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#1
第061回国会 決算委員会 第4号
昭和四十四年四月十六日(水曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     上林繁次郎君     藤原 房雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村禧八郎君
    理 事
                温水 三郎君
                前田佳都男君
                高山 恒雄君
    委 員
                長田 裕二君
                亀井 善彰君
                熊谷太三郎君
                黒木 利克君
                今  春聴君
                佐田 一郎君
                佐藤  隆君
                菅野 儀作君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                二木 謙吾君
                矢野  登君
                若林 正武君
                大森 創造君
                林  虎雄君
                矢山 有作君
                和田 静夫君
                藤原 房雄君
                渡辺  武君
   政府委員
       警察庁刑事局長  内海  倫君
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       厚生省公衆衛生
       局長       村中 俊明君
       中小企業庁次長  新田 庚一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       田代 一正君
       大蔵省主計局主
       計官       辻  敬一君
       会計検査院事務
       総局第五局長   小熊 孝次君
   参考人
       商工組合中央金
       庫理事      阿部 久一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十二
 年度政府関係機関決算書(内閣提出)
○昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(内閣提出)
○昭和四十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(木村禧八郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 この際、参考人の出席要求に関しおはかりいたします。
 昭和四十二年度決算外二件の審査のため、労働問題について、参考人として川岸工業株式会社社長工藤栄君、元仙台工作株式会社労働組合委員長砂子俊雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(木村禧八郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席を求める日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(木村禧八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(木村禧八郎君) 昭和四十二年度決算外二件を議題とし、前回に引き続き総括質疑を行ないます。
 御質疑のある方は、順次御発言願います。
#6
○大森創造君 前回の委員会で申し上げたように、稲村建設が東豊産業協同組合というトンネル組合を――そういう協同組合をつくって、そして政府関係の金融機関である商工中金から不当な融資を受けたということを申し上げましたけれども、この前の結論は、私の言うていることがうそかほんとうか、商工中金の阿部理事がお答えになっておることが是か非かということで今日になっておるわけでございます。この前の委員会の経過からして、きょうの委員会ではいやでもおうでも、このことに触れざるを得ないという立場になります。また、商工中金は答えざるを得ないという立場に置かれているだろうと思います。
 そこで、阿部理事のほうから格別のお計らいで二十三枚の手形の用紙が私のほうに届けられました。これを検討されましたか、商工中金は。検討された結果どういうことになりましたか。
#7
○参考人(阿部久一君) これは、前回お答え申し上げましたように、私ども貸し出しの際におきましては、一部は現地調査いたしました。他につきましては、取引銀行に紹介いたして融資を実施したわけでありますが、前回十日の決算委員会で先生のお話がございましたので、さっそくリコピーを持参いたしました。それ以後ざらに私ども債権回収に鋭意努力いたしまして、前回お答えいたしました以外にさらに具体的な回収の新局がはかられましたが、この割り引きました手形につきましては、私ども意外とするような先生のお話が前回ございました。それが事実とするならば重大な問題だと思いますし、回収努力とあわせまして、私どももこの内容自体につきましては商業手形と存じておりますが、万一そうでないようなことでは困りますので、私ども本件につきましては何らかの方法で調べる必要があろう、こういう相談をいたしております。
#8
○大森創造君 どうも後段のほうがちょっと聞こえなかったのですけれども、この二十三枚の手形をお調べになって、そしてどうなんですか、いまのお答えになったことをちょっと聞き漏らしましたけれども、不正手形、にせ手形というものが発見できたということですか。
#9
○参考人(阿部久一君) いま申し上げましたのは、にせとかそういうものが発見できたということではございません。
#10
○大森創造君 どういうことですか。
#11
○参考人(阿部久一君) この前、商業手形でないのでないかという心配が大きいというお話、それから念書等の先生のお話もございました。私ども初めてお伺いして、もしそういうことでありますなら、これは取引の実態に沿わない、商業手形でないということになりますと、お話のような融手というような問題につながりますので、そういう意味で申し上げたのでございます。
#12
○大森創造君 そのお調べになった結果、どういうことになったのですか。これは不正の手形でない、あるいはにせ手形ではないというふうな、商工中金としては結論に相なったのですか。
#13
○参考人(阿部久一君) この間さっそくリコピーをお届けしました。決算委員会の当日でございましたか、私どもこれがにせとか不正な手形であるというようには考えておりません、現在も。ただ取引の実態に沿わない手形、つまり融手でないかという点のお話がございまして、その点につきましては、もしそういうことがありますと私ども困りますので、その点につきましては現在は鋭意回収のほうに、債権保全のほうに全力を尽くしておりますが、あわせましてそういう点につきましても、私ども重要なことでありますので、調べなければならない、こう思っております。
#14
○大森創造君 私は、相当断書的に、この前委員会で言ったのですよ。これはにせである、偽造である、判こは市販のものであって云々ということを――相当思い切った発言をしておりますので、そうすると、商工中金としては、そういうことを初めて――公式の委員会の場所で私の口を通じて初めて聞いたのであれば、驚いて、さっそく私が言うごとく、にせであるか偽造であるかということを確認しなければいかぬと思うのです。いまのお答えだというと、回収の努力をすると同時に、まあ私の言うたことについても調査をしてみよう、そういう商業手形でない融手などはないはずだし、まして偽造やにせはないはずだというようなお答えのように聞こえますけれども、どうなんでしょう。
#15
○参考人(阿部久一君) ただいまそういうことがあるかどうか調べる必要がある、こう考えて申し上げました。具体的にもう少し申し上げますと、やり方としましては、組合に全裏書き人を招集いたしまして、そこでそういう事実関係を、組合も同席させまして調べる。まあ調べるといいますか、確認といいますか、そういう方法も講ずる必要があろう、こう思いまして、現にそういう準備をする必要がありますので、組合の事務局に話しております。さっそく、どういう方法が一番よろしいか、さらにもう少し考えたいと思います。そういうやり方も一つあろうと思いまして、あらかじめ組合のほうにもそれをはかっている次第でございます。
#16
○大森創造君 組合というのは東豊産業協同組合という意味ですか。
#17
○参考人(阿部久一君) そうでございます。
#18
○大森創造君 それで私は、まだやっていないでしょう、その第一手形裏書き人というものを招集して、私の言うたことがほんとうかうそかということの確認はまだしてなくて、いまからそういうことで調べるかもしれない、調べる必要があるであろうという程度のお答えなんですね。
#19
○参考人(阿部久一君) 本日までに全部済ませましてお答えできないのは残念でございまして、御趣旨に沿うような考えで調べる準備を進めていることは間違いございません。できるだけ早く一番いい方法でやりたいと思っておりますことを、はっきり申し上げさしていただきます。
#20
○大森創造君 私がこの質問を申し込んだのは約一ヵ月前ですよ。それから二回か三回流れたわけです、御承知のように。ですから商工中金やその他の御答弁側としてはずいぶん御準備あってしかるべきであろうと思うのです。この間の私の質問は十日ですよ。十日に、商工中金が驚くような事実を申し上げたのです。私の言うたのは融手である、商業手形ではない。ただの融手ではなくて、にせである、偽造であるというふうなことを断言的に申し上げたわけです。だから商工中金としては、そういう事実があってはたいへんだということで、裏書き人のところに電話をかけるくらいの労はとられてしかるべきだと思うのです。やっていないでしょう。
#21
○参考人(阿部久一君) そのほうはやっておりません。
#22
○大森創造君 現在までもやっていないのでしょう。
#23
○参考人(阿部久一君) はい。
#24
○大森創造君 あとから申し上げますが、私はどうも、にせである、偽造であるということがわかっていたのじゃなかろうかと思うのですよ。銀行局長お聞きください、それから警察の方にもお聞きいただきたいと思うのですが、私は常識では考えられないのです、この前申し上げたように。この委員会で私から言いがかりをつけられたようなものではなかろうか、公的金融機関として。電話ひとつかけたらわかるのですよ、この第一手形裏書き人のほうに。そういうこともやっておられなくて、いまから何日か後に、そういうことも一つの方法であるからやるかもしれない、やらないかもしれないというお答えでは、何だか私は心もとない。もっと厳然たる態度があってしかるべきだと思うのです。やれないのじゃないのかな、そういう確認を。そこで私のほうでは再三調べたのです。もうすでに調べました、商工中金にかわって。きょうは断言的に申し上げます。明らかににせ、偽造である。一つ申し上げます。ここに原本をあなたのほうはお持ちですか。私のほうにはそのコピー、全部照合いたしましたから原本と符合いたしております。これはあなたのほうのお手元にございますか、二十三枚の。これは持ってこなければいかぬですよ、水かけ論になりますから、前回の委員会と同様に。きょうは、私は十日にちょうだいしましたのを持ってまいりました。その原本は商工中金のほうにあるはずです。なかったら電話で取り寄せてください。
#25
○参考人(阿部久一君) それは間違いございません。
#26
○大森創造君 そこで申し上げます。まず手形番号Gの一〇一七四――抽象論じゃありません、私の申し上げることは具体的なことを出し上げます。手形番号Gの一〇一七四。それで稲村建設の振り出し手形番号が一六〇〇ということになっております。額面が三百五十万円。振り出し日が四十三年の七月二十日。これはこの裏を返してみますと、足立区千住橋戸町五十六番地小野守商店小野寺正夫と書いてありまして、小野寺という判が押してございます。この小野寺氏に私のほうから照会してみたのです。この手形は全く知らないということです。これは日をあらためて商工中金で小野寺氏を呼んでも同様の答えが返ってくるだろうと思います。全く知らない。それでこのゴム印ですが、このゴム印は、ほんとうのゴム印はこれだということで私の手元に出してくれました。全然違うわけです。これはあとでお見せいたします。ほんとうの小野寺商店の印はこれだということで、私の手元に出されました。それから絶対にペン書きなどはいたさないということを申しております。まあ常識でしょう、銀行局長。これは手形ですからね。これは銀行局長、警察の方も御存じだと思いますが、常識ですよ。第一、手形裏書き人がペン書きをするはずがない。あるかもわかりませんが、私は寡聞にして聞いたことがございません。これはペン書きです。そこで判は、私のところの判ではございません。私のところで使用する判は、こういう判であるということで私の手元に出しております。そこで小野寺氏はさらに私文書偽造で告訴する覚悟だということを言っております。これはインチキの印鑑に違いございません、私のほうで調べたところ。どうも似たような判こが幾つかございますので、調べてみたところが、これは駅の売店で売っている二百円の判こです。それと同形、同質の判こです。あとでお見せします。これがいまのGの一〇一七四という手形です。それから次に、手形番号がGの一〇三八二、それからGの一〇三八八という手形用紙です。手形用紙を見ますというと、Gの一〇三八二のほうは金額が八十万円、振り出しHが四十三年の七月十日。それからGの一〇三八八のほうは振り出し日が七月十日となっておりますけれども、この二つの手形用紙とも裏書きはペン書きです。先ほど申し上げたとおり、普通の常識では考えられません。ペン書きの第一裏書き人のものはほとんどないでしょう。裏書きに使用の印は、先ほどの小野寺氏の場合と同じ市販の二百円くらいの印鑑です。同形同質のものです。二百円、これは保証の限りではありません。これは少し値上がりして二言二十円か三十円になっているかもしれません。とにかくそういう市販の印鑑には間違いない。そこで、ごていねいにもGの一〇三八二の裏書き人山岸幸人ですね、この印鑑の筆跡の実物はこうだと言うて、このゴム印と印鑑を私のところに届けてくれました。まるきり違うのです。それから署名の筆跡も全然違います。よって、これはにせものです。これはもう一〇〇%にせものです。それからさらに、一つ二つではわかりませんから、今度は手形番号Jの二二六七〇――Gでありません、Jです。それは株式会社富士鉄筋工業、額面三百万円、振り出し日が四十三年の七月七日と書いてあるかな、これは前回の委員会で私のほうで申し上げました念書の入っているもので、これはもう確実なるにせだということです。その念書をもう一回申し上げます。こういうことですよ。いま申し上げた手形は、こういういきさつ――四十三年の十二月十八日に稲村建設の田辺経理部長が――田辺作次と申しますが――前回の委員会ではA下請会社社長に出した念書がある、その要旨は云々ということを申し上げましたけれども、きょうははっきりいたしました。この三百万円のものはこれなんです、これに該当するものです。このA社というのは、したがって株式会社富士鉄筋工業です。その念書は、すなわち、支払い期限四十三年十一月三一日――これは符号しております。――額面三百万円の稲村建設振り出しの手形は、東豊産業協同組合が商工中金に保証手形として出したもので、その第一裏書き人となっているA社は――富士鉄筋工業は裏書きずることを承知していないことを、私田辺は知っている。このことについて富士鉄筋工業は全くあずかり知りませんよということを、振り出し人の稲村建設の経理部長がそういう念書を入れておるわけです。これは私の調査よりも確実ですね、こういう念書が入っておりますから。商工中金がいまからお調べになることよりも確実ですね。振り出し人のほうが、これはインチキでございますということをちゃんと念書として入れておりますから。この裏書きの件については、私が稲村建設の命令でやったことでございます。裏書きに使われたゴム印は稲村建設の社員である磯野功――具体的に名前もあげてございますが、富士鉄筋工業に行って、山本という事務員より借りてかってに捺印したもので、代表印は市販のものを使用したのだから富士鉄筋工業には裏書きの責任はない。また期限四十三年十二月三十一日、額面二百八十万円の手形は――これはここにはございませんが、同様の方法でつくったが、使用しなかったので返した、という念書らしきものが入っている。そういうことなんです。この後段の二百八十万円の手形は、三百万円の手形と同様に使用しようと思ったのですけれども、このことを知った富士鉄筋工業の社長が、驚いて組合に行って追及して、田辺氏から返却してもらったといういきさつです。しかし三百万円の手形のほうは明らかに商工中金のほうで割られている。これは商に中金が調べるよりも、それから私が調べるよりも一そう確実だと思うのです。銀行局長、それから警察のほうも、ひとつよくお聞きいただきたいと思うのですが、これはそのいわくつきのものがいまの三百万円の手形です。そこでさらに、いまの手形について言えば、富士鉄筋の社長が非常に怒ったので、田辺がいたしかたなく念書を入れたということで、印鑑は市販のものを使用している。このことは私のほうの調査でもそうだし、念書にもそのとおり書いてございます。だから、これはにせに違いない。さらに手形番号、Gの一三六七三、宮崎工業株式会社、金額六十万円。これは、裏書き人は東京都江東区南砂・宮崎工業株式会社取締役社長宮崎英古とございますけれども、この宮崎氏の判こと、ここに押してあるあなたのほうでお持ちのこの判こと、それからいま申し上げました三百万円の富士鉄筋の岡野という判こと同形同質のものです。これもにせ印鑑です。
 それから次に、手形番号Gの一〇三七六。芳村商会、金額百五十万円、振り出し日七月二十五日。この手形の振り出し人は――この手形は四十三年七月二十五日振り出し、裏書き日はといいますと――あの、商工中金のほうで原本を見ておりますか、どなたかチェックしておりますか。
#27
○参考人(阿部久一君) いま向こうへ連絡させましたが、それはあのとき一緒に照合しておりますから。
#28
○大森創造君 そこで照合しながらのほうがいいと思ったのですけれども……。
#29
○参考人(阿部久一君) リストだけ持って来まして……。
#30
○大森創造君 そこで四十三年の八月三十一日、これが裏書き日ですね。ところが受け取り人、つまり裏書き人の芳村信次という人は、それよりずっと前――四十三年の二月九日に、すでに横浜市の金沢区平潟町八十五番地に転出しております。しかもこの裏書き番地東京都板橋区東山町三十三番地芳村商会芳村信次、この裏書き番地には前から芳村町会というものはないわけです。つまり幽霊会社に対してこの手形を振り出したということです。手形の割り引き日から比較しますと、半年くらい前に芳村信次なる人は横浜のほうに移転してしまったということです。こういうことは普通、銀行局長、考えられないでしょう。どうでしょう。そのことだけひとつお伺いしますが、一言でけっこうです。
#31
○説明員(田代一正君) ただいまおっしゃったように、裏書きをした日以前に、半年前に住所が変更になっておるというような場合、昔の住所が裏書きの場合の住所になっておるという場合はないだろうと思います。
#32
○大森創造君 ないですか。それは銀行局長、専門家ですから、ないだろうと思います――ほとんどないですよ、これは。しかも芳村商会なるものは、全然前から存在しないのです。よってこれは幽霊会社。これは一つや二つでは、私のほうで一方的に申し上げるととられますから、少し丁寧に申し上げます。
 その次、手形番号F一九五七O、これは裏口入学より悪いですからね。日大の裏口入学より悪い。これはまずいと思うのですよ。手形番号F一九五七〇は山田建設工業株式会社、金額八十万円、振り出し日が四十三年五月二十五日、これはいま申し上げたやっと同様なんです。同様なのは、これとそれからこれ――手形番号F一九五六七、山田建設工業株式会社、金額二百十万円、これと同じ手口ですね。これは振り出し日が五月二十五日でございますが、それよりも一カ月以上前の昭和四十三年四月十九日に杉並区の成宗というところに転出済みです。したがってこの裏書き地に住所はございません。これはどちらの手形も同様です。
 もう終わりますが、もう一つ、手形番号F一九五六六、稲美装脇村彰三殿と書いてあります。全額が百四十八万円、振り出し日が四十三年五日二十五日。これは裏書き人は稻美装、東京都中央区日本橋茅場町ということで稲美装脇村彰三とぺン書きです。これもペン書きです。裏書きの印に、当初会社の判こを押したのですけれども、伊筆で消したあとがございます。この会社の判こをなぜ消したかといいますと、法人登記がなくて実体がないわけです、稻美装というものは。そこで気がとがめて、この判を押してみたけれども、途中で鉛筆か何かで消したのでしょう。こういう心理的経過をたどっております。これは一〇〇%断言できませんけれども、大体それに違いない。犯罪人の心理というものにはよくこういうことがあるものです。実体がないわけです。それで判こを今度は押し直した。脇村という判こは、しばしば申し上げた二百円の市販の口です。さらに調査してみますと、脇村彰三という人は稻村ビルの掃除人なんです。掃除をする人です。この人がこういう手形の裏書きをするはずはないのです。よって、総合してみて、これもにせ。
 それから、もう一つで終わります。手形番号F一九五六三、丸菱産業有限会社、金額百四十万円、振り出し日・四十三年五月二十五日。この受け取り人のほうは丸菱産業有限会社というりっぱな会社でございます。ただし社長は全然知っておりません。これは電話をかけられたらわかります。石田忠吉という取締役社長は、このことには全然あずかり知らないということを言っております。東豊産業協同組合の藤井強平監事が社長の留守のときに来て、決して迷惑をかけないからということで、社長の娘が判を押したのです。社長は非常におこっております、現在でも。しかし、おこっても何でも娘がかってにおやじの判を押したのですから、この罪は免れない。こういういきさつになっておりまして、まあこれは一部です。どうでしょう、いままで私のほうで物証をもって――この物証は私のほうでつくったものではございません。あの十日の日に――私が質問したその口に、阿部さんのほうからお持ちいただいた原本とその写し。原木に符号しているこの写しですから、原木そのものです。そのことを――いままでずっと申し上げましたことについて銀行局長、ひとつあとでお見せします――あとでなくて、いま。これは警察のほうへ回してください。これはひとつ、私がいま申し上げたようなことを確かめて、それを一べつされまして、銀行局長それから警察の方にお答えいただきたいと思う。私は一〇〇%にせである、偽造手形であるということを断言します、きょうは。この前は非常にデリケートでございましたから、何と言いましたかな、ほとんど断定的に申し上げますとか何とか言って、あとで懲罰にならないように配慮したことばを使っておりますが、きょうは一〇〇%偽造である、にせであると断言します。いま私が例示しました手形については絶対ににせである、偽造である。私のほうがにせだとか偽造印鑑だなどというのはわりあい実跡がございますから、絶対にこれは偽造である、にせであるということを断言します。銀行局長と警察のほうでそれをごらんになって、私よりも専門ですから、そして私の説明を考慮の中に入れてお答えいただきたいと思う。
#33
○説明員(田代一正君) ただいま長々と大森委員からお話がございました。私もちょっと見た感じでございまして、なお商工中金で調べていただかないとはっきりとはわからないという気がいたしますけれども、かりに大森先生のおっしゃったとおりであるといたしましたならば、多分に偽造手形と申しますか――という色彩があるんじゃなかろうかという感じがいたします。
#34
○大森創造君 警察のほう、どうですか。――時間をかけてごらんください。
 そこで、商工中金にお尋ねしますけれども、これは不注意でやったんでしょうかね。私は常識で考えられないのです。そこで、割引手形の一覧表をつくってみますというと、割引日が四十三年六月十五日にF一九五六〇から始まって、ずっとランニングになっておりますね。六三、六四、大工、六六、六七、六八、六九――一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二枚、四十三年の六月十五日にずっと一括して割っております。その手形の金額の合計が一千七百六万円になっております。同じ日にこれだけの、十二枚の手形を割っているのですよ。しかも振り出し人は全部稲村建設です。そして私がいまるる御説明申し上げたような事情があるんですから、これに気づかれないということは銀行局長、あなたの監督下にある商工中金――政府関係の金融機関の練達な銀行マンとしてこんなことが――一枚、二枚ならわかるのですよ、なかなか識別しがたいという話は私も聞いておりますが、しかし割引日が、十二枚一日に割っておるというふうなこと、あれやらこれやら考え合わせてみて、どうでしょう。これは、振り出し人は稲村建設ばかり。私よりもずっとベテランでしょう、阿部さんは。ぼくは全然このいきさつについてはお知りにならないと思うのですが、どうでしょう銀行局長、これは考えられますか。私は考えられない。
#35
○説明員(田代一正君) その前に先生に一言ちょっと申し上げたいと思うのですけれども、私も昔商工中金の監理官ということをやったことがございますけれども、いまの商工中金と申しますのは御案内のとおり昭和十一年に当時の中小企業対策ということで一番大きな柱でできた金融機関でありまして、中小金融機関、中小金融をやるについては組合を通じて金融するのが最も望ましいという理論構成のもとにできました金融機関でございます。したがって、組合というものをやはり信頼してかかると申しますか、そういった角度がございます。さらばといって、決してノーマルな銀行業務的な配慮が欠けてはいかぬと思いますけれども、多分にそういった考え方もあるかと思います。そういう点も一つあるかと思います。
 それからもう一つは、大蔵省どうしているというお話だったんですけれども、大蔵省は一般的な監督はいたしますけれども、個々の貸し付けとか、あるいは預金の吸収につきまして手取り足取りという監督は一切いたしておりませんので、その点は御了解いただきたいと思います。
#36
○大森創造君 わかります、それは。商工中金お答えいただきたい。
#37
○参考人(阿部久一君) 本件につきましては、組合の転貸でございまして、組合は金融事業としまして数の多い、大口の少ない、小口の多い多数転貸でございます。しかも本件につきましては割引による貸し付けでございまして、この場合には割引手形が転々として裏書き譲渡されるわけでありますが、私どもが転貸でやっておりますのは、組合に譲渡、最終裏書き人は組合になりまして、多数の下請が一々金融機関に参りませんで、一括して組合が共同の金融事業としまして転貸を行ない、一括して組合が最終の裏書き人になりまして商工中金に手続が進みます。この場合に、私どもといたしましては、最終裏書き人になります協同組合の印鑑、もちろん住所その他は確認いたしますが、そのほかのいまの下請の方たちの印鑑、住所等につきましては組合がそれを確認する。こういう形で運用の通達もきまっておりますし、そういう関係でやっております。それで非常に全国数多くこういう融資が数千億行なわれておりますが、幸いにしてこのような事態は少ないわけでもりますが、残念ながら本件はこういう状況でございまして、まことに申しわけないと存じております。
#38
○大森創造君 銀行局のほうのお答えも、それからいまの商工中金の阿部理事のお答えも、私はよくわかります。しかしわかっても、具体的な私の問題についての御回答にならないと思うんですよ。そういう御回答といいますか、一般論はよくわかりますけれども、しかし、この間、十日と、本日私が提起しているこの問題についてのお答えになってはいないと思います。これ、にせなんですよ、偽造なんですよ。これについて商工中金のほうは気がつかなくて、こういうことにならしてしまったということも一般的にはわかるような気がいたします。それは理解するのにやぶさかではございません、私も。しかし、どうかなという気は依然としてする。ちょっと信用できないなという感じがするんですよ。天下の商工中金、政府関係の金融機関だからこういうことができるんだなという想像もされるし、これが一般の人ならこんなことは絶対チェックされるだろう。お偉い人だから、やっぱり裏口入学同様にこういうことが黙認されたのではなかろうかというふうに私は想像する。というのは債権保全の方途はあんまりやっておりませんよ、銀行局長、商二中金はいままで。稲村建設は不渡り事故を起こして去年の九日十日に倒産をした。前回の委員会で申し上げましたように、東豊産業協同組合というのはインチキな組合ですから、これは、ためにせんがための組合屋がでっち上げた組合ですから、銀行局のほうでお答えのように、商工中金という金融機関を使うためには協同組合というものをつくって、そしてその名目で金を借りたほうがよろしいという計算ずくで、初めから行なわれたことですから。そうすると、稲村建設のほうが不渡り事故を起こして九月十日に倒産をするというと、それと前後してほとんど同じく機能停止です、東豊産業協同組合というものは。理事長は稲村建設の社長と同一人物です。稲村建設の経理部長の田辺という人が東豊産業協同組合の監事をやっている。その他の役職は要所要所全部稲村建設の人が役員になっている。事務所は稲村氏が社長であった稲村建設の下請会社の秋島建設というところの、これは倒産しましたけれども、その事務所を無償で組合のほうに提供している。出資金も増額して、その出資金はあるんですか、ないんですか――おそらくなかろうと私は思うんです。そういう出資金について、債権者である商工中金のほうは差し押えでもいたしましたか。これは差し押えていないと思うんですよ、私は。
 それから、稲村建設の本社ビルに対して東豊産業協同組合の理事長の稲村氏が、稲村建設の本社ビルを七千万円去年の七月二十日に金を貸したということにして――実際は、私は金は貸していないと思います。というのは、東豊産業協同組合に銀行はそういう多額の融資をしておりませんから、七千万円というふうな、そういう資金の融通をしている、そういう状況になかったということです。それから東豊産業協同組合の定款第二十九条によっても二百五十万円以上は貸せない、個人には貸せないということになっているのに、七千万円貸したということにして、そして稲村左近四郎が社長である稲村建設の本社ビルを、東豊産業協同組合の理事長である稲村左近四郎が差し押えして、そのための仮登記をしておる。いわくつきのものについて手形が何十枚も右から左に――幾らお忙しいとはいえ、気がつかないという事情はなかなか私はどうもふに落ちない。銀行局の方は、この前の委員会と、きょうの委員会の私の発言というものをよくお調べになって、そしてそういう物証をお調べになった上での、あと何日かたってからの発言ならば、きっと私の言ったことを全面的に肯定されると思いますが、どうも私は債権保全の措置を十分にとっておらなかったと思う。手形裏書きについても電話連絡などもしない。普通こういう融手とか手形については、私のほうでにせだ、偽造だという前に、これは、ためつすがめつながめるのが普通だそうです。そうでないと、あぶないでしょう。そこで、きょうの委員会では――この前はほとんど断言的ににせである、偽造であるということを申し上げましたが、私がいまお手元に差し上げましたこのものについては、はっきりにせ、偽造であると思います。思うのでなく、にせと偽造そのものだ。そこで百歩を譲って、商工中金のほうはミスである、ケアレスであるということならば、もう少し天下の金融機関としてしっかり業務をやってもらいたいということを私は要望したいと思います。こんなことをやられたら、たまったものじゃないですよ。こんなことをやられたら、たまったものじゃないですから、よほど注意してもらわなければならぬ。そうでしょう、銀行局長。いかにも何というかな、こういう数字をあげて、手形番号のややこしいのを私はずっと申し上げましたが、こんなことが白昼公然と行なわれたら、これはえらいことですよ。裏口入学をあっせんして、今度は金融機関のほうに行ってこういうことをやったら、ばかでもちょんでも当選しますよ、こんなことなら。私のほうでもこんな会社をつくろうかという話をしているんですよ、いま。もっと信用のある会社、それでばんすかばんすか間違ってもらったら、選挙費用くらいすぐ出ちまいますよ。
 そこで、どうなんですか。私はにせ、偽造と断言するので、こういう事例がほかにもありはせぬかという感じがするんですよ。銀行局のほうで、ひとつまあこういう類似のことがありはせぬかという角度から、一定期間を限って、ひとつ商工中金の監査をされたらどうでしょう、私は提案します、いかがでしょう。
#39
○説明員(田代一正君) ただいまいろいろと大森委員から御質問がございました。実はさっきも私が申し上げたと思いますが、商工組合中央金庫は金融機関でございますけれども、同時に政策目的を持った金融機関であるという二枚の目的を持った機関でございます。したがってそれだけに、普通の銀行業務と完全に同じでは必ずしもないと思います。その辺のかね合いということが非常に私はむずかしい問題だと思います。そういった接点の一つの問題として、今回お取り上げになった問題かと思います。私どもといたしましても、先ほど来いろいろなお話を伺っておりますというと、やはり若干商工中金にも、ミスがあったのではなかろうか、不注意があったのじゃなかろうかという感じがしないわけではございません。今後とも商工中金につきましては、そういうことのないように十分指導してまいりたいというぐあいに考えております。
#40
○大森創造君 ことばじりをつかまえるわけじゃありませんけれども、政策的に云々ということですが、政策的にどうあれ、こういう偽造手形はいけませんね。私は八つ当たりじゃありませんが、えらそうな抽象論ばかり言ってもはじまらないと思うのですね、こんなことを言っていても。もっとも原資について二〇%くらい政府から手当てをしているのですからね、商工中金について。そこで偽造、にせというものが相当枚数あるということになれば、いままで累積したいろいろな操作の手形というものの中にも、具体的なロスはなかったけれども、いままでいかがわしい手形をずいぶん割ったであろうということは想像されるのです。これの社会的な影響、それから人に迷惑をかけたことははかり知れないものがあると思うのです。しっかりしてもらうということより以上に、何としても私は、これは私の頭の中では理解できない。そういうものでしょうかな。
 そこで、これはにせですから――私が例示しましたのは完全ににせ、インチキ、偽造ですからね。はっきり申し上げます。断定的に申し上げます。そうであったら、銀行局のほうと警察のほうにお伺いしますけれども、どういう罪名に該当しますか。
#41
○政府委員(内海倫君) ただいま詳細大森委員の御説明を承りました。これは捜査当局という立場からこの問題がいわゆる刑法の規定に該当するものであるかどうかということを断定するためには、責任ある捜査当局においてこれを十分に捜査し、その関係者を取り調べて、その結論として犯罪の容疑ありという結論を出すわけでございますので、いま私そういう責任ある捜査当局という立場において、これについての意見を申し上げるということは差し控えたいと思います。
 しかしながら、ただいま言われました事柄を聞いておりますと、もし捜査当局がただいま言われたと同じ結論を導き出した結果におきましては、明らかに刑法第百六十二条有価証券の偽造、虚偽記入という規定に背反する行為、要するに有価証券偽造の罪というものに該当し、具体的にはお矛らくいまお話のありました点から言えば、虚偽記入というものが論ぜられるのではなかろうか、こういうふうに考えます。しかしながら先ほども申しましたように、厳密に捜査をいたしますれば、さらに他の罪名に触れるものもあるいは出てくるかもしれない。いまのお話の中で、あるいは印鑑の不正使用という問題もあります。あるいはその他の罪名に触れることもあるかもしれません。少なくとも百六十二条の規定に違反するということだけは、ただいまのお話において私ははっきり申し上げ得るものと、かように考えます。
 しかし、これは前段申し上げましたように、責任ある捜査当局という立場においてこういう問題を論ずるとすれば、それはその捜査当局において捜査を遂げた結果でなければ申し上げることのできないことでありますので、私がただいま大森委員のお話を承った範囲において、もしそれがそうであるならばという前提をもって申し上げました。
#42
○大森創造君 よくわかりました。そこで、いままでの問答の中から刑事局長とそれから銀行局の方、大体御理解いただけたかと思うのですけれども、私は私なりに調査をして、これはにせである、偽造であるということを断言して申し上げます。念書が入っているのですからね。偽造でありますよという念書が入っている。それから第一手形裏書き人は私のほうは知らないから、事と次第によっては告発をいたしましょうと、私文書偽造で。そういう社長の裏書き、これは第一手形裏書き人というか、そういう稲村さんの下請会社にこういうものが利用されたんですから何ら罪はございませんね。商工中金、警察の方、お伺いしますけれども、いわば被害者の立場にあるのですから非常に心配されているようですが、これは気の毒な立場の人ですわね、どうでしょう。
#43
○参考人(阿部久一君) ただいまお話しのような非常に詐欺にかかりましたとか、そういう事実がはっきりしてまいりますなら、私どものほうでも、つまり法的な要件が問題になりまして手形の裏書き自体の効力という問題になろうかと思いますが、具体的ケースがはっきりいたしませんと、その辺なかなか微妙な問題だろうと思います。いずれにしましても、そのような事実がありますなら、私どものほうはやはり振り出し人、それから組合としての共同のあれでありますので、組合の役員の保証をとっておりますので、保証というところを重点に考えなくちゃいかぬと、これは前から申し上げているとおりでございます。
#44
○大森創造君 非常に気の毒な立場にありますから――まあ裏書きの責任がないので被害者の立場にありますから、その点はひとつ今後の推移に伴ってどういうことになるかわかりませんが、これはひとつ御理解をいただきたいと思うのです。
 そこで、刑事局長、この手形そのものの問題ではございませんが、前回の委員会で私のほうで申し上げましたように、この件について中央区銀座束八丁目四番地所在の加州建材株式会社の代表者の森政雄という人から、本年の一月十二日に刑法二百四十七条の背任罪の容疑をもって警視庁の捜査二課に告発状が出ておりますし、それからさらにこの点は断言はできませんけれども、ほぼ確実なニュースとして私の耳に入っておるのは、暴力団が関係していて、にせだ、偽造だということを知っているので、それを材料にして、どうのこうのという非常に危険なうわさが流れておりますし、そのうわさを逆に裏返すというと、にせである、偽造であるというふうにも私は心証を固めます。どうもハイヤーの運転下なんかトラブルを起こしたという問題がございまして、やはり告発状が出ますと、警視庁のほうでもお調べになるようですけれども、こういう問題はストレートに犯罪ですからね、これはストレートに。しかも、いま申し上げましたような問題と違って次元が違いますわね。個人でなくて、社会的な影響――みんな金に苦しんでいる中小企業者はふんまんやる方ないと思うのですよ。私は断言している、これはにせだ、偽造だと。これはひとつ、警察のほうでも御考慮いただいてしかるべきだと思うのです。
 それから商工中金の阿部さんは、おそらく御存じないと思うのです。御存じないからすなおに、こういう資料を私のほうにお出し願えたのだろうと思うのですけれども、これが不注意でやった、ミスでやったということになればこれまた重大なので、大蔵省銀行局のほうでもそういうことであれば――ミスであればミスでは済まされないと思うのです、こんなことは。だから、さっき御提案申し上げましたけれども、しろうとの提案ですから、私、こういう一個人の。それからこの私が申し上げました数件の融資ということでありませんよ、これは。一つの例です。私の手元にはまいりませんが、おそらくこういうふうなことがあるであろうという広い見地から私は申し上げておるのであって、そういう意味でこの政府関係の金融機関の姿勢を正すという、そういう角度からひとつ銀行局、大蔵大臣と相談をされて、そして手を打たれてしかるべきだと思うのです。単にこれだけのものであろうか。私そうではないと思うのです。だからひとつ監視の目を光らして、それから監査するというふうな方法が何か専門家の銀行局のほうでおありだろうと思うから、その手を打っていただきたい。同時に商工中金のほうでは、阿部さんのお話よくわかりましたけれども、私は断言しているのですからね。そしてあなた自身も前回の委員会からこれは結果的に見ると不当融資であるということはお認めになっておるのですからね。そうでしょう。速記を見ますと不当融資であったということはお認めになっておりますから、これを不当融資でないなどと強弁されたら、これは常識外ですから。これは不当融資であるということは認めておられる。それからにせでないかと言うと、にせでないとは断言できないとお答えになったはずですね。そこで、きょうの委員会は終わりますけれども、これはにせですからね。一〇〇%にせ、偽造ですからね。そうすると、同工中金自体としてもどういう手段、方法をおとりになりますか。全くこれはミスであって、今度は一場の訓示を理事長から職員の方に賜わって、それでチョンになるということでは済まされないと思うのですよ。これは理事長その他の理事と御相談あって、そしてどういう具体的な措置をおとりになりますか、銀行局と、大蔵省と、どういうように。当事者である商工中金のほうにお答えを願いたいと思うのです。
#45
○参考人(阿部久一君) 私どもも部内で、先ほど申し上げましたように、結果として不良貸しつけになりまして、非常に御迷惑の事態になっておるわけでありまして、何とかこういうことが二度とないように防止する方法がないかということは、ずっと真剣に相談を繰り返しましたが、ずっとやりますと、またこの全体の、小口多数転貸という組合のやり方で非常にまた矛盾する面も出てまいりますので、実はきのう、きょうの委員会が決定になりまして、きょう実は、こういうことでひとつやりまして今後二度とないようにということを申し上げるような、何か具体的なことを申し上げたかったのでございますが、そういうことができないので恐縮に思いますが、今後さらに全体の関係も踏んまえ、しかもこういう具体的な事態が起きないような実際の方法を、主務省とも御相談しながら検討したいと、こう思っております。いずれにしましてもまことに申しわけない事態でありまして、心から恐縮しておりますし、したがって、具体的な対策をずっと検討しますと非常にむずかしい面が確かにたくさんございますので、いまここでこうだとか、すぐいつまでにということは、ちょっと恐縮でございますが、ひとつほんとうに真剣に検討に取り組んでまいりたいと思っております。
#46
○説明員(田代一正君) ただいま大森委員からいろいろ御指摘がございましたが、私どもといたしましても、これは通商産業省との共管の機関でもございますので、通商産業省とも十分相談し、かつまた商工中金とも相談いたしまして、そういったことが再び起こらないようにするには、どういうふうなことにしたらいいかというような角度で、至急検討したいと、こういうように考えております。
#47
○大森創造君 以上で終わりますけれども、私はこういう事例を打ち出して、個人的なことについて苦いがかりをつけるとか、そういう小さい次兄で取り上げているのではございません。申し上げるまでもなく、佐藤さん自身政治の姿勢ということをずっと就任以来言っておられるし、公的金融機関はもう少しちゃんとせにゃならぬ。ミスであっても、ミスがないようにするのが当然です。にせですから。そこで、そういう立場で私は申し上げているので、大蔵省、通産省、それから商工中金自体に適切な方法をとってもらうというと、この種の犯罪はきっと――自後、皆無になるとは言いません、まず皆無になるということはありゃせぬ、ただ相当減るでしょうね。物価は幾らやってもなかなか下がらぬようですから、こういうことだけでもせめてやってください。これはびしっと折り目をつけるというと、いま十あった不当融資がきっとここ二、三年のうちは五か三ぐらいになるかもしれません。またもとに返るかもしれませんけれどもね、あと五、六年したら。非常にそういう効果がございますから、これは折り目をぴしっと正してやっていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#48
○委員長(木村禧八郎君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#49
○委員長(木村禧八郎君) 速記をつけて。
#50
○渡辺武君 私は、いま鹿児島県、それから沖繩ですね、この辺を中心として日本全国に蔓延していると思われますフィラリア病についていろいろ伺いたいと思いますが、きょうは厚生大臣が衆議院の社会労働委員会に出席される都合でこちらには出られないということでありますので、大臣に対する質問はいずれ他の機会に譲りまして、まず最初に次のことを伺いたいと思うのです。
 厚生省は昭和三十七年からでしたか、国としてフィラリア予防対策に取り組んでおられるそうでありますけれども、このフィラリア病対策の従来の経過の要点でよろしゅうございますから、従来の経過の要点と、それから現状についてまず伺いたいと思います。
#51
○政府委員(村中俊明君) フィラリア症につきましては世界の相当広い範囲に現在浸潤があるわけでありまして、特に南方系熱帯、亜熱帯地区に主として多発している寄生虫病でございます。ただいま御指摘の昭和三十八年から始めました対策は、特に日本国内でも四国、九州、そういうふうなほぼ亜熱帯あるいは南方系に属する暖地に多発する疾病対策という形でとらえたわけでございまして、この対策の要点といたしましては、御承知のとおり蚊によって媒介される寄生虫症ということで、環境の対策が第一点、もう一点は患者の発見ということ、この二点に重点を置いて三十七年から実施をいたしております。対策を始めます当初には、患者と申しますか、フィラリアの虫を持っているいわゆる保虫率も相当高かったのでございますが、対策が進むにつれましてだんだんこれが減ってまいっております。ちょっと比率を申し上げますと、昭和三十七年度におきましては保有率が二・八%でございまして、逐次減ってまいりまして・昭和四十一年度におきましては一・八%、四十二年が一・二%というふうな保有率の状態に低下してまいりました。昭和四十四年度におきましても、患者発見のための虫の発現率の発見という点に重点を置きますと同時に、多発地区に対する媒介動物であります蚊の撲滅というふうな点に焦点をしぼりまして今年度も実施をいたしたいと考えておるわけでございます。
#52
○渡辺武君 三十七年度から――先ほど三十八年度と言われたけれども、七年度ですね、三十七年度から対策に乗り出された理由ですね、その経過を少し詳しく教えていただきたいと思います。
#53
○政府委員(村中俊明君) ただいま申し上げましたごとく、フィラリア症につきましては、従来も国内で発生するというふうな業者の発表が数々あったわけであります。特に熱帯病学の研究者が主として調査研究をいたしまして、浸淫地区に対してはやはり国の方針を打ち出して、相当強い対策を立てていく必要があるというふうな御意見もありまして、加えまして、虫卵の発見方法及び治療剤の開発というふうなことと相まちまして三十七年度から対策を始めたということでございます。
#54
○渡辺武君 伝染病予防法、それから寄生虫予防法との関係はどういうふうになっておりますか。
#55
○政府委員(村中俊明君) 御承知のとおりフィラリア症というのは、ただいま申し上げましたように寄生虫病の一種でございまして、ある時点ではこれが伝染病というふうに以前には考えられた時期もありましたけれども、現在ではこれは伝染病ということより寄生虫症というふうな考え方でございます。しかし御指摘のように、現在の寄生虫病予防法の中にフィラリアというのが対策としては入っておりませんので、先ほど来御説明申し上げておりますように、特別対策というふうな形で昭和三十七年度から国費を投じておるわけでございます。
#56
○渡辺武君 主務大臣の指定する野生虫病というのがございますが、あの中にも入っていないわけですか。また、学童寄生虫の中にも入っていないわけですか。
#57
○政府委員(村中俊明君) 患者の大部分は、数年ないし十数年あるいは数十年というふうな、感染したと思われる時期からたって発病するというふうな疾病の特徴もありますし、学童に対する特別のそういう寄生虫病の対策あるいは主務大臣の指定する疾病というふうな中にも現在入っておりません。
#58
○渡辺武君 フィラリア病という病気が、かなりいま、先ほどおっしゃったように熱帯、亜熱帯などを中心として全世界的に蔓延しておる病気だというふうにおっしゃったのですが、そういう重要な病気としてはちょっと扱いが怪過ぎるのじゃないかという感じがします。その問題はいずれあとでもう少し伺いたいと思うのですが、その前に、この寄生虫病予防対策の実施要領ですね、たとえば実施地域の選定をどんなふうにやっておられるか、あるいは集団検診法ですね、これをどんなふうな形でやられるのか、それから薬の投与の範囲ですね、これはどの範囲にやっておられるか、それらの点について伺いたいと思います。
#59
○政府委員(村中俊明君) 地域の選定につきましては、この対策を始めます当時、対策要綱をつくりまして、これによって県に指導を現在もいたしております。この要綱の中では、地域の選定にあたりまして県の知事が浸淫地区の判定をするにあたってはこん虫学者の専門家、こういう方々及び虫卵の保有を発見する、そういう専門家の方々による委員会を設置いたしまして、この委員会が調査をして浸淫地区というふうな判定をしたものについて対策を立てるというふうな地域の選定方法を三十七年以降とっております。なお、集団検診の方法といたしましては、いろいろ学者によって御意見があるようでございますが、現在対策要綱の中で、私どもが指導していっておりますのは、夜の九時以降、できればなるべくおそい時間に耳から血を取りまして、耳朶採血をいたしまして、これから標本をつくって顕微鏡で調べる、こういう形の検診の方法をとっております。なお、薬物の投与の対象につきましては、ただいま申し上げました集団検診の結果、血液の中に虫が発見されたものについて、ミクロフィラリアでありますが、発見されたものについて薬物の投与をするというふうな方法をとっております。
#60
○渡辺武君 昭和三十七年度の厚生省の出されたフィラリア予防対策要綱ですか、この資料きょう持ってきていただくようにお願いしてございましたけれども、お持ちいただいておりますでしょうか。
#61
○政府委員(村中俊明君) 私、手持ちで持っておりますが、後ほど差し上げたいと思います。
#62
○渡辺武君 この三十七年度の対策要綱の中の7のところで「濃厚感染地域にたいする投薬」という項がございますが、いまその項はどういうふうになっているか伺いたいといます。
#63
○政府委員(村中俊明君) 濃厚汚染地区という地区の設定につきましては、昭和三十七年当初四県について濃厚地域の指定をいたしました。その後、三十八年で八県になりましたが、四十四年では二県に減ってまいっております。これは対策が進みまして保虫率が減ってきているというふうなところを徐々にはずして現在になっておりますが、一応、長崎県及び鹿児島県、この両県については、県のほうから、濃厚汚染地区というふうな選定をした場合には、そのつどこちらに報告を受けて、その地区に対して対策をするというふうな方法をとっております。
#64
○渡辺武君 私の伺ったことがちょっとおわかりにならなかったようですけれども、私の伺ったのは、昭和三十七年度のフィラリア予防対策要綱の中で7というところで、「濃厚感染地域にたいする投薬」という項があるはずですが、その項の内容はどうなっているのか、どういうふうに述べてあるかということです。
#65
○政府委員(村中俊明君) 現在、三十七年の対策要綱そのまま現在も実施いたしておりますが、この中で指定しております薬物はジエチルカルバマジン、この薬を使って保虫者に投与をいたしております。
#66
○渡辺武君 それじゃ率直に聞きますが、この「濃厚感染地域にたいする投薬」という項の中に、「保虫率が10%をこえるような著しい流行地では、患者には保虫者以外についても小学生以上の全員に投薬すること」というふうに述べられていると思いますが、どうですか。
#67
○政府委員(村中俊明君) 失礼いたしました。いまの小学生以上の全対象というのは三十八年に削っているようで、私の持っております四十四年の四月二日に出しました予防対策についての要綱からはずれております。
#68
○渡辺武君 ということは、三十七年度の要綱の中には、いま私が申し上げた点が述べられているということですね。
#69
○政府委員(村中俊明君) はい。
#70
○渡辺武君 わかりました。
 そうすると「患者には保虫者以外についても小学生以上の全員に投薬すること」というふうに対策要綱が述べておるこの点は、その後実際に実施されたわけでしょうかどうでしょうか。
#71
○政府委員(村中俊明君) 三十七年度一年きりで、八年度からはこれは削っております。
#72
○渡辺武君 この予算のほうを見てみますと、昭和三十七年度の予算額が千五百七十九万五千円、ところが実際に使った額は千二百三十四万三千円、だいぶん使い残りがあるわけですね。三十八年度は三千百五十三万六千円の予算額がわずか半分近い千七百六十五万七千円という実施額になっております。だいぶん予算が使い残されておるわけですね。その後ずっと使い残しがあって、そうして昭和四十一年度、昭和四十二年度になって予算額どおりに使われておるという状態になっております。それで昭和三十七年度から四十二年度を合計しますと、このフィラリア対策のために国がとった予算の総額は九千四百四万七千円ということですけれども、実際使った決算の額は、これは七千二百六十二万七千円というふうに、ずいぶん使い残しがあるわけですね。ところで、昭和三十七年度では「保虫率が10%をこえるような著しい流行地では、患者には保虫者以外についても」と、つまり先ほどおっしゃった耳架から採血して、それで検診した結果、保虫者であるとわかった者以外にも小学生以上の全員には投薬することというふうにきめられているわけですね。で、これが三十七年度は実施されたわけですか。
#73
○政府委員(村中俊明君) 実施されたと記憶しております。
#74
○渡辺武君 私の聞いたところでは、三十七年度にも実施されなかったのじゃないか、こういうふうに私聞いております。それから三十八年度以降は、いまおっしゃったように全然実施されていない。実施要綱からも削られているというような状況なんです。私はここに多額の予算が使い残されている大きな理由があるのじゃなかろうかというふうに思うわけですけれども、さて、このフィラリア病に対する権威者であります鹿児島大学の福島教授、与那嶺さん、これら二人の方が出された「フィラリア症に関する研究」というものがありますけれども、その結論には次のように述べております。「濃厚浸淫地においては、血中仔虫の有無にかかわらず、地域全員にジエチルカルバマジンを投与し、あわせて、年一回仔虫検査を実施し、仔虫保有者」これにはカッコがついておりまして「(残存および新感)」というふうに押入されておりますが、「仔虫保有者に再度ジエチルカルバマジンを追加投薬し、あわせて蚊対策を行えば、フィラリア症の根絶は不可能ではないと確信する。」、これは昭和三十六年の四月に出されたものですけれども、そういうふうに結論として書かれているわけです。この点は御存じですか。
#75
○政府委員(村中俊明君) よく承知をいたしておりませんが、鹿児島大学の関係のフィラリアの研究学者にもグループとして参加していただいて現在フィラリアの研究を行なっております。
#76
○渡辺武君 そうしますと、フィラリア病についての権威ある人が、フィラリア症を根絶するためには、濃厚浸淫地においては、耳朶から血液を取って検査して、そしてそこでミクロフィラリアがいなかったという人に対しても、地域全員に薬を投与しなければならぬということを言っているわけですね。それから、あわせて年一回小虫の検査を実施して、そして保有者には再度この薬を追加投与する、これを蚊の撲滅対策とあわせて繰り返して行なえば、フィラリア症は根絶するだろうということを言っているわけです。ところが厚生省のほうは、昭和三十八年度以来、耳朶採血をやって、そこでこの保虫者だということがわかった者に対してだけこの薬の投与をする、それ以外の人には薬の投与をしてないというような対策を繰り返してきているというのがいま明らかになった点だと思うんですね。そうしますと、せっかく国の予算を組んでおきながら、それを使い残してまでもフィラリア対策についてはかなり手を抜いてきたというふうに考えられます。これではフィラリア病の撲滅ということについてはまことに不徹底、不十分というふうに考えられますけれども、その点どうでしょうか。
#77
○政府委員(村中俊明君) 御指摘のように、確かに特別対策を始めました当初におきましては、受診率も必ずしも高くなかったのでございまして、私どもの手元の数字で計算しますと、対象者の四分の一程度が受診をしたというふうな実態がありまして、御指摘のように薬物を淫浸地区全員に投与しなかったから予算が消化できなかったのではないかという点の御指摘は、必ずしも当たらないと思います。現に昭和四十年、四十一年につきましては、対象者の四〇%をこえる受診率を示しておりまして、私はいろいろ要素はあると思いますけれども、当初予算が余った一番大きな理由は、私どもが見積もった対象者に対して受診率が少なかったということが大きな原因じゃないかと考えております。
#78
○渡辺武君 まあ予算の使い残しの原因は、あるいはあなたのおっしゃったことも一つ原因としてあるかもわかりませんよ。しかし問題は、予算を使うかどうかということではなくして、フィラリア病を実際撲滅することができるかどうか、そのために厚生省がやっているこの対策が十分な効果を発揮しているかどうかということが重要だと思うんですね。繰り返して申し上げますけれども、フィラリア病の権威者である福島教授が、いま申しましたように耳朶採血をやって検診して、そうしてミクロフィラリアがいたという患者に薬を投与する、これは当然のことですよね。しかし小虫が発見されなかった人に対してまで全員投与する必要があるんだ、それをやらなければ根絶できないんだということをはっきり言っておられる。ところが厚生省は、少なくともあなたのおっしゃるところでは、昭和三十八年度以来その方法をとっていない、フィラリア撲滅のために権威者の言っている方法を採用していない。私の聞いているところでは、昭和三十七年度にこの実施要綱の中ではこういうことを言っておられるけれども、しかし実際のところはそれは実施されていなかったというふうに、私、現地の人からは聞いておる。そういう状態では、フィラリアの撲滅ということはとうていできないことじゃないかというふうに私は考える。特に福島教授も、現在厚生省のとっておられるような方法では十分な効果は丸いというふうに語っておられます。現に私の手に入れた資料によりますと、鹿児島大の熱帯医学研究所と、そして奄美大島診療所の合同集団検診の結果によりますと、次のような結果が出ております。念のために申し上げておきますと、これは一九六七年の二月に奄美大鳥の朝日小学校の四年生六十二名を対象としてフィラリア症の集団検診をした実例ですけれども、これによりますと、耳朶採血の結果、フィラリアの小虫を保有していたという率、これが一二%から二二%、非常な高率になっているんですね。そのほかフィラリア症特有の症状と見られる乳糜様の混濁尿、これが一一%もある。それからたん白尿に至っては四四%と非常に高率です。そのほか貧血が一四・五%、皮内反応陽性が二〇%、白血球増多症が二四%ということになっております。これをたとえば奄美大島のほかの大川小中学校二百三一三名にやった事例でも、尿たん白の陽性率が三五%、非常に高いんですね。同じ尿たん白の陽性率を本土の小学校で調べてみますと、これは山梨県の某小学校五十三名を対象にして調べたのですが、わずかに八%、それから青森県の大森小学校、これは三十六名を対象にしてわずかに三%、非常に低い。つまりフィラリア症の濃厚浸淫地帯奄美大島では、耳菜採血の結果も非常に高率に出ているけれども、同時に尿のいろんな変異、これまた異常に高いということがはっきり出ていると思うんですね。そうしますと、先ほど、ずっと施策を続けてきた結果、罹病率がだんだん下がっているということをおっしゃいましたけれども、しかし、事実はそういう厚生省の見解をはっきり裏切っている。昭和三十七年度に対策を実施された当時と、ほとんど変わらないような罹病率を示しているということがはっきりあらわれていると思うのです。特にこの昭和三十七年度の実施要綱には、小学生以上の全員に投薬するということになっておりますけれども、いま私が申し上げた例は、まさに厚生省が見のがしているその小学生に一二、三%という非常に高率な保有者がいるということが明らかになっているんです。そうしますと、いままで厚生省が実施してきたフィラリア予防対策、これはきわめて手の抜かれた、効果の薄いものであったんじゃないかというふうに考えますけれども、どうでしょうか。また、厚生省のほうは、私がいま申し上げました鹿児島大学の熱帯医学研究所と奄美大島診療所の合同集団検査の結果というのを御検討なさったかどうか、その点をあわせて伺いたいと思います。
#79
○政府委員(村中俊明君) いろいろ御意見を伺いましたが、健康診断の方法といたしましては、私ども、学者のいろいろな御意見を伺って、やはりいまの段階では、耳採血によるミクロフィラリアの発見ということが一番いい方法だというふうに判断をいたしております。
 なお、乳糜尿のお話が出ましたが、これはフィラリア症に感染しているという一つの臨床的な症状でございまして、私は患者という取り扱いの中に入るというふうな考えを持っております。もしも乳尿あるいは乳糜血というふうな症状なり、あるいはリンパ管の異常というふうなものが発見されれば、これは耳朶採血でミクロフィラリアが出ても出なくても、総合的にフィラリア症という判定が私は出てくるんじゃないかというふうな考えを持っておりまして、そういう点では、耳朶採血による健康診断とあわせて臨床的なそういう所見があるものについては、患者という形で治療ができるというふうに考えます。
 なお、鹿児島大学の専門家の方々の研究につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、私個々の論文についてはまだ拝見をしておりません。なるべく早い機会に拝見させていただきたい、こう考えます。
#80
○渡辺武君 なるべく至急にこういう事実について検討されて、そうしてそれに基づいて従来の対策がはたして適切なものであったかどうかということを再検討していただきたいというふうに考えます。特に私がいま伺ったのは、せっかく昭和三十七年度の実施要綱で耳朶採血で保虫者とわかったものだけじゃなくして、耳朶採血をやった結果虫はいなかったというふうにわかった者についても濃厚感染地域では全員薬を投与しなければ根絶できない。しかもそれを毎年繰り返してやらなければ根絶できないということをせっかく言っているのです。これは小学生以上の者ということを除けば、まことにりっぱな対策だと思います。まさしく福島教授が結論の中で言われている点と私は一致していると思う。それが昭和三十八年度からその点くずれてしまった。これは非常な重大な手抜かりだと思います。ですから、いまからでもおそくはないということばがありますから、いまからやはり昭和三十七年度の実施要綱に盛られていたような対策ですね、これを即座に実施したらどうだろうか。特にその際、小学生以上の者というふうに限らないで、年の若い子供たちですから、薬について反応その他で一定の考慮を払わなければならぬという点もあろうかと思いますが、その点を含めても小学生をも含めて耳朶採血で保虫者とわかった者以外でも全員投与するという方式を直ちに実施してほしいというふうに思いますが、どうでしょう。
#81
○政府委員(村中俊明君) 現在使っておりますこの治療薬につきましては、御指摘のとおり副作用のあることも事実でございまして、これが的確なフィラリア症の治療に合うようなしかも効力の高い、副作用の少ない、そういう化学薬剤の研究も現在行なわれていると承知いたしております。私は、現在治療に使っております薬を広い範囲で多数に投与するということについては、やはり若干の学者の間にも御意見があるんじゃないかと考えております。先ほどの鹿児島大学の福島教授の御論文につきましても、申し上げましたように検討いたしまして、専門家の御意見を聞いた上で今後行政のラインにのせるかのせないかというふうな検討をしたい、こう考えております。
#82
○渡辺武君 繰り返してお願いしますけれども、あとから問題にしますように、フィラリア症というのはこれはもう一地域の問題じゃなくして、日本全体の大きな問題になる可能性があるというふうに私考えておりますし、それからまたアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国にとっては特に重要な風土病であるというふうに考えられる、その世界人類の大多数がフィラリア病にかかる可能性を、可能性としては持っているという重大な病気だと思うのです。したがって、そういう点からしてこのフィラリア病を少なくとも日本国内では撲滅するという見地に立って、福島教授その他の専門の学者のせっかくの意見はどしどし採用して、そうしてやっていくという見地に立って検討していただきたいというふうに思います。
 さて、次に伺いたいのはフィラリア病対策の費用、予算を四十四年度一ぱいで打ち切るということを私耳にしましたけれども、それは事実でしょうか。また、その理由は一体どこにあるのか、この点を伺いたいと思います。
#83
○政府委員(村中俊明君) 先ほど来御説明申し上げておりますが、フィラリア症の対策につきましては四十四年度で八年間実施をしてまいったわけでございまして、いろいろな御批判があろうかとも存じますけれども、私どもといたしましては一応行政的な目的を達したというふうなことで、これは全国的な考え方でございますが、判断をもって、できることならば国庫補助金という形では今年度を最後にいたしたいというふうに考えておりますが、ただこのことによって御指摘のように特にまだ淫浸地区に取り残されていると考えられる鹿児島、壷美大島というふうな特定の地域については四十五年度以降の問題になろうかと思いますけれども、県当局と十分打ち合わせをいたしまして、対策に遺漏のないような処理を考えてまいりたい、こう思います。
#84
○渡辺武君 大蔵省のほうはどういうことになるか。
#85
○説明員(辻敬一君) ただいま厚生省から御説明申し上げましたように、フィラリア病対策につきましては一応その補助目的を達成したと考えておりますので、補助金の整理、合理化の一環といたしまして、補助は四十四年度限りで廃止する方針である、かように考えております。
#86
○渡辺武君 いまも申し上げましたとおり厚生省の従来実施してきた対策そのものが、かなりずさんなものじゃなかったろうかという疑いが十分持たれるような実情だと思うのですね。ところがいま伺いますと、行政的な目的を達成したというふうな理由で四十四年度で国の予算としては打ち切る、あとは特別な淫浸地域について鹿児島なり奄美なり、これは相談してやっていくというふうなお答えですけれども、鹿児島にしても奄美にしましても、私が申し上げるまでもなく、これは率直に言えば貧乏県です。言って差しつかえないと思いますね。県の予算だってたいしたものじゃないですね。そこへ国の予算のほうは打ち切っておいて、そうして相談かけるということをやってみたところで、従来厚生省が幾ばくかの金をかけてやってきた、その対策以上になるとはとうてい考えられない、実情からいってそうだ。県当局や奄美の人たちの熱意いかんということじゃなくて、それとは別に、事実、県の予算その他の点からしても、従来の状態以下にしか対策はやられないということは十分に予想できると思いますね。一体、厚生省のほうでは目的を達成したとおっしゃるけれども、そのことを自信を持ってそう言い切れますか。どうでしょうか。
#87
○政府委員(村中俊明君) 先ほど来数字的なことを若干申し上げましたけれども、対策を特別対策として実施してまいりました、そういう対象につきましては保虫率の相当の低下、特に長崎などにつきましては〇・何%というふうな保虫率の実態になっております。総体的に見ますと一応特別対策というふうな広げた対策としては目的を達したものだと、こう考えております。
#88
○渡辺武君 この予算打ち切りについて専門のお医者さんやそれから学者の方々などの意見は十分に聞かれての結論ですか。
#89
○政府委員(村中俊明君) 申し上げますように、特別対策としての一応目的を達したということでございまして、学者の御意見によってそういうふうな判断をしたということではございません。
#90
○渡辺武君 専門の学者の意見も聞かれないで予算の打ち切りという結論を出されることは、やはり患者にとっても、また患者とはっきりわかっていないけれども、しかし濃厚感染地域にいる人たちにとっても、非常に重大な問題だと思うのですね。どうしてもう少し慎重な態度がとれないでしょうか。あなたのおっしゃる数字についてはなおあとからいろいろ伺いたいと思いますけれども、少なくともいままで国がやってきた対策がほんとうに効果をあげて、そうしてあなた方御自身が考えているように保虫者の率が非常に少なくなった、それがほんとうかどうか。私は、先ほど鹿児島大学と奄美大島診療所の集団検診の結果を事実をもって申し上げたのです。これは奄美大島という特殊な濃厚感染地域の例なんですけれども、その一例をとってみても、とうてい罹病率が非常に低くなったということは言えないような実情にあるわけです。しかも専門の学者やお医者さん方に一応意見もお聞きにならぬでそういうことをきめられる。これはやはり責任を持ったところとしてはまことに軽率なやり方じゃないかというふうに考えます。どうでしょう。今後専門のお医者さんや学者の方々、これに実情についていろいろ御相談するというおつもりがありますか。私はそうすべきだと思うけれども、どうでしょう。
#91
○政府委員(村中俊明君) 検診の方法なりあるいは治療薬の開発なりというふうな問題につきましては、いまなお学者の研究が続いておるわけでございまして、たとえば耳朶採血方式よりも皮内反応の方式がよりベターだ、あるいは現在使っている治療薬よりも副作用の少ない効果のあがる薬品の開発ができるというふうな問題がいろいろあるわけでございまして、全般的なフィラリア症に対する対策としては今後も十分学者の御意見なりあるいは開発される研究なりを行政の中に取り入れるというふうな姿勢でまいりたいと考えております。ただ、御指摘の特別対策を打ち切るか打ち切らないかということについての学者の御意見を聞くということにつきましては、これは申し上げましたように行政上の目的から特別対策を始めておりまして、一応去年、一昨年ごろからフィラリア症の全国的な特別対策についてはそろそろ終止符を打ってもよろしいんじゃないかという判断があって、全般的な対策についての終止符は打ちたいと、こう考えておりますが、繰り返しますけれども、特に淫浸地区としてまだ残っているそういう地域については、これは特定地域という考え方で行政当局とも十分話し合いながら処理をしてまいりたい、こう思っているわけです。
#92
○渡辺武君 それは今後薬の開発とか、あるいはまた集団検診の方法についてさらに改善するために努力されるというのはけっこうだ、大いにやっていただきたいと思う。しかし国が予算を組まない、そのための特別対策ということは、事実上は国がフィラリア対策についてはもうこれでもっておさらばするということになるんじゃないでしょうか。大体出発点からして、これほど重要な寄生虫について厚生大臣の指定もしていない。指定から除外した形で特別対策としてやってきた。これはもう全く実情に合わない軽視したやり方だと思うのですよ。ところがその上に十分学者や専門家の御意見も伺わないで、表面的にあらわれてきている数字だけをたよりにして行政的な効果があがったという結論を出す。これは実情に合わないまことに軽率なやり方じゃないでしょうか。
 そこで伺いますけれども、いまおっしゃった数字ですね、昭和三十七年度が保虫率が二・八%だった。それが漸次少なくなって昭和四十二年度は一・二%に下がっておるというこの数字ですね、これは一体どういう計算方法で出されたのでしょうか。たとえば集団検診をやって、そして先ほどおっしゃったような耳菜採血をやって、その耳朶採血の結果として保虫者だということのわかった数字がこの二・八%とか一・二%とかいうことになってあらわれているんじゃないですか。どうでしょう。
#93
○政府委員(村中俊明君) 御指摘のとおりです、
#94
○渡辺武君 そうしますと、その耳柔採血なるものでそういう判断をくだすということは、まことにこれは危険きわまりないというふうに私申し上げざるを得ないと思うのです。その点についてはあとで取り上げるとしまして、その前に一言申し上げたいことは、一番最初あなたもおっしゃいましたように、フィラリア病というのはこれはアジア、アフリカ、ラテンアメリカという熱帯、亜熱帯地帯の非常に重大な病気だということは、これはもう私が申し上げるまでもなく明らかだと思うのですけれども、太平洋戦争で日本の兵隊が中国から東南アジア方面に出かけていって、そうしてそこでフィラリア病に感染をして日本へ帰ってきている。それが戦後もう二十何年問もたっている。だから、もしも十分に慎重な対策を講じなければ、このフィラリア病が、ただ鹿児島県とか長崎県とかあたたかい地域の特殊な風上病だというふうには言えない。日本全国に蔓延していく可能性というのは十分にあると見なければならぬと思いますね。あなた方の実施された対策でも、昭和三十七年度は高知、愛媛、長崎、鹿児島ということで四国、九州に限られておる。ところが昭和三十八年になりますと、高知、愛媛、長崎、鹿児島のほかに東京、新潟というのが入っていますね。それから大分、宮崎、つまり四国、九州のほかに東京や新潟というのが対象地域に入っている。三十九年になっても東京が入っている、四十年になっても東京が入っている、四十一年も東京が入っている、こういう状態ですね。新潟県とか東京だとか、これは九州や四国からはるかに離れた地域です。しかも東京は日本の首都ですよ。このフィラリア症が日本で最初に発見されたのは東京だったといわれておりますけれども、とにかくこの事実一つとってみても、これは特殊的の風上病というふうに考えられないことは明らかだというふうに思います。これを専門的に研究しているひとの意見では、いまは青森県以南の日本全土というふうに一応いわれておるのだけれども、北海道にいる人だって戦争中中国や東南アジア方面に行ってフィラリア病に感染して帰ってきておる。そうしてその虫が蚊を媒体としてほかの人にうつっていく可能性が十分あるということを言っておられます。特にいま日本は、アメリカの手によってアジア侵略の軍事基地国として使われておる。アメリカの兵隊がベトナムなりその他の国に侵略していって、そして日本にどんどん帰ってきて保養してまた出かけるというようなことになっているわけで、このアメリカ軍に対するフィラリア病予防という見地からの対策、何か講じておられますか。
#95
○政府委員(村中俊明君) 主要伝染病につきましては、アメリカ軍のほうからインフォーメーションを受けてそれに対する対策を実施をいたしておりますが、その伝染病の中には、ただいま御指摘のフィラリア症というのは入っておりません。
#96
○渡辺武君 つまり全然対策を講じてないということでしょう。アメリカの兵隊が南ベトナムに行ってフィラリア症にかからないということはだれも断言できないでしょう。かかる可能性は十分あると思うのです。インドやベトナムは特別にフィラリア症のこれは濃厚に発生している地域、まことに危険きわまりないと言わなければなりません。しかもこのアメリカの軍事基地のあるところは、これは東京だとか横浜だとか、とにかく日本の大都会の周辺、まことにあぶなかっかしい状態に置かれていると見なければならないと思います、フィラリア症対策という見地からしても。しかも、いま私先ほどあげた数字ではっきりしているように、小単生に非常に高い罹病率があらわれている。その小学校の生徒がこれが大きくなっていまどしどし京阪神から東京にかけて集団就職でもって来ている。この日本でですよ、日本の東京でフィラリア症が蔓延しないという保障は少しもないのじゃないですか、どうですか。それを鹿児島だとか奄美だとかいうような一局地の問題だというふうに片づけて、国の特別対策をやめるというようなことでは、これは国民の健康を守るという点から、まことにこれは軽率きわまりないというふうに思いますけれども、その点どうお考えですか。
#97
○政府委員(村中俊明君) フィラリア症は御承知のとおり人から人へ感染するという疾病じゃなく、この間に蚊の媒介というのが一つあるわけです。フィラリア症が流行するというふうな順序の中には、蚊のふえ方がどういう状態であるか。あるいはいつごろ蚊がふえるかというような問題とのからみが出てまいります。これは学者の中でも定説はございませんけれども、南のほうに多発する理由の中には蚊の発生ということと相当のからみがあるのじゃないか。もう一点は、これはマラリアなどについても言えますけれども、数百万人が終戦後復員してきました。かつては南方その他でマラリアに感染した日本人が内地へ帰って生活をしているうち、だんだんだんだん特に治療をするということではなくて、発病がなくなって、結局いまではマラリアの発生というのがほとんど国内では見られない。同じようにこのフィラリア症が気候的な環境に相当影響があるのじゃないかというふうな意見を持っている学者もございまして、御指摘のように確かに野放しの状態ということは実態でありますが、はたしてそういうところで蚊の発生あるいは地域的な環境条件、蚊の発生防止に対する対策、環境条件、こういったものをにらみ合わせてまいりますと、私はそれほど心配するようなことはないのじゃないかというふうに考えます。
#98
○渡辺武君 どうも責任ある立場でフィラリア対策に一応取り組まなきゃならない方のおことばとしては、これはちょっとあまり軽率過ぎるのじゃないかという感じがしますな。と申しますのは、厚生省が昭和三十七年にまあこの対策を初めて実施するためでしょう。鹿児島、長崎、愛媛、東京、これらの地域で調査された数字があります。総数五十四万三千二百九十六名を調査しておられる。その調査の結果、フィラリアの小虫を検出したのが一万九百七十四名ということになっておりますが、私問題を東京にだけ限って申しますと、東京では一体どれくらいの人を調べたか。二百九十六名ということになっております。昭和三十七年の東京の人口が約九百万人というふうにかりに考えてみて、九百万人の中からわずか二百九十六名を摘出してこれを調べる。そして二百九十六名の中で二名虫を持った人がいたということで罹病率〇・七%、こういう計算をしておられる。これでは実情からはるかに低い数字が出る可能性があるんじゃないですか、どうでしょう。先ほどおっしゃった昭和三十七年度全国じゃないけれども調べた四県の罹病率二・八%、それから四十二年度はやはり四都県の罹病率一・二%、こういうことになっておりますけれども、検血人員を見てみますと、昭和三十七年度は五十六万二千八百人、血液を調べた人員四十二年度は十二万八千三百人、四分の一以下に少ない人員しか調べてない。こういうことで保虫率一・二%だという数字を出されても、これは実情をはたして正確に反映しているかどうかということについては、まことに疑問を持たざるを得ない、そういうふうにお考えになりませんか。
#99
○政府委員(村中俊明君) この数字が統計的に全く客観的正確なものであるというふうには、私自身も自信を持って言えませんが、いまある数字で特別対策をやった結果から集計した数字で申し上げますと、三十七年、三十八年、三十九年、四十一年、四十二年と、こういう保虫率の推移を見せております傾向から、先ほど来判断を申し上げておるわけでございます。
#100
○渡辺武君 あなた方の出されている伝染病簡易速報統計ですか、これの数字をいただいているわけですが、これを見ますと全国の患者数、三十二年が六十一人、それからずっと飛びまして三十六年が八十人、ところが三十七年になると一挙に千五百三十六人というように急増しているんですね。この急増の理由は、私は厚生省の方においでいただいてどういうわけか聞いてみましたら、三十七年に対策を実施するにあたって、私先ほど申しましたような調査をやった、その結果として出てきたものだということをおっしゃっておる。つまりこの年が特にフィラリア病が蔓延してそうして千五百三十六名もの患者が出たんじゃなくして、厚生省が地域を選んで調査をしたその結果出てきた数字なんだと、こうおっしゃった。もしこれが正しいとすれば、あなた方は、もう四十四年度で予算を打ち切ると言われるが、こういうときにはたして予算を打ち切っていいのかどうか、予算を打ち切るに足るだけにいままであなた方がやってきた対策が実際効果をあげているかどうか、これについて特別に調べるために、私は先ほど専門のお医者さんや学者の方々の意見を十分に聞いてほしいということを申しましたけれども、また同時に、厚生省自身が自分自身の発表している数字がはたして客観的に事態を把握しておるかどうかということを調べる、そういう意味もあって、また同時に、今後のフィラリア病の予防についての対策を誤りなきものにするためにも、当然全国にわたって、あるいは少なくともいままで厚生省がやってきている四国、九州あるいは東京、新潟というようなところ、そのほかのところも加えてほしいと思いますけれども、とにかく幾つかの都道府県を重点をきめてけっこうだから、やはり集中的に調査をして、その結果をもって予算の打ち切りとかそういうことについて結論を出すべきじゃないでしょうか。あなた御自身がこの数字については十分自信がないと言っておられる。そんなことで行政上の目的が果たせたということを言い切れますか。私は良心のある人ならとうてい言い切れないと思う。この専門の学者の方々あるいはお医者さんの意見を十分に率直に聞かれるということと、特別にやはりいま行政上の効果が実際にあがったかどうか、予算もわずかな金ですけれども、とにかく国の費用を使っているわけですからね、その点についても責任を持ってお調べいただきたいと思うけれども、それをおやりになるおつもりがあるかどうか、この点伺いたいと思うのです。
#101
○政府委員(村中俊明君) 八年間やってまいりました対策についての反省会というものは、これは私はやりたいと考えておりますが、御指摘のように全国的な実態の把握のための調査を学者の意見を聞いてやる考えがあるかどうかという点については、いまのところ私は考えておりません。
#102
○渡辺武君 どうも繰り返して申し上げたくないのだけれども、やはりそういうことでは慎重さを欠く態度だと言わなければならないんじゃないでしょうか、どうでしょうか、実例も出ているんですよね、昭和三十七年度で厚生省として対策を講じた当時の罹病率と現在の罹病率とほとんど変わらないような罹病率が、少なくとも奄美大島の小学校、これを集団検診した結果としてはあらわれている。いま私が申し上げましたとおり、あなた方の数字自身も、あなた御自身も自信のおけない数字だとおっしゃっておられる。そういう実情のもとで国の予算を打ち切る。つまり言ってみればフィラリア特別対策は、これで打ちどめということになるでしょうから、それはやはりちょっと慎重さを欠いたやり方だと思います。私は、やはりこの特別対策の予算、これは打ち切るのじゃなくて、やはりもっと増額してほしいと思います。そうして、もっとやはり本格的な対策を立てて、少なくとも昭和三十七年度出発当初のあの対策要綱に盛られたように、虫がいたということが明らかな人たちだけじゃなくて、虫がいなかったという結論が出た人に対してまでも濃厚感染地域では薬を全員投与してその撲滅をはかる。これは良心的な学者の人がそういう結論を出しておられる。やはりそのことくらいは初心に返ってやってほしいと思う。それからなお先ほど申しましたように、こういう重要な寄生虫についての病気が、これが厚生大臣の指定になっておらない、学校寄生虫にも指定されておらないというような状態になっているのは、これはまことに遺憾だと思う。この点もぜひ改めて、大臣の指定寄生虫の中に入れてほしいと思う。寄生虫予防法の第一条の寄生虫病というのは、蛔虫、十二指腸虫、住血吸虫、肝臓「ヂストマ」ということになっております。私はしろうとであまりよく知りませんが、専門家の意見を聞いてみますと、フィラリアというのは、先ほどあなたがおっしゃったように、蚊によって媒介されるから、人間と人間が接触して、そして虫がからだに移動するというようなことじゃなくて、蚊が媒介するから実に広範に蔓延する可能性がある。だからこれらの病気にまさるとも劣らないような重要な寄生虫だ、しかもその症状は、これはたいへんな症状でしょう、私申し上げるまでもなく、あなたは御存じのとおりだと思う。やはりその重要性を十分に認めて、この寄生虫予防法第一条の中に入れるか、少なくとも主務大臣の指定の寄生虫病ということにしてほしいと思う。予算上の措置と同時に、こういう行政上の措置もあわせて講じて、いまからでもおそくはないから、本格的にフィラリア対策に取り組んでほしいと思います。その点どうですか、重ねて伺います。
#103
○政府委員(村中俊明君) 寄生虫予防法を改正してフィラリアを入れるかどうかという点についての御意見ですが、御承知のとおり、ここにもあがっております疾病というのは、ほとんど相当の、全国民に広く寄生虫を持っている、虫を持っているというふうな疾病を主としてあげている病気でありまして、その点にまいりますと、地域的な偏在という問題もありまして、直ちにフィラリアというものが寄生虫予防法の中になじむかどうかについては検討いたさなければならない問題だと考えております。
 なお、主務大臣の指定としてとり上げる必要があるではないかという点についてでございますが、これはすでに対策が昭和三十八年から重要性を認識して対策をしてまいっておりまして、一応行政的な目的を達したということで、先ほど御議論がございましたけれども、四十四年度を終わりの年にしたいというふうな判断をいたしておりまして、したがって指定寄生虫病の中に入れるかどうか、この点については、私は入れる必要がないというふうに考えております。
 なお今後の対策についてでございますが、これは先ほど来もう御説明を申し上げておりますように、健康診断の方式、あるいは患者、対象者に対する薬剤の投与、あるいは薬剤の研究開発というふうなものと相まちまして、今後の対策を検討していく必要があると考えております。国の補助金が切れたということが即対策をしないということではなくて、私は特に淫浸地区の対策については十分県と協議しながら措置をすることによって効果をあげられると考えております。
#104
○渡辺武君 どうもまことに残念なことだと思うのです、そういうお答えをいただくとは。まあ繰り返すことになりますけれども、フィラリア病というのは、とにかくあなた方自身がこの資料の中で、はっきりこれはもう客観的に示しているでしょう。四国、九州だけじゃなく、青森や新潟、東京までこれも調査対象地域の中に入れてやっておられるということでもわかるように、これはもう全国的な性格を持っている。少なくともいま二十万近い人たちが、これが奄美大島その他から東京及び神奈川県などにおられるというふうに推定されておりますけれども、これらの人たちの中で、先ほどの小学校の例で言っても一二%−二三%の保虫者がいる。しかもこれから申し上げるように、非常に不完全な耳朶採血というような検診方法で、なおかつ一二%−一三%というような保虫率である、まことに危険きわまりないというふうに言わざるを得ない。国民の健康を守るという責任、立場から、そういうようなお答えをいただくとはまことにこれは遺憾ですよ。再検討してほしいのです、いまのお答えは。
 さて、次に移ります。先ほどおっしゃった耳朶採血という集団検診の方法、これも学界の中で、これが適切なものかどうか、もっと別の皮内反応その他のやり方があるのじゃないかというような御議論があるということをおっしゃっておられましたけれども、この耳柔採血という集団検診方法ですね、これが発見されて実施に移されたのは世界的に言うと何年ころのことですか。
#105
○政府委員(村中俊明君) はっきり承知をいたしておりませんが、相当の以前だと考えております。
#106
○渡辺武君 これはしろうとが専門家に言うようで悪いけれども、イギリスが、これがインドその他のアジア諸国に植民地的な政策を進めて、その過程でフィラリア病の問題がイギリス帝国主義の侵略上の目的を果たすための非常に重大問題になってきた。イギリスでこれは開発されている。すでにもう一世紀以上も昔のことです。しかもそれがいまだにこの日本で同じような方法が採用されているという状態、いまあなたは、これからいろいろ集団検診方法などについて政策を推進したいとおっしゃったけれども、こんなことをいまごろあなたおっしゃるというのはおかしいですよ。ほんとうにこのフィラリア病というものの重要性、これをお考えいただけば、これはもうとっくに取り組んで、そうして診断方法についてももう少しやはり検討を進めていたはずじゃないだろうかというふうに思います。
 さて、夜中に人を集めて耳たぶから血をとって、そうしてこれで虫がいるか、ミクロフィラリアがいるかどうかということを調べておられるわけですけれども、一体この耳朶採血による保虫者の発見の確率ですね。実際の保虫者の中で耳朶採血によってどれくらいの率が発見されるのか。その点についてどういうふうに考えておられますか。
#107
○政府委員(村中俊明君) 専門的な技術と発見の方法にもよると思いますけれども、私どもが聞いておりますのは、条件が整った場合には八〇%丸いし九〇%の確率もあるというふうな数字が出ておりますが、これは、いまお話しのように、ミクロフィラリアが出てくる一番いい時期をねらったときの採血だというふうに考えられております。
#108
○渡辺武君 条件が整ったときで八〇%−九〇%とおっしゃったけれども、つまり、一番確率の高いところをお答えになったんですね、そうでしょう。大体、普通はどのくらいと見られておりますか、また、あなた方も見ておりますか。
#109
○政府委員(村中俊明君) 私どもが対策として指導しておりますのは、大体夜の九隣以降にとるようにというふうな指導をしておりますが、大体六〇%くらいの確率はあるんじゃないかと、こう思っております。
#110
○渡辺武君 厚生省でさえ六〇%程度と言っておられるんですね。
 で、先ほど来申し上げている鹿児島大学の福島教授、これは実際の保虫者の五〇%以下ぐらいしか耳朶採血では発見できないということを言っておられる。まことに確率は低い。その低い確率の集団検診方法を、これをにしきの御旗のようにしておられる。それで、これまたまことに確率が低い先ほど言った血液を調べた人たちの数ですね。昭和三十七年に比べて四十二年はもう四分の一近いそんなわずかな人を、まことに不確かな耳朶採血の方法で調べて、それで結論を出しておられる、行政目的を果たしたと結論を出しておられる。いかにあなた方のその結論というものが実情に合わないものかということは、この一事をもってしても明らかじゃないですか。どうでしょうか。あなた方は、この耳朶採血というものについて、それほど確信を持っておられるんですか。
#111
○政府委員(村中俊明君) 私どもが知る、あるいは専門家の意見を徴した、最善とは申し上げられませんが、いま行なわれている一番よい方法であるというのが、この採血によるミクロフィラリアの検査の方式でございますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、学者の中では皮内反応の方式の研究がいま進められておりまして、これは犬のフィラリア、これを抗源として反応を起こさせるという方式でございますが、これについては、まだ人間に使った場合に別な意味の特異的じゃない非特異的な反応も一緒に出てくるのじゃないかという点についての問題点があると聞いておりまして、こういう簡便な方式が確率が高く、少なくとも現在の耳朶採血方式よりも高い確率のようなものが出てくれば、私どもの方としては非常に対策がやりやすくなるというふうに考えております。
#112
○渡辺武君 そうでしょう。学界の中でも、この耳朶採血が完全に信頼するに走るものだというようなことをおっしゃる専門家、学者はひとりもいられない。ところが、いまあなた方がおっしゃったように、まことに不確かきわまりない耳朶採血という方法で出た結論で予算を打ち切るというふうな結論を出しておられ、行政上の目的を達したというような結論を出しておられる。全くそれは不当な結論だということを言わざるを得ないじゃないですか。
 私は、もう一つ例を申し上げてみましょう。あなた方のその実施要綱を見てみますと、耳朶採血のほかに、この臨床検診も、この「集団検診」の中の一項目の中に入っておりますね。で、その「臨床検診」の場合をちょっと見てみましたところが、「急性期の症状」として「熱発作、急性リンパ管炎」それから「急性リンパ腺炎及び象皮病に伴なう丹毒様炎症等、」それから「慢性期の症状」として「乳び症ないし乳び血尿、上疲、下肢、乳房、陰嚢、陰唇等の象皮腫、それから陰嚢水腫、リンパ腺腫等」というような例をあげておられる。つまりこれらが一つの基準になっておるわけですね。ところがこれは昨年一九六八年の十一月にボンベイで開かれた第五回アジア産業保健会議、これに出席した奄美大畠診療所の中村医師という方の報告によりますと、こういうもうすでに公認されたフィラリア症の症状のほかに、フィラリア病の治療薬といわれる例のスパトニンですね、あれでなおった治療例としてこういうことを報告しておられる。症候学的にいえば、次のような疾患をDEC――スパトニンのことでしょう――によって治療したことになります。それは肩こり、背痛ですね、それから関節炎、四肢の躯幹部あるいは腹腔内リンパ腺腫または腸間膜リンパ腺炎、四肢痛や坐骨神経痛、慢性肥厚性界炎、小児湿しんや小児じん炎、ネフローゼ症候群、夜尿症、気管支ぜんそく、肥厚性胸膜炎、それから腹水症、無月経または月経困難症、甲状腺腫、それからてんかんのなおった例が二例と、それから進行性筋萎縮症、これもなおった例が二例という報告をしておられる。特にこのスパトニンをのんだために、つまり別のことばで言えば、フィラリア症をなおしたために気管支ぜんそく、夜尿症、小児湿しん及びてんかん、これが劇的ななおり方をしたという報告をしておられる。これは実際治療に当たっている医師の事実に基づく報告ですよ。そうしてみますと、耳朶採血自身があなた方は六〇%しか確率がない、それから福島教授も五〇%以下だと言っておられる。まことに不確か。それから臨床検診のためにあなた方が定めているフィラリア症の固有の症状ですね、これまた全貌を尽くしていないというふうに言わざるを得ない。で、そういうまことに不確かな基準をもってあなた方は補助金を出す出さぬとかいうことをきめておられるわけでしょう。それからまた、先ほども申しましたように罹病率がどのくらいということをきめておられる。こんなことでは罹病率が寡少に、非常に少なくあらわれてしまって、したがってまた、あなた方の対策が、そう言っちゃ失礼だけれども、客観的にはまことにおざなりだと言わざるを得ないような実情になって、そうして広大な感染地域がそのまま野放しに放置される。あなた自身も認めておられる、東京は野放しになっているという状態だと。そういう状況にならざるを得ないと思うのです。まことに危険きわまりない状態だと思いませんか。その点どうでしょう。
#113
○政府委員(村中俊明君) まだその六八年の報告を拝見いたしておりませんけれども、いま読み上げられました症状は、大体たとえばじんましんのような発しんが出てくる、あるいは血栓が原因と思われるてんかん症状が出てくるというふうなのは、ミクロフィラリアの増殖によるそういう障害が臨床的所見としてあらわれたものじゃないかというふうな判断をいたしておりますが、お述べになりましたような所見がフィラリア症の診断の基本になるというふうなことにつきましては、主症状という点では同感でございますが、多数お述べになりました個々の問題については、診断基準の中に入りにくいものもあるのじゃないかというふうに考えます。ただ問題は、先ほど来繰り返しますけれども、診断の方法はいま一番いい方法として、もしもかわるベターのものがあれば、おそらく業者の間でも、われわれ行政責任者としても、それをとり入れることについてはやぶさかじゃないのでありますが、残念ながらいまの段階では耳朶採血方法がベターだということで採用しておりまして、これが一〇〇%の患者発見に役立っていないというそしりは免れないわけでございますが、申し上げましたとおり、最善の方法を現在行なっているわけでございます。
#114
○渡辺武君 いまのお答えは二つの問題を含んでいると思いますね。一つは、最善の方法だと。まだこれにかわるいい方法がないのだと盛んに言っておられるけれども、しかしそのこと自身が、あなた御自身も認めておられるように六〇%ぐらいの確率しかない。何回も繰り返しますよ。福島教授は五〇%以下だというふうに言っておられる。そんな不確かな診断方法で、そして何%の罹病率だというようなことをはじき出して、それで予算の打ち切りをやるに足るだけの行政目的を達しみのだという結論を出している、それが非常に不当だということを私は言っているのです。それからもう一つは、この耳朶採血で陽性だというふうにわかった人ですね、これにはいま士での実施要領によって薬は無料でやるということになっているわけですね。それからまた蚊の対策費なども出るということになっておるかと思うのです。ところがこの耳朶採血で、この集団検診で虫がいるということがわかった人はそういう措置を受けられるけれども、わからなかった人で、しかもフィラリア病であるということが明らかな人たち、これはどうなるのか。薬の無償供与もないわけでしょう。特別な蚊の撲滅対策のための金も出てこない。だから集団検診以外のところで明らかにこれはフィラリア病だということがはっきりしている患者は、これは自分のお金で薬を買わなければならぬ。まあ健康保険や国民健康保険のある人はそれでやっている、こういう状態になっている。いま肺結核は、これは健康保険、国民健康保険で、へりにたとえば半分の自己負担をしなければならぬという場合も、その自己負担の半分はこれは補助が出るわけですよ。フィラリア病についてはそれがない。そういう区別が、これが耳朶採血で集団検診やって、そこで虫の出た人に対してだけ国が補助を出すという形をあなた方はとっているから、出てきている。私はこれは患者にとってはまことに気の毒なことだと思う。だから、不確かな耳柔採血で集団検診で虫が出てその人たちには薬をただでやる、蚊の対策についてもいろいろ講ずるということはけっこうだけれども、同じことをこれを別な場合に、フィラリア病だということがはっきり確認された患者に対してもやる必要がある。ぜひやってもらいたいと思う。そのことをやってくれるおつもりございますか。
#115
○政府委員(村中俊明君) 繰り返し言いますけれども、耳朶採血を含めまして、薬物の投与は一連の特別対策という中での処理でございまして、これにはずれている一般の国民がフィラリア症にかかった、それの治療が特別対策というふうにはまいりません。御指摘のとおりでございますが、ただ、今度こういう対象をどう扱うかということにつきましては、私は対策としてはきわめてのりにくい、検討はさせていただきますけれども、これを無料で治療することについては非常にむずかしいというふうに考えます。
#116
○渡辺武君 鹿児島県や特に奄美大島、それから今後復帰するだろうと考えられる沖繩県の人たち、特にその中での勤労者は、生活的にも非常に苦しい人たちが多い。これらの人たちが乏しい金の中からこの難病を自分で解決するために金を出さなければならぬという状態に放置されている。これじゃフィラリア病の撲滅ということは、これはとうてい困難だと考えなければならぬ。当然国の責任でこういうものは解決していくべきですよ。わざわざきょうここにおいでいただいたのは、そのことをあなたにわかってもらい、その方向に足を踏み出してほしいためにおいでいただいたのです。どうもきまり切ったような画一的な御答弁ばかりで、まことにこれは困るわけですけれども、ぜひその点は改善してほしい。
 あわせて、あなた何回も育っておられますけれども、従来の集団検診方法ですね、あなた自身も認めておられるように、これはまことに不確かなあやふやなものです。もう少しやはり確実な、しかも安上がりで大衆的にできるような集団検診方法ですね、これを学界の人たちともよく相談されて開発するとか積極的な政策を講じてほしいと思う。そのためにも予算必要ですよ。予算を一方で打ち切っておいて、それでやります、やりますと言ったって、これはから念仏にすぎませんよ。その点重ねてお答えいただきたいと思う。
#117
○政府委員(村中俊明君) 前段の研究費、検診方法の研究費につきましては、私どももできるだけ協力を申し上げたい、これは特別対策とは別になろうかと思いますが、そういう考え方でございます。
#118
○渡辺武君 時間がないので最後の質問に移りますけれども、いまフィラリア病対策の唯一の特効薬ともいっていいようなジエチルカルバマジンのことですね、薬名スパトニンですね、これのことについて、あなた方の出されているこの「昭和四十四年度フィラリア病予防対策について」の実施要綱、これを見てみますと、この十六ぺ−ジには次のように書いている、「今日までのところ生命に危険な副作用をみた例はいまだかつてない。」と書いてある。これは国内だけの例ですか、それとも国際的な例ですか。「生命に危険な制作川をみた例はいまだかつてない。」ということは。
#119
○政府委員(村中俊明君) われわれが経験した国内の例でございます。
#120
○渡辺武君 こういうのを自分の国の中だけの例で判断するというのは、ちょっとこれは乱暴じゃないですか。国際的に同じ薬が使われているわけですから、外国で一体このスパトニン――ジエチルカルバマジンです、これを投与して死亡した例があるかどうか、副作用のために。そのくらいはあなた人間の命に関する問題だから、当然これは調べて、そうしてそのための対策を講じるべきだと思う。国内の、しかもさっき申し上げましたように、まことにこれは――まあせっかくおやりになった対策で、申し上げちゃ悪いのだけれども――不完全な医療対策、それで死亡者が出なかったからといって「生命に危険な副作用をみた例はいまだかつてない。」というふうに断言される、これは少し軽率じゃないですか。どうでしょう。外国では死亡した例があると思いますけれども、どうでしょうか。
#121
○政府委員(村中俊明君) この対策要綱の中にも書いてございますが、ジエチルカルバマジンにつきましては、主成分の性格上、副作用も若干あることについては御承知のとおりだと思います。そのために医師を通じまして、投与については相当慎重に処置をいたしております。投与の方法なども、対策要綱に書いてございますが、ただ先ほども申しますように、国内での私どもの経験例はございませんが、もしも国際的に外国でそういう死亡例というものがあるということであれば、私どもも早速文献を取り寄せて調査をしたい、こう考えております。
#122
○渡辺武君 中国で革命が勝利したあとで、このフィラリア病を撲滅するために集団投与をやった経験があるわけですね。その中で何人かの人たちがこの薬を飲んだために副作用で死んだという例があります。だからしろうとの私の耳に入るくらいのことですから、あなた方が専門家と緊密な連絡をとられ、真剣にこの問題についてほんとうに国民の生命と健康を守るという立場からおやりになっておられるならば、これくらいのことが、実施後もう八年近くなっておるわけですから、あなた方の耳に人っていないなんていうことはないのですよ。まことにこれは遺憾だと思います。それで、まああなた方を責めてばかりいてもしようがないのですけれども、とにかくそういうことで副作用がある。あなた御自身もおっしゃっているように剛作用がある。副作用の原因にはいろいろあるでしょうけれども、いずれにしても副作用がある。副作用があるために、おざなりに耳から血をとって虫のいることがわかったらこの薬飲みなさいと言っても、患者さんは副作用があるために一回や二回飲むだろうけれども、あと捨ててしまうという場合が非常に多いそうです。やはりこういうことをやる場合には、相当慎重に患者とよく相談しあいながら薬を投与する必要があろうかと思うのですけれども、私申し上げたいのは、それよりも何よりもこの薬の剛作用をやわらげるための特別な薬の開発、あるいは対策の開発、これにもつと積極的に厚生省は努力してほしいと思う。先ほどどこかで開発しているということを言われましたけれども、どこでどんなふうに開発しておられるのか、その点についてお答えいただきたい。
#123
○政府委員(村中俊明君) これは寄生虫学の専門家でございます東京の理科研の佐々教授が中心になりまして、フィラリアの治療、化学療法についての研究を続けておると聞いております。
#124
○渡辺武君 それは非常にけっこうなことですから、私ここで重ねてその点について厚生省としてもやはり予算を打ち切るというようなことをやらないで、そういう方向にももっと金を使って努力してほしいと思います。
 それからもう一つ、最後に一言だけお願いしたいのですけれども、副作用を緩和する――きき目はあるけれどもショックの起こらないような――そういう薬を開発してほしいと同時に、やはり子供にも乳幼児にもこれはかかっている例がたくさん去るし、かかる可能性十分あるわけですね。大体奄美大島では子供の成長の程度が非常に悪いといわれる。それから先ほどの乳糜様尿の話でも非常に率が高いし、それから精神薄弱児と思われるような人たちも非常に多い。そのすべてがフィラリア症から起こっていると断言はできないかもわかりませんけれども、フィラリア病と関係があるのじゃないだろうかということを、現地でフィラリア克服につとめておる医者は言っておられる。そういうこともありまして、乳幼児及び小学生、子供たちに対する対策というものは特別重要だと思う。で、以前にソ連で子供の飲みやすい生ワクチン、あれを開発して日本でも輸入した、という事例もありますけれども、しかし、アジアでも最大の工業国、なった日本が、みずから積極的にアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国の人たちが悩んでいるこのフィラリア病を解決するための薬、子供たちにも飲みやすいようにシロップ風にするとか、あるいは胃で溶けるのじゃなくて腸にいって初めて溶けるとかいうようなさまざまな配慮を加えた薬を開発するために努力してほしいと思う。このスパトニンは田辺製薬一社の製品だそうでありますが、厚生省も田辺製薬にその辺を十分に要請して、そしてほんとうに喜んで飲むことのできるような薬の開発につとめていただきたいと思います。薬事審議会にこういう問題はやはりかける必要があるかと思うのですが、その点どうですか、そういう方向で努力されますか。
#125
○政府委員(村中俊明君) 直接薬事審議会の所管をいたしておりませんが、いまの御指摘の点につきましては、やはり第一段階としては、そういう飲みやすい、あるいは従来のタブレットをシロップ様な形になるのかならないのか、その辺の研究が第一点としてあると思います。これの研究ができた上で、薬事審議会にかかって、製薬という形で一般に出る、こんなふうに理解いたしております。
#126
○渡辺武君 どうもまことにきれいなことをおっしゃっておられるのですけれども、最後に特に強く要望申し上げたいのは、この予算を四十四年度一ぱいで切っちゃうということですね。これは全く愚行だと思います。絶対そういうことはやるべきでないと思います。いま私るる申し上げましたこの問題が非常に重大な問題を含んでおるということをよくお考えいただいて、あなたは予算について、すでに厚生省としてきまっているから、ここでは予算打ち切りの方針は変えない旨の御答弁をなされておられるわけですけれども、いずれこれはきょうお出でいただかなかった厚生大臣にもあらためて質問かたがた強く要望したいと思っておりますが、最後に大蔵省の方、この予算打ち切りをぜひ取りやめてほしいと思う、また当然いま私が申し上げたことをお聞きいただいておれば、これは予算を打ち切るのを取りやめるということのほうが至当じゃないかと考えていただけたものと思うのですが、その点どうでしょうか。
#127
○説明員(辻敬一君) 四十一年の八月に行政管理庁からいろいろ補助金に関する行政監察結果に基づく勧告というものが出されておりますが、その中で、ただいま御指摘のフィラリア病予防費補助金は期限を付して廃止することが適当と認める補助金、その中に入っております。そういうような行政管理庁の勧告等も勘案いたしまして、先ほど来申し上げておりますように四十四年度限りで補助は廃止する方針をとっておるわけでございます。
#128
○渡辺武君 これで終わりますけれども、零細補助金というのは、これはただ額が小さい大きいというものではなくて、大口の補助金ほど大会社にごっそり出ておる例が多くて零細補助金ほどこれは国民の暮らしに非常に密着しているという例がかなりあるわけでして、一がいに零細補助金だということで打ち切られちゃ、とてもたまらぬと思います。内容上の問題をよくお考えいただいて、もう一度再検討することを強く要望して私の質問を終わります。
#129
○委員長(木村禧八郎君) 本日はこの程度とし、散会いたします。
   午後一時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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