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#1
第061回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第10号
昭和四十四年六月六日(金曜日)
   午後一時十三分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     田中寿美子君     瀬谷 英行君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     木島 義夫君     柳田桃太郎君
     千葉千代世君     沢田 政治君
     小平 芳平君     多田 省吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         瀬谷 英行君
    理 事
                大谷 贇雄君
                黒木 利克君
                松澤 兼人君
                内田 善利君
    委 員
                青木 一男君
                佐藤 一郎君
                菅野 儀作君
                土屋 義彦君
                柳田桃太郎君
                山内 一郎君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                沢田 政治君
                杉原 一雄君
                多田 省吾君
                小笠原貞子君
   政府委員
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     中川理一郎君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
       気象庁次長    坂本 勁介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局参事官   宮内  宏君
       農林省農地局参
       事官       井元 光一君
       気象庁予報部主
       任予報官     大野 義輝君
       自治大臣官房調
       査官       砂子田 隆君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特別委員長辞任の件
○特別委員長補欠選任の件
○産業公害及び交通対策樹立に関する調査
 (産業公害対策に関する件)
    ―――――――――――――
  〔理事松澤兼人君委員長席に着く〕
#2
○理事(松澤兼人君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 加藤委員長から、委員長辞任の申し出がございますので、私が暫時委員長の職務を行ないます。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨五日田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。また、本日木島義夫君、千葉千代世君及び小平芳平君が委員を辞任され、柳田桃太郎君、沢田政治君及び多田省吾君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(松澤兼人君) 委員長辞任の件についておはかりいたします。
 ただいま申し上げましたように、加藤委員長より委員長辞任の願いが提出されております。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○理事(松澤兼人君) 御異議ないと認めます。よって辞任を許可することに決定いたしました。
    ―――――――――――――
#5
○理事(松澤兼人君) これより委員長の補欠選任を行ないたいと思います。つきましては、選任の方法はいかがいたしましょうか。
#6
○内田善利君 委員長の選任につきましては、投票の方法によらないで、委員長に瀬谷英行君を推薦することの動議を提出いたします。
#7
○理事(松澤兼人君) ただいまの内田君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○理事(松澤兼人君) 御異議ないと認めます。よって、委員長に瀬谷英行君が当選されました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔瀬谷英行君委員長席に着く〕
#9
○委員長(瀬谷英行君) この際、一言であいさつを申し上げます。
 ただいま当委員会の委員長に選任をせられましてはなはだ光栄の至りでございます。何ぶんにも私初めてでございます。皆さん方の御協力と御指導を賜わりまして、この大切な任を全うしたいと思っております。何ぶんともよろしくお願いいたします。(拍手)
#10
○加藤シヅエ君 一言ごあいさつ申し上げます。
 ふなれな私が委員長として大過なく過ごすことができましたことは、ひとえに皆さん方の御協力のたまものとこの際深くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○委員長(瀬谷英行君) 産業公害及び交通対策樹策立に関する調査を議題とし、産業公害対策に関する件について調査を行ないます。質議のある方は、順次御発言を願います。
#12
○柳田桃太郎君 去る五月の八日、九日、十日、三日間にわたりまして北九州市にスモッグ警報が出されましたことにつきましては、すでに厚生省、通産省の関係省は御承知のことと思いますが、この問題につきましてただいまから質議をいたしたいと思います。まず、この時間が非常に短こうございますので端的にお伺いいたしますが、北九州の大気汚染の状態がどういうふうであったかということについての御認識は、どの程度厚生省でもっておられるか。それが人体に及ぼす影響なりあるいは去年一年の亜硫酸ガスの発散の状況なりについてそういうようなデータを持っておられるかどうかをお伺いいたします。
#13
○政府委員(金光克己君) 北九州市の大気汚染の状況でございますが、従来北九州市におきましては、ことしの一月に制定いたしましたいわゆる大気汚染の環境基準でございますが、それと比較いたしまして一部の地域では若干それをオーバーしておると、年間におきまして若干オーバーしておるという地域がございますが、全般的にはちょうどその境目にあるというふうな状態であると考えておるわけでございます。それで年次的には、降下ばいじんのほうは年々減少してまいっておりますが、亜硫酸ガスにつきましては、年次的にやや増加してきているというようなことで先ほど申し上げましたような状態になっております。そういうことで先般スモッグ警報が発令されたということでございまして、そのときの状況につきましては、北九州地域におきましては、国鉄の観測所を含めまして市内に五つの地点に大気汚染の測定所が配置されておるわけでございます。そしてその五地点におきましていずれも〇・二PPMを上回るということでございまして、九日には小倉におきましては最高値が〇・三六PPMを記録したというような実情でございます。そういうようなことでございまして、大気汚染防止法に定めてあります緊急時の措置を必要とするというようなことで警報が発せられたと、かような状態でございます。
#14
○柳田桃太郎君 公害対策基本法の第十九条の「公害が著しくかつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難である」というところにつきましては、公害防止計画に対する基本方針を厚生省が示して、それによって基本計画を立てて特別に手厚い指定地域としての公害対策をやらせることになっておりますが、もし昨年からそういうように北九州地域が置かれておる大気汚染の状況を御存じならばどうしてこれを第一次計画として取り上げなかったか、もしこれが反省して取り上げる必要があるとすれば、いつからここを特定地域と指定して公害防止計画を作成されるか、厚生省にお伺いしたいと思います。
#15
○政府委員(金光克己君) 公害防止計画につきましては、御説明のございましたように、大気汚染が著しくなりまして、それに対しまして特別の施策を講じなきゃならぬという観点に立ちまして、国から基本方針を示して、地元県におきまして公害防止計画の具体的な計画を立てると、かようなことになっておるわけでございますが、御承知のように、全国的には北九州市以上によごれておる、汚染されておる地域が多いわけでございまして、そういう意味で本年度におきましては、千葉県とかあるいは四日市あるいは岡山県の水島地域といったようなところにつきまして、先般公害防止計画の基本方針をお示ししたというようなことでございまして、本年度におきましてそれぞれの県において公害防止計画を具体的に立てるというようなことになっておるわけでございまして、そういう意味で全国的に見ますと、最近北九州市も亜硫酸ガスの汚染度というものが年々向上してまいりまして、環境基準からいいますと、一部の地域では警報を発するというような事態も生じてきたわけでございます。そういう意味で全国的に見ましては、特に順位から言いますとまだ上位というわけじゃないわけでございます。そういう意味で今後の問題として、これは当然考えていかなきゃならぬということでございまして、いつの時期に北九州市を取り上げるかは十分慎重に検討してまいりたいと、かように考えております。
#16
○柳田桃太郎君 環境基準をつくられて、これを実行するように勧告をするというところまでいくわけですが、それならば全国的に環境基準をオーバーするところが多いので、北九州はまだ順位はあとだというふうに聞こえますが、環境基準をオーバーするところがあればどんどんこの公害防止計画を立ててやってこそ、この公害基本法なり大気汚染防止法の精神を貫徹するじゃございませんか。何か予算かあるいは人手かあるいは調査能力か何かに、そこに規制があって、そういうぐあいに環境基準をオーバーするところも取り上げにくいのですかどうですかお伺いします。
#17
○政府委員(金光克己君) 公害防止計画は今年度から本格的にスタートしておるというような状態でございまして、本年度はとりあえずその三カ所――全国で最も汚染の著しいという問題のあるところ、そこを、その地域につきまして公害防止計画の基本方針をお示ししたということでございまして、御意見のように、少しでも問題のあるところは全部そういったことにすればいいじゃないかという考えでございますが、それはそのとおりだと私思うんでございます。しかしながら、この公害防止計画ということまで立てなくても、現在のいまの時点におきまして北九州市におきましては、地域的に部分的にたとえば若松等はかなり汚染されておるということでございます。戸畑がだんだんと年々ふえていって問題を生ずるようになってきたという段階、その他の地域はまだそんな状態ではないのでございます。地域的にも部分的でございます。ある程度の方策を講ずれば、これは環境基準以内にすることができるだろうと考えるわけでございます。
 そういうことと、公害防止計画といいますと、やはり相当の汚染がございまして相当な対策を講じていかなければならぬということで、都市計画等とも関連いたしまして、全般的な特別対策を行なう、かようなことでまずは解決していきたい、かように考えておるわけでございます。御意見のように、できるだけ広くそういった計画を立てるような方向にして進んでいきたい、かように考えております。
#18
○柳田桃太郎君 そのことはあとに譲ることといたしまして、気象庁のほうにお聞きしたいのですが、今回の北九州のスモッグ警報は、いきなりそのスモッグ警報が出て、情報あるいは注意報の形式を踏まれずに直ちにスモッグ警報を出されたために、それに対する協力措置が十分でなかったように新聞紙等で報道されておるのですが、この気象に関して情報なり注意報を出す、これについての取り扱いについてどういうような指示を地方官署に出されたか、その点気象庁にお伺いいたします。
#19
○政府委員(坂本勁介君) 先生、御承知のとおり、大気汚染防止法によりますれば、大気汚染の濃度がある一定の基準に達しました場合に、いわゆるスモッグ警報というものを関係都道府県知事が出すことになっております。えらく法律上の話で木で鼻をくくったような返事になるかもわかりませんが、そういう法律上の観点の上からは、気象官署がいわゆるそのスモッグ警報を含めまして注意報、警報を出す定めになっておりません。そう申しましても、大気汚染の消長は、非常に気象条件に左右されるところが多うございまして、特にこういった大気汚染の状況がどの程度長期に継続するかどうかというのは、まさに気象条件に左右されるところが非常に大きいのでございますので、その辺を踏まえて関係都道府県知事がいろいろな判断をします場合には、必ず気象官署のほうに相談していただくことになっております。今度の北九州の場合も、九日にやはり県の産業公害課のほうから私ども気象台のほうにいろいろ御相談がございまして、そのときの気象状況について福岡管区気象台からいろいろな情報を提供しております。私どもいろいろな必ずしも協約を結んでないところもございますが、協約を結ぼうと結ばないとにかかわらず、こういう大気汚染の状況について問い合わせがあれば、できるだけ詳細にそのときの気象条件の模様を関係都道府県知事のほうに御連絡申し上げるようにということを気象庁長官から関係地方官署のほうにも十分連絡しております。
#20
○柳田桃太郎君 昭和三十七年の十二月二十五日に予報課長の通達が出ている、昭和三十八年の二月二十八日に気象庁予報部長から地方官署にいろいろ通達が出ておると思いますが、これはスモッグに関する注意報、情報などの取り扱いについてというような公文書でございます。これによってその予報、注意報のいろいろな書式まで定めてやっておるようでありますが、今回の場合いきなりその気象官署が何らの事前通告をせずに、県知事が逆に気象官署に相談してスモッグ警報を出したと言われますが、ここに私は一つの隘路があることが心配なんですが、大体北九州の気象観測網は、下関測候所のほうのデータによるべきものか、あるいは飯塚あるいは福岡の気象観測のデータによって判断しておるものか、その点をひとつ気象庁はどういうぐあいに見ているか。どちらのほうの気象判断によってこれを割り切って考えるべきかということでございます。
#21
○政府委員(坂本勁介君) 下関あるいは小倉その他ある一つの特定の地点の観測成果というものだけではございませんで、いろいろな各地点、飯塚も含めましてそういう各地の各点の観測成果というものの総合的判断の上に立った上での気象条件というものをつかんでおるつもりでございます。
#22
○柳田桃太郎君 私は、この前に出ました予報部長の通牒といいますか、通達は、非常にこれはりっぱな通達だと思いますが、これは消防庁の望楼から見て五百以内の視界しか見えない、それからまた地上において一千メーター以内の視界しか見えないというようなときには、こういうような情報、こういうような注意報を流すようにしなさい、こういうこれは公文書になっておるのですが、それは北九州におけるスモッグ状態、そのことが福岡あるいは飯塚、それから下関というこの気象官署から見まして著しく違った状態に置かれておるので、ここに一つの気象官署の観測網のエアポケットが北九州というところはあるんじゃないかということを心配して申し上げておるのであります。これは心配ないのですか。心配ないならば、なぜ早くこれをキャッチして予報なり、注意報を、従来よく東京都では流しますね、どうして北九州だけはそういうことが流れていないか。
#23
○説明員(大野義輝君) いま先生御指摘なさいましたとおり、やはり気象というのは非常に局部的に現象の違っておるところが往々にしてございます。私ども現在主として資料を見ておりますのは、福岡、それから下関、それからこのごろ、最近でございますけれども、小倉の空港、ここに私どもの官署もございますので、その三つの資料を主として見ておりまして、スモッグの発生いたしました八、九、十、この三日間は移動性高気圧、ちょっと専門的になるので申しわけございませんけれども、移動性高気圧におおわれまして、問題の北九州市のスモッグの現象が私どもの気象観測所では観測されていないわけでございまして、天気といたしましては非常にいいというようなことでございます。そのためにというわけではございませんが、八日の十五時三十分に、これは異常乾燥注意報を出しております。この異常乾燥注意報はこの翌日の九日一ぱい、さらに十日の十一時五十分まで足かけ三日にわたって異常乾燥注意報を出しております。十日の十一時五十分にこれを解除しているというような状況でございまして、気象庁のほうの観測資料から見ますと、スモッグは観測されていないわけでございます。それで県のほうから実は連絡がありましたのは、ただいま次長が申されましたとおり、八日の十二時ごろでございました。この霧、スモッグは気象状況はいつまで続くかというような連絡がございましたので、それに対して答えたというようなのがいきさつでございます。
#24
○柳田桃太郎君 それは非常な皆さん方報告がずさんでございまして、八日の十二時に県知事のスモッグ警報が出されておりますし、私もその日そこにおったのですが、ほんとうに視界もわからぬようにスモッグが立ち込めている、しろうとでもわかるスモッグ状態を気象庁が知らなかったということは、私はまことに奇怪に思います。もしそうでございましたならば、私はここでお願いしたいのですが、北九州のように人口百六万、しかも重工業都市でスモッグ状態がときどき起こるし逆転層もときどき起こるし、なおもう先々年度から取っている亜硫酸ガスの濃度から見ますならば、排出基準量をオーバーする地区は若松、戸畑の二地区で、それに迫るものが小倉区でありますから、ここに気象観測所を設けられることが適当ではないかと思いますが、どうですか。
#25
○政府委員(坂本勁介君) 先生御承知のとおり、一般的に申し上げまして非常に組織の新設と申しますか、気象観測所もその例外ではございませんけれども、そういう組織の新設というものは非常にむずかしいことは御承知のとおりでございます。測候所設置等によりましては、北九州のみならず各地でいろいろな実は私ども要望を受けておりますけれども、そういったむずかしさもございますので、一般的には観測網のより緻密な展開あるいは観測機器の近代化といったようなことでこれをカバーする方針で実はまいってきております。ただ先生いまおっしゃいましたように、北九州市のような場合、かなり面積も広い相当な市でございますので、これを従来のようなそういうふうな方針のままでいいのかどうか、これは私ども目下ほんとうに検討中でございます。ただ先ほども申し上げましたように、組織の新設というのが非常にむずかしゅうございますし、ただ気象庁は従来、戦前の姿での中央気象台と地方の測候所とそのまま積み木細工のように合わせたかっこうできておりまして、その辺でいろいろ本来的に組織の再配分なりなんなりというものもあわせて考えるべきではなかろうかというようなことまで実は立ち至っておりますので、その辺のかね合いの上で十分北九州市をどういうふうにやっていくべきかということを今後とも大いに検討してまいりたいと思います。
#26
○柳田桃太郎君 この席上で来年度から設置してくださいということを言ってもなかなかきめがたいと思いますが、二十世紀の後半は人命尊重の政治をしなければならぬ、人間尊重の時代に入りましたので、十分予算だとか定員だとかいう人員的なものを超越してやはり人間尊重という見地に立って、こういうところに気象観測所をこしらえるように特にお願いしておきます。
 次に移りますが、今回の北九州市におけるスモッグ警報は大気汚染防止法ができて非常にまだ新しいことでございますので、この警報が出てからのあとの措置は十分でなかったように見られております。このことはやむを得ないと思いますが、しかし、北九州市としては公害防止対策審議会規則を設け、あるいは公害防止のための施設に対する融資制度を設ける等の措置をいたしまして、やや手は打っておったと思いますが、特に観測網において欠ける点があったように思います。時間がありませんから端的にお伺いしますが、テレメーターを設置させようとして政府が補助金を計上しておったことを承知しておりますが、いま北九州市が反省いたしましてテレメーターを設置しようという気でいるようでございますが、厚生省はこれに対してテレメーターの機械の補助金を本年度予算からでも流す用意がありますかどうかお伺いいたしたいと思います。
#27
○政府委員(金光克己君) まあ、テレメーターの設置につきましては地元からも非常に強い要望が現在出ておりまして、厚生省におきましても予算的な援助をいたしたいということでいま検討を進めております。
#28
○柳田桃太郎君 この予報並びに注意報が出ずに、しかもいま北九州市で観測点は帯長の非常に長い都市でございますが、五カ所あります。その中に門司区には観測点はいまないわけであります。その状態において、急にここでスモッグ警報を出したことが、対策を十分できなかったことと思われますが、もし、もう少し早くこれを予報なり注意を与えておりましたならば、低硫黄度の重油を確保することもある程度はできましょうし、ある程度燃料の切りかえも順調にいったことと思うのでございます。したがって、現在北九州市は、あの長い都市で五カ所しかこの観測所を設けてないということは適当ではないと思いますが、厚生省はどういうぐあいにお考えですか。
#29
○政府委員(金光克己君) 測定点につきましては、北九州市におきまして、どの程度にすれば一番いいかということにつきましては、なお検討を要する問題だと思いますが、現在の五カ所以上に、ある程度はやはり将来増設を考えていくということは、これは必要なことであろうと、かように考えております。
#30
○柳田桃太郎君 次にお伺いいたしますが、このスモッグ警報という一つの行政措置ですが、このスモッグ警報は、緊急時において十七条で県知事が出すようになっておりますが、これは市に対する、北九州市は委任事項になっておりませんかどうか、お伺いします。
#31
○政府委員(金光克己君) まあ大気汚染防止のための報告だとか、改善の勧告、命令とかいったような権限の問題でございますが、これにつきましては、政令で指定市をこしらえておりまして、北九州市はそれに入っておるわけでございますが、事業場につきましては知事の権限が委譲になっております。工場につきましては指定市に権限を委譲してないわけでございます。これは、やはり工場というものから排出する大気汚染という、ばい煙による大気汚染ということにつきまして、やはり広域的な問題であるということで、やはり知事の権限において行なうほうがいいであろうということで、さような規定になっておるわけでございます。
#32
○柳田桃太郎君 委任事項の中から十七条の三項を除くということになってますね。その十七条の三項というのは、従わないときに勧告をする、勧告するときに報告させ、立ち入りする権限じゃないですか。だから十七条の第一項は緊急時に一般に周知させ、そうして工場に対して協力を求める行為は、これは都道府県知事の行政権限であるとともに、委任されておりませんか。
#33
○政府委員(金光克己君) 権限につきましては、第三十一条に事務の委任という項目がございまして、「政令で定めるところにより、」「市の長に委任する」となっております。事業場に関連いたしまして北九州市長に委任になっております。工場につきましては委任になってないと思います。
#34
○柳田桃太郎君 政令指定都市であろうと、一般の都市であろうと、そういった公害の発生しそうな市はかなりあるわけでありますので、これを政令によって市長に委任したほうが適時適切なる措置がとれるというように思われますが、工場はその条項について何らかの救済措置を考えてはいませんか。
#35
○政府委員(金光克己君) 政令市に対しましての都道府県知事の権限の委任の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、まあ法の趣旨としましては、工場等につきましては、ばい煙の発生量も多いし、また広域的な処理をしなきゃならぬという立場で都道府県知事から権限を委任してございませんけれども、まあ北九州市等からも非常に御意見も出ておるところでございますが、県庁と非常に離れておるところといったようなところは、やはりなかなか迅速に警報を発し、また処理をするということがむずかしい場合があるということで、まあ政令市への権限の委任につきまして再検討してもらいたいという要望も出ておるわけでございます。そういうようなことでございますので、私どもの立場でも、国としましても、十分それは検討をいたしたいと、かように考えておるわけであります。
#36
○加藤シヅエ君 そのことに関連して、これは昨日私が委員長であるという理解のもとに、北九州市議会から市議会議員の方がわざわざ上京されまして、請願ではございませんが、こういう書面を提出してほしいという依頼を受けております。ただいま先生の御質問によってだんだん明らかになっている事項でございますが、今度の北九州市に発生いたしましたスモッグ警報のときにも非常にこれが同市議会において問題になったわけであります。そうしてこの陳情書のごく重要な部分を一部分だけちょっと朗読さしていただきますが、「大気汚染防止法に基づく諸施策に係る市長の権限は極めて小範囲に限られており、且つ、本市の場合県庁の所在が遠隔であるため、緊急時の措置が極めて不十分であります。従って本市が実態に即応した適切な公害防止行政を遂行しようとするにあたり、重大な支障をきたしている現状であります。よって、本市議会は県知事の権限とされている大気汚染防止法に基づく諸事務、なかんずく、改善命令と一時停止命令緊急時の措置および立入り検査権限に係る事務を市長に委任することについて、格段のご配慮を要請するものであります。以上、地方自治法第九十九条第二項の規定に基づく意見書を提出します。昭和四十四年五月二十九日北九州市議会」。こういう陳情書がこれは当委員会に出ているわけでございます。そうしてさらに同じような趣旨のものを「気象官署設置に関する意見書」ということで、これも非常に手不足で困るという御意見が同じく北九州市議会から当委員会委員長の名に出ておりますので、これを皆さんにちょっと御披露申し上げまして、よろしくお願い申し上げます。
#37
○柳田桃太郎君 最後に希望を申し上げておきますが、前委員長から詳しく陳情の趣旨を申し上げられましたので省略をいたしますが、広範に都道府県知事に与えられている権限を、県庁と遠く離れた市長に対しては権限委任をする方向で考えていただきたい、これが一つ。第二は、北九州市につきましては、気象官署をぜひ設置していただくよう特段のひとつ御努力を願いたい。それから第三に、緊急に今年度予算をもって観測器を購入させ、観測地点をふやすように厚生省のほうで御指導願いたい。なお公害職員も不足のようでありますから、適正な配置ができますよう御指導を願いたいと思います。
 以上時間がありませんので、これをもちまして私の質問を終わります。
#38
○政府委員(金光克己君) ただいま御要望がございました都道府県知事の権限を市長に委任する件につきましては、前委員長からも御意見がございましたように、十分検討してまいりたいと思っております。それから大気汚染の観測の備品の整備、あるいは観測点の増加と申しますか、観測点をふやすということ、こういったことにつきましては、国としましても十分御援助を申し上げたいと、かように考えております。
#39
○政府委員(坂本勁介君) 気象官署設置のことにつきましては、正直申し上げまして、明年すぐどうこうというふうには御確約いたしかねますけれども、当庁自身といたしましても、全国的に気象業務を再編成しなくちゃならない時期にも立ち至っておりますし、その辺の関連で重点的に施行すべきものは施行すべきだという方針を打ち立てて、事柄に処していきたいと思いますし、その一環として北九州のほうも、今後とも前向きに検討さしていただきたいと思います。
#40
○加藤シヅエ君 いまの関連につきまして、自治省がいま到着されましたので、それについて一言だけ質問してよろしゅうございますか。
#41
○委員長(瀬谷英行君) どうぞ。
#42
○加藤シヅエ君 自治省にいま早急にお願いして出席していただいたわけでございますが、ただいまいろいろ柳田委員からも北九州における最近のスモッグのことについていろいろと御質問がございまして、私も昨日、委員長の資格におきまして北九州市議会からこの意見書を受けているわけでございます。それにつきましていまちょっと発言をいたしましたが、これは地方自治法九十九条の第二項の規定に基づく意見書を提出と、こういうことでございまして、いま柳田さんからもこれの権限の委任ということが必要な時代になっているのではないかという意味の御質問がございました。で、私も、この北九州市のような日本で有数な公害発生の地点、それから名古屋市、大阪、こういうようなところでは、その市長に権限がないために非常に無力でございまして、公害を発生するような原因発生者に対しましての監督、命令というものが全然できない、みすみす被害を受けながら、そこの住民とともに苦しんでいるにすぎなくて、知事さんにいろいろ陳情するにはだいぶ時間もかかる、距離もあるというようなことで、これははなはだ時代に即さないことだと思いますので、こういうような公害発生が始終あり得るような大きな都市におきましては、これを市長の権限に委任してもらいたいというこの御意見は、まことに切実だと思います。つきましては、そういうような権限の委任ということについてどういうふうに考えられますか、その点だけをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
#43
○説明員(砂子田隆君) おくれて参りましてどうもおそれ入りました。
 権限の委任の問題につきましては、各省ともいろいろ話をいたしておりまして、現在の公害の政令の中にもあとう限りの権限の委任につきましてはいたしておるわけでありますが、なお陳情の趣旨等を私たちも見ておりますと、北九州市の実態からいたしましたら、まことにそのとおりであろうと思います。そういう意味で今後とも各省と話し合いまして、権限の委任の問題については前向きに検討したいというふうに考えております。
#44
○沢田政治君 私は、秋田県の北鹿地帯、ここに金属鉱山の採掘に伴って農業用地あるいは住宅地等の地盤沈下、地表沈下が発生して、非常に地域住民を大きな不安におとしいれておるわけですが、その被害状況を私なりに把握しておりますが、どういう経緯を経て、どういう手続でまあ適法に認可を受け、そうしてどういう被害が起こっておるか、こういう点を簡潔にお答え願いたいと思うのです。
#45
○政府委員(橋本徳男君) この大館地区の黒鉱の開発につきましては、確かに先生おっしゃいましたとおり、大きな社会問題を持っております。が、この黒鉱の鉱床につきましては、日本でもまたとない大きな鉱床でございまして、これは産業全体の発展のためにぜひとも開発を進めたいというわれわれの希望も持っておりますし、また、そういった点につきまして地元県とも十分相談をいたしまして開発はすると。しかし御承知のように、この地域は軟弱な地盤でございますので、当然ここには、こういった地盤沈下の問題が生ずるということは、これはもう当初から想定されている問題でございます。したがいまして、鉱業法におきまして、施業案につきまして認可をいたします場合におきましても、こういった地盤沈下のまず第一は予防対策というものを強力に実施するということ並びにそれをやりましても、とうてい地盤沈下を完全に防止することは不可能でございますので、生じた災害については、十分に補償の措置をとるということの上に立ちまして、この事業を許可しておるわけでございます。それで現在生じておりまする状態でございまするが、松峯地区で釈迦内の第四と第八の鉱床におきましては、現在沈下量でいきますと八十九・五センチすでに沈下しております。これの沈下面積が六十三万七千平方メートルということになっております。それから釈迦内の第一と第三鉱区におきましては一メートル十九センチの沈下を来たしておりまして、沈下面積が十九万六千平方メートルというふうなことに及んでおります。こういった状況でございまして、畑、それから川のいわゆる堤のかさ上げの問題それからないしは部落移転の問題等々につきまして、現在地元並びに県を入れまして対策協議会をつくって、補償の万全を期したいということで現在当たっているのでございます。
#46
○沢田政治君 もうすでに施業案においても、あるいはまた鉱床説明書ですね、これにおいても被害というもの、そういうものが予想されておったわけですね、予想されておるにもかかわらずこれは認可をした、こういうことになると、やはりまあ通産省当局にも相当の責任があると思うのですね、そういう被害というものを予見しつつも、賠償によってこれを解決をするのだ、補償によって解決するのだ、こういう前提で、被害というものを予見しつつも認可をした責任があるわけですが、したがって、そういう補償ですね、補償というところに一つの解決の方途を見出したのだから、それに対してどういう責任をもって補償の交渉といいますか、紛争、係争、そういうものを解決するような行政指導を行なったか、現在はどうなっておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
#47
○政府委員(橋本徳男君) 補償の件につきましては、これは特に鉱山側と地元側とにおきまして、まず第一は、畑の減収等につきましては、十分にその減収の状態を検討いたしまして、補償に現在も応じさしております。それからまた、その減収を防止するためのいろいろな耕作のしかた、あるいは田畑の地ならしといったようなものも、現在県の専門分野といろいろと話を進めながら、そういったものも現に行なっております。それからさらにまた、特に人家につきましては非常に問題が大きゅうございますので、特に人家に直接影響のあるような形のところまでの採掘は、要するにその地上権を持っている人たちとの間で話がつかなければ操業はさせない、しかし、将来もし操業するといたしますれば、当然そういった人家に対する影響がございますので、現在はその影響のないところまでその採掘を認めて、影響のあるところについては、目下その関係の人たちとの間に話を進め、移転等が考えられないかということで、現在話を進めております。そうしてまた、そういった点につきましては当事者間だけではなしに、県並びに市、それから仙台の監督部、こういったところも入りまして、現在移転先について、会社側に用地の取得をさせるべく努力をさせ、また、移転等につきましてもいろいろな条件も、話をさしているといったような実態になっております。
#48
○沢田政治君 鉱山局長来ておりますか……。保安局長の答弁じゃなく、責任の所在を明らかにさせたいからぼくは呼んだわけですよね。答弁能力だったらこれは参考人でもできるでしょう。たとえばもちろん施業案の場合はまあ通商局長になっていますけれども、これは鉱山局長と読みかえてもいいわけですね。官庁機構が変わっていますから。施業案の認可の場合にはなるほど保安局長と協議しなくちゃならぬ、こういうことになっております。そういう意味では保安局にも責任があるわけですが、たとえば二十二条ですか、二十二条の鉱床説明書、この場合の第二項ではやはりそういう危険性のある鉱害が起こる場合はそれを添付しなくちゃならぬ。採掘権を得る場合は、こういう場合には事前にチェックする方法もあるわけですね。そういう意味でやはりその前の責任もあると思うのですね。そういうことだからただ答弁ができるからということで責任者の局長が来ないというのはおかしいと思うのですよ。これは危害をこうむっているのですよ。おかしいじゃないですか。まあおこってもしようがない。呼んでください、すぐ。
 それで鉱山局長は来ておりませんが、施業案の場合ですね、相当被害があるということを予見したということをあなたは明言しているわけだ。したがって、あなたもこれは共同責任なんだから、これはもう地元の住民、農民が納得できる、金銭で解決できる、そういうことがやはり国家的な見地から見ていいと考えたのか、さらに納得を進めることができると、こういう自信を持っておったのか、そうでなければたいへんでしょう。これはどうですか。
#49
○政府委員(橋本徳男君) もちろんこの施業案を認可いたします場合には、一つには予防の問題、それから一つにはそういった賠償の問題、この二つが当然論議されてございます。第一点の予防の問題につきましては、特に地盤沈下というような問題のために特別の専門の部会をつくりまして、いかなる方法によって予防を最小限にとどめられるかという方法を大学の先生その他も入れましてやりまして、こういう部会におきまして決定されました事項を順守させるということが条件となりまして、一つはその認可をしております。それから賠償の問題につきましては、これはおっしゃいましたとおり、いかに豊富なりっぱな資源採掘であろうと、これによって第三者に不当な権利の侵害はこれは当然許されません。したがいまして、賠償の実施につきましては十分これは法律上もそれをさせる義務がございますし、先ほどのように、要するに、居住者との間で話がつかないという場合は、その実施を差し押えておるといったようなこともございますので、賠償でどうしても片づかないという場合には、部分的には採掘も困難であるということは言えると思うのでございます。しかし、そういったことを前提といたしまして、現段階におきましては地元と話し合いのついた形においてのいわゆる農業補償を進めておりますが、一番問題は移転問題でございますので、この移転問題につきましても十分地元と話し合いしておりますし、これがつかない間におきましてはそれに影響のあるような地域についての採掘はもちろんできないというふうなことで進めております。
#50
○沢田政治君 この場合のたとえば秋田県の北鹿地帯の鉱害というのは、公害の定義というのもなかなかこれはややこしいのですが、公害というのは一般的には不特定多数のものに非常に被害を及ぼす、こういうのが公の害ですね。だからぼくはこの場合には鉱害というのだけれども、金へんの鉱だと思うのですよね。鉱山の害だと思うのです。特定のものに影響を与えるわけですから非常に趣が違うと思うのです。したがって、この解決はやはり企業と被害者、これが中心になって解決しなくちゃならぬものだと思うのです。もちろんこれは官庁の責任もあります。施業案を認めている。三位一体になってこれを解決しなければならぬと思うわけです。そういう意味で私は、決して罵倒するとか暴露するとかそういう意味で申し上げているわけじゃないのです。やはり早く解決してほしい。地域住民の被害をなくしてほしい。こういう点に私は質問の目的を立てておるわけです。前提を置いているわけです。といいますのは、非常にあの地区は秋田県全部が稲作、単作地帯です。したがって、農業からの余剰労働力が出ても出かせぎ以外ありません。そういう意味では鉱山が発見され雇用が増大して、雇用が増大するということは地域の利益にもやはり合致するわけで、そういう意味ではこれは益もあるし害もあるしで、したがって私は、指摘するとか暴露するとかということではなく、やはり不安におののいておる、まだまだ不安を感じておる方々の不安を早く除去してほしいという角度からお聞きしておるわけですから、その点は了解願いたいと思うのです。
 そこでどうですか、現地との交渉で話し合いが軌道に乗り、さらには住民の方も被害を受けておる、住民の方々も将来解決されるだろうというふうな明るい見通しを持っておるというように、そういう報告が来ていますか、どういう報告を受けていますか。その付近をきちんとしなければ、あなたと幾ら質問をしておってもこれは質問のしっぱなしになって焦点が合わないと思うのですね。その点はどういう報告を受けておりますか。
#51
○政府委員(橋本徳男君) その点につきましては、全般的にどうだということはむずかしいかと思いますけれども、たとえば減収補償等の問題につきましては、ある程度の話し合いというものが秋田県等が中に入っていただいてできておるわけであります。しかし、ただ先ほど申しましたように、一部のいわゆる住民の直下にある鉱床を掘る場合の移転の問題ということになりますと、これは必ずしも現段階において直ちに解決がついておりませんし、今後話し合いを相当誠意を持ってこれに応じ、かつまた、地元の市、県あたりもいろいろ入っていただいて、どういういわゆる対策を出すかというふうなことにもかかっておると思うのでございますが、こういった点につきましてはまだ若干時間を要するのではなかろうかというふうにも実は聞いております。
 それからまた、この採掘地域に面しておりまする川がございますが、花岡川と下内川とこういつた合流点のところが非常に沈下がひどいので、かさ上げをしなければ将来洪水等いろいろ問題が起こるということもあるので、この問題は県の直轄河川でございまして、県もその必要性を認めていわゆる用地を買収してかさ上げ工事をやる。約三千万円ほどでございますがやるということで進めておりまして、実はこの農地買収の話がかなり地元の協力が得られなく難航しております。それがやっとこの五月の一日になりまして話がつきまして、そして県自体としても六月から工事ができたというふうなことにもなっておりまして、こういうところからいきますればいろいろな過程において話はあると思いますが、いずれにいたしましても、住民のやはり希望というものを相当程度可能な限りにおいて充足しない限りには、やはり他人の権利の侵害というふうなことも免れませんので、急ぐあまり精神的ないわゆる圧迫というものもどうかと思いますので、十分時間をかけて話し合いをしてもらいたいというふうな気持ちをわれわれは持っております。したがいまして、そういうふうな趣旨からいきますれば、先ほどの移転問題におきましても、条件その他におきましてなかなか折り合いのつかない点もあるようでございますので、十分これは時間をかけて話し合って円満な解決に持ち込みたい。その間はそれに影響のあるところの採掘は見直すというような考え方で進めております。
#52
○沢田政治君 非常に歯がゆい答弁ですが、きのうやおととい被害を受けたんじゃないのです。すでに二、三年前から被害を受けて、家が傾きしかも飲料水が出なくなる。こういう被害がずっと二、三年前に惹起しておるわけです。いまだにこれを解決しない、またできないということは非常に遺憾なきわみです。
 そこで、私の選挙区でありますので、私のところにいろいろな投書なり要請書があります。非常に真剣な激烈なものがあるのです。歎いておるものもあるし、比較的公平なものをここで抜粋してちょっと読んでみたいと思うのです。それは県のほうから、あるいは地方鉱山局を通じていろいろな報告がきておると思うのですが、それはそれとして、こういう声があるということですね。比較的公平な声だと思うのです。長々と引用しては若干時間が食われますので簡単に読んでみますが、参考のためにこれを記憶にとどめておいてください。「現在松峯地域を中心とした黒鉱採掘地帯は不安と危疑の念が一ぱいであります。田植えを前にしてこちらではいま田のしろかきがたけなわでありますが、たんぼの沈下があまりにひどく、一枚のたんぼをビニールのスレート畦畔で四枚くらいに区切って農作業が行なわれています。昨年は二十ヘクタールほどであったのが、今年は四十ヘクタールくらいになる予定であります。沈下量は現在松峯地域で最大一メートル二十センチとなっていて、なお毎月五、六センチメートルが増加していまして、私どもの予想では将来十メートルにもなるだろうと思っています。そのため場所によっては飲料水が出なくなったり悪くなったりしてたいへんな騒ぎになりました。市では給水車を出して給水などをしましたが、先月会社側で水道をつくり各戸に配管してようやく一応の落ちつきを見ているところです。だが、今後も水の問題はたくさん出てくるものと思っています。たんぼにかける水の用水路も沈下してその用をなさないので使用できなくなりました。会社側では各所にたくさんの取水ポンプを取りつけてようやくたんぼがつくれる状態であります。それでも一部のたんぼは耕作ができなくなっています。また松峯地区の一部、二十戸の家は沈下があまり激しく移転をしなければならなくなりましたが、話し合いは一向に進んでいません。とにかく住民は将来この地域はどうなることだろう、たんぼがつくれないとき農民はどうなるのかと心配しているのです。このような不安に対して会社からはまだ何の対策も発表されていません。このままだといままで以上に激しい抵抗の運動を進めなければならないと考えています。鉱山会社がもうけるために、なぜ住民がこうも犠牲を受けなければならないのか、このことは憲法上からも全く納得ができないことだと言っているのが最も素朴な住民の意見であります。また採掘にあたって監督官庁が許可するときは、当然住民の意見を聞くことになっていると思われるが、そのような手続はまだ一度も行なわれていないし、このようなことが住民には一番こちんときているのです。したがって下内川の堤防かさ上げ工事の用地の買収問題も依然として進展をしていない現状であります。とにかく今後ますます拡大されていく鉱害の問題について、地元では国会でこれをとりあげ、解決の方向をとっていただくことを期待をしているのです。」ということで、前文と後文は省略していますが、全然解決の方向をとっておらないわけです。ただ、水の不足あるいは農業用水の取り入れについては会社もある程度やっておるというように、比較的公平に書いておるから、私は書いたものを読み上げたわけですが、やはり早急にこれを解決してほしいと思うのです。それで、県のほうでも必要以上にこの問題については神経を使い努力も払っておるようです。これは県がそこまで手を貸さなくてもいいじゃないかと思うほどやっているわけですけれども、その意味では、私はこれは非常に賛意を表したいわけですが、しかし、県なり自治体なりがやはりあまり鉱害というのは県とか国がやるのだというような気持ちにならしちゃこれは困ると思うのです。やはりみずからが営利行為のもとに他人に被害を与えるのだから、だからやはり被害者、加害者という立場で問題を解決すべきだと思うのですが、どうですか。これはもちろん行政官庁に責任がありますよ、施業案を認めているんですからね。
#53
○政府委員(橋本徳男君) もちろんおっしゃるとおりでございますが、補償の問題につきましては、当事者間の話し合いということが基本的前提でございます。基本的前提でございまして、当事者間で納得のいくような線を見出していただくことが一番いい方法だろうと思うのでございます。ただしかし、御承知のように、どちらかといいますれば、やはりそれぞれの企業というふうなものとそれからいわゆる住民の力関係といいますか、そういったようなものもございますので、われわれはサイドから、こういった事業をやる条件としまして絶対いわゆる鉱業というものによる他人への権利の侵害ということがあってはならないというふうなサイドから双方の話し合いというものを十分平等な立場においてやっていけるような形づくりをしていくというのがこれまたわれわれの責務であると思いますし、万一企業のサイドのほうにおきまして不誠意等の事実が見出されますれば、これはわれわれといたしましてもこういったものを、施業案を認可し、しかもまた賠償その他、予防についての万全を期するという条件をとっている以上は、われわれとしまして厳重に企業サイドのほうにも申し渡ししますし、また、府県等の協力も借りまして善処していきたいというふうに考えております。
#54
○沢田政治君 鉱業法でも賠償の義務が明確になっておるわけです。百九条ですか、それと百十二条ですね。それでこういう考えがありませんか、賠償の義務はこれは明確だ。それで百十二条で賠償の基準ですね、これをきめるために地方鉱業協議会ですか、そこにはかることができることになっておりますね。そういうことをやるつもりですか。よくよく紛争して当事者で解決できない、こういうことになると、一応こういう手続を踏むつもりはありますか。もちろんこの場合でも、何人もこの決定には拘束されないということですから、これは一つのめどを立てるという法律ですから。そういう経路であまり長くなるとこれはたいへんですね。この特に産炭地なんかの被害、鉱物は有限です、無限じゃありません。いつかの時代にはなくなる。なくなったならば資本投資したものは引き揚げる。そうなると、残るのは鉱害だ、こういうことでありますから、なるべく早く解決すべきだとこういう前提で、こういう方法がいいかどうかは別として、最悪の場合はこういう経路を経てこういう手続をとる、そういうお考えはおありですか。
#55
○政府委員(橋本徳男君) 原則的には先ほどお話しいたしましたように、当事者間の話し合いということではございますけれども、もしその話が非常に長引き、それによって地元住民に対して非常な不安感をよりそそるようなことになりますればこれはまことに遺憾なことでございますので、そういった手続が必要というふうな段階におきましては、十分われわれはそういう措置をとっていきたいというふうに考えております。
 それから先ほど後段でお話しございましたように、現在の段階におきまして賠償問題がそれぞれのいわゆる企業において行なわれる、しかし、将来は非常に問題があって、石炭のようにあと賠償だけが残るというふうなお話でございますが、こういった点につきましても、われわれは、何らか将来にわたっての措置というものをこの段階において考えておかないといけないのではないかというふうな実は気持ちを持っておりまして、ある程度地元の県とも話し合っております。地元の県といたしましても、一応事務的には一案を考えておるようでございますが、そういった点をさらにわれわれは突っ込んで、将来にわたって住民の不安がないようなことを考えていきたいというふうな気持ちを持っております。
#56
○沢田政治君 現在約七十五戸が被害を受けておるわけですが、将来は四百世帯ですね、七十ヘクタール、こういうふうに被害が非常に拡大する可能性があるわけです。それとの関連でお聞きするわけですが、ここの鉱区の鉱業権者ですね、これは日本鉱業あり、同和鉱業、まだ採掘はしておりませんが三菱金属鉱業、もっとそのほかあるかもしれません。大体代表的な三つが鉱区を持っておるわけですが、私の聞くところによると、本年あたりから日本鉱業が釈迦内と松峯の接近鉱区、同和鉱との接近鉱区、これを採掘するということを聞いておるわけです。そうなると、鉱害の複合鉱害が出てくるわけです。もちろんこの複合鉱害の場合どうすべきかということは鉱業法にもはっきりしていますね。大体折半の思想というのが法律の思想になっているわけですが、しかし、その場合、同和がまだ稼行しないわけですよ。その近傍を、境界線を掘らないわけだ。日本鉱業が掘って、日本鉱業の鉱区だけ沈下すればいいけれども、やはり力学的に言ってそこだけじゃない、同和のほうも沈下する、そうなった場合、いやわれわれはまだ採掘しておらぬ、日本鉱業が掘ったんだから同和としてはまだ全然その近傍には手をつけておらぬから、両方で掘った場合は折半の補償義務があるのだけれども、義務がないと、こういう係争が起きた場合どうしますか、これは。
#57
○政府委員(中川理一郎君) おくれまして申しわけございません。御質問の御趣旨、途中からお聞きしたのでございますが、二つ以上の鉱山の鉱業実施に基因して鉱害が生じたとき、法律によりますと鉱業法の百九条二項にございますように、各鉱山は連帯して損害を賠償する義務があるということはさだかになっておるわけでございます。いまの御質問は、その間連帯する義務者双方の負担の割合というもの等に両者間にもし問題が起こって、そのことが片づかないために被害者に迷惑をかけることになりはしないかという御趣旨ではなかろうかとお聞きしたわけでございますが、いまの黒鉱開発につきましての同和と日本鉱業との具体的なケースにつきましては、両鉱山の操業が近接する個所につきましては、もしいずれの会社の作業によって発生した鉱害であるかということに直ちに答えが出ないということであっても、鉱害被害者との関係におきましては、必ずこの会社の二社のうちの一つが確定的な窓口となってこの被害者と話をつける、内部関係は両者の話し合いということであっても、被害者との関係においては必ず責任あるきまった会社がきちんとこれの処理をいたしますということにはなっておるのでございまして、必ず一方が窓口となって解決するということについては両者間ではっきりいたしておりますので、運用よろしきを得れば問題はないのではないかと考えておる次第であります。
#58
○沢田政治君 その点については、同和も日鉱もおそい早いは別としても採掘するという前提に立って鉱量が賦存しているのだからこれは問題ないと思うのです。そういうことで解決願いたいと思うのです、鉱業法の精神にのっとって。
 それから私きょうの質問で終わるわけじゃありません。三十分の時間でありますから、本来ならばこれはやはり自治省にも影響ありますし、建設省、農林省、各省に影響するところの大きい問題でありますから、もっと時間をとってお聞きしたいと思うのでありますが、主管官庁でありますから、きょうは前段の予備質問ということでしぼってお聞きしておるわけですが、将来の質問のために、私参考にするために二十二条の鉱床説明書ですね。特に鉱床説明書の鉱物の鉱床の位置とか走向、傾斜、厚さ、こういうものは要りません。ただ第二項のこの鉱床説明書の中には鉱害の範囲及び態様ですね、こういうものを記入しなくちゃならぬことになっていますね。こういうものが出ておるならば参考に参考資料として出してもらいたいということと、それからこれは関連あるかどうか、この二十六条ですね、「鉱害を防止する」云云とありますね、この設備設計書ですか、これと施業案ですね、施業案の鉱害に関した部分、全部ということになるとこれは問題あると思いますが、どういうものをどういう態度で皆さんが認可したのか、どういう態度、認識を持ったのか、その理解の度合いを知っておかなければこれはちょっとまずいと思うので、できるならそれを参考資料として出してほしいと思うのです。
 そこで補償とかと言いますけれども、補償にもいろいろなしかたがあると思うのですね。たとえばたんぼ十アール当たりいま大館地区で幾らするかわかりませんが、かりに時価として三十万円、十アール三十万円だから倍ぐらい出して六十万円、あるいは三倍出して九十万円出したから賠償だということにもなります、これは賠償としては。ただそれは賠償でしょう、たしか。ただ私がここで主張したいのは、全然本人に意思もないし責任もなくて生産手段を取り上げられるという問題です。たくさん土地を持っておって幾らか高く買われる場合と違うわけですよ。生きていく手段を断たるわけですから、賠償じゃない、やっぱり責任補償という観点からこの問題を解決しなくちゃならぬと思うのです。ある人においては何百年住んできた祖先伝来の家から離れなくちゃならぬわけですね。移転しなくちゃならぬわけです。そういうことだから、賠償という見地では私はこれは解決できないと思うのです。生活を将来にわたってどう見てやるかという角度から解決しなければこの問題は解決しないと思うのです。大体三つあると思うのですね、問題を解決すべき点は。一つはやはり公共施設ですね。道路、河川、この問題があります。学校とか、いろいろなそういうものがある。次は農地の問題、次は住宅の問題、この問題を解決しなくちゃならぬと思うのです。それで幾らがまんしても将来は移転せざるを得ない状況になるのが物理的に予想されると思うのですね。その場合集団で移転するのか。将来の生活を保障するのか、集団でどこかへ移転をさして。水田としてはこれは水田向きじゃなくなりますね。だから畑作として耕作権を認めてやるのか。いろいろな方法があると思うのだけれども、ただ単に十アール当たりあの近傍では三十万円だから三倍ぐらい出したら解決するということでは私は解決できないと思うのです。かりに五十アール持っていた人、五反百姓ですね、そういう人が三十万円の三倍で買ってもらったってこれはたいした額になりませんでしょう。これは五百万円内外ですね、これじゃとても……。それで、もう何というか、自分の生活権と引きかえにせいと言ったってこれはとても無理な話なわけです。そういうことだから、皆さんのほうが、これは介入してどうこうという問題じゃないけれども、行政指導の責任があると思うのです、これは施業案を認めているのだから。だから私が言ったように、金銭で時価の何倍というような方向じゃなく、その人がどうしたら生活をしていけるのか、これをどうしてやるとか、住宅もつくってやるし補償もするし、そのかわりだれかを身がわりに採用してやるとかいう方法もあるだろうし、いずれにしても人の生存権だから、生活権だから、これを基礎に置いて解決するような行政指導をする意思があるのかどうか、その点をお聞きしたいと思うのです。
#59
○政府委員(中川理一郎君) 最初沢田先生申されました施業案関係の中の必要な事項について資料として提出してほしいという点でございますが、これらいずれも通産局長の権限で、通産局にとっておる資料でございますので、現地と相談をいたしまして、なるべく御期待に沿えるようなものについて努力をいたしてみたいと思っております。
 それから鉱害被害につきましてどういう解決が実際問題として必要なのか、るる考えられることを例をあげてお話しになったのでございまして、これはまさにこれからの問題ではございますけれども、御指摘のようなことを当然私どもとしても考えておかなければならぬことだと思っております。この種のメタルマインの採掘に伴う鉱害というのは比較的山間部が多かったものですから、いままでケースとしては少なかったのでございますが、私はたまたま石炭も担当いたしておりまして、石炭の鉱害復旧は御承知のように、非常にむずかしく、やっかいな問題でございますけれども、長年の実績と制度でかなりのところまで私はいま改善が行なわれてきておると思っております。その場合御指摘のように、金銭賠償で済ましていいのか、原状回復に近いところまでやらなければ、特定のところに居住をしておって、初めて生計が成り立つ、これを単純なる金銭賠償で済ませるということは鉱害の賠償という観点だけから見て、あるいは説明がついても、総合的に考えた場合に必ずしも適当でないというケースが起こることは私もよく承知をいたしております。筋合いといたしましては、鉱害賠償は当事者主義によって解決をするということが筋合いではございますけれども、これはやはり私石炭の場合もその気持ちで処理をしてきたつもりでございますが、被害者の立場に立ってみて被害者の納得し得る適切な補償を履行させる指導というものは役所としても心がけていかなければならないと思っております。いろんな具体的なケースがございまして、その中には当事者間で誠意をもってやれば、一番合理的な解決ができるという道はかなりあると思います。私どもまず鉱業権者側の指導ということにつきましては十全を期してまいりたいと思っております。
#60
○沢田政治君 いま一つの方法論だけれども、これですべての鉱害紛争なら紛争が解決すると思いませんけれども、先ほど申し上げましたように、地下資源は有限でありますから、いつかは枯渇するという運命がおとずれるわけです。そういうことで、しかもまあ銅の場合は国際商品である。非常に何といいますか、商品価値の、価格の変動が激しい。あるときは好況、不況というように非常に国内の事情じゃなく、国際的な事情によって非常に経営能力が振幅が大きい。そういうことでこの鉱害問題はずっと続くことと思うんですよ。その場合、いまは能力があるからいいとして、将来能力がなくなるかもしれない、そういう場合に石炭でも非常に苦労していろいろとられておるようですが、平素からやはり鉱害のために準備して、一トン幾らということで積み立てておく、こういう方法をとらなければ鉱業権をそれは転売することもあるだろうし、たいへんないろいろな問題が、現在見通されるのは二十年ぐらいの可採量があるようですから、将来もっとふえるかどうかわかりませんが、しかし、今日の経済変異は明日の経済変異とは言えないわけです。科学が日進月歩、進歩しているんだから、世界のどこかでもっと大量な鉱石が発見されるかもしれません、そういうことを心配したら切りがないと言っても、心配される可能性があるものは全部心配しておいたほうがいいと思うんですよ。そういう意味で現在県の中に廃滓流送公社ですか、正確な名前は承知しておりませんが、会社と県のほうでそういう協定を結んで、そういうことで鉱害防止をしておるようですね。廃滓の鉱害を防止しているようです。これは画期的なことだと思います。非常にこれは私はほめていいことだと思うのです。世界的な試みだと思うのです。そこであそこに幾らか資金を与えておいて、ある程度引き出し権を認めて、そういう弾力的な運用をとって、そのときのたくわえにする、こういう方法もあると思うのです。これは一考に値するものですか。考慮の余地がありますか。そういう方法も言われておるわけです。
#61
○政府委員(中川理一郎君) 端的に申しますと、私は十分考慮に値することだと考えております。いま御質問ございましたように、御意見ございましたように、幸いいま銅市況は国際的にかなり高い価格、五十万円余の価格を見ております。いましばらくは続くんじゃなかろうかという感じはいたしておりますが、こういう比較的銅産業の立場からいうと、恵まれた環境にあるときに幾らか鉱害賠償のための金を、準備を積み立てておくというような形で処理しておくということは、私は十分意義のあることだと考えております。御意見の中に、地元におきましても鉱山の拠金等による鉱害復旧機関の構想などがあるようでございます。私どももそれは承知をいたしております。したがって、私どもといたしましても、県当局とも十分な連絡をとりまして、長いこれから先の期間に対しての地元の不安というものを解消することに役立つという趣旨からいたしまして、その実現を指導する等、鉱害の確実な復旧を確保することについてはこれは積極的に検討をすべきであると、こう考えて、いま実は検討しているところでございます。鉱業法にも同様な規定がございますし、できればこの積み立て金等につきまして税法上の優遇、その他これが容易になるようなことも一くふうしてみる必要があるんではないかということで、来年度施策の検討をいま所管行政全体についてやっておる状況でございますが、その中の一項目としていま検討しておる状況でございます。
#62
○沢田政治君 質問時間十分超過したという委員長から注意がきておりますので、私やめますが、昭和三十九年ですか、鉱業法の改正の際も審議未了になったのも、やはり鉱害問題が一番大きなウエートをもって議論され、解決できずに審議未了、廃案になったのは知っておるとおりだと思うのです。しかしながら、いままでメタルマインの場合、山にあって鉱害というものはそうたいしてなかった。ところが、黒鉱の場合は平たん地というような特別な鉱床なので、初めてのやはりケースになると思います。そういう意味では、局長は石炭を手がけてきたので、私ども非常に信頼もしておるし、まあよく解決してくれるだろうという期待もしております。しかし、やはり時期を失すると、これは物理的なものじゃない、心理的なものになるわけですね。そういうことで非常に延びているような可能性もあるし、一方においては、やはり産業として発展してほしいという地域住民の声もあるわけです。被害を受けているものは何とかしてくれるという二つの相矛盾している事態が起こっているんです。そういう意味で厳格な鉱業法の観点からいうならば、住民の争いがあって、住民が強く反対をする場合については、採掘を一時制限するという措置も皆さんのほうにあるわけだ、だけれども、私はそこまでいかなくても、稼行しつつもなお住民に安心を与えるような解決方法というものを最善の努力を尽くしほしいと思います。そういう意味では私はきょう暴露するとか、たたくという意味ではありません。二つの相矛盾した要望と、困った面が出ておる、うまく解決してほしいというのが私のきょう質問したほんとうの目的ですから、ひとつよろしく努力してください。まだあとに質問を保留しておきます。四回、五回にわたって聞かなくちゃならぬと思うし、進展によってまたこれを質問したいと思うんです。終わります。
#63
○政府委員(中川理一郎君) 全く私どもの気持ちにぴったりした御意見でございまして、私どもはやはり産業所管の役所といたしまして、国にとって大切でありかつ有用な資源はできるだけ活用したい、かつまた、その活用によって部分的であれ一部の方に大きな迷惑をかけるという問題につきましては、できるだけこれを円滑に解消させたいという気持ちでおりますので、御指摘の趣旨に沿いました検討を積極的に加えてまいりたいと考えております。
#64
○内田善利君 私は、去る五月の二十九日に、厚生省に大分県の奥岳川の流域における環境汚染につきまして要観察地域としての指定をされたわけですが、この奥岳川の流域の汚染について住民の不安を一日も早く除去していきたい、そういう立場で質問をさせていただきたいと思います。去る七月ごろからこの奥岳川にもカドミウムが発見されまして、多量の坑内水の中にカドミウムがあることが発見されまして、各いろいろな調査が行なわれておりますけれども、抜本的なといいますか、厚生省としてのもっと強力な調査を要望したいと思いまして質問いたします。まず水質につきましてですが、昨年の七月ごろには坑内水の中にも四・四三とかあるいは八・五八とかいうような非常に多量のカドミウムがあったわけですが、その後大分県の工業試験場で何回かやっておりますけれども、非常に採水場所がまちまちで、私の持っておりますデータも五回にわたった分が出ておりますけれども、そのつど採水場所が異なるためにどのように変化してきたのか把握しにくいわけですけれども、まあ幸いにして水のほうは非常に少なくなっております。なっておりますが、まだまだ十一月八日の調査ではやはり二・六PPMというようなところもありますし、今年の二月四日の採水でも豊永鉱山の鉱内水では一・〇、それから第三ダムの放流水でも〇・〇三、このようなやはりまだ基準を上回るような結果が出ておるようでありますし、まあ大分工業試験場だけでありまして、経企庁としてもまだ水質検査をやっていらっしゃらないようですし、何をかしてこういった水質の調査あるいは水質基準を早く経企庁としても設定していただきたいと、このように思うわけですが、厚生省並びに経企庁の所見をお願いしたいと思います。
#65
○政府委員(金光克己君) 奥岳川の関連で鉱山から排出する排水によりましてカドミウム等によりまして汚染を受けておるという問題につきまして、厚生省といたしましても、この調査に協力いたしまして調査いたしたわけでございます。先ほどから御説明がございましたように、これは昨年の六月ごろから問題が提起されたわけでございます。それで、県におきまして七月に鉱害パトロールを行ないまして、大分工業試験場で分析して、坑内水等におきまして四・四三PPMというカドミウムを検出いたしております。まあ坑内水につきましては、特に処理をいたします前の水であるということで、特に高いという数値が出ておるわけでございます。その後、厚生省におきまして、十月に県におきまして実施いたしました環境汚染調査に関連いたしまして、厚生省の委託研究班がこれに技術的に協力をいたしまして検査を行なったということでございます。まあその結果によりますと、一部先ほどのように、かなり高い濃度の汚水も出ておるということでございますが、飲料水等におきましては、一応基準以内の、水道水といたしましては一応の暫定基準をきめておりますが、その基準以内の量であるということでございます。それからまあ川水等におきましても、〇・〇一とかあるいは〇・〇四PPMといった数字も出たのでございますが、その後の調査におきましては最高が〇・〇〇五PPM以下となっておるというようなことでございまして、まあ非常な汚染であるということではないわけでございまして、一般的にまあ川水等におきましては利水地点でまあ〇・〇一PPM以下ということを一つの基準といたしております。そういった点からいいますと、それ以下であるということでございます。
 それから、水田土壌中の問題につきましても、まあ一・九から二四PPMといったようなものもありますが、平均しますと九・七PPMというようなことでございまして、これはまた群馬の碓氷川流域より少し高いというような結果でございます。さようなことでございます。
 その他、まあ米といったようなものも調べておりますが、これも先般厚生省で米の中のカドミウムの含有量につきまして一応の指針と申しますか、判断尺度を暫定的にきめておりますが、それは〇・四PPMということでございます。それの前後している数字であるということで、特に問題を生ずるというような数字ではないと、かような状態でございます。しかしながら、以上のようなことでございまして、カドミウムによる汚染があるということは事実でございます。
 なお、その汚染につきましては、まあ神通川流域だとか群馬県の碓氷川流域、あるいは長崎県の対馬の佐須川等の流域の問題、それから宮城県の鉛川、二迫川といった流域の汚染の状態と比較しまして、部分的には若干それぞれ異なっておりますけれども、大体同じような汚染であるというようなことで、要観察地域として今後いろいろと地域の汚染状態も調査を続けていく。また、患者の発生等につきましても、現在患者が発生するほどの数と考えられる状態ではございません。また、健康診断等を行なった結果におきましてもさような状態でございませんが、やはり観察地域として念のためにとにかく患者につきましても十分注意をしていくと、発生について注意をしていくというような必要があろうというようなことで、他の地域と同じように、要観察地域ということに厚生省としても考えたような次第でございます。さようなことでございまして、いろいろと調査すべき点につきましてはなお今後残されておる点もあるわけでございますので、そういった点につきましては、今後なお一そう国としましても技術的な援助はしながら調査をしていきたい、かように考えております。
#66
○説明員(宮内宏君) 経済企画庁でございます。
 ただいま厚生省からるる御説明がありましたように、奥岳川につきましてカドミウム問題が非常にクローズアップされてきておりまして、私のほうも、そういう事態がございますので、先般係員をそれぞれの汚染地区に派遣いたしまして勉強を始めておる段階でございます。しかしながらといいますか、いまの厚生省の御調査を受けてでございますが、河川の水の水質保全法で規制するという問題の中に、技術的な問題でございますけれども、どれだけの許容量が人体に許されるかということと、汚濁源が発生する流量との関連におきましてどういうふうに薄まっていっておるかということの組合わせによって規制のしかたがきまってくるわけでございます。したがいまして、いまのお話しのように、一応、飲み水としては〇・〇一以下ということでございますので、まあ、ちょっと様子を見ておるわけでございますけれども、経済企画庁の調査の中で、もう一つの問題点といいますか、むずかしい問題は、先ほどの鉱山の排水と水との関係のほかに、自然の汚濁のシェアというふうなものがやっぱりありまして、その辺の調査を、今後必要に応じてやっていかなきゃならぬというふうに考えております。
#67
○内田善利君 水質のことで質問をしたわけですが、ついでに厚生省のほうから水田土壌、米のことについていま話がありましたので、ひっくるめて質問したいと思いますが、あそこに三重町という町がありますけれども、こっちのほうは相当あそこの川の水を飲んでおります。七月の調査のときに、大体、その水道の上流一里ぐらいのところの分析結果が〇・〇一PPMをこしておりますが、基準相当でありますから危険はない、といっても長年の間その水を飲んでおる。しかもその三重町の健康調査は全然行なわれていないというようなことで、この間の健康調査にしてもやはり完ぺきでないんじゃないかと、そのように思うわけでございますが、それから水質についても、先ほど申しましたように、非常に調査の地点が毎回変わるということはやはりよくないんじゃないか。やはり第一回、第二回、第三回、第四回と同じ地点から採水していくべきじゃないかと、その日の状況によって違うのじゃないか。また、現地の工業試験場は試験場としてやっていくと、採水し分析する時間も違うわけですから、厚生省としても、この点ひとつ指導をしていただきまして、同一の試験場で分析していくと、そういうふうに指導していただきたい、そのように思うわけです。データをまとめようとしてもなかなかまとまりませんので、今後そのようにしていただきたいと思いますし、それからこの報告の中に、岡山大と東京工大のほうに、米それから水田土壌、川のどろ、こういったものを調査を依頼しているわけですが、その調査結果が出ていない。そういったことを今度の厚生省の発表から感ずるわけですが、この点について厚生省のほうから所見をお願いしたいと思います。
#68
○政府委員(金光克己君) 厚生省が協力いたしまして検査いたしました内容でございますが、お米と土につきましては、岡山大学の小林教授が検査に協力いたしております。それから水につきましては、東大工の先生に御協力をいただいておると、さようなことでございまして、そういった集積を全般的に整理いたしまして結論を出したということでございます。それから先ほどの検査所を統一するようにということでございますが、こういうカドミウム等の重金属の検査につきましては、新しい一つの方向の仕事でもございますし、また、誤差等も生ずることもないとは言えないというような立場で、やはり一カ所という、一人の人が検査するのでなく、やはり二人以上の人が検査をしてクロスチェックをやっていくというほうがより正確であるというようなことで地元でも検査をお願いいたしましたし、また、厚生省の研究班の範囲でもクロスチェックを行なった、さようなことでございまして、その結果のまとめにつきましては総合的にまとめたということでございます。
#69
○内田善利君 東京工大に依頼した川水は、結果は出たのですね。
#70
○政府委員(金光克己君) この厚生省の報告書の黄色い本でございますが、この六ページと七ページは東京工大の先生の検査でございます。
#71
○内田善利君 私が先ほどお願いしたのは、クロスチェックは当然しなければなりません。あらゆるところでやっていただきたいと思いますが、同一の機関で調査する場合にそのようにしていただきたい、そういう希望であります。クロスチェックは当然やっていっていただきたい、このように思うわけです。
 それから奥岳川の場合は、砒素の量が非常に多いわけですが、いま休山になっております三菱の尾平鉱業所のほうでは相当砒素が出まして、昭和二十一年から二十二年にかけて相当稲作に砒素が被害を与えている。二十七年に和解が成立しておりますが、このように砒素の害が非常に大きいということと、今度の調査結果においても砒素が多かった、このように出ております。この砒素のことについてお聞きしたいと思いますが、このような調査結果砒素が多いということでありますが、その程度でいいのかどうか。尾平坑内水で二・六八PPM、三・一五PPM、あるいは米でいいますと〇・一九、〇・一一、〇・一三、それから水田の土壌の中には砒素が一三〇〇PPMあるいは一一〇〇とか九五〇とか、このように非常に大きい砒素の含有でありますが、この砒素についてこれでいいのどうか、お伺いしたいと思います。
#72
○政府委員(金光克己君) ただいまの御説明のように、尾平鉱山の坑内水の中の廃液でございますが、三菱尾平鉱山でございますか鉱業所でございますか、そこの坑内水におきまして砒素が多いということは検査の結果出ておるわけでございます。そういうことで、やはり砒素のこの問題につきましては、やはり今後も注意をしていくべきものだと考えております。なお、そういうことではございますが、飲料水といったようなものにつきましては、飲料水の水質基準で〇・〇五PPMというような基準が設けられておるわけでございますが、この点につきましては、今回の調査におきましてはこの水質基準以下である、これは心配はないということでございます。それから水田土壌中の砒素濃度はかなり高い値を示しておるということが考えられるわけでございますが、どの程度であるかということにつきましては、さらに今後調査を引き続いてするという問題だと思うのでございます。そういう意味におきまして、砒素につきましては特にこの三菱の尾平鉱業所におきましてはこの問題が成績の上では高く出ておるということでございますので、今後十分そういった点につきましては配慮をしていく必要がある、かように考えております。
#73
○内田善利君 次に入りますが、米からは最高一・九一PPM、最低〇・一PPM、平均〇・六二PPMということですね。この点について先ほどは〇・五内外だからいいということですけれども、はたしてこの米をとっていっていいのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
#74
○政府委員(金光克己君) ただいま御説明になりました数値はカドミウムの数値ではないかと思うのでございますが。
#75
○内田善利君 そうです。
#76
○政府委員(金光克己君) その砒素でなくてカドミウムということでございますが、カドミウムにつきましては、先ほど申し上げましたように、米の中にカドミウムが含まれておるということでございます。その分析値といたしましては、小林教授の分析では〇・六二PPM、これは平均でございます。県が行ないました検査では、平均〇・三五PPMということでございまして、他地区におきましても大体こういうことでございますので、先般厚生省で暫定的にきめました尺度、これ以上カドミウムが含まれておると、やはりカドミウムの汚染があるのではないかということで注意しなければならないという一つの尺度でございますが、〇・四PPMというふうにきめておるわけでございますが、そういった点から言いいますと、若干オーバーするか、大体その付近であろうということでございます。この点につきましてはカドミウムに関しましての要観察地域になっておりますほかの地域との関連におきましても大体同じような程度でございます。こういった程度でございますけれども、これによりまして即イタイイタイ病が発生するということはこれは考えられない、かように考えておる、即現在発病するとかいった問題ではない、かように考えております。神通川等におきましての米の濃度につきましても、そう変わりはないのでございますが、神通川におきましても学者の見解によりますと、やはり水の中の汚染が非常に多かった、その水の汚染が非常に加わったために特に障害を起こしたものであろうというふうに考えられておるわけでございます。さようなことでございまして、ほかの地域と比べまして特に多いということは言えないわけでございます。要観察地域として扱っていこうということでございます。
#77
○内田善利君 次に、健康診断の結果についてお尋ねいたします。
 大分県の医師会と大分県の厚生部で昨年十月健康調査を行なったわけですが、先ほど言いましたように、三重町は抜けておりまして、清川村と緒方町で行なわれまして、やはり流域の三重町もやるべきではなかったか、長い間、川の水を飲んでおりますのでそのように思います。この健康診断は何名の医者でやられたのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
#78
○政府委員(金光克己君) 地元の医師会それから保健所が協力をして行なったわけでございまして、地元の医師会が総力をあげて実施されたということでございます。そういうことでございまして、何名ということはいまちょっと資料をここに持っていないわけでございますが、健康診断としましては約千名の健康診断を行なったということでございます。
#79
○内田善利君 いろいろなこまごまとした質問はもうしませんで、最後の結論について質問したいと思いますが、レントゲン検査を他の診断の結果気になる者二十五名、しかも女性について行なった。その結果正常なのは一人だった。二十四人は何らかの骨の異状があった。特に骨の軟化症はなかったということですけれども、よく萩野博士が言われます粗暴症はなかったかどうか、この診断はしたのかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
#80
○政府委員(金光克己君) ただいま二十数名の骨のレントゲン検査の結果の所見があったということでございますが、これにつきましては、診断の結果は老人性の変化だというように診断をされております。それからイタイイタイ病に関連いたしますこれも、これがあったから即イタイイタイ病というものではございませんが、骨軟化症とかあるいは骨粗鬆症といったような骨の変化がございますが、これにつきましては数名の者があったということでございますが、これにつきましてたとえばイタイイタイ病に関連する他の所見等を考慮いたしますと、イタイイタイ病のような病気ではない、かような結論になっておるわけでございます。
#81
○内田善利君 白という総合判断であったということでございますけれども、緒方町では腰痛の女性が四十六名、清川村では百五十三名がそのような農夫症と判断されておりますけれども、そういう訴えもありますし、これは非常に注意しなければならないんじゃないかと、そのように判断するわけです。水俣病の場合も、先日熊大の武内教授が不顕性水俣病というのを発表しております。なくなった医師の解剖の結果出ておりますけれども、この不顕性水俣病も脳をやられておるということだけで外症はあまりなかった、認められなかったということですけれども、われわれ人間の脳をやられて外症がないことはないんじゃないかと、何らかの症状が出たんじゃないかと、そのように判断されますし、この点についても厚生省の見解をお聞きしたいと思いますが、大分の場合でも要観察地域になっておりますけれども、この点についてはひとつ総合判断を誤らないように、そして一日も早く現地住民の不安を除くようにお願いしたいと思います。ついでに不顕性水俣病についての見解といまの点についてお伺いしたいと思います。
#82
○政府委員(金光克己君) ことしの二月に死亡されました水俣の松本医師でございますが、この方の解剖を熊本大学の武内教授が実施されまして、その結果、脳内の変化におきまして水俣病の疑わしい所見があったということですが、これにつきましてはまだ公式の発表がないわけでございまして、私ども厚生省といたしましても、その資料等をいただくように連絡をとっているわけでございます。したがいまして、この問題につきましては厚生省といたしましても、従来非常に重要なものとして関心を持たなきゃならぬと考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、地元におきます熊大を中心としました専門家の方々が、やはり一番この病気につきましては詳しいわけでございますので、そういった点につきましては、十分御検討いただきたい、かように考えておるわけでございます。その上に立って今後必要な措置につきましては国としても考えていこうということでございます。
 それから奥岳川のカドミウム汚染に関連いたしましての患者の発生の問題でございますが、現在の段階では患者はないということでございます。また、現在の汚染状態の程度ではまず患者は出ないであろう、イタイイタイ病といったような患者は出ないであろうということでございます。でございますが、今後学問的にもやはり十分研究をしながら追跡調査をしていく必要があるということでございます。したがいまして、たん白、あるいは糖の出ているような人、こういったようなイタイイタイ病の患者に共通した症状のある人というような方につきましては、今後十分追跡観察をしながら鑑別診断をしていく必要があろうと思っております。いたずらに不安を持つ必要はないのでございますが、安全を期すほうがより望ましいと考えております。こういった点につきましては、国といたしましても、先般、五月三十日にこのイタイイタイ病関係、あるいはカドミウムの調査研究をされております関係者の専門家を一堂に会しました研究会が開催されたわけでございます。これは日本公衆衛生協会主宰で行なわれたわけでございます。そこでいろいろと総合的な研究討議が行なわれました。そういうようなことでございますので、こういった専門家会議を中心にいたしまして、今後、疑わしい患者につきましては、十分国といたしましてもこういう専門家の人をわずらわして検討をしていきたい、かように考えているわけでございます。
#83
○内田善利君 奥岳川の問題につきましては以上で終わりますが、一日も早く現地住民の不安を除去していただくように対処をお願いしたいと思います。
 それから対馬のことについて一言お聞きしたいと思いますが、去る五月二十二日に経企庁並びに通産省から水質調査をやっておられるわけですが、その結果はいつごろ出ましょうか。
#84
○政府委員(橋本徳男君) 対馬鉱山につきましては、福岡の監督局といたしまして再三にわたってこれは検査を継続してございます。ごく最近におきましては、三月の十一日から十七日の間にもかけまして検査をやっております。それで、そのときのカドミウムの結果でございますけれども、椎根川の利水系におきましては〇・〇〇三、それから金田小学校前におきましても〇・〇〇三でございます。こういうことで、利水地点といたしましては前回に比べますとさらに改善されておりますし、現在の段階におきましてのこの地域における鉱山から排出する水については問題はないというふうに認識しております。
#85
○説明員(宮内宏君) 先ほどちょっと説明が不十分だったかと思いますが、実は経済企画庁は水を取って調査したのではございませんで、こういうふうに全国的にカドミウムの問題があれしておりまして、全然、ことに対馬はいままで水質調査をやったような経験がなくて、言いかえればだれも行ったことがないというふうなことで、これもほうっておけないというので有能な係官を派遣したわけでございます。そこでいろいろ様子を見てまいりまして、上水道につきましては佐須川の非常に上流の、鉱山から離れた地点から採水しておるということで、飲み水からの問題は起きないのではないかというふうな報告を受けております。
#86
○内田善利君 最後にもう一つお伺いしたいと思いますが、対馬の場合に、カドミウムのほか鉛と亜鉛が非常に多い、九大の青峰教授の調査によりますと、特に麦に対する有毒限界濃度をはるかに越えておると、このように調査結果が出ておりますが、この点についてどのように考えられるか。特に水田の麦とかレンゲの成育が悪い、その他いろいろ分析の結果、鉛と亜鉛の被害が多いのではないかということです。この点についてお伺いしたい。
#87
○政府委員(橋本徳男君) 鉛、亜鉛につきましても、カドミウムの水質検査のときにあわせて検査を継続して行なっております。ただ水田土壌その他についてどういう状態になっておるかは、まだ監督局のほうでは調査をしていないわけでございます。今回の調査の結果は、鉛、亜鉛につきましてのデータが現在ございませんが、念のために昨年の十一月におきまするものを見ましても、亜鉛につきましては、金田中学校の手前で見まして〇・四五、それから鉛につきましては同じ場所におきまして〇・〇二一というふうなことになっております。この金田中学の手前というのが第一の利水地点でございますので、継続してこの地点においての調査を続けております。
#88
○内田善利君 対馬にいたしましても、奥岳川にいたしましても、また全国あらゆるところでこういった重金属による人体に被害を受けておるわけですが、人命尊重、人命尊重という立場から、ひとつ強力な対策をとっていただきたい。早急に現地住民の不安を除くような対策をとるべきではないか、このように思いますので、よろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#89
○多田省吾君 私は、おもに足尾銅山から流れ出た鉱毒問題で、渡良瀬川の水質問題にかかわるいわゆる農業被害問題それから飲料水、そういった面について若干質問したいと思います。
 足尾銅山につきましては、昭和四十一年の参議院の商工委員会におきましても、近藤委員あるいは鈴木一弘委員等から、二回にわたって質疑があり、その後、昭和四十三年の三月六日ですか、水質基準も、カッパーだけでございますけれども、〇・〇六PPM、これは高津戸ですから、足尾銅山からはるかに離れた四十キロ地点において〇・〇六PPM、このように決定したわけでございます。
 で、私は事実現地にも行きましたけれども、非常にふしぎに思うのは、いわゆる明治十三年ごろから相当の鉱毒の被害がありながら、また、田中昇造代議士等が明治天皇に直訴するというような事態も生じまして、鉱害第一号として大きな問題になったのでありますけれども、いわゆる古河鉱業からは、その七千二百ヘクタール――これは群馬県です。栃木県側は千二百ヘクタール、そういった八千四百ヘクタールにも及ぶ農業被害に関しては一円もいわゆる補償が出ないということ、まあそれは、寄付などはいろいろな形式で若干出ておるようでありますけれども、農業被害に対するはっきりした補償は一銭も出ていない。それから現在まだそういう鉱害が随所に残っておりまして、この前の水質審議会の第六特別部会でも大体年間四億数千万円の農業被害があるということを認めていらっしゃる。それは私どもは、あとで詳しく述べますけれども、そんなものじゃないと思います。十億、二十億の被害があるのじゃないかと思っております。こういった被害の問題もいまだ未解決であります。客土事業なんかもこの特別部会で十三億円でやると称して答申しておりながら、事実それもやられておりません。また、水道問題につきましても、事実、桐生市あるいは足利市あるいは太田市、そういったところではこの渡良瀬川の表流水あるいは伏流水を少しろ過して飲んでいるわけでありますけれども、やはりカドミウムとかあるいは砒素、そういった含有がありまして、ちょっと基準をオーバーしないまでも非常に堆積すれば危険なんじゃないかと思われるようなこともあります。また、砒素なんかは〇・〇五PPMという状態になっている日もございます。こういった点につきまして、この農業被害あるいは飲料水対策についていままでどう処置されたのか、まずそれをお尋ねしたい。
#90
○説明員(宮内宏君) 銅、この問題をまず御質問がありましたので、私のほうで銅の規制をやりました経過をまず述べさせていただきたいと思います。
 先ほど先生の御指摘のとおり、非常に長い間かかって銅の問題でもたついたといいますか、百年戦争というような長期を要したわけでございますが、二、三、言いわけになるかもしれませんが、われわれの努力したところだけを簡単にちょっと御説明いたしたいと思います。
 水質審議会の渡良瀬部会を三十八年から発足させまして四十三年三月までの五年間において、臨時部会等を含めまして六回やっておりますが、このほかに調査小委員会あるいは対策小委員会というふうなものも開きまして、合わせて十六回ばかりやります。それで、どうしてそんなに長い間かかって委員会あるいは部会が行なわれたかということでございますけれども、実は昭和三十四年−五年に採水調査をやったわけでございます。しかしながら、その銅の被害というのは、銅のミネラルというよりも銅のイオンが問題でございまして、実際に採水してこれを分析するという中で、こうやってビーカーにとりますが、それにひっついちゃうというふうなことで、出てきたデータがばらついて解析も何もできないというふうな時期がございました。それで、どういうふうに調査をしたらいいかということで、先ほど申し上げましたような調査小委員会――調査の方法を検討する小委員会というふうなものでやったわけでございます。それで、またあらためて三十六年に補足調査をし、三十九年−四十年補足調査をいたしまして、あまりこまかいことは申し上げませんが、要するに、銅がイオンの形でなかなかつかみにくいということがわかりまして、非常に強い酸性にいたしまして、そして銅の全体をつかむということで初めていわゆるばらつきの出ないあれが出たわけです。
 それから先ほど高津戸でもって、えらい四十キロも下がっておかしいじゃないかというふうなお話もございますが、これもやっぱり実はオットセイ岩というところあたりでかなり強く銅が出るわけです。そこでもちろんはかりますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたかと思いますけれども、結局川の中の銅のいわゆる濃度、濃いさというものは、川の中の流れている水の量によって薄められたり、濃いくなったり、ことに渡良瀬の場合は雨の降ったあとがひどいというふうなこともございまして、いまの高津戸に建設省が長期にわたって水の毎日の水位――水の高さをはかっております。これは流量に換算いたします。したがいまして、オットセイ岩でとった水が渡良瀬ではどういうふうな流量にぶつかってくるかということを一々チェックいたしませんと解析ができないわけでございます。したがいまして、オットセイ岩と約四十キロ下がったいろいろの資料のございます高津戸との間の相関関係を求めまして、それから逆算してオットセイ岩で幾ら、高津戸で幾らという関係が出てくる。それで〇・〇六という水質規制をかけたわけでございます。
 それから、まあ言いわけのようでございますけれども、実はその銅の問題に何といいますか、精力を使っておりまして、まだ鉛とかいうものについてはちょっと勉強していなかったというのが現状でございます。
#91
○政府委員(橋本徳男君) 通産省といたしましては、四十二年に御承知のように、水質審議会におきましてこの渡良瀬川の水質改善のためにさしあたって四十四年の一月から利水地点において〇・〇八、それから四十五年から〇・〇六というところにもっていくべく決定されたわけでございます。したがいまして、それで鉱山側に対しましては八項目の改善事項を指示いたしまして、これは全部現段階で完了しております。
 それからあと砂防事業といたしましては、建設省、林野庁が今日砂防事業をあわせて工事をやっておりますが、それに並行いたしまして鉱山側でそれとの関連においてやるべき施設の改善工事というのが二つございます。現在それを建設省及び林野庁の工事とあわせてやっておりまして、本年末までには完成するというふうになっております。
 それからまた水質問題でございますが、一応とにかく高津戸の地点におきまして現段階において〇・〇八というふうなことになるべく、それを換算いたしますればオットセイ地点のところにおいて〇・三二というふうなことになるわけでございますが、これはいずれもいわゆるかんがい期においてこういうような形になるということでございます。こういった先ほどの八項目の完成いたしましたのが大体昨年の十月過ぎでございます。したがいまして、本年の水の状況等をこのかんがい期を通してとってみた上でこれが適正であるかどうかというふうなことを判断しなければならぬだろうと思っております。したがいまして、おっしゃいますとおり、現段階におきましていろいろ過去のデータといたしましては若干の上下はございますが、このかんがい期における平均水質というふうなものを、この本年のかんがい期においてとりまして、それで判断していきたいというふうに考えております。なお、改善すべき問題点がございますれば、十分そういった点についてはこの水質審議会の線に沿って改善いたしていかなければならないと考えております。
 それから補償関係でございますが、これにつきましては御承知のように、客土の問題が起きておりまして、現在通産省の政務次官もこの点につきましては、別途いろいろ委員会において御発言しておりますように、いわゆる農地の改良政策の中に織り込んでその改善をはかるというふうな方向におきまして、現在農林省の幹部のほうにそういう形での解決方を強く要請し、検討を進められているというふうな状況でございます。
#92
○政府委員(金光克己君) 足尾銅山に関連いたしまして、飲料水関係の問題でございますが、まずカドミウムにつきましては、いろいろと現地で新聞紙上に報道され、かなり問題になったわけでございますが、渡良瀬川流域の水道という関係で問題になります地域は、桐生市、足利、太田、簡易水道がさらにその以外に十カ所ばかりございます。そのうち桐生市を除きまして全部伏流水でございまして、水質の上におきましてほとんど問題にならないというような状態でございます。心配ないということでございます。桐生市におきましても心配があるというわけではないわけでございますが。カドミウムにつきましては、取水地点の原水におきまして桐生市で〇・〇〇二八ということでございます。さようなことでございますので、一般的に〇・〇一PPMというのを水道水の水源水の基準にいたしておりますが、それからいいますと、非常に少ないという状況でございまして、カドミウムにつきましては、まずいまのところは心配ないということでございます。
 それ以外の問題としまして、銅とか亜鉛とかいう問題がございます。また砒素の問題も先ほど御説明があったわけでございますが、どうも亜鉛も現在のところ基準からいいますと、もう心配はない状態であるということでございます。
 それから砒素でございますが、砒素につきましても、砒素の水道水の基準としましては〇・〇五PPMということでございますが、基準以内の水道水であるということで、桐生市の水につきまして現在問題はないということでございます。ただ先ほどお話が出ましたように、砒素につきましては、この基準に近づいてくるという場合もいままでのところあったようでございますので、この点につきましては、安全ではございますが、より少なくしていくという方向につきましては、さらに検討していくべきであろうというようなことで、私どもの立場では指導してまいりたい、かように考えております。
#93
○多田省吾君 それでは個々の問題につきまして質問したいと思いますので、時間もありませんから、ひとつ簡明にお願いしたいと思います。
 一つは、昭和二十七年から三十四年まで渡良瀬川右岸土地改良事業計画をやったわけです。事業全体で一億五千五百六万四千円、国として五〇%の七千七百五十三万二千円、県が二五%の三千八百七十六万六千円、同じく地元が二五%の三千八百七十六万六千円。地元負担すること自体もおかしなことでありますけれども、普通の土地改良事業ならいざ知らず、こういった足尾銅山の鉱毒のために引き起こされていることによる土地改良事業としては、非常にこれはおかしい問題だ、これは衆議院でも産業公害委員会で追及されたようでありますが、今後こういった土地改良事業において絶対に地元負担をやらせないという方針で臨むのかどうかですね。
 それからこの土地改良事業は私は完全に失敗しているんじゃないか、こう思うわけです。一つの例をとりますと、待堰なんかは、いわゆる伏流水のための工事、私もこの前見てまいりましたけれども、ほとんど流れていない。三十四年の完成式のときも、三日か五日ぐらい伏流水の水をためておいて流したから流れたようなものの、地元ではインチキだと言って非常に憤慨しています。全部表流水が流れています。それから沈砂池も、これは群馬県の農業試験場で昭和四十年度に出している調査なんですが、この待堰の沈砂池の流入点のカッパーも〇・〇四PPM、それから沈砂池の流出後のカッパーも同じく〇・〇四PPM、こんな状態です。少しも沈でんしていない。ですから、いま毛里田地区なんかは非常にひどい被害です。もともと毛里田地区なんかは非常に土地のいいところです。土地の等級なんかも群馬県で最高だと言われているくらいなんですけれども、いまでは平均六俵ぐらいしかとれていない。当然あの辺は十俵以上とれるんじゃないか。それから水の取り入り口、水口なんかは平均一俵か二俵ぐらいしかできない。だから池なんか掘って沈でんさせておりますけれども、この前も麦など見てまいりましたが、水口なんかはこんなに背が低い麦です。ほかに行きますとまたこんなに高い。相当鉱毒のたまったところは犠牲になっております。こういう状況です。ですから、一億五千万もかけて、それから地元が三千八百七十六万も負担させられて、この事業が全然効果がないということは、これは完全に失敗と言わざるを得ない。事前の調査も足りなかったであろうし、また地元に対して、今後はきれいな水がどんどんかんがい用水として流れてくる、鉱毒の心配がなくなるんだというような啓蒙を猛烈にやって、そして負担さした、その責任をどうするか。今度の客土事業にも相当関係もあるし、土地改良事業にも関係ある。県のほうでもはっきりとこれは伏流水の問題なんかも失敗だったと認めている。国として五〇%の費用を出してやっている以上、その責任をどこがとるのか、いま現在どういう考えでおられるのか、それらを端的にお聞きしたい。
#94
○説明員(井元光一君) いま多田先生から御指摘のとおり、二十七年から三十四年にかけて、県営事業といたしまして、農林省の五〇%の補助のもとに群馬県営渡良瀬川右岸土地改良事業というものを実施したわけであります。いま御指摘のように、確かに、土地改良事業といたしましては土地の受益者をプラスさせる目的で事業をやったわけでありますにかかわらず、ただいまのような内容で、取水量が目的どおり確かに取れなかったわけであります。これについてははなはだ残念に思いますが、当時の事業といたしましては、ただいまの見解のように、鉱毒事業あるいは公害対策事業というような考え方のもとに必ずしもやった完全なる事業とは考えていなかったわけであります。水量は確かに目的どおりに入らなかった。当時河床が上がったりあるいは下がったりいたしまして、当初は数年相当上がったわけであります。その後河床が非常に低下いたしましてこのような結果になったわけでありますけれども、この取水せきの位置は非常に河川の幅が広く、しかも県営事業といたしましてほんの一部分せきをつくりまして取水したようなわけで、それならなぜそんな事業をやったかということが当然出てくるわけでありますけれども、当時の見解といたしましては、集水渠等による取水というものが栃木県、群馬県ではこの河川の流域では非常に多く行なわれておった。たまたま集水渠によってある程度の金属の鉱毒もろ過できるものかということと、それから沈砂池というものも、多くの取水せきには沈砂池をつくるわけでありますが、この沈砂池も鉱毒の金属部分は沈砂できない、沈めてある程度はろ過できないだろうかというような見解で当時は行なったわけであります。現在見ると、まことに遺憾で、御指摘のとおりの内容でございます。その後何とかならないものかと思いまして、県費負担ではございますけれども、河川の幅が非常に広くて、取水せきのところを通っていない流路を直して、もとの取水せきの方向に流れないかと、非常な復旧事業をやったわけでございますけれども、これもさしたる効果がなかったわけでございます。以上です。
#95
○多田省吾君 ですから私の質問したことにお答え願いたいのですがね。たとえば伏流水を相当、毎秒ミトンぐらい出すという目的でつくられた、その工事量もばく大なものです。約半分ぐらい近くなっていると思いますが、それが全然失敗をしているのではありませんか。全然水質はよくなってない。いまほとんどよどんでいて、外見ではほとんど出ていませんよ。ゼロですよ。その問題もありますし、それからもう一つは、渡良瀬川の土地改良事業に対しては、地元に負担させるべきではない、ほんとうならば農業被害で相当の補償をもらわなければならないのに、かえってそういった鉱毒のために客土事業とかあるいは土地改良とかのための事業に対し三千八百万円も出させるというのはとんでもないことだ、それでこの前も説明員は衆議院でも、その土地については検討する必要があるという答弁をされていますけれども、その後二ヵ月近くたっているわけです。農林省の見解としてはどうなんですか、今後そういった事業に関しては国庫負担あるいは県だけでやると、こういうお考えはないんですか。
#96
○説明員(井元光一君) ただいまの問題につきましては、実は計画は表面取水では六トン、集水暗渠では一トン、ろ過暗渠では二・二五トンで、九・二五トンの計画でございました。それが現在では六・三五ぐらいしか取れてない、表面取水のほうは計画どおりの六トンでございます。ところが、その他の暗渠のほうは一割程度の水しか取れてない、おっしゃるとおりでございます。ただちょっとかってなような理屈ではございますけれども、還元水がこの地区は非常に多かったわけであります。で還元水による利用が相当あるものですから、実際におきましてそんなに干ばつのとき以外は問題が実際問題として起こっていなかったわけであります。それであまりやかましい陳情なり意見なりが出てこなかったわけであります。まことに残念なことでありますけれども、私のほうもこれに対して態度をはっきりきめておらなかったというわけでございます。
#97
○多田省吾君 土地改良の地元負担は。
#98
○説明員(井元光一君) 今後の地元負担ですか。――今後のことは現在まだ考えておりません。
#99
○多田省吾君 それからもう一点は、去年の三月の六日に〇・〇六PPMという水質基準をきめたわけでありますけれども、そのときに地元側で恩田正一氏が出席して、一応本人は反対したままで決定されているわけです。それでもうかんべんしてくれと言ったらまたたずねてきたというふうに聞きましたけれども、それから半谷教授ですか、東工大の、そういった方も分析された立場にありながら、アメリカに行っていて、参加していなかった。あとでそのことを聞いて非常に憤慨しているという事情を聞きましたけれども、その間の事情を簡単に説明してもらいたい。
 それからもう一つ、渡良瀬川は足尾銅山の排水口等において相当半谷教授の分析結果が出ている、と思います。経企庁においてその資料をひとつ提出をしていただきたい。この二点をお伺いしたい。
#100
○説明員(宮内宏君) 経済企画庁といたしましては、水質保全の立場からいろいろ川は手がけてきておりますけれども、先ほど申しましたように、渡良瀬川は非常にむずかしいいろんな条件がございました。先ほど一部むずかしい点を申し上げましたが、さらに工場と自然汚濁のシェアをどうするか、大体六四%が工場で、三六%が自然の汚濁の原因であるということになったわけです。そこへ至るまでに先ほど申し上げましたように、非常に時間がかかったわけです。それで恩田先生は確かに最後まで反対と言いますか、賛成しかねるというふうな態度でおられたわけでございますけれども、もう少し冷静に――途中でいろいろ審議会のときじゃございませんが、部会のときに、現地から会議場の中へ乱入してくるというような事態もございまして、非常に収拾に苦労したわけでございますが、いずれにいたしましても、一刻も早くやはり少しでもよくしなければならぬ、一歩前進させなければならぬのじゃないかというのが部会の総意、一部反対があるわけでございますけれども、大多数の先生方の御意見がそういうことになったわけでございます。それで先ほどの通産あるいは農林省から御説明がありましたように、県の分担はこれだけの仕事をことしの三月の末までに終えなさい、それから国のほうは治山治水事業、これはすでに始めておりますけれども、四十四年の暮れまでに完了するというような意味の附帯決議並びに先ほど多田先生御指摘になりましたような土地改良事業と言いますか、客土事業については、できるだけ地元の負担の軽減をはかるようにという趣旨の附帯決議がついて、そして一応部会報告が審議会に上がりまして、それで審議会の了承を得て、いままでに至っているわけでございます。
#101
○多田省吾君 まあ水質基準がきめられた特別部会で、客土事業として、「農地に蓄積している銅分等の除去のため、渡良瀬川沿岸の土地改良事業を行なった後、客土事業を行なうものとする。その客土事業の内容は事業費十二億円で群馬県下の渡良瀬川流域約七千二百ヘクタールのうち、必要に応じて活泥排土、客土、土壌改良資材の投入、深耕等の事業を行なうものである。」このような答申があるわけです。地元に対しても、県側はチラシ等をつくって、〇・〇六PPMに納得してくれ、そうすればすぐさま県として国に働きかけて、すぐその客土事業を始めようという、そういう約束をしているにもかかわらず、まだまだ工事の実態はおくれている、またやるつもりがあるのかどうか、また現在どのように進捗しているか、それを端的にお願いしたい。
 それからもう一点は、いわゆる無過失責任を負っている工場側に対して少しも金を出させないという、この土地改良区が昭和二十年ごろも陳情に行って、やっと三年間で八百万ほどもらっておりますけれども、その後は絶対もらわないというような約束も、その地元代議士なんかも非常に入ってやっているようでありますけれども、そういった七千二百ヘクタールもの農業被害を出している農民の方々に対して全然補償を勧告する気持ちも通産省側はないのか。それから農林省側としてはどういう工事をこれから行なっていこうとしているのか、それを具体的にお願いしたい。
#102
○説明員(井元光一君) 先ほど御指摘がありました客土事業につきましては、四十四年度でちょうど大規模の渡良瀬川水域の国営事業、合口事業の調査が終わっておるわけであります。四十五年度から予定どおりいけば設計に入るわけであります。で、この大規模の合口事業と並んで県営圃場整備事業という仕事とあわせて客土事業、あるいは客土事業にするか、排土事業にするか、あるいは一緒に天地返し等も行なうかまだきまっておりませんけれども、こうした事業によってこの対策事業を行なおうと考えているわけで一あります。で、順調にいけば、来年度全体設計という名目で設計に入る予定でございます。
 それからただいまも負担の問題がございますが、従前鉱毒対策というような名義でやったのは、現在行なわれております災害復旧事業の一番高い補助率でやったわけです。で、施設におきましては六割五分、一般農地におきましては五割の補助率を使って便宜上これは行なったわけでございますが、現在御指摘のように、これはどういう補助率でやるかということを申されますと、ただいまの見地から鉱害対策事業をやれば、でき得るならば地元負担をかけないというような考え方でいきたいと思っているわけでありますけれども、まだ決定とまでは至っておりませんので、できるだけそうした方向に努力したいと考えております。
#103
○多田省吾君 じゃ答申どおり十三億円の事業費を使って大体やられるのか。それからいつごろ完成される見込みなのか。
#104
○説明員(井元光一君) その合口事業は国営でやる一般の土地改良事業を考えておるわけであります。そのうち一部県営圃場整備事業とあわせてこうした客土事業等を行ないたいと、こういうふうに考えております。
#105
○多田省吾君 いつごろ。
#106
○説明員(井元光一君) 国営事業は来年度順調にいって設計に入ればおそらく国営事業の基幹施設をやって、そして次に県営に入る、末端事業に入るわけでありますから、五十年ぐらいを予定したらいいんじゃないかと思います。
#107
○多田省吾君 費用はどうですか。
#108
○説明員(井元光一君) 費用と申しますと……。
#109
○多田省吾君 十三億円の答申どおり……。
#110
○説明員(井元光一君) それは全体設計をやると、それはぴったりきまってくると思います。
#111
○多田省吾君 それから補償の問題ですけれども、まあ歴史的ないろいろな難点はあると思いますけれども、いままでの補償は地元にとっては非常に屈辱的なものでございます。で、秋田の花岡鉱山なんかは百五十ヘクタールの被害に毎年六千万円を出しているというようなことも聞いておりますし、七千二百ヘクタールの群馬県側が特にそういった被害に対してそんな土地改良の事業に数百万円をちょびちょび出していると、そういう状態で、地元の農業被害に対しては全然補償が会社から出ていないということはちょっと理解に苦しむのであります。そういう点に関して通産省は全然指導しておられないのか。それとも地元が相当結束して会社側に追及しなければ会社側も出そうとしないのか、その点お伺いしたいと思います。
#112
○政府委員(中川理一郎君) いまの御指摘の中で、多田先生も経緯その他については詳しく御承知のことのようでございますので、繰り返すことに相なろうかと思いますけれども、渡良瀬川流域の鉱害問題というものは、御承知のとおり、江戸時代から操業してきておる足尾銅山の排水排煙を主として起こった問題でございます。しかしながら、この鉱害問題につきましては、自然環境と申しますか、工業立地とかかわりのない形で自然的に出ているものも鉱害の原因になっているものがあるわけだと思われますし、さらに法律的に申しますと、鉱業法の無過失損害賠償責任制度が確立される以前からの蓄積鉱害、これについては法律的には故意もしくは過失ということが要件に相なっているのでございます。こういう蓄積鉱害もありますので、鉱害復旧の責任がすべて鉱山にあるということが言えない状況にございます。このことが一つただいま御指摘のように、会社側に対して手ぬるいではないかというお気持ちを当事者側に――私どもの会社側を責めるわけにはいかないいま申しましたような事情というものとの間で、そこがなかなかむずかしいわけでございます。もちろん現在の操業によります何がしかの農作物減収というようなものが出てまいりますならば、それはもう問題なく鉱山側の減収補償という形で処理をすべきものであることは間違いないのでございます。長い歴史と法律関係が非常にやっかいでございますので、要は農民の方々に普通の状態程度の農業経営ができるようにしてあげるということにいろいろと努力をすべきだという感じでございまして、先ほど来お話のございましたようなことで農林省のほうでもせっかくいろいろと御検討をいただいておるわけでございますので、私どももこれに可能な限りの御協力を申し上げて、事態そのものが円満に解決することを念願しておる次第でございます。
#113
○多田省吾君 時間がないんでまたその点はあとでやりますが、とにかくいまも坑内水とかあるいは洗鉱場の中から相当の鉱毒が流れているということは事実なんです。それから飲料水に関するお答えを先ほどちょっといただきましたけれども、この前の岡山大の小林博士の指摘にも、五カ所調べましてカドミウムが〇・〇九二と、こういうところもあるわけです。それから〇・〇六七、〇・〇二二、こういったところもあります。それから堆積場付近ではありますけれども、カドミウムも相当流れている。また銅なんかも待堰付近でも〇・二四あるいは桐生市の水道用水の取り入口でも〇・二四と相当な濃度です。それから先ほど砒素が相当限界に近づいているというようなお話がありましたけれども、桐生市の水道局の――環境衛生局長、桐生市の水道局のデータを見ますと、まあ、ろ過しない前は相当砒素はひどいと、〇・二なり、〇・三なりというものもあります。ろ過したあでも日によっては〇・〇五ぎりぎりになっているのが昨年でも相当あります。それから〇・〇四というところもずいぶんあります。これは一カ月平均は〇・〇二三あるいは〇・〇二七となっておりますけれども、一日のところではたしか〇・〇五、ここも〇・〇五こういった限界ぎりぎりのところがあるわけです。このような砒素あるいはカドミウム、こういう問題は何もこの〇・〇五PPMあるいは〇・〇一PPMの範囲内に、それを越えないからよろしいのだという考え方はこれは誤りだろうと思います。ほんとうにこういった限界ぎりぎりの水を飲まされている桐生市民にとっては非常に心配であります。生命にかかわる問題であり、生活を脅かされる問題、こういった点に関しては早急に手を打っていただきたい、また、地元の不安を取り除いていただきたい、こう思います。いかがですか。
#114
○政府委員(金光克己君) ただいま御指摘がありましたように、現在のところでとりあえずやはり特に注意をしなければならぬのは砒素であろうと思います。そういうことでございますが、やはりこれは渡良瀬川の全般の汚染を少なくするということが根本であります。そういうことにつきましては関係省とも協力いたしまして、そういったことにつきまして私どもの立場でも努力してまいりたいと思います。
 また、水道水の安全を期する意味におきましては、やはりろ過をいたすわけでございますので、浄化方法等につきましても十分検討いたしまして、現在の段階におきまして決して心配はないのでございますが、やはり基準に近づいておるというようなことでございますので、より少なくすることが必要でございますので、そういった方向で努力してまいりたい、かように考えております。
#115
○多田省吾君 時間もありませんので、最後に一点だけ水道用水にからんで特に厚生省にお願いしたいのは、やはり国民の立場に立って行政をやっていただきたいということです。たとえば桐生市の水道問題もあります。飲料水の問題です。それから玉川のいま水道水でも、たとえばアルキルベンゼンスルフオン酸ソーダですか、界面活性剤の量が〇・〇六PPM、浄化したあとでもそういう水を飲まされている。いわゆるABSの使用増加につれてハードなものが相当使われております。西ドイツなんかはすでに禁止されております。もう玉川浄水場だけで毎日百何十万円の活性炭を使っている、こういう状況です。そのために水道料金も高くなる。こういったABSの問題でも、園田前厚生大臣は、一応もう一ぺんその害毒やこれからの改善について研究してみたいとおっしゃっておられたのに、厚生省の各局長、部長の方々はそんなものはもうすでに昭和三十九年ごろに過ぎてしまった問題だということで、あまり調査をしていないように見えます。それから食品公害も最近問題になっておりますけれども、食品衛生学会に厚生省の局長、課長級がずらっと顔を連ねております。大学の教授なんかもおります。そういった国民の生活を守る立場にいる厚生省が、どうも業者と一体になっているのではないかというような声も強いわけでございます。そういった国民の疑惑を取り除くためにも、もっと強い態度で、強い姿勢でABS問題あるいは食品公害問題に取り組んでいただきたいと思います。食品公害だって、いま実際に全然基準がありませんし、どんな強い酸性のものを飲まされても、どんな害になるか知らないような添加物がたくさん入っていても、基準をきめてない。こういった厚生省の環境衛生の問題特に環境衛生局長にこういったABS問題、品衛生問題についてこれからどう対処されていくか、これからその現状をどう改めていくか、それを最後にお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
#116
○政府委員(金光克己君) まず飲料水の安全性の問題につきましては、これは国民の健康にとりまして非常に重大な問題でございますので、これにつきましては水源水の汚染を少なくしていくというようなことにつきまして、関係機関と十分協力いたしまして、積極的にやってまいりたいということで仕事は進めておるつもりでございます。
 それからABSの問題でございますが、これにつきましては、従来いろいろと論議のあるところでございますが、このABSの質的な面におきましても、分解しやすいソフトなものに切りかえていっておるということでございます。そういうことでございまして、現在のところABSの使用状況においては心配はないと考えておりますが、これが分解しにくいものがふえてまいりますということは非常に問題がありますので、先ほど申し上げましたように、やはりこれの質的転換をはかっていくということは一番必要であろうと考えております。
 それからそういった浄化方法につきましては、活性炭等を使っておるわけでございますが、こういった面につきましてもさらに十分研究をしていくということが必要であろうと思います。
 それから最後に食品衛生の問題でございますが、最近食品公害ということで非常に社会の大きな関心の的になっているわけでございます。これにつきましては、いろいろと食生活が複雑となり、いろいろの食品が複雑、また流通を円滑にするためにいろいろの添加物等も使用されたりその他のいろいろの方法が講ぜられ複雑になってまいっております。そういうふうなことでございますので、これには十分対処していかなければならぬと考えておるのでありまして、現在の法規におきまして、食品衛生法の中におきまして改正すべき点は大いに改正しなければならぬ、積極的に改正しなければならぬというような考え方で現在その作業を進めておるというような状況でございます。以上のようなことでございまして、厚生省はあくまで国民の健康を守るという立場にありますので、積極的に努力してまいりたい、かように考えております。
#117
○多田省吾君 先ほど質問いたしました食品衛生学会にどうして業者と一緒に局長や課長が入らなければならないかという問題です。私はむしろそういうものに入らないほうが厚生省としての公正を期せられるのではないか、その他の学会は大体省関係者は入ってないようです。そういった食品衛生学会がたまたま基準問題について論文発表なんかやっている。それがあたかも厚生省の見解も入っているような錯覚を起こすわけです。その点です。これは食品公害の問題でぜひ改めていただきたい問題です。
 それからもう一点は、先ほどABSの問題はほとんど害がないとおっしゃいましたけれども、三代くらい前の厚生大臣は、害がはっきりあるとおっしゃっております。それからたとえば学者の研究では、魚の味もABS〇・〇五PPMで失われている。人間だって味覚は失われやすい。そういった害もありますし、野菜なんかは全部ABSで洗っているという洗浄のやり方では、私たちの食生活にとっては重大な影響があります。ハードなものはなるべる切りかえていきたいとおっしゃっておりますけれども、西ドイツ並みに規制しているかというと全然野放し。こういった問題で私はなかなか納得できない。最後にその問題をあわせお尋ねして終わります。
#118
○政府委員(金光克己君) 食品衛生学会に業者と一緒に出席しているということでありますが……。
#119
○多田省吾君 出席だけじゃなくて、名前がその中に入っているわけです。
#120
○政府委員(金光克己君) この点につきましては、私自身まだ出席したことがございませんので、事情をまた調べてみたいと思いますが、やはり一緒にやるということは、決して悪いという意味ではないと思うのでありますが、誤解を招くというようなことがあってはならないと思いますので、そういった点につきましては今後十分注意してまいりたいと、かように考えております。
 それからABSの問題でございますが、これは害がある、害がないという考え方というものにはやはりいろいろと観点の、考え方の問題があると思うのでございますが、ABSにいたしましても、こういうものを使えば手が荒れるということになれば、害があるというようなことになるわけでございまして、ただ現在のABSの使用方法におきましては、食品の中にそれが入ってきて健康を害するとか、あるいは非常に皮膚から侵入して、浸透して障害を起こすとかいうような心配はまずはないというようなことでございます。しかしながら、やはりよりその安全と申しますか、少しも害がないといったほうがより望ましいことでもございますが、現在の段階ではさように考えておりますが、こういったものについての、洗剤についての研究といったことはこれはやっていかなければならぬと、かように考えております。
 大体以上でございます。
#121
○委員長(瀬谷英行君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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