くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第11号
昭和四十四年六月十八日(水曜日)
   午後二時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十八日
    辞任         補欠選任
     足鹿  覺君     沢田 政治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本茂一郎君
    理 事
                伊藤 五郎君
                源田  実君
                鶴園 哲夫君
                松下 正寿君
    委 員
                内田 芳郎君
                河口 陽一君
                大松 博文君
                中村喜四郎君
                長屋  茂君
                長谷川 仁君
                山本 利壽君
                川村 清一君
                小林  武君
                沢田 政治君
                達田 龍彦君
                渋谷 邦彦君
                春日 正一君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       国 務 大 臣  床次 徳二君
   政府委員
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
       総理府特別地域
       連絡局参事官   加藤 泰守君
       防衛庁防衛局長  宍戸 基男君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関
 する暫定措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (沖繩の施政権返還交渉問題等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本茂一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、足鹿覺君が委員を辞任され、その補欠として沢田政治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本茂一郎君) 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案を議題といたします。
 本案に対する質疑は、去る十一日の委員会においてすでに終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本茂一郎君) 御異議はないものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#5
○委員長(山本茂一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(山本茂一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(山本茂一郎君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○達田龍彦君 私がきょう質問をいたしたいのは、今回の愛知外務大臣の沖繩返還に基づく訪米の問題について御質問をいたしたいのであります。すでに衆参両院の本会議で報告がなされ、それに対する基本的な説明、質疑がかわされておるわけでありますけれども、なお確かめておきたい問題等がございますので、これらの問題を中心に質問をしたいと考えておるのであります。
 まず最初にお尋ねをしておきたいことは、今回の訪米にあたりまして、訪米の成果をどういうように外相自身評価をされておるのか、まずその点からお伺いをしておきたいと思うんであります。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) 今回訪米いたしましたのは、本会議その他で御報告をいたしましたように、ニクソン政権ができましてから、政府としては初めての正式の接触でございますから、いろいろの問題について意見の交換をいたしたいと考えまして、いろいろの用意はしてまいりましたし、またそれなりに得るところもあったように思われますが、何と申しましても、最大の懸案で早く解決したいのは、沖繩返還問題。沖繩の返還問題についてしからばいかなる成果であったかというお尋ねと思いますが、最初の接触であり、また政府としてのアメリカに対する要請については、ほとんど余すところなく要請をいたしたつもりでございますけれども、何ぶんにも非常にむずかしい問題でありますだけに、また当初から、これはいわば第一ラウンドと心得ておったわけでございますけれども、本件については、いわば返還交渉が軌道に乗ったということは申すことができると思います。これこれの点についてこうこうこういうような結果であったというようなところまではまだまいっておりません。
#10
○達田龍彦君 それで具体的にお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、新聞あるいはテレビその他の報道によりますと、核に対する今回の話し合いでの取り扱いは、アメリカとは話し合いがされなかったというように承っておりますけれども、一体日本の立場として、沖繩の核の問題に対してこちらのほうからも主張しなかったのかどうか、主張したとするならば、どういう内容を核の問題に対して外務大臣は主張されたのか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) それでは少し、核の問題だけではございませんが、本会議その他で御報告したことと重複いたしますけれども、基本的な政府としての態度を御説明いたしたいと思います。
 まず早期返還ということについては、おそくも一九七二年に返還を求め、施政権返還後の沖繩の基地のあり方については、日米安保条約並びにこれに関連して現存するところの交換公文あるいは了解事項、こういったものをそのまますなおに本土並みに適用せらるべきこと。核については、日本国が唯一の核被害国であるということからいたしましても、国民的に核武装あるいは核兵器というものに独特の考え方を持っておる。また、沖繩基地について核というふうなものが必要とは考えられない。沖繩の県民については、施政権が返還された後においては、本土と差別のない状況において生活を享受することができるように、こういう点がわがほうの基本的態度といたしまして、先ほど申しましたように、私としては十分に当方の主張すべきことは主張いたしたつもりでございます。
#12
○達田龍彦君 これは、これまた新聞にも出ておるのでありますけれども、かりにいま外務大臣が主張された内容というのは、核抜き・本土並み返還ということが大体基本として貫かれているように理解されるのでありますけれども、その中で一番問題になりますのは事前協議の取り扱いの問題であろうと思うのであります。特に事前協議をどういうように運用していくかということが今後非常に重要な問題になってまいると思うのであります。また、これいかんによっては日本の国土が沖繩基地並みの状態になっていくということも考えられるのでありまして、非常に私は重要な問題であろうと考えておるのであります。
 そこで、この事前協議の諾否をきめるにあたって、政府の態度によりますと、イエスという場合もあり、ノーという場合もあるということでございますけれども、今後佐藤訪米までの間に、この事前協議の基準の取りきめについて話を煮詰めていくという考えであるのかどうか、そうして、煮詰めるお考えであるとするならば、その基準というものはどういうようなことを基本として基準をおきめになるのか、その点をひとつ承っておきたいと思うのであります。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申しましたように、従来九年間にわたって行なわれております取りきめ、これらについて特別の取りきめがなく沖繩にそのまますなおに適用されることが望ましい、これは交渉の基本線でございますから、何もそういうふうなものはない。そのまま沖繩の施政権が返還される、これはもう最も望ましい形であると私も考えているわけでございますから、そういうかっこうで、十一月佐藤総理訪米の時期に、そういうラインで話の大綱がまとまればたいへんけっこうなことである、そういう線に向かって最大の努力をしようというのが私どものただいまの状態でございます。
 事前協議の問題については、御案内のように、事前協議という制度ができたのは九年前でありますが、幸いにして事前協議というものが実際に行なわれたことはございません。これはいろいろの意味で、私は一つの安保体制全体のメリットであったと考えます。ですから、今後におきましても、そういう事態の起こらないことが最も望ましいわけで、それが理想的な姿である、こういう基本的な考え方の上でまいりたい。同時に、日米の間におきまして安保条約を的確に実行してまいりまする上におきましては、沖繩の施政権の返還ということを前提にして、十分両方の考え方というものの合意を持っておくことが何より必要なことでありますから、そういう点について今後数カ月の間とっくりひとつ相談をしていきたい。七月の下旬には、再び国務長官と今度は東京において私と会談の機会がございます。九月十五日ごろを予定しておりますが、ワシントンで第三回目の会談をいたしたい。こういうような時期を活用し、あるいはその間において通常の外交チャンネルを通じまして、こうした考え方というものをだんだん合意の線に煮詰めていくようにしたい。
 それから、事前協議について基準というようなお話がいろいろございますけれども、私は、そういう基準というようなものは、観念的には考えられるかもしれませんけれども、さようなことはなかなかむずかしいことではないか、こういうふうに考えております。
#14
○達田龍彦君 そうしますと、事前協議の基準をきめないで、よく外相が表明されておりますところの、高度の政治判断でもって事前協議の場における諾否の態度決定をすると、こういうのが政府の基本的な姿勢である、こう理解していいのですか、どうですか。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) そうした点については、まだ十分の話し合いをしていきたいと思いますから、こうこういう形だけが最善だというようにはにわかにきめ切らない。また、これからの検討の余地を十分残しておかなければならないと思いますから、こういう姿で考えていくというふうに固定的に考えるべきではないと思っております。
#16
○達田龍彦君 どうもはっきりいたしませんけれども、核抜き・本土並みという主張をし、アメリカに対して事前協議の中で将来の関係をきめていくと、こういう立場になりますと、やはり相手側としてみても、一体どの程度に日本の政府が事前協議の運用を考えているのか、このことは返還交渉と無関係にものをきめるわけにはまいらぬ。したがって、そういう観点から考えても、今後の返還の問題の中には、事前協議をどういうように日米双方で運用していくか、日本政府はどういう判断をもっておるのか。ただ単に日本の政府の政治判断のみにまかせて核抜き・本土並みという主張が通っていくのかということになると、私は今日の日米間の情勢の中でそういう簡単なものではないんではないかという気がしてならないので、そういう意味ではやはり諾否の基準というものを明確にきめる交渉の過程があるんではないかというふうな気がしてなりません。そういう意味での基準のきめ方について、一体そういうものをきめていくお考えがあるのか。内容についてはまだ固まってない段階かもしれませんけれども、そういう一つの方針というものがなければアメリカとの交渉もなかなか進められないんではないかという気がいたすのであります。そういう意味での基準の求め方が私は当然あってしかるべきではないかと思うのでありますけれども、そういう面での外務大臣のお考えをただしておきたいと思うのであります。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) そういうようなお考えも一つの考え方でありましょうが、そもそも、いきなり事前協議ということに入らずに、安保条約の体系全体がそのまますなおに現行どおりに沖繩に適用されるということが、私はいわゆる本土並みであり、最も望ましい結果であろうかと思います。そして、これを運用していく上においては、日本はアメリカと完全に対等の立場で、主権を完全に持っている国として、協議というものに当たる場合におきましても、自主的な判断で国益を守るという立場で、日本側の意見というものが十分その中に生きていかなければならない。法律的に言えば、この事前協議の問題を問題にしてみれば、これはイエスと言うかノーと言うかという、この立場を留保しているわけなんです。その留保していることを、これを解くためには、日本の意思というものによってこれを決定するということがなければ、対等の立場で、主権国家の立場で結んだ条約の運用であるとは言えないわけであります。これをあらかじめ、こうこういう場合にはその留保した権利を委譲してしまう、野放しにしてしまうというようなことをかりにするということが、はたしてこれは主権国としての立場で主体的な判断で留保された権利を行使することができると言えるだろうかというようなことも、根本的に考える必要があるのではなかろうかと思います。そういうことを十分腹に入れながら、アメリカはまたアメリカの立場においてこの安保条約の運用についてはアメリカとしての考え方も十分あるであろうことはにわかに想像できることでありますから、そういう点について十分考え方を真剣に討議し合う中に両方が満足し得るような合意が私はでき上がっていく。それをどういう形にするかとか、どういうふうな運用の指針にするかということは、そうしたような合意が十分に実質的にできるまでは、にわかに結論を予想して、こういう以外に方法はないとか、こうこうするのだとか言ってみても、私は観念論になりまして得るところが乏しいし、いわんやこれから真剣な話し合いに入る場合でございますから、私といたしましても、考えるいろいろの場面は頭の中には予想されますけれども、あまり洗いざらい申し上げることもいかがかと存ずるわけであります。
#18
○達田龍彦君 どうも回答の中から必ずしもはっきりしない面があるわけでありますけれども、端的にお尋ねをいたして、この基準というものは最終的に煮詰まる段階ではきめなければならぬ、いわゆる基準というものを求める考えがあるのかないのかですね。いま外務大臣の御説明では、いま直ちにきめて交渉に入るということではない。将来の段階としてどうするかということについては必ずしも言及されておりませんけれども、いずれにしてもこの二、三カ月の間に日米双方でもって話を煮詰めていくわけでありますから、最終的に返還の時期のめどづけができる段階では、安保の自然延長その他の安保延長の方法も当然問題になってまいると思うのでありますけれども、それとの関連において、必ず私は最終的には事前協議制の問題についてどう取り扱うかということは当然問題になってくると思うのであります。その場合に、その諾否の具体的な内容は、煮詰める段階でいろいろ相手の出方によって判断をしなければならない問題もあると思いますけれども、最終的にきまる段階で日本の立場としてどういう形に持っていくという形態は、私は当然考えておられるのではないかと思います。でありますから、一体いまのままでいいということに必ずしもならないのではないか、事前協議のあり方について。そうなってまいりますと、やはりそこに何らかの政府の考え方を持たなければならぬ。それが一種の形のある基準というものになって、日米双方で合意というものを見ていくのか、それともいままでどおりの形で持っていけるのか、ここに私は一つの問題があると思うのでありまして、そういう点について一体どうだ、こういうことをお尋ねしているわけでありますから、ひとつ十分理解のできるような御説明をいただきたいと思うのであります。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申しましたように、安保条約のいろいろの取りきめがございます。それをそのまんま何にも特別の定めをしないでいくというのがいわゆる本土並みではないかと思いますから、現在のままでいいではないかということも一つの案として考えられます。それから、先ほどお話がございましたように、イエス、ノーのときに基準をきめておけばいいではないか、これも一つの考え方であろうかもしれません。しかし、同時に、先ほど私申しましたように、事前協議というようなものは、日本の安危にかかわるような事態が起こらない、日本の安危に直接関連するような周辺に危機が起こらないということであるならば、事前協議ということも起こらないはずでありまして、事前協議ということが日本政府にアメリカ政府からかかってこないということが一番望ましい姿ではないだろうか、こういうことを本質的に考えて、今後の沖繩施政権返還がわれわれの希望どおりいけば一九七二年に行なわれるわけですが、この施政権が返還された後においてどういう姿が望ましいかということで日米間の合意を求めていくということになるのがこれからの検討課題でございますから、たとえば基準をきめるのがよかろう、あるいは何にもしないで手ぶらでやっていくのがよかろうというようなことを、あまりいまの段階で、まだどちらの方法をとるかということをきめるという段階ではないと、私はかように考えておるわけでございます。要は、事前協議がかかってくるような事態が起こらないようにするということについては、これは必ずしも安保条約だけではうまくいかないかもしれません。いろいろほかの日本としてなすべきこともございましょう。たとえば、一九五〇年代と比べれば、現在のほうが私は朝鮮半島の緊張の緊迫性というようなものはかなり薄らいでいると思います。そういったような点について、国際緊張の緩和についていろいろ手広く方策を講じていかなければならない面もある。そして、安保条約の関係においては、事前協議というようなことが起こらないような事態をこの上ともにつくっていく。それから、それでもなおかつ日本の直接安危にかかわるような事態が不幸にして予知され、また現実性を帯びてきたような場合に、あるいはそれに関連して日本の、あるいは沖繩の安全に非常な危機が周辺において起こってきたというような場合に、日本として主体的に判断して、そして、そういう際にアメリカから事前協議があったような場合に、これに対して日本としても、日本の立場からいってもこれはイエスだと言うというようなことがあり得るかと思いますけれども、そういうときに備えるためにさらに何か特別の合意がどうしても必要だということならば、それも考えなきゃなりますまいが、私は、特別の取りきめというようなものはできるだけ必要ないようにして処理をするのが現在のところ考えたところでは一番望ましい姿ではないかと、こう思っているようなわけでございます。
#20
○達田龍彦君 望ましい姿であるということはよくわかるんです。しかし、相手があることですし、それから客観諸情勢の変化ということがあるわけでありますから、そういう望ましい方向だけに現実が出てくるとは限らないわけであります。そういう意味でやはり私は問題を考えておかなければいけないのではないかと思うのであります。当然外務省は考えておられると思うのでありますけれども、なかなかそれを発表しようとされないのが今日の実情ではないかと思うのであります。特に、この沖繩返還交渉の最大の問題点は、何といっても極東における沖繩の軍事的役割りというものが一番問題でありますから、いま外務大臣が言われるように、本土並みという形になるということは、当然一面考えられることは、沖繩の軍事的機能が低下するということが一面言われるのではないかと思うのであります。そういうことになったときに、一体、アメリカとしても、日本としても、そのままでいいという主張になるのかどうか。いま、政府の態度からいくと、そうならないんではないかという私は気がいたすのであります。本土並みに沖繩の基地が機能を果たすということになりますと、政府のいまの方針からいきましても、アメリカの今日のとっておる立場から考えても、私は、それでは沖繩の基地の機能は低下するという判断に立つのではないかと思うんです。じゃどこでそれを補うかという問題が出てこなけりゃならぬと思う。そういう中から、よく論争されるところの自衛隊の増強の問題だとか、あるいは日本がアメリカにかわって東南アジアあるいはアジアにおける軍事的役割りを肩がわりしての諸政策をとるということがあるのではないかという論議が出てまいるのも、これまた私は当然であろうと思うのであります。でありますから、望ましい方向であるけれども、そういう面を考えてまいりますと、やはり日本としてもそれにかわるものを何か持たなければならぬ、これは日米交渉の当然の理屈だと思うんです。そういう面から、一つは事前協議の基準のきめ方という問題が、やっぱり諾否の問題というものが問題になりましょうし、それから自衛隊の増強によるところの軍事力の強化、防衛力の強化という問題が当然問題になってこなければならないし、それから日本のアジアにおけるいわゆる自由諸国陣営における立場というものに対する変化が当然起こってこなければならぬという理屈が出てくる。私はそういう観点からものを考えるときに、いまの状態で、いま外務大臣がおっしゃられるように望ましい方向だけでものが解決するとは考えません。したがって、一体最終的に佐藤総理が訪米によって問題をきめる段階では、そういうもろもろの問題がアメリカ側から当然私は要求されると思うんであります。その中の一つとして、いま言ったように、事前協議の問題についてはどうするんだということがない限り、核抜き本土並みという条件は日本が確保することは私は困難だと思う。もしいま大臣が言われるように望ましい方向だけで問題が解決するような安易な状態であるならば、私はけっこうなことでだと思うのでありますけれども、そういう問題はないと私は思っておるのであります。もう一つ、うがって言うならば、そういう状態だからあるいは事前協議にならないような状態をつくっていくことだと、こうおっしゃられるのは、私はほんとうに核抜き・本土並みだという主張を日本政府が考えてないのではないかという気がいたすのであります。むしろ、そういうことを本気で考えておるとするならば、この事前協議の問題にしても、あるいは自衛隊の増強等の問題についても、一つの確とした考え方と方針を持ってアメリカと交渉しなければ私は交渉は煮詰まらないだろうと考えておるんであります。そういう意味で、この事前協議の問題について、私はいま言ったような日本の主張を通すためには当然考えておかなければならぬ問題である。それを望ましい方向でものが結着つけばいいのだということだけでものは解決することにならないので、その点をひとつどうだということを私は伺っているわけでありますから、もう少し私が言っていることも理解をいただいて御答弁を賜わりたいと思うのであります。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) 何と申したらいいのでしょうかな。いままで申し上げていることに尽きるわけでございますが、要するに、日本の主体的な立場から言えば、日本の安危がおびやかされはしないか、その具体性、その緊迫性というものが一番大事なことだと思うんです。その場合に、いかなる措置を日本が主体的にとるか、そのとるべき手段方法の中にはいろいろのことが考えられましょう。観念的には、いまおあげになった、そのときには日米安保条約で、アメリカもこれはたいへんだということで、日本を守る義務からいっても事前協議をかけてきたというような場合には、これは常識的に言っても、だれしもこれはイエスと言っていかなければならない問題であろうと思いますが、それが一番緊迫した場合であって、これを一方において腹に入れておいて、またそういう事態ができるだけ起こらないようにいろいろの施策を講じていく、これが一番平たく考えた場合の今後われわれの処するべき道であると思います。それから同時に、私の申し上げていることで御納得を得られないんですけれども、同時にこれは、いまも御想像いただいているように、相手方がどう考えているか、相手方の考え方というものも、これは私も想像ができなくはありませんが、これからしかしそういう点について折衝をやっていくという場合に、こちら側の一番望ましい交渉の基本線というものを強く抱いていることが大切であって、あまり先走りをし過ぎて、いろいろの状況を想定して、この場合はどうか、この場合はどうかということは、場合によりましては、現在あまりに論議を重ねることは、かえって不得策のこともあるのではないか。交渉に当たります私の立場からいって、そういう点も頭にありますので、そういうことも御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#22
○達田龍彦君 いつも外務大臣の答弁は、肝心なところになりますと、日米間の交渉を有利にするためにあまり論議をすることは好ましくないという姿で問題を処理されようとするのでありますけれども、私はそういう国際間の交渉の必要性についても理解はできますけれども、それよりも私は重要なことは、政府の方針、考え方というものをこの段階ではやっぱり国民の前に明らかにして、そして国民の意思を結集して交渉に当たるという前向きの姿勢がより重要ではないか、よりまた国民としても必要性を感じておるのではないかというように考えるがゆえに、こういう質問をいたしているわけでありますから、その点は外務大臣のいまとられている立場と私の考えている立場は違っておりますけれども、そういう立場で私はやはり外務大臣としても国民の前に明らかにすべき内容については進んで明らかにするという態度をひとつおとりをいただきたいと思うんであります。
 次に、さらに質問をいたしておきたいことは、これも本会議の中でわが党の代表の質問に対して、例の交渉の際に安保の自動延長ということを外務大臣がアメリカに対して表明をされた。この態度の決定は、一体どういう形で態度の表明をされたのか、基本的な日本の姿勢なのかどうか、こういう点について、自民党にそういう強い意見がある、こういう意味でアメリカに申し上げたということを言われておるのでありますけれども、私はこれも非常に問題のある回答であると考えているのであります。いやしくも日米で、外務大臣が日本を代表して交渉されたのでありますから、そういう日本を代表する交渉の中で、まだ国民の意思も国会の意思も明確になってない中で、しかも沖繩問題のきわめて基本になる安保条約の取り扱いの問題をめぐって、与党である自民党の大多数の意見がこうだという表明をもって交渉をしていくという態度、姿勢というものは、私は日本を代表した交渉の立場としては非常に軽率ではないかという気がいたすのであります。そういう意味では、新聞その他でも論調されておるように、日本の立場はそうだということをむしろ言ったのがほんとうであって、国内で国会や世論からいろいろ問題が提起されたのでそういう逃げことばを使われたんではないだろうかというような憶測すら私は出てくるのでありまして、非常にこの交渉の経過を見てみまして問題があると考えておるのであります。
 そこでお尋ねをしておきたいことは、一体、では安保の自動延長というような、こういう姿勢の問題、基本的な日本の立場の問題は、今回の沖繩返還の問題の中で表明される考えがあるのかどうか、表明されるとするならばいつどこでだれが表明することになるのか――たとえば十一月に予定されているところの佐藤訪米の中で具体的に表明されるのか、こういう問題について当然疑問が出てくるわけでありますから、その点について外務大臣の御答弁をいただきたいと思うんであります。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約の自動継続の問題については、本会議その他で私お話を申し上げているとおりでございまして、それにつけ加えることは何もございません。そのことは、アメリカ政府側におきましても、私が何も正式に日本政府からの提案をしたというふうには受け取っていない。まだこれは過程の中における一つの、何と言いますか、一こまであって、私は日本国内の状況についても客観的なオブザベーションを話題に供したにすぎません。政府といたしましては、いずれこの安保条約の継続のさせ方あるいは延ばし方について、態度をより真剣に検討した上で決定をして、しかるべき時期にそのことも国民にお訴えをしたいと考えておりますけれども、いままだその時期ではない、かように存じております。同時に私が申し上げたいと思いますことは、私どもは、安保条約の堅持ということが基本国策である、最も正しい、賢明なる選択であると考えておりますから、その基礎の上に、先ほども安保条約――一連の取りきめの本土並み適用ということをアメリカに伝えましたことは申し上げたとおりで、安保体制のワクの中で施政権返還が行なわれることを期待しているわけでありますから、どういう形で延ばすかは別として、安保条約の堅持ということは同時に基本的な考え方である、こういうことははっきり申し上げることができると思います。まあ施政権返還問題につきましては、政府としては、大体十一月総理訪米の機会に決着をつけたい、またつけ得る見込みで今後とも全力をあげてやりたいという気持ちでございますし、常識的に考えれば、その際に、あるいは国内的にはそれ以前に、安保条約の延ばし方についても正式にきめるのが筋であろう、いまのところ常識的にさように存じております。
#24
○川村清一君 関連いたしましてちょっとお尋ねしたいんですが、私は事前協議の問題について具体的にちょっとお聞きしたいんですが、沖繩が返還された暁には本土並みになる、安保条約が本土並みに向こうに適用されるということに関連してでございますが、現在日本のたとえば横須賀であるとかあるいは佐世保に原子力潜水艦が寄港する場合には事前に通告してまいります。しかしながら、沖繩には現在事前に通告されておらないわけです。屋良主席がこのことについてアメリカ当局に対して事前通告するようにという申し入れをしているのでありますが、新聞報道によって見ますと、ランパートはこれに対して拒否してきたと、こういうようなことが出ておりますが、そこで、いま沖繩の施政権が返還された場合におきましては、本土並みになるということであれば、当然原子力潜水艦が沖繩に入ってくる場合は事前に日本政府に対してやはり通告してくるものであると、かように判断します。と同時に、B52なんというものも無通告で入ってくることは、これは考えられない。この点はやはり本土並みであると思っておりますが、そうなるのかどうかということをはっきりしていただきたいことと、それから核の問題でございますが、非核三原則、この三原則は先般の予算委員会等におきまして佐藤総理大臣がはっきりしたことは、いわゆる核をつくらない、持たない、この二つの原則は、これは憲法上の問題である、しかしながら持ち込まないということは政策上の問題である、こういうことを言っておるわけであります。したがって、つくらない、それから持たないということは憲法上の問題であるとするならば、これは沖繩においても、そういうものは日本がつくらないんですから、日本が持たないんですから、これは政府といたしまして持ち込まないということは政策上の問題であるとするならば、かりにアメリカがポラリスをもし沖繩に入港させるという場合においては、これに対して問題が生じてくるわけであります。これが事前協議の対象にこういう場合にはなるのかどうかという点が一つあります。日本本土にポラリスが入ってくる場合においては、絶対これは拒否するということは国会で明らかにされておりますが、しかし、沖繩にこれが入ってくる場合には、これも本土並みに絶対拒否するのかしないのかという問題が具体的に問題としてあらわれてくるわけであります。さらにベトナムの問題、戦争が終結をしてしまいましても、ざらに北朝鮮の問題とかありますが、もしも戦争状態が生じまして、沖繩を基地として戦闘作戦行動に出る場合において、沖繩にそういうものが、いわゆる核を持ったところの戦略兵器というものが入ってくる場合において、これは持ち込まない、しかしこれは政策上の問題であると、政策というものはそのときによってこれは流動する、変わる可能性を十分持っておるものでありますから、こういう場合においてはこれは一体どういうことになるのかという具体的に大きな問題がそこに出てくると思うわけでありますが、これらも一つの事前協議の問題となって、この場合にもやはり諸般の事情から考えてみてイエスという場合もあるし、ノーという場合もある、こういうことになるのかどうか。しからば、そういうことが具体的にあるものとするならば、いわゆる本土並みに沖繩において安保条約が適用され、行なわれるとするならば、沖繩においてそういう問題が出てまいりますと、当然その安保条約というものは本土においても、本土並みですから、結局沖繩でやられていることは本土にも行なわれるということである、そうすると本土のほうにも沖繩と同様にポラリスが入ってくる、あるいはB52が来て本土の基地を戦闘作戦行動の基地にするのではないかという、そういう不安も出てくるわけでありますが、沖繩で事前協議の対象になるということは本土においても事前協議の対象になるのではないかということをやはり国民は非常に心配しているわけでありまして、こういう問題について私は具体的に聞いておりますので、一般論でなく、具体的にひとつお答えをいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) 私どもの考え方は、毎度申し上げておりますけれども、安保条約及びこれに関連する一連の取りきめその他了解事項等々がそのまますなおに沖繩に適用される、返還後はそういう形にしたいのだということで折衝を開始しておるわけでございます。したがいまして、これは交渉の基本線であります。この基本線が全うされれば、ただいまお話のとおりになるわけでございます。それが一番望ましい形であると、私はさように考えております。たとえば、一番最初におあげになりましたが、原子力潜水艦が寄港する二十四時間前に通告をする。これは正確に申せば、安保条約の一連の体系に基づく取りきめではございませんで、これは一連の取りきめに基づく事前協議の対象以外ではございますけれども、日米間の別個の話し合いで特に事前協議が――事前通告が行なわれております。沖繩に施政権が返還されますれば、私はそれをも含めて本土並みにするのが当然である、かような姿をつくり出すべくこれからも最善の努力をしたいと、かように考えております。
 それから、その後おあげになった条種の本土において従来事前協議の対象にされておるところの了解事項は、やはりそのまま適用されますから、事前協議の対象になる、かような姿が私の描いている姿でございます。そして現在の本土の姿に沖繩がなるわけでございます。それからあとは本土も沖繩も区別がないわけでありますから、つまりいまの本土と同様に沖繩がなるんですから、あとはことばのあやになりますが、沖繩が本土並み、本土が沖繩並み、施政権返還後の本土と同じになった沖繩並みに本土がなる、これはことばのあやの問題でございまして、私はいま言っているような姿を現出すべく、われわれとしては最善の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
#26
○川村清一君 簡単にもう一点お尋ねしたいのですが、そこがひとつ心配なんです。安保条約の適用が本土並みになる、こういう情勢の中において、本土だとB52あるいはポラリス潜水艦寄港というものは事前協議があっても佐藤政府は決してこれをイエスとは言わぬだろうというふうに国民は全部信用しておるわけです。ある程度不安を感じていないわけです。しかしながら、イエスの場合もある、ノーの場合もある、こういうことになりますれば、沖繩にB52あるいはポラリス潜水艦が来る、そこを基地にして戦闘作戦行動をとる、この場合に、ノーの場合もある、イエスの場合もある。もしイエスということになりますれば、それからが、いま外務大臣がおっしゃったように、沖繩と本土とは全く変わりがなくなるわけでありますから、沖繩でイエスと言ったことは本土にもイエスという場合もあるだろう。だから、ことばのあやとおっしゃいますけれども、沖繩の本土化ではなくして、本土並みではなくして、本土の沖繩化、沖繩並みになるのではないかということを心配しておるわけですから、沖繩にそういうことはないのだ、本土にもそういうことがないのだということをはっきりおっしゃって、そういう意味において本土と沖繩は一体なんだというふうにここではっきり答弁されれば、国民は安心するわけであります。ここをお答えできますか。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) そういうふうにしたいというのが私の考え方でございます。
#28
○達田龍彦君 まあなかなかすきっとした回答をいただけないので、何のために国会で論議をしているのか、実は意味合いを疑問に思うわけでありますが、時間もございませんので、あと一点ないしは二点お尋ねをして質問を終わりたいと思います。
 いままでの外務大臣の御答弁によりますと、今回の訪米は一体何を目的にして何の成果があったのか、私はきわめて理解に苦しむのであります。私がいま二つの問題を取り上げてまいりましたけれども、当然返還の問題で一番問題になるのは、いま本土と沖繩の相違点が問題になると思うのです。その一つは言うまでもなく核の問題である。それから基地の自由使用の問題であります。この二つの問題が当然問題にならなければ、沖繩の返還の問題は片づかないのであります。これはしばしば外務大臣も言われておるところであります。この問題が解決をして本土並みということになりますと、安保条約がそのまま沖繩に適用されるわけでありますから、じゃ一体事前協議をどうするのかという事前協議の運用の問題が私は出てくると思います。でありますから、今回の交渉の中で、核の取り扱いの問題と、それから沖繩の基地の使用をどうするかという問題、かりにこれが本土並みということになったときに、事前協議の運用をどうするか、こういう形の交渉が当然私はニクソンなりあるいはその他のアメリカの首脳部との話し合いの中に出てきているということは間違いないと思います。それが全然国会の中では具体的な問題として外務大臣は回答をされないのであります。実はここに新聞の記事があるわけでありますけれども、十六日にヒルトン・ホテルにおける内外情勢調査会の昼食会において、国会よりもかなりはっきりしたことを講演の中で外務大臣がお述べになっておる。その中では、ニクソンに対しても核の取り扱いについて核抜きだということを自分のほうから強く申し入れておる。しかしニクソンはそれに対して何ら回答をくれなかった、こういうことも言われておりますし、それから事前協議の弾力的な運用の問題についても、将来の問題としては十分これは問題になるであろうし、そういう事態が起こらないことが一番好ましいことであるけれども、出た場合についてどうするかについては、基準をきめるなりあるいは政治的な判断をしていかなければならないのではないかということを言われておるのであります。こういうように国会以外のところではかなりのことをおっしゃっておる外務大臣が、国会になりますと、ほとんど、検討中である、あるいは交渉の問題であるから明らかにできないと言っておられるのでありますけれども、私はこういうことではどうしても国民として納得がいかないのであります。そういう意味で、これらの問題について、いま申し上げたように、十一月までの交渉の中では必ず日本の態度をきちんとして交渉に当たらなければなりません。また、今回の六月の交渉もそういう問題が交渉にならなければ、あと残る問題は何かといったら、その十一月までの日程の問題くらいしか残らない。今回の交渉の経過は何かといったら、日程をきめてきたことだということになっちゃう。その日程についても、今日まだ明らかでございません。私はそういう意味で、一体何がどういう形で、日本の姿勢としてはどういう姿勢で、アメリカはどういう態度で出てきたのかということをほんとうに明確にする時期――現段階における明確にできるものは明確にすべきではないかと思うのであります。でありますから、ひとつそういう意味に立って、ではもう一つお尋ねをしておきますけれども、今後の佐藤訪米までの日程、これはどういうようになるのか。それからもう一つは、今回の交渉の中で返還のめどづけですね、沖繩返還のめどづけ、これは交渉されたのかどうか私もはっきりいたしませんけれども、感触でもけっこうですから、どの時期に返還の時期づけができるというような感触でもお受けになっておられるか、そのことも含めて御回答いただきたいと思います。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申し上げましたように、日本政府の態度といたしましては、四つなり五つなりの一番大事な基本的な要請があるわけでございます。その要請のポイントについて、これは幾らやってもきりがないと言われればそれまででありますが、私といたしましては委曲を尽くして米側に日本側の立場を十分説明をしたつもりであります。同時に、これに対しては、私の受けている印象では、非常に熱心に傾聴してくれた。また、私の訪米に先立って、国家安全保障会議その他手を尽くして、米側としても、最高首脳部の間でも、日本側の要請にどういうようにひとつ対応するかということについては相当真剣な準備ができつつあったように看取できました。しかしながら、問題は非常に重大でありますし、先方としても考えなければならないことがたくさんあるようでございますから、私はこれは国会の中で他の委員会等においてもはっきり申し上げておりますが、たとえば核の問題についてはかくかくの心証を得た、あるいはいわゆる自由出撃ということについてはここまでの主張はきついであろうとか、そういうふうな点について私は心証として申し上げ得る程度のものもつかむことはできませんでした。何ぶんにも、俗っぽい言い方かもしれませんが、主としてこちらがしゃべり役で、向こうが聞き役に回ったような順序でもございますから、そこで、七月の末にロジャーズ国務長官が来日いたしますが、またその前にきわめて最近の機会に駐日大使マイヤー氏がいよいよ着任いたします。そういう段取りを経まして、今度はまた米側が相当の意見を言うかもしれません。それに対してこちらが対応して、いま明らかにしておりますような基本線をわれわれとしてはできるだけものにするように、これもことばが悪いですが、がんばります。そうしてだんだん煮詰めてまいりまして、九月十五日を予定いたしておりますが、ワシントンの第三ラウンドがあります。そうしてこれで十一月の総理折衝に持っていきたいと考えております。したがいまして、ただいまいろいろおあげになりましたような事項は、ほとんどすべてが御同様私の頭の中に一ぱいになっている問題であり、かねがね国会の論議等を通じて、国民各位がどういう点に焦点をしぼり、どういう点に懸念を持っておられるかということも私どもなりに理解しておりますので、そういう御期待に沿えるように、この上とも今後の日程をこなして、そうして、わりあい短期間でございますから、何とかして十一月までにしぼり抜いて、頂上会談に持っていきたい、かように考えております。
 それから、そこで大綱がきまれば、具体的な返還については返還協定が当然必要であるから、直ちに返還協定の作業に両国が入ることにしたい。そうして、それがまとまって、国会の御審議をいただく。これも相当の時日が要ることと思いますが、そうやってまいりますと、一九七二年中におそくもという私どもの提案は、むしろ即時返還に通ずるものであると思います。こうした国内的な手続、あるいは両国間の相談、あるいはこれに関連するたくさんの事務手続その他がございます。そうして国会の御審議を得て、幸いにして御承認をいただければ、いただいたあとからまた若干の日をおいて正式の返還ということになります。これは小笠原のときにおいてもそうでありますとおりでございますが、そういうことで、いまを起点にして最短距離の最短時期における正式の返還の時期を迎えたい、こういう今後のプログラムで考えておるわけでございます。
#30
○渋谷邦彦君 初めに、今回の沖繩返還交渉にあたりまして、国民の多くが多大の期待を持っていたであろう、また何らかの形で、多くは望まないにしても、アメリカ側の意向というものが多少でも明らかにされるのではないか、こういう気持ちがあったろうと私は思います。いまずっと答弁を伺っておりますと、印象でもって評価されている、これは一貫して貫かれた大臣のそうしたお感じじゃなかったか、こう思うわけであります。こちらの主張が行なわれて、アメリカ側のそれに対する何らかの形の回答が一切なされなかった。最初から、いま申し上げましたように、直ちに一つ一つ具体的な問題について回答があるということは、これはもう当然不可能なことかもしれません。しかし、すでにこの問題は、戦後二十四年間にわたって、日本はもとより、アメリカとしてもおそらく相当大きな課題になっていたはずだと私は思いますね。そうしますと、いろいろなことが想定され、その想定を基準としながら沖繩返還という問題が表面化してきた場合に、たとえばアメリカ側としてはどうあるべきか、日本の世論というものは現在こうだというようなとらまえ方は十分になされているはずではないか。にもかかわらず、何らかの感触も得られない。ただ、非常に傾聴した、その傾聴した姿からおそらくはこうなるではなかろうかという思惑がほとんどであります。これはやはり、これからの外交折衝を展開するにあたって、信頼と信頼というそういう外交上の基本から考えれば、最も理想的な姿かもしれませんけれども、しかし、過去の歴史を振り返るまでもなく、必ずしもそういうようなことが日本の国益に合致するようなそういう外交折衝になるかどうかということはやはり疑わしい場合もあるという点、私どもとしても非常に心配をするわけでございますけれども、今後ロジャーズとの会談、十一月の佐藤訪米、こうしたスケジュールを通しまして、いま外務大臣が胸中ひそかに考えられておること、また今回の日米折衝を通じましておそらくそうなるであろうという推定のもとに立ったそういう話し合いというものが十分なされるかどうか、そしてまた今回予定されておりますロジャーズからは何らかの回答が得られるかどうか、まあこうした点について、くどいようではありますけれども、やはり御答弁の中に明快さを欠くそういうニュアンスもございますので、再び私はその点についてはっきりしておきたいと、こう思いましてお尋ねをするわけでございます。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) 私先ほど、今後考えてみれば短い期間ということを申したわけでありますが、それにしても相当長期間である。これは連続している一連の交渉でございますから、いまの段階だけで、まあたいへん失礼な言い分ですが、御評価いただくのにはまだ時期が適当でないんじゃないかと思いますし、それだけに私も、やはり単なる印象ではないかと言われますけれども、前にも私他の委員会でも申し上げたことがあると思いますが、今回のこの折衝といいますか、話し合いのやり方は、私は一枚も紙を使っておりません。議事録もございません。これは日米間の相互信頼関係において、しかもやはり、私の気持ちからいえば、沖繩の施政権を返還しようと、いま当面の問題としては、その一つの共通の目的に向かって、いかにして両方が合意できるような、満足できるようなやり方でやろうかと言っているこの段階ですから、私は、まだ一回、二回ぐらいは、紙きれなどで、しかも議事録をつけて、おまえがこう言った、おれがこう言った、おまえがこう言った、おれがこう言った、こういういわば団体交渉的なやり方はやってない。あるいは、従来のようなテーブルを囲んで、名前を張りつけて、何何代表、何々代表という形でもやっておりません。したがいまして、その間においては、自分自身でも、どういうふうにこういったようなお互いの話し合い――ほんとうに真剣に私はやっているつもりでございますが、これをラフな表現でとやかく言うということは自分自身も慎まなければならないと思っております。ですから、十分御批判や、おしかりや、あるいは御指導をいただくことは幸いでございますけれども、あまり細部にわたりまして、これはどうだ、これはどうだ、イエスかノーかというふうに切り込まれましても、私としてはある程度以上お答えができない。また、ある程度以上は御遠慮申し上げることが私の立場としては適当ではなかろうかと存じておりますので、その辺のところはよろしく御洞察をお願いいたしたいと存じます。
#32
○渋谷邦彦君 いま大臣の言われたことは、それはもっともだと私は思いますが、そんなぎすぎすしたような感覚でもってやられたのじゃたまったものではありません。いろんな弾力的な方法というものは、当然考えられなければならない折衝の手腕ではないか。まあしきりに大臣自身も手腕というのを表明されておりました。ただ、こちらのほうの手の内というものが何かこう全部さらけ出されちゃって、相手のほうがそれに対して少しも手の内を見せてない、これじゃ何か片手落ちじゃないかということを申し上げたくて、いまそうした点から申し上げたわけなんです。その点についてはいかがですか。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) しかし、これはこちらの要請が国民的な熱願に燃えている非常に大きな問題である。その最も大事なポイントについては、内外に明らかにしながら要請するということが私は一番必要なことだと思うのです。ですから、あるいは私どもの考え方をもってすれば、もっとそのやり方もいろいろあるかもしれませんけれども、やはり私は四点なり五点なりの国民的な願望とされておりますところを、何といいますかまとめまして、これをぶつけていくというところに今回の折衝の皮切りがあるのではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございまして、こちらの願望や意見を言わずして相手の意見を聞こうとすれば、やはり相手は現に沖繩というところに施政権を持っている立場でありますから、どうしても保守的な考え方にならざるを得ないのじゃないでしょうか。そうすれば、いつまでたっても、窓を開き、折衝のレールの上に乗せてくることはできない、私はかように考えておりますが。
#34
○渋谷邦彦君 これからの折衝を予測してみますと、いろんな困難な問題が横たわっているであろうとわれわれにもわかります。また、大臣もしきりにそのことを表明されておられたようであります。まあ問題はいろいろあろうかと思いますけれども、やはり従来からしばしば沖繩論争の焦点になっております事前協議の問題でございますが、非常に私ふしぎだと思いますことは、確かに問題になっているにかかわらず、この事前協議についてはいままであまり表面化されていないと思う。通告を受けてから初めて協議をするのか、それともこちらで疑惑を抱いたときに申し入れをして事前協議の対象とするのか、これがまだはっきりと伺ってないわけであります。ちょうどいまから二年前の十二月の本会議のときに、私がエンタープライズの入港をめぐりまして佐藤総理にこのことをお尋ねしたことがございます。そのときには、あくまでも米国との相互信頼という関係に立って、アメリカ側の主張に対しこちらは全面的にそれを信頼して承認を、たとえば原潜等の艦船の入港あるいは主力艦隊の入港等についても許可を与えてきたと、まあ許可の段階ですから、事前協議まで進んでないわけでありますけれども、こうなりますと、はたして事前協議というのはいつどういう形で起こり得るものであろうかということについて、大臣の御見解を伺っておきたいと思うのであります。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) これは事前協議というものができたときの経緯に徴すればよろしいかと思いますけれども、安保条約において――まあこれはいろいろの見方がございます。米国側から見れば、九年前の改定は、日本にとって非常に有利過ぎて、アメリカにとってこそ不平等条約だという意見が上院においても行なわれておるし、現にそのことの指摘をする人もいるくらいでありますが、そういうことは一応別にして、とにかく双務的に、アメリカは日本を守る義務、日本は基地の提供、その提供した基地は、本来ならばアメリカが自由に使用できるはずのものに対して、条約的、法律的に保留をしたわけですね、日本がその使用方法に対して。ですから、本来自由に使用すべきことに対して保留をしたのだから、もしアメリカがそこを使用するときに、その制限された、保留された事項を、保留を解いてもらいたいということであるならば、事前に協議をしてくる。そうして、その協議をするイニシアチブはしたがってアメリカ側にあるのだと、これが条約論としては私は正しいと思いますが、しかけてくるほうはアメリカ側である――どういう形態で、どういう態様でしてくるかはわかりませんが、そのときに、こちらが主体的に態度をきめて、イエスかノーかをすればいいのだと、これが従来一貫してきたわがほうの態度であり、またそういうことで、この事前協議制度というものが過去九年間において事実上行なわれたことはないけれども、そういう考え方で定着してきたものであると、私はかように存じております。その解釈や、私が思うに、定着したという考え方につきましては、条約論的に御必要があれば、条約局長からもさらに御説明をさせてしかるべきと思います。
#36
○渋谷邦彦君 条約のことについてはあとに譲るとして、いままでの私の記憶としましては、政府が一貫してこられた結論は、重要な装備の変更、また兵員の配置がえというものについては、軍事機密に関するがゆえにこちらが捜査権を持って調べることはできない、こういうお答えもございました。そうなりますと、一切が軍事機密にこれは属する問題でございますね、核の持ち込み等につきましても。そうなれば、一番危惧されることは、いま日本の国内世論が非常にその問題を通じまして高まっております。こうした背景を考えると、いわゆる事前協議の当然対象にはなるでしょうけれども、隠密裏に当然そういう秘密的な行動をとり得るという可能性は出てきはしまいか、この点についてはいかがでございますか。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、この沖繩におけるたとえば核があるかないかという問題に関連しても昨日も御質問を受けたのでありますけれども、それはアメリカの軍事機密によって何人をしても知らしめられないはずじゃないか、そういうものが根拠になっているものに対して、あるとかないとかということをどうやってほじくり出すことができるのかという御質問を受けましたが、これと大なり小なり同じでございますが、しかし、これは核についても、公にされた資料等においても沖繩に置いてあることはわかっております。国際的な常識だということも言えると思いますが、そういうところから考えましても、日本が全然知らない、事前協議をかけられない、しかも日本の本土に従来核が入っていたのではないかと、こういうふうな観念的な疑いを持つことはあり得るかもしれませんけれども、実際問題として、それならどういう証拠を見せろとおっしゃるかもしれませんが、これは根本においては国際間の信義ということにもなりましょうし、条約の順守義務ということでもありましょう。たとえば、そういうことがもし万々一にも行なわれておれば、安保条約違反という重大中の重大事になりますから、さようなことは絶対にないと政府としては確信をしておるというふうに申し上げざるを得ないと思います。それから、今後におきましても、日本のたとえば憲法の解釈あるいは政策に対する確信というものを持っておりまする限り、それに反するようなことを政府としてはいたすつもりはございませんし、またその日本政府の意図に反するようなことが行なわれたり、あるいはいわんや秘匿されて行なわれるというようなことはありようはずがないと私は申し上げざるを得ないと存じます。
#38
○渋谷邦彦君 これは国際常識――ことばじりをつかまえてたいへん恐縮でございますけれども、それが慣行として行なわれるとするならば、昭和四十二年に初めて入港した第七艦隊の主力艦艇であるエンタープライズ、当然核装備がされていたというのが当時隠れもない、そういう事実と言うことはできないにしましても、そういう考えを持っていたわけであります。どう考えても、第七艦隊の行動というものは、一触即発に備えて絶えずそれに対応できる編成というものがとられているはずであります。こうなりますと、どう考えてみてもそういうふうに思わざるを得ない。にもかかわらず、あの当時も、エンタープライズには核装備が全然施されていない、これが政府の答弁であったわけです。確かに、いまのお話を承りますと、アメリカに対する信頼――私もしたいと思います。けれども、昭和二十五年に勃発しました朝鮮戦争のあの当時のいろいろの資料を検討してみますと、特に外国通信社の記者によって伝えられるところによれば、明らかにあれは一つの謀略であったと、いわゆるまぼろしの軍隊と相対決するという、そういうような事態を今日われわれは知っております。うがった見方を言えば、そういうような戦いを引き起こして、あわよくば日本をして再軍備の道を開かしめようという、いろいろなそういう考え方が出てくるのだろうと私思うのでありますが、それはともかくとして、過去においてもそういう信頼の置けない事実が起こっておるわけであります。はたして将来においてもそういうことが全くあり得ないかということになりますと、やはりここにはインタロゲーションマークがつくのじゃないかということをおそれるがゆえに、こういう問題はしばしば繰り返し繰り返しやはり論争の焦点にならざるを得ないと、こういうことを私どもはやはり心配するわけであります。
 次に、もし事前協議の問題が表面化した場合に、これが起こり得る可能性があるかどうか、これが第一点。それから第二点としては、そうした事態が起こった場合に、だれがどういうところで、どういう方法で一体事前協議をするのか、実は本会議のときに私質問させていただきましたけれども、明快な御答弁をいただけませんでしたので、あらためてここで大臣からお答えをいただきたい。
#39
○国務大臣(愛知揆一君) これはまあ通常の場合におきましては、外交チャンネルを通して、つまり国務省と外務省のラインでもって事前協議がかかってくるものと考えております。
#40
○渋谷邦彦君 いや、それはわかります。だれがということであります。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) 外交チャンネルでございますから、東京においてかりに行なわれるとすれば、アメリカ駐日大使から外務大臣へという筋だろうと思いますし、それからワシントンにおいて行なわれるときには国務省から駐米大使に、これが通常いわれる外交チャンネル、これが普通の場合使われるルートであると思います。
#42
○渋谷邦彦君 重ねてお伺いしますけれども、そうなりますと、結論的には、外務大臣と国務長官の間にいわゆる事前協議をする、まあ折衝相手といいますか、そのように理解してよろしゅうございますか。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) やはり、両国政府間の協議ということでございますから、通常の場合はそのルートが用いられると、かように御理解いただいてけっこうと思います。
#44
○渋谷邦彦君 最後にもう一点だけ。どうもまとまりのない質問になってしまってたいへん申しわけないのですけれども、ちょうど条約局長もいらっしゃいますから、最後に確認をしておきたいのですが、前後のことばは全部省きます。条約局長は、沖繩から直接作戦行動が行なわれる場合に、当然日米間は軍事的には一緒になるという意味のことを言われておるわけですね。ところが、先般の私の質問に対しましても、総理は、日米間の軍事的に一体化の道は開かないと、そういうふうに理解されては困るというふうにお答えがあったわけです。この辺の矛盾はどういうふうに理解したらよろしいのでございますか。
#45
○政府委員(佐藤正二君) いまお聞きになりました私の答弁、今年の予算委員会だったと思います。私お答えいたしましたから覚えておりますが、あのときのお話は、いろいろな事態の設定がございまして、日本からアメリカ軍が発進して、それに対して報復攻撃が行なわれたと、それでいわゆる日本に対する攻撃が行なわれたと、それで日本が戦争に入ったと、こういう形のときに一体どうなるかという御設定だったと私記憶しております。それで、したがって法律論をやりまして、そのときお答えいたしまして、日本は日本の個別的自衛権、アメリカは当然日本との安保条約の関係で日本に対する一体の集団的自衛権と申しまして、そういう形になりますとお答えいたしましたあとで、それでは実際的にはどうなるんだと、こういうお話になりましたので、結局アメリカも日本も戦争に入りますから、したがって事実上は一緒の戦争になりますでございましょうと申しましたのが私の答えでございます。したがって、法律的な問題といたしましては、これは韓国は韓国で米韓条約の義務として動いておりますし、アメリカはアメリカとして日本が攻められた場合には安保条約の義務として動いておりますし、日本は個別的自衛権で動いておりますと、これは法律的に申せばそういう形になりますと、これはそのときも申し上げたと思います。
#46
○渋谷邦彦君 時間がないからやめます。次に回しましょう。
#47
○春日正一君 時間が非常にないので、かみしもを脱いだ形でお聞きしますけれども、やはり一番沖繩の問題で問題にされているのは、一つは核の問題だと思うのです。そこで、いろいろお話がありましたけれども、最近の国会で法制局長官は、核の持ち込みは憲法の違反にはならぬと、憲法上の問題ではないと、政策上の問題だというふうに法解釈を出しておりますし、それから総理も非核三原則というのは佐藤内閣の政策であるというように言っているんですね。そうすると、佐藤内閣のもとでも状況判断が変われば持ち込みを許すというような政策の変更というものは論理上当然あり得るわけだし、佐藤内閣の一貫性からいって、佐藤内閣である限りはその政策変更はないとしても、佐藤内閣以後になればどういう政策とるかという保証はないと、そこに国民は非常な不安を持っているわけですね。だからこの点で、佐藤内閣きりの問題として、まあ大臣は佐藤内閣の大臣だけれども、この問題言われておいでなのか、それとも将来にわたって持ち込ませない方針を打ち立てるという意味で言われているのですか、そこのところを本会議でお聞きしたのだけれども、御返事がなかったのですが、どうなんですか。
#48
○国務大臣(愛知揆一君) これはなかなかむずかしい問題だと思いまするし、それから憲法論などをかえって申しますとややっこしくなるかと思いますが、要するにこの三つの原則のうちの二つは少なくとも憲法にかかわる問題であると、私かように考えております。憲法上非常に少なくとも疑義がある、違反とは言わないまでも。それから、外国軍隊等の持ち込みということになれば、そういう憲法上からいえば解釈はつき得る性質の問題であろうと、こういうのが常識的に言って憲法論であろうかと思います。私も大体それで正しいんじゃないだろうかと思いますが、第三を含めまして、これは佐藤内閣の非核三原則でございます。これは明らかにそうですが、同時に、この三原則は三原則だけではいかぬのであって、これも私の解釈を申しますと、やはり安保体制下における非核三原則でありますし、それからあるいはその平和利用ということについては各国と全く平等でありたいと、それから核軍縮についてはあらゆる努力をして持てる国相互間でもってやってもらいたいと、こういうこととあわせてこの非核三原則というものは成り立つと、そういう意味で佐藤内閣のまさにこれは基本原則でございますから、佐藤内閣に関する限りはこれは変えたくない、もう何としても守り抜きたいと、おそらくは佐藤内閣を自民党内で支持している者は相当御承知のように多いわけですから、かりに将来の場合におきましても、自民党内閣でございますならば、この三原則というものはいま申しましたような意味合いにおいて私は守り抜いていけるものであると、私も一党員としてはそのつもりでいきたいと、こう思っております。
#49
○春日正一君 この問題は、総理にほんとうは聞くべきことで、外務大臣をあまり責めても無理なことだと思いますけれども、いままでの警察予備隊以来の自衛隊のずっとできてくる経過、六〇年安保以来の国会での論議、制度、政策の経過ということを見ていくと、時代によってどんどん変わっていっている。これは明白です。そうすると、いま外務大臣が言われたような、何といいますか、希望といいますか、そういうものがあったとしても、論理的に言えば、これはいつでも変わり得るものだし、核持ち込みということに関して言えば、持ち込み禁止法というようなものがはっきりつくられなければ、将来にわたって安心するわけにはいかない、こう理解していいわけですね。
 そこで、その次にお聞きしますが、いかなる場合にも核兵器の持ち込みはさせない、佐藤内閣の政策として許さないというふうに言っておりますが、日米安保条約第五条の日米共同防衛の問題ですね、この場合でも核の持ち込みは絶対許さないということになるのかどうかということですね。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) これは五条は、六条と、いまさら申し上げるまでもなく、非常に性格も違いますし、いわば日本民族お互い、全く、何といいますか、危機を前にしたというような緊急異常の事態だろうと思います。ですから、おのずから六条の場合とは全く違った見方でいかなければならぬと思いますが、それはそれとして、やはり非核三原則はできるだけ守り抜いていきたいという基本的な考え方に私は変わりはないと思います。
#51
○春日正一君 佐藤総理は、昨年三月二日の衆議院予算委員会で、共産党の松本議員の質問に答えて、日本が核攻撃を受けた場合、日本を守るのにアメリカ軍が自由な行動をするのを拘束するのは、アメリカの抑止力にたよることにならないことになると言って、あの非核決議ですね、野党三党が出したあれに賛成しないということを言われておるのですけれども、こういうことになると、安保五条の発動のときには、米軍の核持ち込み、核使用ということを日本の政府が認めるという可能性というものは非常に大きいことになってくる。そのために、非核武装宣言というものを国会で決議されては困るんだ、手を縛るということを言っておられる。そういうことを考えると、非常に心配になってくるのですけれども、そこらはどうなんですか。
#52
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、第五条の、しかもその中でも観念的な問題ですが、特に掲げられるというか、特記されるような、ほんとうにたいへんな状態を目の前にして、しかも核攻撃がかかってきたというようなときは、ほんとうにこれは予想もされないような緊急異常の事態ではなかろうかと思います。それはそれとして、核持ち込みということは何としてもやらせたくないというのが、一方において私は基本国策としてできるだけ守り抜いていくべきものだと思います。で、むしろ、先ほど申し上げましたように、非核三原則というものは関連するほかのものの中の一つだと私は思いますから、したがって、日米安保体制の堅持とか、あるいは核軍縮の国際的規制とか、あるいは核の平和的利用の促進ということを一つのパッケージの中に入れて非核三原則というものを国会で決議しようというのなら、私は大賛成だと思います。
#53
○春日正一君 これで終わりますけれども、外務大臣はアメリカへ行って沖繩の基地の機能をそこなわない方式ということを提唱されて、特に自衛隊の増強の問題とか、沖繩の防衛の問題、アジア地域への経済援助の増大の問題とかというようなことを話をされたということなんですけれども、ということは、全体として、つまり基地の機能をそこなわないということのために、返ってくるという条件のもとで、それを補充するものとして自衛隊を増強する、あるいはアジア地域への援助を増大するというような意味で、これを一つのパッケージにすれば、いわゆるアメリカの極東における戦力というものはいささかも減らないと、だいじょうぶと、こういう構想を政府は持っておいでになるのですか。
#54
○国務大臣(愛知揆一君) この私のいわゆる基地の効能、機能をそこなわないようにというのは、現在のことだけを意味しているわけではございませんで、施政権返還後における基地の性格、機能は何であるといえば、いま本土における基地に期待されている効能であり、機能である、こう私は理解すべきものであると思っております。したがって、その点についての私の最初の御説明は、ちょっと舌足らずだったと思いますけれども、そういう意味で私は申し上げておるわけです。つまり、いまは沖繩に核があるということは国際的常識だと思います。それから、アメリカ本土と同じように、沖繩の基地は米軍によって自由濶達に使われている。私の基本的な交渉の路線からいえば、核なしで、そして本土並みの安保の適用でございますから、そこだけでも大きな制約が出てくるわけであります。その範囲内でも、たとえば沖繩県民の方々が快く協力し得るような体制の上の基地というような意味で、基地の効能が日米安保条約の目的を達成する上においてそこなわれないようにと、もう少し説明を加えれば、そういう意味で申したことでございます。
#55
○春日正一君 もうちょっと一言。そうしますと、外務大臣は本土の基地と返ってくれば同じだと。条約上は同じですけれども、機能上にはやはり違いはあると思うのですよ。あの位置といい、それから周辺諸国の関連といい、機能上の違いというものは、これは同じ日本の国土の中としても当然あり得る、そういうものだと思います。ただ、安保条約の中に入ってくると、そのためにいろいろないままであったものが使えない制約が出てくる。それをそこなわないようにするために増強するということになれば、これは日米共同防衛体制というような意味からいえば、その関係というものはいままでよりも一そう強いものになってくる。そして日本側の役割りというものは一そう大きいものになってくる。これは間違いないですね。
#56
○国務大臣(愛知揆一君) それは、これも本土並みでございまして、ただいま春日さんのおっしゃるとおりだと思うのです。たとえば、北海道の某所にあるところの基地と、それから東京周辺にある横田にある基地とでは、そのファンクションが違うだろうと思います。地理的な条件も違いますし、そういう意味ではファンクションの内容は違うと思います。沖繩の施政権返還後における基地といえども、そういう点では私はお考えと同じだと思います。その第二段のところは、これもやはり本土並みじゃないかと思うのです、地理的条件の差というものこそありますけれども。施政権が返った以上は、自衛隊が陸海空において、自分の憲法上の制約のもとにおける任務遂行のために役割りが広がる、その部分はアメリカの役割りが狭まる、そうして協力関係が設定される。いままでは米軍がただひとりだけでやっておったところへ、日米の合作ができる、これは日米安保条約の期待しているところではないかと思います。これが本土並みではないか、それができることはけっこうだというのが私の考え方であります。
#57
○委員長(山本茂一郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#58
○委員長(山本茂一郎君) 速記を始めて。
#59
○渋谷邦彦君 防衛局長がみえておりますので、二、三お尋ねをしておきたいと思います。
 先日、本会議で、防衛庁が出された見解なるものを通じまして、佐藤総理に所信をただしたわけでありますが、つまり日米安全保障条約が解消した暁には核装備、徴兵制度というものは憲法や国民感情を抜きにして遂行されるべきである云々、こうした問題は確かにショッキングな内容でありまして、はたしてどういう意図をもって出されたのか。なるほど、報道によれば、防衛庁長官あるいは防衛局長のいろいろ弁解が出ております。それも拝見しております。ただ、事柄が非常に重要なことだけに、一体表面にあらわれたこの弁解だけではやはり得心がいかないということもありますので、こうした公式の場においてあらためて防衛局長の見解をまず最初にただしたいと、こう思います。
#60
○政府委員(宍戸基男君) ただいま、新聞に出ました、いわゆる自前防衛と新聞は書いておりましたが、あの文書のことについてのお尋ねと存じますが、この文書についてのいきさつを説明申し上げれば御了解いただけるかと思います。この文書は、ある国会議員の方から、日米安保体制の必要性を論証したいということで、その資料にしたいからということがそもそものポイントでございまして、そういうことから、ひとつ仮定の問題だが、かりに安保体制がなくて、日本の防衛を自衛隊だけでやる、その場合に、憲法上の制約とか、いろいろな国民感情とか、もちろんあるわけですけれども、現実にはそういうことを考慮しないで試算してみてくれないかと、いわば安保体制の必要性を逆に論証する御意図だったようでございます。安保の必要性はいろいろな角度から積極的に論じられているわけですけれども、いわば消極面といいますか、逆の立場で、かりに安保がなければこんなたいへんなことになりそうだというようにお考えだったようでございます。こんなことになりそうだというのが、自分ではよく計算できない、だから計算してくれないかと、こういう御意図であったようでございます。条件は、いま申し上げましたような条件でつくってみてくれということだったわけでございます。われわれとしましては、安保の必要性を論じられることは、もちろん政府の施策ですからけっこうだと思いますけれども、自衛隊が何もかも全部やる、非核三原則がかりになくて、安保体制がなくてということで政策を考えているわけではもちろんないわけで、安保体制のもとに、もちろん憲法を前提として防衛力を漸進的に整備するということは、二次防、三次防でずっとやってまいりましたし、毎年いろいろ計画を立てていることは当然でございますけれども、いまお話ししましたような条件は、実はだれも自衛隊で考えておるわけではございませんで、非常にむずかしい仕事でちょっと簡単にはできませんということを申し上げたわけですけれども、いや、さっき申し上げたようなことで、逆に論証したい資料にするんだからとにかくやってみてくれというような、こういうお話なものですから、一応やってみました。いま申し上げたように、日本のいろいろなあれに計算の基礎があるわけではございません。それでしようがありませんので、国際的な資料、ミリタリー・バランスとか、国連のウ・タント総長の報告とかいうようなことを参考にしながら、かりに核を持つことになりますとこんなことになりますというようなことを、かりに計算するとそうなりますというものをつくって差し上げた、こういうことでございます。したがいまして、あれが防衛庁の見解とか政府の見解だということでないことはもちろんのことであるというふうに御了承いただきたい、こう存ずるわけでございます。
#61
○渋谷邦彦君 いまの御説明で、そのままであれば、まことにけっこうなことだと思うのでありますけれども、ただ、今日まで、申すまでもなく、安保体制の問題等については最も先鋭化した国民感情というものがございます。それだけに、うがったものの見方をすれば、むしろそれは、ある国会議員、どなたでもけっこうでございましょう、事実あったかもしれないけれども、防衛庁としていまそういうことがないとおっしゃいましたけれども、将来すべてこれは仮定になることは当然だと思うのです。その上に立って、日米安全保障体制というものが解消された暁には、防衛庁としてはこういう青写真を持っているんだというように受け取れないこともないと思うのですけれども、全く今日までそういう問題については国会議員の方から資料を要求されるまで検討の対象になったことはございませんか。
#62
○政府委員(宍戸基男君) 防衛庁は政府の機関でございまして、政府の施策に従って案を立てるというのは、申し上げるまでもなく当然のことでございます。政治家の方が、安保体制の必要性、あるいは必要性がないと論ぜられることは、当然あり得ることだと存じますけれども、自衛隊、防衛庁というものが案を立て、策を立てるということにつきましては、政府できめられた施策の範囲内で、防衛庁に課せられた任務の範囲内で案を立てることは当然でございます。申し上げるまでもないことで、当然のことを申し上げたわけですけれども、先生が念を押されましたような、防衛庁が将来あるいは憲法の制約を越える、あるいは安保体制がないというような青写真を考えていることは一切ないかという念の押され方のように承りましたけれども、そういうことは絶対にございません。
#63
○渋谷邦彦君 全くそのとおりであるということであれば、問題にならないと思いますけれども、なぜこうしたことがマスコミにとらえられ、あたかも防衛局の見解となって発表されなければならなかったか、その経過について考えてみると、やはり心配な点が出てくるわけであります。その辺のいきさつはどうなっているのですか。
#64
○政府委員(宍戸基男君) 最初に申し上げましたように、立法府の方がいわば政府と同じお立場だと、その立法府の方は政府と同じ立場に立たれる方だと思います、御依頼の趣旨から考えまして。先ほど申し上げましたように、政府の施策と同一の立場に立って安保の必要性をいろいろな角度から論じたいということで、普通は表から論ぜられるのを、いわば裏から論じたいという発想をお持ちになった。それに役立つ資料をとにかくつくってほしいということでございましたので、普通われわれも考えておりませんし、普通の方が考えておられないような試算を無理にやったわけでございます。その文書がその依頼された方以外の目に触れたと思われます。そういういきさつを御存じない方が、そのいきさつを御存じなくてその文書だけをごらんになると、前提となる条件を御存じなければ、こういうふうに核装備が何兆円もかかるとかいうようなことが文書自身には書いてあるわけでございますから、誤解されて、いかにも何か防衛庁がそういう案を立てているかのごとく受け取ったのじゃないかなというふうに、そこは私の推測でございますけれども、私はいきさつをよく知っておりますので、正直に申し上げてそういういきさつなものですから、そういうことを聞いてきた方に説明しますと、わかりましたと、こうおっしゃいましたし、それから衆議院の内閣委員会でも先生と御同様のお尋ねを受けました。私全く同じことを申し上げたわけで、それで御了承をいただいたわけでございますが、いま申し上げましたように、そういう前提なりいきさつを御存じなくて文書だけをごらんになると、そういうふうな誤解を生じたのではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
#65
○渋谷邦彦君 ただ最後に要望として、やはり国民を刺激するようなことは現状としてきわめて遺憾だと私思いますので、今後こうしたたぐいの問題が起こった場合には慎重を期していただきたいというふうに要望として申し述べておきたいと思います。
#66
○小林武君 関連。先ほど来の御質問の中にある議員の何ですか、講演か何かかもしれませんけれども、材料のためにつくられた、あるいは研究のためにつくられたということもあるかもしれませんね。こういうことは、ある程度誠意を持ってやる場合に、各省の中においてやれるものもあると思うのですね、私は。たとえば、いまちょっと話が出たのですが、日本の畜産の将来はどうだという場合に、日本の畜産というようなものを考えた場合にどういうことが展望されるかというようなことを、これについて、与党であろうと、野党であろうと、これはまあ協力をされることはけっこうだと思うのです。しかし、いまの内容にわたることになると、かなり憲法上の問題にもかかわるようなことにだんだん発展していく要素がある。そういうものに一体そういう協力するということはどうかという考え方をぼくは持つのです。なお議論が展開していけばいろいろなところに波及する問題である。それは与党だからやったということなのか、野党でもかまわぬのか、与党だか野党だかわかりませんからこれはどっちとも言われませんが、そういうことは防衛庁としてその種のものにこれからも与野党を問わず要求があればやるということなのかどうか――やるということだろうと思うけれども、そういう性格のものでもやるということか、この点ちょっと聞いておきたい。
#67
○政府委員(宍戸基男君) 先ほどからお答えいたしましたように、防衛庁は当然政府の機関でございますので、政府の施策に反するような案といいますか、資料といいますか、そういうものをつくるべき立場にないことは当然かと思います。資料の要求は、与野党を問わず、いろいろ一般的に御要求がございます。与野党を問わず、われわれは必要な資料は御提出しているというのが一般の立場でございます。
 先生の御指摘の、今度の文書はそういう限界を越えているのじゃないかというふうなお尋ねのように受け取れましたけれども、その立法府の方が、核装備はかくするのだ、憲法を無視するのだというお考えで、つまり政府の施策と違う、反対の立場でわれわれに資料を要求されれば、お断わりしなければいかぬと思います。また、そういうことをお考えの方ではなかったと私は確信するわけですが、先ほども申し上げているように、政府の施策と一致したお考えであって、ただ、普通言われている表のほうからの説得のしかたでなくて、裏からの説得のしかたをしたい――安保は必要なんだ、戸締まり論とか、いろいろその他ありますけれども、かりに安保がなければこんなことになりそうだというのを、御自分ではちょっと計算できない、全く見当もつかない、その見当をつけてくれないかということで、われわれも実はそういう仕事をしょっちゅうやっているわけではございませんから、むずかしいわけでございますけれども、そういう立場からの資料要求といいますか、試算をしてくれということですから、むずかしいけれどもやってみましょう。つまり、政府の施策と一致する方向ですから、御協力申し上げた、こういうことでございます。
#68
○小林武君 まあきょうはやめますけれども、速配録よく読んで、いずれまたその機会がありましょう。ただ私はそれについて多少疑義は持っているということだけの意思表示をしておきます。
 先ほども申し上げました、くどいようですけれども、与党であろうと、野党であろうと、あなたたいへん強調されたのは、政府の方針に同調する立場だということになると、これは野党の場合だめになる。私はいま畜産の問題を例に出したけれども、それは政策と違っておっても、日本の将来の畜産はどうなっていくとか、あるいは日本の沿岸漁業がどうなるかというようなことでございますれば、これは政策に反対、賛成の別なく、やはりやられるべきだと思う。しかし、そのいま質問の中にあらわれてきた、あなたたちの作成された問題は、これは多少性格を異にすると私は判断するので質問しておるわけですけれども、まあ後日に譲ります。
#69
○委員長(山本茂一郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト