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#1
第061回国会 農林水産委員会 第11号
昭和四十四年四月二十二日(火曜日)
   午前十時三十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十一日
    辞任        補欠選任
     河田 賢治君     野坂 参三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                高橋雄之助君
                宮崎 正雄君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
                藤原 房雄君
    委 員
                河口 陽一君
                栗原 祐幸君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                田口長治郎君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                足鹿  覺君
                杉原 一雄君
                中村 波男君
                沢田  実君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
   政府委員
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       農林省農政局長  池田 俊也君
       農林省農地局   中野 和仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業振興地域の整備に関する法律案(第五十八
 回国会提出、第六十一回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。
 まず、趣旨説明を聴取いたします。長谷川農林大臣。
#3
○国務大臣(長谷川四郎君) 農業振興地域の整備に関する法律案につきまして、その提案の理由及びおもな内容を御説明申し上げます。
 近年における国民経済の高度成長のもとで地域の社会経済情勢は著しい変貌を遂げつつありますが、特に、都市地域への人口集中と工業開発及び交通網の整備の進展に伴って、農地の無秩序な潰廃、土地利用度の低下、農業経営の粗放化などの事態が、都市周辺のみならず、漸次農村地域にも波及していく傾向が見られるのであります。
 政府といたしましては、従来から各地域の実態に応じた農業施策の推進に意を用いてまいったのでありますが、右に述べたような地域農業をめぐる情勢の変化に対処し、需要の動向に即応した農産物の安定的な供給と生産性の高い農業経営の育成という農政の基本目標を実現するためには、今後農業の振興をはかるべき地域を明らかにし、土地の有効利用と農業の近代化のための措置を計画的に推進する必要があると考えるのであります。このためには、各地域の条件に応じ、国土の合理的利用の観点から各種土地利用との調整に留意しつつ、土地の計画的利用、農業生産基盤の整備開発、農地保有の合理化、農業近代化のための施設の整備等、各般にわたり、農業の健全な発展をはかるための条件をそなえた農業地域を保全し形成することを目途として、各地域における自主的かつ総合的な計画の樹立及び推進をはかることが肝要であると考え、この法律案を提出いたした次第であります。
 以下、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的は、総合的に農業の振興をはかることが必要であると認められる地域の整備のための施策を計画的に推進することにより、農業の健全な発展をはかるとともに、国土資源の合理的な利用に寄与することと規定しております。
 第二に、都道府県知事は、農業振興地域の指定並びに農業振興地域における土地の農業上の有効利用、農地保有の合理化及び農業の近代化に関する農業振興地域整備基本方針を定め、農林大臣の承認を受けることとしております。
 この基本方針は、国土総合開発計画その他の地域開発あるいは地域振興に関する計画、都市計画等との調和が保たれたものでなければならないものとしております。
 第三に、都道府県知事は、農業振興地域整備基本方針に基づいて、関係市町村と協議の上、土地の農業上の利用の高度化をはかることが相当であり、農業経営の近代化の見込みが確実である等の要件を備え、農業の振興をはかることが相当であると認められる地域を、農業振興地域として指定することとしております。
 第四は、農業振興地域整備計画の樹立であります。市町村は、農業振興地域について、農用地等として利用すべき土地の区域とその区域内の土地の用途区分を定めた農用地利用計画、農業生産基盤の整備開発、農地保有の合理化のための農用地等に関する権利の取得の円滑化及び農業近代化のための施設の整備を内容とする農業振興地域整備計画を定め、都道府県知事の認可を受けるものとしております。また、都道府県は、関係市町村の同意を得て、農業生産基盤の整備開発または農業近代化のための施設の整備に関する事項でその受益の範囲が広域にわたるもの等についての農業振興地域整備計画を定めることができるものとしております。
 第五に農用地利用計画において農用地等として利用すべきものと定められた土地については、市町村長は、農用地利用計画に従った土地の利用がなされるよう、関係権利者に対して土地の利用についての勧告及び農用地利用計画に従って土地を利用しようとする者との協議についての勧告をすることができるものとし、この協議がととのわない場合における都道府県知事の調停について規定しております。また、農用地利用計画に従った土地の利用を確保するため、国及び地方公共団体の責務及び農地法による農地等の転用許可についての基本方針を定めております。
 以上のほか、農業委員会による農地等の権利移動についてのあっせん、農業振興地域整備計画の作成及び達成のための国及び都道府県の援助、農業振興地域における生活環境施設の整備、国の普通財産の譲渡貸し付け、国有林野の活用、市町村長の勧告等により土地の譲渡が行なわれた場合の税制上の特別措置等について定めております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びおもな内容であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
#4
○委員長(任田新治君) 次に、補足説明及び関係資料の説明を聴取いたします。池田農政局長。
#5
○政府委員(池田俊也君) 農業振興地域の整備に関する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。
 まず、農業振興地域の整備の原則に関する第二条の規定であります。すなわち、この法律に基づく農業振興地域の指定及び農業振興地域整備計画の策定は、農業の健全な発展をはかるため、土地の自然的条件、土地利用の動向、地域の人口及び産業の将来の見通し等を考慮し、国土資源の合理的な利用の見地から土地の利用の調整に留意して、農業の近代化のための必要な条件を備えた農業地域を保全し及び形成することと、当該農業地域について農業に関する公共投資その他農業振興に関する施策を計画的に推進することとを旨として行なうものとしているのであります。
 第三条におきましては、この法律にいう「農用地等」とは、農地法における農地または採草放牧地に該当する土地及び木竹の生育とあわせて採草または家畜の放牧の目的に供される土地のほか、これらの土地の保全または利用上必要な農道、水路等の施設の用に供される土地を含むものとしております。
 次に、農業振興地域整備基本方針に関する第二章の規定であります。
 都道府県知事は、農林大臣の承認を受けて、当該都道府県における農業振興地域整備基本方針を定めるものとしておりますが、その内容は、農業振興地域の指定の基準及び農業振興地域として指定することを相当とする地域の位置及び規模と、農業振興地域における土地の農業上の用途区分の基準、農業生産基盤の整備開発、農地保有の合理化及び農業近代化のための施設の整備に関する基本的な事項としております。この基本方針は、国土総合開発計画、首都圏整備計画その他の地域整備計画、山村振興計画その他の地域振興計画及び道路、河川、鉄道等に関する国の計画並びに都市計画との調和が保たれたものでなければならないものとしております。
 なお、農林大臣は、都道府県知事に対し、農業振興地域整備基本方針の作成について、国の農業に関する施策の適正な実施の見地から必要な勧告をするものとしております。
 また、都道府県知事は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、農業振興地域整備基本方針を変更するものとしております。
 次に、農業振興地域の指定等に関する第三章の規定であります。
 都道府県知事は、農業振興地域整備基本方針に基づき、関係市町村と協議して、農業振興地域を指定するものとしております。農業振興地域の指定は、一体として農業の振興をはかることが相当であると認められる地域で、農用地等として利用すべき相当規模の土地があり、農業の生産性の向上その他農業経営の近代化がはかられる見込みが確実であって、土地の農業上の利用の高度化をはかることが相当であると認められる等の要件を備えた地域についてするものとしております。なお、新都市計画法の市街化区域で農林大臣との協議がととのったものについては指定をしないものとしております。
 さらに、都道府県知事は、農業振興地域整備基本方針の変更により、または経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、農業振興地域の区域を変更し、またはその指定を解除するものとしております。
 次に、農業振興地域整備計画につきまして第四章において規定しております。
 農業振興地域の指定がなされますと、農業振興地域の区域の全部または一部がその区域内にある市町村は、都道府県知事の認可を受けて、その区域内にある農業振興地域について農業振興地域整備計画を定めなければならないこととしております。農業振興地域整備計画においては、農用地区域すなわち農用地等として利用すべき土地の区域とその区域内にある土地の農業上の用途区分を定めた農用地利用計画、農業生産基盤の整備開発、農地保有の合理化のための土地に関する権利の取得の円滑化及び農業近代化のための施設の整備に関する事項を定めるものとしております。
 また、都道府県は、関係市町村の同意を得て、農業生産基盤の整備開発、土地に関する権利の取得の円滑化または農業近代化のための施設の整備に関する事項で、受益の範囲が広域にわたるもの等二以上の農業振興地域を通ずる広域の見地から定めることが相当であるものについて、農業振興地域整備計画を定めることができることとしております。
 これらの農業振興地域整備計画は、農業振興地域整備基本方針に適合するとともに、さきに農業振興地域整備基本方針について述べた諸計画との調和が保たれたものでなければならないこととし、また、市町村の定める農業振興地域整備計画は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即するものでなければならないこととしております。また、農用地利用計画は、当該農業振興地域において農業の振興をはかるための措置を総合的かつ計画的に実施するためには、その農業上の利用を確保することが必要である土地について、農業生産の基盤の保全、整備及び開発の見地から必要な農業上の用途を指定して定めるものとしております。
 市町村が、農用地利用計画を決定する手続としては、市町村は、農用地利用計画の案を一定期間縦覧に供し、関係権利者はこれに対して異議を申し出ることができることとし、市町村の決定に不服がある場合の都道府県知事に対する審査申し立て等について規定するとともに、国有地を含めて農用地利用計画を定める場合には所管庁の承認を受けることとしております。
 農業振興地域整備計画の変更につきましては、都道府県または市町村は、農業振興地域整備基本方針の変更もしくは農業振興地域の区域の変更により、または経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、農業振興地域整備計画を変更しなければならないこととし、都道府県知事は、市町村に対し、農業振興地域整備計画の変更措置をとるべきことを指示することができるものとしております。
 次に、第五章において、土地利用に関する措置について定めております。
 市町村長は、農用地区域内にある土地が農用地利用計画において指定した用途に供されていない場合には、その土地の所有者等に対し、その土地を当該用途に供すべき旨を勧告することができるものとし、さらに、この勧告を受けた者がこれに従わないとき、または従う見込みがないと認めるときは、その者に対し、その土地を当該用途に供するため所有権、利用権等を取得しようとする者で市町村長の指定を受けた者と権利の設定移転について協議すべき旨を勧告することができるものとしております。市町村長の勧告による権利の設定移転についての協議がととのわず、または協議をすることができないときは、市町村長の指定を受けた者は、都道府県知事に対し、権利の設定移転につき必要な調停をなすべき旨を申請することができるものとし、都道府県知事は、この申請に基づいてすみやかに調停を行なうものとしております。
 さらに、農用地区域内にある土地については、国及び地方公共団体は、農用地利用計画を尊重して、その農業上の利用が確保されるようにつとめなければならないこととし、農林大臣及び都道府県知事は、農用地区域内の農地及び採草放牧地について農地法による転用許可に関する処分を行なうに当たっては、これらの土地が農用地利用計画において指定された用途以外の用途に供されないようにしなければならないこととしております。
 また、農業委員会が農用地区域内にある農用地等について権利の設定移転のあっせんを行なうに当たっては、農業振興地域整備計画に基づき、これらの土地に関する権利の取得が農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資することとなるようにしなければならないこととしております。
 なお、以上の土地利用に関する措置についての規定は、農用地区域内にある土地で土地収用法による事業の認定の告示があり、その告示にかかる事業の用に供されるものについては適用しないこととしております。
 最後に、第六章において、国の援助その他の規定を設けております。
 まず、国及び都道府県は、農業振興地域整備計画の作成及びその達成のために必要な援助を行なうようにつとめるものとし、また、国及び地方公共団体は、農業振興地域における良好な生活環境を確保するための施設の整備を促進するようにつとめるものとしております。
 次に、国有財産関係につきまして、国は、農用地区域内において農用地等としての利用に供するため必要があると認めるときは、普通財産の譲渡または貸し付けができるものとするとともに、林業基本法第四条の規定の趣旨に即し、農業振興地域における農業の振興に資するため積極的に国有林野の活用をはかるようにつとめるものとしております。
 さらに、税制上の特別措置といたしまして、右に述べた市町村長の勧告にかかる協議、都道府県知事の調停または農業委員会のあっせんによって土地の譲渡が行なわれた場合には、租税特別措置法の定めるところにより、譲渡所得についての所得税及び所有権の取得の登記にかかる登録免許税を軽減することとしております。
 以上をもちまして、本法案についての補足説明を終わります。
 次に、法律案の参考資料につきまして簡単に御説明申し上げます。
 第一ページでございますが、これは国土の利用状況に関する数字でございます。耕地面積等は若干古い時期のものが載っておりますが、これは他の資料との関係等からでございます。
 第二ページは耕地面積の数字でございますが、(1)は属地統計によります耕地面積の数字で、四十三年には約五百九十万ヘクタールということになっております。(2)は農家の経営する土地面積についての内容でございます。
 三ページは以上のものを地域別にした数字でございます。
 次に四ページでございますが、耕地の拡張、潰廃、転換面積でございまして、一番下をごらんいただきますと、耕地の合計が出ておりますが、拡張につきましては四十三年は五万四千ヘクタール程度、潰廃につきましては八万ヘクタール程度になっております。
 次に五ページでございますが、これは以上の数字を地域別にあらわしたものでございます。
 六ページは林野面積の数字でございまして、全体が二千五百万ヘクタール、うち森林面積が大部分でございますが、森林でない原野につきましては約百万ヘクタールございます。
 それから、次の七ページは耕地の分級別面積の数字でございまして、七ページの数字は水田の傾斜、団地の大きさ別の面積でございます。
 それから、次の八ページは、畑につきましての傾斜、団地の大きさ別の数字でございます。
 それから、九ページは今後の要整備面積でございまして、これは土地改良総合計画の昭和三十八、九年の調査でございまして、水田につきましては全国で約三百万ヘクタール、畑につきましては農道約百九十万ヘクタールということになっております。
 それから、その次の十ページは同じ調査の数字でございますが、農地造成及び草地の改良可能な面積の数字でございまして、農地造成につきましては四十五万ヘクタール、草地の改良事業につきましては八十五万ヘクタールというふうになっております。
 次のページにまいりまして、土地利用の地域別の動向でございますが、これは三十五年の数字を一〇〇にいたしまして四十年との対比をあらわしておりますが、経営耕地は九六・四%と若干減っておりますが、内容を見ますと、田は大体横ばい、普通畑はかなり減少、樹園地はかなり増加と、こういうことになっております。
 その次の十二ページは耕地利用率の推移でございまして、作付延べ面積を耕地面積で割ったものでございますが、全体といたしましては逐年若干ずつ低下を示しているわけでございます。
 次の十三ページは、以上のものを地域別にあらわした数字でございますが、関東東海、近畿等はまあ低下の程度が著しいわけでございます。
 次の十四ページは農地の移動統制の実績でございます。所有権の移転の有償が一番問題になるところかと思いますが、面積としては最近は大体七万ヘクタール前後で横ばいの状況でございます。
 その次は、以上のものを経営耕地規模別に表示した資料でございます。
 それから次の十六ページは農地の転用統制の許可の実績でございます。用途としては住宅敷地が圧倒的に多いわけでございますが、植林等も案外大きな数字が出ております。
 次の十七ページは以上のものを地域別用途別に表示した数字でございます。
 十八ページは農地価格の推移でございまして、四十二年におきましては、田は普通のものが十アール当たり二十四万円程度、畑は十四万円程度ということになっておりまして、不動産研究所の資料でございます。
 次の十九ページは地域別の農地価格の数字でございます。
 次の二十ページは地域別の農業就業人口でございまして、最後のところに三十五年と四十年の対比が載せてございますが、やはり都市化されている地域の減少率が著しいわけでございます。
 その次の二十一ページは地域別の農家戸数の推移でございます。
 二十二ページの数字は経営耕地規模別の農家戸数の数字でございまして、内地におきましては〇・七ヘクタールないし一・五ヘクタールが一番多いわけでございます。下は北海道でございまして、三ないし五ヘクタールぐらいが一番多いわけでございます。
 次の二十三ページは地域別に見た自立経営農家の分布でございまして、自立経営農家の数は戸数で申しますと、四十二年度約一三%でございますが、北海道が非常に比率としては大きいわけでございます。
 その次の二十四ページは主要農産物の生産の地域別のシェアの変化をあらわしたものでございます。
 次の二十五ページは食用農産物の自給率の推移をあらわしておりまして、全体といたしましては若干低下傾向でございましたが、四十二年は若干上がっております。その下は主要農産物別の自給率の数字でございます。
 次の二十六ページは農業生産基盤整備の事業実績の数字でございます。
 次のページも同じくでございまして、干拓、草地改良事業の年度別の実績でございます。
 二十八ページは農業構造改善事業の実績でございます。
 最後の二十九ページでございますが、これは都市計画法の関係で現在適用されております市町村数をあらわしたものでございます。千三百十九市町村ということになっております。
 以上をもちまして参考資料の説明を終わります。
#6
○委員長(任田新治君) これより質疑に入ります。
 本案に対し質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○小林国司君 大臣はほかの委員会にいらっしゃるようでございますから、いらっしゃる間に、二、三お尋ねをしておきたいと思います。
 まず第一点は、今回定められようとしております農業振興地域の整備と全国総合開発計画との関連及び先般農林省が御発表になりました「長期需給見通し」との関連、これについての御見解をお聞きしたいと思うわけでございます。
 まず、全国総合開発計画につきましては、三十七年に拠点開発方式をもって制定されたのでございます。その後、経済社会の発展のテンポが非常に著しいために、その改変を迫られる必要が生じまして、すでに経済企画庁において第四次試案が策定されております。これは昭和六十年を目標といたしまして、全国土の有効利用、あるいは都市、農村の環境条件の整備、あるいはまたその保全、さらに、新しいネットワークで北海道から九州に至るまで、縦横にその計画が貫かれているわけでございます。特に、農業計画につきましては、食糧の供給基地の配置とその編成という問題についてうたっております。さらに、大家畜あるいは畜産の展開につきましてもいろいろ検討が総合開発計画の中で加えられておるわけでございます。さらに、生産性の高い農業の近代化、そういうことについては土地基盤整備を大々的に実施しなければならない。その対象面積についても、水田と畑に分けましてうたっておるわけでございます。
 こういうふうに、総合開発計画というものが全国的に大きな網をかぶせておりますが、そこでこのたび定められようとしております農業振興地域の整備というこの法案が実際に施行されるにあたりまして、どういう関連性を持つのか、これはたいへん大事な問題でございます。さらに、「長期需給の見通し」が発表になりましたが、これも四十三年から向こう十カ年間先の見通しをなさっております。本法案との関連につきましてもたいへん重要な関係が出てまいりますので、この問題について、まず大臣の御所見を承りたいと思います。
#8
○国務大臣(長谷川四郎君) 「長期見通し」につきましては、やはり大きな関連を持っておりますので、生産と需給のバランスをこの「見通し」の上に立ってあわせていかなければならない。こういうような点についての大きな関連性を持っておるわけでございまして、さらに新全国総合開発計画、これにつきましては、国土の合理的な開発利用に関する基本的な計画でもあり、目下計画の改定作業が進められておりまして、新計画の試案によりますと、土地利用の面から農業の展開の条件を備えた農業地域の積極的な保全開発をはかるとともに、農業を国土の開発利用上の重要な産業として取り上げてその振興をはかることといたし、このために土地基盤の整備、草地の開発等を積極的に進めることとしておるわけでございます。したがって、本法案に基づく農業振興地域の整備にあたりましては、このような新全国総合開発計画の定める方向に沿うようつとめてまいることといたしたいと存じます。
 以下、詳細にわたりまして局長から補足の説明をいたさせます。
#9
○政府委員(池田俊也君) 大臣から御答弁があったとおりでございますが、私ども、現在企画庁が主として検討しております全国総合開発計画は、まだ試案の段階でございますけれども、大筋の方向としては非常にけっこうなんではなかろうかという感じを持っておるわけでございます。農業につきましても、国土の総合利用の一環といたしまして、今後、大規模な開発プロジェクト等を進めていくという方向でございまして、今後、この法案が成立いたしました暁に、私どもは農業振興地域の指定の大体の方針を知事等に御指導申し上げるわけでございますが、そういう場合には、当然この全総計画の線に沿って必要な指導なり調整なりをしたいと、こういう考え方を持っているわけでございます。
 それから、過般発表いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」でございますが、これは最近の新しい事態に即しまして需給のバランスのとれた生産の見通しを立てているわけでございますが、当然、農業振興地域の指定をいたします場合には、私どもはこれとの調和をはかっていく必要があるわけでございます。具体的にはどういうことになるかと申しますと、知事が基本方針をきめるわけでございますけれども、知事が基本方針をきめます場合には、農林大臣がこれに対して承認をする、こういうことになっておるわけでございまして、その段階におきまして、私どもは各県の基本方針がばらばらにならないように、国全体の生産の見通しとうまくマッチするように必要な指導なり調整なりをしたい、こう考えているわけでございます。
#10
○小林国司君 ただいまの御説明で総合開発計画と長期見通しについての関連については概括がわかったわけでございますが、第二の問題といたしまして、ただいまの二つの大きな計画に準拠して主要農産物、つまり米、野菜、果樹、畜産等について地域的な生産見通しを農林省はお立てになる必要があろうかと思うのです。本法の実施段階におきまして、各県の基本方針とかあるいは地域の指定、あるいは市町村の立てます整備計画、それを認可するというような段階で国の生産計画に合致しなければ、先ほど局長のお話にありましたように、相矛盾するということになってはなりませんが、全国的なものの考え方は、ただいまのお話でわかりますが、さて各県、各地域で一つ一つこれが生きてこなければいけない、全国の細胞の中で生きてこなければならないということになりますと、地域的な主要農産物についての生産見通しというものがなければ、農林省は何によってこれを規制するのか、あるいは各県は何を基準にその規制を行なうのかということがわからないわけでございますので、地域的な生産見通しを早急にお立てになる必要があろう、こう思うわけでございます。
 それに関連いたしましては、人口の増減とかあるいは消費の動向、あるいは国民の嗜好、また社会環境によりましていろいろ消費の動向が変わってくるということも予想されるわけでございます。さらに農産物の輸入自由化の問題にもきびしくからんでまいることは事実でございます。したがいまして、そういうことと関連をつけながら地域的な生産見通しを立てるということはまことに困難なわざではございますけれども、しかし何らかのそこに方針を立てなければ、各県、各地域ごとにどのような生産計画を立てていいのか、これを大所高所から農林省は強力に指導をなさる必要がある、あるいは助言、勧告をなさる必要がある、こういうふうに考えられますので、地域的な生産見通しという問題について現在、農林大臣はどのようにお考えになっており、さらにどのようにお進めになるおつもりであるか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
#11
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘のように、非常に重大な時期でもございますので、地域的生産をぜひそのようにやってまいりたい、そうして主産地主義にのっとっていかなければならないだろう、こういうような考えのもとに、いま各農政局単位にいろいろ調査を進めております。したがって、まだ総合したものについての、かくいくというような方針は出ておりませんけれども、ただいま、せっかくこれらの問題につきましては、申し上げたように、農政局段階においていろいろの調査を進めておるということだけを御了承賜わりたいと存じます。
 さらに、今後の自由化の波というものも、これらはわれわれの想像以上のものがあると確信をいたします。したがって、これらにいかに対処していくかという問題が、いまわが農業にかけられたる一番大きな問題でなければならないと考えられます。したがって、これらを総合いたしまして、これに対処していく基本的な方針を確立して、その方向に指導してまいる考え方でございます。
#12
○小林国司君 大臣にはほかに予定がおありだそうでございますので、もう一点だけお伺いしたいと思います。
 いささか順序不同になるきらいがないではございませんが、農業振興地域の整備というこの法案が通りましてからこれを実施するという段階になりました際に、考えてみますと、農林省の中枢的な仕事になろうかと思います。御承知のとおり、従来からいろいろな単独法案、非常にたくさん農林省には法案が現にあるわけでございますが、それらの法律のすべてに関係しておる、さらに、ただ単に関係するだけでなくて、その上をいく法案であるかのように判断されるわけでございまして、したがいまして、農林省の中でこの事業をお進めになるところの行政的な機構について農林省はどういうふうにお考えになっておるか。この法案が通るだけで事足りるわけではございませんので、それから先の実施をどのように現実の問題として取り扱っていくかということがたいへん大切なわけでございます。しかも、この整備計画が各地域ごとに立案されました際に、これを実施するのは他の部局ということに相なります。つまり、この法案を担当するところの農林省の部署は予算もなければ技術も持っていない、計画はできてもこれを実施するのは他の部局ということになりますので、ややもすればこの計画案というものが宙に浮くおそれはないだろうか、こういう懸念をひとしお持つものの一人でございます。
 したがいまして、バランスのとれた計画が早く実施される、これは御承知のように各局にまたがる仕事でございますので、一つの仕事が早く進み、あとのものが片ちんばになるということでは、せっかくのこの法案が泣いてしまうわけでございますので、バランスのとれた実施方法をどのようにしてとっていくか。しかもいろいろ御説明を伺っておりますと、五年間くらいで全国三千地域ぐらいについて指定をしてまいりたいということの御説明がいままであったのを聞いておるわけでございますが、そういたしますと、五年間に三千地域の計画ができ上がって、そうしてこれが一ぺんに実施されるということは不可能なわざでございます。どういう順序で、どういうスケジュールで実施段階に移していくか。しかもそれが他の部局にすべて事業の実施がゆだねられておるというところにたいへんこの法案の実施に際しまして心配される面があるわけでございます。したがいまして、大臣にお聞きしたいと思いますことは、行政機構的にどのようなお考えでこの事業の遂行をはかっていくおつもりであるかということをお聞きしたいわけでございます。
#13
○国務大臣(長谷川四郎君) お指図のように、これを担当するのは農政局でございまして、したがって、こういうような大きな問題でもございますので、これらと合わせまして農業振興地域整備促進対策室というのを別途設けまして、これが主となってこの施策を講ずるようにしてまいります。さらにそのほか、関係各省との最も緊密な連携も必要とする法案でもございますので、十分にこれらとの連携を保ちながら本法案の遂行に当たっていく考え方でございます。もとより農業振興地域については、農業の基盤整備、農業の近代化、施設の整備とか、農地保有の合理化に関する援助というような点も相当考え合わせてこれらと並行してこれらの問題の処理に当たってまいる考え方でございます。申し上げましたように、局は農政局でありますけれども、合わせまして農業振興地域整備促進対策室をさらに設けましてこの推進に当たっていく考え方でございます。
#14
○小林国司君 ただいま大臣の御説明を伺ったわけでございますが、対策室をお立てになる、これはそれしか方法がないようにも思われますが、その対策室の内容についていま具体的にお考えになってはいらっしゃらないとは思いますけれども、今後実施に際しましては、特にきょうは官房長もお見えになっておりますが、十分御配慮の上にその対策室の構成についてお考えをいただかなければ、この法案が出に浮くおそれが多分にあるということだけを申し上げておきたいと思います。
 次の問題といたしまして、農林関係の各種地域開発振興法がいろいろたくさんあるわけでございまして、これは一々名前を申し上げる必要もないほどたくさんございます。さらに先ほど申し上げました国土総合開発計画とかあるいは首都圏、中部圏、近畿圏の整備計画というものがすでに定められておるわけでございます。建設省所管の道路、河川、鉄道、港湾、さらに昨年制定されました新しい都市計画法、こういったものとの調和を保ちながらこの振興計画を実施していくのだということが先ほどの御説明にもあったのでございますが、自然的経済的な条件を生かしたところの農業圏の設定またその策定ということを保つための調和、これは口で言うのは簡単でございますが、実際問題にあたってはなかなか容易ならないわけでございます。
 調和を保つということは、これはもう言われなくても当然なことで、もちろんそうあらねばならないわけでございますが、実際問題として、そのとおり貫いていくということには非常な困難と障害が発生することが予想されるわけでございます。したがいまして、もろもろの関係法案と本法との調和を保っていくという、ただ簡単にそういうことで理解するのではなくて、もう少し基本的なものの考え方についてこまかく具体的なことを要求しておるわけではございませんが、ただ調和を保っていくのだということだけでなくて、もう少し突っ込んだ基本的なものの考え方について、他のいろいろな法案との関係を御説明願いたい、こう思うわけでございます。
#15
○政府委員(池田俊也君) まあ確かに御指摘のように、非常にたくさんの、地域開発に関します計画でございますとか、あるいは公共事業に関しますいろいろな計画あるいは農林省担当の中でも各作目別の一応いろいろな計画もございます。そういうものとの調和をはかるということは、これは当然でございますけれども、実際問題となるとなかなかむずかしい問題がございます。ただ私どもが考えておりますのは、やはりそういう、先ほど御指摘のございました、全国総合開発計画にしろ、その他のあらゆる地域開発法にしろ、大体はまあマスタープラン、大体その地域の開発の基本的な姿を示すというようなものが一つのグループとしてあるわけでございまして、それに対しまして私どもの今回御提案申し上げております農業振興地域のこの法案なりあるいは新都市計画法なりは若干ニュアンスが違う点がございます。これは具体的に何といいますか、地域の都市化なりあるいは農業振興なりを一つの、具体的に線を引きまして、そこについてのまあ農業上なりあるいは都市計画上なりの地位を明らかにして、それに対して具体的な施策を進めてまいりたいということで、いわゆるマスタープランとは若干ニュアンスが違う点があるわけでございます。でございますから私どもは、やはり基本的な線はそういう全総計画なりあるいはその他の地域開発計画なりの方向に沿って振興地域の指定が行なわれ、事業が進められるということだと思いますが、具体的な問題としては、直接はどうこうという問題は比較的少ないわけでございまして、むしろ具体的な問題として起こってきますのは、たとえば新都市計画法との調整の問題というようなことになる場合が非常に多かろうと思うわけでございます。
 それで一般論といたしましては、もちろん私どもが、知事が立てます基本方針を農林大臣が承認をいたします場合には関係行政機関と御相談をするわけでございます。たとえば、都市計画の関係でいえば建設大臣に御相談をする、それからまた逆に、都市計画の線引きが行なわれます場合には建設省から私どものほうに御相談があるということで、その段階で具体的に調整をはかっていく、これはほんとうに具体的な地域についての問題でございますから、当然具体的に調整がはかられるわけでございます。そういうようなことで、いろいろな計画で若干ずつニュアンスが違いますので、ちょっと一がいに申し上げかねるのでございますが、まあ地域開発法との関係なりあるいは具体的な都市計画法との関係なりはそんなふうに考えているわけでございます。それからまた酪振法でございますとかあるいは果振法でございますとかで基本方針なりあるいは県の計画なりをきめておりますけれども、これは当然その線に沿ってやるべきでございまして、またそれぞれの計画が、過般発表いたしました「農産物の需給の見通し」とこれは当然調和が保たれていなければならないので、もし調和が保たれていない点があれば、これはもう当然修正が起きてくる、私どもは具体的にその線までのるように当然調整をはかっていく、こういうふうに考えているわけでございます。
#16
○小林国司君 少しこまかい具体的な問題にこれから入りたいと思いますが、ただいまの御説明によりますと、他のいろいろな法案との関連と申しますか、調和と申しますか、基本的な考え方について伺ったのでございますが、次に、第六条に「農用地等として利用すべき相当規模の土地」という条文があるわけでございますが、これにつきまして、その「相当規模の土地」とはどういう基準をお考えになっているか。このことは、たとえば山村振興法による振興山村の取り扱いについて、この整備計画との関係がどのように具体的に取り扱われてくるかということにも関係してまいりますので、特に、御承知のように振興山村についてはもろもろの問題がございまして、なかなか救済の手が行き届いておりません。過疎地帯についても同じことでございます。そこで、この新しい法案が通りまして、これが実施段階に入りましたときには、従来の山村振興法によって振興山村にもいろいろ手厚い手当てをしても、十分にこれがなされていないうらみのある現段階におきまして、この法案から、「相当規模の土地」であるという基準の範疇からはみ出ることによって、救済の手がより遠のくということになってはこれはゆゆしい大事ではなかろうか、こう思いますので、「相当規模の土地」というその基準と、さらに振興山村の従来から取り扱ってまいっておりますその仕事との関係、そういう点について御説明を承りたいと思います。
#17
○政府委員(池田俊也君) これは、相当規模の土地があることということが一つの要件になっているわけでございますが、私どもは一応の目安といたしまして、まあ二百ヘクタール程度の農用地というように考えているわけでございます。これは現在農地でありますものだけではなくて、今後の開発適地というものを含んで考えてよろしいわけでございますけれども、大体二百ヘクタール程度があるというのが一応の目安になるのではないか。これは別段、そう非常に理論的な、がっちりした根拠があるわけではございませんけれども、今後農業振興地域として相当重点的に農業振興のための施策を進めていく地域でございますから、まああまり農用地が少ないということでは困るわけでございまして、大体県営の従来の圃場整備の採択基準程度のものは、やはり一般論としては要件として考えていったらいいんじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。
 ただ、いま御指摘のございました山村等におきまして、それだけの地域の広さがないとこれは振興地域に指定をしないというのは、いかにもこれは窮屈でございまして、そういう山村等で今後は農業を中心にして振興をはかっていくというような地域も相当あるわけでございますから、そういう地域につきましては、やはりある程度弾力的に考えていくべきであろう。必ずしもそういう地域は二百ヘクタールなければ指定しないとか、そういうふうに狭く考える必要はなかろうというふうに私どもは考えているわけでございます。
#18
○小林国司君 山村振興地域についてはおおむね二百ヘクタールという基準を弾力的に考えて、もう少し低い面積でも計画の区域の中に採択していくつもりである、こういう御説明でございましたので、この弾力的な考え方ということについて、いまここで、しからばどの程度のことかということはお聞きいたしませんけれども、できるだけ手厚い考えで農林省は扱っていただきたいということを御要望申し上げておきます。
 次に、今年度から調査が実施される予定になっております第二次の構造改善事業でございますが、四十四年度で全国二百地域についての調査がすでに着手されようとしておるわけでございます。この振興法による整備計画というものが本年度どの程度調査、具体的な計画を立てようとなさっておるのか。そうしてこれと構造改善事業とはどのような関連を持つのか。もちろんこの構造改善事業よりも本法によるところの整備計画というものはその上をいくこととは思いますけれども、どういうつながりを持って――これは今後構造改善事業を推進する上において本法案とは切っても切れない親子関係の仲でございますので、その構造改善事業と今後どのような協調を保ちながら進めていくのか、こういう点について御説明を願いたいと思います。
#19
○政府委員(池田俊也君) いま御指摘のような計画になっておるわけでございますが、私どもは第二次の構造改善事業、これは第一次に比較をいたしますと、かなり事業の規模が拡大されるわけでございますが、当然今後、第二次の構造改善事業を実施いたしていきます場合には、これは農業振興地域の中でしかるべき地区を選びまして、第二次の構造改善事業を実施していく、こういうふうにたてまえとしては考えておるわけでございます。本年度におきます計画といたしましては、振興地域の調査は大体四百地域の調査をいたす予定でございまして、その中で半分の二百地域につきましては計画の樹立まで持っていきたい、こういうことを実は考えておるわけでございます。一方、第二次の構造改善事業は二百地域につきまして調査をいたしまして計画の樹立をする、こういうことでございまして、たまたま二百、二百ということで一致をするわけでございます。
 ただ、私どもはこれを、今後農業振興地域の指定が具体的にどう行なわれますかは、今後の知事の立てます基本方針なり、あるいは予定されております地域の地元住民の考え方なりに具体的に非常に影響されるわけでございますので、その振興地域として計画の樹立を予定しております二百地域がイコールそのまま第二次の構造改善事業の計画地区になるかどうかは、これは必ずしも一がいに言えないわけでございます。若干はおそらく食い違う可能性があろう、したがって、第二次の構造改善事業の地域としては将来は当然農業振興地域に予定されるであろうけれども、四十四年度におきましては指定をされない、こういう地域も出てくるのじゃなかろうかという気がいたします。ただ最初申し上げましたように、私どもは構造改善事業というものは今度農業振興の一つのよりどころとなるものでございますし、当然これは農業振興地域について指定がされる農業振興地域の外で第二次構造改善事業が行なわれるということは原則としてはない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#20
○小林国司君 構造改善事業とこの振興地域の整備計画というものは、これはもう全くもって切っても切れない縁がございます。四十四年度に双方ともにこれの調査が始まるということになった場合には、一部重複しない――重複することが望ましいわけでございますが、一部重複しないものが出ても、これは地元の事情からやむを得ないものがあるかもしれない。しかし来年度以降はこの法案が通って実施するということになりますと、完全にバランスをとって関連づけながら進めていく、こういうふうに解してよろしいわけでございますか……。
 次の問題は、土地基盤整備事業との関連でございますが、まず長期計画、十カ年長期計画を去る四十一年に農林省は――四十年でしたか――お立てになったのでございますが、すでにそれから数年を経過いたしまして、この長期計画も一部改定の必要に迫られているんじゃなかろうか、こう思うわけでございます。この整備計画と土地基盤整備事業の長期計画との関連、これも将来については大事な問題でございます。まずそれが第一点。
 それからこの整備計画の中で、公告をして異議の申し立てがあった場合に、いろいろな手続に最悪の場合には百八十日間を要する、これは条文を読んでみますとそういうことになるわけでございますが、そこでこの整備計画の中に、いわゆる土地改良事業というものが将来どこの地域にもおそらく多分に入ってくると思いますが、その整備計画の中の土地改良事業を実施しようとする場合に、土地改良法の手続によってそれを進めるのか、あるいはいま申し上げましたように、縦覧公告から始まって最後の裁定があるまで百八十日間を要すると、この関係をもう少し明らかにしていただきたい。つまり整備計画の中の土地改良事業は従来どおり土地改良法によって事業は行なうのかという点でございます。それが第二点。
 それから整備計画におきましては、一人の異議の申し立てがあっても百八十日間必要とする、こういうことになってまいりますと、土地改良法では御承知のとおり三分の二の同意があれば実施できるということになっておりますが、その点私どもはこの法案の条文を読んでみまして、どのような関係になるのか、どういう手続順序で整備計画の中の土地改良事業を進めていけばよろしいのか、その点の解明を少ししていただきたいと思うわけでございます。
 それから第三点は、整備計画の中に入っていないところの土地基盤整備、つまり整備計画というのは全国津々浦々全部網をかけられるというものでもなかろうかと思います。つまり整備計画の中に盛られない地域も中にはあって、そういう地域の土地基盤整備事業というものは、農林省として今後認めていくのかいかないのか、あるいは規制をするのかしないのか、これが基盤整備についての第三点の問題でございます。
 第四の問題といたしましては、特に積雪寒冷地域のようなところで規模の拡大を志し、あるいは農業所得の向上を目ざすために開田計画を整備計画の中に盛り込んできたといたします。そういたしますと、昨年来たいへんに問題になっておりますところの米の需給緩和という問題にからんで、今後の新しい開田については農林省は規制しなきゃならぬという実際問題があるわけでございますが、この整備計画の中に開田問題が切なる要望を持って入り込んできた、そして他の作目を選んでも農業所得の向上がはかれない、開田による以外には生きる道がないのだと、こういうことで整備計画の中にそういう計画が出てまいった場合に、農林省はどういう態度でお臨みになるのか、そしてどういう段階においてこれをチェックなさろうとするのか、つまり大臣が勧告するという場がございますが、その勧告の場でなさるのか。それとも、整備計画の認可は知事が与えるわけでございまして、知事が認可を与えた場合にその写しが農林大臣に送付される、したがって農林省が承知するのは整備計画の中でどういう具体的な計画が盛り込まれておるかということは、知事が認可を与えたその計画書の写しを見て初めてわかる、こういうふうに私は条文を読んで理解したわけでございます。そういたしますと、先ほどの開田問題について国の政策に大所高所から相反する面があるためにこれを規制したいという場合には、どういう段階においてこれをなさるのか、そして写しが送付されてからこれを規制するということになりますと知事の認可を取り消すという問題が起こるのかどうなのか。
 以上、四点についてお答えを願いたいと思うわけでございます。
#21
○政府委員(池田俊也君) 最初私のほうからお答え申し上げまして、なお農地局長のほうから土地改良等の関係で御答弁をいたしたいと思います。
 土地改良長期計画との関係でございますけれども、私どもは今回のこの振興地域の整備計画というのは、その中で農用地の計画を立てるわけでございますけれども、これは当然そういう計画に沿った利用が行なわれるというための一つの前提でございます。しかし同時にやはり基盤整備というものをその線に沿って重点的に実施をしたい、こういう考え方を持っているわけでございます。そういうことでございますので、当然土地改良長期計画で定められております土地改良の基本的な計画に従って、その個々の振興地域におきます土地の基盤整備の事業が行なわれると、こういうふうになるわけでございます。
 この利用計画をきめます場合にかなり具体的なこまかい手続がございまして、不服がある場合にはまず市町村に対して異議の申し出をいたしまして、市町村がそれを決定する、それからさらにそれに対しても不服がある場合には審査の申し立てができまして、知事が裁決をする、こういうかなり慎重な手続をとっておるわけでございます。もちろんこれは、それでもなおケリがつきません場合には裁判所に行く、こういうことになるわけでございますけれども、私どもはこの計画を定めます場合にはこれは個人のやはり権利をかなり制限する結果になりますので、そこは実は慎重に扱いたいということでそういう制度を設けているわけでございます。で、まあそうでございますが、具体的に土地改良事業が行なわれます場合には、これは当然土地改良法の規定によりまして、またその手続を踏んで行なわれる、こういうふうになるわけでございます。
 それから今後、計画の中に開田等の希望なりあるいは事項が入ってくるというふうに仮定をいたしました場合にそれをどういうふうに一体扱うのかと、こういう御質問でございますが、私どもはやはり知事が基本方針をきめます場合には、当然これはここの法律にはそういう事項をうたっておりませんけれども、農用地等として、農業振興地域として指定することを相当とする地域の位置なり規模、あるいは土地の農業上の用途区分の基準に関する事項とか、そういうようなところが一応基本方針の内容になるわけでございまして、当然その前提としましては、それぞれの県におきます農業生産の姿というものを、これは当然明らかにするというふうに実は指導したいと、こういうふうに考えているわけでございます。
 そうでございますならば、当然その県におきます水田稲作の将来のあり方というようなこともそこに出てまいりますので、その段階で、まず知事が基本方針をきめますときには農林省にも御相談があるわけでございますから、その段階で必要な調整をすると、もちろん事前にも大体の今後の作目別の生産の姿というものは、過般公表しておりますわけですが、さらにまた、それの具体的な御指導も申し上げまして、その段階でまず調整をするというのが第一であろう。そして、そういうことでございますならば、あとは、今度は個々の地域の計画というものはその線に沿って行なわれるわけでございますから、そのあとの段階で問題が起きてくるということはまずないのではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、これにつきましても、当然知事さんがチェックをするわけでございますから、その段階でもこれは当然知事さんがチェックをされるであろうというふうに考えているわけでございます。
 まあ一応私どものほうから、そういうふうにお答え申し上げておきます。
#22
○政府委員(中野和仁君) 大体はいま農政局長が答えられたとおりでございますが、土地改良長期計画は、小林先生御承知のように、国全体の今後――今後といいますか、四十年から十年間の事業量として出しておるものでございまして、それにつきまして、先ほどもお触れになりましたけれども、すでに五年たちました。その五年間の事業量としては大体予定どおりいっておるわけでございますけれども、その間、農業の事情、特に米の需給緩和の問題がございましたり、それから昨年は、農林省としましても、今後の「農産物の需給の長期見通し」を出しましたような関係、それからその中によりましても、畜産なり園芸等を伸ばしていくというような問題がございまして、現在われわれ長期計画の改定の作業に入っております。それが各長期計画ができ、改定ができますと、それに即してそれをずっと県なり村なりにもよく説明をしておきますので、村のほうでもその線に沿っていろいろ計画を立てるのではないかと思いますけれども、具体的な事業の実施といたしましては、この法律に基づきます振興地域ができますれば、基盤整備はそこへ優先的に実施をやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 たださっきお話がございました具体的の土地改良事業の場合には、やはり土地改良事業によります諸手続を経なければならないというふうに考えます。と申しますのは、地域の振興計画は、全体としての、地域全体の今後何十年かの計画でございますので、その中で具体的にこの地区、地区をどうするかという問題でございますので、やはり手続は土地改良法によってやっていただくということになるかと思います。
 それから開田の問題と整備計画との関連でございますが、これは先ほど農政局長が答えましたとおりでございますが、すでに御承知のように、米の需給の動向から、あるいは今後の長期の見通しからいたしまして、ここ当分開田を抑制しなければならぬのではないかというふうにわれわれ考えまして、すでにそういう措置をことしの予算措置から講じてきているわけでございます。その内容等については、御承知のとおりでありますので、ここでは申し上げませんけれども、そういう方針がすでに県の段階にも、それから村の段階にも徹底をしてまいっておりますので、今後新しく開田のために調査をしたいというようなものは、当分われわれとしては御遠慮を願わなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#23
○小林国司君 池田局長のお話によりますと、県段階で基本方針を立てる際には、地区別にある程度の作目なり、面積なり、それが基本方針の段階でわかるので、知事が認可する際に、あるいは農林大臣の承認を求める際に十分チェックの場があると思うから、知事が認可をして、そうしてあとで国全体の基本方針に沿わないということから認可を取り消すというような事態は起こらないであろう、こういう池田局長の御説明であったわけでございますが、しからば、基本方針を立てる際に、冒頭に申し上げましたように、米はなるほどいま御承知のような事態でございますので、すでに手をかけたもの以外、新規にこれから開田を行なうということは十分チェックしなきゃならぬと思いますが、果樹なり、畜産なり、いろいろこれからその地域によって振興計画が具体的にこの整備計画の中に盛られてくると思うんです。
 で、そのときに、冒頭申し上げました国全体を通ずるところの地域別の生産計画の基本というものがなければチェックのしょうがないじゃないかと、こういうことにつながってまいりますので、――大臣の御説明によりますと、地域別の生産計画については地方農政局を督励し、管下各県とも相談の上に、できるだけ早い機会にそういう基本計画を樹立したいというお話でございましたが、現にこの問題ただいま申し上げました基本方針を定め、地域別の整備計画を樹立するにあたりまして、特に新規の開田の問題、あるいはこれからの畜産あるいはいろいろな果樹という問題が、その地域について切実なる要望と希望をもって出てくることは想像にかたくないわけでございまして、その際、全国を貫いて農林省のはっきりした基準がないと、チェックもできなければ、調整の場もないということが一番懸念されますので、たいへん重大な問題であり、かつ非常に困難な問題だとは思いますけれども、早急に、地域別の生産計画というものが全くもってこれは大事なことでございます。これがなければこの法案というものは、これは宙に浮いたものになりはしないだろうかということも考えられますので、十分この点を御勘考いただきたい。重ねてこれは要望でございますが、お願い申し上げておくわけでございます。
 次に、振興地域の受益の範囲と、面積的に広いものについては、県がその整備計画を定める、こういうことが条文にうたわれておりますが、そこで、市町村段階の整備計画と県段階の整備計画とではその基準においてどういう差があるのかという点が一つ。
 次に、第二は、国営、県営等の基盤整備事業が現に行なわれておりますし、さらに今後も基盤整備事業というものが非常に全国で要望されている数が多うございますので、この振興地域の広がりという問題にからめて、今後の国営なり、県営なりのいわゆる土地改良事業、基盤整備のこの事業とがどういうふうに関係づけられていくのか、これが第二点。
 その次は、こういう基盤整備、あるいはまた酪農振興事業等が整備計画の中に、あるいは町村段階、あるいは県段階である基準のものについては入ってくるということになりますが、その場合に、事業費の算定という問題について池田局長はどういうふうにお考えになっておられるのか。ということは、この整備計画という事業の遂行にあたりましては、事業の実施は他の局にあるというところに問題があるわけでございます。したがって、事業費の算定というものは直接農政局では必要ないのじゃなかろうか、こう一面考えられますが、しかし、事業費がどのくらいかかるかということによって、その計画を遂行し得る力があるのかないのか、また、その計画に参画している農家の人たちが踏み切っていいのか悪いのかという判定は、事業費の算定から出てくるわけでございます。したがって、広い区域にわたるいわゆる県段階の整備計画、あるいは市町村単位の整備計画について、事業費の算定という問題について、どのようなお考えを農林省はお持ちになっておるかという点についてお伺いを申し上げたいと思うわけでございます。
#24
○政府委員(池田俊也君) 私ども、先ほど大臣に対する御質問でもあったわけでございますけれども、この事業は私どもが一応窓口みたいなかっこうになるわけでございますが、実際の事業は農地局なり、あるいは畜産局なり、蚕糸園芸局の関係でおやりになるという形になりますので、実はいま御指摘のありましたような点につきましては、まあ省内でもいろいろ関係局が集まりまして御相談を申し上げているわけでございます。で、私どもはやはり基本的には、今回のこの法案ができまして地域の指定が行なわれ、計画が立てられました場合に、あと事業がどういうふうに一体重点的に実施されるかという点が一番のポイントになるわけでございます。
 それで、その事業が実施されます姿につきましては、実は従来関係局ともいろいろ御相談を申し上げまして、原則論としては、今後農業施策の中で、特に基盤整備でございますとか、あるいは近代化施設に対しますいろいろの助成でございますとか、そういうようなことはもう原則的には農業振興地域に行なう。その他の地域は原則、たてまえ論としては行なわれない。もちろんこれはいろいろな農業施策は範囲が広うございますので、たとえばいろいろな営農指導とか、あるいは病虫害の防除でございますとか、こういうものは広く農業振興地域外でも当然行なわれるわけでございますけれども、いまの土地基盤整備なり、そういう相当長期にわたって投資が行なわれるようなものにつきましては、これはあくまでも農業振興地域に対して行なわれると、こういうふうに考えているわけでございまして、そういう意味で各原局との関係は極力これは密接にして、この制度が絵にかいたもちにならないように実はしたいということでやっているわけでございます。そういうことでございますので、事業費の算定の問題につきましても、当然これはそういう整備計画の樹立の段階におきまして、関係のそういうところと御相談申し上げまして、適切な扱いができますように実は処理をしたいと、こういうふうに考えているわけでございます。なお、私ども土地改良につきまして専門家でございませんので、農地局長のほうから補足して御答弁願います。
#25
○政府委員(中野和仁君) 先ほどのお尋ねの中で、特に広域な範囲での国営事業なりあるいは県営事業と市町村段階との振興計画との関係でございますが、われわれ土地改良長期計画を樹立しました前に、総合調査を実施しまして、国の段階でも県の段階でも大体どの地域はどういうふうにもっていったらいいか、調査といいましょうか、そういう段階での構想はあるわけでございます。したがいまして、今度の法案ができてまいりますと、県が広域的な計画を立てたり、あるいはその前の基本整備方針を立てます際にも、そういうことを念頭に置いて計画を立てるかと思います。先ほどちょっと触れましたように、本年度もうすでに実施に入っておりますが、事情が変わりましたので、かつてつくりました調査計画を補正して現在調査を実施しておりますので、そういうことを念頭に置いて広域的な計画なり何なりができるのではないかというふうに考えております。それから具体的な――それでは整備計画の中の事業費という話になりますと、大ざっぱな推定はもちろんそのときにできるかと思いますが、具体的な事業費ということになりますと、やはりその基本といいますか、振興計画、整備計画に基づきまして具体的な個々の土地改良事業をやる場合に事業費を算定してくるというふうに考えるわけでございます。
#26
○小林国司君 ただいまの点はよくわかりました。
 次に、第二十一条に、「国及び地方公共団体は、農業振興地域整備計画の達成に資するため、当該農業振興地域における良好な生活環境を確保するための施設の整備を促進するように努めるものとする。」という条文がございます。これは端的に申し上げまして、政令の定めがないことが一つと、いかにもこの条文は非常に弱いという感じを受けるわけでございます。せっかく立法された精神の中で、整備計画の中に生活環境に関する施設の問題がこれほど弱く印象づけられて入っておるということに対して、まことに遺憾に思うものの一人でございますが、そこでこの生活環境の整備という問題について、この条文だけを読んだのでは、だれが施行してだれが支援をするのかという点の明確さが欠けているように思います。
 一方山村振興地域におきましては、御承知のとおり、いろいろな農業振興上め施策のほかに、こういった種類の環境整備に関する、しかも山村振興法の中で実施できるように小さいながらもなっているわけでございますが、今度新しくできようとするこの法案の中に、環境整備についてまことにこれでは遺憾な感じがありますので、この点について農林省はどういうふうにお考えになっておるのかという点をお聞きしたいわけでございます。
 現に社会情勢が著しいテンポで変革してまいっておりますために、あるいは特に集落の移転を必要として、村そのもの、根本から村そのものを立て直したい、こういう希望の地域も数々あるわけでございます。現実に土地基盤整備事業において圃場整備事業を実施する際に、分散しておる農家を一カ所に集めて、学校あるいは集会所あるいは衛生施設、電気施設、そういったものは人家が、つまり農家が二戸、三戸点在しておるというと、いかに近代化しようとしてもできない。そこで集落を思い切って一カ所に集めることによって生活環境ががらりと変わってくる。そこで圃場整備事業のついでに、あわせて集落の移転を伴うところの部落形成を根本からやり直したいという希望の地区もすでにあちこちに出ているようなさなかでございます。さらに、御承知のとおりに、上下水道なりあるいは焼却場、し尿処理、こういったものについて農村が立ちおくれておるということは、これはもうだれでも承知のとおりで、何とかこれをいい環境にしたいというのが農村の熱望でございます。
 ところが、こういう事業につきましては各省ばらばらにその責任の分野が分かれているわけでございますが、特に今回の農業振興地域の整備をしようという際に、農業関係から切っても切り離せないところの生活環境整備という問題が付随してこれはあるわけでございます。こういう問題につきましては、各省てんでんばらばらではいつまでたってもらちがあかない、こういうふうに考えられますので、私は、この整備計画をお立てになる際に、生活環境の整備という問題を、農業と切り離せないものについては農林省が断固たる態度をもってこれをお取り扱いになるという態度が望ましかった、こういうふうに私は判断いたします。したがいまして、この問題について、いろいろ御事情はあろうかと思いますが、今後のお考えを承りたいと思います。
#27
○政府委員(池田俊也君) ただいまお述べになりましたような御意見は、私ども非常にごもっともな御意見だと思うわけでございますが、ただ、この法案の立て方の問題でございます。これは農業振興地域の整備に関する法律案と、こういうことになっておりまして、いわゆる農村計画という形は実はとっておらないわけでございます。確かに農村におきます生活環境施設の立ちおくれという現状の上で、将来優秀な後継者等を確保するというような観点から、私どもはやはり生活環境施設の整備ということは非常に重要ということは、そういう感じを強く持っておるわけでございますが、ただ、計画の中に入れるということになりますと、これはいわゆる農村計画ということになるわけでございまして、やはり農業振興地域の農業の振興をはかる観点から申しますと、やや範囲が広くなるわけでございます。
 御承知のように、そういう生活環境施設に関するもろもろの行政はこれは各省に分かれておるわけでございまして、これを一つの計画の中に入れまして実施をするということは実際問題として非常に困難があるわけでございます。で、法案を検討しております段階でも、そういうことも実は内部的にはいろいろ検討したわけでございますけれども、なかなか制度として仕組むことが困難でございまして、こういうようなかっこうになったわけでございます。そういうことでございますが、非常に重要なことでございますので、私どもはやはりこの法律を運用いたします場合の当面の窓口のものといたしまして、あるいは県におきましてはこれは農林部が担当するということになると思いますが、そういう関係の省なりあるいは関係の部なりと密接な連絡をとりまして、農業の振興をはかることと密接に関連する生活環境施設の整備につきましてはよく関係各省との連絡を密にいたしましてその整備につとめると、こういうふうに努力をしたい。ただこの条文にありますだけでは、なかなかこれはそれに沿った事業が行なわれるということを期待するわけにはまいりませんので、私どもは、そういうことで、微力ではございますが、そういうことについて関係各省にいろいろ御連絡を申し上げて必要な措置をとっていただくと、こういうふうにしたいと考えておるわけでございます。
#28
○小林国司君 ただいま池田局長の御説明によりますと、このたびの農業振興地域の整備に関する法案の中のものの考え方として、農村計画までは含まないといういまお話があったわけでございますが、そういたしますと、ただ単に――ただ単にと申しては当たっていないかもしれませんが、農業のいわゆる領土宣言的な法案ではないかということが一部に言われておりますが、私は、そうではなくて、一部農村計画まで立ち入ったことを、この法律の中で、ものの考え方としては考えていただいてはいかがなものであろうかと。もちろんそのためには、他の省とのいろいろな関係も出てまいりましょうし、複雑な困難な問題も出てくることも当然予想されるわけではございますけれども、いわゆる農業の憲法という色彩を帯びるようなこの重大な大切な法案でございますので、今後農業によって、永久に農業をりっぱにやって生き抜いていきたいという人々の生活環境というものをやはり守ってやるだけの心がまえがなければ、この法案というものが、せっかく計画ができても各省、農林省の中の各部局がばらばらにこれを行なう、あるいは生活環境については各省それぞれに協議をしてそうして各省にそれぞれやってもらうというようなことでは、うまくいかないのではなかろうかと、こう判断されますので、いろいろむずかしい事情は十分察知しておりますけれども、この生活環境の整備という問題につきましては、農村計画的なことをこの法案の中では考えていないのだというおことばがございましたけれども、この問題について、つまり生活環境を確保するのだと、この問題につきましては、幅広い御解釈によりまして、運用の際に、農業問題と密接不可分、切り離すことのできない環境、施設というものはこれは、その現地現地でいろいろ事情、種類、内容は違ってくると思いますが、必ずこれはあると思いますので、そういう問題についてはもっと幅広い御解釈をお願い申し上げたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 次の問題に移りますが、最近、太平洋ベルト地帯あるいは大都市近郊に見られます農地の公害問題というのがございます。この農地公害はかなり早い以前からたいへん問題になっておるのでございますが、現実の問題として、これに対する対策が講じられていないよって来たる原因がなかなかむずかしい。そして、その対策を立てるにあたっても、社会情勢が刻々に変化いたしますというと、公害の程度と内容というものが移り変わってまいりますので、ある段階でその対策を立てても、それが手戻りになったり無用の長物になったりすることがございます。したがって、特に太平洋沿岸の工業地域に隣接する農業地帯においては、この公害問題で非常に悩みを深くしているところの農村が多くなってまいったことは御承知のとおりだと思います。このたび農業振興地域の整備に関する法案が通りまして、各市町村の地域ごとに整備計画が樹立されるという段階において、まずもって農地公害の解決をするにあらざれば農業として生き抜くことのできないという市町村が数多く出てまいっております関係から、この整備計画の中に農地公害の問題が取り上げられて出てくることが当然今日予想されるわけでございます。ところが、農政局では事業実施を担当なさらない。
 しからば、この農地公害という問題が整備計画の中で切実な問題として浮かび上がってまいりましたときに、農林省自体としては現行制度はございませんし、いま農地公害をどのように取り扱うという方針もないことと思いますが、今後どういう姿勢で、どういう方向に努力をしようと思うと、あるいは農地公害についてはどういう考え方で今後進んでまいりたいか、これを参考のために伺っておきたい、こう思うわけでございます。必ずこの整備計画の中に、農地公害に悩まされておる町村が、この公害問題を除去してもらいたい――そうすることによらなければ、農業の将来の計画というものはあり得ないという町村を何カ所も私は見聞しておるわけでございます。したがいまして、いまここで農地公害を具体的にどうするかということは御答弁しにくいと思いますが、これからの心がまえなりあるいは御方針なりございましたら承っておきたい、こう思うわけでございます。
#29
○政府委員(中野和仁君) 都市周辺の農地を中心にいたします公害につきましては、先生御指摘のとおりで、だんだんひどい問題になってきておるわけでございます。それに対して、それじゃ具体的にどういう方針、どうやっているかということにつきましては、具体的な事業としては特別なものをいまやっておるわけではございませんけれども、われわれとしましては重要な関心を持っておりまして、たとえば河床の低下によって用水障害が起きるとかあるいは工場汚水によって被害を受けるというような問題も出てきておりますので、地区、事業量あるいはどういう対策をとったらいいかということにつきまして現在調査を進めております。そしてその結果、できますれば用水設備を改良するとかあるいは用排水分離を考えるとか、そういうような面での基盤整備事業を考えていかなければならないというふうに考えております。
 ただその場合に非常に問題になりますのは、地元負担の問題だと思うのです。単に農家だけが被害者である場合と、それから非農家も入っている場合もあります。それからまた、加害者が明確になっているような場合もあります。非常にこの取り扱いがむずかしいかと思うわけでございますけれども、ただいまも調査を進めておりますし、特に四十四、五年を通じまして全国的にも工場汚水の防止対策の基礎資料を得るための調査費も計上しておりますので、そういう調査とも相まちまして具体的な対策というのを考えていかなければならないと思います。特に先ほど御指摘がありましたように、振興計画が立ってまいりますと、地域によりましてはそういう問題が非常に大きく出てまいりますので、それに対応いたしまして具体化を考えていきたいと思います。
#30
○小林国司君 ただいま農地局長から今後の考え方を伺ったわけでございます。整備計画は、先ほど池田局長のお話によりますと、できれば今年度二百地域ぐらいの整備計画を樹立したい、調査については四百ぐらいやりたいという御希望があったように伺ったのでございますが、その中に農地の公害で悩んでおるところの市町村が整備計画の中に盛り込まれてくるということは、私は現実に今年中に起こってくる問題だと思います。ところが農地局長のお話によりますと、四十五年ぐらいまでいろいろ全国のデータを集めて、そして対策を考えてまいりたい、こういう御説明であったように伺ったのでございますが、私はもっとそのテンポを早めていただけないか。つまりことし、この農地公害――農地公害と申しますのは、先ほどの局長のお話によりますと、あるいは原因者が不特定多数でわからない。しかもそれが刻々に変化する。その対策についても、具体的に技術的に非常にむずかしい。そういう事業を、かりに対策案ができても農家負担がたえられない。こういう公害問題にはいろいろな問題がくっついてまいりますので、テンポがおそければおそいほど、振興計画をせっかく立てても、この問題がにっちもさっちもいかないということになっては困りますから、そのテンポを早めていただいて、できるだけ早く公害問題についての全国調査と、それに今後対処する基本的なものの考え方を、農林省としておまとめいただきたいという希望を有するわけでございます。
 時間がだいぶ経過いたしましたので、最後に三点ほどお伺いを申し上げます。
 この法案が通りますというと、四十四年度の振興整備に関する予算、そうして本年度二百地域の整備計画あるいは四百地域の調査をなさるということで、先ほどお話を伺ったのでありますが、あまりこまかいことを要求するわけではございません。もう少し具体的に、四十四年度でどういうことをやろうとしているのか、それから今後のスケジュールがございましたらそのスケジュールについても御説明を願いたいというのが第一点。
 第二点は、地方農政局の役割りについてお聞きしておきたい。
 第三点は、もちろんこの振興整備に関する法案が通って、この事業の施行ということになりますというと、県庁の段階がなかなかたいへんな事務量になると思います。で、県ではどういうところが窓口になり、そうして各県は御承知のとおり人員不足のおりから、この膨大な事業に対する県の職員の手のとられ方もたいへん著しいものが出てくると思いますが、それらについて、県の事務段階で仕事を進めていく上に、定数その他の上において支障がないかどうか。あるいは予算的にもちろんこれはかなりな調査費あるいは研究費等も必要になってくると思いますが、そういうものが予算上手当てされているかどうなのか。特にこの整備計画につきましては非常にむずかしい問題を今後この計画の中にはらんでくると思います。基盤整備だけでなくて、あるいは果樹の振興だけでなくて、あるいはまた流通に関する問題も入ってまいりましょうし、畜産の関係も入ってまいりましょうし、この整備計画を十分に審査して誤りのない計画を進行させるためには、農林省の指導体制というものは、あるいは県段階の指導体制というものは、たいへん重要な役割りを持ってまいると思いますが、ただ単に机の上でこれを審査して、簡単によかろうということではなくて、できる限りこまかく、できる限り親切に、目の行き届いた指導援助を、国と県は地域ごとに与えていただきたい。そのために必要な旅費調査費というものが十分に盛り込まれている必要があると私は思いますし、今後も、毎年の予算に、この整備計画に関する予算の裏づけといたしましてそういう配慮を今後も農林省はお持ちになっていただきたい、こう思うあまり、いま申し上げましたような二、三点の問題についてお伺いを申し上げる次第であります。
#31
○政府委員(池田俊也君) 今後法案が成立をいたしました場合に、どういう手順で事業を進めていくかということでございますが、私どもは、全体の農業振興地域の数といたしましては、これは地元各公共団体なりあるいは地元住民なりの意向にもよることでもございますので、確たる数字は申し上げられないのでございますけれども、明らかに都市化さている地域を除いて考えますと、まあ大体三千前後市町村の数にして農業振興地域の対象になり得る市町村があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。この三千のものが今後振興地域として指定をされ、あるいは計画の樹立をするわけでございますが、まあ地元におきますいろんな条件が必ずしも熟してないところもございますので、非常な短期間にこれを指定することはむしろあとでいろいろ問題を起こす、十分ひとつ検討をしていただいて、条件の熟するのに従って指定をしていく、こういうのが一番よろしかろうと考えているわけでございます。
 それで、大体の目安といたしましては五年間ぐらいを考えているわけでございまして、かりに三千といたしますと、平均いたしますと年六百ということになるわけでございますが、まあ最初の年でもございますので、四十四年度におきましては、若干まだ条件が熟していないということで、四百地域の調査を行ないまして、うち二百地域につきまして計画の樹立をする、こういうふうに実は考えておるわけでございます。その後は若干ピッチをあげまして、五年間に終了したい、こういう考えでございます。
 それで、これの実施をいたします場合の予算でございますが、これは県段階あるいは市町村段階におきますいろんな指導なりあるいは調査なりの予算でございますが、本年度におきましては一億五千八百万円計上しているわけでございます。これは具体的な事業費ではございませんで事務費でございますので、金額は比較的少ないようでございますが、私どもは大体これで何とかやっていけるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。その内訳を若干申し上げますと、県の補助金は約六千万円、市町村の補助金は九千万円弱でございまして、まあ二分の一補助というふうに考えているわけでございます。
 それから、これを実施いたします場合に、私どもはやはり県におきますいろんな体制なり地方農政局におきます体制なりが非常に重要であろう。これは最初に大臣からお答えもございましたが、農林省の中でも同じでございまして、関係各原局との連絡がいかによく密接に行なわれるかということが一つのポイントでございます。それで、私ども農林省におきましては対策室というものを設けまして、関係各局から担当官に来ていただきまして、常時今後の指導方針なるものについていろいろ相談をしてきめているわけでございますが、地方農政局あるいは県におきます体制としても、同じようなやはり体制をひとつつくっていただく必要があろう、そういうふうな線で実は御指導を申し上げたいというふうに考えているわけでございます。したがいまして、これは一つの地方農政局なり県なりの一つの部だけではなしに、基盤整備の関係でございますとか、あるいは各作目の指導をしております部局、そういうものと常時連絡をし、そういう組織をつくって事業を進めていくと、こういうふうにしたいと考えているわけでございます。
#32
○小林国司君 ただいま池田局長から、本年度の事業及び将来のスケジュール、またこの仕事を進めていく上においての構想について伺ったのでございますが、大事な法案でございますために、ただ法案が通って整備計画ができればそれで事終われりということではなくて、この整備計画に基づいて現実に着実にこれが一歩一歩実現されていって初めて日本の農業の確立ということがはかれるんじゃないか、こう思いますので、この法案はそういう意味で非常に大切でございます。そこで、農林省は対策室をつくり、地方農政局を動員して横の連絡を十分にとって進めると。特に重要なのは県段階でございます。県に農林省がああでもないこうでもないと一々こまかいことを言うわけにもまいりませんが、県段階におけるこの事業に対する体制の強化ということについて、十分農林省は今後御配慮をお願いしたい。ただ県にまかせておけば何とか県がやっていくだろうということではなくて、多少おせっかいのようではございますが、農林省から十分な指導と監督と申しますか、県の体制確立という面について積極的に御配慮をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#33
○達田龍彦君 資料の要求があります。実はこの振興法の審議のために資料の要求をひとつやりたいと思っております。
 それは、新都市計画法が六月から実施をされるわけでありますけれども、それに伴って市街化調整区域と農林漁業との調整の基準というものが今回農林省と建設省において話し合いが進められ、結論が出たということを聞いておるのであります。これは私はこの振興法の審議に当たってはたいへん重要なる問題であろうと考えますし、審議促進の意味を含めて、この資料の提出をお願いしたいと、こう思うわけです。いかがですか。
#34
○政府委員(中野和仁君) いまお話しの市街化調整区域の線の引き方、それからその中での農林漁業の取り扱い方につきましては、非常に地方でいろいろな問題を生じておりますので、われわれとしましては、現段階までできる範囲で関係各省、特に建設省、それから関係農業団体等とも話し合いをして、一応の案をつくったわけでございます。その案でもって各県の段階でいま具体的な作業に入っておりますので、これを指針にして都市部局側といろいろな折衝をしようという意味で、案を一応示したわけでございます。具体的には建設省の政省令が六月までにできますので、そのときに正式にきめるつもりでおります。現段階では、そういうことを地方におろしましたあと、それで足りない面も出てくるかと思います。その辺は若干の修正も要するわけでございます。そういう途中の案でございますけれども、お話しでございますので御提出いたしたいと思います。
#35
○委員長(任田新治君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
#36
○委員長(任田新治君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 農林水産政策に関する調査のため参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時は四月二十五日午後一時とし、人選等につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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