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#1
第061回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号
昭和四十四年五月七日(水曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中津井 真君
    理 事
                高橋文五郎君
                柳田桃太郎君
                松本 賢一君
                三木 忠雄君
    委 員
                大竹平八郎君
                大谷藤之助君
                後藤 義隆君
                中山 太郎君
                平島 敏夫君
                宮崎 正雄君
                山本敬三郎君
                安永 英雄君
                横川 正市君
                上林繁次郎君
                中村 正雄君
                岩間 正男君
   国務大臣
       自 治 大 臣  野田 武夫君
   政府委員
       自治省行政局選
       挙部長      皆川 迪夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中津井真君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。野田自治大臣。
#3
○国務大臣(野田武夫君) 第六次の選挙制度審議会の発足につきましては、当委員会におきましてもしばしばお尋ねがございました。私ども、この審議会の発足をできるだけすみやかにいたしたいと思っておりましたが、何しろ人事のことでございまして、なかなか全部の方にお願いする点において時間がかかりまして、最初お約束いたしましたよりだいぶおくれてまいりまして申しわけないと思っております。大体先月末に二十九人の内定を見まして、まだお一人どうしても御返事がいただけない方が残っております。近く正式に発令の上、発足できることになったものでございますから、この際、とりあえず御報告だけ申し上げておきます。
#4
○委員長(中津井真君) 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#5
○三木忠雄君 前回もたびたび出てまいった問題でありますけれども、特に私は新有権者という問題についてきょうはお尋ねしたいと思うんです。
 新有権者を拾っていくというこの事務処理の問題が、はたして、改正後は申し出制がないわけですね。そうしますと、三カ月の要件、あるいは生年月日等の必要事項を事務的にうまく操作できるかどうか。これは私は非常に問題点があるんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。現在の機能も十分働いていないと、こういうようにも考えられる点を考慮いたしまして、こういう事務処理が選管の組織で十分行なえるかどうか、これに非常に私は疑問を持つわけでありますけれども、これについてどうでしょうか。
#6
○政府委員(皆川迪夫君) 事務処理の進め方といたしましては、九月一日に全有権者について職権で調査をいたすわけでございますが、その際、従来はその時点において満二十になった人を登録をすると、こういう取り扱いにしておったわけです。今回はその翌年のうちに新しく二十になる人も同時に調査をして、すでに二十になった人は登録をする、そうでない人は、その一年間のうちに選挙が行なわれれば登録をする対象になる人だという方々をその時点において把握をしておこう、それから、新しく転入をされた方については、住民基本台帳の申請がありますと、その写し、同じものが選挙管理委員会にも回ってくるように事務処理機構をつくってございますので、それによって漏れなく捕捉できる、それからまた、住所とか適格要件等については、登録の申し出があった日から三カ月の期間があるわけでございますから、その間に十分に調査をする、こういう事務処理にするつもりでおりますので、この点については、従来よりも新有権者の捕捉ということが的確に行なわれるものと思われます。
#7
○三木忠雄君 そうしますと、それが漏れますね、たとえば私が有権者になった、しかし事務的に漏れた場合、これはどういうふうな処置をとるようなお考えですか。
#8
○政府委員(皆川迪夫君) まあ原則としては漏れないようにしなければならぬわけでございますが、何かの間違いで漏れたという場合には、今度は補正登録という方法もございますので、この際に救済ができるということにいたしております。
#9
○三木忠雄君 それから選挙人名簿のことで、三十九年より三回も変わっているわけですね。こういうふうな短期間のうちにこういうふうな計画がひんぱんに変わっているという点、こういう問題について、やはり根本的な計画性というか、こういう問題にやはり大きな問題点があるんじゃないか、こうも考えられるわけですけれどもね。今回住民票とリンク制にするという制度になっているわけでありますけれども、そういうところの考え方がちょっと甘いのじゃないか、こうも私たちは考えるわけですが、この点についてはどうですか。
#10
○政府委員(皆川迪夫君) 住民票と選挙人名簿のリンクは、実は住民登録法というのが昭和二十五年に立案をされまして、その当時から、これと選挙人名簿をリンクさしたらいいじゃないかというのが懸案であったわけであります。その後、人口の移動が激しくなりまして、事務処理上どうしてもそうしなければ正しい名簿がつくれないという世論が実際の事務担当者のほうから出てまいりまして、選挙制度審議会等においても検討されて、そういう方法をとることがいいじゃないかと、こういう答申になったわけでございます。その間、住民基本台帳の制定に若干の時間がかかりまして、それを待ちかまえて、まあいわば一足先に、選挙人名簿について永久登録制あるいは年四回の登録制というような改正があったわけであります。今日のいま御審議いただいておりますこの制度を当初から一つのねらいとしてきておったわけでありまして、多少その間に経過を経たわけでございますけれども、ようやく最初に願っておった制度にたどりつくことができたと、こういうことであろうかと存じます。
#11
○三木忠雄君 大臣に伺いますが、こういう現代社会の社会機構が非常に複雑化されている、こういうような場合に、やむを得ない事情によって、住民登録が生活の本拠地と違った場所に置かれる場合があると思うんですね、住民登録が。こういう場合に、結局抹消される可能性が出てくるわけです。こういう場合には、やはり憲法で保障されているところの基本的人権の侵害になるんじゃないかと、こうも考えられるわけですね。こういう問題について、大臣どうお考えになりますか。
#12
○国務大臣(野田武夫君) 三木さんの御懸念、私も多少あります。事実絶対にないということは言えません。それはひとつ大事な人権の問題ですから、これはいわゆる万全を期してやらなければならぬというのでこういう改正案が出たわけでありますが、たとえばそういう場合には、前の住民登録をしているところに残っている場合もありますし、それが新しい住居に移るということの場合に、やはり手落ちがない、絶対ありませんということは私もお答えできないと思っておる。事実ございます。そこで、そういうことがやっぱりできるだけないように、まあベストではなくともベターにと、できるだけこまかにそういうところを配慮してやりたいという考え方でございます。だから絶対そんなことはありませんと言い切れないと思いますけれども、できるだけそういうことを、まあその方々もひとつごめんどうだけれども、やっぱり新しい住居にちゃんと登録をしていただくというような心がまえで皆さんが御協力願える、自分の権利でございますから、理屈からいえば当然それはすべきだというけれども、なかなかそう理屈どおりまいりませんから、そういうことをやはり認識していただいて、住居を変わられたらそこで登録していただくというように、積極的な、自分の権利を守るという立場でやっていただきたいと、こう考えております。
#13
○三木忠雄君 それも観念的なあれはわかるのですけれども、実際そういうふうな人たちが抹消される、これはないように努力すると、こういうふうな言明でありますけれども、実際に抹消される、こういう場合が出てくるのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか、事務当局のほうとして。
#14
○政府委員(皆川迪夫君) 現在の選挙人名簿につきましては、住民基本台帳よりも若干二重登録の危険性があるわけでございます。したがって二重登録の方が抹消される。申請人の意向によって抹消される。これは私はむしろ当然のことであろうと思いますが、二重登録でない方が抹消されるという場合については、なるべく――その前に正しい住所があるわけでございますから、そういうところに登録をしてもらって、抹消しないで済むようにしてもらうことが第一と、抹消する際には、今度別のところで正しい登録が行なわれて、そこで選挙人名簿に載るように、こういうような努力を行政指導として、していかなければならぬのじゃないか。したがって絶無とは言い切れないかもしれませんけれども、なるべくそういう事態がないように指導していきたいと思います。
#15
○三木忠雄君 そうしますと、なった場合、抹消された場合――ないように努力しますけれども、実際上、現実に事務的な手続とかそういう問題点で出てきた場合は、どういうような処置が講ぜられますか。
#16
○政府委員(皆川迪夫君) 今度抹消されるのは、住民登録――住民基本台帳に登録されていない人は抹消されるわけです。したがって、そういう方はどこかに住民登録はされてあると思うんです。したがって、甲の町において、住民登録がないけれども選挙人名簿に載った。もしそこに住所があるならばそこに登録をしてもらうように指導するわけですけれども、自分はここに住所がないのだということであれば、これはそこで選挙人名簿が抹消されますので、別な登録をされておる場所、住民登録がされておる場所で選挙人名簿に載る、こういうことになると思います。
#17
○三木忠雄君 自治大臣に伺いたいんですけれども、今回の第六次選挙制度審議会のメンバーが一応内定したですね、私たちも新聞紙上を通して、いまも大臣から答弁がありましたけれども、選考基準ですね、どういうふうな選考基準でこういうふうな点を進めていかれたか、こういうような点について伺いたいと思います。
#18
○国務大臣(野田武夫君) これは従来の方針をそのまま継いでおりましたので、また相当多数の方方が、第五次の審議委員の万も承諾されておりますけれども、基準といたしまして別に新たな基準を設けたのじゃございません。従来の大体の方針に基づいて選考いたしております。
#19
○三木忠雄君 そうしますと、前回の第五次選挙制度審議会のメンバーについては、一応自分が受諾されるかどうかというような点についても具体的に検討されたでしょう、メンバーに対して。それをひとつ聞かしてください。
#20
○国務大臣(野田武夫君) これは個人個人のことですから、個人のだれだれということは差し控えますけれども、第五次の審議会の委員の方の中で、前もって、自分はやらないのだ、都合が悪いのだという、やはりそういう御意思が出ております方がだいぶありましたから、その方にはもう申し上げません。まあ、しかしそれでも一応疑問のある、まあ、なっていただける方があればいいと思って、はっきりした方は申しませんでしたけれども、はっきりしていない方は一応の意向を打診したということはあります。
#21
○三木忠雄君 以上で終わります。
#22
○松本賢一君 関連してちょっと御質問申し上げるのですが、選挙制度審議会の委員の方々の手当といいますか、お知らせ願えれば……、陰の声は聞いているのですが……。
#23
○政府委員(皆川迪夫君) 総理府でやっておるものですから、いま調べております、ことしの予算でどうなっているか。
#24
○松本賢一君 総理府のほうでやっていらっしゃるということで、何ですが、非常に少ないように思っているわけです。それで、これは何も少ないから委員にならぬとかなるとかということは私はないと思いますが、しかし、全額を実は陰のほうで伺ったこともあるのですが、非常に失礼なくらいな金額になっておるようなんで、今日の物価もこんなになってきておるし、世間の情勢も一昔前とは違ってきておるわけですから、そういう点をひとつ大臣のほうで御考慮願って、閣議等でお話をするなり何なりというような方法で、もう少し何とかすべきものではないかと思いますが、いかがですか。
#25
○国務大臣(野田武夫君) 御指摘になりました事柄につきましては、どうもいまはっきりしたことはわかりません。きわめて少額のようであることは事実です。いい御注意だと思いますから、また私のほうでもしかるべく相談してみたいと思っております。
#26
○松本賢一君 よろしくお願いいたします。
#27
○委員長(中津井真君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#28
○委員長(中津井真君) 速記をつけて。
#29
○政府委員(皆川迪夫君) 委員の手当は、一回出席につき、一般の委員が三千円、会長が三千五百円、これは選挙制度審議会だけでなくて、政府機関の共通の基準になっております。
#30
○岩間正男君 まずお伺いしますが、今度法改正がなされるわけですが、これは、あくまで登録はできるだけ多くの有権者を登録させる、こういう解釈のもとに行なわれていると解釈していいですか。
#31
○政府委員(皆川迪夫君) 従来御承知のように職権登録は年一回、申請がそのほかに年三回、こういうたてまえになっておりますが、今回は、選挙が行なわれる際、なるべく新しい時点において全部の有権者を漏れなく登録しよう、こういう趣旨でいたしております。
#32
○岩間正男君 今度の法によると、これはどうですか、そういう趣旨から考えて前進ですか、後退ですか、これはどうですか、大臣、どう思いますか。
#33
○国務大臣(野田武夫君) 前進という考え方で、こういう改正を出しております。
#34
○岩間正男君 私はさきにですね、できるだけ多くの有権者を登録させる、これが登録の方針だと、趣旨だと、こういうことを確めたわけですが、そういう点からいうと、今度の法改正は前進だとお考えになるのですか、これは私はそういうようにいえないのじゃないか、事実を明らかにすればいいわけですが、ここでお伺いしますが、二十一年から選挙は一体何回行なわれておりますか。衆議院選挙、参議院選挙、地方の統一選挙で見れば、大体臨時の選挙もありますけれども、回数はわかるだろう。この回数は何回になっておりますか。これはそこにデータございますか。
#35
○政府委員(皆川迪夫君) 衆議院の選挙は十回行なっております。参議院の選挙が八回、それから地方の統一選挙の執行が六回、そのほかに町村合併等によって、最近は個々の市町村の選挙時期がばらばらになってきましたので、全体的に何回ということは非常に推計しにくいわけでございますが、おおむね平均的な市町村で、こういった国の選挙、地方の選挙を通じて、過去二十二年間に四十六回程度選挙を行なってるというふうに推計をしております。
#36
○岩間正男君 そうしますと、これは有権者に当然登録の機会を多く与えるというのが法の趣旨だと思うのですね。それが逆になった場合には、これは後退じゃないかというふうに思うわけです。いまいろいろ途中での中間選挙の話がございましたけれども、これはもう大体計算してみれば、統一選挙の六回とそう違いないわけですね、大きくいって。それで計算しますと、衆議院の十回、参議院の八回、地方統一選挙六回、合計二十四回でしょう。これに対し、さらに今度現行法でいきますというと――いままでの実績から考えればまあ二十四回前後ということになりますよ、二十二年間に。そして九月の定例のやつがこれは年一回でありますから、これが二十二、三回、合計四十五、六回ですね。ところが現行法でいきますと、これは年四回ということになりますと九十三、四回、半減するのです。登録の機会が半減するのですね。これははっきり事実が示しておるのですから、数字が示しておるのですから、これは大臣、お認めになるでしょうね。これがどうして前進といえますか。
#37
○政府委員(皆川迪夫君) まあ現在の年四回の制度が過去二十二年間にそうであったと仮定をすれば、その回に八十八回の登録が行なわれておるということになるわけです。一方では、先ほど申しましたように、統一選挙と申しましてもこれは欠員とか欠けるとかいう事態がありまして、どんどん選挙の期間がずれておりますので、いま申しましたように、平均的な市町村では四十六回の選挙が行なわれておる。そのほかに九月の定時登録というのがございますので、それらをあわせますと大体六十四回ぐらいの登録になる。過去の実例からすればそういう計算になるわけであります。したがって、年四回登録しておった従来よりも若干減ることにはなるわけですが、そう半分に減るということではなかろうと思います。
#38
○岩間正男君 これはデータ出してもらえばいいんですが、六十四回というデータはどういう計算なんですか。そういう計算出ないでしょう。衆議院が十回、参議院が八回、あと市町村でずれている、そういうところもあるでしょう。しかしいま全体的に論じているのです。統一地方選挙で四年に一回やってるのが大部分ですよ。そうでない臨時のものだって、四年ごとになってるのだから、臨時にやっても六十四回という計算はどこからも出っこない。これはデータ出してもらいたい。データを出してもらえばはっきりするわけですから。われわれの計算ですが、これは四十六、七回です、そうでしょう、そういうことになりますよ。そうすると、年四回現行法でかりにやれば九十二、三回。九十二、三回の機会が有権者に与えられておった、登録が。ところがこれは半減するわけです。ほとんど半減ですね。そうすると絶対前進とはいえない。かりにあなたの報告を見れば、六十何回でしょう。三分の二ですよ。これは機会は後退ですね。なるほど手続の面からいえば、それは簡素になって、それはやるほうから見れば便利かもしれない。しかし有権者から見れば明らかに権利の侵害なんです。これは認めざるを得ない。これは明らかな事実ですからね。これはどうです。
#39
○政府委員(皆川迪夫君) 大臣の前に、私からちょっと申し上げておきたいと思いますが、有権者にとりましては、登録の時期が多いのも一つの問題でありますけれども、選挙の際に漏れなく登録されるということが最大の問題である。したがって登録の回数が減っても、選挙の際に、今回は多くの有権者を正しく把握するという意味において、私は前進だと、こう考えております。
#40
○岩間正男君 そういう答弁はいただけません。機会についていっている。漏れなくするというのは、普通これはいかなる場合にもそうでしょう。ただ機会が多くなくて、登録をする機会を少なくされておいて、漏れなくとか何とかいったって、これは権利の侵害です。四回よりもはるかに――平均して年二回になる、選挙のなには。そうすると半減なんです。そうしておいて、漏れなくこれを登録するのが精神だからなどといったって、そんなもの精神主義で話にならぬわけですよ。具体的にこの法令の中にちゃんとどういう措置をされる――機会が多ければ多いほどその人は有利だし、いまいった漏れなく登録するという立場からいったって、これは当然そうなるわけですよ。これは認めざるを得ないと思うのです。大臣いかがですか、数字が示しているのです。私が言っているのじゃない。数字が示している。それははっきりしている。
#41
○国務大臣(野田武夫君) 従来の登録回数と比べて、今回の選挙人登録の機会が少ない、これはもうこの数字どおりでございます。基本的に、やはり従来数回やりましても、なかなか完全な選挙人名簿ができなかった。だいぶそこに脱落があったり、またいろいろな二重の登録というように、むずかしい。いわゆる自分の持っている選挙権を正しく行使することについて、事務的に非常に繁雑であった、また脱落があった。このねらいの一番のなには、住民基本台帳と選挙人名簿との関連、それからいま政府委員が申しましたとおり、選挙直前にいままでやらなかった。ひとつ直前に選挙登録を完成するように制度をつくるというのでございますから、回数が減ったということに対していろいろ御疑念もありますが、まあこれはただ単に事務的なことでなくて、現実にいままでの経験に照らしまして、どうしても一度選挙の直前に名簿の整理をしなくちゃならぬ、それが一番正しい名簿ができるのだ、こういうところに今回の改正の趣旨も出てきたのでありまして、ただ登録の機会が何回か少なくなったということも、これは数字上事実でございますが、今度の改正案の趣旨は、いわゆる漏れなくそういう選挙権者が行使できるようにするにはどうすればよいか、というのは、やはり選挙直前にできるだけの正しいものをつくったほうがいいと、こういう実際面から考えまして、この制度に踏み切ったのでございまして、私はやはり今度の改正案のほうが、登録回数とか何とかいうよりも現実において前進だと、こう思っております。
#42
○岩間正男君 どうもこじつけの答弁としか思えないですね。選挙直前といっても、三カ月も前にやることでしょう。いままでだったら三カ月ごとにやったのですからね。ことに参議院選挙なんていうのははっきりしているのです。選挙直前、三カ月前。それから地方選挙も、統一地方選挙はこれはもうはっきりしている。衆議院解散、衆議院解散は急にきて、それで今度名簿を整理するというのは、これこそ繁雑なたいへんなことになってくる。そういうことで、漏れなくというようなことをするためにというようなことにはいかぬ。事務の簡素化という点からいえば、なるほど施行するほうには都合がいいかもしれない。しかし、選挙民の権利という面から考えれば後退だと私は言わざるを得ない。数字がはっきり示している。そこのところははっきり区別すべきだ。ある程度の後退はあるけれども、事務の簡素化のためにこれはやむなくやるのだというのなら話がわかるのだけれども、これのほうがいいのだという、そういう議論には私はならぬと思う。理論的にもそうだし、事実上そうです。なぜ私はこういうことを問題にしているかといいますと、これは非常に権利の制限につながっていくわけです、有権者の。たとえば一月に満二十才になったとする。ところがこれは選挙がなければ九月まで登録ができぬ。そうすると、当然選挙権の行使だけじゃないわけです。いろいろな地方自治法に関連した権利というものがあるわけです。どういう権利ございますか、これはお聞きしたいのですが、自治法の七十四条、七十五条、七十六条、八十条、八十一条、こういう当然有権者に与えられた権利というものがあるのですよ。これは言うまでもないことですが、念のために御答弁願いたい。どういうものですか。
#43
○政府委員(皆川迪夫君) 今度の法改正の……
#44
○岩間正男君 聞いたことに答えてください。
#45
○政府委員(皆川迪夫君) それが前提にあると思いますが、私たちは事務の簡便のためにこの改正をするというつもりでは実はないわけでございまして、現在の制度では、年四回、つまり三カ月おきに登録される。そのために、登録のすぐあとで選挙が行なわれればわりあい新しい時点において有権者が救われるわけでありますけれども、登録をしましてからたとえば二カ月過ぎに行なわれるということになりますと、五カ月前の新有権者が救われないということになっておるわけでありまして、現在の年四回をかりに年六回というようにいたしましても、選挙の時期によっては非常に古い時点において有権者を把握する、こういうことになる不都合があるわけであります。そこで、事務的には非常にたいへんな点もありますけれども、なるべく新しい時点において新有権者を把握する、こういうことにいたしたわけであります。したがってその結果、形式的に見ますと登録の回数が少なくなるという点については、確かに御指摘のとおりであります。またその結果、いまお話のありました直接請求等については、その行なわれる時期によって若干そういった問題もあろうかと思いますけれども、何といっても選挙に使うというのが主目的でございますので、それらの点については、まずいまの段階では一番正しい名簿で選挙を行なうというところに重点を置いて、こういう改正法をつくったわけであります。
#46
○岩間正男君 どうもあなたたち、この法案を防衛する立場からそういうことを言うのだろうけれども、大体参議院選挙が七月にありますよ。だから六月の段階でとにかく全部漏れなく登録してください、こういう宣伝だってできるわけです。一カ月あるわけでしょう。だから事前に登録ができないというのほおかしい。衆議院の場合は、これは解散がいつくるかわからないから、そういう場合、しかもこれは非常に事務的にはたいへんなことになるのじゃないですか。解散して選挙をしなければいけない。名簿をつくるのですか。そうすると、その事務こそたいへんだ。事務の繁雑じゃないと言うけれども、事務の繁雑ということも大きな意味を持っているのです。そういうことから率直に事実は事実としてあげなければだめですよ。単に法案防衛の立場から、何だかんだめちゃくちゃに白を黒といいくるめる答弁じゃ話にならない。
 それから、あくまでも選挙のためにつくったのだと言うけれども、なぜ地方自治法でこういう規定をしているのですか。条例の制定または改廃請求権、いわゆる直接請求権、あるいは地方公共団体に対する監査請求権、あるいは県の議会の解散、議員をやめさせる、それから首長を解職する、こういうものについては、全部連帯署名をもってやれるのでしょう。この権限は少なくとも、九月の一回ということになりますと、一月に二十才に達した人は放棄なんです。できないわけでしょう。どうなんですか、こういうことが、多少のことなどということじゃないのです。基本的な権利の一つでしょう。地方自治法でわざわざ規定している。こういう七十四条、それから七十五条、七十六条、八十条、八十一条の権利というものは、これによって少なくとも九カ月の間否認される者が出てくるのです。こういうことが許されますか。私はこの点から考えると、今度の現行法を改正した改正のしかたというものは、これは改正だとは考えられないのです。いい面も、これはむろんいま言ったように手続の面とか、あるいは選挙に対しての注意を喚起するという点で、それは幾分あるということを私たちは否定しているわけじゃありません。しかし同時に、いま言ったような非常に欠陥もあるのだという事実ははっきり認めておいて、その上に立ってこの法案の処理をしなければならぬでしょう。それをあなたたち、さっきから答弁を聞いていても、速記録を検討してもわかるけれども、こういう答弁をしてはいけませんよ。事実は事実として、科学的な事実の上に立って説明は明確にしておいて、その上に立って判断するというならいいが、いま言ったようなことでは、全く議員の見解について一つの非常に間違った、何というかな印象を与えてしまいます。ですから正確にものを判断する、そういう基礎にはならぬのです。政府答弁はそういうふうじゃいかぬのです。法案防衛はわかります。わかるけれども、そういう、何というかな、当然の自明の理を、何かことばの先で言いくるめるというような、どこでもそうなんだ、委員会で繰り返されておるのだが、そういうことを繰り返しておいて、そうしてこの法案に臨むという態度は私はいかぬと思うのです。自治大臣どうですか、こういう態度ではいかぬと思う。だから事実は事実として明確にしておいて、しかる後判断すべきだと思う。国会の審議における最も基本的な態度で、どうも政府委員の答弁全くいかぬです。何か自分で、どうすればこの法案を通すか、そうしてもみ手をしても通すかというかっこうでは、国会審議は権威を発揮することはできない。これは大臣の見解を伺っておきます。明らかなんです。そうでしょう。これは権利制限です。
#47
○国務大臣(野田武夫君) 私は、岩間さん言われるように、事態が明瞭なことは明らかにしたほうがいい。何もそれをことさらに曲げてやることはない。この法案のねらいは、先ほど政府委員が言っておりましたとおり、選挙にあたってはできるだけ有権者を、何といいますか、手落ちのないように、みんなが権利を行使していただきたい、それには、ちょうどいま岩間さんも御指摘になりましたが、従来の三カ月、三カ月でやるということで、今回はその登録の機会が少なくなった、これはそのとおりでございますが、何しろ最近、これはこの目標から考えますと、三カ月の間の移動というものが非常に最近多いようでございます。これは現実の話で、こじつけな話じゃありませんで、それで、いつでも選挙になりますと、この移動関係で相当脱落者ができるとか、あるいはまた、やや間違って二重登録の弊害が出てくるとかいうので、最近の人口移動の関係の結果、いろいろなことを考慮して、やはり選挙直前に登録をできるだけ完備していきたい。それには、やはり選挙権を行使する場合に、一般の有権者が落ち度なく投票できるんだというのが基本的なねらいでございます。そこで、いまのいろいろの直接請求その他についての何と申しますか、この制度から見ますと、これはいま申しますとおり選挙というものを中心に考えて、直接請求権に影響があるということは、そういう場合はあるかと思いますが、この法改正の目的がいわゆる正しい有権者の投票、しかもそれが漏れなく権利を行使していただきたい、こういう目標でございますから、現行法よりもその点において前進しているのじゃないか、こう考えておるのでございます。
#48
○岩間正男君 そういうことを言われますけれども、どうも納得がいかぬ。事実は明白なんです。その事実は認めなさい。その選挙直前というけれども、衆議院の場合なんか一体どうするのです。何日かかるのです、名簿は。選挙直前にこれを漏れなくやるというのに何日かかる。
#49
○政府委員(皆川迪夫君) 選挙法上解散してから四十日以内に選挙をするということで、少なくとも二十日前に告示をするというたてまえになっておるわけでございます。その期間は、もちろん公示の日によって不定でございますけれども、私たちとしては、万全を尽くしてその期間に集中的にあらゆる機構を動員して仕事を完全にやりたい、こう思っております。
#50
○岩間正男君 いままで何日間かかっておるのですか。
#51
○政府委員(皆川迪夫君) いままではこういう制度がないもんですから、今度から始めるわけで……。
#52
○岩間正男君 いままで普通に名簿をつくる、あん左ので通知するでしょう。名簿ができるまで何日かかる。
#53
○政府委員(皆川迪夫君) これは住民基本台帳に記録されているから、それをもとにして名簿をつくるという制度が今度新しくできるわけでございますから、それにどれだけかかるかということは実際の経験がないわけでございます。経験がないのにどういうことで判断するのかというあるいはお尋ねかもしれませんけれども、この点については事務担当者もしばしば会談をしまして、最初どれだけの期間が要るかということを検討したわけでございますが、市町村の大小によって区々ではございますけれども、大きいところは動員力もたくさんございますし、短期間に徹夜でも何でもしてつくっていこう、こういうことで、少なくとも公示の期間を考えれば十分にやれるのじゃないか、こういう結論になったわけでございます。
#54
○岩間正男君 討論でやらしてください。
#55
○委員長(中津井真君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#56
○委員長(中津井真君) 速記をつけて。
#57
○上林繁次郎君 この改正にあたって、漏れなく権利の行使をしてもらいたい、こういう立場から改正するということなんですけれども、補正登録の問題なんですが、この補正登録は当日まで申し出を受け付ける、そういうことですね。事務的に非常にこれはむずかしいんじゃないかという感じがあるんですね。実際そういったことが可能であるかどうか、こういうことですが、どうですか、その点は。
#58
○政府委員(皆川迪夫君) これは事務が非常にずさんになって、補正登録にたよって正規の登録をおろそかにしておる、こういうことが起これば、困難ということも考えられますが、しかし正規の登録をできるだけ十分にやって、何らかの手落ちでミスが起こったというようなことを考えた場合でございますから、当日であっても困難はない、ことに住民基本台帳の登録はあるわけでありますから、そういう点についてはそれほどの困難は実際上はないのじゃないか。理論的にはいろいろ考えられると思いますが、現実にはないのじゃないかと思っております。
#59
○上林繁次郎君 御承知のように、こういう非常に複雑な社会情勢の中で、もし作為的にやられたらどうしますか。作為的にそういったことをやるものが出てきたとすれば、そういったこともわれわれ一応考えておかないと、もしやのことがあったときに、選挙が混乱をしてその選挙は効果をあげられないというようなことも起きてこないとは限らない。こういうふうに考えるわけですね。もし作為的にそういったことが起きた場合にはどうするか。そういう場合がないとは言えないので、そういう点どうですか。
#60
○政府委員(皆川迪夫君) 作為というのは、選挙人の作為か、あるいは事務従事者の作為か、どっちかわかりませんけれども、今度の制度は職権登録ですから、選挙人が作為的にやるということはできないわけであります。また、住民基本台帳には、少なくとも三カ月前に登録されていなきゃならぬわけですから、その際に作為的に選挙人の側からそういうことをするということはできないと思います。まあ極端に考えたとすれば、事務従事者が作為的にやるということは、これはあり得る、理論的にはあり得ることかもしれません。そういうことについては、これは現行制度であっても同じことであって、どのような制度をつくっても、やる人が作為的にでたらめをやるということになりますと、制度的に担保する方法はなかなかないわけでありまして、私たちはそのようなことはよもや事務従事者がやるとは思っておりませんし、またそういうことはやれないような相互の組織というものがあるわけでございますから、その点についてはなお念を入れて十分に注意はしなきゃならぬと思いますけれども、その懸念が現実に起こるとは考えなくてもいいのじゃないかと思います。
#61
○上林繁次郎君 作為的にやられることはないというふうに断定されると、ちょっと疑問が起きてくるのですよ。というのは、補正登録というものを認めているわけでしょう。当日まで認めているわけでしょう。それをその当日までためておけば、どうなるんですか。そういうことはできないんですか。それを作為的と言うんです。
#62
○政府委員(皆川迪夫君) それは、住民基本台帳に登録されておった人を正規の登録の時期に選管委員会に職権で登録するわけですから、これについては、作為的にためておくということは選挙人の側からできないわけであります。三月前に登録をした人について選挙管理委員会が……。
#63
○上林繁次郎君 じゃ補正というものの必要がなくなるんじゃないですか。
#64
○政府委員(皆川迪夫君) 選挙管理委員会が登録の際に万が一漏れた場合があったら、そういうものについてするわけです。
#65
○上林繁次郎君 だから、漏れたような形をとることはできるでしょう。
#66
○政府委員(皆川迪夫君) 住民基本台帳には、三カ月前に御本人が登録申請をして登録されておるわけですね。それから三カ月後に選挙があるという際に、選挙管理委員会がこの住民台帳の中から職権で有権者を抜くわけですから、その方が作為的におれは抜かないでくれという方法はできないわけであります。
#67
○委員長(中津井真君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(中津井真君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。岩間君。
#69
○岩間正男君 日本共産党を代表して、この改正法案に反対するものであります。
 これは質問の中でも触れましたが、第一の点は、この法案では、できるだけ多くの有権者を登録させる、こういうことをうたっておるわけでありますが、これは新有権者が登録の機会を非常に制限されてくる、こういうことが明らかだと思います。大体私たち、そのためにいままでの事実によってこれを調べたのですが、戦後、昭和二十一年から四十四年差での二十三年間の選挙を見ますというと、衆議院で十回、参議院で八回、地方統一選挙は六回で計二十四回、こういうことになります。さらにこの二十三年間に、九月一日に一回やりました場合、これが二十三回、合計四十七回ということになります。ところが年四回の登録をやりますというと、これは九十二回であります。回数からいいますと半分になるわけです。つまり登録の機会というものは半減されるわけであります。これはどうしても権利の制限ということでありまして、やはり基本的な重大な選挙権に関する制限の問題として、との法案が作用していることは賛成できない点であります。
 さらにこの結果、どういうことが起こっているかといいますると、地方自治法によって認められました権利が著しく制限されることです。選挙を行なわれない年を考えますと、一月に満二十歳になった者が、あるいは一月に住所を移転した者が、この年の九月差では、地方自治法に基づいて当然行なわれる、行使できるところの連署をもって行なう条例の制定または改廃の請求権、つまり直接請求権とか、あるいは同じく地方公共団体に対する監査の請求権、さらに議会解散、現首長の解職の請求を行なう、このような、地方自治法によって当然権利として認められておる権利を、九カ月にわたって行なうことができないという欠陥が出てくるわけであります。このことは、二十歳になってしかも登録することのできなかった者が、地方政治における買収や不正腐敗に対する住民の当然の権利の行使を著しく制限する結果になります。そういう欠陥も持っているので、残念ながらこの法案には賛成できません。
 以上をもって反対討論の趣旨とします。
#70
○委員長(中津井真君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(中津井真君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 公職選挙法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#72
○委員長(中津井真君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#73
○高橋文五郎君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主、社会、公明及び民主社会各派共同による附帯決議案を提出いたします。
 趣旨説明を省略し、案文を朗読いたします。
  公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、今回の選挙人名簿登録改正制度の施行に当つては、次の点に留意すべきである。
一、選挙権の有効適切な行使に遺憾なきを期するため、改正制度の趣旨、施行日に諭ける経過借置の周知徹底を図るとともに、名簿から抹消することとなるものについては特に運用に慎重を期すよう配慮すること。
二、改正登録制度の成否は、住民基本台帳の完全性確保及び新有権者の適確な把握いかんにかかることとなるので、市町村長の毎年定時調査と通報の励行並びに市町村選管の組織の強化、調査態勢の整備のため、十分な財源措置等に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げます。
#74
○委員長(中津井真君) 高橋君提出の附帯決議案について採決を行ないます。
 高橋君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#75
○委員長(中津井真君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの附帯決議に対し、野田自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。野田自治大臣。
#76
○国務大臣(野田武夫君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、政府といたしましてはその趣旨を十分尊重してまいる考えでございます。
#77
○委員長(中津井真君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(中津井真君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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