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#1
第061回国会 石炭対策特別委員会 第6号
昭和四十四年三月二十四日(月曜日)
   午後一時十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿具根 登君
    理 事
                鬼丸 勝之君
                川上 為治君
                小野  明君
                藤原 房雄君
    委 員
                剱木 亨弘君
                徳永 正利君
                西田 信一君
                二木 謙吾君
                吉武 恵市君
                小林  武君
                小柳  勇君
                原田  立君
                須藤 五郎君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省鉱山
       石炭局長     中川理一郎君
       通商産業省鉱山
       保安局長     橋本 徳男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       通商産業省産炭
       地域振興課長   真野  温君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の石炭対策樹立に関する調査
 (当面の石炭対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○小林武君 最初にその後閉山がどういうふうに進んでいるのか、それとも思うような調子である程度の節度が保たれておるのか、その点について。
#4
○政府委員(中川理一郎君) 最近における閉山の動向について申し上げます。
 若干時点をさかのぼらしていただきますが、昭和四十二年度におきましては約四百二十四万トン、炭鉱数にして四十炭鉱、昭和四十三年度、本年度でございますが、これにおきましては約二百九十七万トン、炭鉱数にして二十三炭鉱という見込みでございます。一番近い時点におきます今回の新しい石炭対策に伴いまして、単価引き上げを予定しております一般閉山交付金の交付、この交付を期待しまして閉山の申請をしておりますものが、現時点で約五十七万トン、炭鉱数にして七炭鉱と相なっておりますが、いろいろ言われておりますのは、このほかに明治鉱業、杵島炭鉱、この大手に所属する会社から企業ぐるみで閉山したいとの申し出が出ておるのでございます。これがもし全体をやめると仮定いたしますと、明治鉱業の場合は必ずしも全体をやめるかどうか、まださだかでないのでありますが、明治鉱業の場合で百二十八万三千トン、杵島炭鉱の場合で三十万トン、両方合わせて約百六十万トンでございますので、先ほどの中小炭鉱の五十七万トン、この中には一部古河の目尾がございますけれども、これを込めまして二百二十万トン弱というのが現在態度を明らかにしてきておるものの数字でございます。
#5
○小林武君 ちょっと先ほど申し上げたんですけれども、私は四十二年度とか何とかというのはいいのです。今度の答申があった以後、一つの方策が出たわけですが、そういうあとにこの石炭の新政策が出てから出ている閉山について、通産省はどういうふうにお考えになっておりますか。
#6
○政府委員(中川理一郎君) ただいまお答えいたしましたように、約二百二十万トン弱のものが閉山を考えておるということでございますけれども、今後どれくらいのものが出てくるかということの想定は必ずしも明らかではございません。現在の石炭鉱業を取り巻く状況は、きわめてきびしいものがございますので、今回の助成策のワク内で合理化努力を行ないましても再建がきわめてむずかしいと判断される企業があるわけでございまして、それらのものは、いま申し上げました約二百二十万トン弱という形で閉山の態度決定をいたしてきておるわけでございます。今後といえども若干のものは出てこよう。私ども予算的に用意しておりますのは、前々からお答えいたしておりますように、約三百八十万トンというもので予算的な用意はいたしておる次第でございます。これらのものはいま申しましたように、政策の基調を、政府としてやり得る助成の限界をぎりぎり出して、この中で判断をしていただくということの結果、その方向に決心をいたしてきたものでございますが、先ほどのお尋ねとは若干かかわりはなかったのかもしれませんが、四十二年度、四十三年度でも申しましたように、四百万トンないし三百万トンという閉山は進んできておったのでございまして、今後私どもはできるだけこれを少なくしたいということで助成策をお願いしておるわけでございます。この中でもある一部のものはやむを得ないものがあるというふうに判断をいたしておるわけでございます。
#7
○小林武君 まあ答弁の趣旨は、大体私の受け取ったところでは、石炭新政策というもののすべり出しといいますか、出だしという点から見れば、あまり悲観的な材料はないというような意味のものであったと思うわけです。
 そこで、政務次官にお尋ねいたしますが、政務次官にお尋ねする場合非常に便利だと思うのは、政務次官は北海道は御存じのわけですから、私どもがやはりこの石炭新政策というようなものを考えた場合に、この新政策というようなものは二度三度手直しをやるべき性格のものではないと考えて、説明を受けてきたし、われわれもそういうことであるだけに、この問題についてはやはり真剣に取り組まなければならぬと考えたわけです。これは単にわれわれが国会の中で考えたとか何とかという問題ではなくて、いわばもう現地に行けば、労働者からもう町ぐるみ、すべてのものがこの成り行きやどうなるだろうということの非常な関心の中にあるわけですから、そういうことから考えると、若干いまの局長の説明については、われわれが入手をしたり、あるいは山の仲間から聞いたりすることとは、あるいは地方自治体の長の不安感というようなものとはズレがある、こう考えるのですが、どうでしょうか、その点について。
#8
○政府委員(植木光教君) ただいま二百二十万トン弱のものについて、一般閉山交付金の交付申請についての下話があると申し上げましたが、この中には北海道は入っておりませんで、北海道の炭鉱につきましては、現在のところ申請が行なわれていないのでございます。なお、明治が企業ぐるみという問題がございますので、その中には入ってくるわけでございます。
 いま小林委員からお話しございましたように、産炭地域どこもそうでありますが、筑豊あるいはお話しの北海道について、この新政策に伴う一種の危機感というものがあった、そうしてまた現在も不安があるということは事実でございますけれども、しかし、思ったよりも北海道につきましては急速に危機が訪れるとは考えられないというような状況であると思います。
#9
○小林武君 局長にお尋ねいたしますが、雄別の山というのは、これは大手だと思いますが、雄別はどうですか。
#10
○政府委員(中川理一郎君) 一般的な私どもの方針といたしましては、現在操業をいたしております会社につきまして、個別名をあげてその見込みいかんというようなことを申し上げることは、将来のその会社の存続につきまして非常な大きな影響を与えることになりますので、一般的には避けたいのでございますけれども、小林委員のお話しでございますので申し上げますならば、大手の中では、いま企業ぐるみの閉山の取りざたされている会社を除きました大手として、資金繰りその他で一番苦しい状況にあるというふうに御理解いただいてもよろしいかと思います。
#11
○小林武君 まあその雄別の炭鉱労働組合は閉山阻止運動というのを起こしているわけです。これは山も閉山にならぬのにそんなことを大騒ぎするというはずはない。これはやはり労働者というものは、むしろ中央の東京にいるよりかもっと敏感にそれを受けとめますからね。私はそのことについて、いささか現地の山とか、現地のいわゆる産炭地域というようなところの人たちよりも、非常な何かこの問題に対する意識のズレがあるように思うのですよ。これが単にズレだけでおさまるのかどうかというこういう不安感を私は持っているから、いまのような質問をしているわけなんですが、山の人間の目の色が変わっている、働いている者の。これはやはりぼくたちもそうなるだろうというような、ただ神経的にいらだたっているのでは私はないと思う。だから、これに対する政務次官の考え方にも、局長の考え方にもいささかやはり調子が少し甘過ぎやせぬか。当時よく言われたところのなだれ的な閉山というようなものがないのかどうかということ、そういう計算がもうたくさん特別交付金の問題を中心にして、閉山を企業ぐるみやった場合にはどうなるのだということで、石炭再建計画というようなものが流されるのではないかというぼくは感じがするのですけれどもね。こういう点はいまのところ全く心配ないのかどうかですね、現地では非常な深刻な問題として受け取っているものですから、お尋ねをしたい。
#12
○政府委員(中川理一郎君) これは通産省あるいは審議会等の考え方と、現地にいらっしゃる方々の考え方との基本的な私は開きではないかと思いますが、審議会なり通産省なりが今回新しい石炭対策を考えましたのは、現行政策のままでは非常に大きな石炭鉱業の崩壊とも言うべきなだれ現象が起こるということを意識いたしまして、これを新しい政策によって、そうではなくて、石炭鉱業が再建できるような形の施策を講じたい。ただしかし、それは前々からお答えいたしておりますように、昭和四十八年度で三千六百万トン前後ということを試算の前提にしておりますように、現状の出炭規模をそのまま維持しようという気持ちではない。再建を託するに値するものが今回の措置によりまして安定的な経営継続をできるように講じたい、こういうことで立案審議されたものでございます。地元の方々は、これは無理からぬことでございますが、一山といえども閉山することは困る、現状ベースで石炭の操業を継続したいというお気持ちがあるわけでございます。そこで審議会なり政府なりがなだれ的なということを申しましたのは、ほうっておけば非常に大きな事態になる。これを全体として石炭鉱業そのものが崩壊するようなことは食いとめたいという事柄が一つと、もう一つは四十八年度時点において三千六百万トン前後というふうに想定をいたしておりますが、一年度や二年度で一挙にそこまでいくというようなことでは、これまた与える社会的混乱その他というものは非常に大きい。そういうことについては、なるべく計画年度内に平均して減少するというぐらいのことが望ましい、その程度の措置は講ずべきではないか、こういう判断に出たわけでございまして、現行の石炭の出炭規模をそのまま維持したいという気持ちからお考えになりますというと、いま出ているような二百二十万トン余というような閉山というものは大きいではないか、これはなだれ閉山を食いとめると言いながら、なだれになっているのではないか、こういうお気持ちにもなられるのだと思います。しかしながら、審議会なり通産省なりが考えましたことは、全体としての石炭鉱業を壊滅させることを新しい政策によって阻止をいたしたい、こういうことでございまして、山の性格、企業の経理状況その他から見ましてやむを得ないものは、なだらかさの配慮はいたしますけれども、やむを得ないという判断を根底に持っておりますところと大きく違うのではないかと思うわけでございます。
#13
○小林武君 まあ何といいますか、やむを得ないというようなこと、やむを得ないものというようなことはこれはほんとうにやむを得ないのだと思う。しかし私はあなたのいま言うようなこととは若干受け取り方が違うわけなんですが、やむを得ないようなものが静かに後退していくというようなことは、これはやはり石炭産業の現状からしかたがないが、しかしながら石炭産業そのものがいわゆる総くずれ的になるというようなことについては、やはり私は非常に危機を感じている。そのことについてあなたのほう、これは政務次官にお尋ねするんだが、どうお考えになっているかということなんです。ぼくは非常にびっくりしたのは、実は札幌に石炭対策特別委員会の視察で行った。そのとき中小の炭鉱の団体と、それから大手の団体とを別々に来てもらっていろいろ意見を聞いた。その際に大手の炭鉱というのはもう口を緘して語らず、いかなる誘いをかけてもものを言わぬ、それでぼくらも業を煮やして、少し言いなさいと言ったけれども、これは全然言わぬのです。ところが、中小のほうはこれはもう活発な議論を出した。それにも出ていたけれども、その後のいろいろな新政策についての中小側の意向というのが、しょせんこれはとにかく大企業目当ての政策であるという――これはひがみであるのか、事実であるのかはわからぬけれども、私は判断するのに、そうあなたとここで論争するほどのあれも持ってないけれども、われわれに訴える限りにおいては、これはもうその点は明らかです。一体新政策というようなものは、中小はつぶしていって大手を残すということであれば別として、少なくともいままで述べられたようないろいろな問題を考えた場合、そうでもないと思うんです。それじゃ一体こういう受け取り方をされているということについて、この新政策に対する、あなたたちはそうじゃないと、それは一つのやはり中小のひがみであると、政策そのものは決してそうじゃないというような安心感を与えるような答弁があったらぼくはしてもらいたいと思うんです。これはまあぼくは企業の中にもいろいろなかけ引きもありますし、いろいろあるだろうと思いますけれども、みんながみんなそうでもない。こういう点から政務次官、これは北海道の炭鉱の中小の企業の人たちの活発な論議の中からも聞いているし、あるいはその後新聞等に意見を発表しているものについても、しょせんおれたちの新政策ではないということを言っておる。それに対してそうじゃないというようなことがあったら、あなた聞かしていただきたい。そうして中小炭鉱がおこっているというこの事実、これをどう見ているか。
#14
○政府委員(植木光教君) 石炭新政策は御存じのとおり、政府としては財源の許す限度一ぱいの助成措置を講ずることにしているわけでございまして、こういう政府の施策、助成を生かして、真に再建安定を達成してほしいというのがまず第一番の新政策の目的でございます。したがって、政府の施策と呼応して、石炭政策のにない手である石炭鉱業自体がやはり合理化メリットの追求に努力をしていただきたい。このことは私どものほうにも、たとえば北海道の場合でありますと、知事あるいは道議会の代表者、あるいは中小炭鉱の代表者、あるいは労働者の代表者というような方々がお見えになりますときに、常にそのことを強く申し上げているのでございます。したがって、いまの施策の様子では大手だけのための施策ではないか、中小炭鉱に対する施策は不十分ではないか、そういうものではだめじゃないかという御意見でありますけれども、われわれとしては大手と中小を分けた考え方はしておりませんで、むしろ中小の方々に、これだけの助成措置をきめこまかく、国会で成立しました暁には助力をしてやるから、合理化メリットの追求のために努力をしてほしい、このワク内で合理化努力を行なっても再建がどうしてもむずかしいというものについては、これはまあ閉山をするためのまた手厚い施策を講じようとしている、これはいずれにしても、当面企業自体も御努力をいただきたいということを強く申し上げている状況なんでございます。
#15
○小林武君 まあ私が聞いていることとはちょっとあれなんだけれども、石炭局長、やはりぼくに言わしてもらえば、それは中小がそういう感じを持つということについて、一体当事者はどういう説明をしたかということだと思うのですね。ぼくは石炭関係者でも通産省関係でも、地元に近いところへいくと、あれは大体山と同じような考え方になっている、企業に非常に近い考え方に。通産省にくるというと、ずっとその考え方は遠くなっていく。私はこの現象はやはり札幌の石炭のときも感じましたよ。これはそういう言い方を決して関係者が言っているのでない、言っているのではないが、私はしさいにそれをこう聞いているというと、やはり現場に即したこれは当然のことだと思う。毎日山を見て、触れているところの現場にすれば、それは当然だ。その人たちの心の中にもぼくは手直しというものがもうこのところすぐ必要だということを感じているのじゃないかとぼくは思うのですが、一部そういう話が流布されておるのです、北海道では。地元のいわゆる政府側の関係の機関も、もうそうなるだろうというようなあれを持っておる。そういうことがどうも徹底を欠いているのはどういうことだろうかということを非常に私は疑問を持ちます。そこまでつかめないということの原因はこれは一体どこにあるのか、技術的にそういうことは困難なのかどうか、政務次官の話だというと、できるだけのことをやっている、これはとにかく承知してくれないのがどうも理解が足りないのだというような言い方だけれども、ぼくはそれはいまや生き死にの問題になっている石炭の企業にしろ労働者にしろ、それをぼくは言うのは酷だと思う。どこに欠陥があって、あるいはそういう危機もあるかもしれないぐらいのことは、あなたたちの口からぼくは聞きたいと思うのだが、それはもうやめますよ。やっておったら時間がたってしょうがないからまあやめましょう。また機会があるでしょうから、ひとつそのときにやることにしますが、しかしこれは根本問題だということを考えてください。私はここで、ひとつ言うと、私企業というものでやるとすれば、いまのように企業全体がとにかく昔のままの企業別の状況が存置されておって、そしてその中で石炭新政策というものは、意図したものがフルに実現できるだけの一体余地があるのかどうかということですよ。私の党ならばいわゆる国有化というものを出す。しかし、一部の中にはとにかく三社案という話も出た。地方自治体の石炭に最も知識のあるような市長さんあたりも、それはとにかくいままでどおりのあれではだめだ。ほんとうに石炭の山を経営の面から少しでも合理化しようというならば、鉱区の問題もあればいろんな問題がある。再編成の問題もある。たとえばわが市の周辺にある山、これをひとつの会社にした場合においてはこれは成り立っていくはずだ、ある程度。そういうことを、これは古くから知っておる人だから非常に詳細な話を私を前にしてくれた。そういう問題、現地であるのに何か大きな問題を置き忘れている、経営の体制というようなものが何か置き忘れられていっているのじゃないかというような気がするのだけれども、この点については一体どうなんですか。政務次官、あなたはそれを置き去りにしていって、その新政策というものが大丈夫安心していなさい、われわれに大体賛成すれば、もう心配を与えないというようなことを言えるかどうか、ひとつ返答してもらいたい。
#16
○政府委員(植木光教君) 御承知の閣議の決定に基づきまして、石炭鉱業審議会の中に合理化体制部会を設置しまして、個々の実情に即した体制整備のための具体的対策について審議を進めていただくことになっているわけでございますが、いまお話のありました鉱区の調整につきましては、今度の新しい政策で行なおうとしておるわけでございます。これも現地のそれぞれの実情に即さなければいけないわけでございますが、したがって、どの地点はどうするのだということはまだ申し上げられない段階でありますが、鉱区の調整はぜひやっていきたいというふうに思います。
#17
○小林武君 その合理化体制部会というのはどの程度の活動を今しているわけですか、具体的に。
#18
○政府委員(中川理一郎君) いま政務次官からお答えになりました合理化体制部会というのは、これから石炭鉱業審議会の中に設置いたそうということで、所掌する事項、人選等をいま鋭意進めておる、こういうことでございます。
#19
○小林武君 人選を進めておる程度でそれでいいですかね。ぼくはそういうものがもっとすみやかに体制を整えて、そうしてともすれば中だるみ現象に転じようとするものをどう阻止するか、それから非常に困難性を感じておる、新政策について非常に困難だと思うような一つの強迫観念を持っている企業や、あるいは地方自治体、あるいは労働者に対して安心感を与える意味から、ぼくは速度というものを相当要求されると思うのですが、速度はどうですか。そこでそういうものが具体化された場合に、企業というものに対する拘束性というものは、相当これは再々植村さんの案の中にも企業の努力とか何とかいうことの中にあるのですけれども、一体企業の中にそれを受け入れるだけの努力といいますか、真剣な考え方があるのかどうかというこの点ですよね。これについての見通しはどうですか。
#20
○政府委員(中川理一郎君) 法律的に申しますと、今回御審議をお願いしております石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正によりまして、これらの合理化体制部会等の結論で通産大臣が適当と認めたものは実施を勧告するというような規定を置きまして、実効を確保していきたいと考えておりますけれども、法律的に申しますと、勧告でございますから、おっしゃるように強制力は持っておりません。
 それから企業側がこういう問題に対しまして、まじめにこの勧告を受け入れるという形での取り組み方の姿勢を石炭局長はどう見ておるかという御質問だと思いますが、これは率直に申しまして、事柄が事柄でありますだけに、やってみなければわからないというのが本音でございますけれども、問題は、実は先生とくとこれは御承知のことだと思いますけれども、国有であれば別でございますけれども、企業原則の上に立っての統廃合というようなことでございますならば、これは当然に統合なら統合をとりましても、それぞれ統合前の会社が持っておる問題というものがあるわけでございます。財務状況もばらばらでございますし、まあからだの大きさが違うのはもとよりでございますけれども、かりに大きさを何らかのもので平均的なものに考えたといたしましても、十の負債を持っておるものと二十の負債を持っているもの、こういったものの違いはあるわけでございまして、平たく申しますと、何らそういうことを考えなくても、今度の政策の中に生きていける会社と、若干いまの政策のままで会社経営を進めていくことに危惧の念と申しますか、心配のある会社というのがございます。前者のほうから申しますと、統合というものはいわば足手まといを引き受けることに相なります。これらのことを考えますと、なかなかそこは生きている企業でございますので、そう簡単にいけるものとは思いませんが、逆にメリットとして考えますというと、数社あるものが一つになれば、管理部門の経費はそれだけ節減できるということがごく平たく言ってもすぐ出てくるわけでございますし、御承知のような鉱区調整その他は十分できるわけでございますけれども、生きている企業体という面から考えますと、そういうことに対してそれぞれの関係者、平たく申せば株主であるとか、債権者である銀行であるとかいうものがどんなふうに考えるかという問題もございまして、私はなかなかそう簡単な問題であるとは思っておりません。しかしながら、そうすることが石炭鉱業全体として考えたときの再建の方向に必要なものであるということであれば、積極的な姿勢でこれに取り組んでいかなければいかぬのではないか。ただしかし、極端に足手まといであるというものは、残念ながらいまの審議会なり政府の考え方自身も、現状ベースをそのまま維持できるものとは考えておりませんし、それだけのものを維持するに必要な財政負担というものができないという前提で、可能な財源の中での最高限の施策を考えている。こういう状況から見ますと、私はやはりそこに統合を考える前の、やはり進退の選別というものが一つあって、その次に統合その他の問題をどの程度まで積極的に取り組むか、それには全体としてやはりそうすることが石炭鉱業の将来にとって必要であるという長期的な意義づけのあるものでなければならぬのではなかろうか。いたずらに限界的な企業なり炭鉱なりを温存させるための統合であるとか合併であるとかいうことでは、私はやはり受け入れの相手方に支障が起きて無理が生ずる、こういう感じがいたします。しかし若干のマイナスがありましても、その山を残すことが、たとえば混炭の相手先として必要な銘柄の炭であるとか、地域的な需給の上で意味があるとか、この立て坑を使うという以上、総合的に考えればある鉱区を採掘していくのが意味がある、そういう意味でのいろいろな積極性もあり得るわけでございますが、これとのかね合いの問題が、そういう意味で長期的、積極的に意味のあるものについては、十分積極的にこの勧告規定を活用していきたい。それらは、かなり判断によって異なるところでございますので、合理化体制部会を考えておりますのは、労使双方が入った体制での十分な企業の吟味を経た上でこの仕事に取り組みたい、こういうつもりでございます。
#21
○小林武君 まあいまの話を聞いているというと、大体新政策というものに対する通産省の考え方というのは、ほんとうはやはりその政策の遂行の将来について、不安感が非常に濃過ぎると私は思います。それでいまあなたのおっしゃった第二段の点は、もうそういうものはある程度ひ弱なものはとって、その後でなければ――というのは、これは手直しするということの予定をあなたおっしゃっているわけですか。通産省自体も新政策の発足というものがある時点に達したときに、さらに手直しを必要とする、そのときにこそいわゆる企業の合併と言いますか、合同というようなものが緒につくというふうにもぼくは理解されるように聞いておったんですが、そういうことですか、どうですか。
#22
○政府委員(中川理一郎君) ただいま問題になっているような終閉山対象を何らかの統合その他の措置によって継続することができないかという観点で考えます限りにおきましては、これは相手先その他の考えからみましても、また当該会社なり炭鉱なりの実態からみましても、私は無理であろうという感じを申し上げたわけでございます。何せこれらは私ども政府の考えといたしましては、強制をするというよりは、できれば自発的に考えてもらいたいという筋合いのものとして観念をいたしておりますので、そういう場合も起こり得るであろう、こういうことを申し上げたわけでございまして、落とすものを落としてから考えるのだということとは違いまして、そこには落とすということについて何らか国が判断をするような感じが入ってまいりますけれども、いまの進退は企業側にゆだねておるわけでございまして、落とすという感じじゃなくて、落ち着きぐあいというものとのかね合いになる問題はあるであろうということを申しただけでございます。また、このような統合その他の体制整備問題というのは、画一的にいける筋合いのものではございませんので、部会を設置してケース・バイ・ケースにひとつ勉強をしていこうということを申し上げておりますのは、何か具体的な提案があったからそれを取り上げるということではなくて、やはり全国の炭鉱の保存状況を見まして、必要なところから考えていくと、関係者がそれについて真剣な議論をしていくということでございまして、何らか方向があるからそれに従うということではなくて、ケース・バイ・ケースと言いましても、これはアトランダムなものではなくて、必要だと思うもの、この判断は私どもも審議会もいたすつもりでございますが、そういうものから漸次手がけていきたいと、こういうことでございます。
#23
○小林武君 まあ正直に言って、落とすとか落ちるとかいうようなことは見ようの問題でして、政府が手をかけなくても落ちていくものがあれば、政策そのものは落としているのですから落としたことになるのですよ、私に言わせれば。落ちられないような仕組みになっている政策があって、それで落ちるというのはおかしいけれども、実際問題として北海道自体を考えれば、少なくとも北海道の関係者というものは、なだれ現象が起きるだろうということを非常に敏感に受け取めている、こういうことを先ほどから言っているのですけれども、それは新政策のもとでそうなっているということで、それは自然に落ちるので、おれのほうが落ちろというのではない、そういう言い方は、ある意味では非常に企業の自主性というものを重んじたようであって、この事態の中においては、私はまあ膨大な金を使うというたてまえから言えば、これはやはり問題のある考え方だと思います。しかし、これについてはここで申し上げません、あとは。
 そこでひとつここでお尋ねしておきますが、どんどん深刻な問題が起きれば、たとえば北海道の沼田町というのがありますね。この沼田の問題、これは炭鉱がなくなれば地方財政収入の四〇%がもうとにかく飛んでしまうわけだから、町にしてみれば生きるか死ぬかの問題です。これはまあ通産省としては石炭の山までは考えるけれども、その他のことについてはというわけでもないだろうけれども、こういうものについて一体今度の新政策というものはどういう配慮がこれにうたっているのかどうか、新政策が進行している過程の中でうたわれているのかどうかということです。これはひとつ政務次官、あなたからお聞かせいただきたいのですよ。沼田町のこと、あなた御存じでしょう。
#24
○政府委員(植木光教君) いま具体的に沼田町のお話が出ておりますが、まあ一般的な問題でございますけれども、お話しのように、終閉山によりましてその地域が著しく財政困難に陥る、また非常に大きな犠牲者が広範囲に出るということは、今後予想されるわけでございます。したがって、産炭地域の振興対策、まあいろいろ考えているわけでありますけれども、しかし、その気象的あるいは地理的な条件、あるいは経済的な立地条件から、当該閉山地区において石炭鉱業にかわるような産業振興ができない、困難であるという地域もこれから出てくることが考えられるわけでございます。したがって、通産省といたしましては、これは各省との協力が必要でございますけれども、閉山地区に限定をしないで、その閉山地区を取り囲みます広域的な立場からもよく考えまして、総合的な地域振興を推進することが必要である。周辺地域の振興によってその閉山地区に波及効果を期待するというようなことを進めていきたいというようなことをまず考えております。また、産業振興を地域の特性に即応しましたきめこまかい形で進めていくことが必要でございますので、工業の振興に重点を置きながらも、やはり工業だけにとらわれませんで、地域の特性に応じて農林業でありますとか、水産業でありますとか、畜産業などによる幅広い産業の導入、育成ということをはかるべきだと思っております。また、産炭地域振興臨時交付金制度を新設することによりまして、閉山に伴う市町村財政の落ち込みを補う措置を考えておりますし、また、生活環境施設の維持保全など、住民福祉の確保に万全を期してまいるということで鋭意努力をしているわけでございます。
#25
○小林武君 私からひとつこの問題の区切りに申し上げておきたいことは、なだれ現象に対しては、山の労働者の諸君は最も敏感でしょうけれども、さらに地方自治体といえども、北海道の釧路の炭鉱地帯をかかえている市町村というものは、なだれ現象を釧路のほうだけはのがれられるのじゃないかと思っていたけれども、とてもそれはのがれられないかもしれない、これに対する危険性は十分あるというたてまえで、とにかく市町村が連合してこれに当たるという形をとっている。こういう事実があるし、道のまた責任者である商工部長ですかの談話としては、私企業の現状において企業が山を閉山すると言えば、これはとめる手だてはないと、言うてみるならば、道はもう打つ手がないということですよ。私は先ほどのあなたたちの御答弁を聞いているというと、大体それは道の部長がいいかげんなことを言っているのではなくて、そのとおりだと思う。そうすると、私は先ほどからもるる言ったんだけれども、あなたたちの受けとめ方と、それから現場の受けとめ方というものには非常に大きな開きがあるし、それからそのことによって地方自治体を考えた場合だけでも、こういう事情のもとでは、もうとにかく山を守らなければ住民の福祉さえ維持できないんだという地方自治体の悲痛な叫びというものを聞いている場合、石炭政策に対する肝心なところにもう少しやはり強力なものがなければならない。それから態度としても、私は成り行きにまかせるというようなことは許されないのではないかと思うのでありますが、これは法律の検討その他の過程でもいろいろ議論されると思いますけれども、一段の私は努力が必要でないかと、こう思います。これについて特に答弁は必要ありません。
 ただ、それに関連して一つ質問したいことは、労働者をどうするかという問題、これはもう一番不安定なのは閉山されて離職するということですからね。これに対して何ぼかのあれが出るというようなことは、これは必ずしも満足でないことはあなたたちも御理解いただけると思う。同時に、一面こういうような問題をかかえながら、片っ方の中においては、労働力をどうやって維持するかという問題もある。この全く相反したような状態のために山は苦しんでいるわけなんですよ。労働力の確保をどうするか、老齢化をどうするかという問題がある。だから、私はその意味でも真剣にものを考えるんであるならば、これは前回にも申し上げましたけれども、単に石炭の山にいろいろな宣伝をするよりかも、石炭産業がいかに安定しているかということが大前提としてなきゃならぬと言っておるわけですね。そういうことはいままでの関連の中でも述べましたから、それは抜きましても、山の環境というものはもっと私は考えなきゃいかぬと思うんですよ。北海道に行きますというと、概して本州地方よりかも住宅というものについては、最近はややよくなりましたけれども、一般民家というようなものも実はやはりおくれている。特に炭住に行ってみて私はその感が深い。どうも炭住に対する手当てというものがどの程度一体やられておるのか。私が回った限りにおいては、北海道の山を見ると、大体外便所というものが決定的に多いんじゃないですかね。この点はひとつお調べになって、違っておったらその点は指摘してくださりゃけっこうですけれども、そういうようなあれがどうなのか。それから木造で、土台の下を自由に雪が回っていけるというような建物というようなのが、あのままで一体維持されていって、そうしてほんとうに労働力を定着させるというようなことが可能なのかどうかという問題。それとも一つは、鉱山の高等学校というのがありますね。あの鉱山の高等学校というものに対して通産省としては、山の労働力ばかりでなく、石炭産業の将来というようなものを考えて、一つの指導方針なり何なりを企業にしたことがあるのかどうか、あるいは企業側の意見というようなものを徴したことがあるのか、この三点をひとつお尋ねをいたします。
#26
○政府委員(中川理一郎君) 労働力の安定あるいは確保対策という面から見て、現状の炭鉱における労働者の生活環境というものにつきましては、いま御指摘のように外便所でございますとか、社宅の老朽化でございますとか、いろんな問題があることは承知をいたしております。そこで、今回予算でお願いをいたしております特別会計におきまして、石炭合理化事業団に対しまして出資をいたしまして、これから石炭会社に対しまして無利子の融資を行なうという制度を考えておりますことは御承知のとおりでございます。その融資対象といたしまして、いままでは設備投資、狭い意味での石炭鉱業の継続のために必要な坑内投資、坑外投資等を対象にいたしておったのでありますが、今回はこの無利子融資の中でも、いまおっしゃいましたような生活環境対策という意味合いを含めまして、不良住宅等の改造資金に充てるための資金というものをこの中で見てまいりたいというのが私どものいま考えております案でございます。企業といたしましては、従来もたとえば住宅金融公庫でございますとか、いろんなものを使ってきたのかと思いますが、今回の合理化事業団の無利子融資制度を活用いたしまして、それらのものとの併用によりまして、いままで以上にひとつ深刻になってまいりました労働力問題の改善に資することを考えたいと思っておる次第でございます。
 なお、鉱山専門高等学校等についての御意見でございますが、これらはいまさしあたって私どものほうに対策は持っておりませんけれども、いろんな意味でのこれら鉱山労働者あるいは鉱山技術者の教育研修機関というものにつきましては、今後文部省等とも相談をいたしまして、できるだけそういったことを考えてまいりたい。国が直接やっております制度としては、御承知のように保安センターによる保安教育の問題がございます。これらの面とも考え合わせまして、できるだけ御趣旨に沿ったようなことを今後努力してまいりたいと思っております。
#27
○小林武君 これはあれですか、たとえば先ほどの外便所なんというものは、どこの世界にもなくなってきたと思うくらいなんですが、大体その種のものの不良住宅というものは、いまの融資その他によって一体どのくらいの間に一掃されるという見通しがあるのですか。何年計画とか、あるのですか。
#28
○政府委員(中川理一郎君) 実は今年度一ぱいで、建設省と私のほうとで予算の実行によりまして不良住宅の調査をいたしております。これは二つございまして、一つは、現存しておる石炭企業の持っておる社宅の状況というものがございます。もう一つ固有の住宅問題といたしまして、閉山後の会社のかつての住宅、これに離職者その他一般の人もおりますけれども、住みついておる人がございます。これが相当不良住宅化している状況がございます。この二つをいま調査をいたしております。それらの調査の結果が近く出てまいることになっておりますので、その結果をもとにいたしまして、他方合理化事業団の融資のファンドも限られておりますので、本来的な意味における投資にどれくらい必要か、不良住宅にはどれくらいのものが最終的に必要か、それを何カ年でやればどの程度解消することができるかということを、ひとつ体系的、総合的に検討いたしたいと思っておる次第でございます。いまのところ、少なくとも今回お願いしております予算は、審議会の答申にもございますように、五カ年間を目標にいたしておりますので、この期間内にどれだけのものが解消できるか、できれば全部解消したいのでございますが、この辺のめどはなおしばらく時間をかしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#29
○小林武君 終わります。
#30
○原田立君 いろいろとお伺いしたいと思うのですけれども、先日もちょっとお伺いしましたが、閉山によって関係市町村の受ける被害が非常に大きいわけであります。いまも小林委員のところから北海道の雨龍郡沼田町の話が出ましたが、こういうような被害の非常に大きいそういう対象の地域ですね、これはもうお調べになっているかどうか。もしおわかりだったらば、その点を教えてもらいたい。
#31
○政府委員(中川理一郎君) 産炭地域問題、閉山による打撃を受ける市町村等の問題ということには二つございまして、いままでの終閉山によりましてすでに打撃を受けておるもので、諸種の産炭地域振興政策によりましてある程度のものは回復をしておりますけれども、なお未回復な打撃を持っておるものというのが一つであります。それから今後出てまいる終閉山によってどの程度のことを考えなければいかぬのかという新しい問題がございます。そこで、後者のほうにつきましては、先ほど小林委員にお答えしましたように、いまのところ想定といたしましては、具体的な閉山計画がはっきりしておるものは、先ほど申しましたように二百二十万トン余のものでございますけれども、これが全部だとも言い切れない状況にございますので、あとは想定いかんという問題に相なってくるわけでございます。産炭地域振興政策は御承知のように、相当きめのこまかいことをやってきておりますから、大づかみに申しますと、地帯で申しますならば、常磐地域、それから宇部地域といったところは比較的に、その場所柄にもよりますけれども、大きな閉山がかつてはございましたけれども、受けておる打撃が大きいとは言いがたい状況にございます。これに比べまして九州の筑豊を主体といたしました地域におきましては、なお相当大きな問題を残しておるわけでございます。それから北海道につきましても、土地柄の問題がございまして、産炭地域政策というものはなかなかむずかしい状況にございます。したがって今後、先ほど小林委員の御質問にもございましたが、北海道でいま話題を呼んでいるところのたとえば明治の閉山とかというものが出てきました場合の地域問題といったようなことをこれから考えなければいかぬわけでございますが、先ほど政務次官からお答えいたしましたように、今後はやはり産炭地域振興ということには相当力を入れなければいかぬということで、四十四年度の御審議をお願いしておる予算をごらんいただくとわかるのでございますが、産炭地関係の予算は、われわれとしては画期的なものを盛り込んだつもりでございまして、これらの措置は五カ年問事態の進展を見ながら継続しなきゃいかぬわけであります。少なくともある程度先行的に産炭地域振興問題は準備をしていく必要があるということで鋭意努力をいたしておる状況でございます。
 なお、直接的な市町村財政に対する打撃につきましては、従来は自治省にお願いして交付税その他で処理をしてまいったわけでございますけれども、四十四年度予算におきましては、市町村への直接補助の金額を石炭特別会計の中に十億円計上いたしまして、これらによってこれらの市町村財政に対する打撃の緩和の一助にいたしたいと考えておる次第でございます。
#32
○原田立君 いまのお話の中で、今後に起きる想定としては二百二十万トンというお話だったようですが、百八十万トンじゃなかったですか。閉山を想定する地域は百八十万トンだと前回お伺いしておったのですけれども。
#33
○政府委員(中川理一郎君) 四十四年度の予算的な準備をいたしました場合の前提といたしまして、三百八十万トンの閉山があるということで考えておったわけであります。いまおっしゃいましたのはその数字ではなかろうかと思うわけでございまして、いま申しました二百二十万トンというのは、いまの時点でかなり明白になっておる閉山規模でございます。
#34
○原田立君 勘違いしました。三百八十万トンでしたね。
 そうすると、予算規模で三百八十万トンを考えておった、現在あらわれているのは二百二十万トン、こういうわけですね。
#35
○政府委員(中川理一郎君) さようでございます。
#36
○原田立君 そうすると、いままだ名乗りをあげないようなところでもこれからあるであろうと予想されるわけですが、先ほどの雨龍郡の沼田町等を含めて前回も問題にしたのですが、九州関係だけでもすでに九社十二炭鉱から閉山の申込みないし希望がある、こういうことが新聞報道されております。そうなると、その比率がもう九州だけで全体の約八割から九割ぐらいになるのじゃないか、こういうふうに言われているのだが、そうすると、政府で考えているような三百八十万トンですか、それ以上に何か九州だけで当然ふえそうなあれなんですから、全国的に見たならば、すなわち北海道等も入れたならば、これは予想したものよりかもっとふえるのじゃないか、こう思うのですけれども、その点はどうですか。
#37
○政府委員(中川理一郎君) 先ほど小林委員にお答えしましたときに申し上げました明治と杵島を除きましたものとして、現在一般閉山交付金制度の交付を受けるための閉山の申請をしておりますものが約五十七万トン、炭鉱数にして七炭鉱と申しましたが、現在時点で私どもが把握しておる明確なものはこれだけでございます。しかし、そのことは直ちに今後出てこないということを申し上げておるわけではございません。今後もなおあろうかと思われます。この五十七万トン、七炭鉱は、個別名をあげることは省略いたしますが、熊本県に二件、これは天草でございます。長崎県に三件、福岡県に二件でございまして、古河鉱業の目尾を除きますと、いずれも中小炭鉱でございますので、七炭鉱でございましても五十七万トン程度、このうち日尾は二十万トンでございますから、二十万トンを引きますと三十七万トン程度ということでございまして、いまのところはっきりしておりますのは九州が多いということでございます。しかし、今後事態の推移によりまして、これだけでとどまるものではないということで、予算的には前々からお話ししておりますように、三百八十万トン程度のものを用意いたしておるわけでございますが、いまの時点でこれを大きく上回ることになるかどうかというのが原田委員の御質問だと思いますが、いまの時点ではさだかではございません。増減は私はあろうかと思いますけれども、そう大きく隔たることにはならないんではないかと、いまの時点では観測をいたしておる次第でございます。
#38
○原田立君 基本的には山がつぶれないことのほうを希望するんです。けれども政府がこんな政策を立てるものだから閉山などやむを得ぬ。そうなると、やっぱりそれを最小限度に食いとめていくということが一つと、それからまたどうしてもなっちゃった場合には、それに対する対応策はきちんとしなければならない。こういう二つの問題があると思うんです。また予定していたものよりかふえた場合には、不幸なことでふえた場合にはそれに対するやっぱり対策もきちっとしていかなければならない。このような三つ問題があると思うんです。ちょっとべらべらとしゃべったんですけれども、その三つの点についてどういうふうに考えるんですか。
#39
○政府委員(中川理一郎君) 御指摘の点は私どももそのとおりだと思います。できるだけ閉山が少ないことを私どもも希望いたしております。にもかかわらず若干のものが出ました場合、これの対応策というものをきちんとしなきゃいかぬということでございまして、それについての問題といたしまして、まず申し上げますならば、閉山量がもし想定をこえて閉山があったといった場合に、予算がきまっておりますと、その範囲内でしか処置できないじゃないかという御心配があろうかと思いますが、現在御審議をお願いしております事柄では、まず閉山交付金とそれからそれに伴う離職者関係の予算につきましては、実は予備費を片方に用意をいたしております。予備費でもし足りなかった場合におきましては、特別会計の予定以上の収入増がございました場合に、それを優先してこれらの二項目については使えるということにいたしたい。第三番目には、それでもなおかつ足りない、これはまあいろいろ関連的な場合も考えておるわけでございます。その場合には、今回の特別会計そのものが八百八十四億、収入だけではまかない得ないという状況から借り入れをいたすことにいたしておりますが、その借り入れを、その場合にさらに借り入れることができるということにして、閉山についてのあと始末の問題の大部分であります閉山交付金、離職者に支給する金というものについては、予算の額にかかわらず手当てができるように準備をいたしております。
 それから広い意味での閉山に伴うあと始末の問題といたしましては、ただいま御議論いただいております産炭地域の振興問題、鉱害問題があるわけでございます。これらは予算上そういう特則を起こさせないのでございまして、予算の中で処理するよりしようがない。しかしながら産炭地域振興問題というのは、出てから準備をするということではなかなかしにくい性質の事柄でございますので、むしろ先ほどお答えいたしましたように、本年度金額を増額いたしたり、いろんなことを手当ていたしておりますのは、できるだけ五カ年のうちでも先のうちで、片方にそういった産炭地域振興政策というものを着手できるようなしかけをつくっておきたいということのあらわれでございまして、できるだけこれらの終閉山の事態に対処できるようなことを精一ぱい考えてきたつもりでございます。
#40
○原田立君 この石炭鉱業審議会の答申の中で、与えられる助成の範囲内で再建ができない場合は勇断をもって進退を決すべきであるというようなことがあって、この文句は私たちはたいへん不満なんですが、現在三百八十万トン予想している。けれども、それより若干上回るかどうか、これからの成り行きを見なけりゃわからぬというような局長の答弁だと、これはこの際さっさとやめちゃおうという空気は業界の中では多いんじゃないかと強く心配してるんですけれども、それはそんな心配は要りませんか。
#41
○政府委員(中川理一郎君) 私は必ずしもそうだとも考えていないわけでございまして、今度の助成策を受けて、この中で精一ぱい働いてみようという気持ちの企業が相当数あると確信をいたしておりますし、またそのことを期待したいわけでございます。なお、お話にございました答申の中で、与えられる助成の範囲内で再建ができない場合は勇断をもって進退を決すべきであるという表現でございますが、これは真に私ども陪席いたしておりました者として申し上げますならば、どう考えても今回の助成策ではやっていけないということが明瞭であります場合に、もしそういう明瞭な場合があると仮定いたしますと、それを長く引っ張りますと、その間にたとえば未払い賃金がふえていくとか、あるいは若干の資産を持っておりましても、無理をし続ける間に使い果たしてしまうとか、あるいは借り入れ金がふえていくとかいう状態がございまして、結果として、何年か無理をしたあげくの終閉山の場合には、従業員に対して、その前に決心をしておったならば払えたであろうものさえ払えないという事態が出てくることを審議会としても心配をいたしたわけでございまして、やはりそこにこの表現どおり、その見きわめがきわめて明確である場合には、やはり私は勇断をもって進退を決してもらいたい。そうすることが、その時点では多少つらいことでありましても、当該山に働いておる労働者、地元の方々に対して御迷惑をかけるかけぐあいを少なくする道であるということをやはり経営者も考えてもらいたいという審議会の気持ちのあらわれでございまして、私どもも、この政府としてぎりぎりの助成を示しております時点でございますので、どうにもならぬというものを無理やり続けさせたあとの始末ということを考えますと、やはりこのとおりの考え方で間違いはないんではなかろうかと思っておる次第であります。
#42
○原田立君 まあ、いま局長とここで論争する気持ちはさらさらないんです。もちろんいまあなたの言われるように、つぶれそうな山、あるいはもうちょっと無理してたいへん迷惑をかけるような山、これはもうやめざるを得ないようなところにあるんだろうと思うんですよ。私はそんなことを言ってるんじゃないんですよ。何でこんなことを言うかというと、新聞、巷間、いろいろと言われておることは、このことによって便乗したなだれ閉山がありはしないかどうか、この点を心配しているんですよ。その一つのあらわれが、さっきから何度も言うんですが、通産省で予算措置で三百八十万トンと考えておったそのうち、もう九州だけですでに九社、十二炭鉱で約九割ぐらいのものが閉山といってきている。そうなると、だから私が言いたいのは、なだれ閉山にならないようなそういう歯どめ措置は一体どういうふうにしていくんだ、なだれ閉山なんか絶対ないんだとあなたは言うんだったら話は別だけど、いま世間で非常に心配されているんです。それでお聞きしている。だからなだれ閉山にならないような歯どめは、きちんとこういう措置は通産省としてやっているのかどうか、その点はいかがですか。
#43
○政府委員(中川理一郎君) 今回の助成策の中でやろうと思えばやっていけるのに、そうでなくしてこの際便乗して石炭鉱業から撤退したいというような考えのものがそんなにあるとは私どもは考えないわけであります。ただ、どの程度の企業がこれでやれると判断し、どの程度までがやれないと判断するかということになりますと、私どもはなかなか予見しがたいものがございますので、予算の前提にしております三百八十万トンというものも絶対に確信のある数字だというわけにはまいらないのでございまして、そこは若干の増減はあろうかと思いますけれども、むしろ全般としては、できるだけ力をふるい起こして石炭鉱業を継続したいと考えておるのではないかと考えております。終閉山についてのなだれ云々という事柄につきましては、先ほどお答えいたしましたように、どの程度のものならばやむを得ないかという判断がそれぞれ違うわけでございます。いまおっしゃいましたように、それほど大きな閉山予想が九州にあるとは私は承知してないのでございまして、先ほど申しました数字がいま現時点でわかっておる状況でございます。なお一くふうすれば石炭生産を継続し得るというものがありますならば、私どもはできるだけ御相談にものるつもりでございますし、それらのくふうをいたしたいということで、現在たとえば企業ぐるみの閉山を予定しておる明治鉱業等につきましても、企業ぐるみ閉山のたてまえをくずさない限りにおいては、若干のものの継続、ほかの形における継続というものについては鋭意くふうをいたしておるのでございます。
#44
○原田立君 また法律が出たらば、提案されたらそこでいろいろとやりたいと思いますが、ちょっと問題を別にしまして、前回も組夫のことでちょっとお話ししましたのですが、閉山になった場合に、その会社の直轄鉱員でさえもその賃金は七割五分しか保障することができないということで、そういう考え方もたいへん私たち基本的にはどうかと思うのでありますが、そういう直轄鉱員でない組夫の人たちの賃金支払い、これはおくれるようなことはないのかどうか、そこら辺のところをどこまで考えられているのか、その内容等もし説明できるならばしてもらいたい。
#45
○政府委員(中川理一郎君) この前に原田委員から御質問がございまして、私も帰りまして調べたのでございますが、私どもで承知しております限りにおきましては、請負会社におきましての賃金の未払いというものはもう全部、悉皆調査をいたしたわけではございませんけれども、あまりない。ただ、石炭会社がこの請負会社、請負の組に対して請負代金を支払ってないものはあるようでございます。そこで代金を払ってないのにどうやってその賃金を払っておるのかということでございますが、若干そういう例があるのでございますが、そういう場合どうしておるかと申しますと、大体組の経営者が立てかえ払いをしておるということのようでございます。そこで今回の政策によりますと、石炭会社が請負会社等に対して未払いになっておりますものはこれは一般債務として考えざるを得ない、こういうことになります。中小企業等の資材納入業者に対しまして資材代の未払いを持っておるといった場合と同様に一般債務として考えざるを得ない、こういうことでございます。そこでいま地元等で問題が出ておりますのは、そのことのほかに特別交付金等におきましては、賃金についてそう大きな未払いがなくても、退職金についての未払いの問題が出てまいりまして、それらを込めて賃金債権と考えまして、国が特別交付金制度で保障してあげますものを七五%と、こう考えておるわけでございます。現実の問題として退職金を一〇〇%もらいたい、そのためには二五%分を何とか考えてもらいたいという声があるわけでございます。そこで組夫につきましては、いまのところ直用鉱員ではございませんので、現行法制のもとにおきましては、本鉱員と同じ取り扱いをすることができないという状況にございます。これらの点につきましては若干問題がございますので、何らか一くふうできないかということをいま検討はいたしておりますが、必ずこういたしますということを言える段階にはございませんので、御趣旨を承りまして、私どもの手でできることがございますならば、可能な限りひとつ考えてみたいということをいまの段階では申し上げるよりほかないと存じております。
#46
○原田立君 その親方が会社と請け負いしている、すなわち請負会社が石炭会社との契約によってやっている、それは承知しております。また事実そのとおりなんですから、そうしてそれがいま一般債権になると、ところが、ここのところはいまのお話だとちょっとよくわからんのですが、普通その閉山なんかになった場合、いまの賃金未払いの問題が一つ、それから諸掛かりの支払いが一つ、それから金融に関係するものが一つ、鉱害処理の問題が一つ、合計四つあるのだということを承知しておるのですけれども、いまの局長のお話だと、賃金問題ですね、そこのところに入るのですか、組夫の問題も。それとも諸掛かりの資材のところ、そこのところに入るのですか。
#47
○政府委員(中川理一郎君) 御説明が不徹底であったかと思いますが、いまの区分で申しますと、これは一般債務のほうに入るということをお答え申したわけでございます。実際上賃金の未払いという形になった場合、あるいは退職金の未払いという形になりました場合でございましても、これは請負の組主の未払いでございまして、法律の特別交付金で言っております未払いというのは、石炭会社が石炭の従業員に対して持っておる未払い賃金、その他退職金についての未払い、これをとらえておるわけでございます。これをまたことばをかえて申しますと、たとえば中小企業の資料納入業者がおりまして、石炭会社がこれに十分な支払いをしていないために、中小企業のそれらの商店その他が賃金の未払いを持っておるといった場合と同じことに相なるわけでございます。
#48
○原田立君 問題は、直轄鉱員に払う賃金の保障と、それから組夫の人たち、これも同じ閉山によってやめるわけなんですが、大体同じようにいけるのか、それとも組夫のほうがひどく少ないのか、その点はどうですか。
#49
○政府委員(中川理一郎君) ちょっとお尋ねがよくわからないのでございますが、いま申しましたように、請負会社におきまして、賃金の未払い、退職金の未払いなりがございましても、これは一般債務として、請負会社に対する石炭会社の持っておる債務ということで処理をいたすつもりでございます。またそうせざるを得ないたてまえに相なっておるわけでございます。と申しますのは、請負会社の中には、あるいは実態的にはもうその山の従業員と同じ使い方をされていることがあろうかと思いますけれども、形式的に申しますと、請負会社が石炭会社との請負契約によって、そこへ人を入れておるということでございますので、本来請負会社であるという性格から申しますと、A社が閉山あるいは解散いたしましても、B社へ行って継続ができるわけでございますので、直ちに退職金という問題は起こらないはずでございます。ただ、実態が非常に似かよった使い方をしておる。しかも、本鉱員であるべきものをそういう形で使っておるという実態が片方にございますので、制度そのものでは私は処理はなかなかできないと思いますけれども、もう少し実際的な解決方法がなかろうかということで、いまの段階でどの程度のことをいたしますということはお約束できないにせよ、これは精一ぱい考えなきゃならぬということを申し上げただけでございまして、法律的なたてまえから申しますならば、これは一般債務としての取り扱い以上のことはできないというのがお答えでございます。
#50
○原田立君 やっぱり法律以上にできない、これもはなはだ不満なんで、例として引用するまでもなく、災害などあった場合に直轄鉱員に対するいろんな処置は非常に多い。それに比べて組夫はたいへん少ない、これは十分承知のことだと思うんです。そんなことが今度閉山になった場合に、同じ人間であるんですから、あってはいけないという気持ちがしているわけなんです。だけれども、実際の形においてはいま局長が言われたような形になるから、当然差がついてくるだろう。これはもう覚悟したような気持ちで聞いているわけですが、じゃその差をつけないように何とかならないものかどうかと、そういうような面で通産省として指導するのかどうか。検討するということだけれども、法律はいじれないだろうと思うが、じゃ指導できちっとそういうことがないようにやる考えがあるのかどうか、その点はどうですか。
#51
○政府委員(中川理一郎君) まさに原田先生よく御承知のところで、それだけにいま私もお答えしにくくて、いまの時点ではこう申し上げるよりほかないと、こうお答えしたわけでございますが、運用上の問題として、やれる範囲で私は最高限の努力をいたしたいと思っております。ただ、いまこの時点でかくかくの手段を講じます、こういうふうにいたしますということは申し上げかねる、法律のたてまえをいまの時点で申し上げておくよりしようがない。しかし、実態はお説のようにいろいろ問題がございますので、できるだけのことを考えるように私としては努力をいたしたい、通産省としても努力いたしたいということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#52
○原田立君 これで終わりにしたいと思いますけれども、局長のこれからせっかく努力するということなんですけれども、次官、その点はだいじょうぶですか。内部でそういう点はしっかり調整なまるんだろうと思うが、私思うのは、組夫の人は特殊なところで働いているから、数も少ないだろうというようなことも前に局長から言われた。だけれども、現実には組夫は非常に多いんですよ。たいへん気の毒だと思うんですよ。ですから、局長はせっかく検討するということなんだが、前向きの姿勢で取り扱うというふうに次官のほうから返答が得られるかどうか、その点はどうですか。
#53
○政府委員(植木光教君) 組夫の問題につきましては、私どもも憂慮しているところでございます。閉山に際して未払いのまま放置されるというようなことは好ましくないということも申すまでもございません。したがいまして、たとえば特別閉山交付金の運用に当りましては、他の未払い債務とのバランスを考えながら配慮していくとともに、努力してまいりたいと思っております。
#54
○須藤五郎君 きょう、私産炭地振興の問題について主として質問してまいりたいと思いますが、今度の答申によって閉山がたくさん出るということで、あらためて通産省のほうでは産炭地振興対策というものを積極的にお考えになっていると思うんですが、従来とってこられた産炭地振興対策と今度との間にはどれだけの進展があるのか、特色があるのか、そういう点を少し伺っておきたいと思います。
#55
○政府委員(中川理一郎君) 予算面で申します限りは、産炭地域振興事業団への出資でございますが、四十三年度の三十億に対しまして四十一億円ということで、相当の増額をいたしております。これは、これだけではございませんで、実は財投の借り入れをいたしますので、これに相応したものを財政投融資からも受けまして、その事業団の土地造成と企業誘致のための融資という、この中心的な事業団の仕事につきましては、私どもとしては精一ぱいのことをやりたいと思っている次第でございます。これはむしろこの金でどういう仕事をやっていくかというところに問題があるわけでございまして、金額だけ見れば、特別新しいことではなくて、思い切った増額をいたしているということしか言えないわけでございますが、実は、今回は石炭鉱業審議会と並行いたしまして、産炭地域振興審議会のほうでやはり別途新石炭政策に対応する新産炭地域振興政策を検討いたしてきたわけでございます。できるだけ御趣旨に沿ったようなことに努力いたしたいと思っております。
 それから制度として全く新しい事柄と申しますのは、産炭地域振興臨時交付金ということで新しく十億円の予算を準備いたしたわけでございまして、これは終閉山に伴います市町村財政そのものの打撃、落ち込みというものに対しまして、従来の交付税等による仕組みのほかに、特別会計から直接市町村に乏しいながらも御援助申し上げたい、こういうことで考えた制度でございます。なお、鉱害対策、離職者対策等も広い意味では産炭地域振興に関連のある事柄でございますが、直接的な問題ではございませんので、ここでは差し控えさしていただきまして、なお御質問を受けてお答えいたしたいと思います。
#56
○須藤五郎君 私も通産省から出されたこの予算をずっと見て、調べたんですが、ちょっとわかりにくい点があるので伺っておきたいんですが、この四十四年度石炭関係財投融資ですね。この表に、いま局長が説明されたように、産炭地域振興事業団へ四十四年度は六十億出す、こうなっておりますね。これは貸し付けですわね。それから融資と書いてありますが、これはどういう意味なのか。
#57
○政府委員(中川理一郎君) ちょっと拝見さしていただきたいと思います。
#58
○須藤五郎君 これですよ。ここに融資と書いてあるでしょう。貸し付け融資ということなんですか。
#59
○政府委員(中川理一郎君) ちょっといま私手元に資料を持っておりませんが、後ほどお答えいたしますが――いま御質問の点はわかりました。こういうことだと思います。産炭地域振興事業団は、石炭特別会計からの出資金と、いま先生御指摘の六十億円の財政投融資の借り入れ、この二つをもとにいたしまして、これからいままで、たとえば貸し付けをしておったものの返済がきたりしますものが若干ございます。それらでもって事業をいたすわけでございます。その事業のおも立ったものが土地造成と融資でございます。いま融資とおっしゃいましたのは、百億円の金でもって融資事業にどれだけ振り向けるかということとして、融資事業の規模として考えておる数字でございます。
#60
○須藤五郎君 この融資の金額ですね。大体おわかりになっていらっしゃるのだと思うのですが、どうなんですか。
#61
○政府委員(中川理一郎君) 産炭地域振興課長からお答えさせます。
#62
○説明員(真野温君) ただいまの須藤委員の御質問にお答え申し上げます。産炭地域振興事業団のほうでは、ただいま申し上げました石炭特別会計の出資、それから財投からの融資を入れまして、そのほかに若干の自己資金等を加えまして融資するわけでございますが、融資事業の事業費といたしましては、四十四年度は七十一億予定いたしております。その内訳は設備資金六十五億、長期運転資金六億、こういうことになっております。
#63
○須藤五郎君 そうすると、今年度の産炭地域振興事業団の総経費といいますか、それは六十億プラス七十一億という意味ですか、どうなんですか。どうもこれはっきりわからないのだな、私は。
#64
○説明員(真野温君) ちょっと事業団関係の事業の規模は若干複雑でございますので、基本から御説明いたしますと、産炭地域振興事業団は、石炭特別会計から出資四十一億、そのほかに財投から六十億を借り入れ、そのほか若干の自己資金を加えまして事業をいたしておるわけでございますが、四十四年度事業団の予算といたしましては、融資事業がただいま申し上げました七十一億、それから土地造成事業が三十二億、そのほか出資事業一億五千万と加えまして、合計で約百七億の資金をもって事業をいたす予定になっております。
#65
○須藤五郎君 そこでいま六十億財投から借りて、それから融資として大体六十二億になって、対策費ですね、振興対策費の総額は百二十二億ということになるのじゃないですか。そうじゃないですか。
#66
○説明員(真野温君) ちょっと申し上げました点、説明不行き届きだと思いますが、私からさらに申し上げますと、現在石炭特別会計及び財投からの産炭振興関係の予算と申しますか、予算額といたしましては百十七億円でございます。ただし、そのうち一部は事業団にいかない金額がございます。先ほど局長から御説明申し上げました産炭地域市町村に対する臨時交付金、こういうものの十億とか、利子補給とか、そういう金額を除いてまいりますと、四十一億というのが事業団に対する出資になるわけでございます。その事業団の出資にさらに財投から事業団に六十億の金がいく、そういう形になっておるわけでございますが、そのほかに自己資金等がございます。事業団といたしまして、従来土地を売り上げたとか、融資の回収金があった、そういう形で自己資金がございます。そういうものを入れまして百七億というのが資金として四十四年度の事業に振り当てられるという形になっておるわけでございます。
#67
○須藤五郎君 この産炭地域市町村へ出すといわゆる十億の臨時交付金ですね、これはことしだけですか。ずっと続けて出されるのですか、どうなんですか。
#68
○政府委員(中川理一郎君) 予算の上では四十四年度の予算をお願いしておるわけでございますが、いまの時点で予算に即して申しますと、四十四年度しかきまっておらぬ、こういうことでございますが、実は審議会の答申を受けまして、五カ年間の計画期間ということで財政当局といろいろ御相談をしておりますので、大体五カ年間これを出していくというのが、私どもと財政当局との話し合いでのおおよその了解事項でございます。ただ、正式にはやはり四十五年度予算、四十六年度予算ということでお願いしていかなければならない性質でございますので、その時点までは確約いたすわけにはまいりませんけれども、大体継続するつもりで私どもは考えおります。
#69
○須藤五郎君 これは、これから閉山が五カ年間続いていきますわね。だからことしだけでこれは済むものじゃないと私は思いますから、それでお尋ねしたのですが、やはりこの金額も、だんだん閉山が大きくなってくれば、やはり地方における痛手というものもだんだん深刻になってくることだと思いますので、この十億という金額も今後動く可能性はあるものだと私は理解しておるのですが、それも五年間と限らず、年限もあるいはそれ以上に延びていく可能性もあり、金額も増加するという可能性があるというふうに理解していいのでしょうか。
#70
○政府委員(中川理一郎君) 今回の政策は、審議会の答申を得まして、財政当局と大ワクの相談をしておったわけでございます。いまの須藤委員のお話しの五年後というところは、実はなかなか答申もそこまで言及いたしておりませんし、話し合いもいたしておりませんが、当委員会でもたびたびお答えしておりますように、五年間の特別会計の収入を大体四千数百億と、多少狂うかもしれませんが、大きくは踏んでいます。この席で四千億円と申し上げたり四千二百億円と申し上げたり、ときによっては大きな数字で四千五百億円と申し上げたのは、実は先のことですから、さだかではございませんので、このことばは五年間の石炭特別会計の収入というふうに御理解いただけばいいわけでございます。この中で政策を考えたわけでございますから、五年間これくらいのものは使おうということで、この石炭の窮状のために使わざるを得ぬではないかということは政府全体としても了解をしておるわけでございます。
 そこで、未来の予算額はいま申しましたように、やってみたことの成果、効果の判定というようなものも他方私どもは考えていかなければいけませんし、それから相当予測をしたつもりでおりましても、五年というのは考えてみればかなり長い期間でございますので、事態の変化ということも予想されます。大づかみのこれぐらいのめどの中でものを考えていこう、いまの助成体系は大きく変えまいということでいたしておりますが、いまのような政策の効果についての判断、事態の変化、こういうものに対して、部分的な手直しというものはこれは十分に考えられることでございますし、またそれをしなければ、あとすることがないということになりますので、それくらいのことは十分考えていきたいと思っております。
#71
○須藤五郎君 私は、十億という予算ではたして地方自治体の困難が処理できるものだというふうには私は考えていないのでありますけれども、まあこういう措置が今度とられたということに対しては、私は何も文句を言うこともないと思うのでありますが、もっとやはりこの金額については、実際に即した数をこれから考えて、十分の手当てをしていってもらいたいと、こういうことを申し添えたいと思うのです。
 それから、皆さん、今度はこの産炭地に対する企業の誘致ですね、これに対していろいろと積極的にお考えになっていらっしゃるだろうと思うのですが、企業進出に対してどういうことを考えていらっしゃるか、どういう対策を考えていらっしゃるか、その点を具体的にお話願えれば伺っておきたいと思います。
#72
○政府委員(中川理一郎君) 産炭地域振興事業団ができましてから、私どもなりにかなりの成果をあげたとは思っておりますけれども、これも時期を分けて考えてみますと、初期は非常に思ったように進まなかったわけでございます。最近ようやくわれわれの予期しているところに近い状態が生まれてきておる。これは一つには、やはり全体の環境の変化がございまして、大都市を中心として過密、公害問題といったものから、やはり目を広く日本全国に向けないと、企業側の立地点というものが求めがたいという一般的な情勢が出てきていることが一つございます。それからもう一つきわめて大きい要素は、労働力の需給関係が非常に変わってまいりまして、産炭地域の労働力というものは非常に貴重な値打ちを持つようになったということが一つでございます。三番目には、やはり初期の状態と比べまして、幹線道路その他公共投資の――産炭地域における公共投資の実が結び出してきておりまして、現にできたもの、あるいは近く縦貫道路等ができる予定がはっきりしてきたものというようなことで、従来立地的に魅力が比較的薄かった産炭地域に対する経済的な意味においての魅力、そろばんの面における魅力というものが最近大きく変わってきたわけでございます。この時点をとらえまして、私どもは産炭地域振興事業団を中心にして大いに企業誘致のPRをいたしたいと思っておるわけでございます。これは関連道府県、市町村もそれぞれ熱心におやりになっておりますが、私どもこの行為に呼応してやっていきたい。もう一つの仕組みといたしまして、日本商工会議所の力をかりまして、産炭地域振興事業団がこれに御協力を申し上げまして、進出側の企業に産炭地域の実際を見せる、見てもらう、そして市町村との間にいろいろの話の橋渡しをいたすというようなことをいたしてきております。今後こういう方向でできるだけ産炭地域の従来とかくございました暗い印象というものを、現場を見てもらうことによって払拭いたしたいというのが今後の努力目標になってこようかと思うのでございます。
#73
○須藤五郎君 もう一つ、この予算表の中に一億三千万円の関連公共施設整備費というものが組まれておるんです。この関連公共施設整備費の内容ですね、これはどういうことを考えていらっしゃるのか。
#74
○説明員(真野温君) 産炭地域振興事業団の事業の中に一億三千万円という関連公共施設整備費が計上されておる、その内容いかんという御質問でございます。これは今年度から新しく設けられました制度でございまして、たとえて申し上げますと、産炭地域振興事業団が土地造成を行なうその際の取りつけ道路、幹線道路が県道であるとか、あるいは国道であるということから、団地への取りつけ道路、この道路の整備がおくれておりますために、産炭地域振興事業団が土地を造成いたしましても売れない、あるいは企業が進出しないというケースが間々ございました。その点にかんがみまして、今年度から産炭地域振興事業団が財投の資金を借り受けまして、それによりまして先に取りつけ道路をつくってしまう。これはなぜかと申し上げますと、関連の取りつけ道路の整備がおくれますのは、一つには市町村に財政力がございませんと、なかなか国の補助をもらっても自己負担の資金が調達できませんためにおくれておる。こういう事情がございましたので、まず事業団が先に整備を行ない、整備を行なった後から、その市町村が国の補助金をもらい、自己負担分を年賦で事業団に償還する、こういう仕組みでございまして、いわば関連の公共施設を先行的に整備してしまう、こういう趣旨でつくりましたものでございます。
#75
○須藤五郎君 この間私は、産炭地域振興就労事業について質問を労働省にいたしました。ところが労働省は、その内容については何ら説明をしなかったわけなんですよ。ところが、けさの朝日新聞を見ますると、「産炭地振興を補充、来月から開発就労事業」を開始するという見出し、労働省が。まあ短い記事でありますが、「労働省は、荒廃する産炭地域の再開発をはかり、炭鉱や関連企業の離職者に就労の機会を与えるため、新年度から「産炭地域開発就労事業」を実施する。四十四年度の予算は石炭対策特別会計の二十五億円が予定されており、地元の事業に対して三分の二の国庫補助を出す計画だ。」、これはこの前の質疑でわかった点なんです。「産炭地域の再開発事業としては、これまでにも道路建設などの公共事業や、産炭地域振興事業団による工場団地造成などの事業が行われてきたが、労働省の産炭地域開発就労事業はこれらとも連絡をとりながら、公共事業や産炭地域振興事業で手の届かない部門を補い、工場誘致を中心とした地域開発を全体として完成させていくのがねらい。」である。「労働省ではその具体的な仕事として、産炭地域振興事業団が造成した工場用地と、基幹道路とを結ぶ道路の建設や、工場用地の排水施設の整備、工場周辺に住宅団地をつくるための土地造成、下水道や公園、レクリエーション施設といった社会環境の整備など、工場を誘致しやすい条件を整えていくほか、酪農や果樹栽培を盛んにするための基盤造成なども考えている。」と、こういうふうにきょうの新聞に報道されておるんですね。私たちは、これは国会で内容を報道しないうちに、こういうふうに新聞社に対して労働省はこういうふうな発表をすることは、私はおかしいことだと思います。これは少し国会を軽視しておることではなかろうかと思うのです。しかし、これは事業内容を大体述べたにすぎないのですが、まだまだいろいろな問題があるかと思って、私はまた重ねて質問をしようと思っておりますけれども、そうすると、私ここで伺いたいのは、この関連公共施設整備と、それと産炭地域開発就労事業とのこの関連ですね、それはどういうふうになるのかという点です。何かこの新聞に出ておるところを見ると、一億三千万円、こっちはやらなくても、また向こうの二十五億ですね、向こうに持っていかなくても、こればかりの金をあっちでぶんどり、こっちでぶんどりして、わけのわからぬようなことにしてしまうことは、私ははなはだおかしいと思うのですがね、この点伺っておきたいと思うのです。
#76
○政府委員(中川理一郎君) まだ具体的にはいろいろと御指摘のように労働省とも私どもよく相談をしなければならぬところが多いと思います。御意見のように、たとえば産炭地域振興事業団が造成しました団地に対しても、主要道路からの取りつけ道路というものをどっちでやるのか、両方でやるようなことを言っておるじゃないかという御意見も今後の相談問題だと思いますが、私どものほうといたしましては、団地の造成後、その団地が有効に使われることに主力を置いておりますので、そのためには取りつけ道路を早くつくらなければならぬというようなものにつきましては、産炭地域振興事業団が直接やれるようにしませんと、人をたよりにしておりますと、なかなかに時間の調節等がとれないという点から考えておるのでございます。片方労働省のほうは、どちらかといえば失業者対策ということで考えられておるわけでございますので、これは双方で、ここは産炭地でやる、こっちは労働省のほうでやるという調節は私は実際問題としてはできる、こう考えております。ねらいが労働者対策であるのか、産炭地の振興対策であるのか、いずれも微妙にからみ合うところでございますから、重点がどっちにあるかということでぴしっと整理ができないところもあろうかと思いますので、これはひとつ今後労働省のお考えをよく聞いた上で調節をしたいと思います。私はいま申しましたように、非常に多くの離職者をかかえているところでは、あるいは就労事業を考えてもらわなければいかぬかもしれない。産炭地のほうとしては、自力でやれるのも金額は小そうございますし、ごく限定されたところで切実さのあるところから先にやる。市町村にお願いしておっても、労働省にお願いしておっても、なかなか土地造成のタイミングと合わぬというときに、やはり産炭地域振興事業団が直接やれるような仕組みは持っておらなければいかぬのじゃないかと考えております。
#77
○須藤五郎君 これは私は通産省の方の意見も伺いました。それから労働省の意見も伺いました。そうすると、両方でこれはほんとうに合わぬ意見を述べられるんですよ。早い話が、露骨にいえば。通産省としては、労働省がはっきりした対策を立てないのは迷惑千万だというような意味の意見を私は伺うんですよ。大体こういうおかしなことであるから、両方とも対策が立たないのじゃないかと私は思うのです。従来これまでやってきたような労働者対策として、失業者対策として考えていくなら……。
#78
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#79
○委員長(阿具根登君) 速記を起こしてください。
#80
○須藤五郎君 そうすると、この前の委員会でも関連事業なのか、それとも要するに労働者の失業者のための事業なのかという点が意見が出たと思うのです。大矢君からもそういう点をはっきりせいということが出たと思うのですが、きょうの新聞を見ましても、これはやはり私は今度の閉山地域における関連失業者を安い賃金で、要するに土地造成とかいろいろなことがいま書いてありますが、そのほうにやろう、そういう意味にしか解釈できないのですね。これは通産省のほうと管轄が違うことですから、きょうは労働省が来ていないからこの点質問してもむだだと思いますから質問しませんが、そうすると、この新聞に書いてあるのは、工場誘致を中心とした地域開発を全体として完成していくのがねらいだと、公共事業や産炭地域振興事業で手の届かない部門をやるのだ、こういうふうに書いてあるのですが、この産炭地域振興事業で手の届かない部門というのは一体どういう点なのか、この点もう一ぺんちょっと伺っておきたいと思います。
#81
○政府委員(中川理一郎君) この際明らかにしておきたいと思いますが、いま御意見のございました事業は、就労事業と申しますか、広い意味での労働政策の問題であるということで、労働省にお願いをいたしているわけでございます。ただ政策上の配慮として、使い方にどんな使い方をするか、これは労働省いろいろお考えのあることだと思いますが、これは労働省に直接先生から御質疑を願っていただきたいわけでございます。
 そこでただいまの御質問でございますが、私どももやりたいことは山ほどあるという気持ちはいたしておりますので、それから見ますと、いろいろ施策を充実いたしましても、産炭地域振興対策の上でまだああもしたい、こうもしたいというのがずいぶん残るわけでございます。そこで就労事業であっても、そういうものの欠除部分を幾らかでも就労事業ということにおいて解決してやれるというお気持ちがあれば――その余地がないかとおっしゃるなら、これはまだ幾らでもやりたいことがありますだけに、ないことはない、あるだろうと私は申し上げるほかないと思います。その辺のところは今後私ども労働省ともいろいろ相談いたしまして、もし就労事業として差しつかえない範囲で通産省に何をやってもらいたいかというようなことがございましたならば、遠慮なく希望は申し上げる。しかし、それはあくまで労働政策、就労政策として適当であるかどうかという判断は労働省にしていただくということで、協議調整は十分とれるものと考えております。
#82
○須藤五郎君 この問題はあまりくどくはやりませんがね、いま言ったような点から申しましたならば、ほんとうに失業者のための就労事業として考えていくならば、こんなわずかな金ですけれども、こんな使い方しなくても、向こうへずっと合計して、そこで就労事業として考えていくということが適当ではなかろうかと、こういうように私は考えるんですね。
 それじゃ、従来企業がどんどん進出してきただろうと思うんですが、その従来の進出状況、それから今度の答申によって、これはまだわからぬことでありますが、あなたのほうではどういうふうな予測を立てていらっしゃるのかという点をちょっと聞いておきたいんです。
#83
○政府委員(中川理一郎君) 産炭地域振興事業団が発足いたしましてから、ことしの大体一月末現在ぐらいまでの実績で申しますというと、誘致をいたしました企業の数が四百九十二企業でございます。そのうち中小企業が八五%に相当する四百二十企業というふうな形に相なっております。それからこれらの企業がそこに進出をいたしまして、設備投資をいたしました金額が大体九百八十五億円と想定をいたしております。それらの企業による予想生産高といたしましては、千四百五十五億円と考えております。それからこれらの企業が産炭地域におきまして雇用いたしました人員の数は二万九千九百六十七人、うち炭鉱の離職者を雇いましたものが一万七千百六十一名、こういうことでございます。大ざっぱに申しますと、振興事業団ができましてから企業誘致をした数が大体五百企業、投資額で一千億円、生産高で一千五百億円、雇用人員で三万人というぐらいな見当で御記憶願えればよろしいかと思います。
 なお、今後どれくらいということでございますが、これはもう想定の問題になりますので的確な数字はないと思いますが、振興課長からおおよそのめどでも言えることがあればお答えいたしたいと思います。
#84
○説明員(真野温君) ただいまの御質問で、今後どういうような産炭地振興、ことに企業誘致関係はどういうふうな方向で考えるかというお話でございますが、私ども昨年、先ほど局長からお話し申し上げました産炭地域振興審議会を、小委員会をつくりまして一年間にわたって審議いたしました。まず基本といたしましては、それぞれの地域の開発の目標と申しますか、考え方をできるだけ地域単位で固める、これは各地域によって非常に違いますが、たとえば筑豊地域については大体三つぐらいの拠点を中心に、それぞれの拠点の特性――この地域は北九州市とか福岡市等の住宅、あるいは下請関連ということで考える、あるいはこの地域は住宅あるいは商業関係として考える、そういうような幾つかの地域の考え方を明らかにしてまいっておるところもございますし、まあそこまで精密な青写真が書かれてないところもございますが、これは今後の問題としてなお検討いたす方向で考えているわけでございますが、まずそれぞれの地域の開発の基本的な考え方をとりまして、それに応じて、まず前提となります産業基盤整備というものを重点的にどういうものをやる、先ほどお話ありましたように、これは国の公共事業としてどれだけやる、あるいは開発就労事業をどういうふうに使うとか、あるいは産炭地域振興事業団で事業をどういうふうにやるかということを固めて、それに応じて産業基盤整備を進める、その上で企業誘致ということに関しましては、先ほどからちょっと局長から説明いたしましたように、道、県、市町村等の地元公共団体と事業団、通産省、各省含めまして、政府と協力して企業誘致の体制を整える。また民間の団体であります商工会議所あるいは各種の産業の工業会、こういう方面と連係をとりまして、現在そういう幾つかの組織をつくっておりますが、まだつくりつつあるものもございます。そういうものを中心に、できるだけ企業側に産炭地の実情あるいはそこへの進出の可能性を進めるために、いろいろな情報の提供あるいは説得をしてまいる。こういう点を基盤にいたしまして、さらに先ほど話の出ました産炭地域振興事業団の事業、こういうものをできるだけ地域の実情に応じて傾斜的、重点的に運用するという考え方でまいりたいと思います。
 今後どうなるかという点でありますが、これは経済全部の観点について予測することは、地域別にはことに困難でございますが、従来の実績を申し上げますと、三十五年以降四十二年ぐらいまでの間で産炭地域の、特に六条地域の工業出荷額、製造工業ですが、この出荷等の伸び率は新産とか工特よりも高い伸びを示しております。われわれは今後の産炭地域振興実施計画の推進にあたりましては、そういうような過去の傾向をさらに続けるであろうし、また続けさせるような方向へ推進してまいりたいと考えております。
#85
○須藤五郎君 いろいろ業種が、企業が産炭地に参っているわけですが、おも立った業種はどんなものが行って、そしてあるいはその中にはもう失敗をして、すぐ開店休業で締めて行ったというのもありますしね。どういう企業が行って、大体どういう企業が成功しておるかという点も今後の参考のために、ちょっと聞いておきたいのですがね。
#86
○鬼丸勝之君 ちょっといまの御質問に関連しまして、さっき企業誘致のお世話をいろいろされている中で、住宅用地開発についてちょっとお触れになりましたね。そこで企業誘致する場合に、当然このごろは従業員の住宅、それをあわせて考えていかないと、少し従業員の多い工場その他は持ってこれない、そこで住宅用地の開発あるいは住宅の建設、さらに例のおんぼろの炭住街区の再開発、そういうことについて産炭地の振興事業の内容としてどの程度にめんどうを見ておられますか。ただ青写真の上で書いてあっせんするということだけなのか。私聞いているところでは、産炭地域振興事業団では住宅用地の開発はやらない、たとえば福岡市の近郊の御承知の志免その他粕屋地区は住宅用地として適地であるところも相当多いものですから、その辺ちょっと伺っておきたいのですが、それと炭住街の再開発、これを再開発していきたいということはお考えにならぬか、この点もひとつあわせてお願いします。
#87
○説明員(真野温君) ただいま須藤先生と鬼丸先生の御質問でありますが、まず第一点のどういう業種が出ておるかという点でありますが、従来の実績を申し上げますと、当初はやはり産炭地の立地条件といたしまして、窯業、土石関係の業種、あるいは繊維関係、縫製品関係の労働力を対象とした業種、こういうものが相当多く伸びておりますが、そのほか機械、金属関係、これがかなり最近に至りましてふえまして、現在業種として一番ウエートを持っておりますのは、いま申し上げました窯業、土石、繊維関係、それから機械、金属関係が多いという形になっております。なお、これは地域によりましてかなり事情が違っておりまして、筑豊地域においては最近特に機械、金属関係の進出が非常に見られるようになってきております。
 それから第二点は鬼丸先生からの御質問でありますが、産炭地域振興事業団が住宅用地を造成し得るかという御質問でございますが、御承知のように現在住宅につきましては、住宅公団あるいは各種公庫がございまして、それぞれの立場から住宅の建設に当たっておるわけでございます。産炭地域振興事業団は本来土地造成、特に工場用地の造成につきましては、国でやっている唯一の例だと思いますが、特に産炭地の実情にかんがみまして、土地の造成、工場用地の造成に当たっていくということに法律上なっておるのでございます。住宅用地の造成につきましては、そういう趣旨からそれぞれの事業団の機能に応じまして、私どもとしては、基本としては企業誘致ということが基本でございまして、当初から企業誘致のための助成措置として土地の造成及び融資をやってきているという形になっておりまして、現在までのところ産炭地域振興事業団で住宅用地を造成するということは法律上許されておりませんし、そういう実例もございません。ただ実際問題といたしまして、企業誘致にあたりまして、それに付帯する従業員宿舎あるいは各種の社宅関係の土地を付随して造成するということはいたしております。
 それから第三の問題といたしまして、炭住の問題でございますが、特に筑豊地域におきましては、昔山があった地域の炭鉱住宅、これのスラム化というような問題がいろいろ問題とされておるわけでありますが、これにつきましては、先ほど局長から御説明申し上げましたように、現在建設省で福岡県については網羅的に調査中でございます。これは現在稼働中の炭鉱のみならず、すでに休廃止した鉱山の付属の炭鉱住宅、現在あるいは所有関係によっては公営住宅になっているものもあり、あるいは担保関係でなお残務処理で残っているというものもあり、あるいはその他個人の炭鉱従業員が譲り受けたものもあり、種々な所有形態、担保形態がありますが、そういうものについてどういう形で地帯、地域整備、住宅整備をやるかという趣旨から現在建設省で調査をいたしております。その結果が四十三年度中にまとまる予定でありまして、それに基づいていろいろ全体としての住宅地区整備というものを進めるというふうに了解いたしております。
#88
○須藤五郎君 振興事業は一体従来ずっと見て、私たちは成功しているように思えないのです、全般的に見てですね。その成功してないという全国的な例をあげることはできませんが、ここに私が持っておる一つの実例を示して聞いてもらいたいと思うのですが、これは田川地区――筑豊の田川だけの問題ですが、この田川地区の石炭産業は昭和三十二年炭鉱数が六十一、労働者数が二万七千七百三十八人、四十三年になりますと、炭鉱数が二十四に減って、労働者が四千三百七十五人と、二万三千三百六十三人もわずかの間に減ってしまったわけです。同時に田川市の人口を見ましても、三十二年には十万一千七百二十二人であったのが、本年の一月末では七万七百六十三人と、三万九百五十九人減ってしまっているのです。ところが、一般失対の人たちはどれだけになったかというと、三十五年に千十二人であったものが、四十三年になりますと倍以上の二千三百七十七人というふうに一般失対がふえておるわけです。そこへ持ってまいりまして、市民税を調べましたところ、昭和三十二年には市民税が五千六百二十四万二千円、田川市の総財政の一八・七%を市民税が占めておりました。これに対しまして鉱産税が六千二百二十一万六千円で二〇・七%、鉱産税が非常に占めておったわけです。ところが四十二年になりますと、市民税が非常に大きくふくらみまして、一億一千六百二十一万三千円、市民税の市財政に占める率が二六・三%にふくれ上がりました。そうして鉱産税が二千四百十七万円、五・四%にずっと減ってしまった。この結果が一体どうかということなんですね。産炭地振興振興と言っておりましても、田川一つ見ましても、私がいま実数をあげて説明申しましたように、産炭地振興にはなっていないのですよ。こういうふうに市財政が非常に苦しくなり、市民の負担が非常に大きくなってきておるという点、これだけ見ても振興事業の名にふさわしくないと思う。こういうふうに市民生活を脅かしておる。ところが、もう一つ言わなければならぬことは、この振興事業で、ここへ誘致企業の三井セメントというのが一つやってきた。これはこの地区の大企業です。ところが、これが五千万円のいわゆる固定資産税の減免ですね、これを三年受けるわけです。一億五千万円、この三井セメントは減免措置を受けて払わないでおる。固定資産税をね。ところが、反面先ほど申しましたように市民の負担は、人口が減っていって市民税がうんとふえる、こういうことで市民は非常に苦しい生活をしておる。これが私は田川の実態だ、こう申し上げるわけです。こういうことで一体産炭地域振興という名に値しますかどうかという問題です。
#89
○政府委員(中川理一郎君) 私も一昨年田川は見てまいりました。冒頭お答えいたしましたように、常磐地区、宇部地区等での産炭地域振興政策の効果というものと比べますと、筑豊、それからことに北海道、なかなか思うにまかせぬのですというふうにお答えしたのは、いまお話しのように、田川市のように必ずしも十分な成果をあげているとは言えないという点を承知しておるから、さようお答えしたわけでございまして、これはやはりいろいろ土地柄と申しますか、企業側から見た経済的な条件というものに格差があるからでございます。これは何と申しましても、東京に近い、そして幹線鉄道で行ける常磐地区といったものと、北海道の基幹幹線からまた支線に乗って行かなければいかぬというところとの差があらわれてきておると思うわけでございます。いまおあげになりました数字は私手元に持っておりませんので、正確なお答えはできませんけれども、概括的な感じとして、田川市の総体の大きさというものが減っておることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、まだこの程度でとどまっておるということについて、産炭地域振興施策の効果が薄いということは言えても、全然なかったとは言えないのでございまして、いまおあげになりました三井セメントのほかに田川タイルその他産炭地域振興事業団の融資その他によりましていろいろと努力をいたした結果、その程度でとまっておるということでございますが、むしろ御質問の趣旨は今後そういうところをもっと力を入れてやるべきではないか、こういう御意見だと思うわけでございます。私どもといたしましても、田川の例でございますから、田川に即して申しますけれども、中元寺川の用水でございますとか、田川の中央団地の構想でございますとか、バイパス網の完成等々のことからいたしまして、今後まだ努力する余地は十分あると、こう考えております。現在すでに田川周辺における団地構想につきましては、いろいろと準備を進めておるところがございまして、冒頭申しましたように、やっぱり初期思うにまかせなかったことが最近ようやく緒につき出したという状況でございますので、いま考えておりますことと、いままでに準備いたしましたこと等を基盤にいたしまして、もう一つ努力をいたしますならば、田川市といえども、なお発展の可能性というものが私どもはあると、それだけにやらねばならぬと考えておる次第でございます。
#90
○須藤五郎君 いま中央団地の話が出ましたから、続けて中央団地の問題を申しますが、田川市当局は中核企業を誘致するんだといって、約二十一億の金を投入しまして中元寺ダムというんですか、中元寺ダムの建設にかかっておる。それから田川炭鉱のあと地四十万坪を中央団地にするんだといって、これに四十四年度の予算で九千万円の予算を組んで、そうして用地を整備しよう、こういうふうなことも計画されておるようでありますが、こういう金に対して国とか県とかいうものは少しも補助をしないんですか。どれくらい国がこれに対してめんどうをみようというふうに考えていらっしゃるんですか。もしも国が、おれは知らぬぞというならば、こういう貧困な都市でダムつくるのに二十一億の金を出したり、それから団地の整備に九千万円、団地の用地の購入に九千万円も金をかけるというようなことをしたら、ますます私は地方財政は困難におちいらざるを得ないと思うんですが、国はどれだけのことをしようというふうに考えていらっしゃるか、この点も聞かせておいていただきたい。まだ質問ありますが……。
#91
○政府委員(中川理一郎君) 中元寺用水につきましては、たしか四十三年度、今年度予算で補助金を計上いたしております。国は応援をいたしております。
#92
○須藤五郎君 金額は。
#93
○政府委員(中川理一郎君) あとで振興課長から申し上げますが、それから田川の中央団地につきましては、これはまさに事業団が土地造成をする、団地造成をするということで準備をいたしておるわけでございまして、いまおっしゃいました費用は、おそらく事業団にこの中央団地をつくらせるための市側の協力としての調査費ではあるまいかと思いますが、振興課長から。
#94
○須藤五郎君 用地購入費として九千万円組んでおるそうです。
#95
○説明員(真野温君) 若干手元に資料がないものでございますので、こまかい数字は申し上げられませんかもしれませんが、いまの二点を申し上げますと、中元寺用水につきましては、これは多目的ダムとして当初二十一億ぐらいの建設計画でございましたが、それに対しまして、私どもとしましては工業用水の部分、事業費でたしか七億円前後だと思いますが、その部分について、いわゆる産炭地域における工業用水の補助という制度が現在ございまして、必要な所要額、四五%の補助を計上しました。金額は七億の四五%ではありませんが、制度にのっとりまして、工業用水道事業として補助金を出すという形で、四十三年度が初年度でございますので、負担金として約一千万円程度でございますが、これは今後毎年相当ふえると思いますが、すでにきまっております。
 それから第二の田川市の中央団地の構想につきましては、すでに市当局から一、二年前からそういう構想が産炭地域振興事業団に相談がございまして、両者相談いたしまして、現在計画を具体的に詰めている段階でございまして、これは産炭地域振興事業団の造成団地とするという意味で現在計画を検討中でございまして、早ければ四十四年度事業として着手するというふうに考えております。
#96
○須藤五郎君 そうすると何ですか。中元寺ダムの二十一億の費用に対して国は四十四年度七億出すのですか。
#97
○説明員(真野温君) ただいま先生の言われました二十一億というのは総事業費だと思いますが、そのうち工業用水関係の部分として七億円というものは事業費である。それに対して国の工業用水の補助金の規定に従いまして、総額はちょっといま調べまして、もし御必要ならお答えいたしますが、補助金が出る。そのうちの一部でございます。
#98
○須藤五郎君 それでは微々たる補助になると思うのです。そうすると二十一億のうち工業用水、工業用水というのは一・二万トン、飲料水が〇・三万トンというものですから、どのくらいの率でお出しになるおつもりかわかりませんが、この工業用水七億のうちの何%というのですから、金額は二十一億の総額に対して微々たるものだと思うのです。そうすると、残りは全部田川が負担するということになるのですか。そこの関係はどういうふうになるのですか。
#99
○政府委員(中川理一郎君) これは他省のことでございますので、私ども立ち帰って調べないとはっきりした御答弁はできませんけれども、産炭地域振興ということでは先ほど来お答えしておりますように、産業基盤づくりということを基本にして、私どものほうの産炭地行政の主軸といたしておるわけでございます。いろいろな水道事業がございまして、まとめて一本におやりになるときに、上水道については上水道の補助金があればこれは厚生省から出ておるはずでございます。それがどれくらいかということは、私ども手元にございませんので申し上げかねるのでございますが、多目的な水道ということでお考えになっておるようでございますから、飲料水である上水道については、それは厚生省のほうでしかるべく措置をしているはずでございます。私どものほうは工業用水分について通産省として補助をいたしておる。工業用水道には通産省一般の補助政策があるわけでございますが、産炭地域の工業用水道についてはその補助率よりも高い補助率で特別の補助をいたしておるというのがいままでの仕組みでございます。したがって工業用水等だけとして考えましても、これはほかの市町村がおつくりになる工業用水道よりは厚い助成をいたしておるはずでございます。金額は後ほど調べましてお答えをいたします。
#100
○須藤五郎君 それじゃ、まああとで金額おっしゃっていただいたらいいと思いますが、九千万円用地の買収費となっているんですね。これはそうすると、さっき課長が答えられたのと少し数字が違うと思うんですが、この点も調べてあとでお答えをしてもらいたいと思うんです。
 それでは田川における産炭地域振興の実態を私はちょっと述べてみたいと思うんですが、昭和三十六年に産炭地域振興臨時措置法ができましてから田川市当局は非常に熱を入れまして、政府の政策を忠実にやって、それで企業誘致に非常な努力をやってきたと思うんです。ところが、三十八年四月、西日本衣料株式会社をはじめ今日までに十四社が誘致された、こういうことになっております。それから増設した地場産業といいますか、地場企業が十二社、合計二十六社というのが今日の数だと私聞いておりますが、そこに雇われた労働者が一体どれだけあるかといいますと、雇用労働者が二千六百八十七人、しかも非常に小さい工場が多くて、百人以上の従業員を持った工場はわずか八社しかないということを伺っています。問題になるのは、雇用労働者は非常に中高年層ですね、これが非常に少ないということなんです。ここは私はこれからの産炭地振興に参考にしてもらわなきゃならぬ点だと思うんですね。若年労働者、女子労働者が圧倒的に多い、こういうことがいわれております。しかも賃金の点を見まするならば、賃金の高い企業、例をあげれば三井セメントなんですが、この三井セメントで男の人が幾ら賃金を取っておるかと申しますると、七百九十円なんです。これは昨年の六月、地区労の調査による金額でありますから私は信用してもいい金額だと思うんですが、男が七百九十円です。女は六百二十五円。これが高い企業です。低い企業になると、安い企業になりますと男が三百八十五円、女は三百三十円、こういう数が出ておるんです。こんなに賃金が安いために、就職希望の中学卒業生も田川にはいない。六八%、これがみな県外に出てしまって田川には残らない。これが今日の要するに産炭地振興の結果、誘致企業が来は来たけれども、田川市における実態なんですね。こんな安い賃金で一体生活が立ちいくものかどうかということなんです。この男三百八十五円、女三百三十円というのは一般失対の賃金よりも安いんです。高い企業の男七百九十円でも何じゃないですか、ことしの一般失対の賃金にも及ばないと、こういうことだと思うんですが、このような状態で企業誘致が今後成功できるのかどうか。まず企業誘致を成功させようと思うならば、この賃金の問題を解決していかなければ、私は企業誘致は成功することができないんではなかろうか、こういうふうに考えるんですが、こういう低賃金に対する通産省の考え方を伺っておきたいと思います。
#101
○政府委員(中川理一郎君) 率直に申しまして、早い時点の終閉山が出ました直後においての企業誘致問題、とにかく待ったなしの、いわば緊急避難的に何でも来てくれればいいという感じのほうが先に立ったのでございまして、その意味で御指摘のように初期の誘致企業というのは比較的婦女子労働者に大きく依存をしているものが多かったことは御指摘のとおりでございます。そのもとになりますのは、やはり用地といたしましても十分な立地性を持つだけのものが準備できない状態で終閉山が起こった。何はともあれ企業を誘致しなきゃいかぬという状況で行なわれたことに原因があるわけでございまして、いま御指摘のように、男子成年労働者がしかるべき賃金の雇用の道をつくるための企業誘致ということを考えろということに相なりますと、そういう雇い主の来てもらえそうな条件づくりというものをまずしなければなかなか話だけでは出てこれないということがございまして、先ほど申しました田川の中央団地もそうでございますけれども、ある意味において大型団地というものの建設に取りかかろうということをここ数年来一生懸命考えておりますのは、そういった男子成年労働者を雇用するような本格的な企業というもの、これには一つの大きな企業を中核として持って来て、それに関連産業、関連企業を配置するというような形を実現するためには、それ相応の大規模なる工場団地が要るわけでございまして、先ほど申しましたように、道路網、工業用水といった各般の関連条件が整備されつつある現状におきまして、いま大規模団地、大型団地を考えてもできる可能性というものがここ数年来ようやく出かかってきたというところでございますが、いま御指摘のようなところを私どもは政策的な指向といたしまして、この方向にいま向かっておる一つのあらわれが田川中央団地等の検討がその一つになるわけでございまして、おっしゃるようなことを志しておりますから、またそれに必要な関連公共事業、事業団についていえば大型団地というものを考えつつあるということでございまして、御指摘の点にいま鋭意努力しておる状況でございます。
#102
○須藤五郎君 その団地をつくる必要があれば、りっぱな企業を誘致するために団地をつくる必要があるならばそれはつくるでいいでしょうけれども、しかしその費用を閉山で疲弊した地方財政しか持っていないその地方自治体にそういうものをおっかぶせるということは、これはますます私は地方財政を困難にするということになるのですから、そういう点をもっと国が金を投入して、そうして国の力でそういうことをやっていくという方向に持っていかないと、企業は来たが、地方財政はもう非常に困難におちいってしまうというのが私は今日までの姿だと思う。それで、またこれからの方針もそういうことではなかろうかと思うのです。それでは皆さんが産炭地振興振興とおっしゃっても、実際に産炭地の振興にはならないのだと、そこに工場は来たが、安い賃金で働かされて何の役にも立たないことになってしまうのじゃないか、こういうことだと思うのです。だからその点を政府はよほど考慮して産炭地の振興というものが実績のあがるように、実効のあるような方法でぜひやっていかないと、産炭地振興にならないのではないか、こういうことをまあ私は言っておるのです。
 それからもう少し質問したいと思いますが、これはもう資料で私一々質問するのはやめますから、資料で出していただきたいんです。この炭住の問題ですが、これは福岡県だけに限って御質問申しますが、福岡県にどれだけの炭住が現在あるかということ、それからどれだけが今日使用されておるか、あき家がどれだけあるのか、それから炭鉱労働者が実際自分で持っておる持ち家がどれだけあるのか、また公営住宅になっておるものがどれだけあるのかというようなことを、資料でいいですからあとでいただきたいと思います。というのは、この間私たち石炭特別委員会から福岡へ調査に参りましたとき、たしか佐賀のどこかの自治体の方ではなかったかと思うんですが、りっぱな鉄筋コンクリートの炭住が建っておる。ところが、いま労働者がいなくてそれがあき家になっておる。これはもったいないから何かの形で一般市民が使えるようにしてもらえないだろうかという意見も出たと思うんです。そういう場合にそれはどうするか。確かにもったいないと思うんですが、それをどういうふうに措置をしようというふうに政府のほうでは考えていらっしゃるのか、これを聞きたいんです。
 それから私この間福岡へ調査に行ってまいりました。そうしたら、炭住の問題ではいろいろの要望が出たんです。固めて申しますが、閉山住宅を低家賃の公営化にしてもらいたい、こういう意見が一つ出ました。これに対する政府の意見も伺いたいんですね。それからもう一つは、閉山社宅を労働者から取り上げないで、やはり労働者に住まわしてもらいたい、こういう意見が一つ。それからそれと関連しまして、閉山社宅の居住権を保障してもらいたい、これも一つなんです。それとちょうど関連することですが、閉山して福岡なり佐賀市なり、都市に通勤のできるところにある炭住ですね、通勤の便のよいところにある炭住は、閉山になると炭鉱労働者をその炭住から追い出すというんですね。追い出しておいて、今度は別に不動産会社をつくりまして、そうしてこの不動産会社は高い料金でそれを他に貸すと、こういうんです。閉山の結果失業した労働者も働きに出なくちゃならぬが、働きに出るのに便利なところは締め出されてしまって、そうしてほかの不動産会社が高い家賃で貸すというようなことになる、こういうことでは困るという意見。だから、居住権を保障せいということです。それからもう一つ、炭住に従来あるところの集会所とか、おふろ屋というような付属設備をそのままにしてもらいたい、こういうことですね。
 それから、これは業者から出た声でありますが、誘致企業に対する減免措置ですね、と同じように残っておる企業にもこの減免措置をとってもらえないか、こういう要求。それからもう一つ申します。終閉山地に残った企業が、もう不動産の担保価値ががた落ちになって、あるところはゼロになってしまう。だから、そのあと担保物件としても無価値になってしまうというわけですね、評価額がゼロになってしまう。だから終閉山になっても評価額を従来どおりとして、ゼロになるようなそんなばかげたことがないように、前のとおりにしてもらえないか、こういうことが訴えられました。それに対しまして、政府のほうでどういうふうな考えを持っていらっしゃるか伺っておきたい。
#103
○政府委員(中川理一郎君) 先ほどお答えしましたように、建設省でいま福岡県の炭住関連の調査をやっておりまして、本年度事業でございますから、既定どおりにいけば三月一ぱいでもってできるはずのものでございますけれども、若干あるいはおくれておるかもしれませんし、いますぐというわけにもまいりませんので、この調査の結果が出次第、本委員会にお届けするということでひとつ御了承いただきたいと思います。
 それから閉山後の炭住の処理についていろいろ例をあげてこまかい質問があったわけでございますが、大筋のことを申しますと、炭鉱労働者が居住しておりました住宅というのも炭鉱の所有のものである場合が多いわけでございますし、しかも炭鉱の資産ということで、従来閉山までに至ったような会社と申しますのは大きな借り入れをいたしておりますので、大体銀行等の借り入れの担保になっている場合が多いわけでございます。したがって閉山後債務処理の過程で抵当権の行使ということによる売却等の処分の対象となるのがたてまえでございます。この辺の問題が一つございますので、これらの法律的観点だけからいきますというと、場合によっては現実に労働者が居住しておるそこを出て行きますにも、すぐ出て行くというわけにもいかぬ、場合によってはそこから周辺の都市に通勤をして職を得ているという場合もございますので、これらいろいろなケースがございます場合、可能な限り必要であれば払い下げという形で労働者の所有にしてもらって、抵当権等の関係をきれいにする等、具体的なケースに即した適切な措置がとられるように、私どもとしても閉山等がございますと、どっちみちあと始末につきましては、いろいろと相談を受け、指導をしなければならぬ場合が多いわけでございますので、極力行政指導によって処理をいたしたいと思っております。ただ、閉山後の炭住地帯も含めまして、旧鉱業施設の土地を利用して、先ほど来話題にのぼっておりましたような企業誘致のための土地づくりをやるというようなこともございます。そういった場合、大きな構想と個々の労働者の利害というものは必ずしも一致しない場合もございますので、なるべくならば、やっぱり話し合い、納得づくで一番妥当な答えを出すというのが適当な処理であろうと思っておるわけでございます。なお、そういった場合に相なるべくは地方自治体等の公共団体にこの財産を買い取ってもらうというようなことが望ましいという場合が現実にもございますし、やった場合もございます。これら一律に必ずそうするというようなことにするまでには、先ほど申しました抵当権との関係でむずかしい場合もございますが、必要によりましてはできるだけ指導によりまして具体的な解決をはかりたいと思っております。
 なお、こういった住宅を公営住宅にすることのほかに、最後に申し述べられました共同浴場だとか、集会所だとかいう問題の利用をそのまま続けさせてもらいたいという希望もあろうかと思いますが、これも同様に借り入れの担保となっているケースが多いわけでございますので、その点からは必ずしも御期待どおりのようなことになるということは容易ではないと思います。しかし、これらも一応比較的妥当な価格で自治体等に買い取ってもらって、そういうことが続けられ得るかどうかということは、地元の状況によりまして当該市町村等とも話し合った上で、できるだけ全体の利益になるような形で解決をいたしたいと思っております。ただ、くどいようでございますけれども、担保権の実行を制限するということは法制上不可能でございますので、不当な行使が行なわれないように関係者の配慮と協力を求めて、実際問題として解決をしていくということが残された道だろうと思います。
#104
○須藤五郎君 まだ質問ありますけど、もう時間もきていますから、きょうは打ち切りますが、局長、これまで一千万円の担保価値のある店を持っておるとすると、そうすると、閉山になってしまうと、もう担保価値がなくなってしまうのですね、ほとんどなくなってしまうのです。その場合に何とかその人たちのために尽くす手はないか、こういうことなんです、私の言っているのは。
#105
○政府委員(中川理一郎君) わかりました。ちょっと質問の意味をとりかねておったわけでございますが、炭鉱がなくなった場合に、炭鉱に依存しておった中小企業者等の財産価値が総体的に下落をして、金融を受けようというような場合等に銀行側から見ると、たいした値打ちのあるものだとは認められないということで、貸ししぶるという事態の御懸念であろうかと思うわけでありますが、これにつきましては、中小企業金融公庫、国民金融公庫等におきましては、特別融資制度を設けまして、炭鉱の終閉山に伴って移転、転業を余儀なくされるとか、あるいはなかなか経営が苦しいという場合の特別制度といたしまして、災害貸し付け並みの百万円まで六・五%の利率である。担保の徴求についても、支障のない限り代理店の裁量によって無担保貸し付けができるという道を開いております。また、国民金融公庫におきましても、三百万円までは原則無担保で運用するということにいたしておりますので、産炭地貸し付けのような融資貸し金には、この制度を積極的に活用していただきたいし、またしてもらえるように私どももできるだけ指導いたしたいと思います。
 なお、本委員会にお願いをいたしております信用保険の特例法の改正につきましても、同様な趣旨でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
#106
○須藤五郎君 最後に、局長さん、そのことは私はこの次の委員会で、法案審議のときにやったらいいことだと思うんですが、その場合もやっぱり担保が要るわけなんですね。そうすると、担保価値がずっと落ちちゃった場合に、はたしてそういう中で担保価値の非常に低いもので金が借りられるかどうかというようなことが起こってくるわけです。だから、担保価値を、価格評価を下げないでほしいというのが現地の人たちの考え方なんです。それはまたあらためてこの法案審議のときに御意見を伺いましょう。
#107
○委員長(阿具根登君) 本件についての調査は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後四時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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