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#1
第061回国会 予算委員会第四分科会 第2号
昭和四十四年三月三十一日(月曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     長屋  茂君     田村 賢作君
     小野  明君     松永 忠二君
     和田 静夫君     川村 清一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         矢追 秀彦君
    副主査
                鬼丸 勝之君
    委 員
                梶原 茂嘉君
                小山邦太郎君
                柴田  栄君
                田村 賢作君
                吉武 恵市君
                松永 忠二君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  原 健三郎君
       国 務 大 臣  木内 四郎君
   政府委員
       人事院事務総局
       職員局長     島 四男雄君
       科学技術政務次
       官        平泉  渉君
       科学技術庁長官
       官房長      馬場 一也君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   斎藤 吉郎君
       科学技術庁計画
       局長       鈴木 春夫君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       科学技術庁振興
       局長       佐々木 学君
       科学技術庁原子
       力局長      梅澤 邦臣君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       労働大臣官房長  岡部 實夫君
       労働大臣官房会
       計課長      藤繩 正勝君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       村上 茂利君
       労働省職業訓練
       局長       石黒 拓爾君
   説明員
       運輸省自動車局
       参事官      岡田 茂秀君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○主査(矢追秀彦君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 分科会担当委員の異動について報告いたします。
 本日、小野明君、和田静夫君及び長屋茂君が委員を辞任され、その補欠として松永忠二君、川村清一君及び田村賢作君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○主査(矢追秀彦君) 昭和四十四年度総予算中、科学技術庁所管を議題といたします。 慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配布してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○松永忠二君 原子力発電所の問題について少しお尋ねをいたします。
 科学技術庁でもすでに御承知と思うのですが、静岡県の浜岡というところに中部電力が原子力発電所を建設したいんだ、こういうようなことで着々その仕事を進めているわけです。この浜岡につくろうとしている中部電力の原子力発電所というのはどういうふうな一体規模をもって計画されているのか、技術庁のほうではどういうふうに把握されているのか、その点をお聞きしたいわけです。
#6
○国務大臣(木内四郎君) 浜岡に中部電力が発電所を設けるということは新聞等では承知しておりまするけれども、実は私どもに正式に来ておらないのです。御案内のように、原子炉を設置する場合には総理大臣の許可が必要だということになっておりまして、その許可の申請が出てまいりますれば、それによって安全性の審査その他を十分にした上で許可をするということになっておりますが、まだ許可の申請は参っておりません。
#7
○松永忠二君 これはもちろん許可の申請を出すときには、事前にその土地の購入であるとか、あるいは設計の問題等一応全部整った上で申請が出てくるわけです。どこでも御承知のとおり、原子力委員会の専門委員会にかかる前の段階でいろいろ問題が起きているわけです。したがって、科学技術庁としても、出てこなければ私たちは知りませんというわけでは私はないと思うのですね。もちろん大体中部電力はこういうような計画をもってそこを考え、いま大体こういう段階にある、そうして地元等にはどういうふうな問題があるかというようなことは当然把握をしておられると私は思うのです。筋は大臣の言うとおりではあるけれども、現実問題として、どういう程度に一体技術庁は把握しておられるのか、この点ひとつお聞かせを願いたい。
#8
○政府委員(梅澤邦臣君) 浜岡の原子力発電所につきましては、私の存じますところでは、ことしの八月過ぎあるいは九月過ぎに設置者の申請が出るのではないかということを想像しております。大体内容としましては……
#9
○松永忠二君 何月ごろですか。
#10
○政府委員(梅澤邦臣君) ことしの終わりごろといいますか、八月以降と存じております。そのころに出てくるのではないかと思います。それから内容につきましては、現在私ちょっと資料を確実なのを持っておりませんが、三十万キロワット以上のものをいま設計をしておると、そう聞いております。
 それから地元でいろいろ問題があることも設置者から聞いておりまして、現在のところは、要するにああいうようなものを設置する場合には、やはり地元対策というものが大切でございます。それにつきましては、その設置者がまず十分地元対策をするようにという行政指導と申しますか、そういう連絡はできるだけいたしておるわけであります。
#11
○松永忠二君 質問が事前によく十分連絡していなかったので、準備の点でやや御答弁が的確ではない点があることは私承知をしておりますが、ただしかし、だいぶ話は違うので、原子力発電を浜岡のは約五十万キロワットの原子炉を一号炉としてつくり、その後第二号炉、第三号炉というものを増加をする計画でいきたい。ちょうどきょうそういうことが新聞に出ております。濃縮ウランを使ってやっていきたいということで、単に五十万キロワットの一号炉をつくるというだけでなく、追加して増加していく計画等も持っているというふうに私たちは聞いております。その点は承知をされていなければ承知をされていないということでやむを得ませんけれども、どうなんですか。いま言うとおり三十万キロワットではないことはもうはっきりしているわけですが、どうですか。
#12
○政府委員(梅澤邦臣君) 初めの考え方のときに三十万としておりました。現在それを電力コストの経済性から五十万にもっていこうという考え方は聞いておりますが、まだ五十万にもっていった場合の内容その他は聞いておりません。それから五十万以上にそれを増加するというよりも、やっぱり中電として考えますのは、第一期、第二期、第三期ということを考えておりまして、いまその第二期目としてどのくらい、また五十万やりますということで、私の知る限りは五十万のやつを増強していくという考えでなくて、まず三十万でいくか五十万でいくか、そしていまの傾向として五十万の考え方に大体経済から考えていっているのではないか、こういうことでございます。それで大体の設計でいいますと、ことしの半ば過ぎにわれわれのほうに設置許可の審査を依頼してくるのではないかと思っております。
#13
○松永忠二君 一つだけ確かめておきますが、その五十万キロワットの発電出力を持った原子炉を建設していきたいということで、増加していくということで第二期として第二号炉を、また大体そういう程度のものをつくりたいというように考えているように私たちは承知しているのですが、第二号炉、第三号炉というものの計画があるのかないのか、その点をあなた方の承知しているところを明確にひとつ言ってください。
#14
○政府委員(梅澤邦臣君) 中部電力で二期、三期、五十二年以降にかかるというのを計画していることは、電事連で全部まとめまして報告を出しております。その中に入っておるのを承知しております。それで大体やはり五十万でいきますと、その後それより量を減らしたものにはならず、やはり二期等については五十万以上のものを考えるのが普通ではないか、そういうふうに考えております。
#15
○松永忠二君 ここの浜岡というところに原子力発電所を設置をしたいということについて、これは通産省の関係等でも、あるいはまた電力自身でも相当早くから調査をしていたという事実が私たちはあるように聞いているんですが、この最も立地的に適切だと思う地域の場所をきめて調査をするということについては、一体どういうふうな方法でやられておるのか、また浜岡の地域に原子力発電所をつくりたいという中部電力の考え方で調査を始めたのは、いつから一体調査を始められたのか、この点はいかがですか。
#16
○政府委員(梅澤邦臣君) ちょっと私いつからということはわかりかねますが、相当前から地元対策をしているのは存じております。それで私が現在聞いておりますところでは、四十五年ごろに着工しまして、そして四十九年ごろに発電に入るというような計画を現在持っている、それを進めたいので、地元対策を前々からやり出したということは十分承知しております。
#17
○松永忠二君 大臣にちょっと。私たちが承知しているのは、通産省が調査費等をつけて原子力発電所の適地を調査をする、そういうことはすでにもう相当計画を進めてやられておる。ただ、どこを調べているかということについては非常に影響もあるので、外部に発表はしておらない、また各電力は電力で、自分の独自の会社の調査というものを独自にやはり計画してやっておる。私はこれについては少し意見があるわけなんです。原子力発電所というのはこれからの電力供給源として重要な位置を占めることは当然である。しかし同時にまた、原子炉の安全性の問題についてはまだ十分研究がされているというわけではなく、アメリカあたりでもこの問題については相当やはりまだ試験の途上だという考え方を持っていて、非常に慎重にやっているわけですね。こういうある程度今後まだ十分の試験を必要としているような原子炉による発電というものについて、どこが最も立地の条件に合っているかということは、国自身がもっと明確にやはり調査をすべきではないか。あるいはその会社等にまかせるとかいうようなことでなしに、相当なやはりしっかりした予算をつけて適地を明確に調査をしていくべきではないか。ここが反対があったらまたほかへ移す、ここが反対があったらまたほかへ移すということでなくて、特に日本の地形あるいは地質等から、なかなか適当な立地というものの場所については十分にあるというわけではない状況である。この点についてはやはり国としての統一のある、責任のある調査、そうして適地を明確にしていくということをやらないといかぬのではないか。そういうことが結局立地にまつわって、調査をしているのは電力の会社である、電力の会社が片方で反対されたからまた次へ移す、次へ移すということでなしに、また、これだけの重大な事故等も予想される、しかもそれも的確にこうなるということのまだ研究途上にあるようなものによる発電の適地というものは、もっと慎重に国が明確に調査をして場所をきめていくべき筋合いのものだ、電力会社のようなものにまかせたり、あるいはちょっとした調査費に基づいてそれを調査するというような現在の状況では不十分ではないかというように私思うんですが、この点について大臣はどうお考えになりますか。
#18
○国務大臣(木内四郎君) 御案内のように、電力事業は火力発電も水力発電も、あるいは原子力の発電にしましても、通産省において電力行政を担当いたしておりまするので、通産省の所管でありまして、私からお答えするのはいかがと思うのでありますが、通産省におきましては、やはり立地条件等についても相当の予算を計上して調査をしておるようでありますが、電力事業は御案内のようにわが国においては、先生と多少意見が違うかもしれないですけれども、民営でやらせることになっておるわけですね。そこで立地条件などにつきましても、これはやはり主として民営によって、電力業者の自主的な判断によって私はきめていくべきだと思うのです。ただし、安全性につきましては、あくまで科学技術庁において慎重に対処していく。先ほども申し上げましたように、まず原子炉をつくる場合には、立地の選択をしましても、それについて設計あるいは工事施行の問題その他について認可をする前に安全性を十分審査しますが、いよいよこれを設けるという場合におきましても、設計とか工事の施行などにつきましても認可をしますし、あるいは仕事を始める場合におきましても十分に審査をして認可をします。あるいは安全性の問題につきましても、安全規定ですね、これについても十分審査をする。そうして安全性の確保ということは科学技術庁のほうで、原子力委員会のほうにはかりまして慎重に処置する、これがいまの仕組みになっているわけです。
#19
○松永忠二君 私はその点やや大臣と意見を異にするわけです。国として電力供給源は非常に重要であり、原子力発電の占める位置は非常に重要である。しかし、これについては危険も予想され、なかなか立地条件等にもいろいろ問題がある。したがって、電力会社が調査をして、そうして電力会社がそれを実施をするためにある地域でつくろうとすれば非常な反対が起きる。反対が起きれば結果的にはつくれないからまた他のところに移さなければならない。またそこでも反対をされてまた移すというように、これだけ大きな問題になるような原子力発電所の場所等については、むしろ電力会社にまかしておくというのは、ある意味では酷ではないか。もっと科学的な調査をして国としてこういう場所については適当な場所であるということをきちっと裏づけをしておいて、そういう中で各電力会社がその中で最もいわゆる取得しやすい場所を自分たちが努力して選択をしていく。非常に重要性を持っている原子力発電が、その地元から反対を受ければもうそれでほかのところへ移さなければいかぬ、そんなことは電力会社のやることなんだということではないように思うのですよ。だからこの点については私たちとはやや意見を異にしている。私は、特に太平洋岸等については原子力発電の立地の条件に適当だと考えているところがほとんど一割くらいだというようにいわれておる。なかなか太平洋岸については原子力発電の設置の場所を選択することは非常にむずかしい条件にある。そういう中でそれをどこに立地するかということは、できるところを電力会社がやっていけばいいという筋合いではなく、こういう意味からこの地域は適切なところだということが明確に国としてなっていて、その中で各電力会社が努力をして取得し建設するということを自分でやっていくというやり方でなければ、国民も安心はできないという感じを強く持っているわけなんです。
 この点については、まだ通産省等もあることでありますので、ちょっと質問を進めて、原子力発電の立地の基準というのはいま技術庁でつくられているようでありますが、この点については、その立地基準から見て浜岡というのは立地に適当な場所であるのかどうかという点についてどういう御判断を持っておられるのか。
#20
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力委員会できめました立地指針がございます。それに基づいてわれわれ浜岡の問題についてはいずれ申請が出てから具体的に入るわけでございますが、いま先生おっしゃいますように、すぐ浜岡が立地指針に対していいか悪いかという御質問でございますが、これは立地指針というものはみんな公開しております。したがいまして、中部電力その他もそれを見ておりますので、当然そのことを考慮して地元対策をしているという考え方で出ておると思います。したがいまして、立地指針そのもののワクに大体入ると予想して中部電力がおやりになっていると、こういうふうに私は考えております。
#21
○松永忠二君 いま原子力発電所の立地審査の指針が科学技術庁のほうから出ている、それに基づいて審査をされるわけですけれども、原子力発電所の立地条件としては、人口がどうであるとか、地質がどうであるとか、地形がどうであるとか、三つの条件が基本的な条件だといわれているわけです。浜岡という土地は地盤が、非常に地質が固いというような点、それから地形が平地であるということにおいて適切な条件を持っているということは事実ですけれども、特に一番中心である人口という面について浜岡というところはその基準に非常に離れているのではないかということを私たちは感じているわけです。感じているだけじゃなくて、静岡県自身が、人口の密度から考えてみて、原子力発電所の設置をする地域としての現在における人口密度をオーバーしている、また浜岡地域を考えてみると、この地域における人口密度というのは、やはり立地基準から非常に人口密度が多いわけです。で、この土地は御承知のとおり熊野灘にあった芦浜に設置しようとして反対を受けてこの地域に立地が移ってきた、建設の場所を移してきた。たとえばわれわれが、われわれも専門家じゃありませんし、しろうとでありますのでよくわかりませんけれども、人口密度、人口、地形、地質、この三つの条件の中の人口については非常に人口稠密度というものの高い地域であるというふうにわれわれは考えるのですが、その点はいかがでしょうか、そういう基準はあるでしょう。
#22
○政府委員(梅澤邦臣君) 先生のおっしゃいますことは、結局安全審査をする場合の基準として当然それは考えられます。それで人口密度のことを考えまするに、人口密度、たとえばその人口密度二百万デム以上になってはいけないという基準があります。そういうことを考えます場合には、そこに設置されます五十万キロワットなら五十万キロワットの炉の設備でございます。その設備の安全対策というものはどこまで施されて、仮想事故と申しますか、仮想の事故を考慮いたしまして、それで判断してもそれで大丈夫であるかどうかということが安全審査で審査されるわけであります。したがいまして現在向こうが設計を考えておりますもので、その人口がどの辺にいるというところに対処いたしまして、それに対してどういう設備がしてあって、どんな過大事故を評価してもだいじょうぶであるということを見て安全許可するわけであります。その点で人口密度との関係を考えますので、現在の予想でただそこに人口がいるからだめだ、どうだという考え方ではなくて、その安全対策、それから過大な事故を評価して、それでも大丈夫だというところで、その点は判断していくというのが現在の審査のやり方でございます。その点設備が出てまいりませんと、その人口密度との関係ということは十分判断できないということでございます。
#23
○松永忠二君 単に原子炉の安全性だけで原子力発電所の立地というものはきまらないということは、これはアメリカあたりでもそうだ。なぜアメリカがそういうことをいっているかといえば、原子炉の安全性というものは、これは現在の状況で考えて安全性が考えられることであって、非常に重大な事故が起こる予想も将来において考えられるので、原子炉の安全性だけでなくて、原子力発電所の周囲の非居住地域であるとか、低人口地域であるとか、あるいは人口密集地域との距離というようなものを非常に重要視して、アメリカ自身も単に原子炉の安全性だけを考えていかないという考え方でやられているわけです。われわれも外国へ行って原子力発電所等を直接見て、ずいぶん低人口の地域に、そしてまた相当な非居住地域をもって人口密集地域と離れたところに立地をしている現状を見るわけです。もしあなたの答弁のように、原子炉の安全性が確認をされればいいというなら、人口密度の多いところにつくったって何も差しつかえない。極端なことをいえば東京につくったって原子炉の安全性がありさえすればそれでいいのだということになる。これは原子炉の安全性というものを非常に具体的に立証されて、明確に把握をされるという点についても今後まだまだ慎重に研究をしていかなければできない段階であるので、そこで立地の場合においてはできるだけの低人口地域につくろうというのがアメリカあたりの考え方である。日本の立地基準はアメリカの基準をそのまま準用してやっているわけだ、そういう意味でわれわれは浜岡という地域が非常に条件的にそれに適合するとは考えられないという点があるわけです。これはいま現に立地している地域と比較してみていく一つのやり方もある、これはそれぞれの地域と比較をしているのですが、たとえば東京電力の福島発電所、この発電所は非住居区域というのが、これの距離が九百メーター、原子炉から。それから、一キロメーターの範囲は零人、何にも住んでいないわけです。それから、五キロメーター以内に九千六百人住んでいる。十キロメーター以内に三万五千人住んでいる。それに対して同じようなことを浜岡地域にやってみると、まだ非居住区域とどれだけの距離を持つかということは、これはこれからいろいろきめていくことであろうしするので明確ではないけれども、一キロメーター以内に二百五十人、それから五キロメーター以内に一万八千二百七十四人、十キロメーター以内に六万四千九百五十三人住んでいるわけなんです。しかも福島の発電所というのは、他の地域と比べてみて比較的人口の、発電所の付近に住んでいる人の数が多いところ、それを私は例にとって、これ以下にもずっと下がっているところもあります。アメリカあたりの基準なんかで、五十万キロワットの原子力発電をするところは非居住地域というのが〇・五キロメーター、低人口地域というのは十・一キロメーター、密集した、人口の二万五千以上の都市の、接近してはならないというこの距離が十三・五キロメーターというふうになっているわけです。で、御承知のとおり、太平洋メガロポリスと言われて、日本人口の約七割から八割が将来この東海道地域に集まってこようという、この人口密度が非常に大きくなることを予想している地域です。この地域に原子力発電所をつくるという。いま日本の国で現に立地をしている原子力発電所と比べてみても、非常に人口密度が大きい。現に日本がすでに設計し着手している地域と比較してみて、あまりに人口密度が多過ぎる、比較してみてですね。したがって、単に原子炉の安全の設計だけを標準にしてこの発電所の立地というものを考えていくべき性質のものではないし、それだからこそ、立地の基準として、たとえば非居住地域が子供の甲状腺に対して百五十レムオン以下でなければいけないというようなことを言っているわけです。これも非常に不明確なんで、一般にはよくわかりにくいわけですけれども、そういう点から具体的に調べてきてみると、非常にこの人口の密度が大きい地域で、しかも熊野灘の芦浜と比較し、あるいは駿河の地域、福島の地域と比べてみて非常に人口密度の大きいこの地域が、どうしてこれが適切な立地であるかということに疑問を抱いているわけです。また、その地域の人たちに非常な不安を抱かせていることも事実です。だから、こういう点についてもっとやはり慎重な配慮があってしかるべきではないか。もしここが適切な立地であるとするならば、そういう科学的な説明を明確にすべきであろうというふうにわれわれは考えるわけなんです。で、まあお尋ねしたいのは、いま予定をし、計画中のこの原子力発電所と比較して、浜岡の地域は、それと比べて非常に人口の密度の大きい地域であるという点は当然確認できると思うのですが、こういう点についてのいわゆる御研究というものはなされておるのでありましょうか。これひとつお聞かせを願います。
#24
○国務大臣(木内四郎君) いまいろいろ伺いましたが、ごもっともな点もあるのですが、中部電力が浜岡へ設置しようとしてあそこの土地を選んだにつきましては、さっき局長からお話ししましたように、この原子力委員会においてきめました立地の条件に、それに大体合うと見てそういう計画を立てていると思うのですが、それが出てきました場合にこれを許可するかどうかという場合には、単に原子炉だけではありません。原子炉の安全性だけではありませんで、環境に対する影響、危険はないかどうか、こういうことはもちろん安全審査委員会において考慮に十分に入れます。また、事故が起こらないような場合に、そういう設計あるいは工事施行の場合に許可するのですけれども、万一事故が起こった場合においてもこの安全性を確保できるかどうか、こういう点についても十分に考慮しますし、単に原子炉の安全性だけの問題を審査するわけではありません。その点は、この案が出てきました場合に、安全審査委員会において慎重に考慮し検討いたしまして、そうして、基準に合っている、これならだいじょうぶだ、こういうことを認めた場合にこれを許可することになると思うのです。
#25
○松永忠二君 いままで、原子力委員会の原子炉安全専門委員会へ来て、出力を変更させたり、あるいは安全基準等に照らしてみて設計を変更させたというそういう事例はあるのですか。
#26
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力発電の場合ですと用途がはっきりしておりますが、用途によりましては、使用変更と申しますか、使用範囲が拡大するとか、あるいは中の設備の合理化というところで設備の改善のための安全の再審査と、こういうことは当然ございます。その点はいままでも一、二小さいところで出ております。
#27
○松永忠二君 どことどこで……。
#28
○政府委員(梅澤邦臣君) こまかいことをちょっと知りませんが、東電の場合と、それから関電の場合もございます。
#29
○松永忠二君 具体的にどこの場所についてやったのか。
#30
○政府委員(梅澤邦臣君) 東電の福島の場所でございます。
#31
○松永忠二君 ほかにはないのですか。
#32
○政府委員(梅澤邦臣君) いまのところこの二つでございます。
#33
○松永忠二君 まあ審査出してくれば大体それが通るというのが従来の例ですから、ひとつぜひそういう点について、事前の十分な調査やあるいは指導というものをなされていくように特に考えていただきたい。われわれしろうとがどう考えてみても、この地域は、将来的にも現在から言っても、人口密度の非常に大きい、そうしてまた、日本全体の立地の適地というのが太平洋岸に約その地域の一割だといわれていて、太平洋岸では非常に立地が適当なところを選ぶにむずかしいというふうに調査をされ、報告もされている。そういう中で、特に太平洋岸の中で一番人口の集まってこようという地域、静岡の地域もまあこれそういうふうな地域、ここの地域に何も原子力発電所をつくらぬでも、もっと適切な場所が国として選ばれ得るのではないかという点に、率直に疑問を持っているわけなんですよ。また、こういうことを一般の人たちも懸念をしているのではないかと思うのですよ。われわれもそういう点で理解ができればいいわけだけれども、確かに地形、地質においてはいいけれども、まず人口の、原子力の発電所の三基準だといわれている人口において非常にはなはだしくこれは適切なものではないということを考えているので、こういう点について、これが適切であるというならば、よほどのひとつ具体的なものを示してもらわないと承知はできない。現に日本がやっているところと比較してみても、格段な人口密度の多いところではないかと考えるわけなんです。そういう点から質問をしているわけです。
 それからまた、この原子力発電所が海水を使って冷却水として相当な多量な、毎秒三十トンの冷却海水を要するというふうに計画にも出ているわけです。一体この西駿河湾というところが沿岸漁業としてどういう位置を占めている場所であるかということについて、水産庁ではないわけですけれども、少なくもうわさをちゃんと聞いて知って、ほとんどこの八月ごろには持ってこようという状況のときですから、少しぐらいそういう点について調査は進められているのだろうし、ものを持っていると思うのですが、どういう把握をされているのですか。
#34
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子炉のいまおっしゃいました安全審査の場合に、確かに相当の冷却水を使います。しかし、冷却水は炉の中に入るわけじゃなくて、炉回りの外を冷却するわけでございまして、事故のない限り決してそのほうに放射線が入ってくるという危険はほとんどありません。しかも、それを排出します場合の排出の基準というのがございまして、これ以上のものはここに排出してはいけないということで、魚あるいは海水浴等、海を利用する場合の問題としては安全であるということでなければ流してはいけないということになっております。したがいまして、漁業関係のことについては、申しわけございませんが、私現在のところ正確なものを持っておりません。しかし、考え方としてはそういう形で、漁業関係に影響のない、あるいは不安を与えない、こういうような形で炉を安全に利用していくというたてまえでやっておりますので、その点では完全に漁業関係の方に御迷惑をかけないようにしていくという方向で進めております。
#35
○松永忠二君 私は、放射能自身が、汚染された海水が出るという点について、これはある一定の基準を設けてやっていることであるけれども、これが常時放出されて、そういうものを始終――魚が始終そういうところへ行って住んでいる場合に、どの程度汚染をしてくるかというそういう研究あるいはまた冷却水の温度自身が漁業に対してどういう影響を及ぼすかという点について、日本の国に一体明確な資料があるのですか。
#36
○政府委員(梅澤邦臣君) 魚のことにつきましては、現在海外の資料がございますのと、われわれのほうに放射能医学総合研究所がございます。そこ等で魚に対するいわば濃縮、そういうものを研究しております。そういうデータを全部集めまして、それで安全審査で判断していくわけでございますが、もちろんこの研究については進歩がございますので、今度は放医研でも臨海実験場をつくりまして、そこで十分魚の研究も進めていく。そして、大学の先生方にも魚の研究をしていただく。しかし、安全審査で魚にどのくらい濃縮するかということにつきましての判断する材料というものは現在ある。そのあるものでやっておりまして、かえって濃縮度が相当な安全係数をかけておりますから、その点においては魚の研究が進み次第ほんとうの基準ができると思いますが、現在のところはいまありますデータに相当な安全係数をかけまして、それで判断しているというのが現実でございます。
#37
○松永忠二君 その点はあなたのおっしゃることばかりを信用するわけにはいかぬでしょう。この点の研究というのは非常に不十分だというふうにいわれているわけですね。特に水産庁の関係のこうした研究費というものに非常に少ない。そのために十分な研究ができていないということで、汚染そのものにも問題があるけれども、一体冷却した水の温度によって漁場にどういう影響がそこに出てくるのかということについても非常に研究が不十分だというふうにいわれているわけなんです。これは事前にお願いをしておいたわけじゃありませんけれども、大臣にちょっと記憶しておいていただきたいことは、この漁場はシラス漁場として日本第一の漁場なんですよ。そして、われわれの聞いたところでは、一漁業組合が一年に一億以上の水揚げがあれば大体標準的な漁協だといわれている。その一億以上の水揚げをしているところも漁協で相当あるわけなんです。したがって、いま一番問題になっているのはここの漁協の人たちが納得しないわけなんです。それからまた幾ら土地の買収が進んだとしても、漁場にこの冷却水を放出する以上、漁業権の関係で解決がつかなければ、これは設置できない。これは当然なことです。そういう点でも今後問題はあるわけなんですね。
 で、先ごろ実は東海大学を中心にして、ここに浅根漁場というところがあるわけです。これの調査をやったわけなんです。これについては関係者の間で、外部へ漏らさないようにやっていこうということで、漁場報告というものも出されているようです。われわれも明確にこうだということを言うわけじゃありませんけれども、その調査によると、浅根漁場は非常にいい漁場であるということは科学的にも立証されているように私たちは承知している。いわゆる黒潮が淺根漁場から中へ入ってきて、そうして沿岸と漁場との間の水に非常に影響を及ぼして、これが魚の生息に非常にふさわしい場所であるというようなことも、結果的に科学的にも証明されていることをわれわれも聞いているところであります。したがって、この漁業の問題についても、非常に影響するところもある。そういう点もひとつ、今後十分に考えていくべき筋合いのものだと思うのです。
 それともう一つは、地帯整備事業というのがあるわけです。これは東海村あたりへ私たちが行って、東海村の村長等と話してみても、実は地帯整備事業が非常に予算がとれなくて十分できない。地元の負担が非常に多いということで嘆いておられるわけなんですが、この地帯整備事業というのは、十分にやっておかないと、特にこうした地域のことですから、非常に安全の問題が確保されないわけなんです。この地帯整備事業の問題について、科学技術庁というのは一体どんな積極的な施策と方法を考えて、具体的に予算的な面で努力をされているのでしょう。この点についてお聞かせください。
#38
○国務大臣(木内四郎君) まず初めお話しになりました水産物に対する影響の問題、これは局長からも御答弁申し上げたように、いろいろ研究をしておりますが、重要な問題でもありますので、今後におきましてもその研究を、農林省と十分連絡をとって続けてまいりたいと思います。
 それから地帯整備の問題ですけれども、この発電所の場合の地帯整備の問題は、発電事業者が主としてこれをやることになっておりまするけれども、地域開発その他いろいろな点から見まして必要のある場合におきましては、国におきましてもできるだけの処置をいたしたいと、かように考えております。
#39
○松永忠二君 最後に、地帯整備については、それが建設されるときに国との間に打ち合わせをして、地帯整備事業をきめていくわけです。それに対して国は一体どのくらいな――この東海村あたりは、三分の二道路について補助をするというようなことをやっている。三分の一は地元が負担をしていくというような形で、いわゆる何か大きな事故があったときに、その道路を避難道路として考えて整備をやっているわけです。これについても十分国の予算がつかないために、その事業が進められない点もあるし、あるいはまた三分の一地元負担というのが、非常に負担にたえられないというような言い方もされているわけです。したがって、 この地帯整備事業というものについては、大臣が言うとおりに、それはその事業者がやるというよりは、科学的にやはりその地帯整備の必要を明確にして、それについて今後それを完備していくということについての国の積極的な努力というものが必要だと私は思う。そういう点について、今後十分にひとつ努力をされるように要望しておきます。
 特に初めの問題については、きょうは時間も十分ありませんので、十分なことできませんけれども、われわれはそのちょっと類似の日本における発電所の場所を世界における原子力発電所の場所と比較してみても、非常に異例な場所における立地だというふうに考えて、これにはなかなか納得がいかない点があるわけです。こうした問題についてなお十分にひとつ研究調査等を遂げていくことを強く要望して質問を終わりたいと思います。
  〔主査退席、副主査着席〕
#40
○矢追秀彦君 時間がありませんので簡単に二、三点お伺いして終わりたいと思いますが、初めにけさの朝日新聞に出ております濃縮ウラン製造の基礎実験に成功したという記事でございますが、この実験に対する評価と、それからこの濃縮ウランに対して今後どういうふうに科学技術庁としては持っていこうとされておるのか、その点お伺いしたいと思います。
#41
○政府委員(梅澤邦臣君) ウランの濃縮につきましては原子力委員会で考えております遠心分離の方法と、きょう新聞に出ております気体拡散法と二つございます。アメリカではこれと違いますが、やはり気体拡散法で現在やっております。それからヨーロッパのほうでは現在やはり経済性からいくと遠心分離のほうがいいんじゃないかというようなことで共同体で研究を進めようというのが最近新聞に出ておりますが、わが国のほうでは原子力委員会で考えておりますのは、この二つの方法をこの数年やりまして、四十七年ごろにその二つの方法でどちらが経済性で一番いくかというようなことの判断を四十七年ごろまでにつけて促進したいというふうなことで、この二つの方法の研究が進められております。そして現在新聞に発表されました内容についてはまだほんとうの基礎実験でございます。それで、これは特に酸化アルミを使いまして、それで膜をつくりまして、それで、その膜を通してうまくいくかどうかという実験で、うまく通ったという基礎データが出たところでございます。しかし、いまこれをそのまま実用化に持っていく段階におきましては、まだまだ研究課題がございます。ただ膜がうまくそういうところに使えるんじゃないかというところが出ましたので、それを本日学会で発表しようというところの記事が今度出たわけでございますが、まだ現在としては非常に基礎的な問題でございまして、四十七年ごろまでにほんとうの経済的な方向を考えて、今後の方向を措置していきたいというのが現在の考え方でございます。
#42
○矢追秀彦君 その遠心分離法の研究成果のほうは、これは発表はできないと思いますけれども、大体どの程度現在では進行しておりますか。
#43
○政府委員(梅澤邦臣君) 遠心分離につきましては、数年前の燃料公社、現在の動力炉事業団の燃料のほうでやっておりますが、現在遠心分離機の四号基をお願いしておりますが、一、二、三号基で、今度は四号基で実験していくという、いろんな型の遠心分離機でやっておりますが、これはまだ模擬的なやり方で、ウランを使ってやるところまでいっておりません。しかし遠心分離の機器としての開発は、基礎的なところが相当進んでおるというのが、まだ現状でございます。
#44
○矢追秀彦君 さっき言われました四十七年までにどちらかをきめたいというふうな方向ですが、現在の、きょうの新聞のガス拡散法と遠心分離法と、いまの程度のスピードではたして四十七年に結論が出るかどうか、その点どういう見通しになっていますか。
#45
○政府委員(梅澤邦臣君) 実は四十七年ごろというのはこの一年半前ぐらいに考えたことでございます。ところが、その後ウラン濃縮というのは世界的に非常に問題になってまいりました。そして先般来ヨーロッパでドイツ、英国等が一緒になってウラン濃縮の研究を進めようという段階も出てきております。そういう関係から非常にウラン濃縮の問題というのはアッピールしてまいりまして、原子力委員会におきましても現在の方向として、先ほど申し上げました四十七年に考えておりますが、先般、参与会というのが原子力委員会にございます、そこにおいてもこの問題を重要視いたしまして、今後どういくかもう一度考えてみよう、その点は十分練ってみようということの相談をいたしております。しかしまだ相談程度でございまして、四十七年という筋は曲げていません。ただ傾向といたしますと、いま先生おっしゃいましたように、四十七年までそういうことでいって、世界的に日本が乗りおくれるかどうかということの心配ということが現在確かに心配になっております。したがいまして、研究はできるだけ早く進めたいと、そういうための処置をしたいと、そういうふうには考えております。
#46
○矢追秀彦君 この濃縮ウランは非常にお金がかかるわけでありますけれども、現在はアメリカからの供給にたよっておりますけれども、将来わが国で国産をしていくという場合、経済性といいますか、日本で開発をしていったほうがやはりいいのか、あるいはアメリカに今後ともたよっていくのか、アメリカの供給能力にもかなり限度があると思うのでありますが、その点はいかがですか。
#47
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在のところは、濃縮ウランは向こうから大体の計画をきめてたよっておりますが、やはりいまの傾向でまいりますと、濃縮ウランそのものはこれからの燃料のサイクルでうまく合理的に持っていくという考え方からいきますと相当濃縮ウランを使う形になります。そういう関係からいきますと非常に考慮すべき点ではないかと、ただいま先生おっしゃいました、いつごろから濃縮ウランを日本でやるかどうかという考え方でございますが、これについてはもう少し慎重に原子力委員会で考えていきたいというのが差しあたりの現在の考え方であり、まだ全くその点についてここでどういくということはちょっと御説明できない状態でございます。
#48
○矢追秀彦君 現在の事業団でやっております新型転換炉あるいは高速増殖炉とこの濃縮ウランの開発との関連性はどうですか、その方向についてお伺いしたいと思います。
#49
○政府委員(梅澤邦臣君) 新型転換炉は、できれば原型炉の設計を四十四年度においてはかりたい。それから高速増殖炉については今年から小規模の実験炉にかかるということで、今後まだ十数年かかって実用にまいる予定でございますが、その間に濃縮ウランの問題と、それからプルトニウムの燃料の問題、それの需要関係というものを考えなければいけませんが、その点も考慮して原子力委員会で四十七年までというような考え方もお出しになったのはその点がございます。現在研究段階の高速増殖炉、新型転換炉との関連も当然考えて濃縮ウランを日本としてどう持っていくか、これは早急に考えさせていただきたい、こう思っております。
#50
○矢追秀彦君 長官にお伺いしますけれども、濃縮ウランができるということになりますと、やはり原子爆弾という問題が必ず出てくるわけです。わが国では核兵器はつくらないということにはなっておりますけれども、こういうものができれば、やはり潜在的には核兵器を持つ能力をわが国が持つことになるわけです。そうすると、外交的な立場も強まるということも考えられますけれども、私はそういうことのために急ぐのではなくして、やはり平和利用ということにしぼっていかなければならない。したがって、あくまでも原爆を持てるのだぞというふうな力を示すというふうな、そういうやり方には決して私は持っていってはならないと、このように思うのですが、今後の問題といいますか、方針といいますか、それについてお伺いします。
#51
○国務大臣(木内四郎君) 御質問の点たいへん大事な問題でありますが、御案内のように原子力基本法によりまして、わが国の原子力の利用というものはあくまで平和目的に限る、こういうことになっておりますので、われわれとしてはたとえ技術が相当に進んでどんなことでもできるということになりましても、原子力の利用というものはあくまで平和目的に限るということでございまして、これによってわが国の潜在的の科学技術の水準が非常に上がってくる、それを外国がどう評価するかということは別の問題でございまして、われわれとしてはあくまで平和利用に徹する、こういう考えでおりますので、これによってわが国の原爆の製造能力を誇示するとかなんとかそういうことはわれわれとしては全然考えておりません。
#52
○松永忠二君 ちょっと関連して。これはどうなんですか、われわれしろうとでわからぬので、もし違っているなら違っているとおっしゃってください。五十万キロワットの原子炉の熱出力は百四十六万キロワットであり、プルトニウムの一日の出る量ですね、原子炉の中にプルトニウムがあると残るわけです。いわゆる廃棄物が残るわけですが、これがまあ一・五キロであると、この数字は正しいんでしょうか。われわれしろうとでよくわかりませんが、五十万キロワットの原子炉を使った場合に、一日のプルトニウムの排出量というものは一・五キロだと。広島の原爆が一キロですか、したがってまあ三十日全部稼働すると四十五発分がプルトニウムとして出ると、こういう数字をあげているわけですが、専門的な立場からこれは正しいんでしょうか。
#53
○政府委員(梅澤邦臣君) どうも私も専門ではございませんが、熱出力から考えて、いまの先生のおっしゃいましたプルトニウムの量も大体けたからいってその程度だろうと私も思います。ただ先生おっしゃいましたその程度のもので、原爆の量と申しますか、これはただ散らばってずっと出てまいりますので、それを濃度九〇何%のプルトニウムだけ取り集めるということはたいへんな問題でございます。その関係から発電への利用だけで考えまして、今後できてくる高速増殖炉へ入れますと、それがまたプルトニウムをつくり、それを燃料として取っておきますから、抽出はいたしますけれども、いま先生がおっしゃいましたくらいのものはあの燃料の中にできてくると、こうお考えになってけっこうだと思います。
#54
○松永忠二君 そうすると、いままで日本が持っているプルトニウムというのはどういうふうに保存されているんですか。今度茨城にこの処理工場を建設するということで、現在のプルトニウムは一体どういうふうな保存のされ方をされているんですか。
#55
○政府委員(梅澤邦臣君) 二百数十グラムがいま原研にございます。これは原研でできたものでございます。それからあと数キログラム研究用として輸入したのがございます。これはもう研究用として置いておるところで安全基準に基づまして保管しております。そういう状況でございます。それから当然……
#56
○松永忠二君 ちょっともう一度数字を言ってみてください。
#57
○政府委員(梅澤邦臣君) 原研に現在ございますのが二百数十グラムでございます。それから現在まで輸入したプルトニウム、これ研究用でございますが、それが数キログラムございます。
#58
○松永忠二君 これどういうふうな保存のしかたをされておるんですか。
#59
○政府委員(梅澤邦臣君) プルトニウムの取り扱いという一つの基準がございますが、その入れものに置いてございますし、それから輸入したもの等につきましてはIAEAの査察がございます。それで十分うまく管理しているか、量もちゃんと押えているか、これは全部調べているわけです。
#60
○松永忠二君 そうすると、民間の大学等にある小規模の原子炉がありますね、あの廃棄物の処理というものは一体どういうふうになっているんですか。
#61
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在のところああいう廃棄物はまだわずかでございますが、全部貯蔵してございます。
#62
○松永忠二君 その研究所に……。
#63
○政府委員(梅澤邦臣君) はい。
#64
○矢追秀彦君 いま問題が出ましたプルトニウムの再処理工場の問題について簡単にお伺いしたいと思います。この間原子力委員会の部会におきまして安全性が確保できるという調査結果が発表になりましたけれども、地元のほうがかなりあれから反対をしておりまして、また水戸射爆場との関係がいろいろ問題になっておるわけでございますけれども、地元が現在納得しておるのかどうか。今後どういうふうにしてもしつくろうとされるならば、説得をされていくのか、これをお伺いしたいと思います。
#65
○国務大臣(木内四郎君) いまお話しのように、この専門部会におきまして安全性に関する報告をいたしまして、まあ安全性については十分にこれは確保できるという結論になりました。そこで、茨城県の県議会におきましてもやはり専門委員会がありまして、そこで、その原子力委員会の専門部会の報告を審査いたしました結果、まあ安全性は十分に確保できるということはわかる、しかし、この水戸の射爆場はこれはやっぱり非常に地元の者も不安を持っておるし、これはないほうがいい、これをよそに移してもらうということを条件としてこの再処理工場の建設を認めておるというようなことでございまするが、まあ市町村その他の各種団体においていろいろ反対の陳情をしておる面もありまするけれども、こういう安全性に関する報告も出ましたので、われわれといたしましては、まあできるだけこういう人たちの了解を得るように努力をいたしたい、かように考えております。
#66
○矢追秀彦君 わが党で行なった水戸射爆場の地域住民の意識調査によりますと、被害や影響を受けているといつも考えておるというのが四〇・三%、それから危険を感じておるというのが五五・五%、米軍基地をすぐ撤去してほしいというのが五一・九%、移転をしてほしいというのが三〇・九%、こういう調査の結果が出ておるわけでありますが、やはり撤去が非常に多い。それから危険を感じておるのが半分以上ある、移転をしてほしいというのがある。両方足しますとやはり置いておいてもいいというのはもう一〇%少々であるわけです。こういうふうな状況でありますので、プルトニウムの工場とは別にして、やはりどけてもらいたいという希望が非常に強いわけです。そこにもってきてこういう工場ができるというならば、よけいにこれは加わってくると思うわけですね。したがいまして、できるだけこういう地元の住民の考え方からいいましてもやはり撤去を米軍と交渉した上で何年かうちには撤去できるという確約もとり、その上で地元に対して再処理工場を建設するという交渉をされたほうがいいんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
#67
○国務大臣(木内四郎君) いまお話しがありましたように、この地元におきましても県あるいは県知事あるいは県議会あるいはその他各種団体、まあいろいろありまして、いまお話しになりましたようなお調べもあると思うのですが、それはおそらくこの安全審査に関する報告が出る前のことではないかと思うのであります。いずれにいたしましてもこの安全性のことにつきましてはさっきから申し上げておるように専門部会の報告がありまして、安全性はまあいい、こういうことは私どもも御報告を受けましたので、地元の方々を説得するにつきましても非常に力強い材料を得たと思っております。しかし、いまお話しのように、この射爆場の問題は地元の反対の大きな一つの理由にもなっておりますので、従来からも防衛庁に対して極力この移転を進めてもらうようにお願いしておるのでありますけれども、今後におきましてもこの射爆場の移転の問題を極力ひとつ進めてまいるようにいたしたい、かように考えております。
#68
○矢追秀彦君 大臣、勘違いされると困りますから申し上げますけれども、確かに安全性の発表の前の調査でありますけれども、これは何もその東海村とは関係なくして、水戸射爆場に対する住民の意識調査のデータですから、わが党の基地総点検をやった。その点誤解のないようにお願いしておきます。
 で、その安全性の問題でありますが、まあ委員会としては結論を得たのでありますが、これに対する、ただ委員会で結論が出たからではなくして、やはりその内容、調査結果のこういう点とこういう点とこういう点で絶対間違いない、もしかりに射爆場が残ったとしても、いままでの過去の事故のデーターを全部出しまして、もしそれが全部そっくりそのまま起こったといたしましても、かりに今後兵器の進歩やなんかを勘案してやった上でも、なお安全なのかどうか、そこまでを勘案した上での安全なのかどうかということがやはり私は問題になるのじゃないかと思うのです。その点はいかがでしょうか。
#69
○政府委員(梅澤邦臣君) 昨年の八月に安全審査に入りました。それからこの会議では、部会を十回、それから中で施設関係の分と民衆その他の環境関係の分と二つに分けまして、それが十数回ずつ開きまして、約三十五回の検討をやっております。
 それで、内容で申し上げますと、やはり一番問題になりますのは、こういう安全審査をします場合に、万が一の過大な事故が起こった場合と技術的には考えられないけれども、過大な事故が起こった場合ということを与慮に入れて、それについては約七項目勘案いたしました。その中には、射爆場がございます関係もありまして、飛行機の墜落等も当然入れて考えます。それで考えますと、一番大きな被害が起こり得るということが溶解槽におきます臨界をこえた場合の問題が一つと、それから有機物を溶解させますところで火災が起こった場合と、これが一番大きな問題になるということを仮定しております。これにつきましては、その仮定を計算しまして、十分周辺の民衆の方々にICRPの基準よりずっと低い基準で、もしもあったとしても安全であるという評価がされております。それから飛行機の問題が特にございますが、飛行機につきましても、誤爆と、それから飛行機の墜落と、それから墜落した場合にそれが持っております燃料をこぼす、こういうような関係からの火災等も考えまして、その点につきましても安全であるというところの評価をいたしております。それから地震がございますが、地震につきましても、東京の地震のたしか三倍だと思いますが、たとえばそういう過大な地震が起こった場合という計算をいたして安全としております。それからも一つ、水の関係でございますが、海洋のほうにここのところで使います溶液が排出されるという点がございます。これにつきましては、海水の中に常時捨ててまいるわけでございますが、この基準がどうかという問題でございます。これにつきましては、先般、三月六日でございましたが、放射線審議会で、再処理工場が海洋に液体の廃棄物を捨てる場合の基準が出ております。それで、これはICRPの基準よりも十分の一の基準でいけと、それをもとにいたしましてこの審査会でやはり考えております。それで、その場合には、原研その他がいままで常時調査したデータがございます。それに非常な安全性をかけまして、あそこでだいじょうぶであるということできめております。それからさらに、ああいう今度初めての廃棄物処理の再処理工場でございますので、中央の権威あるモニタリングといいますか、そういうようにデータを判断する評価機関を当然そこへつくるということがございまして、その評価機関の設置がその中に意義づけてございますので、これについてはわれわれが当然それも考えて進めていくというような大体内容で安全審査は進められたわけでございます。
#70
○矢追秀彦君 最後に一つで終わりますけれども、いまの海の場合でありますけれども、お魚もここはシラスがたくさんとれるところでありますけれども、海の場合とかそういう魚が食べる場合等はかなり常識とは違ったデータが出てくる場合が多い、このようにいわれておるのですが、この場合、やはりある程度実験をした上で結論を出さないと、ただ許容量の十分の一だからだいじょうぶだとそういうことにせずに、やはりそこの海の水でそこの魚を使って実際やってみて、それで安全だというふうにしないといけないのじゃないか。このように実験をされたかどうか。
 それからもう一つ、その地域の魚がだいじょうぶだといっても、世間の人が心配してそれを食べなくなったという場合、漁業補償ということはそういう場合でも考えられるのか。その二点をお伺いして、質問を終わります。
#71
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいまのシラスの場合でございますが、あそこの海洋を調査いたします場合に、シラスという魚は非常に海洋の流れに沿って動く魚だと聞いております。したがいまして、廃液が出ましたときに、それが力がございますと、その中を泳いでいくのではないか。それに、その魚を一番漁民の方が食べるとして計算して、集団的に食べる、しかも一日に二百グラム三百六十五日食べた場合に一体どうなるかという計算をいたしております。その場合の計算でいきましても十分安全性があるということで安全審査が通っております。しかし、いま先生のおっしゃいましたシラス、あるいは先ほどの質問にもございましたが、魚についての実験というものは、当然今後もどんどん進めていかなければいけない。そういう関係の研究も十分進めることというのが中にございます。その安全性をかけまして、シラスを二百グラムずつ毎日食べてもだいじょうぶということから一応判断させていただいております。
 それで、補償措置の問題でございますが、実は原子力そのものというのは非常に安全な形で動くし、安全であるということで十分考えておりまして、そういう補償があり得るというものは考えないで一応原則として進めておりますが、十分その点は今後考慮させていただきたい、こう思っております。
#72
○副主査(鬼丸勝之君) 別に御発言もなければ、以上をもちまして科学技術庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。
    ―――――――――――――
  〔副主査退席、主査着席〕
#73
○主査(矢追秀彦君) 次に、昭和四十四年度総予算中、労働省所管を議題といたします。
 慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#75
○中沢伊登子君 初め、通勤途上の災害についてお伺いをいたします。時間がだいぶん制約をされておりますので、簡潔要領よく御答弁をいただきたいと思います。
 最近、労働者側から、通勤途上の災害を業務災害の補償の対象にするようにという要望が非常にふえておりますが、その点を検討しておられるかいかがですか。ついでに続いて御質問いたしますが、ILOの百二十一号条約において、業務上災害の定義を国内法によって、その中に、通勤災害を含むと、このように規定しておりますし、諸外国ではすでに補償の対象にしておりますが、日本ではまだ対象にしていないのは少しおかしいのではありませんか。業務上災害についての解釈を広げるべきであると思いますが、その点について御質問いたします。
#76
○国務大臣(原健三郎君) いまの通勤災害を労働災害に入れるよう検討しておるかという御質問でございますが、それは労働省におきまして鋭意検討の最中でございます。
 それからILO百二十一号条約との関係でございますが、これは、各国においては、通勤途上の災害を業務災害とみなすように規定しておりますが、同時に、社会保障制度によって保護されておるような場合はこの限りでない旨を規定いたしております。それで、わが国の場合においては、通勤途上の災害についての健康保険、厚生年金保険あるいは自動車損害賠償保険等の保護がありますから、それらを全部総合勘案して、現に労災保険審議会においても、いま、外国の例、わが国の社会保障、保険等の取り扱い等を参考にして検討をお願いいたしております。目下審議会で検討されておる最中でございますので、それを待ってから適切なる処置をいたしたい、こういう次第でございます。
#77
○中沢伊登子君 最近の経済の急激な成長とか、あるいは技術革新等に伴いまして、初め予想をしていたよりももっと交通事故がふえたり、職業病というものが出てきたり、災害が発生する危険性が非常に多くなっております。そこで、私は、早急に補償の対象にすべきであると考えております。労働省が難色を示しておるのは保険財政上の問題があるように伺っておりますが、労働省の調査によれば、現在、通勤災害の件数は、全労働災害の一五%ぐらいではないか、このように調査をされたはずでございます。その多くは、いま労働大臣から御答弁のありましたように、自動車事故であります。つまり、自賠法や民事上の損害賠償を受けるものがかなり含まれているようでございます。そうすれば、労災保険の給付は保険財政を脅かすほどの支出にならないのではないか、このように考えられますので、その点を御答弁を――。
#78
○政府委員(和田勝美君) ただいまの御質問でございますが、実は財政上の問題ということももちろん重要なことでございますが、そのほかに、理屈の上でもこの通勤途上の災害については議論があるのでございます。先生御存じのように、労災保険は原則としましては基準法で使用者の無過失賠償責任を確保しておりますが、それとの関連で常に問題になりまして、通勤途上、使用者の管理支配下に必ずしも労働者の方々でありますからおられるわけではありません。自分で選んだ道を通るということであります。使用者の管理責任が及ばない範囲であるのかないのか、そういうことが非常に問題になっておりますので、そういう法理論上の問題も含めて審議会で御検討をいただきたい、かように考えております。
#79
○中沢伊登子君 しかし、通勤する道は大体きまっているのではないかと思いますね。それで、先ほど申し上げましたように、あまり交通事故がふえてきたりいろんなことで前ごろとはずいぶん様子が変わってきている、こういう点でそういう理屈はもう少し解釈を拡大してほしい、このように私どもは考えております。
 それからもう一つ、業務上の災害の場合ですね。それは、死亡では大体三百万円ぐらいが限度、傷害の場合は五十万円ぐらいと聞いておりますけれども、この間クリーニング屋さんの何とかという民事裁判がございましたが、あの三千万円という事件、ああいうような問題は看護婦の付き添い料までが含まれておりますね。こういうような問題が出てまいりますと、その三百万円とか五十万円とかいうのはあんまり額が安過ぎるのではないか、労働災害のですね、その点の改善を検討しておられるかどうか、その点もお伺いいたします。
#80
○政府委員(和田勝美君) 実は、労災保険全般につきまして、各方面からいろいろの御意見が出ております。ただいま先生がお示しになりましたのもそういう御意見も十分に出ておりますので、ことしの初めから論点を整理をして、先ほど大臣からお答えを申し上げましたように、労災保険審議会において大体一年間ぐらいでいろいろの検討をしたいということで、いま先生がお示しになりましたようなものも含めまして、制度全体についての検討をいたしておるわけでございます。その結果をもって私どもにおいては処理をいたしたいと考えております。
#81
○中沢伊登子君 先ほどから二、三、質問をやりとりいたしましたけれども、これは労働者の非常な要望でありますし、それから環境が昔とはずいぶん違っております。額の点においても、そして先ほどの理論上の問題においても、もう少しこれは拡大をして労働者を守るべきだ、こういう方向に向かってひとつ努力をしていただきたい、このように要望をいたしておきます。
 それで、いま自賠法の問題が出たものですから、ついでに運輸省のほうにも自賠償の問題で一つ二つ御質問申し上げておきたいと思います。先ほど申し上げました三千万円の件は最高の例でございますけれども、こんなとき自賠法をどのように解釈をされるのか、このようなときにどうなさるのですか、その辺をひとつ伺います。
#82
○説明員(岡田茂秀君) 通勤途上の労働者の災害といいますか、私たちの立場からいたしますと、労働者のみでなくて、国民一般についてでございますが、それがもし自動車の事故に基因したものであるということで、ある場合におきましては支払いの方法は異なる場合もございますが、結果的には、自殺その他の自損行為にあらずんば、原則として自賠法の定める限度額までの死亡の場合には三百万円、傷害の場合には五十万円、後遺症を伴う場合にはそれぞれの等級に分かれて最高三百万円が支払われるということが一応言えるのではないかと思うのでございます。
 それから、次に、限度額が三百万円でいいのかというお尋ねのようでございますが、この点につきましては、私たちも鋭意検討いたしておる次第でございまして、その限度額の引き上げについて可能な範囲で善処したいというふうに思ってはおりますが、何ぶんこの財源は約二千万に及ぶユーザーの方々から保険料としていただいておるものでございまして、それらのユーザーの方の負担も考えなければいけませんし、最近非常にこの保険収支が悪化しておりますので、それらもあわせ考えて、なるべく早い機会に結論を出したい、かように思っております。
#83
○中沢伊登子君 ひき逃げの場合でも自賠償の対象になると伺っておりますけれども、それは、明らかに車がひいたという物的証拠がなければ適用されないのか、あるいは、現場を見た人がいなかったときには対象にならないのか、その辺をひとつ御答弁いただきたい。
#84
○説明員(岡田茂秀君) ひき逃げの場合は、政府の保障事業として手当てすることになろうかと思うのでございますが、法によりますと、自動車の運行によって基因したものであるということが一つの要件であり、また、自動車の保有者に無過失であるということが証明できないということが一つの要件になっておりまして、まず自動車の運行によるということが何らかの意味で証明されなければならないのではないかと思うのでございます。したがいまして、それが実務上の取り扱いについて申し上げますと、警察の事故証明であるとか、あるいはまた診断書、亡くなられた場合には検案書というふうなものが請求の必要書類になっておりまして、それらから勘案して、やはりしかるべき専門家が診断し、自動車事故に基因するものであろうということが認定されればお支払いしているような次第でございます。
#85
○中沢伊登子君 時間があれば例を二つか三つ申し上げたいのですけれども、時間を詰めるようにということですから、例はまたの機会に譲ります。
 交通事故が日ましにふえておりますそういう中で、被害者の救済措置が非常におそまつで、被害者が泣き寝入りをしないで済むような方法をとにかく考えていただきたい。たとえば、から手形になるような場合はどうなるのか、その点を伺いたい。
#86
○説明員(岡田茂秀君) 先ほど例に引かれましたように、最近の民事裁判で二千八百万円に及ぶ判決が下っておりますが、これらの場合に、から手形にならないという保証はないかとも思います。さような場合にどうするかということでございますが、御承知のように、自賠法ないし自賠保険というのは被害者を救済することを第一目的にはいたしておりますが、そのいわば最小限というか必要な範囲内においてこれを補償するということをたてまえにいたしておりまして、さらに、それを補うために、自動車を持つ人がそれ相当の資力、信用を持っておることが当然望ましいことであると存じます。それらの方々が、民間でやっております任意保険に入っていただくということも必要なのではないかと思います。しかし、そうは言うものの、人命尊重の立場から最低限を補償する自賠責においてもその引き上げについて考えなければならないというふうに考えておる次第でございます。
#87
○中沢伊登子君 いまの任意保険でございますけれども、やっと日本では任意険保の加入者が四〇%をこえるとかこえないとか、そこら辺にまできているそうですけれども、アメリカでは九〇%以上がこの任意険保に加入しておる。これに比べますと、非常に問題にならないわけですね。これらの任意保険に加入するような今後の日本の見通しはどうか、また、加入するように指導措置をとっておられるかどうか、その点を伺いたいと思います。とにもかくにも被害者が泣き寝入りをしないように、それには、先ほど、ユーザーが保険料の負担がふえてくると、こういうふうなことを言われましたけれども、自動車を持たれるような人は多少は保険料を強制的にでも引き上げていいんじゃないかと、このように私ども考えますので、とにかく被害者が救済されるようなことを第一に考えていただいて、交通事故から人命を守ってほしいし、そしてまた、労働災害の中に入れるようなことを至急検討をしていただきたい。このようなことなんですが、御答弁を……。
#88
○説明員(岡田茂秀君) 任意保険の問題につきましては、実は私たちの所管ではなくして、大蔵省の所管でございまして、正確には申しかねますけれども、あるいは大蔵省の方が御出席なさっていないかと思いますので、私から便宜答弁をさしていただきます。
 大体、全体の加入率は、私もいま詳細な資料を持っていませんが、記憶の範囲では、先生のおっしゃる程度ではないかと思っております。したがいまして、私たちも大蔵省とも相談いたしまして鋭意これが加入の向上につとめておる次第であり、また、今後つとめたいというふうに思っておりますが、何ぶん自動車の保有者個人個人の意思によるものでございまして、努力はいたしたいと思っておりますが、少し長い目でひとつ見ていただきたいと、かように思う次第でございます。
#89
○中沢伊登子君 それでは、次に、今度看護婦さんの問題について御質問を申し上げます。
 まず、人事院は、昭和四十年の五月に、国立病院や国立療養所、国立大学病院勤務の看護婦さんの夜勤制度の判定について四つの問題を出しておられますが、これはいまその実情はどうなっていますか。最近、その夜勤の問題やなんか、あるいは看護婦さんの足りない問題について、ほうぼうで紛争が起こっているようですが、いまの四つの判定について実情はどうなっていますか。時間がありませんから、ついでにまとめて質問をいたします。勧告が無視されていいのかどうか、勧告は出しっぱなしでいいのかどうか、その辺をひとつ御答弁願いたいと思います。
#90
○政府委員(島四男雄君) まず、勧告が出しっぱなしでいいのかどうかという点からお答えいたしますと、この勤務条件に関する措置要求の判定の法律的な性格と申しますか、これは、拘束力はございませんが、やはりこの判定の内容というものは関係機関の長においてなるべくすみやかに実現されるべきものである、このように理解しております。したがって、人事院といたしましても、判定を出した場合には、出しっぱなしということではなくて、それが一日もすみやかに実現されるよう事実上の勧告はしておるわけでございます。
 ところで、この勧告を出しましてから四年ほどになるわけでございますが、毎年厚生省なり文部省から報告をいただいておるわけでございますが、この判定の趣旨に沿って逐次改善されつつあるということは承っておりますが、たとえば夜勤回数を月八日をもって月間の平均夜勤日数とすることが適当であるというような判定については、必ずしも現在そのようにはなっておらない。もちろん、いろいろの病棟がございますので、八日以内でおさまっておるところもありますが、あるいはまたかなり夜勤回数を重ねておる看護婦さんもおるというふうに承っております。その他いろいろこの判定の内容を実現するためには設備の改善等を要する点がございますが、そういう点につきましては、たとえば、休憩室を設けるとか、その他の改善については、かなり顕著なものがあるというふうに私どもは承っております。また、私どものほうで直接調査いたしまして、その点も私ども自身がある程度つかんでおりますが、かなり改善のあとが見られるというふうに申し上げてよろしいかと思います。
#91
○中沢伊登子君 そうすると、これは拘束力がないとするならば、十分に勧告をやっていないところは制裁を加えるということはできないわけですか。
#92
○政府委員(島四男雄君) これには別に制裁的な措置はございません。あくまでも勤務条件の問題でございますので、直ちに実現できる場合とできない場合とがいろいろございますので、それはやはり当該省庁において御努力願うということしかないと思います。
#93
○中沢伊登子君 そこで、今度、労働大臣にお尋ねをいたしますが、看護婦不足で医療産業の屋台骨がゆすぶられておるような感じですね。いま、現状は、高度経済成長、あるいは国民生活水準の向上、そういうようなことで、サービス産業の中の医療産業においては、夜勤のあることや、あるいは病人を取り扱うサービスであること、あるいは低賃金というような劣悪な勤務条件のために、看護婦の労働力が非常に不足をしておることはたいへんな問題です。そこで、看護婦の労働条件の向上をはかるとともに、質の向上をはかることも必要でございます。すなわち、ナースという仕事に魅力を持たせる必要があると、こう思うわけですが、看護婦の先ほど申し上げましたような労働条件の向上について、どのように努力をされておられますか。
#94
○国務大臣(原健三郎君) いまの中沢先生の御質問、非常に大切なことで、看護婦さんが不足しておるということは、最近、予算委員会その他においても、衆議院、参議院、しばしばこれを強調されました。私どもも非常に関心を持って、けさも労働省でいろいろ対策を相談したところでございますが、新聞、雑誌にも非常に問題になっております。で、私どもが実際にどの程度やっておるか調べたところによりますと、昨年昭和四十三年一年間に、病院、診療所五百十一事業所で、看護婦さんについて定期監督をいたしました。すると、そのおよそ八九・六%、診療所五百十一の中の四百五十八。八九・六%が何らかの労働基準法違反をやっているということになっております。で、おもな違反事項を見ますと、女子の労働時間の違反率は五五・四%で、非工業全体の違反率三二・四%でございますが、これと比較しても著しくよろしくございません。で、これらの是正措置等は、私どもから勧告を発しておりますが、今後監督を強化いたしたいと思っております。
 それから、これらの病院、診療所の労働条件の改善ということにつきましては、これは私のほうから、労働基準法に従って監督し、調べた結果について厚生省、文部省にその善処方を、これは協力してやらなければなりませんから、申し入れてあります。毎年申し入れておるような次第でございます。今後ともこれらのこうした違反に対しては、各方面と協力して監督を強化いたしたいと思います。
 それから一週間ほど前でございますが、閣議で、この新しい学卒者――中学校、高等学校の学卒者の青田買いというのを最近非常にやりますので、これの取り締まりを厳重にするよう閣議の了承を得て通達を出しました。その通達の中において、最近非常に労働力が不足いたしておる病院等の看護婦さんについては、新たなる学卒者の就職の際に「特に配慮する」ように、「特に配慮する」ということばを使って、そのように安定所へも通知を出しまして、これらの新学卒者が看護婦さん等にいく場合に、四十四年度新学卒者からこの配慮もいたしておる次第であります。なお、もう少し具体的なことは、これから労働省内部で研究してすみやかに対策を講じたい、こう思っております。
#95
○中沢伊登子君 夜勤が特に認められているのは、看護婦の夜勤でございますね。その労働条件については、いまいろいろ労働大臣から懇切に御答弁をいただいたわけですが、看護婦さんであるがゆえに夜勤をすると、昼間習いに行くべきお花や、お茶も習えないとか、あるいは流死産も看護婦さんがやはり一番多いですね。そういうことや、せっかく今度はお母さんになっても、夜勤をすると母親業がつとまらない。あるいはひどいのになると、自分の病気を押してがんばっているので、看護婦さんがまた看護婦さんをつけなければいけないような、そういう場面も出てくる。しかし、それでもなお押して勤務をしている。こういうような話を――実はこの間NHKの朝の「ごんにちは奥さん」で私も拝見をいたしました。非常に心を打たれたわけです。けれども、いま伺いますと、五五・四%も違反があると、こういうふうなことですから、この看護婦さんを守る意味で、今後も労働基準法の指導監督を強化して、どうか看護婦さんの健康を守ってほしい。それと同時に労働条件を引き上げていただきたい。このように考えます。
 そこで、先ほど質問の問題をちょっと申し上げましたが、今度は厚生省のほうにその質の問題で伺います。看護婦が足りないからどんどんどんどん看護婦を養成すればいいというものでもないのですね。なぜ看護婦が足りないかというと、そのいわゆるナースというものにあまり魅力を感じない、こういう点にも原因があるのではないかと考えられるわけです。そこで、ひとつ厚生省のほうに、日本の看護婦さんの態勢をどのように考えているのか、あるいはまたいわゆるナース像ですね、看護婦像、そういったものをどう考えているか、この点をひとつ伺いたいと思います。
#96
○政府委員(松尾正雄君) 看護婦のいろいろな問題につきましては、ただいまいろいろお答えがあったような実態でございます。先ほど労働省のほうからも御指摘がありましたように、ああいう点につきましては、私どもも極力病院団体等を通じまして改善の徹底をはかっているような次第であります。
 そこで、この看護婦の充足という問題につきましては、これをやはり魅力ある職場にするという御指摘、まことにごもっともでございます。で、ただいまのところ、幸いと申しますか、三年課程の高等看護学院といわれているところの受験率、競争率というものは年々五倍ないし六倍、そのような状況でございますので、私どもはそういうことに安心をするよりも、むしろそのような期待、魅力を持っておられるうちに何とか食いつないでいくようなことを考えるべきではないか、こういう形でいろいろ苦心をいたしておるのでございます。
 ただいま、非常にむずかしい看護婦像というお話が出てまいりましたが、看護婦像というものの言いあらわし方はなかなかむずかしいかと存じますが、まず私ども、やはり看護婦というものが専門職業家として自他ともに社会にきちっと認められるような、自分もそういう意識を持ち、また他からもそういうものが認められるような、そういう地位というものをまず確立しなければならない。同時に、そういう専門職業家としての地位の問題とともに、看護婦というものの仕事はきわめて困難であり、患者の心身両面にわたっての看護の仕事でございまして、そこには基本的にあたたかい人間味というもののある人々でなければ困る。そういうような意味では、そういう人間的な素養のある方々を十分吸収するような方策が必要ではなかろうか。しかしながら、同時に、今日の医学技術の進歩あるいは患者の種類の非常な多様性というものを考えますと、一人一人の看護婦の力を上げるということのほかに、一つのチームとしまして、看護婦の一つのチーム全体がそれぞれよく協調いたしまして、それが激しい、また刻々判断を要するような看護の業務というものの中で処理しなければならない。そういう意味におきましては、個人の能力を高めるとともに、十分に他と協力するようなそういう組織のあり方、そういうものがやはり要請されるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。そういうような像を描きながら、今後における需給態勢というものを考えていくべきである、こう思っております。
#97
○中沢伊登子君 看護婦の不足の問題については、何人もの人が何べんももう事あるたびに看護婦の問題を問題としておりますから、どうかいまのような質の向上の問題とともに、昔は私なんか白衣の天使といったくらいのあこがれを看護婦の姿には持ったわけですけれども、そういう中で看護婦さんの養成をどうか強化していただきたい。そうして、特に最近は農村地帯に参りますと、つまり過疎地帯に参りますと、お医者さんの不足というような非常に深刻な問題がございます。それですから、どうか看護婦さんの質を高めて、事によってはお医者さんの代理ができる、これくらいの権威を持たせるくらいに看護婦さんの質も高めていただきたい。同時に、原労働大臣のほうにおきましては、先ほど答弁がありましたように、労働基準法に照らして看護婦さんの労働条件の改善にも十分力を尽くしてはかっていっていただきたい。そうして、私どもが病気をしたときに、看護婦さんがいないということでなしに、ほんとうに安心して病院にも行けるように、そのような態勢を早くつくっていただきたい、このように要望いたしまして質問を終わります。
#98
○松永忠二君 時間もありませんので、少し簡単にお聞きをいたします。
 職業訓練法の改正を考えて、国会にはいつ提出されるのですか。
#99
○政府委員(石黒拓爾君) 二十八日に閣議決定をいたしまして、印刷ができ次第、きょう、あすにでも提案をいたします。
#100
○松永忠二君 技能者の不足の状況ですね。これについてはどういうふうな不足の数、それから不足の率、その中で特に建設業関係の不足の状況、不足数と不足率、これをひとつお聞かせください。
#101
○政府委員(石黒拓爾君) 私どもの調査では、技能労働者の不足数は昭和四十三年の六月の調査で、全国で百八十四万人、率は二〇%でございます。それはここ数年ずっと百万人をこす不足でございまして、まあ技能労働立の不足は完全に慢性の徴候がございます。それも逐次深刻になるというふうに判断いたしております。そのうち建設業につきましては、不足数が三十三万人、不足率が二九%でございますが、その中でも特に不足率が高いのはタイル張り工が五九%、それから構造物鉄工が五四%、ブロック建築工が五四%、左官四五%といったような建設関係の業種、職種が不足率の特に高いものでございますが。
#102
○松永忠二君 訓練法、国会に今度提案をされるこの法案に基づいて、この技能労働者の不足をどういうふうな計画で解消していこうとして計画を立てておられるのですか。
#103
○政府委員(石黒拓爾君) 法律が通りましたらば、職業訓練基本計画というものをつくりまして、より一そう計画的に技能者の養成につとめたいと思いますが、現在のところでは、技能労働者を養成する基本は、もちろん職業訓練でございます。職業訓練につきましては、公共訓練と事業所内の訓練と二本立てとして、公共訓練の性格を拡充いたしますと同時に、事業内訓練につきましてできるだけ助成措置を強化いたしまして、技能労働者が少しでも多く養成されるように努力したいと考えます。
#104
○松永忠二君 私の聞いているのは、数字的な計画を持っていられるのかどうか、五カ年計画とか、そういうふうな計画を。たとえば公共職業訓練の方面、事業内の訓練の方面につきまして、どういうふうな割合でこの解消をはかっていこうとしているのか。これを聞かしていただきたい。
#105
○政府委員(石黒拓爾君) ただいま職業訓練基本計画というものが事実上行なわれております。それによりますると、昭和四十二年に公共職業訓練では十三万二千人を養成する予定になっておりますが、実績は十二万一千人、九割ちょっとの達成率でございます。これを昭和四十五年までに十五万二千人養成するように持っていきたいというのが公共訓練でございます。事業内訓練につきましては、計画では二十四万一千と、四十二年に二十四万一千が計画されておりますが、その実施数は八万四千に過ぎません。すなわち三分の一強しか達成しておりません。したがいまして、事業内職業訓練が計画に対して非常におくれております。法律が改正になりました暁には、これをさらに基本計画を練りまして、いまの計画は四十五年まででございますので、四十五年に間に合いますように、さらに実効性のある強力な計画をつくりたいと思っております。
#106
○松永忠二君 その中で、事業内訓練についてあまり積極的なものが出てこないのです。この事業内訓練の予算については、いただいた資料に基づいて相当まあ対象人員、それから一人当たりの補助額、それからまた訓練施設の設置の補助の単価、あるいは融資制度もできて、努力をされておるという点は私たちも認めるわけなのですが、この点についてはよほどやはり努力しないとできないと思う。時間もありませんのであれですけれども、新たに訓練法ができて、この事業内訓練については、一定の基準によって認定をする、そういう場合には、ここにある職業訓練を受ける求職者に対する措置というのは、事業内訓練の者にも及ぼすのですか。公共の訓練所に入っている者だけでなくて、認定をされた事業内訓練の人たちに対しても、この求職者に対する措置というものは行なわれるのですか、どうですか。
#107
○政府委員(石黒拓爾君) 求職者に対する措置は、訓練が無料になることと、それから一部の者に手当をやるということでございます。無料につきましては、事業内の訓練は初めから有料のものはございません。自分のところでやっておる労働者といいますか、それから訓練費を取るということはないわけでございます。それから手当につきましては、転職訓練と、それから身体障害者訓練が手当の主体でございます。転職訓練については、事業内で行なわれることはほとんど期待しがたいのでございます。身体障害者の訓練につきましても同様でございますので、したがいまして、無料につきましては原則としては事業内については関係がない。それから手当につきましては、事業内の訓練につきまして支給するということは、目下考えておらない次第でございます。
#108
○松永忠二君 実際、訓練の費用については事業者が持っているわけですからね。だから、そういう意味でいえば、もう少し積極的な措置があってもいいのじゃないかという気持らもするわけです。
 それから、事業主に職業訓練というものを義務づけるというのか、これは一体具体的にどういうことをいうのか。ただ努力規定を規定するだけなんですか、それとも、外国のように一週間に幾日こういうものに従事させなければいかぬとかいう、そういうことをあらかじめ考えておるのですか。その点が一つと、それから職業訓練に対する国の経費の負担に対して所定の規定を設けるものとするということについては、これは具体的にどういうことを考えておりますか。
#109
○政府委員(石黒拓爾君) 事業主は職業訓練を受けさせるようにしなければならないという規定につきましては、これは努力義務の規定でございます。私ども、できれば法律的に義務づけをいたしたいところでございますが、たとえばヨーロッパにおきましては、ドイツ、スイスあたりは新規学卒者の八割が訓練を受けており、その場合は法律的な義務づけもできるのでありますが、日本の場合は一割そこそこしか受けていない。そこで九割の者に法的な義務づけをするということは実行不可能である。そういうことから補助金、奨励金等によって、奨励措置で学卒者の過半数が訓練を受けるということにまず持っていくことがこの法的な義務づけの前提になるのではないか、残念ながらそういう実情でございます。
 それから国の負担につきましては、一般の補助金につきましては、法律的に一々書かないというのが最近の政府の原則でございます。したがって、府県に対する負担金だけ書くということで、予算上の補助金のうち、ごく一部しか法律には書かれないことになる予定でございます。
#110
○松永忠二君 最後に、時間がありませんからですが、お話があったように、諸外国に比べてみて義務教育を終了して就職した者の見習い工に対する訓練状況、教育状況というものは非常に低い。もう現在のようにこれだけの技能者の数が不足しておるときに、この充実をはかることは当然であるし、また、事業者は、そうした年齢の子供を雇用しておる場合には当然これを教育する義務があるわけです。単に自分の事業に利用するというだけでなくて、教育そのものの義務があるわけです。これは戦前よりもむしろ後退しておる。御承知のとおり、戦前には青年学校があってこういうことをやっておった。したがって、私は技能者の不足というものを充実するという意味からいっても、また特に雇用者のそうした者に対する訓練なり、教育の義務というものは当然だと思うのです。そういう点について、これが改められて一歩前進するということは、われわれもいいことだと思うのですが、なお、そうした面について法律規定もできない状況ですから、これがひとつ前進をはかるために努力をしてもらいたい。大臣、特に今度予算の項目の中にもこれに即応するように努力をされていることはあるわけですけれども、非常におくれているこの問題について、格段のひとつ努力を要望すると一緒に、局長にお聞きしたいのは、一体いままで、かつてこれについて中央の職業訓練、審議会は、その状況が非常にぐあいが悪いということで勧告を出したことがあるんですか、実際に。その点と、大臣にひとつその考え方をお聞きをして、これで終わりたいと思います。
#111
○政府委員(石黒拓爾君) 職業訓練審議会は、最近におきましては、一昨年にとりあえずの訓練強化の措置の勧告がございました。それから、昨年の夏には、今後の訓練のあり方という非常に膨大な勧告をいただいておりますし、しばしば激励をいただいております。私どもも、出発点が非常に低うございましたんで、たとえば訓練生の数が、先ほど公共訓練で十二万四千と申し上げましたが、これは十年前に比べますと、二倍半ぐらいにふえており、一生懸命訓練審議会からも、しりをひっぱたかれて、私どもも努力をしておりますけれども、スタートが非常に低かったもので、なかなか思うような数にいかないというのが実情でございまして、これからも一生懸命努力いたしたいと思います。
#112
○国務大臣(原健三郎君) いまのお説と全然同感でございまして、非常に技能労働者の不足が年々深刻になっております。しかもそれを供給するのに非常に欠陥がある。そこで今度また職業訓練法の改正を出したんですが、これを機会に、さいぜんからおっしゃった公共職業訓練はかなりいっておりますが、事業内訓練等々うまくいっておりませんので、もっと全力をあげて行政指導をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと、こう思っております。
#113
○主査(矢追秀彦君) 別に御発言もなければ、労働省所管に関する質疑は終了したものと認めます。
 以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、自治省、文部省、科学技術庁、労働省、厚生省所管に対する質疑は終了いたしました。
 これをもって、本分科会の審査を終了いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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