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#1
第061回国会 運輸委員会 第22号
昭和四十四年六月十二日(木曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡本  悟君
    理 事
                江藤  智君
                金丸 冨夫君
                谷口 慶吉君
                森中 守義君
    委 員
                佐田 一郎君
                菅野 儀作君
                平島 敏夫君
                前田佳都男君
                渡辺一太郎君
                加瀬  完君
                瀬谷 英行君
                田代富士男君
                三木 忠雄君
                中村 正雄君
                市川 房枝君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  原田  憲君
   政府委員
       科学技術庁原子
       力局長      梅澤 邦臣君
       運輸省海運局長  澤  雄次君
       運輸省船員局長  高林 康一君
       運輸省港湾局長  宮崎 茂一君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  山口 真弘君
       海上保安庁長官  河毛 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       厚生省公衆衛生
       局検疫課長    実川  渉君
       運輸省船舶局造
       船課長      謝敷 宗登君
       日本国有鉄道副
       総裁       山田 明吉君
       日本国有鉄道常
       務理事      一條 幸夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○運輸事情等に関する調査
 (東海道本線函南、三島駅間における列車脱線
 事故に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○三木忠雄君 運輸大臣に最初にお伺いしたいわけでありますが、海運の今回の計画によりますと、二千五十万総トンの建造、海運政策によって外貨獲得に力を入れていくか、あるいは造船による船舶輸出に重点を置くか、この問題が非常に私はちょっと納得できないような問題があるのじゃないか、こう考えるわけでありますが、この問題については運輸大臣どういうふうに考えていらっしゃいますか。
#4
○国務大臣(原田憲君) 一方において、船舶を輸出することにおいて、これはいわゆる外貨の獲得となり、国際収支に貢献ができるという面もあるわけでございますが、これは一方において、そのかわりに貨物の外貨を向こうへ払わなければならぬ。こういう面からわが国の独自の船をもって貿易をするとともに、外貨をかせぐということのバランスというものが必要でございます。したがって、そのことを考えながら政策を進めてまいりまして、御案内のように、体力の衰えておった日本の海運界に注射をして、その体力を回復さしてまいりました。その目的はおかげさんで達成をするというところにきておりますが、今度はいままでの保護という面からひとつ進んで、りっぱな体力をつけて、いま御指摘のありました船舶輸出という問題、そしてわが国の独自の船による問題を、いわゆる積み取り比率という問題をもって日本の海運政策というものを確立しよう、この面で取り上げて、海造審の御答申をいただいて、今回の法案の提出をいたしておる次第でございます。
#5
○三木忠雄君 五十年までに運賃収支を黒字にするといいますか、輸出船への優遇措置をとりながらやってまいりますと、はっきり言って船舶の輸出に対してはどういうふうな対策を講じていくか、こういう問題についてもう少し具体的に私は教えていただきたいと思うのですが。
#6
○国務大臣(原田憲君) 船舶の輸出に対する問題につきましては、政府委員からひとつ具体的に答弁をさせます。
#7
○説明員(謝敷宗登君) それではお答え申し上げます。
 船舶の輸出につきましては、従前どおり、これを振興するというたてまえでやってきておりまして、先般、五月末にOECDにおきまして、世界におきます主要造船国の輸出に対します信用条件の調整が行なわれましたが、わが国としましても、その調整されました輸出信用条件をもちまして、あとは企業の競争力、あるいは合理化によります船価の低減等をもちまして、今後、国内船を圧迫しない限度におきましていわゆる輸出船の振興をはかってまいりたい、こういうふうに考えます。
#8
○三木忠雄君 それでは、日本の船舶の建造能力というものは、大体どの程度あるか。そうして五十年までの二千五十万総トンの新船建造計画と、それから予想される五十年までの大体の建造、この問題の考え方についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#9
○説明員(謝敷宗登君) わが国の建造能力につきましては、四十二年の五月、海運造船合理化審議会におきまして「今後の造船施設の整備のありかたについて」という答申をいただいておりますが、これによりますと、わが国の船舶の建造能力といたしましては、現在、約八百五十万トンございます。それによりますと、四十四年度につきましては、国内船につきましてはすでに船台の手当てを完了しておりますが、今後、二千五十万総トンの建造計画を年率に引き直しますと、年間約三百四十万トンになります。で、これに対しまして、先ほど申し上げましたわが国の建造能力は八百五十万トンでございますので、差し引き約五百十万トン程度の輸出船は、これは新海運政策によります国内船の建造をやってまいりましても、十分これに対応できるということと考えております。
#10
○三木忠雄君 海運局長に伺いますけれども、この新海運政策六カ年で国の助成というものはこれで大体終了すると、こう考えてよろしいかどうか。そうして、その後の経済性、あるいは高速性、あるいはコンテナ船、こういうものが、非常に技術革新の波に乗って、いろいろ問題になっているわけでありますが、特に予想される五十年代ですね、この問題については運輸省としてどういうふうな見通しを立てられた上の海運政策を実行されようと思考されておるか、これについて伺いたいと思います。
#11
○政府委員(澤雄次君) ただいま先生御質問の点につきましては、海運造船合理化審議会でも討議がなされまして、この新海運政策六カ年の間に、なるべく体力を涵養して国家助成を減少するようにつとめなければならないという、これは合理化審議会の答申の最後にございますが、「新海運政策においては、企業の自主性尊重を基本方針とするのであるから、企業としては、最高の経営努力を傾注して、財務内容の充実に努め、将来国の直接助成を縮少することに努めなければならない。」と、このようにうたわれております。六年後にどうするかということにつきましては、そのときにおきます各国の金利の水準がどうなっているか、それから各国の助成策がそのときにどういうふうに相なっているか、またただいま御質問のございました輸出船に対する各国の助成策がどうなっておるか、それらのことを勘案しながら決定しなければならない。しかし、国の直接助成はこれを縮小する方向で考えるべきである、こういう議論でございます。
 それから昭和五十年代に海運界がどのような情勢になるかということにつきましては、今後の技術の進歩その他から、いま的確にこうなるであろうという予測をいたすことは非常に困難でございますので、今後とも引き続いて検討をしてまいろう、こういうことでございます。
#12
○三木忠雄君 この新海運政策の実施にあたって、特に港湾の問題とか、あるいはまた船員需給の問題、あるいはまた船舶等の問題とか、あるいは厚生省、農林省等の関係の検疫の問題、こういう問題については関連部門の検討は十分話し合いが進んでいるかどうか、この問題についてひとつ伺いたい。
#13
○政府委員(澤雄次君) 先生御指摘のとおりに、船をつくりましても、この船がよく回るように、動くようにすることは一番大切なことでございまして、船員につきましては、運輸省の中に船員局がございますので、船員局において十分対策を練っております。
 それから港湾につきましても、港湾整備五カ年計画の年次はこの新海運政策と若干ずれますが、同じ経済社会発展計画の数字を基礎にして港湾整備五カ年計画も作成いたしておりますので、十分にこの新海運政策との調整はとれております。
 それから検疫その他厚生省との関係も非常に重要でございますが、これは当省所管ではございませんので、厚生省当局のほうに運輸省から検疫がスムーズにいくように、円滑にいくようにということをたびたびお願いしている次第でございます。
#14
○三木忠雄君 たとえば一つの例が、船舶の建造の問題について考えてみましても、船舶の建造はどんどん進められてくる、しかしながら、この船舶の安全性の問題について、これは十分検討は行なわれていると思いますけれども、実際に船舶の検査官等の問題については、相当私は不足を来たしているのじゃないかと、こうも考えるわけでありますけれども、この問題について、あるいはまた新造船計画と検査官の問題について船舶局としてはどういうふうに考えておられるかどうか。
#15
○説明員(謝敷宗登君) 直接の担当ではございませんが、お答え申し上げます。
 新海運政策でつくられます大型の外航船舶につきましては、現在の船舶安全法に基づきまして日本海事協会が検査をしてまいる、あるいは外国の船級をあわせてとるという場合には外国の船級協会が検査をするということになってまいりますが、その面におきましては、大型船の船舶安全に関します検査という点につきましては、現在の船舶局におきます検査官制度並びに日本海事協会におきます検査員を十分これに対応さして今後進めてまいりたいと考えております。
#16
○三木忠雄君 具体的な実態はどうなんですか。検査官の問題については具体的にはわかりませんか。わからなければまたあとで資料をいただいてもけっこうです。
#17
○説明員(謝敷宗登君) それではあとから資料を整えまして提出いたします。
#18
○三木忠雄君 先ほどの関連の問題で、やはり今後の問題として、船の高速化とか、あるいはまた大型化に伴って私は船員の再訓練をしていかなければならないと思うのですね。船員の再訓練が必要ではないかと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この船員の再訓練の体制あるいは方法はどういうふうに考えているかどうか、これについてお伺いいたします。
#19
○政府委員(高林康一君) お答え申し上げます。
 船員の再訓練、再教育につきましては、現在海技大学校というのを神戸に置いております。これは運輸省の所管するところの海技大学校でございます。これは船員の再訓練を目的にしております。内容といたしましては、外航を主として目的にいたしますことろの甲二科あるいは本科その他のものがございまして、約四百名程度の定員でもって現在再訓練をやっておる。さらに内航を主として考えております乙種の各免状関係がございますが、そういうようなものについては大体六十名程度がいまこの再訓練に海技大学校に入っておるという状況でございます。ただ今後の需給を考えていきます場合に、やはりさらにこの再訓練、再教育というものを強化する、具体的には、船員の場合におきましては部員と職員が分かれておりますが、部員を職員にするという方途をいろいろもっと強化していかなければならないと考えております。そういう観点からは、おもに船舶職員制度を、いろいろ試験制度を合理化するとともに、この海技大学校の施設ないしは教科科目というようなものをさらに充実してまいりたいということを考えて、現在また検討を進めておるという段階でございます。
#20
○三木忠雄君 そうしますと、現在の船員ですね、その人たちが乗船しておりますね、その人たちを再訓練する間船員が相当不足になってくるんじゃないかと思うんですが、こういう問題については具体的にどういうふうな検討をされているんですか。
#21
○政府委員(高林康一君) 御指摘のとおり再訓練、再教育といいます場合に、それに充当されるところの人によりまして船員不足が生ずるという可能性が出てまいります。現実の制度といたしましては、外航関係におきましては予備員制度が非常に一般的になっております。この予備員は乗り組み員の大体いまのところ三三%から三五%ぐらい予備員を持っております。それでこの予備員は、もちろん病気その他の人もありますけれども、主として現在海技大学校に入っておりますところの人はこの種の予備員ということで、一種の教育予備員というような形で入っておる人が半数以上、相当ございます。そのほかに、なお現在の制度といたしましては、失業保険給付の対象といたしまして失業になっておりますけれども、船員保険法におきまして特則を設けまして、一定の三カ月とか六カ月とかという期間を区切ってではございますけれども、失業給付をその種の特定の、たとえば海技大学校とか、そういうようなところで教育を受けます場合に失業保険給付を、一定の期限つきではございますけれども、給付を受けてやっておるというような状況でございます。外航の場合におきましては、いま申しましたように、主として予備員でもって当てられておりますので、現実の乗り組み員の不足というようなことはそこからは直ちに発生してはおらない。しかし、内航につきましてはやはりその点予備員が非常に不足しておりますので、将来は非常に問題があるかと存じます。
#22
○三木忠雄君 そこで、私も詳しい事情はよく知らないんですけれども、船一具の再訓練に要する費用といいますか、あるいは負担金といいますか、こういう問題については、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#23
○政府委員(高林康一君) 費用といいますのは船員側の……。
#24
○三木忠雄君 そうです。船員側です。
#25
○政府委員(高林康一君) 船員の再訓練に要しますところの費用につきましては、予備員でもって再訓練に入っておるという人につきましては、予備員給というものが支給されております。予備員給は大体乗船給の――もちろん会社によっていろいろ違いますが、おおむね八割が支給されておりまして、それでもって再訓練の期間に充当しておるというのが一つのタイプでございます。それともう一つは、先ほど申しましたような失業保険給付というものでもって講習その他のものをやっておるという、そういう失業保険給付をもらってその費用に充てておるという二つのタイプにおもに分かれております。
#26
○三木忠雄君 そうしますと、具体的な例を……、いままで小さな船に乗っておった、しかし将来の技術革新に備えまして、そういう船員を再訓練するために、ある期間は下船させて訓練させなければならない。そうなった場合、乗船したときよりも生活が、それで非常に難渋してくるのではないか。それに対する再訓練のいろいろな問題で、企業側でなしに船員側のほうに相当負担がかかってくるのではないかと、こういうふうにも考えられますが、そうしますと、ますます船員の不足につけ加え三失業保険法とかいろいろありますけれども、これはもう全部ささえていくわけにいかないのではないか、こういうふうにも考えられますが、こういう問題の見通しというか、あるいは場合には国のほうで少し助成金を出すとか、あるいは再訓練費を出される、こういう問題を考えていかなければ、ますます船員自給が行なわれないのではないか、こういうふうにも考えるわけですが、どうですか。
#27
○政府委員(高林康一君) 御指摘のとおり問題点があると考えます。再訓練が今後ますます重要になります。陸上につきましては、雇用促進事業団あるいはその他によりまして失業保険会計からいろいろ金を出しまして、その雇用促進事業団を通じまして再訓練、その他を大幅にやっておる。また外国の場合におきましては、たとえばイギリスにおきましては、比較的最近でございますけれども、やはり失業保険法を改正いたしまして再訓練コースに乗るところの人間につきましては、通常の失業保険の給付期限をさらに延長して、相当の期間出すというふうに所要の法令を改正するというような動きもあります。確かに海上の場合においては、ただいま申しましたように予備員給の支給あるいは普通の失業保険給付、こういうような形で再訓練が行なわれておるわけでございますけれども、やはり問題といたしましては、技術革新に対応いたしますためには、わずかの期間の訓練では非常に不十分な場合が多い、それからいろいろ宿舎あるいは家族との関係、そういうような関係で再訓練費用というものについてはもう少し考えなければならないのじゃないかということで、現在船員保険会計を扱っておりますのは、厚生省でございますけれども、厚生省と私どもとでいろいろ事務的な研究はいたしておるわけでありまして、御指摘のように問題があるかと思います。私ども再訓練をさらに延ばすという方向で関係各省といろいろ今後とも話し合いを進めていきたいというふうに考えております。
#28
○三木忠雄君 これは運輸大臣に要望でありますけれども、やはり船員の再訓練については、運輸省としては大事な問題じゃないかと思います。新海運政策の実施にあたってもやはり肝心な船員が自給できないようでは、計画と実際とがあまりにも食い違うのではないか、こうも考えるわけです。したがって、高速船化あるいは行く行くは原子力船、こういうような問題になってくると思いますけれども、そういうものに備えての現在の船員に対する最優遇策をもう少し私は考えていかないと、ますます船員というのは、ことばが悪いですけれども、寄りつかないといいますか、船員になる希望というのが非常に少なくなるのではないか。いわんや外航船舶等については、特にそういう傾向が見受けられると考えますけれども、この問題につきまして国の助成策、こういう問題を私は考えてもいいのではないか、こうも提案したいわけでありますけれども、運輸大臣、いかがですか。
#29
○国務大臣(原田憲君) いま御指摘のように、海員の養成、船員の養成をどうするかということは、重要な問題でございまして、局長からお答えしておると思いますけれども、私どもといたしましては、商船高等専門学校の定員をふやしていく、また新たに海員学校において部員養成を開始する、あるいはまあ職員資格免状取得の合理化を促進する等の措置をとりまして、万全を期していくつもりでございますが、お話しのように、ここ一、二年はどうといたしましても、長期にわたりますと、これは相当問題を生じてくる点もあろうかと考えますので、十分私どもといたしましては御意見を拝聴いたしておりますので、検討を加えて万遺憾なきを期していく所存でございます。
#30
○三木忠雄君 その船員の問題で、海員学校の問題で一、二伺いたいと思うのですけれども、新たに新潟の村上ですか、村上の船員学校がつくられるようになっているそうでありますけれども、そのいきさつですね、あるいはまた経緯について伺いたいと思います。
#31
○政府委員(高林康一君) 新潟県の村上に海員学校をつくりますことは、営繕費といたしまして一部を本年度の予算に計上されておるわけで、基本的には、ただいま御指摘ございましたように、船員の需給関係は非常に逼迫しておる。さらに、特に部員のほうにおきまして非常に不足が生じておりますので、これをぜひ充実しなければならないということ、これが基本の考え方でございますけれども、新潟県の村上というところは、非常に昔からそういう船員の供給地として知られておるところでございますので、そういうところが比較的適地ではないか。それからまた全体の海員学校は、現在十校ございますけれども、日本海方面におきましては七尾一カ所だけでございます。東北、新潟方面にございませんので、そういうような場所を選んだ。それと、もう一つ現実的な問題といたしまして、敷地の関係、こういうようなものが整っておることと、こういうような観点から、新潟県の村上の海員学校の設立に着手するということになったわけでございます。
#32
○三木忠雄君 この海員学校の問題で、私もこの間平島先生と渡辺先生と三人で門司の海員学校に視察に行った。ところが、門司の海員学校の状況を見ますと、非常に寄宿舎なんか、歩けば、行っただけでわかりますけれども、非常にみしみしいってこわれるような、親が見れば、この寄宿舎へ入れて、はたして勉強ができるかどうか、あるいはこういうところでいいかどうか、こういうような問題が、非常に疑問視されるような問題が数多くあるわけです。こういう問題点について、やはりもっと、新しいところを建設するのもけっこうでありますけれども、そこを充実し、あるいはまたそこを拡張するという方向へ持っていったほうが、よりもっと充実するんじゃないか。敷地がないと言われますけれども、まだ相当敷地があるような感じを受けますし、あるいは七尾にしても、わずか定員八十名ですか、これくらいの学校で、まだまだ百六十名にふやすというようなことは、経費の面からいっても、新しくつくるよりももっと有利な態勢になるんじゃないかと、こうも考えるんですけれども、こういう問題についてどうでしょうか。特に門司の海員学校の寄宿舎の問題等のごときは、もっと私は改善をしていかなければ、おそらく父兄が見たならば、こういうところには絶対入れたくない、これはもう十二分に私たち視察した結果判断されるわけであります。この問題どうでしょうか。
#33
○政府委員(高林康一君) 御指摘にございましたように、海員学校は現在十校ございます。その施設が非常に古いものがございまして、そういうものについては、いま御指摘になりましたような門司の例の場合のように、相当いたんでおるというようなものがございます。そういう観点から三十六年以来逐次建てかえをいまやっておりまして、今年度におきましても、門司につきましては、寄宿舎の新営といたしまして、一億一千六百万の建設省の営繕予算を計上しておるわけであります。こういうようなもので逐次現在の老朽したところのものを建てかえてまいりたいというふうに考えております。一部相当程度は進みましたけれども、本年度は門司あるいは館山の海員学校、唐津の海員学校、清水、宮古、粟島というようなところにつきまして、それぞれ一応全体で営繕予算といたしまして、約二億程度計上いたしまして、建てかえを今年度またやっていきたい、さらに今後も残っているものを逐次年度的にやっていきたいと考えております。
#34
○三木忠雄君 そうしますと、いま門司は、これ
 はでき上がるわけですね、本年度中に、大体。
#35
○政府委員(高林康一君) そのとおりでございます。
#36
○三木忠雄君 特に海員学校の教員の問題なんですが、いろいろ聞きますと、実際に文部省の所管であれば、校舎もいいし、待遇もある意味じゃいい、不便なところに派遣されるというようなことはないという声もあるわけですね。ところが、海員学校は大体海辺にあるし、派遣されますと、交通的にも不便なところでありますから、なかなか海員学校の教師になりたがらない、こういうような声があちらこちらでずいぶん聞かれるわけですね。やはりそういう僻地に派遣される教員については、これは海員学校については、運輸省の管轄であります。ところが文部省の教員の待遇と、そんなに変わりはないと思いますけれども、やはり運輸省が所管しているところについては、やはり教員という面については航空大学も同じだろうと思いますけれども、やはり待遇をもう少し考えていかなければならないのじゃないかと、私も考えるのですけれども、この点はどうですか。
#37
○政府委員(高林康一君) 教員の問題につきましては、運輸省所管の学校のみならず、文部省の所管の学校においても、同様になかなか人材を得られない、文部省所管の学校におきましても、商船高等学校から商船高等専門学校に切りかえるということに伴いまして、非常に教員不足というような面があるわけであります。そういう点につきまして、やはり海員学校についても同様に適当な教官を得るというようなことは、非常にむずかしい点がございます。しかしながら幸いなことに、やはり海上で相当実歴を経ましたところの、それから私のほうの所管でございますところの運輸省の航海訓練所というようなところでかなりの教官を持っております。それが逐次いろいろ指導をやっております。現実におきましては、かなりいい教官を得ておるのではないかと思います。ただ御指摘のように海員学校の性格上、かなりやっぱり海辺でなければ現実の訓練ということができませんし、塩けがあるところでございませんと、これが適当でないというようなことで、場合によっては相当離れた土地になるということはございますけれども、こういうような教官の待遇等につきましては、各省と歩調を合わせて、できるだけこれを改善向上するように、私らといたしましても努力してまいりたいと考えております。
#38
○三木忠雄君 これは突然の問題かもしれませんけれども、運輸大臣に報告がいっているかどうか、この間の第一伸栄丸ですね、ソ連に砲撃された、こういう話を新聞紙上で見たわけでありまするけれども、このいきさつ等については、報告がまいっておれば現状報告をしていただきたいと思います。
#39
○国務大臣(原田憲君) この報道を見ましてすぐ私は事務当局に詳細を報告するようにということを命じておきましたが、もう新聞に出ておることで御承知と思いますが、最初いろいろの報道がなされておったわけであります。帰ってまいりましてから、新聞報道に出ておる程度の報告は受けておりますが、それ以上の報告はその後受けておりませんので、いま事務当局が来ておりますので、報告をいたさせます。
#40
○政府委員(河毛一郎君) おそくなりまして申しわけございません。ただいま第一伸栄丸の事件につきまして大臣からお話があった模様でございますが、多少重複することがあるかと思いますが、一応経過を御報告申し上げたい、こう考える次第であります。
 第一伸栄丸と申しますのは、約三千トンの新造船でございまして、船主は、愛媛県の今治の今治船舶でございます。これを用船いたしておりますのは新和海運でございまして、乗り組み員は、船長以下二十四名ということでございます。
 そこで、本船でございますが、本船は五月二十四日、今治を出港いたしまして、これが処女航海でございます。北洋材積み取りのために沿海州に参りまして、五月二十九日にラザレフという港に入港いたしまして、北洋材を約三千トン積んでおります。その次に、六月三日、デカストリに入港いたしまして、北洋材二千百四十二トンを積んでおりまして、六月五日十五時二十分にデカストリを出港いたしました。ところが、同じ日の十六時二十五分、デカストリ港から約六・二マイルのところで突然右舷の船尾が大音響を発しまして、船体数カ所に破損が起こり、出火をいたしております。このため、また、乗り組み員四名が負傷いたしました。で、本船は、消火作業を行ないました後、変転いたしまして、同じく五日の十七時三十六分、デカストリに再び入港いたしております。デカストリに入港いたしましたあと、ソ連側が本船に参りまして、重傷者の一名を病院に収容いたしますとともに、六日まで船内を検査いたしまして、事故によりこわれました物件その他を船内から持ち去りますと同時に、船長からいろいろ事故原因について問いただしたわけでございますが、それに対しましては一切話をしないと、こういうことでございます。その後、七日の夕方に本船に対しまして出港許可がおり、本船は重傷者を一名デカストリに残したまま日本に向かったわけでございます。
 その後、本船は小樽に九日入港いたしましたが、一応私どもの小樽海上保安部で本船の関係者から事情を聴取いたしますと同時に、負傷者の一名がこのまま乗船いたしておりましてはよくないということになりまして、負傷者一名を掖済会の小樽病院に入院させ、十日の八時に小樽を出港いたしております。
 で、小樽を出港いたしましたあと、本船は元来仕向け港が小名浜でございましたが、小樽から損傷状態のまま小名浜に向かうことには、距離の関係その他から見て非常に危険があるという船長の判断に基づきまして仕向け地を七尾に変更いたしました。で、六月十二日、本日午前五時四十分、七尾に本船は入港いたしております。現在、七尾の保安部におきまして、本船に参りまして本格的な調査を行なっている最中でございますが、まだその結果につきましては報告を得ていない現状にある次第でございます。
 一方私どもといたしましては、外務省を通じまして、この事故の発生を七日に了知したわけでございますが、私どものほうからも外務省に対しまして、ソ連側に対し事情の調査及び船の安全運航という点について申し入れを、外交ルートを通じて行なっていただくようお願いいたしました。外務省も直ちにそのような措置をとっておられるわけでございます。現在までのところ、私が伺っております範囲におきましては、一応ソ連側から本船の事故の原因についてはまだ判明しないという点、それからまた、デカストリに残しております船員につきましては、重傷ではございますが生命に異常はない、また、今後日本船の安全運航につきましては一そう注意を行なう、このような返事を得ている、そのような経過でございます。
#41
○三木忠雄君 この問題については私いろいろまた調査をしてお聞きしたいと思いますので、このくらいでとめておきたいと思います。
 次に、原子力船について一、二簡単に伺いたいと思います。海運局において、海運の長期ビジョンとして、原子力船をどういうふうに考えていらっしゃるのか、これについてお伺いしたいと思います。
#42
○政府委員(澤雄次君) 原子力船につきましては、御承知のようにまだ世界各国とも試験的に船をつくっているという段階でございまして、本格的な商業活動にこれをまだ利用していない状態でございます。しかしいろいろ調査を海運界でもいたしておりますが、現在のところ一応三十ノットをこえるような船が必要になれば、原子力船でも十分商業的にやっていけるようになるのではないか、こういう観測をいたしております。三十ノットの船というのは現在までのところ商業船でなかったのでありますが、最近シーランドというアメリカの船会社が三十ノットのコンテナ船を発注いたしました。それでこれはもちろん原子力船ではございませんが発注いたしました。今後三十ノットをこえるような船がたくさん出てくるようになれば、原子力船を商業的に使うという問題ももっと真剣に研究されてくるのではないか、このように考えております。
#43
○三木忠雄君 原子力船の第一船の開発、進捗状況と、今後の第二船の問題についてはどういうふうに考えているか、これについて伺います。
#44
○政府委員(梅澤邦臣君) お答え申し上げます。
 第一船の原子力船につきましては、本日進水をするということになっておりますが、これは石川島播磨が船体をやっております。三十八年からかかっております。これがむつ市に運ばれまして、いよいよそこで舶用炉を乗せるわけでございますが、でき上がりますのが、四十七年の一月という予定でございます。それから約一年ないし二年試験運転という段階に入るわけでございますが、これが第一船の現状でございます。
 いま先生おっしゃいました第二船につきましては、非常に問題がございます。と申しますのは、海外におきましても、先ほども運輸省の御説明のような、商船としての考え方についてはいろいろな議論がございます。しかし、趨勢としてわれわれ考えておりますのは、約五十年代には商船としてなるのではないかという予測は立っております。したがいまして、その一番問題は舶用炉でございますが、その舶用炉の研究というものを進めたほうがいいということで、いままで約六年間毎年一億円くらいの金を出しまして、おもに運輸省の船舶技術研究所、それから原子力平和利用委託費というのがございまして、その一部を会社に出しまして、舶用炉の研究あるいは船の中の遮蔽に関する研究というものを、一応進めているのが現状でございます。しかし、最近に至りまして、原子力産業界その他でやはり第二船、第三船について考えるべきではないかという考え方が出ております。そこで原子力委員会におきましても、この点についての懇談会をつくったらどうかということで、目下運輸省と御相談申し上げまして、船の使用者側、それから造船メーカー、学識経験者等が集まりまして、今後の将来に対する船の持っていき方というものについて、早急に懇談会をつくるということで、いま作業をしているのが現状でございます。
#45
○三木忠雄君 まあいろいろ検討されていると思うのですが、第二船以後の原子炉ですね、これについては技術導入するのかあるいはまたわが国の自主開発にゆだねていくのか、この問題については、どういうふうにお考えですか。
#46
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在のところはっきりここで申し上げられませんが、大体海外でやっております舶用炉の関係は、やはり軽水炉関係になっております。それでわれわれのほうも軽水炉関係の小型化といいますか、そういう研究を進めておりまして、できるだけやはり自主技術的に建造したいということから、先ほど申しました研究を進めていくという形で進んでおるわけでございます。しかし、それが商業船となりました場合には、経済性という問題がございます。できるだけ自主技術でいきたいという眼目を持って進んでおるのが現状でございます。
#47
○三木忠雄君 これは先の話かもしれませんけれども、五十年代には、私もいろいろ雑誌を読んだり、いろいろ調べたり――私の推測かもしれませんけれども、五十年代にはおそらく原子力船が相当出てくるのじゃないか、こうも考えられるわけでありますけれども、初期原子力商船隊は相当割り高になると思うのです。しかし、やはり日本の海運界が世界の海運界をリードしていくためにも、やはりそういう技術導入をしていかなければならないと思うのです。ただ経済性だけでいかない問題も出てくるのじゃないかと思うのです。やはり国の将来の、世界の海連界をリードする意味においても、やはりいろいろ使用される場合が出てくるのじゃないか、こうも考えられるわけでありますが、こういうふうな問題で、原子力商船が割り高になったような場合、運輸省として助成してもこの原子力船の使用を考えていく、こういう態勢を、いまからやはりある程度の見解を固めていかなければならないのじゃないかと思うのです。ただ五十年代になって、原子力船騒いでみても、やはりいまのコンテナ船とかあらゆる海外の技術革新にリードされるような結果になってしまっては後手を踏むのじゃないか、こうも考えたわけでありますが、この問題については運輸大臣どうでしょうか。
#48
○国務大臣(原田憲君) さすがに前途のある三木さんらしい私は御意見で、まことに傾聴に値すると思って聞いております。原子力の開発というものは、戦争という悲惨なものを呼ぶことには絶対反対でありますが、この開発によって人類が平和に幸福になるということのためには、徹底的な研究が必要ではないかと私は考えておるものであります。したがって、いまのお話のように、世界にあらわれておる原子力船はまだソ連、アメリカ、西ドイツというような状態でございますが、エネルギーの革新ということが、石炭から重油に変わっていったように、重油がいまでは公害問題というようなことでいわれているときに、もちろんこの原子力の応用というものが、絶対安全を期するための十分な措置が必要でありますけれども、この原子力の応用ということを考えることは、そういう面からも必然的に人間が各地で、世界じゅうで考えてくることではないか、このように私の私見でございますが愚考といたします。したがって、この船のニンジンにもこの原子力を応用してやっていくということは、日本でもいま始めておりますが、御指摘のように世界がそういうふうになったときに、海運国日本がおくれておってはならないのではないか。それに対しての準備はするべきではないかということは、そのとおりであろうと私は考える次第でございます。きょう原子力船が新しく進水をするのでありますが、これらも十分参考にし、今後の原子力船というものに対する研究開発ということについては十分意を用いていかなければならぬ、このように考えます。
 また日本は、特に日本の学問技術の応用を見ておりますと、創造性がこれから大事でありますけれども、日本人は特に創造されてきたものを応用することにたけておるようでございます。したがって、この舶用原子炉にいたしましても、私は日本の科学者が安全性あるいは高性能というところで十分その学問の力を発揮していく能力は持っておると考えますので、特にそういう方面に意を用いた研究開発ということにすべきであろうと考えますが、一応私の所管は、船の問題は所管でございますが、この問題につきましては科学技術庁を中心に研究を進めておりますので、御意見は十分取り入れて今後の検討ということをするようにいたしたいと、私の私見をまじえて御答弁申し上げる次第でございます。
#49
○三木忠雄君 最後に一つ、原子力局長に。舶用炉の問題ですね、やはり舶用炉の研究に四、五年かかると、こういうふうにもいわれているわけでありますけれども、やはり第一船と並行して第二船のこの舶用炉の研究を進めていかなければならないのじゃないか、こういうふうにも考えるわけですね。もし舶用炉の開発態勢がおくれてくると、相当後手を踏むような形になるのじゃないかと思います。この問題については、相当科学技術庁としても推進していかなければ、私はこの原子力の問題は前進しないのじゃないかと、こう思うのですけれども、これは強力に進める態勢が現在できているかどうか、これについて伺いたいと思います。
#50
○政府委員(梅澤邦臣君) 非常にただいまの問題は私たちも苦にしているところでございます。と申しますのは、舶用炉の研究の一般的研究というのは、いま先ほど御答弁申し上げましたように進めております。しかしコンテナ船あるいは何船という場合としての舶用炉に対する条件というものがまた出てまいります。その関係の研究というのは、まだ実は進んでおりません。したがいまして、先ほど申し上げますように、今度の懇談会で大体将来そういうコンテナ船に使うのか、どういう方向であるかという方向をなるべく早くきめていただきまして、それにマッチする形の小型化と申しますか、舶用炉の研究という具体的な研究というものを進めなければいけないということで、懇談会を早急につくって、今年中に懇談会として今後に対する研究の進め方、具体的な考え方というのは早急に立てようとしているのが現状でございます。その点少しおくれておりますことについては、まことに申しわけございませんが、そういう諸般の事情から現状に至っているということでございます。
#51
○三木忠雄君 最後に海運局長。将来の海運問題として、高速性、経済性ですね、これはどういうふうに考えていくか、まずどういうふうに考えられているか、これについて最後に伺って、私の質問を終わります。
#52
○政府委員(澤雄次君) 一般的に申しますと、高速性と経済性は相反するわけでございます。これは特に二十ノット以上の船を一メット早くしますためには非常に金がかかる。それから二十三ノット程度までは現在でもディーゼルでやれますが、あるいはそれ以上になるとタービン船――タービン・エンジンを使います。そうしますと、バンカー・オイルを非常にたくさん運ばなければならないというようなことがございまして、高速化すればするほど船会社にとっては金がかかるわけでございます。ただ、荷主に対するサービスとして非常に高速化しますと、荷物がその船にたくさん集まってくる。したがって、ある会社が非常に高速の船をつくりますと、ほかの船会社も、それとの競争上、同じような高速の船をつくって、荷物を集めなければならないという状態でございます。今後、世界の船は、特に定期船、コンテナ船はますます高速化してまいると思います。したがいまして、わが国といたしましても、高速の船をなるべく経済的につくれるような研究を大いにやっていかなければいけない、このように考えております。
#53
○市川房枝君 この法案は、外航船舶建造のための融資の利子補給に関する法律を改正するというものでありますけれども、この改正によって、幾ら国民の税金を船会社にやることになりますか。国民にわかるように、ひとつ、御説明を願いたい。海運局長からでけっこうです。
#54
○政府委員(澤雄次君) この法案によりまして利子補給をお願いいたしておりますが、二千五十万トンのうち約千六百五十万トンを計画造船で実施し、利子補給の対象にいたしたいと考えておりますが、これに要します利子の補給額が、十数年にわたりますが、八百八十八億でございます。
#55
○市川房枝君 まあ十数年にわたるけれども八百八十八億という、国民から見ますと非常に膨大なお金を船会社にやることになるわけでしょうが、船会社へ利子を補給するといいますというと、国民は、昭和二十九年に造船汚職というようなものがございましたが、それをすぐ思い出すわけでございます。今度も、このようにたくさんの金を船会社にやることになるということになりますと、何か、またそういうふうな事件が起きてくるのじゃないかしらんというようなちょっと心配をしておりますが、これは、運輸大臣は、その問題について、この心配をどうお考えでございましょうか。
#56
○国務大臣(原田憲君) 確かに、御指摘のように、昭和二十九年に問題がございました。それまでに日本の政界の中ではシーメンス事件だとか、いろいろな問題がございました。私は、これは一つは政治家個人のモラルの問題であると思います。政策はやらなきゃならぬ。しかし、その見返りに金を取るとか、選挙違反でもそうですが、堂々と戦って、それに、そこの裏に金が動くかどうかということに、いつも問題が起こってくるのであって、私は私の考え方というものを率直に言わしていただきますと、あの事件があったために日本の海運界の立ち直りはおくれたぐらいに私は思っております。やるべき政策というものは断行しなければならぬ。その裏にそれを利用する行為というものは、いわゆる汚職といわれるようなことは厳に慎まなければならぬ、こういう問題が基本であろうと思っております。今回のいま御審議を願っております問題につきましても、先生御指摘のように、国民の税金を何百億と海運のためにつぎ込んでいくわけです。しかし、これがなかったならば、立ち直ったと申し上げましても、まだ外国もそういう制度でやっておるのですから、負けるまいとすると、同じようにやっぱりやらなければならぬ。そうして二千五十万トンの造船というものをやったがよかろうということを専門家の方々、有識者から御答申をいただいて、そのためにはどうしてもそれが必要となってくるのでございますから、これをやらしていただきたいと存じますが、これをひっかけて裏で金品の贈収賄というようなことは断じて行なわない、こういう心がまえでございます。
#57
○市川房枝君 まあ大臣にそんなことを聞けば、そういう御返事が出ることはあたりまえなんでございましょうが、実はあの二十九年の汚職のとき、私は議員になりたてでございましたが、非常に印象が深かったことが実はあるのです。それは二十九年の予算委員会で、当時第一議員クラブに所属しておられたと思いますが、現在社会党の木村禧八郎さんが予算で、質問ではなくて討論ですか、予算の討論のときに、実はあの造船汚職の問題をお取り上げになりました。そうして現在こういう問題があるのだと、船会社はある待合を借り切って、そうしてほとんど連日のように政界の幹部、あるいは運輸省の幹部と会合をしておる、いまにこれは汚職が表に出てくるぞと実はおっしゃったのです。私はもうびっくりしてそれを聞いて、一体そんなことがほんとうにあるのかしら、ありながら、どうしてそれじゃそれが全然表に出てこないのかと、実はそのときの話の内容まで覚えておるのですが、そうしましたら間もなくそれが出てきたわけでございまして、そうして非常な大きな問題になったことは皆さん御承知のとおりですが、あのとき、運輸省の官房長も中に入っておられましたね。だから、その運輸省として、いま大臣のお考えは伺ったのですが、あの事件以後、運輸省自身としてこういう問題についてどういう対策をお立てになっていらっしゃったか。また今度も断じてとおっしゃいましたけれども、しかし、運輸省自身としては、そういうことが表向きから見ればなさそうに見えるし、そうあってもらわなければ困るのですけれども、どんな対策をしておいでになりますか。それじゃ国民は今度はだいじょうぶだというふうに一体安心ができましょうか、どうでしょうか。大臣、いかがですか。
#58
○国務大臣(原田憲君) 運輸省自体としてはさようなことは絶対に起こらないように、この海運のための振興対策というものを結局取り入れて、そうしてそのおかげで今日までになりました。その間さような事件は私はないと心得ておりますし、このたびも私どもはこの法案を審議していただいてこれが通りましたら、そのことによって日本の海運界が発展をすることがありましても、私の省内でさようなことに関連したいわゆる事件がないようには十分私は指導をしていくつもりでございますし、また、それを心得て各役人の諸君も働いておると私は信じております。
#59
○市川房枝君 まあ運輸省という役所は業界と関係が非常に深い省でありますし、利権が多いといえばまあ多い官庁であります。二、三年前に大阪タクシーの事件がありましたときに、運輸省の局長の方々が、そう大きな問題ではなかったかもしれませんけれども、ある程度問題がありまして、そうしてこれは新聞に報道されて、運輸省としてはそのときそれに対してある程度規制をなすったように覚えておるのですが、この運輸省内自身の平生のいわゆる綱紀粛正とでもいいますか、そういうことはその後どうでございますか。まあこの問題と別にしてですね。
#60
○国務大臣(原田憲君) まあいまJPGの話が出ておりましたが、私は当時新聞の紙上に名前の出た一人でございます。それは、私にはやろうと思ったけれども、やらなかった、こういうことを業者の人が言っておるという記事が出た一人であります。私にとりましては非常に迷惑な話で、向こうさんが私にお金をやろうと思って相談しようがしまいが、私はそんなことは存じあげない。私は当該委員会で、大蔵委員会でこのLPGの法律は通さなければならぬ、業者の方々は反対だということで、私は通さなければならぬという政府・与党の立場に立ってその職務に邁進をしたのでございまして、このことが新聞に出ましたらあたかも、何か新聞の見出しだけ見ましてたいへんなことだというので電話がかかってきて心配おませんかということで、何が心配なんだと、一ぺん新聞をよく読んでみいということで、結論は、調べが進むと同時に私どもがいかなる行動をしたかということは明らかになってきたところでございまして、私はかような問題につきまして反対論は当然あってしかるべきだと思っております。それはLPGに税金をかけろという議論があるならばかけるなという議論をいたしても、これは議論の分かれるところでありまして、当然であろうと、そこに金銭が裏にまつわるからいま先生の言われるような問題になってくるのでありまして、反対と賛成との議論が堂々と戦わされて、そして結論を出していくのが民主主義の社会の私はルールであろうと思っております。したがいまして、私が就任以来、かようなことで過去に御指摘の問題があることは知っておりますから、私は十分監督指導をいたしておるつもりであります。
 きょうちょっと理事会の前に話のありました自動車の問題も、私は業界というものを役所として指導すべきことは指導しなきゃいかぬという見地から取り上げておるのでございますが、これらの問題についても考えることは、何か一つの欠点が出ますとそれをよいことにして人を攻撃する、足を引っぱる日本人がいかに多いかということを一方では私は痛感されているんです。私のところにも手紙が来るわけでございますが、自分の名前もあかさぬでいろんななにが来る、調べてみると事実無根である、そういうことがあります。あたかも役人がおるとそこには汚職がどうしてもあるんだということを前提にしたようなことを振りまいて、そして逆にそれをもっておどしをかけたというような事件も先生御承知のとおり世の中にあるんでございます。
 したがいまして、私は船会社が利子補給を受けておる以上、経営の合理化、経費の節減というようなこともつとめてもらうということをいままで森中さんの御質問のときも答えておりますし、ましてやこれを指導監督いたしております役所の中には万遺憾のないようにやっていることを重ねて申し上げておきます。
#61
○市川房枝君 大臣が、大阪のタクシー事件の際に、大臣の選挙区が大阪でいらっしゃるので、LPGに課税をすべしという主張をなすったと、そしてあの事件とは御関係がなかったということを伺いまして、たいへん敬意を表するわけでございます。大臣がそういう御覚悟でいてくださればたいていだいじょうぶだろうと思うわけですが、いまおことばの中に、こういうふうに利子補給を税金から受けている船会社の経営はできるだけ合理的にしなきゃならぬということを監督の立場から言っているわけです。そういうおことばもたいへん私は当然だと思うわけですが、そのことに関連して、実は国からそういう補助を受けながら船会社がいわゆる政治献金を政党もしくは派閥などにしている事実がございますが、私は政治献金の調査をしているものですから、船会社がどのぐらいしているか少し調べてみて表をつくってみたのですが、このごろ政治献金は寄付だけを取っているということになっていて、会費とか賛助費とかということになりますとそれが出てこなくなるものですからわからなくなってきているわけです。三十九年には幾らか正直な届け出がされているから幾らかわかりますが、三十九年に船会社としては、いま合併になって少し船会社の現状も変わっているようですけれども、日東商船というのが百七十万円、飯野海運が百万円、日本郵船が百万円、太平洋海運が百万円、大阪商船が百万円、これはみな自民党の有力な派閥に寄付をしておるのでありますが、この四十二年になりますと、そういう会社の中で少しまとまった金を届けているのは日本郵船だけでありまして、日本郵船は三百八十万円届け出ております。そうして寄付したところは、福田派、三木派で三百八十万円であります。ほかの大きな会社は二、三十万円ということしか出てきておりません。ただ六大船会社の中に入っていない北星海運というのが、川島派、旧大野派なんかに八百六万円寄付しているのが届け出になっております。そうしますと、大きな船会社、その他の船会社も実際には相当寄付しているというふうに考えますけれども、こういう事実を運輸大臣はどうお考えになりますか。
#62
○国務大臣(原田憲君) これは政治資金規正法の問題で、いまこれらのことについて、政治資金規正法を出して合理的なものにしようじゃないかということを論ずるときの一つの根拠になっていると思います。私は寄付とか献金というものは、何がよいか何が悪いかということは、非常にむずかしいと思います。
 ここの議論とちょっと離れますけれども、自分が一生かかってお金をためた、けちといわれるほど。あの人はけちだといわれる人が死んでしまったら、一ぺんに五千万円福祉事業に寄付して、これはあの人ぐらいけちにやらなければほんとうのことはできないというようなたとえ話で、その献金がたたえられるほどの実例もございます。また食うものも食わぬと仏さんのために寄付しよう、こういう人もある。これが一がいに悪いとは言えない。悪いという、宗教はアヘンなりという説もありますけれども、一方にはそれによって自分が安心立命しているということになると、その寄付というものはよかったということにもなりますから、非常に私はむずかしい問題があろうと思います。
 だから、そのことによってどういう給付を逆に受けようとしてたくらんだかどうかということが一番問題になるのではないか。私は法律家ではありませんから、常識的にそのように考えております。したがって、広告を見ておりましても、ある会社がつぶれかけたが、一番広告にかけてみようかということでやったら、それが非常にうまくいったということになると、その広告費は、赤字会社で広告費をかけるのはいかぬとは言えないということになってまいりますから、経済社会においても非常に微妙なものがあるのが、われわれの実際の生活ではなかろうか。このように考えまして、政治資金規正法というものの中で、妥当と思われる線に落ちつけるのが一番よかろうじゃないか、これは私の私見であります。自民党の中でも私はそういう意見をはきまして、原案をつくるときには、そういうこまかい議論までしてきました。たとえばわれわれ、先生もそうでしょうが、おそらく市川房枝という先生のような有名な人は、サインしてください、色紙くださいというような場合がある。それは買収になるかどうか。色紙をもらったら買収になるか。五十円、百円もろうたら買収になるか、色紙もろうたら買収になるか、私はならないというような議論までしました。私程度の人の書いた色紙は買収にならぬそうですが、もっとえらい人が一字書けば何千万円というのをもろうたら買収になる。したがいまして、私は、この政治献金というものは非常に範囲を広く考えて、規正をするものは規正していかなければならないもんじゃなかろうか。まあ率直に、私言わしていたきだますと、まあ市川先生は自分一人でおやりになっておる、これはわりあいに選挙活動としてはお楽ではなかろうか、御苦労であると思いますけれども、……。しかし、よくまあ東京で当選されてると、ほんとは敬意を払っておるのですが、大きな団体というときには、それを積み重ねたものが――少なくとも、市川先生が幾ら使っておらないと言われても、金は要る。こういうものが重なってくるわけで、そういうものが、先生に対して行なわれておるようなことばかりでいけるだろうかということを考えますときに、おのずから、先ほど言いましたように、寄付というものを集めちゃいかぬということは、私は言えないんじゃなかろうか、繰り返しになりますが。そこで、政治資金規正法ということで、どういうことでどの程度にやっていったらいいんだろうかと、こういうことになってくると思うのであります。
 結論を申し上げますと、国家から保護を受けておる、助成を受けておる会社はそのような献金はしないほうがいいという先生の御議論でございますが、私も、まあそのような考え方が常識的ではなかろうかと思います。しかし、つき合い程度のことならば、これは許されてよかろうじゃないか、こう思う。いわゆる常識がどこまでかということの議論までするとこまかくなりますけれども、常識上許されることくらいならば、それが現在の、まあ私は船会社はその程度ではなかろうかというふうに考えております。いろいろな問題がございまして、船会社といたしましても常識はずれなことはしないというようになっておる、このように私は考えております。
#63
○市川房枝君 政治資金の問題に対しての、理論はいろいろありますけれども、それはまあ省きまして、最後にお話がありましたように、私は、まあ国から利子補給を受けておる、そういう会社が、そういう金の中からとも言えないかもしれませんけれども、しかし、経済的に困難してるからということで援助を受けておりながら政治献金をしてるということは思わしくない、やめるべきだ、こういうふうに考えるわけですが、これはまあ私だけでなく、実は第五次の選挙制度審議会が正式に規正法について総理からの諮問にこたえ、答申案を出しました。その答申案の中で、国から利子補給を受けてる会社は寄付をしてはいかぬということを、私は出しておったと思います。まあ政府案――それを受けておる政府案では幾らか緩和されておったと思いますが、やはりその趣旨は入っておったと思います。ただ、まあその次に自民党案として出された政治資金規正法の中では、たしかそれは消えてしまっているんじゃないかと思うのですが、まあ、つき合い程度ということは、それは社会的な一つの常識があるかもしれませんけれども、私はもっとそういうものは厳格に、国から補助を受けてるんだから、会社がもうけた中から好きな政党に、というか、好きな政治家に出すこと、それはまあ、それでも私は賛成しないほうなんですけれども、一応常識としてはいいと言えるかもしれません。しかし、こういう場合ですね、国民からいえばどうしても納得ができないわけですね。で、あんまりたいしたことでないと大臣もおっしゃいますが、ほんとにたいしたことないのかどうか。政治資金を寄付としてならばいまのような調査ができますけれども、会費とか、賛助費とか、公費として出しているのは届けてないからわからないのですが、私は運輸省が利子補給をなさいましたあと、会社の経理状態をお調べになるのじゃないかと思うのですが、そういうときに、やはりそういうのはどれくらい使っておるのかということをお調べをいただいて、まあ法的にはそういうあれはないかもしれませんけれども、やはり私はほんとうは、それは、そういうものを知りたいと言いますか、知らせていただきたいという気はいたしておるのですが、運輸省としては省の内輪のこととしてでもそれをお調べになって、大臣のおっしゃる常識の程度ならいいが、いわゆる常識をはずれた、少し多過ぎるということだったら、私は当然御注意をなさるべきではないかと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#64
○国務大臣(原田憲君) それはいまの法律というものの中で動いていく限り、そこまでタッチしていくことは許されるかどうかという非常にむずかしい問題があろうと私は考えます。先ほど申し上げましたように、会社の経理がどういつでおるかということを監督するということは、これは必要でございましょうが、お前は一体金はどこまでどう使うたのだという、こういうことまで言って、それが常識的であるか、常識的でないかというところまでいきますと、いま法的に言うと、これは現在規制されておらないということになりますと、法的には許されておるということになって、逆に言うと、それはよいのではないかというようなことに逆な面も出てくると思いますので、これは経営の全般につきまして十分指導監督をしていかなければならぬということは、おっしゃるとおりであろうと思っておりますし、また会社自体が監査という機構がございます。その機構において十分なことを私はやっているし、今後もやっていかれるというふうに信じてもおります。また株主総会というものもございまして、先生のおっしゃっているようなことをおっしゃる方もあって、過去にそんなことがあったということも、これは船会社ではございませんが聞いております。
 私は政治というものをよくすることによって、国民が繁栄をしていくということについて、まあ先ほどお布施のお話をいたしましたが、お布施はいいが、政治献金はいかぬということは理屈に合わないじゃないか、このような、これは私自身の私見でございます。だから、みんなが喜んで出すということならばそれはけっこうなことである。喜んで出す、それが喜んで出さない裏に何かがあるということが一番問題である。それは法律によって、一定の法律によって厳にひっくくられるという制度があるのでございます。現在でも。だから、これは綱紀粛正につとめていかなければならないし、またそれを担当しておる者は、そういうときには徹底して取り締まりをやったらよろしいと、私はそういう考えを持っておるのでございまして、私はいまの各会社に対しまして、国民の税金を使って各会社がよくなっていくこと、すなわち海運がよくなっていくことについて、万遺憾ないように、行政の上の指導はできるだけのことをさしていただくということを申し上げておきます。
#65
○市川房枝君 会社のほうで十分検査をしている、こういうお話があったわけですが、これも私はしろうとからの考えなんですけれども、今度の法案でも、利子補給は、もし会社が利益があれば利子を返さなければなりませんね。けれども、それなんかも、これもしろうとから考えると、会社の計算がちゃんともうかるようにといいますか、利子を返すような一体計算をするのか、それは操作によって、経費として出せば、あと利益がなくなれば返さなくてもいい、どうせ国のものだ、もらっちまえばいいなんていうことで、会社の監査というか、会社のそういう計算というものはどうも信用ができないんです。結局はもうけることが目的なんで、国としてはもちろんそういう企業は、日本の産業を盛んにしなければならないし、まあ国の基本的な、日本の造船業をふやしていかなければならぬということは、私も基本的な考え方では賛成なんですけれども、しかし、何にしても船会社というものは私企業である。結局、そういう私企業に対して、国民の税金を多額に出していくという――まあほかのいろいろな私企業がありますけれども、そういうものと比べてまあ不公平だといいますか、はたして船会社がほんとうにそういう国民の税金を有効にまじめに使って、そしてやってくれるのかどうかという点の、いわゆるそういう企業に対する信用といいますか、そういうものが私にはまだどうもないものですから、どうもその点が心配でありまして、この法案についてもその点の疑問が私に残るわけなんであります。まあこれは考え方の問題でございましょうから、御答弁をいただく必要もないかと思いますが、ただ私の感想だけちょっと申し上げておきます。
#66
○国務大臣(原田憲君) 私は、私企業でございますから、できるだけ本来は政府が口出しをしない、それで十分仕事をしてもらうのがこれは私企業でございます。しかし、この私企業に対して、お話のように国の金を持っていって、がんばってくれというのでございますから、それに必要なところの口出しというものはまたしなければならない。先生は、どうも心配であると言われておりますけれども、私は、健全なる企業になればなるほどそういう心配は減っていくはずであると。こちらから要らぬ口出しをしなければならぬことにはならなくなってくると。まあこうして議論をされておることからまたそういうことになっていくんだと、私はかように思っております。
 だから、先ほども自動車の問題を申し上げましたが、私は現在の自動車産業というものが、ごまかして、そしてもうけようということを考えておるとは思わない。そんな自動車ならアメリカで売れるわけがない。アメリカという自動車の第一の国に日本の自動車が行って売れるのでありますから、これは相当なものであるに違いない。しかし、これはもう一〇〇%ということは世の中にないんでありますから、よりよくしていくということの努力を常にはかっていかなければならない。その問題点の取り上げ方を私は指摘したつもりなんでございまして、この海運業もおかげでここまでよくなってきて、いまや世界のベスト・テンの中に日本の会社が入ってきておりますから、私は市川先生の御発言等十分生かされて、会社経営の中に生かされていくというふうに私は考えておるのでございまして、まあできることならあまり口出しをせんで健全にやっていただけたら、これほどいいことはない、このように考えておりますので、今後も十分注意をいたします。
#67
○前田佳都男君 いろいろ質問をする予定でおりましたが、相当これは重複をしておりますので、ごく簡単に数点お伺いしたいと思います。したがって、答弁のほうもごく簡単でけっこうでありますから……。
 まず最初に、六カ年、二千五十万総トンの建造計画の目標でございますが、これは貿易物資の安定輸送、積み取り比率の向上、国際収支の改善、これを達成するための計画目標であるというふうに聞いておりますが、そのうちで国際収支の改善でありますが、現在、昭和四十二年で全体が、国際収支が七億九千八百万ドルの赤字になっております。そのうちで、運賃収支が六億ドルの赤字になっておる。これは用船料とかあるいは港湾経費による赤字である。国際収支の改善ということを言っておられますが、この言っておることは、国際収支全体を改善することを意味するのか、あるいは運賃収支だけを意味するのか、全体をよくするためには二千五十万総トンでは足らぬのじゃないか、その点を簡単にひとつ。
#68
○政府委員(澤雄次君) 御指摘のように、海運の国際収支全体を黒字に転化させる、こういうことはこの新海運政策では考えておりません。これはさらに、非常に膨大な船の量になります。船会社の体力を越えるものであるということで、海運造船合理化審議会でもそのうちの運賃収支の面だけをせめてゼロにしようということで、計画が立てられております。
#69
○前田佳都男君 次に、計画造船におきまして自己負担の資金の比率でございますが、前期、定期船五%、その他が一〇%、後期、定期船一〇%、その他二〇%、そういうことになっているでしょう。あと三年たってから検討するというふうに聞いておりますが、三年経過しなければ、経済情勢とか海運の趨勢というものはわかりません。しかし、はたして三年後には、自己資金の調達能力があるものかどうか、その点をちょっとお聞きしたい。
#70
○政府委員(澤雄次君) 船会社の長期財務計画を予測することは非常に困難でございますが、この計画策定にあたりましては、電子計算機をフルに活用いたしまして、あらゆる与件を考えまして船会社の財務計画を予測いたしたわけでございます。それで適当な増資を行なっていけば、この程度の自己資金は投入できるであろう、こういう結論に相なったわけでございます。
#71
○前田佳都男君 次に、船主負担の金利ですが、開発銀行分、現在四%が五・五%になるわけですね、これは一ぺんに一・五%も上がるのですから、大体われわれ金融の常識をもってすれば、一ぺんに一・五%も上がるということは相当ロードが重いだろう、大体五%ぐらいが妥当じゃないかというふうに思うのです。国際競争力に勝たなければいかぬ。大体英国、米国、ドイツ、フランス、どの国でも相当援助をしておる。ことにイギリスの投資奨励金というものは二五%も交付している、こんなに大きな保護というものはないと思うのです。日本の海運はいま非常に太陽がのぼるような趨勢にありますが、いまこのときにちょっとのことを詰めることによって、かえって国際競争力が弱るのじゃないか、その点を心配しているのです、どうでしょう。
#72
○政府委員(澤雄次君) 金利水準をいかに定めるべきかということは最も議論されたところでございますが、ヨーロッパにおきましても国内船に対する対策は、いろいろ各国によって違っておりまして、御指摘のようにイギリスなどは二五%の投資奨励金をぽかっと補助金としてやっているというような、非常に手厚い国もございますが、その国の金利水準の低いところでは補助金のないところもございます。おおむねヨーロッパにおきましては、金利水準が四%から六%程度の間になるように助成をしているところが非常に多いということが一つ。それから輸出船に対します助成が、これは御承知のようにOECDでもきまりましたように、延べ払い分六%ということに相なっております。それからまた日本の経済は、非常にほかの国より成長力に富んでいる、これは荷物があるというような事情も勘案いたしまして、四%を五・五%に上げたわけでございます。日本の船会社は非常に苦しいと思います。苦しいと思いますが、やはり企業が努力、日本の経済の成長力というものを背景にして、これでどうしてもやっていかなければいけない、このように考えております。
#73
○前田佳都男君 次に、国際収支の改善とか、そういうふうな点から見て、三国間の輸送、これは相当推進をしなければならぬと思うのですが、どうもこの対策が数字の面だけから見ると、不十分なように思うのです。予算面で見ましても、四十三年度五億八千万であったのが、四十四年度二億四千三百万というふうに減っておりますね。これは大体運輸省が悪いのじゃなくて、大蔵省の予算の編成のしかたが悪いのだろうと思いますが、どうしてこんなに減ったのか。全然、国際収支をよくしなければならぬという名分が、きわめて逆じゃないかと思うのですが、その点どうですか。
#74
○政府委員(澤雄次君) 交付方法が、従来は、日本を起点にして出てまいりまして、その途中で三国間の輸送を取ってまた日本に帰ってきたというものも助成の対象になっていたわけでございます。ところが今年度から官本を起点、あるいは終点とする航路については、補助金を出さないということで、純粋な三国間だけを助成の対象にいたしたわけであります。したがいまして、このように金額は減ったということでございます。これを減らしました理由は、再建整備期間が経過いたしまして、船会社の体力も、不十分ながらついてきた、償却不足も解消したし、延滞も解消した、今後は船会社の自力といいますか、企業力を大いに活用して三国間に出てもらいたい、国はそれにお手伝いをしよう、こういうことで、助成金が大幅に減ったわけでございます。
#75
○前田佳都男君 次に、計画造船に関連しまして、船員対策を出てる必要がある、これは先ほど三木委員から御質問がありましたので、この点はほとんど省略いたしたいと思いますが、ただ船員をできるだけ少なくても済むように省力化といいますか、機械化といいますか、そういうふうなことは一体どの程度に今後進めようとしておるのでございましょうか、その点をちょっと。
#76
○政府委員(高林康一君) 従来、自動化というものが、ある程度十六次計画造船以降に行なわれております。しかしながら、非常にまだ中途はんぱであるというのが現状ではないかと思います。ごく最近におきましては、機関室夜間無当直船というようなものが、ごく数隻でございますけれども、出現しております。今後の船員需給を考えます場合におきましても、当然全体的に労働力が不足するということは予測されるわけでございますので、こういうような自動化装置、こういうようなものを大いに促進しなければならないというふうに考えております。この自動化装置に伴いますところの就労体制というものは、かなり大幅に変わらなければならない、こういうふうに考えておりますので、そのような考え方のもとで、昨年以来、技術革新に即応いたします船舶職員制度のあり方というような問題につきまして、現在海運審議会に御諮問申し上げておりますが、そういうような結論を得まして、できるだけ高能率な、しかも、過重労働にならない就労体制を、機械の力をかりて確立する方途を考えていきたいということで検討しておる段階でございます。
#77
○前田佳都男君 次に、計画造船によりまして、船腹を拡充することは大いにけっこうでありますが、それに関連したいろいろな施設が必ずしも計画造船と歩調を合わせていないというふうに思うのです。その点は運輸省も非常に努力をされておると思うのですが、運輸省以外の関係の役所においても、どうもそれにマッチした努力をしていないのじゃないか。しておられますけれども、努力が足らぬ、いろいろな隘路があると思うのです。
 まず最初に、運輸省の港湾の問題ですが、主要港湾の滞船状況が、沖待ち実績が、私の見た数字では、三十八年には二十七時間であった、これは平均です。四十二年には四十五時間か四十六時間くらいかかっている。もちろん横浜港は二十七時間が二十二時間、五時間短縮になっております。またしかし、神戸港では二十一時間が二十九時間に延びておる、港湾整備計画とか、大いに声をにぎやかに、われわれも盛んに予算編成のときにやるわけですが、率直に言うて、どうも船をつくるのに即応して港の設備というか、バースの増設であるとか、そういう点が伴っていない、その点港湾局長、ひとつよく説明していただきたいのですが。
#78
○政府委員(宮崎茂一君) ただいま外航船腹を拡充するのに伴って、港湾の施設が伴っていないのじゃないかと、こういう御質問でございます。御答弁したいと思いますが、全体的に見ますというと、外航船腹の計画は、昭和四十九年までの計画でございまして、ただいま私どもが持っております港湾整備五カ年計画は四十七年まででございます。したがいまして、これを対象にするというわけになかなかまいらぬわけでございますが、四十九年の造船計画で四十七年の中間時点をとってまいりますというと、これはやはり全体の貿易量が五億一千万トンというふうに推計されております。私どもの港湾の計画でも、その貨物を処理するような外賓の施設計画をいたしております。したがいまして、日本船のみならず、外貿の貨物を運んでくる外船に至るまで、施設の面から見ますと、全般的に計画が一致している、こういうふうに全体的には言えるわけでございます。
 それから四十九年の問題でございますが、これはまたいまの計画を達成した時点におきまして追加するなり、あるいはまた途中で改定するなりいたしまして、二カ年分追加いたしまして、船は二千五十万トンでございますが、それ以外に滞船に対応するような港湾施設をつくるつもりでございます。
 なおまたいまの計画の中でも、実は八千億の――一兆三百億でございますが、国費のつぎ込む分は八千億でございます。その中で千百五十億というまだどこにも割り振っていない調整項目もございますので、どうしても港が困るとなれば、そちらのほうに、外貿が最重点であろうと思いますので、そのほうへ振り向けたいと、かように考えております。
 それから先生いま御指摘になりました船込みの問題でございますが、これはいま一カ年とか半年とか長い期間で見れば、実は全部荷物は消化しておるわけでございますけれども、非常に短期間として見ますと、通勤電車のラッシュアワーみたいに、月末、月初に船が集中するわけでございます。したがいまして、これはいろいろな対策が考えられなきゃならぬ。単に施設面だけでやりましても、一ぺんに船の集中するやつはなかなかむずかしいということで、金融面のこともございますし、いわゆるどこで荷主が輸出品の金を受け取るか、船に積み込まなければ受け取れないという制度でございますので、これはコンテナ化がだいぶ進みますというと、そういうこともだんだんなくなるだろうと思いますし、また商社の方々にも各港ごとにそういう懇談会をつくりまして、どうしたら集中を平均化するかということを相談をいたしております。港ごとに非常に性格が違うようでございまして、その点今後とも関係の各省なりあるいは税関なり、そういったところとも御相談したい。それからまた植物検査の問題――いわゆる船が入ってまいりましてから出るまでの間に、いろいろな事務があるわけでございまして、こういった事務の簡素化の問題そういった問題にも努力してまいりたいと、かように考えておるわけでございまして、施設の面もうんと多ければ多いほどいいわけでございますが、そういったことで船込みというものはまた別な角度から、施設全体が足りないという問題じゃなくて、いわゆる集中するからいけない問題がございまして、そういう点につきましては、今後とも努力して、そういうことのないようにしたいと考えております。
#79
○前田佳都男君 次に、関連した問題としまして、検疫の問題。外国は、私の聞いておるところでは昼夜を問わず、昼でも夜でも船が入ってくれば二十四時間検疫しているということを聞いております。ところが日本だけは時間外――夜になると検疫をしない、そういう状況でありまして、しかも船は、検疫の時間がいつでございますということを考えて港に入ってくるような船はなくて、とにかくそういう検疫の時間というのに関係なく昼でも夜でも入ってくるだろうと思うのです。検疫時間外の入港というようなものが非常に多いのじゃないかと思います。これも私の見た数字でございますが、横浜で、四十二年度で、五千百八十三隻のうちで千九百八十五隻、約四割、四〇%程度が時間外に入ってきておる。検疫の時間外に入港いたしまして、検疫待ちというか、ずっと検疫する場所で待っていなくちゃいかぬ。これもいま港湾局長の言った沖待ちの時間が延長しておる大きな原因の一つですが、検疫しなきゃいかぬ船が滞船することによって非常な損失がある。この約四割がじっと待って何もしない滞船の損失というものが非常に大きいと思う。検疫課長のこれは仕事かどうか知りませんけれども、滞船することによって損失する、その損失額というのは幾らぐらい見込んでおるのか。これは海運局長にひとつ聞かしていただきたい。
 とにかく船が港に入りましたその晩に検疫をしてもらえばその明くる日に荷役を完了いたしまして、終了して出港することができる。それが検疫のために出港が一日繰り延べになった、実にその損害が大きいのですね。ほんとうに検疫というのは厚生省あまり力を入れていないと思う、率直に言うて。ここにいらっしゃる検疫課長の責任じゃないですよ。これは全体の問題だと思う。厚生省はもっと医療だとか、大きな問題があるから、検疫問題というのはわりあい軽く考えていらっしゃるのじゃないか。わりあい検疫に熱意がないように見える。きょうあたりでも公衆衛生局長が出ないで検疫課長が出る。聞くところによると、専門家の仕事であるという話でありますが、専門家以上に、それは大臣ぐらい出てもらわなければならぬ問題だと私は思っている。とにかくまず第一に、検疫待ちによる滞船の損失、これはどれだけあるかということをこれは海運局長からでも、おわかりだろうと思うから聞かしていただきたい。それが一つ。
 それから、検疫課長から、このばく大な損失があると思うのですが、その損失に対して大体どうしようとするのか、その対策があるのかないのか。どうも私は率直に言ってあまり熱のある対策がないと思う。その点をひとつ聞かしてもらいたい。最初に海運局長。
#80
○政府委員(澤雄次君) 運輸省で、船主協会を通じまして、この検疫のための滞船を調査いたしましたところでは、昭和四十二年に検疫時間外の入港船が一万四百五はいでございますが、検疫待ちの延べ時間数は六万二千四百三十時間、その損害額は二十億円、こういう報告をいたしてまいりました。損害額は一万重量トンぐらいの船で一日八十万円、最近の大型の二十万トンタンカーぐらいになりますと、一日の損害として四百万から五百万、このような数字をもとにして計算したのでございます。
#81
○説明員(実川渉君) ただいま海運局長のほうからお話がございましたのですが、これは一応の試算でございまして、実は現在、私どもとそれからやはり関係団体の協会ということで、船主協会のほうと協力をいたしまして、若干の調査を行なっております。中間的にしか申し上げられないわけでございますが、検疫時間を待っている時間が多少延長いたしますために損害をこうむるというものと、それから先ほど先生の御指摘になりましたようなシフト待ちと申しましょうか、いろいろ積み荷をいたしますときの岸壁待ち、バース待ち、その他のものと比較いたしますと、中間的ではございますけれども、大体シフト待ちのほうが二、三倍多い損失のように思うわけでございます。しかしながら、金額的にまだ幾らということは申し上げませんけれども、検疫を待っておりますために、多少とも停船をしなければならない。したがって、そのために、滞船量がかさんでくるということは想像にかたくないわけでございまして、それに対しまして、私どもといたしましてもできるだけ合理的に検疫を実施することによってその損失を少なくしたいというふうに努力しておるわけでございます。
 実はわが国の検疫法と申しますのは、国際的な条約に基づきますものでございまして、その条約の基本方針といたしましても、疾病の侵入を最大限押えるけれども、しかしながら、国際交通の阻害は最小限にとどめなければならない、こういうようなことを目的としておりますので、当然それを受けて検疫法につきましても、常に国際交通の阻害を最小限にとどめるということを努力しなければならないわけでございます。
 そこで、いわゆる検疫滞船に対します対策でございますけれども、従来までは、一応沖合いの検疫錨地というところでもって集約的に検疫をいたしておりましたために、非常にスムーズに検疫が終了できたわけでございます。先生先ほど御指摘のように、最近専用船化、大型船化というようなこと、あるいは船腹量の激増、こういうようなことで検疫区域に入る、検疫区域が狭過ぎるとか、あるいは水深が浅いとか、あるいは船込みが激しいとか、こういうような関係から、一部着岸――目的のバースがあいておりますれば直ちにそこに着けさせまして、そこで検疫を実施する。こういうような方策も考えられないのかということで、実は本年度から着岸検疫と申しましょうか、従来の沖合い検疫にかえまして、一部の大型船につきましては着岸検疫を実施するようになっております。
 それから、これはまた御指摘のとおり、時間外に入港する船舶でございますが、実はこれ全国的にとりますと、約三割が時間外に参っております。それで、検疫法のたてまえから申しますと、検疫時間というのは日出から日没まで、原則的にはそうなっております。ただし、もちろん緊急やむを得ない場合でございますとか、必要な場合には夜半といえども実施することにやぶさかでないわけでございますが、一応原則的には日出から日没になっております。と申しますのは、これはやはり港則法の関係その他でもって特定港におきましては夜間の入港が禁止されておりますので、そういった他官庁との関連もございますので、一応そういうようなあれをしておるわけでございます。
 それで、夜間の検疫に対しましてどういうような措置を考えておるかというような点につきましては、これは実は十年前に比較いたしますと、もう検疫量が二・四倍というような、まあ昨年四十三年の実績でございますと、三万三千隻に及ぶ検疫を実施しておりまして、十年前に比較いたしますと、二・四倍というような激増ぶりを示し、なおかつ今後ますますそういったような傾向が見込まれておりますのでございますが、残念ながらそれに伴います検疫機関というのはほとんど十年前と変わりないような状態でございます。現在八時間勤務でもって日出から日没までスムーズにやっておるのでございますが、これを延ばすということになりますと、変則二交替、変則三交替というようなことをやりましても、現在の人員を一・五倍あるいは二倍というようにふやさなければスムーズにいきませんので、そういう点実は苦慮をしておるわけでございます。
#82
○国務大臣(原田憲君) いまの問題は非常に私、重要だと思いましたので、ちょっと答弁をさせていただきます。
 先ほどの船込みの問題でございますが、これは宮崎君が答えたように、地方地方によってもちょっと違うところがあるようでございます。特に神戸港の場合は繊維協会の支払い方法とか、いま話がありましたように、そういう問題もからんでおるというように把握いたしましたので、通産大臣とも相談いたしまして、これは長い間、この弊風といいますか、これのロスのほうが結局はメーカーも商社も損をするのでありますから、これを考えてもらって、事によって解決したらどうだということを相談をいたしております。
 それから検疫待ちの問題でございますが、これもいま事務的な答弁がありましたが、この問題につきましても、損害額が私どもは二十億にのぼるというようにいわれておるという報告を事務当局から受けておるのでございまして、これらの問題につきましても、厚生省とよく相談をいたしまして、対処しなければならぬと思っております。
 私が所管といたしまして公害問題で、自動車の排気ガスを二・五%にことしの九月から新車をやるということで厚生省に相談しましたら、厚生省は、それではまだなまぬるいからもっとしっかりやってくれと言っておる省でありますから、こちらから言ったら、もっと一生懸命にやってくれると、このように思っておりますので、そのように対処していきたいと思っております。
#83
○前田佳都男君 ただいま大臣からこの計画造船に伴っていろいろな隘路のある問題、滞船による損害の解消の問題等について、通産大臣あるいは厚生大臣と非常に熱心に御検討されておるということを聞いて、私は非常に心強く思っております。とにもかくにも、そのうちでも特にこの検疫の問題は、率直に言うて厚生省の大きな仕事の中の端の端くらいに考えられておるのじゃないかと思うのです。率直に言うて、歴代の厚生大臣は検疫をやるというようなことを声を大にして言うたことを聞いた覚えは私はない。われわれも国会議員として、この問題については、さらに予算編成のときにもずばり言って検疫の問題にも私も努力をしたいと思いますが、大体数字的に見ても、いまも検疫課長がおっしゃったように、私の見た数字だけでも、三十三年に検疫実施船舶が一万二千二百六十七隻、定員が六百人、四十二年が検疫実施船舶が三万九百六十四隻というふうに倍以上にもなっておって、定員がわずか六百九十六人、これで検疫の能率があげられるはずがない。しかも夜はいたしません。いま検疫課長は、夜間も検疫することにやぶさかではありませんと、こうおっしゃったけれども、おそらくこれはなかなか簡単にはそうおやりにならぬだろうと私は見ている。やれない。やれっこない。いろいろ厚生省も検疫関係の方も、幾らいい頭をしぼりましても、そう見てないはずなんです。何か根本的にこの検疫の制度自体について、考え直す必要があるのではないか。外国では相当の能率をあげておるということを私は聞いておる。ラジオ・プラティークというような制度があるということも聞いておる。これについて、検疫課長、どういうふうに考えておるかということが一つと、それから時間がありませんからかためてやりますけれども、着岸検疫は、これはぜひやってもらいたいと思っておったけれども、もうこれをおやりになるということを聞いて、私もこれは非常にうれしい。着岸検疫をやる。根本的に現在の検疫制度を――定員は足りません。これをふやさなければいかぬ。根本的に、抜本塞源的に思い切ってひとつ検疫制度というものをよくしようという案を何か現在考えておるのかどうか。もしないとすれば、これはもう早急に大臣のこの熱意によって、私は閣議でもこれを問題にしていただいてしなければ、せっかく計画造船で国民の税金による金を利子補給しても、結局、竜頭蛇尾というおそれがある。肝心のところで力が抜ける。その点を検疫課長、もう一ぺん答えてください。
#84
○説明員(実川渉君) 第一点のラジオ・プラティークの問題でございますが、実はアメリカでもって昨年の十二月からニューヨーク、サンフランシスコ、ニューオルリンズ、プエルトリコ、そういったような四港につきまして試験的に実施を始めたということを聞いております。それに対しまして、資料を私どもも徴収いたしまして、検討を進めております。来年度以降はぜひこういったような新しい動き方というものも取り上げていきたい、かように考えております。
 それから第二点の、抜本的な解決というようなお話でございますが、実は先ほども申し上げました検疫法の基本法になっております国際衛生規則という、条約的性格を持っているものでございますが、この国際衛生規則が本年の七月、一応全面改定される予定でございます。近年におきます国際交通の激化ないしは近年におきます悪疫の疫学的な状況、そういったような点を勘案いたしまして、新しい方式を取り入れて、その国際衛生規則というものを全面改定する予定になっております。それを受けまして、当然私どものほうといたしましては、二十六年制定になりました検疫法の抜本的な改正というようなものも考えております。で、現在検討いたしております。
#85
○前田佳都男君 検疫の問題はまだまだこってりやりたいのですけれども、時間がありませんから、きょうはこの程度にいたしますが、今後の委員会でこの検疫の問題をさらに議題にして私も質問したいと思います。
 最後に一つだけ、新海運政策の実施に関連しまして、今後のあり方ということに関連して、これまでの海運再建整備で相当すばらしい効果がございました。わが海運界も企業の体力は相当回復したと思う。ところが、これからの海運界というものはこれまでどおりの助成方式というか、それでよいものかどうか、その点をお伺いしたいわけです。よくこの委員会で問題になりました経営の自主性――自主性、自主性ということをよくいわれておる。自主性ということは、かってに好きなことをやっていいという自主性では私は断じてないと思う。補助する以上は、それに対して相当な規制、監督も必要です。しかし、ただ画一的にもうきまりきまって、やあ給与は規制いたします、支出は何千万円以上はいけませんとか、画一的な規制も少しどうも型にはまった重箱の端をほじくるような規制であってはならぬ、そういうふうに思うのです。現在の海運界におきまして、船会社は幾つかあるわけです。その船会社で、非常にある会社は努力しておる、ある会社は企業努力をして収益も営業成績もいい、能率があがっておる、補助しただけのやはり値打ちがあるというふうな会社と、あるいは能率のあがらぬというか、同じような補助をしても一向に能率のあがらぬ会社がある。その間において、ある程度その企業努力にこたえてそれ相応の、まあ報償という意味じゃなくて、企業努力にこたえて、よくやった、それ相当の裁量の余地を認めてやるとか、何かそうしなければ、画一的な一本調子な海運統制は――統制でもありませんけれども、海運規制というふうなことになっては意味がない。今後の海運政策のあり方に関連して、自主性ということに関連して、これをどういうふうにお考えになっているか、その点だけをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#86
○国務大臣(原田憲君) 国家の助成を受ける海運会社に対しまして、政府の監督規制を行なうことは、これはまあ当然でございますが、先ほども市川さんと質疑応答いたしたのでございますが、私は、本来自主的に自分の企業努力というものを十分発揮していく、それが私企業のあるべき姿であると思っております。ただ、一生懸命やりたくてもできないという場合に、国が助成をしてその芽を伸ばすようにしていく、これが助成策でありまして、そのことが今日の海運界においても効果をあげてきておると私は考えております。したがいまして、今度の政策によりましては、いわゆる保護から体力をつけるというふうにいくのでありますから、そのよい面はどんどん伸ばしてもらうということはけっこうなことであろうと考えます。
 そこでいまのお尋ねの点は、伸ばしていったものに対して何か考えるところがないと、せっかく一生懸命やったものも何もせぬものも同じではやらへんと。人間はこういうことになるから、ひとつ伸ばしていく面について何か検討すべきことがあるのではないか、奨励策というものがあるのではないか、こういうことであります。私はそれが規制をゆるめるというような表現のしかたではなしに、自主能力をもって成績をあげられた、こういうことについては十分何か検討し、今度はあがらない会社には逆にそういう面であのまねしたらいいじゃないかということは、そういうことについて口出しをさしてもらうならさしてもらうほうがいいんじゃないか。いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたが、世界のベストテンに入るところまできておる会社でございますから、できるだけ自主的な努力ということに重点を置いて私どもの行政監督ということはしていきたい、このように考えております。
#87
○委員長(岡本悟君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、これにて終了いたします。午後一時半まで休憩いたします。
  午後零時四十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十分開会
#88
○委員長(岡本悟君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。運輸事情等に関する調査の一環として、自動車の構造上の欠陥に関する件について参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
     ―――――・―――――
#91
○委員長(岡本悟君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 前回に引き続き、東海道本線函南、三島駅間における列車脱線事故について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#92
○瀬谷英行君 前回質問いたしました際は、概要だけで図解がなかったので、ほんとは大きい図面を書いて説明してもらおうと思いましたが、間に合わないということですから、ここに一応資料として図を書いてもらったわけであります。前回、鉄監局長からも答弁がありましたが、率直に言って、どうも要領を得ない点もありましたし、調査中という御答弁もございました。しかし、六月八日以前の五月十七日にも、函南−三島間で脱線事故があったわけであります。これらの脱線事故については、その原因が何であるか、競合脱線なら競合脱線であるとしても、一体どういうような事情で脱線をしたものか、どこで調査を行ない、今日までどういう結論が出ているのかといったようなことについて、御報告を願いたいと思います。
#93
○説明員(一條幸夫君) それでは、五月十七日と六月八日の事故につきまして、概況を初めに御説明をいたします。
 お手元に差し上げてございます図面が二枚ございますが、「5月17日函南・三島駅間列車脱線事故状況略図」と書きましたものと、「6月8日函南・三島駅間列車脱線事故状況略図」と書きましたもの、二つ差し上げてございます。初めに五月十七日のほうから概況を御説明をいたします。
 この図で、一番上の状況が線路の状態でございまして、左側に函南の駅がございます。これは二本線がございます。上の線が下り本線でございまして、下の線が上り本線を示しております。この事故の脱線をいたしました列車が一四六九列車でございます。この図面でまん中からやや右側に黒い矩形で示しておりますのが一四六九列車でございます。この一四六九列車が函南駅を十九時五十四分に定発をいたしております。定発をいたしまして、その後の運転状況を概略申し上げますと、逐次加速をしてまいっておりますが、第四閉塞信号機、第三閉塞信号機、これは進行信号で通過をいたしております。第四閉塞信号機を通りまして、一一六キロ一三二と書いてありますところに白い矩形がございますが、これはトンネルを示しますものでございまして、観音松トンネルでございます。このトンネルに差しかかります約三百メートル手前で惰行運転に移りまして、それからトンネルに差しかかりますときのスピードが約六十キロでございました。その後このトンネルの入口に近いところでブレーキをかけております。それからトンネルの出口付近で再び追加のブレーキをかけておりまして、竹倉踏切というのが、この図の下のほうの勾配のところに書いてございますが、一一七キロ二七七メートル付近に竹倉踏切という踏切がございますが、この踏切の付近では時速が約五十五キロになっております。この踏切の付近で貨車のブレーキは緩解をいたしまして、機関車だけブレーキをかけた状態で運転をいたしております。そういう状態で運転をしてまいりまして、谷田トンネルに差しかかったわけでございます。このトンネルを出ましたところに第二閉塞信号機がございますが、この下りの第二閉塞信号機の進行現示を確認をいたしまして進行してまいります途中、トンネルの出口付近で第二閉塞信号機が明滅をいたしました。ここで非常制動をとりまして、この信号機を約三百メートルほど行き過ぎまして停車をいたしました。同時に、このときに電車線も停電をいたしましたようでございます。というような状態でございますが、このあと乗務員が後方を調査いたしましたところが、前から二十九両目の貨車三十両目の貨車の間が三百五十四メートル分離をいたしておりまして、この図面に三五四メートルと書いてございますが、三百五十四メートル分離をいたしまして、三十両目の貨車が谷田トンネルの側壁に衝撃をして全軸脱線をいたしておりました。それから続く三十一両目の貨車も全軸脱線をいたしまして、上下線を支障しておりました。というのがこの一四六九列車の五月十七日の脱線の状況でございます。この三十両目の貨車はワムの一二八九四二号車でございまして、パルプ材でございますが、丸太積みの貨車でございます。それから続く三十一両目の貨車もワムの八二一六一号車でございますが、これもパルプ材を積んでおります。
 この事故の原因の推定でございますが、その後、国鉄の技術研究所、現地の管理局、それから本社の要員で鋭意調査を進めてまいっておりますが、現在の段階では、脱線原因といたしましては、車両及び線路の状態、積み荷の状態、運転条件等を調査をしてまいっておりますが、それぞれの要因を調査をいたしますと、いずれも脱線を発生させるような原因が見当たらないのが現在でございます。この運転の状態、それから乗り上がり脱線をいたしました地点の軌道の状態、脱線した車両の状態など、いずれも単独では脱線を発生しない、個々の要因が競合いたしまして脱線したものと考えられております。これが五月十七日の事故の概況でございます。
 それから申し落としましたが、この脱線をいたしました場所の状況でございますが、十ミリの下り勾配の連続しております区間でございます。この十ミリの下り勾配にあります半径六百メートルのカーブ、曲線を出まして、この六百メートルの曲線と直線部分とのつなぎの緩和曲線の部分で脱線をいたしております。それからこの場合に、脱線は、この六百メートルのカーブに対しましてカーブの内側のほうに脱線をいたしておりますのがこの五月十七日の事故の概況でございます。
 その次に、六月八日の函南−三島駅間の列車脱線事故の状況図について御説明をいたします。
 線路の図は前回と同じでございます。一番上が上から本線を見ました図でございまして、まん中にございますのが断面図でございます。それから一番下に車が脱線いたしました状況が略図で示してございます。この脱線をいたしました列車は貨物の第七四六五列車でございまして、車両が四十九両でございます。この列車は函南駅を六分三十秒おくれて通過をいたしました。この函南駅を通過をいたしましたときのスピードは五十八キロの惰行運転で函南駅を通過をいたしております。第四閉塞信号機、下りの第三閉塞信号機とともに進行信号を確認をいたしまして、観音松トンネルの入口に差しかかりましたこのときの速度は約六十五キロでございます。この観音松トンネルに進入いたしましてから、機関車のブレーキの圧力を示しておりますメーターがついておりますが、このメーターの針がわずかに振れましたので、このメーターから異常を感知いたしまして、非常ブレーキを使用して観音松トンネルの中にこの貨物列車が停止をいたしました。トンネルの入口から約四百二十三メートル入りましたところで停止をいたしました。
 それで状況といたしましては、このトンネルの中に停止をいたしますとほとんど同時ぐらいに、あるいは若干前に電車線が停電をいたしたようでございます。ちょうどそのときに上りの第二列車が観音松トンネルの中に入ってまいりました。この図でトンネルの左側にちょっと首を出しております黒いものがございます。これが上りの列車でございまして、この第二列車の機関士がこのトンネルの中ですれ違いました貨物列車の機関車のヘッドライトがだんだん暗くなるのを認めております。その後にこの行き違いました貨物列車の長さが短いということに気がついております。その直後にこの上り列車はATSが作用いたしまして、このトンネルの中で作用をいたしましたので、制動ブレーキをかけましてこのトンネルの中に停車をいたしました。それから一たん停車をいたしましたが、前後の状態がわかりませんので、最徐行で――この上りの第二列車は特急でございますが、最徐行で動きましてトンネルを出たところ、トンネルを出まして下りの貨物列車の脱線転覆の状態を見たわけでございます。順序があと先になりましたが、そういう状態、それが時間的な経過でございます。
 それでその次に、この貨物列車の七四六五列車の脱線転覆をいたしました状況でございますが、十三両目から二十二両、三十四両目までが脱線をいたしております。その状態がこの図面の下に書いてありますような状況でございます。
 それからこの脱線をいたしました地点の線路の状態でございますが、十ミリの下り勾配で六百メートルのカーブのところでございまして、この六百メートルのカーブの終わりごろのところで脱線をいたしております。この場合は、六百メートルのカーブの外側のほうに脱線をいたしております。現地の線路に残っております痕跡等を調べてみますと、一番上の図面のように、脱線地点と思われますところは一一五キロ七六八メートルの地点でございまして、ここで十三両目の貨車の前軸がこの地点で脱線をいたしているようでございます。この一一五キロ七六八メートルの地点で十三両目の前軸が脱線をしておるものと、いろいろな条件を調べてみますと考えられます。この一軸脱線をいたしましたような状態で六十メートルくらい走りまして、その後にこの十三両目の貨車のうしろの軸が脱線をしているようでございます。それで、分離をいたしましたのは、この図面の一一五キロ九六四メートルと書いてありますところで前のほうと分離をいたしております。この前頭の部分は、分離をいたしました後四百九十メートルくらい走りまして、先ほど申しましたような状況で前頭部はトンネルの中に停止をしたという状態でございます。
 この事故の概況は以上御説明いたしましたようなことでございますが、この原因につきましては、ただいま鋭意調査中でございます。まだ調査中の段階でございまして、はっきりしたことは申し上げられない段階でございますが、脱線車両を調べてみますと、脱線車両のうちで車体の損傷の激しいものが四両ございます。そのうち、特に車輪あるいはその付近の付属品の損傷のはなはだしいのが、脱線車両二十二両の最前頭車でございます十三両目の貨車でございます。これは、ワムの七〇一一九号車でございまして、パルプ材の丸太を積んでおりますこの十三両目の貨車の損傷が一番ひどい、これが一番最初に脱線したのではないかと考えられます。
 なお、この車両のうしろの軸と前の軸とを比べてみますと、前の軸の車輪の損傷がうしろ軸よりもひどい状態でございますので、最初に脱線したのがこの貨車の前軸であろうと考えられます。が、現在までこの車両の状態、線路の状態、この場合の機関士の運転の状態、それから積み荷の状態等をいろいろ詳細にできるだけ綿密に調査をいたしておりますが、現在の段階ではそれぞれの状態は、運転取り扱い、あるいは線路車両の保守の基準等と照らし合わせてみまして、特にその悪い状態が見つかっておりませんのが現在の段階でございます。今後なお調査を進めてまいりまして原因を究明いたしますが、現段階では、前回の五月十七日の事故と同じように悪条件が競合いたしまして脱線したものではないかと考えられます。今後もなお調査は続けてまいりますが、現段階ではそう思われます。
 以上、概況について御説明をいたしました。
#94
○瀬谷英行君 この事故は幸いにして死傷者がなかったので、忘れられようとしておりますけれども、しかしこの事故の状況を聞いてみますと、脱線をした車両が五月十七日の場合も、トンネルの入口で三十一番目の車両が上り線にひっかかっておる。六月八日の場合も、二十八番目の車両と二十九番目の車両と三十番目の車両が上り線にひっかかるように倒れているわけですね。たまたま上りの特別急行が、――これは「さくら」号ですか、第二列車というのは。
#95
○説明員(一條幸夫君) そうです、「さくら」でございます。
#96
○瀬谷英行君 この「さくら」号が来たけれども、これは何分の違いかわかりませんが、これがもし「さくら」号がもう少し早く来るか、あるいはまたこの貨物列車の脱線がもうちょっとおそかったりした場合には、ATSも何もこれは作用するひまがなく、脱線をした車両に、もろにこの特別急行が乗り上がるという結果になったであろうということが予想されますね。しかも、この後続の車両はトンネルの中に入っている、もし五月十七日の場合に上り列車があったとすると、トンネルの中でもって今度は上り列車が脱線をするというような結果になることが予想されるわけであります。上りがどのくらいのスピードを出して来たかわかりませんけれども、ともかくいまの特別急行のスピードだったら百キロぐらいで走っているだろうと思われるのでありますけれども、百キロぐらいのスピードで走って来た列車が、いきなりこの貨車に突っかかって、これまた脱線をする、しかも、それがトンネルの中であったりしたらどんな結果になるか、これは考えてみただけでもおそろしいことになるわけであります。おそらく鶴見事故もしくはそれ以上のえらい事故になったのではないかというふうに想像をされるわけであります。
 この事故の際の乗務員の処置、たとえば時間的に、脱線に気がついてとまって、機関士並びに機関助士、車掌はどういうふうにしたのか、どういうふうに行動したのか、どういうふうに処置をしたのか、そのこともあらためて報告をしてもらいたいと思います。
#97
○説明員(一條幸夫君) 六月八日の事故につきましては、機関士は、機関車の屋根に信号煙管がついておりますが、これを停車をいたします直前に点火をいたしまして、防護手配をしております。それから機関助士に対しまして、上り線の防護の指示をいたしております。それから機関助士は携帯用の信号煙管で上り線の防護をいたしております。それから車掌は携帯用の信号煙管を使いまして、下り線の後方の防護をいたしております。それから対向の二列車特急「さくら」の機関士は、機関助士に下り線側の防護の指示をいたしておりますが、これは下り線の防護をするところまでに至らなかったようでございます。「さくら」の、第二列車の機関士が、先ほど御説明をいたしましたように、トンネルの中で一たんとまりまして、徐行してトンネルの外へ出まして現場の状態を確認をいたしまして、その後この機関士は二列車の転動防止の手配をいたしまして、その機関士から脱線をいたしました七四六五列車の機関士に状況を連絡をいたしております。
 以上がこの両列車の乗務員の当時の行動でございます。
#98
○瀬谷英行君 大臣、きょうは原子力船の進水式の都合があって退席をなされなければならないそうでありますので、先に大臣に時間の許す範囲でお伺いをしたいのであります。ほんとうはこの事故の概況をもう少し詳しく説明をしてもらってからのほうがよかったのでありますが、時間的に間に合いませんから、とりあえず大臣にお伺いしたいのでありますけれども、この事故は、先ほども私が言ったように、状況を聞いてみますと、たまたま幸いにして上り線と下り線の時間に若干の差があったから死傷者なしにこれ以上の惨事にならずに済んだわけです。しかし、もうちょっとどちらかが早かったり、あるいはおそかったりした場合には、それこそトンネルの中でもって脱線転覆する、あるいは二重衝突を起こす、こういうとんでもない事故になる直前だったわけです。もしその事起が起きておったとするならば、えらいことになっただろうと思うのです。こういう危険な状態にある。もちろん脱線事故の原因はいま調査をしているという段階でありますから、その結果を待たなければわからないかもしれませんが、こういう危険な状態を何とかして予防しなければならないという問題があるんじゃないかと思うのです。事故が起きてしまってから、今後かかる事故は二度と繰り返さないようにいたしますというようなことを言ってみたところでしょうがないわけです。今回の事故を一つの教訓にして、安全対策という点で相当これは考えてみる必要があるんじゃないか。特に複線の場合は上りと下りがすれ違う。そのすれ違う際にたまたま事故がぶつかったりしますと、かつての三河島事故、鶴見事故のようなことになるわけです。その可能性というのは、私鉄であれ国鉄であれ変わりがないわけです。そうすると、この種の事故をこれから予防をするためにはどうしたらいいかということを考える必要があろうと思うのです。それには技術的な問題もあるだろうし、予算的にも考慮しなければならない問題がたくさんあるんじゃないか、こう思うのでありますが、さしあたって政府としては、この種の事故防止あるいは安全対策という点でどのような措置を講ずる用意があるのか、その点とりあえず運輸大臣からお伺いしておきたいと思います。
#99
○国務大臣(原田憲君) 国鉄の事故の問題に関しましては、国鉄の事故対策委員会から事故を防止するための意見書というものを本年の二月六日にちょうだいをいたしておりますが、今次の事件は、実はこの六月八日の事故の直後に鉄監局長から国鉄に対しまして通達を出しております。依命通達という形ではございませんが、この五月十七日とそうして六月八日と引き続いて近いところで同種の事故が起きておる。それからその間にもう一つ山口県でも同じような――しろうとでありますから同じようなという表現をさしていただきますが、同じような事故が起こっておるということにかんがみまして事故対策を講じておる。このいわゆる競合脱線というのですか、こういう問題について、国鉄ではわざわざ北海道で事故対策線というものまでこしらえて研究をしておるのであるけれども、この結論が出ておらない最中にこのような事故が起きておるということをとらえまして、これは国鉄側に対してこの事故の防止について対策を立てて実施に移させなければならぬと考えまして、その結果の報告を局長に求めさせたわけでございます。
 いまも国鉄側からも概況の報告がございましたが、原因につきましてははっきりしたことがわからないということでございます。根本的な解決ということは、先ほども申し上げましたように、この種の事故というものの絶滅をはかる意味で国鉄側では研究に研究を重ねておると、こういうことでございますから、十分調査の上で問題の解決をはからなければならぬと考えますが、このような同じようなところで起きておる事故というものに対してどういうことになるのか、いわゆる国鉄技術、国鉄には技術陣もおるのでありまして、その他の調査を進めていきましても判明してこなければならぬと私は考えるのでありますが、このようなところではどうして起きてくるのか。具体的に言いますと車輪のN踏面ですか、これを深くしてカーブに対しましても脱線しないようにするとか、それから線路を二重にするとかいうようなことを技術的に講じて、このような事故を防いでいくということをやっておるようでありますが、これらのことについて何しろ早急にやれるものはやっていく、こういうふうにして私は事故の絶滅をはかるような努力を国鉄に望みたいのであります。
 もちろん不測のことでございますから、いま瀬谷さんのおっしゃるように、もしも同時にこれが起こっておったならばたいへんなことであるということはそのとおりであろうと思いますが、今次の事故の際に、六月八日の事故を聞きました中で、「さくら」の乗務員が、運転士さんですか、非常に細心なりっぱな運転士で、機械ももちろん動きますけれども、これはあぶないと思ってすぐに処置をして徐行して、そうしてとまったということで、その注意をした瞬間においてこの事故を防げる用意だけは彼がとっておったということは、りっぱな乗務員であると、私は報告を聞いた上で考えたのでありまして、今後とも、乗務員の十分な注意があるならば、この不測の事故というものはいたし方ないとしても、事故というものは防げるものであるなというような考えがいたしましたが、いずれにいたしましても原因不明の事故ということが一番問題でありまして、この原因を明らかにするために早急に調査をさせたい、このように考えております。
#100
○瀬谷英行君 いま「さくら」の乗務員のことに大臣触れられましたが、国鉄では無事故であったということに対しては表彰をするという例があります。しかし、いかに無事故であっても、一回、たまたまミスをおかすと、たちまちにしてそのミスが大きければ首になってしまう、こういう事実がある。まあ事故に対する信賞必罰という問題、いろいろ問題あると思うのでありますけれども、たまたま国鉄でも私鉄でも乗務員のとっさの機転によって大事故を未然に防止することができたといったような場合には、その当事者に対して、大臣のほうから表彰をするとか、賞金をやるとかいったようなことがあってもいいんじゃないかという気がするのでありますが、そういったような例は現在あるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#101
○国務大臣(原田憲君) いまのところ事務当局でもよくわからないようでありますが、私はそういう場合の行為が、ほんとうに普通ならば当然のことをやったということになるのでありましょうけれども、私は、当然のことをやったにしても、これがもしそうであったらこういうことになったということが判定できる場合には、これは抜群のこととしまして、こういうことにつきましては、表彰すべきであると考えます。この意見書の中にも「必罰だけでなく、信賞についても、大事故を未然に防いだり、最少限にくいとめた場合等の表彰を積極的に行なうなどその内容をより強化充実すべきである。」という意見書をいただいておりますが、私は国鉄側でそのような判断を的確にされて、そのような措置をとるということについてお話がございました。また、私どももよく相談をして、いま制度があるかということを聞きましたら、よくわからないようでありますが、よく検討を前向きにいたしたいと思います。
#102
○瀬谷英行君 大臣、時間もおありでしょうから、最後に、大臣に対する質問は一つだけにして終わりたいと思いますが、罰する際には遠慮会釈なく、しかも容赦なくさっそく罰する。しかし、たまたま機転がきいておったとか、あるいは非常な努力をしたとかいうことでなく、まかり間違えば何百人の人が死ぬとか、何億の損害がかかるといったようなときに、従事員の働きによってそういう危機を切り抜け得たというような場合には、これはそれ相応の表彰状だけでなくて、賞金を出すなり何なり、意味のあるようなことを当然これから考えるべきじゃないかと思うのでありますが、その点、大臣からお考えをもう一度お伺いしておきたいと思うのであります。
#103
○国務大臣(原田憲君) 先ほどもお答えを申し上げたのでありますが、信賞必罰、必罰のほうだけやって、信賞のほうをやらないということは、これは適当ではありません。私はこの前も御答弁申し上げたかと思いますが、陛下に御奏上申し上げたときに、陛下から事故についてのお尋ねがございました。私は事故については、十分国鉄側職員、われわれ一同が注意に注意を払っておりますということを申し上げましたが、それにつけ加えて、人間というものは、しかられるとかたくなって、またしかられやせぬかと思っていると、それが事故につながる場合もあるのでございまして、新幹線というのは初めから事故が起こらないようにしてございます。したがって、新幹線では乗務員も気持ちよくサービスをし、お客さんも喜んで乗っていただき、運賃が高いというようなことはあまり聞いたこともございませんので、まあこういうことは言いませんでしたけれども、非常に皆さん喜んで利用しでいただいております。したがって、今後国鉄の経営については、推進会議から答申をいただいておりますが、新幹線のようにやりたいものであるということを御奏上を申し上げたのであります。私は、この信賞必罰ということについてはっきりされておる世の中ということが一番よい世の中ではないかと考えております。国鉄でもこのことば十分お考えになっておると思います。私どもも先ほど申し上げましたように、そういう方向でひとつ今後処していきたい、このように考える次第でございます。
#104
○瀬谷英行君 なお具体的に若干お伺いしたいのでありますけれども、もし六月八日の事故の場合、上り列車がもう少し早く通過をすれば二重衝突というようなことになったんじゃないか、こういうことを懸念するわけなんですが、時間的に見ると、第二列車はおくれてきているように思うのでありますが、これは何かの事故の関係でおくれて来たわけですか。
#105
○説明員(一條幸夫君) 先ほど大臣のお話の中にございました、前日、山陽線の島田の駅で脱線事故がございました。その影響を受けまして、この上りの第二列車は三時間五分おくれております。
#106
○瀬谷英行君 下りの貨物が停止をした時間と、そこへ上りが差しかかった時間との時間差はどのくらいだったのですか。
#107
○説明員(一條幸夫君) 時間差ははっきりまだわかっておりませんですが、下り列車が停車をいたしました際に前照灯が消灯をいたしております。これは停車とほとんど同時に架線が停電をしているようでございます。この前照灯が暗くなりますのを上りの第二列車の機関士が認めておりますので、時間的には一分あるいは二分で機関車同士がすれ違う、下り列車がとまりましてから上り列車の機関車がすれ違いますまで、二、三分以内ではなかったかと思います。
#108
○瀬谷英行君 機関士がとめた直後、車掌との連絡はどのようにして行なわれたのですか。これは車掌は最後部にいたんじゃないかと思うのですが、そうすると、車掌は置き去りを食ったわけですね。これはうしろのほうの車に置き去りを食っているわけですから、前のほうに行ってしまった機関車の機関士と連絡をとるには方法がなかったのじゃないかと思うのでありますが、その連絡をとるにはどういうふうな処置を講じておったものか。車掌の行動と、それから機関士並びに機関助士との連絡方法、これは、こういう場合にはどうやって連絡をするようになっておるのか。一番最初にしなければならないことはどういうふうにきめられておるのか、これもお聞かせ願いたいと思います。
#109
○説明員(一條幸夫君) こういう際に、一番最初にやりますことは、車掌の場合には、その状況によりますが、自分の走ってまいりました線路の後方に対する防護、これがまず第一、それからその次に上り線に対しても防護をする、機関士に連絡をとります前に防護手配をとりますのが第一でございます。それから、機関車乗務員の場合も防護手配がまず第一でございます。この場合には、この機関士は機関車の屋根につけております発煙筒でまず第一の防護をいたしまして、それから機関助士に上り線に対する防護を命じたわけでございます。その防護手配をとり終わりました後にやりますことは、お互いの連絡も必要でございますが、この場合には車掌は三島、函南の駅のほうへの連絡をしております。以上でございます。
#110
○瀬谷英行君 まず車掌の点からいうと、後方防護をやって、上り線の防護をやらなければいかぬ、こういうふうになっておるのですね。しかし一人だったわけですね、車掌が。一人の車掌が後方防護と上り線の処理を一ぺんにやることできませんわね。しかも、この最後部から脱線個所まではかなりの距離があったわけでしょう。それは出かけていって見なければ、上り線に支障を来たしているのだかあるいは土手の下におっこっているのだかはよくはわからぬわけですな。それから機関士並びに機関助士のほうは、これまたとまった位置から――とまった位置はトンネルの中ですから、トンネルから出てはるかうしろのほうに来ないと、こんなふうになっているということはわからなかったでしょう。そうすると、一番先に何をやるべきかといってみても、現在の状況がどうなっているかということを知ることができないで、一番最初にやるべきことを判断をするということも、これはむずかしくなってくるわけですね。だからこういう場合には、乗務員の一番最初にやらなければならぬことは何かということは、非常にむずかしくなってくるわけですな。また、車掌と機関士との間の連絡方法も、電話連絡がとれない、お互いにどうなっているのだかわからぬという状態では非常にこれは困るだろうと思うのですよ。だから、こういう事故が起きた場合の適切な処置をとるためには、まずお互いにどうなっているかということを知ること、それからじゃ何をなすべきかということを相談をするということ、これが行なわれなければならぬと思うのでありますが、現状ではその最前部の機関士と最後部の車掌との間の連絡というものは徒歩でもって連絡をする以外に方法がないようになっておるのじゃないかと思うのでありますが、その点はどうなんですか。
#111
○説明員(一條幸夫君) いまの御質問に二つお答えをいたしたいと思います。
 一つは、まず何をなすべきかというのは、まず防護をやりますのが第一だと思います。機関士、車掌間の連絡をしてからではなくて、まず第一に防護をする。そのうしろと前も一ぺんにはできないとおっしゃいますのもそのとおりでございますが、とにかくとまりました場所で発煙信号をたく、これがまず第一であろうと思います。防護をまず第一にやりまして、その後に現場を確認いたします。わからない場合には、現場を確認する手段を講ずるということであろうと思います。それから、機関士と車掌との連絡方法につきましては、いま御指摘がありましたとおりでございまして、旅客列車、電車、特に電車列車、気動車列車につきましては車掌と機関士との間の連絡の通信設備がございますが、貨物列車ではございませんのが現状でございます。
#112
○瀬谷英行君 私は、三河島事故なんかの場合でも、非常に疑惑を持っているのですけれども、車掌が二重事故の場合に、責任を問われているわけですね。自分のほうの後方防護をやったとしても、この車掌が、それじゃ上り線のための防護をやろうと思えば、脱線をして上り線の支障をしている車より前のほうまでいかなければ意味をなさないわけですね、この場合は。つまり、自分のとまった位置でもって上り線の防護をやってみたところで意味がないわけです。そこへくるはるか先のほうでもって両方の線路をふさいじゃっているでしょう。そうすると自分よりも二十両ないし二十何両先のほうの脱線個所というものを見つけて、その前の線路に行って防護処置をしないと上り線の防護はできないわけですね、これは。一人の車掌に両方の防護処置をすみやかにやれと言っても、実際問題としては、これは後方防護以外にはなかなかこれはうまいことできないということになっちゃうじゃないか。もし後方防護をやめて、前のほうに行くとなると、かなり時間がかかるわけです。だから、こういう場合にすみやかにやれと言っても、やり得るのは前方にいる機関士、機関助士しかないわけですね。機関士、機関助士はかなりうしろのほうに来ないと、つまり二十何両目のうしろのほうまで来てみないと、上りの線路の上に貨車が倒れているという状況を見ることできない。トンネルから出て三十両ぐらいうしろのところまで来なければ見ることができなかったし、その間の距離というのはかなりの距離になっている。上り線を支障している現場あるいは転落をしている現場と機関車との間の距離はどのくらいあいておったのですか。
#113
○説明員(一條幸夫君) 先ほどは車掌を中心にして申し上げましたので、機関車乗務員のことについては御説明が足りなかったのですが、反対線の防護につきましては、先頭にいる機関士か機関車乗務員がやる、当然やるわけでございます。一番最初に申しましたように、機関車についております発煙信号を一番最初に、これは列車がとまります前にすでにたいております。とにかく後方に対しましても、反対線路に対しましても、機関車乗務員も車掌もとにかく防護いたしまして、ほかの列車が入ってこないように守る。それから、その次の行動に移るというのがたてまえでございます。ただいまお尋ねの距離は五百九十メートルでございます。
#114
○瀬谷英行君 約六百メートルですからね。しかも線路の上、まくら木の上を歩くとすると、まず六百メートルだったらどんなに急いでも七、八分はかかりますね、これは十分くらいかかるのじゃないですか、線路の上を六百メートル歩くとすると。こういう状態では、たまたまこれは時間に若干の食い違いがあったために事故にならなかったようなものの、瞬間的にこういう状態になれば手も足も出なかった、正直な話。もし、それが三十秒――一分以内の時間差であったならば、これはどうにもならなかった。二重衝突は、これは食いとめられなかったのではないかというような気もするわけです。だから、この間、運輸省の局長の話で、二人乗務しているということは、別に一人乗務であろうと二人乗務であろうと、この事故防止には関係がなかったかのような答弁があったわけでありますけれども、あながちそういうことは言い得ないのではないかという気がする。何か私の質問が二人乗務の安全性ということを確認をさせるための質問であるかのように警戒をして、この二人乗務は何も関係なかったんだという逃げ腰の答弁をされておりましたけれども、こういう事故の概況というものをしさいにあとになって検討をしてみると、やはりもし機関車のほうが一人しか乗務してなかった、後部に一人しかいなかったということになると、なかなかこれはとっさの場合の適切な処置ということは困難になってくるのではないかという気がするわけです。この席上、私は二人乗務がいいか悪いかということをこの問題にひっかけて論議をするつもりで言っているわけじゃないですから、その点は何も警戒しなくてもいいですから、ありのままのことを言っているわけですが、こういう場合のことに備えて、前部と後部との無線連絡ができるような措置といったようなことは、当然考えておかなければならないじゃないかと思うわけです。有線連絡であったならば、これはこんなふうにちぎれてしまえば、これは連絡がとれっこないわけですから、そうすると無線連絡ができるような措置を常日ごろから準備をしておくということも必要になってくると思うのでありますが、まず、それらの乗務員相互の連絡がとれるような方法を国鉄としては考える必要があるんじゃないかと思うのでありますが、副総裁、きょうおいでになりましたので、この機会に、副総裁就任の抱負と同時に、事故防止、安全対策の面についての考え方を述べていただきたいと思うのですが……。
#115
○説明員(山田明吉君) 就任早々の事故で、まことに各方面に御迷惑をかけまして申しわけないと思っておりますが、瀬谷先生のおっしゃいますように、たいへん重大事故でございましたけれども、死傷者がなかったということはまことに不幸中の幸いと思っております。
 原因につきましては、先ほど運輸大臣からもお話がございましたように、実際、いまの段階ではわかりませんと申し上げるよりいたし方がない状況でございますが、国鉄のあらゆる知恵を動員いたしまして、今週の初めに、さっそく全国――これは起こったのは静岡管内でございますけれども、全国の関係者を集めまして、いろいろ討議をいたしました。また、こまかくなりますけれども、部外の権威者も入れました脱線事故技術調査委員会ができておりますので、そちらの方面を中心にいたしまして、技術的な原因の解明にも取りかかっておりますし、また、北海道で実際の実験線もつくって、これは引き続き前からやっておりますが、この六月から九月の間に、精力的にいろいろな想定し得る原因を再現いたしまして、一日も早くその原因の究明に突っ込んだ努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
 それで、起こりました事案は、これはまことに申しわけないのでございますが、起こったことでございまして、それで要するに、問題は脱線を起こさないという措置と、それから万々一脱線が起きた場合に、いわゆる併発事故と申しまして、それに関連して被害が大きくならないように措置する、この二点が考え方の基礎になろうかと思いますが、この脱線原因の究明、これは脱線を起こさないという措置につながるわけでございます。それから二点の併発事故を防止するという点、これはいままでも、あるいはだれかこの席で御説明をいたしたことであろうと思いますが、たとえばガードレールをつける、あるいはニュー踏面――N踏面と申しておりますが、車輪を削りまして浮き上がった際にも足をはずさないような措置をする、これはすでにいままでも実施をいたしておりますが、N踏面のほうはこれから本格的な実施をする考えでおります。
 そういう努力もいたしますが、それからいま御指摘ございました、具体的なこういう万一事故が起きた場合、機関車乗務員、あるいは車掌がどういうことを第一にすべきか、それに引き続いてどんな措置をとるべきか、いろいろ御指摘がございましたが、これらの措置も、やはり不幸にして起きた事故を大きくしないという努力につながるものでございまして、助士がいたほうがよかったのか、いなくてもよかったのかという具体的な御意見がございましたが、私まだ不勉強でございますけれども、今回の機関士、それから車掌の行動はきめられたことをきめられたとおりにやったと、それで先ほど瀬谷先生あるいは運輸大臣からむしろ過分のおことばをいただきまして、国鉄当局としては恐縮にむしろ存ずるところでございますけれども、大臣も仰せられましたように、きめられたことがきめられたようになかなか行なわれない現在でございますので、その点は大いに実はほめてやろうと考えておるわけでございます。具体的な、たとえば機関車と後方の車掌との連絡、これも私、着任早々で従来の経過はよく存じませんが、結論的に申しますと、無電を持たせまして、連絡の方法をとることをいま研究しているところでございます。ただ無電でございますので、電波の割り当てとか、そういった関係の手続があるようでございますが、これも早急に実施をいたしまして、第二の事故が万一起きた場合でもその被害を最小限度に食いとめるような努力もあわせて実施をいたしたいと考えております。
#116
○瀬谷英行君 きめられたことをきめられたとおりにやっても、幸い死傷者がない場合はそれで済むのですけれども、この上りの特急が三時間五分おくれて来た。このおくれが三時間五分じゃなくて、三時間三分だったり、あるいは三時間四分のおくれだったりするということになれば、ちょうどこの脱線ともろにかち合うようなことになっちゃう。そうすると、時速どのくらいで走ってくるのかわかりませんが、百キロぐらいで走ってきた特急がこんなところにぶつかったりすると、特にトンネルの中だったりすると、一体どんな現象になるのか、ちょっと想像がつかないわけですね。トンネルの外であれば、こういうふうに散乱をするわけです。しかし、トンネルの中で二重衝突なんということを起こしたとすると、散乱のしようがないわけだから、ちょっとどんなことになっちまうのだか、見当がつかないわけです。相当これは甚大な被害が出るということは予想されるわけです。もし事故が起きてしまうと、かりに乗務員がどんなにきめられたとおりのことをやったとしても、責任者として身柄を拘束されて取り調べを受けて、どこかに乗務員の責任があるのじゃないかというようなことを根掘り葉掘り聞かれるというのがいままでの事故の場合の通例になっているのです。だから、やはり人間ができ得る範囲というものはきまっているわけですから、特にこういう長い編成だとうしろのほうの車掌が、この脱線をしている現場まで行くのに車両が実にもう二十何両ある、二十両以上ある相当な長さになる、前のほうから来るにしてもこれは約六百メートル、こういうふうになりますと、正直な話わずかな人間が乗っておったのでは手がつかない。だから、どうしてもこういう脱線事故を防止をするような設備というものを考えなきゃならぬだろうと思う。ところが、上り線と下り線との間隔はどうかということになりますと、いまの複線はかなり接近しておりますね。上り線と下り線の車両と車両との間の距離は一体現在どのくらいあるのか、その点参考までにお聞かせ願いたいと思います。
#117
○説明員(一條幸夫君) お答えをいたします。
 現地の寸法で申しますと、この事故の発生をいたしました区間の上り線と下り線の軌道中心の間隔が三千九百ミリでございます。この場合に下りが貨物列車で上りが旅客列車という条件で、上り列車と下り列車の車両と車両の間の間隔を見てみますと千九十六ミリになります、一メートルちょっとでございます。
#118
○瀬谷英行君 千九十六ミリというと約一メートル十センチですね。貨物列車と旅客列車の場合で一メートル十センチということになると、旅客列車と旅客列車であったならばそれより短いということになりますね。
#119
○説明員(一條幸夫君) 約一メートルです。
#120
○瀬谷英行君 約一メートル。私は新幹線についてもこれは安全だというふうには言い切れないと思う。新幹線も、上りと下りの間隔というものはそのくらいの距離しかないんじゃないですか。新幹線の場合はどうですか。
#121
○説明員(一條幸夫君) 新幹線の場合はいま正確な数字を覚えておりませんが、在来線よりもだいぶ広くとりました。これは両方の列車のすれ違います場合の風圧の関係がございますので、間隔は広くとっております。
#122
○瀬谷英行君 新幹線の場合の上下線の間隔というものも広くといったってたいしたことはないと思うのです。だから、これは正確な数字を調べて次回報告をしてもらいたいと思うのです。
 それから、これから安全区間を線増して、複線にしていく場合でも、上り線と下り線の間隔というものは相当あけておく必要があるのではないかと思うのです。道路の場合には、名神高速道路にしても東名高速道路にしても道幅は二十四、五メートルありますね。それから、両方のすそまで入れますと、土地の買収をする区域というものの幅は五、六十メートルくらいになるわけです、大体。ところが線路の場合はたいへんけちけちしておって、たかだか十メートル足らずである。ということになると、上り列車と下り列車がすれ違う車体と車体との間隔というものは一メートルくらいしかない。風圧でもって相当すれ違う際はがたがたするということは、乗っておってお互い体験しておるわけです。だから、この種の二重衝突事故を防止をするという意味からいっても、少なくとも上り列車と下り列車との車体の間隔というものは、横倒しになってもひっかからない程度の――もっとも倒れ方によればかなり広げなきゃ間に合わないかもしれませんけれども、無制限に広げるわけにいかぬと思いますが、横倒しになってもひっかからない程度の間隔というものを保つ必要があるんじゃないかという気がするわけです。
 それからもう一つは、トンネルの問題ですけれども、一つのトンネルの中に上下線が入っておる、トンネルの中で、新幹線でもすれ違う場合がありますね。まあ無事故でもって、何のことなしにすれ違っているからいいもようなものだけれども、一たびあのトンネルの中で脱線事故でもあった場合には、これまたとんでもないことになると思うのですね。だから、トンネルをつくる場合に上下線のトンネルを別々につくる、そこまで心配する必要はないというふうに言われるかもしれないけれども、今回のようなきわどい事故があったことを考えると、トンネルをつくる場合に、上り線と下り線と別々につくるということが安全の点からいうと言えるんじゃないかという気がする。そこまでの配慮はやってできないことはないと思うのですが、どう思いますか。
#123
○説明員(山田明吉君) 実はいまのような御意見、私、昔国鉄におりましたときに、鶴見事故のときに線路の間を広げて、その間にコンクリートの擁壁でもつくったらどうかというような、これはほんとうに真剣な御意見が出た記憶がございます。万々一のことを考えますと、それはまあ金に糸目をつけないと申すとちょっと語弊がございますけれども、瀬谷先生のおっしゃるような考え方も確かに生まれてくると存じますが、いまの技術水準で不幸にして競合脱線というような事故がたびたび重なって起きておるのは非常に残念でございますけれども、他面、この事故防止、事故絶滅の結論を早く出してその対策を立てるならば、いま申されましたような線路を大いに振って、これは土地も要りますし、技術的に不可能であるとは、私、事務屋でございますが考えられませんけれども、土地の問題あるいはもちろん経費の問題もございますが、そこまで考えなくても、事故防止の点では一応信頼して乗っていただく国鉄ができるんではないか、非常にばく然とした感じでございますけれども、さようにいま考えているわけでございます。
#124
○瀬谷英行君 新しい道路をつくる場合は、中央分離帯というのをつくって、中央分離帯が三メートル半ぐらいありますね、大体。つまり、自動車がすれ違う場合には、少なくとも三メートルか四メートルの中央分離帯をはさんですれ違うようになっている。鉄道の場合は上下線の間が一メートルぐらいしかない。そうすると、車体が幅三メートルにちょっと足りないわけですが、三メートルとしても、三メートルと三メートル、間が一メートルということになると、上りと下り線の間というのは、線路の幅全部入れてみても十メートルに満たないわけです。だから道路の場合は、極端な話が五十メートルも六十メートルもの幅をとっているわけです、幹線道路の場合。鉄道の場合は十メートル足らず、それでその輸送効率というものは全然違うわけですね。だから、十メートル足らずのものを、わずか三メートルか四メートル幅を広げて、少なくとも高速道路における中央分離帯と同じ程度の幅を上下線の間にとるということは、道路のことを考えればばく大な出費ということにはならないのじゃないかという気がするのです。将来、新幹線を九州なり東北なり全国に広げようという構想があるわけですから、将来の鉄道のあり方としては、現在線を複線にする場合においても、あるいは新幹線をつくる場合においても、一車両分ぐらいの間隔を間におくというようなことは当然配慮してしかるべきではないかと思う。しかもそれがばく大な予算の出費を伴うということにはならぬと思うのです。一メートルの幅を三メートルにするという程度では、あるいは三メートルから四メートルにすると、もっとも、事故が起きて車両がくの字に折れ曲がってしまえば、三メートルや五メートルぐらい離したところで何にもなりませんけれども、そこまでの配慮をしなくとも、ちょっと横倒しになっただけですぐに上下線がひっかかるような状態は少なくとも避くべきじゃないかと思うんでございますが、これは大臣のいるところで今後の問題として質問をしたいと思ったところなんですが、この点副総裁の考え方をお伺いしたいと思います。
#125
○説明員(山田明吉君) 先ほども申しましたように、われわれといたしましても、いまの御意見こと新しく出た御意見ではございませんで、鶴見事故のときからそのような考え方もあることは承知いたしております。現在線を振るということは、これはなかなか大問題であろうと思いますが、将来御指摘のように単線部分を複線化する、あるいは線路を改良するというような際に、貴重な御意見として、私、技術陣に一応研究させてみたいと思っております。
#126
○瀬谷英行君 それから事故防止の意見書というのが先ほどちょっとございましたが、事故防止の意見書、これは資料として次回に配付してもらいたいと思うんです。それから、最近の列車の脱線事故と貨車の構造上の問題ですね、これから貨車を建造する場合どういう形の貨車をつくっていくのか、在来型の貨車の欠陥、これをやはり相当調査をしてみる必要があると思うんです。三河島事故の場合もそうですが、どうも貨物列車が競合した事故、二重衝突のようなですね、競合した事故のもとになっている件数が多いような気がする。だから最近の脱線事故の統計とか、あるいは貨物列車がどのくらいその中で事故の中のパーセンテージを占めているのか、おそらく旅客列車、電車よりも貨物列車のほうが多いような気がする。そういったようなことも資料としてまとめてほしいと思うんであります。
#127
○政府委員(山口真弘君) 先ほど大臣が申しました事故防止対策委員会でございますが、これは、実は昨年、国鉄関係の事故の多発に伴いまして、国鉄、私鉄通しまして鉄道事故の根本的な原因を検討しようじゃないかということで、省内に学識経験者、あるいは労働組合の方々、あるいは新聞関係の論説委員の方々等にお集まりいただきまして、事故防止の各方面についての検討をいたしたのでございます。その委員会におきまして検討の結果提出されました意見書がございまして、それを大臣が申し上げたのであります。資料として提出さしていただきたいと思います。
#128
○委員長(岡本悟君) 国鉄はいまの資料はよろしいですね。
#129
○説明員(山田明吉君) はい。
#130
○森中守義君 どうなんでしょうね、いままで大小無数の、残念なことですが事故が発生をした。こういう過去の事故の場合、それぞれのその事故に対しておおむねどの程度の調査期間が経過しているとか、すべてその調査の結果というものは、たとえば人為的に何か欠陥があったとか、あるいは不可抗力であったとか、そういうそれぞれにアンサーを得ておりますか。
#131
○説明員(一條幸夫君) 事故の状況を調査いたしまして、その場で原因がはっきりいたしますものもございます。大部分はそういう事故が多うございますが、しかし場合によりましては、その機械を分解をいたしまして調べなければならないような場合もございます。それから原因を推定しまして、試験をしてみまして、それで結果を判定する場合もございますので、長い場合には数カ月を要します。ことに競合脱線事故のような場合には、考えられます条件がいろいろございますので、諸外国でもずいぶん苦労しているようでございまして、イギリスの記録を見ましても、結論を出すのに二年ぐらいかかっているものもございます。しかし、一般には原因はその場で調査して一日ないし二日の間に結論が出されておるのが大部分でございます。こういういろいろ悪条件が競合するような場合には、数カ月、場合によりまして一年近くかかりますというような状態でございます。
#132
○森中守義君 全くその原因不明ということで答えが出ていないという事件はございませんね。
#133
○説明員(一條幸夫君) いわゆる悪条件競合という結論になりますものは、その原因を一つあるいは二つに断定できなかった場合、どの条件を見ましても、それは一つだけでの原因とは考えられない、逆の言い方をいたしますと、原因不明に近いわけでございます。それで悪条件競合ということになりまして、一年ぐらいいろいろ調べてみましても、一年以上もかかる場合もございますが、調べてみましても、どうしても原因がはっきりしないという場合が、従来悪条件競合事故として扱われてまいりました。
#134
○森中守義君 いままで競合以外に、事件として答えが出なかったものがあるかないか。
#135
○説明員(一條幸夫君) それ以外にはございません。
#136
○金丸冨夫君 関連してちょっと一つお伺いするのですが、先ほどからいろいろの説明をよく伺っておるのですけれども、ほんとうにざっと考えた場合に、この表なんかも二つお示しになって説明を受けて、非常に奇異に感ずるのは、おのおのの原因なんかあって、原因というものを究明するという手段で車両であるとか線路であるとか、あるいは速度であるとか、そういう点をいろいろ研究されるのは、私はけっこうだと思いますけれども、ここ一カ月の間に同じような事故が重なっているわけですね。だから、あるいは原因が車両であるとか、車両というか貨物、最近は速度もずっと上がっておりましょうが、そういうことになって、車両自身が従来のようないわゆる四輪貨車がここに余っているということが一つの原因、浮き上がりということがよくあるのですが、そういう原因になるのか、あるいはまた車両自身のスピードというようなことが従来と変わりないのかどうか。それは若干上がっていると思いますが、大きい車と小さい車が混合して牽引されて、そうして運転されているということのために起こるということも想像されますし、いずれにしても貨物だけだということになれば、積み荷の状況、特にいまのパルプ材というようなことになれば、よほど片積みになり、あるいはまた運転中に片積みにならぬよう注意をしていまやっておられるようですけれども、それでもやっぱりスピードの関係でそういうことになるかもわからないということも想像される。しかし、いずれにしても同じところですね。だから、一般基本運転事故原因というものを検討する以上に、ここの函南−三島の線路の状況というものは十分に検討されておられるんでしょうか。これはもし、一般の原因ということよりも、総合の原因によっての事故だということで、おのおのが別々に検討されても、要はここの線路で、ここで起こったんですから、まあ言えば勾配で六百なら六百ということは決して無理でないということはわかっておるでしょう。だから長い間やっておるんですけれども、しかしいまスピードにおいて、いまの編成状況において、長い丹那トンネルを通過して、そうして下り勾配のこういうふうにきての六百の勾配ということがどういうことになるのか。その点が、ここの事態の検討をもう少しやる必要があるんじゃないかと思う。それはいままでの定説の関係からいえば、日本国じゅうで線路その他については国鉄以上の技術者がそろっているものは私はおらぬと思うのですが、それがなおかつやっておってわからないということであっては、ちょっとおかしいと思うのですね。だから、ここの函南−三島間のしかもここの勾配というものについては、もう少し掘り下げて線路状態というものをまず検討する必要があるんじゃないか。もしこの車両だけの関係ならば、ほかの場合だって幾らでもあるのに、事故が起こらないでここにきている。ここでいけないということになれば、ここの事故の発生の現地における線路状況というものが、現在の運転状況にまた運転速度にまたそういうものにマッチしないために、これが事故が同じぐあいに起こるということになるんじゃないかと思うのですが、この点は十分に掘り下げてやっておりますか。
#137
○説明員(山田明吉君) 実は私着任早々の大事故でございまして、私自身非常にショックを受けまして、それで先ほども申しましたように、さっそく対策委員会を招集いたしまして討議をいたしたわけでございますが、まあ金丸先生御専門家であられるので釈迦に説法でございますけれども、こういう事故は車の問題、それから線路の問題、それから運転技術の問題、まあ車の問題には車の構造もございますし、荷物の積み方の問題もございます。そういう問題が大きく分ければポイントになるわけでございまして、その点は金丸先生と同じように、私もうちの部内の諸君によく検討してくれということを申しております。と同時に、いままでも一生懸命研究をし努力をしてまいっているのでございますけれども、その熱心にやっている国鉄の中の職員にはいささか酷だとは思いましたが、諸君がいままでやっていたことが正しいという観念のもとにこれからどうしようかということを考えるよりも、いままでやってきたことが正しくなかった点がありゃしないか、その点も反省してみてくれというような言い方で各方面から実は検討を始めたわけですが、しかし、いままでも優秀な技術屋諸君が考えて、いろいろ手は打ってまいったわけですが、現に事故が発生しておるわけでございまして、その点さらに時間をかしていただきまして、さらに努力をさせていただきたいと思っております。
#138
○金丸冨夫君 いや、いままで正しくなかったかもしれないというようなことには私は思わない。いままでは正しかったが、また現にそれまで事故が起こらなかったのだから、だけれども、いまの状態においては、起こるということは、その後のスピードであるとかあるいは貨車の編成状況であるとか、そういうことについて何か変わってきたものについていけないような線路状況である。たとえばこれは広軌であれば起こらなかったかもしれない。三フィート六インチの従来のものであって、それに限界を越えた貨物の――いまの編成としてはスピードの限界を過ぎておるとかなんとか、あるいはまた積み荷自体が従来のようなやり方で従来のような運転だったらよかったけれども、いまとしてはいけない、それは函南、この事故現場だけについて言えばですよ。ほかのところはそのとおりで通っているのだから、これは事故が起こらないで済んでいるわけですから。だからここ自体の問題を、一番やはり線路状況というものを考えて、従来と、運転状況それから列車編成の状況の変革に伴ってのこの現地を中心としたものをまず第一に堀り下げて見ていくと、私はそこに何か原因が起こるのじゃないか。いままで鉄道の方がずいぶん事故防止について専念されていることが、私は間違っているとかなんとか、そういうことは思わないけれども、進んできた今日には適合しないようになったのじゃないか。これは事故がもう二回起こったのですから、ままそのままにしておけば三回、四回起こるかもしれない。だからそれはやはり防がなければいかぬですね。そうすると、やはりどうしてもこの線路状況において、いままでの運転関係が不適当になっているのじゃないかということをひとつ大いに探索すべきじゃないか、こういうことなんです。
 まあひとつ、私はあえてそれ以上のことを別に材料を持って質問申し上げるわけじゃない。ただわれわれがざっとしたこの事故の報告を承ってそうしてみますときにおいて、まず第一に、あの現地のあの線路及び勾配それから下り線のカーブの問題それから前に長いトンネルを通過して、そうしてさらに下り勾配に差しかかったときの状況、あるいは場合によってはこれはわれわれが考えてないようなトンネル内における車両関係において、たとえば車輪面の状況が少し変わっているのじゃないかというようなことも、しろうとでも想像できないわけではない。トンネル内というのは、まあわれわれしろうとだからはっきりしたことを申し上げられぬけれども、今度の東名高速道路の自動車の松田、例のことをいろいろ聞いてみますと、あの中の舗装関係というものは、いまのような状況でしておったならば、事故の起こるのがあたりまえだ、こういうことを言う人がある。現にもう少しあの三倍も四倍も金をかけてやらなければ、ああいう運転では事故が起こるのが当然だということをわれわれは聞いているのですが、それと同様に、いままではよかったからいいだろう、こういうぐあいに思っても、それは従来の運転関係の状況だったらよかったかもしれぬが、いまでは悪くなるというような事態があるのかないのか、これはやはりひとつ確かめて安全第一の式に進んでいく。それにはまず現地を中心にした事故調査というものを徹底的にやってもらって、それから車両の形とかいうようなものが原因であれば、ここでなくてもやはりほかのところでもほかの場所でも同じことが起こるのだということの結論が出ればいいし、あるいはまた運転速度というものは、いまの状況ではこういう勾配の場合、こういうトンネルとの錯綜した場所の運転には適するとか適しないとかいうようなそういう結論が出るのじゃないかと思う。私はそういう点で現地関係をひとつ十分にやはり調査して、そうして結論を出してもらうということに急いでやってもらいたいという希望を申し上げるわけです。
#139
○説明員(一條幸夫君) ただいま御指摘がございましたように、現地につきまして線路の状態、それから運転条件等をしさいに検討をいたしたいと思っております。そのつもりで現在試験の計画も立てております。できるだけ現地について詳細な調査をいたしまして、問題点を発見をいたしたいというふうに考えております。ただしここでいろいろ調べてみますと、おそらく全国的にはこれに近い条件のところがあるわけです。そういう線区に対する対策も発見できるであろうというふうに考えております。
 それから現地につきましては、副総裁がお話しいたしましたが、現在考えられます事故防止の対策を、できるだけ早くこの区間につきましてはやりたいと思っております。
#140
○委員長(岡本悟君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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