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#1
第061回国会 産業公害及び交通対策特別委員会 第14号
昭和四十四年七月九日(水曜日)
   午後一時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月三日
    辞任         補欠選任
     前川  旦君     加藤シズエ君
     原田  立君     小平 芳平君
七月八日
    辞任         補欠選任
     加藤シズエ君     成瀬 幡治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         瀬谷 英行君
    理 事
                大谷 贇雄君
                黒木 利克君
                松澤 兼人君
                内田 善利君
    委 員
                菅野 儀作君
                土屋 義彦君
                山内 一郎君
                渡辺一太郎君
                杉原 一雄君
                田中寿美子君
                成瀬 幡治君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       国 務 大 臣  菅野和太郎君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長      橋口  收君
       経済企画政務次
       官        登坂重次郎君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       厚生政務次官   粟山  秀君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    武藤g一郎君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  矢島 嗣郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局参事官   宮内  宏君
       経済企画庁国民
       生活局水質保全
       課長       白井 和徳君
       厚生省環境衛生
       局水道課長    国川 建二君
       厚生省薬務局薬
       事課長      野海 勝視君
       建設省河川局水
       政課長      堺  徳吾君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法
 案(内閣提出、衆議院送付)
○公害紛争処理法案(内閣提出、衆議院送付)
○公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(瀬谷英行君) ただいまから産業公害及び交通対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 去る七月三日、原田立君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。
 また、昨八日、加藤シヅエ君が委員を辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(瀬谷英行君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案(閣法第六三号)、公害紛争処理法案(閣法第六八号)、以上衆議院送付、公害に係る被害の救済に関する特別措置法案(衆第一〇号)、公害紛争処理法案(衆第二〇号)、以上予備審査、公害に係る健康上の被害の救済に関する法律案(参第一号)、公害に係る紛争等の処理に関する法律案(参第五号)、公害委員会及び都道府県公害審査会法案(参第六号)の七法案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(瀬谷英行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(瀬谷英行君) 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案(閣法第六三号)
 公害紛争処理法案(閣法第六八号)
 公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第九四号)
 以上(いずれも衆議院送付)を一括議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○成瀬幡治君 愛知県の木曾川と言うんですか、岐阜県というか、三重県、そういうところでアユが大量に死んだ。そのことで何が原因であろうということでアユの内臓等を検査してみたら、その中からカドミウムが出てきた、あるいは亜鉛が出てきた。あるいは木曾川の底層の珪藻を検査してみたらカドミウムがあった、亜鉛があった。また、銅も検出されておるというような問題が出てきておるのです。そこで、愛知県なり岐阜県等があわてまして、各工場の立ち入り検査等もやっておるようでございますが、私が問題にしたいと思いますことは、もうすでにカドミウムあり、亜鉛もあり、銅もある。あるいはシアンもあるというような毒物なり、あるいは重金属で木曾川が汚染されておる。しかも、その木曾川は名古屋市の上水道になっておる。あるいは下流へ行けばこれは農業用水にもなっている。もちろん、川のことでございますから、水産いわゆる魚のほうの問題もございますが、一体これはどういうことなんだろうか。このまま放置しておいていいなどとはお考えになっておらないと思いますが、どういうようなことを、いわゆるアユが大量に死んだということを契機として、あるいはそうではなくて前々からこういうようなことがあったのだから、やろうやろうとして、あるいはこんなこともすでにやってきたんだというようなことがあれば、対策を中心として、まずやっておみえになったこと、あるいは今後やろうとされるようなことを承りたいと思います。
#8
○国務大臣(菅野和太郎君) 具体的には政府委員からお答えさせますが、木曾川の問題につきましては、これは昭和三十八年の一月の水質保全法に基づきまして、水域の指定及び水質の基準の設定をもうすでにいたしておるのでございますが、しかし、その後において木曾川にいろいろ工場がたくさんできてきて、その工場から排出される水の中に、いま御指摘のような毒物などが出てきておったと思うのでございまして、その関係でアユが、この間たくさん死ぬという問題がありましたので、さしあたりその点につきましては、愛知県庁においてそれぞれ調査いたしておるようでありまして、その調査の結果については事務当局から御報告させます。
#9
○政府委員(八塚陽介君) いま大臣からお答えを申し上げましたように、三十八年の一月に水質保全法に基づきまして、水域の指定とそれから基準をかけたのでございますが、御承知のように、当時主たる工場といたしましては、紡績あるいはパルプ関係の業種――パルプ関係の業種はなおもう少し詳しく幾つかに分けてはおりますが、大体この二つの業種の工場に対して排出規制をかけたわけでございます。そういう工場でございますので、基準の項目といたしましてもPHであるとか、あるいはCODというようなことで、ただいま大臣が申し上げたように、その後の流域の汚濁源と考えられますようなその他の業種の工場がかなり出てまいっております。それから都市化もやはり若干進んでおります。そういう点につきましては、実は今回の事件を契機といたしまして、時間もたっておりまして、地域も変化いたしておりますので、私どもといたしましても、現在の事件の調査の推移を見まして、新しくもう一ぺん基準のかけ直しという必要があるのではないだろうかというふうに考えております。ただ、今回のアユの大量の斃死、それは確かにアユのからだの中からいろいろな重金属が出ておりますけれども、必ずしもいままでのところでは、アユの斃死がそういう重金属のためである、あるいはその原因が何かというふうに原因が十分究明――原因と申しますか、原因と同時にそのメカニズムが十分に究明をされておりません。これは現在、御承知のように、地元で関係各省の出先機関と愛知県、名古屋市とが協議をいたしておりまして、その究明をやっておりますので、私どももその結果を待って、そしてそれに対応してどういう工場にどれくらいの規制をかけるというようなことを検討してまいらなければならないというふうな段取りで考えておるわけでございます。
#10
○成瀬幡治君 そうすると、いままで木曾川を中心としたり、あるいは全国的なことも言えると思いますけれども、三十八年にそうした業種なりあるいは水質基準というものの指定をした。その後環境が変化をしておるのですが、それに対するところの対応策というものは研究もしてお見えにならなければ対策も立ててお見えにならない。今度アユがたくさん死んだのだから、これからやろう、その結果を待ってやろう、こういうことなんですか。
#11
○政府委員(八塚陽介君) 確かにいまお話しになりましたように、私ども三十八年の一月にかけましてから、その後新しく基準項目をつけ加えるとか、そういうことをやってまいらなかったわけでございます。基準をかけましたと、いわゆるアフターケアということはやるわけでありますが、従来のアフターケアでは、かけた項目が守られておるかという観点からやっておりました。したがいまして、新しいそういう汚濁の項目というようなものについては、もちろんそういう点については私ども意識をしなかったわけではないわけでありますけれども、それについてはただいままでこの木曾川についてはやってまいらなかったわけでございますが、とにかく基準をかけましたあともその基準を守らせるということに努力すると同時に、そういう地域の変化に対応して、やはり基準を適時適切に変えていくという努力は、従来も、他の川については、あるいは木曾川につきましても、御承知の下流の三興製紙に関連します問題等でやってまいったわけでございますから、一般的に一度かけたらもうそれで能事終われりということではないつもりではございますが、確かにこの木曾川の上流に関係いたしましては、いわば手がおくれたということは、これはまことに申しわけないことだと思っております。
#12
○成瀬幡治君 この水質管理の責任はあなたのところにあるわけですね。したがって、木曾川の流域が、三十八年ですから、まあ五、六年たっておるわけですから、非常に環境が変わったということはもう十分あなたのほうで調査に出かけたとかなんとかと言わなくても、水質管理をされておる責任のところには環境が変わったのだという情報が着々入ってくるような形になっておらなければ、対策というのですか、行政がいつも後手後手に回っておるわけですが、その辺はどういうことになっておるのですか。
#13
○政府委員(八塚陽介君) 従来、基準をかけましたあと、その基準がかけられた工場はその所管大臣に御監督願う。それからその川の状況がどういうふうになっておるかというのは、予算上、都道府県知事にアフターケアとしてお願いしておるということになっておったわけであります。ただ、いま申し上げましたように、そのアフターケアというものは、都道府県知事に予算としてお出しをしてお願いしておるというかっこうでございますので、今回は法律を改正いたしまして、都道府県知事にその水質の測定をお願いする、あるいは都道府県知事からの意見を聞く。従来とも、やはり何と申しましても中央におります関係上、川の状況については当然のこととして報告が来るというふうになっておりませんでした。そういうことについては、今後は都道府県知事から――今後はといいますのは、今回の法改正の中にもそういう趣旨のことをねらっておるわけでございますが、今後は都道府県知事からそういう意見を中央のほうに上げてもらうというふうな改正をいたしたわけでございます。したがいまして、逆にいいますと、従来は予算上の話として都道府県知事にアフターケアをお願いした、今後はそれを法律的に明確にしたいというふうに考えておるわけでございます。
#14
○成瀬幡治君 ぼくは非常に問題にしたいのは、対象業種が紡績とパルプしかないのですね。ところが、木曾川のあの流域の中にはもうそういうのじゃなくて、化学工場もあれば金属工場もある、機械工場もある。こういうのは何を出す危険性があるかというと、これはカドミウム、亜鉛の重金属のことが心配なんですね。それが五年たっておったのに何らあんたのほうには連絡がなかった。しかし、今度の公害基本法では、その法律がもし成立すれば、知事からそういう連絡があるから今後はできますよということになるんだというように、いまの局長の答弁聞いておると受け取れるわけですが、どうもそういうふうにいままでなっておったんで、これはしようがないですけれども、まあおそくなっても、気づかれておやりになったことなら非常に歓迎なんですが、そこで、いままで対象業種を紡績とパルプにきめられたということは、あの流域には紡績とパルプしかなかったんだ。だから、したがって、CODとSSとPH、この三つをやっておけばよかった、こういうことできまったのですね。ところが、いま申しましたように、流域というものは非常に環境が変わってきたんだということになれば対象業種も当然ふやされることになりますし、水質基準というものも範囲が拡大される、こういう形になるというふうに了承してよろしゅうございましょうか。
#15
○政府委員(八塚陽介君) 従来とも――私の説明ある程度形式的であったと思いますが、従来とも愛知県の県の公害課等とはいろんな点で接触があるわけでございますが、残念ながらいまの件については相互にある種の、何といいますか、不備と申しますか、気がつかないという欠陥があったと思いますが、その点についてはただいま申し上げましたような体制で今後進める。
 それから従来木曾川等の川につきましては、やはりどういう工場がある、その工場がどういうふうに汚濁をしていくか、それに対応して被害を受ける産業なり、水道なりがどうあるということでかなり因果関係がはっきりしている場合にかけておったわけでございます。どうもだんだんにその後大都市の河川をやってまいりますと、非常に工場が多くございますので、どの工場がどれだけよごしたというふうに一つ一つその分析が全部済むまでかけないということは、なかなか手がおくれるだけであって実際に合わないということで、その後のそういう大都市河川的なものは、私どものほうでいわゆる都市河川方式と称しておりますが、なるべく広い網をまずかけてしまうというようなことで対応しておるわけでございます。木曾川の場合にはいまお話しになりましたように、当初はそういう方式に必ずしもしなくとも一応対応できたわけでありますが、そういうことを、時代の変化等を考えてみますと、木曾川上流等につきましては、いわゆる都市河川方式的な手法をとらなければならないのではないだろうか。そういたしますと、いま御指摘になりましたようなその他の、雑多と申しますと少し語弊がありますが、多くの工場を捕捉するというような形で、したがって、基準項目も従来の三つに限定しないでもっと多くのものを考えていくということが必要になってくるかと思います。ただ、それにつきましては、やはりそれなりに分析調査、汚濁の源と汚濁の状況等をつなぐ計算等もやらなければなりませんし、その点については愛知県当局等とも、もちろん各地方官庁ともよく御相談するという必要は今後あるわけでございます。そういう手段を経まして、いまお話しになりますような方向で対応してまいりたいというふうに考えております。
#16
○成瀬幡治君 あなたの答弁なかなか要領がよくて、やるとは決して言わないんだな。検討してみて、まず結果を見て、それからいろいろとそこらあたりを総合判断してやるかやらぬかきめなきゃならぬと、それは私も答弁というものはそういうものだと思う。しかし、経済の成長発展の度合いからいきまして、工場進出がどんなものであるか。そしてどういう工場が、いわゆるどういう産業が来ればそこにはどういうものが出てくるかというようなことは、もう大体その行政の府に当たられる人、しろうとの者はわからなくても、少なくとも責任の地位にある人にはおのずからわかっておると思うんですね。こういうときには重金属の心配があるんだ、こういうときにはどういうものが心配だということがあると思うんですね。そうすれば、そういう工場が二つ、三つ進出したとすれば、もう私はそれは水質基準の中に入れてくるんだ、対象業種の中にもそれは入れなけりゃならぬ。ある河川は対象業種の中に入れておいて、ある河川は入れないのだ。ある河川は水質基準には入れたけれども、こっちのある河川にはそういう業種があっても入れないのだというようなことは私はおかしいと思うんですね。ですから一般的に言って、重金属の出そうなところの産業があるとするなら、その河川にはもう業種から水質基準まで指定をしていかなくちゃならぬと思っておりますが、そういうことに対して、いやいやそうじゃないんだ、工場の規模によって違うとか、あるいは排水の設備のやり方によっていろいろ違うんだ。そうじゃないんだよ、同じ産業がやっておっても対象業種にははずしてよろしいんだ、水質基準から落としていいんだというようなことをやられると、今度はアユは――いままで木曾川のいろいろな例をとりますと、あなたたちもお調べになっておると思うが、被害が出た。たとえばこの前、三年くらい前にくさい水が出ましたね、フェノール、あれなんか見ましても、いつ出るかというと、大体土曜日と日曜日ですよ。土曜日と日曜日は官公庁がお休みで立ち入り検査、そういうものもおやりできない。そのときに必ず出ているんですからね。それは盲点だと思う。ですから私は、そういうあなたのほうが手心を加えてそういう調べをおやりになれば、必ず抜き打ちでやられてしまうんですね。その辺のところはどういうふうにお考えになりますか。
#17
○政府委員(八塚陽介君) いまお話が二つあったというふうに存じます。一つは、そういう疑わしい重金属等を出す工場があれば、その川の特質によってあまり態度を変えるべきではないんではないかというお話と、もう一つは、そういう工場に対する、あるいはその他工場だけではございませんけれども、いわば工場に対する監督のやり方あるいは気をつけ方ということがどうかという一点だったと存じます。
 第一点の疑わしきものはすべてこれをぴしっととめたほうがいいんではないか、これはもう当然ではないかというお話でございますが、確かにそういう態度をかなり迅速にかつ一般的にとってしまう必要のある場合があるわけでございます。たとえば、私どものほうでも例のメチール水銀というものが、これはずいぶん長くはかかったわけでありますが、とにかく一応科学技術庁を中心にしまして結論が出ました暁、単に問題になりました水俣とかあるいは阿賀野川だけではなくて、およそそういうものについておそれのあるような水域、あるいは工場というものについて、さっそくにも手続をとって、一つ一つの工場はどれくらい出ておるだろうかどうかというようなことについては、すでにこういう厚生省なり通産省の調査を頭にして、機械的にと言っていいくらい一律にぱっとやったわけであります。しかし一方、やはりいろいろな重金属もこれは天然にもある程度賦存いたしておりますし、それからやはり問題は、一つは密度と申しますか濃度と申しますか、これにもよるわけでございまして、単に工場のほうが気の毒だからというふうな観点ではなくて、やはりそれについては一応調査をして、そうしてどの程度であればだいじょうぶであるかどうかというようなことについては、やはり一応検討してでないと、一律におよそおそれがあるからというふうににはなかなかまいらないのではないだろうか。したがいまして、結局問題は、私どもできるだけ技術的におそれがあるかどうかということを早く詰めてしまうということであろうかと思います。ただその問題は、おそれがあるかないかというのは、いつの場合でもかなり議論になりますので、とかく行政が手おくれになるということについては十分、戒心しなければならないと思っておりますが、必要があれば、あるいはときと場合によっては、いま先生もおっしゃるように、とにかくぴしりと全国的に川のあまり個性に着目しないでやってしまうということもやっておりますし、やりたいと思います。同時にやはり濃度、密度等考えてやる場合もあるのではないかというふう、考えております。
 それからあとの工場の監督につきましては、実は水質保全法は水質の基準を設定するところまででございまして、あとその後の排出については工場排水法等の所管大臣にお願いをいたしておるわけでございます。関係各省といろいろ連絡をとっておりますので、関係各省のそれぞれの立場でおやりいただくように当然なっておるわけでございますが、そういう監督のやり方について、なお十分関係各省と御相談を申し上げたいというふうに考えております。
#18
○成瀬幡治君 これは大臣、五十分という話ですから、それでこの問題を先にしているわけですが、いま国民生活局長の話を聞いておりますと、大体公害基本法ができるときに、産業と国民との調和なんて、まさにあなたたちが調和されておったら……、これは四分六――フィフティ・フィフティにならぬですよ。四分六とか七、三になってしまって、やはり住民が被害を受けるということになってしまう。特に水質なんか、流域の環境が変わったのだから、あとからあとからというのは、これは後手ばかり打っているわけですね。ぼくは、少なくとも住民の命を尊重するというなら、先手先手で打っていかなければならぬと思うのです。いまお話を聞いていると、いや、そういうことは考えているのだがと、どうもそれは後手後手というふうに受け取れるのですが、あなたのところが水質基準を守るには先手先手で私はやっていただきたい。公害にはもう後手後手できちゃったのです。ですから、先手先手で攻めることをやっていただかなければならぬと思う。そのためには、いま申しましたように、もう先手で対象業種なりあるいは水質基準というものをきめていく。これでなければ河川の汚濁は防げませんよという規制がなければならぬと、こう思っております。だから、これは大臣にどうしてもお答えをいただかなければならぬと思うのですが、第一は、そういうふうに先手先手できめていく姿勢というものをまず確立していただきたい。そして、各河川がいろいろと決定をされておりますが、早急にもう一ぺん洗い直して早くやってもらわなくちゃならぬ、やったのだと。木曾川の下流の三興のパルプの問題でちょっとやったよとおっしゃる。なるほどやったようです。しかし、何の役にも立たぬとは申しませんがそれに近いものだと思います。木曾川は現実に三十八年に指定になっておりますが、何年ごろを目標にして変えようとされるのか。これからいろいろとやって、そして変えようか変えまいか迷って、変えようということになったらそれからやろうや、こういうように腰を上げようとしているのか、どうなんですか。そこら辺のところを明確にしてもらわなければ住民は不安でしょうがないですよ。
#19
○国務大臣(菅野和太郎君) いま成瀬委員の御心配になっている点は、私も全く同感であります。
 そこで問題は、やはりそういうような公害を及ぼすようなものを出す工場を設置する場合に、これはその条件にするということは今後考えていかなければならぬ問題だと思うのであります。大きな工場などについてはそれぞれそういう問題を条件にしております。それで、小さい工場などは、いま通産省に聞きますと、そういうことは条件にしていないそうですが、私は小さい工場でもそういう公害を発生するようなものを出す工場であれば、そのときの設立認可の条件にするということをやはり考えていけば、未然に防ぐことができるのじゃないかと、こういうように考えましたので、この点についてはわれわれも検討してみたいと、こう思います。
#20
○政府委員(八塚陽介君) いまの長官のお話を少しふえんいたしますと、現在でも私ども水質基準をかけます際に、既存の工場はこのくらいということと同時に、新しくもしその指定水域に関係のあるところに新設しようとする場合はこれくらいということで、かなりな格差を設けて、そうしておのずからそれを前提にした上での工場立地というふうな形で、現在でもやっているわけでありますが、ただそういう手法を実は思いついて、やっておりますのは、先ほど申し上げましたように、都市河川方式とか比較的最近時においてかけたやり方でありますので、実は水質保全法ができましてかなり早い分であった木曾川については、そういうことになっていない。したがいまして、いまお話しのように、それじゃいつ新しくやり直すんだということでございますが、先ほど申し上げましてしかられたわけでございますが、やはり私どもいま現地でやっております調査の結果を待ちたいと思いますが、いずれにしましても、私どものいま対応する気持ちとしては、今年中にも愛知県と話をして、今年度の予算のやりくりの中で、そういう設定ができるような再調査、そういうことを心組みいたしております。しかし、やはり地元その他とその点についてさらにお打ち合わせをしたいというふうにいま考えております。気持ちといたしましては、ことしのいわば実は調査の予定がきまっておりますけれども、ある程度差し繰ってことしにでも対応できるようにしたいと考えております。
#21
○成瀬幡治君 お二人に、最後ですが、なぜこういうことを、私、やかましく言うかと申しますと、木曾川なら木曾川、ある一定の――一般のことを私、申し上げているのですが、ある河川に対して、その流域について対象業種はきまっている。水質基準がきまっておれば、これはどうも危険なものを出す工場がある。調べてみればここは、対象外になっている。じゃそこにひとつ出ていってやろうといって、やられてしまったら、何ともしょうがない。そうして水質基準やそういうものは、変える変えると言うけれども、なかなか変えない。まあ、四、五年はそこに居すわって危険物が流れてもそうたいしたことはない。こういうようなふうに業者がやろうとすればできるわけです。それを私は先手でやるのがそれが行政なんだ、それが政治なんだということだと思うのですよ。ですから予算をやりくりしながら、木曾川の問題についてやるという国民生活局長の御答弁は了とします。姿勢はそういう姿勢でがんばっていただかなければ、公害から国民を守ることはできませんよ。そういう考え方は同じだと思うのです。ただやるかやらぬかのことばでいえば賛成だ。長官もね、ほんとうにやりなさいよ。ほんとうにやってくれなければ意味ないですよ。長官、どうです。
#22
○国務大臣(菅野和太郎君) いま成瀬委員の言われるとおりでありまして、それは先ほど申し上げましたとおり、そこで工場を設置する場合の条件にそれをすれば、そこでこういう条件で、公害を出すんだということであれば設置を認めないという方針でいけると思うのです。それから大工場は、たとえば電気あるいは製油なんかみなそれぞれ条件があって、こういう公害を出すから設置は許さぬというようなことで、あっちこっちにいま問題を起こしておりますが、それと同じように、小さい工場といえども、そういう毒物を出すような危険のある工場を設置する場合に、やはりその場合の設置の条件として、これは許せぬということは私は言えると思う。そういうことは具体的に関係各省と相談してきめていきたい、こう思います。
#23
○成瀬幡治君 ちょっと長官、違うんですよ。条件は届け出をせよとか、こういう設備のものに対して届け出制のものはたくさんあると思うですね。そうしますと、こういう設備でやると、こうなるのです。通産省が指定している業者なら。ところが、やってみても実は実効がないわけです。それで、そういうことをやっちゃいかぬということではなかなかとめられないのですよ、実際問題として。小さい工場なんか、そこで毒物なんか出ている。あとで問題にしようと思うけれども、そこで通産行政に、逃げずにね、あなたのほうの守備範囲で、大きな大綱の柱を立てさえすれば、そのすきを与えないのですよ。そうあなた、責任をよそへ転嫁しなさるなよ。あなたが水質基準を守る責任があるのですから。
#24
○国務大臣(菅野和太郎君) それは水質基準の問題は私のほうでやりますから、その点、問題はやけりそういう工場をつくらせぬということとが先決問題で、あなたの言う未然に防ぐということも争ういうことだと思うのですよ。それはやはり関係の省で、こういう毒物を出すからこれは危険だと、水質基準にこれは反するということで、それで設立の認可を許さぬということをすれば未然に防げるという方法があると思います。その方法をこれからやっていくべきだという考えをいま私申し上げたので、水質基準を変えるということは、これは新しい条件によって、工場によって水質基準存当然変えていかなきゃならぬ、こう思っております。
#25
○成瀬幡治君 まあ、大臣、約束の時間だから、私はあなたとそう議論をしてどうこう言うわけじゃない。少なくとも、よそのことは別として、あなたが水質基準を守る、対象業種をきめる人であるんだから、その守備はしっかりやってもらいたい。ひとつ私も激励の意味で申し上げておりますから、大臣のほうも、守ろうじゃないかと言っておられるようだが、まあ、よそへ逃げずに、よその責任にせずに、あなたが水を守っておるんだ、国民の水はあなたが守っておるんだという立場で、ひと?りんとがんばってやってもらいたいと思います。
#26
○国務大臣(菅野和太郎君) いま成瀬委員のおっしゃったことは私どもも十分了解いたしますので、そういう方針でもちろんやるつもりであります。
#27
○成瀬幡治君 それじゃ、もうちょうど時間ですから、ひとつ時間をしっかり守ったんだから、あなたのほうも御答弁になったことはしっかり守ってもらうということでひとつ……。実は、私、三興製紙のことをちょっとお聞きしたいんですが、前にこの委員会で、私も同僚の方と三興製紙の問題で現地調査などをして、それに対する対応策というものは、秋田へまず越していくんだと。もし秋田へ移転ができなかった場合は操業を停止させざるを得ないであろう、こういう方針であるというふうに承り、了としたわけです。ところが、その後いろいろとお聞きしておりますと、秋田のほうも、どうもこんな工場が来たら公害が出て困るからというので断わられたというふうになっております。とすると、今後、三興製紙の問題についてどういうような行政指導をされてきたのかを承りたい。
#28
○政府委員(矢島嗣郎君) 三興製紙問題につきましては、当委員会あるいは衆議院の委員会でもすでに御批判を賜わりまして、通産省としてはその措置について種々対策を講じてきたわけでございます。それで、先生お話しの秋田移転問題ですが、秋田は、不幸にして秋田の地元におきまして反対がありまして、これは実現を見なかったわけです。しかし、通産省といたしましては、三興製紙の現在の設備、現在の操業状況及び木曾川の流量の変化その他を考えますと、現状のままではどうしてもいかぬ、これに対する対策は、どうしても施設の大部分、特に汚濁負荷の大きい施設の大部分というものを移転する以外には対策はないという判断に立ちまして、秋田には断わられましたけれども、その他の地区について担当の繊維局長を中心といたしまして種々あっせんその他の努力をやりまして、幸いにしてその他の地域に移転することにきまったわけでございまして、現在その段取りをやっている次第でございます。スケジュールといたしましては四十五年の秋、来年の秋ぐらいには大体移転がほぼ完了するのではなかろうかと見ております。他方そういう移転ということを前提にいたしまして、若干残るわけですが、残るものにつきましては現在の水質基準――従来の水質基準が非常に甘いわけですね。あれではいけないわけで、たしか本年の四月一日でしたか、きびしい基準を設定いたしまして、移転した暁においてはその水質基準を残ったものについて適用する。こういう措置を講じたわけです。ところで問題は、移転ということはけっこうですけれども、それまでには相当時間がかかる。問題は田植えシーズン、それから金魚シーズン、この二つが問題になるわけです。幸いにことしの田植えは済みましたけれども、まだもう一ぺん来年の田植えがある。それから金魚については私も詳しいことは知りませんけれども、やはり金魚のシーズンがまだ二つぐらいある。移転はけっこうだけれども、その経過措置としてやはり何らかの対策を講じなければならぬ。それは操業調整による――操業停止というわけではなく、まあ実際には短期間的には操業が停止することになりますけれども、操業を調整することによって汚濁負荷というものを減らすという以外にはないわけです。これにつきましても四月一日のきびしい基準を設定する際に、これは経企庁も一緒にやったわけでありますが、経過措置としての操業調整ということを条件にいたしまして、その線によりまして通産省でもって指導する。その操業調整の条件につきましては地元と十分相談する。これはもう非常にきめのこまかい措置が要るわけです。したがいまして、きめのこまかい操業調整の線につきましては地元と相談するということにいたしまして、具体的に地元と相談した操業調整というのがこのシーズンと、それから来年のシーズンにつきまして行なわれるわけでございます。そういうことでございまして、昨年、おととしあたりは田植えどきをめぐりまして私どもも現地の方からいろいろ非常に批判を受けたわけでございますが、幸いにことしの田植えシーズンにつきましては、何ら地元からの陳情その他もなかったということは、その操業調整がうまくいったんではなかろうかと思っておりますが、来年の田植えどきにつきましても同様な操業調整をやって、万遺憾なきを期したいと思っているわけでございます。
#29
○成瀬幡治君 三興製紙の問題につきましてはわかりました。
 それでは次にお聞きしなければならぬ問題は、なお木曾川の水からはシアンの問題が出てまいります。これは厚生省のお方で薬務局関係の方に承りたいのですが、シアンが出れば水道局のほうはそれに対する取り入れ口なり、あるいはいろいろなところで手当てをするらしいんですが、一体このシアンが流されると申しますか、排出される危険のある業種というのはどんな業種があるのですか。
#30
○政府委員(武藤g一郎君) シアンが出ます工場としましては、毒物及び劇物取締法で取り締まっておりますメッキ業でございます。
#31
○成瀬幡治君 メッキ業だけでしょうか。
#32
○政府委員(矢島嗣郎君) まず第一番に毒物及び劇物取締法のたてまえとしては、別に業種指定でいっているわけでございませんで、シアンということで規制しているわけでございますが、シアンを出すものはメッキ業に限らずコークスもありますし、それから鉱山関係は当然ありますし、それから今回の木曾川筋につきまして見ますというと、自動車関係とか航空機関係等もございます。そういうことでございます。
#33
○成瀬幡治君 私はなぜそういうことを言うかというと、あなたのほうが取り締まるほうなんでしょう、取り締まるもとがどんな業種でシアンが出ておるか、出ぬかということを知らぬじゃ、何をたよりに取り締まっているか、ちょっと心配だよ、そういうことは知らぬわということじゃ。それこそどうにもならぬからね。私もよくわからぬからお聞きするんですが、それじゃいま通産省のほうから御答弁があったように、一体どんなことをやっておるんですか、あなたのほうは。
#34
○説明員(野海勝視君) 毒物及び劇物取締法によりまして、主として電気メッキ業者でございますけれども、シアンを業務上取り扱う業者につきましては、それを業務上毒物劇物取り扱い者といたしましていろんな規制を行なっているわけでございますが、その規制の内容を申し上げますと、まず第一には、シアンを業務上取り扱うものにつきましては、その事業の開始なり廃止について届け出をさせるということ、それから二番目には、その取り扱います毒物が外へ漏れたり、しみ出たり、流れ出たりしないようにほかの場所なり、あるいは作業の場所について十分な設備をしなければならないということ、それから三番目には、その事業場に毒物劇物取り扱い責任者というものを置きまして、保健衛生上の危害が防上できるような措置を講じなければならないということ、それから四番目といたしまして、メッキの廃液を廃棄する際には厚生大臣の定める基準に従って廃棄しなければいけないという形になっております。それで、実際の取り締まりといたしましては、都道府県に毒物劇物監視員が置かれております。これは全国に約二千人ございますけれども、この毒物劇物監視員によりまして、立ち入り検査なりを行なって廃液の検査をするといったようなことを行なっておるわけでございます。そのような体制で現在監視取り締まりをやっております。
#35
○成瀬幡治君 シアンを使いますといってあなたのほうに正直に届け出すならいいですよ。届け出さなんだらどうなる。あなたのほう、それをどうやってわかるのか、どうしてわかるのか、どうやってそれをさがし出しますか、だれがさがし出す。
#36
○説明員(野海勝視君) 現在シアンを取り扱います者は、これは毒物及び劇物取締法上の毒物劇物営業者とされておりませんで、届け出業種になっておりますので、先生御指摘のような場合には、現実の問題としてはなかなか把握しにくいという実態がございます。届け出が出てまいりません場合には、実際問題としては把握しにくいという実態になっております。
#37
○成瀬幡治君 それに対する対策は何も考えておみえになりませんか。これだけ公害が、シアンのいろんな問題が出てまいりましたが、どうおやりになるか。
#38
○説明員(野海勝視君) シアンを出します業種としましては、先ほどお話のようにいろいろございますけれども、やはりその量から見まして電気メッキ業者が主体になるんじゃなかろうかということでございまして、電気メッキ業者につきましては、業界の団体等もございますので、その面から、把握しておりますけれども、その他の業種につきましては、現実の問題としては、これはなかなか把握しにくいという状況になっております。
 それで、先ほど申し上げました毒物劇物監視員によって実際にはその面の監視取り締まりをやらなきやならないわけでございますが、現実には全国に二千人の数でございまして、またこれが一般の毒物劇物監視あるいは一般の薬事監視とあわせてやっておるという実情でございます。
 それから電気メッキ業者だけを取り上げましても、全国で五千人近いもので、相当の数のものでございますので、監視取り締まりの面においてなかなか完全な目が行き届かないという実情には現在ございます。今後その点については十分監視取り締まりの強化ということを考えていきたいというふうに思っております。
#39
○成瀬幡治君 実は正直な話、私も業種がどんな業種であるかということがなかなかつかみにくい。これだけ科学技術が進歩してまいりますと、シアンをきょうは使わなかったけれども、あすは使う、そういう産業もあるかもしれません。そういうものに先手を打っていくというのはなかなか容易なことじゃないと思う。
 もう一つは、届け出なさい、せよという――届け出しをせなかった者に対しての罰則も、どうもあるのかないのか私は知らぬが、ありますか。そこら辺のところはよくわかりません。
 それからもう一つは、あなたのほうが立ち入り検査をして設備改善命令を出した。ところが、その設備改善をどうやったらいいかということでなかなかわからぬでしょう、実際。薬務課でわかっておりますか。実は私は、なぜそういうことを申しますかというと、木曾川のある流域の中小企業のメッキ工場に行きましたときに、保健所なりあるいは県からどういう指導をしておりますかと、どうやったらこのシアンの高いものを下げるのにいいかということをどういう指導を受けているかと聞いてみたんですが、的確な返事がないんですね。それじゃあ検査して、お前のところは高いぞ高いぞということは言うんだけれども、どうやったらこれがいいかということに対する的確な指導がなされない。あるいはどういう設備をしたらいいかということがなかなかなされていない。そうすると、どうなっているかというと、そういうシアンを取り除く機械製造メーカーのほうから、あそこの工場でこういう機械を使っておみえになりますから、あなたのほうもお使いになりますと二〇PPMが一〇PPMとか七PPMに下がっておりますからどうでしょう、業者のほうでいえば、あそこも電気メッキを使ってたいへん長いことやっているがどんなものだろうと問い合わせてみたら、おれのところは百万かけてこういう機械を入れた、ところが、なかなか下がらぬ、そうしたら今度は、こっちのほうは三、四十万で安いのを売りにきているから、そっちのやつを買おうかしらんと迷ってみえるのが経営者の実態でございました。ですから、それを聞いて私が判断をしたときに、なかなかシアンというものを、基準はきまっておるけれども、その基準以下に下げるにはどうやったらいいんだという的確な指導というものがなされていないんじゃないかというふうに感じました。これは率直な感じです。たいへんあなたのほうには失礼な言い方かもしれませんけれども、そういうことに対してあなたのほうでは、このくらいのものを使っているときにはこのくらいの設備でこういうものがあるというような基準というようなものは当然私はあると思うんです、登録基準というものがあるんですから。それからたとえば働きにくる人はいつもは十人だったけれども、農繁期になって仕事が忙しくなっちゃって二十人、三十人と出ちゃった。だからもう、キャパシテーからいって不安定なんですね、中小企業のところは。ですから基準というものはあるんだけれども、その基準というものが狂ってくるんじゃないか。キャパシテーの問題、生産がどのくらい、それから年々生産高がふえてくるという問題、いろいろな問題があるからたいへんだと思うんですが、そういうような点を一度私は洗い直して、きょうどうかということでなくて、洗い直してしっかりした対策というものを立ててもらうために言っているわけです。もう一つは、いまお聞きしておりますと、取り扱い責任者を置くんだとおっしゃる。その取り扱い責任者というものがシアンというものをやれば、これがどのくらいの毒物でどうやったらそれの被害を消すことができるという技術的な知識のある人を置いているのか。ただ看板で責任者を置いておるのか、そこはどうなっておりますか。私の判断では看板だけだと思う。ちょうどこういうところでも、たばこの責任者とか、各官庁へ回っていきますと火元責任者ということは書いてある。これは消防でなくて、そういうような責任者じゃないかと思っている。だけれども、私は今日の段階ではある程度技術を身につけた、もっと言えば、いいか悪いか知りませんけれども、資格を持っておる人が責任者になっておるというならこれは話はわかると思うんです。ですから、そういうようなことも考えてシアンの取り扱い、特にこの毒物、劇物の取り扱いについては、もうあなた今日床屋さんやパーマでも資格をとってやるのだよ。調理師でもそうです。私はこのくらいあぶないものを取り扱う、一つ間違えたらたいへんなことになる、ですから当然そういう立場に立ってもそういうことをやるのが当然だと、こう思うのですが、一度検討してもらいたいと思うが、どうですか。
#40
○説明員(野海勝視君) ただいま御指摘のような実態は確かにございまして、この業者の大半が零細企業であるという実態でございますので、その処理施設の面につきましてもコストの問題ございまして、なかなか基準以下に下げると申しましても、そのコストの面でなかなか問題がありまして、そのコストの問題あわせて考えますときに、どの方法がいいということがなかなかはっきりと指導できないという問題が一つございますし、それから取り扱い責任者の問題につきまして、やはり同様な事情から、現実の問題としては必ずしも十分な知識を持ったものが置かれてないという実態にあると思います。その点われわれのほうにおきましても十分今後の問題として検討いたしまして、現在この法律が、法律改正が行なわれましてからまだ三年ばかりしかたっておりませんので主として指導という形でやってきておりますけれども、確かに徹底を欠いておる面がございますので、御指摘のような問題十分検討いたしまして、今後この法律の施行について遺憾のないように考えていきたいと思っております。
#41
○成瀬幡治君 厚生行政というのは非常に守備範囲が広くお忙しいし、特にこのことで薬務課がこういうことをやっていいのか悪いのか私も非常に疑問があるのです、公害全体の問題について。しかしいまのところ、これを厚生省からはずすなんて言ったら、厚生省があわててなわ張りが減ってしまうなんて言って親分がえらいことになるからこれはこれとして、とにかくあなたのほうの守備範囲とするならば、行政指導のできる能力のある、また受けるほうの能力のあるようにしてもらいたい。とともに、こういうことをちょっとお聞きしたいのですが、一体登録取り消しの処分をいままでやられたことがあるのかないのか。設備改善命令を出されて、それを受けずに登録取り消しをやられたことがあるでしょうか。
#42
○説明員(野海勝視君) 現在までのところ、立ち入り検査をいたしまして問題がある業者につきましては、主として指導でやってきております。ただ改善命令につきましては数件ございますが、それによりまして処分したという例は現在までのところございません。ただ、今後必要に応じて改善命令等の措置をとるという方針を、実は今年度の全国担当者会議において指示いたしておりまして、今後は、従来相当この法律改正が行なわれましてから期間もたっておりますので、さらに積極的な姿勢で、強い態度で監視を進めていきたいと考えております。
#43
○成瀬幡治君 これはあとで、私はなぜこういうことを言うかというと、そういう取り消すことが処分としてできることである。刑法で刑罰になるのか、そこのところも実は勉強しておりません。ですから私は、刑法が適用されるのか、あるいは公害罪というものがいま検討されるといっておりますが、その中に入るのか、そのことも知りません。知りませんが、とにかくこういう劇物、毒物を扱うのに対して、何らかの私は締めくくりというものの意味で、一つのそういう罰則規定というものがあってしかるべきだと思っております。ところが、いまの処罰で言えば、どうも改善命令であって、処分取り消し命令をやることができるということになっているけれども、やったことがないということは、何もやらなくて、厚生省の指導を受けても馬耳東風で過ごせば幾らでも過ごしていけたのだという悪い結果を生み出しておるのじゃないかと思うのです。そのことがこういうことを言っておるのです。これはある新聞の切り抜きでございますけれども、言っておる人だけは言ってもいいと思いますから、愛知県の薬務課でいろいろと調べてみておる。愛知県の薬務課長がこういう話をしたのだな。愛知県下でシアンを使う電気メッキ工場は三百六十五工場あるそうです。そして基準は二PPMに定められている。ところが、この基準を守っておるところは一つもないのだ。毎年この違反程度のひどいのを百工場大体ピックアップして頭のほうから取っていって、そしていろいろと指導をし、追跡調査をしていろいろと指導をしているけれども合格率は大体一五%程度、四十三年度の結果では九十一工場のうちシアン二〇PPMという悪質違反が五十三工場もあった、こう言っておるわけであります。このことは何も愛知県だけが特別に悪いわけじゃない、全国みんなこんなふうになっておるのだと、こう言っておるわけなんですね。そうしますと、この話を聞くと、シアンの毒物販売や薬局のほうの取り締まりはなかなかいいぐあいにいっていると思う。ところが、今度は使うほうの工場のほうの取り締まりというものはもう腰抜けになってしまって何ら役に立っていないのじゃないか、非常に不安に感ずるのですよ。私だけじゃなくてこの新聞を読んだ人はみんなそうだと思う。だからもう少し薬務課は腰を据えてこういうことのないように一これは正直に言った人だからこの人はけしからぬといって罰してはいかぬと思うのですよ。こういう正直の人がいいと思う。うそを言わぬ人がいいと思う。ところが、なかなか正直者がばかを見て、うそを言ったやつがぬけぬけ残るのが官僚機構の中ですから、そういうことのないようにしてもらわなければなりませんが、とにかくこれじゃ不安でしょうがないですよ。だからあなたの責任を追及するというのじゃない。実態はたいへんなことになっておる。だからみんなの命を尊重すると、佐藤さんもきょう本会議で答弁した、これは私の政治姿勢だと、こう言っておる。私もまことに同感なんです。ところが、ことばだけじゃ何にもならぬものね。ちゃんと目張りをしてそのとおりになっておらなければなりませんから、ひとつこの点について十分対策を立てて、そしてこの公害基本法が通り、そしてまた、いま三法が提案されておるようですが、この国会のこの法律が通るくらいのときにはこうなるのだというがっちりした青写真を出すとか、それができなければこのくらいのものになりますよということを言わなければ、法律は通っちまったってあと捨てておかれちゃ何にもならぬのですよ。もうすでにこの法律が通っただけでも、改正されてから三年かかっておる。何にもやられていない。法律をつくるのがあなたたちの仕事かもしらぬけれども、また法律を国民に守らせるのも一つの仕事なんですから、ひとつそういう点でうんとがんばっていいぐあいのものをやってもらいたいと思います。これは厚生省、きょうはだれも見えませんですな、上のほう。次官が来ておりますか。どうですかな次官は。
#44
○政府委員(粟山秀君) ただいまのお話でございますけれども、メッキ工場にそういう責任者を置くという目的からいたしまして、そういうことにちゃんとした知識のある、ほんとうのそういうことのできる責任者を置かなくちゃならないわけでございますから、そういう人じゃないただ単なる責任者という名前だけのような人がおるということであってはいけないと思いますから、今後はちゃんとしたそういう毒物、劇物に対する知識の深い人を置くように、そういう指導、そういうことをしなければならないと思います。
 それからいまの愛知県下にたいへんたくさんのそういうシアンの取い扱いが不十分で、そういうものがたくさん排出されておるものがあるということなどについては、これだけの厳重な規則があるわけでございます。ですからこれが厳重に守られるよう、それから監視員二千名、これはほかの監視の仕事も一緒に行なっておりますから十分に監視ができない、したがって、今度は来年度の予算でもやはり厚生省としては監視員をふやすようにやりたいと、そのように思います。いずれにいたしましても、こういう工場でもってそのために規制されているもの、これは県にそれはまかされているものでございますけれども、その指導、そういうものは役所として人間の健康と命を守ることが仕事である厚生省といたしまして、今後こういう不安を国民の皆さんに持たせないような処置を厳重にいたしたい、そのように思います。
#45
○成瀬幡治君 ひとつ不渡り手形にならぬようにお願いしたいと思います。
 次に、お尋ねしたいと思いますのは、これはぼくはよくわかりませんからお尋ねするんですが、名古屋市の上水道で水道局が水道法で規定している定性分析でやったらシアンは出なかった、ところが、工場排水規制法できめておるのは定量分析をやれというふうにシアンの問題はどうもなっているようです。しかし、シアンは工場排水規制法では二PPM、水道法ではゼロと、こうしておるわけです。ところが、いま申しましたように、水道法が規定しておるのでやったところの定性分析ではシアンはゼロだ、ところが、同じ水を定量分析でやったらシアンが出た、こういうんです。私は分析の方法というのは何をやってもいいと思うんだが、ところが結果が違っておって、名古屋の水道局がこれで工場排水の定量分析をやったらシアンが入っておるというんで、貯水槽なりいろんなところでやってくれた、これは定性分析だけでやったらシアンが入っておらないで飲まされちゃった。これは一体どういうことなんだ。分析の方法が違っておってもいいが、結果は同じでなければならぬと思うのですが、そこら辺はどういうことなのか、説明してもらいたいと思うのです。
#46
○説明員(国川建二君) 御説明申し上げます。
 名古屋市で行なっております水道のための水質検査と申しますのは、これは水道法の省令で試験方法等が定められておりまして、その試験で、名称はフェノールフタリン法と申します定性試験でございますが、この試験で行なっておるわけでございます。一方工場排水の排水だとかあるいは排水のすぐ近くの川の水の検査にあたりましては、これはJISに定めております試験方法、これは微量金属の分析を目的とした試験方法でございますので、定量試験といたしまして、JISの定める排水試験方法によって定量分析を行なっているということでございます。ただいまおっしゃったことは、名古屋市の水道がこれは水道の取り入れ口の定性試験のみならず、川のほうについても参考までに試験したということでございまして、直ちに、これは測定場所も違いますし、先ほども申しましたように、定量試験と定性試験、試験方法等も違いますので、その出た結果のみで単純に比較ができないというのが一つでございます。
 それからもう一つは、水道法の水質基準につきましては、水道法の第四条に水質基準がございまして、そこの表現といたしましては、シアンや水銀、そういう有毒物質は含んではいけない、含まないというたてまえになっておりますが、これは省令におきまして試験方法を定めてございまして、その試験方法で行なった場合に検出しないというたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、その省令で定めております先ほど申し上げましたフェノールフタリン法という定性試験方法では、検出するかしないかの量は〇・〇一PPMということでございまして、それ以上であれば定性試験で検出する、それ以下ならば定性試験では検出しないということになるわけでありまして、水質基準ではそれ以下を要求しているということになるわけでございます。したがいまして、〇・〇一PPMと申しますのは、シアンは全くゼロでなければいけないという意味ではないということになるわけでございます。ところで、そのシアンの飲料水の許容量と申しますか、その考え方として〇・〇一PPMがどうかということにつきましては、参考までに諸外国の水質基準などを申しますと、たとえばアメリカの水質基準も、それからWHO、ヨーロッパ基準あるいは国際基準もこれは数値として〇・〇一PPMを許容量として示しておりますので、特に日本が実際には中身としては変わったことをやったのではなくて、同じことをやっているということでございます。そういうことでございます。
#47
○成瀬幡治君 分析の方法は私もわかります。ところが、あなたは結果について私は違っておるじゃないか、おまえはもとの水が違っておるのだから、結果が違うのはあたりまえだ、それは間違いないですか。
#48
○説明員(国川建二君) 名古屋市が発表しております――発表といいますか、言っておりますものを私は実際よく知りませんけれども、たとえば同じ水をとりましても、定性試験でやった場合と定重試験でやった場合、定性試験ですと先ほど申しましたように、〇・〇一PPMを境としましてそれ以上あるかないかという判断ができるわけでございますから、〇・〇一PPM以下の場合には定性試験では検出しないという結果になると思います。また、その水を別なJISに定める定量試験で行ないますと、これは一ケタ下のオーダーまで測定できますので検出する、しかも〇・〇〇幾らというような表現が出てくる場合もこれはあるかと思います。そういうことです。
#49
○成瀬幡治君 そうすると、定性分析では〇・〇一PPM以下ならシアンが入っておってもそれは出てこない。ところが、定量分析なら〇・〇一でも出てくるのだ。そういうことなんだね。だからシアンはゼロだということじゃなくて、あなたがおっしゃるように、国際的にも〇・〇一PPMは認めているのだから、まあこれでいけば飲み水のほうはけっこうです、こういうことなんですか。
#50
○説明員(国川建二君) 大体先生のおっしゃったことと同じでございますが、もう少しつけ加えて申しますと、JISの試験方法によりますと、〇・〇一以下PPM、さらにその十分の一以下程度のものまで測定できる試験方法であるということでございます。微量分析を目的とした試験法でございますので、水道水につきましては先ほど申しましたように、定性試験でございますから、〇・〇一PPM以下ならば飲料水として人体に支障等は考えられない、おおむねよかろうという判断をもってきめられておるということでございます。
#51
○成瀬幡治君 これは非常に費用が違うのですか。お金のかかり方がたくさん違うのですか。同じ分析といって、費用あるいは時間、そういうものが非常にかかるのですか。何か私らからいうと、しろうと考えですから、飲み水はもうちょっとしっかりした検査をやってもらいたい希望があるのだが、これは害がないということになれば、それこそほんとうに欲の上の突っぱりみたいなもので、要らぬことだと思いますが、非常にお金が違うとか、あるいは時間が非常に違うのか、どうなんですか。
#52
○説明員(国川建二君) 水道法で定めております水質試験方法と申しますのは、非常に古くからと申しますか、かなり以前から行なっております試験方法でございまして、また、実際にこの試験を行ないますのは特別な技術を持った研究所とかなんとかいうところではなくて、地方の水道局でもしばしばしなければならない、する必要があるわけでございます。したがって、地方の水道局あたりでもできるような実用可能な試験ということが一点、もう一つは、先ほど申しましたように、衛生上の障害云々を考えますと、一応シアンにつきましては〇・〇一PPMを判断の基準にすればよろしいのではないか。それ以上あった場合にはそれ相応の水質基準を考えればよろしい。それ以下の場合には許容量として考えてよろしいだろうという観点から、実用上の面も考えまして、この試験方法を使っておるわけでございます。
#53
○成瀬幡治君 安上がり――人間のほうが安上がりですか。
#54
○説明員(国川建二君) 具体的に試験に要する時間あるいは経費等を考えますと、正確には私承知しておりませんが、もちろんこの試験方法が一番軽便であり安いというように考えておりますし、ただ、最近どんどん試験技術が発達していきまして微量なものまで分析できるということになれば、必要に応じてそういったことも考えていく必要があろうかと思いますが、ただいまのところ、まだこれ以上の詳しい試験方法を水道法に定める基準に持ち込むかどうかということにつきましては、いまのところまだ考えておりません。
#55
○成瀬幡治君 まああまり、命が大事だからこまかいことまでやりなさいというのも、言うほうも非常識なことになるかもしれませんけれども、まあ命はひとつ大事にしてもらいたい。特に飲み水なんか大事にしてもらいたいという希望もありますから、あまり時間も経費もかからずにつっつっとやれるようだったら、なるたけシアンなんかというものについても私はひとつ正確な、より正確な数字が出るようなふうにしていただければ非常にいいんじゃないかと思います。
 次にお尋ねしたいのは、水質基準をきめる責任者である経企庁ですね、経企庁が水質審議会と申しますか、そういうものをつくっていろいろとやっておみえになりますが、それはそれで一つの目的であろうと思います。それと同時に、厚生省のほうも、たとえば飲料水等いろんな問題がありますから、何か生活環境審議会ですか、そこでもやっぱりこれと同じ水のことをやっておみえになるようですが、厚生省にお尋ねしたいんですが、これは全然水質基準とは無関係なものをやっておみえになるのか、それとも何をやっておみえになるのか承りたい。
#56
○政府委員(武藤g一郎君) ただいま厚生省の生活環境審議会の水に関します専門部会で水道源水、それからこの前ちょっと新聞をにぎわしました海水浴場の問題、あるいは公園の水の問題、そういうような厚生省が責任を持っております行政の水のいわば基準を検討しております。こういう基準を検討いたしまして、いわば環境基準をきめるための基礎条件といいますか、そういったものを厚生省で検討いたしまして経企庁のほうにそれを提出して、経企庁では水のいろいろの使用目的に従って、農林省あるいは厚生省からのそれぞれのいろいろの条件というものを調整されて具体的にこの川の流水基準、いわゆる環境基準をどうするかということをおきめになる予定だと聞いております。そのまあもとといいますか、条件といいますか、そういうものをいま厚生省で検討しているわけでございます。
#57
○成瀬幡治君 あなたがいま新聞で問題になったという話ですがね、私もちょっと問題にしたいと思うんだがね、一体どういうことなんだね。海水浴場のやつは、たいへん話題をまいたわけなんですが、真意は那辺にありますか。
#58
○政府委員(武藤g一郎君) 私の直接の所管ではございませんけれども、口をすべらしたものでございますからお話しいたしますが、いままで、数年来厚生省としては、海水浴のいわゆる指導基準を通牒で流しておったわけでございます。これについてやはり現段階でいろいろ検討してみる必要があるのではなかろうかということで、先般来専門家を集めて検討しておったわけでございます。それの中間的な結論が――中間的な結論といいますか、一つの基準が出ましたので、将来――将来といいますか、今度改定すべき基準のために一つの目安ができたので、幸い、ちょうど時期が海水浴のシーズンになったので、行政上の基準としてはもちろん前の基準を現在行なっておりますけれども、将来の改定の一つの目標数値が出たので、ひとつ府県に参考までに通知して、現在の汚染状況等をも調査してもらって、これとの関係がどういう程度になっておるかというようなことをいろいろまあ検討しようということでまああの数字を府県に通知したのでございます。したがいまして、そこら辺のところの説明が、十分に行なったつもりでございますけれども、前の基準と今度の基準とどう違うんだという話になって多少混乱をしたというのが真相でございます。したがいまして、将来改定の検討をいたすための一つの中間的な結論が専門家の間で出ましたのを、厚生省はそれをそのまま認めて改定するという段階まではまだ至っていない状況で、実はあの数字があたかも改定をされた基準になった、あるいはそうじゃないのだというようなふうになって混乱を生じたわけでございます。
#59
○成瀬幡治君 厚生省がね、飲料水と海水浴場と公園とおっしゃるが、これは普通の陸上なんかの公園ですか、海中公園ですか。
#60
○政府委員(武藤g一郎君) 厚生省が所管しております国立公園、今度海中公園もできるそうでございますが、そういうものも含めてどの程度の基準がはたしてできるかどうかわかりませんけれども、そういうこともやはり自然保護の立場から必要ではなかろうか、まあぜひ検討してもらいたいという、こういう関心がありまして一応検討を進めておるわけでございます。
#61
○成瀬幡治君 そこで、まあこれは少し本論から離れたようなことで悪いのですけれども、あなたも口をすべらしたその責任があることですから、守備範囲が違うからあまり突っ込んだ話はできないと思いますけれども、大腸菌がうようよしている中を泳いでおるわけだね。ほんとうに人間が海水浴をやるにはね、やっぱりあなたのほうが出した数字の、前の数字じゃなくて、今度改定をせようとするのかあるいは改定をするときの一つのめどになりそうな数字だと思って発表されたと思うのだけれども、これはたいへんな数値の開きがあるわけだな。これはちょっぴり、ひっついておったらみんなそう驚かなかったと思うのですよ。ほんとうに医学的な、あるいは国民の健康上からいって、こうした数字が出てきたものだと自分は思うわけです。ですから、あなたのほうもほんとうにその五万以上なんというのとね、一千とじゃたいへん違うのだな。だから、どうなんですか、これは。あなたのほうで行政指導を今度おやりになるのに、いやいや古いやつでけっこうですよと、十分泳いでけっこうですと、こういう指導をするのか、そうじゃなくて、五万以上おったらまあそれは遊泳をそこではやらないほうがいいよという指導をするのか、これは絶対に海水浴場としてね、これは適地かどうかという指導なんというものはどこでやるのかな、そういう方面、捨てからかしかな。そこら辺のところもわしはわからないのだ。厚生省は基準を出しておれば、何かその基準以上のところは遊泳禁止するということはやるのかやらないのか。そこのところはわしはわからない。あるいはそういうことを知事がそれをやるのか、わからないのですが、しかし、この前ちょっとテレビを見ておったら、市町村というか、県あるいは市くらいにどうもあるらしいのだが、あわててみえると、こういうことなんですが、どうなんですか、相談を受けられたらどうやられますか。
#62
○政府委員(武藤g一郎君) まあ私責任当局ではございませんので、あまりこういう席で自分の考えなり自分の情報だけで御意見を申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、やはり前の出されている基準につきまして一応やはり昔のことではあるし、検討することはこれはまあ当然役所としては絶えず必要なことだろうと、こういう見地でまあ検討は行なっていることと思います。で、新しい、まあいわゆる望ましい基準として一応参考までに学者の方が出されましたのは、これは現在の海浜で河川等が流入してない、いわば汚染があまりないと考えられるところの、いわば八割程度のランク、つまり上から二番目、二〇%程度のところの基準が示されたわけでございまして、いわば衛生的な問題というよりも、むしろ現在の海一城のきれいなところを一つの目標として出されたということでございまして、そういう問題でございますので、前の基準との比較あるいは改定後の問題等につきましては、やはり今後慎重に検討さるべきものと、かように考えます。
#63
○成瀬幡治君 これはいろいろな機会で話題にもなると思いますから、一言だけ感じを申し上げておきますがね。少なくとも前の通達は一万から五万まで、それから五万以上と、この三段階に分かれておりますね。今度は千と、こうなっておるわけだな、表現が。ですから一対十の違いだ。しかも前は相当きびしいやつをお出しになった、千だとか。今度は五万以下ならけっこうですよというようなことになって、どうも、厚生省というのは国民の健康を守るわい、海水浴場やいろいろなものに気を配っておるわいという気持ちがあるということだけはわかったが、ただし熱心じゃないということだけはわかった。真剣に考えておらぬ、こういうことを国民に知らしたようなもので、まことにまずい結果だと、不名誉なことだと思う。名誉挽回のためにも早急にひとつ、せっかくいまシーズンを迎えようとしているわけだ。海水浴場に子供を出そうか出すまいか親も迷っておみえになりますし、学校の先生も迷っておみえになります。頂門の一針を与えるときにきておると、ですから、もう一ぺんおやりになるのか、まあ、そこまで騒がれちゃったからどうでもかまわぬでほおかぶりで、人のうわさも七十五日だから、ことしの海水浴場は黙って逃げていこうとされたのか、どうなんでしょうね。これは大臣でないとちょっといかぬが、政務次官、あなたお見えになったのはたいへん災難だと思って、どうなされまするか、一体。ごまかすというのは一番ひきょうなやり方だと思うな。そして厚生省はほんとうに国民の健康を考えておらぬということにもなると思う。
#64
○政府委員(粟山秀君) これは厚生省のメンツや何かという問題じゃないと思います。あれを出しましたとき、いままで武藤部長から説明申し上げましたけれども、実際上はあとから訂正したのじゃなくて、一緒の封筒に入っておったのですけれども、日付の違っておるものも入ったので、あとから訂正したような形になったようでございますけれども、それはそれとして、これだけ問題になっておりますので、どれだけのところまでは泳げるのかという点などはもう早急に慎重に検討いたしまして、そうして迷っていらっしゃるそういう都道府県があるわけでございますから、そういうところにもはっきりした、あらためてこういう程度のところでは泳げる、しかしこれ以上のところであればこれは禁止区域としなければならぬと思いますし、それからそういうところでも、今後いろいろな方法によって海水浴場のよごれるのを防げるような措置が講ぜられるものは講ずるようにと、そういうことまで含めて至急に検討して、やはり都道府県に再度通牒は出すべきものだと私は思います。
#65
○成瀬幡治君 同じ封筒に入れたとおっしゃいますが、私はここに写しを持っているが、片一方は、おきめになったのはどうも六月二十七日のようだな。こっちのほうは七月二十日のようで、おきめになった時間が違っているようです。一緒の封筒に入れられたかもしれませんけれども、どうもやっぱりあとでやられたように受け取れる、これはことばじりをとらえては非常に恐縮ですがね。これはいいです。私らもそうむきになることはない。ですから、あなたがおっしゃるように、もう一ぺんいいぐあいな指導がされれば非常にありがたいことだと思います。
 次に、通産省のほうにお尋ねしたいのですが、通産省のほうで公害が出てくるということは、なかなか通産省でも、私は、日進月歩のいろいろな機械設備あるいはいろいろだいへんなときだと思うけれども、少なくとも公害がどのくらい出てくるのだということはメーカーのほうじゃなかなかわかりにくいわけです。またそんなことは考えていないわけだと思うのです。がしかし、これからの産業のあり方というものは、少なくともどういうことをやったら製品がどのくらいもうかるという勘定とともに、公害というものがどのくらい出てくるのだ、それに対してはどうするのだという、そういうことが並んで並列的に考えておらなければならぬ問題だと思うわけです。そこで、通産省は、そういうことに対してどういうような指導をしておみえになるのか、そういうことについてのまず基本的な姿勢が承りたいと思います。
#66
○政府委員(矢島嗣郎君) ただいま先生から基本的姿勢から話せというお話でございますので、基本的姿勢の点に触れて、なおあとで具体論をお話し申し上げようと思いますが、通産省といたしましても、従来から公害については非常に関心は持っておりましたが、まあ昭和三十年代と昭和四十年代、特にこの二、三年の通産省の公害行政の取っ組み方と申しますか、姿勢は変わってきているのではなかろうかと思います。従来は、公害というものはこれは産業政策に対して外的な与件であって、産業政策、たとえば高度成長を進める上において公害問題が発生して摩擦を起こす、その摩擦はなるたけ少なくして進むというような態度ではなかったかと思いますけれども、四十年代に入りまして、特に最近におきましては、そういうような公害というのは外的与件ということではなくて、産業政策の中の一番メイン・ファクターとして取り上げて、まずもって公害を除去した上で産業の発展を考える、こういうふうになってきております。現に、つい二、三日前も来年度の新政策と申しますか、通産省の政策を発表しましたけれども、四本の大きな柱の中に公害というのが高々と掲げられているわけでございますが、それはすなわち公害対策というものを産業政策のメイン・ファクターとして取り上げているということでございまして、具体的に電力政策をやるについては電力、あるいは石油政策――−石油の新増設を許可する際においてもまずもって公害に遺憾がないかどうかということを第一番に取り上げて考える、そういうような姿勢になっているわけでございます。
 以上が先生の御質問の姿勢はいかんということのお答えを申し上げたわけでございます。
#67
○成瀬幡治君 公害は、私は監督、立ち入り検査、そういうのを通産大臣がおやりになることについては何ら反対するものじゃございません。しかし、今後非常に地域的な特色というものも出てくるだろうと思います。そこで権限委譲ということが県知事に対して相当なされておるわけです、通産省は。ところが、七業種がまだ残っているわけですね。石油であるとか製鉄というような、たいへんな問題がいま残っておると思いますが、これはまあぎりぎりのところで、これ以上は県知事に移管することはできないというところにきておられるのか、今後もまだ検討されて移管されましょうか。
#68
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生のただいまの御質問でございますが、七業種まだ残っておるわけでございますが、方向といたしましては、さらにこれを委譲してまいろうという方向でございます。ただ、なぜすぐいけないかと申しますと、県の受け入れ態勢、それから隣接県とのバランスというような問題があるわけでございまして、たとえば石油化学のように技術革新の非常に激しいものは、その生産プロセスと排水処理施設というのは密接につながっておるし、この技術革新の激しい時代におきまして、これを十分マスターできる態勢に隣接県を含めて十分なれるというような状況になりますと委譲していこう。たとえば隣接県という問題はどういうことかといいますと、水というものは川にある、川というものは数府県にまたがっておる、こういうことで、ある先進県においてはスタッフも十分整っておるし、そういう受け入れ態勢もできておるが、その隣の県はまだそこまでいっていないということで、具体的な名前は申しませんけれども、そういう事態もあるので、隣接県も含めて受け入れ態勢の整備が整ってから逐次委譲するという方向にあることを申し上げたいと思います。
#69
○成瀬幡治君 ぼくもいまの答弁非常に賛成でございます。なぜかといいますと、ここで公害基本法ができる、それを受けて各都道府県において公害条例をつくっていくわけですね。そのときにいま申しました七業種というもの、特に石油など、あるいは発電――火力発電などは非常な問題が出てくると思いますが、そういうようなものも当然知事にも立ち入り検査権というものがなければならないと思っております。いま、いろいろとそういう方向だ、しかし、現在受け入れ態勢がたいへんだというから通産省と両方でおやりになっておるその方向は非常にぼくは賛成ですから、ぜひ公害の問題はこれからの問題であるので、通産省というか、これは内閣全体の責任になると思いますけれども、こういう大きな立場に立ってひとつやってもらえれば幸いだと思います。
 あと、約束の時間が七、八分しかありませんので、締めくくるというわけではございませんけれども、水の責任を負わされておるのは建設省になるんですか――それと、それから経済企画庁にお尋ねしたいんですが、いま水質のいろいろな基準をつけようじゃないか、いまいろいろのことを方々でやっておいでになりますが、最後にまとめてどこが責任を負ってやろうとするのか。やっぱり飲料水と海水浴や海中公園のほうの基準は厚生省ですよ、工場排水のほうは建設省か、どこになるのかばらばらになってしまっておるが、河川についてはどこかが一括して責任を負って基準というものを発表して、そうして今後の基準はどうなっていくか、その点についての責任をどこが持っていくのか、こういうところはどこになるんですか。
#70
○政府委員(登坂重次郎君) お答えいたします。今後水域に関する公害は多様化し、非常に複雑化してまいりますし、かつまた、身体、生命にとっても非常な危険を及ぼすようになりますから、これは政府全体として真剣に考えなければならないことは当然であります。なかんずく、私どものほうの経済企画庁におきましては、ただいままでの考え方としては、産業間の調和をはかりつっという、そういう前提が一つございます。厚生省あるいは通産省、農林省、そういう間の調整機関として水を扱ってまいりましたが、しかし、今後は、先生先ほど来の御主張のとおり、やはり人間尊重が大事であって、第二義的に産業調和という意味を考えなければならぬ時代でありまするから、私のほうとしては、水質保全という名目のもとに河川等をあずかる立場におきましては、率先して各省庁間の協調を得つつ、これが最後の責任を持つような方向に進むべきものである、そのように考えております。
#71
○成瀬幡治君 ぼくは建設省の河川局というのは、何か汚濁とか清潔とかよくわかりませんが、先ほどちょっと山内先生と二十九条を開いてみると、清潔ということばが出ておったんですが、これといまの現行法でいきますと経済企画庁との関係はどういうことになるんでしょう。建設省のほうのまず意見を聞いてみたいと思う。
#72
○説明員(堺徳吾君) いま先生がおっしゃられましたように、河川法二十九条には、清潔に関して、河川管理上支障のある行為については、これを制限あるいは禁止等ができるという規定がございます。これは政令をつくることになっておるわけでございますが、河川法の本来の目的としてはいろいろございますけれども、流水の正常な機能を維持するということが大目的としてございます。そういう意味におきましては、汚濁しているということは河川管理上支障があるわけでございます。ただ、中身としていろいろな行政内容がその中に入ってくるということでございまして、その規制をどういうふうにしていくかという問題は非常にむずかしい問題でございまして、私どもといたしましては、河川法二十九条の政令というのは現在まだできておらぬわけでございまして、いろいろ、水質保全法との関係をどういうふうに調整するか、さらにそれに基づきますところの工排法その他の法律との調整を遂げながら政令をつくっていく、総力をあげてそういう保全をやっていきたいというふうな考え方を持っておるわけでございます。いろいろな行政が複雑に錯綜してくる場合でございますが、河川管理者という立場で――水を総括している河川管理者がそういう規制をやるというのは適当ではないんじゃないか、われわれとしては考えておるわけでございます。
#73
○成瀬幡治君 ぼくは新聞を見まして非常に変に思いますことは、ぼくばかりじゃないと思うんですが、アユが死んだ、調べになるとまず地建が出てきます、中部地建、愛知県の場合です。県の公害課が出てくる、それから名古屋市の水道局、それから魚のほうで言うと水産庁ですか、そういうようなところ、いろいろなところが出てきまして、それがおのおの調査しておる。一体どこに責任があるか。調査してもらうことは非常にありがたいと思う。ところが、最後には一体どこが締めくくって、二度とそういうことが起こらないようにしてくれるんだろうか。対策はなるほど方々でしなければならぬと思うが、締めくくってまとめてやるところは一体どこであるかというところがちょっとわかりかねておるんですが、これはちょっとここでいまお聞きしてもいいものか、また答えが出るものか、ちょっとその辺のところわかりかねておるんですが、ほんとうは私はこういう公害問題で、しかも水と、こういうことになれば、それはなわ張りで関係のあることはわかります。しかし、どこが最後の締めくくりをやって責任を負うかということが明らかにならない限りにおいては、やはり同じことを何べんでも繰り返す結果になるんじゃないか、よそをたよりにしてしまってそういう結果になるんじゃないかと思うんですが、これはきょう私もここで、おれのところだと、こういうことは言えないと思いますから答弁は要りません。最終的には経済企画庁の水質保全ということになると、私そうじゃないかと思っておりますが、なかなかそこまでいくのはなわ張りで容易じゃないと思いますが、そこはお互いに助け合って、行政は国民のためにあるということでございまして、各省のためにあるものじゃない、住民のためだということは私が言わなくても御同感いただけると思いますから、そういう線でひとつまとめていただきたいと思います。
 それから最後に一言つけ加えさしていただくなら、こういうことを言っております。アユの漁業組合の方たちに会いましたら、いままではアユが死ぬと、発生源のところへ行って少しお金をもらって黙っておったんだ、だから、そういうことを何べんでも何べんでも繰り返しておったために木曾川の水というものはいつもこういうことを繰り返す、もう今度はそういうことをいたしませんよと、そういうことではなくて、発生源が二度とそういうことを繰り返さないようなことにしていただかなければなりません。したがって、私たちは今度はけちくさい補償の話はいたしません。それよりも、木曾川の水をきれいにしてください。魚も住めるし、安心して飲める、漁業のほうも稲作のほうにも被害が出ない、そういう水にしていただきたいのだ。そのことをこいねがっております。今度は物はいただこうと思っておりません。こういうことを言われました。これは私は何べんも何べんもそういう苦しいことを繰り返してきた魚を扱っておられる人たちの真剣な実は叫びだと思って聞いてまいりました。このことをつけ加えて一つ申し上げまして、今後もうこういうことのないように、私たちもよその川でもって今度またこんなことのないようにしていただきますことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#74
○黒木利克君 私は、政府提出の公害三法案につきまして、法律案の内容について逐次御質問をしてみたいと思います。できれば大切だと思う点を洗いざらい尋ねたいと思いますから、ひとつ簡潔にお答えを願いたいのでありますが、順序といたしましては、成瀬委員からせっかく木曾川の具体的事例を踏まえての御熱心な質問がございましたから、私も、いわゆる水質保全の関係法案からお尋ねをしてみたいと思います。
 第一は、いわゆる水質保全法案というのは昭和三十三年に制定されたと思いますが、たしか十条製紙と浦安の海岸の漁民との紛争が直接の動機だったと思うのでありますが、この法律は施行になりまして相当の年数たっておりますが、この過去の調査なり報告で、一体その水質汚濁による被害というのはどういうものがあったのか、特にこの旧法というか、昭和三十三年度の法律にも、あるいは今回の改正案にも「産業の相互協和」ということばがございますが、残っておりますが、これは立法の当初の動機から、こういうことばが当然目的の中にうたわれたと思うのでありますけれども、そういうものが実際の被害で具体的事例としてどういうことになっておるのか、「産業の相互協和」というようなことが被害のウエートからどの程度のことか、一応過去の実績の御報告を願いたいと思います。
#75
○説明員(宮内宏君) 従来の法律、今度も残っておりますけれども、いわゆる紛争の処理ということと産業協和ということと並べてやってきたわけであります。いま御指摘になりました公害がどの程度どういうふうにあったか、水に関しまして、というお話でございますけれども、従来の私のほうの行政といたしましては、県の公害の紛争委員会というふうなものを設置しておいてもらいまして、そこで調整していただく、その際に事務費を配分しておくというような立場からの行政の実績でございますが、実は去年までに三十四件報告がございました。一応全部解決しておるわけでございますが、内容は、産業とそれから大部分漁業との紛争でございます。
#76
○黒木利克君 そういうことで、「産業の相互協和」という条文を残しておる意味もわかりました。その後、例の神通川とか阿賀野川とか、健康被害という問題がやかましくなってまいりました。そういうことで、公害対策基本法もできたのだと思いますが、また本法も改正になることになったと思うのでありますけれども、しかも次に質問いたしまする健康救済の措置法案というような、わが国独特の制度までこれから登場しようということに相なったと思うのでありますが、しかし、それにしても予防にしくはないわけであります。水質の保全が全きを得るならば、こういう健康救済の制度も必要なくなるわけでありますから、今回のおそらく改正の根本的な趣旨も、そういうような水質保全をできるだけ全からしめるというような意味で改正なさるのだと思いますが、一体、水質保全行政で今回どのような強化がなされておるのか。ひとつ項目別におっしゃっていただきたいのであります。私はそれによって質問を続けたいと思います。
#77
○説明員(宮内宏君) 先ほどから御指摘がございましたように、古いといいますか、現行の水質保全法ができてから十年こえましたその間に、非常に公害問題が激しい様相を呈してまいりました。水質の汚濁原因が非常に多様化してきたと申しますか、工場の数もふえましたし、それから従来規制をしていないような対象からも汚濁が進んできた。それから片っ方、いわゆる都市化が進みまして、非常に、家庭汚水、そういうものもふえてきております。したがいまして、この際、公害基本法も四十二年八月に成立したことでございますから、見直さなければならないという観点に立ったわけでございます。したがいまして、水質の規制の汚濁源を拡大していくということが一つの目的といいますか、目標でございます。
 それから、先ほどからお話がありますように、やはりメチル水銀等の問題も一応水質規制上は解決しておりますけれども、そういうふうな健康をやはり重視しなければならないということに少し様相が変わってきてまいっておるわけであります。そこで、従来国と地方との関係が明確化されてなかった。具体的に申しますと、国で水質規制をかけまして、これを大臣が排水を監督しても、肝心の川の中の水の汚濁の状況を把握するため、アフターケアをもう少し強化しなければならぬ。国で予算を大蔵省から要求いたしまして、これを従来県に配賦してやってきておるわけでございますが、これは全くの予算措置でございまして、これをやはり文章上明らかにしなければならぬというようなこと、そういうふうな三つの点、さらにもう一つつけ加えますと、地方自治体と国との意思の疎通を十分はかっていくような必要がございます。そういう点につきましても、この際文章で明らかにしたい。そういうふうな改正の内容でございます。
#78
○黒木利克君 改正の趣旨はよくわかりましたが、そこで、第三条の二項に、水質基準の規制対象事業場の範囲がたいへん拡大をしたと思える改正の条文が書いてございますが、一体これらの追加汚濁水源といいますか、この水質基準を守らせるためにいろいろな実体法があるわけなんでありますが、しかも各省にまたがっている。成瀬委員も御指摘がありましたが、あまりにも各省にまたがり過ぎているわけなんでありますが、しかも実体的な規制法令というものがたくさんある。この法律の改正ができたときに、一体こういうような実体法令の整備がどうなるのか、各省とどんな話し合いができているのか、そういう点について少し御説明を願いたい。
#79
○説明員(白井和徳君) 今回の改正によりまして、斃獣処理場等、それから屠畜場、採石場、それから砂利採取場、それから廃油処理施設、それから政令で追加施行になっておりますし尿処理施設等が今回の改正によりまして水質基準の規制対象になるわけであります。したがいまして、これらの実体法規におきまして、ただいまのところそれぞれの関係省庁の大臣が、それぞれの法律の目的に従ってそれぞれの事業場の許可基準を出しているわけなんでございますが、今回の改正に伴いまして当然水質の指定が行なわれるということになりますれば、その公共用水域にかかる水質基準をそれぞれの事業場等について順守していただくために政省令の改正を同時にしてもらうということが必要なんでありまして、現在、関係省庁とその話し合いを進めております。したがいまして、水質保全法の改正が通る段階におきまして政省令の改正等進めてまいりたい、かように考えております。
#80
○黒木利克君 そこで、成瀬委員からの御指摘もありましたが、毒物劇物ですか、取り締まりに関する法律の関係は、工場の排水の関係の法令で取り締まるわけですか、その関係はどういうことになりますか、この第三条の関係では。
#81
○説明員(白井和徳君) 水質保全法におきましては、それぞれの工場または事業場から排出される汚水によって河川が汚濁する場合に、当然そこの工場、事業場等に水質基準をかける、それでその水質基準をそれぞれの実体法規において規制していくということになっております。したがいまして、たとえば先ほどのシアンにつきましてメッキ工場等からの廃液があって、それによって汚染されるということになりましたら、当然そのシアンについての基準がかかった場合に工排法に基づきまして電気、メッキ工場等の基準順守というものが工排法上広くなる、こう考えております。
#82
○黒木利克君 これは成瀬委員からの御指摘を待つまでもなく、第三条の運用をひとつしっかりやっていただきたい。特に経済企画庁が一応の窓口、一応の調整、この法案の所管庁でありますから、ひとつしっかりやっていただきたいと思います。
 そこで、先ほどの改正の第二点として、国と地方公共団体との関係の御説明がありましたが、これも成瀬委員の御質問を聞いておりまして、やはりこの水質汚濁問題の解決にあたっては、その地域の特殊性というのがいろいろあるということがわかりました。したがって、きめのこまかい施策が必要になってまいるわけなんでありますが、この水質保全行政で先ほども簡単にお触れになりましたが、国と地方公共団体の関係がどんなふうに一体改善をされたのか。アフターケアで監視を強化するとか、あるいは意思の疎通をはかるとかいうことも聞きましたけれども、どうもまだすっきりしないのでありますが、国と地方公共団体との関係が旧法と比べてどれだけ改善をされたか、そういう点をひとつ御説明を願いたい。
#83
○説明員(白井和徳君) 公害防止というのは国だけではなくて、地方公共団体とあわせやることによって密度の高い保全行政が推進できる、かように考えております。特に公害問題は非常に地元と密着した問題でございますので、やはり第一義的には、地方公共団体も地方自治の精神に基づきまして公害行政を推進していただきたい、かよう考えまして、今回水質保全法の改正にあたりましては、都道府県知事に経済企画庁長官に対する意見具申権の創設と、それから水質汚濁防止の観点からもろもろの資料あるいは意見を企画庁に求めることができるという形でもって協力態勢を強化していきたい、かよう考えまして、地方公共団体との密接な協力関係を保全法の改正において確立したい、かよう考えまして今回の改正をいたしたわけでございます。
#84
○黒木利克君 次に、成瀬委員の御指摘で木曾川のように水質の基準、せっかく水域の指定をしても、どうも改善が進んでいなかったように思うのであります。だから、この法案を出したのだという説明なんでありますが、一体その水質基準の設定によっていままで指定水域の水質がどのように改善されてきたのか、その実績と、木曾川のようにほとんど改善が進んでいない、都市河川方式で事情の変更だとおっしゃっておりましたけれども、こういうふうに改善が進んでいない場合に積極的にどうなさるおつもりか、もう一度はっきりお答えを願いたいと思います。
#85
○説明員(白井和徳君) 先ほど成瀬先生からの御質問もありましたし、いま先生の御質問にありますように、水域を指定した後におきまして基準を設定するということを通じまして、ある河川におきましてはその基準設定以前の水質に比べまして相当の改善を見ている河川もございます。また、最近における企業の工場の新規立地、あるいは都市化の増大に伴いまして家庭汚水等未規制汚濁の増大、あるいは工場の新規立地によりまして基準設定後も非常に、必ずしもよくなっていないような河川もございます。したがいまして、これにつきましては、指定した後、ここにありますように、先ほども生活局長から御説明ありましたように、アフターケアを実施し、必要があれば基準の改定を行なっていきたい、そして保全行政を強化していきたい、かよう考えております。
#86
○黒木利克君 これは厚生省にも関係があると思うのですが、先ほど来の御説明を聞いていると、最近公共用水域の水質汚濁の特徴というのは、いろいろ汚濁物質の集積によって水質の悪化が非常に急速に進んでおるという説明でございましたが、この公害対策基本法によりますと、公害対策基本法の九条では、環境基準というものをつくらなくちゃならぬという条項がございます。それから本法案の七条には、水質基準というものをつくらなくちゃならぬ、一体この公害対策基本法の九条の環境基準と、この本法案の七条の水質基準との関係がどうなのか。私はこの公害対策基本法の環境基準というものを早くつくって、それを確保するためにこの本法案の七条の水質基準というものもつくって水質保全行政の強化をしなくちゃならぬのだと思いますが、これは厚生省の関係だと思いますけれども、その環境基準の設定というものをいま検討なさっておると思いますが、どのように一体検討なさっておるのか、いろいろ最近の事情をひとつお答えを願いたいと思います。
#87
○政府委員(武藤g一郎君) 水の問題は調整官庁であります企画庁のほうでやっておられますので、あとで総括的にお答えになると思いますが、厚生省といたしましても、この水に関します環境基準につきましては、やはり先生御指摘のように、早急に設定いたしまして、それを守るために排出規制をいろいろ強化していく、あるいは対象をふやしていくということがぜひ必要じゃないかと思います。厚生省といたしましては、先ほどの成瀬先生の御質問のときにお答えしましたように、厚生省で現在所管しておりますもろもろの問題につきまして、いま環境基準のいわば条件といったようなものについて検討しておりまして、こういったものを各省で経企庁のほうに差し出しまして、そこで具体的に水あるいは水域の環境基準をつくっていただく。この場合に、やはり水はいろいろの利用目的で規制が行なわれることと思いますので、その点大気と違ってなかなか多岐にわたり、また具体的に各地域によっても違うと考えられますので、なかなか具体的な数値をきめるのには多少の時間がかかる、かように考えております。
#88
○説明員(白井和徳君) 黒木先生のおっしゃる七条の水質基準は、これは個々の工場の排水口にかかる基準でございます。したがいまして、個々の排水基準をかけただけでも、必ずしも公共用水全体を見た場合に汚濁が防止できないというのは、公害現象の特徴であろうと思います。したがいまして、先ほど厚生省のほうからお答えありましたように、水質の問題につきましても早急に環境基準をつくっていきたい、かように考えております。ただ水質の場合には、大気汚染と同じように全国一律にきめるというのは非常に問題があろうかと思います。したがいまして、河川の利用目的に応じて環境基準というものを設定していきたい、かよう考えまして、現在経済企画庁の水質審議会の中に環境基準部会を設置し、関係省庁の協力を得まして、至急その作業を進めているところでございます。
#89
○黒木利克君 それでは次に、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案について御質問いたしたいと思いますが、この公害対策基本法の二十一条にこういう公害の救済規定がありますから、この趣旨にのっとってこの措置法案も制定されるのだと思いますけれども、しかし、この二十一条を見ますというと、公害被害の全般についての救済措置を考えろと書いてあるわけでありますが、今回は公害の中でも大気汚染と水質汚濁だけに限定をして、騒音とか振動とか悪臭とか地盤沈下等は対象になっていない。それからその公害にかかわる被害につきましても、いろいろ健康の被害のみならず、休業による収入の減小とか精神的打撃とか産業の被害等もあるわけなのであります。それからまた、先ほど申しました公害の騒音によって難聴とかあるいは子供の引きつけとかあるいは血圧が高くなったとかいうような問題もあると思うのでありますが、一体この今回の措置法案で、こういうふうになぜ限定をしたのか、その辺のいきさつをひとつ御説明を願いたい。
#90
○政府委員(武藤g一郎君) 今回提案の法律では、具体的な救済方法としては、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法ということで、法律の第一条で、水とそれから大気の関係によって起きた病気についての被害救済をはかるということに一応限定をいたしております。そのほかの、公害基本法では、先生御指摘のもろもろの公害がございます。全体で六つほどあるわけでございますが、公害によりまして、現在いわゆる公害病と認定をする、いわゆるその影響によって疾病になったということが実際にある、また学問上、医学上証明できるということにつきましては、やはり現在のところ大気と水の問題だけでございますので、一応それに限ったわけでございます。御議論がありましたように、騒音や悪臭等も健康に全く関係がないということは私どもも考えておりません。いろいろ学問なりあるいは実態等が進みまして、そういう問題までも検討する時期が来、また、あるいはその実態があるというときには、当然私どもとしては十分前向きで検討しなければならない、かように考えておるわけでございます。
 そのほか、健康被害以外の問題にもいろいろ被害があるじゃないかということにつきましては、現在健康問題がやはり厚生省といたしましては早急に解決しなければいけない、また第一に考えなくちゃいけないということで考えたわけでございますが、いろいろ生活保障、あるいは生活に伴ういろいろの損失という問題につきましては、生活保障の問題につきましては、現行のいろいろの社会保障制度の改善にとりあえずは待つほかはないんじゃなかろうかということでございます。
 そのほか、農林水産等の物的被害についての救済も必要ではないかということにつきましては、もちろんこれは検討を要して、でき得れば救済措置を講ずる必要があるかと思いますけれども、なかなか、そういう問題につきまして、健康のように一定の画一的な制度をつくるということにつきましては、いろいろ検討すべき問題点が多うございまして、今日の段階では立案できなかったわけでございます。こういう問題につきましては、でき得ますれば、同時に出しております公害紛争処理法案等の活用によりましてそういう問題の解決をできるだけやっていきたい、こういう所存でございます。
#91
○黒木利克君 私も現状ではやむを得ない、特に公害紛争の処理法案も提案されておりますから、当面はこれでやらなくちゃならぬとは思いますが、いずれにしても、この措置法案は世界に例がない、いわば世界最初の進歩的な立法だと思います。それだけに本制度の性格を少しはっきりしておきたいと思うのでありますが、こういうようないわゆる公害病に対しては、各種医療保険制度というものがありますから、この給付率を十割にすればこれも一つの解決の方法であろうと思います。あるいは、社会保障制度審議会の答申によりますというと、公費による公害医療制度というものを確立せいというようなことをいっておりますから、恒久的な制度としては確かにこれも一案だと思いますが、こういうような医療保険にもよらない、あるいは公費による公的医療制度にもよらないで、わが国は、独特というか、利用者及び国、地方公共団体の三者負担というような制度にした理由、あるいは、この制度がいわば社会保障でいかないでこういう独特のことにした理由、そういうことについて一体当局はどういうふうに因果づけを考えておられるかお伺いしたい。
#92
○政府委員(武藤g一郎君) 御指摘のように、公害問題は、原因者と被害者との因果関係を究明するということが非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、民事上の問題だけでこの問題を解決することができないので、やはり行政上の救済措置を何らかの方法で立案する必要があるということで、そういう点に着目いたしましてこの法案を考えたわけでございます。それにつきましてはいま御指摘のように、現行の社会保障制度の拡充という考え方も一つの方法でありましょうし、また、公害独特の一つの特別の制度を打ち立てる、根本的に打ち立てるということも一つの方法ではなかろうかと考えられます。しかしながら、特に後者につきましては、これは社会保障制度審議会でも将来の検討としてそういう点も検討しろというような御意見を出しておられます。この点につきましては、いわゆる公害の原因となる原因物質等あるいは原因者等の責任におきます一つの制度、まあいわば労災的なものの感じの制度というものも理論的にはいろいろ考え得るかと思いますが、そういう点につきましては、当然私どもとしても、将来の方向としては検討すべき価値があるという所存ではございまするけれども、現段階でそこまでいろいろの制度を考えるまでには時間的なあるいはまた一つの考え方をまとめるのにはいろいろ問題点が多過ぎたので、とりあえずやはり現在の社会保障制度の一環とあわせて現実的に処理せざるを得ないんじゃないかというようなことで、この今回の法案を考えたわけでございます。もちろん御意見のように、将来につきましては、当然そういう根本的な問題も含めて検討すべきだと私ども考えております。
#93
○黒木利克君 社会保障制度審議会にこの法案を諮問したところを見ると、社会保障制度を考えておるのかなとも思えるのでありますが、どうも法案の内容を読んでみると、社会保障制度ではなさそうだし、一種独特の制度だとは思うのですが、しかし、それにしても給付に所得制度を設けておるというのはこれは社会保障制度審議会も適当でないと言っておりますけれども、こういうあいまいな制度にさらにまた所得制限を設けるというのもどうかと思うのでありますが、一体所得制限をなぜ設けたのか、その辺のことをひとつ御説明を願いたいと思います。
#94
○政府委員(武藤g一郎君) 先ほどちょっと御質問の点につきまして答弁が不十分でございましたけれども、もろもろの公害の問題の特殊性にかんかみまして応急措置として、とりあえず行政上の措置として原因者がいわばわかるまでの一つのつなぎ的な社会保障制度的な考え方で考えたわけでございます。したがいまして、先生御指摘のように、いろいろの給付を行なう場合に所得制度を行なうのは公害の特質上それはおかしいんではないかという点につきましては、十分御批判があることは私どもは承知しております。しかしながら、やはりこの問題を社会保障制度の一つの一環として扱う場合には、他の制度でとらえておりますよりな所得制限的な考え方もやむを得ず導入したわけでございます。しかしながら、この制度そのものの制度あるいは運用等につきましては、やはり公害の特質上できるだけ多くの人について適用するという考えで運用し、また、改善をはかっていかなくちゃならぬ、かように考えておるわけでございます。
#95
○黒木利克君 これはとりあえずのつなぎ的なものだということですから、恒久的な制度ではないわけですから、そうやかましく、論議をする必要もないとは思いますが、どうもこの所得制限の問題は、従来の原爆被爆者の救済に関する法律とか、その他の法律の悪いまねを踏襲しているような気がしてならぬものですから一応指摘したわけであります。そこで衆議院でも問題になったと思いますが、事業者、国及び地方公共団体の三者負担ということで日本の独特の制度ができた。これは私は非常におもしろい試みだとは思うのでありますが、事業者負担の保障というか、確実にその事業者が今後とも負担を続けるのだ、幾ら金がかかっても負担を続けるのだという保障は一体どういうものがあるのか、また、政府としてはどういうような保障措置を努力されているのか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
#96
○政府委員(武藤g一郎君) その財源関係につきましては、企業者とそれから国と地方公共団体の三者で分担することになっております。これは因果関係等が立証できない場合にやはり行政上の救済措置でございますので、やはり行政主体であります国、地方公共団体も費用を出す、いろいろ政策的な責任もございますし負担するという点、それからやはりこれは産業公害によりますものがほとんどその大部分でございますので、この基本法に基づきます社会的責任からその費用の半分までを負担する、こういう独特の考え方をとったわけでございます。
 御質問の第二点の、それじゃ企業が全体としてちゃんと出してくれるのかという御指摘の点でございます。この点はいろいろ立法段階でも議論がありましたし、また、衆議院等におきましてもいろいろ御議論があったわけでございます。制度といたしましてはこの事業者団体、これは十六条に「公害に係る健康被害の救済のための措置の実施に協力することを目的として民法第三十四条の規定により、設立された法人で、」民法法人で、その救済措置に協力することを、申し出によりまして厚生大臣と通産大臣が指定する、その指定を受けたものが、公害防止事業団と締結して事業団が示す事業、つまり国が本年度このくらいの費用が要るという費用の二分の一を負担するというたてまえを十六条でうたっております。そうして国が監督する事業団とで契約を結びまして、それを承認、両者の承認に付する、そうしてまた、その民法三十四条の法人は指定をしたときには公示をするということで、その団体のいわば社会的な公的な責任を天下に知らせるというたてまえをとっているわけでございます。それならばはたしてそれだけで保障が行なわれるかどうか法律的には多少不安ではないかという御意見もあろうかと思いますが、この点につきましては、現在民法法人が経団連の方々によりまして現在設立予定でございます。私どもとしては、この程度のいわば法律的な構成で十分約束を果たしていただけるものというふうに確信をいたしております。
#97
○黒木利克君 次に、少し条文につきまして第二条、第三条に「指定地域」とかあるいは「認定」の規定がございますが、この指定基準というものを一体どう考えておられるのか。それから当面一体どこの地域を指定なさるお考えなのか、予定地というわけです。それからこの第三条の大気汚染系の疾病について居住要件というものを設けておるようでありますが、この居住要件を設けた理由、それに厚生大臣が定める期間というのがございますが、この厚生大臣の定める期間は一体どの程度なのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
#98
○政府委員(武藤g一郎君) 第二条で指定地域を定めるわけでございます。これは政令で定めますと同時に、疾病をも同時に定めるわけでございますが、これは第一条にありますように、相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁が生じていること、それからその影響によりまして疾病が多発しておる、この二つが要件になっておるわけでございます。現在指定を予定しております地域並びに疾病といたしましては、水質につきましては神通川流域のイタイイタイ病の関係、それから有機水銀中毒の阿賀野川の流域、それからなお水俣につきましては、これはすでに原因者が判明しておりますけれども、現在いろいろ解決がはかられるよう努力されておりますが、本法の施行までに解決を見ない場合には、神通川や阿賀野川と同様に指定をいたす考えでございます。大気につきましては、現在のところ、四日市につきまして指定を考えております。これに関連しまして、どの程度の居住要件を考えているかということでございますが、御承知のように、大気汚染による疾病は非特異性な関係、つまり疾病に関しまして発病原因がいろいろあるわけでございます。したがいまして、ある程度の汚染があり、かつ慢性気管支炎の有症率が相当高い程度でないと、やはり大気汚染との関係があるというふうには認定できないというのが一般の学者の御意見でございます。こういう関係でございますので、学者の方の御意見では、やはり三年から五年の居住要件が必要ではなかろうかと、こういうことの御意見があるわけでございます。現在四日市では三年の居住要件を市の公害病の認定の条件にしておりますので、その三年の条件、私どもとしてはその条件に準じてきめたいと、かように考えております。
#99
○黒木利克君 指定予定地はわかりましたが、今後こういう地域は予防によって追加する必要がないようにしたいものだと思いますが、しかし、法律的にはやはり追加指定ということが考えられておるのかどうか。それから衆議院の改正で、指定地域の居住者だけではなくて対象を追加しておるようであります。それらの運用はどう考えておられるのか、その辺のひとつお答えを願いたいと思います。
#100
○政府委員(武藤g一郎君) 水に基因しますいろいろな問題につきましては、これはもういろいろ非常に悲惨な事件がございますので、こういう事件がどんどんふえるということは絶対あってはいけない、かように考えておるわけでございます。ただ御推察のように、大気汚染につきましては、四日市の汚染あるいは四日市を上回るような汚染地域も、たとえば京浜、阪神地区等にはございますし、十分な調査が、まだ患者についての状態等につきましては、調査が行なわれておりませんけれども、やはり今後早急にそういう京阪神地区の汚染のひどい地区につきましては早急に調査いたしまして、やはり相当程度患者の実態がつかめますれば、当然地元の意見を聞きまして追加指定等の措置も講じなければいけないのではなかろうか、かように思います。
 それからなお、衆議院で御修正になりましたいわゆる指定地域内に居住していなくても、通勤をしていてもその者を救うという法律修正が行なわれたわけでございますが、この点につきましては、やはり通勤者の方で慢性気管支炎等で苦しまれておるという方も散見するように私どもは聞いております。この点につきましてどの程度の条件が妥当であるか、この点はなかなか行政当局だけではきめかねるわけでございますけれども、やはり居住者の三年という条件を一つの参考といたしまして、専門家の御意見を聞いた上で、やはり患者の方になるべく手厚くできるような条件によって運用をはかっていきたい、かように考えております。
#101
○黒木利克君 そうすると、通勤ですから三年をこして四年とか五年とか、こういうことになるわけですか。
#102
○政府委員(武藤g一郎君) 算術計算だけではいかないかと思いますが、最低限は三年は必要である、あるいはもちろん均衡上多少条件を加味しなくてはいけないということ、それが三年半が適当であるか、四年が適当であるか、五年が適当であるか、そこのところは私どもとしては、専門家の御意見を聞いてきめたい、かように考えます。
#103
○黒木利克君 それでは、公害紛争処理法案についてお尋ねをしたいと思いますが、この法案の紛争処理の機関としては、三条の中央公害審査委員会、それに十三条の都道府県公害審査会、それに二十条の都道府県連合公害審査会と三つがあるように書いてありますが、この中央公害審査会と都道府県連合公害審査会の関係というか、あるいは二県以上にまたがりますから連合審査会だと思うのですが、中央公害審査会とはどういう権限の違いを持たせておるのか、所掌事務の違いがあるのか、ということをまずお聞きしたい。
#104
○政府委員(橋口收君) 公害紛争処理の制度を考えます場合に立案者として一番苦心をいたしました問題の一つは、中央と地方にどういう権限の配分をするかという問題でございます。で、公害にかかわる紛争の処理につきましては、できるだけ住民の身近のところで問題を解決するほうが望ましいわけでございますので、中央審査会にあまりにも権限を集中し過ぎるということは適当でもございませんので、そこで地方に公害審査会、及び府県の性格によりましては公害審査委員の候補者名簿を用意いたしまして、事件のつど調停委員あるいは仲裁委員を任命するいわゆる名簿方式というものを考えたわけでございます。ただ、公害現象はかなり地域的な広がりを持っておりますので、一府県内の公害の紛争の処理は地方の審査会で十分でございますが、二府県以上にまたがるものにつきましては、直ちに中央公害審査会の管轄にすることなく、できるだけ地域住民の身近のところで解決する、そういう趣旨に基づきまして、二府県以上の場合には当事者府県が相談をいたしまして連合審査会を設ける、こういう制度を予定したわけでございます。ただ、連合審査会が関係府県の相談によりまして成立しない場合もございます。それからまた、連合審査会の性格から申しまして、仲裁のような重大な事件を取り扱わすことは必ずしも適当でございませんので、連合審査会には仲裁の権限は付与しておりません。中央委員会は第二十四条に管轄の条項で明らかにいたしておりますように、人の健康あるいは生活環境にかかわる重大事件を扱う、それから二府県以上にまたがる事件でしかも広域的な見地から判断を必要とする事件、そのほか連合審査会がなじまないような事件について中央で管轄をいたすようにいたしておるわけでございます。
#105
○黒木利克君 そこで中央審査会の機能ですが、これは業界とかあるいは政党からの圧力を排除して、独立性と中立性を保つ必要があると思うのでありますが、そういう排除がどのようになされておるか。
 それから事務機構というか、十一条の事務機構が現在どういうことが考えられておるか。十分な事務機構がなければ独立性と中立性も保たれないわけでありますが、そういう点についてお尋ねをいたします。
#106
○政府委員(橋口收君) 中央公害審査委員会は、いわゆる行政組織法上の八条機関として性格づけをいたしておるわけでございます。先ほどもちょっと御質問の中にございましたように、三条機関、八条機関という御議論があったわけでございますが、中央公害審査委員会につきましては、国家行政組織法上の八条機関としての性格づけをしておりますが、八条機関として許し得る限りの権限の付与あるいは可能な限りの独立性、中立性の確保に留意をいたしたわけでございます。
 具体的な条文で言いますと、第三条に「内閣総理大臣の所轄の下に、中央公害審査委員会を置く。」という規定がございます。「所轄の下」という用語は、御承知のように、内閣総理大臣の具体的な指揮命令の系統に入らない、中央公害審査委員会の行為は内閣総理大臣の指揮監督から独立して行なわれるということを明らかにする趣旨の用語でございます。
 さらに中央委員会の委員長及び委員の職権の行使は、独立してこれを行なうように第七条に職権の行使の規定を設けております。また、委員長、委員の身分の保障について配慮いたしております。さらに任命につきましても両議院の同意を必要とするというような配慮をいたしておりまして、行政組織法上の八条機関でございますが、具体的な事件の処理に関しては、一切の勢力から独立して処理ができるという規定を設けておるわけでございます。
#107
○黒木利克君 裁定行為までやるわけではないのですから、私も八条機関でいいのではないかと思いますが、次にお聞きしたいのは、これは行政上の制度であるわけでありますが、現行の司法制度による解決もあるわけですけれども、なかなか長引く。そこで簡易迅速にこういう公害紛争を解決するために、こういう行政上の制度をつくったということはわかるのでありますが、この法案の調停とか仲裁の制度と民事訴訟との関係ですね、これがどういうことになっているのか、一体両制度というものは並存することができるか、たとえば民事訴訟の途中にこの調停の申請があった、あるいは仲裁になったというような場合に一体その関係はどうなるのか、その辺のことをちょっと御説明を願います。
#108
○政府委員(橋口收君) 先ほどの御質問に答弁漏れがございましたので補足して申し上げますが、第十一条の中央委員会の庶務の機構の問題でございます。これは公害審査室という政令上の部屋を設ける予定にいたしております。法律が通過いたしましたならば、できるだけ早く総理府組織令の改正をいたしまして、正式の機構としての公害審査室を設ける予定にいたしております。
 なお、公害審査室の構成メンバーといたしましては、四十四年度予算で十六名の定員増が認められております。さらにそれに加えて手持ちの定員あるいは各省の定員を活用いたしまして、総勢二十一名でスタートをいたすことにいたしております。
 それからただいま御質問のございました一般の民事訴訟との関係でございますが、御質問の中にもありましたように、民事訴訟法の規定による裁判の手続とこの公害紛争処理法による調停あるいは仲裁の手続とは原理的に並存し得る、両立し得るということに考えております。
 現在訴訟に係属中の案件でありましても、当事者の一方が調停を申し立てをして、さらに他の当事者が調停に移ることに同意をいたしますならば、この法律の規定により調停行為が開始になるわけでございます。したがって、当事者間で訴訟の取り下げをすれば別でございますが、取り下げをしない場合には、訴訟はそのまま係属中になるわけでございます。したがって、訴訟期日の設定等について裁判官の配慮が望まれるわけでございます。
 それからこの調停委員会の調停を依頼いたしまして、その途中で訴訟に移るということも可能でございます。そういう場合には、現実問題として調停がうまくいかないという事態になるわけでございますから、直ちに調停から成規の手続としての、裁判に移行するわけでございます。ただ仲裁につきましては、これも御承知のように、仲裁は当事者が裁判による利益を放棄いたしまして、施設裁判官としての第三者に紛争の最終的な判断をゆだねる行為でございますので、したがいまして、一度仲裁契約をいたしますと訴権を放棄するということになりますので、再度民事訴訟による裁判の手続を申し立てることは不可能になるわけでございます。仲裁契約が存在したまま訴訟を提起いたしますと、訴訟の利益がないということで訴訟の却下になるということでございます。それから訴訟に係属中の案件を仲裁に振りかえ6ということも可能でございます。ただその場合には、訴訟の取り下げという行為が必要であろうかと思います。仲裁は当事者が同意をして初めて仲裁人の判断に最終的な解決を依存するわけでございます。したがって、当事者が同意をして訴訟を取り下げるということが必要になるわけでございます。ただ冒頭に申し上げましたように、両方の手続は原理的に両立し得る、並存し得るということでございます。
#109
○黒木利克君 条文が飛びますが、五十条、衆議院でもいわゆる基地公害について、別に法律で定めるというところでだいぶ論議が繰り返されたよりなんですが、一体いわゆる基地公害を、「別に法律で定めるところによる。」とした理由ですね、それから一説によると、憲法十四条の平等の原則に違反するのだというような意見もありますが、どういうふうに考えておられるか。それから問題は、基地周辺の住民がこの法律ができた場合に不当に差別されることがあってはならないわけなんで、実質的に不当な差別がなされなければ私は憲法違反にはならぬと思うのでありますが、一体、御当局としてそのための具体的な措置をどのようにお考えになっておるか、要領よくひとつ御説明願います。
#110
○政府委員(橋口收君) 公害紛争処理法案の五十条におきまして、防衛施設に関する障害等につきましては、「別に法律で定めるところによる。」というように規定を設けたわけでございますが、法律の解釈といたしましては「別に法律で定めるところによる。」という意味といたしましては、現存の法律あるいはその法律の改正、将来における立法等も法律解釈としては包含をいたしておるわけでございます。ただ政府側の考えといたしましては、現在の法律の防衛施設周辺整備法等の運用あるいはその運用の改善、予算の増額等によりまして十分防衛施設周辺の住民の利益が擁護されるという見解をもって、こういう規定を設けたわけでございます。
 その具体的措置の内容につきましては、防衛施設庁で従来も相当進んだ措置を講じておられます。また、将来とも措置の改善の内容についても検討いたしておられるわけでございます。で、憲法十四条の平等の原則との関係でございますが、これは御承知のように、法律のもとにおける平等ということを憲法が保障いたしておるわけでございますが、これには二つの意味がございまして、法律の適用の平等と、それから法律の何と申しますか、立法の平等と、法律によって利益を受けるものが不平等であってはならない、二つの意味があるわけでございますが、この場合問題になりますのは、あとのほうの文字どおり法のもとにおける不平等があってはならないという見地から申しましても、はたして不平等があるかどうかということでございます。これは憲法の解釈は形式的、機械的に平等であるということを必ずしも保障いたしておる趣旨ではございません。したがいまして、防衛施設周辺住民に対する具体的な政府の措置の内容との比較において、平等、不平等というものを論議する必要があることはよく御承知のとおりでございます。そういう見地から申しまして、先ほど来御説明いたしておりますような防衛施設周辺に関する整備法あるいはその他の法律の現在の姿、運用の実情、今後の改善の方途等を相互勘案いたしまして、憲法十四条には違反しないというふうに考えておる次第でございます。
#111
○黒木利克君 それではついでに第五十二条ですね。罰則の規定がございますが、公害の紛争では加害と被害の因果関係と事実関係を究明をする必要が何よりも必要であります。そこで、いろいろ出頭の要求とか、文書または物件の提出とか、立ち入り検査とかいうような制度が設けられておるのだと思いますが、ただこのような場合、たとえばこの立ち入り検査等の場合に、企業の秘密とかあるいはまあ被害者のプライバシーに触れるというおそれが多分にあるわけでありますが、こういう当事者の秘密の保護とそれから紛争の公正な解決との調和点というものをどこに求めるかが一番問題だと思うのであります。たとえば、ここに五十二条には「正当な理由がなくて、」とございますが、これはいずれば裁判所がきめることだと思いますけれども、一応この五十二条で「正当な理由」とは一体何か。これは客観性が要るのだと思いますが、その「正当な理由」についての御説明を願いたいと思います。
#112
○政府委員(橋口收君) 「正当な理由がなくて、」文書の提出要求権あるいは立ち入り検査権に対して、これを拒んだり、妨げたり、あるいは、拒否をいたしました場合には、一定の制裁がございます。いかなる場合が「正当な理由」に該当するかという点につきましては、御質問の中にもございましたように、最終的には裁判所の判断によるものというふうに考えられるわけでございますが、ただ企業の秘密であるという理由だけで安易に検査の拒否をしたりあるいは文書の提出を拒否するということは許されないというふうに考えております。客観的に見まして当該秘密を公開することによって事業の運営そのものに重大な影響がある、そういうものとして十分企業からの説明を聴取し、調停委員会、仲裁委員会において納得の得られるような性格のもので初めて正当な理由があるものとして拒否をし得るというように考えております。単に当該企業が主観的に考えて秘密である、そういう理由だけで検査の拒否あるいは文書の提出要求を拒むということは許されないというふうに考えております。ただ先ほど申しましたように、最終的には非訟事件手続法によりまして裁判所の判断を仰ぐべき性格の問題であります。
#113
○黒木利克君 それから三十七条の手続の非公開の問題でございますが、これは民事調停も非公開ですから当然の規定だとは思いますけれども、衆議院でもいろいろ論議があったと思いますが、これを非公開にした理由ですね、この議事は非公開で、結果は公表なさるのだと思いますけれども、この議事を非公開にしたおもな理由を教えてもらいたい。
#114
○政府委員(橋口收君) 裁判につきましては、公開の原則が憲法上保障されておるわけでございます。裁判につきましては、御承知のように、一方の当事者の申し立てによりまして当事者間の紛争に対して最終的な判断が行なわれるわけでありますが、その裁判所の判断に当事者が拘束をされるわけでございます。したがいまして、一方の申し立てにおける当事者間に一定の権利関係が強制的に形成されるというのは、裁判のみでございます。したがいまして、そういうものにつきましては、当事者の人権擁護あるいは利益擁護という見地から申しまして、裁判の公明性を確保するために、いわゆる公開の原則というものが、憲法上設けられたわけでございます。それで、この公害紛争処理法案によります調停の手続は、あくまでも当事者の話し合いによって問題を解決するという趣旨でございます。ただ、これは一方の当事者の申し立てによって調停が開始になるわけでございますから、調停の申し立てを受けた相手方は、それを受けて出頭し意見を述べる、あるいは一定の場合には、文書の提出にも応じなければなりませんし、あるいは立ち入り検査に対しても受忍義務があるわけでございます。しかしながら、あくまでも調停の性格から申しまして、当事者が胸襟を開いて、自由に話し合いをする、また、調停委員会のほうも当事者から十分落ちついた雰囲気のもとにおいて話を聞く、あるいは両当事者を一緒にして話を聞く場合もあろうかと思います。あるいは一方の当事者からだけ話を聞くという場合もございますが、いずれにいたしましても、当事者がひざをつき合わせて、胸襟を開いて、ほんとうのことを語り合うことによって、ある妥結点を見出すというのがこの調停の精神でございます。したがいまして、いわゆる裁判の公明性を確保するための公開の原則にはなじまない性格を持っております。したがいまして、手続を非公開にいたしまして、十分そこで話し合いを行なうと、そして、妥結点を見出すという趣旨におきまして手続を非公開にいたしたわけでございます。ただ、手続の非公開ということで、絶対的非公開ということになりますと、かえってまた問題もあろうかと思います。衆議院における附帯決議の趣旨にも沿いまして、できるだけ当事者の納得のいくような形で、しかも、あくまでも非公開の原則は守っていきたいと、こういうふうに考えております。
 なお、調停の内容等について結果の公表というお示しがございましたが、これは、事柄の性格から申しまして、本来公表には適しないものであろう。これは手続の非公開と同じような精神から申しまして、積極的に調停委員会が発表するというようなことには本来なじまないものじゃないかというふうに考えております。ただこの点も公害事件の性格から見まして、そうしゃくし定木と申しますか、あるいはあまりにもかたくなに考えることは必ずしも適当でないと考えますので、しかるべき方法によって外部に経過なりあるいは結果なりがわかるような配慮をする必要があるのじゃないかというふうに考えております。
#115
○黒木利克君 この手続の非公開については衆議院の、先ほど御指摘があった附帯決議に、運用上何か考慮するような文言がありましたけれども、
 いまの説明ではどうも非公開な原則だけれども、当事者が承知をすれば、参考人と言いますか、ある程度はまあ傍聴も許す、認めるというふうにとれましたが、その辺どんなふうな運用を考えておられるのか、もう一度お答えを願いたいと思います。
#116
○政府委員(橋口收君) ただいま傍聴というおことばがございましたが、そのいわゆる傍聴ということは考えておらないわけでございます。したがいまして、当事者と申しましても、当事者だけ、当事者本人のみに限定するということが適当かどうか、あるいは代理人なりあるいは何と申しますか、たとえば患者の場合に付き添い人が必要だとか、そういうような配慮はする必要があるのじゃないか。ただ具体的には中央公害審査委員会が発足いたしましてから、なおよく検討したい。衆議院の附帯決議でも「公害の社会性等からみてこれが運用に適切な配慮を加えること」ということのお示しを受けておるわけでございますので、現在の段階におきましては、ただいま申しましたように、いわゆる広い意味の傍聴ということは考えておらないわけであります。
#117
○黒木利克君 わかりました。それからこの四十五条ですね、申請手数料の規定がございますが、私は、その公害の特殊性から言って手数料を民事訴訟並みに取るということについて、特に被害者に相当な負担をかけるというと、申請しようと思ってもちょっとやはり足踏みせざるを得ないということになりますから、これはできるだけ負担があまりかからないように、過重な負担にならないように配慮すべきだと思いますが、実際のこの手数料をきめる場合にどういう御考慮があるのか。たとえば紛争の調停なり仲裁のために出張しなくてはならぬ、相当多額の金がかかりますが、そういうものまで申請手数料の中に入れるのかどうか。民事訴訟では最低六十円ということになっておりますが、手数料につきまして特別にどういう考慮をなさっておるか、御当局のお気持ちをひとつ伺いたいと思います。
#118
○政府委員(橋口收君) 中央委員会あるいは審査会に対して調停なりあるいは仲裁の申請をいたします場合に申請手数料を徴収するということになっております。さらに四十四条に調停、仲裁の手続に要する費用は当事者が負担という原則をうたっておるわけでございます。申請手数料につきましては、国あるいは公共団体は特定の人間の利益のためにある種のサービスを提供するわけでございますから、これはいわゆる試験検定手数料と似たような性格のものでございます。したがいまして、一定の申請手数料をお払いいただくということは、これはやむを得ないんじゃないかというふうに考えております。ただお示しにもございましたように、申請手数料が過大になるということは、これはまた同時に適当でないというふうに考えておりますので、まあ政令段階でなお詳細検討いたしたいと思いますが、一件当たり幾らということのほかに、申請金額、紛争対象金額等によりましてある段階を設けまして、一定額を徴収するということになろうかと思いますが、ただいまお示しもございますので、できるだけ過重にならないように配慮いたしたい。それからなお重ねて補足して申し上げますと、紛争処理に要する費用の負担の問題でございますが、これも政令で定めるものを除いて当事者が負担すると、民事調停の原則は当事者の負担ということになっておるわけでございます。ただ、公害事件の性格から見まして、政令で定めるものを除いて、原則は当事者が負担する。しかし、御質問の中にもありましたように、たとえば中央委員会なりあるいは地方の審査会の委員が出張すると、あるいは職権に基づいて調査をするというような場合、相当の費用がかかるわけでございまして、そういうものまで当事者の負担にするということは、これは適当でないというふうに考えておりますので、その辺のところは、政令段階で善処したい。ただしかし、あくまでもものの考え方としましては、当事者が負担するという考え方は貫きたいと思いますが、しかし、実質的な負担はこれまた過重にならないように善処したいというふうに考えております。
#119
○黒木利克君 それから先ほどあなたの説明の中で、地方における紛争処理機構で何とか名簿方式審査会方式とかおっしゃいましたが、名簿方式というのは一体どういうものなのか、どう一体審査会方式と違うのか。たとえば都道府県議会との関係が一体どうなるのか、それから名簿方式で一体十分な対策ができるのかどうか、その辺のことをお伺いしたい。
#120
○政府委員(橋口收君) 公害現象は御承知のように、各府県の自然的、社会的条件の相違によりまして、相当の件数、内容等の格差がございます。都道府県の予算を見まして、公害関係の予算は全然計上していない府県もまだあるような実情でございます。また、都道府県の機構を見ましても、担当の部局を設けておるところもございますし、あるいは全然担当の部局のないというところもございます。そういうふうに府県によりまして相当の格差がございますので、すべての府県について全部審査会方式を強制的な設置にする、必置にするということも必ずしも必要ないのじゃないか。それからまあ現在大気汚染防止法なりあるいは騒音防止法、水質保全法におきまして和解の仲介の制度を設けておるわけでございます。この法律によりまして全部公害紛争処理法に吸収されるわけでございますが、現在の和解の仲介員の制度はこの名簿方式と同じ方式をとっておるわけでございます。都道府県は毎年一回名簿を作成いたしまして、公害紛争事件の処理の必要のつどその中から府県知事が調停委員なり仲裁委員の指名をいたすわけでございます。これは質問の中にもございましたように、府県議会の同意は必要ないわけでございますが、審査会と委員会名簿方式と実質的にそう大きな違いはないわけでございますが、いま申しましたような府県議会の同意の必要があるものとないものというような違いで、これはあくまでも府県の実情にマッチした制度をとることによって、機動的に動かすことのほうがより適当ではないかというふうに考えたわけでございます。
#121
○黒木利克君 最後に、この紛争に至らない苦情というものもかなりあると思うのでありますが、年間一体どのぐらいそういう苦情件数があるのか、それから四十九条に苦情の処理の条文がございますが、それはいかにも簡単過ぎて、国民の立場から見ると、窓口が一体どこなのか非常に不親切な規定だと思っておりましたが、衆議院で修正になったようですけれども、これは当然だと思いますが、衆議院の修正では公害苦情相談員ですか、何か設けるというような修正になったようでありますが、一体今後この苦情処理について、具体的にどういう措置をなさるつもりなのか、最後にお伺いをしたいと思います。
#122
○政府委員(橋口收君) 現在各都道府県、市町村に対しまして公害に関する苦情の処理の要求が相当な件数にのぼっております。四十二年でたしか二万八千件ぐらいの苦情の申請があったわけでございます。ただ、これは電話等での照会も一切含めております。また、いわゆる日照権の問題等の相隣関係の苦情も全部含めておりますので、いわゆる公害紛争処理法の対象といたしております公害対策基本法にいう典型公害、六公害よりかなり範囲は逸脱をいたしておるわけでございます。したがいまして、二万八千件と申しますと、非常に大きな件数ということになろうかと思いますが、そのうちどの程度のものがほんとうに調停なりあるいは仲裁に持ち込まれるかと、さらに調停仲裁までいかないまでも、府県の苦情相談なり組織によりまして始末をすることは可能かという問題もあるわけでございます。ただ、都道府県市町村における公害に関する苦情の処理の問題としましては、かなりの府県が行政的な始末を受けておるわけでございます。したがいまして、衆議院で修正を受けました苦情相談員、これも府県の部局と十分連絡のとれるような立場にしておく必要があるんじゃないか。ただ、苦情に関する窓口の統一化と申しますか、窓口の明確化という意味におきましてはあるいは意味があるわけでございますが、また、そのために相談員が浮き上がって知事部局なりあるいは市町村の部局とある距離ができてもこれまた必ずしも十分な処理ができないのじゃないか。その辺のところを相談員の整備もしつつ、同時に公害に関する苦情の処理は円滑かつ迅速に行なわれるように十分自治省とも相談して、府県市町村に対しての指導をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#123
○委員長(瀬谷英行君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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