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#1
第061回国会 運輸委員会 第8号
昭和四十四年三月二十日(木曜日)
   午後一時四十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     田代富士男君     渋谷 邦彦君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     渋谷 邦彦君     田代富士男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡本  悟君
    理 事
                金丸 冨夫君
                菅野 儀作君
                谷口 慶吉君
                瀬谷 英行君
    委 員
                佐田 一郎君
                平島 敏夫君
                前田佳都男君
                渡辺一太郎君
                田代富士男君
                三木 忠雄君
                中村 正雄君
                市川 房枝君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  原田  憲君
   政府委員
       防衛施設庁施設
       部長       鶴崎  敏君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       運輸大臣官房長  鈴木 珊吉君
       運輸省海運局長  澤  雄次君
       運輸省港湾局長  宮崎 茂一君
       運輸省自動車局
       長        黒住 忠行君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       厚生省公衆衛生
       局検疫課長    実川  渉君
       農林省農政局植
       物防疫課長    安尾  俊君
       運輸省鉄道監督
       局民営鉄道部長  佐原  亨君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
 (自動車行政に関する件)
 (海運及び港湾行政に関する件)
 (民営鉄道の運営に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 まず、自動車行政に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○中村正雄君 私は、自動車行政のうちで特にタクシー、ハイヤー行政について、運輸大臣なり関係の局長にお尋ねしたいわけでありますが、主として私の質問の根拠は、京浜地区並びに京阪神地区のタクシー、ハイヤー等の基礎的な数字をもとにして質問いたします。大体、交通機関の代表的なものとしては、京浜地区と京阪神地区でありますので、この地区の統計なり情勢を基礎にして御質問すれば、大体全般的な質問になると思いますので、特にまた私、大臣と答弁を指名しました以外は、どなたがお答えになってもけっこうでございますので、ひとつお願いいたします。
 私、質問の第一は、現在のタクシーの運賃、あるいは料金は三十八年秋に決定されて以来、そのまま運賃を現在踏襲いたしておるわけでございますが、特に私は、質問の第一でお尋ねしたいのは、このタクシー企業に従事いたしておりまする従業員の賃金、主として運転手の賃金について質問いたしたいと思います。大体、大阪の各タクシー企業の運転手の賃金の統計をとってみますると、これは経営者が出しております数字も労働組合がとっております数字も大体一致いたしておりますので間違いはないと思いますが、三十八年の秋に運賃改定がありましてから、三十九年から去年の四十三年まで過去の運転手のベースアップと、私鉄の従業員、国鉄の従業員並びに一般の民間産業の従業員、労働者の平均的なベースアップだけをとってみますると、タクシー関係は三十九年に二千九百九十六円、四十年に二千六百五十六円、四十一年に二千三百九十八円、四十二年に三千二円、四十三年度、昨年度の春闘で二千四百九十七円と、こういうペースアップの数字になっております。これを一番類似企業でありまする私鉄にとってみますると、大体四十一年までは幾ぶん、私鉄の関係よりもベースアップの金額は低いわけではありますが、似たり寄ったりのベースアップになっております。ところが四十二年になりますると、これが運転手のベースアップは三千二円、私鉄関係従業員のベースアップは四千三百円。昨年の春闘を見てまいりますと、三カ月有余にわたってタクシー関係の労働組合が闘争しました結果、地労委のあっせん案をようやくにして労使双方がのみまして決定されたものが二千四百九十七円で、私鉄は五千円のベースアップになっております。ちなみに、このとき大阪の各民間企業の平均のベースアップ五千六十一円――これは労働省の数字でありますが、なっておりまして、大体、私鉄の従業員のベースアップの率の半分、一般民間産業の平均に比べましても半分と、こうなっております。したがって、私は、この運転手の現在の賃金水準というものから考えまして、運輸省にお尋ねしたいのは、技術労務者としての運転手の賃金が現在妥当なものであるとお考えになっておるかどうか。あるいはまた現在の運転手の賃金の状況、これは固定給、歩合給になっておりますが、それがどういう状態になっておりますか、数字を基礎にしてお尋ねいたしたいと思います。
#4
○政府委員(黒住忠行君) 現在のところ昭和四十二年度の統計によりますると、東京におきます運転手の一カ月の標準的な、平均的な収入は六万四千四百三十四円でございまして、大阪地域におきましてもおおむね同様でございますが、やや少なくて六万二千七百二十九円というふうになっております。で、タクシーの運転手の労働は、御承知のように、十六時間労働ということでございまして、お客を路上におきまして拾って、これを輸送するわけでございますから、相当緊張の連続でございますし、労働も深夜に及びますので、相当労働条件はたいへんなものであると思います。したがいまして、そういう面から見まして、この賃金が必ずしもこれで十分であるとは考えておりません。
#5
○中村正雄君 この東京六万四千円余り、大阪六万二千円余りというのは、これは期末手当等は含まないで、毎月の収入の平均と理解していいですか。
#6
○政府委員(黒住忠行君) さようでございます。運転手の人件費の中でボーナス等は控除したものでございます。
#7
○中村正雄君 私もすわったまま質問いたしますから、答弁もすわったままでけっこうでございます。
 いま、自動車局長から、技術労務者としての運転手の賃金は低いというような意味の御答弁がありましたが、私は、先ほど質疑で説明しましたように、三十九年の当時の一般の民間の技術労務者の賃金水準と運転手の賃金水準、それから考えまして、五年後の現在におきましては、数字で質問しましたように、ベースアップの額というのは大体半分ぐらいしか上がっておらないということになりますと、相当低いんじゃないかと私は理解いたします。したがって、特にいま交通安全、交通戦争といわれております時代におきまして、中心でありまするタクシー、ハイヤーの運転手の賃金の水準が低いということの原因をどのように運輸省はお考えになっておるか、なぜ低いのか、原因を一応御答弁願いたいと思います。
#8
○政府委員(黒住忠行君) タクシー運転手の場合におきましては固定給と歩合給があるわけでございまして、極力、固定給の面を引き上げるというふうな指導を実際やってきております。しかしながら、全体といたしましての経費を見ますというと、長年、運賃は据え置いておりまして、経費のほうは、人件費はもちろんでございますけれども、そのほかの諸経費も高騰してまいっておりますので、経営全体といたしましては、たとえば四十二年度と四十三年度の比較――四十三年度は上半期でございますけれども、これを比較いたしましても、収入の伸びの割合より支出が伸びております、というふうな点等が原因をしているかと思います。
#9
○中村正雄君 タクシー企業の営業収益内におきまする人件費の割合ですね、これは大体どの程度の割合が企業としては妥当なものだと運輸省お考えになっておりますか。
#10
○政府委員(黒住忠行君) これはいろいろ、どのくらいが妥当かということは問題があるかと思いますけれども、五〇%を前後したものが通常でございます。
#11
○中村正雄君 そうしますと、営業収益の約半分が人件費というのが大体一般的にいって経常の経営状態と考えますと、現在の大阪、東京のタクシー企業におきまする人件費と営業収益の割合はどうなっておりますか、四十二年度まででけっこうです。
#12
○政府委員(黒住忠行君) ちょっと資料を調査いたしますので、お待ちを……。
#13
○中村正雄君 じゃ次にお尋ねしますが、先ほど質問しましたように、四十三年、昨年の春闘におきましては、大阪だけの例でありますが、約三カ月間ストライキやったり団体交渉やったりしました結果が、地労委のあっせんということで二千四百九十七円という額が出まして、労使双方がこれを一応やむなくのんで妥結したわけでありますが、ことしも春闘の時期になっておりますが、四十四年度の賃金アップについて、現在の企業状態からいって、賃金アップが可能かどうかという点について、運輸大臣はどうお考えになっておるか、御答弁願いたいと思います。
#14
○国務大臣(原田憲君) 四十四年度の収益状態は見越しておりません。四十三年度の前半のお話で、いま局長がいたしておりましたから――営業収益はまだ減ると思います。しかし、減りますけれども、やはりベースアップというものはやらなきゃならぬと、こう考えてくるのじゃないかと、私はそう推察しております。
#15
○政府委員(黒住忠行君) 先ほどの数字でございますけれども、四十二年度の場合におきまして、人件費が経費中に占める割合が大体五八%ぐらいでございます。
#16
○中村正雄君 いま局長から御答弁ありましたように、大体、タクシー企業の正常な経営は一般的にいって賃金とその他のものをフィフティー・フィフティー、これが大体妥当だと言われておりますが、四十二年度において、大体、人件費が五八%占めておるということは、企業の正常な経営ではないということは、数字の面から言えると思います。しかも、先ほども申し上げましたように、昨年の春闘において二千四百九十七円のベースアップをするというのが非常な困難な状態にあって、しかも営業収益の伸びというのは、現在の段階におきましては、交通事情等で非常に困難になっておる。となりますと、ことしの春闘は、非常に、私は、これは労使双方どのように努力をしようとも困難な状態にあると思うわけでありますが、それに対して運輸大臣は、ベースアップはしなければいけないと、また、これは当然すべきものでありますが、しかし、ベースアップをするにしても、これを消化し得る企業能力がなければこれはできないわけでありまして、それに対して、運輸大臣はどのようなてこ入れを監督官庁としてお考えになっておるか、お考えがあればお示し願いたいと思います。
#17
○国務大臣(原田憲君) 私は先ほど、しなければならぬと申したのじゃないんです。推測として、結論は、ベースアップをするであろうと、こういうことを言ったのであります。それは企業の経営というのは永久であります。永久と考えなきゃなりませんから、そのとき赤字であったからといって労働者に、赤字が出たからお前の月給上げぬというわけのものではなかろうということから私の発言をいたしておるわけであります。ただ、営業収益が減ってきておるのに、ベースアップはよそと同じようにやれと、これは無理な話であるから、お説のように非常に困難なことであろうと思われます。しかしながら、一面、私のところへも手紙をもらうのですが、いまのタクシーはもうかっておらぬ、もうかっておらぬと言いながら、まだもうかっておるのじゃないか。だから、増車をどんどんするのではないか。だから、もっと徹底的なタクシーの近代化、合理化というものをしなければ、大臣、タクシー料金の値上げを認めたらいかぬとか、いろいろ投書もきます。こういうことを考えますときに、私は、やはりタクシーというものがサービスをよくして、需要、お客さんをどう吸収していくかということが、一面、今後――いまの、たしかにまだ私は需要があると思いますが、これに対する環境の悪さが非常にタクシーに対するお客さんを減らしておる。走れない、大都会においては。こういう問題、それからタクシー業者自体のサービス改善、いわゆる乗車拒否というような問題の解決をして、タクシーのよさというものを認識してお客さんに乗ってもらうというようなことにつとめてできるだけの努力をし、そうして経営者と労働者が一体になって、何とか苦労をしながらでも給与のアップということにつとめていくというふうなことを十分考えなきゃならぬのじゃないか、このように考えます。
#18
○中村正雄君 それは、タクシー企業の内容の問題について大臣から見解の表明がありましたが、私、四十二年度の数字を見てみますると、たとえば大阪を中心でありますが、大阪市内約百六十五社タクシー企業がありますが、このうちの、四十二年度におきまして、これは会社の決算でありますが、百六十五社のうち欠損赤字会社が百五社、ある程度の、これは微々たるものでありますが、黒字決算をいたしておりますのが六十社と、こういうふうに四十二年度の決算はなっております。で、本年度上半期等の数字を基礎にして見ますると、四十三年度におきましては、おそらく一社か二社の例外を除きましては、ほとんどが赤字決算になると私は見ておりますが、大臣はどういう見通しを持っておられますか。
#19
○国務大臣(原田憲君) 大体、中村さんの御指摘のような状態になるんじゃないかと思われます。
#20
○中村正雄君 三十八年の運賃の改定以後、運転手のベースアップだけずっと見てまいりましても、三十九年から四十三年までの一カ月の平均累計が、ベースアップ額が一万三千五百四十九円になっております。年間正味のアップ額を三十八年と四十二年を比べてみますると、二万八千八百八十一円で、これを月割りにしました額が大体運転手の月間の収入と見ていいと思います。それ以外に、自動車賠償保険料であるとかあるいは運転手の養成の費用あるいは冷房器具の設置、服装費、車内の設備質、たとえばタコメーターであるとか安全まくら等、こういうものをひっくるめてみますると、運輸省通達によります厚生施設あるいはガソリンの値上がり、ガソリン税の値上がり等を全然除外いたしまして、直接に人件費と車自体にかかりまする経費を累計しても、大体一カ月一車当たり三十八年に比べて六万円以上の増加になっているわけなんです。これを結局いまの企業が消化できるかどうかということが、赤字経営になるか黒字経営になるかという私は岐路に立っていると思うんです。先ほど大臣が、近代化あるいは合理化等をやって、もっと企業の改善をしなくちゃいけないと言うのは同感でありますが、ことばの上で抽象的に合理化、近代化ということは言えますが、では現在のタクシー企業の経営を改善するために具体的にどういう近代化をやったらいいか、どういう合理化をやったらいいか、大臣お考えがあれば、ひとつお示し願いたいと思います。
#21
○国務大臣(原田憲君) 私は、先ほど申し上げました点で、やはりサービスを売る商売でございますから、このサービスを売る商売が最も気をつけなければならぬのは、そのお客さんから評判が悪いということ、たとえば乗車拒否の問題であります。この乗車拒否の問題というものを何とか考える。そうでないと、かりに値上げをする場合にでも、いわゆる乗客の協力というものが得られない。お客さんにサービスをして、満足して女子供でも安心して乗れるタクシーなら、経営が悪くなった、ここで値上げをさしてくださいといっても、それはやむを得ぬじゃないか、こういうことに私はなると思う、かりに言いましたら。私は値上げを前提としては申し上げませんが、先般、名古屋のほうから申請が出ておりますが、これは私はまだ何も値上げをするとも何とも言っておりませんが、その後のことについて質問がございまして、抑制するという面を強調しておりますけれども、これなんかは非常にこの地方の人たちに受けがいいようですね。非常に協力を得ておる。こういうようなことは当然あってしかるべきじゃないか。いま確かにタクシーの経営が苦しいこともわかるし、私は、タクシー料金は国鉄以上に、それだけとってみるなら、安いんじゃないかという気がいたしますが、それじゃそれを値上げしてサービスがよくなるという保証があるかというようなことを言い合っておるのも本で読んだりいたしましたが、こういうような面で、まず、タクシー・サービスの確保ということ、旅客に対するサービスの改善ということが、これは具体的に何かと言われると一いま具体的に示せということでございますが、実は私、就任以来局長に、何かひとつ考えてみろ、それをみんなで知恵を出し合ってやるべきじゃないか。話が少し長くなるようでありますが、タクシー料金は中村さんのほうがよく御存知のように陸運局できめておるんですね。だから、陸運局というのは地方にあってその事情を一番よく知っておる。そうして申請をしてくる。これは本来ならばそこでもうきまるべき筋合いのものである。何でこちらまでくるかというと、一つは物価の問題と関連をしておるので、私は、大臣がいわゆる六大都市に対してはよろしいということを言うシステムにしちゃおうと思うんですが、物価という問題と、それからサービスという問題を考えますときに、物価の問題はさておいて、サービスという問題を考えると、具体的には、やはりその地方の団体、地方団体あるいはその地方の利用者の団体、そういう人も入れて、サービスをよくするために具体的にいまどうしたらよかろうかというようなことを考え出すことを考えてみることが一つの具体的手段ではないか、しろうと考えか知りませんが、そういうものを考えて局長に指示したりいたしております。
#22
○中村正雄君 私は、あと、サービスの問題についても質問しようと思ったわけですが、いま大臣がおっしゃいましたように、いまのタクシーの運転手のサービスという点については、もちろん優秀な運転手、優秀な企業もそれはわずかではありますがあるでありましょうけれども、一般論としては、私は、もうタクシーの運転手のサービスはゼロだと思います。たとえば、乗車して行く先を告げても返事をする運転手は十人のうち一人か二人です。ものを言ったら損だというのが大体いまのタクシーの運転手の常識じゃないかと思います。したがって、このサービスの問題についても、これは監督官庁でありまする運輸省自体がやはり何らかの具体的な指導をしなくちゃならないと思いますが、私が特に大臣にお尋ねしましたのは、大臣は、サービスがよくならなければ運賃の値上げについても国民が納得しないと、こう言われておりますが、私はそういう意味じゃなくして、いまの物価安定策としては、国鉄であろうとタクシーであろうと運賃・料金はやはりそのまま据え置いて、しかも企業が何とかやっていけるような合理化、近代化についての具体策をやはり運輸省自体が指示するか、あるいはまた、別に国の施策として何らかの企業の経営の安定のためのてこ入れをする必要があるという意味で、私は近代化、合理化の具体策をお尋ねしたわけで、運賃値上げをするためにはサービスをよくしなくちゃいけないということを私は質問したわけじゃないんです。しかも、いままで過去五、六年の間、国鉄の運賃を値上げしたり、あるいはほかのバスその他も二、三値上げをされました。そのときに中小の――タクシー、ハイヤー業はほとんど中小企業、個人企業と言っていいのが大部分ですが、この経営の困難なときに運賃値上げということはしないと、それ以外の方法において歴代の大臣は何らか経営が安定するような具体策を講じたい。ことに、そこに働いております運転手の賃金というものが、他の産業に比べて非常に低い、そうしてベースアップについても金額が少ないのはやはり経営というものが前提になっておるので、経営の改善については、運賃の値上げ以外の方法で何らかの政府がてこ入れをしたいということは、歴代の運輸大臣がいつも答弁になっているんですけれども、遺憾ながら、こういう企業について、経営改善について政府がてこ入れしたという具体策は私聞いておりません。したがって、端的に言えば、弱い者いじめのような物価対策、公共企業料金についての対策というふうにしか受け取れないわけでありまして、したがって、大臣にお尋ねしましたのは、現行運賃を据え置いて何とかタクシー企業が改善できるような具体的な指摘を聞きたかったわけなんですが、あればお教え願いたいと思います。
#23
○国務大臣(原田憲君) いまの中村先生のお尋ね、サービスのほうへ先取りをしちゃって何ですけれども、私は、現行の運賃を据え置くかどうかということは別にしまして、ちょうどLPGの値上げの問題が大蔵委員会にかかりまして、そのときにLPGの税金を取ろう、上げよというのが政府の考えであった。これに対して、それはいわゆるタクシー料金にはね返ってくると、こういうことであるからそれは反対だ、こういうことが非常に議論になったことはもう御存じのとおりでありますが、その当時、かせげないのは一番根本は運賃じゃないか、それで一方、ガソリンは税金かけている、LPGは無税だと、それでLPGばかりに走っちゃったら、これはもうガソリン税というものがだんだん減ってきているんですから、あのときは明らかに見えてきていたんだから、そうなったら道路の財源が少なくなるんじゃないか、だから、あなたたちは払うものは払って、それで上げるものは上げてもらったらよろしいじゃないかという話をしたことを私は覚えております。そのときに、それは何ぼ運輸省に行って言ってもだめですということを業者の人が言ったことがあるんです。それはおかしい、運輸省というものは、そういうことについてどうするかという、上げないなら上げない、運賃を上げないなら上げずに何か収入の道をふやす方法を考えるという知恵を出さなければうそじゃないか、たとえば私しろうとだけれども、世界じゅう回ってみても、たとえばイギリスに行くと時間待ちというのがある、タクシーのメーターに。それはもういまみたいな大都市になってきて走れぬ。さっき言いましたように、走れないということになってきたから、これは先ほど、運転手が黙っていると言うけれども、おもしろくないから黙っている。これはだから、愉快であったらサービスもよくなるかしらぬ。安心して運転手が運転するために、時間待ちメーターというものを、われわれこれはしろうと考えだけれども、やってみたらどうか。あるいは二人、三人乗りということについて考えてみたらどうなんだろうというようなことを、これは大蔵委員会で出しゃばって運輸委員会の仕事まで口出しするのは何だから、附帯決議はしていませんけれども、修正案の説明をするときに同僚がそういうことを言っています。そのときに、私、正直に言ったらもう業者の人は相手にしないんだな、そういうことについても。あかぬのだという態度なんだな、そういうことについて。それじゃ私はだめじゃないか。やっぱりくふうをしてみてどうなんだよと、だめならだめ、なぜだめだということを結論を出さにゃあかぬわけですね。たとえば、時間待ちというものはタクシーの運転手はいいけれども、乗っているお客さんはおこってしまうだろう、早う行こうというのにおそいと。しかしそれはどうだろうと。そういうことを私は先ほどいろいろ検討してみぬかということを局長に言っているということは、そこらのことをあわせて申し上げておるのであります。
#24
○中村正雄君 タクシー行政というのはいま一番むずかしい時期にきておると思うんです。で、何と言っても国民の生活にはねかえる運賃・料金の改定ということをせずに、そうして何らか政府の施策によって経営の改善と、そこに働いておりまする従業員の生活安定ということを考えなければならないと思うんですが、しかし、大臣は大臣におなりになるまではそういう面でいろいろの御考慮があったと思うわけですが、幸いそういうお考えを持っている方が大臣になられたわけでありますから、私は政府のてこ入れによって企業の改善ということはできると思います。これは何らかの国民生活にはね返らない方向において、私は、従業員のせめてベースアップも世間並みとまではいかなくても、それに近いような数字が出るようなことは、やっぱり政府がてこ入れすればできると思いますので、その点について私は大臣に早急にお考え願いたいと思います。春闘はいま始まっております。もう四月、五月ごろには大体一般の民間企業は結論が出ると思いますが、大阪だけ例にとってみますと、昨年三カ月ばかりやっているわけなんです。それできまったものが私鉄の半分、一般の民間の半分なんです。それをやいのやいの言って組合側もこれは納得できないと、経営者側もこれをのんだらもう経営がやっていけないと言いながらも、最後には地労委のあっせんをのんだという状態から考えて、それから一カ年を経過した今日、経営は改善されておるどころか悪化いたしております。私は、ことしの春闘、一番心配しますので、何らかの政府のてこ入れを、私は、運輸大臣のもとにおいてお考え願いたいということをこれは要望いたしたいと思います。
 次に、私は、これは法律的な見地から、タクシー、ハイヤーの運賃・料金についてお尋ねいたしたいと思います。第一番に、これは局長でけっこうですが、運賃・料金の認可基準について、ひとつ運輸省はどういう基準を持っているか、お示し願いたいと思います。
#25
○政府委員(黒住忠行君) これは道路運送法の認可基準がございます。大きく分けますと二つで、一つは適正な原価を償うものである、もう一つは支払い側から見ますというと、支払いから見て無理がないといいますか、お客さんから見て支払い得るものであるという二つの面がございまして、この点につきまして道路運送法の認可基準として規定がございます。
#26
○中村正雄君 だいぶ古い話だと思いますが、特に先ほど大臣もちょっとお話のありましたように、六大都市のハイヤー、タクシーの料金については運輸省と経済企画庁の間におきまして何か協定があると聞いております。その協定の内容について御説明願いたいと思います。
#27
○政府委員(黒住忠行君) これは一つは手続でございまして、たとえば七大都市のハイ・タクの運賃につきましては関係閣僚協議会に付議するということ、それから、それ以外のものにつきましては事前に連絡あるいは事後連絡というふうな手続の問題があります。それからもう一つは、これは明文ではございませんけれども、最近におきます物価の状況等から見て慎重を期さなければなりませんが、どうしてもやむを得ないという場合におきまして、その場合にはたとえば当該地域のこれは全国百二十数カ所に区分しておりますけれども、当該地域におきまして全体的に赤字になった、あるいは全体としては赤字ではないけれども、一〇五%以内ぐらいではあるけれども、その中で過半の会社、五〇%以上の会社が赤字を計上しておる、そういう場合におきましては審議の対象として検討しようというふうな話になっております。
#28
○中村正雄君 それじゃ、具体的な問題としてお尋ねしますが、道路運送法の第八条第二項によりますと、運賃・料金というものは「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」というのが運賃・料金の基準になっております。そうしますると、適正な原価を償うものと適正な利潤というものが運賃・料金の認可基準であるといたしましたならば、いま経済企画庁と運輸省とが協定いたしておりまする過半数の会社が赤字になるとか、あるいは全体が、計数が一〇五ぐらいな黒字の状態になった場合に運賃・料金の改定について考えるというのは、私は道路運送法第八条二項の趣旨にもとるように思うんですが、この協定との見解はどうなりますか。
#29
○政府委員(黒住忠行君) これは御指摘のとおりに第八条二項の一号に、適正な原価、これに適正な利潤というものを含むということになっております。これは運賃申請に対しまして認可いたします場合の基準でございます。したがいまして、賃率をきめます場合におきましては、原価に適正利潤を加えまして賃率をきめていくということでございまして、現在やっておりますのは、いろいろ地方から申請が出ておりますけれども、いわゆる緊急度に応じて審議をしていこうという場合におきまして、先ほど申し上げましたものは非常にこのいわゆる緊急度の強いものでございますから、そのほうから先に手をかけていくというふうに解しております。したがって、法律的には、申請があればこれは役所のほうは審議をするのは当然でございますけれども、審議の順序といたしましては、先ほど申し上げましたようなことでやるわけでございます。それからその賃率を認可いたします場合におきましては、第八条の第二項のこれは一号のみならず全体的な、これに一号から五号までございますものを、これを基準にして認可をする、そういうふうに考えております。
#30
○中村正雄君 もうちょっと具体的な例を申しますと、先ほど私、大阪の地区の各企業の状態、四十二年度の状態の数字をもとにしてお尋ねしましたが、現在の状況であればいわゆる六〇%以上がもう一昨年から赤字になっておる、四十三年度はおそらくほとんどが赤字になるであろうと。こういう地域については、経済企画庁と運輸省との協定の内容に照らしても、これは申請があれば運輸省としては審議をしなければならない義務がある申請と見られますか、どうですか。
#31
○政府委員(黒住忠行君) 本件につきましては、申請自体はすでに四十年の十二月二十七日にございました。で、四十二年度の一応の対象事業者の状況を見ますと、先生が先ほど御指摘のとおりの数字でございます。しかし、これはいま陸運局におきまして全部につきまして詳細な計算、試算をやっている次第でございますが、まだ本省のほうに確定的な数字の報告が出ておりません。したがいまして、本省におきましては、陸運局の調査が終わりまして確定的な数字が、報告があれば、その段階において考えていきたい、審議をしたい、さように考えている次第でございまして、ただいまは大阪陸運局で調査をいたしておる次第でございます。
#32
○中村正雄君 もう一つ、運輸大臣にこれは政治的な見解としてお尋ねしたいわけですが、現在の東京、大阪のハイヤー、タクシー料金というものは、道路運送法八条がいうところの、いわゆる運賃として妥当なものであるとお考えになっておるか、どうですか。
#33
○国務大臣(原田憲君) 私は、他の物価と比べたときに、先ほど言いましたように、タクシー運賃の置かれておる地位は非常に低い、これは事実であります、数字ではありますが。しかし、それがはたして経営というものに、いま先ほどから数字で詰めておられて、ほとんど赤字で、四十三年度の数字は前半で見てもこのとおりだから、経営は赤字になってくるであろうということを指摘されておるのでありますが、私は、先ほど申し上げましたように、何といいますか、知恵というものを出してやっていくことによってこれが黒字にならぬとは言えないというものでありますならば、これがほかと比べて安いということは言えますけれども、妥当かどうかということについてはちょっと私、答弁をいたしかねます。
#34
○中村正雄君 私は、他物価との比較でなくて、道路運送法第八条は、一応適正な原価を償い、適正な利潤を含むものがやっぱり運賃の基準になっているわけなんです。経営が悪いのであれば、経営の悪い面についてはやっぱり監督官庁としての運輸省としては改善の指示を出すことができると思いますし、また出すべきだと思います。ところが、一社が悪い、二社が悪いというのであれば、これは私は経営の問題になってくると思いますけれども、大半の企業が、一、二の例外を除いては赤字であるということになれば、これは経営の内容が一般的にやり方がまずいということは私は言えないと思います。監督官庁のてこ入れその他によって改善する以外には私は方法がないと思う。そういう状態のもとにおける現在の運賃が、道路運送法八条にいう運賃ですね、それに合致しているかどうかということを私はお聞きしているので、他の物価との比較でお尋ねしているわけじゃないのです。
#35
○国務大臣(原田憲君) これは私、そこまでいくと企業の経営というものの中まで入っていかなければならぬ議論になると思うのですが、中村先生と議論をしようとは思っていないのですが、タクシー経営というものが近代的にはたして完全になされておるかどうかということについては、私は疑問を持っているのです。ということは、中小企業だ中小企業だと言われるけれども、タクシー業界においては中小企業はたくさんつぶれた。それを権利を持って、一台権利をつけてたくさん買った時代があるのですが、それは経営として見きわめをつけたときに人手が不足になって、運転手がくるかこないかわからぬのに、自動車の権利を買って台数をふやし、いまそのために運転手が実際は集まらぬから、増車をしても八〇%ぐらいしか動かぬ。その持っておる自動車に対して利子はかかってくる、基本の増高で圧迫してくる、いろいろな面で私は経営上――先ほどあなたが言われた、何か手助けをしてやらなければならぬということはわかるのです。私はよくわかるのですが、ほんとうに経営というものがとことん詰めたところまで近代経営というものになっておるかどうか。こういうことを考えるときに、いまの運賃の適正なコストというものと適正な利潤というもの――全車の適正な償却とあなたが言われる、そのとおりなんですが、その点にも問題がありゃしないかという感じが率直に言って少し私はするわけです。
#36
○中村正雄君 私はあると思います。したがって、これはあるとすれば、監督官庁として、こういう点を改善すべきであるという具体的な措置、これは法律の根拠がなければ勧告その他のほうでもいいと思いますが、やるべきであるにもかかわらず、従来何もやっておらないということは、私は、監督官庁として怠慢ではないか。したがって、この点も早急にお考え願いたい、こう思うわけです。
 次に、自動車局長、事務的な面で一つお尋ねいたしますが、運賃・料金の改定について申請があった場合に、大体どれくらいの期間で結論を出すという基準があるかないか、あればひとつ御答弁願いたい。
#37
○政府委員(黒住忠行君) 運賃・料金につきましては特別の基準は持っておりませんが、申請に対してはなるべく早く結論を出すという考えでやっております。しかしながら、区域事業につきましては、たとえばタクシー、ハイヤー、区域トラック等は、その地域全体として同じものを提出されるわけでございますから、その地域全体として運賃改定の必要があるかどうかというような面の審議を慎重にいたしまして結論を出しておりますけれども、従来のやり方では、認可の場合には、運賃の場合におきまして、そういう地域全体の場合におきましては却下という手段をとらないで審議をいたしまして、必要な審議で、認可妥当であるというような場合におきましては認可をしておるというような順序でやっております。したがいまして、申請後にどれくらいというもののきめはございません。従来の実績から見ますと、そのつどいろいろな期間がございまして、一がいには申し上げかねると思います。
#38
○中村正雄君 それじゃ一応結論を出す期間につきましては、それぞれの場合によって違うわけで、大体、申請があって半年以内とか一年以内とかいう内部的な基準はないわけですか。
#39
○政府委員(黒住忠行君) 普通の免許申請等におきましては、事案によりまして半年、あるいは一年というようなことをやっておりますけれども、運賃の場合につきましては、そういう期限を特に定めておりませんで、そのつど事務を早くやるということでやっておるような次第でございます。
#40
○中村正雄君 次に、個人タクシーについて、局長でけっこうですが、お尋ねしたいと思うのです。
 先ほどサービスの低下の問題について私も申しましたし、大臣もおっしゃいましたが、いま町を走っているタクシーのうちで、比較的私はサービスのいいのは個人タクシーだと思うのです。個人タクシーについては、一般の人もわりにサービスについては好感を持っております。ただ、この個人タクシーについて、根本的な問題として、私、局長にお尋ねしたいのは、やはり現在タクシー、ハイヤーが公共料金ということで、一つのワクの認可料金になっております。根拠は、やはりハイヤー、タクシーの公共性にあると思うのです。ところが個人タクシーの場合は、勤務時間について、これはそれぞれの個人の意思によってきめるわけで、極端に言えばラッシュアワーのときは車が走りにくい、あるいは深夜になると、やはり運転手の関係等で疲れるからできるだけ休みたい、こういうように個人タクシーは一番需要の多いラッシュアワーであるとか、また最低限公共性を確保しなければならない深夜というときにはほとんど町を走っておらない例が多いわけなんです。したがって、そういう意味において、サービスがいいからといって、ほとんどのタクシー企業、個人企業を個人タクシーにするわけにはいかないと思う。そういうやはり公共輸送という面から見て、法人タクシー、個人タクシーの台数の比率といいますか、そういう面について運輸省はお考えになったことがあるか、あるいは現在何らかの基準をお持ちであるか、あればひとつお聞かせ願いたいと思います。
#41
○政府委員(黒住忠行君) 個人タクシーは現在全国で約五十都市で認めております。その場合に、認めます基準は、流しタクシーをやっている場所ということで基準を考えております。流しタクシーをやっております地域につきましては、いま先生御指摘のように需要は朝から夜まであるわけでございます。したがいまして、個人タクシーは自由に勤務をするという形でございますから、そういう朝から夜までずっと需要があります都市におきましては、やはり法人タクシーというものを原則的に考えるべきである。しかしながら、個人タクシーはまた御承知のように、非常に評判がいいわけでございますから、タクシー事業の評判を維持し、向上していくという意味におきまして、そしてまた、タクシー運転手の長年の希望をかなえるというふうな意味もございまして、個人タクシーの評判を落とさないように維持しつつ、その範囲内において免許をしていきたい、さように基本的には考えております。また、都市によりまして、法人と個人タクシーの率というものをどのぐらいにすべきかということにつきましては、数字的に何割を個人にするという的確なものを持って処理すべき性格では一応ないと思いまして、これは各都市の実情に応じて陸運局長において適宜実施をしていく。その場合におきましては、先ほど申し上げましたような基本的な考え方のもとに免許をていくというふうに指導をいたしておる次第でございます。
#42
○中村正雄君 そうしますと、たとえば、東京というところを例にとってみますると、一番需要の多いのは、やはりラッシュ時が一番多いと思います。それからまた、どうしてもタクシーでなければならない、他の交通機関が終わってからの交通機関といえばタクシーしかないという深夜、こういうときには現在のところほとんどが個人タクシーは利用することができない、また率が非常に少ないと、こうなっております。これはもう勤務時間が自由でありますから、やはり個人タクシーの運転手は、こういう時間を避けると思うんです。そうしますと、その時期は法人タクシーしかない、一般的に言って。したがって、東京におきましては、法人タクシーと個人タクシーというものの率はある程度考えなければ、そのときどきのやっぱり行政の方針でやるというわけにはいかないと思うんです。したがって、東京であるとか、大阪であるとかいうところは、法人タクシーと個人タクシーの比率は、ある程度の基準をつくらなければならぬわけですが、これは運輸省自体がおつくりになりますか、管轄であります東京陸運局あるいは大阪陸運局がつくりますかは別といたしまして、認可官庁として私は考えなければならない時期にきているんじゃないかと思うんです。これを早急に検討するお考えなり、意思があるかないか質問したいと思います。
#43
○政府委員(黒住忠行君) 個人タクシーは、現在、申請が東京におきましては相当たくさんございます。この申請を早く処理するということでやらしておりますけれども、従来のいわゆる免許率というものを見ますというと、五〇%ないし六〇%でございます。そしてまた、例年の申請の状況等を見ますというと、おのずからそれの数というものはわかるわけでございます。現在、同時に、法人タクシーにつきましても増車をいたしております。たとえば、昨年東京都におきましては、昨年末から約三千両の増車をいたしました。そういうことでバランスを考えつつやっておるような状況でございます。したがいまして、現在の状況というものを、それを正しいとして固定するつもりはございませんけれども、おおむね現在のようなバランスのもとにおいて事務を処理していけばいいんではないか。もう少し将来につきましては、実情に応じて検討いたしたいと思います。
#44
○中村正雄君 最後に、運輸大臣にお尋ねしたいんですが、いま衆議院で国鉄運賃の改定が大きな論議を呼んでいるわけで、いずれは参議院にもやってくると思うんですが、私は、本会議でも経済企画庁長官に代表質問で特に質問したわけですが、国鉄にしろ、私鉄にしろ、タクシー、バスにしろ、交通機関という面においては、みんな代替性を持っていると思うんです。そうしますと、やっぱり運賃の安いもの、サービスのいいもの、便利のいいものに利用者が流れるのが自然の法則なんです。したがって、現在一番私が、この前も心配いたしておりましたのは、国鉄と私鉄との定期運賃で、平行線を走っているところで、格差があるところが相当あります。しかし、現在の大体通勤定期というのは、一般的にいって、利用者の個人が負担しているというよりも、会社、企業が負担している例が相当多いと思うんです。したがって、私鉄のほうが安いからといって、国鉄の運賃が上がったからといって、一ぺんに私鉄に流れるということは前の運賃改定のときにはありませんでした。しかし、今度もし国鉄の運賃の改定が成立し、運輸大臣や、企画庁長官の言明のように、私鉄は値上げしないという方針を堅持していけば格差がもっとひどくなると思うんです。そのときに、現在、定期運賃を負担いたしておりまする会社、企業が安いほうに流れる懸念も出てくると思うんです。これはちょうどタクシーについても同じことが言えると思うんです。現在、東京都内におきましても、バスの運賃は再三上がりました。タクシーはそのまま据え置きになっている。したがって、団地等では、いま私鉄のターミナル等で、当然バスを利用すべき通勤客が三人、五人同じ会社に通う人が団体を組んで、いわゆるタクシーの奪い合いをやっている、こういう例があるわけなんです。したがって、運賃のアンバランスによります交通の混乱ということは、現在、部分的ではありますが、起こっておりますが、これがだんだん拡大する傾向にあるんじゃないか。運賃改定の混乱について運輸大臣はどういう対策をお考えになっているか、あればひとつお示し願いたいと思うんです。
#45
○国務大臣(原田憲君) いまの問題で、中村さんが本会議で質問された、ちょっとあの質問に対して菅野大臣の答弁はちぐはぐじゃなかったかと私は受け取っておったのでございますが、やはりこの運賃のバランスというものは――運賃だけでは私はないと思いますが、世の中というものはバランスがとれてなかったらうまくいかないので、バランスをとるということは必要であると思います。大臣に就任いたしまして、運賃の質問にあうたびにバランスということばを再三使っているのでございますが、具体的な問題としまして、来年度の予算において、国鉄運賃以外の公共料金は極力これを抑制するというのが政府の統一した姿勢であります。したがいまして、私は、この国鉄運賃以外の公共料金、運賃につきましてもやはり抑制をするという姿勢で臨まなければならぬと考えております、基本的には。中村さんのほうでは、一年間ストップして根本的に考えてみたらどうだ、こういうお考えをお持ちのようでございますが、私どもは、まずこの際、国鉄というものは、これはどうしても例外というか、これだけは何としてもやらないと、国鉄自体が非常な今度は物価というか、経済全体に影響を及ぼしてくる。こういう問題があるから、これはどうしても今度はお願いをしたい。したがって、これが今年じゅうに――今後運賃問題についていまの御指摘のような問題につきまして、私は抑制するという姿勢で臨みますけれども、今後、運賃というものがどういうものにならなければならないのか、これは国鉄問題でもたびたび質問が出ております交通機関の総合性という問題と関連して、どうなければならないのかということを検討しなければならない、このように考えております。
#46
○中村正雄君 基本的なお考えはわかりますが、当然起きる交通混乱についての対策を私は質問しているわけなんです。これは国鉄運賃が上がるか、上がらないかは別にして、現状におきましてもバスとタクシーの運賃のアンバランスで、密集地的な団地であるとかあるいは国鉄のターミナル等では混乱が起きているような状態なんです。もうこれが今後拡大されることは想像できるわけです。もし、政府の方針のように、国鉄運賃が上がるとなれば、今度は私鉄との通勤の輸送形態、地下鉄等、みな相当混乱すると思うわけなんです。これは当然私は企画庁としても、運輸省としても、国鉄運賃だけは例外的に上げる腹をきめたときに、これは当然予想される事態でありますから、それに合わせて私は手を打つ必要がある。その手を打っておらないということになれば、やっぱり巷間伝えられるように、国鉄が上がったときは私鉄が上がるんじゃないかという一般の国民からの疑惑の念が起きてくるわけなんです。したがって私は、大臣のおっしゃるように、国鉄だけは例外だから上げさしてほしい、それ以外は極力押える、企画庁長官は絶対に押えるんだ、これが基本方針であれば、押えたことによって生ずる混乱についての具体的な対策がなければならない、その具体的対策をどうお考えになっておるか、それをお聞きしておるわけなんです。
#47
○国務大臣(原田憲君) 菅野大臣も絶体ということばは訂正しておりますから、正直言いましてこの間ぼくと二人で、菅野さん、絶対と言うものだから、絶対ということはあんた何でそれができるんだという質問にあって、決意であるということに訂正になっておりますが、いま御指摘になりました、との間からもたびたび出ておりますが、私鉄の定期と国鉄の定期は差があるわけなんですが、確かにやりますとその差が大きくなることは間違いございませんが、これは一般運賃のほうは、また国鉄が今度上がりましても大体一ぺんに高くなっておりませんから、定期運賃の問題については、去年上げましてから私が一番心配しておったのはそこで、すぐ運輸省で現状どうだということを聞いてみたんです。そうすると、いまお話しのように、たいした異論は起こっておらない。当然起こってくることが起こっておらないというのが、いかに今日、運賃というものの中でその自分の負担、いわゆる自分の腹を痛めた金を払っておる人が少ないかということがここに具体的にあらわれておると私は思うんです。また、個人の日雇いみたいな職にある人でも、現在の手不足の時期は、この人に運賃を出さぬと、電車代も出さぬと来てくれと言っても来ぬような世の中になっておりますから、この点について議論するほど大きな差があらわれなかったのはここだなあということを私は把握したつもりなんです。今度の場合も、しかし、今度また一割五分ですから、この間も一番遠いところを出して公明党の広沢君から質問がありまして、名古屋と豊橋の一番長いやつでこれは相当な差になるわけです。今度もし値上がりをしたらこういうことになるじゃないかということを指摘して、これなら値上げをせぬというのはおかしいじゃないか、これは値上げをするということになるんじゃないかという質問があったんです。確かにそういう部面がありますけれども、私はまあこれらのことについてもよく慎重に検討して対処したい。幸い物価の問題について、これはもうあくまで物価ということと勘案して考えておるのでございますから、物価というものについて、私は運賃というものは一番吸収されやすいものだと思っております。いままで物価の一番上がった年は――たとえば昭和四十一年ですか、この運賃を上げた年は、この前、中村大臣のとき。物価も上がっているかといったら、あのとき三割でしょう、上がったのは。三割物価が高騰したかというと、その前の四十年、あれほど不況であったのに、あのときの物価の上がり方のほうが私は大きかったじゃないかと記憶しております。この運賃問題は統計数字上、〇・二%鉄道、私鉄を上げると〇・一という数字は確かに出てきますので、このことについて考慮をし、抑制しなければならぬということ、十分考えていますけれども、慎重に検討を加えている。こういうことを、まことに抽象論でございますけれども、重ねてお答えといたします。
#48
○中村正雄君 現在、通勤定期の大部分は、会社、企業が負担しております。したがって、差ができても、いわゆる交通混乱しない方法は税制の面で私は考えられると思うのです。いわゆる平行する私鉄の運賃を値上げをしなければ考えられないというようなものではなくて、やはり平行する私鉄の運賃の問題もそれはもとではありますけれども、交通混乱を避けようとすれば、政府がやる気になれば、税制の面でもその他の面でも私は考えられると思うのです。そういうことを全然考えておらないで、私鉄その他の運賃値上げは極力押えるでは、私は一般の国民が納得しないということで、何らかの混乱を防止する対策を具体的に早急に考えてほしい、あればお聞かせ願いたいということが質問の要点でございました。
 時間がありませんので、私の質問はこの程度で打ち切りますが、途中で申し上げましたように、いま、タクシーの運転手のベースアップのいわゆる春闘の時期になっておりますので、大阪だけ例にとって言うわけではありませんが、昨年三カ月半もやってああいう問題になって解決が一番おくれておる。今年は一般民間産業に比べてあまりおくれないように、あまり混乱させないように、やはりタクシー運転手のベースアップについても世間並みのベースアップのできるような努力を、監督官庁として私は運輸大臣にお願いして、質問をここで打ち切ります。
    ―――――――――――――
#49
○委員長(岡本悟君) 次に、海運及び港湾行政に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#50
○三木忠雄君 まず最初に運輸大臣に、港湾整備の新五カ年計画についてお伺いしたいと思います。
  〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕
#51
○国務大臣(原田憲君) この五カ年計画につきましては、具体的に政府委員から、局長からお答えいたします。
#52
○政府委員(宮崎茂一君) 五カ年計画の骨子でございますが、昭和四十三年度から昭和四十七年にわたります五カ年計画でございます。昭和四十七年の取り扱い貨物量でございますが、十五億三千万トンというふうに考えております。全体の総投資額は一兆三百億でございます。この中でいわゆる単独事業――港湾管理者が単独でやる分が千二百億でございます。それから、港湾の機能施設と申しまして、倉庫とか上屋とか国の補助のない部分、それが千百億であります。したがいまして、これを引きまして残り八千億でございますが、この八千億がつまり何らかの形におきまして国費が入っている金、港湾管理者が施行し、あるいはまた直轄で、あるいはまた公団の施行する分でございます。
 要請別に申し上げますと、この八千億というのが先ほども申し上げました整備事業の総額でございますが、これを要請別に申し上げますと、外貿関係の事業に約三千億、それから国内輸送需要の問題に二千百五十億、それから産業港湾に千四百億、その他調整項目が千百五十億、そういうことで一応考えておるわけでございます。
#53
○三木忠雄君 現在の計画を変更した理由ですね、四十四年までの計画ですね、それを変更した理由について、そのどこが違うか、具体的に教えてもらいたい。
#54
○政府委員(宮崎茂一君) 従来の計画は、御承知のように昭和四十年度から四十四年度までの五カ年計画でございました。総投資額が六千五百億でございました。それで三年を過ぎたわけでございまして、約五〇%を使ったわけでございます。ところが、まず第一期のこの計画に乗り移ると申しますか、計画を変える理由といたしまして、国の、政府の社会経済発展計画と申しますか、新しい将来の目標が示されたということ、それから港湾の取り扱い量、取り扱いの貨物量というものが、この当時想定いたしておりました扱い量に比べて非常に上回ってまいっております。それから第三番目には、コンテナ輸送でございますとか、そういったような新しい需要と申しますか、そういったものが出てまいっております。この第二次の五カ年計画におきましても、実は調整項目というものを持っておったわけでございますが、この調整項目をほとんど取りくずしまして、したがいまして、計画自体に弾力性というものがだんだん少なくなってきた。こういったようないろいろの観点から、新しく四十三年から五カ年計画に切りかえた、こういうことになったわけでございます。
#55
○三木忠雄君 この計画は経済企画庁の発表している新総合計画ですね、これとの関連はちゃんとできておりますか。
#56
○政府委員(宮崎茂一君) いまの御質問ちょっとわかりかねますが、新といいますのはまだ企画庁が……。
#57
○三木忠雄君 第四次は現在発表していますね。第五次は現在立案中ですけれども、この問題について、港湾局あるいは運輸省と経済企画庁との間で具体的な話し合いができた上でこの港湾五カ年計画を発表しているかどうかです。
#58
○政府委員(宮崎茂一君) あの港湾整備五カ年計画はいろいろの数値がございます。国民総生産の数値とか、あるいは鉱工業生産指数でございますとか、あるいは貿易量でございますとか、こういったものはすべて経済企画庁の数字をとっております。したがいまして、企画庁にも私どものほうから人も行っておりますし、よく打ち合わせをいたしております。
  〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕
#59
○三木忠雄君 海運局長に、大体、最近五カ年の入港船舶の実態をちょっと説明してもらいたい。
#60
○政府委員(澤雄次君) 最近の入港船舶の実態でございますが、四十二年を例にとりますと、輸出が二千五百万トン、輸入が二億九千五百万トンという状態でございまして、一日の平均の入出港の船舶を見ますと、隻数で一日に三十二はい、十七万三千トンという船が毎日出たり入ったりしているわけでございます。最近の量の推移でございますが、五年間と申されますと、三十九年に輸出が千九百万トンでございましたものが四十三年には推定で二千九百万トン、輸入は三十九年に一億七千七百万トンでございましたものが、四十三年には推定で三億二千万トン、このような状態に相なっております。
#61
○三木忠雄君 最近横浜あるいは神戸、この主要港において沖待ちが非常に多い、こういう話を聞いているわけですが、この実態について話を聞きたい。
#62
○政府委員(宮崎茂一君) いわゆる滞船の問題でございますが、六大港におきまして、四十三年の資料でございますが、六大港平均いたしまして入港船舶の約一三%――一二・七%が詳しい数字だと思いますが、約一三%の船が三十三時間の滞船をいたしております。
#63
○三木忠雄君 その滞船の原因、何が滞船の原因になっているか、それについて。
#64
○政府委員(宮崎茂一君) この滞船の問題、非常にむずかしい問題でありまして、私どもがいま考えておりますのは、まず施設が足りないのじゃないかという問題が一つあるのじゃないか。ところがこれにはいろいろ問題がございます。と申しますのは、滞船はいたしましても、一カ年という長い目で見ますと、とにかく何とか貨物は消化しているわけなんです。ですから、そういう面からいえば、施設不足というのはどの程度あるのか、これは非常にむずかしい問題です。ですから、もちろん滞船が全部消化するような施設があれば、金があればどんどん施設をふやしてもいいわけでございます。しかし、そうもまいらぬ。ですから、一番常識的に言われておりますのは、月末、月首に船が集まるわけでございます。ですから、それはどういうわけだ。その月末、月首を平均化いたしますと、非常にこれはよくなるわけでございます。施設のほうもよくなりますし、それから荷役能力のほうもよくなります。人を集めるほうも、通常のほとんど工場生産と同じような人手でやれるということで、私どもこの月末、月首の集中と昔から取り組んでおるわけでございますが、これは運輸当局だけでは何ともなりません。いわれておりますのは、いわゆる商習慣だということでございまして、総理府の港湾調整審議会に特にそういう部会を設けまして一これは各港ごとにいろいろと問題があるわけでございます。港ごとの特色がございます。したがいまして、そこで港ごとに部会もまた現地に設けまして、いろいろな面でやっていこう。たとえばいま船荷証券というのを出しておりますが、これを上屋に入れたときに証券を出すようにしたらどうかとか、そういういろいろな商習慣のいわゆる経済、財政、金融の問題じゃないかということで考えられております。それからまた、やはり船が入ってまいりましてから、つまり神戸ですというと、沖のほうで夜入ってきますというと検疫を待つために、施設はあっても朝まで入らない、それはやはりそういう問題もございます。したがいまして、船が入ってから出るまでの間に、あらゆるところでいろいろな問題が多数ございまして、これを解決していくということが望まれているわけでございまして、非常に従来からもこの問題はやっておりますけれども、そういったことで非常にむずかしい問題でございます。
#65
○三木忠雄君 いまの検疫待ちの問題で私ちょっと伺いたいのですけれども、私の手元にある資料によりますと、検疫待ちで約二十億は損失をしている、こういうデータがあるのですけれども、この検疫の問題について、農林省ここでどうでしょうか、貨物の問題ですね、厚生省と両方お願いします。
#66
○説明員(実川渉君) 沖待ちの問題につきましては、従来からいろいろ問題がございます。おもなる原因は、先ほど申されましたように、港湾施設の不足が原因だろうと思います。それから、非常に少ないパートではございましょうけれども、検疫待ちということが問題になっております。これはなぜ検疫待ちという事態が起こるかと申しますと、検疫の目的でございますが、わが国に常在しない検疫伝染病、わが国に常在しない悪質な伝染病、たとえばコレラとかペストですとかそれから痘瘡、黄熱、回帰熱、発しんチフス、これを防止しているわけでございますが、このわが国に常在しない悪質な伝染病を防止いたしますために、港外湾のいわゆる検疫区域というところに集約をいたしまして、そこでいわゆる検疫を行なっておるわけでございます。これはなぜ集約をするかと申しますと、一々ばらばらなところに停泊をいたしましたものに検疫を行ないますと、検疫対象船をさがすだけでもって非常な時間がかかる。ところで検疫というのは、そういった伝染病の侵入を最大限度押えまして、しかも、国際航行の被害というものを最小限にとどめようというのがねらいでございますので、そういう点も勘案いたしまして、検疫区域内で検疫をするという体制をとっておるわけでございます。したがいまして、外国から参りましてわが国のファースト・ポートに入港しようといたします場合は、原則といたしましてその検疫区域で検疫を受ける、こういうことになるわけでございます。
 ところでその検疫区域でございますけれども、これは沖合いにございまして、そこに日出から日没まで、特に事情がありますればもちろん夜間といえどもやるわけでございますけれども、原則といたしまして日出から日没までに入りました舶船について検疫をやっておる。したがいまして、日没後に入港、検疫区域内に至りました場合には、原則としてやっておらない。それが検疫待ちということの一つでございます。ただ、それは検疫だけの都合ではございませんで、実は舶船側にもいろいろの事情があるようでございまして、一晩明けてから入港したほうがいいというような船もございますので、検疫待ち即検疫だけの都合ということじゃない、こういうふうに存じます。
#67
○説明員(安尾俊君) 先生御案内のように、植物検疫は外国から日本に未発生の病害虫が入ってくるのを防止するためにやっておりまして、確かに最近木材、穀類等輸入量が非常にふえております。それに対しまして検疫体制の強化をいたしておりますが、船が集中して入りますと、やはりいろいろ問題がございます。植物検疫側といたしましてもできるだけすみやかにするように努力をいたしておりますが、そのほか、技術的にも本船で薫蒸して船待ちをしないようにしたいということから、そういう技術の開発等にも努力いたしております。
#68
○三木忠雄君 厚生省並びに農林省でありますけれども、実際の検疫業務、船の実態ですね、検疫しなければならない船と、それから検疫官の数ですね、これはどういうふうな比例になっておりますか、その実態を示していただきたい。
#69
○説明員(実川渉君) 私ども、検疫法は単に国内法だけじゃございませんで、いわゆる国際的に国際衛生規則――かつての国際衛生条約でございますが、それの発展的になりました国際衛生規則に加盟参加しておる国が百三十カ国ばかりございますけれども、そういった国際的な業務といたしましてこの検疫を行なっておるわけでございます。それによりますれば、外国を発港いたしましたものあるいは外国船に接触をいたしましたもの、そういった船舶が日本の国内に入ろうとする場合には検疫を受けなければならない旨が規定されております。御質問のございました体制でございますが、そういった検疫を行ないますために、現在、全国の主要海空港七十四カ所に検疫所を設置いたしまして、七百六十二名の職員を配置いたしまして、検疫伝染病の進入防止に遺憾のないように努力しておるところでございます。
#70
○説明員(安尾俊君) 先ほども申し上げましたように、植物並びにその生産物の輸入量が激増いたしておりまして、これまでも年々増員をいたしておりまして、四十三年度現在で四本所八支所、それから出張所が五十カ所で職員数が三百九十一名おりますが、四十四年度も三十三名の増員をお願いいたしまして、新しい指定港並びに特定港の追加指定、それから既設港におきます業務量の増大に対処していきたい、こういうふうに考えております。
#71
○三木忠雄君 海運局長、この問題どうですか。
#72
○政府委員(澤雄次君) この検疫のための待船、沖待ちというもの、これは実にたいへんな問題でございまして、計算によりますと、先ほど先生がおっしゃったように年間の損失二十億ということがいわれております。それで、主として厚生省のほうの検疫の関係が非常に重大な関係がございますので、厚生省にはたびたび私のほうからも何とかこれを改善していただきたい、それから予算その他の獲得についてもわれわれは陰ながら応援申し上げたいということをお願いしておりますし、それから、船主協会その他の船会社のほうも、何とかこれをもっと改善していただきたいということで非常に強い要望がございます。今後とも厚生省のほうにひとつこの改善について強くお願いをしていきたい、このように考えております。
#73
○三木忠雄君 運輸大臣ですね、これで約二十億この検疫待ちで損害をしているというわけですね。逆に検査官を何人ふやすか、これはいろいろ検討されておりますけれども、もっともっと運輸省として強力にやはり厚生省やあるいは農林省に働きかけをすべきじゃないか、こう思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
#74
○国務大臣(原田憲君) お話しのごとく、この船待ちのためにたいへんな損をするということは、もちろんこれはもうなくするために、私といたしましてはできるだけ今後努力をいたしたいと思います。なお船待ちの問題で、先ほど話が出ましたが、特に神戸で月末、月初の集中というものが長い間解決ができないというお話を聞かされまして、これは特殊なものであるというので、私は実施を見て帰ってきてすぐ通産大臣に、これをあなたのほうの行政で、貿易関係で長い間の商慣習というものがあるらしいが、これらについてほんとうに本気になって取り組んでくれませんか、私も努力をいたしますということを申し上げて、目下努力をいたしておるのでございますが、今後ともより一そう努力をいたしたいと思います。
#75
○三木忠雄君 私は、次に、神戸の第六突堤のことについて伺いたいのでありますけれども、神戸の第六突堤の現状について、防衛施設庁見えておりますか、状況を。
#76
○政府委員(鶴崎敏君) 神戸の第六突堤は現在米軍に提供しております。その使用状況は、四十三年について見ますと、軍艦が十三隻、軍用船が十二隻、自衛艦が三十隻、一般商船が六十七隻、これは米国籍です。合計百二十二隻がこの突堤を利用をした実績がございます。この実績は、神戸港のほかの突堤と比較しますと、利用率としては確かに低い。ちなみに、この隣接の第五突堤と比較しますと、約半分程度であるという状態になっております。
#77
○三木忠雄君 いつごろからそういうことがわかりましたか、防衛施設庁は。
#78
○政府委員(鶴崎敏君) これは、利用の状況はそのときによってかなり違っておるわけですが、最近ここ数カ年に至って米軍の利用状況が減ってきておるということは事実でございます。
#79
○三木忠雄君 私は、いろいろの調査によりますと、公明党の基地総点検をやってから初めて施設庁がこの問題について動いたと、こういうふうに聞いているわけです。実際にこういう問題についても、ほとんど月に一回ぐらいしか船が寄港していない、水を入れる、油を入れる、その程度にすぎないようなこういう問題に対して、全然防衛庁として対策を講じてない、こう考えるのですが、どうですか。
#80
○政府委員(鶴崎敏君) 基地の問題につきましては、わが庁としまして全般的に従来も検討をしてきておるわけです。昨年の九月には、日本の基地の現状と問題点について日米安保協議委員会の事務レベルの会議におきまして、米側にその実態を説明し、こういう点についてはぜひ配慮してもら
 いたいという申し入れをしたわけでございますが、昨年の暮れ、さらに日米安保協議委員会の上の段階の会議を開きまして協議いたしました結果、いま御指摘の神戸の第六突堤につきましては米側がこれを返還をする、しかしながら、返還するについては米側としても、今後引き続きこの地区における米軍の貨物の集配のために必要であるから、そういった利用は継続するということを条件に、この施設の管理権を日本側に移管するといいますか、返還をするということに相なっております。現在、施設委員会の下部機関であります施設調整部会において、米側と具体的な問題につきまして検討を進めておるという状況でございます。
#81
○三木忠雄君 この問題について、神戸市から外務省、あるいは運輸省、あるいは防衛施設庁にいろいろ陳情、あるいは市長以下がいろいろ意見書を持って伺ったと思うのです。この問題について運輸大臣、どう処理しておりますか。
#82
○国務大臣(原田憲君) 神戸市、すなわち港湾管理者も、いまお話しのようなこれを返してほしいという意向であるということは聞いております。したがいまして、わがほうといたしましては、いま答弁のありました施設庁にこの問題について折衝をいたしました。いま経過のごとく手続中である、このようなことでございます。
#83
○三木忠雄君 いつも手続中でありますとか、あるいは途中でありますという例が非常に多いんです。施設庁としては絶対返してもらうという一念があるのかどうか、強い決意で臨んでいるかどうか、その点どうですか。
#84
○政府委員(鶴崎敏君) 先ほども申し上げましたように、昨年暮れの日米安保協議委員会におきまして、この施設は米側から返還すると、ただし、引き続き米側の必要とする利用についてはこれを認めるというようなことで日米間に合意を基本的に見ております。したがって、これは米側から返還をさせるということについては、日本政府として方針が決定しておるというふうに考えております。
#85
○三木忠雄君 次にコンテナの問題について一、二伺いたいわけでありますけれども、運輸省として、コンテナ対策について現在どういうふうな状況であるか、それをお示し願いたいと思います。
#86
○政府委員(宮崎茂一君) お答えいたします。一昨年の十月に、御承知のように阪神と京浜に外貿埠頭公団を発足させまして、京浜におきましては東京、横浜に、阪神におきましては神戸、大阪にコンテナバースをいまつくっております。最近、その貸し付け先がようやくきまりました。神戸三バース、大阪二バース、横浜三バース、東京二バースということになっておりまして、貸し付け先がきまりましたので、いわゆる受益者の分担金と申しますか、そういうものをこれから導入いたしまして、今年度の末には、いまの全体で十バースでございますか、京浜地区五バース、阪神地区五バース、そういうものを完成させる予定でございます。また、このコンテナ埠頭の整備に先立ちまして、コンテナ船あるいはセミコンテナ船、こういうものがどんどん入ってきておりますので、これにつきましては、既存の公共埠頭の臨時的な使用――これは神戸の摩耶埠頭、東京の品川埠頭でございますが、臨時的な使用をさせておるわけでございます。
#87
○三木忠雄君 先ほども厚生省のほうから、港湾の検疫等の施設が足りないというような話が出たわけでありますけれども、このコンテナの問題については、防疫施設というものは非常に問題じゃないかと思うんです。これについては港湾局長どうお考えですか。
#88
○政府委員(宮崎茂一君) いまの防疫と申しますと検疫のほうでございますか。
#89
○三木忠雄君 検疫のほう、そうです。
#90
○政府委員(宮崎茂一君) 非常にこれは世界各国でこのコンテナというのが流行と申しますか、ほとんど雑貨輸送の近代的な輸送方式といたしましてコンテナ輸送の方式がとられているわけでございますので、私、防疫のほうは専門家じゃございませんけれども、やはり各国でおやりになるようなことをひとつやっていただきたいと、こういうふうに考えておるわけでございますが、その点詳細にしろうとで存じませんので、私のほうからお願いをいたしますのは、コンテナの輸送がワンバース五十万トンというふうに考えておりますが、こういうような成果をあげますように検疫のほうの厚生省のほうにお願いいたしたい、かように考えます。
#91
○三木忠雄君 農林省のほうで、このコンテナの検疫の問題についてはどういうふうに考えていらっしゃるか。
#92
○説明員(安尾俊君) コンテナ輸送で植物検疫が非常におそくなりますとネックになるのでございまして、植物検疫のほうといたしましては早急に委員会を発足いたしまして技術的に検討をいたしておりますと同時に、除毒装置つきの消毒器を試作いたしまして、そうしてコンテナの薫蒸を迅速化するように努力いたしております。
 なお、現在、専門官、防疫官二名を、このコンテナ輸送を中心といたします、いわゆる植物検疫の迅速化をはかるためにいかにしたらいいかということで、アメリカ、カナダに二名の専門官を派遣して調査させております。
#93
○三木忠雄君 厚生省のほう。
#94
○説明員(実川渉君) 従来の貨物船では、船倉に入りまして衛生環境、特に病原体を媒介いたしますネズミ族、こん虫の発見、検査につとめており、また国際的に各船舶は定期的にネズミ族の駆除等を行ないまして、六カ月間有効のそういった証明書の呈示を要求されております。ところが、コンテナ専用船の場合は、単に船倉を検査いたしましても、コンテナの内部状況がわかりませんので、それを明らかにするためにはコンテナ一個ごとの検査が必要になってまいります。しかし、その検査は船上で行なうことが困難な場合もございますので、そういった場合には、やはりコンテナヤードで検査しなければならないわけでございます。検査は特に積み荷の内容、たとえばネズミ族のえさになり得るような食料品などについて、かつはまた検疫、伝染病の流行しておる国におきまして貨物が積み込まれる、仕出しをされたというものについて重点的な検査を行なうよう指導しております。ただ、コンテナヤードは、御案内のように非常にふくそうしておりますので、スピーディーに検査を行なうためにはむしろ一定の検査する区域がまあ必要だと、こう考えておりまして、現に、中央におきます港湾関係の各省連絡会議などでは、私どものほうからこの問題を提起しております。また、農林省などのほうもそういうふうにやっております。
#95
○三木忠雄君 港湾局長、この問題については検討しておりますか、具体的に。
#96
○政府委員(宮崎茂一君) 私のほうの課と申しますか、いろいろなところで検討いたしておりますが、最近ではコンテナのこの船主のほうが中心になりまして、海運局と私どものほうで六月末までにいろいろなそういった問題も検討するようにいたしております。なおまた、私どものほうから申し上げますと、まあ施設の広さの問題になるわけでございますが、施設の広さにつきましては各国もまちまちでございまして、日本におきます、私どもが考えておりますところのこの幅、奥行きですか、三百メーターというものを考えておりますが、これはもう非常に、世界的にも一番大きなほうでございまして、いまのお話のようなそういった広さというものは確保できると、このように考えております。
#97
○三木忠雄君 海運局長ね、コンテナ船の本年の入港予定は大体わかっておりますか。
#98
○政府委員(澤雄次君) コンテナ船の入るのはスケジュールが非常にはっきりいたしておりますのでわかっております。これは現在コンテナ船が運航されておりますのは、アメリカの南部、カリフォルニアと日本の間、それから北米の、北側でございます、シアトルのほうと日本の間でございますが、南部と日本の間には大体毎週一回入るグループが二つ、それから北米のシアトルのほうでございますが、これと日本との間には毎週一回コンテナ船が入ると、このような状態でございます。来年からはこれはまた飛躍的にふえてまいるものと思っております。
#99
○三木忠雄君 現実の問題として、昨年の十二月の十九日には、名古屋港にコンテナ船がもう入港しているわけです。まあ本年も、いまも海運局長からお話のあったように、現実にコンテナ船が入港してくるわけでありますけれども、たとえば一例が、名古屋港において実際に防疫施設がないということで非常に問題になっておるわけです。地元民に対しても、消毒等の問題で非常に話題をまいているわけなんですね。この問題について、第一回のコンテナ船が入港した名古屋の状況についてお聞きになっておりますか、厚生省。
#100
○説明員(実川渉君) 先生おっしゃいましたのは十二月九日付のたぶん朝日新聞で、「海上コンテナに思わぬ壁、消毒施設もなし、防疫地域指定を申し入れ」云々の記事であろうかと存じます。しかし、名古屋港におきましてはまだ施設も十分でございませんので、実績はほとんどございません。あれも入る予定だったのが素通りしたそうでございます。
#101
○三木忠雄君 それで、東京と大阪で、このコンテナの問題で、東京ではネズミが死んでおったと、こういうような現実の話を聞いているわけでありますけれども、この実態についてどうでしょうか。
#102
○説明員(実川渉君) 先ほど申しましたような指導方針に従いまして、東京検疫所におきましてコンテナの検査をやりましたところが、ピンクビーンズのコンテナからネズミが二匹発見されております。直ちに病原学的な検査を行ないましたが、それらのネズミはいずれも餓死ないしは圧死したものと見られておりまして、死後すでに数日以上経過しており、もちろんペスト菌や、あるいはペストノミなどの病原菌ですとか媒介動物は発見されませんでした。
#103
○三木忠雄君 こういうふうに、これは一、二の例でありますけれども、現実にコンテナが入港してきて、そういうふうなネズミが死んだり、まあ戸口から戸口へ配送されるというコンテナの問題が、一番近代的なといわれている問題の中にそういう一番非衛生的な問題がある。こういう問題についてほんとうに真剣になって考えなきゃならぬ問題じゃないかと思うのです。現実に中身が植物の場合には農林省がやりますけれども、じゃ現実に、コンテナのからですね、これはどこがやるのですか。汚染地域から来たコンテナのからについての防疫、菌がついてくるという場合についての検査はどこでやりますか、どこが責任持ちますか。
#104
○説明員(実川渉君) からコンテナにつきましては、現在のところ検疫の対象外にしております。ただし、その船が汚染されておりました場合には、当然病原学的な検査をするわけでございますから……。
#105
○三木忠雄君 現実に船が着いてその港におろされると、コンテナがおろされた場合中身は検疫するけれども、実際に外の入れもの、これについての検疫方法ですよ。私のほうは責任は持たない、やりません、これじゃどうにもならないと思うのですけれども、この点どうですか。
#106
○説明員(実川渉君) からコンテナにつきましては、特にあけまして、そういったた病原体を発見をした場合を除きまして、一応検疫の対象にいたしませんですが……。
#107
○三木忠雄君 海運局長どうですか、これは、この問題については。
#108
○政府委員(澤雄次君) まことに申しわけございません。ちょっと所管外でよくわかりません。
#109
○三木忠雄君 そうですか、どこも検討してないのですね、この問題については。実際にコンテナのその問題についてどこの省が真剣になってコンテナ対策……。まあほかでいえば原子力が一番話題になっている。あるいは宇宙開発、こういう問題が非常に現在の重要な問題でありますが、海運にとってはコンテナというのは一番今後の問題として重要な問題じゃないかと私は思う。こういう問題について、船が着いてからこうしようとか、ああしようとかいう、あるいはこれはおれの管轄じゃない、私の管轄外でございますと、こういうような調子で実際に現実にいままで行政が行なわれている。現実に地元民がこういう船が着いた場合に非常に不安を感ずるわけですね。細菌等の問題については、現実にアメリカの物資がベトナムに送られています。そのベトナムにおいてもペスト、コレラが実際に発生しているわけですよ。コンテナの輸送については、こういう問題について、日本の中で現実にどこが責任を持ってこの問題を処理していくか。運輸大臣どうでしょうか。
#110
○国務大臣(原田憲君) 検疫の責任は私はそれぞれ、農林物資についてはいまお話のあるように木材等なら農林省、一般は厚生省、こういうことに責任体制というものはある。いま私聞いておりまして、コンテナ輸送というものが発達してくるときに、検疫体制というものが進んでおるかと、まあ私はいま聞いておったのでは、これはだいぶ力を入れにゃいかぬなという気がしたのですが、体制というものは現在までちゃんとあると思うんですよ。いまお話で、私はちょっとしろうとですからわからぬのですが、そういう病気のはやっておるところから船が着いた場合には、船全体について検疫ということが十分行なわれておるのじゃないかと、このように私は承知しておるのですが、それは違うかな。
#111
○説明員(実川渉君) 検疫、伝染病の進入防止をはかりますのは厚生省の検疫所の義務でございます。役目でございますので、その点については遺憾ないよう処置をしております。ただ、先ほど先生がおっしゃいましたからコンテナといいますのは、ちょっと私はあれでございますが、品物も含めてその容器という意味で消毒をするという、これはもちろんでございますですが……。
#112
○三木忠雄君 この問題は、いろいろ今後検討される問題だと私は思うんですけれども、現実にはこのコンテナの役目はなくなってしまうわけですね、実際に、船の中で検疫するなら、わざわざコンテナにする必要は何にもないわけです。たとえば、アメリカのほうから送ってきた場合に、やはりドアからドアへ送るというのがコンテナの使命だと思うんですね。それに対する検疫体制というのは一番大きな観点じゃないかと思う。ただ、港湾つくるのも非常に重要な問題であります。あるいは入港舶船等の確実な実態を掌握し、指導することも大事でありますけれども、根本的には、こういう対策が非常になわ張り的といいますか、各省別になって、具体的な討議が行なわれていない。こういう点、私は非常に遺憾に思います。こういう問題について、きょうは要望でありますけれども、この問題に厳重に検討を加えていただいて、コンテナの輸送の問題については、各省がお互いに連携をし、いわんや――具体的な問題はきょうは聞きませんけれども、実際に港湾なんかでも、相当な港湾設備がなければ防疫ができないと思うんですね。消毒しますと、二十四時間中は三百メーター周辺はもう立ち入り禁止だと、こういうふうなきびしい消毒があるわけですね。こういうふうな問題については、神戸港なんか現に民家が接近しているんですよ。こういう点についても、やはりもっともっと積極的な態度で臨んでいかなければ、船が着いてしまった、こうなってしまってからじゃもう間に合わないと思います。私はコンテナの問題については、今後の海上輸送の重要な問題でありますし、絶えずこの問題については進行状況、具体的な問題を取り上げて、検討を推し進めていきたい、こう思うわけであります。以上です。
#113
○国務大臣(原田憲君) いまコンテナ輸送に関する検疫の問題について、問題が提起されました。私はこれは非常に重大な問題であると認識して、国際的にもよく研究を進め、この問題を十分検討して、万遺憾なきを期したいと思います。
#114
○委員長(岡本悟君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#115
○委員長(岡本悟君) 速記をつけて。
    ―――――――――――――
#116
○委員長(岡本悟君) 次に、民営鉄道の運営に関する件について質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#117
○前田佳都男君 私は、私鉄運賃と通勤輸送の関係を中心として伺いたい。運輸省当局、場合によっては経済企画庁に御答弁を願いたいと思います。
 まず最初に、一般に運賃というものをつくる運賃形成、英語でいうとレート・メーキング(料金構成)、運賃形成の一般の理論についてちょっとお伺いしたい。長距離の輸送としましては新幹線、高速電車があります、あるいは飛行機がある。その間にやはり輸送機関相互間の競合がある。また、中距離、短距離につきましては鉄道軌道と、それからバス、自動車の間に競合がある。利用者は、輸送機関を利用する旅客は、まずサービスの点、それから料金の点、この二つの面からどの輸送機関を使うかということを選択することが、これが常識です。運輸省として運賃の形成に関連して、あるいは私鉄運賃、あるいは国鉄運賃、あるいは飛行機の運賃、運賃のレート・メーキング、形成に関連してそういう運送機関相互間の関連ということを考えておやりかどうかという、まず一般論を伺いたい。
#118
○国務大臣(原田憲君) 私鉄運賃の決定基準でございますが、国鉄の場合は法律に四つの項目を並べて、これは相反しておるじゃないかという御意見もあるんでございますが、運賃をきめております。私鉄運賃の決定基準といいますと、やはり電気事業とか自動車運送事業等、ほかの同種の公益事業と同様に、先ほどから話が出ました、適正な運営のもとに適正な原価を償うということが一点。かつ適正な利潤を含むものであるということが原則であろうと思います。そのほかに、ほかの交通機関との関係、利用者の負担力等も考慮しなければならないと、このようなものが運賃であると考えております。
#119
○前田佳都男君 大臣の御説明非常によくわかるんですが、異種の運送機関ですね、異なった運送機関相互間においてもやはり関連してお考えになるという御趣旨でございましたですね、飛行機とあるいは鉄道……。
#120
○国務大臣(原田憲君) 他の交通機関との関係、それから利用者の負担力……。
#121
○前田佳都男君 わかりました。種類の異なる運送機関でも運賃の形成に関連して考えて、比較考量して運賃というものをきめると。にもかかわらず、まあ同種の鉄道の――国鉄にしても事業主体が違いましても、国鉄と私鉄の場合は全く同じ種類なんですね、同じサービス。その相互間で密接にその関連を考えて運賃をきめられるというのが私はあたりまえじゃないかと。ところが、近くまあ国鉄の運賃が審議されることになっておりますが、必ずしもこの原則によっていないと思うんです。まあこんな例をあげる必要はないと思うんですが、ものごとをわかりやすくするために、定期運賃で国鉄は私鉄のざっと二倍以上、まあ線によりますけれども……。たとえば、上野−成田間が定期運賃で一カ月、国鉄の場合は六千七百三十円、私鉄の場合は二千四百円、それから新宿−小田原間が一カ月、国鉄は八千七百七十円、私鉄は二千二百四十円、天王寺−和歌山間が一カ月間、国鉄は六千二百四十円、難波−和歌山間私鉄二千九百九十円というふうに、国鉄は二倍以上なんです。普通運賃の場合は、新宿−小田原間三百六十円、私鉄は二百七十円、東京−新宿間、これは地下鉄と国鉄によりまして、一方は国鉄は六十円、私鉄は四十円、まあこんなに格差があるわけです。こういう格差が出てきたことは、とにかく運賃の一般の理論を、まあよく知っていらっしゃりながらできないと、バランスがとれなかったという事情というものは、いろいろ事情がおありだろうと思うんですが、率直にひとつ、どうしてこんなに格差が出てきておるのかということをひとつお伺いいたしたいと思うんです。
#122
○国務大臣(原田憲君) まあこれは前田さんのほうが私よりもよく知っておられると思うんですが、いままで大体、国鉄と私鉄の場合はバランスはとって、一方が値上げするときは一方も値上げし、ずっとまあ戦後も来てたと思うんです。それで、戦前には普通常識で、いまの国有鉄道と経理は違います、いわゆる国有鉄道でございましたけれども、その当時はそれだけ安かったと、民間のものよりも。戦後は大体同じ時期に値上げをしたら同じところで、いわゆる一物一価といいますか、こういうふうなのがありましたが、特にひどくなったのは去年ですね、国鉄の定期運賃を値上げをしておるわけです。ここでバランスが狂ってきておると。ほかのは、基本料金のほうは、まだたいした狂いはないけれども、定期運賃がいま御指摘のように、非常にバランスがくずれておる、これが現状ではないか、このように思っております。
#123
○前田佳都男君 大臣、わかりよく御説明になって、確かに従来は国鉄、私鉄というものは大体並行して料金体系というものはつくられてきたと、それが最近三十五年ごろから狂いが生じてきたやに思うのですけれども、これが最近は特に激しくなった。その原因を私は、原田運輸大臣は特に運輸行政を党にいらっしゃったときから深い研究をしていらっしゃってよく知っていらっしゃると思うのです。ただ、物価問題という点から経済企画庁が、とにかく物価というものは上昇率というものは五%以内に押えなくちゃいかぬというような一つの公式論理というか、それに拘束されてがんじがらめになって、そんなことを言っては失礼だけれども、経済企画庁は運輸省の仕事の実態を知っていないと思う。そんなことを言っては失礼ですが、そういうところが私ども、とにかく物価を押えることが必要だ、物価物価、物価抑制と言ってとにかく押えまくる。ただし、国鉄運賃を上げても私鉄運賃は上げられませんというようなことを、はたして経済企画庁言うたかどうか知りませんが、そういうことで運輸省としては本音を出すことができない、ほんとうのことを言えないのだ。そういうところに私は大きな原因があるだろうと思う。国鉄は上げてもいい、私鉄は上げられませんと。そんなことを言うたかどうか知りませんけれども、いろいろなものに発表したものを読んでみるとそういうふうに書いてある。それについて経済企画庁、どういうふうにお考えですか。
#124
○政府委員(八塚陽介君) 私ども、ただいま先生がお話しになりましたように、いろいろなところに関係のある仕事をいわば総合調整ということでやっておりますから、決して、たとえば運輸関係については運輸省より私どものほうよく知っているというふうにはなかなか考えるほどのまあ何といいますか自信過剰ではございません。あるいは農業政策については農林省、それぞれの分野についてはそれぞれ専門の省が非常によく実際に苦労もされておりますし、勉強もされておりますから、そういう意味で決して先生のお話しになりました、運輸省よりよく知っているからどうこうという態度でおるわけではございません。それから、物価問題につきましては、もちろん私ども物価に関する所管官庁というように考えておりますが、物価問題については企画庁だけのいわば方針というようなことではなくて、やはり政府全般の方針であろうというふうに考えて、その中で私どもの考え方としては、比較的他の省よりは物価の観点から強くものを言うということにはなっておるわけでございます。私どもの長官が先日も申し上げましたことは、当委員会ではなかったのでございますが、私鉄運賃については抑制するという決意である、大手私鉄についてはということで、決意ということを申し上げておるのであります。という意味をどういうふうに解釈するかでございますが、私ども姿勢としましても、物価問題の観点から上げたくないという気持ちは非常に強いわけでございますが、しかし、しからば一切の理屈なしにとにかく押えるのだということにも考えていないわけでございます。私どもが今後運輸省等といろいろお話し合いする過程で、やはり現在の段階では、私どもにもある程度の考え方がございまして、それほど一切理屈無用だというようなことを言う必要はないというふうに思っております。今後とも私どもよく、先ほど冒頭に申し上げましたように、専門省である運輸省の意見は、これはもう十分聞いてまいりたいというふうに思っております。
#125
○前田佳都男君 たいへん答弁がちょっと苦しいように思うのですが、企画庁がその物価の目付役として大きな役割りを演じておる非常に必要な官庁であるということはよくわかっている。また経済企画庁長官が大いに決意を披瀝することはこれも必要でしょう。必要でしょうけれども、その企画庁のそういう一つのまあ物価抑制という、何%以内という数字に押えられて、運輸行政というものがどういうふうな犠牲をこうむっておるかという点を、これからの問答を通じて、局長、よく頭に入れておいていただいて、これは経済企画庁の中でもよう説明してほしいと思う。ただ、なかなか運輸省の立場というのは――私は弁護士じゃないけれども、相当困っている、そういう意味においてこれからの問答をひとつ、どういうふうに困っているか、経済企画庁がどういう考えがあるのかというふうなことを私はあんたに聞きませんけれども、聞いたって答弁できないからしませんけれども、よくひとつ聞いていただきたい。
 いずれにしましても、とにかく国鉄と私鉄の間に非常に格差ができてくるわけです、これから。その影響というものがどうなるか。結局、私は私鉄に乗客が殺到してくると思うのです。関東に大手七社という会社があります。この定期旅客輸送の人員が、四十二年の上期と四十三年の上期とを比較いたしまして三・三%の伸びがあるわけで、ふえておる。ところが、これから大事です。国鉄との並行区間ではその三・三%を上回って、はるかに上回って一九・一%という伸びになっておる。これは関東だけじゃない、関西でも同じような状態なんです。そういう状態であるにかかわらず、今度の料金調整案によれば、さらにまたその格差がふえてくると思う。さらに私鉄に乗客が殺到してくるんですよ。この点について民鉄部長、どういうふうにお考えですか。
#126
○説明員(佐原亨君) 確かに前年上期に比べまして、全体といたしましては、三・三%の伸びを示しております。これは私ども役所といたしまして確認をしております。ただ、並行区間の一九・一%という数字は、常識的にはさもならんということは推察できますけれども、まだ計数的にいま裏づけ資料を審査中でございまして、まだはっきりここでお答え申し上げることはできない、ただ常識的にはあり得ることであるというふうに思います。
#127
○前田佳都男君 民鉄部長ともあろうものが、その並行区間の数字をもっとよく調べておいてくださいよ。これは大事な問題ですよ。しかも、私鉄に殺到してくる乗客はどういう乗客であるか、結局定期の乗客が多いのですね。しかも、定期旅客を輸送するために、車をふやさにゃいかぬ、便数をふやさにゃいかぬ、また駅員というか、人もふやさにやいかぬ、コストがどんどんかかってくる、そのわりに割引き率の多い定期旅客ですから、収入がそれに伴わない。収入と支出のアンバランスというものがますますふえてくることをお考えになりませんか。
#128
○説明員(佐原亨君) おっしゃるとおりだと思います。
#129
○前田佳都男君 今度の運賃改定で、とにかく一般の乗客は国鉄から私鉄にみんな移っていくんですよ、どんどん定期乗客がね。それを考えてくださいよ。その結果、私鉄利用に転移するために、国鉄は予定されるところだけの収入を得られないと私は思いますよ。きょうはたまたま国鉄の人がおりませんけれどもね、鉄監局長おったら、私はやろうと思って楽しみにしておったんだけれども、国鉄の予想収入というか、運賃引き上げによって予想収入をあげられないのじゃないかと、それを心配するのです。その点はどうですか。
#130
○国務大臣(原田憲君) これは先ほどからもたいへん議論のあったところなんです。私は大臣に就任をしまして、この委員会でも、前の大臣が私鉄運賃を一年据え置くと言うたが、最後の段階ではどうやら値上げの時期が来ておるというような発言があったが、おまえはどうだと、こういう質問を受けたんであります。私はその当時から、バランスをとることが必要であると思っておるということを申し上げておったんであります。一番気になったのがその点でありまして、去年、四十三年に国鉄が定期運賃の値上げをした。並行して走っている私鉄へいまおっしゃるような、なだれ現象が起きたかどうかということについて、私は民鉄部長その他にすぐしさいに尋ねてみた。そうするといま数字の上の議論はなさっておりますが、これがそう考えているほどあらわれておらない。これは何かというと、いわゆる定期のお客さまが多い。定期のお客さんは一方では公務員あるいは民間人にかかわらず、交通手当、あるいは名目は手当でありますか、何でありますか、すでに減税措置は一方ではとって、一定の区間まではカバーされている。だから、実際に自分の腹が痛まない。だから、安いのは民営のほうへ行ったほうが安いけれども、これは自分の腹が痛まぬということならわざわざいま乗っている駅から次のところまで行って乗らぬでもええわいというようなのが実態じゃなかったろうか、こういうことを私はそのときに認識したわけであります。だから、いまのような、前田さんのような御質問もこの間から何んべんも受けているのですが、現在もそれはある。だから、私はいまも憂えております。そういう問題、いまでも憂えておりますが、あなたが運輸大臣のようなことを言ってもらっているのですがね、経済企画庁は一体輸送の責任を持つのかどうかという、それはしかし私は、日本の経済がいま何と申しましても、去年の三月、予算を組んでいる時分は、ことしのいまごろ、まだ三億五千万ドルくらいの赤字や言うておったのです。それで国際収支の心配をしながらやっておったところが、三十億ドル外貨はたまるわ、ドルとポンドとフランが力が弱くなっているのに、マルクと円とは力が強うなり過ぎてちょっと心配せんならぬというようなことを言う人も出てくるほどの今日の国際収支の状況、それから七期連続好況、これで物価というものは安定をしたら間違いなしに日本の成長というものは続けられる。一番心配なのがこれだということで、お互いに考えたときに、五%が絶対と言うてみても、国民がみな使うてしまったらそれで何もならぬのですけれども、一応物価という問題がいまの日本の経済の中で一番大事に考えなければならぬというときじゃなかろうかという企画庁長官の考えというものに、私は協力しなければならぬ。そこで、日本の国民経済全般から見て、私鉄はまあ一部の、どちらかというと貨物じゃなしに、お客さんの輸送です、これは。しかし、国鉄というものは全国的にまたがっている貨物でも何でも、落ちぶれたりといえども大きなシェアを持って働いております動脈ですから、これだけは何としてもこれを確保しなければならぬ。だから、これをいわゆる三位一体ということで財政再建をやるということについては、経済企画庁の長官が何と言われようとも、これはわれわれの考え方というものを突き通してもらいたい。もちろん、経済企画庁長官が言われるように、大蔵省で全部金を出してくれるなら私言いません。話をしてみたらなかなか財政需要は強いのですから、みなもう予算委員会なんか、金づかいばかりですわ。そう簡単に四百八億の金は出てきませんわ。そこで知恵出して、実際に一般会計から現ナマでもろうたようなかっこうにしてやった。三位一体のものをやって、これに何とかしてウエートを置いてそれでやっていく。そこでその様子を見てみる。やはりそのほかの公共料金は抑制するという姿勢で、ことしは臨むということでいこう。それがしかし、いまも言いましたように絶対ということはないので、菅野企画庁長官は、やはりこれは上げないという決意であるとおっしゃっています。私は当内閣で、閣議できめた、公共料金は、国鉄以外は極力抑制し、ということを重ねて重ねて申し上げているのでございまして、私鉄と国鉄の中にはバランスがくずれるという事実に対しては、決して否定はいたしません。
#131
○前田佳都男君 運輸大臣の国鉄を特に優先した理解についての御説明はわかりました。また菅野企画庁長官が決意を持っておるその決意に対して、また、運輸大臣は運輸大臣としてのやはり熱意というものも、それ以上運輸行政についての熱意を持っておるということも、いまの説明のうちでよく拝聴いたしました。で、いずれにしても人口が都市に都市にと集中してくると、都市問題の一番大きい課題は結局通勤輸送だと思うんです。どれほど団地をおつくりになっても、輸送ということを考えなければ意味がない。しかも、職場は都心に都心に、また団地はだんだん遠くなっていく、遠心的、それで仕事のほうは求心的である。これを調和しなければいけない。この調和するのは結局通勤輸送だと思うんです。しかも、その通勤輸送の実態をずっと運輸省から出しております運輸統計ですか、図説で見てみますと、結局国鉄も民鉄も同じように寄与していると思うんですね。この数字で見ますと、首都圏の通勤輸送度は国鉄は四七%、私鉄は四五%、それから京阪神圏では国鉄が二七%、私鉄は実に五三%もサービスしておる。中京圏では国鉄は一一%です、わずかに。私鉄は六二%でございます。それで私はこの数字をよく見ると、われわれは事業形態が国でございますか、私鉄でございますと言うておるひまないと。私は率直に言って、運輸委員やっておりまして、これはいかにもおかしいから、私は決して私鉄の弁護人でも何でもない、その意味においてこれ御質問しておるわけで、この際このすし詰め率といいますか、混雑率といいますか、これは民鉄部長、あなたのほうで調べたでしょう、国鉄のすし詰め率と民鉄のすし詰め率について教えてください。
#132
○説明員(佐原亨君) 首都圏における混雑度でございますが、民鉄の場合、これは最混雑区間いろいろございまして、場所によって若干の相違がございますけれども、大体二百四、五十%であろうと考えられます。で、四十二年度から四十六年度までの五カ年計画を目下樹立いたしましていろいろ鋭意努力中でございますが、もし、四十二年度のままの私鉄で推移いたしましたならば、四十六年度になれば、その混雑率はおよそ二七九%、約二八〇%に到達するであろうと、こういう見込みになっております。現時点におきましては、その中間値の大体二百四、五十%ではなかろうかと考えております。
#133
○前田佳都男君 国鉄は。
#134
○説明員(佐原亨君) 国鉄も、東京におきましては全く同じ、あるいは線によりましては私鉄を上回る状況であろうと考えられます。
#135
○前田佳都男君 いずれにしても、そのすし詰め率はとにかく人間らしい輸送ができていないわけですね。このすし詰め混雑率を解決するために、国鉄だって一生懸命やらなければならぬ、また私鉄も一生懸命やらなければならぬ、事業形態が会社だ、国だ、営団だと言うひまはない。とにかく、都心乗り入れ工事とか、複々線化であるとか、あるいは車両の新造とか、また高架にせにゃいかぬ、地下にせにゃいかぬと、そういういろいろなことをせにゃいかぬわけです。それがためにあなたもいまちょっとおっしゃったような輸送力増強五カ年計画というものがあるということを聞いております。しかも、この計画は、単に私鉄の会社の連中ばかり集まって適当につくったものじゃなくて、都市交通審議会という、これはたしか運輸大臣の諮問機関だと思うんですが、この審議会で取り上げて、運輸省としてもまあこれを認めるというか、オーソライズしたものであろうと思うんですが、その点はどうですか、オーソライズしたものですか。
#136
○説明員(佐原亨君) ただいま先生のおっしゃいました都市交通審議会に付議してきめたものではございません。ただ、運輸省といたしましては、私鉄十四社が自主的につくってまいりました計画を一応受けとめて、その線に沿って開発銀行の融資のあっせん、その他を行なっておると、こういうことでございます。
#137
○前田佳都男君 民鉄部長は開発銀行の融資のあっせんとか、いろいろ言うていますけれども、その輸送計画というものは全体が幾らで、その資金手当ては自己資金は幾らでやって、あるいは借り入れ資金は幾らか、それちょっとざっと教えてくれませんか。
#138
○説明員(佐原亨君) 総額では約四千四百六十五億、すべりだし当時はその数字でございました。その後、年を追うて若干ずつ手直しが行なわれておりますので、現在、昨年十二月に運賃値上げの申請が出てまいっておりますが、それを目下、鋭意検討中でございますけれども、若干修正がなされまして、その数字は五千億を若干上回る数字になっております。
#139
○前田佳都男君 自己資金と借り入れの何は。
#140
○説明員(佐原亨君) ちょっと、その資金計画、はっきりした数字が手元にございませんが、実績的にここ四十二年、三年の実績からまいりますと、大体借り入れ金が約半分というふうに承知しております。
#141
○前田佳都男君 どうもほんとうに運輸省の事務当局が輸送力増強というか、すし詰め率を緩和しようという熱意が本気になってあるのかと思うんですね。どうも四千四百六十五億というのは相当な金ですよ、この金をどうして調達するのか。何とかなるだろうと、植木等じゃないけれど、何とかなるだろうって、なりっこない。とにかく、これをどういうふうにして、あるいは自己資金を集めるかということは一応その会社も苦心するだろう、あるいは政府の援助をどうするかという、そういうふうなことを、もっと、そういう計画があるということを運輸省に言うてきたならば、オーソライズしたかどうか知りませんけれども、もう少しその点を計画的に考えてやって、長期資金計画を大蔵省に談判するとか、何かひとつお考えにならないのですか。
#142
○国務大臣(原田憲君) いま都市交通に対する資金量は約五千億と。これは大半、私企業でございますから、自分で民間金融によってまかなっておるわけですよ、もうあなたよく御存じのとおり。これに対して特殊なもの、たとえば大阪でいうと、近鉄がいま市内へ乗り入れているとか、阪急が地下鉄と交錯して相互乗り入れするとか、東京でもそれがありますね。そういうものに対しては四十四年度で三百三十億、昨年が二百五十億ですか、これは開発銀行の低利資金を貸しておると、こういうのがいまの現状でございます。
#143
○前田佳都男君 わかりました。大臣の御説明を聞きますと、大体やはり自己資金というものが中心になっておるということですが、これははたしてほんとうの数字かどうか知りませんけれども、私鉄何とか協会とか、民鉄協会とかいうところで発表しているパンフレットによりますと、四十四年度は赤字の予想が四百五十二億ということが書いてある。こんな赤字の状況で本気になって――現在資本主義ですから、ある程度の収益もあげなくちゃならぬ、そういうときに本気になって輸送力増強の五カ年計画というものが、しかも、自己資金にたよってそんなものができるのかどうか、その点をちょっと伺いたいと思います。大臣、民鉄部長でもけっこうですよ。
#144
○国務大臣(原田憲君) 具体的数字ですね、計画に対する具体的な答えは民鉄部長がいたしますが、あなたがおっしゃるように、それはほんとうはできないですね。たとえば、申し上げると、大阪で泉北というニュータウンをつくっておる。どうしても鉄道を引かにゃいかぬ。そうすると南海電車に引けと。よう引きませんわね。この金がないです。そこで大阪府は考え抜いたあげく、いまの開発会社というのをこしらえて――トラックターミナルですね。大阪は東京みたいに法律から金をもらっていませんよ。自分のところでやっている。その会社に一定款を変えて、交通部門も入っているということにして、大阪府からも幾らか金を出したのでしょうね。それでもって開発銀行からも金を借りてそれでやっていこうということで、この間うちのほうに申請を出してきまして、申請を許可したと、こういうような状態です。それはいまの状態で、運輸事業そのもので、いまの運賃でペイせいといったら、これは無理ですね。
#145
○前田佳都男君 大臣、非常に実態をよく認識していらっしゃると思うのですが、それで、これはちょっとほんの事務的な問題ですが、現在民鉄というものは、会社によって違うだろうと思いますが、利益配当というものを大体幾らぐらいしているのですか。
#146
○説明員(佐原亨君) 御承知のように、私鉄会社は鉄道のほかに、いろいろ不動産事業とか、デパート、あるいはホテル業その他をやっております。全業として見ますると、ここ数年間、一割配当を継続しております。
#147
○前田佳都男君 それで、もう一ぺん伺いますが、鉄道部門オンリーとしてはもうかっているのですか、もうかってないのですか。
#148
○説明員(佐原亨君) 先ほど先生おっしゃいましたように、現在手元に出ております申請の数字によりますると、昭和四十四年度には約四百四十二億の赤があった、こういうことになっております。
#149
○前田佳都男君 鉄道部門だけ。
#150
○説明員(佐原亨君) はい、鉄道部門だけでございます。それで、目下事務的に慎重に検討を行なっていると、こういう段階でございます。
#151
○前田佳都男君 結局、それだけ民鉄の中には配当している会社もありますけれども、結局それ自身の持っておる土地を売ってみたり、自己資本の切り売りといいますか、それから兼業のデパートですね、あきんどになって、それで金もうけをやっている。これが私鉄の現状ですね。ほんとうにこれも、私は率直に言うと、限界にきていると思う。土地の売買だってそんなにもうかるものじゃない。また、デパートのあきんどだって、いい商売をやったって限界があると思う。こういうやり方、とにかくアルバイトをやってみたり、あるいは土地の切り売りをやったり、そういうことは、私は鉄道事業の経営としてまことに邪道じゃないかと思う。わかりきった話ですが、その点についてひとつ聞かしてください。
#152
○説明員(佐原亨君) 先ほどちょっと申しましたが、昭和四十二年度を初年度とする五カ年計画を現在実施中でございます。で、過去の四十二年度の達成率が、計画に比べまして約九一・六%でございます。それから四十三年度は、これは見込みでございますけれども、ほぼ計画どおりの達成でき得るような状況だと考えております。これは先ほど申しましたように、開発銀行の融資、それから増資、それから自己の社債の発行、こういったことで資金調達をいたしまして、一応達成率としてはその程度になっておるわけでございます。ただ、借り入れ金の金利負担とか、人件費の増高等によりまして、いわゆる収支といたしましては、非常に悪化をたどり始めておるというのが現状であろうかと思います。
#153
○前田佳都男君 話は、答えは簡単でいいのですよ。とにかくそういう切り売りしたり、デパートの兼業でもうけて、そうして利益配当をする。利益配当というのは、資本主義社会ですからやはりやらなければならぬでしょう。そういうことはたいして鉄道経営として邪道じゃないか、ということを簡単に。
#154
○説明員(佐原亨君) 全業としては一割配当をしていますけれども、結局、鉄道部門に赤字が継続いたしますと、経営者といたしましては、鉄道に対する経営意欲が失われまして、投資も鈍化することは間違いないと思います。したがいまして、何らかの措置を講ずべきであろうと、事務的にはわれわれそう考えております。
#155
○前田佳都男君 とにかく私鉄が、自分の企業をささえていくだけで手一ぱいであって、いかに殺人的なラッシュがきても、不採算の、そろばんに合わない輸送投資というものをやることをお考えになりますか。やるはずがないですよ、そんなものを。このままでいけば、私はもうほんとうにひどい殺人的な混雑が起こると思う。しかも、われわれ運輸関係者は輸送の安全ということを考えなければいけない。そのためには、安全を考えるためには、もうお客さんを乗せることができないという事態が起こると思う。これはもう乗せられませんから、木戸どめするとか、もう切符を売りません、あるいはこれ以上入ってもらっては困るというようなこと、あるいは一定以上の乗車券、定期券を発売することをもうやめてしまうというような場合が起こってくる。また、そうしなければあぶない、生命の危険があるというふうなことも考えられる。私は鉄道営業法という法律を久しぶりに読んでみた。これはあなたのほうが専門だ。鉄道営業法二十六条には、鉄道経営、旅客を輸送するにあたって、「定員ヲ超エ車中ニ乗込マシメタルトキハ三十円」――いまは二千円らしいのですが、「以下ノ罰金又ハ科料二処ス」ということが書いてある。罰金や科料に処して安全な輸送をはからなければいけないくらいきびしいのです。旅客の輸送というものは人命を尊重せにゃならぬ、それほど大切なんです。それについて木戸どめするとか、あるいはもう切符を売りませんということを、生命の安全を守るためにそうしなければならぬという事態が起こった場合に、あなたはどうしますか。
#156
○説明員(佐原亨君) そのようなことのないように、まあ運賃値上げはその一つの手段だと思いますけれども、まあいま物価抑制のおりから問題になっておりますけれども、何らか輸送力増強をはかるべきだというふうに考えております。
#157
○前田佳都男君 どうも輸送力増強ということをあなた方何にもやらないでほうっておいて、しかも、不採算投資はやらないのですから、そういうことではだんだんふえるだけで、ほんとうにその木戸どめをしなければならぬということが起こってもやむを得ないですね。
#158
○説明員(佐原亨君) 先ほど申しましたように、ただいま出されております申請内容を、大臣の指示によりまして、物価対策を加味しながら、チェックしております。その結果、これは上げるべきであるという結論になれば、大臣に御報告してその後の措置をおはかりする、こういう考えでおるわけであります。
#159
○前田佳都男君 物価対策も考えなくちゃならないと言うが、あなたは経済企画庁じゃないんですよ。あなたは一生懸命に安全に旅客を輸送することに全力を注ぎなさい。そうして、それに資金手当てというものを、現在はやはり資本主義社会だということを考えつつ、それを考えてやらなければならない。その点をやってくださいよ。現在のすし詰め率は二・四でしたか――この輸送力増強五カ年計画はスムーズにいかぬ、いまの状態ではいきっこない。いかない場合には、この二・四倍が、三倍ないし四倍になっていくと思うのですね。しかも、これを解決するためには、輸送力増強五カ年計画、複々線化、都市乗り入れ、これをやるために相当時間がかかる。こういう計画だけきめましたといっても、すぐにこれはやれるものじゃない。図面をこしらえたり、線を引っぱったりいろいろせにゃならぬ。計画を決定しただけではそう一朝一夕にはいきっこない。時間的な余裕というものを見てやらなければならない。その間にお客さんはどんどんふえてきて、二・四倍から三倍、四倍になる。やれ鉄道営業法に違反するから木戸どめをせんならぬ事態が起こってくる。そういう事態が起こってくるのはやむを得ないと思う。そうして国鉄料金はストップしてやる。私は何も料金を上げろと言うのではありません。しかし、料金ストップしても国鉄には財政的な助成があるけれども、私鉄にはない。こういう現状で輸送力増強ということやります、やりますと言っても、これは作文じゃないからできるはずがない。国鉄は不沈戦艦といわれておる。親方日の丸で沈まない。しかし、私鉄はうかうかすると沈んでしまう。船の底に穴があいてきて、その穴をようやくアルバイトで埋めておる。こういうことを大臣は非常によく認識されておるように思うのですけれども、事務当局も物価対策は大いに企画庁にやってもらわにゃいかぬけれども、ひとつ輸送の責任ということから、がむしゃらに勇敢にやりなさい。その点を私は特に希望する。とにかくある程度の期間の間を持って考えなければ、にわかに輸送力増強しますと言っても、作文でやるのではないのですから、時間を見なければいかぬです。その間にお客さんはどんどんふえていくのです。だから早くその処置をしなさいということを私は言っている。その点どうです。
#160
○説明員(佐原亨君) おっしゃるとおりだと思いますので、輸送力を増強するためにはどういうことをしたらいいか。たとえば、運賃値上げも一つの手段でございます。その線に沿って極力努力するつもりでおります。
#161
○前田佳都男君 とにかく、将来でも現在でも大都市の交通はいろいろな輸送機関が1地下鉄、あるいは私鉄、国鉄、バス、いろいろ輸送機関がネットワークでもってそしてやらなければいけない。しかも、そのネットワークのためには、条件というものは均等じゃなくちゃならないと思うのです。輸送機関によってその条件が均等じゃないということは困りますよ。たとえ経営主体は一緒でなくてもけっこうです。やはり運輸省は、全体のネットワークを円滑に動かすためには、条件を均等にしなければいけない。経営主体によって条件が違いましてもよろしゅうございますということは考えられないのです。その点はどうですか。
#162
○説明員(佐原亨君) お説のとおり、競争条件はひとしくあるべきだと考えます。
#163
○前田佳都男君 大体、私の質問をみな肯定する、みな賛成のようです。とにかく、現在のこの都市交通というものは、いままでの旅客、普通旅客本位の時代と体質が変わったと思うのです。私は、現在、東京都でも何かそういう審議会があって、その答申書も私は読みましたけれども、とにかく非常に波の激しい、波動の激しい通勤通学輸送というものが都市交通の実態をなくしておるのが現状であると思うのです。したがって、都市交通では定期旅客輸送というものがサービスの中心でなくては困ります。それでそのプライスは、価格は、普通運賃の割引でございという従来の考え方ではどうもいかぬのじゃないか。大都市交通では、普通旅客より通勤通学輸送というものが主たる仕事なのです。例外ではないのです。それが実態なのです。したがって、その点から料金体系、レート・メーキングを考える場合に、定期旅客を中心とする一つの運賃体系というものを私はもう大都市については考える必要がある。その点について、現在、民鉄あるいは鉄監で考えておりますか。
#164
○説明員(佐原亨君) 確かに輸送の七割方は通勤・通学定期旅客が占めておるはずでございます、大都市交通におきましては。したがいまして、従来と違いまして、定期外と定期とのウェートは逆転しておるのが事実だと思います。したがいまして、運賃値上げの機会をとらまえまして、その割引率の是正を徐々にはかっておりますが、ただ、いままでの社会秩序も一応考慮いたしまして、一挙にこれを変えるということはいろいろな混乱を生ずるようなおそれもあるというふうに考えておりますので、運賃値上げの機会をとらまえまして徐々に修正していきたい、このように考えております。
#165
○前田佳都男君 鉄監局もその点認識しておるようですが、この点はほんとうに時代が変わっておる、推移しておるわけですから、十分考えていただきたいと思います。
 それから、最後に、とにかく、これは締めくくりですが、経済企画庁の局長もいらっしゃるのですが、経済企画庁的な考え方ですね。物価抑制五%、これは大いにけっこうでありますが、それだけで運輸行政をやられては率直に言ってたまるものではない。重大な事態です。実際通勤輸送は、もう入り口でこれ以上乗られても困るということだ。われわれは鉄道営業法の精神を生かさなければならない、安全輸送をやるという。そういう事態が起こるのだということを経済企画庁もよくひとつ認識をして、企画庁長官にもそのことを説明しておいてもらいたい。それから運輸大臣も、原田運輸大臣は非常に実行力のある、また従来から運輸行政に熱意のある大臣でありますから、もちろん経済企画庁的なペースに巻き込まれると、ほんとうに角をためて牛を殺すというか、物価のことは物価のこと、それもけっこうでありますが、結局大都市の交通はめちゃくちゃになっておる。そういうことでは運輸交通の問題を解決することはできないと思いますが、そういう点はどうか原田運輸大臣はうまくやってもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わりますが、運輸大臣に最後に御所見を承りたいと思います。
#166
○国務大臣(原田憲君) たびたび申し上げますように、経済というものを殺してしまったら何にもならない。この経済の発展の一つの必要条件として、必須の条件である鉄道輸送というものを殺してしまったらそれは経済繁栄というものは死んでしまうという認識の上に立っておりますので、私は前田さんのおっしゃっておることにつきまして、十分意を持っていきたいと思っております。ただ、最後にあなたのおっしゃったとおり、形態が変わってきておる、いま社会の。だから、世界にないような私鉄経営形態というものが日本でやられた。副業ということを言われたが、そういうことはちょっと世界にないことですが、いままた時代が変わって、いまおっしゃっておるように、一番特に何は、実に大手十四社というのは都市に集中しておる。これを国鉄といわず私鉄といわず、通勤・通学というものをどうやっていくかということについて、私は運輸省の行政としてどう取り組んでいくかということについて、これからできるだけの力を注いでまいりたいと思っております。
#167
○瀬谷英行君 関連して。経済企画庁長官が私鉄の運賃については上げないという、これは決意ということを言われたというのですがね。経済企画庁長官で私鉄の社長を兼務しておるわけではないのだから、かってに私鉄の場合は運賃を上げませんという決意を自信を持って言えるはずのものじゃなかろうと思うのです。やはり大臣はバランスということを言われたけれども、収支のバランスがくずれてくれば、この経済企画庁長官の決意にかかわらず私鉄のほうも上げなければ、前田さんの話じゃないけれども、船の底に穴があいてしまって沈没してしまう、こういうことになってくる。ところが、部長のほうは運賃値上げ等の方法でもって切り抜けるかのような言い方をされておるわけですね。そうすると何か聞きようによると、決意というのは表向きであって、やがては国鉄の運賃の値上げと関連をして私鉄も上げるというふうにも聞き取れるわけなんですがね。その点はどうなんでしょうね大臣、いま関連質問ですからくどくは聞きませんが。
#168
○国務大臣(原田憲君) まあいまの民鉄部長の前田さんに対する答えは、おまえは役人でだな、物価の役人じゃないじゃないか、運輸省の民鉄部長じゃないかということに対して、いま出ておる申請というものを審査しておりますということを答えたのがいまの部長の答えであろうと思います。それから経済企画庁長官は、実は先ほど局長が申しましたように、私と一緒に出ておりました委員会で、最初、絶対上げませんということを言ったものですから、あなたはどうして絶対上げないことができるのだと、こういうことになりまして、私はいつもお答え申し上げておるように答えておって、それは意思の疎通を欠く、統一しなくてはならぬと言われて、そこでよく話を詰めまして、決意であるということを言われたわけであります。これは先ほど話も出ましたように、この国鉄、私鉄を問わず運輸行政をあずかっておるのは私だと、しかしながら、この手続の面で、大手十四社というのは、運輸審議会にかけると同時に、物価問題の閣僚協議会にかかると、こういう手続になっておるわけです。そこで、経済企画庁長官は、自分はこの私鉄運賃については極力抑制をする、上げない決意であると、こういうことを考えておるということを言われたのでございまして、まだ、いま、先ほどから言っておりますように、申請は出ておりますけれども、これはわがほうで慎重に審査をいたしておる最中でございまして、いつ上げるとか上げないとかいう問題については、まだ何もきまっておらない、こういうことでございます。
#169
○委員長(岡本悟君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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