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#1
第061回国会 石炭対策特別委員会 第5号
昭和四十四年三月十七日(月曜日)
   午後二時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿具根 登君
    理 事
                鬼丸 勝之君
                川上 為治君
                小野  明君
                藤原 房雄君
    委 員
                伊藤 五郎君
                剱木 亨弘君
                徳永 正利君
                二木 謙吾君
                吉武 恵市君
                大矢  正君
                小林  武君
                小柳  勇君
                原田  立君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
       労 働 大 臣  原 健三郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     中川理一郎君
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部長  長橋  尚君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
       労働政務次官   小山 省二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局水道課長    国川 建二君
       通商産業省鉱山
       石炭局鉱害課長  佐々木茂行君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  上原誠之輔君
       自治省財政局財
       政課長      首藤  堯君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産炭地域における中小企業者についての中小企
 業信用保険に関する特別措置等に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣送付、予備審査)
○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○当面の石炭対策樹立に関する調査
 (三菱鉱業田川鉱業所の鉱害問題に関する件)
 (当面の石炭対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案について、通商産業大臣から提案理由の説明を聴取いたします。大平通産大臣。
#3
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部を改正する法律案につきましてその提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 御承知のとおり石炭鉱業の合理化の進展に伴い、産炭地域におきましては事業活動を縮小、あるいは休廃止する石炭鉱山が少なからずあらわれ、その結果として、地域経済活動の停滞その他産炭地域経済に対する影響が生ずることとなり、このため政府といたしましても、数次にわたり対策の強化を行ない、産炭地域の振興をはかってまいりました。
 産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律は、石炭鉱山の休廃止により移転、転業し、あるいは経営不安定におちいった中小企業者に対してその信用力を補完し、経営の安定や企業の再建に必要な資金を確保することを目的として、昭和三十八年八月に制定されたものであります。
 同法は、中小企業信用保険に関する特別措置として付保限度額につきまして通常ワクと同額の別ワクを設定すること、普通保険につきまして、てん補率を引き上げること及び保険料率を引き下げることを定めており、これらの措置は、制定当時の石炭対策の合理化計画の目標年度である昭和四十三年度まで実施すべきものとして制定されているのであります。
 しかしながら、石炭鉱業は、なお深刻な不況の中にあって、今後とも強力な国の施策を必要としており、今般、昭和四十八年度を目標とする石炭対策の基本的な方向を確立し、産炭地域振興対策もなお一そうの拡充強化をはかることとした次第であります。
 産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律も産炭地域振興対策の一環として、新たな対策の目標年度である昭和四十八年度まで延長する必要があります。
 本法律案は、このような考えのもとに産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の廃止期限を昭和四十四年三月三十一日から昭和四十九年三月三十一日まで五年間延長しようとするものであります。
 以上が、本法律案の提案理由及び概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(阿具根登君) 本件についての質疑等は、後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(阿具根登君) 次に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について、労働大臣から提案理由の説明を聴取いたします。原労働大臣。
#6
○国務大臣(原健三郎君) ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 石炭鉱業の合理化に伴い発生する炭鉱離職者の再就職の促進及び生活の安定につきましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づき、炭鉱離職者求職手帳制度をもとに特別の就職指導、就職促進手当の支給等各般の施策を推進することによりまして、その実効を期してまいってきているところであります。
 政府は、過日石炭鉱業審議会からいただきました答申の趣旨を尊重して、石炭対策をより強力に推進することを決定したところであります。これに関連し、今後の事態に対処するため、炭鉱離職者求職手帳の発給要件を緩和し、あわせて現行の離職者対策の実施期間をさらに延長する必要があると考えて、この法律案を提案した次第であります。
 次に、その内容について概略御説明申し上げます。この法案による改正の第一は、炭鉱離職者求職手帳の発給要件を緩和することであります。炭鉱離職者求職手帳は、現在、昭和三十七年三月三十一日または昭和四十一年八月三十一日に炭鉱労働者として在職していた者に限って発給することとしておりますがその後新たに炭鉱労働者となった者で昭和四十三年十二月三十一日に在職しているものについても発給するようにいたしました。
 改正の第二は、炭鉱離職者臨時措置法の有効期間を三年間延長することであります。石炭鉱業審議会の今次の答申が昭和四十八年度を石炭鉱業を安定させるための目標年度としていることにかんがみ、この法律の有効期間を昭和四十九年三月三十一日まで延長して、離職者対策につきましても万全を期そうとするものであります。
 以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(阿具根登君) 本件についての質疑等は、後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(阿具根登君) 次に、当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○小野明君 私は先般、一月十六日、十七日であったと思いますが、福岡のほうに公聴会に参りました。その際に、福岡県田川郡の金田町の町民から、われわれ石対委員に対しまして、鉱害があるという陳情を承りました。そこで、先般の委員会におきましてもこの事実をひとつ明らかにしてもらいたい、どうなっておるのかということを要求をいたしておりまして、通産省におきましても、その間の事情というのは十分検討されておることだと思います。なお、金田町のほうから、金田町の特別の財政事情についてという陳情が私の手元に参っております。おそらく通産省のほうにも参っておるだろうと思います。この件名は「金田町の上水道の鉱害復旧に関連をする家庭引き込み工事費並びに維持管理費の充当財源について」、こういう陳情でございます、これらを検討をいたしまして、若干私のほうでも疑問がありますのでお尋ねをいたす次第であります。
 厚生省の水道課長お見えですね。昭和四十一年でありますが、金田町に新たに一億二千万円をかけて上水道が布設をされました。これはいかなる補助金つくられたものであるか、それを御説明をいただきたいと思います。
 なお、その間の建設の条件についても簡略に説明をいただきたいと思います。
#10
○説明員(国川建二君) それでは御説明いたします。
 金田町には当初特別鉱害復旧臨時措置法に基づきまして、いわゆる特鉱水道が昭和二十三年以降布設されまして、その後昭和四十一年にその特別鉱害復旧水道を特鉱水道施設整備事業という名称でさらに施設の改良を伴う事業を行ないましたが、四十一年度におきましては、この特鉱水道施設整備事業と、さらに臨時石炭鉱害復旧法に基づく鉱害復旧水道、さらに閉山炭鉱水道布設整備事業、この三つの事業を合併施工で、四十一年度におきまして補助金額にしまして七百二万二千円を交付いたしまして、水道をつくったわけでございます。で、これがただいま御説明になりました上水道のことでございます。しかしながら、その工事は昭和四十二年の十二月に完成いたしまして、給水を開始いたしたわけでございますが、その後種々の事情がございまして、現在のところ、まだ水道料金はいわゆる一般の水道事業の経営の形では住民から料金徴集が行なわれていないということで、経営上いろいろな問題が出ておるという現状でございます。
#11
○小野明君 この新設水道がつくられる前は、いま御説明のように、昭和二十三年の申請で、二十四年から二十八年の五年間にわたりまして、特鉱水道というのが布設されておるわけですね。そこで、その間のこの水道の維持管理というものはどこがやってきたか、これを説明いただきたい。
#12
○説明員(国川建二君) 御説明いたします。
 二十三年以降行ないました特別鉱害復旧水道は、これは町がその事業を行ないまして、その維持管理の貴用につきましては、鉱業経営者、この場合には三菱炭鉱鉱業所でございますが、が負担をしておったわけでございます。その後一部鉱区が樋口鉱業所に譲渡されまして、その譲渡後は三菱鉱業所を樋口鉱業所が両者が維持管理の費用を負担をしておるということになっております。
#13
○小野明君 御説明のようにこの四十年、四十一年で新しい水道が建設をされた。これはこの金田町にいままでの特鉱水道というのは移管をされたわけですね。その間の事情を少し説明をいただきたいと思うのです。
#14
○説明員(国川建二君) ただいま御説明しましたとおり、三菱鉱業所と樋口鉱業所が維持管理費用を負担して維持管理を行なっておったわけでございますが、昭和四十一年度の先ほど申し上げました事業によりまして、名実ともに町営に移管するということで、四十年の九月ごろ、三菱鉱業所と町との間におきまして、この移管について話し合いがきまったというように私聞いております。
#15
○小野明君 それで現在この料金徴収が行なわれておらぬわけですね。陳情書によりますと、料金徴収が行なわれない事情というのが何点かあげられておるわけであります。そこで、こういった事態を一体厚生省としてはどのように考えられるのか、お考えをひとつ述べていただきたいと思います。
#16
○説明員(国川建二君) この四十一年度に特鉱水道の施設整備事業、あるいは閉山対策としまして閉山炭鉱水道事業というようなものを処理いたしました際には、従来からの種々複雑な問題がございましたので、そういう事業を行なうことによりまして、水道施設を名実ともに市町村へ公営に切りかえると同時に、その後の水道事業の経営につきましては、公営でもって適正な経営を行なっていきたいというのが私どもの考えでございまして、できるだけそのような形で健全な経営が行なわれるよう、まあ希望もし、また都道府県を通じまして指導してまいっておるわけでございます。したがいまして、一般の水道の場合ですと、当然維持管理の費用、歳出に見合う収入というものがなければならないのは当然でございまして、その場合には一般には水道料金という形で適正な額が歳入として計上され、運営されるのがまあ妥当というように考えております。
#17
○小野明君 ですから、あなたの言われるのを聞いておると、住民から水道料金は当然とるべきである、こういう御意見のように伺えるわけですよ。ところがいままで、四十年までにこの特鉱水道が布設をされまして、そうしてこの三菱並びに樋口鉱業というのが維持管理をやってきた、こういう経緯になりますというと、福岡田川、この辺では一般に打ち切り補償というのがされまして、そしてまあ五年なり十年なり、基本料金というのは払わんでよろしいということになるわけですね。ここでは打ち切り補償というのは行なわれておるかどうか、お尋ねをします。
#18
○説明員(国川建二君) ただいま先生がおっしゃいましたように、一般的にはそういうものが行なわれておるように聞いております。で、この金田町につきましては、いわゆるその打ち切り補償といった内容が、これはまあ実態問題といたしましても、水道だけでとどまるのかどうか、いろいろな複雑な問題があると思いますが、私どものほうといたしましても、まだ十分にその辺のことは承知いたしておりません。
#19
○小野明君 そうしますと、二十四年から二十八年まで特鉱水道が布設をされた。その際、その間においても何回か修理事業が行なわれておるわけですね。そのたびに補助金の申請というものがなされて国費が使われておるということですね。それでいわゆる特鉱水道を引くというのは、その地区に鉱害がありとこのように業者が認めるから特鉱水道を引いた。あるいはそのように認めておるからこそ国も補助金を出したと、こういう関係になるのではないですか。
#20
○説明員(国川建二君) 厚生省といたしましては、特別鉱害復旧臨時措置法に基づきまして事業を、補助金の実際の支出上の行為を私どものほうしていたしたわけでございますが、鉱害の有無等につきましては、特別鉱害復旧臨時措置法に基づく鉱害の認定といった行為がたぶん行なわれていたのじゃないかと思いますけれども、その面につきましては、私どもとしましては当然鉱害復旧対策事業として取り上げられました以上、そういった事情があるのではないかと考えておりますが、またそれ以外の認定等につきましては通産省のほうで認定していただきますので、それを受けまして私どもは事業の執行を行なっております。そういった事情がありますので、私どもとしましてはいま申し上げましたように考えております。
#21
○小野明君 一向にわからぬわけですね。あなたのほうが補助金を出してきた。補助金をつける、そうして地元の負担金というものもある、あるいは関係鉱業所の負担金というものもある、そういうものがつかないとあなたは補助金を出せぬわけです、厚生省としては。
#22
○説明員(国川建二君) 特鉱水道施設事業の関係につきましては、特別鉱害復旧臨時措置法に基づくことでございますので、通産省のほうから御説明させていただきたいと思います。
#23
○政府委員(中川理一郎君) いま厚生省のほうからお答えがありましたのは当然のことでございまして、御意見のございました水道を特別鉱害復旧臨時措置法によって実施いたしたことはそのとおりでございます。ただ、当該水道は、それ何前に配炭公団のプール資金時代から施行されてきた鉱害工事の継続工事でございます。そこでこれらのプール資金時代の継続工事が特別鉱害としてのこの特鉱法の第三条第一項第一号の要件を問題とはしていなかった、プール資金時代には。こういうことでございますので、継続工事として新しく特鉱法の対象とする場合にどう取り扱ったらよいかということについては問題があったこともまた事実でございます。したがって、特鉱法のこの規定どおりの要件を本件が満たしているかどうかということについては問題があったのでございます。これは率直に申し上げてそういうことでございます。にもかかわらず、これをこのように措置をいたしましたことは、工事の中絶、廃止によりましての国民経済上のロスをなくするため、また関係県や市町村及び公共事業主務省等の強い要望もございまして、公共の福祉を確保するというきわめて高い次元の要請から、特鉱法第三条第一項第一号の規定にぴったりではないかもしれないけれども、この規定に違反していない限り、これを特別鉱害として認定してこの工事を続けようじゃないか、こういうことで認定をされたという経緯がございますので、おっしゃるように、必ずしも特鉱法の規定にどんぴしゃりではなかったというのを、それら地元のために、あえて積極的に、この条項を適用するのが間違いであると言えない限りにおいては適用しようではないか、こういう態度でこの水道を進めてきた。この間の経緯をひとつ御理解をいただきたいと思います。
#24
○小野明君 そうすると、この特鉱水道の二十三年申請、二十四年から二十八年までに布設をされた水道については、あながち関連鉱業所というのは明確でないと、こう言われるわけですか。
#25
○政府委員(中川理一郎君) 多少経緯がございますし、個別の事実問題もございますので、担当課長から御説明させていただきます。
#26
○説明員(佐々木茂行君) 御説明申し上げます。
 特鉱水道を引きましたときには、金田町全体につきまして水道を布設いたしました。その対象となります鉱業権者は三菱鉱業株式会社であるということになっております。ただ、局長が先ほど説明いたしましたのは、三菱鉱業株式会社がその対象となる鉱業権者ではあるが、その水道の布設の全域について鉱害の実態がどうであったかということについては、弾力的な運用をしていく、こういうことであると思います。
#27
○小野明君 全域と言われるのは、特別鉱害地域のことを言われるわけですか。
#28
○説明員(佐々木茂行君) 私が申し上げましたのは、特別鉱害があるということで水道を布設したのでありますけれども、その水道を布設した鉱域のそれぞれについて全部鉱害があったかどうかということとはまた別の問題であろうということであります。
#29
○小野明君 どうも一向に説明の要領を得ませんがね。この地図をちょっと見てもらいたい。これはあなた御存じでしょう。私が言うのはこの地域のことを言うわけです。あなたはこの辺のことを言うておるのじゃないですか。この無資力で復旧したこの辺のことを言われておるのじゃないですか。この地域が特鉱水道で布設をされておりますからね。この地域に、全域とは言わぬけれども関係ありということで、三菱が特鉱水道の負担金を出したのじゃないですか。どうですか。
#30
○説明員(佐々木茂行君) 三菱鉱業は、金田町の中でも金田小学校の直下までの採掘を行なったと言っておりますので……。
#31
○委員長(阿具根登君) 速記を落として。
  〔速記中止〕
#32
○委員長(阿具根登君) 速記を起こして。
#33
○小野明君 その地図でひとつ御説明をいただきたいと思いますね。
#34
○説明員(佐々木茂行君) 特鉱水道は特別鉱害のある地域に布設されるものでありますけれども、その中のある一部の地域がその特別鉱害に該当することがなくても、全体のために、その地域をも含めてその特別鉱害水道の布設をしたということはあり得るかと思います。
#35
○小野明君 そういたしますと、三菱がその線で行っておりますのですね、いわゆる特鉱地域に関係がないと、こういうことは言えないわけですね。
#36
○説明員(佐々木茂行君) 地域全体としては、関係がないとは言えません。
#37
○小野明君 それが布設をされまして、先ほど水道課長が言われますように、ずっと三菱が、あるいは樋口鉱業所が維持管理費を出してまいったと、四十年に町に移管されるまで維持管理費を出してまいったと。この事実は、やはりその地域の鉱害に三菱が関係があるから出したのではないか、関係があると、このように見てよろしいわけですね。
#38
○説明員(佐々木茂行君) 地域全体として見ました場合には三菱鉱業が大いに関係がありということで、維持費負担をしておったのだと思います。ただ、水道の場合には往々にいたしまして、他の炭鉱においてもそういったようでございますが、地域全体の福祉のために炭鉱が維持管理費を負担すると、こういうことも一般的にはあり得ることでございます。
#39
○小野明君 まあ一般的にと言われるとちょっと困るのですが、こういう水道をつくる際に、三菱が鉱業所としての負担金をずっと出してきておる、あるいは修理補修にあたっても負担金を出してきておる。その事実の上に立って国が補助金を出してきた。これはやっぱり三菱が当然この鉱害に関連ありと認めておるからこそそういうものを出してきたのだと、何も関連ないとすれば、この負担金なんか出す必要ないわけですからね。それはそのように先ほどあなたも言われておりますが、確認をしてよろしいですか。
#40
○説明員(佐々木茂行君) 私も先ほど申し上げましたところでございますが、まあおそらく一部関連があるのではないかと思います。ただ、それが全部問題かどうかということはまた別問題であると思います。水道の維持管理費を負担するということと、鉱害の認否についてその鉱害を肯定するということとは別問題ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#41
○小野明君 まあ一般的に言われないで、その地域に即してひとつおっしゃっていただきたいと思うのですが、そのいわゆる金田町の中心部についてはどう言えるわけですか。
#42
○説明員(佐々木茂行君) 私どもがこの問題について判断をいたしましたのは、水道の維持管理費を三菱が負担しておったから、その金田の町部について三菱の採掘による鉱害の現象があったんだというふうに判断するわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、昭和四十一年度に鉱害認定科学調査を行ないました。また昭和四十一年三月以降和解の仲介の手続をとりまして、和解の仲介につとめてまいったんでございますが、科学認定調査の先生方も、三菱がその下を採掘したんではあるまいかという疑念を持たれて調査をされたんでありますが、結論的に申し上げますならば、金田の町部の直下におきまして三菱が採掘をしたというきめ手がない。したがいまして、三菱の鉱害であると断定するわけにはいかないという結論でございます。
#43
○小野明君 それで、いま言われましたその科学調査の問題なんですがね、それについても若干疑問があるわけであります。中心部の採掘が明治時代ですね。まあ三十年から四十五年にわたって谷茂がこの採掘をしたと言われるわけですね。その採掘については残柱式だという結論が出ておる。そういたしますと、この残柱式だとすればこの八尺層がかなり残っておらなければならぬと思うんですが、あなたの見解はどうですか。
#44
○説明員(佐々木茂行君) 私は採掘のほうの専門家ではございませんけれども、いろいろ聞きましたところによりますと、明治年間という時代に残柱式で掘った場合にはかなり残炭量があるだろうと思われます。
#45
○小野明君 ところがですね、ボーリングをやりましたこの結果というのは、八尺層というのはほとんど空洞になっておった。これは御存じですね。これは一体だれが取ったんですか。
#46
○説明員(佐々木茂行君) ボーリングした結果によりますと、町部のあたりにおきます八尺層は、大体六カ所のうち一カ所を除きましてコアーが採取できなかったということになっております。これはだれが掘ったということを立証することは不可能でありますが、明治年間におきまして、先生御指摘のように谷茂平が掘ったという事実がございますので、あるいはそうではなかろうかというふうに推察をしておるわけでございます。
#47
○小野明君 少しあなたの言われるのに矛盾がありますね。明治時代に三十年から四十五年にわたって谷茂が残柱式で掘った。そうすると八尺層はここに残っておらなければならぬ。しかし、現にこの町部の八尺層というものは全部払われておる――全部とは申しませんけれども、かなり空洞になってしまっておる。だれかが取った者があるはずですね。その辺はだれが取ったかと、この推定をお尋ねしておるわけです。
#48
○説明員(佐々木茂行君) 私明治時代の採掘で、どのぐらいの割合で炭が掘られ、どのぐらいの割合で炭が残るかという実は正確な知識はないのでありますが、まあ六カ所のボーリングでございまして、大体そのうち五カ所がないということでございます。これを八尺層を谷茂平が掘ったということは事実でございます。それ以外にだれかがそこを掘ったかどうかということは、簡単に申し上げますとわからないということでございます。
#49
○小野明君 わからないと、だから三菱に関係ないということもこれはまた言えないわけですね。
#50
○説明員(佐々木茂行君) その点につきましては、先ほども申し上げましたように、科学認定調査にあたりまして、その調査にあたった方々は、あるいは三菱が掘ったのじゃあるまいかと、こういう疑念の目を持って調査をしたということでございますが、そういう疑念の目を持って調査をしたにかかわらず、三菱が掘ったのだという確証を得ることはできなかったということでございます。したがいまして、そこで三菱が採掘したというきめ手がないということであります。
#51
○小野明君 それは私もそう申し上げているわけです。確証はない。しかし、掘らない、三菱に関係ないということもこれは断言できない問題じゃないかと思うのであります。というのは、その金田小学校の下ですね、これは明確に採掘図でも出ておりますから明らかなんですが、昭和十八年に残柱式で掘っているということが明確なんですね、これは科学調査からも明確です。これについて尋ねるのですが、このときの坑道というのはどういう坑道であったのですか。
#52
○説明員(佐々木茂行君) 通産局に三菱鉱業から提出されております坑内実測図によって見ますと、この辺の鉱区は先生御存じのとおり、三菱が本卸をおろしているのが二〇七三鉱区でございまして、それから金田の町部の上の所が三四四鉱区でございます。二〇七三鉱区から三四四鉱区にかけましては三菱が昭和十八年ごろにわたって入っておるわけであります。この同じ図面によって判断をいたしますと、左七片坑道と左八片坑道を掘進いたしまして、その両坑道の中間にあります炭層を三菱は払っておりますが、その際に七片坑道がちょうど金田小学校の直下、真下付近を通過いたしておりますので、金田小学校の直下あたりにつきましては三菱鉱業が八尺層を掘っている。これは三菱鉱業自体もそう言っておるのでありますが、金田小学校直下付近におきまして八尺層を払っておると考えられます。
#53
○小野明君 だから、一体その際の坑道というのはどういう坑道なのか。谷茂がやった場合には、もちろん八尺層の中に坑道を入れて残柱式をやっていると思うのでありますが、この金田の学校の下を掘った場合の坑道というのは一体どういうものか。なお町の中心部の下では、八尺層の上の七重、これもほとんどなくなっている。だからその辺になると、いよいよこれはだれが掘ったかわからぬということになるのですが、先ほどの話を聞きますと、どうも明治のころに谷茂が掘ったのじゃないかというような話もあるのですが、明治のころに谷茂が掘ったのだ、七重も掘ったのだということはちょっと考えられぬのですが、明治のころに掘ったという、町部における七重も払ったという証拠がございますか。この二つ。
#54
○説明員(佐々木茂行君) 先生御承知のとおり、その地帯におきまして七重層と八尺層とほとんどくっついておるわけであります。それで史実によりますれば、谷茂平は八尺層を払ったとなっておりますが、そのときに七重層も一緒に払ったという推論も成り立ち得るわけであります。あるいは先生御指摘のように、だれかほかのものがその後に払ったのではあるまいかという推論もあるわけでございますが、この後者のほうの推論につきましては、先ほど申し上げましたように、科学認定調査の結論によりますれば、三菱鉱業が掘ったという事実は見当たらないということでございます。
#55
○小野明君 最初の質問の、金田の小学校の下のこれは卸は入っておるけれども、この採掘の坑道というのはどういう坑道であったかということをお尋ねしている。
#56
○説明員(佐々木茂行君) ちょっと質問を取り違えたかもしれませんが、私が申し上げましたのは、七片坑道から、本卸からいってみますと右寄りの部分、この部分につきましては三菱鉱業では払っておる。左寄りの部分につきまして、先ほど申し上げましたのですが、この部分については三菱鉱業のほうでは払っていないということでございます。この点については私が申し上げましたように、三菱鉱業が払ったという事実は見当たらない。きめ手がないということでございます。
#57
○小野明君 それじゃ、採掘図に入りましたから続いてお尋ねをいたしますが、あれは彦山川でしたね、あの本卸から彦山川、いわば金田町の心部に向かって七片と八片と入っていますね。それでお尋ねをするのですけれども、右方はいま払われたと、こう言う。左方に七片と八片が入っておる。そうすると、七片と八片がある以上は、これは当然六片がなければならぬわけですね。これに関する資料というのはありませんか。また、六片がなくて七、八だけ掘れるものかどうか。
#58
○説明員(佐々木茂行君) 先ほど申し上げました坑内実測図によりますと、六片坑道は本卸に寄ったあたりまでは延びておるわけでございます。これは先生御指摘の地点までは延びていない、こういうことでございます。
#59
○小野明君 まあ採掘図によれば、七と八しかない、彦山川に入っているのは。入っていないが、当然七片を掘る以上は、排気の関係で六片もあるのが当然ではないかということをお尋ねしておるわけです。
#60
○説明員(佐々木茂行君) 私採掘の専門家でございませんので、この点につきまして、部内におきまして担当の者の意見を聞きましたところ、御指摘の地点におきましては、七片坑道と八片坑道とが両方一緒に掘進されているようである、したがって八片坑道を人気坑道とし、七片坑道を排気坑道とする場合は、六片坑道がなくても入排気には差しつかえないという意見がございましたので、私もおそらくそのようなことではないかと推察いたしておる次第でございます。
#61
○小野明君 しかし、どうですか普通に考えてみて。私は炭鉱の専門屋でないから、これはあなたから言いくるめられるかもしれませんけれども、本卸が入る、そして片を入れる場合に、七と八だけ突然に入りまして、これは六片がなくても、七、八だけでやったのだ、こういう説明はちょっとこれは通らぬのじゃないですか。
#62
○説明員(佐々木茂行君) 私が申し上げましたのは、六片坑道がないと申し上げたのではなくて、本卸から二〇七三鉱区の中の鉱区におきましては六片坑道は延びておると申し上げましたので、御指摘の三四四鉱区までは延びていない。したがいまして、坑内実測図で見る限りは三四四鉱区の中におきましては、七片と八片の坑道とで延びていったのではないかという推論が下せるわけでございます。
#63
○小野明君 七、八が当然三四四に延びておるならば、六片も当然三四四に延ばしておるというのが、これはあたりまえの話じゃないでしょうか。
#64
○説明員(佐々木茂行君) 私もその採掘のほうの専門家じゃございませんので、その点につきましても担当のほうに、実は私自身も疑念を持ちまして尋ねたのでございますが、担当の者はそれはそうであってもおかしくはないということでございます。
#65
○小野明君 どうもその辺は私は納得できませんが、それでは通産局に、三菱が谷茂から大正二年鉱区移譲を受けた際の採掘図がここにあるわけです。これによりますと、金田町の中心部の一部は全然――あなた御存じでしょう、大正二年の地図です、全然これは採掘されておらぬ図面になっておるわけですね、中心部はですね。これは信頼されるわけですか。
#66
○説明員(佐々木茂行君) 私自身その図面の直接的な出所は知らないのでございまして、先生に見せていただいたことは事実でございますが、その図面に先生御指摘の点が、金田の町部のところが採掘されていないようになっておるのじゃないかという御指摘でございましたならば、そのとおりでございます。
#67
○小野明君 それで通産局が出したこの大正二年の地図と、それからこの町から出ておる鉱区の原図ですね、これとの間にかなり違いが見られるわけです。わかりますか。だから大正二年の地図が正しい、この実測図は間違いないものだ、こう考えてよろしいわけですか。
#68
○説明員(佐々木茂行君) 私実はこの地区の図面をあまりたくさんあちこち見たものですから、どの図面であったかというのははっきりわからないのでございまして、でき得ましたならば、その図面を比較対照しまして正確にお答えを申し上げたいと思います。
#69
○小野明君 それと通産局が出しました昭和二十三年の地図があるわけです。これは三十二年に三菱が通産局に出した採掘図です。これはあなたも御存じのように、金田の学校の下を残柱式で掘ってあったのです。これははっきりしておるわけです。それと同じ色で金田の三区の下あたりに出ていましたね。この関係はどうなんですか。
#70
○説明員(佐々木茂行君) 先生御指摘の点は、三十三年以降出されております三菱鉱業の坑内実測図によりますと、金田の町部のちょうどまん中あたりに少し飛び出たところがあるわけでございますが、そこの点を御指摘されておるのではあるまいかと存じますが……。
#71
○小野明君 そうです。
#72
○説明員(佐々木茂行君) 三菱の坑内実測図によりますと、そこの点は確かに若干飛び出しておるわけでございまして、この部分が三菱が掘ったかどうかということでございます。その同じ図面で判断する限りにおきましては、そこの個所を三菱が掘ったのだ、こういうふうには直ちに判断できないだろうと思います。
#73
○小野明君 それで、まあ大体鉱害の場合には坑内の実測図といいますか、採掘図で判断するのが通常のようですね。それで、金田町の金田小学校の真下に残柱式で十八年に三菱が掘っておった。しかも、七片と八片はふけのほうに向かって伸びておる。それと金田小学校の真下にある残柱式で掘られたものと同じ色のものが金田町の真下に採掘図の中に出ておる。しかも、この図面は通産局が出したものである。そこで、当然七片八片の関係から考えますと、戦時中でこれはもう非常にむずかしいのですけれども、乱掘をしたと思うのですけれども、六片というのは当然ここの下に延びておるはずではないかと、このように――これは推定ですが、あくまでも。もしこの推定が誤っておるとしたら、その間のそうではない、六片がなくてやったのだという納得のいく説明がほしいわけです。
#74
○説明員(佐々木茂行君) 金田町小学校の真下を掘ったといいますのは、七片坑道と八片坑道の間でございます。そこで七片坑道、八片坑道の間は金田小学校の真下にかかわらず、その先のほうでもずっと三菱は掘っているわけでございます。それから私は七片坑道と八片坑道はともに水平坑道であると実は思っておったのですが、したがいまして、おりていっているのではなくて水平にいっているのだと思います。あるいは私の記憶違いであるかどうか、あとで確かめてみますけれども、水平坑道で延びていったのだと思っておるわけでございます。したがいまして、七片坑道から左方の町部の付近について三菱が掘らなかったと主張しておるのですが、そういうことも別におかしなことではない。七片坑道より左のほうは掘らずに、右のほうに掘っていった。七片坑道から左のほうをもしかりに掘っていくとすれば、おっしゃるように六片坑道が必要になるわけです。七片坑道から左のほうを掘らないとすれば、六片坑道も必要ないということでございますから、そういう前提で考えれば、六片坑道がないこともふしぎではない。若干先生の御疑念の点があったと思いますが、七片を掘ったわけじゃないのです。普通の用語でいきますと八片を掘ったわけでございます。七片、八片の間を掘ったわけです。七片を掘るためには六片坑道がないと掘れないわけでございます。その点について、七片から左側を掘らないとすれば、六片坑道がなくてもふしぎはないのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
#75
○小野明君 そうしますと、七片では掘ってないわけですか。
#76
○説明員(佐々木茂行君) 私もたびたび申し上げますように、採掘の専門家ではございませんで、あるいは用語例が間違っているのかもしれませんが、私が申し上げておりますのは、七片坑道と八片坑道との両方の坑道の間を掘っているということでございます。七片坑道からこちらのほうは掘っていないと思います。こちらに排気の六片坑道の必要はないというふうに理解しております。
#77
○小野明君 そうしますと、あながち六片というのは必要ない、こうお考えなわけですね。
#78
○説明員(佐々木茂行君) さようでございます。
#79
○小野明君 そうすると、その三十二年の採掘図の中でですね、金田町の真下に残っておる残柱式で掘ったというあとが浮き出ておる。はっきりしるされておる。これは金田の小学校の真下にある掘り方と同じである。こういうことになると、この金田町の中心部の下にあるこの地図というのは一体どういうことなんですか。
#80
○説明員(佐々木茂行君) これもやはり先ほど私が申し上げました金田の町部のまん中に出ている飛び出し部のことだと思います。
#81
○小野明君 そうです。
#82
○説明員(佐々木茂行君) その飛び出し部のところに、実測図面によりますと、残炭掘りで掘ったようなところがあるわけでありまして、それは三菱鉱業が鉱区の譲渡を受けたときのその図面をそのまま引き写しておるものか、あるいは自分で掘ったからそこへ書き込んだのかという、どちらであるのかという御疑念であろうかと思いますが、その点につきましては、われわれとしては判断のしょうがないと思います。会社側の説明は、鉱区を引き継いだときからの引き写しであるということになっております。
#83
○小野明君 そうしますとね、その昭和八年から二十二年までの採掘図というのがいまのところ私も見当たらない。それがありますと、いままでやり取りをいたしました事実というものが出てくると思うのです。それがない限りにおいては、私の言うのが正しいか、あなたの言うのが正しいか、これははっきり立証できないと思いますが、この点はどうです。
#84
○説明員(佐々木茂行君) 先生御承知のとおり、通産局にありました坑内実測図は、戦災によって焼失いたしておりまして、現在通産局にあります地図は、昭和二十二年でしたか二十三年でしたか以降、書き加えられ続けてきた坑内実測図であります。この点につきまして、私若干しろうとでありますが、坑内実測図は毎年毎年つけ加えていくのだというふうに聞いておりますので、静態的な時点における何月何日の坑内実測図ういうものは通産局にはとらえられておりません。それで先生御指摘の点もございましたので、実は通産局を通じて三菱鉱業から昭和八年から二十二年までの間における採炭の状況をあらわした図面を出すようにという指示をいたしましたところ、先々週末であったか、ちょっとはっきり覚えておりませんが、提出されてきております。ただ、それは提出をしろという指示に基づきまして、何年にはどこを掘った、何年にはどこを掘ったということを現在書き込んだ地図でございますから、先生の御要望をすっかり満たしておるかどうかはわかりませんが、もしそれを見せろということならお見せいたしてもよろしゅうございます。
#85
○小野明君 それはひとつぜひ見せていただきたいと思います。
 それからこの金田町の中心部の鉱害というのは私は行って見ました。家屋がみな傾いておる。あるいは道路の亀裂のあと、あるいはほとんど各戸にわたりまして床下に亀裂があるわけですね。これは金田町の中心部は、はっきり科学調査にも出ておりますように鉱害がある、このように見てよろしいわけですか。
#86
○説明員(佐々木茂行君) 科学認定調査の結論によりますと、当該三区の地域につきましては、浅陥ないし浅陥類似の現象がある、これは鉱害であろうというふうに指摘しておりまするが、その限りにおきましては鉱害現象が存在しておると思います。
#87
○小野明君 この鉱害というのは、昭和十年ごろからその発生をし始めておるわけですね。そうして井戸水がかれてまいりましたのが昭和十七、八、九年、この間からですよ。この昭和十七、八年ごろからは馬車で給水をしておるわけですね。そしますと、昭和十年ごろから鉱害があらわれ始めたとするならば、当然これは三菱が持っておったんですから、いつごろから稼行が始まって、操業が始まりまして鉱害が起こったのか、逆に推定ができると思いますが、それはいかがですか。
#88
○説明員(佐々木茂行君) 脱水現象がいつごろの時期に起こったのであるかというその事実につきましては、通産局のほうでも明瞭に把握をしていないようでございます。私も脱水現象がいつごろ起こったのか、したがって、それによる採掘はいつごろと思われるのかということについてはお答えするだけの準備がございません。
#89
○小野明君 それはおかしいですね。この町の科学調査は行なわれておるんですから、科学調査の説明ではどういうふうになっておるんですか。
#90
○説明員(佐々木茂行君) 科学認定調査の結論につきましてそれでは申し上げますと、重複する部分もあるかと思いますが、まず、金田町三区の直下の七重層及び八尺層については、採掘が行なわれたことについては事実であって、これによる地表沈下の時期は主として明治時代と考えられるが、当地域の東北端に当たる金田小学校付近の直下は、昭和十八年に八月層の残炭地域を残柱式によって採掘している事実がある。それから次に、この地区の地層の特性からいたしまして、第四紀層中の地下水の下部への流動に伴う砂の流出によりまして、ごくまれな現象として、地表面に小規模の亀裂や陥落が発生することも考えられる。それからさらに、第四紀層の脱水による圧密沈下の安定期間は十五年内外と考えられますので、明治年間における浅部採掘の脱水による圧密沈下は、現在ではほとんど終了したものと思われる。なお、また、先ほど申し上げましたように、当地域内に存在する浅所陥没またはこれと類似の現象は、石炭採掘に起因する鉱害であるということでございます。
#91
○小野明君 そうすると、金田町の中心部のこの鉱害というのは浅所陥没というふうに見るべきなんですか。
#92
○説明員(佐々木茂行君) いわゆる浅所陥没の現象もございますし、それから先ほど申し上げました第四紀層中の地下水の下部への流動に伴う砂の流出によりまして、表土に亀裂や小規模な陥没が発生することも考えられるというふうに指摘しておりますので、浅所陥没類似の現象ということもあろうかと思います。なお、補足的に申し上げますと、この調査の目的は金田町三区におきます家屋の鉱害問題を対象といたしておりますので、その井戸水の枯渇の問題につきましては、はなはだ遺憾ながら科学調査の対象にはいたしておりませんので、念のために申し上げておきます。
#93
○小野明君 しかし、まあ先ほどから何回も言うようですけれども、昭和十八年ごろ金田小学校の直下を掘った、これはもう明らかです。そうしますと、三区、金田小学校も三区ですからね。現に家屋のありますのは、あれから五十、六十メートルくらいしか離れておらぬ。これは鉱害でない、三菱に関係がない、こういうふうに言われる。ここが私はわからぬわけです。
 それともう一つは、先ほどから出るように、七片、八片というのが現に彦山川に向かって入っている。そうしますと、ここで採掘をした場合に、当然この町の中心部の井戸水はこれに全部脱水陥落を起こしてくる。こういうことが考えられやしませんか。
#94
○説明員(佐々木茂行君) まあ七片のほうを掘っていったときに、町部のほうの水もずっと引き落したのではないかという疑念もあり得るのでございますけれども、これにつきましてもそうだと言えるだけのきめ手はないと思います。
#95
○小野明君 そうしますと、どうもこれはたとえば金田小学校も三区にある。金田小学校の塀と、それから五メートルしかない先の家が鉱害でない、金田小学校はこれは全部三菱の鉱害ということは認められている。復旧もしておる。しかも金田小学校はあれは何メートルか、五メートル近く下がったのですね。塀も倒れた。それと反対側の道路の家がいろいろ床下に亀裂が入る、家が傾いている。これが三菱の鉱害に関係がない、こうしろうと目でも言えないのじゃないかと思いますが、この点はどう説明をされるわけですか。
#96
○説明員(佐々木茂行君) 私自身も個人的には鉱害であるないという判断、判定をする能力がございませんので、鉱害の認否につきましては、先生御承知のように科学認定調査、あるいは和解仲介の専門の先生方の判断に待つという立場をとっているわけでございます。そのような先生方の判断をもってしてもそういう断定が下せないということでございましたので、私といたしましては、そういった先生方の判断を信用するよりほかないと思います。
#97
○小野明君 どうも肝心なところが抜けておりましてね。そうすると、通産省としてはこの問題については独自の判断を持ち得ない、和解仲介の人に全部げたを預けているのだ、こういう言い方ですか。
#98
○政府委員(中川理一郎君) 金田三区の鉱害紛争の問題につきましては、いままで鉱害課長から御説明いたしましたように、昭和四十一、二年度に鉱害認定の科学調査を行ないました。また四十一年の三月以降、和解の仲介制度による仲介を行なう等の紛争解決の努力を通産省としてやってまいりました。しかし残念ながら和解の仲介につきましては、四十三年十二月意見書を発表いたしましたけれども、その後和解成立の見込みがないという判断になりました。二月の十日にあっせんが打ち切られているのでございます。しかも、さらに二月十四日には三菱鉱業側から鉱害賠償債務の不存在の確認の訴えが出されまして、紛争は科学調査、仲介といったようなプロセスをとってきたにもかかわらず、振り出しに戻ったという状況でございます。したがいまして、通産省といたしましては、和解の仲介に入りますまでは、もちろん通産局としても最大限の検討をいたしましたわけではございますが、両者間に見解の相違がございますので、専門家の方々による科学調査、それに基づいての和解の仲介ということに努力いたしたわけでございます。残念ながらすでに係争問題になってしまっておるということでございますので、当省としては、当面その成り行きを注目して慎重に対処するという以外には道がないわけでございます。
#99
○小野明君 そうしますと、この法廷で争われる。どういう事実が指摘をされても法廷での結論を待つ以外に通産省としては方針はもうないんだと、見解は持たないんだと、それまでは。そういう方針ですか。
#100
○政府委員(中川理一郎君) そのとおりでございます。この種の問題は、最終的には法律の定めるところに従いまして、いま双方が係争問題になりますならば、裁判所の判断にゆだねる以外にはない。ただそういう形が鉱害問題の円滑かつ迅速な解決にほど遠い道であるということから、和解の仲介その他の制度があるわけでございまして、私どもはこれを精一ぱい使ってやってきたつもりでございますけれども、当事者間に見解の相違があるということであれば、残念ながら裁判所の判断を待つ以外には現在のところ手はないと、こういうことでございます。
#101
○小野明君 まあ当然法廷で争われる問題ですから、それはそういう突き放したようなことを言われることを、まあ私は了解をしませんけれども、現に私はいろんな点で疑問を持っておる。で、解決のしかたは別にしても、事実関係はやはり明らかにしてもらわなければいかぬのではないか。また当然法廷においても、この鉱害についての専門家も通産省にはおられる。裁判官はもちろん専門家はおらぬわけですから、あなた方の意見や判断というものを裁判所においては聞かれていくわけです。同時に、被害者、加害者それぞれの意見を法廷では聞かれるわけです。そういう際に、あなた方は法廷の結論を待つんで、私どものほうとしては何ら意見を持ちませんということは、これはどうもおかしいんではないか。裁判所に呼ばれた場合に、当然あなた方の見解を言わなければならぬでしょう。その見解をいま私はただしておるんで、すべて裁判所の言うとおりでございますというのは、これは中川局長少しおかしいことはないですか。
#102
○政府委員(中川理一郎君) 通産省といたしましては、通産省としての検討もいたしましたし、なおその上で古い話でもありますし、きわめて複雑な問題でもありますから、先ほどからお答えしておりますように、鉱害認定科学調査ということで専門家の判断を仰いでいる。で、この科学調査の結論が出ております。それは必ずしもいま先生がおっしゃるように疑問の点を全部解明したものではございません。ここのところはわからぬというものはわからぬという形で出ておるわけでございます。しかし、わかるものについては可能な限りのことを出していただいておる。そういうことでございますので、この調査を委嘱しました立場から申しますと、通産省がもし意見を求められれば、この科学調査の結論に従った意見を申し上げる、こういうことに相ならざるを得ないと思っております。私どものほうでは、この科学調査でわからなかったところをもっとわかるようにしたらどうかという御意見はあるかもしれませんけれども、そこはいかに詰めても詰めようがない。それからわかったということで推定を下しておる事柄につきましては、通産省としては異論がございません。異論がない限りにおいては、いま申しましたように、この調査報告を私どもの意見といたすつもりでございます。
#103
○小野明君 そういうおっしゃることはおっしゃるとおりだと思いますが、科学調査についていろんな何点かの疑問があるから私もお尋ねをしているわけです。非常にあいまいなんですよね、科学調査の結論というのは。たとえばこういうところがありますね。これは昭和四十二年の六月に終わったんですが、「盤下五尺層準のコアーの採取状況からみてこれも古洞と推定される。」こういうふうになっておるわけですね。その項を見ますと、いまのところ金田の下の八尺層を掘ったのは谷茂である、すべてこの鉱害は谷茂であるとこういうふうに結論づけられるようだけれども、この試錐の結果は盤下五尺も掘らぬでいる。八尺もない。七重もない。こういうことになりますと、かなりそれは近代的な採掘方式をとっておるのではないか。谷茂が明治三十年から四十五年くらいに盤下五尺を掘る技術を持っていたかどうか、こういう疑問を生ずる。現に谷茂が掘ったのは八尺である。これはこの科学調査の報告にも出ているわけですからね。盤下五尺を掘ったようになっておらぬ。七重も掘っておらぬ。掘る以上七重を掘るということなれば、これは当然施業案がなければならぬけれども、施業案が出ていない。谷茂は、この科学調査によりますと八尺層しか掘っていない。ところが、試錐の結果は盤下五尺もなければ七重もない。そういたしますと、これはやっぱりだれが一体掘ったのだ、こういう疑問がこの科学調査の結論からも出てくる。そうしますと、通産省としましても、その辺がやっぱり明確な説明がなければならぬと私は思うのです。
#104
○政府委員(中川理一郎君) 先ほどお答えいたしましたように、科学調査の結論に従いましても、あらゆることが解明されたということではないということは私が申し上げたとおりであります。科学調査を行ないました専門者もほかに手がかりがあれば、その問題を究明するときに十分の努力を払われたのでございますから、わからない点があるという状況で結論を出さざるを得なかったのは、それをわかろうとしてもわかる手がかり、手段方法がないということでございます。本件での問題は、だれがそうした採掘をしたのかということもございますけれども、もう一つは三菱鉱業の鉱害であるかないかという問題でございますので、後者の問題に限定して答えを出すならば、いま与えられた答えその他のものでは、三菱鉱業の鉱害によるものだというふうに金田三区の鉱害を結論づけることは不可能である、こういうことでございます。あらゆることがクリアになったという状況ではないというのはそのとおりでございます。その点について御懸念なり御疑問なりをお持ちになるというのは私もわかりますけれども、これが全部解明される手段というものを私どもは持っておらない。これは調査陣もかように判断をいたしたわけでございます。
#105
○小野明君 それで三菱に関係ありと断定をするわけにはいかない、いままでの資料によっては。しかし、それでは三菱に関係ないと、こう断定をすることはできますか。
#106
○政府委員(中川理一郎君) 私どものほうは、これらは結局、賠償義務その他の問題に関連あることでございますから、明らかに三菱鉱業の採掘による鉱害であるということを挙証していない限り、実際問題としての鉱害賠償の問題の処理としては、三菱に処理させるというわけにはまいらないと思います。そこで先生がお話しになりましたように、これを三菱鉱業でないと断定できるかどうかということは別個でございまして、賠償をさせるべきかどうかという事柄に限定して申しますならば、立証できない限りそういうことはあり得ない、こういうことだと思います。
#107
○小野明君 どうもその辺がことばのあやのようですね。関係ありとは言えない、それでは関係なしと言えるかと。私が言うのは、この解決の方法はまあ別に求めなきゃならぬにいたしましても、全然それでは三菱に関係がないのだと、こういうことを言う以上は関係がないという資料を出してもらわにゃいかぬわけですよね。私どもはやはりそういう疑問を持たざるを得ぬです。なぜかというと、昭和十八年ごろ、いまの盤下の問題が一つあります。とてもこれは谷茂がその時代にそういった盤下五尺層も払うという、あるいは明治のころに粉炭である七重を掘るということはちょっと私は考えられぬ。三十二年の採掘でありましたか、ちゃんと坑道も書いてあるわけですよね、私が見たのでは。これは盤下坑道というのを入れて、ところどころを掘って、八尺層も全部七重を下へ引き落とす図が書いてある。これはもうしろうとでもよくわかる。ですから、そういうふうな払い方をすれば盤下もとる、八尺もとる、七重もとる、谷茂がとり残したものを全部とってしまう、こういうことが当然これは図面の上から明らかであるわけです。しかもそういうものは別として、百歩譲って、そういう事実があってもこれはやはり三菱に関係なしと、こうやはりなかなか私どもは考えられぬわけです。こういう事実があっても関係ありとあなたたちは言えないと、こうなれば、こっちから言えば関係なしというわけにはなかなか言えない。一体この関係はどういうふうに説明をするのですか。
#108
○政府委員(中川理一郎君) 再三申し上げておりますように、三菱鉱業に全く関係なしと言い切れるかどうかという点では、小野先生おっしゃるような考え方もあろうかと思いますが、私どもも当該問題の行政的な処理といたしましては、三菱鉱業に関係ありということが断定できない限りにおいては、処理はできないという考え方をとっておるわけでございます。これは小野委員も三菱鉱業だとも言い切れない、だが、三菱鉱業でないとも言えないではないかということをおっしゃっておるわけでございまして、その点はこういうものの処理として、明らかにとにかく賠償義務というものを強制するからには、その責任ありという積極的な判断を持たなければ処理ができないのではないかと考えております。
#109
○小野明君 それではもう一つの疑問点だけお答えをいただきたいと思うのですが、この金田町は昭和十八年ぐらいから脱水現象を起こしておる。それから昭和十年ぐらいから先ほど申し上げたように家屋の傾斜あるいは道路に亀裂というものがあらわれておる。いままでの通産省のおたくの指導によりますと、まあこれは鉱害量算定要領、これによりますと、それぞれこの採掘の深度によって鉱害安定の期間というものが大体きめられておる。ですから十八年に水が引き落とされた。大体中元寺川と彦山川の合流点ですから、もともと水量は多いところなんです。十八年ごろから脱水現象を起こしたというのは、やはりふけのほうの操業というものが影響あったのではないかと思われるし、昭和の十年ごろから家の傾斜がひどくなった、始まった、あるいは終戦ごろになおさらこの家屋の傾斜がひどくなったということになりますと、それから大体二、三年前に、あるいは一年前ですか、安定の期間というものが。これによってあなた方は指導しておるわけですから、大体この稼行の期間というものが、始まった時期というものが推定をされるわけです。何年たてば安定をするということをこれによってあなた方は指導しておるわけです。しかし三菱がこの鉱区を持っておったときに、操業しておったときにそういう鉱害があらわれ始めておるわけです。この事実を一体どのように説明をされるのか、伺いたいと思います。
#110
○説明員(佐々木茂行君) 先ほどの先生の御疑念点の一つでございますが、金田の町部のあたりの盤下五尺がないところがあるというお話でございましたけれども、これはただ一カ所だけでございまして、ほかの地点には全部盤下五尺層は残っているわけでございます。したがいまして、先生御指摘のように盤下五尺層に坑道を掘って、その坑道へ八尺層の残炭と七重層の残炭を払い落としたという推論をなされますならば、冒頭申し上げました地点につきまして、大体盤下五尺層が払われていなければおかしいのではないかと思うのでございますが、盤下五尺層は全体としては残っておるわけでございますから、おそらくその盤下五尺、そういう方法による採炭は金田の町部のほう、七片坑道から左のほうについてはそういうことはなかったのであろうというふうに考えております。それからまた七片坑道からふけにつきまして採掘いたしましたときに、水を引き落としたかどうかということでございますけれども、この点につきましては先生御承知であろうかと思いますが、昭和三十年に金田町のあるおふろ屋さんが三菱の鉱害であるとして裁判を起こしておるわけですが、そのときの福岡地方裁判所の判決によりますと、三菱が掘ってまいりました坑道を金谷炭鉱の旧排気坑に連絡させましたときにその事実は認められますけれども、この際特に多量の出水があったような事実は認めるに足る証拠がない。それからまた風道に水が充満、密閉されておりましたのを引き落としたというような事実もうかがうことができないというふうに判定をいたしているわけでございまして、そういうふうな事実もまた他面あるわけでございますから、われわれといたしましても、三菱が水を引き落として鉱害を起こしたのだというふうには踏み切ることができないということでございます。
#111
○小野明君 あなた方は私の質問に一向に答えておらぬわけです。それで、大体鉱害のあらわれる安定の期間というものはさまっておるではないかと、あなた方行政指導をやられる場合に鉱害量算定要領によってやられるわけですけれども、それによりますと、採掘の深度によって何年何カ月と、こういうふうにきまっておる。それからいきますと、いま鉱害があらわれたという現に脱水もしておるけれども、大体その前の操業をされた時点というものが、鉱害を起こす原因になった時点というものが明らかになるではないかと、こう私は逆算すればできるではないかということを言っておるわけです。その点を説明してくれということを言っておるわけです。たとえば昭和二十年に家屋の傾斜がひどくなった、そうしますと、それは一体いつの稼行であるかということを逆に推定できる、その点を言っておるわけです。たとえば昭和十年から鉱害があらわれ始めたということになれば、それはいつごろの採掘であるかということが逆に推論できるんではないか、私どもしろうと目でも聞いておるのは、大体八年たてば安定し過ぎるほど安定するという話を聞いておる。この算定基準を見ると、もっと期間が短縮されておる。だからこの金田町の場合には一体どうなのかということです。
 それと、ふろ屋の件は訴訟があったけれども、これは四区ですよ。いま問題にしておるのは三区である。抗道がちょっと違っても鉱害が違うように、四区のことを三区にそのまま引き当てる、持ってくるということはこれは誤りではないかと私は思います。
#112
○説明員(佐々木茂行君) 通産局を通じて把握しておりますところでは、家屋のそういった被害現象について、それがいつごろに発生したかについては的確な把握がなされておりません。先生御指摘のように、その時点における三菱の採掘と関連があるという判定をする証左に乏しいということでございます。
#113
○小野明君 科学調査もその辺には触れておらぬわけですが、私は現地住民の人が言われておるのをいまあなたに言っておるわけですよ。それは現地のそこに住んでおる人がうそを言うとも考えられぬし、調査にあなた方が行かれた場合に、現に被害を受けている人の話を聞かないでお帰りになるというようなことはないと思うんです。鉱害がいつごろから始まったかというのは、これは一番大事な問題ではないかと思うんですが、その時期については私は知らないというのはどうも納得いかぬと思いますね。
#114
○説明員(佐々木茂行君) 通産局からのわれわれに届いております報告によれば、そういった期間に発生したと確認する証拠はないということでございます。われわれもそのように考えております。
#115
○小野明君 そういたしますと、とにかくこれは三菱が関係あるにせよないにせよ、きょう質問をいたしたわけですが、そういう結論を出すにふさわしい調査をあなたのほうは何もしていないと、こう言わざるを得ぬわけですね。たとえばいつごろから鉱害が始まったか、とにかく六片の坑道にいたしましても、どうも明確な御答弁がない、その辺はやはり明確にしてもらわなきゃならぬ。採掘の問題にしましても、金田の学校の下にあるやっと、三区の真下にあるやっと同じである。この辺をやはり究明してもらわなければならぬが、それもやはり満足のいく答えがない。とにかくきょうの点では、鉱害がいつごろから始まったかわからぬ、それを知らぬというのはどうもあなたたちごまかしておるとしか私は受け取れぬのですが、どうですか。
#116
○説明員(佐々木茂行君) 何べんも申し上げておりますように、家屋におきます鉱害の現象が昭和十何年であるというふうな確証は、われわれとしてはつかめないということでございます。
#117
○小野明君 局長、筑豊は非常に鉱害が多いわけです。それで町がいま一番困っているのは、四十年、四十一年に布設をした水道によって打ち切り補償がされないものですから、町民も水道料を払わぬ。町の財政が破綻に瀕しているわけですよ。こういった事態を放置するわけにはこれは私はまいらぬのではないか。筑豊全体としては、大体水道の問題でも打ち切り補償がせられているわけです。ところが、この町民には打ち切り補償はされてないものですから、水道料を払わぬということ、近隣の鉱害にあわれている町民はみんな打ち切り補償がされておるものですから、当然この町にもされるべきはずだと、こう言われている。ところが、せぬものですから、町の財政は破綻をしかかっておる。しかも、この町においては、いつごろから鉱害が発生したかという一番基本的な問題を調べておらぬというのは、どうもこれは局長私も納得がゆかぬところですが、一体これは特鉱水道その他に関係があり、国から補助金その他もらっているのですが、この事態を一体どのように局長としては解決をされようと思うのですか。やはり裁判の結果を待ってというようなゆうちょうなことでは私はいかぬのじゃないか、こう考えるのですが、いかがですか。
#118
○政府委員(中川理一郎君) お話しのように、筑豊地区という非常に古いころから石炭採掘をやってきた地方でございますので、既往にさかのぼって、昔どうであったかということを調べ出すと、立証その他ができないものがずいぶんあることは御理解いただけると思うわけでございます。ただ、しかしながら、私どもは現在時点においての鉱害の有無、鉱害現象の有無というものは客観的にとらえられるわけでございますし、それに対しての解決と申しますか、処理問題については、一応の限定はございますけれども、与えられた手段方法を持っておらないわけではない。しかも、これらの古く、かつ微妙な問題につきまして、一々法廷に持ち出して黒白を明らかにしないと処理ができぬということでは困るということで、前国会でも私どもが法制改正をお願いして実現していただいたところでございます。私はこの種の問題はやはりまず通産省の判断、それが十分つかめない場合には、鉱害認定の科学調査というものに立てば、わからないものはわからないとして、わからない状態においてどういう解決が一番望ましいか、事態をそのまま放置するという気持ちはさらさらございませんから、その上に立ちまして、和解の仲介の努力をいたしたわけでございます。しかも、それは私の聞いているところが間違いでなければ、これもいろいろまた異論があるようでございますけれども、かなり望ましい方向に進展しておった時期もある。にもかかわらず、金田町全域の意見というものがなかなかまとまらない。三区がどうの、四区がどうの、実はこう申しておりましても、三区以外の立場で問題解決についてほかの結論をお持ちになっている利害関係者の話も、私どものほうにはしばしばくるわけでございます。しかも、町長が交代した、かわられたというところで、また結論が振り出しに戻ってきたというような状況でございますので、それぞれ御意見はあるのだと思いますが、私どもが和解の仲介についてなるべく実際的な解決をいたしたいと、これを三菱の責任だときめつけなくても、解決の方法があるということで私どもは進んできたのでございますけれども、三菱の責任だというふうな解決でなければ困るという意見が最近急速に強くなってきたことによって、問題処理が法廷までいかざるを得ない状態になった。こういうことでございますので、私どもは決して係争問題になって法廷で結論が出るのを望ましいと、それだけが望ましいというふうに考えておるものでないことは、いままでの経緯から見ても御理解いただけるところではないかと思っておりますし、もし当事者間におきまして、もう少しく現実的な解決の方向での歩み寄りがございましたならば、三菱側の訴訟を引っ込めさせることだって私は不可能ではないと思っております。そういう点でひとつ小野委員も地元の方でございますから、わからないものをどっちか右、左にきめようということではなくて、この問題処理に現実的な解決は、しかも迅速な解決はどっちの方向にあるかということで御協力を賜われば、私のほうも全面的にその方向で努力をいたしたいと思っております。いささか当事者間の見解が仲介過程の段階よりももっと開き過ぎた状況になって、私どももほとほと困っておるという状況でございます。これがもう少し縮まってまいりますならば、いろいろまた考えようもあろうかという感じがいたしますので、地元の先生としても、ひとつ御指導と御協力をお願いしたいと思うわけでございます。
#119
○小野明君 おっしゃる意見は私もよくわかるんです。それで政務次官、これはなかなかむずかしい問題なんです。そこで、いま局長が言われるように三菱とも話ができると、こういうことを言われるわけですから、あなたや大臣の場においても、これは現地の町民もこれを全部黒にして全部取り上げていくという気持ちでもない。やっぱり事実は事実として、どこまで明らかになるかということできよう私はお尋ねをしたわけなんです。そこで、そういった政治的な解決の道もなくはないと思うんです、私はね。ですから、その辺でもちろん私のほうも努力をしたいと思います。あなたのほうでもこういった経緯であらかたおわかりだと思うんですが、十分な努力をしてもらいたい。鉱害不存在の訴訟なんかを大きな資本を持った会社が個々の住民をつかまえてやりますと、今後鉱害の問題を筑豊地帯では、少なくとも福岡の筑豊地帯では処理できぬようになります。この費用負担でもたいへんですからね。これはやっぱり鉱害ありとする町民をいじめる措置でしかないと思うんです。ですからそういった事実、事例が起こりますというと、今後鉱害問題なんてもう全部三井、三菱、大手からやられてしまうというまことに悲惨な結果になるんですよ。これは私はよろしくないと思うんです。で、これは三菱の関係なしと、あるいはありという断定ができないかもしれぬ、それはね。私どもはどうもなしと断定はできないではないかと。それに納得できるだけの資料を出せというけれども、そうはいかぬわけですから、ひとつあなたのほうでも積極的にこれのおさまるように、まあ和解、仲介ができなかったという段階で、裁判の結果に待つというようなことでもいかぬわけですから、御努力をいただきたいと、こうまあ考えておるわけです。
 なお、本日の質問でもですね、かなり尽きないところもありますけれども、それはまあ後日に譲るといたしまして、当面はあなたのほうでそういう努力をひとつお願いをしておきたいと思います。
#120
○政府委員(植木光教君) 金田三区の鉱害問題につきましては、先ほど来局長はじめ鉱害課長が御答弁申し上げているとおりなのであります。真相究明のために科学調査を行ない、その科学調査団としても三菱がやったのではないかという疑念を持って調査をしましたけれども、これが断定することができなかった。そこで仲介をやって、これまたうまくいかなかった、こういう経緯なのでございます。いまお話がございましたように、まあ迅速に、的確に解決することが望ましいことは言うまでもございません。通産省といたしましてもさらに努力をいたします。
#121
○原田立君 また法案が出てからいろいろとお聞きしたいとも思いますけれども、今度閉廃山になった場合に大きな問題になるのが、これからの石炭産業をどういうふうに維持していくかということと、閉山になった関係のところの救済処置をどういうふうにしていくかということになるのでありますが、私大きな問題よりか、もっと身近な問題として二、三お伺いしておきたいと思うのです。それは直轄の鉱員さんがおりますし、また組夫の方々もいて働いているわけでありますが、この組夫の方々の賃金支払いがたいへんおくれている。この方々の支払いを一体どういうふうな形にしていくのかという問題と、それから直轄鉱員の方々の支払いをどうしていくかということなんですけれども、どういうふうにお考えになっているか、まずそれを最初にお聞きしておきたいと思います。
#122
○政府委員(中川理一郎君) 突然の御質問でございますが、私どものほうとしまして、いま組夫の賃金の支払いが非常におくれておるのかどうか、的確な資料を持っておりません。御存じのことがございましたならば、御教示いただければ適切な処置をとるつもりでおります。現在の石炭鉱業におきまして、直轄労働者だけの手で仕事が十分に続けられないという状況がございまして、相当数の組夫を使用しておることは事実でございます。また基本的にはその組夫の使用というものができるだけ限定されたものでなければならないということを一貫した行政指導の方針としてまいっております。むやみにこれがふえることは望ましいことだとは考えておりませんが、賃金支払い等が十分行なわれておるものと私ども判断いたしておりましたが、もし遅延しておるような事態がございますれば、御指示に従いまして調査をいたしてみたいと思っております。私どものほうも、もしそういう事実があるかないか、せっかくの御発言でございますので、至急調べることにやぶさかではございません。
#123
○原田立君 さっそく調べてもらいたいと思う。
 それから五十万円以下の中小企業の人たちの債権、まあ五十万円も百万円も二十万円もいろいろ金額はあるだろうと思うのですが、まあ少なくとも五十万円以下の中小企業の債権、これなどは当然今度の新石炭政策の中にきちんと織り込んで債権を見てやる、返済をがっちりしてあげると、こういうふうにすべきではないかと思うのだが、その点の考えはいかがですか。
#124
○政府委員(中川理一郎君) ただいまの御意見は、会社解散あるいは閉山の場合の当該会社あるいは当該炭鉱に残っております中小企業者に対する債務の処理の問題かと存じます。新しい政策樹立の前提になりました石炭鉱業審議会の答申におきましても、関係者の犠牲と協力の公平さということが一つの柱に相なっております。これらの方々の債権がある程度確保できるようにということは、すべての場合にわたりまして私どもの関心事でございます。今度お願いしております法案によりましても、企業ぐるみ閉山の場合の特別交付金の制度といったものも、金融機関のように十分な担保を持っておるという場合と、御指摘の中小企業者のようにそうでない場合と、こういうものが想定されますので、一般債権に対しましてもできる限り特別交付金あるいは一般交付金の仕組みのつくり方によりまして、できれば半分程度のものを補償してあげたいということが制度の基本に相なっておるわけでございます。これにつきましては債権額が小さかろうと大きかろうと、できるだけ公平に取り扱っていくという趣旨を貫いておるつもりでございます。
#125
○原田立君 かりに私いま五十万というふうに言いましたけれども、こういう中小企業者は、たとえ半分でもぶったくられてしまったのでは、これはたいへんな問題をかかえているわけです。で、法律が出てからまた審議したいと思うのですけれども、そういうのではなしに、もう少し何らかのこういう中小の業者を守るための考え方はもっとほかにないのかどうか、この点はいかがですか。
#126
○政府委員(中川理一郎君) 一般的な考え方といたしますと、会社が解散するという場合に、国が特別なことをいたすという制度は他にないわけでございますけれども、石炭の場合関連するところが非常に大きうございますので、いま申しましたように所要の交付金によりまして現実的な解決をいたしたいという気持ちで新しい制度を考えたわけでございますが、ただ、しかしながら債権者間の公平という問題がございますので、中小企業者であるから特別の制度を起こすという、交付金の交付にあたりましては特別なことは考えていないわけでございます。本日、提案理由の趣旨説明を大臣からお願いいたしましたように、中小企業の信用保険の特例を延長いたしますことによりまして、このような事態におちいりました中小商工業者のために、信用保険そのものが中小企業のための特別措置でございますけれども、とりわけ産炭地の中小企業者のために、さらに特例のまた特例をつくっておるわけでございます。これの延長によりまして対処をいたしたい。交付金だけで片づかない問題はこの方法によりまして努力をいたしたいと考えておる次第であります。
#127
○原田立君 今度の新政策によりまして、特に九州福岡の筑豊地帯においては閉山がかなり予想外に多くなるであろうと、こう見られているわけですけれども、それに対してどんなふうな見方をなさっておられますか。
#128
○政府委員(中川理一郎君) これはそれぞれまた受け取り方のあるところでございますが、今回新しい措置を国会の審議にお願いをいたしておりますゆえんのものは、現在の制度そのもの、それだけによりますというと、昨年一昨年末以来の石炭鉱業の置かれた状況というものと勘案いたしますと、ここで何がしかの措置をいたさない限りにおきましては、石炭鉱業全体のなだれ的な崩壊という心配もあるということから今回の措置をお願いいたしておるわけでございます。大きくいいますと、今回お願いしております予算なり法律なるものが石炭鉱業のなだれ的な崩壊というものに対する措置でございます。しかも私どもは再建交付金なり安定補給金なりの大幅な増額によりまして、石炭鉱業を全体として再建の方向に持っていきたい、こう考えておるわけでございますが、前々から当委員会で大臣等からも御説明いたしておりますように、限られた財源での処理でございますので、あらゆる石炭企業を現状のままで食いとめていくということにも無理があろうかという感じは率直に申しまして持っておるわけでございます。しかも企業側におきましても、昨年の春以来石炭鉱業審議会が新しい政策のための審議をいたしておるということでございましたので、その間いろいろと困難な局面があったわけでございますけれども、私どもは本年の四月まで持ち込めるような経過金融措置というものに全力をあげまして、進むにしても退くにしても、新しい政策のもとで進退をきめてもらうということに努力をいたしてまいりました。本年三月末までにおいて相当悪い状況にありましたところも、できれば新しい施策によって四月以降の閉山なり解散なりということを関係者それぞれ考えておった次第でございます。したがいまして、現象面だけから見ますというと、四月を待ちかまえておったように閉山の話が出てまいるという状況もまた否定し得ないところでございます。したがって、原田委員おっしゃいますように、四月時点での現象をとらえてみますというと、必ずしも審議会なり通産省なりが言っておったようになだらかな閉山ということはできておらぬではないかというお感じのする面もあろうかと存じますが、これらはいま申しましたような経緯で、なるべく新しい施策のもとで、改正された閉山制度のもとで社会的な摩擦をできるだけ少なくした形で閉山に入るという事態を審議会の答申その他を受けまして考えた結果でございまして、現象的なものと経過的なものをその間にあわせて判断していただきますならば、無理に閉山量を多くするようにしておるというゆえんのものでないことは御理解いただけるのではないかと思うわけであります。また一方私どもといたしましては、新しい施策のもとでほんとうにやっていけるということが不可能であるかどうか、ほんとうにやっていけないものであるかどうか、これについては私どもも私どもなりにできるだけ考えてまいりたいと思いますし、経営者のほうでもそこは十分に判断した上のことであろうかと思っております。残念ながら若干のものが新しい時点で解散、閉山の動きに出てまいりますことは、やむを得ないことであると考えております。
#129
○原田立君 新聞報道によると、全国の閉山量は約三百八十万トンぐらいであろうと、こういうふうなことが報道されておりますけれども、大体そのぐらいのことが考えられているんですか。
#130
○政府委員(中川理一郎君) 予算を用意いたします場合に、昭和四十四年度の閉山量を約三百八十万トンと私どもが予定をいたしたのでございます。これらは前年あるいは一昨年以来の経理状況その他を十分に見、かつ今後の石炭鉱業の助成金による経営の可否というものを判断した上での一つの想定でございます。このとおりになりますかどうかは、事態の進展を待たないとわからないところでございますが、三百五十万トンという私どもが考えました数字とそうかけ離れた結果にはならないのではなかろうかという判断をいまの時点ではいたしております。
#131
○原田立君 筑豊、九州関係で、約二カ月間で九社十二炭鉱が閉山申請をしたとか、もしくはするであろうと、こういうふうに新聞報道で言われております。そうしますと、八〇%ないし――九〇%にはならなくても筑豊、九州関係のこの閉山関係がもう集中的に行なわれて、たいへん大きな問題になるのでありますが、たとえば日南鉱業の竹ノ迫鉱、第二竹ノ迫鉱両鉱、あるいは古河鉱業目尾、あるいは飛島鉱業の飛島鉱、西興鉱業の山住鉱、高野鉱業の新高野鉱、野口鉱業の第二丸尾鉱、あるいは上尊鉱業の精鉱、いろいろなのがずっとこう出ておりますけれども、約二カ月間で九社十二炭鉱が閉山になる。三百八十万トンの全体の約八〇%ないし九〇%ぐらいが九州で閉山になると、こういうことが新聞報道されておるんですが、そういうふうな見込みはお持ちであったのかどうか、そういう点どうですか。
#132
○政府委員(中川理一郎君) いま具体例をおあげになりましたものの一つ一つについての確認は、私も承知してないものがございますので、後日お答えをいたしたいと存じますが、おっしゃいました中でのたとえば古河鉱業の日尾、こういったものは今回の新政策でなくとも、私どもは前の再建整備計画以後の事態といたしまして、閉山のやむなきに至るんではないかと予想しておりました炭鉱でございます。それから中小炭鉱につきましては、これは毎年相当の閉山申し込みがあるわけでございまして、必ずしも今回であるからどうということではなくて、いままでの経過から申しましてもある程度の中小炭鉱の閉山というものは出てまいるものと私どもは予想をいたしておりました。ただ、三百八十万トンのうち八割前後のものが九州になるんではないかという御意見でございますが、これはいまのところ私どもとしては的確に数字は把握しておりませんで、それらのものもある範囲は予想に基づいての報道だと思いますけれども、かなりそうなるんではないかと想像される節のあるものも先ほどの列挙された中にはございますので、もう少し事態の進展を待ってお答えをしたほうが正確ではないかと考える次第でございます。
#133
○原田立君 私はこれを問題にするにあたって、閉山していく炭鉱あるいは生き残っていく炭鉱、二とおりに分けて、特に閉山していく炭鉱がいままで持っているところの債務、借金ですね。簡単なことで言えば賃金未払い分とか、あるいは鉱害処理、あるいは資材の買い掛け、金融返済、大きく言えばそういうことになるだろうと思いますけれども、しかし先ほど冒頭にも申し上げたように、特に賃金未払い分なり資材の買い掛け、その中でも中小企業関係の支払い、そういうのがはたして今回の閉山交付金、あるいはまた割り増し金をつけての大手の閉山ですね、こういうふうなことがこれだけの処置ではたして賃金の未払い分とか、資材の買い掛け分の補償がちゃんとできるのかどうか、それを心配して聞いているわけです。特に賃金関係では七五%しか補償されないようだという話も聞いております。そうすると、あと二五%分はどうするのか、あるいは地元の中小企業の売り掛けになっている、零細企業の人たちの売り掛けになっているのははたしてどうなるのだ、もとの炭鉱が閉山になるのですから、だから普通の商取引からいけば、それはなくなったっていたし方がないのだ、それは一般的な普通の言い方であって、炭鉱でいままで長い間生活してきた人たちにとっては致命的な打撃です。こんなふうなことをはっきりとしない限りにおいてはこれは重大な問題が起こるのじゃないか、こう私たちは憂慮しているのです。いま申し上げたようなことで、特に九州関係に閉山関係が非常に集中的に行なわれるので私たいへん心配してお聞きしておるわけでありますが、この組夫並びに直轄鉱員、これらの人たちの賃金及び退職金、そういうものは一〇〇%確保できるのかどうかという点はいかがですか。
#134
○政府委員(中川理一郎君) おっしゃるように閉山にあたりまして、あらゆる債務関係をきれいに解決できますことが一番望ましいわけでございますけれども、いずれにいたしましても国の予算をもちまして処理をいたしませんと、企業そのものには、これは平均的な言い方でございますけれども、なかなかその力がないということでございますので、交付金制度の改正を考えたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、国の財政の中で可能な限りの閉山処理のための予算というものを考えたわけでございますが、御指摘のように一〇〇%国がめんどうをみるというわけにはまいりません。賃金、退職金等の労働債務につきましては大体七五%というものを目標にいたしております。その他債務につきましては、おおむね五〇%というものを対象に考えておるわけでございます。なお、これは企業によりまして、残りのものが処理できるかどうかということはそれぞれ異なるわけであります。先ほどおっしゃいました古河鉱業のように本件の会社が非鉄金属の会社としてまだ残っておるというような状況におきますと、その場合の退職金はおそらく一〇〇%支出されることは間違いないことが予測されるのでございますが、話題に出ております石炭専業会社であって、この際全社閉山といっている場合には著しい超過債務をかかえておりますので、結局のところ清算後の債務につきましては、国が講じます予算措置が企業としてなし得る限界になるということでございますので、これがきわめて当該債権者から申しますと不満のあるところでございますけれども、毎度申しておりますように、国としては、通産省としてはできる限りのことを考えたつもりでおるわけでございます。
#135
○原田立君 たいへん冷たい御返事なんです。非常にふんまんの気持ちで聞くわけですけれども、これは何も議論をむし返して言うわけではないけれども、国のエネルギー政策の変更によってこういう問題が起きておる。そのことは毎回指摘されておることなんです。また、これらの鉱員の人たちが高い賃金をとってゆうゆうとしておるというなら、それはまあ全部もらったほうが一番いいけれども、、多少の目減りはあったとしても納得する点もあるだろうと思うが、賃金は安いんです。また炭鉱が閉山になれば自分の生活費だって、生活するところも出ていかなければならない。こうなると重要な問題になってくる。予算措置でやるなら、これしかできないというのではなしに、何とか出るような、少なくとも賃金の未払い分などはないように考えられないものかどうか、その点どうですか。
#136
○政府委員(中川理一郎君) おことばを返すわけではございませんけれども、国の政策ということもございますけれども、やはり客観的な事実としてのエネルギー情勢そのものが大きく変わってきたという点もございますので、私どもの気持ちといたしましてはできるだけのことをしてあげたい、なかんずく石炭を担当しておりますものとして考えますならば、御意見のように可能ならば一〇〇%を補償してやりたいという気持ちでいろいろ考えてきたのでございます。ただ私が石炭を担当いたしました直後に出ました大日本炭砿の閉山の場合等を考えますと、このとき労働者が債権を確保し得ましたものが大体五割に満たなかったと記憶しておるわけでございます。また一般債権者は一割くらいの回復にとどまったのではないかと当時の状態では判断されたわけでございます。これは完全な清算は終結しておりませんから的確なことは後日になると思いますが、そのような状態を私ども実はかわりました直後に直面いたしたのでございます。そこでもう少しく閉山交付金の制度の改正というものができないかということで関係先といろいろ相談をし、現在お願いしておりますような制度をつくったわけでございます。
 なお、将来の問題として考えますならば、少くとも企業というものの本質に立ち戻りまして、それらの処理を全部国にゆだねなければならないというようなことではなくて、内部にそれらの事態に備えるための準備をするというようなことを、これからの問題としていろいろ検討を加えていかなければならない事柄があるのではないかと考えておりますが、制度といたしまして国の側からの交付につきましては、いろいろのところと折衝いたしましたが、いま申しましたところが現状におきましての私どものなし得るマキシマムという感じでございます。
#137
○原田立君 では、国から出ないということを何度も局長は言うんだけれども、それではその未払い賃金並びに退職金を会社が責任を持って払えというような措置ですね、それは講じられないんですか。
#138
○政府委員(中川理一郎君) ただいまお答えいたしましたように、長期的な観点に立っての措置といたしましては、そういうことも考え得ると思いますが、現在の時点で、いわば倒産になるものを制度の中で処理をしたいという状況で考えられておりますものの中には、国から出るもの以外には何ら持っておらないというものがかなりあるということは率直に言わざるを得ないんではなかろうか、またその場合に企業側が、出せと申しましてもないものは出せないという事実が残るだけでございますので、これらにつきましては、労働者側の要望もありますので、一体何がしかの方法はないものかということは常に念頭を去らないんではございますけれども、いまのところ的確な対応策というものは見出し得ない状況でございます。
#139
○原田立君 聞くところによれば、金融機関に対しては、担保を取っていますね、そうして担保を取って、そのあと残りの分の半分は補償するというふうになっていますね。非常に手厚い保護がなされているんじゃないか、こう私思うんです。で、片方は大金融機関でありますし、片方は一人一人の実際家族をかかえて生活していかなきゃならぬ、そういう人たちなんです。だからもう少し国の考え方も、また指導の考え方もこういう気の毒な鉱員の人たちのほうにもつとウエートが置かれていいんじゃないか、あるいは中小企業関係の資材の納入等の、そういう方々のほうにもつとウエートが置かれるべきじゃないか、その面で処置されるべきものはないのかどうか、その点どうですか。
#140
○政府委員(中川理一郎君) 一般的に申しまして、あらゆる債権者の中で労働者に特別な配慮をいたしたいという気持ちが審議会の議論の中でもございまして、その結果が先ほど申しましためどとしての七五%、その他債権に対しましては五〇%というふうに、労働者債権につきましては特別の配慮をいたしたわけでございます。他の債権につきましては、これは金融機関でございましても、担保を有しておるか有してないかというものでたいへん違いがございます。一般的に申しまして、市中銀行は大体においてかなりの額の抵当権を持っておりますけれども、中でも興長銀といったものは財団抵当以外には持っていない。それがさらに政府機関である開銀は財団抵当以外のものは持っていない。これは合理化事業団におきましてもそのような形に相なっております。この辺の担保の持ちぐあいというものは千差万別でございます。しかし抵当権を持っておるか持っておらぬかというこの事柄は、市民法体系一般の中では法制上優先権のある立場に立っておるのでございまして、この体系そのものを根本から否認するようなことは考えられないわけでございまして、事実問題としての抵当権を持っておるか持っておらぬかということを、これを今回の対策で変えるというわけにはまいりませんので、抵当権行使後の未回収の債権について二分の一ということでひとしく取り扱うということが、現在私どもが法制の中で考えられる公平さというものではなかろうかと考えておる次第でございます。
#141
○原田立君 そのいまの御返事にも非常に納得できない点が多々あります。それはそれとして未払い賃金の支払い期日を明らかにしてくれとか、あるいは退職金などの支払いについては交付金を待たずに実施してくれとか、そういう切実な実は要望があるんですね。これらについては当然国のほうとしてもぴしっと指導をなさるんだろうと思うけれども、これは変なふうに指導してだらだらやったとすれば、一番泣くのは労働者ですよ。そういう泣く労働者を出さないようにするために、この要望などはちゃんと必ず実施するようにしてやるべきじゃないか。あるいは撤収要員の賃金、身分などについてもきちんとしてくれというような話もあります。これらについては具体的にどういうふうに指導なさるのか。閉山はもう目の前にきているのですよ。これは局長自身が一番御承知なはずなんですから、そして実際すぐ離職しなければいけない人がいるんですから、それをひとつ念頭に置いて、やはり国であたたかい施策というものがなされなければこれは大きな問題じゃないかと思うのですが、いかがですか。
#142
○政府委員(中川理一郎君) 御指摘のような要望と申しますか、希望は私どももよく承知をいたしております。交付金の迅速なる支払いということにつきましては、私どもも特別の考慮を払うつもりでございますが、予算上の制約もございまして、ものによりましては、四十四年度予算を借り入れ金を行ないましてもその限界をこえるという事態がございまして、二カ年間の予算で処理をいたすという仕組みにも相なっておりますので、この点は財政上の理由から必ずしも希望どおりに、ある時点で一括支払いができないという制約がございます。それからもう一つの制約は、労働者債権に対しましては、賃金債権という意味合いにおきまして、本人に直接交付をしなければならないという問題でございますし、一般債権等も企業ぐるみ閉山の場合におきましては、当該債権者に直接支払うということをたてまえといたしております関係上、この間のつなぎ等につきまして、実はやっかいな問題があるのでございます。これらの点も含めまして、できるだけ御趣旨に沿ったような運用にいたしたいと考えておるわけでございます。
#143
○原田立君 水道関係についてちょっとお伺いしたい。残ってもらってたいへんお気の毒しましたが、炭鉱のほうから水道を供給してもらっているところが幾つかあるわけですね。今度閉山になると、それが使えなくなれば直ちにその町の町民は非常に困るわけです。町営に切りかえていかなければ当然ならないだろうと思うのですけれども、たいへん町も困っていることは御承知のとおりですけれども、これはどんなふうに指導なさいますか。
#144
○説明員(国川建二君) 閉山に伴います水道の対策でございますが、これは昭和三十八年だったかと思いますけれども、例の合理化に基づきます対策の一環といたしまして、閉山炭鉱水道施設整備事業というのがございます。で、この事業によりましては、これは補助率は三分の一でございますが、国庫補助を三分の一行ないまして、残りは起債で充当するという形で、閉山に伴いまして、従来炭鉱が持っておりました専用水道を市町村に移管するという前提におきまして、施設の改良、更新を行なうということで今日まで行なっております。毎年大体十数カ所程度を事業化いたしておりまして進めておるので、来年度以降出てきました場合もその制度によりまして進めていきたい、かように考えております。
#145
○原田立君 今度のように閉山が集中的に出るだろう、こういうふうに言われているときに、従来のようなやり方ではたしてうますいくのかどうか、その点の見通しはどうですか。
#146
○説明員(国川建二君) 実は四十四年度の閉山対策の事業につきましては、現在各県からそのヒアリングを行ないまして、その結果を集計中でございまして、いま手元に資料を持っておりませんので、どの程度の要望が出ておるかわかりませんが、多数出てくると思います。が、それによりましては、ただいままではたとえば単年度事業で整備しておりましたけれども、場合によりましては二カ年程度で継続事業で処理しなければならないといったような事情が出てくるかと思いますが、これは何と申しましても非常に緊急を要する事業でございますので、できるだけ優先的に出てきました事業は全面的に取り上げたい、かように考えております。
#147
○原田立君 全面的に取り上げてもらいたいと思うんですよ。水がなきゃ困るんですから、きちっといくかいかないかという見通しを、その点を心配しているんですよ。あなたはいま数字がないからわからぬという御返事だった。数字がなきゃ何にもなりませんから、水がなきゃほんとうに困っちゃうんです。だから、きちっと対策が講じられるという御返事を得るまでこの問題は保留しておきたいと思うんですけれども、まあひとつ町民が困るんですから、この問題はただ一般的なものの見方だけで終わりにするのでなくやってもらいたい。
 それから最後に、あんまり時間がありませんので最後にしたいと思うんですが――水道のほうはけっこうですから。一般閉山のときに、事業団が調査しなければならないというようになっていますが、それを維持していくための維持管理費、あるいは電力というのがたいへん大きな必要量になるわけですが、事業団の調査は早くするようにしなきゃならぬが、基本的に出炭量だけでやれないものかどうか。坑道の延長等の調査などは必要ないんじゃないか、電気料が五十日以上滞納するととめられるし、文句は言えないことに法律ではなっているようだが、坑道の査定等はなくてもいいんじゃなかろうかと、思うのですが、その点はどうか。また電力料が非常に維持管理する上で一番ウエートが多いわけでありますけれども、この電力等に対しては特別に、全部が終わるまでそのままつけられるように特別な措置、指導等がなされるのかどうか、その点はいかがですか。
#148
○政府委員(中川理一郎君) 閉山交付金の交付に際しまして、一般閉山交付金制度の場合には、御指摘のような事前の行為が必要なわけでございます。これに不必要な時間をかけておりますと、保坑のための費用その他ずいぶんとむだな――その山がなくなるのでございますから、なくなるという前提に立った場合に、非常にむだな金を使わなきゃならないという事態が起こりますことは御指摘のとおりでございます。この問題につきましては、中小炭鉱等から切実な希望が寄せられております。私どもとしてはできる限り迅速な処理をいたしたいということで、事態が起こりました場合に、合理化事業団がさっそくそういう気持ちで処理をしてくれますように、あらかじめいまから事業団にはいろいろと連絡をとっておるところでございます。ただ、御指摘の坑道評価その他をやらなくてもいいんじゃないかという御意見でございますが、制度そのものがそういうものに着目して交付金の額を算定することに相なっておりますので、これをいいかげんにするということは会計上の、出資者としての非難につながる問題でございますので、厳正、適確であって、かつ迅速な実施ということを私ども念頭に置かなければならないと考えております。
 なお、最終的に処理ができますまでの間の問題として、電力のことの御希望があったのでございますが、一般的な状況でございますと、これらは債権者会議等におきまして、ある種の共益費用というようなもので、もともと債権者に分割されるべきものの中から適当なものを保留いたしまして、それらの費用に充てるのが一般でございますので、おおむねいままでの経緯によりますと、それらの問題は解決されてきたんではなかろうか、こう思っております。ただ、何がしかの手違いで、送電をとめられるというような事態が出てまいりますことを念頭に置きまして、これは私どものほうの通産局を主体にいたしまして、所轄の電力会社等と十分なる連絡のもとに、そのような事態が未然に防止できるようなことにつきましては、配慮をすべきものと考えております。
#149
○須藤五郎君 きょうは炭鉱離職者臨時措置法がここで説明を伺いましたが、この問題はまだ衆議院でも審議に入っていないようでありますし、いずれはこの委員会で審議することと思いますが、この問題については、私触れないことにしまして、それで少し質問をさせていただきたいと思うのです。
 今度のこの通産省の石炭局のほうから出された予算案の内容を見ますと、ここに私たちが従来見なかった問題が出てきておるわけです。いわゆる産炭地域開発就労事業というので、二十五億円の予算が組まれておると思うのですが、この予算がある以上、その内容があるものだと思いまして、この内容についてちょっと伺っておきたいと思うのです。
#150
○政府委員(中川理一郎君) 特別会計全体は私のところで所管いたしておりますが、ただいま先生御質問の二十五億円の予算の使い方につきましては、主として労働省でお考えいただいた施策でございまして、労働省側から御説明を聞いていただきたいと思います。
#151
○説明員(上原誠之輔君) 今回の新しい石炭対策の一環といたしまして、産炭地域の開発就労事業というものを予算案として提出いたしておるわけでございます。この点につきましては、先般の石炭鉱業審議会の答申の中におきましても、産炭地域のうちで特に失業者が非常に停滞している地域におきましては、今後の新しい石炭政策の実施に伴って、さらに深刻な影響が出てくるというようなことで、雇用安定対策について十分配意していくべきだ、こういう答申がなされたわけであります。また一方、産炭地域振興審議会におきましても、同じような趣旨で通産省当局に対しまして建議がなされたのでございまして、したがいまして、労働省といたしましては、そういう答申なりあるいは建議の線に沿いまして、産炭地域のうち特に失業者が停滞しております地域につきまして、雇用安定対策の一環といたしまして、この産炭地域開発就労事業というものを実施することにしたわけであります。
#152
○須藤五郎君 この事業の対象になるいわゆる失業者ですね、これは炭鉱で働いている労働者で、閉山についていわゆる離職した人が目標ではなく、いわゆる関連失業者というのですか、かように聞いておるのですが、炭鉱の失業者もこれは入るのですか。そういうふうな範囲がわからないのですよ。
#153
○説明員(上原誠之輔君) この産炭地域開発就労事業におきまして、就労の対象になる労働者、失業者の範囲でございますが、御承知のように現在の炭鉱の離職者に対します措置といたしましては、いわゆる合理化大綱によりまして、出てまいります失業者につきましては炭鉱離職者臨時措置法というものがございまして、これに基づいて援護措置があるわけでございます。そのほかにこの措置を受けられない労働者がおります。もう一つは炭鉱の閉山に伴いまして、炭鉱によって直接の関連を持ちながら生きておりました企業がつぶれていく、こういうことから関連産業からの離職者がある。この産炭地域開発就労事業の実施の対象といたしましては、いま申し上げました大体三つの対象者の失業者を対象とするということを考えております。
#154
○須藤五郎君 この開発就労事業に吸収される失業者ですね、その失業者の範囲並びに条件というものをこの際明らかにしておいていただきたいのです。
#155
○説明員(上原誠之輔君) この開発就労事業に収容されます失業者につきましては、ただいま申し上げましたとおりでございます。ここで働く労働者に対しまして、どういう条件が提供されるかということになるわけでございますが、この就労事業の実施のしかたは、いわゆる一般の請負施工でございますが、請負業者が労働者との間の契約に基づきまして労働条件を定める、こういうことに相なるわけでございます。
#156
○須藤五郎君 私の質問をちょっとあなた理解されないように思うのですが、この開発就労事業は、いわゆる炭鉱で石炭を掘っておって、そうして離職した人じゃなしに、それはいわゆる緊急就労というあれに入るわけでしょう。そうでしょう。そうでない人、この今度の開発就労事業に入る人はどういう人たちをいうのか、いわゆる関連産業というのですか、関連失業者だというふうに私は聞いているのですが、もし関連失業というならば、関連というのはどういう範囲まで関連とおっしゃるのか、そこをはっきりしておきたいと思うのです、私は。
#157
○説明員(上原誠之輔君) それではもう一度詳しく申し上げますが、産炭地域開発就労事業に就労の対象になる労働者でございますが、まず一つは、石炭鉱業の合理化に伴いまして出てまいります離職者、これは先ほども申し上げますように、一つは手帳所持者があります。黒い手帳ですね。これはそのほうで措置がなされるわけでございますから、それはそれといたしまして、この手帳を除きまして、合理化大綱によりまして手帳の恩典を受けない者、それからもう一つ関連産業の離職者、こうなっているのでございます。もちろん非常に高度な建設事業をやるわけでございますから、その建設事業に就労するにふさわしい能力なり体力を持っているということが当然出てくると思います。
#158
○須藤五郎君 そうすると、私のほうから具体的に聞きますと、炭鉱地帯でいわゆる炭鉱に物を納めている商店なり、いろいろな事業がありますね。炭鉱が閉山になると、この人たちは炭鉱へ物を入れられなくなるから、商店も閉鎖しなくちゃならぬ。それからいろいろな関連企業もありますね。それも全部閉鎖してしまわなくちゃならぬ。そこに失業者が出るわけですね。この失業者は全部ここへ吸収されるのか、この事業に。そういうことをはっきりしておいてほしいんですよ。
#159
○政府委員(上原誠之輔君) 関連企業というものをどの範囲できめるかということでありますが、これは非常に微妙な問題でございまして、実は私ども現在までのところ、こまかい実施要領をいま検討中でございます。はっきりしたことをこの席で決定的に申し上げるわけにはまいらないのでございますが、私どもといたしましては、いわゆる石炭鉱業に直接の関連を持って、それと一体不可分の関係でやっている、こういう企業を中心にして考えている、こういうことであります。
#160
○須藤五郎君 それは実におかしいことだと思うのですよ。予算を組んで、それで国会にこういうことを要求しているのですよ。要求している以上、大体の見通しを立てて、関連産業とはこういうものだ、商店なら商店、企業なら企業、そこにおける失業者は全部入れるんだとか、そういうことをあらかじめきめてないで予算を組んで国会に出してくるというのはあなた不謹慎じゃないですか。そんなでたらめなことでは困ると思うんですよ。私は、この間から皆さんの省の方に少し来ていただいて私も勉強させてもらったんですよ。ところが、何にもまだきまっていない、これからだというので、それでは私は困るということを申し上げた。だから、大体きょうまでに答弁をしていただけるようにひとつ研究しておいてくれと、こう言って、私は伝えたのですが、まだできていないわけですね。これでは、産炭地域の関連産業の範囲がわからぬではみな不安でしょうがない。実は私はこの間九州に行ってきたんですよ。九州に行ったら、こういう問題があってわれわれは不安で困る、先生何とか国会で明らかにしてくれと、こういう注文を受けてきたんですよ。だから、こういう質問をするのです。それがまだわからない。それは早くその範囲をきめることが必要ですよ。これが第一。
 それからもう一つ質問しておきますが、企業があるでしょう。そうすると、そこの企業体の主人公、これは入れても、そこで働いている労働者は入れないとか、企業体のまた下請の企業があるでしょう。そうすると、その直接炭鉱に物を入れている企業は入れるけれども、その下請企業は入れないとか、そういうことになってくると、これは非常おかしいですね。親、子、孫とずっと三代にわたる企業だけは実際に失業ということになるのだから、そういう広範囲にこれを包含して、そうしてこの事業で働いてもらう、こういうことにでもしていかぬと、産炭地の関連事業の方は非常に私は不安だと思うのです。
 それではこれに入れない人、いろいろな人があるわけですね。あなたいま、いわゆる非常に高度な事業だから相当頭脳的な能力も必要だし、それから体力的にも必要だとおっしゃいましたが、おそらく関連事業の中にもこれに適さない人もたくさん出てくるわけですね。能力の点においても、健康の点においても、年齢の上においても。そういう人たちはそれではどういうふうになさるのですか。
#161
○説明員(上原誠之輔君) いま先生が御指摘になりました問題は、いわゆる失業対策としてどういう手を打つかということが非常に大きな問題かと考えます。で、私どもといたしまして、特に産炭地域におきまして離職者が出てくる、失業者が出てくるということになりますと、まず第一は、何と申しましても最近のような人手不足の時代でございますから、要するに人手が非常に不足している地域に対して広域紹介でこれを処理をしていくということがまず第一でございます。第二は、いま私申し上げておりますように、どうしてもやはり外に出ていけない、また地元に残って仕事をしたいという場合に、この開発就労事業というものがあるわけでございます。一方においてこういう事業で働きながら産炭地域の開発に役立たせていくという方法を考えなければいかぬ。なおかつ、先生が御指摘のように、この仕事に就労できないという場合にどうするかという点があるわけでございますが、これはどうしてもいろいろな手立てを講じましても雇用の道が出てこないという場合には、私どもが実施いたしております一般の失業対策ということになろうかと思います。
#162
○須藤五郎君 まあそういう場合は一般失対に入れると、こういうふうに理解していいですね。そうですね。
 それからこういう予算を立ててこられたところを見れば、範囲はいま検討中だというので、いま無理にせっついてみてもおっしゃることができないと思うのですが、この関連産業の関連失業者ですね、関連失業者の人数はどのくらいというふうにあなた方は踏んでいるのですか。
#163
○説明員(上原誠之輔君) 今後どの程度の失業者が出てくるかということになるわけでございますが、これは先ほどから通産省の御当局からもお話がございましたように、これからの問題でございまして、今後の合理化に対する経営者の努力、あるいは労働者の努力というものにかかる部面が非常に大きいと思うわけであります。ただ、先般の石炭鉱業審議会の答申を一応の計算のめどといたしまして、五年後における生産規模というものを三千五百万トン程度だというようなことも聞いておるわけでございます。一応かりにそういう前提で考えるといたしますれば、全体といたしまして五年間の間で出てくる直接の離職者は大体三万六千人ぐらいではなかろうか、こういうふうにいわれております。これが五年間にわたって出てくるわけでございまして、初年度におきまして、初年度と申しますか、昭和四十四年度でございますが、これは全国的に見まして一万一千人程度というふうに一応の目算を立てている、これは予算上の目算でございます。ただ、これは直接の離職者でございまして、このほかにしからば関連の失業者がどのように出てくるかという点でございますけれども、これはなかなか算定がむずかしゅうございまして、確たることをいまここで申し上げるわけにいかないわけでございます。ただ、しかし直接の離職者と同じ程度のものが出てくるというふうには私ども考えていないのでございまして、これよりもかなり下回るのではないか、こういうふうに見ております。
#164
○須藤五郎君 それも明らかになっていないようですが、しかし今度の予算を見ますと、三千二百というふうに数がもうすでに出ておるのですよね。三千二百という数を出されるのには相当な確信があって、何らかよりどころがあって三千二百という数を出されたのだろうと思うのですよ。でたらめじゃなかろうと思うのですね。その三千二百という数をどういう根拠によってはじかれたか、そこを伺いたいと思うのですよ。
#165
○説明員(上原誠之輔君) 予算上この開発就労事業の対象とすべき頭数を三千二百人というふうにしておることは、いまお話しのとおりでございます。で、この根拠は一体何だということでございますけれども、実はこれもこういうことを申し上げてはなはだ申しわけないのでございますが、いわば非常に腰だめ的な数字でございまして、積算上微細な積算があるわけではないのであります。大体この程度の数を予算上用意しておけば、この産炭地域における開発就労事業としては十分やっていけるのじゃないだろうか、こういう考え方で計上してあります。
#166
○須藤五郎君 それではおかしいですよ。金をこれだけきめて、これに見合う人数をはじいてきて、逆算してね。そんなものじゃないでしょう。失業者は。失業者はつかめないと言っているのでしょう。金はこれだけしか出せないと、だからこれに吸収する人も三千二百しか吸収できないぞ、こういうことで門戸を閉めているのですよ。そんなことでは、一方的でほんとうに官僚的なものの考え方ですよ。そんなことじゃとても産炭地域の人たちは不安でしょうがないじゃないですか。そんなばかなことはないですよ。ちゃんとめどをつけて、これくらい出るだろうとその根拠を明らかにして、そうしてこういう予算を組みましたと。これだけの予算を組んで、逆算すると三千二百しかできませんというようなそんなばかげた予算の組み方というのがありますか、あなた。
 それじゃもっと突っ込んで聞きますがね。まず事業種目をここで明らかにしておいてください。
#167
○説明員(上原誠之輔君) この産炭地域の開発就労事業で行ないます事業でございますが、大体まあ一般的には公共事業に準ずるものだと、公共事業ですね、そういうふうに御観念いただいたらよろしいかと思います。すなわち道路だとか河川とか、あるいは工場団地、工業用水等の産業関連施設、それから宅地、公園などの生活環境施設の整備、それから運動場等の勤労者のレクリエーション施設の整備、まあこういった事業を予定しておるわけでございます。
#168
○須藤五郎君 そうすると大体土木事業ですね。そうしてその土木事業には比較的高度の機械を使ってやると、こうおっしゃるのですね。間違いないですね。それじゃそういうふうに理解しておきますよ。
 それじゃ、一体就労日数はどのくらいのめどを立てていらっしゃるのですか。これも予算があるから大体就労日数はきめていらっしゃるだろうと思うんです。
#169
○説明員(上原誠之輔君) これは一般の失業対策事業だとか、あるいはまた緊就事業と異なりまして、先ほども申し上げますように請負施工で実施をいたします関係で、就労日数を幾らというふうな限定を置いていないわけでございます。制度的にそういうたてまえにしていないわけでございます。
#170
○須藤五郎君 これもたいへんですな。一般失対はね、法律で二十二日ときまってるでしょう。そして、まあことしは賃金が八百九十円と七十三銭ですね、平均。それで二十二日働かして、それから盆暮れにボーナスが三〇・五日分、年六十一日分。そうすると賃金は大体一年平均しますと、計算しましたが、二万四千百余円になるんですね。一般失対の人たちは二十二日働いて二万四千百余円なんです。これは保障されてるんですね。ところが、いまの開発就労事業に参加する人は就労日数は保障されない。幾日になるかわからぬ。あるいは十日働いてあとは何にもなしになっちまうか、もっとひどいのは五日しか働けないという人もあるかもわからぬ。現に神戸の波止場の労働者たちは、このところ非常にコンテナになりましてね、荷物かついで船へ積む人は労働日数はなくなっちゃった。一週間から十日です、せいぜい。そうすると失業保険もらえないわけです。そうすると、この人たちがそういう状態になったときは保障はない。十日も働きゃ失業保険ももらえないじゃないですか。こんな不安定なことでどうなるんですか。予算を組んだのは幾日の見通しで予算を組んだんですか。これは人数をきめ、人数は三千二百人、それじゃ就労日数はどれだけとはじいてるんですか、労働省は。
#171
○説明員(上原誠之輔君) 私が申し上げておりますのは、この開発就労事業で働いていただく場合の就労日数を制度的に何日というふうにきめておるかという御質問に対しまして、そういうことは制度的には考えてないということを申し上げたわけでございます。ただ、予算の積算上といたしましては大体二十三日程度を予定いたしております。で、もちろんこれは一般失対に就労しておる失業者のように手帳を持っておるわけじゃございませんし、あるいは緊就事業に就労する人たちのように特定をしておるわけでございませんから、特定の個人につきましておまえは何日働かせるんだ、こういうかっこうにはならないわけでございます。ただ、失業者でございますから、やはりそう一月の稼働日数が短いということであっては困るわけでございます。で、私どもといたしましては、この開発就労事業でもって相当の日数が確保できるということは当然考えなきゃいけません。ただしかし、この事業には単に開発就労事業だけではないわけでございます。一般の公共事業もございますし、また鉱害復旧事業というものもあるわけでございます。そういうものを前提として考えますれば、当然失業者としてそう欠けることなしに年間通じて働けるという、そういう事実は当然つくり上げていかなきゃならぬ、こういうふうに私ども考えております。
#172
○須藤五郎君 そうすると、これは予算を組んだ上からは、大体緊就が二十三日間くらいずっとあるわけですよね。これも二十三日あるとはさまっていないけれども、一年を通じて平均すると二十三日という数字が出てきておるわけです。少なくともこの二十三日くらいは働けると、働かすと、こういうことを政府は考えて予算を組んだと、こういうことですね。しかし、保障はいたしませんよと、こういうことですか。保障したらどうですか。それだけ予算を組んでちゃんとするのだったら保障して、もしも二十日しか働く日がなかったら、あとの三日間は政府のほうでちゃんとめんどう見てやるとか何とか。そういう保障のないということは失業者としては最も不安なことですよ。だから、この点は考えて、まだきまっていないのだったら、これも少なくも緊就並みにちゃんといくように何らか政府が責任をもってこれに対処するということ、保障するということをぼくは考えてもらいたいと思うのですが、どうなんですか、それに対しては。
#173
○説明員(上原誠之輔君) 先ほど申し上げますように、一般の失対事業あるいは緊就事業と同じような形での保障ということは、一応この事業の性格上からいきましても考えるわけにはいかないのでございます。ただ、事実上の措置といたしまして、私どもいろいろ一般の公共事業なりあるいは鉱害復旧事業なりにつきまして、それぞれ安定機関としては求人を受けております。そういういろんな情勢の中で、安定機関として失業者に対しましてできるだけ長い就労日数が確保できますように私どもとしては十分努力をしていく、こういうことは申し上げなければならぬと思います。
#174
○須藤五郎君 これも保障がない。しかしまあ努力をいたしたいと思いますと、こういうこと。これ以上追及してもどうも困るでしょうから、私はきょうはこれで追及はいたしませんが、それじゃこの失業者、これは失業保険はもらえるのですか、どうですか。
#175
○説明員(上原誠之輔君) 当然一般失業保険制度の対象になるわけでございます。一般失業保険かあるいは日雇い失業保険か、いずれかに加入するということになると思います。
#176
○須藤五郎君 この労働省からもらったものによりますと、緊就は事業単価が二千五百円、ことしふえて。そしてこれは三千六百円というふうに出ているのですね。事業単価は千円大きいのですよ。そうすると、当然私は労働省に払える賃金、それも緊就の千二、三百円というよりはこの事業に働く労働者の賃金はよくなければならぬと思うのですが、一体幾ら払うということになっているのですか。一日の賃金は幾らというふうになっているのですか。
#177
○説明員(上原誠之輔君) この開発就労事業に働く人たちに支給されます賃金につきましては、一般失対事業の場合におきましては労働大臣が賃金をきめまして、それぞれの職種に応じて賃金をきめるわけでございますけれども、この就労事業の場合は、先ほど申し上げますように、これは公共事業としての色彩が非常に強いという関係からいたしまして、公共事業と同じように請負施工でございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、この事業に就労する労働者に幾らの賃金を払うかということは、公共事業の例とほぼ同じというふうに御理解をいただきたいと思います。すなわち、その事業を請負った者が労働者との契約の関係においてきめていく、こういうことになるわけでございます。しからば、どういう基準で請負業者が考えればいいかということになるわけでございますが、私どもいまの考え方といたしましては、公共事業で支払われるべき賃金というものを一応の基準にして考えていってもらいたいということでやりたいと思っております。
#178
○須藤五郎君 そうすると、公共事業に払われている賃金はいま幾らですか。
#179
○説明員(上原誠之輔君) これは地域別にもあるいは職種別にもいろいろございます。したがいまして、幾らということをここで申し上げるわけにはいかないと思います。まず、それぞれの地域においてそれぞれの事業の内容に応じてきまるわけであります。
#180
○須藤五郎君 事業単価三千六百円というものがあるわけですよね。そうすると、その事業をやる事業主の考え方で賃金は幾らにでも増減されてしまう。そうすると、事業単価三千六百円請求しておいて、労働者に安い賃金しか払わぬということも起こってくるのじゃないんですか。やはり三千六百円の事業単価の中に占める労働者に払う賃金はどれだけかということは、労働省としてやはりつかんでいないとおかしいのじゃないのですか。それは緊就の単価二千五百円、その中に占める労働者の賃金は千三百円と大体きまっているのです、相場が。今度だから三千六百円の事業単価ならば、その中に占める労働者の賃金は幾らかということはあなた、あらかじめちゃんと出しておかなければおかしいじゃないですか。そんなもの事業主にまかしていいんですか。それじゃ不安で労働者もたまらぬですよ。とんでもないですよ。そこを明らかにしてください。できなければできないでいいですが。
#181
○説明員(上原誠之輔君) この三千六百円の中で、どのくらいの部分を賃金部分として考えておるかというお尋ねでございますけれども、そういう三千六百円の単価を算定いたしました場合には、そういう積算をして単価をきめたわけではないわけでございます。(「じゃなぜ三千六百円にきめた」と呼ぶ者あり)一つの例といたしまして、私どもといたしましては、従来の実績からいたしまして、緊急就労事業というのをやっております。これは一人当たり二千五百円という単価で、この事業よりもさらに高度な事業をやってもらおうということで、一人当たりの賃金単価を千百円程度ふやして、一人当たりの事業費の単価をきめた。この事業費の単価によりまして、具体的にはそれぞれの産炭地域におきまして、この事業を実施いたします産炭地域の事業主体におきまして、この一人当たりの単価の範囲内で事業を計画していく、こういうことになるわけでございます。その際に賃金をどの程度見るかということになりますと、先ほど申し上げましたように、公共事業でどの程度の賃金が支払われるかということをめどにして設計をいたしまして、入札をしていくということになるわけでございます。
#182
○須藤五郎君 緊就でね、単価が二千五百円ですよ。それで労働賃金が千二百円から千三百円です。この事業は緊就よりも高度なんです。高度な事業とこう言っているでしょう。高度の事業ならば、働く労働者の賃金だって緊就の払う千二、三百円よりも高度でなくちゃならないんです。それが理屈じゃないですか。ところが、その線すらもあなたは言わぬ。幾らかわからぬ。そんなことじゃ無責任ですよ。事業は緊就よりも高度ですから、三千六百円の単価は千百円ほど上げました。ところが、そこで働く労働者の賃金はわかりません、緊就より以下かもわからぬし、失対以下になるかもわからぬ。どんな状態が起こってくるか、そんなめどのない話というのはないですよ。そして予算だけ組んでおる。これはどういうことですか。おかしいじゃないですか。こんなことはあなたの省では通用するか知らぬけれども、労働者の社会へ行ったらこんなものは通用しないです。こんなばかな話はない。はっきりしなさい。
#183
○説明員(上原誠之輔君) 雇う者と雇われる者の間でどういう労働条件をきめるかということは、その労使の当時者の話し合いできまる問題であります。したがいまして、この開発就労事業を実施いたします場合にも、先ほど申し上げますように一般公共事業と同じように請負施工するのでございますから、具体的な賃金は請負業者とそれから就労者の間で約束してそこで賃金がきまる。したがいまして、その地域におきまして非常に労働者が少ない、事業をやりたいんだけれども労働者が少ないということになりますと、おのずから賃金は上がるということになりましょうし、いずれにしても労使の双方の話し合いできまるということで、これは労使の労働条件決定の大原則でございますから、そういう方向でやってもらいたい。ただ、やみくもに低い賃金を予算の工事の設計上の単価とするということも事業の実施の円滑さを欠くわけでございますから、設計の段階におきましては、やはり一般の公共事業で、この事業に対してどういう賃金が払われておるかということを参考にして設計上の単価をきめるわけでございます。請負に業者に落ちましたならば、その段階で賃金がきめられる、こういうことになっております。
#184
○須藤五郎君 私はね、この事業がどんな目的で計画されたかということは一番最後に申し上げますがね、委員長、ちょっとくどくなりますけれども、これは労働者にとっては重大なものですから、私もくどく質問するようですがね。金は政府から事業単価として三千六百円、緊就単価よりも千百円上積みをしてそれを払います、ところが、これは事業主のきめることですからきめません、そういうことではいかぬです。緊就は千二、三百円というのはさまっているんです、全国どこへ行っても。だから、せめて緊就以上にはいたしますと、なぜこんなこと言えないんですか。幾ら幾らという金額は言えなくても、緊就よりは上回るようにしますと、何でそのくらいのことが言えないんですか。それ言わなければ無責任ですよ。こんな予算認められませんよ。
#185
○委員長(阿具根登君) 質問の趣旨はわかっておられると思うんだけれども、われわれ聞いておってもおかしいんですよ。三千六百円のやつをきめたときはどういう積算できまったか、出てくるはずなんですから、だからもう少し率直に答弁してください。
#186
○説明員(上原誠之輔君) いま緊就の例が出ましたので、緊就の賃金のきめ方につきまして御説明を申し上げますと、緊就につきましても、これは労働省で賃金を幾らというふうにきめたものではないわけであります。緊就をやりますそれぞれの事業主体できめまして、設計上の単価としては公共事業の単価を参考にしながらきめる、そして請負業者が労働者を雇います場合に具体的に賃金をきめる、こういうことになっておるのでございまして、それと同じやり方をこの開発就労事業の場合におきましてもとっていこう、こういうふうに考えておるわけであります。緊就事業の場合にも、いま私が申し上げたことと同じようなことでございます。誤解のないようにお願いいたします。
#187
○須藤五郎君 それじゃ三千六百円の事業単価を取って、事業主が労働者には五、六百円しか払わぬ、七、八百円しか払わなくても、労働省はだまって見ているんですか。それはやむを得ないんだと、それは事業主がきめることだから労働省は関係ないよと。それで事業単価三千六百円払って平気な顔しているんですか、労働省は。それで労働省と言えるんですか。どうなんですか、これは。
#188
○大矢正君 関連。考え方の上に間違いがあるんじゃないかと思うので、この際念のため申し上げておきますが、開発就労であろうと緊急就労であろうと、そういうものが予算の上で編成をされたというその原則は、炭鉱で多量に失業者が出、しかも停滞をしているという現実に基づいてそれを解消するためにやるのであって、事業をするためにこういうものができたんじゃないですよ。もし事業をするためにできたんなら、石炭特別会計なんかから出すのはおかしいんだ。その原則をはき違えてはいけない。はっきりしなさい。
#189
○説明員(上原誠之輔君) この開発就労事業の性格でございますが、これはいま大矢委員からお話がございましたように、一方におきましてはやはり産炭地域において失業者が多数出てくる、そのための雇用安定の対策である、これは当然でございます。それからもう一つの考え方といたしまして、単に失業対策だけでなくて、この事業をやることによって産炭地域として石炭産業にかわる産業が起きてくる、こういうことに対して役立つような事業をやる、こういう面から着目いたしますならば、非常に公共事業的な色彩が強いわけでございます。この両者をいかにして調整して事業をうまくやっていくかということでございますが、労働省がこれを所管いたします以上は、やはり就労事業としての面については遺憾のないように十分考えていく、これは当然でございます。その点ははっきり申し上げておきます。
#190
○須藤五郎君 私は、こういう答弁をする人とこの問題議論しても、大矢さんも言うとおり、ものの見方が違うんですね。私たちは労働者の立場に立って、失業者をどういうふうに守っていくかという立場で質問している。ところが、労働省のいまの答弁聞いていると、就労日数もきまってない、賃金もきまってない、そうでしょう。賃金もきまってない、就労日数もきまってない、保障もない、何にもないんです。ただ国から予算を組んで二十五億、それに地方の財政から十二億取って、三十七億ぐらいの予算を組んで、それで根拠のない三千六百円という数を出してきて、しかも就労日数もわからぬ、賃金もわからぬというような、こんなばかなことをやろうというんです。これは労働者の立場に立ったものの考え方と違いますよ。もっとほかにあるんです、あなた方の考えは。あとで言いますよ。
 それじゃ地方自治体の方見えていますね。私ちょっと地方自治体の方に聞きたいんですが、今度の就労事業の補助金の三分の二、二十五億二千三百万円は特別会計から出すと、あとの三分の一、約十二億円は地方自治体から負担する。一体この十二億円は県が負担するのですか。市町村が負担するのですか。
#191
○説明員(首藤堯君) ただいま御指摘のように開発就労事業二十五億円余の支出に対しまして、国庫補助金に対しましては地方負担が約十二億六千万円くらいになろうかと思います。このそれぞれの負担は、当該事業を府県営の事業でやりますか、市町村営の事業でやりますか、それによってその残りの負担が県が負担したり、市町村が負担したりすることに相なっております。
#192
○須藤五郎君 閉山すれば地方財政も地方自治体も困るのですよ。こんな金を負担する能力がない。実際に出せと言ってもどうして出すのですか、この十二億を。
#193
○説明員(首藤堯君) 御指摘のように産炭地の地方自治体は非常に財政的に窮乏しておりますので、この事業を的確に実施させるには所要の財源措置を的確にする必要があると思っております。したがいまして、地方負担に対しましては、これが県がやります場合におきましても、市町村がやります場合におきましても地方債、特別交付税、こういったもので確実に措置をしてまいりたい、こう思っております。
#194
○須藤五郎君 聞くところによると、それに対する利子ですね、十二億の三分の二ですか、何かに対する利子は国が負担する、こういうことを聞いておりますが、十二億に対する全額利子は国が負担するのですか。そこはどういうことになっているか。
 それからもう一つついでに聞いておきますが、利子は国が負担してくれるとすれば、利子を払わないでもいいということになっても、元の起債は借金ですから返さなければならない。閉山をした地方自治体がこういう金を払うことはできないのですよ。元金まで。利子は国が補給する、補助してくれる、それはいいのですよ。元金はどうやって払うのですか。払える道理がないじゃないですか。
#195
○説明員(首藤堯君) ただいま御指摘のございました利子のことでございますが、たぶん現在緊就の場合におきましては、都道府県では大体八〇%の起債と二〇%の特別交付税、市町村の場合は地方負担の六〇%の起債と四〇%の特別交付税ということで一応財政措置をしておりますが、その後の当該地方債の元利償還につきまして、地方交付税の措置でその二割八分五厘になっておりますが、こういうものを交付税の算定の基礎に入れて財政援助をする、こういうしかたがとられておるわけであります。ただいま御指摘のあとの地方債の償還分についてどうなっているかといいますと、御指摘のように非常に苦しい団体で払えない団体も出てまいりましょうし、それから中では、たとえば県なんかのように全般の財政状況と比べてどの程度のところまではやり得るかという問題が起こると思いますので、そのような各団体の財政状況、それをよく勘案しながら今後適正な措置をとっていきたい、こう考えております。
#196
○須藤五郎君 そうすると、あなたのいままでの答弁で、ぼくはすっきりした答弁に聞こえないのだが、私は地方は、閉山地の地方自治体はとても利子も払えない、元金も払えない、それを一体国はどう考えておるのか。払えない場合には一体どうするのか。利子も払えない、元金も払えないという状態が必ず起こる、そのときに一体どうするつもりですか。
#197
○説明員(首藤堯君) 産炭地の地方団体が財政が、非常に苦しいことは御指摘のとおりでありまして、そういう場合には全部のこれは財政全般の問題でございますから、当該団体の財政の状況をよく勘案をいたしまして、たとえば特別交付税でことしでございましたか、全部で三十九億でございましたか、こういうような措置をしておるわけであります。そのように各団体の財政の実態、これをそれぞれ見させていただきまして、償還金の措置を考えてまいりたいと思います。
#198
○須藤五郎君 特別交付税の増額によってこれをちゃんと処理できるようにする、こういうことに理解していいのですか。
#199
○説明員(首藤堯君) 当該団体の財政の状況に応じまして、ただいま御指摘のとおり善処いたしたいと存じます。
#200
○須藤五郎君 交付税というのはこういうふうに使うべきものじゃ私はないと思うのですが、交付税というのはもっと使う道があると思うのですが、こういうことに交付税は使うべき性質のものじゃないと思います。
 それじゃこの開発事業はいつまで続ける予定ですか。
#201
○説明員(上原誠之輔君) これはもちろん今後の失業情勢、産炭地域における失業情勢のいかんによるわけでございます。もちろん石炭対策の進行の度合いにもよるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、この事業は単なる就労事業ではなくて、やはりその地域に新しい産業を興していく、こういうことで考えているわけでございまして、この就労事業の実施によりまして新たな産炭地域の開発ができまして、そこへ雇用の吸収がなされていくということを期待しているわけでございます。そういう意味で長期雇用を続けていくという考え方はとっておらないのでございます。
#202
○大矢正君 あなたのいまの発言をだまって聞くわけにいかない。私は発想の根底というのは、炭鉱離職者というものに対して、いかにして就職の機会を与えるか、また生活の道を求めさせるかということで、生活保護ではない、そういう方向へ労働力というものを有効に利用するその一つの方策としてこれが生まれてきているのであって、開発するためにこれができたのじゃないですよ。もしあなたが開発のためにこれができたというなら、九州だけでやるのはおかしいじゃないか。北海道は一体どうするのですか。常磐を一体どうするのですか。だから発想の原則というのは、離職者が一時的に停滞をする、停留をしている、流動性がない。したがって至急そこに何らかの措置をしなければならぬというのが発想の基盤です。ですから、たまたま人を働かせるには何をやったらいいかということについて、それじゃ開発だということになった。あなたの議論からいうと、開発するためにこういうことをやった、それなら二十六億は公共事業費から出すべきで、公共事業費からこんなわずかなものをなぜ出さなかったか。
#203
○須藤五郎君 開発に安い賃金の労働者をひねくり出すという考え方しかないのか。
#204
○説明員(上原誠之輔君) この開発就労事業の趣旨につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、もちろん産炭地域におきまして、特に失業者が停滞している地域におきまして、今後の石炭政策の実施に伴いまして、雇用情勢上非常に大きな影響があるということで、特に雇用安定の方策を考える必要があるということで、この就労事業を考えたのでございます。したがいまして、当然この就労事業といたしましては、雇用安定対策としての色彩を非常に強く持たなければいかぬということは御存じのとおりでございます。ただ、やみくもに事業をやってもこれは意味がないので、特に産炭地域開発、産炭地振興という面もこれは石炭対策上きわめて重要なことでございますから、この事業を実施する上におきましても、産炭地域の振興にも役立つような事業をやるということを基本に考えているのでございまして、産炭地域の振興ということが直接の原因、目的ではない。あくまでもやはり就労事業ということを目的にして、しかもこれが産炭地域の振興開発に役立つように運営をしたいということで事業の発想をいたしたのであります。
#205
○須藤五郎君 それじゃもう二間ほど質問しますが、それじゃこれからだんだんと閉山がふえればだんだん関連失業者もふえてくるのですけれども、四十八年になったらどのくらい関連失業者が出るかということと、それから四十八年で関連失業者がなくなってしまうのじゃない、これはずっと続くのですね、関連失業者という状態は。そうでしょう。それじゃ四十八年に大体関連失業者がどれだけ出て、関連開発就労事業にどれぐらい吸収する考えなのか、そうしてそれはどれだけでも年限を限定しないでずっとこの事業を続けていくのか、この点一ぺん答えてください。もうあと質問がありません。
#206
○説明員(上原誠之輔君) この開発就労事業をどの程度の期間続けていくかということが最初の御質問だと思うわけでございますが、もちろんこの点に関しましては、失業者の停滞しております産炭地域における今後の石炭産業の状態にもよります。また、その地域における産炭地振興の成果にもよるわけでございます。で、私どもといたしましては、この事業を実施することによりまして、その地域における失業者の雇用安定をはかると同時に、この事業の実施によりまして、産炭地域の振興ができるだけ早くできるように、この事業の運営をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。で、産炭地域の振興ができまして、だんだん地域が産業的にも振興してくるということになりますれば、この事業に就労しております失業者もその方面に就労が可能になってくるという面があるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、そういう効果を期待しながら、この事業の今後の時期をどこまで考えていくということを慎重に考えていきたいと、こういうふうに考えております。
#207
○須藤五郎君 きょうは産炭地域振興課長の眞野さん見えてるけれども、いまあなた振興の問題を出されたけれども、この問題についてはまたあらためて質問することにして、きょうは眞野さんに対しては質問いたしませんが、それじゃ、さっきから聞いてると、一般失対とこれとの関連は一体どうなるのか、どこが違って、どうして一般失対の中にこれが持ち込めないのか、何でこういうものを特別につくらなきゃならぬのか、その点をちょっと説明してください。
#208
○説明員(上原誠之輔君) 一般失対とそれから緊就事業と、この二つの事業が現在産炭地域におきましては行なわれておるのでございます。したがいまして、今度新たにこの開発就労事業をやる場合に、その事業との関連はどうだということが問題になるわけであります。私どもといたしましては、この開発就労事業は先ほどから申し上げますように、一つの雇用安定対策でございます。したがいまして、失業対策事業は失業対策事業としての特別の体系を持ち、それから緊就事業は緊就事業としての一つの体系を持ち、それからこの開発就労事業としては開発就労事業としての一つの体系を持った事業である、こういうふうにしたいと考えております。したがいまして、一般失業に働いております者は、一般失対事業において生活安定のための事業を運営していくということで、一般失対に就労している者はこの産炭地の開発就労事業に就労するということはいたさないつもりでございます。緊就につきましても同様でございます。
#209
○須藤五郎君 この一般失対とこれと比較して、少しも一般失対よりよくないのですよ、条件が。一般失対は二十二日も保障されておりますよ。盆暮れにはボーナスも一月分でも入りますよ。平均すれば月に二万四千百円の収入があるのですよ。ところが、これには二万四千円の保障すらない。そうして一般失対だったら年をとっても働けるのですよ。七十歳の失対でもおるのですよ。そこでちゃんと生活が保障されているのですよ。ところが、開発就労に入ったら、高度の機械は使えない、七十歳になったら働けなくなってしまう。そうしてそういう保障もない。賃金の保障もない。労働日数の保障も何もない。だからこの人たちは一般失対に入るほうが保障があっていいのですよ。ところが、政府は一般失対をつぶそうという考えがあるのですよ。だから一般失対から人を減らすことを考えている。一般失対に人が入ってくるのがいやなんです。これをほおっておくと一般失対に入れなければならぬから、だからこういうものをつくって一般失対をなくしていこう、これが政府の考えじゃないですか。特に自民党の先生には、はなはだお気の毒ですけれども、福岡県の亀井知事はこう言っているのですよ。要するに三十七億八千万円、五カ年継続で二百億円、これを注入するという産炭地開発就労事業を政府折衝で勝ち取ったと、いま福岡県では宣伝しているのですよ。選挙目当ての宣伝をやっているのですよ。これはおかしいじゃないですか。まだ国会で審議中ですよ。これはまだ審議も済んでいないのですよ。それを亀井知事が自分の力で政府折衝で二百億の金を福岡県に持ってきたと言って、そうして選挙対策としてぶち歩いている。これは不謹慎じゃないですか。政務次官どう考えますか。こんなことを言っているのですがね。まだ国会で審議中の問題ですよ。しかも、いまのような私が小さく細部にわたって聞いていくと、何にもきまっていない。この予算を出すことすらもおかしいのです、私たちの立場から言ったら。それを自分の手柄のごとく吹聴するなんてもってのほかじゃないですか。これは最後に政務次官ひとつ意見を出してください。
#210
○政府委員(小山省二君) 亀井知事がどのような声明をされたか私知りませんが、よく現地の知事等に承わりまして、軽々にそうした問題について発言をしないよう、もしそういう事実がありますれば、よく話し合いをいたしたいというふうに考えております。
#211
○委員長(阿具根登君) 本件についての調査は本日はこの程度にとどめ、これで散会いたします。
   午後五時三十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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