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#1
第061回国会 農林水産委員会 第25号
昭和四十四年六月二十四日(火曜日)
   午前十時四十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任        補欠選任
     鈴木 省吾君    久次米健太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                高橋雄之助君
                宮崎 正雄君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
                藤原 房雄君
    委 員
                亀井 善彰君
                河口 陽一君
                小枝 一雄君
                櫻井 志郎君
                田口長治郎君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                杉原 一雄君
                武内 五郎君
                中村 波男君
                沢田  実君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
   政府委員
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       農林省農政局長  池田 俊也君
       水産庁長官    森本  修君
       通産省企業局立
       地公害部長    矢島 嗣郎君
       建設政務次官   渡辺 栄一君
       建設省都市局長  竹内 藤男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       国税庁酒税課長  玉置 明男君
       厚生省環境衛生
       局公害部公害課
       長        橋本 道夫君
       農林省農地局計
       画部長      松平  孝君
       建設省河川局広
       域利水調査室長  河島  覓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (木曾川におけるカドミウム問題に関する件)
○農業協同組合法の一部を改正する法律案(第五十
 八回国会内閣提出、第六十一回国会衆議院送付)
○農業振興地域の整備に関する法律案(第五十八
 回国会内閣提出、第六十一回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る二十一日、鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として久次米健太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(任田新治君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
 木曾川におけるカドミウム問題に関する件について質疑の申し出がありますので、これを許します。沢田君。
#4
○沢田実君 本日は法案審査の日になっておりますが、木曾川の下流におけるアユの大量被害について調査のため、特に時間を御都合いただきました委員長並びに理事の皆さまの善処に対して、お礼を申し上げたいと思います。
 去る十五日の朝、木曾川下流犬山市の水域におきまして、約十六万尾と推定されるアユの大量被害がありました。公明党はさっそく調査団を派遣いたしまして、愛知県庁、愛知県衛生研究所、名古屋市、愛北漁業組合、現場近くの工場及び岐阜県庁等現地調査を行なったのでありますが、幾多の問題点がありますので、関係各省に質問いたしたいと思います。
 まず第一に、水産庁にお尋ねをいたしたいと思いますが、アユが大量に死んだ原因と、その被害補償についてはどのようにお考えになっているか。アユの大量死について、まず原因はどこにあるのか。次は、再び起きないよう、今後の対策は一体どうするのか。また、アユから検出されましたカドミウムの問題については、〇・四PPM検出されております。そのカドミウムは、自然の流出した物質が定着したものなのか、あるいは工場廃液が珪藻などに定着したものなのかというようなことが問題になろうと思います。なお、愛北漁業組合を例にあげて申し上げますと、組合員が三百五十名、準組合員が五百名程度のようでございますが、組合員の拠出する組合費は全額アユに投資をいたしております。その金額は今年度、愛北漁業組合で六十五万円程度だと、こう言っておりますが、そのような組合が愛知県には二つ、岐阜県側にも二組合、組合員数の合計は二千五百に達するとのことでございます。
 公害白書に発表されております経済企画庁調べの紛争事案の一覧表を見ますと、四十一年の九月十四日申し立ての工場廃水による漁業被害、これは継続中だと、こういうふうに記入されております。約三十件ほど記入されておりますが、未解決は、この木曾川に関係したこの一件だけのようでございます。また、漁業組合の話によりますと、四十三年の四月、雑魚がたくさん死んだ。で、愛知県の水産課へ申し立てをいたしましたが、漁業組合にはその結果について何の返事もないと言って残念がっておりました。また、一昨年も口アカ病という、そういう病気でアユがたくさん死んだそうでございますが、毎年汚染されてきております木曾川は、そのような被害がたび重なっております。したがいまして、漁業組合にとっては死活問題だ、こういうふうに訴えておりますが、その対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 なお、岐阜県の郡上郡、山県郡等においても、最近数万尾のアユが死んだ、こういうふうに私のほうへ通知が入っておりますが、そちらの状況についてもおわかりになればお尋ねをいたしたいと思います。
#5
○政府委員(森本修君) お尋ねがございました木曾川下流の最近のアユの変死問題でございますが、私ども、愛知県及び岐阜県からの報告によりますと、御指摘がございましたように、今月の十五日に、主として岐阜県の美濃加茂市から愛知県の江南市に至る水域におきましてアユがかなり大量に変死をしたということでございます。大体の推定でありますけれども、量としましては十万尾から十五万尾程度という報告を受けております。
 原因でございますけれども、結論的に言いますと、目下、両県並びに関係の行政機関が集まってつくっておりますところの産業公害連絡会議というところで原因の究明を急いでおるということでございますので、最終的にいまのところその原因は何であるというところはつきとめられていないようでございます。しかし御指摘もございましたように木曾川のこの周辺にはかなり工場が建っておるということでございますし、また症状からいきますと、どうも急性毒物質の疑いが濃いというようなことでございますので、そういった関係工場の排水が原因ではなかろうかということで、そこらを重点的に両県並びに連絡会議が調べるということになっておるようでございます。いずれにいたしましてもそういった原因の究明を急ぎまして、その原因いかんによって将来そういったことが起こらないような対策を早急に私どもとしても検討しなければならぬ。またその原因によりまして損害に対する補償策もそれに応じた形で十分講じられなければならないというふうに思っているわけでございますが、とりあえず私どもが得ております状況ではさようなことになっております。
 それからなお御質問がございました四十一年なり四十三年の木曾川におきますところの漁業被害の解決状況ということでございますが、はなはだ残念でございますが、具体的な四十一年、四十三年の案件につきましていま私資料を持っておりませんので、早急に取り調べをいたしまして、解決について促進策があれば十分手を打ってまいりたいというふうに考えております。
#6
○沢田実君 四十一年がいま申し上げました公害白書に載っている分です。それから四十二年が口アカ病という病気だそうです。それから四十三年が雑魚がたくさん死んだ。それで四十四年の今回。こういうふうに連続しておりますので、その点についてお願いをいたしたいと思います。
 それで、いまお話があったわけですが、こういう被害が起きた場合の原因を究明する責任官庁、それについて長官はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
#7
○政府委員(森本修君) 現在はたとえば愛知県では県の衛生研究所でさっそく毒物の分析中、それから岐阜県におきましても県の公害課なり、あるいは衛生研究所によって水質を点検しておる、また先ほど申し上げましたように愛知、岐阜、それから建設、通産の各出先機関、そういった関係の機関でもって公害連絡会議というのを設けておりますが、そこでも原因の究明に早急に乗り出すというふうな形になっておりますので、さようなところで原因の究明が急がれていると、またそういった機関が担当いたしまして原因の究明が大体できるものというふうに私どもは見ているわけでございます。
#8
○沢田実君 いまおっしゃいましたように人体の問題については厚生省でも努力をしていただきますし、あるいはまた工場排水規制の問題については通産省、あるいは一級河川の水質汚濁等については建設省が担当しておりますし、漁業問題は農林省というふうなことになっていると思いますが、実際にこういう問題が起きたということになりますと、地方の県なら県においても、愛知県と岐阜県がお互いにおまえのほうが原因じゃないかというようなことで、責任を持ってその問題を解決し、漁民の被害を補償してあげよう、こういうふうな全体を統轄して責任を持って処理するというところがありませんので、一体その窓口はどこなんだと言って、漁業組合等でも困っている状況でございます。
 で、申し上げたいのは、そういう問題でございますので、水産庁としてその原因の究明、いま仰せのように究明をしようという答弁でございますので、その究明をし、水産庁は責任を持ってその補償のところまで話をつけよう、こういうふうな長官の御決心であるかどうか承りたいと思います。
#9
○政府委員(森本修君) もちろん私どもとしましても関係の漁業組合なり漁業者に関することでありますから、私どもでできる限りのことはしたいと思います。ただ、こういった問題を含めて、御指摘のように広範な関係にわたりますので、私どもだけで処理できるかどうか、関係行政機関なりあるいは地方庁も含めたところで協力をして対処すべき事柄であろうというふうに思っております。
 なお、国会で御審議をいただいております公害の紛争処理に関する法律といったようなものは、そういった関係のことを十分組織的に処理をしてまいるために非常に役立つような関係に将来はなろうかと思います。
#10
○沢田実君 急性毒物が原因のようだというお話でございますが、アユの体内から〇・四PPMのカドミウムが出た。ところが木曾川以外の河川のアユにも若干のカドミウムがあるらしゅうございます。あるいは愛知県で養殖をしておりますアユにもカドミウムがあるというようなことが衛生研究所のデータに出ておるわけでございますが、そういうアユのカドミウムのあるいは亜鉛等のデータが水産庁にあればお教えいただきたいと思います。
#11
○政府委員(森本修君) カドミウムなりあるいは亜鉛なりが含有の状況といいますが、そういうことでございますが、私どもが得ております資料では、愛知県の水産試験場で養殖アユについて試験をいたしました結果では、通常の状態で亜鉛のほうは一五三PPM、それからカドミウムのほうは〇・一四PPM、これが通常の状態でも入っておるということが資料として私ども持っております。
#12
○沢田実君 いまおっしゃったことは、私のほうでもお聞きをしているわけですが、それで天然の生きたアユにもそういうようなものが含まれておると、こういうようなことですが、全く工場排水等の汚染のない天然の河川のアユにもそういうものがあるかどうか、あるいはいま養殖といっても、あるいは天然の河川といっても、若干汚染されておる。工場排水等あるいは鉱山等の汚染によってそういうものがあるのかという問題についてはどうでしょう。
#13
○政府委員(森本修君) 天然アユについてこういった精密に試験をして、どのくらい含まれておるというようなことは、実は私どもまだ試験の結果がございません。ただ、通常の状態でも若干は含まれておるであろうというように専門家の意見がありますけれども、具体的に幾ら試験の結果入っておるというものは持ち合わせておりません。
#14
○沢田実君 アユの中にこういうカドミウムがあるというようなことは、おそらく今度初めて問題になったことだろうと思いますので、水産庁としてもまた今後いろいろ研究もなさって対処をしていっていただきたいと思います。それでアユの死んだ原因は、おそらくカドミウムあるいは亜鉛ではなかろうか、こういうふうに考えられます。そうしますと、普通に生きているアユに〇・四PPMくらいのカドミウムが含有されておる。それを私どもが食べておる。これは厚生省の問題になろうと思いますのであとでお聞きしますが、そういうことになりますと、水産庁自体も今後いろいろ検討しなければならぬのじゃないかというようなぐあいに考えますので、今後さらに一そうの調査と、それに対する対処を特に希望いたしたいと思います。
 次に、通産省の方がいらしているようですのでお尋ねをいたしますが、鉱山保安局の回答によりますと、木曾川の上流、あるいは飛騨川の上流には鉱山はないそうでございます。それで工場排水による汚濁と考えられるわけでありますが、工場排水規制法によって廃液の処分については調査もしくは行政指導をしておると思いますが、川底のモから大量のカドミウム及び亜鉛が検出されたことについてどう対処されるお考えであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
#15
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生のおっしゃるように鉱山関係はございませんが、この流域の上流には亜鉛のメッキをやっている工場が五つばかりございます。非常に小さい工場が多いのですが、一つだけ大きい工場がございまして、排水量一日三千五百トン出すのがございますが、あとの四つは五十トン以下のきわめて小さい工場でございます。この排水中には通産省の調査によりますというと、排出口で一〇〇PPMぐらいのものがあるわけでございますが、木曾川の水量は一番の渇水期におきましてもこの地点で一日八百六十万トンぐらいあるので、これによる希釈がございますので、かりに名古屋市の問題の上水道の取水地点でございますね、そこをとりますというと、〇・五PPM以下ということになっておるわけでございます。それで私どもといたしましては、上水道の基準といたしましては一応一・OPPM以下ということと理解しておるわけでございますので、いずれにいたしましても上水道の取水地点でもって一・OPPM以上には絶対にならないように常に指導している次第でございます。
 なお、この処理施設につきましても、一番大きい工場につきましては処理施設を十分やるようにその点でも指導をしているわけでございます。ただ、先生の御指摘の今回のアユに蓄積される亜鉛、あるいはカドミウムの問題につきましては、さらに厚生省等の、あるいは水産庁の調査結果を待って何らかの基準ができましたら、さらにそれに合わすようにいたしたいと思います。ただいまやっておりますのは、上水道の取水地点におきまして一・OPPM以下ということだけは従来からやっているわけでございます。
 それから次に、いまは亜鉛の話でございますが、カドミウムにつきましては、この流域におきましては一社ございまして、これは航空機部品の工場でございますが、それについては一日五千トンから六千トンぐらいの水が出るわけですが、その中のカドミウムを見ますというと、排水地点でもって〇・〇二もしくは〇・〇八ぐらいの程度でございますが、これももちろん木曾川の水によって希釈されるわけでございまして、これはすでに厚生省のほうで一般的な基準とされております利水地点における〇・〇一PPM、WHOの基準もございますが、それには十分希釈されますので基準には合うと、私どもその線を守っているわけでございます。
 また、魚に対する蓄積の問題につきましては、別途厚生省、農林省のほうの御調査を待って必要な指導を別途やりたいと思っている次第でございます。
#16
○沢田実君 最初の亜鉛のほうのお話でございますが、一つの会社が一〇〇PPMとおっしゃいましたが、私どもは現地に行っていろいろ聞いてまいりました。ある会社でも二一六PPM出しております。いまおっしゃた会社は、私が見てきた会社とは違うように思いますが、岐阜県側だけでも調査を必要とする工場は大体三十ある。愛知県側にも二、三十あると思いますので、あの範囲に四、五十の工場はあるはずです。その点についてもう少し、お願いできれば教えていただきたいと思います。
#17
○政府委員(矢島嗣郎君) 愛知県側、さらに岐阜県側両方合わせまして、木曾川の沿岸には工場が確かに二十以上あるわけでございますが、亜鉛だけをとってみますというと、亜鉛メッキをやっている工場は私どもの通産局の調べによりますというと五つでございまして、その限りにおいて私の先ほどの申し上げたことは間違いないと思っております。
 なお、先生のおっしゃった排水口でもって亜鉛が二〇〇以上出ているというお話は、私どもの調査ではございません。
 なお、一番大きい工場以外の小さい工場の排水量、非常に少ないんでございますが、それについて調査が十分でない点もあるかと思いますので、さらにその点は引き続き調査をいたしたいと思います。
#18
○沢田実君 いまおっしゃった工場の名前はおっしゃっていただくわけにはまいりませんか。
#19
○政府委員(矢島嗣郎君) それでは申し上げますというと、亜鉛メッキをやっている五工場というのは萱場工業、これは二工場含めて一つとしております。したがいまして、工場数としては一つでございますが、萱場工業、それから井村木工所、それから富士金属工業所、それから鷲見メッキ工業所、それから塚本メッキ製作所、これが小さい五工場、それに大きいのがもう一つありまして、北村化学工業、これが先ほど私が申し上げました三千トン以上、三千五百トン一日使うという非常に大きい工場でございまして、これについて私どもが調べた結果は、排水口でもって亜鉛が一〇〇PPMこういう結果が出ている、わけでございます。したがいまして、先ほど冒頭に申し上げました五つの小さい工場につきましては、大体私どもの調査ではたいした問題はないと見ているわけでございますが、工場別に、正確なPPMが現在手元にございませんので、あるいは先生の御指摘のものがその五つの工場の中にあるかもしれませんが、それはさらに今後の調査にまちたいと思います。
#20
○沢田実君 最後におっしゃいました北村化学工業が二百十六PPMを出しておる。これは十二月の厚生省による調査の結果です。県庁でもそう言っておりました。おたくのほうの報告はどういうようになっているか知りませんが、現在も相当に悪臭で、われわれしろうと目には相当ひどいもんだという感じも出ておりました。結果もそういうことでございます。ただあの辺は重金属の指定地域になってございませんので、あるいはまた県条例もございませんので、自主的な施設にまつ以外にない状況でございますが、実際はそういうのもございます。
 それから、もう一つ、カドミウムは一社だと、こうおっしゃいましたが、川崎重工及び航空自衛隊、この二カ所でカドミウムを不定期的ではございますが、使用しているという岐阜県のほうの話でございます。ところがその工場の排水口は、先ほど申し上げました検査の結果、カドミウムが含まれているというようなところよりずっと川下になりますので、もっと上流にカドミウムを排出している工場があるんじゃないか、こういうようにわれわれは考えられるんですが、そういう点についての調査があったら教えていただきたいと思います。
#21
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生のおっしゃるとおりに、今回のアユが死んだ少し下流に水を出しておるものといたしましては川崎重工以外に自衛隊の直営のメッキ工場があるのでございます。先ほど私が一社と申し上げましたのは、川崎重工の工場のことを言ったわけでございますが、自衛隊につきましては、これは私どものほうは全く関係がない――関係がないといいますか、行政的に接触がないわけでございますので、正確なことはわからないわけで、これは自衛隊のほうにお聞き願わなければいかぬと思いますが、とりあえず昨晩自衛隊のほうに聞きましたところ、ほとんどカドミウムは使ってない、こういうことがありましたものでございますので、先ほど私は一社と申し上げたわけでございます。なお、これは自衛隊の関係でございますから、別途またお調べを願わなければならぬのじゃないかと思います。
 それ以外に、これは下流のほうでございますが、上流のほうにつきましては、私どものほうの調査によればカドミウム・メッキをやっている工場はございませんです。
#22
○沢田実君 自衛隊は直接おたくのほうの管轄ではないというお話でございますが、県庁に参りましたら、ちゃんとそういうことを教えてくれました。それでおたくのほうでわからないということもなかろうと思いますので、今後そういう点について御配慮をいただきたいと思います。
 そこで、いまのお話ですと、そこから上流にはカドミウムを使っている工場はない、鉱山もない。ところが実際に愛知県の衛生研究所の調べによりますと、そこからずっと上流に珪藻の中から〇・六一PPM、あるいはそこからもうちょっと上流では〇・五七PPMカドミウムが検出されておりました。あるいは亜鉛に至りましては、犬山城辺で五二四、あるいはそこからずっと上流の美濃加茂で四四五PPM検出されておる、こういうように発表されております。工場も鉱山もない、だけれども、カドミウムがあるということになりますと、まことに変な話になるわけですが、その辺について通産省のお考えをお尋ねしたいと思います。
#23
○政府委員(矢島嗣郎君) 上流には鉱山もない、工場もない、ところが水おけにも入っておるし、魚にもあるという話で、まことにそのとおりでございますが、これは私ども必ずしもそういう方面の専門家でないので、ここで私その原因についてお答えする資格が実はないと思いますが、たとえばカドミウムに例をとってみれば、地表にはいろいろな形でもってカドミウムというものは存在しておる、鉱山として掘っていなくてもカドミウムというものはいろいろな形でもって地上に存在するわけでございまして、そういうものがたまには流れておる、そういうものが水ゴケに付着するというようなことは当然あるというふうに私どもは聞いております。
#24
○沢田実君 工場もない、鉱山もなくて、それは自然のものかもしれない、まことに簡単な答弁でございますが、なぜそのことを私申し上げておるかと申しますと、カドミウムがイタイイタイ病の原因になっておるということは、もう定説になっております。そういうわけでちょうどアユが死んだことを契機にいたしまして、そういうことの原因もはっきりすることは大事じゃなかろうか。私はこれだけの珪素あるいはアユから検出されるカドミウムが自然のものだと、そういうぐあいには考えられません。おそらくどこかの工場で、皆さんの規制をしていないところで、そういう放流をなされているのじゃなかろうかということが考えられますので、そういう点についての調査あるいは監視をもっと徹底していただきたい、こう思います。それで、そういう工場がわかっていないのにそれ以上お聞きしても無理ですので、今後その点についてははっきりしていただきたいと思います。
 なお、死因についてはカドミウムや亜鉛以外のものであろうというふうに私どもも考えられます。数年前も朝早く大量のアユが死んでおったのを発見した。夜釣りに行った人が発見したわけでございますが、今回も同じように夜釣りに行った人がアユの大量の死を発見いたしております。それで夜中に有毒な廃水を流す工場があるのではなかろうか、こういうふうにも考えられ、地元ではそんなうわさにもなっているわけですが、排水の処理についての万全を期していただきたいと思うわけです。
 そこで、愛知県の犬山市に紡績工場がございますが、その工場の水質基準あるいは同工場のデータ等がございましたらお教えいただきたいと思います。
#25
○政府委員(矢島嗣郎君) 犬山付近の紡績工場につきましては、日紡の犬山工場というのがございますが、これの一日全排水量が三千六百トン、このうち毛を洗った関係の排水が千三百五十トンというふうに報告が参っております。ただ、これのデータにつきましては、ちょっと手元にただいま資料がございませんので、なお調べまして後ほど先生のお手元にお届けしたいと思います。
#26
○沢田実君 毛でございますと、おそらく基準が三〇〇PPM以下というふうなことになっているのじゃなかろうかと思いますが、実際にCODのあれでございますが、実際にその工場でおたくのほうでの報告なり、あるいは工場でおそらく調査をしていると思うのですが、それがそのとおり守られておるかどうか、この点が疑問でございますので、わかりましたらお教えいただきたいと思います。
 なお、同工場でフェノール類を従前流出したといううわさ等もございますが、そういう問題について知っていらっしゃる点があればお教えいただきたいと思います。
#27
○政府委員(矢島嗣郎君) たいへん失礼いたしました。ここにいま日紡犬山工場のデータがございますので、これを申し上げまして、次にフェノールの話をいたしたいと思います。
 CODにつきましては、問題になりました時期の二日前のデータを見ますというと、COD二六三、二三九、三三二、二三九、こういう四つの数字が出ております。これは二日前の六月十三、十四日の数字であります。それからフェノールにつきましては〇・一七七と、〇・二一五、この二つの数字が出ております。
#28
○沢田実君 フェノールの基準はこの水域ではどういうふうになっておりますか。
#29
○政府委員(矢島嗣郎君) ちょっと恐縮でございますが、いまフェノールの基準が手元にないのですが、いずれにいたしましても〇・一七七程度では基準以内におさまっているのじゃないかと思いますが、正確な数字がございませんので留保させていただきたいと思います。
#30
○沢田実君 その工場の排水の施設ではその汚水が十分に処理できなくて、たまには放水をされる危険性があるというような状態にはなっていないかどうか。同工場の設備につきましておわかりならば伺いたいと思います。
#31
○政府委員(矢島嗣郎君) ちょっといまの工場のフェノールに関する処理施設につきましては、現在資料がございませんので、お答えできないので申しわけございません。
#32
○沢田実君 先ほど水産庁長官にも申し上げたわけですが、ここ四年にわたって木曾川にはそういう被害が起こっております。それはおそらくそういう工場の有毒物の流出によるのだろうということは地元でも考えられておるわけですが、いまお話のように通産省等では適当な調査も指導も行なわれていないのじゃないか、こういうことが心配されます。
 そこで、なぜ私がそう申し上げるかといいますと、地元の人たちは同工場に対してその工場の排水によって被害を受けたこういうことで交渉をいたしたことがございます。特に工場側ではそれに対する若干の補償をした事実がございます。そういう点からいたしまして、工場の排水が適当ではないというようなことがわれわれとしては考えられるわけです。そういう点についてももう少し基準をはっきりさして指導をしていただきたい、特にこれは希望いたします。
 なお、同水域は重金属の指定水域になっておりませんが、名古屋市の上水道の取水口の上流、先ほど申し上げました亜鉛二一六PPMを流している工場もありますし、先ほどおっしゃった五つの工場の幾つかもその上流にございます。そういう点から考えまして、指定水域の問題は、これは企画庁になりますが、本日は企画庁の方には来てもらっておりませんので、通産省としての考えでは、重金属の指定水域にする必要があると思われるかどうか、その点についてのお考えを承りたいと思います。
#33
○政府委員(矢島嗣郎君) おっしゃるとおりに、亜鉛とかカドミウムにつきましては、木曾川上流につきましては規制が行なわれてないわけでございますが、亜鉛、カドミウムにつきましては、上水道に対する関係につきましては、一応の基準、先ほど申し上げましたように、利水地点におけるWHO等の基準等もございまして、それに対しては行政指導でもって遺憾なきを期しているわけでございますので、現状の現段階におきましては直ちにやる必要はないと思います。
 ところで、今回のようなアユとかその他魚につきましては、農林省あるいは厚生省等の御調査の結果を待って検討して善処いたしたいと考えております。
#34
○沢田実君 水産庁のほうのお話ですと、通産省なり厚生省なり、そちらのほうの調査を待って善処します、それであなたは、農林省の調査を待って善処します、そう言っておったのでは、どこに原因があるか私はわからないと思います。いま申し上げましたように、これだけ多量のカドミウムが、どこの工場でも排出してないで、あるということはちょっと考えられない。そういう有毒物がどこの工場でも流していないで、突然多量のアユが死ぬということも考えられません。そういう点から考えまして、工場排水規制法における通産省としてのもっと適切な行政指導ということを特に要望いたしたいと思います。
 なお、水産庁長官も、いまお聞きのような工場の状態でございますので、先ほど要望いたしましたように、農林省としてひとつ責任をもって調査に踏み切ってもらいたい、こういうふうにお願いいたしたいと思います。
 通産省ありがとうございました。次は、建設省にお尋ねをいたしたいと思いますが、建設省では四十二年、四十三年度にわたって一級河川九十水系に対して水質調査を実施した。流域の水質汚濁状況あるいは汚濁発生源、あるいは被害状況等々主要項目二十項目について分析を行なったそうでありますが、木曾川の下流についてはどのような調査が行なわれているか、できればお知らせをいただきたいと思います。
#35
○説明員(河島覓君) いまお話のございましたように、建設省におきましても、木曾川につきまして水質の調査をやってございます。二十項目にわたってやっておりますが、先ほど来問題になっておりますカドミウムにつきましては、この指定項目の中に入っておりません。
#36
○沢田実君 カドミウムは入っておりませんとなりますと、亜鉛のほうはどうでしょうか。
#37
○説明員(河島覓君) 亜鉛につきましても、必要に応じてやることになっておりまして、絶えずやるということにはなっておりません。
#38
○沢田実君 公害白書によりますと、建設省はたいへんいろいろな調査をした、こういうふうに発表になっているのですが、こんなに汚濁している木曾川については、どういうようなことを御調査なさっていらっしゃるのですか。
#39
○説明員(河島覓君) 調査いたしております項目を申し上げますと、たとえばPH値とか透視度とか、それから蒸発の残留物とか、浮遊物とか塩素イオンとか、それから溶存酸素の量とか、そういったものを調査するわけでございます。
#40
○沢田実君 その二十項目の中の若干をおっしゃってくださったわけですが、要するに流域の水質汚濁の状況を調べ、その発生源あるいは被害状況等等を調べることがおたくのほうの目的だと思うのですが、相当汚染され、あるいはいまずっと問題になっております大量のアユが死んだというようなことも、数年来起こっているわけです。そういう問題についてはもう建設省は全く関係ない、こういうふうなお考えですか。
#41
○説明員(河島覓君) 今回のこの件につきましては、われわれ建設省といたしましても、現地におきましてその原因等につきまして調査を現在いたしております。その調査の結果によりまして、関係機関と協議いたしましてその善後策を講じたい、かように考えております。
#42
○沢田実君 そうすると、カドミウムや亜鉛についてはいままでは調査していない、しかし、こういう問題が起こったので、今後は亜鉛やカドミウムについても木曾川下流については調査をしよう、こういうことでございますか。――そうでありましたら、その結果について、地域住民にどんなふうに発表していただけるか。せっかく調査をしていただけるんですので、その方法等も教えていただきたいと思います。
#43
○説明員(河島覓君) この水質調査の結果は、ここにまいっておりますが、「水質年報」というのに毎年発表いたしますので、これを見ていただけば大体その水質の状況は判明いたすと思います。
#44
○沢田実君 その年報は年に一ぺんだと思いますので、せっかく、いま問題が起きているわけですから、早急に調査なされば、何かの方法で建設省の現地のいろいろな機関を動員して調査した結果はこうだというようなことがわかれば非常に幸いだと思うのです。年報はおそらくずっとおくれるわけですので、せっかくそういう調査ができましたら、何かの方法でお教えいただきたい。先ほど現地には公害対策の委員会ができている、産業公害連絡会議というようなものができているように聞いております。そこで一生懸命調査をしているわけですが、建設省のほうでもせっかく調査の機関があるわけですから、調査してくださったことはひとつそちらのほうにでも教えていただいて御協力をいただきたい、こう思います。その点についてどうでしょうか。
#45
○説明員(河島覓君) 現地で調査をいたしておりますが、建設省もそのグループの中に入って一緒に調査をやっております。
#46
○沢田実君 最初に水産庁長官からお話があった産業公害連絡会議の中に建設省も入っているのですか。
#47
○説明員(河島覓君) 出先が名古屋にございまして、中部地方建設局というのがございますが、そこがその中に入っております。
#48
○政府委員(森本修君) 私が聞いておりますところでは、先ほど申し上げましたように、愛知、岐阜両県とそれから通産、建設のそれぞれの出先機関、それから関係の市、そういうところが一緒になってこの連絡会議をつくっておるというふうに聞いております。
#49
○沢田実君 了解いたしました。
 最後に厚生省にお尋ねいたしたいわけですが、愛知県衛生研究所の発表では、木曾川の死んだアユについては、先ほど申し上げましたように、カドミウムが〇・四PPM、亜鉛が二六〇PPM、そういうように発表されております。ところが、木曾川以外の振草川の天然の生きたアユにもカドミウムが〇・二PPM、亜鉛が一八〇PPM、それから県の水産試験場の養殖のアユにもカドミウムが〇・一四PPM、亜鉛が一五三PPM、そういうような結果が発表されております。珪藻については二ヵ所のみの発表でございますが、相当多量のカドミウムと亜鉛が検出されております。そういう問題について厚生省としてはどんなふうにお考えであるか承りたいと思います。
#50
○説明員(橋本道夫君) ただいま御質問のありましたアユの中にカドミウムが発見されておるという点でございますが、この点につきましては、ちょうど昨年度私どもが金沢大学のほうで、あらゆる食品の中でカドミウム汚染が起こっていないと見られる地域の中の食品の中にどの程度カドミウムが含まれておるかということをかなり広範に調べた資料がございます。それを調べてみますと、あらゆるものの中にカドミウムというものは入っておりまして、これは私どもの従来知っております地球科学につきましての常識の上では、土の中には亜鉛が大体四OPPM、カドミウムが〇・五PPMというのが国際的な一応の通説になっております。そういうことで、亜鉛の存在するところには大体百分の一のカドミウムが存在するものであるという考え方に立っております。日本人は一日に〇・〇七ミリグラムぐらいカドミウムを食べておる勘定でございまして、これは国際的に見ましてもある程度高いのではないかという論議がございますが、ヨーロッパで調査いたしまして出た資料では、〇・四ないし〇・一ミリグラムぐらいヨーロッパにおいても食べておるという数字でございます。そういうことでございまして、カドミウムが入っておるということで直ちにこれが悪いということは私どもは申せないと思います。魚の内臓につきましては、小数点一位あるいは一ケタで一とか二とか三PPM通常含まれております。貝類になりますと一〇〇PPMオーダーのものは自然に入っております。海水中には〇・〇五PPB入っておりますから、自然の食品にカドミウムが自然に入るということは避けられないと思っております。そういう点でこのアユの中のカドミウムの量につきましては私どもは異常に高いとは判断いたしておりません。ただ、亜鉛につきましてはこれは普通より高いのではないかという考え方を持って対処しております。
#51
○沢田実君 珪藻についてはどうでしょう。
#52
○説明員(橋本道夫君) 珪藻につきましての御質問でございますが、これは愛知県の大橋付近につきましての調査でございますが、珪藻ということばにはまるかどうか、これは水ごけとしての分析値でございますが、カドミウムが〇・六一PPM、亜鉛が五二四PPMという数字が六月十八日の衛研の分析データで出ております。この数値につきましては、従来私どもが各地で調べました資料から見ますと、カドミウムの数値としてはさして高いとは考えられないと思っておりますが、亜鉛としては少し高いのではないかというふうに判断しております。
#53
○沢田実君 先ほど通産省の方が工場排水でなくとも天然にもそういうことがあり得るということをお話になりましたが、厚生省のお考えでもそのくらいのことは、あるいは天然にもある、こんなぐあいにお考えでしょうか。
#54
○説明員(橋本道夫君) いまおっしゃいました点につきましては、私ども従来カドミウムの環境汚染調査をいたしておりまして、そのときにとっております対照地域、非汚染地域としてとってありますところでも必ずあらわれてまいります。この点については国内だけの見解ではということで、スエーデンでいたしました最新の地球科学者等が寄りました最新の生態学研究会議のデータを入手して検討いたしましたが、やはり日本の知見は決して間違っておらないということを確認いたしております。
#55
○沢田実君 厚生省は米は〇・四PPM、水は○・〇一PPMということをおっしゃっているようですが、魚にそのくらい含んでおることはイタイイタイ病等の心配はないというふうにお考えでしょうか。
#56
○説明員(橋本道夫君) 魚に含まれておることにつきまして私どもは全く心配はないという考え方を持っております。全体としましては一日どれだけ食べるかということを中心として判断すべきだというぐあいに考えております。
#57
○沢田実君 その水が現在犬山市付近で取水されまして、岐阜県の羽島市一帯にかんがい用水として使われております。この程度であればかんがい用水として使っても農産物にはもう心配ない、こう考えてよろしゅうございますか。
#58
○説明員(橋本道夫君) その点につきましては、私どものほうで、名古屋市の水道局のほうで原水の分析をこの二月と本年六月といたしておりますが、カドミウムの濃度につきましてはこれは検出し得ないということでございます。そういうことで濃縮をいたしますと、〇・〇〇〇――もう一つ下のオーダーの濃度でございまして、それだけの濃度のものが普通には流れているものだろうと判断いたしております。岐阜県側のほうのものはまだ詳しく調べておりませんからわかりませんが、この水でかんがいして問題が起こるというふうには常識的には考えられないというふうに考えております。
#59
○沢田実君 せっかく愛知県の衛生研究所でいろいろ分析してくださっているわけですが、大体工場があって工場排水されているその下流の調査は発表になっております。ところが木曾川に合流する飛騨川、そちらのほうは一体どうだろう、あるいは可児川が合流する上流の木曾川地点がどうだということまで研究していただけますと私どもも安心もできますし、あるいはそれが工場排水のためであるか、あるいは天然であるか等ももう少し判断できるのじゃないか、こういうふうに思っております。現地で、先ほどお話が出ましたように、会議をつくってやっておるわけでございまするので、厚生省のほうとしても、これはアユが死んだ問題とは別にカドミウムの問題、いわゆる重金属の問題について人間の健康ということが最も大事なことだ、こういうのでございますので、今後一そうの努力を特に希望いたしまして質問を終わりたいと思います。
#60
○委員長(任田新治君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#61
○委員長(任田新治君) 農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#62
○河口陽一君 農業協同組合法の一部を改正する法律案について若干の意見を申し上げ、さらに質疑を行ないたいと存じます。
 御承知のように、組合は、終戦後日本の民主化の一環といたしまして農地法の改正、農業協同組合の設立というようなことで発足をいたしましたが、御案内のように戦後二十年を経過いたしまして、当時の基本的な考え方と、今日の世相は大きく変貌いたしてまいっております。当時マッカーサーは、日本を農業国として国の存立を認めるというようなことで、私ども農村におるものとしては大きな期待を持ち、またそういう希望を持ってこの問題に取り組んでまいりました。
 その後経済の発展に伴いまして、昭和三十六年には農業基本法を制定せなければならぬ、さらに経済の高度成長に伴って農業の構造改善あるいは農業の近代化、こういう推移を見まして大きく変化を遂げておる次第でございまして、これらに対処するための協同組合法の改正は当然のことであり、それぞれ衆知を集めて検討いたしておりますが、私はこの問題を、現実の問題に対処する考え方と、さらに将来の日本農業の実態に即するいわゆる長期展望に立つ考え方とに区分をせなければなかなかこの問題の把握が困難だと、こういうふうに考えておるわけであります。
 当時、私も全中のこれらの審議会に参画をいたしまして、いろいろディスカッションをいたしたのでございますが、なかなか農村の変化とか、あるいは地域によって非常に異なる意見がふくそうするわけでございまして、したがって、この法律の改正にあたっては非常に困難な問題が重なっておると私は判断をいたしておるのでございます。
 そういうようなことから考えますと、この法律案の改正には私はなかなか満足すべきものでないと存じますが、しかし時代の推移を考えれば、改正の要ありということは、これは意見の一致するところでございます。そういう意味合いで、御苦心のほどはわかりますが、一番私が抵抗を感ずると申しますか、問題があると感ぜられる点は、従来組合は一会員一票という組合の原則論を立てて、いわゆる人と経済の集まりの運営として特殊性を持つこの協同組合の基本的理念である一人一票制、こういう問題が貫かれてまいっておると存じます。
 しかし、先ほど申し上げたように、これら経済に対処するために大型の農業あるいは大型の農協、こういうものが出現をいたしてまいりますれば、その人数あるいは事業量、こういったものに大きな変換期として差異を生じてくることもこれは事実でございますので、それらを調整する意味で今回連合会に対する一会員複数の選挙権あるいは発言権を持たせるということの経緯としては理解をせなければならぬと存じますが、協同組合の基本理念である一人一票制というものをくずすところに将来の農業協同組合、さらには万般に通ずる組合の理念というものが侵されるという懸念を持つのでございます。世界の協同組合大会においても、これが論議をされ、経過なども承知はいたしておりますが、さしあたっていまほど申し上げましたことに対して農林省としてはどのように受け取め、どのように御指導なさるか、その所見をまず第一承りたいと存じます。
#63
○政府委員(池田俊也君) 今回の農協法改正の中の一つの問題であります一会員一票制の特例についての御質問でございますが、私どもは実はこの問題は協同組合の本来の原則でございます一人一票という原則に対する基本的な修正だとは実は考えてないのでございます。協同組合のやはり本来の一つの原則としては、当然一人一票というのが原則でございまして、その点については私どもも全然考え方は変わっておらないのでございます。
 ただ今回は、要するに日本の現在の協同組合の組織状況を見ますと、かなり一方では農協合併が進みまして、三千人、四千人という大規模の組合が出てまいっております。一方ではまた旧町村単位程度のきわめて零細規模の農協もあるわけで、それを連合会の管理面から考えまして、全く同じに扱うということが、まあ本来の一人一票という原則からいってそのとおりでいいのか、あるいはむしろ若干その点に違う扱いを加えたほうがより本来の趣旨にかなうのではないか、こういう点が実はあるわけでございます。
 それでまあ要するに連合会というのは、これは単協が集まって組織をする。その単協の組合員個々は農民でございますので、個々の農民の数に着目をいたしまして、大規模農協については若干の議決権をふやす。こういうような扱いをすることは本来の原則に全く違反をするというものではない。若干の現実的な修正であるというふうに考えておるわけでございます。いまお話にもございましたが、この点は国際的にも国際協同組合同盟というものがそういうような原則を確認しているわけでございまして、私どもはそれについては基本的には全く従来と変わらないという考えでございます。
 それから現実の運営面で何らかの配慮をすべきではないかということだと思うわけでございますが、それにつきましては、私どもは全く同様な考えを持っておるわけでございまして、実はお手元にも御提出申し上げてあると思いますが、政令におきましてこれについては制限をしたい。そういうことで、付加して与えます議決権につきましては、平等に与える議決権の数をこえてはならないと、あまり極端になりますと、これはまた一部弊害が出てまいりますので、そういうような一定の制限を設けました上でこの制度の実質的な適正な運用をはかっていきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
#64
○河口陽一君 先ほども申し上げましたように、協同組合は、人の集まりとともに、資本の集まりと申しますか、両面を持っておるわけでございまして、御説明は、人の人数によって多少の緩和をしたと申しますか、複数の制度をとったという御指導をなさるという御意思のように承りましたが、協同組合の本質は資本と人の集まりという二面を持っておるとすれば、これらの指導には非常に困難性を感ずるのでございます。人の少ないというところが事業量が少ないというような判断に立てばこれは問題はないのですが、御案内のように農業が近代化され、構造改善が進めば、これは人数は少なくても事業量は相当異ってくる。経済活動をする農業協同組合でございますから、結局事業量によってその発言あるいは役員の選任、こういった問題が当然論議の焦点になってまいると思うのでございます。そういう点に対してどのような考えで御指導なさるか。組合員は二百人、三百人でも事業量は数十億に達するという単協もございますし、今回は連合会にとどめられておるのでございますが、こういう制度を設けると連合会の中においても単協において北海道のごときは内地府県の連合会に匹敵する事業量を持つ単協が随所にできてきておる。そういう場合にこの一人一票の制度を改めたということになりますれば、人数の問題に対しては理解ができるのですが、事業量に対して現実そういう差異に対してどういう御指導のお考えがあるか、その点を承りたいと思います。
#65
○政府委員(池田俊也君) 事業量についての問題でございますが、実は今回のこういう改正案を考えます、検討いたします経緯といたしまして、事業量について一つのやはり差別を設けてはどうかと、非常に大規模な事業量のあるものとそうでないものとの差異もございますので、そういうものについて人の数に応じて議決権を付加して与えるということと同じように、事業量に応じても考えたらどうかという問題があったわけでございますけれども、これはいろいろ事業量というものは動くわけでございますし、そういうような点からもそれを固定的な議決権の数と結びつけるというのは非常に問題があるわけで、私どもはやはりいまの日本の農協事業の実態からいいまして、そういうことは必ずしも好ましくないのではないかということで今回は採用しなかったわけでございます。
 もちろん実際には、いろいろ人によりまして、あるいは連合会の会員である組合によりまして非常な事業量の差異というものがあるわけでございますけれども、私どもはこれはやはり管理面で取り扱いを変えるということではなしに、むしろやはり系統利用というようなものを極力高める、利用率が非常に低いものでございますならばそれを高めるというような点で組合自体もいろいろ御努力を願う必要がありますし、またあるいは現在の組合の事業が適正でないならばそういう意味で改善を加えていくということが必要だと思うわけでございまして、そういうような観点からの指導をいたしておるわけでございます。
#66
○河口陽一君 今回は事業量は取り上げなかったということでございますが、さて人だけにしぼって考えてみるのですが、合併をして一組合、多いのはどの程度になっておりますか。七、八千人もある組合ができておると私は理解をしておるのですが、この問題は、現実はそういう七、八千人の、あるいは四、五千人の組合員を擁しておりますが、農業の構造改善なりあるいは近代化が進み、さらには現状を見ますと、農業経営者はまあ老人が経営をして、若い人は家を出て後継者がいない。
 そういうことから考えますと、自然に大型農協に発展せざるを得ない。今日の協同組合の人の多いという問題は、ここ五年、十年の長期展望に立つと、おそらくこの組合員というものはだんだん減少してまいる過渡的にいま起きておる現象であって、長期展望に立てば、この人の問題はある程度整理をされ、そうして正常なと申しますか、農協のそれぞれの差異がなくなっていく、そういう長期展望に立つと、何もここで一人一票制の原則を曲げて複数の選挙権なり発言権を持たせるという挙に出なくても、しばらくの間というような感じがするのですが、こうした点について農林省はどのように把握をされて判断をされ、この結論を出されたか、御所見を承りたい。
#67
○政府委員(池田俊也君) 確かに今後農業人口が相当減少をして、あるいは一方では農協合併が進んでいくという観点からいたしますと、いまあわててしなくてもいいじゃないかという御意見もあり得ると思うわけでございますが、ただ、私どもは従来の傾向を見ておりますと、農協合併は三十六年に合併助成法ができまして、かなり進んだわけでございますが、最近に至りますとこれが相当鈍化をしてきておるわけでございまして、これはやはりいろんな地域的な事情等がありまして、なかなかこれ以上の合併はむずかしいというようないろんな事情があるように思うわけでございまして、そうなりますとどうしても片っぽうでは三千人、五千人というような組合がどうしても残る。それは若干人数は減るかもしれませんが、相当大規模な組合がある一方では、会員二百人、四百人といったような組合が相当あるというようなことになりますと、その間のアンバランスというのはやはり相当将来も残るのではなかろうかという気がいたすわけであります。
 農業人口が減るのは大きい組合だけが減るわけでは必ずしもなくて、一般的に減るわけでございますので、そういうアンバランスはどうしても残るであろうということになりますと、その間を調整する現実的な方法というものがやはり何らか要るのではなかろうかというようなことでございまして、まあ、そういうような観点から私どもは今回の改正に踏み切ったわけでございまして、確かに今後農業人口あるいは農家人口というような面で、あるいは都市化によりまして農業をやめるというような方も出てくるかと思いますが、そういうような場合におきましても、これは準組合員というようなかっこうでは農協の中に残るというようなこともございますし、いまの農協の組織の状況が非常に変わるというふうには私どもは必ずしも考えていないわけでございます。
#68
○河口陽一君 この問題は非常に問題があると存じますので、御指導に当たっては、農協の本質をゆがめないように十分な配慮をして対処していただきたい。衆議院の農水でも、この点についての管理について特別附帯決議ですか、なされておるようでございますから、そうした点に対して、将来禍根を残さないような対処を特にお願いを申し上げておきたいと存じます。
 大型農協になり、三千人、五千人の組合員を擁するということになりますれば、これらの組合員の生活用品の取り扱いも自然増大をしてまいる。こうした組合員の要請にこたえるという設備を必要としてまいり、そうした設備が中小企業との摩擦関係で、しょっちゅう問題になっておるわけでございますが、それはそれといたしまして、実はそれぞれ一単協でも広範な地域になるために、そうした生活物資の配給場所をつくる。遠地と申しますか、本部から遠距離の地帯には、組合員の要請にこたえて支所などをつくって、生活用品の供給をはかるという、そういう新しい設備に対して、農村における生活物資の中心になるのは酒類でございますが、たばこについては、これは専売公社が職場における売店と申しますか、売りさばきを了承されて、非常に便利になってまいっておりますが、酒については、これは国税庁が免許制度をとっておりますために、酒類の販売に非常に消費者が不便を感じておる。組合員が不便を感じておる。こういうことに対して、従来酒小売り商の反対と申しますか、国税庁の方針と申しますか、なかなかこれらが円滑に推進されていない。
 私は諸般の生活物資は、その配給店のために物資を供給しておるのではなくして、消費者本位にものごとを考えてこの取り扱いをさせるという基本的なものがなければならぬと思うのです。特に酒については、消費者から熾烈な要請もあるために、先般新聞紙上で見ますれば、福島県の酒屋さんが生活協同組合と提携をして、非常に波紋を投げつつある。こういうことは、いわゆる消費者本位の配給網というものを配慮されないところにこういう問題が起きるでなかろうかという判断をいたしておるわけでございます。したがってこういう消費者の要請するあるいは農協などにおいて組合が要請する場所にもっと積極的な酒の販売ができるような配慮を、農林省も国税庁も一段とお考えをいただきたい。これに対して御意見を承りたいと存ずるわけでございます。
#69
○説明員(玉置明男君) 御存じのように、酒類の販売業免許制度は昭和十三年以来とられておりますが、この趣旨は、酒類が非常に重要な財政物資でございまして、小売り価格のうちに占めますところの酒税の負担が非常に重い。たとえば清酒に例をとりますと、二七%から四七%程度の負担率になっております。またビールは五二%弱という、非常に重い負担を負っております。こういう重要な物資でございますから、末端の小売りを担当しております業者につきましても免許制度をとりまして、その運用にあたりましては、第一に消費者の利便、第二に同業者の中小企業者である小売り業者に対する影響、こういう点を考えまして、両者の調和の上に立って前向きの運用をいたしておるわけでございます。
 ところで、御質問の農協あるいは生協に対する酒類業免許のあり方でございますが、御承知のように、生協、農協等は、原則として販売先が構成員に特定をされております。一般の者には売らない、こういう原則がございますために、消費者利便の点から若干問題がございまして、長官通達によりまして、こういう特定の団体につきましては、原則としては免許をしない、こういうふうにいたしております。しかしながら、例外といたしまして、こういう団体が員外の利用を認めておる場合あるいはその構成員の大半が一定の地域に居住している場合、こういった場合には例外的に免許をする。こういう扱いになっておりまして、現在も農協の場合に例をとりますと、全店舗の約三分の一、全体が一万の店舗でございますが、そのうち三千三百程度の小売り免許を付与しております。今後におきましても、その地区その地区の実情に応じまして、消費者の利便に適応できるような前向きの運用をいたしていきたい、かように存じております。
#70
○河口陽一君 前段の御説明を聞くと、相当多額の国税を徴するために、相当身元などが確立をしておらなければいかぬというふうに受け取れるわけでございますが、そうした問題には、協同組合並びに生協は、個人よりも経済的には確立をいたしておるわけでございますから、そういう懸念がないと私は考えるので、最も忠実に、正確に国税を納める私は企業であるというふうに考える次第でございます。
 特定とおっしゃられるけれども、まあ農村においてはほとんどが組合員でございます。さらにこの協同組合は、先ほども論議をいたしましたように、相当多人数の大型農協になりますと、特定地域と申しますよりも、一部の人間といいますより、その地域の経済を掌握しておる地域性を帯びてきておるわけでございますから、そういう地域の発展あるいは過疎地帯に対する対策といたしまして、国税庁がより積極的な判断の上に立って、これらの免許の取り扱いを進めていただきたい。
 まあ生協もありますが、スーパーなどについては、そういう特定の人を組合員としての取引ではございませんので、これは新興地域には必ずこのスーパーが設置されております。一部の小売り業者に被害を与えるというような運動もありますが、私は、小売り業者を含めた地域住民が、スーパーの建設によって受益をいたしておるのですから、既存の業者に圧迫を加えるというようなことに対しての配慮は理解はできますが、新設される新興地域のスーパーなどに対して、当然前向きの考え方で、この中小企業との摩擦で生協あるいはスーパー、農協等の免許をチェックするという印象が強いわけでございます。どうかそういう印象にとらわれず、実態に即してこの問題を前向きで取り組んでいただきたい、こういう意見を申し上げて、御配慮をいただきたいと存じます。
 それから、その次に御質問申し上げたいことは、組合員の制限ですが、従来取り扱いを、五分の一程度員外の取り扱いを規定されております。今回の改正によりまして、この農業従事者以外の者、まあこれはいろいろ変化があって考えられたと思うのでございますが、常時農業に従事する者は二分の一以内に緩和するという制度に改正されております。農業従事者が全体の組合員の二分の一以内に緩和されるということになりますれば、事業量も、まあ二分の一まではいかなくとも、従来の五分の一ではここに錯誤が生ずるように感ずるわけでございます。組合員は二分の一まで員外を認める、事業量は五分の一でとどめる、ここに一つの矛盾を感ずるのですが、これに対して農林省はどのような理解でこういう限度をきめられたか、御意見を承りたいのです。
#71
○政府委員(池田俊也君) いま御質問がございましたのは、今回の農事組合法人制度についての員外従事者の数の規制の問題でございますが、これは私どもは、集団的生産組織と申しますか、協業といいますか、そういうものを今後極力助長していきたい、こういう基本的な考え方があるわけでございますが、その一環といたしまして、農協法にこの農事組合法人の制度があるわけでございます。ところが、最近の事情を見てみますと、当初はこの農事組合法人をつくりまして大いに協業を進めていこうということで、組合員が集まりましてやったわけでございますけれども、その後いろんな事情の変化で、どうしても農業の仕事をやめまして他のほうにいくというようなケースがまれに起きてくるわけでございます。
 そうなりますと、やはり土地を出し合って協業をやっていこうという体制が、もしその人が組合員でなくなるというようなことになりますと、くずれるというようなことがございますので、極力協業経営というものを助長していこうということで、そういう人も今回は一応組合員とみなして扱おうというような改正を実は考えておるわけでございます。
 しかしやはりこれは農民の主体性という、組合員の主体性というものを確立するというような見地から、そういう改正と同時に、員外利用者についても若干手を入れる必要がある。特に最近のように機械化が相当進んでくるというようなことでございますと、必ずしも全部が労働に従事しなくても十分協業経常としてやっていけるというようなことがございますので、そういうような点も考えまして、員外従事者の点については若干の緩和をする。組合員の、みなし組合員の規定、それから員外従事者の規定、この二つを組み合わせまして協業でございますとこの農事組合法人制度の現実的な運用ができるようにしようという改正でございますが、今回の改正はそういうような趣旨でございますので、一般のたとえば購買事業、信用事業等についての改正とはややニュアンスが違うわけでございます。したがいまして、私どもはそういう特殊な事業につきましては、やはり特殊な配慮が必要だとは思うわけでございますが、協同組合一般の事業といたしましては、やはりあくまで農民の協同組合でございまして、事業運営もそういう観点からなされるべきでございますので、一般的に員外利用の制限を大幅に緩和をするという気持ちは実はないわけでございます。若干のそういう事業の種類によりまして、現実的な配慮を加えていく必要がある、こういう考え方でいるわけでございます。
#72
○河口陽一君 おっしゃることはわかるのですが、組合員が二分の一員外を認めれば、経済活動も生活用品の供給についても、それに比例して利用されるそういうところから五分の一と二分の一の食い違いをお尋ねしておるので、私はこういう二分の一に拡大をされるというこの実態を掌握しておるが、実際に員外の二分の一まで拡大をすれば、事業量の拡大も必要になってくるのではないか。その点をお尋ねいたしておるので、そうした問題に対してどのように理解されておるか、いま一度御答弁を願いたいと思います。
#73
○政府委員(池田俊也君) やや繰り返しみたいになるわけでございますが、私どもはやはり基本的には、協同組合というものは戦後この農協法ができましたときの基本的な考えというのは、これは職能的な、職能別の協同組合という性格のものであると考えておるわけでございます。要するに農民の協同組合で、あくまでも農民の利益を目標にその事業活動が行なわれる。ただ農村におきましてはやはり地域的な配慮といいますか、要するに、たとえば購買事業について申し上げますならば、他に適当な小売り商がいないということで、地域協同組合としての性格もあわせ持たないと、これは地域住民に非常に御不便を与えるというようなこともございまして、やはり農民たる組合員の利用に差しつかえのない限度において、員外利用を認めるあるいは準組合員制度を設ける、こういうことになっているわけでありまして、ちょっとその点は実は私どもは今後といえどもやはり基本的にはそういう考え方がよろしいのではないかという考え方をしているわけでございます。
 基本論はそういうことにいたしまして、それならば員外者といいますか、準組合員といいますか、農民以外の方の事業利用という点については全くそういうしゃくし定木的な考え方でいくのかといいますと、これは事業の種類によりまして現実的な配慮が必要であるということで、実は今回の法案の中にも信用事業等については若干の修正をいたしているわけでございまして、本来の目的に支障のない限りにおいては、やはりそういう面についても十分配慮をしていきたい、こういう気持ちがあるわけでございます。
 いま一つお取り上げになりました農業組合法人制度の問題これは私どもは、やはり農事組合法人というものは農民の協業経営に関する共同組織体であるという考えを持っておるわけでございまして、基本的にはこれは全員が労働に従事するのが一番好ましい形でございます。しかしながら、たてまえはそういたしましても、現実には、日本の土地が非常に零細である、農民の持っておる土地が零細であるということで、その集合体であります協業経営におきましても依然としてかなり零細な規模でございまして、たとえば相当大規模な機械が一台入りますともうほとんどそれで大部分の営農ができる、組合員の労働の投下というものは非常に限られたものでいい、こういう形になるわけでございます。特に最近のように機械化が進んでまいりますと、そういうような傾向が強いわけでございます。私どもはやはりそういう点についてもこれは配慮をする必要があるので、今回は、協業経営を育てたいという観点から、組合員とそれから員外従事の規定についてそういう修正をするわけでございますが、これは他の、信用、購買あるいは販売等の事業につきましてそのまま当てはめるというわけにはちょっといかないのではないだろうか。やはりそれぞれの事業に応じて現実的な配慮をしていくという考え方でそういう面の運用を考えていくのがいいんではなかろうか、こういう気持ちを持っておるわけでございます。
#74
○河口陽一君 冒頭にも申し上げたように、いろいろむずかしい問題をたくさん包蔵しておるわけでございますが、まあ、協同組合の基本的な農業者という問題についても、九十日以上農業労働をせなければならぬとか、あるいは、三アールですか、以上の農地を耕作せなければ農業者でないと、こういうことにいたしておりますが、組合の役員についてもいろいろ制限を加えておる。ところが、今日の協同組合、まあ三千人、五千人の大型組合になりますと、はたして組合長なり常勤する人は九十日農業に従事しているかいないかという問題にも疑点が出てまいるわけでございまして、それが連合会の常勤役員ということになれば、これは農業に従事してないわけです。それがその法律に基づいて役員の選任を制限しておるというような問題も、これは現実としては非常に矛盾をした運営をいたしておるので、こうした問題もやはり近い将来には検討を加えて正常な姿でこの協同組合の運営をせなければならぬというふうに感ぜられるわけでございます。
 さらに先ほども触れましたが、全中の審議会でも山村などでは農業協同組合で森林組合あり、あるいは漁業組合あり、そういう組合がたくさんできましても経済活動としては成果をあげられない。そういうことからこれらの漁業に携る者も林業に携る者も協同組合の組合員として活動できるように答申がなされておるわけでございます。したがって、今日の農業協同組合は地域的な農業協同組合活動をするんでなければ組合員の要請にこたえられぬ。先般の農振法の参考人の方もおっしゃっておられたんですが、純農村地帯の協同組合というものは村の経済を全く左右するだけの事業を遂行しておるので、農業協同組合がいかに今日地域性を帯び、日本の経済発展に貢献をしておるかということはもう論をまたないわけでございます。
 そういう観点からいたしましてこの生活用品の取り扱いなどについてもわれわれ現地で非常に苦心をいたしておるわけでございますが、どうしても農業生産資材ということになれば、これはまあ全量供給ということが果たされて、メリットを生むことができますが、生活用品の供給に当たりましては、やはり農民だけを対象にしたんではメリットが出ない。まあ卑近な例ですが、呉服物にしても、あるいは生鮮食料品にしてもわずかぐらいの取り扱いでは、今日の中小企業といえども経営が成り立たぬ。そこで大型な店舗なり、運営、管理に変えなければ今日の中小企業というものは成り立たぬ。大量に供給するんでなければ人件費を生み出せぬ。そういうことから今日の中小企業も農業とひとしく、老人だけの経営になって小さな商店の若い者はみな飛び出してしまって老人だけがとどまり、その老人が経営できなくなれば閉鎖するということで、農業と中小企業はその方向を一にしていると思うのでございます。そういう関係で中小企業も近代化が要請され、農業も近代化が要請されている。その方向は私は同じであろうと思うのでございます。
 そうした経済の動向に対処するのに、単に中小企業との摩擦というようなことにとらわれて、農協活動にチェックをするというところに、私は日本経済の発展あるいは農業の近代化、中小企業の近代化に大きな疑問を持つわけでございまして、こうした点についてもっとやはり積極的に今日の農業協同組合は対処せなければならぬという考え方に立つわけでございますが、それが事業制限にぶつかってそれらが足踏みをいたしておるというのが現状であろうと存じます。この際それらの改正が困難であるとはいえ、こうした改正に当たりましてそういう現状というものを十分に認識をし、近い将来に対処するような法律改正を御研究願いたい。
 私は戦前のいわゆる産業組合にも関係をいたしておりましたが、むしろ今日の農村の実態は、戦前の産業組合法が適応する体質になってきたというふうに感ずるわけでございまして、終戦後マッカーサーが指令した農業協同組合法というものと、今日の農村の経済、日本の経済の実態は大きく変貌してまいっておる。今回の改正は、その現状に即応する部分的な改正でございますが、総括的に判断をいたしますと、体はおとなになったが、着物は子供の着物を着せて間に合わしておるという印象が深いわけでございます。どうか今日、農業協同組合の動向を正確に把握をされ、すみやかにおとなの着物をつくってこの改正を考えるのでなければ根本的な改正にならぬというふうに判断をいたしておるわけでございます。
 私はそういう意見を加えまして、時間も相当経過をいたしましたから、今日の質疑はこの程度で終わりたいと存じますが、どうか農林省においては、農振法もつくられ、あるいはまた総合農政という中において、農業の構造改善なり、近代化をはかって、大型農業を進められるという意図に即応する農業協同組合法をひとつ御研究あって、期待にこたえる新農村の建設に寄与されんことを要望いたしておきます。
#75
○委員長(任田新治君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 午前の質疑はこの程度にいたし、午後三時まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四十五分開会
#76
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#77
○武内五郎君 私は、いま議題になっておりますいわゆる農振法の審議に入るわけでありますが、建設大臣に実は一言申し上げたいわけであります。政務次官、ひとつぜひお聞き取りを願います。
 それは都市計画法にきわめて密接な関係のあるいま私ども審議中の農振法、それからやがて審議に入るでありましょう農地法の改正案、こういうようなきわめて重大な案件がまだ審議の途中である、そういう状態にあるにかかわらず、都市計画法の施行がもちろんこれはそういうふうに国会できまったかもしれませんが、都市計画法に関する宣伝が非常な力強さをもって流れております。過日、六月の十八日、東京で全国都市計画代表者大会が持たれまして、それほどとにかく都市計画法に関する動きというものがなかなかすばやく先走っている状態、私はそれは当然成立した法律だからそうあってもいいんじゃないかと考えられるかもしれません。しかしそれに関してきわめて重大な法案がまだ私どもの審議途中であるにかかわらず、そういうことであるとするならば、どうも私はそれは別に悪いお考えではなかったかもしれませんけれども、国会を軽視する形が出ているのじゃないか、きわめて私は遺憾なことであると存じますので、そのことにつきましてまず政務次官から釈明をお願いいたします。
#78
○政府委員(渡辺栄一君) ただいま武内委員の御発言でございますが、私どもといたしましては、五十年近く都市計画法というものがいろいろな実績をあげてはまいりましたけれども、新しい社会経済情勢に対処しましてはぜひともこれを改正いたしまして新しい都市づくり、また秩序ある合理的な都市づくりというものを推進しなければならない事態を迎えまして、慎重な配慮のもとに法案を準備し、これを皆さんの御協力をいただきまして成立をいただいたのでありますが、その施行に当たりましては各省とも十分きめのこまかい連係をいたしまして、この六月十四日にようやく具体的な措置を講ずるようなところに至っておるわけでございます。建設省といたしましては、できる限り先生方の御意見も十分拝聴いたしながら、また関係住民に対しましてもできる限り内容をよく理解をさせまして、スムーズなその実施に当たりたい、こういうような気持ちで今日までやっておるわけでございまして、ただいま先先のお話のような、国会を軽視するということは毛頭建設省といたしましては考えておりませんけれども、まあそのようなお気持ちをお持ちいただくような具体的なことがあったとすればこれはまことに残念なことでありまして、今後ともわれわれ十分努力いたしまして、先生方の御指導のもとに、この画期的な新しい都市づくりというものを進めてまいりたい、かように考えておる次第でありますので、どうか御了承をいただきたいと思います。
#79
○武内五郎君 大体わかりました。実はこれは、参議院で農振法の審議の途中で、議会に対するハッパをかけたんじゃないかという、一面そういう批判も出ておる。したがってよほど、そういう批判のよしあしは別といたしまして、ひとつ十分今後御注意願いたいと考えるわけであります。
 で、私は実は最近健康を害しておりまして長いことできませんので、主として都市計画法を中心として農振関係の御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、私は都市計画と農民、都市計画と農地の問題について、本日は主として若干御質問をしてまいりたいと思います。したがって、建設省の関係もあり、農林省の関係もありまするので、さよう御了承願いたい。
 都市計画法の私の聞きました説明の要旨第二の項に、また都市計画法第二条の項目「都市計画の基本理念」について、「都市計画は、農林漁業との健全な調和を図り」云々と。私まことに、なかなか建設省文章もうまい、感服した。農政を担当しております私どももまことに当を得た文章だと思っております。事実、私は今日の重大な都市問題、特に都市計画推進の問題については、農村と漁村と有機的な関係を持たねばこれはもう遂行できないと思う。そういう立場から若干質問を申し上げます。
 御承知のとおり、近代産業が非常な勢いで最近進むと同時に、都市の人口集中、異常な都市の拡大、そこには工場の団地があるいは計画的にあるいは計画を逸脱してできる。住宅団地もそのとおり。そういう激しい都市の膨張、都市人口の集中、こういうようなことが最近における大きな解決の課題であると考えておるのです。この点は私ども決してとやかく言うものではなし、当然やらなければならぬと考えるのであります。ここで私はどうしても解決していかなければならない有機的な関係を持って、いわゆる調和のとれた都市計画の推進と農業政策の遂行というものが必要だと思う。
 最近のことでありますが、実は私この間私の友人が小田急線の狛江におり、狛江の駅の近所は人家がまばらである。ところが二キロ、三キロと離れた農地の中に入ってまいりますと人家が密集して、新しい家屋がどんどん建つ。これは何かというと、実は聞いてみたら、別に農地の転用に関して農業委員会や何かの承諾も町当局の承知もしていない、こういうものがどんどんできている、こういうお話を聞いてまいりました。畑地または水田の地方に、ある日ある時突然ブルドーザーが入る、いつの間にかそれが宅地化してしまう、こういう事態が最近ひんぴんとして起きている。だからどんどん耕地がつぶれていっておりますので、最近東京の北区では農業委員会を解散しようではないかという決議をしている。無能な農業委員会、そしてもう耕地という耕地はほとんど侵食されてしまっている今日、農業委員会の存在価値がないじゃないかということで、農業委員会解散の決議をしているというこういうようなことでございます。したがってこのまま放置いたしますると、もうおそらく東京の近郊、すべての都市の近郊というものがこのような状態になって農地が侵食されていくのではないかと考えるほかない。
 私はこの間茨城県の石岡という町に農林水産委員会から派遣された委員の一人として行ってまいりました。山林、耕地をつぶして工業団地をそこへ造成しております。たまたまそれに接着して都市の住宅地と工業団地の間に帯状の水田が残っている。私はこれはどれくらいあるかといって町当局の説明を求めたら、約二町ぐらいあるでしょうということであります。そしてこれも、いまもう用水の引き揚げも排水も悪く、こういう水田はいずれつぶれてしまうでしょうと、こういうようなことを冷ややかな態度で言っておりました。私は全く変な気持ちになって帰ってきたのでありますが、これはとにかく町当局も都市計画やあるいは土地区画整理の事業等の首都圏整備事業の一環としての事業等に立ちおくれないように、バスに乗りおくれないようにあせった姿なんです。このまま放置しますると、全く先ほどもおっしゃいまするように、農地というものはなくなってまいります。
 そこで今回の都市計画でまっ先に取り上げておりまするのがスプロール化防止ということです。スプロール化防止ということでありますが、しかもこれは私はこの都市計画の最も先に手をつけなければならない大事な仕事であると思います。ところが、単に抽象的なことばで言われているだけで、一体スプロール化を防止するためには、建設省としては何にまず手を打つか、農林省はそれに応じて何をどうやっていくか、両方からお伺いしたい。
#80
○政府委員(竹内藤男君) 先生おっしゃいましたように、特に大都市の近郊部におきまして、住宅あるいは工場というものが単発的にしかも無秩序にでき上がっていくという状況、これを私どもスプロールと呼んでおるわけでございますが、そういうようなスプロールの形で市街地がだんだんできてくるというのが区画整理等を行なわない日本のいままでの市街地のでき方の現状でございます。これを秩序ある市街地づくりにいたしますためには、やり方といたしましては二つあると思います。一つはばらばらな開発が行なわれないようにできる限り団地としてまとめていく。特に住宅団地というようなものにつきましては、国会で御審議をお願いいたしまして、新住宅市街地開発法というようなものを出しまして、できる限りまとめて住宅団地をつくっていく。そういう形におきましてスプロール化を吸収する。これは事業でございます。こういうふうな形でやってきたわけでございますけれども、やはりそれだけではどうしても足りないということで、やはり計画的に市街化区域をきめまして、それ以外の区域につきましては、市街化を抑制するという規制の手法をあわせ持たなければ効果が上がらないということで、先般都市計画法の改正をお願いして市街化区域、調整区域というような区域をきめまして、そして宅地開発の許可制度というものによりまして、規制の手段によってスプロール化を防止したいということにいたしたわけでございます。片一方におきまして、できる限りまとめて住宅団地、工業団地をつくっていくという事業の方法、規制の方法、両々相まってスプロール化が防止できるのではないかというふうに考えておるのでございます。
#81
○政府委員(池田俊也君) スプロール防止というような観点で農業面からどういうふうに考えるかという御質問でございますが、私どもといたしましては、従来御存じのような農地法がございまして農地の規制をいたしておるわけでございます。したがいまして、農業委員会等で十分判断をしてやればそう無秩序に農地がつぶれるようなことはあり得ないのじゃないか、こういうたてまえは一応あるわけでございます。しかしながら、これは現実問題としてはなかなかそこまで農業委員会に期待をするというわけにはまいりませんので、私どもは地域的に将来こういうところは農業をやはりやっていく、農業を中心にして地域の振興をはかる、あるいはこういう地域はこれは市街化を予定されるというような地域的な仕分けというものをはっきりすることが必要ではないかということで、御審議を願っております農業振興地域の整備に関する法案を実は立案をした次第でございまして、もちろんこれですべてうまくいくというわけのものではございませんので、やはり私どものほうで農業振興地域というものを確定して、その地域の計画的な振興をはかっていく。それと、それからいま建設省からお答えがございました都市計画の方面でも、これは農林漁業との調整をはかるという見地から、今回、いま御説明がありましたようないろいろな市街化区域であるとか市街化調整区域であるとかいうような一つの手法を編み出しているわけでございますので、私どもは十分そういうものとの調整をはかりながら、農業としてはこういう地域を農業振興地域として確保していく、必要な農用地を確保していく、こういうことをはっきりさせまして施策を進めていきたいと、なかなかむずかしい問題でございますけれども、それが今後の一つの柱として十分役立ち得るのではないかというふうに考えているわけでございます。
#82
○武内五郎君 都市計画法の第七条によると、いま説明があったような、無秩序な都市化を防止するために計画的に市街化をはかって促進する、それには区域を確定する、こういうことにしてございます。そこで、私はここに問題があると思います。この問題といわゆる農地法の関係――この都市計画法第七条によると、計画区域を市街化区域と市街化調整区域との二つに分けて、市街化区域の中に含まれた地域における農地はもはや農地としての機能を失ってしまう。これがもう前提であります。そこにはもう農地法の適用はない。いままで農地法というのはとにかく農業の基盤である農地を守るために今日までやってきた法です。がんばってきた法律であります。私は今日、日本の産業が、この間経済企画庁の発表によると、国民生産が西ドイツを抜いて世界第二位にのし上がったといっておりますが、国民生産力がそれほど成長するに至ったのは、私は農民が農地に安定して食糧を生産して、国民に食糧供給の心配のない状態になっておることが日本の生産力の大きな躍進の基礎である。それを今日、この線の中の農地はこれは農地じゃありませんというようなことで、農地に対する考え方を持っておられるとすれば、これは私はきわめて残念なことである。やがて日本の農業は衰退してしまう。都市がかくのごとくにして膨張していくならば、日本の農業の衰退はもう火を見るよりも明らかであります。日本の農業は山岳かどこかへのぼってしまわなければならないことになってまいるだろうと思います。市街化調整区域といっておりまするが、ある人はこれを市街化予備地域  予備地域だと、こう言うのです。やがて、これも侵食されて、いまでさえもそういう区画線が引かれていない。いまでさえ侵食が実に迅速に激しく行なわれておりますのに、予備地域の存在をつくったら、さらに侵食と虫食いがかえって強くなるのではないかと考えられる。これは特に私は農林省にお伺いしたいのですが、そういうふうに考えられないですか。どうですか。
#83
○説明員(松平孝君) 市街化調整区域におきましては、特に農地の転用等はきびしくやるように考えております。なお開発行為につきましても、ある一定規模以上のものをみなければならないとか、あるいは開発行為の種類等も厳重に考えるようになっておりますので、かえって虫食い状態を起こすというようなことはないようになるというふうに理解をいたしております。
#84
○武内五郎君 実はたいへん――かえってこれは虫食いを放任するものではないかと最近考えられておるわけなんです。最近、神奈川県で、とにかくもう都市計画法が国会を通過したということになったら、もう非常な加速度に農地転用の申請が提出されている。一カ月四百件から五百件にわたる件数で提出されていると聞く。非常な加速度的な増加だと、これは防止することはできない状態になってしまう。単に、いや区画を整理することによってこれを防止する手だてができると言われますが、かえってそれは防止どころの話ではなくて、この際ひとつ大きく入っていって、その地方を深く市街化区域の中に含ませるような線引きの前提をつくろうではないかという考え方が出ておるという話、まことに私もうなずけるような気持ちもします。いまそういうようなことが防止できるごとくに言われますが、かえってそれが拍車をかけることになってくるものと思います。神奈川県での調査によると、五百戸の農家のうち百五十戸の農家は、私どもはどんなことがあっても農業を続けていきたいと言ってがんばっているという話も聞くのであります。これは当然だと思うのでありますが、また千葉県下では、これがこういうようになってくると、農地が農地として役に立たない状態になってはかなわぬから、いまのうちにどっかその線の外に早く逃げ出そうじゃないかという農家がかなり出てきておる。こういうようなことで、実は近郊地帯における農業は非常に大きな混乱におちいっているということは事実なんです。こういうようなことでございまするので、私はそう簡単に、抽象的に防止ができまするといってもいかない。もっと具体的な私は実は対策をお伺いしなければ、農振法というものにもほんとうは納得のできない点がたくさんありますので、もう少し何か手を打つ方法はないか、そういう点をひとつお伺いしておきたいと思います。
#85
○政府委員(池田俊也君) 神奈川県の例で、都市計画法が施行になりましたら、転用の申請がどっと出てきたというお話でございますが、やはりそれは市街化調整区域というようなことになりますと転用が非常にむずかしくなるということで、何かそういうような判断と結びついているのかという気がするのでございますが、農地局から答えがありましたように、私どもの考えといたしましては、市街化調整区域というのは、これは開発行為が非常に制限をされるわけでございます。もちろんいまお話のありましたように、将来いろいろな事情が変わりますならば、これは調査をいたしまして、市街化区域にまたなるということはあり得るわけでございますけれども、当面はとにかく市街化を抑制する区域でございます。
 それから私どものほうの、いま御審議願っておりますこの法案の農業振興地域というものも、当然これは市街化調整区域とダブって適用されるわけでございます。でございますので、私どもは、市街化調整区域の中で、農民がやはり農業を将来もぜひやりたいという気持ちが非常にはっきりしているならば、これは当然農業振興地域に指定をいたしまして、その中のまた主要なる地域は、農用地計画の対象といたしまして、農地の転用等を制限をする。そういうことによって将来も農用地として確保していくということができるわけでございます。ただ都市付近の農民の方が必ずしもそれを希望しない。都市に近くなりまして、いろいろな関係で農業をやるのが非常にむずかしいということでございますと、これはもうなかなかむずかしいわけでございますけれども、農民がとにかく将来農業をやっていこうという気持ちさえしっかりしているならば、十分これは市街化調整区域に農業振興地域をかぶせていく、それによって農用地が無秩序につぶれていくのを押えるという方法がここにあるわけでございますので、私どもは都市計画のほうの線引きの問題と、それから私どものほうのこの農業振興地域の適切な運営というものをやれば、十分いまの御心配にはこたえられるのじゃなかろうかという気持ちを持っておるわけでございます。
#86
○武内五郎君 それで私はさらにお伺いをしたいことは、その市街化区域の中に含まれました農地は、先ほど申し上げましたように、農地としての機能がなくなってしまう。農地法による農地としての取り扱いは失われてしまうのであります。ここで問題は、まず農地法によって守られている農地に関するいろいろの農民の諸権利、これは個人的な私権もあります。あるいは部落とか、農地に関係する多数のものの持っている権利、こういうようなものもあるいは消滅しあるいは取り上げられてしまうということになるのじゃないか。まず第一に、個人の農地関係における権利、まずそれは農地としての耕作が全く不能になってくる。こういう大きな権利が一つなくなってしまう。これが一つ。
 第二は、特に農地としての機能を守っていくために設けられておりまする農地法第四条並びに第五条、これによって守られていって農地をして安定する条件をつくっていたものが、これがなくなってしまう。さらに、ある地域における農民が持っておりまする、たとえば農地を耕作するための農道使用の権利、用水使用の権利――これは用水もあり排水路の関係もあります。また場合によれば、河川からの取水の権利、こういうような、あるいは個人の持っている権利からあるいは集団の持っている権利が失われてしまうことになる。こういうようなことを、一体、建設省がこの計画を立てるにあたりまして考えたかどうか、この計画を建設省で立てられるにあたって、農林大臣はいかにお考えになってこの法案をそのまま出されたのか、その御心境をお伺いしたい。
#87
○国務大臣(長谷川四郎君) 都市周辺の農耕地が非常に潰廃をしていく。おっしゃるように、それをその市街化区域内においてもその権利が失われるという意味ではないのでございまして、その権利は保持していこうと思えば保持していける。しかしあまりにもこのごろは膨大な潰廃をしていくから、この辺のひとつけじめをつけなければいけないというようなことで、そこでただいまお話しのあるような、つまり市街化区域というようなものをきめて、さらにまた調整区域というようなものがきめられてあるのでございまして、そういうような用水の利用等につきましても、みずからがこれを放棄することなくそれを行なっていくのだというならば、強制的にその方に農業をおやめくださいという意味ではないのでございますから、別にそれが消滅をしていくというようには私どもは考えられないのであります。
#88
○説明員(松平孝君) いま大臣がお答え申し上げましたけれども、ただいまの問題は、法第三十二条におきまして開発行為を申請しようとするものは、たとえば市街化区域の中で関連のある用排水の施設の管理者等にあらかじめ協議しなければならないというようになっておりますし、それから農地法の関連でございますが、これは転用の届け出をするまでは、農地法におけるいろいろの条項が適用されるわけでございます。農地法の転用許可が必要でない、届け出をすればよろしいという点だけが違っているということでございます。
#89
○武内五郎君 その届け出の必要がないということが、すなわち農民から農地を奪う、これは重大なことだと思う。それから、協議を整えてという、かりに協議が整わない場合はどうなってくるか。都市計画法の中で、土地収用法まで発動することができることになる。こうなってまいりますると、ウンもスンもない話なんです。これをやって、この線の中で君たちが承諾しない限り、これは農地法はもちろん、その土地に対する農地法の効力というものは消滅する。土地収用法によってこれを取り上げることもできるのではないか、こういう結果にならざるを得ない。先ほど農林大臣が、その区画の中でも農業ができるようにと言われましたけれども、大きなビルが建ったり、用水の元が閉ざされてしまったりするような状態で農地が残されたとするならば、そこに日照権の問題、あるいは利水の問題等で大きな障害が起きて、それで農業ができるはずはありません。ほんとうに農業を考えておるものかどうか困った話だと思いますが、一体どういうふうに考えたらよいか。
#90
○政府委員(池田俊也君) ただいまの武内先生のお話は、市街化区域の中の問題だと思うのでございますが、これはどういうところを市街化区域として線を引くかという問題はなかなかむずかしい問題でございまして、私どもは非常に優良な農業地域というものは市街化区域の中に入れていない。そこから取り出されまして、市街化調整区域の中に入るようにするという考え方をいたしておりますし、野菜の指定産地等で現にそういう指定が行なわれているというところでは、あるまとまりがなくてもこれは市街化区域に入れないというふうにしようということで、建設省とお話し合いをしているわけでございまして、したがいまして市街化区域の中に残る農地というものはこれは本質的には市街化を進める地域でございますから、その中におきましてあるいは都市施設を設置するためにあるいは土地収用法を適用するというようなこともそれはあり得るわけでございまして、これはやはり私どもは都市計画法のいまの考え方のたてまえから言うと、やむを得ないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかしながら将来も農業としてぜひ残したいし、また残すに値するようなものは極力市街化区域の中に入れないようにしたい、こういう考えでございます。
#91
○武内五郎君 優良農地は市街化区域から除くというのだが、現に大阪等の市内においては農地がかなり残っておる。しかもこれが大阪市民に対して野菜、くだものの供給地として、それらがもう何も農地としての力というか効力というものが、それを持たなくなってくるとするならば、これはまことに重大な問題であります。しかも私はこの市街化区域内においてさえもそういうふうに農地が残る。これは私は、農林大臣が先ほど、市街化区域のものでさえ農業は何も禁止することはしない、これは当然の話であります。けれどもそれではそこにまた問題が起きてくることは、いままでそういう線なんというもののなかった時代には、当然農地としてのいろいろな行政上の施策がとられておった。しかしそれがもう全くなくなって、こういうところでは農業なんというものをやるのは第一間違っているのだ、そういうようなお考えでいったとするならば、私はまことに日本の農業――農振法そのものも農業を守るような状態になっているとは思えない、いろいろな私はこの農振法についての疑問を持つわけなんであります。
 そこで、しからば優良農地は市街化区域の中に入れないというならば、優良農地というものはどういう条件を持っているものを優良農地と言うのですか。市街化区域の中に残った農地を耕作する農民に対しては、一体、農業政策しでは何を考えてくれるのか。その二点をひとつ。
#92
○説明員(松平孝君) ただいま考えております優良農地というのは、一応やはりある程度の集団を持っている必要があるということで考えておりますが、集団の規模等につきましては、先般来当委員会におきましてもいろいろと御意見が出ておるわけでございますけれども、私どもおおむね二十ヘクタール以上という考え方を持っております。と申しますのは、ただいままでのところいろいろの制度によって公共投資のなし得る規模の一番小さいのがおおむね二十ヘクタール以上ということになっていることにもかんがみまして、このような規模を申し上げているわけでございますけれども、しかし、たとえばただいま農政局長から申し上げましたような野菜の指定産地の団地等につきましては、二十ヘクタールを割って指定しているのもございます。そういうようなものにつきましては、当然優良農地という考え方をしてまいりたい。それから高性能な機械が十分使える土地である、あるいは収量が平均以上のいい収量をとっているようなところ、こういうところを考えてまいりたいと思います。具体的にはざらにまた土地改良事業等で投資が行なわれ、あるいは農業構造改善事業等が行なわれた場所、あるいは現に計画進行中であるところというようなもの等につきましては、やはりこれは優良な農地ということで考えてまいりたいということでございます。
 それから市街化区域の中に入りました農地につきましては、効果が長期に及ぶような公共投資はなすことは考えておりませんけれども、災害復旧あるいは普通の農政上行なわれます技術の指導あるいは植物防疫のほうの仕事、こういうようなものにつきましては、政策の対象になるというふうに考えております。
#93
○武内五郎君 災害上における取り扱いはそれはもう農地としての取り扱いでなくて、市街の中の土地としての取り扱いになってくるのじゃないですか。最近国税庁では、もはやその市街化区域内における農地は農地として取り扱わないことにしたという話です。そこで実は、これは来年の一月に固定資産税の評価がえ、そこでいろいろあちこち、関係から聞いてみますると、もう農地としての取り扱いではなくて、宅地としての取り扱いに変わっていかざるを得ない。しかもそういう場合における田地の課税は宅地を基準として算出する、こういうようなことを言っておるのです。もう完全に農地としての機能がそこになくなってしまうというなら、幾ら災害においてはこうだと言っても、それはもう農地災害ではなくて、その区域内における宅地等の災害になって扱われてくる、こういうふうに考えるのですが、それは間違っておるかどうか。
#94
○政府委員(池田俊也君) 農地局からお答え申し上げましたわけでございますが、私どもの考え方としては、市街化区域の中というのは、これは市街化を進める地域というふうに性格づけられるわけでございます。そういうことでございますので、いずれは市街化されるということでございますから、そこでまあたとえば農用地としての基盤整備を新しくやるというのは、これはいかにもその国の大事な金をむだづかいするということにもなるわけでございますから、そういうものはなかなかこれはやるわけにはいかない、しかしながら現に農地としてある限りは、それはやはり必要な農政面のいろんな施策といいますか、そういうものは十分これは考えていきたい、こういう気持ちでございます。一口で申し上げてそういう気持ちでございます。
 だから税の問題でいまお話があったんでございますが、私どもが承知しておりますのは、従来自治省等ともいろいろ話し合いをしたことがございますけれども、現状におきます考えとしては、市街化区域であるからといって直ちに農地について宅地並みの扱いをするということではないと私どもは了解をしているわけで、いろんな宅地としての機能が備わっておるといいますか、都市施設が整備されまして、まさに宅地として使われるような状態になっているものにつきましてはこれは宅地並みに扱う、しかしながら現に農用地として農業が行なわれるという状態であれば、これは必ずしもそうじゃなくて農地並みの扱いをするというふうに、大体思想としてはそういうふうに私どもは了解をしているわけでございます。
#95
○武内五郎君 その了解は国税庁等との中においての了解ですか。私は最近国税庁の関係の人の書いた文書を読んで実に戦慄を感ずる。そういうふうに宅地並みに扱ってまいりまして、したがって今後の固定資産税、不動産税あるいは譲与税、相続税等もそれに準じてやっていかざるを得なくなるわけです。そういうようなことが書いてある。だからいま局長がそう言うことは、そういう了解がはっきりできているのかどうか私はお伺いしたい。
#96
○政府委員(池田俊也君) 私どもはそういうふうに思っておりますし、それから先般武内委員おいでにならなかったかと思うわけでございますが、自治省等からも本委員会であったか、あるいは衆議院であったかちょっとそこは記憶がはっきりしないのでございますが、出席いたしまして、私と大体同じような答弁をしているというふうに私は理解しております。
#97
○武内五郎君 これはまことに重大な問題でありますので、大臣ひとつ、これは大蔵省との確たる折衝において明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#98
○国務大臣(長谷川四郎君) 附帯決議の趣旨は十分尊重をいたして、そして大蔵省のほうとも今後も折衝を申し上げるつもりでございます。
#99
○武内五郎君 そういうふうないろいろな制限が個人的にあるいは農民としての集団的な制限が加わってまいりますので、私はそういうものについて大きな疑念と心配を持っているわけなんであります。特に私は、もう疲れたので、これでやめにさせてもらいまするが、この都市計画法から農振法に至る両法案の内容等を考えてみまするときに、私は実はこういうことを思い出さざるを得ないのです。
 かつて、これは歴史上の重大な事件でありまするが、御承知のとおり産業革命が欧州で一七〇〇年の初頭から約百年以上にわたって欧州を風靡した、これと相並行するがごとくに特にイギリスを中心として新しい産業に封建的な領主や地主が乗り出していく段階において農地取り上げの大きな問題があった、インクロージア・ポリシーがとられたことを思い出さざるを得ない。農民を農地から追い出す対策をとった。私はそれが直ちに今度の都市計画法や農振法の中に当てはまるとは言わないけれども、何か相通じるような気持ちがしてまことに残念だと思います。農民はへいをつくられて火をかけられたとか、あるいはさらにこれがインクロージア法の制定によって強制的に農地から追い出されている。いろんなことをやられて農民が村から離れてロンドンやその他の都市に流れ込んで流浪してきた惨たんたる歴史が今日の資本主義形成の直前にあったのであります。
 私はこの歴史の事実を考えてみまするときに、今度のこの二法の精神がそこにあってはならない、どうかそういうことのないようにひとつ対策を農林大臣、農民がたいへんお世話になると思うのですが、ぜひひとつそういうことのないような、あたたかい気持ちで血の通った農業政策というものがとれるようなことをお考えになっていただくようにお願いして、大臣の御所見をお伺いしたい。
#100
○国務大臣(長谷川四郎君) 十分御趣旨を尊重いたしまして、農民を守れということ、もちろんそのとおりでございまして、その御趣旨を十分守りながら今後の農政を行なってまいる考え方でございます。
#101
○中村波男君 最初に都市計画局長にお伺いをいたしますが、新都市計画法は形式的には知事の権限を強めて一応地方分権化をはかるように見えまするけれども、実際には新都市計画法を成功させますには、ばく大な公共投資を必要とするのではないかと思うわけです。したがって、財源の裏づけを考えない都市計画というのは、これは絵にかいたぼたもちということになりかねないと思うわけです。結果的に事業主体というのは市町村にあるわけでありますから、具体的に申し上げますならば、交付税率の引き上げとかあるいは道路、上水道、下水道などの国庫補助率の引き上げ等々の財政措置を具体的に考えないと、青写真はできたけれども、それを受けて立つ市町村等は具体的な計画の推進ということにはならないのではないか、こういう点についてどのようにお考えになっておるか、まずお伺いをいたしたい、こう思うわけです。
#102
○政府委員(竹内藤男君) 先生おっしゃいますとおりでございまして、特に新しい都市計画法は法律が変わるということよりも、むしろこれによって新しい都市計画が行なわれるという期待が持たれて成立したものでございまして、総合的な都市のマスタープランに基づきまして、個々の施設なり事業計画を立て、それに対して十分な財源措置をするということが最も必要なことでございます。そういう考え方から私どもといたしましては、特に市街化区域になるような地域につきましては、できる限り都市施設の国の補助金なり費用なりをつぎ込んでまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 さらに特に大事なことは、公共施設の整備でございます。その際に用地を先行的に取得するというようなことが特に大事なわけでございます。そういうことのために、先般の国会で土地基金というようなこともうたわれておるわけでございます。今年度も交付税財源あるいは起債、都市開発資金というようなもので約九百億くらいの資金を用意いたしておりますけれども、そういうことも今後大いにやっていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。ただ既成市街地の中の公共施設の整備ということは、すでに家が建てこんでいるところでございますから、これを十年で完璧に行なうということは、私どもむずかしいと思います。したがいまして、既成市街地につきましては、最小限最も重点的な投資をしていくというふうにせざるを得ない。しかし、これから開発されます新市街地につきましては、開発許可制度を運用いたしまして、開発者にある程度都市施設の整備を行なってもらうと同時に、その中で公共施設に当たるものについては、公共団体がこれを有償で買い入れるというふうなことも法律に書いてございますが、そういうふうな措置を講ずるとともに、新市街地についての公共施設の整備は宅地なり建物なりの整備と並行して行なわれるように私どもとしてはつとめてまいりたい。そういうふうな形によりましてできる限り公共施設と市街地の宅地なり建物の整備が並行して行なわれるような姿に持ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますから、今後われわれとして大いに努力していかなければならないというふうに考えます。
#103
○中村波男君 次は、六月実施ということになりまして、すでに線引きの作業がどんどん進められておるわけでありますが、いままで私たち農振法の審議に関連をいたしまして、農林省からお聞きをしておるところによりますと、大体農地の中で市街化地域に組み込まれる面積というものは、十九万ヘクタール程度ではないか、こういうふうに聞いてまいったのであります。しかし、われわれは全体を見ておりませんから予想がつきませんけれども、地域的な動き等を見ておりますと、実際問題といたしましては市街化区域になるのと調整区域になるのとでは地価の値上がりという問題がからんでまいりまして、むしろ市街化区域に編入をしてもらいたいといういわゆる農民側、土地所有者側の強い要求というのが出てきておりまして、実際に線引きをされる場合には十九万ヘクタールを大きく上回るような線引きをせざるを得ないような結果になるのではないか、こういうふうに見ておるのでありますが、もちろん的確な予想は現在の時点においてつかみにくいとは思いまするけれども、いままでの作業過程から見てどのようにこの点をお考えになっておるかお聞かせをいただきたい、こう思うわけです。
#104
○政府委員(竹内藤男君) 十九万ヘクタール、千九百平方キロでございますが、全農地面積の約四%というのは、私どもが机上で建設省の私どものところで大体こういう姿になるのではないかというふうに試算した数字でございます。もちろん市街化区域、調整区域の指定は知事がきめるわけでございますから、実際の線引きが行なわれてみないとわからないわけでございますが、大体これくらいになるんじゃないかということを、実はこの前都市計画法案の審議中に申し上げた数字でございます。したがいまして、その点についてはそういうことでよろしいわけでございますが、確かに先生おっしゃいますように、現在県で市街化区域の案をつくりつつある段階でございます。県の中で各部と相談し、あるいは市町村と相談をしておる段階でございます。その中で市街化区域に入れてくれなければ困るというし地所有者側の声があるわけでございます。私どもも先生と全く同じような心配をいたしておるわけでございますけれども、これは先ほど来御議論がございましたように、農林業をやる区域と、将来市街地にする区域というものを地元におろして、そうしてそこにおいて市街化区域、いわば農林区域というべき市街化調整区域をきめていただくわけでございますので、何とかして私どもといたしましては農林省と相談をいたしました基準に従って、その基準を守る形で線引き作業を行なうように、県なり市町村なりに働きかけをいたしておるわけでございます。ただいまのところ作業の結果というものが明らかになっておりませんので、この千九百平方キロというのが、どれくらいふくらむのかというようなことにつきまして、いまの段階で予測を申し上げることはできないとかように考えます。
#105
○中村波男君 次は、農林省農地局がお出しになりました「都市計画法による市街化区域および市街化調整区域の区域区分と農林漁業との調整措置等に関する方針(案)」、これの七ページの「農林漁業者の生活再建および周辺農林漁業への影響に対する措置」、この中に「生活再建の措置、とくに離農者の安定した就業の方途、他の地域に移住して農林漁業を継続しようとする者に対する代替地のあっせんおよびこれに伴う農用地の権利移動の調整等の措置について意見調整を行なうものとする。」と、こうあるわけでありますが、この「意見調整」とはどの機関でどのように行なうという具体的な内容についてまずお尋ねをいたしたいのと、ただ意見調整をするというだけなのか、あるいは財政的な裏づけというものをお考えになっているのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思うわけです。言いかえますならば、都市開発、特に市街化区域における農家の転業、移転などの生活の再建、代替地のあっせん、分譲等に要する資金の貸しつけなどに要するいわゆる農家のアフターケアについて対策が用意されておるのかどうか、この点がお聞きをしたい要点であります。
#106
○説明員(松平孝君) ただいま御指摘の、意見調整を行なう主体は市町村農業委員会でございまして、市町村農業委員会が中心になって市町村内の農業協同組合、あるいは市町村の農林担当、あるいは土木担当、そういうような人たちとの間で意見調整を行なう。その活動費といたしまして、今年度農業委員会に対しまして全国で約千五百万円の活動費を流しております。なお、生活再建その他アフターケアに要する経費でございますが、これにつきましては特に別立てで用意はいたしてございませんけれども、そのような調整の結果出てきたものに対しては、当然優先してその措置をするというように取り計らっていくということになります。
#107
○中村波男君 事務費は計上してあるということでありますが、考え方として、いわゆる農地を売れば相当な金が入るから、その金で代替地を求めるなり生活再建をはかればいいという、こういう考え方の上に立っているのではないかと考えられるわけです。いまそういう具体的な問題が出てきたならば、それに対する措置を考えていきたいということでありますが、具体的には来年の予算にそれらの対策に要する国庫予算というものを組まれなければ間に合わないという、こういう結果になっていくと思うわけです。したがって、いわゆる生活再建の中には、農地を持っておる者は農地を売れば相当な金が入るという、そういう収入の道があるでありましょうが、小作地等の場合にはそうはいかない場合もいろいろ出てくると思うわけであります。したがって、具体的に再建の道を考えるというのであるならば、助成措置というのか、予算的に裏づけなければならぬと思うのであります。こういう点について、相当突っ込んだ具体的な検討というのはいま進められておるのかどうか。また、私はこれは農林省がその措置を行なうのか、あるいは都市を再建するという立場で建設省においても考えてよいのではないかと、まあこういうふうに考えるわけでありますが、どちらにいたしましてもそういう方途というものを考えないと、都市開発という名のもとに、いわゆる犠牲を負う農民というのが出てくるのではないか、こういう立場で質問を申し上げておるわけであります。建設省あるいは農林省、それぞれひとつお考えを具体的にお示しいただきたいと思うのであります。
#108
○説明員(松平孝君) 区域の外に出て農業をさらに継続してやっていきたいというような希望の方につきましては、農地取得資金等の中で十分これはごあっせんできると思います。
 そのほかの面につきましては、これは具体的に問題が起きてきますれば、それぞれまた方途を講じなきゃならぬわけでございますけれども、中には離農していらっしゃりたい方も出てくるのではないかということもございますので、そのような面につきましては、ただいま来年度の予算を踏まえまして、いろいろと検討もいたしておるところでございますので、十分研究さしていただきたいと思います。
#109
○政府委員(竹内藤男君) 農民の方が農業を継続されたいという場合の対策その他につきまして、農林省のほうから御答弁がございました。私ども建設省側といたしましても、農業を継続しないで、農民の方が持っておられます土地を利用してたとえば住宅を建てられて、それを貸し家経営をするというような問題につきまして、いまいろんな案が新聞等に出ておりますけれども、私どもの住宅局で現在真剣にそれに取り組んでおりまして、何とか来年度施策として実現させたいということで取り組んでおります。
#110
○矢山有作君 いま私は衆議院で修正された法律の条文を持っておりませんので、はっきりしたことは申せませんけれども、この生活再建の措置については、たしか衆議院段階で新都市計画法の修正の際に、新たに設けられた規定だったと思うんです。ということは、それほど都市計画によって犠牲になる農民の生活再建という問題が重要であるという観点からそういう規定が挿入されたのだろうと思うのですが、そういうことを踏まえて、それら犠牲になる農民に対する生活再建の措置が、この農林省と建設省との間の調整措置に関する方針を見ますと、農業委員会等にまかせられるというのは、これはあまりにも無責任じゃないかと思うのです。なるほど農地のあっせんぐらいならできるとおっしゃるかもしれませんが、しかし農地のあっせんだって、これはいまのような状況の中からはそう簡単にできるものではありますまい。まして、離農者の安定した就職先をこしらえるということになると、これはたいへんな問題だと思うのです。こんなことを一農業委員会やそれからまた農業団体等でできるというような、そんななまやさしいものじゃないと思う。したがって、生活再建の措置という規定が挿入されたことを踏まえて、これに対する具体的な考え方というものを示していただかぬと、われわれは困るわけです。こういう意見調整をやるんだという、そんなことで逃げられたんでは、犠牲になる農民というのはこれは浮かばれない。したがって、具体的な構想としてどういうものを考えておるのか。すでに新都市計画法は、法律が成立してから一年になる。そしてまたその間、農林省としては建設省といろいろ協議を重ねられてきたはずです。こうした重大な問題についての具体的な成案がなしで臨んでおられるとは私どもは考えたくない。もう少し具体的にどういう構想を持っておるのかということを明示していただきたい。
#111
○政府委員(竹内藤男君) 生活再建のための措置は、確かに先生おっしゃるように七十四条でございます。国会の修正に入ってまいりました。これは、生活再建の措置は、都市計画事業等を行ないまして、それによって土地を失うこととなる人に対する規定でございます。これにつきましては、それぞれ施行者が宅地のあっせん、住宅の取得、職業紹介、指導、訓練というようなことをやるように義務づけているわけでございます。いま問題になっておる、市街化区域に入ることによって農民がどうなるかということにつきましても、大事な問題でございますので、私どもも農林省にお願いいたしまして、農林省と一緒にいま検討いたしておるわけでございます。ただいまのところ御答弁申し上げたような段階であることを御了承願います。
#112
○説明員(松平孝君) これは、意見の調整を一番現場に近いところでやるのは、中心になってやるのは農業委員会でございますけれども、当然その問題は都道府県の農林とそれから建設側との意見の調整の場にのぼってまいりますことで、その際に出てきた問題を、たとえばいま都市局長からお話のありましたような具体的な問題につなぐ、あるいはまた農林側の中で処理をしていくというふうな形で進めてまいる、こういう考え方でございます。
#113
○矢山有作君 都市局長のほうから七十四条の問題について、施行者のほうでそういう生活再建の方途を講じるんだというふうなお話があったんですが、一体施行者でそういうことがやれるでしょうか。その問題をむし返すと私は衆議院段階で修正されたときの考え方というものに大きな疑問を持った立場からものを言うことになるわけですけれども、私は施行者にそういうことをやらそうといったところで、実際問題として非常にむずかしいんじゃないかと思うんです。それが証拠に、「新都市計画法の要点」という、これは大塩さんが書かれた本のようですが、それを読んでみると、やはりこの規定の性格というものをこういうふうに書いてますね。「事情の許す限り、また事業の性格によってはこういう措置を努めるべきことは当然の注意規定」だ。単なる注意規定の扱いしかしてない。また事実私も読んでみて、注意規定だと思うんです。で、そういうことで逃げられてしまったんでは、私は犠牲になる農民はたいへんだというのです。したがって、衆議院の修正段階で十分でなかった点というものを私どもが指摘しなければならぬけれども、しかし、やはり国においてあるいは公共団体において事業を施行するわけですから、その生活再建という問題については、この七十四条で逃げてしまうということでは、私は事業の遂行は非常に困難になるのではないかと思うし、またそれによって犠牲になる農民はたまったものではない。だからこの点は実際の面でもう少し検討してもらわなければならぬ、こう思うのですね。検討されるのかされぬのか。この七十四条で逃げられてはこれはたまらぬのです。
#114
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画事業は多くの場合、公共団体施行でございまして、都道府県なり市町村が行なうものでございますので、私どもといたしましては、従来、ただ用地買収をすればお金を払えばいいという態度では困るということで、実は収用法にもこういうような規定があるわけでございますが、その規定を収用によらざる場合にも一般化するということで私ども賛成して、これは入れていただいたわけです。したがいまして、この規定が実際実効があがるように私どもとしては十分指導してまいりたい、こういうふうに考えます。
#115
○矢山有作君 これは都市局の問題でもある、建設省の問題でもありますが、より私は一次的には農林省が中心に考えなければならぬ問題だと思う。こういう重大な問題は意見調整というようなことで済まされる問題ではないと思うし、農業委員会等の農業団体にまかせておける問題ではない。農林省としては、こういう考え方をやめて、真剣に生活再建の措置を考えるのか考えないのか、それがはっきりしてこなければわれわれは納得いかない。その調整措置に関する方針であくまで処理する、それで責任をのがれていくという考え方ですか、それともこれでは不十分だから農林省としても真剣にこの問題に対処していくという考え方なのか、そこのところをはっきりしておいていただきたい。
#116
○説明員(松平孝君) ただいま御指摘の第七十四条の問題と、それからいまの調整措置に出ております意見調整とは時点がちょっと違っておりまして、調整措置のほうは線引きをする際の問題でございます。それから七十四条のほうは都市計画事業の施行をする場合のことを書いてあるわけでございまして、その時点の差がここにあるわけでございます。
#117
○矢山有作君 そんなことはわかり切った話なんですよ。幾らこちらが頭が悪いといっても、七十四条を見た場合とこの調整措置に関する方針を見た場合には、その次元が違うことはわかっている。次元が違うからそれじゃあこのままでいいというのですか。農業委員会等に生活再建の措置をまかせてしまうのですか。それでは意見調整が困難なんではないのですか。それでなおかつやろうとすれば、これはあなた強行にならざるを得ぬのじゃないか。それだから私は次元の違いを問題にしておるのではないが、七十四条の規定を踏まえて施行する場合に、あるいはその事前の段階で調整措置について意見調整をやる場合も、そういう生活再建についての確たる腹がまえが要りゃせぬかということを言っているわけです。
#118
○説明員(松平孝君) 農業委員会にまかすということは、先ほどから申し上げているわけじゃございません。その農業委員会が中心になって意見の調整は行ないますが、そこで出てきた問題は当然都道府県の段階の問題になります。農林側と建設側との意見の調整にそこに問題が入ってくる、こういうふうに申し上げたわけでございまして、農業委員会にすべてまかすということは申し上げていないと思っておりますが……。
#119
○矢山有作君 大臣、いまの部長の考え方を踏まえて、国としても、その生活再建の措置に対して積極的な姿勢で取り組むのですか取り組まないのですか。これは事務官のああいうふうな事務的な答弁だけじゃだめなんです。
#120
○国務大臣(長谷川四郎君) 町の問題でございますから、初めから国、政府が出ていって云々ということもどうかとも思いますので、したがって町のほうで十分調整を整え、どうしても調整が整え切れないという場合があるならば、当然責任を持ってこの解決に当たらなければならぬと、こういうふうに考えます。
#121
○中村波男君 次は、池田農政局長の先般の御答弁によりますと、市街化調整区域はほとんど農業振興地域に指定をすると、こういう御答弁をいただいた。そこで私、問題になると思いますのは、判断の基準となるのは何かということであります。具体的には農業振興地域基本方針における農業振興地域の指定基準に関する規定において定められることになると思うのでありますが、基本方針は都道府県ごとに定めるのでありますから、地方公共団体によっては異なった基準が設けられる。したがって、一貫性を欠く可能性というものもあるのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。したがって、もう一つ問題は、市街化調整区域はなるほど市街化を抑制する地域ではありますけれども、しかし、五年、十年という期間の中にはまだ市街化する可能性というものを持つ性格ということは明らかであります。そういうところを農業振興地域に指定をして、長期投資を行なって農地を保全するという立場に立つ地域指定であるならば、矛盾があるのではないかということも一面考えられるわけであります。この二つについてお答えをまずいただきたいと思います。
#122
○政府委員(池田俊也君) 市街化調整区域の中でいろんな性格があると思うわけでございますが、あるいは比較的近い将来に市街化区域の予備軍というとことばがあまりよくないわけでございますが、市街化調整区域に編入するほうが妥当であると判断されるような部分が出てくることもあり得るわけでございます。そういう地帯もおそらく出てくるだろうと思います。しかし、そうではなくて、五年なりあるいは十年後、さらにその後におきましても当然農業地域ということで残る地域が非常に多いわけでございます。いま先生が、あるいは五年後に市街化される可能性があるのに、長期投資をするのはおかしいではないかという御指摘は、確かにそのとおりでございますけれども、その点はいまの段階では判定がつかない。いまの段階ではまだ市街化はされないという前提で市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域の中に仕分けをされるわけでございますから、これは当然私どもは一応農業地域として存続をするという前提で農政面でそういう諸般の対策を講じていくということになろうかと思います。
 先般、市街化調整区域というものには私どもは農業振興地域の網をかぶしていきたいということをお答え申し上げたわけでございますが、これは基本的にはもちろんそういうことでございまして、ただ、現実的には、その地域におきます住民のための判断、農民のための判断で私どもはそう考えますけれども、やはりそうじゃなくて、もう農業にはそれほど熱意を持っていないという地域も部分的には出てくることがあり得るわけでございます。まあ極力私どもはやはり農用地を確保したいという観点でそういう線の指導をいたしたいと思っておりますが、部分的にはそういうことがあり得るわけでございます。そういうような若干のいろんなニュアンスの違いがございますけれども、私どもはこの法律が通りました暁には、極力この網をかぶせるように努力したい、こういう気持ちでございます。
#123
○矢山有作君 いまの局長のお話を聞いておりまして私はこういうふうに理解したんですが、区域の中にも、地元の農民の意見ではもういつまでも農業をやりたくないというところも部分的には出てくるだろう、こういうお話をなさったわけですね。そうすると、そういう地区が調整区域になる、そうした場合にはどういう問題が起こるかというと、いわゆる市街化区域でないから公共投資は全然行なわれない。しかも、一方において、そういう農民の意向があるというふうに農林省が判断した場合には、そういう区域は農業振興地域としても指定をされないだろう、こういう問題が起きますね。そうすると、農業投資からも見放される、こういうことになるのではないですか。そうなるとその調整区域の農民というのは一体どうなるか。農業投資からも見放されあるいは都市計画面からする公共投資からも見放される。しかも、転用についてはきびしい制限が行なわれている。これは私は理屈に合わぬと思うのですね。だから調整区域に指定をしたんであるならば、私が調整区域というものを法文どおり理解するならば、市街化を抑制する区域だ、抑制する区域だという点に重点を置いてものを考えるなら、やはり農業区域として保全をするという点に重点を置くべきじゃないか。もしその観点が抜けてくるといま私が言ったような状態に陥ってしまう。そこで私は都市計画に対して農業サイドから見た場合に全くの受け身じゃないか、そういう考え方が行なわれるならば、この農振法が通ったところで何ら農地を保全し農業の確保をはかろうということにつながらぬのではないかと思う。だから調整区域というものに対する根本的な認識の問題、それに私は問題があると思います。その点はどうなんですか。
#124
○政府委員(池田俊也君) 現状におきまして、まず市街化区域に入るのか、市街化調整区域に入るのかという問題が一つあります。これは当然都市計画的なサイドからの一つの判断の問題と、それからもう一つは地域住民の意向というものが決定的なものになる、こういうことでございまして、一応現状におきましては市街化区域ではなくて、市街化を抑制する区域にすべきであるということに一応なりまして、市街化調整区域になるわけでございますけれども、その場合におきましては、私どもの考え方は先ほど中村委員の御質問にお答え申しましたように、やはり現にそこで農業が行なわれ将来も農業が行なわれるに価するようなものにつきましては、結局農業振興地域としてダブって指定をしたい。そして必要な公共投資等も極力やっていく、そういうふうにしたい。こういう気持ちでございます。
 ただ現実的には全部が必ずしも農業振興地域にはならないので、諸般の点から判断しまして農業振興地域として指定ができないというような地域もそれは出てくるわけでございます。そういう地域につきましては、もちろん私どもは農政から全く手を引くというようなことではございませんで、極力でき得る範囲の配慮をしていく必要があるとは考えておるわけでございますが、扱いとしては農業振興地域ほどにはいかない、農業振興地域が第一義的に私どもの農政の目標になるわけでございますから第二義的になる、これはやむを得ないことではなかろうかというふうに考えるわけでございます。しかし、私どもは極力農業振興地域としては広く取り上げていきたい、地域住民の意向さえそうであれば極力広く取り上げていきたい。どのくらいの農地を包括することになるのかという御質問が先般もございまして、私どもとしては明らかに除外されるのは市街化区域の中の、大体先ほどお話のありました十九万ヘクタール程度のもの、あとは一応有資格である。ただ現実にこまかく当たりますと若干落ちるのがあるかと思いますが、基本的にはそういうふうに極力広くしていきたい、こういう気持ちでございます。
#125
○矢山有作君 もう一つ私はお伺いしたいのですが、市街化区域、市街化調整区域、どちらに入れるかということで問題が起こっておる段階において、農民がもう農業はやりたくない、おれのところは市街化区域に入れてくれろというところを全部市街化区域に入れてしまうならそれはそれなりに問題の解決はできるだろう。ところが市街化区域に入れてくれというところであっても、そこは市街化区域に入れるわけにはいきません。市街化区域はここまで、幾ら希望があろうとここは市街化調整区域なんです、こういって線引きをやられた場合に、その市街化調整区域になったところの農民は、これはもうやはり農業でいかざるを得ないということになると思いますね。都市サイドからする公共投資にも見放されていく。もし農業サイドからする投資にも見放されてくるというのでは、これは踏んだりけったりです。だから、そういう調整区域に入ったところは、農業サイドの投資は受けようということで、私はおそらくこれはもう農振地域に指定してくれろということに、追い詰められた段階で、私はなっていくと思う。そのときに農振地域に指定をするかしないかということが、農民にとっては最大の問題なんです。なるほど市街化予備区域ですから、一年先に市街化区域になるかもしれない、五年先になるかもしれない、十年先になるかもしれない。しかしながらそのことは農民には直接関係のないことなんです。市街化調整区域に入れられた以上は、そこで彼らは生きる道を考えなければならぬ。そうすれば、一年先で市街化区域になろうが、十年先に市街化区域になろうが、そんなことに関係なしに、農振地域に指定をしてわれわれが生きる道を与えてくれと、こうなってくると思うのです。そのときに、そこはもう一年、二年したらどうも市街化区域になりそうだ、五年もしたら市街化区域になりそうだから、農振地域に指定して、事業の効用が長期にわたる投資なんかとてもできないということになると、これは私はたいへんだと思います。だから、私がここではっきりとあなたから言ってもらいたいのは、これは大臣からも言ってもらいたいのだが、調整区域になったら必ず農振地域に指定をする、そういうふうに言ってもらえれば、それなりに問題は解決する道が出てくると思う。その点どうなんですか。
#126
○政府委員(池田俊也君) 私どもは、気持ちといたしましては、いま矢山先生のおっしゃいましたような地域につきましては、できるだけ農業振興地域に指定をするようにしていきたいと、こういう基本的な気持ちでございます。ただ、これは蛇足になるかと思うわけでございますけれども、この法案の六条に指定の要件が書いてございまして、まあある程度農用地等として利用すべき相当な地域があることとか、あるいは将来の見込みが、農業の振興がはかられるような、あるいは農業経営の近代化がはかられるような見込みがある地域であるというような実は規定があるわけでございます。これは農業振興地域として指定をします以上は、当然そういう見込みがないのに指定をするというのは、これは制度の趣旨からいいましておかしいわけでございますからそういう規定があるわけでございますが、私どもはやはり極力基本的には農業振興地域としてそういうものを確保していきたい、こういう気持ちがございますので、事情の許す限りそういうものもかなり弾力的に考えまして取り入れていきたい、こういう気持ちでございます。
#127
○矢山有作君 もう一つだけ、これは私は私なりに考えて、農民にとっては非常に重大な関心事だろうと思うので、もう一度押してお聞きするのですが、それではそういう地域で農振地域に指定にならなかった場合は一体農民はどうなるのですか。公共投資も行なわれない、農業投資からも見放される、そういった地区の農民が生きていく方途というのは一体どう農林省は考えるのですか。これはもう調整区域になったのだから、おれらの知ったことではないといって突っ放すのですか。それでは私はあまりにもひど過ぎると思う。だから、そういう地域についての農民を一体どうしようとするのか。その点を私ははっきりしてもらわなければならぬと思うのですがね。
#128
○政府委員(池田俊也君) いま指摘されましたような地域を含めて、まあ観念的に分けますと三つの地域が将来でき上がる。一つは市街化区域の中の農用地と、それから一つは市街化調整区域あるいはその外の地域で農業振興地域に指定されたところ、それからその中間的なところ、こういう三つが実は出てまいるわけでございますが、私どもがやはり従来のいろいろ御質疑に対してお答えしておりますように、将来農政としては一つの目標をきめていく、そこを極力重点的に育てていくような、たとえば公共投資の面等についても考えたいということを申し上げているわけでございますが、一方、市街化区域の中は、これは市街化区域でございますから長期的な公共投資というのは非常にむずかしくなるわけです。いわばいまのお話の点はその中間的な地域でございます。したがいまして、私どもはこういう地域につきまして、もちろん農業振興地域に比べますればやや次の段階になろうかと思うわけでございますけれども、そういう地域がやはり現に農業をしておる、また将来も農業を続けていくということが明らかであるならば、それはでき得る限りやはり農業振興地域に準じたものとして、公共投資なりあるいはその他の農政上のいろいろな施策なりやっていくべきものであろうと、もうそういう地域はめんどう見ないなんという気持ちは毛頭ないわけでございます。
#129
○矢山有作君 そこで私は、この間参考人から意見を聞いたときに、たまたまあれは神戸参考人から出た話だったと思いますが、そこで将来の都市づくりの点から考えても、やはり都市づくりの中に農村計画といいますか、農業計画といいますか、そういうものが積極的に加味されてこなきゃならぬのじゃないか。いわゆる近郊の都市農業的なものが真剣に検討されなきゃならぬ段階に来ておるのじゃないか。それが行なわれなければ都市計画区域に指定されたところの、しかも調整区域になり、農振地域からもはずされるという地域の農民というのは浮かばれないことになる。そこに私は、参考人は積極的な将来の方向を示されたと思うんです。その問題に対してどう取り組んでいこうとするのか。何にもそれはないのですか。やはりその点が私は真剣な検討を要する問題だと思います。
 これは何も調整区域に指定されたそのところだけでなしに、市街化区域の中にあるいわゆる二十ヘクタールと称しておる農地についてもやはり言えることじゃないか。もちろん二十ヘクタールという規模の問題については私どもも異論がありますけれども、それらもあわせて言えることじゃないかと思うんですが、その点の考え方はどうなんですか。
#130
○政府委員(池田俊也君) 私どもも実は神戸さんがお話になりましたような方向は賛成でございます。極力やはり都市生活に比較的近いところに緑地があるということは、非常にこれは都市そのものの機能から言いましても必要なことであろうというふうに考えております。ただ、市街化区域の中で非常に零細な規模の農地ということでございますと、これは実はなかなかその農地を維持していくということがむずかしいわけでございます。いろんな都市公害とかその他の問題もありますし、なかなかむずかしい。私どもはやはりそれをある程度の広さにまとめていただきまして、そしてそれは市街化調整区域としてできるだけ残す、あるいはそれをうまく都市計画と組み合わせていくというような方向が一番よろしいのではなかろうか。
 これは私ども詳しいことは知りませんが、横浜の港北のニュータウン等でも、県等は大体そういう考えでおるわけでございまして、ある程度そういう農業用地というものをまとめて、市街化調整区域にし、あるいは場合によればまあ市街化調整区域というものにまとめて、そして残していくというようなことを考えているようなことを聞いておるのですが、やはりあまり零細なものでは、一応当初は残しましても、いずれは何となくつぶれていくという可能性がございますから、ある程度がっちりしたものにまとめて、それを残すようにしていくのが一番よろしいのではないかと考えておるのでございます。
#131
○矢山有作君 ことばじりをとらえるわけではありませんけれども、これだけ都市計画、新都市計画法の施行とからんで重要な問題が起こっているときに、横浜の港北のニュータウンの問題なんか御存じないというのでは困る。やはりそういう動きが県段階において、あるいは市町村段階において、あるいは農民の中から、それだけでなくいろんなところから出よるわけです、これに対応するため。それをやはり国が責任を持ってこれの研究に着手するという姿勢がないと、そういった問題を研究しようと言っても、口で言っただけになるのではないかというおそれを持つわけです。だからそういう無責任なことではなしに、もう少し県段階において、市町村段階において、農民の段階で、非常に苦労しておる問題ですから。したがってこういう都市計画法施行に伴う現状の中での農業のあり方というのは、積極的に農林省をあげて取り組まれるべきではないか、このことを私は特に御指摘を申し上げておきたいと思う。
 それから、これは大臣にひとつ申し上げておきたいのですが、建設省の側のものの考え方というのは、私は、農林省がぼやぼやしておるから、全く建設省ぺースで押しまくられますよ。それというのは、これも「新都市計画法の要点」といって大塩さんが書いているものですから、これは建設省の一般的な考え方だと思いますけれども、新都市計画法の第二条に、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」という文章があります。これは大塩さんに言わせると、原案にはなかった。農林省と何か折衝の段階でこういう規定が入ったんだそうです。ところがこれの解釈について大塩さんはどういうことを言っておられるかといいますと、肝心なところだけを言ってみますと、「何も安心して農業させるために農業のサイドから都市計画をつくるのではないのでありまして、都市計画のサイドにおいて、非都市化区域(つまり農村的地域)を踏まえることが大事なのであって、この意味において「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」という規定が必要であったと思います。」こういう解説をしておられます。したがって、建設省は、都市計画をやっていく場合に、安心して農業をやらせるために問題を考えておらぬのですよ。したがって、建設省がこういう考え方で都市計画を遂行してくるとするならば、農林省としてはよほど腹をきめて農業と農民を守っていくという立場を堅持しない限りは、たいへんなことになりますよ。これは大臣の御感想を伺いたいと思います。
#132
○国務大臣(長谷川四郎君) およそ今後都市計画を行なう場合、野菜なら野菜、この供給地帯というものがきめられない都市計画というものはおそらくあり得ないと私は考えます。したがって、農林省といたしましても、矢山さんのおっしゃるとおりなんですけれども、何か建設省に押しまくられているように考えられている。これは去年一緒に出したのだけれども、出したときに一緒に審議してくれるとよくわかったのですよ。それが一年おくれたものだから、何かこっちがやり込められているように考えられているのじゃないかと思うわけです。ひがみなんかじゃない。そう思われるかもしれないけれども、そうじゃないのです。大体去年一緒に出したんで、それを一緒に審議してくれればそういう心配もなく並べておいてやれたのだけれども、向こうのほうだけをやっちゃったものだから、こっちの法案が押しまくられているように思われる。
 そんなことは別といたしまして、いずれにいたしましても、一つの都市計画を行なうのには、農林漁業、その供給地帯というものが確立しない都市計画というものはおそらくあり得ない、こう私ははっきり申し上げておきます。したがって、調整区域につきましても、十分にその点に意を用いて今後も行政を行なっていく考えでございます。
#133
○政府委員(竹内藤男君) いま引用されました書物のことは別といたしまして、建設省といたしましては、都市計画法の国会の御審議の際にしばしば建設大臣から申されましたように、都市計画法の施行につきましては、農林省と十分緊密な連携をとって、そうして、これはまあ当時保利大臣は唇歯輔車の関係にあると言われましたが、私ども全くその気持ちで都市計画法の施行に当たっておる、こういうふうに考えております。
#134
○中村波男君 時間がだんだん経過いたしますので、もう二、三問簡単に質問を申し上げて次の機会に譲りたいと思います。
 市街化調整区域の全部または一部を含めた農業振興地域というものが指定をされると思うわけです。その場合に、農用地等の転用制限規定というものは他の振興地域と同様転用制限を受けるというふうに私は解釈をいたしておるわけであります。そこで問題になりますのは、都市計画法二十九条では、「調整区域内において開発行為をしようとする者は、」原則的に都道府県知事の許可を要することになっております。ただし、許可を要しないものとして一号から九号まである。これは農振法における許可制限とはまた違うものが中に含まれております。したがって、市街化調整区域を含む農業振興地域の農地等の転用制限というものはどちらを優先させるのか、これをはっきりしておかないと実際問題として混乱をいたすと思いますので、明らかにしていただきたいと思うわけです。
#135
○政府委員(竹内藤男君) ちょっと申し上げておきたいのですが、二十九条の、許可を要しないというのは、二号にございます農林漁業用の建物のための開発行為は別といたしまして、三号の公共施設、四号の国、都道府県の行ないます開発行為、五号の「都市計画事業の施行として行なう開発行為」、六号の「土地区画整理事業の施行として行なう開発行為」、七号の水面埋め立ての行為というようなものは当然この法律の精神に基づきましてそれぞれの事業においてチェックがなされるという意味で開発許可を要しない、こういうふうにいたしたわけでございまして、これはそれぞれこの市街化調整区域の開発に関する考え方に従って処理されるということで開発許可を要しないこととしているわけであります。ただ例外的になりますのは、非常災害とか管理行為というようなものと、二号にございます農林漁業関係の建物の問題でございます。
#136
○中村波男君 農林省のほうはありませんか。
#137
○政府委員(池田俊也君) 御質問はこういうことであったと理解するのでございますが、農業振興地域が市街化調整区域とそれからそのほかの地域にまたがっている場合、市街化調整区域につきましては、開発許可をいたします場合には、この都市計画法による許可の規定がひっかかってくるわけでございます。これは当然でございますが、それからその他の関係では、御承知のたとえば農地の転用の問題等がかかってくるわけでございまして、それは私どもは、もしかりに現状が農地であるものが何かのほかの用途にしようという場合には、この都市計画法によります許可、それから農地法によります転用の許可、両方なければそういうことはできない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#138
○中村波男君 そうしますと、市街化調整区域を含んでおるところの農業振興地域というものについての農地等の潰廃転用等は、それぞれ都市計画法、農振法に基づいて手続を要する、こういう解釈ですか。
#139
○政府委員(池田俊也君) そのとおりでございます。
 いま言い落としたわけでございますが、農業振興地域の中で農地計画の対象になっております地域につきましては、これは転用が制限をされるわけでございますから、農振法のたてまえからいえば、農地転用の許可がなされない、こういうことになるわけでございます。
#140
○中村波男君 そこでかりに、多くの例は出てこないと思いまするけれども、都市計画法によれば許可になる、農振法あるいは農地法によれば許可ができない、こういう問題が具体的に出てくると思うのであります。私はきょう法案の内容を持っておりませんから具体的に指摘ができませんけれども、確かにそういう事態というものが起きてくると思う。そういう事態が起きたときに片方が許可されており、片方が許可しないというときにどうするかということになれば、これは行政的な大混乱になると思うのです。これは事前に具体的な事例というものをもとにして検討をし、調整をされる必要があると思いますが、いかがですか。
#141
○政府委員(池田俊也君) 私いまお答えしましたのは、制度的にそうなっておると、こういうことを申し上げたわけでありまして、当然片方で許可がなされて片方で許可がなされないということは事実問題としてあり得ないことでありますし、もしあったならばそれは非常に関係者をまどわせることでございますから、私どもはそのようなことは実際にはあり得ないので、その点につきましては、もちろんそういうことのないように十分建設省とも御連絡も申し上げまして、運用には誤りのないようにしたいという気持ちでございます。先ほど申し上げましたのは、たてまえ論としてそうなるということを実は申し上げたわけでございます。
#142
○中村波男君 時間もありませんから、次の機会に具体的に事例をあげてひとつ御見解を承りたいと思うのでありますが、都市計画法によると、いま私が指摘をいたしましたように、原則的には知事に許可を受けるということになりますが、許可を要しないものとして一号から九号まである。この一号から九号までというのは農振法あるいは農地法の規定からするならば、当然これは許可を要するものも含まれておると私は見ておるわけです。したがってきょうは時間もありませんから、ひとつ農政局長のほうにおかれましても、具体的にひとつ御検討をいただいて、次の機会に統一見解を明らかにしていただきたい、こう思うわけです。
 最後にもう一点御質問をいたして本日は終わりたいと思うのでありますが、六月十三日付の日本農民新聞によりますと、入間ニンジンの主産地である埼玉県の入間地方の三市四町村にわたる約一千ヘクタールが産地指定を受け、四十三年から五カ年間で近代化を進めることになっていたが、新都市計画法の用途指定とからんで、施設導入事業の認可がたな上げになっている。このため関係農家はヘビのなま殺しのような野菜振興対策ではお先まっ暗だととまどっているという意味の記事が載っておるのであります。
 そこで農林省農地局が地方農政局等にお示しになりました調整措置等に関する方針を読みますと、市街化区域に含めないものという中に、「野菜出荷安定法(昭和41年法律第103号)に基づき野菜指定産地の指定をうけている地域内で、区域を画定し、野菜集団産地育成事業を実施中の地区内の農用地または既に当該事業が完了した地区で当該事業に係る施設等が現に良好に管理利用されている地区内の農用地」、これは市街化区域に含めない、当然の私は取り扱いだと思うわけです。この点をあわせ考えまして、おそらくこの新聞記事によれば、野菜生産出荷安定法に基づく指定団地ではないかというふうに私は思うわけでありますが、こういう事態が現に起きておるということを、農林省は――所管が違うかとも思いますが、御存じであるのかどうか、またこういう事態が具体的にあるとするならば、これはこの調整措置に関する方針とは違うのでありまするから、さっそく手配をされるべきではないか、またこういう問題が、各地域に今後も私は起きる可能性というのがいろいろあるんじゃないかと、まあそういうふうに考えるわけであります。
 それからもう一つ、われわれが指摘をし、心配をしておる、疑問に思っておりますのは、本法四条三項では、農振地域整備基本方針は、国土総合開発計画、首都圏、中部圏、近畿圏各整備計画、北海道総合開発計画、新産都市建設基本計画、山村振興計画離島振興計画などとの調和が保たれるものでなければならないといたしておりまするけれども、実際問題として各種地域振興計画の趣旨と実効を損することなく、しかも農業振興地域としての目的を達成することができるかどうかということについては、書いておるように、調和のとれた方法というのが具体的に行なわれるかどうかということについては大きな疑問を私は持っておるわけであります。これはちょうど都市計画局長もおいでをいただいておりますので、今後の農業振興地域指定上の問題として両省で特に連絡を密にし、そごを来たさないような措置、対策というものを十分検討をいただく必要があるんじゃないか、こういう立場で具体的な例をお示ししながら質問を申し上げたわけであります。
#143
○政府委員(池田俊也君) 入間地方の野菜指定産地の問題でございまして、実は私どもも新聞で見まして調査をするように指示したわけでございますが、まだ結論は実は聞いておらないわけでございます。想定いたしますのに、これはまあ私どもの考えとしては、従来野菜指定産地として指定をされておりますところはこれは市街化区域に含めないようにするということで建設省とも御相談をしているわけでございまして、そういう地域につきまして機械等の近代化施設を今後導入していくというのは何ら支障がないわけでございます。当然これは当初の計画どおり実施をしてしかるべきものであろうと考えるわけでございますが、まあ今後野菜指定産地の指定をどういうふうにしていくかという問題はまた別にあるわけでございますけれども、現に指定されております地域についてはそういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それから後段の問題は、これは非常に広範な問題で一がいにちょっと申し上げにくいわけでございますが、私どもは当然それぞれの法律の趣旨なり制度の趣旨にかんがみまして調整をはからなきゃならないのは当然でございまして、現に都市計画との問題がいま一番問題になっているわけでございます。たとえば実は先般の参考人の御意見の中でも、大阪等で――近畿圏の近郊整備区域であったかと思いますが、たとえば野菜とかあるいはその他の農業のほとんど九割ぐらいが近郊整備区域に入っていると、こういうことであればほとんど大阪の農業というのはなくなるんではないかという御心配もあったわけでございますが、私どもは必ずしもそうは考えておりませんので、近郊整備区域でございましてもこれは全部が市街化区域に指定されるものではない、当然その中で市街化区域と市街化調整区域に仕分けされるべきものであるというふうに考えておるわけでございまして、十分そういう点については配慮をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
#144
○中村波男君 まあ局長の御答弁によりますと、人間の問題については施設導入事業を認可してよろしいんだと、こういう御答弁でありますが、新聞の記事に誤りがないとすれば認可がおりないというので関係農民は戸惑っておると、こういうことでありますから、でき得れば次の本委員会までに実態調査を願いまして、そういうことが問題になっており、当然振興地域との関係において施設導入事業の認可をしてもよいということであるならば、農林省として早速適当な措置をおとりになって、混乱をひとつ排除するようにお願いをいたしたい。このことをつけ加えまして、本日は質問を終わらしていただく次第であります。
#145
○政府委員(池田俊也君) 私どもも実情を少し詳しく調べました上で、主管は蚕糸園芸局でございますので、蚕糸園芸局と連絡をいたしまして、またお答えを申し上げます。
#146
○委員長(任田新治君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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