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1949/04/07 第5回国会 両院協議会・合同審査会等 両院協議会会議録情報 第005回国会 両院法規委員会 第2号
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1949/04/07 第5回国会 両院協議会・合同審査会等

両院協議会会議録情報 第005回国会 両院法規委員会 第2号

#1
第005回国会 両院法規委員会 第2号
昭和二十四年四月七日(木曜日)
   午後一時三十分開議
   〔衆議院両院法規委員長高橋英
吉君が会長となる〕
 出席委員
   衆議院両院法規委員長
           高橋 英吉君
   理事      角田 幸吉君
   理事      松澤 兼人君
           尾関 義一君
           佐瀬 昌三君
           藤枝 泉介君
           眞鍋  勝君
           林  百郎君
           田中不破三君
   参議院両院法規委員長
           藤井 新一君
   理事      伊東 隆治君
   理事      新谷寅三郎君
           田中耕太郎君
           松村眞一郎君
           鈴木 安孝君
           大野 幸一君
           羽仁 五郎君
  出席國務大臣
   國 務 大 臣 殖田 俊吉君
  出席政府委員
   内閣官房長官  増田甲子七君
  委員外の出席者
   衆議院法制局長
   (第一部長)  入江 俊郎君
   衆議院法制局参
   事       三浦 義男君
   参議院参事   河野 義克君
   参議院法制局長
   (第一部長)  奧野 健一君
   参議院法制局参
   事       今枝 常男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
 非日活動委員会に関する件
 参議院議員選挙法に関する件
  ―――――――――――――
#2
○會長(高橋英吉君) それではこれより両院法規委員会を開会いたします。
 前回の委員会において本日は非日活動委員会に関して増田官房長官及び殖田法務総裁より説明を聽取するということと、参議院議員選挙法改正の件及び議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律改正の件について審議するということになつておりますが、まず殖田法務総裁より非日活動委員会に関して説明を聽取いたします。
 なお増田官房長官はちよつと遅れますので御了承を願います。
#3
○國務大臣(殖田俊吉君) 実は非日活動委員会という言葉が、吉田総理の談話の中にあつたと思いますが、それが新聞に出ました。それで政府では非日活動委員会というものをつくのかどうか、非日活動委員会というのはどういうものかという質問を、しばしば受けるのでありますけれども、政府におきましては、ただいまのところ非日活動委員会なるものを設けようという考えはないのであります。ただアメリカの下院に非米活動委員会というものがありまして――これは古くからあるのでありますが、これが最近世間の耳目を聳動するような報道をなしておる。そこで日本でもそういつたような委員会が必要ではないかというようなことを、ちよいちよい言う人があると見えまして、日本でも一部の人にそういう問題が取上げられまして、ごく大ざつぱではありますが、アメリカの非米活動委員会のようなものを日本に移した場合に、それが非日活動委員会という言葉に表わされるわけであります。それを議会に置くか政府に置くか、あるいは純粹の民間のアソシエーシヨンにするか、いずれにいたしましても、そういうような具体的な考えなしに、漫然世間に言うわれておるのではないかと思うのであります。総理が新聞記者にお話になつたのも、そういうはなはだ抽象的な話で、それはこのごろ日本にも反日本的な、反民主主義的な、あるいは秘密的な、いろいろな日本の平和的なあるいは民主的な再建を妨げるような行動が行われておりはせぬか、日本の安全を脅かすようなことが行われておりはせぬか、そういうものに対してどういう対策をとるのかというようなことを、いろいろ論議されました際に、それには非日活動委員会というようなものを設けて、これを適当に扱つたらよかろうというようなことを言われたのではないかと思うのであります。総理に聞きましても、いまだはつきりしたお考えが伺えぬのであります。それだけのことでありまして、大した深い意味のあるものでもなく、いまだ政府の政策として具体的に言い表わすほどのものではないのであります。大体さように御承知を願いたいと思います。
#4
○委員(林百郎君) 殖田法務総裁は、大分遠慮して話されておるような感じがするんですが、私たちの考えとしては、衆議院に設けられた考査委員会というものが、もう非日活動委員会の構想の一つの具体的な現われたというように思われているんです。衆議院の議院運営委員会で増田官房長官の言われたことの中にも、國会で考査委員会を設けるんですから、日本の再建に重大な惡影響を及ぼすような諸行爲を調査する。これは國会の名においてやるんだが、しかし行政執行の面について、日本の民主主義的な機構を破壊するような行爲があつた場合に、行政執行の面でそれを調査し適宜の処置をするために、法務廳の中へ非日活動委員会的なもの、合議体的な官廳を設けることも考えないではないということを言つておるわけです。増田官房長官がこう言う以上は、今殖田法務総裁の言われる程度ではなくして、やはり一應は、もし設けるとすれば、こんなようなもの、あるいは將來総理から諮問があつた場合には、こういうような構想を具申しまようというような構想が、ある程度具体化されているのではないかと思われるのですが、この増田官房長官の言われた法務廳の中へ行政執行の面の民主主義的機構の破壊に対する情報の收集、適宜の処置をするための合議的な官廳という、この増田官房長官の言明に対して、法務総裁として何か檢討されたことがあるかどうか、もう少し具体的な説明を願いたい。
#5
○國務大臣(殖田俊吉君) それは総理もせつかくそういう話をされたのでありますから、はやりわれわれといたしましては、そういう問題が具体的にあつた場合にどう考えたらいいかということを考えまして、いろいろの点から考えてみたことは事実です。しかしこれは第一、この非日活動なるものが、まだ内容がはつきりしないのであります。どういう範囲、どういう具体的な事実をとらえて非日活動というのであるか、これもなかなかむずかしい。それからまた、そういう活動がデフイニシヨンができるとして、事実日本に存在するやいなや、また存在したところで、それが大きな影響力を持つかいなか、政府は取立てこれを問題にするほどの事態でありやいなやというような点も、いろいろ考えて見なければならぬのであります。また非日活動委員会というものがありましたといたしましても、これは議会でこれに対処するがよろしいか、あるいは行政方面で対処するがよろしいか、あるいは純粹の民間運動として対処するがよろしいかというような問題もあります。その中で行政面で取上げる場合が、われわれの直接の問題でありますが、私は、はなはだ怠慢かも存じませんが、ただちにそこに特殊の委員会を設けて活動を開始しなければならぬ域には、まだ達しておらぬと、実は考えているのであります。從つて特に委員会というようなものを設けて、これに具体的な措置をとるということは考えておりません。ただしかし、世間もなかなかやかましいのでありますから、私は決してこの問題をおろそかにしてはおらぬのでありまして、今日に至るもいろいろな情報を收集し、また得ました情報について、檢討を常に怠つてはおらぬのであります。しかしながら、私はまだ大きくこれを問題にするほどの域に達しているとは、実は考えぬのでありまして、ただいまのところ実はその程度であります。
 もう一つつけ加えて申し上げますれば、政府においてそういうことを考えますのは、当地法務総裁の任務でありますので、法務総裁といたしまして、私が最もその問題を考えている一人であろうと思います。しかしながら、それが今申し上げました程度の考えにしか到達しておらぬのであります。
#6
○委員(林百郎君) ちようど増田さんも見えたし、お忙しいと思うんですが、私は実は衆議院の運営委員会で増田さんが、総理が総理大臣就任以来、非日活動委員会的な構想を持つておられたので、官房長官としてもいろいろ考えたことがある。その際一つの方法として、法務廳の中に行政執行の面での民主主義的な機構の破懐行爲に対する適当な処置、あるいは情報の収集というようなことを取扱うために、合議体的な官廳を置くということも考えたというように私はお聞きしておつたのでありますが、殖田法務総裁に聞くと、まだ全然そういうことは日常の問題にするほどにもなつておらないというように言われているのであります。官房長官としてはそれはどの程度具体的に考えられ、かつ法務総裁の方と何らかの連絡をされているのかどうか、この点ちよつと増田さんもお見えになつておりますからお聞きしたい。
#7
○會長(高橋英吉君) それではちようどいいところですから、今の林君の質題もありますし、知つておられる限りのことをひとつ御説明を願います。
#8
○政府委員(増田甲子七君) 私参議院の運営委員会へ至急出席せよと言われておりまして、その方へ出る都合がございますので、私に対する質問がまだほかにもございましたら、皆さんから拜廳して、それをお答え申し上げて、それでごめんをこうむりたいと思つております。御質問がございましたら、この際忌憚なくすべておつしやつていただいて、それからお答え申し上げます。
#9
○委員(林百郎君) それではもう一つ、これはちようど増田さんがお見えになつたし、私いつも運営委員会で非常に形式ばつてあなたとは質問應答をしているだけですけれども、もし時間の余裕がありましたら、政府の考えている非日活動委員会の構想、おそらく衆議院に設けられた考査委員会というものも、私は民自党並びに吉田さんの考えておられる非日活動委員会の構想の一つの具体化ではないかと思われるんですが、どういうことを考えておられるか。衆議院において考査委員会を設け、さらに参議院にも何らかの形で、やはりこれと類似のような委員会を設け、さらに行政執行の面でこれを取締るために法務廳に何か合議体的な官廳を持たれる。こういうように三本建のことを考えておられるようなことも、われわれ観測できるんですが、その辺この際政府の考えている非日活動委員会の構想なるものの全貌を、どの程度考えておられるか、法務應関係のみでなくして、全般的な構想についてこの際聞かしてもらえば、非常に仕合せだと思います。
#10
○政府委員(増田甲子七君) それでは皆さん方の御質問は今の程度と拜廳いたしましてお答えいたします。林君には運営委員会でしばしば私申し上げておるわけで、あの場合でも実はざつくばらんに忌憚なく申し上げているわけであります。そうして平素からあなたも御存じの通り遠慮なく應答する方ですから、この際も御注文通りざつくばらんに申し上げます。
 そこでまず第一の御質問の、法務廳の方に非日活動委員会なるものを設けて、そうして警察の執行なり、あるいは調査なりをさせるということを増田が言つたが、という御質問に対してお答え申し上げます。非日活動委員会は、私ただいま殖田さんの御答弁を拜廳しておりませんでしたが、総理は非日活動委員会というような構想について研究せよということを言われただけであります。そこで私どもは研究する責任がございますわけであります。しかしながら主として從來法務総裁に御研究を願つているわけであります。それで私どもが自分の頭で考えたり、法務総裁からお話を承つた範囲内におきましては、もし委員会というものをつくるとすれば、その委員会がかりに檢察活動をするとすれば、これはいわゆる独任制の官廳のかわりに合議制官廳という形になるのではないか。それからもしそういうものが設けられても、これは法律の根拠がない。とにかく非日活動委員会というようなものを法務廳へもし設けるならば、そういうような構想になるんじやないか。とにかく非日活動委員会というものをそういうふうな構想において考え得るということを申し上げただけでございまして、設置するやいなやについても、まだ考慮研究中であるということを申し上げただけであります。それから單に調査機能を営むだけでしたら、これは設置法なら設置法の中に非日活動委員会なり、あるいは非日活動局なら非日活動局というものを設置するという法律さえつくれば、これで行けるわけであります。かりに檢察事務だとすればこれは一つの合議制の官廳、從來は独任制の官廳で檢事一体の原則で行つておるけれどもその原則と多少背馳する関係になりますから、要するにそれは司法省――ほんとうは檢察は司法じやありませんが、司法的活動をする関係のものは、法律の根拠がありさえすればやけるわけでありますから、法律というものの根拠が皆さんの御協賛のもとにできて、そうして活動の根拠を與えられるならばでき得るということを申し上げたにすぎないのであります。これは法曹家の林君も御理解くださると思います。
 それからあと國会の考査委員会、それから参議院の法務委員会、それともし政府に設けるとすれば三本建になるじやないかというような御質問でございますが、われわれ政府側といたしましては、國会の考査委員会は、必ずしも非日活動委員会というふうには考えておりません。あの中に書かれておりますが、新しく規定されました國家の再建に重大な惡影響を及ぼすというものは、いわゆる非日といつたような活動よりもその範囲が廣いんじやないか、このことは林君にもいつも申し上げている通りであります。これは官房長官としての増田の意見でありまするが、非日といつたような、いわゆる非日という活動はどんなものがいわれておるかというと、新憲法下における民主主義的な統治機構を破懐せんとする行動といつたようなことで、國家の再建に惡影響を與える行爲はもとよりこういう活動になりますが、その範囲のうち幾分限局されて狭い範囲ということは、議会運営委員会で林君に申し上げた通りであります。
 それから國会において考査委員会を設けられたり、あるいは法務委員会が種々の活動をなさるということは、これは國会独自の権能でございますから、國会独自の御決定に待つ次第にございます。行政機能としての非日活動委員会というようなものを設けるか設けないか、これはまだ研究中でございます。あるいは設けないかもしれません、設けるかもしれません。設けるといたしましても、あくまで行政機能としての檢察機能、調査機能を営むだけである、こう心得ている次第であります。
#11
○委員(林百郎君) 今言つた民主主義的な統治機構を破懐する行爲というのは、具体的にはどういうことになるのですか。おそらく吉田さんが言われるのはこれこれこういう行爲があるから、こういう行爲を取締るために非日活動委員会を設ける必要があるということから出発していると思います。その吉田さんが取締ろうとする具体的な行爲というものは、どういうことになりますか。
#12
○政府委員(増田甲子七君) 具体的な行爲としては、その場でなければ決定されないわけでありますが、結局抽象的な概念として設けることになると思います。新憲法下における國家の根本組織を破壞せんとする行動というようなことに私はなると思います。この國家なり政府を破壊せんとする行動、もつとも総理はけしからぬ行動とする意味においては、いろいろの行動を列挙されております。たとえば北海道が何か不法に占拠されるかもしれないといつたようなデマを飛ばす者がある。あるいは税金鬪爭で税金を納めるなといつたような思想煽動を盛んにして歩く行動がある。これはけしからぬ行動であるというようなことを言つておられました。これはけしからぬ行動であることはわかりますが、これがいわゆる非日活動になるかどうかは、われわれはまだ檢事活動なり、あるいは司法活動の結果、判定さるべきものだと思つております。とにわく非米活動といつたようなものに類する意味で非日活動と言われている。その非日活動というものは私はよほど重大なる國家に対する不利、反國家的な反社会的行動であるというふうに考えておる次第であります。
#13
○委員(林百郎君) 非米活動委員会といつたようなものは、最初は非常にナチスとかあるいはフアツシヨみたいなああいう極右的な運動を取締つて來たんですが、最近は御存じの通り反共一本で、共産党の取締りのために出ているのでありますが、今増田官房長官の言われた不正に税を納めるなというようなことを取締ると同時に、國家がきめた税以上に水増し、あるいはげたばきをして税金を納めろという政府の方にも、不法に税金を課す責任も出てくると思うのでありますが、そういうふうに行爲の主体は別に制限がなくて、また共産党だけでなくしてあらゆる面において取締りをするのか。あるいは吉田総理の方針は共産党に対しての取締りということを考えておられるのか、この点を最後に一つお聞きしておきたいと思います。
#14
○政府委員(増田甲子七君) 林君の今言われた税金を納めるなといつたような反税鬪爭は、必ずしも税金を納めるなという鬪爭だけではありません。むやみに税金を納めるなといつたような一つの活動があるといたしますと、これはけしからぬ活動であるということは言えると思います。つまり反社会的活動といつたようなもの、それは取締らなければならぬが、非日活動にそれがなるかどうか、私はまだその場その場で具体的な事案を檢討しないと言えないと思つております。でございますから、政府が不当な割当をしたことは、税金を納める行動に矛盾するじやないかと言われましても、その場その場の具体的な檢討に待つよりいたし方ないと思つております。
 それから共産党を取締るためにというようには私どもは考えておりません。共産党員のうちで、もし非日活動をする者があるならば、そういうものは取締りの対象になると思います。また共産党員でなくても非目的な活動をする者があるならば、いわゆる非日活動として取締る。いわゆる非日活動をする範囲については調査、檢察の対象になる、現在法規から見ても非目的活動というものは存在しているとこういうふうに思う次第であります。
#15
○衆議院兩院法規委員長(藤井新一君) この前の委員会で、参議院の法務委員長伊藤君の出席を求めて御意見を承ることになつておりましたが、本日は御出席がございません。もし本委員会において委員長の御意見を承りたいと申されるならば、速記録がここにございますから、この速記録を参考に読むこともできます。皆さんにお諮りを願います。
#16
○委員(林百郎君) 速記録を読むんじや、あまり形式的になりますから、それは伊藤さんの出られる機会に出ていただいてお聞きしたいと思います。
 もう一つ殖田さんにお聞きしたいんですが、今増田さんの考えておられる民主主義的な統治機構を破壞する行爲というのは、あまり具体的の例が出ていないのです。説明はあつたんですが、おそらくこれと同じ考えだと思いますのは、四月四日に出た團体等規正令の中に新しく今度加えられました反民主主義的な團体の結成及び指導並びに團体及び個人の行爲の禁止というのがあります。この「反民主主義的な團体の結成及び指導並びに團体及び個人」という、これは具体的にどういうことを言われるのか、この御説明を願いたいと思います。これを見ますと「秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な團体の結成及び指導」というようにあるんですが、この「秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的」というのと「反民主主義的」という、この概念がどういうような関係を持ち、また特に反民主主義的團体というのを入れたこの理由も聞いておきたいと思います。これは將來の非日活動委員会の構想の中には、おそらく反民主主義的な行動というものが出て來ると思いますから、一應参考までに法務総裁の考えておられる反民主主義的という意味をお聞きしておきたいと思います。
#17
○國務大臣(殖田俊吉君) 今度改正いたしました團体等規正令の第一條に、今林さんのお話のごとき文句が入りましたけれども、これは実は文句は新しゆうございますが、考えは初めからありましたのでありまして、一九四六年、終戰の翌年の一月四日に参りました命令の中の七番目に、このメモランダムのパラグラフの規定の目的は云々というのがあつて、その中にこの通りの文句が入つておつたのであります。そういたしましてこの命令に基きましてこの前の勅令第百一号を制定しますときに、第一條といたしましてこの目的をうたえばよろしかつたのでありますが、法規の簡潔を期します意味でこの目的のところを省いておつたのであります。ところ員この百一号の運用を見て参りますと、この勅令は今日では政令でありますが、この勅令の目的がはつきりしないために運用上さしつかえを生ずることが往々にしておるということを考えましたので、今度改正に際しまして第一條としましてのこの目的を明らかにしただけでありまして、以前からこの目的はちやんとこの政令の中に含まれておりましたので、あらためてこの反民主主義的云々というような文句を入れたのではございません。そうしてこの政令は今お話のごとく「秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な團体の結成及び指導並びに團体及び個人そのような行爲を禁止することを目的とする」と書いてございますが、さてしからば反民主主義的な團体あるいはそのような行爲というのは、どういうことかということにつきましては、具体的に書いておりません。これを具体化しましたものが第二條でありまして、第二條に「その目的又は行爲が左の各号の一に該当する政党、協会その他の團体は、結成し、又は指導してはならない」とあつて、これがこの第一條の目的を具体的に説明したものと実は考えているのであります。從つて第二條に七つの項目がございますが、この七つの項目に入らないものは、ただちにそれが反民主主義的であるとも、あるいは暴力主義的であるとも、あるいはその他の五つの事項を掲げましたが、そのいずれでもないと今のところ申さなければならぬかと思うのであります。一條と二條とをない合せまして、この政令を解釈して行くわけであります。しかし具体的には第二條がずつと浮び上つて出て参りますので、第二條に具体的に当てはまるものは、自然また第一條に当てはまる。しかしながら第一條らしく見えても第二條の各項に具体的に出ておらぬものは、本政令は直接取締りを目的としておらぬのであります。第二條の七つの項目を読んで見ますと、一は「占領軍に対して反抗し、若しくは反対し、又は日本國政府が連合國最高司令官の要求に基いて発した命令に対して反抗し、若しくは反対すること。」それから二は「日本國の侵略的対外軍事行動を支持し、または正当化すること。」三は「日本國が他のアジア、インドネシア、又はマレー人種の指導者であることをせん称すること」四は「日本國内において外國人を貿易、商業又は職業從事から排除すること。」五は「日本國と諸外國との間の自由な文化及び学術の交流に対して反対すること。」六は「日本國内において、軍事的若しくは準軍事的訓練を実施し、陸海軍軍人であつた者に対して民間人に與えられる以上の恩典を供與し、若しくは特殊の発言権を附與し、又は軍國主義若しくは軍人的精神を存続すること。」七は「暗殺その他の暴力主義的企図によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること。」これだけがうたつてありますので、ただいまのところでも、第一條の目的を具体的に申すならば、この第二條の七つの項目にとどまる、こう考えてよろしいのであります。これ以上のことはただいままだ考えておりませんのであります。
#18
○委員(林百郎君) この第一條ですが、「秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な」とあるんですが、そうすると反民主主義的な團体というのは、秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的なものに入らなくて、なお反民主主義的概念があるのか、あるいはどういうものを反民主主義的團体の具体的な現われと見るのか、そこはどうですか。
#19
○國務大臣(殖田俊吉君) 私の考えでは、反民主主義的と明らかにうたつておりますから、これは併立している概念と思います。目的はこういうふうに書いておりますけれども、さてこれを具体的に反民主主義的團体というものを別に取上げて対象にこの政令はいたしておらぬのであります。いささか抽象に堕しているきらいがあるのであります。しかしこういう頭をもつてこの次の各條を解釈すべきであろうとは思うのであります。
#20
○委員(林百郎君) 私たちは秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的だけで、これらは反民主主義的な具体的な現われであつて、これで足りるんじやないかと思います。その上さらにここに非常に抽象的な反民主主義的な團体というものを持つて來て、この反民主主義的だということの解釈が時の政治権力、あるいは時の権力者によつて自由に解釈されるということになれば、これが再び反動的な政府が政権を取つた場合、反動的に解釈される危險があるので、われわれとしては解釈上どうにもなるような非常に抽象的なものをむりにここに入れる必要はないと思います。メモランダムにあつたとしても、こういう解釈の一定しないような抽象的なものを、特にここへ入れる必要があつたかどうかということをお聞きしたいのであります。
#21
○國務大臣(殖田俊吉君) それは初めからこの勅令がメモランダムに基くものでありまして、このメモンダムの目的をこの中にはつきりうたいたいというのが、この考えであります。從つてただそれをここにはつきりさせただけであります。しかしながら今、林さんの言葉のごとく濫用される疑いなきにしもあらずでありますから、第二條以下にこの政令の適用の範囲を明確に具体的に規定しているわけであります。從つて今のような御心配の事実はまず避けられると思うのであります。
#22
○委員(林百郎君) 從來はこういう反民主主義的な云々というものがなくても、別に関係方面から注意も受けなかつたのでありますが、なぜ今度これを新しく入れる必要があるか。メモランダムにある目的をはつきりさせようというのですが、関係方面は從來のものだけで別にこれがいけないということはなかつたはずです。ここへこの解釈について彈力性のあるものを入れるということは、やはり政府が新たに取締りの分野を廣げようとすることが考えられるんです。その辺の意図をはつきりしてもらいたいと思います。
#23
○國務大臣(殖田俊吉君) お答えいたします。別段新たに取締りの範囲を廣げようとすることは毛頭考えておりません。從來の規定にも反民主主義的ということはあつたので、この反民主主義的ということだけが今度入つたのではありませんで、ただこの目的がはつきりしておらぬために、今日第二條になりましたが、この具体的な項目に少しとらわれすぎる、從つて非常に狹く解釈されるおそれがありはせぬかと、考えて点があろうかと思うのであります。しかし今まで実際の適用につきまして別段さして問題が起つたわけではないのであります。しかしながらこのメモランダムが全部全貌をこの政令の上に明らかにしておらぬために、メモランダムの本当の精神がわからぬというようなことを考えられたのではないかと思うのであります。別段格別の意味を持つているとは思わないのであります。
#24
○会長(高橋英吉君) 速記をやめて……。
   〔速記中止〕
#25
○國務大臣(殖田俊吉君) これは新たに左翼を取締るために入れたんじや決してないのであります。この趣旨から申しますと、指導原理が右であろうと左であろうと、こういうふうな條件に当てはまるものは從來とても取締りをしておつたのであります。ことに何もかも打明けて申しますが、今度のこの改正は何も私が就任してから始まつたのではないのであります。すでに昨年の夏以來この改正の檢討が続けられておりまして、ようやく最近に至りましてその完結を見たのであります。かれこれ数箇月をこれに費しているのであります。從つてこれは特に吉田内閣ができて初めてできた政策とは申されぬのであります。長く檢討を続けておりましたのが、ようやく最近に至つて完了を見たのであります。その完了いたします前後から、どこからか漏れましたと見えまして、世間の注目を引きまして、それがただいまお話のごとき非日活動委員会等と結びつけられまして、いろいろ論議をされたのであります。ただ秘密に進行しておつたものでありますから、それを取上げて一々弁明をするでもないと存じまして、これまで差控えておつたのであります。
#26
○委員(林百郎君) 吉田内閣の前というと、片山、芦田内閣ごろからあつたのでありますか。
#27
○國務大臣(殖田俊吉君) 芦田内閣時代からであります。
#28
○委員(大野幸一君) 先ほど林委員から、反民主主義的團体ということがあつて、非常に氣にかけられた質問があつたのでありますが、私はこういうふうに解釈いたします。それでさしつかえないかどうか。反民主主義的というのは、民主主義に対する反対語であつて、これは、すなわち封建主義と独裁主義とを意味しているものである、こう解釈してよろしゆうございますか。從つて封建社会の建設を綱領とする團体は、これも反民主主義的であり、一方独裁政治を企図せんとするものも、これも反民主主義的である。そこでもし共産党が労働者、農民の独裁政治をかりに企図したとして、その片鱗が現われたときは反民主主義的團体といつてさしつかえないものであると私は解釈する。すなわちもしも代議制度、議会政治を否認して、いわゆるその政治の形態をなさんとすることが明らかになつたときには、反民主主義的團体といつてさしつかえないものと考えるのでありますが、遠慮することはありませんから、ひとつその点を御答弁願います。
#29
○國務大臣(殖田俊吉君) お話のような場合がありますれば、それは反民主主義でありましよう。しかしながらどうもこの政令では、たといさような團体がありましても、解散を命ずることはできないのであります。もしさような團体がありまして、しかしてこの第二條の各項に当るような條件を備えますれば、それは解散ができるのであります。しからざる限りこの政令の直接の対象とはなり得ないのであります。
#30
○會長(高橋英吉君) 現在の日本の客観情勢では、まだ非日活動委員会というふうなものをつくる情勢になつているかいないか、それに対して法務総裁はどうお考えになりますか。
#31
○國務大臣(殖田俊吉君) 非日活動というようなものに対しまして、世界で論議が相当やかましくありますから、政府といたしましては常に研究を怠つてはおりませんのでありますけれども、まだ今日の状態で、政府部内において直接これを対象とする委員会というようなものを設けなければならぬとは考えておりません。
#32
○會長(高橋英吉君) 結局そういう情勢が將來起りますような場合があつても、議会外にそれを設置するというふうな構想は今のところはないということになるわけでありますか。
#33
○國務大臣(殖田俊吉君) まだ断言するのは少し私も早いと思いますけれども、今まで私が檢討しましたところでは、そういう構想は持つておりません。
#34
○會長(高橋英吉君) それでは非日活動委員会の件については、次会に参議院の法務委員長伊藤さんに來いてただいてそのお話を伺つた上に、当委員会の態度を決定したいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○會長(高橋英吉君) それではさようにいたします。
  ―――――――――――――
#36
○會長(高橋英吉君) それではただいまより参議院議員選挙法改正の件を議題として審議を進めたいと思います。お手元にさしあげてある案について一應法制局の方より御説明を願います。
#37
○参議院法制局参事(今枝常男君) ただいま会長から御指示がございましたので、議題になりました案件についてお手元にございます印刷物に書かれております内容をかいつまんで御説明申し上げます。これは参議院議員選挙に関して選挙区としての全國区を存置すべきであろうということの理由を掲げておるのでございます。
 この第一にあげておりまする点は、参議院議員選挙法が当初できました当時において、全國区を置くことが適当であるという結論に達しました当時の理由を掲げておるのでございまして、つまり参議院の第二院的な性格と同時に、参議院が解散もなく、また議員の任期も衆議院よりも長くありまして、継続的な機関として置かれているというような特質から考えまして、参議院におきましては地方的な意味での代表的な人材を議員に送りますほかに、さらに参議院のただいま申しましたような性格から申しまして、全國的な見地から知名人な人をも議員に送り得るような道を開くことがいいのではないか、こういう見地からいたしまして、当初この全國区という制度を採用するようになつたものであるということを掲げておるのでございます。
 第二に掲げております事柄は、全國区にかわるべきものといたしまして、いわゆるブロツク制を採用すべきではなかろうか、その方がまた適当ではないかという見解があるのに対して、これに対する全國区の方がよろしいということの意見を掲げておるのであります。すなわちいわゆるブロツク制と申しますのは、その説の根拠は、要するに全國区選挙におきましては、選挙人と被選挙人とが遊離して、選挙人が被選挙人を十分知り得ないような欠点があるのではないかということから、こういう考えが起つているのでありますけれども、しかしそれかといつて、いわゆるブロツク制ということが法制上あるいは行政上、または経済上その他いろいろの観点から見ましても、ブロツク制がよかろうということの積極的な根拠もないのではなかろうか。また選挙人と被選挙人との関係が離れるという点につきましても、全國区制をやめてブロツク制にすればそれが是正されるかと申しますと、これも必ずしもブロツク制になればその間の関係が緊密にやるということは言えないのではないか、やはり程度の問題でありまして、大した差はないのではあるまいか。のみならず、むしろブロツク制にいたしました場合には、全國的な意味での知名の士というものは、かえつて選挙に当りにくい結果になるのではあるまいかというような見地からしますれば、かえつて眞の意味での全國的な士というものは、全國区制による方が國民に熟知されているという結果になるのではないか、こういうことが考えられるということを掲げているのであります。なおまた別の見地からいたしまして、全國区制を廃してブロツク制を採用するということにいたしますれば、現在参議院議員の中には別に選挙区制がありまして、一應地方代表的の人材を相当程度に入れるようになつててるのでございまして、さらにこの場合に全國区制にかわるものとしてブロツク制を採用いたしますと、議がのすべてが地方代表的な色彩をおびて來るのではないか、こういうことになりますれば、本來の参議院的な性格というものは薄くなつて、衆議院と近似したものになるのではあるまいか。こういう見地からいたしますれば全國区制を廃してブロツク制にすることは必ずしも適当とは考えられない。こういう趣旨のことを掲げているのでございます。
 次に第三に上つております点は、全國区制の次陷として、こういうことがいわれております。つまり廣汎な組織綱を地盤といたしまして立候補いたした者が、他の組織鋼の完備していない基礎から出ている者に比較して、非常に有利になるのではないかというようなことが、一つの欠点としてあげられているのであります。しかしこれも、しからばこの全國区を廃止すればその組織鋼の有利さが緩和されるかといいますと、これは必ずしもそういうことは言えないのではないか。組織鋼が完備している場合には、全國区制でありましても、あるいは地区制にいたしましても、その点に大差はないのではないかと考えられます。また現に別の見地から現在の全國区選出議員の配分状況を考えてみましても、必ずしも組織鋼を基礎にして出た議員ばかりでなくして、そういうことによらない議員も相当あるというような現状から考えても、必ずしも組織鋼だけが特に有利になるという結論に達しないでもいいのではなかろうか。こういう意味からいたしまして、ただいまのような見解は必ずしも妥当ではあるまいということを掲げておるのでございます。
 次に第四の問題は、やはり参議院議員選挙法が制定されました当時において、全國区制に伴う一つの難点と考えられた問題を掲げているのでありますが、それはもし全国区制を採用したならば、現実の選挙運動の問題、あるいは選挙管理上の実際の事務上の問題として、種々の困難が起るのではないかというようなことが問題になりまして、そういう点についての心配がなされたのでありますけれども、これは現にこの全國区制による制度が実施されました結果によりますれば、必ずしもそういつた種類の困難は避け得られないものではないということがわかつたのであります。また全国区制によりますと、少数の者に得票が集中する結果になつて、場合によつては定員に必要なだけの当選者数を得ないような結果になりはしないかというようなことも、当初の問題としては憂えられたのでありますけれども、これも実際に施行した結果によりますと、そういつた現象は必ずしも起らなかつたわけであります。從いまして、そういつた意味での当初予想された欠陷というものも、現実には心配するに足りないということがはつきりしたということが書いてあるのでございます。從いまして、以上のような見地からいたしまして、今必ずしも全國区を廃止しなければならないといつたような積極的な理由は見出されないのであつて、むしろ参議院の参議院としての特色を生かすためには、全國区制度を存置した方が妥当と考えられるのではあるまいかということを掲げているのでございます。
 以上をもつて説明を終ります。
#38
○會長(高橋英吉君) それではこれで速記を中止して懇談的に会議を進めたいと思います。速記をやめて……。
   〔速記中止〕
#39
○會長(高橋英吉君) 速記をとつて――、それでは参議院議員選挙法側正の件は、來週火曜日までに衆議院側の委員において檢討して、なるべく参議院側の意向に合致するように結論を見出したいということですから、そういう意味において次会に持ち越したいと思います。
 それから先ほどの伊藤氏の御出席を願うことも來週の火曜日にいたしたいと思います。速記をやめて……。
   〔速記中止〕
#40
○會長(高橋英吉君) 速記をとつて、なお本日議題となつたうちの議院における証人の、宣誓及び証言等に関する法律改正の件も、次会にまわすことにいたします。
  ―――――――――――――
#41
○會長(高橋英吉君) そのほか何か御意見はありませんか。
#42
○參議院兩院法規委員長(藤井新一君) 二、三日前から各派において米國視察ということが問題になつて議せられておりますが、この際両院法規委員から派遣されるように、ひとつわれわれが運動をしたらどうかと思うのでございます。これについてお諮りを願いたいと思います。
#43
○會長(高橋英吉君) 藤井君に御質問いたしますが、特に両院法規委員から派遣されることについての合理的な何か根拠がありますか。
#44
○參議院兩院法規委員長(藤井新一君) 私は最初この両院法規委員会ができて以來の委員でございますが、その時に関係筋の方から両院法規委員会というものを非常に重要視し、重大視しておられたのでございます。両院法規委員会こそほんとうに立法の勧告をすべきものである。アメリカにおいてはこれを非常に重要視している。日本においてもこれを重要視したらよかろうというサゼスチヨンがございましたので、われわれはその意味を体得して今日まで來たのでございます。そういう意味合いからしても、われわれはアメリカの立法その他の政治運営を調査して、そして日本の衆参両院に勧告するということは、最もよき機会であり、またよき材料を得ると思うので、この際好機逸すべからずという意味から派遣をする意味があると思うのでございます。
#45
○會長(高橋英吉君) これは私も意見があるんですが、大体あちらからの指令によつてこしらえた委員会であるし、その委員会の内容、使命から行くと、たいへん重要であるにもかかわらず、実際の活動はこれに伴つていない。ところが、これは結局日本ではまだ習熟していないという関係で、そういうことになつているのだろうと思う。今、藤井君が言われたように、本場へ行つてよく研究してから、せつかく向うの勧告に基いてでき上つた重要な委員会ですから、その活動を十二分にいたしたいという観点から、私もそれには賛成したいと思います。
#46
○委員(林百郎君) 趣旨はよくわかりますけれども、党の立場として、予算の関係などから、議員がアメリカに行くのには反対しているわけであります。私だけは除いて全員一致ということにしてください。
#47
○參議院兩院法規委員長(藤井新一君) そうするとこの委員会においては大体各委員は了承したとして、いかなる方法によつてこれを実現すべく努力いたしますか。
#48
○會長(高橋英吉君) それならこの実現方法は、具体的にどういうふうにしましようか、御意見がありましたらどうぞ。
#49
○委員(角田幸吉君) それは両委員長にしかるべく一任したいと思います。
#50
○會長(高橋英吉君) 角田君の今の御意見は、両委員長に一任ということでありますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○會長(高橋英吉君) それではさように決定いたします。
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#52
○會長(高橋英吉君) それでは本日はこれをもつて散会いたします。
   午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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