、琉球の法曹界と申しますか、任意団体のようなものでございますけれども、そこの試験局の試験に合格した者、それと五年間琉球列島において判検事の職務を行なう、こういうふうに本土の場合と非常に違っておるということでございます。
#64
○渋谷邦彦君 まあ本土と違うことは、これはもう会議録に出ておりますので十分わかるのですけれども、要するに能力が全然だめなのか、その修習課程において足りないのか、単位を取るという段階において足りないのか、この点はどうなんですか。
#65
○説明員(影山勇君) その点も、実はいまいろいろ調査し、案を立てるための検討を鋭意やっておりますので、いまの段階でこの程度の実力を有する者であるとかいうふうなことはまだ申し上げられない状態でございます。
#66
○渋谷邦彦君 まあ優劣の問題になってくるわけですね。この優劣が非常にいまこの案件の主たる内容になっているわけですよ、これに出てこなかったということはですね。まあいままで、ともあれ戦後二十四年間というものは沖繩でもって定められた法令に従って資格を取得したと、ともあれその資格に基づいて沖繩全体をとり行なってきたと、したがって、その功績、また能力、また努力は、これはまあぜひとも認めてもらいたいという首席判事等の強い要望があるわけですね。やはりある程度は経験というものを相当大きく評価すべき問題ではなかろうかというふうに感ずるわけでございます。要するに、もう一ぺん、一歩突っ込んでお伺いしたいのは、いま申し上げたように、この能力の評価というものをどういう基準においてやられるのか。いま御説明がありましたように、具体的にいままでそういう証明がどういう形によってなされてきたのかということですね。実際、比較をしなければ優劣というものはきまらない。どういう機会に、どういう場所において、いつそういう比較対照がなされて優劣がつけられたか、これをお伺いしたい。
#67
○説明員(影山勇君) 特に両者を試験するとかその他の方法で資格を与える上に考えたというわけではございませんで、経験のほうももちろん今後の案をつくる場合には一つの要素にもなろうかと思いますけれども、要するに、こちらの弁護士との資格取得の要件に非常に差がありますので、弁護士の公的な性格を考えまして、本土と一体となる場合にはなるべくその間の均一化をはかりたいというつもりで、目下調査を続けているようなわけでございます。
#68
○渋谷邦彦君 いまのお話ですと、今日までのいろいろな日弁連の意見であるとか、あるいは他の資料に基づいて、法務省独自の立場で推定された結論である、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#69
○説明員(影山勇君) いまの能力の点を現実にテストして調査したということはございませんけれども、一応本土における法曹資格と先ほど申しました沖繩における資格の取得の要件にはかなりの差がありますので、これをすべて同一に取り扱っていいかどうかを目下調査検討中ということでございます。
#70
○渋谷邦彦君 本土復帰が実現された場合、従来法曹界に携わっている方々、つまり本土の資格を有していない人たちは当然資格を喪失いたしますね。そうしますと、まず一挙にそういう有資格者がなくなってしまうという現象もあらわれるでしょうし、また沖繩自体の権利の保護という、そうした面から考えても、これは重大な問題ではないかというふうに感ずるわけでありまして、おそらく、これについては、先ほど来から、そのときに応じた便宜的な方法は鋭意検討中であるとか、あるいはその時点になってまた考慮するというふうにお話がございました。けれども、現地の空気というのは、ただ検討であるとかということでは、もう聞き飽きているわけですね。もういずれおそかれ早かれ本土に復帰することは間違いないという前提に立って、いま早急にこの課題と取り組んで、どうしなければならないかということを深刻に考えております。にもかかわらず、いつまでたってもそうした政府当局の基本的な方向というものが明らかにされませんと、これは社会的にも非常な不安を招来するのではないかというようなことが当然予測されるわけであります。したがいまして、もし現段階においては、もろもろの複雑な――と先ほどお話がごさいましたように、そういう機構上の問題等もありましょう。ならば、暫定的にその人たちが引き続き、いわゆる継続的に従来の資格を有して法曹界の仕事に従事できるという便法を講ずるわけにいかないかどうか。そうしたことも含めて、沖繩の今後の問題と法務省自体がもっと前進的に取り組んでいらっしゃるんだろうと私は思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
#71
○説明員(影山勇君) 御指摘の点でございますけれども、現在の弁護士をどういうように扱うかと、いまの御指摘の中にありましたように、少なくとも何らかの便法を、復帰直後における便法を考慮しなければいけないというようなことも含めまして、弁護士の方の問題については取り組んでおるつもりでございます。
#72
○渋谷邦彦君 今度新たに試験制度が設けられて、それに受験をして合格した者は当然本土と同じ資格が与えられる。現在沖繩には琉球大学が一つあるわけでありますが、この琉球大学を出た場合に、当然本土並みということになれば、第一次試験の免除が考えられるわけであります。そういうように理解し、また第二次試験によって合格した者が初めて資格を取得できる、そういうことでよろしゅうございましょうか。
#73
○説明員(影山勇君) ただいまのお尋ねの点でございますが、御承知のように、一次試験は教養試験でございまして、司法試験法四条一項に規定する者の中に琉球大学を卒業した者も入る、一次試験についてはそういうようになっております。
#74
○渋谷邦彦君 直接関連はないかもしれませんけれども、現在の犯罪の激増、また民事訴訟等の問題が多発しております。したがいまして、弁護士の利用価値というものもそれに伴って増大しているというように認識をしておるつもりでありますが、一体現状から弁護士はどのくらいに一人というぐあいになれば一番理想的だとお考えになっていらっしゃるか。
#75
○説明員(影山勇君) 人口比でごさいますか――実はその点にお答えするほどの準備にいたしておりません。
#76
○渋谷邦彦君 現在私もまだ調査が十分ではありませんでしたので、むしろいまここでお尋ねしたほうが早いだろうと思うのですが、沖繩には現在の沖繩で定める法令によって資格を有している弁護士の方々はどれくらいいらっしゃいますか。
#77
○説明員(影山勇君) 数を申しますと、執務を現実にやっておられる方は百十三、四名くらいのところかと思います。
#78
○渋谷邦彦君 この点につきましては、現地の、先ほど申し上げておりますように、たいへん強い要望がございますので、ぜひともいままで取得された資格を喪失しないような方向で政治の恩恵が与えられていくように御配慮方を願いたい、こう思いますが、いかがでございましょう。
#79
○説明員(影山勇君) ただいまの御質問の趣旨も拝聴いたしまして、十分検討させていただきたいと思います。
#80
○渋谷邦彦君 次に総務長官に伺うわけでありますけれども、今度の法律によって相当細部にわたる資格試験並びにその資格を取得するための実施要綱があるようでございます。ただこの中から漏れておりますのが、ただいま問題になりました弁護士の問題、医師、それから教員、国家公務員、こういうようにあるようでございますが、医師の問題は先ほどから出ましたが、また次の段階でお尋ねしたいことがありますので、これは一応省略いたしまして、教員の場合どうなんでしょうか。
#81
○政府委員(加藤泰守君) 高等学校の教員につきましては、向こうに制度がございませんので、その点は特に配慮いたしておりませんが、普通の中・小学校の教員につきまして申し上げますれば、教育職員免許法の規定の十八条で、外国での免許を有する者につきましては、本邦において「相当の免許状を授与することができる。」と、こういう道が開かれております。したがいまして、知事でございますが、知事に申請をして免許状の授与を受ける、こういうことになるわけでございます。この点は、たとえば東京都で免許状をもらった方が北海道に行かれた場合には、あらためて北海道の知事に申請して免許状をもらうというのは手続的には変わりはないというふうに考えますので、今回特にこの教員関係の免許については手当をいたさなかったのであります。現行法上できると、こういうことでございます。
#82
○渋谷邦彦君 そうしますと、この件についても、たとえば琉球大学を卒業した人については当然教員の資格が与えられる、このように理解してよろしゅうございましょうか。
#83
○政府委員(加藤泰守君) この法案の第五条におきまして、「沖繩において行なう免許資格試験若しくはその免除を受けようとする者又は沖繩の免許資格者で本邦の免許資格を得ようとするものについて本邦の免許資格に関する法令の規定を適用する場合」におきましては、沖繩の学校は本邦の相当の学校とみなすと、そういう規定を置いてございますので、そのあれからいいますと、本邦の規定によって、本邦のたとえば大学卒業者に資格を与えるという問題につきましては、少なくとも学校の関係といたしましては、沖繩の大学も本邦の大学も同じような扱いをする、そういう規定になっておりますので、それぞれの具体的な問題についてどういうふうに適用されていくか、ちょっとはっきり申し上げかねるわけでございますが、文部省におきましても、この点については第五条の適用関係として考えておられるものと思っております。
#84
○渋谷邦彦君 おそらく現在沖繩で施行されております法律でございますが、これはほとんど本邦において行なわれておる法律に準じた内容ではなかろうか。そうなりますと、ただいまの問題も、学校教育上そう極端な違いはないということになりますと、いまの御説明のように、当然返還の暁には、あるいはいま申されたように、県知事に新たに申請をして、そこで試験を免除されて当然有資格者としての辞令が授与される、こういうことになるのじゃなかろうかと思いますが、その辺の解釈はいかがでございますか。要するに、本邦の法律と向こうで施行されておる法律の内容というものはそう極端には違いはない、これは琉球政府の高官の方にも伺ったことがございました。ほとんど変わりはない。すべて本邦の法律を準用した、そういう内容で実際の運営がなされている、こういうことでありますから、別にこのめんどうくさい、いろいろな規制であるとか規定を設ける必要はさらさらないのじゃないか。これはもう返還と同時にスムーズにとにかく行なわれるということが非常に望ましいと、こういうふうに思うわけでございますけれども、その点再度確認のために、その法律の内容を通しまして、いま私が申し上げたことでよろしいかどうかですね。
#85
○政府委員(加藤泰守君) 先ほどの点について一言訂正さしていただきますが、教育職員免許法の十八条にも、外国の学校を卒業した者云々という規定がございまして、私、先ほど第五条を読みましたけれども、第五条を適用しなくても、本邦の法律に外国の学校を卒業した者についての規定がございますので、この規定の適用で処理することができるのではないかというふうに思います。先生の御指摘の点につきましては、結局この規定そのものを活用することによって、もちろん返還後において免許を受けることもできるかと思いますけれども、そういうような問題につきましては、これはやはり返還時における暫定の問題として、どういうふうに規定をしていくか、われわれとして検討してまいりたいというふうに思っております。申し上げますことは、結局、本邦の現在の規定でも切りかえということは不可能ではないけれども、しかし、そういう規定の適用によって処理しなければどうしてもだめだという問題ではないように考えられるので、その点、返還時における処理につきましての問題として、十分考えてみたいと思います。
#86
○渋谷邦彦君 それでは国家公務員の場合はどうですか。
#87
○政府委員(加藤泰守君) 国家公務員につきましては、国家公務員の試験というのは、いわゆる資格試験というよりも採用試験の性格を持っておるというふうに考えております。したがいまして、今回の措置におきましては、資格試験ということで考えておりますので、国家公務員については特に規定を設けなかったわけでございますが、しかし返還時におきましての問題につきましては、もちろん国家公務員で、現在琉球政府の公務員であられる方の措置として、国家公務員になるのか、あるいは県の公務員になるのか、そこら辺の問題は、やっておられる仕事の性格によってやはり配分されていかれるかと思いますが、そういう点についてももちろん返還時においての措置を考えていかなければならない、そういうふうに思っております。
#88
○渋谷邦彦君 確かに資格を取得するための試験ではないというお話ですけれども、実際内容を考えてみると、もう資格試験と同じふうに現在判断されているのではないかと、こういうふうに一般的にいえるのじゃないかと思うのですね。なるほど公務員を採用するための一つの試験である。けれどもやはり国家公務員にも段階があるわけですから、それを通らなければ上級職員になれないというそういう一つの制度があるわけですね。そうすると、当然直接、資格という一つのワクにはめられた要素を含むものではないといたしましても、ややそれに準じた性格を有するものではないか、国家公務員の場合。したがいまして、当然この問題に対してもどう扱うかということを、具体的に今後の課題として取り組んでいらっしゃると思いますけれども、当然考えなければならぬ問題でないかというわけで、いまお尋ねをしたわけでありますが、今後どういうふうにこれをお扱いになるか、おっしゃっていただきたいと思います。
#89
○政府委員(加藤泰守君) 国家公務員試験につきまして、採用試験という見方なんだということを申し上げましたのは、国家公務員の試験に合格いたしましても、これはたしか一年の間に公務員にならないと、その合格した効果は失われてしまうことになっていると思います。そういう関係で、現在沖繩におられる方々についてこれを考えてみましても、ちょっとまだ間がございますので、ちょっと制度的にうまく結びつかないのではないかというふうな考え方で、今回の措置としては考えなかったわけでございますが、しかし、返還に際しましての問題としては、われわれとして、現在つとめておられる公務員の方々の身分の点は、問題が生じないように十分配慮していきたいというふうに考えております。
#90
○渋谷邦彦君 いずれにしても、私たちがこういうことが起こり得るだろうと想定する問題については、当局としても十分それは予想されている問題なんですね。けれども、従来しばしば御答弁を伺っておりますと、どうもあまり確信のない、ただ検討中と、ことばが悪いかもしれませんけれども、それでごまかされているみたいな、そういう行き方じゃやはりまずいんじゃないか。いまそれじゃなくても沖繩返還問題というのが、愛知外相訪米と相まって急速に高まりを見せておる段階でありますだけに、これについてはあらゆる問題を想定して、起こり得る可能性というものを十分分析され、検討されて、遺憾のないように措置をとっていただきたいものだ。何か問題が起こった、これはたいへんだというわけで、場当たり主義でその問題一つ一つをやっていたんでは、やはりらちがあかない。もっと総合的に沖繩のそういう問題について、現在の日本の国内情勢と関連して、意欲的な、むしろ少々のむずかしい条件があっても、いままでの沖繩というものの置かれた立場、また島民の心情というものを考えてみた場合に、多少のところは弾力的にこれを置きかえていかなきゃならぬ。いろんな能力の点だとかいろんなことが問題になる場合があると思うんです。けれども、それはある程度とにかく善意に解釈しまして、少々のことでも大目に見てあげるといいましょうか、そういうことで、願わくはこうした問題については障害の起きないように、また島民の意思というものが傷つけられないように、十分その辺も御考慮願って対処していただきたい。この要望を申し上げまして、時間がきたようでありますから、この案件に対する質問だけは終わります。
#91
○国務大臣(床次徳二君) ただいまの御意見はまことにごもっともでございます。私どももさような気持ちでもって対処いたしておる次第であります。復帰のめどがつく段階を目前に控えておりますので、復帰の際におきまする摩擦を少なくして、円滑なる復帰が実現することができるように、できるだけ一体化措置を進めてまいりたい。
 資格免許等につきまして、若干漏れましたものがございますが、先ほど申し上げましたようないろいろな事情があったために、検討中でおくれたものであります。できるだけすみやかに実現できますように、さらに努力いたしたいと思います。
 なお、いままで格差がありましたこと自体につきましては、沖繩の置かれた特別の事情というものを、これを十分考えるべきである、この点、御意見のごとく私どもも十分努力いたしたいと思います。
#92
○委員長(山本茂一郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#93
○委員長(山本茂一郎君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#94
○渋谷邦彦君 いろいろこまかい点については次の機会ということにいたしまして、とりあえずきょう伺っておきたいなと思った問題が一つございますので、それについての政府の所信をお伺いしたい、こう思います。
 それは、先ほども種々論議されておりました、現在の沖繩における医療施設をめぐる医者の問題等々でございます。最近、医療視察団として参られましたある一人の医者を知っておりますが、その方の話によりますと、最近風土病、新しい風土病といいますか、そういうものが多発している傾向がある。たとえば風しんあるいはまたフィラリア、こういったものの数が逐次ふえている。そのほかにいままでございましたハンセン氏病あるいは結核、こういうような患者が、一斉調査の結果、沖繩本島においてはやっとその実態がつかめた。これもまだ部分的な調査の段階を出ないようでありますが、そのほかに数多くの島嶼を一斉調査すれば相当な数にのぼるということが考えられる。
  〔委員長退席、理事源田実君着席〕
いま私が申し上げたのは本島でなく、宮古島と八重山群島ですが、これに対する調査の結果、相当数の患者が出ている。沖繩本島をはじめとして、その他の島々に対して現在の罹病している患者というものを調べると、それは驚くべき数字が示されるのではないか。こうした問題について、やはり医者が足りない、看護婦が足りない。日本でもそうでございますけれども、これはまさに大きな社会問題に発展しようとしている。そのほかに性病がありますね。これは特殊地域であるために、われわれには想像ができないほどの速度でもってその患者がふえているということが言われております。こうしたことについて、何でもかんでも、とにかく本土返還がかなえられなければ強力に進められないのかどうなのか。要するに、その場しのぎのやり方ではとうてい現状の医療体制というものはもうおぼつかないということを私自身もはだ身に感じて帰ってきたわけでありますが、この点の今後の政府がとられようとしている社会保障の一環としての医療問題ですね、どのようにお考えになっていらっしゃるか、まず総体的な問題をお伺いしたいと思います。
#95
○国務大臣(床次徳二君) 沖繩におけるところの医療施設は非常に本土とは格差があるという状態でありまして、この点につきましては、単に施設が少ないというばかりでなしに、社会保障制度、特に医療保障制度が伴わなかったというところに大きな欠陥があると思います。さらに離島、僻地であるという意味におきまして、医師が都市に集中しておって離島に及ばなかったというようなやはり原因もあると思うのであります。これに対しまして今日まで講じてまいりましたのは、医師の養成ということに対しまして努力いたしましたが、先ほど申し上げましたように、養成した者が地元にとどまらないという欠陥がありましたので、基本的に考え方を改めまして、
  〔理事源田実君退席、委員長着席〕
地元に新那覇病院というものをこしらえまして、そうしてこれを本拠にいたしまして医師の地元への定着率をよくしようという基本的な考え方を持ちますと同時に、今日、足りない場合につきましては本土からの技術協力という名目によりまして、本土から二年間の時期を限りまして医師を派遣する、あるいは数カ月の短期間によるところの巡回診療的な調査とか診療を行なうという形によりまして、これを補なっている次第であります。いずれにいたしましても、なかなか現地に派遣すべき医師が得がたいというのがいまの状態でございます。この点に関しましては、さらに予算措置その他におきましても検討しなければならないと思いますが、本土の医師の方々にもできるだけ御協力願わなければならない。一番動員しやすいのは、国立病院の方々を中心にいたしまして進んで現地の応援を願うという措置を講じている次第であります。基本的には、保障制度ができ上がることによりまして安心して医業を開業できるという形、同時に診療施設等の医療施設を充実するということも伴わなければならないと思っております。さような方針で、今後一そうの充実を期したいと努力しておる次第であります。
#96
○渋谷邦彦君 宮口島へ参りましたときに非常にびっくりしてしまったのですが、あそこには、何か聞くところによれば医者は一人しかいない。しかもそれは小児科の医者だ。小児科の医師が、内科、外科、産婦人科まで全部やるということなんですね。どうしても手に負えない患者は沖繩本島に連れていく。その間にたいてい死んでしまうということを、切実にということよりも痛烈な思いで、何とかしてもらいたいのですという町の助役の方のお話を聞きました。実態はどうなっているか、その方の言うとおりなのかどうなのかわかりませんが、まあしかし、大体いろいろな方のお話を総合してみても、それに近い状態を至るところに散見することができるのではないか、こういうふうに思うわけですが、そこでいま長官がおっしゃった、なかなか向こうに行く医者がいないということなんですね。大体それで、いままでたいていおしまいになっちゃっている。なぜ行かないのかという背景は、私なんか申し上げなくても重々おわかりになっていらっしゃるはずなんですね。何といったって、行ってもらうためには、やはりそれに即応した待遇というものをまず基本的に考えてあげる。住宅の施設から給与の問題から、その他医師として十分に満足する行動ができる、内地におけるよりも相当優遇措置をとってあげなくちゃならぬ。いま保障問題ということを申されましたけれども、確かにそれに尽きるのではないかということが言えるわけであります。それと同時に、もう一つは、その医師なら医師が、特に国家公務員等の資格を持っているような医師が、たとえば沖繩に何年間つとめれば本土においてはさらに優遇されるというような、そういう道が講ぜられるとか、やはりそういうふうに具体的に考えてあげませんと、今日の沖繩の窮状というものは、ただ観念的にはわかっておりましても、ただもう医者が少ないのだ、施設が足りないのだということでは、これはもういつまでたっても解決はできないのじゃないかということで、もっと具体的に、今後の医師の派遣ということについても、いま必要に迫られているのが三十数名といわれているそうですけれども、その点についても、おそらく総理府あたりにもそういう陳情がきているのじゃないかと思いますけれども、そうした問題はその後どうなっているのか。どういうふうに一体推移しているのか。そのこともあわせて、もっと具体的な今後の施策についてお話を伺いたい。
#97
○国務大臣(床次徳二君) 宮古の医師につきまして、統計によりますと、これは実情はわかりませんが、数はもう少し多くて、医師は二十三名、歯科医師七人、看護婦六十三人、公衆衛生看護婦二十人という数にはなっておりますが、いずれにいたしましても、本土と比べて著しく少ないことは仰せのとおりであります。したがいまして、基本的にはやはり待遇をよくするということと、僻地に対しまして医者が行かないということは、単に待遇だけの問題ではなしに、やはり医者が研究できるということが非常に大事なんです。結局、待遇と研究機関――新しい医学についていけるということが必要なんです。結局その立場から、今日沖繩におきましては新那覇病院を建設しておる。これは今後の沖繩におけるところの医療のセンターとしていきたい。単に学校を卒業したものが実習にこの病院につとめるというばかりでなしに、同時にこういう病院が、地元の特殊の疾病等の研究等のセンターになっていく。また、離島等に勤務しておりますものの足だまりになるという意味におきまして、この那覇病院を活用したい。かような意味におきまして、医療問題の解決の最初に、実は那覇病院の建設を取り上げてまいったのであります。今日、これの建設に着手しておるわけであります。この完成を待ちまして、私は相当役に立つと思うので、その準備をいたしておる次第でございます。
 なお、派遣の医師等につきましては、これは極力ひとつ努力いたしまして、何とかして、現在だとどうも派遣の数がだんだん減りそうな実は様子でありまして、この点は懸念いたしておりまして、一そうの努力をいたしたいと思っております。
#98
○渋谷邦彦君 いま申し上げたことと並行してお考えいただきたいことは、やはり琉球大学の存在というものをもう一ぺん見直してみる必要があるのではなかろうか。確かに先般伺いましたときに、近く看護学科が設けられる。これは窮余の一策だろうと私は思うのです。なぜ医学部の新設が、琉球大学の強い要望があるにもかかわらずできないのか。それができれば、附随的に附属病院等もでき得る条件が整ってくる、こんなふうに考えられるわけですが、これはあくまでもしろうと的なそういう着想かもしれませんけれども、その点についてはどうなんでございましょうかね。
#99
○国務大臣(床次徳二君) 医学部の新設につきましては、地元も非常にかねがね御要望があったわけでございます。私どももこれを検討いたしたわけでありまして、単に政府のみならず、関係者を集めまして、関係者の意見を聞きまして対策を講じて、今日、医師会長武見さんが中心となって計画をたてたのであります。結局みずから沖繩に普通の医科大学、医学部を設けるということはなかなか問題じゃないかというので、とりあえず地元に保健学部というものを設置いたしまして、医療関係職員の養成ということから始めて、それで医師そのものの養成は本土の各医科大学に頼む。これは施設の充実、教員の入手その他からみまして、非常に地元の医科大学設置ということは時間がかかるし、また、あそこで成り立つかどうかという将来の問題もありますので、そういうかげんから、医学教育そのものは本土に依存する。しかし卒業したものは地元の病院を中心として活躍できるようにしたいというとりあえずの構想でもって着手しておるわけであります。
#100
○渋谷邦彦君 なるほどその需給関係という問題、それから研究それ自体というものを考えてみた場合に、本土と比較できないものがあり得るであろうことは想像もつきます。けれども、やはりそうした施設というものは、地元住民の切なる要望というものを第一義的に考えて満たすべきではなかろうか。それは武見さん等の御意見等もいろいろおありになるかと思います。しかし時間がかかるという問題、おそらくそれに関連して、費用がかかるという問題が次にかかってくると思いますけれども、これは別に私立の経営ということとわけが違いまして、国の機関としてやる以上は、多少のやはり犠牲を払っても、そうした要望にこたえるべきがほんとうではないか。そうしますと、少なくとも今後新しくできる病院と並行しまして、いままで未解決になっている風土病をはじめとするもろもろの病気というものが事前に予防もされますでしょうし、また病気になられた方はそれに適応する入院施設というものに入って治療を受けられる。これは焦眉の急の問題と私は思うのですよ。で、今後何といってもこの問題については、やはり大きな問題でありますだけに、いま一度これを考え直していただく必要があるのじゃないか、このように思うわけです。現在、先ほど申し上げた風しんなんかにしましてもどんどんふえている。もうどうしようもない、手のつけようがない、こういう実情を聞くにつけても非常に残酷な思いがするわけです。それに対応できるような治療がない、また施設がない。これでは風しんにまたかわるべき新しい風土病が起こった場合に一体どうするのだというようなことも当然考えられるわけであります。したがいまして、どうも私はいまの長官の御説明だけでは、なぜ医学部の設置がないのか、もうほんとうに保健学科というものは窮余の一策と申し上げてもいいくらいの、どうにもならないから、せめて保健学科を設けようというそういう大学側の意思が反映して、今回設立という経緯があったのではなかろうかと思いますので、この問題についてはもっと前向きにひとつ解決ができるように御配慮を願えればと、このように申し上げたいと思うのです。
 もう一つ、時間もあまりないようでありますから。現在病院が非常に少ないということから、いま申し上げたような悲惨な状態が至るところに起こっているわけでございますけれども、現実的にいま起こっている問題についてはどういうふうに一体処理されようとしているのか。特にあそこは非常に湿気の強いところですから、結核患者も非常にふえる傾向があるわけですね。それから風しん、フィラリアあるいはその他のハンセン氏病あるいは性病等々、特に性病についてはぐんぐんふえる一方だというのですね。ちょうど私たちが視察に参りましたときにはすでに五万人、こういうようなことがマスコミで報道されておりました。こういう問題も、もう急がなければ対策は常に後手後手に回りまして、とんでもない悲劇がまた再発するということになるんじゃないかと思いますので、その点を総括して長官からお伺いして、きょうのところはこれでやめておきましょう。
#101
○国務大臣(床次徳二君) 御意見のとおり現在の医療施設は、まことに残念だと思うくらいに質量ともに少ないと思うのであります。したがって、できるだけすみやかに本土の医療保険制度が実施できる――国民健康保険ですから、これが実施できる国民皆保険という実態目標として、意欲的に努力しているのがいまの状態であります。その第一着手といたしまして、医療関係者から養成しなきゃならぬというので、保健学部の設置という形になったのでありまして、なお病院等におきましては、附属病院等の改築等もいたしますし、新那覇病院の建設というものを中心としてまいりたい。なお医学部の建設があと回しになりましたが、この点につきましては、医学部というものに対しましていろいろ研究しておりまして、とりあえず保健学部が必要なんじゃないかというところから着手いたしたわけでありまして、将来の問題につきましては、もっと現実に合うようにひとつこの点は意欲的に努力し、結論を出してまいりたいと思うのであります。なお、現在にありまして、病院等の足りないものにつきましては、たとえば結核患者等につきましては本土の病床に送り込んでおりまして、ハンセン氏病等に対しましても本土に送り込んでいるという状態であります。
 なお過般の風しん、これはまことに気の毒な子供の疾患でございまするが、これに対しましては、各関係方面の協力もいただきましたので、たとえば耳の疾患者に対しましては、補聴器を与えてその音感教育に着手いたしております。また目の疾患のものにつきましては、手術に適するときに本土に送り込むという形にいたしておりまして、すでに早いものは九州大学病院に送りまして実績をあげておりますが、引き続きこういう特殊な疾患に対しましては援助を増大いたしまして、なお協力も願いながら解決してまいりたいと思う次第であります。
#102
○委員長(山本茂一郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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