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#1
第061回国会 農林水産委員会 第7号
昭和四十四年四月一日(火曜日)
   午前十一時三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                宮崎 正雄君
                中村 波男君
                矢山 有作君
                藤原 房雄君
    委 員
                亀井 善彰君
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                足鹿  覺君
                杉原 一雄君
                武内 五郎君
                達田 龍彦君
                鶴園 哲夫君
                沢田  実君
                向井 長年君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
   政府委員
       農林政務次官   玉置 和郎君
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       農林省蚕糸園芸
       局長       小暮 光美君
       水産庁長官    森本  修君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
 備計画の変更について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。本案に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○武内五郎君 私は、本案に関連いたしまして若干質問したいと思いまするが、大体次のような要項を申し上げまするのでお答えをいただきたい。第一は、昭和四十四生糸年度の基準価格の決定の問題。第二は、糸価に関連いたしまして、昨年以来糸価が非常な変動を見せておりまするので、そういう不安に対する政府の対策をお伺いしたい。第三は、輸入生糸に関する問題。第四は、これらの問題に関連いたしまして、先月の上旬に持たれた蚕糸業の危機突破大会がありましたが、ここで重要な蚕糸事業に関する要請が決定されておるはずでありまするので、それに対して今日の蚕糸の危機についての政府の対策がどういうふうにこたえるか、それを伺いたい。さらに第五といたしまして、低開発国に対して蚕糸事業の投資輸入の傾向が見られるので、それに対する政府の考え方を伺っておきたいと思います。
 まず第一にお伺いしたいのは、繭糸価格安定法第四条に基づいて、昭和四十四年度の糸価の決定を見たという話でありまするが、その内容と本年度の糸価に対する政府の基本的な態度、方針、こういうものをお伺いしたいと思います。
#4
○国務大臣(長谷川四郎君) 糸価の問題は内外とも非常にいろいろな複雑な問題がかもされてきておりますが、特に日本の生糸というものは、かつての日本の輸出の大宗をなしており、その伝統にありますし、また現在やっておるところの総合農政の上から見ましても最も重要な作物でございます。こういうような観点に立ちまして、これらを十分留意しながら今年度の価格決定に当たったのでございますが、今回の価格の決定は、最高価格が七千円、最低価格五千四百円、それから最低繭価が七百二十六円、キログラムでございます、基準糸価を六千百円と決定をいたしましたような次第でございます。
#5
○武内五郎君 今年度の糸価に対する各方面からいろいろな要求が出ておったようであります。大別いたしまして、製糸家側の要求、糸屋の要求、次は養連を通じた養蚕家の要求、組合製糸を通じた要求、いろいろな要求がありまして、それぞれの立場でそれぞれの色彩を持った要求が出ておったのであります。私はいずれにいたしましてもこの本年度の糸価の要求というのは、ここ数年来の、特に経済成長政策の実施以来、諸物価の著しい騰貴の中で、常に糸価決定は養蚕家の立場というものをほとんど無視した形で決定されておる。今年に至っていろいろな物価の騰貴が生活の面やあるいは生産費の面において著しくあらわれてきておるときに、そういう面でまず第一に苦しんでやっているのは養蚕家であるのに、養蚕家の考え方がいままでほとんど出ていないということで、今年においては何らかの形で出てこなければならないのではないかと考えておる。ところが、私はどの系統にも属しない立場でものを考えますが、いろいろな要求についてもほとんどそういった養蚕家の苦労というもの、養蚕家の忍苦というのは全然あらわれていないのではないかと考えます。
 御承知のとおり、繭をつくる仕事というのは、これは集中的な作業、しかも短時間で不眠不休の状態で繭の生産にかかっていっているわけです。そこで投下される労働力というのは繭価格の六〇%から七〇%に及ぶものが労働価格であり労働投資である。しかも、労働投資の中でその大部分というのは家族労働これらが完全に今日無視されておる。米の生産費における労働の報酬でさえも米の生産費の三分の一の程度である。農林省が調査されてわれわれに報告されておりまする繭の粗収益についての労働報酬の調査をみましても、どの年をみても繭の労働報酬に対する他の農産物の労働報酬との対比で十分報いられておるという年は全然ないのであります。最近の例を見ましても三十四年には一日の労働報酬として二百八十八円、これが水稲では一千二十九円、陸稲で七百八円、大麦で二百九十四円、リンゴで千四百七十三円、ナシで四百九十二円、労働収益の少ないというたばこでさえ三百十一円、こういうふうに養蚕家の労働報酬というものが無視されてきておる。これらが私は今日養蚕の一大危機の原因がここにあるんではないかと思う。こういうことに対する糸価決定の考え方が基本でなければならぬと思うのでありまするが、今年はどういうふうな考え方でこの糸価決定を計算されたのであるかお伺いしたい。
#6
○国務大臣(長谷川四郎君) 本年の生糸価格の決定につきましては、いろいろなお立場、お立場からの要求もございまして、また需給の事情、その他の経済事情というようなことからもいろいろ検討が加えられましたし、糸価決定にあたりましては、製糸側からは最近の糸価の推移から見て基準価格を引き下げるべきではないかと強い要求もございまして、六千百円である基準価格をもう少し下げなければいかぬというような点もずいぶん要求されましたし、養蚕側からは、一応お話しのような、生産費の上昇に見合った基準糸価の引き上げを行なえというようなお話もございまして、しかしながら本年の糸価の決定にあたりましては、いろいろお立場、お立場からのお話がございましたけれども、まあまあ結論としては現実の上に立ってやむを得ないであろう、不満もあるがまずこの辺で本年は妥当であろうというような結論になったようなお話でございまして、そう御無理な価格で決定したわけでもない、したがって、もし安定価格が維持できないような場合があるとするならば、いつでも政府は買い上げをいたしますというようなこともやっております。もう今年に入りましてからも御承知のような買い入れを行なっておるようなわけでございまして、決して農家の今日の御苦労を無にして、そうして生産者を苦しめるというようなことは、なるべく避けなければならぬ、こういうような立場に立って本年の価格の決定はいたしたというような私たちはつもりでおるのでございまして、以下こまかい数字の点がございますならば局長から説明をいたさせます。
#7
○武内五郎君 局長からいずれ詳しいことはお伺いしたいと思うのでありまするが、糸価が昨年来特に非常な動揺が起きた、かつてキロ八千円をこえた糸が六千円を割る状態にまで低下した。そういうような非常に低迷状態が続いてまいりまして、私はいずれほかの同僚からも糸価決定についての詳しい質問が出ると思うのでありまするが、まず私はそういう低迷の状態にあった糸価の混迷を食いとめる歯どめになる施策を政府としてどういうふうな形でとったのか、その点からお伺いしたいと思うのであります。
 私はまず、蚕糸事業団法に基づいて政府が、異常な動揺の歯どめのための措置をとることになっているわけであります。最高価格をこえた場合には、異常な高価にのぼった場合には、手持ちの糸を吐き出す、あるいは最低価格の状態になった場合には買い上げるというような措置で市場調整をやることになっておるわけなんでありまするが、昨年のきわめて谷の深い、起伏の深い動揺期に、もうこの辺で政府の措置がとられるんだろう、もうこの辺で歯どめ措置が打たれるだろうというような期待を一般国民が持っておったと思うのでありますが、ほとんど見られるような措置がない。特に私奇怪に考えることは、そういう歯どめ措置のための買い上げワクが三万俵あったはずなんでありまするが、その三万俵消化のためにはどれだけの努力をしたのか。ほとんど見られない。買い上げの際には、実に小刻みな買い上げが行なわれた。たとえば今年に入ってさえ、二月に二十六日には八十俵、二十七日には五十五俵、二十八日には三十俵、三月一日になって三十俵、三月三日になって二十一俵、これらがずっと去年からの累計で一万五千俵が措置されておる。そういうような全く注射にもならない程度の歯どめ措置、何ら投薬の効果も出ないような措置でしか対策を立てたとするならば、これはおそらく焼け石に水の状態になって、かえって糸価の動揺を大きくさしておるのではないかと考えざるを得ない。そういうようなことでは、これは歯どめになるはずがない。ことに去年の、私はこれから申し上げたいのでありまするが、糸価の動揺の大きな原因というものは幾つかある。その最もひどいのは外糸の輸入、外国糸の日本の生糸市場に侵入してきたことであります。しかも、これが日本の市場を荒すばかりでなく、日本がかつて持っておった欧州の市場、アメリカの市場にまで著しい勢いで侵入してきた。こういうようなことで、これに対する対策も何もない。こういうようなことを考え、またさらに、よく口に言われる、内需に対応する価格である、こういうようなことも言われるのでありまするが、内需もさることながら、私はまずそういうような大きな外からの波が日本の糸価を大きく動揺させてきたことはやはりいなめない。
 特に私はまず第一に、事業団の買い上げの措置が、そういうような小刻みな、きわめて消極的な、全く歯どめにならん状態の措置よりとれなかったという、その事情をお伺いしたい。
#8
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘のように、海外からわが国に輸入をされてきたという、これは見逃すことのできない大きな問題でございますし、またわが国の生産とあわせて、価格というものが海外輸出の中に引き合いにならなかった。お話のように私は繭の価格、糸価というもの、生糸の価格が、ただ単に高ければいいのだというのではなくして、つくればいつでも売れるのだという一つの安定した価格というものを形成することが一番大切なことであろうと考えるのであります。今日、日本が海外に出す海外市場を奪われたという原因は、日本の糸価の安定のないという、これが一番大きな原因であろうと考えられます。したがいまして、まず糸価の安定をどこにはかるかという、こういうようなことが考えられなければならないし、したがって、ただ糸価の安定といいましても、引き合うか引き合わぬか、おれのほうは安ければいいのだという、そういう問題でもないだろう。そういうことによって蚕糸事業団の買い入れということになったわけでございまして、糸況を今日見ればわかるように、幾らでも買い入れを始めさえすれば糸価が戻ってくる、また幾らか買いさえすれば安定化してくるという、こういうような、数量はわずかであろうとも、そのたびごとの歯どめになって糸況が安定をしてきているということだけは、これは見逃してはならないことだったと思うのでございます。しかし十二月から一万五千俵買い、これらが、その中間安定買い入れをやっても、まだその価格を割るようなことがあるならば、まだ幾らでも買いましょうという、そういうような態勢、そのすなわち歯どめがあるからこそ現在の価格のまずまず安定を保つことができ得るのだ、こう思うのでございます。したがって、将来にかけて日本の生糸が海外の市場を取り戻そうとするならば、糸価のまず安定を見るということが第一の条件でなければならない。それによって、二次製品におきましてもしかりであり、せっかく海外との引き合いをして、そうして幾ら引き合いしたから幾ら用意しろといわれても、もう日本の国内の糸価が高騰しておった、そうして引き合ってはみたけれども、いまはもう取り消しにしろというような事態がかつては多かった。そういうような結果によって、海外への輸出量というものが非常に減退したということだけは、これは私たちの知るところでございまして、そういうことのないような安定化をどうしてとるかというのが、今日行なわれている糸価安定、中間安定方式だと、このように考えております。したがって農民に、せっかくお話のように生産する方々に対しましても、つくれば最低は幾らならば売れるのだ、引き取ってもらうことができるのだ、売れるのだという、この上に立って生産にいそしんでもらうということが最も大事なことであろうと考えておりまして、今回の、いま御審議願っている法案にいたしましても、そのような基本的な考え方になりまして、本日委員会を開いていただき、そうして御審議を願っているように私も承知しているわけでございますが、お話のように、わずかだったから、二十何万俵だから、三十何万俵だから、それが何にもならなかったということではなかったと、そういうふうに私は考えられるのでございます。
#9
○武内五郎君 ことばにこだわるわけじゃありませんが、私は最近年において糸価の非常に動揺した年は、昭和三十三年、これは減反までやらす、二割減反を農民にしいて、繭の減産を強く要請した年であります。次は、昭和三十八年におけるときの蚕糸業界における混乱というものは、これはひどいものであった。ところが、三十三年の不況というものは、これこそ政府のとってまいりましたいろんな経済政策が失敗して、どうにもならない経済の大きな不況になって、購買力の非常な低下した年であります。特にそういう事態に何とかして、特に農民は養蚕だけでも生きていこうじゃないかということで、桑園の造成等にだいぶ力を入れておった。ところが二割減反で頭からたたかれて、この減反の措置が私は今日の養蚕業自体の持っている不況の大きな原因であったと考えざるを得ない。大臣の御郷里であります群馬県なんかは、最も打撃を受けた県であります。私の知っている青年たちが養蚕で立っていこうとしておったときに、減反を指示された。全く方途に迷った年であります。そういう年が、これは三十三年。ところがこの三十三年と三十八年における様相というものが大きな相違がある。どういうふうに相違があるかというと、三十八年は高度成長政策の大きく伸びようとする、これをこの波に乗って市場操作をやっていた、この市場操作によっていたずらに人為的にこれは上げられた年なんです。このときに私は日本の生糸が海外市場から足をすくわれてくる大きな原因をつくったと考えておる。私は過去、近年における養蚕業、蚕糸業の不況の年を二つ考えております。
 いずれにしましても、第一は、全く農民を無視した政策がとられた、第二は、人為的に市場を操作しようとする行為が糸価の動揺を起こして、日本の製糸業、日本の養蚕業を衰退に導いた大きな原因であると考えざるを得ない、こういうようなことで先ほど大臣の仰せられることは、多少これは私の考え方が違うのですが、そこで私は、そういう状態であればこそ、政府として、混乱している、混迷状態になっているこの生糸の市場に対して、確固たる自信を持った施策というものが必要になってくるのじゃないかと思います。この際、単に外糸だけの圧迫、外糸が日本の生糸を圧迫するという外部からの打撃ばかりでなく、私は日本の蚕糸業界の持ってきた病気というものを考えざるを得ない。ここに政府としての施策の、自信のある施策をお伺いしたい。
#10
○国務大臣(長谷川四郎君) 前段の昭和三十三年度に農林省がとられた蚕糸政策については、私は意見を同じうするものでございます。しかしながら、その後昭和三十八年度に入りまして、御指摘のような国内の景気がよくなりまして、これから国外からの輸入というものが始まっておりまして、その後国内がますます経済事情がよくなり、需要を増し、その反映が昭和四十二年には三万俵に暦年で達しているのが四十三年度には二万俵には減じてはおりますけれども、海外からの輸入というものが行なわれるようになった。さかのぼって三十三年度におけるところのその蚕糸政策というものに誤りがあったということだけはいなめないところの事実であろうと考えます。したがって今後に対しましては、そういうような不安のないような措置をとっていかなければならないし、もう今日に至りましては輸入をこの際とめるわけにもまいりませんので、しかし何らかの方法をもって、緊急的な措置を講じていかなければなりませんけれども、ガットとの関係等も関連をしてまいっておりますので、そこで国内の生糸というもののまず価格安定をはかるべきだ、その安定の上に立って海外への進出というものを再びここに見なければ相ならぬ、こういうような考え方を持ちまして、先ほど申し上げたような、今回は事業団一本の日本蚕糸事業団法を御提出申し上げまして、せっかくの御審議を願っているのでございまして、要は何といたしましても、日本の生糸というものの糸価の安定をはかって、そして国内はもとよりでありますけれども、まず輸出貿易というものに大いに飛躍を今後させていきたいというのが、これらの関連する考え方であることを御了承願いたいと存ずるのでございます。
#11
○武内五郎君 だんだん輸出入の問題に入ってまいりますがね。私もこれから入ろうと思いまするが、これは日本絹業協会の機関誌でありまするが、「絹業界」という、これは少し古いのでありますが、一九六七年のこれによりますると、インターナショナル・シルク・アソシエーション理事会における報告の中にこういうことが出ております。欧州市場に関する項で、こういう文章があります。「欧州市場、欧州はもはや日本の生糸には関係のない市場で中共糸に占領された。十一月の広州交易会で欧州渡の糸価は一キロ六十四・八二スイスフラン(C&S欧州港渡、二十一中三Aキロ五千四百四十円となる)と春の交易会に比して三%〜四%値上げしている。」、こういうことが出ておりまして、これで見ましても、このときの価格は日本では実に六千七百円をこえておった。そういうふうに大きな開きがあって、欧州の市場からも足を洗われてこなきゃならないという状態なんです。
 さらに同じ年の九月、日本の糸価の高騰によって外国市場から足が洗われていっている状態を、また「絹業界」ではこういうふうに報告しております。「国際生糸価格の現状」という欄です。「日本糸価の高騰によって、紐育市場の日本生糸価格は一封度十ドル(キロ八千円)を突破した。これに伴って紐育の韓国糸価も漸騰を続け一封度八ドル三十五セント〜ハドル四十セント(キロ六千六百八十〜六千七百二十円)を示し、イタリア糸は紐育にて八ドル七十五セント(キロ七千円)見当となっている。今や紐育市場は、日、伊、韓、各国の三重糸価を示現しており、二十一中は韓国糸が独占の形で、特繊が日本糸の地盤をイタリア糸が蚕食している状況とみられる。欧州においては日本糸はキロ八千五百円を示し、中共糸は依然として六千円を堅持している。イタリアは国内向糸価は七千五百円だが、輸出向には五千百円見当で輸入した中共糸と国内産生糸とか振替輸出によって六千六百円見当で輸出している。韓国の基準原価五千三百十七円に対して、ソウルの市中価格は六千四百円見当、従って米国の輸入採算価格は六千六百円であり、日本への陸揚価格は一五%の関税込みで七千五百円見当とみられる。日本の国内価格が八千円を上廻っているので、韓国は米国向輸出より日本向輸出に強い意欲を示し、このため韓国糸すら入手難になったとして米国絹機屋は危機を叫んでいる。」、こういうふうに、もう日本の価格の混乱に乗じて、日本の市場に大きく侵入してくるという状態になってきているわけです。こういうようなもので、これらに対する混乱と低迷が、私は四十三年を通じ今年に及んできておると考えざるを得ないのです。ここに強い確信を持った施策というものが必要じゃないか。まず第一は、一体日本のそういう状態を救うためには、どうしたらいいのか。
 実は私、自民党のある人にも伺ってみたんでありますけれども、なかなか民族的な保守的な方でありまするけれども、こう言った。それはね、君、こういうことは国際的立場に立って大所高所からものを考えなければならぬ、だから外国の生糸なんかについては意に介することはないじゃないかというようなことを言われた。これはひどいことをおっしゃると思って、私は驚いておったのでありますけれども、私はまず日本の産業を守るという立場から、日本の産業を保持するという立場から対策を立てにゃならぬのではないか。ことに養蚕は、日本ではもう数千年の歴史を持っている。神功皇后の、何とか皇后の、私も小学校で習ったあの歴史から考えたってずいぶん古い。ことに私は、日本の農民が長い封建時代の強い搾取のもとで、米は年貢と小作料に取られて、わずかに養蚕で息をつないでおった。そういう農民の細い息が、この細い絹糸によってささえられてきた。こういうようなことで、今日の日本の養蚕というものは、かつては世界を風塵して、世界の王国であったものが、今日はもはや欧州から足を洗われている、一番得意のアメリカから足を洗われようとしておる状態である。私は、まず第一に輸入の規制を考えなければならない。日本の養蚕業、日本の製糸業を守る立場から、輸入に対する確固たる態度が必要になってきたところじゃないかと考えざるを得ないのです。これについてもいろいろなまた施策の方法があろうと思いますが、まず第一にそういう基本的な態度を大臣がお持ちかどうか、お話し願いたい。
#12
○国務大臣(長谷川四郎君) 何といいましても、御指摘のように、欧州におきましても、中共の生糸が五千円弱、日本の価格が六千七百円、これはおととしの価格でしょうが、大体。さらにニューヨークが日本の価格が八千円で、韓国が六千円でというふうに、海外におきましては、日本の品物は買いたい、品質はよいけれども、買いたいけれども、価格の安定がない、また反面高いという、こういうゆえに輸出が不振になってきておったということだけは争うことのできない問題だと思うのでございます。であるから、今後わが国としては、まずわが国は、中共やあるいはイタリー、さらに韓国、このごろはブラジルあたりでもたいへんおつくりになっているようでございますけれども、現在は伝統と歴史あるこの日本の養蚕というものの品質においてはとうてい比較にはならない、こういうような大きな力を持っておるのでございます。でありまするから、価格の安定ということがまず第一の条件なんだ。また農民におきましても生産者におかれましても、決して高いばかりが能でない。安くたたかれるときがあれば何にもならないから、ぜひ少なくとも安定した価格で、つくれば幾らで売れるんだというふうな方途を切り開いてもらいたいという、こういうような要求もたくさんきております。こういうような事情の点も十分考えながら、今後日本の生糸が海外に輸出ができるような方途を切り開いていかなければならない、こういうように考えておるのでございます。
 最後のお尋ねのように、外国産の生糸の輸入が問題となっておりますが、最近における輸入事情は、いまだ緊急事態にまでは立ち入っていなくても、相当大きな国内の蚕糸業者に打撃を与えているということは御指摘のとおりでございまして、これらに関しましては、今後緊急の事態が生ずる場合は緊急の事態に即した処置を講じてまいると、こういうような考え方でございます。したがってまず生糸の安定を目ざして今後の事業団等の買い入れ等を行なっておるわけでございますが、さらに一段と力を入れて、そうしてまずお話しのような伝統と歴史のある日本の生糸の海外輸出にさらに専念をいたしていきたい、このように考えておるわけでございます。
#13
○武内五郎君 衆議院の予算委員会第四分科会の二月二十五日の議事録に、小暮局長が高田委員の質問に対してやはりそういうような、同じようなお答えをしておるわけです。それによると、実に、きわめて楽観した態度、小暮局長はなかなか大人物で、そういう危地に立っても動揺しない局長でありますが、「現在の状況の見方でございますけれども、先ほど申し上げましたように国内の糸価が一ころの七千九百円といったような状況から六千円がらみまで下がってまいりました。その問、たとえば中共からの輸入は急激に減っております。しかも中共から現在入っております糸は、日本の規格でいいますとむしろD格に相当するような、日本ではつくっておらない下級品であります。韓国からはなお若干の輸入がございますが、これも大体六、七割については保税加工ということで、国内市場には入ってまいりません。そういうような状況で、国内の価格がやや下がりまして、軟調になって、中間安定をはかっておるような状況になりますと、輸入が細ってくるというような状況に現状ではあるわけでございます。」、きわめて楽観をしておるわけであります。実は中共の糸というものはそれほど悪くないというのが糸屋方面からの話である。それが非常におそろしいんだと、こういう話であります。日本の最近の自動繰糸機は非常に能率があがる、三、四割ぐらい能率がいままでの機械よりあがっているそうであります。だから、能率が上がるが、実はそこから出てくる糸の質というものはこういう悪口を言われておる、針金生糸、弾力性がない、非常に弾力性が悪いんだそうです。生糸の生命であります弾力性が非常に低い。ところが中共の糸はそれがきわめて少ない、弾力性が十分ある、こういうことであります。決して日本の糸に劣るどころではない、同格以上の良質のものが出ているということなんであります。それがおそろしいというんです。製糸界ではそれがおそろしいと、こう言っておる。局長ははなはだ楽観している。いま大臣もそれを受けられてお話しになっておるようでありますが、たいへんな問題だと思います。価格といい、質といい、これはもう人海戦術でつくってくる中共の糸にとうてい相手になることができないときが来るのじゃないかと考えておる。おそろしいことだと思うんですが、こういう御答弁をされておりまする局長なら、どういうふうに考えられますか。
#14
○政府委員(小暮光美君) 今日の日本の蚕糸業の直面いたしております状況は、先ほど来いろいろとお話し合いのございましたようなことで、特に先生がるる申されました一昨年の非常に高い糸の価格、これが国内の場合の生産も刺激いたしましたけれども、他面、輸入も刺激したというようなことがございます。その後二年間続きまして、国内ではきわめてよい繭の生産がございました。昨年は十二万トンという戦後最高の収繭量になるということで、一昨年の高価格が国産を刺激したことはきわめて明らかでございます。しかし、御承知のように糸の取引はわりあいに長期の商取引でございますから、輸入のほうも当時の七千円以上のような価格を背景としていろいろ制約されましたものが、その後において生産されて輸入されてくるというふうなことがございまして、国内の供給も潤沢になり、輸入のほうも急にはとまらない、こういう形で、昨年末に御承知のような糸価の低迷を見たというふうに考えております。ただ、ただいま御指摘のときの答弁にも申し上げましたように、きわめて一、二カ月の状況だけを見てものの判断をいたしますだけでなしに、ちょうど一年間ということで、糸価が非常に高かった昭和四十二年、年の半ばから糸価がかなり急激に下がってまいりました四十三年、この二年間を比較してみますと、三万俵輸入していたものが二万俵の輸入に減り、かたがた三千俵しか輸出ができなかったものが、九千俵の輸出ができるようになったということで、やはり価格というものを通じましてそこに経済の動きが顕著に出てまいっております。このことは日本の蚕糸業がまだまだ生産合理化の努力並びに価格安定の努力を通じまして、国際的な競争場裏に戦っていく力を残しておるということを示唆するのではないかというふうに考えます。ただ御指摘のように近年非常に機械の能率が上がってまいりました。労賃がだんだん高いものでございますから、できるだけ省力化した生産をやりたいということで高速機械というものを使いますと、糸の質に若干問題があるということは先生の御指摘のように業界でも非常にこれは懸念いたしました。先ほど大臣からもお答えがございましたように、日本生糸の伝統的な品質的な有利というものを確保するために、今後とも業界と私ども相ともに研究してこの点はつとめてまいりたいというふうに考えております。
#15
○武内五郎君 いまの局長の答弁の中からも言えることは、韓国の糸が六、七割も保税加工されて、これは日本の糸価を圧迫しないんだというふうに衆議院では言っておるんです。このことについて漏れている。私はなるほど保税工場からそのまま船に積まれて日本をそれてアメリカやその他に入っているかもしらぬ。同時にそれは、日本産の糸を持っていくということに対する圧迫になってくる。これを私はどういうふうに考えているか、これが局長のいまの答弁から漏れておりますので、どういうふうにお考えですか。
#16
○政府委員(小暮光美君) いま御指摘のように保税加工ということでまいります場合には、日本の繭なり糸なりが高いときに韓国産の比較的割り安の糸を使いまして、日本の織物業者がやはり操業を維持するという意味で委託を受けまして、日本国内で保税という措置のもとにこれを織物にして輸出するということでございますから、御指摘のように日本の織物というのがアメリカなりヨーロッパなりに出てまいりますことと、その限りにおいては競争競争に相なります。しかしこのことはやはり基本的に、今日の日本の蚕糸業と韓国の蚕糸業との競争関係というものの一つの側面でございます。先ほど来申し上げておりますように、日本の糸なり織物の持っております品質上の特性というものもございまして、今後糸価の安定と同時に、品質面での努力、くふうというようなことを通じて競争力をさらに強めたいというふうに考えておるところでございます。
#17
○武内五郎君 大臣はたぶん衆議院の予算委員会での御答弁であろうと存じまするが、輸入生糸に対する課徴金を課す、課したらどうかと考えているというようなことを仰せられておるようでありまするが、これは輸入生糸に対する一つの手段として考えられたと思うんですが、いまでもそういうふうに考えるか。
#18
○国務大臣(長谷川四郎君) どうもちょっと私がそういうような発言はした覚えはないんですけれども、しかし、何といっても国内産の生糸はあまりにも圧迫されるというような事態が生ずる場合は緊急措置をとらなければならないということだけは常に申し上げておるところでございますけれども、課徴金というのはちょっと発言したような考え方はないんですが、何かのお間違いかと思います。
#19
○武内五郎君 いずれこれはあとでそういう機会があろうと存じまするが、先月韓国の生糸製糸業組合の金智泰という理事長が日本に来ました。この人はいろいろ日本の蚕糸業界のおえら方にお会いしてるるお話し合いになっておるようでありますが、そのときにこういう発言をして、かなり業界に大きな波紋を起こしておる。それによりますると、「日本では韓国の生糸が日本の市場に侵入してきてたいへんお困りのようだが、もしそんなに困られるならば韓国では日本には輸出は差し控えてもいいと考えております」、こういう発言をして業界に大きなショックを与えておる。同時に、業界はこれに対して、政府がどう対処するのか、その出方をかなり注意して見ておるという状態だと承わっておりますが、どういうように考えておりますか。
#20
○政府委員(小暮光美君) 御指摘のように、先般韓国の生糸の輸出組合の幹部の方が、韓国としてヨーロッパに輸出宣伝のための駐在所を設けるという仕事をもちまして、その道すがら日本に立ち寄ったわけであります。日本は御承知のように前からリヨンに生糸の消費拡大のために事務所を持っておりまして、ヨーロッパにおいてはそういう活動の経験では日本のほうが先輩であります。韓国の輸出組合は日本のこれまでのヨーロッパでの輸出についてのそういう駐在員のあり方といったようなことについても教えてほしいというようなことがございました。もちろん商売がたきではございまするが、日韓友好ということでございますので、韓国がイタリーのミラノに駐在所を設置することにつきましては日本の業界もいろいろこちらの経験をお教え申し上げるということで、きわめて友好裏に協力したというような経過もございました。そのミラノの事務所の開設式に行く道すがら東京で日本の絹業関係の幹部とお会いして、日本が糸価安定のためにこれだけ努力しているときに、韓国の関係業者としても決して無関心ではおれない。そこで、できるだけヨーロッパに韓国の糸の販路を見出すことに努力するという気持ちとうらはらに、日本が糸価安定に努力している間は糸の輸出をもっと自粛するように韓国内においても業界として話し合いたいということを申されたわけでございます。これはもちろん商売の話でありますから、韓国としても、韓国の織物業者という立場もございます。この方は生糸の輸出商であると同時に、韓国でも有数の織物業者という立場からは、日本だろうと韓国だろうとを問わず糸価があまり高騰するということは望ましくないといったようなことがございます。逆にまた低迷するために反発することもよろしくないということもありますから、日本、韓国という境を越えて、東洋における生糸の輸出国という立場からお互いに糸価安定の努力をしなければならないということはそのとおりでありまして、その善意を私どもきわめてすなおに受け取っているわけであります。ただこうした話し合いは、自由貿易という前提で、国と国との問の話にはいきなりまいりません。やはり関係業界が十分意思の疏通をはかって、要は内外を含めて生糸の安定的な消費の拡大をいたしますことが共通の目標になるわけでございます。そういった点で共通の場を求めて今後とも話し合いを続けてまいりたい、かように考えておるところであります。
#21
○武内五郎君 だからこそ大臣、どういう対処をして、即応する対策を持っているのかお伺いしたい。
#22
○国務大臣(長谷川四郎君) 韓国との話しですか。――いま局長が申し上げましたように、韓国から、日本が生糸が低迷しているというようなお話であるから、韓国からは日本に輸出を当分控えておきましょう、こういうような好意的なお話があったということは承っておりますけれども、あくまで民間ベースの話でありまして、私たちが立ち会ってそういう話を受けたことでもございませんし、お話し申し上げたことではございませんので、民間同士の話がそのように話し合いが進んだ、こういうようなお話だけを承っておるのでございます。
#23
○武内五郎君 私はそれは民間同士の話し合いであろうと存じまするが、しかしこれを政治的にやはり指導監督する必要がある、その対策を実は伺ったのでありまするが、もし今日その対策がないとするならば御検討願いたい。そういうふうないろいろな材料が出てきております。私は蚕糸対策というものの確固たる樹立というものが今日必要なときになってきておる、たいへんな危機に当面するのではないかと考えざるを得ない。大臣の深い御考慮をお願い申し上げたいと思います。とにかくそういうふうな、まず、何といっても基本は日本の蚕糸業、養蚕業を守るという立場から対策を立てることが必要だと存じまするので、そういうことで対策の確立をお願い申し上げたい。今日のような非常な混乱の状態、昨年なんかは非常にその混乱の打撃を受けて、四十二年に価格の上昇に乗じてもうけた郡是が、その後せっかくもうけたものを吐き出さざるを得なかったというような報告もあり、それに準じて中小製糸業者があるいは倒産したり、あるいは操短せざるを得なかった、いろいろなことがありますので、これらの問題それ自体が示す、私は企業の危機だと考える。その対策を急がれることが私は大事だと思うのでありますが、深甚なる考慮を大臣にお願いしたい。
 次に私は、最近日本蚕糸事業団監事の大村清之助を団長とした日本の蚕糸界の人々が、農林省の園芸局の蚕糸課長をまじえてタイの養蚕開発協力事業の調査に行かれたはずであります。その調査の趣旨と調査されてきた内容について概略御報告願いたいと思います。
#24
○政府委員(小暮光美君) 先般事業団の監事の大村氏を団長とした小人数の調査団がタイ国に参りまして、タイ国に養蚕の技術を普及することの可能性についての調査をいたして帰っております。この趣旨は、たしか一昨年だったと思いますが当時の農林大臣がタイ国へおいでになりまして、いろいろ農業面からの日本とタイ国の意見の交流を行なったことがございます。その際タイ国側から、そういった面での養蚕関係での世界で一番先進国である日本の技術的な助言を得たいという申し出がございまして、それらの話し合いをもとにして、最近に至ってその調査に参った、こういうことでございます。
#25
○武内五郎君 これは昨年のことでありまするが、昨年の秋、片倉と伊藤忠が提携してパラグアイに資本金十億円の蚕糸会社を設立しようという計画がありました。これはまゆを日本へ持ってきて日本で加工して輸出または内需等に応じようという考え方であります。ところがなままゆの持ち込みは禁じられておるのでそれはやめて製糸に切りかえたという話なんでありますが、今日私は、これは決して悪いとは思わぬ。悪いとは思わぬが、特にこれは最近唱えられておりまする資本の輸出――けれどもその前に私は、先ほど申しましたように、日本の生糸の、日本の養蚕の安定した施策というものが必要ではないか。こういういわゆる開発投資、養蚕界における開発投資について大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#26
○国務大臣(長谷川四郎君) どうもお尋ねの件ですが、私はその経緯はよく存じませんので局長から答弁させます。
#27
○政府委員(小暮光美君) 民間の企業がパラグアイの日本系の移住者との間でいろいろと話し合いをいたしまして。パラグアイに養蚕を移植したいということをいろいろ計画しておることは私も聞いております。先ほど先生からも御指摘ございましたような八千円前後になるような非常に高い糸価がつい一昨年にあったわけでございまして、これは日本の対米輸出が国内の糸価高のために急速に低下するといったような事情を背景として、パラグアイの日本移住者の養蚕というものと、パラグアイからアメリカ市場への輸出というようなことができないものかどうかということを考え、あるいは企業のことでございますからいろいろなことを考えたと思いますが、そういった面での計画があったようでございます。
 なお、こういった個々の問題につきましては、私どもから直接これについてどうとこの席で申し上げるのは差し控えたいと思いますが、一番基本的に、養蚕については日本が御承知のように技術面で進んだ国でございまして、多数の優秀な技術者を持っておるというようなことから、その面での協力を求められることがいろいろあるわけでございます。生糸全体の国際的な需要の拡大ということから考えますと、国際商業的に流通します生糸の最も中心的な市場は、申し上げるまでもなくニューヨークとリヨンでございますが、そのほかに、たとえば中近東の辺境地帯、あるいはアジアでも蒙古その他ああいう地帯でかなり絹製品そのものは現実に生産され、需要されているわけです。こういうものは国際市場にはまとまって出てまいりませんけれども、東南アジア等の国から日本に対していろいろな協力を求めてまいります。あるいは蚕種がほしいというようなことで種をほしがってまいるといったようなことは、そういった地帯でそれぞれ地場の消費ということで若干の生糸の消費はございまして、そういうものを、やはり地元の農業の振興という角度からいろいろお取り上げになるものを、日本が先進的な技術を持っておることのために協力を求められる、これに応分の協力をいたすということは国際親善の見地から妥当であろうかというふうに考えております。
#28
○武内五郎君 私もうやめようと思うが、結論として、糸価の動揺に対する対策として今日最大にして最小にとられる糸価安定法に基づくもの、それに伴う蚕糸事業団の機能の発動、その中で、たとえば日本の生糸並びに養蚕に対して異常な打撃を与えるような状態になってくるとその機能が直ちに即応できるような形になっていかなきゃならないと思う。たとえば、先ほど申し上げましたように、こま切れ買い上げというようなことではこれはもう対策にならぬ。今日三万俵のワクがあるはずなんでありまするが、もし三万俵で足らぬ場合にはワクの拡大というものも必要になってくるんじゃないか。それらについての対策、また、場合によったら、金がないならば何らかの債務保証等の形において即応できる体制というものがとられなきゃならぬと思う。そういうようなことについて大臣のお考えをお伺いして終わりたいと思う。
#29
○政府委員(小暮光美君) 大臣のお答えをいただきます前に、事務的な点を一、二ちょっとあらかじめ申し上げておきます。
 御承知のように、中間安定ということで買い上げを行ないます場合の一事業年度の買い上げの限度量を、三万俵ということに現在政令で定めております。このことの趣旨は、中間安定というのは国費による無制限な買いささえではございません。先ほど来御議論のございました基準糸価、基準糸価に見合う基準絹価というものを製糸家が養蚕家に対して取引の前にあらかじめ最小限度そこまでの繭価は保証するということをいたすのが骨子でございまして、そういう繭価の保証をして取引をして、製糸をしております製糸家であって、いまの中間安定のための二十億の資金のうちの十億を出資しておる、こういう製糸家が糸の値段が下がってまいりました場合に、一定量を事業団に売り上げるいわば権利があるというふうに御理解いただくのが一番わかりいいかと思います。そういうものを事業団が一事業年度三万俵を限度としてたな上げして、糸価の中間安定をはかる。こういう仕組みでございますので、現在のところこの三万俵のワク自身を動かす考えはございません。
 ただ本年の事情に即して申し上げますと、ただいま御審議いただいております法案が幸いにして御承認を得られれば、四月以降新たな事業団の年度が始まるということになっております。したがいまして昨日まで、三月三十一日までにすでに一万五千何百俵か買いましたけれども、これで前事業年度の問題は一応終わりまして、四月以降新たに三万俵の買い上げのワクを事業団に設定する。こういう考え方になっておりますので、今日以降も引き続き五千九百円買い上げを継続する。なお、全体として糸価が異常変動という状況になりまして、いまの三万俵を限度とした中間安定では手に負えないという事態がかりにございますと、最低糸価、今回五千四百円に上げましたこの最低糸価で、これまでは国の特別会計、これからは事業団の特別勘定がこれを買う、こういうことになりまして、この面での資金手当は必要に応じ、政府として十分措置すべきであると考えて、当面百十五億の債務保証は予算上設定いたしております。原資三十億をこれに持たせることになっておりますので、ただいまの全体の糸の需給状況から勘案いたしまして四十四年度における買い上げには資金量として支障がないというふうに私どもは考えております。
#30
○武内五郎君 どっかで大臣が無制限に買い上げるという発言をされておるようでありますが、その点はどうですか。
#31
○政府委員(小暮光美君) 仕事のたてまえとして限度を設けて買うということではありませんで、五千二百円、今度新たに五千四百円ということになりますが、その最低では買い上げるということになるわけでございますが、ただ国並びに政府関係機関の仕事でございますので、予算の範囲内でこれを買い上げるということが実際上の制約になるわけでございます。ただ、いま申しましたのは、当面予想される需給事情から見て、資金には困らないような予算上の配慮をいたしておるつもりであるということを申し上げたわけでございます。
#32
○委員長(任田新治君) これにて午後二時まで休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四十五分開会
#33
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対し質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#34
○鶴園哲夫君 大臣にお尋ねをしたいのですけれども、昨年の十一月に政府が公表いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」、あれによりますと、五十二年に繭の生産高も六割以上にふえるような形になっておりますし、それから生糸の生産量も六割以上ふえるような形になっているのですが、さらに今度の稲作転換にあたりまして、桑畑に二百五十ヘクタールですか、果樹が五百ヘクタールくらい、蔬菜が三百ヘクタールくらいというような観点から見ましても、養蚕なり蚕糸というのがこれからもさらに重要な作物として、世にいう選択的拡大の一つとして見なければならぬのではないかというふうに見られるのですけれども、そういうような考え方で養蚕あるいは蚕糸を見ておられるのかどうか、念のために承っておきます。
#35
○国務大臣(長谷川四郎君) 生糸の需要は、まあ先ほどもいろいろお話がございましたのですが、価格の安定というそういう点に重点を置いて、今後長期的に見て海外への輸出は増加をすることができるだろう、また増加をするように大いに努力をしていきたい、こういうような考え方を持って養蚕の振興をはかっていくことが必要である、このような考え方でございます。したがって、適地における養蚕の経営というものに対しましては、さらに一段と近代化を推進して、生産性の向上に邁進をしてまいりたい、こういうような考え方を持っておるのでございますが、いずれにいたしましても競争力が各国ともいよいよ強くなってまいっておりますが、これらを十分勘案をしましてその方途に向かってまいりたい。また、稲作転換にあたりましては、その一部を桑園に転換するよう考えておりますけれども、この実施にあたってはなかなかむずかしい面もあるだろうとは考えますけれども、適地にはやはり養蚕のほうがよろしいという適地がございますので、その地区に向かっての奨励策の一部としてそのような考え方を持っておるわけでございます。
#36
○鶴園哲夫君 昨年の六月ですか、蚕糸局が廃止になりまして、蚕糸園芸局となったわけですが、蚕糸局がなくなりますときに、これは何といいましても四十年くらいの歴史を持った局であったわけですが、その局がなくなるということが蚕糸政策なりあるいは蚕糸行政というものが斜陽化するのではないかという意見が非常に強かったと思うのです。蚕糸局が廃止になって初めての予算が今度出ておるわけですけれども、その予算の編成を通じて蚕糸行政というものは、蚕糸政策というのは斜陽化しているかいないのかという点について、大臣はどういう考え方を持っておられますか。
#37
○国務大臣(長谷川四郎君) 私も養蚕県に生をうけておりますので、蚕糸局の廃止という点についてはいろいろ陳情して反対したものの一員でございましたけれども、政府の方針でただいま御指摘のようなことになったのでございますけれども、今後、たとえば園芸局とは一緒になったといたしましても、蚕糸というものが今日のような趨勢によって国内消費がふえていき、また国外との輸出の問題もだんだんふえていっているというような実態の上に立っております。そういう上に立っておりますので、蚕糸園芸局とはいいましても、その機能を十分に果たし得るような方向に向かって努力を傾けてまいりたい。このように考えております。
#38
○鶴園哲夫君 さっき私が申し上げましたように、昨年、四十年の歴史を持った蚕糸局が廃止になったということが今後の蚕糸政策なりあるいは蚕糸行政に重大な影響を与えるのじゃないかという心配があったわけですね。それで、局が廃止になって初めての予算がこの四十四年度の予算になっているわけです。その予算の内容を見ますと、これはやはりどうも斜陽化してしまったという印象が非常に強いですね。蚕糸園芸局の予算は、局の説明によりますというと、総合農政を背負って二三%ですか、二四%程度伸びた、昨年よりも。そして、百億円台になろうとしている。まあ、総合農政を背負ってという話、これはまくらことばだと思うのですが、いずれにしても、総合農政を背負って二四%ぐらい昨年よりもふえた。そして百億円台に達しようとしている。こういう言い方なんですね。確かに蚕糸園芸局の予算は九十九億七千七百万という金ですから、百億円に近づいておりますし、二四%ふえている。しかし、中身を見ますと、これはどうしても大臣に考えてもらわなければいけないと思うのです。蚕糸の予算によりますと、中は六項目に分かれておりますね、大きく。私の手元にきておりますやつは、第一番目は蚕糸対策です。四ページですね。その次は園芸農産物の対策です。それから特産農産物対策それに砂糖類対策、稲作転換対策、その他という六項目に大きく分けてある。その中でこの蚕糸対策の経費というのは去年よりも一二%ふえているわけですね。蚕糸局全体は、先ほど申し上げましたように二四%近い。その半分ということになるのですね、伸び方は。農林省全体の予算は御承知のように一七・五%ですか、伸びたということですね。去年よりもそれよりもぐっと低いですね、一二%。おそろしく低いと言わなければならない。それに今度、園芸農産物対策、これは三四%の伸びですね。第三項目にあがっている特産農産物対策、これは二〇%ですね。あと砂糖対策、これは二九%、約三〇%ですね。そういう点からいいますと、この蚕糸対策の経費というのは蚕糸園芸局の中では最も踏んだりけったりの予算になっておると言わなければならないと思うのです。一二%ですよ。しかも、少しからくりがあって、四十三年度は日本絹業協会に対して一億二千万円出しているのですが、本年はそれを出していないわけですね。そういう点を加味して考えますと、一〇%割りますよ。
 初年度の予算なんだから。蚕糸局がなくなったら蚕糸行政というのは斜陽化するだろうとみんな言った。そのとおりの予算になっているじゃないですか。というので、これは不満が多いと思うのですよ。しかも、今度蚕糸行政の中の、蚕糸局の中の大きな柱であった糸価安定特別会計という柱を抜こうというのでしょう。一つの大黒柱みたいなものですよ。その柱を抜いちまおう。これは容易じゃないと私は思うんですがね。だから、蚕糸のこういう問題を見まして、蚕糸局がなくなったということから、みんなが心配したようなことになるのじゃないかと私は思うのですよ。さらに今度の予算見ても、去年蚕糸局をなくするときに乾繭取引所ですね、それから、生糸取引所、それをはずしちゃったでしょう。蚕糸局から、蚕糸園芸局からはずして農林経済局に持っていったでしょう。蚕糸というのは、農産物の中では特殊な市場関係を持っておったことは御承知のとおりなんです。全く特殊ですよ、蚕糸というのは。私はその特殊性については異議がありますけれども、しかし、二重価格による安定を講じてきた。日本の農産物の中に例をみない農産物だった。その一つの重要な生糸取引所とこの繭の取引所を蚕糸行政からはずしちゃって、そうして、ほかの農産物と画一的に取り扱って農林経済局の商業課に入れるという、そういう考えが私はわからないですね。逐次お考えになるのはいいですよ。蚕糸局がなくなるときに、それもはずしてしまえというようなやり方は、私はいかにもどうにも蚕糸というのはむしり取られるのじゃないか、蚕糸行政というのは。そこへもってきて私はさっき言うように糸価安定特別会計という蚕糸行政の柱になっておったものを取りはずしてしまう。何が残るのですか、蚕糸行政というのは。だから、そこら辺をどういうふうにお考えなのか聞きたいのですよ。局がなくなったらなくなったで、ささえるだけの行政やってもらわにゃ困る。なくなったとたんにごろごろ柱を抜かれたのじゃかなわないと私は思っておるのですがね。
#39
○国務大臣(長谷川四郎君) まさに日本の特殊な一つの農産物であり、ほんとうにこれがかつては日本のささえとなっておったというような大きな実績を持っておる蚕糸業でございます。そういうような点から考えますならば、おっしゃるような点もよく感ぜられるのでございますが、これらにつきましては、農林省としてもおそらくいろいろな見方があったんだろうと考えますので、局長から御説明をいたさせます。
#40
○政府委員(小暮光美君) 御指摘のように、蚕糸園芸局全体の新年度の予算はどちらかと申しますと、園芸関係あるいは砂糖対策関係の予算の伸びのほうが金額的には多いようでございます。ただ、これまで野菜対策にいたしましてもあるいはくだものの対策にいたしましても、まあ野菜、くだものの日本の農業に占めますきわめて重要な地位、しかも年々比率が高まっておりますことと対比して考えますと、まだまだこれからさらに伸ばしていかなければならないような行政分野であるというふうにも考えられます。それぞれの分野ごとにできるだけ施策の充実をはかるということを考えました結果が、たまたま先ほど御指摘になったような率になっておるかと思います。旧蚕糸関係と申しますか、蚕糸関係の予算全体といたしましては、やはり長い問に先輩の御努力でいろいろに練られてまいりましたひとつの蚕糸行政のいろいろな仕組みがございます。これらのものを時宜に適した形で実施するように、それぞれ予算の充実をはかってまいるつもりでございます。
 それから、従来、特別会計で実施しておりました異常変動防止の仕事を事業団に統合するということを、今回、法律でお願いしておるわけでありますが、これは後ほどまた御質問に応じていろいろお答えする機会もあろうかと思いますが、国が従来やっておりましたのと全く同様の資金力と申しますか、信用力をもって、異常変動防止の買い上げが行なえますように、いろいろ予算総則において債務保証の規定を設ける等、配慮いたしてございまして、これは、むしろ事業団と国の特別会計が、それぞれ違った角度から価格安定の仕事に取り組むということも、それなりに意義がございましょうが、一つの事業体が、価格安定の問題でございますから、これはあわせ行なうということも施策の進め方としては一つのいき方ではなかろうかと、これはまあ行政簡素化の一つの趣旨に即応してということでございまして、決して蚕糸行政を後退させるという考え方はございません。
 なお、取引所の問題につきましては、確かに取引所の中で、生糸の取引所というのは蚕糸行政と密接な関係がございます。ただ、取引所行政と申しますか、あるいは企業対策といったような、農林省が従来ややともしますと、もの別にばらばらにやっておりました行政を、先般の機構改革で農林経済局に特に新たに専管の部を設けまして、この企業流通部において一連の企業対策並びに取引所行政あるいは消費者対策といったようなものを強力に推進したいというようなことから、あのような行政改革が行なわれたと了解いたしております。蚕糸園芸局といたしましても、農林経済局と十分な連絡をとって、生糸取引所の指導監督等には一半の責任を分担してまいりたいというふうに考えております。
#41
○鶴園哲夫君 いや、その蚕糸事業団の問題についてはあとでお尋ねいたしますが、私が言っていることは、大臣もいささか――ぼくは冒頭に長期見通しからいって、あるいは、今度なさっておられる作付け転換の方向等からいって、養蚕というものを当然重要視しておられるのではないかと、選択的拡大の一つと言ってもいいんではないかと、そういうふうに重要視しておるにかかわらず、蚕糸局はなくなったということからくる状況はこうなっておるではないかと、何かがたがたにくずれておるのじゃないかと、蚕糸行政というものは――という懸念を私は持ちまして、予算の面から言っても、それは野菜なり果樹等から比べて低いということには――これは局長、何かあなたは低いのがあたりまえみたいなお話しですけれども、これはそうはいかないのですよね、ふやしていかなければならない。農林省全体の予算から比べてみても、うんと低いのですから。蚕糸局というのは、それは局がもうなくなったんだからそうなったんじゃないかというふうに、ひがんでもみたくなる。
 さらにまた、いまと同じの生糸と繭の取引所の関係を蚕糸行政からはずしてしまったということは、ぼくは、今後、これは問題が出てくると思うんですよ。蚕糸局というのは――私はここでちょっと文句を言いたいのですが、蚕糸局というのは、本来、定見がないのですな。もうやめさせられるのではないか、やめさせられるのではないかというようなことで、ぼくはもう蚕糸局というのは定見がなさ過ぎるのではないかというように思うのですがね。
 実は私、おととしでしたかね、いまのこの蚕糸事業団法が出ましたときに、蚕糸の問題についていろいろ論議したわけなんですが、そのときにまず一点は、この二重価格制度ですね、二重の価格制度をとっておられるのですね。その必要があるのかと思うのです。しかも、蚕糸局の特別会計が持っている最高価格、最低価格ということと事業団がやっておる中間安定の動きですね、その価格がうんと接近しているのですよね。うんと接近しちゃっているのですよ。こうなったら、もう蚕糸事業団がやっている価格安定と特別会計がやっている価格安定と同じものじゃないか、どうして二つなければならぬのか、一つに合わしたらどうですかと、ぼくは質問したのです。それは困ると言ったのです。――困ると言ったのです。今度それを一本にしようというのです。――一本にしようというのです。これはどうも定見ないですね。
 それからもう一つ、ぼくは今度これが出たので、見てはじめてわかったのですが、日本絹業協会というのですか、日本絹業協会というところに農林省がいま二億近い金を出して、当時は、通産省がやはり一億近い金を出しまして、そうして海外の生糸の需要増進のための宣伝をやっていたのですね。まあその金は要らぬじゃないか、もうあなた輸出量というのはこれっぽっちじゃないですか、話にならない数になっているじゃないですか、それをニューヨークとかリヨン、世界各地に事務所を置いて、そんなことをやる必要はないじゃないですか、そういう金があるなら生産対策に回したらどうですか、そうしてその事業は必要でしょうから、ジェトロにやらせたらどうですか、――ジェトロにやらせたらどうですかという質問をしたのです。執拗にやったのですがね、それに対して、いやこれは生糸というのは特殊な商品であって、ジェトロにやらせるわけにはいかないのだという話でしたね。私はいまでも記憶しているのですけれども、これは生糸というのは一種の宝石と同じような取り扱いを受けているのだと、だからユダヤ人がやっているのだというような話までありまして、ジェトロにやらせるわけにいかないのだと言うのですね。そういうおかしなことがあるかと、いまの生糸の輸出の状況からいって、三億近い金を農林省と通産省が出して、海外のこんな宣伝をやってどれだけの価値があると思う、やらせるなら、もう少し節約して、人件費なんか節約できるのだから、ジェトロにやらせたらいいじゃないかと、ぼくが再三言ったのですが、それは困る困ると言う。今度これを見ましたら、四十四年からそうなっちゃったのですね。ジェトロがやるようになっちゃったのですな。全く定見がなさ過ぎますよ。いままた局がなくなったから、ぼくは心配にたえないのですね。局があっても、そういうだらしのないことだったのです。今度は局がなくなっちゃったのだから、――局がなくなっちゃったのだから、ぼくはどうもますますだらしのないことになるのじゃないかという心配をしているのですがね。何かそれについて局長答弁ありますか。あなたの前の局長のときだけどな。
#42
○政府委員(小暮光美君) まず前段の二重価格の安定の仕組みは必要ないじゃないかという御指摘でございます。これはいろいろと見解の分かれるところだとは思いますけれども、今日に至るまでの経過をよくよく振返ってみますと、いわゆる中間安定というほうの仕事は、一見生糸の買い入れ、売り渡しによって安定価格帯の中に価格をおさめる仕事というふうに見えますけれども、これはやはり製糸家が養蚕農家に対してその年の繭の値段をあらかじめ最低の水準で約束するという仕事を前提としまして、そういう最低の繭価の約束をした製糸家がつくった生糸、しかも事業団に出資しておる製糸家と申しますか、事業団の中間安定の仕事のために出資をしておる製糸家であって、基準糸価に見合う基準繭価を養蚕農家に保証しておる。それがみずからつくった糸を、価格が低落いたしましたときに、事業団が一定量買い上げるということで、あらかじめ製糸家が行ないました繭価の保証という仕事とそこで照応させて、その製糸工場にとっては、ある年の糸価で一定水準以下に平均してならないようにしようと、こういう仕事でございますので、形は五千九百円による買いと六千七百円による売りということでございますが、やはりそこに繭の取り引きについての製糸と養蚕との一つの連携、それに伴うみずから出資するということがからまっております。
 それから特別会計が従来やっておりました仕事、今回事業団に統合しようとしております仕事は、これは国の経費あるいは国のリスクで買い入れをやるわけです。別に業界の出資ということは考えておりません。
 それからその場合の買い入れは通常の場合生産費の八五%を下回らない水準というところで糸価が低落いたしましたときはこれを買い入れる、こういうことでございまして、やはり糸の価格の安定ということをどちらもねらっておることは間違いございませんけれども、中間安定というのは非常に具体的な養蚕と製糸とのいわば共同行為という色彩がきわめて濃い、特別会計買い入れ、あるいは今後異常変動防止を保証しようと思っております。最高最低の価格操作は、これは国が生糸についてある最低限の価格を維持しようという考え方でございます。それぞれねらいと方法を若干異にいたしております二つの仕組みがございますことは、生糸という商品の特性から見て必要であろうということに私どもは考えておるわけでございます。
 それから生糸の需要増進の問題につきましては、確かに一昨年あたりの非常に高い国内の糸価から見まして、当時輸出に対する希望が次第に失われようとしたような状況でございます。しかし、こういった海外における市場のシェアを確保しておくということは、やはり長期的に見てきわめて重要なことではないかという観点から、生糸の需要増進についての仕事はこれを継続したいということでやってまいっておりますが、これを具体的に実施いたします方法につきましては、現実の輸出の数と申しますか、経済の実態というものがある程度関係してまいることは避けがたいかと思います。関係者の希望にもかかわらず、やはり輸出が絶対量として少なくなっておりますときに、将来のために市場活動を確保するということにつきましては、それぞれ時宜に適した措置をとらざるを得ないだろうというふうに考えております。しかしその努力は絶対に放棄しない、かような考え方であろうかと思います。
#43
○鶴園哲夫君 ぼくは初めに話を伺ったのは、特別会計と事業団と両方がやっている、それを一元化したらどうかという問題なんです。それは困るとおっしゃった。しかし、今度は一元化するんだ。それからジェトロじゃ困るんだ、あくまでやっぱり日本絹業協会というものに対して通産省、農林省それぞれ二分の一の補助金を出してやる必要があるという御主張をなさったにもかかわらず、それが違ってきたじゃないか、不定見もはなはだしいじゃないかということを私は言っているわけです。ただその二重価格の目的なり任務なりという問題についてはわかります。それはあとでまた伺いたいと思います。
 次に、この蚕糸事業団、蚕糸局というのはこれは従来から予算は小さな局なんですが、二十億足らずくらいの予算ですね。その中で糸価安定特別会計ですね、これは百五十何億の特別会計なんですね。こういうものを行政の組織の中から分離してしまうということになりますと、これは行政としてはえらいさびしいものになりますね。蚕糸政策全体としていいか悪いかというのはあります。それはいいのか悪いかという点もあります。私はどうも蚕糸事業団というのが、――ちょっと言い過ぎかもしれませんが、これは成立したときから私は非常に疑問を持っておる。その蚕糸事業団が非常にあぶないために、昨年は一部改正を行なって輸出のための生糸を買わせる、保管する、売り渡す、そういう仕事を与える、今回はそれでもあぶないものだから、糸価安定特別会計という百六十億程度の歳入歳出を持っておる特別会計を蚕糸局からはずして、それを蚕糸事業団に持っていくという形で蚕糸事業団の延命策をやっているんじゃないかという私は懸念がしてならないわけです。そういうけちな話じゃどうにもならぬと思うのですけれども、いろいろの点もあるんでしょう、こういう問題については。ですが、もともとこの二つを一元化するということは、これは四十二年ですか、四十二年に行政監理委員会ですか、あの行政監理委員会が蚕糸事業団を廃止するということに端を発しているわけですね。あのときにたしか三つ指摘をして、一つは、二重の機能になっている、特別会計と事業団という二重の機能になっている。それからもう一つは、蚕糸事業団が活動する余地がほとんどない。もう一つは、養蚕の協同組合が、共販体制が充実しつつあるというこの三つの点をあげて、それで特別会計と二重になっているから蚕糸事業団を廃止しなさい、という言い方だったですね。ですから、まあ特別会計が残って蚕糸事業団がなくなるというのが、このときの行政監理委員会の指摘なんですね。それが逆になっておる、全く逆なんです、今度は。なぜ逆になったのかという点も伺わなきゃならぬわけですけれども、その前にこの行政監理委員会が、必要があれば行政監理委員会を呼んでもいいんですが、その第一番目に、機構が二重になっているという指摘をしたのは、これは機構が二重になっているということと同時に、機能が二重だということを指摘したんじゃないですか。機能が二重になっているんじゃないかという指摘を。先ほど局長は、機能については差異のあることを話されました。だから行政監理委員会が指摘した第一番目の、機構が二重になっているということは、機構が二重であると同時に、機能が二重だということを指摘したのではないか。第二番目にいっている蚕糸事業団の活動の余地がないということは、蚕糸事業団の機能というものがないということをいっておるわけですね。ですから、機構と同時に、機能の二重化ということを指摘しているんじゃないか、そうなると、どうも政府のやり方は、監理委員会のいったことを全くさか立ちさしておいて、しかも機能を二つとも残すというわけですね。ですから、まずこれはこまかい問題だから局長に、この監理委員会の指摘は、機構の二重と同時に機能の二重を指摘しているんじゃないかと私は思うのだけれども、局長はどういうふうにお考えになっておるのか。
#44
○政府委員(小暮光美君) 当時の事情について必ずしも精通いたしておりませんので、あとから承ったことでございますからあるいは聞き違いもあると思いますが、基本的な了解としてやはり二つの機能があるということは当時も十分御説明申し上げて、そのこと自身は基礎的には御了解いただけておったはずだと思うんです。それから機能が二つ、これはまあ御指摘のとおりです。しかしその二つの機能のいずれも当時は実は国内の糸価が非常に高かったために万一下がったらという、一つのいわば理論上の仕組みであって、当面中間安定の買い入れであろうとあるいは異常変動の買い入れであろうと、いずれの水準でも買い入れが起こるという現実感が全然なかったということがまあ一つの客観的な条件かと思います。
 それからこれはいずれも下だけでなくて上のほうも押えるという仕組みでございますから、糸価がそれほど高かったのなら上のほうを押えられたじゃないかということになるわけですが、実はこれは事業団または特別会計が生糸の現物を握りませんとその現物の放出という形でしかこれらの押えができない、ところがそれまでに実際に糸を持っていなかった、糸を持っていないために上限のほうは実はやりたくても何らの手が打てなかった。それから下限による買い上げのほうは糸価水準が非常に高かったから現実に問題にならなかった。そこで二つの機能があることを御説明はしたわけでございますが、やはり現実に動かないものが二つあるということでなかなかその点についての必要性については十分の御理解が得られなかったのではないかというふうに考えます。
#45
○鶴園哲夫君 私が言っているのは、行政監理委員会が特別会計と事業団と価格の問題について二重の機構になっているというわけですね。そして二番目に指摘しているのは、事業団は活動の余地がないということを指摘している。ですから二重の機構であるということは、同時に二重の機能を持っているというということを指摘したものであるし、それから第二番目に、事業団が活動する余地がないということを言っているということは、これは機構が一つになるだけではなくて、機能も一つでいいじゃないかという指摘をしたのではないかというように私は伺っているわけです。
#46
○政府委員(小暮光美君) この辺は当時の議論を記録で見るだけで、私が申し上げるのはあまり適当でないと思いますので簡潔に申し上げますが、糸価が堅調に推移し、事業団の活動の余地がないという御指摘になっておりますので、やはり先ほど申し上げましたような現実の糸価の姿からその機能が実際に動く余地がないということを御指摘になったものと考えます。
#47
○鶴園哲夫君 まあ行政監理委員会がどう言ったといっても始まらないですから……。
 それじゃ、いま最高価格というのは幾らですか、七千円ですか、それから買い入れ価格、売り渡しですね、つまり特別会計がやっている買い入れの最高価格というものは七千円、それから事業団がやっている売り渡し価格、つまり最高価格ですわね、名前は違うけれども、最高価格六千七百円ですか、そうですね。
#48
○政府委員(小暮光美君) さようでございます。
#49
○鶴園哲夫君 下のほうはどうなんですか。
#50
○政府委員(小暮光美君) 中間買い入れは、買い入れ価格五千九百円、それから異常変動防止のための買い入れはこれまで五千二百円、それから昨日、四十四生糸年度からこれを五千四百円にするということを決定したところでございます。
#51
○鶴園哲夫君 先ほども私、言ったのですけれども、異常変動を防止するために特別会計が設けられている、平常の変動を防止するために事業団がつくられている、こういうのですよ。その二重機能を持っている。異常変動の最高価格というのは七千円だというのですね。通常変動の最高価格は、つまり事業団がやる最高価格というのは六千七百円だと、三百円の差ですね。もうちょっぴりあるかないかですね。なぜこれを二つ置かなければならぬのですかね。それと、局長、何がこれは異常変動で、これは通常変動なんですか。六千七百円がこれが通常変動で、七千、三百円ちょっと高いやつが異常変動なんですか。どうもこれはおかしいぞ。
#52
○政府委員(小暮光美君) 異常変動防止ということは申しておりますが、通常変動防止ということは、実は申しておらないのでございます。別に決しておことばを返すわけではございませんが、中間安定というものと、それから異常変動防止があるというふうにまず御理解をいただきたいのですが、中間安定は、先ほど申し上げましたことをもう少しふえんさせていただきますと、先ほどは下位のほうだけ申しまして基準糸価に見合う繭価を繭取引の前に生産者に約束した製糸業者だけが事業団に売り上げられる、こう申しましたけれども、これはそういうことであの事業団に出資した製糸会社がみんないわば出資の量の大きさのようなものを持っておるわけです。それに見合って三万俵たな上げするとした場合に、自分の糸を、その三万俵に対する自分の持ち分相当分を事業団が売り上げるような形をとるわけです。これはまさに中間安定でございますから、その年度の中にまた市況が変動してきて糸の値がずっと上がってきますと、六カ月以内であればこれを事業団に売った製糸が買い戻せるというものの考え方になるわけでございます。さらにその期間を過ぎて買い戻すような状況でなければまさに事業団のものになっても買い戻しの権利はなくなる、そういったものを事業団が中間安定ということで持っております限りは、これをどういう状況のもとに市場に売るかということをきめておかなければならない、これはいまの中間安定という趣旨からみて、あまり高いところまでこれを持っていくということでなしに、現在六千七百円のところで売る、こういうことで考えておるわけであります。異常変動防止のほうは全く性格を異にしておりまして、糸価が極端な上下の変動をすることを防止するために、最高最低による買い入れ、売り渡しを考えるということでございます。どちらかと申しますと、中間安定はその年の実際の繭取引というものと直結した一つのものの考え方で、異常変動のほうは需要が急激に減退した、あるいは生産が異常にある年に伸びたといったようなことから、需給の大きな凹凸を生じた場合を想定しておるというふうに御了解いただきたいと思います。
#53
○鶴園哲夫君 まあ局長、特別会計がやる売り渡しあるいは簡単にいえば買い入れ、売り渡しの価格というものと、それから事業団のやる売り渡し、買い入れですね、その価格というのが非常に接近してきているのですよね。著しく接近してしまって、もうこれじゃ一緒じゃないか、これくらいのところまできているわけですよね。だからしいてこれを分けなければならぬということはないじゃないかと私は思うのですが、そこで一つ承りたいのですけれども、この生糸について、いま論議になっているように、ていねいな二重の機構、安定の機構があるわけですね。事業団の安定の機構とそれから特別会計の安定の機構にもかかわらず、これが非常に他の農産物と比べて変動が高いということはどこに原因があるのですか。つまりほかの農産物に例をみない二重の価格の安定の制度があるのだから、もっと安定してよさそうなものだけれども、とてもそうじゃない。ほかの農産物よりはるかに不安定なんだ、こういうことなんです。それとこの価格の安定は何のためにやっているのですか、根本的にいって。何のためにこういうことをやっているのですか。たとえばこれがあるために養蚕の農民のほうの、養蚕農家のほうの生産がどのように影響されているかという点についてのそういう分析しておられるのですか。私の見るところによりますと、糸価安定というのは、どうも中心的な課題が輸出にあったんじゃないか。いまちょっと事情違うかもしれませんが、輸出に大きな重点があるんじゃないか。したがって、このことは養蚕農家に対してはどういう波及効果を及ぼすのかという点についての分析がどうもぼくはないように思うのです。由来長い間やっておるわけですけれども、ないように思う。まあいま申し上げたようなことでこの機能が機構だけを一元化するんじゃなくて、機能を一元化できないか、それができない理由をひとつ明らかにしてもらう。ちょっとばかり長くなりますな、これは。長くなります。しかしそれを簡単に言ってもらいたい。ぼくの主張だから、しょうがないから、局長のひとつ意見を聞きましょう。
#54
○政府委員(小暮光美君) 安定の目的は法律にもございますように、輸出の増進ということはもちろんでございますが、何と申しましても蚕糸業の経営の安定ということが主眼でございます。
 それからこうした安定によって繭生産にどのような効果があったかという点は、過去二、三年の推移を振り返っていただきますと、先ほど申しました中間安定という仕組みを通じての繭価の保証、これは実際の糸価が高くて、かなり高い繭価が二カ年連続して実現しましたから、結果的にはあんな低い水準での保証があってもなくてもよかったというふうに言われる議論もございますけれども、何と申しましても、春先にもうその年の繭については最小限度キロ幾らというものが製糸家から保証されるということは、養蚕の安定のためには非常な意味があったと思うのです。現実に糸価が高かったから繭が増産になったということもありますけれども、その時期は実は中間安定ということで関係者の相談で始まっておって、昔の繭価協定の徹夜で真夜中までかかってそれぞれの地域ごとに議論をし合ったようなあの姿に比べれば、毎年四月においてその年の養蚕製糸家、養蚕農民に提示される。それは国が関与してきめた水準だということが生産安定に非常に役立ったというふうに私ども考えます。
 最後の、なぜ二つのものを統合したかということにつきましては、それぞれの事業は先ほど来申したような性格を持っております。これを簡素化の趣旨で一本にすると考えました場合に、中間安定という仕事が非常に養蚕製糸の具体的な意思の持ち寄りであるということから考えまして、これは国の特別会計で行なうよりは、やはり事業団という業界からの出資を求めて国も出資した形のものがよろしい。特別会計の仕事は、国が事業団を十分バックアップすることによって事業団でも行なえるという判断で二つの仕事を、事業団に統合するということを考えた次第でございます。
#55
○鶴園哲夫君 局長、蚕糸特別会計を廃止して事業団にこの仕事をやらせるということなんですけれども、手元には特別会計の予算の内容もわからないし、蚕糸事業団の予算の内容もわからないということで困るわけですけれども、これは蚕糸事業団はどのくらいの予算なんですか。政府は幾ら出しておるのですか。さっきからあなたは蚕糸事業団、製糸家、製糸家ということを盛んに言われるけれども、製糸家は幾ら出しておるのですか。
#56
○政府委員(小暮光美君) これまでの中間安定という仕事との関連では事業団は原資二十億ございまして、そのうち十億が製糸業界の出資でございます。それから特別会計はこれまで三十億の原資、これに利子がつきまして四十二億になっておりますが、四十二億の資金をもちまして特別会計を運営いたしております。ただしこれは実際に買うときには借入金で買うということができるわけですが、特別会計時代には四十二億の原資のほかに百十五億円の借入限度というものをもちまして、この借入限度と原資を足したものがおおむね歳出の額に見合うというような形に運営しておったわけでございます。今回これを一本化することになりまして政府から事業団に対し従来特別会計が保有しておりました資金のうち、その最初からの原資に相当する三十億円、これを国から事業団に出資いたします。したがって、事業団は従来持っております二十億に新たな三十億の出資、なおそのほかにこの前に改正をいたしまして輸出生糸の買い入れ、売り渡しができるということにいたしましたときの原資が別途ございますが、これは補足で別の問題でございまするから、事業団の本体という場合にはいまの二十億と三十億とが原資になっております。この三十億の新たなる資金をもとにしまして特別勘定を設定いたしまして特別勘定で異常変動防止をやるということを考えておりますが、その特別勘定に対しまして国が昭和四十四年度において百十五億円の債務保証をする、こういうような形になっております。
#57
○鶴園哲夫君 この程度のものなら特別会計へそっくり持っていったっていいのですけれどもね。これは製糸家が出した金なんてちょっぴりじゃないですか。そんなもので一々あれしたなんてかなわないですな。特別会計へ移したらどうですか。特別会計ならいままでの長年の経験を持っているわけだし、法制的にも整っていますね。その中には蚕糸業の中間安定のやつをぶち込んでしまったらいい、何でこれを逆にさか立ちさしたのか、そこのところがわからないですね、内容聞いてみても。これでいきますれば、これはもうよほど特別会計へ持っていけるのじゃないかと思うのです。しかも製糸家が負担している金というのはちょっぴりですから、その程度のものなら特別会計でやったほうがいいのじゃないかと思うのですね。蚕糸事業団というものを残すためにこういうような苦労をされているの下すか、そうじゃないですか。
#58
○政府委員(小暮光美君) 繰り返しになってたいへん恐縮でございますが、金額の多寡は別といたしまして、仕事の性質がやはり養蚕家、製糸家がそれぞれ金も出しますが、人も出しまして運営審議会でこの具体的な運営について相談するという形での特殊法人で行ないますのが中間安定という仕事には最もふさわしいように思います。
 異常変動防止は、御指摘のように、これは特別会計で従来もやっておりましたし、今後もやれないことはないのでございますが、中間安定の仕事は国が直接特別会計でやりますよりも事業団のような形が一番いいのではないか。したがって機構を簡素化して一つでやるという場合には、事業団のほうに仕事を統合するというふうに考えておる次第でございます。
#59
○鶴園哲夫君 この点はぼくは最初から言っているのは、特別会計の価格安定のワクというものと、それから事業団のワクというものはほとんど接近してしまっているのだから、前は相当開きがあったのですけれども、まあ中間といわれるような意味あったのですけれども、それに接近してしまっているのだから、その価格安定の機能だけは一本にしたっていいのじゃないか。そういうことからいえば、特別会計に一本にしたほうがいいのじゃないかという、ぼくの考え方なんですが、局長はそうではないというお話で……。
 その次に、もう一つ伺いたいのは、昨年の通常国会で蚕糸事業団法の一部を改正しまして、生糸の輸出を確保するために、生糸の買い入れ並びに保管、売り渡し、そういう改正をやったわけですね。その発動状況はどうなってるんですか。
#60
○政府委員(小暮光美君) 事業団が輸出のための生糸の買い入れ、売り渡しをできることに改正をいたしましたあとで、昨年の初めに約三千俵の買い入れを行ないました。ただ、その後糸価が低落に向かいましたために、この事業は途中で事実上休止になっております。
#61
○鶴園哲夫君 初め、私、去年ですね、たしかこの法案が出たときに、三万俵を買い入れるという予定でおる。それで、その輸出のファンドの確保ですね、一ぺん切れちまう、輸出のルートが切れちまうとたいへんだから、だから三万俵程度の生糸を買って、そしてそれを売り渡しすることによって、従来持っておった生糸の輸出のルートというものを維持したいという話だったですね。ところが、いまの話ですと、何か三千俵ですか、十分の一ぐらいで、しかも中止しちまってるというのですが、切れちまってるんですか。そして、なお、どういうわけでこんな十分の一ぐらいの俵数になったんです。これからもやられる予定ですか、この輸出のための確保を。
#62
○政府委員(小暮光美君) この仕組みは、もともと糸価が非常に高くなって、こういう高い糸価では輸出ができないというところから、事業団が買い入れまして、これを一定の価格で輸出業者に引き渡す。それによってわずかでもいいから海外の市場を確保しておこう、こういう考え方であったと思うのです。そこで、その仕事を設計いたしまして、法律の改正をお願いして、いよいよ実施に移すという段階になりまして、実は糸価が下がってまいりました。したがいまして、当初の意図に反し現実の糸価が下がってまいりますと、わざわざ事業団がこれを買い上げてこれを七千円で売るということは、これまた意味をなさないわけでございまして、そして実際上、初めに約三千俵買いましたところで一応その事業を中止したと、こういうことでございます。
#63
○鶴園哲夫君 いやもっと、局長ね、一体どういう内幕があるんですか。これ何か製糸業界との問のあれがあるんじゃないですか、負担の問題が。負担しなかったんでしょう。だから一向まとまらないんじゃないですか。
#64
○政府委員(小暮光美君) 何の内幕もないと思っております。
#65
○鶴園哲夫君 この蚕糸年鑑というのは、あなたのところが書いたやつですね。あなたのところの局の人たちがみんな書いたのでしょう。この中には詳しく書いてあるのだがな。困ったと言って、これからも困ると言って書いてある。私はそういう意味で、せっかく去年こういう改正をして、そういう任務を与える、そのために十億政府が出資しましたですね。たしかそうだったですな。十億出資した。ところがそれが当分動かないんですね。いまのお話だと動かない。
 それじゃもう一つ、蚕糸事業団ができる前は、御承知のように二つのものがあって、それを一本にしたんですね。そうして四十一年に蚕糸事業団というものにしましたね。その蚕糸事業団の主たる仕事で、中間安定の発動状況、それをちょっと。
#66
○政府委員(小暮光美君) 中間安定は昨年の夏にごく短期問発動いたしまして、その際はごく少量の発動で、直ちに糸価が回復するということで、その後これは業界が買い戻しという形で終わっております。それから、第二回目の発動が現在でございまして、昨年の十二月から今日まで約一万五千俵買い上げましたが、なお買い入れのワクを設定いたしておりまして、今後随時申し込みに応じて五千九百円でこれを買い入れるという体制に現在ございます。
#67
○鶴園哲夫君 いま蚕糸事業団の内容について伺ってきたのですが、それ以外に蚕糸事業団は利益の幾らかを養蚕の奨励に出すことになっておりますね。大体年間二千万ぐらいのものですね。そういう仕事があるわけですね。そうしますと、それも蚕糸局がやっている仕事なんですね。その二千万円程度の補助金みなたいもので仕事をやっておられるわけですが、輸出の問題にいたしましても異常価格の変動にしても中間安定の問題にいたしましても、どうも私は、こういう仕事は特別会計でやっていいように思うのですね、ぼくはそういう主張なんですが。まあ以上で大体終わることにいたします。
 最後に蚕糸の予算ですね。予算を見てみますと、蚕糸対策の予算と、それから園芸農産物対策、それから特産農産物対策、これらを見ますと、蚕糸の予算というものは、これは非常に特殊性がありますですね。二十一億――まあ二十二億ですね、今度の予算は。その中で、生産対策、つまり繭の増産対策ですね、それに該当するものは一割ですよね、あとはほとんど全部そういう施設費並びに人件費なんですね。まあ園芸とかそういうものに比べますと、蚕糸対策というものは非常な特殊性がある、これを私は一緒になった機会に根本的に考える必要があるのではないかというふうに思いますですね。というのは、蚕糸がかつて非常にはなやかな存在だったし、日本の輸出の四割近くを占めておった、米――稲と並んでの二大作物であったという時代は、これはもう二十年前、三十年前の話であって、今日輸出に占めているものは微々たるものですね、ないと言ってもいいくらいですね。そういう中で、蚕糸を取り巻く機構だけはどえらいでっかいものがあるような気がするのですね、で、実際の繭の、養蚕農家に対する援助というものは、全く微々たるものだと、二億円ぐらいだというのでは、これは蚕糸が発展しようにも、養蚕が発展しようにも、どうもしょうがないじゃないかという、私は気がしてしようがないわけですね。ですから、蚕糸局がなくなって蚕糸園芸局になった、そのために、また今度蚕糸園芸局の中の、蚕糸行政の中の一つの大きな柱であった特別会計を抜かしてしまうというような中で、蚕糸行政といいますか、養蚕行政といいますか、そういうものがますます斜陽化するのではないかという懸念は絶えないわけですし、現実の予算の上にもそれが出ているわけですし、ですから養蚕農家に対する生産対策というものをもっと本格的にやる必要がある。それは、果樹園芸の予算というものとこれと比べますと、非常な特色がありますから、蚕糸の予算は、そういう意味で養蚕農家に対する生産対策というのは、もっとこれは充実する必要があるというふうに思うのですが、そういう点についてお伺いいたします。
#68
○国務大臣(長谷川四郎君) まさにそういうふうに私たちも感じておりますし、特に置き去りにしたという意味ではないんですけれども、先に生まれておるものですから、誕生しているものですから、いろいろな設備等も整っておるし、そういう点について新しい技術、新しい技術といいましても、それがなかなか取り入れられていない。しかしながら、このごろは養蚕という点について非常に技術が発展をしております。それだからそれでいいという意味ではないんで、今後やはり御指摘になった蚕糸対策の中の技術改良をいかにやるかということが今後養蚕に課せられる重要な問題だと考えます。したがって、その技術指導をいかにするかと、こういう点に重点を置いて、そして養蚕規模は年々拡大はしておりますけれども、さらに農家の農業経営の中における養蚕のウエートというものは著しく高まりつつありますので、規模の大きい養蚕の生産性が著しく上がるような方途をさらに政府が指導をしていくという、これがすなわちいま鶴園さんのおことばにあることだと思います。私は同感でございます。したがいまして、今後これらの面に対しましては十分なる対策を講じていくように指導をしてまいるつもりでございます。御了承を賜わりたいと思います。
#69
○足鹿覺君 前の質問者がいろいろとお尋ねになりまして問題点がだいぶ出ておりますので、できるだけ重複を避けましてお尋ねを二、三申し上げてみたいと思います。
 先刻鶴園委員からも理路整然たる転換期の蚕糸業について御質疑なり御意見がありましたが、私の経験から申し上げますと、この法律は昭和二十六年十二月十七日に成立をしておりまして、当時改進党の金子與重郎並びに現大臣である長谷川さん、それから不肖も、与野党が一致をして、当時自由党に野党が一致をすれば十名だけ多いと、こういう情勢の中で出てきた原案が糸価安定法という原案だったので、繭の安定なくして糸価の安定があり得るかと、こういうことから大幅の改正を勝ち取りまして繭糸価格安定法と名も改め、その内容を充実した経過があるわけであります。その当時一にも二にも輸出、それはアメリカを中心とした輸出対策がこの法案の骨子をなしておったことは大臣も御承知のとおりで、御記憶を呼び起こしていただけばいいと思うのです。そういう事情から今日は、輸出は全く先ほどの鶴園委員のお話のようにちょっぴりになってしまった。国内需要が国産でまかない切れるかどうか。中共や韓国やその他から輸入がふえた。これをどう規制をし、国産繭糸価格の安定をはかっていくかという、根本的に情勢が変わってきておると私は思うのであります。したがって、当時の状況と今日の状況とは、少なくとも二十年近いもう歳月がたっておりますから、製糸家、製糸業者のための安定制度的な姿で生まれた法律を国会で荒療治をしてなおしたために不十分な点は多々残っており、生まれたときの性格は完全に払拭されておりません。したがって、繭価をきめるという方式が常識となった今日、生糸の輸入が増大をし、国内需要が増大するというこの構造的な大きな変化が起きておるわけでありますから、繭の生産費・所得補償方式を中心とする養蚕農家主体の産業政策にこれを切りかえて、転換をしていかなければならないにもかかわらず、部分的な修正なり事業団の運営でもって対処されようとしているところに、先ほど来のような質問が出てき、御答弁に苦しまれる、こういうことになりはしないかと思うのですが、当時一緒にやった長谷川さんはどのような御感想をお持ちでしょうか、ひとつ基本施策を。
#70
○国務大臣(長谷川四郎君) 何と言っても、終戦後からさらに昭和二十六年、このころは特に輸出に専念しなければならない時代であり、したがって、そのときから、その時分も蚕糸業というものがいかに重要視されていたか、またわれわれが貿易なくて日本国民の生活というものはでき得ない、こういうような事実の上に立って、全くこれが大宗をなしており、「あとそのほかに輸出は何だ」「雑貨でございます」――政府はその当時答えておりました。「しからば日本の国是としての輸出は何だ」「蚕糸、その他は雑貨である」と政府は答えたものでございます。それほど大きな役割りを持っておったところの蚕糸が、生産高そのものには著しく大きな変化はないようでございましたけれども、国内の経済事情の実態等から合わせたことだと思うのでございますが、最近に至りましては、国内産の生糸では問に合わなくなり、国内需要というものをまかなうことができ得ない。したがって、これが中共、韓国から輸入をして、それによって国内需要を満たしておるというような事実の中に立ったわけでございますが、しかし半面、国内の生糸も価格の上昇によりまして非常に生産が伸びてまいりました。伸びてまいりますると、今度は半面、価格が非常に不安定になってまいっております。こういうような観点から、先ほどお話のような、安定をいかにさすかというその精神にのっとったところの法の改正を今回いたしまして、そして今後の輸出もさることながら、蚕糸業の経営の安定をはかってまいりたい、こういうように考えておるのでございます。
 したがって、私も参りましてまだ日が浅いのでございまして、先ほど鶴園さんからのお話がございました点についても私も質問してみました。通常の中間安定とかあるいは異常変動防止とかという、こういうのはなぜこれは二つなければならぬのかというような話も私も聞いてみました。ところが一方は、製糸という、こういう一般の生産者が養蚕をやって、収穫前に現金を渡される予約をする、それにより、一応その価格によって渡されて、そうしてその上になったときに初めて収穫後に上なら上の価格が入ってくるというようなやり方をしておる、こういうために中間安定というようなものが必要なんだという、これはごもっともなことで、現在の農家がいま養蚕をなぜ懸命にやらなければならぬかということは、このときが一番農家に対しては経済的に苦しいときであり、そういうようなものを補うのには、米作等の金が入るまでの間というものには最もこれが大きな役割りをする関係上必要であろうというようにも私は申し上げたのでございます。話が長くなりますが、そういうような点につきまして、先ほど鶴園さんの御質問も全くごもっともだったというように考えております。
 ただいま足鹿さんのお説のように、今後の外国産生糸に対する措置これらに対しましては十分にこれらと対決のでき得るような措置を講じつつ、さらにまた、これらの蚕糸業の繁栄、蚕糸業を行なっておる農家の経営の安定に重点をおいて一そうの努力を傾けてまいりたいと考えております。
#71
○足鹿覺君 きょうは大臣のほうが答弁が長いです。それは、だいぶん答弁に自信を持たれたし、養蚕の本場におられるわけですから、うんちくを傾けていただいてけっこうですが、私が聞いているのは、蚕糸政策が大きな転換期にきているのではないか、端的に言って、それにどう政治家として対処されようとしておられますか。たとえば繭糸価格安定法第三条に「繭の生産費の額に生糸の製造及び販売に要する費用の額を加えて得た額を基準とし、主要繊維の価格及び物価その他の経済事情を参しやくして、農林大臣が定め。」るとはっきり規定されておりますが、この法律ができて繭糸価格安定審議会、蚕糸業振興審議会となり、各専門部会ができて検討されて今日に至っておりますけれども、実際の算式は生糸価格から製造費や諸費を引いて残ったものが繭の価格となるという仕組みになっておることは間違いありません。ゆうべも価格部会が大もめにもめて、そして事もあろうにこの物価値上がりのときに、現行六千一百円を五千九百円に引き下げるのだといって業界は猛烈な攻撃を加えた。それをかろうじて六千百円に踏みとどめ、現状維持になったと私は開会以前に聞きました。こういう実情で、いわゆる国内で需要を満たすような生産が確保されると大臣はお考えになりまするかどうか。その点が私は、まず輸入生糸の規制がどうだとかこうだとかということの以前に、国内で需要を満たすためには、この第三条の第一項の規定のとおりの、いわゆる再生産を確保していくための措置が厳重にとられなければならない、新しい情勢に即応してこういう措置をとらなければならぬと思うのです。というのは、生糸を輸出するわけですから、なるべく生糸をたくさんアメリカに買ってもらわなければならぬ、輸出がとまったら国内の繭業者は、養蚕農家は上がったりになるのだから、がまんをしなさい、こういうことで押えつけてきたのが実情だろうと思う。ところが今日、情勢が一変をしてきたわけでありますから、これは繭糸価格安定法第二条の規定に基づいて、本来の価格決定の姿にお返しになることが、私はまず根本の対策ではないかと思うのです。その点、大臣の確たる御所信をこの際明らかにしていただきたいと思うのです。
#72
○国務大臣(長谷川四郎君) そのような考え方もございまして、大体二百円の値上げというか、額を高めたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、生糸の輸出が減退をして輸入増加している、このことは事実でございまして、生糸はやはり何といっても輸出をある程度行なっていかなければならない、そうして国内の生産を高めていきたい、こういうことでございます。ですから足鹿さんのおっしゃるような生産費まあ所得方式というわけでもないでしょうけれども、そういうような方法をとったらどうかという御意見のようでもございますが、いずれにいたしましても、今回はせっかくこういうことによってひとつものにいたしまして、そうして政府としてもでき得る限りの、来年度からはさらに一そうの養蚕にウエートを置いて生産を高め、そうして価格の安定をはかっていくというこういうような考え方でございますので、ごもっともではございますけれども、まあ何とかこの結果をいま一、二年見さしていただきたい、こういうふうに考えるわけですが……。
#73
○足鹿覺君 私の聞いているのは、生産費主義をおとりなさいと言っている、法律のとおり。現実はこの逆をいっておりますから、いわゆる生糸輸出オンリーの当時の行き方をとっておりますから、それをお改めなさる御用意があるかどうかということを聞いているのです。すでに六千五百円が、本年の場合は生産者団体としては最小限度の要望である、こう言っているではありませんか。それを五千九百円に業界は押えてくる。蚕糸局長に聞けば、業界だからそういうことぐらいは言いますよといいますけれども、それはおかしいんですよ、まず繭の生産費がきまって、そこで繭価というものがきまって、そうして製造費を加えその他の費用を加えて、その他の事情を参酌してきめろと、この法律に定められている以上は、周囲の情勢が著しく変わったのでありますし、国内の需要に追っつかないわけでありますから、まず生産費を償う繭価をきめて、そこから農民が、安心して近代化や生産性の向上がはかっていかれ、それがまたはね返って、いわゆるコストをダウンし、輸出を促進していく、こういうふうな方式に立ち戻っていく絶好の機会ではないかと私は申し上げているのであります。率直な大臣の、この点についての基本的な考え方を、しつこいようですけれども承りたい。
#74
○政府委員(小暮光美君) 大臣の御所信を承ります前に、ちょっと事務上のことを一言申し上げます。繭糸価格安定法の第三条で、標準生糸の最高価格及び最低価格、これにつきましてはいわゆる生産費主義で、それを基準として主要繊維の価格及び物価その他の経済事情を参酌して定めると、こうなっております。今回の議論でも統計調査部の生産費調査をもとにいたしまして、また繭糸価格安定法の施行のために、政令等でこれの生産費の組みかえ方がございますから、それを加味いたしましてやりますと、繭の生産費が値上がりしておるわけです。その値上がりにほぼ照応するものとして、最低価格を二百円引き上げるということをいたしたわけです。六千百円据え置きのほうは先ほど来申し上げておりますいわゆる中間安定にかかわる基準糸価、これを六千百円据え置くということで農林大臣から事業団に通知したと、かような関係に相なっております。
#75
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘のように、農家の生産費というものは当然考慮に入れなければなりませんが、また反面、輸出という点についても考慮を払わなければ振興の目的を達することもできませんので、それら両方面をあわせて考えて今後は十分さらに検討を加えてまいります。
#76
○足鹿覺君 不満でありますが、こればかりを押し問答してもしょうがありませんが、政府の農林省統計調査部が三月十五日に出しましたですね、昭和四十四年の繭の見通しなんですが、飼育農家戸数が四十三年が四百五十五であったものが四百四十七、基準を千戸と見た場合ですね、去年よりも減っておる、減る傾向にある。掃き立ての見込み卵量にいたしましても千箱を基準として見たときに四十三年は三千九百三十五であったものが四十四年には三千八百八十二に減っておる、収繭量ですね。これは試算でありますが四十四年は十一万五千七百三十五トン、四十三年は十一万九千九百五十八トン、これも明らかに減っておるんですね。これはあなた方の政府が出した統計ですよ。こういう情勢にある中にあって、やはり繭の生産費主義が明確に守られないというようなことで、一体どうして、海外生糸の規制だけをねらってみてもですね、国内で明らかに減産傾向を保っているときには、業界としては輸入にたよらざるを得ない原因をそこに一つつくってしまうじゃありませんか、そこを私は言っておるのです。もう少し積極的な姿勢をこういう転換期には示されなければならぬのではないでしょうか。この点は、こういう一つのデータから見ましても、私は少なくともこのような手直しの事業団法や特別会計法の事業団法への繰り入れというような、あるいは若干の価格安定法の手直し程度のことではなくして、この際情勢の変化に即応した繭糸価格安定法について検討をされなければならない段階がきておるのではないか、かように思うのでありますが、大臣はほかの問題と違って繭の日本一の本場にいらっしゃるわけでありますから、事務当局の入れ知恵ではないあなたの判断をこの際ひとつ聞かしていただきたいと思います。
#77
○国務大臣(長谷川四郎君) まことにどうも何でございますが、私がもうすでに行ったときにはこういうのはすっかりでき上がっておりまして、私もこの点については伺ってみたところが、去年は非常にできがよかった、こういうような点にあわせて、本年は昨年だけの繭収が得られるかどうかというような点で、本年の大体見積もりといおうか、して、収繭はこのぐらいだろうと、こういうようなお話を承ったのでございますが、お話のございますように、まさに輸入があるからそれにおびえて国内の生産を、というようなゆがめられるというようなことであっては相ならぬので、輸入があればあるだけそれ以上の蚕糸の振興というものを、国内蚕糸の振興というものをはかっていくということが当然なることだと考えます。したがってお説のように今後は予算はそのようでございましても、さらに一そうこれらの面に対しまして指導し、そして振興をはかっていく考え方でございます。
#78
○足鹿覺君 私は無限大に生産費主義をおとりなさいと申しているわけでありません。やはり一つの算式があって、基準糸価内基準繭価というものは一つのその算式に基づいて示されておるわけでありますから、問題は基準繭価が割っておる、基準糸価が割っておるようなときに、これをどうするか。こういう問題に直面しておると思うのです。その際は少なくとも私がいま申し上げることは、別な角度からいままで言ったことを申し上げるわけでありますけれども、外国産の生糸を安いからといって大量輸入をする。そこで糸価を冷やす。その冷やした糸価から逆算をして繭価をきめていくようないままで現在とられているような方式では、養蚕農家はいつまでたっても浮かばれないじゃないですか。ですから基準糸価を、ある生産費水準というものをやはりあなた方は安定堅持されて、繭価を生産費補償以上に保つような対策を講じていかれる一方においては、協同化や合理化を進めるというお話でございますが、問題はどうして進めるかということでありますよ。
 私は葉たばこの関係に長いこと従事をしておりまして、繭と葉たばこは仲が悪いといっておられる問題でありますが、葉たばこの場合はすでに主産地形成は完全にできております、ある程度黄色種の場合は。しかるに黄色種のごとき歴史の浅いものについてすら主産地形成がある程度進んでおるにかかわらず、はたしてあなた方農林省は長い歴史と伝統を持つその蚕糸業、特に養蚕業の主産地形成に対して自信を持ってできておると言えますか。口では近代化、合理化、生産性の向上、それをどう進めるかということについては、主産地の形成を進めていく、その条件をあなた方が満たしていく。そういう具体的な施策を伴わずして、ただ口には近代化、合理化、協同化、こういうようなことをおっしゃっておりますが、まあ中身としてはいろいろなことがあるけれども、これは、いま述べたような従来のさか立ちの行き方を改めて、そうしてまず当面、生産費を補償する基準糸価、基準繭価、この関係を明確にしてこれを維持していく、万難を排して維持していく。そこに初めて農家は安心して生産がいつもできましょうし、また水田の転換問題がありますけれども、ある程度安定するというめどが立ちますならば、農家もこれに乗ってきましょう。しかし、いまから数年前に起きておる繭を抜けと言い、桑を抜けと言った。数年後には今度は植えろと言った。こういうことでは私はとても国内の需要を満たすようなことはできないのではないか。だからいままでのこのさか立ちした、安い生糸を輸入して生糸をふやす、そうしてそれから逆算して繭の値段を算出するようないまのやり方をお改めになる御意思があるかどうかということなんです。蚕糸局長、あまりいろいろなことを言うなよ。これは大臣の判断でおやりになることだろうと思うのです。これは理屈では割り切って私は言いますけれども、なかなかむずかしい問題だと思います。しかし、それはいままでのことであって、これからはそういう考え方に立たなければ、すぐにこの輸入問題にからんでくるのです。この問題が解決つかない限りは幾らでも輸入問題は増大してまいりますよ。表裏一体の関係にあるわけですから、この点をどういうふうにお裁きになるか、この際大体はできればこれは蚕糸業振興審議会の前にこの委員会をやって、大臣にも十分理解を願って臨んでいただきたかったわけでありますけれども、すでに昨日深更価格部会が終わったと聞いておりますので、大体あの線で交渉されますか。といたしますと、米と同じようにこの物価が上がっていくときに現行水準ということになりますと、これは物価上昇期における値下げになるわけですね。これでは私は農家は浮かばれないと思いますが、現行の第三条の「繭の生産費の額に生糸の製造及び販売に要する費用の額を加えて得た額を基準とし、」というこの基本原則をどうお貫きになるかということを重ねてお伺いを申し上げます。これ以上御答弁がなければ先に進みますが、もう一ぺんこのさか立ちの方式を改める御決意をお披歴願いたいと思います。
#79
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘のように、主産地主義をとるということは、これはそうなくてはならないというような考え方をもって、他の作物につきましてもこのような方途を切り開きつつあるところでございます。当然蚕糸につきましても主産地主義というものは形成すべきものだと考えております。基準価格糸価につきましては一応御決定を見たのでございますが、いずれにいたしましても先ほど申し上げたように、ただ糸価が高ければいいという意味ばかりではなくて、まず価格の安定をし、そうして輸出というものに大いにわれわれは努力を傾けていきたい。そしてつくれば必ず安定した価格で引き取ってもらう、売ることができ得るんだという一つの価格安定の上に立っていきたい、こういうふうに考えております。まことに申しわけありませんが、基準糸価を変える考え方はいまのところございません。
#80
○足鹿覺君 それでは事業団の運営について伺いますが、これは前に各委員からもお尋ねになりましたのでほんの要点だけ申し上げますが、政令で定められた数量は、いつも時期を逸せずに事業団が自主性をもって買い上げができるようにその自主性を尊重し、事業団もこういう重大な時期でありますからこの法改正を控え、厳正的確な、しかも機動力のある運営が必要であろうと思いますが、その点については公正な運営の基本について大臣の御所信をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#81
○国務大臣(長谷川四郎君) 事業団の買い入れ等にあたりましては、生糸の需給並びに糸価の動向、これらを十分考慮いたしまして、時期を逸せずして機動的にこれらはやるべきだと考えておりますので、そのような行政を行なわしめさせます。
#82
○足鹿覺君 それでは伺いますが、六千百円を、基準糸価を割っておるのに、なぜ三万俵のワクが買えないのですか。現在そういうところに問題があるから各委員から質問が出るわけなんです。機動力がないですよ。現在基準糸価を割っておるのに、どうしてワク一ぱいの買い上げができないのですか、これからはそういうことを改めになる、こういう保障のない限り、先ほど鶴園委員から指摘されたような結果をこれは皆さんが信ずるようになりますよ。これはある一つの公団の延命策のためにやられる措置ではなかろうか。必要ではないとは言いませんけれども、そういう疑いを持たれること自体が不見識ではありませんか。
#83
○政府委員(小暮光美君) 事業団の中間安定にかかわる買い入れは、先ほども御説明したと思いますが、事業団が強制的に流通市場から糸をたな上げするという性格を実は持っておりません。基準糸価に見合う繭価をあらかじめ繭の生産者に対して保障した。製糸家は糸価が低落したときに五千九百円で糸を事業団にたな上げする権利を持っておるという形でございます。そこで、糸価が六千百円を割りますと事業団は五千九百円で買うという窓をあけておるわけでございまして、きょう現在も十分のワクを開いて資金手当も万端整えて窓をあけております。ただ横浜、神戸での現物の値段がたとえば六千五十円であるといったような日に、製糸家が五千九百円で事業団に売ってこないというようなことが現実にあるわけでございます。しかし製糸業界全体としてやはりある程度の需給の見通しをいたしまして、この際ある数量をみんなで共同して売り上げようじゃないかということで、いわば業界で一致して売り上げてまいることもございます。昨年の暮、さらに一月の姿は、業界が相互に連絡をとりましてある数量を一気に事業団に売ってくるということで、まず最初の一万俵のワクが二回で一ぱいになった。その後さらに一万俵のワクを手配し、都合二万俵のワクを開いておるわけでございますが、その二度目の一万俵については今日までのところ五千六百俵の売り上げがあったと、こういう状況でございます。
#84
○足鹿覺君 来年度においても三万俵のワクは思いきって買われますか。
#85
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいま御指摘のございましたように、事業団からのこれらに対しての申し入れがあれば必ず即時適切な措置を講じてまいります。
#86
○足鹿覺君 御明確な御答弁をいただきましたので、他の委員会との関係もあるそうでありますから、私は簡潔に最後にもう一点輸入規制の問題についてひとつ伺いますが、私の輸入規制についての考え方は、さっきも述べたとおりであります。ただ輸入規制をされることだけに夢中になって、国内の生産が伴わなければ、輸入に依存をせざるを得ない。この因果関係というものをもっと的確に把握された上で問題を処理されなければならぬということを申し上げたわけでありますが、この価格水準の維持にはやはり生産調整等も業界はやるんでしょうね。事業団も機能一ぱいに買い上げもするでしょうし、中間安定が困難な場合は直ちに輸入規制の措置が講ぜられなければならぬと私は思うのでありますが、最近の輸入の趨勢を見ますと、対前年度、四十四年度の比較はとりようがありませんから四十二年と比べてみますと、中共生糸は四十二年に一万五千三百七十五俵、四十三年には八千九百二十四俵、韓国が四十二年に八千三百九十一俵、四十三年に七千百二俵、その他を含めて合計で四十二年には二万九千三十四俵であり、昭和四十三年はその他を含めて二万四百十八俵ということになっておりますね。
 問題は、葉たばこの場合でも同様でありますが、韓国葉の輸入問題がいつも問題になる。私も久しぶりでこの生糸問題と取り組んでみて、意外に韓国生糸の輸入数量というものの伸びに驚いておるわけなんですね。これはいわゆる日米経済協力協定の背後条項もありますし、今後生糸に限らず、すべての問題に大きく私は迫力をもって迫ってくる問題だと思う。したがいまして、この輸入規制措置というものについてはずいぶん苦労なさったと聞いておりますけれども、この十二条の三に「国内における生糸の需給が著しく均衡を失し、」云々とありますが、こういう条項の判断というものは、どこからどういうふうにしてなさる御所存でありますか、それをひとつ明らかにしていただく、いわゆる発動の条件というものを先ほども御意見がありましたが、明確にしていただきたい。それでなければ、私は新しくこの条項をお入れになりましても、なかなかこれは純粋にはいかないですね、いろいろなものがからみ合ってきますから、十二条の三の「外国産生糸に対する措置というものは、国内における生糸の需給が著しく均衡を失したか失しないかということは何によって、どういう条件によって判断をされ、それを発動なさるかということが、問題の焦点であろうと思うけれども、それを明確にしていただきたいと思います。
#87
○政府委員(小暮光美君) まず、外国産生糸の価格の低落あるいは輸入の急増が原因になっているというふうに客観的に判断されることが第一点。国内で実は生産過剰になったという形で輸入規制を発動するというわけにはまいらぬと思います。まず第一点はそういうことです。第二点は、これによって生糸全体の需給が著しく均衡を失するということでございます。そこで具体的には、価格水準で具体的な判断をせざるを得ないと思います。しかし、その場合にも輸入によるか国産によるかというのはなかなか判定のむずかしい時期もあると思います。両者がからんで市況が低落するということも当然あると思います。やはり隣国の問題でございますから、韓国、中共等のその年の作柄といったようなものも判断の一つになると思います。それから国際市況というものも判断になると思いますが、いずれにいたしましても、三万俵の中間買い入れ、並びにその後に用意されております異常変動防止についてのその事業年度の予算というものがあるわけですから、それらのものを駆使しても阻止することができないと思われるような価格の状況が想定されますときには、その原因が輸入にあるという場合には、輸入規制を行なう、こういう問題であろうかと思います。
#88
○足鹿覺君 この点は、われわれこの法案に対する効果を期待する以上は、もう少し具体的にこの際明らかにされる必要があると思うのです。先ほど鶴園委員からも御指摘になりましたように、政府の特別会計で私はやってやれないことはないとこういうふうに思うのですが、いわゆる繭事業団が合併をしていまの事業団になる。そしていま丸山さんですかが理事長をなさっておるというならば、農林省とは親族関係にあるわけでありますから、的確敏速にいくと思います。思いますが、政府みずからがやる場合と、事業団となる場合は、おのずからやはり団体が違います以上はいろいろな制約も出てくると思うのです。私は先ほども申しましたが、これを機会に相当大量の事業分量を持つわけでありますし、大きな金を動かすわけでありますから、この事業団の運営機構、そういった点についての行政監理委員会やその他からとやかく言われないような確たる陣容を整えられて運営を定められ、そしてこの今回の改正の趣旨が達成できるような具体的な条件をきょう伺うことができなければ、よく御検討になってわれわれにもお示しいただきたい。そうでない限りこの問題は、ただ私どもとしては、別に悪い法律ではありませんから、これに対して反対をするとかというようなことは考えておりません。おりませんが、あなた方が納得のいく運営上の問題背景の問題、その条件の問題がこの法案を審議する中心になっておるわけでありますので、そういう点も考えられて、少なくとも当委員会にはこういうときにはやるのだというくらいのやはり決意表明がなされなければ、文書でもってもある程度の基準をお示しになってしかるべきではなかったか。非常に審議を急いでおりますから、粗漏であってはなりませんが、あとでこの問題についてお約束がいただけますか。
#89
○国務大臣(長谷川四郎君) 事業団の新発足に関しましては、厳重なる監督もし、また指導もしてまいるつもりでございます。御指摘の点については、十分これらは考慮に入れて指導をいたします。
 もう一つは、幾らになったらば外国からの輸入に対する措置を講ずるのだというようなお説には、端的に一言で申し上げるならば、五千四百円を割るという事態が来たときにはその措置に出る。しかしながらそれでも、その前にもそういう事態はあり得るということをはっきりと申し上げておきます。
#90
○委員長(任田新治君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#93
○委員長(任田新治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 武内君から発言を求められておりますので、これを許します。
#94
○武内五郎君 この際私から、各会派の皆さんの御賛同をいただきまして、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、繭糸価格の安定と蚕糸業の振興を図るため、左記事項の実現に努めるべきである。
     記
 一、国内及び海外の市場の拡大と生産性向上のための施策を強力に推進して、長期にわたる需給の均衡に努め、もって蚕糸業の安定的振興を図ること。
 二、繭糸価格が、基準繭価及び基準糸価の水準を維持することを目途として、繭糸価格安定制度の有効適切な運用を図ること。
 三、近年における外国産生糸等の輸入の増大傾向にかんがみ繭糸価格安定制度の運用に支障を来さないよう必要がある場合には時宜を失せず有効適切に輸入規制等の措置を講ずること。
 四、日本蚕糸事業団の運営に当っては、その自主性を尊重し、十分機動的にその機能を発揮できるよう措置すること。
 右決議する。
 以上であります。
#95
○委員長(任田新治君) おはかりいたします。
 武内君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#96
○委員長(任田新治君) 全会一致と認めます。よって、附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#97
○国務大臣(長谷川四郎君) 政府といたしましても、附帯決議の御趣旨に沿って極力努力してまいりたいと存じます。
#98
○委員長(任田新治君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#100
○委員長(任田新治君) 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件については前回で質疑を終局いたしておりますので、これより直ちに討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#102
○委員長(任田新治君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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