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#1
第061回国会 商工委員会 第6号
昭和四十四年三月二十日(木曜日)
  午前十時十九分開会
    ―――――――――――――
 委員の異動
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     中村 英男君     阿具根 登君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                土屋 義彦君
                大矢  正君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                内田 芳郎君
                大谷藤之助君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                小柳  勇君
                塩出 啓典君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      山田 精一君
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省企業
       局長       大慈彌嘉久君
       通商産業省重工
       業局長      吉光  久君
       通商産業省化学
       工業局長     後藤 正記君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関す
 る法律を廃止する法律案(第六十回国会内閣提
 出、第六十一回国会衆議院送付)
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (企業合併問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八木一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 三月十九日、中村英男君が委員を辞任され、その補欠として阿具根登君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(八木一郎君) 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。
 まず、通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、続いて政府委員から補足説明を聴取いたします。大平通産大臣。
#4
○国務大臣(大平正芳君) 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
 本法は、昭和三十二年六月に、当時年々増大する原料ゴムの需要に対し、低廉かつ安定的な供給を確保するため、合成ゴムの国産化を大規模設備により急速に実現する必要がありましたが、民間のみの出資による事業をもってしては、これが困難な事情にありましたので、合成ゴムの製造事業に対し政府出資を行なうとともに、設備に要する資金についても政府がその確保につとめることを主旨として制定された法律であります。なお、出資につきましては、当初は、とりあえず日本開発銀行からの出資によることとし、翌昭和三十三年の法律改正によりまして政府の直接出資に切り換かえたものであります。
 同法の対象となる合成ゴムの製造事業を行なう会社として、昭和三十二年十二月に日本合成ゴム株式会社が設立されましたが、政府といたしましては、同法の趣旨に従い、同社に対し十億円の出資を行なったほか、必要な設備資金の開銀融資をあっせんするなどにより、その育成につとめてまいりました。
 これら政府の措置が同社の適切な事業運営と相まって、昭和三十五月四月に操業を開始して以来、同社は順調な発展を遂げ、わが国の合成ゴム製造における中核的会社に成長し、その経理的基礎も確立したものと考えられます。このような同社を中心としたわが国合成ゴム製造の発展により、今日では、生産能力において、米国に次いで世界第二位となりました。
 したがいまして、合成ゴムの国産化体制の確立という目的は十分達成されるに至ったと考えられるのであります。
 同法第十一条には、政府は、会社の経理的基礎が確立したと認めるときは、有価証券市場の状況を考慮し、なるべくすみやかに、その所有する会社の株式を処分するものとすると規定しておりますが、以上の事情にかんがみ、政府といたしましては、昨年七月に政府が所有する同社の株式の処分を全部終了いたしました。
 以上申し上げました事情でございますので、政府といたしましては、すみやかに同社を純粋な民間企業に移行させ、その自主的事業運営により一そうの発展を期するのが適当であると考えまして、このたび同法を廃止することといたしたものであります。
 以上この法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げました。
 何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○政府委員(後藤正記君) 化学工業局長の後藤でございます。お許しを得まして若干補足説明をさしていただきます。
 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律は、昭和三十二年六月に制定されまして、翌三十三年六月の改正により現行法となったわけでありますが、日本合成ゴム株式会社は、この法律に基づきまして、昭和三十二年十二月十日に説立されたのでございます。
 会社は、合成ゴムの消費者である多数のゴム工業者や主要原料供給者等、それぞれ合成ゴムの製造事業の発展の上で重要な役割りを持つ関連事業者を広範囲に網羅いたしました不偏中立的な株主構成がとられております。
 会社の資本金は、三十三年十一月に二十五億円となりまして、うち十億円が日本開発銀行から出資されたのでございますが、翌三十四年二月にこの十億円は政府出資に切りかえられました。
 会社は四日市地区に汎用合成ゴムでございますスチレン・ブタジエンゴムの製造設備、年産能力四万五千トンでございますが、これを昭和三十五年四月に完成いたしまして、同時に生産販売を開始いたしました。昭和三十五年の秋ごろは、世界的なゴム市況の悪化によりまして、輸入ゴムの価格が値下がりいたしまして、会社の運営も相当困難な状況に立ち至りまして、会社の同事業年度の収支は大幅に赤字となりました。その後の情勢は好転いたしまして、タイヤ業界をはじめとするゴム工業界の需要が順調に伸びて、会社の経理は次第に改善されまして、三十八年度上期には累績赤字を解消して、同年度の下期には一割配当を行なうに至りました。以来今日までこれを継続いたしております。
 会社は、増大するゴム需要に対処いたしまして、三十六年度以降逐次設備の増強をはかっており、昨年三月には千葉県五井、姉崎地区にブタジエン工場を新設いたしまして、さらに今後茨城県鹿島地区に計画されておりますコンビナートに加わり、スチレン・ブタジエンゴム等の生産を行なうことを計画しております。
 会社を中心とするわが国合成ゴム工業の急速な発展によりまして、わが国の合成ゴム生産能力はすでに四十二年末で年産三十六分トンで、米国の二百五十二万トンに次いで世界第二位となりました。その国産化の体制が確立いたしましたので、法律の目的は達成されたと考えるに至りました。
 以上のような状況にかんがみまして、会社の政府所有株式の処分につきましては、この法律第十一条の規定に従いまして、一割配当が継続され会社の経理的基礎が確立したと認められました昭和三十九年ごろからその実施につきましての検討が行なわれてまいりましたが、有価証券市場の状況を考慮いたしまして、処分の環境の整った四十二年に至りまして、まずその一割を同年十一月一般競争入札によって払い下げたのでございます。この結果を参考にいたしまして残余の株式は随意契約の方法により処分せしめることといたしまして、昨年七月にこれを完了いたしました。随意契約といたしました理由は、会社が今後ともわが国合成ゴム製造の中核会社として順調に発展し、関連産業を通じましてわが国経済の発展に寄与していくことが会社の設立の趣旨にも沿うものでありまして、このためには、会社の株式が特定の者に集中して、現在の不偏中立的な株主構成に著しい変化を来たさないように配慮する必要があったからであります。
 随意契約による処分の実施にあたりまして、政府は、従来の株主に対してその相当部分を処分いたしますとともに、新たに会社と事業活動上の関係が生じました原料供給者、銀行及び今日まで会社と一体となってその発展に協力してまいりました会社従業員などにも可能な限り処分いたしました。
 会社は、今後鹿島計画等の遂行にあたり、多額の資金調達が必要となります。会社としてはこれらの計画を円滑に遂行するためには、できるだけすみやかに増資を行なうことが必要でございまして、このため増資に先立つ株式の上場等の諸般の手続が必要でありまして、これらの手続を迅速、機動的に行なわしめるためには、純粋な民間会社として、現在の法律による政府の種々の規制をすみやかに解消することが必要と考えられます。
 以上の理由によりまして、会社が今後の事業計画をその自主的経営判断によりまして円滑に推進できますよう、同法の廃止につきまして御審議をお願いする次第でございます。
 何とぞよろしくお願いいたします。
#6
○委員長(八木一郎君) 本案についての質疑は、これを後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(八木一郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は順次発言を願います。
#8
○小柳勇君 きょうは八幡と富士の鉄鋼会社の合併が正式に届け出がなされたようでありますから、この問題を再度質問いたします。
 さきの商工委員会でも質問をいたしておりますし、今回はその対応策が出て正式に認可申請がなされたのでありますから、おそらくもうあと審査に入りまして質問することもないかと存じますし、結論が出てでは間に合いませんので、そういう意味で質問をいたしたいと思います。
 昨日、前からの事前審査による問題点、対応策というものが出されて、同時に、正式に届け出がなされたようでありますが、公取委員長にお聞きいたします。これからの届け出がなされたものの、取り扱いは、手続上どうなるか、事務的でもよろしゅうございますけれども、今後の取り扱いについてまずお聞きをいたします。
#9
○政府委員(山田精一君) 昨日当事者側から正式の届け出がございましたので、まず第一番目の手続といたしましては、これが形式的に具備いたしておるかどうか、書類に欠缺がないかどうかを形式的に調べまして、これを受理いたしますのが第一の手続でございます。受理を終わりまして、その内容について調査を進める。あとは法律の規定の定めるところによりまして、あるいは強制力を用いまして調査をいたしますとか、あるいは公聴会において一般の意見を聞きますとか、あるいは法律に定められました勧告とかあるいは審判というような手続を法律に従いまして厳正に行なってまいりたい、かように考えております。
#10
○小柳勇君 前にも質問したところでありますが、事前審査がなされて問題点が指摘されました。そして最終的には三点に問題点がしぼられて、その対応策なるものが審査の対象であるということにしぼられたようでありますが、昨日出されましたその合併承認に対する審査は、その三点にしぼらないで全般的に初めからなされるものであるかどうかお聞きいたします。
#11
○政府委員(山田精一君) むろん全般的にいたします。ただし、内相談の段階において提供されました資料の中で役に立ちますものは、これは当然採用いたすわけでございます。
#12
○小柳勇君 けさの新聞でも日レの合併が同時に報道されたような情勢でありますが、昨年の紙の合併から鉄の合併になって今度また紡績の合併、あとおそらくまた自動車産業などの合併と、メジロ押しに大企業の合併が公取に申請をなされてまいるものとわれわれはいま考えるわけです。この鉄鋼が、二つの大きな会社が合併を申請されて事前審査なるものがなされました。その間、新聞の論調もそうでありますし、世論もそうでありますし、私どもの感ずるところも、国際競争力に勝つということを大きなにしきの御旗にして、財界も、及び財界を基盤とする政界も、大企業は合併しなければならぬと、もう思い込んでしまって、そのことが日本の経済を発展させ、国際競争力に勝ち、民生安定であるというようなことで、強引に大企業合併を推進しておる。そこでその大企業の合併に伴う国民経済的な損失及びその他中小企業なり下請産業なり地域に与える悪い影響のあるものを食いとめるのが公正取引委員会である、独占禁止法であるし、その独占禁止法を守る公正取引委員会こそわが国民の側に立ってその国民的不利益を守ってくれるものだとわれわれは考えてきたし、現在もまたその考えは変わりませんが、ただ、その事前審査から昨日の新聞の論調、新聞に出ましたものから受ける感じ、及び私のいま考えておるものは、何といいましょうか、あらしが吹いてまいりまして大波が打ち寄せてまいる、それを何か海辺の一つの岩がささえている、いかんともしがたいという、そういう印象を受ける。その岩は独禁法を守らなければならぬ公正取引委員会というような印象を受けるわけです。まさに大波に打ちのめされ、さらわれそうにある姿を私はいま想像しておるが、大企業を合併することが国民的な利益である、国家的な利益であると強引に合併を推進しておる、そういうものにくみするのか。あるいは独禁法、これを正当に守るために公正取引委員会こそがほんとうにちゃんとしてもらわなければならぬのですが、もう衆議院でも相当論議されておるし、私どものほうでも相当論議されました。公正取引委員長は再三再四、ここで答弁をされておりますけれども、きょうの段階で、私はいまそういう独禁法が死ぬのではないか。公正取引委員会の存在価値というものは、この審査の様相によってはあるいは、あり方なり結論によっては死ぬのではないかと、そういうような危惧すら持つのでありますが、われわれの尊敬する公正取引委員長は、いずれの側に立って問題を処理しようとされるか、決意をまず聞いておきたいと思います。
#13
○政府委員(山田精一君) 大企業の合併というものの評価は、これはいろいろな角度からできることであり、また、いたさなければならないことであると思います。たとえば産業政策の見地、労働政策の見地、それから、ただいま御指摘になりました地域経済に及ぼす影響、いろいろな角度から検討さるべきものであると存じますが、私ども公正取引委員会といたしましては、どこまでも、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるかどうか、競争維持政策の見地において法律の第十五条を厳正にまた公正に適用いたしてまいりたい、そういう決意を持っておりますことを、はっきりと申し上げておきたいと存じます。
#14
○小柳勇君 あと紡績あるいは自動車も、大企業合併の申請を、もう紡績業がやってまいりましたし、自動車もやりましょうし、また、紙も再度合併の申請がなされてまいるのではないかと思うのですが、そういう場合に、いままで、今度鉄鋼でなされたように、事前審査なるものの方式を、これは一つの例として、あるいはもう最も具体的な例として、今後も事前審査方式をおとりになる考えですか。
#15
○政府委員(山田精一君) 仮定の問題で、そういうものが出てまいりますかどうでございますかわかりませんけれども、もし行政相談として相談がございますれば、ある程度はそれに答えることにいたしたいと存じます。
#16
○小柳勇君 仮定でございませんし、具体例はもうけさの新聞で報道しておりましたように、合併を両社は踏み切ったようでありますが、この合併についての審査の方式については、もう構想がおありでしょう。その事前審査について、鉄鋼と同じような方向でおやりになるお気持ちですか。
#17
○政府委員(山田精一君) まだ新聞で見ただけでございまして、当事者から何らの意思表示も受けておりません。何らかの意思表示がございました場合に考えてみたいと、かように考えております。
#18
○小柳勇君 この前も私はそういうものを感じましたけれども、まだ正式に出てきませんからとおっしゃいましても、国民はけさの新聞で、もう合併をきめたということを承知しておるわけです。で、これは当然公正取引委員会としては、言うならば、それが新聞へ出たのはけさでありましょうけれども、皆さんは専門家ですから、このことはうすうす御存じでありましょう。必要であるならば、この法律によりましても前もって積極的に調査することもできるし、また、しなければならぬ場面もあるでしょう。ここがけさもう新聞に出ております。正式にありましたらなどというような、委員長からそういう答弁を聞きたくないのですね。もうその当事者ですからね、委員長は。出すことは当然でしょう、合併を会社がきめたのですから。また、出さなければならぬでしょう、おたくのほうが黙っておるはずがないのですから。そういたしますと、もう正式の書類が出ようと出まいと、当然あなたの腹の中には、やり方については構想があらなければならぬと思うのですよ。それが正式に出ましたらまた考えてみましょうというような、何かこう役人的な答弁とでも申しましょうか、そういうものでなくて、私どもは独禁法を守る公正取引委員会の委員長として、それだけの権威を持っているとしていま質問しておるわけです。たとえばあなたのところの委員会の局長さんとかあるいは課長さんとか、そういう人ならば、委員長がおられますからということで容赦しますけれども、責任者ですからね。しかもこの時間をかけての、国民にかわっての国会の審議ですから、もう少し、ただこう表面的な国会の記録の言いのがれでなくて、委員長の決意なり見解なりをお聞きしたい。でないと、長時間をかけてやりましても、無意味ですからね。私の質問した意味がございませんから、ひとつ、ざっくばらんといいましょうか。委員長としての決意をお聞きしたいのです。もう一度見解をお聞きしておきたい。
#19
○政府委員(山田精一君) 現在新聞に報道せられただけでございますので、これを十分調べまして、確かにそういう動きがあるということでございますれば、法律に従って調査を十分いたしたいと、かように考えております。
#20
○小柳勇君 今度の鉄鋼の合併、今日までの審査の実態なり、昨年の再販売価格維持契約の規制強化の場面でも、公正取引委員会というのは、生産者のほうの側に立って問題を常に扱っておる。消費者側、国民的な利益を守るべき、いわゆる消費者の側に立ってものを見ておられるというような感じがしないわけなんです。公正取引委員会というのは、何か生産者のほうに知恵をつけて、国民的な消費者の利益よりも生産者の利益だけを考えておるのじゃないかという、そういう気がしてならぬのですが、委員長は、いままでも言いましたような私の気持ちをくんでもらって、委員長一体どちらの側に立って問題を扱おうとしていられるのかお伺いしたいと思います。
#21
○政府委員(山田精一君) 私どもは、独占禁止法第一条に掲げてございます目的に忠実に従って仕事をいたしてまいっておるつもりでございます。したがいまして、それが厳正に行なわれれば、すなわち一般消費者の利益も確保いたしまするとともに、国民経済の民主的な健全な発達が促進される、かように考えております。消費者の利益だけということだけではございませんが、ここに書いてございますように、「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」、この目的に忠実に従ってまいりたいと、かような気持ちでおります。
#22
○小柳勇君 その法律の論争をされるなら、この第一条で、独禁法の目的は「私的独占を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」と書いてあります。したがって、ほんとうにこの条文をまつ正面に常識から判断しますなら、日本で第一位と第二位の鉄鋼業が合併して、そしてたとえばレールなどはほんとうの一〇〇%独占ですから、これを法律をまっ正面に考えるなら、「私的独占を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、公正且つ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」と書いてありますから、もし、それをほんとうにこの目的を、あなたいま法律を読むとするなら、レールなどは、あとで具体的に質問しますけれども、これから新しい会社、別会社をつくって、これに競争させましょうというような対応策が出され、それをあなた方が事前審査で問題点を示唆して……。この条文どおりいくなら、そんなことはできないでしょう。何か法律を読んで私の質問をそらそうとされますけれども、第一条の目的を、それをいまさっきの第一問では、あなたは、部分的な対応策が出ましたけれども、全体を見ますとおっしゃるから、全体を見るならば、たくさんある鉄鋼業の中で第一位と第二位が合併して、世界で第一位、第二位の新日本製鉄会社ができるのですから、しかもその中でレールなどは一〇〇%独占ですから、それだけでも合併できぬでしょう。それをあなた方は理由づけさせて、そうしてちょっと事前の中で問題点を示唆して、対応策なるものを今後も考えるかもしれぬ。その対応策は新しい別会社ができないかもしれぬ。きょうの段階ではまだできておらぬのです。それを、きのうあなたのほうに、もう届け出が出ているでしょう。その届け出をこれから審査される。新聞によると五十日間、二十日間だけ審査期間を延長されたようですが、それを、私はそういう問題をいま質問しようとしているのに、そんな法律を読んで抽象的に、しかも責任者である委員長が抽象的にそういう答弁をされることは私は不満足です。したがって、もう一回それでは質問いたしますけれども、この第一条の目的をどういうふうに理解されますか。
#23
○政府委員(山田精一君) 第一条の目的は、これは突き詰めて申し上げますと、公正かつ自由な競争を促進するところにあると、かように私ども信じております。これに忠実に従ってまいる覚悟でございます。
#24
○小柳勇君 今度の合併で、私ども大きく問題にしておりますのは、もう国民的に明らかに独占になるような品物を生産する会社が、その対応策を教えられて、そうして別会社を――とにかく何とかその対応策だけ通ればいいというような合併審査の方式がとられようとしている。このことが、一つの大きな問題である。第二は、今後もこれは起こることでありましょうけれども、その対応策なるものが出たものですから、できるかできないかわからぬような対応策なるものが同時に出されてきて、五十日間の審査期間のうちにその結果が出るかもしれぬというようなことで届出がなされるということについて、一体これは法律家としてでも、もちろんわれわれの国会の論議もそうでしょうけれども、法律家として許せるでしょうか。まだこれは架空のものですね、レール会社は架空のものですね。そんなものがあたかもできたかのよりにして、対応策が前にちゃんとできておるのですから、その対応策にこういうものをつくりまりと、将来のものが主になって出てきている。そういうものが審査をもう受理されて、あとの審査の日程まで新聞で報道されておりますね。しかも今度は新聞によりますと、通産次官がきのう運輸次官にも会って、例の問題がこういうふうにして別会社をつくりますが、ひとつおたくのほうでも対策について考えておいてくれよという、通産省も先頭に立ってそういうような対応策のPRに、あるいは対応策の対応策を要請して回っているように受け取れる。それがすべて公正取引委員会がサンドイッチになって、公正取引委員会にプレスを、圧力をかけているような印象を受ける。したがって、そういうような届け出の方式もそうですけれども、事務的なものはそれはいろいろありましょうが、この独占禁止法という法律がほとんど形があるだけであって、実際はもうとにかく大企業が合併するのだ。政府がそれにくっついてしまって、そうして政府を動かしている。そうして公正取引委員会を取り巻いてしゃにむに押し流していっているようにしかとれない。したがって、抽象的に言ってもしようがありませんけれども、それでは具体的に、近代経済学者などが、あのグループを中心にして、問題がありますぞと指摘しました。これは法律によって許されておりますから、きめられておりますから、その法律によって近代経済学者グループが問題を提起して、独禁法に違反する事実があると述べておる。したがって、独禁法の四十六条の強制調査なり、あるいは四十九条の審判手続なりが、常識的に言うならばとらなければならぬと思う。このような近代経済学者を中心に、こういう合併をしたら問題がありますぞと提起したその問題について、法律上これは正式にもう問題を提起したと思うけれども、この問題について届け出がなされたと同時に、これも公正取引委員会としては取り上げて、これからのあるいは審判手続をやるとか、あるいはその他の方法によるとか、強制調査をやるとか、いろいろ考えられなければならぬが、その点についていかがですか。
#25
○政府委員(山田精一君) 近代経済学者の方々からお申し入れがございましたのは第四十五条第一項の事実の報告ということでございますので、私どもでは第四十六条に従いましてこれを処理いたしてまいる覚悟でおります。
#26
○小柳勇君 四十六条の調査なりあるいは四十九条の審判手続については、いつごろ大体判断がつきますか。
#27
○政府委員(山田精一君) まだ届け出の内容も全然実質的には検討いたしておりませんが、これを検討いたしまして、第四十八条、第四十九条、あるいは第四十二条、このいずれの手続をとりますか、十分によく審議をいたしてまいりたい、かように考えております。
#28
○小柳勇君 二十日の審査の期限を延ばされたそのことが新聞に報道されておりまするが、この二〇日間の審査の期限を延ばされた根拠はどういうところにありますか。
#29
○政府委員(山田精一君) これは第十五条の第三項でございますが、「前項の場合において、国内の会社は、届出受理の日から三十日を経過するまでは、合併をしてはならない。但し、公正取引委員会は、その必要があると認める場合には、当該期間を短縮し、又は当該会社の同意を得て更に六十日をこえない期間を限り当該期間を延長することができる。」、これに基づきまして延長方をこちらから申し入れをいたすつもりでございます。
#30
○小柳勇君 新聞の報道いたしておりました二十日延長して五十日間は、両社の重役陣の了承をとった、したがって審査期間は五十日間であるということが新聞で報道されておりまするが、委員長は御存じないわけですか。
#31
○政府委員(山田精一君) それはただ内相談の段階でそういうことでございまして、こちらから正式延長の申し入れの書面はまだ出していないわけでございます。
#32
○小柳勇君 書面は出していないけれども、両社の幹部の了承を得たと新聞は報じておりまするが、それは事実ですか。
#33
○政府委員(山田精一君) 両社の内部の事情は私は存じておりません。正式に向こうから延長に同意がくるかどうか、それは今後の問題になると思います。
#34
○小柳勇君 このように各紙ちゃんとそのことを報道されておるわけですよ。そして公正取引委員会に対応策をつけて届け出が出た。したがって公正取引委員会は審査期間二日を延長し、五十日とすることを両社の重役陣に――代表者の名前も書いてありますよ――了承を得たと書いてあるのですよ。それを委員長、知らないのですか。
#35
○政府委員(山田精一君) 期間をきめますのは届け出を受理いたしてから後の手続でございます。まだいまの段階では形式的な書類に不備があるかどうか審査中でございまして、受理いたすのは今後のことでございます。受理をいたしましたときに期間の延長について申し入れをいたす、かような手続になっております。
#36
○小柳勇君 法律上、事務的にそうでしょう。私さっきも言いましたのはそういうことなんです。ここの論議というものが、法律上の事務的な手続があなたはいま答弁をされますが、私のほうはそれだけでは、論議にならぬのです。これだけ新聞で報道してそれを国民が読んでいるということ、その国民にかわって、私はいま質問しているわけですから、法律上は事務的にそうなっていくでしょう。今度公正取引委員会を開いて、そうしてそれが正式に成立して、そうして審査を始める。そこから書面で回答を出す、それはそうでしょうけれども、しかし、新聞に書かれたときに、すなわち両社の重役陣が了承しておるというその前提の上に立って、これから委員会が開かれていくでしょうが、そのことを委員長が知らないということはないわけでして、それを私はさっきも言ったわけです。せっかく時間をかけて論議しますから、そうなりましたら、私は公正取引委員会に行って、皆さんの会議のところに行って論議をしなければ意味をなさないということになるわけですね。委員長が国会に来て私が質問しているということは、あとのその法律上の紙、ペーパーの問題ではないわけですよ。実際、これから会社にも相談して、五十日間は審議をしていきますよ、問題点はこういうところにありますと、それはなぜ言えないのでしょうか。新聞にこれだけ報道された以上は、国民はそう受け取って、しかも学者も評論家の皆さんも、国民も、この新聞をそうだと受け取って、問題点がありますから、それにかわって私は、質問しているわけでしょう。そのことは、ただ下相談でございますと、たまたま電話で相談いたしましたから問題ではございませんというのでは、それは委員長でないならそれでいいですよ。ほかの人なら、答弁できないならできないでわかりますけれども、そのようなことすら、ここで答弁ができなければ論議になりませんですよ。それはもう一回聞きますけれども、ここに書いてあります審議期間を二十日間延ばして、五十日にすることをきめたと、届け出はもう出たでしょうが、これは正式には受理していないでしょう。しかし、公正取引委員会には書類が出たでしょう、届け出が。それはどうですか、そこから聞きましょう。
#37
○政府委員(山田精一君) 届出書類はたしか昨日出ております。したがいまして、それを形式的に書類に欠陥があるかどうかを現在調査中でございます。受理をいたします日がいつになるか、これはまだ確定いたしておらないわけであります。
 それから期間の延長、ただいま御指摘のございました期間の開始は、その受理をいたしました日から起算されるわけでございます。現在のところではまだ受理をいたしておらないわけで、いつが受理日になりますか、まだはっきりとこれを申し上げるわけにはいかないわけで、したがって期間の時期、起算されます日がいつになるか、これもはっきり申し上げるわけにはいかない、かようなことでございます。大体において受理をいたしましたあと、それくらいの期間になるのではないか、かように考えております。
#38
○小柳勇君 五十日間ということは大体委員長の頭の中にもあるようですから、その問題点が、三十日で審査が足りないというような根拠ですね。問題点があるようですからとおっしゃいましたが、それはどういうところでしょうか。
#39
○政府委員(山田精一君) これは毎年私ども合併のケース一千件以上扱っておりますけれども、小型の会社でございますれば、調査をいたしますのもきわめて簡単にいくのでございますが、これほど大きな合併、しかも関連需要者でございますとか、あるいは競争業者、これらの意見も十分聴取しなければなりませんので、それくらいの日数は最低かかるものと、かように考えておる次第でございます。
#40
○小柳勇君 昨年から事前審査で相当問題になっておりまして、国会でも論議をし、世間でも相当騒がれた問題でございますけれども、その事前審査の段階で、取引委員会としては、事務局はどの程度の調査しているのですか。
#41
○政府委員(山田精一君) これは当事会社から資料の提出を受けましたのみならず、ただいま申し上げましたような需要者、その商品のユーザーの方からも十分な資料を好意的に提供を受けました。また競争事業社、同じ企業を営んでおる競争事業者、これからも、あるいは代替品関係の商品を生産しているもの、これからも広く資料の提供を求めて調査をいたしたのでございます。
#42
○小柳勇君 相当の調査をなされているようでございますけれども、これから問題点が指摘されて対応策が出たと、これからの調査、受理してあと五十日間という構想のようですけれども、その間の調査活動なるものは、いままでに調査いたしましたそれにプラスアルファになると思いますけれども、どういうところが一体主体になるのでしょうか。
#43
○政府委員(山田精一君) どういうところというお尋ね、ちょっとわかりかねるのでございますが、いままで調査をいたしました中で足らない部分、それから特にはっきりとした確認を必要とする部分、これらの点に重点を置いて調査をいたすつもりでおります。
#44
○小柳勇君 通産省にも少しその前段の問題を聞いておきたいと思うのですけれども、大臣退席されましたから次官から、あるいは担当局長から聞きますが、事前審査の段階でもそうでありましたけれども、昨日届け出がなされまして、通産次官はじめ通産省が先頭に立ってこの対応策を各省に売り込み、あるいは各省に対する対応策を要請したり相当動いておるようですが、再三再四問題になっておりますように、通産省が二つの合併問題に対し相当中心的な役割りをして合併を推進しておる、そういう資料もありますし、ほかの、世論がそういうふうに言われておるんですけれども、通産省の現時点までの態度あるいはこれからの考え方について、まず基本的に次官からお聞きしておきたい。
#45
○政府委員(植木光教君) 産業政策的な立場からにつきましては、従来いろいろ御説明申し上げているところでございますが、今回の両社の合併につきましては、対応策が昨日出されたわけでございますが、これはあくまでも業界が考えるべきことでありまして、両社が十分慎重に実現性のあるものとして出したであろうと思うのでございます。これが独禁法上認められるかどうかということについては、あくまでも公正取引委員会がきめられるものであります。当省としてはその判断を待っているという状況でございます。また、あくまでもこの対応策の内容は需要者の保護という観点から差しつかえないものかどうかということについては、私どもも重大な関心を持って検討をしているところでございます。なお、先ほどもまたただいまも事務次官が各省に対して働きかけているというようなお話がございましたが、そういう事実は私どもは知りません。ただ、たとえば閣議の席上におきまして、大臣がレールの問題について、私鉄あるいは国鉄に対して与える影響が大きいので、こういう点について当事者から話があったならば十分相談に乗ってやってくれと申しましたり、あるいは事務次官会議におきまして事務次官が同様の発言をしているというようなことはありますけれども、ただいま御指摘になりましたような、通産省がこの合併の推進役を買って出ていろいろ動いているという事実はございませんので、御了解をいただきたいと思います。
#46
○小柳勇君 そうしますと、こういうふうに新聞へ出ているのは、これは新聞はうそを書いているということにとらなければなりませんが、次官それでいいですか。新聞社に私は聞きますが。
#47
○政府委員(植木光教君) ちょっとその新聞を私も読んでおりませんので、それは事実に反するとか反しないとかということを即座に申し上げることはできませんけれども、先ほど申しましたように、産業政策的な立場からは、この合併は基本的には好ましいという立場をとっておりますけれども、特別に公正取引委員会にそのことを申したこともありませんし、ただ見解を尋ねられたときには申し述べようという態度ではございますけれども、繰り返し申し上げますけれども、通産省がその合併の推進役のような態度をとっていると、行動をとっているということは私はないと信じております。
#48
○小柳勇君 これはけさの日本経済新聞ですからね、読んでみます。うそだったらこれは新聞社に私は聞きます。「通産省は十九日に八幡、富士両社が出した新対応策について、独禁法との関連では「両社ともほぼ自信のあるものを出した」とみており、レールはじめ三品種とも市場構造に変化があるとしている。したがって公取委としても問題なく審判開始というわけにはいくまいが、委員内部で見解が統一されていないことから楽観は禁物、との態度である。」云々と書きまして、そのあと「通産省の熊谷次官は十九日の記者会見で八幡製鉄、富士製鉄両社合併の届け出について「対応策には特定品種の減産などが含まれているので、特に鋳物用銑鉄の供給不足を中心に対策を検討している」とあらまし次のように述べた。」云々と響きまして、かつ対応策の三点につきましてちゃんと記者会見をしている。しかも石田国鉄総裁に大平通産大臣を会わせる云々と書いてある。レールの購入について「国鉄の配慮を要望する。また価格届け出制などの価格安定機構については国鉄の判断に任せるが、レールの需給計画提出については検討中。」これは通産省の話ですよ。いろいろそれを受けて運輸次官の談なども出ておりますが、これは通産次官が言ったからそれを受けて運輸次官が発言しているわけです。この一面から見ますと、いま次官が言ったような、通産省及び通産省の次官及び官僚は、この合併問題についてはあまり関係しておらぬ、そういうような発言はとり得ないですよ。なぜそう言わなければならぬのでしょうか。そこに問題があると思いますよ。いまの大型合併をすることが、日本の経済がうんと生産を上げて国際競争に勝つ、そのためには何でもかんでもとにかく合併しなければならぬという信念が通産省にあるならば、この期になって、この段階になって、何も逃げ口上を打つ必要はないでしょう。われわれは対応策についてこういうふうに考えた、そうして公正取引委員会にこういうふうに話していると言っていいわけです。昨日うちのほうの商工部会で問題にしたのは、衆議院の商工委員会に参考人を呼んだ、その参考人に、通産省のほうからちゃんと前もって来てもらってPR資料を渡した。学者ですから一目見ればわかるでしょう。賛成のPRの資料か反対のPRの資料かすぐわかる。そうして合併に賛成の資料を渡して通産省の立場を明らかにしている。それでは通産省は中立の立場でございます、公取にまかせてあるということは言えないと思います。衆議院の商工委員会でさえそうやっている。指導とまではいかぬでしょうが、そういうことでなくて、もっと自信を持って、こうしなければならぬという通産省の見解があるならば、基本方針があるならば、そのとおりにここでも見解を述べなければならないのじゃないかと思いますが、どうもいまの次官の発言では納得できませんので、局長からこういう事実があるのかないのか、そういうことを私は国民にかわって聞いておかなければならないでしょう。したがって、率直に見解を表明してもらいたい。
#49
○政府委員(吉光久君) 先ほどお読み上げいただきました新聞の記事でございますが、私きのう次官会議のあとの事務次官の新聞記者会見の場面に立ち会っておりました。いま御指摘いただきました鋳物の問題でございますが、これは結局両社の将来に対する鋳物供給力の判定の問題と、それから鋳物業界が要望いたしております将来の需要見込みと申しますか、そういうものの間にギャップが出る心配はないかどうか、こういうふうな意味での質問であったわけでございます。それに対しまして、そういうことこそ産業政策上ギャップの起こらないように、要するに供給力不足が起こらないようにするのが通産省の立場である、こういう意味の回答をいたしておられました。したがいまして、会社側から出ましたいわゆる対応策の内容につきましても、そういう点で、ほんとうに需給上心配ないかどうか、これも一応審査の過程で公正公取委員会がお調べになるものと思うが、ということをつけ加えられました上で、そういう点でやはり産業政策上の立場からも検討しておく必要があるであろうという発言でございました。
 それから、いまのレールの問題でございますけれども、これにつきまして、いまお読み上げになりました通産相が国鉄総裁に会うように云々というふうなお話がございました。そういう質問もございませんし、また、そういう回答もしておられません。
 きのうの記事の記者会見の内容はそういうことでございます。
 それから、先ほどから産業政策の問題との関連につきまして御指摘を受けたわけでございます。私ども一般的に産業政策上の立場として合併なり提携なり、いろいろな方便が使われながら産業の体制が整備されていくということはきわめて必要なことであるというふうに考えておるわけでございますけれども、本件の場合、十分具体的な問題として公正取引委員会のほうに意思表示がされ、あるいはまた正式の届け出もなされるというふうな状況でございます。したがいまして、A社とB社という具体的な問題につきまして、通産省自身でああするこうするというふうなことを積極的に申し上げますことは、むしろかえって公正取引委員会での公正な御判断と申しますか、に、何らかの意味で支障が生じては困るというふうな意味から、言動を慎重にいたしておるわけでございまして、この態度につきましては将来ともそういう態度でありたいと、このように考えております。
#50
○小柳勇君 通産省の問題もありますけれども、時間もありません。ほかの委員も待っておりますから、問題点をもう少し深く、今度は公取の委員長にお聞きいたします。
 事前審査の場合には、問題点として三点を指摘されました。これはもう一点ございますけれども、大きくは三点。その問題点について、まだ事前審査の段階でありますから、正式に委員長からここで発表できるかどうかわかりませんけれども、まずその三つの問題点について、審査の段階での問題のポイントをお聞かせ願いたいと思います。
#51
○政府委員(山田精一君) 届け出を受けまして、これから調査に入ります段階でございますから、個々の品目につきまして、どういう点こういう点ということをこの席で申し上げますると、調査をする者が何らかの予断を持つことがあってもいけませんので、個々の品目について申し上げることは差し控えさせていただきたいと存ずるのでございます。要するに、競争制限になるかどうかという判断は、たびたび申し上げておるのでございますが、競争企業、同業者との事業能力の比較、あるいは関連業界、主としてユーザーの企業との取引の状況、あるいは新規に参入いたしてまいりますところの企業の状況、代替品との競争関係、輸入品との競争関係、これらを総合的に判断をいたしましてきめてまいる、こういうことにいたしておる次第でございます。
#52
○小柳勇君 私は、ただいま質問しているのは、もうすべての人が知っていることですから問題点は鋳物、ブリキ、及びレール、その問題点は、これは公正取引委員会がこれこれが問題だと指摘されたものです。ほかのだれも言ったものじゃないわけですよ。そのことを聞きたかったわけです。しかし、公正取引委員長は事前審査の段階であるからということでおっしゃらない。まあ委員会の審査としてまことに残念ですけれども、次の質問をいたしますが、問題点は三点を指摘されておりまして、その対応策が出たわけですね。そういたしますと、あとその対応策について、これから問題は審査されてまいりましょうが、まずレースの問題は、さっきちょっと触れましたように、これから別会社をつくる。そうして、競争ができるようにしたい。あるいは値段の問題につきましては、運輸省などが国鉄を指導しながら価格の問題について監督していくというふうなことも新聞で報じられておりますけれども、これからもこれは問題になることでしょうけれども、事前審査の段階で問題点を知らして、それに対して届け出の段階で、まだ未知数であるけれども、これこれを対応策としてやりますというようなことでも、今後それをあたりまえとして公正取引委員会は審査をしていくのですか、それを聞いておきたいと思います。
#53
○政府委員(山田精一君) ただいまの御質問の意味がちょっとわかりかねましたが、対応策が未知数である場合というお尋ねでございますか。これは未知数――どうなるのかわからないということでは、これは対応策にはならないわけでございまして、その辺を十分慎重に調査をいたしてまいりたい、こういうつもりでございます。
#54
○小柳勇君 わかりました。未知数のレールというものがその届け出が出た場合、これから五十日間は審査の期間がありますけれども、その場合に、その五十日間を経過しても将来どうなるかわからぬというような未知数、そういうものについては、これは取り上げるべきものじゃない、それは対応策にならぬと、こう理解していいのですか。
#55
○政府委員(山田精一君) ただいまま御指摘の未知数――どうなるか全然わからない――こういうものでは、私どもの調査の対象にはならない、かように考えております。
#56
○小柳勇君 じゃもう少し期限を、今度は五十日間の中であるいはできるかもしれぬというようなものであれば、その届け出が出た場合、これは対応策でございますと言ってペーパーが出ましても、それは取り上げて審査を始めるのですか。
#57
○政府委員(山田精一君) できるかもしれないとおっしゃいましたのが、単なるまあ、一%の可能性とか五%の可能性と、そういうことでは問題にならないと思います。やはり要するに合理的、蓋然性いうことで判断をいたしていくということになるかと存じます。
#58
○小柳勇君 その線の引き方がなかなか問題でしょうけれどもね。たとえばここに具体的な例としては、これはまた委員長と論争すれば、これはまだ書類見ておりませんとおっしゃるかもしれないけれども、私はもう昨日からの、世間一般の人が承知しているものを、資料持っているものですから、それでお聞きするのですけれども、レールについては別会社をつくって競争させるのですと、こういうふうなことで対応策が出されたと書いてあるのですね。その別会社のほうはまだ海のものとも山のものともきまっておらぬ。まあ、それは形はあるのです、釜石のほうでそいつをひとつ、会社をつくってくれということですから。けさの新聞によりますと、まだオーケーしてないと書いてある。オーケーしたと書いた新聞もありますけれども、オーケーしてないと書いた新聞が多いわけです。そうして、ないと、まだその会社、できてないわけですね。そうすれば届け出が出た段階では、一〇〇%この新日本製鉄というのがレールを生産するわけです。そうしてそれを国鉄も私鉄も買うわけです。今日までこれを買いました数量も調べております。これが新たに今度は別会社を、そういう人――合併する人――がつくるわけですね。つくらせるわけです。頼んでつくらせるわけです。それがオーケーして、こちらから技術指導するわけでしょう。できますね。何年してほんとうに競争相手になるかどうか、これ未知数でしょう。技術的なことですから。技術のこと及び会社のことですから。いま届け出が出まして五十日間期間がありますけどれも、会社はこれから技術を指導して、あるいは指導員が行って、新しい会社をつくってまいります。そうしてその大きな新一本製鉄と競争する。それには相当の期間がかかるでしょう。そういうものを善意に解釈してやりながら、審査をやるという、そういう例をつくるのですか。それを聞いておきたいと思います。
#59
○政府委員(山田精一君) ただいまのレール関係の対応策は昨日夕刻手に入れましただけでありまして、まだ委員会として全然内容を見ておりませんので、どういう内容のものであるか、仮定のもとでこうこういうことだということを申し上げることは差し控えさせていただきたいのであります。ただ、海のものとも山のものともわからないと、これではとうてい蓋然性を認めることはできない、かように存じます。その辺のところを十分慎重に調査をいたしたい、こういうつもりでおります。
#60
○小柳勇君 正式な審査が受理されて委員会が開かれるのが何日になりますか、まずそこから聞きましょうか。いつごろ開かれる予定ですか。
#61
○政府委員(山田精一君) これからできるだけひんぱんに委員会を開きまして調査を進めてまいりたい、かように考えております。一ぺんでぱっといくというわけにはまいらないと思います。できるだけすみやかに調査を進めてまいるつもりでおります。
#62
○小柳勇君 第一回の委員会をお開きになりましてこの正式な受理をおきめになる日はいつですか。もう委員長ですから大体の腹づもりあるでしょうけどれも、もう新聞には書いてありますけどれも、どうせはっきりおっしゃらないから聞くんですけれども、いつになりますか。
#63
○政府委員(山田精一君) この受理という行政処分は、これは形式的に、先ほど来申し上げましたごとく、書類が不備であるかどうかというだけでございまして、内容を審査するわけではございません。これは一両日中に受理書を発行できる、こういうふうに想像いたしております。
#64
○小柳勇君 その一両日中に受理されたときに、その時点で出されました対応策というものがまだはっきり見通しはっかない、あるいは会社は設立すると、あるいはレールを生産することはオーケーするかもしれぬが、これからの技術を導入してあるいは指導員を入れて生産を始めて、そしていままでの製品と同じような競争をやるには相当の日にちも要るでしょうが、とにかく五十日間の審査期間ですからね、その五十日間の審査機関で、レールがいままであれだけ長い経験、熟練した人、機械をもってやっているレールが、すぐ五十日間のうちにもう競争相手ができますと確信持てるとはだれも言い得ないと思うのですけれども、そういうものでも受理されるのでしょうが、正式に今度審査の段階に入るのでしょうが、そういうものを心配しておりますが、したがって独禁法に強制調査もありましょうし、あるいは審判手続も書いてございますけれども、まあいろいろな方法、五十日間の間をずっと推察しますと、いろいろなケースが察せられますけれども、そのケースを委員長として、専門屋ですからどういうケースが想像されるかですね、予想されるか、まずそれをお聞かせ願いましょう。
#65
○政府委員(山田精一君) これはまだ内容を、先ほど来申し上げておりますけれども、受理ということは承認したということとは違うのでございまして、書類を受け付けたということでございますので、それを承認したとも否認したともこれとは関係のないことでございますから、この点をまずはっきりさせておきたいと存じます。受理はおそらく一両日中に何か特別に書類に欠缺がございません限り、一両日中に受理をいたすことになると思います。その上で調査を進めまして、いよいよ実質の調査になるわけでございます。その調査はできるだけ急ぎまして、その調査の結果によりまして、先ほど来申し上げましたごとく、法律に定めている手続あるいは証人喚問いたしますか、公聴会を開くとか、あるいは勧告をいたすとか、あるいは審判開始を決定いたすとか、これは法律の定めるところによりまして厳正に手続をいたしてまいりたい、かように考えております。現在の段階でこういうふうにしていくという予断を持った構想は持っておらないわけでございます。
#66
○小柳勇君 あるいは審判手続になるかもわからぬとおっしゃいました。そういうのがあらかたきまるのは五十日間の期間のうちの大体どういうところになるんでしょう。
#67
○政府委員(山田精一君) これは実態的の調査を進めてみませんと、いまいつごろということはちょっと申し上げかねるのでございます。
#68
○小柳勇君 審判手続などになりますと、その五十日間というものは、これがきまりますと、まあ大体それで審査の期間になるでしょうが、そういうものは、合併がオーケーされるということにも相当関係があるように思いますけれども、いまおっしゃいましたように、まあいよいよこれから厳正中立に調査してまいられるでしょう。その場合に、もしも会社のほうが合併の登記をして――まあ正式の受理をして、それから五十日間とおっしゃいますから、その間に、たとえば会社の合併が登記されたとすると、調査してみたところが、どうもこの部内で合併は、これはしてはならぬと、独禁法上どうしても許せぬということが出てまいりますね、片や合併は登記いたしました。そういう場合には、公正取引委員会としてはどういう処置をされますか。これは仮定のことですけれども、もしそうなった場合にはどういう処置をされるのですか。
#69
○政府委員(山田精一君) かりに五十日という期間を当事者が同意いたしました場合に、その五十日の期間の経過以前に登記をすることはできないのでございます。もしいたしますと罰則がございます。
#70
○小柳勇君 そうしますと、その期間に受理して、その書面が向こうに届きますね、受理したという書面が。それから五十日間でございましょう。その書間を出すのはさっきのことばで一両日中というふうに理解してよろしゅうございますか。それはいいわけですか。
#71
○政府委員(山田精一君) 特別届け書に形式上のご欠缺のございません限り、先ほど申し上げましたごとく一両日中に受理書発行の運びに至ることと考えます。
#72
○小柳勇君 そうしますと、その特別の対応策については、まあ一番常識的なものはレールの問題ですから、またレールの問題を例にとりますけれども、今日の段階では、まあ申し上げましたように別会社もまだ生産オーケーしていないと、また労働組合なども別会社をつくることには反対だと、そういうものを条件にしながらこの間の大会でも賛成しているわけです。この合併については推進しようということ、賛成ではないけれども、労働者の不利益にならぬ立場で賛成しているわけでしょう。そういたしますと、別会社などという話が出ますとそれはまた空気がぐっと変わってまいりますからね。町の地域の人もそうですし、労働組合も変わってまいりますわね、考え方が。そういうものが会社にも反映してくるわけですよ。いま、現時点、いま書類が出た段階と、別会社をつくってレールの生産がほかにいくという段階、そういうふうになりますと、地域の経済にも相当影響しますし、あるいは地方自治体のいろいろの今後の財政上の問題もございますから相当変わってまいりますし、第一労働組合は別会社をつくることなどには反対しているわけでしょう。また労働条件の急速な変化も反対しているわけですからね。したがって、情勢として相当変わってまいりましょうが。一両日中に会社が、この別会社が生産をオーケーして、現在のレールの生産販売のような競争ができないと判断されたら、その正式の受理というものはずっと延びると、そういうふうに理解していいですか。
#73
○政府委員(山田精一君) 先ほど来繰り返し申し上げておりますごとく、受理という行政処分は、これは形式的な処分、実質の調査とは別問題でございます。ただ窓口でもって届け書を受け付けたということでございます。書類に欠缺のない限り受理という行政処分は行なわれるわけでございます。その受理後、実質的な調査を開始いたす、こういうことになります。
#74
○小柳勇君 書類に欠陥があるというのは、その対応策というものの書類で出ますとわれわれは理解しておるものですから、この対応策の書類が、現在まだ架空ですわね。この別会社をつくろうということは言ってますけれども、出てないわけでしょう。しかし、それは書いてあるものと見なければならぬでしょう。書類に不備があるものと見なければならぬと思って私質問しているのです。どういうものでも、まだできてない会社でも、対応策としてつくりますといって書類が出てきたら、それで書類が出たものとして受理されるのですかと聞いているのです。
#75
○政府委員(山田精一君) いわゆる対応策なるものは、要するに合併の内容の説明書でございまして、それがかりに全然海のものか山のものかわからないものでございましても、一応ついておれば、これは届け書としては形式を具備いたしております。届け書の形式とは当事会社の資本金でございますとか重役の氏名とかあるいは従業員の数とか、いろいろ定められておるわけでございます。その形式を具備いたしておれば、受理行為は行なわれるわけです。それからあとで、いわゆる対応策が現実に蓋然性があるものかどうか、これは実態調査の段階の問題で、受理はどこまでも形式的なものでありますことを御理解いただきたいと思います。
#76
○小柳勇君 対応策などというのは、これはもう参考資料であって――書類に不備があることはないでしょう、ちゃんと指導してあるんですから。そうすれば、届け出の受理は一両日にあるものと考えていいわけでしょう。あまり法律用語を使われて詳しく言われるものですから、時間がかかるわけです。しろうとがわかるようにちゃんとおっしゃいますとわかるわけですけれども。
 そこで問題は、こういうような三つの問題点がありますけれども、いま相当私どもでも納得できないような問題がございます。したがって、これは常識上は、しかも学者グループなどの問題指摘もございますから、公益優先といいましょうか、国民が納得するという立場であるならば、審判手続をとって公に合併をきめてまいるということが、一番いまの段階では常識ではないか、筋道ではないか。しかも、あと紡績の問題なりあるいはまた紙の問題も出ましょうし、そういう次の段階を考えますというと、この際はそういう手続をとられることが至当ではないかと思いますが、いかがですか。
#77
○政府委員(山田精一君) 私どもは、法律の規定の定めるところに従いまして厳正に慎重に手続をとってまいりたいと思います。審判手続をいたしますかいなか、これはただいま一つの御意見としてありがたく拝聴いたしておきます。
#78
○小柳勇君 いま問題点は三点にしぼってあるようでありますが、たとえば鋼矢板の対応策などについて、これは以前にも問題にありましたけれども、鋼矢板の対応策については、事前審査の段階では問題点として指摘してないわけですね。問題点は鋳物とブリキとそれからレールであった。それで、一番市場占有率が九九%にも達する鋼矢板でさえ、公取は、現に競争企業が存在するということだけで、にわかに独禁法に抵触しないとは言えないということ、そういう結論を出してある。これは事前審査の段階ですから、これからまた問題になりましょうけれども、こういう事前審査の段階で問題になったものも、再度調査の段階で審査される、調査される、そして白黒を決定される、これは愚問でありましょうけれども、そういうふうに判断してよろしゅうございますか。
#79
○政府委員(山田精一君) 正式の調査といたしまして、十分に調査をいたしてまいりたい、かように考えております。
#80
○小柳勇君 まあ八幡の専門屋の意見などによりましても、鋼矢板の場合は非常に技術が高度でして、他社ではもうほとんど追随できないと、だからもうこれはほとんど問題にならぬのだ、そういうふうなことすら言われておるのですけれども、重ねて質問しますけれども、たとえばコンクリートパイルがあると考えると、これは使用目的によってはほとんど代替用品にならぬと技術的にいわれているんですけれども、こういうものも調査の過程ではまた重ねて調査されるものと理解していいですね。
#81
○政府委員(山田精一君) 必要に応じまして技術の専門家の意見も十分に聴取いたしまして調査をしたい、こう考えております。
#82
○小柳勇君 それから、これはまたこの前も申し上げたのですけれども、製紙三社があれだけ熱心に合併を申請してまいったけれども、その審査の途中で正式の届け出をする前に取り下げてしまった。再度その合併を申請してまいるようなことがあるかもわからぬと思うのですけれども、そういう場合には、今度の鉄鋼のような事前審査方式、あるいは問題点を指摘して対応策を指導するようなそういう方法をとられることも予想される、そう理解していいですか。
#83
○政府委員(山田精一君) 紙の会社がまた申請をいたすかどうか、これは私存じませんけれども、もしかりに行政相談として話が出てまいれば、行政相談の限界内においてこれに応ずることは当然あると存じます。
#84
○小柳勇君 私だけでたいへん時間を取りましたから、最後に、これは政務次官に、政治的な問題でございますけれども、八幡と富士が合併すると、わが国で第一位の会社になります。このような巨大企業の出現によって、政治への介入が当然出てくるであろう、こういうこともすでにもう心配しておる者がある。したがって、問題はこれからですけれども、新しい大きな会社が出現した場合の政治的な介入などについては、何といいましても、いま日本の第一党である自由民主党の責任及び現在の政府がそういう大企業から動かされないということ、これも大きな問題であろうと思うが、国際競争力ということをにしきの御旗にして企業合併を推進されるということは、何と言われてもわれわれはそういうふうに理解しておるわけです。したがって、この巨大企業ができましたあとの政治的介入につきまして、与党である自由民主党、あるいは、特にこれは通産省がその門ですからね、接触する機会が一番多いですから、通産省の政務次官としてどういうような自覚を持っておられるのか、見解をお聞きしておきたいと思います。
#85
○政府委員(植木光教君) かりに合併が認められました場合には、おっしゃるとおり巨大な企業ができ上がるわけでございます。会社といたしましても社会的な責任はますます重大になってまいります。また、産業行政を行なっております通産省といたしましては、先ほども申し上げましたように、需要者保護の立場ということも十分に考えなければいけませんし、公正にまた円滑に産業行政が行なわれるべきであるという私どもの責任もございます。したがいまして、会社が十分に社会的な責任を自覚する、また行政機関といたしましては、産業行政上の責任を十分に自覚していくということが肝要であると思います。したがいまして、いまお話のような政治的な介入というようなことにつきましては、私どもとしても十分に注意をしてまいりまして、そのようなことはないと信じておりますが、十分にその点については配慮をし、そのわれわれとしての責任、会社としての責任が全うせられるべきであると存じます。
#86
○小柳勇君 これは質問よりも通産省に対して私はお願いですけど、対応策が出ましたあと、八幡の地元などでも下請産業、中小企業など、あるいは労働者の中にもまた相当問題を提起いたしました。それは、レールの生産などというのは、八幡製鉄がいままで中心であった。ところがそれが別会社をつくるということで、地域的にも労働者の中にも相当の動揺があります。そういうものについても今後の大きな問題として指導もしてもらわなければならぬし、私は、この合併の過程においても相当の対策を考えなければならぬと思うのですが、それが通産省に対するお願いです。
 それから、公正取引委員長、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、私が冒頭に申し上げましたように、この独占禁止法というものが、この鉄鋼二社の合併によってほとんど形だけになってしまうのではないか、そういう極端な意見を言う人もあるわけです。で、学者の意見だけを尊重するわけではございません。ございませんが、事前審査のあの段階、それからやり方ですね、そういうものの取り扱い方、独禁法の取り扱い方につきましても相当私どもは問題を持っております。したがって、すぐれた五人の委員の皆さん方で審査され調査されるわけですから、もうそういう世間の風評などというものは私どもはおそれる必要はないと思いますけれども、ただ、いままで日本の経済に果たしてまいりました独禁法の役割りというものは高く評価されなければなりませんし、それが時代の流れといいましょうか、時代の風潮によってうんと形が変わりませんように、ひとつ公正取引委員長として、勇気を持って、厳正中立にこれをひとつ運営してもらいたいと切にお願いいたす次第であります。もう見解は十分、委員長おっしゃることはわかりますから、以上私は愚にもつかぬことでありまするが、おそらくこれは質問、最後だと思いますから、以上、意見を申し述べて私の質問を終わります。ありがとうございました。
#87
○大矢正君 いま問題となっておりまする大型合併に伴うこの法律のよりどころとしての独禁法というものが成立をいたしましたその時期に、私は、まだ議員じゃございませんでしたから、このの法律の趣旨は理解できますが、個々の運用ないしは手続、また解釈、まあこういう面については知識に乏しいということをまず申し上げて、そういう理解の上で御答弁をいただきたいと思うのであります。
 いま八幡、富士の合併にからんで国民のあるいは国内の世論と申しますか、意見の中には、合併することが国際競争力にたえ得る道であるし、国民経済の立場において必要とするものだという意見と、いやそうではないと、これは法律に禁じられているところの、不公正な競争を誘い出す結果になるから、この合併は認めるべきではないという、二つのまことに相反する意見があるわけです。もちろん公取が判断をする際においても、認めるべきかあるいは否認をすべきかという二つの道しかないのであって、第三の道はないわけですね。そこで、かりにこれから本格的な審査に入り、場合によっては審判そうして審決というような結果となって、公取としてはこの合併は否認をするということになった際には、当然のことながら公取としてなぜ否認をするのかという理由を私は会社に対しても世間に対しても明らかにすると思うのであります。同時に、両社が不満とすれば、法律に基づいて第一審である高等裁判所に訴訟を提起するということになりますから、裁判所において、公取の主張が正しいのか、両社の合併申請が正しいのかという最終的な結論が出ると思います。したがってその過程では、どういう理由のもとに否認されたのかということもこれまた国民は明確に把握することができるわけですね。ところがそうではなくて、仮定の問題でありますが、本審査の段階だけで、審判、審決というものが一切ない形で容認をされた場合にはどうなるのか、認めるということになった場合にどうなるのかと言いますと、結局のところ、なぜ認めるのか、裏を返していうと、どういう理由でこの大型合併というものが十五条の第一項に触れないのかということの理由が明白にならないわけですね。私はそこに一つの心配を持つわけなんですが、公取委員長としてどうお考えになられるか、お答えをいただきたいと思います。
#88
○政府委員(山田精一君) これは、今回のケースが認められるか認められないかまだ全然白紙の状態でございますから、全く仮定の問題、むしろ抽象的な別の合併の問題として申し上げたいと存じます。三菱三重工が数年前に合併をいたしました。これは合併が認められたわけでございますが、期間経過の前日でございましたか、公正取引委員会は詳しいその認めた理由というものを発表いたしております。新聞発表をいたし、また一般に出しておるわけでございます。したがって何らの理由を示さずに否認されるかあるいは是認されるかということはない、かように考えております。
#89
○大矢正君 そうすると、今回の大型合併の問題については、将来、仮定として、認めるという公取が結論を出す段階においては、具体的になぜ法律に触れないのか、それから法律に触れないだけではなくて、これは将来のことも考えて、その実質的な競争の制限にならないかということを明らかにしてもらえるということははっきりしましたね。
#90
○政府委員(山田精一君) 具体的の案件につきましてここで申し上げることは差し控えさせていただきたいのでございますが、先ほど申し上げましたごとく、一般的なケース、それから過去においてございました三菱三重工の場合にはそういうようなことをいたしましたわけでございますから、おそらく先例とそう違ったことはあるまいというを申し上げることはできると思います。
#91
○大矢正君 そういたしますると、かりにこの合併は公取がどのように判断をしようとも、実質的な競争の制限となって結局のところ需要する側においては――これは国民全般を含めてです――高いものを買わされる、損をこうむる、そしてそれがひいては日本の経済の発展を阻害すると判断をした人々、そういう人々の意思というものは、どういう形で将来生かされるのだろうか。といいますることは、否認された場合には、その否認の対象となる両者は裁判所を通して争うことができ、第一審の高裁そしてまた最高裁というこの機関を通して論争していくことができるわけですね。ところが認められてしまった場合には、この合併に反対をするという不特定多数の需要者や、国民の側から見ると、その点についてのみずからの意思なり異議なりというものを明らかにするということができなくなってくるのじゃないですか。その点お尋ねをいたしたい。
#92
○政府委員(山田精一君) これはどこまでも抽象的な、一般的なこととしてお答え申し上げますけれども、現在の法律では、法律的にこれに対処いたすということは定められておりませんので、結局は世論の批判あるいは国会を通じての御批判、こういうことになるかと存じます。
#93
○大矢正君 ですから私は、公取委員会というものの立場というものがきわめて公正かつ公平でなければならぬということを強調したいわけです。まず第一の質問はこれで終わります。
 それから第二の問題点でありますが、これは私は非常に学問がないほうでして、いままで商工委員会におりますと、政務次官非常に博学なようですから私お尋ねしたいと思うのでありますが、この法律の中に言われておりますごとく、かりに公正取引委員会の審決に際して合併が否認された際には、東京高等裁判所を第一審の場とすると、こうなっておりますね。そこで、なぜ東京高等裁判所というものが第一審になっているのか、私はひとつこの際勉強さしてもらいたいと思いますので、ちょっとお尋ねいたします。
#94
○政府委員(植木光教君) これは通産省の所管ではございませんので、したがって私も十分そこの法律的なことはわかりませんが、まあ常識的に考えまして、きわめて事案が重大なものでありますので、高裁を第一審の機関としているのではないかと、かように思っております。
#95
○大矢正君 私はあなたの言われるような解釈をしていない。自己流の解釈であるかどうかわかりませんけれども、公正取引委員会というものは、二つの機能といいますか、二つの権能というものを私は持っているのではないかという判断をいたしております。それは、ある部分においては行政的な権能、それからある一面においては、国民の、言うならば経済活動に、一つの大きな、まあ裁判所で言う判決と似たような判断を示して、それによってその活動をある意味において抑制をするという機能、この二つの機能を公正取引委員会というものは持っているわが国の特殊の機関であると解釈をしているわけです。
 そこで、私がなぜその高等裁判所の話を聞いたかといえば、そういう立場があるがゆえに、従来第一審といわれているところの下級裁判所である地方裁判所というものを一応省略をして、高裁裁判所に、審決の結果というものを訟訴として起こす場合には持ち込むのではないかという、これは私流の解釈ですよ、この法律が制定されたときに私はいたわけじゃございませんから、わからないという前提は先ほど申し上げたとおりです。
 そこで、公取委員長がしばしば、行政相談に応じていると、こう言われる。行政相談に応じておられる。いままで、まあ内審査というか、事前の相談というか、そういうものを長い間、十カ月間にわたって行なってきたということは、これはあくまでも行政相談であると。また、ある意味においては、法律にのっとって事前に調査をするというその限度の行為である。が、しかし、これはいずれも行政相談であるという解釈であります。そこで私は、これまた私なりの解釈でありますが、事前相談とか行政相談ということでありますれば、これは純粋に行政を担当する者だけが扱う問題であって、裁判所的機能を持つ五人の公正取引委員会それ自身が扱うべき問題ではないのではないかという解釈を私はするわけであります。もちろん、公取委員長は、それはそうだと言うならば、いままであなたがやられたことは間違いだということになりますから、そうは言わないでしょうが、社会の常識上考えてみましても、かりに行政相談として、この両者の合併ははたしていかがでありましょうかという、この単なる相談だというならば、あなたの下にあるところの公取の事務局というものが行政相談に応ずべきものであって、取引委員会それ自身が、ここに問題点がある、あそこに問題点があるという指摘というものは、これは私は間違いだという解釈をせざるを得ないのであります。五人の公正取引委員というものが、かりに、やる道というものは、それは届け出をされ、それを受理された事務局が、それを受理したその段階で、五人の公正取引委員というものが調査に入り検討をすべきものであって、事前の段階というものは、あくまでも事務局にまかせるべき内容のものではないかというのが私の解釈です。
 私は、回りくどく、いろいろの周囲を固めながら質問すればいいのでありますが、時間ありませんから、結論を端的に申し上げてお尋ねをしたいと思うのです。
#96
○政府委員(山田精一君) 公正取引委員会というものの性格は、ただいま御指摘のございましたように、非常に複雑でございます。私の考えでは、三つの面があるかと存ずるのでございます。主たる面は行政機関でございます。それから第二の面といたしましては、ただいま御指摘のございましたような、司法機関に準ずるところの準司法的の性質機関。それから、私どもの手元で告示を出すとか、そういうことがございますので、これ準立法的な機能も持っている、準立法的な機能もある程度付与されているわけでございます。したがいまして、公正取引委員会は、この準司法的機能だけをいたすわけでございませんで、ときによりましては、検察官の役目もいたします。それから、判事の役目もいたします。非常に複雑でございまして、立法論としてはいろいろの御意見があり得るかと思うのでございますが、現実の姿といたしましては、ただいま申し上げました、行政機関と準司法機関と準立法機関、この三つを兼ね備えたものである、かように私どもは理解をしておるわけでございます。
 行政相談というものは、これは、御指摘のように、事務局の窓口限りで回答を与えておるのがもう大部分でございますけれども、ただ、事案が特別に重要なものにつきましては、ただいま御指摘のございましたような予備的の調査の意味合いも込めまして、委員会に上がってきたと、こういうわけでございます。
#97
○大矢正君 私は新聞の報ずることがすべて正しいのだという前提で質問をしているわけじゃございませんが、私どもが聞いている限りにおきましては、事務局それ自身の意思というもの――事前審査の段階ですよこれはあくまでも。あなたが言われる行政相談の段階においては、本来的には、その行政相談に面接応ずべき事務当局の意思というものが最大にそんたくされなければならぬと思っているのでありますが、どうも結果論的には事務局の意思は無視されて、五人の公取委員の意思によって先般何らかの意思表示が両社になされたようであります、そういう結果が出ているようであります。これは私は、五人の公取委員の、行き過ぎとは申しませんけれども、本来あるべき姿ではないのではないか。あくまでも、行政相談というものは直接行政権を持ち行政に携わっている事務局が行なうべきことであって、五人の方々の出番ではなかったのではないかという私は感じがいたします。これは、法律的にあなたとここで論争してみても、結論の出る問題ではございません。おそらく水かけ論に終わるでありましょうが、そのようにして、私どもは数々疑念をあなた方に持っているということだけをこの際申し上げておきたいと思います。
 したがって、もっと具体的に言えば、それほど多くの疑念を持っているのであるから、いよいよ本審査に入った今日の段階におきましては、重ねて申し上げまするが、公平と公正、そして、単に法律の解釈をどのようにするかということではなくて、あなた方が出される結論というものが、これからのわが国の経済にとって、国民に対してどのような重大な影響を与えるかということを、単に現時点だけでものを考えるのではなく、たとえば対応策というものが出たとしても、それは現時点だけの判断ではないはずです。対応策というのは、あくまでも、将来そういう対応策をやるということでありますから、将来のことを考え判断をされるわけでしょう。さすれば、この合併がいいか悪いかという判断も、将来のことも考えて是非を決着つけるのも私は当然であろうと思いますから、いまの時点でこういう判断が正しいというような判断ではなくて、将来ほんとうにこういうことが実質的な競争の制限になりはしないかという立場においても十分ひとつ御判断をいただきたいと思います。以上です。
#98
○政府委員(山田精一君) 行政機関としての公正取引委員会の意思の決定は、これは委員会がいたすものであると存じます。事務局はこれを補佐いたしまして、命によって、調査いたしましたり、資料を提供すると、こういう役割りを持っておるものと考えます。
 それから、ただいまの、将来にわたっての見通しというものを踏まえて調査をせよという御激励でございましたが、これは、合併の案件それ自体が、将来において競争制限が起こらないかという予測でございまして、当然ある程度の予見し得る将来ということを考えて調査をいたすことになっておりますので、御了承いただきたいと存じます。
#99
○委員長(八木一郎君) 時間もきておりますので、簡潔に、ダブらないように一、二問の質疑で御発言をいただきたいのですが。
#100
○塩出啓典君 いま委員長から一、二問の発言ということでございますが、合併の問題は、もう時が時でございますので、一、二問というわけにはいきませんが、できるだけ簡潔にやらしていただきたいと思います。
 いままでいろいろ衆議院の商工委員会、また先ほどの質問にありましたこととはダブらないように質問さしていただきます。
 まず最初に、公取の委員長にお願いいたしますが、これからいよいよ正式の審査に入るわけでございますが、いままでの予備審査においてこの両者に資料を請求されたが拒否されたものもある、そういうように衆議院の商工委員会で答弁されておりますが、これはどういう資料を要求して、そうして拒否された資料は一体どういう資料なのか、その点を報告していただきたいと思います。
#101
○政府委員(山田精一君) これは拒否をされたという表現は適切ではないのでございまして、個々の商品ごとの原価計算などというものは、これは計算上なかなか出てまいりませんので、出てこなかったということでございます。それからユーザーごとに売却いたしました値段とかいうものは、個々のユーザーごとのはなかなか集計がたいへんであるだろうということで、出てまいりませんでした。私どものほうは、これはユーザーのほうから資料を取りまして個々のユーザーの買い値というものはわかりましたわけでございます。
#102
○塩出啓典君 それでこの審査に活用する資料、十何種類かの資料を請求したと聞いておりますが、その資料の内容は別としても、どういう資料を請求し、その資料に基づいて検討しているか、そういうことを、これはいま時間がございませんので、あとでいいと思うのですが、報告していただきたい。そのことお願いできますか。
#103
○政府委員(山田精一君) 先ほども申し上げましたごとく、私ども判断いたします基準としては、競争企業との事業能力の比較とか、あるいは関連業界の企業との取引の状況、新規参入の有無、代替品、輸入品との関係、こういうようなことを基準として判断をいたしておりますので、これに関する資料、これは当事会社のみならずユーザーの側、それから競争業者の側から同じような性質の資料を求めまして、それを総合的に判断する、かようなことに相なっております。
#104
○塩出啓典君 それは委員会でも答弁されているからよくわかるわけですよ。そのためにどういう資料をもとに検討しているか。いま検討する一つのポイントをあなた言われたわけですけれども、そのためにどういう資料が必要か、どういう資料をもとにやっているかという、その資料の項目をあとで報告していただきたい。そういうことで、それはできるかできないか、それだけ言っていただきたいと思います。
#105
○政府委員(山田精一君) 審査の段階における資料は、これは差し控えさしていただきたいと存ずるのでございます。それはなぜかと申しまするというと、これから正式の調査をいたします。そのために証人に来てもらいましたり、いろいろ供述をとることがあるわけでございまして、それに先入感を与えることになりましてはいけませんので、正式の調査期間中はこれは差し控えさしていただきたい、かように存じます。
#106
○塩出啓典君 一応白と判定をした五品種に対して、なぜ黒と断定をしなかったか、そういう理由についてはこれは明らかにできない、そういうようないまの考えのようでございますが、これはこの審査が終わったあとにおいてもそういう考えであるのかどうか、あるいは、いまその五品種を黒と断定をしなかった、たとえばシートパイルならシートパイルはなぜそうなったかという、それをお聞きしたいと思うのです。
#107
○政府委員(山田精一君) これは先ほどお答え申し上げましたごとく、過去における三菱三重工の場合には、これは理由をはっきりと御説明をいたし、公表いたしておるわけでございます。またかりに審判となれば、これらの審判は公開されまして問題点が明示されるわけでございます。
#108
○塩出啓典君 そうすると、今回の場合、先ほども御質問がありましたけれども、審判にならなかった場合、なぜ白と判定をしたか。そういう詳細の理由については発表するのかしないのか、その点をお聞きしたいと思います。
#109
○政府委員(山田精一君) 具体的な案件につきましては、これから委員会といたしまして調査を進めた上で決定いたすことでございますから、具体的な案件についてとやかく私の口からまだきまらないものを申し上げるわけにはいきませんけれども、一般論といたしまして三菱三重工の場合には詳しい事情が表明されたわけでございます。
#110
○塩出啓典君 八幡、富士の合併の予備審査の段階で黒と判定しなかった、その理由というのはこれは発表できないのですか。
#111
○政府委員(山田精一君) これはどこまでも予備調査でございまして、正式な手続ではございません。ただいまも申し上げましたごとく、これから正式な調査をいたしますので、それからの調査の対象となる関係者に予断を与えることがあっては困りますので、前審査の段階の問題は差し控えさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#112
○塩出啓典君 この点は非常に論議をしても始まらないわけでありますが、私たちとしては予備審査であると言いながら、向こうに対してはどんどん言っておる。ところが議会においては予備審査だと言った答弁をしない。あるいはまた、いろんなそういう質問に対しても、仮定には答えることができない、そういうふうにいつも委員長は言うわけですが、ところが考えてみれば、合併するかどうか、そういうこと自体もこれはやはりきのう初めて正式に出されてわかったわけであって、予備審査の段階ではこれはあくまでも合併するという仮定のもとにやっていると思うのですよね。向こうに対してはやはり仮定のことに対してどんど非常な労力を使って推進している。ところがわれわれの質問に対しては、仮定には答えることが下さない。そういう非常に委員長の答弁には一貫性がないわけでありますが、その点どう考えておりますか。
#113
○政府委員(山田精一君) これは行政相談は仮定のもとにやっておりますことは御指摘のとおりでございまして、たとえばいま相続が起こったならば相続税はどうなるであろうかという相談と同じことでございまして、当事者には、もしいま相続が起こればこういうことが問題になるであろうということを答えることは適当だと思いますけれども、それを一般に広く、あそこの家で相続が起こったら相続税はどうなるであろうというようなことを申し上げることは、これは差し控えたほうがよろしいのではないか。現実に相続が起こりまして、その人の相続税がどうなるかということでございますれば税務署はあるいは公表いたすかどうか私詳しいことは存じませんけれども、前相談の段階において公表いたすことは差し控えるのが適当ではないか、かように考える次第でございます。
#114
○塩出啓典君 それで、いまさっきも出ておりましたニチボーと日レの合併の問題にいたしましても、委員長は知らない、そういう答弁である。ところがちゃんと新聞には公取委の見解として事務局長が独禁法上問題はない、そういうように発表しているわけですね。きょうの毎日新聞に載っているわけですよ。そういう点、委員長がここで答弁をされることはそれは一応いいとしても、その事務局の者に対してもやはりちゃんと指示を徹底をして……。ここで言っていることとやっていることは別だというのでは、非常にわれわれは不可解なわけですよ。またエコノミストなんかにも、これは毎日新聞の太田さんという人が、いろいろ某委員がこういうことを言った、そういうような非常に聞くにたえないようなことを書いているわけです。そういう点、私はこちらに答弁することと実際は違うということは、委員長としてこれは職務怠慢であると、かように思うわけですけれども、そういう点はどう考えておりますか。
#115
○政府委員(山田精一君) 日レのケースにつきまして、事務局長が問題はないというようなことを言ったといたしますならば、これははなはだ不適当であると存じます。十分な検討もいたしませんでどうこうということは言えないわけでございまして、やはりこれは正式な当事者からの意思表示がございました上で、ある程度調査をいたせば、これはよろしいかよろしくないかわかると思います。
#116
○塩出啓典君 それでは次に、予備審査ではシートパイルについては、これは灰色という、とにかく黒でも白でもない、そういう判定をいたしましたが、本審査においてはそういうことでは許されないと思うのですね。そういう点で、そういう疑いがあるというような場合ですね、どちらをとるのか、疑わしきは罰せずという、そういう刑法の原則がございますが、この独禁法の十五条の解釈において、疑わしきは勧告せずか、あるいは疑わしきは勧告するというのか、その点、委員長個人のお考えを聞きたいと思います。
#117
○政府委員(山田精一君) 委員会を構成しておりますのは五名の委員でございますから、委員個人の意見の発表というものは、これは法律によってとめられておるわけでございまして、個人的の見解ということを申し上げるのは御遠慮さしていただきたいと思います。
 要するに独禁法の第十五条の規定は、先ほども申し上げましたごとく、合併によって将来競争の実質的制限になるかどうかということを判断いたすのでございますから、白か黒かいずれかに判断をいたさなければならないものである、かように考えます。
#118
○塩出啓典君 ともかく疑わしきは、そういう中間はないと、どちらかにはっきりきめると、そういうことですね。
#119
○政府委員(山田精一君) 疑わしきは罰せずというのは、これは刑法の原理であると存じますけれども、私どもとしては、いずれかにきめなければならない、かように考えております。
#120
○塩出啓典君 それでは次に通産省にお聞きいたしますが、この合併問題について、先ほども企業の国際競争力をつけるために合併には大体賛成であると、そういうお考えでありますが、これは一般論としてはそうであっても、この八幡、富士の合併に対しては、通産省としてははっきりと現段階においては態度を表明していないように思うわけでありますが、これは一体賛成なのか反対なのか、そういう点はもう無関心なのか、その点をちょっとはっきり言ってもらいたいのですがね。
#121
○政府委員(吉光久君) 私ども産業政策上の立場から考えます場合には、こういう企業の集約化ということが行なわれていくことが望ましいというふうに考えておりますけれども、この具体的な八幡、富士の合併につきまして、その産業政策上の問題と独占禁止法との関係の問題になるわけでございまして、あくまでも独占禁止法のワクの中で認められるということを前提として望ましい、こういう考え方でおるわけでございます。
  〔委員長退席、理事剱木亨弘着席〕
#122
○塩出啓典君 はい、わかりました。
 それでは、先ほど委員長はこの独禁法の第一条をまず優先的に考えて審査すると、そういうお話でありましたが、いままでの委員長の答弁は、これは何回もいままでもあなたにお聞きしたわけですが、こういう合併という問題は独禁法上の問題と経済政策上の問題がある、ところが第一条の点からいうならば、ほんとうに合併が国民にメリットがあるかどうか、そういう点も、とにかく第一条から見るならば、考えていかなければならない。ところがあなたの場合は、十五条にしぼっていけば、極端な場合言うならば、今回の場合いろいろ対応策があるわけですよね。非常にまあ実際に効率の悪い対応策を実施して、それが独禁法に触れないからといって通った場合に、実際に国民大衆に対してはそういう不合理な対応策がもしあったために原価が上がった場合には、その責任は一体どうなるのか。あなたにはただ第十五条という、そのようにいままで答弁している。ところが、いまさっき言った第一条も第一に優先的に考えると、そういう点には大きな開きがあるわけですね。これはいままでも何回も問題になったと思うのでありますが、そういう点をあなたの言っていることに私ども――私の言う意味わかりますか、結局第一条は、いまさっき言いましたように、「公正且つ自由な競争を促進し」、そこに「一般消費者の利益を確保する」とあるわけですね。利益を確保するためには、やはり生産原価が下がって、そして品物は安くなる、そういうこれはやっぱり必要だと思うのです。そういう点をやはり審査していかなければならない。ところがいままでのあなたの委員会の答弁においては、ただ十五条のそういう統一解釈といいますか、それをもとにやっていくと、それでは第一条に言っていることはチェックできないと思うのですけれども、そういう点どう考えていますか。
#123
○政府委員(山田精一君) 第一条は、御承知のように私的独占禁止法の目的を掲げてあるのでございまして、先ほども申し上げましたごとく、第一条の眼目は「公正且つ自由な競争を促進し」というところに集約されておるのでございます。したがいまして経済政策、産業政策、広い立場においてどういうことが国民経済にとったメリットであるかということは、第一条の規定の範囲外でございます。第一条は、要するに公正にして自由な競争機能を十全に発揮させるような機能を守っていく、これでございます。したがいまして、合併に関する案件は直接は第十五条によって処理をいたすわけでございますが、しかし、独禁法の全般として第一条がそのバックとしてある、こういうことでございまして、私、前から御説明申し上げておるところに矛盾はないように考えております。
#124
○塩出啓典君 それではお尋ねしますが、この鋳物用銑鉄の場合、たとえばその対応策として、いま三年間に八幡が二十万トンの減産をする。そういうような対応策が出ておりますが、これは私はあくまでも将来の仮定だと思うのですね。そういう仮定の上に立って審査するということは、非常にいままでの委員長のそういう発言から見るならば、そういうことはすべきではない。それをもしするならば、自語相違である。私はそのように思うのですが、その点どうですか。
#125
○政府委員(山田精一君) 対応策というものは、まだ内容を検討しておりませんので、これはその検討の過程において十分慎重に厳正に判断をしてまいりたい、かように考えます。
#126
○塩出啓典君 そういう過程といっても、これはちゃんと出ているわけですから。あるいはさっき言ったように、相続税の場合にしてもそれと同じように、もうそういう審査はちゃんと出ているわけですからね。それはもう一般的なただ不確定なものではなくて、ちゃんと審査が出ていることは明らかなんですから。それに対してもそういう答弁をするということは、私はよくないと思うのですよ。実際にもう八幡、富士から対応策が出ているわけなんですからね。だからそういう二十万トン減産するということも、これは将来のことですよね。いま現実においては、そういうことはないわけですから。将来の一つの仮定ですけれども、そういう仮定のもとに審査するということは間違いじゃないか、そういう審査に対する態度を聞いているわけなんですよ。具体的にこれをどうするかということでなくて、そういう対応策というものは、いま現実にここにあるわけではない。あと徐々に三年間に出されていくわけですから、そういうものを前提にして審査することは、それは間違いじゃないか。そのように私は思うわけですけれども、そういう点について委員長のお考えどうですか。
#127
○政府委員(山田精一君) 先ほどの御質問にもお答え申し上げましたごとく、海のものとも山のものともわからぬ、こういうものは問題にならないと思うのです。結局、将来にわたって合理的蓋然性があるかどうかということを十分厳正に判断をいたしてまいりたい。合併に関する案件そのものが将来に属することであって、これがたとえばカルテルでございますならば、これは現に行なわれておるところの、現在存在しておるところの事実を評価し、判断をするわけでございますけれども、合併はまだ行なわれておらない、これから先どういう実質的制限が起こるのか起こらないのかという判断でございますから、どこまでも合理的蓋然性、将来の予測ということが伴うのは、これは必然的であろうと思います。
#128
○塩出啓典君 それではこの対応策というものを、いまさっき言いましたように、一つの例といたしまして、鋳物用銑鉄を減産する、三年間に二十万トンなら二十万トン減産する、そういうようなことがもし対応策として出されたならば、言うなればその対応策自体がもう自由な競争を制限していることになると思うのです。自由な競争じゃなくて二十万トン減らせろということは、すでにこれは一つの自由な競争を制限していることになると思うのでよ。だから私は独禁法に触れるのに対する対応策としてやっていることが、現実においては競争制限じゃないか、そのように私は思うわけですけれども、それに対して委員長はどう考えていますか。
#129
○政府委員(山田精一君) これはまだ委員会として全然実質的の審議をいたしておりませんので、何とも申し上げかねると思います。
#130
○塩出啓典君 ともかくそういうことはあなた個人としては言えないということですね。これからまだ検討して、だからそういうのは黒とも白ともそれはこれからの問題でわからない、そういう意味ですね。
#131
○政府委員(山田精一君) 委員会の意思は決定しておらないわけでございます。
#132
○塩出啓典君 それではもう時間もありませんし、ちょっと大急ぎでやりましたもので、内容も順序が逆になりましたけれども、われわれの希望としては、いままでのように公正取引委員会はともかくこの第三十八条ですか、そういうものをたてにとって審査の段階のいろいろ聞きたいことを少しも外部に発表しようとはしないけれども、これはこの前衆議院の委員会でも問題になっておったようでありますが、四十三条には、「公正取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」と、まあそのようにちゃんとあるわけですね。また実際に委員長も先般は一番合併の根本となるいわゆる統一解釈、統一解釈ということばはよくないかもしれませんが、いわゆる新聞等でいわれる統一解釈についても、これは一番判断の基準になるものさしですからね、これを明らかにしなきゃならない。ところが、それを最初三十八条をたてにとってそれも言おうとしない。けれども、あとになってついにそのことを言ったわけですね。やはりそういうように、やっぱり私は、もっともっと言うべきだと思うんですよ。それをできるだけ言うまいとして何だかんだと言って、そうして前の情勢がどうも言わぬとまずいようになると、ちびりちびりと言う。それではどうもすっきりせぬわけですよ。そういう点で先ほども問題がありましたように、この「秘密」という問題はどういう問題かというのは、これはまたいろいろ検討の余地はありますけれども、しかしいずれにしても、われわれの知りたい範囲のことは、企業の秘密というのじゃなくして、当然公開すべきものだと思うのですよ。だから今後委員長においてはひとつ四十三条の内容をよく検討していただいて、この審査の状況というものを、どちらにしても国民の皆さんに納得のいくようにちゃんとやっていくのが私は委員長としての責任じゃないかと思うのですね。そういう点でいま私の言いましたことに対して、これはまあここでこうするということは言えませんけれども、委員長としての決意なり、いままであまり非公開主義をとってきたけれども、そういう点はひとつ改めて、国民の皆さんに納得のいくようなそういう審査をやっていこう、そういうやはり決意でやってもらいたいと思うのですよ。その御決意をお聞きして、もう時間もたちましたので、私の質問を終わらしていただきます。
#133
○政府委員(山田精一君) 従来ともある事件が終結いたしましたときには、これは支障のない限り、できるだけ公表いたしまして、世間の一般国民の方々の御理解を願うよすがにいたしておるわけでございます。ただ私ども申し上げられないと申しますのは、事件を扱っております途中でもってとやかく申し上げますと、これは関係者に予断を与えましたり、あるいはその証言を左右する弊害がございますので申し上げられないということを申しております。一つの事件が完結いたしました暁においては、できるだけの限りにおいてこれを公表いたすことにつとめてまいりたい。それによって一般国民の方に独禁法の精神また運用というものを御理解願っていきたい、こういう決意でおりますことを申し上げておきます。
#134
○須藤五郎君 もうほかの委員が相当時間やって、時間もなさそうですが、私も実はゆっくりと時間をかけて質問しようと思って、たくさん準備はしてきたんですが、これはあらためてゆっくりとやることにしまして、きょうは二、三問ちょっと伺っておきたいと思うのですが、公取委員長、きょうもニチボーと日レの問題がこういうふうに出ました。こういうふうにこれからもずっと今後長く大企業の合併という問題は続いて起こってくると私は思うのですよ。そこで、やはりこの際、公取として独禁法の限界といいますか、いわゆる基準ですね、三〇%なら三〇%、それをはっきりと示しておくことが必要ではなかろうかと思うですね。そうでないと、これからも大企業は合併するたびにいろいろな問題が起こるし、また企業が合併しようとする側でもいろいろと迷いや矛盾が起こって迷惑がかかることもありますし、この際、真意というか基準ですね、それをはっきりと示されたらどうでしょうか。
#135
○政府委員(山田精一君) 同様な御意見は財界のほうからも非常にそういう要求を受けております。何か基準を出せという意見をよく承るのでございます。ただ私どもの立場といたしましては、これは三〇%とかあるいは四〇%とか、算術的な基準でもって事がはっきりと白黒にかけられるならば、これはたいへん私どもとしても便利なものでございますけれども、これはそれぞれの業種、それから競争事業者の力関係、その合併当事者だけが非常に力が強く、あとのものはほとんど取るに足りる力もないという場合もございますし、あるいは有力な企業がたくさんある場合もございます。それからその商品の性質、あるいは耐久消費財でございますとか、あるいは原料資材でございますとか、そういう関係もございますし、先ほど申し上げました代替品とか輸入の関係とか、こういうこともございまして、どうも一定の基準というものを出すことは非常に困難でございます。要するにケースバイケースということになってしまうのでございます。外国の例を見ましても、アメリカで、御承知のように昨年の六月でございましたか七月でございましたか、合併に関するガイド・ラインというものが一応出ましたんですが、これには繰り返し三回か四回、このガイド・ラインは何らの予告なくして何どきでも変更することあるべしと、これではガイド・ラインにしてガイド・ラインの効果がないように思います。私どもも常に何か基準はできないものかと研究はいたしております。ただいまの御発言の気持ちはよくわかるのでございますが、実際問題としてはなかなかむずかしい。今後も研究は続けてまいりたい、かように考えております。
#136
○須藤五郎君 この前の公取委員長は三〇%という線を出されたということを伺っているんですがね。それと同時に、きょうの、これはまあ委員長には責任がないことかもわからぬが、このニチボーと日レの合併で「問題なさそう」という「公取委員の見方」という書き出しで、そうしてここに「合併後一番高くなるものでも市場占有率は十数%台にとどまり、公取委が一応の警戒ラインとみている三〇%に達するものはない。」ということが出ているわけですね。そうすると、こういうことでニチボーと日レが合併ができそうだという公取の見解として出ているわけですね。そうすると、それじゃ三〇%こえねばいいのかという意見がひとつ出てくるんですね。そうすると、それじゃ今度の八幡、富士は三〇%こえていないのかというと、これはレールなんかは現在のところは一〇〇%ですよね。それからそれがほかの、どこの工場でしたか、釜石ですか、釜石が日鋼の経営に移ると、そうすれば一〇〇%でなくなると言いますけれども、この場合でも、レールに限っては、釜石が日鋼に移ったとしても、そのパーセントはやはり相当六〇%、七〇%というものは八幡、富士の今度新しくできる会社が占めるわけですね、シェアを。そうすると、それじゃ六〇、七〇というふうになっても、八〇になっても合併が認められるのかということにもなってくるわけです。そこのけじめというものが非常にルーズに、そのときどきの公取の判断でやられていくということになりますと混乱がくるのじゃないかと私は思うのです。だから、これはやはり見通しというもの一応立てておく必要があるし、それじゃ、三〇%という線を引くと八幅、富士の合併にたちまち大きな影響がくるから、三〇%というふうには引けない、だから、いま委員長がおっしゃったような、そういうケースバイケースであるというようなことばで濁していくのか、これははなはだ不可解な点が私は多いと思うのですが、どういうふうに財界なりわれわれは理解していっていいですか、そういう点は。
#137
○政府委員(山田精一君) いま三〇%のお話ございましたが、これはおそらく横田委員長当時国会で御答弁申し上げたのではないかと存じます。あの表現はシェア三〇%というものを、何と申しますか、ちょっと正確な表現を記憶しておらないのですが、一つの警戒ラインとして申し上げたと思うのでございます。これは裏を返しますというと、三〇%未満であれば特別にそれほど深く調査をしないでもという意味合いのように理解しております。その後のケースの取り扱いにつきましては、三〇%をこしております商品については十分慎重に調査をするということでございます。したがって、三〇%まではオーケー、三一%になるといけない、こういう運用はいままで一回もいたしたことはないのでございます。過去において合併を認められましたケースで、かなりの高いシェアを持っておるものもございます。先ほど来くどく申し上げておりますように、競争事業者の地位とか、あるいはユーザーの地位あるいは代替品、輸入品の関係、これらを総合的に判断をしてやっておるのでございます。
#138
○須藤五郎君 それはなんですよ。三〇%ときめて、三〇・五%になればいかぬとか三一%になればいかぬとか、そういうかた苦しいことではなかなか運用がむずかしかろうと思うのですけれども、三〇%を警戒ラインとしてという意味は六〇%でも八〇%でもかまわないのだという意味ではないだろうと私は思うのですね。いまこの八幡、富士が問題になっているのは、そういう一〇〇%のものもあれば、六〇%をこえるものもたくさんあるわけですよ、今度の中に。それは不当ではないのかと今日皆さんが言っていらっしゃる私は議論だと思うのですよ。せっかく三〇%が警戒ラインとして前に出されているならば、これは常識でやはり判断していらっしゃるのが私は適当ではなかろうと、こういうふうに思うのですね。それで、さっき公取委員長は独禁法の「公正且つ自由な競争を促進し、」という条項をお読みになって、これの精神で、私たちはやっておりますとおっしゃったわけですね。そのとおりでなければならぬと思うのですが、そうすると、今回の八幡、富士のレールだけ取り上げても、これは「公正且つ自由な競争を促進し、」という条項に当てはまるかどうかという点なんですが、オオカミと羊の間に自由な競争なんてないですよ。まさに八幡富士の合併というものは、財界におけるオオカミになるわけですよ。ほかの業者は羊ですよ。弱体ですよ。オオカミと羊の間に、あなたのおっしゃるような「公正且つ自由な競争」なんてあり得ますか。そんなことはあり得ないですよ。ことばの上ではあっても、実際の上においてはあり得ないじゃないですか。どういうふうにあなた――政府は監督するとおっしゃいますけれども、監督のしようがないじゃないですか。どういうことなのですか、ここは。オオカミと羊の自由を私は説明してほしいと思うのですよ。
#139
○政府委員(山田精一君) したがいまして、レールは十五条に抵触するおそれがあるということを勧告いたしましたわけでございます。いわゆる対応策なるものは今後十分厳正に検討してまいりたい、こういうふうに考えます。要は、一定の取引分野における競争が実質的に制限されないように、十分厳正に判断してまいりたい、こういうふうに考えております。
#140
○須藤五郎君 通産省ね、これは政府も監督するというその監督というのは、具体的にどういう監督をするのですか、そういう場合に。
#141
○政府委員(吉光久君) いまレールの問題においてお尋ねでございますけれども、結局レールにつきましては、その最大の需要者でございます国鉄、さらに私鉄等が需要者であるわけでございますけれども、それぞれがみな、需要者の主務官庁でございます運輸大臣の監督のもとにあるわけでございます。したがいまして、おそらく運輸省は、自分が監督いたしておりますところの国鉄なり私鉄等が、レールの取引につきまして公正な取引をされるかどうかということについては常に厳重な監視の態勢にあるわけでございます。したがいまして、そういう角度から今度の合併問題について、その合併によって需要者である国鉄、私鉄が不当な地位に立たされないような、そういうふうな措置ができるかどうか、こういうことについて検討をいたしておるのではないかと思います。
#142
○須藤五郎君 それはなんですよ。日鋼がレールを釜石でつくるということになるかもわからぬですね。今後なるかもわかりません。しかし国鉄――買う側ですよ。国鉄にしろ私鉄にしろ、レールを買う場合に、やはり従来の技術やいろいろのものを考えると、われわれはやはり八幡富士の会社から買いますということをきめて、日鋼がせっかく製造にかかっても、それが国鉄なんかに買ってもらえない場合にはどうするのか。その場合、政府は国鉄には日鋼のレールもこれだけは必ず買わすとか、私鉄にはこれだけは買わすとかいう、そういう保証をつけ、それを国鉄や私鉄に厳重に守らしていくということを政府はやれるのかどうか、やるのかどうか。それがなかったら、野放しだったら、やはり売り手と買い手ですからどうなるかわからないのですよ。それじゃ結局八幡、富士合併の新日本製鉄ですか、それが、これまで占めていたシェアをやはりずっと永久に占めていくという結果が起こってくるのじゃないか、そこまで政府は監督できますか。ちゃんと責任を持って監督できるのですか。そこを聞いておかぬと、これは日鋼にしても、ほかの会社だって、うかうかと金をかけてレールは製造にかかることはできないじゃないか、そこを私は聞いている。どこまで責任を持ってこれをやるのか、その点、はっきり説明してください。
#143
○政府委員(吉光久君) すべての品物についてそうでございますけれども、需要者が、ある取引条件が変更することによりまして、不利益をこうあるというふうなことにならないように措置を講じてまいるということは、やはり政府として常に考えておらなければならないことではないか、このように考えております。
#144
○須藤五郎君 それじゃぼくの質問に対して率直に答えてませんよ。政府が監督するという以上、日鋼も立ち、またほかの製造業者もちゃんと立ち行くというそれがなかったら、八幡、富士の合併した後のシェアというのは、今日よりあるいは伸びていくかもわからぬ。そういう危険が起こってくるんですよ。だから、それを起こさぬためにはやはりそこの保証をはっきりして政府が責任を持たないとあかぬですよ。そんなことできませんよ。政府が責任持つんですか、ちゃんと。そこを明らかにしておかないとだめですよ。
#145
○政府委員(植木光教君) 先ほどお答えしました中に、通産大臣やあるいは事務次官が運輸省に対して、対応策についての相談を当事者から行なう場合には親切に相談に乗ってやってほしいということを申し入れてあるということを申し上げました。その当事者という中には、これはかりの問題でございますけれども、新規の参入企業というものも含めているわけでございます。したがって、いま御指摘のような問題については、政府としては十分に責任を負っていくというかまえで仕事を進めているわけでございます。
#146
○須藤五郎君 それじゃもう一ぺんはっきりしておいてもらいたいのですが、それでは今後三対一のレールですね、八幡が三で富士が一、いまこれは一〇〇%ですよね、これで。その富士の一の釜石がほかの会社に移るとしましょう、AなりBの会社へ。そうすると、この一という面、これだけは絶対国鉄や私鉄に保証をする、買わすという保証をするということなんですか。今後できる日鋼なら日鋼の製品を、現在釜石でつくっているだけの量は、少なくもこれは国鉄なり私鉄に買わすということを政府が保証するのかどうか。これだけでも私は安心しないんですよ、いわゆるオオカミと羊の自由競争になるんですから。だから、そこをはっきりしておかなかったら――やはりこの八幡、富士の合併という問題は大きいのですよ。だから三〇%という線を前の委員長が言ったんじゃないですか。これが六〇、七〇、八〇%というふうにずっとなってきたら、やはり羊とオオカミの競争になるんですよ。だから、そういう点をこの独禁法はなくすためにやられているものだと私は理解しているんですがね、公取委員長。ことばではそうおっしゃっても実際問題になるとこれが守れないということが起こってくる。そのとき政府が責任を持って――政府の監督というふうなことばでこれを片づけても、私たちは政府はどこまで監督するのか、どういうような監督をするのかという具体的なことを聞いておかぬと、私たちはこれはとても了承できないですね。もう一ぺん政務次官、ごめんどうですけれども、はっきりと政府がちゃんと保証する、どういう形で保証するということを述べておいてください。
#147
○政府委員(植木光教君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、かりに新会社ができたといたします場合には、技術水準の向上でありますとか、あるいは品質の向上等につきまして援助をさせる、業者の援助をさせるという方向で指導していかなければなりませんし、また、先ほど申しましたように需要者の立場、それから新しい会社が十分経営として成り立っていくという方向で指導していかなければならないのは当然でございます。したがって、その方向でいま努力すべく検討を進め、また先ほど申しましたように運輸省やあるいは国鉄に対しまして、当事者から相談があればこれは十分に親切に相談に乗ってやってほしいということを申し入れているわけでございます。
#148
○須藤五郎君 それでもまだ私は満足しませんけれども、公取委員長ね、こういうことが将来起こった場合、公取としてはどういうふうな措置をとられますか。せっかくあなたが考えられても、私が言ったような状態、いわゆるオオカミと羊の競争が起こって羊が負けてしまうということが、いまレール一つとっても考えられるわけですね。その場合、公取としてはどういうふうな措置をおとりになるのですか。どういう責任を感じられますか。
#149
○政府委員(山田精一君) オオカミと羊という御比喩は非常におもしろいのでありますけれども、企業同士のことでございまするが、オオカミと羊ということでなくてやはり人間と人間との競争ではないかと思われます。したがって体重が多い者が必らずしも強いというわけでもなければ、体重が軽くても生命の強靱な人間もおりますし、その辺のところが私どもの判断がきわめてむずかしいところではないか。かように体重でもって判断するほどは簡単にいかないと思うのですが……・。
#150
○須藤五郎君 それは公取委員長、私たちの予期したように、財界の競争ほど甚しいものはないですよ。もうしのぎを削っておるのじゃないですか。人間と人間じゃないですよ。私たち見ておると、まさにオオカミと羊ですよ。財界の食うか食われるかということじゃないですか。公取委員長そういうようなことを言っちゃいけませんよ。
 ちょっと公取委員長にいやな質問ですが伺いたいのです。坂根哲夫さんという方は前公取委員会事務局長だということを伺っているのですが、いつまで事務局長に在席していらっしゃいましたか。
#151
○政府委員(山田精一君) 私、就任いたす前のことでちょっといま、いつまで在任したか記憶ないのですが、だいぶ前であろうと存じております。
#152
○須藤五郎君 大体何年ごろでしょう。
#153
○政府委員(山田精一君) 昭和三十六年の春ごろではないかということです。
#154
○須藤五郎君 それからいまこの方は八幡の重役になって調査部長に就任していらっしゃるということを伺っているのですが、間違いないでしょうか。
#155
○政府委員(山田精一君) 調査部長であるようでございますが、重役であるかどうかは存じません。
#156
○須藤五郎君 そうすると、私の調べたのほうが正確かもしれませんが、私が調べたのじゃ、八幡の調査部長であると私は聞いたわけです。そうすると、三十六年まで公取に在職して、それから八幡に就任なさったのは何年ころになるのでしょう。
#157
○政府委員(山田精一君) ちょっといまはっきりした記憶がないのであります。一年くらいたってからではないかと思います。
#158
○須藤五郎君 私はこの事実を何だか不明朗な感じがするのですよ。公取の事務局長を八幡が引き抜いて調査部長に据えたということは、もう八幡製鉄はその当時から今回の合併という問題を念頭に置いて、そうして公取のいろいろな問題に精通しておる事務局長を引き抜いて調査部長にして今回の合併をずっと計画してみえたのではないかと、こういうふうに推測できるわけですね。こういうことはやな推測とおっしゃるかもわかりませんけれども、そういうことも考えられるわけですよ。そうすると今回の合併のぜん立てが前の公取の事務局長である坂根さんの手によってぜん立てされてきたということになると、はなはだ私は不明朗なものを感ずるわけなんですがね、それ以上私はきょうは申しません。それで、私はあらためて次の機会にまとまった質問をさしていただきたいと思います。
 これで私は質問を打ち切ります。
#159
○理事(剱木亨弘君) 本件についての調査は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後零時四十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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