くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第8号
昭和四十四年四月十八日(金曜日)
   午後二時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     黒木 利克君     大森 久司君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤シヅエ君
    理 事
                大谷 贇雄君
                佐藤 一郎君
                松澤 兼人君
                内田 善利君
    委 員
                青木 一男君
                大森 久司君
                木島 義夫君
                土屋 義彦君
                村上 春藏君
                山内 一郎君
                渡辺一太郎君
                杉原 一雄君
                千葉千代世君
                田渕 哲也君
   政府委員
       通商産業省企業
       局立地公害部長  矢島 嗣郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       文部省管理局教
       育施設部長    菅野  誠君
       厚生省環境衛生
       局公害部公害課
       長        橋本 道夫君
       水産庁漁政部長  安福 数夫君
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部鉱
       害課長      佐々木茂行君
       通商産業省鉱山
       保安局鉱山課長  下河辺 孝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○連合審査会に関する件
○産業公害及び交通対策樹立に関する調査
 (産業公害対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤シヅエ君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 一昨十六日、黒木利克君が委員を辞任され、その補欠として大森久司君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(加藤シヅエ君) 次に、理事の補欠選任を行ないます。ただいまの委員異動に伴い、理事が一名欠員となりましたが、この際、その補欠選任を行ないたいと思います。
 理事の選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に佐藤一郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(加藤シヅエ君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案について、運輸委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(加藤シヅエ君) 御異議ないと認め、さよう取りはからいます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(加藤シヅエ君) 産業公害及び交通対策樹立に関する調査を議題とし、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
#9
○杉原一雄君 私のほうから、三つの問題について質問をしたいと思います。
 一つは、四月の十二日、閣議決定、硫黄酸化物にかかる環境基準について、いま一つは、去る三月二十三日、新潟の山ノ下地区、私たち社会党の公害点検の一環として調査点検した結果に従って、所管の各関係の皆さんから、これらについての具体的な問題についての今日までの処置せられたこと、今後の方針等を伺いたいと思います。
 第三点は、二月の十四日、通産省がすでに発表いたしました「川崎・横浜地区産業公害総合調査にもとづく改善指導について」、とあるわけですが、このことについての各項目、今後の問題等含めて、通産関係あるいは厚生省の意見等をもあわせてお伺いしたいと実は思います。
 で、第一の、硫黄酸化物にかかる環境基準について、つまり二月十二日の閣議決定の内容についてであります。これは、私を含めて国民大衆は、こうしたことについて知識がかなり弱いのでございまして、なかなか読んでも理解に困るわけですが、一番わかりやすく言えば、端的に言ってどこまで、どうあったらいけないのか、そのことを、多くの項目にわたることなく、一番わかりやすい点をひとつはっきり明示していただきたい。しかも、そのことが数字となってあらわれてくるわけでありますから、それについての科学的な根拠、ひとつまずそれをお伺いしてかかりたいと思います。
#10
○説明員(橋本道夫君) 先般閣議決定されました硫黄酸化物の環境基準は、一つの目的は、健康を絶対に保護するということのためにどの程度の水準を目標として基準とするかということが第一点でございます。そういう意味で、生活環境の保全は、あの基準の範囲内において生活環境が保全される、こういうことでございまして、今回の基準は、全く健康問題を中心としてきめられたものでございます。
 それから次に、いろいろのこまかな条件は別にいたしまして、どういう程度のものをねらっておるのかという点の御質問に対しまして、大まかにお答えいたしますと、東京、大阪をロンドン、ニューヨーク並みにしたくないということが一点でありまして、ロンドン、ニューヨークに対しては約四分の一か五分の一の汚染水準に、この日本は幾らよごれてもそれ以上にはしないということの決意のもとに組まれた環境基準でございます。そういう意味で、諸外国でいっております基準に比べましては、相当きびしい部類に入るというような考え方を持っております。
 で、次は、一体どのような健康水準を中心として考えておるのかということでございますが、これは、だんだん人口が老齢化しまして、都市化してまいりまして、それによるいろいろの健康指標というものがあるわけでございますが、私どもは、大体四十歳以上の成人男子で慢性気管支炎の有症率というのを大体五%にとどめようという考えに立っております。この考え方は、先ほど申しましたニューヨーク、ロンドンに比べれば約五分の一から四分の一、問題になっている四日市に比べれば約三分の一というところでございます。こういう健康水準ということを頭に置いて、それ以上は絶対ふやさないということでございます。現在、大阪の一番ひどいところに比べますと、約二分の一の状態に改善されるということの基準でございます。
#11
○杉原一雄君 課長もそこへお持ちだと思いますが、年間を通じて一日平均値が〇・〇五PPMということが一つあるわけですね、これは私ら一応しろうととして一番飛びつきやすい数字なんですが、この数字については、これはいま申されたような世界的な視野に立ってこれをひとつとらえるならば、そういう観点に立ってこの数字を決定されたと思うのですが、これはやはり行政目標としてはその数字にとどまることなく、もっともっとこれをきびしくするということは可能であるし、そうされねばならないと思うのです。その点はどうですか、どのような判断をされておりますか。
#12
○説明員(橋本道夫君) いまの問題でございますが、別にこれ以上きれいにするのがまずいと思っていることでは毛頭ございません。ただ非常によごれているところがございまして、そこをどこまで改善するかということで、この目標があらわれてきたということでございます。それからこれ以下のところはここまでよごれてもよろしいというような、こういう安易な考え方ではございません。この点につきましては、大気汚染防止法の排出基準の立て方をお話し申し上げればおわかり願えると思いますが、非常によごれの少ないところも、一つの最悪の条件で一時間の最高値が〇・〇五PPM以下、こういうぐあいに押えております。先ほどのは年平均〇・〇五でございますが、私のいま申し上げましたのは、一時間値が〇・〇五以下、最悪の条件でもこれを出ないということであります。そういうようなことで、よごれていないところはそこまでよごしていいという考え方は一切とっておりません、こういうことでございます。
#13
○杉原一雄君 そのことをあえて申し上げたのは、四月二日の衆議院における産業公害の特別委員会において、新潟の調査団に行った米田東吾委員から質問があった場合に、おたくの部長かだれかが、これは通産省のほうの部長だったと思いますが、ここは〇・〇五からはるかに少ない、だからその点非常に喜んでいるというような意味合いの発言がございましたので、いまその点についてちょっと念を押したのです。
 もう一つは、質問の意図は、先般東京都の富沢公害部長とも研究会の中で一緒になったわけでありますが、まあ非常に慨嘆するような意味でおっしゃったのですがね、今日の規制基準では、地方庁では何もできない。江東地区などでも、煙突が非常に多いのだけれども、どうにか規制できるのは、五本か六本程度でしかないといったようなことで、非常に地方自治庁――そうしたところで、こうした問題を良心的に、しかも積極的に進めようとする場合に、政府がお出しになる環境基準等については、かなりの抵抗と申しますか、そういうものを感じておられることをまのあたり聞きまして、これは決定なさる場合にもそうした点を十分配慮しておられると思いますけれども、今後とも情勢の進化する中で、これは不動の基準ではございませんので、良心的な今後の御努力を実は期待したいということで、この問題をまずもって提起したわけです。
 で第二番目は、先ほど申し上げたように、新潟の市内にある山ノ下地区の公害の実態調査の結果、同時にその結果についてのいろいろな考え方、それぞれの各省のとっておいでになった処置等について、若干お聞きしたいと思うわけであります。いま申し上げました新潟の山ノ下地区というのは、練炭工場あるいは日本鋼管、旭カーボン、これはばい煙をまき散らす発生源ですね。それから北越製紙、貯木場、市立のし尿処理場、これは臭気を発散する発生源です。そのほか東北電力火力発電所があるわけですが、これはいうなれば、亜硫酸ガスをまき散らす発生源ですが、加えて新潟飛行場がございまして、そこへ仙台から練習機が飛んできてこの信濃川流域で練習をやる。また、常時飛行機が飛んだり、行ったり来たりする。そうした騒音並びに昭和石油等のタンクが林立しておりまして、そこに飛行機が墜落するという危険を地元の人が非常に強く感じているという問題、かてて加えて、有名な天然ガスを掘るということから起こる地盤沈下の問題。これだけあげただけでも、今日いわゆる社会の政治課題、問題として大きく取り上げられているこの公害のほとんどといっていいくらいの諸問題を、この地区に背負っているわけです。それについて、今日まで厚生省なり通産省が、手抜かりはおそらくないと思いますが、このいま申し上げた特定の地区でございますけれども、まず厚生省がその実態をどのように把握して、今日までいかなる行政指導なり、行政措置等をなしてこられたか。このことをまず厚生省にお伺いしたいと思います。
#14
○説明員(橋本道夫君) ここの地域につきましては、大気汚染防止法に基づきまして、四十一年十一月に指定をいたしております。そういう意味で、この二カ年間の猶予期間がございますので、四十三年の十一月以降は猶予期間が切れておるということが実態でございます。それによりまして、ばい煙発生施設につきましては、県知事の権限になっておりまして、ばい煙発生施設届け出あるいは所要のそういう改善措置あるいは指導というものが行なわれているわけでございます。また、環境測定も現地で行なわれております。現在、環境測定をいたしておりますのは、浮遊粉じんと亜硫酸ガス、この二つだけでございますが、非常に残念でございますが、浮遊粉じんのデータはいまちょっと持っておりませんので、亜硫酸ガスだけのデータのほうでは、先ほど先生御指摘になったように、この環境基準にはめてみるとそれ以下であるということは事実でございます。ただ、ここの地区は、そういうことだけで判断をしてはならないということも御指摘があったとおりでございまして、そのほかの悪臭あるいは粉じんといったような複合汚染のような状態がございます。そういうで、県当局が個々の企業に対しまして、積極的に指導を行なっておるという状態でございまして、悪臭の問題に対しましては、厚生省としましても、この国立公衆衛生院のほうから専門の大気汚染室長が出まして、科学技術庁の研究とも結びついてここの悪臭の問題について調査と対策の方向というものについて県に協力をいたしております。本年度も少しこれに対して協力をしてくれという要請がございますので、私どももこれに応じていこうということを考えております。工場としましては、通産省のほうがいろいろおやりになっておられ、私どものほうでも、どこの工場でどれだけの経費で除害装置をしたかということにつきましては、県のほうから報告をしていただいております。ただ、用地地域が工業地域としている中で学校があるということについて問題があるやに県では言っております。
#15
○杉原一雄君 そこで、先ほどの〇・〇五にこだわるわけですが、それよりも亜硫酸ガスについては少ない。そのことが当地域が公害においてたいしたことはないといったようなことにはおそらくならない。いまいみじくも、課長がおっしゃったように、複合している、複合している場合のこの問題について、対策としては、発生源一つ一つつぶしていけばいいわけですが、現在ここに生きている人間の立場から考えると、複合的な汚染が全体にどのような被害なり影響を与えるか、こうした判断等については厚生省としてはどんな手段で、どういう調査研究あるいは結論等出ておればお聞きしたいわけですが、いかがでございましょうか。
#16
○説明員(橋本道夫君) いま御指摘のありました影響の問題はどの程度かという御質問でありますが、私ども影響調査は現地ではまだいまの段階ではいたしておりません。私どもは、環境基準をきめたときのこの水準に合わせてみて、影響という環境基準を考えていくと同じような観点からいけば、非常にめちゃくちゃにひどい場所があるとは私ども思っておりません。ただ、問題があるという点につきましては先生御指摘のとおりでございます。県が影響調査をしたいという希望を持っておりまして、それに対して四十四年度、私どもも県の計画を聞いて、協力のできる問題は協力していきたいというように考えております。
#17
○杉原一雄君 いまの、私が非常に危惧していたことが課長からも明言をいただきまして、影響調査等を的確にしていただくと同時に、また、結論に対してはすみやかなる処置をとられることを心から期待するわけであります。つきましては、通産省の方にお伺いいたしますが、同様の質問になると思いますが、通産行政の立場から実態をどう把握し、かつまた、企業に対してどのような指導なり監督なりをなしてこられたか。この経過を実は聞きたいと思います。
#18
○政府委員(矢島嗣郎君) 先ほど厚生省のほうからお話のございました旧ばい煙規制法に基づく地域指定、これは当然に新しい大気汚染防止法で引き継がれておりますが、それは通産省と厚生省と両方でもってやっている法律でございますので、厚生省と協力いたしまして、この法律の円滑なる実施ということに、さらに引き続きやってまいりたいと思うわけでございます。
 それから個別の問題に入りますと、亜硫酸ガスの問題と、それから降下ばいじんと両方一応あるわけでございまして、先ほど申し上げました大気汚染防止法にいたしましても亜硫酸ガスと降下ばい煙と両方について規制をやっておるわけでございます。亜硫酸ガスはもちろん問題でございまして、環境基準も今回きまったわけでございますが、新潟地区の個別の淵源についてみますと、たくさん工場がありますから、それぞれ亜硫酸ガスを出していることは間違いないわけでございますが、やはり何と申しましても、大量に亜硫酸ガスを出すのは火力発電所ということに相なるわけです。それ以外に昭和石油、日本石油等の石油精製工場等もございますが、これらいずれも日本では非常にもう古いものでございますし、規模も小さい、今後こういうものについては増設ということは考えられないわけでございまして、問題はやはり東北電力の火力発電所が一番問題じゃないかと思うわけでございます。新潟の火力発電所は、現在四号機の二十五万キロワットの設備を建設中でございまして、本年九月から運転開始の予定に相なっておるわけです。それで、この四号機の増設に際しましては、電気事業法に基づいて認可を行なったわけですが、その際には、環境汚染が悪化しないように、新潟地区には環境汚染が悪化しないように十分チェックしまして、高さ百メートルの高煙突で十分に拡散希釈し、また、使用重油につきましても、年々下げる、従来から一号機、二号機、三号機の段階でも年々下げまして、二・二%の低いものを使用するという計画であるわけでございます。そういうふうにいたしまして、一番問題となる東北電力の新潟火力発電所の状況というものを認可の段階から、すなわち計画の段階から十分にチェックしていくという方針となっております。以上が亜硫酸ガス対策ですが、次に降下ばいじんのほうを見ますというと、私どものほうにある資料では、五測定点、五つの測定点がございますが、その平均で一平方キロメートル当たり一六・四トンということで、これはやっぱり一応全国の常識的な水準から見ると比較的高い。これは環境基準はきまっておりませんから、ものさしがはっきりしておりませんけれども、常識的な水準から考えましても相当高いので、何らかの対策が必要であろうということが十分言えると思います。それで、この点につきましては、すでにそういう降下ばいじんが非常にひどいということで、特にその関係で寄与しておる、あるいは多量に排出しておる工場として、日本鋼管の新潟電気製鉄、それから新潟電気工業、それから明道金属、旭カーボン、それから新潟市の清掃センター、この五つが非常に大きくて多量に排出する、これが問題であるということで、これらの工場は住民を含めた新潟市山ノ下地区公害対策連絡協議会というのを昭和三十八年に発足させておるわけでありますが、この協議会が県の指導を受けまして対策を進めつつあるわけであります。通産省といたしましては、その指導に当たっている新潟県と十分連絡をとって、その連絡協議会でみんなが改善計画を持ち寄っておるわけですが、それを完全に達成するように指導あるいは監督をしていきたいと思っておる次第でございます。
 個々の五つの工場についても具体的な降下ばいじん防止対策がございますが、もし御質問があれば、さらに詳細に各工場別にわたって御説明いたしたいと思います。
#19
○杉原一雄君 いまの亜硫酸ガスの一番大元締めである東北発電の現地を見たわけですが、おっしゃったとおり、四号機が完成すればということなんですが、これはいまおっしゃったように、事前指導と申しますか、それに即応するような形に実はなっているわけですが、問題はいままでの一号機、二号機、三号機、煙突でいうと三本あるわけですが、これは七十メーターだと私は聞いてまいりました。私も富山におって、私のすぐ近くに北陸火力発電があるのですが、これは八十メーター、新しくつくるのは百十メーターなんですが、煙突が低いので実はびっくりした。そこで、向こうの関係者に聞きましたら、これは硫黄を主たる燃料にするのじゃなくて、実は天然ガスを使うつもりだった、ところがということで現在は硫黄を使っておる。しかも、部長も指摘したように、硫黄の分も二・二%ですか、そういうことでかなりの努力、配慮をしているんだということなんですが、この程度の煙突で避けられるかどうか。これからできるものについてはあれですが、現在までの一号機、二号、三号ですね、この辺の点検をなさったかどうかお聞きしたいと思います。
#20
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生のおっしゃるとおりに、この新潟の発電所というのは、新潟地区で豊富にできます天然ガスを中心にして燃す、したがいまして、亜硫酸ガス公害の問題はほとんどないということで出発したわけでございますが、不幸にしてその新潟における天然ガスの採掘状況が円滑にいかないので、ほかの産業、すなわち天然ガスを絶対に必要とする産業、あるいは都市ガス等に供給するために、不幸にしてこの新潟火力発電所は当初の予定に反しまして重油専焼の形で進んでおるわけでございます。したがいまして、当初天然ガスを前提として立てた一号、二号あたりにつきましては、煙突に関しては不十分であったということがいえるわけでございます。そこで、先生御指摘の一号――三号につきましては十分チェックいたしまして、やっぱり七十メートル程度のものでは不十分であるというので、現存、百二十メートルの集合煙突に建てかえられるように指導しているわけなんです。
#21
○杉原一雄君 あといろいろ工場のことをこまごま聞いてみてもはじまりません。ただ、これは通産省の指導的な努力の実りがあったのかどうか知りませんが、日本鋼管の中を視察したわけです。その中でやはり感じたことは、これは昭和十年にフェロアロイ製造工場を建設したわけですが、第一次製造工場がいま閉鎖され、第二次製造工場が開放炉で盛んに粉じんをまき散らしておるわけです。お隣に行きますと、密閉炉でほとんど粉じんが出ない。とりわけ第四次のところに行きますと、これまた完全に――いま試運転ということでございますから、小さな煙突から細々と煙突が上がっておる程度でございます。将来正式に運転することになれば、全然煙が出なくなる、こういうことを誇りを持って報告をしておられたわけでして、このことが成功すれば、山ノ下地区におけるばいじんの大元締めが一つ解決されていくのじゃないかということを感じておるわけですが、ただ私があえてこのことを申し上げたのは、やはり企業がやる気があればやれるということ、このことをこの日本鋼管を見るにつけて痛切に感じたわけでありまするので、今後の通産行政の指導の立場に立っておいでになる皆さんのことでございますから、こうしたことについての今後の各地区への努力目標と申しますか、行政指導への一段の御努力をお願いしたいということを、実はこの工場を見学しながら、この問題を考える政治家の一人として痛切に実は感じてきたところです。
 それはそれでようございます。
 それから次は、いま申し上げたような、全くばい煙、臭気あるいは騒音、地盤沈下あるいは飛行機までが関係をしてくると、たいへんな公害の谷間に東山ノ下小学校が存在するわけです。私も昔、小中学校を経営した経験者でありますが、文部省の皆さんに実はお伺いしたいわけですが、先般たずねたときに校長に会いました。PTAの代表者も来ておりました。校長はたぶん三月三十一日でやめられたと思いますが、非常に今日まで長い間校長として苦労されたいろいろな話を実は承ってまいったわけです。この学校は昭和二十五年の四月にできております。その後二十八年に火災にあい、また、そういう困難な中から、ときには健康優良校として昭和三十一年に表彰を受けたと思いますと、また三十二年に教室を焼く。そうこうしていると、三十三年には地盤沈下して校地は水びたしになる、いろいろな苦難の道を実は歩いてきた学校であります。三十九年には新潟地震、こういう中で学校の教師も、学校経営の市の側も非常に苦労をしながら今日まで歩いてこられたことは、沿革の中に浮き彫りされておるわけです。しかしながら、いまそうした努力にもかかわらず、年々歳々いま申し上げたような公害がどんどん発生をしてくるという状況の中で、いま学校で千数百の子供たちが教育を受けておるわけです。学校の経営者である校長が、この学校のやはり中心の経営目標を「青空よ広がれ、緑よ茂れ」といったようなことで、およそ教育目標としてはどうかと思われるくらいなことを訴えなければならないような状態にいま置かれているわけですが、このことについて、文部当局が今日までいろいろ調査もされただろうと思うし、同時にまた、苦難な道を歩いているこの学校に対して手持ちぶさたでいられたはずもないだろうと思いますから、一応こうした同じ悩みを持つ学校を私幾つか知っておりますので、文部省が今日までなさってきた行政指導なり行政的な協力の事実を簡単に御報告いただきたいと思います。
#22
○説明員(菅野誠君) ただいまお話の新潟市東山ノ下小学校につきまして、文部省のほうにも報告がございます。また、このような公害の地区に学校がありますために、その学校の生徒がたいへん気の毒な状況にあることも存じておりますが、公害に対しましてこの学校は、何と申しましても受け身と言いましょうか、被害を受ける被害者側に立つわけでありまして、文部省といたしましても、この被害防除、つまりは公害防止という観点からの指導をできるだけ進めてまいりたいと考えているわけでございますが、具体的にこの学校、東山ノ下小学校についての経過を申し上げますと、この学校は御存じのとおり、新潟市立の公立学校でございますが、昭和四十二年度におきましては、一年生の教室六教室に空気浄化装置、それからクーラーを取りつけての公害防止工事を実施いたしております。さらに昭和四十三年度、去年度となりましょうか、この年から御案内のように、公立文教施設整備費の中に公害防止の予算が特別に計上されるということになりまして、この年において二年、三年の教室の十二教室と特殊学級の二教室、合計十四教室にこの空気浄化装置、クーラーを取りつける等の公害防止工事を国庫補助事業として実施しております。なお、いまお話にもございましたように、この学校は、三十七学級の児童数が千五百六十六名というわりあいに大規模な学校でありますので、設置者であります市当局といたしましても、一挙にこの公害防止の装置を取りつけることが予算的な面から困難であったために、このように下のほうの学年の学級から公害防止の工事を順次やってきたように思いますが、さらに昭和四十四年度に、これは経過というお話より若干ずれるかもしれませんが、今後のことに触れるわけでございますが、昭和四十四年度においてはどのように実施するかにつきましては、実は市のほうからの申請の受付が、四十四年度の予算が成立されたばかりでございますので、申請はこの五月三十日までに提出することになっておりますので、市からこの公害防止工事の実施につきまして具体的にどのような申請が出てくるかは、ただいま手元までまいっておりませんのでございますが、市のほうからその申請書が出てきますれば、このような地区でありますので、できるだけ文部省といたしましてもこれに対して国庫補助の助成措置を講じたい、かように考えております。
#23
○杉原一雄君 わかりました。そこで、結局私も教育者であった関係からしまして、何か耐えられないような気がするわけです。私もかなり硬教育といいますか、強い教育をするほうなんですが、子供に試練の場を与える、試練の機会を与えるということはよくわかるのだが、事生命に関するような、命を削るような環境の中でいま私の言うような硬教育も私はどうかと思われるし、結論的に申せば、東山ノ下小学校は、まあカラスの学校という名のとおり、鉄筋コンクリート自体が外側から見ればほとんど黒くすすけてしまっておるわけだし、いま部長が申したように、クーラー取りつけ、空気浄化装置と、現にあるのを見てまいりましたが、それだけでは健康な子供を教育するという環境では私はないと思う。いわんや、先ほどの厚生、通産、文部省を通じての私の質問の中で申し述べておりませんが、すぐ学校の横には小さな川があって、その川へはソ連の木材が小型の発動機船によって常時運ばれておるわけで、川が狭いのと橋をくぐるという悪条件のために、相当優秀な船でこれを引くということは不可能でございますので、ものすごい音で通るわけです。だから、六十五ホンか八十五ホンか知りませんが、これはもう授業を行なうことができないほどの状況のあることを校長は申しておりましたが、そういうあらゆる環境、あるゆる条件等を考えた場合に、現地は現在、今後の処置は別として、私の判断では学校としてふさわしくない。子供がプールへ入る。入ると、校長の話によると、プールへ入れば子供の足が目にしみるくらいに白くきれいに見えるものだが、わが校の子供の泳いでいる足裏を見るとまつ黒である、プールには屋根をふかなければならないだろうということまで校長は嘆きながら訴えておったわけですから、結論的には、学校としてここにあることはきわめて不適当だと思うので、これはできれば学校をもっときれいなところにこれを移しかえるということを、文部省の指導行政の中で強く打ち出していくような意欲があるかないか。ただ対症療法的なことだけでは済まされないのではないかということで、部長としては荷の重いことになるかもしれませんが、もしそうした省内においてこのことについての意思の統一があったら、一応御披露いただきたいと思います。
#24
○説明員(菅野誠君) ただいまこの学校の位置が適当でないので移転したらどうかというような趣旨を含めてのお尋ねと思いますが、文部省といたしましても、単にこのような防止だけではなしに、その移転することがどうしても必要であるというふうに設置者でありますところの市――もちろん学校と打ち合わせてのことになると思いますが、学校のほうから、また市のほうから移転をしたいということになりますれば、その状況におきまして移転に対しての補助金が、やはりこの公害防止として必要な場合には交付することができることになります。そのような例もございますので、これは市のほうから学校ともちろん相談の上で、そこの学校があるところが不適当であって移転をしたいという申請になってまいりますれば、その検討を進めたいと思っております。
 なお、個人的にはただいまの御意見のようなことに対して、市に意見を申し伝えましてどのように考えるかということは、もちろんやって差しつかえない、まあするつもりではございますが、これは市立の学校でございますので、もちろん市当局並びに市の議会等もあるわけでございまして、その設置者の意思に反して文部省がどうしろということはできませんので、その設置者の意思を尊重して、ただいまのような御意見の方向で将来出てまいりますればその線に沿うて検討して進めていきたい、かように考えております。
#25
○千葉千代世君 その件についてこの間、本会議で質問しましたときに文部大臣は、いままでにそういう例があったということをおっしゃったのです。幾つくらい例がおありになったのでしょうか。その場合には、やはりその市の申請と、予算についての国からの補助とは、普通の学校建築の単価と同じ補助であったのかどうかということと、もう一つは、昭和四十二年度に一年の教室から初めて空気清浄機をつけたという、クーラーをつけたということをいまおっしゃったのですがね。ですから、まだ効果の点についてははっきりしないと思いますけれども、つけたあととつける前との比較などがございますでしょうか。それは先生お調べになったかどうか知りませんが、そういう点。それから空気清浄装置をつければ効果があるというようなことをおっしゃったわけです。私も、本会議でしたから、押し返して質問ができませんでしたけれども、一部の学者の詳しい説明によりますというと、あまり効果がないようなことを言われるわけなんです。その清浄装置というものをつくる会社、それからその値段。それからまあこれからの必要数ですが、具体的にはそういう汚染地域に幾つくらい必要なものかどうかという、そういうお調べがありますかどうかということと、それからもう一つは、運動場で遊んでおりまして、遊ぶ時間というのはさまっているのです、十分単位とか、十五分単位とか、それは週の授業時数と休み時間とあんばいしてきめられる時間でありますから。そうしますと、授業する時間に入っておったのと、それから運動場で遊んでおった時間と、風の強い日、弱い日とございますですね。そういう点で言った場合に、はたしてこれはどの程度の効果があるか。それから一年生だけはとりあえずやったのですけれども、これから先、順次設置していくのかどうかということと、その設置費用については、やはり国が負担分をどのくらい持つのかどうかということ等、これは非常に問題があると思うのです。
#26
○説明員(菅野誠君) ただいま御質問の第一点でありますが、このような実例があったことについてどのくらいやったかという第一点の御質問でございますが、ただいま申し上げましたように、この公害防止の文部省関係の施設関係の予算が近年でございまして、去年からになっておりますので、実例としては、四十三年度、いまのような移転改築してほかのところに行くというものは、前年度四十三年度で八校でございます。
#27
○千葉千代世君 具体的にそこはわかりませんでしょうか、学校は。
#28
○説明員(菅野誠君) 申し上げますと、これはちょっと全部でなくて、おもなものだけ持っておりますので申し上げますが、土浦市の下高津小学校、それから平塚市の金田小学校、それから岸和田市の常盤小学校、それから四十三年からと申しましたが、四十二年度はワク内で危険校舎改築と同時に実施したのがございますが、四日市市の塩浜中学校、それから大阪市の川北中学校がございます。これがおもなものでございまして、まあ詳細必要なれば、あとで――これらがおもなものでございます。このほか、ただいまのような防止工事といいましょうか、窓を気密にいたしまして、外からの騒音、それから臭気をシャットアウトする空気浄化装置をつけるというのが、改築でなくて防止工事という名前で言っておりますが、これは昭和四十三年度二十校が騒音関係、大気汚染関係二校、これが確然と分けれない部分もありますので、合計して二十二校とお考えいただきたいと思うのですが、そのうちの一校がこちらになっておるということでございます。
 それから第二点の、その効果についてという御質問でございますが、この予算補助年度が新しいために十分なことがないではないかという御質問でもございますが、できるだけこれにつきましても、空気浄化機の効果について技術的な改善を行なってさらにこれを進めたいというふうに考えております。まあ現在毎年漸次改良はされておるようでありまして、この学校についても、四十二年設置のより四十三年度のほうが非常にいいという話もあるようでございますが、さらに四十四年度につきましては、改良されてくるものを使うであろうと思っております。その会社その他は実は文部省はタッチしておりませんので、文部省がどこのを使えというようなことはいたしておりませんので、市が直接メーカーのほうと折衝する、かようになっております。なお、文部省といたしましても、特にどこがどういうふうにすべきだという商業的なことまでは口出しをしないようにしておるわけでありますが、実際につけられたものに対しましては、学校に及ぼす公害対策調査研究会というので別途に私ども内部で研究的にこれを行なっておりますので、この学校についても、新潟市につきましても、できれば今年度さらに調査を進めたい、かように考えております。
 それから第三点の、補助率がどのくらいかという御質問でございますが、これは公立文教施設整備費の予算におきまして、補助率三分の一ときめられておりますので、支出額の三分の一を補助する、かようになっております。
#29
○千葉千代世君 そうしますと、公害だからといって特別に補助率は変わっていないわけですか、施設について。
#30
○説明員(菅野誠君) これは御存じのように、公害に対しての補助は前年度からで、それまでは設置者負担だけで、補助がなかったわけですね。それで四十三年度から補助ができるようになりまして、三分の一になった。原則としては設置者負担主義で、設置者がそれを負担する形になっておったのを、国が三分の一補助することにしたという形になっておるわけでございます。
#31
○千葉千代世君 それはわかりますけれども、そうしますと、ほかの施設整備なんかの補助率とそんなに変わらないということなんですね。ただそういう費目ができたということなんでしょう。
#32
○説明員(菅野誠君) さようでございます。
#33
○千葉千代世君 これは厚生省に伺いますが、厚生大臣は、当院の中で、たいへん空気清浄装置が効果があるようなことをお述べになったのです。科学的な実証についてはまだ聞く余地もなかったのですが、そういう点について資料お持ちでしょうか。
#34
○説明員(橋本道夫君) いまの御質問の点でございますが、厚生省では、調査研究委託費をもちまして、これは東京都内のビルでございますが、都内のビルでやっておりますエアコンディショナーと、それから外側との大気汚染関係がどういう関係になっておるかということを調べております。それによりますと、浮遊ふんじんと亜硫酸ガスというものは空気調節装置によって非常に効果をあげるということは明らかになってきております。しかしながら、一部の汚染物質につきましては、空気調節装置がありましてもほとんど意味がないというようなことが、汚染物質の質によっては差があるということは明らかになっております。
 それからもう一つは、効果はどうかという点につきましては、やはりどのようなビルで、どのような構造を持ったところにどのような機能の機械をどういう置き方をしておるかということと、その維持管理が非常に問題になっておりまして、単に空気清浄化装置がきくかきかないかということだけで論ずるのではなく、ビルの構造、配置等にあわせて判断すべきものだ、かように思っております。これにつきましては、調査、研究の資料は私どものほうにございます。
#35
○千葉千代世君 関連ですからあまり長くは聞きませんけれども、私が聞いているのは学校なんです。一年生でいいますと、普通基準で四十五人といわれておりますけれども、先生の学校は何人か私知りませんけれども、おそらく一学級四十五人前後ではなろうかと思います、基準からいえば。その子供が絶えず吸ったり吐いたりして、そのクーラーが据えつけられているということが書いてありますね、さっきの質問の中に。それがずっと、一年生ですから授業時間は短いわけですが、今度は上級学年になりますと、もっと授業時間が多いんです、五時間、六時間ですから。ビルの中のあまり人のいない、会社によるでしょうけれども、その比較ではないんです。それでおとなのからだではなくて子供のからだであるということで、やっぱりこれは早急に科学的なデータをほしいものだと思いますのですけれども、そういう調査を始める用意があるでしょうか。なければこの装置がいいとか、悪いとか、きくとか、きかないとかいうことは、それはないよりはいいということは言えるでしょうけれども、やるからにはやっぱり徹底した清浄装置をしなければならぬじゃないか。それに要する費用も三分の一国が持つということ、それで地方があと持つんだということでもたいへん少ないことであって、なかなか貧困町村では持てないし、特に企業がそれを責任を持って出せといわれても、いまの企業では出せない現状ではないでしょうか。そういうような点についても公害事業防止団という、そういうふうな問題も含めた内容になっているかどうかも、私まだこまかく検討しておりませんけれども、どうなんでしょうか。
#36
○説明員(菅野誠君) 公立関係の公害として、学校に騒音防止のための空気浄化装置、クーラーの歴史は新しいわけでございますが、このほかに、飛行機騒音の基地周辺の学校に対しまする防衛施設庁関係でやっておりますもののやはり空気浄化装置、クーラーということで、その実績がもっと前からあるわけでございまして、そちらのほうの調査をやれば、私どものほうでやった経験から申しますと、やはり相当効果があるという結論がそちらの委員会のほうで出ておりますので、それでこの公害の関係につきましてもこれを応用してやる、かようになっておるわけであります。ただ初期のものにつきましては、この場合にもたぶん第一年度にやったものが、あまりこちらに相談なしにというと失礼ですけれども、ばらばらでやったものがありますので、そのものがやはり音が、浄化装置の騒音防止でありながら、逆にクーラーのほうの騒音が出るというものがございまして、これがぐあいが悪いというのがありまして、これを設置するときにおきまして、できるだけ効率のよいものに改めていくように指導してまいったわけでございます。
#37
○杉原一雄君 それでは文部省はこれでようございますから、先ほどお話しした第三点に移るわけです。お手元に御配付いただいております二月十四日の「川崎・横浜地区産業公害総合調査にもとづく改善指導について」のことでございますが、まず、四十二年四月から一年半にわたって、通産省が非常に御苦労なさって調査をされたわけですが、これにはこの「はじめに」というところに書いてありますとおり、横浜なり川崎の市当局の協力ということでうたわれているわけですが、ただ、私、奇異に感ずるのは、この種の仕事ないし仕事の結果に対する点検、指導等について、厚生省がどういう立場に置かれておるのか、そのことをまずもってお聞きしたいと思います。
#38
○説明員(橋本道夫君) この調査でございますが、厚生省と通産省は両方でこの事前調査ということにつきまして、どこの場所をどちらの省がやるかというようなことを相談しながら、いわゆる場所割りのような形で、現存非常に需要がたくさんございますのでやっております。そういうことで、この地区は通産省が持たれたということでございます。
 それからもう一つは、この事前調査の中で、産業の発生源そのものに対しまして、いろいろ個別の企業から、将来計画をとって風洞実験をやり、特にそのうちの風洞実験につきましては、通産省がもっぱらおやりになるという方針で現在進んでおります。今回のこの調査につきましては、通産省自身がおまとめになったものでございまして、私どもは一切これに参画いたしておりません。新聞発表される前日に、私どもはその内容を承知したというのが実態でございます。
#39
○杉原一雄君 そのことだけがどうも私にわからないので、特に公害問題でございますから、厚生省が、少なくとも作業の段階であらゆる研究に協力するとかいろいろなこともあり得るだろうし、いま一つは、結果に対して対策を立てる場合に、通産だけで対策を立てることはどうも私には、しろうとにはわからない。役所の関係、機構の関係わかりませんが、しかし、現在橋本さんがはっきり言ったわけですから、これ以上過去にさかのぼってどうこうするわけにもいきませんから、私、実はその点疑問に思って、いまだにそのことはわかりません。望むらくはそういうことがあってはならないのじゃないかというふうに実は思います。
 通産省のほうに実はまずお聞きしたいのは、通産大臣が先般この場で所信表明をされた中で、公害の未然防止対策の徹底と、法的規制の強化というところがあるわけです。その中で、明年度の考え方の中で、四日市など三地域について云々ということで、公害防止計画についての調査なり対策を、何か地域指定をしてやりたいと言っておいでになるわけですが、そのこととこの調査とは関係がないのですか。また、地域的には、その三地域の一つにこれが入っているのかどうか。これは文章に出ておりませんから、その点、まずお聞きしたいと思います。
#40
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生の御指摘の大臣の所信表明の中にある公害対策基本法に基づく公害防止計画について、とりあえず四日市などの三地域と書いてございますが、これは公害対策基本法第十九条に基づく公害防止計画でございまして、これは内閣総理大臣が方針を指示して、そして都道府県が計画をつくって、さらに公害対策会議、内閣総理大臣を中心とする公害対策会議がこれを承認するという内閣ベースでやるわけでございますが、そういうものでございますが、これ観念的に分けますというと、産業公害事前調査というのは、これは一応別に、主として工場の将来計画を中心にして改善指導するというところに眼目があるわけです。ところが、さっき申し上げました公害防止計画というのは、単に工場だけでなくて、住宅その他の土地利用計画あるいは道路、港湾その他すべてのものを総合的にやっているというところに観念的に違いがあるわけです。ただ、具体的に申し上げますというと、この産業公害事前調査の結果は、少なくともその公害防止計画の相当部分を占める発生源である工場についての計画でございますから、結果的には公害防止計画の中に包摂されるべきものだろうと思っております。
 なお、地域につきましては、来年度は四日市それから水島、市原と、三地区やるわけですが、これについては市原と水島についてはすでにいわゆる産業公害事前調査が行なわれておりますから、いま申し上げましたように、相当程度これに包摂されるわけですが、四日市につきましては、事前調査をやっておりませんので、直接産業公害事前調査と防止計画とは結びつかないことになっております。
#41
○杉原一雄君 その次に、調査の重点的な御説明をいただきたいわけでございますが、九ページに示されているように、第六表によって自記記録計による亜硫酸ガス濃度、それが川崎市大師保健所で測定されたものが四十、四十一、四十二各年度とも〇・一一というおそるべき数字が出ているわけです。私もこの数字を見ながら驚いているわけですが、そうしたやはり産業公害の国策として今後対策を練っていく場合に、今後とも、各地域に、いろいろこの運動なり行政を進める上において、きわめて重要な問題点になり参考になることがあるのではないか。そういうことをこの報告の中からつかみ取っていきたいし、お互いにまた、可能な限りの力を合わせながら問題解決に努力したいという観点から、調査の結果について、時間がございませんからきわめて重点的にひとつまず御報告をいただきたいと思います。
#42
○政府委員(矢島嗣郎君) 最初にこの報告書の性格についてでございますが、この二ページのところの一番下から六行日あたりに書いてございますが、「企業に対する指導の緊要性にかんがみ取りあえず大気汚染に関する予測調査の結果の概要をとりまとめ、これに基づき大気汚染の状況を積極的に改善するための企業に対する指導方針を確立する」、こういう点でございます。したがいまして、この最後に書いてありますように、「将来の大気汚染の状況がどのように改善されるかの内容を含めました報告書を後日、改めて提出する予定である。」ということで、この報告書は、いわば調査してだいぶたったので、とりあえず中間的な報告書でございまして、内容的にも、いわば第一次改善指導のやり方と、こういうことでございまして、これから第二次指導、第三次指導を次々と重ねまして、そして半年ぐらい後において最終的な結果が出る、こういう段取りに相なっているわけでございます。それが性格でございまして、その内容は、簡単に申し上げますというと、一五ページの最後のパラグラフに書いてございますように、予測の結果は、現在記録されている高濃度の汚染がさらに残るとともに、将来においてはその濃度及び汚染地域範囲が相当ふえるだろう。すなわち、狭い範囲であるけれども〇・六ないし〇・九の出現が予測されると、こういうことをうたっているわけです。そこで、一六ページから一七ページに書いてありますように、調査対象工場八十五工場について四十七年のことを予測し、そうして各工場別にその三割ないし四割の着地濃度の改善ということを指導してやりまして、そしてその指導に基づく各工場別の改善計画を出してもらい、その出された場合においては、その具体的措置の妥当性をチェックするとともに、風洞実験を再びやりまして、その結果がどうなるかということを見ると、こういうわけでございます。
#43
○杉原一雄君 時間がございませんから、大体私いままでの説明で了といたしますが、ぎりぎり一七ページのところにいま部長の最後の答えが出てきたわけですが、それで、各工場からこれに基づく改善計画を提出させると、これが現に出てしまったのか、どういうことになっていますか。
#44
○政府委員(矢島嗣郎君) 現在のところ全部出ました。
#45
○杉原一雄君 これは目下検討中だろうと思いますが、検討した結果、通産省としてはそれを全部了とするか。足らないところはまた追っかけ指導されるわけですが、そうしたことについての次の時点の通産省の指導計画、改善計画のまとまりを、いつごろをめどに置いて作業を進められますか。
#46
○政府委員(矢島嗣郎君) 改善計画は全部出たわけですが、当然これだけで満足すべきものではおそらくないと思いまして、さらにこれを風洞実験にかけまして、追っかけてさらにこれを改善させるような指導をやらなければならぬと思います。そういうふうにいたしまして、あと一、二回その第二次、第三次をやりまして、いまから半年後ぐらいには最終結果を出そうと思っております。
#47
○杉原一雄君 それでわかりますが、それが、先ほど冒頭に申し上げた、亜硫酸ガスならば〇・〇五、それに近づけるまでの企業並びに通産が一体になった努力、その目標は、どこに、何年後に据えられておるわけですか。
#48
○政府委員(矢島嗣郎君) 一応この事前調査は、これにも書いてございますように、昭和四十七年を目標にしているわけでございまして、その四十七年の時点においてどういうふうに改善すべきかということをやるわけでございますが、これを、冒頭に先生のお話のありました環境基準との関係で申し上げますというと、これ以後、この四十七年時点におけるこの主力となる八十五工場、実際問題としてさらにその後十五工場加えまして百工場くらいになるわけですが、これが主力を占めておりますから、このスケジュールでもって改善指導をしていくほかに、それ以外の中小煙源も相当あるので、こういうものにつきましては、環境基準のところの閣議決定にも書いてありますようないわゆる低硫黄化対策、低硫黄化対策によりまして硫黄分の少ない低硫黄の重油の供給を潤沢にするということによりまして、そういう中小煙源、ビル暖房等についても改善が加えられまして、これらを全体を含めますというと、四十四年から五年後、すなわち四十八年においては、いわゆる中間目標というものが達成されるものと思います。さらにその後、あとの五年間において燃料の低硫黄化がさらに進むでありましょうし、脱硫技術も長足なる進歩をとげると思いますので、十年後においては環境基準は達成されるものと期待しております。
#49
○杉原一雄君 なかなかのんびりしたような話で、企業はつぶれてもどうにもなりませんけれども、最大限の御努力をいただきたいと思うわけです。
 これで私の質問を打ち切るわけですけれども、いまあえて最後に申し上げたいことは、きょうの朝日新聞で、法務省において「公害罪へ積極方針」、これは先般本会議で千葉委員が質問したところでありますが、それは川井刑事局長が、刑事部長会同ですかの中でそういう言明をしているわけです。問題は、そこまで社会の通念が前進しているわけです。大体公害ということば自体がもうすでに吟味さるべき段階に来ている。公害じゃないのじゃないでしょうか。だれが犯人かということはきわめて明瞭であるから、あくまでこれは私害なんだ。で、私害の累積にすぎないという、公害に対するこの概念自体が変わりつつあるのではないか。これはわれわれ大衆の力で変えつつあるのではないか。だから、そうした責任の問題、また社会的なそれに対する価値判断の問題からしても、これは社会的害悪であり、社会の害である。あくまで公害の排出は社会的犯罪であるという原理原則にもう一度私たちが戻って、法務省が公害罪の設定まで踏み出そうとしている。この積極的姿勢が行政当局もきわめて必要でないか。これ以上私は理屈を申しませんが、やはり人の命を大事にすることがあらゆる政策の出発点でございますから、特に通産当局の今後の御努力を期待申し上げるとともに、最後に、先ほどの厚生省との関係、もう一つは冒頭に書いてある横浜市、川崎市との関係、こうしたところにつきましても何か協力をしたというふうに書いてありますが、この点若干私、いろいろな雑音が耳に入っているわけですが、それをあえてがまんをしながら、何か川崎市なり横浜、またその他の地域については、それぞれの県市町村段階との緊密な協力のもとに、こうした作業をより積極的に進められることを最後に希望申し上げて、私の質問を終わります。
#50
○内田善利君 去る四月九日の日に、本委員会にカドミウム汚染について五名の参考人をお呼びして、いろいろ貴重な御意見を伺ったわけですが、そのことに基づきまして二、三政府当局に質問いたしたいと思います。
 橋本公害課長にお願いしたいのですが、健康調査の発表は五月ということでございますが、私は対馬地区について質問したいと思うのですが、去る二月十八日の日に、対馬地区の重金属中毒による障害者審査会、この第一回の審査会を開いたわけですが、その中で長崎県の衛生部長が、「厳原町の樫根、下原、床谷地区に住む四十歳以上の住民二百六十人の健康調査結果について四十四人が尿中の糖、タンパクに変化を起こしたり、血液中のアルカリフォスターゼの異常がわかり、うち三十八人についてはレントゲン写真をとって骨の変化を調べた結果、重金属障害の疑いがあることを指摘、このため審査会は、県提出の資料やレントゲン写真を中心に今後さらに精密な審査を続けていくことになった。一方、二十日には東京で日本公衆衛生研究会主催の「カドミウム産出鉱山、精練所周辺の微量重金属環境汚染調査会」が開かれ、県からは福田衛生部長が対馬地区のデータを報告した。同会はこれら調査結果の最終的な結論を三月中に出す方向で検討を進めている。」、このように新聞に出ておるわけですが、この見出しも、「対馬汚染は事実」というような見出しで出ておりますが、この長崎新聞あるいは県の衛生部のこの発表について、厚生省の正式な検討を待たずしてこれを発表したわけですが、このいろいろな所見、あるいはエックス線の所見等、だれが見たのか。この発表は権威のある発表であるのか、この点についてお伺いしたいと思いますが、先ほどの厚生省の発表とこの発表とで非常に矛盾する点が多いために、現地住民は非常に不安に思っているわけですが、このことについてお聞きしたいと思います。
#51
○説明員(橋本道夫君) まず初めに、本年二月十八日の衛生部長のお話の点でございますが、これは長崎県がこれを審査するための専門家の委員会をつくりまして、全員十三名で構成されておりまして、そのうちの六名は地元長崎大学の医学部の専門家及び原子力障害関係の専門家の方が加わりまして、整形外科の方、あるいはじん臓内科、そういう観点からの方がすべて加わった委員会を構成してやっておったわけでございます。で、おっしゃいました二月の十八日は最初の日でございまして、もう一度三月の十五日にいたしまして、そして三月になりましてこれを最終的に発表いたしております。その発表した内容の概要を申し上げますと、先ほど先生のおっしゃった、精密検査を要する、そうしてレントゲンの写真をとった結果といたしまして、老人性の骨の変化と見られるものが中にあるということを言っております。この点につきまして、今後どういう問題が出てくるかという論議がいろいろあろうかと思われますが、一応この段階では、老人性の骨の変化だというぐあいに整形外科及び放射線関係の専門家は診断しております。それから尿のテストにつきましては、たん白と尿の陽性率が比較的高い、しかも両方とも陽性というものがあるという点を指摘しておりました。じん臓障害があるが、これがはたしてそれだけではカドミウムによるものかどうかということにつきましては、さらに今後研究を進めなければ鑑別がなかなかむずかしいということを言っておるわけでございます。そういうことでございまして、この委員会がやりました、この健康診断基準といいますものは、富山県のイタイイタイ病のために設けられておりますイタイイタイ病審査会というのがございまして、それには金沢大学と、それから富山県の中央病院の院長さんと萩野先生と、みんなが加わりまして、それらの専門家の合意のもとにきめられた健康基準というのがあるわけでございます。その診断基準によって判定されたということでございまして、ここに加わられた大学の先生方はすべて高度の専門家でございます。レントゲンの読影にせよ、あるいはその他整形外科の問題にせよ、衛生の問題にせよ、薬理の問題にせよ、高度の専門家でございまして、医学の診断というものは、やはり大方の専門家の合意した診断基準を採用して専門家が行なうということは私どもは適切なことではないか、そういうふうに思っております。そういう意味におきまして、この地区につきましては、私どもは要観察地区ということを申しておるのでございまして、厚生省の発表と矛盾するという点は、ちょっと私十分……あとでまた御意見があろうかと思われますが、私どもといたしましては、県がやった結果として、その骨の複雑な症状に及んだような、明らかにあれはイタイイタイ病だ、従来のイタイイタイ病の診断基準から見て診断されるというものが現時点においてなかったということは、これは権威のある判断であろうかと思っております。しかしながら、じん障害としてあらわれておる少し高いというものが、はたしてカドミウムによるものかどうかということにつきましては、厚生省見解の中でも述べておりますように、鑑別診断の要ありというような判断をいたしておるわけでございまして、私どもは、そのような骨に及ぶというものがすぐ出るとは考えられない。しかしながら、それだけで置いておいてはたいへんでございますから、鑑別診断を進めるということを頭に置き、それから患者がいようがいまいが、とにかく汚染がある、とにかくそういうものを食べているということを中心にして対策は徹底的にいまからやるべきだ、そのような考えのもとに進めておるわけでございます。
#52
○内田善利君 先ほどの萩野博士の意見によりますと、骨盤とか大腿部のレントゲンをとって見なければイタイイタイ病と判断できない、このような意見が出ておりますが、この点についてはどうでしょうか。
#53
○説明員(橋本道夫君) この、県がやりました検診の方式の中には、いま申されました骨盤、大腿部をとるということは入っておりました。そのうちの全部の患者がとられたかどうかということにつきましては、私どもちょっと残念でございますが、現在の段階ではつまびらかにいたしておりません。しかし、骨盤の写真をとったということと、その骨の写真は所要の場所をとったということは事実でございまして、これはあと鑑別の問題として、この五月の合同研究会のときに論議になろうかと思っております。
#54
○内田善利君 この報告にありますが、現在イタイイタイ病が発生するとは考えられないと、こういう公害課長の結論だったと思うのですが、あそこは二十年プラスアルファのキャリアを持っておる。鉱山自体からいいますと、非常に長いキャリアがあるのじゃないかと思いますが、一応現在の鉱業所から見れば二十年プラスアルファかと思いますが、そういったキャリアである以上は、第二期症状ないし第三期症状ばかりだと、こういうことでしたが、これと関連していま現地の中には、自分は一期じゃなかろうか、二期じゃなかろうかというような不安を持っている人もおるわけですが、そして長崎新聞では、汚染も事実、とありますし、そういったこと等から非常に、わかればわかるほどみんな不安に思っているわけです。こういった点について「イタイイタイ病が発生する危険があるとは考えられない」というこの間の報告と、第二期か第三期かという症状の状況である、今後十年たつと発生するおそれがあるという小林教授の発言もありましたが、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
#55
○説明員(橋本道夫君) 厚生省の見解の中には「今直ちに、」ということを入れております。そういう意味で、将来このままで何もしないで置いておきますと、私どもはそういう危険がないとはいえないと思っております。いま直ちに複雑な骨の症状のあるようなイタイイタイ病の発生する危険があるとは考えられない、このようなことが入っております。将来長く置いておいても発病する危険がないというような断定はいたしておりません。
 先ほど申しましたような第一期、第二期、第三期、第四期、第五期というような考え方につきまして、萩野先生がおっしゃっておられますが、現在萩野博士もそのメンバーの一員でおられますイタイイタイ病の審査協議会におきましては、四つの段階を設けておるわけでございます。一つの段階は、明らかにイタイイタイ病と診断できるというものでございます。それから第二の段階は、イタイイタイ病であるという疑いが非常に濃いという段階でございます。それから第三の段階は、少しイタイイタイ病の疑いがあるという段階でございます。
 現在、富山県でイタイイタイ病として診断されて、イタイイタイ病として治療を受けますのは、この第一、第二、第三段階でございます。第四段階は、尿やあるいは血液の所見だけ出るが、骨の所見が出ないというようなものでありまして、典型的な骨の所見は出ない、そのようなものについては要観察ということばを使っております。私どもの要観察といいますのは、そのことばにあわせて使っておるわけでございます。
 そういう点におきまして、一と二と明らかに診断されるはなはだしく疑いのあるものあるいは軽度の疑いのあるものは、現在の段階では、長崎県が診断基準に従って専門家が寄ってやったところではなかったということが事実でございますので、非常に長期にわたる病気でございますから、私どもはいま直ちには危険があるとは考えられないが、鑑別診断の要ありとして要観察にしたというのが私どもの考えでございます。
#56
○内田善利君 要観察地域になったことはよくわかりますが、要観察患者はいなかったかどうかお伺いしたいと思います。
#57
○説明員(橋本道夫君) 要観察ということばはどういうことかということでございますが、この点につきましては、石崎先生も御意見をお述べになりましたが、尿所見でたん白と糖が両方出ている者があるということについては、カドミウムの影響ではないかと思って処理すべきだろうという考えを、石崎先生、述べておられます。ただ、これをカドミウムの影響だとして診断基準で割り切るということは、少なくとも私どもいま承知する範囲内におきましては、現在の医学では鑑別がつかないということになっておるわけでございます。
 労働衛生におきましても、いまカドミウムの鑑別診断基準というものがございません。そういう意味におきまして、私どもは、あくまでも要観察――鑑別診断の要ありということでございます。むしろそのような軽い段階においてなおかつ分ける方法があるだろうかどうだろうか。絶対予防して、もう二度とああいうことを繰り返さないというような観点からいたしておるところでございまして、患者ということばを使うことは、私どもは適切ではないのではないかというように思っております。
#58
○内田善利君 じゃ要注意者。
#59
○説明員(橋本道夫君) 要経過観察者ということです。
#60
○内田善利君 わかりました。この間あやしい患者がいたらどしどし出していただきたいと、こういうお話がありましたが、もしそういうあやしい人がいたら、厚生省はどのようになさる計画であるか、お聞きしておきたいと思います。
#61
○説明員(橋本道夫君) この間のときに、あやしい患者があれば出していただきたいということを申し上げたわけでございますが、私どもは、現在、行政としましてもあるいは医学としましても、この人が患者であるということをきめますには、医師がその患者に会っていろいろ問診をしまして、そしていろいろな診察をして、あらゆる検査をしまして、経過を見て、それによって診療録をつくりまして、そこに診断書を医師の責任において書いて、それで初めて患者ということが成り立ってくると私どもは思っております。私どもの行政の立場では、そのような明確なものがあるということが基本になるものと思われます。そういう点で、患者ではないだろうかということでいろいろ言われましても、その手続が全部踏まれて、明らかに患者として扱えるかどうかということが、どうしても行政としてはそのようなラインを明らかにするということが必要であると思っております。
 そういうことで、私どもの四十四年度の一つの焦点は、鑑別診断が早期にできるかできないか――私どもはイタイイタイ病ということばにはこだわっておりません。カドミウムの慢性中毒として、じん障害だけの所見があらわれたということだけの段階で、学問的に鑑別診断ができるかどうかということに最重点を置きまして、それにつきまして集中的に研究費を投入したい、そのような考え方であります。
 そういう点におきまして、今回調査のございましたこの宮城県、長崎県、それから群馬県と、この三つのケース及び富山県の研究班の成績は、前申し上げておりました来月中に行ないます医学研究集会に出していただいて、論議をしてもらう。集団検診の結果も出していただく。それから労働衛生あるいは基礎医学あるいは臨床、公衆衛生、現在医学の専門家と目される人が一堂に会しまして、純学問的な、純粋に学問的な論議をしてもらう。それによって、大方の専門家の意見がどの辺で合意するだろうかということを見てから、厚生省の措置を明らかにしたい、このように思っております。
#62
○内田善利君 いまの中に入るかと思いますが、調査研究だけじゃなくて、予防対策も本年度は打っていくと、こういうことでございましたが、対馬の場合、予防対策といったら、どういうことを意味するのか。
#63
○説明員(橋本道夫君) 私、いま十分申し上げませんで恐縮でございましたが、私どもこれらに対しまして発生源対策を厳重にやるということが、まず一番基本でございます。もう一つの問題は、先ほど鑑別診断は申しましたから、これを省きまして、保健対策を進めるということでございます。保健対策としましては、その病気がカドミウムによるかどうかわかりませんが、とにかくじん臓障害ということでございまして、そういうような性質のものに対しましては、石崎先生は、治療の必要までないだろうという判断をされましたが、やはりどのような食餌療法――食事でコントロールできるかどうかということ、それは非常に栄養の点で関係ございまして、そんなような問題を地元の保健所あるいは国保等の公衆衛生組織を通じましてやっていきたい。またそれと同時に、どういう程度に作物にカドミウムが含まれるかどうかというようないろいろな調査でございますが、なるべくどのような作物は少ないか、どういうぐあいにして食べればそれを減らして食べられるかというようなこと、あるいは食物の組み合わせというようなことを中心として保健対策を進めていくということでございまして、鑑別診断の結果を待たずして、そのことは並行して進めたいというような考え方に立っております。
#64
○内田善利君 大体本年度に対する厚生省の対策はわかったわけですが、こまごまとした中で一つお聞きしたいと思いますが、対馬における米の関係ですが、この米のカドミウムの濃度が〇・三三から一・五七PPM、平均〇・七一PPM、こういうことですが、これは神岡鉱山よりは低い、神通川流域よりは低い、こういうことですけれども、基準の〇・四PPMをこしているわけです。したがいまして、現地の方々は基準の〇・四PPMよりもこしているということに不安を持っているわけですが、この点についてお聞きしたいと思います。
#65
○説明員(橋本道夫君) 御指摘のありました米の濃度でございますが、これは玄米でございます。そういうことで、精白をすることによってもう少し下がるという事実はございます。
 それからもう一つの点につきましては、カドミウムの濃度ということにつきまして、食品の研究グループのほうでやっていただきましたときに、その一PPMというものであっても、これを長期にわたって食べておっても、現在の知識では心配だとは言えないということを、学者の先生方はおっしゃっておられますわけでございます。
 で、この点につきましては、いろいろな実験研究がございまして、実験研究はこの間小林先生もおっしゃいませんでしたが、小林先生のテストは一〇〇PPMのえさを食わしておるわけでございます。一〇〇PPMのえさを食わしておったときにカルシウムの代謝が負になったという数字でございまして、いろいろの実験として成功しているものは、百のオーダーのものが圧倒的に、みんなそういうオーダーでしか出てこない。長期でしか出てこないということでございますので、私ども現在の段階では、その濃度の高いものだけを食べている人ということがあるかどうかという確かめは一応必要だと思いますが、ただ、それを普通に食べておって十年やそこらでいろいろな問題がすぐさま起こるとは私どもいまの知識として考えません。しかし、その点につきましては、漸減対策ということはいい悪いにかかわらずやるべきことであるというような考え方で臨んでおるわけでございます。
#66
○内田善利君 樫根地区の住民は、ほとんど八割ぐらいが年間保有米の農家なんですね。したがって、ここで汚染されている〇・七一PPMぐらいの、〇・四PPM以上の米を年間食べているわけですが、それでも心配ないかどうか。ネズミですか、動物に一〇〇PPMの米を食べさせたら骨が腐っていった、こういう小林教授の話でしたが、その辺を明確に、〇・七一PPMの米を年間保有米の農家が一年間食べても、あるいは何年かわかりませんが、それでもだいじょうぶなのかどうか、その辺を早く明確にしていただきたい、このように思うわけです。
#67
○説明員(橋本道夫君) いまのおっしゃいますような点、私どもも早急に詰めていきたい、そのように考えております。また、地元の指導というような点につきましても、県と十分連絡をとりまして、できるだけこまやかな活動を中心として判断してやっていきたいということでございます。また、数字がわからなくても、漸減対策として有効なもの、実施できるものはどんどん実行に移してもらうというような方針で臨みたいと思っております。
#68
○内田善利君 もう一つ、米のサンプリングのしかたですけれども、これは厚生省のこの間の発表だったと思いますが、富山の場合は婦中町全農家からとってその平均値をとった。これは間違いございませんね。ところが、安中の場合は高崎市からもとって平均値を出した、このようなことですが、高崎市はあまりカドミウム汚染とは関係のない地域である、このように聞いておりますが、この点はどうであったか。これに相関して、対馬の場合はどのようなサンプリングをやったのか、お聞きしたいと思います。
#69
○説明員(橋本道夫君) いまの御質問の点につきましては、私どもは、この流域単位にとっておりまして、行政区画として見ておりません。流域単位に汚染、非汚染分けておりましてやっております。小林先生は、サンプリングの場所をどこをとるか、特に安中につきましては小林先生の指示のとおりの場所をとっております。それ一切をはずしておりません。そのような意味におきまして、サンプリング・サイトがまずいということは一切ないわけでございます。それから高崎云々につきましては、あそこにございます碓氷川流域という単位でとっておりまして、その中において高崎も少し汚染されているところがあるということでございますけれども、その単位で見たものの言い方をしておりますから、私どものやり方は間違っておらないと思います。また、高崎をはずしてみて試算をしてみましたが、有意の差はございません。対馬のケースにつきましても、やはり流域単位にとっておりまして、流域全体として汚染地域とコントロールの非汚染地域をやっております。特に申し上げますが、対照地区の低い濃度の米は一切その中に含まれておりません。対照地区の低い濃度の米で計算したという事実はございません。
#70
○内田善利君 大体わかりましたが、通産省にお聞きしたいと思いますが、これは前に一ぺん質問したと思いますが、あそこの対州鉱業所のダムについて、あのダムは何カ所かありますが、石灰を用いて中和しておるわけですね。あの中和ではたしてカドミウムがなくなるものかどうか。石灰を用いるその機構についてお聞かせ願いたいと思います。
#71
○説明員(下河辺孝君) 対州鉱山の鉱排水処理につきましては、これを集中的に一元化いたしまして、現場で、第一堆積場と言っておりますが、佐須川のすぐ横にございます堆積場で中和処理して、あとはその浮遊物を沈澱池からその上澄みだけを川に投入しておるという方式をとっております。まず鉱排水及び洗鉱の排水の一部は中和槽という槽に入りまして、ここで石灰を注入される。それからまた、澱物の沈降を促進するために塩化亜鉛を添加しておる。塩化亜鉛の添加につきましては、これを添加量を一定量に保持する必要がございます。その添加量が少なくなりますと警報が鳴って、直ちにまたその量をもとに戻すことができるような装置をつけておりまして、また、石灰の投入につきましては、個々の排水の最も沈下に適した水素イオン濃度をきめてございまして、その水素イオン濃度を常時磁気記録計で測定しておりまして、それで合うように石灰の量を調節しながら加えているわけでございます。この沈澱池、第一堆積場と申しておりますが、容量は約二十万立方メートル前後でございまして、われわれとしましては、こういう処理を行なって十分にカドミウムを除去していきたい。現在の技術的な水準から見て、十分なものであろうというように考えておるわけでございますが、この処理後の排水中にありますカドミウムは大体常に〇・〇一PPM、前回の八月の調査におきましては〇・〇五ないし〇・〇六、われわれが利水地点における目標水質としておりますものをはるかに下回った数字になっておりますので、現在の設備で十分であると一応考えておる次第でございます。
#72
○内田善利君 石灰をまく前は酸性なわけですね。酸性だから石灰をまいて中和して沈澱させる、こういうわけだろうと思いますが、排水口から出て来る水は確かに〇・〇一PPM以下ですから安全だと思いますが、どうもあの中和槽を見ますと、雨でも降って決壊でもしたらたいへんだな、そういう感じがするわけですが、そういう決壊のおそれはないかどうか、また、決壊したときはたいへんなことにならないかどうか、お聞きしたいと思います。
#73
○説明員(下河辺孝君) 対州鉱山では、現在使っております堆積場が二つございます。いずれも百年降雨量をもって設計された堆積場になっております。もう少しこまかく申し上げますと、鉱内水はすべてただいま申し上げました第一堆積場に入るわけでございます。洗鉱の排水は、これをカロコーンとかあるいはシックナーなどで処理いたしまして、その澱物と申しますと、固形物のたくさん入っているほうでございます。これは第二堆積場、鉱山地帯のちょっと上流の奥のほうにある沢に堆積しておるわけでございます。それからそのシックナーの上澄みでございますが、これを先ほど申し上げました中和槽を通して第一堆積場に入れまして、そこで中和処理して放流する。これらの堆積場につきましては、金属鉱山の保安規則によりまして、その認可あるいは検査の場合に、厳重な構造それからその管理の方法につきまして監督をしているわけでございます。決壊のおそれはないというふうにわれわれとしては一応考えております。
#74
○内田善利君 わかりました。
 それからあそこは非常に昔の鉱山のあとで堆積土といいますか、土壌そのものが非常にカドミウムをたくさん含んでおるわけですが、これの除去の方法はないものか、この対策あれば教えていただきたいと思います。
#75
○説明員(下河辺孝君) お答えいたします。この対馬は昔から銀の産地ということで知られておるわけでございますけれども、約千三百年ぐらい前に、日本で初めてこの対馬から銀が産出されたというような文献も残っておるところでございます。しかも、現在の樫根部落あるいは床谷、それから下原でございますが、その辺の現在の畑あるいは水田のところには昔、大体西暦六〇〇年代から一七〇〇年ごろにかけてその部落の付近の鉱山が掘られたという記録もあるようでございますが、そういう昔掘られて堆積されたズリとかあるいは精錬のからみ、その上にすでに表土がかぶって、一見したところ普通の土地と変わらないというような状況にある個所が数カ所あるようでございますけれども、これらにつきましては、現在の鉱業法によりますと、賠償の規定その他もあるわけでございますけれども、このような場合のように、公害発生の原因となったズリとかからみ等の堆積作業が現在の鉱業法の体系が整う前に行なわれたというようなものにつきましては、鉱業法上の賠償の制度というものは適用されないというような見解のようでございます。したがいまして、私どもとしましては、このような公害の処理につきましては、基本的には地域住民の生活環境の改善あるいは土地行政といいますか、農地行政といいますか、そういうようなものを直接御担当いただいております県に主体になってもらいまして具体的な対策というものを考えていただく、それに国としてもできる限りの援助をする、それからまた、企業としてもできる範囲のことをするというような考えで、今後処理していかなければならないのではないかというふうに考えております。
#76
○内田善利君 大体わかりましたが、健康調査の結果が五月発表ということですから、これをみんな待っておりますので、ひとつ明確に発表していただきたいと、このようにお願いして、この問題は終わりたいと思います。
 次に、二、三年前から有明海のノリのことですけれども、赤腐れ病とかあるいは白腐れ病とかいって非常にノリ業者が大きな痛手を受けたわけですけれども、このことについて水産庁見えておりますか――にお伺いしたいと思いますが、この原因は何なのか、また、その対策はないものか、お聞きしたいと思います。
#77
○説明員(安福数夫君) ノリというものは、わりあいに冷水のところでつくられる植物と申しますか、海藻でございます。ここ戦後、わが国のノリの生産というものは非常に順調に伸びてきたわけでございますが、これは単に量的な増大と申しますか、生産性の向上だけじゃなくって、漁場も地域的に非常に拡大したということでございます。御承知のように、日本のノリが、浅草ノリといわれましたのが東京を中心につくられたわけですが、それが伊勢湾にまで外延的に拡張し、それが有明海まで拡張したわけでございまして、現在有明海が一番の主産地になっております。それがやはりノリ自身の生理的な問題、そういうわりあいに冷たいところでつくられる。御承知のとおり、やはり十二月からせいぜい三月一ぱいが最盛期でございます。そういった外延的な拡大というものは、ノリの生産についてある意味じゃ生産条件の不安定性を助長しているんじゃないかと、こういう問題があるわけでございます。それに並行しまして、いまの御指摘がありましたような赤腐れ病なり白腐れなり、そういった病原が最近ひんぱんに発生しているわけでございます。これは単にビールス的な問題と生理的な障害と両面あるわけでございまして、そういった面が漁場の使い方との関係におきまして、そういったものの発生のしかたなり、その強さというものも違ってまいる、こういう問題があるわけでございます。ここ十年くらいの間に、ノリの生産というものはそういう形で外延的にも内延的にも非常に拡大してまいっております。それに研究体制が追いつかないというような現状でございます。われわれ自身、そういう研究速度面に一つのウイークな面があるわけでございます。現在鋭意そういった基礎的な研究を強力に進めているわけでございますが、これは単にビールスであるとかあるいは漁場の使い方なり、それがどういう組み合わせでそういうことになっていくかという検討が必ずしもまだ十分できていない、いろいろな要素がこういった病害の原因に組み合っていると思います。そういった点について、研究網を動員しまして現在検討している段階でございます。
#78
○内田善利君 その検討はどこでだれがやっているのかですね、お聞きしたいと思いますが、温度のせいということですが、業者の間では農薬ではないかという説、それから工場地帯から流れてくる川の水が影響しているのではないかという説、もう一つは植え方ですけれども、密植のせいではないかと、このような四つのことが考えられておるわけですが、それにしても、だれもああいう大きな被害を受けておりながら、佐賀のほうからずっと南は熊本のほうまでノリ業者は大きな痛手を受けているわけですが、その被害に対して県の水産試験場は、ちょっと手を入れたくらいでだれも研究をしてくれてない、そういう声を聞いているわけですが、この点についてお聞きしたいと思います。
#79
○説明員(安福数夫君) これは国に水研が各ブロックごとにあるわけでございまして、その中に、主として西海区を中心に、あるいは東京にもそういう研究担当者がいると思うのですが、詳細には私承知しておりませんけれども、国の段階でそういった基礎的な研究については現在やっております。県自体でもやはりノリについての専門家というものが試験場にもおるわけでございまして、そういった方々といろいろな打合わせをして並行しながら進めておるということでございます。それがやはり点と線で研究されておるということは、こういった問題を解決する上に非常に問題があるわけでございまして、そういった意味合いで全国的にそういった打ち合わせもそのつど行なわれているように私は聞いております。担当の課長が参っておりませんので、それがどういう形であるか私は承知いたしておりませんけれども、それが面の形で行政にのせるような形で研究なり政策が進められているということは事実でございます。現に昨年、まあ有明海を中心にして申し上げますと、佐賀が非常に昨年度はひどかったのでございます。したがいまして、それの際に国の試験場の専門家も現にそういった漁場に参りまして、漁場の立て込み方なりいろいろな水の問題なり、そういった指導を具体的にやっております。本年もまた逆に福岡県のほうが非常に被害が大きいわけでございます。それについても昨年同様にそういう指導をしてまいっております。
 そこで、具体的にいま御指摘がありましたように、いろいろな要素が現在のノリの生産を不安定にしているということであろうと思います。それがどのくらいの寄与率で現在のノリの生産が不安定になっているかということについての一つの見解がまだ最終的になされていないという問題があるわけでございますけれども、具体的な現象といたしまして、昨年度佐賀県がかなり密植であったという経緯があるわけでございます。本年度は、佐賀の漁民なり県庁をあげましてそういった指導をやる、ノリの立て込み方、それについての一つの指導をやりました結果、佐賀県は、ことしはわりあいに、被害はございましたけれども、わりあい生産をあげているわけでございます。昨年度わりあいに被害が少なかったと申しますか、福岡県の施策につきましては、これがいろいろ指導もあったようでございますけれども、わりあいに密植的な傾向が本年の被害として、結果として出ている、こういうふうにわれわれは承知しているわけでございます。そういった密植が確かに悪いということは、われわれ現象的にもあるいは科学的にも言えるのじゃないかということでございます。
#80
○内田善利君 これは塩釜でもそういうことがあったと聞いておりますし、温度のせいであればこれは全国的に問題でありますし、もう少し農林省としても、水産庁としても、もっとよく取り組んでいただいて、非常にこれで打撃を受け倒産とか、まああちこち逃げていったとかいうような話も聞いておりますので、ひとつこの点もっと力を入れていただきたいと思います。
 それからそのことについて税金の問題ですけれども、昨年は一こま二十二万円だったと、ことしは一こまが八万五千円に、非常に少なくなった、しかも昨年は天災融資を受けたわけですね、ことしは天災融資を受けていないと、まあそういうことでありますが、ことしは二年連続で相当な打撃を受けておるわけです。したがいまして、ノリ業者に対して天災融資の方法をとるとか、そういったことをとるべきではないかと思います。去年やって、ひどいことしは、なぜやらないのか、この点もお伺いしたいと思うんですが。
#81
○説明員(安福数夫君) まあ天災融資法の発動について地域的にその発動を要請する動きなり、私どものほうにも陳情はございます。昨年度確かに天災法を発動したわけでございますけれども、これが天災であるのか人災であるのかという問題、これにつきまして――本年度もかなりな被害があるわけでございます。ただ、これは全国的に見ますと、一応冬場が高温に推移したということと、地域的に雨が非常に多かったというようないろいろな条件が重なっているように考えられますけれども、これを地域地域を具体的につかまえてみますと、東北地区においては非常な被害があった。しかし、佐賀なりいわゆる東シナ海地区と、こう称しておりますけれども、この地区におきましては、全体としての生産というのはまあまあできているんじゃないかという問題があるわけです。それをさらに細分しますと、福岡の場合はかなり極端な被害があるという問題があるわけでございます。その点、われわれ各県の事情なり専門家を呼びましていろんな情勢判断をいたしております。その結果、現在のところ、やはり天災法を発動すべしだという形で各県の統一的な動きとしてはあまりないと、今年度は天災法は発動を強く要請するというような動きは一部ではかなり強い要請がございますけれども、先ほど申し上げましたように、かなり天災だというきめつける一つのデータと申しますか、そういったものがないというような判断もあって、現在まだ天災法を発動するという段階にはなってないし、いまのところ、そういうふうには考えていない、こういうことでございます。
#82
○内田善利君 そのような二年連続の白腐れ病ですかが発生して大打撃を受けているところに、今回また海底陥没という事故が起こりまして、相当な広範囲に人工島のある周辺に陥没が起こっているわけですが、したがって、支柱が全部海底に埋没してしまって、これまた大打撃を受けておるわけですが、この原因と、これに対する対策をお伺いしたいと思います。
#83
○説明員(安福数夫君) まあ原因というのは、やはり海底で石炭が掘られているということだろうと思うのでございますけれども、海底で石炭を掘られる場合に、われわれとしては、漁業上の問題として、やはり原因者であるそういう海底で掘られる鉱山のほうで、やはり掘ったあとの充てんをある程度完全にしていただくということしかないだろうと、こう思います。ただ、海底で穴を掘る――陸上でも同じでございますけれども、隧道を掘りますと、やはりどうしても長期の間には非常に地盤が変動するということがあり得るわけでございますから、それが現象的に漁業を営む上に弊害になると、こういうことになりますと、やはり漁業上の問題としてわれわれは被害を受ける側でございますから、それについて、原因者のほうで一つの考え方がどうだろうかということをわれわれとしてはお聞きしたいと、こう思うわけでございます。もちろん関係各省の打ち合わせが済んでおりませんけれども、そういった話し合いが必要であろう、こう思っております。まあ、ただ有明の場合に、数年来そういう地盤の沈下が徐々に、いろいろな弊害が出つつあるということは私ども承知いたしております。具体的な、陥没して全く漁場が行使できないという、そういうことになっておるということも承知いたしております。ただ、その詳細についてわれわれのほうにまだ十分な把握がございませんけれども、ちょうどノリの生産が三月一ぱいで大体終わるわけでございます、あの地域につきましては。まあ今年度は、特に福岡県の場合はさらにもう少し早く切り上げが行なわれております。そういった漁業上の生産も終わった段階で、県で実際にこの被害の状況を調査したい、こういうことを言っておるようでございます。まあそういった報告をもとにしましてわれわれとしてもこれが対策をどういうふうに持っていくのだと、どうすべきだということをさらに検討したい、このように考えております。
#84
○内田善利君 いま仰せのとおり、もっとひとつ国のほうで調査機関を設けるなりして、関係省庁とよく段取りとっていただいて早く救済していただきたいと思いますが、鉱山保安局長にお聞きしたいと思いますけれども、これは鉱害補償法にかかるかどうか――鉱害復旧法ですか――お聞きしたいと思います。
#85
○説明員(佐々木茂行君) 鉱山石炭局石炭部の鉱害課長であります。
 先生御指摘の点につきまして、われわれのほうでもまだ現地の状況を詳細に承知しておりませんので、まだはっきりしたことがわからないのでございますが、急遽、昨日聞きましたところによりますと、三井鉱山のある鉱区におきまして、採掘の地域とノリをつくっております地域がかなり近いという事実があるそうでございます。ただその件につきましては、鉱山側と有明漁業組合連合会との間でただいま話し合いが行なわれているというふうに聞いておりますので、その話し合いの結果どういうことになりますか、あるいは当事者におきまして現地調査を行なうというような話が出ているそうでございますが、まあ現地調査を行ないました結果、石炭の採掘による地盤沈下が原因であるということがはっきりいたしましたならば、これは損害賠償等必要な措置を鉱山側が講ずべきである、このように考えております。
#86
○内田善利君 このノリの被害は、もう先ほども申しましたように、白腐れ病でたいへんな被害を受けておると、そこにもってきて今度の陥没による被害なんですが、現地の新聞によりますと、五十こま、五十ヘクタールのノリ漁場が数カ所にわたって直径二百から二百五十メーターのすりばち状に陥没、一番ひどいところは八メートル、平均二メートルも海底に沈下して、一つのすりばちで四こま分はそっくり使えなくなったと、このような状況でありますし、また、二、三年前からずっと徐々であるが陥没していたと、そういうような組合の人たちのお話もありますし、ひとつ早急に調査していただいて、補償すべきは補償して、早く立ち上がれるようにしていただきたいと、このように希望いたしまして、私の質問は終わります。
#87
○委員長(加藤シヅエ君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト