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#1
第061回国会 農林水産委員会 第13号
昭和四十四年四月二十五日(金曜日)
   午後一時二十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                高橋雄之助君
                宮崎 正雄君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
                藤原 房雄君
    委 員
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                田口長治郎君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                足鹿  覺君
                杉原 一雄君
                鶴園 哲夫君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
   政府委員
       人事院事務総局
       職員局長     島 四男雄君
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       林野庁長官    片山 正英君
       労働省労働基準
       局長       和田 勝美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       厚生大臣官房参
       事官       湯沢 信治君
       林野庁福利厚生
       課長       猪野  曠君
   参考人
       関西医科大学助
       教授       細川  汀君
       労働衛生サービ
       スセンター所長  久保田重孝君
       全国山林労働組
       合協議会議長   田村  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (林野事業における白ろう病に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
 まず林野事業における白ろう病に関する件について調査を行ないます。
 本日は本件調査のため、参考人として労働衛生サービスセンター所長久保田重孝君、関西医科大学助教授細川汀君及び全国山林労働組合協議会議長田村武君の御出席を願っております。
 この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人におかれましては忌憚のない御意見を述べていただくようお願い申し上げます。
 では、これより御意見をお述べ願うわけでございますが、その順序は細川参考人、久保田参考人、田村参考人の順にお願いいたします。なお、参考人にはお一人ずつ御意見をお述べいただき、委員よりの質疑をそのつど終わらせていきたいと存じますので、その点をあらかじめお含みおき願いたいと存じます。
 それでは、まず細川参考人からお願いいたします。
#3
○参考人(細川汀君) ただいま紹介いただきました細川でございます。関西医科大学衛生学教室に所属しておりまして、この山林の問題については主として大阪ないし四国地方、山陰、山陽を含めてでございますが、の調査をやっておりまして、産業衛生協会の学会のほうの局所振動障害研究委員会の一員をしております。
 このいま山林労働者の中で問題になりましたいわゆる白ろう病――私たちはこれを振動障害ないし振動病というふうに呼んでおりますが、その内容はチェーンソー及びブッシュクリーナー、いわゆる刈り払い機、それから穴掘り機――オーガー、そういうものを主として使います仕事によって起きてきたところの職業病でございます。で、その症状は普通白ろうというふうに呼ばれておりますが、いわゆる指が白くなる、指の末梢の血管の血が通わなくなるというふうな、これをレイノー症候群と呼んでおりますが、そういう症状があらわれる。そうしてまたそういう白くならなくても、血のめぐりが非常に悪くなる。血のめぐりが悪くなりますと、その血液が養っておるところの神経、そういうものが障害を起こす。したがって、神経炎とわれわれは呼んでおりますが、非常に手のしびれ、こわばり、冷え、そういうふうなものが起きてまいります。そうしてそういう手の指、あるいは手そのものだけではなしに、今度は関節に震動が伝わってきまして、いろいろなひじの関節あるいは肩の関節、こういう関節が非常に悪くなって、十分曲がらない、痛むというふうな患者が非常にたくさんございます。それからまた、そういう震動のせいで身体全体の、自律神経失調とわれわれは呼んでおりますが、胃腸が悪くなったり、眠れなかったり、汗が非常にひどく出たり、そういうふうな症状がふえております。また、最近では、いろいろ脳とかそういうものをおかされる病人が発見されておりますが、これについての医学的な研究はまだ十分明らかではありません。たとえば熊本大学などでは脳波などの調査からそうした中枢性あるいは脊髄性の影響があるのではないかということを述べております。
 で、こういうふうに白ろう病とわれわれは一言に言っておりますが、実際は手だけではなしに、全身の障害であるというふうに申し上げたいと思います。しかし労働者にとっては、もちろん手を失うということは一番致命的なことでございまして、ましてそういうふうにひじ、肩、全身の障害が起きることは生活の障害あるいは労働も十分にできないという患者が非常に多いわけであります。特にこの白ろう現象というのは、冬、寒いときに多いわけですが、ひどい患者になりますと、夏ちょっと夕立が降って寒いなと思っただけで出てくる、それも初めは指の関節関節が白ろうのように白くなるだけですが、そのうちだんだん上がってまいりまして、ひどい患者になりますと、もう手首から先が全部白くなるというふうな者もあらわれておるわけであります。
 で、こういう白ろう病がほかの職業病にいろいろあるわけでございますが、そういう中で、特に特徴的な点は、第一には、発症率が非常に高いということでございます。で、もちろんほかのいろいろの工業中毒やそういうものも一つの企業の中では発症率が高いものもございますが、今回の白ろう病のように患者が数年の間に二千人、三千人という高い発症率で出たということは非常に特徴的であります。私が調べたのでも白ろうだけで四国では六八%の人が白ろう症状を起こし、八五%の人がしびれを起こしておる、そういうふうにかなり高いということであります。
 第二番目には、事実この患者たちが十分に治療を受けていないという点であります。これは山林で労働をしておって、医療機関に恵まれないということもございますが、実際に労災認定を一割ぐらいがとっておるが、その労災認定をとっておっても休業補償六〇%では食うことができない、しかも附近のお医者さん、管理医と呼ばれておりますが、そういう人は十分にそれをみてくれない。しかも、いまの労災では入院が認められない、こういうことで実際にはチェーンソーでそのまま仕事をしながら治療を受けておる、あるいは治療を受けずにおるという状態であります。職業病はもちろんその有害な作業をやめて治療するというのが原則でありますが、そういうことがされていないというところに問題があります。
 それから三番目には、これに対する予防対策が十分にやられていない。機械の改善が抜本策でありますが、これも主としてメーカーの手によってやられております関係上十分にやられていない。また、健康診断も山ではほとんどされていないに近い状態にある、こういうふうなところで、これに対する衛生管理の対策がおくれておるという点であります。
 四番目には、ほかの職業病と違いまして、いろいろ問題になった以後も少しも減っていない、しかも去年くらいからまたふえておるということであります。たとえば大阪営林局のほうの調べを見ましても、昭和四十一年、四十二年は、三十五人、三十六人の発症者ですが、四十三年には七十八人となっております。私が実際にいろいろ山を回ってみましても、ますます労働密度が強くなる関係上、大きな木にしがみついてやる。しかもこれは出来高賃金でありまして、一本切ったら幾らということでありますから、そういうものに刺激されてどうしても無理をしなければならない。一たんエンジンをかけますと、四十五分くらいモーターは回っているわけですが、その間じゅうかけているというふうなことで、そういう労働条件の悪いところほど発症率が高い現状にあるわけであります。
 こういうふうな意味から白ろう病の対策は、予防の面、あるいは治療の面、補償の面、そういうことに抜本的なやはり改革をやらなければならないというふうに考えるわけであります。
 以上で終わります。
#4
○委員長(任田新治君) ありがとうございました。
 御質疑のある方は御発言願います。
#5
○矢山有作君 参考人の方にはたいへんお忙しいところありがとうございました。
 一、二点お伺いしたいと思うんですが、一つは病状についていま大体お伺いいたしましたが、それらの病気にかかった人は実際の生活上における障害はどういうことか、それをある程度御説明いただきたい。
 それから第二点は、私どもこの病気は非常になおりにくいということを聞いているんですが、ほんとうに不治の病と言えるのかどうか、そういう点について明らかにしていただきたいと思います。
 それから、やはり発生の状況を見ておりますと、チェーンソー使用による発症がきわめて率が高いようですが、これの予防対策としていままで私どもも調べてみたところ、根本的な研究もなされていないし、したがって、予防対策上のきめ手も出ていないんではないかと思うんですが、それらの問題も含めて予防対策としてきめ手になるもの、そういったものはどういう点にあるとお考えになるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#6
○参考人(細川汀君) 第一の問題に対するお答えですが、まず血のめぐりが非常に悪くなる、それからそうしますと今度はだんだん手がしびれてまいりましていろいろの感覚を失います。たばこに火がついておってもそれが熱いと感じないというふうなことになってしまいます。さらにそれを過ぎていきますと筋肉の力がだんだんと衰えていきまして、皮膚が割れたり爪が割れたり、あるいは筋肉そのものが萎縮するというふうなことで握力がなくなる、握る力がなくなるということで、普通の山林労働ができなくなるということであります。四国で私が見たのはかなりの人間の中に足に白ろうが出ておりまして、これは足まで白くなるということで、今度は足がいつもしびれて歩きにくいというふうな患者も出ておるわけであります。で、そういうふうに全身のいろいろな症状のために労働が山林労働はおろか日常生活においてもいろいろ障害を受ける。特にまた腰の痛みなんかも起きてまいりますし、これが六十何%ですか、かなり腰痛が多い。それからまたチェーンソーは非常にやかましいものですから耳が聞こえにくいというような難聴も伴っております。
 第二の問題でありますが、白ろう病自体は決して私はなおらないとは思っておらない。これはむしろ職業病という人為的な病気ですから、なおす条件さえ十分であれば、十分に安静治療ができるような条件があればこれはなおるというふうに思うわけです。ところが現在の条件ではそういう十分なりっぱな医療機関へ通うことができない、あるいは自分がいろいろ症状を訴えてもなかなかそれを取り上げてくれないというふうなことで、非常に手おくれになってからかかってくる。そうしますと、これは手おくれになるとなかなかなおりにくうございまして、三年たっても徐々にしかなおらないという例が多いわけであります。こういう面で、治療委員会が人事院のほうですか、打ち切られたと聞いておりますが、そういうことでなしにもつと治療面での研究を十分に補助されることを要請したいと思います。
 それから予防対策でありますが、これは特に林野庁では初めノイローゼ説というのを出しまして、いわゆる気の病であるということで、労働者のその心配、不安をなくすれば白ろう病がなおるんだというふうなことがかなりいわれたものですから、予防対策は非常におくれたということを遺憾に思いますが、やはりほかの職業病と同じようにまず機械を根本的に変えるということが第一番目でありますが、第二番目にはやはり時間規制をやる。私は大体一日に二時間の使用、それから一連続作業十五分以内、しかも冬季にはやらないということの意見を持っておりますが、これは研究者によっていろいろ違うと思います。しかし、少なくともそういう時間規制をやらなければならない、一時間につき何分かの休憩というようなことは緊急にもやらなければならないというふうに考えております。そのほか保温の問題、たとえば山は非常に寒うございますからパイプハウスを建ててその中にいつもストーブを入れて休憩時にはあたたまるというふうなやり方、あるいはオートバイで三十分も四十分も通勤しておる間にまた誘発されまして白くなるものですから、できるだけバスで通うようにするということ、そうして基本的にはやはり賃金の問題、これは配置転換しますと大体一万円給料が下がるというふうに聞いておりますが、したがって労働者がなかなか配置転換をされたがらない、あるいは十分な治療を受けないということに問題があるわけで、こういう点をやはりなくすれば急速によくなるというふうに考えます。
#7
○藤原房雄君 これは日本だけではなくて、外国でも同じようなことが言えるんだろうと思いますが、いまいろいろお話を聞いたわけでありますが、原因等についてはある程度明確のようでありますけれども、治療方法、それもいまのお話ですと、大体安静を保つというか、確定的な治療方法がないようなお話ではないかと思いますが、これの研究の状況とか、そういうことはどうでしょうか。
#8
○参考人(細川汀君) 外国のあれでございますが、各国とも振動障害というものはあるわけでございまして、それぞれにいろいろな対策をとっておるわけです。ただチェーンソーの場合には、わが国ではチェーンソーが伐木の作業の主たる機器として使われておる、しかも非常にけわしい傾斜のところを、力を入れて続けて、非常に長い時間使うというところに特徴があるわけで、たとえば、私昨年ソ連や東ドイツを見てまいりましたが、そういうところの機械はかなり負担がかからない、手にそれほどの振動がかからないような機種をくふうしておりました。わが国では主としてメーカーとかそういうところだけでやっておるものですから、やはり大学の工学部であるとかそういうようなところでもう少し研究をするように指導していただきたいと思います。
#9
○藤原房雄君 現在の日本の国において、この病気について先生のように専門に研究なさっておるという方、またその治療について、まあ指導的な立場の方というのはどのくらいいらっしゃるのでしょうか、わかりませんでしょうか。
#10
○参考人(細川汀君) ちょっとはっきり答えにくい質問なんですが、産業衛生協会の局所振動障害研究委員というのは二十数人ですけれども、しかし、それに協力していただける整形外科医なり、ほかのお医者さんは全国的にはもっとたくさんおられますし、これは皆さん御研究していただけばどの科の――まあ科か大体はきまっておりますが、おできになるというふうに思います。
#11
○藤原房雄君 それから、いまお話ですと、私ども白ろう病という手にできる、それがおもな病状というふうに考えておったんですが、全身的な、全身障害という先生のお話でございました。特にまた脳のほうや胃腸にも大きな影響があると、これは非常に重大な問題じゃないかと、このようにいまお聞きして感じたわけであります。まあ手の障害とともに、全身障害の障害の度合いといいますか、これはどんなものでしょうか。
#12
○参考人(細川汀君) こういうものの全国的な調査の統計というものがまだできておりませんけれども、私が実際に四国とか、そういうようなところで数百人の症例で見たのでは、そういう内臓障害を示すものが数名おります。たとえば非常に年をとって、重いものですから内臓に当ててやっておったために十二指腸潰瘍になったとか、そういうふうな例がございます。しかし大半は、いま申しました腕とか、肩とかいうのは三〇%ないし――山陰地方が一番少ないのですが、二〇%くらいで、一番多いところで四国、そういうところでは七〇%ぐらいの患者が出ております。
#13
○矢山有作君 もう一つちょっとお聞きしておきたいのですが、名大の医学部の山田先生の書いたものを読みますと、「振動工具の使用にあたっての衛生上の問題は次のようである」「工具の構造・性能及び補修点検などの問題」「地形・気象・環境の問題」「賃金・身分・通勤・合宿など雇用の問題」「工具使用方法」「安全・衛生対策の問題」「これらの条件は相互に結びついて労働者に影響を与えており、実際の振動障害の原因として振動のみを考えてはならない。」こういうふうに指摘しておられますが、こういう点から見ると、こういう工具使用をめぐるいろいろな条件というものを総合的な調査をやらぬと、これの予防対策なりあるいは治療方法というものは見つけ出せないのじゃないかと思うのです。その面について、私の承知しておるところでは非常におくれておるのじゃないか。総合調査といったようなものは、かいもくやられておらぬのじゃないかと思っておるのですが、その点でその実情を、これは先生にお聞きするのはどうかと思いますが、御承知ならひとつお知らせ願いたいと思います。
#14
○参考人(細川汀君) それはむしろ久保田先生にお聞きしていただきたいというように思いますが、現在そういう総合的な、国から援助を受けた研究というものは、林野庁のほうから、あるいは人事院のほうから、一研究機関か二研究機関がやっておるだけで、全国的なそういうものはたしかないと思います。私も一時、何人かで申請したことがありますが、却下されまして、研究費は一銭ももらっておりません。
#15
○委員長(任田新治君) それでは次に、久保田参考人にお願いいたします。
#16
○参考人(久保田重孝君) 私は労働衛生サービスセンターというところで、職業病全般についていろいろ見せていただいております。この振動障害の問題については群馬県の沼田地区、それから九州、四国等で調査をさしていただきました。いま細川さんからお話しのあった日本産業衛生協会の振動障害研究会というものがございまして、それの一員としても参加さしていただいております。
 最初に申し上げたいことは、先ほど細川さんの御意見にもありましたが、白ろう病という名前、これが実は医学的にはレーノー現象でございます。そのレーノー現象というのは、これは実はレーノー病というのがありまして、このレーノー病は実は振動とは関係のない、女の人に多い、しかも足に多い、やはり白ろう現象のようになる病気であります。それと同じようなことが振動によって手に起こるという場合、これをわれわれレーノー現象と言っておるわけであります。したがって、白ろう現象というのならばよろしいのでありますけれども、白ろう病ということになりますと、病気というものは幾つかの症状が集まって、たとえば結核というような病気をたん・せき病というふうに言ってしまうのと同じような形になってしまう、むしろ、白ろう病といいますと、さっき細川さんのお話しにもありましたように、レーノー現象だけが振動の障害だというふうに狭くなりまして、医学的にはそれでは不十分ではないか。むしろ振動病というふうに言ったほうが医学的には正しいのじゃないかということを第一に申し上げさしていただきます。
 それから、この実態が、日本でどのくらい起こっておるのか、これは全国的な統計というのは、林野庁のほうでおとりになったものがあるわけでありますが、それによりますと、これはついせんだって人事院で第三回の振動障害研究会があったわけでありますが、そのときの御発表では、症状を訴える者は全体の従事者の約二〇%、それから公務上に認定された者が約四%という数字になっております。しかしこれは、いろいろの学者が御報告になった数字は、数%から五〇%程度にまで、非常に範囲がまちまちでありまして、それは地域、その他対象の取り方によっていろいろになっているのだろうと思いますが、しかし林野庁のお出しになった約四%という公務上の疾患数をとりましても四百八十四という数字になっておりまして、日本でいま起こっているいろいろな職業病の中で、非常に多発している重大な職業病であるということには異論はないと思います。
 この振動障害がいまチェーンソーについて問題になっておるのですが、一体医学的にはいつごろからこういうことが問題になったかと申しますと、これはイタリアで一九一一年に初めて石を堀る人に見出されております。日本では一九三八年にびょう打ち――リベッティングをするびょう打ち工に見出されたのが初めだといわれております。
 御承知だと思いますけれども、振動工具、われわれのからだに局所的に振動を与える振動工具の中には、ニューマティックハンマーのようなあるいはびょう打ちのような、ピストンの動きによって振動するという、そういう振動工具もございますし、チェーンソーのように回転工具と申しますか、そういう電動による回転工具もございます。それからバフ作業のように、固定したところへこちらから手を持っていってバフ作業をするというような振動の受け方もあるわけでありまして、それらのびょう打ち機あるいは鋳物のはつり工なとについても約数一〇%――二〇%から三〇%程度の発症率を示しておりまして、したがいまして、かなり以前からあったものでありますが、今回、このチェーンソーの普及によりまして大きく取り上げられたというものと思います。
 外国における罹患の実情というものについては残念ながら私まだよくここで申し上げる資料を持ち合わせないのでありますが、実は国際労働衛生会議というのが三年に一ぺん催されておりまして、一九六〇年にニューヨーク、一九六三年にマドリッド、一九六六年にウィーンで行なわれております。そこで報告されました振動工具による障害というのがルーマニアの報告が非常に多うございまして、ルーマニアが三つ、それからあとカナダ、フランス、イタリア等で二つずつ報告がございます。そのほか、スペインとかフィンランド、西ドイツ、オランダ、チェコ、ポーランド、ブルガリア、日本というふうに、それぞれの報告がございます。この報告はチェーン・ソーによるものとそれからニューマティックハンマ一等の圧搾空気機具によるものが相半ばしておるようでございます。
 ところで、症状について申し上げますと、先ほど、当初申し上げましたレーノー現象、これは指の末端の蒼白現象でございまして、わりあいに境界が明らかに先端のほうだけがろうのように白くなる現象でございます。触れれば非常に冷たく、自覚的にはそこに痛み、しびれ、冷感等があります。普通は、これはたとえば振動に触れておって発症したというときに、その振動をとめますというと、普通は十分くらい、長い場合でも数十分でもとに戻ります。一見もとに戻ったように見えるわけでありますが、同じような条件が加わりますというとまたそこへ同じようなことが起こるということを繰り返すわけであります。この一過性でなくなってしまうということが実は診断上非常な不利を招いておるわけでありまして、その症状をお医者さんが確認できないというようなことがしばしば起こりまして、その点で診断にいろいろの不便を生じておるのが現状であります。それからなお皮膚温が下がる。冷たい水の中に手を入れさせますというと、その冷たい水に対する反応が非常に違ってくる。あるいは血管だけでなしにそばの組織、たとえば皮膚、爪、筋肉等にも萎縮のくる場合がございます。それから末梢の神経が障害されます。殊に、温度に対する感覚が異常になる。これはたとえば熱いものに対してはうんと熱くなるまで感じない。冷たいものに対してもうんと冷たくなるまで感じないということで、いわば高温と低温にどちらもにぶくなるわけであります。したがいまして、温度感覚が非常ににぶったという形になるわけであります。それから骨あるいは関節に振動の影響が直接及ぶような状態になりますと、骨あるいは関節の変形、そして運動制限のようなものが起こる場合があるわけであります。
 で、こういう振動の障害の原因、これはもちろんおもなものは振動でございますが、それではふるえておるものなら何でも起こるかというと、そうではございませんで、大体一秒間のふるえの数、これが四十から百二十五というところが非常に多い。特にもっと広くとりました場合には一秒間四十というところから六百ぐらいのところまで、その間が起こしやすいといわれております。で、問題になっておりますチエーンソーのたとえばマッカラーのようなものでありますというと、一秒間に百くらいの振動数がございますので、ちょうどその範囲内に入っておるということでございます。それからそのふるえの振幅、これは〇・一から〇・二ミリメートルという程度でございます。こういう振動がわれわれの指にまいりますと、そこで一たん血管が収縮して温度が下がります。ちょっと普通には、何かそういう振動を与えると、その指の温度が上がるように感じますが、実際は一、二度下がります。そうしてそれがもとに戻るその戻り方が非常におそい。要するに血管の収縮が非常に長く続いて過敏になってしまった状態ということが問題になるわけであります。で、こういう血管の収縮が本体でございますので、振動以外に非常に大きな影響を与えるのが、寒冷――寒さの作用でございます。
 で、先ほど申しましたように、医者のところに来たときには、その手の白いのがおさまっておる、そういう場合に、いままでよく誘発試験、白くもう一ぺん医者の目の前で誘発する、白い状態を起こさせるということをよくやったわけでありますが、その場合に、手を冷たい水につけるとかあるいは風に当てるとか、そういうふうなことをやりますと起こりやすくて、むしろ振動だけその場で手に与えましても、なかなかそういう現象は起こらない。しかし現在では、こういう誘発試験というものは、これは非常に何というのですか、もう一ぺんそういう悪い状態を起させるということはよくないということで、診断方法についても改善、改良を考えておるという段階でございます。
 いまの話で、これもおわかり願えるかと思うのでありますが、結局このレーノー現象というものは、長い振動作業をやっておりますというと、それに寒冷の影響などが加わりまして、こういう素因、われわれのからだの状態をつくるわけです。そういたしますと、今度は直接の発作の起こるのは、むしろ振動でなくて、寒冷のようなことで発作が直接起こってくるというのが実際上多いのでございまして、バイクで通っておる最中に手が白くなるというようなことは、そういう寒冷の作用が主体になって起こっておるということでございます。
 それから診断の問題について申し上げますと、これは皮膚の温度あるいは血管の反応そうして神経系統の変化等をいろいろ組み合わせてやられておりますが、実は冒頭に申し上げました日本産業衛生協会の委員会で、この四月末を期しまして各先生方のやっておられる診断方法を集めまして、その中から皆さん御協議の上で適当な診断方法をつくろうということで、現在までの診断方法を改良する動きになっております。主体は、先ほど申し上げましたように、誘発反応、誘発試験などをやめましてもう少し的確な診断をしたいということが趣旨でございます。
 それで治療について申し上げますと、これは現在のところでは残念ながら特効的な治療はまだ発見されておりません。で、振動からの隔絶が最良の治療という結論になったようであります。この治療委員会につきましては、私は直接参加いたしておりませんので、結論をお聞きしたわけでありますが、そういうことを最近にお聞きしております。ただ、この治療の場合に考えなければならぬのは、先ほどから申しておることでおわかりのように、振動からの隔絶と同時に寒冷からの隔絶ということを一緒に考えませんと、治療の効果というものは減殺されるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 で、予防の問題につきましては、これは治療の十分な対策がない以上、振動をいかに防止するか、そうして作業時間の制限をいかにするかということが、やはり主体になろうかと思います。その場合の作業時間の制限というような問題につきましては、一日の作業時間をどこまで減らすか、先ほど細川さんは二時間というようなことをおっしゃいましたけれども、はっきり二時間でいいのかどうかという、そういう医学的なデータはまだ出ておらないと思います。むしろそういう方法とかあるいは作業循環のようなことも一緒に考えることで時間の制限ということを考えていくべきではなかろうかということを最後に申し上げさせていただきます。
#17
○委員長(任田新治君) ありがとうございました。質疑のある方は御発言願います。
#18
○櫻井志郎君 たいへんありがとうございました。ちょっと二、三お尋ねいたします。
 いまほどお話があったように、最初発見されたのはリベッティングマシンからだというお話でございましたが、これはリベッティングマシン、それからチェーンソー、それから振動するものではさく岩機があります、あるいはタイタンパー、いまの道路や貯水池の土堰堤なんかに使っている、それからコンクリートの打ち込みに使ういろいろな道具がありますが、そういういろいろな振動機械から発生する、どれからどのくらいのパーセンテージの患者が出ているかということがわかっておりませんかどうかという点が一点。
 それから、大体起こるのはパーセカンドにして四十から百二十五ですか、この範囲の振動が一番いけない、こういうお話がありましたが、そうだとすると、この振動数をこえる振動の機械をつくる、あるいはこれよりちょっと少ない振動数の機械をつくるかによってこの病気の発生の原因を避けることはできないかどうか。
 それからもう一つ、振動があると同時に、非常に寒冷な状態に身体が置かれるということが原因の一つだというお話がありましたが、寒冷を防ぐために、あるいは電熱装置の手袋を使うとかなんとかということで病気を防ぐことはできないものかどうか。その三点をお伺いしたい。
#19
○参考人(久保田重孝君) 第一の御質問でございますが、これは一九三八年以来各種のそういう振動工具について罹患率を調査した成績がございます。しかしながら、それはほとんどすべてが、ある特殊の作業場、ある特殊の集団についてやられたものでございまして、全国的といいますか、全般的にある作業の罹患率というのにはちょっと資料が不足しておるというのが現状だと思います。その一、二の例を申し上げますと、先ほど私が申し上げた中でもちょっと触れましたように、大体二〇%程度までの障害というのはそういうところからも起こっております。
 それから第二の問題で、振動数を一定の幅を申し上げたので、それより上あるいは下であればいいではないかという御質問でございますが、振動数がサイクル・パー・セカンドにして大体二千ぐらいまでの間は、これは振幅がうんと大きくなって、要するにエネルギーがいまの四十から百二十五のときに振幅が〇・一から二ミリと申し上げましたが、それに対応するようなエネルギーがやはりありますというと、それより上でも起こる可能性がございます。したがいまして、振動数だけでなく、そういう加速度と申しますか、エネルギーとして考えていかないといけない。しかし大きく響くのが振動数なので振動数で申し上げたというふうに御理解願いたいと思います。
 それから第三番目の、寒冷を防ぐことが行なわれればかなり条件を防げるのではないか。これは確かにバイク通勤にかえてバス通勤にするというようなことで状態が幾分好転したという例がございます。しかしながら、先ほどちょっと申し忘れましたが、手だけをあたためてもだめなんで、全身的な保温ということが必要でございます。寒冷の場合でも手だけを水の中に突っ込んでもなかなか起こらないのだけれども、全身が寒くなりますと起こるということになりますので、ちょっとヒーターのついた手袋というようなこと、これは悪くはないと思いますが、それだけではたしていいかどうか、一応疑問だというふうに思います。
#20
○宮崎正雄君 ちょっと二、三お伺いしますが、具体的なことは私しろうとですから、あるいは的はずれな質問をするかもしれませんが、先ほどお聞きしていますというと、まず第一に、名前がいろいろこの病気についてあるようですが、医学的にはどういう名前が一番普遍的に行なわれているかどうか、それが一点。
 第二番目には、先ほどのお話しですと、即効的な対策、予防なり治療の方法が確立しておらないというような御説明があったと思いますが、私ちょっと聞き漏らしたのですけれども、その点はそのとおりでございますかどうか。
 それから第三番目に、作業の時間の関係が影響するような御説明があったと思いますが、大体医学的には一つの、この程度やったら罹病するとかあるいは影響があるとかいうような、何か具体的なデータでもありましたら、まずその三点をお聞きしたいと思います。
#21
○参考人(久保田重孝君) 最初の、この名前でございますけれども、これはさっきの産業衛生協会の局所振動障害研究委員会では、局所振動障害という名前を採用したわけでございます。ただ、最近になりまして、これが局所振動による障害ということならよろしいのですけれども、局所の振動障害ということになると、指に限定されて、ほかに問題が起こったときには今度は入らないということになるので、むしろ振動障害というふうに大きく言ったほうがいいのじゃないかというふうな御意見があったようでございます。しかし、とりあえずは局所振動障害というのが一番わかりやすいというふうに思っております。
 それから治療法につきましてはお聞き及びのとおりで、特効的な治療というものは現在まだないようでございます。たとえば血管が萎縮しているのだから血管の拡張剤を与える、あるいは副腎皮質の製剤を与えるというようなことは、一応一過性にはその症状を消すのには効果がある。したがいましてその程度の、それをやったらそれで病気が全体として治ってしまうというかっこうにはならない。そういう意味で基本的な治療法というものは、やはり振動からの隔絶にあるというふうにいわれているようでございます。
 それから時間の問題でございますが、医学的な立場から純粋にいえば、これは現在のところでは少ないほうがいいということしか申し上げられないというのが一番医学的には現在の段階だというふうに思います。
#22
○宮崎正雄君 次にもう一、二点お伺いしたいと思いますが、発生率が何%か、さっき御説明になりましたが、そうしますと個人差と申しますか、体質との関係があるのじゃないかというふうにちょっと私感じたのですが、その辺のところは、こういう体質ならかかりやすいとか、こういう体質ならかかりにくいとか、そういう体質の関係はないのか。
 第二点は、先ほどからいろいろと御説明があって、林野庁なんかでもいろいろ有効と考えられる対策はとられているけれども、しかし患者はこれはだんだんと増加している、こういうようなことに私伺ったわけでございますが、そうしますというと、先ほどの決定的な対策はないというようなお話を前提にいたしますというと、まず研究調査ということが先行しなければいかぬじゃないかと思いますが、現在の研究調査の体制なり、あるいはやり方を改善すべきところがあるのかないのか。あれば、どういうふうにしてやったらいいのか、こういう点についての御意見があれば伺いたいと思います。
#23
○参考人(久保田重孝君) 最初の体質の問題ですが、これは確かに振動作業に入ってからそういう症状が起こるまでの時期というものはかなり開きがございます。早い人で一年、二年という方もありますし、数年やってもたいしたことがないという人もまれにはございます。しかしながら、その症状の発生率が、たとえば症状を訴える者が二〇%もしあったといたしますというと、それは体質だけでそういうものが起こったというふうにはちょっと言えないのじゃないか。やはりその体質にプラス労働条件というものがあると考えなければいけないというふうに私は思います。
 それから研究調査の件で何か体制を改める点がないかというお尋ねでございますが、これについては、これは職業病が、このチェーンソーの問題ばかりでなく、いろいろな場合に、いわゆる労働衛生学者とそれから臨床家との、たとえば外科とか神経科とかいう臨床の先生方とのコミュニケ−ションがあまりいままでよくなかった。そういうものを包括して臨床的に見て、あるいは労働条件ということをそこに加味してみても正しい答えの出るような大きな研究組織というものが必要ではなかろうかということを私はこの病気だけでなしに、全般的にそういうことを感じております。――お答えになりますかどうですか……。
#24
○足鹿覺君 一、二久保田参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、ちょっと聞きますと、振動病というようなおことばをさっきお使いになったように思いますが、まだ結論が出ておらない過程でありますから、今後いろいろ総合的な検討をなさることと思うですが、そのすみやかな御結論を期待しているわけでありますけれども、たとえばチェーンソーの場合もありましょうし、先ほど櫻井委員からもお尋ねになりました他のいろいろな機器があるわけであります。たとえば私が一例を申し上げますと、国鉄の保線要員が使っておりますタイタンパーのごときものですね。あれが開発されてから相当の年数がたっておりますが、あなた方のほうでこれの使用からくると思われる発病者、相当これは全国的には多数あると見ておりますが、国鉄関係方面を御調査になったことがございますか。また、その結果が何か資料としてありますか。いわゆる振動からくる病気あるいは発作、こういうふうに解釈をいたしますというと、これはゆゆしい問題でありまして、単にチェーンソーがいま当面大きな問題として起きておりますけれども、範囲は相当広い範囲にわたっていくんじゃないか、こういう気がいたしますが、たとえばタイタンパーのごときものについての御調査になったことがあるかどうか。そういう振動を伴う機器について御調査になっておりますか。その範囲、その機器の名前、使用目的というようなものについて何かありましたら御開陳願いたいと思います。
#25
○参考人(久保田重孝君) ただいままで日本でいろいろそういう振動工具について障害が調査されましたのですが、それはいわゆるニューマティックハンマー、たとえばびょう打ち機でありますとか、あるいは製かん、鋳物のはつりでありますとか、あるいは鋳物の型込め、それから造船の穴あけ工、自動車びょう打ち工というふうなもの、それからいわゆるロックドリルの種類、金属山、石灰山等におけるさく岩機の問題、それからいわゆるタイタンパーにつきましては保線工について、まあこれは罹病率はちょっと大きな開きがありますが、一つの御報告は一一・九%、一つの御報告は〇・五%というふうな報告が出ております。それからあとチェーンソー、ブッシュクリーナー、そういうふうなものについて日本では調べ上げております。したがいまして、お話しのように、この問題はその振動ということを考えた場合にはチェーンソーだけを別にするということは一応おかしなことで、全体の振動工具として考えなければいけない。しかし、チェーンソーの場合にはその労働の場所が非常にほかと違いまして山の中であるとかいうようなことで、そういう労働条件と一緒に考えた場合には、これはほかの振動工具と違った特殊なこともあるというふうにいえるかと思います。
#26
○足鹿覺君 特に私の伺いたいのは、範囲は広いけれども、いま一番人道的にも大きな問題となっているこのチェーンソーの場合が一番対策が喫緊を要するのじゃないかと思う。そういう点から広範な対策は基本的、総合的に進められていくであろうと、また進めなければならぬと思うのでありますが、問題は、あなた方の検討でチェーンソーの場合、かわるべき工具、機器の開発状況というようなことについてどういう検討段階でありますか。もうすでにこれが原因をしておるということはまぎれもない事実であろうと思うのです。われわれしろうとでありますけれども、私ども山間地帯を歩いてみまして、それと人と会って話を聞いてみた結果は、これはあとで細川先生にもお聞きしたいことがありますが、ただ単に手足が冷たくなるとか、熱あるいは寒冷等に対する感度が鈍るとかではなくて、全身的な症状を起こすということを、細川先生のお話にもあったことでありますが、その内容はきわめて深刻であります。したがって、これは林野庁そのものにもお聞きしたいことであるけれども、どういう対策を講じておられるかということを国の立場でお聞きしたい点でもありますけれども、専門にこういう問題と取り組んでおられる立場からは、当然かわるべきそういう障害や発病を伴わない工具、機器の開発ということが、予防なり治療とあわせて行なわれないというと、この問題はますます深刻度を増してくると思うのです。その開発対策というものはどこで、どういうふうに進めておられるのか、久保田参考人が所属しておられる協会の範囲でそういうことについて御検討になっておるのか、あるいは、ほかにもっと広い角度から、あるいは専門的な角度から開発についての検討がなされておるのか。もう少しこのかわるべき工具、機器の開発状況、あるいはこれに伴う久保田さんの御所見、こういったことについて聞かしていただけば幸いと思います。
#27
○参考人(久保田重孝君) いまのお話はまことにごもっともな話で、抜本的な対策というものはそういう工具の改良にあるのは当然でございます。で、現在私どものところではそういうエンジニアがうちの協会には所属しておりませんで、そういう方向につきましては現在のところでは、私の聞き及ぶ限りでは、労働省の労働衛生研究所でそういう保護具の改良あるいは機械の改良というようなことを手がけておられるように聞いております。それから、むしろわれわれのほうでは労働条件と申しますか、そういうものの改善という方向にいままで現場と御相談を進めてまいっておる次第であります。
#28
○矢山有作君 久保田先生に一つ二つお伺いしたいんですが、先ほど久保田先生のお話を聞いておりますと、足鹿さんもちょっと触れられましたが、白ろう現象というのはまあ手の指の先だとかいったような、そういう部分的なところにあらわれると、こういうふうにおっしゃったんではないかと思うんです、間違っておったらお許しいただきたいんですが。ところが私、現場の労働者にいろいろ聞きますというと、やはり手指だけの問題でなしに、関節に来る、さらに背中あるいは腰、あるいは胃腸障害を起こす、あるいは、かなり大きな音がしますからね、これは、聴力にも障害が起こると、非常に広範な全身的な症状の発生を訴えているわけなんですが、その辺の認識の違いが、この白ろう病に対する対策が非常におくれてきた私は一つの大きな原因ではないかと、こういうふうに考えておるんですが、この点どんなものでしょう。
 それからもう一つ、診断の問題なんですが、先ほど先生もおっしゃいましたように、診断がきわめて、まあずさんということばが適当かどうかわかりませんが、まあずさんというんですか、現在医療器具等も相当進んでおるときですから、したがって、なかなか治療方針等が立たないような病気であればあるだけに、すみやかに私はそうした近代的な科学的な医療器具を使っての精密な健康診断というものを徹底してやるべきじゃないか、こういうふうに思ってるんですが、その点の御見解なり、またそういうことが行なわれておるのかどうか、さらに今後行なわれておらぬとするならば早急に行なわれるような体制というのがおありなのかどうか。まあ先生は人事院に関係しておられるということをちょっと聞いたものですから、そういうことでお伺いしたわけです。
 それから第三点は、発症のパーセンテージの問題なんですが、私が政府からいただいた資料を見てみますというと、たとえばチェーンソーの場合、従事者数が三千人ほどおると。ところが、その中で症状を訴えておる者が千七百、これはもう二人に一人という非常な高い率になっておるわけです。それで、医師が確認したのが六百五十、それから公務上の認定を受けたのが四百六十と。これはチェーンソーに限ってですが、きわめてこういう高い比率を示しておりますので、その辺の食い違いがかなりあるような気がいたします。もっとも先生のほうは全体的な面をとらえておっしゃったとするならば、それは比率はずっと落ちてくるだろうと思います。私の場合は国有林の問題だけとらえていまの数字を言いましたから、その辺にそごがあるかと思いますが、そういう点につきましてもひとつ御意見をお聞かせ願いたい。
 以上であります。
#29
○参考人(久保田重孝君) 一番最初の、指とか足とか非常に局所だけにあらわれる障害と考えておるのか、もっと全身的な障害ではないかというふうにおっしゃったと思うのでありますが、その問題については、これは振動の影響ということだけを考えるならば、その振動の直接及んだところの障害というものがまっ先に来るというのがやはり原則であろうかと思います。したがいまして、さっきの例にもありましたように、姿勢が悪くて、たとえばまあ悪い姿勢を無理にとっているわけではないにしても、そういうことを余儀なくされて、内臓なりあるいは腰なりに直接振動が及ぶような労働条件というものが続くならば、そういうところの障害というものがあり得るということは言えます。しかし、普通の手で保持する振動工具に対しては、やはり手が一番ポピュラーに、一番最初に来るというのが常識的な考えではないかというふうに思います。
 それから第二の診断の問題で、診断がずさんではないかというおしかりでございますが、これは御承知のように、こういうレーノーのような病気は、これはいわばわれわれのほうでいいますというと、機能的な障害というのですか、目で見て、そこで急に手が指一本なくなったというようなものではございませんで、その血管の神経の働きが異常になっているというふうなものでございます。したがいまして、診断の方法というのは非常に微に入り細に入らなければならない。それだけどんどん精密な診断器具を使えばいいじゃないか。これがまあ御承知のように、山の中の非常に、工場とは違いまして特殊な労働条件にあるために、そういう診断器械の利用が非常におくれておる。これはまあ事実だと思います。しかしながら、最近管理医の皆さんともしばしば会合を持ちまして、そういう器械を普及するような方向で進めるように私どももそういう御助力を申し上げておるつもりでございます。不十分である点は私どももいまそうだと思います。
 それから発症のパーセントの件でございますが、これは間違っておったら林野庁のほうで御訂正願いたいと思うのですが、先ほど申し上げましたように、四月の二十一日に人事院でありました会合で私の承りました数字は、機械作業に従事しておる者が一万二千七百人で、そして訴え者の数が二千六百人ということなので、私は二〇%と申し上げたわけであります。
#30
○藤原房雄君 誘発原因がいろいろあるということでいま先生お話ございました。単なる振動だけではないということでありますが、しかしやはりおもな原因はどうしても振動にあるわけでありますし、チェーンソーの使用時間と病気との因果関係といいますか、こういうことがやはり大きな問題になると思うのでありますが、細川先生のお話ですと、大体作業時間二時間というようなお話でございました。その点について久保田先生は、二時間ということはどこから来たかというお話でありましたのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#31
○参考人(久保田重孝君) この問題は、これは二時間でやれば、――現状の作業使用状況は私どもが見ましたところでも大体百八十分から二百十分というのがたしか――いまこまかい数字はあれですが、百八十分から二百十分ぐらいだったと思うのです、私が調べたのは。そういう点からいえば、二時間であれば百二十分ですから、それよりもいいということはこれは私は言えると思うのです。しかし、それ二時間でやったら起こらなくなるかということを言われて、起こらなくなると言い切るどうもデータもないのではないか。そういう意味で、早くそういういろいろな条件でためしていただいて、ためすといいますか、そういうことを早くやっていただいた上で、実際に有効な時間というものをおきめいただくのが、この際急務ではないか。二時間がいいか二時間十五分がいいかというのをいまの医学的なデータだけでやっておりますと、やっぱりちょっとデータがないのではないかと私は思うので、申し上げたわけです。
#32
○鶴園哲夫君 先ほど説明を承っておりまして、一万二千何がしというその中で二千六百という話がありました。林野庁が持っておりますチェーンソーというのは五千ぐらいだと私記憶しておるんですが、刈り払い機というのが一万一千ぐらいの数字じゃないかと思います。そうしますと、全部チェーンソーも刈り払い機も合わせた作業員の数字が出ておるんじゃないかと思うんですけれどもね。チェーンソーのほうに非常に多いんじゃないでしょうか。
#33
○参考人(久保田重孝君) そうだと思います。そのときには、振動作業の従事者数というふうに御発表になったと思います。だから御指摘のように両方あるんだと思いますね、刈り払い機も。そのチェーンソーだけの分は幾らというのは、ちょっといまここで数字をあれいたしませんです。
#34
○委員長(任田新治君) 次に田村参考人にお願いいたします。
#35
○参考人(田村武君) 私は全林野労働組合の委員長並びに全国山林労働組合協議会の議長をやっております田村武であります。きょうは非常にお忙しい審議の時間の中で、労働者の代表として私の意見を述べさしていただきます機会をお与えいただきまして、委員長以下委員の諸先生に心から感謝を申し上げる次第であります。私は、直接この振動機械を使用することによって命と健康に非常な危険な目に会い、病におかされておる直接の被害者である労働者の立場から、若干意見を申し上げさしていただきたいと思います。
 いま、全国山林労働組合協議会議長ということで申し上げましたが、全国山林労働組合協議会と申しますのは、御承知のように、民間林業の労働者の労働組合に組織されております状況というのはきわめて少ないわけであります。で、地域的にも、奈良、和歌山、徳島、鳥取、長野、北海道の一部というようなことで、地域的にもきわめて少ない地域でありますと同時に、そこに組織されております民間林業の労働者もきわめて数が少ないのであります。そうして、これは国有林、民有林を通じて一般にいえることでありますけれども、林業労働者の労働の実態、生活の実態、就業構造等々の統計資料その他の調査というのは、きわめて不十分、というよりは、ないというほうが適切ともいわれるくらい、きわめて不備な状態にあります。したがって、いま林業労働者、いわゆる林業労働に従事している雇用労働者の数が幾らあるのか、こう質問されましても、私は全国山林労働組合協議会の議長という立場にありますけれども、雇用されている労働者そのものが何人いるのかということについてはわからない。また、いろいろな機関における調査の資料を幾らひもといてみても、これがわからないという実情であります。
 そういう実情でありますから、この白ろう病の問題に関しまして、林業労働者の中でチェーンソーを使っている者が何人いて、あるいはブッシュクリーナーを使っている者が何人いて、その他穴掘り機等々の振動工具を使っている者がどのくらいいるのかということがわかりません。数がわかりませんし、その中でこのいわゆる振動病というものの症状を訴える者が全体的にどのくらいいるのかということもわかりません。まことに残念な次第でありますけれども、率直に申し上げざるを得ないのであります。そこで、これから申し上げます資料については、主として国有林の中で林野庁が調べたもの、あるいは全林野労働組合、私どもみずからが調べました資料についてお話を申し上げざるを得ないのであります。
 いまもいろいろ質疑の中で出ておりましたが、国有林の状況を私どもが昨年の末全体的に集約をしてみました。しかし、労働組合の調査機能というものはこれまた非常に不備なものでありますから、これがきわめて正確なものである、ほとんど違わないものであるということを申し上げるわけにはいきません。しかし、私どもが及ばずながらできるだけの機能をあげて調査をした数字であります。それによりますと、チェーンソーを使っている者の数が四千五百十一、大体四千五百であります。この中で症状を訴えております者が二千百六十、そうして現在公務上災害という認定を受けている者が四百六十であります。それからブッシュクリーナーを使っている者の数が大体七千五百程度、そのうち症状を訴えている者が千二十二、公務上災害と認定されました者が二十四名、こういうことであります。その他の機械もありますので、そういうものを使っている者も若干あるのであります。総じて申し上げまして、チェーンソーを使っている者四千五百、そのうち二千百六十が症状を訴えている。大体五〇%というものが症状を訴えていると言えると思います。
 それから、去年の十一月三十日現在で林野庁が調査をいたしましたものの中では、チェーンソーを使っている者の数三千、症状を訴えている者千七百、こういう数字を林野庁が言うておりますから、これで見ますというと五十数%、六〇%近い者が症状を訴えておる。これを林野庁の調査資料が示しておるのであります。ブッシュクリーナーのほうになりますと、これは林野庁は、七千九百の人間が使っておって、そのうち症状を訴えている者が六百、私どもの調査は千ですから、ここで若干の差はありますけれども、こういう数字が出ておる。伐木、造材については、チェーンソーを使う者については半分以上が症状を訴えている。これは私どもの調査も林野庁の調査も、その傾向というものははっきり示しているわけであります。ブッシュクリーナのほうは、これに対しましては非常に少ない数であります。
 そこで、私たちは、なぜこういう状態がこのように多数発生してきたであろうかという点について申し上げてみたいと思うのです。
 世界にいろいろな職業病、労働災害というものがあると思いますけれども、使う者の半分以上が症状を訴えるというこれほどの職業病というようなものは例がないだろうと私どもは思っております。これは、まあ労働組合流のことばで申し上げるわけでありませんけれども、この林業というのはきわめて原始的な産業であるし、また技術というのもまことに前近代的な状態が続いてまいりました。これは大げさにいえば、神武天皇時代の林業のやり方というものが昭和の御代まで続いてきたと言ってもそう違いのないくらい原始的な形であったと思うのであります。これが戦後木材の需要の急増の中で、しかも高度成長の中での木材の需要の急激な膨張、これに対応する生産体制、こういうものがいろいろと考えられてきたのが昭和二十年の後半であります。そうして昭和三十二年、三年からは林木増強計画ということで、木材の飛躍的な増産計画、こういうものが立案され、実行に移されてまいったわけであります。その後これは木材増産計画という名になり、いまに至ってもこの木材増産計画という形で続けられているわけでありますけれども、こういう中で、当然の結果としてこの増産計画に対応する林業の技術の近代化、作業仕組みの改革、機械、器具の導入、こういうものが考えられました。そういう中で、チェーンソーなりあるいは集材機なり、あるいはこういう機械に対応した作業仕組みへの変革なりということが急速に行なわれたのであります。
 一つの例をもって申し上げたいと思うのでありますけれども、この木材を切って丸太にする仕事、この仕事の量というのは、昭和二十八年を一〇〇にいたしますと昭和四十二年では一三四−三四%ふえております。これは国が国有林で自分の直雇の労働者によって直接やっている仕事の量であります。これに対して労働者の数というのはどうなっているであろうか、昭和二十八年を一〇〇にいたしまして、これは延べ人数であります、総労働量と言っていいわけであります。これで見まして、昭和二十八年を一〇〇にいたしますと昭和四十二年は二九・二%に減っているのであります。仕事の量は三四%増加をした、人間の数は二九・二%に減った。ですからこれを引き直してみますというと一単員に対する労働量というのは二一・二%にふえている。二十八年に比べれば同じ仕事をやるのに二割ちょっとの人間でやっているということに現在時点はなっているのであります。
 これは、もちろん作業仕組みの改良とか、チェーンソー、ブッシュクリーナーその他の機械の導入、あるいは薬剤の導入等々のものがありましょう。しかし、そこに働いておる国有林労働者の上に、労働密度において、労働時間において、これがはっきりした形あるいはその他のいろいろなことは抜きにいたしまして、林業労働者の上に非常に過酷な条件を押しつけてきているということは、だれもが否定できない事実ではないだろうかというように思うのであります。そしてそういうきわめて過酷な、ただ能率性だけを追求する機械の導入、器具の導入、仕業仕組みの変更ということ、それによっておそるべき労働者の肉体をむしばむこの白ろう病がこのようにたくさん発生してきておる。ここのところを直視しなければならないというように私どもは思うのであります。私どもももちろん原始的な林業の技術というものそのままでいいというようなことを申し上げるつもりはさらさらありません。近代的な産業に脱皮をしていく、当然のことでありましょう。そこで作業仕組みが変えられたり機械や器具が入れられてくる、これまた労働者を重労働から解放する、そのためにどうしても避けられない道なのであろうということも私たちも認めます。
 しかしながら、ここで特に申し上げたいと思いますのは、能率性を追求してこれらのものを考えた、そのときにそれらの機械を使っていることによって労働者の上にどういう影響が起こるのであろうかということについて、林野庁なり労働省がほんの少しでも考えてくれたのだろうかということについて、私たちはいま非常に疑問に思うのであります。当時入れてくるときに林野庁はこう言いました。手で丸太を切る昔々の方法で一升めしだと、一升めしだといっても一回で一升めしを食う、一日で三升食う、こういう重労働をやっていいと思うのか、こういう重労働から労働者を解放する、そのためにこういう機械を使わなければいかぬじゃないか、労働者が重労働から解放され、能率があがるから、その能力のあがったものは労働者にもはね返っていき、お互いに協力をして、林業の近代化を進めようではないかといって、これを入れてきたのであります。私たちも若干の危惧は持ちました。こういうものがこれほどの騒音を発し、この機械を見ましても、大体小さな機械でも五十CC、大きな機械は百CCをこえる排気量なんです。というと軽二輪車を手に持って仕事をしているのと同じことなんです。しかも、それだけの出力を出すために、きわめて小型化、軽量化されているこの機械、そのエンジンの回転振動はたいへんなものでありましょう。こういうものが一体どういう影響を与えるかということについての危惧はしましたけれども、激しい音が耳の病気を起こすのではないだろうか、つんぼになるおそれがあるのではないかという程度の心配の域を出なかったのであります。そうして林野庁のいうことを素直に聞いて、これが重労働からの解放であるという立場で私たちもこの機械を使うということになったのであります。
 さて昭和三十八年ごろに長野の管内でいわゆる白ろう現象、その他のしびれ、痛み、全身的な症状というものを訴える者が出てまいりました。これは何なのかということでいろいろと私どもなりに先生方にもお願いをして研究してもらいました。そうしてこれがチェーンソーの使用によるいわゆる振動障害というものだということが、専門家の人たちも認めるようになってきたのであります。だけどこれについてこれを労働災害保険の上での業務上災害と認定するかどうか、あるいは国家公務員の災害補償法の上における職業上の疾患というものに認定するかどうかということについてものすごい対立が生じたのであります。われわれ明らかではないかという主張をする、専門家のお医者さんたちはこう言うじゃないかと主張する。しかし林野庁なり人事院なり労働省は何と言うたか、わからぬと言うのです。それを使ったかどうか、それを使ったからそういう病気になったかどうかわからない、医学的にもわからないというようなことで何年も推移したのであります。
 しかし、その後われわれも組織的に取り組みました。政府にもお願いしまして、四十年の三月にはNHKがこの問題をとらえまして、「現代の映像」で放映いたしました。ようやく社会問題になってまいりました。当時総評と政府との定期会合もございまして、このときに私もこの定期会合に出まして、佐藤総理大臣に直接これに対する政府の善処方を要請いたしました。佐藤総理もそのときに、この問題どうなっているのかと、いろいろ私にも具体的な質問がありました。そうして官房長官、労働大臣にもこういう問題については直ちに解決をはかるということでやらなければだめではないかということを、総理もそのとき指示をいたしました。また当時の官房長官にも全林野労働組合、総評ともどもお願いをいたしました。官房長官は、その席上すぐ電話を取って労働大臣を呼び出して、労働大臣にこれに対する善処を言いました。こういうこともありました。そうして四十年の五月には、労働省がこれを業務上災害として認定するということに踏み切りました。人事院のほうはまだごたごたしておりました。しかし四十一年には、これも業務上災害として認定されるに至ったものであります。
 しかしここで私たち自体がほんとうに反省しなければならぬ点があります。それはいま参考人の先生方からも述べられましたし、また委員の先生方からの質疑の中にもございましたけれども、これが単なる振動工具を使うことによって起きる手指の障害、こういうものであって、これが全身的に神経機能が麻痺をするとかあるいは心臓とか血管などが全身的に非常な障害を受けるとかあるいは筋肉萎縮をするとか何とか、その医学的な、専門的なことはわかりません。しかし私たちが直接これを使っている労働者から訴えを聞きますときに、われわれ労働組合の指導部がこれに対する取り組み方、認識が非常に不足であった、こういう点について私ども自身が労働者に対しておわびをせんければならぬ、謝罪をせんければならぬと私どもも思います。
 そういう状態の中でいまこのような状態になっております。私はこれらの問題についていま林野庁に対して要求をして解決を迫っております。それはまず完全に予防してくれということであります。完全に予防してくれ。そこで完全に予防するということになればどうなるのか。先ほど久保田参考人も細川参考人も言うておりました。完全な予防というのは振動工具からの隔絶以外にはないであろうというふうに言っております。振動工具からの隔絶以外にはないであろう、私どももそう思います。振動工具からの隔絶をする。これは何を意味するのでありましょう。チェーンソーを使ってはいけないということ以外に隔絶する方法はないのであります。そうしなければ完全な予防というものはいまの世の中では考えられない。しかしながら私たちはいまの段階で完全に隔絶をする、使用をやめさせる、そしてもう一回手引きに返れ。このことがはたして現実の問題としてとれるかどうかという点についてはいささかの疑問を私ども自身も持ちます。しかし完全に予防する方法が隔絶以外にはないということであればこれは使用をやめる以外にはないであろうと思うのです。
 そうして完全に隔絶をするということが不可能ならば、いまの使用時間というものを大幅に規制をする、こういう措置を緊急に講じてみる、こういうことが必要ではないかということを要求しているのであります。そこで二時間以内に制限をしてくれ、こう言うております。いまもお話が出ておりましたが、二時間以内にしたならば出ないのか、これはわかりません。専門家の先生方もわからないと言うし、私どもも実際わかりません。わからないけれども、わかっていることはあるのであります。それは使わなければ出ないということであります。使わなければ出ない、これははっきりわかっております。そうして使わなければ出ないということは、使う時間が短かければ出る率も少ないだろうし、あるところ以下になれば出ないのだろうということも類推できることなんだろうと思うのです。そこで二時間以内に規制したならば出ないかどうかということはわからない。しかしこのごろ発生しておる状態の中でわからないからというていまの状態で使わして、そうしてここ一、二年のうちには使っているもの全員が白ろう症状を訴えるというような状態を見過ごしていいものでありましょうか。それは人道的にも許されないことだと思います。
 同時に私たち林野庁に言うておりますことは、いろいろな職業病の発生あるいはこれに対する災害補償、公務員の災害補償法等等は使用者の無過失な状態において発生をした労働災害、こういうものに対する補償の措置である。しかるに、これはすでに半数以上の者が林野庁の資料によっても、われわれの資料によっても、症状を訴えているということになれば遠からず全員が訴えるような状態になるだろう。言いかえれば、この機械をいまの状態で使わしておく限りにおいて、おそかれ早かれかかるものだということになるのだろうと思うのです。そうすると、これを使わしておけばかかるということが明白になっている段階で、何時間に規制したらいいかわからないから、どうやったらいい方法があるのかわからないから仕方がないではないか。このまま使えということは、そのものを食ったならば中毒症状を起こす、あるいはその薬を飲んだならば大半の者が中毒症状を起こす、副作用を起こす、生命にも影響があるということがわかっていて、それを食わすということと飲ますということと同じことを意味するのではないかというのであります。であれば、まさにこれは過失だとか何とかいう問題ではありません。明らかにこれは故意による障害ということになると思うのであります。
 ですから、私はいま林野庁にそういう状態を国の行政機関であり、かつ、われわれの使用者である林野庁がそういうことを労働者に強制をするのか、われわれの言う時間規制というものにも応じないで、わからないからいまのままでやれ、出る者については仕方がない、こういう態度に終始するならば、私はこれを故意による障害として告発をする。まさにこの状態というのは使った者の体質が特異の体質であり、たまたま偶発的にそれにかかるというような状況ではない。むしろ、かからない者が特異な体質だといわれるほどの状態ではないか。そういう状態の中でこういうことをやってくることについては、われわれは直ちにこれを緊急の対策としてやめてくれということを一つは要求しているのであります。
 同時に問題になるのが賃金の支払いの形態にあります。いまこれらの機械を使っている人たちの賃金というのは出来高払いであります。幾らやったら幾らだ、出来高を多くあげれば多く賃金が手に入るという仕組みになっているわけであります。刺激をして、それによって労働者を多く働かして、多く働かすことによって賃金がふえる。これはあたかも賃金が上がったかのごとき幻想を与えるような賃金支払いの仕組みになっているのであります。これほど問題が重大化し、これほどの発生の状況が出ているという状況の中で、まだ、こういう、できるだけ使っておればそれだけおまえの金がふえるのだからというような賃金の支払い方法を続けていく、この辺にも大きな問題があるのであります。――時間の規制、賃金支払い方法の規制、改善、こういうようなことを緊急の問題としてぜひともやってもらいたいと思うのであります。
 それから次には治療の問題であります。四十年、四十一年に治療の問題について公務災害あるいは労働災害として認定された。ところが、その認定はされましたけれども、たとえていえば人事院の通達では、こういうことが書いてある。医者が実験的にやるようなことにはそういう治療を認めてはいかぬというのでありますが、先ほどから久保田先生も細川先生も、いまの段階でいかなる治療をすることがこれをなおすきめ手なのかわからない、完全になおるか、なおらぬかもわからないということを述べておられました。専門家がどうやったらなおるか、なおらぬかわからない、どういう方法をやるのが効果があるのかどうかということについて模索の段階であると言うておられる。そういう中で医者がそういうような方法で治療をするというようなことについては認めちゃいかぬ、そういうものに金を払っちゃいかぬぞというような考え方が片方にあるとするならば、一体これは職業病と認定した、完全に治療してやるというそのことばの意味というのはどこにあるのでありましょう。ここら辺に重大なごまかしが存在をしておるのであります。
 いま時間がございませんから、いろいろな例について申し上げることはできません。まことに残念でありますが、いまでも林野庁の姿勢の中に、できるだけこういう発生率、発生数なんていうものは低いものだということを社会に与えようとする考えがあるということを申し上げなければなりません。それは先ほど久保田先生も言うておられましたけれども、林野庁が二十一日の人事院の会議において言うたのは、一万二千七百名の振動工具を使う者のうち二千六百が症状を訴えている。医者が確認したのは八百である。公務上災害と認定したのは四百八十四であると、こういう数字をそこで述べておるということは何を意味するのか。チェンソーを使う者については半分以上の者が症状を訴えているということを故意におおい隠すためにそういうようなことを言うておると勘ぐるでありましょう。こういう点が問題なのであります。またある営林局においては、この局においては非常に白ろう病の患者が多い。これは当局が悪いのでもない、だれが悪いのでもない、そういうように何でもかんでも白ろうと認定する医者が悪いのだ、こういうことを営林局の責任者が公言をしているという事実もあるのであります。こういう姿勢がありながら、どうしてこの問題に真剣に取り組んで、完全に予防する、完全に治療する、こういうことになっていくでありましょうか。まずこの辺の姿勢を改めて、ほんとうに人間尊重、労働者尊重という立場でこの問題解決に取り組むという姿勢に立ち戻ることが何をおいても先決の問題だということを申し上げなければならぬと思うのであります。
 それから最後に申し上げたいと思いますのは補償の問題であります。いま私ども国家公務員災害補償法によりますと、休んで治療に行った場合の休業補償というのは六〇%の賃金が与えられることになっております。ところが、この問題は、休んで行くといったってこれは偶発的に無責任に無過失で起きた障害ではない。かかることがわかって使わせた加害者があってのこういう障害であるのに、これに対して休んだから六〇%だということはどこからくるのでありましょうか。これはいまの国家公務員災害補償法あるいは労災保険で言うておる使用者の無過失責任における発生障害に対する補償というものとは全然意味が違うのであります。だから、完全に予防します、そのために大幅な時間規制をやります、発生したものについては申しわけないと、だから完全に治療しましょう、いまの医学で考えられるあらゆる方法をとってみて、おかされた体を元に戻すように努力しましょう、そしてその間の生活保障というものについては十分に考えると、こういうことが緊急の問題として出されてきて当然と私は思います。
 そういう意味でいまの賃金補償というものは、現行法のワクを越えてやらなければならぬものであると同時に、さらにいまの制度の中でも矛盾があります。これは必ずしも休んで治療しなけりゃならぬものでもない。だから振動工具から離せばいいのだけれども、振動工具を使わない仕事に職種がえをしたら事足りるんじゃないかという考え方が当局の中にあります。これは病を予防するという上からは当然でありましょう。しかしそうされるのは、機械を使わされて病気にかかったからされたのであります。それは責任は使わせた者にあるのでありましょう。
 ところが、いまの賃金の制度はこれは職種がかわれば、職種ごとの賃金になっております関係上、賃金がダウンをいたします。先ほど細川先生もその賃金のことを触れられましたけれども、いまチェーンソーを使って仕事をしている者がかりに集材作業のほうに移されたといたします。そうして出来高でやったといたします。そこで一万円から一万五千円の月収のダウンになります。それから、そういう集材作業という重作業もやらせられない、もっと軽度の作業にかえるということになりますと、極端な話月収が二万も三万も減るのであります。しかも、五十万、三十万という月収の中で二万、三万減るのはたいした問題ではないでありましょう。しかし、チェーンソーを使って造材の仕事をやっておっても最高五万円から六万円の間くらいの金しかとれないのです。それが月収二万円か三万円に落ちるようなものに職種がえされるという、こんなばかなことはないということが一つありましょう。
 それともう一つは、いまの補償体系の中でも矛盾があるというのは、休んで治療に行けば六割が補償されます。そうすると、チェーンソーを使って平均賃金が三千円になっておったとすると千八百円が補償されるはずであります。休んで治療すれば千八百円、休まなくていいからほかの仕事をせいと言われたときに受ける賃金は千円とか千二百円、こういうばかなことが起こるのであります。こういうような点につきましてもぜひとも緊急な問題として解決をしてもらいたい。
 最後にお願い申し上げたいと思いますのは、いま私どもは鋭意この問題を林野庁との間に労使間の問題として解決すべく努力しております。しかし、災害補償法その他労働基準法、いろいろな法律があってこれらの法律すらいま林業労働者には適用されていないというのが実情であります。そういうことからいきまして、単に労使間で解決し得ない問題がたくさんありますから、この点については、法律諸制度の改正というものと相まって、私たち林業労働者が安心して国民のために林業発展のために努力ができるような状態をおつくりいただきたい。そのために国権の最高機関である国会の権限と責任において、直ちに関係行政機関に対してこれらの措置を講ずるように助言、御指示をいただきたいということであります。
 たいへん示された時間をオーバーいたしまして恐縮であります。また、あまりのこういうきびしい、苦しい状況の中でございますので、ことばづかい等につきましても適切を欠くものがあったようにも思いますけれども、私どもの苦しい状態というものを深く御理解をいただきましてお許しをちょうだいしたいと思うわけであります。ありがとうございました。
#36
○委員長(任田新治君) ありがとうございました。質疑のある方は御発言願います。
#37
○矢山有作君 ただいま田村参考人のほうからは、国有林の合理化の実態をふまえてそれと白ろう病の発生の関係がどうあるかということできわめて詳細なお話があったわけですが、そこで私一、二点お伺いしたいと思いますのは、田村参考人のおっしゃったように、私もまたこの機械を使えば病気にかかるのだということがわかっておってその機械をなおかつ使わせる、このことは、私はおっしゃるように故意の行為というよりか、もっと言うならば、それを政府が強制するということは私はこれはいわば犯罪行為だと思うのです。そういうようなことをやらしておるということは私どもはとうてい許すことができません。しかしながら、その改善については、機械の改良の問題だとか、あるいは使用中止の問題を含めて、大幅な時間規制の問題だとか交渉をやっておられるようですが、その交渉にあたっての林野庁当局の態度というものはどういうふうな状態なのか。そして現実の機械の使用状況というものはどういうふうなことになっておるのか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
 それから次の点は、予防対策、治療対策その他にわたっていろいろの交渉をやってこられたと承知しておりますが、現在までの交渉の段階で目鼻がついておるものはどの程度になっておるのか。その点もあわせてお示しいただきたいと思います。
#38
○参考人(田村武君) 使用の実態につきましては、これまた先ほど冒頭にも申し上げましたように、その実態がどうなっているのかといういわゆる確実な資料に基づく統計その他のものはないと申し上げるのが正確だと思うのです。ただ、林野庁が調査をしております結果では、現在の一日の使用時間というのは三時間ないし四時間であるということがいわれております。それから、私どもが一々一日の時間を計測をしたわけではありませんけれども、組合員からどういう状態であろうかということを聞き取り調査をしております結果では、五時間ないし六時間、こういうことがいわれておるのであります。
 そこで、それに関連をいたしまして若干補足をいたしますと、われわれがなぜ二時間以内ということを、一応労働者が安心できる限界ではなかろうかということで提示をしておるのかということについての一つの例を申し上げますと、長野では昭和三十五年まで一台の機械に二人の人間がついて交互にこれを操作するという形態をとっておりました。私たちはこれを俗にツー・マン・ソーの形態というふうに呼んでおります。この当時は二人で一台の機械を操作しておったのでありますので、一人当たりの生産量は五・七立方メートルくらいであった。ところが、三十六年からさらに能率性を林野庁が追求する、こういう中で出てまいりましたのが、一台の機械に二人ついている必要はない、一人で一台をやらせるようにしなさいと、こういうことになって、労働者の反対を押し切って一人で使うように切りかえられました、三十六年に。この後、一人当たりの生産量は十・七立方メートル、約倍にふえました。そして、その生産コストは六九%にダウンをした。賃金のほうはどうであったのか。二七%上昇した。こういうことがいわれておるわけであります。
 そうして、ここで御留意いただきたいと思いますのは、三十五年まで、二人で一台をやっていたときにはこの症状を訴える者は出てきていなかったということであります。三十六年に一人に切りかえてから出てきた。三十八年に急激にこの症状が出てきておる。こういうことから考えまして、私たちとしては、一つの機械を二人でやって交互に使うこと。単に能率性だけで、人間はどうなってもいいなんという犯罪を犯すことは許されない、こういうことでこのところを言うておるのがいまの実態なんであります。
 それから、交渉の段階でどういうことになっているのかということであります。これについては、昭和三十九年、四十年以来、きわめて激しい団体交渉をやってきているのでありますけれども、林野庁の言い分は、お前たちは二時間以内にせいと言うけれども、二時間以内にしたら出ないという保証があるのか、一時間半で出ないのか、一時間で出ないのか、あるいは三時間まではだいじょうぶなのかというようなことが、何もきめ手になるものがないんだから、そんなことをお前たち言うのは無理なことだということであります。そうして、いろいろとその実験等もやるという話がありましたけれども、四十年以来いままで林野庁においてそういうデータを集めるというような研究は一切行なわれておらない。ことしになって私どものほうでまとめた結果がこういう状態でありますから、今月の十日からまた団体交渉をやりました。その中でも林野庁は、この態度を変えておりません。そして、しかし話はわかったから再検討してみる、こういう状態になりまして、きょうこれからまた団体交渉を再開をする、こういう状況になっているのであります。
 それから、二人で使わせなさいという言い方については、一人でいいのだと思っているから二人にする必要はない、こういう、まことに木で鼻をくくったということばがそのまま当てはまるような状態の回答で、これからいまの段階は一歩も出ていない、こういう状態であります。
 それから、治療の方法につきまして、もっと自由に医師の良心にまかしていろいろなことをやらしてみてくれと、こういうわれわれの要求に対しましても、いろいろな制約があって、そう言われてもなかなかいかぬのだというような域からまだ出ておりません。
 それから賃金の補償を、少なくとも平均賃金の相当額を補償すべきであるという言い方に対しましても、現在の補償法体系というものが、休業の場合には六〇%ということなんだからやむを得ぬ、それ以上のことはどうしても林野庁としてもできかねるという態度であります。
 それから職種がえのときに、あなた方の責任で起こった職種がえなんだから、前職の賃金を補償すべしという言い方につきましても、賃金は職種別にきめられるものなんだから、仕事が変わって違う仕事についたら、その賃金を支給するのはあたりまえのことであって、前職の賃金を補償するなどという問題ではないではないか、こういう状態であります。
 ですから言うて見れば、自分が使わしてそうして出た病気に対して、口では申しわけなかったということは言うております。言うておりますけれども、実際その際しからば、いまこういう方法を講じて、少なくともお前たちも安心して働けるような条件をつくり出すから、ひとつがまんしてやってくれ、こういうような姿勢は残念ながらいまのところありません。
 ただこの前の団交の切れ目のときに、私ども患者百名を集めましていろいろ症状を訴えさせたのであります。その中で林野庁も、申しわけなかった、本腰を入れて取り組んで何とか改善の方向を見つけ出したい、そのために時間がほしい。それから農林省としても、一林野庁の問題ではない、農林省全体の問題として、省の努力を傾けて、省全体としてこの問題解決のためには取り組んでまいりたい、こういう表明がありまして、きょうからの再開団交で、林野庁がどういう回答を示すか、ここのところを私どもはいま注目しているところであります。
#39
○足鹿覺君 おくれて来まして申しわけありません。あるいは細川先生のお話のなかにあったかとも思いますが、第一点は、この種の病気が外国において発生しておりますか、おるとすればどういう状態であるか、またその治療なり対策はどういうふうに進んでおりますか、そういう点について。
#40
○参考人(細川汀君) 久保田先生からもちょっとお答えになったのですが、いままでの学会などでは、かなりの国で発表が、報告が出ておりますし、それからことし予定されております国際学会でもそういう報告が来ておりますから、各国ともかなりこの問題は取り扱っているようですが、しかしそれは必ずしもチェーンソーだけではなしに、さく岩機とかほかのものがかなり含まれておるのです。チェーンソーに関して私が実際に見たのは、東ドイツとソ連でそういう法律をつくりまして、いろいろなそういう振動工具を使うときの労働時間規制とか、 いろいろな工具の許容度とか、そういうような規制がなされております。そうしてまた診断とか治療法とかいろいろ研究されております。また工具も、日本でいま使っておりますようなものとはかなり考え方の違ったものを使っております。
#41
○足鹿覺君 それから病名についてでありますが、私のいまいただいたこの資料で白ろう病――従来からも聞いておりますけれども、私どもがしろうととして、医学的知識は全くありませんけれども、しかし説明を聞くまでは、白ろう病というのは一体何だろう、こういう印象を受けます。先ほど久保田参考人のお話によりますと、振動病というようなおことばもございましたが、やはり病名を決定するということは、医学上からどういうふうにこの病気について御判断になり、またどういう病名をつけることがまた医学的に最も妥当であるか、それによってやはりこれはいろいろわれわれが対策を講じていく上におきましても大きな関係が出てくると思うのでありますが、それについての先生の専門的な医学上の御見解をひとつ明らかにしていただきたい。
#42
○参考人(細川汀君) 医学的にはいろんな症状が入っておるものですから、たとえばレイノー症候群であるとか循環障害であるとか末梢神経炎であるとか関節炎であるとか、そういうふうないろいろな症状が人によってかなり違いますが、全体を称して産業衛生協会では振動障害もしくは振動病と呼ぼうということに大体意見がまとまっております。ただ、いま認定上の問題になるのは、目に見える白ろう現象はかなり認めるのですけれども、しびれというようなものは目に見えないものですから、なかなかそれが認められない。しびれだけある重症患者が認定がされにくいというようなことが一つ問題があります。
#43
○足鹿覺君 先ほどのお話にもありましたように、機能障害ということで全身にいろいろな障害が起きるということでありますが、私がこの間聞いたことでありますけれども、相当壮年層にこの病気がある。いまも田村参考人からも話がありましたように、国家公務員が請け負い出来高払いというような前近代的な賃金制度のもとに労働の強化が著しい、そこから発生率が増大する。こういう現象が一つあるということは確かであると思いますが、それがまあ言いにくいことでありますけれども、血気盛んな壮年層に性機能障害があるのではないか。こういうことを私二、三の人から聞いておるのであります。これはなかなか微妙な問題でありまして、懇意な労働者にはある程度突っ込んだ話もできますけれども、それ以上これを客観的に確かめるというようなことは、これはなかなか普通の場合できにくいわけであります。しかし事実、壮年層にそういう声があるということは、相当めくってみれば悲惨な人道上のまた日本人のよりよき将来の発展のためにも憂うべき事態を含んでおるのではないか。そういうことを私は感じます。先生の御研究の中でそういったような面についての機能障害的な御所見はいかがなものでありましょうか。ただ単にこれを一つの杞憂として私は聞き流すわけにはまいらないような気がいたします。しかし、しろうとのことでありますので、何らこれを裏づける知識もなけらにゃ経験もない。医学的にあり得るのではなかろうかという気はいたしますけれども、それ以上どうすることもできない。いい機会でありますので、できる限りひとつ御所見がありましたならば聞かしていただきたい。また対策等はどういうものでありましょうか。それもあわせて伺いたいと思います。
#44
○参考人(細川汀君) ぼくも山陰かなんかでそういう話を労働者から聞いたことはあるのですけれども、特にそれについて広い調査をやっておりません。ただ、いま問題になっておるのは脊髄性あるいは中枢性の相当脳のある部分がやられるということが、脳波の研究とかそういうことからかなりはっきりしてきておりますから、そういうことを通じてあり得るのではないか。これはたとえば三池災害によるCO中毒の患者で非常にたくさんそういう性機能の喪失が見られておりますからそういう形があり得るかもしれませんが、いまのところまだ私個人がそういうことを調べておりませんので、十分なお答えはできません。
#45
○足鹿覺君 久保田参考人もこの問題等については御調査になったり、またその点について御研究になって、その御所見等はないでございましょうか。
#46
○参考人(久保田重孝君) 性機能障害について特にそれを主体にして調査をしたということはございません。一般の自覚症状を聞く場合に、そういうことも当然聞いておるわけでございますが、しかし少なくとも頻度としては非常に少ないので、現在までそれを重視したことではわれわれやっておりません。
#47
○足鹿覺君 もう一点、年齢と栄養との関係なんでありますが、壮年層にこの病気が出てそして年をとるに従って廃人同様になる。こういうことはまことに痛ましく悲惨きわまることでございますが、このいただいた資料、全林野からいただいた資料にも見受けますように、でき高払いのためにきわめて粗食のようで、外国人あたりの摂取栄養量と日本の場合は一般的にいいましてもこれは摂取カロリーが日本の場合低い。いわんやこの低賃金の中でこういう振動を伴う激務に従うに足る必要な栄養の摂取がなされてないということが、この発病の大きな素因をなしているのではないか。こういうふうにも私しろうとでありましてよくわかりませんが感ずるわけでございます。栄養の摂取状態によってはやはり疲労度にも影響いたしますし、疲労度の累積が結局病気を誘発しまた病気になるわけでありますから、そういう面から栄養上における発病との関係、治療対策、予防対策との関係、そういうようなことについて御研究になった点がありましたならばこの際明らかにしていただきたいと思います。
#48
○参考人(細川汀君) この病気はいまも御説明したように、血管とか神経とかそういうことに関係が深い病気なもんですから、血管はたん白質でできておる、神経は脂肪でできておるというようなことから、そういう栄養の問題がやはり関係があると思います。
 手のこを使っておる労働者は、私は岡山県などで調査しておりますが、大体御飯を七合一日に食っております。これは四回か五回に分けてこれくらいな弁当箱でおかずはたいてい魚は塩干魚みたいなもの、それから梅干、その程度のもので、同じ山村の中で商業世帯、勤労世帯いろいろ比べてみましても山林が一番そういう米だけはたくさん食っておりますけれども、ほかのいろいろなおかずは非常に悪い、一番栄養が少ない。チェーンソーを使いますといわゆる手のこを使っておるほど重労働ではないわけで、大体めしを五合食っておる。したがって二合分くらいはエネルギーは節約できておるわけですが、そのかわり今度は振動の影響でそういう白ろう病とかいろいろな障害が起きておる。その分おかずのほうは一向によくなっていない。同じおかずでただ米のめしが少し違うだけです。そういうことではやはり問題があるのではないか。魚をたくさん食べておる地方と、魚がなかなか山の中で入ってこない地方と比べますと、確かに発生率が違います。それだけかどうか原因はわかりませんが、少なくとも栄養をもう少し十分にとらせる必要がある。特にたん白の場合は山の中に泊まり込んでそれでやるもんですから、よけいに栄養が悪いということが言えます。
#49
○藤原房雄君 ちょっと細川先生にお聞きするんですが、まあ病気ですから軽いの重いのあると思うのですが、軽い場合には治療によって回復すると思うのですが、作業がまたもとの作業に戻ると再び同じような症状になりやすいという、そこらあたりはどうなんでしょうか。もとの仕事をするとその症状がすぐまた出やすいというような、それからこの症状がさらに重くなるとどういうような状態になるかということを聞きたいと思います。
#50
○参考人(細川汀君) いままでの経験例で見ますと、二年くらい休んでもまた元の仕事をすると病気が出てきたり、あるいは回数が非常にふえたという例はたくさんあります。したがって一たんやられると、かなり治療しても元の職場に帰るということには非常に問題があります。
#51
○藤原房雄君 それから重症……。
#52
○参考人(細川汀君) 重症者についてはまだいわゆるチェーンソーを使ってからの年度が十分でないですから十分にお答えできませんけれども、ただ、そういうチェーンソー作業者の中に非常に内臓障害を起こしているとか、あるいは最近では失語障害――ものが言えない――あるいは歩くことができないというような患者が出ておる。そういうことについて目下それと振動障害との関係についてわれわれは調査中であります。
#53
○藤原房雄君 田村参考人にお聞きしたいのですが、症状が重くて職場復帰が危ぶまれるというような方は、先ほど症状を訴えるとか何かそういう方々についての数字はある程度お聞きしたのですが、もっと症状の重いという方はどのくらいいらっしゃるのか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
#54
○参考人(田村武君) まことに申しわけないのですけれども、そういう症状の重い軽い別のデータというようなところまで集めるのにまだいっておりません。ただ、今回いろいろ私ども何とかこの機会に解決をしたいということで調査をしております中に、われわれとしてはちょっと思いもよらないような非常に重い症状を訴えているものがあるということが出てまいっております。もうこれはテレビとかなんとかということではなくて、全身にそういう状態がくる。たとえば、夏の海水浴で五分と水の中に入れば全身まっ白になる。白くなるという、結果的になることだろうと思いますけれども、それに対し痛み、しびれそれから筋肉の萎縮というのでしょうか、特に今度長野のほうから診断書を持ってきたのによりますと、私どもしろうとだからわかりませんけれども、全身の筋肉か何か萎縮をするというか退化するというか、とにかく自分の意思でもって自分の体を動かせない。たとえばこう押されて倒れかかると自然に直る、そういう働きがあるものですけれども、頭が、倒れそうだと思って直ろうとしてもその機能が働かない、そのまま倒れてしまうというようなことで、たいへんなそういう状態が出てきておる。あるいは全身ぶるぶるふるえて、そうしてとにかくどうにもならないというような状態も重い者の中には出てきておる。あるいはもう白ろう症状が出るようになりますと、燃えている火をつかんでも全然感覚がない。鉛筆とか紙というもの、軽症者でもこういうものを持ち上げるという感覚はない。重いものになってくると二キロとか三キロある重量のものを持つことができない。
 この前も訴えを聞きまして、私ども涙を流したのですけれども、自分の子供を抱こうと思って受け取ったところが、腕から手に感覚がなくて抱けなくて、受け取った子供をそのまま石の上に落としてしまって子供をけがさしたというような状態、あるいは腰から全身が痛くて夜でも家内をそばにおいて夜中じゅうもましておかなければ眠れない。あるいは医者が酒を飲んでみたらどうだと言うから、酒を飲んで寝る、寝るときには酒を飲んでいるからいいが、夜中にさめてくるというとまたもしびれ、痛みでどうにも眠れないというような症状も非常に多く出てきているということが、直接そういう患者の人たちから訴えられております。
 私どももこれからそういう詳細な調査等も私どもなりに行ないたいと考えておりますが、いまのところ残念ながら資料をもってこういう程度のものはこのくらいということはちょっとお示しできない。まことに残念でございますが、そういう状況でございます。
#55
○河田賢治君 田村さんに質問しますが、あまり適当でないかもしれませんが、機械――チェーンソー、これはいま非常に多くの方が白ろう病になるような振動がひどいということなんですが、最近機械というものは相当日進月歩しておるのですが、いいものが出ておるのか。たいてい企業者というのは悪かろう安かろうで押しつけて、そうして労働者の障害あるいは病気というようなことはあまりかまわぬという人が多いわけなんですが、こういう点で何かいまの林野庁が使っております機械は時代おくれになっていやしないかとか、さらに能率がよくてしかも労働者に害を与えない、被害を少なくするというようなものがあるかどうか、もしもお知りでしたらひとつお聞かせ願いたいと思います。
#56
○参考人(田村武君) この問題は三十八年ごろからぐっと出てまいりまして、そうして四十年、四十一年になって団体交渉をやって政府に御努力も願って、職業病に認定された。この当時の林野庁と私どもの団体交渉の中で、予防のために機械の改良というようなことを林野庁は真剣に考えてやっていく、そうしてそのためには振動数の少ない機械、それから小型軽量の機械、こういうものに改良をはかる、それから振動を防ぐための、ハンドルですね、あの、手で持つところのハンドル、あれを振動を防ぐようなハンドルに改良をする、あるいは振動をやわらげるような手袋を装着させて、それでもって振動から守るというようなことをやっていきたい、こういうことを林野庁は表明をいたしました。
 それで、私ともその振動が――機械がどうなればその振動から守れるものかどうかわかりませんけれども、振動があるがゆえに振動病にかかるのだから、振動がないほうがいいことだけはこれまた確かなんだから、重いものを保持してやるという作業よりは重くないほうがいいだろう。それから実際に山の伐採現場というのは、こう平らなところでやるというように――姿勢を悪くして使ったとか何とかじゃなくて、自然無理な姿勢でもってやらなければ仕事ができないというような状況の現場なわけですね、急峻なところで。しかも木が谷にかかったりいたしますというと、これを切るのは上から切っているだけじゃぐっと締まって、のこがとまって切れなくなりますから、こういうときは下からまたこう切らなければならぬ。そのときにこれだけの馬力数の重さも十キロから十三、四キロもあるというものを下から保持して切らなければなりませんね。そうすると勢い機械の重量、振動というものを腹で受けとめてやらなければならぬとか、こういうところに当ててやらなければならぬとかいうことが現場の中では常態として起こり得るわけですね、平らなところじゃありませんから。
 そういうようなことをやっていくのですからそれを改良するとかそういう体位についても訓練するとか言うても、それが実際にできるのか。あるいは小型にしたからよかったのか悪かったのかというようなことはこれもデータをとって見て比較検討しなければわからないことなわけですね。ところが林野庁は、前の確認をしたときから三年半たっております、三年半たって、この前の団体交渉の機械の改良についてはどうなっておるのか、あのとき軽量小型のものに変えると言ったけれども、いますべてそうなっておるのですかと聞いたら、わからない――わからないというのはおかしいじゃないかと言ったら、六六%くらいは小さい機械にかえているという答えがありました。
 さてそれじゃそう改良すると言ったのが三年半たって六六%、あとどうなんですかということが問題になるわけですね。それから直接使っている人たちの意見を聞いてみますというと、やはり小型の機械は非常にいい感じがするというのです。非常に振動も少なくていいと思う、だからその小型のものにかえてくれと、こう言う。ところがその現場の営林署では、いや、そうは言うてもこの機械はまだ耐用年数があるのだから、耐用年数が切れないうちにかえるわけにいかないのだと、こういう話でかえてくれない、あるいはブッシュクリーナーなんかでいま新しい機械が入ってきまして、非常に振動がしないような機械があるそうです。それが同じ現場に入ってくるわけですから、一人の者が振動しないものを使う、一人の者が古い機械を使うのだから、これはかえてくれというと、やはりそうは言ってもまだ耐用年数があるのだから、まあもっとがまんをしてくれよというような話で、そこら辺についてもさっぱり進歩していかないし、新しい機械が入ってくる、その中に依然として昔の大きな振動の激しい機械が、新しい機械として購入されて入ってくる。こういう現状も現場の労働者のこの訴えの中にたくさん出てくる。そういうところから、現場の労働者としては、口ではすまない、改良するということを言うても、何もやってくれぬじゃないかというような不満がたくさん出てきているということであります。
 したがいまして、結論を申し上げますと、機械を改良するといったのは四十一年であります。いろいろな方法を講じて、これならだいじょうぶだということを林野庁がやってみると言ったのが四十一年なんでありますが、ずっと見ますというと、公務災害に認定された数が四十年度は九名、四十一年度は百九十七名、四十二年度は百二十三名、四十三年度は百七十五名と、こういうように急激に公務災害に認定されるものの数がふえてきておる。そういうことからいって、はたしてそれが効果のあったことなのかどうかということも疑問に思うのですが、そういう機械にかえていなかったならば、もっと出たのがこのくらいになっておるのじゃないかということも、理屈として言えるわけでありますから、その辺実際使う人が小型で軽いものなら非常にいいというのですから、いいと思うのですが、それがまだそういう状態にあるということと、そういうものについてのデータを林野庁は当然調べて、どういうものがいいのか、やらなければならぬはずなんだけれども、それは前に確認をしてから、いままでの間、三年以上もたっておるのに、そういうデータを集めるような研究、あるいは労働時間の規制等についても、いろいろなモデル事業所を設定しての実験というようなことも一切行なわれていない。ただ、わからないからということでやはり推移をしてきておるというのが実情であります。
#57
○河田賢治君 もう一問お伺いしますが、先ほどこのような病気にかからぬために、寒さは非常にからだにぐあいが悪い、そこでバスなんかでも通勤しておられるというお話があったのですが、主として、きょうは田村さんからは労災の問題が出ておるのですが、やはりひとつの、バスで通うだけでなく、また山の中で仕事をする場合に、若干、そういう寒さを防ぐためのいろいろな労働条件、そういうようなものをお出しになっておるわけですか。それともまた、林野庁がこれに対して小屋を建てるとか何とかいうようなことで、そういうことはありましたか。ちょっとそこら辺だけを簡単にお願いをします。
#58
○参考人(田村武君) 寒さから防ぐというようなことについては、林野庁は前から言っておったわけでありますが、これについては何らの具体的な方法が講じてきておりませんでした。作業衣を着せるとか何とかいうようなことについても、やってみたらどうかというような状態で、具体的な施策がなかったのですけれども、今度林野庁ではそういう点について、防寒の作業衣、全身を防寒するための作業衣について、営林局で研究してやってみたらどうか。あるいは防寒の手袋についてそういうものをやってみたらどうか。あるいは休憩時間に食事をとる、あるいは休憩するときに、採暖施設のある休憩小屋を設けて、そこに来て全身の保温をとって休むというようなことについても考えよ、あるいは、そこに集まれないような作業場の状態のときには天幕を張って、できるだけ寒冷から防ぐような方法を講じなさいというようなことをやるのだいうことを林野庁は言うておるわけでありますし、御存じでございましょうけれども、山の中で、ああいう状態で仕事をしているわけでありますから、そういうことは口では言えるけれども、現実の問題として効果を期待するような方法でやられるのかということになってまいりますと、その点では非常に疑問があるというように私どもは考えております。
#59
○委員長(任田新治君) これをもって参考人に対する質疑を終わります。
 参考人各位に申し上げます。
 本日は長時間にわたり、貴重な御意見を賜わりましてまことにありがとうございました。重ねて厚く御礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
 それでは続いて政府当局に対し、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#60
○矢山有作君 参考人に意見を述べていただいたり、質疑で非常に時間をとりましたが、ただいまの参考人の意見等を参考にしながら、この白ろう病の問題を中心にしてお伺いしてみたいと思います。
 第一にお伺いしたいのは、労基法施行規則第三十五条の第十一号、それから人事院規則一六−〇の十条による別表第一の四十四、及び疾病の発生状況というものをまず御説明願いたいと思います。その説明を願う場合に、この疾病にかかって認定を申請しておる件数、それから認定をした件数、さらに認定を申請中のもの、こういったように分類をしてお示し願いたいと思います。
#61
○政府委員(和田勝美君) 振動障害によります基準法の施行規則第三十五条関係について、昭和四十一年八月三十一日調べについて申し上げますと、業務上として認定しましたものは八十八件、林業関係がうち五十七件、鉱業関係が二十三件その他八件、こういう内訳でございます。認定外といたしましたものが五件、当時におきます調査中が一二十六件、以上でございます。
#62
○政府委員(島四男雄君) ただいまの認定の数は、これは林野庁当局からお答えいただいたほうがよろしいかと思います。
#63
○政府委員(片山正英君) 先ほど先生のお話にありましたように、従事者総数が一万二千七百でございますので、その中といたしましては、伐木、造材関係が約三千名、機械造林、すなわちブッシュクリーナー扱いが七千九百人、その他が千八百人、したがいまして一万二千七百名、これが従事者数でございますが、訴え者数は伐造については千七百名、ブッシュクリーナーのほうが六百名、その他が三百名でした。合計で二千六百名でございまして、なお公務上の認定が伐木、造材が四百六十名、ブッシュクリーナーが二十四名、合計いたしまして四百八十四名、以上でございます。
#64
○矢山有作君 次にお伺いしたいのは、この林野事業に携わってチェーンソーあるいはブッシュクリーナー等を使っておるこの労働者数、これは国有林の場合にはいまお示しいただきましたが、民有林についてお示しいただきたい。
#65
○政府委員(和田勝美君) 労災保険適用状況で申し上げますと、四十二年度におきまして、適用労働者数は二十九万三千百九人でございます。もちろん林業といいますのは、製薪炭業、材木伐採業、伐出業、その他の林業全部を含めまして、いま申し上げた数字でございます。
#66
○矢山有作君 このブッシュクリーナーあるいはチェーンソーの使用台数は林野庁の場合には、国有林の場合にははっきりいたしましたけれども、民有林の場合が不明なんですが、民有林の場合は大体どの程度使っておるか、おわかりでしょうか。
#67
○政府委員(片山正英君) 私のほうで四十三年三月三十一日現在で一応調べたわけでございますが、概数でございますが、チェーンソーにおきましては民有林関係七万五千四百台、ブッシュクリーナーにつきましては四万八千三百台、以上の状態であります。
#68
○矢山有作君 いまちょっと誤解しておりましたが、国有林のブッシュクリーナー、それからチェーンソーの使用台数、これを言ってください。
#69
○政府委員(片山正英君) 先ほどのは民有林でございます。国有林につきましてはチェーンソーが五千三百台、ブッシュクリーナーが一万二千七百台でございます。
#70
○矢山有作君 いまの御説明によりますと、国有林の労働者と民有林の労働者でこうした振動器具を使っておる者の数というものは、その間にはたいへんな数の開きがあるわけです。さらに、チェーンソーなり、ブッシュクリーナーの使用台数といたしましても、これは格段の相違があります。ところが、いわゆる白ろう病の認定を受けた者の数あるいは認定を申請しておる者の数等を見ますと、これまた格段の大きな開きがあるわけです。私どもは、やはりそうした振動工具の使用台数が多ければ、常識的に少ないよりもそうした白ろう病等の発症は多いのではないかと考えるのが常識であろうと思います。ところが、こういう逆の現象が出たという理由はどこにあるのでしょうか。
#71
○政府委員(片山正英君) なかなかその原因がむずかしいわけでございますが、林野庁なりで判断いたしておりますのは、御存じのように、民有林は非常に所有が零細でございます。したがいまして、そういうものの伐出、その他の単位というものは比較的小さいということが考えられる。それが第一点じゃなかろうかと思います。
 もう一点は、最近私、民有林の関係を若干統計という意味じゃなしにお伺いしているわけでございます。大体、民有林は単独の伐木夫というような形で作業を進めるということがだんだんなくなりまして、いわゆる総合した職種の中で進めておる大きな民有林の事業についてはそういうような傾向がある。したがって、単独なる伐木という形でなしに作業を進めておるという、いわゆる総合職種の中で進めておるということがその発症を防止しているということではないだろうかというふうにも判断いたしております。
#72
○矢山有作君 よくわからないですが、要するに伐木にチェーンソーやブッシュクリーナーを使って従事しておるその度合いといいますが、その数といいますか、量といいますか、そういったものが国有林より少ないということなんですか。
#73
○政府委員(片山正英君) 伐木夫といたしまして朝から晩までやっておるという作業のしかたじゃなしに、伐木もやり、かつまた集材をやり、そういうような形で進められておるのではないだろうかというのが一点。それから、もう一つは概数で申しますと、チェーンソーが国有林が五千三百に対して民有林は七万五千、ブッシュクリーナーが国有林一万二千七百に対して民有林が四万八千、非常に多いわけですが、生産量で申しますと、国有林の生産量は大体全体の一割五分ぐらい、概数でございますけれども、一割五分になっておるかと存じます。あとは民有として作業をしておるというような形だろうと思います。
#74
○矢山有作君 林野庁の考え方はわかりましたが、労働省のほうはこうした大きな開きがあることに対してやはり林野庁と同じような御意見ですか。
#75
○政府委員(和田勝美君) 労働省としましては、いま林野庁長官から答えられましたことは、それはそのとおりだろうと思いますが、それ以外におきましては、組織化の問題その他の問題がありまして、一般的に出にくい事情もあるのではないかと、これは全く推測でございますが、推察をいたしております。それに対しまして林野庁のほうは組織化が進んでおりますので、そういう面の差異が出ておるのではないかと、かように考えます。
#76
○矢山有作君 労働省のお考え、一部そういう点は私はあると思うのです。ところが私は常識的に考えて、これだけ大きな民有林と国有林との開きがあるというのは、民有林の労働条件というものも組織化の問題と比較しながら、やはり考えてみる必要があるのじゃないか。つまり労働条件がきわめて劣悪な点があるのではないかと思うわけです。私は国有林の林野事業において労働対策が十全だということは考えておりません。ところが、それよりもまだ、民有林については非常に不十分な点がある。これらの総合的なからみ合いの中から発症がおそらく私は多いだろうと思うのです。多いだろうと思うが、申請したり、あるいは認定したりする件数が非常に少なくなってくるのじゃないか。その点はやはりチェーンソーとこの白ろう病との因果関係というのが明確である以上は、しかも、この増加の状態も、国有林に見られるようにきわめて急激に増加しておる。そういう状態で考えるなら、労働省は、民有林の問題についても、もちろん林野庁もそうですが、その実態を把握することつとめられぬと、どうも実態がわからぬからということですましておったのでは、これは国として白ろう病対策に本格的に取り組む姿勢が出てこないと思う。そういう点で、労働省が中心官庁ですから、さらにまた林野庁としてもどういう見解を持っておられるのか。本格的にこの実態を究明する姿勢があるのかないのか、私はそれをお伺いしたい。
#77
○政府委員(和田勝美君) いま矢山先生御指摘のような事情が全くないということは申し上げられないと思います。そういういろいろの事情もあろうかと思いますが、先ほど林野庁長官からお話がありましたように、要するにこのチェーンソー使用がどれだけ俗に白ろう病といわれているものにつながるか。これは相当使用時間等にきわめて影響が深いことは、先ほどから参考人の方もお話しになっておりました点でありまして、そういうようなことが作業の実態とのつながりから、なかなか民有林の場合出にくい事情があるのではないか。かように考えます。しかし、御指摘ありましたように、私どももいまのところ正確にその実態を把握するに至っておりませんので、ただいま実は私どものほうで、予防に関する学識経験者による研究会をきょう第一回をやりましたが、これを続けてまいりますが、次回、二回目には関係労働者の方の意見及び経営者側の方の意見を聞く機会、研究会を持つ予定になっております。そういうところの実情を伺った上で研究会とも打ち合わせをした上で、実態調査の必要も出てくるのではないかと、かように考えておりますが、そうなりましたならば、監督署のほうを使いまして実態調査もやって、どういう事情が民有林の場合あるのか把握をするようにいたしたいと考えております。
#78
○矢山有作君 まあ、今後一生懸命やろうということですから、それは、その限りにおいては、私は了承いたします。しかしながら、少なくとも職業病に指定されて数年たっているわけです。これが大きな社会問題として、先ほどお話しに出ましたように、報道関係にも取り上げられたのはもっと前から取り上げられていたわけです。そうすれば、私は、労働省としては、そうした問題について、もっとすみやかにその実態を究明する努力があってしかるべきだったじゃないか、こういうふうに思うわけです。それが、きのうですか、やっとそうした研究会を開くというのでは、あまりにも私は怠慢だと思います。しかし、過去のことを責めてもしかたがないので、これからは、これだけ大きな問題になりつつあるわけですから、私は、積極的にこの問題に労働省としても取り組んでいただきたい。そうしないと、林野庁にまかしておったのでは、これの対策をあらゆる面から完全に立てることは、私は不可能だろうと思います。ですから、そのことを申し上げておるのであって、ぜひ真剣に実態を把握することにつとめていただく。実態が把握できないのに対策が立つわけがありませんから、そのことを強く希望いたしておきます。
 それから、続いて林野庁にお伺いをしたいのですが、私がいただいておる資料から見ますと、各局別の資料です。ということは、まあ地域別と言っていいと思うのですが、その地域別に見て、白ろう病の発生の状態がそのチェーンソー等を使用されておる人員との比較において、きわめて大きな差があります。この大きな差があるその原因は何であるとお考えになっておりますか。いままで実態を調査してこられた中で結論が出ておるならば、それをお示し願いたいと思います。
#79
○政府委員(片山正英君) 私のほうでもレイノー現象に対して調査をいたしておりますが、われわれ一般論として学識経験者の方から伺っておりますのは、寒冷地帯において、あるいはそういう寒い場所でやることが非常にレイノー現象に影響があるというふうに伺っておるわけであります。しかし、今回調べました実態におきましては、秋田、青森、高知、熊本、こういうところに主として出ております。北海道におきましては、比較的少ないわけでございます。その辺が那辺にあるのか。あったかいところにも相当出ております。どこにあるのか。従来、まあ寒冷ということの前提だけでは判断できないいろいろな問題がある。そこで、じゃどういう原因かということは、実はなお検討して、あるいは研究をお願いしておる段階でございますが、そういうようなことから、われわれとしましても、予防対策というものも十分検討した中で、実は、長官通達として現在出しておる状態でございますが、ほんとうの原因というものは、実は、よくわからないというのが現状でございます。
#80
○矢山有作君 まあ先ほどの参考人の話しによると、おっしゃるように、寒冷地帯で多く出るだろう、こういうような話が中心だったように思うのです。ところが、先ほどもおっしゃったように、それよりも逆な現象が起きているのですね。あったかい地域においてむしろたくさん発生しておるこの原因というものは、ほんとうに科学的に究明しなければ、私はこの段階で速断はできないだろうと思うのです。しかしながら、ごく常識的に一般的に考えてみると、たとえば北海道のような、冬、雪が非常に積もって作業のできないところと、それからそうでない、雪が積もらないで冬でも作業のできるところ、つまり、作業期間の短いところと長いところ、さらに作業時間の長いところと短いところ、そういうところにも一つの大きな原因があるのではないか、こういう感じがしておるわけです。
 さらに、山田さんでしたか、の研究の調査の結果を私は読んだことがあるのですが、山陽と山陰とを比べてみると、山陽のほうが発生件数が多いというデータが出ております。そのときにその方が言っておられたのは、いま言いました作業時間の問題さらに栄養補給の問題等も大きな原因になっておるのじゃないか、こういうことも言っておられました。その他いろいろな原因が考えられるわけです。
 しかしながら、私は、林野庁としては、少なくとも自分が国有林の直接の担当機関ですから、そうして公務災害として指定されて数年たっておるのですから、その間にもうちょっとまじめに私は研究に取り組むべきじゃなかったかと思うのです。林野庁みずからが自分が主管官庁であって研究に取り組まない、そういう姿勢の中から政府全体がこれに真剣に取り組むという姿勢が出てくるわけがない。そういう点では私は林野庁の責任はきわめて重いと思うのです。そういう点について私は林野庁当官にきびしく自己批判をしてもらいたい。そうしてその上に立って本格的な調査をやるのかやらぬのか。さらに林野庁はそうしたことの専門的な機関じゃありません。したがって、この実態を究明するためには、私は林野庁だけではできぬと思う。あらゆる国の関係機関が総合的な調査に本腰で取り組まなければだめだと思うのですが、それにいたしましても、当面の主務官庁は林野庁ですから、国有林については私は真剣に取り組んでもらいたい。さらに民有林関係等については、先ほど労働省に申し上げたとおりです。その点の御見解を伺いたいと思います。
#81
○政府委員(片山正英君) チェーンソーを使いましてすでに非常に年月もたっておりますが、その解決策というのが見出し得ない現状については、まことに申しわけなく思っておるわけでございます。しかし、林野庁といたしましても数年前から専門の方、あるいはその方面の研究者にいろいろ委託をいたしまして、この問題は研究をしていただいてきたわけでございます。そこで、それらのものはまだ完全という意味の解決策ではございませんが、先ほど申しましたように、幾つかの打開、考え方を出しておるわけでございます。
 御承知のように、第一点は、やはり振動数の少ないチェーンソーを使う。これは何としても必要でございます。そのために従来使っておりましたチェーンソーに対しては防振装置というものを全部取り付けたわけでございます。そうしてさらにそれを更新していく場合には、だんだん研究も積まれた新しい振動の少ない機種にかえていくということ、具体的に申しますと、小さな小型のものが比較的いいと、こう言われております。しかし、ものによってはいろいろ違うかもしれません。まあそういう方向でこれに切りかえていくという形をとっておるわけでございます。大きいものにつきましては、防振装置というものをつけまして現在やっておる、こういうことが一つの方向として出しておるわけでございます。
 それからもう一つは、やはり使っていきます作業のあり方に問題がございます。御承知のように、普通の一般のノコギリでも、切れない歯のノコギリをぎりぎりぎりぎりやれば、なかなか力が要って、そうして能率はあがらぬし、からだがこたえる。同じような意味でチェーンソーに対しましても目立て等の業務が必要でございます。これらの指導、あるいはこれらの労働者の方の御協力、そういう形でこれを切りやすい形に、力で切るのでなしに、機械そのものが切っていくわけですから、そういう切りやすい整備ということをお互いに指導し、またそれを守っていただくということにわれわれも今後力を注いで御協力をいただくようにしなければいかぬというふうに思うわけでございます。
 それから先ほど申しました防寒に対する対処、これがたとえば手袋であるとか小屋であるとか、そういうものは整備してまいりたい、こう思っております。
 それからもう一つは健康管理がございます。これもすでに山に入るとき、あるいは春秋二回、こういうものは健康管理をいたしまして、これはなかなか予知するということが非常にむずかしいものでございますけれども、そういうことで万全を期してまいりたい。
 さらにもう一つは、一番問題になっております作業時間という問題がございます。これにつきましては、現在、二時間とか、いろいろな問題がございますが、われわれとしましてもその作業時間を短縮する。したがいまして、やり方としましては一月ごとの交代制にするとか、あるいはそういうような交代制等も考えまして、そうしてその総合した、でき得べくんば伐木だけで全部作業をやっていくということの従来の行き方、これはチェーンソーの場合、大体そうだったのです。専門家でなければなかなかできないというようなことから伐木だけでもうすべてやる。こういう行き方は民有林を見ますと、だんだんそれは総合されてきているということでございます。国有林についても当然それは総合した職種にだんだんいかなければならぬというのが今後の方向であろう、こう思っております。したがいまして、そういうものも含めまして、組合とも十分話しまして円滑に進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#82
○矢山有作君 そういうような部分的な改善を重ねてこられたけれども、一向にこの白ろう病の発生が減っておらぬわけです。先ほど参考人のお話聞いておられて御存じだと思うし、あなたのほうでデータがあるから御存じだと思うのですが、むしろ急激にふえておるわけです。そうすると、そういう部分的な改善方策だけでは対応できないような根本的な問題があるんではないか、私はそれを言っているわけです。その根本的な問題に取り組まずして、部分的な改良だけを林野庁だけでやってみたところで――それは必要です、ぜひやらなければなりませんが、それだけでは根本的な解決にならぬのじゃないか。
 たとえば、先ほどの話を聞いておりますと、予防の徹底的なきめ手というものはない、治療方法も不明である。そういうような状態のときです。そうするならば、私は、あらゆる状況からしてそれを総合した総合的な調査が要るんじゃないか。特に振動工具を使った場合、それが労働者の人体にどういう影響を及ぼすかというような科学的な立場に立った、医学的な究明も要るんじゃないかと言っているわけです。それをやらなければ、いまの部分改良を続けていくことは賛成です。やっていただきたい。しかし、それだけでは根本的な解決にならぬということが過去の経過で示されておるわけです。私は今後の姿勢を聞いておるのです。むしろ国有林の直接管理に当たっておられる林野庁がいままで自分がやってきた経験の中から一向に事態が改善されない。事態が悪化の方向に向かっておるとするならば、むしろ林野庁が積極的に根本的な調査を呼びかけるべきだ。そうして国有林労働者の労働条件が改善されることが、同時に民有林労働者の労働条件も改善されるということでしょう。それをさぼっておって、部分的改良だけで足れりとする姿勢に私は間違いがあると思う、そういう点どうですか。
#83
○政府委員(片山正英君) 先生御指摘のとおりでございます。先ほど言い忘れたような気もいたしましたが、われわれ今後の問題といたしましては、当然その抜本的な研究調査、それによる対策というものを進めてまいらなければならない、こう思っております。機械におきましてもしかり、作業の仕組みにおいてもしかり、そういう問題を基本的に研究して、この発生を防止するということにつとめたいと思います。
 なお、御参考までに、いまのチェーンソーの振動工具でございますが、機械といたしましては日本にはなかなか適用できないと思いますが、外国のあれを見ますと、いわゆるツリーフェラーという油圧式の伐倒機がございます。ちょうどはさみのでかいようなものがついてそれで切るというようなものでございます。これは平地林くらいしか適用できないようなこともございますので、そういう基本的な機械のあり方等も含めまして、今後研究してまいりたいと思います。
#84
○矢山有作君 私はきょのところは、そういう抜本的な、総合的な研究をされる、じゃあどういう考え方のもとに具体的にどういう機構のもとにそれをやっていこうとしておるのかということまで聞きたいわけですが、もしその構想があるならば聞かしていただきたいし、なければきょうはあえて追求いたしません。しかしながら、きょうの委員会でそうした抜本的な、総合的な調査をやると言われた以上は、いままでのように、やるやると言ってやらないで済ましていたということでは済まされないということを考えていただきたい。もし具体的な根本的な調査の構想があるならばお聞かせいただきたい。なければいま私が申し上げたようなことを心にとめて、真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。
#85
○政府委員(片山正英君) 抜本的な方向につきましては現在検討中でございます。今後とも具体的な問題として、ここでお話しするようなものにはまだまとまっておりません。そういう形で今後ぜひ検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
#86
○矢山有作君 真剣にそうした徹底的な調査をやろうということですから、きょうのところは私はそのお考え方の表明を信頼をいたします。とても林野庁だけではできぬということははっきりしておるんですから、したがって、関係機関と連絡を持ちながら、林野庁がむしろ先頭に立って、ということは農林省が先頭に立ってこの調査に手をつけていただきたい、そうして調査に手をつけると同時に、この対策というものの確立を早くやっていただきたい、先ほどのお話しのように、従事者の半数以上の者が症状を訴えておるというような異常な状態なんです。異常な状態に対応するためには異常な敏速さをもってやはり研究に着手し対策の確立に着手することが必要だろうと思うのであります。
 次にお伺いしたいのは、チェーンソーを使用するということがいわゆる白ろう病の原因であるということが明らかになっておる、しかも先ほど来参考人の御意見のように、この白ろう病の予防対策としてのきめ手はチェーンソー等を使わないということ以外にはないと、こう言っているんです。そうするならば、人間を大切にするという立場からいうならば、佐藤総理が口ぐせのように言われる人間尊重という立場からするなら、私は人体に害のない、疾病を起こさないような機械が開発されるまでは使用すべきでないと思うのです。それを、開発改良のほうはたいして真剣に取り組まないでおいて、そうしてこの使用を中止することはしない、使用についていろいろの問題が起こった場合には、むしろそれを使って作業をすべきだというような作業命令的なことまでやっておるというのでは、これは私は林野庁の責任はきわめて大きいと思う。そういう点から林野庁が、政府がみずから先頭に立って病人をこしらえているんだという非難を受けないためには、私は機械の改良ができるまでは使用を中止するというのが当然だろうと思う。この立場で私は人間尊重というそういう立場を踏まえて御答弁を願いたいと思います。
#87
○政府委員(片山正英君) 現在国有林といわず民有林といわず、いわゆる世界各国におきましても、チェーンソーというものは一つの木材生産になくてはならないものだというふうに私はなっておるんじゃないかというふうに解釈いたします。なおまた世界の情勢は全部把握しておりませんし、民有林の姿もほとんどは正確には把握できていないというのが実態かもしれませんが、それほどこの問題が、白ろう病現象が非常に多いということは実は聞かないのでございます。したがいまして、わが国における国有林においてなぜこう多いのだということの原因を究明しまして、なるべくそれでない形をすみやかに打ち立てていくということこそ大いにやってもらいたいというふうに思うわけでございます。ただいま申しました時間制限の問題等もございます。われわれとしましてもそういう問題との関連におきまして十分判断して、そういうふうにならないような形をわれわれはやってまいりたいと思いますが、ただ原因が何かというのが非常に不明確だというところに問題がございますので、先生おっしゃるように、禁止をしてしまえという形には、林業生産の実態から見ますともう少し検討がむしろ要るんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#88
○矢山有作君 私はことばじりをとらえるわけではありませんが、白ろう病の発生の原因はチェーンソーであると、こういうことは大体――大体じゃない、もう解明されたことなんでしょう。それをいまさら白ろう病の原因はチェーンソーに原因があるのかどうか不明確だとおっしゃるということになると、これは私は、この問題の解決のために林野庁が真剣に取り組む姿勢がないと断定せざるを得ないのですが、少なくもチェーンソーと白ろう病との間には切り離せない関係があるんじゃないですか。いまのことばはちょっとおかしいですよ、原因が不明確ということは。
#89
○政府委員(片山正英君) たいへん御指摘のとおりむずかしい問題でございます。原因が確かにチェーンソーにあるということは言わざるを得ないと思います。ただそのチェーンソーの使い方、あるいはそういう作業仕組みのあり方、そういうものが是正されることにおいてこれは解決ついていくのではないかというふうに判断しておるということでございます。
#90
○矢山有作君 そういう御答弁ならそれでいい。ところが、チェーンソーが原因であるかどうか不明確だと言われるということになると、私どもは林野庁が立てておる基本的な立場を疑わざるを得なくなる。それはチェーンソーが白ろう病発生の原因だと認められて、その上に立って対策をお立てになる、こういう姿勢なら、私はそれでいいと思います。ただ、その前に、先ほども申しましたように、このチェーンソーの使用が白ろう病発生の原因だというのなら、これは少なくとも政府ですから、国家ですから、それがその原因の明白な機械を使わしておって、そして発病状態をどんどん進めておるというのは、これはおかしいと思う。これはどうしても解せない。しかしながら、あなたはチェーンソーの使用は世界的常識だとおっしゃる。世界的常識だとしても、その世界的な常識であるチェーンソーを林業に使うことによって労働者のからだがむしばまれていくというのであれば、一体その世界的情勢を重く見るのか、人間の命を、健康を重く見るのか、どっちなんですか。私は人間の命と健康を重視すべきだと思う。使用が世界の常識になっておるとか、あるいは使用をしなければ能率があがらない、そういうようなことで人の命を犠牲にすべきではないと思っている。その基本的なあなたの考え方を聞かぬと次のあなたへの質問がしにくくなる。
#91
○政府委員(片山正英君) 先生おっしゃるとおり、からだがその使用によってむしばまれていくということをわれわれは是認しておるわけではございませんが、あくまでも防止しなければいけないということを基本的に考えておるわけでございます。
#92
○矢山有作君 この問題に対処する基本が人間の命を大切にすることであるということをあなたは明言なさった。そして現在の実情からしてチェーンソーの使用の完全中止ということはこれはむずかしい、こうおっしゃる。であるならば最小限度時間の規制は大幅にこれをやるというのが、あなたの言われる人間の命を大切にするということから出てくる最低限度の私は答えだと思うんです。そうするならば、労働者諸君の要求しておるように、二時間に時間規制をやっていく、それをあなたは断行する決意ありますか。そうでないと、先ほどおっしゃった人間の命を大切にするというあなたの基本的な立場を、また私は疑わざるを得なくなるわけです。
#93
○政府委員(片山正英君) ただいまの時間の二時間という問題ということを中心に先生おっしゃっておりますが、私はいわゆる交代制とかそういうものを通しましてその問題を達成していきたい、直ちにこれは一方的にできるものではございませんけれども、先ほど申しました総合的の措置、伐木だけをやってすべてをするということじゃなしに、伐木もやり集材もやる、そういう形で、伐木だけの時間というものを制限していく、あるいはそうならないようにしていくということの達成こそ必要なんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
#94
○矢山有作君 伐木だけでものを処理していかないということですから、まあいわば時間を規制をして、チェーンソーを使って伐木する作業、それからまたそのほかの作業、それを一人の労働者に対していろいろと組み合わしてやると、こういう意味なんですか。
#95
○政府委員(片山正英君) そのとおりでございます。
#96
○矢山有作君 そうすると、私は時間規制を、たとえば二時間なら二時間とやったところで作業の遂行上、別に支障はないのじゃないですか。私は先ほど来の参考人の話を聞いておって、二時間という規制をするならば、発症がなくなるというようなことについては、私は疑問を持っております。しかしながら、長時間の使用よりも短時間の使用のほうが人体に対する影響が少ないということも、これまた常識的なことだろうと思います。そうして林野庁当局は現在のチェーンソーの使用時間を大体三時間ないし四時間だと、こう言っておられるわけです。そうするならば、三、四時間使っておるチェーンソーの使用を、私は労働者諸君が自分が現場で仕事をするその体験の中から割り出して、二時間程度ならといって大幅な譲歩をしておるわけです、譲歩を。そうするならば、二時間という規制を認めて、そうしてあなたのおっしゃるような伐木だけでないほかの仕事とからみ合わしていったら、それでいいんじゃないですか。何も私はその時点で二時間にこだわる理由は一つもないと思いますがね。二時間やれないとかどうとかこだわるその長官の立場がおかしいと思います。
#97
○政府委員(片山正英君) いまの二時間という問題でだいぶ議論になっておりますけれども、たとえばいま詳細に調査したものがないわけでございますが、現在林野庁が、三時間程度、チェーンソーが実際問題として使われておる。こういたしますと、私が先ほど申しましたたとえば一月間ごとに交代をするということでございますと、総合いたしますとそれは半分になるわけでございます。三時間ということであれば一時間半という形に相なるわけでございます。したがいまして、そういうような総合して、これらのことが軽減していく。二時間という問題にきめ手があるのじゃなしに、そういう総合した中でわれわれはこれを解決していきたい、そう思っておるわけであります。
#98
○矢山有作君 いいことを承りました。現在、林野庁の調査は三時間−四時間、組合は四時間ないし六時間、こう言っておるわけです。三時間−四時間という林野庁のチェーンソーのいまの使用時間を半減させていくということになれば、交代制をやればこれは半減できる、だから何もどんずばりと正面から規制時間二時間と打ち出す必要はないだろう、こうおっしゃる。ということは、先ほど前者との関連で考えるならば、交代制を導入して実質的に二時間になるはずなんです。これは私は一つの方法だと思う。
 ところがその場合に問題が出てくると思うのです。その交代制をとった場合の賃金はどうなりますか。これは私は一つの問題点だと思います。その問題が解明されないで、交代制だから、最初のたとえば一カ月はチェーンソー使わしたからチェーンソーを使うものの賃金を払おう。次の一カ月はチェーンソー使わせなかったから賃金を切り下げてチェーンソーを使わないそれに相応する賃金を払おうというのでは、これは話になりません。その点どうなんです。
#99
○政府委員(片山正英君) 先生御指摘のとおり、確かに賃金が非常に問題だと、私は実は思います。ところで実態をちょっと申し上げますと、なるほど伐木、造材の賃金というのは、いまの林業の賃金の中で一番高い賃金でございます。そのほか集材あるいは造林夫はそれよりずっと以下でございます。したがいまして、伐木造材夫、集材夫になるということにおきましては、それだけ確かに下がるというふうに考えられます。
 ただ私たち、いつも思いますのは、いまの林業の賃金体系というのは非常に職種が複雑でございまして、伐木から集材から造林から、それぞれの賃金が違っております。これはできれば全部というわけにはいきませんが、だんだん機械その他が総合されてきている姿におきましては、なるべくなら統一していきたいというのがわれわれの念願でございます。ただ問題は、高い賃金と低い賃金があった場合、仕事が高い仕事と低い仕事があって一緒にやっていくという場合の賃金体系はどうかということを理論的に考えますと、やはり低い賃金と高い賃金の総合平均、加重平均というようなものが一応賃金体系の姿に出てくるのではないだろうか、それは高い賃金に下の賃金を全部上に上げてしまえということはなかなか言うべくしてできない。しかし、その辺は賃金改定もやっておるわけでございますから、そういうような中で打開をして、そうして仕事というものを総合して、かつ賃金も総合してやっていくようにお互いに協力いただければというふうな形でお願いしておるわけでございます。またわれわれもそれを念願しておるわけでございます。
#100
○矢山有作君 まあチェーンソーを使って作業しておる人の賃金は最高だということは私も知っております。ところがその最高というのは、世界的に見たらきわめて低い水準なんですね、これは。だから交代制が導入されて、いまたしか千四百円と聞いておりますが、交代制が導入されて実質の賃金収入が下がるようなことになったのでは、これはそうでなくてもいま国有林労働者の賃金が、あなたも高いとおっしゃらぬと思う。低いとおっしゃると思う、むしろ。その低賃金の中で交代制によってさらに賃金が切り下げられるのだということでは、これは話になりませんよ。だから、たとえばいまのように非常にこまかく賃金を分けておる場合に、大まかに統一されるという考え方が一つ示されました。大まかに統一されるにしても、現在の最高の賃金を下回るような統一のしかたをして、それを労働者に押しつけるというのでは間違いだ。なぜかというと、チェーンソーを使用すれば病気になるのですから、それを私は前提に言っているわけです。それでその発病を防ぐために機械の使用を中止するのが人間の命を大切にするという立場からいうならばほんとうだ。ところがそれはできぬとおっしゃる。できぬとおっしゃるから、時間規制をやりなさいと私は言っておる。ところが、どんずばりと一日の使用時間を二時間に規制するということは、どういう関係か知らぬが、やりにくい。そこで交代制を導入すれば、結局いまのチェーンソー使用時間を半減させることになるから、それを考えようとおっしゃる。そういう道筋をたどっていくならば、私はチェーンソーを現在使っておるよりも賃金が少なくなるような形での交代制というものは認められないというのです。だから統一的な賃金、いまの小さく分かれておる段階を、全部統一しないにしても、あなたのおっしゃるように段階を縮めるということもできるでしょう。そういう意味の統一もあるでしょう。しかし、いずれにしても賃金の切り下げにならぬという保証をここでしていただかないと、私は交代制よろしゅうございますというわけにはまいりません。どうなんですか。
#101
○政府委員(片山正英君) 先ほどもちょっと申しましたように、伐木、造材の賃金というのは非常に高いわけです。私手元に持ってきておりませんが、常用定期の平均月額でございますが、おおむねたしか七万円ぐらいになると思います。ところがそれ以外の職種では、非常に低い職種におきますとやはり三万五千円ぐらいになろうかと思います。したがいまして、そういうような形で、われわれはやはり今後の方向としては、そういう同じ林業に非常にアンバラのある姿は非常にまずいじゃないか。全部が全部とはいわなくても、少なくともそういう複雑な体系じゃなく統合していきたい、こういう念願で私は言っておるわけでございます。
 ただ、先生おっしゃるのは、伐木造林手がそれ以外になった場合にはやはりそれなりに若干減るのじゃないか、それではけしからぬ、こうおっしゃることはあるわけでございます。しかし、われわれは格賃――その人の日給、格賃というものについては大体考えてまいりたい、検討いたしたいと思いますが、問題はその人が出来高で収得する賃金がございます。格賃としてたとえば千五百円なら千五百円という場合に、その人が出来高にいたしますと八割増しぐらいの能率をあげます。その収得になりますそういうものを全部ほかのものでカバーするといってもこれはなかなかむずかしい問題だと実は思っておるわけでございます。
 いずれにしましても、そういう問題もございます。賃金の問題もございます。十分いろいろな点を判断いたしまして、なるべくスムーズなそういう私が申しました総合的な職種にいくように検討を進めてまいりたい、こう思っております。
#102
○矢山有作君 いまあなたのおっしゃった数字には私を幻惑させるものがあるわけです。その他一般にお聞きになっておる方も幻惑される数字があると思うのです。私が承知しておるのは、伐木作業の一日平均の賃金は千四百円ぐらいじゃありませんか。それで日給払いで稼働すれば、一週間の稼働日数を見ることによって大体賃金が計算されてくるでしょう。日給払いでもし千四百円の伐木作業に従事した場合には月の収入は三万円前後ということになるじゃありませんか。それから出来高払いというのは、そういう低賃金を踏まえて出来高払いをやっておるわけです。その場合の出来高払いの収入も、一日に平均するというと二千二、三百円かせいぜい四百円どまりというのが示されておる数字です。それで一カ月の稼働日数をかけていけば六万円前後というのがせいぜいじゃないですか、私はそういうふうに承知しております。六万円にならぬかもしれませんね。だからいまのお話ですと、えらい収入が多いように聞こえるのです。そうじゃないのじゃないですか。
#103
○政府委員(片山正英君) いまこまかい賃金の姿を実は持ち合わせておりませんので、正確なやつをお答えできませんけれども、確かに格賃として千四百円何がしか、こうなりますが、しかし、先ほど申しました約八割増しくらい能率をあげておるということになりますと、三千円近くのものになるというふうに一応判断できるわけでございます。正確な賃金収得額をいま手元に持ってきておりません、ごく概数でございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。
#104
○矢山有作君 正確な数字は、そこになければ資料で出していただきたいと思います。私の承知しているのは、いま申しましたように、千四百円ですから、日給で稼働すれば、これは微々たる収入です。いまの生活保護に比べてみてください。生活保護費と比べれば、この日給払いで伐木作業に従事して三万円程度の賃金が、これが人の生活できる賃金と言えるのかどうかおのずから明らかになる。そしてそういう低賃金の上に立って、馬の鼻先にニンジンをぶら下げた調子で出来高払い制度を導入しているわけです。そうして根限り働かせて、その結果が五、六万の出来高払いの場合には賃金収入になっているわけです。いわばこういうような低賃金なんです。その低賃金の状態をそのままにしておいて、収入のいい伐木作業からほかの作業に交代させるといってそれでいけますか、交代制をとるのなら、少なくとも交代させたときに賃金を切り下げちゃいけませんよ、現実にもらっておる賃金の収入だけは確保しなければならない。私は賃金体系がどうとかこうとかいうような、そういう末梢的な議論をするのじゃない。先ほども言いましたように、チェーンソーを使えば疾病にかかることが明確なんです。そういうチェーンソーを政府は使わせておる。その責任からいって、その疾病の発生をできるだけなくしていこうという、その対策として、窮余の一策として考え出されたのが時間規制、それが交代制だというのでしょう。そうするならば、賃金の実質切り下げの起こるようなことはやってはいけませんよ。その点明確にしなければ、この交代制云々の問題について私どもはそのまま賛成だというわけにいきません。賃金をどうするのですか。
#105
○政府委員(片山正英君) いまの林野の賃金体系で、先生おっしゃるようになかなかむずかしい問題でございます。まあこれからもいろいろ検討いたしたいと思いますけれども、たとえば現在持っておる格づけ賃金というものがございます。それが職種が移動することによって下がるというような場合ありとすれば、それは今後の労賃アップの中で、これは逐次打開していく、現在のものはそのまま保証しながら今後の労賃のアップの中で打開していくという方向もあろうかと思いますが、いずれにしてもそういう点は十分検討はいたしてまいりたいと思います。
#106
○矢山有作君 そういうようなむずかしい問題が、交代制を導入すれば起こってくるでしょう。したがって交代制を導入したと同じような効果のある時間規制、二時間というほうが扱いやすいのじゃないですか。だから、私は現場の労働者諸君が自分の体験から主張しておる一日二時間の使用制限、使用時間にしなさいと、こう言っているのです。そうしたら格別賃金の問題がどうとかこうとかいうような、交代制をやったときのような問題は起こらないでしょう。そのほうが林野庁としてはやりやすいし、そしてまたそれがチェーンソーのごとき人命無視の機械を使わしておる政府の立場からして当然のことなんじゃないですか。時間規制に踏み切りなさい。
#107
○政府委員(片山正英君) 何度も同じようになりますけれども、たとえば伐木造材手が集材手にかわる場合には、確かに集材手の賃金がいくわけです。その場合に伐木造材手との間に賃金差がございます。若干百円ばかりでございますが、それだけ下がるといったことになるわけでございます。なぜかと申しますと、同じ仕事をほかの集材手がやっているわけでございますので、その同じ仕事をほかの集材手がやっている場合に、伐木から転じた人だけが伐木の賃金ということはなかなかむずかしいというのが実態でございますので、その点今後の問題として十分検討してまいりたいと、かように思う次第でございます。ただ、先生おっしゃるように、いままで八時間労働をしておったのが、時間を規制して、あるいは六時間なり五時間にしなさいという、先生のおっしゃるのは結論的にはそうなるような気がいたしますけれども、そういう段階じゃなしに、総合的に仕事をやっていただきたいというのが、われわれの現在の組合その他とお話をしているポイントでございます。
#108
○矢山有作君 現行の給与体系にあなたはこだわってものを言っておられますから、その限りにおいてはチェーンソーを使わしておる責任というのは、あまり強くお感じになっておらないのだろうと思うのです。しかしながら、私どもは交代制を導入した場合に、賃金切り下げになるようなことは絶対承服できませんよ。これだけは私ははっきり申し上げておきます。おそらく労働者諸君も承服しないでしょう。だから私は比較的摩擦が少なくて、採用しやすい一日二時間の使用という方向をとられるべきではないか、むしろ私は善意をもってあなたに言っているんですよ。われわれはほんとう言ったら、こんな機械を使用すべきじゃない、だからその点はここでいくら押し問答をしても、あなたの回答はすぐ出ないでしょう。しかしながら、私が主張したことをよく腹に入れていただいて、今後のこの時間規制の問題については取り組んでいただきたいと思います。
 それから次に、機械の改良等についてもこまかくお伺いしたわけですが、時間の関係がありますから、機械の改良について先ほど参考人から話が出ておりましたように、いろいろな機械の中でも比較的いい機械があるということを聞いております。たとえば西独のスチール社の製品ですか、これなんかは比較的軽量であり、振動が少ないといいますか、いいという話を聞いておりますが、少くともあなたの立場からすれば、この機械の改良という問題には全力をあげて取り組むべきだと思うのです。それが耐用年数が来ないからもっと悪い機械を使えというんでは、これまた無責任きわまる話なんですが、このくらいのことはやれるでしょうね。たとえば耐用年数が来ておらなくても、いい機械があるんなら、それにどんどん取りかえていく、取りかえられないんならいい機械だけ使わして仕事をさせなさい、悪い機械をやめてしまって。その点はどうですか。
#109
○政府委員(片山正英君) 現在林野庁がチェーンソーを採用いたしておりますのは、林業試験場をして検討いたさせまして、ある程度振動数の少ないものの機種を前提においてやっておるわけでございまして、その場合現在採用いたしておりますのは、先生御存じだとは思いますが、六つの機種を使用いたしております。もちろんその中にスチールも入っております。六種類の機種を指定いたしまして、これは試験場として、ある振動数以下のものということで採用した、その中からその現実に合ったものをそれぞれやっているというのが実態でございます。先ほど重さの関係で、非常に軽いほうがいいという話がございました。御参考までに申し上げますと、マツカラーにおきましては六キロから十キロ、いろいろ機種によってでございますが、六キロから十キロございます。それからホームライトにおきましては大体七キロから十キロ、レミントンは約八キロ、ラビットは約八キロから九キロ、スチールが先生おっしゃった七キロでございます。それから共立が七キロから九キロくらい、概数でございますけれどもこんなような重さでございますが、現実に合ったなるべく振動の少ないそういうものをいま採用しているわけでございます。
#110
○矢山有作君 機械の改良研究は、これは先ほど参考人もいろいろ言っておられたように、これは全力をあげて私は取り組むべきだと思うのです。特に振動機械が人体にどういう影響を及ぼすかということの解明ができないようなことでは、これはこれからあとで申し上げる治療対策も何も立ちませんよ。予防対策も立たない。したがって、そういう点は徹底的に機械と人間との関係、むずかしいことばで言えば人間工学的な研究だというのだそうですが、これをやはりやって、その中で一番いい機械を使う。で、現在ある機械の中で最小限度これが一番いいのだということになれば、もう耐用年数がきておろうがきておるまいが、人命に関する問題ですから、その一番いいものに早急に切りかえていく、このくらいのことは私は病気になることがわかっている機械を使わせるのですから、最小限度やる責任があると思います。それから予防対策としていろいろ述べられておりました防寒具の問題だとか、あるいは採暖方法の問題とか、暖をとって、寒くないようにする。いろいろなことが申されておりましたが、これらのことについてことしの予算上改善の措置をちゃんと見込んでおられますか。
#111
○政府委員(片山正英君) 具体的にここにどういうものをどうという予算の構成はございませんが、こちらが企画した予算につきましては、実施してまいる予算がついております。
#112
○矢山有作君 私はこの間ちょっと岡山から鳥取のほうの現場を回ってみたのですが、弁当を持って通って、それで食べている人もあるし、それから現場で共同炊事のようなことをやっている人もありますね。いろいろあるのだと思うのです。私はこれは厚生省に聞きたいのですがね、この白ろう病の関係と栄養上の問題というのが非常に密接な関係があるということが指摘されていると思うのです。参考人も指摘しておりましたが、それから私が聞いているのでは、ILOの林業関係専門家会議が十年ほど前にあったそうです。そこでも栄養上の問題というものが取り上げられたと聞いているのですが、厚生省はこうした白ろう病の発生が非常に急激にふえている、この現実の中で、栄養的な立場からこれを改善するという指導をやったことがありますか。おそらくないだろうと思う。今後そうした問題に積極的に取り組んでいく姿勢があるのかどうか。厚生省は林野庁の労働者が病気にかかっているのだから、おれのほうは知らないのだでは済まないと思うのですが、どうですか。
#113
○説明員(湯沢信治君) 栄養との関係につきましてでございますが、先ほども参考人の方々もお話が出たのでございますが、厚生省としましては、実はこれは決して林野庁だからどうだというのではございませんで、やはりこれは職業病としてそちらの所管省が中心になってやっておられますので、特別、厚生省はこれまでに深く検討したことはございません。しかしながら、一部には厚生省の医療研究の研究費の中等におきまして、一部レイノー氏症候群につきましての治療とリハビリテーションというものを四十一年、四十二年度やったことがございます。そしてまあ治療対策等についても検討しているのですが、ただしかし、栄養問題につきましては、やはり一般的な血管神経障害に関連するものとして関係はありそうだと私は考えております。専門家の話ではそういう話は伺っているところでございますけれども、これまでのところは特に栄養剤をどうするかとかいう方策まではいま考えておらないわけでございます。
#114
○矢山有作君 厚生省はしごくあっさりとおっしゃるのですが、職業病として指定をされてすでに数年、この病気は非常に世上でいろいろ論議されておることも、私は全然知らぬということはないと思います。大体職業病に指定されたときに相当の論議があった問題なんですから、そうすれば、厚生省としてはその所管事務の関係から、この白ろう病の問題については私は積極的に取り組んでしかるべきじゃなかったかと思います。私どもがいままでやっていないという話が、きのう政府委員のほうから、きょう出席していただく問題についてありましたけれども、あんまり無責任だと思います。その治療の問題等についてはあとから触れますが、これは厚生省としてはやはり職業病に指定されたのですから、積極的に栄養の問題その他治療の問題についても取り組んでいただきたいと思います。あと関連してお伺いしますから、いまそれに対する御答弁は要りません。
 次に問題を移しますが、林野庁の長官通達が四十一年十月二十八日に出ております。これによると、チェーンソー使用による公務災害であるとの医師の診断があれば、営林局長の判断で公務上の認定が可能となっている。ところが、使用期間二年未満の疾病、両肩関節から両手指まで以外の疾病、入院、看護については林野庁協議事項になっております。私の聞くところでは、入院については林野庁がこれはもう形式的にも実質的にも人事院に協議をしておるということです。しかしながら、使用期間二年未満の疾病、両肩関節から両手指まで以外の疾病、これについては営林局長から林野庁長官への協議事項になっておりますが、これは実質的に人事院に協議をしておるという話を聞いておりますけれども、この間のいきさつ、さらにこれらのものに限って、なぜ林野庁に一々協議をし、さらに人事院に協議をしなければならぬのか、一体その理由は何なのか、それをお聞きしたいのです。これは関係のそれぞれの官庁からお伺いをします。
#115
○政府委員(片山正英君) 入院の問題については、先生御指摘のとおり人事院と協議をしてやっております。それから手指から肩まで以外の問題につきましては、林野庁と相談をさせるということでございますが、その間の人事院との交渉の経過につきましては担当課長から答弁させていただきます。
#116
○説明員(猪野曠君) お答え申し上げます。
 入院につきましては、レイノー現象等の入院治療については、近く人事院より事例をもちまして入院の基準が示されるというふうに私ども聞いているわけでございます。したがいまして、それが示された段階、それ以降におきましては、私ども林野庁におきまして、医師の診断に基づいて入院の可否を判断してまいりたい、こう考えておるわけでございます。ただその場合、現在のところ認定事例がきわめて少ないということにかんがみまして、いま直ちに営林局に権限を委任するということは、まあ困難ではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、入院を必要とするような事案が発生いたしました場合には、すみやかに林野庁に協議をさせまして、適当な医療機関に依頼し、精密検査を実施し、その所見に基づいて迅速に処理したいと考えております。
 次は認定の問題でございますが、現在チェーンソー使用期間二年未満のものの取り扱いにつきましては、これは林野庁のほうに協議をさせるということにしてございますけれども、これは近く営林局の権限に移すことにしたいというふうに考えているわけでございます。さらには上肢以外の部位に発生いたしましたレイノー現象等の疾病につきましては、これは現在認定基準が明らかではないということ、そうして認定事例もないということからいたしまして、なおこれは従前どおり人事院に協議をして、そうして林野庁で処理するというふうに考えているわけでございます。
 以上でございます。
#117
○政府委員(島四男雄君) 私どもはこのレイノー現象につきまして、四十一年に職業病に指定したわけでございますが、当時はまだ医学界の通説というものが非常にまちまちでございました関係で、いろいろ林野庁のほうにもこの療養につきまして、私のほうに療養補償する場合に協議をしていただきたいといって幾つかお示したことがございます。それは現在までそのままきているわけでございますが、実はその後三年間ほどたちまして、お医者さんの研究もだんだん進んでまいっている現状からいたしますと、いまのような縛りを私どもはもう検討する時期にきているのではなかろうかというふうに考えております。この問題につきましては近く、先ほど参考人の御意見の中にもございましたが、治療方法等について最終的な結論を出したいということもございましたので、こういうような縛りは逐次なくして林野当局におまかせしたいというふうに考えておる次第でございます。
#118
○矢山有作君 これは林野庁のほうの御答弁になりました両肩関節から両手指まで以外の疾病ですね、これはなぜ営林局長権限に移せないのですか。その認定基準が明らかでないから人事院に協議しておる、こういうような御答弁があったと思うのですが、これはそういう問題ではないのですよ。
#119
○説明員(猪野曠君) この問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、非常に異例なことに属することでございます。そういうふうに私ども判断いたしております。そういったような関係から、私どもとしては認定事例もないということで、補償法の常道に従いまして人事院に協議するということをやっているわけでございます。
#120
○矢山有作君 それでは次に伺いますが、人事院に協議をされた場合に、人事院はどういう審理をやっているのですか。またその判定をするときの基準というのは何なんですか。
#121
○政府委員(島四男雄君) 一般に治療にあたっていろいろ補償問題が起こるわけですが、その場合に一般的な基準というのは、その療養が必要かつ相当のものと認めるかどうかということが一般的な基準でございます。したがって、これは必ずしも客観的具体的な基準があるわけではございませんが、いろいろ林野庁から具体的なケースについて協議を求められました場合には、私どもでは健康専門委員を十六名委嘱しておりますが、そういう方々の中でこの白ろう病についての造詣の深いお医者さんの意見を聞きまして、具体的に判断しておる、そのような仕組みになっておるわけでございます。
#122
○矢山有作君 労働省に伺いますが、一般の労災の場合どういうふうにして認定しますか。
#123
○政府委員(和田勝美君) 労災の場合におきましては、チェーンソー以外に振動を伴うものがございます。それに対する一応の経験もございますので、先ほど申し上げました労働基準法施行規則の第三十五条の十一号のものとして治療に当たるように、こういうことだけでございまして、特別な制限的な要件はつけておりません。
#124
○矢山有作君 一般労災の場合にはいわゆる基準監督署長の段階で認定をしているわけですね。そうなると、なぜこの公務上の白ろう病の場合に、そうしたしぼりをかけなければならぬのか。公務上の疾病に指定したのですからね、私はことさらそういうしぼりをかける必要ないと思うのです、人事院で。しかも、いま聞きますというと、健康関係の何か専門の医師を委嘱して審理するのだというのですが、おそらく労働者を実態として診察をしてやるというのでなしに、書面審理でやっておると思うのですがね。私は現地において診察した医師の下した診断を書面審理だけで片づけるというような不都合なやり方はないと思うのですが、どうでしょう。
#125
○政府委員(島四男雄君) 一般論といたしましては、当該医者の判断に待つべきものと存じます。ただし、この白ろう病につきましては、先ほど参考人の御意見にもございましたように、まだきめ手となるような治療対策がないと、こういうことでございますので、医者によってこの問題に対するたとえば治療方法であるとか、治癒認定であるとか、いろいろまちまちでございますので、これは非常に言いにくいことではございますが、お医者さんによっては多少研究目的のために入院させるというようなことも中にはあるのではなかろうかと、そういうこともございまして、私どもでは補償法の一般のたてまえからいきまして、不必要な治療はこれは療養補償の対象にはできないというのがこれはもう当然のことでございますので、そういうような趣旨も考えまして、一応私どもで判断を下すというたてまえに実はしたわけでございます。
#126
○矢山有作君 いや、私の言っておるのは、一般の労災の場合には、医師が診断をして監督署長の段階で認定をしていくのです。それなのに、どうして医師が診断をしたそれを人事院でしぼりをかけるのかというのです。公務員の場合に特別いまあなたがおっしゃった研究目的のために入院させるような事例が多いのですか。そんなことはないでしょう。私はそういう同じような制度の中でそういう異った扱いをしてしぼりをかけるのがけしからんというのです。しかも四十二年八月二十六日、機械使用に関する小委員会、ここで確認された確認事項というものがあるのです。そこでは、精密検査をやって診断をやるのはそのつど委嘱する医療機関、しかもそれはもよりの大学病院、国立、公立の病院だと、こういうふうにちゃんとなっておるわけです。少なくとも当局はこれらの医療機関が信頼できる権威のあるものだ、こう考えてこの協約を結んだわけでしょう、この確認をやっておったのでしょう。そのやっておるものを人事院でなぜしぼりをかけなければならぬのか。しかも人事院は事実労働者を診察するのじゃない、その罹病者を診察するものじゃないでしょう。そこが私は不合理だというのです。そういう不合理なことはやめなさいというのです。どうなんですか。
#127
○政府委員(島四男雄君) 職業病に指定しました当初はそういうような問題もいろいろおもんばかりまして、実はいま言ったような協議を求めておるわけでございますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、お医者さんの研究もだんだん進んでまいりましたので、私どもでは現在やっておるようなこういう縛りはいかがなものであろうかということで、この問題については前向きに検討していきたいというふうに考えております。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
#128
○矢山有作君 前向きに検討されるというのですが、全面的にこのしぼりを撤廃されますか。もう私は撤廃してもいいときだと思うのです。公務員だけことさらに差別扱いをする必要はありません。しかも撤廃するのにも、おかしな規制をつけた撤廃でなしに、これは完全に撤廃をしてもらいたいと思うのです、こんなものは。こういうものを残しておるということは、当局が委嘱して診断をやらせた権威ある医療機関を信頼しないことです。また公務員である林業労働者をうそつきだと認めたことになるわけですよ。こんな制度を残しておく、そういうようなことは誤りです。しかも、先ほど来あなたもお聞きになっていらっしゃったでしょうが、チェーンソーと白ろう病とは相互に密接な因果関係があるのです。チェーンソーを扱わなければ白ろう病は起こらないといわれておるのです。それであるのにチェーンソーを使わしておる、労働者に使わしておって罹病した、そうして権威ある診療機関が診断を下した、そのものを人事院が書面審理でしぼりにかけていくというようなばかな話はありませんよ。これは断じて撤廃を約束してください。こういうことをやるということはわれわれは納得できない、どうしても。
#129
○政府委員(島四男雄君) なるべく御趣旨に沿うように検討してみたいと思います。
#130
○矢山有作君 検討は、とかくすると口約束になるのです。検討に一年も二年もかかっておったんでは急激な病気の発生に対応することはできない、人事院でしばりをかけられたら、その間の入院治療費用というものは個人負担になるのです。こんなひどいことはない、人道的に考えて。検討でなしに、ここで撤廃するのだということを、私は言っていただきたい。あなたは少なくとも人事院におられて林業労働者の実態を御存じないはずはないと思うのです。御存じになっておったら、こういう過酷なしぼりをかけるということはやらないはずだ、一般労災でもないのだから、再度あなたに確約を願う。検討ではない、検討するまでもないことだ、はっきりしておるのだから。
#131
○政府委員(島四男雄君) 私がここで撤廃しますとお約束を実はできないわけでございます。上司ともよく相談いたしまして、なるべくすみやかに先生の御趣旨に沿うようにいたしたいというふうに考えております。
#132
○矢山有作君 二度三度だめ押しをした上の御答弁だから、私は責任ある方の御答弁としてそれを信頼いたします。ぜひともこの差別的な扱いというものはやめていただくように、しかもこれは急ぐ問題ですから、ぜひきょうのお話を実現をしていただくことを強く念押しをして、あなたに対するいまの質問はこれで終わります。
 先ほど来参考人の意見を聞いておりますと、この治療方法というものが一向明らかになっていないのですね、治療方法が明らかになっていないということが、人事院あたりがしばりをかける一つの理由にもなっているような気もするのです。そうすれば、この治療方法を明確に解明していくということは、これはきわめて重要なことだと思うのです。治療方法を解明するためにいままで何らかの手段をとってきましたか。
#133
○政府委員(和田勝美君) 労働省といたしましては四十年、四十一年にそれぞれ別の医師の方に治療方法に関し、あるいは認定に関する研究委嘱をいたしております。しかし、先ほどから参考人がお述べになっておりますように、非常にむずかしいということでございますし、世界的な事例もそれほど豊富でないので、なお治療方法についての決定的な結論は得られておらないというのが現状でございます。
#134
○矢山有作君 治療方法すらわからないむずかしい病気なんです。しかもそれがチェーンソーを使用させることによって起こっているのです。こう考えたら、チェーンソーをむりやり労働者に押しつけて、罹病した者に対して認定上の規制を加えたり治療上の規制を加えるというのはもってのほかです。研究のためにやった、それは認めない、そういうばかな話がありますか。治療方法がはっきりせぬから研究しなければならぬのでしょう。研究を重ねてはじめて治療方法が明確になる。そうするならば、研究をやる段階ではそれは補償の対象にならないのだというようなばかげた論法というものは私は生まれてこないと思うのです。それは人事院よくおわかりですね。そのことを私はあわせてさらに含んでおいていただきたいと思う。治療方法がわからぬということはきわめてむずかしい病気だ、むずかしい病気であるだけに、それだけに実態の解明がむずかしいんだ。その実態の解明がむずかしいということは、この病気にかかって将来労働者がどうなるのかわからぬわけですよ。私がきょう診断書をいただいた一、二の人の例によりますと、もう生涯働けないという診断書も出ております。そういう非常にむずかしい病気なんだから、それだけに私は治療の完全を期する意味においてもあらゆる規制を排除する、このことを重ねて私は強く要求いたします。
 そこで、この問題が社会的に取り上げられてからすでに数年を経るんです。そうするならば、この問題について政府としては、たとえば管轄の問題等に籍口して直接それの研究をやったとかやらぬとかいうようなことは私は言えないはずだと思う。厚生省は医療行政機関として少なくともこの治療問題について研究をやったことがあるんですか。私はないと聞いておりますから、おそらくないという御答弁があるだろうと思うんです。ないというのはきわめて私は無責任だと思うんです。こういう病気を林野庁の一対策にまかしておくというのは間違いです。労働省にまかしておくというのは間違いです。私はこれは厚生省、労働省、林野庁、人事院、関係官庁が一体となってこれの究明をやって、それのあらゆる対策を確立すべきだと思うんです。厚生省の過去の怠慢はともかくとして、今後のこれに取り組む姿勢というものを明確にしていただきたい。特に医療方法の探究については私は厚生省が中心になるべきだと思うんです。どうですか。
#135
○説明員(湯沢信治君) 先ほどちょっと申し上げましたんですが、治療研究についても一部には部分的に厚生省のほうでも科学研究費で行なったことがございます。これは四十一年、四十二年でございます。ただし、これはまあそれぞれ百万程度の金額を出して数大学にまたがりますような研究でございますから、あまり大型な研究ではございませんです。それからなお決して厚生省も治療問題に不熱心というつもりではございませんで、現に北海道その他におきましても、国立病院等に入院している患者さんもいらっしゃったりしまして、またそれぞれの専門家、その病院等の専門家におきましてはもちろんその治療のために万全を期するということでやっておるわけでございます。ただし、確かに仰せのように総合的な研究という形で特別この疾病を強く取り上げたということはこれまでないわけでございますが、仰せのように、今後研究体制の問題上、十分厚生省も医療機関等多数ございますし、専門家もおります次第でございますから、大学などに負けず劣らずそういう医療機関等の専門家を大いに参加さしていくということについてはやぶさかではございません。したがいまして、そういうお話が政府内におきまして検討する上におきましては、厚生省としてもできるだけ協力体制をとってまいりたいと、こういうふうに考えております。
#136
○矢山有作君 ことばじりをとらえるんじゃありませんが、百万円そこらの研究費で一ぺんか二へん研究して解明されなかったままで放置するというのが私は間違いだと思うんです。少なくともただの百万でも研究費を組んで、ただの一、二度でも研究をやりかけてみたということは、この病気に対して無関心じゃなかったはずなんです。認識は大きいか小さいかの相違はあるにしても、認識はあった。そうするならば、私は一ぺんか二へんの研究で解明されないものをそのまま投げるのじゃなしに、組織的な研究をやるべきだということを言っているわけです。しかも各大学等にはこの研究に真剣に取り組んでおる方々がおられるということは、きょう来ていただいた細川先生その他私もたくさんの人を知っております。そうするならば、厚生省はもう少し国という立場から医療方法の未解明なものについて積極的な研究をやると、私はこれは当然だろうと思いますので、ぜひそれをやっていただきたい。きょう私はそのことを申し上げるためにぜひ大臣に来ていただきたいと思っておったわけですが、大臣お見えになりません。あなたのほうから、少なくともこの研究に本格的に取り組むのだということを話していただかなければいけない問題だ、そのことを最後にあなたに要望しておきますので、ぜひとも実現につとめていただきたいと思います。
 それから引き続いて、補償の問題に関連して少し触れたいと思うんですが、御案内のように休業補償の場合、白ろう病にかかって休まなければならない、その休業補償については百分の六十と承知しております。何か林野庁のほうでは特別に支給を百分の十程度やっておられるという話ですから、実質的に百分の七十あるのかもしれません。しかしながら、いずれにいたしましても先ほど私が申し述べました出来高払いの場合の賃金、さらに日給払いで稼働した場合の賃金はきわめて低い賃金です。これに対して百分の六十なり百分の七十を掛けて出てくる金額がどの程度のものかということはおわかりだと思うんです。せいぜい三万円前後――これは出来高払いで稼働した場合。日給払いの場合には一万八千円。これはしかもくどいようですが、チェーンソー使用によって罷病したのですから、そうするならば、私はこの休業補償のあり方というものを、現行法律の関係もありますが、考えてみるべきではないか。この休業補償を一〇〇%支給する、少なくとも支給率を高めていくという努力はあってしかるべきじゃないかと思うんです。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
これは法改正につながる問題ですから、きわめてむずかしいとは思います。ここで即答はできぬと思いますが、白ろう病というものの発生を考えていただいた場合には、当然私はこの休業補償を一〇〇%出すということを目標に努力すべきじゃないかと思うんです。しかもこれは元気で働いているときと違いまして、病気になるというと出費はかえってかさむものですから、その点をひとつお考えいただきたい。この点の御見解はどうですか。
#137
○政府委員(島四男雄君) ただいま先生が御指摘になりましたように、休業補償としましては、平均給与額の百分の六十にさらに休業援護金といたしまして百分の十を上積みしておるわけでございます。したがって百分の七十ということになっておりますが、先ほど来参考人の御意見の中にもございましたが、この白ろう病の実情というものがなかなか深刻化しておるということを私どもも十分承知しておるわけでございます。ただ、現在この休業補償が百分の六十というのは法律できまっておるわけでございますが、これについては労災も全く同じ規定で、私どもその間の制度の調整をしておるわけでございまして、白ろう病だけについて特に百分の百やれという御趣旨かと思うんですが、法律改正いたしますと、その他の休業補償全般に及ぶ問題でございますので、なかなかそのような改正に踏み切ることについてはいろいろ問題があろうと思います。しかしながら、やはりこの休業補償の率を改善するという方向で検討すべきものであることについては私どもも異存はございませんので、他の休業補償や、この白ろう病に対する何といいますか、社会情勢全般の動向なども十分考えながら、この改善について努力してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
#138
○矢山有作君 先ほど一般労災との関連もあると言われましたが、なるほど国家公務員災害補償法を読んでみると、それとの均衡を失しないようにというようなことがあるようです。しかし、私はこういう考え方が間違いだと思うんです。いまの労災補償の制度は私は十全なものだと思っておりませんが、むしろそういう不十分な労災補償制度を改善していくためには、国が直接所掌している事業でしょう、国有林野事業というのは。そういう面の労働者の労災制度から改善して、そして一般労災の制度を改善の方向に引っぱっていくという姿勢こそがあってしかるべきなんで、それを一般労災のほうが低い、だからそれに右へならえできめていくんだという、そういう姿勢が私はおかしいと思うんです。しかし、きょうは私は実は労災補償の問題についてもう少し十分お聞きしたいと思っておりましたが、時間的な関係もありますから、労災補償の問題で簡単に伺っておきます。
 これは人事院のほうの御答弁によると、一般労災のほうが改善できないとなかなかむずかしいようですから、この労災保険制度ですね、これの改善をしなきゃならぬということはおそらくもう考えておられると思うんですが、これの改善の目標というものは立っておりますか。どうなんですか。
#139
○政府委員(和田勝美君) 労災補償につきましては、基本は労働基準法にございますものを、保険ということで労災が裏づけをやっておるわけでございます。現在の労災保険法につきましては、大体の水準としてはILOの条約等から見まして一般的な国際的な水準に達しておる、かように考えておりますが、ILOにおきましても新しい条約がつい最近採択をされた。そういうこと及び国内一般に労災保険法のあり方についていろいろの御意見が最近ひんぱんに出ております。そういうことでもございますので、昨年の夏から関係方面から問題点を出していただきまして、去年一ぱいかかって問題点の整理をいたしました。ことしの一月から特別小委員会を設けまして、労災保険制度全体の問題として、いま労災保険審議会で論議をやっていただいておりまして、 めどといたしましては、年内に制度全体を見直すという姿勢での改正議論をまとめていただきたい、かようなことで現在作業を進めております。その中にいまお話のありました休業補償の問題も当然問題点としてあげられておりますので、これらの審議の結果を見た上で、私どもとしてもできるだけ善処をしてまいりたい、かように考えております。
#140
○矢山有作君 労災補償制度が世界的な水準に達しているとか達しておらぬとか、そういうことは別にして、要するに職業上の災害ですから、仕事しておって災害を受けたんですからね。そうすれば、やはり私はこれの給付内容を改善していくというのは当然だと思うんですよ。しかも、いまの賃金水準の状況から見たら、百分の六十そこらの休業補償だったらどうにもならぬでしょう、実際問題として。その点では私は給付内容の改善のために一そう努力を期待します。この問題いろいろとお聞きしたいことがありますが、きょうはやめておきますから、ぜひともその方向で。
 それからもう一つ申し上げたいのは、これは人事院のほうですがね、一般労災の場合は、これは事業主が保険料を負担しているわけですね。その基礎の上に立っているわけです。ところが、公務員の場合は私はいささか違うと思うんですね。そういう立場からもむしろ労災の給付内容の改善は国のほうから積極的に進めていくべきだと、それによって一般労災の改善を引っぱっていくべきだと思うんですよ。国なんですからね。その点はどうですか。そういう方向をおとりになりませんか。
#141
○政府委員(島四男雄君) ただいま先生のような御意見も確かに御意見としては十分傾聴に値することと思いますが、ただ現在の法律そのものの中に、労災保険制度との均衡を考慮しながらこの制度を考えていかなきゃならぬという趣旨の規定がございますので、この法律自体の立法趣旨からいたしますと、なかなか国だけが独走するというわけにもまいりませんが、ただ考え方として、国が率先してそういった労働者の勤務条件の改善に当たるべきであるという基本的な姿勢は、私どもは別に反対ではございません。今後ともそのようなことを十分考えまして、災害補償制度の運営に当たっていきたいというように考えております。
#142
○矢山有作君 まあこれは法改正につながる問題ですから、ここで即答はできないと思います。しかしながら、もう一つ私が国のほうから積極的に出るべきだということを申し上げるのは、たとえば公務員の賃金と民間賃金の格差があるということは人事院が一番よく御承知のことです。その格差がある中で、さらにこの休業補償を見ると格差が広がってくるのです。同じ職業病で休業補償を受けるのですから、そういう点を見ても、私はやはり積極的に改善の方向にいくべきだと思うのです。国自体がそういう姿勢をとる、国家公務員についてそういう姿勢をとる。そうすれば、一般労災のほうの改善についても刺激になるはずです。これがやはり私は一般労災に右へならえというのではなしに、国のほうが一般労災の水準の低いのを高めていくという姿勢にならなければ間違いだ、こういう立場で申し上げているのです。しかし、この問題は労働省でも御検討のようですから、人事院のほうでも真剣に検討をされて改善をはかっていただきたい、こう思うのです。
 次に、林野庁に一、二問、お伺いしたいのですが、先ほど問題になっておりました白ろう病にかかって職種がえをやった場合の問題が出てくるのです。職種がえをやると賃金が下がるという問題です。これも先ほど私が申し上げましたような立論、つまりチェーンソーによって病気が起こる、そのチェーンソーを使わしておる。こういう立場から言うならば、これもまた改善の余地がある問題だと私は思うのです。その点についてどうですか。
#143
○政府委員(片山正英君) 先ほどもお答え申し上げましたが、伐木造材手がそれ以外の職種になった場合、伐木造材手が一番高いわけでございますから下がるという結果になるので、その場合違った職種に、現在同じような仕事に働いておる人があるわけです。その人との関連と申しますか、そういうものとの関連をやはり判断していきませんと、同じ仕事をやって、伐木造材手からかわったがゆえに非常に高いものをとるということは実質的に非常にむずかしい問題だと思います。そこで私のほうは先ほども申し上げましたように、そういう複雑な賃金体系をなるべく今後の近代化の中で整理して、あるいは統合してということが、今後の林業の労務雇用のあり方ではないか。そういう方向にいき、またそういう方向に組合とも打ち合わながら先生のおっしゃる方向に善処してまいりたい、かように思う次第でございます。
#144
○矢山有作君 なるほど平面的に問題をとらえるならば、そういう議論も私はわかる、ところが、伐木作業に従事する、チェーンソーを使う、そこで病気にかかる、職種がえが起こる、復帰できるまでの間その職種がえによって資金が下がったものを補償してやる。これは私は他の作業に従事しておるものとの間に問題はないと思う。他の職種に従事しておった人はチェーンソーを使っておらぬわけです。一方はチェーンソーを使って発病したのです。職種がえをやらなければならぬのでやった。だから復帰できるまでの間は補償する。こういうふうにとらえていけば私は別にむずかしい問題ではないと思う。しかし、四角四面に問題を平面的にとらえていくならば、それはあなたのような議論は成り立つ。しかし、これはあなたは将来の検討問題とおっしゃいました。私はそれが口約束だけではなしに、実際問題として検討されることが望ましいと思います。再度押してお尋ねしたいと思うのですが、私の考え方はそうなんです。どうなんですか。
#145
○政府委員(片山正英君) 先生の御趣旨、私たちもわからぬわけじゃないわけですが、先ほど申しました実態でございます。したがいまして、そういう伐木造材手がレイノー現象の認定を受けた場合に、他の職種にかわった場合に賃金がダウンするという問題について、いま現在は一時金という形でそれに対処できるかどうかということで検討をいたしておる段階でございます。
#146
○矢山有作君 それはぜひ私はこの一時金の支給という形で対処できるように真剣な御検討を願いたいと思います。そのことが実現していただければ、これは私はほんのわずかではあるけれども、労働者諸君にはひとつこれは大いに歓迎される問題だと思いますので、ぜひその実現に対して前進していただくようにお願いしたいと思います。
 それから最後の問題ですが、私はいま国有林でとられている出来高払い制というやつ、これは私も大きな矛盾があると思う。なぜかというと、先ほどもちょっと触れましたが、最低生活保障賃金の上に刺激給として上積みされたものならともかくとして、そうじゃないのですね。賃金自体が非常に安いところに据え置かれておって、そうして出来高払い制をとっているのです。そうすると、これは病気にかかってもまあ押して伐木作業をやろう、そのほうが収入がいい、こういうことになると思うのです。無理をします。そこに私は病気の発生も多くなるし、さらに病気が発生したと自分ではわかっておっても、無理をすることになるから、非常に病気が悪化する、こういう現象も起こるわけです。そうすると、この賃金のあり方として、出来高払い制というものは私は再検討する必要があるのじゃないか。やはり全体の賃金をレベルアップしていくことが先決問題ではないか、こう思うわけですが、この賃金制度全般について、先ほどのお話ですと、賃金の問題は検討するということですから、その出来高払い制の問題をも含めて全体的に再検討して、そうしていかにも馬の鼻先にニンジンを突きつけて、さあニンジンが食いたければ働けという賃金、賃金が少しでも多いので、食えるようになるためにはもっと無理をして働けというような形をなくしていかなければならぬと思う。この点についてのお考えはどうでしょう。
#147
○政府委員(片山正英君) 二つの問題が中にあるような感じがいたします。まず第一点の出来高制というものの制度を採用いたしていることの可否でございます。現在林業は御承知のように非常に山奥で、非常に広範囲な場所において、それぞれがそれぞれの立場で働いておるという場合には、なかなか一般的に監督的にはむずかしい業務でございます。したがいまして、それぞれの人がそれぞれの立場で安全を考え、そうして仕事をやっていただくという場合には、やはりその人の能力を非常に公正に判断し、公正に賃金を支払っていくという形態にはやはり出来高制というのが一つのとられておる姿として、先生は御異論があるかと思いますけれども、私は一つのあり方じゃないかというふうに思います。ただそこで、賃金が低いから、だから出来高だ、こういう問題とは関係ございません。賃金が低いという問題につきましては、ほかの職種、ほかの産業等の関連において十分検討し、あるいは改善をしていかなければならない、こう思っておる次第でございます。
#148
○矢山有作君 それは賃金が低いのと出来高払いが関連がないことはないのですよ。やはり安い賃金でしっかり働かして能率を上げようという能率主義の立場に立てば、やはり基本になる賃金は低いところに置いておいて出来高払いを採用する、こういうことになるわけです。だから、私はそういうような考え方で行なわれる出来高払い制はいけないというのです。もし出来高払い制をどうしてもあなた方が実施するというならば、いまの賃金水準を上げて、労働者が自分の体に自信があり、自分でだいじょうぶだと思う限度において働けばいいというところまでレベル・アップしなさい。いまのような低賃金のもとでは、労働者が少々体がえらい、病気にかかったようだ、どうにもこれは仕事ができないとなっても、基礎になる賃金自体が低いのですから、無理をして働かざるを得なくなる。ところが出来高払い制を採用する場合に、先ほど言ったように賃金全体を底上げして、そして食えるようにしておけば、労働者はそれ以上の収入を求めようとするなら、自分の健康と相談をして、自分の意思によって、そして収入をふやすということができるわけです。いわゆる任意の考え方ができる。ところが、いまは強制みたいな話でしょう。だから私はいかぬと言うのです。ただ出来高払い制をあなた方がいいというのなら、それは私はあえてそれに対して反論しようと思いません。それだったら出来高払いを考えるなら基礎賃金の底上げをしなさい、それが約束できますか。
 それからもう一つは、先ほどちょっと言おうとしたのですが、職種がえをやった場合に一時金を支給するというのですがね、この一時金というのは原職に復帰するまでやはり実質的に賃金収入のダウンが起こらないように支給するわけでしょうね。この点をお聞きしておきます。
#149
○政府委員(片山正英君) 二つの問題で、第一点の賃金の問題でございますが、伐木造材手を、先生のことばを借りますと、安くしておいて、そして出来高でうんともうけさせるのだ、働かせるのだというふうに聞こえるわけでございますが、実際われわれの格づけをやっておりますのは、伐木造材手の賃金が一番高いわけでございます。したがって、そういう意味で伐木造材手を出来高でやっておるわけじゃなしに、全体の問題として林業賃金が安いのではないかということにつきましては、ほかの産業等を十分検討しながら、近代産業にマッチするような形で検討して対処してまいりたい。こう思います。
 それからもう一点の、レイノー病として認定された者が職種がえになって下がる一時金については、実収賃金ということで検討しておるわけでございます。
#150
○矢山有作君 それは一時金の支払いは実収賃金で検討していると言われるわけですから、実収賃金が下らないようにしていただけると解釈をいたします。そしてそれは検討だけでは困るので、先ほど人事院にも申し上げましたが、検討する以上は実現をしなければいけません。検討の口約束だけならだれでもやれるわけですわ。この点だいじょうぶでしょうね。
#151
○政府委員(片山正英君) 先ほど申しました実収賃金という問題の一時金ということで検討しておるということを申し上げましたが、実は格づけ賃金というのがございます。そういうものを一応前提として検討しておるということでございます。なお実収賃金についてもあわせて検討したい、こう思っております。
#152
○矢山有作君 それでは最初の話より後退をしております。一たん口から外へ出したことはそのままやはりそれを前進させる話でなければならぬ、後退させるような話をしちゃだめです。実質賃金を保障する――実質収入を保障する、それでなければだめです。私はくどいようですけれども、もう一ぺん聞いておきたい。最初におっしゃったことをそのままやりなさい。いわゆる実質収入が低下しないように一時金で保障する、原職に復帰するまで。
#153
○政府委員(片山正英君) 先ほど私の説明がことば足らずでかえって申しわけなかったわけでございますが、後退という意味じゃなしに、ことばが足らなかったわけでございます。それを補ったわけでございます。したがいまして、格づけ賃金ということで検討をし、さらに実収賃金についてもあわせて検討してまいりたい、こう思っております。
#154
○矢山有作君 私は、きょうかなりはっきりしてきた問題もあるが、まだ未確定の問題もたくさん残っている。さらに検討という問題については、われわれは今後それを実現しようという考え方で検討するのでしょうから、当然実現されるものと考えておるわけです。しかしその点については私ども今後十分な監視をしていかなければならぬと思っております。したがって、ぜひきょう検討をお約束なさったこと、さらにできるとおっしゃった問題に対しては必ずこれは実現をしていただく、そのことを最後に申し上げておきます。そしてこの林業労働の問題については幾多の問題もまだ残っておるのです。この林業労働の問題だけにしぼって考えることはできないのです。やはり労災の問題一つ取り上げて考えてみましても、一般労災との問題が国家公務員の林業労働者の場合はあると思います。したがって、それらの問題すべてについてはまた日をあらためて十分私どもの考えも申し述べ、さらにその実現のために努力を願うための機会をこしらえたいと思いますが、きょうの質問はこれで終わらしていただきたいと思います。
#155
○委員長(任田新治君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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