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#1
第061回国会 商工委員会 第11号
昭和四十四年四月二十二日(火曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     内田 芳郎君     田中 茂穂君
     山本敬三郎君     小山邦太郎君
     井川 伊平君     柳田桃太郎君
     塩出 啓典君     二宮 文造君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     小山邦太郎君     山本敬三郎君
     柳田桃太郎君     井川 伊平君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     矢追 秀彦君     白木義一郎君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     二宮 文造君     塩出 啓典君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                川上 為治君
                剱木 亨弘君
                土屋 義彦君
                大矢  正君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                大谷藤之助君
                大谷 贇雄君
                村上 春藏君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                小柳  勇君
                近藤 信一君
                塩出 啓典君
                白木義一郎君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     高橋 淑郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  吉本  実君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八木一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 四月十七日、内田芳郎君、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として田中茂穂君、二宮文造君がそれぞれ選任されました。
 四月二十一日、矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(八木一郎君) 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○瓜生清君 特繊法に関連しまして若干お尋ねしたいと思います。
 けさの新聞を見ますと、アメリカの商務長官がEEC諸国を回って輸入制限の問題についていろいろな動きをしております。日本にも五月十日過ぎに来るということが明らかに書いてございましたが、アメリカの繊維品の輸入制限の動きについて、政府の得ておられる情報をできるだけ詳しくお聞きしたいと思います。
#5
○政府委員(高橋淑郎君) いまお話のとおり、スタンズ商務長官はヨーロッパの主要国それからガット事務局その他を訪問中でございます。いろいろ通商、経済問題について話し合っておるようでございますが、その中でも繊維の問題についても話し合いを行なっておる模様でございます。五月の十日にスタンズ長官は日本に参りまして、十二、十三日、日本の関係閣僚と経済問題、通商問題全般について話し合うという予定になっておりますが、繊維の問題についても当然議題になるであろう、そのように予想されております。いままでのところの状況は以上のとおりでございます。
#6
○瓜生清君 この繊維製品の輸入制限の問題については、私昭和三十九年に岩佐ミッションについてアメリカに行ったことがございますが、その後、昨年の臨時国会で予算委員会の総括質問でお尋ねしたことがあるのですけれども、一体そういうような問題がここ数年間続いておるにもかかわらず、政府としてはどういう手をこれまで打ってこられたか、それをひとつ御説明願いたいと思います。
#7
○政府委員(高橋淑郎君) アメリカにおきます繊維の輸入制限の動きというのは非常に根深いものがございまして、綿製品の国際取りきめが結ばれますその前から強い動きがありまして、その後、毛製品についても制限をしようという動きがございましたが、これはわが国の関係業界の努力、それからまた政府と民間と一緒になりまして、その当を得ないということをよく先方に話しまして、この制限措置というのは阻止することができたわけでございますけれども、それにもかかわりませず、依然として化合繊それから毛製品に対する新たなる輸入制限を行なおうと、その形は、相手国の自主規制あるいは国際取りきめに基づくものというような、いろいろな形が考えられますが、とにかく根強く輸入制限をやろうという動きがございます。これに対して、いま申し上げましたように、従来から関係業界、それからまたお話のありましたように、日本とアメリカとの閥ではいろいろな使節団の往来がございます、そういう場、その他を通じまして、経済的な根拠のないこういう制限運動に対しましては、ぜひそれを翻意してほしいということを繰り返し、また強く先方に要請をしてきておる次第でございます。
#8
○瓜生清君 私はそのときに感じたんですが、結局アメリカの言う市場撹乱ということについてでありますが、何かこう繊維製品の輸出量というものはそうたいしたものじゃない、だけれどもある一定の地域に集中的に輸出されるのじゃないか、そういうような傾向があるのかないのか。またあるとすれば、通産省としてどういうような指導をいわゆる商社なり何なりにしておられるのか、その辺の事情を知らせてほしいと思います。
#9
○政府委員(高橋淑郎君) 繊維品の輸出に限りませず、日本の輸出のビヘービアというものは秩序正しくやらなければならない、オーダリーマーケティングをやらなければいかぬということで、これはもう終始最高輸出会議あるいはその下部にありますいろいろな輸出会議の場も通じて関係の方々に強く要請をし、それからまた過去の数字をずって見てまいりましても、日本の輸出品というのは価格も合理的な価格で品質もよいという、そういうゆえに輸出が伸びている、また相手国からもそうやって受け入れられているという傾向が顕著にあらわれてきております。したがいまして、不当な価格で輸出するというようなことのないように商社を中心にして自粛してやっておりますし、また、われわれは積極的にそういう方向で指導しているつもりでございます。
 それからなお、アメリカに対しまして繊維品の輸出が何か特定の地域にだけ集中して輸出されているという事実はないのではないか、このように考えます。
#10
○瓜生清君 それでは次の問題に移りますが、紡績の構造改善の実施に、当初とだいぶズレがきているように思うのですけれども、現在の状況並びにいまのような状態でいくと、最初きめました五カ年計画というものが、はたして順調に達成されるのかどうか、見通しを聞きたいと思います。
#11
○政府委員(高橋淑郎君) 紡績の構造改善につきましては、三本の柱を立てて昭和四十六年度を目標に、ただいままで鋭意努力をいたしてきております。
 第一の柱は設備の近代化でございます。この近代化につきましては、むしろ当初基本計画策定の際に考えましたテンポよりも早いテンポで推移している、このように思います。四十六年度の目標年次までには十分この基本計画どおり達成される、このように考えます。これに伴いまして生産能率についても大体順調に能率が上昇いたしております。御存じのように四十六年度の目標は一コリ当たり二・九人ということでございますが、大体達成される、このように考えております。
 第二の柱は過剰紡機の計画的処理ということでございますが、この一括処理の規模は、基本計画をつくりましたときの目標に比べまして縮小をいたしました。しかし百万錘を処理するという指示をいたしまして、一律の廃棄分、いわゆるプロラタ分、それから任意処理分、合わせまして、約換算錘数で七十九万錘の処理を行ないまして、まあこういうスクラップ・アンド・ビルドという方式を通じまして構造改善の基本的な目標である近代化推進という面においては効果をもたらしたものであろうと考えております。
 それから第三の規模の適正化につきましては、これはおくれがあります。ただ、漸次規模適正化に対する業界の認識あるいはやらなければならぬという気運が出てまいりまして、現在までのところ五万錘以下の中小紡がグループを組みまして、そうして規模の適正化をはかろうということで、五グループ約五十万錘が結成をされております。なお目下準備中のものが二グループございます。で、四十四年度からこの中小紡のグループ化につきまして開銀からの融資も七・五%の特利を認められることになっておりますので、さらにこれを契機といたしまして中小紡績業者のグループ化の一そうの促進ということを進めてまいりたい、このように考えております。
 以上のような状況でございますので、いろいろとさらに努力をしなければなりませんけれども、五カ年計画を達成することは何とかしてやらなければならない、また、やり得るのではないか、このように考えております。
#12
○瓜生清君 そのことに関連してもう一つお伺いしたいのですが、たしか繊維工業審議会の構造改善の答申案の中に、なるべく近い機会に三交代操業――二十四時間ですね――という一項があったんですが、私どもが心配するのは、確かにその設備を廃棄する。それから二錘に対して一錘の新鋭設備を設置することができる、こういうことになった場合に、機械の能率というのがよくなると、言うならば繊維の不況というのは過剰生産からきておるわけですから、結局フル操業をやり、機械は新しくなる、すると生産量というものはいままでよりもふえるんじゃないかという危険性といいますか、そういう感じを持つのですが、そういうことにつきまして、通産省ではどういうふうな考え方を持っておられるのか、その点ひとつ御答弁願います。
#13
○政府委員(高橋淑郎君) 確かに三交代制が導入されますと能率があがりますし、それからまた現在の段階におきましては、空気精紡機の設置もまだ初期の段階でございます。しかし、いずれは空気精紡機の普及ということも考えられるわけでございますが、しかし現時点におきましていろいろ需給の状況を試算をしてみますと、合繊の紡績糸の予定といいますか、計画を上回る伸びというものを中心にしまして、またスフ糸、綿糸につきましても計画に比較しまして横ばい、あるいはややそれよりも強含みというような感じでございまして、確かに能率増、あるいは生産増ということがございますけれども、それはいま申し上げましたような需給面からの増ということで、大体相殺されるのではないか、このように私どもといたしましては予想をいたしております。
#14
○瓜生清君 そこで、生産がふえてくる場合、その分を需給の増加ということで吸収できるという御答弁がありましたが、貿易的にはそういう綿糸その他を、どういうんですか、まだふやすことができるというようなそういう見通しですか、その点どうですか。
#15
○政府委員(高橋淑郎君) 綿糸そのものの形で輸出をさらに伸ばすということは、これはなかなか困難であろうと思います。むしろ太番手の綿糸は相当量パキスタンその他から輸入をされております。これからのやはり輸出の形、態様といたしましては、たとえば綿と合繊の混紡糸という形で、たとえば糸の場合はそういう形で出すとか、あるいは織物、さらに二次製品、加工度の高いものにして出していくというのが、やはりこれからの繊維の輸出の態様であろう、このように考えます。
#16
○瓜生清君 私、産地を回ってまいりまして、織布業の構造改善が案外おくれているんじゃないかという感じを持つんですが、その状況をひとつ知らしてもらいたいと思います。それからどの地域が進んでおってどの地域がおくれておるのかとか、こういうことがわかればお願いします。
#17
○政府委員(高橋淑郎君) まず織布の構造改善の実施状況でございますが、昭和四十二年度に綿・スフは二十三産地組合、絹・人繊は五産地の組合が事業を実施いたしまして、四十三年度にはこれが綿・スフについては二十八、絹・人繊については八産地という組合が事業を実施いたしております。その産地の生産量の全国生産量に対する比率、いわゆるシェアは、約七割というように考えております。
 それから構造改善の実施についておくれが見られるのではないかという御指摘の点につきましては、四十二年度におきましては予算をほぼ満額消化をいたしまして、ただ四十三年度におきましては予算のほぼ八割程度を消化しまして、未消化になっておりまして、この点は、やはり一部の分野におきまして、新鋭の織機が開発される、それを使いたいということで、構造改善の中であります設備ビルド、なかんづく織機のビルドという点が、この開発織機待ちということでおくれの一因となっておるというのが実情でございますが、この点につきましては、この昭和四十四年度の後半からさらに次年度にかけまして、開発織機の実用化というのを待ちまして織機ビルドが相当大幅に行なわれるであろうということで、織布の構造改善、なかんずく織機のビルドというのは後年度のほうに集中するように考えられます。なお、構造改善の進んでおる地域は、絹・人繊織布につきましては北陸方面でございます。綿・スフの分野におきましては全般的におくれぎみでございます。ただいま具体的にどの産地、どの産地という資料を手元に持っておりませんが、傾向から申し上げますと、そういう傾向でございます。
#18
○瓜生清君 いま上程されております特繊法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を見ますと、「繊維工業全体の構造改善を達成するためには、繊維工業の一体性からいって相互に密接な関連のある他の部門におきましても所要の対策を講ずる必要があり、この趣旨から、今回、メリヤス製造業と特定染色業を構造改善の対象業種として加える」ようにしたというふうに書かれてありますが、これに関しまして、私どもは流通機構の改革をやらないといけないんじゃないかというふうに考えているわけです。しかもその流通機構の中には、消費者段階に至るまでのいろいろむずかしい問題がありますが、結局消費者自体があまり利益をこうむっていないという、こういう事態に対して、繊維雑貨局ではどういうふうな対策を考えておられるか、それをひとつお聞きしたいと思うのです。
#19
○政府委員(高橋淑郎君) 流通問題は、私いろいろむずかしい問題が各業種にわたってあると思いますが、共通してこれはむずかしい問題だと痛感いたしております。とりわけ繊維の分野におきましては、この流通問題の取り上げ方、またその取り上げたあとこれをどういうぐあいに対策を考えていくかということは、きわめてむずかしい問題であると考えております。そこで、従来から産業構造審議会の流通小委員会で、いろいろの角度から過去五年間にわたりまして調査を行なってまいりました。一例を申し上げますと、海外の流通の事情とか、あるいは流通における情報機能がどうであるとか、投げ物の調査、その他いろいろやってまいりました。で、ある程度の成果は得ておりますけれども、まだまだこれでは不十分であるということで、昭和四十四年の予算では、本格的にこの繊維流通問題について広範な調査を行ないたい。その場合に、いま御指摘のありました消費者との関連ということも十分頭に入れまして、加工流通面にとどまらず、消費流通に及ぶ広い範囲で調査を行なってまいりたい。そのやり方としましては、構造改善事業協会の中に調査委員会を設けまして、学識経験者の方にお集まりいただきまして、まず問題点の整理、それから具体的な調査方法を検討してこの流通問題に取り組みたい、こういうように考えておりますので、いまおっしゃいました消費者の利益云々という点につきましては、いましばらく時間をかしていただきまして、この調査の結果を待たしていただきたい、このように考えます。
#20
○瓜生清君 そこで、流通の問題に関連して繊維の商品取引所がありますが、これの機能を一体どう考えておるのか。ということは、繊維製品の価格安定及び需給生産体制が相場の価格変動によって左右され、その及ぼす影響は無視できないものがあると思うのです。
 それから、今後繊維工業全体を構造改善を通じて近代化し、計画的な生産性向上に取り組んでいるいま、取引所は将来実態にそぐわないような存在になるのではないかという気がするのですが、それに対する政府の見解をお尋ねしたいと思います。
#21
○政府委員(高橋淑郎君) 私からお答えするのが適当であるかどうか、ちょっとあれでございますが、この取引所の問題につきましては、確かに投機に走り過ぎるというようなことで、一部の方々は取引所はむしろないほうがいいのではないかというような御意見もありますし、また、この取引所というものはぜひ必要だという強い御意見もございまして、いろいろ関係の業界からアンケート調査なども行なってきておるわけでございまして、現段階におきましては、供用品の範囲を広げるとかあるいはいわゆる人為的な投機に走り過ぎるのを調整するとか、そういうような実施面、実際の取引所の動き方について調整をするということをとりあえず行なっていくのが適当なのであろう、やはり商品取引所のあり方というものについては、いろいろな立場からやはり総合的に検討して結論を得べきものだと思いますので、繊維雑貨を所管いたしております私の考えだけでこの取引所問題についてかくあるべしと言うことは、あまり断定的なことを申し上げるのはいかがかと、また私、それほどの知識も、また勉強もいたしておりませんので、とりあえずいま申し上げたようなことを考えております。
#22
○瓜生清君 現在縫製部門の構造改善に関して調査を進められておるというふうに聞いておりますが、縫製業の対象範囲をどのように一体考えておられるのか、たとえば輸出縫製に限るという考え方で臨んだ場合に、産地的なとらえ方をすればそれも可能でしょうが、ミシン一つで内需もあるいは輸出物も転換が容易であるわけです。輸出と内需の区別を一体どこでつけるのか、そういう点について当局の考え方を聞きたいと思います。
#23
○政府委員(高橋淑郎君) 御指摘のように、輸出縫製業とそれからいわゆる内需向け縫製業とを明確に一〇〇%区分するということは、あるいはむずかしいかもしれませんけれども、しかし次のような理由によりまして大体の区別は可能であると考えます。すなわち、輸出縫製業につきましては中小企業団体法に基づく工業組合がつくられております。この工業組合におきまして、団体法に基づく輸出向け出荷数量の制限を実施しております。そのために輸出縫製業者、それからその生産の実態についてはっきり掌握することができております。それからやはり輸出向け縫製業の態様としては、マスプロに適したような形態が主になりますので、もちろん輸出縫製業といえども内地向けのものを取り扱って、その間若干の重複はあるかと思いますけれども、内需向け縫製業との区別は一応可能である、このように判断をいたしております。
#24
○瓜生清君 さらにもう一つ御質問いたしますか、この紡績の場合でも織布の場合でもメリヤス染色の場合もそうですか、アウトサイダーの存在というものが非常に、何と言いますか、気になるわけですけれども、そういうものについて通産省はどういうふうな行政的な指導をされるのか、その点についてお伺いします。
#25
○政府委員(高橋淑郎君) 一言で申し上げますと、極力多数の企業がこの構造改善対策のワク内に入ってきていただきたいということであります。具体的に申し上げますと、構造改善を進める場合には、織布の場合は各産地の工業組合、メリヤスの場合は工業組合連合会、染色の場合は公益法人特定染色業団体、こういうものを中心にしまして、この中に入っていただく。そうして結束して事業を実施する、こういうことを基本といたしておるわけでございます。したがって、いわゆるアウトサイダーの方がそのままで構造改善事業に参加するということはできませんけれども、いま申し上げました工業組合、あるいは工業組合の連合会傘下の工業組合、あるいは特定染色業団体、いずれも加入の自由が認められておりまして、すべての企業に門戸は開放されておりますので、この中にアウトサイダーの方も極力入っていただく。そうして一体となって構造改善事業に参加されるよう私たちとしては指導を徹底し、また推し進めていきたいと思います。
#26
○瓜生清君 繊維の構造改善対策において、いまおっしゃったようにグルーピング化が促進されておりますが、零細企業の場合これに乗れない、したがって切り捨てになるというような危険性を感ずるんですが、これに対してはどういう措置をとられるのか、とろうとされるのか、その点についてお答えを願いたいと思います。
#27
○政府委員(高橋淑郎君) 構造改善事業の中で、大きな柱は設備ビルドでございます。それで織布、メリヤス、染色業を通じましてグルーピングする方々に対する設備ビルどの助成というのは、零細企業を含めまして、すべての企業に対して先ほど申し上げましたように門戸を開放しておるわけでございまして、零細企業の方でも構造改善を積極的にやろう、体質改善を積極的にやろうという自覚と決意を持っておられる方は、このグルーピングの中に入ってこられることが十分考えられるわけでございまして、実績から申し上げましても、すでに実施をしております。織布業の場合、四十二年度の例を見ますと、グルーピングを行ないました企業のうち織機の台数が二十五台以下というそういう小さな企業が、綿・スフの場合には六八%、絹・人繊の場合は六三%を占めておるということでございます。メリヤスの場合も、これからグルーピングをやろうということを考えております中に、一企業の従業員が四名とか六名とか、そういうような零細企業も含まれておりますという例もございます。したがいまして、そういう意欲があれば、いつでもグループ化し得るということ、制度としてそういうぐあいになっておりますが、しかし、中には意欲を持っているけれども、一ぺんにやはりグループ化して強固な結合体の一員になることはなかなかむずかしい、そういうふうな場合も確かにあると思われます。このような場合には、まず段階的に考えていくということが必要と思われますので、こういう零細企業の方に対しては、現在あります県の設備近代化資金あるいは国民金融公庫の融資、場合によっては中小企業金融公庫の融資というようないろいろな制度を積極的に活用して、そうしてその次の段階で中小企業振興事業団の融資の対象となるような強いグルーピングにそれが発展できるように指導してまいりたい、このように考えます。
#28
○瓜生清君 それでは最後にひとつお尋ねしますが、この間当商工委員会で化繊協会長の宮崎さんが、化学繊維工業協調懇談会のことについて意見を述べられましたけれども、一体、行政当局としては、化学繊維工業協調懇談会の今後のあり方についてどういうふうなお考え方でおられますか、その点をお聞きしたいと思います。
#29
○政府委員(高橋淑郎君) 化学繊維工業協調懇談会は、昭和三十九年の十月に関係業界、それから政府、学識経験者その三者構成のもとに設けられました。この協調懇談会におきましては、日本の化学繊維工業のあり方についていろいろと意見を交換し、また方向づけを行なうという性格のものでありますが、とりあえずこの協調懇談会におきまして設備の新増設につきまして一定の基準と手続を設けまして、これを各企業がどのように受けとめて実施していくかということが当面の問題としてあるわけでございます。それで私は、設備の新増設についてのこの協調懇の運用についてどう考えるかということにつきましては、まず関係の業界の中でいろいろ御意見がおありです。しかし、まだどういうような運用のしかたがいいかということについて結論を得ておられないと承知しております。それで関係の業界のほうからまとまった意見が出てまいりますれば、私たちとしても十分その協調懇の場で意見を交換する必要があろうと、またそういう業界の意見のまとまることを待たずして、われわれ関係当局者として独自に、必要に応じて必要な時期に部内的にいろいろ研究はする必要が出てくるかもしれません。しかしいずれにしましても、 設備の新増設の基準をどういうぐあいにしてきめるかというこの運用の問題については、もし改善すべき点があれば改善すればよろしかろうと、ただ、まだ具体的にどういうぐあいにそれを改善するかということについての方法は、これから関係者が検討すべき段階だと、このように思います。
 なお協調懇自体のあり方あるいは協調懇においてどういう問題を討議すべきかということにつきましては、いましばらくこの協調懇の運用の推移、あるいはいろいろ内外の情勢、あるいは環境が変化いたしますから、それに即応して適切な対応措置ということを考えていくべきものだと考えます。
#30
○瓜生清君 以上で終わります。
#31
○須藤五郎君 今度のこの法案は、従来あった法案の中に新しくメリヤス業と染色業を加えたこととなっておるのでありますが、きょう私は、メリヤス製造業を中心に少し質問いたしたいと思います。しかし、私の質問はやはり染色業にも同じ意味で関係のあることだと思いますが、まあとりあえずメリヤス製造業を取り上げて二、三質問をしてみたいと思っております。
 まず第一、メリヤス製造業の構造改善事業の内容は概略どのようになっておるかという点、お伺いしたいと思います。
#32
○政府委員(高橋淑郎君) メリヤス製造業は非常に多数の中小企業をかかえておる業界でありまして、この構造改善というのは実際上非常にむずかしい、しかしぜひやらなければならないということで、その場合の柱となりますものは、グルーピングの推進あるいは設備ビルドを積極的にやる、あるいは取引の改善をやる、あるいは技術の改発をやる、こういうようなことが中心になります。これを行ないます際に、やはり業界全体が一致協力してこれに臨む、そういう体制を確立することが第一でございます。まあ幸いこのメリヤスの関係四工業組合連合会が組織としてもしっかりしておりますし、また構造改善に対する意欲が非常に強うございますので、この四つの工業組合連合会を中心にして構造改善を実施してまいりたい、これがまず基本でございます。
#33
○須藤五郎君 この法案に流れている精神というものは、おそらく四十三年八月二十一日に出された繊維工業審議会の答申の精神を尊重し、そうしてその線に沿うて私は考えられているものと思うのでありますが、そうすると、この答申によりますと、実際具体的にはどういうふうなことがあらわれてくるのですか。どういうふうにこの答申を取り上げていこうというお考えなんですか。
#34
○政府委員(高橋淑郎君) 答申をいただきまして、その後、先ほど申し上げました関係の四つの連合会を中心にしましていろいろと勉強をいたしまして、それで大体審議会の答申に沿った線でこの構造改善を実施していこうということで、まず法制的にはこの特繊法の対象業種に組み入れていただく、また財政投融資の面で必要な資金的な措置をとっていただく、また税制面においても織布に対して行なわれている税制の適用をお願いしたい、まあ大筋からいえばそういう点でございまして、具体的にはこの構造改善をやってまいりまして、五年後に一体どういうふうな姿を描くかというようなことについても、現在考えられるいろいろなファクターを頭に入れまして、またいろいろな数字を使いまして五年後のあるべき姿というものを策定しておるわけでございます。
#35
○須藤五郎君 そのあなたたちの頭の中に描いている五年後のですね、それを言ってほしいのです。
#36
○政府委員(高橋淑郎君) まず五年後には、付加価値を一例にとってみますと、年率一〇%程度で伸びていくであろう、それから生産取引の体制を考えますと、現在グループ化しているものが五百二十五ございますが、これを約八百ぐらいに持っていく、その結果、グループの中に入っております企業の生産シェアというものが全体のもう九割以上を五年後には占めることになるであろう、その場合にグループ化の一番徹底したものはコンバーター・システムでございますが、そういうことも頭の中に描いております。それから設備の面では近代化率が現在三〇%程度でありますが、これを六六%程度に持っていきたい。付加価値の今度は生産性ということから見ますと、大体現在の倍程度になるであろうと、それからこういう設備の近代化、それに基づきます省力化ということで、このメリヤス業に従事する労働者の方々も現在の約二十万から十五、六万人程度になるであろう、およそこのような想定をいたしております。
#37
○須藤五郎君 私もこの繊維工業審議会の答申をずっと読んでみたのですか、いまあなたの言ったのと多少違う点があると思うのですがね。この二十七ページには、おしまいのほうに「このようなグルーピングは、五年間におおむね八百程度とし、その取引シェアは全体の過半とすることが目標とされよう。」と、こういうふうになっているのですが、いまあなたは九〇%というふうにおっしゃったのですが……。
#38
○政府委員(高橋淑郎君) この答申にあります八百程度のグルーピングと申しますのは、これから新たにグループ化する――私の説明かちょっと足りませんでしたけれども、新たにグループ化するのが約八百と、現在すでにグループ化されておりますものの取引のシェアというのが約三割ございます。それで新たに八百程度のグループ化が行なわれまして、その取引シェアというのが五〇数%、そこで合わせますと八〇数%と、こういうことになるわけでございます。
#39
○須藤五郎君 この物的生産といいますか、いまあなた付加価値というふうにおっしゃいましたが、それはこの五年間たったあとはどれぐらいになるんですか。
#40
○政府委員(高橋淑郎君) まず付加価値額の絶対額は、四十三年度の推定は約一千六百三十九億円、これが五年後には二千六百五十二億円ということで、これが先ほど申し上げました年率で約一〇%程度の伸びになるであろうということを申し上げたわけでございます。で、生産性につきましては、現在一人当たりの付加価値額は七十九万九千円、これが五年後には百七十万円余ということで、四十三年度と四十八年度と比べますと一一四%のアップというように考えております。
#41
○須藤五郎君 局長、あなたの答弁、非常に慎重でいいんですけれども、時間が、非常にテンポがのろいと思うのですよ。まことにこういうことは言いにくいですけれども、時間が限られておりますので、もう少しスピードアップしてくれませんか。
 メリヤス製造業が必要とする設備近代化は一体どのようなものか。
#42
○政府委員(高橋淑郎君) 現在の総設備台数十七万五千台を、五年後には十六万六千台にする、その中身は、申し上げましたように近代化率三〇%を六六%にもつていく、中身としましては高速化あるいは大型化あるいは自動化あるいはラージパッケージ化、まあこういうようなことがその中心になります。
#43
○須藤五郎君 そうすると、いま現在ある十七万六千台ですね、それを近代化によりまして七万八千台にすると、こういうわけですが、丸編みメリヤスが約一万七千台。これはこの答申の中にありますから、私のほうから申し上げますが、それから経編みメリヤスが千台、横編みメリヤスが四万五千台、くつ下編みが一万五千、計七万八千台となっておりますが、これらの設備近代化に要する資金はほぼどのくらいに見込んでいらっしゃいますか。
#44
○政府委員(高橋淑郎君) これは答申の際もはっきりした金額の試算をいたしておりませんが、まあ全体として設備に要する資金というのは、推定でございますが、まあ千億円程度。ただし、これは法律によります特別助成の手段だけでやるわけではございませんで、一般助成あるいはまた個別の設備増設ということも含めての試算でございます。
#45
○須藤五郎君 その試算、何か根拠があるのですか。私はこの答申を読みまして、自分でも実は試算をしてみたんです。そろばんをはじいてみました。丸編みメリヤスが一万七千台と申しますと、これは一台三百五十万円から一千万円という価格が出ておるのですね。それから経編みメリヤス、これは一台四百万円から五百万円、これが一千台。横編みメリヤスが四万五千台、これが一台三千万円。靴下編み機の値段はここに出ておりませんので私はわかりませんか、これをずっと計算してみると、一千億というような金でできるというふうには私は実際考えられないんですが、あなたがいま一千億という数字をはじかれた根拠はどこから計算した上のことでしょうか。どういう計算をなすってそういう数字を出されたのですか。
#46
○政府委員(高橋淑郎君) いま先生御指摘の個別の設備についての値段は非常に高い価格のものを例示なさったと思います。それで、すべての機械かそのように高い価格のものばかりではございませんので、実は私お断り申し上げましたように、一応の試算をしてみたわけでございますが、その際も関係者の間で一応の設備別の積み上げ計算をやってみたというだけでございまして、それが約五年間で千億円ということでございます。
#47
○須藤五郎君 そうすると七万八千台の機械が一千億というと、平均にしたらずいぶん安いものに数をはじいていらっしゃるようですが、そんな一千億ぐらいでちゃんとあなたたちの考えておる近代化というものが成り立つのかどうかという点はどうですか。そういうふうな一千億くらいの金でこれができるのですか。私らの試算でいきますと数千億あるいは一兆もこえるような金額になってくるんですよ、この答申による価格ではじいていくと。そうすると、あなたたちの近代化というのは、答申の価格よりもずっと低いところに線を引いて、そして安い機械でやっていこう、こういうことになるのですが、そういうことでほんとうに近代化という目的を達成することができるかどうか。こういうことになるのですが……。
#48
○政府委員(高橋淑郎君) 繰り返しになりますけれども、先生が引用なさいました丸編みのメリヤス機、たとえば三百五十万円ないし一千万円、これは非常に高いものの一例でございまして、たとえば丸編みメリヤスの機械は百万円からございます。それから横編みメリヤスの自動機も一台五、六十万円からございます。そういうようないろいろな値段の差がございますから、そういうものを積み上げて一応試算いたしまして、五年間で一千億程度のものがあれば一応の近代化の達成は可能であろう、このように推定をいたしておるわけでございます。
#49
○須藤五郎君 横編みメリヤスは一台三千万円というようなものが五十万円、六十万円からあって、そういうほんとうに最低の機械でやっていこうというような、非常に消極的な考えのように私は思うのですが、これは答申の精神をほんとうに私は尊重してやられていくんだろうと思ったが、そういうことでもなさそうなんではないですか、そういうように考えていらっしゃるとするならば。どうなんですか。
#50
○政府委員(高橋淑郎君) 確かに御指摘のように横編みのフルファッションの最高級の機械を使いますれば三千万円でございますけれども、たとえばこのフルファッションの横編みメリヤス機というのは、一般自動機の二十四台分に相当する高能率のものでございますから、三千万円の機械を入れるところもございましょうし、また百万円程度の機械を入れるところもございましょう。いろいろなケースが積み重なって近代化が行なわれていくであろう、このように考えます。
#51
○須藤五郎君 このような構造改善計画を進めるために財政面や金融面で数々の助成措置をとることになっておる、こういうようになっているのですが、その助成を行なう条件というのは一体どういうことになっておりますか。
#52
○政府委員(高橋淑郎君) 中小企業振興事業団から設備ビルドに要する資金の七割を二分六厘という低利で融資するということを考えておりますが、その条件は、まず第一に協業組合を結成するとか、あるいは思い切って合併をするとか、そういうような強固なグループを組む、そういうものに対して特別助成制度を適用してまいりたい、このように考えます。
#53
○須藤五郎君 私の言ったのはそういうことでなしに、この助成を受ける企業ですね、それはどういう条件を備えた企業かと、こういうことをお尋ねしているのですよ。
#54
○政府委員(高橋淑郎君) これはメリヤスの構造改善を実施いたします場合に、まずグループを組むということが大前提でございまして、そのグループ化の計画を先ほど申し上げましたメリヤス工業組合の連合会、ここでもって全体計画との関連において適切であるかどうかということを判断をし、それを通産省のほうで、また学識経験者その他の意見も十分聞いて、適切なプロジェクトであるということであれば、事業団の診断ということもあわせ行ないまして融資対象にするということでございますから、その企業が大きいとか小さいとかいうようなことでなくて、そのグループをする、そのグループというものに着眼して融資するということでございます。
#55
○須藤五郎君 これも答申の三十九ページの下のほうに「財政、金融上の措置」という条項で「とくに、生産、取引、金融の各面で有機的な経営結合体としての再編成の実を備え、大きな効果が期待できるグルーピングであって、業界全体への波及効果をもつものの投資については、」といって「日本開発銀行の特利特枠融資および中小企業振興事業団を通ずる特別助成を行なうこと。」こういうふうになっておるわけですね。そうすると、ここにこういう開銀や中小企業振興事業団から低利の金を借りることのできる団体といえば、いま申しましたように「生産、取引、金融の各面で有機的な経営結合体としての再編成の実を備え、大きな効果が期待できるグルーピング」、「業界全体への波及効果を持つものに対する投資」、こういうことになるんですよね。そうすると、こういう条件がついておるわけでしょう。
#56
○政府委員(高橋淑郎君) さようでございます。一定水準以上の生産性向上の効果が期待できる、そういうグループである、あるいは金融を受けます場合に連帯保証を行なうというような、そういう強固なグルーブである。それから先生御指摘の開銀融資は、これは染色の場合に中小企業でなくて、中小企業の定義をはずれたいわゆる大企業に対して特別助成を行なう場合のことを書っておるわけでございます。
#57
○須藤五郎君 そうすると、あなたたちが言っておるこの条件を備えない零細企業というもの、これはやはり近代化のこの線から落とされていって、金融も受けられない、こういうことになるんじゃないですか。
#58
○政府委員(高橋淑郎君) こういういわゆる業界全体に対して波及的な効果を持つ非常に模範的なグループというものが一挙に組めない、そういう企業に対しましては、やはり現在あります県の設備近代化資金制度とか、あるいは国民金融公庫の融資、こういうふうな現在の諸制度を活用してまいりまして、ほんとうに体質改善を行なっていきたい。しかもその企業のねらっておるのが業界全体の構造改善の方向と合致しておるという場合は、こういう個別の企業に対しても金融面での措置というものは道が開かれておるわけでございます。
#59
○須藤五郎君 そうすると、そういう目的に合致できないという団体は、やはりこの金融面からも振り落とされていくという結果がくるように私は思えるんですね。
 そこで、もっとお尋ねしたいんですが、時間がそうありませんから、次に移りますが、メリヤス製造業の規模別企業数構成はどのようになっておりますか。
#60
○政府委員(高橋淑郎君) 企業の数で申し上げますと、九人以下、これが昭和四十二年の統計で約六五%、十人から二十九人までが二七%、大体そういうことになっております。あと申し上げましょうか。
#61
○須藤五郎君 政府資料もらっていますから、それで私は理解しておきますが、あなた非常に大ざっぱにおっしゃいましたが、私はもう少し詳しくほしかったんですが……。
#62
○政府委員(高橋淑郎君) 九人以下六四・六%、十人ないし二十九人二七・一%、三十人ないし四十九人四・三%、五十人ないし九十九人二・二%、百人ないし二百九十九人一・六%、これまでが大体中小企業、あと残り三百人以上というのが〇・二%ということでございます。
#63
○須藤五郎君 そうすると、これを見ましても労働者五十人以下が九六%を占めているということがはっきりするわけですが、大きいところ五十人以上三百人までぐらいのところが四%しかない。こういうことなって、メリヤス企業というものがいかに小企業が多いかということがわかるんですがね。こういう面から見て、いまあなたがおっしゃったようなそういう近代設備の資金を受け入れて、ちゃんとりっぱな企業としてやっていけるというそういう条件があるのか、また、あなたがさっきおっしゃったような条件をこういう企業は満たすことができるのかどうか、こういう問題が出てくると思うんですね。いま国会に出されている四十三年度中小企業白書がありますが、この二百十一ページにおきまして、生産設備の開発改良の実態につきまして、メリヤス機械は非常に価格が高いために特に小規模層にあっては導入がおくれている。こういうふうにこの白書が指摘しているのですが、そうすると、いま申しましたように、こういうふうにたくさんの九十何%を占めている小規模層が、そういう高いメリヤス機械を入れて近代化していくということがはたしてできるのかどうかということ。そうしてこういう小規模層の企業をほんとうに近代化していくためには、どういう措置を政府はとっているのかということですね。
#64
○政府委員(高橋淑郎君) まさに先生御指摘のような業態でありますからこそ、幾らむずかしくてもこの構造改善に取り組まなければいけない。このままほうっておきますと、発展途上国からどんどん追い上げられて戦列から脱落していく、こういうことは目に見えておるわけでありますから、幾ら規模が小さくても、小さいなりにグループをぜひとも組んで、そして人の力、資金力あるいは技術の力というものを結集しましてグループ化していく。そのグループは初めから強固なグループができるのが一番望ましいわけですけれども、そういうグループが一挙にできない場合は、まずゆるやかなグループからでもつくりまして、逐次強固なグループを結成し、それがまたさらに大きな結合体として発展していくということを姿として描いておるわけでございますから、こういう小さいところも一緒になってやるということによって条件が満たされれば、先ほど申し上げましたように特別助成の対象になり得るし、一挙に特別助成の対象にならなくても、一般助成の道が開かれておりますから、そういう制度を活用していただいて、一刻も早く近代化のために努力していただきたい。また、それをやろうという熱意が業界にあるということでございます。
#65
○須藤五郎君 この法律案の基礎になっておる昨年八月の答申では、この構造改善事業の「対策実施の過程において、転廃業多発の事態が生ずるようなときには、その手当てにつき十分な配慮が必要」だ、こういうようにこの答申の中で述べております。構造改善事業の進展に伴いまして、多数の企業がつぶれることを予測しておると思うんですね、この答申自体も。ここで転廃業を余儀なくされるのは、まさに私がいま申し上げました九六%を占めるところの非常に小さい企業、これが転廃業をせざるを得ないところに追い込まれていくだろう、こう思うのですが、一体こういう企業に対してどういうふうな配慮をしておるか、転廃業ということは絶対あり得ないというふうに考えているのか。転廃業をせざるを得ないところへ追い込まれた企業に対してどういうふうな措置をしようとするのか。
#66
○政府委員(高橋淑郎君) 実は先般メリヤス業界に対しまして、転廃業の意向があるかどうかというようなことについて、アンケート調査をいたしましたが、その時点におきましては、その転廃業に伴う、たとえば設備の買い上げとかそういうようなことについての希望というものは、アンケート調査の上からは出てまいりませんでした。ただ、これは今後どういうような動きになりますか、これはやはり事態の推移を見てみないとわからないと思います。
#67
○須藤五郎君 事態の推移を見なくちゃわからぬというのでは、実際こういう人たちはやはり常に不安が念頭を去らないということになりますし、私たち自身もやはり不安を持つわけなんですね。ですからそういう事態が起こったときにはどういう措置をとるのかという点を、ぼくは政府として責任持ってよく検討して誤らないようにしてもらわないと困ると思うんですね。企業の取りつぶしと申しますか、転廃業せざるを得ないところへ追い込まれた、そしてメリヤス製造業の労働者は二十万今日あるわけですね。その二十万の労働者のうち、多数が働き口を奪われてしまう、失業する、こういうことがあり得ることなんですね、予想されることなんです。若年労働者はほかの新しい就職口があって、比較的容易にほかに転職できるかわかりませんけれども、中高年層はそう簡単にいかない。それからまた若年層の労働者にしましても働きなれた職場を去るということは、やはり人間としてつらいことだと思うんですね。特に一家の柱となっているところの中高年労働者が再就職の道が非常に限られておるというこの現状におきましては、失業することは、その家族を含めて大きな社会問題を引き起こすことも私は心配されるわけです。この点どのような対策を考えていらっしゃいますか、これは労働省の方にも、こういう失業者が出た場合どうするかということ、通産省は失業者は出さないでどういうふうな手を打っていくかという点、両方の方に伺いたいと思うんです。
#68
○政府委員(高橋淑郎君) 私たちはあくまでも今回の構造改善の基本方策に沿って業界の方々が脱落することのないように一生懸命業界と一緒になってやっていきたいということでございます。
 それから、とにかく小さいところも大きいところも人手不足あるいは人手を確保するということが非常にむずかしいというのが実態でございます。ただこういうメリヤス業からほかの職場に移っていくというような方に対しては、これはいろいろ職業訓練の場もございますし、いろいろなまた離職者に対する特別な手当というのも織布の場合と同様な措置をメリヤス業の場合についても考えていただくように労働省のほうとも御相談をしておるという現況でございます。
#69
○説明員(吉本実君) ただいまの御質問でございますが、私どもといたしまして、中小企業の振興ということにあわせまして、不幸にして離職するような方々につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、特に中高年層の方々がやはり多く対象になるし、また、私どもとしても、そういう方々の職のあっせんなり生活の安定をはかっていかなければならない、かように存じておる次第でございます。従来からもいわゆる転職訓練とか、あるいは中高年の雇用率の設定とか、あるいは雇用促進融資の措置とかいう仕組みでいろいろやっておりますが、民間におきまして現在のようないわゆる人手不足感を多く持っているような時代に、やはり若年ばかりにたよらず、中高年層に向けても採用していただくというような機運の醸成をはかっていかなければなりませんし、私どももその方向で努力しておる次第でございます。また、当面この法案に盛られているような業種の方々の場合につきましては、従来の措置に加えまして、雇用奨励金制度を特に付加をいたしまして、その点の拡充をはかり、再就職に不便のないようにさしてまいりたいと、かように存じております。
#70
○須藤五郎君 常に構造改善ということが起こると、どの産業におきましても必ず失業者が出てくるということは、私はこれはまあ当然そういうことになる運命だと思うのですが、先ほども民社党の方が御質問になった中で、構造改善をやる、そうすると新しい機械を入れるのですから、非常に能率のいい機械が入るということですね。そうすると、従来の人数でやっている人手が要らなくなってきますね。そうすると、そこからどうしても人減らしという問題が起こってくると思うのです。これは必然的なことじゃないでしょうか。もしも人減らしをしないで非常に高度の生産能力を持った機械を入れてやっていくとなるならば、機械の台数もうんと仕込まなくちゃならぬ。そうすれば金がかかる。そうすれば生産過剰という面がうんと出てくる。こういうことになるのですから、生産能力の非常に高い機械を入れれば、多少の生産は上がっても、ふえても、野放図に置いておけば生産過剰になってしまうのです。あるところで押えなければならない。そのためには人減らしをして、台数を制限をする、やはりそういう面が出てくる。そうすれば失業者というものも必ず私は出てくると、こういうふうに思うのですが、それで、これは中小企業に働いておる労働者にとりましては非常に重大な問題になってきますので、若年労働者はともかく、中高年の労働者は構造改善事業によってたくさんの失業者が出てくるという見通しを私たちは立てて、それに対する対策を、労働省のほうもちゃんと誤らないように十分な対策をいまから立てて、労働者を困らせないようにしていくということも考えておかなければならぬが、最もいいことは、失業者を出さないで、それから転廃業を出さないで、そうしていまやっている人たちがりっぱな近代的な産業に立ち直っていくという、私はこのやり方が一番まず第一にとるべき道だと思うのですが、私はこの間、染色会社昭和染布と浜野繊維工業との二つの会社を実は視察に行ってきたのです。そこで感じたことですが、この昭和染布にしても浜野繊維工業にしましても、何だかあの産業自体に無理な面があるような感じがしたのです。無理な面と申しますのは、昭和染布なんというのは非常に古い工場ですね。私が見ましても、ああいう戦前からの、言っちゃ悪いかもしらぬが、ぼろ機械というような古い機械を使ってやっておる。あれで今後ずっとやっていこうとするならば、なかなかむずかしいということは私もわかりましたよ。しかしあの工場の中に、もう一つ私は無理な面があると思うのです。それは、あれだけの工場の敷地の中に工場の何倍というような面積を占めた倉庫があるわけですね。あれは相当私は染色会社にとっては大きな負担になっている面ではなかろうか、こういうふうに思うのですが、通産省はああいうことに対してどういうふうなお考えを持っているのですか。
#71
○政府委員(高橋淑郎君) 御指摘の、倉庫に非常に広いスペースをさかなければならぬ、これは今回の審議会の審議の場でも突っ込んだ議論が、審議が行なわれまして、答申の際も、要するにこういう下請的な立場にある染色業者の地位が低い、一種の不当な取引慣行であるということで、改善を要するということでございます。今度の構造改善の大きな柱として、この取引慣行を是正するために対策を立てなければならないということで、具体的に申し上げれば、委託者とそれから染色業者との間で正常な取引条件を示したモデル的な約款を作成して、これが関係者の間で受け入れられるように進め、また指導につとめたいということでございます。ですから、問題意識は十分に持っております。
#72
○須藤五郎君 それね、通産省がやろうと思っても、なかなか抵抗があってむずかしい面が出てくると思うのですが、やはり染色業の今日置かれておる不利ないろいろな面、そういう面もやはり解決していかないと、ただ構造改善だ構造改善だといっておっても、片方で大きなそういうような抜け穴があるというようなことになりますから、やはり染色業を見れば、そこだけ見ればなかなかうまくいかぬ面が出てくるであろうと思うのです。だから、やはり構造改善をやると同時に、そういう面もやはり変えていかなきゃ私はいかぬと思うのですね。だからよほど通産省がんばっていかないと、なかなかうまくいきませんよ。その点ひとつ真剣に考えていくべきだ、私はこういうふうに思っております。
 それから労働省ね、中小企業と一般に申しましても、今日一番困っているのは金融と労働不足だと思うのですが、ああいうメリヤス業とか染色業、こういうところで働いておる労働者の賃金というものは、大体どういうことになっておりますか。また、具体的に申しますならば、昭和染布の労働者の賃金と、それから浜野繊維工業の労働者の賃金との比較ですね、もしわかったら教えていただきたい。
#73
○政府委員(高橋淑郎君) 浜野繊維工業の四十一年、四十二年、四十三年の一人当たりの平均賃金は、四十一年が約三万二千円、四十二年が約三万六千円、それから四十三年が約三万九千円、それから昭和染布、これが四十一年が約二万九千円、四十二年が約三万二千円、四十三年は約四万円、平均賃金でございます。
#74
○須藤五郎君 そうすると、やはり浜野と昭和と比べれば、相当昭和のほうが賃金が落ちるわけですね。
#75
○政府委員(高橋淑郎君) いま申し上げましたように、四十一年四十二年を比べればそうでございますが、四十三年現在においては両者はほぼ同じである。よけいなことかもしれませんが、今日やはり人手不足で、その職場で働いておられる方に引き続き働いていただくというためには、やはり相当経営が苦しくても支払うべき賃金は支払わないと人手が確保できないということを示しているものだと私は思います。
#76
○須藤五郎君 労働省の方、これは他産業と比べてこういう産業の労働者の賃金というのはどういうふうに見ておられますか。
#77
○説明員(吉本実君) 手元に詳しい資料を持っておりませんが、ただいまの一人当たりの平均賃金は、全体の構成、労務者の構成その他を見ませんと、ちょっとにわかには申し上げられませんが、最近の学卒の上昇傾向、初任給の上昇等を比べますと、ほぼ世間相場ではなかろうかという感じを持っております。
#78
○須藤五郎君 小さいことを聞くようですが、こういう会社ですね、浜野などというああいう新しい大きい会社はともかく、昭和染布など行ってみましたときには、厚生施設とかあるいはそういう施設がほとんどないように思うのですが、ほかの会社はどういうふうな状態ですか。
#79
○政府委員(高橋淑郎君) 昭和染布も、一人当たり年間の福利厚生費としまして、四十三年には約三万五千円程度の支出をいたしております。それから浜野繊維工業のほうは約六万円程度の支出。その差はございます。両者の間に差はございます。
#80
○須藤五郎君 時間がきましたから、私これでやめますが、この法案を私がずっと見て受けた印象、それからこれまでのいろいろなことを考えますと、今度のこの法案は、助成条件を充たすことのできる少数の中堅中小企業というのですか、大企業にとりましては、この構造改善事業は、金融の面でも税制面でも優遇措置を受けることができるということがはっきりいたしました。それからまた体質を強化することができる。それはもうわかりました。と同時に、大多数を占める小規模企業は、こういう優遇措置を受けることがなかなかむずかしいということもわかるわけなんです。それでありますから、大多数を占める小規模企業は、これでもなかなか救われていかない。やはり転廃業せざるを得ないところへ追い込まれてしまって、そうしてその結果失業者が出てくるということは、これはもう動かすことのできない私は事実だと思うんですね。こう見てまいりますると、この構造改善事業というものは、ごく少数の大企業と一部中小企業を優遇して、大部分を占める、九六%を占める小規模企業や労働者は、やはり苦しい立場に置かれなきゃならぬというふうな感じがするんですね。それで、この法案は暗い面と明るい面と、こういうふうな二つの面を持っておると、こう言って私は差しつかえないと思うんです。私たちは決して構造改善事業に頭から反対するものではないんです。技術の向上や設備の近代化、こういうことに私たちは何も反対はしないんです。むしろ、その発展を私たちは願っておる立場にありますから、ほんとうにこういう小企業が犠牲なしに立ち直っていくことができるならば私たちも賛成をするわけなんですが、従来の構造改善事業を見ておりましても、やはり近代化、構造改善に名をかりて大部分の小規模企業はつぶされていく。農業構造改善事業でもそのことがはっきりしておるわけですが、小さい百姓さんは農村からおっぽり出されて、都会へ出てきてそうして日雇いになって、そしてああいうみじめな死にかたをしていかなきゃならぬという、そういう悲しい運命に追い込まれているわけですが、こういうことがあっては、私たちはそう簡単に構造改善事業だといって、近代化だといって賛成していくわけにはいかないんです。ですから、私はこの法案には賛成はいたしませんが、しかし最後に言っておきたいのは、この中小企業、ほんとに零細企業が実際立ち直っていく場合に、その人たちの自主的な立場に立って、政府が政府の言うこと聞かなくちゃだめだぞという、そういうひもつけた態度じゃなしに、小企業家の自主的な立場に立って、そして政府はその人たちのめんどうを見ていくという、この態度が私は必要だと思うんです。そうするならば、実際零細企業といえどもやはり生きていくためには自分たちの仕事も新しく近代化していかなきゃならぬという気持ちは持っておることと思いますので、だから先ほど申しましたようなむずかしい条件をつけないで、やはりこの人たちの自主的な判断にまかして、立場にまかして、そして政府としてそれをめんどう見ていくという、こういう方向でいくべきだと、こういうふうに思うんです。それがりっぱにやられていくという保証があるならば、私たちも近代化に対しては賛成をしていきたいと思うんですけども、それがなされてないし、その保証がないということで、私たちはこの法案はまだ不備なものであると、大企業にはいい、中堅どころの企業にはいいけれども、ほんとに小さい下層のところには、この法案によってそれは救われないと、こういう点で私たちはこの法案には賛成することはできないという結論に達したわけです。
 これを申し上げて私は質問を終わります。
#81
○政府委員(植木光教君) ただいまいろいろ御質問や御意見がございましたけれども、わが国の繊維産業がかかえております問題がきわめて大きい、後進国の追い上げも非常に激しいということで、ただいま明るい面、暗い面と申されましたが、暗い面をなくそうとしてこの構造改善の施策を進めてまいったのでございます。新しくまたメリヤスや染色を加えることになったわけなんでございます。先ほど来、たとえば小模規企業がぶっつぶれていって、失業者がそのために出るのではないだろうか、出るんだという断定がございましたけれども、しかし先ほど来御説明申し上げておりますように、零細企業者もこのグルーピングの中に入っていただいて、事実入っていただく意欲を持ち、現実に入っていただくわけでございますが、入っていただいて体質を改善していただこうという考えでありますし、また、失業者の問題がございましたが、これは合理化、構造改善を進めていくから失業者が出るというのではありませんで、逆に人手不足でありますので、人手不足を追いかけて近代化を進めているというのが現実の姿でございます。したがって、その辺の事実の認識をさらに深めていただきたいと思うのでございまして、私どもとしては零細企業の積極的な参加について十分な努力をいたしますし、また、もしも直ちに困難な場合は、先ほど申しましたように、体質改善のためにいろいろな設備、近代化資金でありますとか金融公庫、あるいは中小企業金融公庫を活用していただいて、そして一日も早く体質改善をしていただく、そういう施策を十分にとっておるのでございます。その点についても御理解をいただきたいと思います。要は、この構造改善によって繊維産業の体質を大企業、中小企業、零細企業を引っくるめまして強くしていこうとするものでございますから、どうぞその点についての御理解を深めていただきまして、御賛同をくださるようにお願いを申し上げます。
#82
○委員長(八木一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十八分開会
#83
○委員長(八木一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日、二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。
    ―――――――――――――
#84
○委員長(八木一郎君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#85
○大矢正君 先般来、当委員会で、わが国の繊維産業の将来について質疑が行なわれましたが、特に通産大臣に今後の繊維品の輸出政策について一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。
 いまさら私が申すまでもなく、低開発国の追い上げが最近顕著になってまいりまするし、反面においてはアメリカの自主規制その他輸出市場が後退をして、金額的には輸出の総額が上昇を示しておりますが、世界の繊維品の市場の占拠率におきましては、漸次後退をしているというのが今日のわが国の繊維産業の対外取引の状況だと思います。それだけに、今後の繊維産業に対する政府の行政的な指導と助言というものが、わが国の貿易の中で非常に大きな部分を占めている繊維産業の盛衰につながる重大な問題でありますので、国内的な消費、そして消費構造等にわたる検討もさることながら、対外的な取引の上において、また競争の上において、基本的に繊維産業に対する適切な措置が今日ほど必要なときは私はないと思います。いまにして繊維産業全般にわたる対策をより積極的に進めない限り、世界の繊維品の貿易の中においては著しく後退をする可能性が秘められておりますが、政府としてどういう考え方で今後やっていかれようとするのか。もちろん法律が出されておりまするメリヤスや染色の構改を進めることもそういうことにつながるのでありますが、もっと大きな視野に立って、化合繊、綿紡あるいは織布、その他全体の繊維並びに繊維製品として考えた政府のこれからの態度なりまた方針なりというものをお聞かせ願いたいと思うわけです。
#86
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、わが国の海外市場における輸出繊維品のシェアでございますが、これは発展途上国に比較いたしましていまたいへんおくれをとっておりますことは御指摘のとおりでございます。その内容をたとえば米国市場において見てみますと、綿、まくらカバー、シーツのように、急激に発展途上国が伸びておるのでございます。三十九年に一二%であったものが四十二年には四三%に躍進いたしております。それに引きかえまして、わが国は三十九年に八二%のシェアを持っておったのが五一%に低落しておる。これは顕著な例でございますが、そういう傾向がはっきり見えております。その他の繊維品につきましても、そういう鋭角的な姿ではございませんけれども、漸次シェアがわがほうに不利に働いておりますことは仰せのとおりでございます。それから輸入面を見てみますと、三十九年に六千百万ドルであったものが四十二年に一億一千八百万ドルと漸次わが国に対する輸入がふえております。それは申すまでもなく綿糸が圧倒的に多いのでございます。この前から本委員会でもわれわれから御報告申し上げておりましたとおり、わが国の繊維産業の構造が先進国に比べまして非常におくれてきた、生産性もまた非常に格差がついてきたということがそのおくれをとりました大きな原因の一つであると思うのでございます。
 私どもといたしましては、まず第一にみずからの体質を改善いたしまして、自動化率を高め、生産性を高めまして、先進国との競争におくれをとらないだけの体制を整備せねばならぬ、それが第一でございます。それからいま後進国の追い上げの状況でも申し上げましたように、低級品あるいは二次加工品等、チープレーバーを利用いたしましたものにおいて追い上げがきいてきておる関係がございますので、われわれが体質改善していく場合に、その方向をどういたしましてもより高級なものに指向してまいらなければならぬ、あるいは多様なものを開発していくことによって追い上げをはねのけていかなければならぬということが切実に要請されておると思うのでございます。特繊法、近促法等をまつまでもなく、繊維産業は、いま大きな試練に立っておると思うのでございます。したがって政府としては、そういった時代の要請に即応した実効ある政策を着実に推し進めてまいらなければなりませんが、ただ業界は、御承知のように非常に数が多うございまするし、たいへんまとまりのむずかしい業界でございますので、こういう近代化への政策を実行していく上におきまして、いろいろな制約がたくさんあるわけでございますが、鋭意そういった障害を軽減ないし除去してまいりまして、思い切った体質の改善に持っていかなければならぬと思います。
 それから第二の問題といたしまして、世界市場の自由化という点に特段の配慮を払わなければならなくなっております。とりわけ繊維品についてそのことが要請されておると思うのでございます。われわれは数年前綿製品協定というようなものに同意いたしたのでございますけれども、そのことはいま振り返ってみますと、実際の実行の過程におきまして、ますます緻密なものになり、それが桎梏となりまして思うような進出が非常に巧妙にはばまれておるという苦い経験を持っておるわけでございまして、あるいはこれを拡大強化するという動きが見えておる今日、こういった過去の苦い経験を踏まえた上で、自由化をはばむというような動きに対しましては、全力をあげてはね返す用意がなければならぬと思うのであります。その他いろいろあると思いますけれども、大まかな考え方といたしまして、そのような気持ちでおるわけでございます。
#87
○大矢正君 先般委員会に、繊維業界の代表を招いて意見を聞きました際にも、参考人から意見として出され、かつ私どもも質問をした内容でありますが、アメリカの繊維品に対する自主規制と申しましょうか、化合繊というものを、綿製品と同様国際協定の中に入れようとする意図に対して、私どもも重大な関心を払わなきゃならぬわけでありますが、どうも聞くところによると、わが国は工業製品の上において、また農産物等の上におきましても、輸入制限をしている品目というものが今日なお諸外国に比較をしてかなり大量のものがあり、それが逆に災いとなってアメリカの繊維品の自主規制ということに発展をしていっているのではなかろうかという感じもするわけであります。今日なお残存しておりまする輸入制限品目の大きな部分をかかえておりまする通産当局としては、それらの残存輸入制限品目とからみ合わされて、毛化合繊等の自主規制の強要を迫られた際に断わるすべがなくて、最終的には綿協定と同じような結果になりはしないかという心配を私どもいたすのでありまするが、所管大臣としてそういうものには一切からませないで、あくまでも繊維品は繊維品として問題の処理、解決をはかるという自信と見通しがおありかどうか、この際あらためてお尋ねをしておきたいと思います。
#88
○国務大臣(大平正芳君) スタンズ長官はいまヨーロッパ各国を歴訪しておるようでございまして、ただいままでのところベルギー、西ドイツ、ジュネーブ等を訪問されたようです。イタリーとかフランス、イギリスはこれからになるようでございまして、どういう提案をされるのか非常に注目をいたしておったのでございますが、綿製品協定というものの拡大ということが一点、それからそういった問題をガットの場で相談をしたいというようなことを話しして、各方面からは冷い反応を受けておるというようにただいままでのところわれわれも承知いたしておるのでございます。したがって、今度五月十日においでになる場合に、どういう提案を日本にするのかわかりませんけれども、いままでの経緯からすると、おそらくそういう提案でありとするならば、それは大矢委員が指摘されたように、ほかの輸入自由化の残存品目ともパッケージにして取り扱うというよりは繊維品だけの問題を取り上げられておるように思うのでございます。そのことは、この繊維品に対する輸入規制の問題が本来ガットの父であるアメリカが取り上げるということ、取り上げなければならぬということ、それは貿易の自由化というような、そういう経済的な理由より、そういう関心は、むしろ大統領選挙にあたっての選挙公約をどのように反映していくかという政治的な理由が非常に多いように思うのでございまして、そういう面からも、一括したパッケージとして取り扱うものではないような感じがいままでのところいたしております。したがって、私どもとしては今度の輸入制限の性格はどんなものかをまず模索しているわけでございますけれども、一つのそういう問題として受けとめて、それに対しまして十分の材料を用意いたしまして、先方の御提案があったならば反省を求めなけりゃならぬと考えておるわけでございまして、ほかの自由化残存品目とのかね合いというようなことは、ただいままでのところ出ておりませんし、おそらくは出てこないのじゃなかろうかというような感じがいまいたしております。
#89
○大矢正君 いま大臣が言われたとおりのことで、わが国が輸入制限をしている品目が諸外国に比較して非常に多い。それと結びつけて繊維品の輸入制限ないしは自主規制というものを考えられるということになりますれば非常に大きな打撃を受けることになると思いますので、ぜひとも繊維品のアメリカがねらっている対日規制問題については、そういう残存輸入制限品目とからませない独自の立場で結論を出すように善処を強く希望いたしたいと思います。
 次に、これまた先般参考人が参りました際にお尋ねいたしましたが、化学繊維業界の中において、設備の設置を協調懇を通して調整をしている。これは、どうも業界の中には協調懇の中で設備の設置を、話し合いではありますが規制をするというやり方は、今後のわが国の化学繊維業界としては、外国との間の競争をする上において劣るものが出てくる不安、それが出ておるわけでありますが、政府としては今後とも協調懇を通して設備の設置の調整をやっていかれようとするのか、ある一定の時期を経過したならば自由な競争の関係に置かせようとしておられるのか、大臣のお答えを願いたいと思います。
#90
○国務大臣(大平正芳君) 繊維工業は重要な地位を占めておりまするし、今後も天然繊維のような原料綿の制約もない合繊工業などは、生産性の上昇率も高いし、外貨の手取り率も高うございますので、これはひとつ戦略的にその成長を進めていかなけりゃならぬ産業であると思います。したがって、その基盤の充実をはかってまいりますためには、企業規模の拡大を通じてスケールメリットを追求する必要が一面にございますけれども、いたずらに投資競争を誘発いたしまして稼働率の低下を来たしてまいりますと、企業自体の体力を弱めてまいるばかりでなく、関連加工分野にも無用の混乱を招くおそれがあるわけでございます。そういうような意味合いで、三十九年の十月以降、政府、業界、学識経験者から構成された化学繊維工業協調懇談会というのを設けまして、設備の新増設は一定の基準と手続のもとに行なわれてきておりますことは御承知のとおりでございます。その運用でございますが、私どもとしては合繊企業各社の近代化意欲を、こういうことのために阻害するというようなことがあってはいけないと思いまして、昨年六月、従来の増設基準を改めまして、各企業の近代化努力を優遇して、新規参入者についても緩和した基準を設けて競争原理を導入する方向に改定いたしましたが、今後も合繊産業をめぐる情勢の変化に対応いたしまして、協調懇の運用につきましては弾力的に考えていかなければならぬと思います。今後これをどうするかというのは、新たな環境の変化を見ながら、それに適した対応措置を考えなければならぬわけでございますが、私は、この繊維産業ばかりでなく、一般に申しまして、こういう問題にわれわれ直面していると思うのでございます。すなわち、繊維よりもっとひどい場合は、装置産業のようにばく大な投資をしなければならぬ、そのためには二年も三年もかかる、それが完成して製品を生み出す場合の市場の状況なんというものは見当が皆目つかぬというような状況。いま各業界はそういう問題をかかえておると思うのでございます。したがって自由経済のもとにございましても、ある種の計画化というようなものは導入していかないといけない。非常にむずかしい仕事でございますけれども、計画化の問題というものが自由先進国におきましてもいま非常な大きな問題となっておると思うのでございます。これをどういう方法でやるかというようなことは非常にむずかしい問題でございまして、たまたまわれわれはこういう姿で合繊産業の場合はやってきておるわけでございますけれども、今後こういうものをどのような運用上の改善をやってまいるかというような、将来の展望というのはなかなかっきにくい。正直に申しましてこうでなければならぬ、こうすべきであるという弾丸をいま持ち合わせることが不幸にしてできないわけでございますが、今後も何らかのそういう計画化の思想を導入しながら、一方において競争原理を殺すことなく、しかも非常な過剰投資の危険をおかすことのないようなことを、官民一緒になって十分考究して、実効ある手段をくふうしていかなければならぬのじゃないか。協調懇の今後のあり方、いま直ちに結論を言うべき性質のものではないと思います。今後の環境の推移に即しつつ、いま申しましたようなことを課題として受けとめて、そのときどきに応じた適応措置を有効にとってまいらなければならぬのではないかと考えております。たいへんはっきりしないお答えでございますけれども、非常にむずかしい課題なんでございまして、意のあるところはくみ取っていただけるのじゃないかと思います。
#91
○大矢正君 続いて紡績に関連をしてお尋ねをいたしますが、設備の近代化、それから過剰紡機の廃棄、この二つは当初見込んだとおりの方向で構造改善を通して計画が実行されつつありますが、一面においてはグループ化の促進、たとえば通産省が当初考えた五万錘を最低の規模としたグループ化というものが、必ずしも私の聞き及んでいる限りにおきましては計画どおりに進行していない。そこで紡機の設置制限をしておりまする法律も、これまた先般話に私が出しましたとおり、来年の六月をもって自由になってしまう。そういたしますると、ここ一、二年程度にグループ化が急速に進展するとは思われませんし、結果としてはそのことが紡績業界の中で非常な混乱を起こすのではないかという懸念を抱いておるわけであります。もとより私は現在の法律を明年の六月以降も延長すべきであるという前提に立っての議論ではありませんが、必ずしも三本の柱が計画どおりには進行していないし、特に申し上げたグループ化が進んでいないとすれば、そういう面からの混乱が起こるのではないかという感じがいたしまするが、この面についてどのように御判断をされておるかお答えをいただきたい。
#92
○政府委員(高橋淑郎君) とりあえず事務的に御説明をさしていただきます。確かに構造改善の三本の柱の一つの規模の適正化、グループ化、これはおくれております。目下五十万錘、五グループの結成をみたという現状でございます。あと百万錘については、ぜひともグループ化を進めていかなければならないと考えております。昭和四十四年度から開銀融資が七・五%の特利ということが認められまして、これを契機に中小紡績業者のグループ化の機運というのも出てまいりましたので、なかなかむずかしい実情にはございますけれども、何とかして業界の方とも一緒になって、このグループ化を進めていきたいと私たちはこのように考えております。
#93
○大矢正君 時間がきましたので、最後にお尋ねをするというよりは希望いたしておきますが、午前中の瓜生委員の御質問にもありましたとおり、アウトサイダーが今日なおかなりある。これは業種全体の構造改善を進める上において非常に多くの問題を残すことになるのではないかと考えまするので、積極的にひとつ結束を固めるような行脚的指導を私は強く希望したいと思います。それからまた金融面、税制面において、構革をやろうとしてもやれないような産地組合なりあるいはその他個々の業者というものがあると思うのでありまするが、そういう面については、さらにどのような措置を講ずればこの構革のベースに乗るのによいかどうかということを十分これは検討していただくと同時に、金融面、税制面に対しての特段の配慮を強く希望いたしたいと思います。
 以上です。
#94
○委員長(八木一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#96
○委員長(八木一郎君) 速記始めて。
 別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#98
○委員長(八木一郎君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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