くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 建設委員会 第6号
昭和四十四年三月二十五日(火曜日)
   午前十時二十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     林田悠紀夫君     増田  盛君
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     増田  盛君     林田悠紀夫君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     柳田桃太郎君     鬼丸 勝之君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡  三郎君
    理 事
                大森 久司君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                鬼丸 勝之君
                小山邦太郎君
                高橋文五郎君
                塚田十一郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                田中  一君
                松本 英一君
                宮崎 正義君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  坪川 信三君
   政府委員
       建設政務次官   渡辺 栄一君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省都市局長  竹内 藤男君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       建設省住宅局長  大津留 温君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       建設省都市局都
       市再開発課長   森田 松仁君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○都市再開発法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡三郎君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 本日、柳田桃太郎君が委員を辞任され、その補欠として鬼丸勝之君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岡三郎君) 都市再開発法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○宮崎正義君 大臣に御質問をいたしますが、最初に、大臣の都市再開発法案の提案理由の説明の中に、「最近における都市への人口の集中による過密化と不合理な土地利用とによりまして、都市機能は低下し、都市環境は悪化しつつありますが、これに対処いたしますためには、工場等の分散、副都心の整備、流通業務地の再配置、都市施設の整備、新市街地の開発等の諸施策を講ずる必要があることはもとよりでありますが、これらの諸施策とともに、この際新たに都市における再開発を強力かつ円滑に推進するための制度を確立することが是非とも必要であります。」と、このように冒頭に提案理由の所信を申されております。
 そこで、過密と過疎につきましては、ちょうどたての両面であるようにも思いますし、都市改造と地方開発は、いまやこれは同義語と言っても差しつかえないと思いますが、過密と過疎は同時に解決する必要があると主張する人もおりますが、全体からその必要性を提起された総合的な国土開発計画の基調をどこに置くのか、また過密なき集中の立場から、大都市の整備に重点を置くのか、拠点都市の育成による都市機能と産業との地方分散に重点を置くのか、あるいはその両面ともに満足させる総合的な施策を打ち出すのか、大臣の具体的なお考えを、この提案理由のお話の中から通してお伺いしておきたいと思います。
#5
○国務大臣(坪川信三君) ただいま宮崎委員御指摘になりましたこの問題は、わが国の将来への国土開発建設に対する長期展望に立っての非常に重要な問題点であろうと考える次第であります。私の建設行政の基本方針は、均衡のある国土開発建設、これが私の基本方針であることは御了承いただき得ると考えるのでございますが、そうした観点から申し上げます場合に、昨日の参議院の本会議においても申し上げましたごとく、現時点における都会への過度な産業、人口の集中からくるところの秩序なき都市化現象を思うときに、これに対する都市対策を打ち立てなければならぬとともに、人口集中、産業集中によるところの地方の過疎の生まれた不幸な顕著な現象を思うときに、これに対する対策を立てなければならぬと、こう考えますときに、先ほど申し上げました基本線である均衡のとれた国土開発という立場から、私といたしましては、過疎対策と都市対策とを並行して総合的な政策のもとにおいてこれを解消するというのが、私の建設行政の方向づけた立場であり、姿勢であることを御理解いただきたいと思います。したがいまして、それに対処するためには、都市対策の面において都市再開発法の御審議を願いますとともに、私といたしましては、過疎対策におきましては、地方道あるいは山村振興、あるいは離島、あるいは奥地産業開発等々の道路網の整備とともに、中小河川、小規模河川の整備をいたすという、この道路網及び河川網をつなぎまして、そうして一定の標準値を設けまして、そうして、もう地方が、学校管理にも消防維持にもできないような苦しい立場になっておるような地方の自治体を考えるときに、これらの点を十分勘案いたしまして、一定の小規模標準、いわゆるモデル地区の想定をひとつつくりまして、それを一つのめどにいたしながら、各一つの網をめぐらしたもとにおけるところの過疎対策の一つの生産と人間生活のしあわせな形成の場をつくってまいりたい、こういうことが私の過疎及び過密に対する基本方針であることを表明申し上げたいと思います。
#6
○宮崎正義君 均衡ある都市政策ということを基準にやっていかれるということでありますが、いまお話がありましたように、モデル地区という御回答がありましたけれども、このモデル地区に対して、どのようなところでどういう御構想なのか、具体的に御説明願いたいと思います。
#7
○国務大臣(坪川信三君) 具体的に申し上げますならば、いま八つの御案内のごとき地方建設局が中心になって、そのブロック内におけるところの最も過疎地帯の顕著な地区を選びまして、そしてそれを中心にしたさっき申し上げましたような一つの構想の標準値を立てましておるわけでございますが、いま地建のほうにおいてそれらの調査をいたしておりますので、大体五、六月ごろには地建の調査いたしました一応の構想が報告され得ることを期待いたしております。その構想のもとにおいて、私は具体的な構想の方針を想定したいという決意でおります。
#8
○宮崎正義君 少なくとも、この法案を提出されるということであれば、具体的な考え方がある程度なされた上でなければ私はならないと思いますが、いまのお話ですと、六月に調査されたものによって再検討をする――再検討といいますか、調査をしてそのケースをきめたいということなんですが、どうもその点納得いきかねるんでありますが、これだけのことをこういうふうにやっていくから、こういうふうな計画を立てたんだということが当然私は言えるんじゃないかと思うんですが、この点はどうなんでしょうか。
#9
○国務大臣(坪川信三君) 具体的な点につきましては、御承知のとおりに、たとえば東北におきますと、東北の地建におきまして、いわゆる山形県の庄内とかあるいは酒田などを中心にした地域、あるいは中国地建におきましては、いわゆる鳥取、島根の浜田地区というような考え、いろいろといま計画局のほうにおいて具体的に地方と連絡をいたしながら、これらの具体策をいま講じておりますので、後ほど政府委員からもまた答弁させますが、具体的にいま真剣に検討は急いでおることだけは事実でございます。
#10
○宮崎正義君 それはそれといたしまして、じゃあ具体的なものがきてから、また次の機会でもあればただしていきたいと思います。
 この法案の全体から考えまして、どうも都市再開発法案という名前が、私はこの法律の名称といいますか、これは市街地の再開発を主体に考えているように思えるわけです。そうすれば、市街地再開発法というほうが、都市というよりも部分に限られるというふうに考えるわけですが、この点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
#11
○政府委員(竹内藤男君) この法律の表題を都市再開発法と言っておりますのは、目的に書いてございますように、都市におきまして市街地の計画的な再開発を行なうということでありまして、建築物と公共施設とを一体的に整備して、必要な道路、公園、駐車場というようなものを備える。土地が、合理的にしかも高度に利用された健全な市街地からなる都市にしようということを目標にしているわけであります。端的に申し上げますならば、都市を構成いたしますユニットである市街地の再開発を行なって、都市全体の機能向上、都市全体の再開発に役立てようという考えのもとに、名前を都市再開発法としたわけでございます。
 内容的に申し上げますと、都市再開発法案の中身は二つございまして、一つは、新しく地域地区を改正いたしまして高度利用地区というものを設けたということ。それからもう一つは、先生おっしゃいます市街地再開発の規定を設ける、こういうことになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、都市開発法という名前でこの法案を考えてきたつもりでございます。
#12
○宮崎正義君 少し観点を変えて伺っておきたいと思いますが、都市改造の方向を大体きめる前提といたしまして、公益優先という角度から公共の福祉に関する新しい理念を打ち立てることは必要であろう、これは当然言われていることでありますが、公共の福祉というばく然とした抽象概念を優先させ、それを根拠として人権を制限すれば、憲法の人権保障は無意味になる。不労所得的性格を有する大土地所有者は除外するが、零細土地所有者に対しては私権の制限の行き過ぎのないように十分な注意は、これは当然払わなければならないことは言うまでもないと思いますが、この都市再開発法を実行されるについて、私権の制限等について大臣にこれは見解を伺っておきたいと思います。
#13
○国務大臣(坪川信三君) 基本的な考えといたしまして、私権の侵犯あるいはそれを無視するというようなことのなきよう、それぞれの配慮をいたしておるような次第でございます。それらの具体的な点につきましては、政府委員をして答弁させます。
#14
○政府委員(竹内藤男君) 先生御承知のように、都市におきましては非常にいろいろな機能が集まっております。したがいまして、いろんな活動も行なわれておる。そういう場所におきまして土地を利用するということは、やはりいろんな各種のお互いの衝突ということもあるわけでございます。特に都市地域におきましては、土地利用につきまして公益上の目的からする、つまりその都市の機能を開発するという観点に立ちまして、公共的な意味で私権を制限することは憲法上も許されるのではないかというふうに私は考えます。ただその場合に、少数の権利者あるいは零細な権利者が権利を侵害されるというようなことがあってはならないわけでございます。そういうような少数権利者の保護に十分意を用いつつ、公共的な立場からある程度の私権制限をするということは、私どもといたしましてはやらなければいけないし、またやることが可能である、こういうふうに考えました。
#15
○宮崎正義君 この権利に関することは、あとで法律の条項に照らしながら後刻この問題についてはお伺いしてまいりたいと思います。大臣の御時間があまりないということで、大臣の質問をいたしたいと思いますので、あとに回してやりたいと思います。
 もう一面、またこういうことをわれわれは思うわけですが、都市再開発の目標は、これは言うまでもありません。太陽と空気と緑の恩恵に当然浴さなければならない、大臣も先ほどそういうお話がありました。快適な住宅、愉快なその余暇を利用しての健康的な、労働の便利な交通の存在する都市建設であることは、これは申すまでもありません。その都市における住宅の基準は、場所によって若干の差があるということは言うまでもないでしょうが、一世帯一住宅を確保しようとする最低の量的要求に加えて、また質的には一人一個室、これは必ず必要であるんだ。こういう観点の上から考えまして、住宅施策として東京及び大阪の二大都市の再開発は、これは現下の焦眉の急務でありますが、この二大都市に対する都市開発を大臣はどんなふうに考えておられるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#16
○国務大臣(坪川信三君) 本法の制定の目標は、私から申し上げるまでもございませんが、いわゆる市街地の中の内部における住宅の供給、これは職住近接の立場からいいまして、非常に大事な問題点であろうと思うのであります。ところが、御承知のとおりに、いまの現象を見ますと、都市の中心部が空洞化しつつある現象を思いますときに、その空洞化からくる現象、たとえば永田町小学校とかあるいは泰明小学校とか、あるいは中心部にある中学の学生生徒の非常に減りつつある現象は、これは一つの大きなこれに関連する不幸な現象だと思いますほど、市内中心部の空洞化、これは非常に私は重要な問題でありますので、これをいわゆるなくする、この不幸の現象をなくするというような意味から、都心部におけるところの土地と建物と、そして住居とを一体化するということが本法の大きな目標であることを考えますとともに、生活環境の整備、いわゆる都市中心部におけるところの住宅整備をする。非常に老朽化し、また非常に腐朽、老朽化しつつあることを思いますときに、この不幸を避けていきたいというのが、私の大きな都市再開発法のねらいであるような次第でありますことは、御運解いただけるだろうと思います。そうしたことを私は過密都市の中心地であるところの東京あるいは大阪等において、これらの現象をなくしていきたいという、都市対策を打ち立ててまいりたいということが、本法の私の大きなねらいであることを御理解願いたいと思います。
#17
○宮崎正義君 抽象的な御答弁だと思うわけですが、もう少し東京ではこういうふうにやっていくのだと、大阪ではこんなふうに考えているのだということを、もう少し具体的におっしゃっていただきたいと思います。
#18
○政府委員(竹内藤男君) 私ども特に東京と大阪という、いわゆる過密都市と言われているところにつきましては、昭和三十八年ごろに全体の再開発の構想を実は懇談会をつくりまして、それで中間報告もいただいたのでございますが、そのときの考え方を現在までもおおむねとっておりまして、その構想に基づいて施策を進めてきていたわけでございます。それは簡単に申し上げますと、一つは東京大阪に、特に都市の中心部におきましていろいろな各種の機能が集中している。そういう一点集中型のいわば求心的な構造というものがやはりいろいろな混乱を起こしているのじゃないかということで、一つは副都心を整備してまいりたい。先生御承知のように、東京では淀橋の浄水場のあとでございますとか、あるいは池袋の副都心開発というような計画がございます。それから大阪におきましては新幹線の新大阪の駅前の改造、あるいは港のほうにおきます改造というようなものを進めております。そういうような副都心と申しますか、第二都心と申しますか、そういう事務所の機能というものにいたしましても、すべて都心に集中するということではなくて、受け入れ体制をつくろうということで、副都心の開発をはかる。もう一つは、交通に特に関係いたすわけでございますが、都心に集まってくる自動車交通を見ますと、相当貨物トラックが多いという現象でございます。こういうようなものが一たん中に入りましてまた外側に配給をするというような形になっておりますので、そういう問屋とか倉庫とか卸売り市場とかいうようなものの集中的な分散というものを考えております。これにつきましては数年前の国会で「流通業務市街地整備に関する法律」というものを通していただきましたので、その法律に基づきまして東京で三カ所、大阪で二カ所が現に仕事をやりつつあるわけでございます。東京一カ所、大阪一カ所ではすでにトラック・ターミナルが完成いたしまして、四十四年度からは倉庫団地、問屋団地というようなものをつくろうという段階に至っております。こういうようなものを外側に出すことによりまして、求心的な構造を是正をいたしていく。それからもう一つは、これはその前からやっておりますが、首都圏、近畿圏を中心にして既成市街地の中の工場あるいは大学の新増設を抑制いたしまして、この抑制されている工場の移転後に集まります団地といたしまして、首都圏なり近畿圏なりで工場団地の造成をやるということをやっております。さらには首都圏におきましては、研究学園都市の建設をやりまして、政府関係機関を中心といたします研究機関の分散をやるということをいたしております。さらにそれをやるにはそれぞれの都心、副都心あるいは副々都心、あるいは流通団地あるいはその外側の工場団地、その外側にはりつく住宅団地に関する交通整備が必要である。それにつきましては高速道路、幹線街路の整備、環状線の整備に力を入れてやっております。ただ、いままでやってまいりました中でまだ十分行なわれておりませんのは、そういうような公共施設の整備や分散的な措置はやっておりますけれども、都市の中心部におきます建物の形態が、いかにも木造低層家屋でございまして、しかもそれが密集するというような状況でございますので、これをある程度まとめた再開発をいたしまして、大きなブロックにまとめていくということによりまして、なお機能のあがる能率のいい都市形成ができるんじゃないか。同時に生活環境もよくなるんじゃないかということで、残された問題としてわれわれは市街地再開発事業に対しまするある程度まとまった形の法律をお願いしておる、こういうことでございます。
#19
○宮崎正義君 いまお話がありました問題点に、種々雑多な、それぞれの流通団地の問題にいたしましても、それから副都心を中心にした問題につきましても、それぞれ問題点は持っております。随時これはお伺いすることにいたしまして、いま最後にお話がありました木造家屋ということについての考え方を一応伺っておきたいと思います。いまお話ですと、再開発は都市機能の更新をはかることを目的としているわけで、個人の所有する土地についての自由が極端に制約されることになっているばかりではありませんし、独立した木造家屋に居住したいという個人的な欲求は、事実上これは無視されていくんじゃないか。つまり長年の伝統によって養われてきた日本人の独立した木造家屋への強い愛着心といいますか、そういうものは簡単に断ち切っていけるものではない、こういうふうに思うのですが、いまのお話から伺いますと、まっこうから木造家屋に対してはこうなんだというような冷たいような話を伺うわけですが、この点について大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#20
○国務大臣(坪川信三君) 御承知のとおりに、御指摘になりました日本古来の木造家屋への愛着あるいは日本人としての気持ちの上に立つ大事な一つのイメージといいますか、これらにつきましては、宮崎委員御指摘になりましたとおり、私も感をともにする次第でございますが、ただこれだけの一つの感情的な気持ちもある程度やはり押えなければならない。現実の都市化の不幸な現象を思い、また最近における不幸な火災等から、こういうところの不幸な事件等のたび重なる問題点を考えますときに、私はやはり建築の不燃化という問題については、人命尊重の立場からも十分考えなければならんと、こういうふうな気持ちでおるわけでございます。したがって、そうした不燃化の問題あるいは人命尊重の問題、あらゆる点と、非常に秩序なき都市中心部の住宅環境の問題点を総合いたしまして、本法の成立をお願いいたしておるような次第でありまして、決して私は日本人としての日本家屋に対する愛着、イメージを無視してそしていくというような気持ちはみじんもございませんが、それのウエートの問題、比重の問題でひとつ御理解いただきたい次第であります。
#21
○宮崎正義君 先ほどお伺いしましたその私権という問題にも関連してまいりますけれども、本来土地をどのように利用するかは、その土地の利用者にこれはゆだねられているものであります。それが第三者から見て不合理、不経済であるからといって、また比重の問題とか、不燃化問題等に、それらを、考え方を、それらの上に置いて合理的なものにしようとする、強制しようとするようなことは、これはできないんじゃないか、このように思うわけですが、この点について先ほどの私権ということについての合わせた考え方を伺っておきたいと思います。
#22
○政府委員(竹内藤男君) 土地の利用は、本来土地所有権者の自由でございますけれども、ある程度公共的な立場からチェックしなければならない場合に制限が働くことは、やむを得ないことでございます。たとえば都市計画の地域地区といたしまして防火地域というものがございます。防火地域の場合には、市街地における火災の危険を防除するために防火地域を設定するという立場から、防火地域が設定されますと、一定の耐火建築物でなければそこに建てられないという制限がかかるわけでございます。したがいまして、これは例でございますが、防災上あるいは土地利用上ある程度私権の制限というのがかかることは、その都市全体の機能をよくするという意味からいいましてやむを得ない制限である、こういうふうに考えております。
#23
○宮崎正義君 いま防災建築、防災という面からというおことばがありましたけれども、この防災建築街区の造成法というものを、これを廃止しようとしているわけですね。その点についてどうなんでしょうか、いまの答弁は。
#24
○政府委員(竹内藤男君) 防災建築街区造成法の廃止は、実は防災建築街区造成法といいますのは、防災建築街区というのを防火地域と指定いたしまして、そしてあるいは最低限の高度利用がきめられているような高度利用地区に指定いたしまして、その中におきまして組合をつくりまして、そして組合がいろいろあっせんをいたしまして、耐火建築物をつくることを助成しようという法律でございます。この防災建築街区造成法で、従来から防災建築街区造成事業が行なわれてきたわけでございますが、これにつきまして任意の組合で任意の施行方法でやっていたために、権利の処理について問題がある。あるいは一部の反対者がある場合に大きく地区をとることができない、あるいは事業ができないという欠陥がございましたので、その点を是正するために新しく市街地再開発事業、しかも組合によって行なう市街地再開発事業というものを、この法案の中に規定したわけでございます。ただこのやり方に二通りございまして、組合がやります場合に、この法律の本則的なところに書いてございますような、特別の権利変換処分というものでやる場合と、それから特則といたしまして、全員が同意いたしました場合には、この本則のやり方によらないで、任意のやり方でやれるという規定を置いておりますので、従前の防災建築街区と同様な地区について、同様な方法はこの法律でもとれるということでございますので、防災建築街区造成法を廃止いたしたわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、私権の制限がかかるという問題につきましては、これが中に包摂されておりますので、当然この再開発法におきましても、都市の機能の向上回復という面には、防災機能の向上回復という点が織り込まれているというふうに考えるわけでございます。
#25
○宮崎正義君 それではこの法律が施行されまして今日までの施行した状態、そういったもの及びその実施した点について、法律施行後どういうふうに実績をあげておられますか。この点について伺っておきます。
#26
○政府委員(竹内藤男君) 防災建築街区造成事業は、昭年三十六年度からやっておりますが、三十六年度から四十三年度までにおける実績は次のとおりでございます。防災建築街区は百四都市で行なっておりまして、組合が四百六十九組合でございます。整備済みの街区面積が二十六ヘクタール、整備中の街区面積が百四十四ヘクタールでございまして、整備済みの事業費が約五百億、整備中の総事業費が約三千五百五十億でございます。
#27
○宮崎正義君 この問題はあとでまたやりますけれども、大臣のほうに質問をいたす関係であと回しにいたしますが、提案理由の中に、「公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律、防災建築街区造成法等があり、それぞれ効果を発揮してまいったのでありますが、いずれも都市の総合的な再開発のための手法としては、不十分であり、」という説明の点でありますが、先ほどの話からいいましても、私は効果を発揮したというが、どのような大体成果があったのか、この点について。もう一点は、効果があったならば、なぜ不備な点を改正して、そうして都市再開発法というものにしなければならないのか。またもう一つは、「都市の総合的な再開発のための手法としては、不十分であり、」というこの点につきまして、大臣の考え方をはっきり伺っておきたいと思うのですが、詳細御説明を願いたいと思います。
#28
○国務大臣(坪川信三君) いま御指摘になりましたように、都市の防災に関する法制といたしましては、御案内のごとくいま局長が申しましたような防災建築街区造成法というものが相当の役割りを果たしてまいっておるような次第であります。しかし、最近における都市の防災の現象、あるいは土地利用の不合理な現象を見ますときに、そう一そうこれらに対するところの法的な措置を講じまして、そうしてさらに都市開発を推進してまいりたいということから、本法を御審議願っておるような次第でございます。過去におけるところの同法の役割りというものは、非常に役割りを果たしてまいっておる次第でございますが、この本案の御審議をいただきまして成立を得ました場合には、防災建築街区造成法は廃止されますが、本法の施行の際、現に存在しておりますところの防災建築街区造成組合等については、同法は、本法施行の後もなお効力を有することとし、所要の補助金の交付、あるいは固定資産税の軽減等の措置が引き続き行なわれることといたしておるような次第でございますとともに、なお本法の附則により改正される住宅金融公庫法あるいは地方税法の規定は、右の防災建築街区造成組合等についてなお従前の例によることとして、従前の事業に支障を生じないようにしておるような次第であります。
#29
○宮崎正義君 私の申し上げているのは、効果を発揮したというんですから、その効果が、どのような成果があったのか。その成果は一部分でありましたけれども、先ほどもお話がありましたけれども、効果があったならば何もせっかく三十六年この法律をつくられて、不備な点があればそれを改正するなりしてやればいいんじゃないかということを聞いているわけです。
#30
○国務大臣(坪川信三君) 先ほども申しましたようにそれぞれの役割りを果たしてまいっておりましたが、この改造法は大規模な道路、あるいは広場を整備する目的が一応限定されておったことは御承知のとおりでございます。したがいまして、また防災建築街区の造成の、いわゆる建築物の共同化、不燃化を推進するための助成法にとどまるなど、いずれも市街地の総合的な再開発の手法としては、まだ私は不十分な点が数多くあったと思うような次第であります。したがいまして、私はそうした点を除去する目標を持って、新たなる再開発法の制定をお願いしておるような次第であります。
#31
○宮崎正義君 どうも納得しかねるのでありますが、次に進んでいきたいと思います。第三条第一項第三号でありますが、「当該区域内に十分な公共施設がないこと、」とありますが、十分な公共施設とは、どういうものが完備された状態を言うんでしょうか。この点について伺っておきたいと思います。
#32
○国務大臣(坪川信三君) たとえば自動車の通過、交通が多いにもかかわらず十分な幅がなく、また歩行者が多いにもかかわらず歩道もない。また、たとえば子供の遊ぶ公園もないというような点でございます。
#33
○宮崎正義君 もう一つ押していきますけれども、第四条二項の第三号でございますが、「容積、建築面積、高さ、配列及び用途構成を備えた健全な高度利用形態となるように定めること。」とありますが、中に新たな防災機構を備えるということを、この字句については加えられるようなお考えがないでしょうか、伺っておきます。
#34
○政府委員(竹内藤男君) この法律では土地の高度利用ということをやっておりまして、高度利用というものの前提といたしまして、その点日本の基準法によりますと高度利用するためには耐火建築物でつくらざるを得ないということがございますので、特に防災ということをうたわなかったわけでございまして、この中に織り込まれているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#35
○宮崎正義君 これは、私はいまさら申し上げるまでもありませんが、いまビルの火事になりますと、階段がいきなり火事の通風口になっている。そういう面から考えまして、またはしご車が、だんだん高いビルが建っていきますととどかなくなる。そういうふうな観点等で、ますます高層化してくれば、その面についての、やはり字句を明確にしていくというような考えを、これは持たなければいけないんじゃないか、こう思うわけですが、どうでしょうか。
#36
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画用当該地区にふさわしい容積、建築面積、これらを備えた健全な高度利用形態ということが書いてございますので、「健全な高度利用形態」の「健全な」というところでいま申されましたような消火設備でございますとか、あるいは避難階段というようなものは織り込んでいくべきではないかということで、特に防災街区ということばを入れなかったわけでございます。
#37
○宮崎正義君 第四条の二項の一号ですか、「道路、公園、下水道その他の施設に関する都市計画が定められている場合においては、その都市計画に適合するように定めること。」となっていますが、そうすると、すでに決定されている都市計画が優先されるために、市街地再開発利用が大きくこれによって――ちょっと大臣、この問題だけひとつ終えればあとはけっこうです。もう一回申し上げますと、「道路、公園、下水道その他の施設に関する都市計画が定められている場合においては、その都市計画に適合するように定めること。」こうなっておりますが、そうすると、すでに決定されている都市計画が優先されるため、市街地再開発事業が大きくこれによって制約されることになる。あとに計画された市街地再開発計画を実施したほうが、よりその地域の公共の施設に寄与するような場合には、すでに先に決定されている都市計画法を変更することができる。またこんなような都市計画決定と市街地再開発計画の決定が同時に行なわれた場合にはこういう問題は起きてこないと思うのです。再開発決定の間に時間的な差がある場合起こり得ると思うのですが、この点はどうでございましょうか。前の都市計画できめられた、それでこの法律がきまったあと、その空間ですね。前にきめられたものが、そのまま今度は再開発の法案によって変えられてしまうのか、そういう点を伺っておきたいと思います。
#38
○国務大臣(坪川信三君) 御心配いただいておるその点、非常に大事な問題だと私も思います。しかし、これにつきましては、その場合においては、その立場で変え得るということになりますので、この点は御了承願え得るのじゃないか、こう思います。
#39
○委員長(岡三郎君) 大臣はよろしゅうございますね。――ではどうぞ。
#40
○宮崎正義君 いまの問題でも相当これは今後起き得る問題だと思うのですが、大臣のいま答弁にありましたそれをどのように解釈していくか。実際問題が起きましてから、必ずこれは出てくる点であります。その点をもう少し具体的に答弁がいただきたいと思います。
#41
○政府委員(竹内藤男君) これは市街地再開発事業に関する都市計画でございますので、あとに出てまいります事業そのもの、つまり、施行者もきまりました事業そのものの前に都市計画を決定するわけでございます。その手続は当然、都市計画法の手続によってやるわけでございます。したがいまして私ども理想的な形で考えますと、用途地域の指定、地域地区の指定それから各種の都市施設の決定、それからこのような市街地再開発事業を含めました各種の面開発の事業というものの都市計画決定というものはやはり、相互に関連するものでございますので、マスタープランに基づいて同時にきめていくのが、望ましい姿だと考えます。しかしながら、実際問題といたしまして、事業の見込みがないところに、あらかじめ相当早目に再開発事業に関する都市計画をきめられないという事情もございます。したがいまして、その段階におきまして、再開発事業に関する都市計画をきめます場合には、当然道路、公園、下水道その他の都市計画施設との関連が出てまいりますので、都市計画を見直しまして、都市計画のほうの変更をする、そして変更をした都市計画に適合するように市街地再開発事業に関する都市計画を定める、こういうことをやっていかざるを得ない、そういうふうに考えているわけでございます。
#42
○宮崎正義君 都市計画の計画を立てられるその総合的な考え方からいけば、再開発をしなくてもいいんじゃないかと思うわけですが、そういう大局的といいますか、先ほどマスタープランとおっしゃいましたけれども、総合的な考え方から一本でいっているならば、何も再開発の問題等も出てこないのじゃないかと思いますが、実際面は出てくると思いますが、こういう点はどういうふうなプランですか。
#43
○政府委員(竹内藤男君) 全く白紙と申しますか、新しい都市をつくるというような場合には、おっしゃいますように初めから都市計画できちっとした計画をきめ、それに基づく規制をし、事業をやっていけば起こらないと思いますけれども、すでに日本の都市は、まあずっと昔から続いてきている都市でございますので、現在の状態でやはり都市計画を定める、あるいは従前の都市計画を総合的に見直して変更するという場合には、当然再開発をしなきゃならないところが出てまいります。そういう場合に市街地再開発事業に関する都市計画を総合的な立場からきめていくのが理想だと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、事業の見込みが現実に起こらないような状況のもとでなかなか計画がきめられないという場合もございます。そういう場合には、市街地再開発事業に関する都市計画をきめます際に相互に関連いたしますほかの都市計画を見直して、都市計画も変更をしつつ事業に関する都市計画をきめる、こういうことが必要になってくる、こういうふうに考えるわけでございます。
#44
○宮崎正義君 そういうふうな考え方からいきまして、第五条に「住宅建設の目標の設定義務」をうたっておられますが、市街地で住宅不足現象がないということは、これは皆無といっていいだろうと思います。このような現状から考えていくわけですが、市街地再開発事業においては必ず住宅が併設されるとこれは解釈してよろしいんでしょうか。
#45
○政府委員(竹内藤男君) この条文は、第五条の一行目の一番終わりのほうに「前条第二項の規定に抵触しない限り、当該市街地再開発事業が住宅不足の解消に寄与するよう、」「住宅戸数その他住宅建設の目標を定めなければならない。」こう書いてありまして、前条第二項の規定と申しますのは第四条二項でございますので、ここに書いてあります一号から四号までの都市計画区域を定めます場合の基準が書いてあるわけです。その中で二号の、たとえばその区域の中に「道路、公園その他の公共施設」を定めまして、良好な環境になるようにすると、あるいは三号の 「建築物の整備」のところで、都市計画上「ふさわしい容積、建築面積、高さ、配列及び用途構成を備えた健全な高度利用形態となるように定めること。」というようなものがございます。したがいまして、この第五条のわれわれの考えといたしましては、第四条第二項で定めました都市計画上の基準、そういう基準に触れない範囲で、こういう基準に触れない範囲でできるだけ多く住宅の戸数を、あるいは住宅の建設を市街地再開発事業に行なっていく、こういう考え方でございます。都市計画のワク組みの中で、住宅不足の著しい地域につきましては、住宅対策として住宅の戸数を大いにふやしていこう、こういう考え方が出ているわけでございます。ただ、こういうふうに住宅をのせました結果、単なる住宅不足の解消というだけではなくて、いろんな効用が出てくると思いますけれども、この第五条の分離的な解釈といたしましては、そういうふうに考えているわけでございます。
#46
○宮崎正義君 触れない範囲とおっしゃいますが、いずれにいたしましても、住宅の不足の著しい地域といいますか、そういう地域は現状では都市はどこを示しておられるのか、また市街地で住宅不足の現象があらわれていないところがあったら、またそれを具体的な地名等をあげて説明を願いたいと思います。
#47
○政府委員(竹内藤男君) 具体的にどこをさすのか、あるいは住宅不足の著しくない地域はどこかということを、ちょっと具体的にいま申し上げる資料を持ち合わしておりませんが、ここで「住宅不足の著しい地域」というふうにいっておりますのは、必ずしも行政区域である都市の範囲に限りませんで、たとえばその都市の中で、一部の地域におきまして住宅不足が著しいということがあれば、そういうような地域における都市計画を知事が定めます場合に、住宅の建設の目標を定めるように義務づけているわけでございます。したがいまして、先生おっしゃいますように、住宅不足というのは、かなり全国的な現象になっておりますので、まあ大体どこの都市でもそれに該当するというようなことになろうかと思いますが、具体的に、それじゃあ住宅不足があまりないところはどこかというのは、いま資料を持ち合わせておりませんので、ちょっと答弁できないわけでございます。
#48
○宮崎正義君 それじゃあまたあとで資料を出していただくようにお願いしたいと思います。
 この施行地域内の宅地の点につきましてですが、所有権者または借地権を有する者のすべての、それぞれ三分の二以上の同意を得た上で都道府県知事の許可を受けて再開発組合をつくり、事業の施行ができるとしているようですが、その際、同意しない者は意見書を知事に提出できるものの、それが裁決される、これはそういう場合には補償があることになるのでしょうか。
#49
○政府委員(竹内藤男君) この法律の十四条におきまして、先生おっしゃいましたように、組合の設立認可をとろうとする場合には、あらかじめ権利者の三分の二以上の同意を得なきゃいかぬわけでございます。それで事業計画の十六条に事業計画の縦覧というのがございまして、知事が認可の申請を受けますと、事業計画を縦覧いたしまして、その事業計画について意見書がある者につきましては、これは反対者であろうと、反対者でなかろうと、あるいは土地の所有権者であろうと、借地権者であろうと、あるいは借家権者であろうと、そういう土地または土地に定着する物件について権利を有している者は意見書を提出することができることになっているわけでございます。それでその意見書の処理につきましては、三項、四項で書いてございますように、行政不服審査法の手続によりまして、意見書の審査をして、必要がある場合には採択しろ、すべきだという場合には修正することになっております。それとは別に、同意しないという理由がいろいろあると思います。実際は床がもらいたいのだけれども、この事業には反対だというのもあるでしょうし、実際にここにこういう床が、建物ができるなら金をもらって出ていきたいという人もあると思います。したがいまして、組合ができました暁におきましては、権利変換というのは、組合の総会なりあるいは審査員の手をかりまして変換計画というものが進められるわけでございます。その前に、あらかじめお金でほしいという者に対しましては、それを尊重いたしまして、金銭で補償するというたてまえで権利変換計画を組むわけでございます。その金銭補償の分につきましては、その手続がこの法律に書いてありまして、最終的には収用委員会の審査も受けられるというような考え方をとっております。
#50
○宮崎正義君 この問題もまたあとで申し上げますけれども、第十一条の組合設立発起人及び第二十条で定める組合員の資格の中に、借家権者並びに二割借家権者をどうして入れないか、また、第二条第十三号の借家権の定義の中に、間借りの人等の一部借家権を新たに追加すべきではないかと私どもは考えるのですが、この点はどうなんでしょうか。
#51
○政府委員(竹内藤男君) 市街地再開発事業でございますので、従前の建物をこわしまして新しく建物を建てる事業でございます。したがって、従前の建物を除却する権原を持つ人とその土地の上に新しく建物を建築する権原を有する者がより集まって組合をつくって事業をやろうというのが、この組合施行でございます。このために、組合の組合員といたしましては土地の所有者と借地権者を定めておりますが、借家権者にはこういうような従前の建物を除去する権原もございませんし、土地の上に新たに建物を建築する権原も持ちませんので、組合の構成員としてはどうしても入り得ない、法律上入れないということで借家権者の組合員に入れていないわけでございます。ただ、借家権者というのは、非常に従前からその土地におられる方でございますし、建物の権利者ではございまするし、その保護をはかることが当然必要でございますので、新しい具体的な措置といたしましては、新しい建物に借家権が当然移行する、あるいは従前の家主がお金をもらって出て行った場合には、施行者が当然借家権を与える、あるいは本人が希望いたしますれば床の譲渡を受けることもできる。さらに事業計画、権利変換計画等につきまして、先ほど申し上げましたように、意見書の提出その他借家権者の保護につきましていろんなところで規定をしているわけでございます。
 それから借家権の中に間借りの者を含めたらどうかということでございますが、借家権つまり賃貸借でございますが、これにつきましては法律的な解釈がある程度定着をいたしておりまして、その建物の一部が障壁その他によって他の部分と客観的に明白に区画され、排他的な支配占有の可能なように構造上の独立を持っているというものにつきまして借家法の適用があるわけでございます(具体的に申し上げますと、棟割り長屋の一戸でございますとかアパートの一室というようなものは通常借家権の対象になりますが、通常の日本式の家屋で、隣の座敷を通って自分の部屋に入るというようなものにつきましては、借家権が認められていないわけでございます。したがいまして、いわゆる間貸しというものにつきましても、先ほど申し上げたような基準によって該当しないものにつきましては借家権者として扱うわけに法律上まいりませんので、この中に含めないという考え方をとっているわけでございます。
#52
○宮崎正義君 法律的にはそのようになっておりますけれども、事実上はそういう人たちが多いわけです。たとえば間借りをしておる人たちが非常に多いわけです。その人たちはやはり権利金等を払い、間代等を払っているわけです。最初に私が大臣にお伺いしたように、実際的には一人一個室、これは必ず必要である、一世帯一住宅はこれは当然考えなければならない行き方じゃないかということについても、大臣は答弁ありました。現実の生活においてはそれができないがゆえに、こういう不自由な間借り生活もしなければならない。こういうことになりますれば、その一部借家権というものも、これは当然実情に即してのやはり生きた法律というものを考えてあげなければならない。そういう点、私が申し上げましたことの見地から言いますれば、どうしてもこの間借りのことにつきましても十分考慮を払わなければならないというのが、本来の人間性の行き方じゃないかというように思うのですが……。
#53
○政府委員(竹内藤男君) この法律で、借家権者に対しまして、先ほど申し上げましたような借家権を与えるとか、その他の措置をとっておりますのは、借家法に保護されておる権利であるということに基づいて行なっているわけでございます。したがって、容易に借家権者となりますと、借家法によってこれを明け渡しを請求したりなんかすることができないわけです。そういうようなものにつきまして、当然借家法の保護のあるものについては特権を与えるへきてはないか、というようなところまで割り切ったわけです。間借りの場合には、これはいろんな形態がございまして、必ずしもその地位というものが、いわゆる私の法律――私法上の立場の中で保護されていない、むしろそれをもっと保護すべきじゃないかという議論は議論としてあり得ると思いますが、これは各種の錯綜している権利を調整するために、このようなややこしい法律規定を置いているわけでございます。私法上の立場においてある程度確立された権利につきまして、この権利として処理する、こういうような形にしておるわけでございます。事実上の問題といたしましては、間借人をどうするかということは、事業施行の段階でいろいろの考え方があろうかと思いますが、この法律的な処理の構成の中には、私法の実体のほうが備わっていないために取り入れにくいという事情があることを、御了解願いたいと思います。
#54
○宮崎正義君 これは第二十条の「組合が施行する市街地再開発事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。」という、「所有権又は借地権を有する」というのですから、このままでいけば借家権者、あるいはまた一部借家権者ということは取り上げられないということになりますけれども、実際の問題を考えた上で、私はこの辺は将来考えていかなければならないのじゃないかということで、念を押しているわけでありますが、やはり実生活に私は合わせて法律をつくっていくのが当然だと思うのです。そういう点について、この第二十条に対する考え方というものを、もう少し突き詰めた行き方を考えていったほうがいいんじゃないか、こう思うわけであります。
 次に、権利変換手続についてお伺いしたいのですが、昭和二十九年の五月の二十日、土地区画整理法が設定されましてから十五年の歳月がたっているわけです。九十三条に規定されている宅地の立体化の事項が一回も適用されたことはないというふうに思うわけですが、条項を本文でこれを適用されないのではないかと、こう考えているわけですがどうなんでしょう。
#55
○政府委員(竹内藤男君) 先生おっしゃいましたように、区画整理法で宅地の立体化という規定がございます、九十三条に。これはいままでに使ったことがございません。先生おっしゃいますように、使ったことがございません。この使えなかったという理由の一つは、宅地の立体化は、もともと土地が細分化された市街地で平面的な区画整理ではできないということで、宅地の立体化の規定が入っております。区画整理の考え方というのはこの再開発法の考え方と違いまして、従前の権利関係はそのまま同一である。所有権で申しますと、所有権は変わらない。ただ、所有権の対象である土地が変わるんだという考え方でございますので、従前の権利関係はすべて同一性を保ちながら換地の上に移行させるというたてまえを区画整理でとっているわけであります。したがいまして、区画整理の体系の中では、先ほど出ました借家権の処理というものが特別に考えられていないわけでございます。建物は移転するんだ、そのまま移転するんだから、当然借家権はそこに移るんだというような平面的な考えであります。ところが立体化いたしますと、当然そこに借家権の処理ということが起こるわけであります。つまり、新しく建物を建てるためにはどうしても従前の建物を除去しなければならない。そのためには建物の権利を消滅させると借家権がなくなる、こういうようなことが起こるわけでございます。区画整理では従前の権利関係は同一性を保ちながら、移行するというたてまえをとっておりますので、借家権の処理についての規定が区画整理のほうにはないわけでございます。したがいまして、借家権の処理につきまして、法律上手当てができないということが宅地の立体化ができない理由の一つでございます。それからもう一つは、結局建物を建てまして、施行者が建てるわけでございます。そこに土地のかわりに建物に移らせるということをやるわけでございますが、その建物を建てる費用を出す根拠、建つために、土地につきましては保留地というものをとることができる。保留地によって区画整理を行なったり、いろいろな費用をまかなっていくということになるわけでありますが、保留床――建物の床でございます――保留床ということについての規定がございませんので、建物を建てる財源措置についての規定がないということで、規定が現在そういう点が二つ難点がございまして、宅地の立体化というものが実際行なわれていないというのが現状であります。
#56
○宮崎正義君 そうしますと、この法律は二十九年から十五年間にわたって、つくられたままで何ら手を加えられることもなく、また実行もされていないということ、今日この再開発法の時点になって、この問題を、この法律の改正等もいまやっとやっていくということは、まことに今日までのずさんな行き方じゃなかったかと、こう思うわけです。保留床の問題とか、保留地の問題とか、いまお話がありましたけれども、なぜ宅地の立体化といってこの法文をつくって、改正ということを今日までほうり出しておいたか、その点についてもう一度伺っておきたいと思います。
#57
○政府委員(竹内藤男君) 実は昭和三十六年に、先ほど廃止をするということで申し上げました公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律というのが制定されたわけでございます。その市街地改造法をつくりますときの考え方、つくりますときの発想には、この土地区画整理法の宅地の立体化を何とか生かしていきたいという考え方があったわけでございます。ただ当時のいろいろな立法者の考え方の中では、今度の新しい都市再開発法できめましたような権利変換手続というものが、まだそこまで考えが及びませんで、やはり従前の権利が錯綜している中で、その権利を処理するためには一ぺん買収をして、そうして権利をきれいにして、それから金で与えることを原則とするけれども、本人が希望すれば、建物の床を与えればいいじゃないかという考え方でいわゆる収用、それも道路の用地だけでなくって、その付近地までも収容できるという超過収容と現物補償というものを根本にしまして、市街地改造法というものが組み立てられたわけです。したがいまして、これは法律上のそのやり方としては、区画整理と全く違うやり方でございますけれども、何とか宅地の立体化を生かそうという考え方で市街地改造法案が生まれた。さらに市街地改造法をやってまいりますと、問題が出てまいりましたので、またもとに戻るというと変でございますが、区画整理に似たような権利変換処分というものを新しく創設して再開発法をつくった。こういうような発展過程になろう。したがいまして、私どもとしては、何とか密集市街地の土地の細分化された市街地で公共施設の整備をするなり、あるいは建物の共同立体化をはかるために、何とかして新しい構想を生み出したい、その努力の経過がいま申し上げましたような形になっている、こういうように考えます。
#58
○宮崎正義君 努力の経過とは私は認めがたいのですが、この件につきまして、権利の問題で訴訟等も若干起きているように思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
#59
○説明員(森田松仁君) 訴訟の起きておりますのは、私どものほうで聞いておりますのは、現在神戸の三宮地区で市街地改造事業を施行中でございますが、そこで最近訴訟が出ているという話を聞いております。
#60
○宮崎正義君 これは本法案と少し離れますので、この次にいろいろな点を究明いたしたいと思いますが、きょうはその点は保留しておきまして、次に進んでいきます。
 従前の権利価額が低額のものに対して新しく与えられる建築物の部分は過小とならざるを得ないが、このような場合には、土地区画整理における過小所有者、土地ですね、に対する換地交付の制度と同様に、新たな権利を与えないで金銭で補償するようなふうになっておりますが、弱小権利者の保護の立場の上から清算金を支払うということができるように低利の資金を貸し出しし、権利を取得できるような金融上の措置が必要であると考えるのですが、どのような処置をされますか、七十九条ですか。
#61
○政府委員(竹内藤男君) 七十九条にございますように、七十四条に権利変換計画の決定基準というのがございまして、災害を防止し、衛生を向上し、その他居住条件を改善するとともに合理的利用をはかるように定めなければならない、こういうような居住条件の改善というような観点からいたしまして、床面積があまりにも過小になるというようなものは、床面積を増して、つまり増し床を与えまして、そうして適正な床にすることができるという規定が七十九条の一項でございます。
 それからそういうような場合、増し床になりますと、当然増し床部分は従前の権利に見合ったもの以上でございますので、清算金をあとで取られる、清算金の規定もあとにございますが、取られるという形になるわけであります。その場合、清算金に対する融資ということが問題になるわけでございます。この法案におきましては、清算金の分割納付の制度というものを運用上考えていきたい。大体十年くらいの分割ということを考えていきたいと思っておりますが、これは施行者がやることになりますので、それ以外に住宅であります場合には、増し床部分の住宅の取得に対しまして、住宅金融公庫資金の個人住宅の特別貸し付け、三十五年五分五厘という金額、そういう個人貸し付けを認めることにしてまいりたい、そういうふうに考えております。
#62
○宮崎正義君 借家人の権利のこの面からいって、保護について少し話してみたいのですが、立体換地方式において宅地の所有権者並びに借地権者には新しい建物の区分の所有権が与えられておるのですが、所有権を有する者は等価交換の原則によって、必ずしも新しい建物に入居できるという保証はどこにもない。再開発が貧乏人から住宅を奪うようなおそれがあるように思うのですがこの点についてどうなんでしょう。
#63
○政府委員(竹内藤男君) 本人が希望いたしますならば必ず、本人が逆に希望しないで金銭をもらいたいという場合以外は、必ず権利者に対しましては床が与えられる。借家人に対しましては借家権が設定されるというふうになっておるわけであります。
#64
○宮崎正義君 先ほどにまた戻るわけですが、七十九条の「床面積が過小となる施設建築物の一部の処理」規定の三項において、床面積が著しく小であるものは、これは先ほどのお話の増すということを言っておられるのですが、これはどうも私どもの考えでは追い出されていくような考え方をするのですが、この点どうなんでしょうか。
#65
○政府委員(竹内藤男君) この七十九条の規定は、先ほど先生おっしゃいましたように、区画整理にも同様の規定がございまして、それと同じような形で規定がございますけれども、区画整理の場合と実質上非常に違います点は、必ず再開発の場合には、その施行者がそういうようなことを考えます場合には処分床というものが出てくるわけであります。権利者に対しまして権利に見合う価値の床を与えたほかに、余剰の床が出てまいります。余剰の床を売りましてあるいは余剰の床を賃貸いたしまして、その資金によりまして全体の建物の資金を回収するというのが、再開発事業の一つの資金的な構造でございます。そういう余剰の床というものは必ず処分するわけであります。したがいましてその処分床というものが相当あるわけでございますので、七十九条一項で書いてございますように、「床面積を増して適正なものとすることができる。」ということで大体処理ができる。しかしそういうことができないような場合には、三項にまいりまして、「著しく小である施設建築物の一部」につきましては、床を与えないで金銭で補償をするということも認めているわけでございます。その場合に、先生おっしゃいましたように、家主さんが床を、過小床のためにもらえないという場合には、先生おっしゃいましたように、当然借家人もその床に入れないということになります。しかしこの規定は、実は市街地改造法にも同様の規定がびざいますけれども、市街地改造法の過去の実績におきまして、過小のために、著しく過小のために不交付をしたという実例はございません。実際問題としては、増し床で処理できるかと思っておりますが、法律的にはやはり増し床がとれないという場合がございますので、そのときには当然大家さんと同じように、借家人も非常に小さな床になるということは、先ほど申し上げましたような権利変換の基準に照らして不適当でございますので、金銭で清算をする、金銭で補償をするという形になります。
#66
○宮崎正義君 先ほど私が申し上げました、やはりこういう面ももう少し突っ込んだ面がなければいけない。その点について七十九条の三項の点は、もう少し深く考えていかなければならないのじゃないかと、こう思うわけです。七十七条で権利変換計画において、借家人は施設建築物に借家権を取得できるように定めているものの、家賃その他の借家条件を新たに取りきめることになるのではないか。そうすると、家賃、権利金等がこれは当然高くなってくる、借家人は施設建築物に入居できなくなるおそれがあるのじゃないでしょうか。この点非常に心配しているわけですが。
#67
○政府委員(竹内藤男君) 再開発後は新しい建物になりますので、従前古い建物におった賃料よりも家賃がある程度上がってくるということはあろうかと思います。その場合に、この法律におきましては、一つはいろいろな各種の税金の減税の措置によりまして、建物そのものの価額を引き下げるということをいたしております。これにつきましては減税のほかに、現在防災街区でやっておりますような補助金の規定もこの法律にはございます。そういうようなことによりまして建物そのものの価額を低廉にいたす。それによりまして家賃の上がるのを防ぐと同時に、家賃算定の際におきましては、従前借家人が持っておりました借家権の価額を考慮いたしまして家賃を算定するというふうにいたしております。そういうようなことによりまして、できる限り家賃の上昇が入居の妨げにならないように配慮しているわけでございます。
#68
○宮崎正義君 権利のほうは。――権利金等は。
#69
○政府委員(竹内藤男君) いま申し上げましたように、権利金――つまり借家権の価額でございますが、それにつきましては、従前借家人が持っておりました権利金に相当する価値は、家賃算定の際に考慮して考える、こういうふうに考えております。これはこの法律によりまして、借家条件につきましては従前の家主さんと借家人の間で話し合いをする。話し合いをいたし、まとまらないときには施行者が審査委員なり審査委員会の同意を得まして裁定するということになっております。裁定の場合におきましては、当然借家権の、従前持っておりました借家権の価額は考慮して家賃を算定する、こういうことになっております。
#70
○宮崎正義君 審査委員についてはまたあとでこまかくお伺いする予定でおります。そういう審査をする、査定をする、その人がどんな者が選ばれるかという問題につきましては、また審査の面で詳しくお伺いいたしたいと思いますが、そうしますと、念を押したいのは、従前の家賃より高くなっていくような場合には考慮をして、そうして何というのですか、生活を困らしていかないというふうに考慮をすると、こういう意味なんですね。
#71
○政府委員(竹内藤男君) いま申し上げましたのは、一つは、建物の価額そのものを引き下げるということによって家賃も下げていきたい。それから家賃算定の際に従前しておりました権利金と申しますか、借家権の価格に相当するものは差し引いて家賃を算定する、そういうようなことによりまして、できる限り家賃の上昇が入居の妨げにならないように、この法律では配慮しているつもりでございます。
#72
○宮崎正義君 入居の妨げにならないようにこれは私は十分この点に考慮を払って――いまの回答を忘れないでいただきたいと思います。
 次には再開発組合による施行建築物とこれはなります。公団と違って、建築費だとかあるいは公共施設に供しました土地などの代価及びその利潤を考えていきますと、その家賃や権利金など、とてもこれは庶民の手に遠く及ばなくなるじゃないか、こう思うわけでありますが、この点、その公団だとかあるいは再開発事業の場合の家賃は、どのようにこれは予想されるんでしょうか。現在の住宅公団等、住宅公団面の再開発の建物等に勘案して、どんなふうな形態になるのでしょうか。
#73
○政府委員(竹内藤男君) 市街地再開発事業により建設されます住宅の、まず価格でございますが、これは一つは地価によって影響を受ける。地価は、結局土地は買いませんけれども、権利者の床になってまいります。底地そのものは買わないで、将来地代として払うということになりますので、その分は建物価格に影響します。その分だけ安くなるということです。借地権分が当然安くなってまいります。地価が高ければ借地分も高い。床の部分はただで権利者に渡しますので、その残った部分の床というものは高くなってくるわけでございます。
 それからもう一つは、従前の状況とそれから再開発後の状況の何と申しますか、建物の容積、全体の容積が差があればあるほど、仕事はやりやすいということになるわけであります。
 それからもう一つは、店舗が下に入るかあるいは全然店舗がないとかということによりまして、店舗がありますと、ある程度店舗のほうに、当然普通の取引慣行におきましても、店舗のほうに地価の負担というものがかかります。この店舗が入っているかどうかということによって違うと思います。そういうことによって建物の価格というのは影響されるわけでございますが、非常に大胆に仮定をつけまして申し上げますと、たとえば現在の地価が坪当たり二十万ぐらいであるような地区をとりまして計算をいたしまして――机上の計算でございますが、計算をいたしまして、住宅一戸六十平方メートルといたします、三Kぐらいの。それの分譲価格を、住宅の値段を出しますと、大体金利が七分五厘の場合と九分の場合で違しますけれども、一戸当たり四百万から四百二十万ぐらいというふうな数字が出てまいります。これを住宅公団が上に賃貸住宅を乗せるというふうに考えまして、住宅公団と同じ金利計算、つまり五分の金利計算でやりますと、大体家賃が二戸当たり二万六千円ぐらい。もしこれを民間が市中銀行から資金を借りてやるということになりまして、その金利が九%ということになりますと、金利の関係で家賃はこれよりも約五割増しの価格になる、こういうふうな計算になっているわけであります。
#74
○宮崎正義君 高くなるわけですね。いま建築費用のこと、売却――一戸を売るというと四百万から四百十二万と言いましたけれども、こちらの場合はどうなるのでしょうか。先ほど回答がありましたね、四百万から四百十二万ぐらいの価格であると、で、今度この金額とこちらがつくった場合の費用といいますか、大体同じような六十平米ぐらいで、どのくらいの価格になりますか。
#75
○政府委員(竹内藤男君) いま申し上げましたのは費用でございます。
#76
○宮崎正義君 三DKを売却するあれでしょう。
#77
○政府委員(竹内藤男君) 三Kの市街地改造の方式で権利者に権利床を与えて、上のほうの部分に処分床――住宅が全部で尾。それをそのまま売るとすれば四百万から四百十二万と申し上げた、それはコストでございます。これに利潤が加わればこれ以上であります。
#78
○宮崎正義君 了解しました。
 先ほどの店舗の場合に、店舗の建物とそれから住宅だけの建物と、こういう建築上の施行の費用というもの、これはだいぶ違ってまいります。店舗が多い場合には住宅が少なくなる、それはもう申し上げることはありませんけれども、この辺についての考え方はどうなんでしょうか、どういうふうな基準でやっていくのかですね。
#79
○政府委員(竹内藤男君) 先生おっしゃっているのは店舗にかける費用と住宅にかける費用の割合、こういう意味でございますか。
#80
○宮崎正義君 そういうことがか一つと……。
#81
○政府委員(竹内藤男君) これは実はいままで下を店舗にして上を住宅にしたいろいろな例がございます。それにつきましていろいろな例がございますが、大体一階が店舗だと、一階を一〇〇にいたしまして二階が七〇前後、三階が五〇前後、四階が三五、六前後、これは場所によって違いますけれども、五階以上が大体三〇前後、こういうようなウエートになっております。
#82
○宮崎正義君 私の考えるのは、店舗を建てる人は実力――金の、まあ実力があるというか金があるわけですが、そういう人たちが主体になってくるということになると、店舗のほうが率が多く建っていくのじゃないか、こう思うわけです。そういうものの規制といいますか、そういうものの考え方をちょっと伺っておきたいと思ったのです。
#83
○政府委員(竹内藤男君) これは場所の特性によって違うと思いますけれども、たとえば駅前で、駅前広場をつくるために再開発をやるというような場合と、住宅地で再開発をやるというような場合と、違ってくると思いますけれども、それぞれの土地につきまして都市計画で地域制等をきめます場合には、大体ここら辺には商業用の建物容積はどのくらい、あるいは住宅用の容積はどれくらい、工場用の容積がどれくらいというのを、かなりマクロ的ではございますけれども、想定いたしまして、住居地域、商業地域、工業地域というふうに色づけをしておるわけでございます。したがいまして、それぞれの土地の特性によって違いがあり、その場所におきます住宅の容積が一律にはなかなかきまってこないわけです。したがって、その土地について、市街地再開発の事業の土地を認可いたします際に、知事が各種の要素を判断いたしまして、しかも地方審議会の意見を聞いて、その土地に合った、しかもできる限り住宅供給に役立つという観点から住宅の割合をきめていくということで、この法律では法律的に一律に義務づける、ある数字をもって義務づけるということではなくして、都市計画で個々の実情に合ったような形で義務づけていくというような形にいたしたわけでございます。
#84
○宮崎正義君 いまお話がありましたように、住宅のほうが主体に考えられていけば、これは私は心配しないんです。その点も留意をされて計画を計画性の上に立ってしていただくことが何よりだと思います。
 次に、二十一条の件についてちょっとお伺いいたしますが、新たに築造された建物に従前の関係で権利者を収容した場合、残余の部分を与えることを条件に第三者参加組合員に資金を提供させ、その者を組合員とすることにより市街地再開発のために民間資金を活用できるようになっているようですが、この場合、不動産賃貸業者も含め、またあるいは建設する者を含めると、こういうふうになっておりますが、住宅行政に対しても資金の偏重化が進行するおそれがあるのじゃないか、このように思うわけですが、この点どういうふうにお考えになっていましょうか。
#85
○政府委員(竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、市街地再開発事業の資金の構造というのは、結局全体の事業費を処分床を売るまたは貸すことによってまかなうということにいたしておるわけであります。それは当然それに対しまして公共施設の管理者の負担金でございますとか、あるいは国または地方公共団体の補助金とか、あるいは金利の低い金を融資あっせんすることによる利益ということも入ってくるわけでございますが、基本的には処分床を売るなり貸すなりして資金がまかなわれる。その処分床というのは、普通の場合でございますと、一番最後の段階になります。建物ができ上がって権利者を入れて、残りを公募して売るという形になるわけでございます。あらかじめ青田売りと申しますか、あらかじめ処分床が売れれば、資金繰りは非常に楽になりますし、金利負担も少なくて済むわけであります。したがいまして、そういう意味におきまして、あらかじめ処分床を買うということをきちっと約束した者を参加組合員に入れる。そうして参加組合員からお金を事業に入れながら仕事をしていく。たとえば処分床を全部参加組合員が買うということであれば、全体の資金をその参加組合員から出してもらって利用する。つまり権利者は自分で金を持ち出さなくても仕事ができる、こういうような形になるわけでございます。そういう意味におきまして参加組合員という制度を置いたわけでございます。この参加組合員の構成メンバーといたしましては、不動産賃貸業者のほかに、この法律の二十一条に書いてございますように、公的資金による住宅の建設者と、あるいはまた商店街振興組合というようなものも予定しておりまして、そういう者があらかじめ処分床を買うことを約束しておるならば、その者も組合員の構成に入れて、そうして組合の中で参加させる、ただ組合に参加いたしましても、参加組合員もいわゆる組合員一人でございますので、各種の組合の議決におきましては一票しか持っていない、こういう形になっております。と同時に参加組合員を入れるか入れないかというのは定款できめるわけであります。この定款につきましては、定款を初めにつくりますときに、あるいは変更いたしますときには、所有権者なり借地権者の同意に基づかしめておりますので、組合の総意に反して参加組合員が入ってくるということはないようにいたしております。
 なお、公的住宅建設主体につきましては、これらの者が極力参加組合員になることが望ましいわけでございますので、組合の設立にあたりましては、十三条二項におきまして、組合の設立認可を受けようとする者はあらかじめ公的資金による住宅の建設主体に対しまして参加組合員として参加する機会を与えなければならないという規定を置きまして、公的住宅に対する建設主体が何も知らないでいるその間に組合が設立されるというようなことがないようにいたしまして、公的主体が参加組合員になるようなことを誘導していこうという規定を置いているわけであります。
#86
○宮崎正義君 処分床の問題はございますが、私が心配するのは、金のある者が参加していってそうして住んでいる者がほうり出されていくような感じを非常に受けるわけです。参加組合員による事業に金を入れていきながら、この作業をやっていこう、こうするわけですが、そういたしますと、ここのところにどうも心配の点があるのですがね。住宅に住んでいる人たちが早く言えば発言力といいますか、そういったようなもの、それから資本偏重化が伴ってくる、いろいろの問題点、そういうものが起きてくるように思うわけですがね。
#87
○政府委員(竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、この組合でやりますいろいろの各種の手続は総会できまっていくわけであります。その総会におきましては面積割りではございませんで、所有権または先ほどの二十条でございますが、「所有権又は借地権を有する者は、」組合員でございます。それぞれが組合員でございます。その組合員の多数決なりあるいは三分の二以上の特別議決ということによって事業が進められていくわけですが、参加組合員も一人の組合員でございます。したがいまして参加組合が入ることによって組合員の権利が圧迫されるということは、この法律ではないようにいたしておるわけであります。考え方としては、その面積を多く持っている人が発言権を多く与えられるということも考えられるわけでございますが、この法制ではそういう考え方をとっておらないということでございます。
#88
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#89
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
#90
○宮崎正義君 この参加組合員というのは、政令で定めるものというふうに、政令で定める団体というものをさすんでしょうか。
#91
○政府委員(竹内藤男君) この法律に書いてございますように、住宅建設計画法三条に規定する公的資金によって住宅を建設する者、これは公営住宅の建設主体である地方公共団体あるいは日本住宅公団あるいは住宅供給公社、公庫の資金を受けてやります住宅供給公社、その他雇用促進事業団の住宅、そういうようなものが入るわけです。それから、「不動産賃貸業者」これはいわゆる不動産の住宅等の賃貸し等をやっている業者、それから「商店街振興組合」というのが、これが法律に書いてあるのが主体でございます。「その他政令で定める者」で予定しておりますのは、商工組合とかそれ以外で資力、信用があって適切な用途に使えるようなものというものをいま考えておるわけでございます。
#92
○宮崎正義君 時間が一時までなんですから、少しはしょってやります。
 第四章ですか、「組合の事業の代行」についてでありますが、もし、再開発組合が失敗した場合、地方公共団体がその事業を引き継ぐわけでありますね。それだけに財政的裏づけが十分でなければならないということになるのですが、この法案の内容だけでは、この点については非常に不備な点が感じられるわけであります。現に都市再開発に一番関心を寄せているはずの不動産業界などには、まだ確信を持ってわれわれが再開発事業に乗り出せる状況でないというような声も聞いておるわけでありますが、関係者のこうした不安や批判を総合してみますと、政府の助成努力というものに対する考え方がはっきりしてないのじゃないか、こういうことが大体ポイントになるのじゃないかと思うのですが、この点についてはどうなんでしょうか。
#93
○政府委員(竹内藤男君) 資金の助成の問題でございますが、これに対しましては、先ほど申し上げましたように、住宅金融公庫でございますとか、あるいは中小企業振興事業団でございますとか、日本開発銀行等の政府関係機関による融資ということを考えておりますと同時に、この新しい再開発法におきましては、権利変換手続を設定いたしまして、建物ができる前に地上権の共有持ち分を登記することによって、建物の権利を確定することができるようになりましたので、事前にそういう権利を抵当、担保にいたしまして、事業資金を調達するということが可能になりましたので、そういう面における市中金融機関からの事業資金の調達も容易になる、というふうに考えておるわけであります。おっしゃいますように、まだそれでは不十分な点があるのじゃないかという点もあろうかと思いますが、その点につきましては、再開発法が成立いたしましてから、来年度以降の予算編成におきまして、さらに再開発に対します資金上の手当てを厚くするような方法でわれわれも努力していく、こういうふうに考えております。
#94
○宮崎正義君 その趣旨がわかりましたのですが、その再開発に要するいまの資金の財政的なもの、これは法律が通ればやると言われますが、財政資金とか民間資金の双に求方めながら都市再開発をやっていくということになりますと、特別な銀行等の設立はお考えになりませんか。
#95
○政府委員(竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、住宅を含みます建物につきましては、住宅金融公庫がかなり強力な中高層融資の制度を持っておりますし、中小企業の振興につきましては中小企業振興事業団が融資をするという形になっておりますので、特別にまあ再開発のために政府機関を設立するというようなことは、現在のところ考えておりません。
#96
○宮崎正義君 時間がありませんので次にいきますが、再開発組合の管理運営について少し伺っておきたいのですが、三十三条の「特別の議決」についてのことでありますが、「第十四条後段の規定は、この場合について準用する。」とありますね、これは私は大地主を保護しようとするものなのか、この点について御説明願いたいのですが。
#97
○政府委員(竹内藤男君) 特別議決のところに、「十四条の後段の規定」を、最後のところで「準用する。」ようになっております。この考え方は、先ほど申し上げましたように、同意とかあるいは議決の場合に、所有権を有する者あるいは借地権を有する者、それぞれが、いわば一票として同意なり議決をするわけでございますが、非常に小面積の権利者が多くて、そして大面積の地主なり借地権者がおるというような場合に、全然面積の要素を考慮いたしませんと、わずか面積としては一握りの面積のものが全体の面積を支配するということになっても、これはまた問題があろうということで、両方の要件を満たすように、面積におきましても三分の二以上の同意がなければならない。両方の要件でございますので、片っ方のほうに引っかかれば、それは同意が得られないということになる。人数の上からいいましても三分の二以上、面積の上からいいましても三分の二以上の同意がなければ特別議決はできない、こういうふうにいたしたわけでございます。
#98
○宮崎正義君 三十条の「各号に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。」この点についてひとつ御説明願いたいと思います。
#99
○政府委員(竹内藤男君) これは組合の存立に非常に重大な影響があるような事項並びに事業の遂行上基本になるような事項を書いてございます。「定款の変更」「事業計画の変更」と申しますのは、組合設立の際に、定款なり事業計画をつくりまして、権利者の同意を得て知事の認可をもらうわけでございますが、これを変更いたします場合には、当然総会の議決を要す。それから「借入金の借入れ及びその方法」それから「利率及び償還方法」というようなものも、組合の運営並びに組合員の利害に非常に重大な関係がございますので、総会の議決を経る。それから「経費の収支予算」これは当然でございます。いかなる組合におきましても、予算というものは総会の議決を経るということになっております。それから予算外の「組合の負担となるべき契約」、これも総会の議決を経ることになっております。それから「賦課金の額及び賦課徴収の方法」、賦課金と申しますのは、組合員から組合が取り立てるお金でございます。主として使用目的は事務費的なものが多いと思います。と申しますのは、先ほど申しましたように、建設費自体は処分床によってまかなう、処分床の費用によってまかなわれるわけでございます。それ以外のお金ということになると、それの賦課金の額及び賦課徴収、それから「権利変換計画」がある。これはいわば従前の権利を消滅させ、新しい権利をつくるというもとになるものでございますので、権利変換計画を総会にかける。「事業代行開始の申請」、先ほどお話ございましたように、組合の事業が著しく継続が困難になった場合に、監督規定だけではとても収拾ができないというときに、組合の執行者にかわりまして知事が乗り出すわけでございます。これは職権で乗り出す場合もございますが、組合自体の申請によって乗り出す場合には、これは重大な組合の執行部に対する、執行部が実質上動かなくなるのと同じ規定でございますので、事業代行開始の申請を、総会の議決をはかるのである。それから「百三十三条第一項の管理規約」と申しますのは、再開発をいたしまして、建物ができましたあとで、いかにしてその建物の管理をやっていくかということにつきまして、これはビルとかアパート等については、御承知のように、建物の区分所有等に関する法律におきまして管理規約の規定がございますが、あの場合には、全員同意でなければ管理規約が結べない、それの特則を百三十三条に書いてございます。その特則によります施行者が、管理規約をきめるわけでございます。これは、まあ入ります権利者にとりましては非常に重大な問題だと思いますので、総会の議決にかからしめることとしたわけであります。「その他定款で定める事項」というものを総会の議決を経なければならないというぐあいに、必要事項にいたしているわけでございます。
#100
○宮崎正義君 処分床費用にまかなわれる問題だとか、あるいはここにあげていきますと賦課金の問題についても、これは滞納処分の規定等も四十一条等に関連してくるわけでありますが、組合の施行等におきましても、賦課金の積み立て費等を滞納するようなことがこれは予想されるわけであります。こういったような事態も起きてくるというようなことから、一つ一つのこの条項を取り上げてみますと、また問題点が相当含まれてくるのですが、時間がないので次回に譲ることにいたしまして、ここの質問については次回に移します。
 で、最後に、これだけ伺って私のきょうの質問を終わりたいと思います。四十三条の組合の審査委員及び五十七条の市街地再開発審査会の委員は、これは相当の権威ある人たちがやらなければならないと思います。「土地及び建物の権利関係又は評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者」と、こういうふうに言われておりますが、どういう資格を持っている者をさしますのか。また組合の場合、組合員の中から選ぶのか。もし、組合の場合に、組合員の中に公正な判断のできる者がいない場合はどういうふうにやるのか。この点について、明確にしていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、審査委員が一切のこうした権限を持ってくるようになるわけですから、この点についてただしておきたいと思います。
#101
○政府委員(竹内藤男君) 特別にいろいろな各種の法律による資格というものを考えておりませんが、私どもといたしましては、土地及び建物の権利関係についての特別の知識経験を有しというのは、たとえて言いますと、弁護士さんでございますとか、あるいは大学の法学部の先生でございますとか、そういうような方になろうかと思いますし、土地及び建物の評価についての特別の知識経験を持つというのは、不動産の鑑定等についてのエキスパートというような方が専門に当たるというふうに考えております。その他建築関係でございますので、建築工学の専門家、あるいは都市計画に関係いたしますので、都市計画の専門家というようなものがこういう審査委員に入ってくるのじゃないかと、こういうふうに思っております。それから公正な判断をすることのできる者というのは、これは施行者の認定でございまして、その人物あるいは考え方というようなものによってきまるものと、こういうふうに考えております。それで、この審査委員につきましては、組合は通常この手続きは全部総会にかかるわけでございます。特に大事なものにつきまして総会と審査委員にかかるということにいたしおりますので、総会で組合員の意思というのは反映されると思いますので、審査委員は組合員以外の者から選任することが望ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#102
○宮崎正義君 最後の質問、一つ欠けています。もう一つ。
#103
○委員長(岡三郎君) じゃもう一ぺん質問してください。
#104
○宮崎正義君 いまの総会で選任するということですから、けっこうだと思いますが、この場合に、その審査委員の率といいますか、組合員の中から審査委員を入れていくような考えがあるのか、またその点についてどういうふうな判断をしていられるか。
#105
○政府委員(竹内藤男君) 総会で審査委員を選任するのでございますが、通常、審査委員にかかるものは当然総会にかかりますので、組合の権利者の意思というのは総会のほうに反映される。したがいまして、審査委員は組合員以外の者から選任することが妥当である、こういうふうに考えております。
#106
○宮崎正義君 それじゃ、これで私一応質問をやめます。
#107
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記やめて。
  〔速記中止〕
#108
○委員長(岡三郎君) それじゃ速記つけて。
 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時二十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト