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#1
第061回国会 建設委員会 第18号
昭和四十四年六月十日(火曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     鬼丸 勝之君     柳田桃太郎君
     松永 忠二君     大和 与一君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     岡  三郎君     松永 忠二君
    ―――――――――――――
   委員長の異動
六月六日岡三郎君委員長辞任につき、その補欠と
して大和与一君を議院において委員長に選任した。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大和 与一君
    理 事
                大森 久司君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                高橋文五郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                柳田桃太郎君
                米田 正文君
                田中  一君
                松永 忠二君
                二宮 文造君
                宮崎 正義君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  坪川 信三君
   政府委員
       建設政務次官   渡辺 栄一君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省計画局長  川島  博君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       大蔵省理財局国
       有財産第一課長  上国科 巽君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地価公示法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大和与一君) それでは、ただいまから建設委員会を開会いたします。
 このたび当委員会の委員長に選任されました大和でございます。たいへんしろうとでありまして、微力でございますが、皆さま方の全面的な御協力を賜わりまして、委員会の運営を万全を期して、しかも、審議を尽くして、上げるものは上げると、こういう基本的な考え方で委員会の運営をいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大和与一君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六月五日、鬼丸勝之君、松永忠二君が委員を辞任され、その補欠として柳田桃太郎君と私、大和与一が選任されました。また六月七日、岡三郎君が委員を辞任され、その補欠として松永忠二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(大和与一君) 前回に引き続き、地価公示法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#5
○春日正一君 最初にこの地価公示制度のねらいですね、そこをはっきり聞かしておいてほしいと思います。何をねらいとするのかということ、それでどういう効果を期待しておるのかということ。
#6
○国務大臣(坪川信三君) 御質疑にお答えするに先立ちまして、一言ごあいさつ申し上げたいと思います。
 非常な御協力と御指導をいただきました岡委員長の後任にこのたび大和委員長が当委員長に御栄任になりましたことは、まことにおめでたい限りであります。日ごろお寄せいただいております建設行政に対する深い理解とまた、あらゆる立場からの高度なる御指導をいただいておる大和委員長におかれましては、今後ともよろしく御指導のほどをこいねがいますとともに、このたびの御栄任に対しまして、建設省をあげて謹んでお祝いを申し上げ、何とぞよろしく御指導を賜わらんことをお願い申し上げ、岡前委員長に対し、深く感謝と敬意の真心をささげまして、ごあいさつを申し上げたいと思います。
 どうかよろしくお願いいたします。
 ただいま春日委員から御指摘になりました地価公示制度に対するところの制定のねらいということにつきましては、提案の理由及びその趣旨におきまして申し上げたとおりでございますけれども、最近の土地あるいは都市開発の現況あるいは住宅政策の現況を見ますときに、その優先すべき問題は、やはり土地問題であり、地価問題であるということを痛感いたしておるのでございます。したがいまして、昭和三十九年に自民党並びに社会党、民社党、当時の各党が一致した姿で地価公示制度に対する制定の要望決議がなされましたような次第でありますとともに、昨年の十一月関係閣僚協議会において地価対策に対するところの政府の基本方針を決定いたしました。その中におきましても、御承知のとおりに地価公示制度の制定ということが取りきめられておったわけでございます。私も就任いたしまして以来、これらの決議あるいは御要望あるいは政府の決定を踏まえましてこれに取り組みたいと、こう考えまして地価公示制度の制定をいたしまして本院に提案申し上げ、御審議を当委員会においていただいておるようなわけでございます。
 地価公示制度によってすべてが速効的に万能薬として期待するものではございませんけれども、最近の地価高騰に対するところの抑制策として、また不正な地価、土地取引等に対するところの一つのやはり抑制策といたしまして、また一つの地価に対するところの目安、めどをつけまして、そして一般の地価取引に対するところの限度での一つの目安にいたしたい、また公共企業体における土地取得に対するところのやはり一つの目安にいたしまして、地価の安定を促進いたしたいということが、本立法を提案いたしました考え方でありますので、御理解いただきたいと思います。
#7
○春日正一君 そうすると、このねらいは地価の高騰を抑えるという意味と、不正な取引といいますか、そういうものを防ぐというような意味だというふうにお聞きしたんですが、そこでこの法案で地価公示制度を設ける目的、第一条で「正常な価格を公示することにより、――適正な地価の形成に寄与する」と、こうなっているわけですけれども、この正常な価格というのは、一体何を基準にして正常というふうに言うのか、そこのところですね。
#8
○政府委員(川島博君) お答え申し上げます。一般の土地取引におきましては、売り手なり買い手なりにそれぞれ特殊な事情や動機がございまして、その結果実際の取引価格が形成されるということになることが多いわけでございます。したがいまして、現実の取引価格、これは直ちにこの法律でいう正常な価格、土地の価格として妥当するものではございません。この法律でいう正常な価格とはこのような売り手、買い手の特殊な事情なりあるいは動機によります要素を取り除きまして、一般的正常な原因による要素だけで構成される価格の概念でございます。したがいまして、何人にも共通する客観的な交換価値ということになろうかと思います。現在不動産鑑定士等は不動産鑑定評価基準にのっとりまして正常な価格を求めておりますが、この不動産鑑定評価基準は不動産の価格に作用する諸要因を分析いたしまして、これに応じた資料を広く収集し、次に復成式評価法、市場資料比格法及び収益還元法、こういう三つの鑑定評価の方式を適用いたしまして、対象不動産の価格を求めることをいたしておるわけでございます。しかして、この手法は鑑定評価の手法といたしまして広く一般的に使われているものでございます。標準地の鑑定評価及び価格の鑑定につきましても、このような鑑定評価の手法によりまして、正常な鑑定価格を適正に鑑定をするということに相なっておる次第でございます。
#9
○春日正一君 そうすると、この正常な価格という場合には、いま言われたように特殊な動機なり事情、そういうものを捨象して客観的にきめるという場合ですけれども、そうすると純粋培養みたいなもので、実際には純粋培養すればこうなるというだけのことになるということなんですか。つまり、特殊な条件というのは、みんな特殊な条件があるわけですわ、売り手、買い手の間に。そういうものを捨象してしまって、そうしてこの地価の決定を客観的にこういう条件できめていくということになりますと、実際の取引とはずいぶん違ったものになってくるんじゃないか。つまり純粋培養みたいな形で、空気の中に出せばだいぶ変化が出てくるというようなものになるんじゃないか。そうするとそれが客観的ということがどうして言えるのかということですね。
#10
○政府委員(川島博君) 一つのたとえで申しますと、日本の地形図をつくります場合に、私どものの国土地理院がまず一等三角点というものをきめまして、それを基準点として二等三角点あるいは三等三角点という補助基準点を置いて、それぞれ山の高さなりあるいは何をはかるわけでございます。私どもが考えております正常な価格というのは、まさにその一等基準点に当たるわけでございます。これはたとえば七百メートルなら七百メートルという高さの山に固定をいたしまして、そのまわりの山がそれより三百メートル高いところは千メートル、二百メートル低いところは五百メートル、こういうふうにはかりまして、二等三角点をそれぞれ設置する、こういう仕組みになっておりますが、この地価公示法による公示価格も、まさにそういう考え方で地価算定基準点をまず市街化地域に幾つか設定いたしまして、これはそういった特殊な動機や事情がないということを前提に設定されるわけでございますが、現実の取引におきましては、それぞれ地形、位置、それから品位、品質が違うわけでございますし、また買い手、売り手にそれぞれ特殊な注文がつくとしますと、この一等三角点の七百メートルを基準にいたしましても、それにいろいろな条件を付加されましてそれが八百五十三メートルになったり、あるいは六百五十八メートルになったりするわけでございますが、そういう操作は当然に具体的な取引価格を算定する場合には出てくるわけでありますが、そういう価格を算定する場合にも、本来そういった要素を取り除いた全くこの法律の第二条二項にございますように、「土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格」、これを求めまして、これを基準にしてそういったいろいろな操作を加えて具体的な取引価格を、適正な価格をはじき出す、こういう仕組みになっているわけでございます。ですからそのもの自体は確かに純粋培養基かわかりませんけれども、そういうものがあって初めて具体的な正しい価格というものが、具体的な事例について導き出されることになるのではないかと考えております。
#11
○春日正一君 そうすると、もう少し具体的に聞きますけれども、この正常な価格というものが実勢価格ですね、実際いまどの辺がどのくらいの相場というふに言われている、これとどういう関係を持ってくるのか、この実勢価格と全然無関係にそういうものがきめられるのか、これとの関係の中でそういうものがきめられておるのか、実勢価格を離れて純粋に科学的に客観的にきめるといったことが可能かどうかということですね。
#12
○政府委員(川島博君) 御説のように実勢価格と遊離した無菌状態であれば、これは現実の価格の算定に役立たないわけでございます。ここで申します公示価格は先ほど御説明申し上げますように、鑑定評価の基準手法として確立をしております市場資料比較法なり、これは現実の市場における取引事例に着目をして価格を求める方式でございますが、それなり、あるいは収益還元法、これは不動産から生み出される収益に着目して価格を求める方式でございます。この収益還元法なり、あるいは復成式評価法と申しまして、不動産の新規調達に要する費用に着目して価格を求める、こういう鑑定評価の三手法を用いましてそれぞれその三方面から価格を求めてみる。それと、その三種の価格を使いまして具体の土地について価格をきめるわけでございます。公示価格についても全く同じ方式によりまして価格を算出するわけでございますが、それでありますから、まさにこれは実勢価格そのものである。しかし、世上言われております実勢価格、これはまあ実勢価格ということばは、日本語としては非常にあいまいなことばでありますけれども、世上言われているような取引価格、つまり呼び値とかつけ値とかいうことで代表される実勢価格につきましては、これは相当売り手、買い手の無知から非常に不完全な要素が加わりまして、ゆがんだ価格がいわゆる呼び値なりつけ値なりとして世上横行する。それに大都市周辺におきましては土地の需給が逼迫が激しいものでございますから、そういった不当なつけ値、呼び値が実勢価格と称して取引される。これが価格の高騰を推し進める権威的な役割りを果たす場合もあるわけでございます。しかし、正しい意味における一つの経済的な価格というものをこういう科学的な方法によって算定をし、これを公示するということは、正しいやはり経済的な価値がどこにあるかということを、あまりそういうことに専門でない国民の皆さんに十分お知らせするということによって、地価の鎮静作用に相当大きな効果を及ぼすであろうということで、この法律案を提案した次第でございます。
#13
○春日正一君 そこでもう少し突っ込んでお聞きしますが、実勢価格が科学的、客観的にきめられるというふうに言うのですけれども、たとえばいま指標として言われた第一の市場資料比較法、これは近傍類地の取引価格から推定する、こう言っても、その近傍類地の取引価格の例をどれにとるかということでだいぶ違ってきますね。そしてその例をとる場合に、どれを選ぶかということは、鑑定士なり評価委員会なりの主観によって選ばざるを得ないということになると、客観的にきめるということは不可能だ。主観によってそれを選んでくるのだということにならざるを得ないんじゃないですか、どれを例にとるかという場合にですね。
#14
○政府委員(川島博君) お説のように土地は一筆一筆違うわけでございます。つまり土地という財は他の一般の財と異なりまして、それぞれ固定性、個別性等の自然的特性を持っております。したがいまして、不動産鑑定士がこういった確立された不動産鑑定評価基準を使いまして算定をいたします場合にも、確かにそういったいろいろ自然的、社会的あるいは行政的な制約、要素というものが複雑にからみ合っておるこの対象を評価するわけでございますから、算術のように二足す二は四と、あるいは三かける三は九というふうに、だれが計算しても一銭一厘の違いも出ないというようなことは、実はあり得ないわけでございます。それぞれ鑑定士の考え方によりまして若干のこれは価格の相違が出てくるのは、これはまあそういった対象不動産の性質からいって、これは避け得られないことだろうと思います。しかし、従来この鑑定評価制度が昭和三十九年に立法されましたが、それ以前におきまする段階におきましては、いわゆる町の不動産屋さんなり、あるいは信託銀行等がそれぞれ依頼を受けてやっておりましたが、その当時の評価は、いわゆる専門家と言われる人でありましても、その間にあるいは三割とか、あるいは五割とか、あるいは倍以上の値開きも出るということも実際に間々あったことでございます。これはやはり日本におきましては、不動産の鑑定方式ということは明治初年以来行なわれておりますけれども、そういったやはり一つの統一基準というものがなかった、また、学問的にもこの鑑定評価理論というものが欧米におけるほど十分研究し尽くされておらなかった、こういう実態に基づくものでございますが、幸いにこの不動産の鑑定評価に関する法律が制定せられましてから、この不動産鑑定士制度、これは非常に公認会計士に並ぶ高い水準の国家試験でございますが、この制度ができましてから、やはりいろいろな面でも研究が進みまして、現在ではもとの宅地審議会の答申に基づきまして不動産鑑定評価基準というものが確立しておるわけでございます。こういう状況になってまいりまして、最近日本の不動産鑑定士は、理論及び実地の両面におきまして非常に進歩発展を遂げております。今日では、国家試験に合格した不動産鑑定士が評価した鑑定評価額は、非常に権威のあるものとして利用者に珍重されておるわけでございます。そういう関係から申しまして、私どもはそういった手法を使ってこの地価調査、実地調査を行ない、現地において土地調査を不動産鑑定士に行なわす。これは七人の土地鑑定委員会が集まり審査し、必要によっては調整を加わえて最終的な公示価格を判定するわけでございますから、これは十分客観性のある、世間を納得せしめ得る、信頼性の高い価格であるというふうに信じている次第でございます。
#15
○春日正一君 だいぶ長い説明だったのですけれども、私が端的に聞いているのは、近傍類地の取引価格から推定をすると言っているけれども、その近傍類地の価格の中にも高いのも低いのもある。どれをとるかということでその推定の結果というものは違ってくるわけだし、そうしてどれをとるかということは、それは鑑定士なり鑑定委員会なりの主観的な判断によってきめられるのであって、そこに主観が入らざるを得ない、科学的客観的鑑定というけれども、入らざるを得ないのじゃないかと、そのことを聞いているのですよ。
#16
○政府委員(川島博君) 私も、実はこの鑑定については専門家でもございませんので、あまり十分に御説明ができないのでございますけれども、実際にこの取引事例をどういうところから選択するかということでございますが、この鑑定評価基準によりますと、まず取引事例といたしましては、次の要件を全部備えるものの中から選択をしなければならないとされておりまして、その第一は、近隣地域または同一需給圏内の類地地域に存在している不動産にかかるものである、これが第一点でございます。第二点は、その取引事情が正常なものであると認められるものであること、または正常なものに補正できるものであること、それから第三番目に、個別的要因の比較が可能なものである、第四番目に、時点修正をすることが可能なものである、この四つの要件を全部備えたものの中から取引事例として。ピックアップいたしまして、それを使って価格をはじき出すということになっているわけでございます。
#17
○春日正一君 その四つの要件を全部備えたものから全部ピックアップして、それを比較してどれをきめるかということになると、やはりそこでどれをきめるかという基準は、主観的にきめられるのじゃないでしょうか。
#18
○政府委員(川島博君) お説のとおりでございまして、最終的な判断は、この鑑定士の判断にまかされるわけでございます。したがいまして、法律の鑑定士は最後には自分の良心に従って誠実に鑑定をするということを、最後のよりどころといたしております。人的な信頼が最後のよりどころでございます。
#19
○春日正一君 もう一つの方法ですね、収益還元法というのですか、その場合でもその収益というものをどう見るかということで変わってくるわけでしょう。だからここでも収益が全部同じじゃないんだから、そのどれをとってどう還元してこの地価は幾らというようにきめていこうということになる。そこにも最後に出てくるものは、その人の主観的な判断であるということになるわけじゃないですか。
#20
○政府委員(川島博君) 市場資料比較法で申し上げたと同じようなことになるわけでございますけれども、実際の不動産を扱って現実に利用しているという状態から収益を還元するわけでございますから、その使い方によっては、現実には非常に効率の悪い使い方をしているところと、非常に合理的に効率よく利用しているところともちろんあるわけでございます。一体その場合に収益還元法によっていわゆる収益還元価格というものを求める場合に、それを具体の一番悪い使い方をしているその現実の時点でとらまえるか、あるいはその周辺の当然平均的にこの程度の利用をするのが一番普通であるといったものを前提としてはじき出す、それによって価格が相当違ってくるわけでございます。それはイギリスの例を申し上げますが、イギリスの労働党政府が一九四七年に地方都市計画法をつくりまして、そのときに非常に画期的な土地税制を採用したわけでございますが、その場合に土地の価格は何ぞやということをきめる場合に、それはエクジスティング・ユースト・バリュー、現実に利用している価格、というものを基準にしてはじくべきだ、それをこういうものはいわゆる開発利益として社会に還元するという思想でこの制度を整備したわけでございますけれども、最近の一九六四年の新しいウィルソン内閣におきましては、エクジスティング・ユースト・バリューという考え方からカレント・ユースト・バリューに変わった。これは将来の開発価値を見込んだ方式ではございませんけれども、そういう具体の最低の利用というものに着目したものではなくて、その辺で通常カレントに利用されている利用の程度、この程度までの価格は当然土地の価格として認めるべきであるということで、そういうふうに考え方が変わってきておりますが、私どもはやはりこのここでいう近傍類地の地代等から算定される推定の価格、収益でございますが、これはカレント・ユースト・バリューこれをもとにして還元価格を出したものが、いわゆるここでいう収益還元価格であるというように考えており、またそれが一番妥当な考え方であるというふうにも考えております。
#21
○春日正一君 きわめてぱあっとしたことになるわけですね、現在動いている利用価格ということになると。ついでだからお聞きしておきますと、工業用地とかあるいは商業用地というのは、そこで営業を営むんだから、その具体の土地についてはこれだけの土地でどれほどの利益が上がり、それの利子率でもって換算していけばこうなるというような計算は出るわけですね。個人の住んでいる住宅地、これの利用性とかなんとかいうようなものは、どういうことで評価するのですか。
#22
○政府委員(川島博君) かりに住宅地でございましても、家屋を建ててそれを人に貸している場合には、当然家賃が入るわけでございます。自分の土地に自分の家を持ち住んでおるという場合にも、当然それを人に貸したら、その辺の平均としてどの程度の家賃がいただけるだろうかということは、容易に算定できるわけでございます。したがいまして、自家住宅に自分が居住している場合も、当然その居住によってみなされる収益というものははじき出すのは可能でございますから、そういったものを前提にして収益還元法によって価格をはじくということは、十分可能でございます。
#23
○春日正一君 そういう点で言えば、私の近所でもそういうのがあるのですが、同じ場所に同じような貸し家が片方にできておって、片方の地主は一万二千円で貸している。片方の地主は二万円で貸している。こういうのを私は目の前で見ている。
 そうすると、その収益をどっちへ還元するのかということになると、えらい違いが出てくるわけでしょう。だから、どこにもそういう問題がある。
 それからその次の問題ですね、復成式、評価法と市場資料比較法といわれておりますけれども、これで見ました場合でも、どの程度に荒れているのか、あるいは埋め立てなんかやる場合だったら漁業補償を幾らに見るかというようなことによっても、これの評価の基準というものは違ってくるわけですね。そうするとずっといま言った三つの例をあなた方あげて、この三つの要件でやるから客観的科学的な最も妥当な地価の評価が出ると言われておるけれども、この三つの要素は全体としてそれぞれ多かれ少なかれ主観性がまじってくる。だから三つ複合したらもっと大きなものになってくる。そういうことにならざるを得ないわけですね。その点はどうですか。はっきり確認しておいてくれますか。
#24
○政府委員(川島博君) 先ほど来申し上げておりますように、現実の土地の利用の状態は一筆ごとに全部違います。またそれから上がる収益もただいま例に引かれましたように、あるものば一万二千円で貸し、あるものは同じ効用のものを八千円で貸すという場合が現実にあるわけでございます。それはまさにエクジスティング・ユースト・バリューでございまして、それをカレント・ユースト・バリューに引き直すということが、鑑定士の重要な作業になるわけでございます。そういった作業をいたしました上で、このいろいろな方式を使いまして価格を組み立てていく。しかしながら、なるほど仰せのようにただいま正常価格が一万円と、全く正確な値は一万円というものを、Aの鑑定士は九千円にこれを評価する、あるいはBの鑑定士はこれを一万一千円に評価するということは、当然あり得るわけでございます。しかしながら、従来そうであったように同じ客観的に一万円の価値のある土地をあるものは五千円に評価し、あるものは二万円に評価する、そういうばかなことは幸いにしてこの鑑定評価制度というものが確立されましてから、だんだんに少なくなってきた。絶無とは申しません。つまり先生の言われるような一万円というものが純粋に客観的な価格であれば、大体九千円、一万一千くらいの幅に鑑定士の評価の格差というものが縮まると、そこに私は鑑定評価制度を確立された大きな意味があろうと思います。さらに、今回の地価公示制度におきましては、原則としては三人以上の鑑定士を使って同一地点の標準地を評価してもらうことになっております。それがかりに一万円というものがAは八千五百円と評価し、Bは一万円と評価し、C鑑定士は一万一千円と評価した場合には、これを公示価格を幾らにきめるかという作業が必要になってくるわけでございます。この作業をまさにこの法律のいう土地鑑定委員会が公正審査し、この鑑定士が現地について間違った資料を用いてはいないかということを十分に審査し、また計算方式が間違っていないかということをもチェックし、その上さらにこの三人の評価が食い違えば、その点は土地鑑定委員会自体が責任を持って調整を加えるわけでございます。そうして最終的な最も真実に近いと思われる値、すなわち一万円というものを鑑定してこれを公示価格として決定をする、こういう手続になっております。
#25
○春日正一君 その点で言えば大蔵省ですか、あそこで出している木の中にも、鑑定士が評価しても七〇%から一三〇%くらいの開きというものが出るものだというふうなことを、それは避けられないということをはっきり書いております。だから、そういう幅があるもんで、やはりこのあれであなた方が説明で言っているように、科学的、客観的なものが出てくるということにはならないんですね。これは、国税庁の資産税課の編の「財産評価の実務」の中で、四十二年四月の初版ですけれども、こういうふうに言っていますわ。「地価精通者などの専門家に正常価格として評価を依頼しても、ある人は、これをかりに百五十万円とつけ、大部分の人はこれを百万円前後とつけ、一部の固めな評価をする人はこれを五十万円とつけるというようなことはしばしばである。国税庁では、毎年、各県庁所在地の最高価額地につき、その都市の数人の地価精通者から正常価格についての意見をとり、それを資料としている。」というように言っているけれども――つまり、五十万円から百五十万円の開きのある意見が出てくるということを言っているのですね。そうすると、いまあなたの説明されたように、すうっと正確なものが出てくるということじゃなくて、なかなか、これは簡単にそうきめられない。へたなきめ方をされると、きめられたほうがえらい迷惑をするということも出てくるわけですね。だから、科学的、客観的というこのことばの意味が、非常に何か権威を持つようだけれども、それほど持たぬということをお役所自身が言っているのですね、ここで。
 それから、いま私が聞いた三つの要素から言っても、資料のとり方でいろいろどう違ってくるかという問題から言っても、ちょうど正確なものが出てくるというふうには思えないのですけれどもね。そこのところはどうなんですか。
#26
○政府委員(川島博君) まあ国税の相続税の評価、あるいは国有財産の評価、あるいは地方税における固定資産税、都市計画税、不動産取得税等々の課税評価額、これが現実の評価におきましては、相当それぞれ違うということは、御指摘のとおりでございます。で、いずれも、国税、地方税におきましても、課税評価額というものは、原則としては時価をもって評価するということになっております。その時価――適正な時価はまさにこの法律で言う正常価格だろうと思いますが、これが、現実には相当まちまちであることは御指摘のとおりでございます。これらは、たとえばただいま国有財産なり、あるいは相続税の評価の場合には、いわゆる精通者価格ということを非常に重要視しております。これは、また実際に市場でもって取引され、あるいは言われておる値段でございますが、この場合に、一体精通者とは何かと申しますと、これは、まあ不動産鑑定士である場合もあるわけでございますが、大部分はブローカー、ブローカーがいわゆる精通者として一般的に値踏みを行なっているのが実態でございます。残念ながら、まだ、この不動産鑑定士という専門家を使って、個々の取引において評価をするということは、実は、あまり幅広く行なわれておりません。したがいまして、この精通者価格と言われるものには、相当やはり値開きがございます。これは、いわゆるブローカーでございますから、こういった高度の知識、経験を持って科学的に算定をするわけではございませんから、当然そこらは値開きがあるわけでございますが、少なくとも不動産鑑定士――国家試験を経た不動産鑑定士にお願いをすれば、同じ精通者でございましても、そのA鑑定士とB鑑定士の間に、そういわゆるブローカーの値踏みよりは幅が出ることはあり得ないわけでございまして、相当その幅は接近する。しかし、そうは申しましても、幅は必ずあるわけでございます。これは、まあ物の性質からやむを得ない。しかし、そういう一人のブローカーなり、一人の鑑定士なりに依頼すれば、そこには相当上下がございますけれども、したがいまして、まさにこの公示価格というものが必要になってくるわけでございます、したがって、公示価格は少なくとも二人ないし三人の鑑定士を使って、この同一地点を別々に評価をさせる、その結果を七人の専門家が集まってさらに審査をし調整をするという手数を加えております。ですから、その結果出てきた価格というものは、これは神さまから見たら、あるいは間違っておるかもしれません。しかし、この現在の日本の社会において考えられる最高の信頼し得る正常なものであろうということは、容易に想像がつくわけでございます。それは神さまから見れば間違っている価格かもしれませんけれども、しかし、そういう価格を国が統一して公示をすることによって、従来そういったまちまちの民間の取引の価格、あるいは公共用地取得の価格というものが、そういった公示価格に最終的に収斂をされ、これによって統一がとれれば、これは日本の地価制度にとって大いなる前進ではなかろうか、というふうにわれわれは考えます。
#27
○春日正一君 それでいまちょっと聞き捨てならぬことを言われたのですが、精通者というのはブローカーだ、だからブローカーなら値段の開きも出るだろう一そうすると、国税庁はそういうブローカーの意見を聞いて、そうしてそこの課税価格をきめているのですか。国税庁、だれか来ていますね。大蔵省から二人来ていますけれども、どうなんですか、大蔵省のほうは。そういうブローカーからいいかげんな値段を聞いて、それで課税価格をきめているということになるのですか。来ていますよ。大蔵省からは、上国料というのですか、それから市川両課長が出席していますという通知がありましたがね。
#28
○説明員(上国科巽君) 私どものほうの所管は国有財産でございまするので、課税関係につきましては承知いたしておりませんので……。
#29
○春日正一君 知らない、それは困る。これ残しておきますわ、大問題ですわ。大蔵省はブローカーに頼んで、いいかげんな価格評価をやっているというようなことになると、これは大蔵省として一言なかるべからざるものだと思うのですよ。
#30
○政府委員(川島博君) 私のことばが足りなかった点もございますので、補足説明をいたしておきますが、ブローカーと申しましても別に悪いやつじゃございません。宅地建物取引業法に基いて免許を受けたいわゆる不動産業者でございます。この中には現在は相当やはり不動産鑑定士なり士補なりを備えて、りっぱな価格機構を備えたものもございますけれども、しかし、そういった鑑定士なり鑑定士補なりの資格を持つ者だけの鑑定評価した価格が精通者価格ではない、ということを私は申し上げたかったわけでございます。ことばが少し足りなかったので、訂正いたします。
#31
○春日正一君 まあそういうことで、大蔵省がいままでそういう精通者を数人と言っていますが、一人にやらしているのじゃないのですよ――言っておって、それで前後三〇%、金額で言うと百五十万から五十万というふうな開きが出てくると、そこを大蔵省としてはこういう方法できめているのだということを書いてありますけれども、これはまあ関係ないから私は言いませんけれども、そういうふうな状態なんですね。そこで、実際問題として実勢価格というふうに言っても、近郊の場合、農地の価格と造成された宅地の価格とでは、これは大きな開きがあることは当然だと思うわけです。その場合、地価の公示というのはもと地ですね、これを重点にして公示するのか、造成地を重点にして公示するのか、どっちになるのですか。
#32
○政府委員(川島博君) 市街化区域には相当農地もあるわけでございますから、この農地が標準地の土地として選ばれることは当然あるわけでございますが、その場合に一体求めるべき正常な価格とは何かと申しますと、これは法律案の第二条の第二項にございますように、この「土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引」「において通常成立すると認められる価格」とございますが、その場合、農地を農地として取引をする場合、あるいは採草放牧地として取引をする場合、あるいは森林を森林として取引をする場合、その場合はここで言う正常価格が除かれております。そういった市街化区域におきましては、当然にこの宅地化を前提といたしまして土地の評価が行なわれるわけでございますが、現況は農地でありましても、この場合にはもちろん評価は農地としていたしますけれども、それは宅地になった場合に当然に非常に効用が高いわけでございますから、そういったものを見込んで現況は農地としては評価いたしますけれども、それは農地として利用されるという前提の評価ではございませんので、宅地化されるということを前提とした場合の評価になる。したがいまして、前者と後者では、たいへんな値段の違いがあると思います。
#33
○春日正一君 私の聞いているのは、それはそのとおり値段の違いがあるからどっちを重点とするのか。たとえば畑があると、これを宅地として売る場合には幾らという値段がつくだろうし、あるいは造成された宅地があると、これ売る場合には隣同士だってえらい違いが出るわけだから、どっちに重点を置くのか。つまり農地を宅地として売る場合は幾らがこの辺は適当な値段だと、同時に造成された宅地ですね、これは幾らというようなふうに、その両方について公示をしていくのかどうか、そこのところですね。
#34
○政府委員(川島博君) たとえばAという畑とBという宅地が隣合っておりますと、その場合Aという畑の通常価格は七千円という値段だといたします。そういたしますと、かりにB宅地がもとはおそらくA畑地と同じ現況だったものがたとえば三千円の造成工事費をかけてりっぱな宅地に造成されたという場合には、このA畑地の七千円プラス造成費の三千円と合わせて一万円というものがB宅地の公示価格、隣のA畑地は七千円という公示価格がつくわけでございます。
#35
○春日正一君 もう一度念のためにお聞きしておきますが、造成された宅地に対して価格はやっぱり公示されるわけですか。
#36
○政府委員(川島博君) 大体私どもは、将来この市街化区域につきましては、一平方キロについて一地点の公示価格を定めることが、地価公示制度を最も効率的にならしめるものだと考えておりますが、そういった場合に選ばれる地点は、まさにその地域の最も普通な代表的な用途、品位のものが選ばれるわけでございます。それが農地である場合もございますし、あるいは宅地である場合もございますし、あるいは原野、山林である場合もございます。それは一平方キロごとのメッシュで地点を選びますから、その与えられたところの地域の現況によりまして、選ばれる標準化はいろんな地目のものがあるわけでございます。
#37
○春日正一君 どうもそこがはっきりしないのですが、一平方キロの中に一点選ぶのだから、農地になるか宅地になるかわからぬということですけれども、やはり造成された宅地ということになるとまただいぶ違ってくると思うんですよ、違った事情があるから。私その点は非常にはっきりさしておく必要があると、こう思ってお聞きしておるんですがね。だから小さな一平方キロの中に造成された宅地がわずかしかないというような場合、主として畑地なりたんぼなりが指定されるということがあり得るとしても、たとえば東京の近郊なんかでは相当広い範囲にわたって宅造がやられておる。一平方キロの中にそういうものがうんとありますよ。そういう場合、そういうものについても価格の表示をやるのかということなんですわ。
#38
○政府委員(川島博君) たとえば大手の宅造業者が何十ヘクタールにわたって均一的な品質の宅地を造成していく場合があるといたします。その場合には一平方キロに一地点という標準地をとることは必ずしも必要でないわけでございます。その何十ヘクタールの全体について一つの地点を設定すれば、それで十分公示価格としての能力を果たすという場合もあるわけであります。またしかし、場合によっては、その土地一平方キロの一地点の公示価格では価格の規範たり得ない場合もあると思います。そういう場合には、場合によっては二分の一程度の表示価格をとる必要もあるかと思います。いずれにいたしましても採択された標準地がいかなる現況にあって、いかなる判定のもとに公示価格が示されたかということは、十分に利用者たる国民に公示される必要があると思います。その観点から法律の第六条におきましては、「官報で公示しなければならない。」として、「標準地の地積及び形状」、「標準地及びその周辺の土地の利用の現況」、「その他建設省令で定める事項」といたしましては、あるいは接面街路との関係とか駅などへの近いか遠いかの程度までも詳しく表示をいたしまして、利用者が情報不足のために間違った価格推定をすることのないように、十分詳細なデータをつけて価格を官報に公示するという道を講じたいと考えております。
#39
○春日正一君 造成された宅地を評価する場合ですね。その土地の評価というものは、どういうふうにしてきめられるのか。もと地が幾らという問題もあるでしょう。同時に造成費はどういうふうにしてつかんで評価されるのですか、それを正確につかめますか。
#40
○政府委員(川島博君) 私は専門家ではございませんが、大体関東のどの地方が土質がどうで、工事費がどの程度かかるということは、相当データがございます。したがいまして、公示価格と、それから工事費というものが当然これまた一銭一厘違わなく出せるかというと、出せないかもわかりませんが、およそ公示価格の要素として耐える程度のコストというものは、十分算定できるのではないかと思っております。
#41
○春日正一君 もう少し具体的にお聞きしますけれども、たとえばこういう例があるのですね。これは京王のめじろ台地、東京の高尾にあるのですが、ここの分譲例を見ますと、去年の三月に売り出したときには、坪当たり三万五千円から四万円、こういう値段で売れ出しておるのです。そうして応募者が非常に多かった。ところが半年後の秋に売り出したときには、その隣接地が七万円から八万円というように倍に上がっている。こういうことになると一体どういうことになるのか、しかも、あの辺聞いてみますと、底地は一千円以下で買っておるというですね。そうすると、半年の間に造成をすれば倍になるということがあるのですか、こういう例があるのですが、こういう場合どういうふうになるのですか、公す示る場合には。
#42
○政府委員(川島博君) めじろ台団地は、御案内のように京王線が高尾まで路線を八王子から延長して、その中途駅、全くの畑の中に新駅ができたわけでございますが、その新駅を中心に先行買収をしておきました用地を造成して京王帝都が売り出した、こういうことになっているわけでございます。その場合に京王帝都といたしましては、まあ千円かどうかわかりませんけれども、安く買った土地に造成費をプラスいたしまして、これに利潤、金利その他諸経費を見込みまして売り出したわけでございますが、確かにそれはその当時のいわゆる相場としては、非常に安いということで買い手が殺倒し、テントを張って何日も泊り込むという事態が生じたわけでございますが、京王帝都の企業採算からいえば、周辺の状況からいうと、いわゆる相場からいって安く売っても採算上もうかっておるわけであります。したがいまして、それはそれでいいわけでありますが、それが半年たって数倍になったことは、これは事実でございます。これは現実に京王帝都が延長線の運転を開始し、周辺の土地利用状況といいますか、交通利便の状況が一変したわけでございますから、これはまさに開発利益が現実化したわけでございます、鉄道の開通によって。したがいまして、そういう状況のもとにおいて倍になったものは、まさにこれは正常な価格でございます。売り出したときの値段も正常であって、半年たって三倍になっても、これは正常でございます。これは経済法則というものでございますから、私は何もふしぎはないと思います。
#43
○春日正一君 この論で言いますと、あなたの……。これはもう京王帝都の弁護人ですわ、そうでしょう。あなたいま先行取得したと言っておるが、電車を引いたのは京王帝都でしょう。自分で線を引くことをちゃんと予定して、その辺の山林を千円で先行取得しておいて、そうして土地を造成して、しかも三万五千円から四万円で売った。あの辺へ電車が引けるそうなということで、当然たくさんの人が殺到し、お得意さんが出てきた。そうしたら今度は、半年後にはそれを倍の値段で売ってる。売り手の、さっき、一番先に説明した地価評価の基準ですね、いわゆる造成費とか、そういうようなものに基づいてきめるという論からは、まるきりはずれてる現象ですね。明らかにこれは造成費と関係なしに、購買力に応じて値段がついておるということだと思うのですよ。これが正当なことで、その半年前の三万五千円も正当な価格だ、半年後の七万円も正当な価格だということになれば、一体何を基準にして地価公示するのか、地価公示のねらってるのは何なんだということを疑わざるを得なくなるでしょう。それをあなたが弁護するというのはおかしいと思いますよ。建設大臣どうですか、こういう場合。
#44
○国務大臣(坪川信三君) 春日委員の御指摘になりました点に理解はいたしますけれども、いま局長が申しましたことは、いわゆる現実論を申しましたことであって、いわゆる京王会社の、いわゆる資本的な立場に立ってそれを造成あるいは助長し、あるいは擁護し、支援するというような立場で局長が申したんではないことだけ御理解いただきたい、こう思います。
#45
○政府委員(川島博君) まあ大臣の申し上げたとおりでございますけれども、私は別に京王帝都から何も……。(笑声)先に申し上げましたように、価格判定にあたりましては、なるべく復成式評価法を参考にするわけでございます。復成式評価法だけを用うるべしといり点からいえば、いまのめじろ台団地のごときはけしからぬという非難はございますが、私が申し上げましたのは、復成式評価法も使いますが、あわせて収益還元法、市場資料比較法というものを必らず使わなきゃいかぬ。この三方式を用いまして、その時点でもって最も妥当な価格というものを鑑定し、はじき出すということを義務づけられているわけでございます。したがいまして、復成式評価法は三分の一のウエートを持って、三分の一とは申し上げませんが、とにかくほかの二方式も加えた三方式で、必ず真実の発見につとめるということが、鑑定士に義務づけられていくわけでございます。
#46
○春日正一君 私は何も局長が京王帝都のひもがついておってそれ言ってるというじゃなくして、考え方が、いま言われたような、六カ月前の三万五千円も、六カ月後の七万円も、これは正常な価格なんだ、価格形成の論からいえば、という考え方でいけば、これはもうこういうことを無制限に認めてしまうような、そういうことになってしまうじゃないか。それこそ客観的に京王帝都を弁護するということになるんじゃないのかと、こういうふうにぼくは言ったので、何もあなたがひもがついておるとか何とかという、そういう勘ぐりをしたわけじゃないんで、その点はフランクに聞いておいてほしいと思うのです。だから、こういう形でいくと、いわゆる最初に言われた適正な、客観的な価格というものと、実際の価格形成が、現在の機構の中で動いていっている地価というものの間には、そういう大きな現実の動きが出てくるということですわ。そこの点を指摘して、またその次に具体的例をあげますけれども、こういう問題がありますね。千葉県の臨海の埋め立て、千葉の港のところですね、これは一坪当たりの原価、これが漁業補償が三千ないし四千、土砂の運搬、護岸等が七千から八千、道路、学校等公共建築物が一万五千から一万八千、合計すると平均しての原価というものは二方五千から三万ということになる。私は千葉県の資料を持っておりますけれども、書き抜いたものです。千葉県は工業地の分譲については、これは原価主義だということで、はっきり千葉県の文書にも原価で売っている、こういうふうに一万八千か幾らか、原価で売っている。ところが同じ百五十万坪の埋め立てをした中で、商業地、住宅地を工業地より高く売っておるのですね。そうして、そのことで全体の中で利益を生み出す、こういうことをやっているわけですわ。そうすると、こういう場合のいわゆる価格評価、この公示法による計算でいくと、どういうことになるのですか。この百五十万坪をとにかく漁業補償して、三井不動産が埋め立てたと、そうしてこれができたんですね。そうして原価を計算するといま言ったようになる。ところが、工業用地については原価で売っている。そうして、商業用地と住宅地についてはうんと高く、これは一万八千円の片一方は七万ぐらいですか、大体そのくらいで売っている。そういう差額がいまあなたの言われた土地評価の論から言ってどこで出てくるのですか。
#47
○政府委員(川島博君) 先ほど来申し上げておりますように、公示価格は市場資料比較法と収益還元法と復成式評価法と三つの方式を活用いたしまして、最終的に価格を決定するわけでございます。したがいまして、御質問の例で申し上げますと、おそらく適正な価格、正常な価格というのは、おそらく原価、すなわち工業用地の一万七千円と、住宅地、商業地といった値段七万円といたしますと、まさにその中間のどっかにあると思います。つまり原価主義というものは企業採算から出てくる問題でございまして、別にいわゆる正常な価格の最終のきめ手にはならないわけでございます。ただいまの設例を詳細承知しておりませんが、たとえば住宅公団におきましては、工業団地造成事業と住宅地造成事業と両方やっておりますけれども、住宅地は原価で売ると、それから、工業地はそれに時価で売ると、それから商業その他の施設については、その中間で売ると、こういう方式をとっております。その場合には、いわゆる住宅公団は勤労者に低廉な住宅を供給することを最大の目的としておりますから、最大のお得意さんである住宅用には、一番安い原価で売っているわけでございます。千葉県かその逆の方式をとっているという御説明でございましたが、その真偽のほどはよく私存じませんけれども、かりにそうであるといたしますれば、私どもが建設省として住宅政策を推進するという立場からいうと、いささか方向が逆ではなかろうかと思います。
#48
○春日正一君 だからそういう場合に常識から言えば、工業用地こそ一番計算しやすいわけですわ、利益還元でやるわけですから。この土地に工場を建ててどれだけの利益が上がると、それを平均利子率で還元していけば、どれほどの地価を払っても経営は成り立っていくという計算は出るわけです。ところが、ここは原価ということにきめてしまって、住宅地に対しては、非常に高いものをつけるというようなことで、こういうことが現にやられている。そうするとこの公示法でそういうことを改められるのか、その点どうですか。
#49
○政府委員(川島博君) 当然改められると思います。
#50
○春日正一君 それからもう少し例を聞きますが、丸の内のビル街の評価ですね、あそこは三菱地所の所有地ですか、大手町から有楽町にかけて、五万四千九百三十坪、あれだけ広いものを持っております。それでこの帳簿価格は百七十七億二千八百万円ということですから、坪当たりにすると三十二万円そういう計算になるわけです。この場合は、あの辺がそんな相場ということはちょっとおかしな話ですけれども、実際にはあそこは三菱は売りませんから売買例というものがないですから、そうするとこの場合には、こういうところの土地の収益性とかそういうようなものの評価というものはどうして出すのか、そういう売買例がない場合があるんですね。
#51
○政府委員(川島博君) 御指摘のように、帳簿価格から価格の算定はできないわけでございますが、幸いにして三菱地所は大家主といたしましてあの辺のビル街は全部貸しビルとして貸しております。したがいましてそのビルの賃料から収益還元法によって価格の推定は十分できるわけでございます。したがって、公示価格の決定には支障ないものと考えます。
#52
○春日正一君 こういうことを考えてみると、あなたが先ほど言ったように、日本各地の科学的な客観的な値段がずっと出てくるというようなことはきわめて疑わしい。非常に多くの矛盾を含んでいるということだけは、はっきり言えるんじゃないですか。
#53
○政府委員(川島博君) ですから、私は先ほど来申し上げておりますように、何が真実かは神さまだけが御存じでございます。しかし、その真実に一歩一歩近ずこうとするその具体の努力のあらわれが、地価公示制度でございます。そういう努力は私はまさにこれはやるに値するものであるというふうに確信して疑わない次第でございます。
#54
○春日正一君 科学的に正常な価格を公示するといっても、科学的にきめることはできないということを、私はるるいろいろ言ってきたけれども、こういうことになっているんですね、実際。公共用地買収における補償の例を見ると、東京都財産価格審議会がその値段をきめているのですけれども、ほとんどそれは時価の六、七割程度に大体きめている。そうして、その場合大きな地主はそれでも損をしない。というのは、地主は借地人との分け前の半分ですね、これが七分三分とか八か二という形であったものがそういうふうに安く買われるという場合になってくると、六−四とか五一五というふうに地主の取り分をふやしてくるからだから大きい地主は損しない、むしろ借地人が損をする。そうしてもしそういうふうな配分の変更を断われば、今度公共事業で新しく変えられた条件での契約書の書きかえにはんこを押さない。はんこを押すから何割出せとかあるいは幾ら出せとかいうような形で圧力がかけられて、結局しわ寄せは低い補償の借地人のほうにかかってくるというような例がある。事実足立区の本木町の例で言うと、これは道路用の買収ですけれども、買い上げ価格が坪十二万円で借地人が六万円、地主が六万円、こういう形で配分されておる。ところが道路ができてその近辺の土地というものが一年後には借地権が二十万円に上がっている。だから借地人がまるっきり損したというかっこうになっているんですね。だからこういうふうな形で公示価格がきめられた場合でも、同じように結局弱い者がいじめられてくるという例が出てくる。だからこういうふうな場合、私これは事のついでだから言っておくのですけれども、いつもこれは大臣にも言っておいても、なかなかうんと言ってくれないけれども、やはりこういうものの補償というもの、それは大きな土地を持っておってそれを処分してそれで十分やっていける人たちを過当に保護する必要はないけれども、小さな借地人とか小さな土地所有者に対しては、少なくともその公共事業によって受けた変動、そういうものに対してやはり従前の営業なり生活なりというものがでまる程度の補償はするという原則を確立しませんと、この公示価格ができれば、土地収用の基準になっていくわけですけれども、やはりそこにどうしても矛盾が起こってくる、いま言ったような。だから、私はいつも言うのですけれども、公共収用の場合やはり生活権的な生活保障といいますか、いまの概念では価格保障という形で保障がされていますけれども、そうでなくて、やはり生活保障という概念をはっきり導き入れて、そういう公共事業のために犠牲になる小さなものが、少なくとも前よりよくなくてもよいけれども、少なくともその条件は保障されるということにしませんと、道路をつくるにしても何をするにしても、そこに非常に大きな矛盾が出てくる傾向が起こってくる。そのために必要な事業が進まないような現象が起こってくるということになると思うのです。だからこれはどうしてももっと広範に今後これをやっていこうとすれば、どうしてもそういう公共事業なりそういうものに対する保障の原則の問題を確立しておかぬとならぬという問題が出てくると思うのですけれども、その辺、大臣のお考えをひとつ聞かしていただきたい。
#55
○国務大臣(坪川信三君) 春日委員が御指摘になりました公共事業を推進する場合におけるところの一般国民の犠牲、ことに零細なるところの所得あるいは所有のまことに零細な庶民への措置という問題、まことにきびしい重大な問題でございます。私は、小さな犠牲大きな犠牲これの差をもって考えるべき問題でないほどやはり私は行政を推進する場合に、事業を推進する場合に、私はやはりいま春日委員が御指摘になりましたような気持ちを持って指導もいたし、配慮もいたさなければならぬ、これがやはり愛情のある建設行政の推進であるとこう考えますとともに、私はいま申し上げましたような信念とまた行政配慮を十分講じながら、そこらのこうした不幸もなるべく除去いたし、小さな犠牲であろうとも、当然の措置として十分納得と話し合いの上において土地の取得、あるいはそれらの行政措置を押し進めてまいりたいと、こう考えております。
#56
○政府委員(川島博君) 法律案の第二条の二項をちょっとごらんいただきますと、いわゆる正常な価格は最後の二行目にございますように、「(当該土地に建物その他の定着物がある場合又は当該土地に関して地上権その他当該土地の使用若しくは収益を制限する権利が存する場合には、これらの定着物又は権利が存しないものとして通常成立すると認められる価格)」とございます。したがいましてここで公示しようとする価格は、まさに完全収益価格でございます。したがいましてかりに正常価格が坪一万円というふうに公示されましても、その一万円を地主が何ぼ取る、借地人が何ぼ取るかということは、この公示制度自体からは判断がつかないわけでございます。これは全く別途の問題でございます。ただその場合に、この借地権価格と底地権価格というものは、大体商慣習として確立をしておりまして、たとえば借地権利金のやりとりという慣習のない関西においては、地主の取り分が非常に多い。それに比較いたしまして関東地方におきましては土地を貸す場合に借地権利金としていわゆる所有権価格の七割ないし八割もを地主が先取りするという慣行がございます。その場合には当然売った場合にその取り分はその借地人のほうが非常に多く取る、これは当然でございます、先に払ってあるわけでございますから。したがいまして、御説のように、地主が五割取るか六割取るか七割取るかという争いが、そうあるわけではございません。しかしながら、そういう争いが――地主も欲の皮が突っ張っておりますから、先に七割権利金としていただいても、また売るときには半分よこせとか七割よこせという欲張った地主もあるわけでございます。その場合に、たとえば補償の場合には、これはしかし最終的にはこの公示価格で正常価格が一万円ときまりました場合にも、その取り分について争いがある場合には、当然、これは収用委員会で争う、最終的には民事訴訟で争うという道が開かれております。その場合には、収用委員会なりあるいは裁判所が、これは地主が三割でがまんすべきである、二割でがまんすべきであるという最終的な判断を示して話はきまるわけでございますが、大体の商慣習として、ここらの土地は大体何ぼは地主の取り分であるということは大体きまっておるわけでございまして、そうたくさんトラブルがあるわけではございません。また、それに対する救済の道も開かれているということを申し上げたかったわけでございます。
 それからもう一つ、公共補償の場合には、公共団体等が公共用地を取得する場合には、どうも財産権の物理的な価格だけの補償でどうしても生活権が脅されるというような問題は確かにございますが、しかし、この場合には、この正常な取引価格を用地補償として支払うほかに、いわゆる通損補償といたしまして、たとえば物件移転料とか、あるいは休業補償とか、そういう形でもろもろの物的損害は別に支払うことになっておりますので、両々合わせまして、やはり、従前の生活、あるいは営業が十分償って続けられるという形において、現実には補償が行なわれておるわけでございます。
#57
○春日正一君 地主の取り分と借地人の取り分ということは、この法律とは直接関係はないけれども、そういう問題が出てくる。その場合は、力関係でそうせざるを得ないという実情があるということですね。
 そこで、論点を変えて、公示価格の効力について質問したいと思うんですが、最初に、公示価格が「適正な地価の形成に寄与する」というためには、実際の売買価格をある程度拘束できることが前提にならなければ、これは適正な価格の形成に寄与できないわけですね。この点でどの程度の拘束力を持つことになるのか、その点、説明してもらいたい。
#58
○政府委員(川島博君) 第一条の「(目的)」にもございますように、この地価公示法のねらいとするところは、一般の民間の土地取引にあたりましては、土地の取引価格に対してガイド・ポスト――指標を与えるということを目的としているわけでございます。したがいまして、この点におきましては、法律は、法律をもって縛っておるわけではございません。現実問題といたしまして、こういう権威ある独立性のある土地鑑定委員会がいろいろな手続を経て慎重に審査して判定をした価格を公示すれば、これは十分この規範性をもって世人の納得がいく価格として援用がされるであろう、ということを期待するという効果しかねらっておらないわけでございます。ただ現実におきましては、この特に大口の買い物をいたします場合には、買い手は必ず最近は不動産鑑定士を使っております。しかしながら、この不動産鑑定士が依頼を受けてこの価格を鑑定をする場合には、この法律の第八条におきまして「標準地の価格」「を規準としなければならない」という法律的な縛りがあるわけでございます。また、その鑑定士が商売としてそういう依頼を受けて鑑定した場合に、この公示価格によらずに不当な鑑定をすれば、当然鑑定評価法による罰則の適用を受けるわけでございます。そういう意味においては、民間の取引も間接的にはこの公示価格によって法律上縛られておるということが言えると思います。
 それから公共用地の取得につきましては、まさに九条、十条でこの事業主体そのものが取得する場合、並びにそれが収用委員会に持ち上がった場合、両方ともに公示価格を規準とするということが法律上義務づけられておりますので、公共用地の場合には、まさにこの公示価格が大きな力を発揮するであろうというふうに考えておる次第であります。
#59
○春日正一君 まあいまの説明、法律に書いてあるように、公示価格は公共用地の取得の場合には、これは非常に大きな拘束力を持つわけですね。それから鑑定士が仕事をする場合には、これを参考にしてやらなければいかぬということになっている。ただ一般の取引では単なる目安ということになっているわけですね。そういうことになると、一般の取引でどの程度の効果を持つのかという問題ですね。これはひとつ大きな問題として残ると思うのですよ。まあ一般個人が宅地を買う場合、そうして現在の都市周辺の宅地形成の実情から見ても、とにかく支払い能力一ぱい一ぱい、とにかく三万円なら三万円で買っても、何年間かにはこれだけ働いて払えるという、一ぱい一ぱいで買っているというのが実情でしょう。そうすると、公示価格があったところで、地主がこんな土地の値段では売らぬと言っていれば、欲しいほうがどうしても値段出すだけ出さなければならぬような現在の――あなたの言ったカレント何とかというやつですね、そういうものが動いてきめていくというのは、そういう事情からきめていくわけでしょう。厚木のあの辺の地所がいま二万とか三万とか言っている。あれもやはり農地を換算してどうこうというような計算で出てくるものじゃなくて、まああの辺で二万円なり三万円なり、あそこから小田急で通えば東京へ何時間で出てこれるからということで、これなら払えるからという値段で買っているわけでしょう。そうすると、その実態が変わらぬ限り、やはり公示価格が出たからといって、それで個人の取引においていまのような価格が下がるとか、あるいは上がりが鈍るとかということにはならないのじゃないかという懸念があるのですけれども、その点どうですか。
#60
○政府委員(川島博君) 御説のように、大都市の近郊におきましては、土地の価格が限界地の需要価格によって左右されるということは、まさにそのとおりでございます。したがいまして、このような事態が生じますのは、やはり何といたしましても、人口、産業の集中に対して土地の供給がなかなか追いつかない、こういうところにあるわけでございます。もちろん、このような土地の需給の絶対的なアンバランス、これを救うために公示価格だけではどうにもならないことは、まことに御説のとおりでございます。したがいまして、このような現象をいかにして救うか、つまりこれは地主の売り惜しみ、あるいは貸し惜しみをいかにして是正をいたしまして土地の供給を促進をするかということになるわけでございますが、なるほどこの公示制度そのものは私はそういう点においては力がないということは率直に認めるわけでございますけれども、この公示制度を足がかりにして、将来税制なり、あるいは負担金制度なり、あるいはその他の方法によりまして、この公示制度というものを足がかりに将来宅地の供給を増進するために、つまり売り惜しみや貸し控えができないように、土地の高度利用を促進するための方策は幾らでも考えられる。少なくともそういった対策を展開するための第一歩は、公示価格が確立するということによって初めて実現可能である、私どもはそういうふうに考えておるわけでございます。
#61
○春日正一君 そこでもう一つの問題ですね、民間取引について不動産鑑定士の評価の場合に、公示価格を規準としてきめるということが義務づけられているのですけれども、そこのところだけこの公示価格というのは関係してくるわけですね。しかし、実際に不動産鑑定士というのは現状ではどういう場合にどういう社会層の人たちが活用しておるわけですか。
#62
○政府委員(川島博君) 不動産鑑定士制度は昭和三十九年に確立された比較的新しい制度でございます。したがいまして、まだ五年の経過しかないわけでございます。鑑定士の数もようやく有資格者千八百人を確保するに至った現状でございます。したがいまして、鑑定士が全国津々浦々にいついかなるお客さんの需要にも応じるという形で分布しているわけじゃございません。地価の値上がりの激しい東京、大阪、名古屋、福岡というところに偏在していることも事実でございます。したがいまして、現況、民間の取引におきます不動産鑑定士の利用状況は、必ずしも活発ではございません。年間の受注高と申しますか、ようやく二十四、五億から六、七億という事態になってきた程度でございます。したがいまして、十分ではございませんが、大部分は大都市近郊の機関購入者が買う場合には大体この鑑定士の評価によっておるわけでございますが、一般の零細な庶民が土地を求める場合には、ほとんど鑑定士の利用が行なわれていないのが事実でございます。しかし、公共用地の取得の場合には、これは私どもが一生懸命やったせいもございまして、いまはほとんど公共用地を取得する場合には、公共機関のみならず、電力会社とか私鉄会社とかそういう場合でも、ほとんど不動産鑑定士の鑑定評価を有力なよりどころとして価格の決定をしていることはあまねく行なわれております。
#63
○春日正一君 そうすると、結局持ち家希望の個人個人が宅地を買うときには使わないと、それから土地を小さな農民が売る場合にも鑑定士は使わないと、法人とかそういったものが大きく農地なり山林なりを買う場合には、これは鑑定士を使って値段をつけさせると、そういうことだと、大きいものは買うときに使っている。しかも法人が今度は自分の造成した土地を売る場合には、これは鑑定士を使う必要はちっともない。そうでしょう。当然土地は商品なんだから、会社の計算で原価計算して、さっきの例みたいに売り出せばいいわけだから、鑑定士を使う必要はちっともないということになると、現在鑑定士が仕事をして役に立っているというのは、大きな法人なりあるいは公共企業体、そういうものもあるけれども、大きな法人が農地なり山林なりそういうものを買い取る場合の買い取り値段を鑑定させるということにほとんどいま限られているんじゃないですか。そうなると公示価格が役立つというのは、結局開発業者が農民や勤労庶民から買い取るときに役に立つという以外には、現状では鑑定士を通じてという関係では役に立つものは出てこないと思うんですが、その点どうですか。
#64
○政府委員(川島博君) 今度、明後日からいよいよ都市計画法が施行されるわけでございますが、そうなりますと、いわゆる市街化調整区域におけるスプロールが完全に禁止をされる、今後の開発は市街化区域を中心に行なわれることになると思います。その場合に当然に公共施設の整備された宅地でございませんと売買はできないことになります。かりに買いましても家が建てられないわけでございますから、そういう意味におきましては、今後は私どもは開発の手法としては、おそらく土地区画整理手法が大々的に活用されるということになろうかと思います。そのほか大手あるいは中小の宅造業者、あるいは住宅公団、あるいは地方住宅供給公社等の政府関係の機関宅造業者が大幅に活用されるということになると思います。現実にそういった造成いたしましたものを小口として希望者に売り渡す場合に、いま相当程度の規模を持つ宅地業者であれば全部社員の中にりっぱな不動産鑑定士をみんなかかえておられまして、そういうものに一応値踏みをさせるわけでございます。それによって最終販売価格というものはきめられるわけでございますけれども、必ずしも現実にきめられる価格は、いわゆる鑑定評価手法によってきめられた価格ではもちろんないことはあるわけでございます。先ほどめじろ台の例が出ましたけれども、私に言わせれば、あれはおそらく不動産鑑定士を使って正当な価格をはじかせたらおそらく公示価格よりも、現実の売り出し価格よりも高いものになると思います、正常な価格は。しかし、それは逆で京王不動産が正常な価格より安く売り出した、逆に言えば。したがいまして、正常、公示価格制度は、これは売りの場合にも買いの場合にも直接、間接いろいろありますけれども、利用されることは、あまねく利用されるというふうに考えます。
#65
○春日正一君 どうもおかしなことになってくるのですけれども、私が言っているのは、そういうむずかしいことを聞いているのではなくて、結局不動産鑑定士の鑑定評価に公示価格が一つの拘束を加えてくる、そういう関係で言えば、法人なり何なりが農地や山林を買い取るときには、公示価格が生きてくるのであって、それ以外は生きてこないのではないか、どうなんだということを聞いているわけで、それをるる説明されるのですけれども、ぼくの言っているのは、そこを聞いておるのですよ。つまりそういう大きなものを買い取るときには、公示価格というものが生きてくる。だけど造成して土地を売るときに、いま聞き捨てならぬことを言われるのですけれども、鑑定士にかけたらめじろ台の三万五千円が七万円よりも土地はもっと高くなるはずだ。あすこはいい場所ですから、出血でも何でもなくもうけている。そうすると、価格評価の基準は何と考えているのか、つまり資本主義というたてまえから見ても、土地の原価がこれだけだ、造成費がこれだけだ、それに対して一般の宅造関係で利潤の平均利益はどれくらいだから、それをかけて売れば、これだけの値段になるというのがあなたの言ったことば、冒頭の造成費用ですか、そういうものの論でしょう。ところが売ったものがお得意さんが殺倒したものですから倍になった。また鑑定にかければ、それより高くなるということですね、ということになるのか。そんなあいまいなことで土地の値段をきめられる法律が出たら、これはたいへんなことですよ。つまり、そういうことを期待しているわけでしょう。この地価公示ということを期待する以上、不当な値段はつけられない。もちろんいまの世の中ですから、法人がやる場合には世間相場の平均的な収益率、利潤率があるのですから、それに基づいて計算すればこの土地は幾らになる。だから安く提供できるということになるので、それで三万五千円に売ったのは、損したのじゃない。ところがお得意が多かったから、半年後には七万円で売った。ところが電車が通っているから、鑑定士にかければもっと高く出ますよ。京王は安く売ったと言うから、京王の弁護人じゃないかと言う。なぜそんなことを言う必要があるのか、そこら辺の考え方で運用されてはたまらない。
#66
○政府委員(川島博君) めじろ台の正常価格は幾らであるかは、鑑定士に鑑定させれば容易にわかるわけですけれども、必ずしもそれは京王で売った価格よりも高く出るとは限りません。しかし、おそらく私はあれだけの環境の整備された所、あれを首都圏内の同じような所の値段と比較した場合、絶対的に安いと思います。安いからお客さんが集まる。実勢価格と同じであれば、三日も四日も泊まることは必要ないわけであります。したがいまして、そういう意味では、正常な実勢価格より安く売り出したことは間違いないので、これは公示価格と比べればたぶんおそらく安いだろう、ということを申し上げたわけであります。
#67
○春日正一君 その議論は、ぼくはこれ以上しないけれども、その考え方はどうにもならぬということを大臣も聞いといてくださいよ。とにかくそれは実勢価格がどうあろうと、とにかく土地公示して、そういう収益性でやって、会社が幾らでやってもうかるというそろばんで売り出したものが値が上がったということでしょう。だからそれを何も弁護して言う必要ちっともないんだから。三万五千円で売り出したときに、会社が、損するつもりで売り出したわけじゃないんだから。お得意さんがうんと来るからと上げてみたらそれでも売れたというだけのことなんだから、そういうことを弁護して、お得意さんがうんと来るなら値が高いのあたりまえだということになれば、いまの地価問題の解決なんてことにちっともならぬ。需要供給の関係で、土地みんな求めてるんだから高くなるのあたりまえだ。それでいけば、何も法律つくる必要も何もないんですわ。そういうことじゃないでしょう。やはり地価の抑制ということがうたわれておったんでしょう、価格決定のときにもその一定の作用を持たせるということが。そして、その抑制の合理的な根拠というものは何かというと、さっき言ったように収益性とか何とかいうもので合理的に根拠づけて、それ以上もうけるものは不当だからというようなことが出てくるので、そういうこと、私はわかり切ってることで、そんな議論するつもりじゃなかったけれども、あんた余分なこと言うから、黙って聞き捨てておくわけにはいかぬということになってしまう。
#68
○国務大臣(坪川信三君) 非常に大事な問題でございますので、私からも申し上げておきたいと思います。川島局長が申しました点につきましては、いわゆる投機的な取引あるいは不正な取引を抑制いたす気持ちにおいて、具体的な説明をもって、現実論を展開しながら御理解いただきたいと、こういうような気持ちで申し述べているのでございますが、その表現があまりくど過ぎまして、そうした誤解を生ずるのではないかと思いますが、基本的な考えは、つまり春日委員と同じような気持ちでこれの問題に取り組み、またその方針であることだけは御理解おき願いたいと思います。
#69
○委員長(大和与一君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#70
○委員長(大和与一君) 速記を始めて下さい。
#71
○高山恒雄君 大臣に御質問したいと思うのですが、この地価公示法の参考資料を見ますと、三十八年の三月に宅地制度の審議会が第二次答申案というものを出しておられるわけですね、ところが七年たった今日、地価公示法というものを出そうということになっておりますが、この七年間――約十年間といいますか、三十二年から四十二年までの統計の、このうちの資料を見ましても、大体これ千五百十六倍ですか、三十二年を一〇〇とすると、千五百十六倍ですよ。そのような土地の値上がりをしたときに、こういう法案を出すということは、いままでは安過ぎたから、上がるのを待って、それからつくればいいんだという考えで政府は出したのか、そういう点をちょっとお答え願いたいと思います。
#72
○国務大臣(坪川信三君) 高山委員御指摘になりました点は、まことにごもっともといいますか、政府といたしまして、まことに手おくれであるという立場においては、いささか私は高山委員の御指摘については、ほんとうに恐縮いたしておるような次第でございます。しかし、ただ手をこまぬいてそれを傍観しておったというような政府の態度でないことも、御案内のごとく、都市再開発を累次にわたって提案し、御審議をわずらわしましたり、あるいは土地収用法の改正をいたしましたり、あるいは新都市計画法の改正を御審議をお願いいたしましたり、あるいはその他土地税制の上においても、やはりそれぞれの措置において、御期待に沿うような万全の税制対策ではございませんけれども、それぞれとってまいりました点は御理解いただきたいと思いますが、しかし御指摘になります点については、まことにわれわれといたしましても恐縮いたしておりますが、しかし、これらの点について、やはりぜひとも、値上がりはいたしましておりますけれども、これがリミットではなくして、今後の土地対策を思うときに、地価問題を思うときに、ここにおいて、あるいは総合的な施策を踏まえながら、地価問題に取り組んでまいった政府の姿勢も御理解いただきたい、こう考えております。
#73
○高山恒雄君 私はこの資料を見せていただいて、ほんとに政府が地価抑制のため努力をされるならば、十年前にこういうことをお考えになって答申が出ているのですから、そうして鑑定士の鑑定のしかた、いわゆる物価的なスライドをするのかどらか、それから単なるその地域の相場で判定をするのか、いろいろ鑑定士の行き方には、あとまた御質問申し上げますけれども、方法がいろいろあろうと思うのですよ。そういう方法がかりに物価スライド的な立場から地価公示をして今日まで十年間きたとするならば、私は今日ほどのあるいは地価の値上がりをしないで抑制ができたんじゃないか、こう思うのです。しかしここまで上がってしまって、このものすごい値上がりから一般地主というものは相当の味をしめておるわけですね。したがってこういう地価公示をしてもこれはむしろ危険ではないか、こういう考えを持つわけです。地価公示法の目的に、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資するものである、こういうふうになっております。そこで、一般の土地の取引価格に対して指標を与えてみても、単なる指標であって、実際には日本のような場合は人口密度から見ても都市の過密化からくる土地の不足は否めない事実なんですね。この点から考えてみますと、しかも土地の表示されたその価格が最低になってしまって、むしろ天井知らずの最高地価になる危険性はないのか、非常にこの点は私は危険じゃないかと思うのです。先ほど申しましたように、一般地主もかなりこの十年間の値上がりというものに対して深い関心を持っているわけですね。そうしてこの資料からもとることができますように、昭和三十四年ですか、極度に上がっております。またそれが安定して下がってきた例もありますね。こういうふうに土地の相場が三十三年と三十四年は逆に下がっております。こういう土地の相場というものが非常に天井知らずの値上がりをしておる最中に、ここで表示抑制をしようということはむしろ最低で天井知らずの最高になる危険性を私は憂えるのですけれども、大臣なり局長はこの点に対してどうお考えになっておるか、一応見解をお聞きしたいと思うのですけれども。
#74
○国務大臣(坪川信三君) 御指摘になりましたいわゆる危険性、この問題は解釈の問題になりますけれども、御承知のとおりにイギリスのロンドン大学の土地問題の権威者であるロブソン氏が東京へやって来られまして、日本の土地問題、地価問題に対する非常に示唆に富んだ発言をされておられますが、その問題に対して、どうも土地問題ではひとつルーズではないかということば、私はこのことばについてはかなり考えさせられているのでございます。もう少しやはりこうした問題についてフランスとかあるいはイギリス等におきましては大蔵省に土地局を持つとか、地方の自治体にまで土地局を持っておるというほどまで、土地に対しては非常に国家、地方自治体が深い関心を持っておる。こういうことを思いますときに、私は万能薬とは申しませんけれども、累次にたびたび申し上げますが、地価公示制度をやることによってひとつの目安、安心感、信頼感、ほんとにこの土地はどうするのだろう、どうなっているだろうかという民衆は非常に迷っております。また信頼を失っておるということを考えますときに、私はその指標となり目安となることをすることによって一つの抑制策にもなる、安心、信頼感も持ってまいると、大体昭和四十八年度の末までには大体われわれの考えておりますのは、全国八千個所の地点を一つの標準地点にいたしまして地価の標準の指標にいたしたいと、こう考えております。私はこの地価公示制度に対する多大な期待を寄せている気持ちもひとつ御理解いただきたいと、こう考えております。
#75
○高山恒雄君 局長、ひとつその危険性はどうか答えてください。
#76
○政府委員(川島博君) 標準地と申しますのが第三条によりまして「自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定するものとする。」とございます。したがいまして、同じ用途に使われている地域の中で最も普通という、中等位といいますか、最も普通の使い方とされているものを標準地として選ぶわけでございます。しかもその選ぶ機関は、われわれというか、当局から独立した土地鑑定委員会が先ほど来御説明申し上げましたように慎重な手続を経てきめることになっておりますので、十分信頼をされる。しかも実際に官報に公示されるのは、この土地はどういう状況にあって、交通条件はどうで、現況はどうなっておると、そういうデータをつけて公示されるわけでありますから、こういう条件の土地はこれだけの値段であり、この隣の下水もないし、まだ荒れ地になっているところはどのくらいというふうに、しろうとの方でも相当それを有力な参考にして値ぶみができると、こういう意味で指標に使っていただきたいということになっておるわけでございます。したがいまして、現在ではたとえば団地ができますと、隣のすぐ接続した農地が下水も道路も何もないのに団地と同じ値段になる、それがあたかも当然であるかのように横行しているわけでございますが、そういう場合には、今度は公示価格であれば当然そういった施設の整ってないものは相当値引きされた価格が公示されることになります。なるほどそういう施設のないものは施設のあるところに比べてそれだけ低い値段が正当なんだなということが、しろうとの方にもおわかり願えることになろうと思います。
 そういう意味におきまして世上往々にして最低価格を公示価格に引き上げてしまうのじゃないかという御批判もあるわけでございます。私どもはそういう点は十分周知徹底をはからなければいかぬと思います、実際のこの公示価格の利用のしかたについては。しかしそれが十分に徹底をすれば、決してその価格を引き上げるというようなことにはならないというふうに確信をいたしております。
#77
○高山恒雄君 この正常価格の基準というものは、これからだろうと思うのですよ。それで局長にお聞きしたいのですがね、これは二つあると思うのです。あるいは三つあるかもしれませんが、もと地を買って造成して宅地にするという場合もありましょうし、実際の宅地そのものを買うという場合もありましょう。これは二つあると思うのですね。したがって、この正常な価格の基準をどこに置くかによってそれは変わってくるのですよ。先ほどもだいぶ脱線したお話もあって、追及を春日さんがされたとおりだと思うのですが、たとえば宅地として鑑定士が鑑定する場合、基準をどこに置くのか、たとえば昭和三十年を基準にして一般物価の値上がりのような線でスライドさせた価格に持っていくのかどうか、こういう鑑定のしかたがあると思うのですね。そうすると、もと地で、片や半分は山だ、片や半分は畑だとかたんぼでもよろしいが、そういうものを宅地として造成する場合に、環境も変わってくるし、いろいろ変わってくると思うのです。それに対する、先ほど春日さんも強くその答弁では困るとおっしゃったように、一体、土地を三千円で買うた、それで造成した結果、費用が約六千円要った。そうすると、この六千円で大体そういう造成をするのについては、事務員やその他の経費もありましょうし、全経費を含めて大体一万三千円程度が適当なんだ、こういう基準に基づいて土地の鑑定士として鑑定をしていくのか。どういうことで鑑定をするのか。先ほどのあなたの危険性がないという御説明ですけれども、あなたのお話を聞いておると、一般相場あるいは環境が、たとえば電車が通って非常に便利がよくなった。それで、東京にはいままでバスに乗って、今度は電車に乗って、地下鉄に乗らなくちゃ行けぬ。そういうために非常に交通の便は悪かったが、電車が延長されたために、一回も乗りかえずに来ることができる。こういうような環境の変わるところがあるのですね。そういうものを含めた相場をどんどん上げていくということになると、私が先ほど第一問で質問を申し上げたように、いわゆる一般相場の中の鑑定ということになるわけです。鑑定士はそれをやるわけですね。そうしますと、最低の最高というのは、求める人が多くなればなるほど、これは上がるものです、品物は。上がりますね、品物が。したがって、鑑定士が鑑定した相場よりも高く買うという人が出るのは、これは当然だと思うのですね。そういう場合のその鑑定士の基準というものをどこにお定めになっているのか。三通りくらい、あるいは二通りでいこうとお考えになっているのか。これは一番大事なところだと私は思うんです。これを誤ると、先ほど私が杞憂を申しておりますように、ややともすると、最低の天井知らずの値上がりをやっぱりするんではないか、こういうふうに心配するわけです。この点、どういうふうに基準をお考えになっているか、その基準をひとつお聞かせいただきたい。一般相場なのか、あるいは物価値上がりに大体適応した、スライド的な値上げにとどめるんだ、そういう鑑定士の基準ですね、どういうふうにお考えになっているのか。
#78
○政府委員(川島博君) 一般物価の上昇傾向を一つの指標にするということもひとつの考え方でございますが、本法案で言う公示価格には、そういう考え方は取り入れておらないわけでございます。たとえば土地収用法などは事業認定時の価格で固定をし、それから以後の値上がりは一般物価の値上がりの増勢しか見ないということになっておりますが、この地価公示法に言うところの公示価格の算定の方法は、現在確立されておる不動産鑑定基準によって価格を調査することを義務づけておりますので、それはまさに市場資料比較法であり、収益還元法であり、復成式評価法であります。それ以外の方式は取り入れてはいかんことになっておりますから、この物価の上昇ということは、この市場資料比較法によって近傍類地の取引価格から推定をする場合には、これは間接的ではございますが、一般物価の上昇ということは、当然要素に入ってくるわけでございますけれども、直接に時価にこの物価の上昇率を使って価格を判定することはないわけでございます。これの三方式によって判定をするということになっております。
#79
○高山恒雄君 土地収用法に基づく鑑定だとおっしゃるのですが、それは公共施設やその他の場合は、それはそれでそれを基礎に置いてもいいと思うのです。けれども、一般の個人に対しても、この目的から言うと、皆さんはそう書いておられるのです。この一般の土地の取引指標を与えておるんだ、一般の個人の取引ですな、それにも指標を与えると言われる。公共施設の場合は、あなたのおっしゃるように、収用法に基づくそういう算定の方法でいいと思うんです。私は、そういう点をもっと分析をする必要があるのではないかと思うのですが、ただ土地収用法に基づくそういう鑑定の方法でこれを算定していくのだということになりますと、最低の最高ということが必ず起こる。一般にそういうふうに土地が足らないからそういう危険性があるということを申し上げたいのですが、その点はどうですか。ありませんか。なければないよろしいが、自信があればですね。
#80
○政府委員(川島博君) 私の説明のしかたが少し不十分だったかと思いますが、その物価のスライドは土地収用法で強制的に土地を取得するという、最後の収用委員会がきめる段階でそういう事業認定時の価格プラス物価スライド分という考えをとっておりますが、この法律に言う公示価格には、そういう思想は全然入っていないということを申し上げておるわけでございます。これはもっぱら第四条の指標の基準によって価格をきめる。しかも、そのきめるものは、そのあたり一帯の中等位のものを取り上げて、中ほどのものの値段を公示するわけでございますから、それより条件の劣る下位のものは当然この公示価格から引っぱってくれば、それより低い値が出るわけでございます。まあそれで必ずしも買えるという保証はもちろんないわけでございますけれども、公示価格よりも劣った品位のものは当然安い値段が出てしかるべきだし、いいものは高い値段が出てくるわけでございます。そういう意味において、この公示価格の利用のしかたを十分にわきまえて使えば、決して価格を引き上げることには私はならないということを申し上げた次第でございます。
#81
○高山恒雄君 そうしますると、大体いま大都市郊外の地域を中心にして、鑑定士に公示させようということでしょう。そこで二人の鑑定士が一定の基準における当該基準地の単位の面積当たりの正常価格、これを判定するようになっておりますね。ところがこの場合のその単位という、いわゆる面積当たりとか区分とか、そういうものはどういうふうにお考えになるのか。土地ぐらいいろいろ種々雑多な価格のあるものはないと思うのですよ、場所とかね。だから、非常に広い面積のあるいは区分とか土地計画によって、商売をやる人なら、大きな地域のいい場所とか、いろいろもう変わってくるでしょう。そういう価格の区分とか単位をどういうふうにお考えになっておるのか。ばく然としてその大きな面積を指標にしてみたって、これは何の価値もないと私は思うのですが、どうですか、それは。
#82
○政府委員(川島博君) 最終的に表示されます公示価格は第六条の第二号にございますような「標準地の単位面積当たりの価格」でございます。つまり平米当たり幾らという形で表示されます。しかし、その平米当たり幾らという価格を表示するもとになる土地、これは第三条にございますような「一団の土地について選定するものとする。」とございます。この一団の土地について選定するその一団の土地がたとえば三百平米なら、全体で百万円だと、それを三十で割ったら幾ら、それが平米当たり幾らという形で表示されるわけでございます。しからばその一団の土地とは何かということでございますが、これはまさにこの類似の利用価値を有すると認められる地域をグルーピングいたしまして、その中で土地の利用状況、環境等が一番普通だと思われる土地を取り上げるわけでございます。その場合に、この一団の土地はどういう指標でとるかと申しますと、それは同一使用者によって同一の使用目的に供されている連続した一区画の土地でございます。したがいまして、この場合は必ずしも筆数は一つに限りませんで、それは三筆でも五筆でも、同一の使用者によって同一の使用目的に供されている連続した一区画地であれば、すべてこれは一団地の土地として取り上げるわけでございます。同様に同一の使用者が使っておれば、地主は何人かおってもかまわない。同じ人が同じ目的で使っている一かたまりの土地を標準として選ぶ、その平米で全体の金額を割ったものを単位面積当たりの表示価格として公示するという仕組みになっております。
#83
○高山恒雄君 そうしますとこういうことですか。三千平米であるといたしますならば、百平米のもので大体割ってそうして標準価格をきめると、こういうことですね。それ以上の土地の利用度といいますか、そういうものはもう何も考えないで、三千平米なら三千平米のものを百平米単位で割ってそうしてその価格をきめるんだと、これが鑑定士が鑑定した土地の価格表示だと、こういうことになるわけですね。ところが、私が先ほど申しますように、土地はその利用度によって非常に違うものなんですね。だからそういう細部にわたったものは一体だれがきめるのか、それは売買する人がきめるのか、その点はどうですか。表示というのはばく然としていますわね。三千平米なら三千平米をつまり三百平米の区画で割って、そうすると十平米が何ぼになるんだと、あるいは一平米にして何ぼになるんだという価格が出るわけです。これが表示されます。ところがその利用度というものは一つも考慮されてないということになると、買う人によっては、ここは何軒の家が建つんなら非常にこれは利用度があるから、私は高く買ってもいいんだというようなことがあり得ますね。それからここは南の日も当たらないからこんなところに行かないんだという場合、その三千平米の宅地造成をしただけでも、その表示というものに価格の相違というものが生ずるわけですが、こういう点はどうお考えになりますか。
#84
○政府委員(川島博君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、標準地といたしましては、同じ使用者が同じ使用目的に供している連続した一かたまりの土地でございます。したがいまして、たとえば山があると、山の下の平地を持っておると、その場合に山の上と下と一緒にいたしまして一つの標準地としてとることはございません、それは同一の利用目的に供しているわけじゃございませんから。同一の利用目的に供し、しかも連続した一区画を標準地として公示する。しかも公示する場合には標準地の地番に至るまで明記いたしますし、面積も何千平米ということをはっきりとうたいます。それから単位面積当たりの価格を公示するわけでございますから、これだけ――第六条に列記したものを官報に登載いたしますれば、たいていのしろうとさんでも、これだけの資料があれば、公示価格から自分の買いたいところの土地が大体引っぱってきてどの程度であろうということは十分見当がつくだろうと、そういう効果をねらっているわけでございます。
#85
○高山恒雄君 だからそれはあなたがおっしゃるのもわかるのです。したがって私のお聞きしているのは、一団と言われるのは、グループだと思うんです。だれかの先ほど質問にお答えになっていましたが、そのグループが自分のものだと、すべてが。しかし利用度によって土地がいいところと悪いところとあるわけですね。それは土地表示の全部をやっちゃって、あとは地主にまかせるんですか、と私は聞いておる。その点はどうですか。
#86
○政府委員(川島博君) どうも説明が不十分で申しわけございません。地主が大きな土地を一かたまり持っておりましても、おそらくその利用現況はそれぞれ違うと思います。つまり、完全に同一の使用目的に供している土地というものは、そんなに広い面積じゃないと思います。たとえば二百坪とかせいぜい三百坪です。その隣にいけば利用形態が違うと思います。したがって、一般的に普通の住宅地などから標準地を選びます場合には、個別の要因が――一般的要因だけじゃなくて、個別の要因が共通しているものだけを一つの画地として標準地として取り上げるわけでございますから、普通の場合にはまあ大体六、七十坪から百坪程度のものが、標準地の大きさとしては取り上げる場合が多いと考えている次第でございます。現実に三十九年からテストケースとして建設省で調査をやっておりますが、その場合にも大体七十坪から百坪前後の画地を標準地として選んで調査をやっておるわけでございます。
#87
○高山恒雄君 それは一かたまりの地主の問題をあなたが申しているのです。ところが、事実はいろいろですよ。たとえば市の共有地、町の共有地をそれぞれ何かの三つぐらいの会社が宅地造成をやる、そのときの価格は、つまり平米でもいいですが、坪当たりでもいいですが、坪当たりでいけば大体五万円とか、ここは土地が悪いので三万八千円とかみんな違うのですよ。みな会社がやっているのですよ。そういう土地を払い下げて、だから私はその鑑定士がそこを鑑定する場合には、ばく然と全体を鑑定するのだ。それ以降の細部は、全部そこの宅地造成をした会社にあとの価格というものはまかせてしまうのか、ここをお聞きしたい。それは個人で三百坪とか四百坪というのは、これはわずかな問題だと思いますが、そう土地利用度というものは、そう大きな変更はないと思います。しかし、何千坪、何万坪というような坪数になりますと、会社のやっているのはそうですから、そういう坪になりますと、かなりの土地の利用度が違うのですよ。そこに五百軒ぽんと一ぺんにできてしまうのですから、あるいは商売をやろうとする者は出口の所の土地を利用して商売をやろうという者もございましょうし、いやそれからちょっと川沿いに旅館の経営をやろう、いろいろな利用形態が違うと思うのですよ。その鑑定というのは全体をやるが、実際の個々の土地の利用の値段というものは、その会社にまかせるのか、そういう行き方なのか、それをお聞きしたいのです。それはあるのですよ、現に。
#88
○政府委員(川島博君) おそらく何千坪、何万坪という土地を同じ地主が持っているか、同じ人が利用している場合に、それが全部が同一的な利用じゃないと思います。したがいまして、その区画は法律の三条にいう「一団の土地」という観点からは、数十あるいは数百に分割をして、そのどれか一つをとる、それがまさに標準地である。それからそのほかの画地については、普通は画地計算法によってその計算をし直して別に価格をはじき出す標準地としてあくまで使用目的同一である。同じ人が厳密な意味で個別的要因を別にして、同じ利用している土地を厳密に取り上げるわけでございますから、普通は大体百坪前後というものが単位になるのではなかろうか、現実でもそうだというふうに考えております。
#89
○高山恒雄君 そうなると、土地表示のいわゆる一般の利益に供するようなことにならないと思うのですね。もうそこで一つ相場がくずれてしまうのです。たとえば一区画なら一区画ですね、を鑑定士が鑑定して公示をする、あるいは東西南北でやるとか、もっと細分化されるならいいでしょうけれども、一区画なら一区画だけその中の、何万町歩の中の一区画だけ鑑定士が鑑定して、あとの値段の価格の立て方は、それは土地利用度によってそれぞれ変更ができるということになれば、私がさっきから心配しておりますように、これが最低になって、最高は天井知らずの値上がりじゃありませんか、その危険性が多分にあります。だから、そこらまでどういうような公示をされるのか、私はそれを聞きたいのですね。その危険性がないと言われても、どうも考えてみますと、いま私は岐阜県ですが、岐阜のある三つの会社が市の共有地を払い下げして、大きな宅地造成をやって、それはいい場所は坪当たり五万八千円ですが、悪い所は三万八千円から一万八千円のところもあります。それはいろいろあるんですよ。公示のしかたによって、一般にその公示そのものがどういうふうな利益を与えるのかというと、何も与えないような気がするんですね。いまのあなたの御答弁ですと、たとえば東西南北の鑑定をして、そしてこれをきめる、それ以下の細分化は、これはもうその評価に一任せざるを得ない。しかし、全体の土地を売った場合の、つまり価格というものは大体土地表示者がきめたその土地がべらぼうな価格にならないように押えるピンがあるんだと、この法律にあるんだとおっしゃるなら、私はそれでいいです。けど、ないじゃありませんか。だから、その最低の最高になる危険性が多いと、私は言ってるんですよ、これには。
#90
○政府委員(川島博君) 確かに広大な土地の中でぽつんとわずか百坪ぐらいやって、それ何の効果あるかという御批判ござまいす。まあそういうことで、地価公示をする地点は、密なれば密なるほどいいことは間違いござまいせん。しかし私どもは、一応いろいろ検討いたしました結果、大体一平方キロに一地点の標準地をとれば、十分にこの規範性をもって皆さんに使っていただけるということで、現状では予算の関係ございますので、必ずしも一平方キロに一地点はとれませんけれども、だんだん将来の目標といたしましては、先ほど大臣も御説明いたしましたように、約全国で八千平方キロに八千地点、そうしますと、大体一平方キロに一地点になりますから、そういったメッシュの網で公示地点きめていけば、十分皆さんにお使いいただけることになるんじゃないか。なるたけ早くそういう一平方キロに一地点という公示方法に到達するように予算の獲得に努力をしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#91
○高山恒雄君 大臣、お聞きしたいんですがね。まあ、いま私の質問に対しての局長のお答えですがね。どうも私は危険性を感ずるわけなんです。つまり、一部分の価格を表示するんでしょう、これは。そうしますと、かりに、それなら公共施設をつくるとしますか、公共施設ですね。大体二万坪くらいの公園をつくるとか、そこに遊園地をつくるとか、いろんなものをつくるとしますか、このときの鑑定士の表示というものは、これ大体相場が出ると思うのです。公共施設に、私は非常に、それは相場が出ると思うのですよ。けどね、いまの土地、宅地造成というのは、大きく一般に利用されてるわけですね。この辺を押える方法を考えないと、やっぱり私は、この危険度は最低の最高、いわゆる野放しの価格になりがちだ、それは先ほど申しましたように、第一回目は大都市の郊外をお考えになってるようですが、ますます過密度ということは、対策ちょっと立たないですね。そういう立場からいきますと、少なくともやっぱり最低になりかねない、こういう危険性をはらんでおるということを私は杞憂しているわけですが、大臣どうですか。いまの鑑定のしかたと、一部分の鑑定のしかた、土地公示価格の出し方という点をもっと私は緻密にお考え願うのが至当ではないか。公共施設をおつくりになる場合は、私はこれは出ると思うのですが、この点どうですか。
#92
○国務大臣(坪川信三君) 建設的な立場から憂慮をいただいており、ごもっともな御意見を、先ほどから私も十分傾聴をいたしておりますが、言いかえますならば、私は一つの刺激剤にもなるということを期待いたしております。また刺激剤とともに、抑止剤にもなるのじゃないかということを大きく期待いたしておりますので、核じゃございませんけれども、抑止策としては私は一つ大きく期待をしたい。しかし、それにはいま高山先生が御指摘になりましたような指導という点、またこまやかな配慮をいたすべき点、これなどについては、私は十分やはり御制定をいただきまして、今後の指導にあたり、地点、あるいはそれらに対する鑑定委員会としての立場からとる方法等は、おのずから私は創意工夫をこらしまして、いま高山委員が御指摘になりました点を十分配慮いたしながら、また憂慮しながら措置を講ずるよう私は指導いたしたいと、こう考えておる次第であります。
#93
○高山恒雄君 大体大臣も、後者の、抑制にならぬという心配があるのですが、大臣がそこまでおっしゃるなら、抑制になれば私は幸いだと思いますが、私が心配する点はその点です。で、毎年鑑定してその公示をすると言われるのですが、これもまたその辺の問題が明らかにならないと、やはりときの相場ということになるのですね。相場の、鑑定士の勘でひとつやっぱり基準をきめていくのだということになるわけです。ところが、やっぱり一面にもっと緻密に基準をきめて、そうして物価スライド的な値上がりというものを、土地の中にも含めていく、最高度にいま上がっているのですから、値段がこれ以上まだ競争が激しくなって、つまり土地不足のために値上がりをするということになっては、私はたいへんだと思いますけれども、毎年年度を切って鑑定士による公示をやろうとされるその考え方の基準ですね、これを一ぺん検討していただく必要があるのではないか、物価的なスライドのものか、あるいは一般相場的なものだけを基礎にとるといういき方でなくて、もっとこの法律で明らかにしていくとか、こういう方法を考えていくべきではないかと思うが、局長どうですか。
#94
○政府委員(川島博君) 民社党から御提案になっております土地価格の抑制のための基本的施策に関する法律案では、まさに最初の一回は地価できめるけれども、あとは凍結をするという御思想のように承っております。これはまさに地価の安定をはかるために、政策価格で実勢価格を押えつけようという思想だと思いますが、遺憾ながら私どもの法律ではそういう政策価格で地価を押えつけるために地価公示をするという思想は入っておりませんので、あくまでも毎年実勢価格を公示していく、したがって、自然の勢いで価格が上がりました場合には、それをすなおに公示をするということでございます。そういう点からこの法案には相当あきたらない、もっと一般の物価の値上がりなりその他で、政策的に押えつけるべきだという有力な御意見のあることは十分承知いたしておりますが、遺憾ながら現在の段階では、そこまで法律案に盛り込むことはいささか行き過ぎであろうと考えまして、この際は正常な実勢価格というものを毎年公示するということから地価対策は出発すべきであると考えて、こういう形にいたしたのであります。
#95
○高山恒雄君 いまでもやっていることですけれども、法律はできても実施はあまりしていないと思いますので、たとえば公共施設をやるという場合に、この鑑定士の公示によってまず相場がきまりますと、憲法二十九条ですか、公共の利益に寄与することという問題があるわけですが、したがって、直ちに土地収用法が出てくるんですよ。そういう考えも大きくこれ利用しようという法案じゃないかという気がしているのですが、大臣どうですか、土地公示をして公共施設をつくり、そうしてその値段でみんな大体八〇%は納得した、あとの二〇が賛成しないというと、直ちに土地収用法をもって、そうしてがんがんやるのだというような危険もなきにしもあらずだなという心配をするのですが、そうですが、大臣この点。
#96
○国務大臣(坪川信三君) 公示制度のねらいは、あくまでも私が最初に申し上げましたようなねらいでございまして、これによっての決定に基づくところの土地収用法の適用を強化するというような考えはみじんにもございません。あくまで納得のいく話し合いを求めながら土地収用をいたすという方針は、私は絶対くずしたくありませんし、くずすべき問題でもないとこう決意をいたしておる次第であります。
#97
○高山恒雄君 それから局長にお聞きしたいのですが、鑑定士の罰則は非常に強くきめておられるのですよ。極秘にやらなくちゃいかぬということで非常に強くおきめになっておるんですよ。ところが身分保障の点については、これは何にも触れていないんですね。これは旅費と報酬を支給するということだけ、一体身分保障というのは、鑑定士にこれだけの罰則を加えて、そしてもしもそれが誤解があって、あの鑑定士が言ったじゃないかというようなことがるるうわさされ、そうして特定の人が土地を買ってやり玉にあげられるような危険があった場合、身分保障は何もなくて旅費と報酬――これは日当だけだと思うのですが――一体身分保障はどこでするのですか。こういう行き方はかたわな……いかに罰則をきめても、やはり身分保障を確立して、そうしてみんなは国のためになるようなつまり地価公示をやれ、こうされるならばごもっともだなという気もしないではないですけれども、罰則をきめていこう、片や何ら保障するものはない、身分保障はない。こういう手落ちはこれはもう今日の時勢に合わない法案の罰則じゃないかと思うのですが、局長どうですか、身分保障。
#98
○政府委員(川島博君) この地価公示法で御活躍願うのは、民間の不動産鑑定士と土地鑑定委員会でございます。土地鑑定委員会につきましては、これはこの法律によってできます特別の行政機関でございますから、七人の委員についても相当厳重な身分保障が規定してあるわけでございます。しかし、実際に地価調査に当たる不動産鑑定士につきましては、これは一般的には土地鑑定委員会から民間の業者、不動産鑑定士に依頼をいたしまして、つまり契約によって地価調査をお願いするという仕組みになっておるわけです。したがいまして、最終的な公示価格を判定する権限は、土地鑑定委員会にございますから、土地鑑定委員会については相当厳重な身分保障をいたしておりますけれども、その現地の地価調査を委託するのは、相手方は民間でございますから、これについては民法上の契約でお願いをするわけでございますので、そういう身分保障を考える必要はないんじゃないか。しかし民間でありましても、当該不動産鑑定士の現地調査によって公示価格が非常に決定的な影響を受けるわけでございますから、しかも、それは官報で国が責任を持って公示するという重要な仕事でございますので、民法上の契約でお願いするのですけれども、実際に鑑定評価に当たる鑑定士の方には、やはり良心に従って誠実にこの鑑定評価を行なわなければならないというのは、不動産鑑定士に法律で定められた義務でございますから、その義務を忠実に履行していただきたい。これは別に地価公示の仕事をする鑑定士だから、そういう罰則がかかっているというわけではございませんで、民間の依頼を受けて不動産鑑定士が仕事をする場合にもやはりそういった不正な鑑定をしたら、やはり鑑定評価法で罰せられることになっております。そういう意味におきまして土地鑑定委員会の身分保障と、実際の地価調査に当たる民間の不動産鑑定士の身分保障は別の問題であり、これは特に身分保障を規定する必要はないというように考えております。
#99
○高山恒雄君 それは虚偽の鑑定評価をした場合と秘密を漏らしてはならないというこの規定があるわけですね、この罰則は。そうすると先ほどあなたがおっしゃるように不動産鑑定士に対しては旅費と報酬だけでしょう、これは。そうですね。それを言っているんです。それの身分保障、千八百人のこの認定を取って専門にやっておる人は、これは国家公務員でしょう。そうじゃないですか、一般ですか。やはり不動産の鑑定士ですか。そうするとこれ、認定された地域には国家公務員的な鑑定士というのは一人もいないというわけですか。それならなおさら身分保障の問題を確立しなければならない、その点どうですか。そういうものに旅費、報酬だけで何にも身分保障がなくて、私が先ほど杞憂を申し上げましたように、秘密を漏らしたとか漏らさぬとかいうように、いろいろな土地の問題にからむ大きな取引でもやった場合にはぼくはあると思うのですよ。そういう問題を総合してみると罰則だけ、いわゆる虚偽の評価をした場合、これはいままでも規定があるでしょう。そういう秘密を漏らしてもいまも規定があるのですか、鑑定士に対しては。それに身分保障が何にもないというのもおかしいですね。それはどうお考えになりますか。
#100
○政府委員(川島博君) この二十四条で、地価の実地調査に当たる不動産鑑定士に秘密保持義務を課しましたのは、不動産鑑定評価法における秘密保持義務は業者として営業をしている不動産鑑定士が、お客さんの依頼に応じて鑑定評価をした場合には、知り得た秘密を他人に漏らしてはいかぬ。しかし商売の看板をかけてない、たとえばお役所につとめておる、あるいは民間の会社につとめておる、つまり不動産鑑定士を商売にしていない者をもこの法律ではお手伝いを願うことがあると予定しておるわけでございます。その場合には不動産鑑定評価法では商売として鑑定評価をする鑑定士だけについて秘密保持の義務を規定しているにすぎませんので、商売でやっていない方を御依頼した場合に、その人が秘密を漏らした場合には不動産鑑定評価法で罰則は課せられません。その点に穴がございますので、この法律で特に二十四条で秘密保持の義務を規定したわけでございます。
#101
○高山恒雄君 そうすると、この不動産の鑑定士の千八百人認定を取ったと、こうおっしゃる人は、もう全く一般の人であって、それでこれを鑑定する場合そこに行く旅費と日当だけを支払えばいいのだと、こういうことになるわけでしょう、あなたのいまの説明を承わりますと。ところが、それよりもこっちに大きな仕事がある場合には、いやと言ってもいいのですか、どうですか、その点。
#102
○政府委員(川島博君) これは相対ずくでお願いをするわけでございますから、一般的には正当な理由があれば、これはお断わりすることはやむを得ないと思います。しかし、いやしくも地価公示制度を制度として実施いたします場合に、最終的に鑑定士が正当な理由がないのにこの依頼を断わるということにいたしますれば、これは制度としては最終的に担保されません。したがって、正当な理由がなければ依頼主の依頼を受けた場合に断わってはいかぬという規定は入れておりませんが、一般的に御本人の御都合でどうしても都合が悪いというものを、無理無理首に綱をつけて引っ張ってきて鑑定をさせるというようなことは考えられないわけでございます。一般的には話し合いで、お願いできますか、はい、それでは引き受けましょうということで納得ずくでお願いをするということになるわけでございます。
#103
○高山恒雄君 大体わかりました。もう時間もありませんから、希望意見だけを述べて大臣と局長にお願いしたいのですが、先ほど私が第一問として御質問申し上げたように、非常にこれが法案が施行されることになって、最低のものが最高の状態にならないように、この点はひとつこれらの取り扱いについて再度検討される必要がある。それから鑑定士の基準ですね、これもいま申し上げますとおりに一般のつまり一団のグループという行き方も、一つのそれは方法でしょう。しかし、大きな会社がその宅地造成をやって売買をする場合の鑑定の方法、これらの基準、合理化、これはもうほんとうに細に入り、私はひとつ検討してもらいたいと思うのです。
 それから、いまの、最後に御質問申し上げました鑑定士の問題ですが、報酬と旅費、むろんこれは生活をするためには、鑑定をしてくれる人には出すのは当然なことでありますけれども、もっと私は国が地価の抑制力のために鑑定士千八百人を利用しようという、こういう場合には、自分の地域で金もうけがあっても、やっぱり、それだけの責任を持ってほんとうに――処罰をきめるよりも、まじめにその人たちが鑑定士としての使命を果たせるように持っていくのが、私は今日の社会ではないかと思うのです。それについては旅費と報酬だけというような考え方ではなくて、特別な何かの処置、たとえば三年間やった場合には、その人に対して特別の何か報奨をするとか、まじめな鑑定ができるような方法を私は講じてもらいたいと思う。そうでなければ、この現在出ておる法案の中では、その政府がやる仕事としては、抑制しようというこの地価公示案については、あまりにも貧弱だ。もっとそういう点を確立すべきだ。そうして全国にこれをやろうとするならば、まだまだ千八百人が二千五百人も三千人も要るでしょう。そういう人を増員していく。そうして完全にその人たち自体がその公示を守るという精神を養うような、しかも身分保障的なものを確立すべきだ。この希望意見を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#104
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどから高山委員が御指摘になりました貴重な御指摘の内容及び御高見等、先ほどから十分私も拝聴いたしておるような次第でございます。したがいまして、幸いにいたしまして皆さまの御協賛をいただきまして制定を得られる段階に入りました場合におきましては、私は、いま具体的に細部にわたる配慮のある御指摘の諸般の問題については、省令制定等につきまして、十分それらの点を配慮いたしてまいりたいと、こう考えておりますとともに、また、大事な日本の公共事業を推進する上においても、また大事な住宅宅地開発、都市開発推進をいたす上においても、十分いま数々御指摘になりました点について、地価の高騰を押えながら土地の安定政策に全力を注ぎたい、ということを表明申し上げて御理解をいただきたいと、こう思います。
#105
○沢田政治君 資料要求したいと思うのです。地価の抑制ということに非常にみんなが期待をしておるし、関心を持っておるわけです。そこにこの法案の意義もあると思うのですが、非常に自信を持てないということですね。局長は手をかえ品をかえ、表現をかえて答弁していますね。なかなか、神は納得できないけれども、人間であるならばというような高級な表現を使っているのですけれども、その中身がないわけです。どうして評価するか、そこがポイントになっているわけですよ。善意に見れば地価抑制になるだろうと思うし、ある場合には地価高騰の要因になるじゃないか、という心配も反面出てくるわけですね。これはもう私はそういう考えが出てくるのもむべなるかなと思うのですよ。私もそういう心配があるわけですよ。わが党も消極的に賛成しているのだけれども、質疑応答を聞いていると、いささか自信を持てなくなってきますね。そこで、これはことばのやりとりでは解決しませんよ。そういうことだから、少しでも実態を把握したいと思いますので、現在まで不動産鑑定士が大体地価の抑制をする地区を選んで、どういうところを鑑定しましたと、鑑定の結果どういう基準でこういう鑑定をして、しかも時価と比較してどうかと、こういう資料というものを明確に数カ所選んで出してください。そうでなければ、おれを信ぜよ、抑制します、ということばの答弁だけじゃ、これは信用できません。それと同時に、いま高山委員からも処遇の問題、身分の問題が出ましたけれども、おそらく建設省もその実態を把握していないと思うのですよ。たとえばいまおる千八百名の不動産鑑定士の中で、業者としてやっておる者は何人おるのか。銀行に勤めておる者、大学の教授、その分布がどうなっておるのか、その点を明確にしてほしいと思うのです。まあ処遇の問題については私も言いたいこともあるので、これは後の質疑に譲りたいと思いますが、以上申し上げました資料を、次の委員会までにどうか提出してください。
#106
○国務大臣(坪川信三君) 適切な御要望でございますので、いまの二点にわたる資料を、必ず次の委員会までに御提案いたしたいと、こう考えます。
#107
○高山恒雄君 名簿もでしょう。
#108
○沢田政治君 名簿もですね。
#109
○委員長(大和与一君) それでは本案に対する質疑は、本日はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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