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#1
第061回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第13号
昭和四十四年七月二日(水曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月一日
    辞任         補欠選任
     加藤シヅエ君     前川  旦君
 七月二日
    辞任         補欠選任
     小平 芳平君     原田  立君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         瀬谷 英行君
    理 事
                大谷 贇雄君
                黒木 利克君
                松澤 兼人君
    委 員
                青木 一男君
               久次米健太郎君
                佐藤 一郎君
                菅野 儀作君
                土屋 義彦君
                村上 春藏君
                渡辺一太郎君
                杉原 一雄君
                田中寿美子君
                前川  旦君
                原田  立君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       橋口  收君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    武藤g一郎君
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  矢島 嗣郎君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局参事官   宮内  宏君
       通商産業大臣官
       房審議官     成田 寿治君
       自治大臣官房参
       事官       立田 清士君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法
 案(内閣提出、衆議院送付)
○公害紛争処理法案(内閣提出、衆議院送付)
○公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(瀬谷英行君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 加藤シズエ君が委員を辞任され、その補欠として前川旦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(瀬谷英行君) 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案(閣法第六三号)
 公害紛争処理法案(閣法第六八号)
 公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第九四号)
 以上(いずれも衆議院送付)を一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言願います。
#4
○田中寿美子君 いま公害三法を審議中でございますが、それでこの前の委員会では、これに関係したことを大臣に御質問申し上げたんですが、私、どうしても公害問題は通産大臣が非常に重大な立場でいらっしゃると思います。それできょうおいでいただいたのでございます。特に去る六月二十日の本会議場で公害白書について私御質問いたしましたのに対して、通産大臣の答弁は、たいへんそっけなく、ある意味では私なんかの立場から言わせれば、非常に不誠意な感じがいたしましたが、公害についての通産大臣の基本的な考え方をぜひ私は確かめたいと思っております。で、大体あの御答弁からしますと、通産大臣は、総理が言っておられるように、公害というのは産業の発展のためにはやむを得ない、いわゆるネセサリーイーブルということばを使われました、必要悪だというふうにつまりおっしゃるのじゃないですか、大平大臣もそのように考えていらっしゃるのではないでしょうか。
#5
○国務大臣(大平正芳君) 技術の革新が各分野で花が咲いたように展開されてまいりまして、産業の世界におきましてはそれの具体化のために規模が大型化し、あるいは装置化してまいりまして、それに伴う公害が容易ならない社会的な経済的な問題になってまいりました。このことは世界各国の中で、日本にとってとりわけきわ立って緊切な課題になっておると私は承知いたしております。それだけに産業政策を受け持っておるものといたしまして、産業政策の大きな柱が公害対策でなければならぬ、そういう認識に立っておりまして、たびたび本会議でも委員会でも御答弁申し上げておるとおり、公害は一つの産業の与件というような性質のものではなく、産業経営のお座敷のまん中に座を占めておる本質的な問題になってきておるという基本的な認識をいたしておるわけでございます。
 そこで、そういう客観的な経済過程が生す出す公害、これを必要悪と見るかどうかという御質問でございますが、総理大臣がどのようなお気持ちで言われたのかよく承知いたしませんけれども、案ずるに、公害は悪であるという認識が一つあると思います。したがって、それは除去しなければならないということが一点でございます。必要悪ということばは、経済過程で何らの措置を講じなければどんどん公害の発生源が拡大して害悪を及ぼしてくる、そういう過程にある、さればこそ産業政策の基本にこの問題を取り入れて、公害の防除つまり公害がいま発生していないところに対してどうして事前に防止するかという問題、これとすでに公害が発生しておるところに対してどうして除去するかという問題、公害の犠牲を受けた方々に対してどういう対応策を考えなければならぬかという問題を全一体として精力的に対処していかなければならないものである、そういう考え方で公害に対応いたしておる次第でございます。
#6
○田中寿美子君 ただいまのおことばですと、公害というものは避けられないものだからしかたがないというのではなくて、予防、除去、それから犠牲者の救済、こういうことは必要だという、公害をなくすことが必要であるというほうに主眼があるように思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。
#7
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、またそうあらなければ企業の存立そのものも社会的に許されないというような段階にきておると思います。
#8
○田中寿美子君 それで総理の言われたネセサリーイーブルというのは、これは語源は私も調べてみたんですが、イギリスの自由主義国家論に対する考え方、いわゆる夜警国家論、どうしてもやむを得ない必要があるときには国家権力を介入させる必要があるという考え方が最初のことばなんであって、たいへん不用意に総理大臣が使われたんだと思いますが、公害に対して少なくともそういう考え方を持ってもらっては困るということを私は念を押して申し上げておきたいと思います。
 それから、これは都会議員の選挙中のことですから、選挙の応援演説でおっしゃることばを、私はあまりことばじりをとらえたくはないと思いますけれども、大平大臣は、公害に対してはたいへん妙なことをおっしゃっていますので、真意のほどを聞かしていただきたい。
 ある都会議員の応援の演説で、青い空が見たいんだったら太古の昔にかえるよりほかないというような演説をしていらっしゃる。「公害のないところへ住みたいなどというのは詩人のたわごとだ。」「近代的な洋服をき、短時間で大阪へもいけ、たまには外国へも旅行したい、そういう欲望があるかぎりそれをもたらす企業がなければならない。」だから「一部の地域で亜硫酸ガスや一酸化炭素がでたからといって、公害だと大さわぎするのはもってのほかだ。「ああ青い空がほしい。きれいな空気がすいたい」――これで歳費がもらえるなら政治家はいい商売だ。」なんていうようなことをおっしゃったようです。これは選挙演説には相当のことをだれでも言いますから、私はあえていまことばそのものをとらえるんじゃありませんけれども、大臣の真意は、いまのようなことをおっしゃったのが、もしそれがほんとうであるとすれば、総理より一歩進んで公害は必要だということになってしまうんです。先ほどおっしゃったような、人間の生命と健康には青空は必要なんですね、だからこそ近代生活の中で空気や水がよごされているのに対してどうしたらいいかということをみんな一生懸命やっているんだと思います。その辺をもう一度念を押して真意のほどをお知らせいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘のような趣旨の演説をしたことは事実でございます。私が申し上げましたアクセントは、青い空、清い水、そして澄んだ空気を吸いたいということばはだれも念願しておることであると、そういう状態でなければならないということを主張するだけではいけないことでございまして、それをどうして除去するかの構造的な政策的な用意が十分ないと政治にならぬのじゃないかという意味のことを申し上げたわけでございまして、田中先生おっしゃるとおり、そういう状態を除去していくことについての政策的手段をいかにして鋭意組織してまいるか、そこが政治の課題であると心得ております。
#10
○田中寿美子君 そのとおりおっしゃったということです。つまり重点が演説会ですから、私ども社会党が東京に青空をと、公害に一生懸命になっておりますので、それを攻撃するためにそういうことをおっしゃったと思いますけれども、ああ青い空がほしいと言うだけで歳費をもらっているなんということばは慎んでいただきたいと思います。とにかく国連総会でも昨年の暮れには決議をしているんですから。世界は核戦争による絶滅は避けえても、公害による同じような脅威を受けている。政府も産業界も必要な責任をとるべきだ。――私は第一に産業界と政府に責任があると思うのです。被害者は住民であって、大平通産大臣おっしゃるように、近代化とか、経済が、産業がどんどん高度に進んでいくということにも、いわゆる政府の側のいわれる人間資源という、人間がおらなかったら成り立たないのですから、そういう意味で公害対策をほんとうに真剣に進める必要がある。で、通産省の姿勢がそういう点でぜひもう一歩積極的になってほしいということを要望しておきたいと思います。
 それから先日の私の質問に対するお答えの中で何点か私伺いたいと思います。通産省は資本の代弁者ではないというふうにお答えになって、そして公益の代表、代弁者であると、あるいは社会的責任を企業が持っているというふうにお答えになっております。その公益とか社会的責任というものの内容は、どういうものをおさしになっておっしゃっておったのでしょうか。
#11
○国務大臣(大平正芳君) 日本のように資源の乏しい国で、多くの人口を擁して苛烈な国際競争の中でみずからの生存を確保し生活の向上を実現してまいりますためには、どういたしましてもそれに対応いたした経済、産業の政策がなければならないわけでございます。完全雇用を実現いたしまして、そして働く方々にそれ相当の所得が確保されて、しかもそれが国際的レベルにおいて十分の競争力を持つだけの、そういう体制をつくり上げてまいりますことが産業政策に課せられた公益的な課題であると考えております。したがって、通産省は企業家の味方であるとか、労働者の味方であるとかというのじゃなくて、そういう基本的な要請にこたえた産業政策を労働者にも企業経営者にも、融資をしておる銀行にも、株主にも、消費者にもバランスのとれた成果が及ぶように配慮してまいるということを申し上げたのでございまして、その信念は終始変わらないつもりでおります。
#12
○田中寿美子君 いまの社会的責任ということの中に、やはり公害を防止するというようなことは非常に大きな責任として入っていると思います。大臣は私に、あなたの言われるような純粋な資本はないというふうにお答えになっております。純粋な資本なんということを私も決して言っているわけじゃない。そんなばかな考え方を持っておりません。資本と労働とがはっきりと分かれて対立するようなそんな時代よりはるかにいま複雑な時代になっている。そこで実は私は、資本の収奪のしかただって単純じゃなくなっている。非常に多方面なやり方でいまは収奪できるようになっている。一見労働者のためのように見えてそうでないもの、政策の中からいろいろ収奪されているわけなんですね。たとえば、もう時間がありませんから詳しいお話はしませんけれども、物価の値上がりにしましても、これは毎年毎年上がっていくことで大衆はそこからしぼり取られるようなやり方、仕組みになっております。税金にしましても、逆進性の強い間接税なんというものはあれは非常に、多くの働く大衆からたくさんのものをしぼりあげるのに非常に好都合にできているわけです。それから各種の社会保険ですね、これなんかはその拠出金の累積はもうすでに四十二年度で七兆五千億以上になっている。そうしてあの中から資金運用部資金に毎年相当額を繰り入れていくわけですね。四十四年度に二兆六千億も繰り入れている。そうすると、財投の資金三兆に対して二兆六千億も資金運用部を通して入れていくわけですから、これは考えようによりますと、あるいは厚生年金、国民年金、健康保険の掛け金、簡易保険、郵便貯金、こういったものはみんな大衆のためたもの、それから拠出金なんですけれども、同時に資本も払っている。そうしてそれはまた財投投資ですか、もう一ぺん資本のほうに流入していって、そこでまた大きくもうけられていくわけなんですから、こういう形で、非常に複雑な形で、多方面なやり方で働く者はしぼりあげられている。だから資本も単純でないし、搾取の形態だって単純じゃない。ことに国家独占資本の非常に強い支配のもとに入ってきますと、いまのような社会性を帯びた形でしぼりあげていく、こういうことになっているわけですから、私は非常に単純な考えをしているわけじゃないので、単純なる資本は存在しないなんというようなおことばは非常に、たいへんばかにした答弁だったと私は思っております。
 それから続いて自動車の排気ガスのことですね、一酸化炭素、自動車の規制を、アメリカへの輸出向けのものを一・五%に規制をし、それから国内はいま三%、九月から二・五%に規制するということに対して、不当ではないかという質問をしましたのに対して、大臣は、アメリカは乾燥した気候に必要な規制があるのだからそれに合わせたものであって、日本においてはまだそんな必要は認めてないとおっしゃいましたね。この辺は一体どういうお考えですか、もう一度詳しくお話ししていただきたい。
#13
○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げましたのは、炭化水素の規制の問題で、アメリカは炭化水素の規制がございます。非常に太陽熱が強い、乾燥した気候でございまして、そういう必要を感じて炭化水素に対するこれの規制がございますから、その規制に応じた装置を輸出車につけておる。わが国におきましては、炭化水素についての規制の必要はまだ認めていないと、したがって、国内車にはついていないと、それだけの違いでございますということを答えたのであります。
#14
○田中寿美子君 それじゃあその規制は日本では認めないというお立場ですか。いまたいへん空気がよごれてきている。都市部で、そうして先日調査されたですね、各区役所に働いている人々の調査で、東京都内四十歳の男子二十人に一人慢性気管支炎になっているというようなことが発表されましたけれども、都内の空気がきたなくなるのは排気ガスが非常に大きな理由だと思うのです。自動車の排気ガスを規制することについて、九月から二・五%というのも標準としては低いと思うのですけれども、まだアメリカ並みの一・五%にする必要を認めていないと、こういうお考えでございますか。
#15
○国務大臣(大平正芳君) そういう意味では決してないのでございまして、それは一酸化炭素の話でございまして、一酸化炭素はわれわれは規制の対象として取り上げまして、いま鋭意排出基準を設けまして、漸次これを下げていく措置を講じておりますことは御案内のとおりでございまして、私は、あなたの輸出車についての御質問について答えたのは炭化水素のことなんでございます。炭化水素につきましては、日本のような気候ではこれは規制の必要をいまのところ認めていないということを申し上げたのでございまして、一酸化炭素の規制が必要でないというようなことなどを申し上げたつもりでは全然ないのであります。
#16
○田中寿美子君 私は、一酸化炭素の排出量をお尋ねしたわけですね。そしてアメリカに対しての輸出用は一酸化炭素の排出量一・五%に規制をしているのでしょう。
#17
○国務大臣(大平正芳君) それは田中先生の若干誤解があられるのじゃないかと思うのです。一酸化炭素に関する限り輸出車も国内車も変わりはございません。ただ、私の申し上げたのは、炭化水素の規制が向こうにあるからその特別な装置をつけさしておる、そういう違いがあるだけでございますということでございまして、一酸化炭素については全然輸出車と国内車に区別はつけておりません。ただ、申し上げておきますが、アメリカのパーセンテージそれから日本のパーセンテージと計算のしかたが違っておりまして、これは事務当局から詳しく説明さしてよろしゅうございますけれども、日本の水準がアメリカより落ちている、より悪いというように私は承知していないのであります。
#18
○田中寿美子君 それじゃ、そのこと炭化水素だというふうにおっしゃったのですが、その問題は大臣の時間が惜しいのであとでもう少し説明していただくことにしまして、私、日本ではその必要を認めないと言われた内容などあとで伺いたいと思います。
 それから次に、公害に関する住民運動のことなんです。住民運動についても大臣は、正確な説明に対しまして聞く耳持たないという住民運動は迷惑でございますというふうにお答えになりましたね。私どもは、各地に住民運動が起こっていることは、これはもう毎日毎日非常にふえてきておる。それで、これに対してのいまおっしゃった公害の態様について正確な理解をしてもらわなければ困る、正確な知識に対して聞く耳を持たない住民運動は迷惑だというふうにおっしゃったのですか。これはどういう住民運動のことをおっしゃっているのでしょうか。
#19
○国務大臣(大平正芳君) つまり公害、たとえば石油コンビナートでございますと、こういうふうに立地をして、こういう装置をいたしまして、ピーク時年平均こういうような排出状況になりますということをよく御説明申し上げて、それでそれに対して十分吟味をしてもらいまして、自分たちの健康、生活を維持していく上から申しまして、それはたいへん間違っておるというような御指摘がございますれば、これは非常に意味があると思うのでございますが、ただ、コンビナートということで、深い御検討も経ないで、ただ反対されるのでは非常に迷惑だと、そういうことを申し上げたのでございまして、正しい意味で住民運動が充実した姿において行なわれることは、私どもも歓迎いたしますし、またそうなければならぬと考えております。
#20
○田中寿美子君 私たち全国で住民運動にだいぶん接してきておりますけれども、むしろ被害を受けるのは、いつも住民なんでございますね。それで企業を発展させる上において、どうしてもそういうことが起こってくる。それの被害を受ける住民が、その被害を防止しようと思うのは、これは当然のことなんです。で、それの言い分が、企業のほうはなかなかうまいことを言うし、しばしば地方自治体がそれと一緒になる場合がある。そして通産省がそれをむしろ守る立場にあるような場合がしばしばあるわけなんです。だから、住民の声を聞く耳を持たない地方の知事さんや企業のほうが多いのが事実なんですね。また、そういう政治家も私は多いと思うのです。
 で、いまおっしゃったことからしまして、これはもう大平通産大臣の地元でございますが、坂出市の番ノ州のコンビナートなんですね。あそこに吉田工業、三菱化成のアルミ加工工場その他、そうして最近、アジア石油が誘致されるということも、非常に短期間の間に県当局が決定したということですね。非常に重大な問題になって、漁民とそれから市民が一緒になって、住民の納得も受けないでそういう企業の誘致をきめてしまったということに対して、これまで石油関係の企業が進出してきて、一番ひどい目にあったのは四日市なものですから、ああいう事例を見ているから住民は黙っていられない。ことに水島地区からの風はどんどん坂出のほうに吹いてくるわけです。それから漁民だって、あの辺のくさい魚を盛んにとらされておる、十分その被害を知っているものですから、こういう企業の誘致に対して、なぜ住民とよく話し合いをしないのかということで、住民運動が起こったわけでございますね。これに対して機動隊を出動させて、漁民を逮捕させたりしておるのです。この住民運動は、大臣はどうお思いになりますか。
#21
○国務大臣(大平正芳君) これはアジア石油の坂出進出の問題はうわさには聞いておりますけれども、私どものほうに申請がまだございませんで、会社側と市や県との間で話が行なわれておる段階だと思います。私としては、現地の御相談にお見えになった方々には、これは六万市民ばかりでなく、周辺の方々にとりまして重大な問題であるから、公害の問題につきましては、十分納得のいく御説明を先方から聴取した上で御処理されなければなりませんぞということは、現地の方々に申し上げておるわけでございます。で、県当局からもお話がありましたから、非常に親切にこの問題についての、付近の住民に害がない、ここから発生する公害はこういうものであるということを科学的に、しかもわかりやすく十分に納得がいくように時間をかけて努力をする必要があるんじゃないですかということは注意いたしておいたわけでございまして、そういう方向で両者の間に理解ができることを期待をいたしております。私どものほうの行政上の処置は、正規の申請がございました上で、全体の問題の一環としてこれは処理せにゃならぬわけでございますから、いままだ判断を持っておりませんけれども、いま生起いたしておりまする現地の動きに対しましては、主として公害の立場から周到な配慮が必要である、そう考えております。
#22
○田中寿美子君 番ノ州の問題は、私まだ質問ほかの方々に残っておりますけれども、前川さんが現地に調査にいらっしゃいましたので、前川さんのほうから続いてお願いしたいと思います。
#23
○前川旦君 大臣に、お急ぎのようでございますから、先にちょっと入れさせていただきたいと思います。
 いまの番ノ州の問題は、まだアジア石油から通産省に申請が出てない段階だと思いますので、直接、通産省の問題ではないと思います。しかし、大臣すでに紛争が生じているということを知っていらっしゃると思いますので、そのことを前提にして質問したいと思います。
 そこで、先ほどの住民運動ですが、いろいろとひざをまじえてたんねんに話し合ってという、いわゆる聞く耳を持つというのじゃなくて、聞く耳を持たないようなものは困るとおっしゃいましたが、今度の香川県とアジア石油との場合をとらえてみますと、これは毎日新聞に記事が出ておりますが、たとえば六月七日にアジア石油の誘致の決定が初めて発表された。それまで全然知らなかったわけですね。伏せておいて、七日に発表して、十日にはもう県との間に売買契約その他の調印をする。それから十四日には県会で議決の議案が出る。わずか一週間です。ですから、全然その説明を受ける期間もないということで、住民にとりましては、ということは、聞く耳を持たなかったか、しゃべる、話しする口を持たなかったということです。ですから、当然のことのように、びっくりして、地元から当然の非難のあれがあがりました。こういうような形の住民運動というものは、これはやむを得ないことだと思います。先ほどの大臣の御発言からいっても、これは当然なことだというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
#24
○国務大臣(大平正芳君) 県がどういう考え方で県会で決議されたのか、それは私はよく承知していませんけれども、いずれにせよ、こういう問題は前川さんおっしゃるとおり、住民の了解がなければいけない問題でございまするし、いまから私どものほうにまた正規に申請がありまして、いろいろな検討を加えて認可がきまるという過程を踏んでいくわけでございまするから、その間に十分の時間をかけて親切に説明をし、企業側並びに地方団体側に対して十分措置すべきものを念を押しておかれる必要は十分あるだろうと思いますし、またそうしないと、企業の運営そのものも円滑にいかないわけでございますから、当事者はみなそういう措置を当然とるべきであると考えておるわけでございます。いままでの県議会のほうで議決された経緯、それからその後の、これに憤激された皆さんのお気持ち、それはよくわかります。が、しかし、問題は始まったばかりであるようでございますから、これが最終的な結論が出るまでの間に十分納得のいく措置がとられまして、円満に解決ができることを期待いたしております。
#25
○前川旦君 それでは手続の問題ですから、政府委員のほうにお尋ねいたしますが、これはどうなんですか。申請が出るというのは、全部そういうことを解決して、企業側が地元と解決して、それからちゃんと申請を出すのですか。申請を出しておいて問題を残しておいて申請して、先に出して、あとで解決は努力するという場合もあるのですか。その辺はいままでどうなっていますか。
#26
○説明員(成田寿治君) 石油の精製設備の増設の許可は、石油業法に基づいて行なわれております。申請は毎年秋ごろなされておりますが、その際、地元の了解が十分取りつけられているかどうかというのは、申請の資格にはなっておらなくて、申請が出て、石油審議会あるいは通産省の審査の際に、地元との調整が十分なされているかどうか、あるいは保安、公害対策が十分織り込まれているかどうかということが検討されまして、そういう地元との調整がついてないあるいは公害対策が十分確保されてないというのは、許可基準によりまして許可されないというふうになっております。したがって、申請が出てから――申請の際の資格としては、企業が、石油精製業者が申請をするのでありまして、地元の了解が十分なされているというのは要件になっておりませんが、石油審議会なり通産省の石油業法による審査におきましては、地元との了解がついていないとか、あるいは保安対策、公害対策が十分なされていないというのは、まあ資格を欠くということになっております。
#27
○前川旦君 お急ぎですからちょっと急ぎます。政府委員の方、それじゃ、石油審議会で審議するのに地元との問題が解決しているということが必須の条件であるというふうに聞きました。それを判断するのは、何によって判断するのですか。たとえば地元の漁民の、漁業協同組合ですか、その承諾書が全く得られないという、これが地元との了解、解決ができていないという大きな判断の基礎になると思いますが、どうでしょうか。
#28
○委員長(瀬谷英行君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#29
○委員長(瀬谷英行君) 速記をつけて。
#30
○説明員(成田寿治君) 許可基準におきましては、立地計画等において必要な公害対策が十分確保されているかどうかというのが検討の内容になっておりまして、地元との了解が十分とられているということも当然その結果、要件になっております。ただ地元の了解といいましても、非常に少ない地区の反対がある場合もありまして、あらゆる場合に、反対が若干でもあると許可しないというような意味ではなくて、地元の大方の了解が取りつけられているということ、そういうふうに解釈しております。それでその判断を、地元の了解が得られているかどうかという判断はどうして判断するのかというお話のようですが、われわれは、地方公共団体あるいはまあ漁業協同組合、全部が反対している場合は、これは地元の了解が十分取りつけられていないというふうに解釈されますが、一部の場合は、これは反対の内容等を見まして判断をしていきたい。したがって、若干一部の反対がありましても、それによって反対があるから許可をしないという意味ではないということでございます。
#31
○前川旦君 それでは大臣にお伺いいたします。
 この審議会での運営、審議会の答申も含めてですね。通産省の石油行政といいますか、石油に関する通産行政の中で、やはりこれは企業のための企業ではなくて、国民のための企業なんですから、建設予定の地元の圧倒的住民が反対をしている。たとえばそれに関連する漁業協同組合も全然承認をしない、あるいは関係地方自治体も議決をしない、こういったように普通常識的に見て、だれが見てもごく一部の少数の反対ではなくて、大多数の人が反対をしているのだ、こういう場合には、通産行政としてはやはり認可をすべきではないというふうに考えるべきではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。そういうふうにお考えでしょうか。
#32
○国務大臣(大平正芳君) それまでの段階でいろいろ十分の話し合いの機会があるわけでございますし、十分のデータをそろえまして親切に、かつ周到に説明をいたしまして、御了解が得られるのか得られないのか十分の努力をしてみなければいかぬと思うのでございます。しかる上において、いま言われたような問題はどういう要素になりますか制断をしなければいかぬと思いますが、いまの段階はこの問題が持ち上げられたばかりの事態でございまして、これからいろいろ、私も要望しておきましたが、十分の話し合いが行なわれることを期待いたしておる次第です。
#33
○前川旦君 私は一般論としまして、これは全国どこでもあるケースとして一般論として、幾ら納得するように説明をしてもその説明の内容が非科学的であるとか、いろいろな問題があると思いますが、どうしても圧倒的住民の支持を得られない――石油精製の場合の一般論です。そういう場合には、やはり通産省の立場としては、最終の許可権は通産省に、通産大臣にあるのですが、やはりすべきではないということだと思うのですが、その辺の基本的な大臣のお考えといいますか、心がまえといいますか、姿勢といいますか、それを実は一般論としてお伺いしておきたいと思います。
#34
○国務大臣(大平正芳君) 田中先生の御質疑にお答え申し上げましたように、私どもは公益上の立場に立ちまして許認可をきめる責任があるわけでございます。これは全体として石油行政の立場からはもとよりでございますけれども、地域経済の上から申しましてもあらゆる角度から十分の検討を遂げて、何が公益に寄与するかというような観点から公正に処理いたす責任があるわけでございます。本件につきましても全然例外でないわけでございまして、そういうすなおな気持ちで対処していきたいと思います。
#35
○委員長(瀬谷英行君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#36
○委員長(瀬谷英行君) 速記をつけて。
#37
○前川旦君 それでは政府委員の方にお尋ねしますが、石油審議会が判断をしますね。判断をするときの要件というのは、判断をする基礎になる何といいますか、要素といいますか、それは一体どういうものがありますか。列挙してみるとどういうふうになりますか。
#38
○説明員(成田寿治君) 石油審議会の許可基準、判断する要件というものは、まあ業法による許可の基準として通産省が原案をつくり、そして石油審議会にはかってきめておりますが、これは毎年、まあそのつどはかってきめておりますが、大体のルールとして並べられておるのをあげますと、一つは生産なり販売計画が十分妥当であるかどうかという点が大きな問題でございます。というのは、非常に過剰生産になりましても供給がだぶついていろいろな問題が起こるし、また、非常に生産が少ないというようなものであると、これもいろいろ効率が悪いと、あるいは販売能力がないのに生産だけするというと市況が悪いとかいろいろな問題がありますので、生産計画及び販売計画が妥当であるかどうかという点であります。それから脱硫設備が設置されるか、あるいは原油の手配がどうなっておるかという見地からの低硫黄化計画、原油なり重油の硫黄のローサルファー化の計画がどうなっておるかということが具体的な計画として内容的に検討されるのであります。それからいま原油なり製品の備蓄タンクが十分にその製油所で設置されるような計画になっておるかどうかという備蓄計画の内容が検討されます。それから保安公害対策を織り込んだ立地計画がその現地に立てられ、保安公害対策が十分確保されているかどうか。これはまあ地元との関係で非常に大きな問題になる点でありますが、保安公害対策が十分確保されておるかどうかという点でございます。それから資金計画なり経理内容が十分であるか、資金確保も十分であるか、あるいは十分赤字にならないように採算がとれるような計画になっておるかどうかという経理見通し等も検討されます。こういういろいろな意味で、いろいろな角度から審査基準をきめて、そして石油審議会におきまして全部の案件について検討がこの基準に照らしてなされて、そしてその上で石油審議会がこのケースはいいとか、このケースは悪いとかいうような答申を通産大臣に対してなされる、その上で通産大臣が行政府としての判断に基づいて許可あるいは不許可という行為を石油業法によってなしております。
#39
○前川旦君 先ほど御答弁になりましたこの住民との紛争の問題ですね。それはこの基準の中には入っていないのですか。運営上それを重視していらっしゃるのでしょうか。
#40
○説明員(成田寿治君) これは立地条件におきまして、保安上及び公害防止上十分の配慮がなされていることというふうな基準になっておりまして、そういう意味で地元との関係も、その十分の配慮という点でわれわれは地元との調整が大体ついておるということを要件として考えております。
#41
○前川旦君 地元との調整がついてないのに可という、つまりオーケーだという承諾の審査をしたという例、最近ないように聞いていますが、どうでしょうか、その点は。
#42
○説明員(成田寿治君) われわれは、地元との大方の了解ないところに許可を出したという例はないというふうに従来言えると思います。ただ、去年の石油、審議会の審査におきまして、出光興産が姫路で大きい製油所をつくるという申請が出ておりまして、これは従来いろいろな漁業補償の問題とか、公害対策の問題とか、いろいろ経緯があるケースでありまして、この場合は石油審議会におきましては特別の注文がついて答申があっております。それは許可のケースになっておりますが、その当該特定設備の新設計画に関し、公害対策、漁業問題処理等、地元との調整につとめることというような、石油審議会からの答申においてまあ注文がついておりまして、それで審議会から答申があって、許可書を渡す間に、県なり市が間に入り漁業組合と会社、あるいは県と漁業組合の間において相当な調整が行なわれて、まあ数カ月にわたってなされて、そして、まあ一部の組合の反対はあったんでありますが、大体、大方の調整がとれたという判断で、五月の初旬に許可書を渡しておりますが、その際も、まだ話し合いのついてない漁業組合とは十分会社側も話し合いを円満に進めろというようなことも希望して許可書を渡しておるケースがございます。
#43
○前川旦君 審議会で審議するときに、地元の紛争は解決してるんだ、円満に解決してるんだ、紛争もないと、あるいはほとんどないといってもいいくらい、大体解決してるんだという、その判断は、審議会が直接調査してなさるんですか、企業の申請によって、つまり挙証責任ということばは当たるかどうか知りませんが、企業が責任を持って判断するのか、それとも審議会が独自の調査をして判断なさるんでしょうか、その点どうですか。
#44
○説明員(成田寿治君) 石油審議会が自分で独自に調査するということはありませんで、事務局である通産省のわれわれが、地方の県あるいは関係市町村、あるいは水産庁とも十分話し合って、いろんな実際の調査をまとめまして、これを審議会に報告しまして、あるいはその際企業側のもちろん状況の報告もわれわれ徴して、それを審議会の審査の材料として提供しておるのでございます。
#45
○前川旦君 いままでの例として、地元の強い反対があるのに審議会がこれを許可すると出した例はないと。ただし、先ほど姫路ですか、家島等の問題で条件つきにしたことはあったけれども、いままで反対してるのに承諾与えた例はないと。――これからはどうなんでしょうか。これもケース・バイ・ケースだと言ってしまえばそれで終わりなんですけれども、やはり基本的に、地元との紛争が解決しない限り石油審議会としてはこれに許可を与えるというようなことは、これからもそうあり得ることではないというふうに考えてよろしいですか。
#46
○説明員(成田寿治君) 従来の方針と今後も変わりないと思います。ただ、地元の反対と、一部の反対は、どんな場合でも若干の反対はあるんでありまして、われわれは、非常に大きな問題とならないように、大体大方の地元の了解が得られておるということをまあ要件的に考えておりまして、そういう意味で、非常に少ない、まあ一部の反対があっても、それだけで許可できないという意味では従来もなかったし、今後も同じような処理方針でまいることになろうと思います。
#47
○前川旦君 一部の反対か、大多数の反対かという判断はどこでなさいますか。その辺の判断は、何を基礎にして、何を参考にしてなさりますか。だいぶ主観のまじる問題のように思いますが。
#48
○説明員(成田寿治君) まあ大方の了解であるか一部の反対であるかという反対の程度の問題は、これは非常にデリケートな問題でケース・バイ・ケースで考えないといけないと思いますが、われわれはやはり県、県知事の判断、あるいは関係市町村長の判断、それからやはり関係の漁業組合の意見、これは農林省の水産庁とも十分連絡とってその判断の材料にしておりますが、まあその判断には間違いのないように十分処理は尽くしておると思っております。
#49
○前川旦君 それではこの従来タッチしてこられたあなたの判断をひとつ聞いておきたい。たとえば先ほど申しましたように、関係の漁業組合が全然反対で調印しない、承知しない、関係の自治体が承認決議をしない、これは大多数の反対であると、こういう場合には判断なさいますか、いままでの例からいうと。
#50
○説明員(成田寿治君) まあ関係の漁業組合、関係の範囲がいろいろ広くも狭くもなると思いますが、ほんとうに関係する漁業組合全部が反対し、関係の公共団体が全部反対しておったら、私たちはまあ地元の了解がとれていないというふうに判断していいと思っております。
#51
○前川旦君 たとえばその住民の数ですね、数の過半数なり、非常に多くの数が反対に署名をするとか、あるいは反対運動に参加するという事実があれば、たとえその市長がどうあろうと議会がどうあろうと、議会と住民の意思はまた食い違うこともあり得ると思いますので、これもやはり大多数の人が反対だというふうに判断してもよろしいと思いますが、どうですか。
#52
○説明員(成田寿治君) まあわれわれ従来そういうケースがなかったんでありますが、地元民が反対であるか賛成しておるかという判断材料としては、われわれ従来その市町村長あるいは市町村議会の意見というのを中心に判断してまいっております。ただ住民の反対票が議決をやって非常に、大部分であるというケースが従来なかったので、いまそれは反対というふうに解釈できるかどうかという問題はちょっと即答できかねるのでありますが、従来の方針からすると、地元の意見は当該市町村長あるいは当該市町村の議会の意見というのを中心に判断してまいっております。
#53
○前川旦君 通産行政も生きた行政ですね、政治も生きた政治だろうと思いますので、形式的にただ市長の意見を聞けばいい、それから議会の意見を聞けばそれで形式的には満たされるというのではなくて、もっと血の通った生きた判断をしていくべきだと思いますが、いまの地方自治体とか市長だけにこだわらず、もっと生きた判断を、あなた方の立場から生きた判断を、血の通った判断をすべきだろうと思いますが、この点いかがお考えですか。
#54
○説明員(成田寿治君) 御趣旨の血の通ったような行政なり判断をやるという趣旨は、われわれも同感でございます。
#55
○委員長(瀬谷英行君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#56
○委員長(瀬谷英行君) 速記つけて。
#57
○田中寿美子君 さっき大臣の御答弁の中にありました自動車排気ガスの問題ですね、もう一ぺんよく説明してほしいのですけれどもね、普通自動車排気ガスの規制を九月から二・五%にする、あるいは現在三%であるということは、何と何をどのように規制しておりますか。そしてそれがアメリカ向けは一・五%という場合に、それさっきおっしゃった炭化水素、それだけのことを言っているわけですか。
#58
○政府委員(矢島嗣郎君) 最初に申し上げておきたいと思いますけれども、この秋から新車に関して二・五%、新車の新しいものです、来年の一月からおよそすべての新車というふうにやるわけでございますが、それでもってわれわれとして満足しているわけではございませんので、逐次その排気ガスの規制は強化する方向にもっていかなければならぬとは思っております。すでに厚生省等を中心といたしまして一酸化炭素の環境基準の作業を始めておりますわけでございまして、年内にはその環境基準というものができるというふうに聞いているわけでございますが、そういう一酸化炭素の環境基準ができましたら、それを踏まえましてさらに技術面その他も考えまして、望ましい方向にもっていきたいという点をまず申し上げたいと思います。
 それから御質問の点でございますが、いまの国内の新車は二・五%になるわけですが、先生は先ほど下五%、下五%とおっしゃっておりますが、輸出車に対する規制はアメリカの規制に応じてやっているわけでございまして、CCによりまして段階があるわけでございまして、二千三百CC以上のものについては一・五%、それから千六百CCから二千三百CCまでは二・〇%、それから八百から千六百までは二・三%、これがアメリカの規制でございますので、それに応じまして輸出のメーカーはそれぞれそれに適合するようにいたして輸出しているわけでございます。なるほど一・五と二・五と比べますと、一・五というのは非常に低い、したがって、日本の規制は手ぬるいということは表面上は言えると思いますけれども、実際問題といたしまして、二千三百CC以上というような車は輸出されてないわけであります。二千三百CCというのは、おそらくは日産のプレジデントのようなものがかりに輸出されるとすれば、それは一・五%ということになるわけですが、実際問題として、現在輸出されておりますコロナとかブルーバードとかいうものは一番最後の八百ないし千六百という範疇に入りますから、実際問題として国内車と比較すべき輸出車というのは二・三%ということになると思います。したがいまして、しいてその数字の比較をやるといたしますと、二・五%と二・三%ということに相なると思います。
 ところで、さらにその規制の測定方法でございますが、日本の二・五%というのは、最高値を押えております。ところが、アメリカの二・三%とか何%というのは、これは平均値を押えているわけでございますので、だからその最高値と平均値では、甘辛の点があるわけでございまして、最高値二・五%と平均値二・三%ということになりますと、どっちが甘いか辛いか、これはなかなか判断がむづかしいと思います。
 それからもう一つは、測定方法に関連いたしまして、両方ともその測定に際しては走行のパターンと申しますか、こういうふうな条件ですね、最初はファーストでやって、それからセカンドに入れてトップに入れてどういうふうにいくという走行パターンというのがあるわけですが、簡単に申しまして、アメリカのように道路事情のいいところは非常にトップで走る区間が多い、そういうような走行パターンですし、日本の場合は交通渋滞が大きいので、アイドリングが非常に多い、そういうようなことから、道路事情に基づく走行パターンが違いますので、測定に用います走行パターン、これはモードと申しますけれども、モードが全然違う種類のものになっているわけでございます。ですから、そういう点で測定に用いる走行パターンが日本の場合とアメリカの場合と違う、そういう違う方式を前提にして測定いたしているわけでございますので、その点から言いましても、一体二・五のほうが甘いのか、二・三のほうが辛いのか、簡単に判断できないわけでございまして、人によりましては、いまの測定方法に用いられている走行パターンを前提とすると、日本の二・五%のほうがきついのではないかという人もいるわけでございます。私どものほうは別にどちらが甘い辛いということを判断いたしませんけれども、そういう点があります。以上が、先ほど大臣が申し上げました点で、輸出車と国内車とは、そう一酸化炭素について違いはないんじゃないかとおっしゃった点の補足説明でございます。
 それから炭化水素の問題でございますが、これも
 なかなかむずかしい問題でございますが、従来は日本におきましては炭化水素というものはそれほど問題がないというようなことに相なっておったものですから、大臣もああいうふうにおっしゃったんだろうと思いますが、ただ、つい最近の現象を見ますと、一部の地域におきまして、公害白書にもありますように、東京の一部におきましては、炭化水素に基づくいわゆる光化学的スモッグというものの指標であるオキシダントが若干高い数字を示したということがあるわけでございまして、最近におきましてはまた問題になっているので、簡単に炭化水素全然問題ないということも言えないと思うのです。これもさらに科学的な検討を加えなければならぬということで、これまた、厚生省等を中心にいたしましていまの一酸化炭素の環境基準が年内にできるということでございますが、その次の段階で、来年になりますか再来年になりますか知りませんけれども、この炭化水素についても十分科学的な検討を加えまして、何らかの目標値と申しますか、基準というものをきめることに相なると思いますが、そういう段階になりましたら、これは厳重に規制をやらなければならぬというわけです。いずれにしましても、環境基準は一酸化炭素のほうが急務でございますから、できるだけ早くつくりたい、それから次に炭化水素、こういうわけでございます。
    ―――――――――――――
#59
○委員長(瀬谷英行君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として原田立君が選任されました。
    ―――――――――――――
#60
○委員長(瀬谷英行君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#61
○委員長(瀬谷英行君) 速記をつけて。
#62
○田中寿美子君 いまの御説明で、私科学的知識が十分でありませんので、いまおっしゃったことをそのままいいのか悪いのか判断が十分できませんけれども、大臣がお答えになったように、アメリカは空気が乾燥しているから炭化水素の基準は一・五%要求されているんだ、日本ではその必要を認めないということははたして言えるかどうかということがまだ課題として残っているというふうに考えてよろしいですね。
 それからもう一つは、これは厚生省の方も含めてですけれども、環境基準をつくるとき、たとえば一酸化炭素を最初につくっていく、その場合に、さっきは道路事情がアメリカのほうがはるかに日本よりいいから、だから非常にスピードを出して走るということ、それじゃそういうように走るから基準は高くてもいいというのか低くてもいいというのか、その問題があると思うんです。日本の場合は道は非常に悪くてしょっちゅうとまっては動くということのためによけい排気ガスが出るということもあると思います。それからもう一つには、過密でございますね、だからむちゃくちゃに大都市には自動車が錯綜している、そのために排気ガスも出てくるわけですね。工場も住宅に密接してあったり、あるいは暖房なんかで出てくるものとみんな一緒になって複合して起こってくるということを考えに入れなきゃならぬじゃないかというふうに思いますので、その辺は厚生省の御意見も伺ってこの問題は打ち切って、あとちょっと自治省のほうに伺いたいと思います。
#63
○政府委員(矢島嗣郎君) ちょっと申し上げますけれども、先ほど私、別に日本は道路事情が悪い、アメリカが道路事情がいいから日本は甘い基準でいいと申し上げたんではなくて、測定するにあたってのモードと申しますけれども、ここからこういうふうなあれでやるというモード、そのとり方が向こうの道路事情と走行パターンに応じてつくってあるから測定方法が違うということを申し上げただけの話であります。
#64
○田中寿美子君 それはわかります。私の意見としてそういうことはどうかということです。厚生省はどうですか。
#65
○政府委員(武藤g一郎君) 炭化水素の問題でございますが、先ほど矢島さんがお話しになりましたような問題があるわけでございますが、ただ厚生省といたしましては、運輸省のほうに、炭化水素の環境基準は一酸化炭素の環境基準の次にわれわれとしてはきめたいけれども、排出規制だけはなるべく早くきめるようにという申し入れはいたしております。その点は技術的に対米輸出車については炭化水素の規制をやっておりますので、その点は可能だと私どもは考えております。
 それから一酸化炭素のモードの問題でございますが、これは理屈の上では、先生の御指摘のように、日本では条件が悪いので、むしろ日本のほうをきびしくすべきだという、理屈の上ではそういう御意見は私ども同感でございます。
#66
○田中寿美子君 まだまだいまのことはまた別の機会に御意見も聞きたいし、私申し上げたいと思いますが、次に、自治省の方がいらしておりますので伺いたいことは、一つは、たとえばこれは横浜の例でございまして、もうすでに国会でも取り上げられた問題ではありますけれども、通産省がことしの二月に亜硫酸ガスの濃度の環境基準を、硫黄酸化物の濃度の環境基準を設定されましたですね。で、そのすぐあとで通産省が川崎、横浜の公害総合調査に基づく改善指導というものを流されましたですね。それでそういう場合にあそこの川崎、横浜にある八十五ばかりの工場に対する規制は、横浜は横浜で相当公害対策を一生懸命進めているわけですけれども、その考え方と、通産省がどうも企業のほうに片寄ったきらいがあって、指導にそごが起こってくるんですね。それで横浜のほうから質問書が出ていたと思うんですけれども、それに対して通産省は答えを出しておられるわけですけれども、こういう場合に自治省はどういう指導をなさいますか。通産省とそれから地方自治体の方針というのが公害対策において、たとえば環境基準なんかをさらに進めていこうとするような場合において違ったあれが出てきた場合ですね、自治省はどういう指導を与えますか。
#67
○説明員(立田清士君) 自治省でございますが、いまの御質問非常になかなかむずかしいわけでございますが、一般的に自治省の立場といたしましては、やはりこの公害行政は、申し上げるまでもなく、やはりその地域で一つのいろいろな問題が起こるわけでございますので、その実施の中心というのは地方団体であるというふうに私たちは考えております。したがいまして、いろいろ国の中におきましても、そういう意味でこの公害行政自体については、申し上げるまでもなく、うちのほうばかりじゃございませんし、厚生省、通産省それぞれのところのお立場でいろいろの御指導をなすっているとは思いますけれども、私らのほうといたしましては、やはり地方団体の立場でそういう際にはいろいろ意見も申し述べておりますが、そういうわけで、できるだけ地方団体が中心になって、こういう行政が推進できるような基本的な立場でいろいろものごとを考えている状況です。きわめて一般的なお答えでございますが。
#68
○田中寿美子君 横浜の質問書のことは、承知していらっしゃいますね。通産省と企業体とがある基準を設定して合意に達した。ところが、もっときびしい指導を市当局もやっており、厚生省もそういう方向を出している、こういう状況の中で、むしろ通産省に対して自治省なんかはもっと自治体の意思を重んじて、たとえば自治体が企業との覚え書きをかわすことによって公害を防止するような協定を結んでいるなら、その方向でやっていかせるように、それより後退したような指導を通産省がやるということに対して、やっぱり私は自治省もそれに対して一言あってもいいのではないかと思いますが、いかがでしょう。
#69
○説明員(立田清士君) 通産省のお立場では、また通産省のお立場としていろいろ御指導をなさっていると思いますけれども、私たちのほうといたしましては、やはりその地方団体がいろいろ前向きにこういう行政について取り組んでいただくように私らの立場なりにそういう指導をいたしておりますので、いまの具体的な点についてのすぐお答えにならぬと思いますけれども、そういうことで私たちとしても努力をしておりますし、また今後もしていきたい、こういうふうに考えております。
#70
○田中寿美子君 自治体の場合は、さっきの前川さんの質問の中でもあったのですけれども、神奈川県とそれから現地の市とが違うわけです。公害を発生する企業をかかえている市の立場と違ったりするのですので、自治省がそういう正しい指導を十分やってもらわなければ困ると思います。
 もう一つは、各地万で公害防止条例をつくっているわけですが、たとえば防止条例で、国の公害対策基本法、あれは基本法ですから具体的にはきめてないのですけれども、あれよりも進んだものを条例でつくる場合がある。これはいいわけですか。つまり地方の県で県条例で相当きびしいものを、たとえば東京都の防止条例ですね、あれで公害を発生する企業に対して給水の制限をする、それは自治省はどう思っていらっしゃるのか。
#71
○説明員(立田清士君) 条例につきましては、一般的に御承知のとおり、地方自治法の規定によりまして、法令に違反しない限りにおいて制定はできる、行政事務条令を制定できるようになっております。したがいまして、もちろんその条例でどういう内容を盛り込むかという点については、個個具体的にはいろいろな場合があり得ると思いますけれども、いわゆる公害行政につきましては、現在のところ、地方団体の行政の中においては、比較的新しい行政でございますので、対応のしかたについてもいろいろな段階が現在のところ整備されてくる一つの過程にあるのではないかと私たちは考えるわけであります。したがいまして、条例と法令との関係が、その場合に公害について問題になってくると思いますけれども、もちろん法令によりましてもそれぞれの規制対象になる対象物によりましていろいろな法令の規定の態様も異なっていることは御承知のとおりであります。一般的に申して、いわゆる地方団体の規制には、比較的に前向きに進んでいるものも中にはあろうかと思います。そういう場合において前向きに進んだこと自体をもって直ちにどうこうということにはならないと思います。要は地方団体の条例の規制と、それから法令でそれをどの程度許容していくか、あるいは許容している範囲というのはどういうものであるかといったような個々具体的な場合について判断するよりいたしかたないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、現実に条例が地方団体で公害防止条例というようなのがございますが、いま具体的な例をおあげになりましたが、その県の条例によりましてもこれは県によって相当いろいろ内容によって差異がございますが、その場合において実際に条例自体がすでに制定されている場合におきまして、その運用においてかりにそういうように法令との関係で問題のあるように思われるものがありますれば、この点については、やはりそれぞれの行政を主管しておられます各省でまた御検討しておられるようでございますので、そういう際には運用上そういう条例の運用ということで法令との関係も調整されることが期待される、こういうことになろうかと思います。
#72
○田中寿美子君 時間がありませんから、またこの問題はもう一ぺんいつかやりたいと思うのですけれども、私は、具体的に県条例をあげますと、せっかく市がいい条例を持っているのを問題にされると困りますので、わざと言わなかったのですが、いまおっしゃったより前向きのものを持っているからといって直ちに違反にはならない。私もそうであるはずと思っています。法令より進んだものを使っても直ちに違反とはならないし、もしそれが公害を防止するためによいものであれば私は当然だと思うのです。それで地方自治法によってたとえば公害を発生したということがはっきりわかった企業に対する罰則を設けているところもあるわけなんです。そういうものが地方自治法の範囲内であればこれは法令に違反しないというふうに考えてよろしいのですか。最後に一点だけ聞いて終わります。
#73
○説明員(立田清士君) 条例の罰則の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でございますが、地方自治法では御承知のとおり、条例で罰則を付せられる限度というものを実は定めております。
 それからもう一つは、いまの公害でございますれば、それぞれの公害の法令による、法が規制しておりますものについての罰則がそれぞれ限度が定まっております。したがいまして、条例で規定する内容がいわゆるどういう内容であるかによりまして、その辺はどういう罰則がつけられるかということが、法令との関係ではおのずから限界はあろうかというふうには考えられるわけでございます。したがいまして、法令でいわゆる規制対象にしておらない、つまり条例で規制できるというものにつきましてはいまおっしゃいますような地方自治法の限度、こういうことになろうかと思います。
#74
○杉原一雄君 ちょうどいま法案審議の過程にあるわけですけれども、それとも非常に関連を持っておりますので、二つの問題を質問していきたいと思います。
 第一点は、きょうここに御配付いただいた「神通川流域におけるカドミウムの挙動態様に関する特別研究報告書」「昭和四十四年一月」これを中心として紛争処理法案との関連を明らかにしていきたいと思います。
 第二点は、六月の二十日前後に起こった木曾川のアユの大量に死んだというこの問題をめぐる調査とその後の対策等について、これまた紛争処理法なり、水質の保全の問題等にからめて確かめていきたいと実は思っているところです。きょうここに資料をいただいてちょっと気がついたのですが、これがあえて特別研究報告書として、調査報告という形になっていないところに何か行政運営上の違いがあるのですか、その点をまずお聞きしたいと思うのです。
#75
○政府委員(石川晃夫君) お答えいたします。科学技術庁におきましては、従来から科学技術庁に計上されております特別研究促進調整費というものを使いまして、二省庁以上にまたがります研究の調整を行なっておるわけでございます。それにつきましての報告は、内容にもいろいろございますが、やはり通常こういうふうに特別研究の報告書なんというかっこうでまとめておるわけでございます。
#76
○杉原一雄君 非常につまらぬことを聞きますが、そうした報告もある種の結論を出すと思いますが、行政的な原因はどうなっておりますか。
#77
○政府委員(石川晃夫君) 科学技術庁において行なっております研究につきましては、それぞれこの研究の成果をそれぞれ所管の官庁において行政に生かしてもらうような配慮のもとに研究を促進しているわけでございます。
#78
○杉原一雄君 それともう一つつまらぬことを申しますが、これは一月ですね、ところが、私富山でございますが、富山の地方紙、大きな地方紙で北日本、富山というのがありますが、大きく取り上げたのが六月二十七日です。この日の発表を地方紙が大きく取り上げたのです。同じ日に同じ二つの新聞で取り上げていますから、何か発表の方法に違いがあるかどうかということですが、いまあえてこのことがようやく新聞に載ったということは、科学技術庁の発表した時点とそれとの差が非常に大きいものですから、行政的なからくりがどうなっているかお聞きしたい。
#79
○政府委員(石川晃夫君) 御指摘の点まことに申しわけないのでございますが、実は四十四年の一月と申しますのは、私たちが各省から報告を集めた時点で一月ということで書いたわけでございます。したがいまして、この報告書が四十二年度の調整費を使っています。やはり早急にこの結果をまとめないといけないのでございましたが、実際これはつい最近各関係の機関並びに都道府県へお配りしたというのが実情でございます。
#80
○杉原一雄君 それできわめてはっきりしてまいりました。新聞紙では六月二十六日に県がこれをいただいて新聞記者団等に発表したように書いてありましたので、役所の御苦労がわかりました。
 そこで今度は中身でございますけれども、膨大なものでございますし、私は特にしろうとですからなかなかのみ込みができないわけです。こういう期待を持ってお聞きしたいと思うから、報告の要点をしぼっていただきたいと思うのですが、これは現在、去年の三月ですか、現時点における実態調査であろうと思いますが、それはそれでいいですか。
#81
○政府委員(石川晃夫君) この調査を行ないましたのは実はこの中にもございますが、四十三年の三月から、これは実は年度といたしましては四十二年の終わりになるわけでございますが、四十三年の三月から四十三年の六月までの間にわたって行なわれた調査でございます。
#82
○杉原一雄君 そうしますと、いまこの間も総理府の長官が言っておりますとおり、現にイタイイタイ病公害患者として認定されているのが百二名、県の発表は新聞で見たのですが、百三名と書いてありましたが、その違いは、病床に伏している人たちに、この皆さん方に、科学技術庁から出した調査の結果が、あなた方はひとつ安心して病床に伏していなさい後ほど被害者の健康に関する法案もできるわけだし、また、裁判の面も急激にあなた方にだいじょうぶだと、明らかに神岡さんだというような安心感を与えるようなデーターになってるかどうか。いま病床に伏している百二名の側に立って、いまあなたの報告の要点をお聞きしたいと思います。それにしぼってください。あまりむずかしいことを言われると、病床にいる人はわかりません。ぼくよりもっとわからないんですから。
#83
○政府委員(石川晃夫君) これにつきまして簡単に御説明申し上げます。
 初めに、特別研究促進調整費ということでございますが、これは科学技術庁の中に特別研究促進調整費というものが計上されているわけでございます。この内容に二つございまして、通常各省間の協力を必要とする重要研究に出すものと、もう一つは、地震とか、あるいはその他の天災のような緊急事態に対処して早急に推進しなければならない研究という二つのものに対して、この特別研究促進調整費というものを支出しているわけでございます。今般のこの神通川の問題につきましては、これは後者の緊急事態における研究ということで、この特別研究促進調整費を支出したものでございまして、総額といたしましては、これに支出した額は、約六百万でございます。
 次に、この研究の経緯を申し上げますと、神通川流域に発生いたしましたイタイイタイ病につきまして、昭和三十八年以来厚生省におきましても、この原因究明というものを主といたしまして、疫学的な調査が行なわれてきたわけでございます。そうして、四十三年の五月には、この件に関する厚生省の見解というものが発表されたわけでございます。しかし、私たちといたしまして、このイタイイタイ病の続発を防ぐというために、この河川におきまして、どのようにカドミウムが物理的・化学的変化を行なうかというメカニズムを追求することと、それから理工学的な見地から予防施策というものを早急に確立する必要があるというふうに考えたわけでございます。この予防対策を確立するための研究を、厚生省と通産省とで実施していただくために、先ほど申し上げました特別研究促進調整費を四十三年の二月に配分したわけでございます。合計といたしましては、先ほど申しましたように約六百万でございます。両省にまたがりまして六百万でございます。
 この研究の内容でございますが、これは、ただいま申しましたように、理工学的な見地から、その予防施策を確立するという見地からこの研究調査を行なったわけでございますので、テーマを大きく分けますと、カドミウムが神通川流域においてどのような態勢にあるかということが、まず第一の研究課題でございました。それからその次には、やはり神通川におきまして、汚染寄与率というものがどういうふうになってるかということを実態から把握いたしまして、種々今後の研究に使用したいということでございます。もう一つは、堆積場からカドミウムがどういうようなメカニズムをもって浸出をしていくかという、この機構を研究する、この三つが大きな問題点であったわけでございます。
 この初めの神通川の挙動態様、中におきます態様を調べるということにつきましては、川におきますカドミウム化合物の形態別の変化を解明したいという目的がございまして、その結果につきましては、まず神通川のカドミウムの濃度を調べましたところ、私、実は地元でございませんので、地名については、あるいは不正確な点があるかとも思いますが、阿曽布橋の上流ではカドミウムはなかった。それから神通川第一ダムの下流でも微量であった。そうしてただ鉱山の付近においてはやや高い値を示したという結果が出ております。
 それから亜鉛につきましては、やはり傾向としてはカドミウムと大体同様の傾向を示しておるということでございます。
 それから神岡鉱業所からの坑廃水につきましては、堆積場及び亜鉛電解工場の排水等について、やはり異常値が観測されたということでございます。それから川からとりましたどろにつきましては、赤谷の上流と神通川第二ダムの下流は非常に分析値が低くなっております。やはり、鉱山の排水口付近の川のどろは高い値を示しておるという結果になっております。そのほか、この化合物の形態といたしましては、硫化物のような形で存在しているということがわかったわけでございます。
 次に、この汚染寄与率の研究でございますが、これは汚染の自然発生と、それから鉱山操業におきます発生の寄与率というものを調べたわけでございますが、結果といたしましては、なかなかこれを公式的に出すことがむずかしいので、やはりそのつど実測したほうがいいというような点が明らにかなったわけでございます。
 それから第三の堆積場からのカドミウムの浸出のメカニズムの研究でございますが、これにつきましては堆積場の堆積によります変化、圧力とかそのほかによります変化、それから堆積物からのカドミウムがどういうふうに浸出してくるかということで調べたわけでございますが、これにつきましては、堆積場ではカドミウムのほうが亜鉛よりも、いわゆる別に選択的に浸出されるということがわかったわけでございます。このような結果が得られたわけでございますが、これによりまして、この報告書で各省からの意見をまとめましたところが、やはり神通川流域におきましては、川の中のカドミウムの濃度というものは、世界保健機構の水質基準以下であるということがわかったわけでございます。なお、水質を改善するために、この亜鉛電解工場、あるいは堆積場、それから選鉱場の排水及び河川水というものにつきましては、さらに調査研究を加えまして、選鉱工場の排水の再使用、あるいは工場からの排水処理の自動管理というような、具体的措置を進めることが必要であるということで、これは行政官庁のほうでその旨を体して、いろいろ今後の行政を進めていただきたいということで、この報告書は終わっているわけでございます。
#84
○杉原一雄君 何かわかったようなわからないような話ですが、ただ非常に心配になるのは、現在調査研究の時点で、鉱山の堆積場なり、その周辺にはばく大なカドミウムがあるということは、これは証明されますね。四一・〇〇ですから、WHOが〇・〇一ならば四千百倍という表現が新聞紙上等でいわれているわけですが、たいへんなことです。このことは逃げも隠れもできない事実でしょう。そこでなお関連しながら、上流にはあまりなかった、工場の上流にはなかった、ところが、下流に行くに従って、きわめて薄い、特に飲料水、水を飲んでもだいじょうぶだという結論が出たのですね。そうしますと、ここで問題が出てくるのは、百二名だけが病床に伏しているだけではなくて、過去何百人の人が病に苦しみ、かつ死んでいったわけですから、そうした問題に対してこれは犯人はどこなんだ、神通川の水なんだということは、いまの調査の中から答えが出るのですか、出ないのですか。その辺から聞かしてください。
#85
○政府委員(石川晃夫君) ただいま申しましたこの報告書に述べてありますように、この調査は実はそういう理工学的な、科学技術的な調査ということでございまして、実はどこからどういうふうに出て、それがどういうふうな行政的な措置を講ずるかというようなことは、実はこの調査の範囲に入っておりませんので、それぞれこの調査報告を生かして、各行政官庁に、担当の行政官庁において、それぞれの措置をしていただきたいというのが従来特別研究促進調整費で行なっております研究でございます。
#86
○杉原一雄君 それでは、この報告書のたてまえが理解できましたが、そうしますと、いま私たちが審議をしております公害紛争処理法案というのがありますが、案の字は間もなく取れるかもしれませんが、取れて法として実動した場合に、いま、具体的なケースでございますから、より具体的に答えてほしいのでありますが、担当はいずれかわかりませんから、担当のどなたかからでも、総理府かもしれませんが、わかりませんが、これでいまの場合二百数十名、それは現在病にかかっておる人もあるし、過去母を失っていった遺族もありますから、たくさんの人が約七億円の損害賠償を提起して裁判に訴えているわけですが、しかもそれは訴えている対象も明確なんです。そこで、いまそういうことはあるかないかは別として、仮説でございますが、この法案が通りましたら、そこでその損害賠償の請求をする、そういう被害者側のつまり要求行動といいますか、具体化するためにこの法案を利用するとしましょう。そうしますと、それは法案の第二十四条によって申請することになるわけですが、いまの状態はあなた方が一番よく知っているわけですから、その申請の手続を整えているのですか、どうですか、その辺をお聞きしたい。
#87
○政府委員(橋口收君) イタイイタイ病につきましては、御指摘がございましたように、現在訴訟に係属中でございまして、最高裁の調べによりますと、第一次訴訟、第二次訴訟、第三次訴訟、三つの訴訟を係属中のように承知いたしております。
 お尋ねがございました公害の紛争処理法案が成立いたしまして、中央公害審査会あるいは地方の公害審査会等が発足いたしました場合に、この種の訴訟係属中の事案について紛争処理法案がどういうふうに働くかと、こういうお尋ねでございますが、これは現在訴訟に係属中の案件でございましても並行して紛争処理法による救済の手続を受けることは可能でございます。ただその場合、現在裁判所で訴訟が係属中でございますから、たとえば訴訟期日の設定等につきまして、公害紛争処理法によります調停なり救済なり、これが進行する間は、裁判所の手続は裁判所の判断において便宜決定されると、そういう形になろうかと存じます。
#88
○杉原一雄君 そこで法四十三条というのがあるのですが、法四十三条による資料提出の要求など、いよいよ仲介になるか調停になるか、いずれにしろ、この法のやっかいになるといたしましょう。その場合に「資料提出の要求等」というので第四十三条に記載されているわけですね。それは四十三条の後段ですけれども、「必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、公害発生の原因の調査に関する資料その他の資料の提出、意見の開陳、技術的知識の提供その他必要な協力を求めることができる。」ということですが、いま申し上げた具体的なイタイイタイ病患者ないし被害者の立場からここへ問題を持ち込んだ。そこでまた持ち込まれた側の中央委員会なり地方の審査会なりが資料を請求するわけです。ときたまたま私はイタイイタイ病の問題を審理する場合に、いま出されたこの資料というのはきわめて重要な資料だと思います。そこで、ただここできめ手を欠いておる点があるのじゃないか。つまりそれは去年の三月現在の時点でこれが調べられたものであって、このことから、いまたくさんの患者を出している地域は、この神通川の水を飲んで病気になったと多くの人は言っているわけですが、この調査は、水はだいじょうぶだと書いてある。そうしますと、水を飲んでこうなったといういまの患者の訴えとこの調査の間には不一致が出てくるわけです。それは時間的な問題ですからね。そうすると、その時間を詰めて、そうなんだという結論の資料提出の要求が、科学技術庁なりそれぞれの所管のところに要求されるだろうと私は思うのですね。そういう場合に受けて立つというのはどの官庁になるわけですか。
#89
○政府委員(橋口收君) 四十三条で資料の提出の要請をすることにいたしております資料は、あくまでも現存の資料という意味でございます。したがいまして、いま御質問ございました関係行政機関、これは相当の数があると思います。したがって、関係行政機関がすでに調査した資料については、提出の要請ができるわけでございます。ただ進んでさらにいま御指摘がございましたような食い違いがあるといたしました場合に、さらに必要な調査をいたします場合には、中央委員会あるいは審査会独自の調査もできるわけでございまして、衆議院の修正によりまして専門調査員の制度が設けられたのでございますから、さらに専門調査員に委嘱して調査をするなり、あるいは大学の専門家に調査の委託をしまして調査をするということも可能でございます。四十三条は、主として関係の行政機関あるいは地方公共団体に対して現存の資料を提供してもらうということが中心でございます。
#90
○杉原一雄君 いまの答弁、私は非常に重大だと思いますね。そうしますと、おっしゃったことはそれでいいのだと思いますが、いまの時間的なそれを詰めていかなければなりませんから、萩野博士ではないけれども、イタイイタイ病患者が今日のように第四期、第五期の症状を呈するまでには三十年ないし四十年のキャリアが必要だという医学的には説明なさっておるわけですから、三十年、四十年を詰めて犯人はこれだという決定的なデータを出すとすれば、いま役所側では現在まで出している既存のものを提出するという義務はあるけれども、それ以上踏み込んだことはできないと、こうおっしゃるわけです。だから、そうならば、いまこの紛争処理機関のほうで調査する機関を、まず手足のしっかりしたものを持たなければならぬということが確認をされたわけですね。また手足がなければとりあえず手足をつくるということが必要になってくる。しかも、その手足はかなり権威を持たなくてはならない。それは非常にこの法ができたあとのそうした問題を処理する場合に、この委員会の手足の調査機関、そうしたものの充実がいまの答弁で非常に重要性を痛感するわけです。きょうはこのデータが間違っているとかいないとか、そういうことはぼくは何も言っているつもりはありませんが、ときたまたまこのデータ、先ほど申し上げたように、あくまで去年の三月前後の調査でございますから、下流に住まいをし、イタイイタイ病で苦しんでおる人たちが飲んだ神通川の水はだいじょうぶだという結論がここに出ておりますので、このことから、紛争処理法案を適用した場合にどういう問題が起こるかということを聞いて、きょうは答弁の中から明確にすることができました。とりあえず逐条審議するつもりはなかったのでありますから、神通川の問題はこの程度でとどめておきたいと思います。
 その次は、木曽川でアユが大量に死んだということについて、各省庁それぞれ調査なり研究なり、原因究明に努力されているということも承知いたしております。そこで、きょうは七月の二日でありますが、最もぎりぎり近い時点で、これはまず第一点、どれほどの被害があったか。被害にもいろいろ考え方があります。しかし、いま取りざたされているのは、どのくらいアユが死んだかということになると思いますが、私はそれが被害のすべてとは思いません。だがしかし、いま社会問題、地域の大きな問題になっているのは、大量のアユが死んだということでございますから、その面の被害の掌握、どれくらいであるか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
#91
○政府委員(武藤g一郎君) 農林省のほうが見えていないようでございますけれども、私どもの県から報告を受けております点では、約十万尾でございます。
#92
○杉原一雄君 それはほんとうなんですか。
#93
○政府委員(武藤g一郎君) 県からの報告でございます。
#94
○杉原一雄君 愛知県の報告ですか。
#95
○政府委員(武藤g一郎君) さようでございます。
#96
○杉原一雄君 そういうことは、私のほうで水かけ論をやっておってもはじまりませんから、十万尾という数字にしてもたいへんな数字ですが、一説には、私のほうに参った、これは愛知県の社会党本部からの調査が参っているのですが、愛知県の社会党本部では一尾、二尾と読んだわけじゃないですが、しかし、だれかれが言っているという数字を報告してきているのですが、少なくとも五十万内外のアユが死んだに違いないと。毎日新聞は、四千万死んだといっているけれども、そんなことをどうして数えたのかということをコラム欄でやじっておりましたが、その数字をあまり言いますとまたコラム欄に出ますから、言わないことにしますが、問題の真相究明にどういう形でいま組織的にこの仕事を進めているか。たとえば、法律を一つとりましても、飲料水の問題なら刑法百四十四条とか、魚だけの問題なら水産資源法の問題とか漁業法の問題とか、いろいろ法によって担当分野は違ってくるだろうと思いますが、現在進められている調査、検討の機構、しかも最終的にどこでそれを掌握しているか、中央官庁として。そのことをちょっと聞きたいのです。
#97
○政府委員(矢島嗣郎君) 最初に現地の機構から申し上げますというと、従来中部地方、東海地方におきましては、この種の公害がときどきあるわけでございまして、そのために中部地区の公害対策協議会というようなものができておりました。これに愛知県、岐阜県、場合によりましては三重県が加わる。それから中央の出先機関のある建設省の中部地建、あるいは農林省の東海農政局ですか、それから通産省の名古屋通産局、こういうものでもって組織されているわけでございますが、先月の十五、六日、このアユの大量斃死問題が起こりますと、直ちにこの公害対策会議が招集されまして、いま言った――まあ三重県は入っておりませんけれども、愛知県、岐阜県、それから中部地建、名古屋通産局等でもって精力的に各種の調査並びに改善指導を行なっているわけでございます。厚生省の関係は出先機関がございませんで愛知県の衛生部、岐阜県の衛生部がそれぞれ厚生省の出先ということでやっているし、農林省関係は、県の水産関係の部課がそれぞれやっていると。通産省のほうは、工場のほうを所管しているわけでございますので、名古屋通産局がやっております。それからこういう問題は川の管理等と密接な関係があるので、中部地方建設局がそれぞれ調査その他をやっているということでございまして、私の見るところでは、この公害対策協議会がすでにできておったためもありまして、非常に敏速なる措置をとっているように思うわけであります。この協議会の調査結果というものが次から次へと出ておりまして、原因の究明あるいはその結果のとるべき措置というものが敏速に行なわれているようでございます。
 次に、そういう地方組織に対して中央はどういうふうになるだろうかという先生の御質問でございますが、これはやはり水質保全法というものがございまして、今回この改正を御審議願っているわけでございますが、水質保全法に基づきまして、水質保全法の所管は経済企画庁でございますので、この種の公共水域に関する公害問題につきましては、中央組織といたしましては、水質保全法に基づき、その運用として経済企画庁が取りまとめるということでして、それに対して厚生省、通産省、農林省、建設省等が協力する、これが中央の組織ではなかろうかと思います。
#98
○杉原一雄君 大体わかりました。
 そこでぎりぎり最も新しい調査の結果ですね、それはいまおっしゃったような形の総合的な結論ではないと思いますが、愛知県の公害課が二十七日ですか、きわめて新しい時点で、これはと思うような何か調査結果を発表しているのですが、それはどの官庁かで掌握しておりますか、掌握しておいでになるならば、その内容をひとつここで明らかにしていただいて、しかもそれを土台にして犯人はだれかということを、ここで中間的な結論出していただけないかな、無理かな。ぼくはできると思うのです、しろうとだから。くろうとは苦しいでしょう、ああいう大臣の下ですからやりにくいでしょう。ぼくらしろうとはすぐわかりますが、もしできたら中間結論を聞かしておいてください。
#99
○政府委員(矢島嗣郎君) いまから申し上げることは、通産省にも厚生省にも同じ報告がきてまいっているわけでございますが、私から申し上げますというと、二十七日の結果では、二十四日に愛知県と通産局とが両者でもって検査した結果は、もうすでに新聞にも出ておりますが、ニチボー犬山工場につきまして、PHが基準値よりもオーバーしている、これはすべての項目について、PHに限らずCOD、SS、それから規制項目ではありませんけれども、今回の問題にかんがみまして亜鉛、カドミウム、クローム、シアンその他も調べたわけですが、問題となるのは、ニチボー犬山工場について、PHがオーバーしているということと、それから木曽川筋に関してはメッキ工場が一つだけ、シアンについて非常に高い数字を示しているということが言えるわけでございます。なお、このシアンにつきましては、同時に木曽川筋にあるといなとにかかわらず、毒物劇物取締法の関係がございますので、愛知県が県内全部この際調査した結果、基準値をこえているものが相当数あるということが言われております。
 それからなお、同時に、上流のほうに二村化学というのがございますが、これは規制項目にはないですけれども、亜鉛の排出量が相当多いということで、これを一〇〇PPM以下にするように指導いたしまして、その施設が六月三十日に完成したというふうに聞いております。
 それから農薬につきましてもいろいろなことがいわれておったわけですが、一応農薬の分析結果ではさしたる問題はない、こういうふうに言っております。
 それからついででございますが、先ほど申し上げましたように、六月二十四日の結果ではニチボーの犬山工場のPH、それからもう一つ、あるメッキ工場のシアンが問題となっておるので、上記二工場を呼び改善指導を行なったわけでございますが、六月三十日にはニチボー犬山工場におきましては改善計画を提出し、それからメッキ工場につきましては塩素処理をしてシアンについての対策を講ずる、こういうことで話がありまして、目下その改善計画の内容について検討中でございます。
 以上でございます。
#100
○杉原一雄君 先ほどちょっと二村化学ですか、これはどのくらい亜鉛が出たのですか。一〇〇に押えるというわけですから、現在まで検出したのでは幾ら出ているのですか。
#101
○政府委員(矢島嗣郎君) 亜鉛の測定点の問題がありますが、川に出る排出口におきましては一〇〇PPMということになっているわけですが、排出口に出る少し前の段階でもって二〇〇程度の数字が出ておるというのが二村化学の状況でございます。
#102
○杉原一雄君 私のほうに出てきている資料は間違いですか、三七〇と出ているのです。矢島さん、もう少し念入りに調べてください、たいへん大きな数字の違いでございますから。同時にまた、いま二工場について改善命令等を出されたわけですが、これはとりあえずやらないと、アユだけじゃなく、飲み水にも影響するというような緊急的な問題を含んでいませんか、どうでしょうか。
#103
○政府委員(武藤g一郎君) 飲み水につきましては名古屋市の水道局が十分検査をしておりまして、現在のところだいじょうぶでございます。
#104
○杉原一雄君 その次、木曽川の水質に関する、これはどこから出るわけですか、経済企画庁ですか、出たのは昭和三十八年六月十三日にこれは漁民の協同組合等から出た、常識的というかきわめて素朴な要求として、この基準が甘いんじゃないか、もっと強くしてくれ、こういう要求が出ていることを、これは県当局がその要求を受けているわけですが、そうした要求があった場合にあなた方はどうお答えされますか、これでいいでしょうとお答えされるだろうかどうか。
#105
○説明員(宮内宏君) ちょっと聞き漏らしたのですが、日にちはいつでございますか。要求の日にちでございます。
#106
○杉原一雄君 要求は二十幾日ですか……県庁に代表者が押しかけてきているのですね。そうした中で、これはちょっと基準が甘いんじゃないかという素朴な感じからくる要求だと思いますが、自衛上やむを得ざる発言だと思いますが、日にちはちょっと見ればわかります。
#107
○説明員(宮内宏君) お答えいたします。
 木曽川につきましては、先ほど出たかと思いますが、昭和三十八年に水質規制が出ておるわけでございます。
 水質保全法は昭和三十三年にできまして、三十四年から重要河川でございますので直ちに調査に入りまして、四年、五年と水質調査をやりました。そうしてその当時は、カドミウムとかそういうふうな重要な問題とは思わなかったということもあると思いますが、汚濁の内容としましては紡績工場それから製紙会社というふうなことで規制をしたわけでございます。
 その中で魚に関係しますCO、それから酸性度をあらわしますPH、それから懸濁物のSSという、実は三項目しかきめていなかったのであります。
 最近、工場等もふえてきておるので、少し水質が悪くなったようだからということで検討してみてくれというお話をちょっと私も、日にちを忘れましたけれども、県のほうから聞いた記憶がございます。
#108
○杉原一雄君 ではこれで質問を終わりたいと思いますけれども、私はどうしてもその水を飲んだりあるいはアユをとって暮らしたり、地元で生活をしている大衆が受けている危機感とかそういうものは大事にしていかなければならぬと思いますが、先ほどちょっと質問のときにはっきりしなかったわけですけれども、日にちは六月二十七日です。この問題を提起してきたのは、地元の四漁業組合の服部という組合長です。しかもこの人はこう言っているわけですね。三十五年以来、何回か繰り返されてきたアユの死についてということで、みずからの今日までの体験をるる述べられ、いま申し上げた要望をしている。このことをひとつ踏まえてほしいと思います。
 もう一つは、これはもうきわめて一個人の見解ですが、しかし私大事にしたいと思いますが、名鉄の遊覧船に乗っている船頭さんの横山操さん、七十一歳は、昔の木曽川はきれいだった、私は十五歳で船頭になり、木曽川の川底にある玉石を採取しては笠松まで船で運び売る仕事をしていたが、三メートルほどの川底も上からよく見えるほど美しく、川の水をお茶がわりによく飲んだものである。いまでは五十センチ川底でさえ濁って、ひどい悪臭の水が流れるので胸がむかつくほどと言っておる――こういう社会党県本部からの報告が実は参っておるわけですね。私そこに真実があると思う。この真実を大事にしながらいま私は、最近、もうごくぎりぎりの最終的な調査の結果というのは、愛知県の公害課を基礎にして皆さんもそれを基礎にして改善命令等の話が出たわけですから、これは急いでやはり調査なり検討を早く出していただいて対処していただかないと、ある学者が言っているように、飲み水までにも浸透するおそれがありと言われているくらいでございますから、これはたいへんな危険な内容を実は持っているのではないかというふうに思われますので、非常に緊急な問題でございますので、十分各省連絡をとって対処されることを特に希望を申し上げて、この質問を私は終わります。
#109
○田中寿美子君 関連して……、カドミウムに関連しておりますので、鉱山保安局の方にお尋ねしたいと思うのですが、いらっしゃいますか。――申し上げておいたのですけれども……。
#110
○委員長(瀬谷英行君) ちょっと速記をとめて。
  〔午後零時二十分速記中止〕
  〔午後零時四十五分速記開始〕
#111
○委員長(瀬谷英行君) 速記をつけて。
#112
○田中寿美子君 それでは、カドミウムの問題で安中の東邦亜鉛のことはたびたびもうすでに問題にしてきたのですけれども、特にここ一両日の問題なんですが、東邦亜鉛が拡張計画をして、そうして通産省が許可をおろしたわけですね。四十四年一月に一万七千トンの許可をおろした。ところが、これは四十二年度に一万一千トンの拡張の許可をし、四十三年度一万四千五百トンの許可の申請があった。ところが、このときにすでにカドミウムの問題が問題になっていて、だから排煙の中にあるカドミウムの調査をしないで許可をおろすことはけしからぬということで、わが党のあそこの地元の山口鶴男さんなんかが盛んに追及をされて、そうして通産省は許可をおろさなかったのですね。おろさないのにもかかわらず、東邦亜鉛は操業をすでに始めていた。そうして四十四年の一月に一万七千トンを許可された。そのこと自体が非常に私ども疑問に思うのですが、それは、通産省はどういう見解から一万七千トンの許可をなすったのかということが一点。
 それからもう一つは、四十三年度に許可がないのに、すでに一万四千五百トンの拡張をされて操業を始めていた。そのことについて違法であるということで、通産省自身が、これは鉱山保安法八十九条ですか、――の違反で、前橋地検に書類送検したということですね。その事実はあるのかどうかということ。まず、その二つ。
#113
○政府委員(橋本徳男君) 安中の問題につきましては、たいへん世間をお騒がせいたしまして、申しわけないと思っております。
 この問題につきましては、実は、昨年十月に東京鉱山保安監督部の監督官が安中製錬所に行きまして、いろんな、水等の検査をいたしました過程において、どうも設備の状況が従来の記憶と少し違っておるというふうなことに感づきまして、それでこれは違法であるから新しく認可をとらなければならないというふうな忠告をいたしまして、それで安中の製錬所から十一月二十六日に認可申請書が出てまいったわけでございます。そのときに同時に、これは設備の拡張だけではなくて、それに伴います各般の予防施設がついて出てまいっております。したがって、東京鉱山保安監督部といたしましては、その点につきましても少なくとも十分に調査をしたというふうな現在話になっておりますが、そういたしまして、――一応その前に鉱山保安法の体系といたしますれば、まずそういった設備の変更の場合には法律に基づきまして認可申請をいたします。しかし、この認可申請はあらかじめする関係で、あくまでもデスク上の問題でございまして、かりにこれが認可がおりましても、それが実質的に害があるかどうかというふうなことを調べるためのもう一つの段階がございまして、これは法律の九条になりますが、いわゆるそれによる竣工検査というものがありまして、認可の際につけました諸条件がはたして実際に具備されておるかどうかというふうなことを確認したときに、初めてその施設の操業が許される、こういうふうな実は手順になっておる次第でございまして、それで東京鉱山保安監督部といたしましては、書類で出てきましたいろいろな申請書、それに基づきまする公害予防施設の状況等を判断いたしまして、むしろ申請前の状態よりも水も改善され、煙も改善されるというふうなことが、その中に計数的にはっきりと施設の状況等から出ておるわけでございます。しかも、それはいわゆる一般的に定められておりまする水につきましても〇・〇一PPM、それから煙につきましても、アメリカの労働基準でございまするものの三十分の一ないし百分の一をはるかに下回るという形になるというふうな実は申請書であったようでございまして、それでそれを根拠にいたしまして、一月の二十五日に監督部はそれを認可を与えた。そうして認可を与えましてもう一つの段階がありまして、はたしてそれが認可したときの諸条件のとおりに行なわれているかどうかということで、その検査が実はあるわけでございます。その検査に合格しなければ結局その施設を動かしてはいけない、こういうふうなことになるわけでございますが、現在は要するに、煙、水両方の面につきまして監督部は実際に申請のとおりに、かつまた、基準以下になるかどうかというふうなことの検査段階でございます。したがいまして、そういう検査完了前に施設自体が動いておるというふうなことは違法行為でございますので、さっそく東京鉱山保安監督部から前橋の地検に相談を持ちかけまして、これは法律違反というふうな形において現在送致をする手順を進めておる段階でございます。たまたまそういった段階にございまして、先般行政不服審査法に基づきまして、地元の人たちからその認可を取り消すようにということが第一点と、それから裁決がおりるまでの間、その認可の効力を停止するようにというふうな実は法律上の要請がございまして、現在その法律に基づきまして、処分官庁である東京鉱山保安監督部からわれわれのほうへ法律に基づきまするいわゆる弁明書というものを提出させるべく現在その手続を進めておりまして、その弁明書が出ますれば、そこで十分検討いたしまして、はたしてその行為が適法であり、適正であったかどうかというふうなことは、いわゆる公正なる裁判的な立場においてわれわれは判断をしていきたいというふうに考えております。
 それから第二点の送致の問題につきましては、これは司法処分でございますので、その司法処分を立証するデータその他が様式がございまして、そういったものが整い次第送致をするというふうなことで、現在手続を進めておるという段階でございます。
#114
○田中寿美子君 いまその地域の住民たちが許可の取り消し、行政不服審査の申し立てをしているところまでお話しになりました。これはまず四十三年度に許可のおりていないものを操業していたという違反の問題がありますが、これについてはなお調べると。その前におっしゃったことで、一万七千トンを許可したのについては、向こうから提出した資料によって判断をされたわけですね。鉱山保安局も調査をしていられたですね。私が現地に行ったときは、あそこの安中の東邦亜鉛の工場長は、通産省も調査をしているというふうに言ったのです。厚生省がしていたことはよく知っております。で、いまおっしゃったのは、工場側から出してきたデータの中に、煙も水も基準以下である、たとえば煙はアメリカの労働基準の基準よりは低いのだというふうにおっしゃったけれども、私は、この辺は厚生省の意見も伺いたいのですが、労働者が職場で働く基準は相当高いのです。一般住民の環境基準よりはるかに高いものをみんな基準にしておるわけですが、あそこの安中の排煙というのは、安中の工場の中で働く人にももちろん問題でございますけれども、あそこの付近の三つほどの部落にとって非常に重大なんですね。ですから、水も、それから特に排煙の調査を厚生省のほうはやっていなかったということで、いまあらためてやっていらっしゃるはずだと思うのですが、それは厚生省のほうの意見はどうですか。いまの労働者の働く職場での基準というのは環境基準とは違うはずだ。だから環境基準というのはもっときつくしなければいけないと思うがどうかということ。それからそういう調査はまだ実施中なのに、調査の結果が出ていないのに、一万七千トンの拡張工事の許可をしたということは疑義があると思うのですが、この点です。
#115
○政府委員(橋本徳男君) 第一点につきましてでございますが、要するに、法律上こういった施設の許認可の問題、これはすべて、責任のがれをするわけじゃございませんけれども、地方の局部長の権限というふうなことになっておりまして、本省が実は調査いたしましたのはもちろんそういう処分があってからのことでございますが、むしろ水、煙、こういったものにつきまして監督部がどういう検査をしてどういうふうな形でやっておるかというふうなことを確認するという意味におきまして本省で行ったわけでございまして、直接その設備増設との関係で参ったわけではないんでございます。それから一万七千トンの問題、これはさらに監督部の弁明書が出ましてから実態ははっきりしますけれども、いま口頭でいろいろ調査しておる段階といたしましては、先ほども申しましたように、監督部のそのときの判断というものが必ずしも現段階で私は適正であったとは申すわけではございません。わけではございませんが、先ほど申しましたように、法律の体系といたしまして設備の認可問題はあくまでもこれは書類だけによってということが、何々しようとするときにあらかじめ提出せいと、そうしてその認可をとれというふうなことになっております。認可が済んで設備ができますればそれの今度は竣工検査をやる、竣工検査をやるときに、この机上でいろいろ条件として出しておることが具体的に裏づけられるかどうかというふうな形において、その段階で初めて施設が稼働し得るというふうなことにはなっておるわけでございます。その当時、要するに、十一月の末に認可申請が出まして、それで一月の二十五日にこれを承認したと、その過程においてはもっぱらそういったいわゆる書類上の審査、これは相当こまかいところまで、たとえば防除施設はどうするか、どういう能力からどうなる、この防除施設が現在こういう数であるけれども、そういったものがさらにどれだけの能力増になって除じん能力がふえるかといったことを非常にこまかく、結局机上で検討をした、そうしてまあ監督部といたしましては、こういうことなればむしろ設備増設前よりもより改善されるという判断もしたであろうというふうに私たちは現段階においては承知しておりました。こういった点につきましては、法律の手続に基づきまして、書類で弁明書自体が出てきました際にはこの弁明書はわれわれだけではなしに、いわゆる向こうの弁護士サイドのほうにも一部法規上提出するという義務がございますので、向こう側にもこれを渡す、これが妥当であったかどうかはその段階で十分に検討してみたい。さらに要するに、認可の段階はいわゆる理論的、計数的な形において判断をやって、それからあとそれが実際にそういう数値で処理されておるかどうかといういわゆる完成検査の段階におきましては、先般も地元の方にお話しをしたのでございますが、地元の非常に不安を持っておられる方々の推薦する科学者、それをひとつ出していただいて、その役所だけの実態検査ではなしに、推薦する科学者に調査してもらう、そうしてそれによって実態面としてこれが適正であるかどうかということを調査をいたしまして、それで納得がいった線で初めて稼働の承認が与えられるというふうなことにしておりまして、いろいろお騒がせして申しわけないという気持ちもございますが、そういった面におきまして十分その辺の趣旨は徹底させていきたいというふうに考えております。
#116
○田中寿美子君 さっきのことを厚生省公害部長さん……。
#117
○政府委員(武藤g一郎君) 安中の大気汚染の問題につきましては、厚生省といたしましては二月に県と調査をいたしたことはございます。この調査が非常に十分ということでございませんでしたので、大気汚染のことについて住民が非常に不安になられておるということで、五月の末に一週間ほど私どもとしては調査をいたしたわけでございます。それからさらに秋におきましても一週間程度の大気汚染の調査をいたしたいと、かように考えております。
#118
○田中寿美子君 ちょっといま一つ私がお尋ねしたポイント、労働基準……。
#119
○政府委員(武藤g一郎君) 一般の環境基準の問題でございますが、いろいろ世界各国におきまして環境基準がすでにきまっていない問題等につきましては、いかにして環境基準をきめるかということは非常に問題でございます。私どもとしましては、大体労働衛生の観点から、いろいろな基準の百ないし三十分の一ということを先ほど通産省のほうからお答えございましたが、そういう点で一つの目標を立てるつもりでございます。この点につきましては、外国等におきましても、いろいろはっきりとデータがわからない場合には、おおむねそういうような観点で環境基準等をきめているようでございます。
#120
○田中寿美子君 それじゃもう一点だけです。
 現地でいま住民がたいへんこれを不安に思っている、それで二十八日に行政不服審査で工場の新しい拡張の計画による操業を停止することを申し立てておりますね。それに対して、住民が推薦する科学者を呑めた調査をしてもいいというふうに言われたのですが、この不服を行なったのは住民の代表とわれわれの山口鶴男さんと、それから向こうの弁護団が一緒にやったわけですが、そのときに現地調査に住民の代表を含めてくれという要望がありますね。これをどう思われるかということと、それからいまのおことばの中にもありましたし、さっき前川さんも番ノ州の問題で住民の納得が得られないで認可をするということはないはずだという話があったわけですが、あすこの住民は非常に不安で、拡張工事、ことにあれは内陸部ですから東邦亜鉛というのはたいへん相当数住民の住んでいる中に入っておるわけで、あすこをどんどん拡張することについて非常に私ども不安を持つわけです。住民が不安を持つというのは当然だと思うわけです。あすこに拡張の気配があったものだから、それで二十七万五千ボルトの送電線を設置することに対して住民が土地を譲らないということで反対しておりましたね。こういう状況の中で納得なしに許可をするということはしてはいけないのではないかと思います。その二つの点を最後にお尋ねして――なおこの問題は、今後衆議院でも参議院でも追及していくはずでございますから、きょうは私はこれだけにしておきます。
#121
○政府委員(橋本徳男君) 第一点の住民の方の代表を今後の調査にという点につきましては、私これ要するに、住民の方の代表の方、並びに住民の方の推薦する科学者、こういったものを交えての調査、これは十分それでけっこうでございます。また、それをやっていくべきだというふうに考えております。
 それからいろいろのそういった周囲の事情、住民の方たちの不安のあるさなかにおいての認可という問題は、先ほど言いましたように、法律的に二つの段階がございまして、いろいろ実際認可しましても問題は動かせるものではなくて、実質的にはそういった完成検査の段階でなければならないという法体系にはなっておると思いますが、これはしかし、鉱山保安法の特殊な形態でございまして、一般の方から言いますれば、認可即稼働というふうに受け取るのが常識であろうと思うのでございます。そういった点につきまして、確かにそういったことをやることについてのいわゆる法律の問題は別として、配慮が若干足らなかったということは、これはわれわれといたしましても十分反省すべき点だというふうには考えております。
#122
○委員長(瀬谷英行君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後一時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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