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#1
第061回国会 決算委員会 第9号
昭和四十四年六月十三日(金曜日)
   午後一時四十分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     大橋 和孝君     松本 賢一君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     木村禧八郎君     大橋 和孝君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     松井  誠君     岡  三郎君
    ―――――――――――――
   委員長の異動
六月六日木村禧八郎君委員長辞任につき、その補
欠として松本賢一君を議院において委員長に選任
した。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松本 賢一君
    理 事
                温水 三郎君
                前田佳都男君
                和田 鶴一君
                岡  三郎君
                高山 恒雄君
    委 員
                長田 裕二君
                亀井 善彰君
                佐田 一郎君
                佐藤  隆君
                田口長治郎君
                二木 謙吾君
                矢野  登君
                渡辺一太郎君
                大森 創造君
                林  虎雄君
                和田 静夫君
                峯山 昭範君
                渡辺  武君
   国務大臣
       国 務 大 臣  床次 徳二君
       人事院事務総局
       給与局長     尾崎 朝夷君
       大蔵省主計局次
       長        海堀 洋平君
       文部大臣官房会
       計課長      安養寺重夫君
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
       文部省管理局長  岩間英太郎君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       労働省労政局長  松永 正男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   政府委員
       警察庁警備局参
       事官       後藤 信義君
       大蔵省理財局国
       有財産総括課長  斎藤 整督君
       厚生大臣官房審
       議官       高木  玄君
       厚生省保険局医
       療課長      松浦十四郎君
       会計検査院事務
       総局第二局長   石川 達郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十二
 年度政府関係機関決算書(内閣提出)
○昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(内閣提出)
○昭和四十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松本賢一君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 去る六日の本会議におきまして、本委員会の委員長に私が選任をいたされました。経験もなく、力もございませんが、皆さまの御協力によりまして責任を果たしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松本賢一君) 委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、大橋和孝君が辞任され、その補欠として私が選任されました。
 七日、木村禧八郎君が辞任され、その補欠として大橋和孝君が、また昨十二日、松井誠君が辞任され、その補欠として岡三郎君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(松本賢一君) 委員の異動に伴い、理事が一人欠けておりますので、この際、補欠選任を行ないます。
 選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(松本賢一君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に岡三郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(松本賢一君) 昭和四十二年度決算外二件を議題とし、総括質疑を続行いたします。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○高山恒雄君 大臣に御質問申し上げたいと思いますが、決算報告書でもすでに御承知のように、例年、不正不当等の事項がかなり出ておりますが、その中で、最近も、御承知のように通産省の収賄事件とか、あるいはまた通商関税官の汚職事件、こういう問題が起こってきているわけですが、この問題について、私は、やはり根本的に考える必要がきておるのではないか、こういうふうに考えるわけです。
 その第一に重要な点は、長年にわたるこうした不正事項が、むろん本人に対する罷免あるいは処罰等はあるでしょうけれども、これを直すのには、もっと国家公務員の生活面における問題から取り上げる必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけです。そこで、この問題を是正するために、長官は今日の日本の国家公務員の給与について、基本的にはどういうふうにお考え願っておるのか。人事院の勧告をそのまま発表されて、実際には実施月も例年渋っておるというのが現状だと思うのです。こういった面に対して、長官は担当大臣としてどういうふうにお考えになっておるか、一応御所見を伺いたいと思います。
#8
○国務大臣(床次徳二君) 公務員の汚職の問題でございますが、政府におきましては、この春、官紀の粛正の意味におきまして、依命通牒を出しまして、それぞれ各省におきまして、粛正に対して
 一そうの意を払うようにいたしたのでありますが、なお従来の例から見まして、汚職の誘惑にかかりやすい職責と申しますか、また、ある一人の者に重大な権限が集中されておって、それがチェックできないというような欠陥も一つの大きな原因ではないかという意味におきまして、今後こういう公務員の勤務等に関しまして、十分な批判、反省、改善を行なわせておるわけでありまするが、ただいまの御質問の汚職の原因等につきまして、いろいろあるにはありまするが、今日までの過去の事件を見ておりますると、個人的な遊興娯楽のために収賄をする者が少なくないようでございまして、その汚職を根絶するためには、基本的には、やはり何と申しましても国民一般の倫理観の向上を期するとともに、特に公に奉仕するところの公務員が、その職務に徹しまして、一人一人が全体の奉仕者としての自覚に徹して、国民の負託にこたえるという使命観に徹することにあると考えておるのでありますが、お尋ねの公務員の給与の問題に関しましては、わが国の制度としまして、専門的な機関でありますところの人事院が十分調査いたしまして、民間との比較検討を十分いたしまして、そうして勧告をいたして、その勧告にしたがって改善をいたしておるのであります。今後におきましても人事院勧告が行なわれました際におきまして、その時点におきまして人事院勧告を完全に実施するという基本方針のもとに、努力、改善を続けてまいりたいと思います。
#9
○高山恒雄君 むろん人事院のほうで専門的な調査をし、かつまた一般民間企業との平均値をとっておられることも、これもそのとおりでありますが、しかし私は、ここに、ちょっと調べてみたんですけれども、実際問題として、第一、公共企業体の賃金から見ても、頭から二千円違っているわけですね、初任給で。そうしまして、これがもう年を追うに従って、八年、十年という年月になりますと、一般の企業から見ると、一万円まず安いと、こう見ておるわけです。そういう安い中で、しからば一体国家公務員の福利と称する官舎がどのくらいあるのかですね、公務員が入れる、安い家賃で居住のできる設備がどのくらいあるのかというと、これはもうほんのわずかです。この点から見ても、国家公務員の基本的な目的からする国家公務員法に基づく責務を果たしていないのじゃないか。と申しますのは、「職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」と、こう書いてあるわけですね。したがって「職員の福祉あるいは利益を保護する」と、こう書いてあるわけです。その保障をしてないではないか。一般と同様の保障がしてないのではないか、このことを私は指摘したいのであります。したがって、やっぱり取り締まりあるいは監督、これは当然責任においてやっていただかなきゃいけないけれども、まず基本である生活の安定のための福祉あるいは生活の保障、これらは完全に政府としても見るべきではないか、こういうふうに私考えるわけです。こういう点、どうお考えになりますか。
#10
○国務大臣(床次徳二君) ただいまお話がありました民間との比較の問題でありまするが、現在の国家公務員におきまするところの勤務の態様というもの、これは民間ともだいぶ異なっております。また、給与のきめ方あるいは財源の手当てのしかた等も違っております。この点はおのずから違った事情にあると思います。したがって、一律には律することができないと思うのであります。もっぱらこの点につきましては、そういう諸点に対しまして、人事院が十分検討して勧告を出されておるものと考えておりまして、私どももさような趣旨におきまして、勧告をできるだけ尊重したいと、かように考えて今日まで対処しておるわけであります。
#11
○高山恒雄君 それじゃ人事院の局長にお尋ねいたしますが、人事院は、正しく現在の法律に基づいて、そうしてその平均値をとられた給与として支給されておると私は思う、勧告はそう出ていますから。それは法律に基づいてそうなっておるのでありますから、これは人事院として、私は欠陥があるとは指摘はいたしません。ただ、考えなくちゃならないことは、大学を卒業しまして、二十二歳でかりに採用されるとします。その人が二十八歳になると結婚適齢期といっても過言じゃない。いま日本の結婚の年齢は男子で二十七、八歳、女性が二十三歳です、平均が。そうすると、勤続六年でかりに七等級の五号という決定をして、この本給を見ますと、三万二千二百二十六円です。そういう給与です。そうすると、これには官舎はないです。一体、よめをもらえると大臣はお考えになっておるか。人事院がいかに正しいと言われても、基本的なものを聞きたいのですが、これで今日の日本の青年が一体生活できるのかどうかということを聞きたいです。私はそういう公式は聞きたくないのです。人事院が法に基づいて勧告を出す。それを政府が実行するということを十分にやっていない。来年も五月からやるかと思ったら、また佐藤総理は、とてもやれないような客観情勢だということを新聞にも発表いたしております。そういうことになると、法律に基づいて出した人事院勧告も実際に実施しない。そこにもってきて今度は、政府が政治的に時限を切っちまう。そうして、青年は二十八歳か三十歳になっても、日本の現在の東京所在ではそういう安い家賃はございません。公団の住宅でも最低一万四千円です。高いのは一万八千円です。かりに間借りをしましても、最低いまは六千円、高いのは一万二千円、一体これで生活できるとお考えになっておるのか。それで、この給与によって法の目的に書いてあるように十分なる職務を遂行することができるとお考えになっておるのか。これは人事院の局長も、大臣もひとつ考え方をお聞かせ願いたいと思うのです。
#12
○国務大臣(床次徳二君) 公務員の結婚の問題でありまするが、現在の状態におきましては、一応人事院勧告のほうにおきましては、生計費、民間の賃金等を勘案して勧告されておると思いますが、ただ実際問題におきましては、なかなか若い者が適齢期になりましても結婚できない、なかなか容易ではないだろうということ、常識的に私ども考えるのでありますが、現在の公務員の住宅事情等につきましては、他の政府委員からお答え申し上げたいと思います。
#13
○政府委員(尾崎朝夷君) ただいま大学を卒業しましてから数年、五、六年におけるいわば世帯形成のころの職員の給与につきまして、あたたかいお話があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、民間の給与とのバランスということに最も留意をいたしまして、調査といたしましても民間の百人以上の会社につきまして公務員の仕事と、それから民間のそういう会社の仕事と、同じようなものをとらえまして、同じ職種、同じ役職といいますか、等級段階、同じ学歴、同じ年齢、同じ地域地域の職員につきまして、その間、両方の調査をしまして、その間に格差がございますれば、その点を埋めていただくということで調査をいたしまして、勧告を申し上げてきておるわけでございます。
 それで、そういう関係で、勧告は、民間の、いわば百人以上の平均というところに合わせていただくようにお願いを申し上げているわけでございますけれども、いま御指摘になりました、いわば世帯形成時の職員の給与、特に大都市の給与につきましては、一番問題のあるところだというふうに考えております。と申しますのは、第一に、最近と申しますか、この十年ほど初任給が非常に上がってまいりまして、初任給から数年上のところにつきましては、相対的にその上がり方が低いわけでございます。そういう関係で、初任給、新規学卒者の給与と、それから数年後の給与という関係が、相対的に非常に縮まってきておるという関係が一つございます。そういう関係で、従前に比べて気の毒な面があるという点が一つあると思います。
 それからもう一つは、これはいわゆる地域給と申しますか、地域的な給与の問題でございますけれども、おととし、いわゆる都市手当という問題を御勧告申し上げまして御議論いただいたのでございますけれども、大都市における民間の賃金というのは相対的にかなり高うございます。そういう関係で、私どもといたしましては、実際ではかなり高い格差がございますのを、その格差を六%ということでやや内輪に都市手当の関係を申し上げてまいっておるわけでございますけれども、そういう意味で大都市における職員の給与というのは、民間給与との関係から申しますと、やや問題がある。全国平均としましてはバランスがとれているわけでございますけれども、相対的に大都市の給与につきましては若干問題があるという両面から、若い人のまさに世帯形成時の付近の職員につきましては、非常に気の毒な面があるという、相対的な話でございますけれども、そういうふうに考えておりまして、できるだけこの辺につきましては改善をはかりたいということで努力はしてきているところでございます。
#14
○高山恒雄君 労働省に聞きますが、きょうは大臣用件があって見えないそうですから、局長が見えておるようですが、労働省は労働者のサービス機関であると同時に、これらの点は研究されたことがあるのか、都市におけるこの住宅も不足しておるし、適齢期である青年が結婚もできないというようなこの現状をやはりお考えになっておるのか、それともエンゲル係数からくる計算もやって、実際のこの人事院勧告というものに対照してみて、結果的には無理があるとか、こういうことを検討されたことがあるのですか。一ぺんお聞かせ願いたい。
#15
○政府委員(松永正男君) 国家公務員と民間給与との比較の問題につきましては、先ほど来御答弁がございましたように、この種の調査といたしましては、たとえば六千七百卒業所四十六万人を調べるといったような非常な大調査でございますので、これが唯一の非常に科学的な調査だというふうに私どもは認識をいたしておりまして、人事院の勧告のもとになりますようなこの調査につきましては、私どもとしても非常に高い信憑性があるというふうに判断をいたしております。しかし、御指摘のように、一面、勤労者全般、労働者全般を見ますというと、非常な経済発展とあわせまして、賃金アップも御承知のように毎年十数%というふうに上がっておりますけれども、労働力不足、特に若年労働力不足というような関係で、年齢別に見ますというと、企業によっていろいろ異なると思いますが、若年層が上がって、そのちょっと上あたりが中だるみというような傾向は、先ほど説明がありましたように、あるわけでございます。そういう意味におきましては、これだけ急速なアップをしてまいりますというと、その間にいろいろのでこぼこがありまして、御指摘になりましたような年齢層の賃金というものについての配慮というものは必要だ、私どもはそういうふうに考えております。
#16
○高山恒雄君 局長は、えらい人事院の勧告は正しいものだと。それは綿密な調査はしていますよ。しかし私は、その調査をして、それをやったことが正しいということよりも、現実に合わないものは価値がないのじゃないですか。そうでしょう。それは法律に基づいて人事院がその調査をした結果の資料そのものは、むろん、おっしゃるように、これは疑う余地もないと私も思っておりますよ。しかし、現実に沿わない賃金ということになれば、これは矛盾でしょう。で、初任給にしても、いまあなたがおっしゃいますように、こういう変動が出ておるわけですな。四十三年の四月の人事院の勧告は八・七%ですよ。社会一般が、進んだのは一二・二%ですよ。もうこれだけの開きがあるわけですよ。だから私は、労働省としては、先ほど申しますように、もっと早目にこの労働力不足ということもわかっておりましたし、あるいはまた、今日のこういう賃金体系の中で是正しなくちゃならぬ部分が多分に出てきておるということも、私は、労働省御承知だと思うのですよ。だから、この点をどうお考えになっておるのか、私はそれが聞きたい。人事院が算出されたものが数字的には正しいにしても、一般との比較にならない状態がここに出てきておる。こういう点を労働省としてはどうお考えになっておるのか。むしろ、労働省としては、そういう点こそ、私は閣議でもっと主張してもらうべきだ。しかも、昨年の実施時期の変更というようなものは、全く勧告を実施していないわけですね。正しければこれを実行させるべきだったんですよ。その正しいことを実行させるのが労働省じゃありませんか。労働省は、労働者のサービス機関じゃありませんか。それをやらないで数字だけが正しいというのでは、私はこの私の質問に対しての回答とは思われませんね。もっとまじめな回答をしてください。
#17
○政府委員(松永正男君) 問題は、人事院勧告の基礎になります数字についての評価と、それからそのような人事院勧告が出ました際におきましてどう実施をするかという問題と、二つあるかと思うのでございますが、その後者の面につきましては、確かに御指摘のごとく、われわれ労働省の業務の目的が労働者の福祉の増進ということにあるわけでございますので、労働大臣をはじめといたしまして、閣内におきまして、人事院勧告を完全実施をするという方向で、私どももたいへん微力ではございますが、努力をいたしてまいっておりますし、また、ことしも労働大臣の御指示に従いまして努力をいたしたいというふうに考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
#18
○高山恒雄君 したがって、先ほどお答え願いました人事院の給与局長ですかも、初任給の格差が増大している。しかも、ある一定の部分においては非常な賃金の無理がある。これはもうはっきり指摘されているわけですよ。で、労働省は賃金体系の是正、今日の現状にあわせた賃金体系の是正、これを主張される考えはございませんか。どういうふうにお考えになりますか。体系を私は変えるべきだ――むろん年功序列型一本の賃金ではございません。いまの能率的ないわゆる勤務に対する評定も加味されております。しかし、それは特定な人ですね。特定な人ですから、もうウエートから見れば非常に少ないですね。したがって、公務員の給与はやはり年功序列型の賃金と、こういうふうに断定しても過言でないと思うぐらいウエートが大きいと思うのです。ところが、一般は年功序列型の賃金を是正すべきであるという世論さえ出ておるし、また、実際にそれを実施しつつある。
 私は、極端にはいかないかもしれないけれども、賃金体系の是正をして、年功序列もある程度やはりこの際是正すべきじゃないかという考え方を持つわけです。しかも、青年が結婚年齢になれば当然その生活のできるような方法を立てていく、そういう意味で是正も一方にしていく、こういう考え方は労働省はお考えになったことはないのか、ひとつ考え方をお聞きしたいのです。
#19
○政府委員(松永正男君) ただいま御指摘がございましたように、まず民間との格差という問題につきまして、公務員の給与が、たとえば特に上昇の激しい初任給において格差があってはならないという面につきましては私も全く同感でございまして、人事院におきましても、そういう面については配慮をしていくと信じておりますが、同時に、その初任給問題と関連をして、その近所、あるいはそのカーブのかき方というようなことでバランス問題が出てまいると思います。それからおっしゃいましたように、初任給との関連なしにも、たとえばそのある一定年齢におきまして、生活の面、特に結婚といったような面から、生活面からしまして適当でないかどうかという検討も必要であろうというふうに考えておりますが、その辺につきまして、人事院勧告は人事院が法律に基づきまして公式の見解としてされるわけでございますので、政府としてはそれについて最大限の尊重をしていくということでございますが、常時同じ給与問題を扱っておりますので、私どもとしましても、人事院とはそのような賃金全般の問題につきまして意見の交換もし、そうしてこちらの主張もして、協議をしつつ全般がよくなるようにということで努力をしてまいりたいと思っております。
#20
○高山恒雄君 そこで一つ例を申し上げますと、大体二十年ぐらいの勤続者ですね、これは最も子供の教育を中心とする年齢層です。四十四、五ですからね。そういう時代の給料を見ましても、大体高等学校の教諭の賃金にしても七万三千四百円ですが、今度は中学校の教諭は六万九千円ですよ。行政が七万七千八百円、この辺になりますと行政職のほうが多少いいように見えております。けれどもいまのこの賃金を全般的に民間から見ますと、ちょうどこの辺で一万円から一万二千円くらい相違があるわけですね、この年齢層で。しかも民間企業等においては御承知のように社宅がございます。国家公務員の官舎というものは非常に少ないです。だから賃金だけで現在の物価の値上がりから対照してみて、その比較をとっていけば、これは生活が苦しいのはあたりまえですね。一般民間産業はそうした福利施設がある程度完備しておるのにかかわらず、賃金が一万円ないし一万二千円高い。今度は国家公務員はそうした福利施設はあっても、上級官吏の方がほとんど入っておられる。下級官吏の入っている率は少ない。そうして賃金が一般民間から見ると一万円前後安いということになれば、これは生活の保障的な安定というものはないと言っても過言でないと私は思うのです。しかも先ほど私が申しましたように、大学を卒業して、大学卒業者が二十八歳、高等学校卒業生が十年間つとめて二十八歳、その年齢層が結婚もできないというような状態、一体日本がこんな高度な生産の能率を持ち、いわゆる世界で第二位だと発表する国で、こういうことでいいのかどうか、社会問題が起こるのもあたりまえじゃありませんか。そういう点をもっと政府は考える必要があるのではないかと私は思うのです。それをどう一体労働省は労働者のサービスの根拠地として、今日、省として持っておられる立場から、私は政府に対して強く主張していただきたいし、見解が聞きたいんですよ。まあ局長に聞いても無理かもしれませんけれども、したがって、私は大臣に来てもらいたいときょう思ったんですけれども、用件があったようですが、まず局長一つ思い切った、実際に是正するという立場をとっていただくべきだと私は思うのだが、局長のさっきの回答じゃどうも納得いきませんね、どういうふうにお考えになるか。
#21
○政府委員(松永正男君) 公務員給与全般につきましてどういうふうに見るか。それからいわゆる福利厚生的な経費、それからさらに退職金、それからこの退職長期給付等、労働条件全般につきまして、一体民間とどうかということになりますというと、いろいろな角度からの検討もありますし、また、われわれとしても総合的にそれは判断をしなければならぬということは、おっしゃるようなことになるかと思うのでありますが、給与問題にしぼって考えてみましても、おっしゃいましたようにその格差があるということ、これにつきましては、先ほど私申し上げました人事院の調査というものが、相当科学的な細密なものでございますので、それに基づいて格差を算出して、たとえば昨年は八%の引き上げというような勧告が出てまいりますので、そのような格差が実際に存在をするということになりますというと、たとえば学歴別、年齢別、職務の性質別の比較をこまかに人事院がやっておりまして、非常に膨大な資料がございますね、そういうところに必ずあらわれてくる、それを取り上げて勧告がなされるというふうに考えますので、個々非常にたとえば年齢ごとのポイント等につきまして、私どももいま詳細資料は持っておりませんのでありますが、全体として勧告をする際、俸給表の是正をつけた勧告でございますので、かような官民の間のいろいろな相違点というものは、勧告の実態、中身として入ってくるものだというふうに私どもは前提として考えております。したがって、より正確な調査をしていただくことと、それに基づく公正な勧告をしていただく、これは人事院としては当然のことだと思うのでありますが、それを受けて、われわれのほうとしてはそれを実現することに努力をするということが政府の中における役割りというふうに私は考えておりますので、そういう方向で今後とも努力をいたしたいというふうに考えております。給与問題全般といたしまして、民間では最近たとえば職務給、職能給あるいは仕事別賃金といったような傾向がだんだんと強くなってまいっております。全般といたしましては、やはり年功序列型の賃金のほうがまだ支配的だというふうに私どもは評価をいたしておりますが、技術革新の進歩等に応じまして、業種によりましては非常に給与体系が大幅に画期的に変わったというような業種もございます。まあそのような民間の趨勢、それから公務員の給与が体系としてどうあるべきかというような点につきましても、御指摘のごとく、専門は人事院あるいは人事局がお扱いでありますけれども、われわれ労働行政の立場からしても、やはり今後とも研究をしてまいりたいというふうに存じております。
#22
○高山恒雄君 大臣、時間がないようですから最後に大臣だけに御質問申し上げますが、大臣いまお聞きのとおり、人事院の勧告が、数学的にあるいはまた現在きめられた法律のもとに、あらゆる調査をされて勧告をされるその数字そのものには相違もなかろうし、一応それは正しいものと信じますけれども、しかし、現実は非常に社会情勢にマッチしない現状が生まれておる、これは大臣もお認めだと思うのです。各局長あたりのお話がそう出ているんですから。私もそう思うのです。したがって、私はこの際、年功序列を直ちに職務給に変えろということの極端を申し上げておるのでもありません。あるいは一体カーブがどう描かれておるかは、これは専門家のほうから私あとでお聞きもしますし、私も主張したいと思いますが、こういう青年が結婚適齢期がきましても全く住まいができない、親のすねをかじる以外に生活の道が開けない。結婚もできない、こういう現状を大臣どうお考えになりますか。少なくともそういう意味から、今日の青年に希望を持たす意味から、いまの人事院のこの基礎的なとり方、こういうものも検討していただいて是正すべきじゃないかと私は考えるのです。それから今日公団でも相当住宅でもいいものを建てておりますから、もっと政府がこれに力を入れて、公務員の住宅の獲得をするとか、あるいはそれが矛盾であればそれに対する住宅手当的な補給をしてやる、何かこの際考える事態がきておるのではないか、そういうこともやらないで、いたずらに青年を誹謗をしてみても、私はかえって逆効果の形になり、これからのこの社会が非常に不安定な状態がくるんではないかという危惧を持つ一人であります。大臣はこういう点をほんとうに直そうという意思はございませんかどうか、私はひとつ聞きたいんです。きょうは各大臣来ていただいて実際に話をしていただくのが……。これは生活の問題ですよ。将来の問題ですよ。そういう青年に夢を持たせないような行政はやるべきじゃないと、私はこう考えております。大臣のひとつ見解をお聞きしたい。
#23
○国務大臣(床次徳二君) 公務員の結婚年齢をいつごろに定めるかという点、現状ではなかなか結婚ができないではないかという御意見でございまするが、この点につきましては、社会の情勢等を見まして、これは基本的な問題でありますので、単に給与だけの問題ではありません。よく人事院の勧告並びに民間の趨勢というものを検討しながら結論を出したいと思いますが、なお人事院といたしましては、民間との関係におきましては十分比較検討して勧告を出しているようでありまして、民間で住宅手当が出ておりまするならば、それも含めまして官民の格差の是正をいたす算定をしておるはずであります。なお、宿舎の関係におきましては、現在の社宅を持っております民間の状態と、それから公務員が宿舎に入っておりますのと、大体入居率におきましてはあまり大きな懸隔はないようでございます。したがって、当初のお答えに関連はありまするが、基本的に現在の結婚生活というものを早目にできるようにするということにつきましては、これは全体の問題として検討すべきものではないかと、かように考えております。私どもといたしましては、現在の俸給制度は人事院勧告によって、これを遂行する形になっておりますので、人事院勧告を完全実施する、まずそこへの努力があるわけでありますが、基本的には御意見のような問題もあわせて検討してまいるべきものと考えている次第でございます。
#24
○高山恒雄君 いや、完全実施やらなかったのは政府のほうが悪いので、野党が何回か繰り返しこれに対しては追及し、かつまたやれるはずのものをやってこないのですよ。それを怠りながら、まだその青年の問題でいろんな一般企業との対比をされて、これも妥当だとおっしゃいますけれども、私の調べたことが間違いなら調査部が悪い、国会図書館が悪いということになりますよ。私は間違っていることを言ってないつもりです、確かにこの出した平均は……。だから社会情勢がこれだけ変わっておるということを私は申し上げておるんです。この変わっておる情勢を、賃金体系の中からどういうふうにこれを是正していくかということ、是正する必要はありませんかと、こう言っておる。むろんその中の最も悲劇的なものは青年が結婚時期に結婚ができないという欠陥が出ておる。これを私は大臣に申し上げておるのであって、その点をひとつやられる意思があるのかないのかお聞きしたいんですがね。それは賃金をやらないのは政府が悪いのですよ。勧告を実施しなかったということは政府の責任ですよ。その苦しい中に、現在これだけ物価が上がっておるにもかかわらず、さらに実施しなかったというのは政府の責任なんです。それで生活ができておると思われるところに私は問題があると思うんです。だから人事院が正しいと、正しいけれども、生活ができなければ基礎ベースのとり方を変更するなら変更するという行き方があると思うんです。それはしかし大臣に私は直接数字を言っていただくわけにはいかないと思いますから、それを追及するわけじゃありませんけれども、しかし現実に私が申し上げましたこの数字では生活はできない、結婚はできない。住宅がまず今日の公団の家賃でも最低一万四千円です。あるいは民間で借りても一万二千円から一万五千円出さなければ夫婦で住めません。そういう事態でいつまでも人事院が正しいといういき方で、そうしてことしも実際は今度の人事院勧告が出たとしますと、それをまた、勧告どおりにやらないで、総理が言っておられるように、新聞でも発表しましたように、人事院の勧告をそのままうのみにするわけにはいかないというようなことが出たりしますと、一体何を考えているのか。まあそれは大臣を追及してもいたしかたがありませんが、私は少なくとも先ほど申しますようにこの青年の希望の持てる、そういう層の賃金体系は人事院において是正させるということを私も促進しましょう、こういう答弁を願いたい。
#25
○国務大臣(床次徳二君) 公務員の給与に関しましては、現在のところ、たてまえといたしまして人事院勧告によるということになっております。ただ御指摘のように、政府が完全実施ということになっておりません。毎年改善の歩を進めておりまして、ことしの予算におきましても改善の歩を進めておりますが、ことしどの程度完全実施できるかということにつきましては、勧告のありました時点におきまして政府といたしましても最善の努力をいたしたい。逐年改善をいたしております。ことしにおきましても、その基本方針は十分確保いたしたいと思っている次第であります。
 なお、御意見の問題は、人事院勧告の内容自体になるわけで、この点につきましては、よく人事院にもその旨を伝えまして、今後の検討に資してもらいたいと思います。
#26
○高山恒雄君 大臣、けっこうです。
 大蔵省の次長に聞きたいのですが、大蔵省としてむろん人事院が勧告を出したものに対して財政的に困るということを御答弁なさると思うのですよ。しかし、私は大蔵省の立場から、逆にこれを改定する方向に大蔵省もそういう気持ちになってもらいたいと思うが、大蔵省どうですか、いまお聞きになって。
#27
○政府委員(海堀洋平君) 先ほど大臣からも御答弁ありましたように、公務員給与、特に一般職公務員につきましては、一応人事院の勧告がございまして、一時的には総理府の人事局が公務員の給与についてどうあるべきかということについて主管されておりまして、大蔵省といたしましては、それを財政的に当該年度の財政上いかに処理するかという点で関与をいたしておりまして、給与の高さそのものにつきましては、大蔵省としては意見を申し上げる立場にはないという形になっております。もちろん現在の制度におきまして人事院勧告の実施に努力するという基本方針につきましては、重々承知いたしておりますので、当該年度の財政運営の許す範囲内におきましては努力いたしてきておりますし、今後とも努力いたしたいというふうに考えております。
#28
○高山恒雄君 次長にこんなことを聞くのも無理かもしれませんけれども、先ほどから何回も私が申し上げておりますように、今度は勧告を完全実施しようということには変わらないのですか。
#29
○政府委員(海堀洋平君) これは去年のときもそうでございましたが、給与関係の閣僚会議におきまして人事院勧告は完全実施に努力するという従来からの政府のとってきた基本方針、これは今後とも堅持していきたいということを申し合わせておりますので、この方針自体につきましては、大蔵省もその方向で努力いたしたいと考えております。
#30
○高山恒雄君 いや実際問題としてしょっぱなに申しましたように、この決算から見ますと、検査院が検査した以外の非常な汚職、収賄、そういう事件が多いのですよ。私はもとで幾らお締まりになっても、こういうものがどんどん出ていくことは、これは日本の国としても残念なことであると同時に、何かの形でこれはやはり防止するという、いわゆる法の取り締まりあるいは指導だけではなくて、もっと生活面からくる面を安定するべきだという私の考え方を申し上げておるのです。大蔵省も実際は財政法をおにぎりになっておるのだから、そういう問題についてはむしろ積極的にやはり出すものは出すが、そういうものをやはり大蔵省としては未然に防ぐ、こういう姿勢が私は望ましいと思うのですよ。そういうことがなければ、法に基づいて、そういう悪質の者がおればそれを罷免するあるいは処罰を加える、そういうことでものごとを締まるということでは、私はいかぬと思います。そういう点をひとつ大蔵省もお考え願って、むろん完全実施もそうだろうし、かつまた賃金のそうした一部のものの是正については、もっと積極的に取り組んで主張してもらいたい、大臣に。それで大臣にきょうも来てもらいたかったのですが、大臣が見えないようですから、ぜひそのことを大臣にお伝え願って、体系の一部是正、そうして青年に希望を持たす、こういう行き方ですね。それには財源が要りましょう。総括的な財源が要りましょう。要りましょうが、それを是正するために今日の一般財政と合わして、そういう生活の安定をはかるために私はやっていただきたい、こういう希望を持つわけなんです。ぜひひとつそのことを大臣にもお伝え願って協力をしていただきたい、このことを私は要望とともに申し上げたいと思います。
#31
○政府委員(海堀洋平君) 先ほども申し上げましたように、大蔵省といたしましては、人事院勧告及び関係給与を担当している部局と相談をいたしまして、それを財政的にいかに処理するかという点につきまして努力をするということになるんだろうと思いますが、先生からのお話は十分大臣にお伝え申し上げたいと存じます。
#32
○高山恒雄君 それでは、この問題はこれで終わります。
 厚生省にお聞きしたいのですけれども、厚生省は四十三年度の保険医監査の結果を新聞で発表しておられるのですね。その中で、これは非常に重要な問題でしょうが、七十の医療機関と六十二人の医師が不正要求の理由で保険医取り消し処分を受けていますね。それで、地区によっては医師の生活の問題もあろうと思いますが、この処分というのは地方行政にゆだねられての調査だと思いますが、一体これは三年とか四年とかそういうふうに処罰を受けて、この医師ができないような形になると思うのですよ。どういう処罰をお考えになっておるのか、また、実際にやっておられるのか、お聞きしたい。
#33
○説明員(高木玄君) 保険医療機関なりあるいは保険医として登録されました方々に、監査の結果不正が発見されました場合には、軽微な場合には口頭による注意あるいは文書による戒告を行ないますが、それが不正の内容が悪質な場合には、指定医療機関の取り消し、それから保険医の登録の抹消、こういう処分が行なわれると思います。この取り消されました保険医療機関が再指定をされるというためには、当該保険医療機関が都道府県知事に申し出まして、都道府県知事が――地方社会保険医療協議会というのがございますが、これは支払い側と診療担当者側と公益委員の三者構成になっておりますが――ここの意見を聞きまして、その意見に基づいて再指定するということに相なるわけであります。それから保険医の登録を抹消された者につきましても、その登録抹消された医師から申し出がありましたら、同じくこの地方社会保険医療協議会の意見を聞いて再登録する、こういうことになるわけでございます。この処分の期間等につきましては、そういった処分を受ける原因になりました不正の内容、それからその後におきまする当該医療機関の改善措置等によって、地方社会保険医療協議会がそういったものによって総合的な判断を下して、知事の意見を出すということになろうかと思います。で、国民皆保険下でございますので、保険医療機関の指定を取り消されるほか保険医の登録を抹消されるということは、結局皆保険でございますので診療に従事できないという事態を招くので、これは非常に重い処分でございます。したがいまして、そういった地方社会保険医療協議会の公正な意見を聞いて、救済の手続がとられるわけでございまして、保険医の登録を抹消されました場合には、申し出がありましたときに都道府県知事は二年間以上はそれをこばめないことになっております。その保険医の登録の抹消はどんな長い場合でも二年間ということになるわけであります。したがいまして二年以内で地方社会保険医療協議会が再登録ということに御意見を出されれば、また再び保険医として登録される、こういうことになろうと思います。いずれにいたしましても、そういったきわめて重い処分でございますので、手続的にも慎重にまた公正な民主的な手続で復活される、こういうことになっております。
#34
○高山恒雄君 これは開業医の方だけとは言いませんけれどもね、この申請方法ですね、そういうものを専門官が何か個人的か集団的か、私も支払い基金の理事をやっておったものですからね、あそこではこの審査をやっておりますがね、これは監査ですね、この指導というのは一体何人くらいで全国的にどういう組織で医師に指導をしておるんですか。私は、その医師の方も自分みずからやらないで、開業医なんか特に困るんじゃないかという気がするのだがね、どういう状態でやっておるのか、集団指導をやっておるのか、個人指導をやっておるのか、非常に複雑ですね、申請そのものが。医師会なんかでは事務の簡素化をしてくれというような要望があることも皆さんも御承知のとおり、私もよく知っておりますが、一体専門官の指導というのはどのくらいの人間でどういうようなことをやっておるのか、それをお聞かせ願いたい。
#35
○説明員(高木玄君) 私どもはこの保険医療機関なり保険医として登録された医師につきましては、何よりもこういう不正というような事態を生ぜしめないということが根本であろうかと思います。したがいまして何よりもまず指導ということに重点を置いて、指導につきましては特に社会保険の診療報酬の仕組み、それから診療報酬の請求手続、こういった問題を十分に理解認識していただくということに主眼を置きまして、個別指導、集団指導、集団指導という場合は関係団体の御協力を得まして講習会等を行なっておるわけでございます。
 監査と申しますのはその指導の結果、不正の疑いを生じた場合に限って行なっておるわけでございまして、大部分はもう指導で済んでおるわけでございます。たまたまこの先般新聞に公表されましたものは、監査の結果処分を受けた件について新聞に発表されたわけでございます。私どもはもう大多数の医師は良心的に診療に従事しておられる。たまたまこういう事態がございましたのはきわめて遺憾に思います。今後ともそういった指導につきましてはさらに徹底的に行なっていきたい。
 なお、この指導の実態、実際のやり方につきましては、専門的に医療課長からちょっと御説明申し上げます。
#36
○説明員(松浦十四郎君) ただいま先生御質問の指導でございますが、指導は一般的に申しまして集団指導とそれから個別指導、こういうふうに二つに分かれております。集団指導と申しますのは、先ほど高木審議官から申し上げましたように、講習会形式という形をとっておりまして、一般論としていわゆる請求のやり方、それから特に点数表等が変わったような場合には、新しい点数表の取り扱いについていろいろこまかいルールがございますので、そういったこまかいルールについて間違えないようにという点を、いろいろ強調するわけでございます。それからこれは保険医療もしくは保険医療機関ということで指定あるいは登録の場合には、当然守るべきルールというのがございます。これは保険医療機関及び保険医療養担当規則というのがございます。その規則の内容を十分御説明するということによりまして、先生方が診療なさる、あるいは請求なさるというときに、そういった誤りがないようにということを十分お伝えするわけでございます。それから個別指導というのが別にございます。この個別指導と申しますのは、都道府県におきます保険の担当官がそれぞれの医療機関の方に個々にお目にかかります。そして実際にそちらの先生方が診療なさっているカルテとか、そのカルテに基づきまして請求される明細書という実物をもって、ここのところはこういうことだと療養担当規則に触れると、ですからこういうふうなやり方をやっていただきたいという非常にこまかいことを一々具体的に実例について個人個人御指導申し上げるというやり方をやっておるわけでございます。ではどういう人がこの個別指導を受けるかということでございますが、これは各都道府県に設けましていろいろなルールで各それぞれやっておるわけでございます。一般論を申しますと、一つは全体に千人の方がおられたら五年に一ぺん回ってくるようにというので、順ぐりにお話し申し上げるという場合、そういうのと、それから新しく保険をおやりになるような開業されたような方というのは、これは特別にわざわざいろいろお話をしたほうがよろしい、そういう場合、それから支払い基金等で非常にしばしば誤りが請求の上であると、そういうようなことがあるような場合は、特別にそういう方方もまたその中に入れるというようないろいろな例がございますが、そんなようなことで一般的なほうとそれから特別なほうというので特別の点、それぞれに個別的な指導を申し上げているというやり方をやっておるわけであります。
#37
○高山恒雄君 そこで、支払い基金のほうの審査委員はたとえば単価を間違ったとかいうような点がございますわね。盲腸手術をして、それが五点であるのを六点にして間違ったとかいうようなケースがございましょう。あれは支払い基金の審査員が全部是正していますね、訂正を。本人にはその訂正をされたのは付せんで何か通知をしているのですか。それと同時に、私はそういう問題、是正をしてやらないで、こことここが間違っているじゃないか、したがってこれはこういうふうに是正しなくちゃいかぬという付せんをつけて本人にやはり注意を促すという意味でやるべきじゃないかということを感ずるわけですよ。それをその審査員のほうで点数の間違いは点数の間違い、単価の間違いは単価の間違い、みな直すでしょう。それで、自分が間違ったということは通知がしてあるのかないのか。どういうふうにその点をやっておるのか、審査した結果ですね。
#38
○説明員(松浦十四郎君) 先生がおっしゃいました審査委員会におきまして、点数の書き誤りというのがございます。あるいはそのほか担当規則等を見まして、これは抗生物質の使用基準のルールに違反をしている。あるいはこの部分はどうも病名と薬の内容とが一致していないというようないろいろな例があるわけでございますが、そういうふうな例は一応符号化しておりまして、たとえばAと申しますのは点数の算出誤り、Bというのは病名と食い違っていると、そういうふうに符号化できておりまして、ある先生から出てきました請求明細書につきまして、何の何という名前の患者さんの分についてはこういう理由で何点減点したというものを全部書いて、現在各医療機関にお送りしておるという実態でございます。なお、それだけではございませんで、たとえば点数誤りが非常に多いというようなことがございますと、あらためてまたはがき等で、おたくはいつも点数誤りが多いとか、あるいは治療指針に反する部分が多いというようなことを、またあらためて手紙で、それが重なりますと出す場合がございます。また、さらにそれがもっと重なっておりますと、県によって違っておりますけれども、特定の面接日を設けまして、先生のおいでをいただきまして、あなたのところはこういうところがいつも書面で御注意申し上げるけれども、まだ直らないけれども、よろしくお願いしたいということで、支払い基準で現実に面接しながらお話しているということもやっておるという状態でございます。
#39
○高山恒雄君 これは支払い基金のほうと――監査と審査はだいぶ違いますけれども、私はもっと伝票の整理をして、単に監査の処罰的なことで問題の解決をつけるということではいけないと思うのですね。なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、御承知のように、いまだに、なんでしょう、僻地の医師は不足しておるのですよ。いま十二万八千人ですか、医師が。歯科医が四万二千人ですか。そうして僻地にはたくさん医者が足らない。あるいは行き手がないということも条件にあるようですけれども、その中で、一回審査をやったところが七十何名の犠牲者が出て、そうして無医村は無医村で依然として解決がつかない。一体こういう状態で支払いしていいのかということになると、私は処罰だけが能じゃないと思うのですよ。伝票をもっと複雑化することはいかぬでしょうけれども、簡素化の中に重点的なものを取り入れていくとか、そういうふうにしていかないと、かりに二年の処罰を受けたとしますか、その無医村の状態が至るところにあることは皆さんも御承知のとおり私はこういう点を重要視して、もっと処罰の対象にならないような事前的な処置ですね、これを厚生省は考えるべきじゃないか。きょうは実は大臣に私聞いてもらうつもりでしたけれども、ぜひこの点は、摘発ということよりも、むしろ事前に発見し、かつまた注意を促す。いま審査の指導は集団と個人でやっておると、こうおっしゃいますが、全国に八十人しかいないじゃないですか。一体全国八十人でそんな指導ができるかと、私に言わせたら。それで、やりっぱなしのようなことをやって、八年目か七年目かに摘発をして、堂々と新聞に書いて人格を失わせるようないき方を厚生省ともあろうところが私はやるべきじゃない、少なくとももっと建設的ないき方を厚生省としては立案すべきだ。保険の問題については、政府の怠慢は言うまでもなく、二年の時限立法も実際にやれないくらいだからね。全く困ったものだと思っておりますけれども、私は、この摘発よりもそういう面の改革ということが一段おくれておるのじゃないか。これをひとつやはり改革し、かつまた、そういう無医村の、医師の不足しておる場合に、できるだけそういうことを防止しながら無医村に医師を早く確立していく、こういういき方を厚生省としてはとるべきじゃないか、こういうふうに私は考えるのです。むろん答弁していただいてもいいが、大臣にこのことをぜひ皆さんのほうから強く主張していただいて、内容の検討を、厚生省の中に一ぺん委員会をつくってでもそうした伝票の整理をすると、お医者さんも含めて委員会を設置して、これなら事前の防止ができるという案が私はあるはずだと思うのですよ。こういうことをやっていただくことをぜひ私は希望しておきます。
 これで終わります。
#40
○委員長(松本賢一君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#41
○委員長(松本賢一君) 速記を起こして。
#42
○説明員(高木玄君) ただいまの先生の御意見、よくわかりました。そういった不正事実を監査の結果見つけて処分するというんじゃなくて、そういった不正事実の起こらぬように未然に防止する方策を考えるべきだという御趣旨と思います。そういった点につきまして私ども、先ほど申しましたように指導というものにさらに重点を置いてやっていきますと同時に、実は先生からも御指摘を受けまして、私どもたいへんつらいところでございますが、おっしゃるとおりいま都道府県に配置しております医療専門家は八十名でございます。定員が百五名あるのでございますが、なかなかこの医師の充足がつかないという状況でございますので、こういったものの充足につきましてもさらに努力して、先生の御意思に沿うようにいたしますと同時に、先生の御意見は大臣によくお伝え申し上げます。
    ―――――――――――――
#43
○佐田一郎君 大学紛争に関連いたしまして、国費のむだ使いについて関係官庁にお尋ねを二、三いたしたいと思います。
 最近の学園紛争は、悪質先鋭化し、学園の内外にわたって過激な集団暴力に発展しつつありますことは、御承知のとおりであります。かかる事態の長期化は、大学の自治を破壊に導くことはもちろん、大きな社会問題であり、わが国の民主主義を根底からくつがえすものであります。かかる行動を学生だからといって寛大に見過ごすことはできません。これらの破壊的暴力を徹底的に排除して、すみやかに学園本来の姿に回復することこそ真の国民の声であります。
 特に、学園紛争によって失われた国有財産及び教育費等の損失はばく大な額に達すると思います。国民の血税である国費のむだ使いは絶対に許さるべきではありません。また、すでに新学期が二カ月以上になるのに、一日も授業を受けられずにいる新入生、留年して卒業の見込みの立たない多数の学生のためにも、一日も早く授業を再開をしなければなりません。この授業再開の問題 一部の暴力学生のために貴重な国有財産の損壊がどのように復旧されるのか、また、その責任をどのように負われるのか。これらの点について私は、国民の立場に立って明らかにする必要があると考え、若干の質問をいたしたいと思います。
 最初に、文部省にお伺いいたしますが、最近の大学紛争の状況について、授業の放棄の状態であるとか、占拠、封鎖、あるいは新入生の授業状況、入学試験の中止、あるいはまた全国的に入学の減はどのくらいであったかというような点を、ひとつお尋ねをいたします。
#44
○政府委員(村山松雄君) 現在、学生による紛争によりまして大学の授業が行なわれていない、あるいは大学の施設が占拠、封鎖されておるという大学は、まあ最近の大学立法問題以前の時点におきまして、国立大学三十一校、公立大学四校、私立大学八校、計四十三校ということになっております。このような紛争のために、この四月に入学しました新入生の授業が行なわれていないという大学は、国立が十二校、公立が二校、私立が三校、計十七校でございます。
 そのほかに最近大学立法に関連いたしまして、授業放棄、これはどちらかといえば一日とか一週間とか十日とか短期でありますが、中には期限を切らない授業放棄をやっているものもございます。これが国立で、前記の紛争校を除きまして二十三校、それから私立が十四校、それから公立が十校ということになっております。
#45
○佐田一郎君 ただいまの報告の中で、さらに学生がゲバ棒その他の凶器を使用した学校の数はどのくらいか、あるいはまた参加した学生数がおよそどのくらいかわかりますか。
#46
○政府委員(村山松雄君) 最近の大学紛争におきましては、常時暴力行為が行なわれているというわけではございませんけれども、紛争の過程におきまして、たとえば集会を開くとか、あるいは一般学生、教職員の手で紛争の排除をしようというようなことになりますと、むしろ角材その他の武器を用いましてこれに暴力で抵抗するという状況がございます。したがって、ただいま申し上げました紛争校の大部分におきまして、その期間や形はいろいろでございますが、大なり小なり暴力ざたが行なわれているというのがむしろ実情でございます。
#47
○佐田一郎君 現在、国立大学で、この紛争によって財産上の損害を受けている大学と、その損害額はおよそどのくらいであるか、わかりますか。
#48
○政府委員(安養寺重夫君) 各大学の報告を集計いたしました段階で、該当大学三十校、被害額約五億円強という形になっております。これは加害行為によりまして棄損されました国有財産、物品の原状復旧に要する経費の見積もりでございます。
#49
○佐田一郎君 五億円という被害額、これは、調査は大学からやはり申告のあったもののトータルですか、それとも第三者で調査したものですか、その点は。
#50
○政府委員(安養寺重夫君) 加害行為がございました際に、もろもろの関係の報告を求めることにしているわけでございますが、財産、物品に関する加害行為につきましては、原状復旧に要する経費の見積もりを報告するように、あらかじめ、かように申しておりまして、大学の見積もりそのものの総計でございます。
#51
○佐田一郎君 大蔵省の国有財産総括課長、お見えになっておられますね。実は大蔵大臣にお願いをしたいと思ったのですが、大臣お忙しいので課長さんにお願いいたしますが、国有財産は総括的には大蔵省が管理しているということですか、これは。
#52
○説明員(斎藤整督君) 国有財産は大蔵大臣が管理しているかということでございますが、国有財産の中には、行政財産と普通財産がございまして、行政目的に使っている財産は、これは各省各庁の長が管理しておるわけでございます。と申しますのは、行政財産というのは、大学、病院、その他庁舎等いろいろございますが、それぞれの行政目的を持っておりますので、その行政目的に即して、行政との関連においてお使いになるのが、最もその機能を十分に発揮するゆえんであるという考えから、各省、各庁が管理しております。ただその行政財産の原状変更をしたり取得をしたり、その他権利関係の変更のある場合には、大蔵大臣に協議するというたてまえになっておりまして、そういう意味では総括しておるというふうに申せるわけでございます。その他、行政目的に供しておらない普通財産につきましては、これは特別会計のものを除きましては、原則として大蔵大臣が直接管理いたしております。
#53
○佐田一郎君 そうすると、やはり今回の大学紛争によって破壊されたような財産は、行政財産として、これは文部省に委譲してある、管理の委譲をしてあると、こういうことですか。
#54
○説明員(斎藤整督君) 管理権は文部大臣が持っておられまして、まあこういった事態が起こりまして、損害のあった場合には報告を受けることになっております。
#55
○佐田一郎君 今度の大学紛争によって非常に大きな損害をこうむったわけですが、これに対して大蔵省としては特別の措置命令というものを出せなかったのですね。これは管理権というものは、すべて文部省に委譲されておるので、大蔵省としてはどうにもならなかったと、こういうことですか。
#56
○説明員(斎藤整督君) 管理権は文部大臣が持っておられますので、その間において措置はいたしておりません。ただ、たてまえといたしましてそういう道も開かれておるわけでございますけれども、それは先ほど申しました大蔵大臣が全体を総括するという立場において、いろんな措置を要求する道は開かれておりますけれども、今回の紛争の状態から見まして、文部大臣の措置にゆだねてあった現状でございます。
#57
○佐田一郎君 文部省は、いわゆる行政財産として一切の大学の施設管理の責任があるわけですが、この点は文部省としてはそうお考えになっておられますか。
#58
○政府委員(安養寺重夫君) ただいま大蔵省のほうからお話がございましたが、国立大学の国有財産、物品、いずれも文部大臣が所管することになっておるわけでございます。財産のほうを例にとりますと、御承知のように所々方々に大学がございますし、大小いろいろ、規模とりどりでございます。教育研究の目的に最も適合するように効率的に使用するという観点から、文部大臣は管理の権限を学長に委任をいたしております。したがいまして、大学長が当該大学に嘱する国有財産の管理権の行使の一切の責任を持っておる。文部大臣はそれに対する一般的な指揮監督の立場、責任、権限を持っておるというような形に現在しておるわけでございます。なお、いろいろかような経過を経ましたので、四月の下旬に現在の制度に多少手入れをいたしまして、まあ大臣から委任をしております学長の権限行使につきまして、なお一そう管理の有効を期するための具体的な指示をするというようなことに改正をいたして、現在そういう点について各大学を督励しておる実情でございます。
#59
○佐田一郎君 質問を変えますが、先ほどもいろいろ状況報告もございましたが、東京大学の例だけでもけっこうですが、大体授業を放棄された損失日数というのはどのくらいございますか。
#60
○政府委員(村山松雄君) 大学によりまして、あるいは大学につきましても、学部別に必ずしも一様ではございません。東京大学の場合でまいりますと、一番早くから授業放棄をいたしておりますのは医学部でございます。これは昨年の一月二十九日から授業放棄状態になっておりまして、まあ最近、五月の末ぐらいからやや変則的でありますが、授業再開になりましたので、結局まあ一年四カ月ということに相なろうかと思います。その他の学部は大体六月ごろ、あるいは九月、十月ごろから授業放棄状態になり、授業を再開いたしましたのは、早いものは本年の一月、それからおそいものは本年の三月ころ授業再開をいたしておりますので、これらにつきましては大体半年ないし九カ月程度の授業放棄状態ということに相なっております。
#61
○佐田一郎君 東京大学の四十三年度の予算と四十四年度の予算について説明してください。
#62
○政府委員(安養寺重夫君) 東京大学の各学部それから研究所、病院、いろいろございますが、すべての部局合わせまして四十三年度分として約二百二十九億五千万円強ということになっております。四十四年度につきましては、これからの具体的な計画をそれぞれ大学と協議をし検討をいたしました結果、積み上げていくものでございますから、いま予定額がこの程度になっておるということが言いかねる次第でございます。ちなみに四十二年度は二百三十七億円でございます。これはまあ決算に出ておるわけでございます。四十三年度がいま言いました二百二十九億円。いろいろ授業ができかねておる等々の事情がございますので、この年間の計画をまだ大学と総体について詰めておりませんので、いまのところは、まだ見込みの額がこの程度と申し上げかねる状態でございます。
#63
○佐田一郎君 わかりました。
 最近までの国立大学の施設及び物品の破壊、紛失等の損害は五億円強であるというお話ですが、授業放棄その他によってこうむった有形無形の損失は、ばく大な額にのぼると思うのですが、これは計算したものがありますか。
#64
○政府委員(村山松雄君) 無形の損害につきましては、なかなかこれをたとえば金額に換算して幾らということを申しにくいわけでありますが、端的にばく大な損害と言わざるを得ませんし、またこの大学紛争なるものは単にその大学自体、その教職員、学生に対して被害を及ぼしただけでなくして、しばしばその影響が一般の市中にも及びまして、市民の生活あるいは公共の施設等にも相当な被害を加えておるということが言えるわけでありまして、はなはだ遺憾なことでございます。
#65
○佐田一郎君 文部大臣は、先ほどのお話で学長に権限をゆだねてあると、こういうお話ですが、この大学の責任者はさらに補助執行者を命ずることができる。こういうことになっていますが、東京大学の例をとりまして管理機構がどんなふうになっているのか、あるいはまた物品の管理機構についてもあわせてお尋ねをいたします。
#66
○政府委員(安養寺重夫君) まず国有財産につきましては、先ほど申しましたように学長が国有財産管理者として責任を持っております。文部大臣はさらに、学長を補助執行する者といたしまして、学部で申しますと学部長、研究所で申しますと研究所長、病院で申しますと病院長、大学の本部事務局の施設で申しますと事務局長のごとく、それぞれの部局部局の長を補助執行の責任者ということにいたしております。
 なお、学長が全体的な管理者としての責任を遂行いたしますについての全体的な補佐役といたしましては、事務局長がこれに当たるという形になっております。
 物品の件につきましては、大臣がこれも権限を委任いたしまして、事務局本部の経理部長に物品管理者としての責任を与えております。それぞれの部局ごとにその補助執行をさせるというような仕組にしてございます。
#67
○佐田一郎君 そうすると、大学の国有財産並びに物品の管理というものは、総括的には学長に全部の責任がある、こういうことになりますか。学長は維持保全及び効率的に利用をはかる責任があると、こういうふうに解釈していいわけですか。
#68
○政府委員(安養寺重夫君) 学長に責任をお持ちいただいておるわけでございます。
#69
○佐田一郎君 東大の紛争は昨年の一月医学部に始まって、今年一月機動隊の導入によってすべての占拠、封鎖が解除されたわけですが、施設の破壊、その他物品等、特に貴重な文献が多数紛失されたことは、まことに残念であります。学長以下管理者は、このように長期間にわたって国有財産や物品の破壊及び紛失のおそれのある不法行為者を排除する努力を行なう責任があったにもかかわらず、これを怠った。こういうふうにわれわれ国民は解してよろしいか。
#70
○政府委員(安養寺重夫君) 形式的にも制度的にも、大臣が個々の大学の学長あるいは各大学の経理部長にそれぞれの施設、物品の管理責任を委任しておるのでございます。大臣といたしましてはそれを督励するというような権限と責任があるわけでございます。お話のような東大の問題につきましては、長期にわたって非常な、正常でない、まことに嘆かわしい事態が続いたわけでございます。特に東大におきましては入学試験もできなかったというような事態を迎えて、その前後においていろいろ関係者は苦慮いたしたわけでございます。その間におきまして、いろいろわれわれといたしましても建物の不法占拠の排除、授業ストライキというようなことで正常な教育活動が行なわれないというような状態の正常化について協議もし、努力もそれなりにいたしたわけでございます。結果につきましては、御指摘のように、いろいろと思うにまかせぬことばかりで、この点はまことに残念だと思っております。
#71
○佐田一郎君 不法学生に対して退去するよう説得を行ない、やむを得ない場合は警察官を導入しても学園の秩序維持ができなかった背景には、学長の責任遂行にあたって何か法律上の欠陥があったのか、あるいは大学の意思決定の手続等においてももろもろの制限があったのか。この点はどうですか、はっきりひとつ御説明いただきたいと思います。
#72
○政府委員(安養寺重夫君) 私といたしましては制度的に特別の欠陥があるとは思っておりません。いろいろ関係者が努力いたしたのでございまして、いま先生からお話しの大学の意思決定の方法なり、現実に東大が当面いたしましてどのように意思を決定し、措置に出るかということの判断の問題に大きい原因があるんじゃないかと、かように存じております。
#73
○佐田一郎君 そうすると、結果的には大学自治あるいは学園の自由というような隠れみのの中で、だれもが責任を負わないという形になっておるというのは、これは事実ですか、そういう考えでよろしゅうございますか。
#74
○政府委員(安養寺重夫君) 大学の当時の学長、学長代行その他部局の長をはじめ、大学の意思決定に参画する人を含め、すべての人がいろいろ努力をしたことは確かでございます。
 ただ、まことに残念ながら具体的な措置をとり、正常化を見るという点についてのいろいろ時間の経過、あるいは不手ぎわ、あるいはいろいろその他われわれの立場として期待しておったことが必ずしもその時点でできなかったというようなうらみがございます。
#75
○佐田一郎君 まあ地方の小中学校あたりでは、一枚のガラスを割っても弁償の責任を負わされ、また教官は始末書など取られる現状で、かような大きな損害を国に与えておいて、その責任の帰趨がはっきりしないというのは、われわれも納得できないわけですが、直接にはやはり学長を中心とした学部長や補助管理者の怠慢ということになるのではなかろうかと思うのですが、こういう問題についてあらためて文部省としては、今後この責任を追及する気でいるかどうか、この点お尋ねしたいと思います。
#76
○政府委員(安養寺重夫君) 加害をいたしました学生その他の者に対しましては、さっそくその加害についての告訴をするようにということを大学に申して、現実に東京大学につきましては一月の中旬、機動隊を導入いたしまして正常化の方向に向かった当初、加害の結果を点検いたしまして、損害額を一応確認しまして、加害者に対する告訴を一月の末にいたしたわけでございます。
 なお、民事上の加害行為に対する賠償の問題でございますが、この点につきましては当然手続によりまして損害の賠償を求めるべき筋のものでございますので、そのように具体的な加害行為者を特定し、損害額を確認するということを現在督励をいたしておる最中でございます。
#77
○佐田一郎君 今度の学園紛争についても、文部省はだいぶ苦労されておるようでありますが、反面、教官の中にも特にこの紛争を刺激するような教官も、新聞紙上で見ますると、あったわけですが、これらに対しては、今後文部省としては、どのようなお考えを持っておられるか、また学生に対する処分等については、これは現在学校教育法第十一条に規定されており、やる気なら処分もできるわけでありますが、これらの問題について関連してひとつお尋ねをいたします。
#78
○政府委員(村山松雄君) この大学の紛争の処理に当たりまして一番肝要なことは――御指摘のように責任者である学長を中心といたしまして関係の教職員が一致して事に当たることが一番肝要でございます。しかるに教職員の一部に非協力的であったり、あるいはむしろこれを妨害するような言動が見られることも、これは事実でありまして、きわめて遺憾でございます。これらの者に対しましては、学長その他の部局長を通じまして言動を改めるようにしばしば注意をしてございます。ただ、それが的確にまいりませんのは、同時に学問の自由あるいは思想の自由というような観点で、大学の、特に教官につきましては身分保障が一般公務員より厚くなっておりまして、単なる言動をとらえて、これを直ちに追及できないという仕組みになっておるわけでありますが、そこら辺はもっぱら良識をもって判断し、行動するということで、迂遠のようでありますが、これからも学長その他の部局長を通じての指導助言ということを続けてまいりたいと思います。
 それから一方、問題を起こします学生につきましては、現行法規あるいは学則に照らしましても処置し得るわけでありまして、現に処分した事例もあるわけであります。処分をいたしますと、それに反対する運動が一そう強くなって、大学紛争が拡大し、それにさらに断固として対処する決意が十分でないままに、処分が若干うやむやになるという傾向があることは、これまた事実で、きわめて遺憾なことであります。これらの点につきましても、行政指導を強化しているわけでありますが、紛争の最中にあって、さらに処分をするということは、これは事実認定、それから本人の特定というようなことで、なかなかむずかしい面もございまして、これまたなかなか的確にいかないのが実情でございます。引き続き適切な指導助言を続けてまいりたい、かように思っております。
#79
○佐田一郎君 いままで局長からいろいろお話がございましたが、大学紛争に対して、一体文部省は何をやっておるのだ、こういう国民の非常に強い声があるわけです。大学紛争が始まってから今日まで、どのような措置をとってきたか、文部省としてやってきたことについてお伺いしたいと思うのであります。特にそれに関連いたしまして、大学の指導については、文部大臣は指導助言といったような形で、管理運営をバックアップしておるわけでございますが、そういう点とも関連いたしましてひとつお尋ねします。
#80
○政府委員(村山松雄君) 昨年以来の大学紛争を通じまして、文部大臣は国会におきましても、あるいはその他の面におきましても、大学に紛争が起こるということは、それぞれの動機、きっかけは区々でありましても、単にわが国だけではなしに諸外国、特に経済的文化的に発達した国において、むしろ激化する傾向がある。したがって大学紛争というものは、きっかけは区々あるいはささいなことであっても、起因するところは非常に深い。これに根本的に対処するには、変化した社会に対応する大学の新しいあり方というようなものに取り組むことが根本である。しかし、当面の、暴力をもって他人の自由の束縛をする、あるいは学問の自由を妨害するというような事態は、何としても取り静めなければならない。大学の将来のあり方、あるいは改革といったような問題は、理性的に冷静に取り組まなければいけないという基本的な態度のもとに、また事柄が大学の問題であるし、また文部行政の基本的な立場は、御指摘のように指導助言という形で行なわれるということも考慮いたしまして、大学の自主的な努力を期待し、これを助長し、これを指導助言してまいるということでやってまいったわけであります。そういうことで、一連の措置を講じ、それから基本的な問題あるいは当面の問題につきましては、文部省の諮問機関であるところの中央教育審議会に諮問し、その答申を得、そのつど指導助言機能という形で各大学に指導してまいりました。たとえば施設の確保の問題、あるいは暴力排除のための大学の秩序維持――場合によっては警察力の協力というものを、もっと強化するような方向、あるいは国有財産の管理面の強化、それから学生の不都合なふるまいに対する適切な措置、予算の適正な執行、こういう諸般の指導助言、行政措置をやってまいりましたし、また中央教育審議会の答申を受けまして、大学問題の根本的な改革に取り組むと同時に、現在の異常なる紛争事態の収拾に必要な最小限度の立法措置、これも大学の自主的な収拾努力を助けることを主眼としながらどうしても大学が自主性を失って紛争がさらに解決しない場合の、文部大臣の最終的な国民に対する責任を果たす手だてを内容とするような立法措置を考えまして、現在国会に提案をし、御審議をお願いしておるというのが、この紛争に対処する一連の文部省の態度なり処置の概要でございます。
#81
○佐田一郎君 文部省は四月二十五日に、国立大学の施設管理について、国有財産取り扱いに関する訓令を出しておりますね。大学の秩序維持の法律も現在審議中であるということですが、はたして通るか通らないか、なかなかむずかしい問題だと思うのですが、現在の段階では、この訓令を実施することにおいて、何とか収拾がつくと思うかどうか、この点をお尋ねいたします。
#82
○政府委員(安養寺重夫君) 訓令の改正につきましては先ほども多少触れましたごとく、事務局長が学長の総括的な補助執行の責任に当たるという態勢を固めまして、また各大学が常に努力をしておるわけでございますが、国有財産の管理保善について好ましくない事態が予想される、もしくはそういう事態に逢着しました際には適切な措置をとる。それと同時に報告を大臣に出していただく、かような仕組みをさらに確認をしたわけでございます。
 なお、とりました措置がなお不十分であるというようなことが認められます場合は、文部大臣が直接このような措置をとってはいかがかというような、具体的なとるべき措置を学長あてに指示をするというような制度を立てたわけでございます。現在各大学の紛争の実態は区々でございますけれども、各大学から報告が参っております。あるいは事務当局がそれぞれの大学でそういうような報告を聴取し、かつ各大学がいま何をしようとしておるか。これはもういろいろしようとしておるわけでございますから、そういうような事情を克明に聞いておるわけであります。どのような具体的措置が出るかは、なおしばらくわれわれ事務的に詰めてみたいと、かように思っております。
#83
○佐田一郎君 現在大学紛争の中で校舎が長期間占拠されたり、破壊されておる東京工大、横浜国立大あるいは広島大、群馬大等――きのう解除されたのもあるようですが、二十七、八校にのぼるようですが、これらの大学に対して特別の措置命令というようなものを出すお考えがありますかどうか。
#84
○政府委員(安養寺重夫君) ただいま御披露いたしましたような実態でございまして、それぞれの大学から事あるつど具体的な報告に接しております。また時々刻々変わっております学内の情勢に対応する大学自身のかまえ方なり考え方も聞いております。したがいまして、われわれとしましては、日常常に措置を考え、かつどのようにすればいいかということを協議しておるわけでございます。御指摘のように、訓令改正によりますとるべき措置というようなことの指示につきましては、なお個々の大学の様子を見守って今後検討したいと思います。
#85
○佐田一郎君 今度の大学の国有財産の管理に関する新通達に東大の確認書は明らかに違反するという見解を持っておるのです。たとえば警官の導入を否認するとか、あるいはまた非協力な態度、これはどうも文部省の考えておることと、大学の考えていることがまっ正面から対立しておるように考えるが、この点文部省はどうお考えになりますか。
#86
○政府委員(安養寺重夫君) 訓令改正につきましては、国立学校全般の問題、また別して国立大学につきましてのてこ入れといいますか、具体的な対応策の確認でございまして、これによりまして、最も初歩的に申しますと、いろいろ所々方々の具体的な実例もあるわけでございますから、情報交換を通じてわれわれが得ました経験的な対応策を各大学にお示しをする、あるいは具体的に各大学における部局の立ち入りあるいは施設の閉鎖等々の管理の方法を指示する。あるいはこれは理屈でございますが、さらに事態がエスカレートしておるというようなことにも相なりますれば、警察力との協議というような措置もあり得るわけでございますが、先ほどから申しましたように、各大学いろいろ努力をしておるわけでございまして、それを逐一私どものほうで聞きまして、大学と協力一致して具体的な改造に向かう正常化の道をとりたい、かように思っておる次第でございます。
#87
○佐田一郎君 時間がございませんので、できるだけひとつ省略をいたしたいと思いますが、次にこの文部省の国立学校特別会計予算ですね、四十三年度。四十四年度はまだ配当はしないというお話ですが、四十三年度についてはだいぶ仕事をしなかったわけですが、予算の更正があったわけですか、この点はどうですか。
#88
○政府委員(安養寺重夫君) 特別、更正というようなことはございません。
#89
○佐田一郎君 四十三年度の予算執行にあたって、特に先ほどお話の中にもございましたが、ほとんど東大あたりは授業をしてなかった。それなのに大部分の手当は全部支給されておる。こういう事実があるわけですが、この根拠はどういうことですか。私どもは原則としては、まあ民間ですと、働かない時間というものには、そう勤勉手当や期末手当というものは十分に支給する性質のものではないと思うのだけれども、官庁だから、日の丸だからやむを得ないという気がするのですが、全額支給されておるという事実はどうですか。
#90
○政府委員(安養寺重夫君) 給与の点でございますが、いろいろ紛争がございまして、学部によりあるいは部局により、紛争の状態なり継続した期間等、差はございます。しかし、その間職員が休んでおったわけじゃございませんで、それなりにいろいろ正常化のために勤務をしておる、本来の研究活動あるいは教育活動が常態として行なわれたわけではございませんけれども、いろいろ違った意味での努力をしておったわけでございます。そういう面で給与支給ということについては一応しておるというのが実態でございます。
#91
○佐田一郎君 今度の大学管理法の中には、六カ月以上にわたって授業を放棄した場合の教員の待遇等に対する処置が変わってきておるようですが、現在、もし大学立法が通過しない場合には、やはり現状どおり一般手当までも支給するという考え方ですか、やはり変わりはございませんか。
#92
○政府委員(安養寺重夫君) いまお話しの法案の中身の点は別といたしまして、このままこの状態で推移した場合のお尋ねでございますが、家で休んでおるとか、欠勤をしておるということであれば別でございますが、普通の勤務――多少性質は研究活動あるいは教育活動に従事しておるということとは違いますけれども、それなりに、その状態を早く得るための勤務ということをしておるわけでございます。まあ従前どおり支給するということになろうかと存じております。
#93
○佐田一郎君 次に、私立大学の紛争に対する補助金の削減したということを聞いておりますが、この法的根拠を伺いたいと思います。
#94
○政府委員(岩間英太郎君) ただいま御指摘のように私立大学に対する補助金について大学紛争がございました場合、一部削減をいたしている場合がございます。それは具体的に申し上げますと、昨年度からできました教育研究費にかかわる補助金でございまして、そのうちで補助対象が実際に教育研究を行なっておるというものに対する補助金は、これは現実にそういう教育研究が、学校紛争のために行なわれておらないという場合には、補助金を削減いたしたような次第でございます。
 法的根拠というお話でございましたが、私立学校法に助成に関する規定がございまして、その五十九条には、国が助成する場合におきましては、その当該学校の備えている条件について、その助成の目的を有効に達し得るかどうかを審査しなければならないというふうな規定がございまして、そういう規定に基づきまして、実際に補助対象がないと申しますか、正常な教育研究が行なわれていないという場合には、それ相応分の補助金は支給しないというような方法をとっております。
#95
○佐田一郎君 東京大学それから東京教育大学の学生経費を一学年分留保する、こういうことを聞いておったわけですが、実際にそうされておるかどうか。予算面では本年度は相当ふえておるわけですが、この点はどうですか。
#96
○政府委員(安養寺重夫君) いまお話の東京大学、東京教育大学、この二大学につきましては、四十四年度の第一学年次生の募集をいたさなかったわけでございます。そういう点にも関連しまして、学生経費を一個学年相当部分の示達を当初において留保いたしました。
#97
○佐田一郎君 結論に入りたいと思いますが、今回の大学紛争による国有財産その他の損害は法律上の欠陥あるいは規定の不備、大学管理者の管理能力の欠如及び大学の機構に大きな欠陥がある。こういうふうにただいままでの質問の御返答の中でうかがわれるわけでありまするが、この点肯定されますかどうか。
#98
○政府委員(村山松雄君) 先ほど御説明申し上げましたように、この紛争の起こります原因については区々でございます。しかし、その根底にはきわめて複雑多岐な要因があることもまた多くの人の認めるところであります。ただ、わが国における特色といたしましては、国立大学で紛争が多発しておる。しかも、その収拾について適時適切な手が打たれないままに結果的には拡大、長期化しておるというのは、やはり国立大学の制度なりあるいは機構、あるいは運営についての実際のやり方にも不十分なところがあると言わざるを得ないわけでありまして、それらの点につきましては、先ほど来基本的には中教審の審議、それから具体的には各種の行政指導、それから何よりも各大学の自覚を喚起いたしまして、漸次是正につとめてまいりたい。それで行政指導、それから自発的、自主的収拾だけで足りない分については法的措置も講じてまいりたい。かように考えております。
#99
○佐田一郎君 政府は、最近、抜本的対策と応急対策とに分けて、急速に大学機能の回復をはかるために立法措置に踏み切らんとしておるようですが、これはいずれお尋ねする機会もあろうと思いますが、この機会に私どもは立法の中心は、やはり学長権限を拡大し指導力を集中する、あるいはまた、学長の補佐機関として副学長を管理能力のある行政官から抜てきする、大学機構を整備して権限を明確にする、運営については大学人のみでなく第三者を入れた広い視野から教育研究の場としての自由の学園を再建する、こういう目的のもとに現在研究されておるようでありますが、同時に文部大臣の権限を拡大いたしまして、指導助言というより、一歩進めて、休校もしくは廃校等の臨時措置のできるようにしたい、こういうふうな強い姿勢で文部大臣は考えておるようですが、この点はどうですか。ごく簡単でけっこうですが、局長にお願いいたします。
#100
○政府委員(村山松雄君) 現在提案いたしております臨時措置法案では、大学の自主的な収拾努力を助けることを主眼として、御指摘のように紛争校につきましては、学長を中心といたしまして権限を集中し、学長が独断専行だけではぐあいが悪い点を考慮いたしまして、学長補佐機関等を強化することによって一連の管理機能を強化して、集中的に全教職員の協力によって、紛争収拾がはかれるような手だてを与えるということを主眼としておるわけであります。
 なお、そうやりましても、なおかつ、不幸にして紛争が、長期収拾がつかないというような場合には、この大学を放置しておくわけにもまいりませんので、文部大臣は、国民に対する責任を果たす意味合いで、最終的な終末処理を行なうこともあわせて規定しておるわけでありますが、必ずしも文部大臣の権限を強化して、上から強制的に収拾をはかるということを主眼としておるわけではなくて、やはり現段階では、あくまでもできるだけ大学の自主的な収拾努力を強化していくという方向でこの段階をまず乗り切ろうというのが、文部省の態度でございます。
#101
○佐田一郎君 文部省当局の勇断を特に私どもは国民の立場からひとつお願いをいたします。
 なお、次に、警察庁にひとつお尋ねをいたしますが、参事官、お見えになっておられるようですな。――昭和四十三年から今日までの紛争校における治安状況はどうであったか。また、逮捕学生はことしに入ってすでに昨年同期の倍近くに達しているようですが、逮捕された学生数は何人くらいか。あるいはまた、検挙容疑のおもなるものはどんなものであったか、ひとつ、お尋ねいたします。
#102
○説明員(後藤信義君) まず逮捕いたしました数でございますが、これは昨年一年間では、学生のいわゆる学園紛争ないしは学生の街頭における行動でございますが、いわゆる学生による暴力事犯でございます。これに対します検挙数は、昨年一年間で五千五百四十七名でございました。それから本年に入りましてから五月末現在で四千六十六名でございます。で、昨年の同期と比較いたしますと、昨年同期は――四十三年の一月一日から五月三十一日まででございますが、これが千八百二十九名でございますから、概数二倍以上に相なるわけでございます。
 それから罪名の関係でございますが、これは手元に昨年の資料を持ってまいったわけでございますが、この中には実は学生が街頭で行動いたしました場合に学生以外の者も一緒にまじって暴行をやったために一緒に検挙されたものも含まれてございますので、ただいま申しました五千五百四十七名よりもふえておりまして、総計六千六百一名という数字でございますが、これについて申し上げますと、次のようでございます。もっとも次に申し上げます数字は、一つの行為で二つ以上の罪名に触れるという行為もございますし、それからいわゆる併合罪、一般的な併合罪という問題で一つの犯罪をやった後に、さらにまた次の犯罪をやったというようなものもあるわけでございますが、それらにつきましてはいわゆる法定刑の重いほうに計上いたしまして数字をあげますと、一番多かったものは公務執行妨害罪の二千九百九十九名でございます。それからその次は住居侵入ないしは建造物侵入罪でございまして、これが八百七十五名でございます。それから公安条例違反、これが六百九十五名でございます。その次は騒擾罪でございます。騒擾罪の適用を受けました者が四百二十四名でございます。それからその次は凶器準備集合罪、この関係は集合した者のほかに集合せしめた者、このほうは法定刑が重くなっておりますが、それを含めて計上いたしまして三百四十二名でございます。その次が威力業務妨害罪、これが二百五十七名、逮捕監禁罪二百名、傷害罪百六十四名、これらがおもなものでございます。
 それから学校別でございますが、これは学校の名前はおろか、住所氏名も黙秘しておる者もいまでもおるわけでございまして、終局的に所属しております学校を明らかにするまでに至っていない者もおるわけでございますが、おもな事件につきまして、どういう学校の学生がつかまったかということを申し上げたいと思います。
 まず、昨年の十月二十一日のいわゆる新宿周辺における騒擾事件を起こしましたあのときでございますが、そのときに多かった学校名を申し上げますと、一つは中央大学でございます。これは四十四名逮捕されております。それからその次は明治大学でございます。四十二名。それからその次が日本大学でございます。三十二名。その次が東京大学でございます、二十四名、といったようなことになっております。それからその次は、ことしになりまして、一月十八日、十九日、この両日にわたりまして警察官が中に入りまして検挙をいたしたわけでございますが、東京大学事件につきましては、十八、十九両日を合わせました検挙者の中における学生の所属学校別でございますが、一番多うございましたのは東京大学、これが百二名でございます.それからその次は広島大学の四十一名、それから芝浦工業大学、これが三十三名、それからその次は早稲田大学の二十八名、東北大学の二十四名、法政大学の二十三名、明治大学の二十二名、同じく中央大学の二十二名といったようなところが、そのおもなものでございます。それからつい最近、例の四月二十八日のいわゆる沖繩デーでございますが、このときも集団暴力事件がございましたが、このときに検挙されました学生の学校でございますが、一つは東京大学でございます。これは九十九名。それから広島大学四十三名、東京教育大学三十一名、横浜国立大学二十一名、それから東京都立大学二十一名。なお、これよりも数字の多いものを抜かしましたので、これを申し上げます。早稲田大学四十一名、中央大学三十七名、日本大学二十三名、法政大学二十二名、こういうものがそのおもなものでございます。
#103
○佐田一郎君 だいぶ警察庁も苦労されておるようですが、警察官の死傷者数、あるいは学生及び一般人のけが人はどのくらい出たのですか。
#104
○説明員(後藤信義君) 警察官の負傷数でございますが、これは昨年一月一日から一年間でございますが、これが七千二百六十名負傷いたしました。そのうち入院いたしましたものは百九十九名でございます。それからことしに入りましてから五月三十一日までの数字では、負傷いたしました警察官が二千二百六十八名、うち八十八名が入院いたしております。それからなお、この中には昨年九月四日の事件で殉職いたしました警察官一名、それから本年四月十二日、同様に学生の投石によりまして殉職いたしました警察官二名が含まれておるわけでございます。
 それから次に、一般の被害でございますが、これはおもなものだけ私どものほうで調査をいたしましてわかりました範囲でございますが、一つは昨年の十月二十一日の新宿周辺の騒擾事件及び防衛庁その他において問題がございましたが、あの事件では三百六十四万円という数字が出ております。ただし、これには国鉄関係の被害は除いてございます。一般の商店その他民間の被害でございます。それから同じく今年の一月十八日、十九日の東大事件でございますが、東京大学における損害、これは別でございますが、そのほか神田地区でかなりの暴力事犯が行なわれましたが、これによります被害が八百二十四万円でございます。それからことしの四月二十八日のいわゆる沖繩闘争に関するものでございますが、これは国鉄を除きまして二百七万円、こういうふうになっております。
#105
○佐田一郎君 国有財産並びに都民にもだいぶ迷惑をかけておるようですが、ことし警察官を五千人ふやしたわけですが、大体この程度で四十四年度は間に合いますか。
#106
○説明員(後藤信義君) 与えられました人員につきましては十分に訓練を積みまして、全力をふるって治安の維持に当たりたいと考えております。
#107
○佐田一郎君 だいぶ警察庁には御苦労願っておるようですが、また一面においては相当何というか、風当たりも強いようでありますが、一般の国民としては何かばかに学生には寛大だといったような、そういう考え方もあるわけですが、ひとつ警察庁は毅然たる態度で治安維持に当たってもらいたいということをお願いして、警察庁への質問をこれで終わります。
 次に、会計検査院に伺いますが、ことしの定期検査は何月ごろから始まりますか。
#108
○説明員(石川達郎君) われわれのほうで特に定期検査というような名称は用いておりませんけれども、年度の初めに実地検査をすべき個所を選定するわけでございまして、それに従いまして四月以降逐次各大学の検査を行なっております。
#109
○佐田一郎君 四十二年度の検査報告で特に会計検査院として指摘した重要な事項で、特に大学紛争に関連したものは……。
#110
○説明員(石川達郎君) 四十二年度につきましては、検査報告に国立学校特別会計に属する事案といたしまして掲記した事項はございません。
#111
○佐田一郎君 文部省の大学紛争の現状報告で明らかになったように、施設の破壊、物品の紛失等、その他有形無形の国費のむだ使いはばく大な額に達していると思うのですが、そこで会計検査院では昭和四十三年度の国立大学に対する会計検査を開始したと聞いておりますが、その中間報告というものをお聞かせ願いたいのですが、まだ報告の段階ではございませんか。
#112
○説明員(石川達郎君) ただいま御指摘の点はおそらく東京大学に関する分であろうと思いますが、まだ検査を続けている段階でございまして、報告申し上げる段階に至っておりません。
#113
○佐田一郎君 いつごろこれは報告が出ますか。
#114
○説明員(石川達郎君) 管理責任の問題につきまして、安田講堂の分とか、あるいは法学部の分につきましてまだ手を染めた段階でございますので、いまいつごろまでというような確たる返事をちょっといたしかねる次第でございます。
#115
○佐田一郎君 会計検査院は、国の財産がこのような状態にあるときに、国有財産法とかあるいは物品管理法に従って弁償責任等を検討しなければならぬと思うが、会計諸法規上の正式な報告を受けているかどうか、この点はどうですか。
#116
○説明員(石川達郎君) まず東京大学につきまして一月の紛争直後におきまして、その損害状況の報告を提出するように、これは非公式でございますが、要求しているわけでございますが、われわれが現在非公式ながら報告を受けておりますのは、東京大学につきまして四億数千万円、これだけでございますので、三月にあらためまして私の名義をもちまして文部省あてに被害状況の報告を提出するよう要求しているわけでございますが、まだその報告には接しておりません。
#117
○佐田一郎君 最後ですが、大蔵省、文部省の管理監督という面が思うようにできない今日において、もう最後の頼みは会計検査院だけですから、ひとつしっかりやっていただいて、そして大学紛争の終息を早く文部省にもお願いすると同時に、また一面において国民の監視の中にございますので、はっきりとしたけじめをつけてもらいたいと思います。こういうことをお願いして私の質問を終わります。
#118
○岡三郎君 ちょっと一つか二つ聞きたいのですが、国有財産の最終的な管理の責任者はだれですか。文部省でもいい、会計検査院でもいい。東京大学なら東京大学の建物の国有財産というもの、これを管理、保全する最終責任者はだれですか。これは会計課長でも、大学局長でも……。
#119
○政府委員(安養寺重夫君) 学長だと思っております。
#120
○岡三郎君 国有財産の管理というものを学長にさしている以上、法的根拠はどこにありますか。
#121
○政府委員(安養寺重夫君) 国有財産法に委任の根拠条文がございまして、文部大臣が訓令によりまして各国立大学の学長に各国立大学の国有財産の管理の責任を委任しております。
#122
○岡三郎君 委任しているんだから、最終的には文部大臣にあるのではないんですか。委任行為において学長に保管の責任があると言われるけれども、委任するところは文部大臣とすると、文部大臣にあるんじゃないですか、国立大学の場合ですよ。それはどうなんですか。
#123
○政府委員(安養寺重夫君) 文部大臣が権限を持っております。そうしてそれを国立大学の教育、研究の用に供する最もいい方法は何かということで、その権限を学長に委任をしたわけでございますので、学長が責任を持っております。
#124
○岡三郎君 その場合に、責任を追及する、追及しないは別にして、明らかに現状においては、いま質問もされているように、ある部分においては国有財産の保全措置というものが委任された中においてとられているか、とられていないか。それについて各大学の学長から保管状況について状況報告は聞いていると思うんですが、そういう問題を通じて、文部省としてこれは保全措置がとられているか、とられていないか、その最終的な判断をする責任は文部省にあると思うんですが、その場合に、委任してもその委任事項が守られないときにはどうするんですか。委任していることはいいけれども、委任された人が権限を持っても財産は保全できない、かりにそういう問題があった場合にはどうするんですか。
#125
○政府委員(安養寺重夫君) 制度的な点の問題でございますが、文部大臣が権限を委任をしているわけで、現状、委任をいたしました意図どおりに事柄が処理されているかどうかということ、これにつきましては、われわれいろいろ学長を督励しなくてはならないような状態に現にあるわけでございます。そこで事柄がうまくいかなければ何らかの制度の改定を考えなければならぬという問題になるわけでございますが、何せ国立大学は七十五でございますし、いろいろ遠隔の地にございまして、国有財産の管理というものはきわめて細部にわたり、個々具体の現実的な処理を要する日常の業務を含むものでございまして、委任をやめて文部大臣が一括して個々の国立大学の財産の管理の責任に直接当たるということは不可能だと思っております。われわれといたしましては、委任をいたしましたこの状態のままで、よりよく改善されるように各大学の部内の規程等の整備、あるいはその他事務局長の立場を鮮明にする、あるいは部局長の補助執行の任務の態様を明確にするというようなことを今回いたしておるわけで、今後も大筋におきましてはこの状態で推移していくという考え方でございます。
#126
○岡三郎君 私が言うのは、いわゆる教育、学術研究、そういう問題とその管理の問題が最近ずいぶん言われているけれども、その問題はさておいて、国有財産の保全の問題について、これを明確にしなきゃいかぬ。国有財産の保全という問題について明確にしなきゃいけない。これは責任の所在を明確にするということは、それにとって対応策を十分にするということになると思うんです。そういった場合に、私は文部大臣が現状において各大学の学長にいわゆる大学の国有財産というものの管理を委任するという場合において十分でないということがわかってきた段階、また事情の変化によっていろんな問題が起こってきているという場合において、私は、少なくも学校が宿舎になるわけにはまいらぬと思うのであります。学校が宿舎になったり、いろんな問題になることにはならぬと思うんです。この問題に対しては、やはり積極的に学長に言っても、学長のほうが対応策をとらなかったならば、文部大臣がとらざるを得ない責任があると思うんです。そこで私が言うのは、いまの学園の中における封鎖の問題とか、いろんな問題があるけれども、私はやはり、文部省としては学長と協議して委任をしておるわけだから、やはり段階的には手続上の問題があるとしても、封鎖の実態というもの、それから学園というものを一部の者がかってに使用しているということについては、国として責任をもって処置するということがあいまいにされてはならぬと思うんであります。したがって私は、そういう意味において、学生が角材を持って集まるから警察が導入されるんではなく、財産保全ということが守れないときには、これは常時財産保全をするということを国がやはり措置しなきゃいかぬと思う。そういう意味において大学側が積極的に国有財産の管理をするということになるならば、それに対する具体的な対応策というものを私はやってもらわなきゃいかぬと思う。そういう点で私は、これは大学の中におけるいろんな問題について政府、国が介入するということではなくして、大学のいわゆる国有財産を保全し、これを十分に守る、国民の財産を守るという立場において、文部大臣はやはりそういう面においては学長と十分相談して、そうして警察力を私は動員しても積極的にやっぱりこの問題について一ぺん収拾してもらわなきゃいかぬと思う。大学の内部におけるいろいろな改革の問題というものは、いっぱいあります。これを放置して問題の処理ができないことの明白であることは、私が言うまでもないと思います。一方において古い大学を新しい大学に改革することについて文部省が積極的であると同時に、国民の財産を守るという意味においてその点いいかげんであってはならぬと思う。壊された跡を会計検査院が調べることは、これは部分的であっても、最近において日常茶飯事として行なわれていることながら、こういう予防策は事前に、徹底的にとってもらいたい。第一、学園の封鎖という問題について学生の反撃があるかもわからぬけれども、国民の財産を守るという意味において文部大臣は、積極的に学長と警察庁と連絡をとって、少なくともこれが完全に守れるような措置を――学校内部における学校教育行政とは切り離して、国有財産保全という意味においてそれをとる責任が文部大臣に私はあると思う。それの十分な対応策をとらずして、なんだかんだと言っている事自体、私はおかしいと思うのですよ。ですから私は、その点について徹底した措置を文部省が警察庁とともに、責任の所在を明確にしてとるべきだという意見です。この点どうですか。これは課長では、とてもじゃないけれども答えられない。学術局長も答えられるかどうかわからぬけれども、国有財産を守るという意味において――これが壊される、壊された跡についていろいろな調査をすることは、これは当然やらなければならぬけれども、これを守るという意味においてどういう措置をとるのかということを聞いているわけです。
#127
○政府委員(村山松雄君) 御指摘のように、文部大臣が大学に対する行政指導の態様といたしましては、事柄が教育行政、学校行政に関しますものは、学校教育法系統の法規を根拠といたしまして文部省設置法に書いてございますように、指導、助言という形態で行なわれるわけでありますが、しかし会計法規――国有財産法もその一つでありますが、会計関係の法規につきましては、教育行政関係の文部大臣の権限行使の態様とは違う角度から法規が組み立てられております。したがって、会計関係の文部大臣の権限の発動態様といたしましては、教育行政とは別の角度から行なわれて、理論的には差しつかえないというわけですが、やはり事柄は学校という教育、研究活動が行なわれる場に対する会計法規の適用ということになりますので、純然たる行政機関に対して上意下達、命令指示関係で事柄をてきぱきとやるというわけにはいかない面がございます。御指摘のようなことを的確にやれるように、極力指導、助言をこえて督励、鞭撻をしているという現状でございます。さらに、その努力を続けたいと思いますが、制度的にさらに手直しをするかどうかを含めまして、検討の上、善処いたしたいと思います。
#128
○岡三郎君 いや私も、制度的に改めるということを言っているのじゃない。問題は、現行法規の中において具体的にとるべき措置というものをどうとるかということが、私はいまの最大問題だと思っているのです。つまりいまの機動隊の導入とか、いろいろな問題について、私は、こういうやり方では、騒ぎを広げていくだけにすぎないのではないか。ちょうど何か追い払って、またしばらくたつと、そこへむらがって来るという形の繰り返しにすぎないのではないか。私は、やっぱり大学であろうと、小中学校の公立の建物であろうと――これは財産の保管者は公立でいえは市長ですよ。小中学校長がこれを保管されることは、それはまかされているからやっているわけです。やっぱり最終的にはここに来ると思うのです。だから警備員の問題とか、そういう問題について当然これを中心としてどうするか。やはり国の財産が眼前明白に損壊を受けることになるならば、その点に限って現行法を適用して――この問題について財産の保全対策というものを真剣に論じなければならぬ。学校行政の問題とは別ですよ。同じ学園の場だと言っても、そういうものははっきりと国有の財産として守られるということによって、問題の処置をひとつはっきり明確にしておいてもらいたい。それから大学の改革は、改革の問題としてやる、そこのところを明確にしてもらわなければならぬと私は思うのです。学園は確かに一体だけれども、建物そのものが損壊されてくるということは、国費がそれに投入されてくるということです。だから逆に言うと、それを修繕するのに予算をやらぬとか何とか、小じゅうと的なことではなくして、積極的にそれは守る手段としてはどうするか――私は当然だと思うのです。そういう点について学長に委任して、学長がそれに対する対応策というものを十分とれないとするならば、その点に関する限りにおいて文部大臣は警察庁なりあるいはその他と連絡を十分にとって、この保全措置というものを遺憾なきように、まず第一番にはっきりして処理してもらいたい。封鎖なんというものはあるべきじゃないのですよ。国の財産をある特定の者が閉鎖するということはできるはずがないと思う。それは力によってやっているわけでしょう。だから何も力に対して力という、そういう現象的なものではなくして、国の財産そのものを守るためにどういうふうな手だてを尽くすのかということを真剣に論じてもらいたい、検討してもらいたいと思います。これは現行法規でできると私は思っております。国民の財産なり国の財産が現行法規で守られないということになったならば、これはたいへんなことです。そういう意味において私は、それにつながるところのいろいろな措置というものはおのずから出てくる。まずその問題を明確にして――それは学生が怒るかもわからない。怒っても何でも、とにかく財産を守るということについて与野党を通じて私は異議のある者は一人もいないと思います。その問題を――学園紛争を来たしているところのもろもろの原因というものについてどうするかということは、私は十分、国としても、われわれ国会としても、大学側としても、政府側としても、全部知恵を出し集めて、そうしてこれをどうするかということについてやってもらわなければならぬ。だから古い大学を新しい大学にする大学の改革というものは、ちゅうちょなくこれを新しい近代的な大学にすると同時に、いまの学校行政の中におけるでたらめなやつについても、やめてもらわなければいかぬ。私立大学においてはとにかく三百人定員で千人なり二千人以上、公立大学でも高崎経済大学はいままでどのぐらい入れているか見当がつかぬということを言っている人がある。日大に行ってみたときに大学の先生が、一年生が幾人入って来たかわからぬというのです。要するに定員というものはほとんど無視されてきた。これは放置されてきた。これは、ベビーブームにおける一つの傾向が引き続いて、そういうような、なしくずしの形で出てきているのかもわからないけれども、三百人のところに六百人入れるのだったら六百人の定員にする。七百人ではいかぬ。だから、その辺についてとにかく指導がいいかげんであるということは、われわれ自体目に余るものがあると思うのです。だからそういう大学自体のいろいろなやり方については、これは十分にやる。しかし国有財産そのものについては、これに対して徹底して保全するということについてちゅうちょしてはならないと思うのです。いま言ったように学園は一体のものだからよく検討してみて――なかなかそうはいかないと言っているけれども、そんなことは会計検査院が幾ら調査したって私は意味がないと思います。とにかく学校の中において角材なら角材を持ってる者は徹底的に排除する。とにかくこの段階においては常時国有財産を守るために、大学の中に警官が常駐しても私はかまわぬと思う。その意味においては、これは学校行政とは別個の問題です。それが刺激するとか、刺激しないとかいうことじゃなくして、けじめをはっきりして、まず文部省は国としての責任の立場というものを、財産の保全上において明確にすべきだ。これを明確にして学長に委任し、学長がその問題についてできないというならば、やはり警察力というものも、何もこれは弾圧するとか何とかいうことじゃなくして、財産を守るためにはちゅうちょしないでやっていく方法というものはとられなきゃならぬと私は思います。そういう点で、きょうは局長だから、次に大臣なり何なりに来てもらって、いますぐとはいわぬけれども、私はこの点が実に不可解なんです。だから私は不可解な点について、大学というものについての、建物をどういうふうにするかについて、この点は割り切れないといっても、いまの段階ではやっぱり割り切って、その問題だけについての保全対策というものを徹底的にやってもらわなければ、私は、国費を投入して使っていくわけですから、この意味においては、われわれ自体も責任を免れぬと、私は思っているわけですが、この点についてもう一ぺんはっきり聞きたいと思う。
#129
○政府委員(村山松雄君) これはまあお答えにならないかもしれませんが、実情を申し上げますと、学長はじめ大学管理の責任にあたる者は、大学が封鎖されるというような事態を放置していいというようには、一刻も思っておらないわけであります。暴力をもって、実力をもって封鎖されるような場合には、一刻も早く解除いたしたい。まあ決意をし、それを実行に移す手続、タイミングを問題にするわけであります。と申しますのは、大学は暴力をもって封鎖を排除する実力を持たないわけでありますから、封鎖を排除するためには警察力に依存する以外に道がないわけであります。そこで、大学の国有財産管理者である学長は、これを警察に要請して排除するということは、これは法律論としては、ほかの教育行政などと違って、評議会――極端にいえば評議会、教授会等への付議事項でないと、学長が専決でやれる事柄だと考えるわけであります。しからば、それをやった場合には、学内の協力が十分でない場合には、一回はやれますが、続いて二の矢、三の矢――次の手が打ちにくくなるということから、できるだけ評議会、教授会等の意思を統一し、学内の支援体勢を確保した上でやりたい、そう思っているうちに時期を失するというのが実情でございます。そこで、文部大臣としては、そういう学長の判断なり決断を督励いたし、ちゅうちょすることのないように指導してまいるわけでありますが、そこで、まあ決断の時期等に関して若干の判断の食い違いがあり得るわけでありまして、それをできるだけ詰めて、両者協力して国有財産の保全につとめた
 いということを努力しておるわけであります。で、まあ学長が、どうしても文部大臣の目から見れば決断をしていない、すでに決断をすべきときだというような場合に、しからば、その委任しておる学長を飛び越えて、文部大臣が直接警察に要請なり何なりして保全をするかということになりますと、それは現在の委任制度からできにくい。実際問題としても、結果が必ずしもいいとは思えない、そこら辺に現在ジレンマがあるわけであります。まあ、私どもとしては、あくまでも現行制度の中で、大学が自主的に学長の意思を体して、一致して立ち上がって、それを文部省は督励して、的確に行なわれるようにいたしたい、一そう努力するほかはない、かように考えております。
#130
○岡三郎君 それで保全できればいいんですよ。保全できないでそういうことを言ったんじゃならぬと私は思う。だから私は、最初から言っているように保全対策が完全でなくちゃいけない。どういう支障が起こってくるか、それは別にして、とにかく切り離すことができないといっても、その場合は切り離して、国有財産を守ってもらわにゃ私は困る。文部省は、それは学長に委任して、学長に権限がある。一ぺんやってもだめだといっても、そんなことはないですよ。常時そのために、守るためにだれか措置すべきだ。そういう危険がなくなるまで、私は、その点については現行法においてやり得ることを、まだ十分していない。さようなタイミングを失するとか、いろんなことを言っても、各大学において閉鎖していることがずっと続いている。勉強しに行こうと思ってもできない。いろんな問題があるけれども、とにかく建物というものが国有財産として守られておるということが、一つの先決条件だと思うのです。学校というものは、やっぱりいまのところは建物というものを保全してもらわなければ、学の場というものが出てこないと思う。だからその点について、いまの答弁ではしようがないけれども、ひとつ保全対策というものを明確にしていただくように希望します。
#131
○委員長(松本賢一君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#132
○委員長(松本賢一君) 速記を起こしてください。
 それでは以上をもちまして、昭和四十二年度決算外二件の総括質疑を終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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