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#1
第061回国会 商工委員会 第17号
昭和四十四年七月八日(火曜日)
   午前十時二十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任        補欠選任
     中沢伊登子君     瓜生  清君
 六月三十日
    辞任        補欠選任
     上田  哲君     阿具根 登君
 七月三日
    辞任        補欠選任
     小柳  勇君     藤田  進君
 七月七日
    辞任         補欠選任
     藤田  進君     小柳  勇君
 七月八日
    辞任         補欠選任
     阿具根 登君     中村 英男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         八木 一郎君
    理 事
                川上 為治君
                大矢  正君
    委 員
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                大谷藤之助君
                大谷 贇雄君
                村上 春藏君
                山本敬三郎君
                小柳  勇君
                近藤 信一君
                竹田 現照君
                矢追 秀彦君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        植木 光教君
       通商産業大臣官
       房長       両角 良彦君
       特許庁長官    荒玉 義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       通商産業省通商
       局次長      楠岡  豪君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (通商貿易に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(八木一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 六月二十六日、中沢伊登子君が委員を辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。
 六月三十日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として阿具根登君が選任されました。
 また本日、阿具根登君が委員を辞任され、その補欠として中村英男君が選任されました。
#3
○委員長(八木一郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、通商貿易に関する件について調査を行ないます。
 まず、政府側から通商白書について報告を聴取いたします。
#4
○説明員(楠岡豪君) 通商白書の概要につきまして御説明申し上げます。通商白書は本年も総論と各論に分けてございますが、総論はガリ版にいたしましてこのぐらいの厚いものでございます。
 中身は三つに分かれておりまして、第一部としまして「世界経済と日本貿易」ということで、世界経済の動きとこれに対応する日本貿易の動きを分析してございます。それからその次は第二部といたしまして「産業と貿易」でございまして、世界経済における日本産業の位置づけを試みております。それから第三部は「国際経済政策の諸問題とわが国の立場」ということで、先進国間の問題、東西貿易の問題、それから南北問題等につきましてわが国のとる、べき立場について述べております。最後に「結語」といたしまして、「国際経済における新たな躍進を目指して」という題で、この白書の総論の四点をもう一度とりまとめてございます。きょうお手元に配っております主要論点は、この結語の部分でございまして、ここでこの白書の言わんとするところをまとめてございます。
 これからこの結語につきまして、さらにその主要なところを拾いまして御説明申し上げたいと思います。
 まず第一番に「世界経済および日本経済の基本動向」ということでございますが、第一番に世界経済の発展動向はどういうことかということでございます。これは一ページから三ページにかけて書いてございますが、まず、主要工業国間の競争条件の動きについて述べてございます。これは日本、ドイツ、イタリア、それからイギリス、フランス、アメリカ等の国につきまして、アメリカを基準といたしまして各国がそれぞれ設備投資、生産性、輸出価格、輸出額、それから国民総所得等につきましてアメリカと相対的にどのような動きをも一たらしたかということを分析してございます。この結論といたしましては、日本、ドイツ、イタリア等がアメリカに比べて相対的に地位を強化いたしておりまして、特にそのうち日本がすぐれた実績を示しております。それでフランスがこれに次ぎまして、アメリカ、イギリスがさらにこれより劣るという結果となっておりまして、こういう競争条件の相違によりまして各国の国際収支状況に差異ができまして、それが国際通貨問題の主要な要因となったわけでございます。今後こういうような競争条件がどのように変化するかということ、それからそれに対応いたしまして各国の経済政策がどのように変わるだろうかということが問題となる次第でございます。
 次に、発展途上国の動きを見てまいりますと、発展途上国の工業化は着々と進んでおりまして、比較的に問い設備投資とそれから高い教育水準によりまして工業化が急送に進んでおります。特に近隣諸国でございます香港、台湾、韓国等が工業化が著しいわけでございますが、そういう工業化は、輸入品の国産品による代替、さらに進みましてはそれが輸出に振り向けられるということになるのでございまして、わが国といたしましても、単に後進国に対します輸出がその国の産品と競合いたしますのみならず、さらに第三国市場におきましてこれらの産品と競合するという問題が出てまいります。ただ現在におきます状態は、国内産業との競合というのが大きいのでございますが、香港、台湾、韓国等につきましては、すでに輸出におきます競合という問題が出てまいりまして、今後こういう問題かさらに広がってくるということが考えられる次第でございます。
 かような世界経済の状況でございますが、こういうような世界経済において、当面の課題は何かと申しますと、およそ三つほどあげられると存じます。
 第一につきましては、先進国間でこの競争条件が変わってきたと申しましたが、こういう変わってきた競争条件に応じまして、赤字国におきましてはインフレ対策が必要になってまいりますし、それから黒字国におきましては、いたずらに黒字を累積するということでなくて、成長政策をとっていくとか、それから資本輸出を積極化していくとか、そういうことが大事なこととなってまいります。
 第二の問題としましては、発展途上国が進出してくるということでございまして、発展途上国は工業化してまいりますが、先進国がこれに対しましていたずらに自分の市場を保護するという立場をとらずに、産業の合理化とかそれから新規部門の開発等によりまして、発展途上国工業化の趨勢に対応して、自分の産業構造、買切構造を高度化していく必要があるということを申しております。
 それから第三の問題は、やはり先進国間の競争条件が変化していくということに関連する問題でございますが、先進国の保護貿易的な傾向がございます。それからまた西欧諸国におきましては、通貨不安に伴いまして輸入制限的な措置をとっております。こういうような動きに対しましては、わが国といたしましては経済外交の推進等によりましてこういう輸入制限的な動きの是正を求めますとともに、わが国といたしましても残存輸入制限の縮小につきましては前向きに対処する必要があると存じます。
 以上が世界経済の発展動向、それから課題でございますが、わが国の経済の基本動向はどうかと申しますと、これがお手元の資料の五ページ以下に書いてございます。
 わが国は昨年は国際収支の黒字を出しますとともに、高度の成長を遂げたのでございますが、かような好ましいできごとをもたらししましたゆえんは、設備投資が持続的に行なわれましたことと、それから輸出が好調でございまして、輸出に伴ってやはり投資が引き続いて行なわれましたこと等によりまして、設備投資が順調に行なわれましたことと、もう一つ、国際競争力が強化されてきているという点でございます。
 国際競争力の強化につきましては、五ページから六ページにかけて、どういう点から国際競争力が強化されているかということを判断するかという点につきまして書いてございますが、要するに、経済成長率と、それから経常収支率というものをあわせて考えてみますと、経済成長率が非常に高いときは経常収支率、つまり経常受け取りと経常支払いの比率でございますが、経常収支率が経済成長が非常に高いときは通例悪くなる。それからまた経済引き締め等を行ないますと、経常収支率はよくなりますけれども、成長率は悪くなるという関係があります。理想としては、これを何方とも高めることかいいのでございますが、まあこういう関係から見ました成長率、競争力というそれと、失業率と物価上昇率の関係を見ますと、やはり失業率が非常に低いときは、どちらかというと物価が上がる傾向にあるということが申せるかと思いますが、その両方の関係。それから経済成長率と物価の上昇率、これも経済成長率が非常に大きいと、物価がややもすると上がるということが一般的に言えるかと思います。まあこういったような、いろいろ両立しがたいような要素を、それぞれ勘案してみますと、わが国は西欧諸国と比べまして、近年相対的に競争力が改善されているということが申せると存じます。特に最近の状況を国際収支の面からとらえてみますと、まず受け取り面につきましては、その伸びが近年目立って上がったというわけではございませんけれども、近年の現象といたしまして、受け取りの伸び率が支払いの伸び率を上回っておるというような現象が見られますために、近年は黒字基調が強まっているということが申せると思います。それから、ではなぜ輸出が引き続いて伸びてきているかと申しますと、これは設備投資が非常に引き続きまして増加してきたということ、その他わが国の企業の努力が西欧諸国の同じような努力と比べますと、やはり相対的にまさっているということで、日本の輸出競争力が改善されてきているということが申せると思います。また輸入の面につきましては、産業連関表で分析をいたしますと、大体年にいたしまして一・五%程度の輸入節減が――最終需要が変化いたしますこととそれから資材等の投入、構造の変化というものが行なわれました結果、一・五%程度の輸入が、いわばほかの条件が変わらなくても節減できるような傾向が生じているということが言えるかと存じます。したがいまして、輸出は競争力が強化されておる、それから輸入につきましてもその経済の構造の中に一・九%程度の輸入節減をもたらす仕組みができている、こういうようなことから国際収支の改善に役立っている、こういうことが申せるかと存じます。
 かような日本経済の動向に対しまして、それではどういうことが今後問題かということになるのでございますが、七ページからでございますけれども、まず、国際収支状態が改善いたしますると、従来よりも国際収支の困難に見舞われる度合いが、比較的ではございますけれども、減少すると考えられるわけでございます。したがいまして、経済のひずみといわれますようないろいろな問題をこの際解決することが、従来よりも容易になるというふうに考えられるわけでございます。そして今後さらに筒成長を安定的に続けますためには、労働力の確保とか物価問題とかにあらわれております部門間のアンバランスの問題とか、それから公害問題等のいわゆる外部不経済増大の問題とか、それから社会的間接部門に対する投資とか、住宅投資、そういったような問題につきましても解決に取り組む必要がございますし、さらに海外資源の確保という面にも力を注ぐ必要があるわけでございます。そして今後の政策の立案に際しましては、かように動いてまいります経済の実態に応じて、潜在的な成長力をフルに発揮できますように、経済あるいは社会全般に関します制度あるいは考え方の流動化をはかっていく必要があるということを述べております。
 以上で、日本経済の動き並びにその課題というものを述べておるのでございますが、さらに「産業と貿易」というところにおきまして、産業を軽工業それから重化学工業、技術先端産業に分けていますが、いわば軽工業はこれまでの輸出の主力をなしました部門でございますし、重化学工業は現在主力をなす部門でございます。また技術先端産業は将来輸出の重点となる部門でございまして、この三つに分けまして産業と貿易の関係を述べ、さらに輸出について触れております。
 まず軽工業につきましては、繊維と雑貨がこの対象になるのでございますが、いずれも後進国の追い上げにあっております。しかも先進国におきましても、産業の合理化等も行なわれている部門でございまして、これは繊維、雑貨ほぼ共通の問題でございますが、生産の合理化とか商品の高級化をはかっていく必要がございますし、繊維などはすでに構造改善が進行中でございますが、雑貨におきましてもやはり企業の合理化とか産業の体質改善というものが必要となってまいります。
 それから次は重化学工業でございますが、重化学工業は、ただいま申し上げましたように輸出の中核ではございますか、まだ今後とも努力の必要が大いにあるのでございます。で、化学品につきましては、今後は染料とか塗料とか医薬品とかというような、いわゆるファインケミカルの部門におきまして大いに輸出を振興する必要がありますと同時に、設備の大型化等が必要でございます。それから鉄鋼につきましては、やはり今後とも体制整備に努力を払い市して、安定的な輸出拡大が必要でございます。それから機械におきましても、カメラとかそれから電子機器等の量産機種のみならず、工作機械等の非量産機種につきましても今後努力をする必要があります。と同時に、プラント輸出の振興をはからなければならないということでございます。
 それから技術先端産業は、今後の日本の産業をいわば引っ張っていく産業ということでございますが、これにつきましてもアメリカ等々に比べましておくれが目立っておりますので、こういう部門におきまして国際競争力をつけて、これらの産業を日本の中に定着させることが必要でございます。
 それから輸入につきましては、自由化を進めていくということ。それからさらに長期の問題といたしましては、たとえば木材とか鉱産物とかの供給源を海外に確保していくということが必要でございます。さらにわが国は、後進諸国との間の貿易に非常な不均衡を来たしまして、これが貿易の発展を阻害しておるということもございますので、そういう点からも、また後進国の経済の発展を促進する上からも、開発輸入が大事であるということを申しております。
 それで第二部を終わりまして、第三部の「国際経済政策上の諸問題とわが国の立場」というところに入るのでございますが、まず第一番の「先進国間の経済政策問題」といたしまして、さきにも申しておりますが、アメリカその他の保護主義的な貿易が非常に警戒されるわけでございます。こういうような動きは、わが国としてはその是正を強く求めますとともに、わが国の残存輸入制限につきましても所要の措置を講じながらその撤廃をはかっていくことが必要になると存じます。また、この過程におきまして、対日差別の撤廃を求めるということも必要となってまいります。それから最近ガット等で非常に問題となっております関税外の貿易障壁、いわゆる非関税障壁につきましても撤廃の動きがございまして、ガットにおきまして検討中でございますが、この動きが注目される次第でございます。それから資本自由化につきましても、すでに第二次の資本自由化をこの三月に終わったのでございますが、今後も基本的な条件の整備を行ないながら、また企業の体質を強化しながら前向きに進めていくということが必要となってまいると存じます。
 それから東西貿易につきましては、東西間の対立というのはなかなか解きがたいと思いますけれども、地域的に相互補完関係にあります地域につきましては、体制の相違がございますけれども、やはり相互の取引の増加が期待されるのでございまして、ソ連、東欧それから中共と、いずれもそれぞれ問題がございますけれども、努力をいたすことによりまして貿易を増大したいということでございます。
 それから南北問題につきましては、特恵問題が最近注意を集めておるのでございますが、特恵問題はまだそれほど進んではおらないのでございます。ただ、わが国といたしましても、やはり南北問題を解決いたしますために特恵問題が重要でございますので、供与国間の輸出入両面を通じて負担の公平がはかられるということを条件といたし、かつ、わが国の経済的なあるいは社会的な摩擦を回避するための所要の措置を講じながら、これに協力をいたしておるわけでございます。それから援助につきましても、発展途上国の経済開発と自立成長に効果のあるような方法を配慮しながら援助量を拡大いたしまして、国際的な目標に近づくように努力いたしております。さらに、わが国の企業進出でございますが、企業進出につきましては、今後日本の産業の各部門におきまして海外進出というのが考えられますけれども、進出企業相互の間あるいは進出企業と国内企業との間の調整とか、それから国内中小企業に及ぼす影響等について慎重な配慮が望まれる次第でございます。ただ、こういうような配慮をいたしますとともに、やはり企業進出は相手方の産業開発等にも役立つわけでございますし、また、わが国にとりましてもメリットが少なくないということが同時に言えるかと存じます。
 大体以上が通商白書の述べております概要の御説明でございます。
 最後に、結語といたしまして、国際経済の諸関係それから国内経済の諸関係の急激な変化を来たしております現状におきまして、わが国といたしましては、これらの状況と、それからわが国の経済構造の発展の方向に誤りない把握を必要とするということを述べまして、世界経済及び日本経済に関しまして明確な展望のもとに、政府、民間双方が弾力的な考え方と柔軟な姿勢をもって問題の処理に当たるならば、当面の諸問題について誤りなき解決を見出し得るであろうし、また、国際経済における新たな飛躍を目ざして力強く前進することができるであろうということで結んでおる次第でございます。
 要約をまたはしょりましたので、非常にお聞き苦しい点があったと存じますが、以上をもちまして概要の御説明を終わらしていただきます。
#5
○委員長(八木一郎君) ただいまの報告に関連して、質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#6
○大矢正君 ただいま貿易白書の内容について説明を受けましたが、私は輸入制限問題について、大臣に今後の基本的な方向、考え方等をお尋ねいたしたいと思うのであります。
 現在のわが国の残存輸入制限品目ですね、百二十品目であり、他の主要な先進国の残存輸入制限品目を見ました際に、フランスの七十品目を最高にいたし、わが国が比較の上においては一番品目数が多いという今日の情勢にあります。もとより単に品目の数だけで対照できるものではないことは私も理解をするところでありますが、百二十品目というのはあまりにも多過ぎるという非難なり批判というものが、世界各国からわが国に寄せられていることもまた事実であります。先ほどの説明にもありましたとおりに、わが国の輸出入構造は、長期的な展望に立っても大幅な出超が見込め、国際収支の面においても不安がないという見通しが立っている中で、今後とも輸入制限を大幅に継続していくことは、世界の大勢に逆行するのではないかという感じがいたしまするし、また、ある面におきましては、わが国の物価高騰とのからみ合いから見ましても、国内産業保護は考慮の中に入れなければならない問題ではあるとしても、やはり計画的に今後の残存輸入制限排除あるいは解除の方向に向かわざるを得ないのではないかと思うのでありますが、通産大臣として、この輸入制限問題を今後どのように考えていかれようとしているか、まずお尋ねをいたします。
#7
○国務大臣(大平正芳君) 輸入制限問題をめぐる内外の客観情勢は、大矢委員の御指摘のとおりでございます。そこで政府は、去年の十二月下旬に、閣議で、昭和四十六年度末までに残存輸入制限品目のかなりのものを自由化するという方針をきめたのでございます。かなりの程度というのはどういう程度かと、きわめてあいまいな、東洋的な表現でありますけれども、私どもは少なくとも半分以上は四十六年度末までには自由化をやるということが常識ではなかろうかと考えております。それで、現に各省においてもいろいろ御検討されておると思いますが、百二十品目のうち、通産省所管物資は四十一でございます。その内訳を申しますと、石炭とか硫化鉄鉱など鉱産物が八品目でございます。それから皮など工業製品が十五品目、電子計算機、大容量火力発電設備など機械類が十八品目でございます。これらは資源の条件とか雇用の面等の特殊性から自由化によって深刻な影響が予想されますし、また、将来産業構造の高度化の見地から国産化が必要であるという部面もございますので、これまで制限してまいりましたものでございます。しかし、いま仰せのような状況でもございますので、個々の品目につきまして業界と鋭意折衝を遂げつつあるのでございまして、この四月一日に一品目自由化いたしましたが、引き続き努力をゆるめることなく、逐次自由化に持っていき、その条件を整備しながら相当程度所定期間の中で自由化を実現したいということで、鋭意努力中でございます。
#8
○大矢正君 アメリカを中心としてヨーロッパ諸国の先進諸国と呼ばれる国々からわが国に強く自由化を迫っておりまする品目というものはどういうものがあるのか、それから逆に、低開発諸国からもかなり自由化を迫られておるものもあるのではないかと思いますが、もちろんこれは関税との関連だと存じますが、お答えいただきたいと思います。
#9
○説明員(楠岡豪君) アメリカから自由化を要求されております品目につきましては、実は昨年の秋以来、日米両国間でまだ交渉中でございまして、まだ外交チャンネルを通じまして現に交渉が行なわれております。最近次第に問題が煮詰まってまいりましたが、何ぶん交渉中ということでもございますし、また第三国に対する関係もあろうかと存じますので、その全般について申し上げますことはお許しいただきたいと存じます。まあたとえばみがき板ガラスとか、それからカラーフィルムとか、それからこれはアメリカの特産でございますが、バーボンウィスキーなどがアメリカが関心品目として表明したものでございます。その他、欧州諸国におきましては、機械類等に関心を持っておりますし、それから発展途上国といたしましては、やはり工業製品といたしましては最近輸出を伸ばしております繊維等に関心があるのでございますが、繊維等はすでに自由化を行なっておりますので、あと農産物関係といたしましては、たとえばでん粉の原料になりますタピオカの粉でございますが、そういうものだとか、それから水産物等に関心を持っているようでございます。
#10
○大矢正君 いまアメリカを中心とする各国からの、特に先進諸国からの自由化要求の内容が品目としてあげられましたが、これらの問題は今後具体的にどう対処されていかれるおつもりか。まあウイスキーであるとか、あるいは農水産物等はもちろん通産大臣の所管外のことでありますから、そのことについてお尋ねしようとは思いませんが、それ以外の、機械類、工業製品を中心とした自由化に対するアメリカの、あるいはまたヨーロッパ諸国の強い要求に対して、今後どういうスケジュールのもとにどう対処されようといたしておるのか、お答えを願いたいと思います。
#11
○国務大臣(大平正芳君) 自由化の時期の目安がつくものは見当をつけまして、それに身がまえていただく必要がありまするので、自由化時期――このあたりに自由化に踏み切ろうという時期をまずきめられるものはさめようと。それから、自由化が結局、終局においてむずかしいと存じましても、今日のような内外の条件のもとにある日本でございますから、いつまでも窮屈に門戸を閉ざすわけにもまいりませんから、輸入割り当て量を漸増してまいる。そして、それが国内の市場に急激な影響を及ぼさない範囲におきまして、輸入割り当て量をどの程度漸増の方針で臨むか、それから、輸入自由化の時期の一応見当はつきましても、それに至る過程におきましては、輸入割り当て量は漸次若干ずつふやしていくというような方法をいろいろ取りまぜまして、骨の折れる交渉をいまいたしておるところでございます。で、アメリカは去年の暮れから始まりまして、まだ、ずっと継続をいたしておるところでございます。今年度に入りまして、ヨーロッパ各国、ずっとスケジュールをもちまして、そういう交渉とあわせて先方の対日差別品目の撤廃を要求しながらバーゲンをやっていく計画でございます。どのようなバランスになりますか、私はまだ見当がつきかねておるわけでございますけれども、私の感じでは、日本も真剣に問題に取り組んでいるということは、交渉相手国もある程度理解を示してくれておるのではないか、したがって、一部に見られるように、非常にたとえば日米経済関係が危機に来たとか、非常に緊迫度を加えたとかというような表現は、ややオーバーじゃないかと私は見ております。
#12
○大矢正君 いま大臣は非常に楽観的な御説明をしているようでありますが、資料によって分析をいたしますると、一九六五年に九三%強になった自由化率というものが、その後一、二自由化された品目はあるといたしましても、全然と言ってよいほど自由化されていないというこの事実があるわけです。まる四カ年間にわたって自由化が行なわれていない、もう全然行なわれていないと言ってもよい数字が出ています。この資料が正しければ、一九六五年の十月一日に百二十二品目、その後一品目のみ自由化し、四月に一品目自由化いたしましたので百二十品目、といたしますと、自由化はこの四カ年間一つも行なわれていないということになるわけです。こういう状態があるから世界各国がきびしく日本の国を追及しているのだと思いますし、そしてまたわが国のこの貿易構造というものが非常に好転をして、将来ともに貿易収支の上において入超になるような可能性がないということを政府みずからも声明しておるわけでありますからして、私はもっともっときびしい要求が世界各国からくるのではないかというふうに感ずるわけであります。いま大臣は非常に楽観論で、日本の国はずいぶんと輸入制限の解除について努力をしているということを理解してもらっているというふうに言われるが、事実においては何にもないのだから、私はその大臣のおっしゃることは、ちょっと今日の世界の情勢とは違うのじゃないかというふうに感ずるのですが、いかがですか。
#13
○国務大臣(大平正芳君) そのヨーロッパ諸国は、御承知のようにたいへんたくさんの対日差別品目を持っておりますので、これはガットの外に持っておるわけでございますから、これを日本だけに差別しておるわけでございますから、これを漸次引っ込めていただかなければならぬ。それとの相対関係においていまわれわれが汗をかいて交渉いたしておるわけでございまして、日本もこの自由化交渉を通じまして取るべきものを取らなければならぬ、渡すべきものを渡さなければいかぬということで折衝しておりまして、御承知のように、年々歳々差別品目は削られてまいりまして、逐次事態は改善しておるわけでございます。日本がヨーロッパ諸国から、非常にがめつい国であってという一方的な非難を受けないように、十分心得てやっているつもりでございます。で、事態はだんだん改善していると思います。
 アメリカにつきましては、まあ一番自由化されている国でございまして、いろいろ大矢さんの言われたことは、アメリカについてはまさに当てはまると私も判断いたします。ただ、先ほど楠岡君が御報告申しましたほか、とりわけアメリカが関心を持っておるのは、農産物が非常に強いわけであります。ところがこの問題こそわが国の政治にとりましても経済にとりましても一番むずかしい問題でございまして、私の所管の外にあるわけでございますが、輸入責任大臣といたしまして非常にまあこれは重大な関心を持って対処しなければならぬ課題であると思っておりますが、これの自由化に備えた対策というようなものがまだ十分セットされていない、農政上の問題はほかにもいろいろありまして、非常なペンディングになっているというような事情がございまして、こういう非常に感じやすい段階で大きく問題を踏み切るだけの政府にまだ決意がなかなかつかないわけでございまして、アメリカの不満は不満として十分理解はできるのでございますけれども、今日までそういった大きな勇断ができなかったのでございます。しかし、情勢は、あなたが御指摘のとおり、客観的には非常に抜き差しならぬところに、だんだん瀬戸に近ずいているように思いますので、自由化努力を急ピッチでやらなければいかない段階にきておると思うのでございます。そこでそういう気がまえで自由化対策なるものをいろいろ整備しながら、先ほど私が申し上げましたように逐次このクォータをふやすことによって国内の事情に大きな影響をもたらすことなく、先方の要求も半ば満足させながら、時をかせぎながら自由化対策をセットしてまいりたいというようにいたしておるわけでございまして、まあそれなりの努力は、先方も評価されておるのではないかとぼくは感じておるわけでございまして、非常に日本はもうはしにも棒にもかからぬ頑迷固陋であるというような印象ではないということで、私が非常に楽観的であるとあなたは御表現されておりますけれども、非常に楽観的であるわけではないのでございまして、私も非常に憂えておるわけでございますけれども、一部に言われておるように非常に危局に突入しておるようには私はとつていないという意味におきまして評価いたしておりますと申し上げたのでございます。
#14
○大矢正君 大臣の説明を承りますると、非常に楽観的で、輸入制限問題についてはさほど心配することはないのだというようなことでありますが、私ども業界あるいは報道機関その他から聴取しているところによりますれば、かなりアメリカを中心としたヨーロッパ諸国あるいはまた東南アジア等、後進的なといいますか、低開発地域からの希望あるいはまた要求がよく出ていることは、どうも事実のように感ぜられるし、ちょうど自動車の資本自由化にからむ先般来の一連の事態のように、通産行政というものが秘密主義であるのだが、その秘密主役がさっぱり効果をあらわさないし、行政面において適切な指導をしてないというようなことになっておるわけですから、やはりこの輸入制限問題についても、政府みずからがやはり具体的に計画、日程を持って、それぞれの業界等と十分接触しながら、わが国の利益の追求のために努力をしてもらわなければならぬと思っております。
 最後に次長にお尋ねをいたしますが、特に東南アジアの低開発諸国からわが国が自由化を迫られている品目があると思いまするし、同時に関税面で、関税の引き下げを強く希望しているものもあるし、あわせて、制限はされるが数量的に輸入の増大を迫られていろ内容もあると思いまするが、これらの内容についてお答えをいただきたいと思います。
#15
○説明員(楠岡豪君) 東南アジア諸国から自由化を迫られたりあるいは関税の引き下げを迫られたりしている品目といたしましては、まずお隣の韓国も含めて申しますと、韓国は、たとえばノリとかそれからその他の水産物、魚類でございます。そういうものの原則としては自由化。それからできないような場合は、ワクの大幅拡大ということを始終申しております。それから関税面につきましても、農林水産物の関税の引き下げということもあわせて要求しております。それから台湾でございますが、台湾は、台湾産の蔬菜類とかそれからかんきつ類の自由化あるいはワクの拡大ということを要求しております。台湾につきましては、御承知のように植物防疫の関係がございまして輸入を禁ぜられているものも多いわけでございます。それから関税問題といたしましては、バナナあるいはパイナップルかん詰めの関税の引き下げというものを台湾側では要求しておる次第でございます。それからたとえばタイでございますが、タイは、先ほど申しましたタピオカ・フラワー、これはもし自由化までいかなければ買い付け量をふやしてほしいという要求もいたしております。それから関税関係では麻の袋の関税の引き下げというようなものを要求しておる次第でございます。まあ概して申しますれば、農産物あるいは水産物の自由化あるいはワクの増大、関税の引き下げというようなところが主として関心のある項目でございます。
#16
○小柳勇君 大臣に二問質問いたします。
 一つは、これはかねがね思っておったのだけれども、今日まで延びました。ちょうど白書が出たり、けさ新聞に、「給油艦は軍艦でないか」ということで、国府海軍から注文されました艦船を日本の造船所が建造に着手したという記事が出ました。したがってこれに関連しまして、第一の問題は、いま産業界が第四次防に関連しまして武器産業、兵器産業に力を入れて、防衛庁と密接に連絡をとりながら兵器産業の方向に投資を盛んにしてきつつある。そういうことであるということが新聞に伝えられております。平和憲法を持ったわが国が武器いわゆる軍需産業に急速度に転向しつつあるということについて、非常に重要な問題であるが、通産大臣としては、三軍共同作戦に対してどういうふうな御決意を持っておられるか、聞いておきたい。
#17
○国務大臣(大平正芳君) 防衛産業がどの程度までわが国で許されるかという問題は、たびたび国会におきましても政府は御答弁申し上げておるとおりでございますが、防衛庁の装備の中で、国産化し得るものは国産化するということが限度であると私は承知いたしておるのでございまして、武器産業を育成いたしましてこれを輸出するというようなことは、私どもは毛頭考えていないのでございます。いま御指摘の国府云々の問題は、私ども全然承知いたしておりません。よく取り調べてみますけれども、防衛産業のあり方としては、私どもの産業官庁としてそのような自重をした政策に終始いたしておるわけでございます。これまでいろいろ国会におきましても論議になりました、輸出で、たとえば小銃でございますとかいうもので警察用なんかの国内の治安用のものを若干輸出したケースはあったように思うわけでございますが、武器の輸出というようなところを目的にいたしました防衛産業の育成というようなことについては、私どもは全然考えておりません。
#18
○小柳勇君 きょうの新聞に出ております国府海軍からの注文は給油艦ということですけれども、海軍の士官がちゃんと現場監督に来ておって、この船の形は造船所でつくるけれども、その後の装備の問題については軍事機密であるから造船所ではわからぬと、はっきり言っておるわけですね。したがって、これは民間で使う給油船でないことは明らかです。ちゃんと海軍から来て監督しているのですから。しかも中の装備の問題は軍事機密だと言っておる。にもかかわりませず、おたくのほうの重工業局長は、これは軍艦ではないということで私どもとしては許可しておるのだと言っておる。それで、フィリピンからYS11を注文されたときに、戦闘機の危険性ということもありましたでしょう、これを拒否しておるにかかわらず、今度はこれを許可したと、こういうことが新聞記事にあったものですから、私また具体的に調べますけれども、きょうお宅のほうの担当局長が、いま衆議院におって来れないようなものですから、前もって私も質問通告してなかったものですから、具体的にはまた別の機会にあとで質問しますけれども、明らかにこういうふうに海軍からの注文も、これは軍艦ではございませんというようなことで、どんどん、どんどん武器、弾薬、戦闘機、あるいは艦船、こういうものを、平和産業であるべき日本の産業が、軍需産業に切りかえて、そうしてそれを外国に出すというような傾向にあるのではないかと、こう心配したものですから、いま質問しているわけです。大臣、このけさの新聞御存じないようでありますから、具体的には質問いたしません。いたしませんが、輸出貿易管理令によりまして、武器の輸出禁止については三項目ちゃんとあります。しかも国府は紛争の相手国でありますから、紛争国として処理しなければならぬその国府からの給油艦として発注されておるものを、いやこれは普通の油送船でございますという、簡単なそういう割り切り方については問題があろうかと思う。具体的には調べますけれども、大臣の見解をもう一回聞いておきたいと同時に、もう時間もないようですから、私は通産省のほうに、ここ過去一年間の武器、いわゆる戦争に使う武器、弾薬、それから航空機、艦船などのいわゆる武器産業の税状について、資料を要求したいと思います。これは早急にひとつ出してもらいたい。できるならば過去九年ぐらい、昭和三十九年から昭和四十三年まで五ヵ年間の通産省武器課において把握しておられる武器、特殊諸外国に輸出しておる武器について、資料を出してもらいたい。あとのことは大臣に直接関係ありません、あとまた担当局に言いますけれども、前段の問題について、もう一回大臣の見解を聞いておきたい。
#19
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の件につきましては、私もよく承知しておりませんので、たいへん恐縮でございますが、よく調査いたしまして御報告いたします。
#20
○委員長(八木一郎君) 資料は出ますか。
#21
○国務大臣(大平正芳君) 資料は提出いたします。
#22
○委員長(八木一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。次回は七月十日午前十時開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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