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#1
第061回国会 農林水産委員会 第17号
昭和四十四年五月十五日(木曜日)
   午前十時三十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                高橋雄之助君
                宮崎 正雄君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
                藤原 房雄君
    委 員
                亀井 善彰君
                河口 陽一君
                栗原 祐幸君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                田口長治郎君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                足鹿  覺君
                杉原 一雄君
                武内 五郎君
                鶴園 哲夫君
                中村 波男君
                沢田  実君
                向井 長年君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       農林省農政局長  池田 俊也君
       農林省農地局長  中野 和仁君
       水産庁長官    森本  修君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       松下 康雄君
       建設省都市支局参
       事官       山下  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○漁業近代化資金助成法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○農業協同組合法の一部を改正する法律案(第五
 十八回国会内閣提出、第六十一回国会衆議院送
 付)
○農業振興地域の整備に関する法律案(第五十八
 回国会内閣提出、第六十一回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 漁業近代化資金助成法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○和田鶴一君 大蔵委員会も開会されておりまして、大蔵省はたいへん忙しいようですから、まず大蔵省に対して二、三質問をいたしたいと思います。
 まず最初に、きわめて簡単なことでございますが、質疑の順序といたしまして、年々歳々予算を査定するときに、各省の一応のワクがきめられておって、そうして経済の成長率に応じて税の増収がある。そうすると、ことしは昨年度の何%増だという目安を置いて、きわめて機械的に算術計算をして、そうして新年度の予算のワクをきめているような感じがするのですが、まずその点どうだか、ひとつお教え願いたいと思います。
#4
○政府委員(相沢英之君) 各省庁の予算の査定をいたします際に、来年度における総体の予算規模がどの程度になるかということを当然念頭に置いてはおりますけれども、個々の省庁の個々の事項の査定をいたします場合に、私どもはあくまでもその経費の必要性というものにつきまして、そのほかの経費とのバランスなり、あるいはタイミングを考えて査定をしておるわけでございまして、総体のワク、その省庁の総体の経費の額をどの程度のワクにおさめるかというようなことをあらかじめ考えてやっておるのでないことは、はっきり申し上げられると思います。
#5
○和田鶴一君 まあ政府がいろいろの政策を公表いたしまして、たとえば社会福祉対策であるとか、あるいは住宅対策であるとか、非常に重要問題等につきましては、そうしたいま御答弁のようなことも了解できるような数字も見られます。ところがそうでない場合、具体的に検討していただきますならば、相当思い切った査定のしかたを当然なされなければならないと思うような、そういうことに対して非常に消極的な態度で臨んでおるということは、私も数回の経験を通して言えるのであります。きわめて抽象的なことでございますが、具体的に申し上げますと、農林省は大蔵省に対して力が弱いのか、あるいは努力が足りないのか知りませんけれども、そういうような点が強く感じられるということと、同時に、いま私が何を言わんとしておるかといいますと、この漁業近代化資金制度が今度出されまして、きょうから質疑に入ったわけでございますけれども、これが一応今日のような仕組みで出されるまでにも、いろいろ農林省、大蔵省と交渉があったと思います。
 そこで私がいまから申し上げますことは、私は国会に出るまで十六年間ばかり沿岸の漁業協同組合の連合会長という仕事をやっておりました。そこでその十数年間の経験を基礎にしてお伺いするわけであります。少し説明が長くなるかと思いますが、趣旨をわかっていただけるために例をあげながら申し上げますが、話が少しさかのぼりますけれども、新しく漁業法がつくられまして、新しい漁業制度が設けられました。その当時、昭和二十三年七月の漁業権センサスを基礎にいたしまして、沿岸漁業あるいは漁家漁業、それらを全部ひっくるめて政府が一度これを買い上げた。そして新しい漁業法に基づいてはっきりとした新しい精神に基づいた漁業秩序をそこに打ち立てて、その傾向のもとに免許、許可を行なっていくということのために、日本の漁業権一切を政府が二十三年七月の漁業権センサスを基礎にして、それを価値判断をして買い上げた。その総額が百八十一億円、当時のお金とすればたいへんな額だと思います。ところがその百八十一億円に対する政府の考え方といたしましては、新たにこれを免許、許可を行なった場合に、新しい免許料、許可料を課して、そしてこれを回収をはかるという傾向であったのであります。ところがその当時の日本の沿岸は、外地から引き揚げてまいりました人たちはわりあいに漁業というものは着手が簡単にできるというようなことで、沿岸に漁業者が密集してまいりました。そこできわめて密集した沿岸の漁業の状態をそのまま放置するわけにはいきませんので、政府といたしましては沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという政策を立てて、あるいは金融制度等も考慮しながら、沿岸の密集した漁民を間引くというそういう政策を続けてきたのであります。
 と同時に、私たちもまあ千載一遇の好機というか、この百八十一億という漁業権証券でありますが、五カ年間資金化できない、五分五厘の利札つきの漁業権証券であります。そこで千載一遇の好機にこれから新しくひとつ、新しい制度のもとに計画を出発させるという段階で、これはもう何というか、それを免許料、許可料で払わなければならぬということではなくて、自分たちの新しい漁業への出発の基金にしてもらおうじゃないかという運動が起こりました。そしてそれが国会にも反映して、要するに納めなくてもいいということにしてもらったけであります。その当時大蔵省ではしてやられた、ひどい目にあったという強い感じが大蔵省に残りまして、日本書紀ではございませんが、歴代語部というものがあって、今日にもそれが大蔵省で語り伝えられておる。いわゆる漁業予算に対する皆さん方の態度というものが、そこに大きく何らかの好ましからざる考え方が伝統的に残っておるというふうに、私は自分自身で思うのであります、まあこれに対するお答えはノーと言うにきまっておりますが。その次に漁業手形の制度がございました。これは大蔵省から金が出たわけでもないし、また補助金をしてもらったということでもなくて、漁民自身が制度に基づいて基金をつくってやったわけですけれども、これはきわめて不首尾に終わりまして二年ぐらいでその制度が消えてしまったのであります。このこと自体は直接の経費の支出はございませんけれども、客観的に漁業に対するきわめて好ましからざる要素の一つとしてやはり大蔵省はこれを把握いたしておると思うのであります。――私は発言中ですが、補足説明するということですから、相沢次長どうぞ行ってください。
 そういうことで、私は、それではこういう点をいろんな角度から感ずるのでありますけれども、直接この漁業近代化資金の問題に関しまして中小漁業信用保証制度をうまく活用して、そうしてこの近代化資金の運用を円滑に行なうというところでいろいろあるいは保険料の引き下げであるとか保証料の問題とかということが交渉されたと思うのでありますけれども、現在いろいろ農業関係でも農業信用保証制度、開拓融資保証制度、林業信用保証制度あるいはまた別に中小企業信用保証制度等いわゆる保証制度はたくさんございますけれども、この内容をいろいろ検討してみましても、漁業の中小漁業信用保証制度に対する条件というものがきわめて過酷に扱われておる。たとえば借り入れを申し込む者は出資者でなければ絶対に保証は受けられない、そうしてその出資金に対する保証の倍率というものも他に比べましてきわめて低く押えられておる。たとえば四千万という限度がきめられておりますが、マグロ漁船をつくりたいという者が上限の四千万円を借り入れたい、そこで信用保証協会の保証を受けてやるといった場合に、その保証協会で定められておる約十五倍の倍率を考えますと、少なくても二百七十万程度の出資をしなければこの近代化資金制度ができてもその恩典を受けることができないのであります。そういうように他の制度に比べますときわめてきびしい制約を受けて査定をされておるということ、こういう点を直接この問題に関係して私は感じるわけであります。
 もう一つ考えられますことは、実はこの前の第四次漁港整備計画の承認のときに私は大蔵省の出席を求めることを怠りまして農林省の官房長に言ったわけでありますけれども、二千五百億の当初農林省の要求に対しまして大蔵省の査定が千八百億、そこで私たちがたびたび福田大蔵大臣に面接いたしましてその必要性を強調いたしました。そうして最終的には二千三百億という額をきめていただいたことを思い出すわけでありますけれども、この問題一つ考えてみましても、もちろん具体的に同じ農林省内の問題と比較いたしましても、同じ食糧という点から考えますと、米は千四百万トンということで、いろいろ食管特別会計等を考えると膨大な出資をいたしております。魚は七百二十万ないし七百五十万トンという、お米の半分以下の生産をいたしておりますが、農林省全体の予算から、水産庁全体の公共事業を含めた予算を考えてみますと、四十四年度の予算にいたしましても五%弱であります。五カ年間に二千五百億というまことにささやかな要求に対して、当初千八百億という査定をしている。この漁港の整備ということは、ただ単に漁業の生産の増強をはかるということだけではなくて、日本じゅうの沿岸につくられるものでございますから、それはもう日本の国土防衛の防災事業であるということも兼ねております。こういう実態がよくわかっているはずであるのに、大騒ぎをしてやっと五百億程度をかさ上げするというような態度からみると、あなた方はノーと言いますけれども、私は意識的にそういう差別的な考え方を当然持っておると思います。
 そうしてそのよって来たるところを申し上げますと、漁業権証券に私は直接端を発して、ようしやれと、ペテンにかかったといったような、そういうことが歴代大蔵省に語り伝えられているそういう考え方の根拠をなしておるのじゃないかというふうに私は思うのです。これは私は十数年の経験を基礎にして、そのつど交渉にも参りましたし、陳情にも参りましたし、そういうことを反省しまして、今度出されましたこの近代化制度の問題に、保証制度の関連で私はそれを強く感ずるわけですから、これを大蔵省に対して、私はこういうことでは困るんではないかということを考えながらお尋ねをしておるわけであります。
#6
○説明員(松下康雄君) 水産関係予算全般の査定に当たりましての大蔵省の、まあいわば査定の態度につきましての御質問でございますが、先ほど相沢次長からも申し上げましたように、私どもも査定に当たりましては、全体の金額の総ワクでありますとか、伸び率でありますとかということを手がかりといたしまして、そこから一つのワクの中に必要であろうがなかろうが予算の総額を押し込んでいくというような考え方は全くとっておらないのでございまして、個別に要求された事業なり施策の内容をそのつどの情勢に応じましてできるだけ適切に判断をいたしました上で、これを重点的に予算に盛ってまいりたいというのが私どもの基本の考え方でございます。
 ただいま漁業権証券問題につきましての御指摘もございましたけれども、実は何分にも相当以前の問題でございまして、私自身農林省予算を担当いたしておりますけれども、その当時の詳しい状況につきましては、ただいまの先生の御指摘によりまして実は初めて承知いたしたような点も少なからずあるのでございまして、そのような過去のいきさつその他によりまして予算の査定の態度が変わっていくというようなことは決してございませんので、その点は御了承をお願い申し上げたいと思うのでございます。
 本年度の水産関係の予算につきましても、内容的には私ども要求に応じまして、ただいまの時勢から見てまことに適切と考えられる措置につきましては、特に重点的に予算の配分を行なったと実は思っておるわけでございまして、問題の、ただいま御審議を願っております漁業近代化資金の発足というような点につきましても、そのような考えから積極的にこれを制度化していくお手伝いをいたしたつもりでございます。
 なお、中小漁業保証問題の御指摘がございましたけれども、ただいまの出資その他の関連につきましては、一方におきまして融資保証を行ないます際に、担保を徴求するとかしないとかという問題のつながりもございまして、必ずしも出資が行なわれておるということが全般的に他の制度に比べまして不利になっておるというふうにも理解いたしてはおらないわけでございます。保証の保険料につきましては、先生も御承知のとおり、本年度〇・八%から〇・七%への引き下げを行ないまして、これに伴いまして保証料につきましても今後軽減を行なうことができるものと考えております。
 繰り返し申し上げますが、農業全般の中におきましての水産業の持つ将来性なり問題点ということは、十分考慮に置きながら、今後とも必要な予算については重点的に考えるという態度でまいりたいと考えております。
#7
○和田鶴一君 これは主計官にお尋ねするのはどうも――主計官の担当の仕事としてやっていないことなので、ことさら次長の出席を要求したわけでございますが、主計官からお答えできる点は答えていただいて、あと次長のほうへ連絡をしておいていただきたいと思いますが、まあそうじゃないというお答えが出るのは当然であると思いますけれども、たとえば漁船保険というものを取り上げて考えてまいりますと、そういたしますと、このごろでは漁船の装備はきわめて近代化されて、それこそ二百トン、百五十トン、三百トンといったようなマグロ漁船等になりますと、これはまき網でも底びきでもそうですが、もう昔の軍艦に負けないくらいな近代的な装備をしておりまして、事故率というものがきわめて低くなっております。ところが漁船保険の特別会計は、おそらくもうすでに四十億ぐらいになっておるんじゃないかと想像するのでございますけれども、そうなってまいりますと、事故率に照らして保険料率が高いんだという答えが出るわけです。ところが、この引き下げ等の交渉をやります場合に、銀行局が、他の民間保険会社との関連があってそれは引き下げるわけにはまいらないと、それもよくわかります。一昨年、いろいろお願いして十二億割愛していただいて、これが漁船保険中央会で貯金をいたしまして、それから生ずる利息によって漁船保険関係者に、運用がうまくやれるようにということで、その運用をうまくやっておるわけでありますが、そういうようなところを考えてみましても、私はまだそこに対する配慮が十分ではない、こういうふうに思います。
 また、この漁業保証制度におきましても、お聞きをいたしますと――私も和歌山でこの保証協会を自分が責任を持って十年余りこれをやってまいりました。その当時は非常に苦労いたしましたが、今日の段階では、政府の特別会計に対する出資は八億円、それに対してこの特別会計の運用によって得た黒字が八億円、十六億程度の余裕金があるそうです。そうして事故率を一応算定の基礎として〇・七%ぐらいを見込んでおるようですけれども、現状は〇・三%、きわめて低いのです。そうして全国の保証の総額が現状では大体三百億程度というふうに聞いておりますから、三%の事故の総額を見てもきわめて低いのであります。
 そういう点から考えてまいりますと、私はこの制度そのものに対してももっと保険料を下げるとか保証料率を引き下げるとか、あるいはどうしても出資をやめさせられないのだというならばその倍率をうんと引き上げて認めていくとか、もっともっと私は将来において業者に対して好意的な措置をしていただきたいというふうに思うのですけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。
#8
○説明員(松下康雄君) ただいまの保険の事故率につきましては、保険設計上長期にわたりますところの保険収支を左右いたします非常に基本的な重要なデータでございますので、やはり私どもの考え方といたしましては、長期にわたりまして安定的な傾向値をつかまえてまいりたい、事故率の傾向についても全般的に見まして、これが低下の傾向もうかがえるのでございますけれども、一方におきまして常に自然の脅威にさらされながら操業してまいるというような点から申しますと、異常な事故あるいは損害の発生ということも場合によっては予想せざるを得ないようなのがこの特色であろうかと存じます。そのような点から、この事故率の計算なりその解釈のいたし方につきましては、十分慎重に検討してまいるべきものと考えておりますので、今後ともそういうような考え方におきまして、事故率の推移については十分注目をしてまいりたいと思っております。
 また、第二に御指摘になりました融資保証の問題につきましても、出資を条件といたしております点につきましては、現在の林業あるいは漁業の同種の制度との間では均衡がとれておるのじゃないかと考えている次第でございます。そのほか保険料率の引き下げ等につきましてはことし実施したところでございますけれども、保証倍率の問題につきましては、現在におきましても相当な広いワクの範囲で運用できるようになっておるのでございますけれども、最高の倍率につきましては、林業と比較いたしましてもまた農業と比較いたしましても、特にこれが不利になっているというふうには実は考えないのでございまして、協会におきますところの実際の実務の運用上非常に慎重な態度をおとりになっておられるというような点で、あるいは実行上、このワクの適用につきまして非常に安全を見ておやりになっておるのかもしれませんのですが、実際の規定上の最高限度倍率につきましては、林業と農業の倍率と比較いたしましてバランスがおおむねとれておると申し上げてよろしいのではないかと存じます。
 なお、今後制度の運用上協会その他の実務の面におきまして次第に充足してまいられますならば、実態面におきましても決して不利にならないような運用を期待することができるのではないかと考えております。
#9
○和田鶴一君 直接関係ないのですが、いまのお答えで、その保険の異常災害発生ということ、それはよくわかります。それから長期にわたって見通しを立てるということは保険においてきわめてむずかしい。私たちはよくわからない計算のルールがあることもわかっております。そういう場合も考慮して二十億円という金を用意しておけばどんな異常災害、事故が発生しても、十分まかなっていけるのだということを聞いておるわけですが、十年も立てば十五億、二十億という余裕が出てくる。この間は十二億出してもらったけれども、四十億になっておるじゃないか、もうすぐに二十億ぐらいオーバーして特別会計に積み立てられるというふうに思うのでありますから、今後そういう点等をひとつ考慮していただきまして十分配慮いただきたい。
 と同時にいまの保証制度の問題ですが、協会自体で倍率を加減すること、それをやっております。ところが保証料等と比較いたしますと非常に差があるわけであります。そういうような点を考慮いたしまして、発足当時の漁業保証制度というものはかなり大蔵省でも危険を感じた点もあろうかと存じますが、今日におきましてはただいま申し上げましたように、その操業の主体である漁船がきわめて近代化されて、装備がよくなって非常に事故率が少なくなっておる。そうしてその融資対象の漁船が全部保険に加入いたします。だから災害が起こった場合でも保険金によって埋めるということもできるし、そういう点を十分考慮していただきますならば、他の制度とバランスがとれておるという面もあるところもありますけれども、かなり差異のあるところもございますので、もう現段階においては私は何ら区別して考える必要はないというふうに思いますので、将来の問題といたしまして、私はこういう点につきましても、十分御配慮いただきたいと思います。
 まあ要は、私は年々漁業予算で皆さんと折衝をしての感じは、そういう考え方が抜けないのであります。今後とも、食糧という点から考えれば、七百五十万トンというお米の半分以上の生産をしている漁業であります。それが公共事業を含んで農林省の総予算の五%に満たない、そういうことで努力をしておる。そうしてただ個人の財産に対して政府からいっぱしのお助けをいただいておるというのは漁業に対しては漁船保険だけです。それで漁船保険が多額の余裕を特別会計に積み立てておっても、民間保険との関係上保険料率は簡単には下げられないのだというようなことで、これもわれわれが考えておるようなことにはならない。いろいろそういう点で、私の考えではある程度の格差がそこにある。そこで、だんだんと皆さんが新しくおかわりになりますから、古い時代のことはわからないといえばそれきりですけれども、私は百八十一億円の漁業権証券がただになったというその瞬間にしてやられたということが、当時の大蔵省にはっきりあったのであります。それが最初に申し上げた年々の予算の査定の場合のワクの構成に大きな一つの考えの要素になっておる。それが毎年毎年、前年の何%アップというようなことで相当長い間推移してまいりましたというところに、われわれが毎年はち巻きをしめてどなり込んで行って少しずつふやしてもらっておる状況が今日の状態だと、私はそう思っておるわけであります。どうぞそういうような実態、あるいは相当大幅に漁業の経営そのものも改善されております、そういう点を十分配慮されまして、今後は水産の予算に対しましては格段のひとつ御協力をお願いしたいというふうに思うわけです。答弁はけっこうです。ありがとうございました。
 水産庁長官にお伺いいたします、具体的に一問ずつ。この漁業近代化資金制度をつくる過程において、農林金融公庫におけるそれとの関連でいろいろと金融公庫等においても意見がありました。そこでこの農林金融公庫とこの近代化資金の融資の分野というか割り振りというか、扱い方というか、そういうところがどういうことになっておるか、その点をひとつ。
#10
○政府委員(森本修君) 今回の近代化資金制度をつくります際に、農林漁業金融公庫の従来の制度金融との関連をどうするか、これが一つの検討いたします際の非常に重要な問題でございました。まず考え方としましては、今回の近代化資金は系統の資金を活用いたしまして制度的な金融の整備をはかるということでありますから、系統金融でカバーし得るような分野、たとえば組合員あるいは組合員の資格を持っておるような、いわゆる沿岸漁業なりあるいは中小漁業の漁業者に必要な施設あるいはそういった人が共同で設置するような施設、そういったものは原則として今回のこの近代化資金制度でまかなっていくというのが適当であろうというふうに一応大まかな改定整理をいたしました。したがいまして、公庫は従来そういうものを主務大臣指定施設なりあるいは共同利用施設というふうな名目で貸し付けを行なっておりましたけれども、これは今後はある意味では補充的な役割りを果たすということになろうと思います。したがいまして、公庫としてはその守備の範囲は、まあ一口にいいますと、基盤整備的なもの、あるいは従来やってまいりました構造改善推進資金あるいは中小漁業の特別の制度による金融、いわばそういった政策的に、ある意味では計画的に誘導をしていくために必要な資金といったものを中心にいたしまして公庫の金融の整備をはかってまいるというふうな、大まかに申しますと、そういった分野の調整をして制度金融間のバランスをはかっていくということになっておるわけでございます。
#11
○和田鶴一君 四十四年度ではこの融資ワクを百億円ということにきめておりますが、どの程度のものがあれば十分まかなえるのか、私にもよくわかりませんけれども、百億円では足りないということははっきりいたしております。そこでこの百億円を、おそらく漁業の実態を調査して各府県にある程度のワクを示すのであろうと思いますが、たとえばこの制度では、漁船のトン数を七十トンまでということにきめております。そうなってまいりますと、府県ごとに漁業の実態が違いますので、割り当てられたワクをどういうようにそれを使い分けるかということ自体、また各府県ごとに協議をしてきめていくだろうと思うのでありますけれども、公庫のほうの考え方として七十トンまでは近代化資金でということになったのだから、公庫はもうそれには全然タッチしないのだというふうに簡単に割り切られますと、私は困る県も出てくるのではないかというふうに思うのです。そういう点の扱いについてあまり明確にされておらないほうがいいと思うのですが、この辺の関係はどうなっておりますか。
#12
○政府委員(森本修君) 従来は制度金融の関係におきましては、やはり一応どういう分野はどういう制度金融、こういう分野はこちらのほうの制度金融ということで、原則的にそれぞれの持ち分といいますか、融資の分野をきめて運営をしてまいるということが一般的な運営の態度になっております。したがいまして先ほど申し上げましたように、近代化資金ができますれば、主として近代化資金で融資をされるものについては、公庫は補完的な働きをすると、たとえば組合員になっていないとか、あるいはなっておりましても、十分金融が受けられない、近代化資金では、そういうふうなよりがたいというふうな場合に公庫が貸し出しをするのであるというふうなことに一応原則的に整理をいたしております。
 しかし何分にも今回の近代化資金、特にことしは発足の初年度でありますし、また漁業系統金融というのが、必ずしも系統金融機関の性格あるいは資金のボリュームといったような点からいきますと、十分農業系統金融のように充実をされておらない、まだ充実の途中であるというふうな実態もございます。そういうことでありますから、あまりに厳格に分野を調整して、一方で貸し出しされるものは一方では貸さないのだというふうにしますというと、非常にぎくしゃくする、また地方の漁業者にも迷惑をかけるというふうなことも私どもわかっておりますので、そういう点については運用上十分配慮をしてまいりたい。
#13
○和田鶴一君 この制度におきましては、貸し付け対象となる資金の種類とか金利とか、償還期限あるいは据え置き期間あるいは貸し付けの限度、それらを法第二条第三項において「政令で定める」ということになっておるのですが、これらのことについて、大体どういうようなことを考えておるか、政令で定めようとする限度及び据え置き期間、償期還限、金利、種類、これを簡単にひとつ御説明を願います。
#14
○政府委員(森本修君) 政令予定事項をお配りすることにしておりますから、早急にお配りいたしますので、それをごらんいただきますと大体のことはおわかりいただけると思うのですが、資金の種類といたしましては、一つは漁船資金、これは先ほど御指摘がございましたように、原則としては総トン数七十トン未満ということにいたしております。
 それから漁業用の機器、漁具でありますとか、あるいは養殖施設といったものが第二のもの。
 それから漁業あるいは水産加工用の施設、これは個人の施設もございますれば、あるいは共同の施設もある。
 それから四番目に漁村の環境整備資金、漁業者の研修施設等、そういったいわゆる環境整備資金、これが大分類としましての資金の種類でございます。
 それから貸し付けの金利は、漁船資金といたしましては二十トン未満が六分、その他の漁業用施設は大体六分ということになっております。それから二十トン以上の漁船は七分、それから漁協等が設置をいたしますところの共同利用施設は七分、大まかにいいますとそういった金利になります。
 それから償還期限、据え置き期間、これはそれぞれの融資物件ごとにこまかくきまるわけでございますので、非常に数が多いので、一々申し上げるのは非常に煩瑣でございますが、大体の考え方としましては、従来公庫でやっておりますところの取り扱いの実例、それから農業近代化資金の関係、また、それぞれの施設の耐用年数といったようなことを考慮いたしまして、それぞれ償還期限及び据え置き期間をきめることにいたしております。
 それから貸し付けの限度でございますが、二十トン以上の漁船は大体四千万円程度を限度とする。それから二十トン未満等の漁船を使用してやるものは一千万円以内というふうに区分をいたしまして、養殖業を営む者が五百万円、その他二百万円というふうに、それぞれ対象並びに性格によりまして融資の限度をきめることにしております。これらはいずれも農業近代化資金その他、他の制度等に比べて不利にならないように十分配慮をしたつもりでございます。なお、漁協等の協同利用施設につきましては一億ということにいたしておるわけでございます。
 大体以上でございます。
#15
○和田鶴一君 いまの資金の種類のところで、最後に言われた漁村の環境改善に関することでありますが、現在農村に行なわれておる住宅を建てるという場合に、そういう住宅対策というものについてこの制度あるいはまた将来について、水産庁当局としては、農村においてすでにやられておることでございますけれども、これらに対する考え方ですね、これをひとつお伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(森本修君) 従来制度的な金融で融資対象として扱っておりましたものは公庫にいたしましても、あるいは先例となっておりますところの農業近代化資金におきましても、主として生産的な施設あるいは販売加工といったような施設にほぼ限られておりまして、その範囲を私どもとしても漸次拡大をしてまいるということで、農業近代化資金も数年後にいわゆる環境整備資金といったような形で一定の共同利用施設を対象に加えてまいるというふうな形でやってきております。漁業近代化資金も、いまの段階では環境整備資金を生産なりそういった施設に加えて発足をするということになっております。したがいまして、生活なり消費的な金融について制度金融の対象にするかどうかということは金融制度一般を通ずる一つの問題であろうかと思います。
 ただ、最近におきましては系統金融で農業の面でもそういった建物といいますか、農家住宅に対する需要がかなりふえている。また漁家についても同じようなことであろうと思いますが、そういったものに対する何らかの改善の手当てということは今後制度金融が取り組むべき一つの分野であろうと思いますけれども、現在の段階では一般的なそういった共通の考え方等もございまして、今回の漁業近代化資金の対象にはいたしておりません。今後そういったものについてのあり方、これらは金融全般を通ずる一つの課題として取り組んでいくべき問題であると思います。
#17
○和田鶴一君 いまの住宅の問題につきましては、おそらく近く開かれる全国の農協婦人部の大会でそういう決議がされるのじゃないかと思いますから、将来におかれまして格段の御配慮をお願いしたいと思います。
 それから先ほど大蔵省に質議をいたしましたら、この制度の円滑をはかるために保証制度の運用をはかっておられるということでございますが、そのために保証料の引き下げというようなことをこれはまあ、出資するのですからね、出資してそれでその出資金というものは予測しなければならないのですから、その利息が協会の運用資金になるのですから、ですから先ほど申し上げましたように、四千万保証受けて近代化資金で金を借りようとすると、少なくとも二百七十万あるいは三百万近い出資をしなければ借りられない。四千万の中から三百万差し引かれたらこれはたいへんなことですからね、沿岸の漁業者にとっては。ですから少しでもその負担が軽くなるように、ひとつ大蔵省と格段の将来にわたって交渉をしていただきまして、あるいはまたもちろん協会自体の安全というようなこと、運用の関係からそれぞれ貸し出しの倍率等についての制限が考えられると思いますけれども、こういう点につきましても総体的にひとつやりやすいように将来とも配慮していただきたいと思います。
#18
○政府委員(森本修君) 漁業の保証制度は御指摘がございましたように、沿岸漁業者がこれを利用するという観点からいきますというと、今後改善を要する点が少なからずあると思います。発足の経緯からこういったことになっておりまして、漸次私どもは改善につとめてきておるつもりでありますけれども、なお現状におきましては御指摘がございますように、保証料の関係あるいは出資の関係、倍率の関係等、御指摘を待つまでもなく私ども取り組まなければならぬ問題が多いと思います。いっときにはなかなかこういった制度というものは改善がむずかしいのでありますが、今回も政府の保険料率を下げる、それに伴って地方の保証料率もできるだけ下げていただくように指導するといったようなこと、また出資に対する共同利用制度がございますが、それをもう少し拡大をしてまいる、あるいは倍率についてもそれぞれ地方の協会等を見ますと十分拡大をされていないというふうなところもございます。そういった数点について、この漁業近代化資金の発足と同時に地方に対しましては私どもは十分指導をして、とりあえず現状においてできることはできるだけやってまいりたいと、将来また財政的な問題が改善をするには出てまいると思います。大蔵省ともよく相談をいたしまして、不断にひとつ改善の方途を講ずるように努力をしていきたいと思います。
#19
○小林国司君 関連。ただいま和田委員からいろいろ質議がございましたが、私、これに関連いたしまして二、三お尋ね申し上げたいと思います。
 まず第一点は、中小漁業者への融資に際しまして、県単位あるいは特定業種につきまして漁業信用基金協会が保証を行なう。さらに政府がこれに補てんする仕組みになっておることは御承知のとおりでございます。ところがそれら各県にございます基金協会あるいは特定業種についての基金協会には、財政状況に相当差がございますので、したがって漁業者がその保証料を支払うのもいろいろ差がございます。今回本法案によって政府の保険料率が〇・八%から〇・七%に〇・一%引き下げられることになる模様でございますが、しかし、漁業者の保証料という問題を取り上げてみますと、これによって生まれる効果というものが十分期待できないような気がするわけでございます。したがいまして、先ほど大蔵省の主計官の話によりますと、他の農業関係との保証料について、特に中小漁業についてはそれほど高いとは思わない、こういう御説明がございましたが、現実にはいろいろな農業関係の保証料と比べてみますというと、非常に漁業関係は高い気がするわけでございます。
 一方、従来沿岸の各県で、水産庁の資料によりますと大体三十七県、これが単独に中小漁業者に利子補給を行なってまいっております。今回、本法案の実施によりますというと、基準金利と貸し出し金利との差額を政府と県とが半分ずつ受け持つということになるわけでございますが、そうなりますと、県は従来から単独に利子補給しておったその負担が半分軽くなるということに相なります。そこで、先ほど申し上げました保証料が政府の保険率を下げてもなおかつまだいろいろな他の農業関係に比べて高いという現実を踏まえて、そこで今後本法案による各県の単独の利子補給が軽くなるというその分を今後中小漁業者の保証料の引き下げのほうにその資金を回すと、これはもちろん政府の取り扱うことではございませんので、各県の取り扱う問題でございまするので、農林省がそうするとかそうしないとかということはこれは言明できないとは思いますが、少なくも指導方針といたしましては、水産庁から各県に、従来から各県が行なってまいりましたところの単独の利子補給の負担の軽くなる分については、保証料の引き下げにこれを重点的に回すという指導方針を農林省はお進めになるお気持ちがあるかないか、この点をまず第一にお聞きしたいと思います。
#20
○政府委員(森本修君) 御指摘のように、各県におきましていわゆる県単融資制度というものをやっておりまして、利子その他について負担をして県独自の金融をやっております。それと今回の近代化資金とはどういう関係にあるのかというのは一がいにはちょっと予測はつきませんけれども、同種のものがございますから今回の近代化資金制度ができれば、県のほうの制度もそれに統合するといったようなこともあろうかと思います。私どもはなるべく県が従来持っておったような財政的な援助は、今回の近代化資金ができることによってなるべく後退はしないようにということで指導をしてまいりたいと思っております。
 その際に、利子で従来見ておった負担を保証料のほうに回したらどうだという御指摘でございます。従来県におきましても保証料の補助をしておる県も実例としてはあるわけでございます。だから、まあ県の財政の事情にもよりましょうから、私どもでとかくあまりそういったことについて介入めいたことも言いにくいのでありますけれども、漁業関係者としてはできるだけ従来の県の財政援助を後退しないという趣旨で、保証料に対して、御指摘のように非常に多いわけでありますから、県が援助をしていくというのも一つの方法であろうと思います。そういう点については十分ひとつ県のほうに指導を加えていきたいと思います。
#21
○小林国司君 ただいま申し上げましたことは、これは農林省が直接おやりになることではございませんで、指導方針としてそういうふうにおやりいただくことが今後の中小漁業の振興にきわめて有利に役立つ、こういう気がいたしますので、いろいろ困難もあろうかと思いますが、できるだけそういう方針に指導をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 第二点は、法案の第二条三項二号に、「償還期限が、二十年の範囲内において政令で定める期限」ということになっております。これは資金の種類に応じまして施設の耐用年数を勘案して定める、こういうふうにうたってあるわけでございますが、そういたしますと、いろいろ資金を貸し付ける際に、対象物の耐用年限の短いものもあれば長いものもある。たとえば木造船等については耐用年限を幾らに見ておられるのか、これは政令でおきめになることだと思いますが、これがきわめて短い年限であるということになりますと、この償還が非常に苦しくなりはしないか。そこで、政令でおきめになるのは今後の問題でございますので、木造船あるいはいかだというような腐蝕の早いもの、つまり耐用年限の短いと想定されるものについてもできるだけ範囲を広く考えてやっていただくようにお願いを申し上げたい。これは今後政令の中でおきめになる問題でございます。この点についてどういうふうにお考えになっておるのかお尋ね申し上げたいと思います。
#22
○政府委員(森本修君) 先ほどお答え申し上げましたように、償還期限等はそれぞれ耐用年数あるいは公庫の従来の実例等を照し合わして合理的に定めていきたいと思っておるわけでありますが、御指摘のように償還期限が短くなりますと、それぞれの年度における要償還額がふえてまいりまして漁業者にも償還に負担をかけるといったようなことになります。したがいまして私どもとしては、まあ説明のつく限り耐用年数についてもそういった償還上のことも考慮してきめるように考えていきたいと思っております。
#23
○小林国司君 次は、最近の漁港の修築であるとかあるいは漁船の整備拡充、あるいは漁獲技術の進歩発達、こういうことによりまして、沿岸漁業の資源が次第に減少していく傾向にある、こういうことがうかがわれるわけでございます。また一方では、沿岸の都市化あるいは各種産業の発達に起因するところの海水面の汚濁、こういう問題によりまして沿岸漁業の伸展が将来非常に危惧される状態になりつつある。今後漁場というものが次第に浅海の沖合いに移行する傾向にあるようでございまして、かつまた、従来のように、ただとる一方だけの漁業ではなくて、ふやしてとるいわゆる増養殖漁業に必然的に進まねばならない時代に移行していくのではなかろうか、こういうふうに判断されるわけでございます。
 そこで、昭和三十九年に御承知のとおり平塚農業土木試験場に水産土木部という新しい試験研究の制度が設けられたわけでございます。この水産土木部には三つの研究室がございまして、それぞれ増養殖から、あるいは波の問題から、海岸、堤防等に対する波の勢力を減殺する試験、こういったことを今日まで過去四年間にわたって試験研究を実施しております。そうしてこの水産土木部の目的といたしますところは、今後の漁業の振興を土木工学的に解明いたしまして、理論と実際を個個の漁業の現場に当てはめていくということが設立の目的であったわけでございます。今日まで理論的な研究も着々と進められつつあることと思いますが、特に近年、御承知のとおりノリの漁業の不振が伝えられております。これは過密養殖であるとか、あるいは歴年使用――毎年同じ状態で同じ漁場を使っているという状態、あるいは漁場の環境、特に水質が汚濁して悪化してくる、こういうような原因によりましてノリ漁業が至るところで近年きわめて不振を訴えておるようでございます。
 そこで新旧の海水、あるいはまた、陸から海に流れ込んでくるところの陸水、こういったものとの交流、あるいは混合拡散、こういうことを積極的に推進するための土木技術、つまり人工潮流を起こす、こういうことが今後の増養殖について、これはノリだけではないと思いますが、特に必要な段階に入ってきた時代であるというふうに思うわけでございます。しかしながら、この海水の人工的に潮流を変えていくという問題、あるいは海の浅い、深いという問題は、これは刻々に海底の状況が変わってまいりますとノリ養殖には非常に大きな影響がございますので、常に一定の潮流を保持しながら一定の水深を保つ、こういうためにはどういう土木技術を必要とするか、これはなかなか口で言うほど研究問題も簡単ではございません。したがって、体系的にいま理論体系が完成されておるわけではございませんが、しかし、現に平塚の試験場では毎年鋭意この問題に取り組んでおりますことは水産庁の皆さんも御承知のとおりだと思います。そこでお尋ねいたしたいと思います。
 第一点は、水産庁との連携におきまして過去四年間、つまり四十三年度までに平塚の試験場で行なわれてまいりましたところの試験研究の概要とその成果について、これは現に私のところにも資料は取り寄せてございますが、微に入り細にわたって試験研究が行なわれておりますが、これをこまかく御説明をいただく必要はございません。大まかな概要、その方向、そういったものをまず御説明願いたいと思うのが第一点。
 第二点は、先般定められましたところの第四次の漁港の整備計画、先ほど和田委員からもるる御説明がございましたが、五年間で二千三百億の漁港の整備事業をやっていこうということに先般方針が定められたのでございますが、この漁港の整備という問題と、平塚の試験場におきまする水産土木部が、たとえば防波堤の高さ、構造あるいは海岸侵食に対して土木工学的なものの考え方、こういうことをいろいろ試験、実験をやっております。そこで第四次の漁港整備計画を今後五カ年計画でお進めになりますが、その中で平塚の試験場で研究しておりますところの成果をどういうふうに取り上げておいでになるか、その御方針を承りたいというのが第二点。
 第三点は、御承知のとおり、海洋開発審議会というのがございます。その第二部に生産資源を取り扱っております。その答申が近く行なわれるやに承っておるのでございますが、今後水産庁とその海洋開発審議会及び平塚試験場の水産土木部と、今後どのような連携において中小漁業の振興についてお考えをお進めになっていくか、以上三点をお尋ね申し上げたいと思います。
#24
○政府委員(森本修君) 平塚におきますところの水産土木部の活動といいますか、研究の概要でございますが、これは小林委員先刻御承知のとおりであろうと思いますが、機構といたしましては第一室、第二室、第三室というふうに分かれておりまして、第一室と第三室では、いわゆる水産土木に関する研究ということで、魚礁なりあるいは防波さく、たとえばノリの漁場の防護といったような関係の土木的な研究をいたしております。第一室においては主として理論的な面から、第三室におきましては実際的な面からそういったものに対する研究を漸次進めてまいりました。それから第二室のほうは漁港に関する研究ということに分担はなっておりまして、従来やってまいりましたのは離岸堤でありますとか、あるいは潜堤、漂砂堤といったような堤防の法線の問題等々について研究の成果が出ておるわけでございます。また、特定の重要漁港につきましてその計画を作成いたします際に必要な模型実験といったようなこともこういった第二室において取り扱っておる研究の一つの分野でございます。まあ概要はそういうことでございます。
 それから第二点の漁港整備計画の中にそういった研究がどのように生かされようとしておるかということでございますが、ただいま申し上げました各種の堤防の法線等につきまして研究の成果が出ておりますので、それぞれの設計をいたします際に、平塚におけるこういった研究が法線の決定上非常に有効に今後活用されていくと、また私どももそれを十分取り入れて計画をつくっていくようにやってまいりたいと思います。また、たとえば銚子でありますとか、あるいは稲取といったような具体的な漁港、これはきわめて重要な漁港でございますが、そういったところの計画をつくります際に模型実験等をやっていただいておりますから、そういうものが計画なり事業を実施していきます際に非常に重要な参考となるということでございます。
 それから、第三点の海洋開発と漁業の関係、またひいては平塚の土木試験場との関係はどうかということでございますが、これはまだ御案内のように、海洋科学技術審議会において審議中でありまして、近く成案を得ることになろうかと思いますから、私どもとしては海洋開発面が、単に御承知のように工業開発といったのみではなしに、特に諸外国に比べて日本のいままでの立地条件あるいは食習慣、また産業の構成等からいきまして、漁業面における海洋開発がきわめて重要である、必要であるというふうなことから、今後の試験研究の長期的なプログラムの中にも、そういった観点から漁業面の各種の研究の分野をもっていきたいということで、審議会に資料を出し、また必要な説明をし、科学技術庁ともやっておるわけであります。
 特にその中でも、冒頭御指摘がございましたように、今後の漁業のあり方としては資源の増養殖また漁場の改良ということが漁業面においてもきわめて重要であります。したがいまして、そういったことを海洋開発の面に十分位置づけるという必要を私ども痛感いたしております。そういう面から漁場の改良、造成といったような面においては、当然土木技術的な分野の今後進展を見なければならないということでありますから、それぞれ長期な計画ないしは目標が立ちますれば、必要な試験研究分野は平塚における水産土木部において担当していただくような役割りも出てくるかと思います。まだ具体的な、どこがどうということことまでは煮詰まっておりません。大体の方向としてはそういうふうなことでもって目下各省と検討しているという段階でございます。
#25
○小林国司君 最後に、これはお願いのかっこうになるわけでございますが、水産庁やあるいは各企業体から平塚の試験場にいろいろな模型実験なり調査研究の依頼を数多く持ち込んでおります。ところが、水産土木部が三つの研究室に分かれておりますが、その人員が全部で十数名しかおりません。それから予算は、毎年少しずつ伸びておりますが、四十四年度で大体三千五百万円、これはただ調査とか旅費とかいうだけでなくて、模型実験というものがかなり費用がかかるわけでございます。そういうものを含んでおるわけでございますが、年々の伸び率が約一〇%ずつくらい過去四年間に伸びてまいっております。
 そこで私、水産庁にお願い申し上げたいと思いますことは、今後の水産土木の漁業振興に果たす役割りというものは決して小さいものではないと思います。したがいまして、この研究が遺憾なく実施されますように、人員の配置の点、これはもちろん技術者の点でございますから、水産庁のほうでどうこういうことはまいらないと思いますが、農地局その他学校関係とも御協力くださいまして、こういう特殊の技術でございます、日本では技術者が非常に少ない今日貴重な人材でございますが、これらをできるだけいい研究、それができますように、あわせて予算の獲得等についても試験場だけにまかせないで、水産庁のほうからいろいろ御支援を賜わって、そして十分な委託研究あるいは独自の研究開発が進んでまいりますように格段の御高配を願いたい。これは答弁は要りません。お願いを申し上げまして質問を終わります。
#26
○委員長(任田新治君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十三分開会
#27
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします、
 まず、農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府から趣旨説明を聴取いたします。長谷川農林大臣。
#28
○国務大臣(長谷川四郎君) その前に――たいへんお待たせして何とも申しわけございません。
 農業協同組合法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
 農業協同組合は、農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上をはかることを目的とする農民の協同組織として、昭和二十二年に発足して以来、わが国経済及び農業の歩みとともに発展してまいりました。
 しかしながら、近年における農業及び農業協同組合をめぐる諸情勢の変化には著しいものがあると考えられます。
 すなわち、近年における経済の高度成長を背景として、農業生産の選択的拡大や機械化の進展など農業近代化の動きが見られる反面、兼業化が進み、経営規模はなお零細であり、農業の生産面の一部には楽観を許さないきざしもあらわれております。このような事態に対処して農業構造の改善と農業生産の維持増大をはかるためには、個々の農家の経営規模の拡大を進めることとあわせて、協業など生産の集団的な組織を育成することもまたきわめて重要となっているのであります。
 また農業協同組合自体につきましても、組合をめぐる諸情勢に対処し得るよう、国が昭和三十六年以来進めてまいりました農協合併の進展の結果、組合の規模が拡大しその経営基盤が充実しつつありますが、合併における組合の組織管理面、事業運営面などにつきましてなお改善を要する点も少なくなく、また系統組織の運営面におきましても解決を要する問題が生じてきております。
 このような情勢のなかで、農民の協同組織であります農業協同組合がその役割りをよりよく果たすためには、組合員及びその役職員の自主的な努力にまつところが大きいのでありますが、制度面において改善を要する点もありますので、今回農業協同組合法の改正を提案する次第であります。
 以下、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
 改正の第一点は、集団的生産組織に関連する制度面の改善措置であります。
 その内容といたしましては、まず農業協同組合に組合員から委託を受けて行なう農業経営の事業を認めることであります。近年組合がトラクター等の機械施設を保有し、組合員から農作業の委託を受ける例が全国各地に見られますが、就業構造の変化と機械化の進展に伴い、さらに農業経営自体を組合に委託するような必要が生じつつありますので、組合がこのような組合員の要望にこたえて、その農業経営を受託し、組合が合理的な形で農業経営を行ない得る道を開こうとするものであります。
 次に、農業経営を行なう農事組合法人につきまして、その経営の合理化や就業事情の変化に対応して、組合員資格及び員外従事者に関する制限を緩和して、経営の安定向上をはかるとともに、設立の円滑化に資そうとするものであります。
 改正の第二点は、農協合併の進展による農業協同組合の規模の変化に対処するための措置であります。
 まず、総代会制度を整備することであります。合併の結果組合の規模が大きくなったため、総会の開催ないし運営に困難を生じている組合がふえておりますので、このような状況にある組合につきましてその円滑な管理運営を確保するためには、総代会制度をより一そう活用し得る道を開く必要があると考えられるのであります。このため総代会の権限を拡大し、役員の選挙または選任及び定款変更の決議につきましても総代会において行ない得るようにするとともに、これに伴い、総代の定数の最低限度を引き上げようとするものであります。また、組合の解散及び合併につきましても、総代会において議決をし、さらに、組合員の直接投票による賛成を得ることによってもこれを行ない得ることとしております。
 次は、農業協同組合連合会の会員につきまして、一会員一票制の特例を設けることであります。合併の進展に伴い、連合会の会員であります農業協同組合の規模に相当の格差を生じ、従来の一会員一票制では実質的な平等が確保されがたい実情も見られるようになってきておりますので、今回、連合会の会員に対しまして、その組合員の数に基づいて二個以上の議決権及び選挙権を与えることができることとしようとするものであります。なお、中央会につきましてもこれと同趣旨の措置を講ずることとしております。
 以上のほか農業協同組合の事業運営の現状にかんがみまして、信用事業につきまして、貸し付けに関する規定の整備を行なうとともに、信用事業を行なう農業協同組合連合会が行なう指定金融機関の業務代理を間接構成員のためにも行ない得ることとする等の措置を講ずることといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。
#29
○委員長(任田新治君) 次に、補足説明及び関係資料の説明を聴取いたします。池田農政局長。
#30
○政府委員(池田俊也君) 農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容の概略を御説明申し上げます。
 第一に、農協による農業経営の受託事業につきましては、この事業の性格にかんがみ、事業主体を出資制の農業協同組合とするとともに、他の事業とあわせ行なわなければならないこととしております。なお、この事業の実施につきましては、受託農地の集団的な利用や、高性能機械施設の使用などにより、効率的な経営が実現されるように指導してまいりたいと考えております。
 第二に、農事組合法人制度につきましては、農業経営を行なう農事組合法人につき、最近における諸情勢の変化に即応し、農民の協同組織という基本的性格を保持しつつ、他の生産組合制度との均衡をも考慮して、組合員資格及び員外従事者に関する制限を緩和することとしております。すなわち、定款で定めた場合には、加入の後に農民でなくなった者等については、その農事組合法人との関係においては組合員たる資格を有するものとし得ることとするとともに、これによって組合員たる資格を有するものとされる者の数は、定款変更等特別議決の場合の議決要件などを勘案して、総組合員の三分の一をこえてはならないこととしております。また、員外従事者の数につきまして、常時従事者の五分の一以内という現行の制限を二分の一以内に緩和することとしております。
 第三に、総代会につきましては、大規模農協の管理運営の円滑化に資するため、従来行なうことのできなかった役員の選挙または選任及び定款の変更の決議をなし得ることとしております。また、解散及び合併につきましては、総代会において議決をし、さらにこれにつき組合員の直接投票において総組合員の半数以上が投票し、その投票数の三分の二以上の多数による賛成を得ることによっても、これを行ない得ることとしております。このような措置に伴い、組合員の意思を総代会に対しよりよく反映させる必要があると考えられますので、総代の定数につき、現行の百人という最低限度を引き上げ、原則として総組合員の五分の一以上でなければならないこととしております。
 第四に、農業協同組合連合会の会員の議決権及び選挙権につきましては、会員が農業協同組合である場合にはその正組合員数、会員が連合会である場合にはその直接または間接の構成員たる農業協同組合の正組合員数等に基づき、定款の定めるところにより付加して与え得ることとしております。なお、付加して与える議決権及び選挙権の数につきましては、一会員一票制の原則に対する例外である趣旨にかんがみ、政令で一定の制限を課することを予定しております。また、中央会につきましても、都道府県中央会にあっては会員の議決権及び選挙権の数、全国中央会にあっては代議員の選挙における会員の選挙権の数等につき、同趣旨の措置を講ずることとしております。
 以上のほか信用事業につきまして、組合員の世帯員、地方公共団体等の非営利法人または銀行その他の金融機関に対する資金の貸し付けに関する取り扱いを中小企業金融機関における取り扱いとの均衡を考慮して改正するとともに、制度金融の動向にかんがみ、その適正な取り扱いがはかられるように、信用事業を行なう農業協同組合連合会が間接構成員のために指定金融機関の業務代理をすることができるようにすることとしております。そのほか、組合経営の健全化に資するため、損益計算書を総会の議決事項として加えるなどの改正をすることといたしております。
 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明といたします。
 次に、法律案の参考資料につきまして簡単に御説明申し上げます。
 第一ページには単協の組織の状況を書いてございますが、総合農協につきましては、四十三年三月末でございますが、七千七十四ということで、かなり合併が進展をいたしておるわけでございます。専門農協につきましては、合計いたしまして一万二千六百九十八でございまして、これは若干減少をいたしておるわけでございます。
 次に、第二ページにまいりまして、単協の地区別、業種別の組合数を出してございますが、総合農協につきましてはいろいろバラエティが、地域の規模が広いわけでございます。専門農協につきましては、大部分が町村未満ということで規模が非常に小さいわけでございます。
 それから下のほうには農協の合併実績が出してございますが、これは合併助成法ができました以後の実績でございますが、四十年ごろまでの間にかなり進展をいたしまして、それ以後は数が減っております。
 それから第三ページにまいりまして、総代会の設置状況を出してございますが、総代会を設置しております組合の割合は、四十三年三月末で一四%程度ということになっております。
 次の表は規模別総代会採用組合数でございますが、やはり千人以上の組合におきまして総代会を設置している割合が多いわけでございまして、三千人以上では七割くらいが総代会を設置している、こういうことになっております。
 それから右のほうは連合会の数、業種の状況でございます。
 次に、四ページにまいりまして、協同組合の規模でございますが、正組合員の数、役職員の数等を出してございますが、正組合員の数では、最近の数として一組合平均八百五十人くらい、職員数三十二人くらい、こういう状況になっております。
 次のページにまいりまして、正組合員戸数別総合農協の数を出してございますが、これでごらんいただきますと、比較的規模の小さい組合は合併が進展をいたしまして、たとえば三百戸未満、五百戸未満では三十六年当時に比べまして半分くらいに減っておるわけでございます。それから千戸以上は逆に数が増加いたしておりまして、千戸ないし二千戸は二倍くらいにふえておる。それからそれ以上はさらに大幅にふえておるのでございます。
 右のほうは連合会の規模別のデータでございます。
 それから六ページにまいりまして、農業協同組合の財務の状況を出してございます。まず単協の財産といたしましては、一組合平均でございますが、六億三千万程度の数字になっております。資本金は二千百万円程度でございます。
 右のほうは損益の状況でございますが、最近赤字組合がかなり減りまして、当期損失金発生組合というのがその期に赤字を出しました組合でございますが、下の比率でごらんいただきますと三%程度で、かなり数は減少いたしておるわけでございます。
 それから、次の七ページにまいりまして、連合会の財務の状況でございまして、右のほうには損益の状況を出してございますが、現在当期の損失金発生連合会というのはゼロでございます。
 それから、次に八ページにまいりまして、協同組合の事業の状況でございますが、貯金におきましては、単協の場合、全部含めますと三兆四千六百億というようなことでかなり大幅に伸びておるわけでございます。貸付金は一兆七千億ということで貯貸率は四十三年三月末で五〇・七%ということで、若干上昇ぎみでございます。
 下は信連の事業の状況でございます。貯貸率は三五・五%ということに相なっております。
 それから次のページにまいりまして、経済事業におきます状況でございますが、上のほうは系統利用率でございまして、各種日別に出ておるわけで、米につきましては農家が農協を通じて販売しておるのが九四%、以下そこに出ておるような数字でございます。生産資材では、肥料は約八割を農協が扱っておる。農機具は三三%程度、こういうことでございます。
 下は総合農協におきます各販売、購買の事業のウエートでございますが、販売事業におきましては、やはり米が依然として六二%で非常に大きなウエートを占めておりまして、あと畜産等がこれに次いでおるわけでございます。購売事業は約七四%が資材でございまして、その中では飼料、肥料等のウエートが高いわけでございます。
 それから次のページの十ページでございまして、これは共済事業の状況の数字でございます。かなり事業が進展いたしておりまして、金額で申し上げますと、短期で一兆四百二十一億、長期で五兆八千億ということに相なっております。
 それから次の十一ページは、農協の農業経営の受託に関連いたします資料でございまして、一番上の表は水稲の賃作業、請負作業の状況でありまして、全部の委託をいたしておりますのは、戸数にいたしまして十八万戸で、全体の三・六%程度、各作業別のは、そこに書いてございますように、たとえば耕起でございますと百四十五万戸が委託をしておる。約三割ぐらいになっておるわけであります。面積ではもう少し落ちるわけでございます。
 下は大型農業機械、施設の設置状況でございまして、たとえば大型乗用トラクターで見ますと、そういうような主体がそれぞれ持っておるわけでございますが、農協のウエートもかなり高い状態に相なっております。それから次の十二ページに農事組合法人の状況でございまして、数をまず最初に出してございますが、一号法人というのは共同利用を中心にしました法人で、二号が農業経営を行ないます法人、一〜二号といった両方やっておる場合でございます。数は漸次増加をしておるわけでございます。
 右のほうはそれの規模別の数字でございますが、農業経営を行ないます事業は、法人につきましてはやはり十人以下の規模のものが非常に数が多いわけでございます。
 それから最後のページが各業種別の農業経営を行なっております組合法人の業種別の状況でございますが、作目といたしましては、畜産関係が非常にウエートが高くて四種類ございますが、全部合わせますと三八%程度、以下果樹、普通作、養蚕というようなことに相なっておるわけでございます。
 以上で資料の説明を終わります。
#31
○委員長(任田新治君) 本日は、本案に対する趣旨説明、補足説明及び関係資料の説明のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#32
○委員長(任田新治君) 農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。
 まず提出された資料について説明を求めます。山下参事官。
#33
○説明員(山下武君) 今回、都市計画に関しまして提出した資料についての御説明をいたします。
 提出資料は、お手元にあります三つの資料になっておりますが、第一は「都市計画法施行令案(抄)」となっております。第二は「都道府県都市計画主務課長会議資料(抄)」。第三は「人口集中地区人口密度の現況と動向」、それから「都市計画法附則第三項の都市計画区域に指定するかどうかを検討する市町村一覧表」、この二つを含めた一つの資料になっておるものでございます。以下、順を追いまして説明をいたします。
 まず施行令案でございますが、特に農業と関係のございます市街化区域、市街化調整区域の設定に関連するもの及び市街化調整区域内の開発許可に関連する条項を抜き出しましてまとめてございます。
 説明の都合がございますので、九ページをお開きいただきますと、附則というところの条項がございますが、ここでは市街化区域、市街化調整区域に関する規定は政令で定める都市計画区域について適用されるということになってございますので、ここに一から四、五とこういうふうに並べてございますが、これが政令で定める都市計画の区域でございます。第一の「首都圏整備法第二条に定める既成市街地及び近郊整備地帯に係る都市計画区域」、それから第二に、「近畿圏整備法第二条に定める既成都市区域及び近郊整備区域に係る都市計画区域」、第三に「中部圏開発整備法第二条に定める都市整備区域に係る都市計画区域」。四としまして、「次に掲げる区域に係る都市計画区域で、建設大臣が指定するもの」ということになっておりまして、イからヘまでなっております。これは「首都圏整備法第二条に定める都市開発区域」、「近畿圏整備法第二条に定める都市開発区域」、「中部圏開発整備法第二条に定める都市開発区域」、それから「新産業都市建設促進法第三条の規定により指定された新産業都市の区域」、「工業整備特別地域整備促進法第二条に定める工業整備特別地域」、それから「人口十万以上の市の区域」、このようになっております。それから五といたしまして、「前号イからヘに係る都市計画区域と密接な関連のある都市計画区域で建設大臣が指定するもの」と、こういうことで政令に一応列挙いたしまして、そうして市街化区域、市街化調整区域を定める都市計画区域はこのようなものであるというふうに定めようとするものでございます。
 そこで、一ページに返っていただきまして、一ページのところでは、都市計画の基準というところでございますが、法律の第十三条に「都市計画の策定に関し必要な技術的基準は、政令で定める。」こととなっております。そういった内容のものを政令できめようとするものでございまして、「市街化区域と市街化調整区域との区分に関し必要な技術的基準は、次の各号に掲げるものとする。」ということで、第一番目には「次に掲げる土地の区域は、市街化区域とすること。」として、市街化区域にはどういうようなものが入るであろうかということを示したものでございまして、イとロとありまして、イは「相当の人口及び人口密度を有する既成市街地の区域並びにこれに接続して現に市街化しつつある土地の区域」というのが一つの区域でございます。それから「当該都市計画区域における人口及び産業の動向及び将来における見通しを勘案して、おおむね十年以内に新たに市街化する必要のある土地の区域」とすると、こういう内容になっているのでございます。
 それから次に二といたしまして、「前号ロに掲げる土地の区域は、原則として、次の各号に掲げる土地の区域を含まないものとすること。」、この市街化区域に含まないものにはどういうものがあるかということを、イとロとハというふうに分けて書いてございます。イのところには、「当該都市計画区域における市街化の動向、鉄道、道路等の交通施設の配置、河川及び用排水施設の整備の見通し等を勘案して市街化することが不適当な土地の区域、それからロといたしまして「溢水、湛水、津波、高潮等による災害の発生のおそれのある土地の区域」、それからハといたしまして、「相当規模の優良な集団農地その他長期にわたり農用地として保存すべき土地の区域」、こういうものは含めない方向でいこうということになっておるのでございます。
 それから第三の「市街化区域と市街化調整区域との区分は、原則として、鉄道その他の施設、河川、海岸、がけその他の地形、地物等土地の範囲を明示するに適当なものにより境界を定めることとし、これによりがたい場合には、町界、字界又は市街地開発事業の施行区域の境界等により境界を定めること。」、こういうふうにいたしたいと思います。
 それから「法第二十九条第一号の政令で定める規模」ということに書いておいてございますが、開発行為の許可に関する規定でございまして、あらかじめ知事の許可が必要である、ただその例外といたしまして、その許可の要らない場合はどうかということで、政令で定める規模未満のものということになっておりますので、ここに書いてありますように、「法第二十九条第一号の政令で定める規模は、千平方メートルとする。」、約三百坪程度のものでございますが、ただこの場合には、実情に合わない場合が場所場所によっては出てくるかもしれないということを考えまして、都道府県知事とか指定市の市長に対しましては、それぞれ県規則とか市規則とかによりまして、「三百平方メートル以上千平方メートル未満の範囲内で、その規模を別に定めることができる。」というふうにしまして、一律に千平方にしないで、三百から千の間で適宜実情に応じてきめられるようにいたしております。
 それから、次の三ページでございますが、「法第二十九条第二号の政令で定める建築物」ということで、これは市街化調整区域内の開発行為で農林漁業関係の許可の不要の建築物を政令で定めるということになっておるのでございまして、ここで一号から五号まで列挙しておいてございます。これは農業に関係ございますので全部読ましていただきますが、第一番目に、「畜舎、蚕室、温室、育種苗施設、家畜人工授精施設、孵卵育雛施設、搾乳施設その他これらに類する農産物、林産物又は水産物の生産の用に供する建築物」、二は「堆肥舎、サイロ、種苗貯蔵施設、農機具格納施設その他これらに類する農業、林業又は漁業に係る生産資材の貯蔵又は保管の用に供する建築物」、三は「家畜診療の用に供する建築物」、四は「用排水機又は索道の用に供する建築物」、五は「前各号に掲げるもののほか、建築面積が九十平方メートルをこえない建築物」、こういうようなぐあいにいたしまして、こういうようなものにつきましては許可が不要のものであるというふうに定めたいと思っております。
 それから「法第二十九条第三号の政令で定める公益上必要な建築物」というのでございますが、駅舎その他の鉄道施設、社会福祉施設、医療施設、学校、公民館等のほか公益上必要な建物を政令で定めるということになっておりますので、ずっとこれは列挙しておいてございます。これは長くなりますので略さしていただきますが、大体二十二号で土地収用の対象となり得るものをずっと列挙しておいてございます。
 それから七ページに進んでいただきまして、「法第二十九条第九号の政令で定める開発行為」というところの条項でございますが、「通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの」ということになっておりまして、「法第二十九条第九号の政令で定める開発行為は、次の各号に掲げるものとする。」ということになっておりまして、ここには一から七までの内容になっております。ここで大事な点と申しますと、仮設建築物であるとか、あるいは敷地内において車庫、物置き、それから付属建築物の建築をしようとする場合とか、増築をするような場合で床面積の合計が十平方メートルをこえないような場合であるとか、それから八ページに移っていただきまして、改築等の関係の行為であるとか、それから移転の用に供する目的で行なう開発行為であるとか、法令またはこれに基づく処分による義務の履行として行なう開発行為、こういった関係のものは軽易な行為として政令できめていこうということでございます。
 それから最後のところでございますが、「法第三十四条第十号イの政令で定める開発区域の面積」ということになっておりますが、この法律の三十四条と申しますのは、市街化調整区域にかかります開発行為が一号から十号までずっと列挙されておりますまして、これに該当する場合でなければ許可をしてはならぬと、こういうふうに書いてあるわけでございますが、この場合に、「法第三十四条第十号イの政令で定める開発区域の面積は二十ヘクタールとする。」、これは法律の条文によりますと、都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経たもので、開発区域の面積が政令で定める面積を下らない開発行為で、都市計画区域における計画的な市街化をはかる上に支障がないと認める場合、そういうことで二十ヘクタールをきめていこうというものでございます。これを言いかえますと、政令で二十ヘクタールということになりますと、二十ヘクタール以上の開発行為でなければ都道府県知事は許可をしてはならない、こういうことになるわけでございます。こういうことで政令の案を固めさしていただこうということにいたしております。
 それから第二番目に長い方の資料で、「都道府県都市計画主務課長会議資料(抄)」でございますが、これは過去二回にわたりまして行ないました主務課長会議で、私のほうの都市計画課長が検討事項として説明をいたした資料でございます。「市街化区域及び市街化調整区域を設定する都市計画区域の範囲」に関するもの、「市街化区域設定の方法について」ということの内容のものでございます。
 第一ページの1でございますが、「市街化区域及び市街化調整区域を設定する都市計画区域の範囲」、これはしかしもうすでに政令のところで御説明いたしましたので略さしていただきますが、@として(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)とございまして、(ニ)のところで建設大臣が指定するという場合に、どういう場合に指定するだろうかということの内容を詳しくしたものでございます。すなわち、当該都市計画区域の人口が増加していること等の一定の要件に該当するというような場合には、建設大臣が指定するということでございます。それでそういうような場合に、特に(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の(ニ)の(T)、(U)、(V)でありまして、「首都圏、近畿圏又は中部圏の都市開発区域」であるとか、「新産業都市の区域」とか、「工業整備特別地域の区域」であるとか、こういうようなものにつきまして、どういうような計画になっておった場合に大臣が指定するかということを、このカッコの中に書いておいてございますが、端的に申しますと、二次、三次の産業就業人口が五年間に五千人ぐらい増加した場合にこれを指定することにしております。今後五年間において、二次、三次産業の就業人口が五千人以上に増加する見込みがある場合、それから百ヘクタール以上の工業団地の開発というものが計画されまして、これらに連接する近傍の市町村というようなことで、大体十キロ以内程度を一応の対象にしてはどうかということでありますが、場合によりましては五キロとか四キロとかのものを対象にして、こういった策定をする場合がございます。それから住宅団地とか、工業団地とかの計画的な開発の見込みのあるというような場合を指しているのでございます。それから(W)のところで「人口十万以上の市の区域」というのがございますが、これは大体人口十万以上の都市でございまして、特に人口が五年間に五%くらい増加しておるとか、二次、三次産業の就業人口が五年間に五千人以上増加するとか、あるいは連接しておるところの近傍の市町村、これもいろいろ大きい都市と、だんだんと小さくなってくる市町村とに分けまして、いろいろ取る距離を定めまして、五十万以下のものは大体二十キロ見当、それから二十五万‐五十万ぐらいのところは十キロから十五キロぐらいのところを大体考えていいのではないか、それから十万から二十五万は八キロから十キロ程度の大体道路距離を考えて、そういうふうに考えてやってみてはどうだろうかということを説明した内容のものでございます。いずれもこれはその距離等を考えます場合には、そこが一体としての都市を形成していけるようになる区域であるかどうかというようなことを勘案しながら考えていこうというものでございます。それからまたその五都市――一番中心になる都市を五都市と称しておりますが、通常通勤者が一〇%くらいその母都市に通っておるとか、あるいは二次、三次産業の就業人口が五年間にこれは三〇%となっておりますが、二〇%以上の増をしている場合だとか、あるいは住宅団地、工業団地等が計画的に開発される見込みのあるもの、こういうようなものを取り上げていこうというわけでございます。
 それから二ページに移っていただきますと、大体それでは市街化区域の設定の方法はどういうふうにしてやっていくんだということの内容の説明でございまして、これは@からCまで。大体ごく概略申し上げますと、第一番目の点は市街化区域の範囲をどのようにするか。それから二番目には市街化区域の面積をどういうふうにして算定をするか。それからBでございますが、市街化区域に含めない区域はどういうような区域であるかというようなこと、Cは市街化区域と市街化調整区域の境界はどういうふうにしたらいいかということを、先ほどの政令の内容をかなり具体化するような内容で説明をさせていただいております。
 第一番目の「市街化区域の範囲」の点でございますが、もうすでに市街化しておる区域であるとか、もう現に市街化が進行しているような区域はこれは市街化区域に入れることは当然でございますが、計画的に市街化すべき区域、これから十年間計画的に市街化をはかっていくという区域が当然市街化区域になるわけでございますので、そういう場合にどういうふうな指標でもって考えていったらいいだろうかということを説明しておるのでございます。それは(イ)、(ロ)、(ハ)とありまして、(ハ)のところの説明をいたしますと、「計画的に市街化すべき区域」というものをどういうふうに考えたらよろしいかということで、「原則として市街化区域に含める区域」というので、「新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、土地区画整理事業、一団地の住宅施設及びおおむね三十ヘクタール以上の住宅地造成事業の完了した区域及び実施中の区域並びに都市計画として定められた区域」、こういうようなものを入れていこう。それから「優先的に市街化区域に含める区域」とはどういうものがあろうかということで(a)から(e)まで書いておいてございますが、大体こういうような関係のもの、たとえば「新法による市街地開発事業、土地区画整理事業、一団地の住宅施設、十ヘクタール以上の開発行為の実施の見通しの確実な区域」、そういうものでありますとか、あるいは「計画的開発の見通しのある住宅適地、工業適地等の区域及びこれらの区域と一体となる既存集落等の区域で五十ヘクタール以上のもの」、それから鉄道の駅、既存集落等、市街地の核を有し、おおむね十年後に二千五百人以上の人口が居住すると予想される五十ヘクタール以上の区域」、「温泉地等を含み計画的に整備開発すべき区域」、あるいは「用途地域が指定されている区域」、こういった内容のものを入れることがいいんじゃないかということで指示しているわけでございます。
 それから三ページのところでは「市街化区域面積の算定」ということで、これは多少技術的な関係にわたるものでございますが、ここでの大体のことは人口がどういうふうな人口になるであろうか、あるいはここの区域の産業の規模がどのくらいになるだろうか、あるいは人口密度がどのくらいになるであろうかということをいろいろ計算するしかたを書いておいてございます。(イ)につきましては人口、(ロ)、(ハ)につきましては産業の規模、それから人口密度につきましては(ニ)のところに書いておいてございますが、特にその人口密度につきましては、大体ヘクタール百人くらいがいいんじゃないか、その他ヘクタール八十人というようなことを目標にして地形、開発の方式、住宅の型式等を勘案して、適切な人口密度を定めていったらどうだろうかということにしておりますが、いろいろこれは必ずしもこれに人りがたいようなところがございますので、ヘクタール当たり六十人というような密度の場合が出てくることを予想しまして、少なくともヘクタール六十人くらいにしてみてはどうであろうかということを書いておいてございます。それから(ホ)のところには「区域内の産業の見通し」というようなことでいろいろ書いておいてございますが、特に上位計画におきまして産業の見通しが定められている場合にはこれによりなさい。それから上位計画がないような場合には、過去の推移とか工業団地造成事業の計画とか、企業の進出計画等を勘案して適宜定めてはどうかというふうにいたしております。
 そこで大事な点はBのところでございますが、「市街化区域に含めない区域」、農業との調整の関係でこれは農林省とも基本的には了解に達しておるものでございますが、ここに(イ)(ロ)(ハ)ということで書いておいてございます。(イ)として「未だ市街化の進行していない区域であって、地形その他の自然的条件、交通施設の配置、主要都市施設の整備の見通し等を考慮して、市街地とすることが不適当な区域」、それから(ロ)としまして「土地改良事業その他の農業に関する土地基盤整備事業を実施中の区域及び相当規模」――大体これは二十ヘクタール以上としておりますが――「の優良農地で今後とも農用地として保存すべき一団の区域」、(ハ)、として「未だ市街化の進行していない区域であって、溢水、湛水、津波、高潮等による災害の発生のおそれのある区域、および当該区域を市街化することにより他に溢水等の災害を発生させるおそれのある区域」――この区域につきましては、ただし書きでちょっと書いておいてございます――「ただし、災害防除に関する必要な措置を講ずる場合を除く。」これは農林省の通牒としてもらうということの考え方と軌を一にした考え方として一になったものでございます。
 それから「市街化区域と市街化調整区域の境界」のところでは、大体ここに(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)と書いておきまして、区域とするにふさわしいようなはっきりとしたものを内容としてきめてくれということにいたしたものでございます。
 大体こういうような内容のものを会議資料で示しまして、これを県に持ち帰って、いろいろ県農林部局のほうと話をまとめて、具体的な作業を進めておるところでございます。
 それから第三の資料でございますが、これはまた長いほうの資料でございまして、数字が入っているだけの資料でございます。
 第一の「人口集中地区人口密度の現況と動向」というところでございますが、この表は昭和四十年度の国勢調査「わが国の人口集中地区」により算出したものでございまして、左の欄は七つのランクに分かれております。大体人口規模をこういうふうに分けまして、それぞれのDID面積、DID人口が三十五年と四十年との対比をしたものでございまして、大体右のほうをごらんいただきますと、大都市のほうで百万以上のところでございますとヘクタール当たり一四七・九人くらい、下のほうの五万から十万ということになりますと七九・四人くらいの密度になっておるということをごらんいただきたいと思います。
 それから二ページに移らせていただきますが、二ページのところでは、三大都市圏の昭和四十年の人口集中地区の密度をあらわしたものでございまして、首都圏に関するものはヘクタール当たり百二十六人、中部圏でございますと大体九五・四人、近畿圏でございますと一三一・三人、平均すると一二三・九人くらいになっております。
 それからさらに地方都市のほうの関係はどうなっているだろうかということで出しておいてありますのが3のところでございまして、札幌が大体ヘクタール当たり九七・五人、仙台が一〇二・一人、広島が九〇・〇人、福岡が九八・八人、北九州が八三・六人、平均しまして九二・六人くらいの密度になっておるわけでございます。こういうことで大体都市の人口密度がどういう程度であるかということを御承知いただきたいと思います。
 三ページのところでは、「都市計画法附則第三項の都市計画区域に指定するかどうかを検討する市町村一覧表」を出してほしいということでございまして、それを出したのでございますが、全部の市町村は一番最後の計のところにございますが、八百九十四となっております。最初八百九十八とありましたが、四カ町村合併いたしまして四つ減っております。それからこの市町村が今度都市計画による一つのグルーピング、都市計画の区域というものがどのように一団となってグルーピングされるかどうかということになるわけでございまして、これらの全市町村が八百九十四あるわけでございますが、これを都市計画区域としてグループしてみますと大体百七十六から百七十七ぐらいのグルーピングになるんじゃないか。そういったグルーピングの中で母都市が一つありまして、その母都市を中心としまして他に関連する都市が、市町村が一団のかたまりとなってそこが都市計画区域として策定されるというようにお考えいただけばよろしいかと思います。
 大体以上でございますが、この会議資料のほうはさらに固めまして、あるいは省令にいたしましたり、あるいは通牒等の内容にいたしまして地方に流す、それでそういうことにして法律の運用に遺憾のないようにしたいと考えておるわけです。それから市街化区域の設定等、いろいろ諸準備が十分でない点に何かと御心配いただいておりますが、これは農林省ともほとんど内容的に一致をみておりますので、実施の内容につきましては県、市町村、こういった段階を通じまして円滑な法律の施行、運用をできるようにいたしたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 大体以上で資料の御説明を終わらせていただきますが、以上のことにつきまして何か御質問がございましたら答えさせていただきたいと思います。
#34
○委員長(任田新治君) これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#35
○足鹿覺君 ただいま建設省から種々資料の御説明があったわけでありますが、私がこの資料を要求申し上げましたのは五月八日のことであります。ところが、私どもが入手する前に、すでに五月十三日付の新聞には載っておるのであります。で、われわれが審議をしておる際に自発的にこのような資料をなぜ提出できないのか。たとえば私が四月二十四日の本委員会において農林省の方針案の提示を求めましたところ、部外秘であって困る、こういうわけであります。ところが、よく調べてみると、四月十九日に記者クラブで発表したものであります、われわれがあとでもらったものは。一体これはどういうことなのか。すでに新聞に発表したものをわれわれが要求すると部外秘だという。あるいは新聞に発表した後でないと国会にはその内容を知らしめない、こういうことで法案の審議が進むとお考えになっておりますか。山下参事官と大和田官房長にこの際どのように反省になっておりますか伺いたい。
#36
○政府委員(大和田啓気君) 先日これに関連しての資料の御要求は、クラブにレクチャーいたしましたときに、私は新聞に話をする場合によくオフレコで話をする場合があるわけであります。まだ確定したものでございませんから、案のうちでございますから、オフレコで農地局で発表したというふうに私は了解しておったのであります。したがいまして、まだそういう段階であるから差し上げるのは無理だというふうに申し上げましたので、もしクラブにおいてオフレコでなくて発表しているものでございましたら、さっそく御提示するよう私どもは心得ているわけでございます。
#37
○説明員(山下武君) 建設省でのこの会議資料の関係でございますが、これは具体的に都道府県の主務課長会議を集めまして、そしていろいろ検討資料として提示し、これについていろいろの意見を聞かなければならぬ段階にあったわけでございまして、必ずしもこれを確定した内容のものにするわけにはいかない、やはり各都道府県の意見というものは相当出てくるかもしれない、こういうことを予想いたしまして、こういう考えであるがどうかと、こういうことで十分検討の機会を与えるような形で会議資料としたわけでございまして、それからある程度地方の意見等も、なるほどと思われるような場合は実情に即して直した部面もございます。それからまた、これから少し直さなければならぬ内容のものもありまして、いろいろその段階から申しますと、すぐ出しますと確定したかのごとく思われる点がございますので、実は正式に出すというような形のものはいままでとっていないわけでございまして、全く会議における十分検討を尽したいというような形での資料であったわけでございます。
#38
○足鹿覺君 たいした内容のものでなけらねばわれわれはそういう手続のことにとやかく口をつけようとは思っておりません。ただ、法案そのものがきわめて抽象的であって、政省令または通達、指示に依存をする法律の場合は、特に新都市法あるいはこれと関連する農振法の場合は、地域住民の今後長きにわたる権益等に対して規制を加えることに内容がなっておるのであります。したがって、政府はそのような場合にはすべてのものが一応そういう地方住民の権益に重大な関係を持つようなものについては、それが整備した上これを法案に添付して国会の審議にゆだねることが私は好ましい常識であると考えます。しかるに、われわれが要求しても、いま大和田官房長が弁明されましたが、新聞記者にオフレコで頼むよと、こう言っておるから自分たちは責任が軽いようなことをおっしゃいますが、これはわれわれがいろいろなことをオフレコで新聞記者に会見するときはあります。ある程度のことは事実であって、しかしこの点はまだ未確定な点があるのでオフレコである、あるいは新聞記者会見をやって、この数項目のうち大部分はオフレコであると、こういう言い方は私どももよくすることがありますが、そういう不確定要素の多いものをオフレコで発表すること自体がおかしいのではないでしょうか。いまのあなたの弁明は私どもはまともな状態では受け取るわけにはまいりません。
 そういう点について山下参事官にも伺いますが、特に私どもがこの資料を要求したとき、今度新たに私が要求した場合は五月八日の本委員会であります。ところが、説明もしないでこのDIDの人口密度と関係市町村名を印刷したものをただずらりと配っただけで、そこでやかましく言われて初めてこういうものを出してくる。一体これはどういうわけですか、二段がまえ、三段がまえは。それでわれわれに協力を求められるということがありますか。なぜ当初この案を出して、そうして良心的にわれわれの審議に応じられることが紳士としての態度じゃありませんか。行政府として立法府に対する態度だと私は言わざるを得ません。そういう点についても御反省になっておられぬのではありませんか。国会軽視と言われても弁明の余地はないと私は思いますが、いかがでありますか。
#39
○説明員(山下武君) 私どもの資料の点について、その説明等を付しまして、十分内容についての御説明をするのが当然でございまして、ただいま先生のおっしゃいますようなことはもう当然であろうと私ども考えておりまして、今後このような資料を提出するような場合におきましては、特にその内容等、作成した内容につきましてもあるいは資料の内容等につきましても、重々その内容を説明いたしまして、十分理解を深めていただくような方法をとってまいりたいと考えておりますので、この点、ただ資料をつくって出したままにしておきました点は重々おわびいたしたいと思います。
#40
○足鹿覺君 では伺いますが、都道府県都市計画主務課長会議諸資料は、これは本年のいつ、この会を持たれ、この方針を指示されたいものでありますか。
#41
○説明員(山下武君) 最初の会議は四十四年の二月十九日の日に会議を開きまして、そうして大体の骨子を示したものでございますが、さらにいろいろ各都道府県の意見等も入れたり何かいたしまして、相当検討を進めたものは四十四年の四月二十五日に会議を開いて、そうして内容の充実をはかり、また検討も深めた内容で説明をいたしております。
#42
○足鹿覺君 二月の十九日にこの主務課長会議をお開きになったそうでありますが、われわれがいま手元にもらっておるのは、そのほんの一部分にすぎぬのではないかと想像されます。
 以下私の手元にあります資料に基づいて伺いますが、一番重要な問題は、附則第三項に基づく区域の決定についてであります。これは鳥取県の  私は鳥取県の人間でありますので、よその地域のことはよく腹に入っておりませんが、大体県のことならば知っておりますので、それを参考にして――この地域が米子市であります。島根県境に近いこの境港市ほか数カ町村が新産都市の指定を受けておりますから、この西部の地域はすっぽり都市計画区域に入ります。そうして人口十万の都市については八キロないし十キロでコンパスを当てがって都市計画区域をきめるということになりますと、ほとんどこれは鳥取県西部における平たん地の一番いいところが全部都市計画区域に入ることになります。その中で市街化区域がきまり、調整区域がきまるということになりますと、都市計画区域の中に一応すっぽり入ってしまうということになりますと、純粋の意味における農業振興地域、都市計画に関係のない純農業というものはほとんど急峻な山岳地帯に追いやられざるを得ない実情になると思うのであります。
 その実勢は、ここに私は米子市の場合と鳥取市の場合の市街地の中心から十キロと十五キロにコンパスを当ててぐるっとやってみたものを持ってきておりますが、これは正確な地図に線を当てたものでありますから間違いありませんが、これによりますと、都市計画区域をも越えた平たん地域を、しかも島根県のほうまで遠く入りまして、これでは将来市街化区域は別として、市街地調整区域に編入された地域はやがては五年ごとに更新をされていきますから、どうなるかわかりません。特に優良農村においてどうなるかわかりません。その市街化区域にかかわらず、都市計画区域の外の地帯のみが一応農業の振興地域ということになりますとならざるを得ない。そう受け取らざるを得ないことになるのであります。
 で、問題はこのような状態が農林省が協議を受けて了解をされたものとは――私いろいろと説明を聞いておりますと、書面や資料、机の上では一応つじつまは合っておりますが、私の生まれた地方で、またここで生をうけて長い間住まった者の体験からいってこれはたいへんだと、こういう印象を受けます。これが全国に八百九十四の地区にわたって実施をされるということになりますと、日本の農地の一番平たんで、しかも生産力のある地域はこれによって将来市街化地域になる可能性の強い線引きが終わることになります。農林省は実際現地調査を行なわれたりしてこういうことを実際にお調べになって、事実に現地に当てはめておやりになったかどうか、私は疑わざるを得ません。何となしに私は了承がいたしかねるのでありますから、自分で乏しい知識でやってみましたが、はたせるかな私の勘のとおりの結果を招来しておりますが、こういうことで農業の場というものを、今後十年後を考え、十五年先を考えた場合に、日本の農業の場をどういうふうにして確保されるか、私は農林省のお考えが聞きたいのであります。他の同僚委員からもお尋ねがありましたが、どうも納得がまいりません。
 そこでそういう点から農林省の御所見は別にまた聞くといたしまして、山下さんに伺いますが、このいままで出した指示、通達、政、省令の予定事項、いままで御説明になったもの以外にありませんか。いま御説明になりました二月十九日または四月二十五日の都市計画課長会議におかけになりました以外にもう新しくこのような措置をとられることはございませんか。あればこの際お出しを願わないと、あなたが先ほど考えてみた、十分おわびをするということでありますが、われわれは信用できませんので、この点いかがでありますか。
#43
○説明員(山下武君) ただいまの点についてでございますが、一番大事な市街化区域、市街化調整区域の策定の関係についてはこの指示しましたものが全部でございます。その関係したもので重要なものだけを全部抜き出しましてまとめたものでございまして、そのほかの資料は、こういった重要な問題についての関係のあるものはありません。ただ、そのほか、会議の際にはちょうど年度当初でございましたので、四十四年度の予算の内容であるとか、建設省、特に都市局の事業内容につきまして具体的な指示をし、あるいは四十四年度の事業の執行につきましての具体的な指示をしたものの資料等がございます。しかし、そういった資料は一応個々の御要望になりました資料とはほとんど関係がないとなにしまして、それははずしておるわけでございます。
 それから、ちょっと話は最初の御質問にさかのぼりますが具体的な米子等の関係の質問が出ましたので、これは個々の資料の最後にお話しました七ページのところで、鳥取県のところで、米子市、境港市、淀江町、日吉津村というようなのがずっと並んでおりますが、ここは新産都市としての最後に指定しました地域でございまして、同じ新産都市と申しましても、新産都市として伸びの非常に大きいところと、地域的な条件が悪いために新産都市としての伸びがなかなか思うようにいかないという区域等がございますが、この中海地区の点につきましてはその後者の例でございまして、やはり気候、風土、あるいは立地条件の相当よくない場所で、他と比べますと発展の程度がかなりにぶい地域ではなかろうかというふうに考えているわけでございますが、したがいまして、こういうようなところの発展を考える場合には、かなり長い目で振興なり発展を考えていかなければならぬのじゃないかというふうに考えておりますが、特に米子の場合で、ちょうど島根県と鳥取県との境界にまたがる区域になっているわけでございます。そういう場合に、都市計画区域をどういうふうにきめていくかというような問題が今後具体的に出てまいるわけでございます。特に米子のところで八キロないし十キロということで、一律に考えるということではなくて、やはりその場所場所によりまして、場合によりましては六キロ程度で考えたほうがいいのか、あるいは五キロ程度で考えたほうがいいのかという場合も相当出てくるわけでございます。それから特にその土地の状況に応じまして一応対象にしてみましても、その対象とした町村全部を入れることがいいのか悪いのか、一部を入れたほうがこの場合には妥当ではないかというような場合も相当出てくるわけでございます。
 そこで、この間の会議の際におきましても、こういった考え方を各県に持ち帰りまして、そうして法律が施行された後においてどのような法的手続を進めていくかということをいま準備段階として進めておるわけでございます。したがって法律施行までには全部これが確定するということではなくて、法律施行がありましてから、さて今度は都道府県知事が都市計画区域を五条によってどのようにきめていくべきか。それからその政令で定める区域というものがきめられましたならば、それについてどのように市街化区域と調整区域とをきめていくかということが正式な法律の手続として作業が進められるということになるわけでございまして、知事がこれについての新しい法律のたてまえによりまして具体的な案をつくり上げ、そうしてこれを市町村の意見を十分取り入れて、そして建設大臣のほうに認可を申請してくる。認可を申請してきたものによりまして、いろいろ私どものほうでは法律の条項によりまして、関係各省との協議あるいは意見の聴取ということになりまして、農林大臣との関係につきましては協議をすることになっておりますので、その案で農林省のほうと協議をする。協議が整ったところで、建設大臣はそれはよろしいということで認可をして具体的な地域の指定を正式にする、こういうような手続になるわけでございまして、現段階では一応そのあがった町村につきましては、これを一応の検討の対象、あるいは市街化区域、市街化調整区域を設定するとした場合には、どういうようにこれを対象として扱うかということを検討してもらっている段階でございます。
 大体概略でございますが、御説明させていただきました。
#44
○足鹿覺君 将来のそういう事務的な煮詰め方については、あなた方行政官の責任でありますから、私どもは立法府として、少なくともこの法案を審議していく上において、従来の都市計画区域の決定のしかたが変わって、行政区画を区域とする従来の区画設定の方針を今度は都心地から八キロないし十キロというところで線を引くという大原則がきまれば、どこの都市の場合でも共通していえることは、なるべく将来を考えるならば、大目にとっていこうというのが、これが人情というものです。先はなるべく縮めてとっていこうというような人は私はきわめて例外じゃないかと思う。たびたび主務大臣の認可をとり、それを変更するということも不都合を生じましょうし、でき得る限り筒一ぱいにとっていこう、こういうことになりますと、私が先ほど心配したような結果になるのであります。ですから少なくともあなた方が良心的にやられたといたしましても、末端でのこれの実際における立法者なり、あるいは指示者の意思等とは別に、末端の受けとめ方、運用のしかたというものは変わってまいります。その点に問題があるのであります。治安立法等に例をとってもそういう場合もありますし、こういう区域設定をする場合におきましても、こういうことは特に顕蓄に出てくることは疑う余地はありません。
 そこで私どもが心配いたしますことは、あなた方は二月十九日に「新都市計画法の施行について」というこの重大な資料を秘密文書として、線引きの準備をしておきながら、今日までこれを無視して、われわれの要求を待って初めて抄録をお出しになりました。しかもその抄録を見ますと、大事な点が抜けております。あなた方は行政官として、あるいは当然かともお考えになる向きがあるかもしれませんが、いまから若干それを御説明申し上げますならば、「都市計画の決定の手続と具体的進め方」という条項がありますですね、それを読んでみて、私どもの納得のいかない点がたくさんありますですよ。一応申し上げましょう。
 この間の都市局長の話によりますと、私の質問に答えて、地域住民の意思を十分聞き、尊重してやるんだということでありましたが、「公聴会等による住民の意見聴取及び市町村の意見聴取。・(イ)Aにおいて生じた変更部分について再度市町村にたいして事前の意見聴取を行ない必要な調整をする。(ロ)(イ)で市町村との事前の調整と併行して公聴会の開催その他住民の意見を反映させるための手続を行なう。この場合、提示する内容はAにおける各省庁協議と同程度の精度のものとする。」――どうして各省庁と協議する精度のもので地方住民の公聴会がわかりますか。これが一点。
 「(ハ)(ロ)の手続を行なった後、県は正式に関係市町村の意見を聴く。この場合、市町村は必要と認めた場合再度審議会を開催し、住民の意見の反映につとめるものとする。」――「必要と認めた」とは何を意味するのでありますか。たとえばいわゆる「必要と認める」ということについても、まだ先にいろいろと規定をしておりますが、「必要があると認める場合」とはどういう場合をさすかということが記載されてありますが、「案の作成をしようとする者が、当該案件に関する重要事項について直接住民の声をきくことが適正な都市計画の案を作成するために必要であると判断したとき等が、これに当る」とあるでありませんか、「判断」ですよ。まるでこれでは、その人は独裁者のような権能を持っておるんじゃないでしょうか。全く一方的である。しかも、「住民の意見の反映の方法についても、あくまでも計画決定者の自主的な判断によって選択すべきものであるが、たとえば説明会を開催した後、意見書等の提出を求める等の適当な方法によることも差し支えないと考える。」――いわゆる住民が一体、一方的に説明会を聞いて直ちに判断していくことが可能でしょうか。また、案の作成者が判断をしたときにはやってもいい、やらないと判断したときにはやらなくてもいい、そういうことで一体何ができるでありましょう。しかも、「議会の意見を反映させることをもって足りる、議会の決議は必要としない。」こういうことにまで言及しているではありませんか。
 一体これが民主的な地域住民の権益を規制し、あるいは制限をする重大な問題を進めていく民主的なきめ方と言えますか。全部この資料出しなさい。そして全部の委員によく見てもらって、こういう行き方がはたしていいのか悪いのか。私の判断では、こういうことでは独裁者だ。長きにわたって都市計画地域に設定されることについて先で泣くようなことが出てきてもあとで文句は言えない。こういうことを想定いたしますがゆえに、このような一部あなた方の説明がつき、新聞に出た程度のいわゆる線引きの資料等で、当委員会が今後この審議を判断するわけにはまいりません。したがって、私の手元にあります資料があなた方が出されたものといたしますならば、「昭和四十四年二月十九日新都市計画法の施行について」という建設省都市局都市計画課の発行した全文を、ぼう大な全文を出し、当委員会の審議にゆだねられない限り、私どもはこの審議を進めるわけにはまいりません。委員長においても十分私の申し上げておる点を御勘考の上御対処あらんことを希望いたします。
#45
○説明員(山下武君) ただいまの点でございますが、いま先生のお示しになった資料という内容は、かなりまだ固まらないときのいろいろの見当を盛り込んだ内容であるように見受けられますが、どのようにしていろいろと具体的な民意を尊重していくかということは、都市計画法の十六条にはっきりと明文がございまして、「都道府県知事又は市町村は、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」、こういった大原則の条文がございまして、これはやはりこの都市計画というものが住民の意見というものを十分反映し、尊重し、具体的なよりよい都市計画としなきゃならぬという趣旨でございますので、まあこういった関係につきましては、あるいは市町村の意見を聞くような場合でございましても、たとえば協議会があるような場合には協議会を活用してぜひその協議会による意見の反映を求めるとか、あるいは協議会がないような場合、各市町村におきましてはやはり市町村の全員協議会というような形で全体の具体的な市町村の意見を求めるという市町村長もございますし、住民の意思の反映のしかたにはいろいろの方法があるわけでございます。そういうようなことで、いわば一番適切な方法で民意の反映につとめる、こういう趣旨であるわけでございます。
 いまそういった形でできるだけ都道府県に持ち帰って、そうしてどういう考え方で線引きをするかというようなことについては、各市町村では全部具体的な内容をおろして、そうして具体的な市町村の意見を内々聞いておる段階でございます。したがいましてそういうことからいえば、非常に独裁的と申しますか、全然意見を聞かないで仕事を進めるということは絶対ございません。各都道府県のほうにおきましては、具体的な知事の一つの任務が法律にうたわれておりますし、また市町村自身の任務も当然法律にうたわれておりまして、それぞれ都道府県知事、市町村相ともに、よりよい都市計画をつくるということで、いま施行のための準備段階を進めておる段階でございますので、その辺をよく御了承いただきたいと思っております。
#46
○足鹿覺君 承りますがね、山下さん。昭和四十三年六月十五日に、いわゆる新都市計画法は法律第百号をもって施行されておるのであります。その第十六条には、いまあなたがお読みになりましたような「公聴会の開催等住民の意見を反映させるため、必要な措置を講ずるものとする。」という規定のみをあなたは言われましたが、この規定の取り扱いをどう進めるかということについて、これには重大なことを述べているのですよ。法律がきまったあとにおいて、この法律の精神を無視するようなことを書いておるから問題だと私は言っておるのですよ。あなたはこの法律に書いてあるからそのとおりやるのだと言っておるけれども、これにはそのとおりやる必要はないと書いてあるじゃないですか。そういう指導をあなた方は現にしているじゃありませんか。そういう御答弁は慎んだらよろしい。
#47
○説明員(山下武君) お答えいたしますが、ただいまの先生のおっしゃいますその民意の尊重のしかたをどういうふうに具体的にやるか、要するに法律第十六条にのっとってどのように民意を反映させるかどうかということの具体的措置が適切であるかどうかということなんでありますが、法律の制度といたしましては、特に地方の審議会というのが県の段階で設けることになっておりまして、この点につきましては県の関係市町村の関係者も具体的に委員になっていただきまして、そうしていろいろの都市計画の案件をこの審議会にかけるという組織になっております。それからさらに具体的な案件で市町村の意見を聞くというような条項等が方々に出てまいっておりますが、こういった関係につきましての意見の聞き方についても、協議会等がある場合には協議会を、協議会がないような場合にはそのほかの民意を反映させるような方法をできるだけ講ずるようにということで指示しておるわけでございますので、先ほど先生のおっしゃいました点は、十分その民意の反映につとめるような形で検討を進めておるつもりでございますが……。
#48
○足鹿覺君 この資料を出すか出さぬかと言っているんですよ。全文をお出しなさい、全文を。前のものであるとあなたはおっしゃいますが、法律ができたのは去年の六月です、施行になったのは。その後、二月の十九日に、この法の事実上の運営についてまだ政省令もない何もないときにあなた方が示された基準によれば、いわゆる市町村議会、県議会を経て意見の反映につとめればよろしいといい、法律を実施していく者が自主的に必要と判断したときには公聴会をやればいいし、必要と認めない場合はやらなくてもいいような、いわゆる法十六条を死文化していくような、そういう通牒を出しておられるんです。そういう事情に基づいて会議を進めておられるということは否定できません。したがって、この全文の資料をお出しください。でない限り私は了承できません。
#49
○説明員(山下武君) ただいまの資料というのは、これは全く――その段階から申し上げますと、やはりこの法律が施行されましてから一年間という猶予期間をもちまして、一年の範囲内において政令で定める日に法律が施行されるということになっておるわけでございまして、その間にいろいろ大事な、都市計画法の改正によって、そして新たな政策が行なわれるということになるわけでございますから、その間一年間という余裕期間をおいて、そして十分検討の時間をおいてもらっておるわけでございます。したがいまして、都市計画課の案として検討しておる内容のものをこの委員会にお出ししてもどうかという気が私はするわけでございます。
#50
○矢山有作君 山下参事官にお尋ねしますが、あなた方がこの新都市計画法に基づいて作業を進めていく場合には、この法律だけじゃやれないわけでしょう。具体的にどうやっていくのかということは、やっぱり政令なり省令なり、あるいは指示、通達、いろいろなものを具体的に出していって、それによって線引きをやらせ、それによって市街化区域なりあるいは市街化調整区域なりというものの区分もやっていくわけでしょう。そうすれば私はそれが出てこないと、このいま審議しておる農業振興地域の整備に関する法律案の審議はできないですよ。なぜかといいますと、農振法案それ自体は多くの問題を含んでおりますよ。実際それだけでは意味がないのであって、これはやはりわれわれの理解によれば、新しい都市計画法に対比するものとして私は出されてきたと、そうするならば新しい都市計画法によって一体都市計画というものがどういうふうに具体的に進行していくのか、それを考えなきゃ私どもこの法案の審議というものはできないわけなんです。したがって、そうした政省令なりあるいは具体的にやっていく指示なり通達なりの内容というものが未確定であるとするならば、重大な私権の制限を伴うようなことが、それが未確定の中で行なわれていくというのでは、これはたいへんなことになる。したがって私どもとしては、この法律を審議するということはできなくなってくる。それを出していただいて、そしてこの法律と都市計画法との関係というものを徹底的に明らかにした上でないとぐあいが悪いんじゃないですか。ですからこれはぜひ出していただきたい。出す時期がずれるなら、われわれのほうとしては出していただける時点までこの法案の審議を中止しておきます。というのは、重要な関連を持っているからやっぱり明らかにする責任がわれわれにあるわけです。出せますか、出せませんか。
#51
○説明員(山下武君) ただいまの一番大事な点は、都市計画法と今度……(「くどくど言う必要はない」「出すか出さんかを聞いている」と呼ぶ者あり)それを出しましても、具体的な内容を十分…(「出すか出さぬか説明せい」と呼ぶ者あり)出さないで済まさしていただきたいというのであります。
#52
○委員長(任田新治君) 委員長から言いますが、山下参事官のほうで先ほど足鹿委員が話された資料、その資料を早期に出すように準備してください。できますね。
#53
○説明員(山下武君) この点はちょうどきょう局長がどうしても建設委員会のほうに何しておりますので、よく相談さしていただきまして、決定さしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#54
○委員長(任田新治君) 暫時休憩いたします。
   午後三時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時五分開会
#55
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#56
○河田賢治君 先日農業振興地域の指定区域について局長のほうから大体一区域が二百ヘクタールですか、というようなところを中心にしてやると言われたんですが、実は私衆議院の委員会の記録を読みましても、農業振興地域の指定区域というものとそれから農用地等とが何かはっきりしないところがたくさん出ている。だから農用地を全部残すなら振興地域の指定は要らないのではないかという議論もあったり、いろいろその辺の複雑さがあるように思われる。で局長のほうからたとえば農業振興地域内でも農用地区域にならない部分もあるということを言われております。もちろん建造物があるとか何とかいうこともあるでしょうが、こういう点がちょっと不明確なので、もう少し具体的に入る前にこの関係をひとつ御説明願いたいと思うんです。
#57
○政府委員(池田俊也君) 二百ヘクタールというお話がございましたが、これは先般の御質疑の際に私申し上げましたのは、農業振興地域として指定をいたします場合にいろいろの要件が法案で規定されておるわけでございます。当然農業振興地域でございますから農用地等として利用すべき相当規模の土地がございませんとこれは指定する意味がないわけでございますので、
  〔委員長退席、理事宮崎正雄君着席〕
そういうような点から大体相当規模の土地というものが一つの考え方として、これは幅はございましょうけれども、一応の基準として二百ヘクタール程度のそういう土地があることが一つの要件であるということを申し上げたわけでございまして、もちろん農業振興地域の広さというのは、それ以上の農用地でないところを含んで指定をされるわけでございまして、その広さはこれはいろいろな場合があるわけでございまして、先般もいろいろ御議論ありまして、市町村に限定される必要はないという御意見もあったわけでございますが、私どもも必ずしも市町村には限定されませんで、要するに社会的、経済的に一体性を持っているような地域の広さを農業振興地域として指定をしたいというふうに考えているわけでございます。二百ヘクタールと申し上げましたが、その中に少なくともそれがなければいけない、こういう一応の基準といたしましてそう申し上げたのでございます。
#58
○河田賢治君 それでは整備計画をつくるについて市町村が定めるわけでございますが、この第十条の第二項ですね、私議員になって新米なので、どういう建設に関する基本構想というものがあるか知りませんが、十条の二項に「市町村の定める農業振興地域整備計画は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即するものでなければならない。」というふうに書いてあるわけです。これはどこの市町村でもこの建設に関する基本構想というものが、しかも議会の議決を経てすでにあるものなんですか、これが前提条件になるようでございますが。
#59
○政府委員(池田俊也君) これは、根拠は自治法にあるわけでございまして、自治法の中で、市町村が当該市町村の建設に関する基本構想を定めるというふうな規定があるわけでございまして、従来はこれは必ずしも全部の市町村が定めているわけではございませんで、定めている市町村もございますし、ない市町村もあったわけでございますが、今後の方向としては、これは市町村の建設に関する基本構想を定めるという方向に現在なっているようでございます。
#60
○河田賢治君 その法律があっても施行もされてないというようなときに、この農業地域振興法では、これにやはり基本構想というものが即しなきゃならぬということがいわれているのですから、やはりこの基本構想がきちんと定まって後に市町村では整備計画を立てるということになるわけですね。自治省のほうではそれはあまり重要視していないのかもしれませんけれども、しかし農林省が今度これを実際に施行する上においては、やはり自治省の指導が貫徹をしていなければ、この農業地域振興法というものが何かちぐはぐなものになるのじゃないかという考えを持つわけですが、農林省と自治省との間のそういう関係はどういうふうになりますか。
#61
○政府委員(池田俊也君) これは従来地方自治法の定め方といたしまして、市町村が定めることができるというような規定になっていたわけでございます。自治省といたしましては、当然これはそういうものが定められるのが望ましいという考えを持っているようでございますが、必ずしも全般的には定められていなかったわけでございます。今回の法改正によりまして、たしか私どもの理解では、これはたてまえとして定めるということになったわけでございまして、今後は当然各市町村が建設に関する基本構想を定めるというふうに指導をされると私ども理解をしているわけでございまして、もちろん私どもが今回御審議をお願いしておりますこの法案は農業振興地域の整備計画でございますから、全般的な基本計画という形には必ずしもなっていないわけでございます。そういうような観点から私どもも、市町村が、農業以外の分野を含めました基本構想があることは、これは非常に望ましいわけでございまして、そういうものが定められまして、その一部がさらに農業振興地域の整備計画として、さらに詳細な、この法律に即します内容を持ったものが定められるのが好ましいと、こういうように考えているわけでございます。
#62
○河田賢治君 この整備計画、それからまたこれは指定区域になるいろんな条件の中に、非常に優良な農地というものが中心になるわけですが、これを実際にやる場合に、たとえば歴史的に見まして、ある部落になりますと集落をなしていないところがあるのですね。かなりもう何百町歩という広い中にほんとうに一軒か二軒あるというような散在部落と申しますか、そういうものがあります。こういうような場合は、実際の市町村でそういうところを入れたいというときには、やっぱりそんなものは入っていいということになるわけですか。
#63
○政府委員(池田俊也君) ちょっと御指摘のケースがはっきりしなかったわけでございますが、私たちがやはりこの農業振興地域が定められまして、その中で農用地利用計画を定めるわけでございますが、これは極力、その地域の中にあります農用地としては、その中に、農用地利用計画の対象として定められるのが望ましいという考えを持っているわけでございます。ただ、これはあとで、その規定上は出てまいりますが、一定の制限を受けることになるわけでございまして、そういうような意味で、農用地利用計画として定められますと、後には定員を制限されるというようなこともございますので、その地域におきます住民の意向を十分尊重して定められるべきであるという考え方があるわけでございまして、そこで、そういうような地域の方が、当然農用地利用計画の対象として定められることが希望される場合でございますならば、それは広く取り入れるのが適当であるというふうに考えているわけでございます。
#64
○河田賢治君 もう一つその問題について、かなり、やはりさっき申しましたような優良な農地の中に、これは昔は手ですべて農業をやっておりました時代ですから、電線、送電線の電柱ですね、かなり大きなこれがありましても、たいして労働には差しつかえなかったのですね。しかし、これから優良な農地、それから土地を効率的に使う、合理化をするということになれば、結局構造改善の一つのあれとしましては、大型なりあるいは中型なりの機械を入れなきゃならぬだろうと思うのです。ところが、たんぼの相当広い中に、まあ電力会社はできるだけ直線に引きたいものだからすうっとこれまで送電線をつくっているのですね。そうしますと、送電線がありますと機械が十分利用できない。特に機械は御承知のとおりぐるぐる回ることはできませんから、それで非常にロスもあるというような場合ですね、この優良な農地を指定したような場合には、なかなかこれは困難かもしれませんけれども、契約上、送電線なんかをもう少し山のほうへ回すとか、少々費用かかっても移転さすとかというようなことはできぬものですか。
#65
○政府委員(池田俊也君) これは確かに御指摘のようなことはあろうかという気がいたすわけでございますが、電柱等がもうすでにできておりまして、それを実際問題として変更をするということになりますと、これは従来の権利関係とか、その他やっかいな問題がございますので、実際問題といたしますとなかなか困難な場合が多いのじゃなかろうかという感じがいたしますが、やはり大規模機械を極力導入していくというような線から、どうしても電柱等がその支障になるということでございまするならば、やはりそういうような観点から、十分電柱の移転等につきましても検討をするということもあろうというふうに考えているわけでございます。ただ、一般的にはかなりむずかしい問題のように考えるわけでございます。
#66
○河田賢治君 電力会社というのはなかなか大きな力を持っていますからね、困難なことはわかりますけれども、しかし優良な農地で非常にもう平たいところをずいぶんと大きな電線がだあーっと通っているわけですからね、そういうものに対して、ここは農地として国の施策としてやるんだというときには、まあ電力会社の送電線ぐらいは移すぐらいの意気込みを持ってやっていただかぬと、何でもかんでも現状はしようがないというようなかまえでは、ほんとうの農業を守る姿にならぬのじゃないかと思うのです。
 それはそれとしまして、現在この振興地域を指定し、さらに計画を立てましても、今度は農用地の転用が不可能になるという場合ですから、かなり利害が錯綜するわけですね。先ほど来市街化指定の地域の問題でも、あるいはどこに線を引くかということは、いま大きな問題になっております。これはまた農村の、農村地域でもこれによってある程度線が引かれるわけですね。そうしますと、ここにおいて利害関係というものがかなり錯綜していると思うのですが、御承知のとおり、いま小作関係というものが相当あるわけですが、面積は、この間のセンサスで大体承知しておるのですが、いま土地の所有者、地主ですね、これがどのくらいあるものか。それから借りているほうは百十万、これは小作、小自作、それから自小作合わせまして約百十万になっているわけですが、それほど、非常に利害関係あるいは貸借関係小作関係というものがあるわけですが、この地主の、土地所有者のそういうもの、それからその中で農民がどれだけ持っているかというような統計はいまとっておらないのですか。わかっておったら説明願いたいと思います。
#67
○政府委員(中野和仁君) お尋ねの土地所有者のほうから見ました統計というものは、農林省でたしかつくっていないというふうに思いますので、全部の数が何十万になりますか、ちょっとわかりかねると思いますが、なお私のあるいは記憶違いかもわかりませんので調べてはみたいと思いますが、たしか所有者側から人数を出したものは最近はないというふうに記憶しております。
#68
○河田賢治君 これは非常に私大事なことだと思うのですよ。かって農地改革が行なわれて土地関係がずいぶん変わりまして、かなり自作農の方向にいったわけですけれども、しかし御承知のとおり、東北はそうではありませんけれども、西日本方面は一町平均残していいというのが、そうはなくて、大体六反か七反くらい以下を残しているわけです。その七反以下残っているのがこれまたたくさんな田地に分かれておりまして、さっき申しましたように、百十万戸の農家が旧地主的な人々の土地を耕しているわけです、自作農にしろ、小作農にしろ。そうしますと、その土地所有者と耕作者の間の利害関係というものが非常にめんどうな問題を起こしているのです。
 それからこういう農用地がもう転用できないということになりますと、どうしたって土地の所有者というものは早く何とかして売りたい。また、地価も若干都市近郊ですと、売れば地価が高いのですから、そうなりますと耕作している者が非常な迷惑をする。いろんな関係で転用ができなくなるということ、それから地価の変動があるということ、いろんな諸関係がありますけれども、そういう利害関係が錯雑しているのです。やはり農林省は、農地改革は済んだんだ、したがってもう小作と地主関係というものはたいしたこれは問題でないというふうに軽視されている私は証拠だと思うのですよ。御承知のとおり、なるほど農民の中でも、ちょっと書類を見たのですけれども、北海道あたりで三十五町歩くらいですか、耕しておる方があるわけです。ところが、そういう方はほんとうに自分の使っているところを美田にしてよく収穫ができている。そしてほかの土地を交換して、そして自分の周囲に全部固めてしまったという実例がございます。三十七町歩ですか、大きな、いま雇い人一人使って大きな機械を使ってやっているわけです。そういうところじゃスムーズにいっているわけです、土地の交換分合にしましても。ところがどちらかといえばみんなかなりずるいのが多いので、したがってできるだけ小作人の土地を取り上げようというような人々も最近は相当出てきておりますし、できるだけこの際売ってしまおうというような形で、この地域が指定され、農用地の転用がだめだということになりますれば、かなりこの問題は深刻な問題を、また、どこに線を引くかというようなことで深刻な私は影響を与えるということを考えまして実は伺ったわけなんです。
 それができていなければ、やはり何とかしてそういう関係をはっきりして、そして旧地主あるいは新しく貸借関係を結んだ何と申しますか、新地主と申しますのはちょっとなんですけれども、貸し付け地を持っている人、請負耕作に出したりなんかするなり、そういういろんな複雑な関係がございますが、やはりそういうものをずっと下のほうまで見ていきませんと、こういう問題をとことこっと頭の上で考えて実施するということはなかなか困難ではないかというふうにも私たちは思うわけであります。その点で、小作人の関係を実は聞いたわけです。
 そこで、この計画が、これまでの衆議院の記録を見ますと、大体五カ年間かかって三千何ぼですか、やっていくというお考えなんですが、法律を出して、五カ年先のものまでも猶予があって、あるものは早くいく、それからあとは五カ年先だというようなことになりますと、特にこの土地の問題でさっき申しましたように、御承知のとおり、この土地を早く何とか手に入れて転用したいというような人がずいぶんいますから、そうするとかけ込み競争でできるだけいま優良な土地であるいは便利な土地をどんどん売っていこうというような傾向も出るのじゃないかと思うのです、一部には。
 そうしますとこの五カ年間もかかるというのは、これは農林省のほうの、そちらの手続、大臣から、ずっと上からの指導の手続でそれがかかるのか。それとも非常に複雑だから、こういう問題を農民の間で討議したりあるいは農協やあるいは農業団体等々に市町村が諮問してこれを決定するには相当これは複雑であろうから五カ年間かかる、こういうお考えになっておるのか。これはどういう点でしょうか。
#69
○政府委員(池田俊也君) 農林省がこれを指導いたす等の関係で五カ年かかるというわけでは毛頭ないわけでございます。法案が成立いたしますならば、直ちにいろいろな趣旨の徹底等の作業にかかるわけでございまして、一応私どもの計画では、本年度内に四百地域くらいの指定をし、そのうちの半分くらい計画樹立までいきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。おおむね五カ年程度を予定しておりますのは、やはり地元におきますいろいろな調整等にかなり時間のかかるところもあるのではないだろうか。何ぶん農業振興地域ということになりますと、これは将来にわたりまして非常に影響の多いことでございますから、私どもはやはり極力そういう地元の調整は綿密にやる必要がございますし、それからまた、一応、指定を受けるという体制になった場合におきましても、いろいろな計画樹立のための調査等もございますので、あまり拙速ではなしにやりたいという趣旨から、一応五カ年程度を考えておるわけでございますが、もし地元の熱意が盛り上がりまして、ぜひ早期にやりたいということでございますならば、そういう線に合わせまして私どもは繰り上げることはもちろん非常にけっこうなわけでございます。一部の地域はかなり調整に時間がかかるであろうということで、そういう一応予定をしておるわけでございます。
#70
○河田賢治君 御承知のとおり、指定地域になりましても、実際にこの法律だけでは実効がない、予算もないのですから。結局は、土地基盤整備をやるとかあるいは農業構造改善でいろいろな国が補助を出すとかというようなことで進めるわけですから、そういう点が、おそらく五年というのもかなりそういうところから出ておるのじゃないかと思うのですね。あまりぶら下げましても、すぐに飛びついてきても与えるものが一応限定されておりますから、そうそう一度に基盤整備も全国的にできないという点から私は出ておると思うのですが、しかしこういう場合はいかがですか。知事なんかは指定したいと思いましても、その地域で、市町村で、この辺はもう基盤整備等々はやらぬでもしばらくほうっておいてもいい、したがって整備計画を立てる必要がないというような考えでかなりの人がまとまってしまったという場合は、個人の場合はいろいろな問題が書いてありますけれども、しかしそういういわば市町村段階で全体としてそういう整備計画なんか立てぬでもよろしいというようなものが支配的になった場合には、これはどういうふうになりますか。
#71
○政府委員(池田俊也君) これは制度のたてまえといたしましては、知事が指定をいたします場合には関係市町村に協議をすることがございますので、関係市町村の意向として、地域指定を受けたくない、したがって整備計画も立てないということでございまするならば、指定をするわけにはいかないわけでございますけれども、私どもは、知事がいろいろな観点から見ましてこれは当然農業振興地域になるのが妥当であるというような地域でございますならば、十分趣旨を関係市町村に伝えまして、いろいろ話し合いをいたしまして地域指定まで持ってくというふうなやはり努力を相当すべきであろうと。ただ関係住民の意向によるんだからということで、初めからそういうことで投げ出すということはあまり適当でないので、そういう努力をしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
#72
○河田賢治君 市町村が農地の保有合理化のための適当な土地に関する権利の取得の円滑化、こういう問題について、かって土地の管理事業団に類するんじゃないかというような批判もあったわけですが、御承知のとおり上から大体これはやっていくわけですから、まあ従来の農業委員なんかにしますと、御承知のとおり土地がごちゃごちゃしてる、問題が起こってるというような場合には、その問題を解決するというのが主であったわけですね。実際にいまの法文にあるように、農業の地域を振興する、農村を非常に建設していくというような面の仕事はなかったわけです。で、これが出ますと、勢い、上からの決定として、もちろん農業団体等々に一応諮問はするでしょうけれども、大部分の農民の意思の反映ということは、実際にこれは保障されてないわけです。この場合に、市なりあるいは農業委員が土地に関するいろんなあっせんをする等々をやりますと、これはもう一つの今日の彼らの持っておる以上の、まあいわば越権的な行為になるというふうに考えるわけです。
 現に、おそらく農林省でも御存じだと思うんですが、ちょっと私、北海道の、町の名前を忘れましたけれども、あそこの町では地価を――売買する地価、これをきめてるという話ですね。現にそういう市町村があるわけですね、ひどいところになりますと。だからこの、上からそれがいきますとさらにそういうことが強化されて、ほんとうにいまの民主的な、農民の問題を考えて、そして農業を守っていこうとか、あるいは農村を発展させようというようなことにならずに、何か大きな、何といいますか、連中の要求を聞いて、そして土地は値上げをしないとか、あるいは地価をきめてしまうというような、そういう誤った、あるいは違法的な行為が行なわれてるわけなんですね。こういう点で相当私は、この問題でその面を助長するんではないかというふうにまあ心配するわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
#73
○政府委員(池田俊也君) 整備計画を定めます場合に私どもはやはり、いまの農地保有の合理化のための事項ということとの関連で、将来あるべき経営の姿といいますか、そういうものを定めるような指導をしたいという気持を持っております。で、御承知のように、現在の経営は経営規模というような点からいきましてどうも十分でございませんし、やはり将来望ましい姿としては規模拡大というようなものをはかる必要があるわけでございます。
 それで、整備計画の中でそういう目標をきめまして、あるいは農業委員会がその線に沿って必要なあっせんをする。それからまあ、今般の農地法の改正法案の中にもあるわけでございますが、農地の保有の合理化のための事業ということを市町村その他の公益的な法人がやるということが一応入っているわけでございますが、まあいずれにいたしましても、そういう規模拡大というものはこれはぜひともやりたい。ただそのための事業のやり方が非常に上から押しつけるようなかっこうになったり、あるいは本来農民が希望していないような方向に行くということは、これはこれは厳に避けなければならないわけでございますし、まあそこいらのやり方については、これは確かに従来一部御指摘のようなこともあったかという気もいたしますので、私どもはそこが住民の意向とよく合った上での規模拡大に結びつくような事業の御指導を申し上げたいという気持ちを持っているわけでございます。
#74
○河田賢治君 新全国総合開発計画では、二十年先に二百万ヘクタールの水田、それから百九十万ヘクタールの畑地、これを大型農業機械でやっていこうという構想、これを拝見したわけですが、農林省のほうでこの振興地域の問題と関連して第二次構造改善等々をお進めになるわけですが、大体機械なども大型機械などを入れるような方向でお進めになるわけですか、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。
#75
○政府委員(池田俊也君) 将来の農業労働力の状況等を見ますと、やはりかなり減少するということもございますし、労働生産性を上げるという観点からいきましても大型機械が望ましいのは当然でございます。ただ、これは画一的に大型機械の導入だけを指導するというのが適当かどうかということになりますと、これは非常に疑問がございますので、やはりその地域の条件あるいはいろんな営農の形等によりまして、必ずしもいますぐ大型機械を入れるのでなしに、いろんな、場合によれば小型機械を主体にしてさらに若干の中型機械を結びつけるとか、いろんな適当なかっこうがあり得るわけでございます。全国総合開発計画におきまする二百ヘクタール云々というのは、いまの農地のいろんな条件、水田の条件等から考えまして、まあ機械導入というようなことを十分考えた場合に出てきた数字であるというふうに私ども理解しているわけでございますが、現実の機械化の進め方については、私どもは必ずしも画一的にやるのじゃなくて、いろんな地域の条件に合ったかっこうを指導したいという気持ちを持っているわけでございます。
#76
○河田賢治君 最後に一つ、その問題はあとでいずれ論議する時期があろうと思いますが、御承知のように、大型機械が入りまして、多少機械の性能や何かで問題がありますけれども、少なくとも私が回ってきた範囲でも、五十ヘクタールぐらいですか、そこらまで機械が入りますと、大体農業に従事する人が今日もう五人か六人おれば大体田づくりだったらできるわけですね。そうすると二百ヘクタールにしましても、ほんとうに二十人ぐらいおれば大体できるというような、いま一方においてはそういう時期に来ているわけですね。また九州あたりのあれを見ましても、中型機械でも大体八ヘクタールから十ヘクタールぐらいまではやれる。中型機械を、田植え機械から刈り取る機械全部使って、現に、例の労働時間にしましてもわずか三十四時間ぐらいでやっているわけですね。
 そうしますと、農林省が今後進める上において、どういう機械を入れ、それからどういう方向でやるかということは、これは農民全体にとっては非常に大きな問題かと思うのです。一方においては兼業がある、そしてかなり田畑が生産力が落ちておるという場合に、この農業地域の指定地を中心にして考えるだけでは、これは私は、いわゆる構造改善事業のできるような範囲だけを考えて仕事をしていったらこれはたいへんなことになると思うのです。ますます兼業農家をふやすばかりで、専業農家というのはなかなかできにくい、一方において準兼業があるわけですから。
 そういう問題について、私はこの農業地域のこの法律だけでものは進むわけではありませんけれども、今後の農政の進め方で私は相当大きな変化を与えるだろう。そうしますと、この問題を進めるにあたっても、もっともっとこの振興地域に指定しない部分、あるいは若干傾斜地なんかのある部分、あるいは兼業の多い部分、こういうものをむしろ積極的に早目にそのほうへ重点を置かぬと、私は農林省がいま中心としておる三千ばかりの指定地域にばかり頭を使っていたのでは、これはおそらく農業問題はうまく進まぬのではないかという考えを持っております。これは議論になりますから御答弁は要しませんが、そのことだけを申し添えて質問を終わります。
#77
○委員長(任田新治君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#78
○委員長(任田新治君) 漁業近代化資金助成法案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
#79
○杉原一雄君 五点ほどあるわけですけれども、まず第一点として、この提案の中で融資の量が百億円であるということなんだが、私は百億円では少ないという仮説を一応立ててかかって議論を進めていきたいと思います。これは私の実感、直感でもあるし、午前中の和田委員の質問の中にもそのことが触れられておりますので、いよいよ確信を深めたわけでありますが、そういう仮説に立って、第一点として、まずこれを提案なさる場合に、漁業関係の金融の実態、概略そうしたものを十分点検し、踏まえての提案だろうと思いますので、まずその点をお聞きしたいわけであります。と申しますのは、大規模漁業もあれば、沿岸、沖合い、中小漁業もございますので、それぞれの漁業関係者がどのような金融機関を今日利用しているのか、そういう実態のあらましをまずお聞きしたいと思うわけであります。
#80
○政府委員(森本修君) 先般配付資料の御説明の際に、漁業金融全般につきましてどういう金融機関からどの程度最近貸し出されておるかという計数的なことは御説明を申し上げたところでございます。それで、漁業関係の金融の姿といたしまして御承知のように、利用をいたしておりますところの金融機関は、一般の市中関係の金融機関、それからいわゆる漁協系統の系統金融機関、それから農林漁業金融公庫を中心といたしますところの制度金融というふうに大別をされるわけでありますが、漁業といいましても御指摘がございましたように、沿岸漁業、中小漁業あるいは数はそれほど多くはございませんけれども大規模漁業ということで、それぞれ利用いたしますところの金融機関の形態が多少違っておるわけでありますが、私どもとしましては、従来公庫を中心といたしますところの制度金融におきましては、漁港でありますとかあるいは漁業の改良でありますとかいったようないわゆる生産基盤の関係、また沿岸漁業構造改善の事業あるいは中小漁業の振興の特別措置法といったように一定の近代化の計画を立てまして、そういった目的に沿うための資金需要に対応する融資いわばある意味では政策的な一定の目標に従って誘導してまいるといったような手段としての金融措置、これは公庫のほうでおもに担当してまいりました。そのほか漁船資金にいたしましても公庫資金でかなり貸し出しをされております。系統金融の関係は、農協等に比べまして必ずしも整理が十分ではなかったのでありまして、そういう意味合いで、市中金融機関に依存をする比率がかなり高いというのが漁業金融の特色をなしておりましたが、最近は漁協系統におきましても貯金が増加をする、それに従って、また貸し出しも系統で増加をしてまいるということで、全体の漁業金融の中で、漁協系統金融の割合が漸次増加しつつ、ウエートを高めつつあるというのが最近の状況だろうと思います。それとうらはらに、シェアの関係では市中金融機関の割合が減少してきておるというふうな関係でございます。
#81
○杉原一雄君 そうした状況の中から、中小漁業あるいは沿岸、沖合い等の漁業に対して、今次立法によって何らかの措置をとって、その漁業不振を掘り起こしていく一つの手だてだという観点に立っての立法措置であろうと想像するわけですが、その場合に、午前中の和田議員のように、百億では少ないのではないかということなんですけれども、それについてお伺いしたいのは、百億円という融資の量を決定されたその根拠と申しますか、いろいろなデータの上に立って試算をされたものだと思うのですが、その点は結局政策意図から出てきて百億円が適当だというふうにお考えになったのか。それとも財政のサイドから、これはこの程度しかできないというようなことで百億ということが決定したのか。その辺のところを明確にしてほしいと思います。
#82
○政府委員(森本修君) 予算の折衝経過から申し上げますと、私どもが大蔵省へ予算を要求いたしましたときは、二百数十億ということで融資ワクを設定するよう予算の要求をいたしたのでありますが、もちろんこういった新しい制度のことでありますから、資金需要と申しましても正確に把握してということはなかなかむずかしいのでありまして、いわば一定のワクでもって出発をいたしまして、その実行の過程で資金需要が把握され、またそれに応じて適正なワクを設定していく、端的に言いますと、ある意味では試行錯誤を通じてその間に適正な資金のワクが設定をされてくるといったような性質のものでございます。
 したがいまして、私ども一定の計算によりましてそういう要求をいたしましたが、大蔵省と折衝しております過程で、一つはやはり系統金融機関としての全体の預金の量なり、あるいは貸し付けの従来の系統としての実績なり、それがこういった長期の金融でありますから、将来どういうふうに積み重なっていくかといったような、系統金融におけるこういったワクの位置づけといったような問題もございます。
 それから、何ぶんにも初年度のことでありますから、また年度の当初から出発をするといったようなことには必ずしもならないので、途中から出発をするといったようなことにもなりますから、そういう点も多少計算をしなければならないといったような関係等々、また県等の打ち合わせを通じましても、それぞれ従来県が希望として持っておりましたものを十分画一的な数字を精査してまいりますとまたその間に変動が来るといったような、いろいろな過程を通じまして百億ということになったわけであります。
 もちろん現在の漁業金融の実態から申しますれば、こういった数字で必ずしも十分であるというふうに私どもも思っておりません。したがいまして将来の問題としては、こういった資金制度を運用していきます過程で必要な資金量というものも十分判明をしてくる、実態に応じて。そういうことでもございますので、そういったことに即応して将来十分のワクを確保するよう努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#83
○杉原一雄君 いま最後のところで、将来、つまり来年からでありますが、試行錯誤という表現もあったわけでありますが、ことしの経過等を見ながら来年度はもっと本腰を入れて需要にこたえるようにしたいというような長官の答弁だと確認してよろしいと思いますが、そこで先ほどの午前中の小林委員の質問の中にも実は出たわけですが、今日県独自で県単として漁協に対していろいろ金融あっせん、金融の措置をとってまいった、そこで今次立法によって県と国がある程度利子補給をやる、そこで県が今日までやってきた行政努力を今度はもっと広めたらどうだという小林委員の提議があったわけですが、私はそれとは別に、この問題が出ましてから自分のくにへ帰りまして、行政の末端を担当する皆さんの意見なり、あるいは漁協を経営する人たちの意見なり、あるいは水産高校等のそうした角度からの問題にタッチしておる人たちの意見もいろいろ聞いてまいったわけでありますが、その中で、県のほうではこういう心配をしておったわけですから、本委員会を通じて端的にイエスとかノーとか言っていただけばいいわけですが、今日まで県が努力をしてまいりました漁協に対する金融措置等について今度百億近代化法という一つの法律ができたことによってきちんと交通整理をされてしまう、言うならはワクをはめられてしまって、県の創意に満ちたそうした努力ができなくなるのではないかということを非常に心配しておりましたから、本委員会を通じてその点を明確にお答えをいただきたいと思います。
#84
○政府委員(森本修君) 御指摘のように、従来から各県でそれぞれ県の漁業の実態に応じ、また県の独自の考え方に基づいていわゆる県単融資制度がほとんど大部分の漁業県において実施されてきております。今回の近代化資金ができますことに伴って、こういった従来の県単資金との関係はどうなるかということでございますが、私どもはやはり県において、いま創意に満ちたというお話がございましたが、そういった関係でできておりますものに対して画一的に今回の近代化資金ができたからどうこうしろというようなことを指示するつもりはございません。あるいは県によっては今回の近代化資金と全く同じことをやっておったところでは、この制度に統一をされるといったようなこともあり得るかと思いますが、そういった場合におきましても、私どもの希望としては従来県が金融に対して入れておった財政的な援助を後退させることのないように配慮をしてもらいたいということを強く県当局に要請をするつもりでおります。そういう関係から、今回の近代化資金ができたことで、県のいろいろな諸制度が後退をするといったようなことができるだけないように私どもとしても希望しているところでございます。
#85
○杉原一雄君 次に、百億円ということがきまっているわけですから、それについて県段階におろされるわけですが、これはおのずからワクがあるわけですから、割り当ての問題が出てくると思いますが、そうしたこと等についての割り当ての方法というものは従来一つのタイプがあると思いますけれども、一応荒筋をお聞きしておきたいと思います。
#86
○政府委員(森本修君) 県に対します融資ワクの配分のしかたでございますが、一口にいいますと、それぞれの県におきまして漁業の実勢がございます、漁船の勢力なりあるいは漁業生産の動向なり、また従来の共同利用施設なら施設に対するいままでの実績といったようなものがございますから、それぞれの県のそういったものをずっと調べまして、一つの基準でございませんから、それをどうあんばいしてまいるかというのを適当な指標によりまして、指数によりまして案分をいたしまして、県に対するそれぞれの配分の指標にしたいというふうに思っております。もちろんこれだけで画一的にやりましても実情に合わない点が出てくると思いますので、そのほか若干これを補正するような基準をつくりまして、各県の実情に応じて、乏しい額でございますが公平に行き渡るように私どもとしては配慮していきたいと思います。
#87
○杉原一雄君 そこで、いま公平ということが出たんですが、本来が系統的な制度金融でございますから、系統組合員でないものが漁業者等の中にいるわけですから、そうした系統組合員でないものに対するこの制度のいわゆる利用とか、そういうことが可能なのかどうか、そういったような準備があるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#88
○政府委員(森本修君) この制度の融資の対象者は水産業協同組合の組合員たる資格を持ち得る人、一口にいいますと、そういう形になっております。したがいまして私どもとしてはそういった関係の人にこの資金が利用されるということを期待をいたしておるのでありますが、ただ従来の末端におきますところの漁業協同組合におきましては、組合員に対して乏しい資金でありますから優先的に利用する、またある組合では員外利用を制限をしておるといったような例もあるようであります。これも一がいに私ども強制的な指導をするということはいかがなものかと思いますので、その点については今後実態に応じて本制度がまずまず資格者であって、員外者といったような人はないというふうに現実問題としては私ども思っております。員外者は資格者のうちでもごくレアケースだというふうに思います。したがいまして、まずそういった借り入れができないような人がそう多く発生をするとは思っておりませんが、もし個々の事例で、本制度の適用上員外者であって非常に不便をこうむるといったような事態が生じますれば制度の運用問題として適切な指導を加えていくというつもりでございます。
 なお、本資金が十分に利用できない、利用できがたいというふうな人に対しては、午前中もお答え申し上げましたように、農林漁業金融公庫からこういった資金についても同一対象についても貸し出しをするという運用をしていくつもりでございますので、いずれにしても制度金融の恩典が受けられないという人が出てこないように十分配慮してまいりたいと思います。
#89
○杉原一雄君 今度は大きな項目の二つ目に入りたいと思いますが、一つ目のところでは、結局今日の金融制度あるいは漁業の実態等から考えて百億円では非常に少な過ぎる、だからことし一年ひとつ試行錯誤をやりながらできれば大蔵当局とも話をつけてもっともっと資金量をふやしていきたいということに私は判断をしておりますが、そこで第二点は、そのことをより裏づける意味において、いわゆる漁業行政全般の問題としてより一そうこの法が内容的に充実して今後とも行政的になされねばならないということを私は期待するわけですが、そのことを含めて二、三の問題をお尋ねしたいと思うわけです。
 特にいま問題のとらえ方と申しますか、視点を実は私はここに置いておきたいと思うわけですが、つまり大規模漁業と中小漁業との関係、いうなれば対比において漁業行政の大きな観点からとらえていろいろな点を検討してみたいと思うわけですが、特に私の腹の底に流れている思想は、大きな魚は小さな魚を食べる、小さな魚はエビを食べて生きていく、エビは虫を食うということ、これは先年中国に行ったときに中国の人から教わった一つの資本の論理でありますが、そうしたものをやはり最大限に行政上警戒をしながら進めたいという政策意思が私の中にあるわけです。
 そこでそういう観点から見て、先般議会に報告なさった四十三年度の漁業白書の五ページを見ますとこういう表現がひとつ出てきているわけです。「わが国の漁業総生産量(鯨を除く。)は前年より一〇・五%伸びて七八五万トンとこれまでの最高を記録した。伸び率も三二年に次いで大幅であった。このような生産の伸びは、主として母船式底びき網漁業、北洋および南方海域での遠洋底びき網漁業の発展によるものである。したがって、海面漁業のうち大規模漁業が四三・一%と著しい伸びを示した」ここのところが非常に私大事だと思います。「また沿岸漁業でも増加しているが、中小漁業では停滞している。」ここのところも非常に私大事だと思うわけです。繰り返して申しますと、「また沿岸漁業でも増加しているが、中小漁業では停滞している。」この停滞しているところの要因を突きとめていきたいと思うわけですが、そこで大規模漁業が四三・何がし%伸びたと、この伸びた要因は、いま申し上げたように、ここにかいつまんで書いてありますが、もっとはっきりお触れをいただいて、しかもこれはぐんぐんと将来ともきわめて明るい展望に立っているのだというようなものであるのかどうか。最近のはやりことばで言えば、大規模漁業あるいは遠洋――遠いところに出て魚をとるというこの方式に若干のかげりがいろいろさしているとも言われているわけでありますから、そうした明るい面と暗い面とをはっきり出していただいて説明をしてもらったほうが後ほどの沿岸漁業の問題を掘り下げていく場合に大切でございますので、その辺の解明をお願いしたいわけです。
#90
○政府委員(森本修君) 漁業の分類をいたしますのに、私ども一応いわゆるこの漁業白書におきまして大規模漁業、中小漁業というふうに分けておるのでありますが、この分け方が、いつも審議会等で審議をしていただきますけれども、経営の規模といいますか、そういうものをあらわしておるというふうにも必ずしもまいりませんし、そこいらの分け方がこの大規模漁業ということばでは何かこう企業規模をあらわしておるようにも表現としては受け取れるのでありますが、必ずしも適切な分類形態が確立をしていないということはございますが、一応白書に書いておりますのは母船式かに漁業、以西底びき網漁業、北洋母船式底びき網漁業及び遠洋底びき網漁業というのを大規模漁業として分類をいたしまして、それの生産その他を整理をしておるということになっております。したがいまして、まあこの分類の中に入るものが一応の同一の状態であるというわけにはいかないのであります。たとえば御指摘がございましたように、生産量が大規模漁業は非常にふえております。四十二年が前年に比べて四三%ふえておる。このうちで特にふえましたのは、北洋の遠洋底びきと、それから北洋の母船式底びきという分類の漁業が非常にふえております。魚の種類としては御承知のようにスケソウダラで、これが最近御承知のような加工製品の原料として冷凍する等に用いられるということで非常にふえております。そういうものがその原因をなしております。それらを含んでおる大規模漁業がこの分類としては生産が非常にふえておるということになっております。したがいまして大規模漁業といわれておるものが全部一様に生産がふえておるというわけではない。一部の漁業また一部の魚種について非常な生産の伸びがあるというふうに御理解をいただきたいと、そういう点からまた要因もおのずから変化をしてくるというふうに思うのでございます。
 それから遠洋漁業につきましては、御承知のように海外における状況、その他資源の関係等で必ずしも明るい面のみではございません。政策的な問題としては、御承知のように諸外国におきまして最近領海の拡大なりあるいは漁業水域の設定といったような面がございまして、漁場に対する一つの国際的な制約というものが強まりつつある。また全般的に後進国等が水産資源に対する関心が強まってまいりまして、国際的な動向としては資源に対する維持管理ということを国際的にやってまいろうという主張が非常に強くなってきておる。これらも遠洋漁業に対する一つの制約的な動きであるというふうに思います。もちろん資源の維持管理といったようなことについては、日本としても十分国際的に協調をとっていかなければならぬことは言うまでもございませんが、そういった動きがございます。まあ、そういうことにつきましては、各種の漁業交渉を通じまして、御承知のようにここ二、三年来、数カ国とすでに漁業に関する協定を結びまして、わが国が従来持っておりました実績をできるだけ相手国にも認めさせるといったような努力もいたしております。また日ソ交渉なり日米交渉等を通じて外交的な努力をいたしておりますが、何ぶんにもそういった関係の漁業におきましては、資源の制約がかなり出てきておりまして、漁業の資源問題という、特に遠洋漁業については重視をしなければならぬ段階にきておろうかと思います。私どもとしては、既存のそういった漁業関係における制約も強まってきておりますから、一つはいわゆる新漁業の開発ということで、私どもが従来利用していなかった海面においてできるだけ新しい資源を発見をして新天地を求めてまいる。また従来利用していなかったような漁業種類についてもできるだけ利用の分野を広げてまいる。先ほど御説明を申し上げましたスケソウダラ等についても、ああいった新しい加工なり、原料の形態ができましたことが一つの漁業の生産を高めた要因にもなっておりますから、そういった新しい資源を利用するような可能性を強めてまいるというふうなことが違洋漁業に対する今後の一つの伸展の大きな方向ではないかということでせっかく努力をしてまいりたい、かように思っております。
#91
○杉原一雄君 それでは、先ほど後段で申し上げました沿岸漁業が増加している、しかし中小漁業が停滞していると、こう白書は書いているわけですから、ここのところがたいへん気がかりになるわけですね。そこで沿岸漁業がはたして増加しているのかどうか。一応農林省の計数を信頼していいと思いますが、ただ問題は、そういう中で中小漁業がなぜ停滞しているのか、いろんなことが推定されて私は非常に心配なんですが、長官のこれに対する要因の分析、判断はどうか、的確にお願いしたいと思います。
#92
○政府委員(森本修君) 中小漁業として分類しております中にも、非常に数多くの漁業種類が含まれております。したがいまして、ある業種につきましては生産が増加しておる、しかしまた他方生産が停とんをしておる、あるいはむしろ減少をしておるといったような漁業種類も見受けられるということで、それらが集計をされまして、中小漁業の生産が停とん、あるいは微減をしておるというふうな形に統計上は整理をされております。具体的には沖合い底引き漁業でありますとかあるいはイカ釣り漁業等は中小漁業の中でも生産がふえております。しかし、一そう巻き網漁業とかあるいはサンマの関係等は生産が減っておるといったような形になっております。サンマなりアジなり、巻き網の対象でありますが、そういうものは比較的最近はとれ高が少し減少をしてきておりますが、これは一つは資源のあり場と申しますか、そういうところがどうも変わってきたのではないかというふうなことが問題になっております。
 そういうことから、私どもとしましては、こういった海洋漁業について、資源の調査を来年度は十分ひとつやっていきたいということで、四十四年度の予算の中にも巻き網に関する開発調査、あるいはサンマについて資源調査をもう少し遠いところでやってみるといったような調査項目を予算上計上いたしまして、いま言いましたようなことに対応していきたいと思っております。一口に言いますと、そういった資源的な点から、中小漁業の中に漁獲高が十分上がらないものが相当出てまいったということが要因の大きなものであると思います。したがってそういう点に対する手当ても、行政的にはできるだけしたいということで今後取り組んでいくつもりであります
#93
○杉原一雄君 あと二つ具体的な問題を提示して、きょうの質問を一応終わりたいと思いますが、それは、富山湾に紅ズワイガニという漁獲がありますが、この十日でその漁獲を一応打ち切ったわけです。そこで、新聞紙を通じてその結果がずっと書いてあるわけですが、問題は、いま申し上げたように中小漁業の不振の問題、沿岸漁業の問題になるわけですが、だんだんと沿岸に魚が、紅ズワイガニがおらなくなってしまう、その原因はいろいろあると思いますが。だから、新潟県の佐渡沖というところまで小さな船をあやつりながら出かけねばならない。そうすればおのずから、動力船ですからガソリンなり、またその他燃料はたくさん食う、時間を浪費する、こういういろいろな問題等をあげて、非常に先行き不安な情勢報告をしておるわけです。これは単に富山湾内における紅ズワイガニだけの問題でなくして、沿岸漁業全体に通ずるような問題をも実ははらんでおるようにも思われるわけですが、そうしたことについての全国的なこうした沿岸漁業の問題点、マイナスの面をいろいろお考えになっているだろうと思いますが、そのことを一応お聞きすると同時に、これはできれば次の機会等で、そうしたことに対するところの対策、どうしたらいいのかということを、漁民に一つの明るい展望を与えるような政策の内容をお聞きできればと思います。
 それからもう一つは、きょう毎日新聞が社説で書いてるわけですが、私も実はうっかりしておりましたけれども、海上保安庁の海難白書のことが出ている。その「海上保安の現況」をつぶさに分析して、それを社説があげているわけですが、その中でいま問題にしていることがやはり問題になっているわけです。「つまり海難した船は千百二十一隻にも及んでいる。それはあるいはカツオ・マグロ漁業、北洋のサケ・マス漁業の海難がたいへん多かったんだけれども、それらは減少の傾向をたどっている。しかし最近多いのは」――ここからがたいへん私、問題になってくるんじゃないかと思うんです。「近海のイカ釣り漁船の遭難が増加し、三十五人の犠牲者を出している。その他」云々と、そこで、「遭難漁船をトン数別にみると」と、わざわざ引用しているわけですが、「転覆した漁船が全体で九十隻で、そのうち五トン未満が五十三隻である。二十トンから五トンまでが二十一隻で、両方で八二%を占めている。転覆という海難中最悪の事態を招く船の大半は、小型漁船である。」こういうことで当面漁業行政についての再検討をこの新聞は要請をしているわけですね。
 そうしたこと等について、一、二、具体的なことを指摘したわけですが、きょうは時間がございませんから、後ほどそうしたことがはたしてほんとうなのかどうか。同時にまた、ほんとうだとすれば、それに対する対策を端的に披歴していただければいいんじゃないかと思う。時間がそうたいしてかからなければきょうひとつ伺いたい。
#94
○政府委員(森本修君) 最初お話がございました富山県における紅ズワイガニの関係、私ちょっと具体的な紅ズワイガニのことを聞いておりませんので、その点につきましては十分調べまして別にまたお答えをさしていただきます。
 沿岸漁業一般につきましては、御承知のように、一番大事なことは、やはり今後沿岸漁業について資源を十分培養してまいる、いわゆるつくる漁業、栽培漁業というような点に十分力を入れて、資源問題は水産におけるきわめて基本的な問題でありますから、私どもとしては慎重に取り組んでいきたいというふうに思っております。若干そういう観点から沿岸漁業対策について、従来の観点を見直す、また将来具体的にどうあるべきかということを調べるための調査費も四十四年度予算にもとっております。そういった予算の問題では関係ありませんけれども、今後十分ひとつ取り組んでいきたいというふうに思います。
 それから海難の話でございますが、漁船の海難が必ずしも傾向として減少していない。まだ相当数の漁船が海難事故にあって、きわめて皆さんが難渋をされておるということについて、私どもとしてもはなはだ残念に思っておりますが、従来からも漁業の関係、必ずしも十分でないかもしれませんが、海難防止といったような観点からいろいろなことを考え実行してきておるつもりでございます。
 御承知のように海難の一番大きな原因は荷の積み過ぎ――過載防止ということが非常に大きな問題でありますが、従来からもいわゆるVマークというものを強制的に励行する、また漁業許可の条件にするということで先般の一斉更新の際にもそういう点をきっちり励行させるということでやってまいりました。現在その実行の過程でございまして、こういったものが従来非常に懸案事項ということにされておりましたものを私どもとしては実行に移しておるわけであります。
 また小さい漁船については機関の故障が非常に多いということも海難の大きな原因でございます。したがいまして、そういった小型漁船の機関についての一つの設置の基準というものを先般つくりまして、これも厳重に励行させるというふうなこと、その他漁船の大型化に対する配慮、あるいは漁船の操縦についてもやはり技術的にまだ十分でないということが海難の原因になっている点もございます。特に中小の漁船についてはそういう点もありますので、そういった人に対する操船上の研修訓練というふうなこともやってまいるということで努力をしてまいりましたけれども、しかしなお実績の示すところでは、海難があとを断たないということはきわめて残念でありますので、そういう観点からも漁業政策を十分配慮して運用してまいるということにつとめてまいりたいと考えております。
#95
○委員長(任田新治君) 本案についての質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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