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#1
第061回国会 建設委員会 第9号
昭和四十四年四月十日(木曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡  三郎君
    理 事
                大森 久司君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                小山邦太郎君
                高橋文五郎君
                塚田十一郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                柳田桃太郎君
                米田 正文君
                田中  一君
                松永 忠二君
                宮崎 正義君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  坪川 信三君
   政府委員
       建設政務次官   渡辺 栄一君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省都市局長  竹内 藤男君
       建設省住宅局長  大津留 温君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       建設省計画局総
       合計画課長    櫟原 利嗣君
       建設省都市局参
       事官       山下  武君
   参考人
       日本建築学会都
       市計画委員会委
       員長       淺田  孝君
       早稲田大学教授  篠塚 昭次君
       東京都建設局長  山田 正男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○都市再開発法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡三郎君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 都市再開発法案を議題といたします。
 本日は、本法案審査のため、皆さまのお手元に名簿を配付してございます三人の方々に、参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本案につきましては、最近特に都市への人口の集中化等から各方面に広く関心が持たれておりますが、当委員会におきましても、この機会に本案に深い関係をお持ちになっておられる参考人の方方から、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお伺いし、審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 これより御意見をお伺いいたしたいと存じますが、議事の都合上、御意見をお述べ願う時間は、お一人二十分程度にお願いいたします。
 なお、参考人の方々の御意見開陳のあとで委員からの質問がございますので、お答えを願いたいと存じます。
 御意見をお述べいただきます順序は、淺田参考人、篠塚参考人、山田参考人でお願いいたします。
 まず、淺田参考人お願いいたします。
#3
○参考人(淺田孝君) 淺田でございます。
 さっそく御趣旨の件につきまして、参考意見を申し上げたいと思います。
 私が申し上げるのは三つの視点から申し上げてみたいと思うのでございます。一つは、日本の都市あるいは都市問題を現時点においてどう考えて理解すべきか。二つは、今日のこれからの日本人の生活環境という点から、今後の都市をどう考えていくべきであろうか。三つは、それに見合いまして今回の都市再開発法案につきまして、私の日ごろから感じておりますこと並びに上述の二点の視点から見ました意見を申し述べたいと存じるわけでございます。
 まず、都市問題についてでございますが、先ほど委員長御指摘のとおり、最近都市問題がやかましく言われておりまして、都市化時代というふうにいわれておりますが、その都市化ということの実態の中身は、大きく二つに分かれようかと思うのでございます。その一つは、全国どこであれ、住むところがどこであれ、生活の内容そのものが急速に都市的な生活になってきておる。言ってみれば生活の都市化とでも申しましょう。それに対しましていま一つは、主として住いをする場所が移って、都市のほうへ人間が集まってくるという、定住地の都市化とこれを申しておりますが、平たく言えば地域の都市化ということになるかとも思うのでございます。この二つがあやをなしまして激しく動いておるということの裏には、あの歴史に初めてわれわれが経験いたしましたむずかしい敗戦後の状況の中から、国民一体となって、営々として国家経営を再びやってまいったわれわれの勤勉さといったようなものによってささえられた経済の目ざましい復興、成長ということもさることながら、たまたまそれと軌を一にいたしまして、交通、通信、今日で申します広い意味の情報関係の技術革新といったようなものが、たとえて申しますと、テレビの世界にまれな普及率であるとか、非常に目ざましい、またしかも日本の工業生産分野にとって最も特異な部門での発達が非常に急激なものですから、いわゆるデモンストレーション効果と申しておりますが、いなかにおりましても東京と同じ番組を見られるといったような形が全国的に出てまいりますがために、生活そのものをより安全で、より快的で、より魅力のある生活をしたいという強烈な意欲にささえられて、これまで日本の国家社会が持っておりました経済の二重構造であるとか、あるいは社会的な面から申しましても国民の個人生活の衣食住の二重性であるとかいったようなむずかしい問題を控えながらも、全体として新しい時代の意欲を燃やしてきたその動きが、今日の激しい都市化になってあらわれてきたというふうに理解がされるかと思うのでございます。
 そうして、全般の動きの大きな方向といたしましては、やはりそのために、ただ単に都市がふくれ上がって大きな町になる、したがって大量に種々の都市的なサービスが要求されるということだけではなくて、それだけたくさん高密度に集まってくるということからして、在来の都市的な機能というものがここのところで、一段より高い水準に質的な変化を遂げなきゃいけないというふうになってきておるかと思うのでございます。
 もちろん、その中には先ほど申しました個々の市民の生活の向上であるとか、あるいは社会、経済の進歩であるとかいったようなとらえ方はいろいろあると思うのでございますけれども、やはりわれわれの今日の社会、経済の実情からいたしまして、わが国が非常な勢いで工業生産を普及させ、大量生産、大量消費というような時代へ現実に入ってきた。そのために、企業にとりましても、あるいは社会組織その他にとりましても、一種の集積の利益と狭い地域にたくさん群がり集まるということの利益が非常に大きく出てまいっておるということが見られるわけでございまして、その点が同じくことばはさように使われておりますけれども、欧米に見るところと多分にわが国の実情は違うかと思うのでございます。
 第二点の、では、これからのわれわれの生活環境はどうあるべきだし、またどうなろうかという点につきまして、残念ながら、ただいまのところ全く相反した二つの考え方、態度というものがこの点についてあるのでございます。これは何も日本に限ったことではないのでございますが、このとうとうとして都市へ集中してくる都市化時代を控えまして、欧米におきましてもわが国におきましても、世界の先進諸国におきましては、まず第一には自然環境というものを尊重しつつ、人間性あるいは自然と人間の交流といった面に重点を置きまして論ずる、人間らしさを追求する態度から先を考えていく立場と、そうでなくして、やはり全く違った、とうとうとした大きな流れの曲がりかどにいまわれわれは立っておるのである。したがって、何が起こるかわからぬが、思い切ってこの急激な変化というものをどしどし押し進めていって、それが全くの人工的な環境であれ、われわれの活動にとって能率よく、また全体の生活というものが向上し、多くの人たちが自由平等を享受するといったような可能性があるならば、徹底してそこへ持っていったらどうだといったような、むしろ、人工環境の中で人間がその人工的な環境に適応していけるといったような、非常に極端に申しますと二つの相反する立場、態度がございまして、この中間にさまざまの立場があるかと思うのでありますが、なかなかに、この問題につきましてはむずかしい実は問題があるかと思うのでございます。
 そこで、環境ということばでございますが、上述のような相反する立場に出てまいりました自然環境あるいは人工環境といったような環境ということばを使います裏には、やはりわれわれの肉体の外側の物理的なと申しますか、実物世界と申しますか、建物であるとか道路であるとか山、川、港湾、鉄道、こういったようなものが持っております空間の中で、われわれが動き、生活をし、物を食べあるいは勉強をし、仕事をしといったような生活の時間の中で、外側の色彩であるとか音響であるとか、あるいは空気であるとかいったようないろいろなさまざまな環境、条件の影響を受けて、われわれ自身もまた変わってまいるわけでありまして、この変わっていくということ、また変わってきた考え方で次のまたわれわれの外の環境を考えていくといったようなお互いの相互作用というものを認めます立場から、環境ということばが出てくるわけでございますが、この点につきまして、都市の問題はわれわれのこれからの最も大きな総合的な環境ということに相なりまして、その総合性という点でたいへん複雑でもございますし、非常に膨大な要素が入りまじっておりまして、事ほどさように簡単には論じ切れないかと思うのでございます。
 しかしながら、先き行きの都市の環境を考えていきます場合に、やはり先ほどございました根本的な二つの態度の違いと同様に、実際の政治、経済、社会の運営面におきましても、国力の問題として考える立場と民力の問題として考える立場とでは、実際に出てまいります都市のポリシーというものはかなり違ってくるということが言えるわけでございます。よくお耳にしておられるかと存ずるのでございますが、わが国の国民の生活の現状というものは、特に都市においては世界第二十位の国民所得の生活の環境から毎日毎日世界第三位の国力の生産の環境の世界へ通勤をしておるのが実情であるという、多少皮肉もあるのでございますけれども、しかし実情はさようでございまして、このことばは、われわれここのところで非常によく考えてみなければならないかと思うのであります。
 で、そのような立場から今後の日本の町がどういうふうになっていくかということを考えるときに、どうしても国民の住宅の問題を抜きにしては考えられない。したがいまして、これからのわれわれの都市環境の問題としては、非常に長い目で見た国力の基礎になるところの国民一般の力、その力の根拠地であるところの国民の住まいというものの問題を、根底に据えなければならないのではないかと思われるのでありますが、必ずしもそれだけでよいかといいますとそれだけにはとどまらないで、先ほど見ましたように、全世界の先進地域をおおってとうとうとして進行しております都市化の流れが示しておりますように、生産、経済の水準がある段階に達しますと、やはりどのような思想形態であれ、どのような経済、社会形態であれ、いずれにいたしましても民間を含めた私的活動、社会活動の集約的な様相というものが都市にあらわれ、このあらわれた様相をさらに効率化していくために、土地であれ空間であれ、公の諸施設の集約化、つまり、平たく申せば都市化時代にふさわしい都市に要求されるところの都市機能の近代化、革新といったようなものが要求されてまいるわけでございます。
 で、よく都市化時代ということばと同じく情報化時代ということばがいわれておりますが、この二つのことばは実は一つの現象――都市的な世界で人間がそこを根拠として生活していこうということを決意した事実のたての両面を言いあらわしたものでございまして、非常に高密度な社会で経済活動をやり個人の生活を営んでいきます裏には、二つの大きな要素が作用いたしまして、そのことから必然的に情報化時代という特徴が出てくるかと思うのであります。
 その二つと申しますのは、一つは、個人の生活を自分で運転していきます場合に、個人的な選択の最大の自由度を確保しようという考え方と、それからどんな要素であれ、進歩につながるものであるならば結びついて全く新しい様相を形成していこうという考え方でございます。そのことから、これらにつきましての情報の十二分な採集、その蓄積、それを交換し合う密度の濃さといったようなものが、都市社会の実は最大の特徴になってまいるわけであります。したがいまして、そういうことでございますと、これからの日本の経済社会がもう一段の発展を遂げますためには、その情報密度の濃さを、都市的地域においてさらに一段と上げていけるような、そして個々の生産的な要素、あるいは文化的な要素というものがさらに一段の力を持ってこれるようなシステムなり仕組みなりに町の姿、かっこうを整えていくということが必要になってくるわけであります。これが今後の日本の都市を考えてまいります場合の共通した問題であろうかと思うのでございます。
 さように見てまいりましてこの再開発の問題を考えてまいりますと、さまざまな政府の長期計画に出ておりますごとく、大まかに申しまして、密度の算定方法によっては変わりますけれども、今日の市街地に対して相当大量の市街地の造成を行なわなければいけない。しかし、新しい市街地において都市的な活動を収容するだけではなくて、今日ある市街地の四割ないし五割くらいは新しい時代に見合う市街地として、あるいは都市的機能をささえる場所としてつくり変えていかなければならないというふうになってまいりますので、この都市の再開発の問題が必ずしも長い先を考えただけからではなくて、今日ただいまでも喫緊の問題になってきているかと思うのでございます。
 で、この法案のねらいにつきましては、建築学会におきましても、あらかじめ聴取さしていただく機会もあったわけでございますが、私どもが日本の都市の計画を前進さしていく立場から申しますと、委員会の討議におきましても、ここに盛られている権利変換手続というものは画期的なものであるということでございまして、その提案趣旨については、積極的な反対意見はなくて、むしろ日本の都市がほとんどが既成都市であって、われわれが都市化時代の用意をしていくためには、やはり既成都市をつくり変えていくということが一番の大仕事になる以上は、この問題、再開発法案によって推進せざるを得ないのであるといったような立場から賛成意見が多かったように記憶をいたしております。また、都市計画法と連携を保ちまして、高度利用地区指定によって都市計画の総合性を再開発の場合にも盛り込もうといったようなこと等々、各条項につきましては逐一申し上げる時間もございませんが、おおむねうなずける条項でございまして、運用よろしきを得れば、ただいまわれわれの持っております都市の問題を順次前向きに転換していくのに必要なルールではないか、というふうに理解をいたしておるわけでございます。
 ただ、そこに実際問題といたしまして、一つには都市計画との総合性を確保するといいましても、都市計画法に基づきました政令なり何なりこまかい施行のしかた、あるいはまた民間資金を導入する立場から参加組合員の条項につきましても、地場資本と申しますか、の現地の居住者の人たちの力と、参加してくる大規模企業の力とのつり合いの間に適当なバランスというものがなければならないし、都市の再開発に参加する民間全業に対しましては、節度ある利潤を追求するという社会性が期待されるわけでありますが、それをいかにして獲得するかというような点につきまして、あるいはまた先ほど見ました都市が複合化してまいります時代に向かって超建築、複合建築とかいって、非常に個々の建築の中でいろいろな用途の空間が組み合わさって初めて経済原則にのっとった再開発が可能だというふうに見るといたしますならば、建築基準法の改正なり何なりが、この都市再開発法と関係をいたしましてどのようになるべきであるかといったようなディテールについてむしろ問題が残るかと思うのでございまして、その点につきまして多少の心配がないではないのでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、われわれの六百近い都市が、多少の栄枯盛衰はあれ日本人がこれから新しい時代に住まいをしていこう、しかもわずか三十年で二十一世紀でございまして、そういう時代に一度建てれば二十年、二十五年といったような実際的効用を発揮しますような再開発の基本的な布石についてのルールでございますので、私といたしましては、このような法案ができまして、都市計画法、都市再開発法、そして建築基準法、この三つによって新しい時代の都市の形態という毛のが前向きに動き始める、計画的に動き始める、しかもその計画的に動き始めるにあたって市民諸君の意見が十分に反映される、公平の原則、公共の福祉のための公共優先の原則と、それから市民の積極的な意欲を前向きにその計画の中に反映していくような公開の原則が貫かれまして初めてこのような法の運用が前向きに、そしてまた便利で力強い道具というふうになってくれるのではないかというふうな意見を持っております。
 このような意見は、私どもの委員会の諸氏につきましてもやはり同様でございまして、今日の放漫な私的な都心あるいは都市の周辺におきます土地の私的な集約化といったようなものに対する歯どめといたしましては、私どもはこの法案が実行に移されますことを期待しておるのでございます。
 これをもちまして私の参考意見の陳述を終わります。
#4
○委員長(岡三郎君) 次に篠塚参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(篠塚昭次君) 私、都市再開発のこの法案につきましては、数年前から国会をはじめとしまして日本でかなり議論が続けられていたということを伺いましたが、ちょうど私、この期間ヨーロッパに滞在しておりまして、最近帰ってきたばかりで、あまりその間の日本の世論の状況あるいは住宅建設の進行状況等について、詳しい知識を持ち合わせておりませんので、即席の勉強で、その点についてのお話をやらさせていただきたいと思います。
 ただ、初めにお断わりしておきたいと思いますのは、私自身は都市計画の専門家ではなくて、ただ土地立法に関する研究者である。したがって都市計画に関する技術上の諸問題については発言する資格は持っておりません。おもに法律上の問題点につきまして、私自身が感じていることを申し上げていきたい、こういうふうに思います。
 私、ヨーロッパへ出かける前に、ある雑誌で、都市再開発のことを少し触れたことがあります。それは法律上の観点から申し上げたことですが、ちょっとその数行を読み返してみますと、大体こういうふうに書いて、出かけたわけです。都市の近郊の山林あるいは丘陵地帯、こういうものを含めて現在の都市計画学そのものがそれほど明快に結論を出していない、そこでこれをほうっておきますと、そういう都市計画の進行状況いかんとは無関係に、個人があるいは民間の資本等が、賭博的にそのような丘陵地帯に対する宅地造成あるいは住宅の建設等が行なわれて、非常に無政府的な住宅秩序というものが出現するであろう、このような状態が出てくる危険のほうが強いのだ。そこでこれに関する法律上のこまかい論点というものを一つにしぼりまして、こういうふうに申し上げたことがあります。十年もたちますと、これらの地域には一本の木もなくなってしまうだろう、これらの地域には、「三寝室」いわゆる3Kあるいは3DKといわれるものですね、その「三寝室から五寝室の五階建アパートを海のように建設するとともに、それとの相関関係から、都心部の木造建物を例外なく撤去して、同様のアパート都市に変えてしまうことである。こうすれば、都市再開発の強権発動が憲法上許容されるだろうし、所有権も借地権も、そうして借家権も、自己主張の必要がなくなってゆくであろう。」こういう非常に乱暴な、ある意味では大ざっぱな結論を言い残して出かけていったわけですが、帰ってまいりまして、やはり同じように、都市再開発の問題がまだ法律上の領域などで停滞しているらしいといううわさを聞きまして、少し心配しておったわけです。
 ところで、都市の再開発をしなければならないということ、この法案の基本的な趣旨、目的につきましては、おそらく異論というものはあまり予想されないだろう。都市に人口が過度に集中するという、そういう人口政策や、都市計画の問題からの問題は残るとしても、都市を再開発して、道路を広げ、公園を整備し、そこに非常に良好な居住環境を確立するということについての異論は、おそらくどういう立場からも出てくることは考えられない。けれども、問題は、そのような状況を進行させる過程において、さまざまな複雑な権利関係の相互の矛盾、衝突というものが出てくるであろう。そうして、その取り扱いを悪くいたしますと、せっかく苦心をしてつくった都市再開発法あるいは都市計画の基礎というものが、憲法の原則に矛盾するということで、裁判所によって否認される危険が全然ないとは言えないかもしれない。そこでそういう疑問が出てくるような部分が、はたしてこの法案の中にあり得るかということにしぼって、私自身のお話を申し上げてみたいというふうに考えております。
 まず、この法案の中で特に注意すべき点は、先ほども淺田先生からも指摘された、権利変換の手続というものがございますが、この権利変換手続が軸となって、都市の再開発が行なわれていく、これは結局民間の資本ないし、結局そこに現実に居住しあるいは所有権等を持っているその個人の損失負担、分担の上で行なわれる。逆に言いますと、国家の財政的な投資援助、寄与というものはほとんど予想されていないのではないか。この点つまり国家財政の投資率に、それに見合うところの都市再開発との関係が、実は憲法論の上で非常に重要な地位を占めてくるのではないかというふうに考えられます。この都市再開発は、そこに居住している人たちの生活環境を良好にするという点においては、もちろん異論はありませんけれども、しかしながら結局高層住宅をたくさん建築いたしますと、この法案でも予定しているように、ある階層から上の部分については、そこに居住していなかった人たちを誘致する、居住あるいは営業用の空間をよけいにつくるわけですから、そこに従来の居住人口の倍、あるいは数倍に達するような人たちが流れ込んでくるということによって、つまり一種の土地政策を都心の中で解決するという要素が含まれているという点ですね。つまり本来の土地政策と言いますと、都心の再開発もさることながら、都市の近郊のベルト地帯を一挙に収用しまして、公営住宅なり公団住宅なりを建設をしていく、これがヨーロッパの普通の都市開発の形態と考えられますが、日本の状況はまだ都市近郊にはかなりの丘陵地帯が残されている。ところがそれについては強権を発動して収用する手続というものは、日本では立法が停滞をしていて、十分に満足すべき状態にはなっていない。その部分が逆に都心居住者の上に負担がかぶさってくる可能性があるわけで、負担の公平という憲法の保障に関する原則の上では、この点がまず理論的に説明される必要があるということになるのです。
 さてそこで、憲法上の損失補償の問題につきましてはすでに皆さん方のほうが専門家で長く御研究を続けておられると思いますが、憲法二十九条の公共の福祉によって私有財産権の制約を加える、この制約を加えることのできる条文が、やはりこの権利変換手続に投影されてくる可能性がある。つまり権利変換手続は、一見個人対個人の権利の変換のように見える、それが民法上の契約原理をただ拡大しただけのように見えながら、その陰に土地政策の転換という裏打ちがあるので、実際にはいわば準収用ですね。純然たる純ではなくて、一種の疑似の公用収用のような性格を持つ可能性があるというのですね。この法案を見ますと、三分の二の所有権者、借地権者が同意いたしますと、三分の一の反対がありましても、そこに都市再開発の手続を進めるイニシアチブが与えられる、こういうことになっておりますので、その三分の一の人たちにとっては、望ましくないような現象が出てくることが考えられる。そういう人たちも途中で理解をして協力をしてくれることは望ましいけれども、最後まで反対し、ちゅうちょする、それがすべてわがままとは言い切れない要因があるかもしれない。そういうときにその人たちに対して無理にそれに参加させる、私権を剥奪していく過程では、もう一種の収用である、こういうふうにやはり法律的には見なければならないのではないか。そうしますとその人たちの権利が失われていく、もちろんそれに見合う財産的な対価というものが与えられますけれども、それは普通の収用でもその点は同じことですから、やはりこれは一種の準収用となる。そうしますと、結局そのような手続は憲法で保障している財産権の保護とどこで調和させることができるか、こういうことに問題が帰着する。
 すでに御存じのとおり、日本の損失補償に関する学説は、この公共福祉の解釈、それから「正当な補償」という憲法二十九条のことばをめぐって長く争われてきております。しかしここ数年、日本の公法学界及び私法学界の中で財産の新しい正当な補償に関する考え方というものが出始めてきた。そうしてそれがこの都市再開発の法律の合憲性を根拠づける場合に、考慮される必要があるのではないか、ということを申し上げておきたい。ところでその新しい正当な補償に関する解釈を促した第一の要因は、御存じのように農地改革に関する最高裁判所の判決、特に大法廷の判決が例の太平洋戦争後の日本の農地改革は憲法に違反しない、こういう大法廷判決を出したことによって、その学説が非常に強く伸び始めてきている。したがって、今後最高裁判所が合憲性を判定する基準としては、この学説がおそらくかなり考慮されていくであろう。で、私自身も実はその学説を主張している一人といたしまして、この問題についてごく簡単ですが、こういうふうに私自信の意見を申し述べたいと思うのです。
 第一は、収用すべき目的、あるいは事業主体の性格等から見て、いかなる意味の公共の福祉というものを内含しているかということ。つまり公共の福祉と呼ばれるものにつきましても、その公共の福祉を実現するしかたは、特に二つのかなり原理的には異質的なものが存在している。第一は御存じのように、十八世紀的な自由平等主義、これからいきますと、私有財産権の剥奪は非常にむずかしいことになりますが、その場合でも許されている一つの例外があった。これが従来の公共福祉論の基礎になっていたと思いますが、それは、申し上げますと、いわゆる一般性という概念、一般性といいますのは、その収用によって剥奪された財産権というか、被収用者あるいは収用者の個人的な立場を越えて、社会全体のものが共通に利用し得る、たとえば収用した土地を道路に造成いたしますと、その道路につきましては、だれでもそこを通行することができる。それから学校を建築をいたしますと、これは特殊な学校でない限りは、だれでもその学校を国民として利用する権利がある、あるいはまた病院も同じような性格を持つと思うのです。こういう場合の公共の福祉は、これは現代の社会においてもなお広く利用さるべき公共の福祉の概念であります。そういう一般性を持った形での土地の収用というものは、現在の収用法によっても認められているし、もちろん合憲的な立法であることは問題がない。
 ところが、これから問題となるもう一つの公共の福祉は、これは収用した土地住宅等もある特定の個人、あるいは地方公共団体が介入するとしても、ある特定の個人または特殊な集団に利用させる、つまり排他的な、独占的な利用ということを予定した私権の剥奪というものができるか。これは非常に困難な問題で、これを無制限に認めますと、社会の単なる財産的な秩序だけでなく、精神的道義的な秩序も動揺を来たす非常にむずかしい問題があると思います。しかし、最高裁判所の先ほど申し上げました大法廷の判決は、農地改革につきまして、そのような形での私権の収用というものを結果において認めた。ただし農地の場合には収用した農地について権利を持つのは従来その土地を耕作していた農民である。したがって、収用したものを特定の個人に分配すると言っても、全く新しい第三者に転換していくのではなくて、事実上は従来の利用関係の継続性を確認しただけである。こういうふうに考えますと、こういう形での公共の福祉の概念は一般性という概念からは隔りますけれども、それほど進んだ概念とも言えない。これはボーダーラインよりは少し横へ出た概念であるというふうに考えることができると思うのです。しかし、これから都市計画その他によって個人の権利を剥奪していくということになりますと、全く新しい第三者、特定の個人に排他的、独占的にそれらの目的物を提供する。したがって、結局、これは剥奪される側から見ますと、一種の犠牲ということになります。したがって、そういう犠牲が許されるには非常にきびしい法律上のワクが必要である。そうして、そのためには憲法二十九条の解釈をもう一度厳密に検討し直す必要があるだろう、こういう問題が考えられているわけです。
 そこで従来の、従来のというと若干語弊がありますけれども、憲法学者の学説を見ますと、これは憲法だけでもございませんけれども、法律上の概念の設定のしかたとしまして、違法か合法かをきめる基準というものは、非常に一義的、画一的であります。これは言うまでもなく法律の安定性、法律の前における国民の平等ということも考えますと、一義的にきめることは非常に大きな理由がある。けれどもそのような画一的なきめ方によりますと、どうしてもはみ出す部分が多過ぎるだけでなく、ボーダーラインに立っている諸問題についてどっちかに割り切ってしまうために、たいへん大きな社会的な不公平、反作用、リアクションというものがあとから出てくる危険性もある。そこで、最近の憲法では、すべてその運用にあたって、直ちにそれは違憲なりやいなやをきめることではなくて、量的な概念をきめることによって公共の福祉あるいは補償の概念を再検討する、そういう方向に理論的に変わってきた。けれども最高裁判所のその他の各種の最近の判例を見ておりますと、この違法判断あるいは違憲判断に関する量的な思考方法の導入は相当急速である、こういうことが推測される。
 そこで、先ほど憲法第二十九条によって公共の福祉あるいは私有財産権の収用剥奪を行なう、そういう場合に、単に収用主体あるいは事業主体の持っている目的、それが一般性があるかいなかということのほかに、さらに立ち入って被収用者の側の権利の内容を分析する必要があるだろう。そしてその権利の内容としては、公共の福祉にちょうど二つの異質的な原理が含まれると同じように、権利の内容にも二つのものが含まれておるのではないか。その二つと申しますのは、これも先ほど申し上げました公共の福祉の概念に対応して、一つは市民的な人権、所有権はそのきわめて典型的なもので、十八世紀の憲法原則によって確立した日本の財産権の保障は、市民的な人権の領域に属することはすでに常識で御存じのことと思います。それからもう一つは、社会的な新しい土地立法その他に対応した人権というものが考えられる。市民的な人権の本質は、言うまでもなく自由権と呼ばれる十八世紀の原則ですが、社会的な人権の内容は二十世紀の生存権に基づく思想がその基礎にある、こういうふうに考えられる。そこで正当な補償がはたして行なわれたかいなか、行なわれるべきかいなかということは、この四つの問題を相互に複雑にかみ合わせて判断をしていくしかないのだ、というふうに考えることが可能だろうと思います。その四つの組み合わせと申しますと、まず第一は、市民法的な公共の福祉という目的によって、市民法的な人権を制約する。市民法的な公共の福祉でも、たとえば身体障害者のための施設をつくるあるいは道路を開設をする。こういうふうにだれもが一般的にその目的物を利用し得べき状態をつくり出したい、そういう目的のために市民的人権に制約を加える。つまり所有権その他の財産権というものに対して制約を加える。従来憲法の原則で考えられていたのはこれだけだったと思うのです。これについては、現在の土地収用法その他で問題はあまりない。
 それから第二の評価基準としては、市民法的な公共福祉の観点から、社会的人権に制約を加える。これはたいへん困難な問題で、そのような一般性を保障するために、たとえば農民の零細な農地を収用する場合が考えられる。しかし社会的人権といえどもこれは絶対的なものではない。これもやはり社会全体の利益の調和との関係において制約に服さなければならない場合が考えられる。ただし、その場合は普通の市民的人権と違って個人の生存がかかっておるので、その補償額は非常に高くなる。またある一定限度以上は高くならない。つまりその被収用者の生存の可能性と権利と客観的に合致する線にとどまるし、その線まではいかなければならない、こういう補償の原則が出てくるだろうと思うのです。
 それから第三番目の正当な補償という概念の結論の出し方としては、社会的な公共の福祉つまり特定の個人あるいは集団の生存を保障する、こういう公共の福祉の観点から市民的人権に制約を加える。これは比較的容易に行なわれることが可能だろう。二十世紀の初めから行なわれているヨーロッパの土地立法を見ますと、このような社会的な公共福祉のもとに市民的人権に制約を加える、これが実は新しい補償制度の原則になっておった。日本のこれからの都市再開発の問題も、おもにこの第三の範疇に属するだろうというふうに考えられるし、それが一番補償の面において簡単であるというふうに考えられる。これはいわゆる完全な補償をする必要はない。他方は生存がかかっているのに対して、他方は遊休の施設をかかえているという場合ですから、単なる課税措置だけでなくて、土地収用その他の原則をそこに当てはめることは非常に容易である。
 それから第四の範疇、これは社会的な公共の福祉の考え方から、目的から、社会的人権に制約を加える。これは両方ともが生存がかかっている。たとえばある地方公共団体が公営住宅を建設していく。ところがそれが木造で古いので、これをこわして新しい立体的な公営住宅に建てかえをしたい、こういう場合が考えられる。これがちょうど第四の範疇に入る。この場合に、その公共団体としては、やはりほかの住宅に困窮している地方公共団体の中の住民の利益を代表していると考えなければならないので、それはやはり社会的な公共の福祉を前提としたところの要求である。ところが、そこに居住しているところの居住者のほうもそこに生存がかかっているということになって、これは非常に深刻な争いになるケースが、実際にもおそらくあるだろうというふうに予想される。その場合の補償は、むしろ金銭の補償よりも、たとえば住居の転換あるいは新しい土地のあっせんその他従来の生存の態様を基本的に変えない形で解決することが必要であって、単に金銭的な補償の概念から越えてしまう、そういうふうに考えられる。そうしてそれならば憲法上も合憲であろう。こういうふうに大体私自身も四つの範疇よって、憲法二十九条と土地立法との関係をきめていくべきだというふうに考えております。大体最近の公法学者の理論もあまりきめこまかいとは言えませんけれども、ほぼ社会公共の福祉概念を分析し、かつ人権概念も二つに分けて相互のからみ合いで憲法の解釈を変えていくのだということにおいては一致しつつある。これは非常に新しい傾向であるというふうに考えられることができます。
 ところでこの都市再開発法案につきましては、一体どういう公共の福祉がそれでは予定されているか。私自身も先ほども申し上げましたように、数年前書いたものの中では、結局都心部の木造建物はすべて撤去する、それが必要であろうということを書いて、憲法上それは問題ないということを述べたわけですが、しかしそのときに考えておりましたのは、これは国家その他公権力機関が直接または間接にかなり責任を負った形で都市の再開発を進行させる、こういうことを予定して憲法上の問題はないというふうに考えておったわけです。ところが、今度御提案されております都市再開発法案を拝見いたしますと、進行の事業主体というものは、必ずしも公権力あるいは公共団体が積極的に介入していない。そこで一体この公共の福祉という目的は一体どっちに入るのか。へたをいたしますと、不動産業者の投機的な営利の対象にされる危険というものが考えられないとは言えない。そうしますと、公共の福祉の概念は、市民的な公共の福祉とも言えないし、社会的な公共の福祉とも言えない。つまりこの再開発法案は、基本的には社会的な公共の福祉をねらっていることは、これは理解できる。つまり地域住民だけでなく、その地域からはみ出している人たちを都心に吸収させて、むだな通勤通学での時間のロスを防いでやる、これも非常に重要な生存権の保障の一側面であるというふうに考えられる。日本は通勤がたとえば片道二時間というのは、いまではそれほど異常でないということを聞いております。往復いたしますと四時間も通勤にかかる。職場で働くのが八時間と考えますと、たいへん貴重な時間を毎日の中で空費しているだけでなく、その人個人で見ましても、一生のうちで何の意味もない電車にゆられて一生の何分の一かを終わってしまう。それを回復する。そうして回復した部分の時間を有効に生活をエンジョイをする方向に活用するということは、ある高度文明国家の水準に達した国においては、そこまで生存権のワクの中に取り入れて考えてやらなければいけない。そういたしますと、都心の再開発によって吸収すべき人口、それは最近マンションといわれる建築物、分譲アパートの状況を見ておりますと、大体それほど金持ちが集まっているばかりではなく、むしろ中級あるいはそれ以下のサラリーマン、労働者階級というものがそのような住居をほんとうに最近希望し始めている。つまりむだな時間を省略して、なるべく人間として人間的な価値を回復するための生活に時間を使いたい、こういう要望が非常にあると私は推定をしております。したがって、この都市再開発法案は国家あるいは公共団体の公権力の介入または責任において必ずしも実施できないだろう。ただ公共団体が場合によると事業代行ということをやることになっているらしいので、その面では最後には担保されているかもしれないが、直接は個人あるいは民間の資本というものが動き出している。その点で営利的な要素を否定し得ないとしても、基本的には社会的な公共の福祉に合致するだろう。したがって、この法律の合憲性はまずそこによって首肯される。ただその場合に、民間資本等が主役を演ずる可能性が非常に強いので、この場合の社会的な公共の福祉性というのは一〇〇%と断定することは疑問である。大ざっぱに評価すると六分四分で営利的、市民的原則が介入してくるだろう。そこで収用される権利の側はどういう状態であるかということを考えてみますと、つまり市民的人権の場合と社会的人権の場合とがあるだろうと思います。しかしその対象とされるたとえば木造住宅の集団であるということを考えてみますと、それは大体平均的な都市の住民であって、それほどの資産家も含んでいるとは思えない。むしろ大きな庭、大きな家を持って居住している人たちは都心より少し隔たったところに居住している。したがって、被収用者の側を考えてみますと、これは結局社会的な人権あるいはそれに近いような権利関係の上に立脚していると考えなければならない。そうすると、この都市再開発に関する合憲性の問題は社会的な公共の福祉、これは六分そういう性格を持っている、そうして収用すべき権利の対象としては社会的な人権が中心になるだろう。つまり借地権あるいは借家権それから所有権としても大地主がいると思いますが、それほど大地主でないかなり零細な土地所有者が入ってくるかもしれない。これらの権利はさらに、補償の細分化が必要だろう。それがすべて一応は権利変換という形で行なわれると思います。ところがこの問題は、社会的人権を社会的な公共の福祉によって制約を加える場合には、それが軒並みに一律に行なわれる場合には、結局不公平はそれだけ減少する。たとえば東京の環状線の中を全部そういう地域に指定してしまう、あるいは環状線の外側の五キロくらいのベルトを全部都市の再開発対象地域に指定してしまうということになりますと、結果においての不公平はかえって減少するわけでありますが、そのためには国家のばく大な財政投融資というものが必要になる。しかしそれを避けて、もっぱら国民個人の相互の負担において解決していくという本法律案の立場から見ますと、権利の変換の手続は、窮余の策としては違憲性が否定される。つまりこの方法は決してそれ自体から違憲法を引き出す法案ではない。ただし三分の一の反対者に対する処遇のしかたによっては、その部分についてのみ憲法上の合憲性が問われるだろう、というふうに私自身は推測をしております。その三分の一の人たちに対する処遇のしかたをどうすべきかは、これは非常にたいへんむずかしい問題ですけれども、やはり生活補償的な意味を考えてみますと、とにかく補償を完全に行ない、生存を破壊しないということが条文の中で十分に検討される必要がある。その一番単純な方法として、ちょっと思いつき的に申し述べてみますと、買い取り請求権を認めて、自分の所有権、借地権、あるいは借家権その他の居住権というものに財産的な高度の評価を加えて買い取らせるとともに、その支払いは手続進行の前に行なう必要があろう。変換手続の詳しいことをまだよく存じませんけれども、返換手続は権利関係が、すべて建築関係が片づいたあとで具体的になっていくと思いますけれども、その事前において権利補償を完全にしておく。この点だけが一点憲法上の問題として残されているのではないかというふうに考えます。
 まだ申し上げるべきこともありますけれども、あまり時間をとっては申しわけありませんのでこれでやめます。
#6
○委員長(岡三郎君) 次に、山田参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(山田正男君) 東京都の山田でございます。
 私は現実の都市計画を担当し、また都市の建設改造を実施しておる者の立場から、若干見解を申し述べたいと存じます。
 まず分類いたしまして三つの点について申し上げたいと思いますが、第一の問題は日本の都市計画、都市政策の問題でございます。日本の都市計画、あるいは都市政策というものは、これは何といっても外国に比べまして著しくおくれております。そして日本の都市というのは、しいて言いますと個々の建築物の集団にすぎないのであります。そういう結果から言いまして、日本の都市は公共投資をする面からしても、あるいは企業を営む面から見ても、きわめて非能率的な組み立てになっております。日本で都市計画があるとするならば、それは実は公共施設の都市計画にすぎないのでございます。よく都市のいろいろな問題について、都市計画に対して非難をされる方がありますが、それは、私は都市計画を担当している者として受け取る必要がないと思っております。都市計画が日本で責任をもっております分野は、単に公共施設計画の面にすぎないといっていいと思います。
 ところで、一方その都市計画の中で土地利用計画という表現をしておりますが、これは単にその土地の利用のしかたを規制しているだけであります。規制しているだけのことであって、これは建築的な計画でも何でもないわけでございます。規制だけでございます。そういう状態でございますから、建築施設と公共施設との間には直接の結びつきがない、関連がないわけでございます。そういう結果としまして、いろいろな公共施設とこれを利用する建築施設との間にアンバランス、矛盾を露呈しておるのが現状の都市の状態でございます。昭和三十九年でございましたか、容積地区の制度ができましたが、この容積制度は、実はこの公共施設と建築施設との間の結びつきをつける一つの手段であったわけでございます。建築施設計画というものがまだございませんから、この建築施設計画を樹立するための一つの過渡的な手法である、こういうふうに私は理解をいたしております。容積制度は市街地の道路をはじめといたします公共施設のいろいろの計画と建築施設の姿、容積、そういうものが効率的にバランスがとれるように建築施設の容積の最高限度を定める制度でございますが、最高限度を定めましても、土地の利用、敷地の利用のしかたにいろいろ制約がございますから、結果としましてはこれは一般的には一つの基準を定めたということにすぎないのでございます。そこで、容積制度ができたときから私は、容積制度に沿いまして建築施設を何とかして計画化するための法的な、あるいは資金的な立法措置が必要であろう、こういうことを痛感しておるのでございます。
 次に第二の問題に移りますが、日本の都市は御承知のように木造の低層の建築群でございます。特に東京は建築敷地が非常に小さいわけでございます。これは所得に比して地価が高いのでございますからやむを得ない現象でございますが、地価が上がれば上がるほどこの建築敷地の細分化が進んでいきます。建築敷地が細分化すればするほど市街地の状態が悪くなることは、現実に皆さま御承知のとおりでございます。こういう小さい建築敷地を道路に面して並べようといたしますと、勢い道路の延長が長くなるのがあたりまえでございます。区画整理などを行ないまして、こういう小さい建築敷地を道路に面して並べかえますときには、そのために各ブロックが小さくなります。街区が小さくなります。そうしてそういう長い道路にせしめるために道路の幅員を十分とりますと、今度は宅地のほうの面積が道路に比して小さくなるわけわけでございます。道路のために市街地をつくっているような逆の現象が起こってくる。そこでやむを得ず道路の幅員は最小限度にとどめる。ここで日本の都市は細くて長い道路によって構成される都市にならざるを得ないのでございます。これは一にかかって個々の建築敷地が小さいということに起因するのでございます。
 そういう結果、どういうことが起こるかと申しますと、交差点の数が多くなります。交差点が多くなりますと、道路の交通能率が低くなる、これも皆さま御承知のとおりでございます。こういう道路を使って個々の建築敷地に上水道、下水道あるいは電力、電話、ガス等を供給することになります。こうしますと、個々の建築物にこれらの施設を供給するためには、一々各敷地に施設を引き入れなければいけませんから、非常にむだな投資が起こってくるわけでございます。このむだな投資と申しますのは、その供給する側でも、またその供給を受ける側でも非常に非効率的な投資に甘んじている、こういうのが実情でございます。
 次に第三の点を申し上げたいと存じます。第三の点はもう少し都市を広域的に見まして、職場と住宅の遠隔化の問題に起因する諸問題でございます。地価の高騰に伴いまして、住宅が市街地の周辺に拡散しつつあることは御承知のとおりでございます。これは個人の住宅に限らず、公営住宅、政府の施策住宅すべて、あっさり申しますと、きわめて都市計画的には無計画的に分散立地をいたしております。その結果、立地されました郊外の市町村の立場から申しますと、これらはいわゆるスプロール現象を呈するわけでございまして、環境の悪い市街地ができつつあります。道路は整備されてない、上下水道も未整備である、公園はもちろんできていない、そういう状態でございますから当然学校設備はおくれている、ごみ処理にも困る、こういう状態が周辺の市町村の現実の姿でございます。二番目の問題は、そういう周辺に立地した建築物から都心へ通勤する市民のラッシュ時の交通問題でございます。これは皆さますでに御承知のとおりの問題でございます。第三番目の問題は、今度は都心の市街地の問題でございますが、地価の高騰に伴い、あるいは都心の生活環境の悪化に伴いまして都心の人口が、先ほど申し上げましたように市街地の周辺に移行いたしましたために、いわゆるドーナツ現象と称しまして、都心部分は夜間人口が減少する、あるいはその周辺は人口の増加率が減少しつつある、そういう現実の問題が起こっております。東京について申しますならば、都心の三区は夜間人口が減少すると、これは居住人口の絶対値が減少しておるわけでございますが、その周辺の十一区、これは夜間人口の増加率が減少しつつあります。その周辺十一区を含めましたのが旧東京市の区域でございます。おおむね半径八キロ圏内でございますが、おそらく今後このまま放置いたしておきますならば、都心の三区だけでなくて、その周辺を取りまく十一区の人口も夜間人口の絶対値が減るようになるであろう、こういうふうに考えられます。ただいま申し上げました職場と住宅の遠隔化に伴うこの三つの現象、こういうものを含めまして、先ほど申し上げました都心部の市街地の構成の改善、小さな建築敷地で構成されておる市街地をどう改善するか、そういういろいろの諸問題を解決する道はそれではどんな方法があるであろうか、こういうことを考えざるを得ないのでございます。
 こういう問題を解決する道を、私どもは市街地再開発と呼んでおるわけでございますが、この市街地再開発と申しますのは、結論的に申しますと、土地の価値を――価格と申しますよりも価値と申し上げたほうがいいと思いますが、土地の価値をその上に建てます建物の価値に転化するということだと私は思っております。この転化のしかたにいろいろございますが、転化するために、この転化を効率的に行ないますために、まず街区の統合をする、小さなブロックを大きなブロックにする、そうして所有しておる土地の交換分合を行なう。それから建築敷地を共同に使うようにする、建築物はもちろん共同化、高層化する、こういう手法を用いざるを得ないわけでございますが、そういうことの結果としまして、実はきわめて無用とさえ思われるような区画街路、細い街路でございますが、こういう区画街路を廃止することができます。そうして交差点の数が減ります。またいい結果としましては、道路が集約的にまとまって改良でき、駐車場等の設置も敷地の中に可能になる、こういうことでございます。また先ほど申し上げましたような道路だけでなくて、道路の下を、あるいは道路の上を使って供給していた上水道、下水道あるいは電力、電話、ガスというような供給施設もきわめて能率的に供給できるようなことになるわけでございます。そうしまして、さらにこういう結果できた建物の上層部を、もし住宅として使用するならば、先ほど来私が申し上げました都市の集約化、それから職場と住宅の接近、近接化ということが達成されるはずでございます。そうして、土地の価値を建物の価値に換価するという意味におきまして地価の安定という結果も得られる、こういうふうに考えますと、この市街地再開発という手法は当今の都市問題の重要な問題でございます通勤問題あるいは住宅問題、土地問題、こういうものを積極的に解消する一つの妙手と考えられるのでございます。
 そこで、それではこういう目的を達成するためには、現在の法律では足りないのかどうかと、こういう疑問が若干残るであろうと存ずるのでございます。現在市街地を再開発するための法律としましては、公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律とか、土地区画整理法とか、住宅地区改良法あるいは防災建築街区造成法等の、まあ四つの法律がございますけれども、これらの法律は以下私が申し上げますような理由でいずれも先ほど申し上げましたような目的を達成するためには寸足らず、と言わざるを得ないのでございます。
 公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律は、どういうところが不満足であるかと申しますと、これは公共施設の整備に関連して行なわれる市街地の改造だけでございまして、言いかえますと、これは線的であって面的でない、こういう点でございます。次に、土地区画整理法はどうかと申しますと、これは土地の交換分合によりまして、宅地、道路、公園等の公共施設を整備する点におきましてはきわめて有効でございますけれども、建築敷地あるいは建築物の共同化、こういうことの目的を達成するためにはきわめて不備と言わざるを得ないのでございます。住宅地区改良法につきましては、これは御承知のとおり特定の不良住宅地区の改造が目的でございまして、市街地の一般的な再開発というのには当たっていない。それから、防災建築街区造成法はどうかと申しますと、これは防災の達成を目的としながらも、現行の法規の中ではわずかに建築敷地の統合あるいは建築物の共同化、高層化を達成し得る法律ではございますけれども、これは強制加入の加入権を認めていませんために、関係権利者の全員の同意がなければその目的を達成することはできない。まあ以上のような理由によりまして現行の法規は先ほど私が希望いたしますような市街地の再開発を達成するためには、いずれも遺憾ながら不満足であると言わざるを得ないのでございます。
 そこで、こういう現行法規の欠陥を是正することの法的措置といたしましては、今回、国会におきまして御審議されております都市再開発法案の内容は、私はおおむね満足すべき内容が盛られておると存じております。ただ、しいて申し上げますならば、この計画を実施し実現するための資金的な援助面が若干欠けておる。そこで、こういう点につきましては、今後も具体的に資金の確保、資金の援助、そういうことができ、具体的に市街地再開発が実施できるように特にお骨折りをいただきたいと存ずるのであります。
 ちょっと申し忘れたのでございますが、私は、この市街地再開発というような事業は、建築敷地、建築施設の整備を目的としているのであります。もちろんあわせて付帯的に公共施設の整備もできることも当然でございますが、こういう事業をだれが実施するか、こういう問題でございます。先ほどお話がございましたように、こういう事業を国なりあるいは公共団体なり、そういう機関が行なえば、一番法律的にも理解がしやすいのかもしれませんが、実際問題としましては、公共団体は、市街地の面積のその二割程度にしか及ばない公共施設の整備に追われておるのでございまして、とても残る八割の面積を占めておるような建築敷地、建築物の整備にまでは、積極的に手の出ないのが実情でございます。そういう意味におきましても、あるいはまた市民がその都市のあり方を自覚するという面からいきましても、私は市街地再開発の計画が都市計画として定められたならば、やはりその区域内の土地所有者をはじめとする権利者がみずからの責任を自覚して、共同して施行する、こういう考え方が第一義的ではないだろうかと存じます。ただ、権利者が責任を感じましても、実際、組合を結成して事業ができるような法的な援助が必要でございますし、またその資金の援助も必要であることも当然でございます。私は、ただいま申し上げましたように、権利者が共同してこの再開発事業を実施するのを第一義であると考えております。したがいまして、公共団体とかあるいは国あるいは国の機関等がこの権利者にかわって事業を実施する、こういう態度が必要ではなかろうかと、こう考える次第でございます。
 以上、私の経験から出た見解を申し上げたいと存ずるのでございますが、現実に都市計画を担当し、都市の建設をしておる立場から申しますと、一刻も早くこういうような法律が制定されることを切望してやまない次第でございます。なお、この法律がかりに制定された後におきまして、実際にこの再開発の事業が伸展し得るための資金的な援助をお考えいただきたいと思いまして、特にお願いをいたしたい次第でございます。
 以上をもちまして私の陳述を終わります。
#8
○委員長(岡三郎君) 以上で参考人の方々の意見開陳は終わりました。
 参考人の方々に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
#9
○田中一君 ちょっと山田さんに伺いますが、今度の法律は、御承知のように、いまあなたが言っておるように、組合施行という形で持たれるからこれは第一義だと、こういう説明をしておりましたね。この中で包含されておる市街地改造事業、これは御承知のように、公共団体あるいは住宅公団等が行なうことになっておりますね。しかし一方、防災建築街区は、これは組合施行ということになっておりますけれども、その中に今度の新しい法律の中には、もしも組合がこの事業を継続して完成することができない場合には、地方公共団体がこれを引き受けるのだということになっておりますが、そうすると、これはむろん技術的な指導等は、当然、都道府県知事が責任を持たなければならぬことになるから、実態としては、組合施行とはいいながら、結局、地方団体があらゆる面において指導する、指導というよりももう事実、公共団体としてのあらゆる方法を駆使して、思う存分にやっていくのだというような印象を受けなければならない。山田参考人は、いま建設局長をしておるから、その仕事の担当者である東京都の場合は、どんな心がまえで受け取っていますか。
#10
○参考人(山田正男君) 市街地再開発事業を組合が事業実施認可を受けて実施をしておりまして、途中で事業の執行が困難になった場合の救済措置の点の御指摘でございますが、かつて、戦前の土地区画整理、これは法律は、耕地整理法でございますが、この耕地整理法では、これももちろん組合が第一義でございましたが、組合の事業の執行が何らかの都合で困難になった場合には、行政庁が職務管掌をすることができる、こういうことになっておったはずでございます。この職務管掌的な精神というのは、組合の定めた組合の事業をかわってやってやろうという考え方に立脚しておると私は存じております。そこで、組合が事業ができないのだからあとは公共団体的な立場で、あるいは行政庁的な立場で、煮るも焼くのも自由であるという性質のものでは私はないと思っております。特に市街地再開発事業の場合には、そういう土地区画整理よりも、もっと資金面も大きくなりますし、権利もふくそうしておりましょうから、いろいろな困難な点が起こってくると存じます。そこで、組合が事業施行中には、その困難を克服するための助言とか勧告とか指導とか、そういうことは当然つとめなければならないと存じますが、それがもし不幸にして成功しない場合は、やはり当初、組合が発足したときの精神を生かしまして、わかって事業を施行してやる、こういう態度で臨むべきであろうと考えております。
#11
○田中一君 当然そうなっておりますが、結局膨大な資金面を担当しなければならぬ組合に、その力はなかなかないのですよ。幾らいっても民間というか、地域権利者は、そうしたものを専門に行なっていた人たちでもなければ、またこの法律そのものの理解というものもとうてい完全なものは得られないと思うのです。そうなると組合施行とはいいながら、しょせん公共団体の強力な指導というか、関与というか、あるいは監督的な強権で行なうことになりはしないかという点なんです。こんな名目だけはとにかく、組合施行という名をかりながら、事実に権利者の総意という一つの形をとりながら、実際には公共団体がその仕事をするということにならざるを得ないんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
#12
○参考人(山田正男君) 申し上げますが、私が長年都市計画の事業を担当していた立場から申しますと、たとえば道路の事業あるいは河川の事業を実施いたします際にも、その必要な土地を買収をされる市民の立場から申しますと、一番いやがるのは収用ということばでございます。土地収用法の内容は、決して一方的に土地をぶんどるというような内容ではないはずでございますけれども、まことに不幸なことに、市民の立場からは何となく土地をぶんどられるという感じを持っております。こういう習慣的な感じというのは、なかなか私どもが口をすっぱくして、声をからして説得いたしましても、なかなか日本人の感覚からは抜けがたいと思っております。そこで、こういう公共施設ですら土地を買って建物を建てる、そういう事業を公共団体なり国なりが行なうということには非常な苦心が要るわけでございますが、これを市街地再開発事業のように、現に建築物が建っておる土地をかりに――かりにでございますが、現在の市街地改造法――改造法はまあ買った形になるわけでございますが、かりにこの土地を買って、建築施設を統合する、共同化する、こういう事業をやる場合に受ける反響、市民から受ける私どもの反撃といいますか、市民の反響は、やはり公共施設の場合に受けるのとおおむね類似でございまして、市民のほうからは好感をもっては迎えられないのが通常でございます。そういう立場から申しまして、私はやはりいきなり国なり公共団体が、諸君の土地、建物を買収をして建てかえるんだという態度に出るよりは皆様方の土地は現在の都市のあり方からいえば、こういう姿になるのがあたりまえじゃないか、このほうがお得じゃないかという計画を都市計画で定めまして、皆様方がひとつぜひおやりください、お金は貸しましょう、法律の援助もいたしましょう、という態度に出るのが一番すなおじゃなかろうか。しかし先ほど御承知のように、そういう態度に出ましても、権利はふくそういたしておりますから、なかなかそれぞれ権利者には家庭の事情がございますから、全部が同意する場合はそう多々あるとは私は存じません。がしかし、やはり役所側の出る態度としては、皆様方がぜひおやりください。援助はいたします、こういう態度で出るのが順序ではなかろうかと、こういうふうに考える次第でございます。
#13
○田中一君 順序はいいんですがね。実際実態論として、結局都が仕事をしなきゃならないんでしょう、そうなるでしょう。これはいま山田君のほうで、まあことしは仕事がないらしい、調査ぐらいのもんだからいいけれども、そうすると都の側でも、あなたのほうには予算を相当とって、こういうものに引き受ける体制というものをつくらなきゃならぬと覚悟しているでしょう、そうじゃないですか、どうですか。
#14
○参考人(山田正男君) もちろん、この市街地再開発法がかりに制定されました場合に、私どもは先ほど申しましたように、関係権利者によって事業が実施されるように要請はいたしますが、いかに要請いたしましても、終局的に社会の進展に伴いまして何としてでもその場所を再開発しなければいけないという場合がありますれば、タイミングが合いませんから、組合ができる以前に、組合にかわりまして公共団体が事業を実施せざるを得ない場合が当然出てくると思います。ただし、そういう場所があちらにもこちらにも無数に出てこられては、とても公共施設の整備すら満足にできない公共団体としては、いささか手が回りかねる。そこで極力民間において実施されることを切望するという意味で、私は申し上げたわけでございます。決して東京都が再開発事業を実施するのがいやだと言っているわけではございませんので、御理解をお願いする次第でございます。
#15
○田中一君 篠塚さん、これはなんでしょう、三分の一という権利者の不服の場合は、しなければ文句ないですね。事業を行なわなければいいのですから。収用法によって当然――収用法よりももっと強い行為ですね、これは。問答無用でくるわけですから。しかしこれに似通ったケースでもって収用委員会にかかったケースはありましたかね。
#16
○参考人(篠塚昭次君) あまり収用関係の判例、そういうこまかいのは知らないのですけれども、この場合の価値説得力といいますか、つまり高層住宅にしていかなければならないのだといろこの価値説得力は、いまの時点では非常に容易であろうと思います。ですから三分の一の反対者がいましても、その反対者がよほど重大な個人的、主観的な理由、客観的に説明できるようなものを主張することは非常に困難ではないか。こういう形の訴訟、市街地改造法――この法律はまだ実施されておりませんが、市街地改造については神戸で、たしか裁判があったと思います。これはまだ地方裁判所の判決が出ていないのではないか、現在訴訟が進行中だろうと思います。
#17
○田中一君 御承知の戦後二十六年でしたか、七年でしたかに出た耐火建築促進法ね、これは同じ手法を用いているのです。その手法をここで取り入れているわけなんだが、耐火建築促進法時代には、こうした反対のまあ訴訟を起こした例がありましたかね。だれか、山田さん知ってる――相当いい効果をあげた事業でしたがね。
#18
○参考人(山田正男君) ただいまの耐火建築促進法の問題でございますが、あれは全員同意しませんと、組合が認可にならない形になっておりますから、組合ができた後におきましては紛争は私はないと存じます。
#19
○田中一君 それは三分の二の同意でやっていましたよ。法律的には三分の二の同意でもってできたのでしょう。(「防災建築のほうじゃないか」と呼ぶ者あり)防災建築のほうじゃない。耐火建築促進法、あれは二十六、七年にできたやつ。
#20
○参考人(篠塚昭次君) あまりよくその法律の実情存じませんですけれども、あれは何か資金的な援助が行なわれていませんでしたでしょうか。
#21
○田中一君 ありました。
#22
○参考人(篠塚昭次君) それでかなり自分のお金をそう持ち出すというよりは、公的な資金の助成によって、木造建物から耐火建築にできるというので、わりと積極的に、自発的に改造が行なわれたというふうに私は記憶しております。
#23
○沢田政治君 篠塚参考人にお聞きしたいと思いますが、現在の都市をこのままでいいかと言ったら、これは各参考人が述べられましたように、こういう状態でいいのかということになると、何とかこの都市を正常化しなくちゃならぬということについては、立場は多少異っても、一つの向かう理念に対しては、このままじゃいかぬということになると思うのですね。そこで、昨日まで委員会でたくさんの問題が出されましたが、特に憲法二十九条の財産権との問題、これがどうなるかということが非常に議論にもなったわけです。篠塚先生が合憲かあるいは違憲かということを、こういう場合は違憲だ、こういう場合は合憲だということを断定的には言われなかったわけでありますが、幾つかの基準をあげてお述べになったと思い一まず。そこで私考えたことは、先生も基準をあげましたけれども、この事業主体といいますか、施行者はだれがやるか。目的は別としてだれがやるかということも、やはり違憲か合憲かを判断する際の幾つかの要素の一つになると思うのですね。したがって、今度のこの都市再開発法によりますと、地方公共団体がやるか、あるいは住宅公団がやるか、いろいろありますけれども、法律をすなおに見る限りにおいては、やはり一番中心になるのは再開発組合なわけですね。しかもこれにはやはり何というか、業者といわれるデベロッパーも相当入ってくる、大きな作用、支配力を持ってくるということも想像されるわけです。しかも国が予算から大量に金を出して、何というか、環状線内は全部やるという計画でもないわけだ。やはり特定の街区になると思うのですね。そういう背景からいっても、憲法上大きな問題が起こる可能性があるというように判断するわけです。それと同時に、やはり何人も法のもとには平等である。特定のものだけは法の適用というものを厳正にしいられるということにも、若干問題が出てくるわけですね。だから、この委員会でも議論になったのは、東京二十三区には、いまのままでは空閑地というものは一つもない、遊休地もない、これ以外に都市として生存する方途はないという客観的な事実ですね、こういうものがあればいいわけだけれども、やはり東京二十三区の中でも相当広大な、法人等が取得している空閑地というか、遊休地というものがある。広壮な邸宅もある。そういうものには税制あるいはまた土地政策において、何らの手も打っておらぬ。何らの、と言ってはなんだけれども、見るべき手を打っておらぬ。ところが木造家屋の低所得者が住むところに都市を改造しなくちゃならぬからということで、準収用ということばを使われているけれども、これは収用ですね。三分の二以上の同意があって、三分の一の場合は権利を放棄せざるを得ないわけですね。そういうことでは実際には収用というのは強権になるわけです。そうなると、やはり憲法にいうところの法の平等という原則に反するかどうかという問題も、純法律的には出てくる可能性があるじゃないか、こういうように考えられます。と同時に、収用した土地をどう使うか、一般性ということばで表現されていますけれども、私考えるには、やはり民間が入ってやるんだから、しかもある程度の利潤がなければ民間が入ってきません、不動産会社とか、そういうものは入ってこない。いまの公団住宅であっても、普通の平均的なサラリーマンというのは入れない状態になっているわけです。その土地にもよりますけれども、都市近傍とか都心部では入れません、普通の平均的なサラリーマンでは。ましてや業者が入って組合をつくって、特別参加組合となってやるんだから、ある程度の利潤というものがそれに入る。そうなると、かりに年間百五十万とか二百万とかという収入の人でなければ入れないということになると、はたして日本国民の中に百五十万なり二百万の収入のある人は何%あるかということを考えた場合、特定の者しかそれを利用できないという結果になると思うのですね。そうなると、一般性との関係がどうなるのか。公共のためにそれを利用することができるということとは若干違った現象が出てくる可能性があるんじゃないかと思うのですね。
 それと同時に、もう一つ先生が基準の中にあげられたことは、三分の一以下のものをどう補償するかということですね。もちろん何がしかの金銭によってこれは補償するでしょう。しかしその補償というものは、はたしてその人の生活を保障するに足るものであるかどうかということは、やはり生存権の問題ですから、大きな問題になると思うのです。まして貨幣価値が下落していくわけだ。だから一千万円くらいもらって、一生生活が満足だという状態にはならないと思うのです、貨幣価値からいって。そういう問題が出てくると思うのですよ。特に有産階級がそういう土地を取り上げられるのと違って、木造家屋の低層住宅に住んでおる人は、これは工員とか、退職公務員であっても、一坪か二坪のところで駄菓子屋を開いている人とか、そういう人が多いと思うのです。そういう人が、これは特定の者しか入れない。何というか街区をつくるために生活を否定されるということはたいへんなことだと思うのですね。そういう面からいって、私は決して悪意で、これを阻止するために言っているのではない。やはりせっかくこの法律ができたならば、その目的に沿わなければならないと思うのですよ。ところが、この憲法裁判になって、この法律ができた、十年たっても延々として法律裁判が続いて事業は進まないということになったならば、はたして法律の目的というものは達成されるかどうか、これに非常に危惧の念を持つからこういうことを言っているわけですね。そういう面から言って、これは先生の私見でもけっこうですから、そういう裁判上の問題が起こる可能性があるかどうか、これは断定しなくともけっこうですから、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
#24
○参考人(篠塚昭次君) 結論から先に申しますと、裁判が起こる可能性はあると思います。ただその場合の結果はどうなるかということですが、私も先ほど申し上げましたように、たとえば東京の環状線の中全部、それから環状線のまわり五キロくらいのベルト地帯、このくらいをきめて全部例外なしに網をかけていくというやり方でしたら、法のもとの平等ということに合致する、それが本来望ましいやり方だというように考えております。この場合ですと、おそらく裁判になっても非常に早く結論が出て、この法律の合憲性が立証される。しかし問題は、それだけの規模で行なう場合に財政上の裏づけができるかどうか。これはもちろん国家の政策として国民の生存を保障するのが第一義にあると思いますので、財政投融資をそこに集中していくべきだというように私個人としては考えておりますけれども、しかし、もし国家がそれはできないというような政策上の結論を出したときに、それでは都心の再開発はやめだと、個人が組合をつくってやるのもだめだということになりますと、一体だれがしわ寄せを受けるのかということになり、結局住宅に困窮している人、いまお話の困窮の度合いにもいろいろな階級の人たちがあって、おそらく都心に住むような人は中、あるいはそれ以下の中の下くらいのところまでがおそらく集まってくるだろうということが、私のばく然たる憶測なんです。そういうやはり国家が財政投融資を大きくやらないから結局、不平等になるからだめだというのは、理念としてはわかりますけれども、結局それだけ犠牲、社会的な犠牲というものがいつまでも残存している。したがってそういう法律をつくった暁に、大きな邸宅を持っているとか、遊休の土地を持っている、そういう人たちに対しては、さらにそれに収用をかけていく説得性といいますか、立法上の説得性が出てくるんじゃないか。自分たちは家をこわされて、こういうような窮屈な思い、不便な思いをしているにもかかわらず、隣には草ぼうぼうの土地が何千坪もあいているとか、あるいは大きな邸宅で、五人くらいの家族なのに何千坪という土地に住んでおるということになりますと、これはやはり世論が黙っていないだろう。その場合は非常に早く結着がつきやしないか。むしろいまは、やはりやれるところからやるというのは私は間違いだと思うのですけれども、この法律ではあまり狭く限定していない。つまり高度利用地区ということばが出ておりますが、これはかなり広く網をかけたことばだろうというように私は理解しておるわけです。
 それからそういうことのために、社会的な公共の福祉、つまり生存保障という目的は一〇〇%は出ない。先ほど申しましたように、せいぜい六分だろう。これも民間の資本等が介入するしかたによっては逆転していきまして、結局営利追求のために利用されて、札束でほっぺたをたたかれて追い出されるという人たちが出てこないとは言えないと思います。しかし、そこで私自身は先ほども山田さんからお話がありましたが、はたして行政庁がこれを担保できるかどうか、これは率直に申し上げて非常に疑わしい。これは地方自治体はもちろんのこと、中央の行政庁においても、はたしてそれだけの行政能力というものがあるかといいますと、私は行政機関のことよくわかりませんけれども、これは非常に疑わしいと思います。やはりほんとうにこれをやるなら、住宅省といいますか、新しくそれを独自に責任を分担、専門に責任を負う独立の行政機関ですね、住宅省を設けて行政を推進していく。それが終わったら直ちにそういう行政官庁は解散する。いつまでも残しておかないという形でやっていかないと問題が残るだろう。ある意味でのかけを含んだ立法であるということはわかりますけれども、しかしその結果において、結局住宅難の解消にも役立つということが、私がこれを違憲ではないという結論を出した一つの理由であります。
 それからもう一つは、結局ここに住めなくなる人が出てくるだろうということですが、結局それは確かに出てきますけれども、それに対する救済策としては、私自身はいま申し上げませんでしたが、家賃の法制ですね。つまりそういうところに従来いた人たちには特権的に低い家賃、従来の家賃をそのまま引き継がせる。どんなにりっぱな建物ができても、住んでいる人の気分というものは、下層階級の人たちにはそんなに違いはないわけですから、家賃は法制していく。ただしそれ以外の部分、空間についての家賃は現在規制しないほうがいい。むしろ建築を促進することによって、総体的な家賃の適正化をある程度実現可能ならしめはしないかという、やや楽観的に過ぎるかもしれませんけれども、そういう期待も持っております。
#25
○沢田政治君 まあ篠塚先生もそういうことを言っておられましたが、最高裁の判例の農地改革ですね、との相違を言っておりましたね。あの場合の私有権と、今度の場合は形式は似ておるかもわからないけれども、態様が違うわけですね。祖先墳墓代々耕作しておるわけですね。だから使用権の継続を確認したと言えばそういう形になっているわけですね。今度は全然そこの土地と縁のない人たちが入ってくるでしょう、屋上のほうに。だから最高裁の土地改革に対する判例がストレートにこの判例になるという要素は、要素としてはやはり非常に今度はやはり違った要素が出てくるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#26
○参考人(篠塚昭次君) それはおっしゃるとおりで、ストレートにあの判決がこれに類推して拡大されるということはおそらくないと思います。おそらく最高裁も非常にこれはちゅうちょするだろうと思いますけれども、その場合のやはり足場といいますか、それは零細な従来の利用権者の立場がどこまで完全に保障されるかということにすべてかかっている。これは私も先ほど申し上げましたように、この法案の趣旨を一読いたしますと、結局事後補償ですか、あとで払うというやり方でこれが第一の問題である。不満ながらも組合に入ってできた家を見てからきめるという人にはそれでもいいと思いますけれども、初めから条件を確認してこれではいやだというような人たちに対する補償は、やはりこれは事前に行なわなければならない。しかしその場合には、補償資金というものがないわけです。この組合の中にはまだその補償資金が準備いたされてない。補償資金は建築直後調達するということも予想される。したがってその点のギャップは、法律上は埋めておく必要がありはしないか。したがって事前にそこから出ていきたい、したがって補償せよというときには、もちろんこれは完全な補償でなければならない、単純な立ちのき料ではないわけです。これにつきましても、もう少し時間がありましたら詳しく申し上げたいと思いますけれども、その完全なということばは、文字どおり完全に実施されなければならない。この点については、この法案全体が違憲性を持つということはないと思います。しかし、この法案の中の一つの条文だけが違憲である、こういう結論が出るのではないかというふうに予測いたします。
#27
○柳田桃太郎君 これは山田さんにお伺いしたいと思いますが、東京のみならず全国的の問題として、この事業がある程度広範に始まってまいりまして、組合施行になる場合に、はたしてその組合施行のこの非常にむずかしい技術的な土地の問題であるとか、計画を立案する問題であるとか、事業を施行していく問題であるとかいうようなことを、事実上組合というものでそれだけの技術能力をテンポラリーに備えられるかということを、私非常に憂慮するものでありまして、全部それが地方団体に負いかぶさってまいりましても、いま質問がありましたが、とても地方団体としてもこれをしょい切れる問題ではない。しからば非常に責任の度合いの薄い者が臨時にこれを代行するようなかっこうになりまして、途中で投げ出すようなことも考えられる。現在土地区画整理においては土地区画整理組合なんというものがありまして、それが代行しておりますが、これを実行していくために、法の上でそういった免許を受けた業者がこれを代行するような形をとらなければ、事実上これは非常に実行ができないのじゃないかということを考えておりますが、東京都などではどういうお考えでおられるか、それを一つお伺いしたい。
 第二の問題は、初め都市計画で形の上の都市を考え、マスタープランを考えて、そうしてその形の上を整えた上で、さあそこで法に基づいて都市再開発をおやりなさいということになりますが、そこに住んでおる現在の国民所得の点から考えた場合に、ちょっといま篠塚先生からも触れられましたけれども、その形の上でできておる都市計画と、事実上国民所得と地価と家賃との関係で、現在、まあ悪いことばでいえばスラムクリアランスをやろうとしておる。そういうところにさらに第二のスラムをつくっていかなければそれが収容できないようなかっこうになる。この法律の中には何もその家賃を助成するとか何とかいうことばはないのですが、非常に現在これは、まあ技術的には家賃と地価と所得というものは一つの相関関係があるのですが、はたして現在の建築単価の中で、東京都内においても高層建築の上にこの住宅を乗せた場合に、絵にかいた都市計画と実態とが合ったように持っていける自信があるかどうか、こういうことを実際問題について山田さんにお伺いしておきたいと思います。
#28
○参考人(山田正男君) お答えを申し上げますが、第一の点は、この市街地再開発事業が広範に行なわれたとした場合に、この事業を遂行するために当然技術者が必要でございますが、とてもそういう技術者が足りないのではなかろうかと、こういう御質問だと存じますが、それはそのとおりでございまして、現在土地区画整理法に基づく区画整理事業のお相手をするのにも、土地区画整理の技術者が不足しておるのが実態でございます。そこで、この土地区画整理事業を実施するための技術者の対策としましても、実は東京都の場合には、都が直接指導をする面がございます。それからコンサルタント等、設計事務所等が援助をする場合がございます。もう一つは、東京都が出資いたしまして財団法人をつくりまして、市町村の行なう土地区画整理につきましては、資金の立てかえを含めましてその土地区画整理の事務のすべてを代行させております。そういういろいろな手法を講じながら技術者の不足を補なっておるわけでございますが、柳田先生は特に資格を定めて、その資格を与えて代行させたらどうかというお話がございましたが、結局はその事務の代行でございまして、権限を与えるわけにはいきませんから、権限は組合が持っている、あるいは市町村が持っている、公共団体が持っているという場合に、その事務の代行をさせるだけならば、しいて資格を与えなくても、現状のような状態で技術者の養成につとめるのも一つの方法だと思います。もちろん資格を与えるような技術者の養成をするのも、一つの考え方であろうとは存じます。
 それから第二の点の、都市計画で再開発計画を定めましても、たとえば現在きわめて狭隘な建物に入っておる借家人に対しては、新しい建物の区分として事実上与えられない場合がないとはしないわけでございます。しかし、これは土地区画整理事業の際にも過小宅地を設定すれば、そういう小さい宅地の救済ができるわけでございます。組合でこの事業を行ないます際にも、組合員が定款でそういう措置を定めれば、その救済措置はできるはずでございます。
 それから家賃がうんと高くなるのではないかという御心配もあると存じますが、そこはこの再開発の事業計画のつくり方でございまして、現在入居しておる人たちの住まいを奪う結果になるような再開発ならば、これはこの再開発法の立法の趣旨に合わないと存じますから、やはり事業計画の中で収支計画を立てまして、現在そこに居住しておる、営業しておる人たちをいかに救済できるか、救済でき得るような事業計画を立てるか立てないかということに、この法律がうまく運用されるかどうかということがきまると存じております。特に私どもはアメリカの都心で行なわれておりますように、貧乏人から住宅を奪うような再開発を実施しようとは思っておりませんし、そういう再開発がこの世の中でできるとも思っておりません。御了解をお願いいたします。
#29
○高山恒雄君 淺田先生にひとつお聞きをしたいのですが、私たちが心配しておる点をやっぱり御心配なさっておるのではないか、という気持ちがするのですが、第三者の介入でございますね。これには節度ある態度でひとつ臨んでいただかなければ非常に問題を起こす、こういう見解を述べておられます。その点の先生の私見として御心配になられておる点はどういう点か、そいつをひとつお聞きしたいのです。
 なお、私たちもそれぞれ考えておるのですが、私はこの点と生活の保障という問題、先ほど條塚先生がおっしゃったように、これがない限り法のたてまえとして三分の一の不賛成は犠牲にならざるを得ない、こういう気がしてならないのです。もしそういう点もお考えになるならばひとつお聞かせを願いたい。
#30
○参考人(淺田孝君) いまのお尋ねの点でございますが、確かにこの再開発法の一番問題になるところでございまして、先進諸国の場合でございますと、これはむしろ篠塚先生のほうが御専門でいらっしゃいますから、私の理解が間違っておるかもしれませんが、十三、四世紀ごろから英米を中心にいたしまして、エクィティー・ローといいますか、エクィティー・コートといいますか、公平に関する裁判、法廷がございまして、憲法と一般法律で扱えない人間関係、相隣関係、その他について、実は何世紀という長い歴史がございますものですから、たとえば近代的な地域開発時代になってまいった場合でも、アメリカならアメリカの国立公園法で風景保存地域をかけたような場合に、その補償措置であるとか、あるいはどの程度まで個人の要求を入れ、どの程度まで社会の要請を入れるかというような問題につきましては、もちろん個々の相隣関係の日照権であるとかその他につきましては、私どもが技術屋として見ます資料では、もう五十年も前からニューヨークあたりでも、事こまかに日照の程度がどの程度であればどうであるといったようなことがあるようでございます。それに引きかえまして、どうもわが国のそういうお互いの間のことを取りきめる約束事というものの歴史が非常に浅うございますから、その点で非常にむずかしい問題が出ておるのではないかと思うわけです。そこで、お尋ねの、実際問題といたしまして都市の再開発は、これはアメリカの場合を調べてみましてもそうでございますが、やはり大規模の資金を要することでございまするので、実際には地域主義、現地主義的な組合の設立が望ましいわけでございますけれども、その発議自体にしてからが、かなりやはりダミーと申しますか、かなり当初から前貸し資金的な資金の運用が必要になってまいりますために、表面上の仕組みといたしましては、法の定むるところによってうまく円滑に進むやに見えるのでございます。けれども、ややともいたしますと、当初から実質的にやはり資本力の相違によって、あすの欲ならかけるけれども、あさって、しあさっての欲はかけないという立場と、あす、あさっての小さい欲は問題ではない、しあさっての大きな欲が問題だ、平たく申しますと、さような実は立場の相違からして、この再開発の個々の事業が、そういう中からむずかしい問題を包含してくるといったようなケースが考えられるわけでございます。ただし、どの先進国の再開発に見ましても、実情を調べてみるというと、やはりいま申しますように、とにかくいま住んでいらっしゃる方々に十二分の万全な補償をする、しかもかなり高い、高額な土地を手当てをいたしまして、その上に、新しい事業からあがってきます開発利益でそれをカバーし、なおかつそういうような場所でございますから、その事業の運転が円滑にいかなければいけない。そうして非常に多額の投入資金に対して、やはり経済原則による企業メリットをあげなければいけないというふうになってきますので、根本的には私やはり資本制経済の経営経済的な原則というものは、よほどの公共団体なり国家なりの助成措置というものがございませんというと、どうしてもやはり資本の力のままに力関係はきまってくる。そのことが、かりに上に延びます住宅はけっこうといたしましても、場合によりますというと、最もこういう開発の場合に大事な下の地表に近い部分でございます、たとえばターミナル施設であるとかいろいろな社会的機能を、完全な不特定多数とは申せませんけれども、その地域を中心としたかなり広い地域社会がそれを利用することによって裨益しなければいけないような施設につきまして特定性というものを勘案いたしますというと、問題がそこに出てきやしまいかというおそれがあるわけでございます。さような場合に、でございますから、先年もアメリカのこれは再開発の実は背景になっております仕組みについて、詳しく見てまいったのでございますけれども、やはり言えますことは、非常に気長にやっておる。大体、再開発をしようと決定いたしましてから、どの計画も全部二十年はかかっております。わが国で行なっておられます土地区画整理等の単純な事業でもやはりそれぐらいかかるようでございますから、どこでも同じでございますけれども、ただ大きな資本の力だけで事が曲がらないという点につきましては、社会慣習としてでき上っております。チェックする、世論の力によってチェックする仕組みと、それからやはり成長しております企業の社会性の獲得とでも申しますか、節度ある基準でけっこうなんであるという、その態度というものが非常にきいているように私考えておるわけでございます。したがいまして、この法自体でさような面について問題にいたしますというよりは、これら三法によって都市再開発がかりにいくといたしましても、その周辺でやはりよき社会慣行とでも申しますか、この再開発事業の実行にあたって、慣行を試行錯誤を重ねながらやはり築き上げていくという努力なり、行政的な指導なりあるいは政策的な主張なりといったようなものがやはりどうしてもございませんというと、円滑には進まないのではないか。その点で二十年ぐらい発議からかかっております再開発を、十七年、――十五年から十七年ぐらいにかけて何回でも計画をつくり直しまして、市民の団体に問う。わずか一キロ四方ぐらいな教区の再開発につきましても、五十、六十といったような市民団体、もうこれは各種各様でございます。奥さん方の地元の隣組団体もございましょうし、職能別の団体もございましょうし、教区の教会の団体もございましょうし、縦、横、斜め切りに社会組織をつくっております社会集団のさまざまのものとのネゴシエーションというものを、完全な公開の席でやっております。その辺がわが国にこの再開発を大々的にやっていこうといたします場合に、一つにはああいう国のように余裕のある資本蓄積が少ないということが一つ、それからもう一つには、社会慣行がまだまだできていないといった点で、私は実は懸念をいたしておるのでございます。
#31
○春日正一君 山田さんに一つ、二つお尋ねしてみたいのですが、さっきも話聞いていますと、東京都としては公共施設を整えるという役割りを主として持っておる、なかなか再開発というようなものには手が回らぬし、どうしてもなかなかそれではどうもいかぬ、だから民間の発議にまかせることがいいというような見解なんですけれども、やはりあなたが東京都の建設局長ということで、そういう面での責任の立場にあるから慎重――私に言わせれば逃げているという感じがするのですが、しかしこの再開発法案が通ったあとで、東京都としてはこの再開発事業というものを都として独自にやっていこうというそういうもくろみというか、見込みというか、そういうものを持っておいでになるかどうか、この点ひとつ。
 それからもう一つは、あなたが言われたように、民間の開発意欲にまかせるということになれば、いま東京都というのは非常に乱雑なんですね。高いものあり、低いものあり、いろいろ乱雑なことになっている。ところが、そういうものが結局そろばんに合うということはいいことになるわけですから着手されていく。ところがそろばんに合うところだけが食われていって、都市計画なり都民に対する東京都の責任として見なきゃならぬようなところ、そういうものがあと回しにされて、さらに新しい形での拡大された不つり合い、不均衡というようなものをつくり出していく。そこからいろいろ初めに解決されると考えておった交通問題なり、あるいは通勤問題なり住宅問題なり、その他社会施設の行き渡らぬ面が再開発で解決されると期待しておったものが、逆にそこからさらに大きな破綻が出てくるんじゃないかというような気もするのですが、ただまかせるというだけでは当然そうならざるを得ない。そういう点についてはどういうふうに考えておいでになるのか。
 もう一つの点は、どうしても東京都としてやらなければならぬ、しかも民間の意欲にまかせておくというわけにはいかぬ場所もあるわけですね。たとえば一番端的な例で言えば江東の防災地区ですね、あれなんかそろそろ地震がきそうだというような周期にきている。だからどうしても早いことこれは対策立てなければいかぬということで、いろいろ大きな理想図なんかも書かれて調査も進められているようですけれども、こういうものは当然そこの市民の盛り上がりに待つということではなくて、大きな規模で、東京都なり国なりの力でやっていかなければ時間的に間に合わなくもなるし、またその規模のものということに、民間の発議だけでは必ずしもいくということにはならぬわけですから、そういうものについては、東京都としてどういうふうに考えておいでになるのか、その三つの点をお聞きしておきたいのです。
#32
○参考人(山田正男君) お答えを申し上げます。
 第一の点は、東京都は公共施設に手が回らないから、とてもこの再開発事業まで積極的にはやれないという意味にとれるような発言を先ほど私はいたしたわけでございますが、決して私逃げるわけでも何でもないわけですが、現在の東京都のような地方公共団体の財政事情のもとで、まあこの法案がかりに成立した場合にどういう資金の援助があるかどうか、まだ確定したわけではございませんけれども、そういうことを予想しながらものを判断いたしますと、これは人手の問題というよりも資金的になかなか私は手が回らないだろう、ということを申し上げたわけでございます。だからといって東京都はやる意思がないという意味ではございません。それよりも私が申し上げましたのは、先ほども田中委員の御質問に対してお答え申し上げましたように、道路とか公園とか河川とか、そういう公共施設は、これは公共団体の本来の事務でございます。他人にやらせるわけにはいきません。みずからやらなければいけませんが、こういう建築施設の改良計画、改善計画というものは、いまの日本の制度では公共団体がおまえたちの土地を売収して、あるいは強制加入をさせて建物を改築するのだというものの考え方よりは、むしろあなた方が現に住んでおり、現に営業をしておられる土地は、本来都市全体の立場から言えばこういう利用のされ方をしたほうがいいではないか、まあそういう計画を立てまして、そうしてそれは単なる計画だけでなくて、こういう計画をこういう資金で事業を実施すれば、あなた方が共同でおやりになっても決して持ち出しにはなりませんよ、むしろ利益がありますよというような、そういう勧奨、勧告、慫慂まで都が責任を持って私はやるべきであると思っておりますし、またこの法案ができれば、そういうことをいたしたいと思っております。そういうことをしましても、なおかつ組合ができない場合はもちろんあります。そういう場合には当然必要に応じて、先ほどお話がございましたような交通問題とか、あるいは環境の改善とか、そういう問題を解決するために必要な場所につきましては、これは公共団体がやらなければいけないと思っております。またやる意思は十分ございます。
 それから市街地再開発事業の問題ではございませんけれども、東京都が現にやっております仕事は、収支の償わない仕事ばかりやっておるわけでございます。収支の償う仕事は民間でもやるわけでございます。現に新橋の駅の周辺でやっております公共施設の整備に関連する市街地改造事業につきましても、東京都はたいへんな持ち出しをいたして事業をいたしております。これと直接関係はございませんが、他の駐車場のような施設でも収支が償うものならばどうぞ民間でおやりください、しかし収支の償わないところにぜひ駐車場の配置が必要な場合には、これは東京都がみずから事業を実施いたしております。昭和通りの下、等にございます五つの一連の駐車場は、これは東京都が収支を償わないことを覚悟をしてやっておる事業でございます。こういうものの考え方はこの市街地再開発とそのまま通用すると思っております。そういうことでございますから、計画を立てただけであとは民間にまかせようなどとはちっとも思っておりません。その計画が実施できるかどうかまでチェックをいたしまして、実施できるような計画でなければ売りつけるわけにはいきませんから、実施できるような計画である場合には権利者が共同におやりになったらどうでしょうか、こういう慫慂をいたしたい。そうしてそれでもおやりにならない場合、あるいは収支償わないような場合、そういう場合には、これは当然公共団体が事業を実施すべきであろう、こう考えておる次第でございます。
#33
○春日正一君 江東地区の問題は……。
#34
○参考人(山田正男君) 申し忘れまして恐縮でございますが、現在城東地区、江東地区と申しますよりも、隅田川以東でございますが、地盤沈下の激しい地区に対しまして地震対策等を主としまして、高潮対策等もありますが、何とかこの一帯の再開発をする必要があるということで、国庫の補助もいただきまして再開発計画の大ざっぱな調査、立案をいたしております。しかし何ぶんにも広大な面積でございまして、どんな計画を立てましても、この地域全般を再開発するといたしますと、何兆円という、おそらく数兆円にわたると思いますが、そういう事業費が要ります。そういうことになりますと、先ほどほかの発言者からも御発言ございましたように、五年や十年、十年や二十年で事業を実施できることでもございません。これは再開発というのは計画を立て、それを実施するのには、よほど気長に覚悟をきめて事業を実施すべきことだと存じております。そういう意味で城東地区の再開発計画というものは、まだ具体的なものは何一つできておりません。ただ方向をどういう方向でやっていくべきかという、まだほんの青写真段階でございます。といってこれを置きざりにしていいとはちっとも思っておりません。全体の見通しをつけながら、全体の見通しに食い違いが起らないような範囲で、重要なところから事業計画を立案していこう、こう考えておる段階でございます。
#35
○宮崎正義君 篠塚先生にちょっとお伺いいたしますが、この再開発事業をやるにいたしましても、地域内に居住する方というのは職業、またいろいろな生活様式も変わっている人たちがおいでになりまして、その中には借家人及び一部借家人の方々が、それぞれいまの時代でいきますと、権利金をほとんど払って入っているような現状でございます。そういったような現状の人たちを問わないで、土地の所有権者及び借地権者のみでこれを考えていこうというような行き方であるように思うわけですが、こういう人たちに対する考え方、組合員に入れるべきであろうか、またそれは組合員に入れないでやるべきであろうか、こういう点につきましての御意見を伺っておきたいと思います。
#36
○参考人(篠塚昭次君) 結論から申し上げますと、これは当然入るべきだと思いますね。私はこの条文まだよく読んでおりませんけれども、宅地所有者及び借地権者と出ておりまして、これは一種の例示的な列挙であって借家人も入るのかなとは読んでおったんです。たとえば、借家権というのはたいへん法律の取り扱いのデリケートな領域で、これは御存じのとおりですけれども、もし借家人を除外しまして土地所有者と借地人とで、その借家人が居住している建物の除却契約を結んでも、法律上は無効というのが最近の最高裁の判決なんです。したがって、借家権も現在は財産権として承認されている。これは権利金の支払いの有無はそれほどは影響がないんだというのが最近の考え方です。したがって、借家権を持っている者あるいはその借家権から派生しているところの転借人というものも、法律上はこれに組合員として参加してくるべき権利がある。もしそれを除外しますと、もちろんそれは憲法上の問題が出てくるというふうに考えられます。
#37
○委員長(岡三郎君) ほかにありませんか。――これにて参考人に対する質疑を終わります。
 参考人の方々に一言お礼申し上げます。本日は御多用のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#38
○委員長(岡三郎君) 速記を始めて。
 午前中の審査はこの程度とし、一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
  〔理事沢田政治君委員長席に着く〕
#39
○理事(沢田政治君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、都市再開発法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#40
○松永忠二君 まず最初に、都市の再開発をどうしても必要でやらなきゃならない、こういうふうに考えられる面積、そしてまたその経費の概算というのは一体どういうふうに考えておられるのか。国土建設の長期構想等にもいろいろ出ているわけですが、これはどのくらいでしょうか。
#41
○政府委員(竹内藤男君) 四十四年度予定いたしております市街地再開発事業の施行予定個所が四カ所ございます。一つは小樽でございます。小樽は面積が四・八ヘクタール……。
#42
○松永忠二君 そういうことじゃありません。都市再開発の法律を出すのだから、現在日本の国の都市で、再開発が必要だと考えられる一体面積、そしてまた、それを行なうとすれば大体どのくらいな経費が必要なのか、こういう基本的な調査はやられていると思うのだが、その点についてお聞かせをいただきたい。
#43
○政府委員(竹内藤男君) たしかどれくらいの面積というのは、国土開発の長期構想に載っていたと思うのですけれども、現在ちょっと手元に資料ございませんので、いますぐ取り寄せまして、あとでお答え申し上げます。
#44
○松永忠二君 しかし、これは実際問題として私たちがこの法律を審議するにあたって、現在一体日本の国でぜひ再開発をしなければいけないと考えるその面積はどのくらいあるのか、またその経費はどのくらいかかるかということは基本的なことなので、それをひとつ聞かしていただきたい。
#45
○政府委員(竹内藤男君) 建設者が四十一年につくりました国土建設の長期構想案によりますと、既成市街地の中で転用及び改造を要する面積が書いてございます。改造面積といたしましては、住宅地が七百六十九平方キロ、工業地が四百三平方キロ、商業業務地が百二十平方キロ、その他学校その他の用地が二十九平方キロそういうふうになっておりまして、それに公園でございますとか、道路その他必要な空地をとりました市街地としての面積が、合計いたしまして千九百八平方キロということになっております。これが大体六十年目標の改造を要するであろうという面積でございます。
#46
○松永忠二君 それを改造していくとすれば、どれくらいの費用がかかるであろうか。それから、またもう一つ発展をして、それじゃ四十年と比較して六十年の達成目標を出して、そして、その改造に要する面積それから全国の市街地の人口増加というものが大体考えられているわけなんです。当面とにかく一体どのくらいの面積とどのくらいの経費をもってこの再開発というものをやらなければできないというふうに考えておられるのか。よくいう何カ年計画というようなそういうようなものはないのか。そういう点についてのその考え方、そうしてまたそういう具体的な数字、こういうものをひとつ聞かしてもらいたい。
  〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
#47
○政府委員(竹内藤男君) ただいま申し上げましたのは、既成市街地が全体で四千六百十平方キロございますが、そのうち改造を要しますのが千九百平方キロ、約四〇%に当たるわけでございます。これを行ないますためにお金が幾らかかるかということでございますが、これは実は先生おっしゃいましたようないわゆる長期計画――十カ年計画とか五カ年計画というようなものは現在ございません。市街地再開発につきましての具体的な五カ年計画、十カ年計画、ございませんが、客観的に申し上げまして、平方キロ当たり千五百億ぐらいかかる。したがいまして千九百平方キロをやりますためには、相当ばく大な投資が必要だということになると思います。ただ、私どもといたしまして、これだけの改造が必要ではございますけれども、特に重要なところからやってまいりたい、これはこの前から御質問にお答え申し上げておりますように、都市環境の悪いところでございますとか、あるいは公共施設の整備のために必要だというようなところ、あるいは防災的な意味でやらなければならないようなところ、あるいは商業業務地の機能をよくするためにやらなければいけないところ、そういうようなところから重点的にやっていきたい、こう思っているわけでございます。
 具体的にそれじゃどういうふうにして事業におろしていくのかということになろうかと思いますが、これは都市計画法に基づいてきめます都市計画事業として行なわれるわけでございます。新しい都市計画法のもとにおきましては、市街化区域につきまして整備、開発、保全の方針というものを都市計画として定めるということにいたしております。したがいまして、六月から施行されます新都市計画法が施行になりますと、市街化区域と調整区域に分けまして、市街化区域につきまして市街地の整備、開発、保全の方針を知事が定めるということになる。それは当然大臣認可ということになろうかと思います。その中で将来の人口がどうなる、産業が発展がどうなるというようなことを与件として検討いたしまして、それに基づいて、住宅地をどこに置く、商業地をどこに置く、工業地をどこに置くという配置の構想、さらには公共施設、重要な公共施設の構想というようなものを定める。同時に、こういうような区画整理とかあるいは新住宅市街地開発事業というようないわゆる面的な開発事業とともに、既成市街地の中の再開発事業をどういうところで行なったらいいかということについての方針が定まると思います。その知事の定めました市街化区域の整備の方針に基づきまして個々の都市計画がきめられる。実際は現在でも都市計画がございますので、都市計画の変更という形になると思いますが、用途地域なり、あるいは都市施設なり、あるいは開発事業なりについての個々の都市計画が定められる。その再開発事業についての都市計画の定め方を、本法の最初の部分で書いてあるわけでございます。したがいまして、具体的にはこれから各都市ごとに再開発事業の全体の基本構想なり都市計画が定められると、こういう形になっておるわけでございます。
#48
○松永忠二君 大臣にお聞きしたいんですがね。大臣も、都市計画法と都市再開発法は車の両輪だとか、あるいは非常に重要な法案だと、こういうふうに言っているわけですね。まあ、その重さというものについては必ずしも同じような重さを持ったものじゃないけれども、当面どうしても再開発をやらなきゃできないということを強く主張もされ、必要を認識されておるわけですね。そうすると、われわれから言うと、都市計画でも基本的な調査というものの結果に基づいて計画が配慮をされなけりゃいけないということになっているわけなんで、事実上、私どもの日本の国の中に、これだけのところはどうにも捨てておかれないというところがあるんだと、そのところをこういうふうなめどを持って開発をしていくためにはこういう法律が必要なんだ、というふうに帰納をしていかないと、その重要性もわからぬわけですね。それからまた、かりにあとにしてみたところが、この法律ができればとにかくこういうようなところを少なくもこのくらいな計画でもって再開発をしていきたいと。もちろんこれは民間の組合等もタッチをすることであるので、そういうことはあるとしても、ちょうど住宅五カ年計画において公的機関の住宅と民間の自立の建設の計画を持っているように、やはりこれも計画を持って進めていくべきではないか。また、われわれから言うと、これだけの面積が一体再開発をしなきゃできないんだという必要性というものも、具体的に面積的な面、あるいは経費的な面も示されていかなきゃできない筋合いだと私たちは思うんですがね。そうした問題については、治水五カ年計画であるとか、下水道の五カ年計画であるとか、そういうのと同じように、何かやはり一つのめどをつけて計画を実施をしていくというようなことを検討していくべきだ、というふうに私たちは思うんですが、この点について大臣はどうお考えでしょう。
#49
○国務大臣(坪川信三君) 松永委員御指摘のとおり、私も先日の委員会で申し述べましたごとく、都市計画法と再開発法との関連は、全く、まあ普通のことばで言いますならば、形影相添うがごとく、また姉妹関係にあるというようなことでありますが、私はやはり都市計画法の体系の重要な一部をなすものである、この再開発法が。そうした点から考えますときに、いま御指摘になりましたようなそれぞれの建設の重要な五カ年計画の遂行を容易ならしめるためにおいてのやはり重要なウエート、役割りを本再開発法が持つものである、またそれを期待しなければならぬという目標においての立法措置である、こういうふうに考えておりますので、松永委員御指摘になりましたとおりの私は気持ちでおるわけでございます。
#50
○松永忠二君 私はもっと計画性を持つべきではないかということを言っているわけなんですよ。たとえば住宅についてもこういう再開発法に基づいて一体どのくらいな住宅建設を考えていかなきゃできないというふうにお考えになるのか。またこの再開発法はお話しのように都市計画法として実施をして、公共の施設と一体的に実施をする以上、その各予算の中にどのくらいの一体ウエートを持って再開発法が入り込んでいくのか。それを考えなければ、ほかのほうの計画も実は支障を来たしてきて、再開発法が出てきたために、ほかがどんどん取られてしまうというようなことも起こるし、結局そういうふうなことで、計画的な実施はできない。要するに気長く考えればいいのだとか、まあできるところからやりさえすればいいのだと、やる場合にはこういう手法でやればいいのだというようなことでは、われわれの考えている再開発法の重要性とはだいぶ違うように私たちは思うので、もっとこういうふうな面についてわれわれ的確に、一体いま日本にはどのくらいの再開発をしなければならぬ面積を持ち、このくらいの経費が必要であって何とかこれを解消していく、やり方については必ずしも個々の地方公共団体やなんかでなしに、民間の協力も得てやると、けれどもこういうものがあるのだということを示して、これについては当初だから、まだ計画的な実施はできないとしても、今後計画的に実施をしていこうじゃないか。こういうようなことでないと、何かやはり拍子が抜け、力が抜けていくと思うのですけれども、そういう計画性を今後持って、いろいろな事業との関連等もあるので実施をしていくというような気持ちを持っておられるのかどうか、大臣に伺います。
#51
○国務大臣(坪川信三君) 本法案によりますところの市街地再開発事業は、都市計画事業として行なわれるもので、都市計画の決定の手続及び都市計画制限については、当然都市計画法の定めるところにより同法の第四章の都市計画事業に関する規定については、都市計画法の規定の大部分をいわゆる適用せず、本法案において市街地再開発事業独自の規定をしておるというような実情でございます。その理由といたしましては、一般の都市計画事業が収用という手法により推進されるのに反しまして、市街地再開発事業を行なうための手法として、本法案においては収用にかわる方法として権利変換の手続という手続を創設することとしておるため、権利変換手続を適用して、市街地再開発事業を施行する地区及び施行者等の事項及び権利変換手続の内容などについて特別の規定が必要だからであります。したがいまして、本法案は都市計画法に対する特別法の関係にありますので、広い意味では先ほど申し上げましたような都市計画の体系の一部として重要な役割りを持ちますとともに、いま御指摘になりましたごとく、これらのそれぞれの事業を推進する場合には私は非常に重大なウエイトを持つものであり、そして相互関連というものが非常に絶対的に必要であるというような考えを持っておるようなわけでありまして、これらの事業五カ年計画それぞれの都市事業の推進において適切なる運用を行なう重要なる関連性を持っておるということは、先生御指摘のとおり私もその考えでおるような次第であります。
#52
○松永忠二君 われわれのほうから、またひとつきょうあまりはっきりした資料、答弁がないので、その点については、それはひとつまたきちっとしたものを出してみてください。またそれが出ないというようなことであれば、一体ほんとうに実施をする必要があるのかないのかということさえも問題になるわけなんで、ただ単に長期構想でそれが出ているということでなしに、もう少しやっぱり実態的な調査というものが実施をされていて、当面これだけのものはどうしても手をつけなければできぬし、またこれだけの費用はどうしても必要だ、当面こういうものを計画的にやるということにならぬとできぬと思うので、こういう点もあらためて、そういう点のひとつ明確な資料をいただきたい。
 それで、質問少し進めまして、都市計画法と都市再開発法案との関係というものについてお聞かせをいただきたいわけです。ひとつこれを局長のほうから条文的に簡潔にひとつお話しください。
#53
○政府委員(竹内藤男君) 先ほどはちょっとマスタープランと申しますか、長期構想の話をしたのですけれども、具体的に事業の調査をやっているのがございます。これによりますと、組合が主として自分のところの改造をやっていきたいというようなものが事業実施要望として出てきておりますが、そのうち確実なものが約百五十ヘクタール全国で、お金にいたしますと二千六百五十億ぐらいの総経費がかかります。そういうものが出ております。それから、いわゆる公共施設の整備に関連するような再開発も要望といたしましては、三十八地区約二百ヘクタールの要望が出てきております。これはそれぞれ従来からございました市街地再開発に関係いたします調査で調べたものでございまして、それによりますと、こういうようなものが出てきておりますので、再開発法ができましたならば、こういうような地区から実施に移されてくると、こういうふうに考えております。
 それから都市計画法と再開発法との関係でございますが、都市計画法は、都市計画全般の基本法でございますので、都市計画の内容はどういうものか、その決定手続をどうするか……。
#54
○松永忠二君 都市再開発事業についてどういうふうに規定されておるか、それ。
#55
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画法におきましては、まず都市計画の内容といたしまして、市街地開発事業というのがございます。これは十二条、都市計画法の十二条の一項四号に「都市再開発法による市街地再開発事業」というのが出ております。したがいまして、市街地再開発事業は都市計画事業として行なわれるということが、この十二条ではっきりしているわけでございます。したがいまして、都市計画でございますので、都市計画法の条文が適用になるわけでございます。都市計画基準、都市計画の図書、十五条の都市計画を定める者、十六条の公聴会の開催、十七条の都市計画の案の縦覧、十八条の都道府県知事の都市計画の決定、二十条の都市計画の告示といったような都市計画の決定手続の条文は、そのまま都市計画法によって行なう。ただし、その市街地開発事業の中に入っておりますけれども、市街地再開発事業についての事業の中身は、特にこの法律によって規定しているわけでございます。したがいまして事業として示すべき事項につきまして都市計画法に定めているもののほか、都市再開発法の四条一項におきまして、「公共施設の配置及び規模並びに建築物及び建築敷地の整備に関する計画を定める」事項として、特に都市再開発法にあるわけでございます。それからもう一つは……。
#56
○松永忠二君 いいです、私のほうで聞きますがね、都市計画法に基づいて市街地開発事業というものの施行区域が都市計画で定められる、そして市街地の開発事業は市街化区域内に定める、市街化区域内に定めるということが十三条の四号に都市計画できめてある。それで、したがってまた都市計画法の第八条の一項の四号に高度利用地区内にある、だから都市再開発事業というものは都市計画の中で施行区域がきまって、そうしてその施行区域で行なわれる市街地開発事業は市街化区域の中にあるし、同時にまたそれは高度利用地区の中にある、こういうふうに規定をされているわけです、この点は間違いありませんね。
#57
○政府委員(竹内藤男君) そのとおりでございます。
#58
○松永忠二君 そうなってくると、前から少し話が出ているように、この法律ができると防災建築街区造成法というものが廃止されると、それからまた市街地改造法、まあ短くいえばそれも廃止されるということになるわけです。ところが、それが廃止されて市街地開発事業というのはどこでやられるかというと、市街化区域の中でやられる。市街化区域というのは十万以上の都市でなければ市街化区域はきめないということになる。そうすると、この法律にいう開発事業というのは、結局十万以上の都市でなければできないということに法律的にはなっているわけです。そうなってくると、十万以下で必要があってやっていて防災建築も相当効果をおさめているものもあれば、あるいは市街地改造法で非常に効果をあげているところもあるが、この法律ができてしまうと、結局は市街化区域の中でなければ再開発の事業はできない、市街化区域は結局十万以上の都市で定めるのだ、そういうことになってくると、これから除外をされてしまうということになるわけだけれども、この点はどういうふうに考えておられるのですか。
#59
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画法の十三条の四号でおっしゃいますように、「市街地開発事業は、市街化区域内において、」定めるということに書いてありますが、附則三項を読みますと……。
#60
○松永忠二君 何の附則ですか。
#61
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画法でございます。「この法律中」、途中飛ばしますが、「市街化区域、」「に関する規定は、当分の間、」「政令で定める都市計画区域以外の都市計画区域については、適用しない。」したがいましてこの四号の読み方は、「市街化区域内に」と書いてございますけれども、市街化区域に関する規定は適用がないわけでございますので、市街地開発事業は市街化区域の指定されないところにおきまして政令で定める都市計画区域でないところにつきましては適用されないと、こういうふうに私どもは解釈いたしております。
#62
○松永忠二君 あとのほうがわからないので、その市街化区域内という、この市街化区域内に開発事業が行なわれる、行なわれるという条文が十三条の四号にあるけれども、附則でもって市街化区域内の適用については除外の規定があると、したがって市街化区域を設けないところであっても、再開発事業というのは実施できるということなんですか。
#63
○政府委員(竹内藤男君) おっしゃるとおりでございまして、市街化区域に関する規定は適用しないという附則三項によりまして、十三条の四号の規定は市街化区域に関する規定でございます、これが働かない。したがって市街地開発事業は都市計画区域内ならばどこでもできる、こういうふうに考えております。
#64
○松永忠二君 これが適用されれば、この条文だけで見るとそういうふうなあれになっておるので、結局、市街化区域でなくても、適用されないところでも都市計画が実施をされていればそれで実施ができると、こういうことですからそれはそれで実施ができるわけです。そこで、再開発事業に関する都市計画というので、再開発の法案の中に、「高度利用地区内にあること。」とか、あるいは建築の四項がありますね、この四項の全部条件を満たしていなければいけないのか、それとも一つでもいいのか、全部要件を満たす必要があるのか、その辺はどうですか。
#65
○政府委員(竹内藤男君) 全部各号に該当しなければいかぬわけでございます。
#66
○松永忠二君 そうなってくると、三番、四番の「当該区域内に十分な公共施設がないこと、」という、「十分な」というまことにばく然たることばを使っておるわけですね。「四」には、高度利用をはかることが産業、人口の過度集中で阻害されているという、機能を著しく欠いていると、こういうようなことについては、具体的には、その基準はどういうふうにきめるのですか。
#67
○政府委員(竹内藤男君) 三号の「十分な公共施設がないこと、」というのは、これは例示でございますので、「等により、」でつながりまして、「土地の利用状況が著しく不健全であること。」というものの例示でございます。これ以外に、土地が細分化されているとかその他いろいろなことが考えられると思います。それから四号の、「当該区域内の土地の高度利用を図ることが」「阻害されている当該都市の機能の回復に著しく貢献すること。」というのも、その当該区域の再開発をすることがその都市全体の機能回復に役立つということであればいいわけです。その区域自体が過度集中によって機能が阻害されているというふうに私どもとしては考えているわけでございまして、都市全体が産業、人口の過度集中により阻害されてなくてもいい、その区域が阻害されているだけというふうに考えておりますので、これも中小都市に適用されないということにはならないわけでございます。ただ、ここに書いてございますことがどういうふうにとれますか、これは特に政令、省令に委任してもございませんが、都市計画の決定権者がこの条項に合っているかどうかということを、自分で判断をいたしまして都市計画決定をし、さらにそれが、場合によりましては大臣の認可になると、こういうことになってこようかと思うのでございます。しかし私どもといたしましては、計画を立てるものでございますから、計画標準というものは考えてまいりたいと思いますけれども、最終的にはそういう形できまってくると、こういうふうに考えております。
#68
○松永忠二君 そうすると、「一」「二」は数字的にも明確になっている。「一」は「高度利用地区」というのが明確になっているんだが、「三」と「四」は非常にばく然たる抽象的なことをいっているわけなんで、これはいい意味で利用もできれば悪い意味でも利用ができるので、やっぱり何か判断の基準というものはあってもいいんじゃないかということをわれわれは感ずるし、何か判断があってこういうものをつけたのかどうかということで、やや抽象的なことをただ並べているにすぎないということでは、少なくも四つの条件のどれにも該当するということになるわけですから、この点はもう少しあとで検討を要するのではないか。しかし御答弁の御趣旨は、できるだけ中小都市にもそれが該当できるような意味に解釈をしているというのですから、それはこれを広く使って市街地開発事業を都市計画において定める施行区域の場合にあまり無理なことは言わないということだと思うわけなんです。
 そこでその次の問題で、第五条の中に住宅建設の目標の設定義務というのがあるわけですけれども、これも「住宅不足の著しい地域」というようなことばを使ってあるわけですね。これは一体その市街地開発事業の施行区域の中でどういうふうにしてあらわすのですか。ここはいわゆる第五条の設定義務を持っている地域であるというように明示をしておくのか、どうして一体それを義務づけをするのか、この点はどうなんですか。また基準があるなら基準はどんなものなのか。
#69
○政府委員(竹内藤男君) この「住宅不足の著しい地域」という地域につきましては、必ずしも都市全体でなくてよろしい、都市の一部の地域でもよろしいというふうに考えておりますが、「住宅不足の著しい」というものの数量的な定めというものはなかなかできないのじゃないかと思います。したがいまして、都市計画決定をいたします場合に、そこの場所におきます住宅の現在の数、あるいは住宅需要者の数というようなものを判断いたしまして、具体的にその地域におきまして著しいかどうかというのを都市計画決定権者と認定権者がきめていくということになろうかと思います。現在の新住宅市街地開発事業におきましても同様な表現がございますけれども、具体的にその場所で住宅不足が相当著しいかどうかという判断は、個々に行なっておるわけでございます。なかなか数量的にあらかじめこうだということは言いにくい面があろう、というふうに考えております。
#70
○松永忠二君 その説明はちょっと大臣にもひとつお聞きをしたいのですがね。これはもともと再開発をやるについては、都心にその人口が非常に収容できなくなってしまっているので、もっと高層にして人口を収容できるようにしようじゃないか、同時にまた諸外国と比べてみると、日本の都市における建物は非常に住宅を持っていないという不備な点もある、そういうことを全然考えない再開発というのはおかしいじゃないかということで、この前この議論があって条文ができたわけですね。条文はできたけれども、一体その「住宅不足の著しい地域」については住宅の戸数その他住宅建設の目標を定めなければできないというようにまできちっとなっているのですからね。これは私はいま局長の言うような説明じゃなくて、その再開発施行区域の中へ明確に、この地域は住宅の不足が著しいから、ここで再開発事業をやるときには必ず住宅を目標をつけておかなければ許可しないのだという、そういう条件にしなければ目標も立てられない、いや、そんなことは抽象的なことであって、それはやるもの同士がただ相談をすればいいのだというようなことじゃこれは困る。だからやっぱり明確に「住宅不足の著しい地域」とはどこなのか、それにはそこの開発事業をやるというものには、必ず住宅の戸数と目標をきめてなければ許可しないというようにしなければだめだ、ちょっと説明を聞いたところではそういうふうにするのだというように私聞いていたので、確認のためにいまその質問をしたところが、いや、そうじゃないのだという話ならこれはまことに困る話なんで、これはきちっとしておいてもらわなければ困ると思うのですが、これは野党が反対しているからただ一条文だけ入れておいて、まあ不足の著しいところは相談して目標をきめてもらうのだということではちょっと困ると思うのですが、どうですか。
#71
○国務大臣(坪川信三君) 本法の制定の大きなねらいは職住近接、いわゆる都心における中高層の建築の中に住宅を入れるというのが本法の大きなねらいでありまして、御指摘になりましたその点は、私、ごもっともな御意見であり、また当然だと思います。したがいまして、いま局長が申し述べました点で、まだ不備な点といいますか、まだ舌足らずの点もあったと思いますが、これらの点につきましては、われわれといたしましては、当然通達その他において、これを強くその中に含めて周知徹底をさせて、その実行を促す、こういうふうにいたしたい所存でございます。
#72
○松永忠二君 そうすると、こういうふうな把握のしかたでいいのですか。都市計画法の第十四条に、「都市計画は、建設省令で定めるところにより、総括図、計画図及び計画書によって表示するものとする。」と書いてある。したがって、都市計画の中には、市街地開発事業の施行区域というものが明確にされていて、その施行区域の中の住宅不足の著しい地域というものを明示をされている、この中に。そういうように把握をして差しつかえないですね。
#73
○政府委員(竹内藤男君) そのとおりでございます。
#74
○松永忠二君 じゃあ一つ、それはそういうことになれば、明確になってくるわけですから。
 そこで、もう少し進みまして、権利変換方式を実施をされていて、まあきょうもいろいろお話が出てきているわけですが、この権利変換方式という方式によって再開発をやっているのは外国の国にもあるのでしょうかどうか。
 それからもう一つ、これについては、建設省の中にある都市計画審議会とか、住宅対策審議会とか、宅地審議会などの答申を得ているものなのか、あるいは建議を得ているものなのかどうか、この辺をお尋ねいたしたい。
#75
○政府委員(竹内藤男君) 外国にあるかということでございますが、私どもはこの権利変換計画という手法を考えましたときに、区画整理のやり方をだいぶ頭に置いてやったわけであります。区画整理は、これはもちろん外国にも区画整理の方式はございます。ただ、再開発の手法としてこういう権利変換のやり方でやっているというのは、私どもは聞いておりませんので、外国じゃおそらくこういうやり方ではやってないんじゃないかと思います。
 それから、各種の審議会の意見をどういうふうに聞いたかということでございますが、実はこの法案は今度出し直ししたものでございまして、この前出しましたときには、それをかけるに適当な審議会が建設省にございませんでした。したがいまして、再開発法制研究会というものを都市計画協会の中につくっていただきまして、有泉亨先生が委員長になられまして、学者の方、実務家の方集まっていただきまして、三カ月にわたって委員会をやり、その報告書は活字になったものが出ておりますが、その報告書が土台になって法案の準備作業に入り、法制局を経て法案になった、こういうことでございます。ただ、今回出し直ししますについて、その後、中央都市計画審議会というのができましたもので、中央都市計画審議会におきまして、再開発法についてはどうなっているか、あるいは再開発法を早く策定すべきじゃないかというような委員会で御議論がございまして、この法案自体の了承を得たわけではございませんけれども、あらためてもう一ぺん出すということにつきまして、一応都市計画審議会の了承も得ているわけでございます。
#76
○松永忠二君 権利変換計画は外国にないからやって悪いということは、私はないと思うのです。それからまた、これが新機軸であって、これが成功するというような見通しだってないわけじゃない。だから、これを別に非難をしているわけじゃないけれども、諸外国でもやらない非常に新しい形式をもってやるということである以上、やはり何か都市計画審議会というのは、私も条文を読んでみたら、やはりこれには該当するのじゃないか、こういうものは。だからやはり建設省がこういう新しい手法に基づいて今後やっていこうというときには、そういう審議会の議も経てやられることが、今後成功不成功の場合にも責任の問題も明らかになってくる。こういう点で、私は時期はおくれたにしても、やはりこういうところの一応御意見なり、そういうものもやはりかけていくべき性質のものではないか。それでなければ都市計画審議会というのは私は意味が、ないと言うのじゃなくて、こういう重要なものこそそういうところへかけて、ぴちっと、別に法案全体の問題は別として、一番中核になるようなものについてそういう措置をしていくべきではないかというふうに私は考えて御質問したわけなんで、今後この点については抜かりのないような措置をされることが必要だと私は思うのです。
 そこでその次ですが、権利変換方式、まあいままでやったいわゆる市街地改造法なり防災建築街区の造成をやったけれども、こういう権利変換方式でやれば非常によかったというような実際の考え方を持っている地域があるのかどうか。この方式であれば非常にこれは効率的に行なわれたし、経済的にも非常によかったのだが、まだなかったものだからうまくいかなくて混乱したけれどもというような、そういう何か具体的事例をもってこの方式は適当であるというふうに考えておられるのか、そういう具体的なものを持ってこれを推進をされているのか。そういうものがあったらひとつ提出をして説明をしてもらいたい。
#77
○政府委員(竹内藤男君) いろいろあるわけでございますけれども、防災組合の一つの発展というふうに考えますと、やはりいままでのような任意組合でみんなが全員同意しなければ仕事が進まないという点に、防災のサイドからは、何とか一部の反対者があっても仕事が進められるようにしてくれという声は、前からずっとあったわけでございます。先ほど田中先生が参考人の方に申されておりました耐火建築促進法の時代からあったわけでございます。それが防災街区造成法にもその考え方が引き継がれておりまして、防災街区造成法では、公共団体に組合が委託する場合には三分の二の同意でいいという規定が、現在の防災街区にもめるのでございまして、公共団体施行ということと実質上同じ形になりますので、公共団体がなかなか引き受けない。そういうようなことで、まあ何とか多数の者の同意があれば事業が進められるようにしたいという点は、防災のほうから出ていたわけでございます。それから市街地改造法のサイドからは、やはり先ほど山田参考人の話にもございましたように、どうしても線的になってしまう、再開発が。といいますのは、道路管理者としての公共団体しかできないわけでございます。そういう意味で、もう少し面的な再開発をやるためには、どうしてもこれを広げていきたいという考え方があったわけでございます。それと同時に、従来は収用というやり方で市街地改造法はやったのであります。一応収用をしまして、あとで希望する者には床を与える、つまり床を与える債権をただ保証する。これでございますと、実際は建物が建ってしまわないと処分もできないというようなことがあったわけでございます。今度新しく建物そのものの権利を創設的に事前に与えるという方法をとって、それの登記は地上権の共有持ち分の登記をすれば、実体的には権利の換価譲渡ができるというふうにいたしましたので、事前に建物の処分権というものが持てるという形にしたわけでございます。権利交換で。さらには、従前は抵当権がついておりますと、抵当権者と話し合いをして抵当権者がうんと言わないと床がもらえない。そういたしますと、結局自分の資産を抵当権で実行されまして、また金を借りて店をつくるということができなくなってしまう、あるいはその建物に入るということができなくなってしまうというようなことがあった。その他争いのある権利の場合にも再入居が保証されないというような点は、やはり一ぺん収用してそしてほしい者には床を与える、債権を与えるというだけではそこが処理できなかったわけです。そこで権利というものが新しい権利に変わってしまう、事前に権利変換で、そういうような権利処分をすることによって抵当権の所有なり権利の所有なり、先ほど申し上げましたような建物の権利というものが強化されていく。したがいまして、市街地改造をやっておる立場から申しますと、一つは、公共団体しかできない。これじゃ実際問題としてやりたいところは一ぱいあるのだけれどもできないじゃないかということ、それから買収という手段を使うために、収用という手段を使うためになかなか仕事がやりにくい、こういう二つの意見が出てまいりましたので、こういう権利変換処分というようなことを新しくつくり上げたわけでございます。権利変換処分というこの方式そのものをやってくれという要望があったというよりは、むしろいま申し上げたような要請にこたえるために考えているうちに、こういう方法ならば可能だということになってきたというのが実態だと思います。
#78
○松永忠二君 そこで、市街地再開発の組合が施行区域内で再開発事業を行なう場合には三分の二以上の同意ということがあるのですね。地方公共団体、日本住宅公団が施行区域内に再開発事業を行なった場合には、こういう歯どめというのは全然ないのですか。
#79
○政府委員(竹内藤男君) ございませんで、法律上は全員反対でもできるということであります。
#80
○松永忠二君 それはどういうところに根拠があるのですか。まあ根拠はないと私は考えているわけじゃないのだが、どういうところに根拠があるのか。とにかく組合がやるときには三分の一以上が反対すればできないわけですね。ところが地方公共団体、日本住宅公団がやるときには全部が反対したって、やろうというならやれるということになるのだが、こういう一体歯どめというものは必要ないものなのか、これはどういうふうにそこの辺を考えているのかひとつ聞かしてください。
#81
○政府委員(竹内藤男君) これはやはり市街地再開発事業の施行が公共的な目的を遂行するための事業だ、という一つの公共性に裏づけられております。もう一つは、事業主体がやはり法的な収用権を与えるにふさわしい事業主体である、こういう二つの面から公共団体と公団がやります場合には、通常の公共事業をやりますと同じように強制権を与えたいというふうに考えられるわけでございます。そういうことでございますが、そういうことをいたしますためには、簡単にこれがどういうところでもできないように、収用と同じような構成要件を持ったいろいろな制限を付した場合にのみこの事業ができるという形態をとっておるのじゃないか、また、それに対しましていろいろな監督規定が働くようになっている。そういうような監督規定なり構成要件を厳格にすると同時に、この事業に公共性を認めて、事業主体が公的事業主体で通常ほかの事業についても収用権等持っている事業主体であるから、そこに強制権を認める、こういうふうに考えているわけでございます。
#82
○松永忠二君 ここが一つの問題の点であると思うのです。公共事業よりももう少し拡大された事業であって、しかもそれは全体が反対をしていてもこれは実施ができる、別に歯どめがそこにはない。そうすると、こういう人たちの意見というのはどこで消化をされていべき性質のものなのでしょうか。
#83
○政府委員(竹内藤男君) 権利者と申し上げたほうがよろしいのですが、権利者なりがいろいろどういうふうな形でその意見というものが聞かれていくかということになると思いますが、まず都市計画できめますので、都市計画決定の段階で一つ。その次は事業認可の段階で必ずこれは土地及び建物に対する権利者の意見を聞かなければならない、したがって、認可の段階で一つ、それから権利変換計画を立てますときにやはり意見を聞くことができる。それから従前の財産の価格について不服があります場合には、もちろん意見書も出しますけれども、収用委員会に対しまして補償の裁決申請を、値段についての判断を求めることができるわけです。それから、特別に組合につきましてはもちろん総会できまるわけでございますが、審査委員というものを置きまして、これは土地の権利及び評価に関する専門の学識経験者をもって充てますが、審査委員というものを置きまして権利変換計画、あるいは権利変換計画についての意見書の採否というような問題につきましては、審査委員の議決が要るという形になっております。それから、公共団体の場合には市街地再開発審査会というものを設ける。そこには先ほど申し上げました学識経験者のほかに権利者の代表もメンバーに加えまして、権利変換計画の作成、あるいは意見書の採否、その他、床を与えない決定というような問題につきましては、そういう人たちの同意がなければできないという仕組みになっております。それから当然先ほど申し上げました都市計画、事業計画、あるいは権利変換計画については行政庁の認可という行為がございまして、行政庁の認可でチェックするということにいたしておりますほかに、権利変換処分などの重要な処分につきましては不服審査を認めておりまして、さらに不服審査に不満な場合には出訴をすることもできるということにいたしております。そういうようないろんな段階におきまして、権利者の意見を聞く、あるいは監督官庁の認可を必要とするというような形で、権利者の保護をはかっておるところでございます。
#84
○松永忠二君 第十六条にも、意見書を出すけれども「ただし、都市計画において定められた事項については、この限りでない。」ということで、都市計画できめられたものについては意見書が出てもどうにもならないわけですね。だから結局都市計画をきめるときが一番のポイントになるわけですね。だから、都市計画中央審議会とか都市計画地方審議会で民意を反映しておかないと、それできまったものについては、意見書を出したって意見書はだめなんだ。あとどんなことをやろうとしたって、これはもう都市計画法に基づいてやるんだから、これはできないということになるので、この段階においてやはり十分に民意を反映をさせるということが非常に必要だ。まあ大臣にもひとつお聞きをしたいし、外国の例をあなた方もあげられているし、われわれも読んでみると、外国、アメリカあたりではいつやるとか、施行の方法なんというものはみんなにまかしておる。ただ、一つの場所をきめるというような問題については国のほうでタッチをしているけれども、それをいつどんな手法でやるかということは民意に基づいてやっていく、そういうふうなことも外国でもやられているようだけれども、組合の場合には三分の一以上がだめだということになれば、これはもうできないけれども、そのほかの場合には施行区域がきまってない。それを地方公共団体なり住宅公団がやろうと思えば、いろいろ手段方法はあるとしても、これは一部の問題であるということであるので、そういう段階でものがきまるんだということについて、十分やはり一般のものも承知をしておかなければいけないのではないか。よく地方では、都市計画の利用区域がきまると、図を示して、各戸一枚ずつ配ってくるわけなんですがね。再開発の地域の事業についても、相当やはりそういうふうな手段方法というものを講じておかないと、われわれのところがその中に入っちゃって、しかも無条件にやっても抵抗が何らできないということになると、これあとがんばるところは、反対をして居すわるという以外には、ほかは方法がないわけです。これが各地で紛糾しているものになるわけだし、公共施設とまた違う、いままでお話しの中に出たように、いろんな広いものを含んでいるものがある以上、ここの辺は非常に重要だと。民意をどの段階で十分に反映をさせるかということについて、特に大臣にもこの点については十分手抜かりのないように、そしてまた開発事業、再開発の施行区域がわれわれの町のどこにどうきめられているんだということを一般も知らないし、あるいはまたそれについて自分らの意見を反映することができないことのないような、ひとつ万全の措置をとってもらいたいと思うんですが、この点について大臣の御答弁をお願いします。
#85
○国務大臣(坪川信三君) 松永委員御指摘になりましたとおりに、民意を無視いたしまして、強権を持ってこれを遂行するというようなことは絶対に避けるべきでありまして、お説のとおりに、都市計画のそれの執行にあたりましては、御案内のごとく、それぞれの意見書を十分ひとつ縦覧せしめて、そして意見を聴取するということにも相なっておりますので、この点についての御指摘の点については、行政その他を通じまして、十分配慮をいたしまして、民意を尊重いたしてまいりたい覚悟でございます。
#86
○松永忠二君 権利の変換を希望しない者、要するに私たちがここではそういうことをやるのはいやだというような者、この者に対する保護規定というのはどこに規定されているか、第七十一条と九十一条と九十七条に規定をされているようです。権利変換を希望しないものに対する保護規定というものがあるわけですが、この中には生活保障という面については触れておらないわけでありますが、この点についてはどういうふうな考え方でこれに触れられないのか、この点はいかがですか。
#87
○政府委員(竹内藤男君) もともと権利変換処分といいますのは、従前の土地の利用状況に見合った床を、しかも価値的にも同じものを与えようということでございますので、端的に言えば計画的な現物補償の方式だとも言えるのではないか、現物ではいやだと言う方にお金で差し上げるということでございます。と同時に地区外に出ていきます場合に、失うこととなる土地建物についての補償のほかに、土地の明け渡しに伴う損失補償が九十七条に書いてございます。そういうものといたしまして移転補償でございますとか、動産の移転料、営業補償、移転雑費というようなものを受けることになります。生活権という中身にもいろいろあると思いますけれども、たとえば借家人が出ていくというような場合につきましても、借家権価額相当の補償がなされると同時に、先ほど申し上げましたような各種の移転料が支払われるということになります。現物補償ということがむしろたてまえであって、原則的に生活権保障の考え方というものではない、こういうふうに考えるわけです。
#88
○松永忠二君 まあ土地収用法のように、そこをとってしまうから、どっかへ行かないかね、だから立ちのき先を見つけたいという場合に、生活保障という面まで触れた補償が出てくるわけです。希望をすればそこのところに入れもするし、床ももらえると、そういうようなことだから、それを自分のあれでよそに出るということだから、自然幾ぶん土地収用法の公共施設の場合とはやや違っている、こういう御説明だと思うのです。一応全然同じものであるというふうに判断をするわけには少しいかぬ根拠もあると思うのですが、しかし、これは相当やはりこの点についてはきちっとしておかないと、特に前からも話が出ている民間の人たちの組合ができたりなんかしてやるという場合には、まあそのあと少し質問いたしますけれども、それが公的な役割りを持ち、公的に判断をされるような公正な価格のもので売買されるかどうか、補償というものはそんなにあるわけではないとぼくら思うので、こういう点について考えてみると、やはりそういう人たちのやるものについて不服だからといって出るという場合においては、もう三カ条の補償で十分なんだという考え方ではないと思うのです。やはり土地収用法とは違った性格があって、同一要求をすることも無理であるという点が考えられると同時に、土地収用法とは違っている仕事自身あるいはやる人自身の問題から、より以上考慮しなければできない面があるから相殺をすると同じことだということになる、こういう点については、これで満足だというわけには私はいかぬと思うのです。だから条文を直ちにどうこういうのは、具体的にどうこういうことで考える方法もあるかもしれないけれども、こうした面の問題について十分な措置ができるように、やはり行政的な措置というものがなされないと、さっきの話ではないが、これが訴訟にも結びついてくるし、いろいろな問題が結びついてくると思うのです。私も全然同じでなければできないものではないと思う。同時に逆な意味で、もっと優遇されなければならない面もあるので、この点もからみ合わせてみると、これで十分だということは言えないのではないかという気持ちもするわけです。だからそういう点について、なおこの三つの条文実施にあたって、行政的措置については十分な配意なり措置がなされなければできない。この点については何か明確にはっきりとお答えをいただきたいと思います。
#89
○政府委員(竹内藤男君) 従前の権利なり新しい床の権利につきましても、評価の問題でございますので、その評価につきましては、先ほど来申し上げておりますように、審査委員なり審査委員会を置くと同時に、従前の評価につきましては収用委員会の裁決まで仰げるというしかたにいたしまして、組合がやる場合におきましても、当然まあ監督官庁の認可もあるわけでございますから、組合がやる場合におきましても、評価が変なかっこうになるということにならないような法律的な制度にはしてあるつもりでございます。それは先ほどのお話に関連して申し上げたのでございますが、先ほど来お話にございました問題につきましては、この法律がむしろ計画的な現物補償的な性格のものである。おっしゃいますように特別なものでございますので、もっと完全な補償をなすべきであるというのは同感でございますが、私どもはもし床がどうしても小さいという場合については、多少、床の規定によりまして増し床をしたい。借家人がそれに該当いたしました場合でも増し床をしたい。増し床の分は当然金銭補償になりますが、金銭補償の場合には割賦払いを認めるなりあるいは住宅であれば住宅金融公庫の特別貸し付けを認めるなりして、それで増し床分の費用の償還が容易にできるような処置は講じていきたい。なお、どうしても外に出ていかなければならないという方で、借家人等でなかなか建物が借りられないというような方に対しましては、要件に該当いたします限り公営住宅に対します優先入居の取り扱い、あるいは公庫の融資住宅に対します優先入居なり特別の貸し付けなりというようなことを、これは住宅局とも打ち合わせましてやってまいりたい。こういうふうに考えているわけでございまして、先生おっしゃいますように、どうしても出なければならないという立場の方もあると思いますので、そういう方々に対します補償につきまして、遺憾のないようにしていきたい。さらに先ほども申し上げておるような特別措置をあわせてとってまいりたい、こういうふうに考えております。
#90
○松永忠二君 住宅局長も見えておりますけれども、いま都市局長が言ったようなことは住宅局長も承知されているのかどうか。それから御答弁いただかなくてもいいけれども、中に入ってる者のことを言ってるのじゃなくて外に出る者について、やはり収用法よりも低くてもいいじゃないかという理由もあるけれども、同時にまあ収用法よりももう少しめんどうを見てもらわなければいけないという理由もあるわけです。結局片方が生活補償までされているのだからその平等を十分措置として考えていくべきだということを一つ主張しているわけです。それをひとつやってもらわなければいかんのですが、いまの住宅の優先的な入居とかそういう問題については、住宅局長どうですか。
#91
○政府委員(大津留温君) この市街地再開発事業に伴いまして他に転出を余儀なくされる方々に対しましては、公営住宅におきましては特定入居ということで、御希望があれば全部受け入れます。また公団なり公庫の賃貸住宅あるいは分譲住宅におきましても優先的な扱いをいたしたいと考えております。また住宅金融公庫が個人貸し付けをいたします際には、そういう方々には特別貸し付けと称しまして優先的に土地費用を添えましてお貸ししようということにいたしております。
#92
○松永忠二君 それじゃもう少し別な面ですけれども、この再開発法の目的というところを読んでみると、「土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、」というようなことが出ているわけなんです。これはわれわれの認識が間違っておるのかもしれんけれども、われわれは非常にこの再開発法という法律を、広範な非常に重要性を持っている法律だという認識を持ってきたわけで、この法律はいま御説明あったように、都市計画法の一部の都市開発事業を実施をする法律だということにもなっているわけですね。しかし都市開発事業というのは、都市計画と一体的に行なわなければならないということになっているので、そういう意味で、一体性とか、総合性というものが要求されているように思うわけなんですが、そこでこういうふうな目的が、再開発の必要なところに必ず実施をされていくという、しかも優先的に必要なところが先に実施をされていくという保証は一体どこにあるのか。そのどうしても最初に説明したように、再開発を都市計画の上からどうしてもやらなければいけないというようなところ、そこをまず最優先的に行なっていかなければならない筋合いのものであるけれども、一体、この法律の中から、それが最優先的に行なわれる保証があるかどうかということであります。これは人によるとこういうふうなことを言うわけですね。商店街が、たとえば再開発の関係の組合をつくるとすれば、むしろ商店街はあまり売れないところがやるのじゃないか。つまり公共的な施設を導入することによって、この地域のいわゆる活動が、非常に何というのですか、活発化するようなところが、むしろ実施をされる。それで現に非常に活発に活動が行なわれている商店街は、こういうことによってむしろ自分の資金的な面でもいろいろ提供もしなければならないし、負担もかかるので、こんなものはやることを望まない。実はやらなければいけないところがやれないで、まあそのままにしておいたっていいようなところが、まず先に手をつけられていくというような感じがするわけなんですけれども、この法律によって再開発の必要なところがまず優先的に取り上げられていくのかというような、こういう保証というようなものはどういうふうに考えていったらい
 いんですか。
#93
○政府委員(竹内藤男君) 先生おっしゃいましたように、商店街の近代化と申しますか、改造というようなものは、確かにほかの商店街と比べてだんだん繁盛しなくなってきたというところに再開発の機運が高いというようなことは、私ども聞いているわけです。それはよく考えてみますと、やはりその商店街の中に道路も狭い、あるいはオープンスペースもない、環境も悪い、危険だ、楽しいショッピングができないというような面がございまして、やはり個々の商店の改造だけではだめだ、やはり商店街全体を改造していかなければ繁栄できないという機運が起こって、そういうところに再開発の機運が盛り上がってくるのだろう、実際最近の実態はそういうふうになっているというふうにいわれておるわけです。したがいまして、そういうところは都市計画的な観点からいたしましても、やはり改造を要するような地域、むしろ改造を要するような地域、そういうふうに考えているわけでございますが、先生御指摘の優先的に行なわれなければならないというところが、この法律でどこで保証されているのかということでございますが、この法律はある意味では手続法でございますので、実際にどこを再開発計画として都市計画で指定するかというその都市ごとの具体的な都市計画の判断によって、都市計画区域がきまってくる。その場合に、ここをまずやらなければいかんというわけで、都市計画の決定という形できまってくるのでございます。この法律でここまではできるけれども、そのうちここだけは特に優先的にやるべきだというような規定はないわけでございます。そういう意味じゃ、法律にはそういう保証はないわけでございます。
#94
○松永忠二君 私は、やはり再開発というのは当面のどうしてもやらなきゃできない、都市機能の更新の意味でやらにゃいかぬところだ。したがって、国なり地方としても調査が行なわれていて、そしてこの地域でとにかく始めてもらいたいというところを組合をつくってやるか、あるいはそれをやらなければ国、地方公共団体が手をつける。こういうようなところをやっぱり優先的にやっていかないと、自分らがここをやりたいからといってそこをやられる。そうするとそこの公共施設というものは、予算もみんなそっちへ取られていってしまって、言うとおり一年や二年でできるものじゃないから、予算をどんどんそこへ取られてしまって、実はもっと必要なところが再開発ができないということになると思うんですね。だから何かやはりそういう点について、必要なところが優先的に取り上げられて再開発ができるということでなければできない。こういう点について、やはり法律的な配意というものもなきゃできぬと思うし、これで言うと、結果的には、あんたのところはそういうことはできるかもしれぬけれども、ここよりこっちのほうが大事なんであって、ここは組合でやってもらわなきゃ国のほうでやる。まずそこを市としては、当面この地方公共団体がやらにゃできない。そういうような優先的に必要なところへまず金が投入されて再開発ができる。こういう保証がなければ、ただ手続法なんであって、これに基づいて手続をしたものが先に再開発ができる。それでもやればいいんだというのでは、さっきも話があって、かえって都市開発が、都市計画が混乱してしまうという話があった。そういう見方だって全然不当ではないと思う。そういう点については、どういう一体、何というんですか、計画性、推進というものがあるのかということが一つ。もう一つあわせて住宅局長のほうにもお聞きしたいんですが、住宅不足の著しい地域が再開発事業として取り上げられるだろうかということです。これまたむしろこれは敬遠してしまう。こんなところは、住宅不足の地域なんというのは敬遠をしてしまうということになりませんか。しかし、再開発法というものをつくろうとした一つの理由の重要な中には、都心におけるいわゆる人口収容力の減少という問題があったわけであります。これが使われれば、いわゆる前から話の出ている職住近接というものもできるんだ。このためには少しぐらい無理をしなきゃできないんだというふうに聞いたわけです。ところが、はたしてそれじゃ住宅不足の著しい地域が再開発事業としてまず取り上げられるだろうかどうか、ということについては実は保証もないし、その見通しも非常に困難だ。ただこのままにしておくわけにいかぬのじゃないかということを、われわれ感ずるわけなんですよ。ただこの法律で手続をしてくればやるというのではなくて、どこかにやはりこの計画性と重要性をもってまず行なわなければできないところはどこなのか。われわれも東京都の中ではこことこことここなんだ、静岡の市ではまずここが一番先にやらなければいけないんだというようにやらなければできぬと思うのですけれども、こういう点については、どういう一体考え方でこれを実施をしていくのか、実現をしていくのか、お二人からひとつ聞かしてもらいたいと思うのですがね。
#95
○政府委員(竹内藤男君) どこを優先的に、どういう地区を優先的にやるべきかということは、私どもの指導通達で明らかにしたいと思います。またこれにつきましては、補助金その他もございますので、私どもの指導という面において、どういう地区を優先的にやるべきかということは明らかにする。さらに先生おっしゃいましたように、各都市ごとに、どこについてまっ先に取り上げるというようなことは、都市計画の指導といたしまして、各都市ごとに先ほど申し上げましたような市街化区域設定後におきまする方針の決定の際に明らかにしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#96
○政府委員(大津留温君) 現在のわが国の各都市におきましては、大都市はもちろんでございますが、住宅不足が相当著しゅうございます。したがいまして、その都市部におきましては、この住宅が乗るのにふさわしい地域であれば、これはもう積極的に住宅を乗せる再開発事業を行なっていただきたいと思っております。
 この住宅の不足する都市部に住宅を供給する方法はいろいろございまして、御承知のように都市計画によります一団地住宅経営という手法もございます。またそういう法的な特別の裏づけのない、いわゆる面開発方式とか、市街地住宅方式というふうに申しておりますが、工場あと地等を都市開発資金で確保したところを買収して、そこに高層住宅を建てるというような方式もございます。そういう都市再開発事業というのは、そういう住宅を供給する一つの手段、手法であろうかと思います。そういういろいろな手法、手段を、その地域に適した方法をもちまして、住宅をできるだけ供給するように持っていきたい。したがいまして、その都市市街地再開発事業だけでどうこうということでなく、住宅の供給という計画の中の一つの手段である、というふうに私どもとしては考えていきたいというふうに思うわけでございます。
#97
○松永忠二君 そうすると、住宅局のほうでは、住宅不足の著しい地域の再開発というものを十分にひとつ取り上げていくという点についての措置を地方が積極的に行なうように指導をし、あるいは便宜をはかっていく、そういう決意なんですか。
#98
○政府委員(大津留温君) 部市局のほうで都市計画として市街地再開発事業を決定される場合には、そういうような御方針でやっていただくというふうに伺っております。
#99
○松永忠二君 伺うじゃなくて、あなたのほうが積極的に地方へも、こういう不足のところをやりなさい、そうすれば協力もしよう、そういうことを積極的にやるのかどうか。
#100
○政府委員(大津留温君) 住宅サイドといたしましては、そういう再開発事業にタイアップいたしまして、住宅の建設を扱います機関、すなわち公団にしましても、あるいは公共団体、公社にいたしましても、そういう際には積極的にその事業に協力いたしまして、住宅をそこに乗せるという計画にまず参画いたしまして、それにふさわしければそういう公営なり公団住宅を乗せる、そういうことを積極的にやってまいりたいと考えております。
#101
○松永忠二君 そこで、こういう再開発で人口が、一体収容力がどれだけ都心にふえるだろうか、いやふえないんだと、なぜなら日本の都心は道路の面積も、道路の幅も非常に狭い、それからまた公共の施設も非常に少ないし、住宅の坪数も非常に狭い。だからそういうところで健全な高度利用というのをやるようになれば、結局は十分な道路、十分な公共施設をとるということになれば、むしろ土地収容力というのはふえるということは言えないじゃないか、というような意見を言う人もあるんですね。それからまたわれわれは常識的に、たとえば東京都の二十三区は一・六階だ、だから非常に階層が低いからもっと高くして人をたくさん入れなければいけないじゃないかということを、もういま日本の国の、いわゆる東京の二十三区はいまだって人口密度は非常に高いんだと。むしろ世界の国に比べてみて非常に高いほうなんであって、それをなお以上に高くするということは、結果的には、自動車の台数をふやしたり何かして公害を引き起こすことになってしまうじゃないか。そういうことよりはむしろ、要するに郊外に魅力のある新市街地、ニュータウンのようなものをつくるということのほうが先じゃないかというような議論を言う人もあるわけですよね。一体住宅局長は、再開発事業が進めば、再開発によって人口収容力というのは相当増加をしていくというような見通しを持っておられるのか。あるいはまた、日本の大都市においてそういうふうな収容力をこういう程度に増加をさせていきたいというような、そういう計画を持っておられるのか。この点をひとつ住宅局長のほうから聞かしてもらいたいし、また、いま申しましたような意見について批判があるということであれば、これはまた都市局長のほうでその意見を聞かしてもらいたいと思うんです。
#102
○政府委員(大津留温君) たとえば、東京なら東京のような都市全体の建築構成といいますか、人口収容の御計画は、都市局のほうが御専門でございますから都市局長からお答えいただくといたしまして、ただいま先生御指摘のように、やはり住宅を建設いたしますには、この住環境というものがよくなければ、ただ数がふえればいいというわけにはまいりません。したがいまして、現在非常に密度の高い低層住宅が集まっておるようなところにおきましては、これを再開発いたしましたからといって、にわかには収容力が増すというわけにはいくまいかと思いますし、また、そういうふうに多くを詰め込みますと、悪い環境になりますので好ましくございません。しかしながら、東京なら東京全体を見てみますと、まだ再開発によりまして人口を収容する余地は相当あるじゃないかというふうに私どもは見ております。したがいまして、そういう良好な環境を維持しながら住宅を供給して人口の収容力を増すという余地は、まだ大いに残されているんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#103
○政府委員(竹内藤男君) 東京都区部の現在の人口密度はヘクタール百五十人、御承知のように、豊島区全体でヘクタール三百人。かりに二百万人人口を入れたといたしますと、平均いたしましてヘクタール百九十人。こういうグロスの数字だけでは議論できないと思いますが、普通、赤羽のあたりがそうだと思いますけれども、公団の既成市街地の中におけるような団地でございますとヘクタール百人ぐらいで、高層化いたしますと、かなり空地をとった団地でヘクタール千人ぐらいの収容をいたしておるわけでございます。したがいまして、環境をよくするということは当然でございますけれども、それと同時に、くふうによりましてかなりの人口収容力を持つことは可能じゃないか。ただ、現在の傾向は、どちらかというと外側に向かっている。外側に向かっているというのは、ほかの社会的な条件がございます。したがいまして私といたしましては、相当急激な人口集中があります地区におきまして、再開発だけで人口吸収していくということはなかなかむずかしいのじゃないか。したがいまして当面はやはり郊外の団地開発というものに相当力を入れていかなければならない。それと同時に、内部につきましては私がここで申し上げておりますように、やはり計画的な再開発の手法を定めまして、そして再開発によっても、ある程度住宅を供給することができるという体制をつくっておくことが、現在一番必要なことではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#104
○松永忠二君 大臣にもお聞きいたしますが、何か非常にこれをやればすぐ効果があがってくるという筋合いのものではないというふうに思うのですね。なかなかいろいろな問題があるということだと思うのですよ。たとえば新橋のところの再開発では坪二百万かかっているというのですね。そうすると、ああいうところに高層の高度利用をやってみても金のわりあいに効果がないのじゃないかという、まあ収容力という意味の話ですが、そういうふうなことを言われている人もあるわけです。それからまたこの前のときにちょっと話を聞いてみたら、いや都心ではなくて、都心の周辺のところにそういう再開発をするということを局長は言うけれども、そこをやれば結果的には交通をつけなければならないから、そっちの金のほうがよけいかかるのだという説をする人もある。だから再開発の手法によって、都市問題、あるいは人口、住宅問題の関連を中心としての問題だけれども、開発したほうがいいのか。それともむしろ郊外における新市街地をつくるほうが経済的なのかということについては、いろいろ議論をされているわけです。いま住宅局長も言うように、都心に再開発をやったからと言って、直ちにそれが人口収容の力を発揮するとは考えられない。ただしかし今度は別の意味で、都市の別の機能を回復するという意味では、それはそういうところに金をかけてやる必要性というものもあるというわけですね。したがって、いろいろ人によってはあまり知られてないようなところを住居を中心にして改造するなら、むしろそういうところに集中的に金を使ってやったほうが合理的じゃないか。そういうようなことを言う人もあるわけなんで、だから再開発というものができれば、これはもう何もかもうまく解決をしていくという筋合いではないように私たちも思う。しかしいま日本の国の都市の中で再開発の必要性もお互いよくわかっているし、効果ある再開発をやっていかなきゃできない。これについては相当の金も使っていかなきゃいけないということになると、どういうやり方を効果的にやっていくかというところに考えていくべき問題がある。そうなってくると、さっきの話に戻るのですけれども、やはり必要なところに必要な金を――そうむやみやたらにたくさん金があるわけではないのだから、投入をしていくというような点で、相当やはり計画性と指導性を発揮して使っていく。ある都市については駅前の問題を取り上げ、ある地域についてはむしろ不良住宅地区に集中的な努力を払うというようなそういうことをやっていかないと、この言うとおり意欲があっても、いやこれはもう長いものなんで、そんなにあくせくしたってしようがないのだ、やれるところからやっていきなさいよというようなことでは、われわれはちょっとそれでは期待に沿わないのじゃないかという感じもするので、こういう点について、これがすべて効果を発揮するものではないし、しかしながら効果を発揮させるためにどういう措置をしていかなければできぬかということについて、十分なひとつ研究、努力をして、重点的に選択をしてもらっていくことが必要だと思うのですが、まあ別に御意見を聞くまでのこともないと思うのですが、特にこの点についてひとつ十分建設省側の意思を統一をしてもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
#105
○国務大臣(坪川信三君) 松永委員が現在の都市化の現況を憂えられ、また将来に対する都市対策に対する腐心をされております御意見、私も深くいま傾聴いたしておる次第でございます。私自身も松永先生と同様な気持ちで、ほんとうに表現以上の大げさな表現で言いまするならば、実際悩んでいるといいますか、ほんとうにこの病める現象の都市化に対してどう打ち立てなければならぬかと、いまお話しになりましたように、都市の中心部の空洞化というこの姿、しかもその空洞化が単なる文化あるいは香り高い芸術その他の学究等の施設によって空洞化された好ましい姿の空洞化ならば、まだわれわれといたしましては喜ぶ大きな一面もございますけれども、それにも欠けている。そうしたことから泰明小学校とかあるいは永田町の小学校の生徒が減っていく、また付近の中学校の就学学童の生徒数が減っているというこのきびしい現象を思うときに、私はこの法案の御制定をいただきましたことによって、いま先生もおっしゃったように即効薬、万能薬とは考えておりませんけれども、この間来ましたイギリスのあの都市問題の非常な研究家であった、東京都に招聘されて来られたあの人の意見なども、間接的に聞いたりあるいは新聞で散見している意見などを聞いてみますと、やはり東京の中心部の空洞化を非常に憂えられ、また指摘されている。そしてまた秩序なき郊外、郊外周辺の無秩序なスプロール化のこの現象を憂えられておる。これを私はほんとうに深く警鐘をわれわれに打たれたような気持ちで聞きもし、読んでもいるわけでございます。そうしたことを考えますならば、私は計画的に総合的に予算上も行政上も配慮いたしながら、いわゆる重点的な施策によってこれらの都市化の不幸を避けていきたい。それの大きな手段として、方法として、この都市再開発法の制定を願いたい。そして都市計画法の施行と相まって、私は政府といたしましては責任持ってこれらの大きな苦しみに対応するだけの真剣さといいますか、まじめさといいますか、使命感というものをさらに持って、建設省のわれわれ一同は、この都市化の対策に傾注しなければならぬと、こういうような気持ちを持っておりますので、御指摘になりました点は、私は全く同じ意見であります。とともに、将来の大きな目標に向かってのアイディアをわれわれこうした面からひとつ打ち立てながら、いまの中心部あるいは副都心部の現象あるいは郊外地の問題等にも取り組んでまいりたい、こういうふうな熱意で、ひとつみなさまの御信頼にこたえるだけの責任ある政治をやってまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
#106
○松永忠二君 そこで財政的な問題ですが、百二十一条に公共の施設について、管理者に対して「全部又は一部を負担することを求めることができる。」というふうに書いてあるわけですね。そして第二項には「その者が負担すべき費用の額を事業計画において定めておかなければならない。」というようなことも出ているので、一番初めにも少し話が出たんですが、この関係の公共事業というのは別ワクにすべきではないかと思うのですね。だから、こういう予算について、特に予算の公共事業について何か別個のワクをつくって計画的に実施をし、予算を公共施設の十分できるように予算化をしていくという、そういう予定なのかどうか、その辺をお尋ねしたい。
#107
○政府委員(竹内藤男君) 別ワクにいたしまして公共施設管理者負担金の補助金を確保してまいりたい、こういうふうに考えております。
#108
○松永忠二君 それから第百二十二条のほうに「地方公共団体は、組合に対して、市街地再開発事業に要する費用の一部を補助することができる。」ということが出ておるわけです。これはどういう内容を考えているのか。従来何かやっぱり、設計だけの費用をそのまあ不燃化の場合に考えているようだが、もっと積極的な助成というものを、補助を考えていくべきではないかと思うし、地方公共団体が組合に対して費用の一部を補助するということはどういう内容を持っているのか、またこれはどういうようにしてはっきりさせていくのか、これをひとつお聞かせをいただきたいと思う。
#109
○政府委員(竹内藤男君) 現在、防災街区造成の補助金というのがございます。少なくとも私どもは、組合に対しまして防災建築街区造成の補助金と同じような補助金は確保してまいりたいと考えております。内容といたしましては、計画を作成いたします費用の補助、街区の整備計画を作成いたしますための補助、それから事業計画を作成しますための補助、それから建築設計費につきましての補助、建物の除却費につきましての補助、それから共同の付帯施設整備費につきましての補助、それから仮設店舗設置設備費に対します補助、その他付帯設備費というふうなものが、大体大まかに申しますと建物の延べ坪当たり約三千円ぐらいの補助が現在出ておるわけでございます。このうち半分が国庫補助金、他の半分が地方公共団体の補助金になっております。そういうような補助を現在いたしておりますが、それは市街地再開発組合につきましても引き継いで補助をしてまいりたい、こういうふうに考えております。さらに、実際、先ほどあげました項目が一〇〇%補助されるわけではございませんので、この内容の充実をはかりまして、いわゆるクリアランスにかかります費用というのは土地と建物の費用以外にかかるわけでございますので、この費用の軽減を補助によってはかっていきたい、そういうような予算要求を今後してまいりたい、こういうように考えているわけでございます。
#110
○松永忠二君 国のほうが地方公共団体に対して施行する場合の補助、それから地方公共団体が組合に対して補助したものに対しての費用の一部補助というのは何分の幾つというふうに考えておりますか。
#111
○政府委員(竹内藤男君) 公共団体が組合に補助したものの半分を国が補助するということでございまして、端的に申しますと三分の一ずつ――三分の二を補助して、そのうちの三分の一、三分の一を国と地方公共団体が持つ、残りの三分の一は組合自体が持つ、こういうかっこうになっております。
#112
○松永忠二君 地方公共団体に対しては何分の幾つですか。
#113
○政府委員(竹内藤男君) 公共団体に対しましては二分の一でございます。
#114
○松永忠二君 それから第百二十三条に資金の融通等が出ているわけです。国、地方公共団体は施行者に資金の融通またはあっせんその他の援助を行なうと、こう書いてありますけれども、一体、国、地方公共団体がどういうふうな金をどういうふうな方法で援助をするように考えているのか。その他の援助というのは、一体どういうことを具体的に考えているのか。これはわれわれは、相当やっぱりこういう面については積極性を持っていかなければだめだと思うわけです、これは。そういう面で聞いているわけなんですが、地方公共団体は一体どこの金を使っていくのか。例の都市開発資金融通特別会計というのがあるわけですが、これはことしは七十億ばかりを考えている。これとの関係はどういうようになるのか。あるいは開発銀行だとか、そういうような銀行あるいはそういうふうな金融機関についてどういうように考えているのか。この点をひとつ具体的に考えていることがあれば聞かしてもらいたいと思います。
#115
○政府委員(竹内藤男君) 地方公共団体が施行者になります場合には、これは起債になると思います、地方債。それから組合に対しましては住宅金融公庫による貸し付け、特に中高層融資というのがございます。この中ではその事業を優先的に取り扱う予定でございます。それから商店街等の改造でございますと、中小企業振興事業団、これの融資、それから非常にまだ確定はいたしておりませんけれども、私どもといたしましては開発銀行の融資ということも考えてまいりたいと思っておるわけでございます。それ以外に、それぞれの目的によりまして中小企業金融公庫でございますとか、あるいは商工組合の中央倉庫というようなものが考えられると思います。
#116
○松永忠二君 一体資金ワクというのはどのくらいに考えているのか。このくらいの資金ワクは確保したいというふうに考えているのかどうか。それからもう一つは、本年度民間の組合はそういうものをやらぬとしても、地方公共団体はやるということになっておるんだろうが、まあ少し出ておりますけれども、これについての公共事業に対する一体予算というのは幾らあるのか。土地対策として千六百九十八億という金があるようだけれども、この中のどの程度の金額を一体予定して、本年度法律が通れば実施をしていきたいと考えておるのか。まあ少なくともこれから資金ワクはこの程度、予算額はこの程度を目標にして努力をしていきたい、こういうようなものがあるならそれをひとつ聞かしていただきたい。
#117
○政府委員(竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、組合施行は四十四年度は予定いたしておりませんが、住宅金融公庫の中高層融資、これは四十四年度の予算総額で申しますと二百三十七億でございます。それから中小企業振興事業団、中身が二つございますが、商店街近代化資金というのはいろいろなものが入っておりますが、店舗共同化資金、工場等共同化資金等を含めまして二百十八億、それからそれ以外に中小企業、商工組合の中央金庫の融資というようなものもあるわけでございます。私どもといたしましては、こういうような政府関係の金融機関の資金を確保いたしまして、四十五年度以降組合の事業をやらしてまいりたい、こう思っております。それから四十四年度に取り上げます四地区の予算でございますが、四地区につきましては総事業費が七百五十五億でございます。そのうち公共施設管理者負担金が二百二十億の予定でございます。今年度四十四年度はこの法律が通りましてから、いろんな手続を経て事業にかかるわけでございまするので、調査、設計費といたしまして一億一千七百万円の事業費に対しまして国費七千八百万円を計上しております。
#118
○松永忠二君 このほかに、この法律では技術的な援助の請求もできることになっているでしょう。国税、地方税についての特典も含められているわけですね。そこでお聞きをするのは、さっき参考人の中で、こういう意見が淺田さんからあったわけです。節度のある利潤が必要ではないかと、これだけいま言うとおり財政的なめんどうも見る、融資の面でも協力をする、技術的な援助もする、税の上でも恩典をするということになれば、でき上がった、残ったあとの地上権であるとか、あるいは処分の床のようなものについても、ただ野放図にかってに価額をつけて、かってにやらせてもいいという筋合いではないというように私たちは思う。何かそこに、そうかといってあまり規制を強くして、それに意欲を感じさせないということではまずいけれども、そういう一つの必要以上な節度のない利潤を追求して、あとのところを非常に高い値段で売ることによって、むしろそういうふうな価格の引き上げに貢献をしてしまうというようなことではまずいと思うんですが、何かこの法律の中にはそういうような歯どめのような条項はないんですか。それから、もう一つ。これも淺田さんも言われているし、きょうの参考人の篠塚氏も言っているのは、公共的な面をひとつ考えてみるというと、参加組合と地場の組合員との格差というようなものについての均衡を得ていくということについての配意も必要だというようなことも言われておったんですが、この特に最初むやみやたらな、かってな処分をすればいいんだというような筋合いではないんだと思うんだが、この組合のその処分のしかたについては何かやはり規制、ブレーキがかかれておるのか。あるいはまたさっき話の出ている参加組合と地場の組合員が、この前話した、一票ずつだから権利は分けられて同じようになっているんだから、そこでという話があったが、それ以外には規制のものはないのか、この二つの点をお尋ねいたします。
#119
○政府委員(竹内藤男君) 施行者が取得した建築物の処分の問題でございますが、この法律では百八条でございまして、「原則として、公募により賃貸し、又は譲渡しなければならない。」ということと、この場合において、賃貸または譲渡後の建物が再開発事業の目的に適合して利用されるように十分配慮しなければならないという規定がございますが、処分価額については法律上制限をいたしておりません。多くの場合は、再開発事業によって行なわれます建物が、なかなか従前の建物を除却いたしましたり、取りこわしたり、あるいは施設整備をしたりするために相当費用がかかりますので、むしろ補助金が必要だ、むしろそういうために先ほど来申し上げておりますような防災街区のような補助金が必要だというのが実態でございます。したがいまして、開発利益というものが相当上がってくる場合には、確かにおつりがくるということが出てくるかと思いますけれども、現在のように既成市街地の中で地価が相当上がり切っているという状況のもとでは、なかなかそう大幅な開発利益は出てこないんじゃないかというような考え方を持っております。したがいまして組合が処分床を売りますときの処分の価額につきましてはこれを制限してないわけでございます。先ほど参考人が言われましたのは、むしろ参加組合員が利潤を得る問題でございます。参加組合員を入れますのは、組合のむしろ資金融通を容易にさせる。この法律で参加組合員になりますと、負担金を組合に納めなければなりません。負担金は公法上の債権として強制徴収ができるような規定になっております。そういうような形であらかじめ先に売ってしまうという処分床の処分をやりますのをあらかじめやっておこうというのが、参加組合員の制度でございますので、買いました参加組合員がさらにそれを処分いたしますときに価額制限するということは考えてないわけでございます。
 それから参加組合員と地場の組合員との問題でございますが、前に申し上げましたように、あくまでも参加組合員は一票でございます。そういうことと、それから定款で定めるその定款はその地場の組合員になる権利者の同意がなければその定款は認められない、三分の二以上の同意を得なければ認められない。それから組合の議事の進行すべて各組合員の頭数できめるようになっておりますので、広い面積を持っているからといって、その人が余分に票決を持つということはございません。そういう考え方でやっておりますので、決して参加組合員が地場の組合員を押えつけて仕事をするということがないように保証をしておるわけでございます。
#120
○松永忠二君 これは、残った処分地上権とか処分の床とかいうものがあるわけですね。清算やいろいろな段階、やはり経理の報告とか、そういうような義務はあるのですか。
#121
○政府委員(竹内藤男君) これは二十七条の五項でございます。二十三ページ。「事業年度ごとに事業報告書、収支決算書及び財産目録を作成し、監事の意見書を添えて、これを通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。」
#122
○松永忠二君 これは総会なの。
#123
○政府委員(竹内藤男君) はい。それから会計につきましては監督規定がございまして、百二十五条におきまして「(組合に対する監督)」というのがございます。「都道府県知事は、」「必要があるときは、その組合の事業又は会計の状況を検査することができる。」検査をいたしましてその是正措置を百二十五条の三項以下で命ずることができるようになっております。
#124
○松永忠二君 私はこの点については、相当きちっとしておく必要があると思います。いま話が出ているように、今度は組合に対しての費用の国庫補助のワクを多くしようということを考えている。あるいは資金融通についても相当大幅なことを考えている。しかも技術的な援助もすれば、国税、地方税における優遇措置もしてある。そうである以上は、少なくとも非常な不当な利益をむさぼって処分をするということは、これは、それをすぐ何かで、条文で規制をするということじゃないにしても、その経理が常に報告をされて、それによって監督をしていくということでなければ、前から少し話が出ているんだが、民間の業者といえどもただ奉仕をするために入ってくるわけじゃないのです。当然利益があるということで入ってくるわけです。だから、妥当な利益を得ることも必要であるし、またそれが公共的な福祉につながっている以上、国が協力をするということも当然なことである。そういう面で事業を拡大をしていきたいということが今度の新しい一つの考え方であって、外国でもやっていることを日本もそれを実行していきたいということであるわけだけれども、それだけに、やはりそういう面についてのいわゆる規制、調査は、どんな実情にあって、今後その点についてどういうふうな欠陥が出てきたときには――こういう場合も考えておかなければできないのだというような、こういう考え方はやはり常に持ってやっていってもらわなければできぬと思うわけです。住宅局長出ておられますが、住宅金融公庫が宅地造成について民間に宅地造成費を貸与して造成事業をやらせるということで、まあ二年ばかり前百万坪ばかりを割り当てをしたけれども、融資を受けたあとの条件が非常に過酷な点もあるので、とてもじゃないがそれを融資をしてもらってもその宅地造成ができないというような点で残ってきた。今度何か話によると新所澤という会社はその百万坪の問題について融資を受けてやるというような話もあってきて、これはひどい規制があることによって、せっかくの法律が効果なく働くということは十分慎まなければできないが、同時に公共性に名をかりて利益をむさぼっていくという点については、何らかそこにチェックして働きができるように――いや、処分する価額は全然われわれはタッチはできないのだということじゃなしに、やはりその実情を明確にして、必要があれば今後それを規制をするような措置もできるというようなことにしていかなければできないのじゃないか。これは特に今度の再開発法に民間の業者が出て、しかも住宅産業はこれからの産業として大きな資本は相当な努力をし、仕事を始めている段階であるので、特にそういう点について十分な配意をしていってもらわなければできないというふうに考えるわけなんです。最後にそういう点についてひとつ局長と大臣のその点についてのお考えを聞いて、私の質問を終わります。
#125
○政府委員(竹内藤男君) 百二十四条の一項におきまして、認可権者である都道府県知事が報告または資料の提出を求める規定がございますので、先生おっしゃいましたように、特に会計等の報告につきましては、きちっとこれによって組合が認可権者に報告をするような措置をとるように指導してまいりたいと思います。おっしゃいましたような点につきまして、指導、通達その他におきましてそういうことの起こらないような措置をやってまいりたい、こういうふうに考えております。
#126
○国務大臣(坪川信三君) いま局長も申しましたごとく、非常にこまかいようであって非常に大事な問題でございます。したがいましてこれらの措置、また行政指導につきましては細心の留意をいたしまして、これらの点について最大の配慮をいたしてまいりたいと、こう考えておる次第であります。
#127
○春日正一君 再開発法の問題については、この前五十八国会で法律出たときに私もかなり長い時間こまかく質問しておりますし、いままで前の人もだいぶいろいろ質問もしておるので、その後に出てきた問題、これを主にして質疑したいと思います。
 やはり再開発の問題ということになると、政策上の問題が一番基本になると思うのですね。そういう意味で一番最初に、二月二十一日に「新全国総合開発計画試案」、第四次試案ですが、これが出されておりますけれども、この種の総合計画の都市計画、それから再開発計画との関連、これはどうなっておるか、その点から説明してほしいのですが。
#128
○政府委員(竹内藤男君) 新全国総合開発計画は当然これを受けまして、各地方の地方圏といいますか、首都圏なり、近畿圏なり、中部圏なり、あるいはその他の地方圏の開発計画というものにだんだんブレークダウンされてくる形になると思います。さらにその首都圏計画が、首都圏を例にとって申し上げますと、既成市街地、近郊整備市街地、さらに都市開発区域というものに分かれまして、それぞれ整備計画が出され、そういうような国の整備計画のもとに、ワク組みの中で各都市計画区域ごとに都市計画が立てられるわけでございますが、その中で、市街化調整区域の設定がなされ、市街化区域については用途地域その他の地域計画がきめられ、公共施設整備地域がきめられ、面的な開発事業が都市計画としてきめられていく。その一環の一つが市街地再開発事業という領域の都市計画というふうに考えているわけでございます。
#129
○春日正一君 そういうことで、まあ都市計画法十三条でそういう上位計画に適合するということがはっきりきめられておりますし、再開発計画法案の十七条でも、やはり都市計画に適合する、あるいはそれに適合しないものは許可しないという形で、きちっとワクがはめられておるわけですね。だから、一番問題なのは、そういう全国総合開発計画というようなもののワクの中で都市計画もつくられ、再開発計画もつくられていく。そういう関係で考えてみて、まあこの前、三十七年ですか、拠点開発方式で、格差を是正するということを目標にして、いまの全国総合開発計画ができてやってきた結果、確かにまあ全国に重化学工業のコンビナートとか、そういう基地がたくさんできたけれども、しかし格差の是正ということになれば、御承知のように過密、過疎という現象を非常に激化させてしまっている。特にそういう周辺を中心にして住宅不足とか、あるいは交通の混乱、あるいは生活環境の悪化というような、いろいろなマイナスの要因が出てきている。そして地方自治体にしても、そういうものを処理していくために、財政上の非常な圧迫を受けるというような状態が出てきておるわけですね。つまり、全国総合開発計画を三十七年からやってきて、その結果として現状が出てきたということになると、今度試案を出された趣旨というもの、これは私ども当然そういう結果として現状が出てきて、いまこれは国民的な問題になっているわけですが、交通事故の問題にしても、公害の問題にしても、住宅の問題にしても、そういう問題を解決する、そういう立場で出されなければならぬはずなんだけれども、どうも私見たところでは、それの継続というような感じがするんですけれども、今度の試案をつくって出されてきた基本的な考え方というものはどういうものなのか、この試案の中で一番ねらっておる筋になっているものは何か、その辺はっきりしてほしいんですが。
#130
○説明員(山下武君) ただいまの点は、経済企画庁において目下全国総合開発計画を策定中でございますが、これは第一次の昭和三十七年の十月に策定いたしましたものが、現段階においていろいろ実情に合わなくなっておるという観点に立ちまして、新たに全国総合開発計画を策定していくというたてまえで、計画を策定すべく準備されております。
 その内容は、先生のお手元にあることと存じますが、やはり日本全国の国土の総合的な開発を進めるということのためには、やはり従来の拠点開発構想、これをさらに推し進めまして、日本全国にわたる交通、通信体系のネットワークを策定いたしまして、そうして日本の開発の可能性を少しでも広め、かつ強めていく、こういう考え方に立っておるのが一点でございます。
 それから第二に、そういった交通、通信体系のネットワークの策定と相まって、さらに日本の国土の地域特性に応じました開発の可能性を少しでも高める、地域特性に応じた開発を少しでも高めていこうというのが、第二の問題でございます。
 それから第三に、日本の国土の開発の最もウイークな点でありますところの生活環境というものを少しでも高めていこう、こういう考え方に立ちまして、日本におきます生活環境を少しでも高めていくための施設を充実強化していくべきであると、こういうようなことで、具体的な大規模開発プロジェクトというようなものを具体的に個々に策定いたしまして、これを実現していく。その実現の方法といたしましては、大体、全体として四十年から六十年の二十年の間に、およそ百七十兆円の累積政府固定投資が全体として必要と考えまして、特にその大規模プロジェクトを実施していく社会資本の累積投資額としておおよそ五十兆円の経費をこれに充当していく。しかもその二十年間における事業の実施は、もっと計画的に総合的にこれを実現していこう、こういうことによりまして、日本の国土の総合的な開発をはかっていくべきである。こういうような方向で全国計画というものが策定されつつあるわけでございます。
 現在、大体第五次案までいっておりまして、それで関係各省、あるいは各党とも十分打ち合わせをいたしまして、基本的な線を固めてもらって、閣議にかけるような準備を進めておるということを聞いておるところでございます。
 大体、全国総合開発計画の策定状況を一言申し上げました次第でございます。
#131
○春日正一君 大臣に一つお聞きしておきますけれども、三十七年からやられた拠点開発計画、この結果が、今日のようないろいろな公害だとか、過密、過疎の問題とか、あるいは交通の混乱の問題だとか、いろいろもたらしてきたというようなことについて、大臣はどこに原因があったのかというふうにお考えになっておりますか。
#132
○国務大臣(坪川信三君) 政府が計画いたしております全国総合開発の作業内容のあらましにつきましては、いま参事官が申しましたとおりでございますが、いま御指摘になりましたこの問題は、これはやはり私としての考え、建設大臣としての立場から申し上げますならば、やはり国土の均衡のとれた開発、建設ということが非常に重要な問題である、これが最終目標でなければならぬ。しかし、その目標を達成するためには、それに沿うだけの社会資本の投入をいたさなければなりません。それがやや立ちおくれておったということが、偽らない一つの原因であったと、私は否定も肯定もいたすようなわけでありますが、そのことを考えるときに、この不幸を是正、取り戻す意味から、私は社会資本の立ちおくれを取り戻しながら均衡のある国土開発、建設をいたすということが基本方針である。したがって、都市への過度な産業、人口の集中、これが過密になり、また片方では過疎になっていくということを考えますときに、われわれといたしましては、いま申しましたような、先ほど参事官が申しましたような計画のもとにおいて、いずれ第五次総合開発試案がそう遠くないうちに出てまいる、こう考えております。それが出てまいりました上に立って、国策の大きな重要な課題でございますので、国務大臣という立場から、閣議その他の席においてこれらの問題に取り組んで、そして私が前提に申し上げましたような、均衡のある総合開発、建設を打ち立ててまいりたい、こう考えております。
#133
○春日正一君 大臣の言われたとおりだと思うのですけれども、私のことばで言えば、やはり拠点開発方式、それが重化学工業のコンビナートというようなものですね、これを中心にして町づくりなり国づくりなりをやっていこうという、まあ私どものことばで言えば、独占資本の大企業、これの産業開発、これが計画の中心に置かれて、しかもそこにウエートがぐっとかかっていった。だから、こういう大企業というものが、政府も自慢しているとおり、非常に発展しているけれども、その反面で先ほど言ったような、一般の国民、勤労者に対しては、非常にいろいろな形での矛盾が出てきている現状では、もうそういう大企業にとってみても、交通の渋滞とか、あるいは公害の問題とか、そういうものがどうにもならなくなった。そこで、何とか打開しなきゃならぬこの段階にきて、この試案が出ているのじゃないか私どもはそういうふうに判断しているわけです。そうしますと、これはひとつ分かれ目だと思うのですよ。いままでそういう方式でやってきて、この矛盾が出た。だから、その反省に立って、やはり国民の多数住民を中心にしてどうするかという国土計画を立てるのか、依然として大資本なり大企業というものの開発、発展ということを中心にしてこの計画を立てるのかということになると、ここは大事な分かれ目になってきていると思うのです。ところが、私のところにある四次計画をずっと読んでみまして、大型開発プロジェクト方式、全国ネットワーク方式、それを新幹線や高速道路で結んでいくというような形ですね。そういうものを考えてみますと、やはりいま都市に出ている矛盾を考えて、工場の建てかえとか何とかいう問題を出していますけれども、結局本質では、やはり大企業の発展、開発というものを中心にして出されてきているということになれば、これが一そういままでの矛盾をもっと激化していく、新しい形で矛盾の大きなものをつくり出していくという結果にならざるを得ないのじゃないだろうか。そうして、それに規制された都市計画なり再開発計画というものがうまくいくのかどうか、私はうまくいかぬと思う。だから私はこの問題を問題にしているわけですけれども、そこらの点で、第五次をおつくりになるというなら、やはりその辺のことを考えて、四次に盛られているような立場というもの、これを根本的に再検討してもらいませんと、あとのこまかい計画を都市局長や住宅局長いくら頭をひねって考えても、結局どうにもならんのじゃないか。そこの辺、大臣のお考えはどうですか。
#134
○国務大臣(坪川信三君) 私が先ほど申しました均衡のある国土開発、建設という問題は、ただその拠点、その産業ということを含めて、それのみに限定いたしましたことでなくて、生活の場もまた生産の場もおのおの均衡のとれた、格差のない、ひずみのない、魅力のある人間形成の場であり、生活の場であり、また生産の場である、こういうようなことをもって私は最終目標の総合国土開発のねらいでなければならん、こう申し上げておるような次第でございますが、そういうような国土と国民生活の場をつくるのには、私は先ほど参事官も申しましたようなあるいは交通、通信というような問題、これはすなわち河川も含み、また道路も含み、あるいはあらゆるものを含んでおるということでございます。したがいまして、細部にわたるようになるようでございますが、われわれとしての方針といたしましては、やはりいまの山村あるいは僻村の過疎地域におけるところの、消防の管理すら維持できないというような不幸なことを考えておりますときに、われわれはいわゆる河川の面からもあるいは道路の面からも、あるいは都市計画の面からも、あらゆる面の総合的な施策を打ち立てまして、そうして一都市、一モデル地区を一つの地点にいたしまして、そうして標準地のもとにおいての拡大をはかっていくことの、本年度から私はその一つの希望を持った仕事を推し進めてまいる。それを年次計画によってだんだん広げていくというようなこともいたしたい、という考え方を持っておるようなわけでございますが、いずれ第五次の最終的な結論が答申されました場合において、いま御指摘になりましたような点も、また私が申し上げましたような点も、よくその検討の重要な課題としてまいりたい。ただ春日委員が御指摘になりましたごとく、独占資本なりあるいは独占産業のというようなことによって、ということだけで私はその問題の御意見に全部同意するようなことは、私はまだそこまでは至っておりませんが、御意見は御意見として十分私は参考に資したい、こう思っております。
#135
○春日正一君 たとえば今度の計画の中で中心になっているのは、主要な大都市、また特に東京がそうですけれども、大都市に管理中枢機能、資本というようなものがそこに集中されて、これは非常に高度な能率的なものになっていくということが予想されているわけですね。そうしてそういうものが東京なり名古屋なり大阪なりに、そういうところを中心にした経済圏、あるいはまあ仙台とか札幌というような予定があげられていますけれども、そういうところへ管理中枢機能が集中され、そうして資本が集中されてくるというようなことになれば、実際にそれを中心として人口の大集中が起こる。そうしてこの数字を見ましても、昭和六十年の見通しをこの計画の中で出しておりますし、これは竹内局長もジュリストなんかで大ざっぱな見通しを言っておりますけれども、昭和六十年に三大都市圏の人口が八千九百万人、全人口の七一%になるというような集中がすでに予定されているのですね、いま以上に。現在、先ほど言われたように、いなかでは消防のなり手がないと大臣も言われたけれども、そういう集中のある現状がさらにもっと激しい勢いで集中されてくるということになるわけですから。この数字の上から見ても、人口の増加率を上回って集中するこの傾向を見れば、この方向で過疎というような問題は解決されない、一そう激成されるということは、これは道理としてどうしてもそうならざるを得ないんじゃないか。当然そうなれば住宅というようなものも必要になってきて、この計画で見ると全国で三千万戸必要になり、そのうち千三百万戸が三大都市圏で必要になってくるというようなことが予定されておりますし、事務所の新規需要ですね、これなんかも非常に大きくなって、これ、竹内局長、この前の委員会では、事務所の需要というものはあまりないから、再開発計画では住宅だろうというようなことを言われておったんですが、この計画を見ますと、事務所の新規需要の予定されているものが、東京の区部だけで約二千三百万平方メートルですか、大体まあ霞が関ビルの百五十むね分というふうに言われているんですね。こういうものがぐうっと集中してくる。そして大阪はまあ千百万平方メートルぐらいになるようですけれども、こういうものがもう見込まれてるんですね。そうすると、それを一体どこへ収容していくのか、しかもどこから先にやってくのかということになれば、やはり管理中枢機能といい、事務所といい、そういうものをつくっていくというところに国の資金なり何なりというものがまた優先的に投入されて、先ほど大臣から話のあったいわゆる社会資本といっても、国民に直接関係のある、現在切実に望まれてるそこへの投資というようなものも、どうしてもあと回しにされていかざるを得ない。これは計画の本質からいってそうでしょう。中枢をきちっとつくって、それに基づいて町づくりがやられるわけですから、この中心がどうしても先にならざるを得ないでしょう。だから、この計画の中では大臣の言われたと全く違った形が出てくるし、それから都市の過密といいますか、この状態というものは非常に深刻なものになってくる、そういうふうに思うんですけれども、その点どうなんですか。
#136
○国務大臣(坪川信三君) いま御指摘になりましたような不幸な国土開発、建設を避けるべく、われわれといたしましてはいわゆる過疎問題に対して真剣に取り組んでまいりたいと、その大きな方法として、手段として、いま御審議を願っているこうした都市再開発法の制定を願っておるような次第であります。言いかえますならば、私たちの考えといたしましては、いわゆる地方のこの格差をなくしまして、そして生産、生活の場が魅力あるようにしまして、そして都市への人口集中、産業集中を避ける、抑制するという方法をとりたいと、こういうような気持ちをもちまして、昭和四十四年度の中小河川の問題にしましても、あるいは地方道の整備、修復、舗装というような問題につきましても、昨年度よりかなり多くのウエートを持った予算配慮を、執行をいたしておるような気持ちもそこにありますとともに、ことに離島あるいは山村振興というような立場からの道路あるいは河川対策、あるいは下水というような対策にも重点的に打ち立てましたゆえんも、ここにあるような次第でありますとともに、先ほど申し上げましたごとく、一つの各地圏ごとに一つの過疎の最も顕著な地区を指定いたしまして、そして交通あるいは通信、あるいは公共施設その他を一つの重点的な施策の網を張りましたモデル地区をつくりまして、そして産業と人間生活の魅力のある形成の場をつくっていく、それを漸次全国に拡大をしてまいりたいと、こういうような方途でいろいろと対策を立てておることを御了承願いたいと思います。
#137
○春日正一君 まあその点は、私言っているのは、この計画書のそういう矛盾がすでに数字で出ておるという点を指摘しておるので、その点はまあそれだけにしておきまして、政府の社会経済発展計画、それから建設省の国土開発の長期構想、あるいは経済同友会の再開発についての要望というような、いろいろな文書で、必ず都市の純化ということがずっと出てくるのですね。この都市の純化といわれていることの中身ですね、これはどういうことなんですか。
#138
○政府委員(竹内藤男君) 都市の機能の純化というふうに私ども考えております。あらゆる機能が都市に集まっているというところに問題があるということで、先ほど大臣からもお話ございましたように、交通、通信施設の整備と相まって、地方において工業をどんどん立地させるという形で、都市にあります、都市に集中してくる工場をなるべく抑制していこう、あるいは都市の周辺部に流通施設を分離していこう、あるいは大学とか研究機関というようなものは都市の中に立地しないように、外側において立地させるように指導していくというような考え方でございまして、いわゆる高次の中枢管理機能――三次的な機能も工業と一緒に外に出ていくと思います。その中でもいわゆる本社的といいますか、高次の中枢管理機能というものは、相当都市、特に大都市に残っていくのではないか、そういうものに純化していきたい、こういう考え方だと思います。
#139
○春日正一君 そういうものと関連して、去年の十一月十四日の日本経済新聞、これが書いているのですけれども、建設省が赤坂に第二都心を建設する調査に乗り出した、ことしの三月には結論を出すと。赤坂ですね、赤坂といっても離宮のあるあの辺ですね、離宮というか図書館のあるあの辺。これを見ると、建設省は日本都市センターと協力して今月中にも第二都心の形成の調査に乗り出すことにきめたと、それで、東京の都心であると同時に日本の中心でもある丸の内ですでに機能が一ぱいになっているから、どうしても新しいものをつくらなければならぬし、そのためには赤坂のあの国有地の多い、赤坂のもとの離宮のあったあの地域を中心にしてつくるのが一番いいというようなことで、建設省の考えでは高山東大教授を主査に云々といってずっと人名まであげて、調査研究する計画があるというようなことが報道されているのですけれども、そういう点を考えられておるのかどうか。
#140
○説明員(櫟原利嗣君) ただいまの点について御説明申し上げます。いまの点につきましては、実は建設省が直接やっているのではございません。都市センターのほうに補助金を出しまして、そちらのほうで検討してもらうということでございます。現在のところはまだ、都市センターのほうでお話のございましたような学界の先生方を中心にして検討していただくということになっておりまして、現在研究中の段階と聞いております。
 それからなお新聞に出ましたある個所につきまして、そこがあたかも当該の地点であるといったような内容が出ましたが、これは私ども全然承知いたしておりませんで、またセンターのほうにおいても、そのような個所を具体にいまのところ目標として打ち出したということはない。したがいまして、どのような事情でああいったことが新聞に報道されましたのかは、私ども実ははっきりわかっておらないといったような状況でございます。
#141
○春日正一君 そうすると、結局この問題は、そういう必要があるということは論議もされているし、建設省としても都市センターに対して研究を依頼しておる。だけれども、どこでどういうふうにという具体的なことまではまだ進んでいない、こういうふうに理解していいわけですか。
#142
○説明員(櫟原利嗣君) お答えを申し上げます。ただいまの件につきましては、一応今後私どもの勉強の一つの過程といたしましては、そのようなことを勉強してみたい、ついては学識経験者にそのようなことを検討してもらおうかという考えで、一応補助金を出したということでございます。したがって、その具体の場所等につきましては、まだ全くきまっておりません。
#143
○春日正一君 じゃ私はこれで。
#144
○委員長(岡三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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