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#1
第061回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第12号
昭和四十四年六月二十七日(金曜日)
   午前十一時十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         瀬谷 英行君
    理 事
                大谷 贇雄君
                黒木 利克君
                松澤 兼人君
                内田 善利君
    委 員
                青木 一男君
                佐藤 一郎君
                菅野 儀作君
                土屋 義彦君
                村上 春藏君
                山内 一郎君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                杉原 一雄君
                田中寿美子君
                小平 芳平君
                田渕 哲也君
                小笠原貞子君
       発  議  者  小平 芳平君
   衆議院議員
       産業公害対策特
       別委員会委員長
       代理       島本 虎三君
       発  議  者  角屋堅次郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
       国 務 大 臣  菅野和太郎君
       国 務 大 臣  床次 徳二君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       橋口  收君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  矢島 嗣郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局参事官   宮内  宏君
       厚生省環境衛生
       局公害部庶務課
       長        藤森 昭一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法
 案(内閣提出、衆議院送付)
○公害紛争処理法案(内閣提出、衆議院送付)
○公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○公害に係る被害の救済に関する特別措置法案
 (衆議院送付、予備審査)
○公害紛争処理法案(衆議院送付、予備審査)
○公害に係る健康上の被害の救済に関する法律案
 (小平芳平君外一名発議)
○公害に係る紛争等の処理に関する法律案(小平
 芳平君外一名発議)
○公害委員会及び都道府県公害審査会法案(小平
 芳平君外一名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(瀬谷英行君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案(閣法第六三号)
 公害紛争処理法案(閣法第六八号)
 公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第九四号)
 公害に係る被害の救済に関する特別措置法案(衆第一〇号)(予備審査)
 公害紛争処理法案(衆第二〇号)(予備審査)
 公害に係る健康上の被害の救済に関する法律案(参第一号)
 公害に係る紛争等の処理に関する法律案(参第五号)
 公害委員会及び都道府県公害審査会法案(参第六号)
 以上八案を一括議題といたします。
 まず、政府案三案より順次提案理由の説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#3
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案」について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 今日、産業経済の急速な発展と都市化の進展等に伴って発生する公害問題が緊急に解決を要する重大な社会問題となっていることは、すでに御承知のとおりでございます。
 この問題に対処するため、政府といたしましては、公害対策基本法に定められた理念と方向に従い、従来から、各般にわたる公害防止のための施策の充実強化につとめてまいったところであります。公害問題の解決のためには、公害の発生を未然に防止するための対策が重要であることは申すまでもありません。しかしながら、現に発生している公害による被害の救済をはかることも、また、対策の一つとして欠くことのできないものであります。
 公害による被害については、公害の発生原因者の民事責任に基づく損害賠償の道が開かれておりますが、現段階においては、その因果関係の立証や発生責任者の明確化等の点で困難な問題が多く、このため、被害救済の円滑な実施をはかるための制度の確立が強く望まれているのであります。このような見地から、公害対策基本法の精神にのっとり、公害による被害のうち、当面緊急に救済を要する健康被害について迅速かつ適切な救済をはかることを目的として、ここに本法律案を提案することといたした次第であります。
 以下、この法律案のおもな内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律による救済の措置は、相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁が生じたため、その影響による疾病が多発している地域を指定し、これらの指定地域の都道府県知事または政令で定める市の長が当該疾病にかかっている旨の認定をした者に対して行なうことといたしております。
 第二に、救済の措置としては、医療費のほか、医療手当及び介護手当を支給するものとしております。医療費は、当該疾病の医療に要した額から社会保険等による医療に関する給付の額を控除した額を対象として支給することといたしております。医療手当は、病状が一定の程度以上の者に支給し、介護手当は特に介護を要する者に支給することとしておりますが、本人、配偶者等の所得税の額が一定額以上の場合は支給の制限を行なうことといたしております。
 第三に、給付に要する費用についてでありますが、産業界、国及び地方公共団体がそれぞれ分担するものとし、その割合は、都道府県が実施する場合は、産業界四分の二、国及び都道府県それぞれ四分の一とし、市が実施する場合は、産業界六分の三、国、都道府県及び市それぞれ六分の一といたしております。なお、産業界及び国の分担は、公害防止事業団を通じて行なうこととしております。
 第四に、産業界の分担は、本制度に協力することを目的とする民法による法人で、その申し出により厚生大臣及び通商産業大臣の指定を受けたものが、公害防止事業団と契約を締結し、毎年、事業団に対して所定の額を拠出することによって行なうこととしております。
 以上のほか、被害者が損害賠償等を受けた場合における本制度による給付との調整の措置その他この法律を実施するため必要な措置について規定いたしております。
 以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(瀬谷英行君) 床次総理府総務長官。
#5
○国務大臣(床次徳二君) ただいま議題となりました公害紛争処理法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 公害問題は、申すまでもなく、現在緊急な解決を必要とする国民的課題でありますので、政府といたしましては、従来から公害対策基本法の精神にのっとり各般の公害対策を講じているところであります。公害対策におきましては、何よりも公害の発生を未然に防止する措置を講ずることが肝要でありますが、同時に、公害が発生した場合に備えて、公害紛争処理制度を整備することが必要であります。
 公害による被害は、単に財産的なものにとどまらず、人の生命、健康に及び、しかも、当時者が多数にわたり、かつ、加害と被害との因果関係の究明も困難である等、公害特有の問題があり、これらが公害にかかわる紛争の迅速円滑な解決を困難ならしめているのが実情であります。かかる公害にかかわる紛争を処理する行政上の制度として、現在、水質の汚濁、大気の汚染等につきまして和解の仲介制度がありますが、調停、仲裁を行ない得ない等、不備な点が多く、また、現行の司法制度をもってしては必ずしも簡易迅速な解決をはかるのに十分でないうらみがあります。
 このような公害紛争処理制度の現状にかんがみ、また、公害にかかわる紛争について必要な措置を講ずべきことを定めた公害対策基本法第二十一条第一項の精神にのっとり、公害にかかわる紛争の迅速かつ適正な解決をはかるため、公害紛争処理制度を整備すること等を目的として、ここに公害紛争処理法案を提案することといたした次第であります。
 次に、この法律案の主な内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、公害にかかわる紛争を処理するための専門的な機構を中央及び地方に置くこととしたことであります。中央に置かれる中央公害審査委員会においては、現に人の健康または生活環境に公害にかかわる著しい被害が生じ、かつ、当該被害が相当多数の者に及び、または及ぶおそれのある紛争、広域的な見地から解決する必要がある公害にかかわる紛争、被害地及び加害地が二以上の都道府県の区域にわたる公害にかかわる紛争について調停及び仲裁を行なうこととしております。また、地方に置かれる都道府県公害審査会等においては、これからの紛争以外の紛争において、和解の仲介、調停及び仲裁を行なうこととしておりますが、さらに、被害地及び加害地が二以上の都道府県の区域にわたる公害にかかわる紛争については、関係都道府県が事件ごとに共同して連合審査会を設け、これを処理することができることとしております。
 第二に、これらの機構においては、人格が高潔で識見の高い者のうちから、委員長、委員または審査委員候補者が任命または委嘱され、これらの者のうちから、事件ごとに指名された仲介委員、調停委員または仲裁委員が、それぞれ所定の手続に従い、和解の仲介、調停または仲裁に当たることとしております。なお、調停の場合には、当事者に対し出頭要求を、また、一定の場合に文書、物件の提出要求ないし立ち入り検査を行ない得ることとしております。仲裁の場合にも同様の権限を与えております。
 第三に、これらの機構については、具体的な紛争の処理を通じて得られた公害防止の施策の改善についての意見を、中央においては内閣総理大臣等に対し、地方の公害審査会においては都道府県知事に対して申し述べることができることとしております。
 以上のほか、公害問題は、地域住民に密着した問題でありますので、地方公共団体は、公害に関する苦情について適切な処理につとめる旨の規定を設けた次第であります。
 なお、いわゆる基地公害といわれる防衛施設にかかわる障害に関する事項については、この法律案において別に法律で定めるところによることとしておりますが、これは、その原因となる自衛隊等の行為の特殊性から見て、一般の産業公害と同じ扱いとすることは不適当であり、また、政府は、すでに「防衛施設周辺の整備等に関する法律」等により、障害防止工事及び民生安定施設の助成、損失の補償等について手厚い措置を講じ、その補償について異議の申し出等の制度を設け、円滑な解決をはかってきておりますので、これらの措置によることとした次第であります。
 以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかにご可決くだされるようお願い申し上げます。
#6
○委員長(瀬谷英行君) 菅野経済企画庁長官。
#7
○国務大臣(菅野和太郎君) 「公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案」につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 公共用水域の水質の保全に関する法律は、公共用水域の水質の保全をはかるため、指定水域の指定、水質基準の設定等に関する規定を設け、産業の相互協和と公衆衛生の向上に寄与することを目的として、昭和三十三年に制定されたものであります。経済企画庁といたしましては、制定以来今日に至るまでの間に、六十五水域について水質基準を設定し、公共用水域の水質の保全に万全を期すべく、鋭意努力を重ねてきたところであります。
 しかしながら、最近における国民経済の急速な成長に伴う産業活動の活発化、人口と産業の都市への著しい集中等により、公共用水域の水質の汚濁原因が多様化するとともに、水質汚濁の問題が全国的に発生する傾向が見られるようになってきております。
 このような事態に対処して、本法の規制対象業種の範囲を拡大するとともに、国と地方公共団体との協力関係を一そう密接にする等により、公共用水域の水質の保全のための施策をさらに強化する必要が生じてきたのであります。また、本法の目的等につきましても、さきに制定された公害対策基本法の趣旨に即しまして、所要の改正を行なうことが適当と考えられるに至ったのであります。
 以上が、この法律案の提案の理由であります。
 次に、この法律案の内容の概略を御説明申し上げます。
 第一点は、公害対策基本法の趣旨に即して、この法律の目的のうち「公衆衛生の向上に寄与すること」とあるのを「国民の健康の保護及び生活環境の保全に寄与すること」に改めるとともに、指定水域の指定要件についても、これに即して所要の改正を行なうことであります。
 第二点は、近年における水質の汚濁原因の多様化の傾向に対処して、この法律の規制対象として、従来からの工場、鉱山等に加え、へい獣処理場等、採石場、屠畜場、廃油処理施設及び砂利採取場を追加するとともに、屎尿処理施設、養豚場等を政令で指定して追加する道を開くことであります。
 第三点は、水質汚濁問題については、全国的な立場から統一的な対策を実施するとともに、地域の特殊性を考慮して適切な措置をあわせて講ずることが必要であることにかんがみまして、公共用水域の水質の保全につき、関係地方公共団体の長は、経済企画庁長官に対し、必要な協力を求め、または意見を述べることができることとする等、国と地方公共団体との協力関係の緊密化に関して規定を整備することであります。
 第四点は、水質基準設定後における指定水域の水質の保全に万全を期するため、都道府県知事が指定水域の水質の汚濁の状況を把握するため必要な測定を行なうものとすることであります。
 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御可決くださるようお願いいたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(瀬谷英行君) 次に、政府案三案に対する衆議院における修正点について、衆議院産業公害対策特別委員長代理島本虎三君より説明を聴取いたします。島本虎三君。
#9
○衆議院議員(島本虎三君) 「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案」に対する衆議院修正及び「公害紛争処理法案」に対する衆議院修正並びに「公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案」に対する衆議院修正の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案に対する修正でありますが、
 その第一点は、政府原案の、指定地域に住所を有している者だけでなく、通勤者等についても、一定の要件のもとに公害疾病の認定を行ない、もって救済対象の道を講ずるものであります。
 第二点は、本法の附則に一項を起こし、「政府は、公害対策基本法に規定する公害のうち、大気汚染と水質汚濁以外の公害に係る疾病に関し、検討するものとする」旨の規定を設けたものであります。
 次に、公害紛争処理法案に対する修正でありますが、
 その第一点は、中央公害審査委員会に専門の事項を調査させるため、非常勤の専門調査員二十人以内を置くことができるものとし、中央公害審査委員会に設けられる調停委員会または仲裁委員会が一定の場合に行なう立ち入り検査については、この専門調査員をして、補助させることができる旨の規定を設けたものであります。
 第二点は、都道府県及び政令で定める市に公害苦情相談員を置くこととし、それ以外の市及び町村は必要により相談員を置くことができる旨を規定したものであります。
 公害苦情相談員は、苦情について住民の相談に応じ、その処理のために必要な調査等を行なうものとする規定を設け、もって苦情処理体制の強化をはかるものであります。
 次に、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正でありますが、
 その第一点は、国民の健康の保護を他の目的に優先させる公害対策基本法の精神にのっとり、目的の項の「産業の相互協和」と「国民の健康の保護及び生活環境の保全」の順序を入れかえたものであります。
 第二点は、指定水域の指定要件についても、これに即して所要の修正を行なったものであります。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#10
○委員長(瀬谷英行君) 次に、衆第一〇号及び衆第二〇号法案について提案理由の説明を聴取いたします。発議者衆議院議員角屋堅次郎君。
#11
○衆議院議員(角屋堅次郎君) 私は、提案者を代表いたしまして、日本社会党提出、「公害に係る被害の救済に関する特別措置法案」並びに「公害紛争処理法案」につき、提案の理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
 戦後わが国の経済は、敗戦の廃墟の中から再出発し、今日世界第三位の生産力を誇るまでに成長いたしましたが、庶民の生活実感からすれば、生活は決して楽になったとはいえず、むしろ、物価の上昇、公害の激増、交通事故の多発等による生活と生命の脅威に絶えず不安を感じ、はなやかな見せかけの数字より、もっと中身のある経済成長を待ち望んでおります。特に、公害の激増は近年大きな社会問題であり、政府のあいもかわらぬ企業擁護の姿勢に鋭い批判の眼が向けられ、また、企業の社会的責任を無視した経営方針の転換を望む国民的世論も日増しに高まりつつあります。しかし、依然として、政府も企業も、その態度に根本的な反省は見られず、公害は経済発展の必要悪のごとき観念の存することは、まことに遺憾であります。
 昨年十二月の国連総会において、スエーデンの提案による、「世界は核戦争による絶滅は避け得ても、公害により同じような脅威を受けている。政府も産業界も必要な責任をとるべきだ」とする決議案が採択されましたが、これは、世界のいずれの国よりも、まず、日本の政府と産業界に対する警鐘として謙虚に受け取るべきであります。
 元来、公害対策の万全を期するためには、公害の予防、公害の排除、公害にかかる被害の救済について思い切った法制的、財政的措置を必要といたしますが、かかる観点から、わが国の公害対策の現状を見るとき、両者ともにきわめて不十分であり、特に法制的には、現行の公害対策基本法をはじめ、大気汚染防止法、騒音規制法、水質二法等の抜本改正が必要であり、ただいま提案されました政府の二法案も、原案のままでは、とうてい、公害に呻吟する患者はもとより、公害追放を望む国民の期待にも沿い得ないと存ずるのであります。すなわち、政府の救済法案は、その対象を大気の汚染と水質の汚濁による健康にかかる被害に限定するのみならず、所得制限をし、しかも、被害者及びその家族の生活費についての配慮を全く欠いており、被害者救済としてはきわめて不十分であります。これでは、もし紛争処理法が完全なものであったとしても、被害者としては、当面の医療、生活の費用にもこと欠き、ついには加害者に有利な条件のもとに妥協してでも、急いで紛争解決をせざるを得ない羽目に追い込まれると判断されるのであります。さらに、政府の紛争処理法案は、国に置かれる中央公害審査委員会が独立の行政委員会ではなく、総理府の付属機関とされていて、弱体であることは否定できず、その上、仲裁制度も、当事者双方の合意による申し立てが仲裁開始の条件であり、したがって、これを利用するかいなかは事実上加害者の選択にまかせられており、今日企業者の倫理意識と責任感では、ほとんどこの制度は画餅に帰すると申せましょう。さらに重大なことは、騒音、振動などの基地公害が現に多発しており、今後もその増加が十分予測されるのに、これを適用除外とし、救済の道を閉ざしていることは、国民の健康、生命よりも軍事を優先するという政府自民党の姿勢を端的にあらわしたものであり、断じて許せないところであります。
 今日、公害紛争がこじれて補償問題も解決しないまま苦難にあえぐ公害病患者の悲惨さは、わが党が現地調査を行なった新潟の水俣病、富山のイタイイタイ病、四日市の公害病等の患者の実態でも明らかにされ、骨身にこたえるほど公害絶滅に対する政治の責任を痛感したのであります。
 また、新産都市その他の都市の公害紛争を見て、企業の強引さに憤激を覚え、正しい紛争解決の道筋を示すことの必要も痛感しております。
 わが党が、昨年来の公害総点検、公害絶滅の運動の実績の上に立ち、政府と企業の姿勢に警鐘を鳴らし、国民の健康と生命を守り、被害者擁護の立場から公害二法案を提案いたしましたのも、当面の重大な政治的課題に真剣にこたえんがためであります。
 以下、二法案の内容について、簡潔に申し上げます。
 まず、公害に係る被害の救済に関する特別措置法案について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、公害にかかる被害の救済は、第一条において明らかなとおり、健康または物についての被害について行なうことといたしております。
 第二に、公害病患者の定認は、政府案の場合、指定地域の区域内に相当期間住所を有することが必要とされていますが、わが党案では、相当時間指定地域内において過ごした期間が、厚生大臣の定める基準以上であればよいとして、郵便集配人等をも対象としたところに相違があります。また、政府案では、公害病認定患者が指定地域外に住所を移したとき、または住所が指定地域でなくなったときには、一定期間で給付が打ち切られますが、わが党案では、指定疾病もしくは障害に該当しなくなったと認められるまで、打ち切られることはないのであります。
 第三は、医療費等の支給について、政府案のような所得制限等の制限を設けていないことはもとよりでありますが、医療費について、政府案では、国民健康保険の一部負担金分のみが支給されるのに対し、わが党案では、健康保険法その他の社会保険各法及び健康保険臨時特例法による一部負担金分をも支給することを定め、また、介護手当について、政府案は介護を受けても介護に要する費用を支出しない場合には介護手当の支給をしないとしておりますが、わが党案では、介護を必要とする状態にあり、かつ介護を受けている者に対しては、当然支給をすることとしております。
 第四に、生活保護手当については、生計基準額と収入とを比較し、収入が生計基準額を下回ることとなったとき、その差額を生活援護手当として支給し、安んじて療養できるよう措置いたしております。
 第五に、物にかかる被害についての救済は、生計基準額と収入とを比較し、収入が生計基準額未満となったとき、政令で定める期間、その差額を特別手当として支給することにより、物にかかる被害の打撃から立ち上がれるよう措置しております。
 第六に、費用は、政府案では、国、県、政令で定める市、事業者の四者負担方式をとり、そのうち、事業者は拠出金として拠出することになっております。その場合、政府案に基づく中途半端な拠出で事業者に免罪符を与えたことになる危険性があるのでありますが、わが党案では、これを排して、国が費用を受け持ち、反面国は、支給した額の限度において、その支給を受けた者が加害者に対して有する損害賠償の請求権を取得することとして、加害者の責任を徹底的に追及することといたしております。
    ―――――――――――――
 次に、紛争処理法案について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、公害の紛争については、和解の仲介及び調停の制度並びに裁定制度を設けて、解決をはかることといたしておりますが、政府案の仲裁制度に対し、裁定制度を設けたことがわが党案の大きな特徴であります。
 すなわち、救済法によって当面の費用は十分にめんどうを見てやり、いたずらに加害者に有利となるような妥協を排し、加害者の責任を徹底的に究明するため、当事者の一方のみの申し立てでも開始される準司法的な裁定制度を設けたのであります。
 第二に、組織としては、中央に国家行政組織法による三条機関たる公害審査委員会を、都道府県に公害紛争調停仲介委員会を設けることといたしております。中央は裁定を、地方に和解の仲介及び調停を行なうのであります。
 第三は、中央の公害審査委員会に公害専門調査会を設けたことであります。公害紛争の焦点は、因果関係の究明が困難な点にあるのでありますが、これを究明させるため、権威ある自然科学者を専門調査会に動員いたしまして、これに自然科学上の判断を行なわせ、法律的判断たる裁定は、その意見に基づいて裁定委員会が行なうこととし、専門調査会の委員及び臨時委員は、審理、証拠調べに立ち会い、独自でも事実調査をすることを認め、これによって裁判上救済の困難な事案を救済するレールを敷いたわけであります。
 第四は、裁定と訴訟との関係について、特に大気の汚染または水質の汚濁によって生じた人の生命または身体にかかる被害についての損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争については、裁定を経た後でなければ訴訟を提起することができないこととし、裁定の権威を高めるための機構、運営に万全を期することといたしております。裁定委員会の証拠調べ及び証拠保全、職権探知、立ち入り検査等も、公害専門調査会の活動と相まち、裁定の科学性、合理性、客観性を立証するための必要な措置と申すべきであります。
 第五に、裁定の効力は、裁定について、裁定書の正本の送達を受けた日から三カ月以内に訴えの提起がなかったとき、裁定の内容について当事者間に合意が成立したものとみなすことといたしております。
 以上、公害関係二法案の提案の理由とその概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げまして、二法案の趣旨説明を終わる次第であります。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(瀬谷英行君) 次に、参第一号、参第五号及び参第六号法案について提案理由の説明を聴取いたします。発議者参議院議員小平芳平君。
#13
○小平芳平君 私は、提案者を代表し、ただいま議題となっております公害関係の三法案について、提案の理由を御説明申し上げます。
 まず、「公害に係る健康上の被害に関する法律案」について申し上げます。
 公害対策の要諦は、公害の発生を未然に防止することにあります。事前防止対策を完全に講ずるならば、公害病の発生もあり得ないのであります。しかし、政府がいままでとってきた公害対策は、経済発展を優先してきたために、事前防止策が立ちおくれ、不幸にして多数の公害病患者を発生せしむるに至ったのであります。すなわち、熊本県水俣、新潟県阿賀野川における有機水銀中毒病、富山におけるイタイイタイ病など、工場排水等が原因と思われる悲惨な公害犠牲者を出してきたのであります。また、四日市における石油コンビナートの大気汚染によるぜんそく患者をはじめとして、京浜工業地帯、東京の環状七号線交差点の大原においても、ぜんそく病状が発生していることは、御承知のとおりであります。
 しかるに、これらの公害病患者に対する行政救済の法制度は存在せず、わずかに予算運用で公害病患者の一部に対する医療給付が行なわれているにすぎません。もちろん、司法的救済の道もありますが、訴訟に費用と時間がかかることや、救済の迅速性に欠けること、因果関係の立証が困難なことなどの障害があって、公害病救済になじまないのであります。
 このような法制度の不備という谷間に追いやられた公害病患者と家族の肉体的、精神的、経済的苦しみは想像を絶するものがあるのでありまして、これら公害病患者の置かれている悲惨な境遇と、救済制度確立に対する切実な願いを思うとき、わが公明党は、これらの人々を一日も早く救済するために独自の新しい制度を創設する必要性を痛感するのであります。
 公害病は、現代産業社会における人間の、社会的、経済的活動によって、もたらされる災害であります。しかも、わが国における公害病の多くは、最近十数年の高度経済成長政策に基づく企業の産業活動によって、もたらされたものであります。経済発展という名目のもと、地域の住民に対して塗炭の苦しみを与えることは許せないことであります。また、技術的に解決が困難という理由で放置することはできないのであります。
 次に法案の要旨を説明いたします。
 この法案による救済の対象は、公害にかかる健康上の被害でございまして、救済の種類は、医療費、医療手当、介護手当及び弔慰金の支給及び厚生、生計維持のための資金の貸し付けでありまして、他に健康診断も実施いたすことになっております。
 救済の仕組みでございますが、公害病が発生していると認められる地域と疾病の種類を公害委員会が指定し、次に、都道府県知事は公害病患者及び公害病による障害者を認定し、これらの人に対して知事が救済給付を行なうことになります。
 医療費の支給については、社会保険、社会福祉各法による医療給付を控除した部分、つまり患者の自己負担分をカバーすることとします。
 医療手当は、通院、入院によって医療を受けている者に対して行なわれるものであって、いわば医療に伴う日常必要とする雑費でございます。在宅治療患者で介護を要する重症患者に対しては介護手当を、また、不幸にして公害病で死亡された方の遺族に対しては弔慰金を支給することといたします。
 公害病の発生している地域においては、常時住民の健康管理を実施することによって、公害病の予防と早期治療をはかる必要がありますので、健康診断を実施することといたします。
 以上の給付は都道府県知事が行なうのでありまして、これに要する費用の負担については、国が八分の六、都道府県が八分の一、市町村が八分の一をそれぞれに負担することとし、国及び地方公共団体は、給付に要した費用額を限度として、公害病の原因者に対して損害賠償を行なうことができる仕組みになっているのであります。
 なお、公害病患者、障害者が置かれている特殊な状況を考えて、事業援助、技能習得、生計維持のための資金の貸し付けの制度を設けることによって、経済的側面からの援助をはかることといたします。
 以上が、本法案の提案の理由と要旨であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 次に、「公害に係る紛争等の処理に関する法律案」につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、最近における産業の急速な発展と都市化等によって、全国各地の工業地帯や都市において深刻な公害紛争が惹起しているのであります。
 多くの人々がいかに公害に悩まされているかを具体的に数字で示しますと、昭和四十二年度において地方公共団体が取り扱った公害にかかわる苦情、陳情件数は、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭、地盤沈下など、合計して二万七千五百八十八件に達しておるのであります。四十一年度の取り扱い件数二万五百二件に比較して四十二年度は八千五百余件増加しているのであります。公害対策が画期的に前進しない限り、遺憾ながら、今後も、苦情や紛争は、なおも増加し続けるものと予想されるのであります。
 現在、このような公害にかかわる苦情や紛争の解決の方法としては、司法的解決と行政的解決と二つの方法がありますが、司法的解決は、迅速な解決を要する公害紛争にはなじまないのでありまして、どうしても行政的な処理制度が必要となってくるのであります。
 一方、行政的解決としては、ばい煙は大気汚染防止法、水質汚濁は水質保全法、騒音は騒音規制法、鉱山の鉱害は鉱業法、水洗炭は水洗炭業法によって、紛争についての和解の仲介やあっせんの制度が設けられておるのであります。しかし、これらの制度は、公害紛争の処理制度として、個別に取り上げてみても、また、全体として見ても、幾つかの欠陥があるのであります。
 まず、第一に、和解の仲介やあっせんの制度は、紛争当事者に対して、行政が話し合いの場を提供し、和解への消極的な誘導をするだけで、積極的な関与ができない仕組みであります。公害紛争の特質から考えて、公正な機関が権限を持って積極的に関与していく調停、仲裁等の方法が必要になるのであります。場合によっては、公害発生源への立ち入り検査などできるようにして、科学的で公正な事案の解決を期することが必要なのであります。この点から考えても、現行の和解の仲介制度は、はなはだ微温的なものと言えるのであります。
 第二に、現行の処理制度は、公害の一部分についてカバーするだけであって、悪臭や日照妨害等については何ら触れていないのであります。公害の苦情、陳情の実態を見ましても、今後、なお、産業の発展、社会生活の変化に応じて、この種の公害は増加することが予想されますので、これらの公害にかかわる紛争の処理も取り込んで、制度を確立する必要があるのであります。
 なお、発生源がどのようなものであれ、統一的な紛争処理制度のもとでこれを処理するのが望ましいのでありまして、国民の健康を保護し、生活環境を保全することを第一義と考えるならば、自衛隊や外国軍隊の基地から発する公害についても、他の公害と同一の取り扱いをすべきことは当然であります。
 第三に、現行の公害紛争の処理が、公害原因の種類ごとに別々の法律により、別々の処理機関によって行なわれており、制度が複雑になっていることであります。このことが、紛争処理制度の効率的運用を妨げ、ひいては紛争の迅速な解決に障害を及ぼすことになるのであります。
 第四に、公害や生活妨害にかかわる日常の苦情相談の窓口の設置が法制化されていないことであります。地方公共団体が、それぞれくふうをこらして窓口を設けているところがございますが、必ずしも十分の体制とは申せないのであります。
 以上述べたような現行の公害紛争処理制度の欠陥を是正し、一元的かつ体系的な紛争制度を確立し、もって公害紛争の迅速公正な解決をはかろうとするのが、本法律案の提案の理由であります。
 次に、法案の要旨を申し上げます。
 第一に、紛争処理の対象は、公害対策基本法に定められた相当範囲にわたる六種類の原因によって生ずる被害にかかわる紛争とし、苦情処理の対象は日常の生活妨害をも取り扱うものであります。いわゆる、紛争処理の対象を典型公害的な事案を取り扱うこととし、苦情処理の対象は相隣関係に基づく生活妨害的な事案を取り扱うことといたします。
 第二に、苦情処理については、都道府県または政令市に設置する苦情相談員が取り扱うこととし、住民の日常の公害苦情の解決のため、相談、助言、指導、調査に当たることとします。
 第三に、公害原因が相当範囲にわたる公害の紛争処理については、中央に設けられる公害委員会と都道府県に設けられる公害審査会が取り扱うことといたします。
 そして、中央の公害委員会は、一の都道府県における公害の発生源が他の都道府県に被害を及ぼす場合や、高度の知識、判断を要する場合等の紛争を取り扱い、地方の公害審査会は、その他の紛争処理を取り扱うこととなっておるのであります。
 第四に、紛争処理の内容でありますが、和解の仲介、調停及び仲裁の三つの方法をとれるようにいたします。
 調停については、調停案の受諾の勧告ができるようにし、場合によっては調停案を公表し、調停不調の場合でも、事件の要点及び経過を公表することができることになっております。
 仲裁にあたっては、仲裁人は関係文書、物件の提出を求め、立ち入り検査ができることとなっているのであります。
 第五に、公害審査機関(公害委員会、公害審査会)は、公害紛争処理のために関係行政機関に対して必要な協力を求めることができるとともに、紛争処理に関連して意見を述べることができることといたしております。
 以上が、本法案の提案の理由並びに要旨でございます。
 何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 次に、「公害委員会及び都道府県公害審査会法案」について、提案の理由を御説明いたします。
 わが国においては、従来、公害行政を統一的につかさどる機関が欠除しており、各省庁が既成の行政分野の中でそれぞれ部分的に公害行政を分割担当しているのでありまして、関係するところは十数省庁に及んでいる実情であります。そのために、公害防止の施策に統一性を欠き、体系的な対策の確立がおくれているのであります。わが公明党は、かねてから、これらの欠陥を指摘するとともに、強力な権限を有する行政委員会の設置を主張してきたのであります。
 一方、公害の事後処理のための行政機関についても同様のことが言えるのであります。公害紛争処理については、紛争発生の原因、種類によって、これを取り扱う法律、解決の方法、処理機関が異なっております。たとえば、鉱山の鉱害にかかわる紛争は鉱業法によって通産局長があっせんを行ない、一般の工場、事業場のばい煙にかかわる紛争は大気汚染防止法によって都道府県知事が和解の仲介を行なうなど、紛争当事者、特に被害者にとって利用しにくい複雑な仕組みになっているのであります。
 また、公害による被害の救済については、これを法律上の明確な権限をもって処理する機関もなく、現在は、国が便宜的に予算上の措置で、一部の地域の公害にかかわる疾病について医療の給付を行なっているに過ぎません。
 わが党が提出している公害に係る紛争等の処理に関する法律案と、公害に係る健康上の被害の救済に関する法律案は、以上のような障害を解消するために具体的な方法を規定しようとするものでありますが、その前提として、公害にかかわる紛争処理と被害の救済の事務を一元的に取り扱う機関として、中央には公害委員会を、都道府県には、公害にかかわる紛争処理の事務を取り扱う機関として、都道府県公害審査会の設置を明定する必要があるのであります。
 御承知のとおり、公害は科学的にも法律的にも複雑な性格を持っているのでありまして、これを処理するためには専門的機関が必要となるのであります。特に、中央に設置する公害委員会は、紛争処理については準司法的機能を、被害の救済については判定機能を有することとなるのでありますが、裁定、判定の公正を期するためには、高度の識見にささえられ、しかも、他の行政機関から制約されずに、独自の権限を行使する機関でなければなりません。この意味において、中央の公害委員会は、国家行政組織法の第三条に基づいて設置する機関とする必要があります。これに伴って、公害委員会の委員については、公害問題について高い識見を有する者のうちから、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命することとするとともに、委員の活動を補佐するための事務局を設置することといたすのであります。
 また、地方の機構については、各都道府県に公害審査会を必置することによって、紛争処理についての態勢を常時整えておく必要があるのであります。
 次に、この法律案の要旨を申し上げます。
 国家行政組織法第三条に基づいて、総理府の外局として、公害委員会を設置し、公害にかかる健康上の被害の救済に関して、健康診断並びに認定患者及び認定障害者の認定の事務並びに公害にかかる紛争の処理等に関する事務に当たらせること。
 公害委員会の委員は六名とし、公害問題に関し高い識見を有する者のうちから、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命すること。なお、委員会の議事及び委員会の行なう公害にかかる紛争の処理に参与させるため、特別委員を置くこと。
 公害委員会に事務局を置くこと。
 都道府県に都道府県公害審査会を設置し、公害にかかる紛争の処理に当たらせること。
 都道府県公害審査会の委員は四人とし、公害問題に関し識見を有する者のうちから、都道府県知事が任命すること。なお、特別委員を置くことができるのは、公害委員会の場合と同様であります。
 この法律は、昭和四十四年六月一日から施行すること。
 以上が、公害委員会及び都道府県公害審査会法案の提案理由並びに要旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いたします。
#14
○委員長(瀬谷英行君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#15
○委員長(瀬谷英行君) 速記を始めて。
 以上八案に対する質疑は午後行なうことといたしまして、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
#16
○委員長(瀬谷英行君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を再開いたします。
 午前中に引き続きまして公害関係八法案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#17
○田中寿美子君 経済企画庁長官にお尋ねいたしたいと思います。今度、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部改正案に修正されましたね。その改正案でそもそも第一条の中に「公衆衛生の向上」というのを「国民の健康の保護及び生活環境の保全」に改め、そしてあとのほうに「産業の相互協和」ということを持っていくということが一点と、それから第一条の二項に、「前項に規定する生活環境の保全については、産業の健全な発展との調和が図られるようにするものとする。」というのを入れたわけですね。まず、その第二項のほうから私お伺いしたいと思うのですが、非常にこれを入れたことを私は遺憾だと思っているわけなんです。大体公害対策基本法そのものが改正されるべきだと思っているのです。一貫して政府は、産業の健全な発展というのと生活環境の保全とを組み合わせていらっしゃるのですけれども、大体公害の被害者とそれから加害者となるべきものと同列に置くという考え方は公害対策基本法をつくるときに非常に議論になったところで、むしろそれは今後廃していかなければならないようなことなのに、まず第二項に持ってこられた経過を伺わしていただきたい。いままでなかったのに、「産業の健全な発展との調和」というのをここに入れ込んできたその経過を聞かしていただきたいと思います。
#18
○政府委員(八塚陽介君) 経過だけを私から申し上げさしていただきます。
 この第二項につきましては、いま田中先生からお話がありましたように、今回改正を考えました問題点といたしまして、従来ございました「公衆衛生の向上」というところを公害対策基本法の用いました「国民の健康の保護及び生活環境の保全」というふうに書き分けたわけでございます。公害対策基本法におきましても、この生活環境の保全につきましては、今回私どもが改正案の中でつけ加えましたような「前項に規定」云々というのがございますので、公害対策基本法と平仄を合わせるという意味において書き加えた改正を考えたわけでございます。その考え方等につきましては大臣のほうから……。
#19
○国務大臣(菅野和太郎君) まず公害対策についての基本的な御質問であると思うのですが、御存じのとおり、公害という問題は最近起こってきた問題でありまして、ことに日本のように地域の狭いところで工業の特に発展した国においては、公害という問題がよその国に比べてより重要性を帯びてきておる、こう思うのであります。そういう意味でこの公害という問題が日本の経済の発展に伴って重大になってくるし、またその対策を重要視しなきゃならぬということになってきたと思うので、政府におきましてもこの公害問題を重要視してまいりましたのでありまして、また、公害という問題を政府が取り上げたこともまだ歴史が浅いことでありまして、したがって、だんだんと経済が発展するに従って公害という問題が多様化してまいりますからして、したがって、私は公害という問題は、政府の政策としては年を重ねるに従って重要化してくべき問題だと、私はそういうふうな考え方をいたしております。したがって、この問題につきましては、政府としては重要な課題として取り扱っていかなければならないと考えておる次第でありまして、したがいまして、今度の水質保全の改正案も、そういう意味で新しい水質汚濁に関する公害だという問題がいろいろ起こってまいりましたから、したがって、それに対して改正案を提出したのでありまして、いまの第二項の問題は、局長が申し上げたような経過で、公害対策基本法にのっとって改正をしたということにすぎないのであります。がしかし、政府としては、この公害という問題をいままでよりもより重要に考えておるということだけ私から申し上げておきたいと、こう思う次第であります。
#20
○田中寿美子君 ポイントのところを言っていただけないのですが……。つまり産業の発展との調和という考え方をここに入れ込んできたということにつきまして大臣はどうお考えになるんですかということです。
#21
○国務大臣(菅野和太郎君) 公害というものは、御承知のとおり、産業の発展に伴って起こってきた問題であって、産業の発展ということ自体はわれわれの生活にとって必要なことでありますからして、したがって、その公害を生じないように産業を発展せしめたいというところにねらいがあるわけです。そこで、できるだけ公害は公害として防止するし、あるいは公害に対する処置、対策を講じなければならぬが、同時に、産業もやっぱり発展せしめなければならぬというのでありまして、がしかし、健康の問題でありますと、これは産業自体は停止しなければならぬ、生活環境についてはそこに私は多少考慮の余地があるのではないか、産業の発展も考え、同時に公害の防止、あるいは対策ということについても考えていくというところでこの項目があるわけであります。
#22
○田中寿美子君 いまおっしゃった公害を生ぜしめないような産業の発展のしかたをさせるのだというような言い方をなされましたが、それならば少しはましであって、この間、私本会議で質問しましたときに、佐藤総理は、公害は経済の発展上の必要悪だとお答えになりました。ネセサリーイーブル――英語をお使いになりました。経済企画庁長官の考え方は、必要悪というのは産業発展上どうしてもやむを得なくて、この公害が起こってもよろしいということになるのですね、やむを得ないということになれば反対の解釈をしていらっしゃるというふうに考えていいのですか。つまり好ましくない、これをなくすような方法で産業を発展させるのだ、私はその辺をはっきりさせていただきたいのです。
#23
○国務大臣(菅野和太郎君) いままでは産業の発展ということばかりをいちずに考えて今日産業が発展してきたと思います。ことに科学技術の発展に従って経済が発展してきたと思うのでありまして、そこで、公害ということはあるいはいままで考えずにやってきたと思います。がしかし、今後の産業の発展については、やはり公害というものはより少なく、あるいはできればなくするということで産業の発展ということを考えていかなければならぬというのが今後の考え方の本筋だと、こう私は考えておる次第であります。
#24
○田中寿美子君 総理大臣よりましだと思います、その点は。それで私どもは、公害の防止とか予防とか、それから救済を考えるとき、産業の発展との調和ということを考える必要はないというふうに思っておるわけです。産業の発展というのは通産省その他幾らでも考える役所が一ぱいあるのです。公害というのは害なんで、被害者があるわけなんですから、被害を受ける住民の立場に立って、災害のサイドからものを考えるという立場に立ってものを考えませんと、ほんとうの対策というのはできないと思うのです。ですから、私どもは、佐藤総理がまた再確認するように、産業の発展上必要悪だとまた衆議院でも繰り返されましたけれども、産業の息の根をとめるということをおっしゃっている。公害の防止くらいで息の根のとまるようなことはありません。公害を防止しながら産業を発展させるということでなければならぬので、わざわざここに入れてこられたということを非常に遺憾だと思うのですが、衆議院のほうでこれを修正のときにここは問題にならなかったのかどうか、どうですか。
#25
○国務大臣(菅野和太郎君) この点は、公害対策基本法のときには問題になりましたが、今度のときにはほとんど私質問を受けなかったです。
#26
○田中寿美子君 非常に私残念だと思います。わが党の委員もおったわけなんで、こういう重大なところでは私たちは反対しなければならぬので、わざわざなかったものを入れ込んできたということについては残念だと思います。
 それから一条の一項のほうですね。その「産業の相互協和」ということばがありますね。私、衆議院の委員会のほうの議事録を読んでみますと、相互協和のほうは反対しているのですね。私はそれはおかしい。相互協和ということの意味は、たとえば工場の排水が川に流れてきたために魚がとれないとか、ノリができないとかいうことで、農林水産業――農業あるいは漁業、そういうものとそれから工業との調和、相互協和と言いますか、というのは、そういう意味に解するのじゃないかと思いますが、どうですか、そこは。
#27
○国務大臣(菅野和太郎君) それはお説のとおりであります。
#28
○田中寿美子君 だから、たぶん私は衆議院の委員会でそこのところの考え方を間違ったのじゃないかという気がするのです。相当長く産業の相互協和についての議論をしておりますけれども、これは公害対策基本法の第一条の二項、つまり産業の発展との調和というものと同じように考えてしまって、産業の相互協和というところでたいへん反対がたくさん出ていて、そして第二項の肝心なところが反対されなかったということについて、まあ非常に私は残念に思っているわけでございますが、それじゃ産業の相互協和ということについては、どういうふうな対策をお立てになるのでございますか。
#29
○国務大臣(菅野和太郎君) 産業の相互協和ということについて、衆議院でいろいろ議論されたことは、これはいまの第一項にあります「国民の健康の保護」ということと関連してお考えになったのであって、産業のほうを尊重して、国民の健康の保護というのが第二段になるというところが論点だったと思います。これは別だというように私どもはお答えしたので、産業の相互協和というのは、いま先生の言われたとおりの意味なんですからして、まあ工場から出すところの毒物が、あるいは水産、魚に影響しないかということ、それをいかにして協和さすかというところが問題なんであって、国民の健康に及ぼすような問題であれば、それは産業をストップさせなければならぬというふうに初めからわれわれ考えておるのであって、であるからして、産業の相互協和と国民の健康ということは別なカテゴリーだということを私どもは御説明申し上げたのでありますが、しかし、最初に産業の相互協和ということばが先に出ておるから、やはり産業の保護のほうが重点じゃないかという式の御質問がありましたから、そうではありませんということをお断わりしておいたのです。そこで理事会のほうでお考えになって、産業の相互協和ということを最後に回したほうがかえって誤解を解くのじゃないかということで、最後に回したと聞いております。
#30
○田中寿美子君 それはそれでよろしいのですけれども、どのようにそれでは協和させるのですか。現在企画庁がどういうふうなやり方で――水に関しては実にもう各省が関係しておりますね。工場の排水口から中は通産省でしょう。それから上のほうから流れてくる豚や鶏のし尿、汚れとか、そういうものに関連したものならこれは農林省の関係でしょうね。それから河川のほうの関係ならこれは建設省ですか。それから海に入っていったら海上保安庁でしょう。それで一体相互協和というのをどれだけの権限を持っておやりになることができるのかどうか。
#31
○国務大臣(菅野和太郎君) 元来水質保全法という法律を経済企画庁にもってきたのは、通産省の関係の問題、これは生産を盛んにする、産業を盛んにするという役所、それから一方においては、その産業の発展によって受けるところのいわゆる公害、この調査をするのが厚生省、それからまた農林省もまたいろいろ魚や何かの関係というようなことで、各省の利害関係が相反しておりますからして、それを調整するところが経済企画庁というところで、経済企画庁へもってきたのであります。でありますからして、相互の各省の意見をわれわれは承って、そうして調整をしてやっていくというのが、この水質保全法が経済企画庁の所管になった理由なんです。それでありますからして、まあ被害者側の立場を代表して、あるいはいまの魚の問題で言えば、農林省から魚が死ぬじゃないかという苦情が出る。それで片一方通産省側からいけば、自分のほうは工業を盛んにするためにやるのだというようなことを言われるから、そこで私のほうでそれを調整して、魚の死なぬ程度において産業をやるような方法はないかということで話し合いを私どものところでするわけです。それによってきめるわけであります。
#32
○田中寿美子君 衆議院のほうの議事録で見たのですけれども、お答えの中に関係している各省と連絡した調査会みたいなもの、研究会ですか、そういうものをもって研究を続けているというようなことがありましたけれども、それはどういう――常設の機関ですか、それともどういうふうにこれは作用しているのですか。
#33
○政府委員(八塚陽介君) いまの御質問は二点に私どものほうで分けてお答えするのが適当かと思います。
 第一点は、現在そういう産業間の調和をどうしているか。もちろんいま大臣が申し上げましたように、各省がそれぞれの立場での意見を主張されるのを調整しているわけでございますが、現実のやり方といたしましては、たとえばある特定の河川においてある工場が汚水を流すという場合に、その被害を受ける水産業であるとかあるいは上水道等がそれぞれどの程度のことであればがまんができぬ、どの程度のことならばできるという基準を一応計数的に出すわけでございます。それに対応してそういう程度の流水の水質を保持するためにはどの程度のものでなければ工場としては出してはいけない、それに対してそのための施設はどのくらい金がかかるだろうかというようなことをいろいろ検討をして、そうして結局一定の水質基準をきめるという形で調和をはかっておるわけであります。したがいまして、当然水はその程度の水質に守られれば一応被害産業においても成り立ち得ますし、それから加害産業においてもその程度の施設をするということは経営的にも社会的にも当然受容できるというような形でやっているわけでございます。
 ただ、問題の第二点といたしましては、そういうふうに水域の水質基準をきめておりますけれども、もう一つの問題といたしまして、公害対策基本法に環境基準をつくるべきであるという条文がございます。いま申し上げましたように、従来の水域指定、水質の基準の設定においてもどの程度の水質でなければならないかということを流水について着目してやっているわけでございます。今回、そういう公害対策基本法に基づきます環境基準というものを今後つくっていこうということで、そのための部会を水質審議会に設けたわけであります。わざわざ、従来とも水質基準を流水についてやっているのに、どうして環境基準をつくるんだという問題が別にあり得るわけでございますが、たとえば水につきましては川ごとにやってしかるべきであると、あるいはアイテムごとに基準をきめて、それを組み合わせるという方法でやっていけばいいのか。川は、あるいは水は、それなりに大気あるいは騒音等と違った特質があるわけでございます。そういう点についての方法論というものを早期に詰めて、そして環境基準をつくっていく。そのための環境基準部会というものを水質審議会の中の一部会として設けたわけでございますので、先生の御指摘になりましたように、いわば常設の機関と申しますか、常設の部会でございます。
#34
○田中寿美子君 私は、環境基準をつくらなけりゃいけないと思います、それは基本法にありますように。そして大気の場合は昨年大気汚染防止法ができて、そして環境基準が一応硫黄酸化物についてはできたわけですね。水の場合なんですけれども、水質基準という場合、いままでの場合、やはりその地域の環境を考えてのことか、それともその一つ一つの企業、工場などから出す水の水質の基準ということなのかということと、いまさっきおっしゃった各省の関係している研究機関ですか、研究会ですか、あるいはそういう機関ですね、その基準を設定するためにデータを出すときに、たとえば企業というのは企業の秘密ということを非常に言って、工場の排水だってほんとによく調べさせないでしょう。工場の排水なんかのときに経企庁がそれほど調べる権限がありますか。
#35
○政府委員(八塚陽介君) まず環境基準をつくります場合には、おそらく問題になりますのは、たとえば衛生上あるいは生活上、どの程度の基準が必要であるかというような観点、あるいは魚のほうからいいますと、アユとかそういう魚についてはこれぐらいでなければならない、あるいはノリ等であればこれぐらいでなければならないと、あるいは農業のほうの水稲等ではこれぐらいでなければならないと、いろいろな観点から要求される基準というものがあるわけでありまして、これはそれぞれ関係各省が御研究をいただいて、そしてお持ち寄り願うということを当然考えなければなりません。
 それから、工場の排水の一体水質については、企画庁は権限を持って測定できるかというお話がございましたが、工場が公共用水域に水を流すわけでございます。そこにおいては企画庁は従来も、まず実績としてどれぐらい水をよごしているだろうかということについては、当然工場の排水口においてその水をつかまえて分析をいたしておるわけでございます。そういう意味において、経済企画庁としてはもちろん工場の排水をつかまえておる。今後とも当然仕事の重要な一環としてつかまえていくということになるわけでございます。ただ、工場排水法におきましても、これは通産省が監督をして、工場のほうからとにかく排出水の水質を定期的に報告させるというようなことはございます。これは工場内のことでございまして、私どもとしましては、排水口のところで、指定水域のところで測定はするということになっております。
#36
○田中寿美子君 それで、ちょうど大気汚染防止法ができて、そしてそれがよりどころになって各種の大気を汚染する物質に関する環境基準を設定していくというような関係にあると思うので、水についても工場排水規制法と、それから水質保全法なんというものは一緒にまとめて水質汚濁防止法というものをつくるべきだというふうに言われてきたと思うのですが、大臣それはどういう見通しですか。もう去年は大気汚染防止法ができました。今度は水、騒音というふうに、やはりそれぞれ実施法ができていかなければいけない。その辺どう考えますか。
#37
○国務大臣(菅野和太郎君) 工場排水法等は、工場については監督権は通産省にありますから、やはり監督するところで監視してもらうのが一番いいと思うのです。そのほうが権限がありますから。したがいまして、やはり各省各省でひとつ工場が守るべき規則は守らすというようにやってもらったほうが能率的ではないか、こう考えるのであります。まあ経済企画庁として基準をつくって、この基準でこの程度の排水ならよろしいということで、通産省のほうでやはりそれによって排水を規制するというふうにやってもらったほうがいいということで、各省各省のやはり権限その他を十分に発揮してもらって全体的に目的を達成するようにしたいというのがわれわれの考え方になります。
#38
○田中寿美子君 水に関してはほんとうにどこかちゃんとリーダーシップをとるところがないと、なかなかちゃんとならないと思うのです。それで、そうすると、いまのお話ですと、水質汚濁防止法というものは考えていないと、基準のほうだけつくって、水質基準というか、環境基準だけをつくるわけですか。法律は考えてない、こういうことですか。
#39
○政府委員(八塚陽介君) ちょっと全体の構成もちろん御承知の上での御質問だと思いますけれども、申し上げたいと思いますが、いま大臣が申し上げましたように、水の汚濁の源泉は、これはきわめて多岐にわたっておるわけでございます。従来も工場排水法あるいは水洗炭業法、鉱山法等でやっておりましたが、その工排法の中でも、もちろん代表的なものは通産省所管の業種でございますが、その他各省の所管の業種があるわけでございます。それから今回私どものほうで御提案申し上げました諸般の汚濁源の業種、これは屠畜場、斃獣処理場あるいは廃油処理施設等々、きわめて水をよごすというその汚濁源の業種の所管は多岐多端にわたっております。したがいまして、いま大臣が申し上げましたように、私どものほうで一定の基準を与えて、その基準を各省それぞれの力を発揮していただいて、そしてその基準を守らせるようにするということが、こういうふうに複雑多岐にわたっておる汚濁源に対する規制、監督等ではやはり一番いいのではないか。逆に私どものほうで、いまそれでは各省その間にいろいろ意思のそごがあって十分であるかないかという問題でございますが、正直に言いまして、水質保全法が発足いたしました当時は、やはり公害に対する一般的な考え方というものが、いまから考えれば十分でなかったがためにそれぞれ相当な抵抗等がやはりあったのではないか、しかし、ここ二、三年来各所管省ともやはりこういう水質汚濁というのはもう世の中の、何といいますか、趨勢であって、その方向へできるだけ沿わなければならぬという考え方に変わってきておるように思います一その簡単な証拠でございますが、かなり長い間調査はしたが、なかなか基準はかけられなかったというような事情があったわけですが、ここ最近急速にどんどん水質基準をかけられるような状況にもなっておりますのは、そういう情勢を反映しているのではないか。そういう意味におきまして、現在なるほど法律はいまお話しになりましたように一本にはなっておりませんが、むしろ多岐に分かれるようなかっこうになっておりますが、各省間の話し合い、意思の疎通というのは私どもいまやっておりまして、それほど弊害があるというふうには感じられません。たいへん気持ちが合ってきておるように感じております。そういう意味におきまして、私どもは今度のような構成をとった次第であります。
#40
○委員長(瀬谷英行君) 基準だけ考えて法律は考えていないのかという質問だったんですが、その点について。
#41
○政府委員(八塚陽介君) 基準をやりますとそれを受ける法律が当然必要になるわけであります。工排法は法律的には形が整っておるわけです。今回改正をいたしますことによって入ります汚濁源の対象業法は工排法のように現在はなっておりません。したがいまして、この法律が通りましたならば、この法律と各関係の法律とのスイッチを考えなければならないわけでございます。それにつきましては法律的措置をほとんど必要といたしませんで、政令、省令、あるいは通達を直していただくということによってほぼ工排法と同じような運営ができるようになっておる。現在法律が通ることを予想するというと、実はこれは国会に対して申しわけないのですが、そういうことで関係省と政、省令の改正について下話を始めてはおります。
#42
○田中寿美子君 もう一点だけ。私たちはどこが関係所管であってもいいわけです。水がきれいになるということだけ実際に効果をあげてほしいということなんです。それで、ところが、そんなふうにたくさんのところに所管が分かれておりますと、どこかきちんとリーダーシップをとってそれを実行させるところが必要なんで、経済企画庁がそういう点で水についての主務官庁であるならばちゃんとしてほしいということなんですね。それで、たとえば安中の場合ですね、あそこでは東邦亜鉛から出すカドミウムが大気のほうにもちゃんと入っているし、水の中にも流れてきている。そして、あの水は通産省が所管していたのですね。経済企画庁は何にもあそこに関係していませんでしたが、鉱山保安局の人だと思いますが、土地のことも、水のことも、一切自分たちがめんどうを見ていますということでした。そういうことだと多少私ども不安を感じるわけです。事実あそこは流れてきた水でコイなんか死んでいるわけですからね。そういうときに経済企画庁は何も調整をしなかったのか、できなかったのか。そういう事実があるのですが、それでほんとうに水をよくするために有効な措置をとるべきだということを、そこのところをちょっと説明していただきたいのです。
#43
○政府委員(八塚陽介君) お話しのように、私どもは、現在直接安中について企画庁が水質の調査をするということはやっておりません。ただ、私どもの行政のやり方としまして、関係各省それぞれがおやりになっておりますデータについては、もちろん時々刻々連絡を受けております。私どもとしても、そのデータがある程度集まりまして、そしてそのデータからの判断で水質基準をかけるべきときがきた、あるいは用意が整ったというときには、当然そういうことも考えるわけでございます。現在の段階ではまだそこまでいろいろなデータ等についてはいってないということでございます。
 しかし、ですから、お話しになりましたところは、まさに物理的にだれも行ってないし、一向に姿もあらわさぬのじゃないかということで、企画庁の誠意なりイニシアチブを疑問にされたのだと思いますけれども、私どもはそういう意味で、関係各省のそれぞれの働きについてはきわめて細心の注意を払ってウォッチをして、そうしてやっておる。自分たちで言うのは何ですが、いわば総司令部のつもりでおりまして、必ずしも現地軍ではない。ただ、法律の構成上、基準をきめたあとのアフターケア等は、これは私どもが直接もちろんアフターケアのための水質調査をやります。いよいよきめるという段階になると、調査はもちろん、何も総司令部だからといってうしろのほうにいるというようなものではございませんけれども、全体としては総合調整という立場で関係各省の調査活動その他を集め、見ておるという立場をとっておるわけであります。
#44
○松澤兼人君 ひとつ関連して。木曽川の例の、通産省御存じの三興製紙の汚水ですが、あの問題はどうなっているのでしょうか。私先般愛知県に参りましたが、いまだにまだ三興製紙がパルプの廃液を出しているということです。あそこに調査に行きましたのは二年ぐらい前だと思いますが、一時は何か秋田県のほうに移転するというような話もしておりました。従来のように、あるいは従来以上にパルプの廃液が出ているということを今般また聞いたわけなんですが、ずいぶん時間がかかっているのに前と同じことだと思います。これについて、通産省にしても、あるいは経済企画庁にしましても、どうも何をしているのかという疑問を持つわけなんですが、この点いかがですか。
#45
○政府委員(八塚陽介君) 御指摘になりました木曽川下流の水質基準は、御承知のように、三十八年の六月十三日に水質基準の告示をいたしたわけであります。当時の三興製紙の能力等から見まして、一応当時としては下流の水産業、農業等にも差しつかえのないという基準であったわけでございますが、その後、木曽川流量も若干変化いたしましたし、三興製紙のいわば増設ということで基準自体について問題が出てまいりました。その後その問題について通産省等においてもいろいろ御努力を願ってまいりまして、私どものほうも三十八年にやったからそれでいいというわけにいかなくなりまして、四十二年の十二月にもう一ぺん木曽川をやり直そうということで部会をつくりまして、その間、いまお話がありました三興製紙の全部ではございませんけれども、ある程度移転をしようかというような話もあったわけでございます。その後その話も私どもまだ完全に消えたわけではないと思いますが、時間もたちますので、ことしの四月にもう一ぺん新しくそういう排水量のふえたことに対応してもっとずっときびしい基準を一応設定してかけたらどうか。もっとも、そのためには、だいぶ時間がおくれて申しわけないのですが、相当な設備をいまからやらなければならない。たぶん十億ぐらいであったかと思います。その間の設備改修のための期限がまだ先になっておりますので、現在の段階では適用にはなっておりませんが、告示を出した。ただ、その一年なり二年なりの間しからばそのままでいいわけではないわけでございますので、たとえば灌漑期、六月――七月ころはある程度工場のほうでも自粛を願う。あるいはまた、渇水期、冬の流量が少ないとき、あるいはのりのちょうど繁殖期等においてもやはり実質上の自粛を願う。これについては、通産省通産局あるいは愛知県等でも御指導を願うということで、基準が実際に発効しますまでは、そういう実質上の被害軽減の措置を工場のほうでおとりになるというようなことで現在やっておるわけでございます。そういう意味におきまして、いま松澤先生の御指摘になりましたように、確かに解決にだいぶ時間がかかっておりますが、態勢は整ってまいりましたので、実質上の被害のないようにしてやがて基準が発効するまで対応をしたいというふうに考えております。
#46
○松澤兼人君 もう一つ、工場の設備とか、あるいは生産の能力、あるいは機械ということは通産省のほうですね。ですから、私は前に調査に行きましたときにも、名古屋の通産局から担当の方に来てもらっていろいろ説明を聞いたんですが、それが実効があがってないということは、まことに残念なことであり、これは経済企画庁のほうも御承知と思いますが、三興製紙の下流において何か水道の水を取るというような話も出ているんじゃないですか。あれだけまっ黒いパルプの廃液が出ている。その下流で水道の水を取るというようなこと自体が計画がまずいのか、あるいはまた、その排水がある程度下げられるということを予期しての話かどうか知りませんけれども、いずれにいたしましてもその下流で愛知県なり、あるいは名古屋市が水道の水を取るということはたいへんなことだと思うんです。通産省もひとつお考えいただくし、経済企画庁もお考えいただいて、早急にやっていただかなければならぬ。何かありますか。
#47
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生がおいでになったのはだいぶ前だと思いますが、その時期におきましては、先ほど経済企画庁からお話のあったきびしい基準をやるについては濃縮燃焼装置というむずかしい名前でございますが、特別な装置をつけるというような考え方でやっておったわけでございますが、その後、これは日本でも初めてだというようなもので、技術的に非常に難点もありますし、それからその設備費も非常に金がかかるというようなことで、非常に難点があって行き悩みになっておったわけですが、その後の通産省の指導といたしましては、そういうふうに、いま言った設備は特に技術的にも難点がある。必ずしも今度きめたきびしい基準が必ず守られるかどうか疑問であるということで、むしろ工場はどこかに移転したほうがいいということで、結局移転の方向でもって現在指導しているわけでございまして、この前きまったきびしい基準を達成するためには、あの工場のうちで一番その問題、まっ黒いものを出す設備をどこかほかのほうへ移転すると、そういうことによってきびしい基準を守る、こういう方向でやっておるわけでございます。そのためには若干時間がかかるわけでございまして、私どもの考えでは、ことしの田植えどき、現在田植えは済んだわけでございますが、これと来年の田植えどき、この二つまでが終わった再来年の田植えどきには間に合うであろう、こういうようなつもりでおります。しかしながら、先ほど話ありましたように、田植えどきが一番大事なわけで、田植えどきにおきましては十分現地の農民と相談して、田植えその他に、あるいは金魚の成育に支障のないように総合調整その他をやりまして、法律に基づかないけれども、行政措置、話し合いに基づく措置を講ずる、こういうような方向でもって万遺憾なきを期しておる次第であります。
#48
○内田善利君 私も水質行政についてまずお尋ねしたいと思いますが、先ほど長官は、工場排水規制法などは業種別に、各官庁が別々にやってもいいんだ、何ら差しつかえないと、このような御答弁があっておりましたが、たとえばいまの木曽川の問題につきましても、一体これをどこが責任を持ってやるのか、まずこれをお聞かせ願いたいと思います。
#49
○国務大臣(菅野和太郎君) それは先ほど申し上げましたとおり、水質基準をきめるのは経済企画庁です。その基準を各所で守ってやってもらうということになっております。
#50
○内田善利君 水質基準をまず経企庁がおやりになりますが、アユの変死の状態、これはどこがまず検査するのですか。どういう理由でアユは変死したのか。これはどこでやるのか。その変死の理由をまず調査したならば、その原因者は何なのか、そういったことを次々に、一体だれが責任を持ってやるのか。一元化の必要はないと、先ほど長官は言われましたが、ほんとうに一元化の必要はないのか、そういう点をはっきりしたいと私は思います。
#51
○政府委員(金光克己君) 木曽川におきましてアユが死んだという事件が最近あったわけでございますが、これにつきましては、アユという立場からは農林関係でございますが、厚生省の立場といたしましては、やはり第一番が、木曽川から名古屋市の水道水を取っておりますので、やはりそういった立場から厚生省におきましても調査をいたしておるわけでございます。それで、死にましたアユを検査いたしました結果では、カドミウムが〇・四PPM含まれておる。それから亜鉛が二六〇PPM検出されたわけでございます。このカドミウムの〇・四PPMというのは特別多いという数字ではないようでございます。また、亜鉛の二六〇PPMは、これは若干普通より多いのじゃないか、かように考えております。
 さような状態でございまして、アユが何によって、どういう原因によって死んだかということにつきましては、地元におきまして関係機関協力して現在調査を進めておるわけでございますが、水道水の立場におきましては、十分調査いたしました結果、決して心配はないというような水質の状況でございます。以上でございます。
#52
○内田善利君 アユに〇・四PPMですか、認められたということですが、ほかの魚にはないのか。そういった調査はどこがやるのか。
#53
○政府委員(金光克己君) 魚の中におきますこういった重金属類の含有の関係でございますが、やはり国民の健康を守るというような立場で厚生省におきまして調査をいたしておるわけでございますが、そういう立場におきまして、現在までいろいろの資料を勘案いたしてみますと、カドミウムというのはもっとたくさん含んでおる、いわゆる魚の臓器等にはもっとたくさん含んでおる魚もおるわけでございまして、この〇・四PPMというのは、ほかの地域のアユを調べた結果におきましても大体同じような程度であるというようなことでございます。さようなことでございまして、決してこれは人体にどうこうというような問題ではないわけでございます。
#54
○内田善利君 川の水質調査はどこがやられたのでしょうか。
#55
○政府委員(八塚陽介君) いまお話がありましたように、アユが変死したということから、まず第一的に心配になりますのは上水道であるということで、上水道源としてだいじょうぶであるかという観点から、県の公害課及び名古屋市でまず検査をいたしました。そうして厚生省に報告があったわけであります。私どものほうももちろん連絡を受けているわけでございます。
#56
○内田善利君 どういう経路でアユに〇・四PPMのカドミウムがあるのか。こういう調査はどこでやられるのか。そして大体アユに〇・四PPMカドミウムがあるということは、川の水から来たのか、あるいは珪藻、そういったものから来たのか、そういったことはどこで調査するか。まあ私は水質行政の一本化ということから、木曽川の例をとって質問したわけですけれども、きれいな水を飲みたいという、またきれいな水にしていただきたいという国民の立場から、いま質問をしているわけですけれども、長官の立場からいえば、各官庁でやった上で掌握していくと、そういうことになったほうがいいと思いますけれども、いまのような水を使用する立場からいけば、どうしてもどこかで締めくくって、こういったことについては、すぐ責任を持っていろいろなことを実施して、国民を安心させていくと、そういうふうにもっていったほうがいいんじゃないか。やっぱり水質行政は、私たちの立場からいえば、一元化していただいたほうがいいんじゃないかと、そういうように思って先ほどから質問をしておるわけです。この点につきまして、もう一度長官にお願いしたいと思うのです。
#57
○国務大臣(菅野和太郎君) 一元化という意味が、まあどういう――私どものほうではっきりしないのですが、まあとにかく各省でいろいろ調査をして、それをまとめて総合調整するのが経済企画庁ですから、その点において一元化しておると私どもは考えておるわけであります。でありますからして、各省において、それぞれその所管をしておる事項については調査して、その調査した結果をみな経済企画庁に報告してまいりますからして、その上で私どもでまとめて総合調整して水質基準をきめる、環境基準をきめるということに相なっておるわけであります。
#58
○内田善利君 じゃあ先ほどの質問ですけれども、アユにカドミウムがあって、川の水にカドミウムがないという、そこの調査はどうなのか、お聞きしたいと思うのです。
#59
○政府委員(金光克己君) 木曽川のアユの中からカドミウムが検出されたと、そのカドミウムがどこから来たかということでございますが、この木曽川の沿岸には工場もたくさんございますし、なおまた、カドミウムというものは、一般地質と申しますか、一般の土層の中にも含まれておるという問題もあるわけでございまして、そういった点は、いま現在調査中でございますが、今後の調査に待たなければならぬというようなことでございます。
#60
○内田善利君 規制制限のことについてお聞きしたいと思いますが、工場排水規制法では、工場に対する監督、規制、指導、こういったものが先ほども申しましたように、また田中委員からも質問なさっておりましたが、業種別に各官庁が実施しておる。この権限は、業種によっては一部を知事に委任している場合もあるわけですけれども、大かたのところは中央官庁が握っておると、知事は介入できないという現況でございますが、監督上したくても立ち入り検査もできないと、そういう状態でありますが、これでは満足な規制はできないのではないかと、このように考えるわけですが、知事へ権限を移したほうが適切な規制が、あるいは指導ができるのじゃないかと、このように思いますが、この点についてお聞きしたい。
#61
○政府委員(矢島嗣郎君) 水質基準を守るための監督につきましては、先ほどからもお話がございましたように、いろいろな法律によっているわけでございますが、何と申しましても工場排水規制法というのが一番大口でございまして、この工場排水規制法は、通産、厚生、農林、大蔵、運輸と、五省にわたっておりますが、私どものところが何と申しましても一番大株主でございまして、そういう問題については常に考えているわけでございますが、通産省といたしましても、この工場排水規制法に基づく通商産業大臣の権限は、逐次都道府県知事に移さなければならぬという考え方のもとに、だんだん移しているわけでございまして、本年初頭におきましても、大幅にこれを県知事に委譲いたしまして、現在通産省関係で残っているのはわずか七業種でございます。この残る七業種につきましても、都道府県の監督体制の整備と相まって、機が熟したならば逐次委譲する方法を考えたい、かように考えております。
 なお、ほかの省につきましても、本年初頭に通産省が大幅に権限委譲する際に、厚生省の分その他も一緒に委譲したわけでございます。
#62
○内田善利君 水質の環境基準の設定についてですけれども、この環境基準の設定の見通し、あるいは時期、わかっておれば教えていただきたいと思います。
#63
○政府委員(八塚陽介君) 環境基準の設定につきましては、先ほど申し上げましたように、この三月から事務的に準備を始めまして、五月の半ばに環境基準部会をつくることになっております。現在は関係各省からそれぞれの考え方をヒヤリングをしているという段階でございます。そういたしまして、もちろん関係各省はその後も絶えず研究を深められるでありましょうし、その後も当然連絡をしつつということになりますが、大体環境基準部会長、あるいは水質審議会の会長の気持ちは少なくとも今年度中には結論を出したい、私どものほうもなるべく早くというふうにお願いをしたわけでございますが、やはりまあ問題が問題だけに、年度末までのうちに何とか考え方を明らかにしたいということでございますので、進行状況はおよそそういうことに相なるというふうに考えます。
#64
○内田善利君 法案について質問いたしますが、長官が行なう指定水域についてですけれども、この指定の考え方と言いますか、方法についてお伺いしたいと思います。
#65
○政府委員(八塚陽介君) 指定の考え方については、法律の第五条あるいは改正案の第五条にありますように、公共用水域のうち、汚濁が原因となって関係産業に相当の損害が生じた場合、あるいは人の、従来ございました公衆衛生上看過しがたい影響が生じているものということで、いわば影響がはっきりあらわれている場合、それからそれらのおそれのあるものということで、予防的には必要があると考えた場合に、指定水域として指定している。そうして水質基準をかけていくということになるわけでございます。実際のやり方としましては、やはり第四条にございますように、まあ出てきたところを見に行って、気がついたところというようなことではぐあいが悪いということで、第四条におきまして、一応その調査基本計画というものをつくりまして、五年、現在は五年計画の段階でございますが、それで、その五年計画をつくります過程で、およそそういう問題がありそうな指定水域というものについて、地方都道府県知事、関係各省と相談をしてつくっていく。もちろん水質審議会の承認を得てつくっていくわけであります。大体その基本計画にのっとりまして、先ほど申し上げました第五条に従ってやっていく。ただそういうふうに基本計画でやっておりますと、やはりどうしても硬直的になりますので、場合によりましては応用動作をする必要がある。たとえば昨年メチル水銀につきまして阿賀野川あるいは水俣等についての科学技術庁の結論が出たわけであります。それに対応しまして、おそれがあるということで、及びメチル水銀を排出するおそれのある工場のある水域を早急に指定をしたというようなことがございますので、必ずしも基本計画になかったからやらないということではございません。それなりの応用的なことは必要でありますが、大体そういうことで計画的にやるということでございます。
#66
○内田善利君 生活環境の保全ということが今度だいぶ出ておるわけでございますが、その生活環境を保全するということを具体的にお示し願いたいと思います。
#67
○政府委員(八塚陽介君) 従来公衆衛生という見地で、健康と生活環境と両方考えておったわけであります。確かに法制定の初期のころは比較的限定的に公衆衛生というものを解釈いたしまして、主として飲料というようなことに着目して、あるいは水道というようなことに着目して運用をしておったようでありますが、先ほど来長官が申し上げましたように、都市化の進行あるいは経済の伸展で急速に生活あるいは健康との問題の接触が生じてまいりましたので、今回こういうふうに書き分けたわけでございますが、健康のほうは、これは非常にはっきりした概念と申しますか、つかまえやすいわけでございますが、生活の環境ということになりますと、かなり幅が広いわけであります。たとえば、海水浴であるとか、その他レクリエーションというようなことで、水を人間が直接利用するといいますか、そういう生活環境もあれば、川が流れておって、その川が次第にメタンガスが吹き出して、非常にくさくなってきて生活条件が悪くなるというふうに、きわめて幅が広いわけであります。また、川と人間との関係からいいましても、生活に比較的遠い僻地の川と、それから都市のまん中を流れておる川等々、人間と川との関係におきましても生活環境という点から、かなり複雑な関係があるわけでございます。したがいまして、一概に言えないわけであります。やはりごく消極的には、もうこんなに不愉快ではいけないという範囲、あるいは積極的にはもっときれいであることがその住民の生活にとって好ましいというところまで含んで、生活の環境というふうに考えておるのであります。
#68
○内田善利君 たとえば水俣病のような場合に、流れてくる水を飲み、あるいは井戸水を飲み、とれた魚などを食べて健康を害し、いままで非常に健康であったたった一人の御主人が水俣病にかかったという場合の生活環境は、いままでの生活程度がぐっと落ちてくるわけですけれども、そういったことも、そういう生活上の問題もこの生活環境の中に含まれるかどうか、教えていただきたい。
#69
○政府委員(八塚陽介君) 私ども、たとえば水俣の場合の問題を例にとって考えてまいりますと、まず人の健康を保持するという問題が第一次的かと思います。飲料にする、あるいはそれを食べるということによる障害というのは人の健康の問題であろう、それからその魚をとって生業にしておる、それが売れなくなったという問題、これは生活環境というよりむしろ漁業というなりわいが成り立たないということで、これはむしろ水産業あるいは漁業ということで、その漁業をできなくするということのないようにという観点からとらえるべきであろうと思います。したがいまして、この場合の生活はいわゆる生業環境、なりわいの環境というよりも、いわゆる消費生活であるとか、あるいは文化生活であるとか、あるいは社会生活であるとか、そういう意味の生活というふうに考えております。生業的ななりわいというものは、やはりかりに零細でありましても、これはやはり一つの業、産業というふうな扱い方で考えたらどうかということでございます。
#70
○内田善利君 最近水質検査の方法でアイソトープによる方法が見いだされまして、五月十三日に第九回日本アイソトープ会議で発表になっているようでありますが、従来の検査方法では約七日間かかる、アイソトープを使うと一日で汚濁の程度がわかる。こういうことでありますが、このアイソトープによる水質検査方法は将来性があるのかどうか、またこれを使ったことがあるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#71
○説明員(宮内宏君) 大体アイソトープの使い方は、物の拡散をはかるために使っているわけであります。従来企画庁で県等に委託してやっております調査はアイソトープの方法は用いておりません。いろいろ色素などを使って散らばっていく様子を把握しているわけであります。したがいまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#72
○委員長(瀬谷英行君) 答弁漏れが……、立地公害部長。
#73
○政府委員(矢島嗣郎君) 先ほど、内田先生の最初のアユの問題に関して、現地の調査の体制が不十分である、あるいはばらばらであるというお話でございましたが、私どもも答弁不十分でございましたので補足説明をさせていただきたいと思いますが、実は名古屋におきましては、先ほどの三興製紙の問題その他あるものですから、東海地方産業公害連絡会議というのがございまして、これは愛知県と岐阜県とそれから中部地方建設局とそれから名古屋通産局とこの四者、場合によっては市も入るのでありますが、そういうことで構成してやっているわけであります。公害問題は先ほどからのお話で、厚生省も関係し農林省も関係ございますし、それから河川全体という関係で建設省も関係する、それから工場のほうを監督指導したりして通産省も関係するということで、こういう四者がたまたま連絡会議を構成しているわけであります。なお、厚生省及び農林省は地方建設局のような地方出先機関がないので、実際問題としては県の衛生部、これはまさに厚生省の出先でやるわけでありますし、農林省は県の水産部と、そういうところがやっているわけであります。結局、各省の出先が中心になってこういう連絡会議をたまたま持ったわけでありますが、今回木曽川アユの問題が起こりますと直ちにこの連絡会議が緊急招集をされまして精力的な会合を持ちまして、原因の究明とその対策についていろいろやっているわけでありまして、これは全国的にこういうことになっているかどうかは別といたしまして、私の見る限りでは、少なくとも今度の木曽川アユの問題については、原因の究明とか、あるいは対策につきましては十分協調して調整のとれた体制ができているのじゃなかろうかと思うわけであります。御参考までにお話し申し上げます。
#74
○委員長(瀬谷英行君) 企画庁長官関係いいですか。――それでは今度は総理府総務長官。
#75
○田中寿美子君 総理府総務長官に、公害紛争処理法案についてお伺いしますが、最初に基本姿勢の問題なんですが、この法案の提案の理由説明にも、このごろは非常に紛争がふえているということが出ておりまして、そしてその和解、仲介、あっせん制度がなかなか進まない、困難であるというようなことが書いてあった。だから、紛争処理の制度を一元的に設けることが好ましいのだというような提案理由が書いてあります。その点は私どもも賛成でございますが、ただ根本的に政府の公害行政全体の立場――企業の責任や国の責任についての取り方というのは非常に浅くて、被害者は必ずいつも住民なわけなんですけれども、その被害者住民の立場から、企業の責任やあるいは地方自治体の場合とか、あるいは国の責任の場合があると思いますが、そういうものを追及していくという立場が欠けていると思うんですけれどもね。これはやはりさっきもちょっと申しましたけれども、特に公害の紛争に関して被害者と加害者を同じ立場に置いて紛争を処理していくというような姿勢は間違っているのじゃないかと思いますが、その辺を総務長官はどのようにお考えでございますか。
#76
○国務大臣(床次徳二君) 公害に対しましては、公害対策基本法の考えでもってやるべきだ。この点は事業主あるいは国あるいは公共団体の公害に対する責務というものを明らかにしております。同時に、公害防止に対する必要な施策を総合的に推進しなければならぬということも明らかにいたしておりまして、なお、目的とするところは国民の健康保護並びに生活環境の保全ということでありまして、この点に対しましては、御指摘のように、十分ひとつ企業者あるいは加害者と被害者というものに対して、ただいまの精神から見まして判断して、公平に扱ってまいりたいと思うのでありまして、したがって、紛争処理機関におきましても、その両者のいずれに対しましても公平、中立に処理し得るがごとき権限を有し、また、それをさような立場におきますところの機関にいたしたわけであります。この点は、今回の処理委員会――中央並びに府県に置きますところの機関というものが非常な特色を持っておると思うのであります。かような公害の特質というものにかんがみまして、そうして必要な権限を与えて、これを処理させるところに私どもは目的を持っておるわけであります。
#77
○田中寿美子君 私は、公害問題の所管であるところのすべての大臣には全部念を押して伺いたいと思うのですが、それはこの間の二十日の日に、総理大臣も本会議で私の質問に対して、公害が産業の発展の上でやむを得ない必要悪であるということを言われたわけなんですね。それで、これは非常に重大なことだと思うのです。公害の決議でさえ、これは産業とか国の責任をとるべきであるという決議をしているわけなんですね。いまの時代に公害を必要悪である、経済の発展のためにはやむを得ないというような考えに立ったのでは、公害対策は進まないと思うのですが、その点は、紛争処理の立場に立つ総理府総称長官としては、はっきりしていただきたいのですが、総理大臣と同じようにお考えになっているのかどうかということなんです。
#78
○国務大臣(床次徳二君) 紛争処理に対する基本的な態度でございますが、先ほど御説明申し上げましたような基本法の精神にのっとっておるわけでありまするが、ただ、総理がお話しになりましたところのことば、部分だけを引用すると、公害は必要悪だというふうに聞こえますが、しかし、これは総理もいろいろ前提をつけてお話しになったものだと思います。現在の技術水準から見まして、ある程度の公害の発生はやむを得ない面もありますけれども、しかし、それが単純に必要悪だということではなくして、さらにふえんいたしますならば、適切また適時にこの公害を規制するという、いわゆる事業主の責務、国または公共団体の責務というものもあるわけでありまして、なお、公害防止に関しましては技術上の進歩というものも当然あるのでありまして、この開発研究等によりまして一そう努力を払いますならば、公害も発生しないようにだんだんできるわけでありまして、さようなことをやはり背景にいたしまして公害の処理というものを考えなければならないのじゃないか、さような立場を踏まえまして、いわゆる国民の衛生の問題あるいは生活の環境保全という問題を考えなければならない。私ども総合的にさようなことを考えながら紛争処理に当たってまいりたいと考えております。
#79
○田中寿美子君 公害対策基本法の精神にのっとってと盛んに言われるが、あれにはちゃんと産業の健全な発展との調和において生活環境の保全をはかるということになっているので、両方同じような立場に考えていられるような節が見えるのですが、ある程度やむを得ないという立場では、これは公害は絶対に防止できないと思います。公害はなくさなければならないのだ、あるいは害悪であるという立場をとっていただかなければ困ると思うのです。今度の公害紛争処理法案の原案の段階で、私どもはいろいろと根本的に欠陥だと考えましたのは、この紛争処理機関が一種の行政機関の付属機関である、それで強制力がないということ、それは被害者住民を守る効力を失うのじゃないか、少なくさせるのじゃないかという点にあるわけです。それから仲裁の場合、企業責任や国家の責任についての追及の立場がはっきりいたしておりませんと、その仲裁の内容もそれに左右されるのじゃないか。そうしてしかもその仲裁というのは当事者が合意しなければこれは仲裁できないわけですから、企業のほうがいやだと言えばできない、仲裁に入ることはできないという、その辺が根本的な欠陥だと思っておったのでけれども、修正されまして、修正案ではある程度――ほとんどこれと内容については違わないのだけれども、附帯決議の上でわれわれの望むような方向に向かうというようなことがついているわけですね。そこで、修正案についてお尋ねするのですけれども、中央公害審査委員会に、修正案のほうで専門調査員を置くということについて、二十人を置くことということになりました。それは委員と同じように立ち入り検査をすることができるということになっておるのですけれども、ところが、中央公害審査委員会の委員というのは、これによりますと、人格高潔で識見の高いもののうちから選ぶというふうに書いてありますが、人格高潔で識見が高いというのは、たとえばどういう人たちなのかということなんです。
#80
○国務大臣(床次徳二君) 御質問の趣旨がいろいろ多岐にわたっておりますが、一番根本の問題は、公害紛争処理に対しまして、政府案におきましては、裁定という行為を設けなかったということが欠陥であるというふうな御意見のように伺うのでありますが、本案を作成いたします当初から実はこの問題は基本的な問題として、私どもは検討しておったわけでありますが、現在の公害の状態から申しますると、いわゆる裁定行為まで入るのにはまだ検討を要するというふうに考えた次第であります。何となれば、この点につきましては公害紛争処理というものが民法上非常にむずかしい、不法行為をめぐるところの私人問の私的な紛争であるし、しかもその内容が他の裁定制度の対象となっている事柄に比しまして、損害賠償の請求だとかあるいは行為の差しとめ請求とか、いろいろ非常な多岐多様にわたる事案が予想されておるのであります。さらに一般的にその因果関係の究明等が現在なかなか困難でありまして、事案を強制的に解決する制度とするためには、慎重な手続をとる必要があるというような問題がありますので、さしあたり簡易迅速な制度を創設するという今回のたてまえから見ますると、この際は裁定制度につきましては、これは将来の問題として残さざるを得なかったというふうに考えておるのであります。
 なお、本法案におきましては、主として仲裁制度をとりましたが、仲裁制度をとる以上は、当事者が裁判権を放棄いたしまして、仲裁人にすべての判断をまかせるという、仲裁契約の基本的性格から見まして、当事者の一方からの申請でこれを回避する、いわゆる裁定的なことになりますのは、憲法上にもなお疑義があるし、また、容易に民事訴訟を提起することができるようにすることも、仲裁の基本的性格から見ましてこれは不可能であるように考えておることも一つの問題でございます。なお、今後は先ほど申し上げましたような紛争処理の事態の推移等によりまして、裁定制度の採用その他の権限の強化を行なうかということにつきましては、なお十分ひとつ研究さしていただきたいのでありまして、この裁定制度をとるかとらぬかということは、実は当初の審議会の諮問、答申等におきましても、実はそこまで触れておらなくて、仲裁と調停の段階におきましての答申があったような次第でありまして、今後の研究問題である、かように考えておる。したがって、今回の附帯決議におきましても、この問題を取り上げられましたことに対しましては、私は御趣旨はよくわかりますが、ただ政府が責任をもってかかる制度を実施するということにつきましては、現実におきましてはなお相当遠いものがあるし、なお検討しなければならぬというふうに考えた結果であります。
 なお、これに関連いたしまして、現在の委員会がいわゆる行政組織法上の八条機関である。したがって、そのために十分な仕事ができないのではないかというお考えであるかと思うのでありますが、私どもは、いわゆる裁定制度をとりませんものでしたから、三条機関でなくてよろしい、八条機関でもってけっこう間に合うというふうに考えておるのでありまして、将来裁定制度が加わりました際におきましては、三条機関への移行というようなことに対しましても考えなければなりませんし、また、現在の紛争の処理の状態から言いまして、将来どれくらい仕事がふえてまいるかということも、今後の保安の実施の状態に見ると思うのであります。一般の国民のほうの立場から見まして、この紛争処理機関というものを積極的に御利用願うというようなこと等の実情から見まして、これは事務局等も大きくしなければならない、かなり人もよけい要するのではないかというふうに考えられますので、その点につきましては、今後の推移を見てまいりたいと思うのであります。
 なお、委員会といたしましての調査その他の権限ですが、これは法律にも明らかにしてありまするがごとく、中立性を持たせしかも独立性を持って企業者と被害者の間に立って十分に一部の圧力に屈することなく、その事務を行なうことができますような権限を確保してあるわけでありまして、身分待遇等におきましても特別な規定をいたしておるわけでありまして、十二分に仕事を達するようにいたしたのでありますが、なお、委員だけでもって権限を行使するということにつきましては不十分でありましょうと思いますので、必要な調査員、補佐機関を置きましてそして必要な知識を補佐させるという仕組みになっておったのでありまするが、この委員に対する補佐の立場に対しまして、衆議院の御審議等におきましては、特に専門員という名前において参画させたならばどうかということでありまして、趣旨におきましては私どもの原案において考えておりますことと同じ考え方であります。ただはっきりと法のもとにこれを書いたということにおきましては、やはりそれなりの意義があると思うのでありまして、したがって、今回の修正の趣旨に対しましては賛成をいたしました。なお、したがって、この専門員が立ち入り検査に補助の役割りを果たすことも、私はその性格から見て適当であろうと考えておるのでありまして、したがって、本質におきましては、原案において考えておりますることをさらに一そう拡充していただいたというのが、ただいまの専門調査員の形だと私ども理解しておるのでありまして、趣旨におきましてけっこうでありますので御同意を申し上げたのでありますが、しかし、これは先ほどからも申し上げまするように、八条機関であるために非常に欠陥があるのではなくして、本来裁定ということ自体がまた今日これを実行するのにはなじまないと申しますか、もう少しこれはほんとうに慎重な配慮でもって接するべきだというふうに考えておりましたためでございます。これは将来の問題として研究いたしますことは先ほど申しましたとおりでございます。
#81
○田中寿美子君 私は分けて一つずつ伺おうと思っておったんですけれども、大臣が全部先まで答えてしまってちょっと困ります。前もって聞きにいらっしたものですから、こういうことだと言っておいたのを全部お答えになってしまった。初めに私自分の考え方として、原案の根本的な欠陥はこうだろうと思うというようなことを申し上げて修正案のポイントに入ってきたわけなんですが、八条機関の問題も三条機関の問題もまだ私申し上げておりませんでしたけれども、国家行政組織法の第八条機関であるということについては、附帯決議で将来三条機関に移行するように検討するという態度が出ているわけですね。
 そこで私はいま、修正案のほうで、つまり採択された修正案のほうで審査委員というものに選ばれる者はどんな人なのか。人格高潔で識見の高い人というのはどういう人なんであるかということをお尋ねしたわけです。それから専門調査員ですね。二十人置くということになっているけれども、もう一ぺんお尋ねしますと、その審査委員というのが、これにも書いてあるように、公害は非常に複雑多岐にわたっていて、それで発生源と被害者との因果関係を証明することはむずかしいとこれに書いてあるわけなんですけれども、ですから専門調査員というのが必要だという考えなんでございますね。そしてその専門調査員というのは、けさほど社会党案の説明をなさった角屋先生は、自然科学者というふうに言われたけれども、私は自然科学者だけではないと思います。あらゆる面の科学者が動員されなければならないだろう、社会科学者もみんな動員されなければならないと思いますので、専門調査員というものを二十人置く場合にどんなふうな人を考えておるのか、どんな分野の――それから審査委員というのはどのような人を、たとえば人格高潔で識見の高いというのはどういうような人を考えておるのかということです。
#82
○国務大臣(床次徳二君) 審査委員の問題につきましては、答弁を落としましたので新たに申し上げたいと思いますが、審査委員につきましては、いわゆる法律家とか一般公益代表とか、あるいは医学的知識を持っておられる方々並びにあるいは産業的知識を持っておられる方、あるいは化学的知識を持っておる方等を選んでみたいと思っておるのでございますが、なお、産業方面につきましても非常にいろいろの業種がありますためにバラエティーが加わらなければならないと思うのでございまして、そういう方々に合うようにいたしたいと思っております。
 それから専門調査員につきましては、これは本法の中にもありまするが、この委員会だけが調査をしてそうして処理するということだけではなかなかむずかしいのでありまして、政府のあらゆる機関、関係各省の機関を十分活用して協力させまして、そうして結論を参考にして判断をするというふうにいたすつもりでありまするが、しかし、それにいたしましても、やはり補佐機関が要るわけでありまして、専門調査員はやはりさような意味においての各種専門の関係者を選びまして、そうして、先ほど申し上げました審査委員が結論を出しますのに差しつかえないようにいたしたいと思っておるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても公平な審査ができなければならないし、また、十分必要な材料というものをそろえなければなりませんので、かなりこの点は努力を要すると考えております。
 なお、もう一つ、私ども基本的に考えますのは、今日の公害対策というものの立場から見て、実は、この紛争処理機関だけにいろいろの完備した機関を置いてそれで十分間に合うかということになりますと、私はむしろ順序は逆なんじゃないか。むしろ予防管理体制、研究体制というものが十分あって、そして初めてこういう紛争処理機関がその役割りをよく果たすことができるものだと思っております。たとえば、公害の基準等におきましても今日はまだ十分でないと考えられる。もっともっとこれは基準というものの普及が望ましいと思います。そういうものがよりどころがありますると、非常に今度判断もしやすいということになる。また、監視機関等におきましても、現在必ずしも監視機関が十分ではないと思うのであります。今後私どもは十分これをひとつ整備してもらいたいと思いますし、それから専門の研究機関等におきましてもそういうものがやはり整備されることが望ましいので、あるいは、この紛争処理機関において十分やったらどうかということになっていますが、私はそれはむしろ順序は逆なんで、そういうものを十分活用して、そうして紛争処理の際において公平な判断ができるようにありたい、かように考えておる次第でございます。
#83
○田中寿美子君 実は、調査機関が必要だという点では、社会党案でも五十人の調査委員を置くところの調査機関が必要ではないかということを提案しているわけなんですけれども、私たちは、やはり公害問題というのは、いま言われたように、あらゆる面からの調査研究機関というものが総合的なものがなければならないと思いますね。そういうものを参考にして紛争処理もしなけりゃならないだろう。そういう点では、調査機関が必要だという点では大臣も反対ではないだろうと思いますが、現在その専門調査員がいろんな機関を補佐機関として調査するんだというふうにおっしゃいましたけれども、やはり将来は総合的な調査機関があって、公害の問題を扱うあらゆる面の科学者の入っているところの機関が必要だろう、こういうふうに思っております。
 そこで、附帯決議のほうで、さっきお話がありましたように、八条機関から三条機関に移行していこうとする前向きの姿勢が出ているわけですね。それから裁定に移行するように前向きに検討するというようなことばがあったと思いますが、この前向きで検討するというのは、具体的に言えばどういうふうなやり方で検討していくものなんだろうかということでございますが。
#84
○国務大臣(床次徳二君) この点、附帯決議の第一にありまするが、この問題の中心は、やはりいわゆる裁定行為にあったと私ども伺っておるわけであります。先ほど申し上げましたように、裁定行為をさせるというか、行ないますにつきましては、私どもは現在のところはまだ十分な結論を得てないということを最初に申し上げましたが、附帯決議におきましては、この裁定制度に対しましてはもっと積極的にひとつ検討しろという御趣旨だと私どもも考えております。私どももさらに研究いたしたいと思いますが、これが裁定機関としての役割りを考えます際におきましては、行政組織法上の地位は、そうなりますると、三条機関のほうが適切ではないかというふうな考え方を私ども持っておるわけなんです。三条機関にしなかった理由も、実は裁定機関で機能を持たないために八条機関にいたしておったこともあるわけでありまして、したがって、これは両者関連しておりますので、裁定機関を将来考えるとなれば三条機関に移行するということも当然考えなけりゃならぬ。これは全く両者とも関連した問題と私ども考えておるのでありまして、この点は十二分に両方の問題につきましてやはり研究を進めてまいりたいと思います。
#85
○田中寿美子君 いま刑法審議会のほうで公害罪のことを検討しておりますね。公害罪を設定すべきであるという立場で、刑法の全面改正の中で考えてるということでございますけれども、このいまの紛争処理制度ですと、和解の仲介、調停、仲裁、最終段階の仲裁という段階は、これは民事的な考えですから、ですから一種の契約ですから双方が合意しなければならない。一方が反対すれば成立しない。それで、こういうことで、かりに公害罪が設定された場合にどういう関係になりますか。裁定制度に移るのには公害罪ができた場合に非常にやりよいというか、そういうことになりますでしょうか。その関係はどうでしょう。
#86
○国務大臣(床次徳二君) 公害罪の問題につきましてはまだはっきりとしたことを存じておりませんので、これは確定されました際におきまして私どもも対処いたしたいと思うんですが、輪郭がはっきりしてくると、やはりその点は非常に紛争処理等に対しましても私は明らかになってくるのではないかと予想するわけでありますが、これは公害罪というものがはっきりきまりました際におきましてひとつ検討さしていただきたいと思います。
#87
○田中寿美子君 その仲裁の場合ですね。仲裁を一たん受けた場合に、あと訴訟の権利がなくなりますね。それで、もしそれに従わなかった場合はどういうことになりますか。罰を受けますか。たとえば会社が従わない、企業の側が従わない、あるいは被害者のほうでそれが不服だという場合。
#88
○国務大臣(床次徳二君) 仲裁裁定をいたしました際におきまして当事者が従わなかった場合はどうするかということですが、これは民事上の今日の訴訟手続等において明らかになっておりますから、具体的には政府委員からお答えいたします。
#89
○政府委員(橋口收君) 仲裁につきましては、先ほど先生からお話がございましたようにい当事者が同意をいたしまして第三者としての仲裁人に判断をゆだねるわけでございます。仲裁機関が仲裁判断を下しますと、それは確定判決と同じ効力を持つわけでございます。したがいまして、確定判決の実現の方法としましては執行判決を受けまして、それによって手続としては強制執行、こういうことになるわけでございます。
#90
○田中寿美子君 それで、附帯決議の「前向きに検討する」というと、これはやっぱり具体的にいつごろまでにどういうふうにしてというようなやっぱり日程を立てていかなければいけないと思うのですね。ですから今後そのようにやっていっていただきたいと思うんです。
 それから非公開のことも、附帯決議のほうでは必要によって公開というふうにするようになってるのですね。これは附帯決議だと思いましたが、この必要によってというのはどういう場合ですか。
#91
○国務大臣(床次徳二君) この附帯決議の三には、「議事は、非公開を旨としているが、公害の社会性等からみてこれが運用に適切な配慮を加える」ということで、非公開を旨とするということに対して若干の含みを持たして御要望になっているのが附帯決議の趣旨だと思います。これは今日の紛争処理機関の仲裁あるいは調停という当事者間の互譲の精神と申しますか、話し合いの精神を基本として処理いたしまして、そして第三者機関たるところの委員が冷静に公平な判断をするという、どっちかというと静かな雰囲気でやろうという形でありますので、訴訟とはちょっと違っておりますので、むしろ十分にその効果をあげるためには非公開のほうがいいのではないか。かように考えておるわけであります。しかし、内容によりましては、ある程度まで経過を発表しても差しつかえないという場合もあり得るのじゃないかという場合におきましては、非公開の原則ということに対しまして従来の協定その他の処理の状況に対しましてこれを明らかになし得る場合もあり得る。そういう場合におきましては出しても差しつかえないのではなかろうか。そういう配慮をしろというふうに私ども考えております。
#92
○田中寿美子君 公害は非常に社会的な性格を持っているから、必要によって公開にするべきものであるという考え方だと思うんですけれども、大体において企業の秘密というものを企業の側は強調するわけですが、企業の秘密に名をかりてやはり一般住民のほうが弱い立場にありますので、弱者を強者が押えつけるというようなことがないようにしなければいけないという点でやはりできるだけ公開にするという方向に持っていくべきだと思うのです。その方向で今後進めていただきたいと思います。
#93
○杉原一雄君 関連して。きょうは長官がおいでになりますので、後ほどの法案の逐条質議の中で十分意見を述べ、審議をしたいと思いますが、きょう幸い長官がおいでになりますから、先ほど長官が趣旨説明をなさったと思いますが、いただいた五ページのところに載っていますね。それの中で特に基地公害の問題を長官がかなり丁寧に説明をなさっているわけでありますが、この中で二、三お伺いしたいと思います。
 第一点としては、基地公害という概念ですが、同時にこのことの内容を伴いましてそうしたものがあるということをこれはまず認めていただけるかどうか。そのことが一つあるわけですけれども。
 その次に、そのことがなぜ今度の紛争処理法案の中で同様に扱われなかったかということ。提案の説明によりますと、「特殊性」という表現をとっておるわけですから、しからば「特殊性」とはどういうことの内容を含んでいるのか、そのことを明確にしていただきたい。そこで政府としては、この公害に関する限りは他の立法でめんどうを見ているんだということで、特に六ページの段階において長官は手厚い何とか書いていますね。「手厚い措置を講じ、その補償について異議の申し出等の制度を設け、円滑な」云々と、こういうことの中でぼくは非常に気がかりになるのは、手厚いという長官の判断の問題、はたしてそうであるかどうか、この辺のところを明確にしていただきたいと思うわけです。特に私がこうしたものを質問しながら念頭に描いていることは、二月の十四日に本会議で緊急質問をしたあの金沢のジェット機の墜落事件の問題なのであります。でありますから時間がありませんけれども、もしできるならば総務長官の段階の仕事であるかどうか。防衛庁の問題であったかもしれませんが、この報告を受けておいでになると思いますが、手厚いということばに該当するような四名の死者に対する処遇の問題、倒壊あるいは焼けた家屋についての措置の問題等、長官の的確な補償の実態があるならばお聞かせいただきたいし、あまり突然の質問でございますから、なければ後ほどまた防衛庁とも連絡をとっていただきたいと思うわけでございます。特にここでわれわれが提案いたしました角屋提案の中で、基地公害をわれわれは紛争処理の中で同様に扱いたいという念願はいまもなお変わらないわけですから、それに対して、それはいいんだと、それはまかしておけと、手厚い処置でやっていくんだというふうに長官がゆうゆうとお述べになっておるのですから、その辺のところを国民が納得できるように、的確にしかも実態を頭において御答弁を実はいただきたい、こう思います。
#94
○国務大臣(床次徳二君) まず第一に、基地公害の考え方でございますが、基地公害という定義は、実はきわめてお使いになる方々によって違っておるのでありますが、私どもが本法において使っておりまする公害なることばは、公害基本法のことば、いわゆる六種の公害であります。しかし、基地公害と申しまするか、いわゆる六種の公害以外のものもずいぶん入っておるのではないか。したがって、単にここにありまする公害を基地公害と同じ範疇で考えることはむずかしいと思います。たとえば基地から出てまいります騒音とか、あるいは汚水が出てくるとか、そういうような問題は私どもの公害と同じ概念であるというところであります。この点をまず最初にお答え申し上げておきたいと思うのであります。
 それから基地公害の特殊性でありまするが、その点は申すまでもなく、基地というものがいわゆる、国土の防衛という立場に立っております。同じ飛行機でありましても、民間飛行場のごとく定期発着するというものではなくして、非常に訓練その他の状態によって不定時に出てくる。夜中に出ることもあるし、あるいはスクランブルの場合は全くおそく、緊急に出ていく緊急発進なんという問題もありますので、同じ飛行機による騒音ということを考えましても、非常に特殊であるという点であります。また、一般の状態から見まして、産業公害と違いましてまた特別の機密性というものを考えなければならないと思うのです。そういうところに私は特殊性があると考えておるわけでございます。
 なお、本法におきまして取り扱いを異にしておりますのは、何も基地公害を見ないでよろしいというのじゃなくして、基地公害に対する紛争処理の方法も一般産業公害等の紛争処理の方法と異なった紛争処理方法をとっておるということであります。除外したと一口にお考えいただいたのでは困るのでありまして、産業公害におきましてはこの規定にありまするごとく、中央審査委員会、府県の審査会というような形によって処理をするけれども、しかし、基地の問題に関しましては、いわゆる基地周辺の整備に関する法律、整備法によりまして適用を受ける。したがって、そのやり方につきましては障害防止工事の助成という方法、あるいは民生安定の施設の助成という形で行なっておりまして、行なう形が違っております。なお、損失の補償等につきましても行なっておるわけでありまするが、しかしやはり、異議の申し立て、異議がある際におきましては、異議申し立ての道も講じて、そうして基地周辺の住民の方々の納得のいく措置を講じておるわけであります。現在、産業公害に対してそういう施設がないことから見ますると、むしろその点は比較いたしますると、手厚いということが言えると思うのであります。十分かどうかということにつきましては、これは実績によって御判断をいただかなければなりませんけれども、予算その他の措置等におきましては、十分に法律というものを運用いたしましてこれを行なっておるものと私は考えておるわけであります。しかし、こういった紛争の処理方法に対しまして、産業公害に対しまして新しい紛争処理方法をこしらえていきます。これは運用した結果どうなるかということは今後の実績でもってだんだんわかってくると思うのであります。産業公害のほうがうんと進んでしまって、基地周辺の対策というものが非常に手薄だというようなことがあったのでは私はいけないと思うのであります。この点は今後の本法の運用というもの、また、現実におけるところの周辺の整備法というものの運用というものを見ながら、やはり住民が公平にいわゆる公害から守られるというようなことを検討すべきである、十分考慮すべきである、この点は前向きに当然努力すべきものと私どもは考えておるのであります。
 なお、先ほどのジェットの墜落事件等の問題につきましては、これは純然たるいわゆる別の意味の基地公害の問題であります。これは、防衛庁からその対策についてはお答えがあると思うのであります。私はこの点につきまして手元にただいま材料を持っておりませんので、防衛庁から御説明を順いたいと思っております。
 なお、角屋議員の御提案は、基地公害を全く同じような取り扱いにするという御提案のように私ども見ておるわけでありまするが、ただいま申し上げましたような趣旨から申しまして、それぞれ取り扱い方法は異にしておりまするが、その趣旨において、帰するところは、公害に対して国民の健康を保全する、また、生活を守るという趣旨にある点におきましては、私は同じ趣旨に、手段方法が違いましても目的は同じでもって同一目的を達するように努力すべきであるし、また、そのつもりで今後とも運用いたしたいと思っております。
#95
○杉原一雄君 いま長官がおっしゃったとおり、ここであれこれ申しても始まらないと思いますが、この種の問題のやはり解決、紛争の処理のセンターになっておいでになりますから、一言だけつけ加えておきますが、事件が起こったのは、金沢のジェット機が二月八日に落ちたんですが、八日の日は私も現地に行ったし、防衛庁長官も行っているわけですが、彼はそのときに、金沢市民に対して――答弁は要らぬです、長官は心得ておいてほしいから。そういうことは、いわゆる市民の要求とすれば、市街地の上空をジェット機に通ってもらいたくないと、こう言ったわけですね、記者団会見では、通しませんと、こう言ったわけですよ。そのことは後ほど三月の二十二日ですが、現地に行ってもう一度基地司令の永田さんに会って聞いてみたんです。永田氏は言うのでありますが、交通事故が頻発するから困るので、交通事故をなくするためには自動車をなくしたらいいという論理と同じじゃないかということで私たちの要求に、抗議に反論をしたわけであります。つまり市街地の上空は通らざるを得ないのである、あえて通らないということになるならば、これは私たちは任務を果たせませんと。そこで、それならばまたもや二回、三回、四回金沢のような事件が起こるでしょうと言ったら、いや、人命を殺傷することもやむを得ませんと。日本の民族の命を守る人が、日本人を殺すことはやむを得ませんということをはっきり言ったんです。そういう防衛の出先にある人たちの考え方と防衛庁長官が現地で言明してきたこととの大きな食い違いがあるわけです。私は先ほどあえて長官が手厚い措置云々ということばで、これをこのまま国民が見ると、なるほどそうかなと、みな錯覚を起こすと思うんです。そこら辺のところをもう少しいま申し上げたような具体的な事実もあるわけですから、真摯にこの問題の推進のセンターに立っておいでになる床次さんのことですから、今後この問題を処理する場合十分心がけてもらいたい。なお、法案の中身等については、きょうは田中委員が中心になっておやりになっているわけですから、後ほど具体的な問題で私の意見を述べたり、質問をしたいと思いますので、きょうはこれだけにしておきます。
#96
○内田善利君 まず最初に、政府の発生源対策についてお聞きしたいと思いますが、イタイイタイ病にいたしましても、また水俣病にいたしましても、公害認定まで十年、十五年かかっておりますし、また、その補償につきましても何ら解決を見ていない、こういう状況でありますが、私はこれなどは、いま長官から公害基本法をよりどころとして答弁になっておりましたけれども、私はこの公害対策基本法の性格の弱さなどからきているのじゃないかと、いま感じておりましたけれども、政府の公害に対するとらえ方の甘さといいますか、そういったことを感ずるわけでございますが、特に発生源をきびしく追及していく姿勢、そういったものの弱さを指摘していきたいと思うんです。
 公明党といたしましては、発生源は、被害者に対しては全責任を持って救済すべきであると、このようにかねがね主張しておるわけでありますが、政府の発生源に対する態度をどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#97
○政府委員(金光克己君) 公害に対します発生源の対策でございますが、これにつきましては、公害基本法を中心としましていろいろ関係の法律があるわけでございます。そういうことでございまして、第一番には従来しばしば指摘されておりますように、これが一元的に総合的に機能が発揮されるということが第一番の問題でございます。そういう意味で、総理大臣を中心としました公害対策会議というものが設けられまして、それに基づきまして各関係省が協議を進めておるわけでございます。そういう形で進めることがまず第一番だと思うわけでございます。
 それから現在起きておりますいろいろな公害問題は、大気汚染の問題、水質汚濁の問題あるいは騒音の問題と、こういった問題が現在の公害の大きな問題であろうと思うのでございます。その中で一番やはり大事なのは、何と申しましても健康に対する公害を防ぐということでございます。そういう意味におきまして、現段階におきましてはそういった面につきましては、それぞれの立場におきまして鋭意努力し、また必要な制度等もつくってまいっておるというような考えでございます。そういうことで進めておりまして、現在この発生源と申しますか、公害の発生状況に対しますいろいろの、大気汚染ならば大気汚染に対します調査、水質汚濁なら水質汚濁に対します調査、騒音なら騒音につきましての調査等をまず進めておる、それに基づきましてそれぞれの対策を講じていこうというように考えております。
 それから対策の進め方につきましては、それぞれの関係省におきまして、それぞれの所管の事項につきまして対策を進めるわけでありますが、一番大事なことは、何と申しましてもその地域における公害防止計画を立てることでございまして、これも御承知のように、先般三府県に対しまして公害防止計画につきまして、公害対策会議におきまして基本方針を決定いたしまして、総理大臣から指示しておるというような形でございまして、それぞれの関係の場所におきまして公害対策計画を立てておるわけでございます。その公害対策を具体的に立てていくということが今後の一番大きな問題でございまして、こういった点につきましては強力に推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#98
○内田善利君 先ほども生活環境ということについて経企庁長官にお尋ねしたわけですが、この公害紛争処理法案の中にも「人の健康又は生活環境に公害に係る著しい被害が生じ、」このように「生活環境」と出ておりますが、この「生活環境」についてどういうことを意味するのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
#99
○政府委員(橋口收君) 「生活環境」という用語でございますが、これは公害基本法第二条の生活環境ということばと同じ意味でございます。公害対策基本法第二条に公害の定義がございますが、「「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずる」というのを公容の定義といたしております。第二項に、「この法律にいう「生活環境」には、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むもの」という定義がございます。したがいまして、公害基本法第二条を受けまして、その公害を公害紛争処理の対象の公害というふうにいたしておるわけでございます。
#100
○内田善利君 先日、福島県の喜多万市から御婦人が見えまして、生活環境を守る会という会の会長さんを主として六名お見えになったのですが、そのお話の中に、生活環境に対する補償がほしい、そういうことでございました。この中には、いろいろ聞きますと、あの昭和電工の工場から出てくる弗素によってトタンぶきのトタンが腐食をして、雨漏りがひどい。あるいはガラスが曇ってくる。これは弗化水素によるガラスの腐食と思いますが、ガラスが曇ってくる。そういった被害を受けておるようです。もちろん稲とか果物、そういったものは特に有名な果物、カキは全滅したそうです。それから養蚕関係あるいは稲作、もうほとんど被害をこうむっておる、そのような現状でございます。こういった生活環境も入るのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
#101
○政府委員(橋口收君) 生活環境という概念、定義といたしまして、先ほど申し上げましたように、相当広範囲のものを含んでおるわけでございます。動植物の成育環境まで含んでおるわけでございます。したがいまして、先生がただいまおあげになりましたようなトタン屋根について腐食作用が起こるとか、あるいは騒音について申し上げますと、うるさくて夜も眠れない、そういうものも含めて生活環境というものがかなり広く解釈をいたしているわけでございます。
#102
○内田善利君 公害問題は全国至るところに起こっておるわけですが、どこの県、どこの町にどのような公害が起こっているか、そういうことを具体的に総点検して、国民の前にはっきりすべきであると思いますが、こういった対策があるかどうか、お聞かせ願いたい。
#103
○国務大臣(床次徳二君) 公害自体につきましては、何と申しましても日常生活しておられる方が一番よく熟知しておられますので、したがって、この問題の取り扱いにつきましては、広く苦情処理というような形におきまして、地方公共団体までお願いをしておる次第でありまするし、紛争処理機関といたしましては、中央と府県の審査会の形になっておりまするが、広い意味の苦情処理という意味におきまして、各市町村等におきましてもやはり十分この相談に応じていただく。そして互いに話し合いによって解決が可能ではないか、これが一番効果が多い。今日までも相当な件数がいわゆる苦情処理の段階におきまして円満に進められておりまして、これが解決のできないものが紛争処理機関にあがってくるというふうに考えております。政府案におきましても、府県におきましては審査会という名前だけになっておりますが、現実におきまして、今日まで府県におきまして、部あるいは課という形において、そういう処理機関を設けておりますのが、たしか三十四府県になっておる。大きな市におきましてもそれぞれ具体的にやっておりますので、今回の法案におきましても自治省と積極的に協力いたしまして、こういう公害に対する広い意味における苦情処理相談という、またそれにによって解決するということに努力いたしたいというふうに考えております。
#104
○内田善利君 基地公害のことについて先ほど質問があっておりましたが、私も、二、三質問をして終わりたいと思いますが、この紛争処理法案から基地公害が除外されておりますし、その理由についてはもう何回も伺っておるわけですが、ここで考えなくてはならないことは、被害を受けている住民にとってみれば、どんなに理由をつけられようとも、毎日飛行機などの騒音に悩まされておることは事実で変わりません。この被害を受けている住民の立場に立ってみるときに、どうしても納得できないことが二、三ありますので、その点をお伺いしたいと思いますが、まず、第一に、確認のためにもう一回聞いておきますけれども、この提案理由説明にもございますが、現行法で、先ほども話がありましたように、手厚い措置を講じられるということでありますけれども、この障害防止工事の助成ですね、この障害防止工事の助成はどの程度現在助成が行なわれているのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
#105
○政府委員(橋口收君) 障害防止工事の助成措置でございますが、詳細は防衛施設庁から御聴取をいただきたいと思いますが、手元の資料でお答え申し上げますと、防衛施設周辺における水質汚濁にかかる障害の防止または障害を軽減するための工事の補助をいたしております。内容といたしまして、砂防ダムあるいは流量調整のための河川改修等でございます。金額で申しますと、四十二年度予算額におきまして約二十億円でございます。で四十四年度予算につきましては二十九億円で、約九億円の増額となっております。
#106
○内田善利君 この助成でありますけれども、助成の対象は公共施設、学校、産院、福祉施設、民生安定施設、こういうものに限定されておるわけですね。一般住民はこの助成から除外されておるわけですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
#107
○政府委員(橋口收君) 防衛施設周辺整備法によります各種助成工事の内容は、先ほどちょっと御説明をいたしたとおりでございますが、御指摘がございましたように、工事の助成あるいは民生安定施設の助成等につきましては公共施設、学校、病院その他の施設に限定をされております。個人の施設についての直接の補助はございません。
#108
○内田善利君 現行の二法律ですけれども、この紛争処理制度というのはないわけでありまして、政府の一方的な認定によってきめられる。その補償について異議の申し出の制度を設けたということで、現在政府の一方的な認定でこの補償が行なわれるということで、別に法律をきめるのでもないし、改正するのでもなければ、いまもこの障害防止工事の適用も受けておりませんし、依然として日本に基地のある限り、毎日気の狂いそうな騒音等に住民は悩まされるわけですけれども、こういう紛争処理制度の適用がされない限り、国民は泣き寝入りしていかなければならない、こういうことなんですけれも、この点についてもう一度お伺いしたいと思います。
#109
○政府委員(橋口收君) 防衛施設周辺の整備に関する法律等によりまして、防衛施設周辺に対しましてはかなり進んだ措置が講じられておるということを総務長官からお答えを申し上げたわけでございます。進んだ措置の内容としまして、先ほどちょっとお答えをいたしたわけでありますが、他の一般の産業施設から発する公害等に比べて、かなり進んだ措置を講じていることも事実でございます。さらに防衛施設周辺の整備に関する法律とやや似た法律といたしまして民間飛行場の周辺整備に関する法律がございます。この内容は周辺整備法と似たようなものでございますが、先ほど先生がお触れになりました民生安定施設に対する補助は一般の民間航空機飛行場の周辺整備に関する法律にはそういう措置がないわけでございます。防衛施設周辺整備法に関しましては、民生安定施設等の工事に対する助成も行なっておるわけでございます。したがいまして、防衛施設周辺整備法なり、他の一般の産業公害あるいは公共用飛行場周辺の整備に関する法律等に比べまして進んだ内容を持っておることもこれまた事実でございます。
#110
○内田善利君 一般住民についてですけれども、飛行場周辺のごく狭い地域内から建物を移転する、そういう場合に限って補償が行なわれておるわけですが、この地域ですけれども、着陸地帯から片側三百十五メートル、先端から千メートル、非常に狭い範囲内で、この地域以外の住民は補償対象にはならない、このようになっておるわけですけれども、わずか三百十五メートルから千メートル以内で、あのジェット機の騒音について補償する、そういうことでございますが、この点について、基地周辺の住民はこの騒音について非常に悩まされておるわけですけれども、総理府長官はこの点についてどのようにお考えになっておるか、また、どういうことからそのことに賛成されたのか、お伺いしたいと思います。
#111
○国務大臣(床次徳二君) この点は、今後の紛争処理法案の実施とそれから現在実施しております整備法との関係だと思います。現在まで整備法におきましても、できるだけその趣旨によりまして実施しているように私ども説明を聞いておるのでございますが、しかし、足らない点がありまするならば、不均衡が生ずるような場合におきましては、この点は当然前向きに処理すべきものと考えておるのでありまして、附帯決議等におきましても、附帯決議の第二項に、その点に関しましてはやはり遺憾なきを期せられたいという御要望がありました。政府におきましても、その御趣旨に従いまして将来とも検討いたしたいと思うので、いずれこの点につきましては、防衛当局からも御説明をいたしたほうがむしろ適当であるかと思います。
#112
○内田善利君 一言、公害対策に対する政府の姿勢ですけれども、先ほど申しましたように、公害対策基本法の性格の弱さからきているように思いますが、ぜひ住民の福祉、国民の健康、これを絶対に守り抜くという立場からひとつ今後の姿勢をとっていただきたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
#113
○小平芳平君 いまの内田委員の一番最初の質問で、また最後の要望の点ですが、先ほど一番最初の質問に対しては、長官はお答えにならないで厚生省がお答えになって終わっちゃったわけですが、結局こうして紛争処理法案が出ております。この政府の提案された紛争処理法案が成立した場合ですね、実際問題公害の紛争がどういう形でどの程度処理されていくかということが問題だと思うのですね。したがって、内田委員から指摘されたような阿賀野川の公害にしましても、あるいはイタイイタイ病にしましても、あるいは四日市の大気汚染にしましても、そうしたものを紛争処理として扱われるのかどうか。それで実際それを紛争処理として扱ったら一体どのくらいで解決できるのか、それから第一この政府の中央公害審査会のほうは委員五人ですか。それから都道府県公害審査会のほうは委員九人以上十五人でありますが、そうした陣容で、かりに四日市の大気汚染についていえば、どこが受け持ってどのくらいの期間で解決できるかということをお尋ねしたいのです。特に四日市の場合なんか裁判が起きておりますけれども、裁判が長引いている間に実際訴えた方の中にはもう何人か死なれている。死亡されている。それでは一体何のための公害裁判かということになるので、そこでこうした紛争処理法案というものが必要だと思うのです。したがって、この効果についてあるいはどの程度の事件処理の見通しを立てられていらっしゃるか、この点について伺います。
#114
○国務大臣(床次徳二君) いまイタイイタイ病その他の公害に対してこの紛争処理法案がどういうふうな関連性を持つかというお話でありますが、これは法律の二十四条に中央委員会の職権として書いてございまするが、ここに第一項に、「現に人の健康又は生活環境に公害に係る著しい被害が生じ、かつ、当該被害が相当多数の者に及び、又は及ぶおそれのある場合における当該公害に係る紛争であって政令で定める」というもので、この政令に入っております、この政令でもって将来きめたいと思いますものは、ただいま御指摘の水俣病、あるいは阿賀野川関係、イタイイタイ病、あるいは亜硫酸ガスの問題、あるいは渡良瀬川の銅鉱の排水によるもの、大体これが典型的なものとしてあり、これを政令によってきめまして、なお今後の推移によりまして必要なものがありますれば政令でふやしてまいりたいと思っております。
 それからなお、今後の処理状態がどういう速度で進行するだろうかという点でありまするが、初めての制度でありまして、この法律が施行になりましたならば、関係者の方々が仲裁なり調停なりお申し込みになるかという問題でありますが、裁判となりまするとずいぶん長くかかるということにつきましては御指摘のとおりでございまして、その点から申しますと、裁判よりもこのほうがむしろ非常に早く結論が出し得るのではないかというふうに私ども考えております。いずれこの事案がかかりましてからでないと、ちょっとその点どれくらいの時間で結論に達するかということはなかなか申し上げにくいのでありまするが、これは本法の性質から申しましてできるだけ早く適切な結論を出すということが必要だと思っております。またさようにいたしたいと思うのであります。なお、経費等におきましても、本法におきましてはできるだけ安い経費でもってこれを取り扱うという考え方、そういうふうにこれは政令等でもってきめてまいりたいと思っております。
#115
○小平芳平君 それはどのくらいの期間で結論を出し得るかということは、いま現状として正確な御答弁は無理と思いまするが、それは先ほど内田委員が指摘しているように、政府の取り組み方の弱さ浅さ、そういうものが問題だと思うのです、いままで。したがって、イタイイタイ病にしましても、水俣病にしましても、これはもう何十年来の懸案ですね。何十年来の問題でありながら、いまだに最終的に結論が出ない。せっかく紛争処理機関ができても、そういうような弱い取り組みじゃ何にもならないじゃないか。いままでも水質汚濁にしろ、大気汚染にしろ、各省で調査しているわけです。特にこの有機水銀中毒についての調査はいろいろ各省がした。しかし、結論としては、この公害病患者が救われていない。医療費から生活費から全部自分で負担しなくちゃならないというような、こういう弱い取り組み方、弱い姿勢では、せっかくできるこの紛争処理機関が意味をなさないのじゃないか。したがって、公害基本法ができ、そうしてまた紛争処理機関ができた段階においてはもっと強く、それこそわれわれとしては、さしあたって医療費なんかはもう前払いしていいというふうなことも健康被害のほうでは提案をしておるわけですけれども、そういう積極的な姿勢が必要だと、このように思うのですが、その点いかがですか。
 それからまた、もう一つ、いまの費用はなるべく安くするというのですが、どうしても費用を当事者に負担させなければならないんでしょうか。そうして申請するたびに何がしかの費用がかかる、しかもそれが何年も続いたのじゃ相当の費用になるのじゃないでしょうか。大体どのくらいの費用がかかるものでしょうか。
#116
○国務大臣(床次徳二君) 紛争処理機関の紛争処理に対する心がまえの点でございますが、もとより基本法の精神にのっとりまして、また、特にこの法案ができましたということに対しましては十二分に職分をわきまえまして努力いたしたいと思います。委員等の人選におきましても、適切な人によりましてひとつこの法案の制定の趣旨に合うように実行いたしたいと思っておる次第でございます。
 なお、費用等につきましては、手続関係でございまして、これは裁判所その他と異なりまして、一応基本的には当事者の費用になっておりまするが、きわめて安い経費で処理したいと思います。この点につきましては政府委員から具体的にお答えさせます。
#117
○政府委員(橋口收君) 調停、仲裁の手続の申請をいたします場合には、申請手数料を払っていただくことにいたしております。これは公害事件の当事者に対して国、地方公共団体が特定個人に対するサービスを提供するわけでございますから、国として必要な最小限度の費用はお払いいただくということになろうかと思います。ただ、先ほど御指摘がございましたように、公害事件でございますから、相当の期間もかかることが予想されるわけでございますし、また、当事者の負担になる費用も相当の額になるということが予想されるわけでございます。これは民事調停仲裁の原則に従いまして費用は当事者が負担していただくと、これが原則でございます。ただ、総務長官から申し上げましたように、公害事件の性格から見まして、できるだけ当事者の負担が少なくなるよう、政令段階において十分検討いたしたいというふうに考えております。
#118
○田中寿美子君 厚生大臣にお伺いしますが、この公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案、私たちは医療救済法案と簡単に呼びますけれども、医療だけではとても賛成していないわけで、物の被害、それから生活の保障もすべきだという立場に立っているわけなんですが、まず第一番に、厚生大臣は公害の問題の主務大臣でございますから、ですから、先日の二十日の日の本会議で私が公害白書について質問しましたときに、佐藤総理は、産業の発展にとってある程度公害というのはやむを得ないと、必要悪であると、「ネセサリーイーブル」とおっしゃいましたけれども、この総理の答弁をどうお思いになりますか、厚生大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#119
○国務大臣(斎藤昇君) 総理は先般の本会議で、公害は必要悪だと、確かに「ネセサリーイーブル」ということばを使ってお答えになられましたが、総理のお考えは、産業のすべての活動は人間のためにあるんだと、このお気持ちは総理は強く持っておられます。ことに人間尊重というのは総理の、何といいますか、一つの合いことばのようにしておられるわけでありますが、そういう見地から考えてみても、公害が全然ないという、そういう状態は望ましいけれども、全然なくしてしまうというわけには実際いかない。ある程度の許容限度まではやむを得ないんじゃないかという気持ちがあらわれてああいう発言になられたんであろうと思います。そのときもつけ加えて言われたかと思いますが、たとえば産業活動をやめてしまえばいいんだと、自動車をなくしてしまえば排気ガスの公害はない、あるいは石油産業というものをやめてしまえば大気汚染はない。しかし、そうは簡単にいかない。そこでその間をどうやっていくか、できるだけ公害をなくして人体に影響のないようにやっていきたいと、そういうお考えがああいうことばになったんだと私は思っております。
#120
○田中寿美子君 総理の心境を解説なすったわけですけれども、ところが、総理はもう一ぺんまた衆議院でそれに対して再確認していらっしゃるのですね。公害は必要悪である、公害に対する政府の態度としては、公害発生だけを取り上げて、産業自身の息の根をとめるようなことがあってはいけないと。だれも産業の息の根をとめようとは言っていないのです。産業の発展は望ましいけれども、そのために公害を起こしてはならないという立場に立たなければ公害対策というものはできないと思うのです。ですから、もし必要悪と言うなら、これはちょうど売春制度というものは男性は必要悪と言っておりますけれども、ずっといまでもおそらくそう思っていらっしゃるかもしれませんが、同じような立場じゃないか、もし必要な悪、どうしてもなければならない、やむを得ない悪であるという考えに立たれるならば、あのとき公害罪を設定することには肯定なすったのですね。公害罪を設定する方向でいま研究中とお答えになったのと矛盾するのですね。だからその辺については、私は厚生大臣御自身の考え方、それから厚生大臣は公害については最も権威を持たなければいけませんので、総理大臣に対して、ああいう答弁をしてはいけないというふうにちゃんといさめていただきたいのです。いかがですか。
#121
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、総理大臣の心境を知っているものですから、そこでいまおっしゃいますような意味においてはあまりじょうずな答弁ではなかったと思います。しかしながら、まあ、公害あったってしょうがないじゃないかと、そういうお考えではないことはわかり切っておりますので、まあ、ああいった雰囲気からいってああいう答弁になられたのだろうと思うのであります。私は、ことに厚生省は国民の健康をどこまでも守っていくという立場でありますし、また、そうでなくてもこれは総理も言っておられたと思いますが、とにかくあらゆる産業活動というものも人間のためにあるので、人間をそこなってしまって何があるのか、このお気持ちは総理も十分持っておられるわけであります。そこで、公害罪というものについても、場合によっては無過失責任もあるかもしれぬ、しかし、それは非常にむずかしい学問的な問題だから、いま厚生審議会で審議をしておる、こういう御答弁であったと思います。私も同様に思っておるわけであります。公害罪、無過失責任、この学問的ななににつきましては、私のほうの専門ではありませんし、ここで論議をするのも適当でなかろうと思いますので、もっぱら厚生審議会の結論待ちをしておるというのがわれわれの現状でございます。
#122
○田中寿美子君 公害をなくそうという基本的な姿勢に立って産業を指導するという立場を総理は当然持つべきだと思いますので、また再確認したりしないで、必要悪というようなことばを何べんもお使いになるからなお総理の立場がおかしくなる、考え方があやしいと思われるわけなんで、念のために昨年十二月の国連総会で、スエーデンの提案によって、世界は核戦争による絶滅は避け得ても公害による同じような脅威を受けている。政府も産業界も必要な責任をとるべきであるという決議を採択しているわけです。「政府も産業界も」ということを言っているわけで、公害の被害者はいつも住民ですから、特に政府と産業界の責任というものをどこまでも感じるという立場に立たないと公害行政というものは進まないと思います。その点では、斎藤厚生大臣はその立場に立っていただかなければ困る。で、いまおっしゃった人間を破壊して産業というものはあり得ない。私たちは産業の息の根をとめるなんてそんなことは絶対に言っていないわけです。産業は公害を防止する努力を一生懸命にやったからといってつぶれるようなことはない。もしつぶれそうなら政府が助ける。ですからそういうことを言っているのじゃないという意味であのようなことをおっしゃっていただかないように、ぜひ厚生大臣から言っていただきたい。いかがですか。
#123
○国務大臣(斎藤昇君) 私から特に申し上げるまでもなく、総理は十分心得ておられると思いますが、しかし、田中さんの非常に御熱心な御意見のあったことはよく伝えておきます。私は本来ならいま御審議をいただいているような法案は実際はなくていいと、そういうような状態を一日も早くつくり上げなければならないと思っているわけであります。健康被害を受けた者に対してどう救済をするか、紛争に対してどう処理をするかというようなことは、これは公害がいつもあるということを前提にしておるものじゃ実はあってはならないと、私はそう思っておるわけであります。それだからといって、現在ありますから、公害が現実に発生しておりますから、その処理をしなければなりませんから、法案の審議を願っておりますが、究極においては、こういうものがもう昔の夢物語りになるというような、そういう私は産業のあり方に一日も早く持っていくようにしなければならない、かようにほんとうは念願をいたしておるわけであります。
#124
○田中寿美子君 それで、この救済法案に入りますけれども、原案でほんとうに致命的な欠陥だと思っておりますところの救済の対象ですね、大気汚染と水質汚濁に限っていたが、それが修正案のほうで公害対策基本法にある公害なり、まあ「公害病と認定できる場合には救済の対象とするよう検討する」と修正しましたね。まあないよりはいいんですけれども、「検討する」というのは具体的にはどういうことかということ。認定の問題になってくるんですね。大体大気汚染と水質汚濁の問題について、この法案のほうでは「相当範囲にわたる著しい大気の汚染又は水質の汚濁が生じたため、その影響による疾病が多発している地域」を指定し云々とあるわけなんで、その「相当範囲」とか「著しい大気の汚染」とか、それから「多発している」とか、こういうことの基準ですね、基準は一体どこに置くのかということと、それから大気汚染、水質汚濁以外でも、公害対策基本法にあげてある問題であったら認定の対象になるんだという場合に、その認定の基準は一体どういうふうにつくっていかれるのか、その辺を聞かしていただきたいのです。
#125
○国務大臣(斎藤昇君) 詳細な点は、要すれば政府委員からお答えをいたしますが、大体今日いわれております公害というものは、一定条件のもとにおいて人的な被害を受けるというわけでありますから、個々の、一人、二人が受けたというのでなくて、そういった環境がそういうように悪くされて、そのために起こってきたということであるから、ある程度の範囲、あるいは地域というものがあるというのが今日の現状であります。これを書きましたのは、まず水俣病であるとか、あるいは神通川その他のああいった水銀の汚染、また近く起こるかもしれないカドミウムの汚染というようなものも頭に入れ、それから大気汚染につきましては、四日市のぜんそく患者というようなことを頭に入れますると、抽象的に書けばこういうように書けるのであろうかというので書いたわけでございます。そこでたとえば大気汚染について申し上げますなら、相当大気が汚染をされているという地域において、他の地域よりも特に公害ぜんそくと見られるぜんそく患者が非常に多いというのは、結局そういった地域をとらえて、そうしてその地域内において発生をしたものというようにとらえていく以外に道がないのじゃないかと、こう思うわけであります。たとえば四日市において、一体ぜんそく病の患者の方は公害からきたのか、あるいはそうでないところからきたのか、これは非常にわかりにくい。学問上でも、どうもいまのところその差別がつけられない、こういうわけでありますから、それなら四日市は他の地域に比べて非常に公害病患者が多い。しかし、それは大気汚染からきているというわけでありますから、その地域内におけるそういった患者は、一定の期間そこに住めばそういうようになるということでありますから、大気汚染からきたのか、何からきたのかわからぬけれども、これはもう公害病患者と認定せざるを得ないと、こういうことなんです。水質汚濁による分はこれは非常にわかりやすいわけですから、そういったことの必要はないとかように思います。同様に、今後川崎あるいは京浜地区とか、あるいは大阪の地域とか、他の地域よりも特にそういった患者が非常に多く発生している、そうして大気も他の地域よりも汚染をされているという事態であるとわれわれはいま思っているわけでありますが、これをさらに技術的に調査をいたしまして、そうしてその地域を限って、一定条件内において発生した患者は公害病患者だとこう認定していく、こういうように考えているわけであります。
#126
○田中寿美子君 そうすると、騒音とか臭気はどうなさいますか。
#127
○国務大臣(斎藤昇君) どうもただいまのところ、騒音、臭気によって疾病が起こっているという、その状態がいまのところ考えられないという一般の、何といいますか、医者その他の意見のようでございます。ただ、絶対に将来あり得ないのかというと、私はあり得ないとは思いません。このたび修正を衆議院ではいただきましたが、修正がありませんでも、これは臭気からきた健康被害である、これは騒音からきた健康被害だというようなことが学術上わかってまいれば、すぐ追加をしてそうしてこの法案の中に取り入れていきたいと、こういうつもりであったわけでありますが、臭気だとか、ほかのものを入れて、いま、それじゃあそんな患者が一体考えられるのかと言われた場合に、考えられますと言うことは、まだちょっと言えないような状況であるものでございますから、この法案には当初は入ってなかったわけであります。しかしながら、いま伊丹あたりで、ぜひ健康調査をしてもらいたいといってきておられまするので、計画的に十分な健康調査をやってまいりたいと思います。そうしてその地域において、飛行機の騒音等によって他の地域よりも健康がそこなわれているという事実がわかってまいりますれば、それに対する処置をしなければならぬと、こう考えております。
#128
○田中寿美子君 ですから、基本法で定義している公害をここに全部含めるのは私は当然だと思いますけれども、立証がむずかしいという問題がたくさん出てくる。実際には非常に被害をこうむっておるのは、騒音なんかでは非常に苦情件数なんか多いんですね。そこで、学問的に立証されればというようなおことばをお使いになりましたが、であればこそ、紛争処理の場合もそうですが、科学的な調査機関というものが絶対に必要なんではないかと思うのです、認定する場合にも。やっぱり今後全国的に起こってくる公害を公害病と認定するには、ちゃんと基準が必要になってくると思いますから、厚生省に置くかどうかそれは別として、公害に関しては非常にちゃんとした専門の調査機関みたいなものが必要じゃないかということが一つ。
 それからことしはこの救済法案の対象として考えていられたのは水俣病とイタイイタイ病と四日市ぜんそくであったのですね。それにこの前お尋ねしたときに川崎ぜんそくも入れるつもりだというふうにおっしゃいましたね。ことしの予算でどれだけの人、適用人口を考えていて、どのくらいなのか、あるいは今後そういう認定される公害病患者に対してどのくらいのゆとりを持って予算を考えているのかということを、具体的にお聞かせいただきたいのですけれども。
#129
○政府委員(金光克己君) この救済の対象として見込んでおります人数は、約六百人を見込んでおります。
 それから、その前に御質問のございましたいろいろの認定にあたっての調査の問題でございますが、これは学問的にいろいろと研究をしなきゃならぬ問題があるわけでございまして、そういった面につきましては、十分研究をいたしまして、その方法等も研究いたしたい、かように考えております。
#130
○田中寿美子君 六百人というのは、この前私があれ予算委員会でしたか、何かでお尋ねしたときもそうだったのですが、そうすると、認定対象者がふえる場合というのは予想してないのじゃないかという感じです。それからその六百人がどういうふうな根拠で、どれに、たとえば、水俣病何人、イタイイタイ病何人というような計算ですか。
#131
○説明員(藤森昭一君) ただいまのお尋ねでございますが、私のほうは、大臣からもしばしばお答え申し上げておりますように、健康被害の救済を現在予算措置をもちまして、先ほどからお話の出ております水俣から阿賀野川、神通川、四日市について実施をいたしておるわけであります。その辺で把握されております患者が約六百人ということでございます。
 なお、種類別に申し上げます。認定患者の数でございますが、ことしの三月一日現在、水俣病が六十九名、阿賀野川が二十七名、イタイイタイ病が百二名、四日市が四百名、こういうことでございます。
 それからなお、重ねてお尋ねのありました件でございますが、将来、川崎、大阪等においてこの救済措置を実施する場合の考え方でございますが、これらにつきましては、いずれにしましても、法律で定められております要件、すなわち第一に、汚染が著しいという問題と、それからこれによって、その影響による疾病が多発しているという二つの要件を十分に調査しなければ実施ができないわけでございますので、その辺の調査のための経費というものは、四十四年度分において十分見込んでおる、こういう状況でございます。
#132
○田中寿美子君 厚生省の公害白書の中に、四十四年度に実施するその調査というのが、いまおっしゃったように、川崎とか大阪とか、非常に小部分でございます。調査したものしか認定できないような状況ですね。ですから、これではとてもほんとうの公害の実態についていけないと思いますが、その辺は厚生省は相当大幅に予算もふやしたり、それからそういうほんとうに救おうと思うなら、調査対象をふやしていかなければいけない。この辺、大臣いかがですか。
#133
○国務大臣(斎藤昇君) この調査は、やはり地方の市なり県がほんとうに熱心になってやってくれないとむずかしいわけです。また、地域のお医者さんも手伝ってもらわなければなりません。そこで地方のほうからのそういった声と照応しながらやっていかなきゃなりませんし、私のほうからもそれを呼び起こすようにやってまいらなければならぬと思っております。率直に申しますと、私は、京浜地区なんかもっと熱心に早くから、いまでももっと速度を進めてやってもらいたいというように思っておりますが、そういう呼びかけをやりまして、そうして一緒になってやっていくということが必要になってくると思うわけでございます。そこで、そういうような考え方でまいりまして、さらに調査を幅広く進めていかなければならない地域があれば、それに応じてやっていきたいと思います。さしあたって計画をいまいたしておりますのは、いま政府委員から申し述べました程度でございますけれども、必要に応じまして、幾らでもといえばことばは過ぎるかもしれませんが、できるだけ広めてやってまいりたい。予算は、ある程度の予備費というものもあるわけであります。認定患者がこれまでよりもふえてまいりますれば、それは予備費で流用できる程度のものでありますから、心配はない。予算はどれだけだから、認定患者をふやしちゃいけないというような指導はいたさないつもりでおります。
#134
○杉原一雄君 いまの田中委員の質問の中で「相当範囲」と「多発」の問題ですね。大臣から説明があったのですが、たとえば、心配したとおりの結果が出てきたような気がするのですが、発生源がきわめて明瞭にわかっている。しかし、範囲は狭い。「相当範囲」相当ということばに当たるかどうか。非常にいまのことばで、かなり相当ということばは広い感じがするわけです、ばく然とした。しかも多発ではない。六百とか、百とかいう多発ではない。しかし、発生源がきわめて明瞭である。しかもそれはぜんそくという、特殊なぜんそくが限られた方一キロにわたらないような狭い範囲において起こっている、そういうような場合、憂慮しておったのですが、はたせるかな、結果的にはそういうのは網の目に引っかからないというようにぼくは判断せざるを得ないのですが、もう一度そういう点、具体的でございますけれども、大臣の答弁を明確にしてほしい。田中委員の質問された「相当範囲」ないし「多発」の基準の問題ですね。規則等の問題にわたっているかもしれませんが、いま一応ここで明確なことを聞いておきたいと思います。
#135
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど申し上げましたように、水銀とかカドミウム、水俣病でありますとか神通川とかいうのは、これはもうそれによって起こった病気で特殊な病気ですから、そう心配はないと思うわけです。問題は、私は大気汚染からくる公害病の、その「相当範囲」とはどうかという御懸念であろうと思います。現実に、たとえば四日市は公害病といま認定をいたしておりますが、これは事実上、いままで厚生省も指導し、また地方も協力してやってきているわけでありますが、その範囲について、この範囲は広過ぎるとか狭過ぎるとかいうような問題は起こったことがないように私どもは承知をいたしております。そこらは常識的に判断をしていっていい問題だ。われわれといたしましては、範囲をできるだけ狭くして、あるいは相当多発というのは数を多くして、この法律の適用を受ける者を少しでもチェックをしていこう、そういう気持ちは毛頭ございません。できるだけこの法律の適用を受ける者をふやしていくべきである、必要なものにはふやしていくべきである、かように考えております。
#136
○田中寿美子君 そうしたら、いまの発生源とそれから被害者の因果関係が比較的よくわかって、これは公害だと認定する者には適用していく、こういう方針だというふうに考えてよろしいのですね。
#137
○国務大臣(斎藤昇君) さようでございます。ただ発生源は、一つの発生源とか二つの発生源というわけじゃございませんから、個々のどの発生源かわからない場合もあると思います。ことに都市公害ということになってまいりますと、四日市のごときは大工場が主としておもな発生源だということでありますが、川崎その他になってまいりますと、これはもう都市公害で、あるいは家庭から、あるいはビルから出てくる亜硫酸ガスもそれになる。東京あたりもおそらくこれは都市公害というようなものになってまいって、発生源は非常に複雑で多数であるということになるかと思います。
#138
○杉原一雄君 念を押しておきたいと思いますが、いまの場合ですね、発生源きわめて明瞭だと、しかもまた被害者が数も明確、しかもこれにプラスするに市当局が集団検診もやってるわけですね。その結果出た、これはまあ二、三十名ほどだろうと思いますが、に対して市独自の治療費その他を出している。そういう実績のあるところは現にあるわけですね。そういうような場合、今後のこの運用、適用についてはどう考えますか。具体的に言っていけばいいんですけれども、ぼくは一般論として論じてるわけですから、具体的にぼくは知ってるんですが、それは述べません。「相当範囲」とか「多発」とかいうことは相当あいまいだから、いま全体的な問題としてとらえてるわけですがね。いま申し上げたような条件はどうですか、可能ですか。
#139
○国務大臣(斎藤昇君) それが公害であるということがはっきりいたしますればむろん適用をいたします。
#140
○田中寿美子君 いま杉原委員の言われたのは、たぶん富山県の吉久だと思うんです。「吉久ぜんそく」のことだと思うんですが、そういうようなところがあるわけですね。発生源はたった一つでしょう、はっきりしてるわけです。そういうところはあっちこっちありますから、念のためにそれを……。
 それから次の点は医療費のことなんです。それで、介護手当とかいろいろなことがありますが、きょうは時間がありませんから、一点にしぼりまして、公害認定患者の医療費の救済が国民健康保険の自己負担分のところだけですね。そして、健康保険の診療方針にのっとって医療費を見てやるということなんですね。で、公害はもう水俣病、イタイイタイ病でもわかりますように、非常に特殊な治療を必要としますので、たいへんお金がかかると思います。だから、普通の健康保険の診療方針にのっとったんではとても救い切れないと思います。その点をどのようになさいますか。
#141
○国務大臣(斎藤昇君) 特殊な治療を要すると、健康保険にはない治療をしなければならぬというような場合には、いままでもやっているのでありますが、治療の研究費でまかなってまいりたい、かように考えます。
#142
○田中寿美子君 研究費という名目でやっているというのがいままでのお答えなんですがね。ところが実際に、たとえば水俣へ行ってみますと、あれは園田厚生大臣が行かれて、そして新日本窒素の流した有機水銀の中毒であるということを認定なすって、だから救済しますよと約束してこられた後、水俣市には健康保険の自己負担分しか援助が行っていないわけですね。で、月十三万円だそうです、水俣へわずか、園田さんがあれほど言われて、実際に来てる金額は。だから、その研究費の名目というのも実際には費用をまかなっていない。だから、あそこのリハビリテーション・センターなんか非常に困っているし、それから水俣市当局も財政的にその分を負担しなければならないということで非常に困っているわけなんで、やはり公害病というのは実際に即した費用を見込んでおかなければいけないと思いますんですが、いかがでしょう。
#143
○政府委員(金光克己君) 熊本の水俣病に対します医療研究費でございまするが、四十三年度におきまして研究費で約二百万円、それから医療費にいたしまして百万円、これは医療費の自己負担分の三分の一ということでございますので、約百万円と、こういう経費を国からは交付しておるわけでございまして、いまお話しのような新しい薬を要すると申しますか、研究面で非常に患者が負担をして困っておるとかいうようなことは、私どもとしてまだ直接は聞いておりませんが、そういった点につきましては、なお私どもの立場から十分調査いたしまして、そういうことに遺憾のないように善処いたしたいと思います。
#144
○田中寿美子君 患者が負担していると言ったのではなくて、水俣市がたいへん過重な負担になって苦しんでいるという話なのです。だから、実際にはそこのリハビリテーションのためにも設備を整えたりいろいろしなければならない。それから公害に対しては、医療費というものは相当大幅に見込んでおかなければいけないと考えますので、今後、来年度なんかは本格的に取り組むという意味で大幅に予算を増額していくという努力をしていただきたいと思いますということが一つです。
 それから続いて、時間があれですから。所得制限のことなんですがね。これは附帯決議のほうで行政的措置を基礎として実態に即した運用をするということばを使っておりますが、これはどういう程度に制限を緩和するという意味なんでしょうか。
#145
○説明員(藤森昭一君) この附帯決議にございます趣旨は、現在の法律のタイプにおきましては必ずしも明瞭ではございませんけれども、私ども理解しているところでは、医療費等の支給につきましては、御承知のように、所得制限ないし支給の制限がございます。これにつきましては、衆議院の審議の過程におきましていろいろ議論がありましたところでございます。それを背景にいたしました附帯決議と承知しているわけでございますが、「公害救済の本旨からみて従来の救済に関する行政的措置を基礎として実態に即した運用を図ること。」、こういうことでございます。これに関しましては、所得制限あるいは支給制限というのは二種類ございまして、一つは医療手当及び介護手当に対する所得制限でございます。これは御承知のように、他の類似の制度、たとえば原子爆弾被爆者の医療特別措置法等に対する所得制限と制度的に合わせてございますので、これを撤廃する等のことは困難である、こういうことでございます。一方また、医療費に対する支給制限、この問題につきましては、本人ないしは扶養義覇者等の所得の状況、収入の状況等に応じて、この制度を適用する必要がないと考えられるものについては支給を制限するという規定がございます。これにつきましてはこの附帯決議にございますように、このような制度が持っております意味合いからいたしまして、十分実情に即した運用をはかっていくべきである、こういうような御指摘でございまして、それにつきましては私どもこれからこの運用の基準等明らかにするわけでありますが、その点においてはこの附帯決議の趣旨を十分配慮してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#146
○田中寿美子君 あまりこの附帯決議だけじゃ何を意味しているのか、何を約束しているのか、はっきりわからないものですから、今後具体的にそれじゃ、本来所得制限をすることは望ましくないと思いますけれども、はっきりさせていただきたいと思います。
 で、最後にこの医療救済の費用ですが、その費用の支弁を企業の側に一部させるわけなんですが、これは経団連から公害防止事業団に払い込むという方式でございますね。こういう方式を使うということは、その発生源である個々の企業の責任を免れさせてしまう。もう経団連が払い込んでくれたからいいんだというような作用をすると思います。ですから、やっぱりすべての企業が公害はもう一生懸命なくさなければならないという立場をとるためには、やっぱりもっと、まあ私たち社会党案のほうは、まず医療に必要な費用あるいは生活保障を含めてですけれども、国家が支弁しておいて、あとからその発生源であることがよくわかった企業から求償権を行使するということになっておりますが、その点がこういう公害防止事業団という形でやられますのは、非常に私は疑義があるのですね。もっと企業の責任を追及していいんではないか。で、公害防止事業団の中には財投の資金も入っていくわけなんです。何かうやむやになって、被害を受ける国民が再び自分たちで補っていく、賠償していくようなことになる感じがするんですけれどもね。それを私はやっぱりもっときちんと企業の責任を問う方式にすべきではないかと考えております。その辺の御意見を聞かしていただきたいと思います。
#147
○国務大臣(斎藤昇君) この点は特に今後私どもといたしましても、田中先生も同じだろうと思うのでありますが、これ以上公害病患者の発生をしないようにということをやってまいらなければならぬわけで、公害病患者が今後ふえていくということを予想するのはけしからぬ、これは実際けしからぬことなんですが、実際問題としましては、まだ当分の間は先ほど申しますように、あるいは京浜だ、あるいは阪神だ、あるいは東京だ、名古屋の南部のほうだというところは手当てをせざるを得ないだろうと思うわけであります。今後そういう予測のできるのは大気汚染が大部分で、微量金属による汚染というようなものはそうふえてくることは予想できないし、これこそ公害源ははっきり一つか二つの公害源ですから、手当てはできやすい。ところが、自動車の排気ガスあるいは都市公害といわれる各所から出る亜硫酸ガスというものを公害病患者の発生しないようにぴしゃっととめてしまうというわけにはまいらない。それを前提にして考えてまいりますと、企業者の責任と申しましても、やはり企業者全体の共同責任というようなことを考えませんと、求償するといっても、一体どこの工場に求償していいのか、どの自動車に求償していいのかということになると、それはとうてい困難なことになりますから、そこで企業側が共同的に責任を持ってこういった費用を少なくとも半分は出せ、それで出そうということになったわけでございます。したがって、企業者側の、これは衆議院のほうではよく免罪符じゃないか、免罪符じゃないかと言われましたけれども、決してそういう意味ではございません。むしろ企業者の責任として民事上の損害賠償が成立するという場合には、それはそれとしてやっていく、これはとにかく社会保障的な救済としてやっていくというので、われわれは企業者の責任をかわってやっていくという気持ちはないわけでございます。おそらく私は、都市公害といわれる大気汚染、この発生源者に民事補償をさせるということは、これは実際問題としてできないことであろう、かような発想のもとにこの考え方を取り入れたわけでございます。
#148
○田中寿美子君 まだありますけれども、時間がもうありませんから、なおまた次の機会にもっと詳しく質問さしていただくことにして、きょうはこれで終わります。
#149
○松澤兼人君 いま医療費の問題についていろいろお話が出ましたけれども、四十三年度の実績、それから国から研究費等の名目で出しているもの、あるいは都道府県が分担しているもの、あるいは市が負担しているもの等、内訳の計算がもしできるようでしたら、資料を提出していただきたいと思います。
 それから、この民法法人で厚生大臣、通産大臣が指定するものが公害防止事業団と契約を締結して医療費等の支給に要する費用の二分の一を拠出金として拠出する、こういう一つの会計だと思うんですが、何会計というかわかりませんが、その会計の目論見書というとおかしいですけれども、まあ言ってみれば予算みたいなものですが、これはこの法律が実施されたあとのことですけれども、一応はどのくらい医療費かかってという計算ができるんじゃないかと思います。何かそういう事業計画書でもないが、やはりその会計の予算というべき、そういうものの計算がもしおありでしたらいただきたいと思います。もしそういう数字を発表するのがいろいろ差しさわりがあるということであれば、次回またこの分は口頭で御答弁いただいても……。
#150
○説明員(藤森昭一君) ただいまの最初の点でございますが、現在、御承知のように、国の医療研究の補助金等支給いたしまして、水俣、阿賀野川、イタイイタイ病、四日市等につきまして医療費の支給を行なっておりますが、その国、市、県等の負担区分につきましては資料として提出させていただきます。
 それからあとの問題につきましては、私のほうというよりは通産省の所管にも関係するわけでございますが、この民法法人は、法律の規定に基づきまして医療及び手当の支給に要する費用の二分の一を負担することになっております。ただいまの四十四年度予算の計算上は約八千万の費用が見込まれておるわけでございますので、この民法法人が負担する経費は約四千万ということでございます。
#151
○内田善利君 いまの点と大体関連するわけですが、給付に要する費用についての分担の割合、それからその根拠を教えていただきたいと思います。
#152
○国務大臣(斎藤昇君) この根拠は、まあ常識的に半分くらい企業者の共同責任で持たそうじゃないかということに尽きます。
#153
○内田善利君 この法案の中で、政令で定める指定地域ですか、その指定地域の考え方といいますか、それと、「政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。」ということになっておりますが、その指定の具体的な方法をお聞きしたいと思います。
#154
○説明員(藤森昭一君) 先ほど田中先生の御質問に関連して大臣からもお答えがあったわけでありますが、重ねて私から多少申し上げてみたいと思います。
 法律上の要件といたしましては、指定地域は、規定にございますように、「事業活動その他の人の活動に伴って相当範囲にわたる著しい大気の汚染又は水質の汚濁が生じたため、その影響による疾病が多発している地域」、これを政令で定めるとなっております。現在私ども考えております地域としましては、御承知のように、先ほどからお話が出ております水俣湾沿岸地域、阿賀野川下流地域、それから神通川の下流地域及び四日市臨海地域、こういうものを考えているわけでございます。したがいまして、これらの考え方といたしましては、疾病の種類によりまして、水質汚濁のように汚染と疾病との関係がきわめて特異性のある疾病につきましては、大臣からもお話がございましたように、比較的問題は簡単であると思いますが、問題は、大気の汚染と疾病との関係が非常に非特異性であるというような疾病につきましては、この地域の指定の考え方がいろいろと問題になるわけでございます。私どもとしましては、その辺の考え方につきましては、医学者の研究グループ等を組織いたしましていろいろ意見を聞いている状況でございますけれども、いずれにしましても、硫黄酸化物とかあるいは粉じんなどの汚染の状況、あるいは汚染のパターンみたいなものとか、あるいは公害地域の地形、気象条件などというものを十分考慮いたして決定するという考え方をとっております。なお、決定にあたりましては、法律の条件に従いまして、地域の汚染状況及び疾病の状況、これにつきまして実態調査をいたしまして、地域の実情を行政的に十分把握した上で決定をすると、こういうふうに考えております。
#155
○内田善利君 その場合に、指定は大気の汚染と水質の汚濁に限るわけですか。その他の原因による疾病は考えられないかどうか。
#156
○説明員(藤森昭一君) これは、法律の一条にございますように、大気の汚染と水質の汚濁ということに限られるわけでございます。なお、その他の騒音、悪臭等につきましては、今回衆議院で御修正をいただきました付則の二項ということによりまして、将来の検討課題となっておるのが現状でございます。
#157
○小平芳平君 ちょっとその点関連。先ほどの田中委員の質問といい、またいまの内田委員の質問といい、私がこれ問題だと思いますのは、要するに、政令で定めるものというものが問題だと思いますね。ですから、公害、疾病の地域指定を、住民としては、当然川崎なら川崎、市原なら市原を指定してしかるべきものという考え方を大多数の人が持っていても、結局政令で定めてくれなければいつまでたっても指定がないわけですわね。ですから、ただ政令で定めるものというやり方が都道府県知事の意見を聞かなければならないという、これが問題じゃないかと思うんです。いかがですか。
#158
○国務大臣(斎藤昇君) 住民の方々のそういう御要望に沿いまして、そしていま説明員が申し上げましたように、お医者さんのグループの方々の意見を聞いて、そしてこの区域が適当であるというようになればそれを指定をいたしたいと、かように考えます。政令は一度指定をしましても幾らでもまた広げたり縮めたりできるわけでございますので、おそらくそういう問題になれば、国会等においてもいろいろ御議論をいただくだろうと思います。十分住民の方にも天下に向かって説明のできるような政令をつくりたいと、かように思っております。
#159
○小平芳平君 それは政令だから拡大もできるし縮小もできるのは当然でしょうけれども、せっかく公害中央委員会、それから公害審査会がありますね、政府の提案によって紛争処理のところに。ここには学識経験のある者を何名というふうに、この人たちがいるわけですが、こういう人たちがわれわれ公明党の案としては指定するようにしてあるわけですが、政府はこれと全然別個のたてまえにしてあるわけですが、こういう学識経験のある人たちの委員会なり審議会の意見というものも当然この政令をきめるにあたっては考えの中に入るべきだと思うんですが、いかがですか。
#160
○説明員(藤森昭一君) ただいまの御意見は私どもたいへんもっともだと思っております。したがいまして、この政令をきめる際には、法律上の要件といたしましては、特別学識経験者の意見を聞くということは要件になってはおりませんけれども、当然のことでございますけれども、いまのような問題につきましては、十分学識経験者、特に医学に関する学識経験者の意見を識り込むというふうな形でもって処理をしたいと、かように考えているわけでございます。なお、地域のみならず、疾病の指定につきましても、同様に医学者の意見を十分聞いてまいりたいと、かように考えております。
#161
○内田善利君 先ほども総理府長官にも質問やっておりましたが、水俣病の被害者の方々がついに訴訟に踏み切っておりますが、あの方々はどんなに被害を受けても裁判に持ち込むということについては、腰の重い方々なんですが、そういう方々の訴訟と思いますが、あの中毒症状の悲惨な点では随一だと思います。私もリハビリテーション・センターに行ってみましたが、目をおおうような惨状でございます。これは政府の十五年間にわたった冷たい責任回避のむごい対策の結果だと、私は率直に申し上げますが、厚生省としては、第三者機関に調停を、解決を一任をしたらどうかというようなことで、厚生省の調停に応じた一任派と訴訟派に分裂して非常にこの補償問題につきましても、悲惨な状況が続いておるわけですけれども、この法案がいよいよ決定されました場合に、厚生大臣としてはこの分裂しておる調停問題あるいは裁判問題に対してどう対処されていかれるのか、この点お聞きしたいと思います。
#162
○国務大臣(斎藤昇君) この法律が幸い成立をいたしまして施行するというようになりました場合には、裁判がきまってしまうまで、また厚生省で委託をいたしましたお方たちの調停ができてしまうまでこの法律はそのまま適用をいたしていく所存でございます。
#163
○内田善利君 話題を変えますが、木曽川のカドミウムと亜鉛の汚染の問題なんですけれども、この点は厚生省としてはどのように把握し、また対策を講じていかれるのか、その点についてお伺いいたします。
#164
○国務大臣(斎藤昇君) こまかい点は、政府委員からお答えをいたさせますが、ともかく一時にアユが十万も死んだというようなことは、これは異常なことでございますので、したがって、死んだアユの分析をはじめ、水質の分析もいま一生懸命やっておりまして、そうしてできるだけすみやかに公害源の除去をする措置をとりたい、かように考えております。
#165
○内田善利君 このアユの変死の死因が不明な場合の補償はどうなるのかお聞きします。
#166
○国務大臣(斎藤昇君) これは不明であれば、補償のしようがないと私は思います。思いますが、おそらくこれは解明できるのではないだろうかと思います。
#167
○内田善利君 私は先ほどもちょっと質問したのですけれども、アユに〇・四PPM含まれておって、川の水は全然カドミウムがないということは、どこから一体このアユが〇・四PPMのカドミウムを含んだのか、私は不審に思うわけですけれども、この点についてはどうでしょう。
#168
○政府委員(金光克己君) このアユの中にカドミウムが〇・四PPM検出されましたことにつきましては、先ほども御説明申し上げたのでございますが、どこからこのカドミウムが来たかということにつきましては、現在調査をいたしておりますので、はっきりわからないということでございます。先ほど申し上げましたように、土壌の中に含まれていることもございますし、また工場等で関係がある場合もございますので、現在のところはどれが原因かわからない。それから水の問題でございますが、先ほど水の中にはカドミウムは含まれてなかったと申しましたが、これは名古屋市の水道水の取り入れ口の所で調べた結果でございまして、その水においては検出できなかったということで心配ない、こう申し上げたので、そのほかやはりこの問題につきましては、川の中のいろいろな問題を今後も、現在も調査しておるわけでございまして、そういうことによりまして逐次解明されていくだろうと考えておるわけでございます。
#169
○内田善利君 話題を変えますが、福島県の喜多方市の昭和電工の出す弗素による被害ですけれども、これはどの程度把握し、また今後対策をどのように立てていかれるか、お聞きしたい。
#170
○政府委員(金光克己君) 福島県喜多方市の弗素の問題でございますが、この問題につきましては、従来、長年農業関係の被害があるということで問題になっているということでございますが、これにつきましては最近数年間いろいろ地元県におきましても調査を進めてまいっております。厚生省におきましても、これにつきましては援助いたしておるわけでございまして、現在まで地元の県あるいは福島大学等あるいは厚生省も協力いたしまして研究いたしました結果におきましては、現在のところ、人体の被害はもちろんないということでございますが、来月末にまた地元県が中心になりまして大学との協力を得て調査をいたすことになっております。厚生省もこれに対しましては研究費等も助成をいたしまして、人体に対する影響その他につきまして調査をいたすことになっております。
#171
○内田善利君 来月検査されるということですが、健康調査でしょうか。
#172
○政府委員(金光克己君) 厚生省といたしまして援助いたしております範囲は、人体に及ぼす影響、健康調査を主体にいたしておりますが、地元県といたしましては、これと合わせまして、その他の問題につきましても調査研究をするということになっておるわけであります。
#173
○内田善利君 その健康調査の場合のメンバー何名ぐらい、それからいつからいつごろまで、どういう範囲、そうしてその結果は大体いつごろ出る見込みか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
#174
○政府委員(金光克己君) 調査時期は七月の末に予定をいたしております。それから調査に参画する人員でございますが、県とそれから福島大学、それから福島大学を中心にいたしまして、ほかの大学も合同しまして、この弗素の影響ということで研究班をつくっておりまして、その研究班の人が参画するというようなことでありまして、現在何人になるかということにつきましては、現在手元に資料を持ってないわけでございます。
#175
○内田善利君 これは私の聞いた範囲ですけれども、福島市の精日米の弗素の含有量が二から五PPMであるのに対し、喜多方市の精白米は最高量は十九PPMもあった。平均して十二PPMということですが、このほかツツジとかツユクサ、ナス、アブラナ、こういった植物の葉先から二千三百から七百七十五PPMもの弗素が検出されておりますし、先ほども申しましたように、トタン屋根は腐食するし、ガラスは曇ってしまう。そういうようなことでいまのところ、人体には被害はないということですけれども、やはりガラスを腐食するような弗素ですから人体に害があってからでは住民の皆さんに申しわけないと思いますので、来月の健康診断は慎重にやっていただいて早く結果を出していただきたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
#176
○委員長(瀬谷英行君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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