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#1
第061回国会 決算委員会 第6号
昭和四十四年五月七日(水曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     須藤 五郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村禧八郎君
    理 事
                温水 三郎君
                前田佳都男君
                松井  誠君
                黒柳  明君
                高山 恒雄君
    委 員
                長田 裕二君
                亀井 善彰君
                熊谷太三郎君
                黒木 利克君
                佐田 一郎君
                佐藤  隆君
                田口長治郎君
                二木 謙吾君
                若林 正武君
                渡辺一太郎君
                大橋 和孝君
                大森 創造君
                林  虎雄君
                上林繁次郎君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       文 部 大 臣  坂田 道太君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      山田 精一君
       大蔵政務次官   沢田 一精君
       大蔵省主計局次
       長        船後 正道君
       文部大臣官房会
       計課長      安養寺重夫君
       農林政務次官   玉置 和郎君
       農林省農地局長  中野 和仁君
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省重工
       業局長      吉光  久君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設大臣官房会
       計課長      栗屋 敏信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      石原 一彦君
       大蔵省理財局管
       理課長      有元 三郎君
       通商産業省企業
       局企業第二課長  島田 春樹君
       会計検査院事務
       総局第一局長   斎藤  実君
       会計検査院事務
       総局第四局長   鈴木 治久君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十二
 年度政府関係機関決算書(内閣提出)
○昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(内閣提出)
○昭和四十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (内閣提出)
    ―――――――――――――
  〔理事松井誠君委員長席に着く〕
#2
○理事(松井誠君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、渡辺武君が辞任され、その補欠として須藤五郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(松井誠君) 昭和四十二年度決算外二件を議題とし、総括質疑を続行いたします。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○木村禧八郎君 文部大臣は御用があるそうですから最初に質問いたしますが、問題は非常にはっきりして簡単なんですが、これはまあ大蔵大臣が同席していませんと都合が悪いのですけれども――またこれは、あと大蔵大臣に質問いたしまして念を押してみますが、しかし文部大臣の所管ですから、一応文部大臣にこういう問題があるのだということを頭に入れておいていただいて、今後は一これは弾力条項の乱用の問題なんですから、そういうことをしないように文部大臣に要望しておきます。大蔵大臣にも要望いたしますが、そのことはひとつ頭に入れておいてください。こういうことなんですがね。いまこの決算委員会に一般会計、特別会計の予備費の使用総調書、これが付託されているわけです。これはまあ予備審査の問題ですけれども――それと、この四十三年度特別会計の予算総則第十一条に基づく使用総調書、これはいわゆる弾力条項なんでございますが、これに関連しまして四十三年度一般会計予備費使用総調書というのがあるのですが、このうちの文部省の部、その二五ページです。そこに四十三年十月二十五日、七千八十八万円の使用決定をしているわけですね。それから二六ページ、四十三年十一月二十九日に千九百八十四万円の使用決定をしているわけです。そしていずれも災害復旧のための使用決定なんです。
 そこで問題になるのは、一般会計の予備費使用を決定した同じ日に同じ金額を予算総則第十一条の弾力条項の規定を使って、国立学校特別会計に受け入れて、国立学校の災害復旧費の使用に使われているわけです。これは八三ページをごらんになっていただきますと、そうなっております。この措置は妥当でないと思うのですが、これについて文部大臣の意見を伺いたい。それからあわせて大蔵事務当局でいいんですが、意見をお聞きしたい。
#5
○国務大臣(坂田道太君) 昭和四十三年度の特別会計予算総則第十一条によりますと、国立学校特別会計におきましては「附属病院収入その他の収入の増加」がございました場合に、これを「事業のため直接必要な経費」の支出に充てることができるものと規定されておりますことは、御案内のとおりでございます。問題は、「事業のため直接必要な経費」にこの国立学校の施設等の災害復旧費が該当するかどうかということだと思うわけでございますが、一応われわれといたしましては、大蔵省と相談の上、該当するというたてまえから、一般会計からの受け入れ金の増加は「その他の収入の増加」に――国立学校の施設等の災害復旧費は「事業のため直接必要な経費」に該当するということが言えるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#6
○木村禧八郎君 支出のほうじゃないのですね、問題は歳入のほうにあるのです。と申しますのは、弾力条項というのは、文部大臣も御承知と思うのですが、これはたとえば四十四年度の特別会計予算の十一条を読んでみますと、「次の表の左欄に掲げる各特別会計において、中欄に掲げる事由により収入金額が予算額に比して増加するときは、その増加する金額を限度としてそれぞれ右欄に掲げる経費の支出に充てることができる。」これはたとえば造幣局とか印刷局とか、資金運用部とか国債整理基金とか、貴金属等々の特別会計の本来の収入がふえた場合に、それに属する事業の増加に充てることができるということなんです。ところで、この国立学校の場合は、附属病院収入ならばいいんです。ところが「その他の収入」というのは、一般会計の予備費から特別会計へ繰り入れるわけなんです。御承知のように昭和三十九年から国立学校は特別会計になった。それまではこういうようなややこしいことをやらなくてもよかった。ところが特別会計になっちゃった。特別会計になりますと、この国立学校の特別会計法では、「一般会計からの繰入金は、予算で定めるところにより、繰り入れるものとする。」こうなっておるのです。――国立学校特別会計法の第三条第二項。したがって一般会計の歳出に立てて特別会計の歳入として受け入れるための予算によらなければならぬわけです、予算に。この「予算で定める」というのは、当初予算なりあるいは補正予算なり、いずれもいいわけですけれども、予算という形式を整えて国会の事前の審議、議決を必要とする、こういう趣旨だと思うのです。大蔵省事務当局、そうじゃないですか。
#7
○政府委員(船後正道君) 各特別会計の収入は、それぞれの特別会計ごとに種々あるわけでございますから、国立学校の場合には、同特会法第三条にございますとおり、「一般会計からの繰入金、授業料、入学料、検定料、病院収入」その他になっておりますが、この第三条第二項の「一般会計からの繰入金は、予算で定めるところにより、繰り入れるものとする。」ということにつきましては、もちろん当初予算もしくは補正予算でもって、一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるというような項でもって定めましたほか、予測しがたい予算の不足が生じまして、予備費使用でもって増額したという分も含まれる、かように解しております。
#8
○木村禧八郎君 その場合、弾力条項を使うのは乱用じゃないかというのですよ。弾力条項はその特別会計本来の事業によって生じた収入であるのです。収入がふえた場合に、その事業に属する事業に支出する場合は、弾力条項であらかじめ国会の承認なくして、総括的に使用を認めるわけなんです、総括的に。ところが特別会計の各予備費はありますよ。この場合はそうじゃなくて、一般会計の予備費から特別会計へ入れるわけでしょう。したがって、これは予算総則で別項を立てるべきですよ、項を一つ。そうしないと――弾力条項でやるということになると、これは乱用になっちゃうでしょう。そうじゃないですか。そこが問題なんですよ。ですから、たとえばこの場合ですね、文部大臣、同じ支出でも災害復旧費以外の場合なら、これは差しつかえないのですよ。研究その他「受託研究等の増加に必要な経費」とありますね、こういうもの――これは、今度は国立病院の収入がふえた、その収入をいまのような費目に使う場合は弾力条項でいいと思うのですよ。ところが、これが一般会計の予備費から特別会計へ入れるのですよ。その場合、弾力条項を使うということは、これは乱用ですよ。弾力条項はそういうもののために設けられたものじゃないのです。なぜそういうことが起こるかというと、結局特別会計になったということが一つですね、国立学校が。それと総合予算主義で補正を組まぬというたてまえをとったために、こういう無理をしなければならなくなってきた。だから、この場合は別項を立てて、予算総則に、十一条の次に十二条でも立てて、そうしてもっと限定しなければならぬと思うのです、そうなったらね。何でも弾力条項でまかなうとしたら――そして国会の承認を得ないで、ここで包括的にどんどん弾力条項へぶっ込んでいけば一般会計の予備費が非常な乱用になっていくでしょう。それには限定しなければならぬ。ですから私の提案は、予算総則にもう一項立てて、そうしてたとえば特別会計国立学校とか国有林野、特に治山治水特別会計等の災害復旧に一般会計の予備費を使う場合に限って一般会計の予備費の繰り入れを認めると、こういう項を立てるべきであって、すぐ弾力条項でこれをやることはあまり安易過ぎるのです。ですから、このうちの附属病院収入の増加というだけならいいのですよ。その他の収入の増加が一般会計予備費からの災害復旧費の受け入れなんですよ。それが「その他」となっているのですよ。これは、われわれ国会の側としては、そういうところはきちんとしませんと、総合予算主義というので予備費をどんどんふやしまして、だんだん乱用の危険性があるわけなんですよ。総合予算主義をとった弊害はいろいろあるのですけれども、そのうちの一つですね。これはあまり大きい問題じゃないのですけれども、問題がある。これは文部省だけじゃなく、建設省にもあるのです、国有林野、治山治水特別会計にもあるわけなんです。ですから、これはまあ大蔵省の問題かもしれませんが、しかし所管が文部省ですしね。それは、いままで一般会計でやっていたのを特別会計にいたしましたから、そこでこういう問題が起こってくる。それはおわかりになったでしょう、本質は。ですから、やはり文部省が災害復旧の場合に、一般会計の予備費で災害復旧費を弾力条項でまかなうということは、これは問題ですよ。各特別会計の予備費というものはあるのですが、それはそれでいいわけです。一般会計からの予備費を特別会計に繰り入れる場合です、弾力条項でまかなっちゃう。これは、私は許されない。弾力条項というのは、そうでないのであって、特別会計の本来の仕事によって生じた利益金ですよ。利益が生じた場合、その仕事をふやしてもよろしい。こういうことなんですから、ちょっと性質が違うのですよ。それを非常に安易にこういう弾力条項でまかなっちゃっている。だから、今度これを直せといっても、予算は通っているし、あれですけれども、これからは、やはりそういうふうに予算総則にもう一項立てなさいというのですよ。立てるべきです。そうすれば、非常にはっきりする。そうしないと乱用になるから。その場合でも、一般会計の予備費を特別会計に移す場合、限定しなければいけませんよ。ですから、たとえば災害復旧に使う場合に限って一般会計の予備費を特別会計に繰り入れることができると、こういうようにしませんと、乱用される。このことなんです、文部大臣に御質問する点は。この点だけなんです。その点は大体おわかりでしょう。ですから、私の言うことが何か間違っていたら、ひとつ文部大臣から御反論していただいてもいいですし、そうだとお考えだったら、これは今後、特別会計予算の、ことに弾力条項については、これはやっぱり特にしなければいけないのじゃないかと思う。弾力条項でまかなうのはちょっとまずい。大蔵省どうですか、よく相談して――大蔵省だってわかったでしょう。私の趣旨はおわかりでしょう。ですから、むろんいまの文教予算と文部省の災害関係、それから建設省関係の災害、これについては今後は予算総則に別項を立てて、そうしてまかなうべきである。そうしないと、ことに総合予算主義のたてまえになってからは、予備費がふえてきますし、予備費の乱用の危険がそこにあるというふうに考えられますので、そういうふうに措置されますように私、要望しておきますが、ちょっとお答え願いたいと思います。
#9
○政府委員(船後正道君) 弾力条項の制度の趣旨でございます、先生御指摘のように、狭義の収入金支弁的な経費の増加というのも弾力条項の典型的な一つの例ではございますが、しかし特別会計における弾力条項の制度はあくまでもそれぞれの特別会計の事業の円滑かつ効率的な執行ということに観点を置きまして、政府の恣意的な判断の介入する余地の少ない他動的な、客観的な理由によって、ある特定の経費を増額して使用する必要が生じたというような場合に要件をしぼって認めるたてまえのものでございます。したがいまして、国立学校に例をとりますれば、付属病院における患者の増とか、やむを得ない事業量の増加があった。あるいは国立学校施設における災害復旧というような緊急やむを得ない事態に対処する必要がある。あるいはまた、国立学校教職員の給与改善費という法律上の義務的な経費の増額に対処する必要がある。このような場合に、この条項を発動いたしまして、特別会計側におきまして歳出権の増額をはかっているわけでございますが、このような場合を総合いたしまして比較的簡潔な表現を用いるといたしますれば、現在ございますような特別会計の予算総則の第十一条のような表現にならざるを得ないと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても弾力条項の適用につきましては、他動的、客観的な理由によって特定の経費を増額する必要があるといったような場合に限って使用いたしておりますので、これが乱用に陥るという危険はないと考えております。
#10
○理事(松井誠君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#11
○理事(松井誠君) 速記を始めて。
#12
○木村禧八郎君 この四十三年度と四十二年度の特別会計の予算総則におきまして、国立学校と林野事業特別会計の二つについて、要件とそれから経費につきまして表現が違うのですよ。なぜこのように表現を違えるようにしたのかということと、これはいまの私の質問と関連するのですが、大蔵省はいまの私の質問に対して、このように四十三年度特別会計の予算総則の十一条においては表現を変えたからいいのだと答弁すると思ったんです。しかし、それではわからない。一般の人が見たって、これは何が何だかさっぱりわからぬと思う。何のためにこれを修正したのかわからない。だから、その理由を聞けば私ははっきりすると思うので、そこで聞くわけです。
 具体的に申しますと、こういうことなんです。昭和四十二年度特別会計予算総則の十一条の8の国立学校のところですね。その要件のところでは「附属病院収入その他の収入の増加」となって、これは四十三年度も同じです。ところが経費のところで、「当該事業量の増加のため直接必要な経費」というふうに四十二年度特別会計予算の予算総則十一条ではなっているんです。ところが四十三年度は「事業のため直接必要な経費」というふうになっていますね。「当該事業量の増加のため」じゃなくて、「事業のため直接必要な経費」、こういうふうになっている。なぜこのように直したのか。ただそれは、文字を簡潔にするというだけでしたのかどうか。
 それからもう一つは、四十二年度の予算総則十一条では、国有林野事業、そっちのほうで――これもわからぬのですが、なぜ修正したか。四十二年度の十一条では「国有林野事業勘定における立木の処分及び製品の生産、又は処分に係る作業量の増加並びにこれに伴い必要となる林道事業又は造林事業の事業量の増加のため直接必要な経費」と、こうなっている。ところが四十三年度の予算総則十一条を見ますと、「国有林野事業勘定における」というのはとっちゃって「立木の処分及び製品の生産又は処分に係る作業童の増加並びにこれに伴い必要となる林道事業又は造林事業の事業量の増加のため直接必要な経費」と、こうなっている。なぜこういうふうにこれを修正したか、その理由です。
#13
○政府委員(船後正道君) 国立学校特会の歳入でございますが、これは病院収入、授業料等を除きましては大部分が一般会計からの繰り入れ金でございます。ところで従来、年度途中におきまして予見しがたい予算の不足が生ずる――これは大体典型的には災害復旧でございますとか、あるいは給与の改定とか、こういった事項でございますが、四十二年度までは、こういった場合に対処するために、まず収入面におきましては、これはまあ現在の扱いと変わりございませんが、一般会計から予備費を使用いたしまして特別会計に繰り入れる、他方、これを受け取りました特別会計の歳出側におきましては、四十二年度までは予備収入という歳入部分、これに見合って予備費を上積みしておりました、その予備費を使いまして災害等に対処する、こういう方式でございまして……
#14
○木村禧八郎君 ちょっと待ってください。そうすると四十二年のときには、一般会計のほうの予備費を国立学校特別会計に入れて、特別会計の予備費の上積みをするの、その予備費の。
#15
○政府委員(船後正道君) 四十二年度までの扱い方を申し上げますと、一般会計の予備費を使用して特別会計に繰り入れるということにつきましては、これは四十二年度も四十三年度も変わりはございません。いずれも災害その他のやむを得ない予算の不足のために、予備費から国立学校特会へ繰り入れるという使用のしかたをしてきたわけでございます。これを受け取りました特別会計におきまして、歳出権をどのようにしてそれでは生み出すかということになるわけでございます。従来でございますと、予備収入、予備費というようなかっこうでもって、特別会計側の予備費をもって受けとめるという仕組みをとったわけでございます。ところが四十三年度からは、むしろこういったやり方よりは、特別会計側の歳出権を増額する措置といたしましては、予算総則十一条のようなやり方で、いわゆる弾力条項によって対処するそのほうがむしろ要件が限定的である。かように考えまして、四十三年度から現在見られるような姿に改正いたした次第でございます。
#16
○木村禧八郎君 じゃあ、国有林野のほうは……。
#17
○政府委員(船後正道君) 国有林野につきましては、御指摘のございました四十二年度の予算総則の十一条の書き方は、これは国有林野の事業勘定における弾力条項でございまして、これは四十三年度の特別会計予算総則十一条の14のところにそのまま規定してございます。先生の御指摘ございました四十三年度特別会計予算総則十一条の15は、四十三年度からむしろこれは新設された分でございます。これは、そこにも要件が限っておりますように、「国土総合開発事業調整費の使用による一般会計からの繰入れの増加等による同会計からの受入金その他の収入の増加」があった場合に、事業のため直接必要な経費に充当することができるというような規定を設けたわけでございます。その趣旨は、先ほど国立学校特会について申し上げたと同じでございます。
#18
○木村禧八郎君 ぼくの趣旨は、結局、予算総則でまた別項を起こしてまかなうべきものを、弾力条項で安易に一般会計から特別会計に繰り入れられた予備費を使ってしまうというところに問題があるのであって、これは単にこの問題だけでなく、全体のこの予備費の使い方について特に政府が四十二年度予算あたりから景気調整のためにフィスカル・ポリシーなんと言い出しまして、予算の弾力的使用とか何とか言い出しまして、なるべく予算が予算書あるいは国会で縛られないように弾力的に運用できる範囲を広めようと、こういう傾向にあるわけなんですよ。しかも、特に四十三年度になりましてから、総合予算主義というのをとってから、予備費が非常にふえたでしょう。予備費が非常にふえた。そういうことから、この予備費使用についてどうも安易な乱用におちいる危険性が出てくる。そこで、私は、いま警告の意味で一つの具体的な例を持ち出して質問しているわけなんですがね。そこらは弾力条項を使えば安易でいいですよ。それは使いやすくなりますけれども、しかし、弾力条項のこの十一条の趣旨というのは、さっき言いましたようにはっきりしているので、一般会計の予備費を特別会計に入れるときに、これを弾力条項を使ってやるということについては、これは相当問題がありますよ。これはやはり考え直さなければならないので、「その他の収入」の中に国立学校については災害復旧費の受け入れでしょう。そうでしょう、「その他の収入」というのは。そうじゃないですか。
#19
○政府委員(船後正道君) 「その他の収入」、まあ歳入サイドのこととしましては、一般会計からの繰り入れでございまして、一般会計からなぜ繰り入れが増加したかというのは、国立学校特会において施設の災害復旧の必要というものが生じたためであります。
#20
○木村禧八郎君 前は、これは一般会計であったのですからね、国立学校は。そういうときにはこの問題は生じないのですよ。ところが、これを特別会計にしたでしょう、特別会計に。特別会計にしますと、さっき言いましたように、これは「予算で定めるところにより、」ということになっているのですよ。この「予算で定めるところにより、」ということになっているのですから、どうしてもこれは当初予算、補正予算を問わず、いずれにしても予算という形式を整えて、国会の事前審議を――議決を必要とするということだと思うのですよ。これはまあさつき質問したのですがね。ですから、国立学校特別会計法の第三条二項ですね、いま言いました――この第三条二項に国会の事前審査を要件とした繰り入れの規定があるのに、それを無視した形で、前に申しましたように、予算総則十一条の弾力条項の規定を使って国立学校特別会計に繰り入れて、使用後に国会に事後承諾を求めるやり方なんです。これが妥当かどうかということなんですよ。ですから私は、それは乱用だと、乱用だから、この一般会計からの収入の増加を十一条の弾力条項でまかなうということは十一条の趣旨に反するのですよ。あくまでも十一条というものは一般会計の受け入れじゃないのですよ。その会計によって生じた収入が増加した場合、たとえば一番まあ顕著なのは資金運用部、郵便貯金等の受け入れ資金の増加に伴う収入の増加、そういうときに預託金利子に必要な経費がふえると、そういう場合には弾力条項を使っていいのですよ。その特別会計固有の仕事によってその収入がふえた。その収入をその固有の仕事がふえたのに使ってよろしいというのが弾力条項で、一般会計からの受け入れに対して弾力条項を使うのは、これは不当ですよ。不当です。ですから、私は、これは大蔵省もそんなに意地っ張らないで、メンツとか何とか、そんなことにとらわれないで、もう一項予算総則を起こしなさいというんですよ。一項を起こして――結局、これもあんまりむやみに一般会計の予備費を特別会計に受け入れて乱用しちゃいけませんから、災害復旧に使う場合に限る、そういうやはり限定をしなければいけないと思うのですね。だから、予算総則十一条の次に十二条でも設けて、そうすれば非常にすっきりするわけですよ。そうしなさいというのです。特に予備費の使用の乱用とかいうものが常に問題になってきているときです。乱用のおそれはないと、こう言いますけれども、しかし、そんならなぜはっきりさせないのですか。はっきりしたらいいと思うんですよ。それでずっと十二条を十三条にし、順送りに送って、十五条までありますけれども、十六条にする――十五条を順送りする、それをやればいいんじゃないですか。それができないのですか。
#21
○政府委員(船後正道君) 弾力条項の制度の目的は、先ほども申し上げましたように、狭義の収入金支弁、その会計独自の収入がふえたから、その収入増加に伴って事業量の拡大が必要であるというときに必ずしも限定的にこの弾力条項を考えておりません。やはり特別会計のそれぞれの目的があるわけでございますが、その事業の執行にあたりまして、政府の恣意的な判断の入る余地の少ない他動的、客観的な理由によって経費の増額使用をする必要が生じたといったような歳出サイドの要因に着目いたしまして、そういった場合に収入――この収入の中には、もちろん特会独自の収入も、一般会計の繰り入れという歳入の増も含まれるわけでございますが、その収入の範囲内でこれを認めるというたてまえのようでございます。こういった弾力条項を一つの制度として表現する方法として、いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、やはり現在のような予算総則十一条の書き方が一番適当ではないかと、かように考えておるわけでございます。また、この予算総則十一条の適用によりましても決して乱用のおそれというものはないと考えております。
#22
○木村禧八郎君 大蔵省の考えは、こういう点で非常に私は間違いだと思うんです。一般会計から繰り入れる場合は、税金ですよ。ところが、たとえば国立学校の場合の付属病院収入というのは税金じゃないのですよ。その他の特別会計、たとえば貴金属特別会計にしましても、資金運用部の特別会計にしましても、そこで生じた収入の増加というのは税金じゃないですよ、これは。そこに違いがあるのですよ。だから税金の扱いについては、これはもっと厳重にしなければならぬのでありまして、したがって――この弾力条項の運用については必ずしもその事業固有の収入増加のみに限定すべきものじゃないと言うけれども――この趣旨は、税金以外の収入増加が大体予定されておるのですよ。それをだんだんと税金までも弾力条項でまかなうようにすることは、これはもう乱用ですよ。これは厳重にわれわれは監視しなければいけませんよ。これを許しておいたらどんどんそういうふうに発展していきますよ。これはいま重大な発言だと思う。本質が違うのです、一般会計からの繰り入れと、その事業固有の収入増加と違うのですよ、性質が。そこを問題にしているのです。ですから何も運用上困らないのですから、ここに一項立てなさいというのです、はっきり。十一条でまかなっちゃいけないというのですよ。十一条というのは本来税金じゃないのですから。税金の場合にはもっときちんと、いま私が申しましたとおり、一般会計からの予備費の繰り入れについては、予算総則にもう一条設けてやるべきだ。そうしなければ、われわれ国会としてはもっとそういう監視を徹底せなければいかぬと思うのですよ。いまのような説明では、これは税金のほうの収入と、それ以外の収入との区別がなされていないのですよ。そんな予算の執行のしかたはいけないと思うのです。これは予算執行を誤った不当な処理だと私は思いますがね。これは今後絶対にこういうことをすべきじゃないと思う。だから私は、対案まで示しているのですから検討したらどうですか、そんなに頑張らないで。
#23
○政府委員(船後正道君) 特別会計の歳入、これは特別会計によりまして種々さまざまでございまして、独立採算をたてまえとするところは特会独自の歳入、収入でもって経費を支弁しておる。しかし独立採算をたてまえとしないで、財源の大部分を一般会計の繰り入れでもってまかなっておるというような会計もあるわけでございます。このような種々さまざまな特別会計を通じまして、この弾力条項の制度を表現するための方法といたしまして、現在は予算総則十一条のようなやり方をとっておるのでございますが、先生も御承知のとおり、この弾力条項そのものにつきましては、先般来種々議論のあるところでございますので、ただいま御指摘のような問題も含めまして、さらに検討をいたしたいと考えております。
#24
○木村禧八郎君 こういうのは、私はもう明らかに不当な処理だと思うのですがね。つまり予算執行を誤った不当な処理であると思う。だから、これは改めなければいけないと思いますけれども、四十三年度は、政府は補正なし総合予算主義という、そういう方針をとったわけですが、これがこういう無理な、一般会計の予備費を弾力条項でまかなうというような、こういう安易な措置をとるようなことになったと思うのですがね。その前にはこういうことをしていないでしょう。
#25
○政府委員(船後正道君) 四十二年度までのやり方は、先ほども申し上げましたが、特別会計側の歳出権限の増加といたしましては予備収入、予備費というかっこうでもって、あらかじめ特別会計の予備費を予備収入に見合った分だけ上積みする、これを使いまして特別会計側の歳出権をつくり出すという措置をとっておったわけでございまして、この場合には一般会計の予備費を使用したという形の国会の御承認と同時に、特別会計の予備費を使用したという形の国会の承認を受けておったわけでございます。それが四十三年度からは特別会計側における歳出権の増額部分だけをこの弾力条項の規定によって措置するということに改めたわけでございまして、私どもといたしましては、いずれにしても国会の事後承諾をお願いするたてまえのものでございますし、むしろ特別会計側の一般的な形で歳出権限を留保する予備費制度よりは、この弾力条項のほうがむしろ要件をしぼっておるから、より適切ではないか、かように考えておる次第でございます。
#26
○木村禧八郎君 そこに根本的な違いがあるのですよ、大蔵当局と。ですから、いま問題となっているのは二つですよ。国立学校と国有林野特別会計の建設省所管の治水特別会計の災害復旧費を弾力条項で使っておる。これは一〇一ページを見ていただくとある。見てください。二つなんですよ、これは。だからこの二つを改めればいい、さしあたりですよ。一〇一ページの治水ですね。この治水特別会計のほうは、これは建設省所管ですが、建設省の道路特別会計でも弾力条項を使っているわけですけれども、これは九九ページから一〇〇ページ、ここにあるのですが、これは予算書に書かれておるとおり、さっき政府委員の言われますように、国土総合開発事業調整費の費用ですね。経済企画庁所管の予算に計上してあるわけですが、これは弾力条項を重視した扱い方だと思うのですよ。これは弾力条項の規定があるから、一般会計から特別会計へ繰り入れにこれを使うというような安易なやり方――これは改めるべきだ、これは検討されるべきだと思うんです。そういうことはわれわれ国会側としては容認できないですよ。税金のほうの繰り入れと、それからその特別会計固有の事業の収入増加とごっちゃにして弾力条項でまかなうということは、これはわれわれ賛成できないですよ。これはもっと厳格にすべきです。いま問題になっているのは二つですからね。これは文部省と建設省と大蔵省と相談して、さっき私が提案したように、予算総則に一項加えまして、そうしてすっきりさせるべきだと、私はそういうふうに思うんですが、これはまた大臣によく伝えておいてください。それで私が要求したような方向で処理されることをお願いしておきますね。まあ、いまいきなり、この弾力条項のほうへ入っちゃったのですが、これは、さっき文部大臣は時間の都合上早く質問してくれというので、弾力条項の質問に入ったのです。
 次に、これは前に総理大臣にも質問したんですが、予備費等の事後承諾議案の国会に対しての提出のしかたについての法律上の疑義について、それからもう一つ、財政法十四条の三による四十二年度歳出予算の翌年度繰り越しについて、この二点についてこれから質問いたしますが、前に衆議院でも質問されましたし、私も一応総理に質問いたしましたから、経過は大蔵当局よく御存じと思うんです。で、結論だけ聞いておきますが、結局やり方が二つしかないと思うんですよ。
 その一つは、財政法三十六条に従って各省各庁の所管の使用調書が出されてないわけですよ。われわれに提案されているのは、この使用調書は議案ではないのであって、「参照」になっているんですから、そこであらためて政府は、各省各庁所管の使用調書を議案として出すべきだと思うんですよ、三十六条に従って。出されてない、それについては、第五国会まではこの各省各庁所管の使用調書も議案になっていたわけですよ。それと同じものが出ておった。なぜ第六国会から変わったのか。いかに簡素化するといったって程度がありますよ。これを一般会計の予備費使用総調書なりあるいは特別会計の予備費使用総調書なり、これを見ただけでも組織も項も目も何もないんですからね。参照のほうに組織とか複数の項とかあるんですよ。第五国会まではこれが議案になっておったんです。第五国会までは三十六条の規定どおり出されておったのですよ。その惰性で内閣は国会に対して各省各庁所管の使用調書も出してきてるんですよ。それを参照のほうに落としちゃったんです。どうもいろいろ事情を聞くと、これは簡素化と言うんですが、簡素化なんという、そんなものじゃなくて、これはその組織なり項目を議決対象から除くわけなんです。これは重大問題なんです。国会の審議権に対する非常な制約になってくるんですよ。そうすると、流用と移用の問題に関連してくるのですよ。そこで伺いたいのは、予備費使用に関するあれはどうなっているのですか。閣議の方針があるでしょう。それはどういうふうになっているのですか、これをちょっと伺っておきたい。予備費使用に関する方針、あるいは予備費使用に関する基準というものがあるのですか、そういうものをここでお聞かせ願いたい。
#27
○理事(松井誠君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#28
○理事(松井誠君) 速記をつけて。
#29
○木村禧八郎君 ちょっと答弁をしていただく前に、建設省の方々ですね、いまの私の御質問をお聞きになっていたことと思うのですが、おわかりだと思うのです。ですから建設大臣にも話していただいて、この治水特別会計で災害復旧費の一般会計からの繰り入れを弾力条項でまかなうのは不当だと言っている――おわかりだと思うのですが、これは弾力条項の解釈のしかたにもよるのですが、建設大臣にもそれを伝えていただきたい。あなたに答弁を求めるのは無理でしょう。まあ来ておりましたのですから、このことを大臣に伝えて、そうして大蔵省とも話し合っていただきたい。それについて答弁がありましたら……。
#30
○政府委員(志村清一君) 私どもの治水特別、道路特別は、先ほどから御議論がございます林野特会と違いまして、主計局次長からもお話がありましたが、全額いわば国費、税金の対象額をもってまかなう特別会計でございますので、性格が異なるものでありますので、先生の御趣旨はよく大臣にお伝えいたします。
#31
○政府委員(船後正道君) まず初めに、第五国会を境にしての予備費使用調書の議案の形式の問題でございますが、これは確かに変わってはおります。二十二年度までにおきましては、予備費使用総調書とそれから調書と、大体内容的には同じような内容でございます。しかし調書のほうは、項におきましても参照という形でもって国会に承諾を求めておった次第でございます。これは三十六条の規定との関係につきましては、各省各庁の予備費使用の調書は、総調書の内訳の明細としてこれと一体をなす、両者を個々別々の審議の対象として扱うことは適当でないというようなことから、総調書をもって代表させて、国会審議の対象としてお願いしてまいったわけでございます。こういう扱い方は、二十二年度からもそのように扱ってきておるわけでございます。
#32
○木村禧八郎君 昭和二十九年四月の閣議決定で「予備費の使用について」というのがあるでしょう。それはどういう内容になっておりますか。
#33
○政府委員(船後正道君) 予備費使用につきましては二十九年に閣議決定をいたしまして以来、ときどきの改正はございますけれども、政府部内の統制の方法といたしまして、まず第一に財政法第三十五条第三項ただし書きの規定、つまり「予め閣議の決定を経て大蔵大臣の指定する経費については、閣議を経ることを必要とせず」という経費をまず指定しております。それから第二に、国会の開会中におきましては、非常に他動的、客観的な理由によりまして必要となるような経費あるいは軽微な経費、このような経費以外は予備費の使用を行なわないという方針を明らかにしております。それから予備費を使用する金額につきましては、その目的の使途以外に支出してはならない。これは予備費の性格から見まして、緊急やむを得ない、予算の不足がある科目につきまして生じたわけでございますが、それ以外の科目にこれを使うということは適当ではないということで、規制しておるわけでございます。
#34
○木村禧八郎君 このうち、いわゆる大蔵大臣の指定経費に関する予備費の使用は非常に巨額で、それで国会開会中に集中していると思うのです。ですから国会開会中の予備費の使用は、大蔵大臣の指定に関するものと、その他のものを加えますと、非常に大きな金額になるわけです。そこで本来なら、国会開会中に予備費使用の決定が行なわれたときは、財政民主主義の原則と予備費の事後承諾迅速化の趣旨に照らして考えれば、内閣は、少なくとも直ちに何らかの方法によって、その使用が要件に該当するかいなかの国会の承諾を求める端緒を当面の国会に対して開くべきではないかという、そういう議論があるわけなんです。これについては大蔵当局はどういうふうに考えますか。
#35
○政府委員(船後正道君) 国会開会中に義務的な経費とか、軽微な経費以外につきましては、予備費の使用を規制しておるのは、先生御指摘のようにやはり財政民主主義のたてまえからいたしまして、そのような扱いをしておるわけでございますが、そういった経費につきまして別途に国会承諾その他の手続について何かの定めをしてはどうかということになりますと、これは立法論の問題でございますし、現在のような扱い方でもって私どもは十分予備費の使用について種々の要求に合致しておるんではないか、このように考えておる次第でございます。
#36
○木村禧八郎君 これは議論のあるところですが、だんだん予備費がふえてきておりますので、本来なら補正を組まなければならないのを予備費でまかなって、そうして事後承諾的になるのですけれども、しかし予備費使用調書は決算とは違うわけです。決算とは違う。決算がもう一度あるわけですから、したがって、なるべく財政民主主義を徹底しようとすれば、予備費使用が決定したら、なるべく早く、ほんとうは国会中でもこれは国会のぼくは承認を得べきじゃないかと、こう思うのですけれども、そこは議論の存するところですけれども――私はそういうように考えますけれども、なるべくそういう方向に努力するように、その趣旨に沿うように私は運用しなければならぬ。それに関連して予備費使用については、目的外の支出を禁じているわけですけれども、そうしますと、目的外の使用を禁止するについては、財政法でこれは流用を認めているにもかかわらず、目的外の支出を禁じている。したがって予備費使用の費目についても流用を禁じられているものと解釈しなければならぬと思うのですね。そうなると、この議案の提出のしかたがやはり問題になってくる、参照じゃいけないのです。だから私は、結論はこれは各省各庁所管の使用調書が出てないのだから、これは議案として新しく出すのか、あるいは衆議院のほうはどうなっているのですか、議決しましたか、まだですか。衆議院はどうですか。
#37
○政府委員(船後正道君) 予備費使用総調書等につきましては、ただいま審議中でございます。
#38
○木村禧八郎君 議決しなければ……議決してしまうと、これは修正したりなんかできない。一院で議決したものを政府がこれを修正したりすることはできませんが、まだ議決しないのですから、そうしたらこれを修正して提出し直す、その方法が一番簡単です。「参照」をとってしまう。そうして各省各庁所管の使用調書も議決案件とする。そういうことにするか、あるいは新しくこれを出すか――出ていないのですから、各省のは。いずれかだと思うのですよ。これは、ほおかぶりは許せないのです。どちらを選ばれるか。いまどういう相談になっていますか、部内では。政務次官いかがですか。いまの経過はどうなっておりますか。
#39
○政府委員(沢田一精君) 先般来、衆議院におきましても当院におきましても、いま御指摘の点に関しましてはいろいろと御論議がありまして、総理も先般は当委員会に出席いたしまして、将来検討させたいという旨の発言をいたしております。したがいまして、できるだけいま木村先生御指摘のように、予備費の使用等につきましては乱に流れないように、厳正にやらなければならぬという趣旨は、そのとおりだと思います。そうかと申しまして、相当長い間の慣行としてとってまいりました措置でございますので、いま直ちにこれをどうということにはなかなか相なりません。したがいまして、将来これは、すみやかな時点におきましていろいろと御論議のありました趣旨を十分勘案いたしまして検討、善処いたしたい、かように事務当局でも考えておるようでございます。御了承をいただきたいと思います。
#40
○木村禧八郎君 なぜこの時点において、いままで慣行でずっとやってきたことを私が問題にするかというと、さっきもお話ししましたように予算の弾力的運用とか、あるいはこれは四十二年、あの不況のときから公債発行をしまして、そうしてフィスカル・ポリシーなんか言い出して、弾力的運用ということを政府の方針として打ち出した。それから四十三年度は補正なしの総合予算主義をとって予備費が非常にふえてきておりますし、予備費のウエートが非常に大きくなってきております。そこで、この際やはり予備費使用については、はっきりと見直さなければいけないのじゃないか、そういうことで再検討を始めたわけなんです。ところが二十何年間財政法違反をやっているということがはっきりわかったわけです。これは何と強弁しようとも違反ですよ。これは、出してこないことは、それを二十何年間財政法違反でずっとやってきたものだから、この慣行をいま改めるとなれば、いままでこれを見のがしてきた当事者の失態になるというので、そういうことで改めないのです。かりにいま政務次官、私の立場に立ってごらんなさい。決算委員長の立場に立って財政法違反の案件を決算委員長が、もうわかっているのにもかかわらず、二十何年間慣行でやってきたんですが、それは、財政法違反になっていることがはっきりわかっていて、これをもし審議したならば、これは私自身の責任になるのですよ。今後、財政法違反がわかっているのを決算委員長が取り上げて審議したということになるとこんな不見識なことできませんよ。そこで伺いたいんですがね、もし衆議院と参議院の議決が違った場合、どうなるんですかね。これも検討されていいんじゃないかと思うのです。たとえば衆議院でかりに議決したとしますよ。参議院でこれを議決しない、あるいはかりに修正したとしますね、これを「参照」をとっちゃって、この案件を修正したとする、簡単ですから「参照」をとっちゃえばいいんですから。これを修正して衆議院に送ったとします。そうした場合は、これはどういう扱いになるのですかね、両院の協議会でも開くのか。あるいはこっちで今度は審議しないということになると、これは決算と違いますからね、一つの案件ですからね、また法律案と同じように審議未了になっちゃうわけですよ、これはね。
#41
○政府委員(沢田一精君) 木村先生のおっしゃいましたことはよくわかっておるつもりでございます。ただ、これはおしかりを受けるかもしれませんが、私どもはいままでとっておりましたこの慣行が、厳密な意味におきまして財政法違反であると断定されますにつきましては、若干の異論があるわけでございまして、まあしかし、御指摘がありますように、特別会計がどんどんふえてきた、あるいは総合予算主義というようなことでもって、予備費の性格というものが重要性を増してきた。それで、あくまでも乱に流れないようにしなきゃならぬということは、全く同感でございまして、ただ、その総合予算主義というたてまえを振りかざしまして、あるいはフィスカル・ポリシーという立場から予備費をどんどんどんどんふやして、それを恣意に使うとか、乱用しようとかいう意図は、これはもう毛頭ないわけでございまして、したがいまして、いろいろな事柄について御指摘がありましたことを真剣に考えまして、そしてそういった疑念をさしはさむ余地がないように、まあ法律違反だとは思いませんけれども、しかし、よりやはりそういった疑いを持たれないように善処しなきゃならぬ。こういうふうに考えておるわけでございまして、それをすみやかに検討をいたしまして、そして何らかの方途を確立していきたい。これは予備費使用調書の出し方もそうでございますし、先ほど主計局次長が答えましたように、特別会計の災害復旧に一般会計の予備費を用いる場合というようなことにつきまして一項起こすかどうかというような問題もございます。そういったものを総合的に含みまして、慎重に検討をし、すみやかに結論を出して、そして善処をいたしたい、こういう趣旨であるわけでございます。
 なお、一院で議決されまして、そして他の一院でそれが審議をされないというような場合どうなるかといったような雑務的なことにつきましては、事務当局から答えさせたいと思います。
#42
○政府委員(船後正道君) この予備費の使用総調書につきまして衆議院で審議議決されまして、参議院で議決が行なわれず、審議未了という場合につきましては、これは当然承諾を求めるために、再び次の国会に提出することになるわけでございます。ところが衆議院が承諾いたしましたものを参議院がかりに不承諾とする、あるいは違った承諾のしかたをするといった場合の取り扱いのしかたは、これは国会のほうでおきめになる問題であろうと思いますので、私のほうといたしましては答弁をさし控えたいと思います。
#43
○木村禧八郎君 それは、いままで例がないわけではない。それは、これにぴったり該当した例じゃないですけれども――国会のほうできめるべきだと思います。いろいろ過去の例も検討しているわけなんですが、それはそれでけっこうです。ただ、いま政務次官が御答弁になったこと、これは非常に一〇〇%誠意をもってお答えになっていることはよくわかります、私にも。だけれども、予算を使う側が最初から乱に流れるように使いますなんて言いっこありませんよ。これは、乱に流れないように使いますと言っても、どうしても制度なり、あるいは法律がきちんと乱に流れないように整備されませんと、乱に流れるんですよ。これは過去の例です。それだからこそ、予備費については、特に憲法八十七条第二項に国会の承諾を求めなければならぬということもありますし、財政法第三十六条にも国会の議決を経なければならぬという規定があるわけです。したがって、われわれ国会、特に決算委員会――これは決算委員会で審議するのもどうかと思う、ほんとうはこれは予算委員会で審議すべきではないかという議論もあるわけですが、とにかく国会の側において厳重に監視を、監督をしなければならぬわけですよ、そうでなければ政府のほうの姿勢が正しければ全部まかしてもいいわけですが、それじゃあなぜ憲法にこういう規定があるのか、なぜ財政法三十六条にこういう規定があるのか、それを考えれば、いかに政府が乱用しないと言ってもいま特に、そう言っちゃ悪いかもしれませんけれども、いまの政治の体質から言って、それは政務次官はりっぱかもしれませんけれども、とにかく全体としていまの政治の体質から言って、おそれがあるんですよ。だから、こういう規定があるのであって、そのことは言うまでもないわけです。別に政務次官を批判するわけではありませんよ、わかっております。だけれども、すみやかに――すみやかにと言っておりますけれども、どうも私の印象では、この国会ではほおかむりをしたい、次の国会に善処したいと、こう言われるのですが、そこが一番の焦点ですよ、私は。立場を変えて考えていただければ、そうでしょう。財政法違反であるかないかについて疑義があると言われましても、どうして疑義があるか。どこから見たって疑義はありませんよ。参議院の法制局で非公式にまとめたものもあるんですよ。これを見たって――これは合理化しようと思って、いろいろまとめているらしいのですけれども――結論から言うと、結局項まではやっぱり議決対象にしなければならぬと言っておるわけです。ところが、この出し方はそうなっていませんね。だから最近、法制局でこれを合理化しようとして苦心してまとめたらしいのですが、それは、私言い過ぎかもしれませんけれども、それにしても、逆にこの提出が不当であるということを証明しているようになっているのですよ。それから第五国会まではこれと同じものが議決対象になっているでしょう。法制局のほうの調べでは、第三国会までは項まで明らかにしていたと、こうなっているのですけれども、どうなんですか、もう一度調べて下さい。
#44
○政府委員(船後正道君) 予備費使用総調書の国会の議案の形式といたしましては、二十二年度と三年度、この両年度で変わっておるのでございますが、各省各庁の使用調書を「参照」としておる、これは二十二年度も二十三年度も同じでございます。ただ二十二年度までは予備費使用総調書の内容が予備費使用調書とほぼ同じような内容であった。それが二十三年度からはほぼ現在の姿のように予備費使用総調書のほうが事項を掲げた簡潔な姿になっておる。この変更があっただけでございます。
#45
○木村禧八郎君 それじゃ二十二年、二十三年に戻せば項まであるでしょう、項までがね。いまよりはいいわけです、目まではないかもしれないけれども。しかし「参照」では四十三年度の各省各庁の所管使用調書には目まであるのですよ、目まである。「参照」をとっちゃって、これを議決案件とすれば、目までも議決対象になるのですから非常にけっこうなんです。しかし予算の議決科目というものは項まできめられてますね、項まで。これは目まで議決対象にするのは、予算以上に何というか、こまかく議決対象にするので運用上非常に窮屈になるという点はあるかもしれません。しかしそれは、予備費についてはそれでいいんじゃないかと思うのです、予備費というものの性格からいって。ですから私は、この「参照」をとっちゃう。とっちゃって、そしてこれを議決対象にするということが一番いいんじゃないかと思うのですがね。それから結局あれですよ、すみやかにすみやかにというけれども、どうもすみやかにのその時間的な問題があるわけです。この国会でその処理をされるというふうに理解してよろしいですか。それでなきゃすみやかになりませんよ、次の国会になっちゃったら。
#46
○政府委員(沢田一精君) 基本的な、非常に重要な問題でございますし、単に各省各庁の調書の出し方といったような問題だけでなしに、先ほど来いろいろと御指摘がありましたような点もございますので、これは何とか、こういうことを私が申し上げて非常に僣越かもしれませんけれども、従来長い間の慣行として確立したやり方でもございますし、予備費の重要性が変わってきたという見地でいろいろと御指摘をいただいておるとは思いますけれども、今回はこれでひとつ御審議をいただきまして、次回からいろいろと御意見も取り入れました、よりベターな議案の提出のしかたなりあるいは弾力条項の書き方なりというものを、総合的に検討いたしまして善処をいたしたいという趣旨でございます。どうぞひとつ御了承をいただきたいと思います。
#47
○木村禧八郎君 私は、その点は大蔵当局の御意見として承っておきます、了承できないのですが。それはこの委員会にはかって、この委員会できめることですから。
 最後にもう一つ、弾力条項について質問したいのですが、どうもよくわからぬ点があるのです。それは、これも調べてもらったのですけれども、弾力条項は二十二年度から設けられた。それで二十三、四の両年度については「予備費使用に準じて」となっているのですね。私は二十三、四の両年度の弾力条項においては予備費使用に準じてとなっているから、内閣が国会に対して送ってまいります送り状、参議院に対しては予備審査の送り状がきますので、あの送り状の中でやはり財政法三十六条三項によって予備審査の要求をしてきているのですね。ところが、この議案書には、昭和四十三年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用総調書ですね、これについては法律的根拠がないのですよ。なぜならば、予算総則では財政法三十五条の二、三、四項の規定によってこれを定めているのだと、こう言うのですよ。そうすると、三十五条の二、三、四項は予算配賦と同じにみなすと、そういう規定なんですね。国会の議決要求の規定じゃないのですよ、これははずしてあるのです。どうしてそうなったのか。私は、二十三、四両年度に「予備費使用に準じて」とあったのを、なぜそれをはずして三十五条にしてしまったのか、そこがようわからぬのですよ。もし法律的根拠がないなら、これは除くべきですよ。議決案件じゃなくて、これこそむしろ「参照」にすべきであって、その点がどうも私は割り切れないのですよ、そこのところが。これはどういう経過なんですか。
#48
○政府委員(船後正道君) まず経過から御説明申し上げます。御指摘のとおり二十二年度から二十七年度までの特別会計予算総則におきましては、「予備費使用の例に準ずる」あるいは「予備費使用の例による」という規定があったのでございます。ただ、この規定が設けられておりましたのは、国有鉄道事業、通信事業、郵政事業及び電気通信事業という四つの特別会計に限られておったわけでございまして、この二十二年から二十七年までの間におきましても、この四特別会計以外の特別会計におきましては、現在と同じように財政法第三十五条第二項、第三項及び第四項の規定の例によるという表現を使っておったわけでございます。そこで、なぜこの国有鉄道等の四特別会計につきましてこのような特別な表現をとってきたかということでございますが、これは、この四特別会計におきましては、それぞれの特別会計法の中に予備費使用手続に関する財政法第三十五条の特例規定が置かれておったわけでございます。そこで、この特例規定を一々引用すればよかったわけでもございましょうが、一々引用する煩を避けまして、一括して「予備費使用の例による」というような表現をとったわけでございます。ところが、御案内のとおり、その後この四特別会計は相ついで公社として独立いたしまして、二十八年度以降は郵政事業特別会計のみを残すこととなったわけでございます。そこで、これを契機といたしまして、二十八年度の予算から、郵政事業特別会計の弾力条項につきましては、この従来からの「予備費使用の例による」という趣旨を明確にするために「郵政事業特別会計法第二十六条の規定の例による」というように改め、その他の特別会計につきましては二十二年度以来引き続き「財政法第三十五条二項、三項、四項の例による」というようにしてまいったわけでございまして、決して途中で考え方を変えたというものではないわけでございます。
 次に、この国会の御承諾につきましては、もちろん直接の規定はございません。弾力条項におきまして、これによって歳出権限を増加した場合に国会の承諾を求めろというような規定はございません。しかし規定はなくとも、弾力条項というものは、その要件の対象等には一定の制約があるものの、やはり当該事項につきまして歳出予算の経費の増額をするという、予備費に似た制度でございますので、経費を増額しました以上は、そのことにつきまして予備費と同様に国会の御承諾を求めるのが適当というような判断に基づきまして、国会の承諾を得る際に、内閣からの総調書といたしましては、予備費使用とこの弾力適用の両者を一括いたしまして、現在のような憲法八十七条、財政法第三十六条第三項の規定というような表現をとってきておるわけでございます。これが沿革とその理由でございます。
#49
○木村禧八郎君 沿革はわかりました。だけれども、いまの御説明ですと、この弾力条項の事後承諾を求めるための法律的根拠はないんだと、ないんだけれども財政法三十六条三項の規定によって内閣総理大臣が事後承諾を求めるということになっているのですよ。いまのお話ですと、法律的規定はないけれども国会の事後承諾を求めることはいいことじゃないか、規定はないんだけれどもいいことじゃないかというお話なんですよ。それはいいことですよ。じゃ規定のないものをもっとどんどん、たとえば財投なんかどんどん求めたらどうですか、国会の承認をいろいろ――規定はないんだけれども、これは。それはおかしいですよ。ところが実際には、この送り状をごらんになれば、財政法三十六条三項の規定によって弾力条項の事後承諾を求めるため、予備審査のためこれを送付してきているのですよ。ところが、法律に規定はないんだと言われる。それはないんですよ、確かに。弾力条項の十一条には、三十五条の規定しかない、「三十五条の規定による」としかないんです。ですから、そこを私はおかしいと思うのですよ。おかしくないですか。おかしくないというなら、どっちかの頭がどうかしているわけだね。
#50
○政府委員(船後正道君) 御指摘のとおり、形式的にはおかしいというような感じもしないことはないわけでございますが、実態的には私ども予備費使用と全く同じようなやり方でもって歳出権限を増加している措置でございますから、御承諾をお願いするわけでございますが、この点につきましては、まあ種々御議論がございました問題とあわせ、今後十分に検討いたしたいと考えております。
#51
○木村禧八郎君 これもやはりあいまいにしておけない、問題点ははっきりしたわけですからね。いまも、おかしいということをちゃんと言われているのですからね。おかしくないようにしなければならぬわけですよ、おかしいのを国会がやっているというのは、なおおかしいのですからね。
 それから、大体まあ時間がまいりましたから、あと要望事項みたいなんですけれども、これは総理にも一応このことは質疑のときに申し上げたのですが、会計検査院は予備費の支出決算に関する検査結果を決算とともに国会に提出するということに、これはさせられませんかと。予備費と予算とこみで検査するわけですから、特に予備費としての検査は行なわれていないようですね。災害復旧の批難事項についての政府答弁でこの点が明らかになってきているのですけれども――そういうことはやっぱり必要じゃないかと。
 それから、こういう資料を出してもらえませんかね。予備費使用調書と決算との対比ですよ。予備費使用が決算でどうなっているか。これは決算と同じじゃないと思うのですよ、この点がはっきりしてくると――これは議案の提出のしかたですね、各省各庁所管の使用調書の必要性というものが非常にはっきりしてくると思うのです。それは出してもらえますか。
#52
○政府委員(船後正道君) 予備費使用が決定されますと、財政法第三十五条の第四、項の規定で「予算の配賦があったものとみなす」、こういうことになるわけでございまして、その後の予算執行等は一般の予算と全く同様に扱われるわけでございます。配賦された同一科目の予算の経費は、予備費使用によるもの、あるいは当初予算によるもの、あるいは補正予算によるもの、いずれも異なる性格を持つものではなく、一体として執行されるものでございますので、予備費の使用された分がどのように使われたかという点の追及につきましては、たとえば予備費の使用にあたりまして、新たに予算科目を設定したというような場合には、その部分だけはどのように執行されたかということは明らかでございますけれども、既存の科目に経費が追加されたといったような場合には、金には色はないわけでございます。どの部分が予備費に該当し、どの部分が当初予算に該当するかという色分けは困難ではないか、かように考えます。
#53
○木村禧八郎君 これについては非常な――ことに災害復旧につきましては緊急を要する支出ですね、そういう場合に非常にタイミングが合っていないとか、非常におくれているとか、いろいろこれはあるらしいんですよ。ですからやはり予備費使用については、それ自体としてそれが適切であったか。これは緊急でしょう、緊急性を満たしていたか、いないか。ところが決算のときは込みでやっちゃうでしょう。いまお話のように予算がついていて、それに追加するような場合には、予備費自体としては検査しないですよ。全体の経費としてそれが適法に使われているかどうか、それを検査するのでしょう。やはり予備費自体の緊急性によるものですから、その緊急性が失われればその効率というものは非常に低くなっちゃうのですよ。やはりそれが必要じゃないですかね。だから会計検査院にそういう検査をやはりさせる必要があるのじゃないですか。
#54
○説明員(斎藤実君) ただいま政府の御答弁がございましたように、予備費の使用決定があればそれぞれの予算になりますので、それについての検査はいたしております。また、おっしゃるように緊急の事態に間に合わないような予算が出ているじゃないかというようなことにつきましては、これは予算の配賦に関することで、ちょっと検査院のほうで早く配賦したらいいじゃないかというようなことを、常識としては言えましても、ちょっと検査院の権限の外ではないかというふうに考えております。それから予備費を総括的に検査いたしておりますのは――手続的妥当であるかどうであろうかということは、一局で総括してやっております。しかし内容につきましてはそれぞれの局で、農林なら四局、建設なら三局というようなことでもって、それぞれ予算執行ということで見ているわけでございます。
#55
○木村禧八郎君 ですから私の要素は、予備費というものは緊急性のものなんですからね、それに合ったような使用が行なわれているかどうかについての、そういう検査が必要じゃないかというのですよ。それから、したがって会計検査院は、予備費の支出決算に関する検査結果を、やはり決算と一緒に国会に提出する必要があるのじゃないか。そうすれば非常にはっきりするのです。予備費使用はそういう努力を今後してみたらどうかと思うのですよ。これは提案ですよ。それから、さっきのあれは出していただけますか。予備費が決算でどうなっているのか……。
#56
○政府委員(船後正道君) 先ほども申しましたように、予備費の使用にあたりまして新たに予算科目を設定したというものにつきましては、その執行がどうなったかということは決算上も明らかでございますけれども、まあたとえば義務的な経費の予算不足を補うために予備費を支出した国民健康保険の補正費でございますとか、あるいは義務教育の国庫負担金でございますとか、こういう性質の予備費でございますと、当初予算と一体となりまして執行されておるわけでございます。どの部分が一体どうなったかということは、決算上も非常に無理なフィクションをしなければならない。むしろ実態に合わないようなことになる、かように考えるわけでございまして、予備費を決算段階まで予備費の部分はこれだということは、経費の性質によってあまり明らかにすることが困難なものと、比較的容易なものとあろうと考えます。
#57
○木村禧八郎君 そこは問題ですね。予備費の流用が行なわれている例が、大きな例じゃないのですけれども、調査によって指摘されているのですよ。結果を見ればなおはっきりしてくると思うのですが、そういうひとつ調査をやってみたらどうですか。そうでないと――予備費は大体閣議で使用目的やなんかも決定しますね。それが決算でどうなっているか。そこまでやはり追及しませんと――特にこの予備費の使用調書の国会の事後承諾、これについて、たとえば項目までも国会で決定してもらっておるとなると、これはやたらに移用はできませんしね。しかし実際には、そういうことが行なわれているのじゃないか。なきゃいいですよ。前にそういうことを指摘された資料があるのですよ。一つか二つの例があるのです。ですから、それをわれわれははっきり知るために、やっぱり予備費、特に予備費が相当多くなってきていますからね、最近では。それが決算ではどうなっているかということをやっぱり追及する必要があるのじゃないですか。部外秘といったって、やってみる必要があるのじゃないですか。そういう資料を出してもらいたいんですね。いままでやってなければ、やってみると……。
#58
○政府委員(船後正道君) 先ほども申し上げましたように、予備費使用の事項といたしまして、たとえば災害復旧というようなものでございますと、現在の決算書によりましても予備費の使用額と、それに対する支出済み歳出額というものが明らかでございます。ところが、たとえば議案類の印刷費というような事項につきまして予備費を支出する。これは国会が、あるいは臨時国会が開かれる、あるいは会期が延長になるといったようなことのために、当初予算に予定いたしました議案の印刷費に不足が生じたという場合に、予備費使用をするわけでございます。どの書類を予備費でつくって、どの書類を当初予算でつくったかという色分けは非常に無理なフィクションをしなければできないというようなものでございますので、その点は経費の性質によると思います。
#59
○政府委員(沢田一精君) いま主計局次長からお答えをいたしておりますが、お答えしましたように、その資料の目的なりあるいは緊急性ということが予備費を使うについては必ずあるわけでございます。したがいましてそれが、先ほど木村先化が御指摘になりましたように、少なくとも他に流用されておるかどうかというような事柄につきましては、やはり調査する必要があると、私は判断をするわけでございます。したがいまして、いま全般的には主計局次長がお答えしましたように、捕捉しがたいものと、比較的容易に捕捉できるものと、いろいろあると思いますけれども、少なくとも予備費使用の目的あるいは緊急性ということからして、そういった流用等が恣意になされるということがないように、今後努力をしていかなければならんと思います。その手段として、十分そういった問題につきましては調査も必要ではなかろうかと思います。いま先生御要求のように、資料としてそれがいつの時点までに、どういうかっこうで出されるかということにつきましては、これはいろいろと問題があろうと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
#60
○木村禧八郎君 私、いま申し上げたのは、たとえば参議院の決算委員会調査室の調べですよ、四十一年度の法務省所管衆議院議員選挙取り締まりに必要な経費のうち、警察庁調書について、比較的僅少であるが流用が見受けられる、こういう事例があるのです。実際にこれは目的の費途以外の支出――禁じられているのに、こういう事例があるのですね、わずかですが。しかしこれは、調べたらもっとあるかもしれませんよ。
 それから、災害についての予備費使用、これは迅速に行なわれているかいないか。これについては、たとえば四十二年の冬季の風浪融雪等の災害に関する経費を四十二年七月とか九月に使用したりしている。四十一年の災害に関する経費を四十二年一月に使用したり、その件数は補助事業を中心として非常に多い。こう指摘されているのです。こういう事実があるから私は言っているのです。いま政務次官から御答弁がありましたが、誠意ある御答弁でしたから――しかし、こういう事実があるのですから、やはり予備費の使用については、目的以外の使用にならぬように、それからこれがタイムを逸しないようにしなければならぬ、目的に合った使用でなければならない。そういう意味においては、やはり予備費と決算の関係でできる範囲においてやってみる必要があると思うのです。困難だ困難だと言わないで――それは御答弁がありましたが、そういうように前向きで努力していただくということを期待して、私の質問をこれで終わります。
#61
○理事(松井誠君) 午前はこの程度とし、午後は一時から再開いたします。
 それでは休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
#62
○委員長(木村禧八郎君) 委員会を再開いたします。
 午前に引き続き昭和四十二年度決算外二件を議題とし、質疑を続行いたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#63
○須藤五郎君 きょうは私は独禁法の問題について少し質問をさしていただきたいと思うんです。山田委員長も見えてますので、まず山田委員長に対する質問から済ましていきたいと考えております。
 独禁法はなぜできたか、たれのためにできたかといえば、私は、独占企業を守るためにではなく、独禁法は消費者すなわち人民の利益を守るためにできたものだと、こういうふうに考えております。横田前公取委員長が三〇%になれば警戒しなければならないと言ったのはそのためだと思うのでございますが、山田委員長の意見をまず伺っておきたいと思います。
#64
○政府委員(山田精一君) 独占禁止法が制定されました目的でございますが、これは私からこと新しく申し上げるまでもなく、独禁法の第一条、これが必要にして十分な規定をいたしておると、かように考えておる次第でございます。
 それから横田元委員長が三〇%を一応の警戒ラインとして考えるということを何回かの国会の席上で申し述べましたことも承知をいたしております。ただ三〇%と申しますのは、決して機械的に適用いたすという趣旨ではなくて、横田元委員長も、一応の警戒ラインとすると、こういう趣旨の発言であったと聞いております。
#65
○須藤五郎君 私が最初申し上げたのは、独占禁止法は独占企業を守るためではなくて、人民の利益を守るためにこの法律はつくられたと、それが趣旨だと私は理解しておるのですが、その点、公取委員長の意見を伺っておきたいと思うのです。その法律の条項は私も知っておるのですが、その趣旨をですね……。
#66
○政府委員(山田精一君) この法律の条項は十分御承知のことと存じますので、繰り返すことを避けたいと存じますが、私どもの考えておりますところでは、第一条の「公正且つ自由な競争を促進し、」というのが眼目であると存じます。そのことが、結局「事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ことになる、かような規定と理解をいたしております。
#67
○須藤五郎君 そこにもやはり国民の経済を守っていくと、そういう趣旨が述べられておると思うのですが、ところが今日では、この線が私はだんだんくずれてきて、守られていないような感じがするのです。三〇%の線を横田前公取委員長が危険線と、警戒線とおっしゃったのは、これはやはり人民の既得権だと、こういうふうに私は理解をしておるのです。これを奪い去ってしまうというのが今回の私は八幡、富士両製鐵会社の合併であるというふうに考えますが、連休も休まずに作業をなすった結果、今夕五時過ぎには両社に対し公取委員長から最後の回答をなされるということを私も聞いておりますし、また、ゆうべからけさも各新聞社も書き立てておりますし、NHKの放送でもそういうことが言われております。もう今日この段階におきましては、公取委員長の腹の中には、ちゃんとその試案ができているはずだと思うのですが、巷間いろいろといわれておる点から見ましても、この際私は、公取委員長の口から、国会に、あらためてどういう回答を出そうとしていらっしゃるのか、明らかにしていただいたほうがいいと思うのですが、その点ひとつ公取委員長にお答えを願いたいと思うのです。
#68
○政府委員(山田精一君) ただいまお尋ねの件でございますが、現在委員会でまだ審議中でございまして、決定はいたしておらないのでございます。決定のございませんことを私の口から申し上げるということは差し控えさしていただきたい、かように存ずる次第でございます。
#69
○須藤五郎君 公取委員長はそういうふうに言ってこの場を言いのがれをなさろうとするわけですが、もうそうではなく、五日間連休もとらないで審議を尽くされて、もう文書の作製に入っていらっしゃる段階だと私は思うのです。それで、おそらくきょう公取委員長は一時から三時までしか出席ができないというようにおっしゃったのも、三時以後最後の文書をつくられて、そうして五時ごろには新聞記者会見をなすって、そこで明らかにされると思いますので、もうすでに審議は終わって、もう回答の段階だと私たちはこういうふうに思っています。まだ審議がきまっていないという段階ではおそらくなかろうと思うのですが、お答え願えるものなら大体のものをお答えになっていい段階ではないかと思うのですが、どうですか。
#70
○政府委員(山田精一君) 実はこの委員会のお答えが済みましてから役所へ戻りまして、二時半から委員会を再開いたすことになっております。その席上であるいは決定ができるかどうかこれはわかりませんことでございます。まだ最終的に決定いたしたという段階ではございませんので、私の口から申し上げますことは、委員の決定を代弁することになりますので、ただいまの段階では何とも申し上げかねると、かようなことでございますので、御了承いただきたいと存じます。
#71
○須藤五郎君 それ以上は申し上げてもお答えはむずかしかろう、まあちゃんときまっておっても、ここであなたが答えられることはなかなか困難な面もあろうかと思いますので、私これ以上追及いたしませんけれども……。
 それでは山田公取委員長は、寡占にもよいものと悪いものとがあり、それを皆独禁法違反とは言えないと、こういうふうにかつておっしゃっておるのですが、それは一体どういうことか、これは重大な私は発言だと思うのです。こうなれば独禁法は公取委員会が主観的によいか悪いかをきめればよいということになりまして、独禁法の精神が根本的にゆがめられ、踏みにじられるということになると思うが、その点どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか伺っておきたいと思います。
#72
○政府委員(山田精一君) 寡占という観念でございますが、これはいろいろな意味合いを持っておるかと思います。経済の中で、企業の数が少ないというだけで、いわゆる寡占に該当いたしますものかいなか、また寡占の中にも協調的寡占もございますし、競争的寡占もございますと私は考えておるわけでございまして、そのような趣旨から、前にそういうようなことをお答え申し上げたのだと考えておりますが、したがって公正取引委員会がかような案件を取り扱いますにあたりましては、決してただいま御指摘のような公正取引委員会の主観的な判断で事をきめるということは決してございませんのでありまして、結局私どもといたしましては、独占禁止法の条文、あらゆるいろいろな場合を書いてございますが、一定の取り引き分野において競争を実質的に制限することとなるかどうか、この点を十分実証的にまた厳正に判断をいたしまして法律を運用してまいりたい、かように考えておる次第でございまして、決して主観的に事を運ぶという気持ちはございませんことを申し上げておきたいと思います。
#73
○須藤五郎君 私はこの前の委員会におきましても、山田委員長に、要するにシェアが何十%以上はいけないとか、ここまではいいというようなめどをつけられたほうがよいのではないかという質問をしたことがあると思うんですね。というのは、やはり委員長がかわられるたびに、その点で、ものの考え方が違ってくるということでははなはだ不都合な点が起こってくるというふうに私は考えたから、大体めどというものはきめておいたほうがよいではないかという意見を申し上げたと思うのですね。現に前の横田委員長の場合は、まあ三〇%が警戒線だと、警戒線というようなことばでは表現していらっしゃいますけれども、大体三〇%という線を引かれたわけですね。ところが今度の山田委員長の話を聞いておりますると、この三〇%という警戒線が薄らいでしまって、消えてしまっておるような感じを抱くわけなんですね。それですからやはりそのときそのときの公取委員会の主観的なものの考え方によってこういうふうになっていくとすれば、これはせっかく人民の利益を守るためにある独占禁止法というものが骨抜きになってしまって、踏みにじられる結果になるのじゃないか、こういう点を私は申し上げておるわけなんです。どこをめどにしてどういうふうに――それはやっぱりそのときの公取委員長なり公取委員会の判断によってシェアの占めるパーセントというものが問題になっていくのかどうかという点なんです、私が伺いたいことは。
#74
○政府委員(山田精一君) 何%ということで機械的に算術的にきめることができれば非常に簡単明白であって便利であるかと存ずるのではございますが、横田元委員長の発言も、要するに三〇%を一応めどとして実情に即して判断をするという趣旨でお答えを申し上げたものと考えます。私どもは、決して委員長なり委員がかわるたびにその運用が変わっていいものではございませんで、従来過去に起きました例におきましても三〇%を一応の警戒ラインといたしておるのではございますが、その当該産業の競争の実態、あるいは新規参入の可能性、あるいは海外からの輸入の関係、あるいは代替品の関係、あるいは需要者との関係、この辺を総合的に判断をいたしまして、先ほど申し上げました一定の取引分野における競争の実質的制限になるかならないか、こういう判断をいたすのが独禁法の最も適切な運用ではないかと、かように考えておるわけでございます。したがいまして、ほかの役所のように一人の長官がこれを判断をいたすということではなく、行政委員会、御承知の五名の委員をもって構成する行政委員会がこれを判断いたし決定するという仕組みになりましたのも、非常に具体的な適切な判断をしなければならないがために、行政委員会の組織をつくられてあると、私はかように理解しておるわけでございます。
#75
○須藤五郎君 そうするとあなたは、横田委員長のおっしゃった三〇%という警戒ラインに対してどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか。あなたにもやはり警戒ラインというものがあるのですか。あなたはもう警戒ラインとか三〇%というものは全然お考えになっていらっしゃらないのか。あなたはどういう考えを持っていらっしゃるか、そこを伺っておきたいと思います。
#76
○政府委員(山田精一君) 三〇%というものは一応の警戒ラインということではむろん考えております。三〇%をこします場合には、厳正に、慎重に、十分調査をいたすと、かような態度をとっておるわけでございます。
#77
○須藤五郎君 そうすると、私は先ほどの質問で、独占にもよいものと悪いものとある、それをみな独禁法違反とは言えないというあなたの重大な発言に対しまして質問をしたわけですが、例を申しますならば八幡、富士は一体よい独占なのか悪い独占なのかということになるんですが、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
#78
○政府委員(山田精一君) 当面の問題につきまして、この段階で具体的に判断を申し上げるということは差し控えさしていただきたいと思うのでございますが、これが競争的な寡占になるのか協調的な寡占になるのか、その辺が今回の判断の中心問題になるところかと考えております。
#79
○須藤五郎君 そうすると、独占に悪い独占とよい独占とあるというお考えには変わりはないわけですか。
#80
○政府委員(山田精一君) 寡占とたしか前に申し上げたと思いますが、寡占と申しておると思いますので……。寡占には競争的寡占と協調的寡占というものがあり得ると、かように考えております。
#81
○須藤五郎君 よい寡占というのは一体どういう寡占を言うんでしょうか。
#82
○政府委員(山田精一君) むろん少数の企業の間において、一定の取り引き分野において競争が実質的に制限されない、言いかえれば競争が行なわれておるのは、これは競争的寡占であって、独禁法の精神に触れるものではないと、かように考えております。
#83
○須藤五郎君 そうすると、人民の生活を脅かさないような寡占ならばよいと、こういう御意見なんですか。
#84
○政府委員(山田精一君) どこまでもその競争が実質的に制限されない寡占でございますならば、独禁法の対象とはならないとかように考えております。
#85
○須藤五郎君 従来、参議院におきましても合併問題がずっと審議されてまいりましたわけでございますが、その中ではおもにシェアの問題が問題として取り上げられて論議されてきたと思うんです。私もこの前の商工委員会で、山田委員長に、この点につきましてオオカミと羊の競争というようなたとえ話を出して御質問もしたことがあるわけですが、しかし、独禁法は私はシェアだけの問題じゃないと思うんですね。何でシェアがやかましくいわれるかといえば、やはりこのシェアの問題が独占価格の問題と関係があるために私は大きく問題にされておると思うんですね。
 そこで、きょうはひとつ価格の問題について少し質問をいたしたいと思うのですが、公取委員長は、かつて管理価格の調査は非常にむずかしい、こういうふうに言っていらっしゃいますわけですね。人民のための価格の保障は一体あるのかどうかという点をひとつ伺っておきたいと思います。
#86
○政府委員(山田精一君) 価格は、これは需要、供給の関係、そのときにおける経済情勢各般の要因で決定されるものと思います。また逆に申せば、そういう市場の需給関係等を反映いたしました適正な価格形成が行なわれますことが望ましいところと考えておりまして、それを言いかえますと、結局公正にしてかつ自由な競争が確保されております限り、適正な価格形成になる、かように考えているわけでございます。
#87
○須藤五郎君 それでは従来八幡、富士には独占価格はなかったかどうか、こういう問題ですが、どうだったのですか。
#88
○政府委員(山田精一君) これは商品の種類によりまして非常に頻繁に価格が上下いたしておるものもございますし、また商品の特質、また需給の関係によりましてそれほど変動をしておらない物もございますが、概して申せば、ある程度の幅を持って変動をいたしておる、かように考えております。
#89
○須藤五郎君 だって八幡、富士で一〇〇%のシエアを占めるいわゆるレールですね、レールなどというものは、これは八幡、富士がつくっている、八幡、富士が価格をきめてやっているのですから、いわゆる独占価格というべきものと違うのですか、これが今度の合併において問題になったか、こういう点ですがどうなんですか。
#90
○政府委員(山田精一君) これはレールの場合も従来多少の価格の変動がございます。それから現に公販価格制度というよなものも過去においてあったわけでございますが、それは現在実際上働いておらない。その公販価格よりもっと低いところを価格が変動しているのが現在の状態でございます。
#91
○須藤五郎君 そうすると何ですか、委員長のお考えでは、従来八幡、富士には独占価格はなかったという御意見なんですかどうですか。
#92
○政府委員(山田精一君) これは当面の判断を、判定をいたすところでございますので、直ちにいまこれを申し上げることは差し控えさしていただきたいと存じます。さようなことがあったかなかったか十分厳正に調査をいたしておるところでございます。
#93
○須藤五郎君 委員長、肝心なところにくると、そういうふうに調査中とおっしゃるというのは、私の質問が非常にしずらくなるわけなんですがね。
 従来八幡、富士には独占価格があった、またいま問題になっている四品種にも、そういう面があるから問題になるのであって、なければ私は問題になさる必要がなかったのじゃないか。こういうふうに私は逆に思うのですね。あったからこうなんだ、私はそう理解するのですが、もしも私の理解が間違っているならば反証をあげていただきたいと思うのですが、どうなんですか。
#94
○政府委員(山田精一君) 当面の問題といたしましては、独占価格という表現がどういう意味合いのものでございますかこれは別といたしまして、要するに、将来もし両社が合併をいたしました場合において市場構造が変わりまして、公正にして自由な競争の行なわれない価格を決定されるおそれがあってはなりませんので、その辺の調査をいたしておる、かようなところでございます。
#95
○須藤五郎君 それでは従来はそういう点、お調べになったことがないのですか。
#96
○政府委員(山田精一君) これは一般問題といたしまして、価格の調査は私どもといたしましてやっております。それから当面の問題にいたしましても十分そういう点を調査をいたしておるところでございます。
#97
○須藤五郎君 それで、従来調査された結果は、どういう結論が出ておったのですか。
#98
○政府委員(山田精一君) それらを踏まえまして最後の決定をいたす、かようなことになるわけでございます。
#99
○須藤五郎君 従来調べてきた結果、やはり独占禁止法上問題になる点が出てきたから、要するに四品種の問題が出たり、またいま調査をしていらっしゃるのだというふうに私は理解をしておきますが、この今度の独禁法の中で最近になりまして銑鉄の問題が非常に大きく取り上げられておる。特に鋳物用銑鉄の問題が非常に大きくなってきておると思うのです。大体銑鉄について申しますならば、私の手元には四十二年度までの資料しかないわけですが、四十二年度で両社合わして四四・八%のシェアを占める、こういうことです。鋳物用銑鉄におきましては両社合併で五四・二%、こういうことになっております。銑鉄は、アメリカから輸入する場合には、輸入を許可される場合には、独占だけが許可される。なぜなら、御存じのように鉄鋼の輸出に対する見返りとしてこれが許されておるからだと私は理解しております。しかも輸入にあたりまして特別措置によりまして無税の取り扱いを受け、一トン当たり一万八千円以下で輸入をしておる。これを鋳物業者に売る場合には一トン二万六千五百円で売っておる。しかも、この一トン二万六千五百円という価格は昭和三十八年から四十三年まで六年間少しの変動もないということがはっきりしておるのです。一体通産省は、これに対してどういう指導をしておるのかどうかという点を伺っておきたいと思うのです。
#100
○政府委員(吉光久君) ただいま御指摘いただきました数字につきまして、私ども理解しておるところとちょっと違っておるわけでございますけれども、現在鋳物用銑鉄の輸入につきましては、これは自由でございまして、貿易は自由化されておるわけでございます。したがって、これを特別に割り当てするとかどうとかというような制度は、現在ないわけでございます。それから主として輸入いたしております輸入先はソ連邦でございますとか東欧諸国でございますとかというところが中心でございまして、最近ではアメリカ方面からこれを輸入するという事実もまたございません。おそらくただいま御指摘いただきました点は、要するに輸入いたしました銑鉄について、それを保税加工制度で、そこで加工いたしまして再輸出するというふうな場合には、関税分につきまして、これはすべての保税加工の委託貿易方式と申しますか、保税加工方式というのはすべての品についてあるわけでございますけれども、その方式によりますと、いま御質問なさいましたような関税分だけが差し引かれるというふうなその制度のお話ではないであろうかというふうに考えます。
#101
○須藤五郎君 そうすると、トン一万八千円で輸入して、その輸入した一万八千円の銑鉄を鋳物用業者に売る場合には二万六千五百円で売っておる。これが昭和三十八年から昭和四十三年まで六年間少しの変動もなくきておる、こういうことはどうなんですか。そのとおり間違いないのでしょうか。あなたのほうはどういうふうになっておるのですか、その点は。
#102
○政府委員(吉光久君) 先ほどお答え申し上げましたようにソ連圏あるいは東欧圏等との特殊の貿易形態から輸入という事情があるわけでございますけれども、これを扱っておりますのは実は商社でございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、これが加工されて再輸出される、いわゆる保税倉庫入りが決定されるという品物は、それはそのまま輸出向けに出されるわけでございます。したがいまして、先ほどお答え申し上げましたような関税の問題がなくなるわけでございます。同時に、今度はこれを国内の需要業界のほうに販売するということになれば、これは先ほどの関税がかかるわけでございます。普通の輸入手続がとられるわけでございまして、その間にそれを差別して販売しているというふうなことはないのではないかと思います。
#103
○須藤五郎君 一万八千円で輸入したものを二万六千五百円で売るということ、これは私は非常に不当なものだと思っておるのですが、その点を私は六年間もこの輸入価格、鋳物用銑鉄の業者に売っている価格も変動してないという点がおかしいではないか。通産省はこれに対してどういう指導をしているのだということを私は質問しているわけなんですが、通産省に対してその点をはっきりとここで答えていただいたらいいですよ。
#104
○政府委員(吉光久君) ただいま鋳物用銑鉄の価格推移表につきまして資料を持参いたしておりませんけれども、鋳物用銑鉄は、実はいずれかといいますと、最近までの状況におきましては、機械工業の不振、ごくこの一、二年は別でございますけれども、機械工業の不振等によりまして需要がわりあい伸びの少ない品物の一つになっておったわけでございます。したがいまして、需給の関係から一般的に鋼材が暴騰いたしました場合にも、鋳物用銑鉄はそれほど上がらないというふうな事態がここ数年続いておったように記憶いたしておるわけでございます。と同時に、最近少し機械関係の需要が旺盛になってまいりまして、それに伴いましてあるいは一部値上がりも出ているかと思うわけでございますけれども、これが価格がずっと長期間にわたって硬直した状況であったというふうな事態ではなかったのではないか、このように考えます。
#105
○須藤五郎君 あなた、私の質問に、逆の答えだと思うのですが、要するに需要が減った、こう言うのでしょう。需要が減ったら値段下がりそうなものですよ。ところが二万六千五百円という値段はずっと続いているわけですね。その安い値段で買った銑鉄が二万六千五百円という、トンでいうと一万円近い利益を占めてそうして独占の手によって鋳物業者に売られていること自体が私はおかしいのではないか。あなたのおっしゃいましたように需要が減っていけば値段を下げなくちゃおかしいじゃないですか。値段が下がらないで二万六千五百円という値段がずっと続いていることがおかしいじゃないか。それに対して通産省はどういうような指導をしておるかと現在私はお伺いしておる。
#106
○政府委員(吉光久君) 先ほどお答え申し上げましたように、価格が硬直化しているというふうには考えていないわけでございますけれども、国内で生産いたしました鋳物銑が供給の主力でございまして、輸入銑はほんのわずかの数量でございますけれども、価格の決定されます決定機構は、むしろ国内鋳物銑が幾らで売られるかというところが基準になりまして輸入鋳物銑の販売価格も決定されてまいるというふうなことでございまして、輸入鋳物銑、確かに御指摘のように非常に安い価格で入ってまいるということもあるわけでございます。ただ輸入物だけを安く、そうでないものを高くというふうな状況ではなくて、ほとんど圧倒的に多数を占めております国内鋳物銑の価格動向が、先ほどお答え申し上げましたようにそう大きな動きは示しておりませんけれども、大体二万三千円から、あるいはときによりましては二万六千円見当と申しますか、というふうなところでフラクチュエイトいたしておりまして、そこらの国内取引の価格が一応の基準となって輸入鋳物銑についての価格が決定されておるというのが現状でございます。
#107
○須藤五郎君 この価格表というのは業者がなかなか見せないんですよ、押さえておって。私は見ましたけれどもね。それを私にくれと言ってもくれないんです。これはなかなか秘密にしているらしいんですがね。通産省がどういうふうにこの問題をつかんでいらっしゃるか、ひとつ資料として通産省のつかんでいる資料をここに出してください。この問題については資料の提出を要求しまして、私はもうこれ以上質問はきょうはいたしません。
#108
○委員長(木村禧八郎君) ただいまの資料の提出について、よろしゅうございますか。
#109
○政府委員(吉光久君) 標準的な価格の推移につきましての資料を整えまして、いわゆる各社別というわけにもまいりませんので、標準的なもので価格推移をつけまして御提出いたしたいと思います。
#110
○須藤五郎君 山田さん、高炉の技術はね、私は日本が世界で一番進んでおる、高いということを伺っておるんですね。これは私は鉄鋼業界で聞いたんですから間違いがないと思うんですが、日本では銑鉄はアメリカから買う。アメリカのみじゃないですが、ほかからも買うわけですが、一万八千より私は安くできるはずだと思うのです、技術が高くなったんですから。それを独占価格の二万六千五百円で売っておることこそ、私は独禁法の違反として独禁法の対象とすべきものではないか、こういうふうに思いますが、委員長はどういうふうにお考えになっておりますか。
#111
○政府委員(山田精一君) 高炉についての御意見でございましたが、わが国にも最新鋭高炉もございますし、ある程度死物化いたしたのもございまして、最新鋭のものは、おっしゃるとおり世界水準のあるいは最高に近いものであるように聞いております。直接私の所管のことではございませんので、私からお答え申し上げるのもいかがかと思いますが、さように聞いておるわけでございます。
 それから銑鉄の一般的なお話がございましたが、製鋼川鉄と、それから鋳物用銑とでは、やはり分けて考えなければいけないかと思います。鋳物用銑につきましては、先ほど来御指摘のように、価格が硬直いたしているという事実はないように私は承知いたします。ただいま持参いたしております資料は指数だけでございますが、昭和三十三年の下期において鋳物用普通銑の価格を一〇〇といたしますると、四十二年の下期には八九・七でございまして、かなりのフラクチュエーションがある、こういうことでございます。
#112
○須藤五郎君 そうすると、もっと端的に御質問しなければならぬのですが、このように、要するに日本の生産価格が、技術の進歩に従って下がってくる、ところがやはり二万六千五百円という線がずっと続いているということは、やはり独占価格のあらわれだと私たちは理解するのですが、これこそ独禁法の対象として考えていかなければならぬ点ではなかろうかと、こういう私の意見に対しましては、公取委員長はどういうふうにお考えになっておりますか。
#113
○政府委員(山田精一君) 私どもはそれほど過去数年間にわたって非常に硬直していたというふうには承知いたしておらないわけでございます。もしもかりにある品目につきまして硬直しているという事実がございました場合には、それは十分よく調査いたしまして、公正な、自由な競争のないための価格であるならば、これは独禁法の対象として取り上げなければならない、かように考えますが、ただ、価格の推移状態をよく――つとに御承知のように競争関係だけではきまるものではございませんで、その商品の需給でございますとか、あるいは経済条件の全般の推移と関係があって、相関的に動くところのものです。私たちの立場といたしましては、どこまでも公正な自由な競争が行なわれる、これが先ほど来申し上げました適正な価格形成ということになると考えておるわけでございます。
#114
○須藤五郎君 公正かつ自由な競争がなされていないような状態がずっと過去続いてきたために、これがいま申し上げましたように、トン一万八千円で買うたものが二万六千五百円でずっと売られてきている、しかも日本の製鉄の技術が上がって、生産コストは下がっているにもかかわらず、二万六千五百円という線がずっと守られてきている、それこそが公正かつ自由な競争がなされていなかったあらわれではないか、これが独占禁止法の対象ではないか、これこそ独占価格だと言わなければならないのじゃないかという点を私は申し上げておるわけなんです。あなたのおっしゃるように、自由かつ公正な競争がなされていないのですから、こういう結果が六年も七年も過去に続いてきているのではないか、こういうことを私は申し上げておるのですよ。
#115
○政府委員(山田精一君) 私どもが調査いたしました限りにおいては、鋳物用銑に関しまする限り、過去六年、七年価格が全く同じ水準であったという事実はございません。先ほど申し上げましたごとく、三十三年の下を一〇〇といたしまして、指数で申し上げますと、四十二年の下が八九・七でございます。ある程度の上下、グラフにいたしますれば、こういうふうになっておるわけでございます。
#116
○須藤五郎君 八幡、富士の製品の品種別コストの明細を、私は通産省から出してもらいたいのです。たとえましたら銑鉄は一体どうなのか、労働費はこのうちどれだけ占めておるのか、また、八幡から国鉄、私鉄が買っているレールの値段は一体適正なものなのかどうか、レールの生産コストは一体どうなっているのか、これをひとつ通産省から説明していただきたい。
#117
○政府委員(吉光久君) 品種別コスト等につきましては、実はそれぞれの企業の秘密に属することが非常に多いわけでございまして、したがいまして、そういう資料につきましては、それぞれの会社の内容がそのまま明るみに出るものでございますので、特別に現在公正取引委員会等で御調査を、強制調査をやっておられますけれども、そういう場合にはこれは提出いたしておりますが、一般的にそれぞれの企業の実際の内容に属する事項でございますので、資料として御提出申し上げること、そのままの形で資料として御提出申し上げることにつきましては御容赦いただきたいと思うのでございます。
#118
○須藤五郎君 それこそ独占にとっては私は最も都合のいいことだと思うんですよ。そのことはおそらく今後も続くでしょう。八幡、富士がレールの生産において一〇〇%のシェアを占める、その一〇〇%のシエアを占めるレールにおいて、今度できる会社がそういうふうにコストは全然発表できない。それならその会社の言いなりの値段で買わざるを得ないのじゃないですか。それを私たちは独占価格だと言うのです。それを明らかにして、この製品ではコスト内容はこうなんだ、そういうことを発表して初めてみなが納得できるような価格というものが出るわけじゃないですか。いまのような状態では、一〇〇%占めたら何でもかんでもかってにできる。大体物の値段に何ら制肘を加えるということがなくなってしまうじゃありませんか。その会社の思うような値段で売り買いされていくということになるんじゃないですか。だから私は、今日国鉄が八幡から買っておるレールの値段だって適正なのか、適正だとおっしゃるなら値段のその内容を発表してもらいたい。私たちは適正だとは考えないのです。だからこの四品種、少なくもいま問題になっておるところの品種だけでも、品種別にコストの明細を出してもらいたい。それでなければ、こういう抜け道があれば、独占価格がはびこる大きな原因ですよ。そこを私はあなたに言っておる。公取委員長、こういうことではたして適正な価格というものが守られていくでしょうか、どうでしょうか。
#119
○政府委員(山田精一君) 結局適正な価格形成、正常な価格形成が行なわれるというのは、競争を通じて行なわれるものである、かように私どもは考えるわけです。
#120
○須藤五郎君 ところがその競争がない。これまでないわけですね。特に今度レールで富士から釜石が分離して多少の競争ができるというふうにおっしゃいますけれども、それは先ほど前の委員会で言いましたように、やはりオオカミと羊の競争であって、適正かつ公正なる競争ではなくなるのだ。だから、そういうオオカミと羊の競争では適正なる価格というものは出てこないのだ。だから結局今度できる大日本製鉄ですか、新しい会社の名前は。その会社のやはり独占価格というもので日本は支配されてしまうのだ。だからそれをなくすためには適正な価格というものをわれわれの判断によらなければいけないのです。そのためにはコストの内容を、品種別のコスト内容を発表しなければそれが適正な価格を生むことにならないのです。それをばんと伏せておいて、これが適正な価格だと言ったってだれも信用することはできないでしょう。それで、これが適正かつ自由な競争の結果得た価格だと公取委員長がおっしゃっても、それはことばではそう言っても、実際には通用しない価格だと私は思うのです。こういうことをなくしていくのが私は公取の任務じゃなかろうかと、こういうふうに思いますよ。合併によります独占価格をつくる結果となります。こういう合併によりますと、いま申しましたようにここが私は問題だと思いますが、こういうことに対して、委員長は、単にことばだけで公正かつ自由なる競争の結果得た価格だからその価格はどうあろうと公取委員会としては関知しないことだと、こういうふうに言って済まされるわけなんですか、どういうふうに対処されようとするのですか。
#121
○政府委員(山田精一君) 独占価格という定義は、はっきりいたしませんので使うことを避けたいと思うのでございます。要するに、公正にして自由な競争によって価格が形成されるように、そういう市場構造というものを確保していかなければならない、かように考えるわけでございます。
#122
○須藤五郎君 八幡、富士の合併に対しまして、住友はじめ他の鉄鋼メーカーが反対をしておりません。それは何で反対をしないかといえば、合併によりまして、いま申してまいりましたような独占価格が安定して自分たちも右へならえでその恩恵を受ける、自分たちの利益になると、こういうように考えておるから私は他の製鉄会社もこの合併に反対をしないのだろうと、こういうふうに思うのです。こういうものの考え方こそが、やはり独禁法の対象ではないか、こういうふうに私は考えますが、公取委員長はどういうように考えますか。
#123
○政府委員(山田精一君) 他の鉄鋼メーカーが反対しないというのにはいろいろあると思います。ただいま御指摘になった考え方をしておるものもございますかもしれませんが、十分競争していく自信があるから反対しないというのもあるわけでございます。
#124
○須藤五郎君 八幡、富士のグループと申しますか、小会社ですね、この製品のシェアがいま問題になっていないように思うのですが、これは私はおかしい。やはり問題にすべきことであると思うのです。特殊鋼のシェアは合併によりまして五一・四三%を占めるということになっておる。主要鋼別に申しますならば、合金鋼が五四・四一%、ばね鋼が七二・九九%、軸受鋼が七一・一五%、ステンレス鋼が五五・八八%、快削鋼が五二・八〇%、それから高抗張力鋼が四五・三二%、SC材が四〇%、これも先ほどから申しました精神に照らすならば、明らかに私は独禁法に違反すると思うのです。この問題につきまして公取委員長はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#125
○政府委員(山田精一君) その辺を十分調査しておりますので、それらを総合して判断をいたしたいと、かように考えるのであります。
#126
○須藤五郎君 今度の合併に対する審議の中で、やはりこういうことも問題になって、そしてこういうことも含めて御回答になるということですか。
#127
○政府委員(山田精一君) 調査は確かにいたしております。
#128
○須藤五郎君 きょうの新聞におきましても、貿易の自由化、それから資本の自由化の問題で、アメリカの資本が進出した場合のことをいろいろ問題にしているようでありますが、八幡、富士の合併を公正取引委員会のような不当な理由で――こう言えば、まだ決定が、回答が出ていないのですから、委員長は御不満だろうと思うのですがね――そういう理由でもし認めるということが起こったならば、アメリカ資本が今後進出してまいりまして、たとえましたならば日本の自動車産業に進出し、合併し、支配しようとする場合に、独禁法ではそれを防ぐことはできなくなってしまうだろうと、こういうふうに私は思うのですが、そういうことが起こってもよいのか。もしもそういうことが起こった場合、外国資本が進出することによって独禁法に違反するような問題が起こってきた場合に、それをどういうふうに措置をされようと考えておるか伺いたい。
#129
○政府委員(山田精一君) アメリカの自動車資本というお話でございますが、どういうような態様、またどういう程度でそういう計画がございますのか、私、全然知らないわけでございます。そのときどきの実態に即しまして、自動車業界の実態あるいは進出の程度等に即しまして独禁法を十分厳正に適用いたしてまいりたい、かように考えております。
#130
○須藤五郎君 大体公取委員長に対します質問は、私は委員長から時間の制限を受けておりましたので省略いたしまして、この程度で終わって、公取委員長には、お忙しいだろうと思うからお帰りを願って、まあきょうの五時の発表を私たちは注意して拝見したいと、こういうふうに思っております。どうか、日本の国民経済がおびやかされないように十分によくお考えの上で、国民というものの利益の立場に立ってきょう五時から出される結論は出してもらいたいと、こういうことをつけ加えまして、きょうのところ、私は公取委員長に対する質問はこれで終わりますが、後日あらためてまたおいでを願っていろいろ質問を続けたいと、こういうふうに思っております。どうも…。
#131
○政府委員(山田精一君) 御激励をいただきましてありがとうございました。それでは失礼させていただきます。
#132
○須藤五郎君 通産省に対する質問がまだ残っておるのですが、続けてもいいでしょうか。私は、委員長に敬意を表して一応ちょっとお断わりをして質問をいたしたいと思い余す。
#133
○委員長(木村禧八郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#134
○委員長(木村禧八郎君) 速記をつけてください。
#135
○須藤五郎君 きょうは実は大平通産大臣に出ていただいてと思っておりましたが、大臣は出られないで政務次官が見えておりますから、政務次官からひとつお答えを願いたいと思うのですが、佐藤総理が昨年四月、両社の合併合意が伝えられた直後、四月二十五日衆議院物価問題特別委員会におきまして、国際競争力強化という立場から大型合併は好ましいと、こういうふうに述べていらっしゃるのですが、通産省の意見はどうかという点を伺います。
#136
○政府委員(植木光教君) 現時点におきましては、わが国の鉄鋼業は、設備、技術とも一流の水準になっておりまして、鋼材の品質、価格の両面におきまして国際競争力を備えておることは事実でございます。したがって、輸出も順調に伸びているのでございます。これはまあ御承知のとおり大手のメーカーが最新鋭設備を経済的なテンポで建設をしてまいりまして、また欧米先進国の新技術を自由に導入をしてきた結果であると考えます。しかしながら、技術につきましてはまだ導入技術が主体でございまして、革新的な技術を開発しましてこれを実用化する技術開発力は十分とは言えない現状でございます。また、借り入れ金に依存をして設備の大型化をはかってまいりましたために財務比率が悪く、企業体質も弱いというような現状でございます。欧米の鉄鋼業は現在再編成ないし再建の過程にございますが、アメリカの鉄鋼業は徹底的な合理化投資を行なっておりまして、またわが国とアメリカ、中共等の市場で競争関係にある欧洲鉄鋼業も、いまや技術革新に伴い大型の設備をしているというような趨勢でございます。御承知のとおり英国では国有公社化、ドイツやフランスにおきましては二、三のグループに集約化をしているというような状況でございまして、したがって、こういうふうに欧米の諸国の合理化努力と技術開発力とが結合しながら発展しました場合には、わが国鉄鋼業の現在の地位を保持していくということは非常に大きな疑問がございまして、したがって現在の国際競争力を将来にわたって維持するためには、今後まだまだ努力する必要がございます。これが総理の発言になったものであるというように考えております。
#137
○須藤五郎君 総理はそういう国際競争力上合併は必要だというようにおっしゃっておりますけれどもね、八幡製鉄の社長の稲山さんは、昨年五月十一日、東京ヒルトンホテルでこういうふうに言っていらっしゃる。八幡、富士両製鉄会社の合併の目的は、むだな競争をやめて利益を蓄積することにあると。国際競争力を強めるためだなどと言ったことはない、国際競争力は十分にある、そういうふうに言っていらっしゃる。合併の結果上がった利益を、消費者に還元しろというのはおかしい話だ、会社や従業員が苦労して得た利益を、すぐさま関係のない人たちに返すことはない、まず企業がもうけ、よそから手を出してもだめでございます、こういうふうに言っていらっしゃる。だから今度の合併は決して国際競争力じゃなくて、要するに合併によってたくさんの利益を占めよう、こういうための合併だということを、専門家の稲山さんがちゃんとはっきり言っているのですね。だから総理が言う国際競争力ということは、これはおかしいのです。国際競争力は、私の調べたところでも十分今日あるわけです。今日十一社、大きい鉄鋼メーカー十一社数えますと、その中に日本の鉄鋼メーカー五つ入っているのです。今度八幡、宿主が合併すれば世界第二位の大メーカーになるのですよ。しかもアメリカに売り渡す鉄鋼は、アメリカ国内の製鉄の鉄よりも一トンについて三十ドル日本は安く売っているのです、アメリカに対して。外国から材料買うて、売るものが三十ドル安く売れるということは、これは日本の労働者の賃金が低いということを明らかに示しているのですけれども、日本の労働者の犠牲によって、日本の鉄鋼業界はこのようなことをやっているのです。だから今日の段階で国際競争力ということはもう問題にならないのです。それを言っていらっしゃるのは、将来日本が東南アジア方面に出て、そうしてそこで、そこの製鉄業界を日本の製鉄業界が独占して支配していこうというその考えから、私は総理大臣はそういうことを言ったのだ、現にアメリカから、もう日本に、いわゆるなんでしょう、鉄の輸入制限がきているでしょう。自主規制せい、こういう状況になっている。そうして日本は東南アジア方面に市場を伸ばしていけ、こういうふうにアメリカから指示がきているのです。それにこたえて、東南アジア方面を握るために、私は総理大臣がそういうことを言った、だからほんとうの純粋な国際競争力という点からいったら、もうすでに日本は一流になっているのですから、合併する必要がないのです。だから稲山さんは正直に、合併は国際競争力を強めるためにやるのじゃないのだ、もうけるためだということを、はっきり言っております。もうけたものは、何も国民に返す必要はない、おれたちがもうけたらいい、こういうことを明らかに言っている、私はこれがほんとうだと思う。そこでお尋ねしますが、四月二十七日の日経によりますと、植村経団連会長は合併が否認されれば独禁法改正も考える、こういう意向を明らかにしていらっしゃるわけですね。経済界では独禁法を改正せよ、こういう意見が出ておるわけですが、通産省としては、この独禁法改正意見に対してどういうふうに考えていらっしゃるかどうかという点を伺っておきたいと思います。
#138
○政府委員(植木光教君) その前に、先ほどの稲山社長の発言でございますけれども、これはあとで稲山社長が自分の真意ではないといって訂正の声明を出しております。それをまずお答え申し上げます。
 ただいまの独禁法の改正問題でございますが、お説のように経団連が独占禁止法につきまして種々検討を行なっているということは聞いておりますが、これが経済界全体の意図であるかどうかということについては、私どもは十分に承知しておりません。
 なお、通商産業省といたしましては、独禁法の改正は全く考えておりませんので申し上げておきます。
#139
○須藤五郎君 この国際競争力の問題につきましては、まだ私も意見があるわけです。また事実をあげて反ばくしたいと思いますが、時間がありませんからその点はきょうはやめまして、最後に一問だけいたしますが、将来におきますところの鉄鋼の生産、需要の伸び率の見通しはどうなっておるかという点を通産省に伺っておきたいと思います。
#140
○政府委員(吉光久君) 先般、先月の十四日でございますけれども、鉄鋼の長期需要見通しにつきまして、通産省で持っております産業構造審議会の鉄鋼部会で御審議をいただいたわけでございます。その結果につきましてお答え申し上げますと、一応四十八年度、五年後でございますが、四十八年度におきます鉄鋼の生産見通しは粗鋼ベースで考えまして一億一千六十万トンという数字となっておりまして、四十二年に比べまして年率九・八%の伸びということとなっております。この九・八%の伸びと申しますのは、日本の場合、過去十年間の年率の伸びが平均いたしまして約一八%でございました。そういう大きな伸びを示しておったわけでございますが、それに比べればその約半分というふうなことで、相当伸び率は落ちるわけでございますけれども、ただこれは欧米諸国に比べますと、まだ相当大きな伸び率でございます。大体年間約八百万トンの増加というふうなことでございまして、相当大きな伸び率でございます。
 一応こういう大きな伸びが想定されます理由でございますけれども、第一の点は、これは日本の鉄鋼業の需要の特徴の一つにもなるわけでございますけれども、普通鋼材の用途の約五〇%が土木建築向け、アメリカでは約二〇%でございますけれども、日本の場合には約半分、五〇%が土木建築向けというふうなことでございまして、要するに社会資本の立ちおくれの現状から見ました場合、それに相当のものをまだ注ぎ込んでまいるという、そういう大きな需要のあるということのあらわれではないかと思うわけでございます。それから第二は、自動車でございますとかあるいは電気機械でございますとか、そういう鉄鋼を使った製品の生産の伸びが非常に大きいというふうなものが特にございまして、そういう需要業界の成長のささえというものが、これまたほかの国と違った日本の鉄鋼の需要の伸びを大きくしておる原因ではないか、このように考えます。
#141
○須藤五郎君 私、これで質問を終わりますがね、いまのそれ、少し私資料にしたいのです。あとからひとついただきたいと思います。
#142
○委員長(木村禧八郎君) よろしゅうございますか、資料として。
#143
○政府委員(植木光教君) よろしゅうございます。
#144
○委員長(木村禧八郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
  〔委員長退席、理事松井誠君着席〕
#145
○理事(松井誠君) 速記を始めて。
    ―――――――――――――
#146
○大森創造君 大蔵省にお伺いいたしますけれども、特別経理会社というのはどんなものですか。
#147
○説明員(有元三郎君) 特別経理会社と申しますと会社経理応急措置法、これは昭和二十一年の法律でございます。これの第一条で規定されたものを言うということになっております。それは昭和二十一年の八月十一日の午前零時現在、これが指定時でございますが、その時点におきまして戦時補償金等の交付を受け、あるいはそれを受ける権利を持っていた会社または在外資産を有する資本金二十万円以上の会社を言うということになっております。しかしながら主務大臣が指定します会社あるいは戦時補償金等の交付を受けた金額あるいはこれらの請求権及び在外資産の合計額が積み立て金あるいは指定時の事業年度の利益金額の合計額をこえないで、その上、債務超過または支払い不能におちいるおそれのない会社、これが主務大臣の認可を受けましたものにつきましては除外しております。
 さらに戦時補償金等の交付を受けまして、あるいはその請求権を持ちまたは在外資産を有します資本金二十万円未満の会社、これで主務大臣の指定を受けたもの。
 第三の分類といたしましては会社経理応急措置法の施行後、債権の取り立てが非常に困難になったというような事由によりまして、会社の資産の価額が減少したというようなことで債務超過あるいは支払い不能におちいるおそれのある会社で主務大臣が指定した会社。そういうような会社を特別経理会社ということになっております。
#148
○大森創造君 そこで、特別経理会社の現況、会社の数が幾つくらいあるのですか。
#149
○説明員(有元三郎君) お答えいたします。当初指定を受けましたのが四千六百九十五社ございます。その四千六百九十五社のうちに整備計画の実行完了いたしましたのが四千六十八社ございます。したがいまして、まだ特別経理会社で残っておりますのが六百二十七社ということになっております。
#150
○大森創造君 六百二十七社のうちで、きょう私が問題にします日立航空機というもの、これは一時、日興工業と称した時期もございましたけれども、日立航空機と現在言いますけれども、この日立航空機というのが六百二十七社のうちの一つとしてあるわけですね、これは御存じでしょうか、通産省、大蔵省。
#151
○説明員(有元三郎君) 六百二十七社の中に入っております。
#152
○大森創造君 そこで、日立航空機というものは、再建整備計画などというものが出ておりますか。
#153
○説明員(島田春樹君) 日立航空機製造株式会社でございますが、これは再建整備計画は昭和二十四年六月三十日付で認可になっております。
#154
○大森創造君 そこで、現在清算中であるわけですね。
#155
○説明員(島田春樹君) 現在清算中でございます。
#156
○大森創造君 清算の結了報告というものを求める立場に大蔵省か通産省はあるわけでしょう。
#157
○説明員(島田春樹君) 主務大臣は大蔵大臣及び事業所管大臣でございます。主務大臣へ完了報告が出てくることになっているわけでございます。
#158
○大森創造君 そこで昭和二十四年六月三十日に特別経理会社として指定したということなんですが、それからもう二十年ですね、二十年たって経理清算結了の報告が出ていないというのはどういう事情でしょうか。
#159
○説明員(島田春樹君) 私どもが承知しておりますこの会社は、大体途中までスムーズに清算が進んでおったようでございますが、途中から同社の土地の問題をめぐりまして係争が起きまして、そのために現在まだ結了しないというふうに聞いております。
#160
○大森創造君 そこで、土地のために係争中で結了報告が出ていないということですけれども、その日立航空機が持っていた土地について、昭和二十一年から二十二年にかけて自作農特別措置法によって国が買収したわけですね、場所は東京都北多摩郡大和町所在の農地です。そして合計一万六千六百坪というこの土地について、国から買収された、それで、これが農地法第八十条によって昭和四十一年十二月十五日に旧所有者であるところのいま申し上げました日立航空機のほうに売り戻された。この農地についてのことだろうと思いますが、そこでお伺いしたいのは、一体、昭和二十四年六月三十日の時点で特別経理会社に指定されたとおっしゃいましたけれども、国がこの日立航空機から農地として買収したのは昭和二十一年から二十二年ですから、そうするとこの再建整備計画のうちにはこの農地の問題はないはずでしょう。
#161
○説明員(有元三郎君) 当初の整備計画の中には御質問のとおりこの土地は入っておりません。
#162
○大森創造君 そうするとおかしなことになると思うのですよ。昭和四十一年十二月十五日の時点で旧所有者の日立航空機に戻るということですけれども、事実戻ったその農地の扱いについて、いま清算結了の報告がないということはどういうことなんですか。その関連が私はわからない。これは私の解釈によるというと、昭和二十四年の六月三十日の時点において凍結されるものでしょう、債権も債務も。そして一日も早く清算結了するということなんでしょう。そうして一定期間のうちに清算結了報告を通産省なり大蔵省にして、そうして清算法人として活動していくか、それともこれは解散を命ずるかというふうなものであって、この農地の問題は関係ないはずであります。
#163
○説明員(有元三郎君) 本来、そういう資産が後ほど出てまいります段階におきましては、本来的には整備計画の変更を要するものと考えます。しかしながら、これを整備計画にのせました場合でも、仮勘定として経理されるということになりますと、それが旧債権者または株主に帰属するということになりまして、結果的には整備計画を変更したのと同一に帰するというような考え方から、整備計画の変更を行なわなかったものでございます。
#164
○大森創造君 整備計画の変更届けというものは大蔵省か通産省に出てないでしょう。
#165
○説明員(島田春樹君) 変更計画は出ておりません。
#166
○大森創造君 おりませんね。
#167
○説明員(島田春樹君) はい。
#168
○大森創造君 そうすると、まことに奇怪なことになると思うのです。これはあとから申し上げますが、一万六千六百坪という農地が旧所有者である日立航空機に戻ったのが昭和四十一年の十二月十五日ですよ。数億円いたします。その数億円、私の目算では六億から七億すると思うのですけれども、その農地の処分について、再建整備計画以外の事務でしょう、これは。再建整備計画というのは、先ほど申し上げましたように、昭和二十四年の六月三十日の時点においての債権債務その他の財産を凍結して、そのらち内においての清算を一日も早く結了してその報告をするということなのに、それからずっとおくれて昭和四十一年の十二月十五日に数億円のこの財産が戻るということになるというと、この財産の処分についてはどういう扱いになるわけですか。その整備計画の一部変更の届け出もないということはいま確認しました。そうすると、これは背任横領じゃありませんか。清算人かそれからブローカーあるいは町の有力者あたりが寄ってたかってこの戻された国有地については、かってに処分をする、その形跡が濃厚です。そういうことにならざるを得ないでしょう、これ大蔵省にも通産省にも届けてないのですから。そういう場合に現実に一万六千六百坪の農地が戻ってきた、時価数億円する、あとから申し上げますが、これはずたずたにこの農地は処分しております。国から日立航空機に戻る数年前に、この土地は実質的に売買完了、いまでも紛争継続中でございますけれども、売買がなされておる。これはふかしぎなことですけれども、まず私はそれよりも大蔵省、通産省のほうに再建整備計画というものを出した、そのらち外の財産ですからね、こういう扱いはどうでしょうか。ほうっておいたら完全に背任横領です、これは神様でもなければ。そういうことは十分推測されますね、いかがでしょう。
#169
○説明員(有元三郎君) 本来は整備計画の変更を届け出てまいりまして、仮勘定として整理されて、先ほども申し上げましたように正当に債権者あるいは株主に帰属すべきものではないか、このように考えております。
#170
○大森創造君 考えていると言うても事実はそうでないでしょう。これはあとから申し上げますけれども、この国有地について寄ってたかってあれですね、もう戻されることを前提にして、国から売り戻されることを前提にして二重三重に売買して家も建てている、国有農地の時代であった当時から。そこで、ちょっとお伺いしますが、この農地は昭和二十二年十二月と、昭和二十三年の三月に自創法によって国が買収したわけです。そうして昭和四十一年の十二月十五日、非農地であるということで買収取り消しになったのですが、この間二十年近くというものは国有地であったわけですね、確認しておきます。
#171
○政府委員(中野和仁君) いまこの農地につきまして、買収の日付は、先生おっしゃいましたとおりでございますが、農業委員会が取り消しをいたしましたのは三回に分けてやっております。最初に二十九年の二月、それから三十二年の十二月、三十三年の九月という日に、当時農業委員会が、農業委員会法の三十三条に基づきまして、東京都知事の確認を受けまして、買収の取り消しをやっております。それの登記をいたしましたのが、御指摘の土地につきましては四十一年の十二月ということになったわけでございます。
#172
○大森創造君 ですからその間というのは農林省の行政財産のうちですね。
#173
○政府委員(中野和仁君) それにつきまして、かなりいろいろ問題があるところだと思いますが、当時東京都におきましては、知事の確認を受けて取り消しをやったあとは、国有財産でないという判断をいたしまして、農業委員会としては、そのあとは国有財産の管理をしてないという実情にあるようでございます。
#174
○大森創造君 それはさておき、昭和三十三年の九月十五日に宅地転用確認の通知書がきたのでしょうね、昭和三十三年の九月十五日、その前は明らかに国有地であったのでしょう。
#175
○政府委員(中野和仁君) 取り消すまでは国有地でございます。
#176
○大森創造君 取り消しをいたすまでというのは、昭和四十一年の十二月十五日ですか。
#177
○政府委員(中野和仁君) 私が申し上げましたのは、三十三年九月十五日に農業委員会が買収計画の取り消しをやりました日でございます。
#178
○大森創造君 昭和三十三年の九月十五日というのは、宅地転用確認の通知を知事がやったのでしょう。そうして四十一年の十二月十五日に買収取り消しをして、旧所有者の日立航空に戻ったのでしょう。ですから昭和四十一年の十二月十五日までの間は、買収してから買収取り消しをするまでの間は国有地であったわけでしょう。その前に、通産省、大蔵省に聞きますが、先ほどの問題、一体事実としては、昭和四十一年の十二月十五日に一万六千六百坪の買収農地が旧所有者の日立航空というのに戻った場合に、そしてその農地については売買をしているわけですね、相当値上がりしています。そうすると値上がりによって獲得した利益、その他売買の事実というものは、再建整備計画のほうにのってないし、それからそのことによって生ずるいろいろな計画の一部変更届けも、通産省、大蔵省のほうには届いてないということになれば、ほとんど背任横領ではありませんか。この金をどう処分します。この農地を売買したことによって得た収益というものはどう処分されますか。再建整備計画のうちには入らぬのですよ、そうするというと、かってに二、三の人が、清算人か管理人か、そういうふうな人が申し合わせをして、この数億の金を山分けをするということは十分考えられますね。わからないのですから、だれにもチェックされる機関がありませんから、事実はそうだと私は断定してもいいと思うのです。これは念を押すまでもなく、そうなっておりますよ。そこで私はくやしいのは、通産省、大蔵省の方に聞きますけれども、一体二十年も清算結了報告を求めなかったのですか。指導が何にもなされなかったのですか。私は二十年間不可能なものは今後二十年間不可能だろうと思うのです、永久に。これは単なる怠慢か、それともいま通産省の方がお答えになりましたように、その再建整備計画のうち外のこういう農地の問題について清算結了報告がおくれているというふうにお答えになりましたから、あなたのほうや通産省のほうは再建整備計画のらち外の不当な所得、それから不当な財産が出てきた、そういうものについておくれているということを通産省の方がわかっているということはどういうことなんでしょう。
#179
○説明員(島田春樹君) 私ども、その考え方と申しますか、私どもの解釈では、先ほど大蔵省のほうから御答弁になりましたように、一応整備計画の変更はなされていないのですけれども、実際上そこで資産が戻ってきた場合には、その処分が行なわれた利益というものは一応仮勘定益というかっこうで清算人の手元で整理が行なわれ、そうして最終的に仮勘定益が出れば旧債権者あるいは株主に帰属するというようなかっこうの処理がなされるものであるというふうな考え方を一応いたしております。
#180
○大森創造君 それはあなたの考え方であって、こうではありませんか、昭和二十四年の六月三十日の段階で一応ストップでありませんか。たとえば債権、債務を履行するとか、あるいは新たな商行為をするというようなことはできないでしょう。その特経会社の性格上。それは昭和二十四年の六月三十日の段階で締め切られて、そのときにあった財産、そのときにあった債権、そのときにあった債務というものを、その二十四年の六月三十日の段階において一応凍結して、そのワク内において清算するということ、そうでないというと、限りなくその清算事務というのが続いてまいりますから、特経会社の性格上そういう新たな財産が農地法によって日立航空機のほうに戻ったというそのことについては、まだ関係ない、清算をするわけではありませんか。そうでしょう。これは私のほうでもある程度調べております。
#181
○説明員(有元三郎君) 一応指定になりまして整備計画が認可になる。それ以後はその整備計画にしたがって処理がなされるということでございます。したがいまして、第二会社をつくるものは第二会社をつくる、あるいは解散に持っていくものは解散ということでございますが、本件のようにあとから資産が出てまいりましたものにつきましては、当然本来的にはその資産というものを考えて整備計画をつくるべきであるというようなことで、本来的には整備計画の変更をいたしまして、その上で処理をする。債権者あるいは株主のものを取っておりますので、そこに還付させるというのが正しいやり方ではないか、こういうふうに考えております。
#182
○大森創造君 その正しいやり方をやっていないという場合に、これは税金の問題どうなるのか。それから背任横領ということは十分考えられますね。そこでね、大蔵省、通産省のほうはどうなんですか。この二百六十七特経会社が残っているというふうにお答えございましたけれども、これはいずれ、ほうっておかないで早急に何とかせなければならぬでしょう、この二百六十七という特経会社について。残存している二百六十七、日立航空機株式会社というのも含めてこの二百六十七という特経会社についてどういう方針なんですか。
#183
○説明員(有元三郎君) 現在まで御指摘の数字の会社が残っておるわけでございますが、これらにつきましては関係の各省がそれぞれ所管ということになっておりますので、私どものほうといたしましても関係の各省とよく協議いたしまして、調査すべきものは調査をいたしまして、その上で判断をいたしていきたいと、かように思っております。
#184
○大森創造君 これは有元課長はそういう気持ちに最近なられたんでしょう、きのう、きょうか、一週間以内に。そうでなければ、これは二十年間近くこのままになっているということは考えられないのです。督促だとか一年二回報告を求めるという事務を実質的に扱っておりましたかな。
#185
○説明員(有元三郎君) はなはだ申しわけないのでございますが、個々のものについてはそういうような報告を受理しておりませんでした。概数的な計数といいますか、何社あって何社がどういう状態であるという概括的な数字について承知しておりました。
#186
○大森創造君 農林省にお伺いしますけれども、これは農地法の精神から言うて、自創法によって買い上げた農地というものが非農地であるというふうに認定した場合には、旧所有者に一〇〇%返さなければならぬですか、法律的には。
#187
○政府委員(中野和仁君) いまのお尋ねの場合に二つあるかと思います。買収いたしました土地が戦災跡地なり全くの家庭菜園のようなところであれば買収を取り消しますから、本来国が買収しなかったことになって旧所有者に戻る場合、それから一たん自作農創設で買収いたしましたけれども、その後市街化をしてくるなり何なり様子が変わってきまして、そこへもう自作農創設で農家に売れないというような土地が出てくるわけです。そういう分につきましては、農地法の八十条によりまして有効に買収したものを、自作農創設に使わないのだから旧所有者に旧価格で返すという規定がございます。この二つの道があると思います。いずれにいたしましても、さきに申し上げました取り消しの場合は、間違っておった場合でございます。それはすぐなるべく早く返さなければいけないと思います。しかしあとの場合は、具体的なそこの転用計画が立ちました場合に判断をいたしまして返すということでやってきておるわけでございます。
#188
○大森創造君 これは日立航空という特経会社が清算結了事務を大蔵省なり通産省が監督を十分してぱきぱき行なわれたならば、おそらく昭和四十一年のずっと前の時点でこの会社は何とかなっていましたね。解散されたでしょう、おそらく、航空機の会社ですから。そうすると、その場合には仮定の話ですが、この国有地というものは、日立航空機なるものは存在しなかったということは十分考えられるから、そのときは住宅公団に売るでもして当局に払い下げて住宅を建てるということが可能だったはずですね。これどうでしょう。
#189
○政府委員(中野和仁君) そういう場合にいろいろ考えられると思いますけれども、会社が清算結了して全然消滅してなくなっちゃっているというような場合に、そこが取り消して、なければ、あるいはいま先生がおっしゃいましたように、国が返す相手がないものですから、国が持っているということもあり得るかと思います。
#190
○大森創造君 どうもいまとなってはこれは繰り言になりますけれども、大蔵省、通産省のほうが非常に怠慢であったと思うのですよ、僕はこの会社については。その他の特経会社についても十分監督をして、そして清算結了ということをそういうことに持っていこうとすればできたんじゃないですか、これは。この二百六十七社という実態について調べて、あと半年以内に一つの結論を個々の会社についてめどを与えるということは可能じゃありませんか、これは政策的に。単に大蔵省のほうが、通産省のほうが特経会社の指定をした、あとはほっときぱなしにしておいた結果がこういうことになったのじゃありませんか。日立航空機はいまから十年くらい前になくなったかもしれませんよ、おそらく。なくなったということであれば、いま農林省お答えのようにこの農地は国有地として十分活用できたということが考えられるわけですよ。いかがでしょう。
#191
○説明員(島田春樹君) いまとなってはそのおっしゃるような点ございます。いずれにしましてもこういうかっこうになりまして、処理がおくれたという点につきまして、われわれ非常に申しわけないというふうに考えております。
#192
○大森創造君 これは税金だとか、それから利益の配分というものは、先ほどから申し上げておるようにこれは監督できないのですか。これは背任、横領ということになりはしませんか。これは刑事課長どうですか。こういうものについてお調べになる気持ちはございませんか。ほとんど一〇〇%だからね、これは。
#193
○説明員(石原一彦君) ただいま先生の申された事実関係から直ちに背任、横領が成立するということは断定いたしかねるのでございます。しかしながら現在、東京地方検察庁に三件この土地をめぐりまして告訴がなされております。目下捜査中でございますので、ただいま大森先生のおっしゃった点も含めまして捜査が行なわれるものと考えております。
#194
○大森創造君 それで、だいぶ時間がたっておりますね、この告訴については。これはだいぶ時間がたっているのですね、告訴日より。これは捜査してやるつもりあるんですか。
#195
○説明員(石原一彦君) 冒頭お断わり申し上げておかなければいけませんことは、先生おっしゃったとおり、最初の告訴は昨年の一月二十五日に受けておりますので一年以上になっております。その次が昨年の七月十六日に受理いたし、最後の告訴はことしの一月八日でございます。
  〔理事松井誠君退席、委員長着席〕
 それで、弁解でございますが、実は昨年来御承知のように非常に多くの学生の事件がございまして、この種事件は東京地検は特捜部が担当しているのでございますが、半分ぐらいはそちらの応援に出ているのでございます。で、そのほかに警視庁等から送られてまいりまする身柄事件がございまして、やはり身柄の事件は先に調べなければならないということで、勢い告訴、告発事件がおくれておりますのが現状でございます。この点はそうした事件が、まあ暴力事犯が起きますと困るので、起きないことを望むのでございますが、できるだけ早く捜査を完了いたしたいというふうにわれわれも考えております。
 なお、この事件につきましては、別途民事訴訟も係属されておるようでございまして、非常に法律点及び事実認定上複雑困難な事案と聞いております。したがいまして、先ほどから横領もしくは背任というお話ございましたが、どうも直ちにそうである、あるいはそうでないというきめ手を申し上げるだけの証拠収集がいまだできていないようでございます。
 それからもう一つの問題は、日が長くかかりました点がございますが、重要関係人が死亡をいたしておりまして非常に証拠収集に困難をきわめているようでございます。しかしながら告訴、告発事件でございまして、捜査を急がなければいけないことは当然でございますので、検察庁といたしましてもこの特殊な事態が終わりましたならば直ちに捜査に当たるということでございますので、いましばらく日をかしていただきたいと思います。
#196
○大森創造君 農林省にお伺いしますけれども、それでは国のほうで買収したものを取り消して旧所有者に戻すということについて、その登記の事務はどういうことになるのですか。登記の方法、旧所有者の日立航空機に戻るというこの登記上の手続はどういうことになりますか。
#197
○政府委員(中野和仁君) 知事が登記所に嘱託登記をいたすわけでございます。
#198
○大森創造君 そうしますと、その嘱託登記書というもの、登記の嘱託書ですね、そういう書類があるわけでしょう。その書類があなたのほうの出先の関東農政局、それから今度東京都に行って、東京都から今度は当該の登記所のほうに書類上行くべきものなんでしょう。
#199
○政府委員(中野和仁君) 実際たくさんの土地がございますから、事実上の問題としては農業委員会が都知事の下働きといいましょうか、農業委員会が手伝いをするという実態にあるわけでございます。
#200
○大森創造君 それはそうでしょうけれども、その登記嘱託書というものが当該登記所のほうに行って、そうして国のほうから旧所有者のほうに登記が移転すると、こういうことになるわけですね。
#201
○政府委員(中野和仁君) そのとおりでございます。
#202
○大森創造君 この事実についていろいろ奇怪な問題があって、事実そうなっておりませんね、調べたらわかりますけれども。その手続になっていくのがほんとうだけれども、そうでないんですね。事実はどうなっているかというと、その登記官のあやまち、錯誤発見によるところの更正登記ということになっているんです。これはおかしいでしょう。おかしいと思いませんか。それでもいいんですか。
#203
○政府委員(中野和仁君) 抹消登記をいたします場合に、本来無効のものでありますれば、無効を原因として取り消しをするという、無効といいますか、錯誤を原因として取り消しをするという場合もございますし、一応買収はいたしましたけれども、それは取り消しすべきものだということになれば、取り消しということで、それを原因としてやることがあるわけでございます。ただ、いろいろ実情を調べてみますと、東京都の場合は、取り消しをします場合は、すべて錯誤というのを理由にして全部登記の抹消をやっておるようでございます。
#204
○大森創造君 そうすると、東京都の場合は誤謬によるところの更正登記ということになっていても差しつかえないということですか、結果的には同じだから。
#205
○政府委員(中野和仁君) 本来、私が申し上げましたように、取り消しの理由に従って取り消し理由をはっきりさせるべきだと思いますが、先ほど申し上げましたように、錯誤ということでやっておりますのは、何と言いましょうか、手続的には若干まずい点があったと思います。結果におきまして取り消しをやるわけでございますから、取り消しの効力には関係はないというふうに考えております。
#206
○大森創造君 そこで、それはそれとして、しかもこの東京都の場合は登記官の錯誤発見による更正登記ということになっておるんですけれども、同じ日付で、みくに土地というものが、これが仮登記しているわけですね、この土地について、これはどういうふうに解決いたしますか。事実そのとおりなんです。そしてさらに仮登記がついていて、しかも登記が、この嘱託書というものをみくに土地の代表の高橋善策という人が持ち歩いているわでけすね。これはどういうように解釈すべきでしょう。
#207
○政府委員(中野和仁君) そのお話につきましては、われわれも東京都庁を通じて調べてみたわけでございますが、当時抹消嘱託書を登記所へ持ってまいりましたのは、農業委員会の職員が持っていっておるというふうに聞いております。
#208
○大森創造君 その嘱託書をみくに土地の代表の高橋善策という人が持ち歩いていたというんです。もうこれは確認されている事実なんです。そういうことだと、ちょっと話違いますわね。相当な犯罪というか、からくりが予想されますね。
 それから農林省にお伺いしますけれども、これが実質的に売買されていたということはどの程度把握されましたか。国有農地であったとき、農林省の行政財産であったときにこの当該土地について売買が行なわれたということはおわかりですか。
#209
○政府委員(中野和仁君) 最初のほうの先生の御質問であるいはちょっと触れたかと思いますが、東京都の確認を得まして、農業委員会が買収の取り消しをいたしました昭和三十三年までは管理をしておりましたけれども、それからあとは国有財産としての管理はしておりません。その辺について問題はあるかと思いますが、事実はそういうことになっております。
#210
○大森創造君 昭和三十年の九月十五日に東京都知事が宅地転用確認通知を出したわけです。それからあとは農林省は関係はないかもしれませんが、それより以前はどうですか。
#211
○政府委員(中野和仁君) 以前は国有財産でございますから、東京都知事が管理をするということになっておりました。実際問題としましては地元の大和農業委員会にやらしておるということでございます。
#212
○大森創造君 その段階において売買が実質的に行なわれたということについてチェックできないわけですか。
#213
○政府委員(中野和仁君) ちょっとその辺何ともお答え申し上げようのない面もあるかと思いますけれども、事実上その土地がいずれ返ってくるだろうということで、返ってくる人とそれから第三者とが事実上の話し合いをしておるということはおそらくチェックはできなかったんではないかと思います。
#214
○大森創造君 事実はその売買がなされているということについて、これは当時の農林省としてはチェックできないんですか。それで、私がこれを調べてみますというと、これは一例なんですよ、こういう国のほうが自創法によって買収した農地はずいぶんあるわけです。それを制度上できないものなんですか。家が建っているわけです。国有農地について売買がなされて、現金の、代金の授受が行なわれて――国の財産ですよ――それが東京都知事の宅地転用確認書が出るまでの時点において売買されているということについては、そのことはチェックできないものですか。そうすると、いつの時点で売買されておるということを把握するんですか、農林省は。
#215
○政府委員(中野和仁君) 私申し上げましたのは、こういう返ってくるであろうと考えておるその旧所有者と第三者とが、事実上そういう契約をする段階では把握しにくいということを申し上げたわけですが、この土地につきましては、先ほど申し上げました昭和三十三年の九月までは農業委員会が事実上東京都知事――事実上といいますか、東京都知事が管理しておりまして、それで具体的にはそこが宅地化をしてまいりまして家が建ち始めたものですから、そういう家を建ててはいけないという中止の命令といいましょうか、そういう指示を農業委員会がしておる事実はございます。
#216
○大森創造君 それは東京都の農業委員会ですか。
#217
○政府委員(中野和仁君) 地元の大和町の農業委員会です。
#218
○大森創造君 そこで私が申し上げるのは、売買――そういうやがてこの土地が旧所有者のほうに戻るであろうということでなしに、そのことを前提として書類上の約束やそんなものじゃなくて、代金の授受が何回にもわたって行なわれておるということになれば、どういうことなんでしょう。そのことのために現在に及ぶ各種の紛争ができているわけです、各種の訴訟事件ができておるわけです。その場合に農林省としてはそういう売買を実質的にしてはいかぬということをチェックできなかったんでしょうか。
#219
○政府委員(中野和仁君) 売買しようとする両当事者が、国から返ってくるということを条件にしまして取引をしておれば、ちょっと把握はしにくいんではないかというふうに思います。
#220
○大森創造君 事実を一つ申し上げますけれども、こういうことになっておるわけですね。一つは、日立航空が東京地所というもの――東洋地所というものは中央区の八重洲にあって、代表が鈴木彌一という人で、この会社は、最初に申し上げましたように日立航空というものが特経会社ですから、実際の所有地の管理処分などができないので、そういう東洋地所というものを設立したわけです、この土地の処分のために。そこでこの土地を九千三百十九坪について整地処分権も日立航空が東洋地所に与えたもの、さらにこれは事実上売買であって、坪当たり七百円で総額六百五十二万三千三百円で、四回分割で昭和三十三年の七月十六日までに全額東洋地所が日立航空に支払われておるわけです。こういう事実があるわけです。そこで東洋地所のほうは三十三年から三十四年にかけて宅地造成をして一般の人百九名に四千円から六千円で分譲した。
 さらに今度は、もう一つは、日立航空が大和町の農業委員会のほうに――こういういきさつがあるわけです、大和町の農業委員会が買収取り消し処分の確認を得ることに努力すると、国の買収取り消し処分の確認を得ることに努力すると、大和町並びに農業委員会のほうが。これがそのとおりできたときには物件を七千二百八十一坪、坪五百円、日立航空が大和町及び農業委員会の指定するものに譲ると、これはわいろではありませんか、こういう性質の取りきめならば。国のほうから買収が取り消されるであろうそのことのために努力をするから、その実現したときには、どういうことになるかというと、大和町及び農業委員会の指定するものに譲ると、こういう約束があったわけです。これは一種のわいろでしょう。国のほうに向かって、農林省のほうに向かって努力する、実際に売り戻しができた場合には大和町並びに農業委員会の指定するものに売買する、こういう約束をしているわけです。そういう実質的な売買があったということについて全然お知りにならなかったわけですか。
#221
○政府委員(中野和仁君) はなはだ遺憾なことでございますが、農林省としては、当時そういう事実を承知しておりません。
#222
○大森創造君 そこで、初めから山をかけているわけですよ。この土地については旧所有者の日立航空のほうに戻ると、そのためにみくに土地やその他の農地のブローカーが暗躍をした。そこで、この農地について、百何人かの人、実質的の耕作者、その離作料を、農業委員会と役場が中に入って百万円の離作料を出した。その離作料は昭和二十九年から三十年にそういうことをやったわけです。現実に百何人かの耕作者が自治会をつくっているわけです。そこで、町の農業委員会のほうはこれを耕作から離脱させて、離作料を田費のうちから百万円支出をして、そして離作の承諾者から取った、ところが、それから昭和四十二年になって百万円の離作料を出したりして、今度は六十万円昭和四十二年になってみくに土地から徴収しているわけです、役場のほうが。だから、これは昭和二十九年から三十年に耕作者連中を追い出すときに、すでにみくに土地というものと農業委員会が約束があって、一応、役場のほうで百万円の離作料を出して貸しておくが、いずれはこの土地が戻されて、そしてみくに土地のほうにいくものだから、そのあっせん料として六十万円の金をくれろ、役場のほうの収入に入れてくれろということなんです。そのことが実現した時点において、昭和四十二年に六十万円の金が役場の一般会計のほうに戻っている。それからさっき申し上げました、当時嘱託書の問題といい、いろいろな不明朗な問題があるのです。
 そこで私はお伺いしますけれども、この農地について農業委員会のほうは百万円の離作料を出して、そして買収取り消しということを期待してその方向に努力をした。一方、その隣の土地については町長の根岸昌一さんに売り渡しているわけです。どういう理由で売り渡したか御存じありませんか。
#223
○政府委員(中野和仁君) 恐縮でございますが、どうも町長に売り渡したということは、実はまだ私把握しておりませんので、よく調査いたしましてお答え申し上げたいと思います。
#224
○大森創造君 この土地は、ちょっと申し上げますが、大和町の奈良橋の久美久保という土地で、地番は千四百八番の一という土地です。これが昭和三十年の七月一日に根岸昌一に、現大和町長に農地として売り渡しているわけです。自作農に精進するものという名目で売り渡しをしているわけです。その隣の土地については耕作者が現実に百何十人いるけれども、離作料を百万円出して、そうして離作承諾書をもらって、これを農地でないから不適当だということでもって旧所有者に戻したわけです。この両方の土地とも旧所有者は日立航空です。こういう使い分けを大和町の農業委員会はやっているわけですね。どうしてその二つについてこういうふうに分けた扱いをするのか、私は理解できない、これはどういうことなんですか。
#225
○政府委員(中野和仁君) 具体的な実態は申しわけないのですが、私もまだ把握しておりませんけれども、一般的に申し上げますれば、取り消しをしましたところは空閑地利用であったりあるいは家庭菜園的なものであるという判断をしましてこれは農地ではない、とても自作農としては使わないということで旧所有者に返したということになりましょうし、それから売り渡したものについては時当農業委員会で自作農に精進する見込みがあるということで売り渡したというふうに考えます。
#226
○大森創造君 大体同じ時期にそういう違った判断をするものでしょうか。あなたではありませんが、大和町の農業委員会がこっちの土地については非農地であるという認め方をする、大体同じ時点においてこっちの農地は町長に自作農として精進するものであるという名目でもって売り渡すということが行なわれていいのですか、同じ場所で。おかしいじゃないですか。
#227
○政府委員(中野和仁君) 先生のお話伺っておりますと、そういう気もいたすわけでございますが、農地と認められるものについては売り渡しをし、そうでないものには取り消しをするということになりますと、それは現状の判断ではないか、そのときの現状の判断でそうしたということしか、いまからでは考えられないわけでございます。
#228
○大森創造君 現状の判断というものはそう違っていいんでしょうか。同じ場所にあるのですよ。
#229
○政府委員(中野和仁君) 現状の判断は、農地は農地であり、それから家庭菜園なり空閑地利用であるということについての判断という意味であればそういう判断をしたというふうに思うわけでございます。ただ似たような、全く同じようなものを別々に判断するということになりますと、それはおかしいというふうに私も考えるわけであります。
#230
○大森創造君 片方の農地は百万円離作料を出してそうして離作承諾書を取って、これはもう完全に準備行為なんですよ。農林省から売り戻しがあるものということのために農業委員会並びに大和町のほうがそういう準備行為としてこういう手を打ったわけですね。片方の農地については現町長の根岸町長のほうに売り渡した、そこで根岸町長のほうに売り渡して現在どうなっているかというと、デパートが建っているわけです。そこで、これは過去のことですから押し問答してもしかたがありませんから、私は二つだけ伺いたいのですが、一体、最初に戻って、通産省や大蔵省のほうはこういう特経会社というものをいままで怠慢のために温存してきたのです。それはいろいろ理由はあるでしょう。これは片をつければ幾らでも、いままででも片がついた性質の特経会社じゃないかと思うのです。これはきょうからでも、先ほどお答えのように、それぞれの所管の大臣のほうに委譲をして、特経会社について整理をしろということになりますと、私はもう整理つくものが相当多いと思うのです。こういうものについてがっちりやるおつもりございますか。
#231
○説明員(有元三郎君) 従来管理が不行き届きであったという点につきましては十分反省いたしたいと思うわけでございます。今後につきましては所管でございます関係各省とよく協議をしまして十全の判断をしていきたい、かように思っております。
#232
○大森創造君 それで詳細に日立航空機というものの実態を把握してないだろうと私は推測するのですが、現在日立航空で事務所があるんですか、そしてどなたか清算人か代表がいるのですか、幽霊会社と違いますか、これはどの程度把握していますか。
#233
○説明員(島田春樹君) 日立航空機は現在、清算人氏名で申しますと、鈴木登というのが代表清算人の職務を代行し、裁判所から一応任命されております。そしてそれの実際の事務をやっておりますのは山崎という弁護士がその清算事務をやっているというかっこうになっております。それから特別管理人といたしましては、興業銀行と富士商工株式がやっております。先般来この件につきましては大蔵省のほうと共同で、特別管理人である興銀と、それから清算の実務をやっております山崎弁護士、それぞれ呼びまして、事情聴取をし、現在調査中であります。
#234
○大森創造君 そこで、私がきょう問題にしたような、買収農地が戻ったという、その資産の扱いについてはどういうふうに言っておられましたか。
#235
○説明員(島田春樹君) 現在大蔵省と共同で調べておりますけれども、まだ非常によくわからない点が多うございまして、目下調査中でございます。
#236
○大森創造君 やっぱりこの資産の処分、すでに処分しちゃったと思うんですけれども、それは先ほどから申し上げているように、いろんな点が考えられますから、これはひとつ刑事課長のほうでも注目していただきたいと思うんですよ。これは私はどうもダイレクトに犯罪に結びつくような感じがするのですよ。
 それから農林省にお尋ねしますけれども、事実として、この問題が昭和三十三年の九月十五日以前の段階で実質的に売買がなされていて、二重、三重に転売されて家が建ってしまって、そうして民事訴訟が出てみたり、いろんな問題があって、数百人の人がこのことで迷惑をこうむっているわけですよ。そこで、法の盲点とはいいながら少し残念なんですね。これは忙しい警察のほうでこの問題をやるといったって、なかなか急に結論出ないと思うんです。こういう問題が発生した原因はといえば、法の盲点もあると思います。私は法律の盲点もあると思うんですよ。だけれども何とかなりませんかこれは。こういう問題について、今後の収拾について。
#237
○政府委員(玉置和郎君) 大森先生のいろいろお話を承っておりましたし、また、大蔵省、通産省の立場からもいろいろ答弁がありました。われわれがいまこういう場へ出まして聞いておりますと、なかなか複雑であります。まあ農地局長はかなり知っておるようでありますが、私なんかはきのうあたり聞いたばっかりでありまして、大森先生のような電子頭脳じゃございませんので、なかなか、あとの処置をどうするかということにつきましても、きょうすぐにこうするというふうな結論的なものはなかなか出てこないと思います。とにかく農地改革実施以来今日まで、大体二百数十万町歩も買収し、売り渡しを行なってまいりましたので、農林省といたしましても、そういう膨大な事務に忙殺されておったために、こういう農地の管理が必ずしも十分でなかったということは、私は遺憾ながら認めざるを得ないと思います。
 そこで、今後においては、こういう国有財産の適正な管理については、十分ひとつ慎重にやってまいりたい、こういうふうに思っております。
#238
○大森創造君 終わります。
#239
○委員長(木村禧八郎君) それでは本日はこの程度とし、散会いたします。
   午後三時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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