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#1
第061回国会 建設委員会 第23号
昭和四十四年六月二十六日(木曜日)
   午前十時十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十五日
    辞任         補欠選任
     田中  一君     中村 英男君
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     中村 英男君     田中  一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大和 与一君
    理 事
                大森 久司君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                小山邦太郎君
                高橋文五郎君
                塚田十一郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                柳田桃太郎君
                米田 正文君
                田中  一君
                中村 英男君
                松本 英一君
                二宮 文造君
                宮崎 正義君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  坪川 信三君
   政府委員
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省河川局長  坂野 重信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       建設省計画局宅
       地部長      播磨 雅雄君
       建設省住宅局建
       築指導課長    前川 喜寛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
 案(第五十八回国会内閣提出、第六十一回国会
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大和与一君) それではただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。昨二十五日田中一君が委員を辞任され、その補欠として中村英男君が選任されました。
 前回に引き続き、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○沢田政治君 この法律のねらいですね、焦点がちょっとわからんです。というのは、急傾斜地における災害を、人家等があったならば災害を起こさないようにまあ工事をするとか、そういうことをねらいにしておるのか。たとえば、その反面にそういうところにうちとか、建築物を人間が立ち寄るような施設をつくらせないように予防するのか。これはとりようによってはどっちにもとれるので、前者をねらっているのか、後者をねらっているのか。その焦点を明らかにしてもらいたいと思うのです。とりょうによっては、どっちにも用途制限をするような傾向にとれるし、現存する建築物を災害を未然に防止するような一つの作用も考えられるので、その点を明確にしてもらいたいと思うのです。
#4
○国務大臣(坪川信三君) たいへん恐縮でございますけれども、ただいま沢田先生から御指摘になりました御質問に先立ちまして、現時点における梅雨前線豪雨の被害状況を御報告させていただきたいと思います。委員長よろしゅうございまししょうか。――では、さようにいたします。
 大体、地点を申し上げますならば、静岡県、兵庫県、岐阜県、愛媛県、大阪府、奈良県、京都府、徳島県、山口県、鹿児島県、宮崎県、高知県、以上申し上げました県においての被害状況を中心に申し上げますならば、いまの九時現在としましての全壊家屋が三むね、半壊が一むね、床上浸水が三百四十一戸、床下浸水が九千九百九十八戸、田畑の冠水が五百十九ヘクタール、山くずれが百七十六カ所でございます。
 また土木施設被害といたしましては、直轄道路が三カ所、補助道路が百八カ所、以上が現時点におけるところの被害状況でございます。
 ただいま御質疑になりました沢田議員の御質問にお答え申し上げたいと思いますが、あくまでも御承知のとおりに本法案のねらいは人命尊重という、とおとい人命につながる、関連する諸般の措置を講じたいということが最大の目標、ねらいでございますので、御指摘、御要望になりましたそれぞれの二点について、私といたしましては関連を持ち、そしてそれを並行的に施策を万全を期することによって人命尊重につながる大事な仕事と、こう考えておりますので、この点御理解いただきたいと思います。
#5
○沢田政治君 たしか、建築基準法の三十九条だったと思いますが、災害地区指定ですか、こういうものの実効がはたして効果的に行なわれているかどうかと、こういう点について若干の疑問を持つわけです。私はこの法律の災害というのはいかなる手段を講じてもこれを防止するということは、これはけっこうなことで、この姿勢に対しては何も反対しないし、目的に対しても反対しないわけですけれども、やたらに法律を乱造しても、はたして実効があがっているかどうかということは、立法の立場において考えるべきことじゃないかと思うのですよ。そういう意味で建築基準法におけるそういうような災害地域指定、そういうところにやはり河川敷とか、そういうところに住宅をつくらせないと、そういうところを明らかに指定しなくちゃならぬし、出水、浸水のおそれのあるところは、やっぱり住宅等つくらせないというのは当然だと思うのです。ところが、去年、当委員会で青森県の五所川原市というところですね、視察さしていただいたわけです。ところが、相当住宅団地になっているわけですが、床上浸水――相当広範な床上浸水にあったと、こういう被害状況も聞いてまいったわけです。地域指定、そういう危険指定があるのだから、建築基準法によっても。なぜそういうものをどしどし指定して住宅つくる前にここに住宅をつくったならば、これはもう災害危険区域なんだからつくっちゃいかんよという、そういう何というか、事前に効果的な措置をしなかったか、こう思うわけです。これ全国的にどうなっているかわからんけれども、そういう一つの事実をわれわれ見てきておるので、こういう法律をつくっても、実際には指定は行なわれずに、災害が起こってから、これはたいへんだということになる可能性と危険性があるので、やはりそういう建築基準法にいう災害危険地域の指定というものは、はたして有効的に事前にやはりそういうような事故防止ということにどういう功罪を持っているのか、この点を明らかにしてもらいたいと思うのですね。
#6
○政府委員(坂野重信君) 詳細は建築基準法の担当の方が見えておりますので、あとで御報告あるかと思いますが、まあ実体的には、こういう制限等の関係ある中で、自然現象的なきわめてむずかしい問題を扱うということで、従来は五カ所、大阪府、それから北海道の浜中町、札幌市、名古屋市、飯田市等が災害危険区域に指定されている状態でございます。
 本法につきましては、これは従来の建築基準法のままと違いまして、本法が成立いたしますというと、まず急傾斜地の崩壊による危険区域を指定いたしまして、そういたしますと、それに伴って、当然今度は災害危険区域、建築基準法に基づいて災害危険区域を指定するということを義務づけておりますので、この急傾斜につきましては、この法律ができますと、相当災害危険区域の指定というものは前進すると私は思っております。また、私どももそういう方向に行政指導をしていきたいと思うわけでございます。いままでの建築基準法に基づく災害の危険区域の功罪等につきましては、住宅局のほうから御答弁をお願いしたいと思います。
#7
○説明員(前川喜寛君) お答えいたします。
 建築基準法の三十九条の災害危険区域の指定でございます。これはこの区域の指定、それから制限内容、それがすべて地方公共団体の条例にまかされているわけでございます。それで、この中身にいたしましても、建築基準法は、もともとどちらかといえば安全に建物をつくれというふうな方向の規定でございます。あぶないものは安全にしろというふうな規定でございますが、この災害危険区域の規定に関しましては、初めからここはつくっちゃいけないという制限までできるようになっているわけでございます。特にこれはつくっていけないのは、住宅の用に供するものというものにつきましては、地元地方のものもできるだけ制限をして、安全にして、事故を起こさないようにというふうな制限ができるようになっておりますが、そのほかのものは、やはりその根っこからだめだというふうな規定にはならないわけでございます。そういった点で、災害危険防止を活用しようということにつきましては、お説のとおりだと思います。いまのような非常にきつい制限でございます。そういった意味で、なかなか実際問題として指定しにくい。そういったことがありまして、この実際に指定されておる区域が非常に少ないというふうな点で、これはわれわれとしても非常に遺憾と思います。今後とも極力積極的にやりたい、指定するように指導したい、このように考えております。ただ、いわばそういったことで、規制だけで、いまのような住宅の用に供するものを根っこからアウトにするというふうな制限では非常にやりにくい。今度急傾斜地の法律につきましては、そこでいろんな事業をやっていただく、それとの一環で考えればまたあぶないぞ、だから、だめだと、こういうふうにしていただくと、われわれとしても、非常にこういった地域の指定が促進されるのじゃないか。このように考えております。
#8
○沢田政治君 比較的正直に答弁されたわけですが、そうだと思うんですよね。もちろんこの急傾斜地の法案にしても、建築基準法にしても、指定だけではすべてが解決しないということは、これははっきりしていますよ。だけども指定さえもろくにできないわけでしょう、いろいろな事情で。そういう権威のないような法律だったら、これはもうしようがないと思うんですよね。だから、やはり一つの目的、前提を置いてつくった法律であるならば、指定だけで片づくとは思わぬけれども、やはり人命尊重、こういう角度からやっぱりどしどし指定していかなければ法律をつくった価値がないんですよね。そういうことを憂慮をするから、私、申し上げているわけですよ。そういう意味で、やっぱり河川局長、これは法律をつくったならば、これはいろんな事情も出てくるでしょう。たとえば急傾斜地の災害危険地域に指定されると何か土地が安くなるとか高くなるとか、そういう思惑もあるでしょうし、いろいろな動きや思惑があると思うんだけれども、やっぱり法律のねらいとするところを明確に指摘していくと、人命尊重とかそういうものが優先だと、こういう態度をやっぱり行政の立場からとってほしいと思うんですね。そういうことは、これは意見じゃなく要望しておきます。
 それと田中同僚議員が非常にことばを尽くして、一体受益とは何だと経費負担の問題と関連して質問しているわけですが、私この受益というのは何だか、この場合ですよ、受益というのは何だか……。たとえば今度の経費負担の問題でも二分の一以下ですね、国は大体四〇%、地方公共団体が四〇%、あとは受益者負担が二〇%、これは個人になるか地方の市町村になるか、大体そういう構想が明らかにされておるわけですが、その際の受益とは何かと、経費を公平に負担するということもおかしいけれども、まずその前提として受益というのは何だかということですよ。といいますのは、まあ、こういうふうに聞いていったんじゃ何を質問しているかわからぬと思うんだけれども、私なら私が生命の危険を守られたと、たとえば私渋谷宿舎におりますけれども、ここまで来る間に交通事故がなかったのでここへ来れたと、きょう一日事故がなかったと、これも受益かもわからぬですね、ある意味では。そういうものを受益というのか、経済的な金銭的なそういうような恩恵を浴したと、余波を受けたと、こういう場合を受益というのか、やはりこの法律における受益者負担の受益という内容は、そういうものは何ですか。これをこまかく分けてこういうものは受益というんだと、益を受けているんだと、こういう点を明確にしてもらいたいと思います。
#9
○政府委員(坂野重信君) この法律でも受益者負担をとる場合には、明らかに受益が明白であるという場合に限って取るということをいっておりますので、それではどういう場合にその受益の程度が明らかであるかと、受益がはっきりしているかという問題、これは非常にむずかしい問題であると私も思っております。しかし、著しく明らかに受益を受けるといろ場合に、たとえばやはり先生のおっしゃるように、金銭的に算定できるというのが、これが第一次的じゃないかと私ども思うわけでございます。たとえばその防止工事によって非常に危険な区域というものが明らかに安全になってきたということになりますというと、地価もおそらく高騰してくると、土地の利用率、利用度というものが上がってくると、土地の価値が上がってくるというもので、そういうものは明らかに計算できると思うのでございます。そういうものが主体でございまして、消極的には人命の問題になってまいりますと、なかなかこれはむずかしいわけでございますが、しかし家財がそういった災害から守られるということになってまいりますと、これも計算のしようによっては計算できると思うわけでございます。そういう物理的に計算できるもの、そういうものが主体になって考えざるを得ない。人命を何名守ったからどらだというのはちょっとむずかしいと思いますので、そういう場合に極端に受益が金銭的に算定できるものが明らかであって、それが相当の程度の受益であるという場合に限って受益者負担というものを取り得るんだと私は考えております。実際問題としてはケースバイケースで、非常にむずかしいことは私どもよくわかっておりますが、今後ともひとつそういった算定のしかたあるいは算定の方法等につきましては、御指導を得て今後十分検討して、実際の法律が施行されるまでに明白にひとつしてまいりたいと、さように考えております。
#10
○沢田政治君 田中委員が時間をかけて質問をしたのは、ここにあるわけですね。受益者負担が原則的には悪いと言っているのじゃない。その特定の個人がそのために家がつぶれるのを守られた、あるいは可能性としては崩壊した土地の下になって死んだであろうものが守られた、こういうものを何というか、利益を受けたのだから負担せよということでは、おそらく私は何十年も住んでいたのですから、何もやってくれなくてもいいという者が出てきて、法律としては運用できぬじゃないか、こういう点を言っているわけですよ。だからいま局長が言われたように、土地の利用価値が非常に上がった、売った場合でも、これは高く売れる。また危険だと思っておったものが、工事を施行して工場をつくって、そうしてある程度の収益を上げた。こういうように物理的に何かの利益があった場合には、経済的に利益があった場合には、受益応分負担、こういうものは考えられていいと思うのですよ、そのために利益を得るのですから。ただ単に家がつぶれるのを守ったとか土砂の下敷きになるのを守ったとか、これは国としては最低の政策としてもやるべき義務だと思うのですよ。人命を守ったということだけで受益者負担ということになると、交通事故にあわなくてあなたがここまで来れたのは受益者負担、こういうことになるのですよ。そんなものは受益者負担にならぬと思う。そういうことだから、規則でやるか政令でやるかは別としても、必ずこの問題がやはり問題になってくる可能性があるから、やはりはっきりした基準といいますか、そういうものは何でやるかは別として、役所として早くきちんとしてもらいたい。ケースバイケースということで、ケースバイケースが出てきて考えるということじゃなくて、可能性があるのだから、いまでもここを議論しているのですから、その点をはっきり明確にしておいていただきたいと思いますが、いかがですか。
#11
○政府委員(坂野重信君) 全く先生の御指摘のとおりでございます。法律が施行されるまでに、できるだけそういった方法論等について十分検討してまいりたいと思います。
#12
○沢田政治君 この前も三十度云々の問題ですね、これは宅地規制法ですか何かからとっていると思うのだが、質問されたわけですが、私は地質のほうは若干経験したことがあるのです。三十度というこの線の引き方、これは悪いとは言わぬけれども、ちょっと無理があると思うのですね。四十五度の全く直立しているところでは、地質構造いかんによっては全然これは崩壊の危険がないわけですね。やっぱり二十五度、三十度でも地質構造ですね、これは地球がつくられる場合、人間が科学的に測定して地球を創造したわけじゃないから、いろいろな地質があると思うのですね。そういうことですから、三十度ということにこだわらずに、三十度という一つのラインを基準にしてもけっこうですね。それと同時に、地質構造を加味してやはり崩壊あるいは何というか、地すべりの危険、そういうところに若干の幅を持たしたほうが法律の運用としてはかえっていいのじゃないか。やっぱり三十度ということになると、法律ですから三十度というものを守らなければなりませんね。だからこの法律の目的としているところを非常に窮屈に狭めているのではないか、こういう感じですね。常識的な感じを持つわけです。これはどうですか、絶対に三十度に固執しなくちゃならぬ理由がありますか。
#13
○政府委員(坂野重信君) 三十度の問題につきましては、先般お答えしたとおりでございますが、やはり現象的に私どもの調査では、この急傾斜地の崩壊による発生の頻度というものを調べてまいりますと、三十度を境にして、そこで、まあ不連続点といいますか、変曲点が現象的にあるわけでございまして、もちろんこの法律に三十度とうたいましたのは、定量的に急傾斜度というものが明確にうたいやすいといいますか、傾斜度については定量的にきめられる要素でございますので、傾斜度だけ分けたわけでございますが、先生の御指摘のとおりに、確かに地形、地質の問題がございます。したがいまして、指定にあたりましては、傾斜度のほかに、地形、まあたとえば急傾斜面の長さだとか面積あるいは高さだとか、それから地質につきましては、たとえば九州、中国等のシラス地帯であるとか、あるいは非常に風化した花山岡岩地帯だとかいうところは、地質的にも非常に脆弱でございまして、まあその他、水の含む度合い、地表水、地下水等の状況等についても、十分総合的に配慮した上で、実は指定するということにいたしておりますので、この点をひとつ御了承お願いしたいと思うのです。
#14
○沢田政治君 それから、急傾斜地崩壊危険区域内におる土地所有者ですね、皆さんが工事指定して工事しようとしますね。そうなると、若干この受益者負担というものも、何というか、あらかじめ皆さんから、あんたも幾らかの受益者負担というものを出してもらわなきゃ困る、こういうお話し合いが皆さんのほうから、あるいは役所を通じてあると思うのですね。その場合受益者負担を取られるのであるならば、もうこの土地に住みたくない、こういう、何というか、金を出してまでここにおる気はない、いっそ国なら国がこれを買ってくれぬか、買い取り請求権までいかぬけれども、買い取りを請求された場合、これは一体どうなりますか、買いますか、買いませんか。あなた、どっかかってに行ってくれという冷たい態度でほっぽっておきますか。この辺は明確じゃないので、いかがですか、これは。
#15
○政府委員(坂野重信君) まあ人工がけと自然がけと分けてお答えしたいと思います。人工がけにつきましては、この法律にうたってございますように、まあ人工がけで、人工的にそういう何かがけに手をかけ、あるいは人工的にがけをつくった、それがどうも適切でないというような場合には、まあ非常に、しかもそれが故意に何らか行なわれているというような場合には、できるだけそういった悪質の宅造業者等に命令をして、再工事の施行をできるだけやらすというよらなことも考えております。
 それから、まあ自然がけにつきましては、先生おっしゃいますように、個人に防止工事をやらせることが非常に困難であるとか、不適当な場合につきましては、まあ都道府県がみずからの責任において土地の買収をし、そしてみずから工事をするということになっておりますので、まあ田中先生に私もお答えいたしましたように、そういう場合には、ひとつできるだけ、そういう条件に合ってる場合には、積極的にひとつ都道府県において公共的な、そういった防止工事を実施したいというようなことも考えておりますので、その辺の実際に当たりましても、その辺の運用よろしきを得たいと思っているわけでございますが、ただ、まあ都道府県が土地を買い取って、向といいますか、個人の義務を代替するというか、そういうよらなことは、少なくとも人工がけについては考えていないわけでございまして、自然がけにつきましては、できるだけそういった条件に適合するものについては、予算を十分ふやして事業のほうで、ひとつ何とかカバーするように考えまして、個人の負担というものをそこで軽減するということを考えることによって、まあそういった間接的ではございますけれども、買い取り請求等があった場合にこたえるようにしてまいりたい、このように思っておるわけでございます。
#16
○沢田政治君 最後に大臣に要望というか、意見をただしておきたいと思いますが、これはこの法案だけに関係じゃございませんが、これは私の感じですから。たとえばこの前の委員会で宮崎さんが資料請求をしたわけですね。そうして、資料を見てからまた質問ということになっていると思うのです。どうも私は建設委員会あまり長くないので、質問する場合質問者に対してどういう質問をするかということを聞きに来るのは非常に熱心ですね。うるさいほどですね。聞きに来るのが悪いとは思わないし、ある程度こういうことを質問しますと言っておいたほうが、的確に答弁を聞くためにはいいと思いますよ。ところが、非常に何といいますか、建設省全体がなるべく質問を早くさせるという配慮かどうか、そういう資料をあまり出さんですね。私他の委員会にもおったことがありますけれども、非常に親切なんですよ。大体こういう資料を要求されるであろうというものを全部出してくるわけだ。ところが建設関係の場合には、ほとんど提案趣旨説明をしたくらいの程度で、若干の資料は出しますけれども、非常にそういう点は何か意図的にあまり質問をほじくり返されるのは困るというような配慮か、深慮かわからないけれども、そういうひがみを受けるわけですよ。私は結局宮崎さんきょうは持っておりますが、そういう資料があったならば、あの場で済んでおったと思うんですね。だから大臣にこの際やはり国政を審議するのだから、こういうことは質問されるであろう、こういう資料を要求されるであろう、また国会審議のためにはこういうものは必要じゃないかとか、特にこういう法案は何もイデオロギーでどうこうということではないから、国民を災害から守るということだから、どの政党もある程度賛成していただける法案だと思いますね。だから資料の提出等については、もう少し親切にしてほしいと思うのですね。それと同時に、この前の地価公示の場合に附帯決議にその意味が載っていると思うのですが、たとえば、こういう災害関係の法案、あるいは土地政策の法案ですね。こういうものはばらばらじゃあ、これはいかぬと思うんですね。国民がわからぬですよ。何に何法案が該当するか、国民大衆は法律の専門家ではないですからね。だからおれの災害を守るためにあの法案なんだなということを、災害関係なら災害関係、そういう立法、法律ですね、行政の場合にもそうだけれども、これは一元化していかなければならぬと思うのですね。急傾斜地と、いろいろな地すべりとどこが違うと言うんですよ。すべて被害が来るというのですから、角度の違いだけです。ねらいは、いろいろこの前お話を聞いているけれども、やはり国民に親切にするためには、法律というのはやたらに幅広くして、何の法案が何をねらっているのか、法律が何をねらっているのだということじゃなくて、やはり一元化して国民にきちんと、国民の生活とこの法律が結びつくようにしなければいかんと思うのですね。そういう努力をしてほしいと思うんですね。この点だけ要望意見を出して私の質問を終わります。
#17
○国務大臣(坪川信三君) 沢田議員の非常に適切といいますか、ごもっともな御意見、御要望等を拝承いたして、まことに恐縮に存じておる次第でございます。前段のお話につきましては、ほんとうに私の不行き届きといいますか、配慮のなさから皆さんに御不快というか、御不満のお気持ちをお与えいたしましたことを恐縮いたしております。何と申しましても、国会の議会民主主義の立場から考えまして、すべては議会中心に行政、政治を行なうことは、もう私から申し上げるまでもなく、至上の問題点でございます。それに即応いたしました態度で、皆さんの御期待に沿うことが、私ども行政の立場から皆さんに当然お与えいたさなければならない問題でございますので、今後資料その他関係資料等につきましては、十分配意をいたしまして、御期待に沿うよう努力をいたすべく、私は指導をいたしたいと、こう考えておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
 後段の問題につきましては、やはり国民の幸福を願う立場から法が制定されることを思いますと、国民生活あらゆる問題に複雑あるいは多岐にわたって、国民に不便を与えるということは、法の報いる道ではないということは当然でございます。そうした点を考えますと、法律等の一元化をはかりながらこれらの面に対するしあわせを結ぶということが至上の問題で、全く私は沢田議員と御同感でございます。今後もそうした配慮をいたしながら、法律案の修正あるいは法律の改正あるいはその他に対する立法措置の一元化に十分配慮いたしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
#18
○宮崎正義君 資料が提出されましたので、それをもととしてやりたいと思うのですが、前回のときに室蘭付近の災害についての状態を調査して報告するというお話でありましたので、この件について報告願いたいと思います。
#19
○政府委員(坂野重信君) 室蘭付近と先生おっしゃいましたのは、登別の富浦でございます。そこだろうと思っておりますが、それと洞爺村、この二つについて調査いたしました。
 登別の問題につきましては、室蘭本線が被害を受けて不通となったわけでございまして、これは昭和四十年の台風二十三号でございます。それで、現地はいわゆる扇状地で、傾斜は十度くらいのなだらかな傾斜をしている、その扇状地のほうの先端のほうに室蘭本線が走っているわけでございますが、これは約十メートルくらい上流から渓流、小さな小川になっておりましたが、上流の山地に土石流が発生いたしまして、扇状地にたまたま固定した流道等ができていないために、大量の土砂、土石流といいますか、土砂流が発生いたしました。それがあふれて室蘭本線を押し流したということでございまして、これは急傾斜地の例と違いまして、いわゆる現象的に土石流の現象だということでございまして、復旧といたしましては、たまたま治山事業を農林省のほうでやっておられましたので、上流のほうは治山事業で、下流のほうは鉄道のほうで水路工を施行したということでございまして、現象的には私どもは急傾斜の本法の対象にはならないというぐあいに考えており、またそのとおりに処置いたしております。
 それから、洞爺村につきましては、六十度程度の急傾斜の岩がございまして、それが岩山が崩壊いたしまして室蘭本線が不通となったわけでございますが、これは鉄道としては復旧対策としてトンネル工法を採用して本年に至っておりますが、この場合はたまたま付近に人家もないような状態でございましたので、急傾斜地の対象ということもこれ、私どもは考えておらぬわけでございます。これも鉄道のほうの復旧対策として処置いたしたということでございます。
#20
○宮崎正義君 なぜ私はこういうことを申し上げるかといいますと、自然崩壊ということに関係してくるわけでありますし、また私が先日質問をいたしましたように、法律が幾つも幾つもあって、国民が、こういう災害が起きたときにはどのような法律でどのような処置を求め、救済を求めていくか、人命を尊重する上から考え方をどの法律に基づいてやるか、というようなことが問題であるのだということも前回申し上げました。いま沢田委員のほうからも一元化をしたほうがいいのじゃないかということは、そのことに尽きると思うのであります。いずれにしましても、人家がないから関係がないから――人家がないしこの法案には適用されないからという論法は私は成り立たないと思うのであります。なぜかならば、一カ月以上も生鮮食料の出入ができないということになりますと、これはもう生活に直接に響いてくるということは、もう申し上げることもないわけです。直接家があったからないからということじゃなくて、そういうこと自体の、崩壊によって及ぼす影響というものが、生活にも人命にも影響してくるということは、もう言わなくても当然わかっている。したがってこういうものをひっくるめた上の対策というものが考えられなければならない、こう私は申し上げているわけなんです。その点についてもう一回私はくどいようですが、私の立場から質問しましたことに対して、御回答願いたい。
#21
○国務大臣(坪川信三君) 宮崎委員御指摘になりました問題は、具体的な事例に関連いたしましてのとうとい御意見でございまして、先ほどから拝聴いたしてごもっともだと思う次第でございます。今後のいわゆる基準の問題等につきましても十分配慮をいたしながら、法の執行等について十分考えてまいりたい、ごもっともな御意見として十分検討もいたしてまいりたいと、こう考えております。
#22
○宮崎正義君 これはあまりあることじゃないと思いますけれども、不在地主の山林なんかがある場合、これがかなり放置されているような現況もないとは言えないと思うのですが、こういったような山地が危険にさらされた場合、どういうふうな処置をされるのか、伺っておきたいと思います。
#23
○政府委員(坂野重信君) 先生のおっしゃいます不在地主の山林であって、しかもそれが急傾斜地の崩壊危険区域に指定をされておったという場合には、それによって自然状態のままで崩壊の危険が非常に生ずるという場合には、まず急傾斜地のこの法律にございますように、第九条でいわゆる勧告の措置がとられるわけでございまして、急傾斜地の所有者、管理者もしくは占有者あるいは急傾斜地の崩壊によって被害を受けるおそれのある者に対してするということになっておりますが、どこまでも勧告でございまして、工事を強制することはできないわけでございまして、そこで十二条にうたっておりますように、そうかといってそういった不在地主等に対して工事を施行しろと言っても、自然がけの場合で非常に工事が至難であるとか、あるいは工事が非常に大きいというような場合には十二条を発動いたしまして、都道府県がみずから公共事業として防止工事を施行するということに相なるわけであります。
#24
○宮崎正義君 私は前回も十二条の件について伺っておきましたのですが、実は九条と十二条のいま回答がありましたけれども、過去においてこういうことがありませんでしたでしょうか、過去の実例。
#25
○政府委員(坂野重信君) 過去におきましてこういう法律もございませんし、法律の施行前において予算補助でぼつぼつ防止工事を行なっていたわけでございますが、法律ができた上でいろいろな問題が出てくるわけでございますが、いままでにおきましては法律ができておりませんので、そういうようなことを行なった、あるいは行政指導をしたとか、規制措置を行なったという事例はございません。
#26
○宮崎正義君 これは私はこの点についても相当調査をしていかなければならないと思うのです。所有者が戦後変わったり何かしている移動あるいは入り会い問題等から考え合わせまして、相当こういうことが事実上は残っている、こういうふうに見ていいと思います。したがいまして、時間がございませんから事例をあげて申し上げるのはきょうはやめますけれども、そういう事例も私はあるように調査をしているわけです。ともかくも再度この法律案が設定されると同時に、その以前において当然これは調査しなければならない。その責任が当然ある、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、この点につきましてはこの程度の要望でとどめておきます。
 さらに、資料をいただきました四十三年度急傾斜地崩壊対策事業費負担区分・率実績という面から前回私が質問をいたしました十分の四というのは、なるほど内訳を見ますと、どこのほとんどの県も十分の四の国の負担になっております。ところが県費のほうにいきますと北海道の六〇%それから滋賀県の六〇%それから愛媛の五八・二%というふうに、この基準率からさらに上回った県費を出して、それが超過負担として変わってきている、こういうふうに思うわけです。そこで、今回は十分の五ということになれば、この過去におけるところの施策というものも非常にずさんであるようにも考えられますし、将来もまた思いやられるわけで、それで質問をするわけですが、この点についてどういうふうにお考えになっておりますか、伺っておきたいと思います。
#27
○政府委員(坂野重信君) 確かにこの法律施行前に事業を進めているわけでございますが、法律もまだはっきりいたさない段階で県のほらといろいろ私ども相談をしながら事業を進めたわけでございます。県によりまして、確かに先生の御指摘のように市町村負担等の入っているところと入っていないとで県の出し分が違っておってアンバランスを生じていることは、事実でございます。御指摘のとおりでございますので、今後この法律が施行ということになってまいると、できるだけ私どもは統一的にひとつ県率のアンバランスがないようなことで、しかも法律に違反しないようなことを考慮しながら県率のアンバランスがないような行政指導を、十分ひとつ行なってまいりたいというぐあいに考えております。
#28
○宮崎正義君 私は県費だけの問題をいま言いましたが、市町村をやはり含めたものですから、そうしますと六〇%ですからとんとんですね。どこの地方自治団体もみな六〇%の負担をして今日まできているわけです。これらが超過負担になってあらわれてくるというふうにも思えるわけです。この点につきましていま局長からの回答がありましたけれども、大臣から念のためにこの件について伺っておきたいと思います。
#29
○国務大臣(坪川信三君) この問題については、各委員の各位からも十分御指摘あるいは御要望もございました。ただいま宮崎委員も適切な御要望をいただいておる次第でございますので、今後私は大事な検討すべき問題として前向きに検討を加えて、そして各委員の御指摘になりました線に沿うような配意を今後いたしてまいりたい、こういうふうな気持ちでおることで御了承願いたいと思います。
#30
○宮崎正義君 きょうのニュースに岐阜の崩壊のニュースがありましたが、御存じでしたら報告してください。
#31
○政府委員(坂野重信君) 承知いたしております。崩壊がございまして不幸にして三名の死者を出したわけでございます。詳報につきましては、どういう現象でどういう状態だったということは、いま調査中でございます。よく承知いたしております。まことに事故を起こしたということは残念に思います。
#32
○宮崎正義君 いま調査中というお話でございますが、三名も人がなくなっておる、倒壊した家もあるように聞いておりますし、非常に調査が手ぬるいのじゃないかと思います。何のために今日の文明機関があるのか、また何がためにわれわれの行政組織機構というものがあるのか、そういう面からも、当然緊急に詳細が明らかにされていいのじゃないか、私はこう思うのですが、その点どう思いますか。
#33
○国務大臣(坪川信三君) まことにごもっともな御意見、御要望でございます。私も審議の始まる前に、さっそく梅雨前線の本日九時現在の時点における全国の被害状況を御報告させていただきました気持ちもここにあるような次第でございます。
 御指摘の岐阜県の坂下町の土砂くずれのため死者を三名出し、負傷者が二名、全壊家屋が一棟という状況でございます。つつしんで死者の霊に哀悼の誠を捧げ、また負傷者の全快を心からお祈りも申し上げたいと思う次第でありますとともに、これらの被害現況、あるいはこれに対する措置等につきましては、もう本省から地建また県を通じまして指示をいたしておりますので、決して放置いたしておるような問題ではなくして、当然、緊急に措置を講ずべき問題点として、ただいま建設省といたしましては手配をいたし、また詳細にわたる報告も間近にまいるだろうと期待をいたしておりますが、いずれにいたしましても緊急措置を講ずるよう指示をいたしておりますので、御了解いただきたいと思います。
#34
○宮崎正義君 私は、まだ工事採択基準等についてお尋ねしたいと思いましたけれども、時間が相当長くなりますので省略いたしまして、いたしません。しかし、前回も申し上げましたように七千四百カ所というものが十カ年計画のような形で取り行なわれようとしております。その中の千百でございますか、緊急を要するもの、その面を取り上げて、いっときも早くということなんですが、これも五カ年の計画だそうであります。しかも四十二年からこの急傾斜地の対策としての費用を取ってやって工事を二百七十二カ所、そのうちの九十七が今年度を入れての完成予定、こういうふうな前回のときの回答でございます。私の、前回も申し上げましたように心配しているのは、日々刻々、大臣の言う日本の特異な地勢なり、地域に置かれている日本、天然的、自然的なものに破壊されていきやすいのだというような面から、すでに今回のこの雨で岐阜に崩壊があり、しかもまたこの雨がどのように続くか、またどのような地域に移っていくか、そのたびにはらはらしなければならない、不安の中に国民は生活をしていかなければならぬにもかかわらず、千百カ所という重点の地域を選びながらも、さらには四十二年度から二百七十二カ所に対して九十七しか、今年度入れてできないというその進捗状態で、国民が安心して生活ができるかどうか。こういう面を今日の時点の上から考えて非常に憂えるわけです。したがいまして、大臣の答弁、今後はこのようにやって必ず国民生活上、関係の人たちに納得ができるようなことをいたしますと、こういう私は明確な答弁を願って私の質問を終わりたいと思います。
#35
○国務大臣(坪川信三君) われわれの国民の人命につながる最もきびしい重大な問題が、この法案の中に含まれておる重大な使命のあることを考えますときに、私は、建設大臣に就任いたしまして以来、最も重大に措置を講じなければならない問題は、やはり国民の人命を守ると、人命につながる厳粛な倫理性を持った仕事の多いことを考えるときに、私は、それに対する配慮をこまかにいたすべきである、こういう方針を明らかにさしていただきました気持ちも、ここにあるような次第であります。そうした気持ちも関連するこの法律案に対する予算的措置あるいはそれに対するところの防止施策の具体化というような問題については、一応年次計画としては立てましたけれども、私は予算配慮、予算措置等につきましては、来年度の予算配慮にいたしましても、私はこの点を十分踏まえまして計画を上回る予算措置を要求いたしながら、この問題の解決の一日も早からんことを念願いたしまして、今後配慮いたしてまいりたいと、こういう決意でありますことを表明申し上げまして、御理解を仰ぎたいと思う次第であります。
#36
○高山恒雄君 先ほど来、各委員からのお話がございますように、人命保護を中心とする法案でございますのに、その審議の途中において岐阜県で三名の方がとうとい人命を失われたということについては、全くこの案としても当を得ておるのではないかという感は、私はいたしておるのでありますけれども、先ほど沢田委員から御指摘がございましたように、砂防法があり、宅地造成法があり、地すべり法があり、そうしてその中にさらに急傾斜の防止法として提案されておるわけですが、その目的がまあ大臣、繰り返しあるいは局長も言っておられるように、やっぱり主体性は人命を保護するという立場をとっておるのだと、こういう御意見なんです。私は、それにしてはあまりにもずさんではないかと思うのです。人命は地すべりだけではございません。大臣は、もっともその点は建設相としてお考え願ったのではないかと思うのですが、たとえば福井の例を見ましても、あるいは山梨の例を見ましても、この人命を保護するという立場ならば、河川もともにやっぱりこれを並行しなくちゃならんと私は思うのです。それがただ三十度を中心とする地すべりだけをここで法案を提案するというだけでは、人命の保護にならぬと思うのですね。やっぱり双方があると思うのです。たとえば集中豪雨で急激な水が出てきた。そうして上は三十度以上の山であった、下は川だ。こういう場合、これは両方をやっぱり考えなければ人命保護にならないわけですね。それが単に三十度を中心とする人命保護のための急傾斜の防止をしていくのだという考え方自体が――むろんこの建設省全体から考えてみれば、部分的な法案が出てくるということを私は否定するわけではありませんけれども、しかし、目的とやらんと考えておられる問題が、あまりにも小さ過ぎる。もっと大きく広げてそうして、そういう危険地域というものは事前に防止するという立場をとる限りにおいては、私はどうしてそれを入れなかったかという点をます指摘をしておきたいと思うのです。その点は、もう大臣は私より詳しい、福井の実態も見ておいでになったと思いますが、私も見てきたのですが、あれもそうです、山梨もそうです。それから、この新潟もそうであります。したがって、何も山だけじゃなくて、やっぱり集中豪雨ということになれば、これは河川の問題をどうするか、これと並行的なものが、これに加わっておるということならば、当を得た私は法案かと考える。この点では、建設省としては、あまりにも一つの問題だけの提案ではこま過ぎる。大臣はどうお考えになるか、この点ひとつ。
#37
○国務大臣(坪川信三君) この大事な法案を、私、先ほどから各位のまことに適切な御審議を賜わっておるときに、頭に浮かんでまいりましたのは、ふしぎな因縁と申しますか、過般衆議院における午後八時前後、この法案を満場一致で議決を仰いだ、その直後に、新潟県の地すべりが起きまして、現地に私が出向きまして、その対策に苦慮をいたしました点、またいま参議院の当委員会において御議決をちょうだいいたすことを想像される今時点において、こうした問題が岐阜県において発生をいたしておる。この現実を考えますときに、天がわれわれに励ましの叱正を下しているのだというほどまで私は感慨にふけりながら、この問題のきびしい重い任のあることを身に銘記いたして、皆さまの御意見も拝聴いたしておるような私の心境をそのまま申し上げて、私のこれから、この厳粛な問題に取り組む決意のほどをお察し賜わりたいと思いますとともに、いま御指摘になりました高山先生おっしゃるとおり、いわゆる河川対策、土砂くずれ対策、砂防対策、これなどがすべていまの不幸な問題に関連することを思いますと、私は治水五カ年計画という大柱を中心にいたしまして、これら関連する諸法案の適用に対しまして、最も配慮をきびしくいたしながら予算措置も講じつつ、これらの不幸の解消に全努力をささげたいという覚悟であることを表明申し上げて、御理解いただきたいと思います。
#38
○高山恒雄君 それで、少なくとも、それをひとつ並行的に今後お考え願いたいと私は思うんです。
 そこで、警戒待避体制をやはり整備する、こうおっしゃっているわけですね。ところが、かりに、これは仮定ですが、ある地域で、十軒なりあるいは十五軒なり、それが少なくとも危険な地域である、こういう判定が下った。その地域が決定しますならば、一体避難所、待避所というものをどう考えるかということが、さしあたり、これは法律上にも出ておるのですから、考えにやならぬことです。そうしますと、二キロも離れたところに待避をしておったのでは、私はいかに情報機関が完備されたとはいいながら、あるいはまた天気予報、そういうものが完全無欠ではない、こう信ずるわけです。特に集中豪雨等は御承知のようにある程度この誤報が起こって、そうして災害を招く場合が多い実績を持っております。そういう意味から考えますと、かりに待避所ということでやって、二キロもあるところの待避所ではどうにもならないと思うのですね。そうしますと、少なくとも、その地域の、つまり地すべりに対するそうした急傾斜に対する防止などに、待避所という問題をどうするか。これはもう直ちに浮かんでこなくちゃならない問題です。したがってもしその待避所をつくろうとする場合に、一体国はそれに対する助成をするのかどうか、補助金の二分の一も出してやるのか、あるいはそれだけのものがあるなら四分の三は政府がやっぱり負担してやるとこういう決意なのか。これには何にも載っていないわけです。義務づけをするこういう点は、もっと私は配慮があってほしいと思うのですが、これは局長どうですか。この点ひとつ詳しく説明してください。
#39
○政府委員(坂野重信君) 私、御指摘のようにこの法律に警戒避難体制の問題が出ておるわけでございます。詳細な警戒避難体制を含めた市町村の防災計画といいますか、それは防災対策の基本法という中で、市町村防災計画というものが打ち立てられるわけでございます。その際に急傾斜の問題も含めて、今度はこの法律に基づいて義務づけられるわけでございますので、市町村防災計画をつくる際には、急傾斜の問題を含めた防災計画を今後はっきりつくられるわけであります。そこで避難の問題、その中でいろいろ私どもは考えておるわけでございますし、避難につきましてはまあ区域ごとに責任者を定める、あるいは避難のルート、場所、あるいは収容人員等を定めてまいる。避難の指示のやり方、伝達の方法、連絡機関いろいろ考えておるわけでございます。先生の御指摘のように確かに避難の場所、あるいは収容等の問題あるわけでございます。まあ非常に学校等の施設もある場合とない場合と、あるいはそれに行くルートの問題等いろいろあるわけでございますが、直接的にはやはり市町村といいますか、地方の団体の問題、原則的にはそういうふうに考えておりますので、やはり県が市町村に対して、そういった何といいますか補助といいますか助成的な措置を講ずることも私ども期待しておりますし、現にそういう条例もあちこちあるわけでございますので、そういう面におきまして私どもは十分行政を指導いたしまして、そういう面でそういった避難の問題等について遺憾のないように措置するように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
#40
○高山恒雄君 指導では私はだめだと思う。観点はあなたも御承知のように、いま学校はいわゆるこの過疎地域はどんどん合併しておるのですよ。したがって二キロとか三キロとかそういうところがら通学をする学区制になっちゃって、したがってテレビでもよく放送しておりますように、労働力不足のために縫製産業等に移行したり、いろいろなことをしてあいている学校はないんですよ。ほとんど産業開発のために提供しているんです、安い価格で。そうしますと先ほど私は例を申し上げたんですが、十五軒なり二十軒のところでしかも二キロも行かなければ退避する場所がないという場合には、やっぱりおのずとその地域に公民館的な収容する能力のある退避所をつくる必要があると思うのです。義務づけをされる場合においては、そういう場合、国はやっぱり金を出してやるべきですよ。法律だけをつくって県だけにやれやれと言ったって無理だと思うのです。私は大臣にお聞きしたいんですが、この法案から見ますと大体二分の一の補助をするというんですよ。ところが地方財政の歳入を見てごらんなさい。これから見ますとこういうつまり急傾斜の防止をしようという場合には、人口が多かろうが少なかろうがあるわけです、そうでしょう。そこにもってきて歳入の非常に少ない地域で、しかも歳出を差し引いて見れば、全くそういうものを防止するだけの能力のない県があった場合でも、二分の一しか出さぬと、こういうことになろうと思うのですね。一体私はここでこれは四十二年度ですけれども、たとえば秋田県、山形さらに長野、それから島根、鳥取、佐賀、さらに宮崎、鹿児島等を含めれば、鹿児島は財政面はいいようですけれども、人口の割りには非常に少ない。しかも宮崎えびの等地質が全く砂地である。皆さんは三十度の傾斜とおっしゃるけれども、三十度ならその傾斜はきびしいのです。砂地に行きますといわゆる断面を明らかにしてかからないと、三十度に置けば置くほどきびしいのです、これは。しかも地方財政がこれだけ現在困っておる現状の中から、二分の一を出すからおまえたちは指定してそれをやれというような言い方をしないで、やっぱりそういう地域の面積もありましょうし、災害地域というのも、たとえば中部圏、ここらは地震は少ない、もう何百年でしょう、地震のあったことのないという地域もありますよ。そういうことを考慮に入れれば、ただ法律だけで二分の一補助をするという、法律だけでは、私はこの法律をつくっただけで、これは沢田委員が指摘されるように、つくっただけで県がそれを施行するのには予算的の処理もない。もっとそういう点を私は深く掘り下げた人命尊重という立場から保護する処置をするならば、この法案は全く当を得た私は法案だと思うのですよ。そういう点を一体どうお考えになっておるのか。どうもこの法案自体がちょっと建設省全体から見て私はずさん過ぎるのではないか。もっと大きな立場から人命保護という立場の処置をとるべきだ、こう思いますが、大臣もひとつ局長もこういう面はどうお考えになっておるか。その補助を、地域の歳入の低い地域、しかも何ですか、県債を出して、再建債まで出して収支をやってみて、それでもまだ十分な黒字じゃないというところがありますよ。これはそういう状態のところまで二分の一で押えるというようなことは、私は非常に不合理だと思うのですよ。こういう点どうお考えになっておりますか。
#41
○国務大臣(坪川信三君) 高山委員の御意見をまじえられての御要望については、私は私なりに十分理解を申し上げておる次第でございます。ただ御指摘になりました、いわゆる避難個所に対するところの補助のあり方あるいは国全体の国土保全的な総合的な立場からくる災害の補助というような問題点を考えますと、私はこれはやはり災害のあらゆるものを含めまして一つの問題点として一元的とは言いませんけれども、国全体の考え方からする措置を、国全体がやはり考えなきゃならぬ問題であるほど私は重要な問題性が含まれておると、こう考えておりますので、それらの点をいま貴重な御意見として御要望になりましたそれらを十分心に入れながら、今後こういうような総合的な立場から私は取り組んで御期待の線に沿うようひとつ努力もいたしてみたい、こう考えておりますので御了解願いたいと思います。
#42
○高山恒雄君 私もこれで終わりたいと思いますが、特に私は財政問題については、いま大臣の御答弁のようにひとつ御配慮をしていただき、それでなければ法律をつくってもだめで、進む県と進まない県ではこれはどうにもならぬ。そうすると人命尊重の見込みは前提からくずれてくる、これをひとつお考え願いたいと思うのです。むろんこの砂防法、地すべり法いろいろありますから、総合的な問題もお考えになると思いますが、ひとつ先ほど大臣もおっしゃったように、この法案を審議中に実際そういろ犠牲者が出たという点も、もっとスピーディな調査をしていただいて、岐阜県の問題も、私はひとつ県当局に政府からも人命尊重の意味からその面を含めた処置をとっていただくことをお願いしてこれで私の質問を終わります。
#43
○国務大臣(坪川信三君) 承知しました。
#44
○春日正一君 この法律が適用される対象として建設省の調べでは危険個所が七千三百四十二カ所、五十戸以上が七百カ所、三十戸から四十戸のところが四百カ所というように言われているのですけれども、大体これだけやるのにいまの時点で考えて非常に大ざっぱなことしか言えないと思うのですけれども、どのくらい予算が必要だというふうに思いますか。
#45
○政府委員(坂野重信君) ざっと申し上げまして、約一千億程度に考えております。
#46
○春日正一君 ところで、いままでのあれを見ますと、法律前ですからそういうこともあると思うのですけれども、四十二年度が二億、四十三年度が六億、四十四年度が八億というテンポなんですね。そうするとこれはこのテンポでいったら、実際上はもうとても間に合わぬということになるわけですわ。先ほど来言われているように、これは直接人命にかかわるような問題を含んでいることだし、早急にやらなければならないと思うのですけれども、そういう意味では、こういう問題こそ政府の重要施策として三カ年計画なり五カ年計画なりというものをはっきり出して、それによって予算的な保障をきちんとつけてやっていくということが必要なんじゃないかと思うのですよ。その点、大臣どうお考えになるか、お聞きしたい。
#47
○国務大臣(坪川信三君) 各先生方から御要望になりまた、御指摘になりました問題点でございます。私も先ほども申しましたごとく、一応事務当局といたしましては、五カ年計画の計画を持ちながら推し進めてまいる次第でございますが、私といたしましては、国民の人命につながる最もきびしい重要な問題でありますので、これに対する単なる五カ年計画を、年次計画を立てて、そして事足れりという安易感を持つべきでないという観点から予算上の要求も配慮も、来年度は特別考えてまいりたいと、こういうようなことで私は実施段階において、これが言いかえますならば三カ年でこれが終了いたし、また次の時点に対する残りの対策を講ずるというような漸進的といいますか、優先的な問題として私はこの問題に取り組んでまいりたいと、こういう覚悟をしておりますので、その積極的なというと失礼でございますが、そうした気持ちで進めることだけは私は決意いたしておりますので、その点で御理解いただきたいとこう考えます。
#48
○春日正一君 その点は、これはほんとうに私はなぜ五カ年計画ということをいいますかと言うと、それで縛ってしまって、政府全体としての責任として、大臣が変わっても、予算としてそれだけはもう出るものだというくらいにしてしまわなければ、坪川大臣のときは熱心だったが、別の大臣になったら今度は少なくなったというようなこともないわけじゃないと思うので、やはり国の姿勢として、当然五カ年間でこれだけはやってしまうのだというような姿勢を示すべきじゃないかというのが、私の質問の趣旨だったわけです。
 そこでもう一つ、県でもってこの種の事業を単独でやっておるものがかなりあると思うのですけれども、どのくらいやっていますか。
#49
○政府委員(坂野重信君) 秋田県等十五県で実例的にやっておりまして、四十二年度、四十三年度の実績を見てみますと、個所数で二百五十五カ所で、事業費が約二億二千万円でもって実施しております。
#50
○春日正一君 まあこういうものは、当然この法律ができれば、法律で吸収をされて補助事業になる本来そうなるべき性質のものだろうと思うのですよ。ただ問題は予算が非常に少ない、ワクからはみ出すために単独でやらなければならぬというような、実際必要に満たないから単独でやらなければならぬというような事態も起こり得るのですけれども、やはり先ほども述べましたように予算の規模を拡大して、県で単独でやるものが補助対象に当然入るようにすべきだ、法律ができる以上当然そうすべきだと思うのですが、その点どうですか、そうなりますか。
#51
○政府委員(坂野重信君) 先生の御指摘のように県単独でやっているものの中には待ち切れないでやっているものもございますし、あるいは採択基準が一応現在のような採択基準をきめておりますので、採択基準に合致しない小規模なものもございますので、どちらかというと小規模なものであって非常に危険で待ち切れないというものが多うございますので、私どもといたしましては、さっき大臣が申し上げましたように採択基準につきましては、今後事業の執行に応じてできるだけ緩和いたしまして、小規模のものも採択できるような計画を将来検討いたしたいと思っております。また予算の伸びに従って、県において施行しているものでも採択できるものはできるだけ積極的に採択するという方向で進んでまいりたいと思っております。
#52
○春日正一君 具体的な問題でお聞きしますが、人工がけについてはこの法律の外になっているわけですけれども、宅地造成規制法のできる前につくったものとか、規制法で許可を得てつくったけれども、その後事情が変化して危険が出てきたというようなものについては改善命令を出す、ということになっているけれども、改善命令を出す場合、どういう場合にだれに出すのかという点はどうなっていますか。
#53
○政府委員(坂野重信君) 十条に書いてございますように、改善命令につきましては、人工がけについて考えておるわけでございます。人工的なものによってがけをつくった場合、あるいはがけに対して人工的な施設をした場合というものを主体として考えております。そこに法律に書いてございますように、急傾斜地の危険な区域の中においてそういった人工的な行為が行なわれた場合にその行なった工事そのものがきわめて――行なったことは行なったけれども、また違法ではないけれども、どうも不完全である。やった結果が不完全なために、これを放置するときには急傾斜地の崩壊が著しいというものが明白であるような場合に、それをどうしてもそういうおそれを除かなければいけないというような場合において、相当な猶予期限というものをつけまして、そうして諸般の事情からいって、それは当然そういった改善命令を出しても適当であるというような場合に対して、改善命令を出すわけでございまして、まあ具体的には主として指定事業からそういった相当工事やったことが古くても、行為者がはっきりわかっているというような場合には改善命令というものが適用されるわけでございます。
#54
○春日正一君 行為者だけに出すわけですか。
#55
○政府委員(坂野重信君) 第一次的には土地の所有者、それから管理者あるいは占有者ということになるわけでございます。
#56
○春日正一君 そこで、その場合公庫で融資するということになっているのですけれども、どのくらいまで融資されるのですか。
#57
○政府委員(坂野重信君) 融資限度が定められておりまして、それは住宅金融公庫法によってきめられているわけでございまして、防止工事の場合には貸し付けの限度が防災工事に要する費用の七割五分に相当する金額であって、限度としては十万円以上七十万円までがその防災工事個所ごとに対して個人ごとにそういう貸し付けができるということであります。
#58
○春日正一君 そこで、改善命令で防止工事をやれというのは、先ほど局長の説明があったように、ほっておけば逆に危険があるというところにそれが出されるわけですね。ほっておくわけにいかぬところに出されるわけですけれども、しかし、その限度で、最高七十万円ですか、その限度で間に合う工事ならいい。あるいはせめて百万円ぐらいで七割ぐらいまで公庫で融資してくれればやれるという限度ならいいけれども、しかし大きくなりますと、相当何百万とかなんとかいう大きな金額になってくる。しかもそういうところへ住んでいる人間というのは、わりあい金のない人が住んでいるのですね。大体私のところなどでもそうだけれども、谷の上には東芝の社長が住んでおる。私らはがけの下に住んでおる。大体そういうものですね。だから、そういう危険なところに住んでおる人に防災命令が出されたとしても、やらなきゃならぬけれども、公庫の融資だけでは間に合いません、とてもやりようがありませんということになったらどうしますか。
#59
○政府委員(坂野重信君) 防止工事をやらせる場合には、これは個人にそういった改善命令を出して防止工事をやらせるわけですから、やはりその防止工事自体の規模はあまり大きくしない。これは県工事の場合もそうでございますが、しかし県工事と違いまして、防止工事のそういった命令を出してやらせるわけですから、これは必要最小限度のもちろん工事でなければならぬと私は考えておるわけでございます。できるだけ個人の負担はしたがって少なくなるようなことを、そういうようなやはり改善命令を出すにいたしましても、そういうことをまず前提条件として考えるべきじゃないかと思うわけでございます。たとえばちょっと概算、一つの例でございますが、人家がかりに五十戸あったと、それに対して防止工事が五百万、まあ五百万というとかなり大がかりな工事だと思います、防止工事としては。そういたしますと、平均すると、かりに各戸平均、これはいろいろ問題があるわけでございますが、各戸平均で持つとすれば一戸当たり十万円の防止工事が必要だということになります。そうなりますと、公庫の貸し付け限度は、さっき申し上げましたように、一件の工事について一戸当たりが十万ないし七十万までできるわけでございますので、そういう意味からいいますと、一戸当たりかりに十万の負担というと、十万ないし七十万の公庫融資の貸し付け限度内には入るというぐあいに考えているわけでございます。いずれにいたしましても、そういう面で実体的に適用する場合には弾力的に考えてまいりたいと考えておるわけでございます。しかし、法律の中にうたっておりますように、やはり改善命令は当然出す必要がある、それに対してどうしても改善命令に従わないという場合には、やはり強制代執行の規定をこの中にうたっておりまして、それによって、かわってひとつ代執行をやって、そしてあとでその料金を出していただくというようなことでいくわけです。できるだけ防止工事の内容は、さっき申しましたように、個人の負担がかからないようなことで最小の限度で最大の効果をあげるようなやはり改善命令の内容にすべきだということが、最も大きなポイントではないかと考えております。
#60
○春日正一君 そうすると、いまの話を聞いていて私心配したのは、そういう急傾斜して危険があって防止命令が出されるというような個所でも、工事者がはっきりしておって負担能力がある場合以外は実際上はできないのではないかということを心配しておったのです。いまの局長の説明だと、それは代執行でやると、そしてそれを長期にわたって取り立てるということになるのですか。こういう問題ではやはり負担できる人が負担できればそれは当然いいけれども、一般に言って、先ほど言ったように、そういった危険な地域に住んでおる人たちというのは、負担能力のある人たちが少ないというふうに見られるわけですから、やはり国の仕事として、補助事業として県なり国なりで改善していく、またそうしなければ実際上進まぬというような場合がたくさん出てくるのじゃないかと思うので、そういう点はどうなんですか。やはり代執行してとにかく何年かかっても取り立てるというたてまえにしなければならぬということですか。
#61
○政府委員(坂野重信君) 先ほど申し上げましたように、この法律を適用するやはり前提は、人工的な行為を行なったということが前提になっておるわけでございます。自然がけの場合は、もちろんこれはできるだけ積極的に公共団体でもってめんどうを見るということでございますので、直接的に人工的な行為を行なったためにそういった危険が出てきたという原因が明らかな場合には、どうしてもそういう方法がないわけでございます。しかし、そういう制限行為を行なったかどうかはなかなか判定し得ないというようなケースもあるわけでございます。そういう段階におきましては、できるだけ弾力的に、なるべくそれは個人の負担のないようにということを考えますけれども、明らかに制限行為を行なって、それが原因となって危険な状態になったということが前提となって改善命令を出すわけでございますので、そういう限度内におきましては、やはり代執行ということもやむを得ないのじゃないかということでございますが、どこまでも制限行為を行なったために非常に重大な崩壊のおそれが出てきたというのが前提でございますので、それに当てはまらないものは自然がけという範疇でめんどうを見る、ということになるわけでございます。
#62
○春日正一君 その問題は、実際この法律が動いていく中でいろいろ出てくると思います。そういう点私も気をつけて見ていきたいと思いますけれども、もう一つ具体的な問題で、非常に先ほど来言われている、いろいろな法律が錯綜してかみ合っておって、そのためになかなか効果があがっていないのじゃないかということを、先ほど来皆さんから指摘されておるのですけれども、四十二年の七月の豪雨の災害で二十一名死亡した市ヶ原のゴルフ場のあったところですね。あの災害の復旧と防止の対策はどうなっておりますか。
#63
○説明員(播磨雅雄君) 神戸の葺合区にある市ヶ原ゴルフ場のがけくずれの問題でございますが、事件が起こりましてから後四十二年の七月九日に集中豪雨がございましてがけくずれが起こったわけでございますが、その後、神戸市当局から再三勧告をしたのでございますが、会社そのものが経営状態が非常に悪くなっておりまして、実際なかなかやらなかったのでございます。そこで、年を越しまして四十三年の四月二十七日になりまして、神戸市は規制法の十六条によりますところの改善命令を出しまして、それに従わないということで強制代執行によりまして代執行を行ないました。代執行になったのが四十三年の六月十日から三十日までの間に行なわれたわけでございます。それできずあとは一応防いでおる、こういうのが実情でございます。
#64
○春日正一君 そこのところ、私のほうで調べているのはこうなっているのですけれども、いま言われたように四十三年四月二十七日、改善命令が出された。改善の内容として一、二、三、四、五、六項目出されているのですね、個所として。それを四十三年五月二十日までにやれという命令が出されたけれどもやらないので、四十三年五月二十三日に代執行による戒告をし、六月十日から三十日に知事が代執行した。しかしこれは五と六の項だけですね。だからあとの一のクラブ西側にふとんかご、高さ二メートル延長十二メーターを設置するとか、同じく西側ふとんかご、二メーターの二十二メートルを設置、あるいは流出土砂のしゅんせつをすること、三番目の東南側の崩壊斜面に土砂流出防止用丸太さく一メートル、十メートル、これを三段設置すること。まあこういった四つの項目についてはやられてないというふうに聞いているのですがどうなんですか、その点は。
#65
○説明員(播磨雅雄君) ただいま先生おっしゃいましたとおりでございまして、代執行を行ないましたのは六項目のうちの五、六でございます。と申しますのは、この五、六がきわめて何といいますか次の危険を呼び起こしやすいものでございますので、この点につきまして百七十七万円を持ってないのでございますから代執行を行なったのでございますが、一から四までにつきましては、当座まあしばらくいいんではないかという判断で、執行はやっていないわけでございます。
#66
○春日正一君 そこで、この六甲開発株式会社というのが実際上倒産状態でそういう責任を負わない、協力しない、それで代執行をしたというのですが、その代執行した金はだれから取りますか。
#67
○説明員(播磨雅雄君) この会社が現在まあそういった財政状況にあることは、おっしゃったとおりでございまして、したがいまして被害者との示談は成立はいたしておるのでございますが、その金を払うのには土地を売らなければ払えない。それでこういった問題を起こす土地でございますので、なかなか売れないということで民事上の示談も成立はしたけれども、金は払ってない。したがって先ほど申しました神戸市の百七十七万円も、この土地が処分できないと神戸市の金は入ってこないという状況でございますが、何ぶんにもまだ一応財産は持っておるものでございますから、何とか取り立てるという方針はできておるわけでございます。
#68
○春日正一君 そうすると、まあ土地は押えておるというふうに理解していいのですか。その点はどうですか。
#69
○説明員(播磨雅雄君) 正確なところまで私存じておりませんが、そういうことだと思います。
#70
○春日正一君 もう一つ、そういうややこしいことになっている。そしてこのいきさつというのは、この前災害のときに私まあ長い時間かけてお聞きしたのですけれども、結局あれは自然公園になっておって、許可するのは厚生省が許可した。それで、地元ではずいぶんこれがやられたら危険があるといって反対があったのですけれども、許可をしてしまって、しかも当時兵庫県の宅造関係の責任のある人が、この工事は完璧だ、絶対心配ないということで乗り切ったあげくが、ああいうことになって崩壊したのですね。片方の斜面では二十一名も死んでいる。それで大臣にこの写真を見てちょっと考えていただきたいのですけれどもね。ここですわ。その上のほうがゴルフ場ですね。そこをいじったために、これだけだあっとくずれてきて、そしてこの下にあった休み茶屋とか交番が流れて三十一名死亡して、まだ死体の発見されない人もあるのじゃないですか。そういう状態になっている。そしてこういう状態ですからね。あそこの土質ですから、このままにしておいたら、またこういう雨が降ってくれば、またくずれる危険性は私は十分にあると思うのですが、これはこのままになっているんです。これでいいのかどうかということですね。裏に書いてありますよ、場所は、写真の裏に、一番大きな被害の出たところですわ。
#71
○説明員(播磨雅雄君) 一応見ましたときに神戸市と連絡をとりまして、あとの監視は続けておるわけでございますが、まあ危険と判断するかどうか、神戸市の判断にまかせておるわけでございますけれども、御指摘の点につきましては、もう一ぺん念のためによく検討してみます。
#72
○春日正一君 それでこういうことになっているというんです。ほかのところにはいま言った改善命令が緊急の場所には出されている。どうしてもあぶないところは代執行をやっておる。その場所は目下裁判中なので現状保全ということで手がつけられないことになっているんだそうです。私はそれでびっくりしているんです。裁判で証拠保全のためにそうしておかなければならんということも、法律上必要なんでしょうけれども、そういう危険な個所を、裁判が争われておるから現状保全だと。裁判が結着がつくまでそのままにしておけというようなことにしなきゃならないのかどうか。私そう聞いているんですがね、地元からは。
#73
○説明員(播磨雅雄君) 私必ずしもはっきりいたしておりませんので、その点もお聞きして打ち合わせたいと思いますけれども、裁判が進行しておるからといって、何でもかんでもそれがほうっておかなければならんということと、それによってかりに大きな災害があり得るという場合の問題点は考慮して考えなければいけないと思いますので、危険の度合いと、はたしてそういう理由でおいてあるのかどうかという点につきましては、神戸市当局に問い合わせまして、それを考えたいと思います。
#74
○春日正一君 私、この問題で言いたかったことは、そういうふうに国立自然公園法か何かあって、それで地元が反対しようと何しようと、厚生省は自然の景観をこわさないという観点だけでゴルフ場を山の上につくることを許可してしまうというようなことがやられてくる。そういう形であそこの大きな被害を起こして、直接的にはあの辺の住民が被害を受けたし、建設省がやらなければならぬということになってくるわけですね。宅造とかそういう問題でもそういうことがあるわけですわ。この前も、鎌倉市と横浜の境の直角に切ったところの写真をここでお見せしたんだけれども、ああいうふうな形でとにかくそこにそれは家はなかったけれども、すぱっと切ってしまうようなことをやるというようなことが、これは別な法律でやられる、あるいは自然がけをつくったということになると思うのです。そういうふうな形になるんですね。だからこの法律との関連を見ますと、政府から出された説明資料でもずいぶんいろいろありますよ。宅造規制法とか地すべりの関係とか、何の関係とかいろいろな法律がからんで、そうしてここ一体何をやるんだということはしろうとにはわからんような、大臣指摘されたような状態になっておって、そして何かお互いにおれの所管でないような形でやりっぱなしにしていってしまう。あるいはおれの所管だからおれの権限で許可してしまうというようなことになって、ああいう大きな災害を起こす。非常に大きいし、そういうことではほかの法律の許可権限やそういうものが違っておるということのために、どういう結果をもたらすかということを、一番よく証明した一つの災害だったと思うのですよ。だからそういうことのないようにする保障というものがどこにあるのか。その辺よく連絡いたします、協議してみますと言うけれども、そういう点はやはり根本を一本押える。これは押えて、そうして今度できる法律ならば法律の趣旨に沿って、きちっとそれがやれるように、運用できるようにしていくという仕組みというか、保障というものはどうなっているのか。そこらをはっきりさせておきませんと、この法律の効果というものが、やはり方方から穴があいてくるようなことになるのではないか。そこが私は心配なので説明を聞いても、足和田村のあの惨事の場合はどうなんだろう、あれは砂防であります、河川でありますと、こうなってしまう。神戸の六甲のあれみたいに自然公園法であります、こうなってしまうというふうな形で、いろいろなところからそういうものが出てきて、結果としては災害という形で出てきてしまって、総合的にやはり防いでいく、あるいはそういう原因をつくらせないように予防していくというようなことが、やはりもっと考えられて、そういう仕組みがつくられていってしかるべきじゃないか。この点は先ほど来、こういう法律一本にしろという御意見もあったようですけれども、そういう点で大臣の考え方、今後の運用なり、これから先のこういうものについてのやり方なり、それをお聞かせ願いたいと思います。
#75
○国務大臣(坪川信三君) 春日委員もお聞き及びのとおりでございますが、先ほど来、こうした関連を持つところの法案あるいは施行令あるいは施行細則等の一元化という問題については、すべて人命につながる最も重要な関連性を持つ諸般の問題が含まれておりますので、国家的にやはり統一的な方針を立てるということを、私は十分ひとつ検討を加えるべき非常に大事な問題点であると、こう思う次第でございます。御承知のとおりに、建設省関係の諸法案あるいは施行細則あるいは施行令を数えてみますと、約二百一本あるというような現在でございますので、いまも私、お聞きしながら、それらの内容をちょいちょい散見いたしながら、やはりこういうような点はこうあるべきだなというような気持ちもいま持ちながら、いまの御意見も聞いておるような次第でございますので、先ほどから高山委員並びに沢田委員から御指摘になりましたこうした問題については、やはり十分ひとつまじめな気持ちで取り組んでいくことが、私は行政上非常に重要な問題であると、こういうような決意で取り組みたいと、こう考えております。
    ―――――――――――――
#76
○委員長(大和与一君) この際、委員の異動について報告いたします。
 本日中村英男君が委員を辞任され、その補欠として田中一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#77
○委員長(大和与一君) ほかに御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、質疑は終局いたしました。
 それでは、討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、討論は終局いたしました。
 それでは、これより採決に入ります。
 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律案、を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#80
○委員長(大和与一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
  午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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