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#1
第061回国会 運輸委員会 第32号
昭和四十四年七月十七日(木曜日)
   午前十時三十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十六日
    辞任         補欠選任
     渡辺一太郎君     安田 隆明君
     藤田  進君     松本 英一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡本  悟君
    理 事         江藤  智君
                金丸 冨夫君
                谷口 慶吉君
                森中 守義君
    委 員
                重政 庸徳君
                菅野 儀作君
                平島 敏夫君
                前田佳都男君
                加瀬  完君
                木村美智男君
                瀬谷 英行君
                松本 英一君
                田代富士男君
                三木 忠雄君
                中村 正雄君
                市川 房枝君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  原田  憲君
   政府委員
       運輸省鉄道監督
       局長       町田  直君
       運輸省航空局長  手塚 良成君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       藤井 直樹君
       文化庁文化財保
       護部長      内山  正君
   参考人
       新東京国際空港
       公団総裁     今井 栄文君
       日本航空株式会
       社専務取締役   斎藤  進君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本悟君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。松本君。
#3
○松本英一君 国際空港の問題に関しまして、私は新関西国際空港について御質問を申し上げたいと思います。新関西国際空港の計画並びに予算についての具体的説明をお願いいたします。
#4
○国務大臣(原田憲君) いまお尋ねのように、相当具体的な問題もございますので、政府委員から答弁いたさせます。
#5
○政府委員(手塚良成君) 現在の伊丹国際空港は、滑走路の新設をいま行なっております。ちなみに、現在、滑走路一本千八百メートルのがございますが、これに三千メートルのものを新設する、こういうこと。それからビルは、御承知のとおりでき上がっておりまして、万博体制ということででき上がっていると思うのでございます。この飛行場におきます離発着の能力を計算いたしますと、約十七万五千回くらいの離発着能力になると考えます。現在、ここは関西方面の一つの基地になっておりまして、国内線の重要な離発着ポイントであるわけです。これが御承知のとおりに非常に離発着の回数がふえておりますので、この現在の増加の予想から考えますときに、近く伊丹の空港も能力の限界に達するであろうと考えられます。一応現在私どもで試算をし、予想しておりますのは、五十年前後でなかろうかと考えております。そういたしますと、あとここでまた拡張をしますということは、まずほとんど不可能に近うございますので、新しい国際空港を考えざるを得ない、かようになるわけでございます。
 そういった意味で、私どもは実は現在、ある範囲のものにつきましてそういう予定地を物色をし、一部について調査をしているということでございます。現在いろいろいわれております予定地につきまして、私どものいま手元で当面考えておりますものは、五つばかり考えております。ただ、これだけに限定したわけではもちろんございません。非常に適地がさらに見出せればそれ以上のものを考えてもよろしいかと思いますが、まあ私どもの現在知り得る範囲では、現在の五カ所くらいのところしかないではなかろうかというふうに考えております。こういったものにつきまして、ただいま部内的にでき得る範囲の調査を行なっているという段階で、主として空、空域管制の問題についての調査を実施いたしております。これから本年度にかかりましては、一部のものについて現地に即しての調査をやっていかなければならぬかというふうに考えており、予算面におきましても、ことしの空港調査費というものをこの調査にかけていきたいと、具体的な計画は目下いま立案中でございますが、金額的に見ますと、大体七百万ないし九百万ぐらい必要ではなかろうかと考えておるわけであります。こういう状態でございまして、今後についてはまずこういった調査を基礎にいたしまして、冒頭申し上げました五十年前後に間に合うように諸般の具体的な計画、予算措置を講じていかなければならぬ、かように考えておる段階でございます。
#6
○松本英一君 それでは当面、本年度の関西国際空港の調査費の予算について、並びにその候補地として予定される五つの地点について御説明を願いたいと思います。
#7
○政府委員(手塚良成君) 先生も御承知かと思いますが、国際空港のように広範なものをつくります場合に、現在御審議を願っております成田空港自体でも体験されることでございますが、地元の強力なる御協力が得られないところについては、なかなか政府の一方的な建設計画を進めるわけにまいらないわけでございます。そういった意味で、ただいま一番誘致なり地元の御熱心な御勉強が得られておると考えられておりますのは淡路島がございます。そのほかに、私どもでいろいろ考え、また一部の方々の御推挙もありますものに、大阪と和歌山県の境界部のところが一部ございます。あるいはそのほか大阪湾の埋め立て、あるいは明石沖の埋め立て、あるいは岡山にございますが、塩田のあと地でございますところの錦海湾を使ってはどうかというようなところがございます。以上、五つと申し上げましたのは、そういった五つの場所でございます。
 予算につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、実は空港予算として調査費というのが全部でもって三千万、四十四年度に組まれております。これはこの国際空港を調査するだけの調査費ではございませんで、そのほかに二種空港、地方空港につきましても調査の必要なものについてかける予算でございます。私が七百万ないし九百万と申し上げましたのは、こういった国際空港について当面考えております予算額でございます。
#8
○松本英一君 いま五つの候補地の地点について航空局長から御説明がございましたが、五月の終わりに各新聞で報じておりますのは、奈良の大和高原に新国際空港を誘致するという鍵田市長の声明が出されたと報じておりますが、この奈良の件につきましては、運輸省のほうにおいて、特に航空局においては全然そういう話はなかったのでしょうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#9
○政府委員(手塚良成君) 奈良の大和高原につきましては、期日はちょっとはっきり覚えておりませんが、たしか二カ月ないし三カ月前くらいであったと思いますが、奈良の市長と天理の市長さん、そのほか一部の議会の議員の方であったと記憶いたしておりますが、そういった御一行が、ここへ国際航空を誘致したいというような意味で、運輸省の方へおいでになりました。私どもは、当面、ただいま申し上げましたような五カ所を考えておりましたところへ、そういうお話でございまして、冒頭に申し上げましたように、こういった空港は地元の御協力が必要でありますので、非常に御熱心な御誘致のお話でありましたので、もし適地であるならば、そういう地元の御協力は得られるものという考えに立ったわけで、当面それでは調査を考えようかということをそのときは申し上げたかと思うのでございますが、この後におきまして、新聞等でも報ぜられましたように、非常に奈良の文化財の保存という見地を主にいたされ、また地元の協力という体制が必ずしも全部行き渡っておるということではないというようなお話等が出てまいりました。私どももそういった見地については十分考慮を払わなければならないし、そういった地元情勢ということであるならば、これは早々に調査等に着手すべきではないというような観点も考えておるわけでございまして、そういう意味で、現在調査はもちろん控えてもおりますし、今後については、そういった面を慎重に考慮をしなければならないというふうに考えておる段階でございます。
#10
○松本英一君 その要望のありましたときに、要望書あるいはそのところの地点についての具体的な説明がございましたか。要望書の提出並びに具体的な図表をもっての説明がございましたか。その点お聞きしたいと思います。
#11
○政府委員(手塚良成君) 要望書の提出はございました。その趣旨は、やはりそういったものは、大和高原は、自分らの調査によれば非常に適地であると考える、地元として大いにこれを誘致をしたい、それによって大和高原の地域開発をしたい、かような御趣旨であったと思います。
 具体的な個所については、おいでになられました方が地図を広げられまして、この辺である、こういうことを御指摘になって帰られまして、この地図につきましては私どもは提出を受けておりません。
#12
○松本英一君 要望に参りました土地は、いわゆる奈良県の東の三重県寄りのほうだと理解しておりますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
#13
○政府委員(手塚良成君) そういったいまの陳情のときの状態でございますので、はっきりと記憶いたしておりませんが、奈良の都心部の東南方で、奈良市と天理市にまたがるととろ、通称大和高原と地図上で書いてある個所と記憶いたしております。
#14
○松本英一君 この三重県寄りの奈良の気象は、世界第二といわれる多雨地帯がございます。いわゆる大台ケ原でございます。これは一九三八年八月に、一カ月の雨量が三千五百十四ミリでありますインドのアッサム丘陵のチェラプンジ地域が世界最大の多雨地域でございます。日本では、この奈良県の大台ケ原の、一九二三年九月十四日の一日の雨量が千百一ミリとなっております。これは日本で一番の多雨地帯でございますが、航空とこの雨量との関係についての影響を御説明願いたいと思います。
#15
○政府委員(手塚良成君) 単純に、雨が非常に多いということが、直ちに航空の非常な致命的な障害ということになるとは、必ずしも一がいには言えないと思いますが、雨が多いことに伴いましていろいろな弊害があることは確かでございます。晴天のときに比べて、やはり安全性の見地がまず第一に問題になると思います。離発着時の問題、あるいは滑走路を離陸、着陸いたしますときのスリップ等の問題、あるいは飛行場建設のための排水関係の特別な配慮、そういったもろもろのことが考えられますので、多雨地帯ということは好ましい場所ではないと考えます。
#16
○松本英一君 いま局長さんもみずから御理解ある答弁がありましたように、奈良はいわゆる日本の心のふるさとといわれるところであります。古都保存法あるいは文化財保護法が適用されております。非常なたくさんな国宝がありますが、その中で最も影響を受けますのは、この候補地の地点から約十キロのところに東大寺、興福寺、十二キロのところに薬師寺、唐招提寺、西大寺、いろいろな有名な寺々がございます。その中にたくさんの国宝の仏像があることは御承知のとおりでございます。
 そうした仏像というのは、仏がかりにあらわれた姿であり、衆生に姿を見せることで仏への信仰を深めさせ、救いに導くものであります。仏像に接することが、み仏に見守られるという安らぎと導かれているような喜びを感ずる、人間としての素朴な、しかもそれゆえに強固な信じ求める心に勇気づけられるのではないかと考えております。仏像を拝することで仏縁に結ばれるとするならば、仏像は目に見えぬ仏の世界へのただ一つのよりどころでございます。
 この中で鑑真和上が創建しました唐招提寺の千手観音がございます。これは大正五年に文部省が解体修理を行ないました。そのとおりの一つの事実がこのたびの国際空港誘致の問題にも関連すると思います。千手観音と申しますのは、そもそも千の手があって、その一つの手に目があることを図像学あるいは儀軌においてそれを示しております。これは略式で申しますと四十本で表現をされます。それは二十五有界という迷いを表現する意味で、四十本で二十五界を掛けた意味で千本になっております。これが大正五年の文部省の解体修理のおりに、にかわののりづけが一ミリ増したために五十センチ狂い、終わりの数本がおさまらなかったのであります。いま日本で千手観音のほんとうの千本の手があるのは、大阪の、行基菩薩の開基になる葛井寺であります。この葛井寺と唐招提寺の千手観音が日本における最も古い、最も優秀な千手観音でございますが、そうしたものは飛行機の騒音というよりも、あのカーブを切っていくときの何ともいえない衝撃音によって狂いを生じてくるということがないとは言えないと思いますが、そのことについて局長の御答弁をお願いをいたしたいと思います。
#17
○政府委員(手塚良成君) 衝撃音に伴いますところの具体的な地上に及ぼす影響、特にただいまお話しのような千手観音のようなものに対して微妙な影響がどういうことになるかということにつきましては、実は私どもとしてはあまり具体的なデータ、あるいはそういった調査を実は行なったことがございません。しかしながら、これは飛行の方向あるいは飛行機の機種等にもよるかと思いますけれども、たとえばジェット機が非常に低空でもって長時間飛ぶというようなことで、その真下にいまのようなお寺、千手観音というものがあるというようなことになりますときには、あるいは何がしかの影響があるかというふうに、これは私の常識でございますが、そういうことが考えられます。特に軍用機等の例で見ますときには、いわゆる衝撃波と称するもので窓ガラスが破壊されたり、棚のものが落ちるというような例は、軍用基地の周辺においては過去においても出ておるわけでございまして、民間空港の場合にはそのような飛行の方法、航法はとらないことにしておりますので、過去の例でそういった実績は私どもないと考えておりますが、そうはいたしましても、やはりそういった軍用機、飛行機等による影響というものはあり得るわけでございます。そういった飛行機あるいは飛び方等によりまして何がしかの影響がある場合が考えられるということはいなめないと思います。
#18
○松本英一君 局長さんのお話では、地図を持って説明しにきたのをよくお聞きでないように理解せざるを得ません。私の手先にあります地図を別に移しかえまして、発進、着陸路も全部書き出ております。十二キロのところにいま申しました唐招提寺、もちろん薬師寺もその中に入ります。そういう近い距離にあるところであります。しかも西大寺という寺には、日本で一番古い京都の嵯峨清涼手式釈迦像が置かれております。この清涼寺釈迦像というのはどのくらいの労苦を費やされたか、これはぜひ御認識いただいて御答弁を願いたいと思うのです。
 これはいまから約千年前−九百九十六年前、京都の人で若くして東大寺に出家し、東南院の観理法師に法論を学んだ奮然という学僧が中国の宋に渡って、いろいろの修業をしたいという念願を持って、母の許しを得て九州の博多へまいりました。当時は船便もございませんので、十年間博多の地にとどまり仏法修業のかたわら船便を待っておりました。十年の後にやっと中国行きの船を見つけて、宋に渡ることができました。ところが当時の宋は太宗の時代であって、その父である宗は排仏毀釈をやり、一切の仏像、経巻を焼いてしまっておりました。子供の太宗は非常に嘆いておりますおりに、その「然学僧が持っていった中国の経本を非常に喜び、いろいろ法論問答の末、感謝の意をもって法済大師の号をもらい、興国寺に住まわせて国賓として優遇をしたのであります。四年間、中国におけるいろいろな名刹霊地を巡礼し、至るところの碩学大徳に師事して修行いたしまして、いよいよ日本に帰る西暦九八七年、その太宗が日本に持ち帰るのに何がほしいかという希望を聞いたおりに「然大師は、宮廷に置かれておるインドの優填王が刻んだ栴檀の釈迦如来像を模刻していただきそれを日本に持ち帰りたいことを願って、仏師であった張延皎並びに延襲の兄弟がそれを模刻したものを日本に持ち帰ってまいりました。東大寺に帰り、そして自分が生まれた京都の洛西嵯峨の愛宕山を中国の宋の五臺山に見立てて、そのふもとに清涼寺を建てることの発願をいたしましたが、その業半ばにして亡くなりました。その弟子の盛算がこれを建立、完成せしめたのであります。このような非常な苦難の歴史を持っているのであります。しかも中国にあったそのインドの釈迦如来像は、インドの排仏毀釈の際、四、五人の僧侶がインドから中国まで歩いて肩にかついで持ってきた、そうした無難と辛苦がにじみ出ておるものであります。このような清涼寺式釈迦如来像というのは全国各地にございますが、この奈良の西大寺にあるのを、最も重要なものとされておりますし、また最高の模刻像として貴重な存在を示しております。しかもいまから十年あまり前に、その胎内に赤いきれや青いきれ、黄のきれ、いわゆるいろいろの五臓をあらわすきれがおさめられているのが発見されて、中国において千年前にもはや解剖学があったということを証明しておる事実も、この清涼寺の釈迦如来像が示しているのであります。このようないろいろな苦難に満ちた、仏師や僧侶やそうした人たちの血のにじむような労苦をにじませたものが西大寺本堂の中にあります。これは興正菩薩叡尊の「感身学生記」という本に、この像を一二四九年の三月から京都の清涼寺の本尊像を模してつくり始めて、その五月七日に完成の開眼供養を営まれたという造立の裏書きも出ております。このような一つの釈迦如来像を取り上げても、京都や奈良には、こうしたはかりしれない、私たちが今日想像することのできない国宝の文化財がございますが、それらのことについてどのような御理解をなさっておるのか、その点お聞かせを願いたいと思います。
#19
○政府委員(手塚良成君) 文化財保護という見地が非常に重要であるということは、私どもも一国民として十分考えなければならないと思います。問題は、大和高原自体が新空港ということの適地であるかどうかということに私どもの仕事からいいますとなると思うのですが、調査は、先ほど申し上げたような事情でやっておりませんけれども、表面的、地図の上その他から考えましたときに、その進入、出発経路などをとりますのに非常に困離が多い、やはりそういう都心などはこれは極力避けなければならないということを考えております。特にその都心が、いまの大和高原の場合にはそういった重要な文化財を持っております奈良市ということになりますので、そういうところをどうしても経路として通うざるを得ないというような地点であるかとも考えられますので、そういう意味におきまして、現在私たちは、大和高原というのは新関西国際空港等の候補地としては適地ではないというふうな現在考えでおります。
#20
○説明員(内山正君) 関西空港の候補地として大和高原の問題が出ていると伺っておりますが、もし奈良のような文化財の集中しております地域、あるいはそれに近接した地域におきまして空港が考えられますということになりますならば、やはり先ほどからおっしゃっておりますように、文化財、かけがえのない日本の文化財のいわば宝庫でありますあの地方のことを考えますと、文化財の保存という観点から、やはり慎重な配慮が必要であろうと思うわけでございます。空港を建設するにあたりまして、直接机上で指定された文化財やあるいは遺跡にかかるというようなこともありましょうし、その点も十分考えなければなりませんし、もしそういうことがあるならば、そういう点は避けていただくことが必要であろうと思いますが、ざらに奈良などのような文化財が集中しております、いわば古都の持っておりますところの環境だとかあるいは雰囲気というものに重大な著しい影響を及ぼすようなことが飛行機の航行等によって考えられますならば、文化財保存という立場からひとつ慎重に御検討いただきたいと考えているわけでございまして、私どもはそういう影響が考えられますならば、そういった地域はできるだけ避けていただくほうが望ましいというような考えを持っておるわけでございます。文化財の保護という観点から関係方面とも密接な連絡をとって、遺憾のないようにしてまいりたい、そのように考えております。
#21
○松本英一君 いま非常に公害が叫ばれております。東京の上野にありますロダンの「考える人」は空気の汚染でさびが激しいといわれております。このさびというものは法句経の中に、「錆は鉄より生ずれど、その鉄を傷つくるが如く、けがれある人はおのれの業により悪処に導かれん、」簡単にいえば身から出たさびということでございます。このさびがこの奈良においてどのような影響を及ぼしておるか。自動車の排出ガスによって宮内庁管轄になる奈良正倉院の日本で一番古いといわれる南京錠はさびております。そうして法隆寺の五重の塔、薬師寺の三重の塔、あるいは東大寺の鴟尾、唐招提寺の鴟尾、これらのものは全部飾り金具でできております。しかも、東大寺の本尊は金銅の盧舎那仏で、いわゆる奈良の大仏といわれております。これは「要録大仏殿碑文」によれば、鋳造に費やされた銅は実に十三万三千百十貫、すずが二千二百七十一貫、錬金百十七貫、水銀六百六十貫、炭が一万六千七百六十五石、日本の当時のあらゆる銅を集めて、途中塑造の段階においてその銅の不足が憂慮ざれたおりに、たまたま陸奥の国から銅の産出が伝えられて、これが完成をいたしたのであります。有名な大仏殿の石段の下に八角銅の燈籠がございます。天平のなごりを伝えている貴重なものでございますが、こうした金物に、鋳造物に与える排出ガス、自動車の排出ガスについて、昭和三十一年に文化財を愛する人たちが綿密な調査をして、しかもそれが宮内庁管轄の正倉院を損傷しておることを明らかにしております。したがいまして、新国際空港によってジャンボジェット機時代を迎えたとするならば、それらの排出ガスがこれらの文化財に対する影響についてどのようにお考えでありますか、文部省と運輸省のほうから御説明願いたい。
#22
○政府委員(手塚良成君) 排気ガスの内容、科学的な分析をやりましたものによりますと、いまお話しのような金属に対しまする腐食性のある硫化物、こういうものは見当たらないということになっておりますので、ジェットから排出いたします排気ガスというものによるそういった腐食という問題は一応考慮しなくてもよろしいということではなかろうかと考えております。
#23
○説明員(内山正君) 地上の自動車の排気ガス等が文化財に及ぼしております影響等については、文化庁といたしましても憂慮し、研究所などにおいても検討を進めておるところでございますが、飛行機の排気ガスによる影響につきましては、私ども十分そのデータを承知しておりませんが、私どもは排気ガスの影響そのものも問題でございますが、飛行機の航行いたしますことによってその地域の特に文化財の集中しております地域の環境なりあるいは雰囲気なりというものが著しくこわされるという点を特に憂慮いたしておるわけでございます。そういう点は今後慎重に計画の場合にはお考えいただくということで、連絡を密にしてまいりたいと考えております。
#24
○松本英一君 いま排出ガスの問題について質問いたしました。大蔵省もこの件につきましては、自動車の排出ガスでそんなに被害があるとお考えではないと思いますが、いまの航空局長のおことばでは、外国からお帰りになって、ジェットに乗っておられて、あれだけの燃料を使って、それが金物に関係がないとおっしゃるのは、私はどうも納得がいきません。自動車の排出ガスで、オクタン価の高いものは、鉛の毒が非常にあって、それが宮内庁の所轄になる正倉院を傷つけておるのは、データで示しておるとおりであります。しかも、予定地からわずか八キロのところに忍辱山円成寺という日本で大日如来像の最高を誇るものがございます。有名な運慶作であります。これはわが国の仏像の彫刻の中で、運慶ほど多くの人々にその名を知られている人はありません。少し時代が古い仏像だと、あれも運慶作これも運慶作、すべて運慶にあやかってしまう風潮があるほど、平安末期から鎌倉時代に生きたこの運慶の名前はあまりにも著名であります。今日で申しますならば、設計というとあれもこれも東大の丹下先生の設計であるというように、近代的建築物を見れば丹下設計というようなことではないかと考えられるくらいに、有名なその運慶が二十六歳のおりにつくったのが円成寺の大日如来像であります。この質疑に関して、私は、私が承知しておる寺々、あるいは私が接したことについてのみに質問をとどめておりますが、円成寺の大日如来像は接するごとに実にすばらしい、青年時代につくった運慶の青年の情熱がみごとにあらわされた、それを証明するかのように新鮮な気魄と若々しい弾力で、すがすがしさが迫ってくる思いであります。結ばれた智拳印の手、腕、指先にまで若々しさがほとばしっているような、貴重な国宝のものであります。この像いわゆる冠帯、あるいは胸飾り等の飾り金物――しかもここから二キロ離れたところには梅で有名な月ケ瀬の梅林があります。梅林は別としましても、それらの国宝のものが東大寺の夢殿の、あの宝珠の中に全部示されております。八個の風鐸、八葉の蓮華、そして蓮座と清花、それからまるい宝瓶、八角の宝蓋、宝珠のまわりの四条の炎、その間から天空を目ざす数十本の光明が出ております。五重塔の相輪や薬師寺東塔の相輪はいうには及ばずみんな金物類であります。そういうものがたくさんございますが、文化庁のほうにおいて、排出ガスと金物類の影響についてこれを保護する予算の措置、あるいはそういうことについての切実な要求を大蔵省におやりになったことがあるのかどうか、その点についての御見解と御説明を願いたいと思います。
#25
○説明員(内山正君) いまの御質問は、円成寺の運慶作の仏像についてでございますか。
#26
○松本英一君 宝珠や金具類ですね、塔や伽藍建築のこまかい飾り金物類です。
#27
○説明員(内山正君) そういう金具についての修理ということで特別に、取り立てて補助金を出ずというようなことでなくて、建造物に付随した金具でございますならば、建造物の修理の際に、あるいは仏像に付随したものでございますれば仏像の修理という際に、補助金を交付して修理を実施しております。特に仏像等におきまして、その金具の部分が著しくいたんでいるという場合には、それらを主とした修理事業を行なうというようなことも行なってまいっております。
#28
○松本英一君 それらを保護する予算なんかは考えてないんですか、文化庁では。
#29
○説明員(内山正君) 現在のところ、文化財の保存のための予算と申しますのは、修理並びに防災事業に対する補助を考えております。修理の一環として、そういったものの保護をはかってまいるという措置をとっているわけでございます。
#30
○松本英一君 大蔵省にお尋ねします。世界最大の木造建築物である東大寺の大仏殿が最近雨漏りがひどく、このまま放置すると屋根もくずれかねないといわれております。それで文化庁は調査費五百万円を計上して、六月ごろからその調査に乗り出し、文化庁、奈良県、東大寺、三者の会合を開いて調査団の人選にかかるといわれておりましたが、とのようなことがございますか。文化庁のほうかう御説明願って、大蔵省からは調査費の予算について御説明願いたい。
#31
○説明員(内山正君) 東大寺の大仏殿は屋根その他全体の構造が相当いたみが激しくなっております。これを早晩は修理をする必要があるわけでございますが、あの膨大な建物でございますので、どのような修理を行なったならばいいのか、またどういう仕組みで修理を行ない得るか、そういった技術的な面について事前に調査をする必要がございます。直接に修理にかかるということができないほど膨大な、他に例のない大きなものでございます。そういう意味で今年度五百万の予算を計上いたしまして、総額、事業費五百万でございますが、修理を行なうための調査を今年度から東大寺において実施することになっております。これにつきましては、国からも三百万円の補助金を交付することを決定いたしております。
#32
○説明員(藤井直樹君) ただいま文化庁からお話がありましたように、修理調査費をことし使いまして、はたしてそれをやるという必要があるかどうか、どういうふうに考えていく必要があるかというようなことについて十分検討するということで現在おります。その金額は五百万円、それに対して国の補助が三百万ということになっております。
#33
○松本英一君 これは、東大寺の大仏殿の修理は明治三十六年から大正二年までの十年間にかけて解体修理が行なわれた記録がございます。言うならば、今度の解体の修理がなされますと、昭和の大修理と言わざるを得ませんが、これにはいま調査費五百万円のうち三百万を国が負担をして補助をしていただいて、東大寺の負担は二百万円ということで理解してよろしゅうございますか。
#34
○説明員(内山正君) 修理の調査のための事業は、いまおっしゃるとおりでございます。
#35
○松本英一君 それならば、この大修理は軽く見積もっても六、七億かかるといわれております。この場合、やはりその率でいきますと、一億ないし二億の金を東大寺が負担しなければならないのですか。
#36
○説明員(内山正君) 文化財の修理のためあるいは防災事業のための補助金の補助率につきましては、個々のケースによりまして、その所有者の財政負担能力だとか、あるいは工事の量、規模あるいは災害等の特別の事情などをいろいろ勘案いたしまして、均衡を失しないような率を考えて実施をいたしております。たとえば財政負担能力が非常にある場合、観光客などがたくさん参ります場合には、それに応じて補助率は下げるというようなことをいたしております。たとえば日光の二社一寺等につきましては、の補助で十数年の二社一事を続けているわけでございます。そういうことで東大寺の本格的な修理をかりにやります場合に、その額が何億になりますか、それはこの調査によって判断されるわけでございますが、その場合の率等につきましては、ただいま申し上げましたような寺の財政負担能力、工事の規模、量等を勘案して検討することになると考えます。
#37
○説明員(藤井直樹君) 文化財保護の関係の保存修理の補助金につきましては、一般の事業と非常に性格が違いますので、実情に即したものにしていく必要があるという考え方で、ただいま文化庁のほうから御説明がありましたように、その収支状況とか事業規模、そういうものをいろいろ勘案いたしまして、ケース・バイ・ケースで補助率を考えていくということでやっております。したがいまして、全体としては平均して七〇%をこえる高い補助率になっております。中にはそれよりさらに高い補助率の適用を受けているというものもあるわけでございます。
#38
○松本英一君 大蔵省御存じでしょうか、東大寺、法隆寺が奈良県に納めている文化観光税を昨年だけで東大寺が二千万円、法隆寺が千百万円、これだけ納めているのです。あとで質問いたしますけれども、そうした寺々が負担に苦しむようなそういう税金の取り方は、大蔵省は御承知なんですか。
#39
○説明員(藤井直樹君) 私、税のほうの専門でございませんので的確なことを申し上げられませんが、ただいまの関係の税は、たぶん負担力、それだけの収入があるという前提に立って、それを基礎にして算定されていると思いますので、税金に見合うだけの収入はその場合確保されているのではないかと思います。
#40
○松本英一君 大蔵省のほう、よく聞いていてくださいね。あなたは、私は係じゃないと言われた。しかし、そのつもりできのうから連絡して御出席を願っておる政府委員ですから……。東大寺、明治の解体修理では、当時の金で約七十万円の膨大な修理負担費がかかる、東大寺ではそれが払えなくて、寺の宝物である天平写経を当時の宮内省に買い上げてもらってその負担の穴埋めをしております。昭和の大修理といわれ、軽く見積もっても五、六億かかるこの修理で、もう少しあたたかい大蔵当局の文化財に対する配慮を切に要望すると同時に、そのお気持ちがあるかどうか御答弁願います。
#41
○説明員(藤井直樹君) 文化財の保存修理の関係の経費は、四十四年度で見ますと約二十億円程度計上されておるわけでございます。そういう意味で、毎年その金額がふえてまいってきておるわけでございますが、ただいま御指摘の東大寺の場合は、これをはたして今後手をつけてやっていくのかどうか、その関係について現在調査をしておる段階でございます。かりにやるというような結果になった場合でございましても、ただいま申し上げたように、補助の率のほうは、客観的な数字に基づいて、その寺の実情に即したものを適用していくという考え方でございまして、その辺は、収支状況、事業規模等をよく勘案してきめてまいるということであります。
#42
○松本英一君 このような文化財保護に対して、寺々に関して特に見のがしてならないことがございます。
 わが国への仏教伝来は、欽明天皇の時代であり、これは紀元一二一二年――覚えやすいような数字で覚えさせられておりますが、百済の王から送られた仏像を礼敬をする役目を仰せつかったのが蘇我稲目、これが奈良県高市郡向原の豊浦にあった屋敷を寺として、それを安置しました。これが日本で日本人が建てた最初の寺であります。寺号を豊浦寺または建興寺と呼ばれて、その遺跡はいまなお高市郡の豊浦にあります。それより五十年後に稲目の子の蘇我馬子のときに、司馬達等一門の手によって飛鳥の里に寺を建て始めました。仏堂廊下塔が完工し、聖徳太子が活躍されておられた六〇九年に、寺の本尊である釈迦如来銅像ができ上がったことは日本書紀によって明らかであります。実に二十一年の歳月を費やしております。これは住職に聖徳太子の仏教の師である恵滋僧正がつかれたのであります。したがって、今日残っておる寺で一番古いのは何といっても聖徳太子の建立になる法隆寺であります。これは当時太子が住まっておられた斑鳩の宮の隣地に法隆寺を建て始められたのがその土台となったのであります。
 私が今日見のがしてならないということは、この法隆寺が、聖徳太子の仏教を研究するための学問寺として創建されたことであります。これは言うならば宮寺というべきでありましょう。あるいは桓武天皇の発願による、あるいは各天皇の建立になる寺々が奈良、京都にはずいぶんあります。このことは官寺、宮寺としての性格を示しているのであります。これは朝廷の寄進によってなされたものだからであります。
 今日、観光寺院等がその拝観料を取ることについてとやかく言う人がありますが、そもそもそれら手々の創建がそうした官寺、宮寺としての性格を持つものであるということをよく理解しなければ、これはいけないと思うのであります。したがって、いまの東大寺の修理におきましても、国がこのような文化財の保護のために、昔からのよさが消えていく悲しみを乗り越えるために、文化財保護のために、観光寺院としてのそれらの寺々が、非難をされる前にそのような行政的な措置がなされるべきではないでしょうか。また、日本全国にある各宗各派の寺々においても、あるいは各県に散在する文化財においても、また国宝におきましても、国の文化財に対する行政が非常にお粗末過ぎると言っても過言ではありません。中国においては、毛沢東の社会主義革命の時代においてすら仏教も宗教も残されております。北京の仏学院に参りますと、日本の阿弥陀如来像が日本館にちゃんと安置されております。そうして一年間食べていけるだけの金を国家が補助しております。日本の寺々の官立――官寺あるいは宮寺としての性格を御認識になるならば、文化庁も文部省もそうしてそれを補助してくれる大蔵省も、もっと前向きの姿勢でやるべきではないかと考えております。これからの方針について御説明願いたいと思います。
#43
○説明員(内山正君) 文化財は仰せのとおり、国民の貴重な文化的財産であるということは当然でございますが、それと同時に所有者の所有物でもあるわけでございまして、文化財保護法のたてまえでは、修理管理等に要する経費は所有者が持ってこれを行ならということになっておりますが、しかしその場合に、文化財が国民的財産であるという見地から、その修理管理のための経費の負担にたえ得ない場合には、その経費の一部を補助するというたてまえになっております。先ほど主計官からもお話がございましたように、文化財保存修理のための補助事業は年々伸びておりまして、今年度は約二十億になっておりますが、実際に保存修理に当たります所有者、特に社寺等が多いわけでございますが、社寺等におきましてその負担の限度を越えるというようなことがないように、私どもも財政負担軽減ということを今後はできるだけ配慮してまいりたい。国の指定になっているものは全額国が持てばいいじゃないかという世間の声もございますけれども、現在のたてまえから申しまして、いま申し上げましたような方針で実施しておりますけれども、所有者自身の財政負担の軽減につきましては私どもも今後努力をしてまいりたいというように考えております。
#44
○説明員(藤井直樹君) 文化財を保護し、維持をはかっていくということの必要性は十分私どもわかるわけでございます。全体の財政の調整をはかりながら、今後ともその充実につとめてまいりたいと考えております。
#45
○松本英一君 文化財保護法とかあるいは古都保存法などと法律をつくっても、これは一銭も金はかかりません。法律はそれを十分運用できる予算の裏づけがなくては、法律ばかりぎょうぎょうしくつくって、事が済むと思うのは、それは人を欺いてみずからも欺く、最も恥ずべきことだと言わなければなりません。葬式仏教とか観光寺院とか非難をする人があることは、そういう日本の寺の創建の歴史や宗教行政のあり方を理解しない人がおるからであります。しかしその中でも盲人のために養老院をつくったり、身寄りのない百名余りの年老いた盲人たちを収容されておるのは有名な壼坂寺であります。山門の前の碑文は小笠原長生氏の筆になっております。しかも、少しばかりの拝観料を取っても、常盤勝憲住職のあたたかい大きな広い心によって、その不自由な盲人のために歩けば手すりに点字が書かれ、そこにかおり高い花のにおいがする「匂いの花園」、点字の図書館の建設、テープで聞く音の図書室等を設けられております。これは宗教を通じ、仏教を通じて真剣に盲人救済に取り組む新しい慈悲観音利生の寺のあり方として善業実行の寺として各方面から注目されております。しかし、そういう中でこの文化財保護法、古都保存法の貧困さは、結局日本の政治の貧困と言わなければなりません。そういう意味で、前向きの姿勢で関係各省庁は一そうの御理解をもって進んでいただきたいとお願いをいたします。
 限られた時間もございませんが、私は、京都と奈良が第二次大戦の戦火から守られたことを想起せざるを得ません。奈良、京都の文化財を守ったのはアメリカの東洋学者であるランドン・ウォーナー博士であります。米軍の爆撃から除外するために、日本の文化財地域のリストをつくって大統領と軍に働きかけたのは博士であります。そうして昭和二十四年正月に法隆寺の金堂の内陣から出火をして壁画が焼けたときにアメリカで頭をかかえて文化財の損失を惜しまれた人でもあります。修理のときに来日きれ、ただ一言、私は師のむくろに向かっておる、そっとしておいてくれということばを吐かれた人でもあります。このランドン・ウォーナー博士が昭和一二十年の夏に故人になられ、いま法隆寺の西北のすみの静かな丘の上に、法隆寺が五輪の塔を建てて供養をいたしております。いまなおウォーナー博士がそっと日本の文化財を見守ってくれています。もちろん、明治十二年に、夢殿の救世観音が、八百年の長い間五十メーターの白いきれに巻かれておりました、その秘仏を、その布きれを解いたのが東京大学に政治学と理財学の講義に招聘されておったフェノロサであることは御承知のとおりであります。いまもなお琶琵湖を望む静かな丘にその墓があります。こうした外国の人たちが、奈良や京都のいわゆる古都を、文化財を守りました。これは何によるかと申しますと、昭和十年に世界各国で結ばれました武力紛争による文化財保護のための条約によってであります。その条約の目的について文化庁は御承知だと思いますが、御説明願いたいと思います。
#46
○説明員(内山正君) 昭和十年とおっしゃいましたが、昭和二十九年のあの武力紛争の際の文化財の保護のための条約のことでございましょうか。
#47
○松本英一君 その前のワシントン条約です。二十九年のは守られないでしょう、第二次の戦時中はもっと前ですから。
#48
○説明員(内山正君) ワシントン条約につきましては、私十分承知しておりません。
#49
○松本英一君 それでは昭和二十九年にオランダのハーグで署名されました条約について、その目的について御説明願いたいと思います。
#50
○説明員(内山正君) 昭和二十九年の五月に、ハーグにおきまして行なわれました会議におきまして、武力紛争の際の文化財の保護のための条約というのが採択、採決になりました。これにつきましては、わが国は、同年の九月にパリにおいて署名をいたしております。当時署名をいたしました国は、約五十カ国あったと聞いております。この条約の目的は、今後予想される武力紛争の際に、文化財をその戦火から避けようというための条約でございます。この条約につきましては、わが国は署名をいたしましたけれども、まだ批准をいたしていないわけでございます。と申しますのは、当時署名をいたしました直後、文化財保護委員会におきましては、これの国内措置としての立法をいろいろ考えまして検討を続けてまいったのでございますが、この条約の目的が、ただいま申し上げますように、武力紛争の際に、文化財、特に文化財の集中している地域を戦火から守るというための条約でございまして、その具体的な方法といたしましては、文化財の集中している地域、それを取り巻く何キロか適切な半径を描いた周辺を文化財集中地域として考え、それを国際登録をいたしまして、戦争があった場合には、そこは爆撃をしない、攻めもしないということが約束される、そういう趣旨の条約でございます。国内法を条約に基づきまして考えます場合に、たとえば法隆寺なら法隆寺というものを考えます場合に、これをかりに法隆寺周辺ということを考えました場合に、これを国際登録いたしますとすれば、その登録された地域については、もちろん戦争のときに攻撃をしないということは条約によって保証されますが、同時にその地域については、停車場もつくらない、放送局も設けない、あるいは港湾施設も設けない、あるいは軍需工場に将来戦争のときにしていくような工場も設けないというような、飛行場ももちろんその地域からは避けるというような条件がたくさんございます。国内法の立法の場合に、その地域の半径をどの範囲にするか、二キロメートルでいいのか、水爆の時代に五十キロでいいのか、そういう点につきましても、実はユネスコ本部におきましても明確なことを示しておりませんし、具体的に国内措置を考えます場合に種々問題がございまして、現在までまだその国内立法ができない状況でございまして、当然批准にも至っていないわけでございます。現在までの経過は以上のとおりでございます。
#51
○松本英一君 私がお聞きしているのは、この条約の第二章第八条、特別保護の付与の「大きい工場地区または攻撃を受けやすい地点たる重要な軍事目標から妥当な距離に所在すること」という距離の問題を聞いているのではないのでございます。これは先ほど申しましたウォーナー博士の問題から例を引いて、昭和十年の四月十五日のワシントン条約において確立された、国際間の武力紛争の間における文化財保護に関するその条約が、日本の奈良、京都の文化財を守ったという点を申し上げておるのです。そうして終戦後の昭和二十九年にパリでその議定書、条約に日本は初めて参加し署名をいたしております。署名が批准を要することも私も承知をいたしております。しかし、この当時のオランダ大使であった岡本季正氏のこの署名が日本側でなされておるというこの事実は、文化財保護の上においてこうした条約があるということについての御理解を私は運輸省にしていただきたいということでございます。その御理解のほどを御説明願いたいのです。
#52
○国務大臣(原田憲君) 先ほどから新関西国際空港の問題に関連いたしまして、文化財との関連、非常に造詣の深い松木さんのお話を長時間聞かしていただきまして、実は私も代議士に初めて当選してきたときに、当時まだ国会には文化委員というのがございまして、その文化委員に私は初めて国会議員になって籍を置いたのであります。いま話の出ました法隆寺の再建の問題につきまして――当時は片山内閣でございます。委員長は福田繁芳、当時は連立内閣でありましたから改進党の福田繁芳君、社会党の現在でも衆議院に籍を持っておられる佐藤観次郎君、あるいは細川隆元、馬場秀夫というような方々がおられたのを記憶しております。ともに奈良に参りまして、この法隆寺の再建に関する保護ということを国政調査をいたしまして、さっそく、当時はほとんど予算が貧乏でなかった当時でございますが、これに対するところの措置をとるということをわれわれ一同決議して政府側に実行を迫り、そのことを約束されておった直後に、いまお話のありました火災が起こりまして、国会側ではまず責任を果たしておったということで、われわれ惜しいことであったけれども、私どもがやったことが無に帰したことは残念なことであったけれども、私どもは職務の一端を果たし得たということを感じたことをいま思い出したのであります。
 この文化財を保護するというととは、私どもいま空港の問題で議論をいたしておりますが、私の所管いたします観光行政の上から見のがしてはならない問題でございまして、私は観光行政の中で、特に国際的な観光行政のあり方を具体的に考えるときに、何をやるのかということを考えますと、世界の多くの人たちがイタリアにおもむくということはなぜか、これはイタリア及びギリシャ地方は白人の人たちの歴史の出発点であります。人間には帰巣本能というものがあるといわれておりますが、ローマ、ギリシャというものに通ずる人たちの歴史というもの、それをたずねていこうとするものが根底にあるのではないか。もう一つは、いまお話の出ました宗教の問題、カトリックの本山がバチカンにあることはすでに御承知のとおりであります。私どもは仏教というものを古い宗教として文化の根源として持っておるわけであります。よく本願寺前ということを下世話に申しますが、バチカンを訪れる白人の人たちの心境、こういうことが観光でイタリアに集まるということをいわれておる根底にあるのではないかということを私自身は脳裏に描いておりまして、わが国で世界に通用するそれらのものは何かということを考えますときに、話に出ました世界じゅうが破壊を主とする戦争の中で絶対に日本のこれだけのものは世界の文化財であるということから、ウォーナー博士という一人の理解者のためにこれが守られたということは偉大なことである。特に日本の国自体が、広く言いますとそれ自体が文化財である。しかしながらその中でも特におれのところもそうだ、おれのところもそうだではなかなか行き届きませんから、特に国際的に力を入れたところの観光行政に結びつけたものを重点的に政治の場で具体的にしたらどこだ、これは京都、奈良だということを言っても国民の皆さん方はそれはそうだという御納得が得られるに違いない。そこらのことから、もちろん文化財保護委員会はそういう意味での行政をつかさどっていかれますが、私どもはそういう意味からした、観光行政という意味からした一つの行政目的を果たさなきゃならぬと常々考えておりまして、就任以来特にこの問題に理解のある堀木鎌三委員長と私の考え方等もお話し合いまして、今後の行政についても話をいたしておりました。ときたまたまこの関西空港の問題につきまして、私自身が陳情を受けたわけでありまして、陳情はこれは賛否は別にいたしまして、来られました限りはできるだけお会いをするというなにを持っておりましたもので、お会いをいたしました。そのときに先ほど航空局長から話をいたしましたようなことがわがほうの航空行政の中にあるわけでございまして、私は奈良というもの全体がそういう地位に置かれておるということを考えますときに、ここに飛行場を持っていくということは得策ではないということを基本的に考えております。
 まあ新しい科学技術というものが開発されてきて、それとかつてのものとの融合された新しいものが生み出されるということは、これまた進歩であります。たとえば日本の山の中で、前人未踏の山の中に、景色はよろしい、しかし訪れる人も少ないというところに新しい現在の科学技術の力でダムが設けられた、そしてここにその近代科学技術と古来、千古おのの入ったことがないというところとの融合したところの新しい景観というものが生み出されたというようなことは、これは受け入れられてよいほうの部類になるのではないか、このように私は考えるのでありますが、奈良のようなところにこれから私どもがいま考えておる関西の新国際空港という相当大きなものを持っていくということは、これは適当でないのではないか、このように私は考えておりますが、まだ先ほども申し上げましたように、具体的に関西に国際空港を設けるという面につきましては調査中でございまして、このことが、いま私がだめだとかよいだとか言う問題にまできておらないという答弁も、航空局長がすでにいたしておりますので、この問題を取り上げていまやりませんというふうには申し上げかねるのでございますが、しかしいまも申し上げましたように、私は考え方といたしましては、奈良というようなところには不適当だ、国際空港は不適当であるというような考え方を持っておるということをお答えいたしておきたいと思います。
#53
○松本英一君 調査中であってできないというようなことは言えないとおっしゃるなら、私時間を制限されておりますが、ずいぶん時間をかけて質疑をしなければならぬようにならざるを得ません。しからば私は決定的なことを申し上げます。
 その前に、奈良は吉野杉で有名であります。昭和四十二年四月一日の調査で奈良県の林野面積が、総面積は二十八万九千ヘクタールであります。国有林が一万三千ヘクタール、民有林が二十七万六千ヘクタールであります。国有林が五%で、実に民有林が九五%であります。福岡の板付飛行場を飛び立ったジェット機が二十三キロ離れた三井郡小郡町のたんぼの中に落ちました。わずか百メートル余り離れた人家には被害はなかったが、しかしそのたんぼは墜落した飛行機のガソリンがしみ込んで作付ができなくなりました。このため防衛庁から大蔵省に被害補償予算の請求があったはずです。奈良県の九十五パーセントを占める民有林の中の大半を持つ吉野山に墜落をした場合、これは焼けるのですよ。そうなると、防衛庁からは膨大な補償の要求がおそらく大蔵省に出されるでありましょう。
 そこで、いままで私の話しました中から決定的な事実を申し上げます。それは運輸省に陳情に参りました六月五日以前、奈良の鍵田市長が五月二十六日午前十時半から記者会見をした中の記事であります。このように記されております。
 同市長は「故中山天理教真柱が十年前に構想を語ったものの受け継ぎだ」ということを語っております。昭和三十五年に出版されたその中山正善真柱の「大和わがふるさとの……」の本の中に、大和の気象として次のことが書かれてあります。奈良県地方の気象の複雑さ、その多様性ということについては、案外知っている人が少ないようであります。奈良には相当強力な降下気流があるらしく、潮岬から上げた観測気球がしばしば奈良の北部あたりにおりてくる。遠く中国の観測気球がはるかに海を渡って日本に流れきたって、しかもこの地方に落ちてきたこともあることを考え合わせると、この地方には確かに強力なエアポケットがあるように思えます。大和地方こそ世界のへそに当たるかもしれません。そうなると二十世紀の文化遺産である死の灰ストロンチウム九〇なども相当降り注いでいる道理であり、やがてはこの古代文化の体現者のはだにケロイドの花を咲かせる危険も濃厚になってくると書いてある。昨年たくなられました中山正善真柱の構想を語ったと奈良市長は言われますけれども、十年前に出版されたこの本によって書かれた事実とのどちらを運輸省は信用なさいますか。
 私がいままで申し上げた一つ一つの例の中から、ここで調査中であるとか、私の考えは不適当だとかいうことでなくて、六月六日に運輸省に陳情に来た、その奈良の市長の要望に対して、早急にイエスかノーをはっきりしていただき、そうして、そういう文化財を守る立場に立って大臣がそれを却下されるとするならば、それこそ原田憲運輸大臣の名は日本の文化財保護の歴史の中に長く残るであろう、そのことを心から期待しております。
#54
○国務大臣(原田憲君) いま、私のちょっと答えることばが間違ったのかもしれませんけれども、私の言いたかったのは、いま却下ということばが出ましたが、申請が出ておるわけではなくて、ただつくってほしいという話を持ってこられたので、いま先ほどお聞きになったように、航空局で事務当局も考えてもおらぬということをお答えいたしておるわけです。だから私はそうだと、こういうことをお答えして、奈良に新しい国際飛行場をこしらえるということについては考えてもおらぬ、こういうことをお答え申し上げたわけです。
#55
○松本英一君 考えてもおらぬという通達を奈良市長あてに出される意思がありますか、ありませんか。
#56
○国務大臣(原田憲君) これは通達というものではないと思うのです。これは向こうからつくってくれということを陳情されてきただけの問題でありまして、まだ通達を出すとか、出さないとかいうことを正式に何も政治の中で言う問題ではないので、手続を、そういうことをするということになると、調査の結果、あなたのところはだめでございます、こういうことになるので、いまうちのほうでは、国際空港に対して調査を進めていますけれども、五つ申し上げましたが、ここらは考えておりますけれども、奈良のことは考えてもおらぬということを言っておるのでございますから、もうそれ以上私は言うことはないと思います。
#57
○松本英一君 よくわかりました。ありがとうございます。私の質問を終わります。
#58
○委員長(岡本悟君) 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#59
○委員長(岡本悟君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。瀬谷君。
#60
○瀬谷英行君 いままでの委員会で審議した中で明らかになってきたことは、新東京国際空港の予定地と都心を結ぶ交通路がいささか心細いということですね。道路のほうは、箱崎のインターチェンジから高速六、七号線を通って京葉道路を経由ということになりますと約一時間である。しかし、箱崎というのは隅田川のちょうど永代橋と清洲橋のまん中辺で、昔でいえば江戸のはずれであるということになるから、都心まではここから約六キロないの七キロ、千代田区ないし港区近辺を都心とみなせば、あるいは新宿区とかこの辺を都心とみなせば、この箱崎のインターチェンジから都内の高速道路を利用したとしても最小十分は必要とするだろうということになります。そうすると、ごく順調にいったとしても、都心から空港までの距離が約七十キロ、時間にして一時間十分ないし二十分、こういうことが計算をされるわけです。しかも、前回の委員会でお聞きをしたところによれば、空港とその都心との間の距離が七十キロに及ぶところはあまりない。アメリカのダレス空港の四十キロくらいが遠いほうで、あとは二十キロから十五キロくらいが多い、こういうお話です。そうなりますと、最も遠い空港ということになるわけです。世界じゅうで最も空港までの距離の遠い空港ということになるわけです。あまりこれは便利とは言えないということになるわけです。したがって、当面国際線のみにこれを使用するということになるでありましょうけれども、こういう点を考えてみますと、はたして新東京国際空港というものがこのままいった場合に便利な存在になるかどうか、疑問が持たれるわけです。またさらに、この規模にいたしましても、当初の規模に比較をすると小さいような感じも持たれるわけでありますが、将来新東京国際空港を拡張をする必要に迫られた場合にここを拡張するという方針をおとりになるのか、あるいは別途、米軍の基地の返還等を考慮に入れて考えるということになるのか、一体その辺はどういうようなお考えなのか、さしあたってのことしかまだ考えていないと言われるならばまた別でありますが、大臣にその点をお伺いしたいと思います。
#61
○国務大臣(原田憲君) この国際空港が、大体今後の国際情勢から見て飛行機一機当たりの運ぶ量の拡大化、すなわちジャンボ等が増加してくるということを考えますときに、相当期間この飛行場が異常な航空状態になるということは確実に把握できかねるわけであります。また、このごろの技術開発というものがあまりに目まぐるしく早いということを考えますときに、大体現在の成田の空港というものが一ぱいになって、羽田と成田ともう一つ飛行場をつくらなければならないというところまでは正直なところまだ考えておらないというところでございます。
 もちろん日本全体として考えますときには、あるいはけさほどお話が出ました、新しい関西地方におけるところの国際空港であるとか、あるいはまた北海道地方に必要ではなかろうかというようなことは構想としてありますけれども、成田を中心としては、それ以上のことは具体的にはまだ考えておらないというのが現状でございます。
#62
○瀬谷英行君 午前中の質疑でもって、奈良のようなああいう古都に空港設置をするということは適切ではないと、こういう趣旨の質問が松本委員よりあったわけであります。私どももああいう歴史のある、神社仏閣も多い、こういう由緒あるところに空港を持ってくるというのはいかにも似合わないという気がいたしますし、その意味では、国際空港の位置として奈良などというのは全然不向きである、こういう気がいたします。しかしこの成田の場合も、なるほど、あれほど一ぱい由緒のあるお寺はないかもしれないけれども、成田山というのはこれ有名ですしね、第一、仏さまのほうはともかくとしても、生きている人間が一ぱいこの近辺には住んでいるわけなんですね。こうなりますと、どうも地理的にはあまり適当ではないのじゃないか、こういう感じが持たれるわけであります。飛行機なんというのはだんだん性能が発達するにつれてやかましい音を出すようになってきましたから、できればこれは海から入ってきて海のほうへ出ていくと、こういうようなことが一番望ましいのじゃないのか。その意味では、この成田は、地図を広げてみても海岸からはかなり遠いということになります。しかも、先般来ここで審議をした結果によりますと、交通網というのはまことに貧弱であるということになります。鉄道については新規にこの都心と空港を結ぶ鉄道は考えてないと、こういうお話でした。そうなりますと、道路にたよるほかないのですけれども、建設省から出してもらった資料によりましても、首都高速道路六号線、七号線というのは四車線ではありますけれども、幅員片側が六・五メートル、つまり片側二車線がぎりぎり一ぱい。これはしばしば経験をすることでありますが、事故が一度起きますと、直ちに渋滞をしてしまう、こういう道路であります。それから京葉道路の一期区間に入れば、これはかなりの広さを持っておりまして、四車線を六車線に改築をするということでございますが、この区間は六キロであります。それで京葉道路の二期区間と三期区間、海神−幕張、幕張−宮野木間にまいりますと、四車線ではありますけれども、七メートルの道路で、首都高速道路よりも若干広くなるという程度にすぎません。しかも、この道路というのは空港専用道路じゃありません。空港だけではなくて、いわゆる京葉道路であるということになりますから、相当混雑をするということを覚悟しなければならぬと思います。そうなりますと、こういうルートを通って空港までいくというのは、机上で計算したように、一時間とか一時間半という程度で済むかどうか、実際にあたってはわからないと思うのです。
 そんなことでありますから、まずこの道路事情の問題一つと、それからもう一つは、騒音の問題があるわけですね。この騒音の問題は、いままで質問しておりませんでしたけれども、相当な騒音を覚悟しなければならないのじゃないか。羽田空港のように海岸べりの場合でも、一々周辺の住民からは苦情が出ておるし、大阪空港でも同様でありますから、成田空港の場合は、進入路もそれから発進離陸した後も、いずれも地上を通るわけでありますから、その騒音の被害というものは想像にかたくありません。そういう点を取り上げてみますと、道路事情と騒音だけを取り上げてみても、現地の視察をしてみるという必要性は出てくるのじゃないかという気がいたします。再三、この前もお聞きいたしましたが、鋭意理事会等で検討されておるようでありますが、道路事情の視察、騒音の視察、地形の視察、こういったようなことを合わせて、何らかの現地の視察をするということは必要ではなかろうかという気がするのでありますが、その辺はどのような措置をされるおつもりなのか、この点をお伺いしたいと思います。
#63
○政府委員(手塚良成君) 道路につきましては、前回におきまして、ここで建設省道路局のほうから、いろいろお話がございましたような計画を、私どもは前提に考えていきたい、かように考えておりますが、いまお話しの騒音につきましては、なるほど海岸埋め立てによる空港におきましては、騒音の被害というのは非常に少ない。これは羽田におきます実情がそういうことをよく実証しておると思います。しかし、諸般、種々の事情によりまして、成田の現状の場所に新空港予定地がきまったわけであります。当初きめますときから、騒音の問題は相当検討されました。閣議決定によります地元対策という内容の中にも、騒音問題の対策の一つといたしまして、これは具体的な騒音対策自体とはまた別個ではございますけれども、地元に御迷惑をかける意味において、その騒音の対策等考えまして、畑地かんがいを一定範囲において特に行なうということがきめられました。
 基本的な騒音の対策といたしましては、四十二年にきめられました公共用飛行場周辺の騒音防止に関する法律で、これが新空港にも適用に相なりますので、その法律によるところの対策を十分に実施をいたしておる、これが基本になるかと思います。そのほか、ただこの法律による場合にも、この新空港に特別に配慮されておりますことで、いわゆる買い取り地域というものが一般の現状の空港、羽田並びに伊丹で適用されます範囲よりも広範な範囲を買い取り地域にきめていこう、いわゆる二キロ、六百という範囲で、通常の千三百の場合よりは七百メーターばかり広げた範囲を買り取り範囲として進めよう、かようなることを決定をいたして実施しようとしておるわけでございます。そのほか、やはり騒音問題について今後いろいろ問題が出るということも想定され、その問題の解決にあたっては、地元の皆さんとの協力、あるいはその御意見を十分尊重するという意味で、騒音対策委員会というものをつくって、今後の措置を検討し、進める、このことも場所決定のときの閣議了解の中にきめられておる一項目でございまして、地元の御要望もあり、できるだけ早く発足させようということで、目下公団を中心に検討を進められておりますが、こういった騒音対策委員会というようなものも発足をさせまして、将来引き続いて騒音の問題について地元の皆さんとの協力体制のもとに、できるだけこの障害を軽減する措置をとっていく、かようなことごとを現在騒音の対策という意味で考えておる次第でございます。
#64
○瀬谷英行君 私は、埼玉県で飯能というところがあるのですが、そこへ参りましたときに、まあ行ったときは騒音の問題じゃなくて、砂利の乱掘による公害といったようなことで行ったのですけれども、地元の人の意見を聞いてみると、飛行機の音で困るというのですね。どこの飛行機だと思ったら、横田基地から発進をする米軍の音なんですね。ちょうど横田から飛び上がった飛行機が頭の上を通り過ぎていくわけですね。上昇する過程にありますから、かなりの音を立てて飛び上がる。その飛行機が頭の上を通るときは、テレビが第一おかしくなってしまう。話をしていても、話は中断しなければならない、こうなるわけですね。それでちょうど空路の下にあたる学校は防音施設を行なっているのであります。学校は防音施設を行なえば何とか授業はできるようになるかもしれませんが、一般の家庭は全部、茶の間から台所に至るまで防音施設をやるというわけにはまいらないわけですね。こうなると、なかなかこれで音というのはほかのことと違って、写真にとれるわけのものじゃないし、形になっては見えませんけれども、迷惑をかける度合いでは相当なものだ。だから、これと同じようなことが国際空港を内陸部につくった場合には、その周辺、ことに進路に当たるところ、滑走路の延長した個所がやっぱり被害をこうむるのじゃなかろうか。具体的にいうと、新東京国際空港予定地でいうならば芝山町とか、成田地区ですね。この辺は横田基地と飯能市の場合のような、その種の騒音に悩まされるということになりはしないか。テレビも見られなければ、学校の授業も中断をするといった問題が発生するんじゃなかろうかという気がいたします。まあ、そのうちに音のない飛行機でもできれば別でありますけれども、そういう音なしの飛行機が早急にできるという見込みがない現在は、やはり騒音に悩まされるということを覚悟しなければいかぬ。その羽田の場合は、これもかなり騒音ということでは近所に被害を及ぼしているんじゃないかと思うが、それでも海べにつくってありますから、町にはまだいいんじゃないかという気がいたします。しかし、羽田の場合あるいは大阪の伊丹空港の場合、こういう飛行場の騒音、その周辺の騒音と同じ程度のものが当然成田空港の滑走路を延長した地域に覚悟しなければならぬというふうに思われるのでありますけれども、たとえばその騒音の問題をひとつテストしようと思っても、その近辺なり、羽田周辺に行けばいいわけですし、まあ道路については実際に京葉道路の予定地を通ってみてもいいわけでありますけれども、そういった空港自体の問題のほかに、その道路とか、騒音といったようなことでも、これは現地を視察をするということで意味があるような気がするのですが、これは今度委員長にお伺いするのですが、この点は法案審議にあたって重要なことだというふうにお考えにならないかどうか。もし重要なことであるとお考えになれば、やはりやってみる必要があるんじゃないかという気がするのでありますが、どうでしょうか。
#65
○委員長(岡本悟君) 瀬谷委員にお答えいたしますが、かねてからの瀬谷委員の御提案並びにただいまの騒音問題に関連する御提案、これらにつきましては、理事会で十分検討してみたいと存じますが、この交通の問題、特に道路交通あるいは鉄道につきましては、計画の、たとえば関東自動車道、こういったものが完成しておりませんので、現在の時点で現地視察をしてはたして効果があるかどうかということについても異論のある理事の方もございますので、ただいまの御提案も含めて、十分、またすみやかに結論を出してみたいと思っておりますので、御了承をいただきたいと存じます。
#66
○瀬谷英行君 その関東自動車道路のようにまだでき上がっていない道路については、これはまあ視察してみても地形を見るだけの話です。しかし、京葉道路といったように、すでに利用されている道路があるわけですね。この道路計画は空港専用の道路じゃなくて、京葉道路をも利用するわけでしょう。だから、たとえば京葉道路の二期区間、三期区間といったような地域を通ってみるだけで全体の推定が出てくるわけですね、所要時間の推定が。つまり何キロ、ここからここまでの間でこのくらいの時間を要するということになれば、あとはおそらく完成するであろうところの高速国道についての計算もできるわけなんです。そういう意味での部分的な道路の視察、それから羽田の空港と伊丹の空港ならもっといいのでありますけれども、あそこは少し遠いから、羽田の空港の周辺で騒音の視察をすると――もっとも、飛行機で行けば伊丹の空港なんてたいしたことはないのですけれども、むしろ伊丹の空港のほうが参考になるのじゃないかという気がするのですけれども、まあしろうと考えですけれども、こういうところの騒音の実態の調査、それから対策――もっとも騒音対策になりますと、運輸委員会よりも公害対策の分野になるかもしれませんけれども、そういったような視察をやることもこれは必要ではないか。現地の視察については、まだまだ反対運動もあって、反対運動に対して刺激を与えてはいけないというのが与党のお考えのようでありますけれども、しかしそうかといって、これはいつまでもごまかしていくわけにいかない。もしやるならば、この反対派の人たちを説得しなければならないということになってきます。それから、現地の地形等もわからないということでは、これまたどうもぐあいが悪いと思うわけですね。だから、何回も繰り返すようですけれども、再三私のほうで提案して、そのつど理事会の検討という、私のほうは検討の余裕をかなり委員長のほうには上げているつもりなんですけれども、会期も残るところまあ半月余りになってまいりましたから、この会期内に視察をするとかいうことはできないものかどうか。もし、視察をするならば、定例日でなくったってこれはかまわないわけです。この点はどうでしょうか。
#67
○委員長(岡本悟君) いま例示されました京葉国道にいたしましても、過般来政府当局の答弁によりますと、第一期工事につきましても、四車線を六車線に拡幅して、五カ所の平面交差を立体化する、こういう計画であるようでございまして、これが新空港使用までには供用開始できる、こういう説明でありましたので、現時点で行ってみましても、そうたいして参考にならぬだろうと、いま仰せのように、現在の京葉道路を追ってみることによって大体の推定はつくのじゃないかというお話でございますけれども、むしろこの点については、一日に一回、ある時点においてのわれわれの視察の結果による推定よりか、政府当局が出しました資料のほうが目下のところもっと客観的に確実であるということが言えるのではないかという意見もございまして、御期待にすみやかに沿うようなことになっておりませんが、先般、先ほど申し上げましたように、なお理事会で十分検討してみたいと思っております。
#68
○加瀬完君 関連で。道路は、いまのような御説明がつくかもしれませんけれども、騒音はどういうことになりますか。これは航空局長にもお答えをいただきたいわけですが、前に航空局長に伺いましたときに、海岸線で、大体高度は千二百メートル、こういうことでございました。鹿島灘から入ってくる飛行機と、九十九里から入ってくる飛行機と、それぞれ距離は違いますけれども、いずれにしても滑走路へ着陸するときはゼロ。そうすると千二百とゼロとの間で各地域どのくらいの高度になるかということでまた騒音も違ってくる。そうすると、この千メートルの高さの場合、――よろしゅうございますか、千メートルの高さの場合、それから五百メートルの高さの場合、それから高度が二百メートルである場合、高さとその騒音の影響される領域というものがどういうことに想定されるか。実感としては、やはり、騒音地域に出てみないとわからないわけでございますが、そういう調査は、運輸省においても、私はいままでつまびらかにされておらないじゃないかと思う点が一点。
 それからもう一点は、千葉県には騒音防止条例というのがございます。一番高いところで昼間が六十ホンですか、夜間が五十ホンですか、最近の伝えるところによりますと、厚生省でも昼間五十ホンあるいは夜間四十ホンというようなことを基準に騒音の防止対策を立てようというようにいわれておりますね。これが若干上がって、六十ホンと五十ホンとしたところで、そうすると国の基準なり県の条例なりに、当然関係のある領域というものは、相当広地域になると思うのです。一応飛行機の騒音というものは、この騒音防止条例からはずしてあります。はずしてありましても、騒音であることには変わりがない。それで、成田空港も、最盛期になれば、とにかく二分に一回くらいの割合で離着陸するということになれば、これは連続――絶えずその地域は騒音を受けるということになるわけですよ。先ほどの御説明で、一応、この前の飛行場周辺の騒音に対する対策として、横六百メートルなり縦二千メートルということをきめましたけれども、これは百ホン、少なく見たたって九十五ホン以上ですよ。この地域は人の住まない地域で、騒音で影響されるというような地域ではないわけですね。人の住めない地域だけが移転の対象になったり、あるいは移築の対象になったりしただけで、この騒音対策というものは済む問題ではございませんね。地元で一番心配なのは、やっぱりこの騒音なんです。千葉県と茨城県の空路の下になるところは、ほとんどこれは騒音区域で、生活に非常に支障を来たすという一応の推定をせざるを得ないことになろうと思うんです。ところが、そういう騒音については、これは運輸省としてもあるいは公団としても――これは公団の問題じゃないと思う、騒音対策は、ほんとうは国の問題だと思う。予備調査というものが、おそらく確実なところができておらないのじゃないか。そこで、瀬谷委員の言うように、騒音くらいは、伊丹なり羽田なりに行って、もう少し調べなければどうにもならないじゃないか。こういう質問が、あるいは要望が出てくるのは、私はあたりまえだと思う。たとえば羽田なり、あるいは伊丹なり、あるいは板付もそうでありますが、板付は、軍用地がありますからはずすとしても、羽田にしても、伊丹にしても、それぞれ騒音対策協議会なり、あるいは騒音を防止するための研究会なりというものが開かれて、いろいろデータが集まっていますね。それから北海道大学では、千歳空港について、千歳の騒音調査というものが、これは環境衛生学会で公式に発表されておりまして、幾多の問題を学問的にも投げかけておるわけですね。ところが、飛行場をつくるという議論がここではずいぶん進められておりますが、さてそのマイナス面の騒音が防げるか防げないかということになりますと、これは研究がほとんどされておりませんし、また、調査も不十分だと私は思う。学者によっては、騒音は防げますかという質問に対して、都市的変更をすれば防げますと、こう答えておりますね。結局、騒音のないところに全戸数移っていく以外に騒音防止の方法はありませんということですね。それほど学会では騒音には対策なし、処置なしといわれている問題を、これは調査もしないで、ただ二千メートル、六百メートルだけで百ホンというようなものを単位に法律のワクの中だけでつくったって、これは社会問題としては当然、むしろその大部分の騒音地域というのはあの法律では救済できないのですね。私はそういう点、どういう調査があるかということをお答えいただくとともに、委員会として、こういう、まあこれは直接騒音に対する法律ではありませんけれども、空港の賛否というものがいろいろ論じられているときに、騒音の調査も不十分なままに賛否が決せられるということははなはだ不当だと思う。そこで瀬谷委員の提案を委員長も真剣に取り上げていただかなければならぬと思うのですが、御当局と委員長の御見解とをあわせて伺います。
#69
○政府委員(手塚良成君) 騒音に関します調査でございますが、この騒音の周辺に対する影響といいますのは、いろいろなファクターでいろいろな前提から影響が異なってくると思います。で、私どもの騒音についての調査は、実際には羽田並びに伊丹、この二つにつきまして過去において、また現在も特に伊丹等におきましては調査を継続をいたしておるわけでございますが、新空港の場合におきまして、私どもがこの地方における騒音の影響というものを判定いたしますにつきましては、やはり具体的には飛行機を飛ばしたり、またその飛ばせ方もいろいろな角度からやるというようなことが必要かとも思われますが、一応ただいまのところはやはり羽田あるいは伊丹というようなところで実際に測定をいたしました内容をここに当てはめまして、そうしてその騒音の被害範囲あるいは騒音の影響というようなものを一応考える、かような考え方でスタートをいたしております。具体的にそれでもって現実飛行機が飛んだならば、それで十分かつ支障がないかという問題になりますと、必ずしもそれでないというようなことはいま申し上げることはできないと思います。先生もおっしゃいますように、騒音を防げるかという問題になりますと、これは明らかにノーホン、ゼロにするということはできないと申し上げる以外にはなかろうかと思います。そういう中で、何とか被害の範囲を最小限にするということが現在とり得る唯一の方法ではなかろうか、かように考えるわけでございます。現在、騒音の範囲を新空港のみに限って二キロというようなことにいたしましても、これでなお十分だとは私どもは考え得ないかと思います。そういう点につきましては、実際に、先ほど申し上げました騒音対策委員会なり、あるいは今後継続いたします騒音調査というものの結果を待ちながら、できるだけのそういった被害の減少につとめていく、かような方針を考えておるわけでございます。
 いろいろ私どもでも騒音のいろいろな面からの検討はそれなりにいたしておるつもりでございます。具体的に伊丹などでこの騒音による被害というものはいろいろな面であらわれておりまして、人体に対してどうだとか、あるいはまた農作物等に対してどうだとか、個人の住宅に対してどうだとか、いろいろあるわけでございまして、そういうものにつきまして、実は私どもは、できるだけたんねんに一つ一つの現象をとらえました騒音の影響というものをしかるべき機関にお願いをいたしまして、調査を続けておるというのが現状であるわけでございます。そういう意味で、十分とは言えないと思いますけれども、ただいま考え得る範囲においてそういうことを極力やっておりますし、また今後も熱心に続けていきたいと、かように考えておる次第でございます。
#70
○委員長(岡本悟君) それから委員長として加瀬委員にお答えいたしますが、騒音の問題が、新空港が供用開始になりました暁におきまして、羽田あるいは伊丹等の実績から見まして、地域住民の生活に大きな影響を持っておるということは仰せのとおりでございますので、ただいま政府委員から答弁もございましたが、当委員会としても、現地視察をどういうふうにやるかということにつきましては、先ほど瀬谷委員に申し上げましたように、理事会で十分、すみやかに検討していきたいと存じます。
#71
○加瀬完君 この騒音対策委員会というものが後日つくられましても、そのときには飛行場が決定し、当然騒音の発生源である飛行機が飛ぶという状態になるわけですね。しかも法律は、先ほど御説明のように、延ばしたところで横六百メートル、縦二千メートルという以外にはなかなか延ばせない。それは羽田にも、あるいは伊丹にも影響するわけですから、できるであろう成田空港だけを対象に、騒音区域というものを、法律のワクを広げるわけにはいかない。補償されておるのは法律できめられたワクだ。それは音の高さからいえば百ホン。厚生省は昼間は五十ホン、夜間は四十ホン、そこらを基準に騒音の対策を立てると、こういうもくろみで進められておるわけですね。そうすると、飛行場に限って、あるいはこれは五十ホンなんていうところを押えたら、もう千葉、茨城の太平洋岸寄りは、ほとんどそういう地域になってしまう。一応七十ホンというところを押えたところでね、これは相当の区域になるわけです。私ども千葉県では、この間、この委員会でもたびたび話題になりました東西線が船橋までまいりました。と、その途中に市川の第七中学校というのがあります。これは窓をあけておくと七十ホン、窓を締めて五十ホン、それでも授業ができないというので、市当局は営団に来てもらって、何とかもっと音を低める対策を立ててくれなきゃ困る、補償してくれなきゃ困るという問題が起きているわけですが、七十ホン程度に押えて区域を求めましても、公団から資料をお出しをいただいたとおりで、相当の広範囲ですよ。しかも局長の御説明のように、これは医学界でも騒音がいろいろな面で身体的に影響しているということは、もうこれは明らかな事実になっておるのですね。そのときに一体、騒音対策委員会などというものがおくればせにできて、それでこの問題の騒音が防げるという状態ではないですよ。しかも、まことにナンセンスなことは、公団が、騒音対策の具体的なものを出していただきたいと言いましたらね、防音林をつくるということです。防音林というのは、エンジン調整や何かをする場合に、あるいは離着陸のまだ地面に着いてる飛行機の滑走音だけはある程度防げるかもしれませんがね。百メートル、二百メートルと上がってしまった飛行機を防音林で防ぐような方法というのは立たないわけですよ。また防音林の、私は計算をいたしました。何を植えるんだと言ったら椎の木みたいな潤葉樹を植えるということになりました。そうすると、これが二十メートルになるまで六十年かかるのです。杉なんか一番生育しやすいものを植えても、やはり三十年なり三十五年なり、十五メートルから二十メートル生長するにはかかるのです。この飛行場は十年くらいしかいまのところ使えないということになっている。飛行場がなくなっちゃってから木が大きくなって、音を防ぐということでは間に合わない、全く騒音には手がないというのが実情ですね。これは公団におきましても、常識で考えたってそうでしょう。大体飛行機の音というのは飛行音が大きいのです。エンジンの調整の音が大きい場合は、これは地下へもぐらせるとか、いま言ったように障壁で囲むとかということをすれば防げる、問題は飛行音です。音も高いし、範囲も広い。この防ぎようというのは、飛行機そのものが音を発しなくなる以外にないわけです。賛成反対とかということではなくて、私は反対でありますから、反対のために議論をするように受け取られがちですけれども、この賛成反対を抜きにしても、騒音対策というものをもっと綿密に立ててもらわなければ、どこに行ったって飛行場というものは、これは反対がつきまとうことになります。
 いま伺いましても、たとえば、お答えがございませんが、海岸線千二百メートルというならば、千二百メートルのおりるときの音は一体どのくらいか、上がるときの音は。そこから超音速にだんだんなっていくわけですから、もっと大きい。三百メートルがどう、五百メートルがどうと言ったって、的確なものはお待ちになっていらっしゃらないじゃありませんか、できましたからがまんしてくれじゃ困りますよ。騒音対策がもし立たないとすれば、立たないようなところに飛行場をつくっていいかどうかという問題が当然起こってくる。その問題にはきょうは触れません。しかし、もう少し騒音の調査なり、騒音の対策なりというものは、これは国として綿密に考えなければ私はならない問題だと思うのです。横が六百メートルの縦が二千メートルなんて論外ですよ。大体百ホンといったら、三、四メートル先で自動車のものすごい警笛を鳴らされるくらいの音です。こんな音のところで人間が住める理由はないわけですから。そうではなくて、通常生活をするのに、非常に支障を来たすという音の高さは一体どれくらいに押えるのだ、それを一体七十ホンとかりに押えたとしても、七十ホンじゃとても日常の仕事をする上においては――特に学習阻害なんていうものは大きいですから、どうにもなりませんが、学校は一応防音装置をするにしても、日常の平生の生活をするのには、せいぜい高くても六十ホンです。六十ホンで押えられるかどうかということになりますと、押える方法はいまのところないでしょう。そういう点を十分に調査がしてあるかどうかということです。
 まあ総裁がいて悪いけれども、成田空港の発表があった直後、騒音については心配ありませんという発表を公団はしている。心配ないということは言えないでしょう。心配があるから、羽田で拡張案というものに反対が起こっている。伊丹はどこかに移れというのは、騒音のためでしょう。ここの委員会は日にちがくれば法案が通るかもしれないけれども、この騒音の問題というのは、もっと綿密に研究して対策を立てなければ、飛行場の反対というのは、これは委員会にかかわりなく、いつまでも尾を引きますよ。私はそういう点で、非常に政府の騒音に対する調査なり、対策というものはずさんだと思います。したがって、この委員会でも、これは私の番になればあとで言いますけれども、もう少しいまのようなお答えではなく、綿密なお答えをひとつ御用意いただきたいと思います。それだけ申し上げておきます。どうせ答えにならないから、やらなくたっていいですよ。
#72
○瀬谷英行君 いま加瀬委員からも質問がありましたが、私は飛行機の騒音を全然知らないで言うわけではなくて、私自身の体験からすれば、飯能でもって横田基地の飛行機の騒音というものを実際に聞きました。また、学校が現に防音工事をやっているのを見て、学校の先生からもいろいろ陳情を受けたわけです。ところが、横田基地ということになりますと、米軍の基地であって、しかも飛び上がった飛行機が頭の上を通っていくのでありますから、幾らくやしがってもどうしようもないわけであります。地元ではテレビはおかしくなってしまう。まあ結局地元からは、飛行機のためにテレビが普通のところと同じように見えないのだから、テレビの料金はまけさせろ、こういうような意見も出ている。しかしまあ何といっても、騒音に対して文句を言おうと思っても、これこそ文字どおり雲をつかむ話になっちゃう。それが新しい空港の場合は、軍用機と民間機の違いはあるかもしれませんけれども、民間機であるから音がないというわけにはいかぬ。現在のところ、成田空港の場合は騒音について心配ないということだとすれば、これはどういう点で心配がないのか、いま加瀬委員からもお話がありましたが、林をつくってみたところで、これは地べたに置いてある飛行機の音は、林をつくって何とか防止することができるかどうか知らぬが、これだって何十年もかかる。飛び上がったやつはどうにもならぬ。特に滑走路の延長線にある地域がひどい目にあうということを私はおそれるのですけれども、そういう点での苦情というものは計算に入れていらっしゃるのか、あるいはそこまでは公団の仕事の分野ではないというふうにおっしゃるのか、その辺はどうなんです。これはあらためて私のほうから公団の総裁にお伺いしたいと思います。
#73
○参考人(今井栄文君) 先ほど加瀬先生からもお話が出ましたし、いま瀬谷先生も質問されたのでございますが、私どものほうの地元に対する。パンフレットと申しますか、新空港につきましての認識を深めていただく意味のPR用の資料には、騒音については心配はございません、あるいはその表現は若干違うかもわかりませんけれども、そういう趣旨のことが確かに書いてございます。それは私どもとしてはそう心配ないという意味を、騒音というものは絶対に日常生活に支障がないのだというような意味で実は書いたのではございません。地元の方々、特に現在反対の立場をとっておられる方々、あるいはまた特に空港の南側になって私どもとしては一番気を配っております芝山町の反対同盟の方々、こういう方は先ほど加瀬先生がおっしゃるように、主として騒音問題で非常に新空港について御関心を持っておられるわけでございますけれども、こういうふうな人たちのところへ、私どもの立場なり、また新空港の日本の将来における意義なりについての御認識が、なかなか徹底しないというふうな点がございまして、資料をお送りしても見ていただけないというふうな状況でございました。で、むしろそれにつきまして、私どもがそういうふうな表現を用いましたのは、ある意味では相対的な問題でございまして、特に私どもはある一部の方々のお配りになった地元での資料等を見ますと、まことに飛行機騒音というものはどえらいものだ、もう子供も生まれない、また生まれた子供が育たないというふうな、いろいろな表現が実はなされておるわけでございまして、こういうふうな表現に対しまして、私どもとしてはそれほど心配はないというふうな趣旨の説明を実はいたしておるわけでございます。そういったものにつきましても、私どもとしては、単に私どものPRというふうな意味で誇大なことを実は申し上げたのではなくて、大学の先生の研究の報告書というふうなものの中で、たとえば乳牛について言いますと、他から連れてきた乳牛は一時的に乳の産量が減少するけれども、やがて回復するとか、それからまた鶏の卵にいたしましても、一時産卵量が減りますけれども、やがて回復する、特に牛につきましては、そこで生まれた牛については産乳量にほとんど影響がないというふうな実は結論も出ておりまして、先ほど成田市の問題もちょっと瀬谷先生から出たのでございますが、成田市の現在の市街地騒音が大体六十から七十ホンというふうに、権威ある方から実はお伺いいたしておるわけでございます。飛行機が四千メーター滑走路から離陸いたしまして北上いたしました場合に、成田市との距離は、約三・五キロ以内が市街地だろうと思いますけれども、その場合の飛行機の成田市街地における騒音がやはり六十ないし七十ホンというふうに算定されて、これはまあ横のほうになるから若干そういうふうな問題があるんじゃないかと思いますが、これは私自身が調べたわけではございません、そういうような資料が出ておるわけでございます。
 そういうような意味で、先ほど私が心配ないと申し上げましたのは、私どもの地元に対するわれわれの立場を理解していただく、新空港を理解していただくという意味で、騒音についての非常に強大な恐怖感を植えつけていただくことは、私どもとしてもはなはだ困るという意味も実はあったわけでございまして、私どももその問題については、加瀬先生のおっしゃるように、実は公団自体が特に毎日心配をいたしておるわけでございまして、これにつきましてはできる限りの措置をとりたいというふうに考えまして、騒音対策委員会等につきましても、ほんとうに真剣な討議をいたしまして、その結論を政府に実行していただくように公団からお願いする、こういうふうなことを実は考えておるわけであります。
#74
○加瀬完君 関連。いまの発言で、いま反対しているのは社会党と共産党でありますので、何か反対者の側が誇大な騒音恐怖症をあおっているというふうな御説明ですけれども、私どもの責任で出したパンフレットは、あなた方よりも、どこの学会ではこういう発表があった、どこの学者はこう言っておるということで、賛否はそれぞれ住民が判断をすべきだといろ態度をとっているわけですから、いまおっしゃったように、子供が生まれなくなるとか、そんなようなことを出しているはずはございません。ただしですよ、子供に影響がないかといえば、赤ん坊には影響がありますよ。
 それからあなたいま牛の話をしましたが、一四%程度はお乳の出方が違ってくる、というのは九州の大学ではっきり出しておる。鶏は確かにおっしゃるようにそこでひなから育てた鶏は産卵率は減りません、よそから持ってきたものは産卵率は減りますけれども。しかし牛は、出乳率といいますか、減りますね。だからといって何も御心配がありませんということには私はならないと思う。あなたに言いっぱなしにされますと、いかにもわれわれが誇大宣伝をしておるように思われますから、責任を持って私たちのほうはやっておりますので、もしもこれはあまりでたらめじゃないかというものがありましたら御提示を願います。そういうふうなつもりで、単に反対をあおろうというつもりで私どもはパンフレットを出した覚えはございませんので、念のために、ひとつ御認識を改めていただきたい。
#75
○瀬谷英行君 騒音の問題は、実際音のしないところにおるとぴんとこないわけです。しかし飛行機の音の激しいところに行ってみますと、これはたまらぬという気がいたします。だいじょうぶだというのは、人間、騒音だけでは死なないという言い方をすればそれはだいじょうぶかもしれない。しかし、いま加瀬さんからもお話がありましたように、牛のほうだって牛の乳もモー出ない、というようなことになっちゃうんじゃないかと思う。(笑声)鶏のほうももうけっこうだ、こういうことになりはせぬかと思うのですけれども、牛や、鶏の卵や牛乳のぐあいもさることながら、毎日、毎日聞かされる人間さまのほうになってみると、これまた容易なことではないと思うのですよ。午前中は奈良の仏像の話が出ましたけれども、仏像はまあどういうことになるかわかりませんが、仏像ですら、あまり音が大きければいろいろとぐあいが悪い問題が出てくる。人間のほうは生きておる動物なんですから、これはゆゆしい問題だと思うのです。公団のほうは、ともかく飛行場をこしらえる、飛行場から飛び上がった飛行機の音のほうまではとてもめんどうを見きれないということになるかもしれません。しかし、こういう騒音の発生源は飛行機なんですから、飛行機がなるべく人間に被害を与えないようなところを飛ぶようなことを考えてもらう以外に方法はなかろうと思うのです。
 だからまあしつこく言っているようですけれども、騒音の問題でも実際経験してみる必要があると思うのです。これは羽田でなくったって、さっき私が指摘したように、飯能へ行ったって、あるいは立川周辺に行ったって、米軍基地の音がどんなものか――沖繩の話をわれわれよく聞くのでありますが、沖繩の基地もたいへんだろうと思うのですけれども、沖繩まで行かなくても、東京周辺でも十分に騒音の実際の被害というものを、われわれは、こういうのを視察というのですか、見ることじゃないから、音を聞くのですから、何というのだかわかりませんが、やってみる必要があるのじゃないかと思うのです。
 政府のほうでいままでやっている対策というのは、私どもが実際見聞した範囲では、学校の教室の壁を厚くしたりなんかして、それで音を防ぐという、きわめて原始的な方法なんですよ。ああいう原始的な方法以外に、いまのところ、今日は手はないということになるのですね。それにやはり飛行場そのものの場所の選定を考えるよりほかにないのじゃないですか。私は、前回、国際空港の問題が出たときに、自民党の源田さんが、九十九里浜あたりに飛行場を置いたほうがいいんじゃないか、自分の私見としては思うということを聞いたことがあるわけです。なるほど九十九里浜に設置をすれば、海のほうから入ってくる、あるいは海のほうに出ていくというようにすれば、これは陸地と違ってやかましい音がしても、漁船なんかは迷惑をこむるかもしれませんけれども、魚をおどかす程度で、そんなに大きな被害にはならない、そういうことを私は考えるべきじゃないかと思うのです。空港を東京周辺につくるならば、たとえば浦安の沖であるとか、あるいは習志野の沖であるとか、こういうところを埋め立てをする。あるいは木更津の沖であるとか、市原、袖ケ浦あたりの沖合いを埋め立てをするといったようなことも一案として考えられたんじゃないかと思うのです。あるいはは羽田の沖、川崎の沖といったところを考えるということのほうが、むしろ騒音の点を考えた場合には、わりあいと被害の度合いが少なくなるというふうに思われます。それからこれはめったにないことかもしれませんが、離着陸の際に、飛行機が事故を起こして、おっこったという問題を考えてみた場合も、これは飛行場の周辺が陸地であるよりは海であったほうが、あるいは湖であるとか、海であるとか、そういう水のあるところのほうが比較的いいのじゃないかろうかと思うのです。この前、全日空の飛行機ですか、東京湾におっこちましたけれども、あれは羽田の空港だからちょうど東京湾におっこったのであって、あれが成田の空港であったならば海のほうにはおっこちなかったのじゃないかと思います。相当人家の込み合ったところへ墜落をしたということになるのじゃなかろうかという気がいたします。してみれば、空港の位置というものは、どうもいささか地形的に見て選定を誤ってしまったのじゃなかろうかという気がいたしますけれども、その点大臣としてはどのようにいまお考えになるのでしょうか。これはまあ話がきまったときにはほかの大臣だったから、そのときは今日こういう質問を受けるということは予期していらっしゃらなかったかもしれませんけれども、現在大臣がはたして妥当だとお考えになるかどうか、適地がほかにないというふうに判断をされるのかどうか、しからば今後の問題として、何か考える方法はないのかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
#76
○国務大臣(原田憲君) まず第一番に騒音の問題でございますが、騒音は、先ほど航空局長も言っておりましたし、加瀬さんのお尋ねもありました。それに対する答弁で、これを絶対なくするということは、いまの技術ではノーだ、できない、こういうことが事実である。音を小さくすることができつつあるというようなことを新聞で散見したりしますけれども、ジャンボジェットはいまのDC8より音が小さいということは聞いておりますけれども、これをなくするということはできないということは事実でございます。したがって、それには飛行場というものをつくらぬでいいのかということになると、これは私どもの生活というものの根底をなしておる経済というものを拡大して、生活を向上さしていくということを考えるときに、世界的な飛行場というものは必要である。そこからどこがよいかといういまの最後の問題になるわけでございますが、いろいろと研究されて、いまお話の出ました浦安であるとかあるいはその他の地点についても検討を私はなされたと聞いております。またいままでの論議、質疑の中でも、過去においてなされておると思うのでありますが、そこには一長一短があり、結論として現在の新成田空港敷地というものが選ばれたこの経緯について、私はそのように承知をいたしておりますので、現在のところ、政府といたしましては、ここが一番よい条件である、こういう結論を出しておるわけでございます。したがいまして、そのことに、たとえば騒音についてこれがどうだと言われると、騒音をなくすることはできないわけであります。それならばそれに対するところの対策をどうするかということでございまして、現在のところ、私はあまり知識がございませんが、世界じゅうで飛行場に対するところの騒音ということに対する対策は、相当日本は進んでおるのではないかというように承知をいたしております。そのようなところから、私自身も騒音対策ということについて努力をしてきた一員でございます。たとえば、私は伊丹空港のそばに住んでおりますので、現在の飛行場になります前から、いわゆる特損法というものを適用して学校に防音装置をするということを、努力をして、開始をした経験を持っておりまして、それをもとといたしまして、今日まで再三現在の騒音対策というものに対しまして実際的に改良を加えていくということに努力をしてきたつもりでございます。いまテレビの話も出ましたが、これに対しましても、私自身が航空局あるいはNHKその他とも交渉を重ねまして、実現をしてきた一つの実例でございまして、今後ともこれに対するところの対策の拡大というようなことについては努力をしていかなければならないと考えております。
 予算におきましては、昨年度より一躍倍も予算を獲得いたしまして、騒音対策ということをやっておるわけでございます。しかし、これとてなかなか御満足を得られるようなところまでいかないわけでございまして、何とかこのことについて、たとえば、いま伊丹の話が出ましたが、これを根本的に片づけようとするならば、あの飛行場をやめて、ほかに飛行場を求めなければなりませんが、あの飛行場をやめるわけにはまいらないというのが、これはどこにどういうひもがついているか、目には見えませんけれども、日本経済というものを、われわれの生活を見えないところでささえておる一つの施設でございます。したがいまして、重ねて申し上げますが、騒音対策ということについては、微力でございますが、私はできるだけの努力をいたしまして、御要望にこたえていかなければならない、こう常日ごろ考えておるわけでございまして、また何かと御教示も賜わりたいと、このように考えておる次第でございます。
#77
○瀬谷英行君 いままでの御答弁では、この騒音についてはうまいきめ手がないということになるわけですね、結論的に言うと。しかし、これから、じゃ音のしない飛行機ができるかというと、それは将来できるかもしれぬけれども、いまのところ当分は望みがないということになるわけですね。望みがないだけじゃなくて、いままでよりも速い飛行機ができるわけでしょう、音速機といったような、超音速機といったようなですね。そうすると、衝撃波といったようなことも新たに考えなければならぬということになるのでありますが、アメリカでは、衝撃波の心配のために、音速機の空港は内陸にはつくらないという話を聞いておるのでありますけれども、外国の空港は、そういう点は空港設置について騒音に対する、あるいは衝撃波等に対する配慮というものがなされているのかどうか、参考までにお伺いしたいと思うんです。
#78
○政府委員(手塚良成君) 音速機によりますところの衝撃波の問題につきましては、アメリカ等を中心にいたしまして、いろいろ研究がなされております。ただ、今日まで、この音速機、特にアメリカのSSTにつきましては、われわれの得ておりますデータ、その他によりますと、騒音そのものについては離発着時に現状のDC8クラス以上には大きくならない、またならないような設計のもとに製造を進めさせると、こういうアメリカ政府当局の態度でございますので、われわれは、現在、それを信用しておるわけです。
 で、衝撃波の問題は、これは御承知のとおり、音速を突破いたしますときに出る問題でございます。したがって、離発着時に直ちにそういうものが起きるということではございません。で、成田空港の四千メートルの滑走路を使用して、離発着並びにスタートをいたしました場合に、音速を突破いたします時点、場所というものは、一応、通常の飛行形態で飛び上がりましたときには、これは海上に出る。つまり、おおむね一万八千メートル以上の高度に上がりまして初めて音速を突破するスピードを出すことになるのが通常の航行方法でございまして、そういう意味で、一万八千メートルの高度をとりますまでには海に出る、かようなことになりますので、かりにその海に出たときに衝撃波の問題があるといたしましても、わが国においてはこれは海上の問題でございますので支障はなかろう、かように考えるわけでございます。
 外国の場合におきまして、こういった問題のいろいろいわれておりますことで、いま先生お尋ねの飛行場の問題では、超音速機対策としては、そういう衝撃波による心配のためにどうするというようなことは、ただいままでのところ格別なされておるということは聞いておりません。先般来私も外地に参りました際に、そういった問題についていろいろ聞き合わせをいたしましたけれども、大体現在の飛行場でそのまま使う、滑走路が足りないとか、あるいは長さを延ばす、あるいは飛行場を海上に埋め立てて延長する、拡大するというようなことをいっておる向きはございますけれども、こういった民間超音速機のために、その衝撃波のために特にどうするというようなことを、ただいまは、申しておるようなことは聞いておりません。
 なおまた、こういった飛行機につきましては、いろいろ航行上の問題で規制を加えることが可能だと思います。何がしかそういう支障が考えられるような場合には、運航方法等を政府の立場におきまして規制をする、こういうことによりまして、そういう被害をなくしていくということを考えております。
#79
○瀬谷英行君 その衝撃波の心配は海上に出てからのことだから、心配ないということでありますが、これは太平洋を渡ってアメリカに行くという場合はそういうことになると思うのです。それ以外に、音速機がこの周辺を飛ぶというようなことは、それじゃ考えないでもよろしいのかどうか、この点を伺いたいのです。
#80
○政府委員(手塚良成君) こういったスピードの速い飛行機につきましては、やはり巡航の速度が音速で出るような状態で飛行いたしませんと、経済的に非常に不経済でございます。したがいまして、飛び立ってすぐ着陸するというような形態のところでは、こういった音速機は不適格であろうと思います。したがって、このアメリカのSSTというよりは、さらに小型でまあ中距離も兼ねたような飛行機として英仏共同開発のコンコードというのがございますけれども、これとても国内で使う、少なくともわが国の国内で使うということは考えられません。したがいまして、大体海外向きに使うことになりますので、ただいま申し上げたような事態になると考えております。
#81
○瀬谷英行君 衝撃波の問題については、ちょっと私も聞いたことがないから、これは見当がつかないのです。まあ話だけになってしまうわけでありますが、しかし、いままでの話だと、この騒音について周辺の、特にこの空港周辺の騒音対策としては、何とももう手がつかないということになってしまいそうであります。なるほど、学校等は防音教室ということも考えられますけれども、さらに個人のうちはどうかということになりますと、個人のうちがそうその要塞のような設備を一々施すわけにはいかないだろうという気がいたしますし、やかましいのがいやなら、どこかへ引っ越しをしてくれというようなことになってしまうような気がするのです。実際問題として、この空港の滑走路を延長した線上にある芝山町とか横芝町とか下総町あるいは成田市、この地域の人たちにとってテレビの障害といったようなことは防止できないのかどうか、これはやむを得ないというふうにがまんしてもらう以外に方法はないのかどうか、これはいまから考えておかなきゃならぬことなんでありますが、その場合の補償ということも政府としてあわせて考慮するのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#82
○政府委員(手塚良成君) 飛行機によりますテレビの障害の問題でございますが、これは現在すでに伊丹あるいは羽田、特に伊丹の飛行場の周辺では非常に問題として大きく取り上げられております。先ほど大臣から御説明ございましたとおりで、これを徹底的に現在障害をなくするということについては研究をいたしておりますけれども、今日現在ではまだそれを完全になくするということは可能になっておりません。したがって、大事なときにテレビが中断されると、特に音が聞こえない、画面がばらつくというような事態はわれわれのところにも非常な苦情として持ち込まれております。これに対しまして私どものほうでは、ききに軍用飛行場の周辺である一定範囲につきましてテレビの聴視料の減免をいたしました。民間飛行場の周辺ではこれが対策として非常におくれておりまして、なかなか諸般の情勢で予算その他思うように運用ができなかったわけでございますが、昨年私どものほうで公害防止協会というものを公益法人としてつくりまして、大臣その他の御尽力によりましてNHK等と話し合いをし、それから航空会社の自主的な負担ということを織りまぜまして、聴視料の半額を減免するという対策をとったわけでございます。したがいまして、これは新空港におきましても当然そういうことをとるということは考えております。ただ、現在伊丹におきましては、その減免範囲が非常に狭いというようなことが問題になっておるわけです。非常に幼稚な対策でございまして、基本的には何とかしなければいけませんが、そういう範囲をせめて拡大していくということが当面与えられております課題でございまして、そういう面で目下鋭意勉強努力中ということでございます。新空港におきましてはSST等の新しい飛行機も飛ぶことでございますので、そういった面におきますテレビ等の影響はまたどうなるかという問題もあるかと思います。先ほど申しておりますように、騒音でもいまのジェットと変わりないと考えますので、これがテレビへの影響等もたいして変わりはないとは思います。基本的には、やはりこういうものをなくするような方法がとれないかということを技術的な面でいま鋭意検討しておるという現状でございます。
#83
○瀬谷英行君 いままでお聞きした中ではっきりしてきたことは、道路、交通の面でいうと、道路のほうも約七十キロ、一時間以上を要する、しかもその中間は高速六号、七号、京葉道路といったような飛行場専用の道路ではない道路を使用して七十キロである。鉄道の場合は、京成電鉄か総武線かあるいは成田線を使用する以外に新幹線計画といったような新たな専用の鉄道の計画はないということ、したがってこれもどのルートを通ってみても一時間以上はどうしても要する。それから騒音対策については、場所が場所だけに相当問題になるのではないかと思われたんでありますが、これもまたきめ手なしということになるわけであります。私はなるべくこの問題外回りのほうから順繰りにこの空港の問題に入っていくつもりでいたんでありますが、外回りの話いずれもきわめて満足し得ないようなことばかりであります。しかし時間の都合もございますので、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。
#84
○国務大臣(原田憲君) 瀬谷さんに何も議論をするために申し上げるのではありませんけれども、成田に対する鉄道の問題で、きのうあとで江藤さんから在来線のことを落としたということでまたつけ加えたのでありますが、私が答弁いたしておりますのは、供用開始のときに新しい新幹線、常識でいいますと、東海道を走っているようなものは、とても間に合わない、そこでまず道路をつくらなければいかぬということを申し上げてきたわけでございます。この新幹線を利用したところの住宅、新しい町、それから都会の中心を結ぶところの町づくり、それに対する交通機関というものは検討をいたしておるところでございまして、これがいわゆる成田方面まで延びて行くということまで決して否定をいたしておるのではございません。そういう意味では、私は、これから高速鉄道によるところの住宅と都心を結ぶ鉄道というものは必要であろうという考えを持っております。
 ただもう一つは、問題は、あまり具体的でないものを具体的に申しますと、ただ土地の値上がりばかりがもたらされるということがございますから、非常に答えが十分でないというために、瀬谷さんにあれだめなんだというふろにとられてもちょっとと思いましたので、そういう方面のことは考えているということだけはつけ加えさせていただきたいと思います。
#85
○加瀬完君 確認をひとつ。局長に御確認をいただきたいのですが、新空港の場合でもテレビ、ラジオ等の視聴覚障害は当然起こる、そういうことが御確認いただきますれば、軍用飛行場の障害というものや、現在の民間空港の障害というものよりも、新空港のほうが――運輸省なり公団なりの計画どおりとすれば、大体入ってくる線、出る線は一定しているわけですから、二分間、三分間に一機離着陸ということになりますと、ラッシュは別としても、朝の六時から夜の十一時ごろまで飛行機が離着陸をする、そうすると、七時ごろから、あるいは八時から九時ごろまでは、一時間の間に離着陸の機数というのが相当多い。そうすると、テレビ、ラジオの放送の時間帯というものの間はほとんど障害が起きて、その飛行機の進入面の障害というものは、いまの軍用飛行場の障害どころの比ではないという点は、現状においては残念ながらそう確認せざるを得ないと了承してよろしゅうございますか。
#86
○政府委員(手塚良成君) 軍用飛行場との比較におきましては、軍用飛行場の使用のされ方、あるいは飛び方等々の関係がございまして、いま直ちにそれとの比較がどうということは、私のほうではよく確認をいたしておりませんのでわかりませんが、伊丹の例で申しますと、この視聴の難易の度合いというのは、日により気象状態によりまして非常に違っております。実は騒音防止法を策定いたしますときにも、関係の学識経験者の方々が、それこそいまここで御議論になっておりましたように、現地に調査においでになりましたが、たまたま行きました日が非常に晴天の日でもございましたが、全然テレビに影響がなかった。これはありました場所なり、あるいはその地形なりというものとの関連が非常に深いかと思いますが、そういういまの状態のときもございましたので、いまおっしゃいましたような状態で、引っきりなしに毎日毎日ほとんど聞くことができないという状態になるかどうか、障害が皆無ということは、私は申し上げられないわけであります。その程度につきましては、実際よく調査をしてみないとわからないのではないかと思います。
#87
○加瀬完君 伊丹の場合は、地元の、いま大臣もおりますけれども、進入経路が、風向きによってUターンをして出るときと、カーブをしたまま出るときと、二色ありますね。だから風向きによっては全然飛行機が上に来ない。騒音地域であっても風向きによっては騒音地域でないところが伊丹の場合は生ずるわけです。ところがね、予想された成田空港というのは、入ってくるところ、出るところ、経路は一方しかないですからね。それで横風予防というものもできておらないし、大体まあ風向きの若干の相違があっても、南東のほうから入って、それから北西のほうへ抜けるのと、あるいは北西のほうへ入ってきて、南東へ抜けるのと一本しかないですから、経路は同じですね、上がってもおりても。だから伊丹と比較して、伊丹がだいじょうぶだからこちらもだいじょうぶだということにはならない。そういうことです。いずれにしても、それは大きな問題ではありませんが、テレビやラジオの障害というものを除くわけには、現状においてはちょっと対策がないと、それは確認してもいいですね。
#88
○政府委員(手塚良成君) 伊丹の例の場合で、いま私が御説明申し上げましたのは、経路が違ったために、その場所が、飛行しなくなったということから障害がないというようなことではないんでございまして、同じUターンをするならするという場所、それからまっすぐ飛ぶという場合に、その飛ぶ直下の場所、そういうところで、まあ事例を申し上げたわけでございます。私どもも、そういったところを毎日々々見ておるわけではございませんので、どういうかげんでそういうことになるのかということ、これ自体、またひとつ現在調査をいたしておりますが、まあ、そういう事態がございますということを申し上げた次第でございます。
#89
○瀬谷英行君 時間の関係で、用排水計画等について質問する予定でしたが、これはやめておきまして、次回に回したいと思います。
 それから、再々お願いいたしました現地視察の件ですが、この現地は、成田の現地を視察をする問題も一つ。それから今度騒音の問題があるでしょう。この騒音の問題は、いまのお話だとテレビに影響なかったこともあるそうです。しかし、私、実際に狭山とか飯能とかいうところで、横田基地、立川基地からの飛行機の影響、この騒音あるいはテレビの影響といったようなこと、実際に聞いておりますので、こういう問題については、水かけ論ではなくして、実際にわれわれも経験してみる必要があろうかと思うのであります。その意味で、それらの点もあわせて調査の対象に含めていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、大臣の先ほどの答弁でありますが、まあ将来計画として新幹線様式のお話もありましたけれども、これはちょっと、絵にかいたもちという話がありますけれども、絵にかこうとしたもちであって、はなはだ先の長いことなんでありますので、いずれにしても、交通網の点では全く不便であるということだけは、これはもう指摘せざるを得ないと、こう思います。したがって、将来の交通計画については、絵にかきかけたもちじゃなくして、せめて絵にかいたもちぐらいに、具体化を早急にされんことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
    ―――――――――――――
#90
○委員長(岡本悟君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、日本航空株式会社の役職員を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#92
○委員長(岡本悟君) これより市川委員の質疑を行ないます。
#93
○市川房枝君 新国際空港ができ上がり、内外の飛行機がここを使用するようになりますのには、まだ少し時がかかりますが、そのときのために、現在問題となっております飛行機の乗員の問題について少し伺いたいと思います。運輸省は、船員の問題についてはいろいろのことを扱っておいでになりますが、航空機の乗員についてはどの程度行政的に関与しておいでになりますか、まずお伺いいたします。
#94
○政府委員(手塚良成君) まず機構的に、航空局には乗員課という課がございます。
  〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕
ここでまず乗員の養成計画、さらにその下に航空大学校というものが附属機関としてございます、この大学校における具体的な養成の監督、こういう面をやっております。そのほか航空会社の乗員関係一般についての監督という立場でもって実施をいたしております。さらに、乗員については試験といろ問題がございます。つまり、飛行機に乗りますのに免状が要るわけでございます。その新しい免状を出す場合、それから飛行機の機種によって限定変更と申しますか、機種ごとに新しい免状を加える、その限定変更をやるということ、こういった問題について、乗員課を主体にいたしまして、運輸省が監督実施をいたしております。
#95
○市川房枝君 いまお話の乗員はパイロット、そういう資格を要する人たち、乗員のことですね。乗員としてスチュワーデスというのがございますが、そういうのは直接運輸省としては関係はない、航空会社にまかせると、こういうことでございますか。
#96
○政府委員(手塚良成君) これは御指摘のとおり、資格その他については、航空法上特定したものはございません。その意味におきまして、ただいま御説明しましたようなパイロット関係のような問題は起こりません。しかし、一般的な監督というような意味におきまして、やはり総合、総括的監督の立場にある、かように申し上げたらよろしいかと思います。
#97
○市川房枝君 こまかい労働条件といいますか、というようなものについては、運輸省は全然タッチしておいでにならないわけですか。
#98
○政府委員(手塚良成君) こまかい問題につきましては、特に労働協約的な問題につきましては、これは労使間の関係でございますので、スチュワーデス以外の方々の問題につきましても同様でございますけれども、私どもは直接に関与する立場をとっておりません。
#99
○市川房枝君 スチュワーデスは特別の資格は要らないかもしれませんけれども、しかし、航空機の乗員としてはやっぱりぜひ必要な職務であると思うのですが、そういう人員を十分に確保するということは、将来の航空機の事業としては必要なことだと思いますが、そういう人員の充足の問題については、別に御心配なことはございませんでしょうか。
#100
○政府委員(手塚良成君) 私どもの聞き及びますところでは、客室乗務員は会社自体が採用いたしまして、会社自体で訓練をして一定期間後に飛行機に搭乗させておる、そういう意味の乗務員の希望者というのは非常に多うございます。航空会社、特に日本航空におきまして、そういった養成関係を含めて、これで非常に乗員の数として困っておるというようなことは、これはただいまのところ聞いておりません。
#101
○市川房枝君 あとでまた伺うことにしまして、具体的な乗員の問題について日本航空の方に伺いたいと思います。
 日本航空のいま女子職員ですね、地上勤務、それから機上勤務、その数あるいはその平均の勤務年限あるいは給料の平均といったものをちょっと伺いたいのです。
#102
○政府委員(手塚良成君) 今日現在、私どもで聞いておりますのは、女子職員総員約一万一千名、そのうち乗務職をしておりますのが七百二十六名ということで聞いております。これらの方々の平均勤務年限、スチュワーデスの方で三・五年、地上職の方で四・三年、女子の平均で四・二年、こういうふうになっております。給料につきましては、スチュワーデスの平均の給料は基準賃金、基準外賃金、乗務手当を含めて合計七万四千六百九十一円、地上職の女子職員の平均給料は、基準賃金と基準外賃金の合計で四万五千四百三十八円、かようになっております。
#103
○市川房枝君 これはまあ運輸省航空局に、あるいは日本航空でもいいんですけれども、機上の勤務者には結婚したらやめる、結婚しなくても三十歳になったらやめなければならぬという、いわゆる定年制というものがあるようですが、その理由はどういうふうなものでしょうか。
#104
○参考人(斎藤進君) 確かに、結婚いたしますと機上からおりて地上に勤務させることにいたしております。ですから、それで結婚したら会社をやめるというわけではございません。ただ、日本の状態でまあ夫婦ともにいて、一人が外地に飛んで行ってそれで約十日ぐらい留守にするということは、非常にやはりわれわれとしても忍びがたい状態なんでございまして、それで結婚するとおりていただくということにいたしております。
 それから三十歳の問題は、やはり機上の勤務というのは女の方には三十歳ぐらいが適当ではないかということで、三十歳というこれはまあ肉体的にも、いろいろな意味において三十歳が適当とわれわれは考えておりますので、三十歳ということでやっておりますけれども、これも必ず三十歳になったからといってやめさせるということではございません。それでこれは三十歳になっておりてもそのまま使っております。ただ、やめる方が――スチュワーデスというのはたいへん美しい人が多いもんですから、やめる方は非常に多いようです。
#105
○市川房枝君 まあ機上勤務をしている人が結婚すれば、どうしても子供が生まれれば欠勤する場合も予想されますので、結婚したらやめるということの理由が一応わからなくもないのですが、しかしこの長い国際線の勤務なんかは、さっきの話にありますけれども、国内線でその日に帰るとかあるいは二日ぐらいというふうな場合でもいけないんですね。それはどういうことですか。
#106
○参考人(斎藤進君) これはいま御指摘のとおりの国内線と国際線とうちにございますけれども、女の方はどうしてもやはり国際線に乗りたいという希望が非常に強いんでございます。そのために、われわれこの国内線にだけ張りつけるということをしますと、これはやはり労働条件上非常に問題がございますので、非常に公平な立場から国際、国内線ともに乗せる。ただ問題といたしましては、これは御承知のとおり語学の問題がございますので、語学の問題を現在やってまだ達しない連中は、国内線に張りつけておるのもございます。しかし勉強してこの試験に通れば、これは国際線に出しておりますので、状況といたしましては、国内線に張りつけるということは、女子のスチェワーデスにとっては耐えがたいことだとわれわれは見ております。
#107
○市川房枝君 まあ耐えがいことだといいますか、やめなければならぬというよりも、それで継続できれば本人にとってはいいんじゃないかとも思われるんですけれども、だんだん一般の働く婦人を見ますると、やはり共かせぎが多くなってきている。これは一つには、物価が高くなって生活の水準が少し高くなってぐるというようなことも共かせぎの傾向がだんだんふえてきておるわけなんですが、そういうような意味からも、やはり結婚しても働きたいといろ事情の人、その希望する人が相当あるように聞くんですが、ただまあ機上でなくて地上へ配置転換をする、そうすればやめなくてもいい、こういうととはあるかもしれませんが、そうするとずいぶん給料が安くなりますね。機上と地上と俸給をさっき伺ったんですが、約半額近くになる。そういう点もありましょうし、これは少し前、七、八年前といいますか、日本航空がこういうスチェワーデスを募集なさる初期のころには、そういう条件というものはある程度一般に受け入れられたのかもしれませんけれども、だんだんと時代が変わってきている現在、やはりそういう条件で前と同じように日本航空が御指導しておいでになるということはどうかという感じがするのですが、いかがですか。
#108
○参考人(斎藤進君) いまの質問、二つに分かれておると思います。御質問の一つの三十歳の問題については、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これについては、われわれもやはり三十歳で肉体的にもそれから能力的にもいい連中は残しております。それで現在でも使用してそのまま機上で勤務させておる者もございます。御指摘のとおり、若干やはり機上のスチュワーデスについては年齢を延ばしたらいいんじゃないかという考えをいま持って、これにわれわれ取り組んでおりますけれども、現在でも、教官をやっている連中では三十歳以上の連中もおりますんで、その点は御了解願いたいと思います。
 それから結婚の問題でございますけれども、これはあくまでもやはり結婚の相手の男の問題で、どうもやはり日本の男子は別れ別れになるということは非常に何といいますか、ことにきれいな奥さんを持つと、そういうことになると思いますので、そういう配慮から、できるだけ、やはりまあ結婚したならば地上へ、先ほど申し上げたとおり、四万何がしで、うちの会社は、おそらく日本の会社で一、二を争う、女子に対しては高給のまあ会社と、われわれは誇りにしておるという、何かそういうことなので、女の方の志望者はうちは圧倒的に多うございます。週刊誌なんかごらんになってもおわかりのように、そういうことなんで、必ずしも地上におりても、そう困るということはないのではないか、そう考えております。
#109
○市川房枝君 私、いま結婚の問題を先に伺って、三十歳の問題はあとで伺おうと、分けて考えているのですが、結婚の問題を会社のほうで、そういうふうに男の方の立場をそこにお考えになることはいいんですが、私はむしろ会社でなくて、本人の立場、あるいは結婚の相手の立場で、結婚して事情があってやめるとかあるいはやめない、継続するということは、本人たちの希望でむしろきめるべきであって、会社がそういう本人の身分的な事情でもって、職を継続させないということは、これはかなり問題があって、この問題は御記憶といいましょうか、あなたのほうではもう十分御存じでしょうけれども、四十一年の十二月に結婚解雇は無効という、東京地裁の判決が一つ出ておりますが、やはり婦人の結婚する一つの権利と申しますか、結婚すればやはり職をやめなくちゃならない、それでは結婚できないのだというところに追い込まれることにもなるようなんですね。この問題はひとつそこに問題があると思います。三十歳の問題は、これは現在でも審査をしてさらに年限を二年までですか、延長をしておるのだ、こういうお話なんですが、この三十歳という、結婚しない者でも、やはり三十歳になったらやめなくちゃならぬという三十歳定年をおきめになった、三十歳という標準は一体どういうところから出ておるのでしょうか。
#110
○参考人(斎藤進君) いま申し上げたように、まあ三十歳になったからやめるということよりも、機上勤務をおりていただくということで、決して会社をやめていただくということを申し上げたわけではございません。この点、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
 それで先ほどちょっと触れましたように、かりにおりましても、いま現在、東京支店あたりのカウンターにいて働いている連中もおりますし、それから結婚しても、カウンターで働いている、もしくは秘書室で働いているおのおのその特技を生かして、非常にわれわれは成果をあげておると考えております。一、二の連中は、あるいはそういうことが不服だという方もおられると思いますけれども、大多数、私たち過去の経験からいたしましても、大体、この問題については、二、三の人を除いては――二、三、また二、三あるのではないかといえば、これは問題になると思いますけれども、まああえて大多数と申し上げますけれども、この結婚の問題、三十の問題、これあたりはある程度御了解願っているものと私は考えておる。ただ、三十歳の問題については、先ほども申し上げたように、こういう状況にありますので、まあある程度延ばしてはどうかという考えを会社では持っておるということを、もう一度、ここで申し上げたいと思います。
#111
○市川房枝君 まあ三十歳くらいになると健康の問題もということをさっきちょっとおっしゃったんですが、スチュワーデスという仕事は、相当神経を使うといいますか、ということを私想像できるのですが、医学的にどういうふうな状態かということの調査をなすったものがありましょうか。あるいは現在従事している人たちは健康なんだけれども、少しからだの悪い人はもうやめていってしまうということになりますと、ちょっと状態がわからないのですが、したがって、ほんとうにそういう状態を調査しようと思えば追跡調査をする、やめた人の健康状態はどうか、そういう追跡調査、あるいは現在働いている人の健康といいますか、機上勤務についての特別な健康状態というものを御調査になったことがありましょうか。
#112
○参考人(斎藤進君) 非常にいい御質問なんでお答え申し上げますけれども、安全を第一にわれわれは考えておりますので、やはり健康管理というものは非常に大切なことなんでございます。それで幸いに、うちにはコックピット――これは操縦に従事する者でございますけれども、その連中の健康を管理する部屋をつくりまして、医者を置きまして、専門にこの健康管理をいたしております。と同時に、スチュワーデスには定期的に健康管理をいたしまして、それでその結果はわれわれのほうにとってございます。ですから、機上に乗らないときと乗ったときとの関係、これは非常に医学的にむずかしいのですけれども、これからやはりわれわれの会社も非常にいろいろな問題、まあジャンボジェットの導入とかなんとかございますので、そういう点をもう十分に考慮いたしまして、それで研究処置をいたしておりますので、その点は……。
#113
○市川房枝君 その追跡調査はどうなんですか。ございますか。やめた人を、ずっとやめてから以後の健康がどうだということ。
#114
○参考人(斎藤進君) 残念ながらそういうことはやっておりません。
#115
○市川房枝君 御説明によると、別に結婚したからやめなくちゃならぬとかいう規定じゃない、いや三十歳になったら定年でやめるというのじゃないのだ、それは地上勤務あるいは特別な審査によってさらに継続もされているのだ、こういう御説明をいただいたんですが、私ども外側から伺っている者としては、あるいは働いている人から聞いてみても、そういうことならば表現のしかたと言いましょうか、やっぱり三十歳定年というか、結婚したらやめるというふうなことをあまりはっきり外にお打ち出しになるというと、やっぱりそういう一つの制限があるのだ、いや制限はあるのだけれども、これで機上のは大体そのくらいでやめるのだけれども、そのあと配置転換をして、地上で継続して働いてもらえるのだということを徹底をさせるというか、あるいは採用のときに――私は募集の際の広告なんかを見たことが何回かあるのですが、そういうときに受ける印象も、やっぱり制限のほうが早くこちらへ受け取られて、そうしてあとの問題、継続のほうがどうもはっきりしない印象を受けているのです。定年制の三十歳というのが、ことにこの間、これはほんとうのほやほやなんです、この七月一日に三十歳の定年制で解雇になりました者に対する裁判所の判決が、無効の判決があったわけでございまして、まあ日航の場合には、そういう訴訟になったことはいままで一度もないみたいに思えているからいいのですけれども、はたしてそういう問題が将来起こらないかどうか、そういう問題が私はやっぱりあるのではないかしら。それで現在働いておりますスチュワーデスの人にある程度私は聞いてみたのですが、やっぱり継続して働きたいといいましょうか、わりあいにそういう点での不満といいますか、希望が相当あるようでございます。
 それで、さっき三十年に対しては少し延ばそうというふうに考えているとおっしゃったのですが、そういう延ばすとか、こういう規定は、組合との団体協約ですか。
#116
○参考人(斎藤進君) これは、もちろん協約の締結によって行なわれております。ですから、いま私が申し上げたことも、すべて協定に基づいて申し上げておりますんで、その点お含みおき願いたいのと、もう一つ、われわれスチュワーデスをいまちょうどとる時期で、全国募集しましたところが、六千五百人ばかり集まりました。これが集まったからわれわれいいと言っているのでは決してございませんけれども、この連中を試験いたしまして、二百人内外の人数にしぼるのでございますけれども、しぼって、それで教育するときには、もうこの規定は全部徹底さしているのです。ですから、まあ知らない連中にこれを別に知らせる必要はなくて、社員となった連中に徹底をすればこの問題は足りるのではないかと考えております。
#117
○市川房枝君 まあ直接にはそうでしょうね。そうだけれども、やはり婦人全体として、日本航空にはそういうふうな規定があるというふうに、もし正確に理解をきせないのでは、やはり私日本航空のためにもならぬと思うのですがね。だから、やはり一般にも日本航空のそういう女子の職員に対する雇用の内容というものをはっきり知らせていただくほうがいいと思います。まあ私なんかはいまお話を聞いて一応の了解はしたのですけれども、まだ完全に私は納得をしていないのですから、適当な機会にまたお伺いすることがあるかと思いますが、ひとつその点をもう少し研究をしていただきたいと思います。
#118
○参考人(斎藤進君) 御指摘のPR、まあいわゆる新聞に出しますときには、いろいろ私たちも気も使って出しておりますのですけれども、今後御指摘のように、まあこれは協約の内容にもわたりますけれども、その内容で差しつかえないものは、一応やはり知らせて募集することも一つの方法だと思いますので、これは研究さしていただきます。
#119
○市川房枝君 じゃよろしゅうございます。
#120
○理事(金丸冨夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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