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1968/06/11 第61回国会 参議院 参議院会議録情報 第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第10号
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1968/06/11 第61回国会 参議院

参議院会議録情報 第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第10号

#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第10号
昭和四十四年六月十一日(水曜日)
   午後一時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十日
    辞任         補欠選任
     西村 関一君     足鹿  覺君
     松井  誠君     阿具根 登君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     阿具根 登君     小林  武君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本茂一郎君
    理 事
                伊藤 五郎君
                鶴園 哲夫君
                松下 正寿君
    委 員
                河口 陽一君
                大松 博文君
                長屋  茂君
                増原 恵吉君
                山本 利壽君
                川村 清一君
                小林  武君
                達田 龍彦君
                渋谷 邦彦君
                春日 正一君
   国務大臣
       国 務 大 臣  床次 徳二君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        弘津 恭輔君
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関
 する暫定措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (全沖繩軍労働組合の争議行為等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本茂一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告申し上げます。
 昨日西村関一君、松井誠君が委員を辞任され、その補欠として足鹿覺君、阿具根登君が選任されました。また本日阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として小林武君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本茂一郎君) 次に、沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○鶴園哲夫君 簡単なことなんですけれども、三つほどお尋ねをいたしたいわけですが、一つは、琉球政府の資格免許試験の水準が本土のそれよりも低い場合、あるいは水準と同じ場合、高い場合という、ふうにしてあるわけですが、この高い場合、あるいは水準の同じ場合、あるいは低い場合というのは、具体的に説明いただきたいんですけれども、どういうものが高くて、低くて同等なのか、その辺をまずお尋ねします。
#5
○政府委員(加藤泰守君) お尋ねの点につきまして申し上げますと、まず、水準の低い場合と申しますのは、受験資格を比較した場合に、多少その受験資格について差があるようなこともあろうかと思います。それから、あと試験の実施の状況等を十分検討しました結果、たとえば合格のレベルが本土と比較して少し低いというような場合もあろうかと思います。そういうようなことを一応考えているわけでございます。本土と同じ場合と申しますのは、大体いままで本土のほうで実際に試験の指導をして、試験科目それから採点等につきましても、本土の指導によって行なっているようなものは本土と同じレベルのものと考えているわけです。
 以上です。
#6
○鶴園哲夫君 低い場合に、琉球政府の免許資格を持っている者が日本の免許資格の申請をした場合、「補足的な研修課程を終了すれば、これを付与する」ということになっておりますですね。それでこの「補足的な研修課程」というのはどういうことですか。それから「修了すれば」ということはどういうことでしょうか。それをお尋ねします。
#7
○政府委員(加藤泰守君) その点につきましては、まだ琉球政府のほうと十分打ち合わせをしておりませんので、これからこの法案を通していただきました暁において、琉球政府のほうの試験実施の実態的な面を十分考慮しながら、どの程度の講習をやって付与するか琉球政府と具体的にきめていきたいと思っているわけでございます。したがいまして、抽象的に申し上げるわけにはいきませんけれども、具体的な試験の実施状況、その実態を琉球政府と十分打ち合わせをして、本土とレベルが同じようになるように講習を実施したい。この講習はそう長期的なものというふうには考えていないわけでございます。補足的なものでございますので、十分迷惑がかからないようにやっていきたいと思っております。
#8
○鶴園哲夫君 「日本政府は琉球政府の実施する試験の水準を高めるよう琉球政府に対する援助を拡充する」とありますね。これはどういうことですか。
#9
○政府委員(加藤泰守君) 琉球政府の試験につきましての援助と申しますのは、いままでもやっているわけでございますが、具体的には、やはり試験科目そのものの作成についての指導、それから、さらに採点の実施についての指導等によって援助を実施しているわけでございます。
#10
○鶴園哲夫君 そういうことですか。
 それから、国の免許資格の中で沖繩で試験をするものが相当たくさんありますね。それから、県の行なう免許資格ですね、これで沖繩で試験するものはないというわけですね。県の場合は沖繩の免許資格を認めるわけですからそれでいいのですが、国の行なう免許資格の場合に、沖繩のものを認めるものと、沖繩で試験を実施するものと二つに分かれておりますね。これはどういうわけですか。県は全然ない。全部沖繩のものを認める。しかし、国の場合は沖繩の資格を認めるものと、そうではなくて、沖繩で試験を実施するものと、二つに割ったような形になっておりますね。その理由を説明していただきたいのです。
#11
○政府委員(加藤泰守君) 沖繩で国の試験を実施するというのは、実は本土におきましては、各県の方々は、東京で、あるいは各ブロック別にそれぞれ国の試験を受験できる立場にあるわけですが、沖繩の方は簡単にそれができないということで、沖繩において国の試験を実施して本土の資格を取り得るようにしたい。こういうのが三条の規定でございます。それで、今後の問題についてはそういうことでございますが、いままでそれに類似する資格についての沖繩の試験、それに合格した者をどう扱うかという問題が別にあるわけでございます。したがいまして、第三章の「各資格法規に関する特例」にあります――三条に掲げた試験についてさらに第三章の各則がございますのは、むしろ過去において沖繩において行なわれた試験その他によって資格を取得した方々に対する本土の資格との結びつきを特例として考えたわけでございます。したがいまして、今後これはまた琉球政府と十分打ち合わせをした上で考えていきたいと思いますが、第三条の規定によって試験を実施したものについては、原則としてむしろ沖繩においては試験を実施しない方向で考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから県の関係は、本土におきましても各県で知事がそれぞれ別々の試験を実施しているわけでございまして、その実施した資格がほかの府県でどういう扱いになっているかといりようなこととのからみで、沖繩で琉球政府が実施したその試験の結果をほかの県でどういうふうに扱ったらいいのかというような観点からこの第三章の各則が書かれているわけでございます。
#12
○鶴園哲夫君 沖繩の免許資格の場合に、沖繩で日本政府が試験を実施する場合に、沖繩のほうの水準が低いということもありましょうし、水準が高いという場合もあるだろうと思うのですが、低い場合に何かぐあいの悪いことが起きやしないかという心配があるのですけれども、そういう懸念はないですか。
#13
○政府委員(加藤泰守君) 具体的にどういうものがそれに該当するかということを申し上げにくいのでございますが、これはあるいはおしかりを受ける面もあるかもしれませんが、たとえば司法試験でございますが、これは第三章に特例が設けられてないのでございます。すなわち、現在沖繩で実施している試験の資格者をどう扱うかという点について、これはまだ結論が出ておりませんで、日弁連、法務省それから裁判所等で目下十分検討されておるわけでございまして、将来どう扱うかということは、この法律の改正をやるなりして処置していきたいというふうに私は思っておるわけでございますが、そういうふうに、そういうような問題が出てまいりますのは、実は司法試験については、本土の試験と沖繩の試験と非常に格差があるということの端的なあらわれだというふうに言ってよかろうかと思います。したがいまして、司法試験の場合に、本土の試験を実施した場合どの程度の合格者があるか、その見通しがちょっといまのところはっきりつかめないのでございますが、もしそれが合格者が非常に少ないというふうになった場合に、沖繩における司法資格その関係の需要と供給の関係が問題があるいは生ずるかもしれないという懸念は持っているわけでございます。司法試験につきましては、そういうようなことも考えながら今後法務省、裁判所、日弁連等で検討される結果を待って処置していきたいということでございます。
 その他の試験につきましては、それほど資格の差、レベルの差があるとは私考えていないので、大部分、本土の試験を実施することによって沖繩の需要に対して供給ができるのではないか、そういうふうに判断しております。
#14
○鶴園哲夫君 いま司法の関係を例に引かれて説明があったのですが、何ぶん二十年近くも切り離されておるわけですから、にもかかわらず日本と同じ試験を日本政府が沖繩でやるわけですから、ですから、やはり考えただけでも向こうの水準の高いものもありましょうし、低いものもあると思うのです。高いものは別にしまして、低いものはやはり困るのじゃないか。いまお話しのように、試験をやった結果を見て考えていこうというお考えのように受け取れましたけれども、先ほどの琉球政府の資格を持っている者で、日本本土よりも水準が低くても、なお日本の資格を申請する者については、一定の研修過程を修了することによって資格を与えるということがありましたですね。何かそういうような措置をする必要があるのではないかという気がするんですけれども、そういうようなそれぞれのことで沖繩で試験をされる――十七から十八の試験をされるわけですが――その試験をされるものについての実際の検討というのは行なわれていないのですか。
#15
○政府委員(加藤泰守君) ちょっと私の説明が不十分で、あるいは誤解されたかもしれないので、その点もう少し私のあれを申し上げますが、第三条で試験を実施したその結果については、講習その他の措置は全然とらない。これはもう当然のことでございます。本土のレベルでやるわけでございます。それから第三章の各則を設けているものは、少なくとも第三条で掲げている試験についての問題にからむ資格でございますが、その資格を過去に有している者、いまよりも過去にその資格を取得した方々のその資格と本土の資格をどういうふうに結びつけるかというのが第三章の各則でございます。まあ、そこで一応いろいろなことを考えて、過去の、まあ場合によりますれば本土と沖繩の法制の違い等の問題もあって、講習という問題が一面出てまいると思います。また一面、先ほどから触れられておりますように、レベルが多少低いので、そのレベルアップをするという意味の講習ということも考えているわけでございます。実際この二十数年間、沖繩で具体的にそれぞれ仕事をやっておられる方々でございますので、まあ、経験は非常に豊富だということはもちろん言えるわけでございますので、そういうことを考えて多少のレベルアップで間に合う――と言うと語弊がありますが、十分本土のレベルまでいけると判断されるものについては、講習というようなこと、あるいは本土と沖繩の法制の差が著しいけれども、本土の法制を講習をすることによって十分周知してもらって仕事をしていただくというようなものにつきましても講習を実施するというようなことを考えたわけでございます。
#16
○鶴園哲夫君 それはよく理解をしているわけでございますが、いま私が申しましたように、国で、日本政府が沖繩で試験をする、十七か十八の科目について。その場合に、試験をしてみて、実際非常にレベルの高いものもありましょうし、低いものもある。低いものについて、してみてどうも低いのじゃないか、そういうところにこれはまた問題があるのではないかということでは困るのではないか。ですから、すでにそういうような各試験について具体的に検討を行なわれているのかどうか。どうもこの科目については沖繩のほうが二十年も切り離されているので低いのじゃないかというようなものはありはしないか。そういう心配をしているわけです。もし、そういうものがあるとすれば、それらについて何らかの事前のことが行なわれるのか。たとえて申しますと、先ほどお話しのように、沖繩の免許を持っているけれども、日本の免許よりも低い。しかし、長年の経験を持っておられるわけだから、その人が日本の免許をほしいという場合には、研修を修了することによって資格を与えるという意味であるとすれば、今度新しく日本の政府が沖繩で試験をするその場合に、どうも低いのではないかと思われるものについては、事前に試験を受ける者については何らかの措置をとれるのかどうかというようなことをお聞きしているわけなんです。具体的に各試験について、あるいは免許について検討を行なっているのかどうかということです。
#17
○政府委員(加藤泰守君) 私はあまり専門的なことはわからないのでございますが、各省それぞれ専門の立場でいままでそういう問題について十分調査もやり、また検討をしました上で、必要だと思われるものにつきましては、先ほどちょっとお話が出ましたように、試験の科目の指導それから実際の採点の仕事をやっているわけでございます。まあ、お話しのように、いろいろ個々の問題について具体的に受験者を養成する機関の問題があろうかと思いますが、試験の実施に関するそういうような指導にからめて、各省はやはりレベルアップの必要を十分把握した上で、私らのいわゆる技術援助の制度がございますが、その技術援助の活用ということで従来いろいろな行政指導をしておりますので、まず今後、特別にそういう養成機関のレベルアップというものを特に取り上げて考えているわけではございませんが、これは沖繩の一体化政策の、全体のレベルにおいて一体化政策を遂行するものとして、その一面として行政機関のレベルアップ等も考慮しているわけでございます。個々の具体的な特別なものを取り上げてどうこうというよりも、全体のレベルアップを一体化政策の一環としてやるといり方向で考えておりますので、先生御指摘のような点につきましては、受験生といいますか、受験資格を有する者の養成機関等のレベルアップについてもそういう方向で今後十分配慮されましょうし、それから、試験そのものの実施について行政的な指導もさらに今後やっていくわけでございますので、全体としてやはり沖繩の行政面のレベルアップが行なわれ得るというふうに考えておるわけでございます。
#18
○鶴園哲夫君 まあ、具体的に農業改良普及員試験ですね、あるいは林業専門技術員資格の試験とか、水産業専門技術員試験とか、農業関係でいいますと四つほど数がありますが、これは沖繩でもやられるわけですか、この試験は。
#19
○政府委員(加藤泰守君) これは公務員の資格ということでありますし、また、いろいろ農林省で検討されたのでございますが、農業の指導、どういう農業指導をやっていったらいいかというようなことについて、農林省の立場でいろいろ検討された結果、この制度そのものをいま直ちに沖繩で本土と同じレベルで同じような試験を実施するというよりも、もう少し慎重にその面については検討したいという、こういう農林省の考えでございましたので、今回の措置の中には入っておりませんが、農林関係につきましては、実はこれは法律を要しないものでございますので、さらに検討を加えた上で、必要ならば、政令以下の措置でその資格の一体化措置はとってまいりたいと、そういうふうに考えているわけでございます。
#20
○委員長(山本茂一郎君) 他に御発言もないようでございますが、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(山本茂一郎君) 御異議ないと認めます。
 本案に対する討論採決は、次回の委員会に譲ります。
    ―――――――――――――
#22
○委員長(山本茂一郎君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査
 を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#23
○達田龍彦君 私は、いま大きな政治問題に発展をしておりますところの過般の例の全沖繩軍労働組合に対する米軍の武力行使による事件に対しまして、その状況等について政府当局からいろいろ問題点を明らかにしてもらいたい、こう思うのであります。いま私ども議員として、当時の状況、それから、それに基づく今日の政府あるいはアメリカ当局の阻止状況というのが新聞その他の報道でかなり流されておりますけれども、私は必ずしも状況が的確でない面が多分たくさんあるような気がいたすのであります。また同時に、この問題は、今日の段階では問題の本質が単なる労働争議ということではなくて、反基地闘争あるいは人権闘争として、むしろ本質的には政治問題として取り扱わなければならぬという様相を私は持ちつつあると判断をいたしておるのであります。さらにまた、今日の全軍労の態度によりますと、第二波のゼネストを予定をいたしております。抗議行動としてはすわり込みあるいは集会、デモ、ストライキ、しかも、それは単なる労働組合の行動としてとらえることのできない沖繩県民全体の反基地闘争あるいは反米闘争という方向で今後発展する要素と可能性を持っておるのではないか、こう実は私は考えておるのであります。そういう意味においてたいへん重要なる問題をこの中には含んでまいっておりますし、将来の沖繩返還とこの問題との関連性ということ、あるいは返還後における沖繩県民の基地並びに沖繩の自治権に関する問題にも同時に影響してまいりますので、こういう問題についてひとつ本日は特に外務大臣あるいは官房長官もおいでをいただいたほうが、より適切な解明と判断あるいは政府の措置を期待することができるのでありますけれども、外務大臣あるいは官房長官については諸般の事情で出席ができませんので、それら重要な外交上の問題、政府の基本的な問題等については、いずれまた機会を見て私は質問をしていきたいと思いますが、とりあえず、本日総務長官に、総務長官が所掌する範囲の事項等について責任を持ってひとつ御答弁をいただきたいと思うのであります。
 それで、まず状況でございますけれども、武力行使が起こった当時の状況、それからそれの内容ですね、さらにこまかく言えば、負傷者が出ておりますけれども、それらの数、それから程度、そういうものについてまず概括的に御説明をいただきたいと思うのであります。
#24
○国務大臣(床次徳二君) ただいまのお話でありますが、大体この経過の初めから申し上げたほうが御理解がいいと思うのですが、しかし、長くなりますので要約して申し上げたいと思います。
 まず、ストに至りますまでの経過の第一は、全軍労が五月二十五日第十五回の臨時大会を開きまして、空軍百五十名の解雇申し渡しに対して解雇の撤回、大幅賃上げ等を要求し、米側の回答がない場合は六月上旬ストに突入する旨を決定いたしたのが五月二十五日。
 それから次に五月二十九日、屋良主席がカーペンター民政官と会談した際におきましてこの問題に触れておるのでありますが、(イ)解雇は合衆国予算の削減によるものであり、現地ではどうしようもない。(ロ)全軍労がストをかまえて団交しているのでは軍のメンツから団交に応じられない。すなわち、米軍側におきましてはこのストは違法ストであるというふうに考えております。なお百五十名の削減は予算の縮小に伴うやむを得ざる解雇であるという立場に立っておるのであります。また同日、上原全軍労委員長がカーペンター民政官と会談した際、同民政官が、「とりあえず冷却期間を置くためストを二週間延期してほしい」ということを委員長に要請したのに対しまして、上原委員長は、「明白な回答がない限りストは中止できない」ということを答えております。
 次いで、全軍労は六月の二日中央闘争委員会を開き、(イ)時給――時間給ですね――十七セントのベースアップ、(ロ)退職金の本土並み支給、(ハ)百五十人の解雇を七月一日まで延期すること、以上三点についての要求を掲げ、これらの要求がいれられない場合は六月五日に二十四時間ストを行なうことを決定した。スト決定をいたしたわけでありまして、六月三日に米側は、これはフェーラー前労働局長でありますが、全軍労に対しまして表明いたしたのでありますが、(イ)百五十名の解雇者に対し七月一日より実施の新賃金表により退職金を支給する、(ロ)諸手当、退職金の増額については交渉に入る、(ハ)組合側の苦情、争議問題について早急に意見交換をする、(ニ)今後の問題として双方とも団体交渉を妨げるようなことはしないとの四点につきましてあっせん案を示したのであります。これに対して全軍労は、(イ)七月一日よりの新賃金表の具体的内容を明らかにせよ、(ロ)ベースアップの有額回答をせよ、(ハ)組合の要求に応じて団交に応ぜよとの態度をきめ、全軍労役員が米側と話し合いに入った。しかし、米側との話し合いが進展を見ないまま、四月に至り、全軍労中央闘争委員会で「ベースアップ並びに退職金について具体的回答がないので、ストを回避する絶対的な条件はない」との上原委員長の提案を了承してスト決行をきめたというわけであります。
 なお、実施の状況は、六月五日午前零時よりストに突入いたしたのでありまして、参加の規模は、地元の警察の調べによりますると、六十カ所の米軍キャンプ・ゲートで三千名がピケを張ったのでありまして、全軍労側の発表では、七十六カ所のゲートでピケを張り、スト参加人員は、組合員二万六百名全員と非組合員の七割であるというふうに言っております。米民政府側では、軍労務者の約半数が就業したと言っておりますが、この点、それぞれの見方によって参加者の数が違っております。
 さようなわけでありまして、その間におきまして安里委員長の負傷事件というのが出たわけでありますが、そのいきさつを調べてみますると、ただいま申し上げましたように、ゲートの数が七十くらいで非常に数が多いのでありまして、そこの個所でもピケを張っておったというわけでありますが、たまたま安里委員長が参りましたところのゲートにつきましては、その数時間前に全学連の一派が基地突入をいたしたのでありまして、そうして基地に守備しておりました者があわててその突入者を追い出したという状態と聞いております。そのしばらくたった後に安里委員長がその場に参りました。そうして自動車からゲート側のほうへおりた。おりたところへピケを張っておりました組合員の人たちが安里委員長を取り囲んで話をしたわけでありますが、そのときに大ぜいかたまって、門の前にかたまりができたために、門内でもって警備しておった兵隊が銃剣を持ってきてこれを道路の反対側に押しやった。その際におきまして安里委員長は左の手の甲に軽い擦過傷のようなものを負っておる。なお、背広の左そで口二カ所が切れておる。背広の左ポケットが裂けておる。左のみぞおちにかすり傷を負っているようで、その辺の背広も裂けておるというので、七名の人が負傷をしたと聞いております。
 なお、このときの関係者の意見があるわけでありますが、大体この点両方の意見が一致しておると思うのであります。
 それで事情は、米側のほうにただしてみますると、元来警備につきましては原則として民警察が第一線に当たる、次にゲートの守備員というものがこれに当たる、最後に軍隊が当たるという三段がまえの体制をもって米側はゲートを守るというたてまえになっておるようでありますが、たまたまこの場所の警備は、ふだんあまり使わないゲートのようでありまして、民警察あるいは守備の警備員がいなかったところのようであります。しかも、学生の連中が基地内に飛び込もうという形があったもので――これは革マル学生二十名――その直後でありましたので、厳重な命令を受けておったので、入ることに対してとっさに銃をかまえて飛び出した。かようなふうに見ておるのであります。ただ、銃剣をつけて出たということにつきましては、これは突入を防止するのに対しましてはいささか不穏当ではないかというふうに考えられるのでありまして、屋良主席は正午過ぎ抗議の意味を込めて談話を発表いたしました。軍側が基地の外に出てきたのは過剰な行為であって、これは労働争議のあり方ではない、ましてや銃剣により労働者や安里社大委員長にけがをさせたことは許せないという談話を発表し、立法院におきましては、社大、人民、社会及び革新系無所属の議員が合同議員総会を開いて、立法院の意思として米軍に抗議すべきものであるとの態度をきめて自足党と話し合いましたが、自民党は、まず実情を調査すべきであり、立法院の軍関係特別委員会に付託すべきであると主張したためにこの話は持ち越しまして、立法院では抗議に出ておりません。
 なお、これは関連しまして、革新共闘会議等におきましては抗議をするという態度をきめ、また、五日十五時からスト中全軍労は抗議総決起集会と銘打って集会を開きまして抗議文の採択を行なっております。なお、カーペンター民政官は十四時三十分から一時間屋良主席を訪問して会談し、席上安里社大委員長の負傷事件に対し遺憾の意を表しておる次第でありまして、日本政府といたしましても、牛場外務次官がバージャー氏に対して大使館におきまして、米国が沖繩の治安維持の責任を持っているのにかかる事件の起きたのは遺憾である旨を申し入れたのに対して、先方は負傷事件の発生に対し遺憾の意を表明しておる次第であります。
 なお、その後の経過といたしまして、立法院におきましては抗議決議は行なわれておりませんが、高等弁務官は六日自民党議員団との会見の際におきまして、(イ)安里委員長の負傷事件に対し遺憾の意を表明し、(ロ)在沖四軍に最大の注意と自制心をもって住民に対するよう指示しておりますということを申しました。さらに、全軍労の争議に関しては円満解決の方向で臨みたい。しかし、ストを前提とした団交ではまじめな話し会いはできないと述べております。
 次いで、全軍労委員長は六月六日主席に対しあっせんを依頼いたしたのであります。復帰協は六月六日抗議声明を発表、革新共闘会議も同じ趣旨をUSCARに伝えております。県労協は六月十日米軍の武力弾圧反対労働者総決起大会を開催する予定であって、実行したわけであります。
 次に、米軍の合同労働委員会は、これは議長はジャコブソン氏でありますが、六月六日、次のような声明を発表いたしました。(イ)合同労働委員会は米軍被用者の実質賃金の増額を目的とした賃金表作成の最終段階にある。来週中に発表する予定である。(ロ)米軍合同労働委員会は、再びストを行なわないことを前提として全軍労代表と会見する用意があるということを発表いたしました。なお、翌六月七日カーペンター民政官は屋良主席と会談し、米軍合同労働委員会の賃金表等について説明をいたしております。これに対して全軍労上原委員長は六月九日ジャコブソン議長と予備折衝を行ないまして、次の点について合意を見たのであります。(イ)一両日中に米軍合同労働委員会と全軍労との間で正規の団体交渉を再開する。(ロ)団交はまずベースァップについて討論して、その席で米側から新賃金表の原案を開陳する。(ハ)ベースアッブ以外の退職金並びに今回のストに伴う処分などの問題は今月一ぱいかけて話し合う。
 大体以上のような形でもって話し合いが進むことになったのでありまして、したがって、第二波のスト期日は設定しないという形でもって、六月九日夜経過を報告して了解を得ているというのが今日までの……きょうの一時半から、ただいま申し上げました団交を開始しておるとの通知が入っております。
 さような状態でありまして、一時、険悪と申しますか、衝突も懸念されました全軍労との問題も、私どもの推測で申しますると、これから話し合いが円滑に進行するのではないかと、かように考えておるものであります。
 以上でございます。
#25
○達田龍彦君 労働争議そのものに対する今後の、何といいますか、スケジュールは一応御説明でわかるんでありますけれども、昨日また労働争議への武力介入に対して大衆行動が沖繩では行なわれておるわけでありますけれども、この沖繩での大衆行動は、明らかに異民族の支配に対する根深い、反米意識といいますか、反基地意識に目ざめた私は抗議行動であると思うのであります。この抗議行動は、労働争議が解決しようとしまいと、さらに私は続けられていく要素が今日の段階では非常に強いんではないか、こういうふうに考えます。したがって、いま長官の御説明によりますと、労働争議が終息をするとそれらの一連の行動が終息をするという理解は、私は現状認識においての理解としても非常に甘いのではないかという判断をいたすのであります。したがって、労働争議が終結をしても、なおかつ、これらの民族意識に基づいた基地闘争あるいは反米闘争――米国の統治者意識に対する反行動的な行動というのは私はさらに強まっていくんではないかという感じをとるのであります。したがって、それらの問題をどう解決していくかということが、私は今日大きな社会問題であり政治問題でなければならぬと、こういう見方を実はいたしておるのであります。そこでまず問題になるのは、この労働争議に軍隊が出て武力行使をするということはきわめて私は不当であると思うんです。これは正当な行為ではないと思う。明らかにその背景には統治者意識というものがアメリカ側にあってそういうきわめて高圧的な権力的な行動が生まれてまいったと思うのであります。それに対する沖繩県民の意識がこれに強く反発をし、しかも、国内ではこの行為に対して非常に大きな衝撃を受けて、国民はこれに対して何としても許せないという気持ちが今日世論として高まっておる状況なのであります。したがって、日本政府として、労働争議に対して武力行使を行なったこの状態というものをどうお考えになっておるのか、政府の立場として明快に御答弁をいた、だきたいと思うのであります。
#26
○国務大臣(床次徳二君) まず第一に、労働争議自体の今後のあり方に対しまして御意見がありましたが、私どもは、今日の沖繩におきましてはまことに微妙な状態にありますので、できる限り問題が円満に解決することを期待しておるのであります。しかし、その背後におきまして民族的なもの、あるいは基地反対闘争的なもの、これがありますことは、やはり私どもも認めておるところであります。したがって、問題といたしましては、今日沖繩の施政権の返還問題が叫ばれておるし、今日政府におきまして施政権の返還に対しまして鋭意努力しているゆえんでございます。この問題は、何と申しましても、施政権の返還なくして本質的な解決は得られないものと考える、これが前提であると思います。この十一月の佐藤総理の訪米に期待いたしますゆえんもそこにあるのでございます。したがって、その問におきましてできるだけの円満な推移を期待しておるものでありまして、したがって、十分労働争議のあり方、その推移につきましては注目をいたしておるところであります。
 で、お話しの労働争議に対しまして銃剣をもって軍隊が介入することの問題につきまして、御意見のとおりに私どもも考えるのでありますが、先ほども申し上げたのでありまするが、米側においては、争議に対しまして、大体考え方はこれは不当労働行為であるという考え方――むしろスト行為が禁止されておる全軍労の人たちであるという点が米側の考え方であり、またもう一つ当日の問題におきましては、ピケを行ないましたのが七十カ所になんなんとしておると、そうして、それぞれの場所に分かれておって、ピケが張られておって騒ぎを起こしておる。ほかの場所におきましては平穏にピケが行なわれておったわけであります。なお、米側の表明いたしまするところによりますと、先ほど申し上げましたように、まず第一線には地元の民警察の配備、第二線といたしましては民間の警備員、軍で雇用しておりまする警備員を置く。それが破れました場合におきましては軍隊の力によって基地を守る。基地に突入されることに対しましては、米側といたしましてもこれを絶対に確保する、堅持するという態度をとっておりますことは当初から米側が表明しておるところでありまして、さような状態だったのでありまするが、たまたま起こりました城間ゲートというのはかなり離れたところであり、あまり米側としても守備的に重視しなかったところである。しかも、民警察は当日あちこちに分散しておりましたものでありますから、そこにはほとんどいなかったのではないかと思うのであります。かようなところへですね、先ほど申し上げましたように、朝早く学生の一団が門の中へ飛び込んで、そうして米側はそういう失敗を繰り返しちゃいかぬというのでもって、司令官から強い命令を受け取って、そうして今度はそういうことのないようにというので守りを固めておったときに、さらに第二波が押し寄せてくるというふうに誤解したのです。もちろん、米側におきましては、この部隊の人は、安里氏がバッジをつけておりましても、これが立法院の議員だと、そういう身分の人だということもわからなかったと言っておるようでありますが、この点米側のな場といたし幸しても全くわからずにやったんだと、そうして、なお、軍隊だけしかいなかったものですから軍隊が警備したのでありまするが、軍隊が警備するというのは手不足の関係上やむを得なかったということを申しておるし、また銃剣を使うということにつきましては、これは司令官司令官がそれぞれの立場にあって着剣をさせるのでありまするが、緊急事態に処する包括命令の中にこういうことは認められておるそうであります。しかし、いずれにいたしましても、この点につきましては、過剰防衛の感というよりも、着剣を使うということに対しましては行き過ぎではないかという感情がありますので、米側におきましてば直ちに着剣を取りはずすよう各部隊に指示し、その後の着剣については現場指揮官の判断にまかせておるという形でありまして、着剣によって事件が起こったことに対しましては直ちに、ただいま申し上げますように、はずす処置をとっておる次第でありまして、なお、事件に対しましては遺憾の意を表しておるわけでございます。
#27
○達田龍彦君 まあ武力の介入行使ということにつきましては、今回のこういう事件あるいは争議を通じて、ある程度是正をされていく、こういう見通しが立ったようでありますけれども、私は、ここでもう一つ問題になるのは、先ほど長官の御説明にもあったのでありますけれども、今回の処置に対して直ちに、たとえば琉球政府の屋良主席も米民政官あるいは米国に対して抗議を申し入れておる。非常に日本政府のやり方は手ぬるいという批判はあるのでありますけれども、外務省の次官が電話でもって大使館に対して遺憾の意を表したというのを新聞も報じておるのであります。また、各沖繩における政党も、これまた一斉に抗議を行なっておりますし、さらにまた、各種の団体もこれに対して一斉に抗議を行なっておるのであります。抗議に際して、抗議するほうでも「きわめて今回の事件は遺憾である」ということばを使っておる。抗議されたほうも、これまた「遺憾であった」と言っておる。また、いま長官のお話でも、お互いに遺憾であったと言っておる。一体、この遺憾であったという表現はどういうふうに受け取っていいのか私は実はわからないのであります。どちらにそういう責任を感じて遺憾と言っておるのか。抗議されたことに対して遺憾と言っておるのか、全くもって、私はこの遺憾という表現がすべてに使われておることに対して実は理解に苦しんでおるのであります。したがって、この「遺憾」というのは、一体、アメリカ側は日本の抗議に対して、あるいは屋良主席の抗議に対して陳謝という意味での遺憾なのかどうか。したがって、「将来こういうことはやりません」というのかどうか。いま、武力介入に対しては明らかに行き過ぎであると、こういうことでもって、将来、労働争議や大衆行動に対する武力介入、あるいはこれらの軍の介入ということについては、何らかの方法でこれが是正される、改められていくということは、当然なことではありますけれども、私は一つの前進だと思うのでありますけれども、一体、その根底となるものは、お互いに「遺憾である」と言っておることは、ほんとうに間違っておった、悪かったという気持ちの上に立って問題が是正されていくのか。そこらの点がきわめてあいまいでありますので、一体、日本政府としてはそういう点についてどういう理解でこの問題を受け取っておるのか、説明をいただきたいと思うのであります。
#28
○国務大臣(床次徳二君) 牛場次官が表明いたしましたものは、先ほど申しましたように、米国が沖繩の治安維持の責任を持っておるのに、かかる事件の起きたのは遺憾であるということを申し入れたのでありまして、アメリカ大使館側は不祥事件の発生に対しましては遺憾の意を表明したというわけでありまして、なお、屋良主席その他の話によりまして、先ほどもいろいろ引用いたしたのでありまするが、負傷者が出たということに対しましては、米国側も遺憾の意を表しておる。しかし、それが銃剣を使用したということは過剰でありまするが、しかし、過剰防衛の背後におきましては、先ほど申し上げましたように、基地労務者か禁止せられておる争議行為をしておるという問題、並びに、その対象が基地そのものに対しまして突入行為等おそれがあったというところもありまして、これは普通の労働争議と非常に異なっておるのじゃないか。なお、経過につきましても、先ほど申し上げましたよりな経過をとっておるのでありまして、本来から申しまするならば、いまのような時代に、いずれにいたしましても、地元と米軍側との紛争の発生いたしますことは好ましくないと、そういうことが起こりましたことに対しましてはなはだ遺憾に思うと、特にあの当時アメリカのワシントンにおきましては愛知大臣とロジャーズ長官との会談があったわけでありまして、愛知外務大臣もこの問題に触れまして、不祥事件に対しましてはなはだ遺憾の意を表したのでありまして、その点、愛知外務大臣に対し、五日、レアード国防長官及びジョンソン国務次官も、それぞれ先方からこの問題に触れまして、今回の不祥事件に対して遺憾の意を表したのであります。かようなわけでありまして、今後ともかかる事件を起こさないように、これは労働運動の指導者の立場におきましても考慮すべきであり、なお、基地を警備する者におきましても慎重に配慮すべきであり、この点には、先ほど申し上げましたように、高等弁務官におきましても、今後の基地の警備に対しましてさらに一そうの慎重の態度をとることを明らかにいたしておるわけであります。今日、私どもといたしましては、労働問題はあくまで労働問題として解決すべきであり、外交問題は、外交問題として処理すべき最も私は微妙な時期であると思うのであります。この点は県民も、また日本国民といたしましても冷静に処置いたしまして、そうして、今日私どもの目的とするところの施政権の返還問題にひとつできる限り推進を加えてまいりたいと思う次第であります。
#29
○達田龍彦君 そうなってまいりますと、おのおの遺憾の意というのはそういう形で理解をされるとすると、今回起こってまいりましたこの負傷者ですね、負事者に対して一体責任はどこにあってだれがとるのか、この処置をどうするのかという問題はどういうふうにお考えになりますか。
#30
○国務大臣(床次徳二君) 今回の負傷者に対する処置につきましては、どういう態度に出ておるかということに対しましては、まだ連絡を受けておりません。
#31
○達田龍彦君 長官の判断としては、責任はどこにあってだれがとることが妥当だとお考えになっておりますか。
#32
○国務大臣(床次徳二君) 先ほども申し上げましたように、負傷いたしました事情につきましてはなかなか微妙なものもあります。それぞれ今日経過しておるわけでありまして、これに対してどうするということを私どもの立場に立ちまして具体的にお答え申し上げる事態になっておりません。
#33
○達田龍彦君 問題が一番重要な段階になってきますと、そういうきわめてあいまいな無責任な態度をとられるところに、非常に問題の本質的な解決が困難になる要素を私は生み出しておると思うのであります。これは明らかに、いま申し上げたように、あらゆる角度から考えてみて過剰警備もあり、それから行き過ぎもあるわけでありますから、また、お互いにそれに対して遺憾の意を表明する限り、そういう事件が現実に発生をしておるわけでありますから、この責任はやはり明確にすべきだと思います。それから、その責任をだれがとるということをしないと、問題の完全な私は解決にならないと思うのであります。また、日本政府としてもこれに対しては明確な態度を私はおとりになるのが当然のことではないかと思うのであります。したがって、この内容から見てまいりましても、沖繩における労働運動というのは、明らかに基地、いわゆる沖繩返還の問題を背景にして今日は労働運動の中における一つの転機が来ていることは私は事実だと思うのであります。したがって、将来の特に全軍労の労働争議等については、労働行政をどうしていくかということについては一つの確固たる方針をもって私はルールをきめておかないと、労働争議というものが単なる労働争議ではなくて、いま申し上げたように、反米闘争、民族闘争、あるいはアメリカの基地支配に対する反対闘争といり性格の中で、私は争議というものが本質を離れた政治闘争に発展する要素が非常に強くなると思うのであります。したがって、そういう意味においても、私は今回の問題に対してきちんとした区分けと、それから、いま申し上げたように、責任の所在をはっきりすることがこれらの問題を将来複雑な様相にしていくことを阻止する一つの方法ではないかという考え方を持つのであります。そういう意味において、今回の問題に対しては明確な整理区分をしながらそれに対して責任の分野を明確にしなければならないと思うのであります。そういう点について私は政府の明確な態度をおきめいただきたいと思うのでありますが、どうですか。
#34
○国務大臣(床次徳二君) 今回の事件の責任の問題でございますが、先ほど来申し上げましたように事件の発生につきましては非常に微妙なものがあるわけでありまして、基地警備そのものから申しますと、米側の責任もありますと同時に、民警察の立場もあるわけであります。たまたまあそこに民警察の手落ちがあったということもあるわけでありますが、こういうような責任に対しましては、もう少し私どもは明確にいたさないと意見を申し上げる立場にまだ至っていないということを率直に言わざるを得ないと思うのであります。大体経過につきましては、非常に複雑な状態にあったということは、先ほど来申し上げました事情によっておわかりいただけるであろうが、当然守るべきゲートにおきましては混乱は起こっていなかったのでありまして、たまたま非常に離れておった場所におきましてああいう事件が起こった。しかも、そこに全学連の連中が容喙しておったということでありまして、非常に事件の複雑性といいますか、微妙な問題があるということだけは今日指摘しておきたいと思うのであります。
 なお、本質的な問題につきましては、労働関係でありますので、本土でありますならば調達庁の雇用方式というものが考えられるわけでありますが、今日、沖繩におきましても本土と同じような雇用方式にならないだろうかという御意見もあるわけでありますが、この点は、沖繩におきまして琉球政府が直ちに本土の調達庁と同じような作用営み得るかといりことにつきましてはいろいろ検討しておりますが、今日におきましてはまだその事態にはなっていないのであります。
 なお、もう一つは、労働関係におきましてはっきりといたしましたのは労働関係の樹立でありますが、先般来問題になっております労働布令改正の問題もあるのでありまして、こういう労働布令が整備されまして、そうしておのおのの労働関係というものが円満に運用されるということになりますと、これまた問題解決の一つの大きな進歩を見ることになると思っておるのでありますが、労働布令におきましては、すでに御承知のごとく、本土政府からも十分その意向を通じてありまして、そうして、今後実施いたします際におきましてては本土政府の意見をしんしゃくして実施するという段取りに今日進んでおりますことは御承知のとおりでありまして、きょうな各方面の問題を解決しながら、でき得る限り円満な労働慣行というものが樹立されるようにありたい。しかも、本質的に残っておりますところの反米的な考え方、また基地に対する考え方等は、今後の施政権の復帰等に伴いましてその本質的なものは私はだいぶ形が変わるのではないか、改善を見るのではないかと思うのであります。私どもは、本土と同じような形におきまして今後円満なと申しますか、労使関係が樹立されることに努力をいたしたいと思っております。
#35
○達田龍彦君 これは新聞の報道でありますけれども、荒木国家公安委員長は今回の事件について、警備当局のどこかに手落ちがあったということを新聞記者会見の中で発表されております。で、いま長官のお話でも、警備当局のどこかに手落ちがあったんではないかと判断をされるという意味合いの御発言があっておりますけれども、これらの警備当局の手落ちに対して、将来の警備当局のあり方をどうしていくのかという問題、さらに、この軍の介入というものを労働争議との関係においてどうしていくのかという問題、こういう問題は、私はやっぱり一つ一つとらえて、将来こまかに検討して処置していかないと、こういうあいまいな形で問題を処理されることは、将来に禍根を残し、また再発するおそれがあると思うのであります。国家公安委員長ですらそういうことを言っておるのでありますから、そういう意味では、警備当局に手落ちがあるとするならば手落ちがあると、それはどういう状況のもとにおいて手落ちがあったと、したがって、責任はどこにあるんだ、だれが責任をとるんだということを明確にすることは、私は日本の政府としても当然のことではないかと思うのであります。でありますから、これらの問題について、その責任の所在と、だれが責任をとっていくのか、負傷者に対してはどういう処置をとるのか、それらの問題について政府として検討をして一つの結論なり措置をするということを考えておられるのかどうか、態度を表明してもらいたいと思うのであります。
#36
○国務大臣(床次徳二君) 今回の問題に対しまして県民の誤解を解くということは私はきわめて大事なことだと思うのであります。十分それは検討いたしたいと思いますが、先ほど公安委員長の言を御引用になりましたが、私はその点、その記事を見ておりませんが、先ほども申し上げましたように、七十カ所に近い各所のゲートにおいてピケが行なわれた。したがって、地元の民警察が当然第一線に立って摩擦を防ぐべきであったわけでありますが、民警察が足らなくて、特にいまの場所においては処置をとっていなかったんではないかと思うのであります。したがって、なお米側のほうにおきましても、平素あまり重要でないゲートでありますために、そこのゲートの警備員がそういりことに熟知していなかったという状態もあったようでありまして、したがって、いろいろの事情が重なっておったというふうに今日は解しておるのでありまするが、なお、今後ともこの点につきましては、重ねてそういう問題が起きないように十分に私は検討をいたしたいと思っております。
#37
○達田龍彦君 それから、この米軍基地の中で命令系統がきわめて私は理解しにくいのでありますけれども、今回こういうように米軍の武力の介入がある、これがその起因するところは労働争議にあるという判断をされておるようでありますけれども、そういう場合の米民政官と高等弁務官との指揮命令系統ですね、指揮指導というものは一体どういう関係になっておるのか。それから、今回そういう米軍が着剣して日本の国民、沖繩の県民に対して武力の行使をしたということは、一体これはだれの命令によって、だれの指揮監督の中で動いておるのか。それらをどう理解されておるんですか。
#38
○国務大臣(床次徳二君) 今回の争議は基地労務者でありまして、なお、これが単純なピケでありまするならば基地との関係はないわけでありますが、基地に突入するというような問題がありますと基地との関係が出てくるわけであります。したがって、基地側といたしましてもその警備をいたしたものと思うのでありますが、なお、その基地を警備いたしますのはこれは部隊でありますので、司令官がそれぞれ権限を持ちまして基地を守っておるわけでありますが、たてまえといたしましては、高等弁務官といたしましても、先ほど申し上げましたように、第一線におきまして地元の民警察に警備をしてもらう。基地側自体といたしましては、基地で雇用しておりまする警備員をまず使い、警備員の力の足らないときに憲兵部隊が出るという三段がまえにして対処するということを明らかにいたしておりますし、なお、高等弁務官といたしましても、銃剣の使用等につきましては十分慎重に取り扱うように部隊のほうにも連絡をとっておるようでありまして、高等弁務官といたしましても、民政官からの話を聞きまして、部隊に対しましてその連絡をいたしたのであります。しかし、その判断そのものは現場の指揮官が当たるものと考えておるのでありますが、弁務官におきましては、民政官を通じまして十分慎重に取り扱う、直ちに着剣を取りはずすようというふうに連絡をとっておるのでございます。
#39
○鶴園哲夫君 あるいはいまの質問のなにとは少し食い違うかもしれませんけれども、長官のお話を承っておりますと、何か日本政府としましてこの問題について積極的な姿勢というものはないように受け取れるのですけれども、この問題は沖繩の返還の問題ともからみまして非常に微妙な問題だと思うのです。ですから、政府としましても、積極的にやはり米側に対して、あるいは沖繩のいわゆる米側に対しても積極的にやはり問題解決のためにこれは働きかけるべきじゃないかというふうに思うのですけれども、何か聞いておりますと、そういうような姿勢が全然見受けられない。「検討する」というお話なんですけれども、何か全然そういう姿勢がうかがえないのですけれども、これは一体化のことも進めておられるわけですし、沖繩にはまた日本政府の機関も設けられておるわけですし、しかも、これから日本政府として本格的に返還をめぐって交渉もされるという段階なんですから、その場合にこういうような問題が起きて、さらにそれが妙にどろ沼に入るような危険もあるのじゃないかという心配もあるわけですから、ですから私は、政府としてはもう少し積極的にアメリカ側に対していろいろ言うべきことは言い、解決に努力すべきことは働きかけるべきじゃないかという気がしてしようがないのですけれども、そういう点はどうなんでしょうか。
#40
○国務大臣(床次徳二君) 労働争議に対しますることからエスカレートいたしましていろいろの問題を惹起することに対しましては、御意見のとおり、私どもも非常な関心を持っておるわけであります。現地に事務所がありますので、絶えず事務所から連絡をとりまして、労働問題の推移についてよく見守っておるわけであります。先ほど経過説明を申し上げましたように、この解雇事件発生以来いろいろのいきさつがあったわけであります。そうして話し合っておるわけでありまするが、この点につきましては、主席も介在しております。民政官もいろいろと折衝しておる。しかし、そうだからといって、一がいに米側が悪い、あるいは労働者側が悪いとなかなか言いかねるのが労働争議の本質だろうと思うのであります。したがって、この状態の最中に本土政府としてどうしろということにつきましては、今度の経過の途中におきましては、むしろ私どもは介在せずにこれを見守っていくということが適当であると考えておったわけであります。今後におきましても、でき得る限り事件がエスカレートしないように、円満に両者の間において解決すべくあらゆる努力を尽くす考えでございます。
#41
○鶴園哲夫君 どうも、あらゆる力を尽くすというお話なんですけれども、ですから、この問題は政治問題化しているのじゃないかと思うのですけれども一、ストライキそのものは、これは解雇なり、あるいは大幅な賃上げなり、あるいは権利という問題で起きているのだが、しかし、着剣をしましてそうして配置につくということになりますと、これは労働問題だけではなくなってしまうのです。しかも、先ほど長官の説明によりますというと、警備のしかたというのは、民警がおって、そしてさらにその次に従業員として警備員を雇っている。それが当たるのだ。最後に軍がおるのだ。こうおっしゃるのですけれども、そんな印象を受けないのです、あの写真を見ましても。何かもうまっ先に出ておるような、軍自身が出てきているように思いますし、それから、負傷したという問題についても、飛び込んだから負傷したのではなくて、何か委員長が車からおりて、みんな取り囲んでおる。それを何かけがをした。しかも、そのけがの模様は、先ほど説明がありましたけれども、洋服が破けている。何カ所もあるのです。これは容易じゃないと私は思うのですが、おそらくどこか一カ所ちょっとしたというのじゃなくて、何かみぞおちの少し下――ここがこう破けておる。しかも、六名も七名も負傷するというような事態になっておるのですから、これは私は政府が黙っておるわけにはいかないだろうと思う。積極的に政府はアメリカ側に働きかけるべきじゃないかというふうに思うのですけれども、言うべきことは言うべきじゃないか。それがなければ、これは沖繩県民としましては、沖繩返還のさなかにおいて日本政府に対する信頼感を失うのじゃないかと思いますね。そういうふうにお考えになりませんか。
#42
○国務大臣(床次徳二君) 結論から申しますると、もう少し具体的な材料を得まして、処置いたす必要がありますればいたしたいと思っておるのでありますが、警備の問題につきまして、先ほど申し上げましたように、原則として三段がまえで米側はやっておった。しかし、今回の場合におきましては、七十何カ所、しかも城間ゲートというのば、かなりはずれたところであって、ふだんはあまり人の往来の多くないところであり、したがって、民警察も十分手が回らなかった。しかも、その直前に学生がそこから基地に突入した。そうして内部の警備員がそれを押し返したという実態にあるところへたまたま安里委員長がかけつけたという形になっております。ほかのところなら私は問題がなかったのじゃないかと思う、民警察もおったし。と思いますが、さような場所に安里さんが行かれて、そうしてしかも自動車をおりたところが門の前のほうの側におりて、そこにピケにおった連中がみんな一斉にわっと入ってきた。そこで門内におった者が、これではまた入ってくるかと思って、あわてて出てきて道路の反対側に押していった。その押していくときに負傷をされたのではないかと推測はされておるわけでありまして、事情はさようなわけで、いろいろな事情が複雑にあったのだと思います。したがって、この点にりきましては、十分に私どもといたしましても考慮いたしたいと思います。とりあえず遺憾の意を表したということは先ほど申し上げましたとおりであります。今後の処置等につきましては、さらに十分検討いたしました上におきまして処置をとりたいと考えております。
#43
○達田龍彦君 ただいまの政府のこの問題に対する態度、私は先ほど申し上げたように、非常に手ぬるいし、また、責任をお感じになっていないような印象が強いのであります。屋良主席そのものはこれに対して激しい抗議を行なっておりますし、何らかの処置をしていくべきだというきわめて積極的な立場をとられておるのであります。私はそういう立場から、日本政府もこの問題に対して、大体事件の状況というものが把握されたわけでありますから、その上に立って積極的に日本の国民を守る、沖繩県民を守るという姿勢で私はアメリカ側との折衝、交渉というものをしていく態度をとってもらいたいということを強く希望いたしたいのであります。
 それからもう一点この問題で問題になりますのは、私は警備の問題も一つ、それから労働問題も一つありますけれども、これは日米琉諮問委員会に問題を提起して、そうして労働問題の一体化、あるいは警備問題の一体化という姿で問題をとらえて問題の解決をはかることも一つの方法ではないかという考え方も持つのであります。この状況によりますというと、屋良主席がこれらの問題を日米琉諮問委員会にかけて問題の解決を少しでもしていきたいという気持ちを私は否定することはないと思うのであります。したがって、日本政府と琉球政府との間でいろいろ問題を煮詰めてもらって、そうして一体化政策の一環としてこれらの労働争議の問題について十分話し合いを行なって一つの方向づけをしてばどうか、こういう考え方に立つわけであります。特に労働問題に対しましては、先ほど私の指摘してまいりましたように、沖繩返還という問題、あるいは沖繩県民の基地に対する強い反発、あるいは米軍の今日までの不自然な沖繩統治に対する反発、こういうものが非常に根深く、しかも非常に強い姿で今日大衆行動としてあらわれているという背景を考えるときに、将来の労働争議は単なる労働争議として問題が解決しない様相を今日つくり出している背景が私はあると思うのであります。そういうことになりますと、沖繩における労働争議というものは、やはり過去の労働争議と今回の労働争議はかなり大きな変化のある労働争議であり、労働のあり方について、あるいは労使間のあり方についても転機が来ていると私は判断をいたすのであります。また、そのことに対する一つの方式をきめていかないと、沖繩返還に対する微妙な影響というものが出てまいると思うのであります。将来の基地の態様問題を考えてまいりましても、基地をどう維持し、その機能を、どう守っていくかということのためには、いまの全軍労がこれにどう協力していくかということが、私は基地の機能を維持する上にとっては重大な問題であろうと思うのであります。したがって、いまのような米国に対する反基地、反米軍の沖繩県民の考え方がある限り、返還後の基地の態様に対する、特に基地の機能をどう守っていくかということは私はたいへん重要な問題だと思います。そういう意味では単なる労働争議の問題ではなくて、やはりこれらの問題についても日米琉間の一つの話し合いがきちんとなされて問題が進められていくという姿勢がない限り、問題解決に私はならぬと思うのであります。そういう意味で、これらの根本問題をどう解決をしようとお考えになっているのか。むしろ私は、この問題を契機にして、日本と琉球政府のほうで問題提起をしていって一つの方向づけをすることも一つの方法ではないかと考えるのでありますけれども、そういう考え方をお持ちになっているのかどうか。あるいは将来のこれらの問題に対する方針をどうお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#44
○国務大臣(床次徳二君) 本土政府といたしましては、今日の沖繩問題は人道問題として国民の長年の非願であるという意味におきまして施政権の復帰ということを考えております。同時に、沖繩におきますところの基地というものの性格を考えているわけでありまして、この二点につきましては、やはり現地で解決するよりも、むしろ本土政府自体がアメリカ政府と交渉いたしまして解決することが本質である、かように考えて今日の復帰運動に取り組んでいるわけであります。したがって、今日の事情におきまして日米琉が接触いたしまして、そうしていまの御意見のような形でいくということも一応考えられますが、私どもは、むしろこれは順序は逆なのではないか。この本質が進んでおりますので、本質問題の解決にあたりまして重点をそこに置く。ただ、地元におきましては、できるだけそういう問題の起こらぬようにやはりそれぞれの立場において善処してまいりたいと思うのであります。
 なお、全軍労自体のあり方の問題につきましても、私は御意見のように、やはりいろいろ考え方があると思うのでありまして、今回の争議につきましても、米側の形で言うと、半数以上は就労しているんだということも言っております。なお、このこと自体は全軍労自体の内部問題もあるかと思うのであります。私どもは、全軍労自体の人たちがいかにこの問題に対して考えていくかということ、これはまことに大卒なものであると思うのでありまして、御承知のとおり、米軍が基地というものを持つ以上、住民の協力なくして労働の協力を得るということ、まことにこれは困難な問題になると思います。したがって、やはり十分県民の理解のもとに基地というものを経営し、また労務の供給を受けるということが私は基本的な前提だと思う。さような立場からこの問題はやはり考えていかなければならない問題だと思うのでありまして、そういう本質のことを考えながら、私ども円満にこの点を解決できるように見守っているわけでありますが、幸いにして私はこの形におきますならばこの全軍労事件は解決するんじゃないかと思っております。今日まで過去に数点の問題もありましたが、漸次解決をしておるのでありまして、まあ、今度のいわゆる春闘の一環としての問題につきましては大体解決がつくのじゃないか。いまは若干残っておりますけれども、全般としては一連の春闘というものが妥結できるのではないかと、かように見込んでおる次第でございます。
#45
○達田龍彦君 もう時間が経過をいたしましたが、私はまだ実は日本政府の基本的な立場あるいは外交交渉における経過等についても特に外務大臣の出席を求めて問題の解明をしたいと思います。それから、国家公安委員長に出席をいただいて、またそういう事案のあり方についてこれまたどういう把握の上に立ってどういう措置をされるのか、それらの問題についてもやはり解明をしたいと思いますが、本日はまあ長官だけでございますので、次回にそれらの問題を譲って、本日の質問はこれで終わりたいと思います。
#46
○鶴園哲夫君 ちょっと関連でお伺いしようと思ったのですけれども、いま達田さん終わりましたですから、先ほど長官、お話しのありました米軍の基地に勤務しておる者を日本の基地に働いておる者と同じような――防衛施設庁ですね、施設庁が雇用者になっておるわけですね、日本の場合そういう形の検討を進めておられるようなたしかお話がありましたですね。これは一体具体的に検討しておられるわけですか。返還後にやられるおつもりなんですか。そこら辺をもう少しですね。
 それからもう一点は、今後の争議の一つの大きな原因になりました、そもそも大量の解雇があるのじゃないかという懸念がそこにあるわけですね。ですから、そういう解雇に対する非常な心配があると、転職なり離職ですね、そういう問題についての施策というものは政府として考えられないものであるかどうか。また、考えていらっしゃるのかどうか。この二つですね。
#47
○国務大臣(床次徳二君) 基地労務の供給に関しまして、本土におきましては施設庁が担当しておりまするが、沖繩におきまして同様の方式をとることを地元としては意見が出ております。その意見の出ていることにつきましては、私どもも考えておるわけでありまするが、しかし、いまの琉球政府の状態、なお基地の状態におきまして、直ちに本十と同じような形式がとれるようには考えておりません。しかし、返還になりました際におきましては、本土と一体化という立場におきまして当然これは検討すべきものだと考えておるのであります。
 なお、労務者のいわゆる離職の問題でありまするが、地元におきまして基地反対闘争があり、また、今日の趨勢から申しますならば、基地労務者が減ってまいるということは当然予想しなければならないのでありまして、本来から申しますならば、基地労務者が解雇されましたことに対しまして、むしろ当然の趨勢だという考え方もあるかと思うのでありまするが、今回の場合におきましては、米軍の予算の減少に伴うところの馘首である。ことさらに不当のものかどうかということにつきましては、この点判断の要するところでありまするが、予算がなくなりましたので解雇したということをアメリカ側は言っておるわけでありまして、したがって、離職者の処置というものを私どもは検討すべきときであります。したがって、昨年以来これは一体化委員会におきましてもすでに研究いたしておるのでありまするが、基地労務者に対する対策というものをまず今後において重視すべきだと考えておるのでありまして、ことしの予算におきましては五千万円をもちまして本土と同じ離職者対策を実施するようにいたしておるのであります。ただ、地元におきまする立法院におきましては、残念ながらこの受け入れ対策の立法がまだできておりません。予算はすでに援助金として私どもは出しておるのでありますが、すみやかにこの立法が行なわれまして、そうして離職者が不安のないように勤務して、そうして軍が縮小いたします際におきましても他の職業にかわり得るようにいたしたいと思うのであります。なお、あわせまして、離職者の職業訓練の問題でありますが、今後これも十分必要だと思いますので、本年におきましては、労働省におきましていわゆる雇用促進のための技能訓練所を、本土から援助いたしまして、そして琉球政府においてこれを設置いたしまして、そしてその離職後の役割りを果たし得るように技能を教える、訓練をするということを準備いたしておる次第であります。
#48
○春日正一君 私も同じ問題で質問するわけですが、六月五日にアメリカで愛知外相がロジャーズ国務長官と会談して、アメリカ側の考え方を理解するというふうに述べていた同じときに、沖繩の全軍労のストライキに米軍が銃剣で弾圧を加えたというのは非常に象徴的なできごとだというふうに私は印象を受けたわけです。そこで、経過その他は長官のほうからいろいろお話があったので、直接問題になる幾つかの点でお聞きしたいんですけれども、この弾圧の責任問題ですね。それと政府の態度の問題。先ほど来責任はどこにあるかよくわからぬというようなことを長官言われるんですけれども、明らかにこれは軍にあると思うんですよ。軍の命令でMPが銃剣でそこに集まっている人を排除しようとして、そして何人かの人に傷をつけたと、しかも、そこには沖繩立法院の議員もいた。それが傷つけられたということになれば、これはもう明白に軍がやったことなんで、これは軍の責任だと思うんです。そこら辺、政府としてなぜはっきりさせられないんですか。
#49
○国務大臣(床次徳二君) 行為は軍隊の一部の兵隊がやったことだということは明らかでございますが、ただ、その事態に至りまするまでのいろいろ経緯等をもう少し私ども十分見て、そしてはっきりとした責任というものを明らかにいたしたいと思うのであります。今後を私どもも十分考えておりますので、かかる事件が重ねて起こらないように、さような意味におきまして検討いたしたいと思います。
#50
○春日正一君 そういう問題じゃないと思うんですね。まあ先ほど長官は、あそこで民警が警備すべきところが警備されてなかったと。それは警備されてなかったという事実はあるでしょう。そして、そこでは革マル系ですか、ああいう暴力的な学生が二十名ぐらい基地の中に突入しようとした。これを排除するために銃剣をつけて出たんだという説明がされたんですけれども、トロツキストと私ども言っておるああいう学生の暴力集団、ああいうような行動は非難さるべきだし、私が一番早くから、そしていまでも一番徹底的に非難しておると思うんです。それだけれども、あれ、日本人でしょう。それは米軍として、基地に飛び込んできたら排除しなければならぬというけれども、銃剣を突きつけて排除するというのは、あそこで学生が殺されたらどうなるか。トロツキストだから殺されていいということは、私も言えないし、あなたも言えないだろう。そうだとしたって、あの連中がどんな武装をしておったか知らないけれども、軍隊が排除するのに銃剣をつけて排除するということ自体過剰警備ということが言われますけれども、過剰だと思います。まして、その連中が逃げたか排除されたかしていなくなったあとに、ピケの人たちがそこにいて、そしてそこに安里委員長が来たということで、激励を受けるためとかそういうことで集まったというのを排除するのに、銃剣をつけたまんまで――基地の外ですよ――排除するということになれば、これは明らかに行き過ぎだということは明らかだし、そういうやり方が、日本人の生命というものに対してそれほど軽視したやり方がやられておるときに、日本政府として、やはりそういうことは困るんだ、ひどいじゃないかということを言うのがほんとうだし、言わなければそういうことを認めたということになっちまうんじゃないですか。そこを私心配するんですよ。私どもと長官の立場違います。自民党、佐藤内閣は安保条約を堅持するという立場をとっているんだから、その立場は違うけれども、同じ日本の国民として、やはりそこにいる日本の国民が銃剣でもって排除されようとした、そうした仕打ちを受けたときに、たとえ安保条約は継続するんだ、アメリカとは仲よくやっていくんだという日本政府の立場としても、日本の国民に対してこんな扱い方をされたら困るじゃないかということを厳重に抗議しなければならないですよ。二度とそういうことをさせないということをするのが政府の義務なんじゃないかと思うんですけれども、その点長官の答弁聞いていますと、何かこう、こわれものにさわるみたいに、遺憾ではあるけれども、事情がまだよくわからぬからというようなことを言っているけれども、それでは沖繩の県民も日本の国民も、とてもじゃないけれども、納得できない。銃剣を向けられるということは、そのこと自体もう命がけのことなんですから、そうして軍が銃剣を向けたということは明白なんだから、そこをはっきりと政府として抗議するんだという立場をとるべきじゃないかと思うんです。その点、長官の考え方を聞きたい。
#51
○国務大臣(床次徳二君) ゲートの中から飛び出してきて反対側に押しやったという行為と聞きましたものでありますので、牛場次官から米側に対しまして、いかに違法なストとはいえ着剣した銃を使用して負傷者を出したことは遺憾であるということを申し入れたのでありまして、その事実をつかまえて直ちにそういう措置をとったのであります。その点につきましては御意見のとおりだと思っております。
 なお、今後の問題につきましては、いろいろの事情につきましてさらに十分検討いたしましていたしたいと思いますが、この点米国民政官並びに高等弁務官等におきましても、先ほど申し上げましたように、十分な配慮をいたしまして、今後かかることのないようにいたしたいということを言明しておる次第であります。
#52
○春日正一君 そういう意味で言えば、やはり日本の国民の基本的な権利というものはあくまで守っていくんだ。それがアメリカとの関係をどういうふうに考えようと、基本的な権利というものは守っていかなければならないんだから、当然ああいう負傷者を出したということに対して陳謝もさせるし、今後はそういうことをやらないという意思表示もはっきりさせる。それから、けがした人たちに対する治療とか慰問の処置も講じさせるというようなことはきちんとしておきませんと、何かうやむやにされていってしまうというような意味で、そこらも政府としてはっきりすべきことは、どういう立場であろうと、とにかくはっきりさせて、国民の権利を守っていくという義務があると思うんですよ。
 そこでもう一つの問題は、そういう問題が起こってきた問題について、先ほど長官も、沖繩ではストライキ権も認められていない、違法のストライキというふうに言っておりますけれども、この「違法のストライキ」ということも、労働者にとってストライキというのが最後のきめ手です。私も労働者としてずっと十四歳のときから働いてきておりますけれども、いろいろ話しをしても、やはり最後には仕事をやらぬようにすると言わぬと、なかなかうんと言わぬ。そういう雇い主というものは多いものですよ。まして、アメリカが軍事的に占領しておって、ほとんど基本的な人権を認められていないというような状態で、全軍労のほうの資料なんか見てみても、沖繩の労働者一般の賃金水準が本土の労働者の水準から三割低い。その中でさらに軍労働者の賃金というのは二割か三割方低いんだというふうにいわれている。つまり、ストライキをやらせないというような条件のもとで、そういう低い賃金が強制され、しかも、軍の予算が削られたとかなんとかいう軍の一方的な都合でもって首を切られるというような状態がずっと長年積み重ねられてきておった中で、がまんができなくなって、それで、まあ違法だとかなんとかいっても、これ、基本的な権利なんですから、労働三権というものは、ストライキ権、団結権というものは、もう国際的に見たって基本的な権利として認められておる。そういう基本的な権利なんですから、当然日本の政府として、日本の国民がそこで使われておる場合に、国民を保護する責任から見れば、これはアメリカ軍の基地を認めて基地があるというなら、そこで使うのはいいけれども、働く日本人の基本的な権利は認めるということを相手にさせなきゃならぬ。ところが、それを、違法なストをやったんだから、責任は労働組合の側にもあるんじゃないかというふうに言ったら、これは国民を保護する政府として、特に日本の国民といっても、一人、二人の問題じゃない、ここにたくさんいるわけですから、その人たちの権利が全然奪われてしまうということを認めるような立場に立ってしまう。そうして、そういうことの続いてきた結果が今日のストライキということになってるんだし、また、そういうことがいろいろな面であるもんだから、だから、祖国復帰の運動とかなんとかという形のものが大きく盛り上がってくるというような、そういう条件にもつながっておる。だから私は、ここで長官に沖繩の施政権返還問題をお聞きしているわけじゃありませんから、この問題に限って言っても、最低限、やはり沖繩の軍労働者に対して、労働者として持っておる基本的な権利――団体交渉をする権利、ストライキの権利――こういうものは認めるべきだということを要求し、それを実現していく。そのことがまた、あなた方のおやりになってる一体化政策というものの重要な中身なんじゃないか。まさにそういうことが一体化されなければ、先ほど審議された免許の一体化というものがありましたけれども、それも一体化でしょうけれども、一体化で沖繩の県民が一番望んでおるのは、そういう基本的な権利を守るような、その一体化じゃないかと思う。そこに力を入れていただくという意味では、今回の事件は非常に不祥な事件で好ましくないことでありますけれども、これ、一つの機会だと思うのです。災いを転じて福にするという意味なら、そういうことが起こらぬために、まさに沖繩における労働関係を飛躍的に改善して、そういう権利を認めるべきだというような折衝をアメリカ側とやっていただく。このことが必要なんじゃないかと思うのですね。その点、いかがですか。
#53
○国務大臣(床次徳二君) 労働者の立場を保護するということに対しまして十分関心を持つべきじゃないかというお説に対しましては、私どもも同じ立場に立っております。したがって、労働布令の改正を通じまして、本土政府におきましてもでき得る限り労務者の立場というものを考慮しておるわけで、特に全軍労の立場に対しましても慎重な態度をとりまして、善処をいたすべく、米側にも要求いたしておるのであります。なお、今回のストの原因になりましたものは、一番大きな問題は、やはり百五十名の解雇という問題だと思うのでありますが、しかし、解雇そのものにつきましては、何ゆえの解雇かということを十分検討する必要もまだ残されておりますが、しかし、沖繩の基地の状態から申しまするならば、漸次縮小して解雇者が出てくるだろうということは、私どもも予想しておるところであります。ただ、今回の解雇が、はたしてどういう解雇かという内容の問題もあるかと思います。しかし、解雇されたからといって、非常な不当行為だと、直ちに結びつけるわけにはいかないのが、むしろ沖繩の趨勢ではないかと私ども考えるので、できる限り基地が縮小いたしまして、そうして基地産業から平和産業に切りかわるということをお互いに要望しているわけで、この点につきましては、私は今後とも起こり得ることだと思うのです。その点に対しましては、解雇行為につきまして、十分考えてまいらなければなりません。しかし解雇したからいけないというところには、私たちもつながらないんじゃないかというふうに考えます。広い視野でもって努力をいたしたいと思いますが、本質は、何と申しましても、基本的には、私ども施政権の返還ということによりまして相当の部分が解決できるわけであります。したがって、今日施政権の返還問題が折衝され、たまたま愛知外務大臣が交渉しているときにこういう問題が起こりましたのは、まことに考えさせられるものがあるわけであります。今後とも、地元の県民の幸福というか、平和というものを考えまして、その基本的な権利はできるだけ守るように努力しつつ復帰の時期を迎えたい。やはりその意味において、おっしゃるとおり、一体化政策の一環として考えるべきかと思います。
#54
○春日正一君 私言っているのは、解雇そのものが、いま長官の言われるように、どういう言い分があって解雇するのかというような問題については、これは現地の首切られる、あるいはそれに関係する軍労働者が一番正確に判断するわけですよ。問題は、首切られるというようなことが出てきた場合に、アメリカと団体交渉をやり、あるいはそれがこじれてくれば、ストライキでもやって、そうして解雇を撤回させる。あるいは撤回できないというものならば、解雇されるそのことに対する適当の補償もさせるというような条件をそこに確立しておきませんと、やはり本土のほうから見て解雇が正当であるかないかというようなことを考えてみたって、これは現地の問題ですから、こまかいことはわかりませんから、それは現地で、そこにおる日本人が、アメリカ軍に対し十分正当な権利を主張できるし、行使もできるという条件、それを実現するそれがないということで、その点ではやはり今度のような問題が起こってくる一番の根元があると思うのです。だから、私はそういう意味で、沖繩の労働者がやはり基本的権利としてのそういうもの――団結権、ストライキ権、団体交渉の権利というようなものをきちっと保証されてやると、そうして、ストライキに対しては弾圧するというようなことは国際的にいけないことになっているのだから、まずそういうことはさせない。まして銃剣を持ってきて突きつけるというようなことは、どんな理由があっても許せないことだ。この点がはっきりしませんと、今後もこれが起こるだろうし、それから、アメリカがそういう考えを持っておれば、たとえば沖繩の施政権返還というようなことになったって、起こる。その点で私特に、非常に印象を受けたのは、アメリカ軍のほうでは、これは軍の道路だと言って、だから出て行けという形で排除しようとしているのですね。ところが、それに対してあそこの基地の労働者ば、ここは日本の土地だと言って主張している。ここのところに非常に大きな重みが私はあると思うのです。これはアメリカは軍の道路だと言うかもしれない。しかし、アメリカの基地も含めて日本の土地なんだ。沖繩県民はずっと長年先祖以来住みついて開発してきた、そういう土地なんだから、しかも軍の構内に不法に侵入するとかなんとかということではなくて、労働組合として当然のピケットの行為をやっておった。しかも、軍のさくの外でやっておったというのに、それに対して排除をするということ自体、すでにもう行き過ぎですわ。まして銃剣をもってこれを排除するというようなことは、これはもってのほかだし、どうしてもこういうことに対して政府としても今後絶対起こらぬという保証を打ち立てていく、そうして、沖繩県民にこたえていくということでないと、政府の責任としてつとまらぬ。そこら辺の長官のお考えをはっきり聞かしていただきたいのですが。もう三年たてば返ってくるから、それまでという問題じゃないんですね。いまもうそこまで来ているし、がまんならなくなってきているからストライキもやろうというようなことも起こってくるし、米軍に対してデモをかけようということも起こってきている。そういうものに対してやはり日本の政府としてはっきりこたえていくということが、いま一番求められているのではないか。今度のことも一番それを求めている。そのことに対して長官の考え方を聞かしていただきたいと思います。
#55
○国務大臣(床次徳二君) ストライキの是非その他に対しましては、これはなかなか問題があると思うのであります。
 なお、今回の問題となりました労働布令等におきましても、道路上の行為に関する解釈等の問題につきまして、できる限りこれが不当に行使されないようにという趣旨におきまして労働布令の問題等も実は論議がかわされておるのでありまして、できる限り、この点に対しましては県民の立場に立って解決してまいりたいと思うのであります。
 なお今回の事件につきましては、先ほど申し上げましたように、ゲートを出て銃剣でもって阻止したということにつきましては、これはたとえ阻止行為でありましても行き過ぎているのではないかという意味におきまして、政府から遺憾の意を表し、なお、これに対しましては米側といたしましても同様遺憾の意を表し、なお、高等弁務官、民政官におきましてても、銃剣の使用等につきましては十分注意するように申しております。
 今日までの経過はさようなふうになっておりますが、今後の問題につきましても、私ども重ねてこういう問題が起こらないようにいたしたいと思っております。
#56
○委員長(山本茂一郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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