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#1
第061回国会 石炭対策特別委員会 第2号
昭和四十四年一月九日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿具根 登君
    理 事
                鬼丸 勝之君
                川上 為治君
                大矢  正君
                藤原 房雄君
    委 員
                石原幹市郎君
                剱木 亨弘君
                徳永 正利君
                西田 信一君
                二木 謙吾君
                松平 勇雄君
                吉武 恵市君
                米田 正文君
                小林  武君
                原田  立君
                片山 武夫君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
       労 働 大 臣  原 健三郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     中川理一郎君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
       労働省職業安定
       局長       村上 茂利君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   参考人
       石炭鉱業審議会
       会長       植村甲午郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○当面の石炭対策樹立に関する調査
 (石炭対策基本問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 当面の石炭対策樹立に関する調査のため、本日、参考人として、石炭鉱業審議会会長植村甲午郎君の出席を求め、その意見を聴取することにしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(阿具根登君) 次に、当面の石炭対策樹立に関する調査を議題とし、石炭対策基本問題に関する件について調査を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○大矢正君 通産大臣にお尋ねをいたしますが、昨年の答申に基づき、近く閣議において新石炭対策を決定するという状況にあるようであります。しかも、その閣議決定は、伝え聞くところによりますると、明日これが行なわれるようでもあります。これからの石炭対策が閣議において決定をされるということは、一つの方向づけをすることでありまして、石炭に関心を持っているわれわれとしても、大きな転換期として重視しなければならぬと思っております。そこで、明日もしくはそれ以降において閣議で決定しようとなされるその内容は、具体的にどういうものなのか、お答えを願いたいと思います。
#6
○国務大臣(大平正芳君) 閣議は明日を予定いたしておりますが、おもなる大綱だけにとどめたいと考えております。
 第一は、基本の方針といたしましては、旧臘十二月二十五日に御答申をいただきました石炭鉱業審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、石炭政策を推進する。もっとも、この審議会の答申の中には、産業、炭鉱保安の関係で、去年の十二月十三日に中央鉱山保安協議会の答申の趣旨が盛り込まれておりますとともに、十二月二十六日の産炭地振興審議会の建議の趣旨も同様盛り込まれておりまするので、冒頭に石炭鉱業審議会の答申の趣旨を尊重するということをうたうつもりでございます。
 大綱といたしましては、第一に、再建のための助成策といたしまして、一千億円の再建交付金の交付と、それから現行安定補給金の拡充ということでございます。
 それから第二は、体制の整備でございます。その点につきましては、私企業として経営の自己責任に徹しまして、内部の経営の刷新、合理化につとめますことは当然でございますけれども、個別企業の利害を越えて、石炭鉱業全体の合理化推進のために、共同行為、統合等をはからなければ再建の趣旨に合わない。したがいまして、そういうことを実現いたしますために、鉱業審議会に体制部会を設置して、これを推進せしめますと同時に、必要において、政府はその実施を勧告して実効を確保しようという決意を表明するつもりでございます。
 第三は、労働対策の推進でございます。雇用の安定が石炭鉱業再建の根本でありますことは申すまでもありませんが、当面の炭鉱をめぐる労働条件、労働環境にかんがみまして、労働者の定着等の確保、閉山の場合の離職者対策等について慎重に配慮することをうたうつもりでございます。
 第四番目は保安対策の強化でございます。人命尊重の見地から申しまして、論をまたないところでございますので、また現に重大事故が頻発いたしておりますことにかんがみまして、先ほども申し述べましたように、中央鉱山保安協議会の答申の御趣旨を尊重いたしまして、保安対策を強化してまいる。
 第五に、閉山対策でございますが、われわれもとより閉山は望むものではございませんが、今後ある程度の炭鉱の閉山が起こる場合も想定いたしまして、石炭関係従業員をはじめまして、周辺の中小商工業者等に対する影響も考慮に入れまして、閉山交付金の単価の引き上げ、閉山対策等に所要の改善を加える趣旨を書き込むつもりでございます。
 第六は、鉱害対策でございます。現在なお膨大な鉱害が存在しておりまするし、しかも無資力鉱害の増加が見込まれておる現状でございますので、従来にも増して鉱害の処理が総合的かつ計画的に行なわれるよう復旧事業の規模の拡大、復旧制度の改善、鉱害対策の強化というものを考えなければならぬということをうたうつもりでございます。
 第七に、産炭地域振興対策の強化でございます。これは先ほど申し述べましたように、審議会の建議の趣旨を尊重いたしまして、産業基盤の整備、産炭地振興事業団の事業の拡充、地方財政対策の充実、地域内の雇用の拡大と安定等について配慮を加える趣旨を盛り込みたいと思います。
 なお、産炭地対策につきましては、私どもの関係ばかりでなく、関係省庁、政府関係機関等による協力体制を確立してまいらなければなりませんので、その趣旨もうたい込むつもりでございます。
 最後に、財政措置でございますが、御案内のように現行の石炭対策特別会計の存続期限が四十五年になっておりますが、これを四十八年まで延長するということ、現行の原重油関税中暫定分二%の取り扱いにつきましても、昭和四十六年度以降必要に応じて適切な処置を講ずるということをあわせて書き込みたいと考えております。
#7
○大矢正君 あすの閣議に出される通産省側の考え方はおおむねお聞きをいたしましたが、そこで大臣も御存じのとおり、石炭企業というものが現状のような状態では、石炭産業の再建はおぼつかないという立場から九、北、常磐の三社に集約をすべきではないかという意見が出ておりますが、これはすでにお聞き及びのことと思うのであります。ただ、問題は、この三社案というものが私企業の形態のままで三社に集約をするというのか、あるいは国または民間の出資によって特殊法人として三社に集約をするのか、あるいはまた純然たる公社のような形にして三社にするのか、思惑はいろいろあるでありましょうが、ともあれ、いまのような数多くの企業をもってしては、先ほど体制部会の中で議論をされるといわれておりました鉱区の調整問題や流通機構に対する共同行為というものは困難であるという前提に立って、しかも四千二百億円という多額の国費を使う立場からいけば、私企業の救済ではなくして、石炭を産業としてとらえるという基調に立ったこの三社案というものがやはり議論の対象になってしかるべきだと私は思うのでありますが、大臣としてこの三社案に対し、いかような所見を持っておられるか、ひとつこの際承りたいと思う。
#8
○国務大臣(大平正芳君) 私は、石炭対策というのは即体制問題であると承知いたしております。で、今日の石炭産業の再建をはかる場合に、したがいまして体制問題が大きく取り上げられて長く審議されてまいりましたことは当然だと考えております。八カ月にわたる審議会の御審議の経過を見ましても、そういうことがうかがえるのでございます。その間、大矢委員も御承知のようにいろいろな案が検討されたようでございますが、答申全体の思想といたしましては、私企業体制を基調にいたしまして再建の方策を打ち出していくということでございます。その場合、それはどういう形態のものになるであろうかという点についてもいろいろ御論議があったようでございますが、答申を流れておる思想は、私企業の責任におきまして再建の道を考えるべしと、ただし、自力の再建はとうてい不可能でございまするから、政府が所要の助成をしようと、その限界を突きとめた上でみずからの再建の姿勢をおつくりなさいということが根本の思想であるように承知いたしております。それでいいか悪いかという問題は、確かに問題中の問題であるということは私自身も自覚いたしておるのでございますが、石炭産業が御案内のように、今日非常な重患の状態であるわけでございますから、何としてもこの状態をこのまま放置できない。これを再建していく場合に十分の時間と十分な余裕と財源をもちまして、いろいろな構想を考えた上で着手してまいるという時間的余裕は目下のところございません。したがって、私といたしましては、審議会で示されました方針に従いまして、石炭産業の再建の糸口を早くつかんでいただくということにしつつ、体制問題で取り上げられました合理性の追求は、その過程におきまして、その山、その地域の実態に即しまして克明に究明してまいって、取り上げるべきものは鋭意取り上げていくようにすべきが実際的な方法であろうと考えております。ただ心配なのは、石炭産業関係者がそういうことに熱心でない、あるいは消極的である、退嬰的であるというようなことであっては困ると思うのでございまして、この石炭対策をその名の示すように石炭対策たらしめるためには、どういたしましても石炭行政当局である私どもの十分の指導がなければならぬと考えております。したがって、審議会内の体制部会、これは労使並びに学識経験者等をもって構成されるものと思いまするけれども、そういうところで十分御検討願うこともけっこうでございまするけれども、その結果ができるだけ早く実効をおさめ得るように、石炭行政当局として十分これを督促し、促進し、その実効をあげていくように鋭意配慮してまいるということでまいりたいと思います。その姿がどういう姿になるかということは、いま卒然として私の頭に浮かびかねるのでございますけれども、問題はこういう局面でございまするので、現在の石炭産業を殺すことなく、この病状に即して用心深く労使の協力と相まちまして、十分御相談にのって一緒に苦しんで差し上げて、そしてまいりますならば、再建の道が開かれるに違いないし、また開いていかなければならぬと、そう考えております。
#9
○大矢正君 大臣、時間がないから端的に答えてもらいたいのですよ。どうも中身のない話ばかり長々とやられても困る。私がお尋ねしているのは、各党との間で三社案というものがこれは必要ではないかと、石炭企業というものは今日私企業のまま集約をするか、どのような形にするかは別にしても、やはり集中合併のメリットということを十分考えていかなきゃいかぬのじゃないかという考え方になっているわけなんだから、その点についてあなたはどうされようとお考えになっているのか。たとえばその三社化なら三社化という方向をこれから検討されようとするのか、いやそれはもう答申が出てその答申を基調にして閣議で決定をするのだから、そういうものは検討の余地のない問題だと、あるとしてもそれは将来の問題だというように考えておられるのか、その辺のことを具体的にお答えを願いたいと言っているわけですよ。
#10
○国務大臣(大平正芳君) 各党との話し合いの場でそういう話があったということは伺っておりますけれども、一致したお話であるとは伺っておりません。私といたしましても、先ほど申しましたように、答申の思想を受けて具体的な場合に即しまして鉱区の再編、調整、流通の合理化等、地域の実情に応じて共同行為、統合、そういったものを推進していきまして、その姿がどういう姿に結果的になっていくかということは、先ほど申しましたように、いま明確な姿が描かれませんけれども、この線に従って鋭意やって石炭の再建をはかっていくということをいちずに考えておるわけでございます。
#11
○大矢正君 集約をすることのメリットというのは、鉱区の調整が簡単にやりやすくなるのだというだけの問題じゃない、いろいろな分野にわたっていろいろなメリットというものはあるわけですよ。あなたの言うのは鉱区調整問題一点にしぼって、このためにはどうするのだという議論だけれども、そうじゃない。石炭産業全体としてどうするかという立場、経営全般にわたってどうするかという立場から考えてみての集中合併が今日必要だと、こうわれわれ言っているわけですま。そこで、あなたいろいろ言われるが、答申がかりに確認をされたとしても、三社にしちゃいかぬという結論は出てこないのですよ、これは。なぜかと言えば、答申はこの経営の形態は私企業とするということは明らかだけれども、集約しちゃいかぬとか、三社にしちゃいかぬということは何もないわけだ。したがって単純に考えていけば、私企業である限りは三社になってもそれはさしつかえないということを私は示唆しているのだと思うのですよ。それからいま一つ、鉱区の調整調整と言われるが、鉱区の調整問題は何もこと新しくやられなくとも、これは現在の合理化法によってできることなんです。勧告もできるし、いろいろなことができるわけだ。しかし、それが現に行なわれなかったということは、現に実効があるものがなかったということは、いまのような体制ではやはりできないのだということを物語っているのだから、したがって、この際集約化するものは集約化して、そうすることによって共同行為がやりやすくなるとか、あるいは鉱区の調整がやりやすくなるというような方向に持っていかなければいかぬのじゃないかと私は思うのですが、三社案というものはなるほど党の段階で出ている議論であって、通産当局としてまだ具体的な検討はしていないと言うのはそのとおりかもしらぬが、そういう方向がこれから検討をされる余地があるのかないのかということをお尋ねをしたいと思う。
#12
○国務大臣(大平正芳君) 石炭産業全体の体制問題を論ずる場合に、前提として、この前の参議院の本会議でも御答弁申し上げておきましたとおり、各企業の格差、これは私が一々説明するまでもなく大矢委員において御承知のとおりでございますが、まちまちでございまして、そこで統合の問題を考える場合には、そのうちの幾つかを一緒にする場合には必ずそこに平準化という操作が要ると思うのでございます。で、それは必ず相当の財源を用意しなけりゃ考えられないことではないかと私は観念しております。したがって、先ほどの御答弁で申し上げたとおり、財源に制約がある中におきまして、三社案というような問題がすなおに考えられるかというと、私は非常に大きな制約がありはしないかと考えておりますし、そういう状況に持っていくという場合に、統合される企業側におきまして何かトラブルが起こりはしないかと心配するのでございます。したがって、私どもとしては、こういういま置かれた立場におきまして考えると、先ほど申しましたように鋭意合理性の追求を具体に即して周到に考えていって、そうして、結果どういう姿になるかということをいま予定しないで、当面の仕事に精力的に取り組んでいくべきではないかと、そう考えております。
#13
○大矢正君 三社にした場合に具体的にどういうメリットがあるのか、そうしてどういう不安が残るのかというような点は、具体的にあげて私は議論したいと思うのだけれども、残念ながら時間がないのですが、最終的に大臣に承りたいことは、いま新しい石炭対策を樹立をし、そしてこれから五年間の予算としては四千二百億円の金を使い、施策的には具体的にこういうものを行なうということを確定をするわけでしょう。たとえば肩がわり一千億、それに金利を含めた多額のものがこの予算がきまり、石炭対策がきまってしまえば、向こう十五年間にわたってこれだけの金は使うんだということは制約があるわけでしょう。鉱害問題についてもしかりですよ。四千二百億円というひとつの財源を想定して、その中に鉱害にはどの程度割り振るかということも、おそらく新石炭対策というものがあなたの閣議で出される内容のままかりにきまったとすれば、それも確定しなければならぬ、産炭地振興対策もそのとおりになる。そうやって、四千二百億全部を割り振ったあとから、かりに体制を変えようとしても実際上は金がなくて体制を変えることができないという状態になってしまうんじゃないですか。たとえばこれから一年たち二年たって、金の使い道を全部確定してしまったあとから体制を整備しようといってみたところで、金がなくて体制整備なんかできるもんじゃない。だからこの新石炭対策を樹立するこの段階で、体制はどうあるべきかという問題をもっとやはり真剣に考えて石炭対策というものを樹立しないといかぬのじゃないかというふうに私どもは考えるわけですがね。あなたの言われるような新石炭対策を閣議で決定し、予算措置も行ない、そして施策の大綱もきめてしまって、それでなおかつ将来いまのままの私企業を存続さしていく状態ではどうにもならない。やはり統合、集約化をしなければいかぬというような事態になったときにどうやってやりますか、それを。私はそんなまずくても早いほうがいいというようなことが許されるような今日の石炭情勢じゃないと思います。もっと深刻に、真剣に先を見通して考えないと、いま重大な分かれ道ですから、四千二百億円のむだ金をもう一回またここで使うかどうかの分かれ道ですから、大臣もう一度御答弁願いたいと思います。その三社問題について。
#14
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、体制論議は審議会におきましても長きにわたって討議されたことでございまして、三社案ばかりでなく、いろいろな案が討議されましたように承知いたしておるんでございますけれども、一応答申の姿で合意を見たという御報告を受けたわけでございます。私はそれを尊重したいという気持ちが一つと、それからいま石炭産業の実情は、体制論を大矢さんがおっしゃるようにもう一度三社案を中心に十分討議して石炭政策を発足させるという余裕がいまないのじゃないかという判断と、それから予算その他の仕上げが近づいておるというような時間的な制約もございますので、現実の判断といたしまして、答申の線に沿って措置いたして、閣議決定も大綱はきめていただきますけれども、この大綱の中におきまして、あなたがおっしゃるようにいろいろなその大綱による制約はございますけれども、その中で、できるだけ私どもの努力で改善すべきは改善し、くふうすべきはくふういたしまして、よりよきものにしていく責任があるのではないかと考えております。
#15
○大矢正君 大臣、いま予算の問題を言われましたが、石炭を企業的に見れば、今日早急に新石炭対策に基づく予算措置を講ずることによってこの危機を打開しなければいかぬというその緊急性は私も認める。だがしかし、やはり長い目で石炭産業という立場でとらえてみた場合に、いま重大な誤りをおかすということはあとあと悔いを残すことになりますよ。それからもう一つ言えることは、もし三社案とかそういう企業の集約なり統合なりというものがいま直ちにこれを実行できない、予算にも間に合わない、それから法律的な措置も間に合わないというのであれば、たとえ三カ月でも半年でも、あるいは一年かけてでも議論をして、そういう方向がよいとするならばその方向に向かっていくという努力が必要だと私は思うのですよ。とすれば、この四千二百億円程度という一つの大ワクができているのだから、何も向こう十五年間までの肩がわりをいま直ちにきめてやる必要性はないじゃないですか。単年度予算として、昭和四十四年度予算として七百億になるか八百億になるか、八百五十億になるか知りませんが、その範囲内で今回はとりあえず処置をして、将来の問題は体制とからめて四千二百億円全体として使うということをいまあなたがはっきりと言われたって、私は決して誤りではないと思うのですよ、どうですか。
#16
○国務大臣(大平正芳君) いま非常に微妙な段階に私はあるように判断しておるのです。と申しますのは、いま御指摘の一千億円の再建交付金、これが十五年間にわたって分割交付をされるということが信用の軸になりまして再建をスタートするわけでございまして、この根幹について狂いがしょっぱなからあると、たいへん私は不安を醸成しやしないかと心配するのでございますが、その点あなたと若干所見が違うのでございます。
#17
○大矢正君 あなたはまあ一千億の肩がわりをしてやることによって新しく担保を抜ける、抜けるからそれが金融の道になるということを条件としてのいまの御発言だと思いますが、それは私どもも長い間石炭問題をながめてみたり、みずから経験をしてみて、そんな簡単なものではないと思う。銀行屋が一千億肩がわりをしてやったから、それじゃ担保価値のあるものを除いて、はい、どうぞ、これでもってあなた金を借りて石炭をもう一回やってくださいということにはならないのですよ。それが簡単にできるくらいならこれほど真剣にわれわれ考えなくてもいいと思うのです。しかし、これ以上この問題についてあなたと議論をしてもしようがありません。時間がとにかくないですから、あらためて三社問題はいずれにしてもこれからなおあなたとの間に議論を展開したいと思いまするし、私どもの党は党として積極的に与党にも働きかけて、体制問題はぜひとも取り組んでいかなければならぬ課題としていこうと思っておりますから、ひとつ御判断をしておいていただきたいと思います。
 それから最後に予算に関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。閣議で決定される答申の内容、答申を判断をした内容や、答申それ自身の内容はこれから法律や予算の審議の中で検討されると思いますから、きょうは質問いたしませんが、緊急の課題はやはり予算の措置だと思いまするが、現状この石炭対策特別会計の予算の話し合いというのはどういう状態になっているのか、御説明を願いたいと思います。
#18
○政府委員(中川理一郎君) 先ほど大臣から御答弁ございましたように、明日の閣議決定ということを予想いたしておりますので、きょう現在のところでは政府がこの答申をどう受け取るか、それを受けてどう考えるかということが公式にきまっておらないという状況でございますので、非常に異例なことでございますが、七日の内示におきましても石炭関係の予算の内示はない、私どもも正式な予算要求をしておらない、内示もできない、こういう状況でございまして、ただこれは形式ばった話でございますけれども、十日の閣議決定がございましたならば、即時私どもは予算要求をいたし、内示を受けるということにいたさなければならないのでございまして、そのためには十日初めて話し合うということでは時間的に間に合いませんので、答申の線に沿いながら事務的な下打ち合わせを現在まで進めてきておる、こういうことでございます。
#19
○大矢正君 具体的に説明することが困難だとすれば、総ワクどの程度のものを要求されようとしておるのか、その点お伺いいたします。
#20
○政府委員(中川理一郎君) ただいま申し上げましたようなことでございますので、明確なことはお答えしにくいのでございますが、当委員会でございますので、率直な点をお話しておきますならば、おおよそ私どもの頭の中では八百億円プラスアルファといった程度のものを考えております。
#21
○大矢正君 そこで大臣にお尋ねをいたしまするが、八百億円プラスアルファという数字は、四十四年度の原重油関税の一〇%をもってしては原資の確保が困難であります。したがってどういう形で処理されるのか。一般会計から一時借り入れるという形で将来返すことになるのか、そういう方法もあると思うし、まあ場合によっては債券の発行その他によって、これは事業団等が行なうことでありますから、そういう予算を一時先食いをするという方法もあるでしょうが、ともあれ、そういう八百億円プラスアルファというものが確保される見通しがあるのかどうかということがまず一つ。
 それから時間がないからもう一つ。私は最近聞いておりますところによりますれば、開発銀行の融資がどうも財投計画の中で全額削られてしまったというように聞いているわけであります。これはたしか私の記憶に間違いがなければ、四十三年度百十億のワクを一応設定してきたと思います。以前はもっと多かったのでありまするが、少なくとも百十億前年度並みの開銀の石炭に対する融資ワクというものはこれを絶対に確保しない限り、幾ら特別会計の中で八百億円プラスアルファを確保してみたところで石炭の開発に対する投資というものを確保することは困難ですよ。たとえば新しく合理化事業団から無利子で百億円程度の金融の道をつけようというようなお考えもあるようでございますが、それをやってみたところで問題になりません。したがって、この開発銀行の過去ずっと続いてまいりました石炭に対しての融資ワクというものはどんなことがあっても確保しなければ、これからの石炭産業は生き延びていけないわけです。その点について従来どおりそれにあるいはプラスアルファされるだけの額を確保することができると見通されておられるのかどうか、お尋ねをしておきたい。
#22
○国務大臣(大平正芳君) いま中川局長から申されました四十四年度の所要額は確保しなければならぬ、私どもの責任で確保しなければならぬ、確保できると思います。
 それから開銀の問題につきましては、まだ内示の段階でございますので、局長から答弁させます。
#23
○政府委員(中川理一郎君) 開発銀行融資の問題でございまするが、この前御説明いたしました答申の考え方によりますと、長期金融、ことにいまの設備投資、開発投資につきましては、大筋といたしまして、いままでの体制を変えまして、主役を合理化事業団にになわせる、開銀は脇役になるという考え方でございまして、合理化事業団に主役をになわせるということのもう一つの効果といたしまして、資金コストのかかっていない石特からの出資によりまして、無利子の貸し付けによって長期金融をまかなっていく体制にいたしたいという考え方でございます。五年間に約五百億円程度の出資、年間ベースで申しますと百億円の出資をいたしていく。これにいままでの合理化事業団の貸し付け分の返済分も回ってまいりますので、年間百十億ないし二十億という程度の長期資金の確保はできるという前提に立っております。これは先ほど大矢委員のおっしゃいましたように、たとえば四十三年度の開発銀行の融資というものが百十億円でスタートしておったもの、大体この分を合理化事業団によってまかなっていこう。ただ答申をお読みいただきますと、記載されているのでございますが、開発銀行につきましても全然期待しないというわけではない、「長期的に採算のとれる企業につきこれを期待するとともに」ということで、私どもの頭では、従来と違いまして、わき役でございますので、そう大きな額を期待いたしておりませんが、目下資金運用部、財投関係の担当部局とこの間の数字につきまして折衝いたしておる、下相談をいたしておる状況でございまして、私どもの感じでは、合理化事業団と開銀とあわせて石炭鉱業の長期資金として必要なものは確保していきたい、こういう気持ちでございます。
#24
○藤原房雄君 いま大矢委員からもいろいろ核心に触れる質問がございましたが、私はこの大事なこのたびの再建抜本策に対しましていろいろ考えもございますが、四千二百億からのこういう大きな多額な資金を使うわけであります。抜本策と銘打ち、再建策と言われるからには、国民の前に、これだけの多額の税金を使う以上は説得力のある、いままでの対策とは違って今回のものはこういう面で石炭産業を再建できるのである、こういう説得力のあるものがなければならない、こう思うのであります。今日までもいろいろ議論されてきたのでありますが、大臣といたしましては、このたびの再建策はこういう点で従来とは違うのだ、であるからこれだけの巨額の金を使ってぜひやっていきたい、こういう点についてどういう点があげられるか、この点をお聞きしたいと思います。
#25
○国務大臣(大平正芳君) 御案内のように、いま石炭産業をめぐる内在的な条件、外部的な条件がたいへん困難であるということは御承知のとおりでございまして、これに対処していく方策といたしまして、その立案がたいへん困難であるということはあらかじめ御了承いただけると思うのでございます。したがって、たいへん魅力ある満足な答案がどこからも出し得なかったことを非常に残念に思いまするけれども、いま置かれた条件のもとにおきましては、今度の答申に盛られた思想、それから方策というようなものは、十分事態の要請にこたえ得ると思うのでございますが、ただその要件といたしまして、労使双方並びに関係方面がこれに御協力を願うという要件が確立いたしますならば、私といたしましては、再建の糸口が必ずやつかめると思うのでございます。ただ従来の立て方と違いましたので、出炭目標を明確に掲げていくというようなことをとっておりませんので、非常にぬえ的じゃないかという御批判があるのでございますけれども、非常に事態の困難性に直面いたしまして、まじめに政策への接近を試みたものとして評価していただけるのではないかと、十分精査していただけますならば、御評価していただけるのではないかと考えております。
#26
○藤原房雄君 まあこのたびの答申によりますと、手厚い保護がいろいろ述べられております。しかし、ここで考えなきゃならないことは、新しい方向といいますか、抜本的な一つの方向を打ち出すためには、新しいものがここになければ新しいものが生れてこない、このように思うのであります。今日までのこの答申によりますと、相当手厚い保護があるということはよくわかるのでありますが、こういうことからいたしまして、先ほどお話もありましたが、体質の問題、また将来石炭産業は日本の経済でこういう位置を占めるのだ、こういうはっきりしたものがここに明示されなければ、やはり納得のいかないものだと、国民も納得しないのじゃないか、このように考えるのでありますが、この点について大臣の答弁をいただきます。
#27
○国務大臣(大平正芳君) 従来は出炭目標を掲げて、これに見合うところの需要を開発いたしまして、石炭の原価、生産性、賃金水準、その他を一応想定をいたしまして進んでまいったのでございますけれども、すべてのことが当初の想定どおりまいりませんで、所期の目的を達成することができなかったことは非常に残念でございます。したがって、今度のやり方はそういったことをやらずに、再建の基盤を労使双方の決意にまず求めて、政府も最大限の助成をいたしますというかまえをとりまして、これからどうするかという点に力点を置いた政策にしたわけでございます。従来の立て方と違いまするので、御不審に思われる点はごもっともだと思いますけれども、そういう立て方から御判断をいただきまして、この政策が実効をあげるように御支援を賜わりたいと思います。
#28
○藤原房雄君 時間もありませんので次へ進みますが、原料炭の山と一般炭の山とでは、将来の明暗がところを分かっていると、このように思うのであります。まあ手厚い保護もあるかもしれませんが、これは当然そういうことが予想されるわけでありますが、ここで考えなきゃならないことは、最近は北海道と九州では大きな違いが出てきているのであります。従来は九州は日本の過半数の出炭をするような状況でございましたが、現在は北海道と位置をかえておる。しかも北海道は若い山で、これからの将来性ということが考えられておる。まあこういうことからいたしまして、この北海道、常磐、九州という地域差というものは当然考えていかなきゃならないと思うのであります。このたびの答申には、いま私が申し上げましたような細部の面についての問題は取り上げられておりませんでしたけれども、大臣といたしまして、現在までは九州にどちらかというと非常に重点が置かれた、機構もそうでありますし、研究施設等についてもそういうことが言えると思いますが、これからは当然地域差ということから、北海道を大きくクローズアップしなければいけないのじゃないか、このように考えますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
#29
○国務大臣(大平正芳君) 特に九州が重点、北海道が重点というわけではございませんけれども、総体的に申しますと、北海道に重点が逐次移っていくという感じはいたしております。
#30
○藤原房雄君 労働大臣もいらっしゃっておりますので、お聞きするわけでありますが、いま大臣から要領を得ない答弁でございましたが、当然地域によりまして、たとえば九州と北海道では様子がまた変わってくると思います。先ほど来の答弁のように、前向きのことが期待されればよろしいのでありますが、やはりこれは閉山というようなことも当然起こってくると思います。この閉山地帯に対する産炭地振興の充実が強く叫ばれております。答申にもこの点については種々述べられておるのでありますが、どうしても広域職業紹介というだけではなくて、新たに地域社会が生れ変わっていくような抜本的な対策がここに考えられなければならないのではないか、特に中高年齢者層の問題につきましては、より深刻な問題である、このように考えるわけでありますが、この点について閣議も迫っていることでございますし、労働大臣からはっきりとした答弁をいただきたいと思います。
#31
○国務大臣(原健三郎君) 御説まことにごもっともでございまして、いまの御質問に二つあると思うのですが、産炭地域の雇用安定対策をやるということ、広域に職業紹介等をやること、二つあるのでございますが、前者のほうは福岡県知事などが提唱いたしまして、産炭地域雇用安定対策というものを特に積極的にやってもらいたい、ごもっともなことでございまして、これは主として筑豊地区等の雇用、失業の現状より、今後における新たな炭鉱合理化の進展に対処して、私らとしてもこういう地域の雇用安定対策を緊急に講ずる必要があると考えております。そういうことにつきまして、いま予算折衝等も続けておるような事情でございます。それから広域的に職業紹介をやるということにつきましては、もうすでにやっておりまして、東京都内におきましては、労働市場センターというものを新設いたしまして、全国各地における職業の需要者、それから失業者、この両者を結合させるように電気装置、その他本部には電子計算機を置いて、急速にその両者を結合して処理するというような、世界的にも非常に有名なので、ちょっと余談になりますが、すでにアメリカとかソ連等からもこれを見学に来ているというふうで、日本の労働省が非常に先端を切っておりまして、かなり効果を上げております。もう一、二年いたしますと、二十分ぐらいの間に、たばこ一服吸っておる間に、全国のどこどこに、だれそれが要求する職業があるかないかということを二十分ぐらいで直ちに回答を与えるというくらいになるところまできておりますが、少し宣伝がましくなりましたが、だんだんこれを拡充いたしたいと思っております。
#32
○委員長(阿具根登君) ちょっと関連して御質問しますが、今度の予算で六十二億要求されておったと思うのです。そういう夢みたいなことを言っても、一体どうするつもりなんです。この石炭対策ができるかどうか。
#33
○政府委員(村上茂利君) まだ閣議決定もございませんので、正式要求という形はとっておりませんが、御承知のように実質的にはいろいろ財政当局と折衝いたしておるような次第でございます。いま委員長から六十二億という数字が示されましたが、そういった金額も頭に置きながら実質的な折衝をいたし、あす閣議決定を見ましたならば、さらに正式に要求をいたすことになるわけでございます。いま委員長から夢のようなという仰せがございましたけれども、いよいよ正式の要求をいたしますのはあす以後でございます。この段階におきましては、今日まで関係府県その他各方面からございました要求をきわめて具体的に実効性あるものとして集約いたしまして、強く予算折衝をいたしたいと考えております。ただいま大臣が仰せになりました雇用安定対策につきましても、その実現につきましては万全を期して当たりたいと存じておるわけであります。
 なお、大臣の御答弁の中に広域職業紹介の問題がございました。炭鉱離職者に対する特殊問題と一般問題があるわけでございますが、労働省といたしましては、昭和三十八年から今日に至るまでの炭鉱合理化離職者約十五万人のうち約九五%の方々につきましては、何らかの形で就職あるいは転職等いろいろな措置を講じてまいりました実績がありますものですから、ただいま大臣が仰せのように、職業紹介のコンピュータによる迅速化といった点によりまして、さらにその迅速化をはかってまいりたいと、こういう趣旨でございまするので、今日までの炭鉱合理化離職者の再就職実績等も踏まえ、かつ行政体制、なかんずくその機械化等によりまして、さらに迅速、適切化をはかりたい、かように存じておる次第でございます。
#34
○片山武夫君 通産大臣にちょっとお伺いしたいと思います。すでに審議会から答申が出されて、その趣旨にのっとって明日政府としての閣議決定、こういう時期に当面しておるわけなんです。今度の答申の趣旨が尊重されて、そして政策がこれから決定される、こういう段階でありますので、この答申案の内容そのものについても、非常にこれは幅がありまして、融通性に富んでおるというふうに私見ているのです。悪く言えば、どうもはっきりしない、こういうことになろうかと思います。中でも一番大切なことは、この中に出炭規模というものがはっきりしていない。したがいまして、この出炭規模がはっきりしていないということになりますと、これから予算を組んでいく場合に、いわゆる安定補給金であるとか、その他そういったようなものの金額がこれは明確になってこないのではないか、こういう心配が一つあるわけなんです。したがいまして、五カ年間に一体出炭規模をどうしていこうとしておるのか、この基本的な考え方をまず大臣からお伺いしたいのであります。
 それから二番目としては、この五カ年計画が完全に遂行された五年後の見通し、これも明確ではございません。したがいまして、五年後には自立体制がどの程度に確立するのか、こういったような重大な課題がまだあろうかと思いますが、それについてもある程度の政府としての見通しはぜひ必要ではないか。ここで五カ年計画を樹立するわけでありますから、それが明確でなければ、この五カ年計画がはたしていいのか悪いのかという判断もまたつきかねる状態であるかと思うのでありますが、政府としてこの答申の趣旨にのっとって五カ年計画が遂行されるとしたならば、五年後には一体どの程度の出炭規模になり、あるいは自立体制がどうなっていくのかという一つの見通し等についてお伺いをしたいのであります。
 それからこの答申の中にもいろいろ企業の統合の問題について政府は勧告することができるように答申されておりますし、もちろんそういうことも将来あり得ると思いますけれども、この五カ年間に企業の統合整理といいますか、そういうものをどういう形で持っていこうとしておるのか、そういったような基本的な問題についてもある程度の私は構想がおありになるのではないか、かように考えまして、この三つの問題についてひとつ政府の、特に大臣の構想をお聞かせ願いたいと思うのであります。
#35
○国務大臣(大平正芳君) たびたび御答弁申し上げておりますように、今度の答申は、頭から出炭目標を明示するということを避けまして、これは各企業の労使の努力と政府の助成にかかる態度をとったわけでございます。もっとも総合エネルギーがどういう値段でどのように供給されるか、また今後の産業公害がどういう態勢でどういう状況をたどるか、その中で石炭エネルギーがどういう地歩を占めるか、これは想定をすることはたいへん困難だと思うのでございますけれども、私ども石炭当局といたしましては、この政策が実効をあげまして、十分の経済的なエネルギーとして、みんなが努力すれば、出炭目標が多くなりましても、多くなればなるほどけっこうであるという考え方で進んでまいりたいと思います。
 それから第二点の、しかしながら四十八年度、そう申すものの最終年度全然見当を持たずにやったのではおかしいじゃないか、一応の見当はつけてあるはずだというお尋ねでございますが、その点につきましては、原料炭、一般用炭、電力用炭その他を含めまして、一般用炭を入れまして三千五、六百万トンの需要は確保されるのではないかという考え方に立っております。
 それから第三点の企業の統廃合の問題でございますが、これは答申にもありまするように、審議会の体制部会でいろいろ御検討をいただきますけれども、私どもとしても積極的に推進をしてまいりまして、できるだけ合理性を与えられた条件の中で生かしてまいらなければならぬ、個々の具体に即して実効をあげてまいらなければならぬと思っておりますが、それが結局どういう姿になるかというビジョンをいま示せと仰せられましても、正直に申しまして、はっきりと描くことができないのでございます。問題は、そういうプロセスを経まして鋭意進めてまいって、合理性は精力的に追求してまいるのだと、その姿勢はくずさんのだと、それから業者側がおこたるというような気配が見えましても、政府として大いに鞭撻をいたして、さようなことのないようにやってまいらなければならぬ責任があると考えております。
#36
○片山武夫君 大体構想はばく然とはわかるのですが、具体的に申し上げまして、現在いわゆる石炭再建計画の五千万トンという一つの目標を持って今日までやってまいりました。たまたまこれは目標を達成しないで四千七百万トンくらいの出炭規模、こういうようなことに終わっておるわけなんでありますが、そこで申し上げたいのは、この四千七百万トンあるいは五千万トン、当面これはあるいは出るかもしれない。そういったような場合に、これの供給策、これは当然開拓する必要があろうかと私は思うのです。そういう意味で、一年目あるいは二年目、三年目、四年目とある程度の計画性を持たないと、これは需要の側で非常に困ってくる場合が出てくる、さように思うのでありますが、そういうような意味でこの五カ年におけるところの出炭規模というものはある程度明確にしないと、これだけ掘ったが使うところがない、こういうことになったんでは、これは再建計画にはならぬ、かように思いますので、再度この点をもう少し明らかにしてもらいたいと思うのでありますし、最後のこの企業の統合の問題等について、この五カ年の間に統合等についての問題が私はいろいろ出てくると思います。すでに一社案あるいは三社案、いろいろ出ておりますが、そういう根本的な問題についても検討する余地があるのかないのか、こういったような問題についてひとつお答えを願いたいと思います。
#37
○政府委員(中川理一郎君) 最初に需給の問題でございますが、先ほど申しましたような答申の考え方ではございますけれども、一通りの需給想定というものはいたしております。残念ながら五カ年間を見通しましたときに、今年度の実績はすでに四千六百万トンくらいになるだろうという状況を踏まえていろいろ考えますと、ある程度の減少をなだらかさをもって行なっていくならば、需給面についてのそう大きな問題はないと考えております。まず千二百万トン前後の原料炭の需要というものにつきましては、価格問題はございますけれども、まず鉄鋼業との間におきまして問題のない安定需要というふうに考えております。他方一般炭の需要につきましては、御承知のように一般産業向けの需要あるいは暖房用の需要というものは、私どもは相当減っていくと、こう見ております。そう考えますと、一般炭の需要といたしまして一番主役をにないますものは、電力需要に相なるわけでございますが、これも片山委員御承知のとおり、いままでやってまいりました電発を中心にいたしました石炭専焼火力及び常磐共同火力というような、これは石炭を使うためにつくった発電所でございます。非常に確実な需要として押えられるわけでございます。次いで九電力の需要でございますが、むしろ電力側との間では、石炭側の供給力が逆にショートして電力側の思っておる石炭が入らないという事態がくるんではないかということについての心配のほうが多うございました。これは私ども、大体かた目に見ました供給力を先方方にお話いたしまして、もし不測の事態でこれにショーテッジが出ました場合でも、重油の手当てその他を事前に十分いたすつもりで話をいたしておる状況でございます。これらの点は、総合エネルギー調査会におきましても、おおよその御了解を得まして、御答申を出します前の総合エネルギー調査会での審議を済ましておる状況でございます。
#38
○委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#39
○委員長(阿具根登君) 速記を起こしてください。
#40
○須藤五郎君 答申の根幹に対しましては、先ほど大矢さんの質問に対して八点ほどあげていろいろ述べられました。ところが、私はそのいずれもがもうすでに現実にはくずれてきていると、こういうふうに思うのです。たとえましたならば、私企業体制を前提とするとおっしゃいましたけれども、石炭産業ははたして私企業と言えるだろうかどうだろうかという点につきましては、十二月二十四日の日経新聞では、計画期間中の予想売り上げ八千億円の産業に対して四千二百億円もの国家資金、いわゆる国民の税金が投入されるというきわめて手厚い保護を受けておる企業は、すでに普通の意味での私企業と言えるかどうかという点を日経は述べております。また十二月十五日の毎日新聞でも、石炭産業はもはや私企業ベースからはずれたものになったと、こう言っておるのです。なぜ私企業体制にそれほどまでに固執されるのかどうか。私企業であるがゆえに現在のような問題が起こってきておると、こう言っても過言ではないと思うが、これに対する意見を聞きたい。それから、こういう事実について大臣は一体どういうふうに思われるか、伺っておきたい。これが第一点です。
 北海道、九州の山元では、すでに答申以後の新しい合理化が始まっており、この実際の姿の中に、答申の具体的な姿が端的に示されているのです。すなわち答申後各炭鉱の会社側は、たとえば赤平市の赤間炭鉱は山を守るために正月返上を労働者に押しつけ、年末の二十九日の日曜日に出勤すれば三百円、正月の三日に出勤すれば五百円の商品券を出すといって督励しました。三菱大夕張では昨年暮れ答申に見合う合理化計画を会社が非公式に示し、大問題になっております。その内容はどんなものかといいますと、安全委員の定数を半分に減らすというのです。これは政府の方針と違うでしょう。労働組合の報告時間を制限するとか、有給休暇を制限するとか、採炭量を先山、後山二人の労働者で、これまでよりも一・五トン多く掘るなどという、こういうことを労働者に押しつけてきているのです。このように会社では出炭能率を引き上げて、全く保安を無視した強行採炭をしているのみならず、正月休み返上や労働組合活動への干渉を露骨にねらってきているのです。労働者は、これでは山が残っても、おれたちの命がもたない、おれたちは殺されてしまうと言って強い怒りの声をあげているのが現実です。答申には保安の確保が石炭の再建にとって欠くことのできない基本的な条件であると述べ、また炭鉱労働者の労働条件、労働環境の改善が必要であると述べております。椎名前通産大臣も、昨年十月二十八日に開かれた当委員会で私の質問に答えて、保安の対策も強化する、賃金も労働者に魅力のあるよう十分考えるべきだ、こういうふうに述べておられるのです。ところが、現実には私のいま申し上げたような状態が起こってきている。これが北海道といわず九州といわず、一般的な状態だろうと思うのですが、この現状に対して大臣はどういうふうに考えておられるのか、これをこのままにしておいていいのかどうかということをはっきり答えていただきたい、これが第二点です。
 答申によりまして経営者は勇気づけられ、山を残すためという名目で労働者に攻撃をかけてきているのが実情です。答申は石炭産業を再建という名前で取りつぶし、労使協調と言いながら、閉山、首切りを労働者にのまそうとし、保安の確保、労働条件の改善と言いながら、保安を無視した強行採炭という一そう過酷な労働条件を労働者に押しつけようとするものであることが、ますますはっきりとしてきていると思うのです。労働者が答申粉砕に立ち上がるのはまことに当然のことといわなければならないと思います。しかもこれでは重大な災害が激発することは避けられないし、離職者がふえることは火を見るよりも明らかです。したがって、私はこの機会に言いたいことは、このような再建策たり得ない答申に基づく政府案は断じてつくるべきではないということ、石炭の位置づけを明らかにし、石炭産業に明るい展望を与えつつ、労働者の立場から生命と安全を守ることを基礎に据えて、保安の確保、賃金の大幅引き上げ、労働条件の改善、民主的諸権利の保障を柱とするところの真の石炭産業再建の抜本策をつくり直すよう私は提議したいと考えます。これにつきまして大臣のお考えを伺いたいと思います。以上三点について明確にお答えを願いたい。
#41
○国務大臣(大平正芳君) 第一の石炭産業は私企業の運営では限界にきている、あるいは限界を越えておるのではないかという御指摘でございます。私は自由民主党とその政府のやっておりまする産業政策は、純粋の私企業体制でもなければ公企業体制でもないと思います。混合体制だと思います。で、問題はあなたが御指摘のように、石炭産業が普通の私企業より以上にこういう助成を必要とする事態に立ち至っておることは御指摘のとおりでございますが、私どもが受けました答申の思想は、私企業体制を基調にして、ぎりぎり一ぱい助成をして再建の道をさがしてみると、こういうことでございまして、現在の状況のもとにおきまして、こういう御判断が無理からぬ御判断だと思いまするし、それに従いましてやってまいろうと決意をいたしておるところでございます。
 それから第二の北海道の事例をあげての御質問でございます。労使の問題につきまして、政府がとやかく申し上げるのは僭越だと思うのでございます。問題は、政府としては石炭産業が再建をいたすということ、それから労働者の鉱山の保安が適正な水準において確保されるということに私どもの行政の力点は置くべきでございまして、そういうことの実現を通じまして、産業平和が招来されるようにすることが私どものねらいでございますので、その点を御了承賜わりたいと思います。 第三点でございますが、この答申につきましての御批判はかねがねから伺っておるわけでございます。この前の御答弁にも申し上げましたとおり、みんなこれで満足はしていない答申であることは、私もよく承知いたしておるわけでございますけれども、限られた財源の中にありまして考えてみると、現実の提案といたしまして、無理からぬ提案であるという認識に基づきまして、何もこれが金科玉条であると決してうぬぼれておるわけではないわけでございまして、与えられた条件の中で、この思想を踏まえた上で何とか再建への糸口をつかみたいということで精一ぱい努力してまいりますので、だめだだめだとおっしゃらずに、どうぞひとつ御支緩を願いたいと思います。
#42
○委員長(阿具根登君) 速記中止。
  〔速記中止〕
#43
○委員長(阿具根登君) 速記開始。
#44
○国務大臣(原健三郎君) ただいまの御質問の点でございますが、私どもといたしましては、審議会の答申の線に沿い、また明日閣議決定をいたしますので、その線に沿いまして、予算折衝その他におきましていろいろ御期待に沿うように善処いたしたいと、こう思っております。
#45
○須藤五郎君 あのね、私はいま現実に起こっているいろいろな問題について、こういうことが許されるべきことかどうかという点を尋ねておるのですよ。通産大臣はもう帰っちまいましたがね。それは労働大臣としてもこれは責任のある問題だと思うのですよ。保安保安と言ったり、災害をなくすとか、労働条件をよくすると言いながらですよ、今日その答申が出て、その直後からこういう問題が起こっている。私はちゃんとこれ調査してきたのですよ。でたらめに言っているんではないですよ。北海道に行ってちゃんと調査してきた。こういう問題が今日起こっていることに対して、通産大臣並びに労働大臣はどういうふうに考えておるのか。こういうことはあなたけしからぬじゃないですか。こんなことを許しておいていいのかどうか、私ははっきり答えてもらいたい。
#46
○国務大臣(原健三郎君) まだ私の手元、事務当局のほうでも詳細存じておりませんので、そういうおっしゃったようなことがありますのは非常に遺憾に存じますので、そういうことのないよう万般の指示を与えて善処いたしたいと、こう思っております。
#47
○委員長(阿具根登君) 速記中止。
    〔速記中止〕
#48
○委員長(阿具根登君) 速記を起こしてください。
 植村石炭鉱山審議会会長が出席されましたので、質疑に入る前に一言ごあいさつを申し上げます。
 植村参考人には、本日きわめて御多忙中にもかかわらず、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 それでは再び質疑に入ります。なお、植村参考人の出席時間は正午まででございます。この旨お含みの上、質疑のある方は順次発言を願います。
#49
○大矢正君 いま委員長からお話がありましたとおり、正月早々お答をいただくようなことになりまして、全く申し訳ないと思いますが、かねてからの重大な懸案事項でもありまするので、まげてひとつ御答弁を願いたいと思う次第であります。 実は先般来この答申が出ましてから、通産大臣との間に私ども質疑をかわしてまいりました。通産大臣が答えるのには、出されました答申、この答申に私自身満足しているものではないと、こういうことであります。私は長い間石炭専門にやってまいりまして、今回の答申を作成する過程ほど通産省が審議会にいろいろと申し入れをしたというか、意見を述べたというか、きれいなことばで言うとそういうことになりますが、俗なことばで言うと、横から口をはさんだといいますか、こういうことはかって例のないことだと私は思います。それだけに会長として御苦労なさったことと私ども十分感じておるところでありますが、先般来、これは新聞の報ずるところによってお尋ねをすることになるわけでありまするが、会長御自身も答申作成の最後の段階では、どうもすっきりとのどを通るような形であの答申が作成されたのではないのではないかというような感じがいたすわけであります。そこで、一体のどにつかえたものは何なのか、そして同じく会長がおっしゃられておりましたこれからの運営なり行政なりがよろしきを得れば、何とかなるのではないかというような御発言、ことばは若干違うでありましょうが、そういうことの意味は、結局どこかに無理がやはり考えられる点があるのではないかという感じを私自身受けるわけであります。それからまた危惧される点がどこかにあるのではないかという感じもこれまた私受けるわけであります。したがいまして、通産大臣も会長もともに満足されておらないという答申は一体どこが満足できないのか、どこに将来に対しての不安がおありなのか、この際ひとつお答えをいただきたいと思うわけです。
#50
○参考人(植村甲午郎君) ただいまの御質問でございますが、少しのどに通らないということを申しておりましたが、これはどうやら通るようになったのできまったわけなんですが、私自身としますと、逆にどうも通産省の関係の方は、なかなか私がかれこれ言っていて、だいぶ勉強させられて悩まされたという感じを持っておられると思うので、私自身としますと、必ずしも制約を受けて困ってしまったという気持ちもないわけであります。結局、とにかく予算の関係、幾らでもあればたいへんけっこうですけれども、ほかのほうの批判からいえば、四千二百億というものをこの五年間に石炭に投入するということについては、ほかの産業界としますと相当やはり批判があるわけでありまして、したがって、その限度で幸いに特別会計ができて、ある程度財源が得られてどうにかいけた。そうしますと、その範囲内でやりくりするわけであります。したがって非常に十分だとは言えない部分もありますし、それからよほど役所のほうとしても推移をよく見守っていただいて、そうして適切に運用していただく。世の中の生きものの問題ですから、合目的的にもちろんやっていく、これはもう基本方針としてやっていくことは変わりありませんけれども、タイムの問題にしましても、ちょっとおくれるとあとどうともならなくなる問題もありますし、相当よく気をつけてひとつ運用していただきたいという意味なんでございます。
 私は新聞の諸君には、どうも一次方程式的だけじゃこれ済まないで、少なくとも二次方程式、三次方程式で解くようないろいろな問題が世の中にあるのだから、それに即応できるような形で運用されないと困るということを申したので、それがどうも、これがのどに通らないということを言ったゆえんなんでありますが、だいぶその後いろいろくふうをされておりますし、運用よろしきを得ればというのは、よく気をつけてやっていただけば、これでどうにかいくのではないかというように考えております。
#51
○大矢正君 答申の基本的な考え方の中で、体制問題に触れられて、これが私企業をあくまでも前提として石炭産業というものは今後継続していくのだと、こういう御趣旨のようでありますが、そこで先ほども若干通産大臣との間に質疑をかわしたのでありますが、実は、各党間で議論をしてみましたところが、これだけの多額の国費を使うのであるから現状の石炭会社、これはたとえば大手が十六社ですかあれば、全部そのまま残すという必ずしもそういう意味ではありませんが、現状のような私企業形態をそのまま存続をするということは今日の段階で許されないのではないかという判断に立って、北海道、九州、常磐三社に石炭会社というものを集約したらどうか、まあ集約した以降、それが純粋の私企業であるなあるいは半官半民であるか、特殊法人であるか、それはこれからの問題といたしましても、ともあれ、そういうような集約をすることによって、統合をすることによってメリットを求め、それのメリットを得ることによって国民の不安なり不満なりにこたえるべきではないかというような実は方向が議論されつつあります。私どももこれから予算並びに法律の上において新石炭対策を樹立するわけでありまするが、植村会長自身、答申それ自体の中でまだ不足されるものがありといたしますれば、われわれ自身がこれからの論議を通して充実をしていかなければならぬという点がありまするし、同時にまたいま言ったような集約、統合という議論が出ておりまするが、これはいま言う三社案というようなものは、会長が答申をされた私企業体制を前提として石炭産業は再建をされるものであるというものに反するのかどうか。私自身の解釈は、別に三社になったからといって、この答申の根幹に触れるとは実は考えておらぬわけでありますが、その辺のところはいかように御判断いただけるか、お答え願いたいと思います。
#52
○参考人(植村甲午郎君) 私はいまの三社案、地域的な三社がいいか悪いかという問題は、これはディスカッスしてそれがいいのであるかどうかという問題はあり観ると思いますが、統合されるということにつきましては、ちっとも反対はないわけであります。ただ、それがいわば法律をきめてやれば、有無を言わさずやりますが、そういうような形でやることは適当じゃないのではないか。相当多数の人間の集団の結合でありますから、これはいやだというのが非常に強いうちは、かえって現実的にはいい結果は得られないのではないか。会社の合併にしましても、いろいろなことを検討してみて、やはりそれがほんとうじゃないかということを三社なら二社、三社なら三社が考えてやっていくような段階になれば、これはできればけっこうじゃないか。私はいまの私企業体制というものと統合というものが相反することじゃないと思います。ただ無理やりにやることがいいか悪いかという問題につきまして、私自身としましては、その機運が譲成されれば――その機運の譲成については、あるいはやっぱり勧奨――という意味はすすめるという意味なんですが、こうなってきたらどうですかというようなことをやって、やっぱりその機運の譲成をはかることもいいかもしれません。ですから、その事自体私企業体制と反するとは思いませんが、やり方としましては、やはり私企業が自発的に同意する形にむしろ進んでやろうじゃないかということになって、初めて効果が出るのではないか、こう思っております。
#53
○大矢正君 まあおっしゃられるとおりに、無理のない形で経営する側それ自身の判断で合併なり統合なりをすることが将来のためであって、また国民経済的に考えてみても好ましいという方向を出すことは、私はいいことだと思うのですが、しかし、なかなか現実はそうはいかないわけで、こういうことを申し上げると、どうもことばが過ぎるかわかりませんが、最近石炭の経営の中でささやかれていることばの中には、まああれだけの新対策をやってもらえば、ここ一、二年は何とか生きていけるだろうというような気持ちがあるように見受けるわけですね。そこで経営者というものがほんとうに自分の会社というものに全責任を感じ、責任を負って新たな決意のもとでやろうというならば、私自身考える面もありますが、しかし、いまの経営者が自分でやめてしまえばそれまでですよ。極端なことをいうと。かような過去においていろいろな失敗や混乱を巻き起こしても、具体的には責任をとったという経営者もあまり見受けられないのが現実です、残念ながら。だといたしますれば、たとえばこの議論されておりまする鉱区の調整、流通機構の一元化というようなことによるコスト低減その他をはかろうとする方策にいたしましても、なかなか思うにまかせない。そうなってまいりますれば、やはり国の立場においてある程度の示唆を与える必要性が当然のこととして近い将来生じてくるのではないかという感じがするわけであります。そこでまあ私企業というものは考えてみますれば、石炭だけに限らず、国からいささかの助成も受けていない企業でありましても、合同なり統合のメリットというものを求めて最近は行なわれております。このことの是非は別といたしまして、企業家としてはそういう方向に進んでおります。ところが、ひとり石炭経営者だけは国から多額の助成を受けていながら、なおかつみずからの企業に固執をするというこの態度、そしてまた私ども聞くところによりますと、三社案というものが出ましたら、猛烈に反対運動をやって歩いたという事実も否定できないわけであります。これらを考えますると、これだけ多額の国費を受けておる経営者でありますから、当然のこととして、やはり国の方針というものを受け入れるような条件がなきゃならぬと思うし、そういう考えがなきゃならぬと思うのでありますが、残念ながらいまのところないようであります。そこで、会長おっしゃられるとおり、私企業で今後も継続していくことは好ましいということで、全然わからぬわけではありませんけれども、それではこの危機を乗り切ることができないのではないか。やはり統合なり合併のメリットというものが十分あるという採算が立てば、そして国民にも多額の国費を使うということの意味と意義が理解していただけるとすれば、私は思い切って国の方針としてそういう方向を打ち出すべきではないかという判断を持っておるわけでありますが、会長としていかようなお考えを持っておられますか、重ねてひとつお尋ねしたいと思うわけであります。私企業でありますから、みずからの意思に基づいてやろうとする気持ちは私は当然だと思いますが、しかし、今日ではもうその域を通り越しているのではないかというように考えるし、一年か二年でもって重ねてまた何かしなければならぬということは、この答申の中に再度の抜本策はあり得ないとおっしゃっておられる点から見ても、これはやはり私は問題ではないかというふうに感じられます。
 そこで、私は悪いようでありますが、もしこの答申を基調にして予算と法律が出てきた段階におきましては、この委員会に石炭の経営者全部に来ていただいて、もしこの答申をかりに実行して、一年ないし二年の間に重ねてまた何かやらなければならないというようなことを経営者みずからが言い出すような事態になった場合に、あなた方はどういう責任をとるかということを私はぜひこの際言いたいと思っておるわけです。そこまで考えておるわけでありますが、いろいろ申し上げましたが、重ねてひとつお答えをいただきたいと思う次第です。
#54
○参考人(植村甲午郎君) これは企業とそれから石炭鉱業全体の問題として、非常ないずれも重大な時期に達しているわけなんです。したがって、ものの考え方としましては、いまの合併問題といったような問題につきましても、ほんとうにそれが生きる道であるというようなことであれば、これは企業家として当然考えるべきことだと思います。体制部会というのが今度できて、やっていくというような構想になっておりますが、これにしましても、現実の問題としてやらなくちゃならぬ鉱区調整の場所なんかあります。これにつきましても、ただ鉱区調整でその鉱区をどこを分けるかとか何とかいう問題では済まない。したがって、あるいは新会社の設立になるか、何かとにかく企業そのものに関連のあるものがあるわけであります。これはもう現実にはっきりしているのが幾つかあるわけですね。こういうふうな問題については当然そういうふうなことが起きてくるし、それからこれはあとは一体各社としてどれだけ負担するとか何とかというふうな問題だけで、方針自体としてはやらなくちゃならぬということは、企業者自体としても考えるところだと思いますが、ただ、いまの地域統合がいいか悪いかというのはやっぱり問題があると思いますが、大きな問題としましては当然考える場合も出てくるのじゃないか。それからもう一つは、これは客観情勢から考えて、石炭業として、また自分の会社としての将来生きる道というものを考えた場合に、そういうようなことを考える場合だってこれは出てくるのじゃないか。それからもう一つは、ここのところ二年くらいたったら、そこまではやれるだろうけれども、また何かやらなくちゃならぬのじゃないかというおそれがあるということを言われますが、これはちょっと心配をされるのは、私自身にしましても、この案がうまくいってくれればいいがと思って、そう心配のないことはないわけですが、企業によりましては、もちろんそういうふうなものもあります。しかし、さらに新鉱を開発してやる計画を、新しい事実が発見されて、まあひとつふんばろうかというふうなところもあるわけでありまして、これは二年たったら何か特別対策をまたやるのかということになりますれば、私はそういうことは五年間は少なくともやらない。それから五年たっても、少しことばが悪いのですが、赤字をどうとかするというふうな意味の借金の始末的な対策というものはもうこれで終わり。ただ石炭業が、それじゃ国の助成なしにもう五年たったらやれるかというと、それはそうはなかなかいかないだろうと思う。したがって予算なんかも逐次少なくなった形においてしか四十九年から先は考えられないから、そのつもりでやりなさいというようなことが書いてあるわけなんですが、何らかの助成がどうもやはり必要じゃないかということになると思います。ただ原料炭が中心でございますが、これの一体炭価がどうなるかというような問題は、世界的にいまちょっと強いのですが、世界的にそういうふうな状況が基礎的なものであるということになれば、鉄鋼会社にもう少し勉強して高く買ってもらうということも出てくる。そうすると、炭価の引き上げもある程度はできるかもしれぬというふうなことが考えられるわけで、これ五年たったときの時点でどうだというのだけれども、借金のあと始末みたいな形の点はもうこれ切りということに考えているわけでございます。
#55
○大矢正君 会長、前の答申の際にも労働者に対する対策というものがやはり出たんですが、ところが、出たのはいいのですが、今日の物価高の中で、賃金は七%しか上げちゃいかぬというやつが出まして、これが大きな障害になって労使間で混乱が起きたり、またそういうことがある意味においては労働力流出につながってまいりまして、今日のような労働力不足という現象をつくってしまったわけですが、これは全部とは言いませんよ。そこで今度の場合には、そういうような具体的に経営者と言いましょうか、その当事者を拘束するような労働条件の内容を示しておられるのかどうか。前回のときには七%の一応限界というようなものを設けまして、これでずいぶん混乱を起こしておりますが、今日会社でそういうふうな条件が出たとすれば、これはたいへんな話でありまして、やはりそういう労働条件の最も重要な部分はこれは当然のことながら、労使の間で自主的にきめるべき内容でありまして、そういう一定のワクを設けるべきでは私はないんじゃないかというように考えますが、そういう意味では前回の答申の際におけるいま申し上げたような考え方と今回とは全然異質なものであるという解釈をしてよろしゅうございましょうか。
#56
○参考人(植村甲午郎君) 前回の場合でも七%で予算を組んだわけですが、これは予算算定の基準であったわけです。それですから、現実の労銀の問題とは、ほんとうは基礎がそれでもって計算されているのだからこれでやってもらわないと困るということをそれは経営者言うでしょうけれども、ほんとうは拘束はされているわけじゃない。これは結局物価の上昇とかというふうな問題とも関連する問題でございますが、今度もやはり予算の計算をしますには、一応のものを入れないと計算できませんから、これはいまの拘束される問題ではないと思いますが、これは労使間の協議でもってきまるのが本筋だろうと思います。ただ、経営者としてほんとうはやりたいけれども、苦しいからこういう計算にもなるしするからということで、これは会社自体の成績としてこうなるのだから、まあこの辺のところでひとつがまんしてくれというふうなことはあるだろうと思いますけれども、それに拘束されるということはない。性格は前もほんとうはそうであったのじゃないかと思います。
#57
○大矢正君 それは会長、実は問題になりますのは、これは当然かりに答申を基調とした新石炭対策が予算的に、法律的に成立をいたしますると、当然のことながら再建計画といいましょうか、合理化計画というものを各企業が通産省に提出をしなければいかぬということになりますね。その際にその合理化計画の中のコストの中に占める労務費の上昇率はどういうふうに見るかということは必ず出てくる問題なんですよ。これが従来のようにこの七%というものを一応基礎としてやりなさいというようなことが審議会の意向としてかりに残っていたとすれば、たとえそれが計画であっても、あとあと非常に問題が残るわけです。おそらくこれは将来合理化計画が策定される過程の中で非常に重大な関心を呼ぶものと思いますが、重ねてお尋ねをいたしまするが、そういう点についてほんとうに具体的にお考えはないかどうか。
#58
○参考人(植村甲午郎君) 私まだそういうふうなときにどういうふうにやるかということはありませんけれども、いずれにしましても、いまの予算の基礎になっている数字というものは、これは一つの数字でありますけれども、具体的な賃金算定をどうして、労務費がしたがってどうなる、しかし、これは合理化効果は出てくるから、これは助かるというふうなことはこれは個々の会社として独自の問題でありますから、今度は通産省へ再建計画を出していく少なくとも年次の問題としますと、そこでどういうふうにこれを扱っていくかという問題になりますが、これは私まだ十分に考えたことはありませんけれども、これは別の問題としてやっぱり考えるべきじゃないか。そのときの物価の上昇の傾向というものを当然考えに入れざるを得ないのであります。それでもってスティックして切ってしまっても動きがとれないというふうな問題だって、またあるいは楽な場合だってあるのかも知れない、長い間としますと。と思うわけでございます。
#59
○大矢正君 会長、それから分離問題ですね。これをお尋ねしたいと思うのでありますが、私は当初新聞その他で読ませていただいたところによると、会長は石炭は分離をして、まあ俗に言えば別会社をつくって、石炭オンリーにして、肩の荷物をおろしてやることによって、将来石炭の企業としても安定する道が出てくるのではないかというようにおっしゃっておられたようであります。まあところが、最終的に通産省との話し合いといいましょうか、懇談といいましょうか、そういう過程の中で、その分離というものは完全に消えてしまった。消えてしまったと言いましても、分離しちゃいかぬといっているわけじゃありませんから、それは企業の側からいけば分離するところもあるいはあるかもしれませんが、いまの大勢としては会長の御判断が変わられたことによって、分離しないということがどうも最近の石炭業界の前提になっているようであります。そこで、この分離をしなくてもよいというふうに御判断を変えられた、それはどこに理由があってそういうふうにお変わりになったのか。私はまあ自分の所属する党として国有、国家管理が最上のものであるとは考えております。しかし、次善の方策はそれじゃ考えられないのかといえば、絶対的にそういうことはないとは言えないわけであります。そういう意味から言いますると、やはり分離というものも一つにはいまのような状態で残すよりは、ある意味においては企業が統合しやすい条件が生まれるとか、あるいはまた荷物が軽くなるとかいう意味で問題が私はあったと思うのでありますが、それが最終的には今日のような従来の企業の形そのままで存続をされるような状況になったその理由についてひとつお答えをいただきたいと思います。
#60
○参考人(植村甲午郎君) これはいわゆる植村構想のときのいき方に関連するのでありますが、あれは石炭生産あるいは輸送等の山にありますような機関そのものを抜き出しまして、それが当然に負っている債務を目当てにしまして、これは国で肩がわりする。そうしてこっちだけは取り出したものでありますから、しかも、その設備その他というものは一応ゼロ評価なんですね。提出させるわけです。そうしますと、残ったほうの親会社というものは借金だけ残るから、これがしょってしかるべき借金だけは肩がわりしましょうという形になるのです。これが少し大きなあれだけれども、何とか法律的に踏み越えることも、立法措置でやったってかまわないじゃないかというようなことがあったのであります。それがなかなかやはり法律上いろんな問題がありまして、それがどうも困るということになると、いまの事実上その意味の分離はなくなったわけですね。その場合には、いわゆる兼業部門というものが非常に悪い場合には、そこはそこで大整理やらなくちゃならぬということになるわけです。それで、ただそうでないというふうな形で動いてきますと、兼業部門の非常な不成績を石炭がしょい込むということは適当でない。そういうのはひとつ何かしなくちゃならぬのじゃないかという問題がまたそういう場合には出てくるわけです。これは経理を区分してやって、そういうふうな状況であれば、これはもうこっちのほうを少し整理さして、そうして分離するとか何とかいうふうなことも強く勧奨せざるを得ないのじゃないかという問題が出てきます。
 それと、それからもう一つは、そういうことじゃなくて、両方ともやっているやつですね、どうにかやれるところというふうなものもあるわけで、これは商法上の分離の条件が整うなら、それはそれで一つの行き方で、これまた否定することもないだろうという形だと私は思うのでありますが、結局石炭単独で集約すると、いろんな助成をやるにしても何にしても非常に簡単明瞭でありますから、ぐあいはいいわけですけれども、しかし、前の構想のときはそういう前提のもとに、もう初めからやるわけなんですけれども、そうでなくなりましたから、そうはいかなくなったということだと思います。
#61
○委員長(阿具根登君) 参考人の出席時間が尽きたようでございますので、本日の質疑はこの程度にとどめます。
 植村参考人には、本日御多用のところ本委員会に出席賜わり、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。重ねてお礼を申し上げますとともに、今後の調査の上に役立てたいと存じます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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