くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 建設委員会 第25号
昭和四十四年七月十日(木曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月八日
    辞任         補欠選任
     高山 恒雄君     中沢伊登子君
 七月九日
    辞任         補欠選任
     中沢伊登子君     高山 恒雄君
  出席者は左のとおり。
    委員長         大和 与一君
    理 事
                大森 久司君
                山内 一郎君
                沢田 政治君
    委 員
                上田  稔君
                小山邦太郎君
                塚田十一郎君
                中津井 真君
                林田悠紀夫君
                米田 正文君
                田中  一君
                松永 忠二君
                松本 英一君
                二宮 文造君
                宮崎 正義君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   衆議院議員
       建設委員長    始関 伊平君
   国務大臣
       建 設 大 臣  坪川 信三君
   政府委員
       建設政務次官   渡辺 栄一君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省計画局長  川島  博君
       建設省住宅局長  大津留 温君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例
 試験に関する法律案(衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大和与一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。坪川建設大臣。
#3
○国務大臣(坪川信三君) ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準を定めたものでありますが、法制定以来二十年近くを経過し、その間の社会情勢の変化、建築技術の進歩等により実情に沿わない点も生じてまいりましたので、次のような事項について改正を行なおうとするものであります。
 第一に、都市における建築物の用途の純化と土地の高度利用に促進に関することであります。
 建築物の用途の規制につきましては、都市の秩序ある発展に資するため、住環境の保護の強化を主眼として用途地域の純化をはかることといたしました。すなわち、低層住宅地としての良好な環境を維持するための第一住宅専用地域、中高層住宅地としての良好な環境を維持するための第二種住宅専用地域、近隣住宅地のための日用品店舗が立地する地域としての近隣商業地域等を新たに設けることといたしました。また、住居地域においては、特殊浴場を排除するとともに、公害を伴う工場の制限を強化することといたしました。
 建築物の形態の規制につきましては、土地の合理的な高度利用をはかるため、建築物の高さの制限を原則として廃止し、これにかえてそれぞれの用途地域の特性に応じた容積率による制限とすることといたしました。さらに、第一種住宅専用地域及び第二種住宅専用地域においては、新たに北側隣地の建築物の日照、採光、通風等を考慮した高さに関する斜線制限を設けることとしております。また、都市における建築物の敷地が狭小化している実情にかんがみ、現行の建蔽率の制限を緩和することといたしました。
 第二に、建築物の防災基準に関することであります。
 最近相次いで発生した旅館、ホテル等の火災による人身事故の実情にかんがみ、室内の仕上げ材料を制限する建築物の範囲を拡大するとともに、火災が発生した場合の避難及び消火が円滑に行なわれるよう、新たに排煙設備、非常用照明装置及び非常用進入口の設置基準を設けることといたしております。また、三十一メートルをこえる高層の建築物には、新たに非常用昇降機の設置を義務づけることといたしました。
 第三に、執行体制の整備に関することであります。
 建築基準行政の適正な執行を確保するため、人口が二十五万以上の市は建築主事を置かなければならないこととするとともに、その他の市及び町村においては、知事と協議の上、建築物全般に関する事務または小規模な建築物のみに関する事務について、これを執行させるため、建築主事を置くことができることといたしました。
 また、違反建築に対処するため、新たに建築監視員の制度を設け、管内を巡回して違反建築物の使用制限、工事の施工の停止等を命ずる権限を行なわせることとするほか、違反是正を命じた場合において必要があるときは、現場に立札を立てる等によりその旨を公示する制度を設けることといたしました。
 第四に、この改正に伴って都市計画法等の一部を改めるとともに、この法律の施行に必要な経過措置を定めることといたしております。
 以上が、この法律案の、提案の理由及びその要旨であります。
 なお、衆議院におきまして、違反建築物に対して行政代執行を行なうための要件、違反建築物の設計者等に対する措置、建築主事等の工事施工者に対する質問の権限、確認の申請書に関する図書の閲覧等の点につきまして修正が行なわれております。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
#4
○委員長(大和与一君) この際、本案に対する衆議院における修正点について、衆議院建設委員長始関伊平君から説明を聴取いたします。
#5
○衆議院議員(始関伊平君) ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり建築基準法は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準を定めたものでありますが、法制定以来、社会情勢の変化、建築技術の進歩等に即しまして、たびたび改正を行なってきております。
 最近におけるわが国の産業、経済の発展に伴いまして、建築活動も一段と活発となり、これがため建築行政の執行体制などに実情に沿わない点が生じましたので、このたびの改正となったのでありますが、改正案の審査を進めてまいりました結果、違反建築物の是正措置等につきまして若干の不備な点が指摘されましたので、これらの点につき修正を行なったものであります。
 以上が、建築基準法の一部を改正する法律案に対する修正の趣旨でありますが、次に修正の要旨を御説明申し上げます。
 第一点は、特定行政庁は、違反建築物等に対し必要な措置を命じた場合、命令を受けた者が、その措置を履行しないときは、行政代執行法により代執行を行なうものとすることであります。
 第二点は、特定行政庁は、違反建築物等の建築主等に対し違反是正を命令した場合は、その違反建築物または建築物の敷地内に標識を設置し公示するものとし建築物または建築物の敷地の所有者等は、標識の設置を拒みまたは妨げてはならないものとすることであります。
 第三点は、特定行政庁は、違反建築物等の建築主等に対し違反是正を命令した場合、違反建築物等の設計者、工事監理者、工事請負人、宅地建物取引業者について建設大臣または都道府県知事に通知するものとし、建設大臣または都道府県知事は、それらの者について免許の取り消し等必要な措置を講じ、その結果を特定行政庁に通知するものとすることであります。
 第四点は、建築主事または特定行政庁の命令等を受けた都道府県、市町村の吏員は、確認、検査または命令をしようとする場合、関係する物件を検査し、または試験することができるほか、建築物等の所有者等及び工事の施工者等に必要な事項を質問することができるものとすることであります。
 第五点は、特定行政庁は、確認の申請書に関する図書について建設省令により閲覧させるものとすることであります。
 第六点は、政府は、建築基準法の規定による工事の施工の停止命令等の履行を確保するための措置について検討を加えるものとすることであります。
 以上で建築基準法の一部を改正する法律案に対する修正の趣旨及び要旨の説明を終わります。
#6
○委員長(大和与一君) 次に、本案に対する補足説明を聴取いたします。大津留住宅局長。
#7
○政府委員(大津留温君) ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案について逐条的に御説明申し上げます。
 第二条から第十八条までは総則関係の規定であります。
 第二条の改正は、用語の定義について所要の改正を行なったものであります。
 まず、第三号は、建築設備に新たに排煙のための設備を加えたものであります。
 第九号は、最近の用語例に従い石綿板を石綿スレートに改めるとともに、不燃材料に要求される不燃性を政令で定めることができることといたしたものであります。
 第二十一号は、今回の改正における地域、地区の新設及び廃止に伴い、定義について所要の整備をいたしたものであります。
 第二十二号は、大都市の特例の廃止と一部の事務を行なう特定行政庁の新設とに伴い、定義について所要の整備をいたしたものであります。
 第三条第三項第二号は、今回の地域地区制の改正に伴い、既存不適格建築物に関する取扱いについて、所要の規定の整備をいたしたものであります。
 第四条の改正は、政令で指定する人口二十五万以上の市においては建築主事を置かなければならないことといたしたものであります。
 第九条の改正は、特定行政庁が法令に違反した建築物に対し、同条第一項または第十項の規定により当該建築物の除却、工事の施工の停止等の命令をした場合において、必要があると認めるときは、その旨を公示するものといたしたものであります。
 公示の方法は建設省令で定めますが、公報への掲載、建築現場における立札による表示等を考えております。
 第九条の二の改正は、違反建築に対して早期にこれを発見し効果的な措置を講ずるため、建築監視員の制度を設けたものであります。すなわち、特定行政庁は、当該市町村又は都道府県の吏員のうちから、一定の資格を有する者について建築監視員を命じ、違反建築物に対する是正措置のうち緊急を要する工事停止命令等を行なわせることといたしたものであります。
 第十二条の改正は、特殊建築物の報告、検査等に関するものであります。
 まず、第一項の改正は、学校、病院、旅館その他の特殊建築物の適正な維持管理をはかるため、これらの建築物のうち特定行政庁が指定するものについては、その所有者は、建築士または建設大臣の定める資格を有する者の検査を受け、その結果を特定行政庁に報告しなければならないことといたしたものであります。
 第二項の改正は、建築設備に関する適正な維持管理を確保するとともに、行政事務の簡素化をはかるため、昇降機その他の建築設備のうち、特定行政庁が指定するものについては、現行の建築主事等による検査にかえて、建築士または建設大臣の定める資格を有する者の検査を受け、その結果を特定行政庁に報告することといたしたものであります。
 第十三条の改正は、建築監視員が工事停止の命令等をする場合においては、身分証明書を携帯し、係人の請求があったときは、これを呈示しなければならないことといたしたものであります。
 第二十八条から第三十七条までは建築物の構造及び建築設備に関する規定であります。
 第二十八条の改正は、居室の採光及び換気についての改正であります。
 まず、第一項の改正は、最近の照明設備の進歩にかんがみ、住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物には、採光のための窓その他の開口部を設けなければなりませんが、それ以外の建築物の居室には、採光のための開口部は必ずしも設けなくともよいことといたしたものであります。
 第二項の改正は、居室に政令で定める換気設備を設けた場合には、換気のための開口部に関する一般基準によらないことができることといたしたものであります。
 第三項の改正は、政令で定めるものを除き、映画館、劇場等の特殊建築物の各室及びその他の建築物の調理室、浴室等の室で火気を使用する部分には、新たに、一定の換気設備を設けなければならないことといたしたものであります。
 第三十条の二の改正は、長屋または共同住宅の各戸の界壁は、遮音上有効な構造としなければならないこととしたものであります。
 第三十四条の改正は、避難及び消火活動の円滑化という趣旨から、高層建築物には、原則として非常用の昇降機を設けなければならないことといたしたものであります。
 第三十五条の改正は、避難及び消火上の観点から、階数が三以上の建築物、旅館、劇場、百貨店等の特殊建築物には、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口を設けなければならないことといたしたものであります。
 第三十五条の二の改正は、階数が三以上である建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物または特定の建築物の調理室、浴室等の室で火気を使用する部分は、新たに室内の仕上げの制限に関する規定の適用があることといたしたものであります。
 第三十七条の改正は、建築物の主要構造部のほか、建築物の安全上、防火上または衛生上重要な部分に使用する建築材料の品質は、建設大臣が指定する日本工業規格または日本農林規格に適合するものでなければならないことといたしたものであります。
 第四十二条及び第四十三条は、建築物の敷地が接すべき道路に関する規定であります。
 第四十二条の改正は、特定行政庁が第一項第五号の規定により位置を指定する道につきまして、その線形、構造等に関する基準を、政令で定めることといたしたものであります。
 第四十三条の改正は、敷地と道路との関係について地方公共団体の条例で必要な制限を付加することができる建築物の範囲を拡大し、倉庫、危険物の貯蔵場等を含めることとしたものであります。
 第四十八条から第五十一条までは、用途地域に関する規定であります。
 第四十八条の改正は、現行の四用途地域に加えて、新たに、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、近隣商業地域及び工業専用地域の四用途地域を設けて八地域とし、それぞれの用途地域における建築物の用途制限を規定したものであります。
 新たな四用途地域の用途制限の内容は、次のとおりであります。
 第一種住居専用地域は、低層住宅にかかる良好な住居の環境を保護するための地域であり、現行の住居専用地区において制限される建築物のほか、新たに、大学、高等専門学校、各種学校及び特殊浴場を制限することといたしております。
 第二種住居専用地域は、中高層住宅にかかる良好な住居の環境を保護するための地域であり、住居地域において制限される建築物のほか、一般の工場、遊技場、旅館等を制限することといたしております。
 近隣商業地域は、近隣住宅地の住民に対する日用品の供給を行なうことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するための地域であり、商業地域において制限される建築物のほか、キャバレー、劇場、観賞場等を制限することといたしております。
 工業専用地域は、工業の利便を増進するための地域であり、現行の工業専用地区において制限されている建築物のほか、遊技場等を制限することとしております。
 また、住居地域におきましては、新たに特殊浴場を排除するとともに、公害を伴う工場に関する制限を強化する等の改正を行なうこととしております。
 なお、住居専用地区及び工業専用地区は廃止いたしました。
 第五十二条から第六十条までは、都市計画区域内の建築物の面積、高さ及び空地に関する規定であり、第五十二条から第五十六条までの五条において基本的な事項を規定しております。
  〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕
 第五十二条は、容積率すなわち建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合に関する規定であります。この割合は、第一種住居専用地域内では十分の五から十分の二十まで、商業地域内では十分の四十から十分の百まで、その他の用途地域内では十分の二十から十分の四十までの範囲内で、各用途地域に関する都市計画において定めるもの以下とし、用途地域外におきましては十分の四十以下としたものであります。このほか、前面道路が十二メートル未満である場合には、容積率は、その幅員のメートルの数値に十分の六を乗じたもの以下でなければならないこと、計画道路にかかる敷地、その周囲に広い空地を有する建築物の敷地等の取り扱いについては、おおむね現行の容積地区におけると同様の規定を設けております。
 第五十三条には、建坪率すなわち建築物の建築面積の敷地面積に対する割合に関する規定であります。第一種住居専用地域内では十分の三から十分の六までの範囲内において都市計画で定める割合以下、近隣商業地域及び商業地域内では十分の八以下、その他の用途地域内においては十分の六以下、用途地域外では十分の七以下といたしました。このほか、防火地域内の耐火建築物、街区のかどにある敷地内の建築物、公園広場等の内にある建築物等の取り扱いについては、おおむね現行と同様の規定を設けております。
 第五十四条は、第一種住居専用地域内における建築物の外壁の後退距離についての規定であります。第一種住居専用地域内においては、当該地域の都市計画で外壁の後退距離を定めることができることとし、当該距離が定められた場合には、建築物の外壁またはこれにかわる柱は、その定められた距離以上敷地境界線から離さなければならないこととしております。この場合、都市計画においては、一メートルまたは一・五メートルのいずれかを定めるものといたしております。
 第五十五条の改正は、第一種住居専用地域における建築物の高さの限度を十メートルと定めたものであります。第一種住居専用地域以外の地域におきましては、容積率制限を都市計画区域全部に適用することといたしましたので、現行の住居地域内では二十メートル以下、住居地域外では三十一メートル以下の建築物の絶対高さの制限は、廃止いたしました。
 第五十六条の改正は、建築物の各部分の高さの制限すなわち斜線制限に関する規定であります。前面道路からの斜線制限は現行どおりでありますが、容積率制限を全国的に採用したことに伴い、隣地境界線からの斜線制限を一般的に採用することといたしました。
 また、第一種住居専用地域及び第二種住居専用地域においては、日照、採光、通風等に寄与する制限として、新たに敷地の北側境界線からの斜線制限を設けることといたしました。
 なお、空地地区及び容積地区は、廃止することとしております。
 第七十九条の改正は、建築審査会の事務の内容に照らして、建築審査会の委員の構成を改めたものであります。
 第八十五条から第九十七条の三までは、雑則に関する規定であります。
 第八十五条の改正は、仮設興業場、博覧会建築物等の仮設建築物の存続期間を、六カ月から一年に延ばすことといたしたものであります。
 第九十七条の二の改正は、第四条の改正に伴って大都市の特例を廃止するとともに、人口二十五万未満の市または町村について、新たに事務の一部を執行することができることといたしたものであり、これらの市町村の長及び建築主事のつかさどる事務の範囲並びに審査請求の取り扱いについて定めたものであります。
 第九十八条から第百二条までは、罰則に関する規定であります。
 第九十八条の改正は、建築監視員の制度の新設に伴い、建築監視員の命令違反について、特定行政庁の命令違反と同様の罰則を適用することとしたものであります。
 別表第一の改正は、最近における特殊建築物の火災事例にかんがみ、耐火建築物または簡易耐火建築物としなければならない劇場、ホテル、学校、百貨店等の建築物の範囲を拡大して、これらの建築物に類するもので政令で定めるものを加えたものであります。
 なお、この改正によりまして、避難階段の設置に関する基準、室内の仕上げの制限に関する基準等の適用を受ける建築物の範囲も拡大されることとなります。
 別表第二の改正は、第四十八条のところで申し述べたとおり、用途地域の細分化及び用途の純化をはかったものであります。
 別表第三、別表第四及び別表第五の改正は、用途地域地区の改正に伴う整理をいたしたものであります。
 最後に附則でありますが、附則は十八項からなっております。
 第一項は、この法律の施行の日を定めたものでありまして、公布の日から一年の範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 第二項から第十三項までは、地方自治法、港湾法、都市計画法等関連法規の改正をいたしたものであります。
 第十四項から第十七項までは、都市計画法等の一部改正に伴う経過措置に関することであり、今回の改正により、用途地域の再編成をいたし、かつ、用途地域に関する都市計画において容積率の指定を行なうことといたしましたので、これに伴い、必要な措置を定めたものであります。そのうち、第十四項においては、この法律の施行の日から三年以内に、この新たな用途地域に関する都市計画を定めるものといたしております。
 第十五項においては、この法律の施行の際現に定められている都市計画区域については、この新たな用途地域に関する都市計画が定められた日から、改正後の建築基準法の用途地域と関連する諸規定を適用することとしております。
 第十八項は、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用について規定したものであります。
 なお、衆議院修正部分につきまして逐条的に御説明申し上げます。
 第九条の修正は、違反建築物に対して行政代執行を行なうための要件を緩和するとともに、違反建築物を公示するための標識を設置する場合、建築物の所有者等はこれを拒んではならないこと等といたしたものであります。
 第九条の三の修正は、特定行政庁は、違反建築物を取り扱った設計者、工事施工者、宅地建物取引業者を、これらの者を監督する建設大臣または都道府県知事に通知し、この通知を受けた建設大臣または都道府県知事は、登録取り消し、業務停止その他の必要な措置を講じなければならないことといたしたものであります。
 第十二条の修正は、建築主事等が確認、違反是正命令等をする場合には、建築物の所有者、工事施工者等に対して必要な事項を質問することができることといたしたものであります。
 第九十三条の二の修正は、特定行政庁は、確認申請書に関する図書のうち、建築物の敷地と建築物の関係を表示するものについて、閲覧の請求があった場合には、これを閲覧させなければならないことといたしたものであります。
 第百条の修正は、罰則に関するもので、第十二条の修正に伴うものであります。
 付則の修正は、政府は、工事の施工の停止命令等の履行を確保するための措置について検討を加えることといたしたものであります。
 以上、本法案並びに修正案につきまして、逐条的に御説明申し上げた次第でございます。
#8
○理事(沢田政治君) これより本案に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○林田悠紀夫君 大臣がおられませんので局長にお伺いしますが、建築基準法が改正を要することは提案理由にありますように、社会情勢の変化とか、あるいは建築技術の進歩等によって、実情に沿わない点が生じてきたと、それらの点について改正したい、そういうことなんですが、それで今後の建築のあり方とか、あるいは都市の構造について、建設省としてはどういうビジョンを考えておられるか、まずお伺いしたいと思います。
#10
○政府委員(大津留温君) 今後の市街地のあり方の目標でございますが、人間の生活の場として住みよい、活動しやすい都市であるということを目標に置いております。具体的に申しますと、住宅地、商業地、工業地等はそれぞれの用途が専用化され、それぞれの地域としての機能が十分に発揮されるような市街地、こういうものを考えております。たとえば、商業地におきましては、土地の高度利用により建築物は高層になりますが、同時に、必要な空間が確保されること、住宅地におきましては、高層アパートと低層の住宅とがそれぞれにふさわしい環境のもとに地域が分かれ、緑と太陽にあふれ、騒音その他の公害から守られるということでございます。今回の法改正によりまして、新都市計画法の施行と相まって、このような市街地を実現するという目標に一歩を進めたものでございます。
#11
○林田悠紀夫君 目標は非常にけっこうでございまして、そういう方向へ向かって大いに進めてもらいたいと思うのです。
 それでこの建築基準法というのは、新聞なんかによっても「ざる法」であるように言われておりまして、守らせ得ない点が非常に多い。しかも一方においては取り締まりの体制もできていない。たまたまひっかかったものだけが取り締まりの対象になる。そういうようなことで、結局順法精神に欠けてくる。そういう結果を招いてくるのじゃないかと思うのです。それでまず、建築が行なわれる場合には確認申請が行なわれることになるわけですが、毎年の、最近の建築の確認件数というのはどれぐらいあるのですか。その前に無届けの建築件数というのがあるはずなんですが、確認件数と無届けの建築件数がどれくらいあるかという推計ですね、それをひとつお願いします。
#12
○政府委員(大津留温君) 昭和四十二年におきまして確認件数が八十九万件ございました。違反建築として摘発をいたしました件数は三万八千二百九十六件でございます。この中で確認の手続をとらずに建築をしておったというのが二万九千七百八十二件でございますので、摘発漏れの無確認建築というのもこのほかに相当数あるのじゃなかろうかと思います。この違反件数の中には、無確認建築のほかに、建蔽率違反、これが無確認に次いで多うございます。摘発されたものが七千五百五十五件ございます。それに次いで接道義務、道路に一定の割りで接しなければならないという規定に違反したものが四千百十八件ございます。また道路内の建築は禁じられておりますが、道路内に建築したというものが千八百七十二件、その他でございます。
#13
○林田悠紀夫君 そうしますると、摘発さたものの中で一番多いというのは無届けですね。それから建蔽率違反というのは七万五千というお話でしたが、これは違反の摘発は三万八千で、そのほかにあるんですか、建蔽率違反というのは。
#14
○政府委員(大津留温君) 七千五百です。
#15
○林田悠紀夫君 七千五百ですか。それでは無届けが一番多くって、その次は建蔽率違反、こういうことですね。それでその違反に対してはどういうような処置をしてこられましたか。
#16
○政府委員(大津留温君) 文書により是正命令を出した件数が三千四百七件、口頭により是正を命じたもの、これはちょっと一々記録はしておりませんが、およそ二万件はございます。代執行の手続をとったものが十五件、このうち現実に取りこわしたものが四件でございます。このほか建築基準法違反によって告発を行なったものが四十六件ございます。
#17
○林田悠紀夫君 代執行を命じたのが十五件で、実際に代執行を行なったのが四件ということですから、そうすると十一件というのは、これは代執行せずにみずから取りこわすということをやったんでしょうか。
#18
○政府委員(大津留温君) 代執行法の手続によりまして、まず戒告をいたします。それからいよいよ期限を通知して代執行に取りかかるわけでございますが、そういう戒告から、いよいよ代執行の通知という段階においてみずから是正したというのがその十一件でございます。
#19
○林田悠紀夫君 いままでの取り締まりで一番困難を感じておるというのは、どういう点でしょうか。
#20
○政府委員(大津留温君) 違反件数が御指摘のように非常にたくさんございまして、第一線の建築行政に携わる職員が非常に努力また苦労をしておるにかかわらず、なかなかそのあとを断たないというのははなはだ遺憾千万でございますが、その理由といたしましては、一つは現行の規定が社会経済の変動に追っつかずに、実情に沿わなくなってきた面があるという点が一つございます。したがいまして、実情に合わない規定に違反しているのを厳重に取り締まるということについての第一線の職員にちゅうちょが感ぜられたという点、またこの建築行政に携わる職員の数が、建築活動が年々ふえてまいりますのに対して、人員がそれに応ずるように充実されておらなかったというような点、また現場で取り締まりの是正命令等を出す場合におきます権限なり手続が、なお不十分であったという面もあったと思われます。今回の改正におきましては、それらの点に着目いたしまして、一面におきましては建築規制を現状に合ったように改正いたしますとともに、一面におきましては建築監視制度を設けて、現場で工事停止の命令等を発する、またその旨を現場に公示するというようなことを規定いたしまして、その取り締まりの徹底がはかられるようにという規定を設けておるような次第でございます。
#21
○林田悠紀夫君 社会経済の変動に合わないというお話で、建築規制の現状に合ったように改正する、こういうことなんですが、具体的に申しますると、どういうことをやっておられますか。
#22
○政府委員(大津留温君) 一番大きな点は建蔽率の割合を合理化した点でございます。現行の住居地域におきます建蔽率制限は、御承知のようにその敷地から三十平方メートルを除いて残りの六割ということになっております。大都市におきます敷地が非常に細分化されてまいっております今日におきまして、三十平米を引いた残りの六割というのでは、実際は非常に窮屈になります。したがって狭い敷地に、ただいま申しました割合をこえる建築をするという形の違反が非常に数が多いわけでございます。したがいまして今回の改正におきましては、住宅地域におきましては原則として敷地の六割、三十平米を引くということをやめたわけでございます。また商業地域におきましては、現行七割という建蔽率を八割というふうに緩和いたしました。これらのことによりまして、この規制の範囲内におきましてならば、今日の状況下におきましても町の環境維持ということから守っていただかねばなりませんし、またこの基準ならば第一線の職員も自信を持って取り締まることができるであろう、というふうに考えておる次第でございます。
#23
○林田悠紀夫君 建蔽率の問題で、緑地地域については新都市計画法が施行されて、東京では五月二十七日からでしたか、これが廃止になって、従来一割の建蔽率が大体三割ぐらいになるというようなことを聞いておりますが、ほかの土地において緑地地域はどういうふうな考え方になっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
#24
○政府委員(大津留温君) 緑地地域は旧特別都市計画法に定められた制度でございまして。現在は九都市においてそういう指定された地域が残っております。この緑地地域は新たな都市計画法の制定に伴いましてそういう制度が廃止され、その規制は新都市計画法に基づく市街化区域または市街化調整区域の指定の際に、現在の規制は廃止されるというたてまえになっております。現在京都ほか八つの都市におきまして緑地地域が残っておりますが、これがただいま申し上げましたように、都市計画法による市街化区域、市街化調整区域が指定される場合に市街化区域に編入されたとすれば、市街化区域は何らかの用途地域が指定されねばなりませんたてまえ上、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域あるいは住居地域、場合によっては準工業地域というようなもののいずれかに編入される。また市街化調整区域の中に指定されました場合には、これは建築が原則として抑制されるということに相なるわけでございます。これはそれぞれの地域の状況に応じまして、その都市に関する都市計画によって定められることに相なるものと考えます。
#25
○林田悠紀夫君 大体わかりましたが、そうすると、この建築基準法は一年で施行されるわけですね。それから新都市計画法は施行をされまして、これからいろいろ地域指定が行なわれる。そういうことになるわけですが、大体いつごろ市街化区域、調整区域ができて建蔽率が変わっていくということに現実になるのか、その点についてお伺いいたします。
#26
○政府委員(大津留温君) この基準法の改正は、公布になりまして一年以内で政令で定める日から施行というたてまえになっておりますが、大体現在の計画では来年度から施行したらどうかというふうに考えております。それから新たな建築基準法に基づく用途地域は、施行されてから三年以内にそれぞれ指定がえを行なう。三年以内に新たな指定が行なわれるまでは以前の用途地域の規制によるという経過規定になっております。三年以内ということでございますが、私どもといたしましてはできるだけ早い時期に新たな用途地域に指定がえが行なわれるように指導いたしたい。できれば一年以内、おそくても二年以内には新たな用途地域に全部指定がえが行なわれるように指導いたしたいと考えております。一方、都市計画法の施行によります市街化区域、市街化調整区域の設定は、これは都市計画のほうでいろいろ準備が進められておるわけでございますが、まず三大都市圏及び主要都市につきましてその指定をいたしたい。それから三大都市圏につきましては、ことしの十月、その他の主要都市につきましては年度内を目標にして準備が進められておるように聞いております。逐次その他の地方都市にも及ぶということでございますが、この市街化区域、市街化調整区域の指定の際に用途地域が新たに変更になるか、あるいはそれと必ずしも同一時期でなく、別途に用途地域だけ変更になるということもあり得るわけでございまして、先ほど申しましたように、基準法の改正に伴う新たな用途地域の指定というのは、どんなにおそくとも三年以内、できれば二年以内に全部行なうように指導いたしたいと思います。
#27
○林田悠紀夫君 だんだんそういうふうにして、一方においては緩和されるわけですが、一方取り締まりの体制をやはり厳重にやっていくという必要があると思います。それで今回は人口二十五万以上の市は建築主事を置かなければならない、ということになっておりまするが、現在建築主事を置いておる特定行政庁の数ですね。それから建築主事の数、それからその財政措置はどういうふうにやっておるのか、この三つについて御説明いただきます。
#28
○政府委員(大津留温君) 現在特定行政庁になっておりますのは、都道府県のほかこれは任意に知事と協議の上特定行政庁になり得るわけでございますが、三十五の市が特定行政庁になっております。それから特別なものとして東京都の二十三特別区が特定行政庁になっております。今回の改正で二十五万以上の市が三十五ございますが、これらの中で現行法で特定行政庁にすでになっておるのが二十一あります。したがいまして残りの十四市が新たに特定行政庁になることが義務づけられる。それから二十五万未満の市または町村につきましては、現行法どおりに知事と協議の上特定行政庁になることができるわけでございますが、今度の改正で建築行政の全部でなくても、たとえば小規模な建築物だけについては市が行なうというように、一部につきましても特定行政庁、まあ限定特定行政庁というふうにかりに名づけておりますが、そういう限定特定行政庁になることもできます。したがいまして、この建築行政をなるたけ身近な市町村におろすという方針のもとに、二十五万未満の市でございましても十万以上の市につきましては少なくとも特定行政庁または限定特定行政庁になるように持っていきたい。またそれ未満の市または町村でも、建築行政を行なう意思があり、かつその能力あると認められるものにつきましては、極力そういうふうに持っていきたいと、こういうふうに考えております。
 なお、現在建築主事の数は、全国で約七百名でございます。この建築行政を行ないますに要する費用でございますが、現在はこれに要する経費が約四千万円で、確認をいたします場合に、確認の手数料を取ります。この手数料の収入が約一千万円。したがいまして、三千万円の経費を要するわけでございますが、地方交付税の算定に当たりまして、これを積算に組み入れまして交付税でめんどうを見るというたてまえをとっております。いまのは一県当たり平均の所要量であります。今度の改正に伴いまして、建築監視員等の人員の増強並びに現場をパトロールするためのジープその他の物件費も増強いたしたいと考えております。これらにつきましては、自治省と相談いたしまして、地方交付税の算定の基準を上げまして、必要な経費はその中に織り込むということで相談、確約ができておるわけでございます。
#29
○林田悠紀夫君 建築行政に要する費用が四千万円というお話ですが、そうしますると、これは都道府県入っておるのかどうか知りませんが、三十五の都市が現在建築主事を置いてやっておるわけですが、それだけでも一つの市が平均して百万円、こういうことになりますね。そうしますると、一つの市でどれくらい人を置いておるか、人件費。それから事務費とかいろいろ要ることになると思うのですが、その程度のものでやれるのでしょうか。たとえば京都を例にとってみましても、七人くらいは建築主事おるわけですね。そういうような費用でほんとうにやっておるのですか。
#30
○政府委員(大津留温君) 先ほど申しましたのは、大体標準的な県の場合でございます。現在職員の数が標準県で三十六人、その経費の総額が四千五百五十一万という数字になっております。確認手数料が千二百五十五万五千円、こういうふうになっております。先ほど申しますように、さらにこの建築行政の徹底をはかるためには、人員の増加が必要でございます。したがいまして、この人員の増加並びに費用の増額につきまして自治省と折衝し、その増加については約束ができておるわけですが、その細部の積算の点につきましては、いま相談中でございます。
#31
○林田悠紀夫君 費用をだいぶふやしていただけるというお話ですが、これはつまり地方交付税でやられるのでしょうかね。現在、地方交付税でやっておられるのですか。
#32
○政府委員(大津留温君) さようでございます。
#33
○林田悠紀夫君 それから建築主事は確認業務をやると、それから監視員を置くことができるということになっておるようですね。監視員は確認業務はやらずにパトロールをする、そういうような仕事になるんでしょうか。
#34
○政府委員(大津留温君) 建築主事の職務は、建築の確認という仕事と、それから竣工しました場合の検査をするというのが建築主事の権限でございます。建築監視員というのは、主として現場におきまして、基準法によります第九条七項並びに第十項の違反建築を発見した場合に、使用禁止あるいは工事の停止というものを命ずることができる、これが建築監視員の権限でございます。もちろん、特定の職員が建築主事と建築監視員を兼ねるということもできます。建築主事というのは、そういう建築確認並びに竣工の検査ということをこの法律に基づいて行ない得る権能を持った者でございまして、そういう仕事しかできないというわけではもちろんございません。
#35
○林田悠紀夫君 現在、建築主事は確認で手一ぱいで、なかなかパトロールができないというように聞いているわけです。それでたまたまある土地を選んでそこをパトロールをすると、それに引っかかったものだけが違反になると、ほかのたいていのものは免れておる、まあこういうような状況なんですね。それで今度監視員ができますると、従来のパトロールと非常に違った数量のパトロールができるかどうか、その辺どういうふうにお考えでしょうか。
#36
○政府委員(大津留温君) 現在、全国で建築主事の七百名を含めまして、建築行政に携わっている職員が約三千名ございます。私どもといたしましては、この建築行政をさらに徹底させるために、この三千名ではとうてい足らないと思いますので、建築監視員の増加を中心といたしまして、全体で四千五百名ないし五千名程度にはふやしたいと、これはまあ三年計画または五年計画でそこまで持っていきたいと思います。その場合に、建築主事が少なくとも千名、建築監視員が千五百名ないし二千名その他の補助員というようなことを目標にいたしまして、そこまでどうしてもまいりたい、こういうもくろみを持っております。
#37
○林田悠紀夫君 監視員が千五百名ないし二千名ということになりますると、一つの市で、あるいは県で、どれくらいの監視員がおるということになりましょうか。
#38
○政府委員(大津留温君) 標準の県におきまして、大体、職員全体で五十名程度、その中で建築主事が七、八名、監視員が十五、六名から二十名程度と、こういうようなことになろうかと思います。
#39
○林田悠紀夫君 それではだいぶパトロールもふえるだろうと思いまするが、次に、違反の是正措置について、告発されて有罪となったと、その場合の罰則が、現在は六カ月以下の懲役または十万円以下の罰金は、こういうことになっておりますね。それで、現在、そういう懲役になったとかあるいは罰金を食ったというのは、告発されて有罪となった場合どの程度ございますか。
#40
○政府委員(大津留温君) 懲役三カ月というのが三件ございます。罰金が四十件で最高七万円、平均して五万円になっております。
#41
○林田悠紀夫君 懲役三カ月三人というのは、これはいつのことでしょうか。一年間にということですか。いままでの全部の総計ですか。
#42
○政府委員(大津留温君) 四十二年度に行なわれた件数でございます。
#43
○林田悠紀夫君 懲役が三人で罰金が最高七万円、罰金が四十件と多いわけですね。その最高が七万円というのですから、これでは幾ら違反をしても七万円払えばいいと、そういうことになってたいしたことにならぬわけですね。今度の法律ではその点はどういうふうになっているのですか。
#44
○政府委員(大津留温君) この罰則そのものは変わっておりません。変わっておりませんが、建設業者あるいは設計士でございますと、そういう違反によって刑罰を受けたという場合は、もちろん当然のこととして建築士の資格が取り消され、あるいは停止される。建設業者についても同様でございます。そういうことで、かりに罰金の金額が多額でなくても、その他営業上の制約が非常にきびしいものがございますので、それによってそういう違反建築の活動が防止できるということを期待しておるわけでございます。なお、そういう違反建築をいたしました場合に、そういう違反を行なったものに対する制裁としましてはそういうことでございますが、建築物は、違反の状態であれば是正命令を出し、それを自発的に直さない場合には代執行によってこれを取りこわすという道がございます。従来、そういう代執行の件数、先ほど申しましたように年間十五件代執行の手続きをとりましたようなことですが、今後におきましては、告発を行なう、あるいは代執行を行なうということにつきましても、積極的にこれを行ないまして、違反状況の絶無を期したいと、こういうふうに考えております。なお、今回の改正におきまして、現場で工事中止、工事停止の命令を出すほか、この違反建築物である旨を現場に立て札等で表示をいたしますので、これを第三者が引き継いで工事を進めるとか、あるいは善意の第三者がそいうことを知らずにこれを買って居住するというような状況が防止できるものと考えております。従来、この善意の第三者がそういうことを知らずに買ってすでにお住まいになっている、そういうことになりますと、なかなか是正命令も出しにくいというような事情がございましたので、現場の立て札ということでそういうことを防止したい。なお、電気、ガス、水道等の供給につきましても、違反建築でありその使用が停止されあるいは工事中止の命令が出されたものにつきましては、そういう電気、ガス、水道の供給をしないという取り扱いをするように通産、厚生省とも話がついておりますので、そういう面からも規制を行なっていきたい、こういう考え方でございます。
#45
○林田悠紀夫君 そういうふうにいろいろな対策を立てていただいておることは、非常にけっこうなことだと思います。それで建築監視員はパトロールをしていて違反を見つけた、そうしまするとすぐ停止を命ずることができる、それからまた違反であるということを、立て札を立てるということになるわけですが、立て札を立てて引き抜かれるというような場合がありますね。そういうような場合には、どういう措置が行なわれるようになっておるか。それからまた先ほどの罰金なんかが低くてもたとえばその人の資格を取り消すというようなことによって効果をあげる、こういうことなんですが、それも当然必要なことだと思います。しかしながら、悪質なものは、ある会社の名前を出して違反建築をやって、すぐ今度はその会社をつぶしてまたほかの会社でやるとか、いろいろな悪質なことをやるわけですね。そういうような場合に、ただその人の資格を取り消したということだけではとうてい対応できないということがあると思うのですね。そういう人についての罰則というものはもっと重くするというようなことは必要ないんでしょうか。
#46
○政府委員(大津留温君) 立て札をかってに引き抜いたりこわしたりした場合の扱い方――この立て札には建築主あるいは工事施工者の名前を掲げまして、これに対しましては特定行政庁から建築中止あるいは使用停止の命令が出されておる旨、これに違反したら罰則が加えられる旨、並びにこの住宅には電気、ガス、水道の供給がされない、それから何人もこの工事を続行してはならないということ、それからこの立て札をかってに棄損した者は罰則に処せられるという旨を書いて掲示することにしております。この立て札はそういう内容のもので、刑法でいう公文書に該当するものということになりますので、これをかってにこわした者は公文書毀棄罪というので罰則に処せられることに相なります。それからこういう違反建築を行ないました建設業者が名義を変えて違った別の会社をつくってまた営業を継続するという、まあいろいろ悪質な、悪知恵の発達した者がおりますが、建設業法で、そういう建築、建設関係の法令に違反したとして登録を取り消された会社の役員をやっておった者が、また役員となって新たな会社を設立して登録を申請してきたという場合には、その登録の取り消しがあった日から二年間は、その取り消された会社の役員が役員である会社の登録は受け付けられないということになっておりますので、まあそういうことは、合法的な会社を設立しての営業活動はできないということになっております。
#47
○林田悠紀夫君 まあ新しい会社をつくる場合には、何もその人の名前使わなくても、たとえば奥さんの名前を使ったり、あるいは弟の名前使ったりしてやっていける、そういうこともあるわけですね。それから、建て売り業者が違反建築をしてすぐもう売ってしまうんで、ひっかからないんです。そして今度は買うた者があとで違反であるということがわかるわけですね。そういうような場合にはその前の悪質な業者に対してはどういう措置をおとりになるんですか。
#48
○政府委員(大津留温君) 違反建築の工事を行なったということで、その建て売り業者は基準法違反の責めを免れることはできません。したがいましてそういう者に対しましては、本法による罰則が適用されるほか、先ほど申しました、建設業者あるいは宅建業者としての監督処分を受けるということに相なります。買った方としましては、違反の状態の建物はこれは是正しなければなりませんので、是正命令が出ました場合にはそれを改造するという義務を負うことになります。まあ建て売り業者と買った人との間は、損害賠償その他の民事的な関係になろうと思います。したがいまして今回の改正では、そういう善意の第三者が思わぬ損害を受けると、違反建築物を買わされて思わぬ損害を受けるということのないようにという趣旨から、この現場に立て札を立てまして、第三者にそういうことがわかるようにということを考えた次第でございます。
#49
○林田悠紀夫君 今度は、そういう建物が――違反建築が建って代執行をやらざるを得ないという場合に、現在の代執行法の定めでいきますると、公益に反するというきわめてむずかしい規定があるわけですね。それでなかなかこの規定の適用を受けることが困難であるということがあると思うんです。それで、衆議院のほうの行政代執行の特例というのが修正案が出てきておるわけなんですが、これでも、やはり行政代執行法による限りはむずかしい規定があるんじゃないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
#50
○政府委員(大津留温君) 特定行政庁がこの法律に基づきまして違反建築物の除却とか、あるいは改築、修繕、模様がえ、あるいはそういう命令を出しました場合に、その所有者なり命令を受けた者がその命令を履行いたさないという場合におきましては、御指摘の行政代執行法によって代執行するということに相なるわけでございますが、現行法は御指摘のように、「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき」に代執行ができるということになっております。私どもといたしましては、先ほど申しましたように、この法律に基づきまして違反建築に対してそれぞれ除却なり、移転、改築、修繕等の命令を出した場合に、命令を受けた者が履行しない、そういう状況は他に方法がございませんし、またこれを放置することは著しく公益に反するものというふうに考えられますので、代執行法によって、必要があるときには代執行ができるというふうに考えておりますが、ただ御指摘のように、著しく公益に反すると認められるという規定がございますので、やはりいよいよ代執行の手続をとるかどうかという際には、もう一ぺんよく検討するということに相なります。したがいまして、先ほど申しました現行の規制内容が社会の実態にいささかそぐわないというような面もございまして、代執行を行なうことについて第一線の職員がちゅうちょを感ずるというようなことも確かにございました。今回は、先ほど申しましたように、この規制の内容を実情に沿わない点は改めましたので、これに違反する建築につきましては、著しく公益に反するものとして、代執行が必要があればどんどんできるというふうに考えておりますが、なお念のために衆議院におきます修正が行なわれまして、そういう公益に反するかどうかということをあらためて検討するまでもなく、違反建築につきましては当然公益に反するものとして代執行をやるべきだという御修正をいただきますとするならば、なお第一線の者は自信を持ってやり得るものである、こういうふうに考えております。
#51
○林田悠紀夫君 それからもう一つ、建蔽率の適用の場合ですね。土地を二重使用するとか、あるいは建蔽率の場合は借地をしておいて、そしてあとですぐまた返すというような場合ですね、そういうような場合についてはどういうふうになるのですか。
#52
○政府委員(大津留温君) 従来、御指摘のような敷地の二重使用あるいは借地という名目で二重使用するという形の建蔽率違反が相当ございました。建築主事が確認をいたします際に、必要な図面等を出されるわけでございますから、図面による審査、また現地におきましてそれを検査いたします場合にそういうことが発見されますならば、もちろん確認をいたしませんし、また工事の中止を命ずるというようなことで是正措置を命ずることに相なります。しかしながら、この建築主事がそういうことを見落として、二重使用がなされるというようなことも間々起こり得るかと思いますので、建築監視員が建築の現場をパトロールする際には、そういう点にも特に注意をいたしまして検査をし、二重使用による建蔽率の違反、こういうことのないように期したいと思っております。
#53
○林田悠紀夫君 次に、日照の問題についてお伺いしたいのですが、五月二十六日でしたか、神戸新聞に尼崎市でマンションが建ちかけたわけです。それで、その周辺地区はわりあい住宅地帯だった。そういうことから、鉄筋七階建てのマンションなんですが、それを五階建てにしてもらいたいということを要望をして、それが神戸地裁に持ち込まれまして、裁判長は申請を妥当と認める、そういう判決をしておるわけです。それで、今回の建築基準法の場合、日照については大体一日最低何時間ぐらいを考えて規定をされておるのか。それからこういうマンションの階数の問題ですね、最近はマンション同士で争いが起こっておるというようなこともあるのですが、どういうふうにお考えでしょうか。
#54
○政府委員(大津留温君) 尼崎におきますただいま御指摘の問題は、私も新聞で拝見したわけでございますが、最近マンションの建設が多く行なわれるのに伴いまして日照の問題が非常に問題になっております。私どもといたしましても、住居に日照を確保するということは非常に大事なことだというふうに一面思いますが、また一面、今日の都市の土地事情、住宅事情を考えますと、なるべく宅地を高度利用いたすこともきわめて必要なことだというふうに考えます。したがいまして、この日照をいかにして確保するかということと、いかにして宅地の高度利用をはかるかと、この二つの要請をどういう形で調整すべきか、これは非常にむずかしい大事な問題だと考えます。今回の基準法の改正におきましては、第一種並びに第二種の住居専用地域におきましては、そういう日照、通風、換気という観点から、北側の斜線制限という制度を設けました。これはこれによって北側の住宅の日照が完全に確保されるというわけにはまいりません。日照に幾らか寄与するであろうということで考えたわけでございますが、この北側に建築されておる方も、みずからの日照を得るためにはやはりある程度南側に庭を設けていただかなければならないというふうに思うわけでございますが、今日のような宅地の細分化の現状におきましては、なかなかそういうことを皆さんに要求することも一面困難な実情もあろうかと思います。
 御指摘の尼崎の問題でございますが、このマンションが建ちます地域は住居地域でございまして、建築基準法上は高さが二十メートル以下という制限を受けております。したがいまして、七階建てでありますとちょうど二十メーター以内におさまっていると思います。したがって、建蔽率その他のこともございますが、おそらくこの設計は基準法上合法なものとして建築主事の確認を受け、建築に着手したものだと思います。私どもといたしましては、建築をなさる方が周囲の方とよくできるだけ円満にトラブルなく建築されることを望みますけれども、建築基準法に従って建築される以上は、その周囲の方も特別のことがない限りは、これを受忍していただくのがしかるべきじゃなかろうか、というふうに考えております。
 しかしながら、これはケースバイケースでいろいろな事情がございますから、その当事者間の問題につきましては、民事上の問題として最後には裁判所が御決定なさる。今回の場合はとりあえず工事を中止するという仮処分が出たようでありますから、その本訴の結果を見なければその結果はわからないわけでございますが、建設省といたしましては、建築基準法を所管する立場からいま申し上げたような考えでおるわけでございます。
#55
○林田悠紀夫君 そうしますると、裁判所のほうは、建築基準法がこうしてできますると、建築基準法に拘束されるというようなことになるのですかね。その点は別にたとえば損害賠償の問題とか、そういう別個の民法上の問題として処理されるということになるのか、どういうふうにお考えですか。
#56
○政府委員(大津留温君) 裁判所はもちろんこれに拘束されずに独自の判断をなさるわけでございますが、基準法におきまして、住居地域あるいは住居専用地域というその地域に応じまして定めました建蔽率なり、日照なり、あるいは北側斜線というものに従って建築をなさるものにつきましては、裁判所におきましても相当考慮されるものと、私どもは考えております。
#57
○林田悠紀夫君 それから防災上の問題としまして、高層建築がどんどんできておる。それで今回のエレベーターをつけなければならぬというようなことも出ておりまするが、この超高層部分には不特定多数の人々を収容するような用途に使うことを禁止すべきだとか、あるいは地下の深層部分も同じようにすべきだというような説もございます。それからそういう高層建築の場合は外側に階段をつけておるというようなのが外国の例では多いわけですね。日本の場合は、この建築基準法におきましてもそれは義務づけられていない。そういう必要はないのでしょうか。
#58
○政府委員(大津留温君) 最近御指摘のように高層建築物がどんどんできる機運にございます。また地下も非常に深くなっていっております。これらに対します防災対策、特に人命の安全確保ということは、非常に大事な命題でございます。今回の改正におきましても、そういう観点からいろいろな規定を新たに設けましたし、また、先般改正いたしました基準法の施行令の一部改正におきまして、いろいろ手当てをしたわけでございます。この建物の外に避難階段を設けることの可否、いろいろ議論があるところでございます。消防関係からはそういうような御意見もいただいております。ただ非常に高くなりますと、外側にそういう階段、かえって危険が生ずるということもございます。そこで、現在の基準法におきましては、そういう外とか内ということを問わず必要な避難階段、あるいは避難の設備、そういうものの設置を義務づけておるということでございます。今回の改正におきましては、高層建築物の非常用のエレベーター、非常用の進入口、非常用の照明装置あるいは排煙設備等の設置を規定しております。また、火気を――火を使う部屋におきましては、その壁あるいは天井等の仕上げの材料は不燃材料でなければならぬ。また、そういう場所には必ず換気設備を設けなければならない、こういうような規定を設けておるような次第でございます。
#59
○林田悠紀夫君 時間がきましたので、最後に政務次官にお伺いをしておきたいと思いますが、この防災上とか、あるいは社会生活の見地から建築基準を厳格にしていかなければならぬことは、当然であると思います。ただ建築経費がだんだんかさむ、それからまた土地の価格も下がらないというようなことですから、しかも一方においては、どうしても建築をしなければならぬという要望は、非常に大きいわけでありまして、国の資金で建築を進める、あるいは地価の安定をはかっていくということが一方においては必要でありますと同時に、安い建築法、大量建築と申しまするか、そういうことを進めていかなければならぬと思うのです。それで今後の建築行政としまして、そういう安い建築法ということについて、どういうふうにお考えでございましょうか。
#60
○政府委員(大津留温君) ただいま林田委員のお話しのように、私どももこの社会活動が非常に複雑になり、また建築物の災害を防止する、あるいは良好な都市環境を維持するという意味におきまして、さらに規制は今後とも強化してまいらなければならぬというふうに思っておりますが、ただいまお話しのような地価の安定、住宅の供給、あるいは建築費の安定ということにつきましては、十分施策を進めてまいりたいというふうに考えております。そこで建設省といたしましても、今後特に公的資金によりまする計画的な住宅の供給、あるいは宅地の開発、そのためには国有地、公有地も極力これを活用してまいりますが、さらに今回は地価の公示制度等も、御協力をいただきまして発足をすることになりました。お話しの建築の工業化ということにつきましては、特に重視をいたしております。その技術開発の促進等によりまして、建築費の安定等につとめる所存でございます。今回建設省の中にも、そのために室を新しく設けまして準備をいたしておる次第でございます。
#61
○理事(沢田政治君) 本法案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
#62
○委員長(大和与一君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 建築基準法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#65
○委員長(大和与一君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 建築基準法の一部を改正する法律案の審査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#69
○委員長(大和与一君) 次に、不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#70
○田中一君 四十一年に施行した特別試験のときには、士並びに士補、両方でどのくらい申し込みがあり、どのくらい合格しているのか、それを報告していただきたいと思います。
#71
○政府委員(川島博君) お答え申し上げます。四十一年の試験におきましては、まず特別不動産鑑定士試験の受験申し込み者は三千三百四十六名でございました。これに対する合格者数は二百九十八名、約九%の合格率でございます。次に、特別不動産鑑定士補試験でございますが、受験申し込み者が三千九百四十四名、合格者数が四百九十八名、合格率は一二・四%でございます。
#72
○田中一君 これは年一回やっているはずですから、爾来今月までの結果を同じように報告してください。
#73
○政府委員(川島博君) ただいま申し上げましたのは特別試験でございますが、特別試験は三十九、四十、四十一年と三カ年継続実施いたしまして、その後は普通の試験に戻っております。
#74
○田中一君 普通の試験のやつを報告してください。
#75
○政府委員(川島博君) お答え申し上げます。普通試験は昭和四十年から実施をいたしておりますが、不動産鑑定士補の試験が第二次試験、士の試験が第三次試験となっておりますが、士補の試験でございます第二次試験の状況は、昭和四十年の申し込み者が千百八十七名、合格者は五十四名、四十一年が申し込み者が千二百五十四名、合格者が五十八名、四十二年が申し込み者千二百四十三名、合格者が百二名、四十三年が申し込み者千四百四十一名、合格者が二百十五名となっております。また鑑定士の試験でございます第三次試験の状況は、昭和四十一年の申し込み者が九十五名、合格者が五十五名、四十二年は申し込み者が二百十七名、合格者が百二十一名、四十三年が申し込み者が二百九名、合格者百五十一名となっております。
#76
○田中一君 現在鑑定士の合格者が千幾らかあるようでありますが、そのうちの鑑定士業を営んでおる者の数は三百何名ということでしたね。そこでこの三百八名という数では、今回この国会で通ったところの地価公示法等の鑑定をする場合にはそれは足りないというような見込みでいるのですか。将来地価公示法の鑑定が、本年度は大阪、名古屋、東京で、いいけれども、明年度からどのくらいになりますか。
#77
○政府委員(川島博君) お答え申し上げます。現在までに鑑定士及び士補の試験に合格しております者は総員千八百十九名でございます。しかし、実際に鑑定の仕事ができますためには登録を必要といたします。登録を受けている者が千四百五十五名でございます。したがいまして、約四百名が資格を有しながらも鑑定士及び鑑定士補となっていない状況でございます。今回の地価公示制度は、来年からいよいよスタートするわけでございますが、来年は三大都市地域について約千地点の公示をいたしますが、これに動員すべき鑑定士、鑑定士補の数は約三百名を予定しております。したがいまして、現在千五百名近い実働人員がございますから、三百名程度の要員確保はきわめて容易であろうと思います。ただ将来の問題といたしましては、私どもはなるべく近い将来全国の市街化区域全域について公示制度を実施する必要があると考えております。そうなりますと、まあ密度にもよりますけれども、二千名前後の鑑定士を動員する必要があろうと思います。そのころには、その正規の試験を経過して鑑定士になった者もだんだんふえてくるわけでございますが、したがいまして、現在の普通試験、普通の試験制度のもとにおきましても、そのころになれば所要の数は動員できると思いますけれども、まあいまよりもだんだん窮屈になることは間違いございません。
#78
○田中一君 そこで、鑑定士並びに士補ともに、報酬規定その他、業務上の役職は建設省が指導してつくらしているのですか、それともあるいは自主的に行なわしめているのですか、どっちですか。そうした対国民、対需要者との契約の条項というものはどういうふうなものなのか。
#79
○政府委員(川島博君) お答え申し上げます。この業として不動産の鑑定評価を行なっております者の団体といたしまして日本不動産鑑定協会というのがございます。これは約千名で、日本で最大かつ唯一の団体でございますが、ここで会員の商売をいたします場合の報酬基準を定めているようでございます。これは非公式に建設省にも相談に見えておりますけれども、別に法規をもって強制をするとかという形でなくて、相談に見えているということでございます。したがいまして、お客さんとの契約内容についても、具体的には建設省はタッチをいたしておりません。
#80
○田中一君 裁判所等が参考として鑑定させる場合の料金は、これまた一方的に裁判所が予算の範囲でもって払っているのか、あるいはこの鑑定協会で業務規定でも持って料率をきめているのか、その点はどうなんですか。
#81
○政府委員(川島博君) 遺憾でございますが、現状はつまびらかでございませんけれども、おそらく裁判所が協会と相談をいたしまして支払っている、おそらくその費用はいわゆる報酬基準に定めるよりも、かなり低いのではないかというふうに考えます。
#82
○田中一君 先般成立した地価公示法に基づく国が支払うというものはたしか六千円でしたね。そうすると、六千円というものは根拠はどこにあるのですか。六千円計上したという根拠ですね、計上しようとする根拠か、どちらでもいい、一かど六千円という鑑定料金というものは……。わからなければわかるようにひとつ勉強してきてもらって答弁してもらいましょう。
#83
○政府委員(川島博君) 地価公示法案の際にも御説明申し上げましたが、従来不動産鑑定協会は、報酬の基準といたしまして一万五千円だったのでございますが、昨年いろいろな経費の上昇等によりましてこれを三万円に引き上げております。しかし公共用地の鑑定評価につきましては、これは相当大量に出る、一カ所に集中して大量に出るということもございまして、一万五千円を報酬基準としているわけでございます。
 したがいまして、本来でございますれば、地価公示制度の委嘱をいたします不動産鑑定士に対しましても、一万五千円程度相当を支払うのが適当であろうかと思いますけれども、この地価調査は三十九年以来五カ年継続してお願いをしておるわけでございますが、当初はたしか二千数百円から始まったと思います。その後財政当局と累次の折衝を重ねまして毎年千五百円、二千円とかさ上げしてまいって、やっと六千円の水準に達したわけでございます。これで決して十分とは考えておりませんが、来年以降の予算折衝にあたりましても、なるたけこの報酬基準に近い額は支出できるように逐次改善をいたしてまいりたいと、かように考えております。
#84
○田中一君 たしか建築士の報酬規定は、それは関係団体が一応きめて、これは一方的にその団体がきめれば、建設省としては何もそれに対するむろん承認は求めないでしょうけれども、意見を述べるような機会は制度としてはないわけですね。そうすると宅地建物取引業の場合には、これは条例で各都道府県が一応基準をきめておる。鑑定士の場合も一万五千円から三万円になったということも、自主的にその団体がきめれば、それをチェックすることは法律上はできないけれども、その点はどうなんです。高いの安いのということは言えるのですか。
#85
○政府委員(川島博君) まあ、法律上はそういう権限は何もないわけでございますが、実は鑑定協会からは、諸物価高騰のおりから五万円程度まで引き上げてほしいという要望がございました。これに対しまして私どもは、従来一万五千円であったものが一挙に五万円とはあまりにひどいじゃないかと、ぎりぎりの線はもっと下げられるはずだということで話し合いをいたしまして、それでは三万円でとめますと、こういう実際上はいきさつになっておりますが、別にこれは法規上強制はできるわけじゃございません。
#86
○田中一君 こうした資格によるところの報酬規定というものは、たしかこの建設に関係深いものとしては、土地家屋調査士あるいは行政書士とか、司法書士というものは大体法務局が承認するとか何とかいうことでやっておるようでありますが、やはりこれも相当大きな、国民の利害に関連するものがあるかもわからない。こうした業態としては、その点は野放しにしておいてもいいというお考えですか。事実また土地家屋調査士なり、それぞれ法務省のほうで、民事局のほうで指導しております、料金はこれこれという。その場合には、これは一万五千円から五万円にするということをいけないと言う何にも根拠もない、ひどいじゃないかなんと言う根拠もない。そうするとどういうことになります。なるほどせんだっての地価の鑑定というものは、あれだけの書類とあれだけの手続とあれだけの行為をするということになると、それが三万円でも五万円でもかかると思うけれども、これは一つの基準がきまってしまえば、あとはもう簡単なものなんです。たとえば一つの点がきまれば、あとはそれほどまでのことをしないでも済むと思う。これはもう地価公示法の審議の場合にも十分に述べておるけれども、必要な調査というものが膨大な面から攻めていって初めて結論を出しておるけれども、少なくとも近傍にそうした形の調査をしたものがあれば、あとは非常に楽なはずであります。だから、一万五千円が五万円の要求ということ等にも何らかのチェックする機関がなくちゃならないんじゃないかと思うんですが、その点はどう考えていますか。ほかの法律はみんなあります。ほかの法律はみんな政令なんかできめております、政令か省令で。
#87
○政府委員(川島博君) お説のように、地価公示制度が実施されますれば、従来暗やみで手探りをいたしておりました鑑定士の鑑定評価が一つの光を見出すわけでございます。したがいまして、実際の鑑定評価にあたりまして、非常に鑑定士が安心してよるべき光を求めて作業いたしますから、心理的に私は非常に楽になるであろうと思います。しかしながら、鑑定評価制度が要求しております鑑定評価は、かりにそういう光が目安としてありましても、資料の収集その他は、そういうことと関係なく、やはり従来どおりの方法で鑑定評価の仕事を進めていくということになっております。公示制度があるために、手続を省略したりすることは許されないわけでございます。したがいまして、手間は同じくかかる。しかし、その結果については、公示価格というものがあるために、より鑑定士は自信を持ち信頼し得る数字をはじき出せるということになりますが、手数においては変わりません。したがいまして、公示制度ができたからといって、鑑定士の報酬はもっと下げていいんじゃないかということは、あまりよろしくないと思います。それから、類似の士がございますけれども、御案内のように、不動産鑑定士はただいまおあげになりました士よりも、むしろ公認会計士とか弁護士と類似する、いわゆる知的職業でございます。したがいまして、かりに報酬とかの均衡をはかるとすれば、やはり公認会計士なり弁護士なりの職務に準じて比較検討すべき問題であろうと思います。御案内のように、弁護士等は実は弁護士法によって、いろいろな規制が行なわれておりますけれども、報酬については弁護士会が自主的に調整をして政府がこれに直接介入することはいたしておりません。しかし、お話にもございましたように、不動産鑑定士の職務は、今後社会的にますます重要性を増すと思われますので、御意見も含めまして、将来の問題として検討いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
#88
○田中一君 弁護士の報酬のうち、成功報酬というやつは、これは私契約でもってものをきめておりますけれども、たとえば、国選弁護人といいますか、これの料金は大体きまっているでしょう。それから、紛争の弁護の依頼を受けたということでは、その受けたということに対する報酬も一応基準があってきまっているでしょう。いずれにしてもきまっておりますね。大体公示していますよ、はっきりと。公示というか、明示しています。ただ、鑑定士だけがそういう手続とらないということになると、ちょっとこれはどこかで何かをしなきゃならぬというような気がするわけですけれども、だから、この人たちの料金を下げろとか上げろとか言うんじゃないんですよ。正しいものを求めたいと言っているんです。その点はどう考えますか。いまのままでいいんですよ。
#89
○政府委員(川島博君) まことにごもっともな点もございますので、今後の問題として慎重に検討いたしたいと思います。
#90
○田中一君 それで、今回提案されているこの法律案、それはそういうような諸般の状況を見、将来の需要といいますか、それを勘案するとまことに当然なことだろうと思うのです。この特例は四十一年に施行した特別試験と同じような方向で進むと思うが、この受験資格もこの法律に書いてあるようなことできまると思う。四十一年に施行した特別試験というのは、受験資格というものが一応これで公表されておりますが、むろんこれにのっとってやるのでしょうね、これはひとつ提案者に聞こうかな。
#91
○衆議院議員(始関伊平君) 一般の場合の鑑定士の受験資格は、不動産の鑑定評価に関する法律の中にあるわけでありますが、このたびの特例法案におきましては、実務経歴の年限に重きを置きまして、大学出は十一年でございましたが、こういうふうに一般の毎年やっております正規の試験の場合よりも楽なといいますか簡素化された受験の資格を認めているわけでございます。ちょっと具体的に申し上げてみますと、特例試験の試験科目は、不動産に関する行政法規並びに不動産の鑑定評価に関する理論及び実務となっているのでございまして、これを正規の試験に比較いたしますと、民法、経済学及び会計学の三科目が除外されているのでございます。しかしながら、特別試験の受験資格としては、長期にわたる鑑定評価の実務経験というものがそのかわりに要求されているわけでございますし、特例試験の受験者は豊富な実務経験を通じて鑑定評価に関し必要な学識あるいは理論というものを体験的に身につけている、習得しているというふうに考えまして、そのようにいたしました次第であります。したがいまして、いまの御質問にはございませんでしたが、特例試験の合格者は、理論と実務の両面にわたって社会の信頼にこたえ得る鑑定評価ができるだろうというふうに考えております。
#92
○田中一君 そうしますと、正規の大学を出ないでも現在公認会計士または税理士、計理士等という資格を持って業務を営む人たちが、これは四十一年のときには一応経験、業歴というものを見てこの受験資格を与えておったけれども、これは従来どおり踏襲するという理解で差しつかえありませんね。
#93
○衆議院議員(始関伊平君) 特例試験を受験し得るための条件といたしましての実務の期間という場合の実務の範囲でございますが、これはややゆとりを持って規定されているのでございまして、ただいまお話しの税理士とか会計士とかいうものの経験、実務のいかんによってはこの中に入るものと存じますが、なお正確を期するために当局側の答弁をお聞き取りいただくほうが間違いないと思います。
#94
○政府委員(川島博君) 今回の特例試験におきましては、前回の特別試験と同じ実務経験その他の計算にあたりまして、税理士、経理上等の経歴はこれを含めるということで措置をいたしたいというふうに考えております。
#95
○田中一君 そうすると、もう少し具体的に言っていただきたいのは公認会計士、税理士、計理士等が士補の場合には何年以上になりますか、五年以上でいいのですね。それから士のほうは十年以上、これでいいわけですね。
#96
○政府委員(川島博君) これは実務経験の問題でございますので、実務経験の長さは、大学を出た者と高専を出た者と高等学校を出た者と、それから中学校以下と、それぞれによって、たとえば鑑定士の特例試験でございますれば、大学は実務経験が十三年、高専が十五年、高等学校、旧中学校が十七年、その他二十年。士補につきましては、大学が八年、高専が十年、それから高等学校または旧中学校が十二年、その他が十五年ということになっております。このそれぞれの実務経験の年数、この中に計理士なりあるいは公認会計士なり税理士なりの職務に従事しておった期間が通算をされるわけでございます。
#97
○田中一君 そうするとこれは、四十一年に実施したとおりの経歴、経験があればよろしい、こういうことですね。
#98
○政府委員(川島博君) さようでございます。
#99
○田中一君 そうすると、特にいろいろ今回の特別試験でいままでの、これ以外の実務経験者を有資格者としてきめようという幅をお持ちですか。あるならそれを説明してほしいと思います。
#100
○政府委員(川島博君) ございません。
#101
○田中一君 そうすると、四十一年に実施した範囲内の経験者、これはそのまま踏襲して行なうのだということですね。再度確認しておきます。
#102
○政府委員(川島博君) 前回の特別試験と今回の特例試験の違いますところは、大学出あるいは高専出の実務経験年数が、従来は上級の学校を出た者については若干実務経験年数が、学校在学年数の低い者より縮減されております。これは、より高等のものを受けた者はそれだけ実務経験年数を低減してもよかろうということで若干縮めてございましたが、今回は中学校卒が、たとえば士で申しますと二十年、それから高等学校はそれに三年でございますから、三年を引いて十七年、それから高専はさらに二年ですから十五年、大学はさらに二年ですから、十三年、こういうふうに、従来よりもより上級の学校を出た者の実務経験年数が若干長くされております。その点が前回の特別試験とは違う唯一の点でございます。
#103
○田中一君 そうすると、大学を出た者が士補の場合には八年以上、それから士の場合には十三年と、こういう読み方をするのですか。前回と違うじゃありませんか。
#104
○政府委員(川島博君) 士の場合には第五条第一項によりまして、大学を出てから十三年、士補の場合には第七条の第一項で大学出が八年、こういうことになっております。
#105
○田中一君 しかし四十一年のときにはあなたのほうから出ているところの建設省計画局宅地部宅地政策課が出している募集案内は、五年と十年になっている。延ばす必要がどこにあるか。それから次の(ロ)が八年と十三年。それから(ハ)は十年と十五年以上、こうなっている。それを延長するということは、三年経たからということですか。いわゆる四十一年から今日まで三年を経過している。だから第一回の特別試験を与えたときと、延長されれば同じ資格者だということですね。しかし今回のこの法律の改正は、この時点から始まることが当然なんです。だから何も十三年なりなんなりという延ばす必要、何もないわけなんです。四十一年から通算すると、四十一年に受験した千何名の方々が、三年経過しているから十年を十三年にしても、当時の特別試験を受けた人たちは当然受けるのだという考え方であるのでしょうけれども、前回の法律とは全然違うわけです。これは今日を起点として十年を言ってるんですから、何も四十五年も、五年と十年で一向差しつかえない。何も特別に三年なんということを加えないでもいいじゃないかということです。同じように五年ないし十年でやりなさい。
#106
○政府委員(川島博君) 私どもは前回の特例法は不動産の鑑定評価に関する法律でそういう年限をきめられておるわけでございますし、今回の特例法案では、法律案でそうきめられたのでございます。これは国会のほうで御提案されたもので、私のほうから御答弁申し上げる限りではないと思います。
#107
○田中一君 提案者どうです。どうもかってにわれわれはこの法律を受け取って、この特例は四十一年と同じような経験年数で試験を行なう、この二年間ですね。というように考えているわけです。ところが実施しようという建設省のほうでは、今度三年ずつふやそう、経験年数をふやすんだということをいま川島局長は言ってるわけだ。これは不当であります。だから四十一年にきめられたとおり、五年ないし十年という経験年数で行なうことでよろしいのでありますね、提案者。私は政治の問題言ってるんですから。官僚の話をしてるんじゃない。
#108
○衆議院議員(始関伊平君) ただいま先ほどからのお話のございますように、鑑定士の場合におきまして、大学出身者を従前の特例法におきましては十年でございましたものを十三年というような案にいたしまして、以下これに準じたわけでございますが、これは十年にするか十一年にするか十三年にするかということにつきましての客観的な基準というのは、ただいま田中先生お話しのとおり、なかなか定めにくいと思うのでございます。ただ、若干延ばしました理由は、これは必ずしも学歴というようなものに拘泥するのではなくして、鑑定評価の実務、経験というものに主眼を置いたわけでございますので、そういったような観点から、その点の要件を従来より多少からくいたしまして、十三年、十五年というふうな基準が必要であろう、こういう結論になったわけでございまして、この間の特別試験の当時落っこった者を特に救済しようというようなことを考える余地は全くなかった、ということをお答え申し上げたいと思います。
#109
○田中一君 これは川島さんの言ったとおり法律に書いておきなさい。いまのやつは取り消しておくけれども、ただそうすると四十一年に受験した者だけを助けようということですね。長くなったということは。当時受験をしないで、十年たってないから受験できないと言って受験しなかった人たちは、救われないわけですね。落っこった人は救われる……。
#110
○衆議院議員(始関伊平君) この特例試験の行なわれますのが四十五年と六年でございますから、前回の場合に受験資格を持っていた者のみが今度試験を受けられるというわけではなくして、多少の何と申しますか、新規に受験資格を持つ者もあり得るはずだと思います。根本の考え方といたしましては、実務経験というものを尊重してこういう特例試験を認めるのだということと、もう一つはやはり暫定措置でございまして、本来の試験というものは毎年毎年やられるわけでございますから、いま申し上げましたとおり、十五年なら十五年というふうな基準が適当だろう、こういうふうに考えました次第でございます。
#111
○松永忠二君 関連。ちょっとおかしいと思うのです。私たち委員長提案ですら、あまりこまかいことまではあれだと思って審議をしているわけですが、不動産鑑定士と不動産鑑定士補というのは同じ資格の者なんですよ。同じ資格の者がかつて、それは施行令によって十年、いまお話のように大学出た者が経験を持って、「十年以上の実務の経験を有するもの」となっておった。それを今度十三年にみな延ばしてあるわけですよね。そうすると結局当時の有資格者であった人でその試験に落ちた人は、その経験を生かして今度の特例の試験に応ずることができるわけなんですね。ところがそれ以後の人は、結果的には経験年数が足らぬわけですから結局これに応ずることができないわけでしょう。そういう不合理が一つと、同じ不動産鑑定士あるいは不動産鑑定士補という資格の者を、かつてはこういうふうなことでやり、いままたこういうことでやるというようなことになると非常に不統一になるわけですよね。だから当然現在やるならばかつてのものと同じような類似の方法を講ずるというならば、同じような条件でやってやるということがなければ、やはり同じ資格を与えるという意味から言って不当だと思うのですよ。それから同時に、その間実務をやっていた人たちにやはりむしろ優秀な人にこういう内容の試験を受けられる条件を開いてやらにゃいかぬ。少なくとも議員立法でそういうものをやるとするなら、それくらいのことを考えるのはあたりまえのことであって、お気づきにならなかったのじゃないかと思うのです。だからこの際、むしろ修正をされてもいいのじゃないですか。あなた方のお考えになっている趣旨に合致したもの――だからこれはむしろ参議院において修正をして従前と同じものにして、そうしてあなた方の御趣旨を生かしていくということがむしろ必要なことである、望ましいことであると私ども思うのですけれども、これをこのままやることは、全く不合理だと私は思うのですよ。
#112
○衆議院議員(始関伊平君) さっきから申し上げておりますように、大学出の者につきましても試験の科目を省略いたしまして簡単にいたしますかわりに、実務経歴を長くしたほうがよかろうという考え方がございまして、こういう結論に到達いたしました。なお士補のほうにつきましても、この士のほうの扱いに準じたわけでございまして、この点はいろいろな考え方がおありかと思いますが、衆議院の建設委員会でおのおの審議いたしました際の気持ちは、とにかく実務経験をある程度長くしたほうがよかろうという考え方に基づいたものであるということを理解して申し上げております。
#113
○松永忠二君 それは少しおかしいですよ。実務経験を尊重なさるということはけっこうですよね。しかし内容は楽にいたしました。少しそのかわりにそっちのほうは抜きましたというお話ですけれども、それなら具体的にどこをどういうふうに変えたのか、お聞きをしたいですね。むしろそれをお聞きすると一緒に、そういうことをやるよりか、やはりしっかりとした学力を持ち、しっかりとした科目の試験をやられるし、そしてかつて十年の経験があってこれが妥当だとして特例試験をやってきて、その人たちの手によっていままでとにかく評価もしてもらってきたわけですよ。で、今度のこういう制度なんかでもその人たちにやってもらうわけです。何らそういう人について欠格の条項があるということは何にもないわけですよね。だからやはり私は、失礼な話ですけれども、これはあまりそっちのほうにおまかせをして御相談をされた結果、そういうことになったと思うので、われわれは独自の立場で判断をすればいいのですから、衆議院でどんなことをなさったか知りませんけれども、やはりわれわれはそういうような点から言えば、前にやったとおりにおやりになるほうが妥当である。むしろ経験年数を延ばしたために、前に試験をやったけれどもだめだった人が今度救われるという人がある。それはただ経験が延びたというだけで救われるということです。それ以後の人で優秀な人がこれによって救われないということもはなはだ不当じゃないですか。だからそういう意味で、あなたのおっしゃることは少しおかしいので、もしそんなこまかいことをあなたおっしゃるなら、今度のそれじゃ内容は、前とどのくらい違うのか、あなた御存じですか。そういうこまかいことでなしに、従来と同じようなことで学科もやってもらえばけっこうです。経験年数もそうしてやってもらって、合格する人は相当少ないようでありますから、そういう程度の合格率であるならば、しっかりした者が出てくるわけだから、その人たちによって地価公示の法律を十分にやってもらう。しかも、さっき田中委員からお話しのように、一万五千円が法定基準であるのに、たった六千円しか予算はないわけなんですよ。そういう実情がある中でこういうことをやってもらうということですから、これはむしろ、あなたのお考えになっている特例を開くということはまことにけっこうなことであり、その点について従前と同じような方法でやってもらうほうが妥当だというふうに参議院が考えれば、修正をすることについては何ら御異議がないというふうに私は思うのでございますが、最終のところをお聞かせを願いたいと思います。どうしてもこれでなければぐあいが悪いとおっしゃるならば、そのぐあいが悪いという理由を、明確に具体的に提示をしていただきたい。そうでなければやはり、ひとつこの点はおまかせをするというお考えなのか、そこだけをひとつお聞かせを願いたいと思います。
#114
○衆議院議員(始関伊平君) 衆議院のほうで従前のものを若干直しました気持ちの裏には、三年間やりまして中絶しておりましたものを、再び二年間に限って特例試験をいたすわけでございますから、それに対する若干の心理的な抵抗というようなものもございまして、実務経験の年限は長くしておこうということであったと思うのでございますが、しかし、この点は必ずしも客観的に、これでなければならぬという、客観的に動かすべからざる基準のあるものでないというふうに考えるのが普通であろうと思いますので、ただいまの御質問に対するお答えは、この程度にとどめさしていただきます。
#115
○田中一君 それではこういうふうに理解してよろしいのですか。参議院が現行どおりの、かつての四十一年の特例と同じような条件に修正しても、これは決して問題はございませんね。それほど深い根拠を持っているのじゃございません、こういうわけですね。
#116
○衆議院議員(始関伊平君) この法律案を制定いたします過程のそれぞれの中において、またいろいろな機関におきましていろいろの意見があり、審議の途中に若干の修正等もございまして、こういうことに相なってまいったのでございますから、私の立場としては原案を尊重いたしたいと思っておりますが、さっきから申し上げておりますように、しかし考え方としては必ずしも絶対にこうでなければいかぬというふうな性質のものではないような気が私もいたしております。
#117
○田中一君 私は落ちた人たちを救ってやるためにこうするんだという恩恵的なものじゃないと思うんですよ。つまり国のあるいは社会の要請から一日も早く練達な鑑定士が求められているんだという前提で今度の特例も出たと思うんですよ、この発想も。これは賛成です。しかし、その反面、四十一年から四十四年までの間には三年間の欠格条項があった。七年ないし八年しかないという人たちはそれはおまえたちはだめなんだというのが、今度の法律の規定です。そういう趣旨はないわけなんです。実力を持ち、経験を持っておる者で試験に合格すれば鑑定士になれる、だから条件としては何ら実務経験を三年延ばすとか――ちょうど三年ということは、四十一年から四十四年になると三年になるのですから、そういうことはないと思うんです。結局理由にならぬということです。もっとすっきりしたものでやっていいと思います。したがって、原案どおりだとおっしゃるなら、それはそれで聞いておきますが、これはひとつ委員長、この辺で提案者に対する質疑は私はいたしませんから、あとはひとつよく理事会なりで検討していただきたい、各党で検討していただきたいと思うのです。以上です。
#118
○委員長(大和与一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#119
○委員長(大和与一君) 速記をつけて。
 暫時休憩いたします。
   午後二時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時八分開会
#120
○委員長(大和与一君) 建設委員会を再開いたします。
 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時九分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト