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#1
第061回国会 商工委員会 第8号
昭和四十四年四月一日(火曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                大矢  正君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                大谷藤之助君
                大谷 贇雄君
                村上 春藏君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                小柳  勇君
                近藤 信一君
                竹田 現照君
                塩出 啓典君
                矢追 秀彦君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省重工
       業局長      吉光  久君
       通商産業省化学
       工業局長     後藤 正記君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等
 の法律案(内閣提出)
○日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関す
 る法律を廃止する法律案(第六十回国会内閣提
 出、第六十一回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八木一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○大矢正君 まずお尋ねをいたしたいことは、本法が成立してからちょうど満十年になりまするが、この十年の間に本法が今日まで果たしてきたその成果あるいはその結果、そうしてただいまの状況等について御説明を願いたいと思います。
#4
○政府委員(吉光久君) 御指摘ございましたように、ちょうど十年になるわけでございますが、軽機械の輸出の振興に関する法律は、私、御説明申し上げるまでもなく、第一に輸出向けの家庭用ミシン及び双眼鏡につきまして、製造事業者の登録制度を実施することによりまして、これらの商品の品質の向上及び過当競争の防止をはかるということを第一のねらいといたしておったわけでございます。と同時に、第二に、それぞれこの法律に基づきまして輸出振興事業協会を設立いたしまして、海外における宣伝あるいはマーケティング、アフターサービスその他の輸出振興事業を行なわせることとなっておったわけでございます。この十年間、この法律が施行されましてから、まず第一には、輸出品の品質というものが非常に向上を見ておりまして、ミシンにおきましては輸出検査の合格率というふうなものが飛躍的に上がっております。と同時に、従来海外から商品についてクレーム等がございましたけれども、逆にそういう声はだんだんとなくなってまいるというふうな成果を果たし、また双眼鏡におきましては、双眼鏡の鏡体がダイカスト化――本法が制定されました当時はほんのわずかの部分しかダイカスト化されていなかったのでございますけれども、最近におきましては六十数%ダイカスト化されるというふうな品質の強化、あるいは品種が非常に多様化してまいるというふうな品質の向上が見られておるわけでございます。と同時に、ミシン、双眼鏡、それぞれ業界内の体制整備というものが進展いたしておりまして、従来のような、いわゆる悪くても輸出しよう、あるいは安かろうが輸出しようというふうな、そういうふうな感じのものが当該業界の中から払拭されまして、それぞれ自主的に輸出振興をやっていくというふうな、そういう基盤が充実いたしたわけでございます。そういう意味から、この十年間に、これは本法だけの成果とも言えないと思いますけれども、業界の自主的な努力と本法の運用と相まちまして、両業界とも国際競争力を持ち得る、そういう基盤が十分に成立したものと考えております。
#5
○大矢正君 この法律の適用業種と申しますか、適用品種と申しますか、それをミシンと双眼鏡だけに限定されて今日に至っておりますが、家庭用ミシンと双眼鏡にのみ限ったという理由はどこにあったのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#6
○政府委員(吉光久君) 法制定のときにおきましては、さらにトランジスタラジオ等も意図いたしておったようでございます。このミシンでございますとか、双眼鏡でございますとか、これは実はアセンブルメーカーと申しましょうか、それぞれの部品をそれぞれの業者がつくりまして、それを完成品にいたします。業者がそれらの部品を集めまして、それを組み立てて完成品にするという点におきまして一つの特徴を持っているわけでございます。と同時に、その部品メーカーというものの圧倒的多数が中小企業でございますし、あるいはまたこの完成品メーカーのうちにも相当数の中小企業者がいるというふうなところから、特にこの家庭用ミシンと双眼鏡につきまして特別な措置が必要ではないかというふうに判断いたしたわけでございまして、先ほど申し上げました、トランジスタラジオにつきましても、当初話題にのっておったようでございますけれども、生産形態がだいぶ変わっておりまして、したがいまして本法の適用対象からは一応はずして、先ほど申し上げましたような家庭用ミシンとそれから双眼鏡、この二つだけが適用対象として今日まで続いてまいったわけであります。
#7
○大矢正君 この十年間に、輸出秩序が確立され、過当競争が防止された。したがって法律の目的とするところが果たされたということによって本法を廃止しようということのようでありますが、なるほどただいまの説明によって、この十年の間にかなりよい結果が出て、対外的な信用の面においても体制的に固まったということは理解できるのでありますが、かりに本法が廃止となり、そしてそれに伴う一切の制約が排除された際に、再び輸出秩序の問題あるいは過当競争の問題、また先ほども話がありましたような品質の問題等々で、重ねて問題が出やしないのかどうか、その点心配をするのでありますが、そういう心配は今後あり得ないという判断がありとすれば、そういう心配はなぜ出ないのか、御説明を願いたいと思います。
#8
○政府委員(吉光久君) 御指摘の中にもございましたけれども、この両業界とも、従来、ちょうど十年前におきましては、いわばめくら貿易にもひとしいような、そういう状況で輸出をやっておったわけでございます。しかもこのミシンなりあるいは双眼鏡は、いずれかといいますと、国内的ウエートよりか輸出ウエートの非常に高い、そういう商品でございます。しかも先進諸国、後進国すべての地域を通じまして輸出されておるというところに、この商品の特徴があるかと思うわけでございます。したがいまして、この法律によりまして、他の業界にない特別の保護を受けておったわけでございますけれども、この法律を廃止いたしました暁におきましては、いまの輸出秩序問題につきましては、現在ございます輸出入取引法の運用というものを通じまして、現在せっかく築き上げられました秩序が行儀よく維持されていくというふうなことで、これは輸出入取引法でございますので、業界の自主的な運営が中心になってまいるわけでございますけれども、この輸出入取引法の逆用を通じましてさらに輸出秩序を維持してまいるというふうな方向で対処いたしてまいりたい、こう考えるわけでございます。
 なお、一般的な事業に対する措置といたしまして、他の中小企業近代化促進法でございますとか、あるいは団体法でございますとか、そういうふうな中小企業関係の現にございます法律の運用を通じまして、さらに現在の体制がそのままより強固になるよう、私どもといたしましても一そう注意し、同時に努力してまいりたいと考えます。
#9
○大矢正君 この法律が廃止となり、二品種について対外的な取引をする際に、絶対的にそういうようになると申すわけではありませんが、しかしながら今日の家庭用ミシンその他の状況から見て、力のあるものがどんどん輸出市場を開拓し、力の弱い者、具体的には中小企業と呼ばれるミシンその他機械メーカーというものが脱落をするという心配というものが生まれてこないのかどうか。自由な競争と申しますか、力による競争へ変化していくわけでありますから、その過程で、ただいま申し上げたような中小企業の中に、立ちおくれのために結局のところ後退をしなければいかぬというようなものもあらわれてくる心配がありますが、そういう面についての指導なりまた考え方があったらお答えをいただきたいと思います。
#10
○政府委員(吉光久君) そういう懸念も全然ないというふうに申し上げるわけにはいかないと思うわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、輸出入取引法等現在ございます他の法律の運用を通じまして、輸出ルートの安定維持のためのルールは守ってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、この法律を廃止いたしますと同時に、従来やっておりました設備についてのいろいろな調整関係の規定等につきましても、これらは全部廃止いたしまして、まさに業界の自主的な判断で活動ができる、こういう体制に持ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。いまお話ございましたミシン等につきまして、特に力のあるものが横行し、中小企業者が脱落していくのではないか、こういう御指摘でございました。ミシン業界におきます体制整備、グループ化は非常に進展いたしておりまして、しかもそのグループ化と輸出取引秩序というふうなものが相当安定した。これはメーカーそれから日本の輸出業者、外国の輸入業者、これらの三者の系列を通じまして取引秩序も相当安定いたしておりますし、あるいはまた日本のミシンのブランドがすでに外国で位置づけられておると申しますか、定着してまいっておるというふうな状況でもございます。したがいまして、こういう状況がそのまま維持されるならば、かつてありましたような、いわゆる乱立ぎみからの過当競争というふうなことは防げる地盤がすでにできておるのではないか、こう判断いたすわけでございます。したがいまして、そういう乱立的な過当競争というふうなものが排除されれば、おのずと中小企業者の地位も安定した形で現在の地位をそのまま継続できるんではないであろうか、このように考えておるわけでございます。
#11
○大矢正君 この法律に基づいて輸出振興事業協会が設立をされ、その事業協会が今日まで各種の業務を行なってきたわけでありまするが、たとえばこの振興事業協会の業務目的の一つである市場の調査あるいは製品のPR等、こういうものは、この法律の廃止と事業協会の解散によって事実上それぞれの業者が直接行なうというような形に私はなるんではないかというような感じがするわけでありまするが、その際に、せっかく体系的にと申しますか、科学的にと申しましょうか、一本にまとめた市場調査なりPRというものが行なわれてきたものが、今度行なわれなくなるということによって、その面における情報の収集等についての立ちおくれが出やしないかどうかという心配をいたすわけでありまするが、それらの点についてはどう処置をされるつもりか、あるいはまたどのような結果が出ると御判断されておるのか、お答えを願いたいと思います。
#12
○政府委員(吉光久君) この法律に基づきます特殊法人としての輸出振興事業協会は、この法律の廃止と同時に、いま御提案を申し上げております法律によりまして解放の過程に入るわけでございますけれども、この輸出振興事業協会の輸出振興事業は、実際問題といたしましてジェトロにございます軽機械センターを通じて活動いたしておったわけでございます。この軽機械センターと申しますのは、ミシン、双眼鏡のみならずこれらに類似した商品十業種につきまして、現在世界四ヵ所に設けられておるわけでございまして、この輸出振興業務として出先第一線でやっておりました軽機械センターはそのままの形で存続をしてまいるという形で考えておりまして、国内における協会のやっておりました事業につきましては、ミシンについては社団法人の日本家庭用ミシン工業会が、この振興事業協会がやっておりました事業をそのまま承継してまいるということ、それから双眼鏡につきましては日本輸出双眼鏡協同組合連合会というものが、この振興協会でやっておりました輸出振興業務を承継してまいるというふうに、現在それぞれの両団体でそこらの承継につきまして打ち合わせが進んでおる状況でございます。したがいまして、従来やっておりましたような海外市場の開拓その他の輸出振興に関する業務は、それぞれ承継団体において承継し、従前どおりの活躍ができるものと、このように考えております。
#13
○大矢正君 後刻大臣が見えられてから質問をいたすこととして、私の質問はおおむねこの程度で終わりたいと思いますが、特にこの法律が廃止され、そしてまた海外に対する各種の宣伝その他の役割りを果たしてまいりました事業協会が解散することによって、業界の秩序が乱れたり、あるいはまた立ちおくれが出るとか、あるいは開発の比較的おくれた国々からの海外における追い上げによって競争力が後退をするというようなことがないように、十分なひとつ配慮と行政上の指導をこの際強く期待をしておきたいと思います。
#14
○塩出啓典君 それでは、まず第一番目にお聞きしたいことは、先般日本輸出振興事業協会の要請によりまして蛇の目ミシンの工場を見学さしていただいたわけでありますが、その際、業界人の意見としては、軽機法はやはりあってよかったと、そういうような意見でございました。で、この法律は当初は政府原案におきましては期限がついていなかったわけでありますが、国会修正によって期限つきの法律となり、また一回延長して今回の期限がきたので廃止するというわけでありますが、言うなれば、ちょうど時間がきたと、そういうわけで今回廃止するわけでありますが、ほんとうにやめてだいじょうぶなのか、その点若干疑問があるわけであります。業界の人の言うように、いい法律であるならばもう少し続けてはどうか。ということは、この輸出振興事業協会が設立される前に、すでにたとえば双眼鏡の場合にはそういう輸出のための協会ができておった。けれども、それでは過当競争と値くずれがあるためにこの輸出振興事業協会というものができて、通産省の強力な指導というものが行なわれたのではないかと思うのです。そうなると、これがまた再びもとの状態に返るわけなんですけれどもね、最初その状態でやっておってうまくいかなかった、そのときこうやってうまくいっておったものを、またもとに返したならば、もとのような過当競争、そういうような点をわれわれは心配しているわけでございますが、そういうような点についての通産省の考え方をいただきたいと思います。
#15
○政府委員(吉光久君) 御指摘の中にございましたように、この法律ができました当時のミシン業界及び双眼鏡業界は、全くのめくら貿易の状況と申しましょうか、業界の構成が中小企業を主体としてできておりました関係上、全くのめくら貿易にもひとしいと同時に、海外でむやみやたらと日本品同士の競争をやりながら値を下げていくというふうな、そういう無用の海外での競争を行なっておったわけでございます。したがいまして、当時の状況から判断いたしまして、これをそのまま業界の自主的な判断だけにまかしたのでは、そこらのめくら貿易の状況というものが打破できないというふうなところから、実は異例の措置だと思うわけでございますけれども、このミシン、双眼鏡につきましては登録制を実施する、あるいはまた調整命令等が発動されております場合には登録の停止、要するに新規産業として入ってくる人の参入の停止というふうな、非常に思い切った措置がとられ、また輸出振興のために輸出したその商品につきまして一定の強制的な負担金と申しますか、それを徴収して、そうして主としてその負担金収入によりまして海外事業活動というふうなものも行なっておったというふうな状況でございまして、これは他の業種には見られない特別の手厚い措置であったというふうに考えるわけでございます。したがいまして、そういう法律の内容でございました関係上、国会におきましても政府提案の段階では恒久法でありましたものが、やはりこういう異例の措置は限時的なものであるべきであるというふうな御意思を表明され、国会で限時法として修正されたのではないかと、このように考えるわけでございます。したがいまして、こういう異例の措置である以上は、やはりできるだけ早い時期に廃止するということが至当ではないか、このように考えたわけでございまして、ちょうどことしの六月に廃止の期限がまいる関係上、この機会にこれを廃止してはどうであろうかというふうに考えたわけでございます。と同時に、内容の問題でございますけれども、この十年間に業界内部におきます体制の問題、あるいはまた、外国との輸出取引秩序の問題が相当整備されてまいっておりますので、したがいまして、この法律を廃止してすぐにがたがたというふうなことにはならないで、むしろせっかく育ってまいりました業界の自主的な努力によりまして、今後輸出入取引法の運営その他を通じまして、せっかくりっぱに育ってまいりました基盤をそのまま存続、維持、発展さしていく方向で私どもも配置いたしてまいりたいと思いますし、また、業界のほうでもそれだけの十分な決意をお持ちいただくよう実はお話しいたしておるわけでございまして、私どもといたしましては、すでにだいじょうぶである、こういう判断をいたしたわけでございます。
#16
○塩出啓典君 双眼鏡の北米の輸出に関しまして、一九六六年にこれは非常に日本側に発生した輸出価格の値くずれによる安値輸出が六七年にも継続して、流通機構が非常に混乱した。そういうようなことが書いてあるのでございますが、これを見ますと、非常に日本は生産過剰で、非常に安値輸出したために、アメリカ全体としても輸入数量はふえたけれども、金額は非常に減った。そういう輸出の販売秩序というのが六六年には双眼鏡の場合は乱れたんじゃないか、また、今後もそういうことが起こるんじゃないかということを心配するわけでございますが、この六六年のときの値くずれの状況というものについて御説明を願いたいと思います。
#17
○政府委員(吉光久君) 当時の値くずれ現象につきまして、いろいろの見方があろうかと思うわけでございますけれども、まず第一は、国内の生産体制の問題でございますけれども、一部メーカーの中には、将来の相当大幅な需要増を見越しまして設備増強につとめたということのために、供給バランスが一部くずれてしまったというのが第一点でございます。と同時に、先ほど御指摘ございましたように、これが本来的に輸出に非常に多く依存いたしておる商品でございますので、先ほど申し上げましたような供給バランスがくずれますと同時に、このドライブが輸出にかかってまいったわけでございまして、そのために輸出価格、輸出市場における過当競争現象というものがあらわれまして、それが輸出数量としては相当大量にふえたわけでございますけれども、価格面では非常に大幅な値下がり現象を起こした。いわばそこらの秩序というものがそういう輸出市場の的確な把握ということを欠いたために起こってまいったことではないかと、このように判断いたしております。
#18
○塩出啓典君 今後はそういうような心配がないのかどうか、そういう一部の、まあ双眼鏡は非常に中小企業が多いわけでございますが、そういう中でも比較的大手のほうが設備を将来を見込んで過剰にふやして、そのために非常に生産過剰になって値段が下がる。そうしてその影響を一番受けるのは、やはり中小企業なんかに非常に痛いのじゃないかと思うのでありますが、そういう点、今後において問題がないのかどうか、その点を一番心配しておるわけなんですが、そういう点はどうでしょうか。
#19
○政府委員(吉光久君) 双眼鏡業界につきましては、その後八事業協同組合というものに集約化されておりまして、全国八つの事業協同組合ができ、それを中核として生産活動をやり、同時にまた、その事業協同組合が輸出取引秩序の一つの核となると申しますか、そういうふうな形が現在醸成されつつあるわけでございまして、したがいまして、あくまでもこの八事業協同組合を中心とした生産あるいはまた輸出秩序の維持と申しますか、そういうルールを一日も早く確立することが必要であろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、現実にその後の状況は、そういう八事業協同組合を中心といたしましたそういう体制が着々と整備されつつあるというのが現状でございます。私どもといたしましても、この八事業協同組合を核としたそういう秩序の確立というふうなものにさらに努力してまいりたいと考える次第でございます。
#20
○塩出啓典君 この法律によりまして、かなり個個の業者の個人プレーというものが非常に規制されておったわけでございますが、今回こういう法律がなくなりまして、非常に法律的には自由な立場になっていくのじゃないか。そういう点で今後そういう動きをまあ国益という立場からある程度規制もしていかなければいけないと思うわけですが、そういう問題については今後どういう法律で規制していくのか、その点についてお聞きしたいと思います。
#21
○政府委員(吉光久君) 輸出取引秩序の確立が一番大きなことであろうかと思うわけでございますが、この点につきましては、現在ございます輸出入取引法に基づきまして、自主的な輸出秩序の確保ということにつとめてまいることになると思うわけでございます。と同時に、また生産面につきましては、中小企業団体法の団体でございますので、この団体法の運用面を通じて、さらに生産活動を促進してまいるということになるわけでございまして、その他さらに政府の保護措置といたしましては、中小企業近代化促進法の対象業種に現在指定いたしております。この体制も将来とも持続してまいりたい、このように考えております。
#22
○塩出啓典君 輸出事業協会は現在ミシンと双眼鏡にそれぞれ一つあるわけでありますが、この廃止法の制定に伴い、この事業協会が解散をして、そうしてそこの事務職員は失職するわけでございますが、そういう職員の今後の就職の状況、これはどうなっておるのか。また、政府はこの事業協会という特殊法人の廃止に伴って、その職員の今後の身の振り方についてどのような手を打っておるのか、あるいは今後どういうふうに手を打つつもりであるのか、その概況について御説明願いたいと思います。
#23
○政府委員(吉光久君) ミシン及び双眼鏡のそれぞれの輸出振興事業協会に分けてお答え申し上げます。
 まず、ミシンの事業協会でございますけれども、現在職員十一名でございます。この職員の圧倒的多数はこのミシン事業協会の仕事を承継いたします社団法人の日本家庭用ミシン工業会がそのまま職員を引き継ぐということになっておりまして、なお残りの職員につきましても、他の企業への就職がすでに内定いたしております。それから双眼鏡事業協会でございますけれども、これはその事業を承継いたします日本輸出双眼鏡協同組合連合会、これが、その職員が希望すれば全員そのまま来てもらいたいという意思表示をいたしておるわけでございます。これは現在十四名おるわけでございます。したがいまして、本人さえ希望すれば全員その新しいいままでの仕事をやっておりました仕事を承継いたします団体のほうで受け入れる予定になっておるわけでございますが、この際、ほかの仕事のほうに転職したいというふうな職員も中にあるようでございまして、こういうものにつきましては、これらの団体と一緒になりまして、もし就職の見通しがつかないようであればあっせんをいたしたい、このように考えておりますが、原則的に全員受け入れる意志表示がございますので、したがいまして、おそらく問題なく解決されるのではないだろうか、このように考えております。
#24
○塩出啓典君 ミシンについては、この法律の施行前には百六十社ぐらいであったと、法が施行されるときには、資料によりますと百二十一社、さらに現在では六十社と、そういうように非常に数が減ってきております。ところが、双眼鏡の場合は、法律が施行されるときと現在と比べてあまり減っておらない。これはミシンについては政府が非常に強力に指導し、廃業させたり合併させたりしたのではないか、そのように感ずるわけでございますが、このように、ミシンと双眼鏡の両方には差がある。それはどういうわけなのか。またミシン業界が百六十社もあったのが六十社に減ったということは、その内容は、転業をしたのか、あるいは廃業したのか、その点の状況をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#25
○政府委員(吉光久君) 確かにミシンと双眼鏡につきまして、事業者の数の減少あるいは増減の関係の数字が違った形であらわれておるわけでございます。おそらく、業種の内容、構成の違いからこういうことが起こったのではないかと思うわけでございますけれども、まずミシン業界につきまして、法制定当時急速に約四十社脱落したということでございますけれども、この企業数の減少につきましては、当時、工業組合の数量規制を受けておりまして、数量割り当てというふうな制度があったわけでございますけれども、その割り当て権のみを持ちまして、これを他に売買すると申しますか、みずからは生産も販売もしないで、そういう事業の形をとって割り当て権を他に譲渡しておったというふうな、そういう企業が、実はこの登録制の運用によりまして、登録制度が設けられることによりまして生産活動ができなくなったというふうな、そういう他の権利に生きておった、反社会的企業と申しましょうか、そういう企業が排除されましたために一躍四十社の減少を見たわけでございまして、これは実はむしろ生産業界としては好ましい姿に落ちついたというふうに考えられるのではないかと思います。それからさらに三十八年までに相当数のものが減っておるわけでございますけれども、これは実は業界内でお互いに転業資金というものを出し合いまして、実際に他の事業に転業したいというふうな事業に対しましては転業資金を出し合ったわけでございます。その結果、約二十八の企業が三十八年に転業をいたしておるわけでございます。したがいまして、この法律をもとにして強権的に転廃業を迫ったと申しますよりか、この法律を背景に置きまして、業界内における過当競争問題にどう対処していくかというふうなことがそれぞれ業界内で判断され、先ほど申し上げましたような措置をもとりながらだんだんと生産業界の秩序化が進んでいった、このように判断いたしておるわけでございます。と同時に、それらの転廃業等につきましても、先ほど申し上げましたような方法で行なわれました結果、むしろ逆に他の自動車産業その他の成長産業のほうに転業いたした企業が多いようでございまして、政府のほうで強権的に転廃業を迫ったというふうなことはなかったわけでございます。
#26
○塩出啓典君 さきにわが党の松本議員から双眼鏡の業界について質問したときに、中小企業者のうち資本金百万円以下の企業及び従業員二十人以下の企業を開いたところ、資本金百万円以下の企業数は九百九十九社である、また従業員が二十人以下の企業は百二十六社である、そういう答弁をいただいたわけでありますが、そうすると、その比率が資本金百万円以下が全体業種の六〇%、また二十人以下の場合が七六%、そういう結果になるわけであります。まあこの百万円以下または二十人以下という企業は、いわゆる中小企業の中でも特に零細中小企業者である、そういう零細中小企業に対する対策というものは、従来から非常に忘れられている、そのように常にいわれてきたわけでございますが、政府は、中小企業の施策等で対策を行なったならば今後心配はない、そのように言うわけでございますが、はたして有効適切な対策あるかどうか、その点、今後のことを非常に心配するわけでございますが、通産省の考え方をお聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(吉光久君) 双眼鏡の業界は、ただいまお示しございましたように、非常に中小及び零細企業の数が多いわけでございます。したがいまして、現在までこういう法律によりまして特別の措置がとられておったわけでございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、幸いにいたしまして全国八つの事業協同組合が編成されまして、このほかすべての企業かこの事業協同組合の傘下に入っておるわけでございます。したがいましてそれぞれ個別企業と申しますよりか、その八つの事業協同組合、特にこれは産地産業でございまして、ある一定の地域に集中して企業が存在しておるという場合が多いわけでございます。したがいまして、そういう事業協同組合の共同施設の有効適切な利用、あるいは事業協同組合に対する助成措置等を強化いたしますことによってこの事業協同組合中心での運営体制というものが進んでいけば最もいいのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、現在企業それ自体もこの事業協同組合の運営を通じましてそれぞれ健全化されていく過程にあるわけでございます。この芽をつまないように、むしろこの芽を育てるように私どもとしても努力いたしてまいりたいと考えるわけでございます。と同時に、もう一つ輸出振興の関係につきまして、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、やはりこれが輸出商社だけにまかせるというふうな体制から脱却いたしまして、この事業協同組合をこの輸出体制の中でどのように位置づけ、どのように働いていただくか、そこらもまた将来の輸出秩序維持のためにも重要な問題ではないかと思っておるわけでございまして、そういう方向で解決いたしたいと考えるわけでございます。
#28
○塩出啓典君 次に、海外市場の問題をお開きしたいと思いますが、この通産省重工業局からいただいた資料を見ますと、ミシンの海外輸出が四十二年度に比べて四十三年度は非常に北米はふえておりますが、それ以外のところはかなり大幅に減っておる。たとえばアジア州の場合は三十九万九千三百十五ですか、それが二十八万九千ぐらいに非常に減っておるわけであります。まあ四十二年までどんどん伸びてきておるのが、四十三年急に減っておる、これは一体どういうわけでこう減ったのか、その点の事情を御説明願いたいと思います。
#29
○政府委員(吉光久君) 実はこの表、たいへん失礼申し上げておりますが、この備考欄に、四十三年につきましては、一月から十月までの統計であったわけでございます。したがいまして、二ヵ月分が実は載っかっていないわけでございます。備考欄に的確に表記いたしておくべきでございましたが、他の表に書いて、ここのところでちょっと忘れておるようでございます。失礼いたしました。
 これはいま申し上げましたように十二分の十の数字でございます。したがいまして、年間を通じましては前年度より減少するというふうなことにはならないかと思うわけでございます。ただ、御指摘のようにアジアにおきましては、特に他の後進国でこういうふうな製品をつくり始めております。品質は必ずしも日本品と同じでございませんけれども、こういう製品をつくり始めておるというふうな点が注目されるべき将来の現象ではないかと思うわけでございます。
 それからなお、アジアにおきますある程度の現象というのは、実は従来ベトナム向け輸出が一部行なわれておりましたけれども、現在ベトナム向け輸出がほとんどとまっておるというのが現状のようでございまして、これも響いておるようでございます。
#30
○塩出啓典君 こういう輸出に関しまして、まあ先般西ドイツにおきましては、混合関税の問題とか、そういうような問題もあったと聞いておりますが、今後日本がそういうミシン、双眼鏡において世界にどんどん進出していく場合に、現在すでに輸入制限を行なっている国もあると聞いておりますが、そういうすでに輸入制限を行なっている国はどういうところがやっておるのか、また、今後海外に発展していく上において、特に支障となるような、将来懸念されるような、そういう問題点はどういう点があるのか、その点をお聞きしたいと思います。
#31
○政府委員(吉光久君) 現在日本のミシン、あるいは双眼鏡のみを対象といたしまして、輸入制限を行なっている国は一部にしかございません。ただ、いまお話がございましたように、かつてヨーロッパにおきましては、日本品のミシン等につきまして自由化をとめておったという時期もあったわけでございます。せっかくの努力によりまして、現在ヨーロッパの国々におきましても、多くの国が輸入の自由化ということに踏み切っておるわけでございまして、その自由化の影響で、ここ最近二、三年のミシンなり双眼鏡等のヨーロッパ向け輸出というふうなものも逐次ふえつつあるというのが現状でございます。ただ、いまお話の中にございましたように、一番心配な将来の姿の問題でございます。先ほどもちょっと触れましたように、香港でございますとか台湾でございますとか韓国でございますとか、それらの地域におきまして、このミシンとか双眼鏡というものが、手っとり早くできる産業と申しますか、あまり大きな設備を用いないでできる産業と申しますか、そういうふうな特性をつかまえまして、だんだんとこういう分野の生産に入っておるわけでございます。まだ、たとえばアメリカ市場をとってまいりましても、アメリカ市場の圧倒的多数は日本品でございますけれども、双眼鏡につきましては香港、それからミシンにつきましては台湾その他のシェアが少しずつふえつつあるというのが現状でございまして、もちろん九十数%に対する数%というぐらいのウエートでございますので、現実のシェア自身はそれほど驚くには足らないわけでございますけれども、ただ、それぞれの仕事に着目した上で将来の日本のミシンあるいは双眼鏡の業界のあり方というふうなものも考えられなければならないことではないかと思うわけでございます。と申しますのは、端的に申し上げますと、いわゆるミシンにつきましては、従来の直線縫いミシンからじぐざぐ縫いのミシンの方向に、要するに品質の高度なものに変化してまいるということ。現にこれは相当進んでおります。あるいはまた双眼鏡につきましても、先ほどお答え申し上げましたように、その製品につきましてダイカストが現在九六%ぐらい進んでおりますけれども、それをさらに完全なものにし、あるいはまた広角レンズを使った望遠鏡というふうな、品質の特化と申しますか、そういうことによりまして、他の国々と差をつけてまいるというふうな努力が必要であろうと、このように考えるわけでございます。
#32
○塩出啓典君 確かに、いまお話がありましたように、今後の大きな問題は、そういう後進国の追い上げだと思うわけでありますが、それに対する対策は、いまお話がありましたように品質の向上、また、その品質の向上によるコストの切り下げ、そういうことが大切じゃないかと思います。特に双眼鏡の場合は、非常に中小企業が多いわけでございますが、ミシンの場合はブラザーとか蛇の目とか、そういう大企業ですから、研究体制もかなり充実しているのじゃないかと思うわけですけれども、双眼鏡の場合は非常に中小企業であるために、そういう研究体制も非常に弱体じゃないか、そういう点をわれわれ心配しているわけでございますが、そういう技術向上のための研究体制というものが現在どうなっておるのか、また、それに対して今後どういう手を通産省としては打っていくのか、その点をお聞きしたいと思います。
#33
○政府委員(吉光久君) 技術開発の点につきまして、従来ともそれぞれの団体でやっておったわけでございますが、特に従来やっておりましたのは、外国文献等を入手する、あるいは特許その他の入手、あるいはまた実際に品物を買ってまいりまして、その外国の優秀品についての試験、性能の分析と申しますか、それを通じまして、またそれを日本の製品にはね返えさせるというふうな意味での努力が行なわれておったわけでございます。双眼鏡につきましては、特に先ほどもお話ございましたように、企業体自身は非常に零細でございますので、自分の力でこういう試験研究をやってまいるわけにはいかない、こういう企業が多いわけでございます。そこで、財団法人の日本双眼鏡開放研究所というものを設置いたしまして、ここの業務といたしまして、先ほどお話し申し上げましたようにダイカストとか、新しい材質を開発してまいるというふうな研究でございますとか、あるいは生産設備につきまして、それぞれの器具について新しい器具を改善してまいるというふうなこと、あるいはまた部品規格につきまして、この開放研究所で部品等の規格の統一をはかってまいるというふうな、こういう事業を行なっておるわけでございます。この双眼鏡の開放研究所は、この法律と関係なく存続してまいるということになっております。したがいまして、私どもといたしましてもこの開放研究所に対し、お手伝いすることがあれば喜んでお手伝いをしながら、研究所の育成につとめてまいりたいと考えるわけでございます。
#34
○塩出啓典君 双眼鏡の場合は、非常に香港品が強敵である、そのように聞いておりますが、香港で有力な双眼鏡メーカーに宝源光学という会社があるそうでございますが、この実情がどの程度把握されておるのか、また、日本の中小零細企業に対して、今後そういう宝源光学の将来というものがどういう影響を及ぼすことが懸念されておるのか、その点の事情についてお聞きしたいと思います。
#35
○政府委員(吉光久君) 香港におきます双眼鏡のメーカーは、ただいま御指摘ございました宝源光学儀器金属製品有限公司、非常に長い名前でございますが、通称宝源光学と言っております。これが一社のみでございまして、この資本金は約一億八千万円でございます。また従業員数も約二千人と、非常に大きな会社でございますが、この生産の主力はカメラでございまして、同時に双眼鏡につきましても月産能力にいたしまして四万五千台から五万台程度の設備を現に持っておるというふうに伝えられております。まだ現在の段階におきましては生産性も非常に低く、それほどの強敵というふうには考えられないわけでございますけれども、ただ、何ぶんにも部品から製品までの一貫メーカーでございますこと、あるいはまた輸出等につきましても、一社のみでございますのでかなり計画的に、生産なり輸出というふうなものを自社の力で計画的に樹立して実行していくことができる、そういう有利な立場にございますし、あるいはまた労働条件等につきましても有利な条件のもとにございますので、したがいまして、将来はこの香港における宝源光学は日本の望遠鏡業界にとりまして相当の強敵になる可能性と申しますか、芽を十分に持っておるのではないだろうかと思うわけでございます。で、輸出市場におきましても、現在は英連邦の特恵制度によりまして関税が免除されておりますイギリスでは、総輸入の二四・三%――これは金額でございますけれども――英連邦関係におきまして二四・三%のシェアを占めておりまして、その周辺を中心にして徐々に進出を始めておるというのが現状でございます。
#36
○塩出啓典君 では以上で質問を終わりますが、いずれにしましても、特にこの双眼鏡業界はまあ中小企業が非常に多いし、しかも、いま話しましたように後進国の追い上げが非常に激しい。しかも後進国におきましてはかなり大きな大企業がそういう産業に生産を開始しているわけでありますか、やはりそういうものに打ち勝っていくためには、特に技術の向上というものに力を入れていかなければならないんじゃないか。そういう点で、現在、いまさっき言われましたように財団法人の開放研究所というのはあるわけでございますが、現在のところ、そういうのはほとんど民間で独自でやっておるわけで、政府の強力なそういう援助というものはほとんどなされてきてないんじゃないかと思うわけでありますが、まあ先ほど局長の話がございましたように、国際競争力に技術開発力もたえ得るかどうか、そういう点をひとつしっかり検討して、特に双眼鏡の場合のそういう研究体制にはもっともっと強力に援助をして、今日まで発展をしてきたこの双眼鏡並びにミシンの世界への輸出の増大を、さらに発展さしていくべきである、かように思うわけでございますが、そういう問題に対する通産省の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#37
○政府委員(吉光久君) お話のとおりでございまして、いままでせっかく十年間この特別の法律によりまして業界全体が保護されておったわけでございますが、この保護が取られました後におきましても、従前に増して輸出秩序の確立ということが非常に重要な問題でございますと同時に、先ほど来お話ございましたように、後進国の追い上げの中でりっぱにさらに成長を遂げてまいりますためには、技術開発力の一そうの拡充ということがさらに一そう必要になってくるものと思うわけでございまして、そういう点にも十分配慮いたしまして、ただいまお示しいただきました線でこの両業界がさらに発展するよう私どもも努力してまいりたいと考えるわけでございます。
#38
○須藤五郎君 私もこの法案には賛成の立場をとっておりますので、簡単に質問をしておきたいと思います。
 いまも各委員からのいろいろお尋ねによって大体私もわかりましたが、ここにわが国のミシンの輸出入の現状――輸出のほうはいただいておるのですが、輸入のほうの資料が出ていないと思うのですが、おそらく輸入はアメリカが主だと思うのですが、輸出の状況と輸入の状況、どういう関係にあるか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
#39
○政府委員(吉光久君) 日本のミシンは、すでに先生も御承知のとおり、家庭用ミシンにおきましてはすでに世界に冠たるものだと思いますが、非常に強い力を持っている。家庭用ミシンにつきましては非常に強い力を持っておりまして、したがいまして、家庭用ミシンにつきましては現在輸入というものはないわけでございます。すべて国産品でまかなっておるわけでございます。ただ工業用ミシンにつきましては、これはまだ技術的にドイツその他に劣っておる点がございまして工業、用ミシンにつきましてはまだ輸入を一部いたしております。四十二年で大体八千台、四十三年で一万一千台、大体一万台前後の工業用ミシンの輸入をいたしております。ちなみに、日本の生産台数が、実は、たとえば四十二年でございますと二十九万七千台、四十三年が三十六万台、こういう台数に対して、先ほど申し上げましたような一万台前後の輸入が工業用ミシンについては行なわれているわけでございます。
#40
○須藤五郎君 そうするとなんですか、私非常にそういう点知らなかったのですが、昔アメリカのミシン、シンガーが来て日本を風靡しておった時代はもうとうに過ぎ去って、アメリカのシンガーミシンも最近は来ていないというふうに理解していいのですか。
#41
○政府委員(吉光久君) 輸入品といたしましては日本には入っておりません。いまの家庭用ミシンでございます。
#42
○須藤五郎君 しかし、いまでも日本の国内でシンガーミシンは売られておるということを聞いたのですが、あれはどういう形で生産されているのでしょうか。
#43
○政府委員(吉光久君) 実はパインミシンというミシン業者がございます。これは日本の業者でございます。これがシンガーの名前を使ってシンガーミシンとして現在販売をいたしておりますが、これはシンガーそのものの製品ではないわけでございます。
#44
○須藤五郎君 そうすると、なんですか、その売れた金の何%かはシンガーミシンへ行くとかなんとか、そういう何のひももつかない、何の関係もないことなんでしょうかどうなんでしょうか。そこちょっとわからないですね。
#45
○政府委員(吉光久君) ちょっと、私の説明が少し不十分でございました。修正させていただきます。
 いまのパインミシンという会社があるわけでございまして、これはシンガーとの間の五〇・五〇の合弁会社でございまして、その合弁会社、現に日本に設立されております関係上、そこでシンガーという名前でミシンを国内で販売しておるという状況でございまして、名前と申しますか、生産して販売しているという状況でございます。したがいまして、先ほど申し上げました輸入品としては入ってまいっておらない、こういう状況でございます。
#46
○須藤五郎君 そうすると、輸入品としては来ていないけれども、シンガーミシンが日本に合弁会社をつくって、そこでつくって売っておるということであり、やはり日本国内においてシンガーミシン会社は何らかの利潤をあげておるということには変わりはないと思うのですね。
 そこで、もう一つお尋ねしますが、日本の蛇の目ミシンとかブラザーというのは世界に冠たるミシンだということをいま伺ったのですが、これがアメリカに参りましたときに、アメリカ国内におけるシンガーミシンとの価格ですね、日本の世界に冠たる蛇の目、ブラザーミシンがアメリカで幾らで売られているのか、シンガーミシンはアメリカで幾らで売られているのか、日本においてはシンガーミシンは幾らで売られて、日本のブラザーや蛇の目が幾らで売られているのか、そこのところをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
#47
○政府委員(吉光久君) ただいま価格の資料を持っていないわけでございますけれども、日本のミシンの一番大きな輸出市場はアメリカでございまして、アメリカ向けが全輸出量の五四%、日本の輸出構成の中でアメリカ市場向けが五四%から五%程度を占めておるわけでございます。これは台数にいたしてみましても、昨年の一−十月の数字で見まして約百三十一万八千台というふうな非常に大きな数字がアメリカ向けに輸出されておるわけでございます。
 価格の関係でございますけれども、先ほどの国内でつくっておりますシンガーミシンとそれから他のミシンの関係につきましては、ほとんど国内価格として差がない状況のようでございます。と同時に、アメリカ市場におきましても、大体シンガーミシンのほうが日本品に比べまして約一割くらい高いのが現状のようでございまして、シンガーミシンとアメリカ市場で十分な競争力を持っておる、こういう状況でございます。
#48
○須藤五郎君 日本国内においてはシンガーも蛇の目ミシンも同じような価格で売られている、アメリカ国内においてはまだ日本品が一割ほど安く売られている、こういうことでございますね。この点もやはり同等の競争をするように、国内でなって、いまあなたおっしゃったように世界に冠たる技術を持った日本のミシンとシンガーと比較して同等であるように、国外においても同等の力を持つようにしていかなければならぬと私は思いますが、これまでは、なんでしょう、輸出振興事業協会というものがあって対外宣伝や市場の調査、輸出振興事業をやってきた。これがなくなるわけですね、今度は。そうすると、海外に対するPRですね、市場の調査、これまで振興事業協会がやっておったことはジェトロがやることになるのですか、どうなんですか。
#49
○政府委員(吉光久君) 輸出振興事業協会自身はこれで解散することになるわけでございますけれども、従来やっておりました業務でございますが、まず国内でやっております業務につきましては、それぞれ公益法人なりあるいはまた双眼鏡の協同組合の連合会等がその振興事業をそのまま引き継ぐことになっております。同時にまた、海外で現に事務所を持ってやっております軽機械センターと言っておりますが、ミシン、カメラのみならず、トランジスタラジオその他約十業種を含めました軽機械センターというものが現在世界に四ヵ所、アメリカでございますとニューヨーク、イギリスのロンドン、それからヨーロッパではデュッセルドルフ、東南アジアはバンコックというふうに、世界に四ヵ所軽機械センターが設けられておるわけでございます。この軽機械センターはジェトロの機構でございまして、ジェトロの出先機構としての仕事の面と、それから親団体と申しますか、先ほど来の、輸出振興事業協会の事業を今度承継するそれぞれの機関の仕事の委託も受けて一緒にやっておるわけでございまして、したがいまして、海外活動面における第一線機関というものは従前どおりの体制でそのまま輸出振興業務を続けてまいりたい、また、これを現在廃止する考え方はないわけでございます。
#50
○須藤五郎君 もう一問。そうすると、私は、そういうことはすべてジェトロがやるものだというふうにこれまで理解しておったんですが、ジェトロの上か下かわかりませんが、なおそういう機関がないと、こういう仕事をやっていけないのですか、ジェトロで一本にして、そこでやっていけそうなものだと思うのですが、どうなんですかね、そこは。
#51
○政府委員(吉光久君) お話のような御意見もあるわけでございます。ただ、ジェトロというのは貿易振興一般と申しますか、ある個別業種だけの限定した意味でのPR事業というものは、ジェトロの性格上非常にやりにくい面があるわけであります。したがいまして、先ほど申しました軽機械センターにつきましては、共通の似通った問題のある品物を合わせまして軽機械センターが設置されておるわけでございます。これの管理運営に要する費用はすべてジェトロが負担いたしておる、こういうわけでございますが、ただミシンとか、双眼鏡とかあるいは特別の商品自身それだけのPRをやりますかどうかということになりますと、これはジェトロの経費で負担するにはいささか荷が勝ち過ぎるということから、特別の業界だけの仕事をやるということにつきまして、こういう団体がそのめんどうを見る、また計画を実施いたしてまいる、こういう体制になっておるわけでございます。
#52
○委員長(八木一郎君) 本案についての質疑は後刻再び行なうこととし、次に、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案につき質疑を行ないます。質疑のある方は御発言を願います。
#53
○竹田現照君 先日の質疑でほとんど問題点が出されているというふうに聞いておりますが、予算委員会に出ておりまして詳細わかりませんので、重複する質問も多かろうと思いますが、あらかじめひとつ御了承いただきたいと思います。
 最初に、この会社を純粋な民間会社に移行させる最大の理由というのは、経済的基盤が確立した、そういうことですが、その具体的な確立の内容、ひとつ御説明いただきたいと思います。
#54
○政府委員(後藤正記君) この会社は昭和三十二年の十二月に設立されたのでございます。当初は御承知のとおり政府が四割の出資をいたしまして、民間資本六割と合わせて発足をいたしまして、昭和三十五年以降本格的に四万五千トンの生産能力をもって仕事を開始いたしたわけでございますが、当初は需要と供給とのアンバランス、それから世界的な市況等々の関係もございまして、赤字を計上いたしておりまして、ようやく昭和三十八年の上期におきまして累積いたしました赤字を解消いたしました。三十八年度の下期以降一割配当をいたすようになりました。以来今日に至るまで毎期一割の配当を続行いたしておるわけでございます。なお、この法律によりまして通商産業大臣に厳重なる監督義務を付しておりまして、人事面につきましても、あるいはまた事業計画、重要な財産の譲渡、社債の募集、資金の借り入れ、定款の変更、財産目録の提出、報告及び検査等々、第四条から第八条に至るまで、必要なる書類を提出させて厳重な監督、検査等をいたしておるわけでありますが、それらの報告書をも毎期よく事務的に検討をいたしまして、先ほど申し上げました一割の配当続行と財務諸表、財産目録等々をにらみ合わせまして、他の同種の会社と比較いたしまして、十分なる資産の状況と、そういう認定をいたして、民間会社に移行せしめるという方針を立てた次第でございます。
#55
○竹田現照君 具体的な売り上げというのは、私の聞くところによると、一日一億円ぐらいの売り上げになるのだというふうに聞いていますけれども、実際はどうなんですか。
#56
○政府委員(後藤正記君) お答えいたします。会社の売り上げ高は、先ほど申し上げましたように、昭和三十五年から仕事をしかけたわけでございますが、三十五年から三十七年までは、年一回の損益計算書に出ておりますが、四十億、八十九億、百十二億というようになってまいって、それから三十八年度以降でございますが、漸次累増いたしまして、四十三年の上期には百四十七億六千万円の売り上げ高を持っておるわけであります。
#57
○竹田現照君 そうすると、国がめんどうを見たくても完全に一本立ちできると、そういうふうに判断していいですね。
#58
○政府委員(後藤正記君) 貸借対照表によりますれば、いま申し上げました四十三年度の上期におきまして、資本金二十五億に対しまして、損益計算、利益金処分等から見てまいりますと、貸借対照表にあらわれました利益、剰余金は三十一億五千三百万円、十分なる会社の資産内容であると、かように考える次第でございます。
#59
○竹田現照君 それで、去年の臨時国会に急ぐというので提案されたのですけれども、この法律の成立が今日まで延びていますので、去年の十二月に出したときと、あれですか、これからの会社の構想で当然に変更があると思うのですけれども、それはどういうことになるのですか。
#60
○政府委員(後藤正記君) この会社は、現在、旺盛な国内需要等も考えまして、将来にわたって事業計画の拡張を考えております。さらに、昭和三十三年に二十五億の資本金で固まりまして以来、今日までずっとそのまま二十五億の資本金というのは続いてきておるわけでございますが、会社の設備拡張の計画、さらにまた、いままで行なってきた設備拡張等を考え合わせますに、過小資本であることは明瞭でございまして、したがいまして、将来の事業計画の拡張と、それに当然付随してまいります資金計画というもの等々を考えまして、将来におきましてこの増資の計画を持っております。で、増資いたしますためには、やはり一般の会社と同じように、上場その他の手続をとって資本を一般民間から公募するという形が一般世間の通常の例でございますので、先般臨時国会に本法案を提出いたしましたときもそれを考え、証券取引上いろいろの時間的な問題がございますので、なるべく早くこれを一般的な民間会社に移行せしめたい、かように考えたわけでございますが、したがいまして、臨時国会に提出いたしました時点と今日とでは事業計画の内容には変更はございませんが、その取り運びにおきまして若干のズレが出てまいると存じます。
#61
○竹田現照君 その若干のズレというのはどういうことなんですか、具体的に言うと。
#62
○政府委員(後藤正記君) 現在会社は、その仕事の本体でございます四日市の計画を拡張することと、それから千葉県の五井地区の設備拡張と、鹿島地区に設備を新たに設けるということを事業計画の内容といたしております。したがいまして、その増資、それに先立ちます証券市場への株式上場等々が二ヵ月、三ヵ月おくれてまいるということになりますと、資金調達面においてそれだけのズレが出てまいりますが、若干そういう点で食い違いが出てくるということだと思います。
#63
○竹田現照君 そうすると、まあ臨時国会に急いで出さなくてもたいしたことはなかったということでいいですか。
#64
○政府委員(後藤正記君) お答えいたします。できれば、臨時国会でお願いしてこの法案が通りますれば、この手続がもう二、三ヵ月のところ早くできた。したがって、時間的にそれだけずれてくるということでありまして、臨時国会に出さなくてもよかったということでなしに、そちらのほうで御審議通過をさせていただきたかったのでありますが、いろいろ事情がございまして今日に延び、その分だけずれるということで御了承願いたいと思います。
#65
○竹田現照君 まあ通産省は、皮肉な言い方ですけれども、もう法律を通ったことにして通産六法からはずしてありますね。この間もらったのにもうないわけですからね。これはどうもおかしいと思うのです。
 それは別として、増資新株の株式市場上場の際、現在の額面を五十円株に切りかえるという構想をちょっと聞きましたが、それはどうですか。何かちょっと足踏みしているというようなことも聞きますが、これはどういうことになるのですか。
#66
○政府委員(後藤正記君) まだ会社からは正式にそういう意思を聞いておるわけではございませんが、現在会社の株券の額面金額は千円になっております。で、昭和二十五年に商法が改正されまして、その商法の規定によりますれば、その後に設立された会社の株券の額面は五百円以上ということになっておるわけでございまして、したがいまして、この会社は、先ほど申し上げましたように、千円の額面という形をとっておるわけでありますが、ただ、現在の証券市場におきましては、一般大衆の株式出動という点では額面五十円というのが一番有利であるというようにまあ考えられております。しかし一般的には、まあ商法の規定がそういうぐあいにきまっておりますために、中には昭和二十五年以前に設立されましたほかの会社に吸収合併されまして、そうして商法改正前の会社になったということで額面を五十円にして、そうして証券市場で有利な立場をとるという実例かときどきあるようでございます。したがいまして、先ほど来お答え申し上げておりますように、将来この会社が実際に株式を上場いたしまして、そうして有利なる条件でやっていくというためには、会社の一案として、その額面を五十円に割ったほうが得じゃないかということを考えておるようでございますが、しかし私どもまだ公式にそれを開いておるわけではございませんのと、それからもう一つ、たとえば額面が五百円でも千円でも、絶対に上場できないという性質のものではございませんので、そのときの額面を五十円にしたほうが有利か有利でないかという会社の判断によるのではないかと思います。
#67
○竹田現照君 ちょっとそれに関連して、これはほんとうは大蔵省なんでしょうけれども、商法改正後のあれで、実際は上場上あまり有利でないという五百円ですね、これは通産省の立場としては商法の改正というのは無意味とは言わないが、現状にあまり合わないのじゃないか、そういうふうにはお考えになっていますか。もしなっているとすれば、商法の再改正をしたほうが証券市場としてはうまくいくわけですからね。その点はお考えになったことありますか。
#68
○政府委員(後藤正記君) 非常にむずかしい御質問でございますが、私は、商法の規定を当時改正いたしましたときは、やはり将来日本の経済の進展とそれから証券市場の発達ということと両方相まって、額面五百円以上で十分にそれが証券市場で有利な立場がとり得る、そのくらいの額面のほうが一般ということになるということが予想されたのではないかと想像いたします。しかるに、現在の証券業界はまだそこまでいかずに、依然として一番取引の主体になっておりますのは五十円株式のようであります。しかしながら、日本の経済もどんどん伸びていきますし、それから一方において経済が非常に大きくなっておるのに、額面のみ非常に零細な取引が証券市場で行なわれるということもあまり感心したことではないと思うわけであります。したがいまして、商法は現時点におきましてはある程度実態にそぐわない、若干先行しておるという感じはございますが、将来そちらの方向に証券市場というものを経済発展に伴って引っぱっていくということは、私は、その趣旨としては間違っていない。ただ、現在の時点においては、やはり取引の主力をなしておるのは五十円株式であるから、したがって、いまの時点において上場したいという会社は、やはり五十円株式で有利な立場を保ちたいという気持ちになるのは、これはやむを得ないことじゃなかろうかというふうに考えております。
#69
○竹田現照君 これは商法を改正されてからかなりたちますから、先ばしるにしては何ですけれども、まあそれはさておいて、この法律で五十円株で上場するために、何か幽霊会社みたいなものをすでに持っておって、その準備があるのだといっておるのですけれども、もしあるとすれば、その会社の名前、資本金、その会社の現状がおわかりになっていればひとつ御説明願いたい。
#70
○政府委員(後藤正記君) ただいま竹田先生のお話の例は、よくいままで一般に行なわれますのは、先ほど私のお答えの中にも引用いたしましたように、一つの会社――まあ言うなれば、それは純然たる被吸収合併のみを目的といたしますためには、まあ名目だけの会社を一つ持っておって、それに吸収合併されて額面を割るという形が従来一般に――一般にと申しますか、そういう場合にはとられておる例かと存じますが、まだ私どもは正式にそこまでは、日本合成ゴム株式会社が一つの名目だけの会社をつかまえてそれに被吸収合併をとる、具体的にそこまで考えておるかどうかということについては私ども聞いておりません。ただ、会社の中には、この法案が国会を通過いたしましたときに、上場の手続をとるときに千円では有利ではないのじゃないか、しからばそういう方法も考えられるというようなこともいろいろ考えておるようでございますが、まだ正式には私どものほうは伺っておりません。
#71
○竹田現照君 そうすると、会社の金で何かの会社の株を持っているということはないのですね、いまは。資料でいただいている子会社の九つですか、あれを除いてはないと理解していいのですね。
#72
○政府委員(後藤正記君) 御承知のとおり一〇〇%出資の子会社、それから一部ほかの会社と一緒になっております五〇%出資の会社、十足らずぐらいの会社を持っておるようでありますが、実際に動いて実体をなしておるのはその会社だけだと私どもは承知しております。
#73
○竹田現照君 そうすると五十円株上場というようなものは、今後の検討の課題だというふうに理解をして先へ進みますが、そこで、この法律ができるときの会議録を拝見しますと、政府側の答弁として、この会社を政府が援助してまでつくろうということになったおもなるねらいは、これはゴム業界にあったと。中小業者は、いままで少し天然ゴムが値上がりして、合成ゴムが有利になると、ほとんど手に入れることが困難になる。そうしたことを救う意味からもこの会社を設立したのだ、そういうふうにお答えになっておりますが、その目的は、まあ十分に達成をされておるのですか、現状は。
#74
○政府委員(後藤正記君) 会社設立の際におきまして、一般の中小企業に属しますゴム需要の工業者もこの会社の設立に参画いたしております。というのは、先生いま御指摘になりましたように、天然ゴムは、大体において生産というものが横ばいであると、にもかかわらず、ゴム需要は、世界全般を見ましても、それから日本国内におきましても、非常にふえておりまして、したがいまして、このふえてくる増加分と旺盛な需要をこなしていくためには、やはり合成ゴムによってその分を埋めていかなければならぬということで、中小ゴム工業者も重大なる関心をこの合成ゴム工業に持つがゆえに、この会社に参画したのだと私ども考えております。それで、設立以来今日に至りますまで、その株を持っております中小工業者も、株主として十分に会社の成長に寄与いたしてまいったと現在考えております。会社といたしましても、いろいろその法案審議の際に、中小工業者の利便をよくはかるように配意せい、こういう御意向に基づきまして、いろいろの設備等におきましても、中小工業者の利便ははかってまいったところであります。現在、日本合成ゴム株式会社の生産の約三五%は、これは中小ゴム工業者に出ております。そういうことで、設立以来の中小ゴム工業者の意欲と、それからその後のビヘービア、それから会社自体の中小ゴム工業者に対するサービスと申しますか、利便をはかる方途、現在の需要の内訳等々から見まして、日本の合成ゴム工業の中で、中小ゴム工業者に対する会社としての当然なすべきことはやってまいったし、中小ゴム工業者も、その何と申しますか、恩恵というのはことばが適当でございませんが、そういう利便に浴してまいっておりますし、将来ともその方向で進むと私ども考えております。
#75
○竹田現照君 そのときに、中小企業、いま三五%とおっしゃったですけれども、半分ぐらいは中小業者に使わせる。そのためにいろいろと手だてをしたいといっていますが、三五%にあまりこだわるわけでありませんけれども、まだ需要を大きくするというほうが望ましいのか、現在三五%ぐらいで大体うまくいっているのかどうか、その点。
#76
○政府委員(後藤正記君) これは今後その中小ゴム工業者、これは自転車のタイヤ、チューブでございますとか、それからベルト、ゴムホースでございますとか、そのほかのこれははきもの類になりますゴムぞうりとか、サンダルのたぐいとか、ああいったものがどう伸びていくかということとのかね合いになってくることでございまして、現在の三五%が五〇%まで達するのがいいのか、それとも減るのがいいのかという役所サイドとして、そういうパーセンテージをどうこうしようといたしましても、そこまでは及びませんし、またそこまでは必要ないのではないか。ただ、御懸念ございますように、もし日本合成ゴム会社の製品が中小企業へ一切いかない、現在中小企業者が何か非常に高い天然ゴム――天然ゴムはいままた少し上がってきておりますが――そういうものはかり買わざるを得ないというような事態が万々一できますようならば、通産省としても重大な関心を持って行政指導を強力に行なわなければならぬところでございますが、現在株主の中には、合成ゴムを需要いたします多数の中小ゴム工業者が入っておりますし、現在のシェアで若干ふえたり減ったりして、少しは動いていくかと思いますが、現在の方向でまずよろしいかというように考えております。
#77
○竹田現照君 この会社が国内需要に占める生産、供給の比率と、それから製品の輸出状況、それから輸出量が日本のこの種の輸出にどのくらいの比率を占めていますか。
#78
○政府委員(後藤正記君) 昭和四十三年、これは一−八月までしか統計が出ておりませんが、だから半年分ちょっと、一−八月の間、八ヵ月分でございますが、これで日本の合成ゴムの生産は二十四万八千三百トンでございます。したがいまして、八カ月分でございますので、年間にいたしますと大体三十二、三万トンという数字になるかと思いますが、四十三年の分が、年度もしくは暦年、いずれもきちっとした統計になっておりませんので、四十二年分で申し上げますと、全国の生産が二十八万トン、そこの中で合成ゴム会社が十五万一千トン、したがいまして、そのシェアが五四%。それから輸出でございますが、全国ベースで合成ゴム輸出は五万八千四百トン、輸入が四万八千六百トン、したがって輸入依存度と申しますのは、先ほどの二十八万トンの生産とにらみ合わせまして、輸入の依存度は大体一八%くらいじゃないかと、かように考えます。
 そこで、御参考までに申し上げますと、輸入の四万八千トンと申しますのは、現在日本でまだ生産いたしておりません合成ゴムの特殊のものでございまして、今後この方面等も広げていかなきゃいかぬかと思いますが、従来この会社が生産を開始いたしますまで、あるいは開始いたしましてからも、ずっとこれは合成ゴムは輸入にまっておったわけでございますが、昭和四十一年から輸出のほうが輸入を凌駕いたしまして、現在輸入は、大体の目的は十分達し、なお足りません、現在まだ生産を行なっていない特殊と申しますか、一般の汎用でない合成ゴムについては、依然として四万八千トンだけの輸入が、四十二年ベースで、ございますが、この分もおいおい少なくなっていくというように考えております。
#79
○竹田現照君 製品の輸出の状況というのはどうなっているのですか、輸出のシェアは。
#80
○政府委員(後藤正記君) 輸出のシェアは全部で四十二年で五万八千四百五十八トンに対しまして、日本合成ゴムは三万四千六百三十三トンを輸出いたしておりますので、輸出は五九%のシェアを持っております。したがいまして、四十二年暦年で生産は五四%のシェア、輸出は五九%のシェアを持っておるわけでございます。
#81
○竹田現照君 それは四十三年ですね。
#82
○政府委員(後藤正記君) 四十二年でございます。
#83
○竹田現照君 四十三年のものはないのですね。
#84
○政府委員(後藤正記君) 先ほど申し上げましたように、まだ現在四十三年の統計が一月から八月分までしか累計いたしておりませんので、半年と申しますか、四分の三ヵ年分でございますので、ちょっと比較その他混乱いたしますので、四十二年の分を申し上げたわけでございます。依然としてこの趨勢はずっと続いております。生産も伸びておりますし、輸出も伸びておりますし、輸入は減ってきております。そういう状況でございます。
#85
○竹田現照君 いま政府の手が離れるのですから、現状を一番通産省が的確につかんでおられると思って聞いたのですが、三月四日、この会社の新聞広告によると、国内需要量の六五%、輸出のシェアが七〇%と書いてありますね、新聞広告では。
#86
○政府委員(後藤正記君) それはちょっと、全般の合成ゴム全部にしますと伸びてきてはおりますけれども、しかし、ただいま申し上げました四十二年分と比べますと伸び過ぎて、いきなり飛躍し過ぎておるという感じもございますので、おそらくそれは汎用ゴムのSBR――スチレン・ブタジエン・ラバーというもの、それからその分はこの会社が主力をなしておりますが、それ以外の、たとえば現在輸入をいたしておりますそれ以外の合成ゴムというものとの比率と並べてみますと、だんだんこちらの品種のほうが伸びておりますので、汎用ゴムをやっておる会社の生産というものは、全般から見ると、その比較において相対的にシェアがあるいは増してきておるのか、どちらかではないかと思いますが、その辺、その会社の広告がどの数字をとっていったのか、ちょっとつまびらかにいたしておりません。
#87
○竹田現照君 詳しくはわかりませんが、「昭和三十五年、当社が日本で初めて合成ゴムの本格的生産を開始して以来、生産・販売量は年々飛躍的に伸び、現在、国内需要量の六五%を生産、供給しています。」と書いてあります。「同時に製品のすぐれた品質が買われ、海外六十九ヵ国へ輸出、日本の輸出量の七〇%を占め、」こう書いてあるから、いまの通産省のお答えとだいぶ違うから……。
#88
○政府委員(後藤正記君) いま竹田先生からの御指摘で私もびっくりしておるわけでございますが、私ども不勉強で申しわけありませんが、おそらくそれは、全体の合成ゴムの中の数字を私四十二年で生産のシェアが五四%、輸出のシェアが五九%と申し上げましたが、ただいま竹田先生御指摘の会社も数字がいかにも飛躍し過ぎの伸び過ぎだと思いますので、SBRの品種の一番主力をなしておりますのは新種が伸びてきておりますので、相対的に数字が上がったのではないかと思いますので、不勉強で申しわけございませんが、調べることにいたします。
#89
○竹田現照君 六五%、七〇%というと、かなり曲線的になってきていますからね。他の業者との関係からいって、バランス上問題にならないのかということを心配したものですから、ちょっと聞いたわけですが、おわかりにならなければいいですが、それからここで研究開発の成果というものをやはり海外に輸出しておる、こういうものも同じように新聞に出ておりますが、それはどういうかっこうで出ているのですか。
#90
○政府委員(後藤正記君) いま調べておりますが、最初はこれはアメリカからの技術導入で仕事を始めまして、そして現在やっておりますが、その後、会社の技術開発が進みまして、現在、たしか私の記憶いたしておるところでは、東独はじめ一、二の国に逆に新しい技術を輸出いたしておるはずでございます。非常にこまかい――いまわかりましたのですが、二枚紙ぐらいになりますが、後ほど資料にして御提出いたしたいと思いますが、非常にこまかい技術を幾つかのところから導入いたしまして、また向こうに出している、こういう状態でございます。
#91
○竹田現照君 合成ゴム業界では需要の急増、シェアの上昇の結果を背景にして、メーカーの会社による設備の増強合戦が本格化しようとしているというようなことが、これはちょっと新聞等で伝えられておりますけれども、それはどうなんですか。
#92
○政府委員(後藤正記君) 最初から、昭和三十二年の十二月にこの会社が設立されますときから、石油化学の各会社におきまして、やはり合成ゴムはやりたいという意欲は、二つ三つ、たとえば古河化学とか協和醗酵とか三菱化成とか、いろいろあったようでございますが、最初は非常に大きな設備でやらなければいかぬということ、それと同時に非常に大きな設備、年間四万五千トンぐらいの生産です。ところが、はたしてそれがうまくいくかどうかという問題と、国内の合成ゴムに対する信頼感等々もあわせまして、そういう需要がついてくるかどうかという点で心配をいたしておりましたので、政府出資四〇%というこの会社になってきたわけでございます。ところが、非常にこの会社、現在のように順調なる道をまあまあ歩いてまいりまして、今後ともモータリゼーションと申しますか、自動車の発達普及につれましてタイヤを主力といたしまするゴムの需要は伸びる一方でございます。したがいまして、相当石油化学の誘導品関係を扱っております会社では、自分のところでこの合成ゴムをやりたいという気持ちはみんなそれぞれ持っておるだろうと思います。ただ、現況が合成ゴムを主力といたしまして、それ以外に現実に合成ゴムにすでに手を出しておりますのは約十社ございまして、相当有力なる企業ばかりでございます。しかし、合成ゴムもこの会社が主力にやっておりますSBR――スチレン・ブタジエンラバーのほかに、新種のブチルゴムとかイソプレン・ゴムとか、いろいろな品種がございますので、そちらの方面への進出等、いろいろ各会社もそれぞれに意欲は持っておるだろうと思いますが、現実において、ある特定の品種を目ざして大きな設備の拡張をやりたいということは、まだ具体的に私ども聞いておりません。
#93
○竹田現照君 今後の競争に備えてこの現状設備の大型化あるいは販売提携の体質改善、これを業界全般として考えられる場合に、この会社が日本で一番大きいわけですから、果たす役割りというものはかなり大きなものがあろうと思うのです。そういう場合にどうですか。
#94
○政府委員(後藤正記君) 今後もこの会社は、やはり業界の中で一番中核的な役割りをして、ますます発展の道を歩んでいくだろうということは予想いたしておるところでございますが、ただ、このほかに品種の問題もございますし、それから有力なる他の十社がございますのと、さらに新しいこの分野への新規参入意欲を持っておる会社等もございますので、今後とも十分なる自由競争の原理というものは、この合成ゴム業界に働いていくだろうということは考えられます。したがいまして、現在のシェアをいつまでこの会社が持つだろうかという点は、私どもちょっと予想がつきませんが、いずれにいたしましても、絶対量は今後とも非常にふえてまいります。たとえば昭和四十三年度におきまして、私ども大体六十万トンぐらいの総ゴム――天然ゴムと合成ゴムを合わせたゴム――の需要量と予想いたしておったのでありますが、これは現在の大体の推計によりますれば、昭和五十年にはおおむね百万トン近くなるのではなかろうかというように考えておりますので、相対的なゴムの生産とそれから需要との中で、日本合成ゴムの占めるシェアというものは、これはおそらく相対的には低下していくのじゃなかろうかと思いますが、しかし会社自体としては、やはりこれは発展の道をたどっていく、ほかのものがどんどん新しい分野等に出てくるという形になってまいるかと思います。
#95
○竹田現照君 それで、この法律が廃止になって、純民間会社に移行していくわけですけれども、このほかに通産省が――所管するのがと言ったほうかいいのかどうか――関係する特殊会社がたくさんありますね。そういうようなものの、今度たとえば電発の株を放出するとかしないとかいう話がありますけれども、そういうような際に、今度のこの会社の株を処分したようなかっこうでやられるのか。電発は九電力だけにきめて出してしまうというような、そういういろいろな話もありますけれども、この通産が所管をしている特殊会社に対する一つの方針といいますか、どういうふうに持っていらっしゃるのですか。
#96
○政府委員(後藤正記君) 私のお答えできます範囲だけにしぼらしていただきたいと思うのでありますが、日本合成ゴム会社は、最初こういう資本構成でこの法律のもとにやってまいったのでありまして、第十一条に示しますように、会社の経理的基礎が確立いたしました暁には、株式は処分するというふうになっております。その法律の審議に際しまして、当時の記録に残っておりますのは、当然これは株式を処分した暁には法律を廃止するということが当時の質疑応答の中の記録に現在残っておるのでございまして、当初から廃止々予定いたしておったと私ども考えるわけでございます。したがいまして、株式の処分の方法につきましては、今般この法案を提出いたしまして、いろいろ諸先生方から御指摘等をいただいたのでありますが、御承知のようなやり方をやってまいったのであります。しかし私の考えるところでは、日本合成ゴム株式会社は、もともとそういうことは予想される会社としてつくられたものであり、そうしてこういう株式の処分の方法をとったということでございまして、ほかの通産省の関係いたしております特殊の会社、機関というものとは、若干異なるものではないかと私は考えます。で、私の守備範囲としてのお答えはその辺までしかできないわけでございます。
#97
○竹田現照君 ところで、この日本合成の株で、国がもうかった分ですか、そのもうかった分というのはどういうふうに処分をされるんですか。
#98
○政府委員(後藤正記君) もうかったと申しますか、最初に百万株のうち十万株は三菱化成が一件三千百六十円で入札しましたから、その分が三億一千六百万円、それからあとの九十万株は二千八百円でこれは処分されましたので、二千八百円の九十万株、二十五億二千万円であります。二十五億二千万円と三億一千六百万円でありますので、二十八億三千六百万円、それから三十八年度の下期に一割配当をいたしまして以来当然国は処分のときまで配当を受けておるわけであります。その配当額が約四億円でございますので、ラフな計算で申しわけございませんが、大体三十二億ないし三十三億というものが国の収入になっております。そこで、当初に出資いたしました分は十億でございますので、まあ、その差額の二十二億三千万円ばかりは国がもうかったという、非常に単純な算術計算によりますれば、そういうわけでございますが、これは御承知のように規定によりまして産業投資特別会計の中へみな入りまして、これは産業の振興、貿易の振興等に一般財源として使われるようになっているというふうに考えております。――一般財源というのはちょっとことばが不適当でございますが、産投の会計の一般の取り扱いになっております。
#99
○竹田現照君 ずいぶんもうかったわけですが、最後に一つお聞きしますが、これは局長のそれこそ守備範囲じゃないかと思うんですが、今度完全にこういうところから手が離れますが、衆議院の附帯決議にもあったように、あのことがほんとうに監督ができるのか何かわかりませんけれども、純然たるこれは民間会社になってしまうんですね。ただ、いま世上やかましい天下りだとかなんとかで人事院やなんかの全然制約が離れますから、今度はこういうふうにもうかる会社だから、かなり通産省――全然手が届かないわけじゃないと思うけれども、そういうようなかっこうの会社には万々ならないでしょうね。これは政務次官のほうから。
#100
○政府委員(植木光教君) お答えいたします。
 この会社の設立の趣旨、その後の政府のこの会社に対するいろいろな援助の結果今日のような状況になったわけでございます。したがってまた、この会社の今後は大いに発展が予想されますので、社会的な責任もますます強くなってくるわけで、したがいまして政府といたしましては、この会社の育成とともに、合成ゴム業界全般についての育成のためにいろいろまた努力もしてまいりますが、同時に、合成ゴム会社としてはその責任を十分自覚をしてもらわなければならないと思うのでございます。政府としては、したがって政府自身の責任、会社自身の責任によって業界発展のために努力をしていく所存でございます。
#101
○竹田現照君 そういうことはいいんですけれども、たとえばいま社長さんともう一人――社長さんは商工次官ですね。そういうようなかっこうで、言われているような制約が今後全然ありませんから、そういうようなかっこうにならないという保障はございますかということを聞いているんですよ。もう後任の社長もきまっていますか。
#102
○政府委員(植木光教君) 今後この会社は純然たる民間機関として運営されてまいるわけでございます。したがって通産省といたしましては、他の民間企業と同様な取り扱いと申しますか、対処のしかたをしていく考えでございます。
#103
○竹田現照君 それは出てみないとわかりませんから、出たときに、これは国会で言う権限があるのかどうかわからないのですが、また附帯決議もあることですから、出たとこ勝負でひとつ見守ることにして私の質問を終わります。
#104
○委員長(八木一郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#105
○委員長(八木一郎君) 速記を始めて。
#106
○大矢正君 合成ゴム株式会社に関する法律の廃止につきましては、先般来質疑を行なってきたところでありますが、最終的な質疑の終局にあたりまして、私は今日まで行政をあずかってまいりました通産省に対し、以下若干の問題点を指摘をし、今後の善処を期待をいたしたいと思うわけでございます。
 まず最初に、手続上の問題でありますが、この法律が衆議院において通過をいたしまする際には、附帯決議として、この会社の状況等を随時国会に報告をすべきであるということになっておりましたが、いまだにそれがなされていないということで、国会における附帯決議というものが、長期にわたって完全に無視されたという問題点がございます。今後このような手続上の問題ではありましでも、義務が履行されないということでは、われわれとしてこの委員会でいかような附帯決議をいたしましても、効果を及ぼさないことになりますので、今後かかることのないように、政府としても善処をしてもらいたいと思うわけであります。もう一点、手続上の問題でありますが、法律が現にまだ残っておるにもかかわらず、四十四年度の通産省の六法全書にはこの法律が姿を消してしまってないという、こういうばかげた話はわれわれのとうてい認めることのできないところです。なるほど通産省としてはこの法律を廃止したいという気持ちはあったと思いますが、だからといって、国会を通らないうちに、四十四年の通産省のこの六法には法律が姿を消してしまうというような、こういう手続上の問題は、われわれとして許すわけにまいりませんが、かかる事態のないように、ひとつ十分気をつけていただきたいと思います。
 それからこの会社に関連しての問題でありますが、言うならば、この種の国策会社、政府が金融、投資その他の面でてこ入れをして育成をしてまいりました会社、現に育成しつつある会社というものも通産省所管の中で、たとえば日本航空機製造のごときものがあるわけでございまするが、そういう会社に対しての行政的な指導、法律に基づく指示あるいは監督、こういう面については十分ひとつ徹底をしてもらわなければならぬ。特に、なるほど法律の中においてはこの会社は経理的な基礎が確立し、ある程度合成ゴム業界の変化の形があらわれてまいりました際には、当然のことながらこの会社の株式を処分するということはうたわれておりまするが、しかし、先ほども申し上げたように、国から投資を受け、また多額の借り入れ金をいたしておりまするこの種の会社が、単に経理的な基礎が確立をしたからという理由で、純然たる民間企業にしてしまうというやり方は、必ずしもわれわれ満足するところではありません。したがいまして、今後この種の国策会社のあり方について、十分通産省としても考えてもらいたいと思うのであります。
 なおまた、先ほど竹田委員のお話にもありましたとおり、一昨年来の株式の処理のしかたについては、非常に疑義があるところでありまして、しかも、国会に何らの報告のないままに株式が全面的に処理をされてしまうというようなことは、これはわれわれとして認めるわけにはまいらぬところではありまするが、現に実行されてしまったことでもありますので、この際、遺憾の意だけを表明し、重ねてこのようなことが起こらないように、善処方を要望したいと思います。
 最後に、衆議院の附帯決議にもありますとおりに、一つの不安としては、この会社があまりにも巨大になり過ぎて、合成ゴム業界の中に独占的な地位を築くことにより、自由な競争を阻害されたり、あるいは価格の硬直化を来たすような心配も多少あります。したがって、今後政府はそのような事態を想定し、十分なひとつ行政指導を行なっていくよう強く要望をいたしたいと思います。
 私、ただいま申し上げた諸点について大臣の見解を最終的に承り、私どもの質問を終わりたいと思います。
#107
○国務大臣(大平正芳君) いま数件にわたりまして御注意をいただきまして、まことに恐縮をいたしております。
 衆議院の附帯決議にございました会社の国会に対する報告を懈怠いたしましたこと、まことに恐縮いたしておるのでございまして、この種のこと今後十分注意してまいらなければなりませんことでございますが、この会社につきまして、そのような粗漏がございましたことを深くおわびを申し上げますと同時に、今後そのようなことのないように、一そう戒めてかかる所存でございます。
 第二の、法律集に本法の掲上をしていなかったということはまことに不都合でございまして、きつく事務当局をしかりおいた次第でございまして、今後一そう戒めてかかる所存でございます。
 それから第三の、この種の会社、政府の直接間接の支援のもとで、援助のもとでやってまいります事業体につきましての指導の方針でございますが、合成ゴムの場合に見られましたような不都合のないように、十分緊張をいたしました姿勢で臨みたいと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
 それから株式の処分の問題でございますが、これは昭和三十九年ごろから処分を通産省としては考えておったようでございますけれども、証券市場の状況が十分でなかったので、時期を見計らっておったようでございまして、ようやく去年実行に移したわけでございます。しかし、今日の時点から見ますと、確かに御指摘のように、いささか低目でないかというような議論もあるわけでございますけれども、あの当時としては、精一ぱい考えたつもりのようでございます。しかし、貴重な国有財産の処分でございますので、今後この種の処分があり得るわけでございますが、財務当局とよく相談いたしまして、公明な、かつ、合理的な処分を考えまして、疑惑を残さないように、すっきりとした措置をいたすべく御相談をいたしておるところでございます。
 それから最後の、この会社が民間企業に移されまして、いま五〇%シェアを持っておる状況でございますけれども、場合によっては独占的な地歩を確立するようなことになる懸念はないかというようなことの御質疑でございましたけれども、私どもの見方といたしましては、合成ゴムの業界、合成ゴム自体に対する需要は非常に強うございますし、また設備投資の意欲もきわめて旺盛であるばかりでなく、新たな新規の企業参入圧力というものも強い客観情勢にございますので、この会社が独占的地位を占めていくというようなことは万万あるまいと思うておりますけれども、しかし、今後、会社の運営は政府の手から離れましても、産業官庁として十分見てまいりまして、そのような弊害を見ることのないように、十分指導してまいるつもりでございます。
#108
○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ、本法案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(八木一郎君) 御異議ないものと認めます。質疑は終了いたしました。
 それではこれより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#110
○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案に対し、反対の意思を表明いたします。
 本法案は、昭和三十二年設立された日本合成ゴム株式会社に対し、政府が十億円の出資をし、合成ゴム会社の設備に必要なる資金の確保に協力したものであります。同社設立には巨額の設備資金が必要とされ、しかも採算は黒字が見込めなかったために、財界は、国家資金の利用として政府の持ち株方式で設立したものであります。ところが、六年前から会社の経営が好転し、一割配当をすることになり、現在年産十七万五千トンという国内生産の半分を占め、SBR、クラム・ゴムでは七一%という独占的な会社となっております。これに目をつけた金融機関、ゴム関係の会社は、政府持ち株百万株の取得を計画し、政府はまたこれら大企業の利益をはかるために、昨年七月、国会にもはからず、関係大手会社にすべて売却したのであります。しかもこの売却方法は随意契約の形をとり、株式の大半は十一社の大独占の手に握られてしまいました。これは国の出資によって育てられた国策会社が、利潤が上がるようになった段階において、これを独占の手に売り渡すということは、日本国民の利益を無視し、独占の利益に奉仕することであり、われわれは賛成することはできません。よって、この法案に反対するものであります。
#111
○委員長(八木一郎君) 他に御意見もないようでございますから、討論は尽きたものと認めて御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#112
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(八木一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#115
○委員長(八木一郎君) それでは、この際、再び軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#118
○委員長(八木一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#119
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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