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#1
第061回国会 農林水産委員会 第21号
昭和四十四年六月十二日(木曜日)
   午後一時三十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                高橋雄之助君
                宮崎 正雄君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
                藤原 房雄君
    委 員
                亀井 善彰君
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                櫻井 志郎君
                田口長治郎君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                足鹿  覺君
                鶴園 哲夫君
                中村 波男君
                沢田  実君
                向井 長年君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
   政府委員
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       水産庁長官    森本  修君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       水産庁調査研究
       部長       松下 友成君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○漁業近代化資金助成法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 漁業近代化資金助成法案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。鶴園君。
#3
○鶴園哲夫君 まず初めに、これは法案とは直接関係ありませんが、漁業白書を見ているうちに、魚価の生産地価格と消費地価格と、これに大きなズレがありますね。生鮮食料品の価格の問題について、ここ数年来非常に大きな問題になって、毎年問題になっているわけなんですけれども、この数年の間生産地の価格と消費地の価格に非常に大きなズレがあるということは、一体どういうことなのか。四十三年度の白書ですから四十二年のことが書いてある。四十二年は生産地においては前年度より五%程度卸売り価格は上がっているだけだけれども、消費地においては卸売り価格が十何パーセント――一一%ですか、二倍以上の開きがある。ですから、生産地における価格と、消費地における価格がここ数年の間漸次縮まっていくような傾向があればまだともかくといたしまして、そうではなくて、四十二年あたりになりますと逆に大きく拡大をする。生産地の五%程度のものが消費地においては一一%と、二倍ぐらいに拡大してしまうという状況にあるのはどういうことなのか。ということは、去年、四十二年の特殊な事情だけじゃなかろうと思いますけれども、まず御説明をいただきたいわけです。
#4
○政府委員(森本修君) 四十三年度の年次報告、これは四十二年の状態を書いておるわけでございますが、そこに記述いたしましたのは、ただいま御指摘がございましたような計数が載っておりますが、それぞれやや長い期間で見てまいりましても、――もっともこれは統計の指数のとり方にも若干問題がございまして、必ずしも生産地の価格とそれから消費地の価格を同じベースで比較できるかどうか、こういった統計上の問題がございますが、いずれにいたしましても、そういった統計で見てまいりますと、生産地価格の上昇のテンポに比べて、消費地の卸売り価格あるいは消費地における消費者物価の状況というのが、生産地の価格よりも上がり方が激しいというようなかっこうになっております。ただこれは、先ほど申し上げましたように、生産地の価格は全体の魚種を押えておりまして、生鮮で食べるものもあれば加工にするものもあり、また肥飼料用に回るものもありまして、そういったものの全体を突っ込みまして生産地の市場価格といったようなことにしております。消費地のほうは、生鮮なりあるいは塩干ものといったようなことでなっておりまして、相当その品物のウエートなり種類が違うということがございますので、指数のとおりの開きを示しておるというふうに受け取ることがあるいはむずかしいかと思いますが、いずれにせよ消費地なり消費者物価のほうが上がり方がどうもひどそうだということは言えると思います。その要因はいろいろな点があろうと思いますが、流通段階における経費のアップとか、あるいはやはりそういった労賃とかといったようなものも上がってまいりましょうし、そういった段階における流通経費の上昇といったようなことが、そういう傾向を示しているおもな原因であろう。ただ、全般的に、御承知のように魚の需要がかなり最近強調でありますのに、特に生鮮用として消費される高級魚介類の生産がこれに対して追いつかないといったような長期的な需給の姿を示しておりますが、そういった需給関係もまたこういった価格の傾向を示してくる一つの要因になっておろうかというふうに考えております。
#5
○鶴園哲夫君 いまの長官のお話で、生産地における価格を計算する品目と消費地における価格の品目との間に同じでないという傾向がある、これはわかりますが、しかし、統計の数字としてこういう数字を出す場合には、やはり消費地における品目なり生産地における品目なりというのをほぼ類似したような形で出していただくと、さらに一そういま問題になっておる生鮮食料品の価格関係が正確に把握できるのじゃないかというふうに思いますけれども、しかしそれは別にいたしましても、三十五年から四十二年までの傾向は出しておるわけですから、突っ込んだとしても傾向値ははっきりとらえられる、分離しなくても。毎年毎年同じ形でとっておるわけですから。ですから、傾向値としてはこれは疑うことのできない数字としてとっていいと思う。三十五年を一〇〇とすれば、生産地の価格が一六二になっておる。消費地においてはこれが二〇一になっておるというこの傾向ですね。これはもう疑うことのできない数字だと思うのですね。ですが、さらに一そう長官もおっしゃるように正確な政策を遂行するためには、消費地と生産地の分離をして品目をほぼ同じにするということが必要だと思う。ですが、傾向値としてははっきりうかがえるわけであって、そこで私はどうも価格政策というのが――漁業の場合におきましての価格政策ですね、価格を安定させるという政策ですね、これがどうもあまり効果がないのじゃないかという気がするわけなんですね。一体どういうウエートが出てくるのかという点ですね、ということをまあ疑問に思いたくなるほどなんですけれども、しかしこれはいままでのところ立ち入って言うわけにいきませんけれども、この際、長官が漁業のこういう生鮮食料品の価格の安定の政策のメリットをどういうところに置いておるのかということを示してもらえませんですか。
#6
○政府委員(森本修君) こういった価格なり物価の問題でありますから、ある程度総合的ないろいろな経済的な要因が加わってまいりますので、一つの施策が一体どういうメリットなり効果をあらわしているかというのは分離をして調べる、あるいは説明するということもなかなかむずかしいのでございますが、私どもいま流通対策としてやっておりますのは、一つは、やはり産地における加工なりあるいは貯蔵といったようなものの施設を整備する。また一部は、冷凍による輸送施設といったようなものも補助をしたり整備をするようにはかってまいりました。また最近は、市場についてもそれぞれ四十四年度から産地市場等のこの近代化資金もそういった諸施設に対する一つの融資の有力な手段になるわけでありますから、そういうものについてやってまいる、また四十四年度の予算におきましては産地流通加工センターというのを新しく形成をするための調査を開始しておりますが、これなども最近における魚の流通関係の実態に即応いたしまして、できるだけ水揚げ高の集中してまいりますところの産地市場を合理的な姿に配置をしていくというふうなこと等々、流通機構についても近代化改善の手を加えていこうということでやってきております。また御承知のように、冷凍によりますところの魚の貯蔵、需給調節といったようなことも一つの発想になるわけでありますが、これも二、三年来関係のところに補助をいたしまして、実験的な形でやってまいり、四十四年度はもう少しいままでの実験調査の経験に即しまして、多少模様を変えて継続していくといったようなことについて従来配慮をしてきておるつもりであります。
 ただ先ほど言いましたように、全体の需給関係が、残念ながら魚の需要に対しまして生産が必ずしもそれに対応した形で進んでまいらないといったような、構造的な需給の関係が横たわっておりますので、先ほど来御指摘のございましたように、特に魚の消費地における価格はかなり著しい上昇を示しておるということは、主としてそういった需給関係からきておるものと私どもは見ております。もちろん中間における流通機構の問題なりあるいは流通の形態の問題なり、今後改善をし、検討をしなければならぬ問題が多いと思っております。そういう問題についてもひとつ十分努力していきたいと思います。
#7
○鶴園哲夫君 この年次報告によりますと、この五年間に生産地の価格というのは年率八・三%である、消費地の価格というのは年率、この五年間一〇・二%という数字が出ていますね。しかしまあ四十二年は生産地の価格の値上がりは、前年に比べて五%であるし、消費地は一一・五%という数字になっております。こういうことは水産庁における価格の問題としてはそう重要視すべき数字ではないのですか。いとも軽やかな数字なのかどうかという気がしてしょうがないのです。軽やかな数字なんですか。
#8
○政府委員(森本修君) 私どもとしましても、魚価が著しく高騰するというようなことは、国民経済全体の立場から見まして好ましいことではないという観点に立ちまして、先ほど申し上げましたようなことで、考えられる手段、方法についてできるだけの努力をいたしておるつもりでございます。特に最近、御指摘がございましたように、長期的に見ましてもあるいは短期的に見ても、魚の価格がかなり上昇しておるということは私どもとしても十分警戒を要する事態であるということで、今後流通対策にできるだけひとつ取り組んでいきたいと思っておるところであります。
#9
○鶴園哲夫君 この間「農林金融の実情」ですか、農林中金が出したあれの六九年度版というのがきましてですね、それを見てみますと、農業と漁業と林業の貸し付けといいますかね、貸し出し残高というのか、これに非常に顕著な差がありますね。農業では四十二年度末の貸し付け残高の中の政府機関が貸し付けておるもの、これは一九・六%という数字が出ていますですね、漁業が九・七だ、林業が四四・一だ。ですから、農業、林業、漁業それぞれに金が貸し付けられておるわけなんだけれども、その中で政府機関が貸し付けておるものは、漁業は九・七%だと、農業のほぼ半分くらいになるわけですね、政府機関が貸し付けておる金で言いますと。林業はこういうふうに四四ですから、これは農業のまた二倍以上ということになるわけですね。一体、こういう非常に顕著な違いが出てくるということは、これはそれぞれの農業なり林業なり漁業の、産業といいますか、そういうものの違いによるというだけではないように思うんですね。よくわかりませんからはっきり言えない点もありますけれども、どうもそうも言えないんじゃないか、そういうことだけでもないように思うのですけれどもね。ですから、いま申し上げた、非常に差があるという問題について、いかにも広すぎる顕著な差、漁業は農業の半分、林業はまた農業の二倍以上、こういう政府機関が貸し付けている金の違いというもの、その差を説明をしてもらいたいわけですよ。産業としての差からくるだけなのか、あるいは政策的な面もあるのかどうかということですね。そういう点の御説明をしてもらえませんか。
#10
○政府委員(森本修君) 御指摘は農林水産に対するそれぞれの金融機関からの貸し出しの割合、それの違いがどこからくるかということであろうと思うんですが、お話がございましたように、産業といいますか、それぞれの業態の資金に対する需要の、何といいますか、性質といいますか、そういった産業の特性といいますか、いま言われたのはそういうことだと思うんですが、そういうところからくることもありましょうし、それからまた、それぞれ林業なりあるいは農林水産なり系統金融機関が充実をしているかいないかといったような融資機関の側からの影響といったようなものもあろうかと思います。一般的にそういうことであろうと思いますが、御指摘になりましたように、政府金融機関の融資の割合が最も高いものは林業、それから農業がその次、それから漁業がその次というようなかっこうになっております。逆に、系統金融機関のほうは、農業のほうが非常に充実をしておりますから、約七五%くらい系統金融機関から借りておる。したがって、一般の金融機関の割り込む余地というのはほとんどないんじゃないかというのが農業の姿です。林業のほうは政府機関のほうが多くて、系統金融機関が少ない。一般金融機関はかなり高い、というような、それぞれ構成を示しております。水産業のほうは御案内のように、水産に対する全体の金融ということになりますと、従来から一般の金融機関の依存ということが非常に多いのでありまして、これが一般の金融機関としても相当規模の大きい水産業に対しては、融資ベースに乗るというふうなことで、かなり一般の金融機関からも融資を受けております。また、系統金融機関は林業よりも充実しているということで、これも約四割くらいというふうな形になっております。政府のほうは、政府金融機関のほうが比重が少ないというふうなことであります。何といいましても、まあ林業などは御承知のように、資金需要として造林なり林道なりといったような、やや公共的な性格の強い資金需要が相当大きなウエートを占めておるといったようなこともありますし、政府の金融機関の供給しておる資金量は、かなりの比率になり、逆に系統金融機関は弱体だといったようないろんな要素でそういう比率が出ているというふうに私どもは見ております。もちろん担当しております漁業関係について考えますれば、農林漁業金融公庫が漁業に対して従来やってまいりました金融について、もちろん他の部門に比較いたしまして充実しておるというふうには考えられません。したがいまして、政府関係金融機関からの融資の問題についても、今回の近代化資金ができたというふうなことがございましても、なお改善すべき点は改善をしていかなければならぬであろうというふうに考えております。
#11
○鶴園哲夫君 この農林漁業金融公庫をとってみますと、これは農林漁業金融公庫ばかりだけでなくて、漁業の場合にはそのほかに金融機関も貸し付けておりますし、中小企業金融公庫もありますし、国民金融公庫もありますし、いずれにしても政府関係金融機関の貸し出しというのは非常に低い、農業の半分以下だということですね。林業の四分の一以下だ、農業の二分の一以下だということは、どうももう少し御説明をいただかないとはっきりしない。それは農業の場合には農協の信用事業というのは特殊な事情のために非常に充実しておりますが、漁業のほうは、信用事業というのは農業に比べまして非常に弱体である、それは漁業政策上からくる弱体だと思うのであります。農業については特殊な政策をとっておりますから、食管制度の関係で、米の統制との関係で信用事業が非常に充実している、漁業は弱体だ。その点、公庫のほうの進出がもう少しあってもよさそうだ。かわりまして公庫が、政府関係金融機関がもっと出てもいいのじゃないか、農業よりももっと出ていいのじゃないかという気がするわけです。またそうなければならぬのじゃないかというふうに思うものですから、そこら辺をそうじゃないのだと言うなら、その点について、これが九・何%、農業の半分以下という現状の説明ですね。これはもっと政府関係金融機関というのは出てしかるべきだという気がするのです。
#12
○政府委員(森本修君) 何といいますか、このシェアといいますか、それぞれの金融機関の貸し出しの比率でありますから、二分の一という表現がいいのかどうかよくわかりませんが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、水産の関係におきましては一般の金融機関の貸し出している額がかなり多いといったようなこともございまして、全体の貸し出し残高に対する政府金融機関の比率といったような関係をとりますと、どうしても率が下がってくるといったような形になっております。ただもうちょっとこまかくやりまして、沿岸なり、あるいは中小漁業向けの融資のみをとってまいりますと、その比率が若干高まってまいりまして、政府関係機関は一三%くらいになるわけです。
 それからまた農業関係をもうちょっとしさいに当たりまして、たとえば乳業に対する貸し付け、要するに加工メーカーといいますか、そういうふうなものを捨象いたしまして、農業関係のそれぞれの金融機関の貸し付け比率をとって見ますと、政府関係金融機関は一五%くらいになってくる。両方の数字を多少ずつ比較可能なように接近させてみますと、御指摘がございましたように倍、半分ということではなしに、大体似たような比率になってくるというふうなことでございますので、こういう数字が一体どこからどういうふうに分析をして比較すべきであるかというふうなことについてもややきめをこまかくして検討をさしていただかないと、一がいに、いろんな要素で相対関係が変わってまいりますから、一例をあげますと、いま言ったような比較の数字も出てまいりますので、先ほど私が申し上げましたような産業の性質、したがって、それについての資金の需要の性質、運転資金を非常に多く需要すると、どうしても一般銀行なりあるいは系統機関といったようなことになります。設備資金、しかも政策的な設備資金の供給というのは政府金融機関でやっておるわけでありますから、そういう需要が比較的多い部門に対しては政府機関の金融比率というものが上がってくるというふうなことであります。単にこの数字をもって政府のある産業に対する力の入れ方の指標であるというふうにはとりにくいのではないかというふうに思います。
#13
○鶴園哲夫君 私はどうも漁業についての政府関係金融機関の出方というのは少ないんじゃないかという気がしているわけですね。ですから、もう少し漁業金融公庫なら金融公庫が出るべきじゃないかという気がするわけです。今度こういう近代化資金が出たわけですから、これも非常にけっこうな話なんですけれども、もう少しやはり漁業金融公庫なら金融公庫が出るべきじゃないか。出れなかった理由というのはどういうことなんでしょうか。漁業の金融というのが不安定だということですか。農業よりも不安定だ、だから出方が少ないということになるのか、だから近代化資金というようなものになっていくのか。そこの辺はどうなんですか。
#14
○政府委員(森本修君) これは沿革的にいいますと、公庫資金のほうが出方が少ないというふうにとるのか、それとも農業においては一般の金融機関というのがほとんど農家に対して金融をしないといったようなことの一つの相対的な関係として一般の金融機関がどうしてもシェアが少なくなりますから、そのシェアとして出しますと系統金融機関なり政府機関が非常に多くなってくるというような関係。漁業のほうは御案内のように公庫ができる前から一般の市中銀行からかなり貸し付けを受けておる。また市中銀行も相当長い間の取引関係があるといったようなことで相当市中関係の金融を受けておるウエートが高いわけであります。そこから公庫資金が発足をいたしまして漸次政策的な融資が分野としては拡大しつつあるというのがいまの姿でありまして、こういった金融の比率も公庫、政府金融機関の比率が漸次高まってきている、傾向としては。御案内のように全体の割合からいえばそういうことでありますから、私どもとしても公庫の金融の中で構造改善資金とかあるいは漁船資金というふうなものはここ数年来多くしてきております。そういうことでなぜ出ないのかと言われましてもかなり勉強して出してきておるつもりであります。しかし全体の中ではやはり市中なり系統なりの融資の分野というものはかなりあるもんですから、比率でとると政府金融機関の比率というのは農業に比べては多少下がってくる。私が先ほど言いましたような比較の統計をとりますと、そんなに倍と半分といったような形で伸びなくてもいいんではないかというふうに思っております。ただ御指摘の趣旨が公庫なりあるいは政策金融をもう少し漁業の面についても力を入れてやるべきではないかという御趣旨については私どもも同感でありますから、今後ともそういう方向で検討さしていただきたいと思います。
#15
○鶴園哲夫君 ただいま設備資金としまして百億のワクで農業近代化資金でやられるわけでありますけれども、公庫資金でできない理由というのはどういうところにあるのですか。
#16
○政府委員(森本修君) 公庫資金ではできないという絶対的な理由はございません。やはり農業におきましても、御承知のように系統金融機関のほうで充実してまいりますれば、やっぱりその資金量を使って資金を活用して、政策的な金融の一翼をになうといったようなことで近代化資金ができておりますが、漁業のほうでも最近におきましてはかなり漁業系統の貯金量がふえてくる、資金ができてくるといったようなことでございますので、そういったものを十分活用して、資金の需要に対して金利が高いということであれば、政府なりさらには地方庁と協力をしてそういった資金を活用していくというためにこういったものをつくったわけであります。大体個人の施設なり共同の利用施設ということで系統金融機関が十分活躍し得る分野については、原則としてそっちで受け持っていこうという大まかな交通整理はいたしておりますけれども、だからといって公庫からは絶対に貸さないのだといったようなことはいたしておりません。近代化資金のほうで借りられないような事情がありますれば、公庫から貸し出されるということで考えておるわけであります。まあ近代化資金を新しく追加することによって、漁業に対する制度的な金融の強化をはかるということが一応主眼でございます。
#17
○鶴園哲夫君 長官、どうも私すっきりとわからないんですけれども、漁協の問題については二年前ですから久宗さんが長官のときでしたか、漁業関係の法律が五本ほど出まして農水で審議した。その中で漁協の合併の促進法でしたかが出まして、そのときに漁協の問題を審議したのですけれども、その場合に、農業と比べますと漁協というのは非常に組合としても貧弱だ。特に金融信用事業関係につきましては、さらに一段と貧弱だという非常に強い印象があるわけなんですよ。いまどうなっているか、まあ二年前の話ですから、そんなに変わっていないと思いますけれども、はなはだ貧弱だというんです。それで赤字の漁協もたいへん多いという印象が非常に強いわけなんですね。その場合に、ここにありますように、百億という融資のワクで近代化資金をやられるということについて、これは一体どういうことなのかという気がしてしようがない。公庫資金でやったらいいじゃないかという気がするわけです。そこでこれは漁業近代化資金でなくて漁協近代化資金じゃないかという悪口を言う人がありますね。それがもう通り相場になったんだろうと思いますけれども、それはまたあとで伺いますけれども、今後フランクに考えまして、百億くらいのものなら――いま百億ちょっと、百億くらいでしょう、公庫で出しているのは。それを二倍程度にするとかあるいはその程度にすることは公庫資金としてはできるのじゃないか。国としましても、近代化資金よりも政策的な次元から言えば公庫資金のほうが政策的な意味を持っている。漁業協同組合に対してこういう制度をとることはぼくは少なからず抵抗を感ずるのですけれども、そういう立場もあって、あるいは長官にここでどうだこうだということを言っておるのかもしれませんけれども、しかし、漁業の信用事業というのは、農業と比べて非常に弱いという点もありますし、それから公庫の出方が非常に少ないという点もありますししますので、特に私はこういう設備資金について、これはやっぱり公庫の関係でやるべきじゃないかという気がするのですよ。そうじゃないですか。これでやるのだと、それでいいのだという説明をしてくれませんか。
#18
○政府委員(森本修君) 先ほど申し上げましたように、従来は公庫で担当しておったわけでありますから、引き続き公庫でやれないという理由はございません。ただ一方、系統の関係を見てまいりますと、確かに御指摘のように、農業等に比べますと漁業系統の組織も必ずしも強固ではありません。資金量もそれほど農協のように大きくはないということではございますが、漸次この前御審議をいただいた漁協の合併助成法当時に比較いたしましても、いろんな関係で系統の内部が充実をしてきておるということは争えない事実であります。特に資金量がかなり充実をしてきておるということであります。そういう状態を見てまいりまして、この際に、そういった充実をした資金量を活用して、漁業者に近代的な装備をするための資金を供給をする政策的な金融の一翼をになっていただくということも意味がありますが、また、殷鑑遠からずといいますか、農協系統の金融機関におきましてもいろいろ御指摘がございますような金融業の実態をかもし出してきておるわけであります。このまま漁業関係の系統機関を放置いたしますれば、あるいはそういった状態にならないとも限らないということで、やはり漁協系統の金融事業というものを正常な形で育成をしてまいるというふうなことも早目に手を打っておくほうがよろしいのではないかという、そういう意識も確かに近代化資金を創設する際に働いておることは事実でございます。したがいまして、できました資金量を活用して漁業者に資金を供給する面と、漁協の金融事業の育成、ひいては系統漁協の育成といったようなことも、こういった制度をつくり上げます際に私ども意識をいたしております。両々相まって近代化資金をつくるということにいたしましたので、その結果として原則として個人施設なり、共同施設は近代化資金、補完的に公庫が発動するというような制度金融との間の交通整理をいたしていくということでございます。
#19
○鶴園哲夫君 それは金融公庫が漁船等の設備に対して融資をしておるということは、その額は小さいとしましても、そういう措置をしておるということが漁協の、いわゆる俗称漁協の発展の阻害になっている。したがって、この際ひとつ若干の交通整理をして、この近代化資金というものを設けて、公庫資金のほうは若干ずつ後退をしていくという措置にしたいということのように私とれるのですね。確かにそれは漁協として見ますれば、貯金をせよ、あるいは共販をせよ、金を貸すぞと言ってみても、漁船が公庫から借りてきておる、公庫に担保にとられておる。漁業という場合においては、漁船というのはこれは農地よりももっと比重が大きいですよ。農地よりもっと比重が大きいところに対して公庫が貸しているということになりますと、共販の問題にしても、貯金の問題にしても、どうもこれは思うようにいかないということになるでしょう。だから、そういう意味で一貫体制をつくると、船についてもひとつ漁協がやりますと、共販もどうです、貯金もどうですというような形の一貫体制をつくるのだというところに、この近代化資金のはっきりとした目標があるのだということであるならば、それはそれなりの私は意義を認めることができると思うのですよ、そういうことなのかどうなのか。
 ついでにもう一つ。近代化資金ということですが、近代化というのは一体何かという点ですね。その二つをお尋ねしておきたいと思います。
#20
○政府委員(森本修君) 公庫が漁船の資金を貸しますことが系統金融の事業のじゃまになる、あるいは阻害をしておるというふうにいいますと、ちょっと私どもとしては言い過ぎになるような感じがするのでありますが、やはりそれぞれ公庫におきましても、たとえば沿岸漁業構造改善事業に伴う漁船に対する融資等は公庫と分担をするというふうな、多少公庫と今度の近代化資金との交通整理もいたしておりますから、それぞれ持ち分に応じて相協力をして融資をしていただくということであろうと思います。私が先ほど申し上げましたのは、漁協系統機関としてこれだけ最近金融事情が充実をしてきたというときに、その充実した資金でもって漁業者に必要な施設なり、あるいは機具なり、そういったものの融資が十分行なえるような体制にしていくということが必要であろうということで、近代化資金を創設する際の一つの何といいますか、意識になっておるということを申し上げたのであります。そういう意味合いで、漁協系統金融の育成なり、あるいはひいては機関の育成というふうな目的もあわせて考えておるというふうに申し上げたわけであります。
 それから近代化ということになりますと、なかなか議論がございましょうが、一応ここで考えておりますのは、主として漁船なり、あるいは漁具なり、その他の養殖施設なり、そういった資本装備といいますか、そういうものの改善なりあるいは改良なりといったものに対して資金を供給することによって、漁業の近代化をはかっていくというふうな考えでおるわけであります。
#21
○鶴園哲夫君 まあ長官のいま説明を伺っていますと、ほぼわかったような気がするわけです。それはそれで私は一面においては意義があるというふうに思いますね。しかし、どうも曲がっている、邪道みたいな気がするんですね。どうも私の受け取り方は、やっぱり漁協運動のようにとれるんですね。これを一つの大きなてこにしての漁協運動みたいにとれるわけですよね。しかし、漁協というものはそういうものじゃないとぼくは思っているんです、本来は。ですけれどもそういうようにとれる面が非常に多いですね。それはそれとしてですね、そういう考え方もあり得ると思うんですよ。ですからその問題は以上でおいときましょう。
 それで先ほど長官から、漁協の信用事業も充実をしてきたのでというお話があったんですが、それは一体どういうふうに充実してきたのかですね、そんなに充実してきているのかしら。百億のワクをゆうゆうと消化できる程度の余裕があるんでしょうか。ですから充実してきているということについて、一体どういうふうに充実してきているのかですね。私の二年前の感じでは、これは百億というのはえらいんじゃないかという気がしているわけですよ。漁協の貯蓄運動というのは百億出すことによってさらに一そう強まるだろうし、成果があがってくる――成果といいますか、ふえてくるだろうという推定はしますけれども、いままでの漁協の信用事業というものが非常に充実してきたからこの際近代化資金をという、漁協の金を使ってという考え方ですね、それを説明してもらえませんか。
 それから当初これは三百五十億程度の要求をしておられたわけでしょう、ワクとしましてですね。で、農林省として大蔵省に要求したのは二百五十億ですか、それが百億になっておる。ですからそういう経緯も含めまして、三百五十億か三百四十億程度のものが、かたく踏んで農林省としては二百五十億にして大蔵に要求して、で、結論は百億になったと。農業近代化資金のほうは一千億要求して三千億になったという話もありますので、いま申し上げた漁協の信用事業が充実をしてきたのでということと、それから三百四十億か三百五十億かが百億になったという点の関連を説明していただきたいんです。
#22
○政府委員(森本修君) 漁協のほうの資金の状況でありますが、たとえば預金の伸び方あるいは貸し付け金の増加の割合等にいたしましても、他の金融機関、たとえば最近五カ年の全体の金融機関の預金の伸びる年率というのは約一八%ぐらいなんでございます。漁協のほうはどうかといいますと二九%ぐらいということで、もちろん農協のほうもかなりふえております、二三%ぐらい、年率にしてですね。そういうふうなことで貯金の伸びる増加のテンポというのは漁協系統機関におきましてはかなり高いということが言えるかと思います。貸し出しにつきましても、年率二〇%ぐらいの増加割合というふうなことでございます。
 また資金の状況を見ましても漸次貯貸率が下がってきているといったようなことで、全体の金融機関としての貯金のボリュームも相当な額に達してくるというふうなこと等、数年前に比べますと金融機関としての事業がかなり充実をしてきたと言っていいくらいの事態ではないかと思っております。もちろんその組織の規模からいきまして、農協等に比べますと、貯金の絶対額といったようなことになりますと、まだまだ比較にならないような状況であろうと思いますが、ともかくも最近の趨勢としてはかなり金融の事情などは充実してきているといって差しつかえないかと思います。
 それから、予算の融資ワクの話でありますが、御指摘がございましたように、大蔵省に要求をいたしましたのは二百四十億くらい要求をいたしたのでありますが、もちろんいろいろなこれは資金の適正なワクということになりますと、計算のし方がございます。私どもとしては、ある程度、予算要求でありますから、ざっくばらんに言いまして欲ばったような要求をいたしました。その後予算折衝の過程におきまして全体の系統の資金量の中で数年後あるいは十年ぐらいを将来見通してどのくらいの資金量で出発するのが適当であるかといったような観点、また初年度でありますから年度一ぱいその貸し出しをして、期間というのはない。年度の途中から発足するのであるといったような事情、その他を勘案をし、一応予算折衝の結果として百億ということで出発をするというふうにいたしたのであります。もちろん現在地方庁と資金の割り当てをするといったようなことがございますが、そういう割り当ての打ち合わせ等をやってみますというと、もう少しあるいは資金量が多くても需要がそこまでいっておるような感じがいたしておりますけれども、まあまあ初年度でもありますので、こういった百億ということでひとつ出発しようということで打ち合わせをいたしておるような状況であります。
#23
○鶴園哲夫君 長官のお話を承っていますとね、何か貯金の伸びも非常にいいし、それから貸し出しの状況も非常に伸びている。五年間年率二八%ですか二九%ですかということなんですが、年率二九%で預金が伸びるという伸び率、漁協の中でこの信用事業をやってない、ほとんどやっていないに等しいという、あまりやっていないというところ、あるいは赤字であるというようなところ、そういうところはどういう状況になっているのかですね。
 それからもう一つは、農業の基準金利ですね、漁協の基準金利ですね、これは差はないのですね。ぼくは漁協のこの基準金利は九%ですかね、この九%でやれるのですかね。資金コストというのは漁業よりもはるかに高いと思うのですがね。農業のほうは米代金が貯金に振りかえになって入ってくるのですからね、面が非常に大きいわけですから。しかし、この預金のコストというのは非常に少ないと思うのですけれども、漁協の場合ですね、ぼくはその漁協の信用業務というのは、こういうふうな充実している充実しているという形一本やりのものでないと思うのですけれども、そういう印象が非常にあるわけですよね、ぼくは。ですから、先ほど申し上げた点と、この九%という点ですね。基準金利、これで一体やれるのかどうかですね。現在九%で足を出しているのが相当あるのじゃないか。私の見たあれでは、中金の出したやつですね、あれ見ると、九%じゃ相当これは困るのじゃないかという気がしましたね。その意味でぼくはこの漁協の信用事業というのは相当きついんじゃないかという気がするのですがね、そういう点について説明を願います。
#24
○政府委員(森本修君) 最初数字からお答えをいたしますが、いわゆる沿海漁協、これは出資のものが二千四百三十二組合ございます。それに対して、信用事業をやっておりますのは千九百六十四という、四十三年三月末現在の姿でありますが、そういうかっこうになっております。
 それから、資金事情なり、あるいは金融事情が充実したかしないかというお話でありますが、私がお話申し上げましたのは主として数年間の間におきますところの移り変わりといいますか、そういうことでありまして、御指摘がございましたように、従来法案を御審議願ったような過去に比べまして最近は貯金量その他も伸びておるということを申し上げたのであります。現在の姿で見てみますと、もちろん御指摘がございましたように、農協等に比べますと組合の基盤そのものも必ずしも全体的に見て強固であるというふうには言い切れない分野もございます。信用事業をやってない組合もありますし、またやっておりましても、その規模自体それほど大きくないといったようなものもございまして、系統機関としてなお今後整備充実を要する点が少なくないということも私ども率直に認めるにやぶさかではございません。しかし、農業の近代化資金ができました当時などに比べれば、漁協としてはほとんど微々たる姿であったのが、ともかく今日のような状況になったということで、まあ今回の近代化資金を創設するに耐えるような曲がりなりにも姿になっておるということを強調したいために申し上げておったわけであります。ただ、現在の姿におきましては、そういった末端の金融機関として、地域によってなお上部機関で補完をしなければ近代化資金が十分流れないといった地帯もございましょうから、漁協系統機関がまだ末端においては充実していない分野があるということを私ども十分認識をしながら近代化資金の運用に当たっていくつもりでおります。
#25
○鶴園哲夫君 基準金利はどうですか。
#26
○政府委員(森本修君) 基準金利のほうは、前にも御質問があったかと思うのでありますが、大体現在の漁協系統機関が貸し出しをしております、あるいは運用をしておりますところの姿よりは、幾らか勉強していただかなければならぬような水準になっておるというふうに思います。おそらく九分五厘前後で実態としてはやっておられるわけでありますから、九分ということになりますと、かなり勉強願わなければならぬ、合理化をしていただかなければならぬような水準になっておると思います。しかし、こういった近代化資金ができますれば、先ほど言いましたようなことで、貸し出しにしても、あるいは預金にしても、金融事業に対する好影響といったようなことも出るわけでありますから、そういった面から合理化に対する一つの好影響も出てくるのではないか。またやはり国なりあるいは県なりが助成をするということであれば、ある程度金融機関としてもそれぞれ協力するということを前提としてやらざるを得えないといったようなこともございますので、予算折衝の過程におきましてもかなりその点が問題でありましたけれども、系統金融機関としてもひとつこれで検討しようということに全体としてなりましたわけで、こういうことでひとつ出発しようということになっております。
#27
○鶴園哲夫君 漁協の信用事業の観点からいろいろお伺いするといいんですけれども、時間の関係がありますからこれは省略をしますが、ただ集約として、基準金利ですね、九分という基準金利はこれは相当きついのじゃないかという気がしてしようがないのですね。農協の信用事業とは非常に違う面がありまして、しかも私は漁協の場合は農協と違って、信用事業というのはまだまだ政策の面もあってうんと弱いと思います。その意味で九分の基準金利というのは相当のものだという気がしますね。これがぼくは漁協の信用事業の集約でもあるような気がするんですね。九%は非常にきついのじゃないかという気がするのですが、まあ二、三年かかって何とかできるということなんでしょうけれども、相当なものですね、これは九分五厘くらいですね。それはまあ別にしておきましょう。ですが、私はいま申し上げたように、漁協の信用事業の立場からいいますと、これをやるというなら、九分というのは非常に高い――高いといいますか、きついという気がしますね。それで、なお預金が伸びているとおっしゃるのだけれども、年間の伸びというものはそんなにあるのですか、一年に二百五、六十億程度の伸びでしょう、預金そのものは非常に小さいんじゃないですか、年間に。ですから年間にすると小さいのじゃないかな、それでだいじょうぶなのかしら。
 じゃあ、あれを伺いましょうか、近代化資金の資金調達を。資金調達といいますか、資金をどういうふうに調達するか、それを聞きましょう。農業近代化資金の資金調達状況というものはわかっていますけれど、漁協のほうはどういうふうになるんですか、原資の調達ですね。
#28
○政府委員(森本修君) 資金調達という趣旨がちょっとわかりにくいんですが、いずれにせよ系統金融機関の原資を活用して貸し出すわけでありますから、系統機関全体としてその調達された資金で貸し出しをするということになろうかと思います。もちろん個々の貸し出し金融機関によりまして、それぞれ資金事情で多少違ってくるかと思います。自分のほうで預金を相当持っておるところは自分の手持ちの資金から貸し出しをするところもありましょうし、また上部の信連から資金の調達を受けてそれを貸し出すというところもありましょうし、あるいは中金から信連、信連から単協といったような形で資金が流れて貸し出しをするというケースもあろうかと、まあ全体として一口に申し上げれば、そういった系統金融機関の資金利用でもって貸し出しをしていただくということになるわけでございます。
#29
○鶴園哲夫君 私の記憶では、中金の出した「農林金融の実情」というのかな、――毎年出ていますね。六九年度版がこの聞きましたからちょっと見ておったら、農業近代化資金の原資調達状況というような一覧表がありまして、ですから私は漁協――漁業の近代化資金についても原資の調達というものがあるのかと思ったけれど、ないですか。いまここに持ってきておりませんが、私の記憶では、単協から幾らだ、信連から幾らだ、中金から幾らだ、その他の銀行から幾らだというような数字が出ていますね。そういう考え方、そういうものの言い方というものはないのかしら。
#30
○政府委員(森本修君) 農協のほうにしましても、結果として、ある一定のワクを貸し出した場合に、その資金量がみずからの担当の金融機関として単協なら単協、それから信連が貸したものは信連、それからその資金の調達の模様というのは結果として整理をされておる、それをごらん願ったのではないかと思いますが、私どものほうでも、一年やりますれば、その一年の実績として、どういう窓口からどういう形で資金が調達されたのか、貸し出されたかという整理はつきますが、しかしいずれにいたしましても、系統の金融機関の資金調達能力をもってして百億の資金を貸し出すことが決して不可能ではない、不可能ではないというか、十分それをまかなえるという見通しで貸し出しのワクをつくっておるわけであります。
#31
○鶴園哲夫君 しかし私が先ほど申しましたように、漁協の預金の伸びというのは二百億ぐらいのものじゃないかと思う。その中からということになるんですか、よくわからないけれども。それから、この百億の金のワクというものをお考えになるときに、原資がどういう方面から出るというそういう推定をなされないわけですか。予測をお立てにならないのかしら。どうも解せない話だ。いや潤沢で、いまやあり余っちゃって不自由ないというわけには全然いかないと思う。農協の場合だって、今度の三千億はたいへんだ。その辺の推定は立てておられるのかどうか。中金はどういう立場に立つんですか。中金は切っているんじゃないか、相当切り離したんじゃないですか、この近代化資金で。そういう点も含めて伺います。
#32
○政府委員(森本修君) 確かにそういうワクをつくりますのに、資金が十分調達できるかどうかという観点から検討をしなければならぬことはお説のとおりでありますが、私どもの感じとしては、現在残高として持っておる預金、それが回転をしていくわけでありますし、それから預金そのものの伸びも年間伸びていくわけでありますから、そういった系統機関の資金状況の中で十分、百億の貸し付けワクをつくりましてもこなし得るという見通しでやっておるわけであります。
 中金はどういう立場に立つかというお話でございますが、中金のほうは、先ほど申しましたように、信連なりあるいは単協なりが近代化資金の原資の調達を中金からしたいという場合には、もちろん原資の供給の立場に立ちますし、またあるときには、みずから近代化資金の融資機関にもなり得るというような立場を与えておるわけであります。
#33
○鶴園哲夫君 それはね、系統資金の貸し付け状況、漁協が千四百六十四億、信連が九百十三億、中金が千四百二十八億。これは中金が出したやつだと思う。これはぼくが引っぱったんじゃない、中金の資料から引っぱったんだと思うんですが、これを見ますと、中金の比率というのが非常に大きいですね。ですから、漁協の状況というのは、実際こうじゃないかなとぼくは思うんですがね。いわゆる単協の信用事業というのは弱いですからね。そうすれば農協が背負っておる中金のほうから相当の金が回らなければならぬのだろうという気がしておるんですが、その場合の中金の役割りというのをもう少し説明してもらえませんか。中金というのは相当今度の近代化資金と切り離してあるんじゃないですか、切り離してないですか。だから単協と信連でやるんだというあれじゃないですか。中金はどうなんですか、どういう立場に立っているんですか。
#34
○政府委員(森本修君) 御指摘のように、漁協系統の資金のあり方というのは農協の実態とは多少違いまして、漁協のほうは、みずから集めました預金の相当部分を信連のほうに預金をする、また貸し付けをいたします原資の相当部分は上部機関から調達を受けるというふうな運用の姿になっておるようであります。したがいまして、その実態としては、みずからの集めました預金も担保的に預金をして、そしてまた上から貸し付けを受けるといったようなかっこうになっておりますので、統計の整理のしかたとして、上部機関から資金調達を受けましたものを上部機関の貸し付けの金額として整理をするような統計も実は世の中に存在するわけであります。いま先生が言われました統計というのはどれに属するか、現物に当たりませんとよくわかりませんですが。したがって、三段階別にどういう段階から貸し出されたものがどのくらいの割合になるというような統計をつくります際に、上部機関からの資金の調達の分を上部機関の貸し出しの分として整理をいたしますと、その分が現実に漁協の窓口から貸し出されておりましても、そういう整理をする場合がございますので、シェアが非常に大きいように整理をされる統計もございます。いずれにしてもそういうかっこうになっております。
 それから中金のほうの近代化資金量の扱いでありますが、切り離したというふうに言われます御趣旨がちょっとよくわかりませんけれども、近代化資金を部内で検討いたします段階で、中金のほうがあまり末端のほうに乗り出していきますと、信連なりあるいは漁協なりの活動の分野を狭めるというふうなこともありますから、できるだけ中金としては、資金が不足する場合の資金調達の立場というのを原則的な役割りというふうに中金のほうを整理いたしました。ただ、中金が融資機関として全然貸し出さないということになると不便な点もございます。たとえば、全くその施設が一県の範囲でとどまらないといったような団体がつくるような場合には、どこも担当する貸し手がないということになりますから、そういう場合には中金が融資機関として活動するといったような、融資機関としてはやや補完的な立場に立ってもらおうということに運用上整理するような方式になっております。あるいはそこのところをさして言われておるかと思いますが、いずれにせよそういうことで中金を持っていきたいというふうに思っております。
#35
○鶴園哲夫君 私はいま三、四点伺ったんですけれども、漁協の信用事業の関係からいいますと、私は長官のおっしゃるようにとても充実しているというふうには見られない点が多い。基準金利の九%にいたしましても、非常に無理な点があるというように思いますし、それから心がまえとしまして、単協なり信連なりが精一ぱいの努力をして、そうして中金はその外ワクにおって全くバックアップの姿勢、できるだけ単協と信連の間で固めていこう、これもよくわかる。ですが、実際系統金融の貸し出しの状況を見るというと、非常に中金が強いんじゃないか。中金の金額というのは、先ほど申し上げたように非常に比重が多いんじゃないか、高いんじゃないかという点等から見ましても、なかなかこの百億の問題については問題が多いのではないか。さらに、預金の伸びというのが二百億ちょっとぐらいだというような点からいいましても、これは非常にきついのではないかという気持ちがするものですから、そういうようにいまいろいろ伺ってみたわけです。ですから私としては依然としてきつい、非常にきびしいんじゃないかという、結論としてはそういう感じを持ったことを申し上げます。
 次に、これも年次報告に出ている数字だと思うんですが、この融資の残高を見ますと、設備資金が四二%で運転資金が五八%ですね。ですから、これはまあ漁業の立場からいって確かにこうだろうと思うんですね。運転資金が非常に高いですね、この融資の状況を見ますとですね。しかもこれはやっぱり年次報告の資料だと思うんですが、この設備資金の伸び率と運転資金の伸び率が出ていますね、三十八年と四十二年の間をとりましてですね。これを見ますと、伸び率も運転資金のほうが高い、比重も貸し出しの中では運転資金が高いという形になっているんですが、今度の近代化資金もこの設備資金に限ったということですね、これは将来運転資金の方向にも持っていかれるのかどうか。これは今後の漁協の伸び方、それは漁協の信用事業と申しますか、漁協自身の伸びる方向としても非常にぼくは重要な気がするものですから伺っているわけです。
#36
○政府委員(森本修君) 主として従来公庫資金においてもあるいは農業関係の近代化資金においても、制度金融として担当してまいりました融資対象というのは設備資金というような形になっております。やはり何といいましてもそういった設備の改善、近代化ということが一つの経営の近代化に対する相当大きな役割りを果たすといったようなこともございましょうし、また設備資金でありますから、相当まとまった金が要る、また融資の期間としても長くかかるといったようなことで、まあいろんな理由から制度金融の対象が主として設備資金を相手としてやってきたというふうなことになっております。したがいまして、漁業近代化資金をつくります際にも、やはり一般的なそういう金融の従来のやり方にならうというふうなことも大きな理由で、主として設備資金を原則として対象とするというふうに整備をいたしております。
 運転資金のほうはどうかということでありますが、運転資金のほうは従来からも系統の金融がプロパーの分野として大いにやっておられるわけでありますし、またそういう姿でそれほど支障が大きく起こっていないというふうにも私ども考えておりますので、当面は融資の分野としては設備資金を主たる対象とするということでやってまいりたいと思っております。
#37
○鶴園哲夫君 この公庫資金と、それから今度のこの近代化資金の実際の末端の金利ですね、これ公庫のほうが高いことになるんじゃないですか。この近代化資金の場合は六分から七分程度になるわけですね、末端の金利というものはですね。公庫の資金の場合は七分じゃないですか。大体七分と見ていいんじゃないですか……七分五厘、七・五%ぐらいのものですね。これはどういうふうに解釈をされるのですか。まあ公庫資金のほうがより政策的だと思うんですね。漁協の場合は漁業のこの近代化資金の場合にはそれははるかに政策的にいえば利息の低いものでなければならないし、そうあるべきだと思うけれども、だけれども、公庫資金と近代化資金の金利に差があるということはどういうふうに解釈されるのですか。安いほどそれはいいですよ。いいですけれども、こういうふうに差が出てくるということは一体どういうふうに解釈されるのか。
#38
○政府委員(森本修君) お尋ねは主として漁船資金の金利のバランスのことかと思いますけれども、漁船に対します融資の場合にも公庫の中でもそれぞれ金利にかなりの差を設けておるのでありまして、先ほど言いましたように、構造改善事業の場合、それから先般できました中小漁業振興特別措置法による漁船に対する融資、これはたしか六分五厘ということ、それから一般の漁船資金のほうは七分五厘というふうに、それぞれ公庫におきます融資でも、その融資制度の性格によりましてあるいは対象の差によりまして金利に段差を設けております。今回の近代化資金の場合には沿岸漁業用といいますか、二十トン未満の漁船に対しては六分、それから二十トン以上、これも主として沖合い漁業に従業する漁船というふうな大まかな分野をつくっておりますが、これは七分ということにしております。一般の公庫の漁船資金のほうは二十トン以上でかなり大きな規模の漁船まで対象にしておるというふうなことで、漁業の種類からいいますと、必ずしも小さい漁業ばかりじゃなしに、一部は遠洋の漁業にも用いられる漁船も対象にしているというふうなことで全体の金利を七分五厘というふうにしております。近代化資金のほうはそれよりもやや融資対象としては沖合い漁業者といったようなものに限っておりますから、公庫の一般資金よりはあるいはその負担力といいますか、そういうものも考慮してやらなければいかぬということもございましょうから、それよりも五厘だけ安くしたような七分ということで金利をとったわけであります。したがいまして別に公庫であるから安く、近代化資金であるからそれよりも比較的高くせにゃいかぬといったようなものでもないと思います。むしろ、いまのそういった融資の対象として、またそれを借りる漁業者の性質といったようなもので金利をあんばいをしたというふうに御理解をいただきたいと思います。
#39
○鶴園哲夫君 そうじゃないんじゃないかしら。そうじゃなくて、ぼくは公庫資金というのがおかしいのだと思うんですけれどもね。だから農林大臣としては努力すべきだと思うんですよ。公庫資金はこれはもう少し安くなければならぬと思うんです、金利としてもね。しかし、あまり安くなったのじゃ、また漁船のうちで近代化資金とかち合っちゃって漁協の信用事業にまた大きな影響を与えるということになりましょうけれども、どうも、しかしそこら辺がおかしな形になっているんですね。漁協の近代化資金と公庫資金、またそこでかち合う。どうもしかし筋としては公庫資金のほうがもっと安かるべきだと思いますね。安いにこしたことはない。漁協のほうも近代化資金が安いことにこしたことはないが、いまの長官の説明はどうも妙な説明だな。どうなんですかね、公庫資金はなっちょらんですよ。もう少し安くしなければいかんじゃないですか。ここまできたんだからそこら辺の努力はなさるつもりはありませんか。農林大臣、もう少し安くしませんか、高いですよ。七分五厘というのが共通金利みたいな形になっておるでしょう、公庫は。いや、非常にこまかいことだからこれは長官でいいですよ。長官、この共通金利としてといいますか、七分五厘というと高いな、これは。
#40
○政府委員(森本修君) 一がいに公庫資金といいましても、先ほど言いましたように、政策的な一つの誘導の度合いといいますか、そういうものによって金利はそれぞれあんばいしておるつもりであります。中小漁業の関係は、ああいった特別の計画をつくってやるといったようなこともありまして六分五厘といったような金利を設けておる。一般の漁船資金というのは、そういった特に計画を設けるといったようなことでなしに、全体の漁船の建造に対して一般的にそれを授助をするといったような感じでございますので、七分五厘といったようなことになっております。ただ最近のように漁業関係が経営的にも必ずしも楽ではないといったようなこともございますし、また、船価自体、船の値段自体建造費が相当かさんでくるといったようなことに伴って、金利負担というものは経営に対してかなり大きな圧迫要素をなしておるといったようなこともございます。したがいまして関係の業界からもそういった金利については検討をしてくれというような話もあるようでありますし、私ども行政当局としても、もちろんこういうことについては十分検討に値することであろうというふうにも思っておるのであります。ただ先ほど申し上げましたように、今回の近代化資金とそれから公庫の従来の一般漁船資金との関係は、先ほど申し上げましたように、金利のバランスとしては一応とれておるというふうな感じで私どもおりますが、漁船資金全般について、金利がいかにも、もう少し引き下げるべきではないかというお説に対しましては、十分私ども研究をさせていただきたいというふうに思っております。
#41
○足鹿覺君 最初に農林大臣にお伺いしたいのです。そのあとでこの近代化資金法の問題で、委員が微に入り細をうがって御質問になっておりますので、私はほんの二、三、気のついたことをお尋ねいたします。
 それは御承知のように、日ソ漁業協定がいつも難航をいたして、特にこのカニ漁に対する情勢はなかなかきびしいように思うのであります。そういう見通しの中にあって、協定が今後円満に話し合いがつき、漁獲高が飛躍的に増大されるというめどはなかなかむずかしいように思うのであります。そこで差しつかえのない海域において、水域において、日本漁船によってカニ資源の開発、並びにその漁獲等が高まることは好ましいことだと思いますが、そういうことに対して、魚類一般にも通用することでございますが、調査と対策を基本方針としてどのようにお持ちになっておるのでありましょうか。日ソ漁業協定の困難な見通しの上に立って今後どう対処されていくおつもりでありますか。この点をひとつ伺っておきたいと思います。
#42
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘のように、日ソ漁業交渉問題は今後も非常にむずかしい、きびしいものがあり、特にカニ漁業につきましては問題が残されておると思います。したがいまして、いま日ソの漁業交渉というものは大陸だなを中心とした交渉でございますので、それ以外の公海においてのカニ漁が行なわれるとするならば、これは別に日ソ交渉のほうとの関係が私はないと考えます。したがってそういうような点が行なわれるとするならば、できるだけこれに対しても農林省としていろいろの危惧とか複雑な問題が残されるでしょうけれども、そういうような助成方法は行なっていきたいというように考えております。
#43
○足鹿覺君 特にこのカニ資源の問題について、いまの大臣の御答弁を受けて長官に伺いたいんでありますが、カニ資源が一般公海においてもある、相当ある、私はそう思うのです。それに対して水産庁は基本的にどういう方針でそのカニ資源の調査をし、またその見当のついた資源の開発等の対策を講じておられますか。
#44
○政府委員(森本修君) 先ほど大臣が言われましたように、日ソ漁業交渉は主としてソ連の大陸だなにおけるカニの問題を交渉してまいったのであります。ああいう形でなかなか対外的な折衝も年を追うとともにきびしさを増しておりますから、私どもとしましてはできるだけ他の分野においてそういった代替の漁場が開発できればこれにこしたことはないという感じを強くしておるわけでありますが、御指摘の点と同一であるかどうかわかりませんが、たとえば日本海等におきましてもう少し総合的な調査をいたしまして、日本海における漁業資源の活用をはかるといったようなことも検討に値するというふうに思っております。幸い四十三年度から、科学技術庁が中心になりまして、日本海の総合開発調査というふうなことを進めております。私どもももちろんその一環といたしまして、日本海水系、あるいは日本海沿海の各県の水産試験場等と共同いたしまして、日本海における漁業資源の開発のための調査に着手をしておるというのが現状でございます。
#45
○足鹿覺君 その場合、いま日本海の海底資源の開発とからんで非常に問題が将来起きはしないかという問題もあるのです。たとえば山陰沖には西日本何とか石油資源開発会社ですか、というものがすでに調査を実施をしておる。また、青森、秋田、山形、新潟等日本海沿岸においては、すでに資源の調査を終えて開発に着手しようとしている。そういう場合に、優良な見込みのある漁業資源がその水域にあったとしても、これと競合をしていくということになりますというと、日本海における漁業資源の保護ないしはその資源の活用ということと衝突するような、両立しないような事態が起きはしないか、こういう懸念も実は私、近き将来に現実の姿として出てくるのではないか、かように思っておるのでありますが、そういう問題について農林省は通産省その他といかような今後調整をとっていく御所存でありますか、大臣の御答弁をわずらわすことができればけっこうでありますけれども、ひとつ御見解を承っておきたい。
#46
○政府委員(森本修君) 御指摘のように、最近海洋開発ということで、特に日本近海における海底の鉱物資源の探索が非常に活発になりつつあるわけでございます。私どもとしても、いま御指摘がございましたような形で、そういった問題と漁業の資源なりあるいは操業とが両立をしないということでありますと非常に困るわけでありますので――もちろんまだ緒についたばかりでありますから、どの程度どういう関係になってくるかということは具体的には察知はできませんけれども、抽象的には、たとえば石油資源を探索をするという場合におきましても、その探索のしかたを、漁業の資源に悪影響のないようにやってもらいたい。たとえば従来でありますれば、海底をダイナマイトで爆破して調べるといったようなこともあったようでありますが、最近はまた技術の進歩がございまして、そういったような方法でなしに、超音波ですか、私必ずしも十分技術的なことはわかりませんけれども、そういったことで調べる、あるいはヘリコプターか何かで事前に大まかな様相を調べて、どこもまんべんなくやるのじゃなしに、大体可能性のあるところを集中的に調べるとか、そういうことで探索の方法にしても、いたずらに漁業資源なりあるいは漁業の操業に影響があるような形でなしに、最小限度必要な限りの調査を漁業と関係のないようにやっていただくといったようなことについて、通産省とも話し合っておりますし、また具体的に調査をいたします各会社が私どものほうにも相談にくるようなこともやっております。そのときに、いま申しましたような方法でやってもらうように十分話し合いをしておるわけでございます。現実に資源が出まして、あと工業的に開発をすることと漁業との関係をどうするか、これはまたそのときに現実問題として起こってきた場合に対処するということになろうかと思いますが、そのときにも施設のしかたについて、できるだけ水産の操業に影響のないような施設の方法なり、あるいはしかたなりといったようなことを十分通産当局とも打ち合わせをしていくということになろうかと思います。
#47
○足鹿覺君 そういう御方針でしっかり腹をきめて対処していただきたい。少なくとも沿岸漁業の場合は漁業権の問題が非常に大きな問題になる。農林省が、ただ埋め立て、干拓をするにしてもあれだけ苦労なさっていることは御承知のとおり。いわんや、これが遠隔の地といえども、近海漁業における漁業権に匹敵すべきものがあるかないか、私にはよくわかりませんが、私もこれから検討してみたいと思っておりますが、少なくとも沿岸近海漁業の操業に支障を来たしたり、あるいはその生活に脅威を及ぼすようなことがあったり、漁業そのものを無用に壊滅するような事態が起きないよう万全の措置を講じてもらいたいと思いますが、農林大臣におかせられましても、この点については――きわめて重大な問題であり、最近日本海における海底資源の開発は一つのブームを呼んでおります、いつかはこれが大きな漁業との問題を引き起こすのではないかということを案じておりますので、この点についても明確なひとつ確信のある対策を立てていただきたい、かように思います。何か御所信がありますか。
#48
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいま長官からもお答えがございましたように、通産省とつい先日もそういうようなお話がございまして――私だけにあったのでございますけれども、漁業権の問題というものを無視した工業は成り立たないのだ、ですからそういう点については十分考慮を払って、事前に協議をして、そうして納得させなければ相ならぬのだというようなお話は十分に告げてありますし、漁業権を侵して、そうしてこれを無視してそれらの工業の発達と申しますか、進歩をはかるということはなかなかむずかしい問題と思いますので、御意思十分尊重いたしまして交渉をいたしたいと存じます。
#49
○足鹿覺君 ひとつ万全を期して対処願いたいと思います。
 そこで、もとのカニに戻りますが、日本海におけるカニ漁業について水産庁は調査されたことがございますか。具体的に、たとえば紅ズワイガニの生息状態等について御調査になったことがございますか。
#50
○政府委員(森本修君) 紅ズワイガニの調査は私どものほうの水産研究所と関係のところと協同して調査をするというふうなことで調査をしておるようであります。調査の具体的なやり方その他について、もし必要がありますれば調査研究部長が来ておりますから、そちらのほうから技術的なお答えをいたさせたいと思います。
#51
○足鹿覺君 何か専門家から御答弁願えますか。
#52
○説明員(松下友成君) ただいま御指摘の日本海におきます紅ズワイガニの調査でございますが、日本海区水産研究所を中心といたしまして、関係各府県の水産試験場と過去数カ年にわたりまして紅ズワイガニの生態、特に分布、移動、回遊その他について調査をいたしております。現在までにわかりましたところでは、この紅ズワイガニがかなり深いところまで生息をしておるということがわかりましたわけでございますが、そのほかに移動その他につきましても、ある程度の知見が得られております。ただその資源量――どの程度の資源があるかという点については、現在まだ調査が不十分でございまして、今後の調査研究にまたなければならないという状態でございます。
#53
○足鹿覺君 その紅ズワイガニに例をとって申し上げますが、深海に生息しておるということは立証されておる、調査済みであるというただいまの御答弁でありますが、そのカニは移動しますか。
#54
○説明員(松下友成君) かなりの程度移動することが知られておるわけでございます。
#55
○足鹿覺君 かなりの程度というと、魚類の放流実験などおやりになっておるのですから、カニにしるしをつけて、どういうふうに移動しておるとか、そういうような調査はなさっておらないのですか。
#56
○説明員(松下友成君) ただいま申し上げましたのは標識放流の結果に基づく結果でございまして、カニにいわゆる迷子札をつけまして、その結果どの程度移動するかということを調べておるわけでございます。
#57
○足鹿覺君 かなりの距離ということではなしに、どの程度はいまのところ明らかになっているけれども、それ以上のことはわかるとかわからないとか、そういう答弁でないと、どの程度がかなりの距離か、わからないじゃないですか。
#58
○説明員(松下友成君) 年間二百マイル程度動く例も知られております。ただしこれは紅ズワイガニではございませんで、これに近縁のズワイガニでございます。紅ズワイガニにつきましては、おそらく似たような習性を持っておるというふうに推定いたしておるわけでございますけれども、まだその点ははっきりいたしておりません。
#59
○足鹿覺君 紅ズワイガニについての調査はなさっておらないのですか。われわれのほうは俗に松葉ガニと言いますし、福井県のほうでは越前ガニと言っております。昔は私どもの口にも入ることのできるような価格でありましたが、このごろはとても一般庶民の食膳をにぎわすというようなことにならぬような状態になりまして、まことに困ったものだと思っております。いわんや都会等に輸送いたしますと、一番ガニになりますと二千円程度――飛行機で輸送したりなんかしますと二千円になりますが、いなかでも一枚が千五円ぐらいいたします。どんな小さいものでも五、六百円。こういう状態でありますが、非常に需要は激増しているのに資源の開発が伴わない。漁獲がこれに伴わないために、ますます高騰しておる。少し調査研究が、怠慢とは言えませんが、スローモーではないですか。カニはどういうふうに移動するのですか。二百海里といいますが、カニの横ばいといいますが、はって動くものですか。横に泳ぐものですか。どういうふうにして移動するものでしょうか。
#60
○説明員(松下友成君) これは先ほどお話ございました紅ズワイガニではございませんでタラバガニでございますが、これはカムチャッカの西岸沖合いで水中テレビその他を使いまして、いわゆる移動の状態を調査した結果がございます。それによりますと、流れによりましてジャンプする飛ぶようなかっこうで移動するということがある程度知られております。おそらく紅ズワイガニも、もし移動するとすれば、そういった移動のしかたをするのではなかろうかと想像しているわけでございます。
#61
○足鹿覺君 その調査になりました結果は、何か記録としてわれわれしろうとにもわかるような、参考になるようなものございますか。あればいただけますか。
#62
○説明員(松下友成君) 印刷物にまとまっておりますので、後刻お届けしたいと思います。
#63
○足鹿覺君 そうしますと、大体生息はしておると。深海、千メートルというのですか、何メートルというのですか、大体一千百メートルから一千二百メートルですか、そんな深いところですか。そのタラバガニというのは、日本海沿岸の大陸だなに移動してきつつありますか。私が聞いているのは、いま境港とか浜田港だとかそういう方面を根拠地に出漁しております人たちの話をもとにして聞いておるのでありまして、やはりタラバガニよりも紅ズワイガニのほうが需要が多い。それからうまい。これは御承知のとおりであります。東京ではなかなか高くて口に入りません。そういうものを、やはりたくさんとって、漁師ももうけるし、一般もうまいものを食ったら、それに越したことはないと思いますが、そういう意味で私は質問しているのです。
#64
○説明員(松下友成君) いまカニの話が問題になっているわけでございますが、ズワイガニ、紅ズワイガニ、それからタラバガニ、同じカニと申しましても種類がいろいろありまして、それの習性、それから移動のしかた、いろいろ違うわけでございます。で、ただいまお話ございました紅ズワイガニにつきましては、先ほども申し上げましたように、私どもかなり水産庁といたしましても調査を進めておりまするし、それからズワイガニにつきましてはふ化放流その他いわゆる人工養殖の研究も現在進めている段階でございます。
#65
○足鹿覺君 そうしますと、いるということは確かだ。問題はこの操業方法に今後なると思うのです。資源があっても相当動いていく。それをどうとるかということが問題になると思うのです。その操業、漁獲方法等についてはどういう研究がなされておるのでありますか。いわゆる近代化資金をおつくりになることもけっこうでありますが、そのもとになるのは、眠れる資源をどう開発し、この資源を有効に活用するかということになります。そうなりますと操業、漁具の研究、その操作の研究ということになってくると思うのですが、紅ズワイガニ――私はほかのカニのことはわかりませんので、例を紅ズワイガニにとって申し上げているのでありますが、現在大洋式とかいう方法がありますが、ほかに方法のあることを水産庁長官は御存じでありますか、漁業方法、操業方法について御答弁を願います。
#66
○説明員(松下友成君) 操業方法でございますが、これは先ほど長官からお話がございました日本海総合開発調査の一環として、ただ単に資源状態の調査――分布、移動、回遊の調査だけではございませんで、漁獲の方法、先ほどお話ございましたどういった漁具が最も適しているか、そういった調査も含めて調査をやっている段階でございます。
#67
○足鹿覺君 だから紅ズワイガニの場合でもズワイガニの場合でもタラバガニの場合でも、どういう漁獲方法が現在ありますか、それを開発しつつありますかということを聞いているのです。
#68
○説明員(松下友成君) 現在はかごが最も適しているということで、かごを使って漁獲をしているわけでございます。数年前までは刺し網による漁獲もございましたけれども、現在ではほとんどすべてかごを使用しております。
#69
○足鹿覺君 そのかご漁法というものは大洋式というものもあるし、私の調べたところによりますと渡下式というものもあると聞いております。この渡下式というのは、カナダのトロントのカニ漁業の競技会にも出てきております。水産庁には達していると思いますが、その人たちが四月の二十数日ごろに、アメリカ第七十一機動艦隊の哨戒機の飛びかう中で、命がけのようなつもりで、これは哨戒機の飛んでいるところを船から写した当時の新聞ですが、こういう舷すれすれに哨戒機、ヘリコプターの飛ぶ中で操業している。もうカニをとる気も何もしなかったと言っております。その中でも、この三月二十八日ごろから操業を開始しまして十回やっているのでありますが、少ないときには七トン、多いときは九トン程度とっているのであります。相当の漁獲であります。で、これは渡下式という漁法、カニかごを使ってとっておったわけです。
 当初私どもがこれを問題にしたときにはあまり世間は相手にしなかった。そんなことが実用化するもんか、こういうような、傍観的といえば語弊がありますけれども、そういう気持ちだった。カナダのトロントへ行ってこの漁法が認められた。そうして現にこれは企業化いたしまして第二大国丸というのが漁獲をあげておるのであります。これは東経百三十二度から百三十四度、北緯三十六度から三十七度の線上の大陸だなの付近でやっておるのであります。島根半島から七十マイルくらい沖合いで漁獲しておるのであります。その付近をアメリカの第七十一艦隊の哨戒機が飛んでおるその中でやっておるのであります。長崎方面を根拠地とした漁船もここで操業しておるのであります。先般同僚の達田委員の質問に対しては、長官は、大事ないというような答弁をしておられましたが、漁師は全くこわかったと、魚をとる気も何もしなかったと、舷すれすれに哨戒機が通る、ヘリコプターがおりてきて船の上を通っていく。そういう状態で、たいしたことはないなどと、長官はのんびりと長官室で情報をキャッチしておられても、現実に漁師は困っているんですよ。そういう中でやってもこの程度の漁獲をあげておる。しかも、紅ズワイガニとしてなかなか成績はいいほうだと聞いておるのです。
 そういった一つの事例を――ここへその海域の図面もその関係者から――私見ました。竹島の付近なんですね。これはもうちょっといくと例の日韓関係でまたうるさくなるところに入ってくるわけなんです。このかごの中にサバのえさを入れてとるということなんでありますけれども、そのかごの角度によってカニがよけいとれるかとれないかということがきまる。そこでカニは横向きにこう泳ぐものであるか、あるいは水平に泳ぐものであるか、上から垂直的におりていくものであるか、私もよくわかりませんが、この渡下式というものの角度は、私も教えてくれないのでわかりませんが、とにかく、この人たちが発見した渡下式というものによりますと、カニがよく入る。海底におろすカニかごの入口の角度がいいというんですよ。それでこんなにとれるのだ。七トンから九トン半、十トン近くもとれるんだ、こういうことを言っているんです。そこで連日その視察の人が来て、その漁法についてカニかごを見たり、漁法のレクチュアをしなければならぬのでたまらないと言っておりました。
 そういう民間伝承といいますか、長い間の漁師の体験の中から、カニの習性を見て、そうして思いついた。そういうことに対して調査研究部長さんは学理一点ばりで研究なさっても、私はそれもけっこうでありますけれども、こういう民間伝承の技術というものをやはり、よく調査御研究になって参考にされて、そうしてこれを普遍的に学問の裏づけをして、将来のカニ資源の開発に備える必要があると私は思うのです。水産庁長官、そういうようなお考えはありませんか。
#70
○政府委員(森本修君) そういったことは非常に貴重な体験でございます。また私どもとしても十分尊重しなければならぬと思います。特に御案内のように水産関係のほうは資源の問題にいたしましてもあるいはその他の調査研究にしても、農業その他に比べて劣っておるといいますか、まだ進歩の程度がおそいというようなこともありまして一生懸命行なっているところでございますが、国の試験研究機関だけではまだまだ十分ではありませんから、そういった民間における貴重な御意見なりあるいは漁法というものを十分活用するということは、これはつとめなければならぬというふうに考えております。
#71
○足鹿覺君 ぜひひとつ御検討をいただきたいと思うのです。
 最後に、このカニの問題を終わるにあたって、その人たちの苦心の話を聞いたのは、古老から伝え聞いたことを、川じりで毛ガニが動く、泳ぐ方法を長いこと見て、そうして思いついたというのです。この努力たるやきょうやきのうのものではない。長い間のそういう努力の積み重ねで、そうしてそれがどういう経路でカナダのトロントまでいったのか私も知りませんが、そこまで認められたということは、私は相当なものだと思うのです。十分そういう民間における漁獲方法の調査研究ということにも鋭意御努力を、特に農林大臣にもお願いをいたしておきます。
 それから漁業近代化資金についてですが、百億の金額と資金需要との調整はうまくいきますか。
#72
○政府委員(森本修君) 先ほど申し上げましたように初年度でありますし、それから年度の途中から発足するということで、とりあえず百億ということで出発いたしたいと思っておりますが、資金の需要のほうはこれより多少上回るというふうな規模の状況であろうと思います。そこで私どもといたしましては、府県別にこの百億のワクを割り当てといいますか、割り当てというと語弊がありますが、大体この府県では何億程度を、近代化を目ざしてやっていただくということを府県と打ち合わせまして、そういうことでこの百億の資金の使い方を調整してまいりたいというふうに思っております。
#73
○足鹿覺君 将来、第二次漁業構造改善事業をおやりになりますか。おやりになるとするならば、いつごろでありますか。
#74
○政府委員(森本修君) 御承知のように現行の構造改善事業のほうは大体三分の二くらいの地区が、事業がほぼ終わっておるというような段階で、あと一両年あるいは二、三年のうちに全地域が完了するというふうな段階になっておりますので、私どもといたしましては、沿岸漁業全体とからめまして、構造改善事業の今後のあり方、端的に言いますと、次期対策のあり方というものを本年度検討をしたいということで、すでに踏み切りをし、鋭意検討に取りかかっておるという段階でございます。その結果によりまして、次の対策の事業の内容、発足の時期等について腹を固めたいと思っております。
#75
○足鹿覺君 私どもは第一次の沿岸漁業構造改善事業を実施されるにあたっては、私は衆議院に議席を持っておったときでありまして、淡水養殖漁業の共済事業適用の問題もあわせて、毎日毎日暑いのに十日ばかり各地を視察してみたんです。どうも波静かな屈曲の多い、海岸線に変化の富んだ条件のいいところは、第一次構造改善事業というものは相当の成果を期待できたし、またあげつつあるだろうと思います。結果はどうか私は聞いておりませんが、この日本海の沿岸とか、あるいはこれに近いような海岸線に変化のない、条件のあまり十分でないところには従来適用が少なかったように思ったのであります。しかし、事実そういうところにもその後各地の経験が取り上げられまして、私どもの地方ではワカメの養殖も入ってきつつありますし、いろいろなものが入ってきつつある。やればやり得るんです。こういう気持ちが各地で生まれつつあるように思いますので、そういう点についても十分計画樹立の検討期に入ったこの段階に対処されんことを希望いたしますが、その点農林大臣、特にこれは萎靡沈滞をきわめておる沿岸漁業の振興上きわめて重大な関係がありますので、御配慮を願えますかどうか、御所信があれば承っておきたいと思います。
#76
○国務大臣(長谷川四郎君) 漁業の構造改善は好むと好まざるとにかかわらずなさなければならない、これはわれわれの責任であり、使命であると考えております。したがいまして御承知のように、本年度も前年にないいろいろな点に意を用いて、いかにして漁業を今後繁栄さしていくか、いかにつくる魚にかえていくかというような点についての配意をしたわけでありまして、御指摘の点等につきましても今後さらに意を用いまして、それぞれの実行に当たってまいりたいと考えております。
#77
○足鹿覺君 次には金利体系の問題、これは鶴園君からもお話がありましたので、要約いたしますと、大体近代化資金の構想というものは人のふんどしで相撲を取るということわざがありますが、ややそれに似ておる。農業近代化資金助成法ができたときにも政府資金を五十億国に預託して、そして六分の利息で三億円の金を出して、その三億円を農協の窓口に利子補給をしてひもをつけて農業の近代化資金として出したのが事の初めであります。大和田さんもこうやっておられますから御承知のとおり。これはまさに政府は一文も金を出しておらぬ。人のふんどしでまさに相撲を取っておるのであります。その発想をそのままこの漁業近代化資金にも持ってきておるところに金利体系上の、先ほど鶴園君が指摘されたような矛盾が出てきておると思うんです。政府自身は銭を使わぬ考えである。そして農協なり漁協の金にいわゆる利子補給をする。その利子補給も政府が身銭を切るのではなしに、政府がこれをさる資金に預託をして、その金利でもってまかなうというずいぶん虫のいい消極的なものなんです。したがって、思い切った金利の引き下げ、資金の活用方法について金利体系も思い切って引き下げていく、実情に沿うことができないのではなかろうかと思うんです。こういう点については、やはり野人として農林大臣になられ、水産問題には一見識を持っておられるあなたとしては、そういう従来のものを手本にするのではなしに、あなた独自のひとつ構想があってしかるべきではなかったかと私はそういうふうに思うのでありますが、金利体系等について将来この問題についてはもっと前向きの、政府みずからも身銭を切ってやるぐらいの考え方をなさいませんか。要するに漁協としては農林漁業金融公庫債券のようなもので利回りを有利にすればいいわけです。農協も近代化資金法のときにはこれを公庫債というようなもので、利回りさえよければいいわけでありますから、むしろこれは農林漁業金融公庫的な国の性格を持ったものが構造改善事業であるとか、こういう近代化の思い切った施策には金を出していく。そういうふうな危険負担は国が持つ、こういうことになりますと、私は現在資金も十分でない漁協を考えた場合には、そういった面もあわせて検討してほしかったと思うのでありますが、出ておりますものを、いまこれを修正するわけにもまいりませんから、将来の構想として御意見があったら承っておきたい。
#78
○国務大臣(長谷川四郎君) どうも政府は全然出しておらないわけではないので、利子補給というやつは政府が出すわけでありますから、その点もひとつ頭の中に入れておいていただかないと、全然ただということにばかり考えられないで、われわれいずれにいたしましても御意見には私もそう全面的にそうだというわけにもいき切れないかもしれないけれども、できる限りそういう方向に向ってやることが当然だろうと、こういうふうに考えます。今後明年度予算を組み立てる点につきましても十分それらに意を用いて行なうようにいたしてまいりたいと思います。
#79
○足鹿覺君 金利と県単事業との関係についてどういうふうにお考えになっておりますか。
#80
○政府委員(森本修君) 県が従来単独事業でいろいろな漁業に対して金融の措置をやっております。特にやはりこれと同じように利子補給をして、原資は系統金融機関の原資を使うというふうなものが多いわけであります。したがいまして、今回の近代化資金ができましたことに伴いまして県のほうで従来の県単制度をどういうふうに整備をされるかということがひとつ問題であろうと思います。私どもとしてはやはり県なら県の漁業に応じた一つの県政といいますか、施策というものがございますから、特にどうこうしろといったようなことを強力に指導をするということもいかがなものかと思っております。ただ一つ私どもは県に対して申し上げたいと思っておりますことは、今回の近代化資金ができるとき、そういうことに伴って県のほうで従来やっておったことを後退させるというふうなことでは、県、中央を通じての漁業に対する金融施策が縮小するようなことにもなりかねないわけでありますから、近代化資金が国でできたということによって、県の従来の施策が後退をしないように、その点はひとつ十分考えてくれということを、抽象的ではございますけれども、強く指導をしたいと思っておるわけであります。
#81
○足鹿覺君 現在県単事業をやっておるものは、この調査資料に載っておりますか。載っておればどこですか、説明してください。
#82
○政府委員(森本修君) 大まかな表で恐縮ですが、この今回御配付申し上げました資料の二十二ページ、県単の融資制度、ここに大体の制度の形とそれから実績等を載せております。
#83
○足鹿覺君 これでお話になりませんよ。私どもが農業近代化資金助成法を審議したときには、どの点ではどういうことをどの程度やっておるかということを全部資料としてもらえた、それくらいな親切心がないと、そしてこれとどういうふうにかみ合わせて、より漁民なり漁業者の利益をそこなわないように、むしろ上積みのかっこうになるように調整するかということが私どもは好ましいと思うのです。少なくとも、こういう抽象的な、いま長官も反省しておられるようでありますが、各県別の県単事業の詳細な一覧表を御提示を求めます。
#84
○政府委員(森本修君) 私ども、現在のところ整います限りのものを資料として御提出申し上げます。
#85
○足鹿覺君 ありますね。
#86
○政府委員(森本修君) お配りいたしましたものよりはやや詳細なものがございますから御提出いたします。
#87
○足鹿覺君 その概要をちょっと承っておきますが、一番いい条件でどういう県単事業をどの県でやっておりますか。
#88
○政府委員(森本修君) 末端の金利で分類をして申し上げますと、一番末端金利の水準として、モードといいますか、大きなあれになりまするのが五分から六分五厘というような末端の金利の県が多いようであります。もちろん、高いのは八分それから低いのは三分といったようなものもございますけれども、三十県ほどあります県のうちで一番多い金利の範囲はどうかということになりますと五分から六分五厘といったような範囲が一番多いかと思います。
#89
○足鹿覺君 そうしますと、五分の場合は漁協の金利が九分五厘としますと、四分五厘から利子補給しておるということになりますね。六分五厘の場合は三分程度補助しておるということになりますね。
#90
○政府委員(森本修君) かりに、基準金利が九分五厘ということになりますと、六分ということでありますれば三分を持っておるということになると思います。これは、県によりますれば県のみのところもありますし、市町村にも持ってもらっておるというところもあるようであります。いずれにせよ、地方のそういうところでそれだけ持っておるということになると思います。
#91
○足鹿覺君 県でもやるし、市町村でもまた若干これに協力をしておる事例がありますか。
#92
○政府委員(森本修君) 県と市町村でそれぞれ利子補給を分け持つというふうな形のものもあるようであります。
#93
○足鹿覺君 市町村の場合はどの程度利子補給しておるのですか。
#94
○政府委員(森本修君) 大体のところでは県、市町村それぞれ折半というようなのが多いように思います。
#95
○足鹿覺君 その場合、それに要する資金を県なり市町村が持っておるわけでありますが、これは地方自治体に対する基準財政需要額に見込んでありますか。
#96
○政府委員(森本修君) ちょっと、調べなければわかりませんけれども、県単のほうはおそらく見込んでないというような形になっていはせぬかと思います。今回の近代化資金のうちで県が半分持つことになりますが、国が半分、今度の近代化資金で。その分については自治省とよく折衝いたしまして見込んでもらうというふうな運びになっております。
#97
○足鹿覺君 よくわからなかったのですが、国が半分、県の半分の分は、県、市町村ともに基準財政需要額に見込むということは確約できておりますね。
#98
○政府委員(森本修君) 今回の近代化資金は、私どもの指導方針としては県とそれから国ということになっております。今回の近代化資金のいま御審議を願っておるものは国と県ということになっております。その県の分は自治省と相談をして基準財政需要額に見込んでもらうということにいたしたいと思っております。
#99
○足鹿覺君 確認されておりますねということを聞いておるのですから、そうならそうだとはっきり言ってもらいたい、市町村の場合と県の場合と分けて。
#100
○政府委員(森本修君) 今回の近代化資金では、先ほども申し上げましたように、市町村ということはやっておりませんから県が負担をする分についてのみでありますが、その分は自治省と折衝して基準財政需要額に見込んでもらうということになっております。
#101
○足鹿覺君 それは話し合いがついてこの予算の編成も行なわれておるのでしょう。大臣、どうなんですか。その点はこれは相当政治折衝が重ねられたと思うのですが、だいじょうぶですか。きまっていなければ困りますよ、これは。
#102
○政府委員(森本修君) そういうことになっております。
#103
○足鹿覺君 間違いありませんね。
#104
○政府委員(森本修君) はい。
#105
○足鹿覺君 それから市町村の場合は基準財政需要額に見込んでない、こういうふうに理解されましたが、もしそういう場合は何らかの形で市町村に、基準財政需要額に見合う何らかの県単事業でこれを見るとか、あるいは国がその分だけめんどうを見るとか、何かそういうことについて善処される余地が残されておりますか。
#106
○政府委員(森本修君) 今回の近代化資金の分は先ほど申し上げたとおりであります。先生のおっしゃいますのは、県が単独あるいは市町村単独でやっておるものについて基準財政需要額に見込むように折衝したらというお話かと思いますが、その点はなかなかむずかしいんじゃないかという感じがしております。
#107
○足鹿覺君 これは大臣ね、大事な問題なんですよ。こういう本来産業立地の立場に立って、もう負担能力のない沿岸漁民のために融資制度を新しくつくっていくという場合は、従来県や市町村が単独でやったもの、また現在このものだけでは、今度の制度だけではまかない切れない県単事業も残してやる場合はこのこのたびの取り扱いに準じて行なうような配慮がなされてしかるべきだと私は考えますが、大臣その点いかがですか。
#108
○国務大臣(長谷川四郎君) ですから、私のほうと自治省のほうと十分それを折衝いたしまして、自治省のほうも了解をしてやっておるのですから、おのずからその結論が出てくるわけであります。ですから、県内の市町村の問題は、県と市町村の間で話し合いができておるだろうと考えます。
#109
○足鹿覺君 どうも大臣には私の質問をよくのみ込んでいただけないようですが、長官でけっこうですが、今度ようやく年度半ばにこの制度が発足するのですよ。だから、県なら全国では三十都道府県、市町村でも若干の市町村は単独事業としてやっておるわけなんです。そのものに対しても、それが全然必要がなくなるというわけではありませんから、それは今後も継続してやる場合もあり得るのですから、だから、このたびの制度に準じて基準財政需要額にこれを見込む、こういう線に向かって努力をされていけば、両々相まってますますこの漁業近代化資金助成法は成果をあげるのではないかと、こういうことを申し上げておるのですよ。その努力をなさっておるのですか。自治省と話し合われた経過があるなら聞かしてもらいたい。ないならないとはっきりおっしゃれば、今後その線に向かって善処するならする、そういうことになるのじゃないですか。
#110
○政府委員(森本修君) 基準財政需要額にいかなる性質のものを見込むかといったような地方財政上の問題もございますから、いまここで私からそういうふうなものを見込むのである、また見込むべきであるということでもって自治省と折衝をするということはなかなかちょっと言い切れないと思っております。しかし、先生からいま言われたような御趣旨でお話がございましたから、その点はひとつ研究さしていただきたいと思います。
#111
○足鹿覺君 私どもが農業近代化資金助成法をつくるときには、先ほどけなしましたけれども、とにかく疑問もあるけれどもスタートさせなければならないというので私どもは踏み切りました。たとえば東大の大内先生のごときは、参考人に呼びましたが、これはよろしくない、農協あるいはその他の系統資金にひもをつけて、そして窓口を農協で持って危険負担は農協へ負わせるということは系統金融の趣旨に反するというので反対をなさいました。しかし、いま直ちに、ではかわるべき制度がないから私どもとしてはこれを了承して成立せしめた経過がある。そのときに、各町村でいろいろなことをやっておるので、県がやっておりますので、その資料をとって、少なくともそれが後退しないようにという附帯決議をつけたと思いますし、その際にもこの基準財政需要額の問題に繰り入れてもらいたいというような意味のことを私は言ったと思うのです、前のことですからもう忘れましたけれども。少なくとも国の委任事務だけをやるのではなしに、国が行なっておる仕事の片棒をかつごうと、こういう意思を持ち、産業立地に徹していこうというものについては、猛烈に自治省にその趣旨を説明して、そうして理解をさせて、そういうふうに努力する、こういう前向きの御答弁がいただけるかと思っておったら、全く事務的な答弁で失望ですね、これは。どうです、その程度では私は満足がいきませんが、もう一ぺん答弁し直されませんか。
#112
○政府委員(森本修君) 十分研究をさせていただきます。
#113
○足鹿覺君 どうもこの長官はなかなか慎重居士のようでありますので、これ以上は申し上げません。十分に研究をして対処をお願いいたします。
 最後に、相当漁村を歩いてみますと、足鹿さん、いろいろやってもらいたいことはあるけれども、安い金を貸してもらいたい、その仕事をしてもらいたいというのがどこの漁民でも座談会を開くとそういう声です。そこで、あなた方は借りたい金が借りられぬのは借金を質に置いていろいろな金を借りておるだろうがと言うと、そうだ、その旧債の利払いに困るのだ、一ぺんしけに出会って船でもいためたらもうおしまいだと、こういう話を聞いて、全く身につまされる思いをたびたびいたしたわけでありますが、現在の漁村の漁協が持っておる貸し出し残高の推移というものを見ますと、この旧債が相当ありますね。これは表向きの数字でありますし、この数字に出ないものもあるのじゃないでしょうか。旧債の借りかえ対策はどういうふうになっておりますか。今度の資金は旧債の借りかえには持っていくことはできない、こういうことでありますから、旧債の借りかえ対策というものはどういうふうにお考えになっておりますか。今度の当委員会にかかっております開拓関係の法律のごときは、私はおそきに失したけれども、よく実情を加味した点についてはその労を多としておるものでありますが、そういう点についての御配慮はございませんか。
#114
○政府委員(森本修君) 旧債といいますか、要するにその借り入れをいたしまして、たとえば病気でありますとかあるいは災害でありますとか、そういう関係で返済不能の借り入れ金というものに対する処置の話であろうかと思うのでありますが、お話しは。現在そういうものの借り入れ金に対する処置の一つの手段としましては、公庫資金の中に沿岸漁業経営安定資金というふうな項目が、構造改善事業などを計画的に進めるというふうな際におきまして従来の返済不能の旧債が将来の前向きの施策なり対策をやっていくのに非常に大きな支障になるというふうな場合におきまして措置をする一つの金融の項目として設けられております。そういうものは従来、一つの現地における対策として活用されておるというふうに私どもは承知しておりますが、一般的に今回の近代化資金も、旧債といいますか、従来の借金の肩がわりという形で借り入れをするということは、この制度の中には入れておりません。今度の近代化資金においては、旧債の整理、また非常に前向きな経営をやっていくのに支障になるようないわゆる焦げつき債務といいますか、そういうものの整理は、公庫資金のそういう項目で処理をするというたてまえになっております。
#115
○達田龍彦君 近代化資金の問題について御質問いたしたいのであります。同僚議員がすでに大体質問をしておりますので、私は重複を避けまして、何点かの問題について、問題点をしぼって質問をしたいと考えておるのであります。
 その第一点は、今回の近代化資金を制度金融として考えられたその発想とねらいというのは、私は、今度の日本の漁業の、特に中小沿岸漁業の発展の上にはかなりの影響があるし、また効果をもたらすものであると実は考えるのでありますけれども、基本的な立場では、そういう理解をするけれども、しかし実際の漁業の動向や沿岸漁業者の今日の操業の実情を見てまいりますと、これが必ずしもねらいどおり運営できないような内容を持っている点もたくさんあるのであります。したがってそういう点で非常に運用の中で問題点が出てまいる危険性の諸点についてまず私は御質問をしておきたいと思うのであります。
 それは、私は先般の本会議において漁業白書に対する質問を行ないました。その際にも申し上げたのでありますけれども、いま動物性たん白質としての漁業の供給としての果たす役割りは、年間の七百八十万トンの漁獲高に対して、需要は、水産庁の見通しによっても九百万トン以上の需要を見込まなければならぬ、したがって供給が需要に追いつけないという状態にあるのであります。私はやはり日本の漁業がたん白性の資源を食料として供給するためには、まずそれを確保することを漁業政策のすべての基本に置いて考えなければならぬと実は考えておるのであります。そういう意味で、いままで幾つかの制度金融というものが実施をされてまいりましたけれども、それは大なり小なりそれらの目的のために効果あらしめておるということも私は否定をいたしません。
 しかしそこで一つ問題になるのは、制度金融をつけることによって、一体どの程度生産の拡大にこれがつながるのかということが、私は一つ大きな問題であろうと考えております。設備を近代化する、あるいは操業の技術を高度化する、漁船を新しくつくりかえる、こういうことをしてみても、一体いまの日本の漁業を取り巻く資源の状態から考えてみたときに、これらの制度金融それ自体が、資源の確保あるいは資源の拡大にいかに結びついているかというと、資源の拡大と資源の確保にはほとんど結びつかない制度金融の状態というものがほとんどとられておるのじゃないか。端的な例が、私が漁村に参りまして、一番心配しているのは、今回近代化資金を借り入れるんだけれども、漁業権は昔のままだ、漁業区画も昔のままなんだ、そこで漁船は新しいものを建造する、あるいは漁船を買い入れ、あるいは装備を近代化する。施設を近代化してみても、その漁区内におるところの漁獲量というものは、大体一定の限界があるわけでありますから、それを近代化された装備や漁船でもって漁獲することは、漁業区画内における漁業者の過当競争を招く結果になり、資本装備の充実した漁業者のみが漁獲を拡大し、そうでない漁業者はだんだん漁業を離れるか、つぶれていくという結果を招くということを非常に心配しておるのであります。
 私は確かにそういう結果があると思います。それは近代化資金でそういう高度化されたものをつくることによってそれを借りて資本装備の充実をはかる漁業家やあるいは漁船は、それに適合した生産の拡大を行なうことができても、それを借りて近代化できない漁業者は、政策の対象外としてこれは漁業をやめなければならぬという状態に追い込まれる。なぜならば、いま申し上げたように、漁業資源自体がこれらの制度金融によって拡大するというそういう展望と施策がないからであります。これを一体どういうふうに今日の漁業政策の中で考えていくのか、どう対処すればいいのか、この点が私は一番この問題に対する重要な沿岸漁業者の悩みであろうと思うのでありますから、こういう状態に対する、沿岸漁業者に対する基本的な方向としてどうしたらいいのか、大臣からひとつ御所見を承っておきたいと思うのであります。
#116
○国務大臣(長谷川四郎君) 漁場がいままでとは変わってきている、何と言いましょうか、遠くなってきておるという、そういうような点についての制度金融、こういう点については大きく役立ってきておるだろうと思うのです。したがって反面、沿岸漁業というものをさらによりよく、そうして資源の開発を行なっていくというのは、制度金融のみによって行なわれるものではない。これらは別途、土地改良と言おうか、その海底改良、魚礁の改良を別途行なっていかなければならない問題であります。ですから、おっしゃるとおり、制度金融を行なってそうして資源の確保はできるのか、これはなかなかむずかしい問題ですけれども、資源の確保より、漁場というものがだんだん遠くなってきている、それに対する漁船とかあるいは装備とか、こういうものに対するものは万全を期していくことができ得るだろう、沿岸漁業に対しての開発は別途これらは考えていかなければ相ならぬ問題だと、このように考えております。
#117
○達田龍彦君 沿岸漁業に対する考えは別途とおっしゃいますけれども、これは沿岸漁業の振興対策あるいは漁業生産拡大対策というのが中心になっておるのでありますから、それらに力点を置いてやはり漁業政策を考えなければならぬし、それが一つの私は近代化資金のねらいであると考えております。
 それから、いま大臣がお触れになったのでありますが、私も過般、沿岸漁業の皆さんと近代化資金の問題等について話し合いを行ないました。一体近代化資金をどう受けとめているかという問題でありますけれども、比較的沿岸の中小漁業者の中では、早く近代化資金を国会で通してほしい、そうして早急に貸してほしいというきわめて強い要望がある。私がその際に、いま申し上げたように、一体借りてみても、漁獲そのものが制限をされておる、制限というよりも、むしろ資源が枯渇をする、減少をするという状況の中で、それだけ金を借りて資本装備を充実してみても、一体これはペイするのか、近代化資金を借りることによって生産の拡大につながるのか、こういうことを聞きますと、比較的従来まで漁獲高をあげておる中小漁業の中でも中といわれる漁業者は、いまの区画漁業の中でも沖合いに出ることができればまだ魚はとれると、こう言う、また型の大きいのがとれると、こう言う。しかし、そういう状態のところは、とれることは私は間違いないと思いますけれども、それまでにいかない小あるいは零細漁業者にとっては、生産の拡大にはつながらないという結果が出てくる。それは、いま申し上げたように、資本の装備をしてみても、過剰資本の投下ということになって、それがなかなかペイしない、こういう結果になる懸念を零細、小企業の間では強く持っております。
 また信連の今日までの漁業金融の貸し付け状況を調べてまいりますと、わが長崎県の場合でも、中漁業の中で漁獲高の非常に多い漁業者の借り入れば、新船建造という形で借り入れを行なっている。ところが、小漁業あるいは沿岸漁業者は、新船建造という借り入れよりも、漁船の買い入れという形で借り入れを行なっておる。これは何を意味しているかというと、中小漁業の中漁業がいままで使っておった使い古しの船を小漁業家に売り渡し、小漁業家がまた沿岸漁業に売り渡すという形で、漁船を借り入れて使っているというのが今日の中小沿岸漁業の漁船を使っている実情であるのであります。これは信連の借り入れ状況から、私は系統的に見てみたのでありますけれども、そういう状況が出ております。
 そうなってまいりますと、この近代化資金が借りられる対象というのは、私は借り手というのは、それが資本装備の充実をはかって生産が拡大される層の漁業家に限られているという結果になると思う。それ以下の漁業家は、借りても借金政策で、むしろ近代化どころか借金によって漁業経営が成り立たないという結果が出てくるのではないかという懸念があるのであります。現に、漁業家がそういう不安と疑問を持っておる今日の状態にあって、したがっていまただこれだけの金を、各県ごとにこれを基準にしたがって原資を配分してみましても、そういう貸し付けにあたっては、力の強い漁業者とそうでない漁業者との間における貸し付けの配分について、相当こまかな配意をした貸し付けをしていかないと、貸し付けることによって漁業経営がむしろ苦しくなるという漁業すら私は出てくるのではないか、その懸念が非常に強いという気がしてなりません。
 したがって近代化資金のこういう状態に対して、生産の拡大につながらないような貸し付けば、結果として漁業をつぶすことになりますから、それらの点に対して漁業家が非常に心配をいたしております。そういう点について、一体この貸し付けを行なうという水産庁の見解を明確にしておってほしい、こう思っておるのであります。どうですか。
#118
○政府委員(森本修君) 御指摘のように、現在の沿岸漁業を振興していきます上で、資源対策特に資源を積極的にふやしてまいるということが基本的といいますか、きわめて大きな要素でありますことは御指摘のとおりだと思います。資源が現在のままで、いたずらに投資をしてまいるということは、生産性をあげるといったような上からいきましても、いろんな意味で注意を要するであろうと思います。近代化資金がそれでは、そういった資源対策にどれだけ役に立つのかといったようなことも御指摘の中にあるようでございますが、もちろんこういった沿岸における資源をふやしてまいるといったようなことについては、試験研究段階で十分研究をしてやっていかなければならぬこともありましょう。また試験研究段階では成功をしておりますけれども、さらに実地に、たとえば現在国でやっておりますように、瀬戸内海の栽培漁業センターのようなものをつくってやるといったようなことで、先ほど大臣が言われましたように、他の行政的な手段方法によって対処しなければならぬ分野がきわめて多い。ただ近代化資金でも、そういった形で試験研究なり、実用化のあれが終わりまして、十分事業的に成り立ち得るというものについては、近代化資金の借り入れによりまして、人工栽培の施設でありますとかあるいはその他漁場の造成といったような関係で融資対象になるわけでありますから、その面では資源の対策に全然無関係であるといったことは言えないと思います。また、そういった増殖分野でこういったものを借りてやっていく漁業者も多くなるであろうということを私どもは期待をいたしておるわけであります。
 ただ御指摘の気持ちはよくわかるのでありまして、いたずらに投資を刺激するといったようなことでもって、償却なりあるいは金利負担をかさませるということは、現在の沿岸漁業の実態からいきまして、役所としても十分行政上注意をしなければならぬことだと思います。そういう点について、もちろんこれは多くの漁業者が借り入れをするについての指導の問題でございますから、一々手をとり足をとるということは、なかなか中央の役所でそこまでいきにくいとは実は思いますが、県やまた実際に金融を担当いたしますところの漁協等にも千分御指摘のような趣旨をお伝えいたしまして、そういった近代化資金が、かりそめにもマイナスの要素に働くといったようなことがないように、むしろ漁業の今後の伸展のために十分役立つように運用をするように配慮をしていきたいと思います。
#119
○達田龍彦君 確かに私は、近代化資金というものが基本的には漁業活動の前進と拡大に通ずることは認めるのでありますけれども、先ほど指摘をしましたように、漁区内における漁業者間の過当競争ですね、それから漁業者間の階層の分化というものがそういう形で資本の装備の関係から私は拡大してくるのではないかという懸念を強く持つのであります。これは漁業者自身もそういう気持ちを持っている。この点は水産庁としてどうお考えですか。
#120
○政府委員(森本修君) こういった経営の近代化をはかってまいるということは、一般論としてもちろん先生にもその方向はお認めいただけることと思うのでありますが、そういった近代化の資金の利用なりあるいはそのしかたなりが特定の階層に片寄るとか、あるいは地域的に偏在を来たすといったようなことについての、指導上の問題を言われているのだろうと思います。確かにそういう点がございまして、一方の人に片寄ってそういう方だけの近代化が進み、ほかの方が置いていかれる、したがってまた階層間の格差に困るといったようなことは、これは決して好ましいことではないのでありまして、できるだけそういった点を防止するように、私どもとしてもこの新制度の運用にあたってはやっていきたいと考えます。
#121
○達田龍彦君 これはみな口ではそう言われるのですけれども、たとえば今度は信連関係にしてみましても、どうしてもやはり信用度の高い、操業実績の非常にあがっている、しかも将来成長性のある漁業家に金を貸すという安全度を考えるのです。そうなってまいりますと、やはり不安定ないわゆる沿岸漁業者あるいは零細弱小漁業家にはどうしても金を貸したがらないという傾向になる。なかなか回収はできない。したがっていわゆる制度金融としてねらっているところの政策の対象外にこれらの漁業者が置かれるのです。私はここが問題だと思う。制度金融というのはそういうところが一番問題だと思うのです。でありますから、そういう人たちをどういうふうに救済するかという措置が講じられなければ、制度金融をつくっていくことは、結果として零細あるいは弱小漁業家を切り捨てていくという結果をつくるのでありますから、言うなれば健全なる漁業生産をあげ得る漁業家あるいは漁家だけを育成するという結果になるのじゃないか、私はそれをねらったものが近代化ではないと思うのです。
 そういう点を、いま水産庁長官は説明としてはそういうことをしないようにとおっしゃるけれども、現実に金を貸す系統金融としてみれば、安全度を考える、あるいはその他の運営を考えた場合にそうせざるを得ないではありませんか。先ほど来の御議論の中にもあったように、各系統金融の預貯金の状態を見てまいりますと、ほとんどがオーバーローンの状態であります。ですから県の金を融資してもらったり、あるいは中金から融資してもらったりして貸し付けをしているという実情にあるのであります。農業と漁業を比較してまいりますと、系統金融が漁業の収入を系統金融の中に吸収する率というのは、漁業が農業に比較して非常に低いのであります。そういう状態なんです。
 私はそういうことを考えてみるときに、どうしても貸す立場の信連としてみれば、安全度を考えてそういう漁業者に優先的に貸し付けていかざるを得ないという状況になると思うのであります。そこにいま申し上げたように階層間の格差が拡大をする、貸し付けを受け得ないところは明らかに漁業政策の対象外になる、これが転落をするという結果になるのであります。そうなってまいりますと、残った漁業者のみが一漁業者当たりあるいは一漁船当たりの単位の漁獲高は上がるかもしれませんけれども、全体の漁獲高はほとんど変わらないという結果になるのであります。私はそういうものをねらったのが近代化資金のねらいであるかどうか。そこら辺の基本的な問題の考え方について大臣からしかとひとつ御答弁をいただきたいのであります。
#122
○国務大臣(長谷川四郎君) いろいろ推察はできましょうけれども、ねらいはお話のような弱小、零細、こういうような方々が沿岸漁業というものに非常にいま苦労なさってきておる、こういうような情勢下にあるので、どうしてもこの近代化資金というものをもって、そしてこの人たちが救われるような道を開く、これが一つの大眼目であります。でありますから、その目的が達せられるようにという点につきましては、いろいろの御懸念もございましょうけれども、十分その点についてはこちらからも、水産庁のほうから格別にそういうような取り扱いはしないように十分な注意を与えて、そうして御指摘になったような弱小、零細と言いましょうか、こういうような漁業をほんとうに近代化して、そしてこの目的が達せられるような方向に向かうように全力を尽くしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
#123
○達田龍彦君 考えはわかるんですが、具体的にどうするかという行政的、政策的裏づけがなきゃいかぬ。これは農林大臣やあるいは長官にはもう十分おわかりだと思うのでありますけれども、この近代化資金によりますと、かなりの総トン数の隻数、あるいはいわゆる企業の従業員数というものが含まれておる。たとえば中の遠洋漁業におけるあぐりの場合だって、大体一カ統にしますと二億五千万から三億かかるんですね。大体一つの漁船が三千万から、灯船になると四千万かかるのです。これが七隻か八隻でもって一カ統という編成でもって沖合い遠洋漁業をやる。それだとしますと、一カ統を編成するのに二億五千ないし三億かかるんです。かりに長崎県の場合について、今回の近代化資金が十億ないしは九億のワク内だとしてみると、これらの中小の漁業が漁船建造のために借り入れを申し込むということになると、二、三カ統でもって今回の政策の対象になる資金は終わりになるのであります。そのくらいの状態でありまして、これをいわゆる小企業あるいは沿岸の零細漁業に資金を振り向けるということは、非常に困難な資金の状態にあると私は思うのであります。
 でありますから、そういうような状態の中で近代化資金というものが一体、政策的なねらいは非常に大きいものでありますけれども、現実にはどれだけこれが漁業の近代化に役立つかということになれば、非常に私は小さな期待とか効果しかあらわしていない結果になるのじゃないか。しかも、いま申し上げたように、このぎりぎりの大きなワクの漁業者や漁船のみに集中して貸し付けられるという傾向が非常に強くなってくるんではないか。もちろん、この前、先般の国会でもってこの中小漁業の振興資金、あるいはその他の卸売りの近代化資金等、制度金融ができておりますけれども、近代化資金の中においてやられる分野も相当私はあると思う。そういう状態でありますから、その点私は非常に懸念されてならないのであります。
 でありますから、ただそういう運営をされるということではなくて、こういうように実施要綱をきめてこういうように実施をいたします、したがってこういうようになります、たとえば十億のワクを単県に配分したとするならば、その十億のうちどの範囲を中漁業、あるいはどの範囲を小漁業、あるいはどの範囲を沿岸零細漁業に分けるというくらいの私は配慮をした行政指導がなされない限りそれらの問題の解決はできない。そういう裏づけのある貸し方をする具体的な方法をお持ちであるのかお尋ねをしておきたいと思うのです。
#124
○政府委員(森本修君) 私どもでこういった制度をつくります際に、ある特定の人に片寄るといったようなことは極力避けなければならぬというふうなことで、たとえば一人当たりの貸し付け金の限度を定めます場合、あるいは対象の漁船の原則的なトン数を定めるといったときも、もちろん希望としては、一人当たりの相当多くの額を貸してもらえればそれにこしたことはないという希望もございました。また貸し付けのトン数をきめます際にも、もう少しトン数の多いところも原則的な貸し付けの対象にしたらどうかといった御意見もありましたけれども、ともかくもまあ沿岸なり中小の漁業者に対してある程度まんべんなく資金が行き渡るといったようなことが、この制度が系統金融機関の窓口から、またその資金を活用して貸すといった性格からいっても必要であろうということで、極力そういう配慮をして制度を考えていったつもりであります。また現実の運用にあたりましても、そういった精神でもってできるだけ各県なり系統金融機関の窓口においても配慮をしていただくように十分指導をいたしたいと思っております。
 ただ御指摘になり御提案がございましたように、この各県における資金ワクをさらに細分をいたしまして、この程度はどう、この程度は何というふうに分ける場合におきましては、県によりましてかなり漁業の実態というものは違っておるわけです。長崎県においてはおそらくこういう形、他の県においてはまた違った形というものがございましょうから、そこまで私どものほうで県に対してこまかく指図をするということはいかがなものかなと思いまして、初年度は、いま申しました原則的な考え方を県にいたしまして、県の漁業の実態に応じていま申し上げましたようなことを運用上の配慮のもとでやっていただくということにとどめたいと思っております。先生の言われるような弊害というとおかしいですが、実態の推移を見まして、何かもう少し私どもとしても強力な指導をすべきであるということが出てまいりますれば、もちろんそういう方向に向かって進むことにやぶさかではございません。
#125
○達田龍彦君 それからこの制度金融でたくさん問題があるのですけれども、特に最近これは新聞にも出ておる内容でありまして、私も非常にこれは問題があると思っておるのであります。それは、いま魚がとれないために漁業家が漁業のかたわら陸上でもってマンション経営をやってみたり、あるいは住宅を建設してみたり、あるいは土地の造成をしてみたり、その他成長産業といわれるものに漁業家が投資をして、それによって多角経営の中から漁業以外の収益によって漁業経営を維持しているというようなケースが非常に多いということが新聞にも出ておりますし、私どもも見たり聞いたりいたしておるのであります。私は、これは単に今回の近代化資金のみならず、たとえば真珠養殖業者の中にもそういうことがあるんだということをよく聞くのです。それは低利で長期の金を制度金融資金として借りたものを、そこをトンネルにして有利なマンション経営に、あるいは住宅建設に向けるという、こういうやり方があるではないかということが指摘をされ、また漁業者の中では、そうしていくともうかるのだというので、漁業の中で、生産拡大のために、あるいは近代化のために使われるべき金が漁業ではない部面にそれをトンネルとして使われているという傾向があることは新聞も指摘をしておりますし、われわれも見聞きをいたしておるのであります。
 これは私は非常に重大な問題だと思うのであります。それは、漁業がいまも産業として他の産業に比較して成長性が少ない、資本投下率に比較して利益率が低い。場合によっては非常に投機性の強い産業でありますから、企業でありますから、非常に危険が伴う。こういう点から、結果として漁業に妙味がなくなったので、そういうような形をつくっておるケースがあることを私は指摘していると思うのでありますけれども、確かにそういう事実があるのであります。これは何か水産庁で実態を把握されておりますか。把握されておるとするならば、これに対する歯どめになる対策はどうお考えになりますか、お聞きをしておきたいと思うのであります。
#126
○政府委員(森本修君) 制度金融にはそれぞれ使い道がありますから、そういった使途に使われるということで貸し出しをし、また現実にそういう使途に使っていただくというふうなことで指導をしておるわけですが、ちょっといま御指摘がございましたような事例を調べたものは実はございません。私どもとしましては、それぞれ制度金融の趣旨がございますから、その趣旨にのっとって借り入れをされ、その資金を使われるということを希望しておるわけでありますが、そういうような実例がもし多いというふうなことでありますれば、私どもとしても十分ひとつ行政的に考えていかなければいかぬと思います。
#127
○達田龍彦君 これは私はひとつ十分調査をしてもらいたいと思っております。これは石炭産業の補給金に似た小さいケースだと思うのであります。石炭産業が斜陽化してまいりますと、長崎県にもたくさん石炭企業がありますけれども、補給金を受けるために石炭を求めて、そしてそこをトンネルにしてビルあるいはマンション、あるいは土地をつくるという形で、別に有効投資をするというケースがあるのであります。したがって、漁業も今日の状態では昔ほど妙味はありません。将来の成長性についても、きわめてこれは不安定です。
 そこで漁業家として考えるのは、そういう斜陽化していく漁業に対して、国が何らかの政策的な、あるいは制度的な金融対策を行なってくるであろう、それをうまく利用して漁業に投資して、漁業の生産をあげることよりも投資効果をねらった資金利用というものが出てまいるのであります。新聞にもよく載っておりますし、漁業者間でもそういう話を私は聞くのであります。その点、ただ貸すだけでそれで事が終わったという考え方ではなくて、ぜひとも実態をひとつ十分、いわゆる追跡調査ではありませんけれども、貸した結果がどういうふうに漁業にはね返ってきておるのか、漁業の近代化と発展にどうつながっておるのか、そういう点もひとつ十分に今回お調べをいただいて、その実態に基づいて、さらに漁業の制度金融というものについて検討していただきたいと思っておるのでありますが、どうですか、その点。
#128
○政府委員(森本修君) 御指摘を待つまでもなく、そういう点について私ども十分今回の制度の運用状況を調べまして、適切な措置をとってまいりたいと思っております。
#129
○達田龍彦君 それから資源をどうふやすかという問題でありますけれども、先ほど大臣もおっしゃられたように、近代化資金というこういう制度金融を制度としておとりになるならば、当然生産の拡大、所得の増大――拡大につながらなければならないし、そのことが日本漁業の振興発展につながるわけであります。また、たん白性食料の供給としての役割りを果たすわけであります。
 ところがどうしたら資源が多くなるのか、この問題については、私はいまの日本の漁業政策では全くきめ手がないと言っても過言ではないと思っている。たとえば特にいまいわれるところの沿岸におけるところの養殖事業、あるいは何というのですか、魚巣をつくって投入して、そこで魚をふやす、こういうことをやっておられるようでありますけれども、たとえば養殖事業を一つとってみても、一例が、このハマチの養殖のごときは、私は養殖としては非常に問題がある養殖のしかたではないかと思っているのです。モジャコを沖合いから自然に取る。そうしてそれをもってハマチのえさにしているようでありますけれども、たん白資源を食料にして、そうして高級魚をつくる。これは日本全体のたん白資源の供給量からいうならば、ハマチをつくるために、たん白資源を魚のえさにするわけでありますから、供給全体からいけば少なくなっている。そうして単に高級魚をつくるというこういうやり方は、これは生産量の拡大につながらないで、漁業家の所得の拡大にはある意味ではつながっているかもしれません。しかし生産の拡大にはつながりません。
 私はこういう養殖は、真の意味での漁業の使命を果たすことはできないし、また漁業の発展にもつながらないと思う。また沖合いで自然のモジャコをとるわけでありますから、そのためにブリが不漁になるという状態が沿岸の漁業の中に大きく影響してきておる。そういうまた陳情もたくさん出てまいっております。それに対する研究開発も今日非常におくれているという状態である。私は養殖漁業というものはそういう結果で、資源の拡大につながらないことをやっておりながら養殖だ養殖だというのも、これまたおかしな話だと実は思っている。漁業家それ自身がこんなことをやっておっていいのかという疑問を持っている。水産庁はそれに対して疑問を持っているのかどうか知りませんけれども、そういうことをやっておる今日の漁業というものは、資源対策に対しては私は全然無策だと言っても過言ではないと思うのであります。どうですか。その資源対策について抜本的にこうなんだから、資源がこれだけ拡大され、日本の漁業者の生産と、そうして所得が拡大するのだと、そういうものに自信を持っておられるとするならば、大臣、ひとつ自信を持ってここでもって表明していただきたいと思います。
#130
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいまのハマチの例でございますが、私はこういうような養殖には違いはないであろうけれども、これを純粋な養殖とは言われないと思う。こういうことでなく、いまわれわれが、水産庁で今後拡大して行なっていこうということは、人工産卵からその成育の拡大をはかるので、大きくなるまでそれをやることがすなわち養殖であって、要はモジャコを取ってきて、それを育てるという、これは養殖ではあるだろうけれども、養殖の中の部分的なものだろうと考える。しかし、いまそれがために他の漁業者に及ぼす影響が大きいということもよくわかります。したがいまして、今後はこういうことでなくって、でき得る限り人工産卵をさせて、そうして成長をさせていくというようなやり方を養殖と言わなければならぬし、そのような施策を講じなければ相ならぬ。お話にもございましたように、ただ現在の枯渇したといいましょうか、その沿岸、これをいかに新しく生まれ返させるか、こういうような点についての魚礁というものの改善を行なっていきたい、こういうような考え方の上に立って、これらをどういたそう、どれだけの予算とどれだけのことをやったらできるかと、こういう点についていま鋭意いろいろな研究を進めながら今後の施策をやっておるところでございます。御指摘のとおり、モジャコを持ってきて、ハマチをそれで育てていくというような、これをわれわれは了とするものではないのであるということだけははっきり申し上げられると思います。
#131
○達田龍彦君 日本の漁業を今後どう発展させるかということは、とりもなおさずまず第一に、資源の拡大と確保をどうはかるか、同時にまた海洋の開発を行なって漁業資源というものをどう開発していくか、こういうことに私は尽きると思うのです。それなくして、制度金融で幾らいろいろな技術的な方向で政策的にやってみても、生産の拡大と所得の拡大につながらない、むしろワク内において過当競争をしてみたり、あるいは階層の格差をつくってみたり、あるいは零細漁業といま申し上げた中小漁業の格差の結果漁業者を締め出す結果になってしまうので、そういう点を十分考えるならば、今日の漁業政策の根本的のものは何かといったら、いわゆる資源の確保と拡大をどうはかるかということに根本を置き、そこに重点的なお金を使って漁業の振興をはかることが何よりも重要なことではないかと思うのであります。
 そういう点について、いま水産庁の中で一体どういう、基本的なこういう資源の拡大といわゆる確保の問題について根本的な対策があるのか。むしろ逆に言うならば、いまの資源の問題については、たとえば公害の問題も一つある、あるいは食害の問題もある、あるいは海流の変化によっていわゆる魚族がどんどん逃げていく、あるいは失われていくという結果もある。むしろ確保することよりも失われていくという要素が多いのであります。この点をどう補っていくかということも一つの問題だろうと思う。いま水産庁がやっているような研究開発の段階では、今日の漁業者の生活や生産を補うことはできません。むしろ、いま養殖をやってみたりあるいは資源の拡大方式をとっておられるという程度では、失うものを補うことにも足らないというのが私は資源確保の対策ではないかと考えます。ここに私は今日の漁業の衰退の最大の原因があると思う。でありますから、何としても、漁業資源の拡大と確保のための根本対策――制度金融その他によってこれらの問題を救う以前にこの根本対策がない限り、これらの制度金融は生かされないのであります。どうお考えになりますか。
#132
○政府委員(森本修君) 資源対策が今日の水産業の振興をはかります上できわめて重要でありますことは御指摘のとおりだと思います。で御案内のように、沿洋あるいは沖合いにおきまして新しい漁場を発見する、あるいは新資源をさがすというふうなことにつきましては、二、三年前から、新漁場開発ということで、ある程度長期的な計画のもとに、あるいは水産庁の官船をもって、あるいはまたそれぞれの業界に対する補助といったようなことを通じて、新漁場の計画的な開発に乗り出しておるというのが現在の実情でございます。それから、沿岸におきましては、御指摘のように、いわゆる栽培漁業といいますかつくる漁業ということに、数年前から水産庁あるいは農林省としても本腰を入れてまいりました。しかし何といいましても、御承知のように従来はとる漁業一本でありました。栽培漁業というのは、わずか数年の間におきまして、試験研究の段階あるいはまた実験の段階といったようなものを踏みつつ着実に進めてきておるというふうに私どもは見ております。
 従来ほとんどそういう面について試験研究的な蓄積もない、成果もないといったようなところがら、ともかくも今日、ある程度の魚種につきましてはいわゆる栽培漁業の名に値するような段階にまで進んできたということは、やはり試験研究に従事をされてきた方々のたいへんな御努力であるし、決して私どもはそういう結果に満足をしているわけではありませんけれども、ともかくもそういう段階にまで進んできておるということは、私ども、現在の沿岸漁業のために一つの希望であると。水産庁としては、そういうふうなことを、試験研究の段階におきましてさらに魚種をふやしてまいる。また先ほど御指摘がございましたように、栽培漁業ということになりますと、餌さの問題が非常に大事である。したがいまして、人工の餌さ料たとえば石油たん白でありますとか、あるいは植物たん白といったようなものを餌さにしてまいるといったようなことも研究を進めて、ややそういった目鼻も数年の間にはつこうかといったような段階に来ておる。また直接そういった形で養殖をいたしませんで、稚魚の形で海に放ちまして海の無限の生産力でもって魚を大きくしていく放流事業、こういうものについても、御承知のように、瀬戸内海に国営でもって栽培漁業センターをつくってやってきておるといったようなことで、私どもとしては、そういった資源対策についてはできるだけ努力をしてきておるつもりであります。もちろん先ほど申し上げましたようなことで、こういったことはいま緒についたという段階であると思いますが、さらに対象を拡大する、また実行段階においてもできるだけ力を入れてやってまいるというつもりでおります。
#133
○達田龍彦君 私、まだこまかな問題がたくさんあるわけでありますけれども、重複する点もございますので、あと一、二点問題点を提起して終わりたいと思いますが、それは漁業白書ですか、あれにも出ておりますし、農業白書と比較してまいりましても、今日の沿岸漁業や中小漁業、とりわけ沿岸漁業の漁業所得というのは農業所得に比較して低いことはすでに白書で指摘をしているところであります。また経営の安定性あるいは成長性、あるいは資本装備の充実の状況から見ても、私は、漁業とりわけ沿岸漁業者の状態というものは、農業に比較して非常に悪いし低いという状態にあると考えておるのであります。
 そこで今回、近代化資金制度をとられるわけでありますけれども、利子補給の状況あるいは制度の仕組み、そういうものは全く農業近代化資金と同一の取り扱いがされておるわけで、私は、漁業を農業の状態に引き上げるためにと仮定をしてみても、今日、漁業が農業並みの状態にない限り、それと同じような仕組みや利子補給の状態では、漁業は農業よりもそれだけ所得が低いわけでありますから、漁業経営の中では非常に過酷な今回の制度であろうと実は考えます。漁業の近代化資金と農業の近代化資金については当然そういう点を根底に置いて、漁業の政策、近代化資金には優遇措置をとっていくべきではないかと私は思うのであります。そういうことをしないと、先ほど私が指摘をいたしておりますように、近代化資金を借りる層が片寄るし、それからそれを借りて利用しようとしてみても、借金に追われて、むしろ企業として採算が立たなくなってつぶれていくという結果をつくるのであります。こここが農業と漁業の今日置かれている状態における相違だと思います。にもかかわらず、今回の近代化資金は全く同一の処置がとられている。どうお考えになりますか。これは自信を持ってそういうことができるとお考えになりますか、どうですか。
#134
○政府委員(森本修君) 漁業と農業を比較いたしまして、どちらがどうだということはなかなかこれはむずかしい比較であろうと思います。仕事の性質も違いますし、またそれぞれ漁家の所得といいましても、漁業所得と兼業所得といったようなものの姿もそれぞれ違いますから、なかなか比較は一がいにはやりにくいというふうに私どもは思いますが、いずれにいたしましても、沿岸漁業なり中小漁業の経営は、現状の姿をもってすれば必ずしも好調ではないというふうなことは言えるかと思います。したがいまして、制度金融をつくります際にそういったことも十分頭に入れてつくるべきであるということは御指摘のとおりでありまして、私どもとしてはいたずらに農業近代化資金に合わすということだけでもってやったつもりでもございませんが、まあ制度の一つの発想なり姿というのは農業近代化資金とほぼ似ておるといったようなことから、そういったものとの比較をしつつ制度を検討していったような面もございます。
 しかし、一件当たりの貸し付けの金額なり、あるいはその他の部分におきまして農業近代化資金よりも勉強をしたといったような面もないわけではございません。しかし、融資条件、金利等を考えますれば、もちろん借り受け者の立場から見れば十分ではないといったような御指摘もあろうかと思いますが、まあ私どもとしては、ともかくも現状に対して新しく制度を発足させるということでございますから、その点においてはやはり一つの制度的な進歩であるというふうに考えております。したがいまして、この制度をやってまいりまして、また制度の実情なり漁業者との関係を見まして、制度的な点で改善すべき点が出てくれば一これはまた出てくるだろうと思いますが、そういうことが判明をいたしますれば、その改善について十分努力をしたいと思っておりますが、ともかくも、一応初年度でございますので、大方こういった内容で発足をしてみたいというふうに思っている次第であります。
#135
○達田龍彦君 それから、これは先ほど鶴園委員もお触れになったのではないかと思うのでありますけれども、いわゆる漁業信連の系統金融として、漁業の場合は農業の場合に比較して、漁業収入に占めるいわゆる系統金融の預金率というのが低いみたいなんですね。統計その他からも確かに低いのであります。そのために、先般信連の諸君といろいろ話してみますと、原資をどう確保するかということが一つは問題なんだということを言っておるのであります。私も確かに、預金の吸収ということについて信連そのものも十分これは配慮していかないと、ほとんど個々の信連の状態はオーバー・ローンの状態でありまして、原資の確保に対してどうするかということを懸念している向きも非常にあるのであります。
 こういうように、農業と漁業のいわゆる系統金融が農業、漁業収入をどれだけ系統金融の中に吸収できるかということは、一つはその背景となる農協、漁協の体制にも私はあると思います。あるいは農協、いわゆる中央会あるいは漁連、こういう系統の販売、購買あるいは農政活動、漁政活動という、そういう面の強い弱いも私はあると思います。私が見る範囲では、特に購買、販売の面についても農協とは太刀打ちできませんし、また漁政活動の中でも、農協がやっておる農政活動と比較したときに系統機関の中では漁政活動というものが非常に弱い、そういう面がまた漁業操業、漁業技術、そういうものに大きく影響しておることも私はあると思います。
 したがって、そういう面から、いまの信連の状態の中で、こういう原資の確保について、一体スムーズにいくであろうかどうか。もちろん中金から借り入れるという方法もあるわけでありますけれども、それでは単協やあるいは各県の信連を育てる方法としては必ずしも私はそれに頼るのはいい方法ではないと思います。そういう意味で、安易に中金から金を借りるという道を開くのじゃなしに、漁協やあるいは信連それ自体のそういう信用活動というものを育てる方向で問題は対処すべきではないかと私は考えるのであります。そういう点についてどういうようにお考えになり、どういう指導をされようとしておるのかお尋ねをしておきたいと思います。
#136
○政府委員(森本修君) お説のとおりであろうと思います。農業との比較を言われますけれども、漁家の方の預貯金の系統利用率といったようなものも農協に比べれば低いようでありまして、これはまたいろいろな原因があろうと思います。先ほど言われましたように、漁協全体の活動のあり方といったようなこともございましょうし、それから従来漁業のほうは、何と申しましてもやはり一般の銀行との関係が深いといったようなことで、貸し出しも一般銀行から受けておれば、預金もそちらのほうに自然取引銀行として持ってくるといったようなこともあって、系統利用率が低いというような関係になっておると思います。これではやはり系統機関としては十分ではございませんから、できるだけ資金の吸収について漁協としても力を入れていくという必要があろうと思います。
 漁協の系統機関といたしましても、数回といいますか、三十七年ごろから、いわゆる貯蓄増強運動ということをやっておりまして、現在でもなお二千億円の貯蓄増強運動をやっておる最中であります。私どもとしましても、そういった運動に対してできるだけ援助をいたしますとともに、今回の近代化資金をつくりましたのも、やはりそういった金融事業、漁協の金融事業がある意味ではこういう制度化を根本にして貸し出し、それから貯金の吸収といったことがうまく一つの回転をもって進むということになれば幸いであるといったような感じもございまして、近代化資金を創設するわけでありますが、そういったいろいろな機会を通じて、いろいろな手立てを通じて私どもも漁協の増強のために努力していきたいというふうに思っております。
#137
○達田龍彦君 では最後にもう一点だけお尋ねをして私の質問を終わりたいと思います。
 それは、今回の近代化資金の貸し付けの種類の中に、水産加工施設に貸し付ける資金も含まれておるわけでありますね。それで加工施設の範囲の問題が一つ問題になるわけでありますけれども、実はまあ水産加工というものは御承知のとおり、非常に家内工業的な個人経営的な企業がたくさんあるので、必ずしも企業経営までいってない状態の個人経営的な企業が多い。
 わが長崎県の場合については、たとえば鯨の加工業者だとかというのがかなりあるわけでありますけれども、これらの人は、店舗と同時に従業員の宿舎を同時に建てて、そして一つの施設として利用しておるという状態があるんです。それはなぜそういうことをするかというと、生産市場との関係で朝早くから卸売買が行なわれるわけでありますから、そういう関係で、従業員をなかなか郊外に住まわせるわけにはまいりません。したがって、市場の近くに自分の店舗と従業員住宅を一緒にしたような形で施設をしておる状態があるのであります。こういうものに対して、施設資金として加工業者に貸すのかどうかですね。これが一つであります。
 それから加工業者の場合に四十名以下ということになっておるようでありますけれども、いろいろな業態があるわけでありまして、最近、私、水産加工業者の実態――一体日本の水産加工業というのはどういうふうに進むだろうか、企業としてどういうぐあいに成り立っていくんだろうか、どこに隘路があるんだろうということをいろいろ調べて見たのであります。たとえばいままでですと鯨とかカニ、あるいはカズノコ、コンブ、こういうものは戦前、戦後までは非常に豊富な資源があり、とれておりましたから、比較的大衆的な値段でこれが食ぜんに運ばれておりましたけれども、最近は希少価値といいますか、非常に少ないために値段が高騰しておるという状態です。したがって、水産の生産が拡大をしないにもかかわらず、逆に希少価値のために収益性が高いという結果が加工業者の中にはかなり出ておるのであります。漁業者に言わせれば、自分らの漁業生産のほうでは、傾向として漁業生産がなかなか拡大しないために、生産漁業家は非常に経営が困難だけれども、加工業者は、むしろ希少価値によって、値段によって企業経営がかなり楽にできるようになったということを言っておるのであります。
 これをぼくは顕著な逆な現象としてとらえて、これも今日の水産行政の一つの問題点だと思ったのでありますけれども、こういう加工業者の今日の経営状態を見てみたときに、こういう加工業者の将来の経営のあり方というか、水産業と加工業の関連性というものについて、今日やはり水産行政の一環として一つの方針を持つべきではないかという気がいたします。こまかに申し上げればこの加工業の問題については、流通業態の問題、技術の問題、加工場の問題、倉庫の問題等まだいろいろ問題があるわけでありますけれども、そういう問題についての基本的な方針、あり方というものがあればひとつお示しをいただきたいと考えておるわけであります。
 以上です。
#138
○政府委員(森本修君) 水産関係におきましても消費の形態が高度化するといいますか、生食用のものよりは、加工をされて消費者の口に入っていくという割合が非常に多くなってきておるわけであります。したがいまして加工段階について合理化をしていくということが消費者のためにも、また生産者の手取りといいますか、生産者の対策といった観点からいってもゆるがせにできない問題であろうと思います。しかし残念ながら水産関係については、御承知のように非常に低次の加工といいますか、塩乾とか、あるいはそういった加工がかなり従来多かったというようなこと、また一種の副業といいますか、一方では魚をとりながら、おかでは魚を乾しておるといったような、非常に副業、零細加工の段階を出ないといったのが特色であろうかと思います。できれば私たちとしましては、この加工段階については設備なりあるいは技術の近代化、高度化といったようなことがやはり必要になってくる。業態を見ましてもかん詰めでありますとか、そういったものはややそれに近いような形に分化をしておるのでありますが、先ほど言いましたようなものにつきましては、なかなかそこまでいっていないということで、やはり一定の設備を持つには一定の規模が必要だということもございますから、できるだけそういった規模に達するような形で企業化、合理化をされていくように優遇をしていきたいと思います。ただ、一ぺんにはそういうふうにいきませんから、やはり近代的な施設を持つには、加工業者が共同してそういった施設を持っていくとか、段階を踏んでやらなければいかぬということもあろうと思いますけれども、そういった実態でございますから、いま申しましたような方向で、加工業者の指導等をやっていきたいと思っております。
#139
○委員長(任田新治君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#140
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。よって、質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#141
○委員長(任田新治君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 農業振興地域の整備に関する法律案の審査のため、来たる二十日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。
 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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