くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 建設委員会公聴会 第1号
昭和四十四年五月六日(火曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月六日
    辞任         補欠選任
     高山 恒雄君     向井 長年君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡  三郎君
    理 事
                大森 久司君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                小山邦太郎君
                高橋文五郎君
                塚田十一郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                柳田桃太郎君
                米田 正文君
                田中  一君
                松永 忠二君
                松本 英一君
                宮崎 正義君
                向井 長年君
                春日 正一君
   政府委員
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省住宅局長  大津留 温君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   公述人
       練馬公営住宅協
       会理事      橋本 恒夫君
       日本経済新聞論
       説委員      尾関 通允君
       働く婦人の会委
       員長       平光レイ子君
       戸山ハイツ居住
       者        小山 若三君
       柳沢都営住宅居
       住者       時任  巌君
       海員組合顧問   和田 春生君
       東京借地借家人
       組合連合会会員  森山八重子君
       大阪府建築部長  後藤 典夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡三郎君) ただいまから建設委員会公聴会を開会いたします。
 この際、委員の異動について報告いたします。
 本日、高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岡三郎君) 本日は公営住宅法の一部を改正する法律案について、皆様のお手元に名簿を配付してございます八名の方々に公述人として御出席をいただいております。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本法律案は、国民生活に密接な関係を有する重要な法案でございまするので、本委員会においても、慎重な審査を進めておる次第であります。この機会に本案に関心をお持ちの方々並びに学識経験者の方々にそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお伺いし、審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 これより御意見をお伺いいたしたいと存じますが、議事の都合上、御意見をお述べ願う時間はお一人十五分程度にお願いいたします。
 なお公述人の方々の御意見開陳のあとに一時間休憩し、その後委員からの質問がございまするので、お答え願いたいと存じます。
 御意見をお述べいただきます順序は、橋本公述人、尾関公述人、平光公述人、小山公述人、時任公述人、和田公述人、森山公述人、後藤公述人でお願いいたします。
 まず、橋本公述人にお願いいたします。
#4
○公述人(橋本恒夫君) 私は東京練馬公営住宅協会理事の橋本恒夫でございます。
 政府が今回提案されました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から私の意見を申し述べさせていただきます。
 まず、移転料についてでありますが、建設省計画局で出された公共用地の取得に伴う損失補償基準要項の解説によりますと、移転料に家具等の運搬料、その他経費、損耗額であると言われております。
 憲法第二十九条によっても明らかなように、私有財産は公共の用に供するときは正当な補償をすることになっております。したがって移転料以外にも土地に関する所有権以外の権利に関する補償をはじめ、個人が建て増した建物に対する補償、植木の補償、営業補償等公営住宅居住者にも当然適用されなければならない補償が多々あることは明らかでありますが、この点についてさらに明確な規定を設けるべきではないでしょうか。
 四月二十四日の本委員会では、大津留住宅局長は、植木は建てかえられた住宅の前庭に植えればよいとのことでありましたが、建てかえが植木の移植に適したときにだけ実施されるのでしょうか。仮設住宅にはそんなに広々としたスペースがあるのでしょうか。中高層住宅でも専用の庭が与えられるのでしょうか。いま少し具体的に御解明ください。たとえ建てかえはやむを得ないとしても、居住者が従来享受していた環境の保障またはそれに制限を加えるときはその代償を考えていただきたいと思います。
 これは補償とは直接関係ないことですが、居住者がかわいがってきた犬のことで、東京練馬の実例ですが、建てかえ時に管理人から犬を保健所へ渡すように指示されて、泣く泣く保健所へ引き渡したという事実があります。最近、イギリスで「日本人は犬を虐待している」という騒ぎから、反日感情が高まっているという新聞報道もありましたが、公営住宅の建てかえのときは飼い犬は保健所で薬殺せよと指示しているとでも、イギリスに聞こえたらますます恥かしいことになるのではないでしょうか。犬のたとえは氷山の一角で、公営住宅の制度が非人間的でしゃくし定義に行なわれている一例として申し上げたわけでございます。
 次に、公営住宅の分譲と建てかえについて意見を述べます。私たち居住者は分譲を希望しています。いま全国に百万戸以上の公営住宅のうち分譲の対象を約五十万戸として計算いたしますと、一戸当たり平均分譲価格を百万円とみなし、約五千億円となります。これを十年分割払いといたしましても、毎年五百億円という多額な資金が回収され、さらに各年度ごとにこれらの金利も徴収できるわけであります。これは一年間の公営住宅建築費に近い数字であります。そして、従来の予算にこの資金を加えて公営住宅を建設いたしますと、建設のスピードは倍加され、現にある住宅を取りこわさず存置しておくことにもなり、結果として住宅数は建てかえ政策に比べて三倍に近い戸数をはじき出すことになるのであります。それに加えて、管理面においてもいたずらに戸数をふやさずに済み、居住者とのトラブルもなくなり、居住者も家を大切にすることによって、国民の財産が大切に保全されることになるのであります。
 また、公営住宅の譲渡につきましては、昭和三十四年以前の入居者の多数の方々が入居の際、各事業主体の職員から将来は分譲するのだから大切にせよと言われ、自費によって修繕しながら居住し今日に至っているのであります。昭和二十六年五月十五日衆議院建設委員会において、公営住宅法の提案者である田中角榮議員は分譲の道を開くことが適切であると思われると立法の精神を明らかにしておられるのでありますし、自治体の職員の約束はたとえ口約束であっても、私たちとしてはお役所としての公約と理解しております。まして、分譲制度は自民党の責任者として田中角榮議員が立法の趣旨の中で明らかにされたものであります。私たちはひたすらこの約束を信じ今日まで待ち続けてまいりました。いま事情が変わったからという理由で、一たん約束したことをほごにされては、私たちは今後だれを信じてよいかわからないのであります。去る四月十一日、坪川建設大臣は、衆議院建設委員会において阿部昭吾議員の質問に対し「通常、公営住宅のような不動産の売買にあたっては、目的物はもちろん、代価、履行時期等が明確になっているはずであります。単に将来譲渡するかもしれないという口頭の発言が法律上直ちに契約として拘束力を持つかどうかは、かなり疑問な点があろうと考えておる」旨の発言をなさいましたが、自民党のりっぱな政治家が国会で言明をされ、お役所の責任のある多数の職員が何年もの間約束し続けてきた上、その実例もあることを、あれは文書になってないとか、分譲するかもしれないと言ったのだなどとおっしゃるのはきわめて心外です。もしそういうことなら、今後お役所との話し合いは一切公文書で確認しなければ信用できないということになります。また、いかに事情が変わっても、一方的に前の約束を破ることは法の不遡及の原則に照らしてもできないはずです。お役所の名誉のためにも、自民党の信用のためにも、ぜひ分譲の約束を実行してくださるよう切にお願いする次第でございます。
 次に地代の補助打ち切りについて意見を申し述べます。今回の改正案の趣旨説明によりますと、従来の用地費の補助の単価が実態にマッチしていなかった点を改め、融資制度に切りかえることによって、その点を解決し、各事業主体に建設意欲を起こさせるものであって、居住者の負担はふえないよう補助するとのことでありますが、改正案第十二条の二第二項の補助額は、予算の範囲内で標準価額によると示されていますから、その標準価額のきめ方いかんでは超過負担が生じ、入居者へ家賃となってはね返ることはいままでと全く変わらないのでございます。四月二日衆議院の建設委員会において大津留住宅局長は、地価の標準価格を、東京の場合で三・三平方メートル当たり七万円と見ておられるようですが、かりに七万円で取得されたとしても、八五%の充当率で三・三平方メートル当たり一万円の超過負担が生ずることになります。また、現実の東京では三・三平方メートル当たり七万円で取得できる土地は三多摩以外にはまずないと思われ、練馬区と埼玉県の境近くでも十万円で買えるかどうかあやぶまれます。かりに平均三・三平方メートル当たり十万円の土地に公営住宅を建設したとすれば、昭和四十二年度の予算上の平均面積によっても一戸当たり五十六・六平方メートルとして、六十八万円の超過負担が生じます。東京都の年間一万五千戸の都営住宅を建設するとすれば、毎年百二十億円もの超過負担を負うことになり、入居者の地代負担は一戸当たり通常の場合より千百五十円程度多くなる計算であります。したがって、建設省御当局が再三言明されているような自治体の超過負担解消は、東京の場合には僻地へ建設する以外には望めないのでありまして、入居者もまたそのはね返りによって高額の超過家賃を徴収されることになるわけであります。
 さらに用地費自体は金額一時しのぎの借金でありますから、公営住宅を建設し続ける限り借り続け、やがては金利ともども返済せざるを得ないわけでありまして、その返済は自治体が負わなければなりません。まして、去る四月二十四日の「将来は、自治体の財政も豊かになるからよいのである」というような当委員会における大津留住宅局長の御解明は見通しの裏づけと具体性を欠いたものと思います。必ずや自治体は何年か後には超過負担の累積にあえぎ、住宅建設は停滞し、庶民の住宅難は一そう深刻化することと思われます。かように地代補助を打ち切り融資制度に切りかえることは、住宅難の深刻な地域においては、問題解決に逆行することが明らかでありますから、国民的立場からも強くこの措置に反対するものであります。
 次に賃料の変更について意見を述べます。今回提案されたもののうちに、家賃の変更については建設大臣の承認を要しないこととすると記され、大臣の承認を不要とした理由としては、「事務簡素化」であるとのほかは、何ら説明されておりませんが、これは重大なことだと思います。家賃の変更は事務的なものではないはずです。この考え方は、相手側の同意を必要とする私法上の契約関係であることを無視したものであります。いまかりに時価平方メートル当たり十万円の土地でありますと、固定資産税評価額は、時価に対して約七〇%程度でありますから、一平方メートル当たり約七万円となります。これに施行令第四条による六%を乗じますと、一平方メートル当たり四千二百円となります。これに一戸当たりの平均面積として約百平方メートル分を乗じますと、実に年間四十二万円、月当たり三万五千円です。これから、宅地造成費の補助額分の六%相当額を差し引きましても、月当たり三万四千円以上の地代となるのではないかと試算できるのであります。過日四月二十四日の本委員会における大津留住宅局長の御解明では、昭和三十四年ごろの評価額を使うからさほど上がらないという御趣旨のようでしたので、私どもは昭和三十七年度の評価額によると、政令第四条の二を改正していただけるものと期待しております。しかし、都心部または近郊地においても、すでに時価はかなりのものでありまして、さらに固定資産税の評価額は急速に時価に近づけられていますから、遠からず評価額イコール時価相当額となると思うのであります。そのときになって、あれは口約束だとおっしゃらないようにしていただきたいと思います。もしこの約束が破られるようでございますと、公営住宅法第一条に示されている低廉な家賃であることや、国民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することは空文化し、むしろそれとはうらはらな高家賃住宅時代の先がけの役割りをになうことになり、ただでさえ高い民間住宅の賃料をさらに高騰させることになります。もしそのようになってからでは間に合いませんので、やはり家賃の変更については、口約束だけでなくきびしくチェックしていただき、簡単に、家賃の値上げができないようにしておいていただきたいと思いますので、どうかこの項の改訂はぜひ中止していただきたいと思います。
 最後に、高額所得者の明け渡しについて意見を申し述べます。昭和四十四年三月十九日、衆議院建設委員会において、大津留住宅局長は、島上善五郎議員の質問に答えて、現在の公営住宅の入居資格の年収について、標準世帯で約八十四万円、月収に換算して六万九千八百円になると言っておられます。さらに、同日、同局長は、福岡義登議員の、一種四万円、二種二万四千円の入居基準は、全勤労者世帯の何%程度が該当するか、との質問に対して、「第一種が四〇%、二種が一七%という現状であります」と答えておられます。ところで、昭和二十六年に公営住宅法が制定されたときの入居資格は、第一種が二万円、第二種が一万円、次いで昭和二十七年には第一種二万五千円、第二種一万円、さらに二十九年には第一種三万二千円、第二種一万六千円と変遷してきたものであります。昭和三十四年三月二十日、衆議院建設委員会において、収入基準額の三万二千円は勤労者世帯の何%の人たちが該当するかということについて、稗田住宅局長は、「FIESの調査によりますと、勤労世帯数の八三%に当っておるわけでございます。」と述べられております。これをさきの大津留住宅局長の一種四万円、四〇%、二種二万四千円一七%と比較をいたしますと、低額所得者という定義は、昭和三十四年当時と比べましてFIESの資料で四三%切り下げられております。このことは、昭和三十四年には勤労者百名のうち八十三人が公営住宅入居の有資格数であったにもかかわらず、昭和四十四年には百名のうち四十人しか入居資格を与えられていないことを意味するもので、収入基準額が名目的には引き上げられたにもかかわらず、法第一条の低額所得者の定義を著しく狭めていることが確認できるのであります。低額所得者という定義は、公営住宅法上、きわめて重要な意義を有するものでありまして、法の性格を大きく変更するようなことが、一般国民はもちろん、入居者自身も知らないうちに行なわれていることは重大な問題であると思います。この変更が公営住宅の建設不足に起因する申し込み者の殺到を制限するために意識的に行なわれたのであれば、国民に対する重大な背信行為と言わねばなりません。大津留住宅局長の言明によれば、昭和四十三年において、勤労者世帯のうちわずか二七%しか公営住宅の申し込み資格が与えられていなかった事実は、これを裏づけるものではないでしょうか。さらに、政府は、高額所得者に対して、あらゆる機会に他の入居できない低額所得者のために退去すべきだと主張されております。そうして、今回は、強制的に出すべく、法改正を提案されているわけでありますが、一体、政府の本心はどこにあるのでしょうか。昭和三十四年三月二十日、衆議院建設委員会において、徳安政府委員は、「割増しさえ払っていただければ、一つの権利としてそこにおっていただいても、何もそれを追い出すという法的措置はとらないわけでありますから、」と言われ、そうしてまた実施面における一つの例としては、昭和四十一年十月に発行されました東京都住宅局の「臨時・管理部だより」収入超過問題特集号によっても、同様趣旨のことが広報されているのであります。
 さて、ここでぜひ指摘しておきたいことは、私たち居住者の法的位置についてであります。昭和二十六年五月十五日、衆議院建設委員会におきまして、公営住宅法の提案者である田中角榮議員は、次のように提案説明されているのであります。「公営住宅が地方公共団体の営造物であることは明らかでありますが、これの使用関係は、事業主体と特定入居者との間の契約に基くものであり、この契約は法令または条例で特別の規制をする場合のほか、一般の賃貸借契約関係を規定する民法、借家法等の民事法の規定に従うべきことは申すまでもありません。」と述べられております。さらに同議員は、昭和二十六年五月二十五日参議院建設委員会においても、この公営住宅法の民法、借家法に対する特別法としての性格を説明して、「困窮者及び低額所得者に対して」「高度の社会政策を行なおうということに主眼目を置いておりますので、先行する、優先するとはいいながら、いわゆる入居者にマイナスをもたらすような事項に対しましては、借家法のほうが先行するとお答えしたほうが適切」でありますと述べられています。逆に言うならば、公営住宅法は入居者に有利になる部分に限って借家法に優先するのであることを強調されておられるのであります。さて、このような趣旨からいたしますと、従来政府は現行法において、年収二百万円以上の高額所得者がいると言って、それらの居住者が退去しないことを非難してきたのでありますが、一体そんなことが言える根拠がどこにあるのでありましょうか。約束不履行もはなはだしいものであり、信義にもとるやり方だと思います。さらにまた、政府の言うとおりであったとしても、衆議院の附帯決議によって家族収入の合算がはずされれば、政府の言う、いわゆる四千六百世帯の高額所得者はかなり減じ、さらにまた同附帯決議によって近い将来に定年退職等で減収することが予想される人々も追い出しの対象からはずされるとしたら、追い出しの対象者はさらに減じてくるのであります。このような状況の中で、まだこの強制追い出し制度に固執する理由は、一体どこにありましょうか。根本的には昭和四十四年四月十一日の衆議院建設委員会において阿部昭吾議員が繰り返し追及されていた、法改正以前の入居者に対する不遡及の原則の適用でありますことと、私法上の契約関係であることが基本であると思います。このことは政府といえども、相手側の同意なくして強行できないということあります。昭和三十四年に収入超過者に対して明け渡し努力義務及び割り増し金の徴収の措置がとられることになりましたが、収入超過者の基準は、物価水準と名目賃金の上昇によって実質的には苦しい生活を続けながらも収入超過者のレッテルを張られる人々は激増しているのであります。このような状態では、衆議院での附帯決議にある「勤労者世帯の収入に対して適切なものであるよう物価の変動等を考慮して適時改訂すること。」という程度の措置では、実施段階において有名無実化するおそれが多分にありますので、収入超過者に対する措置は一切廃止していただき、入居基準額の改定にあたっては、立法当時の趣旨を明らかにするため、毎年一回勤労者世帯の平均収入額の八三%に相当する金額を維持するよう、法律で明確にしていただきたいと存じます。
 以上ざっぱくでありますが、私の意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(岡三郎君) 次に、尾関公述人、お願いいたします。
#6
○公述人(尾関通允君) 尾関でございます。日本経済新聞で論説委員をしております。公営住宅法の改正について意見を申し述べます。私は、時間の関係上、重要な三点に限りたいと思います。
 まず第一の地方公共団体が公営住宅を建設する際の国の援助方式の変更についてでありますが、私はこれには条件つき賛成であります。その理由を次に申し述べます。
 国の援助方式は補助金によるのが本来の姿であろうと私は考えますし、それに補助金から融資への援助方式の切りかえが、どうすれば公営住宅の建設にとって好都合になるのかという観点からよりも、どちらかといえば財政の都合に基づいている、その点に疑問に感ずるのであります。したがって、今度の援助方式の変更については、私は本来あまり積極的な賛成の考えは持っておりません。ただ、このほうが公営住宅の建設に必要な資金の量を――質ではありません。資金の量をともかくも確保しやすいのだという説明が一応ついております。その説明を信用するといたしますと、あえて積極的に反対することもなかろうと考えるのであります。ただし、それにはもちろん必要な低利資金が十分に確保されることがあくまで絶対の条件であります。そういう意味で条件つきの賛成をいたします。
 それから第二に、五年以上の入居者で一定額以上の高額の収入を得るに至った者に対する公営住宅の明け渡し請求の規定につきまして、これは私は積極的に賛成いたします。なぜならば、公営住宅はもともと所得の低い人々のために建設するものでありまして、世間の常識に照らして所得が多い人々の用に供するのは、正しい使用のしかたとは考えられないからであります。世間には公営住宅に入りたくても肝心の公営住宅の数そのものが十分でなく、しかも、くじ運が悪いために公営住宅に入ることができないために、家賃が高くて設備のよくない民営アパートでの生活にがまんしている世帯が非常にたくさんあります。ところが、これらの世帯の少からぬ方々が実は所得税を納めております。それからさらに間接税は全世帯が納めております。地方税もほぼ同様であります。公営住宅はそういう方々が納められる税金も加わって建設されております。そこへそれらの人々よりも所得の高い人、しかも世間の常識に照らして高額所得者に区分けされるような方々が入居したままで、すでに入居の資格がなくなっているはずなのに出ようとされない、これはどう考えても社会正義に反するとしか言いようがないと考えます。したがって、私はこの点の制度改正には積極的に賛成であります。この考え方に対しまして公営住宅そのものの大量建設が根本であるから、それができない以上は云々と反対する向きがあることは十分承知しております。しかし、この公営住宅の大量建設が根本である云々というのは、反対のための反対であります。なぜならば公営住宅を大量に建設することと現在ある公営住宅をできるだけ有効に使うこととは、全く別個の問題であります。公営住宅を大量に建設する必要があることは私も痛感しております。紙面でもそういう主張を打ち出しておりますし、住宅宅地審議会でもそういう意見を私はかねてかなり強く表明しております。しかしそれはそれ、これはこれであります。将来の問題と現在の問題とを混同して意識的に反対のための反対をするという論理は、私にはとうてい理解できません。公営住宅の大量建設がないから所得の高い人々の公営住宅居すわりを認めていいということにはならないというよりも、それとは全く逆に公営住宅の数が足りないからこそ公営住宅をできるだけ適切に使う、本来の目的に沿って使う。したがって所得の非常に高い方々には出ていただくのがそれこそ筋である、そういうふうに私は考えます。繰り返しますが公営住宅の大量建設云々は、全く議論のすりかえにすぎないと信じます。
 それから第三に、公営住宅の建てかえ事業に関する規定の整備の問題であります。これはあまりにも当然かつ明白なことでありますので、単に積極的賛成の意見を持っておるということを表明するにとどめたいと思います。
 ただ私が感じましたことを忌憚のないことを言えという委員長のお話しでありますので、この際率直に申し上げますと、第二と第三の制度改正に関しましては、露骨な言い方をいたしますと、保守的な考え方と革新的な考え方が全く入れかわっておる。常々革新勢力をもって自称しておられる方々が、案外に一部の人々の既得権をただ擁護するために、ひどく保守的な立場に立っておられるのではないか、そのためにこういうそれこそ超党派で一致して進められるべきはずの制度改正が、簡単には進まないという一面が、私どもから見ますとうかがわれるのでありますが、それは私どもにとりましてまことに不可解千万であります。こういう点をつけ加えまして公述を終わります。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(岡三郎君) 次に、平光公述人にお願いいたします。
#8
○公述人(平光レイ子君) 私は働く婦人の会委員長の平光レイ子でございます。
 ただいま議題となっております公営住宅法の一部改正につきまして、婦人の立場から私の意見を述べさしていただきます。
 私たち国民が健康で文化的な生活を営むためにきわめて大切な役割りを持つものが住宅でございます。一家団らんの場も、またあすへの社会活動を活力あるものにする場も、みな家が基点となって行なわれております。ことに主婦にとって一日の大半は家の中で過ごし、少しでも明るい住みよい場にしようと懸命でございます。わが家を持ちたい、これが人間としての最高の望みにすらなっております。マイホームをつくるために働きに出る主婦も年々増加の一途をたどり、過労で病に伏したり、またかぎっ子などがふえて社会問題となっていることも事実でございます。
 昭和三十一年の経済白書を見てみますと、戦後は終わったということを書いておりますが、事住宅に関する限りは、私は戦後は終わるどころかますますひどくなりつつあると思っております。かつて佐藤総理は四畳半一間でも若い夫婦は通い合う愛情で楽しい生活を送れる、狭いながらも楽しいわが家だろうという意味のまことにロマンチックなことばをおっしゃいましたが、愛情だけでは片づかないのが毎日の生活でございます。またいつまでたっても二人きりというわけにもまいりません。建設大臣の諮問機関であります住宅対策審議会が昨年二月適正な住宅水準について中間報告をなされましたが、それによりますと十年後には四人から五人の標準世帯で三LDK約八十八平方メートルが適当だということになっておりますが、ほんとうにこのような住宅に住めるのでしょうか。住みたいものです。ぜひ実現をさせていただきたい。私がなぜこのようなことを申すかといえば、政府の住宅政策は昭和四十一年から四十五年まで一世帯一住宅の実現という公約をなさったときがあるからです。四十五年といえばあと一年、はたして一世帯一住宅は実現できるのでしょうか。これまでのなまぬるい住宅政策では永久に住宅難は解消することはないと思うからです。こうしたわが国の住宅政策の貧困は、特に大都市の民間賃貸アパートの苛酷な契約条件となってあらわれ、賃貸期間は大体二年、契約期には権利金、敷金、礼金、前家賃と、少なくとも十万円ぐらいの大金がかかり、やっと落ちついた思うと契約期間の二年はあっという間に過ぎてしまいます。その上年々の物価高騰の波に押しまくられてか、家主は家賃の値上げを要求し、これに応ぜられないと追い立ての催促です。こうした家のいざこざは借家紛争となってあらわれ、家主が家賃を受け取らないために供託金を納めに法務局へつめかける人が、多いときには一日千五百人にのぼっているといわれております。四十二年度全国で受け付けた供託は六十四万九千八百余件、そのうち東京は十八万千六百余件あって、全体の約二八%を占め、年々増加をしている現状です。この悲しい人は氷山の一角にしか過ぎず、借家人と家主のトラブルはますます深刻の度を増していることでしょう。ことに賃貸契約時において子供が生まれたら出ていけという文書による契約は、私たちの行なった最近の調査から見ましても、民間アパートのほとんどの条件となっております。これは人間としての基本的人権を奪うものであり、ひいては人間生命の尊厳を侵しかねない現状であります。これこそ住宅難が引き起こした悲劇といわざるを得ないのであります。この悲劇の根本は、民間アパートに依存する政府の住宅政策の貧困のあらわれでなくて何でありましょうか。家賃供託でお得所大繁盛などと新聞に書き立てられるようでは、文化国家の肩書きが泣こうというものでしょう。また、住宅難の状況について、先般建設省住宅局と内閣総理大臣官房広報室が発表しました東京、大阪圏の住宅に関する世論調査にも明らかなように、両圏とも六〇%の人たちが困っていると答えております。劣悪な住宅が国民に与える影響について、ILOでは一九六一年六月「労働者住宅に対する勧告」第百十五号を採択したとき、国民の大部分の住宅が劣悪である国では社会的不安はおそかれ早かれ出現すると警告を発しております。このような劣悪な状態を回避するためにも、国民総生産が第二位の現状から住宅政策に政府がもっと力を入れるべきであると思うのです。このような観点から今回の公営住宅法の一部を改正する法律案を拝見しまして、率直に言ってその易しのぎの感がいたしてなりません。
 以下改正案に反対の立場から数点にわたり私の意見を申し述べます。
 まず第一に、公営住宅のあり方についてでございます。政府の住宅建設五カ年計画は、その大半の戸数を民間の住宅建設に依存し、しかも政府施策住宅の建設戸数には、わずかな公庫融資を受けたものまで一戸に数えるという消極的な計画でございます。これは住宅難にあえぐ国民を政府が持ち家対策であおり、国の援助を必要とする低所得者のための住宅供給をおざなりにしてきたように私には思えるものです。この際、政府は勇断をもって公営住宅法の目的である低額所得者に対し低い家賃で住宅を賃貸するという本来の姿に立ち返っていただきたいと思います。特に身体障害者や母子世帯などに対し特別に低い家賃の住宅を用意するなど、もっと社会福祉の性格を強めた住宅政策がとられるべきだと考えるものでございます。
 第二に、公営住宅の家賃体系についてでございます。最近の公共住宅は地価の高騰、建設費の値上がりの影響を受けて年々家賃が上昇しております。低家賃であるべきはずの公営住宅も、第一種住宅の場合月収二万四千円から四万円の入居資格に対し、都営住宅に例をとると、家賃が八千円から一万円という高額になっております。さらに公団住宅の家賃が三万円に迫りつつあることは、庶民のための住宅とは言えません。それでもなお応募率が高いということは、いかに住宅難が深刻であるかということを示し、多くの勤労者が高い家賃を払ってやむなく劣悪な民間の借家に入居している実態を見のがしてはならないと思うのです。このような庶民の切実な要求に対処するために、政府は国公有地を大いに利用し、公営住宅を大量に建設し、またプレハブ化の推進などによって用地費を含めた全体の建設コストを引き下げる計画など、生活能力に応じた適正な家賃で適正な規模の住宅を供給すべきであると考えます。また現在の入居者の資格のきめ方についてでございますが、従来の方式のように一定ワク内ならばすべて一様に資格があるというのではなく、世帯ごとの個別的能力に応じて最も家賃負担に苦しんでいる世帯から優先入居させるという方式を採用すべきではないかと考えるものでございます。
 第三に、用地費の地方債への切りかえについてでございます。先ほど公営住宅のあり方について申し述べましたように、公営住宅は低額所得者のために低い家賃の住宅を供給するという本来の性格に戻すべきであり、そのためには国の補助率をもっとふやすのが本筋でございまして、用地費の地方債への切りかえは、むしろこれに逆行するのではないでしょうか。公営住宅法第一条の目的にもはっきり明示されておりますように、「国及び地方公共団体が協力して」住宅建設に当たるべきでなければなりません。しかるに改正案の措置は、国の責任を地方公共団体に転嫁しようとするもので、地方公共団体にとって、ここ数年間は資金調達が楽にはなりますものの、結局は借金が雪だるま式にふえ、将来地方財政に過大な負担がかかることになり、ひいては公営住宅の大量建設を阻害する要因となることは必至でございます。このような国の責任を回避しようとする改正の措置には賛成しかねるものでございます。
 第四に、高額所得者に対する明け渡し義務の設定についてでございます。公営住宅は本来低額所得者のためのものであり、著しく高い収入を得ている人たちが公営住宅に入居していることは、公平の原則から見まして公営住宅法の本来の目的にそぐわないことは当然でございますが、公営住宅のうちで明け渡し対象数は従来の計算で行ないましてもわずかに四千六百戸であり、子供の収入分を含めないことになりますとそれよりもはるかに少なくなるわけです。このような一握りの対象者を強権をもって追い出したとしましても、住宅難の根本的な解決になるとは考えられません。ましてや物価上昇を考えましたときに、高額所得者といっても生計費一ぱいの生活をしており、単に数字の上でのみ高額所得者ときめつけて事務的に処理することは、社会政策上問題があろうかと思います。特に婦人の立場から強調いたしたいことは、移転から生ずる子供の精神的影響と学力の格差でございます。ことに三歳から十歳までの幼児期において環境の変化で起きる精神的ショックは大きく、情緒不安をひき起こすことも考えられます。幼児期における教育がその子の一生を左右するということは、最近の研究から証明されてきております。このことを考えましても、幼児を持つ高額所得者の明け渡し、移転には賛同しかねます。また、現在の入居者が年間収入二百万円になって明け渡しということですと、月平均の給与所得は十六万円となり入居時の低所得者がこの収入になるまでには相当の年月を経過すると考えられます。したがって高額所得者は中高年層となり、五十五才の定年を間近かに控えたころと考えられます。最近の核家族化の傾向で、子供たちは独立し、老後に不安を持つ年令ともなっています。ことに人間として老後の生活は最も心配なものの一つですし、いたずらに社会不安を惹起する因をつくるよりも、著しく立ち遅れている社会保障制度の一環としても、高額所得者の明け渡しはやめて、早期に大量に公営住宅を建設することがより先決ではないかと考える次第でございます。
 第五に、公営住宅の建てかえについてでございます。老朽住宅を建てかえる制度にすることは、建設戸数をふやすことでもございますので、けっこうなことですが、ここで問題となりますのは、従来の原価主義家賃体系を今後もなおお続けになるとするならば、都市内の比較的よい立地条件のところにあります旧住宅を中高層住宅に建てかえました場合、いままで非常に安い家賃で入居していた方が、新住宅に入居することになりますと、当然家賃が上がることになりますので、家計費の中の住居費の支出はふえ、家計を乱すおそれがございます。このようなことをおそれて、一時問題になりましたのが戸山ハイツでございますが、御承知のように戸山ハイツの建てかえ事業につきましては、新住宅へ入居した場合には、二年間第一種住宅につきましては三〇%、第二種住宅につきましては一五%家賃を軽減するという措置を講ずることになりました。そこで提案するわけですが、このような方法を制度化してはどうでしょうか。この戸山ハイツは、私もすぐそばに住み、友人も大ぜいおりますので、よく相談を持ちかけられます。ことにここは他の老朽住宅とは違う特殊事情――アメリカの駐留軍の資材で、家といってもまわりだけで、畳、ふすまの一枚に至るまで自己資金で整え、住めるようにしたという事情があります。このため建てかえに猛反対でしたが、地元の都議が仲介役となり、自治会の人々と毎月二回にわたって相談し、対話をいたしました結果、ようやく住民も納得し、建てかえに賛同、現在に至っております。
 このことから見ても、国権の最高機関をつかさどる建設委員の皆様にお願いするわけですが、住民の方たちとよく話し合われ、よき住民とのパイプ役となっていただきたいと思うのです。そして一日も早く、住みよい国づくりのために、公営住宅を大量に建設され、一世帯一住宅、一人一個室を目ざして勇断をもって実現に努力をしていただきたいと切にお願いする次第でございます。
 以上、私の公述を終らせていただきます。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(岡三郎君) 次に、小山公述人にお願いいたします。
#10
○公述人(小山若三君) 私は新宿区にあります都営戸山ハイツ住宅の居住者の小山若三でございます。
 ただいま本委員会で御審議されております公営住宅法の一部を改正する法律案について、戦後二十年間、公営住宅に引き続き居住しておりますので、その間の体験、実感に基づいて、以下賛成の意見を申し述べたいと存じます。
 今回、政府御提案の改正の要点でございますが、第一点としては、いままで行なわれておりました家賃に対する国の補助制度を融資制度に切りかえる、その二は、高額所得者に対する明け渡しの請求に関するもの、第三は、公営住宅の建てかえの制限の規定の三つであろうと思います。
 公営住宅で当面建てかえの対象となっておるものは、戦後応急的に建てられた木造住宅の立てかえだと思いますけれども、従来建てかえの際の、際しての規定がとかく不備であったため、建てかえに対しては各所で反対運動やトラブルが続出しておるのが現状でございます。その一例として戸山ハイツの居住者の土地の払い下げ、家屋の払い下げ建てかえ反対運動がございます。
 以下、その反対運動の実態を解明して、公営住宅の明け渡し請求を規定した改正案に賛成の理由にいたしたい、かように思います。まず反対運動の内容でございますが、先ほどもお話しがございましたけれども、あそこは昭和二十三年に米軍の、もとの国有地であった幼年学校のあとで、大まかに土地が八万坪でございます。そこに米軍の放出資材をもちまして千五十二世帯の家をつくりました。当時は焼け野原でございましたので、先ほどどなたかからもお話がございましたけれども、あそこはいずれは、管理者側もいずれ皆さまのものになるのだ、それから私ども居住者もいずれは自分のものになるのだという強い期待感を持っていたと、これは事実でございます。それからいまも平光さんですか、お話がございましたけれども、お話しのとおり確かに蛇口一つしがなかった。当時あれは野戦用のバラックであったのでございます。しかも外国人は畳を敷かないから、畳はないわけです。それから洋式ということでございますので、間仕切りがない。これは事実でございます。しかし、当時東京都の建築局といっておりましたが、そこから、あなたは当選されました、ついては近く御入居願いますが、それについては、これはこうこうこういう家でございますと、そのことを十分了解の上入ってくださいと、こういうことでございました。したがって、私どもは友人の家にコンクリートの上に板を敷いて、その上にわらを敷いて寝ておったわけですが、間仕切りもない、それから畳もない、流しもないというところでございましたけれども、もう一家が今後水入らずでここに住めるんだと、雨露をしのげるんだということで、涙を流して入ってきた。そのときに、こんな家はいやだと言って帰っていった人もありますし、また棄権をした人もあります。それで反対運動の人は、それにもかかわらず当初の約束だから払い下げろということは、これは確かに文書でかわしたわけじゃありません。先ほど申したように、昭和三十五年の八月十三日に建設省告示の一六一九号というのができまして、都市にだんだん人口が集中してくるその前から、建設省は都心の代替地を払い下げないという通達を各自治体に出しているはずでございます。そのときにはっきり戸山ハイツは建てかえるのだということがきまりました。それからびっくりした居住者が当時反対期成同盟というのをつくりまして、つい最近までその反対同盟が続いたわけでございますが、とにかく払い下げろというのが一点。それからもし払い下げができないならば建てかえを十年延期しろと、これが第二点。それからどうしてもこの際払い下げぬならば、家屋に畳を入れたり流しを入れた、それに対して一世帯当たり百万円の補償を出せと、こういうことです。それから新しくできたアパートは、ここは昔東京都が買うときに坪千円で買ったんだから、何も国や都がもうける必要はない。千円の計算の上に立ってアパートを建てれば、三DKで家賃は五千円だと、二DKで三千円だと、これをまず認めろと。それから素朴な反対といたしましては、老人――私もそろそろ老境に入ってまいりましたけれども、老人が、できるなら私はもうアパートはいやだと、平家で庭をながめてここで息を引き取りたいのだと、こういう素朴な考え。それから母子家庭なんかもありますが、収入が少ないから今度上がったらたいへんだと。それから所得の低い層は、今後三年すれば、四年すれば子供が高校なり大学を卒業する、そうすれば一万円の家賃も何とか払えるんじゃないかと、こういうことでなるべく延ばしてもらいたいというのが素朴な意見でございます。
 それからなお、この件についてはこういう問題も起きた根本ですね。私は建設省なりあるいは自治体の管理者に強く申し上げたいのは、こういう事態が起きたのは、公営住宅の管理のずさんが原因であります。その一つは、公営住宅の使用条例の中にもかってに住居以外に目的を変えて使っちゃいけないという項目があるわけです。それにもかかわらず、まずコンクリのアパートじゃありませんから、かってに無許可で建て増しをして商売を始めた。それからいろいろ家計上の都合もあると思いますが、あすこは敷地が大体平均で三十坪から四十坪あるわけです、一世帯当たり。それで建て坪が九坪ぐらいの家が建っておるわけです。ここにかってに建て増しをして、極端なのは大きく建て増しをして間貸しをしている、これはいろいろ事情があると思いますが。それからこういう場合にも原形復帰ということは使用条例にあるわけです。したがって、表門からたくさん補償しろというふうな理由は私はないと思っております。それからもう一つは、いつの間にか管理がずさんで貸した名義人が多少幾らかもらってどっかに行ってしまう、そしてそのかわりの人がいつの間にか入っている。しかも管理人がそれがわからない。こういう例もあります。それからかってに先ほど申し上げましたように建て増しをする。家族もふえる、子供もだんだん大きくなってきますから、ある程度はこれはしかたがないと思うのですが、だんだん大きくなる。そうすると、大きくして今度建てかえるときには、仮の移転ができない。家族は多いし、荷物がたくさんある。そういう人には、東京都はプレハブを二世帯あるいは極端な場合は三世帯も与えてやっているわけで、反対する理由はないと思いますが、何かこういう管理のずさん、これが反対の理由の一つ。
 それからもう一つ率直な意見を申し上げますと、無責任な政治家の態度、まあこれは政治家の皆さんを前にして恐縮でございますが、これの建てかえは、東京都などにおきましても二、三年前に、四十二年七月五日に木造公営住宅の建てかえを円滑に促進する決議案が、東京都から総理大臣や建設大臣に出ているはずです。それは現在のようにあの都心のああいうところを建てかえて高層化して、住宅に困っている人にたくさんやりたい。しかも先ほどいろいろ反対の意見がございましたけれども、こういう人たちは、自分の小さな自己意識にとらわれて反対だと言っているわけです。もう自分たちの家も、バラックのところで地震や火災、台風があったらたいへんだ。数年前に台風が九月二十日ごろでございましたが、そのときは三十何軒屋根が吹っ飛んでしまったわけです。火事になると、バラックですから消防署が責任が持てない。一瞬にして火の海になってしまう。これは前の岡田署長さんも私にはっきり言っている。建てかえをするにしても、率直に申しますと、自分の土地で自分の家を建てかえるならば、自分のお金でちゃんと仮し住宅をつくって、そうして持っているわけです。ましてや公営住宅で自分のお金を一銭も出さなくても、その土地にりっぱな都民の税金で家をつくってくれる。そうして入るときには、この住宅が三千五百世帯になるわけですね。現在おる人が希望されれば、最優先に入居ができる。しかも、その棟や部屋が気にいらなければ、最優先に希望のところに入れてくれるということです。
 話がちょっと外にそれましたが、こういうことで都議会等におきましても、あるいは国会においてもそうだと思いますが、公営住宅の大量建設の立場から都心の再開発ということは、各党超党派的に認めているわけです。ところが地元の議員ですね。これはさすがに国会議員の中には少ないと思いますが、都会議員、区会議員になりますと、払い下げ運動とか延期運動、もっともだ、私がひとつ何とか力になりましょう。私どもが言うなら信用しませんけれども、やはりえらい先生方が言うのだからというので信頼して非常に強い希望を持つ、そうして一致団結して反対しよう、こういうことがあるわけでございます。そこでこの点ひとつ建てかえ反対の原因をとれということで、ここに各議員の皆さんに率直に申し上げて、こういうことが将来ないようにお願いいたします。
 それから建てかえに伴って家賃が非常に高くなる。これはいまもお話がございましたが、たいへんもっともなことだと思います。そこで私どもは戸山ハイツを早期に建てかえをやる賛成者のグループでございます。戸山ハイツを新しく建てる会の私は役員でございますが、建てかえると、いま御承知のとおり家賃が終戦後は七百七十円でございましたが、この前の家賃の改定で一千四百五十円になったのでございます。建てかえると本年度完成するもので、大体3DKで一万円近くになる。2DKで六千円から八千円近くになるのでございます、現在の家賃があまりに安いために2DKにしても3DKにしても、それぞれ四倍あるいは七倍である。それじゃ3DKが新宿のどまん中で、一万円で高いかというと、これは率直に言って高くない。しかし、それでも安い家賃でもって今日まで家計というものができておりますから、そうなっちゃたいへんだ、これはごもっともです。私どもこの点で昨年東京都議会にひとつ家賃の漸増方式、これは私が考えたのです、実は。一万円でもいいから、それは高くないから、ひとつ最初は五千円からスタートしてくれ、翌年は六千円、その次は七千円、八千円、九千円と、五年間は漸増方式にして、六年目からひとつ正規の家賃にしてもらいたいという請願を出しましたところ、幸いなるかな、都議会では全党がみな賛成をしていただきまして、そして都議会では、まだいま公営住宅法の改正も目の前にちらついているから、あまり出過ぎたことをして建設省におこられてもしようがない。私どものできる範囲でできるだけのことをしましようということで、本年の春、その趣旨を採択いただきましたので、その趣旨を生かして、第一種住宅については、初年度に三〇%のところを五〇%、第二種住宅については二五%のところを四〇%というふうに改められて、たいへん喜んでいるわけでございますが、しかしまた、欲を申して申しわけありませんが、やはり五年間くらいこの漸増にしていただきたい。これは今度衆議院を通過しました附帯決議にもこのことが明記してございますが、ひとつこれはそういう点について今後御指導をいただく建設省から、積極的に御指導いただくと同時に、これは予算の必要があるのでございます。東京都の試算によりますと、私どもの出した請願をそのままズバリつくりますと、一戸当たり十二万円になるというのですね。そうすると、東京都が建てかえるのは四万戸と称しておりますから、四十八億円の金がかかる。それは単年度にそうかかるわけじゃありませんが、そういうことでたいへん私どもは、いわゆる家賃を減額していただくのはけっこうですが、やはり都民に税金等がかかるので申しわけないのですが、やはり建てかえを積極的に推進して、住民の協力を得るという立場から、ひとつ建設省は単なる指導ばかりでなく、ひとつ予算の裏づけ等についても考えていただきたい、かように思います。それで、そういう意味で私はこの今度の建てかえについての規定の整備に全面的に賛成を申し上げます。
 次に、高額所得者の件ですが、まあ高額な所得があっていつまでもそこにがんばっているというのは、公住法の精神にも反することは明らかでございます。また、いただきました資料によりますれば、全国で四千何百世帯ということでございますので、それぞれの公述人からも申し上げられましたごとく、この四千何百世帯を全部追い出したからといって、決して住宅問題の解決にならないことは当然でございます。しかしながら、やはり一方には多数の困っている人が、間借り人の方たちも、かつて私もそうであったということを考えて、ひとつすみやかに、数の大小は別といたしまして、明け渡しすることが適当であろうかと思います。数年前、東京都であき家抽せんをしたところが、六万人の人が雨の降る中を子供を背負って、そして手をつないで、ひしめいて来たという事実がございます。ほんとうに涙なくしては聞かれないわけでございます。若い人で結婚したくても家がない。夫婦子供が四人も五人も狭いアパートでざこ寝をしている、こういう状態がある以上、たとえ数が少なくてもやはり公営住宅法の趣旨を通すことが必要であると思います。ただ、さりとて私どもも一〇〇%これに賛成しているわけじゃありません。いろいろ問題があります。二百万円くらいではなかなか――いま郊外でも自分で家を建てるとすれば六百万円、七百万円かかると思うのです。なかなかそれだけの家はできないですね。ですから、できれば――もちろん公団、公社等にも従来から東京都ではあっせんなどをやっておりますが、さらに自力で建設したいという人に安い土地のあっせんとか、それから特にこれは東京都のことでございますが、やっと千葉県の松戸なら松戸に土地を買った。しかし、その上に家を建てる金がない。しかし今度の建てかえのような場合に、東京都では金を貸してくれると言っておりますけれども、ちょっと待ってください、松戸ではだめですということです。東京都の中なら貸してくれますが、郊外の隣接地はお断わり。これは北海道とか九州に家を建てるというなら別でございますが、今日交通が発達して私鉄、国鉄その他の相互乗り入れ、地下鉄の発達、バイパスができる、ハイウェイができるという時代ですから、この点は建設省などから積極的に指導していただいて、近県諸県ともプールして、めんどう見ていただくように私は要望しておきます。
 結論的に言うと、大量建設というのはもちろん必要でございます。それが忘れられているのでは、この精神はかえって死んでしまうというふうに思いますが、ただ先ほど管理のずさんということも申しましたが、これについても一言申し上げたい。例を申しますが、夫婦で二百万円以上の場合、立ちのきの対象になるわけでございます。子供がいなければなおさら対象になる。しかし私は実例を知っているのでございますが、二百万以上取っていると収入の超過者として追い出される。そこで自分の子供に名儀の承継ということで、それで自分はそこから籍を抜いてどこかへ持って行ってしまう。それでその人はいないかというと、その人は依然としてそこにいるのです。こういう話があるのです。それから子供がいるとどうもぐあいが悪い。子供がいる人は二百五十万とか三百万になる。だから子供の籍を近くの親戚とか知人なんかのところに異動させて持っていってしまう、実際にこういう人がいるのです。ですからなかなか実態の把握、収入超過者の認定ということはむずかしいと思うのですけれども、これは法がある以上、的確、確実、公平にやってもらわないと村の平和を保てないということを申し上げておきます。そういう意味で本改正に賛成でございます。
 次に用地費の点でございますが、これは私はいままでそういうことにかかわり合ったこともない全くのしろうとでございまして、皆さんにこの席で御意見を申し上げるほどの抱負もございませんが、従来建てかえなどについて国が補助しておった、これをひとつ用地費については融資に切りかえるということでございます。まあしろうととして率直に考えますことは、融資というからにはあとで返さなければなりません、ただ貸してくれる人はないから利息をつけなければならない。それがやはり地方自治体の大きな財政の圧迫になる。それから前には家賃算定の場合には、補助費は家賃算定の基礎から抜かれておったということで、低家賃の住宅、公営住宅法の目的に沿うものができておったのですが、こういうことが結果的に高家賃につながるということならば、まさに法の改正の意味が全くなくなるわけでございますから、そういうことのないように、また家賃の補助費等もあるわけでございますが、理由はどうあれ、このことによって国の一般財政から出す費用に、いろいろな事情で限界があるといたしますならば、これによって自治体が必要とする豊富な資金が随時使用できるということになればいいわけでございます。ひとつこれはそういうことと、そのために家賃が高くならないということを、ひとつ努力していただくという強い要望を付して賛成をいたしたいと思います。以上でございます。
 そこで最後にこの機会をかりて、私は長い間、先ほど申しましたように公営住宅に住んでまいりまして、薄給の中に戦後の食糧難あるいはインフレを乗り切って五人の子供をとにかく育てて来ましたのは、この七百円、あるいは値が上がっても千四百五十円の安い家賃で住まわしていただいたおかげだということを、心からこの国会を通じて国民の皆さんに感謝を申し上げて私の意見を終わりたい、かように思います。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(岡三郎君) 次に時任公述人にお願いをいたします。
#12
○公述人(時任巌君) 保谷市に住みます時任でございます。
 私は今回の公営住宅法改正に反対する者でございます。今回の改正案を見ますと、いろいろと不備不合理な点がございます。私は衆議院建設委員会の質疑応答と、そうして去る四月二十四日の当建設委員会において論議されました問題点を、過去の実例と対比しつつ、この改正案に反対の論旨を進めてまいりたいと思います。
 第一に、高額所得者の立ちのきの問題でございますが、高額所得者として立ちのきの対象となる世帯数は、当委員会において約四千六百と発表されております。この数は公営住宅の総数約百四万戸に対してわずか〇・四五%にすぎません。この一握りの人たちに対して、法律を改正してまで問題にする価値がはたしてあるでありましょうか。高額所得者立ちのきの規定が初めて公営住宅法に顔を出しましたのは、昭和三十四年の法一部改正のおりでありました。高額所得者と称される人たちは、それ以前にそのような約束がなくて入居していた、入居の際にそのような契約のなかったこと、しかも明らかに居住者に不利なこの立ちのきを、家主が強要したとすれば、これは明らかに契約違反でありましょう。
 そして法務省民事局長は当事者の一方が国、あるいは地方公共団体でありましても、契約が私法上の契約でありますれば、その理屈は全然変わりありません、と証言しているのであります。いずれにいたしましても、高額所得者の立ちのき規定は、法律的にも、常識的にも、大きな無理があるといわなければならないのであります。建設大臣は当委員会において一人でも多くの気の毒な住宅困窮者に住む家を与えたい、それゆえ、高額所得者は、互譲の精神で、気の毒な人たちに譲ってもらいたいという意味のことを述べておられますが、高額所得者には、現在住まっている住宅を犠牲的に明け渡すいわれはない、いわんや、明け渡しを強要されることは心外と感ずるに違いありません。この問題は法の不遡及の原則にも反します。法律を改めて、その改正の効力を改正以前から居住している人にさかのぼって適用しようとするものであるからであります。
 何ゆえわずか〇・四五%の該当者のために、右のように疑問点の多い、そして紛争の予想される問題を強引に決めなければならないのでありましょうか。政府が高額所得者立ちのきの問題に、異常な熱意を示すのは、住宅政策貧困によってきびしい住宅難にあえぐ低所得、住宅困窮者の怨嗟のほこ先を、現在の公営住宅居住者に転稼させて、みずからの責任から逃れようとしている、としか考えられないのであります。みずからに向けられるべき責任追及のほこ先を、的はずれの公営住宅居住者に向けさせて、みずからの責任から身をかわし、現在の公営住宅の居住者と、将来いずれ公営住宅の居住者になるであろう、住宅困窮者との仲をさき、国民相互を対立させるやり方は、卑劣とそしられてもやむを得ないでありましょう。このような多くの無理、不合理があり、紛争の予想される方法でなく、公営住宅居住者が、自発的に立ちのくような方法を考えてみてはいかがでしょうか。
 なるほど高額所得者の立ちのきに関しては、公団住宅や融資あっせん等があります。しかし公団住宅の家賃は公営住宅のいわゆる高額所得者にとっては高ねの花なのであります。公営住宅居住の高額所得者の大部分は、決して暮らしの楽なほどの高額所得者ではありません。そして高ねの花であることは、公営住宅と公団住宅の家賃の差がこれを証明しております。
 それならば金融公庫の融資あっせんはどうか、土地建築費の値上がり、そして多額の頭金が必要なことと金利の点でなかなか手が出しにくい、もしたとえば、頭金なしの年賦償還期限五十年、金利三・五%程度の長期、低利資金入手が可能でありますならば、公営住宅の居住者はいわゆる高額所得者でなくても、自発的に喜んで持ち家を手当てし、居住中の公営住宅から立ちのき、明け渡すでありましょう。住宅金融公庫法に特別融資規定を設けますならば、立ちのき、明け渡しの問題は、強制せずとも、何らの紛争なしに、円満に解決すると思われるのであります。力づくで権利を奪い取ろうとするのであれば、弱い庶民といえども必死の抵抗を試みることは明かです。北風と太陽のたとえを待つまでもなく、あたたか味のある政策で、自然に外套を脱がせるような施策こそ、現在の政治に一番必要なことではありますまいか。私はこのような意味で、今回の公営住宅法改正案はいま一度根本から検討しなおす要があると思うのであります。
 次に、建てかえ立ちのき、払い下げ約束問題であります。この問題に関する衆参両院建設委員会の質議応答を聞いておりますと、払い下げの約束のあったことを認めながら、土地事情、住宅事情が激変したから、建てかえ立ちのきはやむを得ない、という答弁になっているように思われます。そして昭和三十四年以前におきましては、事業主体の正式の公営住宅担当職員が、入居に当選した者を一堂に集めて、「当選おめでとう、いずれ払い下げられて、あなた方の持ち家になるのであるから、大切に住まってください」という意味の言明がなされましたことは、間違いのない事実であります。しかも右言明が、全国的に都道府県の公営住宅担当職員によって一様になされている事実は重視すべきであると考えます。このことは、払い下げが、当時政府の方針であり、その方針を管理主体の担当職員がよく知っていたからと考える以外に解釈のしょうがないのであります。これに関連して住宅局長は「事業主体の職員が公の席上で、そういうことを申したということでございますから、道義的責任は十分感じなければならないと思います」と答弁しているのでありますが、これは道義的責任で済むことではなく、入居者としては、明確な約束があったと理解しているのでありますから、一日も早く、この約束を実行してほしいとお願いする次第でございます。
 昭和二十六年公営住宅法制定の際の田中角榮先生の提案説明、そしてこれを受けた公営住宅法第二十四条が、払い下げと持ち家方式を明示しており、また家賃制度も、公営住宅の払い下げ方針に基づく償却方式をとっている上、制度的に払い下げが行なわれていた事実、以上の背景が、管理主体の担当職員をして、払い下げを言明させたのであります。
 以上のように、払い下げが公に約束された事実でありますことは、間違いのないところであります。もし建設大臣の御答弁のように、「当時と事情が激変したから」ということが、この約束を破る理由でありますならば、それは納得することができません。事情激変の原因が、政府の産業政策、住宅政策の不備の結果であることをしばらくおくとしても、政治に対する信頼失墜はどうするのでありましょう。事情が激変すれば公約も破棄されるということになりますれば、事情は今後も激変するでありましょうから、国民は政府の公約を信じられないことになるのであります。この払い下げの約束が守られないといたしますならば、その被害をこうむる人は四十五万世帯、約二百万人に及ぶのであります。この点に関して住宅局長は四月四日の衆議院建設委員会における阿部議員の質問に対して「管理の必要があればこれを払い下げることができるという規定から、管理主体の担当のほうでそういうようなことを、申した事実があったと思われます」とも答弁しておりますが、この考え方は、公営住宅法の立法の趣旨に照らして明かに誤りであると思います。法律制定の際の田中角榮先生の提案説明によれば、第一点として居住者の安定と希望によっては払い下げることが適切と言い、第二点として払い下げるほうが住宅の保全上からも上策と積極的に払い下げの方針を明らかにしておられるのであります。
 法第二十四条の払い下げに関する規定は管理上必要な場合に払い下げることができるというような消極的なものでなく、資力に乏しい入居者に対して、無理なく分譲をすることのできるような配慮から、このような表現をとったものでありまして、入居者を保護するはずの法の精神が、立法精神と全く逆な考え方によってゆがめられている事実を指摘したいと思うのであります。公営住宅の分譲の約束が存在したことは、きわめて明確な事実でありますから、この約束をすみやかに実施に移されますよう重ねてお願いするものであります。
 次に住宅難解決と本改正案の関係について考えてみたいと思います。今回の公営住宅法改正の目的は現下の深刻な住宅難の解決にあるといわれております。それならば高額所得者の立ちのきと建てかえ立ちのきではたして住宅難解決の目的が達成されるのでありましょうか。四千六百世帯、すなわち全公営住宅居住者の、わずか〇・四五%にしか当たらない高額所得者を立ちのかせて、この深刻な住宅難は、どれだけ緩和されるのでありましょう。建てかえ対象として、住宅局長が発表した、大都市周辺の木造公営住宅十五万戸を建てかえたとしても、現下の深刻な住宅難解消のためには焼け石に水にすぎません。しかもすでに申し述べましたとおり、高額所得者及び建てかえにあたっての立ちのきには、大きな障害が伴なうのであります。入居当時に払い下げが約束されていると確信している居住者は、簡単には立ちのきに応じないと予想されます。強制立ちのきを既得権の侵害を考える居住者は、強い抵抗を示すに違いありません。住宅局長は衆議院建設委員会において、民事裁判により、判決をもらって、強制立ちのきさせると答弁しておりますが、このようなことになりますれば、混乱はいたずらに大きくなり、解決が長引いて、建設省の期待する建てかえ事業は渋帯と混乱を重ね、早急に解決を要する、現下の深刻な住宅難解消に何の役にも立たないことになるでありましょう。そして紛争が長引いている間に、現在残っている大都市内及びその周辺の空閑地の価額はますます高騰し、また公営住宅建設に適したさら地が散逸してしまうのであります。紛争の伴わない、もっとスムーズにいき、しかも実際に効果のあがる方法はないものでしょうか。たとえば公営住宅を払い下げて、その収入資金を新しい公営住宅の建設に振り向けてはどうでありましょう。住宅局長は衆議院建設委員会において、三十四年の法一部改正以前に建設された木造公営住宅の数は約四十五万戸と発表しております。試みに払い下げ妥当価額と推定される一戸百万円程度で払い下げるといたしまするならば、四千五百億円の巨額の収入が見込まれます。これの資金を新公営住宅の建設に振り向けますならば、現下の住宅難緩和に寄与するところ多大でありましょう。しかもこれは何らの抵抗なしに、きわめてスムーズに実施できるのであります。居住者も喜び、新建設住宅に新しく入居でき、住宅困窮者も喜び、事業主体もやりやすい。しかも住宅難緩和に大きな効果があるのであります。もしこれを喜ばない者があるとすれば、払い下げにより、管理の仕事が減ることをおそれる住宅官僚のなわ張り根性だけではありますまいか。右に述べました方法は、その上建てかえ対象公営住宅、つまり取りこわし計画に載っている四十五万戸の住宅が、そのまま生きることになります。住宅難解消のためには、現存住宅の保全も、大量建設に劣らず大切であるのであります。
 次に家賃値上げに関する規定について申し上げます。今回の改正案は家賃値上げの規定を改め、政令で定める範囲内の家賃値上げは建設大臣の承認を不要とし、都道府県知事の自由裁量にまかせております。これは都道府県の間に公営住宅家賃の格差を生じさせる、好ましくない結果を招来するのみでなく、公営住宅法立法の精神である、同法第一条の「低廉な家賃で賃貸することにより、」の目的に明らかに背反する結果が予想されるのであります。公営住宅法施行令第四条の二、第三項に、家賃値上げの場合の地代に相当する額の計算方法が明示されております。この方法によって東京都保谷市所在の公営住宅家賃の引き上げ限度額を計算してみますと、地代相当額は一カ月分で約六千円となり、地代相当額だけで現在家賃の約三倍になるのであります。そして保谷市におきましては、今年固定資産税評価額の評価がえを実施することになっている由でありますが、今回の評価がえに際しては、現在の三倍ないし四倍程度に上げなくてはなるまい、との担当課長のことばでありました。もしそうなれば、保谷市でさえ毎月一万八千円から二万四千円の値上げが事業主体の考えだけでできるようになるというゆゆしい問題が生ずるのであります。
 以上のように家賃値上げに関し、建設大臣の承認を不要とした今回の改正案は、家賃の大幅値上げを可能にした点で、公営住宅法第一条の精神に背反するものであります。すなわち家賃の不当値上げの歯どめの役割りを果たしてきた建設大臣の承認を不要とした今回の公営住宅法改正案は重大な悪改正といわざるを得ません。去る四月二十四日当委員会において松永委員のこの点に関する質問に答えて住宅局長は「昭和三十七年ころの固定資産税評価額を基準とすることになっているから、家賃はそれほど上がらないはず」という趣旨を述べておりますが、私はこれを信ずることができません。何年度の評価額を基準として用いるかを条文で規定しない限り、いずれを用いるかは管理主体の自由でありましょう。
 そして、大都市周辺の土地の固定資産税評価額は、今後も急激に高騰し続けることが予想されるのであります。それゆえ右計算のような大幅値上げが、好もしくないものでありますならば、法律の条文にそれをあらわさなくてはならないのでありまして、そのような歯どめの役割りを果たす規定がなくては、私は住宅局長のさきの答弁は信用するわけにはまいらないのであります。
 この信用するわけにはまいらない理由を、過去管理主体がいかなる態度で居住者に対して臨んできたか、そのためにいかなる紛争が起こったかを次に実例を挙げて御説明申し上げ、御参考に供したいと思います。
 第一は、収入調査の問題であります。収入調査は昭和三十四年の法一部改正の際に初めて規定されたものでありますが、成立に際しまして「入居者に対していたずらに不安を与えることのないよう特別の配慮を加えるべきである」という趣旨の附帯決議を当参議院建設委員会によって付されたものであります。しかしながら、これが右附帯決議のように慎重に取り扱われなかったことは、各地に紛争が起こり、供託、裁判等で争われている事実が現に存在していることでも明らかであります。
 最近におきましては、東京都が収入報告強要の内容証明を出しております。そして、その内容証明には「収入報告の提出なきときは使用許可を取消し明渡し請求することがある」という穏やかならざる言葉があるのであります。おどかせば庶民は言いなりになる。という悪い官僚の管理姿勢がはっきり浮かび上がっているではありませんか。これが先に掲げた附帯決議のついた規定に対する管理当局の取り扱いなのでありまして、官僚の国会軽視の著しい例でもあると思うのであります。
 第二に、東京都における昭和三十五年の家賃値上げの実例であります。東京都におきましては昭和三十五年四月に公営住宅の家賃値上げを実施しましたが、居住者に対する値上げの通知を三日前の三月二十八日に、突然一筆のはがきで通告してきたのであります。しかも何等事前説明なしでありまして、きわめて非常識な方法で家賃値上げが強行されたのであります。居住者が腹に据えかねて、家賃を供託して争ったのは当然でありまして、これが有名な八王子裁判の発端となったのであります。管理主体が強権を頼み、横車を押して庶民を圧迫した実例であります。この供託問題に関連して、東京都は供託者に対して家屋の修理を行なわない等不当な差別待遇をしております。また水道不施工という人道上からも許すべからざる差別待遇が行なわれております。東京都保谷市柳沢都営住宅は入居の当初は三、四世帯共同の井戸で水をまかなっておりましたが、昭和三十八年ごろ、市営水道が完成いたしまして、住宅局は四十年ごろ各戸に水を引き込んだのでありますが、十五戸の家賃供託者は工事から除外されたのであります。これらの人たちはたびたびその不当を陳情し、水道工事施工を要求したのでありますが、八王子裁判和解解決までの二年間、ついに工事は行なわれませんでした。まことに言語道断のことでありまして、お聞きの皆さまは、おそらく信ずることができないでありましょう。この住宅の井戸水は保健所の検査で、飲料不適とされた水でございます。供託者は近隣と文字どおり差別され、二年間飲料不適のくさい水でがまんさせられたのであります。ここに昭和四十年八月十九日の産経新聞がございます。この問題に関する記事に、管理主体と供託者双方の言い分が載っておりますので、御希望の方がございますれば先ほどの内容証明とともにお目にかけましょう。
 以上はおもなものを拾っただけで、こまかいいざこざは数限りなくあったのでございます。管理主体の公営住宅居住者に対する管理姿勢がうかがえると思います。法律の条文は管理運営者の解釈と姿勢いかんによって、その対象となる庶民を著しく圧迫する場合の多いことは前掲の実例によって、御理解いただけると思います。それゆえ家賃改訂に関して、不当値上げの歯どめの役割りを果たしてきた建設大臣の承認を不要とする今回の公営住宅法改正案は、重大な悪改正と言わざるを得ないのであります。
 次に、事業主体の管理能力の問題があります。昭和二十八年ごろから東京都は、公営住宅の払い下げを手控えてまいました結果、当時三、四万戸であった都営住宅が現在は十四万戸にふくれ上がり、そのために管理に手が回わらなくなり、最近は修理はほとんど行なわれていない状態であります。そうして管理のための外郭団体必要の声が、かなり前から都住宅局を中心にささやかれております。公営住宅の数が管理の可能限界をはるかに越え、現在の機構のままでは管理らしい管理は行ない得ない。必要な修理もできない、管理は完全に行き詰まり、厚い壁に突き当たっている、管理主体のためにも居住者のためにも、そうして公営住宅保全のためにもこのままではいけない、何かしら新しい施策が必要であるということは、関係者の一様に痛切に感じているところであります。しかし、管理のための外郭団体新設は、政府の重要方針である行政簡素化、外郭団体整理の方向に背馳する上、管理経費の増高を来たし、家賃値上がりに通ずるといたしますれば、残された方法は一つあるのみであります。すなわち管理主体の管理能力を勘案して適正管理戸数をきめ、これをこえる公営住宅を払い下げることによって、適正管理戸数を保ち、管理の完璧を期する以外に方法がないのであります。今回の改正案審議にあたりましては、この大切な問題を忘れてはならないと思うのであります。
 最後に、住宅というものの性格を考えてみたい。公営住宅問題を検討します場合に、私は住宅というものがいかなるものであるかを考えなければならないと思うのであります。住宅はそこに住む一家にとってはスイートホームでなければなりません。そこに育つ子供にとっては、住宅はわが家、わがふるさとなのであります。そうして住宅は将来へ向かっての生活設計、生活計画の基礎となるものでありますから、いつ追い立てられるかわからない不安なものであってはならないと思うのであります。安心して住居できること、これが住宅の最低の条件ではありますまいか、そうして初期の公営住宅の管理運営は確かにその線に沿うたものであったと思います。払い下げ持ち家方式を方針とした運営はそのあらわれであったと思うのであります。しかるにその後建設省が方針を変え、持ち家方式を短期回転方式とも称すべきものに変えてしまった。いわゆる仮ずまい的腰かけ方式とも言うべきものであります。所得のふえたものは強制的に立ちのかして、新しい住宅困窮者をそのあとに入れて短期回転をはかるという行き方でありまして、先ほど申し述べた住宅というものの性格をふみにじった考え方であります。この建設省の方針が公営住宅法の立法精神、そうして初期の公営住宅の運営方針と全くうらはらなものでありますことは、すでにいろいろ申し述べたところであります。腰かけ的仮ずまい方式では、公営住宅法第一条に規定する健康で文化的生活は営みようがないのであります。計画的生活設計をたてようがないのであります。これは住宅のあるべき姿の最低条件である、安心して居住できることを不可能にする管理方式であり、自然の理にそむいた間違った考え方と言わなければなりません。それゆえ右に述べた相反する二つの方式のいずれをとるかを明確にきめてかからなければ、本公営住宅法改正案の審議は意味がなくなってしまうのであります。
 住宅局長は、公営住宅は一定の政策目的のために設けられるものと述べられておりますが、この一定の政策目的が問題であります。私は右の一定の政策目的とは、公営住宅法第一条に明示されているものであると確信しております。そうして安心して居住できるという住宅の最低条件は、明らかに法第一条の精神の中に含まれていると私は思うのであります。すなわち建設省の現在の方針である短期回転方式は、公営住宅法立法の精神にもとるのみでなく、公営住宅法第一条に明らかに背馳するものと言わなければなりません。今回の公営住宅法改正案は、現在の建設省の誤った方針の強行を容易にするために、現在の居住者のみでなく、将来公営住宅に入居するでありましょう現在の住宅困窮者をも犠牲にしようとするものであります。公営住宅法は、国民の安心して居住できる住宅を与えるものでありまして、断じて公営住宅の管理運営を容易にするためのものであってはなりません。
 以上いろいろ申し述べましたところにより、私は今回の公営住宅法改正案に対して全面的に反対するものであります。以上をもちまして私の公述を終わります。
#13
○委員長(岡三郎君) 次に、和田公述人にお願いいたします。
#14
○公述人(和田春生君) 海員組合顧問の和田春生でございますが、同時に私は東京の三多摩地区同盟の顧問といたしまして昨年以来地域活動をやってまいっております。
 御承知のように三多摩地方は最近急速に人口が増大をいたしておりまして、都市化の波に洗われて、土地問題住宅問題住居、観光、道路、交通等についていろいろと問題を引き起こしてきておる典型的な土地でございます。また私の個人的な経験から申しますと、最も近しい親族の一世帯は十数年公営住宅に入っております。一人は最近できました公団住宅に入っております。一人は公庫融資で家を建てました。私は自宅を持っておるわけですが、仕事の都合で転居をいたしましてもてあまして困っているという立場でありまして、いろいろな問題も身近に見てまいっております。そういうような立場から特定の立場のみを代表するという形ではなく、公約数的にこの問題を見まして、私の所見を申し述べてみたいと思うのです。
 まず結論から先に申し上げますと、条件をつけて本法案には賛成をいたしたいと思います。ただし、運用につきましては注文を、将来については要望を申し述べてみたいと思います。
 本法案は、先ほど申し述べられておりますように、主要な改正点が三つでございます。
 第一の、土地取得費用に対する補助、これの改正につきまして私は本来のあり方としてはこれはいかがなものであろうかというふうに考えます。しかし当面している実情を見ますと、国の補助する費用も限られておるわけでありますから、多くの土地を取得しようという場合に、補助のみではなかなかうまくいかない、そこで融資に切りかえるという苦しい台所の事情はわからないわけでもございません。しかし、将来にわたっても融資一本でいくという形になりますと、地方財政事業主体に対しまして、非常に重要な問題を引き起こす可能性があるわけでありますから、当面のやむを得ざる処置というふうに限って、将来はさらにこれが本来の方向に向かって発展をさしていただくということを希望しながら、この点についてはやむを得ないものという立場で認めたい考えます。なお、土地問題につきましては、最後に総括的に申し述べてみたいと思います。
 それから第二番目の高額所得者に対する明け渡し要求でございますけれども、公営住宅という趣旨からまいりますると、これは当然のことであろうと思います。賛否の問題の起こる余地はない事柄だろうと思います。過去の経緯からまいりますると、確かにやがては自分のものになるのである、そういうふうな予約といいますか、期待感を与えるような話があったことも事実でございまして、実は私の義兄が入っております市営住宅も、そういうような話を聞いて入ったところでございます。しかし最近では建てかえという問題に直面をしているわけでございます。この点について考えますと、まだわが国における住宅政策というものの方向がはっきり定まっていない、ともかくやみくもに建てようではないか、そしてそういう公営住宅等の戸数というものもそれほど多くはない、こういうときにいま申し上げましたような、将来自分のものになるのである、こういうような発想があったからといって、そのことを非難するわけにはまいらないと思います。しかし、最近のように急速な人口の都市集中、さらにこれが都市周辺に及びまして、都市化現象というものが急激に進展しているという状況の中で、国家の行なう住宅政策の視点というものはおのずから明らかにされなければならないと思います。このような非常に国土が狭小であって人口が多く、しかもそれが山また山が多い日本の国情から考えまして、特定の地域に集中をするというときに、政府が政策として進める住宅対策というものが持ち家政策を重点としていくということは誤りであると思いますし、今後やはり完全に行き詰まってくると思います。そういう転換に際しまして、持ち家は個人で能力のある者に持たせる、政府は持ち家を持とうとしても持つことができないそういう一般国民大衆の立場に立って住宅政策というものを考えますならば、あくまでも公営住宅というものは、平均的に見まして低所得層というものを対象にして運用されるというのが私は筋であると思います。そういう筋から考えまするならば、既得権ないしは従来の経過というものにいたずらに固執をいたしまして、高額所得者が公営住宅に居すわるということを許すべきでないというのが、政治の倫理ではないかと考えるのでございます。
 ただしかし、実際問題といたしまして、それでは理屈どおりにいくかというと、なかなかそうはいかないのではないかと思います。現に高額所得者に立ちのきを要求をする、しかし立ちのく先がないと言って居すわられた場合に、強制執行をして道路の上にほうり出すことができるであろうか。こういう問題を考えていきますと、十分な対策と準備なくしてこの方針を推進いたしまするならば、かえって混乱を巻き起こすことになりかねないと思います。法律のたてまえでは立ちのきを要求するということになっているので、立ちのきを現実に要求をした。ところがそれがいつまでたっても執行をされないと、そういうゆがんだ状態が部分的に残されてまいりますと、かえって政治に対する不信ないしは住宅政策に対する批判というものを一方で高める結果になりかねないのではないかということをおそれるわけでございます。したがいまして、こういう立ちのきを要求をする、明け渡しを求めるという場合には、その人が行くべき先の住居というものを提供する。たとえば家賃が高くなっても、もよりの地域で、常識的、世間的に見ましてそれほど無理ではない、こういうところに対して公団住宅なら公団住宅というものを確保して、そこへ行ってくださいと、こういうはっきりした条件があった上で立ちのきを執行するという形にいたしませんと、立ちのき要求が先に立って、あとから新しい住宅を求めることをお世話しましょうというような形では、なかなか実行上うまくいかぬのではないか。そういう点について特段の配慮が行政執行上必要であろうと思います。
 さらにもう一つは、この基準収入というものが一定の金額できめられております。これが一定の期間ごとに実際の状況とにらみ合わして改正をされるわけであります。そういたしますと、改正をする直前と改正をされた直後というものにつきましては、収入の判断の基準がかなり大きな幅で違ってくるのではないか。そこで早く立ちのきを要求された者は損をしたけれども、うまいぐあいに改正をされた後では、立ちのきを要求される基準には達しなくなる。そこの間に不均衡が生ずるというようなことでごたごたを起こし、これが裁判ざたになるというような場合に、はたしてどう対処されるであろうかと、こういう問題になりますと、この基準収入というようなものをどう定めていくか、運用の面で相当きめのこまかい対策を必要とするのではないかと、かように考えるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、たてまえとしては高額所得者に対しては明け渡し請求ができるということは当然であるという、こういう意味合いにおきまして、運用上に条件をつけて原則的に賛成をいたしいと思います。
 第三の公営住宅の建てかえ促進でございますが、これに対しては私は双手をあげて賛成をいたします。一般的に収入水準が上がってまいりまして、生活内容というものもだんだん高度化をしてまいります。そうなりますと、発展段階の低い状況のもとでつくられました住宅事情というものは、だんだんそぐわなくなってまいりまして、ほうっておきますと、さきに建てられました公営住宅というものは、スラムと化していくという危険性があるわけでありまして、そうしてそういうことを考えました場合に、やはり世の中の進歩に合わせまして、公営住宅に住む人といえどもよりよい環境に住めるようにしていくということは、たいへん重要な今後の方策であろうと思います。そのためには、建てかえをするということはたいへん必要になってくるわけでございます。
 ただし、この場合にも私は一、二の条件をつけたいと思います。この法案を見ますと、何か建てかえますところの人たちに立ちのいてもらって、一たん仮住居を提供をして、そこに建てたところに戻ってもらうと、こういうことが本来のたてまえになっているかのように法案では読めるわけであります。しかし、私はどうもこれからのことを考えると、そういう形ではうまくいかないし、非常にむだが多いのではないかという気がいたすわけであります。もよりのところに新しく公営住宅をつくる、そうして建てかえをしようとしている人にそちらのほうに移ってもらう。そうしてそのあとに建てかえをして新しい人を入れていく。この場合いろいろ仕事の事情等がありましょうから、もとのところに、建てかえたところに戻りたいということを特に希望する人には、戻ることを考慮してもよいかと思いますが、そういうふうな計画的な住宅政策というものはお進めになるのが適当ではなかろうかというふうに考えます。さらにまた、今後建てかえをいたします場合に、私は第一種、第二種という公営住宅に対する区別を一切廃止をしていただきたい、こう考えます。その理由は、この第一種、第二種という区別ができたのは、収入の少ない貧しい人にもともかく家を安く与える、狭くても悪くてもたくさんつくろうではないか、こういうところから第一種、第二種という区別ができたと思います。しかし、これからの文明、社会の進展というものを考えますと、自分の能力を発揮することができる、そうしてどんどん生きがいのある生活をしている、こういう人人はよろしいかと思いますが、努力しながらも社会の状況でなかなか将来性というものに希望を持ちにくい、収入をふやしたいと考えておっても収入がふやしにくい、そういう人たちがたくさんいるわけであります。そういう人たちが家の面で差別をつけられ、非常に安いかもしれないが、悪い住宅に生活を余儀なくされるということは、政治の方向としては私は多少曲がっているのではなかろうかと思います。生活内容は豊かでなくても、せめて住む家については、収入が多いから少ないからという形で、はっきり第一種、第二種というような政府自身が、役所自身が区別をつけるようなやり方ではなくて、やはり同じような基準でこれを建てていく。そうして収入の低い人には、安い家賃で入ってもらう、こういうあたたかい政治の姿勢が必要ではないか、こういうふうに考える次第でございます。以上で建てかえについては、原則的に賛成でございますが、今後の方向といたしましても、御注文を申し上げておきたいと思います。
 最後に一言申し上げたいのは、土地問題についてであります。こういうふうに公営住宅法を改正をいたしましても、現状よりも幾らかは改善されるでしょうが、抜本的な改正といいますか、よい方向に向かうということは、なかなか期待できないと思います。こういう点をいろいろ探っていきますと、一番根本的な問題は、私は土地であると思います。工場でつくる品物の場合には、拡大再生産ができるわけでございます。しかし、この土地というものは、拡大再生産ができません。またこれは個人の努力によって取得したものではなくて、天然自然にわが国土として与えられたものでございます。今日のような文明社会が進展をしてまいりまして都市化が進んでくるときに、土地に対する政治の考え方を根本的に改めるべき段階に来ているのではないかということを痛切に考える次第でございます。きょうは土地問題ではございませんので、多くは申し述べませんけれども、要するに土地の私的所有というものは禁じまして、これをすべて公共管理のもとに置いて、私的所有は制限した条件のもとに認める、そういうふうな政策に進まないことには、今後都市化の中におけるわが国の住宅政策においても、都市化対策においても、ことごとく行き詰まってしまいます。膨大な国費、財源を必要としながらなかなか成果があがらない、こういうことになるのではないと思います。先ほど来の公述人の各位におかれましても、積極的に公営住宅を大量建設することが大事であるということを申し述べておられます。私も全く同感であります。しかし公営住宅を大量に建設する、しかも、できるだけ財源をむだなくやろうというふうに考えますと、土地問題の解決なくしてそれは不可能であろうと思います。どの党が政権を取ってもできないと思います。したがいまして、これは与野党の区別なく、各党が一致結束いたしまして、今日いろんな問題の根本に横たわっております土地政策というものについて、将来を見つめた視点の上に立って、積極的な、果敢な政策をおとりくださることを切に希望いたしまして、私の公述を終わりたいと思います。
    ―――――――――――――
#15
○委員長(岡三郎君) 次に、森山公述人にお願いいたします。
#16
○公述人(森山八重子君) 私は、ただいま御紹介を受けました東京借地借家人組合連合会会員の森山でございます。
 私は、この法案に反対いたします。その反対の理由を述べさせていただきます。去る三日は憲法記念日でした。憲法第二十五条は、健康で文化的な生活を営む権利を保障しています。経済の成長は世界第二位という驚異的な成長を遂げていますが、多くの人たちが住宅に苦しみ、人間らしい生活とはほど遠いところの生活がしいられている状態です。国の政策として大量に公営住宅を建てない限り、住宅問題の解決はあり得ないのに、今度の公営住宅法案は改正されました。住宅に困っている私たちにとって、これは改正ではなく、明らかに改悪であります。
 まず、第一点の公営住宅の建設資金のうち、土地の取得に要する費用について、国の援助方式を改め、国の補助金を融資に切りかえるとした今度の改正案は、いままで地方公共団体が住宅用地を確保するために、財政的に大きく超過負担となり、一般財源にまで食い込んでいる現状を用地補助費を打ち切り地方債に切りかえたことは、借金政策をとるわけですから、利子がかさみ、いままでの補助金と違って、元金、利子も含めて、地方公共団体にさらにかぶさることになります。用地費起債の条件として、政府資金は八五%、二十五年返還、年利六分五厘、民間資金は十年以内返還年利七分以上と聞いています。しかも民間資金は全国平均で全起債額の三割ですが、東京都の場合などは七割以上が民間資金、銀行などの引き受け分となっています。民間資金を入れることは、さきに述べましたように、借金政策をとるわけですから、その利子がかさみ、それがまた地方財政を圧迫し、その財源を奪い、公営住宅建設を促進するどころか、逆におくらせる結果になることは明らかです。またその利子は家賃としてはね返り、非常に多くの負担を住民にしいることになります。公営住宅の家賃が一万円、二万円となってきますと、民間の家賃にも当然はね返り、家が非常に古くても、一度に高い家賃の値上げになっています。たとえば物価が上がったから、固定資産税が上がったからという理由で、毎年二割、三割の家賃の値上げを要求され、それに応じないときは立ちのきを言い渡されるケースが私たちの組合の人たちの中にも多くなっています。高い家賃と契約の更新料も二年ごとに多くの人たちが払わされています。私たちは、個々の起こった問題を解決すると同時に、公営住宅を大量に建ててほしいという運動を進めていますが、安い家賃の公営住宅が大量に建設されれば、住宅問題が具体的に解決していく中で、法的には要求することのできない契約の更新料や、また家主にいやがらせをされながら毎日生活をしている、いま問題の起きている多くの人々が苦しまなくてもいいはずです。私の近所で、最近、この方は築地の人ですが七十歳近くの老人ですが、高血圧で二度倒れ、つえをつかないと歩けない状態にありますが、テレビや新聞の土地の広告を見て、一人で土地を見に出かけ、三十坪、百五十万という土地を大宮の先で不動産業者と契約し、母印をついただけといっても契約をしてしまいました。現在の家賃も、奥さんが一生懸命仕事をして、ようやく支払っている現状で、土地を買う百五十万などというお金はとうてい考えられもしない状態なのに、何とか自分の家がほしいと契約し、問題を起こしています。この老人は今回だけではなくて、二回も同じようなことを繰り返していますが、だれでも自分の家が欲しい、安心して住める家が欲しいという要求はあたりまえのことです。お金もないのに契約をした、この老人を責められないと思うと同時に、いま私たちが家を持つにはあまりにも大きな犠牲が要ります。土地、家を手に入れるには、多くのことを犠牲にし、また、ほとんどは一生かかってその代金を支払っている状態です。この連休も、土地や、建て売り住宅を見に出かけられた人たちも多かったと思いますが、誇大広告をする不動産業者が非常に多く、悪徳不動産業者がときどき摘発されていますが、民間の営利をむさぼっている不動産業者に、政府は結果的には、政策の一つとして手をかしていることになると思います。
 住宅問題の根本的な解決は、公営住宅の大量建設以外にないと思いますので、住宅用地を確保するために、さらに用地費の急激は値上がりに見合った補助金単価の引き上げなど、補助金を大幅な増額をしていただきたいと思います。当然国が責任を持つべきはずの補助金を打ち切り、地方債にしたことは、責任を地方公共団体にかぶせることになるわけで、私たちは反対しないわけにはいきません。
 第二点は、適正な標準価額の設定についてであります。公営住宅を建設するにあたって、地方公共団体に出すお金が、すでに現実に合わなくなっているのに、依然として昔のままになっています。物価も上がり、建築資材、用地費、人件費など、毎年ウナギ登りにのぼっているのに、たとえば、坪五万でできたときの一種住宅は二分の一、二種住宅は三分の二といったぐあいですから、今日、地方公共団体の財政を圧迫して、なかなか建てられないという問題があります。同じ二分の一、三分の二でも、そのときの物価に応じた十分の補助でなければならないと思います。
 第三点は、五年以上の入居者で、最近の二年間引き続き収入基準を相当こえる者に対して、六カ月以後の期限で明け渡しを義務づけるとなっています。入居基準をこえる者は割り増し家賃を取るのと合わせて、明け渡しを義務づけられています。特別収入の高い人を処理するのに、あらためて明け渡しを義務づけていることは、公営住宅に入りたいという、民間の住宅を借りている私たちの願いを、高額所得者がいるから入居できないんだと、問題をすりかえています。公営住宅百四万戸のうち、年収二百万円をこえた者四千六百戸がその対象とされていますが、年々上がる物価高の中で、当然将来対象者がだんだんふえてくることになります。条例や規則をたてに、半強制的に収入を報告させ、これに応じない者は区の課税台帳を見て、その人の収入をチェックするなどということは、税法からいっても違反であるし、憲法にも違反すると思います。課税台帳を見るということは、税金以外のほかの目的に利用することを禁じ、罰則まで設けられているはずです。東京ではかつて東知事の時代に収入を認定し、割り増し家賃を徴収しました。高額収入者があるとしても、その立ちのきは話し合いを通じて、本人の納得と、それを可能にする援助のもとに行なわれることが大切で、明け渡すようにつとめなければならないとする現在の法案を改めなければならない理由は一つもないと考えます。
 私たちの町に病院が閉鎖されたあとに、都営住宅を建ててほしいという要求が実って、十三階建百戸分が四十五年度に予算も組まれて、建設されることになりました。町の人たちはどの人に聞いても申し込むと言っています。東京全体でこの住宅が建設された場合に申し込みがあるわけで、さきに都営住宅新築二月分の公募、三月二十日抽選の平均競争率が五三・八倍、第一種は平均一〇三・九倍と、これまでの最高を示し、一番競争の激しかった団地の場合は、五千五百七十六倍という空前の競争率になったといわれます。今度病院あとに建てられることになった公営住宅も皆入居できたらと、淡い希望を抱いておりますが、どのくらいの競争率になっていくのか、はかり知れないものがあります。入居基準や激しい競争率の中から、長い間の夢であった公営住宅に入居できたとしても、今度の法案の改正の内容ではすぐにぶつかっていく問題です。住宅困窮の度合いに応じた住宅政策を持たない限り解決しないと考えます。
 次に、老朽化した公営住宅の建てかえは、あくまで入居者と事前の話し合いで施行されなければならないと思います。長い間住みなれたところを建てかえれば生活様式も変わり、それに伴って家賃の値上げも当然起こりますが、生活の実態に応じて一定の限度を設け、建てかえる計画や内容を十分入居者と協議して行なわれるべきだと考えます。
 最後に住宅建設計画は来年で終わるわけですが、六百七十万戸全体が政府の施策住宅のような印象を与えていますが、その中で、公営住宅はわずか、五十万一尺公団が三十五万戸程度で、あとは民間の自力建設に依存するということになっています。そのうち本年度は八万八正月程度ですから、おそらく五十万戸はむずかしいでしょう。安くて住みよい公営住宅を政府の責任で大量に建設する、これが何よりも優先して大切なことであり、憲法の精神にも、かなうことだと思います。
 以上をもって反対の理由を述べさせていただきました。
    ―――――――――――――
#17
○委員長(岡三郎君) 次に、後藤公述人にお願いします。
#18
○公述人(後藤典夫君) 私大阪府の建築部長をつとめさせていただいております後藤でございます。
 当委員会で御審議中の公営住宅法の一部改正案につきまして意見を申し上げたいと思います。
 大阪府の公営住宅の現況をちょっと申し上げます。本年の例で申し上げますと、大阪府下で約一万三千四百戸の公営住宅の建設計画が行なわれております。そのうち府営が八千五百、大阪市営が四千、その他の衛星都市が約千戸弱の状況でございます。そのような状況下で、大阪府の管理しております府営住宅は、本年三月末で約七五月弱になっております。
 さて、改正案についての意見でございます。結論といたしまして賛成の立場から逐次意見を申し上げたいと存じます。
 まず第一点は、用地費の補助制度の融資制度への切りかえについてでございます。多くの公述人が申されましたように、宅地問題土地問題ということが非常に重大な、住宅対策遂行上非常な大きな問題であることは、事実そのとおりでございます。で、公営住宅の用地費につきまして、従来の補助制度において、この高騰する地価の実勢に追いつけず、年々補助単価と実勢単価の価格との間の格差が広がってまいりました。その差額は、事業主体の実質的な超過負担として地方財政にも相当な重荷となっておったわけでございます。大阪府営住宅の場合を例にとりましても、四十一年度、四十二年度は用地の実際価格は約三倍、四十三年度は約四倍となっておりまして、ますます超過負担額の割合が増加していく傾向でございます。この是正については、従来からも強く諸先生にも、また政府にもお願いをしておった問題でございます。今回の改正案におきまして、公営住宅の用地費の補助制度を融資制度に切りかえることによりまして資金を十分に確保し、公営住宅の建設を円滑に促進することをねらいとされておるのでございます。私ども事業主体の立場からいたしまして、従来の補助制度が用地費の実勢に見合った適正な補助単価によって運営されるならば、もちろんそれが一番事業主体の立場として最良でございます。しかしながら国におかれて、現在の財政事情のもとにおいて補助制度のままでは必要資金の確保はきわめて困難であるということでありますなれば、単価の多少の手直しによる補助制度の存続よりも、次善の策ではございますが、融資制度によって地方の超過負担が解消されるということであれば、むしろ地方財政面での事業費支出は非常にやりやすくなるものと判断いたしております。本年の例でこれを数字的に申し上げますと、この八千五百戸の府営住宅の建設のための用地費は約六十九億八千四百万と見積もられております。これを一〇〇%といたしまして、これはかりにでございますが、推定何と申しますか、従来の補助制度で用地費が例年の値上がりの一六%程度上がったというような感じの補助基本額の制度でやられましたといたしますならば、この六十九億八千四百万円に対しまして、昨年どおりの制度がことし延長されたと仮定いたしますと、補助金は八億一千三百万円、起債が五億三百万円というようなことになりまして、それに府費を八千九百万付加いたしまして合計十四億六百万が補助基本額ということになるであろうと推定されるのであります。これはさきに申し上げました金額の約二二%に当たります。でそのほかに府費といたしまして五十五億七千七百万円の支出を必要とする、この五十五億七千七百万円というのは七七%に相当いたします。この五十五億七千七百万円と、補助基本額の中に含まれている当然府の負担すべきとされる府費八千九百万と合計いたしますと、府費計は五十六億六千六百万円を支出しなければならない状況になっておったであろうと推定されるわけであります。すなわちパーセンテージで申しますと、実際の用地費に対しまして補助基本額は二二%程度である、要するに四分の一以下である。そのうち国から補助金としていただけるものが一一・六%、起債としていただけるものが七・三%、合計一八・九%が国の援助をいただいている、残りの約七八%は府費で負担しなければならない状況にあったであろうと推定されます。
 さて本年融資の予想でございます。これも予想でございまして、細部がまだはっきりきまっておりませんが、大体承ったところによりますると、土地融資の基本額は四十七億六千万ということでございまして、総用地費の約六八・一%を見積もっていただけるように思われます。したがいまして、その実際の融資額はそれの八五%四十億四千六百万円、総用地費に対しまして五七・九%、したがいまして府費として負担いたしますのは、このほかに実際にかかります金も加えまして二十九億三千八百万、約四二%でございます。すなわち従来の方式では七八%も持たなければならなかったものを、本年は用地費のうちの四二%程度、その年の財政から支出すれば済むであろう、こういうような状況になっております。すなわち約二十七億二千八百万円単年度といたしましては資金が助かるわけでございます。そういうことでこの事業を行ないます事業主体の立場といたしましては、この程度のもので、必ずしもまだ十分と満足しているという状況ではございませんけれども、従来の制度と比べて画期的な政府の援助が行なわれる。すなわち従来一八・九%程度の援助額があったものが五七・九%の援助額になるということでございまして、非常に助かるわけでございます。
 それからもう一つ、用地費の融資の家賃に及ぼす影響を考えてみますと、これらの地代につきましては融資基本額に対して第一種につきまして三%、第二種につきましては四%に相当する補給金を年々補給されることになっております。したがいまして、家賃はそれを除きまして計算をいたしますと、大体その家賃の中に含みます地代は、在来のような方式で本年を推定いたしましたものよりもはるかに少ないであろう、これは試算でございまして、数字的にはっきりしたものではございませんけれども、もし旧制度がそのまま先ほど申し上げましたような数字の状況で行なわれるといたしますと、地代相当分は月に一戸当たり三千五百円ないし三千六百円になろうかと存じますが、新制度におきましては二千五百円ないし二千七百円程度におさまるのではないかという試算が出ておるわけでございます。そのようなことで、これは限度額の計算の際に用います試算でございますが、そういったことで家賃の面につきましても補給金というものが確保されますならば、在来に比べまして問題はないのではないかということでございます。なお、この補給金は必ずしも何年続くという保障は法律ではっきり明示してございませんが、年々これらの補給金が交付されますならば、たとえば六分五厘の資金を借りまして四分の補給金をいただきますというと、実際は無利子の資金に近いような資金を借りたような、均等償還の計算をいたしますとそういう計算になるわけでございます。したがいまして、本件につきまして賛成をいたしたいと存ずる次第でございます。
 ただ、この際申し上げたいのは、あくまでやはり用地費に対する実勢単価による融資額の確保あるいは土地政策の総合的かつ強力な推進につきまして格別の諸先生の御配慮を賜わりますようお願い申し上げたいと存ずるわけでございます。
 第二点の高額所得者に対する明け渡し義務の設定についてでございます。公営住宅は社会開発の中核として促進されております。住宅対策の上で最も重要な役割りを果たしているものでございます。公営住宅法の第一条の目的に示されておるとおりのものでございます。またそのように運営されなければならないと存ずるものでございます。現在住宅問題につきまして、さきに申し述べられました公述人の方々からもいろいろ激しい、きわめて切迫した状況をお話しいただきました。今後もその住宅対策というものにつきまして、公営住宅の大量建設というものを強力に進めてまいらなければならないことは、いまさら申し上げるまでもございません。ただ、同時に、現状の公営住宅の入居者の中で一定基準を著しくこえる高額所得の人たちにつきましては、現に入りたくても入れないでおられる公営住宅への入居を待ち望んでおられる低額所得の人たちに公営住宅を譲っていただくことは、その趣旨と性格から申し上げて当然のことであると考えます。
 大阪府におきましては、現行法におきましても収入超過者の明け渡し努力義務に基づきまして、入居しておる方々といろいろお話をして、たとえば四十一年には住宅公団に百九十六世帯、住宅金融公庫に二世帯、合計百九十八世帯。四十二年には住宅公団に四十五世帯、公庫が二十五世帯、合計七十世帯。四十三年には住宅公団に十四世帯、大阪府の住宅供給公社に百九世帯、公庫に二十八世帯、合計百五十一世帯といったような住宅のあっせんをいたしておりますが、現在市町村府営と合わせまして四十四年度当初で公営住宅が約十四万六千戸大阪にございます。その入居者の中で四十年度以前から二百万以上の高額所得の世帯は約四百二十世帯と推計されておりまして、割合といたしましては全体のわずか〇・三%に達しておらないことは、先ほどからいろいろ申されておるとおりでございます。
 したがいまして、このようなわずかな世帯のために明け渡しを義務づけても住宅難の解消へ何ら効果がないではないかと議論されておることもよく承っております。ただ、公営住宅はその趣旨といたしまして国民の税金をもととした補助を受けまして家賃を低減している住宅でございまして、もはやその家賃低減の恩恵を受ける必要がなくなった人々においてもなおその恩恵を継続するということは、必ずしも社会正義上妥当ではないと考えるわけでございます。なお、公営住宅の大量建設を遂行いたしますためにも、筋を正して正しい公営住宅の使用を行なっておかなければ、大量住宅建設に対するわれわれの主張が十分完成できないであろうということをおそれるものでございます。したがいまして、むしろこの改正はおそきに過ぎたとも言えるかと思われます。明け渡しの請求を受ける人たちにはまことにお気の毒だと思います。改正案の規定あるいは諸先生の御意見等によりまして公団住宅あるいは公庫住宅への入居のあっせん等について特別の配慮をするほか、病気等の特別の事情のある場合の措置等、いろいろ配慮がされることになっております。家主としての大阪府におきましても、これらの場合あっせんあるいは個々の事情の配慮ということにつきましてきめのこまかい考え方をしていきたいと考えておりますので、第二点についても改正案に賛成をいたすものでございます。
 次に、建てかえを促進するための建てかえに関する規定の整備についてでございます。大阪府におきましては府営住宅を二百三十八団地、約七万戸管理いたしておりますが、そのうち約二八%に当たります百三十九団地一万九千五百戸が、古い時期に建設された木造住宅でございます。建設から相当期間のたった古い木造住宅でございますので、非常にいたんでまいりつつある状況でございます。さらにこの時期におきましては、大阪市を中心とした非常によい場所に、交通の便利な市街地に建設されておりまして、建物自体はいたんでおりますが、場所としては非常によい場所なのでございます。またそういうところに建物が老朽し、環境が悪くなっていく状況を改めまして、またその付近の市街地の構造が漸次変化いたしまして、なおさら土地の高度利用あるいは住宅環境の整備ということに努力をいたさなければならない場所になってきておるわけでございます。
 したがいまして、大阪府といたしましてはこれらの建てかえ計画を一応立てまして、建設年次別にそれぞれのスケジュールを考えておるわけでございます。昭和三十九年度からその一部を着手しておりますけれども、ただいま反対の御意見にも出ましたようないろいろな問題から、入居者との話し合いに相当の期間を要しました。現在までに建てかえの完了したものはわずか二百十二戸でございます。これによりまして新しい四百六十戸が建ったという程度でございます。遅々として計画ははかどっていない現状でございます。
 反面、最近の用地事情はきわめて緊迫いたしまして、新規の建設に必要な用地は、市街地周辺部におきましては地価の値上がりと不足とによって公営住宅の限られた資金ワクの中で入手することも困難であるし、またばらばらになっておりまして、まとめて取得することも困難な状況になってきた。このために公営住宅は手軽な用地を求めまして次第に郊外の遠隔地に移行せざるを得ない状況でございます。それでも用地費は四十一年度一戸当たり四十五万円でございましたものが、今年度では先ほど申し上げました数字の約二倍に近い二月当たり八十三万円という急激な上昇を示しておるわけでございます。
 で、このような現状におきまして古い木造住宅を中高層住宅に建てかえて市街地において公営住宅を大量に供給する、またその環境をよくする、住宅困窮の低所得の人たちにより多くの入居の機会を与えることは、また同時に職場と住宅を近づけることにもなりまして、住宅需要の実態に即応して緊要であると痛感いたしております。
 譲渡論もございますが、譲渡いたしましてその資金で新たに建てるといたしましても、二月を譲渡した金ではまあせいぜい新しい〇・五戸ぐらいの資金にしかならないであろう。一方、もとの住宅がそのまま残っているかといいますと、スラム化するおそれもあるような状況になって、建物自体が老朽をしておるというふうな状況で、その土地の環境改善また市街地をつくり上げるという意味におきましても、このことは、譲渡ということはまことに不適切な状況でございます。
 現在、府下の公営住宅のうち市町村営のものを含めましてでございますが、建てかえの対象に考えられる木造住宅は約四万三千戸と推定いたしております。これらのものを中高層住宅に建てかえることによりまして、二倍ないし三倍新築戸数ができますので、新たに増加する住宅は約五万戸を下らないと見込まれます。これは私どもの第一期住宅建設五カ年計画の府下公営住宅の建設目標の約八〇%にも相当する数字でございまして、大都市地域における住宅難に真に実効ある対策として、今後大いに実施していきたいと考えておるものでございます。そのため、建てかえは積極的に進める必要がございます。現在、一部の入居者の賛同が得られないために円滑に事業を実施、推進できない事例が多いということは、公営住宅建てかえ制度の整備についてかねがね要望してきたところでございます。今回の改正案はまことに時宜を得たものと考えまして、内容の点からも大いに賛成をいたしたいと考える次第でございます。
 ただ、私どもがやはり一方で家主の立場を持っておりますので、したがいまして、この建てかえ計画の実施にあたりましては、入居者と十分話し合いを行ない、在来においてもそうでございましたが、家賃の急激な増額が家計に及ぼす影響等を緩和するための経過措置もとっておりますし、また移転費用あるいは仮設住宅の入居、この場合は使用料を取りません。また、必ずしも仮設住宅の入居一点ばりでいくのではなく、もよりのところに建てる余地がある場合はそこに建てて、そこに一たん入ってもらうというような方法をとっております。これらのことにつきましてよく入居者と話し合い、理解してもらって、この制度を円滑に運用し、実施してまいりたいと考えておる次第でございます。
 以上が改正点に対する意見を申し上げたわけでございますが、なお二つばかりお願いを申し上げたいと存じます。
 それは、住宅建設につきまして用地の確保ということが一番大きな問題であることは、再三他の公述人も申されたとおりでございますが、公営住宅を建設いたしますには、これらの用地につきまして非常にばく大の資金を要するわけでございます。そのためには土地政策というものが前提になると存じます。この面につきましては、諸先生十分御検討をいただきまして、今後お示しいただけるものと確信いたしております。この土地政策に伴う問題とともに、この土地の公営住宅を建設いたしますのに、従来のように小規模団地からだんだん大規模団地になるにつれまして、住宅を建設し、その住宅をカバーするだけの土地を買うというだけの仕事でなくて、一つの町づくりという仕事になってまいりまして、これのための関連公共公益事業というものに相当多額の資金が要るわけでございます。特にたとえば都市計画道路、公園広場というものは当然でございますが、河川あるいは都市下水路の改修あるいはじんかい処理ガス、水道の供給あるいは保育所、学校教育施設いろいろ資金が要るわけでございまして、少なくともこれらの土地につきまして、大量な公的な国の資金を早急に投入していただきまして、これらの町づくりがりっぱに実施できますようにお願い申し上げたいと存じます。
 それから、さらに、この第二点といたしましては、本法案の改正につきましては、まだまだ問題があろうかと存じますが、少なくとも一歩ずつでも前進しておるというふうな状況でございます。なお今後ともこの公営住宅法というものの運営、あるいは法自体の改正というものにつきまして抜本的な方向を見つけていただきたいと存ずるわけでございます。
 いずれにいたしましても、住宅というものは、国、地方あるいは入居者がそれぞれ応分の努力をいたし、また、その能力に応じてできるだけの努力をするということによりまして、初めて住宅行政あるいは住宅対策というものが実を結ぶわけでございまして、今後ともそういった立場からぜひ諸先生の御尽力によりまして、住宅対策が増進いたしますように、そうしてまた、その第一歩として本法案が成立いたしますように格段の御配慮をお願い申し上げたいわけでございます。
 たいへん長くなりましたが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
#19
○委員長(岡三郎君) 御意見ありがとうございました。
 以上で公述人の意見の開陳は全部終了いたしました。
 これにて、午後一時三十五分まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#20
○委員長(岡三郎君) ただいまから建設委員会公聴会を再開いたします。
 午前の公述人の御意見に対して質疑のある方は、順次御発言を願います。
#21
○沢田政治君 尾関さんと後藤さん、和田さんにお伺いしますが、まず尾関さんから初めにお伺いしますが、尾関さんの場合はまあ条件つき賛成と、こういうお立場を表明されたわけでありますが、そういう立場に立っていろいろ貴重な御意見をお伺いしたわけでありますが、特に第一点の用地補助の打ち初りですね、これには若干の疑義を感ずると。だけれども、質より量、まず第一に資金の量を拡大しなければならぬ、そういうことで、釈然とはしないけれどもまあ現状においてはこういう方向もあろうという意味で賛成をすると、こういうことだと思いますが、私どもも疑義を感じておるわけです。特に最近の住宅政策は、特に産業政策と関連があるわけですね。人口の集中、これは自然に流れるのじゃなく、国の産業政策というようなものによってぐっと人間が加速度に集まってくる、こういう傾向、都市化ですね。こういう傾向を示しておると思うわけですね。その場合、自然にふえるのじゃないから、急激になだれ現象のように集まってくるのだから、そういう現実を踏まえて考えた場合は、地方自治体の起債であろうが融資であろうが、やはり負担をさすべきじゃない。やはり国が一つの産業政策によって人口が人工的に集まってくるのだから、地方自治体にこれは負担させるということではなく、国の政策の基本としてやはり住宅政策を考えるべきだと、こういうように考えておるわけであります。それぞれの参考人も、この点に関しては、まあ融資に対して、後藤さんの場合はまあやむを得ないというような表現でありましたけれども、それぞれの公述人がみんな非常に疑義を感じておったわけですね。ある人は、将来はやはりこれは補助政策、国が責任を持ったものに切りかえるべきであると、こういう点をそれぞれ主張しておったわけであります。私はまあ特にそういう痛感をするわけです。やはり住宅政策は、特にこういう産業政策のもとに人口が急激に集まってくるのだから、国の責任としてこれはやるべきであるのが本質であると、こういう感じを抱くわけであります。そういう意味で非常に、尾関さんの場合には、それぞれこれに関したお仕事をやっておられると思いますから、もう一回この点に対するお立場を御表明願いたいものである、こう希望するわけです。
 それから、後藤さんの場合には、後藤さん個人の意見か立場の意見か、これはいずれにしてもけっこうでございますが、特に高額所得者の立ちのきですね、この場合には、法律が今度改正になったんだから、もう法律をたてにとってあすからでも出ていけというわけで道路にほっぽり出すわけにはいかぬと。それにはやはり行政態度としては、これは非常に納得のいくような話し合いをする、住宅もあっせんすると、こういうような行政的な配慮を立場からお述べになられましたが、この法案に賛成、反対は別としても、かりにこの法律が施行された後といえども、法律があるから出ていけということになると、私は法律の改正によってまた裁判問題民事問題が出てくる可能性があると思うのですね。だから、私ども考えますのは、まあ公営住宅に入っておる者も、これは使用料じゃなく家賃でありますから、やはり借家法に基づく民事の問題だと思うのですね。そういう場合に、法律があるから出ていけ、こういうことになって新たに立法したものが、また裁判の対象になるということになると、立法の立場にある者としては裁判の材料になる、裁判の派生するような立法で、はたして法治国家というたてまえからいっていいのかどうか、という逡巡もあるわけです。したがって私はお聞きしておきたいことは、そういうことが予想されますので、この法律がかりに数によって成立したあと、そういうような裁判問題が起こる可能性があるのかどうか。特にあなたの場合には行政の立場におられると思いますので、こういうことをどう考えておるのか。こういう裁判問題等が起こった場合には行政的に住宅あっせんするのか、話し合いによってこれを満足に解決できる御自信がおありなのかどうか、そういう予想、起こった現実に対して、行政としてどういうようにこれを踏まえていくのか、こういう点のお立場を、もう少し具体的にお述べ願えれば幸いだと、このように考えるわけであります。
 次に和田さんにお尋ねします。きょうのこの委員会は土地問題を議論する議題ではないようであります。そういう前提でおっしゃられましたが、何といっても住宅問題の帰するところは、解決のポイントというものは土地問題ですわね。全く不可欠な問題だと思うのです。住宅問題を論ずる場合、住宅問題として論じられない最近の現状にあることは、和田さんと私も同感であります。そういう意味で非常に大胆な御意見を表明されたわけでありますが、特にこういうふうに急激に人口が集中してくる都市地域においては、私有権というものに対してある程度の制約を加えるのはしかるべきではないか、こういうことをおっしゃられておるわけでありますが、私も全くこれは同感であります。土地というのは人間がつくり出したのではなく、やはり民族の領土である、これは全体のものなわけですね、太平洋を埋め立てるのとわけが違うわけであります。これは民族といいますか、国民の共同の財産だと思うのですね、そういう意味で、国全体が、国民全体が困っている場合に、国民全体の利益に合致させるということは当然のことだと思うのです。そういうことでいろいろ都市計画法とか都市再開発法がこの委員会で成立したわけですが、しかしまだまだ東京都内でも大阪府内でも、大法人とか民間でも、相当遊休の土地というものは余っておると思うのであります。相当まだ何というか、住宅可能地というものがあると思うのですね。したがって公営住宅の問題はもちろんであるけれども、そういうような特定のものが持っておるような遊休の土地というものに対して新たな法制をして、それをやはり公のために用いる、こういうような政策というものは、基本主義であろうが社会主義であろうが、わが国の現状において必要じゃないか、こういうふうに考えるわけであります。そういう意味では非常に意見が一致していると思いますが、もう一歩踏み込んで、あなたの御意見をお聞かせ願えれば幸いだと思うのです。この土地問題が解決しなければ、住宅の問題は解決しないわけであります。そういう意味でお聞きしたいわけであります。
#22
○公述人(尾関通允君) お答えいたします。形式論からいたしますと、公営住宅は地方団体が地方団体の責任において建てるべきものであって、国がそれに対して若干の補助をする、こういうのがまあたてまえだと思います。ただ最近のように人口移動が非常に激しい。都市へ人口が集中してくるという実態に目をつけますと、地域外の住民のなだれ込み現象があるわけでありますから、それは地方団体の責任を越える問題であります。そこで融資よりは補助金のほうが私はやはり実際的であろうと思うのです。しかし補助金の制度でいきますと、どうしても実勢についていけない。必ず若干のタイムラグがある。したがってそこで実勢と補助単価の間のずれが生じて、地方団体の負担が過大になるというような問題も生じます。さらに財政の都合からいきまして、融資にしたほうが少なくとも資金の量的な確保に役立つということでありますから、私は次善の策として今日融資に切りかえるということもまあやむを得ないのではなかろうか。そういう意味で消極的賛成と申し上げたのであります。
 それからこれは御質問に対する直接のお答えにはなりませんけれども、先ほどの私の公述にまあ追加さしていただくということで申し上げたいと思いますが、地方団体として将来大きな負担になるという説があります。しかしこれは必ず一方で資産と見合いになった借り入れ額がふえてまいるのでありますから、その点ひとつ心配は御無用ではないかと思います。さらに地方財政そのものも経済の成長の中で成長していきますので、決して過大な負担にはならないのじゃないかと思います。ただ中途はんぱに安い価格で払い下げということになりますと、その差額が地方団体にとって累積すれば過大な負担になる、こういうことであろうかと存じます。
#23
○公述人(後藤典夫君) 高額所得者の明け渡し請求につきまして、この法律が改正された場合に地方自治体の代行者としてこれをうまく解決できる自信があるかというお尋ねでございます。私どもといたしましては、現在まあこれに該当される方は四百世帯ばかりの方がおられると聞いておりますが、この間これらの方々に対しましては、そういう事情がきましたことを十分に御説明申上しげ、そして御希望の土地あるいは御希望の将来の住宅といったものをよく伺いまして、たとえば公庫融資を希望されて自分で自宅をお建てになりたいという方には、そうした資金のあっせん、公庫への紹介、したがいまして公庫からの優先的な融資というものをあっせんを申し上げます。それから公団住宅に入りたいという方にはそういうところをごあっせん申し上げる。また府自体も供給公社を持っておりますので、住宅供給公社の住宅にお入りになりたい方にはそれをごあっせんするということで、将来の行き場所がないのにこれを出てくださいということは申し上げないつもりでございます。こういった将来の行き場所ということも考えましてよく話し合いもいたしまして、また該当者の方の家庭の事情、たとえば近い将来の収入の変動とかというようなこともよくお伺いした上で、そうして新しい住宅へ入っていただくことについての実をあげていきたい。したがいたして、すぐこれは裁判に訴えるというようなことは考えておりません。こうやって幾らお話しし、また第三者も納得できるようないろいろなお話し合いをしましても、なかなかかわっていただけないという場合に、あるいはそのようなおそれが出てくるという御指摘もあろうかと思います。なるべくそういうことのないように十分にお話し合いをした上で、このことをやっていきたいと考えております。
#24
○公述人(和田春生君) 土地問題というものは、たいへんむずかしいことでございまして、口先で言うのは簡単ですが、実行になると非常に困難を伴うことは、私も百も承知でございます。またいろいろ国会でも各党御努力をいただきまして、また政府のほうでも考えておるようでございますけれども、たとえば土地の計画あるいは再開発あるいは土地の表示価格をきめるいろいろなことをやっていましても、土地というものが非常に限られたもので、それが投機の対象になっているという限りは、いずれもたいした実効はあげにくいというのが実情ではないかと思います。日本の場合に非常に人口が稠密でございますが、この人口と日本の国土の面積の割合というものを単純に考えてはまずいのではないか。御承知のようにヨーロッパに行きますと、人口の非常に多いところは平たん地がたいへん多い。山岳地帯は人口が非常に少ない。オランダのほうが日本よりも人口は調密であるといわれておりますけれども、ほとんどが標高百メートル以下の丘陵ないしは平地である。日本の場合は非常に人間の住むのに適した地域というのは狭いと思います。そこから高地あるいは工場あるいは公共施設を差っ引きますと、住居というものに割り当てられる土地というものは、おのずから非常な制限がある。こういうものが私的所有に属しておって投機の対象になっまいるという形を認めていくという原則的な立場である限り、私は土地問題の解決は不可能であるというふうに思うわけです。方法はあるいはあるかもしれませんが、私の乏しい知識では不可能である。そうなりますと、やはり先ほども申し上げましたように、一ぺんに土地を全部国有にしてしまうというような乱暴なことはできないといたしましても、少なくとも都市化が進んで、都市あるいはその周辺ということにつきましては、私的所有というものに対してきびしい制限を加えていく、これを公共管理のもとに置いていく、そして一つの私的所有というものは認めていく。そういう形に好むと好まないとにかかわらず進むことを余儀なくされるというのが将来の方向ではないか。私はいろいろ考えた結果そういうふうに思っているわけなんです。といいますのは、現在はこの私的所有を認めておりますから個人の財産である。その財産を評価をして税金をかける。こういうような場合においても、何かもうける目的があってある程度投資をして土地を買って転売をしてまたもうける。そういう人の場合にはよろしいですけれども、実はそうではなくて、もともと自分の土地であった。それが何かの都合でどんどん値上がりをしていった、それを売ってもうける気持ちもない。ところがその土地の単価が非常に実際に上がってくる。それを対象にして課税をされる、あるいは相続の場合に非常に大きな税金をかけられるという形になりますと、特別にもうける気持ちがなくても、今度は逆にそのことのために過大の支出をしいられて、土地を売って、土地も家も手放さなければ税金を払えない。こういうような状態になるという人すらも出てくる関係がある。ですから皆が土地を持ってもうけているのだという前提に立って。どんどん税金をかけていくということだけでも解決はできない。そうすると一方で犠牲者も出てくるというようないろいろな問題があると思う。そういう点ではやはり私的所有は認めていく。土地は使わせておるのだ、使わせておることに対して国家が極端に言えば税金ではなくて使用料をいただく。ぐあいが悪くて入れかえをするとかあるいは工場が新しく移転をするという場合は別に土地を使用させる、前の土地は返していただく、そういう考え方を基本にした方向で土地政策というものを割り切っていかないと、長期的に解決ができないのではないかというようなことを感じておるもんですから、一言申し上げたわけでございます。
 時間もありましたらこれに関連いたします立法措置とか制度とかということにつきましても、私なりに考えていることございますから申し上げてもよろしゅうございますが、そうなりますとあまり主題を離れますので、ねらいをどこに置いているかという点だけを御理解を願えればよろしいのではなかろうかというつもりでそのことを申し上げたわけです。実はこの土地の問題については、一方において土地でもうけておる人がおるわけなんです。そこでなかなか選挙というものを背景にする国会議員の立場、政党の立場という場合にむずかしい問題があると思います。しかし、これからの時代を考えますと、五年、十年たつうちに土地でもうけるという人はますます一部の限られた人になってしまうわけでございます。大多数の国民というものが、また大多数の地方自治体が土地の値上がりでいためつけられるという形になりますから、大多数のしあわせというものを念願する政治の原則から言えば、一部のやはり私的所有というものに対するところのいろいろまつわる問題点に目をつむっても、国民の大多数のためにそういう方向に踏み切るというのが政治の方向ではないか。そういう目標を立てておいて、そういう方向に向かいながら接近をしていく、そういう立法措置なり政策措置というものをお考え願えると非常に幸いではないか、そういうふうに考えるわけでございます。そうでありませんと、このせっかくの法改正ができましても、土地の取得ということで、やがてもう数年足らずして行き詰まってしまうということは、火を見るよりも明らかではなかろうかというふうに私は考えているわけであります。
#25
○沢田政治君 たくさん質問者があると思いますから、私これで終わりますが、時任さんにお伺いしたいわけですが、はたしてそういうケースがあるかどうかわかりませんが、公営住宅に入る場合、法律の規定に従って公正な方法でこれは入居をしなくちゃならぬのが法律のたてまえですね。ところで、私の聞くところによると、管理者が命令入居というか、優先入居というか、そういうものもあるやに聞いています。私も、地方でありますが一部は知っています。たとえば警察官が赴任してきた場合、家がないために、優先的というのか、命令というのか、そういうもので入れているケースもあるわけですね。そのほかに東京都の場合は、家賃じゃなくて、敷金とか何か、この法律が始まった当時だと思いますが、そういうような権利金のようなものを取って入れたケースもあると、こういうことを聞いておるわけであります。そうなって今度は高額所得者が立ちのかなきゃならぬ、二百万以上は。そうなると、借家法からいっても民事問題からいっても非常に複雑なわけですね。非常に権利、義務というものを否定されることになるわけですね、使用料なんかと違うものだから。そういう関係をもろもろのことを皆さんが起こり得べき可能性というものを知っていると思うんですね。したがって、皆さんがことにこういう問題に関係してこられましたから、どういう事例があって、どういう点がどういう問題になって、皆さんの中でどういう問題が内在しているのか、せっかくこういう機会ですから、われわれが法案審議する際の参考に、いろいろとそういう点をお聞かせ願いたいと思うんです。問題提起をしていただきたいと思うんです。
#26
○公述人(時任巌君) お答えいたします。ただいま管理人の問題がございましたけれども、これは衆議院の建設委員会におきまして今回だいぶ議論になっております。この公営住宅法の第十八条によりますと、「事業主体の長は、入居の申込をした者の数が入居させるべき公営住宅の戸数をこえる場合においては、住宅に困窮する実情を調査して、政令で定める選考基準に従い、条例で定めるところにより、公正な方法で選考して、」と、つまり公正な方法――抽選その他の公正な方法で入居させなきゃならないということになっておるんでございます。それでいまの御質問の管理人の問題でございますけれども、東京都におきましては、管理人の入居に関しまして都条例でもって管理人は自治体の長がこれを命ずるということになっておりますので、そういう意味で、東京都におきましては管理人が優先入居しているという実情がございます。これは、先ほど申し上げました公営住宅法の十八条から申しますと明らかに違反しているものと思われます。しかしながら、管理人はすでに二十年近くも居住して家賃を払っているのであります。それに対しまして住宅局長は事情を調査して適法に処理する。これを平たく言えば立ちのいてもらうということになろうかと思いますが、そういう答えをしております。私ども、やはり管理人といえども居住権を持つ入居者でありますから、これを立ちのかせるということは少し矛盾しているのじゃないかというふうに考えますが、いずれにいたしましても、管理人には確かに責任がない。もし責任がありとすれば、それは管理主体にあるのでありまして、それを監督する建設省にも責任があるというふうに考えられると思いますが、この矛盾をどういうふうに解決しなければならないのかということが、いま少しこの本委員会において解明される必要があるのじゃないかしら、そういうふうに考える次第でございます。
 権利金を取った、そうして入居さしたという問題でございますけれども、公営住宅ができました初期におきましてはいろいろなケースがございまして、たとえば地主が事業主体に対して土地を貸してそこに公営住宅を建てさせました場合に権利金を取ったという事実があるのです。その権利金はおそらくその地主に還元されているかと思います。それからまた地主から土地を借りて公営住宅を建てた、その場合に、そのうちの何戸かを地主に割り当てたというようなケースもございます。そういたしますると、これを一律に、選考して入れたというものと一緒に、たとえば高額者立ちのき、建てかえ立ちのきの場合にどういうふうに処理するかということになりますと、いろいろな問題が起きてくると思います。この点も今回の公営住宅法を審議するにあたりまして考えなくちゃならぬ問題じゃないか、こういうふうに考えております。
#27
○田中一君 小山さんに伺います。あなた先ほど戸山ハイツで二十年の経験を持っている。そこで私どもは非常にびっくりした発言をなすっていらっしゃる。自分たちの仲間は、無断で建て増しをしたり、いわゆるかつて七坪半かそこらの建物の倍も建て増しをしたり、あるいはその家をよその人間に間借りをさしたり、あるいはその家を増設をして、そうして店舗にしたり、あるいはその家を自分がおらないで人に賃貸さして又貸しをしてどっかへ行っていたり、あるいはそこに住んでいたりというような重大な発言をしておるのでありますが、あなたはどうしています。あなたの名誉を傷つけるつもりじゃございませんから、その点は素朴にお答え願いたいのですが、あなたがいま御指摘になった問題は、あなた自身はどうなすっていらっしゃるか伺いたいと思います。
#28
○公述人(小山若三君) 私自身がどうしているかという、ちょっとその質問の内容がわからないのですけれども、先ほど申し上げたことはこれみな事実でございます。うそはございません。私が申し上げたのは、そういうことがまあ管理人の問題とも関連しますが、本来ならば、きちんとやっておればこれらの人が店を開いているとか、それから間貸しをしているとか、こういう人たちはアパートになるとまさかアパートの五階、六階で売店もできませんし、アパートになると鉄筋コンクリートの仕切りができまして建て増しもできません。たとえ家族がふえても、それは土地があるわけでありませんからできないわけですね。そうすると非常に困るわけですね。ですから、できれば現状維持で、安い家賃で、庭もあるし、三年でも五年でも長く住みたいというのが素朴な考えだと思うのです。そういうことで、建てかえ問題が起きた過程でそういう人がやはり反対運動の主力になったということですね、中核になったということです。それで、先ほどちょっと漏らしましたけれども、今度の建てかえにつきましては、法律が何か実態のあとを追いかけてきているという面があるのじゃないかと、建てかえについてはもうすでにプレハブに入るのがいやだという人には、正規のアパートを近いところに建てて用意してあります。それから自分のいた地域を遠く離れるのはいやだという人には地域内にプレハブをたくさん用意して、そしてこれはでき上がるまで無料で入れていただけるわけであります。また、移転料につきましても、十万円から十二万円、家庭によって多少差はございますけれども、十万円から十二万円支給していただけることになっております。こういうようなことで、家族の多い人は二世帯くれるということになっております。ですから、こういう人たちが、事情は生活につながる問題でよくわかりますけれども、管理人の管理のずさんのために、それが建てかえの一つのブレーキになっている、こういう考えで私は申し上げたわけであります。
#29
○田中一君 こういうことを聞くのはいやなんですけれども、あなたは他を省みて、これに対する賛成という意思表示をしていらっしゃるから、あなた御自身はどうであろうかと伺っているのです。るる、この戸山ハイツの何百軒か何千軒かの家でもって、多くは公営住宅法違反をしている。その事例というものは建て増しをしたり、間貸しをしたり、あるいは店舗をつくって商売をしたり、また自分がおらないで人に貸してやっているなんということを言っています。これらの諸君は、やはりこの地域においても生活ができないからそういうことをしたのじゃなかろうかと思うのです。むろん、そのために公営住宅法という法律の違反を犯しております。そういう方々の実態というものを、ただ自分たちは、そこでそうした公営住宅という特権じゃありませんが――これは当然権利です。これに居住しながら、違法を犯して、収入をふやしているということをおっしゃりたいのか。この実態というものを、現象だけをとらえて、その背景にあるところの生活というものをどうお考えになっていられるかと伺ったのです。同時に、賛成という発言をなさっている小山さんは、あなたは、いまのような違反を犯していませんかと、こう伺っているわけです。
#30
○公述人(小山若三君) 私は建て増しをしております。しかし、それは正規に許可を得て――いいですか――正規に許可を得て、東京都の、当時、建築局といいましたか、許可を得て、さらに新宿区の区長さんに届けまして建築許可を得て、正規なものに入っております。したがって、私自身は何の違反もしていないということを申し上げます。
#31
○田中一君 あそこは非常に安い、粗末なもので、非常に安い家賃でありますが、あなた自身は、これはもう反対していいんではないかと思うんです。ただあなたの御意見が、自分が新しいうちに住んでも一ぺんに高い家賃を取られては困るから五年計画でもって漸増してくれと、こう言ったら、これはとってくれた。これは私の案だとあなたはおっしゃった。これは非常にいいアイデアでありますが、しかし、あなたの真意は、あなたは一般申し込みで新聞広告を見ておいでになったのですから、せめて公平なお考えでいらっしゃったと思います。同時に、また、あそこに住んでいる方々の、何千世帯かの代表ではないという見方をしなければならないと思うんです。しかしながら、あなたがそういう現象をるる御説明になった、お話しになったということは、私はあなたの心の根の中には、もう少しきびしい今回の改正案に対するところの反対したいという意図があなたの心にあるのじゃないかと思うのです。むろん、あなたは一般の公募でありますから、だれかの依頼を受けてここで発言なさっているとは思いません。そういう発言、だれかの依頼でやったとは思いません。あなたはあなたの主観として、自分の二十年の経験からあのような公述をなすったのでありますから、そのお気持ちは非常に参考になります。参考になりますが、陰には、ただ自分の一つのアイデアとして分納主義といいますか、漸増主義ということを認めてくれたから賛成だという、これはもう完全に条件つき賛成であって、根は反対じゃないのか、こう思うわけなんです。
 そこでもう一つ、これもあなた、おこらないでください。ああした安い土地に住んでおられて、他の方々は相当高い六畳で六千円、七千円というような民間アパートに住んでいる方がいらっしゃる、四人家族ぐらいで。そうした方々と比較しまして、おそらくあなたは安い戸山ハイツにおられたから、貯金もだいぶできていると思うのです。その貯金、どのくらいございますか。これはまあお答えできなければ黙っていてもかまいません。他と比較して、おそらくあなた貯金がないのじゃないかと思うのですよ。そう貯金ができるものじゃなかろうと思うのです。また安い家賃だからといって、その分だけを積み立てているというような殊勝な国民は今日おりません、おらないのです。だから、結局、あなたの御発言、どの見方から見ても、ほんとうは反対なんでしょう。この点もう一ぺんこれだけ最後に答弁願いたい。
#32
○公述人(小山若三君) 私はもう建てかえは、先ほども申し上げたように非常に老朽化している、これが一つね。それからいままで安い家賃でたいへん助かった。で、いまどうしても、どうせあの家が今後五年、十年入れるものじゃないわけです。したがって、貯金、いま貯金の話が出ましたけれども、私も早く二百万円ぐらい取ったらよそへ引っ越ししていきたいと実は思っております。まあいられるならばそれはいたいですよ。あそこは非常に環境もいいし、いたいですが、まあ貯金はありません。子供を腕一本で五人育ててきましたし、みんな高等学校や大学等にも入れるので、貯金は全然ありません。ただ、そういう状況の中でいずれは建てかえなければならない。それからこの建てかえ反対運動と賛成運動の中に、これは若い人はみな早く建てかえてくれ、うちの娘なんぞも、こんな家じゃお嫁にもだれももらいにこないだろう、これは感情論ですけれどもね。それから高校生や大学を出た人も友人を招待することもできない、こういう状況なんですね。それで高くなればもちろん困ります。庭もありますし、千四百五十円でいられるならばこれはもう大賛成です。しかし、私は少なくとも、一つは大げさに言いますと、人道主義の立場から見ても、いずれは建てかえるならば、早く建てかえてもらって、そうして当分は非常にショックですからね、値上げ幅が大きいですから。それで建てかえるにしても、それはボーダーラインの人もあるし、夫をなくした母子家庭の人もある。それから失礼ですが、日雇いの方もある。そういう中でそうした人たちのことを考えて、しかし、そういう人たちでも特別な措置があれば別として、やはり新しい家賃になれば新しい家賃を取らざるを得ない。そんならばどうせそういうことならば、早く建てかえれば、またいままで私どもが安い家賃で喜んできたことが再現すると、まあときどき建設省でも値上げをするようですけれども、過去二十年間に値上げというのはただの一ぺんしかなかったわけです。そういうことを考えあわせると、私どもは賛成をし、かつ、しかしこれでは困るだろうというので、建てかえ後の家賃漸増に関する請願を都議会に出したところが、これは自民党さんも共産党の方も社会党も公明党も、もっともだといって賛成をしていただいて、まあ趣旨採択でございますから、私どもの希望どおりにはならなかったのでございますけれども、少なくとも衆議院の附帯決議にもそれがあらわれた。むしろ、私は、私自身はその先べんをつけたというふうに考えていまして、そういう形の中でやはり新しい情勢に前向きで対処すべきではないか、こういうのでございまして、私は本心から改正に賛成でございます。以上でございます。
#33
○田中一君 後藤さんにちょっと伺います。あなたの大阪には、大阪府市だけでつくっている住宅がありますか。
#34
○公述人(後藤典夫君) 御質問の意味がよくわかりませんが、府営住宅とか市営住宅とかいう意味でございましょうか。――大阪府では府営住宅――府営住宅は、先ほどお答え申し上げましたとおり、約七万戸近く管理いたしております。それから大阪市営住宅は毎年三千戸ないし四千月建設されております。管理戸数はいまちょっと覚えておりません。
#35
○田中一君 ちょっと質問がまずかったかもしれないけれども、東京都には国の公営住宅でなくて東京都の全額負担でつくっている住宅があるわけなんです。大阪にはありますか。
#36
○公述人(後藤典夫君) 大阪府では全額大阪府負担の府営住宅ですか、そういうものはございません。
#37
○田中一君 大阪府以外の市では、各市では大阪市またはその他の市では……。
#38
○公述人(後藤典夫君) 私のただいまの記憶では、ないと存じます。
#39
○田中一君 ではね、東京はそういう単独の負担で建てている都の住宅があるわけなんです。これ、公営住宅と違います。ところが、公営住宅法の住宅というものは補助金制度の住宅であります。これはあなたも政府の指導課長しておったからよくわかっているはずだと思いますが、そうすると、同じ地方公共団体として、この法律が通った暁には、この各市自治体単独負担で建てている住宅というものはどうすべきだというように考えておりますか。
#40
○公述人(後藤典夫君) 私ども自治体の立場からいたしますと、自治体のいろいろな資金を有効に利用いたしますためには、できるだけ国の補助金等もたくさんいただいて、そのワクをたくさんいただいて、そうしてそれを有効に活用いたしますれば、同じ自治体の資金で多くの公営住宅ができると考えますので、単独で建てるということは、ただいまのところ考えておりません。
#41
○田中一君 いや、単独で建てている住宅があったならば、これは公営住宅法のワク外にあるわけなんです。その場合には条例でこの公営住宅法の改正と同じような条例の改正を行なうのが是とするかどうか、ということを伺っているのです。これは大阪府にはないというので、東京都来ていれば東京都に聞くのですけれども、東京都の公務員来ていないからあなたに伺うのですが、その場合には当然そういうものがあれば、条例でこの改正と同じ条例改正を行なうのが正しい、こういうように見られますかどうか。
#42
○公述人(後藤典夫君) 東京都のそういうものをお建てになりました事情、その住宅の目的等に照らし合わせて考えなければならないと存じます。したがいまして、私どものほうでそれがないので、ただいま急にその意見を申し上げることはどうかと思いますが、そういった単独の都営住宅をお建てになりました趣旨にのっとって、その趣旨によって都みずからその趣旨に合うようにお考えいただくのが妥当ではないかと考えます。
#43
○田中一君 先ほど土地の購入資金の補助よりも融資がいいんだというお話がありましたが、私は政府から耐用年限七十年といわれております――七十年間の元利償還の一覧表をつくってもらいました、七十年ですよ。負担するのは七十年。あなたは技術屋だから伺っておきますが、公営住宅の耐用年限というものは何年ぐらいに押さえたらいいのかということ、むろんこれは建造物としての寿命というもの、これは人間が住むのですからね、人間の保障された居住であるはずでありますから、技術家として伺いたいのは、何年ぐらいが、今日の公営住宅では耐用年限を押えたらいいのか、ひとつ伺っておきます。
#44
○公述人(後藤典夫君) 耐用年限に対する考え方でございます。ただいま七十年とおっしゃいましたのは鉄筋コンクリート造のものについてお話があったと思いますが、鉄筋コンクリート造のものが物理的に七十年の耐用年数をもつかどうかという点でございます。これは現在われわれがつくっておりますものは、物理的には七十年もつものと考えております。ただ問題は、そういったものが物理的にもつからといって必ず七十年そのままあるかどうかということは、これは将来の予測が入ってまいりますので、何とも申し上げられません。ただ一方、家賃計算上やはりこれは七十年で考えております。これは地代はそういうものを考えておりませんが、償却するものとして建物の耐用年限は七十年と見ております。一応これは家賃計算としてやはり政策的な見地から七十年の耐用年限を見るのが一応妥当ではないか、そういうふうに考えております。
#45
○田中一君 これは百年にしたらどうなります、百年にしたら。百年でもおそらくつぶれぬだろうと思うのです。かつての大震災ぐらいあってもつぶれぬのじゃないかと思う、関東大震災ぐらいあっても。そのほうが望ましいと思いますか、あるいはもっと縮めたほうがいいという考えでありますか、伺っておきます。
#46
○公述人(後藤典夫君) これはまあ程度の問題でございまして、七十年と見るか、物理的にあるいは百年以上もつかもわかりません。ただこの辺は程度の、見方の問題ではなかろうかと考えております。ただ一方、償却のほうの面から見ますと、六分五厘で七十年の、毎年度の、各一年ごとの元利償却費、それから百年六分五厘の元利償却費確かに百年のほうは低うございますが、百年にした場合七分の十ですか、その差ほどの償還金の差は出てこないのではないか、この辺は、その辺を見合って考えるべきものではなかろうかと存じます。
#47
○田中一君 そうすると、あなたの、公営住宅の借り入れ金というものは相当高い金利であるということを承知の上ですね、七十年償還ということを考える、あるいは百年――三十年延ばすという場合には金利が高いものだから、大した違いじゃなくなってくるのですよ、金利が高いということだと。金利はこれは政府が預かっている国民健康保険とかあるいは年金とか郵便貯金とかの金をそのまま利用しておるわけなんです。国民の金を使っているわけなんです。だから後藤君のような大阪府の良吏が良吏というのはよい役人というわけですよ。もっと金利を安くしてくれというくらいの声は出るはずであります。おそらく地方公共団体、都道府県議長会でも市長会でも、ことにあなたはそこに奉職しておる一吏員であり、責任者である、いうなればいかに金利が高いものかということが指摘されると思うのですよ。これは六分五厘の金利を四分五厘にすればどうなるのか、計算すぐできます。何も唯々諾々として、あなた自身は大阪府の建築部長としてきょう出席したはずじゃございません……。
#48
○委員長(岡三郎君) 建築部長としてでしょう……。
#49
○田中一君 そうですが。――少なくとももっと率直に、こうしてくれればこうなるのだということを、参議院のこの委員会の公述人でありますから、そのくらいのことを出してほしい、三分五厘ならこうなりますよ、四分五厘ならこうなりますよ、もっと金利の安いほうが望ましいのでございます、希望でございますということぐらいはいままでぼくの知っている後藤君から発言があろうと思って期待しておりました。政府からいろいろなことを聞いているでしょうけれども、少なくともこの金利の高いということがどのくらい国民負担に及ぼしているかということを考えると、これは問題は非常に大きな問題であって、これはここで君と議論してもしようがないから……。わかりました。
 次に、尾関さんに伺いますがね、おそらくあなたも腹の中じゃ賛成しがたいものを多分に持ってると思うのです。それは、その比重は、やむを得ぬから賛成しなきゃならないんだというもののほうがちょっと強かったもんだから、あなた評論家として穏当な条件つき賛成なすったと思いますけれども、いま申し上げた金利の問題にいたしましても、それから土地の価格というものを、先ほど和田君が言ってるように、野放しじゃ困るじゃないかと言っております。しかし、この問題は、あなたの賛成でないうちの、当然国が大幅な補助をするならば賛成でありますということだったと思うのです。いまの日本の政府の財政規模では、また考え方ではこれ以上伸ばせないだろうという、補助率を伸ばさないだろうという前提でもって、まあこの辺でやむを得ぬじゃないかという気持ちだろうと思うのですが、ひとつ、もしも日本の国家財政として、あなたが日経の論説委員として国の財政全体をにらみながら、この比重は住宅問題にどかっとくるということがあるならばよりよいとお思いになってるものと思うのです。そこでですね、ひとつ今日の四十四年度の日本の財政の規模と、各補助事業というものを勘案して、今日、今時点におきまして国民の住宅政策に期待するもの、ことに公営住宅に期待するものが多々あろうと思うのです。その点、大きなところからひとつ御意見を伺っておきたいと思うのです。
#50
○公述人(尾関通允君) 私の考え方は、先ほど申し上げたとおりでありまして、新たにつけ加えることはございません。
 それから、国の財政政策の中でという問題ですが、これは絶対的にこうでなきゃならないという唯一無二の考え方があるわけでなくて、いろんな政策についていろんな組み合わせ方があるので、四十四年度予算はこれも一つの考え方と思います。ただ公営住宅に関して申しますと、建設省は少なくとも善意でこういうやり方をとっておられる。大蔵省のほうは若干その財政の御都合主義的な観点からこういうやり方を打ち出しておる。で、私は大蔵省のその考え方に多少疑問を持っておる。しかし、建設省の善意というものには信頼したいということであります。非常に率直なことを申し上げますと、そういうことであります。し    たがって、これがどう展開するであろうか、望ましい方向へいけばよし、さもなければ途中からでも、私は幾らでも文句をつけられますし、ここで改正したからって、それが永久に続くものでもありません。和田公述人が先ほど言われましたように、情勢が変わればそのときにまた考えればよろしいんであって、そういう硬直的にものを考える必要はないかと存じます。
#51
○宮崎正義君 尾関公述人にお伺いいたしますが、現在の住宅事情を考えますと、大体従来も民間依存の方向が強い。そういうことで民間六、公的資金の面が四というふうに考えられておりますが、この点についての考えを、第一点お伺いいたしたいと思います。それからまた、将来に対する持家政策といいますか、そのことにつきましてお考えを伺っておきたいと思います。
#52
○公述人(尾関通允君) お答えいたします。現在の住宅政策が民間依存に若干片寄り過ぎているということは、私も実感としてそのとおりだと思います。特に大都市内における公営住宅をもっと大量に一生懸命建てるべきでありまして、そういうことを重視いたしますと、民間と、それから政府施策の比率は、少なくとも半々とあるいは六、四が四、六に逆転いたさなければならないのじゃないかと思います。またそのくらいの負担はできるような国の経済にだんだんなりつつあるのじゃないかと思います。それから将来の持家政策でありますが、私は一定地域内においては、持家政策を推進すべきではない。もう住宅に対する意識というものをみんなの力で変えていく、お互いに住宅に対して意識革命を進めるということで、持家は都市化されていない都市周辺においては認められるけれども、都市化の地域内ではむしろ持ち家を公共的な住宅に、しかもそれは立体的なものでありますが、そういう方向へ切りかえていくべきだと確信いたしております。
#53
○向井長年君 私はこの法案に反対をされる方々に、四人の方にまずお聞きをしたいと思います。この法案の骨子が三つの要素を持っております。明け渡しの問題、資金融通の問題あるいは建てかえの問題こういう要素であろうと思いますが、反対される方々、それぞれ先ほどから公述者述べられておりますが、重点的に何が最も問題であるのか、それぞれ違うと思います。この点を皆さん方の中からお聞きをしたいと思います。それと合わせて、特に時任さんと森山さんにお聞きしたいのですが、皆さん方がいま居住されております、そういう中で、高額所得二百万ですか、こういう諸君は何人ぐらい入っておられるか、あるいはまた、これは全国で百四万戸といわれておりますし、その中で四千人あまりが高額所得者だと言われておりますが、皆さん方の住宅の中でどれくらいの諸君が高額所得の諸君がおられるか、あるいは低額所得者が現状、その公営住宅に入りたいという希望者が相当数あろうと思います。この点をどの程度に考えられるか、これをお聞きしたいと思います。それから和田公述人にお聞きいたしますが、先ほど土地問題につきまして御答弁がございましたことを要約いたしますと、特に今後まあ国会において、都市の計画なり再開発なり、あるいは価格の問題、こういう問題がいよいよ具体的に立法化していかなければならぬと思いますけれども、特に私有地は認めるんだと、公共的な形において。これをある程度の制約をすべきではないか、こういうように伺ったのですが、この点は特に利殖の対象に、その所有主が使うというようなことは、できるだけやめろと、一部の諸君の利益を守るのではなくて、多くの国民の利益の立場に立って、その立法化をすべきであろう、たとえば特に土地価格の抑制法案とか、あるいは税制の法案とか、こういうものを早急に国会でつくって、土地の所有者がこういうふうな現状の中で、みずから土地を明け渡して、そういう公営的な形につくっていくと、こういう方向へ持っていけと、こういうようなことだと思うのですが、そういうふうに理解していいのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
#54
○公述人(時任巌君) ただいまお尋ねのございました高額所得者が私どもの住宅にどのくらいおるかということでございますが、私はそんなことを調べておりませんので、よくわかりません。しかしながら、ごくわずかであろう、おってもほんの一人か二人であろうということは想像されるのであります。それから、低額所得者で入りたい人が何人あるかということも、これもわかりません。しかしながら、現在六畳の木賃アパートに一万円ぐらいの家賃を払って困っている人たちがたくさんいる。これに比べれば公営住宅に入っているわれわれは非常に幸福であるということは、そのとおりだと思います。しかしながらこの古い居住者には、先ほど私が申し上げましたように、いろいろの経過がございます。私は政治の信頼度というような問題から、この経過はぜひ重視する必要があると思います。そして、実際困っている住宅困窮者、これに対する施策は、これはまた別な問題としてぜひ考えていただかなくちゃならないじゃないかと。多数のためということでございまするが、現在の公営住宅の居住者はおそらく百四万戸、その三倍ないし四倍おると思われます。そうして、公営住宅に将来入る人たちは、現在の住宅困窮者は、当然将来公営住宅に入ることを予想される人たちでありまするから、この公営住宅法で取り締られる人たちが国民の大多数になるであろうというふうに考えますから、公営住宅法というものは大多数の人たちに幸福を与えるという意味でつくられなければならない、あるいは改正されなければならないものじゃないかと、こういうふうに考えるのであります。
 それに関連いたしまして、先ほど申し上げたことでございますけれども、公営住宅の最初の場合、初期のときには社会福祉政策の一環として、困った人たちにいかに幸福を与えるかという問題であったと思います。そして、現在公営住宅法改正によって考えられておりますものは、いかにして取り締まるか、高額所得者をどうやって追い出すか、建てかえする場合に、その言うことを聞かない人たちをどうやって立ちのかせるかという意味におきまして、公営住宅の初期の、そして公営住宅法の立法の精神と、現在公営住宅法改正を考えられている、この二つの間には全く相反する状態があると思います。今回の公営住宅法の改正におきましては、この点を十分考えて、そのどちらをとるのが正しいのかという出発点から出発していかなければならないと、こう思うのであります。立法の精神、住宅困窮者に安い家賃でもって住まわせる、そして社会福祉の増進をはかる。現在は、先ほども申し上げましたように、早く――短期回転政策と申しますか、まあ一時的、腰かけ的な居住と申しますか、そのような二者択一というようなふうに考えられるのでありまするが、将来公営住宅法によって取り締られる、あるいは律せられる人たちが、国民の非常に多数であろうと考えられまするので、その意味におきましてこの立法の精神というものを十分生かしていかなくちゃならない。今回の公営住宅法改正は、その点が全然逆の立場で考えられているように思われます。そのゆえに私はこの公営住宅法改正に反対するのでございます。
#55
○公述人(森山八重子君) 今回の法案の改正の中で、どの点を特に大きく主張したいかという御質問だったと思いますが、私はやはり公営住宅の建設資金のうち補助金を打ち切って融資にした、この問題が一番大きな問題になる点で、先ほども申しましたように改悪だと思っております。で、公営住宅を建てます場合に、特に東京都などでは土地をまずどう確保するか、そのことが一番大きな問題で、なかなか公営住宅が建てられない、そういうことがあるわけですね。ですから、やはり補助金を打ち切るのではなくて、やはり増額して、単価を増額して、どう公営住宅をたくさん建てていくか、その方向でぜひお考え願いたい、そういうふうに思います。
 それから、高額所得者の入居についてはどう考えるかということですが、私は都営住宅には入居しておりませんで、民間のアパートに入っているものですから、そのことについてはわかりません。
 それから、低額所得者がどのくらい希望数があるかという御質問に対しては、先ほど私も、あの近所にできる都営住宅の例を申しましたように、ほとんどの人がやはり公営住宅がたくさん建てられればみんな入りたい、そういうふうに思っているわけです。私自身も六畳に親子四人生活しておりますけれども、一間の生活というのはほんとうにたいへんです。眠るのも、それから食べるのも、それから子供たちが勉強しますのも、みんな一部屋でするというのは、非常に主婦が疲れます。ほんとうに夜おそく主人なんかも帰りまして、たまにはテレビを見たいと思いましても、テレビをつけると子供が起きてしまったり、それからゆっくりしたいと思いましても、だれかかれか出たり入ったり、そういうことがあるわけですから、やはりほんとうに人間らしい生活とほど遠いところでたいへんな思いをたくさんの人たちがしていると思います。そういう点でやはり今度の補助金を打ち切るとかそういうことでやはりお考えになるのではなくて、国の財政の中でやはりこういう問題はどういうふうに考えるか、そういう点で諸先生方はいろいろお調べになり、実際のことやなんかも御研究だろうと思うのです。そういう立場でやはり私は国民の住宅の問題特に衣食は、程度はございましても現在は足りていると思いますが、戦後二十四年間経ましても、住まいの問題というのは御承知のように非常に深刻です。そういうわけで、やはり諸先生方の一そうの御努力をお願いしたいと思いますし、私どもも衆議院を通過していることを非常に残念に思うのです。参議院では十分審議をされまして、私たちの意思を十分考えていただきたい、かように思います。
#56
○公述人(橋本恒夫君) お尋ねの件のうち高額所得者がどのくらい私どものところにいるか、それは調査する権能もございませんし、いままでかいま見る程度でおりますから、どのくらいいるか見当つきません。ただ申すことは、たとえ高額所得者らしい居住者がいるとしても、これは自分の力でもって働いてそこまで所得を引き上げたものでございまして、何らおかしいものではない、こういうふうに思います。それからさらに自動車を持っていることが、高額所得者の一つの象徴としてとられているのですけれども、これはちょっとよく考えてみますと、自動車というのは非常に安いのです。二十万出さんでも、最近は子供の小づかいといいますか、ちょっと若い青年でも月賦で買えるという状態であります。それで部屋が狭いからこそ自動車に逃げ込むという面もあります。
 それから低額所得者がどのくらいといいますか、低所得者が住宅に困窮していて入りたいと思っているかというお尋ねの件は、これはもういままで世間に流布されていることや、東京都のあき家抽せんで、膨大な方々が十重二十重に申し込みのために並んだということだけでも十分だと思います。
 それでどういうことが最大の要件かといいますと、まずいまの住宅制度なんですけれども、これは非常に混同されております。まず何といいますか、償却家賃制度とそれから政策家賃制度とこの二つがあるはずなんで、私ども公営住宅は償却家賃制度でそもそも出発しているはずです。そこで当初国の補助分はその家賃に入っておりませんけれども、償却期間の四分の一、五年たてば分譲する、分譲する際に再評価いたしまして、国からの補助分も支払う、分譲の対価として支払うということで、結局居住者負担、利用者負担になっているわけなんです。ですから私どもいままでの参議院や衆議院のいろいろな経緯の中でもって、何もいじいじとして入っている必要ないのだ、胸を張って入っていなさいという考えできているわけなんであります。それから政策家賃制度でございますけれども、これは何といいますか、一段と残念ながら所得がどうしても低い方々、この方々に対して与えるべき住宅でありまして、アメリカの場合ですと、黒人対策としてこういう政策家賃制度がありまして、収入の変動とともにだんだんと家賃が上がっていって、一定の収入になりますと、要するに自立できる状態になったら出ていく、それで自分の家を持つ、こういう二本建ての制度になっております。ですから、こういう二本建ての制度が日本の住宅制度の中に導入されたことが、混乱が起きている原因と考えております。ですからそういうたてまえの中でもって、いまの住宅制度の最重点施策というのは、私法上の賃貸借関係であるというたてまえがすべて忘却されておる。あるいは意識的に隠されているという点にあると思うのです。それで、再三その私法上の賃貸借関係であるということが確認もされ、当初からの出発であるにもかかわらず、それが何というか出ていかない、いかないやつが悪いという形でもって流布されているのであって、これは意識的な背信行為だろうというふうに思っております。
 それから、そういうたてまえからいろいろなことを判断いたしますと、これはもう社会的な道義というか判断というか、そういう現状の中でもって高額所得者に出ていきなさいというのは、ある面はわかる。理屈でもあるとは思うのですけれども、根本的なもの、それをはずしておいて強制的に出そうということは一種の背信行為であって、本来的にはわずかな人たちなんでありますから、あくまでも話し合いでもってその人たちがスムーズに出ていけるような手立てをする必要があるというように考えているので、今回のような強制的な制度をとりましたとしても、これは抵抗があるばかりでもって、逆にそのための混乱に要する費用とか社会的な何というかマイナスというほうが大きいのではないだろうかというように考えております。
 融資制度については、これは先ほど大阪の方が非常にいいようなお話でありましたけれども、先ほどの大阪の方のお話は、あくまでもきめられた単価に対する融資額と超過負担額というか、自治体の負担額での話でもって、大都市における超過負担についてはどうもはっきりとした御説明をいただいていないのですが、私のほうで大ざっぱに計算したところでは、東京都でもってもしそのような融資制度になりますと、利子の超過負担だけで年間約十億くらいになるんじゃないだろうかというような大ざっぱな計算も出ております。これはあくまでも利子の超過負担でありまして、これから返済するということになった場合には、これはまた膨大な費用を順次返済していかなければならないというふうに感じておりますから、この融資制度というのはあくまでも糊塗的なわずか数年間のごまかしではないだろうかというように感じております。
 それから建てかえ制度についてでありますけれども、これも一番基本であります私法上の賃貸借であるという借家人の権利、これがやはりないがしろにされております。それで最近私どもの近所で起きました練馬北町二丁目の建てかえについて、個人の私財を投じまして建て増しをした部屋というのがやはりございます。それが全然一銭の補償もなく取っ払われているわけです。これは明らかに借地借家法の買い取り請求権という権利を無視されているように思います。それから公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の中で、これは建設省の計画局で出されているものですけれども、やはりそういうような公共事業のために移転を要請するときには、引っこし料はもちろん植木の移植とか建物の撤去費とかあるいは借家の補償とか、そういう移転に要するためのいろいろな日数がかかります。そういった休業補償あるいは営業されておる方々がもし少数でもあるとすれば、そういう営業補償というようなことがるる説明されておるわけです。そういったことが一切目をつぶられて、ただ単に今回やっと移転補償料というような形で出てきているわけです。実例としては練馬北町二丁目の住宅では一回の移動に対して七千円です。仮住宅に移ってまた建てかえられた住宅に移れば一万四千円で、それぞれの一回について七千円きり出ていない。そうするとたとえば電話があるといたしますと、電話の移設に四千円かかる、残る三千円で何をやれるかと言いたい。そういうようなトラブルに目をつけられて移転料というものが新設されたのではあると思うのですけれども、まだまだ実態とほど遠いところで、移転料に一切の補償を含めてのお話ならよくわかるのですけれども、その辺が明確にされていない。要するに、それから今度建てかえに伴う、これはあくまでも居住者のわがままと言われますとちょっと困るのですけれども、ともかくいまの住宅制度というのは自分でもって住宅を選択する自由がないのですね。できあがった家に入りたければ入れという形でありますから、いままで庭があってかなりそれを活用してきた点が今度一切剥奪されてしまう、狭いところに押し込められてしまうという点が、やはり考慮されておりません。具体的にそれではどういう影響が起きるかというと、個人生活の中でやはり生活のうるおいということがございまして、植木だとかそれから犬を飼っているとか、あるいは自転車があって庭に置いておくということがあるわけですが、それが今度できなくなる。植木はどこに植えかえるか場所がないので、そういう中高層団地の場合には共有地となりますから、特定の個人の庭ということはできないのが実態であります。植えかえる場所がないのです。大津留住宅局長が前回の委員会で、前庭に植えればいいというお話でしたけれども、これは実態としては無理なんです。自分の庭としては使えない。仮設住宅に移すこと自体も非常に時期的にいろいろ問題がありますのでできない。それから愛玩動物なんかも保健所に渡して、犬の場合ですけれども、殺してしまったということもあるので、なかなかむずかしいことがあります。そういうことを一切含んでひとつ対処していただいて、本人が了承するのだったらこれはまあよろしいのだと思うのですけれども、そういった面もやはり隠されない重要な事実だろうと思います。
 最後に、賃料変更の点についても、これもやはり一つの重要な問題だろうと思います。いま私の大ざっぱな計算では、課税標準、固定資産税の評価額でもって今度から土地代を計算するのだというようなことがうたわれているわけです。その前は建設大臣が許可しなければならないという形になっていたんですけれども、今度事務的にやれるのだということになりますと、大都市周辺の固定資産税評価額というのは非常に高いのですね。私がつい最近練馬の税務事務所に聞いた話では、大体時価の七〇%相当で評価をしているというお話だったんです。そうしますと、私は練馬の北町六丁目に住んでおりますけれども、あの辺は呼び値で十五万から二十万、たとえば十万と低く見たとしても七万円になってしまう。坪七万円でもって平均二十坪とすると、それだけでもって年間百四十万円で、それを十二で割ると、一万円以上、ただ地代だけで値上がりになってしまう。これは大きい問題だと思うのです。三十七年当時の評価額を使うそうですけれども、三十七年ですらかなり高いので、これから評価額は時価相当額にやっていくというたてまえになっておりますから、これはもうどうしようもないことだという感じがいたしております。
 大ざっぱでございますけれども、大体あらゆることが重点だというような感じを持っております。
#57
○公述人(平光レイ子君) いま三つのものが問題になっておりますけれども、私はこの三つの中で特に高額所得者に対する明け渡しの請求、この条文は、当然私は必要ない、このように思います。先ほども申し述べましたようなほんの一握りの者たちのために、こういう条文を掲げるということ自体反対でございますし、また一握りのものであっても、これから入ってこようとする低所得者が当然高額所得者になれば明け渡さなければならないと、こうきめられれば勤労意欲ですか、働くという意欲自体そがれてしまうのではないか、こういう点も非常に私は憂うるところでございます。それからもう一つ考えられますことは、第一種が二万四千から四万円までが一定の基準になっておりますけれども、低額所得者のこのワクが当然将来は引き上げてこられると思うのです。そうなってきますと、高額所得者になっていく人たちが非常にふえてくる、こう思われますので、私はそういった社会不安をなくすためにも、また勤労意欲を大いにこれから国民に持たせるためにも、こういう条文はこの際なくしていただいて、ほんとうに住まいというものは国家が国民に対して与えるべきである、こういうたてまえから、大いにたくさんの公営住宅を建てていただきたい、このように思います。
 それから私自身のことでございますが、いま六畳と四畳半の二間に一家五人で住んでおります。主人の給料の約四分の一、一万四千円がもう支払われてしまう、こういう状態で、私自身も非常に家計のやりくりに住居費にかかる部分が多いので困窮しておりますが、こういった第一種住宅にも第二種住宅にも入ることのできない、いわゆる五万円から七万円までの収入の人たち、公団住宅にも申し込むことができません。こういった方たちに対しても私はもっと公営住宅の立場からどんどん大量に建設をしていただきたい。先ほどは申し上げなかったのですが、第一種、第二種という二つの種類だけではなくてもっと収入別に応じた住宅というものを大いに建てていただきたい。当然高額者になってもいつまでたっても国のそういうあたたかい援助で私たちの生活が保障される。これがほんとうの政治のあり方ではないか。こう思う点で、この高額所得者に対する明け渡し請求に対して反対をしているわけでございます。
#58
○公述人(和田春生君) 土地問題で口を切ったものですから、この問題で質問が出ているわけですが、これはこれだけ切り離して言いますと、とかく誤解を招きますので、多少ごく簡潔に申し上げますけれども、関連してなぜそういうことを申し上げるかということを言ってみたいと思います。私の考え方の基本になっているのは先ほども申し上げましたけれども、もう一回要約いたしますと、土地を利用することによって収益をあげるのは認めてよろしい。しかし、土地そのものを売買の対象にして収益をあげることは認めるべきでない。それはこんな狭い国土の日本における国民生活の福祉面から貫かるべき政治の原則ではなかろうか。そんなところから要約をすると出発しているわけです。かといって、現在私有になっている土地を全部没収をするなどというような乱暴なことをやったって、できるはずもありませんし、大混乱を来たすだけでございます。したがって、そこへいくためには漸進的にやはりいかざるを得ない。さらに、一つの方法として土地を売る場合には政府あるいは地方自治体あるいは公団、その他公共機関にしか売れない。そういう原則を一つつくるということも解決の一方策ではなかろうかと思うわけです。それから、新しく工場をつくるあるいは住宅、団地を建設をする土地を必要とする。こういう場合には、そういう公共団体からそういう土地を私的な企業の場合には入手をするということもできましょうし、公共団体が事業を進める場合には、自分の管理下にある土地を利用することができる。そういう方向にいかないと、にっちもさっちもいかなくなるのではないか、こういうふうに考えるわけです。それで、先ほどからこの法案につきまして、補助を融資に切りかえることがけしからんという御意見がございました。たてまえから言えば、私もそのとおりだと思うのです。しかし、実勢単価に応じて国が補助をするという形になりますと、膨大な財源を必要とするわけでありまして、その財源の目当てがつくというならば、そういう方法でいってもいいと思うわけです。しかし、それをことし、来年直ちにできるか、おそらくできないのではないか。そういうふうに考えますと、一般の企業でもそうでありますように、手持ち資金で投資ができなくても将来あがるべき収益というものを当て込んで借り入れ投資をやる。こういう方法は合理的な手段でありますから、当面は融資という方法によって資金量をふやして土地を多く手配する。そういうことに対して国家がある程度手助けをしてやりやすいようにしていくというのは、経済的合理性にかなっていると思う。また土地がどんどん上がっている今日の状況におきまして、たとえば私たちが個人の住宅を建てるという場合には借金ができる能力があるならば、金を借りても土地を買って家を建てちゃったほうが得ではないかと思います。日歩三銭、年利一割以内の金利でございましたならば、現在の土地の値上がりの実勢というものを考えますと、安い土地を見つけたら買っておいて家を建てていくほうが五年先、十年後に家を建てるよりもうんと得ではないか。それは五年、十年の間には所得水準というものがそれぞれ倍ないし三倍、四倍ということにふえていきますから、今日の負担というものは非常に償却しやすくなるという原理があるわけであります。ところが公営住宅の場合、一回こっきり建ててしまうというものではないわけでありまして、その需要というものにしても非常に大きいわけであります。ことしも、来年も、再来年も、むしろ建設戸数というものをふやしていかなくちゃならぬという宿命がもう当分続くと思うのです。そういう状態の中において国家補助よりか実勢単価がどんどん上がっていく。ますます土地が入手しにくくなるという中でとうていまかなえるものではないと思います。かといって、融資を続けていきますと、今度は償却が累積をされていきますから、事業主体というものが非常にたいへんなことになるのではないか。こういう点を考えますと、計画的にやっていく場合に、やはり土地というものに対して根本的なメスを入れざる限り、この住宅政策というものの将来への見通しが立ちにくい。そういう意味合いにおきまして土地の私的所有というものに対してはきびしい制約を加えていく。利用するのはもちろんこれを利用いたしまして、収益をあげてもいいのですが、これを売買の対象にして私的な利潤をあげるということは、今日の日本の実情において、資本主義とか、社会主義とか、イデオロギーの問題ではなく、国民福祉の観点から徹底をすべきではないか。そういう方向に向かって、この法案とは別に政策の基本というものを立てていかんと、この法案は当面は一歩前進であろうと思いますけれども、やがて行き詰まってくる。そういう点におきまして土地政策の徹底ということについて所見を申し述べた次第でございまして、もしその種の問題が国会で審議をされる場合がありましたならば、あらためて公述人でやってまいりまして、具体的にいろいろ申し上げてみようと思いますが、そういう意味で申し上げたわけでございます。
#59
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#60
○委員長(岡三郎君) それじゃ起こして。
#61
○春日正一君 後藤公述人にお伺いしますが、さっき用地補助の問題これも公述人の賛成の方の意見聞いても、やむを得ないから賛成という趣旨だと、あなたの趣旨もそういうふうに聞こえたのですけれども、まあ先ほどの話だと、補助単価が低くて、超過負担がどんどんふえていって、とても背負い切れない。だから、むしろ融資に変えてもらったほうが資金が豊富になる。よけいうちが立つ、だから、そのほうがいいという説明なんですけれども、超過負担の解消という問題は用地の問題だけでなくて、地方自治体にとっては、もう一番大きな問題で、各自治体の当局は、みんな超過負担の解消ということを言っておられるので、大阪府でもそう言っておられると思うのです。だから、当然その場合に、この格差が、私はいつも言っているのだけれども、三分の一あるいは二分の一補助すると法律で、国会できめておいて、しかも、それを実際に必要なものとして、非常にかけ離れた単価を設定して、その二分の一とか三分の一というのは、これは違法ですよ、受けるほうの側から言えば。だから、むしろそういう点を主張されるだろうと私は期待しておった。ところが、あなたはやむを得ないと言われるのは、いまの政府にそれを言ったってやってくれそうもない。だから、住宅需要に応じるには、まあ借金でもしようがないだろうという意味なのかどうかということですね。
 もう一つは、そういう形で借金をしていけばいくほど、これから当然年々の建設戸数というのは各地方自治体ともふえていかなければならぬ道理だと思うのです。新しい総合計画、非常に大阪とか、東京周辺に集中しますから、うんと建てていかなきゃならぬようになる。こういう場合に、借金でどんどんやっていくということになりますと、ことし、来年はいいかもしれないけれどもざらに二年経過して、借金を返そう、元利払うという段になってきたら、地方自治体の財政が非常に圧迫されて、そのことで、これから少し先へいくとそのために今度は建設戸数が押えられてくるというような結果になりやせんだろうか。そこら辺についてあなたが直接大阪府の建築の担当者としておいでになるので、その点をお聞きしておきたい。これが一点。
 もう一つは高額所得者の立ちのきの問題ですね。先ほどあなたは四百戸ぐらいあって、これが法律がそうきまっても、裁判かけても出すというようなことにしないで、あっせんもし、あるいは融資のあっせんもし、住宅のあっせんもして、よく話し合って出られる条件をつくって出すようにするのだというふうに言っておられた。そうしますと、あれは三十七年でしたか、四年でしたか、この前の法改正で、いわゆる高額所得者には明け渡し努力義務というものを義務づけられてきているのですね。自治体当局もそのために努力しなければならぬと言ってきている。あなたの言われる限度で言うならこの努力義務だけでたくさんなんで、はっきり今度の改正のように明け渡し義務、明け渡し義務ということにして強制的に明け渡しさせるというようなことを規定する必要はないんじゃないか、規定するということは裁判にかけても追い出すということになるのではないかということ、そこに一番居住者の不安もあるし問題があると思うのですけれども、あなたのさっき言われたようなやり方なら法改正の必要はないんじゃないか、私そういう印象を受けるのですけれども、その点どうですか。
#62
○公述人(後藤典夫君) お答え申し上げます。まず第一点は用地補助と融資との関係でございます。確かに十分な金額が、たとえば土地について単価として見られまして、それに対して二分の一なり三分の二の補助が行なわれる、これは理想だと思います。私もそれを望みます。しかしながら、現在のそういった一般会計資金等からして、どうしてもそれだけ追いつけ得ないという状況でございます。ということならば、やはり現在の実際の用地費の必要額にできるだけ近い資金を融資でもよろしいからしでいただきたい、その例証といたしまして、先ほどのかりに四十四年度に前年どおりの制度で、前年どおりの考え方で補助が行なわれたとしたならば、国の援助は用地費につきましては一七、八%しかない。今度の場合は五〇%以上五四、五%のものが期待される。まだまだ私どものほうは非常に大団地のほうでやっておりますので、土地について都市計画道路とかいろいろな土地が要りますので、超過負担がまだあるわけでございます。これをだんだんなくしていただいて十分な資金をこれに投入していただきたいということで、用地費融資のほうを賛成であると申し上げた次第であります。なお将来の起債の償還という問題、確かに累積するわけでございます。しかしながら、ただいまの大阪府の起債の点から考えまして、この程度の累積ということならば支障はないと考えておりますし、またこういった長期に府民資産として残るようなものにつきましては、やはり一時の資金でなく、長期にわたって負担するというのが当然ではないかと考えるわけであります。
 それから第二点といたしまして、高額所得者の問題でございますが、私が申しましたのは、ただいま先ほど申し上げましたような条理を尽くしましてお話しいたしますれば、裁判にかけなくても納得していただける。そうしてそういう状況にまで立ち至らないでもやっていく自信を持っております。こういうお答えをいたしたわけであります。しかしながら、筋道といたしましてはっきりとこういった非常な高額の場合には家主であるものに請求権がはっきりあるということは大事なことでございます。筋としてそうあってほしい。
 それから三十四年当時の改正の問題につきましては努力義務で努力していただいておりますし、場合によっては、そういった一つの地域社会を動きがたいという場合に割り増し賃料という制度もございます。その場合と違いまして非常な高額という場合、やはり筋としてはっきりしていただいておかないと、われわれ公営住宅を大量に建設したいといういろいろな方々への要請についても筋が通らなくなることをおそれるものでございます。
#63
○委員長(岡三郎君) ちょっと私から一言後藤さんに伺いたいのですが、大阪で公営住宅を建てる場合のいわゆる建設省の単価ですか、実勢単価との違いですね、どのぐらいになるものか。
 それから公営住宅を建てる場合に、大体地価どの程度までならば建て得る、いまの情勢では新しく土地を求めて建てられるのか、建てられないのか、大阪としてあまり離れているほうへつくったのではあまりうまくないと思うけれども、その点ちょっと参考にお聞かせ願いたいと思うのです。
#64
○公述人(後藤典夫君) お答え申し上げます。大阪府の府営住宅の場合は、非常に大きな団地で建設をいたしておりますので、小団地で建設いたします場合よりも非常に余分な土地を要するわけでございます。たとえば都市計画道路がそこを通っておりますれば、都市計画道路の分もその中にとっておかなければならぬ、それから公園、小公園等も同じことでございます。そういったことで用地費と工事費とに分けますと、ことしの予想でございますが、いわゆる超過負担の率は、たとえば標準用地費あるいは標準工事費に比べまして、工事費の場合は約九%程度超過するかと思います。と申しますのは、これは大阪府の特殊な事情もございます。近年万博とかでいろいろ工事費の値上がりがございまして、これは予想でございまして、実際にこの程度になるかあるいはもう少し少なくて済むか、あるいはもう少しふえるか、これは四十四年度の予想でございます。それから用地費につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、全体の五八%弱のものを融資していただけますと思いますので、残りが全額府ということで、超過負担の考え方からいたしますと、四〇数%ぐらいが超過負担ではないかと、用地費につきましてはどうしてもその年度の予算の成立の時期と、われわれが買います場合と、その他いろんな問題が時期のずれがございまして、超過負担が出やすいわけでございます。これはできるだけ将来とも縮めるように御尽力を願わなければならないと思います。そのほかに私どもといたしましては補助をやっておる対象外としまして、府自身で府営住宅の建設面積を国の補助基本面積よりも二平方米増加いたしましたり、あるいは地区外の下水路の負担金を負担いたしましたり、あるいは河川の改修を一部負担いたしましたりというようなことで、相当の資金を使っておるわけでございます。
 それから地価の問題でございます。地価で現在私どもが考えておりますのは、昨年度は一戸当たり六十二万円程度のところに建てております。一戸当たりでございますと大体二十二、三坪から二十四、五坪使っております。したがいまして平均いたしますと三万円弱でございますが、本年はこれが八十二万円程度になろうかと考えますので、本年は平均四万円程度になろうかと思います。もちろんこれは平均でございまして、たとえば将来高層住宅をやはり都心に建てますためには、その辺の地価は坪当たり七万円から十四、五万円、これは大阪市内ではございません。大阪市のはずれたところでございます。その辺のところにその程度の地価のところに建てなければならないと考えております。以上でございます。
#65
○委員長(岡三郎君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の皆様方に一言お礼を申し上げます。本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会の公聴会に御出席を賜わりまして、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く感謝いたします。今後の本案審査におきましては、各位の御意見を十分尊重しながら慎重に審議を続けてまいりたい所存でございます。本日は御苦労さまでございました。これをもって公聴会を終了いたします。
 これにて散会いたします。
   午後三時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト