くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 物価等対策特別委員会 第6号
昭和四十四年四月十六日(水曜日)
   午前十時二十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本  杉君
    理 事
                林田悠紀夫君
                阿部 憲一君
                中沢伊登子君
    委 員
                大森 久司君
                櫻井 志郎君
                高田 浩運君
                塚田十一郎君
                西村 尚治君
                吉江 勝保君
                鈴木  強君
                竹田 四郎君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
       国 務 大 臣  菅野和太郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局長     柿沼幸一郎君
       経済企画庁調整
       局長       赤澤 璋一君
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       農林省畜産局長  太田 康二君
       食糧庁長官    檜垣徳太郎君
       通商産業省重工
       業局長      吉光  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林大臣官房参
       事官       荒勝  巖君
       農林大臣官房参
       事官       小沼  勇君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (物価問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本杉君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質問のある方は、順次御発言を願います。鈴木君。
#3
○鈴木強君 農林大臣の御都合もあるようでございますので、きょうは竹田委員に最初に質疑をしていただくことになっていましたが、予定を変更して、大臣の分だけ先に私十分か十五分程度さしていただきます。
 米価審議会の構成と発足の時期等についてお尋ねしたいんでありますが、その前段として、前の委員会でも私やりましたが、両米価を据え置くという政府の方針、これは非常に高く評価をされていると思うのでございます。しかし、一面また、両米価据え置きに対して一まつの危倶を国民が持っていると思うのでございます。それは当初、経済企画庁、政府としても、公共料金はことし上げないと、こういう態度であったと思いますが、その後、国鉄運賃はやむを得ないというのでお上げになりました。ところが、その国鉄運賃を上げるときは、これだけであとは絶対に上げないと、こういうふうにおっしゃっておきながら、その後、私鉄、バス、タクシー等の運賃の値上げが考えられ、また現にやられているわけです。われわれは、いま米価の決定も間近に迫っていると思いますが、特に生産者団体等の方々が、最近、生産者米価の引き上げのための運動の展開をやろうと、こうかまえているようなんであります。一般的な物価が上がっていくわけですから、生産者の立場からすると、ことしもまた生産者米価を上げてくれと、こういう意見が出ることも想像されるわけです。そうなりますと、消費者米価のほうに響かなければいいんでありますが、必ず響いてくる。総合予算主義をとっている政府として、これをまた消費者に転嫁するというようなことが起きてくるんではないだろうかという不安と危倶を持っているものであります。ですから、この前、経済企画庁長官は、このことに関しては、私鉄やバスのことはケース・バイ・ケースでやるんだが、米価に関する限りは、農林大臣はじめ関係大臣、総理も非常に強い決意を持っておられるので、これは絶対にだいじょうぶだと思うと、こういう御答弁をいただいておりますが、これからその衝に当たって、御奮闘いただく農林大臣から、ひとつこの際、あらためて両米価の据え置きについて、これは絶対に動かないと、こういう強い決意であるかどうか、最初に承りたいんです。
#4
○国務大臣(長谷川四郎君) お尋ねの両米価でございますが、消費者米価は、これは申し上げるまでもなく、政府が上げなければ上げなくても済むわけであります。生産者米価は、米価審議会の決定を待って、そうしてその答申に基づいて私が価格を決定することになっておるわけでございます。しかしながら、本年度政府が両米価を据え置く、こういうことを発表したゆえんというものは、御承知のように、米穀需要というものが非常に大幅に緩和しておるというこの実情の上に立って、また、いろいろな物価安定という考え方もあり、これらの両緊急性の問題等々を考えてみるときに、生産者米価というものを据え置くべきである。また、農村に行ってみましても、農民自体、米価が少しぐらい上がってもすぐ物価が上がるのでは何にもならぬのだ、ぜひひとつ、生産者米価のほうもさることながら、物価のほうへ影響がないのならばいいけれども、物価がすぐに上がるならば何にもならないのだ、その点も十分考慮に入れてもらいたいという意見等々は、われわればかりでなく、皆さんの耳にも十分伝わってくるだろうと考えられます。しかしながら、何と言いましても、米価審議会が決定し、その答申に基づいて価格をきめるわけになっております。しかしながら、今度の本年度の生産者米価は政府としてはぜひ据え置きたい、据え置く方針であるということにはいまでも変わりはございません。したがって、それでは、いまお尋ねがありましたように、諸物価というものが本年もやはり上がっているではないか、賃金も上がるのだが、それでもいいのかというようなお話も中に含まれているようでございます。もちろん、本年度に入りましても、諸物価は幾ぶんか上昇ぎみであり、さらに賃金も上昇ぎみであるということもこれはよくわかります。けれども、政府としては生産者米価は据え置くべきである、この一貫した方針には変わりはございません。いずれにいたしましても、米価審議会の答申を尊重していく考え方でございます。
#5
○鈴木強君 まあきょうは、大臣のき然たる態度を伺いたかったのでございまして、いろいろ生産者米価のきめ方等についても大臣のおっしゃるような手続もございますし、片や、多少の物価値上がりと言いますが、やはり政府の経済政策の中でも五%の物価値上げ、消費者物価の値上げはやむを得ないということでおるわけでありますから、その面からいろいろとこれは今後問題が出てくると思います。そこで、私は大臣のおっしゃるような最終的には、あなたが諮問をし答申をいただく米価審議会ですね、これの構成が非常に重要になってくると思うのであります。昨年は御承知のように、倉石前農相が、消費者とかあるいは生産者というものを全部排除して中立委員だけの米審を構成いたしました。そのために、消費者や生産者からも大きな反撃を受け、また国会からも反発されて、ついに倉石さんは墓穴を掘ることになったのでありますが、私は、賢明な長谷川農相がこの轍を踏むとは思わないのであります。ああいうことはやはりいけないと思うのであります。だからいろいろと御苦心をされ、今日まで御努力をされておるようでありますが、ぜひわれわれとしては、この三者構成、従来の線に戻して構成すべきではないか、こう思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
#6
○国務大臣(長谷川四郎君) おことばのとおりでございまして、米価を決定するのには、生産者、消費者、またいろいろ学術的な権威ある方々、またいろいろな報道とか評論とかなさっておる方々、こういうような方々の意見を十分取り入れて、その中に立って初めてりっぱな価格構成というものができ上がらなければならない、このように私は考えております。したがいまして、本年度の米審の委員の任命にあたりましても、いまのおことばのような考え方をもって、三者一体となった構成を行なう考え方でございます。
#7
○鈴木強君 非常にけっこうな考え方で、私も全面的に賛成しますが、なお多少意見も申し上げたいし、大臣の考え方も伺いたいのでありますが、この三者構成ということになりますと、従来の線ですと委員は二十五名になりますね。それは全部この際二十五名を任命されるようになりますか。
#8
○国務大臣(長谷川四郎君) もちろん二十五名全員を任命する考え方でございます。
#9
○鈴木強君 その委員の人選その他はどうなりますか。農林大臣がおやりになると思うのですけれども、全部こう一任されたというかっこうになってるわけですか。
#10
○国務大臣(長谷川四郎君) 私が一人でやるわけにはいきませんけれども、まあ私が任命をすることになります。いませっかくいろいろな角度からどなたにお願いしたほうがよろしいかというような点について、いろいろな方々との折衝もし、そしてその構成を急いでおるところでございまして、大体今月、四月中にはその構成を終わり、そして五月には米審を開くような段取りまでに進めてまいりたい、このように考えております。
#11
○鈴木強君 それからもう一つ、三者構成の場合にどうなりますか。それぞれまああなたが考えられている線の中に、たとえばこの全日農という組織がありますね。それから総評とか、生活協同組合とか、こういった方々の代表を入れてほしいという要望が大臣のもとにもいっておるのではないかと思いますけれども、こういう方々はどう扱う予定でございますか。それともう一つ国会議員ですね。与野党の国会議員は入れるのかどうなのか。
#12
○国務大臣(長谷川四郎君) 要求はございますので、要求は要求として承っておきます。国会議員さんのほうは、米価審議会というような狭いところでお話し合いにならなくても、こういう大きい広場はたくさんございますので、国会議員さんは、権威ある国会議員としての議論のできるところで、大いにおやりになっていただきたい、このように考えております。
#13
○鈴木強君 日農、総評、生活協同組合等からの要望はきておると、まあこれは要望ですから、承っておきますと、こういうことで、最終的には大臣がそれらを勘案しておきめになると思いますが、われわれとしては、やはり消費者の代表という立場に立って、日本におけるそれぞれりっぱな団体でもあるし、十分にその国民の意思を、消費者の意思を反映できる団体だと思いますから、願わくはひとつ委員の中に入れていただけるように配慮を特にお願いしたいと思います。なお、まあ大臣のおっしゃるように、国会議員の場合については、従来から与野党とも議員が入っておったわけでありますから、これを除外したところにも、やはりあのトラブルの大きな原因があったと思いますので、これはまあ非常に政治的な問題でありますから、私はいまここで、はばかりますが、まあいろいろな情勢を勘案して、米審がほんとうに国民の真の代表として、しかも適切な答申が大臣にできますような、そうして四年連続して、消費者米価も上がり、その面から国民生活がかなり圧迫を受けてきている、こういう段階で、物価安定の立場からも、ぜひひとつ消費者米価を食いとめる、生産者米価を食いとめる、こういうような姿が政府の方針だと思いますので、その線に沿ってひとつ御苦労いただきたい、こういうことをお願いしておきます。
#14
○国務大臣(長谷川四郎君) おことば十分承りましたので、それは尊重しながら、その構成に当たってまいりたいと考えております。
#15
○委員長(山本杉君) 速記とめてください。
  〔速記中止〕
#16
○委員長(山本杉君) それじゃ速記を起こしてください。
#17
○竹田四郎君 きょうはいよいよ八幡・富士の合併問題の正式の、おそらく審査が始まっていると思いますが、そういうことで、実は委員長さんに出てきてもらいたかったわけですが、審査のほうがきわめて忙しいというようなことで、事務局長さんにおいでを願ったわけですけれども、いろいろ八幡・富士の合併問題は、たいへん長い間世論をにぎわしてきたわけですが、しかし、実際問題として、新聞が推測をした報道程度しか、実は国民には何もわかっていないわけです。事前審査であるから、これは企業の機密に関連することであるから、こういうようなことで、新聞の一方的な推測以外にしか国民はこの問題を知らないわけであります。しかし、独占禁止法は、言うならば経済憲法とさえいわれておりますし、その第一条の目的の中には明らかに、消費者の利益を保護するということがうたわれているはずであります。そしてしかも、鉄鋼というのは、言うなれば、先ほども米価の問題が言われましたけれども、言うなれば、産業界の米に私は鉄鋼というのは相当すると考えられるところのものであろうと思うんです。しかし、それが実際上は十カ月以上の審査の中でもあまりはっきりしていない。しかも御承知のように、今日は陸続として企業合併問題というのが出ている。しかし、その企業合併というものが一体寡占価格にどう影響をしてくるのか、商品の取引分野においてどういう影響が出てくるか、これはほぼ明らかでありますが、しからば、独占禁止法というのがどの段階において合併あるいは不公正な取引はいけないんだという、そうした基準というものも実はきわめて不明確であります。そうした意味で、いままで行なわれ、かつ、これから正式審査に入ろうとしているところの八幡・富士の合併というものは、言うなれば、独占禁止法が、今後日本の経済の競争秩序を維持していけるだけの内容をこの際持てるのか持てないのか。独占禁止法が実際はざる法に転化する危機さえ、この両社の合併を認可するかしないかという問題にかかわってきているように思うわけであります。そうして、この合併の正式審査も、考えてみれば、両社のほうからいろいろな対応策が示されておりまして、いまのところ、その対応策に対しまして公取委員会はイエスとは言っていないという形でありますけれども、しかし、正式審査の中で、さらに両社はおそらく対応策というものを、あるいは通産省、あるいは経済企画庁等々と相談しながらおそらく対応策というものを出してくるだろうと思います。そういたしますれば、その対応策が、公取委員会が考えているところの審査の判断といいますか、基準といいますか、そういうものに合致してしまっておればこれは審判手続は省かれてくるわけであります。あるいは場合によれば、勧告も出されないで不問に付されてしまうというようなことになってしまうと思います。そうなってしまいますと、ますます国民は、一体独占禁止法というのはどういう法律なんだ、一体独占禁止法が経済の競争の秩序を維持していけるものなのか、いけないものなのか、そうして、それは将来の日本の主要産業が発展していくのか停滞をしていくのか、こうした問題にも関連をしてくるわけであります。そういう意味では、私どもが国民の立場から、この両社の審査の状況というものを国民の前に明らかにし、将来の日本の経済界における競争秩序のあり方あるいは物価の上昇か、あるいはそれが安定をしていくのか、こうした問題というものについても、きわめて強い関心のあることは私は当然であろうと思います。そういう時期でありますだけに、私どもはやはりこの合併がいかなる判断によって、どういう方向に進んでいくかということは、まさにこれは非常に重大な問題である、こういうふうに考えるわけでありますが、とりあえず、三月十九日に合併の届け出書が出されまして、それに付して第二次の対応策というものが付されてきたであろうと思いますが、この第二次の対応策については、公取としてはあまり明確なこれに対する判断は下していないように私は思うわけでありますが、すでにそういう形で三月二十日から正式審査に入りまして、もうきょうで二十何日かたってきているわけでありますが、この二十何日かの間に公正取引委員会がこの八幡・富士の両者の合併について、具体的にどういう措置を公式におとりになったか。そのおとりになった措置と経過をお知らせいただきたいと思います。
#18
○政府委員(柿沼幸一郎君) 初めにいろいろ御指摘いただきました点につきましては、時間があり、かつお許しいただければ、若干私どもの考え方を申し述べたいと思いますが、最後の御質問の点につきまして、まず最初にお答えいたします。
 公正取引委員会といたしましては、三月の二十日に八幡製鉄株式会社及び富士製鉄株式会社両社の合併届け出書に対しまして受理書を発行いたしまして、それから公聴会の開催手続と正式審査とを並行して進める方針を決定いたしました。公聴会につきましては、四月の十日及び十一日の両日にわたりまして、三十七人の公述人から委員会全員でもって本件合併についていろいろの角度からの意見の公述を受けました。それから正式審査につきましては、審査部が中心となりまして正式の調査を現在進めておる段階でございます。
#19
○竹田四郎君 正式の審査というのは、一体いつまでにするのか。その間に具体的に委員会をどのように開いてやっていくのか。あるいは、いままでいろいろ十カ月にもわたった審査との関連は一体どのように考えているか。この点をお尋ねします。
#20
○政府委員(柿沼幸一郎君) 独占禁止法の規定によりますると、正規の届け出がございましてから三十日間を経過しないと合併ができないような規定になっておるわけでございます。ただ、公正取引委員会と会社側とが合意いたしますると、その期間を六十日の範囲内で延長できることになっておるわけでございますけれども、届け出受理をいたしました段階で会社側と相談いたしまして、二十一日間の延長をいたしております。現在五月十日を目途といたしまして、公正取引委員会としては正式審査を進めておるわけでございます。
 それで、正式審査は、正式に任命になりました審査官の手によって行なっておるわけでございまして、審査官といたしましての調査がまとまりますと、審査部長を通じてこれを委員会に報告するということになっております。委員会といたしましては、その前に御指摘のように、相当長期間にわたりまして検討を続けてきた問題でございますが、審査官の報告と合わせまして、五月の十日までに最終的な結論を出すということでございます。
 なお、それに関連いたしまして、最終的に詰めなければならない法律問題等もございまして、今週に入りましてからは、月曜日それからなお本日も、本問題についての委員会としての検討を並行して続行いたしております。
#21
○竹田四郎君 実は、きょう国会が物価対策をやるということにもかかわらず、委員長がお見えにならないということは、おそらく審査が非常に密度が込んでいる、そういうためにお見えにならないのだろうというふうに私は承ったわけでありますけれども、しかし、いまのお話ですと、月曜、水曜というようなことが定例審査といいますか、そういう形になって、そのほかの日は一ぱいに審査で詰まっている、こういうことはないわけですね、どうなんですか。
#22
○政府委員(柿沼幸一郎君) 昨日は独占禁止懇話会がございました。直接本件合併ではございませんけれども、本件合併に密接な関連のございます管理価格の問題につきましていろいろ討議があったわけでございます。おそらく現在の段階から最終期日までの間は、委員会といたしましては、きわめて高い密度で本合併問題を審査いたすことになるというふうに考えております。
#23
○竹田四郎君 そうしますと、両社と話し合って二十一日間の延期でありますから、五月の十日でありますか、それまでに審査の結論を出さなくちゃならないと、こういうことで非常に密度が高いと、こういうわけでありますが、実際二十一日間の延長というのは、法の命ずるところによれば三十日ではできない、さらに六十日の範囲内でそれができるわけです。その二十一日という根拠は何でございますか。二十一日間にきめたという、これは当然話し合いの上できめなければならないわけでありますけれども、私が受けている感じでは、公取委員会の審査日程というのは非常に詰まっている。もう少し日程をほしいというような感じを私は受けているわけでございます。それにもかかわらず、三十日プラス二十一日という五十一日ですか、この期間だけにしかすぎないということは、どういう事情で、十分な正式審査の期間を置かないで五十一日間というふうにおきめになったか、その根拠を承りたいと思います。
#24
○政府委員(柿沼幸一郎君) 公正取引委員会といたしましては、委員会の審査は独自の見地で進めるわけでございますけれども、昨年四月に両社から本件合併の申し出がございましたときに、一応合併の目標といたしまして、本年の六月一日をめどとして、各般の作業を進めたいという申し出があったわけでございます。私どもといたしましても、一応非常に広範な関係者を持つ作業でございますので、そういう会社側の目標を頭に置きまして、いろいろな計画を立て、審査を進めてきておるわけでございます。で、それぞれ会社側といたしましても、おそらく従来の合併の経過とは違ったかっこうになって手続が進められている面があるかと思うのでございますけれども、私どもといたしましても、そういった目的に沿った範囲でもって所要の調査日程を組むということで進んでおる次第であります。
#25
○竹田四郎君 おそらく世界で第二番目の製鉄会社になるというのですから、実際いろいろな問題点がたくさんあるだろうと思います。そういう意味でいままでも事前審査に十カ月という異例の長期間をかけたのではなかろうかと思うんですが、具体的には、正式審査に入ってまいりますと、強制調査権等の発動などもおそらくできると思います。一体、三月の二十日に正式審査に入って、しかも、任意的な調査はいままで十カ月間やったと、こうなれば、大体問題点というのはかなり明らかにされつつあると思うんです。あとは、会社が出したくない資料を強制調査権によってその資料の提出を求めるということでありますが、具体的に、強制調査権に基づいて資料の提出を要求され、その資料が出てきたのはいつでございますか。
#26
○政府委員(柿沼幸一郎君) 真実を知る上に強制権を使うということが、ある場合には役立つ場合があるかと思いますし、それからある場合にはそれによらないほうがよろしい場合もあろうかと思われるわけでございまして、特に本件のような非常に大きな広がりを持った合併の判断にあたって、強制調査権というものをどれだけ問題とすべきかという評価の問題はあろうかと思うのでございますけれども、正規の審査はそういった強制調査権も背景として行ない得るような状態になっておるようなわけでございます。当事会社からは一部、そうした意味におきまして、正式審査の段階に入りましてからあらためて資料の提出を受けておるわけでございます。それで、その資料は、先週末の土曜日に提出になっております。
#27
○竹田四郎君 まあ、私が受ける感じ――これは感じしか感じ取れないわけでありますが、五十一日間の審査で、しかも、その資料の提出というのが――初めての事件ではございませんし、十カ月もかかった事件だといえば、私はもう少し真剣にこの合併問題について考えるというならば、当然もっと早く資料が出てきていいはずだと。公取のほうでも、ポイントになる資料というものは具体的にどの資料とどの資料だということはおおむねわかるはずだと思う。初めての事件でありまして初めてこれに手をつけるということでありますならば、おそらく、なかなかそうした資料について、いかなる資料を要求するか、いかなる資料の提出を求めるか、この点は非常にすぐには結論の出る問題ではありません。しかし、こうした十カ月もかけたということであるならば、私は、そうした資料というものがもっとスムーズに出てきていいはずだと。そして、正式審査の対象にされ、十分期間をおいてその審査の完ぺきを期すことができるようになるはずだと思いますが、そうした面では、私は、公取の正式審査のあり方というものは、ずいぶんのんびりしたといいますか、ルーズというか、そういう感を免れ得ないわけです。これはまあ具体的な事実でありますから、いまさらそれを早めろと言ったところで早まる問題ではありませんけれども、そうした公取の態度というものが、真剣に国民の消費生活を守り、日本の経済の競争秩序を維持していくという、そうした熱意に何か欠けている、こういう感じが持たれてしかたがないわけでありますが、この点は、公取が真剣に独禁法の番人として公正にしかも厳正にやってもらわなければならないし、実際の状況に応じて敏速にしていかなければ、具体的な事実が出てしまったあとにおいては、こうした問題というのはなかなか元に戻すということは困難な問題ではなかろうか。そうした点で、特に公正取引委員会の審査にあたっての真剣な態度というものを私どもは要望をしておきたいと思うのであります。
 それから二番目に、私どもが非常にわからない点というのは、両会社に対する内示の中で、三品目についてはどうもこれは疑いがある、鋼矢板についてはこれは必ずしも抵触していないとは言えない、こういうようなお話があったわけでございますが、今度の正式審査で、この黒といいますか、灰色といいますか、いわゆる内示の中で述べられている品種については、当然これは独禁法違反のおそれがあるということで、主とした正式審査の対象になるだろうと思いますが、その他の品目、たとえば造船用の厚板だとか、冷延鋼板、あるいは硅素鋼板大型形鋼、普通鋼材、こういう五品目と申しますか、六品目については、これは事前審査の段階で審査はおそらくされたではなかろうかと思いますけれども、内示の段階ではその点については触れられていない。この点は今度の正式審査において三品目、あるいは鋼矢板を含めて四品目と申しますか、こういうもののみが審査の対象になっているのか。あるいは九品目全体を審査の対象にすべきと考えているのか。その辺のお考えを承りたいと思います。
#28
○政府委員(柿沼幸一郎君) 最初に御指摘いただきました資料の要求が生ぬるいのではないかという御指摘につきましては、公正取引委員会としてはきわめて厳正な態度をもって臨んでおるわけでございまして、それから大部分の資料につきましては、すでに内審査の段階で会社側から任意に提出されているわけでございまして、本審査の段階におきましては、その資料の、どちらかと申しますと、資料的な確認の意味が非常に大きいというふうに私自身は考えておることを最初に申し上げておきます。
 それからなお、正式審査の対象は本件合併全般でございまして、内審査の段階で特に十五条違反の嫌疑があるというふうに考えました四品目ないしは相当問題があるといたしまして公正取引委員会で検討した九品目だけではなしに、それらを含めまして本件合併の可否について審査をいたしたということでございます。
#29
○竹田四郎君 いま九品目ではなくて、全体について審査をするということでありますが、おそらく私どもはそうした審査をするということは当然であろうかと思いますが、ここでひとつはっきりとお答えをいただきたいと思いますが、実はこの九品目ということについて、国民はあとの五品目といいますか、そういうようなものは、これは十五条の一項一号には該当しないのだ、こういう印象を実は強く受けているわけであります。そしていろいろな評論家の語っているところによりましても、おそらく白と思われる四品目については形式的審査になる可能性が大である。それが何ゆえに白になったのかというような根拠といいますか、理由といいますか、そういうようなものも一般に示されないではなかろうか。こういう心配があるわけであります。そういうことで独占禁止法に対する信頼性というようなものをこれからますます失なっていくのではないかということが危惧されるわけであります。まあ私は、この事前審査の段階であれ、これだけ産業界に重要な影響を持つところの鉄鋼両会社の合併というものは、たとえそれが行政的相談であろうとも、これは今後の日本の独占禁止政策にも大きな問題点を投げかけるわけでありますから、こうしたものは当然事前審査が終わり、あるいは正式審査が終わって、その結論が出たあとに事前審査を含めてその審査の概要あるいはそれに対する認否の基準というようなものが当然公表されてしかるべきである、こういうふうに思うわけでありますが、ただ単に違反になる品目、この品目だけの根拠理由ということだけでは、これは今後の独禁政策というものに対する態度が明らかになっていかない、こういうふうに思うわけでありますが、こうしたものの今後における国民に対する公表というようなものは、具体的にどのように考えておられるか。審判手続になればこれは当然おそらく公開ということになりますし、その資料というものは公表されることになりますが、それ以前の審査で黒ということにならなかった、こういう場合の審査内容、こうしたものは国民の前に公表されるおつもりがあるかどうかお答え願いたいと思います。
#30
○政府委員(柿沼幸一郎君) 従来の例から申しますと、相当国民経済的に重要だと思われる合併案件につきましては、その合併が公正取引委員会によって承認いたされました場合におきましても、その合併についての公正取引委員会の見解を述べあるいはその過程において公聴会を行なうということを通じまして、その内容につきまして国民の目に触れるような機会を持つようにいたしておるのが従来の例でございます。で、ただ本件の場合は、これからの手続がどうなるかということにつきまして、従来のそういったやや問題となり、かつ、国民経済的に重要であった合併に比べても、新しい事態を含んで事態が進行いたしておりますので、ここで私から、はっきり申し上げることはできないわけでございますけれども、おそらくやはり合併全体について公聴会はすでに行なわれたわけでございますけれども、委員会としての何らかの見解を述べる機会はあるのではないかというふうに予想をいたしております。
#31
○竹田四郎君 まあその点がいままで非常に明確になっていなかったと思うわけであります。いままでも雪印とクローバーの合併とか帝国繊維と中央繊維ですか、こういう合併がありますが、いろんな合併がありましたけれども、正式に審査手続あるいは審判の手続、こういうことになれば、おそらくこれは発表せざるを得ないと思いますが、そういうものでなしに、事前審査の経過、十カ月やられてきたこういう経過についても、企業の秘密に属することはこれはおそらく発表できないだろうと思います。そのほかの件についても十カ月という長期間にわたって審議をし、その中にはいわゆる統一見解といいますか、あるいは十五条の確認といいますか、こういうきわめて重要案件というものもこの中には含まれているわけであります。そういうことになりますと、当然事前審査とはいえ、これはただ単なる内相談、事前の行政相談というようなことには私はなるまいと思うんです。事前審査関係を含めて四品目についてはあなたとしては、それはここではお答えができないわけですか、できるわけですか。
#32
○政府委員(柿沼幸一郎君) 事前審査について、私だけでなしに、委員会といたしまして正式に見解の発表は現段階においてできません最大の理由は、本件がなお審査中の問題でございまして、あらかじめそれについて委員長なりあるいは私なりから見解を述べることがこれからの審査に予断を与えるという点が、一番ものごとの筋道としてこの段階で本件についての見解を述べられない理由であろうかというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、従来の他の独禁相談に比べますと、これは私どもやや異例と思われるわけでございますけれども、内相談というようなものは会社側としても、ごく内密に相談を受けるのが通常の例でございます。特に合併というような非常に外部に漏れますとこわれやすいというような性格のものにつきましては、当然そういうことになると思うのでございますけれども、昨年の王子三社の合併とそれから本件の富士・八幡の合併がややそういった通常の事前相談と違います点は、この合併の経過が一応秘密だとはいわれながらも相当詳細に新聞紙上に報道され、あるいは国会でも取り上げて議論をされながら進められておるという点は、私はむしろ内密な事前相談という点から比べますると、やや異例の案件に属するように考えておるわけでございますけれども、委員会といたしまして公式の見解は、本件合併につきまして結末のつきました段階で公表するということになると存じております。
#33
○竹田四郎君 まあそこで公表されるということは非常にけっこうなんですが、これはまた同時に公表してもらわなければ困る問題だと、こういうふうに思いまして、公表されるということですからその点については賛意を表してはおきたいと思います。しかし要は、今度の合併というのは、いうなれば独占禁止法の改正とでもいっても差しつかえないほどの問題であろうというふうに私は考えるわけです。そういう意味で合併が認可されてしまえば、これを今度引き離してもとの状態に戻すということはおそらく実質的には不可能であろうと思うのです。まあ裁判手続その他によって排除の措置をとるというようなことは形の上ではできるであろうと思いますが、実際上としては、普通の状態ではおそらくそういうことはできないと思います。そうなって考えますと、今度の問題で終わってしまったからそれでいいのだ、こういうことであれば、実際上に実質的に独占禁止法の十五条が改正をされたと、こういうふうに見てもおそらくそれはあまり過大に解釈をしたということには私はならないだろう、そういう意味ではむしろ事前審査が終わった段階でこういう基準で内示をしたのです、三品目あるいは三・五品目ということばも最近は出ておりますが、それについては、こういう基準で独禁法十五条に抵触するおそれがあるんです、こういうような判断は公表されてもいいのではないかと思いますが、それはどうですか。
#34
○政府委員(柿沼幸一郎君) 委員会もそうだと思うのですけれども、私どもといたしましては、十五条の厳正な解釈のもとに本件合併の審査をいたしておるわけでございまして、十五条が改正されたというふうには考えておりません。
 それから事前審査の段階におきまして相当長時間をかけ、慎重な審議を委員会としては重ねてまいったわけでございますけれども、なおそれは、会社側が任意に提出した資料に基づくものでございますし、委員会としての正式審査の期間を残しておりますので、その段階におきまして委員会の公式見解を述べるということは適当ではなかった。したがって、委員会としてもそうした公式の意見の表明はなかったというふうに私は考えております。
#35
○竹田四郎君 この問題あまり長くやっても、おそらく結論が出る問題ではなかろうと私は思いますから、そう長くはやりたくないわけでありますが、実際これだけ大きな問題が公取と両社との間で対応策を出す、あるいは資料を出す段階で、公取と二つの会社はおそらく公取の判断の基準というものはおおむねわかるわけです。そういうことで会社のほうもいろいろ対応策を出して、公取の十五条に対する判断というものをさぐっていると思うのです。これは世上キャッチボール方式というようなことを言っておられる方もありますが、ある程度そういう意味で公取と両社は大体のところはわかる。しかし、国民段階では消費者の利益を保護するという目的を持っている、あるいは日本の経済の競争秩序を維持していく、経済の成長の機動力であるところの競争というものの秩序を維持していくというようなことを目的としている独占禁止法、そうした日本の全体的な利益、そういう立場からの独占禁止法ということを考えてみますと、まさに国民不在でこの問題が議論された。国民の利益が具体的にどのように侵されているか、日本の経済の発展の機動力となっている競争秩序というものが具体的にどのように侵されているか、こういう問題についてはまるでつんぼさじきに置かれている、こういうことになってしまうのではなかろうか。そういう意味では私は、今回の公取の事前審査その他の行動については、まさに両社とのやみ取引的な審査のあり方だ、こういうふうに評されてもしかたがないのではないか。そうした意味では、国民の利益を守るという公取の立場というものを再認識をしていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、さきにこれは事務局長のほうから出されたというふうに記憶していますが、いわゆる公取の十五条の一項一号に関する統一解釈、この統一解釈というものは一体どういう性格のものなのか、この点をお尋ねしたいと思いますが、十五条に対する公取委員会の今日段階における正式な見解である、そしてその統一解釈に基づいて十五条についての一項一号の一定の取引分野におけるところの競争を実質的に制限することとなる場合というのを、その統一解釈というもののものさしによって今後それで判断をしていく、こういうふうにとらえていいのか、お尋ねします。
#36
○政府委員(柿沼幸一郎君) 十五条の統一解釈ということが世間に伝えられまして、先般来国会におきましても他の委員会、それから本委員会にもあったと思いますが、いろいろその点についての御質問があったわけでございますけれども、委員会としては、特にあの段階で、統一解釈という名称を付したものをまとめたことはないわけでございます。ただ、本件を検討するにつきまして、従来いろいろ見解が分かれておる問題等もございますので、それらについての確認的な議論が委員会で行なわれたことは事実でございました。その場合に十五条の一項一号の解釈につきまして、やはり公正取引委員会の上級審に当たります東京高裁の判決に流れている考え方というものは、第一段階として尊重すべきではないかという点で意見の統一が行なわれたということを、統一解釈ということばで申しますればそういうことになっておると申してよいのではないかというふうに考えております。
#37
○竹田四郎君 そうしますと、この統一解釈というのは、今後における十五条一項一号に対する公取の考え方ということではなしに、この両社の合併問題に対する公取の各委員の共通的な確認事項ということで、この統一解釈というのは、将来のその他の合併には、このいわゆる統一解釈というのは適用をしない、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
#38
○政府委員(柿沼幸一郎君) 委員会が判断をいたします場合に、上級審でございます東京高等裁判所の判決というものを尊重する立場で判断をするという態度は今後も続くことになるかと思うわけでございますけれども、ただ、先生も御承知のように、判決というものは、法律の具体的な解釈を求めるために、そのときのいろいろな条件を勘案いたしまして、法律の解釈をいたしたものでございますので、最高裁の判決におきましても、判決が諸般の情勢から変わるということはあり得るわけでございますから、そういった意味においての変化はあろうかと思われます。ただ、大きな解釈のワクといたしまして、現在行なっております判決のワクが他の条件の変更なしに変わるということはないものと考えております。
#39
○竹田四郎君 東京高裁の判決は、昭和二十八年の東宝・新東宝の判決、これをさしていると思いますけれども、この判決がときの情勢によって変わって、そしていわゆる統一解釈といわれるこの判決の精神をくんでの統一解釈というものになった、こういうふうにいまお話をいただいたわけでありますが、しかし、私もこの判決の該当個所というところを見たわけでありますが、その判決の内容と、それから公取が下した統一解釈の競争の実質的制限という考え方とは私はかなりかけ離れている、かなり拡大解釈をしている、こういうふうに思うわけであります。この判決の一々をここで解釈をしていくということもこれはたいへんでございますから私はやらないわけでありますが、少なくともこの判決のときにおいては、みずからの自由な選択によって価格、品質、数量その他の取引条件を左右をする、こういう趣旨であったろうと思いますが、今度伝えられているところの統一解釈というのは、価格操作によって、こういうことばで一般に新聞は伝えておるわけでありますが、価格操作ということと、ある程度自由に価格、品質、数量その他各般の条件を左右するということは私は同一ではない、こういうふうに思いますが、そのことは新聞の伝えるところでありますから、必ずしも新聞の解釈が正しいとは私は思いませんけれども、その辺でだいぶ違ってきておる。普通価格操作ということになればある一定期間わざと価格を落としたりあるいは価格をつり上げたり、こういうふうなことを一般的に私は価格操作と、こういうふうに言っておると思うんですが、判決の点とは非常に違ってきておるというふうに私は思いますが、その点は、あなたは違っていない、こういうふうに強弁をなさるおつもりですか。
#40
○政府委員(柿沼幸一郎君) 私の記憶では、価格操作ということばを特に使っておった報道がされておったかどうか、現在はっきり記憶いたしておらないのでございますけれども、委員会としては、特にそういうことばを使って統一解釈をつくったということはございません。
#41
○竹田四郎君 これは文書に書いて発表されたことでないんですから、これは何とでもおそらく言えると思いますけれども、公取の正式な文書としてこうしたいわゆる統一解釈が出ておればもう少し議論のしかたもありますけれども、そういうことをあえて公取のほうではお避けになって、どうともとれるということを発表においてはねらったのではないかと私は邪推をしておりますけれども、そういう意味で、この判決というものと公取で出された統一解釈というものとはかなり違ってきておるというふうに思うわけであります。また、判決の後段と統一解釈の後段、これもやはりかなり変わっておると思います。公取が口で言われたことによりますと、その市場行動に他の企業が好むと好まざるにかかわらずこれに追随をせざるを得ない状態、これが競争の実質的な制限だということでありますが、この解釈に従っていきますと、好むと好まざるとにかかわらずということば、これは強制的に追随せざるを得ないというふうに私は解釈するのが当然であろう、こういうふうに思うわけですが、その点はどうですか。
#42
○政府委員(柿沼幸一郎君) ただいま御指摘のようなことばが新聞、雑誌に出ておりましたのは私記憶いたしております。それでただ、ただいまのことばもそうですが、それから判決のことばもそうなんですけれども、いずれも相当解釈の余地のあることばでございまして、委員会としては、やはり具体的事案につきましてそういった競争者の状態をどう判断するかということが問題となって、一応事前審査の段階で問題となる四品目の指摘が行なわれたものでございます。なお、具体的事実に即して法律の適用をいたそうということで現在検討中であろうかというふうに考えております。
#43
○竹田四郎君 公正取引委員会が先ほどの東宝・新東宝の審判のときに高裁において答弁しておることは、「競争の実効性ある制限と同一の意義に帰着し、有効な競争を期待することがほとんど不可能な状態、」こういう文句が、二十六年の九月の十八日におけるところの公取の東京高裁における答弁であります。それに比べてみますと、今度新聞で伝えられているところのいわゆる統一解釈というのは、特定事業者がある程度自由に価格、品質等を操作し、市場支配ができる状態であって、競争者が自由な価格決定ができないまま好むと好まざるとにかかわらず追随せざるを得ない状態、こういうふうに、たいへんな私は後退であると思いますが、あなたはその二十六年の九月十八日におけるところの東京高裁における公取の答弁というものと、今度との関係というものとは変わりない、こういうふうにおっしゃるわけですか。
#44
○政府委員(柿沼幸一郎君) 競争の実質的制限についての高裁の判決は三べんほど行なわれておりますが、ただいま御指摘の二十六年の判決、それから昭和二十八年の判決と比べますと、二十八年の判決のほうが若干長い文章でもって説明いたしておりますので、私ども二十八年の判決を引用する場合が多いわけでございますけれども、ただいま御指摘の新聞紙上に出ておりましたことばと、判決のことばと比べてみますと、若干語感の違いがあるような感じが私はいたします。ただ委員会といたしましては、これらの判決の中に用いられておりますことばで表現されておりますような論理と申しますか、そういった考え方をもとにして、今回の合併の判断にも当たっておるということでございます。
#45
○竹田四郎君 きのう公取委員長が独禁懇ですか、これに対して意見の交換をやったということが新聞に出ておりますが、これによりますと、公取の意見というのはあまりまだ確定をしていない、こういうふうに判断をせざるを得ないわけですが、世上言われておりますこの統一解釈に従っていきますと、たとえば協調的な寡占、これはいわゆる相談、談合というようなものがなくて、あるリーダー格の企業が値段をきめますと、ちょうどこの前のビールの価格決定――三円の値上げの決定のように、一つのリーダー的な企業が価格の値上げをやりますとそれに追随していく、こういうような慣習といいますか、こういう事例というものは今日の価格決定の際にかなり大幅に採用されているわけです。そういう形で価格のつり上げをやっていく。こういうようなものは具体的に十五条一項一号の競争の実質的制限にはならないというふうな解釈に私はなっていくのだろう、こういうふうに思いますが、その点はどうですか。
#46
○政府委員(柿沼幸一郎君) 昨日の独占禁止懇話会でも、寡占の状態のある産業界で管理価格といわれるものの決定が行なわれましたときに、それが独占禁止法でいう競争の実質的制限になるかならないかという議論が行なわれたわけでございますけれども、独占禁止法で申します一定の取引分野の競争の実質的制限になりますためには、業界においてやはりそこに価格決定についての申し合わせがあったということを立証いたします何らかの証拠が必要でございます。ただその証拠のとり方につきましては、場合によりましては状況証拠が尊重され得るような場合もございますし、やはりケース・バイ・ケースでもって相当の幅のある解釈がそこでは成り立ち得ると思うのでございますけれども、いわゆる管理価格ということで学界で理論的に議論されておりますようなものが、直ちにこの競争制限に該当するというような立証をすることはきわめて困難ではないかというふうに考えているのが一般のようでございます。
#47
○竹田四郎君 もう一つ聞いて、あとひとつ経企庁の大臣にお聞きいたしたいと思いますが、そうすると、いまのようなプライスリーダーシップとか、あるいはいわゆる協調的寡占価格というか、こういうものというのが十五条の実質的制限というものからはずれていくということになりますと、具体的に価格協定というのは証拠がなければ認めていい、こういうようなことになっていきますと、私は、おそらく第一条にうたってあるところの競争秩序の維持というようなものはくずれていくだろうと思いますし、おそらく今度の合併を認めるか認めないかという問題についても、この問題はかなり重要な判断の基準をつくり上げる、こういうふうに思うわけでありますが、実際この独禁法のその解釈というのは、一体いつまでに出すことになっておりますか。
#48
○政府委員(柿沼幸一郎君) 独占禁止懇話会の構成員は、管理価格だけではなしに、独占禁止政策全般につきましても、各種の意見の方がメンバーになっておるわけでございまして、昨日の議論も、そういった意味でいろいろな角度から議論が出されて委員会の参考に供されたということでございまして、あるまとまった見解をつくってそれを答申するといったような制度の機関ではございません。
#49
○竹田四郎君 それでは公取のほうはしばらくおきまして、大臣にお尋ねしたいと思いますが、大臣は八幡・富士の合併については一体どのようなお考えをお持ちでございますか、最初にその点を伺いたいと思います。
#50
○国務大臣(菅野和太郎君) こういう大きな会社の合併についてわれわれ心配するのは、いわゆる寡占価格を形成しやせぬかということをわれわれ心配するわけです。もし寡占価格を形成するようであればもちろんわれわれは反対でありますが、しかし、この八幡・富士の合併につきましては、寡占価格を形成しそうな品種については、それぞれ公取のほうからそれぞれの対応策を提示せよということになっておりますので、それ以外の普通鋼材などについては、私は寡占価格は形成しないという見通しをいたしております。というのは、大体鉄鋼というものはみな各会社とも価格面で競争しておるのでありますからして、したがいまして、やはりより安く売るということが各メーカーのねらいとするところであるし、しかもまた、需要者も造船とか自動車だとか、そういうところが大かたの需要者でありまして、こういう需要者はやはり一文でも安いところから買いたいという考えをしておりますからして、価格競争ということをやっておりますから、私はその意味において寡占価格というものは形成しないという見通しをしておりますので、が、しかし、一方においては、この両会社が合併することによって将来国際競争上においてのメリットがあるという利点をわれわれは認めておりますからして、したがいまして、寡占価格を公取から指摘された品種についての対応策さえ両会社が講じてくれさえすれば、私は両会社の合併ということについては賛意を表したいと、こう考えております。
#51
○竹田四郎君 そうしますと、いまの経企長官のお考えですと、三品目に対する対応策が完備すればこの合併はよろしいと、こういうお考えのようだと思うのですが、経企庁としては、それでは現在、会社と公取だけでこの三品目に対する対応策というものはとることができると、こういうふうにお考えですか。
#52
○国務大臣(菅野和太郎君) もちろんできると考えておりますし、また、できなければ公取は、私はこれは許可しないものだと考えております。
#53
○竹田四郎君 新聞の伝えるところによりますと、これは経企長官を含めて、かなり両社に対する公取の三品目に対する指摘事項について対応策を、まあ応援をしている、こういうふうに受け取れる事情があちらこちらに、これは経企庁だけではありませんで、むしろ通産省のほうがそういうものでは非常に強いと思いますけれども、しかし経企庁としては、たとえば一番大きい問題はレールの問題であろうと思いますが、釜石の製鉄のレール工場をどういうふうにしていくのかということがおそらく一番困った問題点で、その対応策をつくるという意味では一番困った問題点であろうと、こういうふうに思うのですが、この点についてはむしろ運輸省のほうはそういうふうなことをされては困るのだということで、結局は新日鉄に全面的な依存をしなければいけないだろう、しかもこの釜石製鉄所を日本鋼管が進出をしてやるのだというふうにいわれているわけでありますが、そういうようなことに対して経企庁のほうではむしろそういうことはよろしいのだと、進めていくべきだと、こういうふうにお考えになっているというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#54
○国務大臣(菅野和太郎君) そういう具体的な問題は、これは通産省の所管のことであって、私のほうで一々そういう問題についてはタッチする限りではありません。ただ問題は、その公取が指摘した対応策が公取から見て十分だということであれば、私のほうはそれで寡占価格は形成しないという見通しをするわけなので、一々こういう会社はこういうふうにしたらいいとか、ああいうふうにしたらいいとかいうようなことは、これは直接通産省のほうでいろいろ関係することと存じます。
#55
○竹田四郎君 少なくとも企画庁というのは、物価についてはかなり責任を持っている私は官庁であろうと思います。それから同時に、日本の経済の成長についても、また同時に私は責任を持っている所管官庁であろうと、こういうふうに思うわけでありますが、いま私は経企庁長官が、公取が示している三つの品目についてのみその対応策がとれればあとはこの合併はいいんだ、寡占価格等は、管理価格というようなものは、そういうものはこの合併には存在しないのだ、こういうふうにおっしゃっておられるように思いますが、物価担当あるいは日本の経済の成長を担当する企画庁の長官としては、私が理解したように理解しておられると、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#56
○国務大臣(菅野和太郎君) お話しのとおり、三つの品種についての対応策さえ講ずれば、ほかの品種については私は寡占価格は形成はしないという見通しをしておりますからして、したがって、合併については異論はないという意味でございます。
#57
○鈴木強君 ちょっと関連して。どうもお話を聞いておりまして、いま始まったことではないんですけれども、通産省はじめ政府一連の富士・八幡の合併に対する態度というのは、もう積極的に推進役を買ってきておるんです。いつか椎名さんが、もし場合によったら合併が不可能だということであれば独禁法を変えてもいいじゃないかというようなことまで放言したということで、ここでも議論になったのですが、いま私は長官のお話を聞いておりまして、それじゃあ三つの対応策を出して、それで寡占体制、管理価格が生まれない、自由な競争を阻害しないと、こういう確信があって初めてあなたは合併に対して賛成だと、こういう理論になると思うんです。その三つの対応策に対してじゃあ具体的にこうしたら寡占体制は生まれてこないと、こういうふうにわれわれの心配を解明してくれなきゃだめなわけだ。その上で通産省としては、あるいは経済企画庁としては賛成でございますと、あとはもちろん法に基づいて公取が審判するわけですから、そこまでいかに政府といえども介入できないわけですから、しかし、ここで公に支持するということになりましたら、竹田委員の言っているような、じゃあ三つの点について釜石はどうなんだと、こういう点が心配じゃないかと、いや私はこれに対してはこういう対応策であれば心配ないということをはっきりしなければ、ここであなたが正式の場において賛成だと言うことをわれわれがそのまま聞くわけにはいかないわけです。そういう疑義を残しつつ言っておるわけです。だから結論が早過ぎるのです。その辺をひとつはっきりしてもらいたい。
#58
○国務大臣(菅野和太郎君) 私は、三つの品種について寡占価格が成立しないという見通しのもとに公取が合併を許すのですからして、したがって……。
#59
○鈴木強君 許すかどうかわからぬのですよ。
#60
○国務大臣(菅野和太郎君) いや、だからして、それで公取が許す以上は寡占価格は成立しないものだと、その三つの品種についてもそういう見通しをするわけであります。
#61
○鈴木強君 ですから、あなたが三つの対応策をつくれば寡占価格は発生しないという自信を持ってここで正式に回答して、その合併に賛成だということであれば、その点をあなたがちゃんと解明して、こうしたらいいんだという対案がなければいけないわけでしょう、対応策として。だからそこは公取におまかせするんだと、こういうことであなたは逃げたんだけれども、その前のあなたの答弁というのはそうじゃないですよ。
#62
○国務大臣(菅野和太郎君) それをどうして対応策を講ずるかということについては、これは通産省が直接やることでありまして、経済企画庁としてはそういうことまで第一線的な仕事をするところではありません。経済企画庁は、だからして、そんなら寡占価格は形成しないというように通産省のほうで認めて、そして公取もそれを認めて、そういうふうにやられる以上は、私はやはりそれを信頼してよいと、こう考えている次第であります。一々こうせいああせいという具体的なことは経済企画庁はやるわけにはいきません。寡占価格も三つの品種については形成させてはいかぬという方針は公取と同じ方針でわれわれもおるわけでありますからして、その他の品種については寡占価格は形成しないという見通しをしております。
#63
○鈴木強君 関連ですから、私はもう一つ最後に伺いますが、大臣がどうも答弁が変わってくるわけですね。通産省の分野であれば、その対応策については通産省がきちっと決着をつけて、そうしてこれならば寡占体制は生まれない、自由競争を阻害しないと、こういうはっきりした対策を立てて、通産省は賛成でございますと、こう言われるわけです。ところが、あなたのさっきからのを聞いていると、竹田委員にも答えたように、それは私の担当じゃないんだと、通産省のやることなんだと、さっき言った三つの点について解決すればいいと思いますと、こう言って逃げるんですが、そこは管野さんもう少し考えてほしいと思う。なぜ経済企画庁というのができてきたのか、われわれは物価の面からやっぱり適正な価格というものを絶えず全省にわたってコントロールしてもらうという大きな使命を持って経企庁が生まれていると思うんです。だからそういう大事なことを他の省にまかせっきりで、そっちでいいと言えばこっちも信頼すると、そういうことではなくて、やっぱりあなたが閣僚としても、国務大臣としても、経企庁としても、これは心配があればこういう心配があるんじゃないかということで問題を提起し、納得の中でやっぱり最終的にきめてもらわなければ、何のために経企庁があるかわからぬじゃないですか、もう少ししっかりしてもらわなければ困る。
#64
○国務大臣(菅野和太郎君) おそらく通産省のほうで寡占価格を形成しないという一応の見通しが立てられますれば、もちろんそれにつきまして私どもに御相談がありますからして、そこで通産省の意見を聞いて、私のほうでそれに対して賛意を表するわけで、最初から私どもがこれはああせい、こうせいという指示はできないということを先ほどから申し上げているわけでありまして、それは私は聞くこともしません。一々そういうことについて調べる機構もありませんからして、それはやはり通産者がそういうことをやる役所でありますから、そこでやって、こういうわけで寡占価格を形成しませんという説明を聞いて、それで納得さえすれば寡占価格を形成しないというようにわれわれも確信を得るわけであります。
#65
○竹田四郎君 菅野通産大臣なら、私はその答弁はまことにけっこうだと思います。あなたの場合には、日本の経済の成長、その基本をなすところの競争というものの秩序を維持していく、あるいは独禁法の第一条にいうところの消費者の利益を保護するという立場、こういう立場が厳然として私はあなたにあると思う。
 そうしますと、あなたは三品目さえよければ、ほかのことはもうよろしい、合併はいいのだ、こういうふうにあなたがお考えになっているとすると、あなたは通産大臣におなりになったほうが私はいいのではないか。あなたは国民全体の卸売り物価にしても、あるいは消費者物価にしても、これを具体的に押えようとしているわけでしょう。上げることを希望しているわけじゃないわけです。そういうふうなお立場にあるとすれば、あなたは当然この合併が日本の消費者物価あるいは卸売り物価にどういう影響があるか、こういう観点でのお話があって私はしかるべきだと思う。ただ三品目がよれけばよろしゅうございますという観点というのは、私は通産省のいままでの観点ならよろしゅうございますけれども、どうも経企庁のお考えとしては、どうもそういう点で今度の合併問題に対するあなたの経済企画庁長官としてのお考えがどうも甘過ぎる、こういうふうに思いますが、あなたは甘いとは言われないでしょうけれども、そういう立場からのお考えというものはございませんか。
#66
○国務大臣(菅野和太郎君) いまあなたが言われるような立場で申し上げているわけです。三品目については、公取委が寡占価格を形成せしめるような危険があるから指令をしたわけです。それ以外の点について、シェアの関係から見ても、また先ほど申し上げました鉄鋼を需要している造船業者あるいは自動車業者の競争、一文でも安いものを買いたいという競争、そういう点からも価格競争しているのですから、したがって、寡占価格を形成しないという見通しをしております。だからして私は先ほど申し上げましたとおりに、全体の物価という立場からそういう結論を下したわけです。
#67
○竹田四郎君 あなたは前からの議論をここでお聞きになっていないからであろうと思いますし、しかし、そういうことはあなたが知らないはずがないと思います。公取委員会は三品目については黒、そのほかは白ですよということは言っていないのですよ。いま公取委の事務局長にもお聞きしたわけですが、三品目だけを審査するわけじゃない、九品目だけでもないと言っている。合併全体を審査するのだ、こういうふうに公取委は言っている。あなたのほうは三品目の対応策さえ出ればそれでよろしい。だいぶんあなたが理解している公取と私が理解している公取とは差がある。そういう意味では、どうも私はこれはあなたの考え方ですから、しかたがないといえばしかたがないわけですけれども、経企庁の長官としてのあなたの答弁は、私は適切ではない。さらに物価関係等々を勘案しながら、三品目ではなしに全体の問題を考えなければいけないではないか、と、私が申しますのは、この三品目が両会社の全出産高に占める割合というのは、主要製品じゃないわけです。いうなれば片手間の製品です。これだけが問題だ。これだけを問題にしているということは、私は企業全体、産業全体の競争秩序の維持と、あるいは卸売り物価、それに伴う消費者物価という観点から見れば、少なくともあなたは三品目だけではなしに、その他の品目も検討すべきであるというくらいの御答弁が出てくるだろうと私は思ってたんですが、三品目だけ対応策がとれればいいと、あなたはそういうふうにおっしゃられておりますので、私は、あなたの独禁政策というものに対する考え方もおおむねわかりました。あと経企庁長官とこれ以上ここで、お時間もあるようですから、御論議を避けたいと思います。
#68
○国務大臣(菅野和太郎君) 私の言ったことばに多少誤解がおありのようだと存じますが、私は、何も全体のことを何にも言っていないわけではない。三品目だけ見りゃいいという意味じゃないのです。それはやはり各品目について、公取がむしろ審査をしなければならない。われわれも各品目について寡占価格は成立するかせぬかということを、やっぱり見にゃいかぬ。先に公取が特に三品目を指定したということは、それだけ重要性を認めて、これに寡占価格が成立すれば、これは非常な影響があるという、日本全体の物価にも影響するという重要性を認めて、三品目を特にあげられたと思うのであります。ほかの品目については特に指定がなかったというのは、それほど一般物価に影響すると、その他に影響するところが大きくないという考え方で指定されなかったと、こう私は思う。だから公取が全体の品目について審査されるのがほんとうであって、そうしなければ公取の値打ち、私ないと思う。だからして、審査された結果、三品目だけは特別に重要性を認めて指定されたと、こう私は考えておる次第であります。
#69
○竹田四郎君 どうもぐらぐらぐらぐら答弁のたびに変わってきますから、先ほど私の経企庁に対する期待というものはかなりくずれてきたということを申し上げまして、大臣に対する質問はここで終わりたいと思います。
 公取の事務局長さんにお尋ねをしたいと思いますが、まあ統一解釈の中で、一定の取引分野ということの中に、公取は商品、完成品について検討しておるんだ、こういうふうなことを述べられたようですが、中間製品については審査の対象にしないんだと、こういうふうにおっしゃられているように私は思いますが、間違いございませんか。
#70
○政府委員(柿沼幸一郎君) 一定の取引分野と申します場合に、あくまでそれは競争の実態に即して把握しなければならない問題であろうかと思われます。したがいまして、一般論から申しますと、一定の取引分野を非常に広い範囲の商品でとらえる場合もございますし、狭い範囲の商品でとらえる場合もございますし、地域的にとらえる場合もあるわけでございます。
  〔委員長退席、理事林田悠紀夫君着席〕
ただ今回の場合に、半製品――鉄鋼のビレットでございますとか、スラブでございますとか、ブルームでございますとかいった半製品について、特に問題ありとして取り上げて検討の分野にしなかったという意味は、現在取り上げました九品目に比べまして、非常にそういった半製品で市販されてるものが、分量もいま少なくなっておりますし、それから、必らずしも今回の合併で大きな意味を持ってないんじゃないかということで、そういった半製品について、特に問題があると認めなかったという考え方でございます。
#71
○竹田四郎君 いままでの鉄鋼業界におけるところのいろいろなカルテル、あるいは値段が下がって生産制限をやるという場合には、普通粗鋼の生産制限、こういうことをお互いにやってきたというのが、いままでの鉄鋼関係の競争制限の問題であったわけです。また、この点が一番鉄鋼産業の基本になっていく問題だと思う。粗鋼生産を減らしていけば、その他の製品というものも当然生産量というのは少なくなって、需要と供給の関係というものが変わってくる、そういう意味では、鉄鋼の場合には粗鋼あるいは銑鉄、こうしたものが私はかなり大きい競争制限の操作に使われる、こういうふうに思います。したがいまして、私は先ほど、今度の公取の統一解釈の競争の実質的制限の中に、価格等を重視して、品質、数量、その他各般の取引条件ということを軽視した、こういう結果が中間製品というものを審査の対象にしていない、これが先ほど申した制限の判決を非常に拡大して、実質的競争の制限というものをゆるめてきた、こういうふうに私は思うわけであります。で、あなた方が出した四十二年度の公取年報にも、あなた方は総合的に判断をするということを、その三八ページですか、それに書いてあります。しかし、今度のこの統一解釈には、総合力というようなものを判断の基準にしていないということは、私は非常に不満であります。なぜならば、その企業の総合力が大きければ、ある特定の品種は、場合によっては生産を制限して、価格維持をはかる、あるいは大々的にその製品の市場を確保しよう、そうして競争の分野を独占をしようということになれば、圧倒的にその製品に力を入れてくる、これは企業の総合力で当然でき得ることであります。こういう総合力というものを審査の対象にするのには、その中心は私は鉄鋼の場合には粗鋼である、こういうふうに思うわけでありますが、なぜ今度の場合には、そういう企業の総合力というものを合併にあたって判断しなかかったのか、この点についてお尋ねをいたします。
#72
○政府委員(柿沼幸一郎君) 最初の中間製品という意味が粗鋼という意味の御質問であったかと思いますが、その点につきまして委員会としての最終見解がきまっていないので、この段階でやや私の個人的な見解のようになるかと思うのでございますけれども、世間で粗鋼という場合に、二つの意味に使われているかと思いますので、その点だけを明らかにしておきたいと思うのですけれども、戦前でございますとか、ヨーロッパにおきましては、鉄鋼の生産高を示す場合に、鋼材のトン数で示した場合が多かったわけでございます。それに対して、アメリカはたぶんそうだったと思いますけれども、わが国におきましても、最近におきましては、粗鋼の生産トン数で製鉄所の規模や生産高を示すのが一般の例になっているようでございます。したがいまして、全体としての鉄鋼業の規模をあらわす場合の意味として、粗鋼の生産トン数という問題がひとつあろうかと思われます。そういう意味におきましては、私どもも当然八幡・富士の全体の規模がどの程度になるか、どの程度のシェアを占めることになるのかというような問題の検討はいたしておるわけでございますが、そういった見方をいたしますときに、競争制限になるということはなかなか言いにくいんじゃないかというような判断が一つあるわけでございます。
 もう一つは、粗鋼の生産制限というような場合に使われますときには、銑鉄や鋼材とは別に中間製品としての粗鋼という意味に使われておる場合があろうかと思われますが、そういった中間製品としての粗鋼というものは、市場に売られるということはきわめて少ないわけでございまして、まあ相当国民経済的に意味のある品目といたしまして取り上げました私どもの九品目の中には入っていなかったということでございます。
 なお、企業の大きさでございますとか総合力というものを独占禁止法のほうでどう考えるかという問題は、確かに先生御指摘のように、独占禁止政策の問題としてございます。ただ、私ども十五条を解釈いたします場合に、もちろん第一条の精神も含めて十五条の解釈をいたすわけでございますけれども、やはり競争状態にある一定の取引分野を押えまして、そこでの競争の実質的制限になるかならないかということがあくまで私どもの法的な解釈基準であるというふうに考えております。
#73
○竹田四郎君 もうだいぶ時間もたっておりますから、そろそろ終わりにしたいと思いますが、私は、そういう意味で、今度の統一確認事項という中の一定の取引分野という中に、それが商品として取引がされていないからその中に含めない、このことについてはきわめて大きな不満を表明しておきたいと思いますが、私は、当然いままでの鉄鋼関係におけるところの独占禁止法の関係、こういう立場から見ますれば、当然そうした中間製品というものが論議の対象に、審査の対象になっていかない限りは、独占禁止法というものはますます底抜けになってしまう、このように思います。昭和二十八年ですか、おそらくこのときの独占禁止法の改正についても鉄鋼の問題が大きな問題点として独占禁止法が緩和されたという歴史、こういう歴史を見ますと、独占禁止法と鉄鋼という問題は、非常に密接不離の関係にいままであった、こういう観点から今度の公取が中間製品というものを審査の対象から除いたということは、ここにも独占禁止法の力をなくしていくやはり大きな問題点が私はあったと、こういうふうに思うわけでありますが、これから正式な審査の中にこういうことが具体的にどのように盛り込まれるか、審査の過程を追っていく以外にはなかろうと思うのですが、できましたら私はそういう点で、今度の合併についての企業の総合力というようなものもぜひ審査の対象にして考えていただきたいということをお願いしたいと思います。
 最後に、通産省のほうにお聞きをしたいと思いますが、まあいままでも対応策――三品目に対する対応策さえ出ればあとはいいのだと、こういうお考え方は、先ほどの経企長官の考え方とお変わりございませんか。
#74
○政府委員(吉光久君) 私どもといたしましては、実は鉄鋼業全体につきまして、投資主体が集約されるということは望ましいとは思っておりますけれども、ただその集約化の具体的な姿はやはり独占禁止法上許された範囲で行なわれるべきものであるという気持ちもまた他面において持っておるわけでございまして、したがいまして、いまのお話ございました三品目さえとかどうとかの問題ではございませんで、むしろ公正取引委員会で現在御審議をいただいておる状況でございまして、公正取引委員会のほうで、いまの独禁法上どういうふうに御判断になるのかという点につきまして、むしろ公正取引委員会のほうで現在御審議中でございますので、特別に私のほうから、この一点についてどうこうという意見はございません。
#75
○竹田四郎君 そうしますと、たとえば先ほども釜石製鉄のレールの問題がございました。これに対しては、日本鋼管が、会社の設備を、今度の新しい会社から借りてやってもよろしい、それに対するいろいろな資金計画、設備計画というようなものは、すでに通産省のほうにその計画というものは出ているわけですか。
#76
○政府委員(吉光久君) 日本鋼管が新しくレール部門に進出するというようなお話、これは両当事者――これは日本鋼管を含めました両当事者間の話し合いとして、進展しているということは伺っているわけでございますけれども、現在の段階におきましては、いま御質問ございましたような、資金計画でございますとかどうとかという具体的な計画につきましては、何ら承知いたしておりません。
#77
○竹田四郎君 事務局長にお聞きしますけれども、一番その辺が、具体的の判断の中で問題になってくると思うのですが、いまの通産省のほうの例から申しまして、たとえばそれが数字的にどうなるかこうなるかは別として、一応数字的にもそうなればかなりのシェアが、レールのシェアをたとえば四〇%という数字を仮定してもよろしゅうございます。その計画が実現すればそうなるという場合に、そのいわゆる蓋然性ですね。レール部門に日本鋼管が出ていくという蓋然性というものは、いまの通産省の御答弁の程度でこれは将来その面における実質的な競争制限になることはない、こういうふうに判断されるのですか。そういうのは一つの設例でございますけれども、どの辺でそういう蓋然性があるという判断をされるわけですか。
#78
○政府委員(柿沼幸一郎君) ただいまのレールの問題につきましては、両当事会社からは、対応策の追加として何がしかの資料の提出が追加的に行なわれるというふうな事務的な連絡を受けております。委員会といたしましては、全体の合併審査と対応策についての会社側から提出になった資料を合わせて、現在総合的に検討中でございますが、蓋然性の問題についての一般論として申し上げますと、経済合理的に考えまして、そういうふうになるだろうということが、はっきり予見できるようなものを蓋然性として考えていくということで、具体的な事案のそれぞれの場合について判断をしていくことになろうというふうに考えております。
#79
○竹田四郎君 非常に抽象的なおっしゃり方で実はよくわからないために、いま通産省のほうへお聞きをして、具体的にまだ資金計画は出ていないし、それは承知していない、そういう段階というのは、蓋然性の中に入るのか入らないのか、その点をお答え願いたい。
#80
○政府委員(柿沼幸一郎君) 問題が非常に具体的な問題に入っておりまして、それについて、いま委員会が結論を出そうという段階にございますので、事務局長である私から私見を述べることは差し控えさしていただきたいというふうに考えます。
#81
○竹田四郎君 まあ国民としてやっぱりその辺がひとつ問題だと思うのです。ですからたとえば通産省がその計画に対して許可を与える、認可したという場合には、蓋然性に入るのか入らないのか、届け出をしただけで蓋然性に入るのか、その辺を具体的な問題ではなくて法律解釈として、それはたとえばいまの例が悪ければ日本鋼管ではなくて、それがほかの製鉄でもけっこうです。
#82
○政府委員(柿沼幸一郎君) 具体的な計画もなしにある程度こういう計画があったらどうかという程度のものは、蓋然性ということばには入らないかというふうに考えます。
#83
○竹田四郎君 いままでお聞きしてきて、どうも今度の合併というのはたいへん重要な問題と、こういうふうに私はその感をさらに深めたわけです。そして、しかも一番問題点というものは、そうした基準なり審査の問題点というものが国民に知らされないという心配を私は非常に持っているわけでありますが、それは先ほど審査が終わった段階で、全体について発表されるというお答えがあったわけですが、まだこれからも若干時間があるわけでありますけれども、きょうは委員長がいないということが非常に残念であります。そういう意味で今度の合併について、さらに日本の経済の競争の秩序を維持をする、あるいは消費者の利益を保護するという立場をもう一回はっきりと確認した上でこの審査にはぜひ当たってもらわなければならない。そのことがもし欠けるということであれば、独禁法はもう実質的にその効力を失ったとさえ見て私はよかろうと思う。こういうふうに先ほども申し上げましたけれども、そういうことを特に強調し、これは委員会の皆さんにもぜひ私は、事務局長のほうからお伝えを願いたい。そうした形でこの審査に入ってもらうことをお願い申し上げまして質問を終わります。
#84
○鈴木強君 農林省の皆さん、たいへんお待たせをいたしましたが、ちょっとその前に事務局長に関連して一つだけ聞きたいのですが、三十七人の公聴会の公述人ですね、これは一体どういう基準でだれがきめるのですか。
#85
○政府委員(柿沼幸一郎君) 公聴会の公述人の希望者につきましては、官報で告示をいたしまして申し出を受けるわけでございます。この申し出が今回の場合で申しますと、九十数名あったわけでございます。それを委員会といたしましてできるだけ多様な意見が聞けるように、という配慮から選定いたしたものでございます。
#86
○鈴木強君 その九十何名のうちから三十七人を選んだわけでしょう。そうすると、それはおそらく事務局長のところで一応段取りをすると思うのですが、おおよそあの人は反対であるとか賛成であるとかいう意見は事前につかめるわけですね。だから私は三十七名の公述人の選出のしかたそのものに相当問題があると思っております。結果的に賛成が多かった、一部賛成でも条件つき賛成とか、反対は少数意見であるとか、そういうことで糊塗してしまおうとしているのですね。全然この人は反対であるとか賛成であるとかいうことはつかまないで三十何名をきめたのですか、これは非常に問題のところです。
  〔理事林田悠紀夫君退席、委員長着席〕
#87
○政府委員(柿沼幸一郎君) 公述人の申し出を受けるときに公述の要旨というものをつけて提出していただいております。したがって、私どもにとりましては、賛成が条件つき賛成か、反対かということはわかっておるわけでございます。本件の公述の趣旨といたしまして、賛否いずれかが結論だというような性格のものではございませんので、賛成と反対とをバランスをとってきめるというような委員会のきめ方はいたしておりません。したがいまして、一部の報道機関があたかもそれを多数決できめる賛否のようなかっこうで報道しておりますことは、私どもの趣旨にも合わないわけでございますけれども、できるだけ多方面の人から多角的に本件合併についての意見を聞くという趣旨で公述人の選考が行なわれておるものでございます。
#88
○鈴木強君 それは民意を反映するための公聴会でしょう。したがって、その公聴会の意見を尊重していくのが委員会の任務です。だからその委員会で、もしかりに反対意見が多かったとすれば、委員会はもう一回反省をしてやり直す必要があると思うのです。だから、そういう意味においては賛成が多かったか反対が多かったかということは、これは公聴会を開く趣旨からして大事なポイントです。だから、あらかじめ賛成である、反対である、そういう意見が明らかであるとするならば、これは賛成ばかり多くしたというような形を意識的につくったのじゃないかと言われたってこれは弁明の余地がないでしょう。それとも反対者がもう少なくて、あれ以上なかったのですか、そうじゃないでしょう。
#89
○政府委員(柿沼幸一郎君) 公聴会の根拠になっておりますのは、独禁法の四十二条でございまして、その条文を簡単でございますから読み上げてみますと「公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、公聴会を開いて一般の意見を求めることができる。」ということで、委員会として違反にするかしないかということだけのために公聴会を開くのではございません。賛成が多ければ認め、反対が多ければこれを違反とするというような性格のものではございません。したがいまして、私どももできるだけ多方面の方が出ることを希望いたしたわけでございまして、特に関係官庁なり需要者の団体なりにつきましては、ある程度私どもからも公述人を出してほしいというような要望までいたしておったわけでございます。
 それから取引関係がございます場合には、非常に率直な意見が述べにくいというようなこともわが国の経済界の実情についてはあることも当然委員会としては頭に置いておるわけでございます。
 それで、当初申し出がございました百名足らずの公述人の中には反対意見もございましたけれども、そういう意味で分けますと、賛成意見なり条件つき賛成意見が数といたしましては当初から非常に多かったわけでございますけれども、委員会といたしましては、必ずしも先ほど来申し上げましたように、賛否の意見を聞くという趣旨ではございませんで、それぞれの業界が、やはり特にユーザーの団体等におきましてはそれぞれの問題を含んでおるわけでございまして、それらを公開の席上でもって聞くという趣旨で公聴会を開いたわけでございます。
#90
○鈴木強君 柿沼さんのその答弁は重大問題ですよ。法律的にあなたは条文を読み上げておられるが、問題は公聴会を開き、公取委員会の委員の皆さんが公正な判断をなお一そう適切にするために多くの人から聞くのでしょう、そうでしょう。だから、民意を尊重するということが公聴会を開く趣旨なんだから、そこにおいて述べられる意見というものを無視してやれるという、そういうものではないとばくは思うのですよ。だからその辺を運用の中における妙味として発揮できるような運用をしてほしいということを言っておるのであって、そんな法律的なしゃくし定木な解釈を私は言っておるのじゃないのですよ。
 そこで、一般的にこの問題をとらえる場合、賛成だという人たちはもう通産省から、あなたのほうの職員組合がえらい声明を出したように、この予備審査の過程においてもいろいろな圧力がきた。迷惑千万だ、こういうことまであなたのところの労働組合が声明しておるじゃないですか。かくのごとく、私はいろいろな圧力がきたと思うのです。だから、公聴会がある、そこへ行こうとして意識的に目的的にもうやっていますよ、意見を述べようと。ところが、一般の消費者なり国民というものから見ると、なかなかこれはむずかしい問題ですね。寡占体制がどうだとか、管理価格がどうだとかいっても、一体どうなるか。勉強も足りない点もあるのですからね。なかなか、反対だといって乗り込んでいく人は勇気も要るだろうし、少ないと思うのです、そういうことにおいては。だから、そこにきた百通の中で大体多かったとか、少なかったとかいう論議にもならぬと思うのです。だから、できるだけ賛否が明らかになっているならば、そういう立場に立って意見を述べられるでしょう。だから、あなたの覆われるようないろんな関連する問題についても述べられるでしょう。だから、こういう人の選定というのは非常に問題があるということですよ。だから、ここで時間もないから、私はこれ以上申し上げませんけれども、どうかそういった一連の動きの中で国民から見ると、どうも最終的には公取委員会も押されてしまう。そのために、そういうふうなおぜん立てまでしたのじゃないかというような勘ぐったというか、見方が出てくるわけですよ。だから、それをあなたが弁明してみたって見方の問題だから、われわれもそういうふうに感じます、率直に言って。これは実にもう重大なポイントですけれども、そういうふうに思いますので、私は伺ったわけですよ。だから、もう少し公述人の選定等については、これはどういう、事務局長がやるのかどうか知りませんけれども、もう少し委員会みたいのをつくって、その委員の方々がどういうふうに選定するか聞いていませんからわかりませんけれども、納得できるようなきめ方をしてほしいと思うのですがね。やや独断的に、何ですか、最終的にはもちろんこの委員会がよろしいときめるでしょうけれども、そのおぜん立てをする段階における、取り運びは局長やるのでしょう。
#91
○政府委員(柿沼幸一郎君) どういう方針でもって公述人の選考をしたらいいかという方針について、まず委員会にはかりまして、それで、そのはかった方針に基づきまして、事務担当をいたしております経済部において公述人の選考をいたしまして、その案を委員会にはかりまして、五人の委員さんの了承のもとにおいて公述人をきめるというきめ方を事務局といたしましてはいたしております。
#92
○鈴木強君 もう少し、きめるときに会議をしていただきたいと思いますが、きょうは時間がありませんから、私はこれだけにしておきます。
 それから、おそくなりましたが、農林省の皆さんにお尋ねします。
 第一点は、総理大臣の諮問機関である物価安定推進会議がきょう総会を開いておりますが、これを最後に解散をされることになっております。いままで、この二カ年にわたって物価安定推進会議が幾多の提言をなさってきておりますが、その中に今日、日本の物価安定策の一環として外国からもう少し農産物、いわゆる食料品をどんどんと輸入したらどうだろうか、こういう提言をされているように思いますが、具体的にこの提言をどういうふうに農林省は受け入れて施策の中に生かしていただいたのでございましょうか。そこには幾多の問題があるかもしれませんから、そういう点がありましたら、一緒にお答えいただきたいと思います。
#93
○説明員(荒勝巖君) お答えいたします。過去、物価安定推進会議でいろいろ御提案もあり、逐次農林省といたしましては、急激に国内の農産物に悪影響を及ぼさない範囲内で、逐次そういうことを、輸入を、一気に自由化というわけにはまいりませんでしたが、農産物の輸入量を消費者に御迷惑をかけない範囲内で輸入をしてまいっております。特にことしの春、物価推進会議で御提案があり、それから、きょういわゆる総会ではございませんが、いわゆる総合部会を開きまして、また御提案をいただくことになっておりますが、特にその中で、この農産物の自由化の問題につきましては昨年の年末、いわゆる閣議決定というのがございまして、政府として農産物の輸入の自由化には十分対処するという方針をきめたわけでございますが、しかし、われわれといたしましても、農業というものが直ちに、急に合理化もできないということで、その件につきまして現在検討しております。ただし、特に農林省ただいま米が非常に供給過剰ぎみになったという事態もございまして、昨年の夏以来総合農政を展開いたしまして今後米から畜産物あるいは生鮮食料品その他いわゆる国民が今後非常に需要が期待されると思う農産物に、極力重点をそちらに移して増産を期待しておるということもありまして、海外が特に期待しているような重要な農産物につきまして直ちに自由化するということは、いまの段階では差し控えて、極力国内生産に切りかえつつ、今後自由化を進めてまいりたいと思っております。ただ自由化はなかなか一番むずかしい、まあ直ちに実施することはむずかしいかとも思いますが、その輸入量の増大、特に消費者のために、消費者価格の高騰を来たさないという観点で、たとえば昨年来豚肉の輸入につきましても、約二万トンほどの輸入の割り当てをいたし、今後も一万五千トンばかり輸入割り当て量をふやすというような措置、あるいはグレープフルーツ等の輸入量等も今後さらに需要量に見合いましてふやしていく。こういう方針で物推の御提言は十分尊重いたしながら国内の総合農政の展開に悪影響を及ぼさない範囲内で十分に今後実行してまいりたい、こう思っております。
#94
○鈴木強君 おっしゃるように、確かに国内の農業をやっぱり守っていかなければならぬという点もあるわけですから、やり方は確かにむずかしいと思うのですね。ただ、また一面消費者から見ると、安い品物がどんどん輸入できるならばそれをやっていただいて、そうして、安いものを買えるように消費者を守る立場からやってほしいと、こういう考え方があるわけですから、その中に立って農林省の皆さんが御苦労されていると思うのです。それで、具体的にいま農産物の輸入の制限をしているのはどういうものが残っているのですか。
#95
○説明員(荒勝巖君) 大きなものから申し上げますと、いわゆる畜産物の系統、相当大きなウエートを占めておるいわゆる牛肉あるいは豚肉、それから酪農製品でありますいわゆる脱脂粉乳あるいはバター、こういったものが非常に強い実勢で従来の段階では輸入制限を行なってきております。申し忘れましたが、まず米麦は食管特別会計が一元輸入をいたしておりますので、これは自由化とは一応関係なく、いかなる事態でも、これは食管特別会計の一元輸入ということに御了知を願いたいと思います。
 その次に農産物の中で、いわゆる果樹系統でございますが、いわゆるくだもの、特にオレンジあるいはグレープフルーツ、ブドウ等、いわゆる大体くだものの系統は、これもやはり現在の段階では輸入制限をいたしておりますが、バナナ等は御承知のように、とうの昔に輸入は自由化しておる次第でございます。
 なお、生鮮食料品の中では、水産物につきましても、いわゆる最終的な、国内の零細な漁民のとります特に沿岸漁業に重大な影響を及ぼしますようなアジ、サバのたぐいは輸入制限を実施しておりまして、さらに国内では需要が不足すると思われる場合に、韓国のノリとか、あるいはタラコとかスジコあるいはニシンといったようなものも輸入制限を現在のところ実施しておる。こういうように御了知願いたいと思います。こまかい輸入制限の一覧表を持ってまいりませんでしたから、大体大きな品目はそのとおりだと御了知願ってよいかと思います。
#96
○鈴木強君 すみませんが、時間がないですから、恐縮ですが、輸入制限をしております農産物の品目ですね、それがいまお述べになったものを含めて何品目あるか、詳細に資料で後ほどいただけばと思います。
 そこでけさの新聞を見ましても、前からこれもわかっておったことですが、カナダが十五日から東京のプリンスホテルでカナダ食品展、それから十七日からですか、あしたから米国が去年に続いてまたこれ食品展ですね、農産物展を開く。それから九月にはまた英国が大規模なやはり農産物展を開くと、こういうふうに報道されておるわけです。これはまあ規模その他よく私もわかりませんが、見方によると、いままで日本が外国からの農産物の輸入に対してどうかすると消極的な態度をとっている。第二次の貿易の自由化のときにもあまり見るべきものがなかったではないかということからして、ひとつうしろのほうからその輸入制限を取っ払うための一つの手段として出てきたのではないだろうかというので、日本の生産者もかなり注目しているように思うのですが、こういった一連の動きに対して農林省としては、どういう態度でこれを見守っているのでございましょうか。また、どういう態度でもって対処しているんでございましょうか、このことについて。
#97
○説明員(荒勝巖君) ことしになって、きょう新聞に出ておりますような事態は初めてではございませんで、昨年もアメリカン・フェスティバルもございましたし、そのほか年々各国別にいろいろなこういう農産物というよりも食料品のいわゆるこういったフェスティバルめいたものが過去においてもたびたび開かれております。そのたびに農林省といたしましては、従来の輸入実績の範囲内で、おおむね多少こういったフェスティバルの関係もあり、輸入量は実績を尊重しながらも多少てこといってはおかしいのですが、何らかの少し増ワクを認めてきておる次第であります。その結果、去年のアメリカン・フェスティバルのごときも、相当大きな輸入ワクと、それから大規模な形で日本で開催されたわけでありますが、農林省といたしましても、去年あたりも相当神経を使いまして、これはひょっとしたらたいへんな消費者というか、国民には受けて、えらいことになるかもわからないという心配感も多少あったわけでありますが、実際開いてみますと、まあ言うほど、日本のいわゆる加工食品等も非常に発達しておりまして、向こうから、農産物のフェスティバルといいながら、陳列されるものは、くだものぐらいは生鮮食料品のような形で入ってきましたが、ほとんどあとはかん詰め、二次加工の菓子類、あるいはジュース類といった形で二次加工の形で入ってまいりました関係で、日本のいわゆる食品工業の技術水準からいたしまして、必ずしもそう消費者に強くアピールするようなかっこうでなくて、まあ一、二農産物で言えば、生鮮的な農産物から申しますと、グレープフルーツ等が少し安いという程度で、非常にその程度のものが売れたという程度で、ほかのものはそれほど日本の業界人もあまり強い関心を持たなかった。ましていわんや消費者にも、それほど大きな売れ行きはなかったということで、今後多少こういう輸入ワクを広げましても、事実上こういったフェスティバルのあとでも、輸入ワクといいますか、輸入残が、相当売れ残るというようなこともありまして、そのために向こうも一生懸命努力するのかもわかりませんが、現在の日本の食品の事情もしくは加工技術というようなことから勘案いたしますと、今後のことはいざ知らず、それほどひどい悪影響を受けるとは思っていない次第でございます。
#98
○鈴木強君 今度のアメリカの農作物展はかなり農務省が力を入れているようですね。それで、日本の主要都市の百貨店なんかと提携してかなり販売網を広げようとする動きが出ているわけでしょう。ですから、あなたが言われるように、少し甘い考え方でいいんでしょうか。ことしどの程度の輸入ワクを広げたのかそれもお伺いしたいのですけれども、積極的に私は出てくると思うのですね。ですからまあ農林省として国内産業の保護という点をあわせながら考えるのでしょうが、国民からすれば、いいものが来て安いものであれば、それは飛びついて買いますよ。そういう宣伝工作も総力をあげて私はアメリカがやってくると思うのですよ。そういう情勢をしっかり踏まえて対策を立てるなら立てるということにするのか、まあ簡単にいえば、それにブレーキをかけるように農林省はしようとするのか、それを推進してやろうとしているのか、物価推進会議の結論からすれば、それを一生懸命協力してやらなきゃならぬでしょう、農林省は協賛して。そうすると、今度は一方は、農民から苦情が出てくるということになるのです。それは一体どうするのですか。
#99
○説明員(荒勝巖君) 先ほども冒頭申し上げましたように、いわゆる輸入を禁止してむちゃくちゃにただ国内の農業を保護するという姿勢は、現在の農林省としてはとっておりませんので、やはり国内の生産のために大いに振興ははかりつつも、なおかつ国民、消費者の観点から需給のバランスから見て不足すると思われるものにつきましては輸入の道を開いていく次第でございます。したがいまして、年々実際のところ輸入ワクを、実際問題といたしましては逐次拡大してまいってきておりまして、そういう面から今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。こういったフェスティバルにつきましても、先ほど申し上げましたように、まあ年々こういう需要品も増大しておりますので、そういった輸入にあたりましても、従来から傾向といたしましては、年々輸入ワクをむしろ拡大ぎみでやってきておって、それによって日本の農業に、従来のところではそう強い悪影響を及ぼしてはいない。ただし、過去において自由化いたしましたものにつきましては、完全な自由化したものにつきましては、相当日本農業にもいろいろな形で影響を及ぼしていることは事実でございます。
#100
○鈴木強君 まあ私も日本農業に影響がない限り大いにやってもらいたいと思うし、また、幸いあまり影響ないようですから、ひとつ積極的にこの農産物の輸入を促進して、われわれ消費者に安いものを提供してもらえるようにひとつやってもらいたいと思います。そのことをお願いしておきます。
 それから次に、牛乳価格のことで伺いたいんですが、これもまあきょう最終総会できめようとしておる物価安定推進会議の最終結論でありますが、その中に牛乳価格に関する点の提言がありますが、これを見ますと、牛乳価格に関する提言に基づき競争原理を導入するため、行政の価格介入が撤廃された。これによって集団購入等流通合理化の機運を醸成する効果はあった、これは確かに各団地あたりでやっております。効果はあったが、問題は、牛乳のそういう流通段階における合理化が十分に行なわれず、消費面における対抗力が育成されないまま行政介入ということをやめたから期待した成果が上がっておらないのだ、こういうふうに述べておるんですけれども、実際に農林省としてこの提言のとおり反省すべき点は反省しております。
#101
○政府委員(太田康二君) 鈴木委員がおっしゃいましたように、実は昭和四十二年までは農林省が指導価格という行政介入をしておったのでございますが、国民生活審議会の消費者保護部会等の御意見もございまして、政府がそういった行政介入によって指導価格を設定いたしますと、むしろ競争原理を否定して、小売り段階でみんな上のほうにくっついてしまってなかなか値段が下がらないじゃないかというようなこともございまして、昭和四十二年にいままでの指導価格の制度を廃止いたしたのでございます。ところが、そこにも御指摘になられましたように、実は末端におきます流通の合理化というのは非常に現段階におきまして困難でございまして、要すれば、配達人件費のアップ等もございまして、やはり小売りの値段はともすると上がりがち。現に昨年度の十月に東京を中心といたしまして三円値上げというようなことも出てきたような事態でございまして、いままで御承知のように、加工原料乳につきましては、法律をもちまして政府が保証価格をきめておる、これとの見合いにおきまして飲用乳価の価格が地域の需給実勢によって適正に形成されるであろうというふうに考えておったわけでございますが、なかなか実際にそういうふうにスムーズにいかない。したがいまして、飲用乳価の価格形成のルールにつきまして何らかの形で検討いたしまして、従来の指導価格制度がいいのか、あるいはもっと法律の裏づけのある制度にするのか、いろいろな点につきまして、現在私どものほうといたしましては、そういった提言もございますれば、そういう提言を待つまでもなく検討しなければならないだろうというふうに考えておるのでございます。
#102
○鈴木強君 いまお話にもありましたように、東京で牛乳代の三円値上げの問題でトラブルが起きておりますね。これはちょっと変わったケースだと思うのですけれども、後ほど伺っておきますが、いまお話しの昨年の十月から十二月にかけて東京を中心にばらばらと値上げが行なわれたのですけれども、こういう値上げのやり方というのは公正取引委員会の協定価格といいますか、そういう点での心配もあったでしょうからおそらくばらばらやったんだと思いますけれども、この三円値上げの姿というのは、全国的に見た場合にこういう現象はいまどの程度広がっているんですか。
#103
○政府委員(太田康二君) 時期によってまちまちでございますが、東京が十月の中旬から三円値上げを始めたのでございますが、これがその後全国に波及いたしまして、ほぼ全国的に及んでおるという実情でございます。
#104
○鈴木強君 この値上げの実態をちょっと知りたいのですけれども、従来ですと、牛乳の値上げをする場合には、メーカーが生産者と原乳買い入れの価格を交渉して、そこで新しくきまった買い入れ価格をもとにして、メーカーが自分のところと小売りのところで取る手数料というものをどういうふうにアップしていくかという相談をして卸売り価格や小売り価格をきめておったと思うのです。ところが、今度のやり方というのは、小売り人がメーカーのほうには何にも相談をしないで、抜き打ち的に末端価格を引き上げておった。そのアップ分はみんな自分で取るという、そういうやり方なんですね。メーカーのほうでもおそらくことしの春ごろには、酪農生産者と原乳の価格の交渉をしようとしておったと思うのですが、そういうときに先にやられたということで、そこに感情がぶつかってきておると思うのですけれども、しかし、こういう争いをそのまま放置しますと、上のほうではもうすでに何か生産者とメーカーとの間である程度値上げをきめたんでしょう、六十円か何かの。そうすると、どうしてもその六十円を小売りから取り上げなければならぬですね。その場合、小売りが絶対上げないということになるとあれですけれども、ある程度譲歩して、じゃそれだけやりましょうということになると、今度はその分をまた小売り人が上げるということになって、消費者のほうが迷惑を受ける勘定になるわけですね。これはこのまま放置されちゃ困るわけですよ。だから確かに価格介入ということに対していろいろ問題があったでしょうけれども、当面この紛争を行政的にどう解決していくかということは、これはやっぱり農林省の大事な仕事だと思いますけれども、どういうふうに対処しようとしておられるのか。
#105
○政府委員(太田康二君) 鈴木委員が御指摘のとおり、従来の価格の形式は、いまおっしゃったようなことでありまして、今回の小売り値上げはまさに小売りの主導型というのですか、小売りの段階で配達人件費のアップ等を理由に値上げされたのでございますが、その後、先ほど申し上げましたように、各地に及んだのでございますが、おおむね東京を除きましては、全部話し合いがつきまして、卸売り価格、要するにメーカーの卸売り価格の改定が一円十銭ということで、最近きまったようでございます。したがいまして、いま御指摘のとおり、その一円十銭の中でメーカーと今度生産者との配分ということでございまして、われわれといたしましては、要するに三円値上げの中――実際には三円値上げしたといいましても、大口消費者等に対しましては据え置きというようなこと等もございまして、全部が全部必ずしも三円値上げにはなっておらない実態でございますが、とにかく将来の値上げを招来することのないようにということを基本といたしまして指導いたしてまいったのでございますが、先ほど申し上げましたように、東京を除きましては、ほぼ全国的にその話し合いがついたようでございます。そこであと東京が残っておるのでございますが、東京につきましても、われわれよく東京の小売りの代表の方々の話も伺い、さらにメーカー側との話し合いもいたしまして、早急に両者の間の――これは商売人同士の話でございますから話し合いを円滑にさせまして、他の地域におけると同様解決を見るように現在せっかく指導をいたしておる段階でございます。
#106
○鈴木強君 他の地域というのは、一円十銭はメーカーのほうに吸い上げるということなんですか、その内容は。
#107
○政府委員(太田康二君) 要するに、メーカーの卸売りの建て値の改定をいたしたのでございまして、メーカーから出すべき値段が、たとえばいままで十三円であったものを十四円十銭にする。一合当たり普通牛乳につきまして、そういうことでございます。
#108
○鈴木強君 そうすると、それは生産者とメーカーとの間で一円十銭上がったわけですね。そうすると、その一円十銭というのは、一体どういうふうに卸、小売りは分担しなければならないのですか。そこのところが全国ではどういうふうに話がまとまっておるわけですか。
#109
○政府委員(太田康二君) だからメーカーの出し値が従来十三円であったものが十四円十銭になるという形で一円十銭上がりまして、その分は要するに、末端の小売り業者の方が値上げをする中から負担をするということでございます。その一円十銭の中をメーカーと生産者で分ける、こういうことでございます。
#110
○鈴木強君 そうすると、東京を除いたところは、一円十銭の生産者に払うべき建て値の更変に基づくものは小売り人から出してもらう、そういうことできまったわけですね。ところが、東京の場合は、日比谷公会堂で総決起大会を開いておられるようですけれども、メーカーのほうでは百八十t五十四銭が限度だ、一円十銭なんてとても払えない、こういうことを非常に強硬に主張しています。その数字でいくと、またその分だけ消費者のほうにおいかぶさっていくようなことがあっては困るのですよ。ですから、その辺の指導というのは、全国おさまったからそれでいくだろうというようなことで済むかどうか、私もわかりませんけれども、それはこいねがわくはそうしてもらいたいと思うのですけれども、問題は、消費者のほうにかぶさってきては困るわけですから、その辺は厳重に基本において、今後行政指導をやってほしいと思うのですけれども、見通しはどうですか。
#111
○政府委員(太田康二君) 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれは、さらに末端の値段が引き上げられるということになると、せっかく酪農振興といっても、消費の頭打ちにつながる問題でございますので、いまの値上げをさらに値上げをするというようなことのないように、これは小売り業者についてもその点は非常に慎重でございまして、今回の配分にあたってはそういうことも含めて、役所側も指導に当たってもらいたいということを強く言われておりますので、われわれもそういったことを十分念頭に置きまして、いま御指摘のとおり指導に当たってまいりたいと、かように考えております。
#112
○鈴木強君 ではその点はひとつぜひ強力によろしくお願いしたいと思います。
 もう一つ、今度は製造の月日をふたにつけてくれましたから、非常にわれわれもいつつくったんだというので鮮度の点がわかりまして、ありがたいのですけれども、問題は中身のことでしてね。どうも水っぽくって、これが牛乳かなあというようなものがあるわけですよね。ですから、あれはたとえば水をかりにうめるということはないと思いますけれどもね、鮮度といいますかね、たん白質も脂肪分のあれが幾らかといういう基準があると思いますけれどもね、そういう点は厳重に守られているものでしょうかね。何か非常に時には牛乳らしいものも来ますけれどもね、たまには。大体のところが水みたいなものを飲まされておるんで、どうもばかばかしいなという気がするんですけれども、これはおとなが飲む場合もそうですし、特にいま人工栄養で牛乳をどんどん赤ちゃんに飲ましていますけれども、そういう子供の将来の体質の問題、体格の問題なんかにも影響があるんじゃないかというようなことをいつも考えているんですがね。よく私もしろうとでわからないので、そういう基準があるなら、その基準を守るようにしてもらいたいし、なければ何かその辺をもう少しはっきりしてほしいと思うのですが、どうですか。
#113
○政府委員(太田康二君) 御承知のとおり、食品衛生法に基づく規格によりまして、普通牛乳につきましては生乳以外は一切使わないというたてまえに実はなっておるのでございまして、いま先生御指摘のとおり、そういった水っぽいものが普通牛乳にあるはずは法令上はないはずでございます。ただ現実に、いまの乳脂肪分が三・〇%以上ということになっておりますが、三%ということになっておりまして、これは昭和二十六年ぐらいから三%に据え置かれておる、最近乳脂改善につきましては、生産者団体、乳業メーカー、それぞれ非常に一生懸命やっておりまして、漸次脂肪率も高まっておるのでございまして、こういった点につきましてももっと脂肪率を高めるような方向に持っていくべきではないかということが現在の研究課題になっておりまして、現在の普通牛乳は三%ということになっておりますが、そういった面におきましても品質の改善というような点から、さらに厚生省とも打ち合わせをいたしまして、検討しなければならない問題であろうというふうに考えております。
#114
○鈴木強君 それは非常にけっこうで、やはりそういう面の改善は必要だと思いますね。三%を四%にするか、五%にするか、たいへんけっこうなことだと思います。そこで厚生省のほうとも御相談があると思うのですけれども、一つのめどをつくって、そして大体その時期にやろうということでないと、なかなかこれは進まないと思うのですね。そこで農林省のほうでは、たとえば八月なら八月、十月なら十月というふうに、できるだけ早い機会に期間を区切って、それまでに話をして、ひとつまとめて内容を改善していくという、そういう方向にやってほしいと思うのですけれどもね。段取りの点で少し急いでもらえませんか。
#115
○政府委員(太田康二君) 実は、牛乳の取引が脂肪率によって取引されておるというような実態もございまして、いまの三%を引き上げることになりますと、またまた小売り価格にはね返るという問題も実はあるのでございまして、そこらあたりも考えまして、いま先生の御指摘のとおり、まあ牛乳自体の乳脂肪分も上がっておるのでございますから、こういった問題も含めまして至急検討いたしたいと思っております。
#116
○鈴木強君 その点、お願いしておきます。
 それから食糧庁に少し詳しくお伺いしたいと思いましたが、時間がありませんので、行政管理庁から先般勧告のありました点等については、また次回に譲らせていただきますが、ただ配給米についてもやり方を変えていただいて、いろいろ消費者も喜んでいると思うのですけれども、三月、四月の配給米は新米混入率というものを、全国平均で六〇%から六五%に引き上げてもらっているのですけれども、それで若干の味がよくなったということは事実です。しかし、できるならばもう少し上げてほしいという希望も非常に強い。三月、四月だけがひとつ区切ってやっておったようですけれども、五月以降は一体どうなさるのか、それを聞きたかったのですが、食糧庁いないですか。
#117
○説明員(荒勝巖君) きょう食糧庁からたまたま参っておりませんので、詳しくわかりませんので、御遠慮申し上げたいと思いますが。
#118
○鈴木強君 それじゃいないならしようがないな。これはまあいいです。次にいきましょう。最後に、まあいよいよ春になりました。物価も政府の経済政策に基づいて五%というようなことであるのですが、実際にはなかなか五%では押え切れないだろうという予測もあるわけですが、それはとにかくとして、一体消費者はこれから生鮮食料品を中心にして食料品というものが一体どういうふうになっていくのだろうか、値段の点でもそうですし、当然それに伴って入荷の状況とかそういう点がどうなるかという心配をしているわけですね。いろいろ研究されていると思いますが、現時点においてその生鮮食料品を中心にした諸物価というのは、ここ当分どういうふうな荷動きになっていくだろうか、そうしてまた、具体的には値段はどの程度の動きがあるかどうか、こういう点の見通しがわかっておりましたらお伺いしたいのです。
#119
○説明員(荒勝巖君) 簡単にお答え申し上げます。昨年の秋以来、暖冬とそれから農林省並びに農家の努力等もございまして、野菜、果実の系統につきましてはいわゆる一昨年を下回る、あるいは昨年を下回る価格で、この春までおおむね推移してまいっております。それは非常に野菜につきましても比較的温暖な気候に恵まれまして、キャベツあるいはその他の白菜等もことしの冬――昨年の暮れからことしの春にかけましては非常に安く出回った。それから特にくだものにつきましてもミカンあるいはリンゴ等につきましても非常な大豊作の結果、この春まではミカン等につきましても非常に安い値段で推移してまいっております。畜産物につきましては、昨年豚が少し逐次上昇機運、サークルが供給減の段階に入っておりました関係で、値上がりしてまいりましたが、これも先ほど御説明申し上げましたように、約二万トンの緊急輸入という制度によりまして、多少上昇機運に水をさしたようなかっこうで、比較的平穏に、昨年の年末からこの春にかけて推移しております。牛肉につきましてはいわゆる老廃牛の乳牛の供給増がございまして、大衆肉等につきましては非常に安く、非常に下回って現在供給されております。高級牛といいますか、いわゆるいい肉につきましても、肉牛専門のほうにつきましても、昨年来の高値に刺激されまして供給が比較的に多く出ておりますので、逐次これも適正な形でむしろ下がりぎみで値段は推移して今日まで来たっております。ただ水産物だけが多少、この一、二月のアジ、サバの供給減ということもありまして、水産物だけが多少値上がり傾向にあったことは事実でございます。今後、春以降の見通しでございますが、まあちょうど作付が現在順調にみな進んでおりますが、夏以降のことはちょっとまあここでお答えいたしかねますが、この初夏までの段階につきましては、野菜の系統は比較的順調に推移して、たいした波乱はないものと私たちは理解しております。くだものにつきましてもおおむねリンゴとミカンが終わりまして、ちょうど現在切りかえ時でございますが、イチゴが比較的供給がふんだんに行なわれて、これも非常に最近特に低迷ぎみで安く供給されております。また、夏ミカンもこれも史上最大の大豊作を背景にいたしまして、四月、五月の、いわゆるくだものの端境期は順調に推移するのではなかろうか。さらにバナナも、台湾バナナが非常な大豊作を伝えられておりますおりから輸入も順調に進みまして、くだもの類につきましてはこの初夏までの段階も一応順調ではなかろうか。
 畜産物につきましては、先ほど申し上げましたように、おおむね平静でございますが、豚のほうの供給が多少懸念される面がございますので、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、一万五千トンほどのワクを設定いたしましてこの事態に備えていきたい、こう思っております。
 水産物につきましては、この春からいわゆる魚撈期の最盛期に入りますので、相当供給は豊富になりまして、四月、五月、六月の間くらいはおおむね現在よりも平静な段階で価格は推移するのではなかろうか。
 したがいまして、生鮮食料品の食物全体として達観いたしますと、天候のこともありましてあまり大きなことは申し上げられませんが、おおむねいまの段階では、比較的平穏裏に、大きな暴騰もなければ暴落もないという形で順調に横ばい的に推移するのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。
#120
○鈴木強君 鶏卵と、それから砂糖の点をちょっと伺いたいのですが、砂糖の値動きは何か海外のほうで多少上がっているように聞いておりますけれども、どんなぐあいでございましょうか。
#121
○説明員(荒勝巖君) 詳細はあとで園芸局参事官のほうからできたらデータに基づいてお答え申し上げますが、砂糖につきましても、国内の供給体制は、輸入はこれは自由化しておりますし、相当消費のほうも伸びておりますので、かつ供給もそれに即応して順調な供給――物量としては需給バランスはむしろ過剰ぎみに出回るのではなかろうか、こういうふうに判断しております。ただ昨年の秋いわゆる国際砂糖会議におきまして、あまりにもケーンシュガーの粗糖が暴騰暴落が激しいということから、いわゆる国際会議で昨年協定ができまして、いわゆる一種の最低価格と最高価格というふうに、輸出国側と輸入国側のいわゆる国際協定みたいなものが成立いたしました関係もありまして、それまで非常に安い値段で日本は粗糖を世界じゅうから買いあさってきたようなかっこうだったのが、これからそういうことが非常に不可能になる、むしろ協定価格で買わざるを得なくなってくるということで、原料の輸入価格は今後協定価格に近づいてくる。そういたしますと、現在の砂糖価格、国内のいわゆる消費価格よりもまだ多少あるいは値上がりすることもなきにしもあらずという感じがいたしますが、現在の段階では、砂糖は消費者の価格がおおむね百十円前後で推移するのではなかろうか、こういうふうに判断しております。
 それからもう一つ、卵につきましては、この春以来の採卵用の鶏が多頭飼育されている結果、最近春のいわゆる採卵期にあたりまして供給増が多く見込まれまして、むしろ暴落ぎみでございまして、三月の上旬の豪雪のとき一時ちょっと暴騰いたしましたけれども、その後、急速に供給が順調になりまして、四、五、六はむしろ消費者にとっては非常に恵まれた段階かとも思いますが、むしろ生産者側と申しますか、農家側としては非常に苦しい段階に入っている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#122
○鈴木強君 時間がないからこれだけにしますが、砂糖の百十円前後というのは何グラムのことですか、いま輸入価格というのは一体幾らで入ってきて、それが小売り、消費者の手に渡る場合には幾らになるか、それをひとつキロかグラムか知らぬが、教えてくださいませんか。
#123
○説明員(小沼勇君) 荒勝参事官が申し上げましたのは、百十円といいますと、大体いま上白の卸売り価格が三月で大体百七円から百八円、キログラム当たりでございます。なお、小売り価格のほうは大体百二十九円程度になっております。外国のほうの相場はかなり上がってまいっておりまして、外国の相場をそのままキログラム国内の上白に換算をしてみますと、大体百十二円から百十五円程度のところへきておるというふうに理解しております。ただ、現在は、比較的国際協定が発足する際に先物の契約をしておりまして、原糖を入れておりますので、安い原糖の手当てをしておりますが、今後は、漸次いま申しました国際糖価の水準が三セント二十五と五セント二十五の間に入ってくる、その幅に安定させるということになりますので、それに近づいてくるというふうに、かように考えておるわけでございます。
#124
○鈴木強君 輸入価格は幾らで、卸は百七円になるのですか、輸入業者は幾らで、一キロ。
#125
○説明員(小沼勇君) 毎日変動しておるわけでございますけれども、通関の粗糖価格で申しますと、大体キログラム当たりで二十四、五円のところでございます。
#126
○鈴木強君 時間がありませんので、大体の荷動きの状況、それから値段の点もわかりました。幸いにして皆さんの御努力もあり、順調に推移するようですが、なおひとつ非常に物価が上がっているときですから、できるだけ安いものを、しかも鮮度のいいものを供給していただけるように皆さんの御協力をお願いいたします。
#127
○委員長(山本杉君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト