くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 物価等対策特別委員会 第3号
昭和四十四年二月二十一日(金曜日)
   午後零時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月三十日
    辞任         補欠選任
     河口 陽一君     小枝 一雄君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     任田 新治君     塚田十一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本  杉君
    理 事
                小枝 一雄君
                林田悠紀夫君
                阿部 憲一君
                中沢伊登子君
    委 員
                上原 正吉君
                大森 久司君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                高田 浩運君
                西村 尚治君
                吉江 勝保君
                上田  哲君
                鈴木  強君
                竹田 四郎君
                田代富士男君
   国務大臣
       国 務 大 臣  菅野和太郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      山田 精一君
       経済企画庁調整
       局長       赤澤 璋一君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○当面の物価対策樹立に関する調査
 (物価対策の基本方針に関する件)
 (公正取引委員会の物価対策関係業務に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本杉君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る一月三十日、河口陽一君が委員を辞任され、その補欠として小枝一雄君が選任されました。
 また、二月十五日、任田新治君が委員を辞任され、その補欠として塚田十一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山本杉君) 吉江勝保君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本杉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(山本杉君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に小枝一雄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(山本杉君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、物価対策の基本方針について政府当局より説明を聴取いたします。菅野経済企画庁長官。
#7
○国務大臣(菅野和太郎君) 最近のわが国経済は、個人消費、民間設備投資等の増勢と輸出の好調にささえられて順調に推移しておりますが、その中にあって、消費者物価の根強い上昇が依然として続いており、本年度の消費者物価は、年度間では昨年度を大幅に上回る五・四%程度の上昇になるものと見込まれます。
 来年度につきましては、五%程度の上昇におさめたいと考えておりますが、最近の騰勢を考慮いたしますと、目標を達成することは決して容易ではありません。
 このような情勢にかんがみ、政府は、国民生活の安定と経済の持続的発展のため、物価の安定を最重点施策とし、総力をあげてこの問題に取り組んでまいる所存であります。
 このため、まず、来年度については、公共料金の引上げは、国鉄の旅客運賃を除き極力抑制することにより、政府が物価上昇を主導することのないよう配慮いたしました。すなわち、米、麦、塩の価格を据え置く方針をとることとしたほか、電信電話料金についても料金体系合理化のための改定を行なうにとどめ、実質的な引上げは認めないことといたしました。
 国鉄については、現在のわが国における輸送体系の急激な構造変化に対応しきれないため、経営状況が著しく悪化しておりますので、この際、国鉄自体の抜本的な構造改善をはかることを前提とし、国及び地方の財政援助と相まち、最低限度の運賃値上げを認めることといたしましたが、これに関連する便乗値上げはきびしく抑制してまいる所存であります。
 もとより、物価の安定をはかるためには、このような公共料金の抑制のほか、従来から実施している各般の施策を一そう強力に推進していかなければなりません。
 このため、需給動向に対応した総合農政の展開、中小企業振興事業団等の融資規模の拡充を中心とした中小企業対策の充実、流通機構の改善など、低生産性部門の近代化、合理化を進めるとともに、公正な競争条件の整備、輸入政策の弾力的活用をはかってまいる所存であります。
 また、地価の高騰に対処するため、土地税制の改善、地価公示制度創設のための組織の整備等にも意を用い、今後における土地の有効利用の促進、地価の安定につとめてまいります。
 さらに、これらの対策と並んで、生産性向上の著しい部門においては、その成果の一部を価格引下げに反映させることも必要であり、政府としては、そのような環境をつくってまいりたいと考えております。
 次に、物価問題と並んで国民生活に密接な関連を有する消費者行政について申し上げます。
 消費者保護に関する施策の基本的な方向は、昨年制定されました消費者保護基本法に明示されておりますが、政府としては、今後ともこの基本法の精神に沿って、消費者保護に関連する法令、制度の改善、消費者教育の拡充強化、苦情処理体制の整備等の施策を強力に推進してまいる所存であります。
 もとより、消費者保護の問題は、地域住民に直接結びつく地方公共団体の行政の充実がなければ十分な効果を期することはできないと考えられますので、政府としては、従来から進めてきた施策に加え、消費生活センターの機能の強化など、地方公共団体の消費者行政の一そうの促進をはってまいる所存であります。
 本委員会におかれましても、このような政府の考え方を理解いただき、今後ともよろしく御支援と御鞭撻を賜わりますようお願いいたします。
#8
○委員長(山本杉君) 次に、昭和四十四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度について、政府委員より補足説明を聴取いたします。赤澤調整局長。
#9
○政府委員(赤澤璋一君) 長官の発言を補足いたしまして、昭和四十四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして、その概要を御説明申し上げます。お手元にお配りいたしてございます資料をごらんいただきたいと思います。
 初めに、四十四年度の出発点となります四十三年度の経済情勢について申し上げますと、御承知のとおり、四十三年度のわが国経済は、年度当初来、個人消費支出、民間設備投資などの根強い増勢を中心に堅調な拡大を示す一方、国際収支は、海外景気の上昇もありまして大幅な黒字を続けてまいりました。この間にありまして、日本銀行は、昨年八月には公定歩合を一厘引き下げ、十月から窓口規制を撤廃いたしました。その後も、経済の基調は全体として堅調な増勢が続いております。
 このような拡大基調を反映いたしまして、四十三年度の経済は、前年度の実質一三・三%の成長に引き続きまして、実質一二・六%、名目一七・三%程度の拡大を示すものと見込まれます。この結果、国民総生産は五十兆五千七百億円程度の規模になるものと見込まれ、自由世界第二位の規模に達するものと思われます。また、国際収支は、国内経済の拡大にもかかわらず、総合収支で年度間十二億ドル程度の黒字となるものと見込まれております。
 こうした中にありまして、卸売り物価は落ち着いた推移を示し、年度間で〇・八%程度の上昇が予想されますが、他方、消費者物価は、生鮮魚介、肉類、中小企業製品、サービス料金等の値上がりと、消費者米価や一部公共料金の引き上げの結果、年度間で五・四%程度の上昇が見込まれ、その上昇基調には根強いものがございます。
 次に、昭和四十四年度の経済運営の基本的態度及び経済見通しについて御説明申し上げます。
 四十四年度のわが国経済は、引き続き堅調な需要の動きにささえられて、かなりの拡大基調を続けるものと予想されます。他方、国際経済の先行きでございますが、米国等海外諸国の景気鈍化などによりまして、世界貿易の伸びの低下が見込まれるほか、流動的な国際通貨情勢など不安定な要因もあり、必ずしも楽観できません。
 このような経済情勢のもとにおきまして、消費者物価の上昇基調には依然として根強いものがあり、その動向いかんは、国民生活はもとより、経済運営の全般に重大な影響を及ぼすおそれがあるものと考えられます。
 以上のような海外情勢と国内物価の動向にかんがみまして、四十四年度の経済運営にあたりましては、次のような物価安定策に最重点を置きながら、内外情勢の変化に対応する経済政策の機動性に留意することによりまして、均衡のとれた経済の発展をはかるとともに、経済の効率化と国民生活の質的向上を目ざし、一そうの前進をはかることといたしております。
 すなわち、物価の安定につきましては、
 第一に、農業、中小企業等の低生産性部門の近代化、合理化、競争条件の整備等の構造政策を着実に推進することといたしております。このため、需給の動向に対応した総合農政の展開を進めるとともに、中小企業振興事業団融資の画期的拡充を中心といたしました中小企業対策の充実等をはかり、さらに、生産と消費をつなぐ流通部門の改善を進めてまいる所存でございます。また、公正かつ自由な競争が行なわれるよう有効な競争条件の整備をはかることといたしております。
 第二に、需要圧力による物価上昇を極力回避するまう適切な対策を講ずるとともに、輸入政策の弾力的活用等の施策を強力に講じてまいる所存でございます。
 第三に、特に四十四年度におきましては、国鉄の旅客運賃を除き、公共料金の引き上げを極力抑制し、政府が物価上昇を主導することのないよう配慮いたしております。
 次に、このような経済運営のもとにおきまして、四十四年度におけるわが国経済の姿を想定いたしますると、国民総生産はおおむね五十七兆八千六百億円程度の規模になり、その成長率は実質で九・八%、名目一四・四%程度となる見込みであります。
 この場合における経済の主要項目につきまして、四十三年度と比較しながら簡単に御説明申し上げます。
 まず、国内需要について見ますと、個人消費支出は引き続き堅調に推移し、前年度比一四%程度の伸びが見込まれます。民間企業設備投資につきましては、一六・三%程度の増加が見込まれ、十兆七千億円程度になるものと思われます。また、在庫投資もゆるやかな上昇基調をたどり、民間住宅建設も二二・九%程度の伸びが予想されます。他方、政府の財貨サービス購入は、財政面から景気を刺激することのないよう配意することといたしまして、前年度比一二・三%増の十兆九千五百億円程度となるものと思われます。
 このような堅調な需要を反映いたしまして、鉱工業生産も、前年度比一五・五%程度の上昇を示すものと予想されます。
 次に、国際収支でございますが、輸出は、前述のような楽観を許さない国際経済情勢を背景といたしまして、その伸びはかなりの鈍化が見込まれ、年度間では百四十九億ドル、前年度比一二・五%増程度になるものと思われる一方、輸入は前年度より伸びが高まり、百二十二億ドル、前年度比一五・六%増程度に達するものと思われます。また、貿易外収支、移転収支の赤字幅が拡大し、長期資本収支につきましても、海外金利の上昇などによる外資取り入れ環境の悪化もあって、前年度を大幅に上回る赤字が見込まれることから、四十四年度の総合収支は一億ドル程度の黒字にとどまるものと見込まれております。
 最後に、四十四年度の経済運営におきまして最も大きな問題となっております物価でございますが、卸売り物価は比較的安定した推移をたどるものと予想されますが、四十三年度後半の上昇傾向の影響もありまして、年度間で一・〇%程度の上昇になるものと思われます。また、消費者物価につきましては、その上昇基調が依然根強いのでありますが、前述いたしましたように、公共料金の抑制をはじめとする各般の物価対策を強力に推進いたしまして、五%程度の上昇におさめるよう鋭意努力するものといたしております。
 以上、四十四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして御説明申し上げた次第でございます。
#10
○委員長(山本杉君) 次に、昭和四十四年度物価及び消費者行政関連予算について政府委員より補足説明を聴取いたします。八塚国民生活局長。
#11
○政府委員(八塚陽介君) お手元に、横長の「物価対策関連予算表」と、別刷りの「四四年度消費者行政関係予算(未定稿)」をお配りしてございますが、昨年までは、物価関連と消費者関連を一表にいたしておりましたが、昨年、消費者保護基本法も通りましたので、一応分けて御提出をした次第でございます。
 その説明に入ります前に、いままで長官あるいは調整局長から物価動向について説明があったわけでございますが、なお簡単に補足をして申し上げておきたいと思います。
 御承知のように、消費者物価につきましては、四十二年は当初見通し四・五%でございましたが、幸いにして四・二%に一応とどまったわけでございます。ただ、四十二年の後半はかなり騰勢であったこともございまして、四十三年は四・八%の見通しを立てたのでございます。消費者米価の値上がりその他の要因もございまして、ただいま話がありましたように、四十三会計年度は五・四%になるであろうというふうに見通しておるのであります。ただ、四十三暦年で申しますと、五・三%でございます。
 四十三年度を回顧いたしますと、上半期は五・七%ということでございます。下期になりまして、十月、十一月がそれぞれ四・七%あるいは五・一%の上昇ということで、上期の五・七%よりはやや鈍化をいたしました。なお、十二月は、さらに対前年同月比三・九%ということでございます。なお、まだ一月の全国ベースでの数字は出ておりませんけれども、東京では三・八%ということでございまして、かなり上昇率が鈍化をいたしております。そういうことを考えますと、まだ、もちろん最終的には五・四%というふうに考えておりますが、あるいは五・四%より少し低くなる、四十三会計年度では低くなるということも考えられるわけであります。しかしながら、その値上がりのかなり大きなウエートは、野菜あるいはくだもの等の大幅な値下がり等があったためでございまして、基調としましては、それだからといって消費者物価動向がややおさまったというには、まだほど遠いというふうに考えております。そういう意味もございまして、やはり来年度の目標といたします五%という数字は、かなりわれわれとしても努力をいたさなければならない数字であろうというふうに現在時点で考えておるのでございます。
 卸売り物価につきましては、大体先ほどの説明で尽きておりますので、説明を省略いたします。
 前置きが少し長くなりましたが、大体動向はそういうことでございます。
 横長の「物価対策関連予算表」でございますが、先ほど来からの私どものほうからの説明にもございましたように、物価対策というのは、やはりかなり地道な、低生産性部門の生産性向上の対策等を講じていくという必要があるわけでございますが、逆に、どこからどこまで、予算の中で、これは物価なんだと、これはそうでないんだということを厳密に区別することはなかなか困難でございまして、物価そのものが経済全体の出発であると同時に結果でもあるというような性質を持っておりますから、非常に厳密に、これは物価に関係がない、これは物価に関係があるということは困難でございますが、先ほど来の、いわば物価対策の柱に対応いたしまして、一応物価対策関連予算を取りまとめたわけでございます。
 第一は、「低生産部門の生産性の向上」。これは、主として消費者物価を押し上げておる大きな要因である農畜水産物の対策として、その低生産性の改善をはかるというための諸般の経費を見込んで計上いたしておるのであります。もっとも、中には、こまかく見れば、非常に関係も薄いというようなものもあるかもしれませんが、全体としてそういう姿勢でやっているということがうかがい得るという意味で、低生産部門の生産性向上として第一に農林漁業関係というものがあげてあるのであります。
 それからまた同時に、中小企業対策、これもやはり生産性の向上ということが非常に望まれるわけでございまして、これは、ここでは一般会計からの出資等、あるいは一般会計の経費等が出ておりますが、なお、うしろのほうに、財投で中小企業対策が用意をされておるのであります。
 それから「労働力の流動化促進」。現在の物価上昇の原因についての考え方はいろいろあろうかと思いますが、やはり三十五年以降の物価上昇の基調の一つは、労働力が従来と変わりまして逼迫してきたというような事情が大きく影響しておると思いますので、それに関連する経費も物価対策関連予算としてあげておるというわけでございます。
 それから「競争条件の整備」でございますが、これは、経費的には比較的僅少でございますけれども、公正取引委員会を中心にして競争条件の整備をはかるということ。とかく競争条件が不備であるために物価が最終的に消費者に転嫁されるということが起こりがちなものを防ぐ、あるいは積極的にそういう競争条件の整備をしていくという意味であげてあるわけであります。
 それから「家賃及び地価の安定」。これは、もう申すまでもなく、いま非常に大きな問題でございますが、これについては、建設省関係でおやりになっていただいているその経費でございます。
 それから「流通対策」でございますが、生産性部門がかりに相当安く供給をいたしましても、流通の部門でとかく摩擦を起こしがちで、十分その生産性部門の合理化の成果が最終消費者のところにいかないということがあるわけであります。卸売り市場の整備をもはかっていく必要があるということでございます。
 それから、ややくくり方としては妥当であるかどうか問題はございますけれども、もう少し直接的に価格に関連する経費といたしまして、食管その他の経費を計上いたしました。
 それから、政府としては、いままで物の対策の経費には着目いたしておるわけでございますが、やはり消費者サイドからの問題があるということで、「消費者教育対策」ということも物価に関連あろうかというふうに考えております。
 それから「交通施設の整備」。これは、もう申し上げるまでもなく、いろいろな意味において物価に影響を強く及ぼしておるというようなことでございます。
 以上が、一般会計ないし特別会計についての経費でございますが、同様の働きを、財投の関係から、なすために、財投について昨年に比べていろいろな点でそれぞれ充実をはかっておるつもりでございますが、これはまあお読みいただけばわかりますように、流通機構の整備のためには、あるいは家賃及び地価の安定、あるいは低生産性部門の近代化のための融資等でございます。なお、本年は国鉄等に対する財投もさらに引き続きやっていくということでございます。
 なお、消費者行政関係予算のほうでございますが、これは、総括的に申し上げますと、第一ページに一応くくっておきましたが、昨年成立を見ました消費者保護基本法の条文を頭におきまして整理をいたしたわけでございます。きわめて具体的でございますから、いずれまた関係各省からもお聞きいただくことになろうかと思いますので……。
 この総括表をまずごらんいただきますと、それぞれ対前年に比べましてある程度の増額を見て、政府としましては消費者保護行政のための姿勢を示したつもりでございます。
 たくさん項目がございますので、どれを取り上げてどうというのは省略をいたしたいと思いますが、以上をもちまして、非常に中身に入らない説明で恐縮でございますが、一応説明は終わりたいと思います。
#12
○委員長(山本杉君) 公正取引委員会の物価対策関係業務について、山田公正取引委員会委員長より説明を聴取いたします。山田公正取引委員会委員長。
#13
○政府委員(山田精一君) 昭和四十三年におきまする公正取引委員会の物価対策関係業務につきまして御説明を申し上げます。
 御承知のとおり、ここ数年来、物価問題が非常に大きな課題として取り上げられまして、物価対策の面から公正取引委員会の果たすべき役割りと申しますものが再認識されてまいりました。独占禁止法等の運用を通じて、いかに物価の安定に寄与するかということが、公正取引委員会に与えられた大きな課題と相なったと考えます。
 物価対策の面で公正取引委員会の果たします役割りと申しますと、独占禁止法等を厳正に運用いたしまして、公正かつ自由な競争を促進することによって、経済の発展を促進し、究極において一般消費者の利益を確保するという本来の任務に尽きるわけでございますが、具体的には次の四点に重点を置いておる次第でございます。
 第一点は、価格協定等違法なカルテルの厳重な取り締まりとともに、独占禁止法の適用除外となるカルテルの許容につきまして主務大臣等からの協議にあたってきびしい態度をとったことでございます。第二点は、再販売価格維持行為の規制についてでございます。第三点は、いわゆる管理価格など硬直的な価格の実態を究明いたしまして、その対策を考えることであり、第四点は、商品の不当な表示を排除し、過大な景品つき販売を規制することにより、消費者の商品選択にあたっての価格意識を高めるようにつとめることでございます。
 まず、第一点の違法な価格協定等の取り締まりでございますが、独占禁止法ではこれを「不当な取引制限」といっておりまして、事業者が協定によって価格を決定いたしましたり、維持したり、引き上げたり、あるいは生産数量、販売数量などを決定したりすることによりまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限することでありまして、第三条においてこれを禁止いたしております。
 昭和四十三年におきまする審査件数二百二十七件のうち、価格カルテルに関するものが百三十二件を占めており、また、審査した事件のうち法的措置をとりましたものは三十二件でありますが、価格に関するものは二十七件にのぼっております。
 なお、松下電器産業による家庭電器製品の違法な再販売価格維持行為等八件につきまして審判を行なっております。
 次に、独占禁止法では、原則としてカルテルを禁止いたしておりますものの、例外として、中小企業関係として中小企業団体の組織に関する法律、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律、貿易対策の見地から輸出入取引法など四十の法律によって合法的にカルテルを認めておりますが、この数は、昭和四十三年十二月末現在九百三十五件にのぼっており、これらのうち、中小企業団体の組織に関する法律に基づくカルテルが一番多く、五百十二件、次いで輸出入取引法に基づくカルテルが二百二十件、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律に基づくものが百二十三件になっておりまして、これらが大部分を占めております。
 公正取引委員会といたしましては、これらの認可にあたって主務大臣から同意あるいは協議を求められました場合には、それが必要最小限度のものであるかどうか、あるいはそれが関連事業者や一般消費者の利益を不当に害するおそれがないかどうかを厳重に審査して、同意または協議に応じております。
 そのほか、独占禁止法自体にも不況カルテルの制度が認められておりますが、現在では、不況カルテルを実施いたしているものはございません。
 第二点は、再販売価格維持行為の規制の問題でございます。
 再販売価格維持行為は、製造業者が、卸売り業者、小売り業者の販売価格を指定し、これを守らせる行為でありまして、これは、原則として独占禁止法の「不公正な取引方法」の態様の一として禁止されているところでありますが、特定の商品につきましては、製造業者と卸売り業者間、あるいは卸売り業者と小売り業者間の再販売価格維持契約を独占禁止法の適用除外としております。しかしながら、この再販売価格維持契約制度が安易に用いられる傾向がございますので、物価対策の見地から、その規制の強化をはかることといたし、現行指定商品の契約実施状況及び法的要件の適否につきまして再検討を加え、昭和四十三年十二月に、化粧品及び医薬品についての告示改正を行ない、その分類を現行日本標準商品分類に改めるとともに、指定商品中特殊な用途に使用される品目及びこの制度が有効に利用されていない品目を削除いたしました次第であります。
 公正取引委員会といたしましては、今後も引続きその適否を検討いたしますととに、個々の契約内容につきまして、それが正当な行為の範囲を逸脱いたしましたり、また、一般消費者の利益を不当に害することのないよう厳重に規制を加えていく所存でございます。なお、昭和四十三年におきまする再販売価格維持契約の成立届けは九件、累計百二十四件となっておりまして、新たに契約を実施した製造業者の数は五社で、昭和四十三年末現在、九十三社が契約を実施いたしております。また、昭和四十三年には十七件の違法な再販売価格維持行為につきまして審査を行ない、一件について法的措置をとりました。
 第三点は、いわゆる管理価格の調査の問題でございます。これは、比較的少数の大企業で業界を支配しているような業界におきまして、生産性が向上しているにもかかわらず価格が硬直している商品につきまして、その原因がいずこにあるかということを探究することであります。申すまでもなく、公正取引委員会は、単に価格が硬直しているからと申しまして、価格の引き下げを命ずる権限を有するものではありませんが、調査の結果、価格協定などの事実が明確となりましたものにつきましては、独占禁止法違反として排除措置を講ずる所存でございます。
 また、新規企業の進出をはばむ等の行為が行なわれているようなことがあれば、これは不公正な取引方法として排除措置をとることと相なります。公正取引委員会といたしましては、昭和四十二年に引続き昭和四十三年にも、写真用フイルム、アルミ地金につきましてこの調査を行なっておりますが、この問題の重要性にかんがみ、今後とも真剣な努力を続けてまいりたい所存でございます。
 第四点は、過大な景品つき販売及び不当表示の規制であります。
 過大な景品つき販売、虚偽誇大な表示は、消費者の正しい商品選択を妨げるばかりでなく、いたずらに事業者の景品競争、表示競争の激化を招き、その結果、正常な品質や価格による能率を中心とした競争を阻害することとなるため、公正取引委員会といたしましては、消費者の価格意識を高め、消費者を保護するという立場から、不当景品類及び不当表示防止法を厳正に運用することにより、これらの規制につとめております。昭和四十三年中には、過大な景品の提供十件、不当表示六十四件につきまして排除命令を行ない、また景品関係一件、表示関係五件の公正競争規約の認定を行ないました。
 以上が昭和四十三年における物価対策関係業務の概要であります。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。
#14
○委員長(山本杉君) 以上をもちまして、政府当局からの説明聴取を終わります。
 本件についての御質疑は、都合により、これを後日行なうことにいたし、本日は説明聴取にとどめたいと存じます。
 ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#15
○委員長(山本杉君) それでは速記を起こして。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト