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#1
第061回国会 建設委員会 第12号
昭和四十四年四月二十二日(火曜日)
   午前十時三十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     山本敬三郎君     小山邦太郎君
     井川 伊平君     柳田桃太郎君
     鬼丸 勝之君     米田 正文君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     二宮 文造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡  三郎君
    理 事
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                小山邦太郎君
                高橋文五郎君
                塚田十一郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                米田 正文君
                田中  一君
                松永 忠二君
                松本 英一君
                塩出 啓典君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  坪川 信三君
   政府委員
       建設政務次官   渡辺 栄一君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省計画局長  川島  博君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       建設省住宅局長  大津留 温君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       井上 幸夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公聴会開会承認要求に関する件
○公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣送付、
 予備審査)
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
 (国道一二〇号線の拡張工事に伴う日光太郎杉
 の伐採に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡三郎君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。去る十八日、山本敬三郎君、井川伊平君及び鬼丸勝之君が委員を辞任され、その補欠として、小山邦太郎君、柳田桃太郎君及び米田正文君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岡三郎君) 公聴会の開会承認要求に関する件についておはかりいたします。
 公営住宅法の一部を改正する法律案は、一般的関心及び目的を有する重要法案であります。よって、本案につきましては、公聴会を開き、利害関係者及び学識経験者等の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
 公聴会開会の日時並びに公述人の数及び選定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認め、本案について公聴会開会承認要求書を議長に提出することといたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(岡三郎君) 公営住宅法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に提案理由の説明を聞いておりますので、本日は、まず政府から補足説明を聴取いたします。大津留住宅局長。
#7
○政府委員(大津留温君) ただいま議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案について逐条的に御説明申し上げます。
 第二条の改正は、新たに使用することとなった主要な用語の定義等をしたものであります。まず、第六号において「公営住宅の工事費」について定めてございます。公営住宅の工事費とは、公営住宅の建設に要する費用のうち公営住宅を建設するための土地の取得等に要する費用以外の費用をいうことといたしました。第十号は、「共同施設の工事費」について定めました。第十一号は、「公営住宅建替事業」について定めてございます。公営住宅建てかえ事業とは、現に存する公営住宅を除却し、または現に存する公営住宅及び共同施設を除却するとともに、これらの存していた土地の全部または一部の区域に、新たに公営住宅を建設し、または新たに公営住宅及び共同施設を建設する事業をいうこととし、これに付帯する事業を含むものとしております。この場合、新たに建設する公営住宅または新たに建設する公営住宅及び共同施設と一体の公営住宅または共同施設を当該区域内の土地に隣接する土地に新たに建設する事業も、この公営住宅建てかえ事業に含まれるものといたしました。以上のほか、従来からあります用語の定義について所要の技術的改正を行ないました。
 第七条及び第八条は、国の補助制度についての改正であります。すなわち、現在、国は公営住宅または共同施設の建設に要する費用について地方公共団体に対し補助することとしておりますが、今回これらの費用のうち用地費についての国の補助を地方債に切りかえることに伴い、国の補助対象となる費用を公営住宅の工事費及び共同施設の工事費と改めたものであります。なお、既設の公営住宅で災害を受けたものの復旧を行なう場合の宅地復旧に要する費用につきましては、その性質にかんがみ、従来どおり国が補助することができることとしております。さらに、これらの費用についての国の補助金額の算定の基準となります標準工事費等につきましては、公営住宅の工事費等として通常必要な費用を基準として、建設大臣が定めることといたしました。
 第十条及び第十一条の改正は、それぞれ第八条及び第十二条の改正に伴う条文整理をいたしたものであります。
 第十一条の二は、用地費にかかる地方債に対する国の配慮について定めたものであります。すなわち、国は、事業主体が公営住宅等を建設するための土地の取得等に要する費用に充てるために起こす地方債については、資金事情の許す限り、適切な配慮をすることといたしました。なお、これに伴い従前の第十一条の二の規定は、第十一条の三といたしました。
 第十二条は、家賃の限度の算定基礎である地代相当額の算出方法についての改正であります。国から次条の規定による家賃収入補助を受けた場合は、地代に相当する額は、当該補助額相当額を控除したものとすることとし、用地費についての国の援助方式の改正による家賃の変動が生じないように措置いたしました。
 第十二条の二は、新たに家賃収入補助に関し定めたものであります。すなわち、国は、事業主体に対して、毎年度、公営住宅を建設するための土地の取得等に要する費用の額に政令で定める率を乗じて得た金額を補助することといたしました。この場合の土地の取得等に要する費用の額は、建設大臣の定める標準価額によることとし、この標準価額は、適正な立地条件を備えている土地に公営住宅を建設するための土地の取得等に要する費用として通常必要な費用を基準として定めることといたしました。なお、本条の新設に伴い、従前の第十二条の二の規定は、第十二条の三といたしました。
 第十三条の改正は、家賃の変更等についての建設大臣の承認に関するものでありますが、事業主体が法定の限度額以内で家賃を変更する場合には、建設大臣の承認は要しないものとして、事務の簡素化をはかったものであります。
 第十六条の改正は、事業主体が公募によらないで特定の者を公営住宅に入居させることができる特別の事由として、新たに公営住宅建てかえ事業による公営住宅の除却を追加したものであります。
 第十七条の改正は、第八条の改正に伴う条文整理であります。
 第二十一条の二の改正は、第二十一条の三第二項の規定を設けることと関連して、収入超過の基準を公営住宅の種類に応じて定めることを明らかにするとともに、第二十一条の四の規定を設けたことにより、本条第一項後段の規定を削除したものであります。
 第二十一条の三は、高額の収入のある入居者に対する明け渡しの請求に関する規定であります。すなわち、入居後所得が上昇し相当高額の収入を得るに至った者がなお引き続き公営住宅に入居していることは、住宅に困窮する低額所得者が多数公営住宅に入居を希望している現状から見て著しく公平を欠くのみならず、公営住宅法の本来の趣旨に沿いませんので、今回、事業主体の長は、公営住宅に引き続き五年以上入居しており、かつ、最近二年間継続して一定の高額の収入のある者に対して、期限を定めて、当該公営住宅の明け渡しを請求することができることといたしました。この場合、明け渡しの基準となる収入につきましては、政令で定めることといたしておりますが、第一種公営住宅にかかる収入超過の基準を相当程度こえるものでなければならないことといたしております。また、明け渡しの期限は、請求の日から少なくとも六月後とするとともに、明け渡しの請求を受けた者は、当該期限が到来したときは、すみやかに当該公営住宅を明け渡さなければならないこととしております。さらに、請求を受けた者が病気にかかっていることその他条例で定める特別の事情がある場合においては、その者の申し出により、明け渡しの期限を延長することができることといたしました。
 第二十一条の四は、収入超過者に対する他の住宅のあっせん等に関する事項を規定したものであります。すなわち、前段は、現在の第二十一条の二第一項後段の規定をここに移したもので、収入超過者に対し、必要があると認めるときは、その者が他の適当な住宅に入居することができるようあっせんする等の努力義務を規定したものであり、後段は、収入超過者のうち第二十一条の三第一項の明け渡しの請求を受けた者に対しては、事業主体は、その者の入居している公営住宅の明け渡しを容易にするように、公営住宅以外の公的資金による住宅すなわち日本住宅公団あるいは地方住宅供給公社等の住宅への入居等について特別の配慮をしなければならないことを規定したものであります。
 第二十三条の二の改正は、事業主体の長が、収入の状況について入居者の報告等を求めることができる場合として、高額の収入のある入居者に対する明け渡しの請求及び公営住宅建てかえ事業により新たに建設された公営住宅への入居の措置に関する場合を追加したもので、第二十一条の三及び第二十三条の八の規定を設けたことに伴う改正であります。
 第二十三条の三から第二十三条の十までは、公営住宅建てかえ事業に関する規定でありまして、このため第三章の二として新たに一章を設けております。
 第二十三条の三の規定は、公営住宅建てかえ事業の施行に関する地方公共団体の努力義務を明らかにしたものでありまして、地方公共団体は、公営住宅の建設を促進し、及び公営住宅の居住環境を整備するため必要があるときは、公営住宅建てかえ事業を施行するようにつとめなければならないことといたしました。
 第二十三条の四は、公営住宅建てかえ事業の施行の要件を定めたもので、本条各号の要件全部に該当する場合に公営住宅建てかえ事業を施行することができることとしております。第一号は、建てかえの対象となる公営住宅は、市街地の区域または市街化が予想される区域内の一定の規模以上の一団の土地にまとまって存在しているものであることとしております。第二号は、建てかえの対象となる公営住宅の大部分のものが、その耐用年限の二分の一を経過しているか、または災害等によって公営住宅としての機能が相当程度低下しているものであることとしてあります。第三号は、新たに建設する公営住宅の戸数が、現に存する公営住宅の戸数の二倍以上であることととしております。なお、この場合において、公営住宅または共同施設の存していた土地の区域の一部に道路、公園等の都市施設に関する都市計画が定められていること等特別の事情がある場合においては、新たに建設する公営住宅の戸数は、現に存する公営住宅の戸数をこえれば足りることとして、具体の事情に即した取り扱いができるようにしております。第四号は、新たに建設する公営住宅が耐火構造の高層または中層の公営住宅であることとしております。
 第二十三条の五は、建てかえ計画に関する規定であります。すなわち、事業主体の長は、公営住宅建てかえ事業を施行しようとするときは、あらかじめ、事業を施行する土地の面積、建てかえ前及び建てかえ後の公営住宅の戸数等を定めた建てかえ計画を作成して、建設大臣の承認を得なければならないものとし、また、その承認を得たときは、建てかえの対象となる公営住宅の入居者に、その旨を通知しなければならないことといたしております。
 第二十三条の六は、建てかえの対象となる公営住宅の入居者に対する明け渡しの請求に関する規定であります。すなわち、事業主体の長は、事業の施行に伴い、公営住宅を除却するため必要があると認めるときは、三月以上経過した日を期限として、入居者に対して、その明け渡しを請求することができることとし、明け渡しの請求を受けた者は、期限が到来したときは、すみやかに当該公営住宅を明け渡さなければならないことといたしました。
 第二十三条の七は、事業主体が、公営住宅建てかえ事業の施行に伴う公営住宅の明け渡しの請求を受けた者に対して、必要な仮住居を提供しなければならないことを定め、工事期間中の住居の確保をはかったものであります。
 第二十三条の八は、新たに建設される公営住宅への入居について定めたものであります。すなわち、公営住宅建てかえ事業により除却される公営住宅の入居者で、所定の期間内に新たに建設される公営住宅への入居の希望を申し出たものについては、すべて当該公営住宅に入居させなければならないことといたしました。また、事業主体の長は、新たに建設される公営住宅への入居の希望の申し出をした者に対して、公営住宅に入居することができる期間を定めて通知しなければならないことといたしておりますが、正当な理由がないのに指定された期間内に公営住宅に入居しなかった者については、当該公営住宅に入居させないことができるものといたしました。なお、公営住宅建てかえ事業の施行に伴って除却された公営住宅から新たに建設された公営住宅に入居した者について、収入超過者であること等の要件である入居期間の計算については、公営住宅建てかえ事業の実質にかんがみ、除却された公営住宅に入居していた期間を新たに建設された公営住宅に入居している期間に通算することといたしました。
 第二十三条の九は、事業主体の長は、説明会の開催等の措置により、公営住宅建てかえ事業の施行について、入居者の協力が得られるようにつとめなければならないことを定め、事業の円滑な施行をはかることといたしたものであります。
 第二十三条の十は、移転料の支払いに関する規定でありますが、公営住宅の入居者が、公営住宅建てかえ事業の施行に伴い、仮住居や新たに建設された公営住宅等にその住居を移転した場合においては、事業主体は、その者に対して通常必要な移転料を支払わなければならないこととしております。
 第二十四条の改正は、公営住宅の用途廃止に関するものでありますが、事業主体は、建てかえ計画について建設大臣の承認を得たときは、その対象となっている公営住宅または共同施設について、あらためて用途廃止についての建設大臣の承認を得ることなく、その用途を廃止することができるものといたしました。
 第二十六条及び第二十八条の改正は、第八条の改正に伴う条文整理であります。
 第三十条の改正は、建設大臣が厚生大臣と協議すべき事項として、第二種公営住宅にかかる建てかえ計画の承認を追加したものであります。
 次に附則でありますが、附則は十一項からなっております。
 第一項は、この法律の施行の日を定めたもので、政府原案では昭和四十四年四月一日から施行することとしておりましたが、衆議院において公布の日から施行することに修正議決されました。
 第二項は、土地の取得等に要する費用について国の援助方式を改めたことに伴う経過措置でありまして、改正後の第七条及び第八条の規定の適用について定めたものであります。第三項は、今回新たに設けられた家賃収入補助に関する規定は、国から改正後の第七条または第八条の規定による補助を受けて建設した公営住宅について適用することを定めたものであります。
 第四項は、家賃の変更等についての建設大臣の承認に関する規定の改正に伴う経過措置であります。
 第五項から第七項までは、改正後の第二十一条の三の規定による高額の収入のある入居者に対する公営住宅の明け渡し請求についての経過措置を定めたものでありまして、この法律の施行の際現に公営住宅に入居している者について、第五項においては、明け渡しの請求は、賃借期間の定めがないとき及びこの法律の施行の際における賃借期間の残存期間が二年以内であるときはこの法律の施行の日から起算して二年を経過した日、当該残存期間が二年をこえるときは当該残存期間を経過した日以後でなければすることができないものとし、第六項においては、政令で明け渡しの基準収入を定めるにあたっては相当の配慮をしなければならないこととし、第七項においては、事業主体は、明け渡しの請求をした場合においては、その者の他の公的資金による住宅への入居等についての希望を尊重するようにつとめなければならないことといたしました。
 第八項及び第九項は、それぞれ国有財産特別措置法及び補助金等の臨時特例等に関する法律の一部改正でありますが、この法律の改正に伴う条文整理をいたしたものであります。
 第十項は、住宅地区改良法の一部改正でありますが、この法律の改正に伴う条文整理をするとともに、第四項におけると同様、家賃の変更等についての建設大臣の承認に関する規定の改正に伴う経過措置を定めたものであります。
 第十一項は、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部改正でありますが、この法律の改正に伴う条文整理等をいたしたものであります。
 以上本法案につきまして逐条御説明申し上げた次第であります。
#8
○委員長(岡三郎君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○松本英一君 高度の福祉国家の実現を目ざすわが国において、最低水準に置かれたままの住宅事情の改善をはかることは、現段階におけるきわめて重要な国民的課題であります。佐藤総理も、社会開発のうち第一の基本は、住宅政策の拡充であると言い、福田大蔵大臣も、かなり住宅対策には意を用いている予算であると発言をされておりますが、政府はどのような基本姿勢のもとに住宅問題に対処しておられるのか、御説明を願いたいと思います。
#10
○国務大臣(坪川信三君) 松本委員が過般の本会議において住宅問題の重要性に対して真摯な御質疑をいただきましたことを思い合わせ、またただいま御質疑になられました住宅問題のまことに国家的な重要性であるということは、松本委員のお説のとおりでございます。立ちおくれの著しいこの住宅事情の改善をはかりまして、国民の要望にこたえる住宅政策こそ、政府の社会開発を中核とした、社会問題、住宅対策の拡充強化ということが最もその中枢をなすべき重大問題であろうと私は考えておるのであります。
 御承知のとおりに、政府といたしましては、昭和四十五年度までに五カ年計画の総戸数六百七十五万戸を予定いたしまして、鋭意その計画の推進に努力をいたしてまいったような次第でありますが、現時点におきましては、御承知のとおりにこの住宅の目標に対するところの進捗率と申しますか進みぐあいも、松本委員御承知のとおりに、公的資金による住宅の数並びに民間にお願い、依存いたしております民間の建設戸数等を踏まえますと、御承知のとおりに大体八割、八〇%の進捗率を見ておるような次第でありますので、残されました四十五年度の住宅建設計画をぜひともこの進捗率に即応いたしましての一〇〇%達成に最大の力を注いでまいりたいと、こう考えておるのでございますが、本計画を立案検討いたしまして以来の、御承知のとおりの非常に結婚適齢の増、あるいは都市に対するところの人口の過度な集中、あるいは世帯の細分、分離化等に伴うところの住宅需要増の激変等を考えますときに、国といたしましては、新たなる新住宅五カ年計画の構想を策定いたしながら、ただいま住宅宅地審議会にも御審議をわずらわしておる次第でございます。これらの点と、国会において与野党からちょうだいいたしておりますところのそれぞれのとうとい御意見をそんたくいたしまして、私は新たなる住宅五カ年計画の構想を打ち出してまいりたい心がまえでございますが、御指摘のとおり、社会開発の中心課題であるところの住宅政策につきましては、政府といたしましても責任者である私といたしましても、今後さらに意欲を持たせながらこれに対応する施策に万全を期したいと考えておる次第であります。
#11
○松本英一君 大蔵省のほう、答弁願えますか。
#12
○説明員(井上幸夫君) ただいま建設大臣から御答弁のございましたとおり、大蔵省といたしましても、毎年毎年度の予算編成におきましては、各般の財政事情を十分検討しながら、住宅政策については十分意を用いてまいったつもりでございまして、今後とも引き続きまして、住宅政策の拡充に努力いたす所存でございます。
#13
○松本英一君 昭和四十五年度の最終年度で一〇〇%の公的資金による住宅建設を目標とする住宅建設五カ年計画は、確実に実行できるのかどうか、御説明を願いたいと思います。
#14
○国務大臣(坪川信三君) 松本委員御承知のとおりに、六百七十万戸に対する内訳を申しますならば、公的の資金による二百七十万戸、民間自力の四百万戸、これに対する昭和四十四年度末においては、公的資金におきましては百九十三万八千戸の目標数が達成し得るものと期待いたし信じてもおり、それの達成は当然であるべきだと、こう考えております。民間自力の建設住宅に対します四百万戸に対する昭和四十四年度は三百三十五万戸を予想いたしておるような次第でありまして、計五百二十八万八千戸が四十四年度に達成し得るものと期待をいたしておりますので、残りのパーセンテージから言いましたならば、これに対する確実な達成を、ぜひ予算措置その他に講じたいと、強い決意をもって臨みたい覚悟でございます。
#15
○松本英一君 大津留局長の答弁でけっこうですが、五カ年計画が発足した昭和四十一年のあの時点で、六百七十万戸というのは、当初計画されておった数より減ったやに聞いておりますが、それはどのような数字の減り方であったのか、要求をされたのはどのような数字であったのか、御説明願いたいと思います。
#16
○政府委員(大津留温君) 五カ年間におきます住宅需要の見通しにつきましては、いろいろ見方がございました。特にその見方につきまして意見の分かれましたのは、世帯の細分化がどの程度まで進むかという点が、議論が分かれた点でございます。これは相当細分化するのじゃなかろうかという見解と、やはりこれは徐々に進んでいくということで、その見通しについて見解が分かれたようなことでございましたが、建設省の当初の考えました見通しでは、その細分化が相当進むであろうというような見通しのもとに、五カ年間に七百六十万戸という数を試算したことがございます。しかし、いろいろ関係省庁と煮詰めまして、現在の六百七十万戸という計画に閣議決定されたわけでございます。
#17
○松本英一君 大蔵省にお尋ねしますが、住宅予算の国の総額予算に占める割合は、どのようになっておりますか。昭和四十二年度からでけっこうです、御説明願います。
#18
○説明員(井上幸夫君) お答え申し上げます。四十二年度の一般会計の予算総額は四兆九千五百億でございます。これに対して住宅予算は六百四十八億でございますから、比率で申しますと一・三%ということになります。四十三年度は一般会計予算総額は五兆八千百八十億、これに対して住宅予算が七百億八千百万円でございますから、一・二%ということになります。四十四年度は一般会計予算総額は六兆七千三百九十五億でございます。住宅対策費は七百九十四億三千百万円でございます。一・一八というパーセンテージになります。
#19
○松本英一君 いま大蔵省の御説明によっておわかりのように、佐藤総理は社会開発のうち、第一の基本は住宅政策の拡充であると言い、大蔵大臣はみずからがかなり住宅対策に意を用いている予算であると言われました、にもかかわらず、住宅予算が国の総額予算に占める割合は毎年低下を続けております。このようなことで来年までに佐藤内閣のキャッチフレーズである一世帯一住宅が実現されるのか、また住宅難は解消されるのか、今後の住宅対策についての政府の熱意を問いたいと思います、御説明願います。
#20
○国務大臣(坪川信三君) 御指摘になりましたとおり、住宅政策の重要性からくる現時点におけるところの住宅建設の現況を見るときに、松本委員憂慮されましたお気持ちを持って、政府に対する御叱正をいただきますことは、深く恐縮もいたしておる次第でございますが、私といたしましては、住宅対策には社会開発の中核として考えており、四十四年度の予算編成にあたりましても、かなり思いを新たにいたしまして、配意をいたしたような次第でございます。一般会計においては当面上の伸び率は低くはございますが、昭和四十四年度からは公営住宅の用地費の補助制度を取りやめまして、これを地方債で手当てをすることといたしておりますので、実質では対前年度に比べますと三三・九%の伸び率にもなっておる次第でありますとともに、公共事業費中最高の伸びとなっておる次第であります。財投においても財投計画総額の一三・八%を占めておりまして、また増加率は財投計画全体の一四%を上回る一六・三%の伸びになっておるような次第であります。さらに地方債計画においても、対前年度は九一・八%となっており、全体として重点的に投資配分が行なわれると考えておる次第であります。この結果、公的資金による住宅については、四十四年度末には約七二%の達成率となる見込みであり、全体としては約八割の達成を見る次第であります。四十五年度までには、一世帯一住宅は曲がりなりにもそうした方向で進み得るものと期待いたしておりますが、ところで住宅の需要はさきにも述べましたように、今後においても量、質の面から、なお、増大を続けるものと考えられます。そこでこの際新たなる角度から、今後における住宅政策のあり方を検討する必要があり、この場合、考えられる住宅対策の方向といたしましては、住宅の量の確保と質の向上、量を優先しながら質の向上をはかりたい、職住近接を積極的に実現するために、本年度におきましては、公営住宅の中高層建築に対する予算措置を講じた気持ちもここにあるのでありますとともに、ことに私は特定住宅というものに力を入れなければならぬという考えを持ちまして、本年度は昨年度の倍増のいわゆる母子世帯あるいは老人世帯あるいは身体障害者あるいは同和対策住宅等に思いを入れましてのそうした施策を講じますとともに、新たなる住宅環境の整備というようなこと、また公営住宅の第一種の質の規模の内容の引き上げというような意味をもちまして、私は新たなる四十四年度の公営住宅の設計に対しましても、ガス管あるいは水道管あるいは電気等の施設を講ずる措置を講じておる気持ちも、ここにあるような次第でありますとともに、日照の問題あるいは防災の問題等も配慮いたしながら、いま御審議を願わなければなりません建築基準法の制定をお願いいたしている気持ちもここにありますので、私といたしましては、公的な立場であるところの公団住宅に対しましても、御案内のごとく受付制度に改めまして、そしてこれらの不公平をなるべく避けるよう配慮を持ったきめこまかい住宅政策を打ち立ててまいりたいということで、四十五年度までの住宅政策の一応の計画を達成いたしますとともに、先ほどから申し上げましたように、第二次住宅計画につきましては、質を考えますとともに、低所得者に対するところの住宅問題を重点に置きながら、国民のしあわせに通ずる大事な住宅問題に最善の努力をいたす覚悟でありますので、御了承賜わりたいと存じます。
#21
○松本英一君 今後の住宅政策について、たいへんこまかく御説明になりました。しかし、私がいま大蔵省にお尋ねをいたしました国の総額予算に対する住宅予算の占める割合が丁三%から一・二%、そうして一・一八%というのは、これは低下しておるとしか言えないでしょう、これは伸びているのでしょうか。
#22
○説明員(井上幸夫君) 補足して御説明申し上げます。この四十二年度、四十三年度、四十四年度の間におきまして、ただいま私申し上げましたのは、当初予算額に対する住宅予算の比率でございますが、四十二年から四十三年にかけましての時期におきましては、一つは一般会計の予算の組み方におきまして、いわゆる総合予算主義がとられましたために、通常ならば、在来ならば年度の途中に補正で追加されるようなものが全部当初予算に組み込まれております。そのために、四十二年と四十三年との関係におきましては、一般会計の予算総額が従来以上にふくれておるということが一つございます。それからもう一つ、住宅予算の組み方が四十二年と四十三年では、御案内のように住宅予算の組み方自体が多少変わってきております。したがいまして、ここに分母と分子の関係で、実質は変わりませんけれども、比率は若干下がったように見えるわけでございます。四十三年におきましては、たとえば一般会計の住宅費の実質規模増は約二割でございます。この場合一般会計の予算規模の増が一七%でございますから、実質需要量増の関係におきまして、四十三年はすでに一般会計の住宅予算の規模の伸びを上回った住宅予算の規模増があった。それから四十四年度におきましては、ただいま建設大臣から御説明のございましたとおり、これも公営住宅の制度自体の予算の組み方が変わっておりますので、これを調整いたしますと、住宅予算の規模増は三割強になる、一般会計の規模増が一五・八でございますから、その一般会計の規模増をかなり上回った住宅予算の増というのが行なわれている、私どもはそういうふうに理解しております。
#23
○松本英一君 住宅予算が他の公共的事業の予算に比べて非常に低いということが、これから推察をされるわけでございますが、これは住宅予算に対する建設省の要求額と政府の決定に大きな開きがあるのではないかと考えますが、その点はどのようになっておりましょうか、御説明を願いたいと思います。
#24
○国務大臣(坪川信三君) 私が、昨年の暮れ、就任いたしまして以来、いま松本委員御指摘になりました住宅に関する要求予算等につきましても、大蔵大臣がかって政調会長をやられておられたときに、一世帯一住宅という一つの目標をうたわれましたことなども踏まえまして、私は、大蔵省に対しましても強く要求もいたし、また、その問題点等も主張いたしたわけでございます。大蔵省当局といたしましても、最近の公共事業の非常に伸び率の低いこと、また社会資本の立ちおくれからくる国民の生活環境の格差の不幸と住宅政策を社会開発の一面から考えましての重要性も、大蔵大臣としての立場からも十分御認識もいただいて、そうして話し合いをいたしたわけでございますが、松本委員御指摘になりましたごとく、まだ至らない不満足な点多々あることは、私は決して否定もするわけではございませんけれども、政府といたしましては、現時点においては、この程度でまことに申しわけありませんけれども、やむを得ないという考えのもとに予算決定をいたしたようなわけでございますが、御参考に申し上げますと、きのうも、日・仏、いわゆる日本とフランスとが住宅建築を中心にいたしまして初の第一回の会議をもちまして、そうして世界に共通する住宅問題等の問題点がいかにあるべきかというその解明、究明等の意義の深い会議をもちまして、四、五日間、晴海において、建築会館において開催されておるのでございますが、そのとき、私も申し、またフランスの代表といいますか、フランスの政府を代表されたフランス大使も言われましたが、やはり、この都市への人口の集中ということが非常に大きな悩みであると大使が言われました。予想でございましたが、。ハリにおきましても一九八〇年にはおよそ五分の四がパリに集中するのではないかということを想像するときに、住宅のしあわせというものが社会のしあわせ、国家のしあわせに通ずる重大な問題であるということをく強くわれわれは感じている、ということを言われましたが、私は非常に共感を呼んだわけでございます。わが国の現下の都市現況及び都市への人口集中等を見ますときに、いわゆるこうした現象が国際的に共通する大きな悩みとして真剣に取り組まなければならない覚悟を、一そう新たにいたしておる次第でございます。決して外国がこうであるから日本がというような比較論からきて、安易な気持ちに私はなっているわけではございませんが、私はそうした資料を十分頭に踏まえまして、日本の社会開発の一環としての住宅政策、すなわち、住まいのしあわせが国民のしあわせ、国家のしあわせ、社会のしあわせに通ずる重大な問題であるという信念で、きのうも、夜、某テレビの討論にも出ましたが、私は、そうした角度から政府はひとつ鋭意努力する決意を表明いたすべきことは当然だと思いますので、松本委員の御指摘の点も、十分私は共感を持ちながらお聞きをいたし、また、私の決意がここにあることを、御了解いただきたいと思う次第でございます。
#25
○松本英一君 いま日本とフランスの会談のお話が出ましたが、自民党の中にも中国に行かれる方がおられますが、中国の住宅状態がどんなようなものであるかということを、一応御参考に聞かれたがいいではないかと思います。私が承知しておる限りでは、中国では衣食住のうち、一番早く取り組んでおるのが住であり、次に食であり最後に衣になっております。いうならば、日本の住の問題が中国では衣の問題になっております。そのようなことから考えあわせましても、住宅政策が日本においては一番おくれておると指摘しなければなりません。よし五カ年計画が達成される見込みがついたといたしましても、その内容において決してこれは満足すべきものではございません。いま大津留局長からお話しのように、四十一年度の当初計画にあたっては、七百六十万戸が財源の都合上九十万戸減の六百七十万に修正されたことを国民は忘れてはおりません。このことは、この住宅五カ年計画の当初においてすでに計画戸数そのものが値切られているからであります。しかも、その内容を見ると、現在までの達成率も公的資金による住宅は五〇%、民間資金の分は五九%、達成率の低い公共住宅は、民間の自力建設による伸びによって助けられての目標達成予想であります。このことについて明快な御説明を願いたいと思います。
#26
○政府委員(大津留温君) 五カ年計画の進捗状況でございますが、四十三年度末におきましては、先生御指摘のとおり、公的資金による進捗が五〇・六%でございます。民間自力建設の達成進捗率は五八・八%と見込まれております。そこで四十四年度の予算がすでに確定したわけでございますが、公的資金におきましてはこの予算のとおりに建設が行なわれたといたしますと、四十四年度末におきましては、先ほど大臣が答弁いたしましたように、公的資金のほうは約七二%まで進むわけでございます。民間自力のほうは八〇%強、八〇数%まで伸びる見通しでございます。その両者を合計いたしますと、約八割近いところまで進捗いたします。その五カ年計画の毎年の進捗は各年五分の一ずっというわけでなく、年々伸びてまいっておりますので、その毎年の伸びを考慮に入れますと、最終年度に二五、六%進むというのがこの正常なカーブになります。ところで、公的資金のほうはただいま申しましたように、七二%程度の進捗でございますから、二八%残っておるという状況でございます。したがって、通常のペースより一段と努力をいたしませんと、一〇〇%にはならないということは御指摘のとおりであります。私どもといたしましては、最終年度におきましては、一段と努力を重ねまして、公的資金民間資金ともども一〇〇%以上達成するようにつとめたい、こういう考えでおります。
#27
○松本英一君 住宅五カ年計画の実施に際して、政府の住宅政策は民間の自力建設に依存をしておる。民間建設が予定どおりに進んでいるのに対して公営住宅はかなりおくれておる。そのおくれを取り戻すために戸数だけをそろえればいいという考えがあるとするならば、保守党内閣によって二重の罪が侵されるような事実を指摘しなければなりません。それは昭和三十年の二月の総選挙で各政党が住宅問題を中心に論陣を張って選挙が行なわれました。その三月、四十二万戸建設をうたい文句としていた鳩山第二次内閣のとった措置は、ちょうどいま御説明のような問題と同じように公約を果たすための員数合わせという世論の批判を浴びました。これは全くの個人による自力建設が四十二万戸のうち二十四万五千戸であります。これは五八%に当たります。そうして公共住宅は四十二万戸のうち残り十七万五千戸であります。これは四一%に当たります。このような数字がちょうど鳩山第二次内閣のとった措置によく似ておりますが、そのような員数合わせのようなことにならないことを、確実に自信を持って御説明願えればしあわせに思います。
#28
○国務大臣(坪川信三君) 御指摘になりました具体的な問題については、政府委員から答弁させますけれども、基本的な私の考え方を申し上げますならば、松本委員御指摘になりましたとおり無理にあるいは表面の数字合わせというような、いわゆる軽率といいますか、不謹慎といいますか、誠意のない計画というようなことは、政治の上においては許されぬことでもあり、かくあるべきではないという、すべきではないという私は信念を持っておりますので、これらに対しましては正確に進捗率を御期待の線に沿いたいと、こういうふうな方針でおりますとともに、公的資金に対するところの建築にも大きな力を留意すべきであると、ことに新たなる五カ年計画等についてはそれらの点を十分用いながら計画の構想に打ち出してまいりたいと、こう考えております。具体的なのは政府委員から答弁させます。
#29
○政府委員(大津留温君) 四十四年度の予算に盛られました戸数を消化いたしますと、四十四年度末における進捗率は先ほど申したとおりでございますが、そこで公的資金による五カ年計画の二百七十万戸のうち、それではどのくらい残りがあるかと申しますと、戸数にいたしまして七十六万二千戸でございます。民間住宅のほうは四十四年度末で三百三十五万戸に達する見込みでございますので、四百万戸との差は六十五万戸でございます。したがいまして、民間自力のほうが年間に六十五万戸を建設するということは、これはもう明らかで、おそらく百万戸以上のものが建設されると思います。ところで、公的資金の七十六万戸でございますが、本年度の計画は御承知のように五十七万三千戸でございますから、本年度よりも十八万九千戸多い建設を行なわなければ、一〇〇%いかない、こういうことに相なるわけでございます。そこで先ほども申しましたが、建設省といたしましては、最終年度には一そう努力を重ねまして財政的な裏づけもいたしまして、この残りを一〇〇%達成いたしたいということで、固く決意しておる次第でございます。
#30
○松本英一君 それでは用地費の打ち切りについて御質問いたしますが、住宅対策に対する国の責任を地方公共団体にこれは転嫁するものではないのか。融資制度によって一時的に地方公共団体の資金調達が楽になっても、結局は償還金が増大する、ひいては公営住宅の大量建設を阻害する要因ともなりかねません。むしろ公営住宅本来の性格に戻って、もっと、補助を打ち切るのではなくして、国の補助率を上げるべきではないかと思いますが、その点についての御説明を願います。
#31
○政府委員(大津留温君) 公営住宅は、国の援助を受けまして地方公共団体が建設するということになっておるわけでございますが、従来の公営住宅の建設の一番の悩みといいますか、事業主体のほうで一番困っておりましたのは、三分の二あるいは二分の一の補助ということになっておりますけれども、実際にかかる費用がそれを相当上回るということによりまして、持ち出しが非常に多い。この超過負担が著しいということが一番の悩みでございました。国といたしましても、何とかこの超過負担をなくするようにいたしまして、地方公共団体の悩みの解消をはかりたいということでいろいろまあ苦心をしてまいったわけでございますが、御承知のように公営住宅の戸数も国民の御要望によってふやさなければならないし、また公営住宅の質の向上もはからなければならないということで、持ち出しの解消とあわせて、それらのことをはかるということが実際問題としてなかなか財政的に容易でないという現実に当面したわけでございます。そこで、いろいろ財政当局とも御相談いたしまして、この戸数の増加あるいは質の向上ということに一般会計の費用は振り向けていただきまして、用地費のほうにつきましては、実額に沿った低利融資をするということによってこの事業主体の当面する悩みを解決をはかろうじゃないかということで、地方債への切りかえを本年度から踏み切ったような次第でございます。お説のとおりに、この補助の単位を上げまして補助のままで実際必要な額の二分の一なり三分の二の補助ができますならば、これが一番いいことはもうおっしゃるとおりでございます。しかしながら現実の財政事情がそれを許さないという状況でございますので、いわば次善の策といいますか、次善の策といたしまして、低利融資によってその実額を確保するということのほうが、当面するこの事業主体の悩みを解消して公営住宅の建設を促進する方法であろう、というふうに考えた次第でございます。
#32
○松本英一君 それでは地方公共団体の超過負担の現状について、二、三の都道府県についての御説明を願いたいと思います。
#33
○政府委員(大津留温君) 公営住宅の建設に関しましての地方の超過負担の状況でございますが、四十二年度におきましては工事費につきまして事業主体全体の超過負担が五十億にのぼっております。用地費につきましては七十五億円、合計百二十五億円の超過負担がございます。そこで工事費につきましては、工事費に実際かかる費用の七%に五十億というのは当たりますが、この工事費につきましては、財政当局と相談いたしまして、四十三年度から三カ年計画でこれを解消しようということで四十三年度、四十四年度にそれぞれ七%に当たる部分の三分の一ずつを予算に織り込んでおります。四十五年度におきましては残りを織り込んでこれを解消しよう。用地費につきましては先ほど申しましたように、これを地方債に切りかえまして地方債の単価を四十三年度に比べまして六九・九%引き上げ、約七〇%単価を引き上げましてこれで大体持ち出しは解消される、それでそれに必要な資金を融資するということにいたしたような次第でございます。
#34
○松本英一君 いま御説明ありました補助制度を融資制度に切りかえる場合に見過ごせぬ問題がございます。それは今日までの補助制度においてすら、いまのような膨大な各地方自治体の超過負担が出ております。それは国庫補助金の算定基準となる標準建築費が土地の価格や実際の建築費の急上昇に全く見合っていないという証拠であります。このことはこの十年間余り自治体の住宅財政が極度に窮迫している事実がそれを示しております。このように顕在化している自治体の超過負担の課題が、いまのような補助制度においてすらこのような状態でありますが、低利融資の地方債によって一時はよくなっても、いわゆる返済を義務づけられている融資制度と、返す必要のない補助制度ですら、このような状態ですが、この問題についてはどのようにお考えであるのか、御説明を願いたいと思います。
#35
○政府委員(大津留温君) 地方公共団体が公営住宅建設にあたりまして最大の悩みは、いま御指摘のとおり、持ち出しが多いということでございましたが、この補助のほうが、融資と比べまして補助単価が適正でありますならば、補助制度のほうが有利であることは明らかであります。しかし、先ほど来御説明申し上げておりますように、補助単価が実情とかけ離れて持ち出しが相当多いとなりますと、その超過負担の負担額の調達に事業主体は非常に苦慮いたすというようなことで、実際に必要な額を融資いたしますならば、事業主体の当面の資金繰りはきわめて楽になるという利点は、これは明らかでございます。ただ御指摘のように、融資でございますから将来償還しなければならぬ、その将来借金がふえて結局公共団体の負担が過大になるんじゃないかという御指摘でございますが、私どもの仮の計算でございますが、本年度と同じ程度の事業を将来にわたってずっと続けていくといたしますと、本年度から十年間は従来の補助制度に比べまして今回の融資制度のほうが十年間は公共団体の負担はそれだけ少ない。十年をこしたときからこの償還金がだんだんふえて負担がふえてまいります。この起債の償還期限が二十五年でございますから、二十五年を過ぎますと、この償還額が一定になる。それに比べまして家賃の収入が七十年で計算してありますから、中層の場合は家賃の収入がそれをこえてだんだんふえていくということで二十五年をピークにいたしまして、それ以後負担が、今度は公共団体の負担が楽になるという計算に相なります。また公共団体の地方財政も年々強化されてまいっておりますので、将来の償還金についての負担は、今日の持ち出しによる負担に比べましては、実質的には相当軽いと感ずるのじゃなかろうかというふうに、私どもは考えている次第でございます。
#36
○松本英一君 いまの御説明で十年先には、十年間は融資制度によって楽になろう。したがって地方自治体の中には目先だけで見て一、二の市町村はこの融資制度にもろ手を上げて賛成することもありましょうが、ここにこのような大きな「公営住宅しぶる自治体」との見出しで新聞が報じております。それは「公営住宅は建てません――という自治体がふえ、四十四年度の公営住宅建設希望戸数が、国の計画の十万戸を下回った。自治体が国の計画の消化をしぶる傾向は年々、目立っていたが、計画戸数に達しなかったのは戦後初めてである。建設省は四月中には表むき十万戸を各都道府県に割当てる方針だが、自治体が実際に建設できるのは九万戸程度といわれ、四十一年度からはじまった公営住宅建設五カ年計画の達成は絶望的となった。」と報じております。このショッキングな公営住宅をしぶる自治体のこの報道に対して、建設省の明快な御説明を願いたいと思います。
#37
○政府委員(大津留温君) 一口に申しまして、ただいま御指摘になりました新聞報道は事実に著しく反します。建設省が昨年の八月に四十四年度の予算を要求するに際しまして地方から要望をとりました際におきましても、また本年の一月に政府原案が確定いたしました段階におきまして、あらためて地方から要望をとりました際におきましても、本年度の予定いたしております十万戸をはるかに越す要望がまいっております。したがいまして、本年度の戸数を地方に割り当てるに際しましては、その要望のうちからその公共団体ごとの公営住宅五カ年計画の進捗状況、またその地方における住宅事情を考慮いたしまして、要望を相当査定して配賦したというのが現実でございまして、事実でございまして、その新聞にありますような地方の要望が建設省の計画に達しないというようなことは、全く事実に反します。
#38
○松本英一君 それでは社会の公器をもって鳴る新聞の報道が著しく内容が違っておるということでございますが、それならば建設省としては公営住宅を喜ぶ自治体という見出しで、このスペースで訂正の記事なりPRの記事を出される用意があるのか、新聞社にそのような訂正の申し入れをするまた決意をなさっておるのかどうか、御説明願いたいと思います。
#39
○国務大臣(坪川信三君) 松本委員御指摘になりました問題につきまして建設省としての考えは、いま住宅局長が申し上げましたとおりでございますが、これに対しましてあえて反論といいますか、事実の問題点を広く正確な立場でやったらどうかというその方法も、一つの方法とは存じますけれども、何と申しましても私は民主主義の政治は国会を通じてそれぞれ論議をお互いにかわし、また政府の方針を述べることも当然だと思いますので、議会における答弁によって、それらの方向を御理解いただくようなことがいいのではないか、という気持ちも持っておりますので、これは当然でございますが、いま直ちに政府といたしまして、それらの報道に対する措置を講ずるという考えを持っていないことだけ、御了解いただきたいと思います。
#40
○田中一君 関連。いま大津留君は半分ごまかし的なことを言っているのですよ。結局どういう計算になるかということを一ぺん出してごらんなさい。どういう計算になるか。御承知のように地方自治体の長の選挙というのは四年ごとにくるのですよ。いわゆる市民を愛し、市民のための将来のそれこそ百年の計を立てようというよい市長は受けません、これは。四年ごとに選挙があるのだから当面公営住宅をどんどんつくるのだ、借金してもかまわないのだと言って、野方図もなく何か悪い自治体をつくり上げていくという長は、これは飛びつくでしょうけれども、これは政府自身がもう少し考えなければならぬことです。大津留君自身が一番よい方法を知っている。実際一番よい方法というのは、国が全額出すのが一番いい方法なんです。いいことを知っていながらできないということは、それで国の財政云々だと言っているけれども、日本のいまの政府のくだらない金の使い方というものは、国民みな知っておりますよ。警察官にしても自衛隊の隊員の増加にしても問題にならない。そこでいまの新聞の見出しにあるような見方が、社会にある以上、国会においてはつぶさに、金利から始まって当面の利点はあるでしょう、金融上の。しかし、将来の地方公共団体のしあわせを考える場合には、もう少し数字でもって解明してごらんなさい。何年になればどうなる、何年になればどうなる、この親切さが足りないわけですよ。いま言っているように、松本君の質問に答えて、十年までは楽ですが、十年以上は苦しくなりますよ。どういう計算ですか。それを資料として出していただきたい、こまかい数字を、ごまかさないでですよ。
#41
○政府委員(大津留温君) 先ほど申し上げましたように、本年度の事業量あるいは単価で従来の補助方式あるいは従来の補助単価でやった場合と、この単価を是正して融資でやった場合との比較をしてみたわけでございますが、現行方式によりました場合には、公共団体の負担は、補助裏、それからいまの超過負担、それから補助裏の借金に対する償還金というようなものが負担になります。それから、それに対しまして家賃の収入が収入になります。そういうことで計算いたしますと、初年度におきまして地方の負担が百十二億五千万、これは全国の公共団体、事業主体全体として計算しております。これが新しい融資のやり方でやったといたしますと、この新しいやり方によりましても、必要な財源、必要な資金の八五%を融資するということでございますから、一五%の自己負担は残ります。それに償還金を含めまして六十九億という負担になるのですが、それに対して家賃に含まれております地代の収入、それから今度家賃収入補助金というのを出しますから、その補助金を差し引きまして、純然たる地方の負担は四十八億九千万ということに相なります。したがいまして、第一年度におきましては、従来の制度に比べまして新しい制度のほうが六十三億六千万だけ負担が少なくて済むという計算になります。そういう計算を二年度、三年度ずっとやってまいりますと、先ほど申しましたように、十年目まではその地方の負担が少なくて済むということで、十一年目から新しい制度のほうが負担が少しずつふえていきます。それで先ほど申しましたように、二十五年目をピークにいたしまして二十六年目からまた徐々に減っていきます。そういうことでこの負担が将来にずっと残されるということは御指摘のとおりです。当面楽になると、十年間までは楽になるということでございますが、先ほども申しましたように、地方財政といたしましても、年々財政力が強化いたしておりますので、十年後、二十年後におきましては、相当な償還力を持つに至るであろうということからいたしますと、地方公共団体の理事者といたしましても、この方式を私はむしろ選ぶのじゃなかろうかというふうに確信しておるわけでございます。公聴会も開かれるというお話でございますから、公共団体の理事者に対しましてその点もお聞き取りいただければけっこうかと思います。
#42
○田中一君 表で出してもらいたいのですが。
#43
○委員長(岡三郎君) いまの資料をひとつ表で出してください、いいですか。
#44
○政府委員(大津留温君) はい。
#45
○沢田政治君 関連して一つ。いま同僚委員がいろいろな資料で新聞の見出しから切り出して質問をしておられるのですが、地方公共団体がまあ補助が実情に合わぬとかいろいろな問題で公営住宅を渋っておる、こういう発言をしたわけですが、その新聞発表が事実無根である、そういう事実はないということを大臣も局長も抗弁されたわけですが、そんなばかなことはないのですよ。私、きのうですね、選挙区から帰ってきたのですが、何げなくNHKのローカル放送を聞いておったわけですが、たしか秋田県に今年度三百何戸だと思うのですがね、公営住宅の割り当て、秋田県にそのとき、ぼくも正確な数字はちょっと記憶薄れておりますが、秋田市ですね、いなかの県でありますが、秋田市となりますと県内では一番住宅事情の逼迫しているところですね、この秋田市が百何戸だか今年の予算に組まぬ、結局宙に浮いている、受け入れ態勢をとっておらぬ、こういうのがローカルのニュースになっておりました。一般市民はですね、こんなに住宅が足りなくて待っておる人がたくさんおるにもかかわらず、何じゃ、ということで県当局を難詰しておる、県も困っておる。こういうまあこの何といいますかね、ニュースがNHKで出ておったのですよ。だからやはり軽くそんなばかなことはないということじゃなくて、やはり行政をつかさどる者がそういうような事情というものは下部のほうで起きておるのだ、という実態を知らなければたいへんなことになりますよね。だからきょう私はここで明確な答弁をお聞きしたいと思いませんが、軽く松本委員にそんなばかなことはない、新聞が間違っておるのだろうと言っておりますが、そういうことあると思うのですね。だからぼくは一番最後に質問ということになるわけですが、その際に私質問もしなくちゃならぬと思うので、なぜ秋田市がそれを断わっておるのか、渋っておるのか、ここに大きな住宅政策のある意味の究明しなくちゃならぬ点がひそんでおると思うのですね。そのためにきょう即答を求めておるわけではないが、どういう意味でこれを断わっておるのか、渋っておるのか、その点調査しておいてください。
#46
○国務大臣(坪川信三君) 私の先ほどの答弁申し上げましたことにつきまして、私の考え方を申し上げましたが、私はこれは事実無根であるから全面的に否定するということばは何ら使っておりません。速記録をお読みいただけばわかると思います。何といっても政治というものは地方のやはり自治体の意向というものについて、また事情というものについては、十分やっぱり客観的に見まして、その客観的な情勢を踏まえまして、それぞれの施策をいたさなければなりませんとともに、私も浅い市長という経験から申し上げましても、それらの問題点の地方の自治体がいかに大きく苦しんでおるかというような事情も、私は理解もいたしておる一員でございますので、いま局長が申し上げました点も踏まえながらわれわれは善処いたしたいと、こういう考えでおることを、ひとつ御了承おき願いたいとこう思っております。
#47
○松本英一君 今回の改正の中で、高額所得者に対する明け渡し強制措置は、全入居者に多大の不安を与えております。しかもその対象となる二百万円以上の所得のある数はわずか四千六百人にすぎません。このようなわずかな数字をとらえて強制措置の明け渡しの手段は、こそくな手段であると言わざるを得ません。したがって、これは公営住宅を、公共住宅を大量に建設することが先決であることは言うまでもありません。同時にまた、明け渡しの請求を受けた者に対して、他の公的資金による住宅への入居等については特別の配慮などにとどまらず、入居者にもこれらの住宅へ入居できるような権利を与えるべきではないかと本会議で質問いたしましたが、これについての明快な御答弁を願います。
#48
○国務大臣(坪川信三君) 住宅難の著しい低所得者のために、公営住宅を大量に供給する必要性は全く松本委員と同感でございます。当然だと思います。今回の改正につきまして公営住宅の大量の建設の必要性はいささかも減ずる考えでもなく、また減ずべきでもないと信じております。しかし著しく高額の所得のある人が、公営住宅にいつまでも居住しておるということにつきましては、やはり社会公平の点から低所得者の待ちわびておられます心情等、また不幸な客観的な情勢等を勘案するときに、これらの方々の立場もまた十分そんたくといいますか措置を講ずるということ、これも必要であるということも、その気持ち、趣旨においては御賛同をいただけると思うのでございます。したがいまして高額の明け渡し請求の対象となる者の数がたとえ少数ではありましても、そうした気持ちで低所得者のために一戸でも二戸でも住宅を差し上げたいということの気持ちから、こうした措置も講じたことをひとつ御了解願いたいと思うのでございます。明け渡しの請求の基準は、全国勤労者所帯のわずか数%の人が高い水準であるので、大多数の居住者は引き続き居住を継続できるものであり、また明け渡し請求を受ける者に対しては移転先の住宅のあっせん等またはそれらの家庭事情等あるいは健康とか病状その他の立場も十分あらゆる角度から正しく考えまして、そしてこれらの不幸をなるべく避けた配慮のある措置を講じてまいりたいということで、御理解いただきたいとお願いいたしたいと感ずる次第であります。
#49
○松本英一君 現在のように社会的な抽せんによる入居ではなく、世帯別の個別的能力に応じて、最も家賃負担に苦しんでいる世帯から優先的に入居させる方式を採用されたらどうか。またこのためには登録制度をとるべきであると思うが、建設省のほうはどのようなお考えであるのか、御説明を願います。
#50
○政府委員(大津留温君) この入居者の選定の方法でございますが、この住宅に最も困っておられる方から、そのお困りの度合いに見合って優先的に選考するということが、これはきわめて望ましいことでございます。したがいまして、そういうことが現実にできる方法があれば、そういうことをやりたいという気持ちは持っておるんでございますが、たとえば東京都におきますように何ぶん住宅困窮者という数が非常に多いという現実におきましては、はなはだ形式的になって、私どもとしてもこれが最もいいと思っているわけではございませんけれども、一応抽せんという方法によらざるを得ないという状況でございます。なおそれを補う方法といたしまして先ほど大臣の答弁にありましたように、母子世帯であるとか、老人世帯、あるいは身障者世帯あるいは特別に低所得者の方というような方で、住宅でお困りの方を特別のワクを設けまして、優先的に入居させるという措置をとっておるような次第でございます。なお、御指摘のような登録制度というようなやり方は、住宅の希望者がわりあい少ないようなところ、あるいはそういうような場合におきましては、実施が可能でございますので、私どもといたしましても、十分研究いたしまして、そういう方法がとり得るところにつきましては、ひとつ考えてみたいというふうに思います。
#51
○松本英一君 衣食住のうちで衣食が人間の一時的とも言うべき欲望を満たすものであるのに対して、住宅は生活全体を規制する性格が強うございます。したがって、人間性そのものにまで大きな影響を与えます。全国の今回建設省が世論調査の結果では、住宅の狭さの訴えが非常に多うございますが、このような人間性そのものにまで大きな影響を与える居住の水準が低ければ、青少年の問題、いろいろなその他の問題を惹起する要因となることは、これは必然であります。したがって、居住水準の引き上げを積極的にはかるべきであると考えておりますが、建設省のその点についての御説明を求めます。
#52
○国務大臣(坪川信三君) 国民のしあわせは、先ほども申し上げましたごとく、私は社会のしあわせも国家のしあわせも、やはり何といっても社会開発の基幹をなす住宅の整備、住まいの問題、これが政治の上の非常に重要な課題であるということは、先ほども申し上げましたとおりでございます。したがいまして、居住水準を高めていって、国民のしあわせな住まい、生活の整備をいたすということは、政治の優先する最も重要な問題点であろうと思いますので、私といたしましても、政府といたしましても居住水準を高めまして規模、質等の内容の充実及び住まいの確保、広さの充実等も含めまして、今後、最善の配意を進めたいと考えておりますので、松本委員と全く同じ考えであります。
#53
○松本英一君 私は最近非常に騒がれております低家賃の公務員住宅に住んでおられます、そのある県の労働基準局長の話を聞きました。その人は、この住宅問題について、ほんとうに夫婦が愛し合えるような、そのような住宅政策を私は望みますということを言われました。労働官僚の中にもそのような意見を持った人がおられます。したがいまして、私は先ごろ建設大臣が発表になりました公営住宅にもふろをということばを言われましたが、ただ単にふろのスペースであるのか、あるいはふろをつけてやられるのか、その坪数を増してやられるのか、そのような意味のお尋ねをしたいのですが、私の気持ちとしては、そのような大きな見地からの家庭あるいは生活、生産、そういう面から見てのこの居住水準あるいは住宅政策、そのようなものをお考えあるのかどうか、御説明願いたいと思います。
#54
○国務大臣(坪川信三君) 具体的に御指摘になりました問題につきましては、私はその目標といたしまして、しかも長期にわたる目標でなくて、私の方針といたしましては、やはり人生のあまり長いことでない国民生活の考えを持つときに、私はやはり短期といいますか、一つの目標を立てながら、これらの具体的な措置を講じてまいりたい。いま直ちに気持ちの上におきましては、ふろ場の坪数をふやすとか、あるいは居住の部屋を大きく広げるとかいうようなことにおいて、直ちに、ことしから、来年からということの申し上げられないことは相すまない、という気持ちが先立っておるような次第でありますが、私は一つの年次計画を立てながら、しあわせな住宅環境の整備に最大の努力を払ってまいりたい。それにはやはり一つの大きな問題点になることは、やはり住宅建築のコストの問題が大きく私は左右されておることを考えるときに、公営住宅を中心とする工業化ということに最大の努力を払わなければならない。たとえば玄関の入り口なら入り口という問題点にひとつ規格の統一された、一つのワンセットで規格をいたしまして、そうしてそれを生産するとか、あるいは台所におけるところの水洗あるいはガス、その他のものを一つの一式に、ワンセットにした一つの規格によって行なうとか、あるいは公営住宅のエレベーターの規格についても、一つの一定した規格のもとにおいての工業化をはかりながら、私はこれらの建設費のコストを下げまして、そうして内容の充実をはかるということに最善の努力をいたしたい、こういうような信念と決意のもとで行政指導をやっておりますので、何とぞ御理解をいただき、御期待に沿うよう最善の今後とも努力をいたしたいと、こう考えております。
#55
○松本英一君 住宅政策で、生活環境が悪かったならば、これは完全な住宅政策の失格であります。とりわけ育ち盛りの子供たちには、太陽と緑とささやかな空間は、親の愛情と同じように政治の愛情が必要であることは申すまでもありません。愛情を標傍される坪川建設大臣にこのような住宅政策の中における生活環境についての対策について御説明願いたいと思います。
#56
○国務大臣(坪川信三君) 美しい緑またきれいな空気、またあたたかい日光、こうした住宅環境の非常に重要な毎日の生活にとってのほんとうにあたたかい環境をつくるということは、ほんとうに好ましいことであるとともに、当然な措置であろうと私は考えるのであります。したがいまして、これらの点につきましても、総合的な制度の制定あるいは総合的なるところの施策の配慮をいたしまして、松本委員が御指摘になりました点に方向づけられるよう、今後も十分思いを新たにいたしながら措置を講じ、その目標に向かっての達成に努力をいたす覚悟でございます。
#57
○松本英一君 社会保障制度審議会は、その勧告の中で住宅扶助を受けるに至らない低額所得者に対する公営住宅の建設を住宅援護として社会福祉の中に位置づけております。言うならば、住宅問題とは問題を社会保障の一環として取り上げたということでありましょう。しかし、今日までの具体化された政府の住宅政策としては社会福祉行政としてですらなく、単に社会保障関連事業としての公共、公営住宅建設という形となって、社会保障のワクの外に押し出してしまったのが、現状であると言えます。したがって、公営住宅については、社会保障的福祉政策としての性格を強めるべきであると思っておりますが、政府の熱意ある答弁と、同和地区あるいは身障児あるいは母子世帯について、先ほど御説明がありました、あわせてこのような社会保障的福祉政策の方針をお持ちかどうか。公営住宅については、そのような性格を強めるべきであると思いますが、御答弁を願いたいと思います。
#58
○国務大臣(坪川信三君) 松本先生御指摘になりましたとおり、私は公営住宅というこの建設は、お気の毒なる勤労者、低所得者を対象とする社会福祉的性格が非常に強い住宅政策であろうと考えておるのであります。したがいまして、私は、これらの観点の上に立って公営住宅の推進をおしはかってまいりたいということはもちろんでございますとともに、冒頭に申し上げましたごとく、それの一環性といたしましての気の毒な立場におられる方々、たとえば具体的に申し上げますならば、母子世帯、あるいは身体障害者、あるいは老人の問題、あるいは同和対策住宅というような点につきまして、私は昨年度より本年度の建設計画を倍増いたしました気持ちもここにありますので、さらに、私は、この観点に立って、社会福祉政策の重要な一環としての考え方から住宅政策を推し進めるべく、今後も、厚生省、その他関係省庁と十分連絡を受けまして、御期待に沿いたい考えであります。
#59
○松本英一君 要するに住宅政策は、建設省だけで政策決定されるのではなくして、住宅建設計画法の精神にのっとり、政府全体の認識と理解と責任において総合的に樹立さるべきであることを私は特に指摘いたしまして、建設大臣並びに大蔵省の御答弁をいただき、昭和四十六年の長期展望に対する新しい計画並びにこの公営住宅を渋る自治体の記事について質問を留保させていただき、私の本日の質問を終わりたいと思います。
#60
○国務大臣(坪川信三君) 御質疑をいただいているその間に申し上げましたことで、御理解もいただけ得ると思いますけれども、最後の重要な御質疑に対しまして、私は私なりの決意を申し上げたいと思うのでございます。すなわち、住宅政策こそ住宅環境、住宅建設こそ国民生活、国家政策の最も優先する重要な社会開発の一環としての最大な問題点であろうと、こう私は考えておる次第でありまして、私が建設大臣に就任をいたしまして、最初に私の建設行政の新たなる構想といたしまして取り上げました点、また、私は私なりに考えました問題点と構想を発表を報道機関を通じていたしましたのも、住宅対策でございました。私はかかる観点から、いま申されましたことを十分踏まえまして、最善の努力をいたす覚悟でございますので、何とぞ御了承願いたいと思います。
#61
○説明員(井上幸夫君) 先生御指摘のとおり、住宅問題は社会福祉政策の問題でありますし、同時に、都市再開発の問題であり、都市計画の問題でもあります。私どもといたしましても、冒頭に申し上げましたように、今後の住宅政策の拡充強化につきましては、十分に努力をいたしたいと思っております。
#62
○松永忠二君 ちょっと関連……。
 これは、さっき五カ年計画の話しが出ておりますが、最初三年くらいは五万戸ずつふえているわけなんですね。ことしは七万戸ふえている。来年十五戸ふえれば七十六万二千というのが達成できるわけです、公営住宅についてですね。したがって、私は、必ずしもその努力いかんによっては、公的資金による住宅の計画を一〇〇%できないということはないと思うのですね。そのくらいの決意は持っておられると私は思うので、まあそうでなしに、自力建設のほうは六十五万戸だから、これが上がれば、両方合わせて一緒になれば計画は一〇〇になるなんということを考えているのじゃなかろうと思うのですね。したがって、特に大蔵省のほうに――主計官、直接あなたはこの予算に一番タッチをされるわけなんで、この点についてはやはり努力いかんによっては達成できる残事業量であるというような判断を持っておられるのか、とうていこれは達成できないという判断を持っておられるのか、その点の決意のほどを聞いてそうしておきます。(「主計官じゃ無理だよ」と呼ぶ者あり)いやいや、主計官なんだから、そのくらいのことは言えるわけだ。そうでなければ出てこなくてもいい。
#63
○説明員(井上幸夫君) 明年度の予算につきまして、ただいま私具体的にどうする、こうするということをちょっと申し上げる立場にございませんのですが、私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、住宅政策を軽視しておるわけでは毛頭ございませんし、明年度の予算はやがてまたこの夏以後に編成の時期に入ると思いますけれども、建設省でお考えになっております次期住宅政策のあり方、それから現在の事業の進捗状況、財政需要、財政事情その他を十分総合勘案させていただきまして、明年度の予算編成の作業に取り組みたいと思っております。
#64
○委員長(岡三郎君) そこでついでに大臣に……。
 いま井上さんから答弁あったけれども、私は、大蔵省の役人というか、官吏の方を含めて、住宅政策というものがばらばらで、特に国家公務員住宅というものが非常にこう優先されているというかね、これはある意味において、やはり国家公務員に対して住居を確実に提供するということは必要であるから、その点については要らないなどということは言いませんが、ただ問題は、私は、中央官庁の公務員はある程度住宅が充足してきている。自分たちはある程度困っていないんだよ。しかもそれが非常に安い。これは国有地をおもに使っているからね、安くできるわけだ。そういう点で、住宅に対しては困っている困っていると言うけれども、自分たちは困っていない段階にきているから、わりあいにそこら辺が直接的にぴんときていないのじゃないかという私は感じを持つのですがね。建設省の公務員の方々なんかも、これはいろいろとまあ条件があるにしても、やはり五千円足らずのところへ、まありっぱとはあまり言えないけれどもね、やはりかなりいまの状況の中ではしっかりした住宅に入っている。これは悪いとは言っていないんですよ。ただ、そういう面でこの公営住宅というものに対して――公営住宅というばかりでなくて、一般の庶民住宅に対する国の愛情というかね、国の義務というか、こういうものの感度というものが非常に薄れてきている心配が私はあるのじゃないか。その憂いを先にして楽しみはあとにするというまあ東洋学的な立場で言えば、庶民の住宅を建設しない前は、国の官吏の住宅というものはあと回しにするのだというぐらいの決意がないというと、いつまででも、これほうっておかれるということになるのじゃないか。公営住宅大量建設なんと言ったってかけ声だけで、実質的に言うと国家公務員の住宅はかなり充足してきていると私は思っている。これはいけないと言っているわけじゃないんですよ。だから、私は、そういう角度で建設省自体としても、やはりこういう面について、先ほど言われているように、約束したことはぴちっとやるのだと、予算なんかについても大蔵省もけちけちしているわけではないのだろうけれども、どうもそこら辺の感度がぴったり私は合わない。大蔵省の役人みんないいところ入っている――いいところって、あまりたいしていいところでないかもしれないけれども。そこで一般庶民に対して、同じ国民に対しては予算が減ったらどうだ、一体何がいまの時代の中で必要なのかということを考えていけば、政府の施策のいろいろな移りかわりの中において、所得倍増計画から、ずっと経済が高度成長してきた。都市に人口集中するのあたりまえですね。その中で住宅が不足して困窮者が多いということになれば、こいつをまず何とかしてでも片づけなければならぬということになれば、これに率先してやらなければいかぬけれども、やっていると言っても実際は借金してやっているのだよ。自治体も借金して。だから私は、そういう点で国民がひがまないように、やっぱりひとつそこら辺を整理して、やっぱり国民が困っているときにはおれたちも困っているのだということでひとつ充足するということについて基本的にやっていかないと、新聞にでかでかと国家公務員はこれだけ家賃を修正したけれども依然として問題にならぬぐらい安い家賃を払っている、おれたちは一体何なんだ、民間のアパートに入っている者、いろいろな者を含めて大体六畳間一間で八千円、3DK、4DK、三十坪ぐらい、亘平米ぐらいのところで五、六千円で入っているということからすれば、国民はひがまざるを得ないと思うんですな。そこら辺についてのやはり一つの整理のしかたをもって、少なくとも最小限度国民に対し、住宅を与えるということについて真剣にアンバランスを解消していくということを考えないというと、やっぱり私はいまの大学生の都市集中ということについても好ましくないと言っているけれども、じゃ研究施設とか学校を地方に移すということになればこれは何千億の仕事ですね。筑波のふもとにしてもこれは河野さんが始めてからまだ完成してない。もうその当時の発起人は死んじゃって墓場であれは何になっているかということを言っていると思うんですよ。そういうふうな状況の中において学生自体も住宅にいま困窮しているわけです。寮に入るといったって、寮はまるで飯場――というと変ですがね、非常に低劣ですね。私も見てきたけれども、もうあれでは、何というか、昔のいわゆる旧制高等学校の中における寮もかなり荒れていたと言われているけれども、しかしいまの大学の寮なんというものは、これはもう話になりませんな。こういうふうな実態というものを総合的に見て、まず住居というものをどの程度まで急速に緩和するのか。ちびりちびりやっているから、人口が都市に集中するのに追いつけない。五カ年計画といっても、五カ年計画が四年目にきても、何というか、住宅不足の感覚というものはいささかも緩和されていませんね。四年前といまの感覚をとるというと全然緩和されているという感じを持てないですね、一般の都民にしても国民自体にしても。だからそういうふうな面について、総合的にやはり住居というものをすみやかにどう解決するのとかいうのが、私はことばを改めて言えば国民の心を平静にするという問題と直結する問題だと思うのですよ。だから、大学紛争とか何とかに直接関係してものを言うわけじゃございませんけれども、やはり非常に日常的に国民に内在的な不満がある。いまの時代において投機仕事といえば、土地を買うこと、それからアパートを建ててこれを営利の対象にすること、少なくとも国民の基本的なものである住宅問題については、土地を含めてこれが端的な営利事業になって、それは極端な値上がりの中において、庶民が手のとどかないところにおいてこの政治というものが運営されているということ、これに対して大蔵省なんかてんとしてこの問題についてはメスを入れようとしない、建設省は大蔵省へ行って一生懸命に予算をとろうとしておるけれども、力が足らない。私はこういう実態の中で少なくとも住居の問題だけは解決しないと、先進国とは言えない、言える義理じゃないと思うのですよ。そういうふうな点で、いま言われてきたように、基本的な問題としてやはり、こと新しい問題ではないけれども、やはり建設大臣のほうとして公営住宅だけではなくして、大量建設をどうするのか――いますぐそういうと再開発で民間デベロッパーを入れなければだめとか、いろいろな論議をするけれども、根本的にいえば国家資金を投入してうちはつくっていくのだ、地方の市町村の自治体の長も県のほうも国についてこい――いろいろなことをやっておる、見てごらんなさい、各県の県庁に行ってごらんなさい、デラックスな建物をつくって、一体あれはだれの建物なのか。国民が住宅に困窮しているのに、県庁というものはまるでそれを、どこを向いて政治しているのかわからぬが、何十億もかけて堂々たる建物をつくって、そうしてあなた、住宅が不足だ、何だかんだというけれども、私はここら辺のアンバランスというものは放置できないと思うのですよ。だからそういう意味においては、やはり国計画全体といっても、私は県庁なら県庁、いいものをつくるのは必要だけれども、いいものをつくるのならばそれ前に少なくとも最小限度人間に値する程度の住宅というものを、おまえら、つくってから県庁つくれというくらいのやはり基本的政策というものがない限りにおいては、ちょっと先進国とは私はいえないのじゃないかという気がするのです。これを総合的に見て、私は答弁をいただこうとは思いませんが、とにかくそういう面における何というか、無意識的にというか、いまの政治の中において強い者はどんどんといいところへ住み、もうけをどんどんと占有して、弱い者は貯金すれば貯金しても、うちはとても買えない、土地は求められない、そういうふうな面についてもういまの国民は土地を求め、うちをつくるならば、借金をしてまずそれを確保してから長期償還計画を立てなければ、一生、住宅などというものは手に入らないだろうということをいわれておる、それはまことにそうですね。五年たってうちをつくろうと思っても、五年間営々として貯金しても貯金したとき二十坪のうちをつくろうとしたところが、四〇%の値上がりならば、二十坪のうちが十二坪のうちしかできないという金の価値にしかなっていないといういまの現実、私はそういう面についてむずかしいことは別にしても、基本的に言うて、うちだけは国としてやはり率先実行して国民にこれをつくっていくという中においてやっていかなければ、自力建設なんというのは体裁のいいことであって、こんなものは国が自力建設なんといってほめるべきものでない。しかし国がつくり自治体がつくって、そうして民間がその中に応じてつくっていくことは、これは悪いことでないと思う。そういう意味において基本的にいろいろなことを言われているけれども、その面について住居についてはあと一年たったら、いまも松永さん言ったように、必ず五カ年計画は達成する、達成したって焼け石に水かわからぬ。大臣が言っているように、新五カ年計画をつくる。これは国民の貯金と同じように、五年計画でやっているうちに、五年目には物資の値上がり総体的なものがあって達成できない、国民がまた新しくどんどん都市に集中してくるから、そういうものを含めて、少なくともいま住宅不足というものの数字から考えてみて、それを何とかカバーできる、緩和できるところまでいけば、それ以後は比較的にある程度、みんな個々に国民がある程度望みなきにあらずということになれば人心の安定、まさしく私は相当の政治的にもいい面が出てくるのじゃないかというふうな気がするのです。そういう点について建設大臣としていままでの答弁、十分わかっているのですが、ただ問題は、いままでも言われているように、ちょっとアンバランス過ぎるんで、この点についてやはり基本的に高額所得者が出てもらうこともけっこうだけれども、とにかく大量建設ができるような方便を、ひとつ建設省としてもがっちりとひとつつくってもらいたい。こういうことを私はお願いしておきます。
#65
○国務大臣(坪川信三君) 結論だけ申し上げますが、いま委員長が申されました数々の具体的な点につきまして深く傾聴いたしております。私はほんとうに委員長とこうした問題で意見をかわすというよりか、全く私は同じ気持ちでおりますが、結論を申し上げますならば、住宅問題を含めましての現実の矛盾と撞着、この矛盾と撞着に対する政治の姿勢がどうあるべきかという、私は基本問題は何といってもともすれば行政が優先して政治が優先せないと、この問題点だと思います。私は、したがいまして、社会主義政策を打ち立てられておられる社会党さん、あるいは共産主義を唱えておられるところの共産党さんの立場、また自由資本主義を持っておるところの自由民主党のそれぞれの立場になって、私はあくまでも社会正義観と公平な均衡という点を踏まえながら、行政に優先する政治であるということに私は基本を置かなければならない、政治の最高の姿勢はかくあるべきであろうと、こういうふうな気持ちを持って、私は今後も住宅政策を含めましての日本の大事な桂の公共事業の推進に当たってまいりたいと、こういう結論であることを答弁申し上げて御理解いただきたいと思います。
#66
○委員長(岡三郎君) 上田さん。
#67
○上田稔君 私は公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして二、三の質問を行ないたいと存じます。時間がございませんので、なるべく簡単にやっていきたいと、こういうふうに考えております。
 まず第一点は、将来の住宅計画特に公営住宅計画についてお尋ねを申し上げたいと思う次第であります。大臣は先ほど住宅行政には非常に力を入れておる、こういうおことばをいただきました。そのとおり現行五カ年計画というのはもう来年で終わるように進みつつあります。現在、いろいろ松本委員からもお話がありましたが、来年度少し力を入れていただくとこれは完成をすると、こういうことになる。そういうことになりますと一世帯一住宅というものが完成するんだということが、この五カ年計画を立てるときには言われておりました。この実情がしかしこれからどうなるのか。こういうようなことに対して、先ほどまた大臣はこの次期五カ年計画を立てる、こういうようなおことばもあったようにお聞きいたしました。で、そういうことに対しましてその五カ年計画というものはどういうような構想になっておるのか、こういうことについてお聞きをいたしたい。特に公営住宅に対してはどういうふうなお考えを持っておられるのか。それはどうしてその必要性がますますふえてきたのか。そういうような原因について、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
#68
○国務大臣(坪川信三君) 現在、計画を遂行いたしておりますところの五カ年計画は、建設行政に非常に御見識を持っておられます上田先生はよく御承知だろうと思いますが、昭和三十八年の住宅統計の調査並びに住宅需要実態調査の結果に基づいて、借家を希望する者のうちみずからの努力のみで目標を達成する居住水準が確保できない方々に対して、公的資金による賃貸住宅を供給することとして立案いたしたのでありますが、特に所得の低い方々、昭和三十八年度におきましては年収六十五万円以下でございましたが、これらに対して住宅を供給し、住宅の建設を推進するという出発であったことは、御了承のとおりでございます。現行の五カ年計画における公営住宅の計画戸数も御承知のとおりに公的資金によるものが二百七十万戸、民間依存によるもの四百万戸ということでございますが、そのうち改良住宅を含めまして五十二五尺調整戸数は含んでおりませんが、これを建設するということが、公営住宅の目標であったわけでございます。昭和四十四年度において十万戸を建設することにいたしておりますので、当初の計画に対しましての進捗率は、七八%に達する見込みでございます。したがいまして、昭和四十五年度の最終年度までには計画を完全に達成するとともに、調整戸数等の配分についても重点を置いて公営住宅の建設を促進いたしてまいりたい。また御質問にありました第二期の五カ年計画については、昭和四十三年度実施の住宅統計調査あるいは本年度実施の予定の住宅需要実態調査等の基本統計資料の結果を待ちまして、今後慎重に私は公営住宅の推進をはかってまいりたいと思いますが、たびたび御答弁申し上げましたごとく、私はその中にあって公営住宅に対する建設を大いに意慾を燃やしながらやってまいりたい。国会の衆参両院におけるそれぞれの委員会、それぞれの本会議で御指摘になりましたとうとい御意見も最優先に貴重な資料として考えてまいりたいと思いますとともに、また政府の機関であります住宅宅地審議会の審議、答申等も十分検討いたしまして、上田委員御心配のこれらの問題に鋭意努力をいたす覚悟であることを、御了承願いたいと思います。
#69
○上田稔君 それでは住宅局長にちょっとお尋ねをいたしたいのですが、いま大臣のお話によりますと、次期の五カ年計画というのは、今後の調査に基づいてやっていくのだ、こういうことでございますが、いまの現在の五カ年計画におきまして、この公営住宅の考え方でございますが、住宅に困窮している低額所得者、これは現在八十三万五千円年額以下の者を対象にしていると思うのですが、その方の住宅不足数の何%を対象にされておりますでしょうか。将来それは第二期ではふえそうなんでしょうか、それともこの辺はどうでございましょうか。
#70
○政府委員(大津留温君) 現行の五カ年計画におきましては、住宅に対する需要のうち借家を希望される方、持ち家を希望される方いろいろございますが、借家を希望される方のうち年収、当時の価格で四十二万円未満の方、これが五十四万世帯ございました。この四十二万円未満の世帯の方は、これは全部公的施策の対象にいたします。それから四十二万円から百万円までの年収の方、これが百七十八万世帯ございましたが、このうち半分は公的施策の対象に相なります。そういうことで、公的施策の対象として取り上げましたのが百五十三万世帯、それから持ち家を希望される世帯のうちで年収百万円未満の方、これが二百三十四万世帯ございまして、このうちの半分を公的施策の対象に取り上げましょうということで、これが百十七万世帯、合計いたしまして二百七十万という数字が出たわけであります。こういう一応積算の内訳になっておりますけれども、現実にその後の住宅事情の推移を見ますと、先ほど来お話が出ておりましたように、世帯の分離が当初の予定よりも一そう激しく行なわれておる状況でございます。また所得の上昇に伴いまして住宅に対する欲望といいますか、国民の方々の要望も非常に強くなっておりますので、当時の計画において考えました最低限の規模、普通世帯で十二畳以上というような最低限の規模も、今日の所得水準からいきましてはとても満足せられないことでございますので、そういう最低の規模につきましてもこれを引き上げる必要がある。また在来の戦前あるいは戦後にお建てになった住宅も相当老朽化しておりますので、それの建てかえを希望される御希望も非常にふえてまいっております。そういうようなことで、新しい五カ年計画においても相当意欲的に住宅の量並びに質の向上をはからなければならないと思いますが、その中におきまして先ほど来お話が出ておりますように、所得が割合に高くて住生活の解決の余力のある方々から逐次解決されている、所得の低い方々に住宅難のしわが寄ってきているという状況が見られますので、新しい五カ年計画におきます公的施策の住宅は、そういう低所得者に住宅を供給する。つまり公営住宅に自然重点が向かざるを得ない状況になろうかと思います。これは私五カ年計画の推移を見ましてそういう感じを持つわけでございますが、計数的な裏づけは、先ほど大臣の御答弁にありましたように、新たな住宅統計調査の結果があらわれますと、その辺のはっきりした計数が出てまいりますので、それに基づいて新たな計画を立てたい、こういうふうに考えております。
#71
○上田稔君 この低所得者に対する住宅の問題というのが、これから非常にクローズアップされてくるというお話でございます。低所得者にとりまして住ということはほんとうに大切なことでございますから、この次期の五カ年計画におきましては、ぜひこの公営住宅の計画というものを大いに進めていただくようにしていただきたいと存ずる次第でございます。
 次に、標準価格のきめ方についてお尋ねを申し上げたいと思うのでございます。十二条でございましたか、家賃の収入補助、土地取得に際しまして取得に要する費用の補助を、今回起債にかえたことによって生ずる家賃が上がるということを押さえるために出す補助でございますが、その額を決定するに際してその決定方法はどういうふうにされるのでしょうか。毎年お変えになるのでしょうか。毎年物価が変わってくる、土地の価格が変わってくるという場合には、お変えになるのでしょうか。あるいは建てる場所が変わってくるから、お変えになるのでしょうか、あるいはまた標準価格で用地取得費というものをある程度押えていくというような考え方を持っておられるのですが、不都合は生じないんでしょうか。
#72
○政府委員(大津留温君) 法律では、標準価格は、適正な立地条件を備えている土地に公営住宅を建設するものとした場合における公営住宅を建設するための土地の取得に要する費用として、通常必要な費用を基礎として建設大臣が定めるという文言になっております。これは具体的なきめ方でございますが、全国を地価の統計によりまして十の段階に分けまして東京の区部あるいは大阪の市部というのが一番高いランクになりまして、そこで、そこにおきます公営住宅の建設地、これは従来の実績等を勘案いたしまして、そのそれぞれのランクにおきます一戸当たりの用地費を定めます。これはもちろん年々地価の変動がございますれば、それに応じて変えてまいりますし、またこの立地の条件を変える必要があれば、そういう点からの変更もあるわけでございます。これは家賃収入、補助の場合の標準価格と同時に低利資金を融資いたします場合の基本になる価格でもあるわけでございます。この実際に事業主体がその地域におきまして公営住宅の用地を取得いたします、買収いたします場合は、それぞれの価格によるわけですが、その十のランクに分けまして定めました標準価格、この事業主体が買いました価格を平均いたしまして標準価格以内ならばその価格、標準価格をこえている場合にはその標準価格を基礎にして融資並びに補助をやるわけでございます。
#73
○上田稔君 それではたとえばある府県が申請を出してくる。そういう場合にこの標準価格よりも高いところがあり、安いところがある。これを平均して一つの府県でその標準価格よりも以下であればいいわけですか。それとも一カ所でも標準価格より高いところはだめなんですか。
#74
○政府委員(大津留温君) 先ほど申し上げましたように、事業主体ごとに何といいますか、用地費の標準価格のための地域区分がございます。東京都がやります場合も、区部内におきましてはAランクならAランク、これはそれの平均でいきます。それから三多摩地区なら三多摩地区での価格でございます。平均をとって一カ所だけがオーバーしておりましても、平均すればその標準内におさまるということなら平均したところへいくわけです。
#75
○上田稔君 そうしますと、その標準価格という考え方は、建設省が予算要求をするときに大蔵に対して要求をして、それから予算がついたこの予算以内にあるようにということの配慮じゃないかと思うのですが、そういうことになりますと、一府県がその標準価格より高くなっても、ほかの府県が以下であれば、全国平均して予算の中にあればいいというような考え方、つまり災害の復旧費、その場合に、そういうような考え方がある程度出ておりますが、そういったような考え方は出せないものでございますか。
#76
○政府委員(大津留温君) まあ非常に貴重なサゼッションをいただたわけですが、まあかりにそういうような現象が出てまいりましたといたしますと、やはりこのランクごとの標準価格のきめ方が、あるいは不適切であったということかと思いますので、標準価格を、やはりまあ適正化いたしまして、ある特定の事業主体だけが標準価格が低くて、ほかのところはそれが適正であったとか、あるいは高過ぎたというようなことのないように措置していきたいと思います。
#77
○上田稔君 私はその標準価格のきめ方が適切でなかったというようなことになるということではないわけですが、その標準価格のきめ方が、いま言われたような十地区に分けて、十の区分に分けてやるというお話ですが、実際はもっと、そういうものではなくて、予算の要求のときにはおそらく各府県、各市町村からの要求のときには、実際にここと思って予定をしておるところを、この辺で何件、ここで何件と具体的にきめてある要求をしてきていると思うのです。そうすると、具体的にもう土地価格というものは、ある程度想定をされておるんじゃないか。ですから、たとえば川崎なら川崎で標準価格は幾らだというような十に分けての区分ではなくて、その予算要求のときに出してきておられる、その個所についての平均をとる、こういうような考え方でやれないものか。そうすると、そういう差は非常に少なくなっていくんじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
#78
○政府委員(大津留温君) 公営住宅の建設の事業主体が、府県のほか、市町村がございますので、事業主体の数からいいますと、千をこえるような状況でございます。そういうことで、つまり災害復旧と必ずしも同一にいかない面もあろうかと思いますが、実際上の扱いは、御指摘のように予算要求の段階で、大体建設予定地を想定いたしまして、それの取得価格というものを積み上げて要求が出てくるわけでございます。一面予算の範囲内で、補助あるいは融資が行なわれるわけでございますから、一応やはり基準となる価格を示しまして、まあそれにのっとってやってもらうということが、これまた実際上の必要から出てまいるわけであります。ただ、先ほども申し上げましたように、地区ごとの標準価格のきめ方が適正でございませんと、事業主体ごとにアンバランスが出てまいりますから、事業地区ごとの標準価格のきめ方は、いろいろな地価の統計資料、それから従来の実績等を勘案いたしまして、地区の指定がえも年年行ないますし、また地区ごとの価格につきましても、毎年検討を加えまして、変更を加えていくという考えでおります。
#79
○上田稔君 どうもその辺のところがもう少し御検討いただきたいと思うのです。標準価格というものを何か府県によって、あるいはある地方によって、こういうものだというふうに何か平均を出しちゃって、きめちゃって、それを押しつけるというのではなくて、むしろ予算要求をやるときには、個所まで考えて、おそらく市町村のほう、あるいは府県のほうでは考えてもってくる。そうすると、実態に合うそういう単価をなるべく採用をしてもらうように考えていただくと、非常に実態に合うのではいか、こう思うわけでございます。
 それから将来、建設省では地価公示制度というものをお考えになっておられるのじゃないかと思うのですが、そうすると、単価の標準というものは、やはりそれをおとりになるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
#80
○政府委員(大津留温君) 地価公示が実施されますと、その実施されました地域につきましては、その価格に準拠するといいますか、によることは当然でございます。ただ先ほども申し上げましたように、地価公示の標準地点といいますのは、同じ東京都の区部内でも、あっちこっち相当数ございます。それぞれによって価格が違いますので、私どもの公営住宅の補助並びに融資の事務の処理のいたし方といたしましては、これを全国十の地区に区分いたしますので、その地区においては、一戸当たりの用地費が幾らということをきめますので、その出た形からいいますと、必ずしも同じような表現になりませんけれども、その価格をきめます際には、公示価格に準拠するのは当然でございます。なお、事業主体が具体的に個々の用地を買収いたします際には、公示価格にのっとって買収価格をきめるというのも、これまた当然のことかと思っております。
#81
○上田稔君 せっかく超過負担というものをなくしようということで始まっておる考え方でございますから、この標準価格のきめ方によっては、やはり超過負担が非常に大きく出てくるのではないか、こう思いますので、このきめ方については十分御注意をいただきたいと思う次第でございます。
 それから、次に収入超過者に対する措置、第二十一条でございましたか、にございますのですが、それの第二十一条の二項の政令及び二十一条の三項の政令、こういうものについてはどういうふうにお考えになっておるのでございましょうか。
#82
○政府委員(大津留温君) この高額所得者の立ちのきを請求いたします収入の基準でございますが、これは政令で定めると、政令で定める場合には第一種公営住宅の超過基準を相当程度こえるものでなければならない、こういう規定になっております。現在の第一種公営住宅にかかる超過基準は、年の総収入から税法に定めました給与所得控除相当額を引きました残りのものを十二で割りまして、それから扶養家族一人について三千円づつを控除した額が五万円というふうにきめられております。その五万円、そういう計算をいたしました月の収入五万円を相当程度こえる者であることということを法律は要求しておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、そういう趣旨から申しましで、明け渡しの基準といたしましては、年の総収入から収入基準と同じように給与所得控除相当額を差し引きまして、扶養家族一人当たり月三千円を控除いたしました月収額が十万円をこえる場合に明け渡しの請求が行なえるということにいたしたいというふうに考えております。なお現に公営住宅に入っておられる方々につきましては、この改正法の附則におきまして、明け渡しの基準を定める場合に相当の考慮をしなければならないという規定がございますので、既入居者につきましては、同じような計算方法によりまして月収額が十四万円というものを基準に考えておるような次第でございます。
#83
○上田稔君 いま五万円以上というお話になりますと、大体年収にすると百万円ぐらいに当てはまるんじゃないかと思うのです。それから月収十万円というと大体百五十万円くらいにあてはまるんじゃないか。この間の方は明け渡すようにつとめなければならないという条項が入っておりまして、そうしてそのために供給者としては住宅のあっせんにつとめなければならない、こういうことになっておりますが、そのあっせんはどの程度にお考えをいただいておるのでしょうか。というのは、ちょうど年収百五十万円をこえますと、今度はもう実際に出ていかなくちゃいけない。制限がつけられて出ていかなくちゃいけない。こういうことになるわけですが、現在ちょうどこの百万円から百五十万円の収入のある人という者はちょうど子供が学校へ行っている時代に当たる人じゃないか。こういう人たちは、あっせんにつとめなければいけないのでやってもらえるのだけれども、あまり力を入れてもらっておらないと、結局急にのけということになってくる。そうしたことになってくると、今度は学校のほうがもうきまっておってあっせんされたところは今度は遠いところだ。そうすると通学に非常に不便を感ずる。通勤の問題もさることながら、子供が困る、こういうようなことが多くなってくるんじゃないか。そしてまたその学校というものは、いま六・三・三制ですから、中学校にしても高等学校にしても三年間あまり転学ができない、こういうような事情が起こってまいりますから、家を移るときというのは時期を考えていかなくちゃいけない。いま公務員だって非常にその点は私はお困りになっておるんじゃないか。転勤になった、さあ子供は移せないという実情は皆さんのほうがよくおわかりのことと思うのです。やはりこういう方々が移る場合においては、そういうことが非常な問題になり家庭騒動にもなりかねないような問題になる。したがって、この点はひとつどういうふうにお考えになっているかをお尋ねいたしたいと思います。
#84
○政府委員(大津留温君) たいへん入居者のための御配慮をいただいた御質問でございますが、私どもも非常に大事な点だと思っております。先ほど申しました明け渡しの基準月収十万円と申しますのは、年の総収入に換算いたしますと百六十二万ばかりになります。これは標準世帯の場合でございますが、それから現にお入りになっている方の明け渡し基準を年収で申しますと二百十二万円ばかりになります。御質問の明け渡し基準にはまだ達しないが明け渡しの努力をするようになっておる方々の取り扱いでございますが、そういう方方がいろいろな御事情で高額所得の明け渡しの請求を受けるに至る前によそに移ろうというお考えの方々に対しましては、やはり公団の賃貸住宅あるいは地方住宅供給公社の賃貸住宅などの公的施策の住宅を一般に募集いたします際に、そのうちの一定部分をそういう方々、公営住宅からの明け渡しを御希望になる方々のために用意をいたしておく考えでおります。また、賃貸住宅のみならず公団の分譲住宅におきましても、あるいは公庫の個人融資におきましても、そういった優先扱いをするようにいたしたいと、こういうように考えております。
#85
○上田稔君 この移転という問題は、住宅にお入りになっておる方にとっては非常に大問題になりますので、この住宅のあっせんというものを十分にお考えになっていただきたい。そういうことにつきまして明け渡しを生ずる見込みの戸数というものと、いま一定部分を準備するんだというお話でございますが、それとの関係というものはどうでございましょうか。
#86
○政府委員(大津留温君) 高額所得のための明け渡しは、現にお入りになっておる方は二年間は行なわない、二年後にこの規定の適用が始まるわけでございます。現に入居しておられる方の中で二百万円をこえた年収の方が全国で四千六百世帯ばかりございます。その中には家族の収入も合算してありますので、家族の収入の合算のしかた、これは全部合算するということでございませんので、四千六百世帯の中からまた幾らかは減るかと思いますが、二年後にそういった請求をいたします場合に、たとえば東京ではそれらのうち東京都の公営住宅にお入りになっておられる方が二千世帯ばかりございます。大阪市の市営住宅にお住まいの方が四百二十世帯ばかりございます。したがいまして、現在、公団または地方供給公社で、東京地区で建てております賃貸住宅が六千三百戸、分譲住宅が千九百戸ございます。また、大阪地区で賃貸住宅が三千二百戸、分譲住宅が五百戸ばかりございます。したがいまして、これらのうち一定の割合、たとえば二割とかいう割合のものをさきまして、公営住宅から移られる方のために別ワクとして用意をいたします考えでございますので、大体必要な戸数は手当てできるという見込みでおります。
#87
○委員長(岡三郎君) 上田さん、もう時間ですから……。
#88
○上田稔君 もうこれで終わりますが、このあっせんをうまくやるかどうかということが、いままでこの住宅にずっと住めると思っておられた方々の不平が出るか出ないかの境目だと思うわけでございます。それからまた、将来そういう収入が上がってきた場合において、出て行く方のやはり考え方というものも、このあっせんによってあっせんの実例を見て、そして心をきめていかれると思うのです。したがいまして、ひとつきめこまかくこの点はお願いをいたしたいと思うわけでございます。
 それからもう一つ最後に、明け渡して出て行かれた方、この方はまああっせんに従って出て行かれるわけでございましょうが、出て行かれて不幸にして収入が激減をしたというような方に対しましては、ひとつ十分な御配慮をいただきたい。そういう実例があって、出て行った、さあ急に公営住宅にお入りになっていたところが、家賃が上がって、そこで急に自分の収入が減って家賃が払えないで非常に苦労しておる、苦労しておられるというようなことが起こると、そうするともう、あとからの人は出て行くのをいやがる。こういうようなことになりますから、こういう点をひとつ十分救済できるように建設省のほうで御配慮をいただきたいと思います。
 この法律につきましては、私は地方公共団体の超過負担というものをなくする法律であり、また相当高額の収入を得ている方は出て行っていただいて、低所得の方を救済するのだということでもあり、またその住宅を近代的な高層的な、また中層の公営住宅に変えていくのだ、建てかえていくのだ、こういう趣旨の法律でございますが、ひとつ建設省のほうでは新しい点も多々ございますので、十分にお考えをいただき、この法律を施行していただきますようにお願いをいたしたいと思います。以上でもって質問を終わります。
#89
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどから、上田委員の細部にわたり、しかも配慮のある御指摘を含めましての御質疑に対しまして、私も十分傾聴いたしておる次第でございます。最後に述べられました二点の問題につきましても、今後御審議をいただき、御決議をいただきました上に立ちました場合には、私はいま御指摘になりました諸般の問題については、きめこまやかな心を持った行政指導と、また御期待に沿うような配慮を、十分建設省といたしまして、最後に御指摘になりました公営住宅の中高層建築による住宅建設の整備、また公営住宅の質、量の拡大強化に鋭意努力いたしてまいりたい所存でございますので、今後ともよろしく御指導願いたいと思います。
#90
○委員長(岡三郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度とし、午後二時十分まで休憩いたします。
   午後一時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十分開会
#91
○委員長(岡三郎君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題といたします。
 国道百二十号線の拡張工事に伴う日光太郎杉の伐採に関する件について調査を行ないます。
 本件について坪川建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坪川建設大臣。
#92
○国務大臣(坪川信三君) ただいま委員長御指摘になりました本問題に対する御調査御審議をいただく前に先立ちまして、この問題に対する建設省のとりました方針、また私が考えておる私の考えを申し述べまして、あらゆる角度から御調査を賜わりたいと思うのでございますが、この問題につきましては、基本線に私が踏まえました気持ちの上から最初申し上げたいと思うのでございますが、わが国の民族の先達の士が残した天然記念物あるいはわが国の持つ自然の美の保存その他を含めましての、これらの無形有形の国宝とも言うべきこれらに対するところの処理という問題については、やはりわれわれが十分これらのとうとい民族の足跡を象徴する非常に重要な文化財といいますか、あらゆる点からとうとばなければならぬという気持においては、私は皆さん同様何人にも劣らない気持ちを持ってこれらを尊重し保存し、そして子孫に残すべきであるという考えを持っておったような次第でございますが、御承知のとおりに国道百二十号線の日光、沼田間のいわゆる日光の橋の前にあるところのいわゆる太郎杉の問題については、これらの問題を踏まえまして、ああした判決が出てまいりましたことに対する私の決意をどうすべきかということについては、この気持ちを多く前提の上に立てながら、厳粛な気持ちになって処理いたすべきであるという気持ちを持ちまして、私は二度にわたりまして関係事務当局と協議をいたしたわけでございます。しかしそれらの協議の結果、まことに遺憾のきわみではございますけれども、また新聞紙上等に散見される国民のとらとい貴重な意見、声等も私は十分知り尽くしてもおり、この意見あるいは声なども十分尊重すべきであるという考えで、これらの問題に対して真撃に二回にわたり関係専門の技官等も含めまして協議をいたしたわけでございますが、事態がああした結論になりましたことは、各位御了承のとおりでございますが、最初からこの事業計画の概要及び事件の経緯について申し上げて、あとは事務的な問題について政府委員を通してそれぞれの御質疑に答弁させる予定でございますが、第一本事業の概要と事件の経緯は各位御承知のとおりではございましょうが、一般国道百二十号線の日光、沼田間については、交通量の増大に対処するため、昭和二十八年度から現在幅員五・七メートルを十六メートル、車道十一メートル、歩道二・五メートルに拡幅改良する工事を行なってきましたが、東照宮所有地の約百五十坪の買収がその上にある太郎杉を含む杉十五本の伐除による景観の変化を理由として円滑に進まないため、約四十メートルの区間にわたり未改良のまま現在に至っておるのでございます。
 二番目といたしましては、東照宮の土地に対する土地収用手続の経緯でございますが、昭和三十九年三月、当該東照宮の土地、自然公園法によるところの特別保護地区に含まれておりますので、形質変更については厚生省自然公園審議会の同意を経まして厚生大臣の承認を得たような次第であります。同年五月二十二日、建設大臣は土地収用法による事業認定を行ない、同月二十六日栃木県知事は土地細目の公告を行ない、起業者栃木県知事は同年九月三十日、当該東照宮の土地の収用を栃木県収用委員会に申請をいたしたのであります。栃木県収用委員会は昭和四十二年二月十八日、当該土地の収用を裁決されたのであります。
 次は訴訟事件の経緯でございますが、これに対して東照宮は昭和三十九年の八月の七日付で、 前記事業認定及び土地細目公告の取消訴訟を提起され、昭和四十二年二月二十二日には収用裁決の取消訴訟を提起するとともに、あわせて収用裁決に基づいて執行の停止を申し立てたのであります。宇都宮地裁は同年の三月十六日、執行停止の決定を行なったため、収用委員会の収用裁決の効果は停止しております。昭和四十四年四月九日、同地裁は事実認定、土地細目公告及び収用裁決のいずれをも取り消す旨の判決を行なった次第であります。
 第二は判決の要旨及び控訴を必要とする理由。
 第一、判決の要旨は、本件土地付近は日光発祥の伝説を秘めた土地であり、また太郎杉は樹齢推定五百年以上といわれ、これを中心とする景観は傑出したものであって、宗教的、歴史的、学術的価値を有するまれな土地である。このような文化的価値は長期の自然的推移を経てつくり出されたもので、再現することは困難である。
 道路拡幅の高度の公共性は認められるが、これには代替性があり、より以上の時間と費用をかければ、文化的価値を棄損することなく建設することは可能である。したがって土地収用法第二十条第三号にいう土地の適正かつ合理的な利用に寄与することにはならない。
 二、控訴せざるを得ない理由といたしましては、道路改良の種々の代替案については、文化財保護及び景観維持の観点から、それぞれあらゆる観点から調査をいたしたような次第であります。私も、あらゆる角度から、技術的には不明な私ではございましたが、あらゆる点を指摘いたしながら、問題点の解明をいたしましたのでありますが、たとえば申し上げますならば、この地域間はいわゆるS型のカーブでございまして、バスが一回転で直ちにカーブを切ることができないようなところであることも事実でございます。また、昭和三十八年にはこの付近の太郎杉が四十二本崩壊いたしまして、このいまの問題点になっている土地の四本も倒れている状況であるというようなことでございますとともに、大体いまの平均自動車量を調べてみますと、御承知のとおりでございますが、大体平均一日八千九百六十八台を運行しておるという状態で、日曜日に至りますと一万五千台、観光シーズンに至りますと二万台のバスがこの地点を通過するというようなことであるとともに、交通事故の不幸な事件がやはり数多く出てまいりまして、御承知のとおりに日光市から清滝間の五キロメートルの間で、四十二年度には七十二件、死者ゼロ、負傷者五十六名。また四十三年度には七十五件、死者一件、負傷者六十七名という不幸な事件を出している狭い土地でありますとともに、このうちにもし思い切ったバイパス道路を、地下道を掘るといたしますならば、その付近の新たなる景観をこわしますとともに、費用におきましては十三億円を必要といたしておりますとともに、いまの時点での拡幅をいたしました場合には四千三百万円において改良及び修復をでき得るということを考えますときに、まことにばく大なる費用を投入いたさなければならぬとともに、いま申し上げましたように交通事故、交通量、これらを勘案いたしますと、かわるべき方法もございませんので、「当該判決が代替案の一三億円あまりという金額も決して高価なものとは考えられない」という事実判断及び現道拡幅案における修景措置は「もとの景観に匹敵する程復元し得ない」という事実判断に基づいている点については、争わざるを得ない。」ということに相なりますとともに県知事、県議会、あるいは町議会あるいは土地収用委員会の態度につきましても、連絡を密にいたしまして、これらの意見を聴取いたしましたところ、これらの機関もそれぞれぜひとも上告をしていただきたいという判定の結論も得ましたので、これらの方々と合意いたしましたので、御承知のとおりに栃木県とそして土地収用委員会と建設省が三者会による上告手続をとらざるを得なかった事情も、どうか御賢察を賜りたいと思うのです。したがいまして、「延長四〇メートルの区間の改良のために一三億円を投入することは不適当と考える。また、歴史的遺産をめぐる景観の回復維持には現道拡幅案においても十分配慮」いたしまして、年々の年月を経れば、元の景観に匹敵するだけの復元については、十分建設省といたしましても配意をいたしたいと考えておる次第であります。「本来、政治、行政上の判断に属すると思われるこのような事実の判断推定を理由」といたしまして、これらの訴訟の取り消された例は、これが初めてでもございました。なお、「国とならんで被告となっている栃木県知事及び栃木県収用委員会は、「交通対策に苦慮している地元議会の意見は客観性に欠ける」という裁判官の判断及び「法律上の判断をさけ事実認定のみを判決の資料としたこと」等の問題を指摘して控訴する意向を固め」、その手続をやったような次第でございますので、その間の事情を何とぞ御賢察いただきまして、私はやはりものの尊重、人間の尊重、こうしたものを客観的に十分踏まえまして、日本民族の、先達の士の残しました、かかる重要なる景観及びこれらのものについての保存という問題についても、私は今後あらゆる点からいま申し上げましたような考えのもとにおいて、とうとい日本の先達の士が残され、民族の象徴でもあるべきこれらの文化財の保護及び育成あるいは景観をこわさないというような行政配慮並びに建設行政にかかわるこれらの推進をいたしてまいりたいという決意は微動だにもいたしませんけれども、いま申し上げましたような客観的立場をもって苦慮に苦慮を重ね、私といたしましては、まことに個人的な性格といいますか、私の気持ちから申しましては、まことに苦しい問題の一点ではございましたけれども、私は私なりの最終的な判断をもちまして、人間の立場から、またこれからの今後の景観育成という問題等も十分踏まえまして、いままでの不幸を避けた問題に十分取り組みまして、国民の世論の動向をも尊重いたしながら、これに取り組んでまいりたい所存でありますので、よろしく御了承をいただきたいと思う次第であります。
 これに対する私の考え方を踏まえ、また事実を御報告いたしまして、御参考に資したいと、こう考えております。
    ―――――――――――――
#93
○委員長(岡三郎君) この際、委員の異動について報告いたします。
 本日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#94
○委員長(岡三郎君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#95
○田中一君 坪川さん、大臣の性格にも、自分の体臭を国の行政の中に出そうという意欲と、それから自分というものは一切捨ててしまって、ただ官僚群の考え方にのっとって自己を大臣というその姿の中に埋没して、事なかれの行政を行なう大臣と二色あるように、私はいままで過去二十年間の経験から見ておるのです。あなたはおそらく福井の非常に陰惨ではあろうけれども、よい地方にお育ちになった方だと思っておりますが、いまあなたがお読になったところの御意見というものも、むろんこれはあなた自身の主観と申しますか、人間的な個人の意見も入っておるものと思いますけれども、やはりわれわれが信用する政治家というものは、おのが良心に忠実なものをわれわれは尊敬するものであります。むろん大臣という、あるいは自民党の内閣という一つの制約がございます。ございますが、その中で、やはり大臣としてすべての責任を持つ者が、その中に良心的な自分というものが芽生えながら判断をするのが当然な約束であり、かつまた私はそういう大臣を尊敬いたします。
 この問題につきましては、昭和三十九年十月並びに昭和三十九年十一月末におきまして当委員会でも取り上げ、私も委員会として、たしか委員会としてでございます、現地を見て参りました。そうしていろいろ質疑をかわしておりますが、今回のこの判決に対しましては非常に心からの喜びを感じとっておるものであります。
 いま大臣は、かつて国が土地収用法という法律の権限に基づいて出した訴訟が、一ペんもこうした敗訴になったことはないというような表現をなさっておりました。しかし政府は、ことに建設大臣はかつてこのような間違いをしている事実もお知りになっておいていただきたいと思うのです。鳴子ダムという砂防ダムがございます。このダムでも、土地収用委員会の判決についてこれに不服の上告をしたという前例があるのであります。土地収用委員会というものは、建設大臣が主管する法律であります。そうしてこの中には、かつて旧土地収用法というものが天皇とか神社とか軍事とかいう、いわゆる明治精神というものが中心になって、そうして土地収用という名における収奪をした法律でありました。昭和二十六年に新しく新法ができ上がり、この新法の内容というものは、どこまでも被収用者のための保護法であったはずであります。それが再三の改正によってこれが改悪されました。そうしてかつての強権と言われるような、明治憲法下における土地収用法の姿に変貌しつつあます。何かと申しますと、公共という名における主張を強く押し出すというところにあるのであります。公共という思想の中には、国民全部のしあわせということが中心の課題となっております。しかしながら、このただいま議題になっておりますところの太郎杉の問題にいたしましても、一体だれがこの事実を、この太郎杉の地点の道路の拡幅によってあの景観を失うことに賛成しておるものがございましょうか。いまも言われているように、ただ、この政府並びに土地収用委員会等が要求したところの、このものを裁判という公正な判断がこれに反対しているというこの事実は、坪川さん、あなたは心して、目をつぶって、よく考えていただきたいのです。かつては土地収用委員会が決定したこの収用の額に対して、収用の決定に対して、かつての建設大臣は、これに反対したものであります。上訴した経験もあるのであります。公共の名の乱用というものは、公共事業を中心に主管しているところの建設大臣は、非常に慎重でなくちゃならぬ。同時に、なるほど、日本の裁判には地方、高等、最高という三つの機関がございます。当然あなた自身も、政府自身も、国民のしあわせのために、みんなのためにといってこの決定をしたんでありましょうが、これが一審、地方裁判所において否決された以上は、慎重に考えるべきが、行政という権力を持つものの当然な姿であるべきであります。あなたは何も知らない。あなたは見ておらない。あなたはこの問題について二回にわたって省議を行なったと言いますが、そういうものではないのであります。国民の前に、何らかの機関を通じて堂々と国民の声をお聞きなさい。ただ、樹齢三百五十年ないし五百年といわれているところの杉の木を、十数本切ればいいんだというものではないのであります。私は、この問題につきましては、かつて三十九年には相当強く、参考人を呼び、いろいろ審議をいたしました。かつては自然保護審議会でありましたか、協会でありましたか、この議長の田村某林学博士は、国の諮問に対してはこれは切るべきであるという賛成の意見を述べたそうであります。その田村某博士をここに呼んで、田村博士がここに出席して、われわれは国民の代表であります、政府に向かっては賛成を言ったけれども、この席上では明らかに自分が賛成した非というものを省みて反対の意見を述べているのであります。あなたは、少なくともこの三十九年の当委員会におけるところの議事録くらいはお読みになったと思います。世論というものが、どのような形でこの問題を取り上げているかという問題も、側近による官僚諸君の声でなくして、国民の声をじかにお聞きなさい。こうして権限によるところの上告をした、これは当然でございましょう。その推移をじっと私は見守ります。しかしながら、三十八年にこの問題が提起され、四十四年に判決がくだりました。高裁におきましても、これから審理が行なわれるでございましょうが、これにはやはり五年、十年の歳月がかかるということを想像したことがございますか。また、少なくも国民の名において、これを保護しようという層がたくさんございます。かりに高裁におきまして負けた場合には、必ずや最高裁にこれを持ち出すでございましょう。その場合に何年かかるかということを想定したことがございますか。それまでの間、日光周辺のあの国立公園に遊ぶ国民がどのような災害を受けるか、どのような困難な目にあうか、これを想定するならば、直ちにA、B、C、D案のうちの一つの代案に取り組むのが、行政者としてのあなたの役目であります。あと二十年この争いが続いたとするならば、あなた方は究極に勝ったということが想定されておりましょうけれども、その二十年間に与えられる国民の不幸というものを考えたことがありますか。私はこういう坪川君とは思わなかった。なるほど国民の税金を使うというけれども、十三億が何であります。二十年たった暁には、われわれの社会はどう変貌するか、想像がついておりますか。また一方、道路公団の有料道路という、道路開発というものは、この判決にもうたっております金の問題で解決する。国民にあの景観なり、あの伝統なり、あの文化財を守ろうという気持ちが強いのであります。経済的要請によるところの有料道路もあれば、このような自然を守ろうという、自然に従おうという国民の気持ちもあるということを、ようくおわかりにならなければならぬと思います。もはやあなたとこの論議はいたしません。上告をした以上、当然法の裁きに服しましょう。しかし、その間、十年、二十年の間、あなたがいまうたっているような多くの死傷者が出るということを考えるならば、代案をとるのが建設大臣として当然なる措置であるということをはっきり申し上げて、私の質問と意見を終わります。
#96
○国務大臣(坪川信三君) いろいろの点から憂えられる田中委員のお気持ち、また御議論に対しましても、深く傾聴いたしておる次第であります。私も申しましたごとく、あらゆる角度から代案に重ねる代案というものの検討をいたしました次第でございます。しかし、それにかわるべき代案も最も手短な代案として考えられる点といたしますならば、そのままの景観を維持しながらいまの不幸を避けるということに相なりますならば、やはり十三億有余の金を必要とする代案しか得られないと、こう考えますときに、私といたしましては苦慮に苦慮を重ねまして、決して、部下の言い分とか、あるいは部下に対する単なる意見をそのままうのみにするとかいうような形ではなくして、冒頭に申し上げましたように、私は私なりにこの問題についてはほんとうに苦慮に苦慮を重ねながら真剣に取り組みまして、さきに冒頭に申し上げましたような立場からこうした結論をとらざるを得なかったのでございますが、これは決しておことばを返すとか、あるいは反論とかいうような気持らでなくして、きのうも私は夕刊を読んでおりますと、某紙の夕刊にこういう随想が出ておって、私は何とも言えない感慨にふけった一ときを得たようなわけでございますが、御参考までに申し上げますならば、こういうところでございます。某紙の随想の中に曾野綾子さんが書かれました随想ですね、
 日光の太郎杉を切る切らないの問題で、みんなが論議したことは、平和な日本を象徴するようで楽しかった。
 ただ、ああいう問題を論ずる時、太郎杉がどういう所にはえているかを知らないで何か言うことは片手落ちのような気がする。
 私は一、二度、ちらりと車窓にあの杉を見て通ったことはあるけれど、それが、道ばたから何メートルくらい突き出しているか、その分だけ、反対側に道をひろげることはできない地形にあるのか、どうかというようなことはいっこうに認識していない。
 また、その杉がはえていることによって、ラッシュ時にどれくらい車が詰まるのか、あるいは、その杉のせいと思われる事故が年間どれくらいおきているのかも、不勉強でよく読んでいない。
 だれも、あれほどの品位を持った老杉をかるがるしく切りたくはないであろう。問題は、杉も生かし、人間も安全にする方法があるかどうか、ということである。
 日本人は、このごろ自然の景観を生かすことにわりあい敏感になっている面もあるように思う。高速道路の中央分離帯に樹を植えたりクローバー型の出入り口の真ん中の部分にもともとはえていた木を切らないで残したり、細かい配慮も見せている。
 「杉も生かし、人間も安全に」と簡単に書いたけれど、本当は杉と人間は決して同列ではない。大切なのは人間に決まっている。
 だから、杉が年間何人も人を殺すような事故の原因になっているのだったら、私なら即刻切ってしまう。エスカレーターやドアに手をはさまれた子供がいたら、どんな高価な装置だろうと、破壊して子供をたすけ出すのと同じである。
 しかし、今度の場合のようにう回する方法がある場合もあるのであろう。「人間のためには杉などさっさと切れ」というのも、「杉をやたらに切るのはけしからん」というのも、ともに感情論で、状況をよく知らないでは「人間」と「杉」という要素だけでは、本当は答えを出せるわけはないように思う。と、この記事を私はきのうも読みながら、ほんとうに私は、大げさなことばかもしれませんが、静かに自分というものを顧みながら苦慮もいたし、また共感も感じ、また政治家としてかくあるべきではなかろうかというような反応もいたしたようなわけでございまして、私といたしましては、そうした気持ちを踏まえながら、また田中委員が御指摘になりました点等も十分今後とも踏まえながら、私はとうとい文化財の保護育成並びに景観の存置等に最善の配慮をいたす覚悟でございますので、何とぞ御了承願いたいと思います。
#97
○田中一君 あなた十三億の金が惜しいのですか。私はあの日光周辺の国立公園というものが、あなたが考えているような規模のもので置かれようとしているものでないということを信じておるわけです。というのは、参道一つごらんなさい。あの参道が将来あの景観に対して親しみを持って来る観光客があれだけでいいと思いますか。歩道もないのですよ。しいて申しますならば伊勢神宮にいたしましても、どこの神社仏閣に行っても、われわれは歴史的なそうした建造物、施設等に参りましても、車がどんどん乗りつけられるというようなところはないのであります。あの参道という町並みですねよ、これもやはり一つの風格を持ったわれわれに歴史的な存在なんです。A、B、C、Dという四つの案があるということは政府自身が調べております。そのうちの一つ一つに対して検討したと思いますけれども、あの町並みも当然あれは破壊され尽くされなければならぬと思う。かつては、かごで歩き、馬で歩いたところの街道でありますから、よろしゅうございましょう。しかし大谷川にいたしましても、あの川は相当荒れた川であります。あの個所は相当幅員も広い。幾らでも方法があるんです。政府自身が調べているとおり四つも方法があるのです。参道をこわして、参道をこわせばやっぱり調和というものがなくなってくるわけなんです。将来どう考えているのですか。これは計画局長よりも道路局長のほうの分野でありましょうが、おそらく道路局長の良心は、あれにかわるべきバイパスをつくるべきだという気持ちのほうが強いと思うんです。今度の場合も負けたから当然国としては国民の税金を、あの仕事をすれば三億程度で済む、しかしそれが十三億かかる仕事をするのは国民に対して申しわけないということ、責任的なことばを使いながら、やはり国民の感情に背反して原案を押し切ろうという考えにほかなりません。たくさん例はあるのですよ。金があるとかないとか言っても、先ほども住宅の問題言っているように。なぜこんな金を使うのか、なぜこういう金を使うのかということ、たくさんあります。再び木は、三百五十年の歴史に顧みられない、戻ってこないのであります。あそこは一つの調和というものが中心になっております。口を開けば十億以上のいろいろな金がかかると言っておる。道路公団にやらしてごらんなさい。国民全部があの景観を残しながら、金は負担いたします。経済的な有料道路ばかりできないはずであります。観光的な有料道路はたくさんつくられております。有料道路というこの考え方は、ただ単に経済面、政治面だけじゃないのであります。曾野綾子女史のいっていることばも、そのままあなたにお返しいたします。そのとおりであります。あなた方は少なくとも権力、行政権を持っているところの行動できる人なんであります。だからなおさらこうした問題について十分に心しなければならぬということを言っているわけであります。A、B、C、Dの代案を同僚の諸君も御存じないといけないから四つの、三つの代案というものをひとつ道路局長からつぶさに説明していただきたいと思います。
#98
○説明員(蓑輪健二郎君) 国道百二十号線の神橋のところの道路の計画でございますが、これにつきましては、もう十年以上前からいろいろ太郎杉を切る問題と、それを残して何か交通処理ができないかということで、厚生省の自然公園審議会にもたびたび私も説明いたしましたし、いろいろ案をつくったわけでございます。その一つの案といたしまして、いまA、B、C、Dと四つございますが、A案といいますのは、現在の太郎杉を十五本ばかり切りまして道路を広げる案でございます。B案といいますのは、現在の太郎杉のうしろに御旅所というところがございまして、そこの下を通るというような形でございまして、日光橋から渡りまして、そのトンネルで現在の御旅所の建物の下を通りまして、それで現在の百二十号に出るという案でございまして、これにつきましては工費も三億くらいで二百六十四メーターくらいの延長になるのでございます。ただこの案についていろいろ検討したところ、こういうようなトンネルをつくりますと、現在の太郎杉のはえております山といいますか、そこへの水道が断たれるということで、そういうトンネルの案をつくったのでは太郎杉が枯れてしまうだろうということがございまして、これは最後まで自然公園の審議会で問題になりましたが、金額は安いのでございますが、そういうような周辺の景観をさらによけい害する、さらにそのトンネルの入口出口、これがその周辺の景観に合わないだろうということがございました。次にC案、これが一番高いのでございまして、日光の町の中から金谷ホテルをよけまして――よけるといいますか、かなり現在の神橋の上流に出ていくトンネルでございまして、トンネルの長さ約八百メーターぐらいでございまして、トンネルを出てすぐ大谷川を渡って現在の百二十号につく、という案でございます。これについては十三億五千万くらいの金がかかるような計画でございまして、約千七百七十メーターぐらいあるかと思います。これにつきましていろいろ検討いたしましたのですが、やはり現在のこういうバイパス案をつくりましても、現在の道路に必然的――必然的といいますか、車を通しておく、これはいまの神橋その他の観光客のために車を通しておくという場合と、全然車を通さないという場合が二つ考えられております。現在の神橋の前の通りに車を通しておくということになると、これもまだはっきりした調査が精密な調査でございませんが、約現在の交通量の五〇%程度のものは沿道に残るんではないかというようなことでございます。さらにもう一つの案はD案でございますが、太郎杉の対岸の神橋のさらに対岸にございます星の宮というお宮さんがありまして、その下をこれはちょっと岩が出っ張っているようなところでございまして、その下を簡単にトンネルを通しまして現在の国道と大谷川をはさんで反対側に道路をつけるということでございます。これについてはこのいろいろの案の中で一番景観をそこねるということでございまして、これはもう御承知のように、神橋の対岸につきましては大きな杉こそございませんが、灌木が相当多くありまして、その緑が非常に神橋の赤と対照的な景観をつくっているわけでございます。こういうところを道路で灌木を切るということは一番景観を悪くするということで、この星の宮の下を通るという案は二億ぐらいの金でございますが、これはまあ一番景観上悪いということでまいったわけでございます。そのいまの四つの案のほかに、さらにこれはもっと大きな将来の奥日光その他の観光を考えれば、さらにもっと大きなバイパスを考えて奥日光のほうに入れるべきではないかということで、これについてはまだはっきりした調査ができていない次第であります。
#99
○田中一君 坪川さん、どっちみちいままで五年かかっておるのです。高裁はまた五年かかるでしょう、最高裁にいってどれくらいかかるか、これも想像がつきますね。その間どうするのですか、どっちみちあなたはもうことしの暮れでもって大臣をやめるのでしょうから。この辺にいる局長連中も全部二、三年のうちにはまた出世するでしょう。一体口を開けば交通の危険がある、裁判をしておればその間だけは放置するんじゃないんですか。もはや日本の民族はあらゆる原野、山林、それらの自然というものに親しもうという傾向が強くなってきているのです。せんだってあなたの所管するところの都市再開発法、この法律が通りました。おそらくこの衆議院を通った暁にはいわゆる都会におけるところの再開発が生まれてくる。この場合こそああした自然の姿というものがほんとうに心のいこいとなるわけなんです。週四十時間労働をして土曜日曜日お休みになる。そうして都心に住んでいるわれわれ働く人たちはみんなああした自然に自分の心を投げかけてそこに安心を求めていくという社会がもうすぐくるのです。都市再開発というこの考え方と見合うのが自然というものを尊ぶ、自然というものを残す、保護する、そこに週四十時間働いた者たちが家族全部でも行って自分をそこにしたってくるというところに、再開発法のほんとうの精神があるわけなんです。この何年かかるかわからないという訴訟をあと十年続けていこうという考えに立っておるのですか、国民がどういう悲惨な目にあうかということを考えられませんか。これに反訴、反対の訴訟を起こしたところの東照宮もおそらくあなたと同じように立ち上がって自分の訴訟を取り下げようとはしないでありましょう。その間一体どうしようとするのですか。その間の事故、人命というものを坪川さん、あなた、どうしようというのですか、どういう措置をとろうとするのですか、意地を張って対立していればいいというのじゃないのであります。道路局長も言っているように、今後奥日光の開発なり塩原からあるいは西のほうからも相当道路網は発達してまいりましょう。この場合にせめて残っておる奥日光あるいは塩原の山々等の自然というもの、これに自分のからだをしたしに来る人たちはたくさんふえるはずです。訴訟してけんかができればというような無責任なことを言っちゃなりません。あなたは仕事をする人間なんですもの。訴訟は訴訟として当然これからの日本の国土利用計画というものを考え、この対案を直ちに立案すべきであります。それがわが国の建設大臣に課せられたところの義務であります。この問題はこの問題としてあなたは直ちに立案に手をそむべきであります。それができないならば私は佐藤榮作君にも話しましょう。その間そうした災害というものを目の前に見ながら打っちゃっておくということは許されません。決意を伺います。
#100
○国務大臣(坪川信三君) 決して私が、さっきからるる申し上げましたことで御理解、御了承はいただけないかもわかりません、いただいたかもわかりませんけれども、私といたしましてはこれを裁判によって意地にでもというような気持ちで取り組んでいないということの私のいささかなる良心は幾らか御理解もいただけるのじゃないかと私は考えておるような次第でございます。したがいまして、これはこれとして別個にいたしますけれども、私といたしましては、いま御指摘になりましたごとき国民の交通の問題その他を考えながら、しかも何らかのよき方法、何らかのよき交通、何らかのいい技術的問題によってこれが円満に解決でき得るということ、先ほどから道路局長も申しましたごとくなかなか至難な諸条件のあることは十分了承いたしておりますけれども、田中委員の御指摘になりました点もごもっともなお考えでもあり、当然なことだと思いますので、私は訴訟は訴訟といたしまして、何らかの方法、何らかの措置というものに対して、責任者の私としましては、今後十分鋭意努力をいたし、配意をいたして、何らかの御期待に沿うように最善の努力をいたしますることを表明申し上げて、御理解いただきたいと思います。
#101
○小山邦太郎君 おくれてまいりましてちょっと入ったところが、何か太郎杉の話であります。しかも田中君の御主張は半ばしか伺いませんが、大体私は田中君と同じ念願を持っております。また建設大臣のただいまのお話、そうしてその前に何か読まれたものにも感銘をいたした。それから田中君の強い主張と申しますか、念願に対しても訴訟は訴訟として何らか適当な措置を見出したいものだというお考えは、これはもう私は非常に満足です。どうかもう言うことは尽きておりまするが、このことはかなり長い間の問題でもあります。そうしてこのごろ裁判で一応切らぬということになって、これはよかったなあと言って喜んでおったのに再び訴訟ということになって、これは地元のいろいろな関係があって、その方は行きがかりに通られるおそれもあるが、大臣がここらでひとつうまくやってもらわなければいかぬなと思っておった。これは非常に心配でありましたので、私どもすぐ見に行きました。その後の様子はわかりませんが、見に行ったときは、あの狭いところでありながら太郎杉があまり傷ついていない。非常に狭いところであるが自然の景観なりその他特別なる注意で太郎杉に当然ぶつけていいものがあまりぶつけないのですな。それを切る前、まず電車があったから、電車をそのままにしておいてそんなことをするのはおかしいじゃないか。幸いに電車はこのごろやめられた。まことにけっこうな話だと思っておりました。あの地方にはあの地方としての行きがかりもなかなかあるようです。経済的関係もあるようです。奥には何か鉱山の関係もあります。しかしこれこそ大所高所からよくお考えをちょうだいしたいと思うのは、あの狭いところでありながらそのまま傷ついていないということは、これはたいしたことであります。おのずからああいうものを大事にするという気持ちからでありましょうね。それから交通関係からいうと、もうあれも広げたくらいではおさまらぬ、結局は。当面の問題としてはすぐ広げられたほうがよろしいかもわからぬが、広げるだけではおさまらない。結局はバイパスをつくらなきゃいかぬ。そうすれば、そんなところにいま意地を張らないで、バイパスのほうにひとつ力を入れて、そうしていくことが、奥地がだんだん開発されれば、あんなもの一本じゃとても済みません。したがって、これは訴訟をするといっても相当手間がかかるでありましょうし、私はいまの話で非常に満足なんですが、大臣がとらわれずに、ひとつ思いを新たにしてあの場面に対してどう対処したらいいかということをお考えを願い、私ももうその後しばらくございますから、いま一度行ってみたいと思っておるようなわけで、さもなくても科学の進歩や、いろいろと人間が何か部分品のようになってしまって人間性を失いつつあるときです。これは大自然に親しむような気持ちというものは、一方に道徳教育を叫んでおりながら、それを破壊するようなことはまずいじゃないか。こんなことは私が申し上げるのは失礼で、むしろ大臣がそれを常に主張されておる方だから、もう多くは申し上げません。先ほどのおことばでこれはこれとしても、相当手間もかかるので、その前に熱意を傾けて、ひとつその方法を考えてみたい。これに私は多大の期待をつないで、どうかその目的を達するように全力を傾けていただきたい、われわれも微力でありますが、努力いたしたいと思います。よろしく。
#102
○国務大臣(坪川信三君) 小山先生も田中先生同様なお気持ち、また意見を踏まえてのありがたい御叱正、私もきょう感銘をいたしながらお聞きいたしております。ほんとうに科学の刷新といいますか、科学の進歩というようなことからくる人間喪失という問題は、政治の上においては非常に大事な問題であり、また、各種の投書からあるいは世論等の声などもお聞きいたしますと、いかにこの問題について国民が憂えておられるか、要求しておられるかという問題、私はこれは厳粛に読みもいたし、聞きもいたしております。したがいまして、両面に立って苦慮に苦慮を重ねました結果、かかる御期待の線に沿い得ない結論にはなりましたけれども、これに依存いたしまして単なる拱手傍観をするというようなふまじめなことであっては絶対いけないと思いますので、私は時期を得ましたならば現地も見、また栃木県の知事にお会いいたしまして、そして何らかの措置を、何らかその解明と究明をいたし、いまも局長に、それらの方針について十分考えようじゃないかというささやかな気持ちも私は底にありますので、こうした気持ちで最善の努力をいたしてまいりたいと、こう考えております。
#103
○小山邦太郎君 どうぞ御期待いたします。
#104
○沢田政治君 いまこの問題について同僚委員から質問されておるわけですが、おそらく質問されておる方々も政治家としての質問だと思いますが、私、聞いておると、非常に自然を守るという人間的な立場から、大臣を難詰するとか責めあげるということじゃなくして、何とか共通の問題を解決をしようと、こういうような希望が私はにじみ出ておるように考えるわけです。したがって、判決を見ても、道路をつくることが悪いとかそういうことがいかぬとか言ってないわけです。ただ、金で評価できるものと金で評価できないものがあるという変わった次元から判決をしているわけです。なるほど近代的な設備や道路、そういうものはやはり物によって、技術革新によって解決できるけれども、経過した時、歴史というものは金で買えないのだという高い評価をしているのじゃないかと思うのですね。そういう意味でわれわれもいろいろ質問をするわけですから、建設省自体もいこじになる必要は全然ないと思うのです。これは私はいこじにならぬでかえってありがたいと考えればいいのじゃないですか。ふだん多くの国民から皆さんが求められるのは、国民の税金であるのだから合理的に金を使いなさい、むだづかいをしないようにというのが、常に監視を受けておるわけです。そういう意味で皆さんが忠実にやっておることはよくわかります。しかしながら、この種の問題については、少々お金がかかっても国民はがまんするんだ、許容してくれるんだという一つの方向と判断を示したものとして、むしろ行政上非常にあたたかい思いやりを国民が持っておるのだ、それを体して裁判所が判断をしたのだ、こういうようにとるならば、負けた勝ったという勝敗感、屈辱感というものは私はないと思うのです。大臣の答弁もそういうような心情がにじみ出ておるように私としては考えられますが、今度は建設当局のほうは大臣の意向と関係なく多少むきになっている感じを私としては受けざるを得ないわけです。川島局長は、新聞にこの判決が出たとき、新聞記者からインタビューを受けられておるわけですが、まだそのときは判決文を読んでおらぬわけでありますが、どういう理由で敗訴したかわからぬけれども、いろいろ考えて太郎杉を切る以外にないとわれわれは判断してやったことであるのだから、それ以外のことは考えられぬ、たとい最高裁にかけても争う。こういうように非常にむきになった新聞記者会見になっていますね。もちろん短く書いておりますので、その間のあなたのお気持ちが文面に出ておらぬと思うのですけれども、何か行政権力を守るために、こう何というか、つっぱなすようなそういう感じをいなめないわけですよ。やはり司法にしても立法にしても行政にしても国民が中心でしょう。あのやはりテレビ等を見ても、最近いろいろな判決があるけれども、その重要な判決も、イデオロギーと思想の立場を異にして、いろいろ悲喜こもごもな、よかったとかふらちだとかいう感じを国民は抱くと思うのだけれども、この判決についてはなるほど粋な取りはからいじゃということで非常に話題になったのじゃないかと、昼げの話題になったか夕げの話題になったか、ひとつのほほえましい話題になった気がしてならぬわけです。だから、大臣、控訴したのだからいま急にきょうあすどうということではないわけだけれども、与野党とか政治家とかじゃない、やっぱり人間的な立場でいまお話しているのだから、やはりあまりかたくなな態度をとらぬで、これに翻意したならば、人間坪川大臣であったという後世に評価として残ると思うのですよ。そういうことながら、あまりここで質問して目くじらを立ててどうこうということではなくて、やはり冷静に判断してみて、やはり国民の世論に従って、行政も司法も立法も国民のもとにあるのだから、そういう方向に従って善処をしますぐらいのことをここで言ったとしても、あなたは別に政治家としても、行政の責任者としても決して軽い評価ではなく、むしろ人間的に非常に高い評価になると思うのです。もう一回御所信を承わりたいと思うのであります。
#105
○国務大臣(坪川信三君) 沢田委員の御指摘になりました点、またほかの委員の御指摘になりました点、全く帰するところは私は一致するのじゃないかと思うのでございます。私も皆様のお気持ちに甘えて、私は私なりの苦悩した気持ちをそのまま申し上げた気持ちも、また委員の各位が御指摘になりました気持ちが私の頭に先んじておればこそ、私は悩んだ気持ちをそのまま申し上げたような次第でございます。したがいまして、川島局長がとっさに申しました記者会見の模様等についても、決してそうした意地っぱりで何だというような反発の気持ちで申したことではないと、私は善意に理解もいたしてやりたいとこう思っておりますので、建設省といたしましては私はこうした問題を決していこじとかあるいは反発というような強権というようなものを求めての措置一でなくして、あくまでも心を求めるという気持ち、言いかえるならば脈々と流れている日本民族のとうとい文化というものをあくまでも守って、国民の心のふるさとに供したい、これが私の気持ちでございますので、十分これらの問題には裁判を別個にいたしまして善処をいたしたいとこう決意をいたしておりますので御了承願いたいと思います。
#106
○春日正一君 まあずっといままで同僚議員の御意見、まあ尽きるところは尽きておると思いますけれども、私まあ太郎杉の問題は、実際行って見てきましたが、坪川さんはどこにあるのかわからぬ人がかれこれ言うのは無責任だというけれども、それは確かにそうだと思う、しかし私は行って見てきましたよ。特に建設行政というものは、いままであるものをこわして新しいものを建てていくという仕事ですからね。そこのところでやはり一番腹を据えておかなければならぬことは、どうしても残さなきゃならぬ大事なものは残すのだということだと思うのですよ。私はあそこに行ってみてやはり杉の木は何千本かあるけれども、そして大きいのはたくさんあるけれども、あの太郎杉というのはあそこで一番大きいのですね。こっちから入っていくと一番かかりにどうんとあって、あれがあそこの一つの象徴みたいになっている。だからあの形を交通の便とかいうことで変えてしまったら、やはりあれは自然的な景観でもあると同時に、歴史的な遺物でもある、東照宮とあわせて。そういう意味ではあれを取ってしまうと非常に大きく傷つけられることになるわけですわ。しかもあれは判決にもあるとおり、一度切ったらもうあとかわりがつかぬものだし、十三億という金はこれはくめんしようと思えばくめんできる金だということになれば、当然あれを残すということを主にしてどういうふうにするかということを考えていただくことが、非常に大事なんじゃないか。地元でもそれはいろいろ意見があるし町議会や県議会は切るということをきめているようですけれども、町民の中に入っていろいろ聞いてみますと、やはり地元でもいろいろ党派の支持の別はいろいろ別として、相当たくさんの人たちが、あれは切っちゃいかんのだという意見を持っているのですね。だからそういう意味から見て、やはり私どもいつも思うのだけれども、建設省のやっている仕事が古墳が出たとか何があったというときに、やはり建設を主体にしてとにかく記録保存くらいにしてこわしてしまうという場合が間間あるので、そういう点非常に遺憾に思っているのですけれども、今度の場合なんかその一つのいい具体的なケースだし、代案も金をかければできるということがあるわけです。田中委員も言ったように、もっと将来考えればあの道路だけで間に合わすなんというものではない。私心配するのは、杉というのは排気ガスに非常に弱いんですね。だからあそこを広くして自動車がうんとどんどん通るようになったら杉に悪い影響を与えやせんか。この前通ってみてそう思ったんですわ。日光の東照宮のこのあれなんかもそうかと思っているんですが、陽明門を入っていく道がありますね。あの中までずっと観光バスが入って行って、ちょっと杉の木の横っちょのところを四角に切ってそこへ入れて出し入れしている。あそこまで観光バスを入れなくても、おりてともかくあの杉の木の間を静かに歩いていくほうがむしろ観光客にとってはいい保養にもなるわけだと思うのですけれども、ああいうふうなことがずらっとやられていけば、おそらく杉の木に悪い影響を与えるというようなことになる。それを私は心配してきたんですけれどもね。だけれどもあのすぐそばを通って道を広げて自動車をうんと通すようにするということで悪い影響が出やせんか。杉というのは排気ガスに非常に弱いんですわ。うちの近所なんかみな枯れてしまっておりますわ。だからそういうことを考えてみても、ああいうものを扱う場合、やはりそういう将来のことまで考えて道路の計画を立てる。いま事故が超こるからちょっと広げるというようなことでなくてやる。特に裁判になって長くかければ、その間どうするんだというような問題も出てくる。いま大臣が訴訟にかかわりなく考えてみたいと言ったので、これは非常に私は一歩進んだ答弁だと思うのですけれども、そういう意味であれを切ったら、ともかく東照宮というものの一つの歴史的な遺跡が、しかも重要な部分が傷つけられてしまう。これは金にかえられないものだということを考えれば、国民もそのために十億円よけい出してこういう計画を立てたといっても、それは納得すると思うのですわ。だから皆さん言われたことと同じことを私言っているんですけれども、私、前からあれには非常に関心を持っているんで、何回も行って見てもきたり、地元の東照宮の意見なんかも聞いてきたりしていますんで、特にその点私の意見として言うわけですけれども、まあできれば先ほどの話じゃないけれども、いますぐと言わなくても、そういう代案の検討をして訴訟を取り下げるというようなふうに運んでいただきたいと思います。
#107
○国務大臣(坪川信三君) 春日委員も他の委員各位と同様な非常にありがたいお気持ちでお述べになり、御要望されました点、深く感銘いたしました。また傾聴もいたしました。したがいまして、先ほどから各委員に御答弁申し上げましたように、これはこれとして一応何させていただきまして、何らかの方法でこの不幸を避けていい解決策に達すべく、最善の努力をいたしてまいりたい、考究いたしてまいりたいとこう決意をいたしております。御了承願いたいと思います。
#108
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#109
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
 質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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