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#1
第061回国会 農林水産委員会 第26号
昭和四十四年六月二十六日(木曜日)
   午前十時四十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         任田 新治君
    理 事
                高橋雄之助君
                宮崎 正雄君
                達田 龍彦君
                矢山 有作君
                藤原 房雄君
    委 員
                亀井 善彰君
                河口 陽一君
               久次米健太郎君
                栗原 祐幸君
                小枝 一雄君
                櫻井 志郎君
                田口長治郎君
                温水 三郎君
                森 八三一君
                和田 鶴一君
                杉原 一雄君
                武内 五郎君
                中村 波男君
                沢田  実君
                向井 長年君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  長谷川四郎君
       建 設 大 臣  坪川 信三君
   政府委員
       農林大臣官房長  大和田啓気君
       農林省農政局長  池田 俊也君
       農林省農地局長  中野 和仁君
       農林省蚕糸園芸
       局長       小暮 光美君
       建設省都市局長  竹内 藤男君
       自治省税務局長  降矢 敬義君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       国税庁直税部資
       産税課長     好川 栄一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業振興地域の整備に関する法律案(第五十八
 回国会内閣提出、第六十一回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業振興地域の整備に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○中村波男君 まず最初に、一昨日の当委員会におきまして、私が質問を申し上げた都市計画法における市街化調整区域の全部または一部が農業振興地域の指定を受けた調整区域について、農地の転用等に対する規制は、都市計画法によって行なうのか、農振法によって行なうのか、その見解をお尋ねしたわけですが、私の理解できるような御答弁をしていただけなかったので、次回に政府の統一見解を出してもらいたい、こう申し上げたわけでありまして、その見解をまず明らかに願いまして、次の質問に移ってまいりたい、こう思うわけです。
#4
○政府委員(中野和仁君) 市街化調整区域内の農地に対します開発許可と農地転用許可との関係についてのお話でございますが、これにつきましては、両方の許可制度にそごが生じないように十分調整をはかる必要があるわけでございます。そのために開発許可権者が開発許可をしようとする場合には、農地転用の許可権者に事前に連絡をするということにつきまして、農林省、建設省との間で話し合いをしておりまして、それに基づきまして、下部機関を十分指導したいというふうに考えております。
#5
○中村波男君 私が質問をいたしました問題点は、行政上の手続の調整ということでは解決しないんじゃないか。いわゆる根拠規定がそれぞれ異なっておるのでありますから、したがって、その地域にはこの規定と、いわゆる法律的な根拠というものを一つにしておかないと、両者で調整するというようなことで具体的に処理できるかどうかということについては、どうも納得がいかないのでありますが、具体的に御説明をひとつさらにお願いをいたしたい、こう思うわけです。
#6
○政府委員(中野和仁君) たとえば調整地域の中で、十ヘクタールにつきまして開発計可の申請が出てまいりました場合は、開発許可をいたしますのは知事でございます。農地転用の場合はそれは農林大臣、具体的には、事務処理といたしましては、地方農政局長ということになるわけであります。開発許可申請書が出てまいりますと、それについて、知事はあらかじめ地方農政局長に、こういう申請があるけれども、農地転用の面から見れば一体それはいいのかどうかということで、事前に連絡をさせるというような考え方で私先ほど申し上げたわけでございます。その辺の詳細な事務手続につきましては、早急に建設省側と詰めまして、指導したいというふうに考えておりますが、手続としましてはそういうやり方になるというふうに考えております。
#7
○中村波男君 さらにくどい質問になりますが、まだ私としては理解できないので、さらに御質問申し上げたいと思うわけであります。
 都市計画法によりますと、二十九条で、市街化区域または同調整区域内において開発行為をしようとする者は、原則的に都道府県知事の許可を要することになっているわけでありますが、ただし、次に示す各号については許可を要しない。各号とは、具体的にあげてみますれば「市街化区域内において行なう開発行為で、その規模が政令で定める規模未満であるもの」「市街化調整区域内において行なう開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行なうもの」。時間が長くかかりますから、具体的にあげなくとも農地局長御存じでありますので、いわゆる九号まで、こまかく許可を要しないという事項が載せられているわけです。
 そこで今度は農振法によりますれば、利用目的というものを設定する。その利用目的以外には、いわゆる農地法の四条、五条の認可許可をしてはならぬ、こういう規定がある。そうしますと、農振法でいけばこの九つの中の全部とはいいませんけれども、許可をしてはならぬというものに入るものが相当あると思うのです。したがって、都市計画法に基づけば許可を要しなくても文句は言えないということになりますから、農振法の地域指定が行なわれ、使用目的が調整区域に設定をされている場合には、これは許可をしてはならぬという、こういう網がかぶさっていると思うのであります。
 それをどうするかということは、行政的な連絡打ち合わせ、事前の協議ということでは私は解決できない、これは明らかにこの地区についてはこうするものだという規定なり法律の根拠を統一しておきませんと、これは実際問題としては処理できないのではないか、こういう意味で質問しておるわけです。
#8
○政府委員(中野和仁君) 調整地域内におきます開発許可と農地転用の許可との関連だけを御答弁申し上げてたいへん舌足らずで恐縮でございました。いまのお話のように調整地域内に振興地域の指定がありました場合に、この振興地域の法律の十七条によりますれば、指定された用途以外の用途に供されないように農地の転用につきまして運用するということになっております。で、なるほど先生おっしゃいましたように開発許可の要らない場合がございますけれども、これは農地転用の許可は要るわけでございます。したがいまして農地転用の許可を受けなければたとえ開発許可があってもそこの開発はできない。第一段はそういうことでございます。その上に振興地域法がかぶってまいりますと、そこは利用区分というものを明確にしまして農業用に使うということを明確にした地域でございます。よほどのこと、たとえばそこは全体の計画としましてニュータウンをつくるとか何とかいうことがありました場合には、全体として相談が必要でありましょうが、原則としましてはそこは農地転用の許可はしないということになるわけでございます。
#9
○中村波男君 そうしますと、運用の面でそういう処理ができるかということとされようとするところに無理があるんじゃないか、問題が残るんじゃないかという感じがするわけです。都市計画法からいえば九つの事項については許可を要しないということをはっきり書いておるわけでありますから、したがって、農振地域に指定をし、利用計画を立てたものについては都市計画法のいわゆるいま申し上げた事項というのは該当しないというような、何らかの法文の上に規定をするといいますか、それにかわるべき措置を――国会における審議の場において見解が述べられたというだけで処理してよろしいものかどうかということについての御見解はいかがですか。
#10
○政府委員(中野和仁君) 両方の許可の関係を法律的に明確にするというお話もわかるわけでございますが、都市計画法のいうことと、それから農地法なりあるいはこの地域振興法という制度の目的自体が、片一方のほうは都市の計画的な都市化を進めるということをねらっておりますし、農地法におきましては優良農地の確保という観点から転用許可制度がございますわけでございます。おりおのの法律の運用ということになりますと、おのずからその主要な目的が違ってくるわけでございます。そこで両方の法律の調整ということになるわけでございますので、先ほどから申し上げておりますように運用として両法の調整がまず必要であるということを申し上げた上で、法律自体の中身の性格によりますと、やはり調整地域は本来市街化を抑制する地域でございますし、農地転用の許可制度は何らはずしておりませんので、従来どおり優良農地確保という観点からの農地転用の許可というものが、農地転用の許可制度で許可除外されておる場合は別でございますけれども、それ以外は農地転用の許可が全部要るわけでございます。農地転用のサイドからの判断ということになるというふうに私は考えるわけであります。
#11
○中村波男君 ただいまの御説明では理解ができないわけでありますが、くどいようでありまするけれども、いまおっしゃったように市街化調整区域というのは五年、あるいはさらに五年後には市街化に編入される地域だと言いかえれば言えると思うわけであります。そこへ全く目的の違った農業を振興しようとする地域に指定をするわけでありますから、したがって、おのずからいま私が指摘をしたような全く異なった性格における規定というものがかみ合ってくると思うわけです。
 そういう点から見まして、調整区域を振興地域に指定すること自体がいろいろ議論のあるところであろうと思うわけでありますが、しかし、実際問題として、いままでの御説明によれば、市街化区域への編入面積というのは十万ヘクタールであろうと。しかし、一昨日の都市計画局長の御答弁によれば見通しとしては十九万ヘクタールではおさまらないであろうと、こういうことも見通しとして御答弁があったのでありますが、それはそれとして、百五十万ヘクタール程度がいわゆる調整区域として残る、これは最も都市近郊のいわゆる集約農業高能率農業の地帯でもあり、また食糧の生産という上からいきましても新鮮な野菜供給地として、あるいはその他の高性能な農業として、さらに農業振興地域として網をかぶせてスプロール化を防がなければならぬという、こういう農業側からいう強い使命と目的と要請というものがあると思うわけです。
 そういう両方を考えましたときに、農地転用というものを農振法においては規制をする、抑制をする、しかし都市計画においては最前私があげました九つについては許可を要しない、こういうことになるんでありますから、この九つの問題についてしからば都市計画法に基づいて申請が出される、そのときに、都市計画を根拠にいたしますならば許可を申請しなくて潰廃をし、あるいは耕地以外の目的に供したといたしましても決して違法ではない、取り締まる方法はない。しかし、農振法からいえば明らかな違法である。そういう現実な場面を迎えましたときにどういう処理をするかということになるならば、はっきりとしたやはり規定というものを設けておかないと行政上に混乱が起きるのではないか、こういう立場で私は御質問を申し上げておるのでありますが、そういう混乱は起きない、そういう心配はない、また法律的にも規定的にも農振法で規制をいたしても問題はないと、こういうことがはっきりまあ見解として述べられるのでありますならば、この質問はこれ以上続ける必要はないと思うんですが、いかがですか。
#12
○政府委員(中野和仁君) ただいまのお話で都市計画法のほうで開発許可は要らないということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、農地法上の農地転用の許可は要るわけでございます。したがいまして都市計画法上は違法でないかもわかりませんけれども、農地法の農地転用の許可を受けなければそういう転用はできませんので、結果といたしましてはそういう地域についての都市計画法上の許可が要らないものについては農地転用の許可だけを受けなければならないということになるわけであります。その点の許可を受けるときに、そこを許可するかどうかということになりますと、それはいまおっしゃいました農業地域振興法の中の振興地域でありますれば、それは農業上の利用の目的に沿って農地転用の許可を運用するということになっておりますから、原則的には許可にならないということになるというふうに私先ほどから申し上げておるわけでございます。
#13
○中村波男君 ちょっと都市計画法の法文を持ってこなかったものですから、もう一度私も念を押して読みたいと思うのでありますが、私が読んだ理解からいえば、さいぜんも読み上げましたように、二十九条で、原則的には都道府県知事の許可を要するという設定を設けながら、ただし左の各号に示すものについては許可を要しない、こういう都市計画法においては規定をしておるわけでありますから、この法文を私なりに読みますれば、これは農地法の適用は受けないのだ、こういうように私は解釈をすべきではないか、こう思うわけであります。農地局長は、これはこう書いてあるけれども、農地法の適用は受けるのだ、こういう解釈でありますか。
#14
○政府委員(中野和仁君) 都市計画のほうからものを見まして、こういうものについては都市計画法上の許可が要らないというだけのことでございまして、農地法上そこに許可制がかかっておるということは、私が先ほどから申し上げるとおりでございまして、こちらの許可が要らないから農地転用の許可が要らないということではございません。
#15
○中村波男君 不勉強のためにたいへんわずらわしい質問かと思いますが、そういう御見解といいますか、そういう取り扱いがなされるということであるならば問題ありませんけれども、市街化区域については農地法の適用を全然受けないわけでしょう。したがって調整区域というのと市街化区域とはここの二十九条で区分をしておると、こういうふうに理解しておったわけです。したがって調整区域については、これは農地法が元になって、ただ都市計画法としての許可を要しないというふうに理解をしておらなかったから質問を申し上げたわけであります。
 次は関連がありますのでお尋ねしておきたいと思いますが、農振法における地域指定の中に、山林原野というものも含まれる場合がありますか。
#16
○政府委員(池田俊也君) これは法案の三条に「農用地等」という定義があるわけでございますが、そういう範囲内の農用地等に該当いたします場合は山林原野でありましても、一応この法律の計画の対象になるわけでございます。したがいまして、たとえば山林がございまして、第三号でございますが、それを耕作の目的に供される土地の保全なりあるいはそれに関連いたします必要な施設の用にその土地を供しようというような場合には、当然該当するわけでございます。
#17
○中村波男君 そうしますと、農業振興地域法に基づいて土地の利用区分といいますか、区分指定をしているわけですね。その利用区分指定の大体の種別といいますか、種目といいますか、目的別というとどういうようなものになりますか。
#18
○政府委員(池田俊也君) 原則的には、私どもが考えておりますのは、田畑それから樹園地、それから混木林、草地といったような種類についてでございます。
#19
○中村波男君 そういたしますと、現在は山林である、しかし採草放牧地としてあるいは開拓をすることによって畑、水田という例もないとは言いませんけれども、そういうふうに目的をもって山林が指定をされる。そうすると、用途目的として、たとえていえば採草放牧計画地というので利用目的が設定される。そこで山林は、いわゆる農地法四条、五条の潰廃、転用等の制限を受けておらないわけです。そうでしょう。そうしますと、現況が山の場合に、これを転用を規制するという根拠というのは、農振法によっていわゆる転用以外には目的を変えてはならぬという、これで取り締まるという、こういう考え方ですか。
#20
○政府委員(池田俊也君) これは山林でございますと、当然転用の規制とかそういったような制度がないわけでございますが、この法律によりまして利用区分がきめられますわけでございますが、その利用区分に従った適当な利用が行なわれていないという状態でございますならば、これはその利用に応じた、利用区分に応じました利用が行なわれるようにということで、勧告あるいはそれに対する都道府県知事の調停というような制度が該当してくるわけでございます。
#21
○中村波男君 池田局長、私の質問申し上げたのは、その前にいわゆる農振法からは採草放牧地ということでかぶせた。しかし今後その山を宅地その他に転用すると、そのときにはまた農地法に基づけば全く許可を要しないわけでしょう。そうしますと、登記等もこれはもう簡単にするすると許可になるわけですよ。そういうのをどう防ぐかということを農振法の上からどうお考えになっているか、これが私の質問の趣旨です。
#22
○政府委員(池田俊也君) 農地につきましては、まあ農地法によりますいろいろな規制があるわけでございますけれども、いまのお話の山林等につきましてはそういう制度がございませんので、農振法の中におきましても、それに対して何らかの規制を加えるということは、制度としては非常にむずかしいわけでございまして、そういうような体制は、この法案の中でもとっておらないわけでございます。
#23
○中村波男君 この法案の中でとらないというのか、とれないというのか……。したがって法案の趣旨からいいまして、それを区分をし、その利用目的に沿って開発をしていくということになるならば、私は農地法を改正するということの必要があのずから出てくるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。ただ、たとえて申し上げますならば、利用目的として山林が採草放牧地に指定をされた。しかし、たまたまその山林をあるいは宅地とかあるいは工場用地として売ったと。そうします場合には、登記の上からいいましても全然農業委員会の審議を経るという必要は山林の場合はないのでありますから、全く抜け穴になってしまう。そうなれば、設定をしましても農振法の網から逃げてしまう。こういう具体的な問題点が私は出てくるのではないか、こう思うわけです。したがって、いたずらに指定をしても、やはりその開発計画が前々から地主なり関係市町村なり関係の農業委員会なり農協なりと具体的に検討をされて、いわゆる所有権という関係まで縛られなければ、ただ大きい目で客観的な立場で指定をいたしましても、それは実際問題としては、目的に沿うということについていま私が指摘をいたしましたような抜け穴があるんじゃないか、こういう点から質問を申し上げておるのでありますから、それに対するお考えをさらにお聞きをしておきたい、こう思うわけです。
#24
○政府委員(池田俊也君) これはまあ農地法の適用になります土地の、なぜ農地に対して農地法が適用されるかという問題、それに対しまして、山林に対しては同じようなものがないわけでございますが、結局そこの基本的な考え方に私、関連してくる問題であろうというふうな気がいたすわけでございます。やはり農地という、そういう特別な規制がなされます土地というのは、おのずから限界があるはずでございまして、いまの日本の法体系の中で、山林等について同じような規制がございませんわけでございますから、農振法の中でもいま中村委員がお話しになりましたような趣旨で、そういう観点も考えられるわけではございますけれども、いまの体系の中でそういうことをとるのは私は非常に困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#25
○中村波男君 どうも御答弁が明快でないわけでありますが、もちろん私は農業振興地域指定を行なう上において、やはり山林等であっても採草放牧地等の適地はやはり農振法において網をかぶせて、そうしてそれに伴う対策、また経費予算等々も国が大きくめんどうみていく、そういう具体的な対策があっていいと思うわけです。しかし実際問題として、農地の値上がり等によって今後特に都市計画法の施行によって安い土地というものに集中してまいると思うわけです。したがって、これから住宅あるいは工場用地として山にどんどん伸びていくという、こういうことも実際問題として考えておかなければならぬのではないか、こういうふうに考えますと、いま私が指摘をしたような、いわゆる法の盲点をついて地域指定を行ない利用目的を設定いたしましても、それは全く絵にかいたもちという、こういう結果になるおそれがある。それを肯定されるならば、それに対する具体的なやはり施策、また場合によっては農地法の改正その他によって法的に規制をするということを考えなければ、いま政府の考えていらっしゃる農業振興というものは農振法を通じて目的を達成することは困難ではないか、またそういうところからいろいろいわゆる支障が出まして、それがまた足を、全体を引っ張る、こういう結果になりかねないではないか、こういう立場で質問を申し上げておるわけです。したがって大臣お聞きいただいたと思いますので、これは農政局長はこれ以上の御答弁はしていただけないと思いますので、全体を見てどうお考えになっておるか、お聞かせを願ったほうがいいと思います。
#26
○国務大臣(長谷川四郎君) お答えになるかどうか。非常にむずかしい問題で、山林法といいましょうか、農地のほうでも関連性は何としても話し合いで進めなければならぬ問題でもありましょうし、なかなかむずかしいので、私の御答弁になるかどうかしれませんけれども、いずれにいたしましてもそういうようなことで、山林法というようなもの、それから今度の農振法、こういうようなものを話し合いでにらみ合いの上に立って、むやみにそれらが、土地が、何といいますか宅地にかえられないような方法につきましては、十分に話し合いが整っていきますようにつとめさせるよりほかに道がないと思いますので、そういう点については今後はこの法案が通りましても一そう注意をして、その点に意を用いさせるようにいたしたいと思います。答弁にならないかもしれませんけれども、そんな程度で。
#27
○矢山有作君 いまのは農林大臣答弁にならない、まさに。何を言ってるのかこっちで聞いておるとよくわからぬのですがね。中村委員の質問の趣旨はよくおわかりだろうと思うのです。山林等について、これは農地法の規制も何もないわけですから、そうすると農振法の網をかぶせてみたところで、もしそういうところに山林だというようなものがあった場合には、これはもう自由に転用できると、ましていわんや都市計画法が施行された段階で地価に断層を出てくるということが当然予想されてくるわけですから、そうすれば農振地域の網をかぶせてみても、そうした山林のようなところをねらって開発行為はどんどん進んでいくだろう、何らの制約がないのですから。そうしたら農振地域の指定というものは、しり抜けになってくずれてしまうじゃないか、市街化もどんどん進んでいくような素地がつくられているんじゃないかというようなことを言っておるわけです。したがって農振地域指定の網をかぶせたって、そこでつまり農業振興をはかろうというなら、それに対する規制措置がないということにはどうにもならぬじゃないか、こう言っているわけです。だから、考えますとか何とか慎重に扱いますということでは済まない問題になっているわけです。だから一体どうするんですか、そのことなんです。農政局長と中村委員との問答を聞いておって、結論出ぬわけですから、農林大臣としてそんなしり抜けの法案をつくって、これでりっぱな法案ができたといっておるわけにはいかぬでしょう。そこのところを聞いているわけですよ。
#28
○政府委員(大和田啓気君) いま大臣が申し上げた御趣旨を多少ふえんして申し上げます。御承知のように、山林について所有権の譲渡の制限はございませんから、農地と同じようにぴっしゃりやるわけにはまいりません。しかし、だからといって山林等についての農用地利用を進めなくていい、あるいはそのままにしておいていいということではございませんで、その調和がこの農振法でございます。したがいまして、用途の指定をしてその上で整備計画のできましたところにつきまして市町村長が土地利用についての勧告を行なうと、そしてそれは法律の十四条、十五条で、「土地利用についての勧告」ないし「都道府県知事の調停」ということになりますし、十六条では、国及び地方公共団体は、農用地利用計画を尊重して、土地の農業上の利用が確保されるようにつとめなければならないということに、国と県あるいは地方公共団体のいわば責任を法律として規定しておりますので、行政としてその方向に沿うて一生懸命やろうということでございます。それで、もしその法律上の強制がなければしり抜けではないかというふうにおっしゃれば、私はまさにそのとおりであろうと思います。しかし、山林の所有権の制限をいますぐここでするということもなかなかきわめてむずかしい問題でございますので、山林の所有権についての制限がないという前提に立って、市町村あるいは国、県の努力においてできるだけ土地の農業上の利用を推進したいということがこの法律の趣旨でございます。
#29
○矢山有作君 それは質問されておる中村委員にしても、それから関連してものを言っている私にしても、十四条、十五条、十六条の規定があるということはちゃんと承知して言っているわけですよ。こんなものでそういうような規制ができるのかできないのか。私は実際問題として、全然役に立たぬだろうと言うんですよ。そうでなくて、都市計画法上でいろいろな建築制限だなんといってやっておっても違法建築に対して効果的な取り締まりができてないという現状でしょう。いわんやまして何らの規制も法的になくて、こういうような協議だとか勧告だとか調停だとかというようなことでやれるわけがない、こう思っているわけです。ですから実際に実行に移された場合には、あなたが言っておられるような調子にはいかぬのじゃないか。それがわれわれ非常に問題だと、こう言っているんです。ですから、やはり農振地域指定の網をかぶせたところの山林等についての処置というものをあらためて再検討しなければ農振地域の指定を生かすことができないんではないか。だから、私どもは何も山林全体について何もかにも規制をやれと言っているわけじゃないんです。農振地域の指定の網のかぶせられたところについての規制措置というものは、法的効果を持ったような形で考える意思はないのか、それを考えなければしり抜けになってしまう、こう言っておるわけです。
#30
○政府委員(池田俊也君) これは非常にむずかしい問題でございまして、矢山委員がおっしゃいましたような考え方もあるかという気がいたすわけでございますが、ただ、そういう山林等につきまして、もちろんこれは農振法の網がかぶったところの問題であるわけでございますけれども、たとえば農地法に準じたような規制をするということになりますと、これはやはり私権の相当な制限、こういうことになるわけでございます。まあそこまでいくということは、私どもは制度としてはなかなかむずかしいのでなかろうかというふうに考えまして、法立案の過程でもいろいろ議論があったわけでございますが、現在のような形になっているわけでございます。
#31
○矢山有作君 それはなるほど私権の制限を伴うということでちゅうちょしておられることはわかります。それだったら、これと深い関連を持っておる都市計画法がどれだけきびしい私権の制限をやっているかということは御存じでしょう。都市計画法がいまきわめてきびしい私権の制限をやって、そして農地の囲い込みをやろうとしているんですよ、都市サイドから。それに対していかにして農業との調整をはかるかということで考えられた農振法でそれができないんですか、片手落ちじゃありませんか。私権の制限という以上は、一方にどういう立法がなされておるのか、そういうこともやっぱり考慮すべきなんです。農業サイドでものを考える場合はそういうことは全然やらぬというのですか。それだったら都市サイドでの押してくるものに対して何らの防壁もできないじゃないですか。私はその点を押して言いたい。
#32
○政府委員(池田俊也君) まあ確かにそういうような比較もあり得るかという気がいたしますが、私どもの理解ではやはり都市計画というのは非常に一つの公共的な事業でございまして、その公共的な見地から必要な私権の制限もあり得ると、こういう考え方であろうと思うわけでございます。一方、この農振法の目的でございますが、これは公共的というよりかむしろその地域における農業の振興をはかろうと、いわばその地域の農民の方の利益というような観点から制度が組み立てられているということでございますので、そういうような観点から言いますと、たとえば都市計画と同じような観点で私権の制限をするということはややニュアンスが違うのではなかろうかという感じを持っているわけでございまして、非常にむずかしい問題ではございますけれども、現状のような案になっているわけでございます。
#33
○矢山有作君 私は、そういう農林省の考え方に非常に大きな疑問を持つのです。農業振興地域の指定をやって農業の振興をはかろうというのでしょう。それが公共性が少ないのですか。農業振興地域の指定をやって農業の振興をはかる、農業生産を確保するということに連なるわけでしょう。農業生産の確保をされなければ日本の国民全体を養うことはできないのですよ。私は農業というのはきわめて公共性に富んだものだと思うのです。それをね、農振地域法というものが、地域の農業だとか地域の農民の利益を主体にしておる、そういうものの考え方をしておるから、いつも農業というものが他の公共的な目的という理由のもとに押しまくられるのじゃないですか。そういう農業に対する見方というものが基本的な誤りだと思う。なぜ都市計画が公共的であって農業振興をはかることが公共的でないのですか。そういう農林省の基本的な考え方を改めなければ日本の農民は農林省に何も期待できませんよ。それは根本的なものの考え方の相違です。農林大臣、これはあなたどう思われますか。そういうようなものの考え方をしておって、このきびしい都市化の情勢の中で農業と農民を守ることができるのですか。農業と農民を守らなくてもそれは公共的な意味がないからかまわぬというのですか。そこのところをはっきりしてください。
#34
○国務大臣(長谷川四郎君) まあそういうような考え方で申し上げたわけでもないだろうと思いますけれども、農業がこれだけの振興法を行なおうというのには、いかに大きな役割を持っておるか、全部これは御承知のように、国がこれだけのものを公共性がなければ――もっとも公共性、そのあなたがおっしゃった公共性、局長がおっしゃった公共性なんというものは、農業全体の上から見たらこんなちっぽけなものです。こんな小さな、日本の農業全体の上から見たら、日本農業が今日つとめている役割りというものは、農業がつとめている役割りというものは、公共性と言われているそのウエートよりもはるかに上にあることは、これは誓って間違いない事実です。
 であるから、これは部分的に公共性を持っているからその中に侵食させていっている、まあそんな程度のものだ、公共性というものは。農業というものがもっとたくさんウエートが上にあるのだ、であるからこそその上に立っての国民の血税をこれだけかけて、そうして農業の振興をはかっており、農産物に対しましてもこれだけのことをやっている。きょう麦価の決定に行ってきましたけれども、五百四十億かけたものが、実際は幾らだというと、二百億くらいか入ってこない。三百四十億は農民のためにかけておる。そうして生産をやってもらおう。いかに公共性という上に立ってはもっと強いものであるか、もっとウエートが高いものであるかという議論の的ではないと私は考えています。
 でありますから、そういうような観点ではなくて、日本の現在の荒廃されているというか、だんだんと侵食されていっているところを、いかに地域をきめて防いでいこうか、そういう中に対するところのあなたのおっしゃるような山林の規制法がないじゃないか、こういうお話でございます。そういうお話でございますけれども、山林規制法をそれじゃすぐやれるかというと、これは実際問題としてすぐ行なうことはなかなかむずかしい問題だと思う。しかしわれわれは、いまお話を伺っているうちに、何か将来考えなければならないぞ、そう先の将来ではないぞというようには考えますけれども、それではこの場でもって山林法の規制をやりますとはっきり申し上げられる段階ではないということだけはひとつ御了承を賜わりたい、こう思います。
#35
○矢山有作君 えらいしつこいようですけれどもね、私は、農林大臣はさすがに農林大臣だから、農業の公共性がきわめて高いということを肯定されたと思うんです。そうするならば、その公共性の高い農業というものを何とかして振興していこうという立場から、都市化の波に対して防ぐという観点で農業振興地域整備法案が考えられているわけでしょう。そうしたら、農業振興地域の指定というものがしり抜けにならぬように、その指定を効果のあるようなものにするために、その網をかぶせられたところの山林等の所有権移転の規制については、やはり再検討するということは、大臣、当然出てくることじゃありませんか。それをあくまでも再検討しないんだ、都市計画は公共的な意味が強いから、きびしい私権の制限をやっても、農振地域の指定の網をかぶせたところはそうはいかないのだということになると、議論がまた逆戻りするんです。だから公共性が高いことを認められたんだから、そうすれば農振地域の網をかぶせたところで山林等のしり抜けになるようなものについては法制的にも再検討するということを大臣としては私は言ってしかるべきじゃないか、大臣のいまの考えなら、私はそういう結論が出ると思う。これは事務官に相談する問題じゃないです。農林大臣としての立場から自分の考え方というものを言っていただいて、そしてその方向でやはり事務官僚の方々にものごとを進めていくように指示なさるのが大臣の立場だ。押してその点の私はお考えを端的に伺いたい。
#36
○国務大臣(長谷川四郎君) よく話がわかるので、市街化におきましてもそのとおりで、潰廃があまりにもひどい、こういう点をはっきり、市街化すべきところは市街化するようにやろう、区切りをつけて、そしてその目的を達するようにやっていこう、こういう考え方でやっておるんですが、そのたとえば農振法の地区に指定された山林に対しましても、私はいまここで考えるということになれば、来年になってきてから、まだ持ってこないからだめだ、こういうふうになってしまうから、それは大臣が言ったじゃないかと、すぐそれをとられるから、だから当然よく話はわかります、また私もごもっともだというふうに聞いているんです。聞いているけれども、すぐそれをやりますということは、私にはいま申し上げられませんけれども……。
#37
○矢山有作君 すぐやるのでなしに、再検討すると……。
#38
○国務大臣(長谷川四郎君) 再検討は、そういうような方向で方向づけるように私のほうから申しつけてはおきます。けれども、それはすぐやったからすぐできないじゃないかと言われるとまことに困るので、そういうように方向づけることだけははっきりさしておきます。
#39
○中村波男君 いま矢山委員の質問に対して大臣は、農民のために、麦価の例を出されまして、二百数十億ですか出している、そういう御発言があったんですが、それは私はひとつ取り消しを願っておいたほうがいいのではないかというふうに思うわけです。農協の米価要求大会で根本政調会長が、農民は税金をほとんど出しておらぬのに七百億以上の農林予算を使っておるといったこの議論と軌を一にすると思うのです。私は、政府がほんとうに食糧の自給を高めるという政策を下げずに今後続けるということならば、農業政策は農民のために行なうなどという考え方であってはならぬと思うわけです。したがって、麦価の補給金についても、農民のためにいわゆる二重価格制をとっておるんだという、こういう農林大臣の発言は私は不穏当ではないか、こういうふうに思うわけです。考え方としてはそういう立場というものも理解ができますけれども、この公式な本委員会の発言としては、これはひとつお取り消しをいただいたほうが大臣のためにもいいんじゃないか、こう思うわけです。
#40
○国務大臣(長谷川四郎君) たいへんおもしろい御意見ですが、私は農民のためにやるなら公共性なんということはありません。農民のためにやるんじゃない、国民全体のために農民がその部面を担当するだけでございまして、農民のためにやっているものは何もありません。であるからこそばく大な費用をかけて農業の振興をはかっているんだ、こういうことなんです。農民のためにものをやっているんじゃなくて、一億国民のためにやってもらっておるんですから、その部面のために血税を払うのは当然じゃございませんか。私はそれを取り消す必要がないと思いますが、その点はどうでしょうか。
#41
○中村波男君 本題とはずれますからこれ以上議論しませんが、議事録をあとから調べてみればはっきりすると思いますが、大臣はいま、農民のために麦価についても二百数十億ですか出しておるんだということをはっきりおっしゃったから、これはことばがすべったのであって、農林大臣の日ごろの所論からいえば真意ではないと思いますので、一言御注意申し上げたということでありますから、いまの御発言を聞きまして農林大臣の真意は明確になりましたから、これ以上は追求はいたしませんが、おっしゃったことは明らかに農民のためにという表現をなさったから取り消したほうがいかがですか、こう申し上げたのでございますので、御了承を願いたいと思うわけです。
 そこで、いろいろ農振法によって農地を他の目的に転用しないための規制をすると、これが農振法を出された大きな背景でもあり、私は目的でもあるというふうに思うわけです。言いかえますならば、建設省は都市の側から、農林省は農村の側からそれぞれ都市化という怪物をいかにして押えようかということが、都市計画法が昨年決定をした大きな理由であり、本日審議を終わろうとしておる農業振興法が――いや、終わろうというのは、私が質疑を終わろうとしておるということですから――農振法はそこにあると思うんですよ。
 私は、具体的な問題として、いま私権の制約には限度があるというお話もありましたけれども、それもわかります。しかし、農振法を制定されるという大きな目的からいえば、やはり農耕以外に利用目的が変更されないように規制をするという、これが筋として一本大きく通らなければ、結局地域指定を行ないましてもいままでと同じことになるんじゃないか、こういう観点からいろいろな条件というものを想定して質問を進めてきたわけです。
 そこで、具体的に私は考えてみるのでありますが、農地法四条、五条の転用あるいは権利の移動等について手続がとられておりまするけれども、それらがいわゆる手続きどおりとられておるのかどうか、またとられておるにしても、いわゆる許可を受けたとおりに、目的どおりそれが使われておるかどうかということになりますれば、これはいろいろな事例から見まして、いわゆる底抜けだとは言いませんけれども、ゆがめられておるという現実を私たちはまず考えてみなければならぬと思うわけです。したがって、この農振法において、この四条、五条を基本にして転用を許さないということにいたしましても、どれだけいままでの実績から見て効果があるかということを考えますならば、これははなはだおぼつかない結果に終わるのではないかというふうに思うわけです。したがって、そういう点を農振法の制定と同時に、いわゆる農地法との関連において、どのようになすっていくというか、具体的に手を打っていかれるのか。このことをひとつ考えておく必要があるのじゃないか。そういう点で、ひとつ農地局長から……。
#42
○政府委員(中野和仁君) 農地転用許可制度の現状につきましては、いま中村先生のお話のように、何十万件という許可が全部きちんと行なわれているかということになりますと、若干問題のある点もございます。と申しますのは、許可をいたしましても、その許可目的どおりに工場なり住宅を建てないで、一年ほおっておくというような場合もままあるわけでございます。そういう場合もあるかと思いますけれども、少なくとも昭和三十四年以来、農地転用許可基準をつくりまして、それに基づきまして優良農地を確保する。それからその場合にも他産業との調整をはかりつつというふうに、都市周辺ではなってきておりますけれども、そういう観点から厳重にやってきておるわけでございます。
 そこで、今度の都市計画法が施行され、農振法が通りますと、土地利用区分というのが明確になってまいります。そうしますと、振興法によります振興地域は先ほどからも申し上げましたような気持ちで農地転用の許可は運用しなければなりませんし、それから調整地域につきましては、先ほど申し上げましたように、農地転用許可は従来どおりの方針でやっていかなければならないというふうに考えておりまして、この両法律が施行されます機会に、もう一度その辺はあらためて過去を反省いたしまして、厳重に法の運用をはかりたいというふうに考えております。
#43
○武内五郎君 関連。先ほど来、農地法と都市計画法施行上の調整の問題が論議されておるわけですが、都市計画の農地法に対して最もねらっておるところは、やはり四条、五条の問題これを改正したり、あるいは後退させようとするのが今回の都市計画法に付随する農地法改正の問題、それから、それに伴って農振法がこれを何とかして土地を守ろうじゃないかという立場でなければならぬということだと考えておるわけなんですが、そこで、都市計画は公共性を強く主張してきている。だから、それに基づいて農地法の制約、農地の転用を強く要求しておることは御承知のとおりです。で、私は、先ほど来、矢山君等の発言の中にも、農地こそが最も公共性の強いものであるという主張があったわけです。私は、かつて農地改革の後に、その当時の、農地改革の際、農地改革は地主たちの所有権を否定するものであって憲法違反であるという違憲訴訟を起こした。農地改革は違憲であるという訴訟を起こした。その違憲訴訟が、国民の食糧を生産するという重大な任務を背負っている基盤である農地が公共性の強いものであるという立場から、違憲にあらずという判決が出たことをわれわれは思い出すのでありますが、私はその立場が今日なお生きていると思います。
 その点で、だからわれわれは、公共性を強くすると言っておきながら、この農地法との調整をどう持っていくかということをいままでにただしてきた。ことに私は、そういう国民の食糧を供給するという立場から考えて、今度の都市計画法なんというものはそれほど大事ではないが、大きな立場から見たら、きわめて視野の小さい問題だ。農業という大きな立場から見たら、都市計画なんてきわめて小さいことです。そういうはかりにかけただけでも私は農地を守っていくというのは、今度出された農振法の使命でなければならないわけです。その点はきわめてあいまいに出てきていることはいかぬと思う。それらの調整をどういうように考えておるか、お伺いしたい。これは重大な憲法に関する問題でもありますから、大臣のお考えを聞きたい。
#44
○政府委員(中野和仁君) ちょっと事務的に先に御答弁を申し上げたいと思いますが、農地法が――農業生産を進めていく上におきます基盤として農地が非常に大事であるということにつきましては、先生御指摘のとおりでございますし、われわれもそういう気持ちで農地法の運用に当たっているわけでございます。それと都市化との問題の調整ということが農地法の立場、都市計画法の立場がばらばらに実はいままであったわけであります。その接点で非常に都市のスプロール化、これは都市側のサイドから見ましても、まだ下水道のできないところに妙な家が建つということもございましょうし、そういうことの反面、都市近郊の農業がかなり農業としての影響を受けるわけでございます。そこで今回考えましたいろいろな法律におきましては、やはり都市周辺の土地利用区分を明確にしなければならないのじゃないか、そして都市化を進めるところ、そして農業として守っていくところを明確にする必要があるということでございます。われわれ農地法の立場から言いますれば、そういう区分ができました上は、農業として守っていくところにつきましては、従来以上に農地転用の許可制度を厳重に運用したいというように考えておるわけでございます。
#45
○国務大臣(長谷川四郎君) 第三条ですが、やはり優良な集団農地、その他長期にわたる農用地として保存すべき土地の区域、こういうようにはっきりしておるのでございまして、いまのような無秩序な潰廃が行なわれていったのでは、これを農地として主として守り抜くこともなかなか困難性がありますので、したがって今回のような農振法というものを提案しているわけでありますから、無秩序にやるという意味では、無秩序に潰廃される土地を、いかに今後は農地として、長期にわたって農用地として保存すべきかと、こういうことでございますので、いま御説のような方向に今度は方向づけたと、こういうことではないでしょうか。
#46
○武内五郎君 それならばその点はそれでいいのです。そこで論議になっている問題は、農地という一つの物件に対して、建設省の都市計画法からいえば、これを制約しようとしている。ところが、その立場からいえば農地を守ろうとしている。そういう接点が出てきている。その接点をどういうように調整していくかということを私は聞いている。公共性といえども、私はそう簡単に、これは公共性だからといって、国民に押しつけたり何かすることはできるものではないと考えます。それこそ憲法の二十九条がそれを守っているはずだ。憲法の二十九条は公共性という制約はついておりまするけれども、それはそれこそ国民の全体の利益を考え、一部のものの利益によって多数のものに犠牲をかけ損害をかけていくというようなことは、これは押えるということ、そういう性質のものなんです。どうですか。
#47
○国務大臣(長谷川四郎君) ですから、都市計画法なんというのは、これはこっちのほうは、おまえたちはこの程度にしておけということでちゃんと市街地計画というものをきめてやっておるし、また調整区域がある。それが接点じゃないんですか。そういうような接点をはっきりして、これ以外は農振法でちゃんと押えていく。ただし、先ほどお話のあったような山村といいましょうか、そういう点には疑点が残されているから、その点は検討しなければならぬのだ、こう思っておりますけれども、そういう接点ということになると私はそういうふうに考えます。
#48
○中村波男君 次は農業振興地帯の問題について一、二お尋ねをしてみたいと思うわけですが、農振法の地域指定はいままでの農林省の説明によりますと、二百ヘクタール以上の農地を対象に指定をする。これは基準であって、相当弾力的な運用をするといわれますが、しかし二百ヘクタールというのを基準として弾力的に運営するなんということになれば、常識的にはその下というのは、五十とか三十ヘクタールというのは、面積的な基準からいって除外をされるのではないか、こういうふうに私は考えますので、特にお尋ねを申し上げるわけでありますが、指定基準をもっともっと実情に見合ったものにすべきではないか。と申しますのは、施設園芸などでありますと、能率農業を経営する地帯にあってはやはり二百ヘクタールという基準が高過ぎる、そういうことも考えるのであります。したがって、いま申し上げますように、作目別に規模を指定して、現地に見合ったものにする考えはあるのかないのか。まずこの点をひとつお尋ねをしておきたい、こう思うわけです。
#49
○政府委員(池田俊也君) 農業振興地域の指定の要件といたしまして、幾つかの要件があるわけでございますが、その中で、その地域内の農用地が相当程度の規模の土地があるという項目がございまして、その項目の一応の基準として二百ヘクタール程度ということを申し上げたわけでございますが、これは私どもは何もその数字にこだわるというつもりはございませんので、地域の実態に応じまして相当弾力的に運用していくのがいいのじゃなかろうか。たとえば、山村等で必ずしもそういう農地がないというところもございますが、そういう地域につきましてはそれぞれその実情に応じて考えていくべきであろうという基本的な考え方があるわけでございます。ただ、それが非常に小さくなりまして、一例をあげれば、極端な場合でございますが、予定されている地域の中で十ヘクタールといったような土地しかない、当然これは一市町村なり、あるいはたとえば二町村というところが一つのめどになると思うのですが、その中にその程度しかないということになりますと、これはもうどうも農業地域とは言えないであろう。やはり将来相当農業を盛んにしていこうという地域でございますから、そういう地域、それはもちろん施設園芸等で比較的小規模で相当の生産額をあげ得るというところはあり得るわけでございますが、それにいたしましても、そういう地域でももうちょっとやはり広い規模の農地がそこにあるということになろうと私どもは思うわけでございまして、いまの段階ではそこまではちょっと困難ではないか。また作目別に何か基準を考えたらどうかという御意見でございますが、一つの御意見と思うわけでございますが、もちろん非常に集約的な農業が行なわれておるところであれば、もうちょっと基準を下げてもよかろうという感じもございますけれども、いまの段階では作目別に、たとえば施設園芸であれば幾ら、あるいは水田であれば幾らというところまで厳密に考えて基準をつくろうというところまでは実は考えておらないわけでございます。
#50
○中村波男君 先般来、当委員会の審議を通じて農政局長の御答弁を聞いておりますと、山村等のいわゆる面積の少ないところというものを特に重点的にお考えになっておるようでありますが、それも当然でありまするけれども、特に私が指摘をいたしますのは、都市近郊、いわゆる高性能の農業、まあいろいろありますが、そういうところを二百町歩を基準にすれば幾ら下げたところで百町歩まで下げるというお考えは持っておらないのじゃないかという感じがするわけでありますが、百町歩以下、五十なら五十町歩でも私はそういう地域というのは指定をして、都市に新鮮な野菜を供給する、あるいは特に緑地という立場で都市との調和において考えてみます場合にも、指定をして長く経営が維持されるような政策というものは、これはやはり農業の策を離れても考えてみる必要があるのじゃないか、こういう立場でお尋ねをし、また考えを変えてもらう必要を私は強調いたしたいのです。
 それからもう一つ、具体的には今後の農政の重点が農振地域にかけられる、これは当然なことでありますし、その重点がどのようにかけられるかということについては、先般の委員会にも私が指摘をいたしたように、いまの段階では予算的裏づけというものはほとんど明らかにされておらない。それはそれといたしまして、営農団地特別整備事業融資措置要綱というのを農林省でお出しになっておるようであります。こういう措置をお考えになった、何といいますか、動機といいますか、そういうものをつくらなければならなくなった現状というものは、やはり農協の営農団地計画というものに大きく影響を受けてこういうものが出てきたのではないかというふうに背景としては私は考えておるのでありますが、したがって五百億の営農団地金融を第二次構造改善事業や農振地域を中心にして振り向けられるということになると思うわけです。そうしますと、いわゆる都市近郊の農業地帯、農協の計画しております営農団地計画というのはそういう融資ワクからはずれる結果になるのではないか、こういう面における営農団地特別整備事業融資措置についてどういうふうに今後お考えになっておるのか。具体的にどう運営をされようとするのか。その点あわせてお尋ねをしておきたい。
#51
○政府委員(池田俊也君) 前段のことでございますが、確かに都市周辺の農業の振興をはかるということは非常に重要なことでございまして、私どもも決してそれを顧みないというようなことではないわけでございます。それで先ほどからいろいろ御議論のございます規模の問題につきましても、私どもはやはり都市周辺で非常に集約的な農業が行なわれているというところで、まあ将来も農業として地域の振興をはかっていくということが明らかでございますならば、それは二百ヘクタールというところに必ずしもとらわれる必要はないので、実態に応じて判断をしていくべきであろうという考えを持っているわけでございます。
 それから営農団地の問題でございますが、営農団地というのは御存じのとおりでございますが、農協が、農協の組織というようなものを極力生産それから流通を通じて、ある意味では組織化をはかっていく。市場の組織化というような見方もあろうと思いますが、そういうような観点から団地の育成をしていく。そうして生産と流通をうまくつなげた一つの秩序をつくっていこう、こういう考え方で従来からそういう指導を、事業を行なっているわけでございますので、これは当然政府の施策として従来からやっております構造改善事業あるいは今回のこの農業振興地域の問題と密接につながってくる問題でございます。おそらく私どもは、これはダブってそれぞれが適用されて、ダブった形になるであろうという感じを持っておるわけであります。そういうようなまた運用をしてまいりたいというふうに考えているわけでございまして、まあそういうような観点からそこにおきますいろんな施設等に対する制度的な、たとえば融資面の裏づけを強化しようというようなことで、これにつきましては一部の金利の引き下げというようなことを本年度から取り上げたわけでございますので、そういうような観点から私どもがやはりそこらの面とそれから政府施策の構造改善事業とこの農振法というものを結びつけて一体として運営していきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。
#52
○中村波男君 もう一度確認いたしますが、この営農団地特別整備事業の融資については、いわゆる農振法の指定を受けない地域にあっても当該融資目的に沿うものについてはこれは適用していくのだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
#53
○政府委員(池田俊也君) 私いま御説明申し上げましたように、やはりこういうものは農業振興地域を中心に一体として運営されるべきものであろう。もちろん構造改善事業をそれに合わせていくというようなことが一番望ましいわけでございますので、私どもはばらばらではなしにこれを一体として運営していきたい、こういう気持ちがあるわけでございます。現在農林省として考えております考え方は、そういうような観点から、これは現実的には融資の措置要綱ということで認めているわけでございますが、農業を振興すべき地域、これはまあ今回の法案によります農業振興地域でございますが、そういう中で営農団地の事業が行なわれるというものに対して運用をしていく、こういう考えでございまして一体としてやっていきたい、こういうふうに思っております。
#54
○中村波男君 それから、農地局長の御答弁は懇切丁寧で、その意味では感謝しているわけですけれども、もう少し私の質問にぴしゃり答えていただきたいと思うのです。私はこの金融措置がいわゆる農業振興地域に、重点的に第二次構造改善事業が指定される。したがって、それはほとんどといいますか、重点的に金融措置を行なうのであって、それ以外の、いま私がさいぜんから指摘をした都市近郊の集約農業といいますか、高性能の営農団地等についてはこれは適用しないのだという、原則的に、こういう考えでありますかどうか。それだけ簡単にお答えいただけばけっこうだと思います。
#55
○政府委員(池田俊也君) 原則的には農業振興地域に指定されないところは適用がむずかしいであろうと、こういうことでございます。
#56
○中村波男君 私は運営の方針については問題があると思いますし、再検討をお願い申し上げたいと思います。時間が経過するばかりでありますので、次の問題に移りたいと思います。
 ひとつ高度な政治的な判断も必要でありますので、お尋ねいたしたいと思いますが、このスプロール化によって追い詰められた都市近郊の農業が、さらに都市計画法の適用で混乱を引き起こしておる実態というものは御承知のとおりであり、私は放置できない問題であろうと思うわけです。また全然別の立場で農業振興地域に指定して、その中に農政を集中しようとするのは私は、農政の安易な妥協であったというふうに考えるのであります。したがって、都市計画法あるいは農業振興地域整備法等もっと総合的な立場で長期、短期の農政の基本方針を定めた上で土地利用規制というものを考えるべきではないか。これを考えなければ農振法の目的等もこれは全く領土宣言をしたことにすぎない、こういう結果に終わるのではないかという懸念を持っておるのでありますが、それについての大臣の所信をお伺いしたい、こう思います。
#57
○国務大臣(長谷川四郎君) 長期的にはいろいろな考え方を持った総合開発とかいろいろなものがあります。しかし、私の考え方ということになりますと、私は日本の、一応は昭和五十二年までのいろいろな統計とか、いろいろな想像が出ておりますけれども、私の考え方からいくならばやはり、何といってもこれらをぴしゃりと早目に日本という国は農地全体は幾らあればいい、この中の米麦地帯は幾らあればいい、麦作はどういうふうにしていくのだ、蔬菜地帯、野菜地帯、市街地近郊地帯はどういうふうに持っていくのだ、供給源をどういうふうにつくり上げるのだ、こういう全体の上に立った、はっきりとした位置づけをしていかなければならないだろう、こういうような考え方を持っております。したがって、こういうような考え方の上に立ってすぐいまというわけにはいかないでしょうけれども、本省、農林省におきましては、そういう基本的な問題に触れたものをはっきり示さなければならないだろう、こういうことで、いまどういうようなものが何ヘクタールあったらどのくらいの供給をすることができ、それに対する位置づけをどうするかという点を、はっきりしてきたものを出したい、こう思っております。しかしながら、いませっかくまだ検討をしている。それこそ検討しているところで、いまここでどうこうということは申し上げられませんけれども、なるべく早目にそういうものをはっきりとして、そういう上に立った、基礎の上に立ってのこういうようなものもまた新たに考えるべきものがあるならば、それは考えてやらなければならない、検討すべきものは検討していく、こういうふうに考えております。
#58
○中村波男君 市街化区域と市街化調整区域の区域区分と農林漁業との調整措置等に関する方針というのを見ますと、「団地規模がおおむね二十ヘクタール以上で、高性能な機械による営農が可能な土地条件を備え、かつ、十アール当り収量が当該農用地の所在する農業地域の平均以上である農用地」という規定があるわけでございますが、これは当委員会におきましても二十ヘクタールというのは高過ぎるんではないか、もっと下げるべきではないかという意見が出ておりますし、また公聴会等においてもこれらの意見が多く述べられ、また農業団体その他からも強く政府に要望が出ておると思うんでありますが、これについて考えを変えられる用意は全くないのかどうかということをまず一点お尋ねをいたしたい。
 それから「十アール当り収量」というのは作目別にいわゆる基準を求めてきめるのであるかどうか、この点をお尋ねをいたします。
#59
○政府委員(中野和仁君) 集団的な優良農地をどういうふうに考えるかということにつきまして、先般この委員会でもいろいろ御議論があったところでございます。私たちがこの規模をおおむね二十ヘクタールと考えましたのは、一つには農地転用の許可基準の場合、これは過去の運用でございますけれども、第一種農地というのと大体同じような考え方をとりました。それは大体過去二十ヘクタールで運用してきております。それから土地改良事業の公共投資も大体そういうような規模を考えております。したがいまして、原則的にはやはり今後とも優良農地として残していこうというためには、この程度の規模はあったほうがいいと思います。ただ先ほど来も御議論がありましたように、都市周辺の集約的な農業ということになりますと、必ずしもこの二十ヘクタールくらいなければ、一ヘクタール欠けるとだめだということになりますと、そういうふうに厳密には考える必要はないじゃないか。場所によりましてはそれはもう少し、十五ヘクタールになりますか、そういうことは地域の実情によってあり得るというふうに考えて運用すべきだというふうに考えております。
 それから第二番目の収量の見方でございますが、これも優良という意味の判断の場合に、大体農林省の統計調査部で農業地域区分をつくっておりますので、その地域による主要な作物につきましてその収量を見たほうがいいんではないかということでございますから、やはり米の地帯は米、そうでないものはそうでないようなもの、主要な作物について判断をすべきだというふうに考えております。
#60
○中村波男君 もう一点ですがね。その二十ヘクタールの場合、まあ一団地を市街化区域の中で除外するということになる場合ですね。その二十へタタールの団地の取り扱いをですね、市街化区域はまあ長期的な投資は行なわないということは明らかにされておるわけでありますが、そういうことになりますと、残した二十ヘクタールという団地は調整区域と同じような取り扱いにするのかどうか、この点はどういうことになりますか。
#61
○政府委員(中野和仁君) いまのお話の場合に、全体として市街化区域の中に、たとえば二十ヘクタールの農業をやっていく地域を残すというふうになりますと、それは調整地域になるわけでございます。したがいまして、その地域に必要な農業投資をする必要があるところにあればその一般の調整地区と同じようにやっていきたいというふうに考えております。
#62
○中村波男君 まだいろいろ事務的な問題についてもお尋ねをいたしたいと考えておったのでありますが、時間の関係もありますから、最後に、地価対策について大臣にお尋ねをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
 申し上げますまでもなく、本来土地というのは商品ではないと思うのであります。投機的に利用すべきでもないと思うのであります。しかしながら、実際問題として、団地ができる、道路がつくられる、圃場整備が行なわれる。すなわち公共投資が行なわれると周辺の土地が値上がりをするという二律背反の性格があることは言うまでもないのであります。こうした現象は農政の欠陥と私は無関係ではないと思うのでありますが、しかし、農政のサイドでは押え切れないものがあるということも十分承知をいたしております。しかしながら、総合的な立場で地価対策と取り組む必要があるからといって、いわゆる農政としてこれを放置しておくわけにはまいらないというふうに思うわけです。何といってもいま政府がいわゆる日本農業の零細性を克服して自立農家、経営規模の格大という政策目標をまあ掲げておるといたしますならば、それの大きな隘路になっておる、あるいは足を引っ張っておるのは地価問題であろうということは言うまでもないのであります。
 特に私はこの点について指摘をして具体的な地価対策というのを講じてみる必要があるということを申し上げたいのは、いわゆる市街化区域、市街化調整区域によって一応のスプロール化が押えられるという効果については私は大きな期待を持っておらないのであります。で、今日都市近郊の農地が値上がりをした要因というのはいろいろあります。その中に、いわゆる土地が高くなったために土地を手離して、今度はその外側へ代替地として農民自身が土地を求めて行なった、そのことが土地の値上がりを誘導した一つの現実の姿であるということを見逃してはならぬと思うわけです。したがって、市街化区域に設定をされますと、今度はやはり財産保有的な考え方もありまするし、また農業を続けていきたいというような立場からですね、今度は調整区域また調整区域外の農業振興地域へ農地を求めるというこういう関係というのがさらに強く私は出てくるのではないか、こういうふうに考えるのであります。この見通し、この分析が正しいかどうかはひとつ農林省の立場で見解を述べていただきたいと思うのでありますが、私はそう考えるのであります。そういう具体的な事例を踏んまえましても、さらに今後地価の抑制、地価の値上がりを押えるという対策というのをやはり農業振興地域指定と並行して強力に押し進める必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますが、ゆえに、ひとつ大臣のこれに対するお考え、また今後の具体的対策等についてそれぞれの所管の局長からありますれば、お聞きをいたしまして、本日は質問を終わりたい、こう思うわけであります。
#63
○国務大臣(長谷川四郎君) 一応は市街化区域、市街化調整区域、こういうようなところによって、大体は何とか食いとめることができ得るだろうというような考え方でございますけれども、何といっても、地価問題というのは国民経済全体の上に関連するものでございますので、これらの総合的な観点から地価対策というものは別途確立をすべきものであろうとは考えます。しかしながら、ただいまの御質問のように、こういうせっかくつくられても、そういうような点に侵食されていきやせぬかというような御心配もございます。しかし、でありまするから、今回もこのような、法的にみて侵食されないように、無秩序に潰廃されないように農振法というものができたわけでございますから、これによって、まあ完全無疵というわけにはいきませんけれども、ある程度これによって押えられていくだろうということは考えられるわけでございます。でありまするから、これによってさらに農地が無秩序に潰廃されるというようなことがあるとするならば、別途これらの問題は考えていかなければならない問題だろう、こういうふうに考えます。
#64
○政府委員(中野和仁君) ただいまの、地価問題に関連しましての具体的な事例をお引きになりましてのお話でございました。市街化地域の中の農家が、農業ができなくなって土地を売って周辺部に出ていくという様相は、東京あるいは大阪周辺、非常に多いわけであります。それがその地元での地価を上げているということも、御指摘の事情があります。そこでわれわれとしましては、それが、その出ていく農家が、出ていった先できちっと農業をやっていただけばそれでもよろしいわけです。しかし中には、せっかく土地を売った金が入ったのに、やはり税法の関係もございましょうけれども、また別の土地を買っておこうということがあるわけです。それがかなり問題を起こしている事態がございますので、今回、農地法の改正案を今国会に提出しておりますが、それによりまして許可の基準としまして、買った先で効率的に農業経営がやれるかどうかを判断した上で、単なる財産的な取得のようなものは許可をしないという手も今回考えているわけでございます。
#65
○委員長(任田新治君) 農林省の政府委員に申し上げますが、一昨日の中村委員からの質問で、埼玉県の入間地区野菜生産団地についての園芸局長の答弁が残っておりますので、一応ここでその答弁を願いたいと思います。
#66
○政府委員(小暮光美君) 埼玉県の入間地域での野菜指定産地におきます近代化促進事業は、四十一年から計画に入りまして、今年度四十四年度から事業を実施したいということで、関東農政局において地元と協議を進めてきたところでございます。その事業の対象区域として、かねて予定されておりました地区のごく一部が、現在市街化地域に指定するかどうかという問題の対象地域になっております。地元において種々地元の意向を取りまとめ中でございます。したがいまして、関東農政局といたしまして、これらの地元の意向の帰趨を見きわめて事業に着手したいということで、現在その推移を見守っているところでございます。
#67
○委員長(任田新治君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
#68
○委員長(任田新治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業振興地域の整備に関する法律案に対し質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#69
○矢山有作君 農振地域整備法案に関連いたしまして質問させていただきたいと思いますが、できるだけ重複を避けていくつもりですけれども、多少重複する部分ができるだろうと思いますし、さらにいままで質疑の中に出ておりましても私のほうで納得のいかない面につきましてはお尋ねすることがあると思いますが、その点ひとつ御容赦を願いたいと思います。
 まず最初にお伺いしたいと思いますのは、新しい都市計画法にも、それからまた農業振興地域整備法案にも土地の合理的利用をはかる、あるいは国土資源の合理的利用に寄与する、こういった文句が出ておりますが、国土の総合的な利用計画についての基本方針が成立されないままで、はたしてそういうことが行なわれるのかどうか。私は大きな疑問を持っているわけです。
 建設省は都市計画法によって土地サイドから、そして通産省はいま立法の計画があるというふうに聞いておりますが、工業立地適正化法によって企業サイドから、また農林省は農業振興地域整備法案によって農業サイドから、おのおの土地の囲い込みをはかっているにすぎない。ほんとうに国土の有効利用の目的を達成できないのではないか。いたずらに縦割り行政の弊害を大きくするだけじゃないか。こういうふうに私は思っておるのですが、この点について御見解を伺いたいと思います。要するに国土の総合的な有効利用の基本的な方針がなければいけないのではないか。こういう意味です。
#70
○国務大臣(坪川信三君) お答えいたしたいと思います。
 矢山委員御承知のとおりに、都市計画法が昨年制定され、今月の十四日いよいよこれを施行いたしたような次第でございますが、この本法の制定の目的はいまさら御説明申し上げるまでもございませんけれども、最近都市への人口、産業等の集中によって、まことに無秩序な都市現象が非常に著しく相なってまいりましたので、スプロール化するところの都市計画をもっと正しい意味においての都市の建設をいたすという意味において、本法案の制定をお願いいたしたようなわけでございますが、これに関連いたしまして、いま御指摘のような立場からいわゆるいろいろと問題点を提供申し上げていることは、まことに恐縮いたしておるような次第でございます。建設省といたしましてはあくまでも関連土地の有効なる利用促進をはかり、しかもその前提には各省庁間にとって最も円満なる話し合いと関連性に対するところの解明を深くいたしながら、協調連絡のもとにこれを実行推進していくという方針でございますので、これらの点についていろいろと御迷惑もおかけいたすことの大きいことを考えてはおりますが、あくまでも土地の有効利用の促進と秩序あるところの都市建設と周辺農村の建設に配慮いたしたいという方針であることを御了承いただきたいと思います。
#71
○矢山有作君 私はまあ国土の有効利用のためには、基本的な方針がないままでそれぞればらばらな立法が行なわれたのではいけないのではないかということを申し上げたのですが、建設大臣のほうからはそれなりの御答弁がありましたが、農林大臣のほうからは御答弁がないようです。したがって国土の基本的な利用計画というようなものについては、何らの御意見もお持ち合わせにならんのではないかと思うのでありますが、そういうことになりますと土地問題解決のための政府の重要な閣僚である農林大臣の立場としては、私どもはまことに不満足であります。
 大体土地というものは再生産が不可能なものであります。しかしながらまたどんな人でもこの土地を離れては生活することができない。そういう意味では他のすべての財とは全く異なった特性を持っておると思うのであります。そうであるとするならば、この特殊な財について大局的な見地に立って利用計画するということは、国土の有効利用の上からいって絶対必要である。特に日本のように利用可能地が狭く限定されている国においては、その必要なことは決定的であろうと思います。
 したがって政府はまず国土の総合的な利用計画の基本方針を樹立することに私は取り組むべきだと思うのです。その際特に私申し上げたいのは、農林省は国土の利用可能面積の大部分を所管をする省であります。そういう立場から考えても、そうした基本的な国土の利用計画というものをつくり上げていくための推進力となるべきではないか。それがないというとこれから審議の中であるいはいままでの審議の中でも明らかになりましたように、都市計画法をつくりあるいは農振地域整備法案をつくってみても、国土の有効利用ということを十分に全うすることはできない欠陥が出てきておる。したがってそういうことを申し上げるのですが、この点について農林省の立場からひとつ今度はお答えをいただきたいと思うのです。
#72
○国務大臣(長谷川四郎君) 申すまでもなく日本のこの土地をいかに高度に利用するか、そしてその資源を合理的に生かしていくか、そうして利用するか、こういう点についてはわれわれも先ほどから何回となく申し上げてあるとおりでございまして、新都市計画法ができるにいたしましても今度の農振法の御審議を願うにいたしましても、ただ農林省の考え方一つによって決定するものではないのであって、要は協議に協議を重ねた結果が、このような土地の高度利用というもの、国土の資源の合理的利用にはもっともだ、こういう点の上に立って御審議を願っておるのでございまして、農林省だからといい、建設省だからといい、これが勝手に一つの法案を出しておるわけではないのでございまして、そういうような点につきましては、土地の資源をいかに高度に利用するかという点につきましては、政府は一体の姿によって御審議を願っておるわけであります。
#73
○矢山有作君 私はだから農林省がすべてを決定するとも申しておらぬので、要するに国土の有効利用のためには、基本的なその有効利用のための利用計画というものが必要である現在それを全般的に統轄しておるという省はないと思います。しかしながら先ほど言いましたように、農林省の立場からするならば、そういった基本的な土地利用計画というものをつくるための推進力になる考えはないかと申し上げたので、先ほど中村委員の地価対策の質問がありましたが、この地価対策もこうした国土の利用計画を個々に立てていく場合にはきわめて重要なものである。この地価対策が確立しなければ、どんな法律をつくってみてもなかなか多くの矛盾をはらんでうまくいかないということもすでに論議になったところなんです。したがって地価対策の問題をも含めて、農林省が先ほど来言っているように、国土の多くの部分、これを所管しているのですから、そうした地価対策あるいは土地利用の基本的な方針、そういったものをつくるための推進力になってはどうかと言っているのです。それだけの意気込みでもって取り組まなければいけないのではないか。これは私の農林省に対する提案でございまして、そういうぐあいな意気込みでやってもらえるかもらえないか。それとも依然としてうちの省はそこまで手が出ぬということでいかれるのかどうか、この問題です。
#74
○国務大臣(長谷川四郎君) 新都市法における市街化の問題調整区域の問題、また新たに農振法の問題、これらに対しましても、その土地の価格の問題等々も十分その中に入れまして、この都市計画化の中には、市街化区域をきめるとか、あるいはその接点となるべき調整区域をどうきめるとか、こういうふうにして、農業の振興地域というものをはっきりきめて、そして土地の自然条件、土地の高度利用に向かっていきたい。こういうような考え方の上に立って、今回の農振法というものも提案をしたわけでございまして、私のほうが全体のイニシアチブをとって進んだらどうかというお話でございますが。したがって、先ほど申し上げたように、たとえば新都市計画法におきましても、建設省からは提案されておりますけれども、われわれのほうが、これらに対する十分な納得とその利用方法というものがはっきりしない以上は、われわれはこれを賛成するわけはないのでございまして、すべてそういう点についての、政府は一体となった姿によってこれを行なっていっておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
#75
○矢山有作君 どうも私の言わんとするところが十分に御理解いただけてないようですが、お聞きになっておられる事務当局には、私がおそらく何を言っておるかということは御理解いただいておるだろうと思うのです。したがって、きょうはこういう本格的な論議に入っていく前段としての抽象的な議論ですから、私のほうはこれ以上とやかく突っ込んでは申しません。しかしながら、地価対策なり土地利用のための基本的な方針が確立しなければ、いろいろな土地の囲い込み的な法律をつくっても、なかなか土地の、国土の有効利用ということにはいかないということはおわかりだと思います。したがって、これは大臣とよく御相談になって、農林省としては、今後そうした問題についても基本的な問題として解決に取り組んでいく姿勢というものを打ち出していただくように、特にこの点は私のほうから要望の一つとして提起をさしていただきまして、次の質問に移ります。
 次は、農産物の長期需給見通しにおいて、最終年度における食糧自給率というのがどの程度に予想されておるのかということを伺いたいわけです。
#76
○政府委員(大和田啓気君) 農業生産の昭和五十二年に至る年間の伸び率は二・七%でございます。需要はそれを若干上回りますので、最近における農産物の自給率は八〇%ないしそれを若干こえるところでございますが、昭和五十二年におきまして七七ないし七八%程度というふうに想定をいたしております。
#77
○矢山有作君 昭和五十二年度において大体七七%ないし七八%の食糧自給率というものを想定しておられるそうです。
 そこでお伺いしたいのは、農業振興地域整備法案を「農産物の長期需給見通し」との関連につきましてのこれまでの議論の中で、こういうことが大体出てきておると思うのです。つまり現在地方農政局別の生産見通しについては調査中であり、これに基づいて知事が農業振興地域整備基本方針を立てるよう指導する方針である、したがってこの農業振興地域整備法案と農産物の長期需給見通しとは矛盾しないと考える、こういうふうな答弁があったと思っておりますが、もし違うならば違うと御指摘いただきたいのです。
 それを前提としてお尋ねしたいのは、最近報ぜられておるところの日本農業の将来の位置づけについての検討過程で、適正な食糧自給率をどこに設定するかが検討されておるという、こういうことがいわれております。経企庁などでは、自給率確保に固執する農政を、せめて経済的に見合うものは輸入に切りかえるべきだ、こういう主張が強い。ところが農林省のほうでは、これに対して食糧の安定的供給が農政の基本的あり方とすれば自給率を無視することはできない、こういう考え方がいまのところは強い。しかしいまの八%ないしはそれをこえるという自給率については、先進工業国としてはやや高過ぎるという意識がある。そして農林省内においても将来五〇%ないし六〇%程度まで落としてもよいとする意見がある、こういうふうに伝えられているようであります。そうすると、これはいま立てられておる長期需給見通しにおける生産見通しというものが、これは大幅に後退することになるだろうと思います。そうすると、農業振興地域整備法との関連で、かなりのズレができてくるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はどうですか。
#78
○政府委員(大和田啓気君) 私どもたびたび申し上げておりますように、昨年の十一月に農政審議会に、農政の基本的な問題について御諮問を申し上げ、私どもも全省あげて現在作業いたしておるわけで、その作業の過程で、自給率をどう見るかという議論は相当こまかくやっておるわけでございます。その基本といたしましては、今後ますます工業化する日本の将来におきましても相当程度の農産物の自給ということはやはり必要ではないか。しかしそれもただ自給がいいということではなくて、やはり相当経済的なベースでその生産が進められるということが要件であろうというのが大体の基本的な考え方でございます。
 それで、農産物の長期見通しにおきましては、先ほど申し上げましたように、昭和五十二年で七七、八%という想定をいたしておるわけでございますが、私どもの現在の作業といたしましては、全体の自給率をどう置くかということから議論を出発させるのではなくて、むしろ米をどうするか、畜産物、果樹、野菜、その他いろいろな農産物をどの程度自給できるか、あるいは自給すべきであるか、そういう品目的な積み上げをいたそうといたしておるわけでございます。しかし何といたしましても、昨年の十一月に長期見通しを出しておるし、それを出すにつきましては、二、三年間農林省としては慎重に検討いたした結果でございますから、それから非常にずれた結論にはならないというふうに思います。いま御指摘になりましたが、農林省のほうの作業として、自給率は五〇なり六〇になり下げてもいいではないかということが議論としてあるというふうにお述べになりましたが、私ども若い連中を含めての議論でございますから、いろいろな意見が出ておることは事実でございますけれども、そういう自給率を五〇ないし六〇くらいに定めていいのではないかということが決して主題になって議論を進めておるわけではございません。
#79
○矢山有作君 まあ品目別の積み上げをやっておるということですが、要するにそういう作業をやりながら最終段階で先ほどおっしゃった七七%から七一%というんですか、そのくらいの総合自給率を見ておると、こういうことなんでしょう。
#80
○政府委員(大和田啓気君) 昨年の十一月に出しました「長期見通し」で、結論として自給率を大体七七ないし七八前後というふうに想定いたしておるわけであります。
#81
○矢山有作君 ところがそれで私がいまいろいろ言われておることを引き合いに出しましたのは、現在の経済企画庁あたりのいろいろと発表されておる考え方、大蔵当局から言われておる事柄、あるいは財界方面からのいろいろと言われておる事柄、これらを見た場合、案外将来自給率を五、六〇%に落としてもかまわんのだというような意向が強く出てくるのではないか、そういう方向に国の政策全体が動いていくのではないかという気がするわけです。
 それはなぜかというと、その裏づけとして私は特にそういう危惧の念を持ったのは、「総合農政推進のために」という、私はここには要旨しか持ってきておりませんが、これは農林省がまとめられた要旨でございますけれども、それによって見ましてもこれはもとの本文章のほうと変わらんはずですが、それによって見ましても、国内農業に依存する農産物と外国に依存する農産物とを明確に区別していくのだと、こういうことがはっきりと打ち出されておるわけです。これらの状況もあわせて考えると先ほど言いましたような、案外現在つくられておる「農産物の需給の長期見通し」とは違って、それよりも将来自給率をぐんと引き下げるような方向で政策が進んでいく、そういうおそれを私は強く感じておるわけです。
 そういうことでやはり農業振興地域法案との関連で重要な問題が起こってくるのではないか、もしそういうふうに総合自給率を下げてもかまわぬという方向に政策が動いていった場合には、その場合には農業振興地域に指定される地域というものが、これはかなり狭められてくるであろう、こういう気もするし、さらにそれとの関連において都市計画法のほうが農業を無視した形で出てくるのではないか、そういう気もしておるわけです。だからその辺がはっきりしないことには、私はこれからの問題としては非常に重要だと思います。
 したがって農林省として私どもがはっきり言ってもらいたいのは、先ほど来二、三年の慎重な検討を経て、「農産物の需給の長期見通し」を立てられたわけですから、したがってこれをあくまでも基本に踏まえながら今後の農政を展開していくのだということが言い切れ、さらにそれを守り抜くための決意があるのかどうか、そのことが私は重大だと思います。その点ではこれはやはり農林大臣のほうからその考え方というものを承りたいと思います。
#82
○国務大臣(長谷川四郎君) お話の中にもありましたように、日本の国内で生産をして土地といい、その土地の適正化といいましょうか、こういうようなものをつくって合うか合わないか、たとえばトウモロコシとかマイロなどというようなものは、これらに対しましては輸入をする考え方でございます。しかし他のもの等につきましては、先ほど官房長からもお話申し上げたとおり、七〇%以上というものは必ず確保しなければならないというのがわれわれの基本的な考え方であり、先ほど中村さんにも、その経緯を、今後の見通しはどういう考え方かという考え方についてお話申し上げたとおりであります。したがって農林省といたしましては、七〇%以上というものは必ず確保するとこのような考え方の上に立って今後の農政を行なっていく考え方であります。
#83
○矢山有作君 まあ大臣のかたい決意でありますから、われわれはこの問題をとらえて議論を幾らしてもこれは進展がないわけです。私どもとしては「長期需給見通し」に沿った、七〇%以上とおっしゃいましたが、七七%から七一%、これが最低の目標として自給率確保という前提のもとに農政を進めていただきたいと思いますし、はたしてそれを言明どおりに農林省がやるのかやらぬのかということは、今後の政策遂行の過程の中でおのずから明らかになっていくことでありますから、私どもはその際に、もし農林省がただいまの言明に逆行するようなことをやられた場合は、私たちはこれは重大な問題として問題を取り上げていかなきゃならぬと思っております。したがってこの問題についてはこれ以上深く立ち入りません。
 次にちょっと方面が変わりますがお伺いしたいのは、都市計画についての住民の意見の反映については、都市計画案の縦覧あるいは住民の意見書の提出の措置が講ぜられることとしてありますが、そのほかに法案の修正の段階で、さらに「都道府県知事又は市町村は、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものと」されております。ところが現実は住民の意思とは無関係に極秘裏で県、市町村が原案を作成していき、政省令が十分明らかにされないままで事態が進行しつつあります。で、各地でそのために問題が起こっておりますが、法においては、いかにも都市計画において住民の意思を尊重するがごとくに装いながら、実際はいま言ったように住民不在の都市計画がまかり通ろうとしておるような状態だと思います。この実態を建設大臣なり農林大臣はどういうふうに現状を認識しておられるのかこれをお伺いしたいわけです。
#84
○国務大臣(坪川信三君) 十四日より施行いたしました都市計画法の推進にあたりましては、建設省といたしましてはあくまでも民意を尊重するという基本的態度を堅持しながら具体的な推進をいたす方針であることは微動だにも変わっておりません。したがいまして、公聴会を開く、あるいは十分地域住民に対します縦覧等の提供をいたすと、絶えず民意を尊重いたしながら法の執行にあたってまいりたいということで御信頼をいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(長谷川四郎君) およそ民主主義国家において民意を尊重されないで、法案であるからというだけのことで解決つけられる問題は私はないと考えております。したがいまして御指摘のございましたような点、民意は守るけれども、いま御審議を願っているような振興法、こういうような点につきましてはその意味も十分くみ取っていただいた上に立っていただかなければならない、反面その点も考えなければならないだろう、こういうふうに思います。しかし何といっても、ただいま建設大臣もお話がございましたように、民意は十分尊重をしながら法の趣旨に沿った行政を行なってまいりたい、こう思います。
#86
○矢山有作君 委員会における答弁としておっしゃられる場合は、まさかおっしゃるとおりに、民意の尊重はあまりできておりませんということにはならぬだろうと思うのです。したがって、いま両大臣がおっしゃるような答弁になるだろうと思いますが、現実の動きはそういうものではない、住民が全然知らぬ間に都市計画がきめられている、だからほとんど毎日のように日本農業新聞あたりを中心にして報ぜられておるような混乱が各地で起こっておるわけです。したがって、この現実を無視して、私どもは両大臣は民意を尊重することが民主主義の本来の姿だからそうするのだとおっしゃいましても、ああそうですが、それはけっこうでございますといって引き下がるわけにはいかぬので、この点はやはり現実の動きはどうであるかということを、もう少し責任者としての両大臣は目を向けて考えられる必要がある、その現実を踏まえて国会で論議をされるというと答弁のための答弁、論議のすれ違いになって私は意味がないと思うのです。国会の論議というものは、何もすれ違いの論議をし、答弁のための答弁をすることが仕事じゃないんですから、やはり現実を踏まえながら悪い点があるならばその悪い点を改めるという点に前向きに問題をとらえていただかぬと、私は何ら論議の意味がなくなるのじゃないかと思うのです。
 そういう点から私が公聴会等を中心にした民意の反映が非常におろそかにされておる、それを裏付ける考え方というものはやはり建設省あたりにはあるのではないですか。私はこれまでの論議の中でもときどき持ち出した問題なんですが、「新都市計画法の要点」という建設省の役人の方の本がありますが、これを読んでみても公聴会というものをきわめて重視しておるというような点は見られないわけです。たとえば一例を引いてみますとこういうことをいっておるのですね。公聴会等の規定について、これらは「いずれも住民等の意思の反映を図ることが目的の規定であるとともに、決定後または事業が着手される段階になって、住民から″知らなかった″などの文句の出ないよう、自後の手続の円滑化を図るためのものでもあるわけです。」、こういうような解釈がされておるわけです。これは自後住民から文句が出た場合に、何だ、公聴会やったじゃないか、意見書の提出も求めたじゃないか、いまさら何を言うかと、こういうことのための方便にしかこの公聴会が考えられておらぬ、こういうふうに私どもは理解をせざるを得ない。
 さらにこういうことが単なる、ただいま申しましたような建設省のお役人の著書だけでなしに、「新都市計画法の施行について」というのが二月十九日に都市計画課から出されておるのです。これの公聴会に関する記述を読んでみましても、十六ページにもありますし、あるいは十四ページ等にもありますが、これらを読んでみましても公聴会を大いに活用して住民の意見を都市計画の中に積極的に反映させていこうという姿勢は何も出ていないわけです。これが私は問題だと思うのです。
 特に公聴会の問題につきましては、都市計画がほぼ固まってから、あるいは決定をしてから形の上で形式だけに公聴会をやれという規定にはなっておらないはずなんです。その規定はもうよく御存じでしょうが、十六条の規定によりますと、はっきりと「都市計画の案を作成しようとする場合において」、こういうのですから、作成をしようとする場合に、まず事前に関係住民の意見を十分に公聴会等で聞いてその理解を得、納得を得、賛成を得るようにしなさい、こういうふうになっておるはずなんです。もっとも「必要があると認めたときは、」というような、これは制限するような規定はありますけれども、しかし法の趣旨というのはあくまでも作成の前の事前の段階で十分に住民の賛同を得るような努力をせよ、こういうふうに解釈するのが正しいと思いますが、この点の建設省当局でやっておられる解釈が、私からいわせるならば、この法の趣旨に反して非常にでたらめである、また現実の執行がそれを裏書きするような住民の意思を十分に尊重、くみ取るという形で公聴会が持たれていない、したがって混乱を起こしておるということを申し上げたわけなんですが、この点については建設大臣にも御意見がありましょうし、特に事務遂行に当たっておられる都市局長にも私は考え方があろうと思いますので、この点お伺いしたいと思います。
#87
○国務大臣(坪川信三君) 矢山委員御指摘になりましたとおり、われわれといたしましては案の作成の段階においてあくまでも公聴会を開くという基本的な態度は何らくずれていないということは御信頼願いたいと思う次第であります。したがいまして、私どもはこの計画法の推進にあたりましては、あくまでも民意を尊重し、しかも農業との関係調整は十分はかりながらこの具体的推進をはかる決意であり、これが当然の措置であるということを表明申し上げ御理解いただきたいと思います。
#88
○政府委員(竹内藤男君) ただいま市街化区域、調整区域の線引きの作業に着手しておりますけれども、いま各県の状況を、多少進んでいるところ、おくれているところございますけれども、各県の中で土木部のほうでいま原案をつくりまして、それを関係の農林部、企画部と相談をしながら案をつくっているという段階でございます。さらにその原案を市町村のほうにも相談をしている段階でございます。市街化区域をきめますにつきましては、おおむね十年くらいの見通しを立てまして、人口や産業が入り得るような地域を定めますので、さらに何らかの素案がなければ公聴会を開けませんので、いまそういう段階で作業いたしておりまして、そうして素案ができました段階において公聴会を開いて皆さんの御意見を聞く。これは先生おっしゃるように一つの住民参加的な規定でございますので、そこで大いにそれにつきましての意見を言っていただこうという考え方でございますので、原案がかたまりましたならば、さらに法の手続に従いまして、これに基づきまして意見書の提出を求め、地方審議会にかけ、市町村の意見を聞き、そうして正式に決定したい、こういうふうな手順でやっておりますので、案の作成というのがいろいろな調整が要りますので、原案まあ何といいますか、正式に案としてかける案の前の原案の段階であるということを御理解いただきたい、こういうふうに考えます。
#89
○矢山有作君 そういうふうに認識しておられると、やはり私どもがいろいろな報道の面から知り、あるいはこの間も静岡に現地調査にまいりましたが、そういう中でわれわれの耳に入ってくる実行の仕方とかなりの相違があるわけです。だからあなたのほうであくまでも公聴会規定というものを尊重し、民意の反映ということを尊重されるならば、実際に事の衝に当たっている知事等に対する指導というものを、その趣旨が徹底されるように今後やられる必要があると思います。その効果がどうか、あるいは実際に実行しておられるかどうかということは今後の線引きが進んでいく段階で明らかになることですから、したがってそういう段階で紛争がますます広がるようなことでは私は適切な指導を県なり当局がやっているというふうに判断するわけにはまいりません。われわれはその問題については今後の事実経過を見ながら問題を考えていきたいと思います。
 そこで私はなぜこういう住民意思の反映ということを強調するかといいますと、都市計画の決定というのは性格的には行政権による一種の立法行為だ、こういうふうに解釈されているわけです。したがっていわゆる関係者に対する権利制限の面が非常に強く出てくるわけです。それだけに反面で住民の意思の反映が必要であるということが私は強くうたわれてくる関係にあると思います。それだけにこの都市計画というものの性格から考えて、住民意思の反映については今後一そう私は努力していただきたい、こういうふうに思うわけで、この点は強く要望いたしておきたいと思います。
 それから次の問題は、市街化区域は既成市街地とそれから今後「十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされております。この市街化区域の決定に当たっては建設大臣または都道府県知事はあらかじめ農林大臣に協議しなければならない、こういうことになっております。
 そこで農林大臣がおいでになりませんから事務当局でけっこうですが、この協議をお受けになったときの農林省当局の心がまえ、どういう心がまえで対処していくのか、このことを伺いたい。
#90
○政府委員(中野和仁君) 都市近郊におきます農業を確保するという問題もございます。一方では計画的に市街化されるという問題がございます。その辺の調整をはからなければならないのでございますが、その点につきましては、この当委員会でもわれわれが四月ごろ案の形でその調整のものの考え方を出しまして、それに基づいていろいろこの委員会でも御議論があるわけでございますが、われわれの考え方としましては、都市近郊農業の健全な発展と都市の計画化というものの調整を十分はかるという考え方で対処したいというふうな考えでおります。
#91
○矢山有作君 そこでもう一歩問題を進めてお伺いしたいのですが、地価の動向から見まして、市街化区域を拡大しようとする空気が住民の中に強く出てくるということは必至だと思います。現実にそういう強い動きがあります。それから市町村当局にしてみると、行政区域を分割して、たとえばこの線引きをやる場合に、市町村内の道路一つを境界にして二つの地域に区分するということもやるわけですから、だからそういうふうに分けることはきわめてむずかしい。強行するにはかなりの抵抗や困難が生ずるのではないか、こういう懸念が現実にあります。それからまたスプロール化がすでに進行しておる中では、この地域区分の判断もきわめてむずかしい。こうした中で農林省、建設省がこの市街化区域を圧縮していくだけの確たる自信があるのかどうか。また地域住民あるいは市町村当局が強く市街化区域の拡大を希望した場合、その場合でもこれをできるだけ小範囲に限定をして、それ以上の拡大には同意を与えない、こういう方針が守れるのかどうか。これはやはり建設省と農林省との重大な協議事項だろうと思うのです。この点は両者からの御答弁をいただきたいと思います。
#92
○国務大臣(坪川信三君) 建設省といたしましては、あくまでも基準を守りながら知事あるいは関係市町村に十分行政指導また指導、配慮をいたす覚悟でございます。
#93
○政府委員(中野和仁君) 農業側の立場といたしましても、ただいま建設大臣からのお話もありましたように、農業側からといたしましては、やはり都市近郊農業の混乱といいましょうか、そういうことがないような立場で十分調整をはかってまいりたいと考えております。
#94
○矢山有作君 これは基本的な両者のお考えを承っているわけですから、どうこう論議をやるべき問題でもないと思いますけれども、しかしながら私は先ほど申し述べましたようないろいろな動き、情勢からして、その調整がおっしゃるがごとく簡単なものではないというふうに考えております。したがって、この調整については、われわれの立場からするならば、農業というものを考える立場から、これは不当な市街化区域の編入が起こらないように最大の努力を農林省側に強くお願いしたいところです。さらに「都市計画法による市街化区域および市街化調整区域の区域区分と農林漁業との調整措置等に関する方針(案)」、これは農林省からいただいた資料でありますが、これによりますと、先ほど中村委員からもお話が出ました集団的優良農用地または農林漁業施策の対象となっている農用地等今後とも農林漁業に関する土地利用を進めて行く上で必要と認められるところは市街化区域に含めないとしております。しかしながら、これらすべてをこの調整方針のごとく忠実にやっていこうとすれば、市街化区域の中で随所に穴があいてくるだろうと思うのです。これは私たいへんな問題だと思います。簡単にできるような問題でもないだろうと思います。はたしてこれを都市における農業を守るという立場からおやりになれるのかどうか。これはやってみなければわからぬことですが、これもまたひとつ今後の両者の間の調整に当たっていく場合の心がまえなり、さらにそれを踏まえての農業振興策をやる上では重要だと思いますから、お伺いをいたします。
#95
○政府委員(中野和仁君) これからは市街化区域と調整区域の線引きが始まるわけでございますので、事はこの後の問題に属するわけでございます。ただちょっとこの際例をあげてわれわれの努力をしておる点も御了解いただきたいと思いますが、都市計画法が施行になります前にもやはり用途地域の指定がございます。それを、先ほど先生お話しのございましたように、地価サイドの問題があり、今後の市町村における都市づくりの問題等があり、全市町村、全区域市街化区域という頭で用途指定をかけるという問題が先般も起こってまいりました。しかし、そこをよく調べてみますと、去年農免道路が完成し、それから三分五厘融資で一億も出した、それで全部やれという非常に強い意見もあったわけでございます。農林省の立場といたしましては、やはり未来永劫というわけにはまいらないかもしれません、場所によりまして。しかし、農業投資をやったところでございます。そしてまた、農業は実際にあるわけでございますので、そこは避てもらいたいということで、結局調整をいたしまして、大体全町村全部というのを、三分の一ぐらいはやむを得ない、あとは農業用地として残すというような調整も先般やったような実例がございます。そういうようなことで、この調整方針にもありますように、集団的な優良農地を確保するという立場から今後とも十分調整していきたいというふうに考えております。
#96
○矢山有作君 この問題は、さらに今後実行の過程で明らかになる問題ですし、さらに調整方針の書き方がきわめて抽象的ですから、それらの中でもっと具体的なことはお尋ねしたいと思いますので、この問題は、それで農林省の基本的な考え方を確認させていただいたということ、そして農林省の基本的な考え方を守っていただきたいということを強く要望しておきまして次に移ります。
 先般来、全国で八百九十四市町村が新都市計画法の新都市計画区域になると見られる市町村数だと、こういうふうなことが明らかになりました。この八百九十四市町村に含まれる農地面積、これはまだ私ども聞いておらぬと思うのですが、これは一体幾らなのか。そのうち市街化区域に含まれる農地面積、これは十九万町歩と聞いておりますが、そのとおりかどうか。市街化調整区域に含まれる農地面積は幾らなのか。これも百五十万町歩と聞いておりますから確認をする意味で申し上げたのです。そしてその市街化調整区域に含まれる農地の中で農振地域に指定されるもの、そういう見込みのものは幾らなのか。これは農振地域指定の法案が出てかなりの日数がたっておりますから、そうした点について見込みが立っておるならばこの際言っていただきたいと思う。
#97
○政府委員(中野和仁君) これから両方の地域がきまっていくわけでございますので、推定でございますけれども、市街化区域、調整区域を分け、都市計画区域に含まれます全体の面積が四百万ヘクタール、そのうち農地面積は百六十万ヘクタール、その中で市街化区域になりますところ、これはこれからの作業でございますけれども、一応建設省のほうで推定しておられますのは、農地面積が十九万ヘクタールということになるわけでございます。したがいまして、市街化調整区域と思われるところに入ります農地面積は百四十一万ヘクタールということになるわけでございます。
#98
○矢山有作君 農振法でかぶせられる面積のところはどんなものでしょうか。
#99
○政府委員(池田俊也君) これはこの法律が成立をいたしまして私どもいろいろ今後趣旨の徹底をはかりますわけでございますが、その上でやはり地域住民、その地域におきます農民の意向によって最終的にきまる問題でございますので、私どもは極力いまお話のありました数字に近いものを農業振興地域として指定をしたい考えでございますが、いまの段階でははっきりした数字は申し上げられない次第でございます。
#100
○矢山有作君 これはいままでも論議になったとは思いますが、市街化区域に含まれる農地が大体建設省の見込みで十九万ヘクタール程度であろうと、こういうふうに言われておりますが、この市街化区域の範囲ということで建設省から出ておる資料などを見ますと、市街化区域に含められるものの中で市街化が進行しておる区域、これなんかを見ると、過去三年間に一ヘクタールに対して三戸以上の住宅が新設され、あるいは一〇%以上の宅地化が行なわれておる区域、こういったようなものが市街化が進行している区域として市街化区域に含められるというような規定あるいはその他いろいろと計画的に市街化すべき区域あるいは優先的に市街化区域に含める区域、こういってこまかく書いてありますが、これらを全体として見ましたときにはたして十九万ヘクタールぐらいでとどまるのかとどまらないのか。案外これはもっと広い広がりをもってくるのではないかという私どもは危惧の念を持っておるわけです。まあ都市計画局でおそらく推定された数字であろうから間違いはないだろうと思いますが、その辺の大きな見込み違いなんというものはこれはありませんか。
#101
○政府委員(竹内藤男君) 一応基本的な考え方はそこに私ども二月に都市計画課長会議をやりましたときの討議資料にありますような市街化区域の面積の取り方を、全体といたしまして、ヘクタール百人から六十人という計算をいたしまして面積を出したわけでございまして、その計算の過程におきまして考え方の違いはないわけでございます。先ほど農地局長からも答弁がございましたように、実際おやりになるのは知事さんのほうでございます。実際はさらに十九万ヘクタールという数字は変わってこようかと思いますが、計算の考え方において、そういう考え方に立って十九万ヘクタールという数字を一応試算したわけでございます。
#102
○矢山有作君 それではその点は単なる水かけ論ですから私のほうから何ぼになるというふうに計算したわけではありません。建設省の考え方をいまの段階ではそうですかといって考えておきます。
 そこで次にお伺いしたいのは、その市街化区域に含めないものとして集団的優良農用地その他がきめられておりますね。その市街化区域に含めないその何というのですか、順位といいますか、こういうものは一番に市街化区域には絶対に含めない。その次に含めないのはこういうものだというふうなことで、大体これ三段階ぐらいに分けて定めて協議のまとまったものとして発表しておられますが、こういう地域に対する農業施策というのはどの程度のものが行なわれるのかということが、実はいままでの質疑の中で、あるいは出ておるかもしれませんが、私ははっきり記憶しておりませんのでお伺いするのですが、私どもの考え方からすればこれらのいわゆる打ち抜き調整区域とでも言いますか、こういう市街化区域に含めない集団的農業地域等については、これはやはり市街化区域に含めないのですから、その地域においての農業振興策というのを積極的にとっていくべきではないか、こういうふうに思うのです。
 特に都市づくりの段階でべた一面に家が建ってしまう、工場が立ってしまう、空地は何もない、緑も何もないというのでは、これは無味乾燥な話で、やはり都市の中にそうした緑地的なものあるいは生鮮食料品の供給の面からいっても、そういう地域が長期にわたって保全されていくことが私は良好な都市環境をつくる上からも考えられるべきではないか。そうならばこれが打ち抜き調整区域と称せられるものは、調整区域でやがて特に周囲を市街化区域で取り囲まれて、やがてもうつぶれていくんだという消極的な考え方でなしに、むしろ積極的にこれを保全していくのだという考え方をとるべきではないか。そうすればそれに見合った積極的な農業投資をやるべきではないか。長期的な効用の及ぶような農業投資はやらぬということはむしろ逆行ではないか、こういうふうな気が強くするわけですし、そしてこの問題については特に関係者の中からはそうした希望の強いところであります。
 なぜかというと、そういうようなところの農民というのは、案外都市の中にあるあるいは都市近郊であるという立地条件のよさを生かして、相当な農業経営の成績をあげておりますだけに、そういう気分の強い人が多いのですから、こういう点の調整をどう考えておられるかということを、もしいままで論議されておりましたら重複するとは思いますがお聞かせいただきたいと思います。
#103
○政府委員(中野和仁君) 原則論といたしまして、市街化の区域は今後十年以内に計画的に市街化されるわけでございますので、土地改良等の長期投資は避けるべきだと思います。それに反しまして調整区域は市街化を抑制する区域、都市計画法から見ればそういうことになっておる。農林省のほうから見ればそれは農業として確保される土地であるというふうに考えておるわけでございますから、市街化調整区域には従来と同じように農林漁業を振興するための土地改良を初めとする諸施策は引き続き行なうという原則でございます。その場合にいま御指摘の市街化区域の中に打ち抜きと申しましょうか水玉と申しましょうか、そういう調整区域ができる場合も地域の実情によってはあり得ようかと思います。それが二十ヘクタールの場合もありあるいは五十ヘクタールの場合もあるかと思います。そういうものが調整区域としてきめられ、かつそこの農家が引き続き農業をやっていく希望が非常に強いということでありますれば、農林省といたしましてはそれは調整区域でございますから、先ほど申し上げました原則に従いまして、いろいろな施策は講じなければなりませんし、またそうしたいと考えておるわけであります。
#104
○矢山有作君 ちょっと聞き落としたんですが、その場合でも効用の長期に及ぶような施策はやらないのですか。
#105
○政府委員(中野和仁君) やるつもりでございます。調整地域でございますから、土地改良等の長期投資もやろうと思います。
#106
○矢山有作君 私は打ち抜き調整地域と勝手な名前をつけて言ったんですが、そういうような市街化に含められないような農林省では一応二十ヘクタールというようなことを言っておられます集団的農用地、これにつきましても関係農民が農業を継続する意欲が強く、そしてりっぱな成績をあげておるということになると、これは調整地域として長期にわたって農地として保全し、効用が長期に及ぶ投資も積極的にやっていくと、こういうふうにおっしゃったと思います。私はぜひそれをやっていただきたい。こういうふうに重ねてお願いをするわけです。といいますのは先ほども言いましたのでしつこくなりますが、やはり都市の良好な環境をつくるという上から、そういったものの農業のあり方ということは、これから具体的にはどうあり方をきめていくかということは検討されるべきことがあるかと思いますが、しかしいずれにしてもそういう地域において、その地域の環境に適したような農業をやらせるということは、私は積極的に取り上げるべき施策であると思いますし、それによって私は農民はそこで十分に成果を現実にあげておる例もあるわけですから、それはぜひともいまお話しのように長期的な効用の及ぶ投資も思い切ってやってもらいたい。特に二十ヘクタール、その根拠として土地改良の公共投資の最低限が二十ヘクタールであるということも一つの根拠にされておったようですが、そうすればますますこれは積極的なものとして考えていただきたいとこう思います。
 その場合に、これは先ほど論議になりましたからもう私のほうから申し上げるまでもないのですが、そういうような地域の農業というのは、何も二十ヘクタールなくても私はりっぱに成り立つと思いますし、それがたとえば五町歩でありあるいは十町歩であっても、その都市の環境からするなら、それがあったほうが非常にいいという場合も私は数あると思うのです。したがってそういう場合は先ほども二十ヘクタールという規模にはとらわれないとおっしゃいましたからとらわれないで、地域の実情に即しあるいは地域の農民の意思を尊重してやっていただきたい。このことを重ねてお願いをしておきますが、あらためてくどいようですけれども、確認の意味で御答弁をいただきたい。
#107
○政府委員(中野和仁君) 午前中に中村先生の御質問に対してお答えしたわけでございますが、集団的な優良農地ということになりますと、やはりせめて二十ヘクタールくらいの集団がよろしいかと思います。それで原則としてはそういうふうにしたいと考えておりますが、ただ野菜指定産地、二十ヘクタールまとまらなくてもりっぱに集約経営がやられているというところで、かつ、そこの農家がそうしたいという場合でありますれば、必ずしも二十にこだわるということはいたさないで、実情に即した運営をしたいというふうに考えておるわけであります。
#108
○矢山有作君 そこで関連で、これも先ほど中村委員のほうから御指摘がありましたが、一つだけこれはだめ押し的な形になるのですが、お伺いしておきたいのでありますが、二百ヘクタールの規模で、農業振興地域の指定が市街化調整区域をも含めてやられる、こういうことで、その場合の規模というのは二百ヘクタールにはこだわらない、これまた都市の近郊であるので、私は百ヘクタールでも五十ヘクタールでも十分その効果をあげ得られると思うわけです。したがって、二百ヘクタールの規模にはこだわらないということが、先ほど中村委員も言われましたように、百ヘクタールというようなところまでしか考えないのか。もっと都市近郊の農業ということで、五十ヘクタール程度でも考えていける余地があるのかどうか。そのことを申し上げる根拠は、私が打ち抜き調整区域について申し上げた立場と、同じ立場に立って申し上げておるわけですが、その点をひとつお伺いしたい。
 それからたしか午前中の論議の中で、営農団地の整備融資の特別措置ですか、これとの関連で、必ずしも全部が全部振興地域の指定が行なわれないのじゃないかというふうに、私自身が受け取れるような御答弁があったと思うのですが、その点もあわせてどうなるのかということをお答えをいただきたい。
#109
○政府委員(池田俊也君) 農業振興地域の指定との関連でございますが、二百ヘクタールというのは一応の基準でございますから、これは必ずしも地域の実態に応じてある程度の幅で伸縮するのは私は必要であろう、そういう考えでいるわけであります。ただ五十ヘクタールという一つのお示しがあったわけでございますが、まあ全く五十ヘクタールというのはアウトであると申し上げるつもりはございませんけれども、やはり一つの単位として指定されます農業振興地域の中で、これは団地として必ずしも全部がまとまっている必要はないのでありますけれども、平均的な市町村の面積というのは、大体千八百ヘクタールくらいだったと思うわけですが、その中でいろいろな農地を、散在しているものを集めてきまして、それで全体が五十ヘクタール程度しかないということになりますと、これはどうもやはり将来の農業を振興する地域としては、やや不適格なのではなかろうかという気がいたすわけでございます。もちろん先ほど打ち抜きというお話がございましたが、かりに二十ヘクタールというようなことで、市街化調整区域に編入されるというような土地が幾つかありまして、それがまとまってある程度の規模の農用地の面積が出てくるということでございますならば、これは指定され得る余地があるわけでございますけれども、まあやはりそこらは常識的に私は判断すべき問題ではなかろうかというように考えるわけでございます。
 それから第二の営農団地の特別融資との関連でございますが、私どもはやはり営農団地というようなものは、相当な規模を持つものにおそらくなるであろう。もちろんそして将来とも相当農業を盛んにやっていくということが、おそらく前提条件になると思われますので、たてまえとしては、農業振興地域の中で、営農団地としてきめられる場合に、そういう特別融資の取り扱いがなされる、こういう筋のものであろうと考えておるわけでございます。
#110
○矢山有作君 私はこの調整地域の中が農振地域の指定を受ける場合に、なぜその規模にこだわるかといいますと、静岡あたりの現地調査をやりましてみても、調整地域で指定になる見込みのところで百町歩をやはり切るのですね。七、八十町歩くらいでみると実にりっぱな一団の団地があるわけです、平らかな。そういうところは、これは振興地域として指定にならぬというのは、私は非常に大きな問題を残すのじゃないか。しかもそこらの関係地区の住民の農民の人たちは、やはり何といったって静岡という町に近いわけですから、そこでの立地条件の有利性というものはかなりなものがあるわけです。相当農業の継続に熱意を持っている人があると思うのです、現実に。そうすると、やっぱりその実態を踏まえて考えぬと、私は非常に無理が起こるのではないか、こういうふうに思うのです。
 先ほどのお話にもありましたように、いわゆる市街化調整地域として二十ヘクタール前後のものでも、これはやはり都市の環境保全あるいは営農の立地条件の有利性を生かして、農民が望むなら、それはやはり長期にわたって農地として保全をし、高額の長期にわたる投資もやるという考え方が示されたわけですから、そうすれば調整地域内にそういうふうにまとまったところがあり、しかもそれを農民が積極的に希望し、営農意欲も盛んだとするならば、そこはまた私は農振地域の指定の網にかぶせるべきだと思うのですね。そうして積極的に振興策というものをとっていくべきではないかと思うのです。これは、つまり私はひとつ消極的な立場でなしに、積極的に問題を考えていただきたいと思うのですね。
 都市計画といいましても、いまの地方自治体の財政の状況その他から考えてみて、なかなか市街化区域に編入をされたところだって、そういう短期間の間に都市施設が完備していくなんというのは私はまずむずかしいのじゃないか。ましていわんや市街化調整区域に当たっては、ここが価格が安いからということで、どんどんスプロール現象が起こるものを強く規制しさえすればここは相当長期にわたって残る地域だと思うのです、常識的に。そういう点を踏まえても、私は調整地域の中での農振地域の指定のワクというものは相当ゆるやかに考えてもらいたい、こういうふうに思うのですがね。もっと積極的に考えられませんかね。あんまり都市サイドから押されるのでなしにね。
#111
○政府委員(池田俊也君) こういうことに対します基本的な態度といたしましては、私どもいま矢山先生がおっしゃいましたような気持ちでまいりたいと思っております。極力事情の許す限り弾力的に考えまして、将来農業を中心にして地域振興をはかっていくということで、そういう固い決意があり、かつ事情がそういう事情であるならば、私どもは積極的に極力やっていきたいと考えるのでございます。
 それから、これは御理解いただいておると思うわけでございますが、あるいは繰り返しになるかと思いますが、私どもは二百ヘクタールといい、あるいは若干幅を設けるといい、これは団地として申しておるのではないわけでございます。幾つかの団地がたくさん合わさりましてその面積になるという前提で申し上げておりますので、個々の団地はもっと小さくてももちろんけっこうなわけでございます。
#112
○矢山有作君 それではこれは少し事務的な問題に入っていきますが、建設大臣、どうしても御都合が悪いということであればやむを得ないと思います。しかし私の希望としては、大臣に対する問題だけはあとに残しておきたいと思いますから、出てきていただければ出てきていただきたい。どうしても公務がおありであるということならば、これはやむを得ぬだろうと思います。
 これから少し都市局のほうに――都市計画法の問題の解釈に多少わたってくると思います。これはやはり今後の農振地域の指定との調整の関係で重要な問題を含んでおると私は判断をしておりますので、その点でひとつお伺いしたいと思います。
 それは、都市局長に伺いますが、都市計画法の三十四条の第五号の問題です。三十四条の第五号に「都道府県が国又は中小企業振興事業団と一体となって助成する中小企業の事業の共同化又は工場、店舗等の集団化に寄与する事業の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行なう開発行為」これは開発行為として認められることになっておりますが、この規定が挿入された経過というものを、私が建設省の先ほど引用いたしました役人の方が解説された文書によって読んで見ますとですね、これは通産省の強い主張で入ってきた規定だと言っております。これはまあ建設省の人が言うんだから私は間違いでないと思うのだが、こういう施設というのはこれはむしろ市街化区域に入れられるべき施設ではないかと私は判断しておるわけです。というのは、そのことは私の判断だけでなしに、その大塩さんの著書の中にもあるわけです。これはその第五号にきめてある中小企業の団地、こういったものはこれは通産省の強い希望で入ってきた規定なんだ、こういうものはむしろ市街化区域に入れるべきであって、調整区域に持ってくるべき性質のものではないだろうと、こういうふうに言っておるのです。そうするとこういうような施設が市街化調整区域につくられていくことが認められるということになると、市街化調整区域の市街化を促進するような立場が出てくるんではないかと思うのですが、この点は都市局長、どうお考えですか。
#113
○国務大臣(坪川信三君) お許しいただきましてちょっと発言をお願いいたしたいと思うのでありますが、先ほどから矢山委員のまことに適切な数々の御意見十分傾聴いたしておるような次第でございます。私どもといたしましては都市計画推進にあたりましては、あくまでも農業との調整を十分はかり、しかも農林省と連絡を密にいたし、しかも地域農民の民意を十分尊重いたしながら、都市計画の執行推進をはかってまいりたいと思いますとともに、いま御審議をいただいておりますところの農業振興地域の整備に関する法律案の御制定の暁には、これらに関連いたしましても建設省といたしましては十分農林省と連絡をいたし、しかもこの法案との調和に関しましては責任を持って建設省といたしましても、十分配意をいたしながら行政指導をいたします決意のほどを表明いたしまして、御理解いただきたいと思う次第であります。
#114
○政府委員(竹内藤男君) 三十四条五号は「都道府県が国又は中小企業振興事業団と一体となって助成する中小企業の事業の共同化又は工場、店舗等の集団化に寄与する」という条項でございます。中小企業振興事業団が助成する仕事につきましては、施行規則かございまして、都道府県知事が都市計画上の、土地利用上支障がないということをこの事業自体の採択の基準にいたしておりますということで、この五号は同じ都道府県知事の許可の問題でございまするが、十分都市計画上の観点からの、土地利用の観点からの立場が織り込まれておるということで許可し得る項目にあげたわけでございます。
#115
○矢山有作君 そういう建設省の立場でのお考えはわかるのです。建設省としてはそれをやりたいんでしょう。しかしながらこういうものを認めるということは、その市街化調整地域における市街化を促進することになるというふうにはお考えになりませんか、ということなんです。これは私はやはり市街化調整区域の地価と市街化区域の地価を比べた場合にどちらがどうかということは、これは多く語る必要はないと思うのです。市街化調整区域のほうが地価が安いのはあたりまえの話なんです。そういうところへはただでさえいろいろな開発行為が行なわれがちなんです。したがってそれをむやみやたらに行なわれないように規制をしたんだろうと思うのです。ところが規制をしてもやはりそういう地価の安いところには出ていこうとする傾向は避けられないのです。しかし、こういう規定がつくられてこれが行なわれるということになると、私どものとらえ方は農業の立場からとらえてみてかえって市街化促進になるのだと、こういう考え方をしておるわけです。だからこの点についても、やはり建設省のものの考え方というのはやっぱり市街化促進のほうに重点がかかっておると言わざるを得んのじゃないかと、こういうふうな判断をしておるわけです。
 そのことは第五号だけに限らぬと思うのです。第六号、第七号、第八号、第九号、第十号、全部そうなんですね。こういうものを許すということはこれはもう市街化の促進になることはわかり切った話なんです。しかも市街化調整区域には七のように「危険物の貯蔵又は処理に供する建築物」、こういったものも許される、こういう規定もあるわけです。
 そこでこれは立ち入った質問になると思いますが、七号や八号では政令で定めるものとしてありますけれども、これは政令はできておるのだろうと思うのですけれども、たとえばここに例示してあるもののほかに一体どういうものがあるのですか、一、二の例をあげていただけばいいと思います。
#116
○政府委員(竹内藤男君) 今回法律施行にあたりまして政令を出したわけでございますが、ただいまのところ七号、八号に該当するものが私どもちょっと考えつきませんので政令に規定しておりません。したがいまして、この条項はいまの政令では働かないということに、今後実際に仕事をしてまいった段階におきまして、どうしてもこういう危険物貯蔵で認めなきゃいかぬというものが出てくるかもしれませんが、現在のところ七号、八号に該当するものは考えられませんので政令には入れておりません。
#117
○矢山有作君 農林省お聞き及びのとおり七号、八号についてはじゃあ一体どんなものをこれは認めるのか、認めないのか、それすらわかっておらぬということです。そうなると、これにどういうものを認めるかによって私は調整区域をさらに市街化の方向に促進させる要素も濃くなってくると思います。だからこういう点が私はやはり今後まだまだ建設省との間で詰めていかなきゃならぬ問題だと思うのです。大体都市計画法ができるときに、都市と農村との接点をどう調整をやるかということについて具体的な詰めがあまりにもなされていない、あまりにもなされない状態の中でこういう農振地域整備法のようなものを、こんな不整備な整備法を出してくるから問題が非常に複雑になってくるんです。都市計画法制定のときにこういう具体的な詰めが行なわれておるべき問題だと、こういう非難は私が言うだけでなしに、これは農民あるいは農業団体一般に広がっている非難ですよ。こういう点については建設省も少しまあこれは出過ぎだし、農林省のほうから見ればあまりにもこれは怠慢だということになるはずなんです。
 しかもこの五号、六号、七号、八号運用のしようによってはどんなでもなりますよ。たとえば六号のごとき、「市街化調整区域内において現に工業の用に供されている工場施設における事業と密接な関連を有する事業の用に供する建築物で、これらの事業活動の効率化を図るために市街化調整区域内において建築することが必要なものの建築の用に供する目的で行なう開発行為」、こういうのはどこに基準を置いて判断するかという問題なんです。この「密接な関連を有する」ということですね、どの程度のものが密接な関連を持っておるのか、これはもう一にかかってこの法を執行する側の判断にかかる問題なんです。したがって、こういう問題の具体的な詰めが行なわれておらぬと市街化調整区域というのはこれはとてももちませんよ。大塩さんもこの著書の中でいっておりますが、たとえば調整区域であってもそれが一年たって市街化が進められてすぐ都市計画の変更をやってかまわぬかと、そうまたすべきだという言い方をしておるわけです。そういうものの考え方が建設省にはある中でこうした問題についての具体的な詰めがないということがこれは私は最大の問題だと思います。
 まあ七号八号は建設省がまだ政令も考えておらぬというのだから、一体どういう政令をつくられるのか、これについては私は農林省はへっぴり腰でなしに、十分これは政令の内容というものについて協議をしていただきたい。さらにまたその他の各号についてもこれはやはり実際に運用にあたっては私は個々に協議する必要があると思うのです。だからこういった開発行為の規制の条項ですね、これは三十四条に限ったことではありませんが、これらの規制の条項の運用にあたって建設省側は詳細に農林省側と協議をして調整をする意思があるのか、また農林省はその詳細な協議を求める意思があるのか、この辺が私は今後の運用にかかわる重大な基本的な考え方だと思います。その点はどうですか。
#118
○政府委員(中野和仁君) 都市計画法の立案の段階から建設省と農林省とは十分協議をしてまいりました。その法律で書かれました条文、それの解釈等についても重要なものについては事前にその解釈の了解等もとっておるような条項もございます。それから政令の段階につきましても、逐一、建設省から農林省に相談がございます。指定すべきであると意見が合ったところで初めて政令になっておるわけでございます。ただいま都市局長がお答えになりました分は、当分政令を出しませんので、それを運用されないということになるわけでございます。万一、これが運用されるようになりますれば、当然われわれのほうに相談があるというふうに思っております。
#119
○政府委員(竹内藤男君) ただいま農地局長から答弁されましたように、建設省側といたしましては、解釈それから政令の制定また具体的な開発行為の許可の段階におきましては、先ほど御答弁がありましたように、開発許可権者と農地転用許可権者との間の十分な相談というようなことを指導してまいりたいということによりまして、農林サイドと十分調整をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。
#120
○矢山有作君 まあ詳細な協議をしたということですが、詳細な協議をしているのなら安心なんですが、私は詳細な協議をしているのならいろいろな問題は起こらぬだろうと思うのです。やはり、協議が詳細に行なわれたとはおっしゃいますけれども、案外ずさんな協議であったのではないかと思います。それは農林省からいただいた調整方針というのがきわめて抽象的な書き方になっておりますから、別途協議した条項についてはいろいろこまかい取りきめもあるやのお話しのようですから、こういった開発行為の規制をめぐった問題で、農林省と建設省との間で詳細に協議をして、意見のまとまったものが具体的な形で残っておるのなら、私どもはそれを資料として提出していただくことを要求をいたします。なぜかといいますと、これは今後の地域の住民、特に農民に与える影響というのはきわめて大きいので、私どもとしてはやはりそういった農民の立場、地域住民の立場でものを考える必要がある、こういうふうに思いますから、そうした取りきめの内容にわたっての記録があるのでしたらそれを資料として出していただけるか、いただけぬか、農林省、どうでしょう。
#121
○政府委員(中野和仁君) ただいまの開発許可と農地転用との関連につきましての取りきめと申しますのは、たとえば法律のときには市街化調整区域内の農地について開発許可をしようとする場合には農地転用権者に事前に連絡するものとし、その具体的な手続については別に定めようという約束をしまして、これから線引きが始まる、開発許可はそのあとでございます。具体的に農地局と建設省の都市局と、具体的にどういう相談のしかたをするか、これから案をつくって知事に指示するわけでございます。
#122
○矢山有作君 だから具体的な内容の取りきめはないわけですよね。こういった規制を運用していく場合に先ほどいいましたような解釈というのはいろいろにできるわけです。五号の解釈、六号の解釈、その他五号、六号に限りませんが、いろいろ解釈の仕方は幅が広くもなるし、狭くもなると思います。具体的にどういうものをどうするという取りきめはしてないということですね。そういうことになると、いわゆる大ワクの話はできておっても開発行為にいざかかったときに具体的にどうなるかということが大切なわけです、われわれは。大ワクの話はどうにでもなる話ですが、私どもが重視するのは大ワクの話でなしに、具体的に開発行為にかかった場合に、こういうものはどういうふうに処理されるか、それが重要だ。したがってそれがないというならばこれはやむを得ません、追求してみたところで。しかしないでは済まされぬので、今後の実行の段階でこれは徹底的に詰めていただきたい、そうして農業サイドでものを考えるという姿勢を最高度に私は維持していただきたい、こういうふうに思うわけです。その点は今後の実行過程の中で証明される問題点ですから特に強く要望しておきたい。実施の過程でおのずから事態は明らかになるだろうと思います。
 それから都市局にお伺いしますが、この三十四条の同じ十号のロ、これがまたきわめて包括的な規定でして、これはどう運用されるかということによってこれは市街地調整区域も何もあったものじゃないというようなことにおちいるおそれがあると思いますから、この内容を伺いたい。ロの規定というのは「開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行なうことが困難又は著しく不適当と認められるもの」、こういうふうになっておりますが、一体これはきわめて抽象的な規定の仕方なんで、具体的にはどういうふうな運用が行なわれるのかということが、これは重大だと思いますので、その内容を立ち入って御説明をいただきたい。
#123
○政府委員(竹内藤男君) 法律の三十四条におきましては各号に許可し得る開発行為を列挙しているわけでございます。その中で先ほどまだから振りだと申し上げた八号がございまして、八号では七号までの条項では足りない場合もあり得るということで八号を置きまして、その内容を政令にゆだねたわけでございます。これは現在のところ政令を出しておりませんので、から振りになるわけでございます、現在のところ。ただそういうように法律政令できちっと書かれた開発行為以外でわれわれが考えられるものをあげたわけでございますが、それ以外で具体的な開発行為でどうしても市街化調整区域を許可せざるを得ないというようなものが出てくるのじゃないかということでこのロを置いたわけでございます。これにつきましては十号の柱にございますように例外的な運用でございますので、特に開発審査会というものにかけまして、そこで具体的な内容を開発審査会で十分審議をして、そうして許可する、こういうような形にいたしておるわけでございます。御理解いただくためにたとえば建築基準法で高さの制限というのがございますけれども、場合によりましては特定の条件の下におきまして建築審査会にかけまして特定行政庁が高さの制限を若干緩和するということがございますが、それに似たような考え方で、まあ具体的な開発行為でやむを得ず認める場合も出てくるのじゃないかということで置いたわけでございまして、運用といたしましては非常にきびしい運用をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#124
○矢山有作君 これはいま農林省、都市局長の御説明のようにきわめて包括的な規定なんです。都市局のほうの見解として示されているのを見ましても、いまおっしゃったのと同じで、これはもう同じ建設省の方の著書の中にも出ていることなんです。この規定はどうして設けたかということについて、こういうふうに言っているのですね。こういうような包括的な規定を設けたのはこの三十四条に一号から九号までいろいろと書いております。ところが、そのほかにもまだまだその開発許可をしなければならぬものが出てくるだろうものに備えてこういう規定を置いているのだ、こう言っておるわけです。それに対してあまりにも広範な運営になるということをさすに私は建設省も気にしたのだろうと思う。そてで多少の歯どめという意味で建設審査会にかけて個別に判定するのだ、こういうことになっておるわけです。したがって、これは建設審査会にかけて判定をするということはありますけれども、この規定の運用のしかたいかんによれば、これは第一号から第九号、これはある程度、これは限定的な書き方もあるようですけれども、これはとんでもない広範囲な運用をされるおそれがあるわけです。そうすると、市街化調整区域なんていったって、とても農業の立場からこれを守っていこうというようなことは非常に危険な状態が生まれてくるわけです。したがって、特にこの十号のロの運用にあたっては、これは私は農林省のほうから積極的にこういったものの具体的な運用については、私は協議をするように要求してほしいと思うし、建設省もまたそれは協議に乗るだろうと思うのですが、こういう点、特に私はきびしく考えていただきたいと思いますが、どうでしょう。
#125
○政府委員(中野和仁君) 開発許可をいたします場合に、その列挙されました九号までのほかにこういう条文が入りました。その際われわれとしましては、たとえばでございますが、市街化区域内において行なうことが困難または不適当といった場合には、これは単に先ほどから出ていますように、地価が高いからというだけではそういうことには該当しないというふうなことまで建設省と話し合いをしたわけでございます。そこで、われわれといたしましては、都市側からの開発許可ということで許可がありましても、一方その場所が集団的な優良農地のどまん中であったといった場合には、これは農地転用許可基準によりまして、第一種農地でございますから、原則としては許可をしないというふうに考えております。そこで先ほどから申し上げますように、事前に、そういう農地転用の面から許可をしにくいようなところにはできるだけ立地の面から持ってきてもらいたくないという気持ちもございますので、そういう気持ちを踏まえまして具体的なやり方としては今後建設省とよく相談をしたいというように考えております。
#126
○矢山有作君 それからもう一つ、この中で非常に問題になる規定というのは十号のイなんですね。この十号のイはどういうふうに規定しているかというと、「開発区域の面積(開発区域が市街化調整区域の内外にわたるときは、その全体の面積)が政令で定める面積を下らない開発行為で、市街化区域における市街化の状況等からみて当該申請に係る開発区域内において行なうことが当該都市計画区域内における計画的な市街化を図るうえに支障がないと認められるもの」、こう規定しております。ところで、これについてどういうようなことが解説でいわれておるかというと、こういっているのです。「政令で定める面積とは、住宅でいうならば二十ヘクタール以上くらいを考えたらいいではないかと思っています。ところが、住宅だけでなく、学校、工場、病院、操車場などのほか、寺院やお稲荷さんの祠だってあるわけで、それらすべての開発行為を面積だけの基準で制限していいだろうか。ものによっては面積との組み合わせが必要ではないかと考えておるが、また政令の成案はありません。この「規模」の問題は十分に検討する必要があると思いますし、皆さん方にも関心のあるところだろうと思います。」、こういうふうに言っておるんですね。これは一体具体的な運用はどうなるのですか。住宅の場合は二十ヘクタールくらいが適当だといっているわけです。ところが住宅ならそれでいいんだが、考えてみると、学校や工場や病院やお寺やお稲荷さんの祠だってあるわけだし、いろいろなものがある。この開発行為を面積だけの基準で制限していいだろうかわからない、こういっているのですね。だから政令もまだ成案がないと、こういうのですが、これは政令はまだきまってないのですか。それからこの運用はどうなるのですか。
#127
○政府委員(竹内藤男君) 政令はその本とは違いまして二十ヘクタールということにきめております。それで二十ヘクタールの面積があれば開発行為を許すのだという思想ではございませんで、市街化区域の中でなかなかそれだけの面積の――二十ヘクタール以上でございますので、それだけの面積の区域がなかなかとれないという状況が一つありまして、それと同時に、都市計画区域の中における計画的な市街化という観点から見て、そこに開発を許すことが立地的に支障があるかないかという判断を加えて許可し得るものでございますが、これも十号がございますので、私どもといたしましては例外的な運用にならざるを得ない。したがって、きびしくこれを押えるような形で運用してまいりたい、こういうふうに考えておるわけです。特にこれが農地に当たるというような場合には、十分農林サイドとも協議いたしまして、特に優良農地等につきましてはきびしく運用してまいりたい、こういうふうに考えておるわけです。
#128
○矢山有作君 それじゃあれですか、住宅に限らずもう全部二十ヘクタールということでこれはくくってしまったと解釈してよろしいのですか。
#129
○政府委員(竹内藤男君) そのとおりでございます。
#130
○矢山有作君 そうなると、これは一つの問題がここに出てくるわけです。二十ヘクタール規模の開発ということになるとこれはかなりの大資本を持ったものでないと開発をやることはできないだろうと思うのです。大資本を持った者はこういう二十ヘクタールというような開発ができる。しかも、建設省の同じ著者による考え方によると、これは市街化区域、市街化調整区域というのは固定的なものではないのであって、市街化区域と市街化調整区域とで値段の段層が起こるという考え方があって、一部に異論があるがそういうことにはならぬだろう。なぜかというと、目はしのきく民間ディベロッパー等であるならば、資本力さえあればそうした地価の安い調整区域は、将来の地価の値上がりを見通して、積極的に出ていって、そしてこれを開発をするだろう。そうすれば、そういうことが行なわれれば、何も十年先で調整区域を市街化区域に編入するというような土地計画の変更をやる必要はないので、来年でも再来年でもそういう条件が生まれるだろう。市街化区域に編入してかまわぬ。したがって、そういう観点でものをとらえるならば、市街化区域と市街化調整区域における土地価格の断層が起こるというようなことは当たらぬ、こういうことを書いていらっしゃる。
 そうなると、かれこれ考え合わせると、民間ディベロッパーというのは、私は確かに先見の明がある。その先見の明というのは、金もうけを踏まえての先見の明ですね。その先見の明によって、しかも大資本力を擁しておるということで市街化調整区域の中に二十ヘクタール以上の開発をどんどん進めていく。そのことによって一方は市街化が促進されてくるのです。市街化が促進されてくればこれは当然地価が上がってくる。これは金がもうかる、こういうしかけになるということを、これは私が言うのではない、大塩さんが言っている。そうなると、これは私はたいへんなことだと思うのです。ですから、都市計画法でいろいろいっておいでになることはたいへんな問題を農業サイドから見るとはらんでおる。
 一体こういう運用をやるのですか。私は、市街化調整区域は、市街化を抑制するという第七条の明文があるのですから、市街化を抑制するということをできるだけ厳重に踏まえて開発地区の規制をやるというのが筋だと思う。ところが、法律解釈を運営する立場になると、それとまるで逆の形が出てくるわけです。考え方が出てくる。それが将来の建設省を動かして、そういうような運営がされていったら、これは一体日本の農業はどうなるのですか。そういう問題があるわけです。
 いま、都市局長から開発行為の許可ということに重点を置いてものを考えておるのじゃないのだというような意味にとられる御発言があったわけであります。そういう良識を期待しますけれども、その良識ある人は都市局長だけなんです、いま聞いたところでは。建設省の中に、私の目から見れば非常に有力な人もおりますが、人はそういう解釈はしていません。これは農林省としてもこの問題については私は大きな関心を持たざるを得ないだろうし、建設省のそういったものの考え方が、一部か大部か知らぬが、あるということになれば、これはたいへんな問題だと思う。こういう問題の認識、こういう点を踏まえての考え方というものは一体どうなのか。
#131
○政府委員(竹内藤男君) 市街化区域、調整区域は一ぺん指定したあとで変更するということも考えられるわけでございますから、それは私どもは五年ごとに基礎調査をやって五年ごとの基礎調査の結果必要があれば改定をしていくという立場をとっているわけです。なお改定に当たりましても先ほど来先生がお持ちになっておられる農林省農地局からの方針、これは私どもも基本的に了解している線でございますが、こういうような考え方に立って、その時点における集団的な優良農地というものはやはり市街化区域に入れないという基本方針で改定をやってまいりたい、こういうことでございまして、そこに書いてある著書を引用されるわけでございますが、あくまでも個人の、しかも立法事項にわたるような立法的な見解まで含まれておりますので、前国会でわれわれが答弁した、政府委員なり大臣が答弁されたことが正しいものだというふうにお考えいただきたいと思います。
#132
○政府委員(中野和仁君) たびたび矢山先生それをお読みいただきますので、われわれとしましては非常に意外に思っている面もあるわけでございますが、先ほど都市局長がお答えいたしましたように、正規の役所と役所との話し合いはそういう解釈ではないというふうに考えておりますし、今後の運用といたしましても、たびたび申し上げておりますように、農林省の立場から建設省と十分話し合いをいたしたいと思っております。
#133
○矢山有作君 いま都市局長の御答弁ですがね、都市計画法審議のときに答えたことと、それから私がいま大塩都市局都市総務課長の著書とだいぶ食い違いがあるから、私はあえて引用したのです。私はですね、これは少なくともこういう堂々たる著書として発表される以上は、これはたとえ大塩さんの名前になってはいましても、肩書きが都市局都市総務課長とわざわざ書いてありますからね、したがってこれは私はゆるがせにできない問題だと思うのです。だからもしこれが間違いであるなら、こういう著書は間違いだ。大塩さんにもう書かせぬことですね。発行しておるならこの発行もやめさせるべきです。回収すべきです。これを読んだ人はたくさんいるだろうと思う。われわれのようなものですら読んでいるのですから、関心のある人はみんな読んでいる。その点の責任というのは私は重大だと思いますよ。
 いま大臣は、農業と都市計画との調整の問題については、全国をあげて取り組んでいくとおっしゃったけれども、大臣がそうおっしゃりながら、重要な役割りを果たす建設省の役人がまるで大臣の言っていること、あるいはまた国会で答弁したことと逆なことを著書に書くということは、この責任は一体どうなるのですか。何だったら大塩さんにここに来ていただいて、あなた一体どういう考えなんですか、これはあなたのほんとうのお気持ちなんですかと私は聞きたいところです。これは否定なさるなら否定なさるような態度をとられなければいかぬ。ここで都市局長がそれは大塩さんの個人的なもので、国会答弁とはだいぶ違いますから、国会答弁のほうを信用してください。私どもはそれを信用しますよ、当然。国会答弁を信用するが、国会答弁がそれほど権威のあるものだということを承知しながら、ぬけぬけとこういう解説書を書くその姿勢に問題がある。おそらくこういう人はやがて局長になり、やがて次官になる人だろうと思うのです。そういう建設省の重要な役人がこういう考え方をしているということが問題だ。これは都市局長、一体どうですか。あなたの部下ですわ。許せませんよ、これは。
#134
○政府委員(竹内藤男君) その本は実は都市計画法が提案になりまして、まだ国会審議が行なわれる前に講演したものを本にしたというふうに聞いておりまして、いずれにいたしましてもわれわれの正しい考え方は、これから施行の局長通達を出すわけでございます。その中でできる限り詳しく明らかにいたしまして、それによりまして法律の正しい運用のし方を末端まで徹底するように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。その著書の問題につきましては、今後の問題につきましては十分検討をいたしまして善処したいというふうに考えます。
#135
○矢山有作君 まあ私はこの問題で都市局長を別にいじめる気はありませんが、これ以上とやかく申し上げませんけれども、これが発行されたのは昭和四十三年の八月二十八日です。そしてこの「編集のことば」から判断すると、これは新都市計画法国会審議中のものでなしに、私は国会審議が終わってのちの著書だと理解をいたします。したがいましてそういうことはこれ以上言いませんが、いずれにしてもこの問題はゆるがせにできない問題ですので、建設省ではこの考え方が誤まりだということをはっきり否定なさったから、私はそれを信頼をいたします。したがってその否定をなさった立場に立って今後の問題の処理を積極的に農林省と協議をして、そして都市サイドだけでなしに農地サイドからも慎重な態度を打ち出しながら、個々の具体的な問題を解決していく、こういうことでぜひとも進めていただきたいと思います。
 そこで次にもう一つ、こういった問題に関連して伺いたいのは、市街化を抑制し農地として保全しようというのが市街化調整区域であります。したがって私は市街化調整区域におけるこれに逆行するような開発行為というものは、極力これを抑制すべきだと思う。この考え方はおそらく建設省も反対はなさらぬと思う。私の考え方からすれば、ただ単に市街化を促進する開発行為を極力抑制するだけでなしに、逆に市街化を促進するような建築物等が調整区域にある場合には、むしろ私はこれを市街化区域に移転をさせるような方法もあってしかるべきではないかと思う。具体的にどういうものについてそういうことをやるかということは、これは具体的な事例に当たって見なければ判断はつかぬだろうと思いますが、姿勢としてはそういう姿勢がないと市街化調整区域というものは、市街化を抑制する、そして農地として保全をするという考え方には沿わぬのではないかと思うのですが、これはかなり建設省が考えておられる考え方よりも、まあ自分で言うのは失礼ですが、私のほうが進んだ考え方だと思うので、一体どういうふうに思っておられるか、そうでございますというすなおな答弁というのはなかなか出にくいとは思いますが、そういう考え方があるということを御理解になって、ひとつお答えをいただきたいと思う。
#136
○政府委員(竹内藤男君) 先生のおっしゃいましたような考え方がやはり一番徹底した考え方だとは思いますが、実は都市地域の中におきましても用途地域制などをとっておりまして、すでに建っている建物については不適格建築物というのがありまして、これは違反ではございませんが、用途指定後におきまして、指定前からあった建物でございますが違反ではございませんので、住居地域の中に工場が残っておるというようなことがございます。そういうものにつきましてこれをどう処理するかということも、実はまだ本格的な対策がとられてないわけです。一種の市街化調整区域の中の不適格建築物であろうかと思います。かなり金のかかる仕事でございますので、将来はどうしても不適格建築物の問題につきまして検討はしなければならぬと思いますが、現在のところどういうふうにこれを除いていったらいいかということにつきまして、確たる方途はきまっていないわけでございます。いろいろな案がございますけれども、なかなか実際問題として実現できないという状況でございますが、なお引き続いて検討はしてまいりたいと思っております。
#137
○中村波男君 午前中農地局長さん、農政局長さん等々に御質問申し上げて、見解をただしたのでありますが、せっかく都市局長に御出席をいただいておりますので、念のために建設省としての見解をお尋ねしておきたいと思うのであります。これはただいまの矢山質問にも関係があるわけでありますが、都市計画法の二十九条に関連しての問題でありまして、市街化調整区域の一部または全部を含めた農業振興地域指定が行なわれた地域における開発行為の取り扱いであります。
 農振法の指定をいたしますと、利用目的を定めて区域を設定いたすわけでありますが、そうなりますと農地法四条、五条の規定をもとにいたしまして、他への転用使用目的の変更は許されないということになるわけです。しかし都市計画法からいえば、開発行為は政令によって二十ヘクタール以上は許可を要しますけれども、次に掲げるものはこの限りでないということで一から九まであげておるわけであります。そこで農振法の指定を受けた調整区域、さらに利用目的が設定をされた地域については、この開発許可を申請する場合には、農振法からいう農地法の許可をとったという証明書をつける等々の手続を経て建設省では許可をされる、こういうことが必要ではないか。またそうしなければ建設省のサイドと、農林省のサイドで取り扱いが別々になっては混乱をするのではないか。私の質問が御理解いただけたかどうかしりませんが、そういう点について建設省の御見解を伺いたいと思うわけであります。
#138
○政府委員(竹内藤男君) 市街化調整区域の中におきましては、開発規模の制限がございませんで、すべての開発行為は許可が要るわけでございます。しかも原則として許可されないわけです。例外的な条項は先ほどの三十四条に規定されております。三十四条の許可の場合には、許可し得る場合の許可の場合には、先ほど来、農林省でお答えになっておりますように、開発許可権者が許可をいたします前に、農地転用許可権者のほうと十分事前に連絡をして許可をおろす、こういうことにしたい。ただ、二十九条の許可の要らないものにつきましては、許可申請が出てまいりませんので、これは先ほど農地局長から答弁されたように、農地転用の許可は市街化調整区域におきましては残っておるわけでありますから、そのほうで御処置を願う、こういうふうに考えております。
#139
○矢山有作君 それではちょっとこれ質問の方向を変えたいと思います。と言いますのは、大蔵省なり自治省なりがけさからお待ちをいただいておりますので、そのほうの質問を先に終わらしていただきたい、こういうふうに思うわけですので、お願いをいたします。まず、固定資産税の関係について先にお伺いをいたします。
 御承知のように税制調査会は、四十二年度に固定資産の評価がえを行なわなかったことと、それから地価上昇によって評価に不均衡を生じているから、四十五年度には評価がえを行なって、同時に負担調整措置を講ずること、さらに「市街化区域内で、市街地として都市施設が整備された地域における農地、山林等については、周辺宅地と評価の均衡を図ることが必要である。」、こういうふうにいっておりますけれども、自治省の具体的な方針をお伺いしたいと思うのです。これはいままでにも質疑が出たと思っておりますけれども、なお詳細にちょっと伺っておく必要があると思いますので、あえて御質問いたします。
#140
○政府委員(降矢敬義君) ただいま御指摘のように、税制調査会の答申がございまして、それで、地方税法によりますと、御案内のとおり、四十五年度は評価がえの年でございます。御案内のとおり、三十九年に評価をやりまして、四十二年――三年目に一回評価がえをやるということになっておりますが、四十二年には行なわなかったわけでございます。そこで、来年の四十五年に評価を行なうということになっておるわけでございます。ただ四十二年のときにも行ないましたように、税制調査会におきましては、負担の調整を行なうように、こういう答申がございましたので、評価がえの結果、所要の負担調整を検討いたさなきゃならない、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、第二の税制調査会の答申の問題でございますが、先ほど来御議論を拝聴させていただきましたが、われわれとしましては、調査会の答申、あるいは国会におきまして新都市計画法が通過する際の附帯決議等を踏まえまして、また市街化区域と調整区域の線の引き方が具体的にどのようになるのかというのがこの問題に対する考え方でもございますので、こういうことを前提にして私どものほうで検討してまいりたい、こういう考え方でおります。
#141
○矢山有作君 その程度のことですと、もうこれまでの御答弁でいただいておるのです。私がお聞きしたいのは固定資産税がどうなるかということには農民としては非常に大きな関心を持っているわけです。一体、税制調査会のいっているようなことになると、これは相当大幅な固定資産税の引き上げになるのじゃないか。そうなると、ただでさえ収益の低い農業の維持がつかないということで非常な関心を持っております。もっと具体的に伺いたいのですが、負担調整措置を講ずるということはもうわかります。しかしながら、かつて三十九年の評価がえのときに行なわれたように、三十八年度の税額に据え置くのかどうか、私どもはやはり現在の農業の実態を見たときには、三十八年度の状態に据え置いてもらいたい。
 というのは、御承知のとおり、農業の状況というのは最近特に悪化をしてまいりました。で、農村経済の調査等の発表を見ましても、非常に悪くなっているし、他産業との格差もむしろ拡大の傾向にある、こういわれているとき、しかも御案内のように、ことしは賃金、諸物価が非常な値上がりをしておる中で、農林省自体が調査した生産費調査によっても、米の生産費は一〇・五%も上がっておる。そういうような中で米価の据え置きが行なわれたというようなことになりますと、いまの状態よりももっと農家の経済は悪化すると思います。そういう中で農業を維持しなければならぬのですから、そういう点も踏まえたら、私はこの際、ぜひとも三十八年度の税額で据え置くという態度を堅持してもらいたい、これが私がお尋ねしたかったことなので、負担調整措置を講ずるということはもうわかっております。具体的に言ってください。
#142
○政府委員(降矢敬義君) 農地の固定資産税につきましては、ただいま御指摘がございましたように、三十九年度の評価がえのときには四十一年度までを三十八年の税額に据え置く、四十一年の地方税法の改正のときに、当分の間、三十八年度に据え置くということになって現在に至っております。したがいまして、負担調整の問題であれば、ただいま矢山委員の御指摘のようなお考え方も当然ございます。ただ、われわれとしましては、負担調整の問題は、他の土地との関連もございますので、直ちにいまこの席で矢山委員の御意見に御賛同申し上げるというわけにはまいらないと考えておりますが、いずれにいたしましても、従来もこの点につきましては、税制調査会の御審議を得て負担調整措置をきめてまいった経過もございますので、ただいまのような御意見も十分踏まえて負担調整措置について適切な考え方をまとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
#143
○矢山有作君 私は、他の土地との問題をあまり考えられることは間違いじゃないかと思うのです。農地というのは、これは農民が――なるほど、最近、資産的保有面も一部出ております。しかし、そういうようなのは、農民という立場でそれだけを中心にしてものを考えるのは間違いなんで、私は、実際に農地を生産の手段として農業活動をやっておる立場からものを考えていただかなけりゃ困ると思うのです。多少、それに資産的な保有の傾向があるからといって、そのほうに重点を置いて、他の土地との均衡を考えながら課税をするというのであれば、これは農業はもちませんよ。そういう考え方でなしに、農民が生産手段として営々として農業をやっておるのだという立場からの評価でなければならない。そういう点から眺めますと、むしろ、三十九年の評価がえのときに、負担調整措置がとられたときよりも、むしろ農家経済の悪化の状況が出ているわけですから、そこに税金の追い打ちがかかってくると、これはもうどうにもなりません。したがって、もし自治省も、農民と農業という立場を踏まえてものをお考えになるなら、そういう点に重点を置いていただきたい。ただ、金の勘定はかりしておって――ただ、金の勘定ばかりしておって、農民や農業がつぶれてしまったら、これは肝心の勘定ができなくなるのですから、そういう点も踏まえてものを考えていただきたい。むしろ私は、局長としては現在の農業なり農家の実態を御存じないはずはないし、三十八年度に据え置くという勇断をやっぱりここらで述べられたらどうですか。そのくらいのことはあってしかるべきだと思いますよ。
#144
○政府委員(降矢敬義君) ただいまの御意見、十分承知いたしました。
 で、ただ、そういう意見も十分踏まえて、税制調査会の審議をぜひ得たいという考え方でございます。
#145
○矢山有作君 これはなかなかおっしゃらぬのを、口の中に手を突っ込んで引っ張り出すわけにもまいりませんから、おそらく水かけ論で終わるだろうと思いますけれども、特に私が押して申し上げておきたいのは、他の土地との比較を考えるのは誤りであるということです。これは、農地は農民が生産の手段として使っておるのですから、その収益状態を上回るような形になってくると――これは税金がですよ――そういう形になってくると、もう農民と農業は、これは破滅です。絶対にそういうことは私は避けていただきたいと思います。税制調査会というのは税金の取り立てのほうの立場に立ってものを考えるでしょうから、日本の産業の中における農業の位置だとか農民の位置だとかいうものはあまり考えていないでしょうから、そこだけを見てもらうと困るのです。農林省は、いまお聞きのとおりなんですよ、自治省の考え方は。どうですか。他の土地と比較をしながら固定資産税の問題を考えられたら、実際困るのじゃないですか。農林省としては、少なくとも一番よく現在の農業経営の状況、農家経済の動向は御存じのはずなんですから、これはどんなことがあっても、やはり三十八年度税額据え置きでがんばられなければいかぬと思うのです。その点の農林省としてのお考えを承りたい。
#146
○政府委員(池田俊也君) 矢山委員のおっしゃいましたような考え方は、私どもも非常に共感する点が多いわけでございますので、そういうような考え方を十分考え方の基礎に置きまして、今後自治省と折衝いたしたいと思います。
#147
○矢山有作君 共感する点が多いのじゃなくて、全面的に共感でしょう。これはぜひとも農林省はがんばらぬとだめですよ。それは税制調査会のほうは取れ取れと言っているのですからね。それで自治省のほうは、税制調査会をてこにして取ろうかという取り手の側に回っているわけですから、それを取らせないようにするのは、やはり農業の実態、農家経済の実態を一番よく知っておられる農林省が主役ですわ。その主役の役割りを果たさぬような農林省なら、いわゆる農林省という名前を返上しなければならない。自治省の手先でもなければ大蔵省の手先でもないのですから、これはもう断固たる決意をもって税額据え置きの線でがんばっていただきたい。われわれはどんなことがあってもこの要求だけは貫かなければならぬと、農民の諸君と一緒に考えております。
 それからもう一つは固定資産の評価の問題なんです。これもきわめてあいまいなことを言っているのですがね、これつかみどころがないのです。これもこの際はっきりしていただきたい。いままで自治省が言われたのも、それから税制調査会が言っておるのも、都市施設が整備された地域における農地、山林、これは周辺宅地と評価の均衡をはかると、こういうのです。これは一体どこに限界があるのですか。こういう考え方でものを処理されたら、取り手の側に回れば幾らでもこれは拡大する余地が出てくる。この点の評価についての具体的な考え方をお聞きしたい。
#148
○政府委員(降矢敬義君) 税制調査会の記録を見ますと、御指摘のように、市街化区域が設定されましても、それは十年間を目途にした市街化が進行される。そこで、指定があったから直ちに周辺宅地と同様の均衡を保った評価をやれということは、それはできない。ただ、市街化が進行して都市計画に従って都市施設が整備されておる地域にある農地については周辺宅地との評価額の均衡をはかるようにという、こういうことでございます。ただ、これを、したがって、いま御質問がございましたように、市街化、都市施設が整備された地域というのをどういうように考えるか。また先ほどから御議論がありましたように、市街化区域の設定のしかたはどのようになるのか。それからまたその設定の過程におきまして農林大臣と建設大臣との間で、農地あるいは農業政策に関する協議もございます。したがって、われわれがちょっと先走って、そういう状況をもうわからぬままにこの規定を強行するということは、ただいま具体的にも考えておりません。したがって、先ほど申し上げましたように、市街化区域が具体的に設定されて、その間における具体的な調整も済んだあとで、こういう認定をどういうふうにできるのかということを作業として進めてまいらなきゃならぬと、こういうふうに考えている次第でございます。
#149
○森八三一君 関連。いまの問題は、昨年都市計画法を審議した際に、最終の段階で自治省からも建設省からも農林省からも御出席いただきまして、市街化区域内に所在する農地、農業用地として活用されておる地域については、農地としての評価をいたしますということを、はっきりこれは速記録に残っているはずですがね。いまの御答弁だというと、何か近隣の土地の形が変わっておると、それになぞらえてしかるべく措置をするというようなふうに聞こえますが、昨年の新都市計画法の審議の最終段階で、衆議院では丹羽さんが質問しておるし、参議院では私が質問をして、そういう御答弁をいただいておりますがね、その辺はどうなんですか。はっきりこれは速記録に残っておると思うんです。あとで自治省の固定資産税課長ですか――が来られまして、ああいう答弁をいたしまして多少違っておったから修正をしたという意見もありましたが、修正をしていただくような私は再質問をしなかったので、もうそれっきりになっておるんですがね。
 そういうその答弁の修正をしたいという趣旨は、三方が宅地に囲まれてしまっていて中に農地が少し残っていると、これは農業の生産基盤として菜っぱつくっておっても常識的に考えられないと、そういうものは宅地並みに評価したいということでございます。その程度のことでございますれば私は常識的にわかるけれども、ある程度の坪数を持った区域が農業生産基盤として活用されておるという限りにおいては、大臣の御答弁どおり農地としての評価をするということは、これははっきりしてもらわぬと私は困るんです。農地の評価を四十五年度にどういうような評価がえをするかということは別問題です。農地としての評価をして課税をするということは当然の約束ごとですからはっきりしてくださいよ。答弁済みですから、その点まで修正したら困るんですよ。
#150
○政府委員(降矢敬義君) 私も四月にかわりまして、ただいまの答弁のことは実は承知しておりません。ただ、衆参両院の建設委員会の附帯決議というものによりますと、衆議院の場合においては、市街化区域内において、市街地としての環境が整備されるに至らない地域に存する農地については、固定資産税の課税にあたり、土地所有者の税負担が増加しないように配慮するよう適切な措置を講ずること、それから参議院の建設委員会の附帯決議におきましては、「市街化区域内の農地については、固定資産税等において過重な税負担をきたさないよう適切な措置を講ずること。」、こういうことになっております。
#151
○森八三一君 関連ですから、これでやめにしますが、建設委員会の附帯決議はそういうことであったと思います。これは私も承知はいたしておりますが、農林水産委員会で質疑をいたしましたときに、具体的に市街化区域に指定をされたという地域内でも生鮮食料品等を生産するために農地としてまじめに営農しておるという地域があると、で、そういうものについては宅地並みの課税をすべきではないんで、農業用地としての課税をすべきであるというお尋ねをしたときに、そういう措置をいたしますという答弁があったでしょう。これはいつか忘れましたが、これは速記録を調べればわかると思うんです。そういう趣旨の御答弁があったんだから、それが今度変わるということになりますと、これはたいへんな問題になる。これははっきりいかなる地点におきましても、生産基盤として活用されておるというものについては、農地としての評価をし、その評価に基づく税率で徴税をするということをはっきりしていただきたい。ただあとで固定資産税課長が来られて、三方宅地に囲まれて中に残っている何坪かの農地というものは、菜っぱつくっておってもそれは農地としての資格を失なっているから、こういうものは例外として取り扱うことにいたしたい、この例外を付議して答弁をすることを忘れましたので、もう一ぺん質問をしてもらってそういう例外を申し上げたいということがございましたが、私は再質問をしなかったので、それっきりになっているのですがね。その再質問をして補完的な答弁がある、趣旨については了解はいたしますが、原則ははっきりしておる、それを変えるということになると、たいへんなことになる。
#152
○政府委員(降矢敬義君) 市街化区域内の農地を農地として評価をするということは、税制調査会での答申からも当然そうでありまして、私どももそれを考えております。税制調査会の答申によりますと、そういう区域の中でも、都市施設が整備された区域内にある農地についてという限定をいたしまして答申をしているわけでございます。私が先ほどから御答弁申し上げているのは、その答申の趣旨というものを具体的に今後検討していきたい、こういうことを申し上げているわけでございまして、全体をそうするということじゃもとより当然ございません。
#153
○矢山有作君 森さんが先に聞いていただいたので、その上に立って言いますがね。国会での答弁が国会ごとに変わったり、人によって変わるようなことでは、一体われわれ審議をしておる者は、何をやっているかわからなくなるし、またその審議の結果を見て、なるほどこうなるのかなあと思っている国民の皆さんも、一体何を信用していいかわからぬようになる。したがって、一つの注文は、私はこのあとする質問は大蔵省の質問のあとに回しますから、その間に、一体前の国会でどういう答弁をしているということを明確にしていただいた上で答弁をしていただきたい。そうしてそのあとに私一つつけ加えますのは、税制調査会の答申のことをここで答弁として言ってもらったのでは、それは答弁にならぬのですよ。税制調査会でどういうことを言っているかということは、ここで見ながら質問しているのですから、税制調査会の答申を言っていただくなら、私は質問をする必要はない。したがって、あなたはいま大臣でもないし、そういうことをどうするかという問題については、われわれではいま言えぬとおっしゃる。しかしながら実際行政を運営する面を見ていると、どういうような評価をするということをまず事務当局として素案をつくるわけでしょう。それから大臣の意向を聞くのですから、問題は事務当局がつくる素案が大事なんです。だからその素案の作成をする一番の中心は降矢さん、あなただと思う。だからあなたの権威ある国会答弁を聞きたい。したがって、そういう立場からあなたには答弁を願い、それからその答弁の基礎としては、一応先ほど言いましたような食い違いが起こったのでは、しかたがありませんから、これはすぐ会議録は調べられますから、会議録を調べていただいて、その上に立って御答弁を願います。それまでは、私の質問は大蔵省のほうの関係に移らしていただきたいと思います。
 続いて大蔵省にお伺いしたいんですが、これは相続移の関係です。相続税の課税に当たって、農地評価がどういうふうに行なわれておるかということについては、私のほうで承知をいたしておりますから、その上に立っての質問であると御理解ください。都市計画法によって、都市計画区域が市街化区域と市街化調整区域とに分かれますね。これに関連して、相続税の農地評価というものを今後どうやっていかれるか、このことをお伺いしたいわけです。
#154
○説明員(好川栄一君) 市街化区域それから調整区域ができました場合に、市街化区域に入りますと、転用の許可について必要がないというような点がございますけれども、依然として届け出を要するというふうに聞いておりますので、届け出がなされるまでにおいては従来どおりの農地の評価をするというふうにきめておりまして、したがいまして、都市化区域に編入されたということだけでは、農地の評価を従来とは変えないということにいたしております。
#155
○矢山有作君 そうすると、一番問題になるのは、御指摘のあったような市街化区域編入の農地、これは農地転用許可不要農地になるのですが、それについても農地転用の届け出があるまでは従来どおりの評価をやる、こういうことでございますね。――それで、私は従前のやり方を踏襲するという点においては、私も賛成の立場をとります。
 そこで、もう一つ私が問題にしたいと思いますのは、大体大蔵省はこの農地評価をやるのに、農地というものを五つに分けて評価をしておられますね。この評価をそのまま適用されますと、相続税がどういう額になるかということはよく御承知だと思うのです。これはたいへんな額になるんですよね。そこで、相続のときに、これは農地を手放さなきゃならぬという事例がかなり私は起こってくるんではないか、そういう気がするし、また現実に、私たちの身辺にも相続税が払いかねて困る、それで農地を手放してしまわなきゃならぬのだというような立場に追いやられる例が非常に多いんです。そこで、私は、この農地の相続税課税に対する農地の評価の制度というものを、この際考え直していただいたらどうか、こういうふうに思うわけです。
 で、具体的に、じゃあどういうふうにしろということになりますと、これはいろいろ税制上の問題があろうかと思いますけれども、固定資産税について評価をしておる、そういった、まあ水準といいますか、程度に考え直していただく必要があるんではないか。特に最近、御承知のように農業後継者が得がたいという問題も出ております。それから先ほど来御指摘を申し上げましたように、農家経済の悪化傾向が出ておる。農業経営が非常にやりにくくなっておる。こういう状態を踏まえたときにね、やはり農地というものをできるだけ分散をさせないでおくということのためにも、そしてまた、農業をやめざるを得ないような立場に、税金の関係、相続税の関係で追い込まれるということのないようにするという立場からの、これは私の考え方なんですが、その点再検討していただくようなお気持ちはございませんか。
#156
○説明員(好川栄一君) 御承知のように、相続税というものは、財産の所有が移転いたしまして、その時点でいわば従来よりも余計に財産を所有する、税負担力がふえるという点に着目して課税しております。そういう関係上法律に書いてございますように時価主義をとりまして、時価によって評価したものを課税の価額にする、こういうことにいたしております。そう申し上げましても、たとえば純粋の農地でございますとか、あるいはそれに次ぐような農地につきましては、かなり実際上の評価は御承知のように慎重にしているわけでございます。実は農業のみに限らず、これはお医者さんの土地とか、それぞれの事業をしておる人たちの土地につきましても、同様な問題が生ずるわけでございまして、非常にむずかしい問題でございまして、いろいろと研究をしておりますけれども、現時点では農業の場合につきましてだけ、特にそれを考えなければならないかどうかという点は相当慎重にしなければならないのではないかというように考えておるわけでございます。
#157
○矢山有作君 それは確かに技術的に私はむずかしい面が個々の場合にわたって出てくると思うのです。おっしゃるように農地というものを、これはだれが見ても資産的に保有をしているとしか言えないじゃないか、そういうものもあると思うのですね。そういうものについては相続税の場合の評価について、これを基本的にまで変えていくということについては、私も異論の生まれてくるところだということはわかります。わかりますが、少なくとも農業を継続する意欲があり、農業を継続している状態というのは、私は客観的にこれをつかむことは不可能ではないと思うのです。そうするならば、やはり農業というものの置かれておる立場、あるいは農民というものの置かれている立場を考え、さらに農業生産を維持していくということから言うならば、私は少々むずかしい場合ではあっても、この点における検討は積極的にやっていただく必要があるのではないかというふうに思うわけです。
 まあむし返しの質問になるのですが、どうでしょうね。技術的にはむずかしいと思います。しかし、私はむずかしいと言っても従来言っておったように、客観的に見たらそんなにとらえがたいものではないと思うのです。たとえば大企業の所得税申告がこれだけであるといって出てくる、それを、はたしてその申告が正しいか、正しくないか調べるよりも非常にこれはやさしい仕事だと思うのです。その点どうでしょうね。やはり相当前向きで私は御検討願いたいと思うのですけれどもね。
#158
○説明員(好川栄一君) 先生のおっしゃいました技術的にむずかしいとおっしゃる意味は、現実に農業に使っているか使っていないかという点のけじめにおいてむずかしいという御趣旨であろうと存じます。事業に使われている。農業に使われているあ、るいは他の工業なら工業に使われている、商業に使われているという、そういう土地、それを相続税のために処分しなければならないという、そういう点は、実は農業にも商業にも工業にも同じようにございますので、そういう点で農業だけを特に別にするという点が、現時点ではやや問題があるのではないかというふうに申し上げたわけでございますが、一般的に申しましてゴーイングコンサーブに使われている土地をどのように評価するかということは非常に問題があるので、われわれのところでも常に検討を講じなければならない大きな宿題として考えておりますので、先生のおっしゃったような御趣旨を十分考えに入れまして、今後の検討の指針にさしていただきたいと思います。
#159
○矢山有作君 これもまた農林省にお伺いするようになるのですが、農林省もやはり実態をよく御承知でしょう、相続税課税のときの。ですから大蔵省でもいろいろ技術的にむずかしい点もあろうということは言っておられるし、私もそうだと思います。しかしながら少なくともいま農業に使われ、そうして農業後継者がそれを引き継いでいくのだということになれば、いまの大蔵省の農地評価でやっておられる純農地並みの評価くらいには持っていく必要があるのじゃないかと思いますので、これは農林省としてもやはりむずかしい問題ですから、今後積極的に大蔵省と私は協議をしていただきたいと思うのです。これは、相続のときの何というかたいへんなものですよ。これで農業を破壊される例というのは、そんなに私は少ないものじゃないと思うのです。農林省としてもこれはひとつ真剣にお取り上げ願いたいと思います。
#160
○政府委員(池田俊也君) 確かに相続税の問題、後継者の育成、あるいは私どもいろいろ進めております構造改善の一環をなす問題でございまして、従来相続税について、生前一括贈与というような一つの配慮も払われているわけでございますが、確かに御指摘のように問題があるわけでございます。ただ、これは税体系の中で農地に関する相続税の考え方をどういうふうに位置づけるかという問題に関連する問題でございますので、私どもと大蔵省の税務当局で十分思想統一をする必要があるわけでございます。私どもも極力まあそういう趣旨でいろいろ検討、協議をしたいと考えておるわけでございます。
#161
○矢山有作君 これは、私は、全く同一に論議をすることはできない面があるとは思いますけれども、大蔵省、御存じのように保安林の場合、この場合の相続税課税の評価には特例が定められておりますね。かなりこれは低く評価をしておるのですよ。こういう例もありますから、全く同一には論ずることはできぬと思いますよ。それだけに私は検討していただきたいということを申し添えたいのです。ひとつぜひこれは農林省、大蔵省で御検討いただきたいと思います。
 それから最後に――これは自治省かお見えにならぬようですから、自治省の分は全部あとに回させていただきます。
 それじゃまた質問を戻しまして、農林省なり建設省にお伺いをいたします。
 農林省からいただきました、「都市計画法による市街化区域および市街化調整区域の区域区分と農林漁業との調整措置等に関する方針(案)」――今後「調整措置に関する方針」という言い方をしたいと思いますが、この方針によりますと、その第二のところに、「市街化区域の設定と農林漁業関係施策との調整措置」ということでいろいろな調整措置が示されております。ところで、この調整措置でものを処理していった場合に、非常に具体的には問題の起こってくる場合があるんではないかと、こう思うのです。たとえばその一つの例としましては、「ほ場整備、草地改良等の面的な事業」、この場合に、「事業の効用が長期にわたるものについては、原則として事業計画を変更または廃止し、市街化区域内の受益地に係る事業を打ち切るものとする。事業の効用が短期なものについては、当該地域における市街化の動向等を勘案して事業計画の変更、廃止または事業の継続の是非を判断するものとする。」それから、以下、「用排水路、農道等の線的な事業」の場合、あるいは「共同利用施設の設置事業」の場合等々にわたって書いておられるわけですが、この事業計画を変更したりあるいは廃止したり、あるいは事業を打ち切ったというような場合に、これは具体的には農民に及ぼす影響というものは各般にわたって非常な影響が出てくると思うのです。こういう場合のその被害の処理というものはどうなんでしょうか。たとえば――たとえばの話ですよ。たとえは土地改良事業をやる、それについて何町歩以上が県営であるとかあるいは国営であるとか、いろいろ詳細な取り扱い規定があると思いますが、その場合にこの事業実施中の地区内の農用地が市街化区域に含められて、そうしてそれがこの事業対象にならない、はずれてくる、そういう場合に、こういう計画の変更だとか、事業を打ち切るというような事態が起こってくると思うのですが、そういうときの救済措置というのはあるのですか。
#162
○政府委員(中野和仁君) この第二の調整措置につきましては、この第一によりまして集団的な優良農地を確保するというたてまえですから、非常に例外の場合にこういう事態が起こるわけであります。その場合にはここにありますように、もう市街化をするということを地元でもきめるわけでございますから、そこへもって新しくまだ投資を続けるということは、投資効果が非常にむだということもございますので、事業を打ち切るということに考えているわけであります。ただ救済措置と言われましたが、ちょっと私理解しかねたわけでございますが、そういうことにいたしますと同時にいま申し上げておりますのは、事業実施中のものであります。事業を完了しましたものにつきましては、そこにできました管理施設、そういうものにつきましては、都市側にできました水路が排水路に使えるということになれば、その管理者を市町村なり何なりに変えて、その辺の費用は返していただく、こういう考え方もとるようにこの調整方針では書いているわけであります。
#163
○矢山有作君 私の言い方もまずかったと思うのですがね、事業実施中の区域のところはこの市街化区域に編入された、市街化区域にされた場合を想定して、たとえば(1)の「ほ場整備、草地改良等の面的な事業」についていろいろ書かれているわけでしょう。そうするとそういうふうに市街化区域に編入されたということで、事業ができなくなったということで事業を打ち切る場合があるから、これは「事業を打ち切るものとする」と書いてあると思う。そういう場合に事業を実施しておった実施途中で事業を打ち切ってしまう、その場合にこれは一体どうなるのですか。事業をやっている以上は金も使っているだろうし、その場合に一体どうなるかということです。
#164
○政府委員(中野和仁君) たとえば圃場整備をやっている、現在工事中であるというようなところを、市街化区域に入れることは私はまずないと思います。そういうことをいたしますと、非常に圃場整備というものはむだになりますから、そういうところは市街化区域に入れないというたてまえでいくべきだと思います。ただそのほんの一部がそういうことに引っかかりました場合には、確かに投資しました経費は、事業を打ち切った以上はむだになる、こういうことにはなるかと思います。
#165
○矢山有作君 それは私はそういう事態がないほうがいいと思っているのです。その次にはまれなほうがいい。たくさんあっちゃ困るのです。ところがこういうふうに書いておいでになりますから、やはりこういう事態があるということを想定しておられるだろう、そうなるとそういうような変更したり廃止したり打ち切ったりしなければならぬ事態が起こった場合に、実際事業実施中なんですから、事業を打ち切れば打ち切ったで、いままで投資したものは全然むだになるわけです、公私ともに。それから事業計画が変更されて、これはおそらく市街化区域に含められて変更というときには縮小ということになるのでしょうが、そのときにもやはり大なり小なりそういう被害というものは出てくるわけですね、そのことを言っているのです。その場合、公共的な被害のほうは国の損としてこれはやられているわけですから、私はそれはあまり問題にしないけれども、農民自体の負担の場合に被害を受けることが出てくるわけです。そういうものは事業を打ち切ったら打ち切りっぱなしであとはしようがないというのかどうか、それなんです。わかりませんか。
#166
○政府委員(中野和仁君) ここで事業計画を変更したり廃止したり事業を打ち切りますというふうに書きましたのは、こういう意味があるわけでございます。もしこういうふうにいたしませんと、市街化区域に入っても引き続き事業をやれという逆の希望が出てくるわけです。そうしますと、いよいよ投資を続けなければならないということでございますのでこういうふうにしたわけで、そこで打ち切りました場合に、経費につきましてはまだこの事業途中で効果が発生しておりませんのでむだになるということはもう避けられないというように考えております。
#167
○矢山有作君 だからむだになるということは避けられないわけですから、そういった場合に、私の言っているのは公共投資の分については国の施策としてそういうことをやるわけだから、これはしばらくおくとしても、やはり農民の自己負担というものがあってやっているわけでしょう。全額国庫補助ではないわけです。したがってそういう場合に、農民が自己負担したものについてはこれはもう打ち切ったんだからしかたがないんだ。国の施策としてこういう事態におちいったんだからもうあきらめなさいということになるのかどうでしょうかということです。
#168
○政府委員(中野和仁君) 市街化区域に入りました土地について、そのままの場合。それからそこを宅地にする場合とがございます。宅地にする場合には土地改良法によりまして一時決済金を農家から取るということにもなっておりますので、初めに同意をして投資をしたわけでございますからその分につきましては決済金という面では土地改良区に金が返ってくるという場合もあり得るわけでございます。
#169
○矢山有作君 私の言い方が悪いのかな。私は土地改良区に金が入ってくるとか決済金とかそう言っているのではないのです。端的に簡単に言うと、事業途中でしょう、市街化区域に編入されますね、それで事業を、いろいろ考えてみたが、これはもう打ち切ったほうがいい、農民の希望はあっても打ち切るほうがいいということで打ち切りますね。その場合には事業実施中なんですから何がしかの投資をやっているわけですね。その場合に国庫補助事業だとするならば国の補助金が出ておるのでしょうが、それは国の施策としてやられたものですから、その補助金をどうする、こうするということは私はいま触れません。しかし国の補助金だけで全部事業が行なわれているんじゃないので、農民の個人負担というものがあるでしょう。その個人負担というものが事業を打ち切ったんだからもうしかたがない、あきらめなさいということになってしまうのかということを言っている。
#170
○政府委員(中野和仁君) その点につきましては先ほど申し上げましたが、私はむだになるということを申し上げたので非常に誤解を招いたような気がいたしますけれども、金の面で負担をいたしましたその額自体は農家としては結局出しっぱなしで損になる、こういうことでございます。
#171
○矢山有作君 私はそこのところを問題にしているわけですよ。出しっぱなしで損になってしまうんだ、これが私は問題じゃないかと言っているわけです。国の施策として都市計画を進めてきてそれで市街化区域に編入し事業を打ち切る。事業途中で負担はしておるが、農民の損失はそのままだ、もう事業を打ち切ったんだからあきらめなさい、あなたは金は出したが、出しっぱなしでもうしかたがありません――これではちょっとひどいではありませんかということを言っている。
#172
○政府委員(中野和仁君) そういう御議論になるものですから、われわれとしましては事業途中のところは、先ほど申し上げましたように、市街化区域に入れるのはおかしいというようにわれわれは考えて、この調整方針でも原則としてそういう実施中のところは市街化調整区域に入れるということにしているわけです。ただ、たまたま端っことか何かで川の横とか何とかで多少入ってくる場合はそういうことがあり得るので、その場合は事業計画の変更の必要が出てまいりますし、そうしますと投資しました金は、国の補助金の効果も発生しませんからむだになるわけです。そこの土地についての農家が負担しました金自体は、そこで事業が終わるものですからむだになるというか、出しましたものはこれをまた国がどうとかするということにはならないというふうに申し上げたわけです。
#173
○矢山有作君 しごく当然のようにおっしゃるから、私はそれが問題じゃないかと言っておる。たとえばこの事業実施中のところは一切もう市街化区域に入れない、そんなことはやらせないのだと言い切ってしまうんならこんな調整措置は要らない。そうならない。たとえば千件に一件、一万件に一件でもそういう事業打ち切りに至るような事態があるだろう、だからこの規定が入っているのだ、これが。だから、その場合にあなたのおっしゃるような、打ち切りだからしようがない、それはあきらめなさいというならこれはひどいではありませんかと言っているわけです。農民の意思によってこの事業打ち切りをやっているわけじゃないのだ。都市計画の関係で国の施策の関係で事業打ち切りに追い込まれた。それを事業が完了しないで打ち切った、農民が出したものはあきらめなさい、もうしかたがない、それは農民の損です――これはちょっとひどすぎやしませんかと、こう言っているんですよ。そこを一体だれが補償するのか。
#174
○政府委員(中野和仁君) 先生のお話はよくわかるわけでございますけれども、それを都市計画の市街化区域に入れたからといってそれは農家の罪ではないとおっしゃるのだと思いますけれども、それではその区域に入った農家の負担金を全部国で補償するということになりますとこれまた非常な問題だと思いますし、そういうことがないように地域をまずやるべきだということをまず申し上げまして、例外としましてそういう場合はやむを得ないのではないかというふうに申し上げておるわけであります。
#175
○矢山有作君 それは、そんなことはありません。例外にしたところでそういう事態が起こったらなぜ都市計画のほうに持たせないのですか、その農民の損失を。都市計画の関係で事業ができなくなっての事業打ち切りでしょう。それで農民の損失を、あきらめなさい、知りません――そんな話はやはり農林省としてはおかしいですよ。なぜ都市計画でそれを持たせないのか。
#176
○政府委員(中野和仁君) その場合に二つあるかと思います。
 一つはそこの施設としてつくりました、たとえば水路等を都市の排水路に使うということになりますれば都市側の負担にさせるということはできるわけであります。ただ個人の農地についての投資につきましてはその個人がその土地を売るというような場合が起こり得ますので、それは宅地化をするわけでございますから、その場合にはその宅地の値上がりという面でカバーはされるかと思いますけれども、いまも先ほどからも繰り返して申し上げておりますように、その投資額を国でめんどうを見るということは困難だと思います。
#177
○矢山有作君 全くこれ、この問題で押し問答ばかりしているのは芸のない話ですけれども、たとえば用排水路なんかで都市計画のほうと共用部分が起こる面についてはこれは都市計画のほうで持つと、これはあたりまえの話で、そのこともどこかこの調整方針の中にありますよ。そんなことはいいです。そうでなしに、事業を打ち切られた場合のことを言っている。そのときにあなたのほうは、そうしたら多少でも投資をして宅地に近いような形になったじゃないか、売ったら宅地になって高く売れて、それで損失を補えるじゃないか――そんなことは私はおかしいと思いますよ。農民はその圃場整備その他をやるのに、これは圃場整備をやれば宅地並みになって高く売れるだろうということでやっているのじゃないのですからね。圃場整備をやってそうして農業経営にいい条件をつくり上げて生産性をあげていこう、こういうことでやっているわけでしょう。それが途中で打ち切られてしまって損失をこうむる場合に、これは売ったら宅地並みに売れるから、それで損は回収できるのではないかという考え方は私は非常に農林省の考え方としては問題があると思うのです。なぜ私は都市計画のほうにそれを負担させないか、農民の損失を。国のむだな投資についてもこれは問題ですよ、問題ですが、私はそれはしばらくおくとして、なぜ農民のその損失部分を都市計画に持たせないのですかと、こういうわけです。都市計画にこれは持たすべきですよ。それだけのかまえがないと都市計画がどんどん進んできて農業のほうが受け身にならざるを得ない、そういう場合が起こったならばそれは都市計画のほうに負担させるという強いかまえがあれば、多少でもこれは都市化の、市街化の進行を防ぐ障壁にはなり得るかも知れない。しかし、それすらないということになると、これは私は問題だと思うのです。農林大臣どうですか。いま聞いていただいておって、これはやっぱり都市計画に負担さすべきじゃありませんか。
#178
○国務大臣(長谷川四郎君) なかなか、いまお話を承っていてむずかしいと思うのですけれども、ただいまお話があったように、これは、都市化というやつは国のほうの命令によってこの地域を市街化する。ところが調整区域だとこれは国でやるわけではないのであって、要は相互間においての決定をしてきたものがくるわけですから、国の命令によって、おまえのところはこうするのだということになるとそういうことにもなるかも知れませんけれども、その人はなるほど気の毒だと私は思います。しかしその人が、絶対に今後は宅地化をいたしませんと、二十年間ならば二十年間宅地化はいたしませんというならば、その補償をする道を開かなければならぬと私はそういうふうに考えます。しかし、何年かたって再びそれをやられるということになると、宅地化のほうがよくなるから宅地化のほうに回してしまうということになれば、それは他の部面との均衡がとれないものとなるだろうというふうに考えます。ですから、そういう何かの条件がつかなければ、その問題のなにはできないのじゃないでしょうか。私は宅地化をいたしませんと。それだったらいままでかかっただけのものは補償しなければならぬということも出てくるだろうと思います。こういう何か条件がついたものでなければならぬだろうと、私は聞いていた範囲内においてはいまそのように考えます。
#179
○矢山有作君 それはあとで宅地化はしませんということで、その場合には損失補償をしようというように受け取れるお話ですから、それならば局長よりは多少進んでいるわけです。しかしそれにいたしましても、国が都市計画をやるのじゃない、やるのじゃないといって盛んにおっしゃるけれども、都市計画法に基づいて都市計画をやるのでしょう。だから、私はその国に損失を補償させなさいとかあるいは地方公共団体に補償させなさいという言い方をしておらぬわけです。都市計画に負担さすべきじゃないか。こう言っているわけです。ですから、それをだれに負担させるかということは都市計画法というものの立場を踏まえて判断したらいいので、それは国が損失を補償するようになるのか、都道府県段階でやるようにするのか、それは別です。しかし問題としては、その農民が損失を受けるが、それはそのままでしかたがないという言い方は間違いじゃないかと言うのです。その場合にあなたが、それは宅地に売らないという条件がつけられなければ、これ幸い、事業が打ち切られた、宅地に近い状態になる、売ったほうがもうかるから売られた、これでもうけた、損失は補償してもらった――これじゃちょっとおかしい、こう大臣はおっしゃるのだろうと思います。その辺のワクをはめてもあるいはいい場合があるかもしれませんが、少なくとも全面的に損失を補償しないという考え方は間違いじゃありませんか。だから、都市計画のほうでさせたらどうですかと言っている。これは筋の通った話だと思うのですがね。
#180
○政府委員(中野和仁君) いまの場合に、先ほど御議論がありましたように、市街化地域にするか、調整地域にするかということについては公聴会なり、その他の意見書を出すなり、そういう手続が経てきているわけでございますから、おそらく計画決定はもちろん、これは市街化区域、調整区域の決定は都道府県知事でございますから、知事が線を引くにいたしましても、地元の意向を反映しているわけでございます。その場合に、そこはもう事業は打ち切ってもいいというつもりでそっちへ入るということにしたわけでございますから、私が先ほど申し上げておりますように、個人の土地に投資したものについて法的に補償するということは困難ではないかということを申し上げたわけでございます。ただ、どうしてもその地域は都市計画として入れたいという場合に、地元でいろんな折衝過程で、たとえばその土地が市の公園になるとかなんとかいった場合にはやはりその土地の買い上げ等での問題の補償というものはあり得るかと思います。
#181
○矢山有作君 まあ、いろいろとおっしゃるのですけれども、市街化区域に編入される場合に納得づくでやっているのであるからということが、一つの新しい損失を見てやらない理由として出てきたと思うのです。ところが、私は実際の都市計画の施行なんかを見ておって、関係者がだれもかれも、納得してよろしゅうございますということばかりはないだろうし、そういうふうにこまかくものを考えていきたいから、たいへんこれは技術的にこまかい問題に立ち入らにやならぬから、これを包括して、そういう場合に損失の補償をどうするのですかという言い方をしたのですがね。私はやはりその場合にはこまかい内部に立ち入っての話は、その場合場合というものがありましょうからそれは別といたしましても、損失の補償をするということは、私は一つの原則的な考え方としてあってもいいのじゃないか。特に農林大臣がおっしゃったように、農地として保有し、農業を継続するということになるのならば、都市計画のほうからその損失の補償を出させてもいい。こういうことでいかれるのならば、私はそれなりに納得できるわけです。そうなされるかと、それならばそれなりでよろしい。
#182
○国務大臣(長谷川四郎君) その点は、線につきましては、私もまあ責任を持って言いましょうか。都市化を市街化区域におきまして、もしそういう事態が起きたときには、これが二十カ年ならば二十カ年は宅地化をいたしませんというのならば、何とかその点についての考え方はあらためて申し上げても差しつかえないと思います。
#183
○矢山有作君 また、二十年だというような話が出てくると、これはまた妙な話になるので、大体調整区域ということ自体は五年目ごとにどうなるかわからんようなところでしょう。だから、二十年などというようなおよそ夢みたいな話は、それは筋通らないですよ。市街化調整区域ですら五年ごとに動いていくのですから。だから、そこで数字をあげて言われるべきじゃないのじゃないですか。要するに農地として保有し、農業を継続するという実態があるならば、これは少なくとも都市計画側で見ると、こうおっしゃるべきじゃないですか。どうなんです。
#184
○国務大臣(長谷川四郎君) まあ五年という話にはまいらないでしょうけれども、また、二十カ年というのもちょっと……(笑声)と思います。しかし、その辺はひとつ相談をしておく必要があると思います。私はそう考えます。ですから、ここで、その年限は幾年とおきめにならなくて、近いうちに、ほんの近いうちによく相談して、御返答申し上げます。
#185
○矢山有作君 ただ私は、原則的には補償するとの立場を踏まえられて、具体的な問題にあたっては、そのとき、そのときで、私は適正処理の方法があろうと思います。だからその点は、私は原則さえ承認していただけば、あとの運用は実態に即してやればいいと思いますね。それで、私は納得いたします。原則を承認して、私の言うように、都市計画の側で損失は補償するという原則に立って、具体的な運用にあたっては適正を期していくということで了解してよろしいか。
#186
○国務大臣(長谷川四郎君) 原則はまさにそのとおりでよろしいのでございますけれども、それにはやはり一つのワクがありますから、そのワク内においてのワクだけは設けることを御了承賜わりたい、したがって、近いうちにそれらの協議をして御返答申し上げます。
#187
○矢山有作君 中村さんの関連質問がありますが、これ言いかけたことですから、これだけ済ませてから……。その場合補助金等の返還の問題はどう処理されますか、これは今度新しく四十四年度から新規着工が、土地改良事業等について農地に適用された場合の補助金返還の通達が出ておるようですけれども、これとの関連においての具体的な扱いはどうなるのですか。
#188
○政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘のとおりことしの五月に、これは市街化区域、調整区域との関連のみではございませんけれども、農林省のほうとしまして、都道府県、団体営事業に対して補助金を出して事業をやっているわけでございますが、その中にかなり農地転用が出てきております。それは、先ほどからの御議論との関連もございますけれども、投資のむだであるということから、何回か会計検査院なりその他からの御指摘もありますし、国会にもその意味のことが報告されて、適正な措置をとれという観点から、今回こういう措置をとることにいたしたわけでございます。
 そこでやはりこの場合の対象事業といたしまして、たとえば農道のような事業からは補助金の返還は求めませんけれども、面の事業、線の事業に分けてものを考えて見て、面の事業は個人の農地について相当な投資が行なわれているわけであります。それを転用して宅地化をするということでございまするので、農地としての効用を全く発揮しない。そこで補助金としての効果も全くむだであるという考え方から、面の事業につきましては大体一件十アール、ですから三百坪以上の一件当たりの転用につきましては、その面積割りでの補助金の返還を求める、それから線の事業につきましてはこれは用水路等の建設によって水を引っぱってくる、受益者がいろいろございますので、その個人の土地というよりももう少し薄いというふうなことも考えまして、大体受益地の十分の一以上が一度に転用になった場合は補助金の返還を求めるというふうな措置をとることにしておるわけでございます。
#189
○矢山有作君 事業打ち切りをやってすぐ宅地に転用したというときに補助金を返せというのは、これは一理あるかもしれませんが、また私は問題があろうと思います。しかし事業打ち切りをやった、先ほど申しましたように、やはり農業は、事業の打ち切られたことについてはあきらめて、依然としてその農地で農業は継続していくのだと、こういう場合に補助金も返せとかこういうことになるんですか。宅地に転用していく場合は、それはそれなりで私はとやかく言いません、言わんでおきましょう。農業を継続する場合、やっぱり補助金を返させるのですか。
#190
○政府委員(中野和仁君) 農業を継続していく場合には、それはさっきの話の続きになりますけれども、調整区域に入れるつもりでございますから、そういう問題はまず起きないはずでございます。
 それから、ただいまの補助金返還の問題につきましても、土地収用等の、公共用にその土地を提供するといった場合には、補助金の返還を求めないという措置もあわせて講ずることになっておりますので、具体的に転用なり何なりの問題が起こってきました場合にはやはり農地としての利用をいたしませんから、そういうことにしたわけでございます。その場合は、単に市街化区域に入ったからといって返還を求めるのではなくて、具体的な転用の事実をつかまえて返還を求めるということでございますから、先ほどの場合のように、市街化区域に入ったからというだけで返還を求めるというわけではございません。
#191
○矢山有作君 どうも話が食い違うような、食い違うような方向に持ってこられる。私は転用された場合を言っているのではない。転用された場合には、通達によると補助金を返還させるということになっておるようですが、この措置自体にも問題があると思うのですよ、異論はあるんです。しかしながらそれはそれとして、転用された場合に補助金返還ということは別として、私がいま言っている事態が、あなたは起こらん起こらんとおっしゃるけれども、起こることが万々一にもあるということが予想されているから、わざわざ調整方針の中に入れられておるのですから、それを踏まえての私は議論です。起こらぬのなら起こらぬでこれは全部削ってしまえばいい。入っておる以上は、万一起こるかもしれないから、起こったときを想定して入っておる。その場合に、事業打ち切りになった農地の転用はやらないと、その場合に補助金をなお返すという話も、これもまた農民の責任でないのに事業打ち切りになった場合に補助金を返させるというのはおかしいじゃないかと言っているのです。議論がぶつかるようにしてください。
#192
○政府委員(中野和仁君) あるとお答えいたしましたのは、具体的な転用行為がない間は補助金の返還を求めませんということをいま申し上げたわけでございます。御了承いただきたいと思います。
#193
○矢山有作君 そういうふうに簡単に言っていただけば私も非常にわかりやすいのです。前が長いものですからどこでどうなったかわからなくなる。関連質問があるそうですからどうぞ。
#194
○中村波男君 ちょっと出向いておりましたからすでに質問があったかもしれませんが、調整措置の方針の第1の「市街化区域に関する都市計画と農林漁業に関する土地利用との調整措置」の一の(2)ですが、要約しますと、土地基盤整備事業が完了したという、その完了というのは、どの時点、どの形態を完了したというのか、この点をちょっと明らかにしておきたいと思うのです。
#195
○政府委員(中野和仁君) 土地改良事業の場合には、完了につきましては公告をいたしますのでその時期というふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
#196
○中村波男君 土地改良法によって事業が完了しまして、本換地が終わりまして事業終了報告を出したのが完了だと――念のために申し上げますが、登記等には関係なく公告を出したのが完了だと、こういうことですか。
#197
○政府委員(中野和仁君) 登記の問題も換地処分の場合に急いでやるべきだと私も思いますけれども、実態は必ずしもすぐやれない場合もございますので、その登記が終わるまで完丁しないというふうに考えるのはいかがかと思いますので、やはり土地改良事業として完丁報告をいたしました時期というふうにお考えいただいたほうがいいと思います。
#198
○中村波男君 それにまた関連をいたしまして、2の(2)にあります問題がひっかかってくると思うのです。と申しますのは、各地域で行なっております土地区画整理事業等についてはいわゆる事務的に五年、七年とおくれておりまして、実際には工事は完了をし、本換地は終わっておりまするけれども、事業完了公告というものが出されておらない地域というものが私の知った範囲では相当あると思うのです。したがって農林省として全国にこういう地域がどれぐらいあるかわかっていらっしゃるならば参考までにこの機会に御報告をいただきたいと思うわけです。そうしますとこの「次に掲げる農林漁業関係施策対象農用地」というのは、事業が完了をしておらない、したがって、もとに戻りまして、1の(2)にいきまして、「施行以後に着手した地区内の農用地のうち当該事業が完了した年度の翌年度から起算して八年を経過していない地区内の農用地。」というのは、その区域に入れてはいけないという規定があるわけですが、これは昭和四十三年法律第百号という法律施行以後ということになっているんでありますから、この点ははっきりいたしておりますが、事実上三年も五年も前に工事は完了しておるけれども、さっき局長の指摘をされた事業報告が完了しておらないというのは、もちろんこの該当には入らないということになるわけです。そういう点からいいまして、どういうふうにこれを措置されるかということについて、純事務的な問題でありまするけれども、はっきりしておいたほうがよろしいのではないかと考えておるわけです。
#199
○政府委員(中野和仁君) いま御指摘のように、圃場整備をやりました換地処分がかなりおくれておるわけです。数年来それを促進するために相当な予算措置も講じておるわけでございまして、確かに御指摘のように工事だけ完了しましてなかなか換地処分をやらないでやっておるのも相当面積ございます。いま私ちょうど正確な数字を記憶しておりませんけれども、相当な面積がございます。そこでこの解釈ということになりますと、確かにこの間ギャップは出てまいります。形式的にはそれが事業実施中ということになるかもしれません。しかし工事として済んでおるという分がございますので、この実施中とそれから完了との間の調整をもう少し考えさせていただきまして正式の通達を出すまでにはその辺をわかりやすく受け取られるような措置を考えたいと思います。
#200
○中村波男君 まあ老婆心ながら申し上げておきますが、具体的にはすでに線引き作業まで始まっておるわけですから、したがってはっきりとした運用方針をお示しになりませんと、その県またその市の解釈によっていわゆる線引きを行ないますと、問題をあとに残しますから、この点ひとつ早急に詰めていただいて、具体的に取り扱いについてのいわゆる通達といいますか、指導をされる必要があるのじゃないか、またこれをはっきりしませんとたいへんなことになるのじゃないかと思いましたので、関連して質問したわけです。
#201
○矢山有作君 もう一つ、いまに似たようなのでお伺いいたします。その調整方針の第2の一の(3)の「共同利用施設の設置事業」、それのイですね。イの場合、「ア以外の共同利用施設設置事業」といっておりますが、これは「集出荷、加工用施設等の広域的共同利用施設の設置事業以外の共同利用施設設置事業」のことだと思いますが、これについて「事業の効用が長期にわたるものについては、受益地の全部または大部分が市街化区域に含められる場合は事業を廃止する」と、こういっております。これはまあ起こらぬという前提がいままでのお話しの中であるのですが、これが万々一起こるかもしれぬと思って、こういう調整方針というものを出しておられると思うのですが、この事業が廃止された場合、これは共同施設をつくりかけてかなり公私ともに投資をした、それが廃止になってしまって立ちぐされになった、こういう場合だろうと思うのです。その場合の処理ですね、これも私は先ほど申し上げたものと同じように問題になると思うのです。農民が負担したものの、それが投資のしっぱなしになって損害を受けた、損害はそのままだということなのか、それともこれについては先ほど言いましたように都市計画事業の影響でこういうことが起こるのですから都市計画側にその損失の問題については解決するようにさせるのか、そこらの問題が私は同じようにやはりひっかかってくると思います。それと同時にこれに入れておる補助金の問題も同様に出てくるのではないかと思います。もっとも共同利用施設についての補助金の返還ということが農林省で行なわれておるのか、行なわれておらないのか、それは承知いたしませんが、補助金の問題を含めて、その場合はどう処理になりますか。
#202
○政府委員(中野和仁君) この問題は大筋におきましては先ほど御議論のあった問題と同じように考えますので、先ほど大臣が御答弁になりましたように、早急にその補償的措置といいましょうか、その問題を検討させていただきたいと思います。
#203
○矢山有作君 こういう問題をこの調整方針に基づいてことこまかく拾い上げていくと、いろいろな問題が具体的には出てくるわけなんです。したがって私は、この調整方針として出されておるけれども、それは大ワクのものであって、具体的な処理にあたってはどうなるのかということは、おそらくいま御答弁なさったようにみな未解決だろうと思います。ですからこれはやはり事業が施行の段階、都市計画が実施された、さらにまたこうした事業が行なわれたというものがぶつかると必ずこの問題の解決を迫られてくる問題です。ですから、私は具体的なそういう方面にわたってどう解決するかということを個々に検討しておいていただかぬと問題が起こると思うのです。これを一々取り上げていくと幾らでも出てきてもう際限がありませんから、一、二の例として申し上げるので、それに対する解決の具体的な方針というものはぜひともこれは早急に確立をするようにはかっていただきたい、このことを特に要望いたしておきます。要望というか、これは農林省がやらなければならぬことです。やらぬことには問題の解決ができませんよ。特にこの点お願いしておきます。
 ここで一応農林省、建設省への話は途中でやめておきまして、自治省のほうからの話を承って質問さしていただきたいと思います。
#204
○委員長(任田新治君) 自治省降矢税務局長から答弁を求めます。
#205
○政府委員(降矢敬義君) 先ほどの委員会における課長の発言でございますが、森委員の御質問に対しまして山下課長は市街地の価格、農地の評価につきましてこのように答弁しております。「ただいま問題になっております都市近郊の農地、あるいは都市の中心部の農地の評価をどうするかということについては、いろいろの意見があるわけでございまして、現在は現況によって農地は農地として評価をいたしておりますけれども、周辺がすっかり都市化されてきているというような状態になってきた場合の農地については、宅地並みの評価をすべきではないかという意見もございますので、こうした点につきまして税制調査会でも審議をいたしておりますし、私どもとしても、周辺がすっかり市街化され、都市施設が整備されているような状態になってきた場合の農地につきましては、いろいろの意見もあることでもございますし、今後その取り扱いについて、評価の問題として検討しなければならないというふうに考えております。」というふうに答えております。
 それで先ほどの矢山委員の御質問の点でございますが、私の意見を述べろということでございますが、私はいま税制調査会の意見もあることでもございますので、私としては事務的に御指摘のような問題について検討したいという考えを持っております。
#206
○矢山有作君 これは森さんがおられれば森さんが自分が御質問になって答弁をもらっているのだから一番よくわかるのですが、たまたまおられませんから私のほうで関係のところの会議録をちょっと出してもらって見ているのですが、森さんの質問として「今後税制調査会で農地の評価に関しまして新しい方針がきまりまして、それがまた国会等で論議の結果、承認されるという事態が発生しない限り現行の評価を継続する、こう理解していいですね。」、こういう質問です。それに対して山下説明員のほうから「新しく評価を行ないます場合に、いま御指摘のような新しい方針が出ない限り、現在のところ据え置きはやめるという考えはございません。」、こうなっております。
#207
○政府委員(降矢敬義君) ただいまお読みになりましたところは、御質問は、三十八年度の税負担の特例措置についてそのまま維持継続されるものかどうかという御質問が森先生からございまして、それに対して山下君が答えておりまして、さらにお読みになりましたように、この当時、四十三年でございますから、法律としては当分の間、三十八年度の税負担に据え置くということになっておりますので、したがってその新しい事態――国会における御論議、新しい方針、こういうものによって新しい事態が発生しない限りは、当分の間というのは法律に書いてあることでございますので、そういうふうなことは当然やめることはないというふうに答えておりまして、なおかつ、いま先ほど読みましたように、先ほどから御指摘の都市の農地についての負担の問題については、すっかり宅地化されておるようなところについてはいろいろな考え方もあるので、検討してみたいという答弁になっております。
#208
○矢山有作君 いまおっしゃった森さんと山下さんの質疑の中で、評価の問題と税額の問題と多少こんがらがっておるような面があるような気がいたします。しかしそれは、質問者がおいでになりませんから、おそらく質問者の立場としても今後明らかにされるだろうと思いますが、それはそれとして、私のほうの質問を続けさしていただきます。
 私はその、市街化区域内で、市街地として都市施設が整備された地域における農地山林といいましても、一体具体的な判定をどうやるかということになると、これはたいへんだと思うんですよ、これこそ。そういうようなたいへんな仕事、これは的確にこれをやろうといったって、とてもじゃないがむずかしいと思うんです。そんなことをやるよりも、転用届けがあるかどうかというのははっきりつかめるんですからね。だから、農地の転用届けがあるまでは農地として評価するということでやったほうが、これは課税をやっていくほうの側としても事務的によっぽどこれは筋も立つし、やりやすいんじゃないですか。何もことさら、農地として持って農業をやろうという者に対して、これを市街化の進展の度合いでどうだこうだと言うような立場をおとりになることが私はおかしいと思う。だからむしろ、その農地の転用届け出のあるまでは農地として評価するということで割り切ってはどうなんですか。どうせあなたが原案つくるんですよ。まあ税制調査会はいろいろ言ってますがね。しかし、税制調査会は税制調査会のことでいろいろ言っておるんで、何もかにも政府はそれを聞かなきゃならぬことはないんですから、悪いことは聞かぬでいいし、いいことは聞かなきゃならぬ。ですから、私の言っていることでいいと思うんですよ、転用届けがあるまでは農地の評価で進むと。そういうような方向で進むということになりませんか。
#209
○政府委員(降矢敬義君) ただいま御指摘のように、具体の認定の問題になればむずかしいと思います。私も率直にそれを感じております。しかしまた一面、御指摘のようなお考えもあるだろうと思います。で、私といたしましては、ただいまも申されましたような御意見、あるいは具体の認定についてまだ検討を始めておりませんので、そういうことを踏まえて十分検討いたしてみたい、こういうふうに考えております。
#210
○矢山有作君 これはひとつ参考までに申し上げますが、先ほど大蔵省のほうは、市街化区域編入農地、これは大蔵省の立場で従来の農地評価の方法でやるとするならば、明らかに転用許可不要農地ということになるわけです。そうするとこれは宅地並みの評価が行なわれてくるのですね。それだけれども、そういう農地についてはいままでの評価方法を変えませんと、農地の転用届け出があるまでは従来どおりの評価でやります、こう言って明言されておるのです。大蔵省がそういう立場をとるなら、自治省も何も市街化の進展でどうだこうだというようなややこしいことをおっしゃらずに、農地の転用届けがあるまではで割り切れるのじゃないですか。あまりこういう問題に私はこだわらぬほうがいいと思う。それは金を取るほうの側は多いほうがいいでしょうが、しかしそんなことをやると、さっき言ったように農業がだめになるのですから、その点をいささか認識しているから大蔵省も転用届けがあるまでは従来どおり農地の評価をやるというのですから、そういう方針でぜひ進んでください。どうです。進むと言っていただけば簡単なんだ、話は。
#211
○政府委員(降矢敬義君) ただいまの御意見、先ほどからの御意見を踏まえて検討させていただきます。
#212
○矢山有作君 農林省はどうですかね。農林省はこれ人ごとじゃないですよ、たいへんな問題なんですから、農林省としてはあくまでも転用届けがあるまでは農地でやってもらわなければ困るということで進んでもらわぬと、自治省のもし変わった方針に妥協したら、農林省自体が農業の破壊に手をかすことになりますよ。
#213
○政府委員(池田俊也君) これにつきまして、私ども従来御答弁申し上げているわけでございますが、私どもの態度といたしましては、市街化区域の中でございましても現状が農地であってそしてまさに農業がそこにちゃんと営まれているというものにつきましては、これは極力やはり農地並みに扱っていただきたい。ただ都市施設等が非常に整備されまして、形は一応農地のようなことになっていても実際は農地として使われないということになりますと、これは困難であろうと思いますけれども、極力農地としての扱いをしていただきたいという考えで自治省ともいろいろ従来も御相談しておりますけれども、今後もいたしてまいります。
#214
○矢山有作君 前段のほうの答弁はいい、私はそれなりに了解できます。あとのほうは蛇足でね、農林省としては。これは自治省すら市街化の進展の度合いに合わせて一体どういう評価をするか、むずかしいことは技術的に認めているのですから、そのむずかしいものが、自治省がむずかしいと言っているのを、農林省が何もあとの問題考える必要ないのですよ。それは農地として利用されるものは転用届けがあるまではとにかく農地としての評価ということでこういうことでやっていただきたいのですが、あなたの答弁の後半は要らないのです。大臣どうです、これはあなたがきめるのだ。
#215
○国務大臣(長谷川四郎君) 後半の、半分は要らないそうでございます。その点につきましては十分自治省とその意を持って交渉をいたし、御意見のように、なるべく沿うようにいたしたいと考えます。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
#216
○矢山有作君 私は、農林大臣の立場にすれば、私が答弁催促せぬでも自分から勇んで答弁がしてもらえると思ったのに、いささかこれは心外でした。しかし農地並みの農地としての評価でがんばろうということですから、がんばった成果の出るようにしていただきたい。がんばって何も出なかったというのではこれはまたすこぶるぶざまな話になりますから、ぜひ農地転用届けがあるまでは農地としての評価をやるということでお願いします。
 同じように、これは都市計画税とも関連を持ってくる問題なんですがね。都市計画税は御存じのように、三十八年度の税額で据え置くという措置がとられましたね。これも私は固定資産税と同じように税額据え置きの方針でお考えをいただきたいと思っておりますが、まあ固定資産税の問題で御答弁があったのと同じようなことになるかもしれませんが、そういう方針でいっていただきたいと思うのですがどうでしょう。
#217
○政府委員(降矢敬義君) 固定資産税と都市計画税の農地に関する負担調整が全く同じ規定になっておりますので、同じような考え方で進めたいと考えております。
#218
○矢山有作君 それからもう一つだけ税金のことで、不動産取得税というのがありますね。私はこの不動産取得税についてもやはり軽減措置をお考えを願いたいと思うのです。特に御案内のように、農振法案で第二十三条の二項に規定があります。十四条第二項の勧告に係る協議、第十五条の調停、十八条の農業委員会のあっせんなどによって取得した土地の所有権の取得の登記について登録免許税の軽減という規定があるのです。まあ不動産取得税も、登録免許税についてそういう軽減措置がとられるのですから、同じような措置をおとりになったらどうかと思うのですが、この点は御検討いただけますか、どうでしょう、お考えは。
#219
○政府委員(降矢敬義君) この点につきましては、二十三条の規定は御説明するまでもなく、正確に農用地利用計画に指定されました用途に使用されていない場合に勧告をし、勧告を聞かないという人について特定の人との売買をあっせんするわけでございまして、したがって、そういうような規定の適用を受けた人についていま御指摘のようなことをやり、そして自主的に話がついて取得されているような方については特に考えないというようなことは、実際問題としてどういうものか。それから現在国におきましても、土地の取得につきまして特に土地改良法による換地といったような場合には非課税にしておりますけれども、一般にしておりませんので、特にこういうような規定を設けなかった次第でございます。
#220
○矢山有作君 今後もやはりその点についての御配慮はない方針ですか。
#221
○政府委員(降矢敬義君) ただいまのところ考えておりません。
#222
○矢山有作君 私のほうの希望としては登録免許税についても軽減措置がとられるようですから、不動産取得税についてもあわせてお考えおきを願いたいと思います。
 自治省関係の質問はこれで終わりまして、また農林、建設両省にお伺いいたします。
 これからお伺いする問題は、この間中村委員が取り上げられた問題と多少重複するきらいがあるのですけれども、ちょっとはっきりさしておきたいと思う点がありますのでお伺いするわけです。
 それは生活再建のための措置について都市計画法の七十四条で施行者に申し出る。で、施行者が事情の許す限りは措置を講ずるようにつとめる、こういうことになっておりますね。ところが、建設省の「新・都市計画法の施行について」という資料を見ますと、「農林省では個別の農地の交換、離農転職のあっせんを市町村農業委員会の業務として行なわせる方針である」、こういうふうにされておるのです。一体これはだれが責任を持ってやるのですか。
#223
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画事業で土地を失う人に対しましては、施行者か法律に掲げてございますような生活再建措置を講ずるわけでございますが、通達にありますのは、市街化区域に編入された場合に、残っている農民の方が別のところに、市街化区域以外に農地を得たいというような場合のあっせんの問題かと思います。
#224
○矢山有作君 それじゃこう解釈していいのですか。開発行為の施行の段階に入ったときに、施行者が生活再建の措置を講ずる、これが法文の七十四条に規定してあるものだ。それから同じ建設省の「都市計画法の施行について」という文書は、施行の段階には入っていない市街化区域に含まれた。そこで農地を失うことになる農家に対する……こういうふうな、これはちょっと私おかしいと思うのですけれども、市街化区域に含まれることだけですぐ農地を失うことにはならぬと思うのですが、これは農林省にも関係があるのですね。一体農林省は農業委員会に対して、この建設省の文書がいっておるように、農地の交換、離農転職のあっせんをやらせることになるのか、建設省が施行者にやらせるというのは一体どういう条件のときに施行者にやらせるのか、これは法文上はっきりしておることですが……。
#225
○政府委員(竹内藤男君) 都市計画事業といいますのは、第四条に定義がございまして、都市計画施設の整備に関する事業でございまするので、十一条第一項各号に掲げる施設、すなわち都市施設――道路、公園、河川、あるいはその他の公共施設的なものを行なう事業を都市計画施設と申しております。それを行ないます事業と市街地開発事業、つまり区画整理事業、あるいは新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業といったような面的開発事業を市街地開発事業と言っております。したがいまして、公共施設の整備と面的開発事業の整備を行ないます際に、その事業によって土地を失う者に対する措置でございます。したがって施行者がその場合はっきりいたしておるわけでございます。
 それから先ほど通達のありましたのは、むしろ農林省からお答え願ったほうがいいと思いますが、これは市街化区域に入って十年間に市街化されるという見通しがあるわけでございますので、その間に待てないから農地をほかに求めたいという方が出てきますそういう場合の措置、具体的に市街化区域に入ったから直ちに土地を失うわけではございませんけれども、そういう場合の措置、こういうぐあいに私は了解しておるわけでございます。
#226
○政府委員(中野和仁君) 農林省のほうで、都市近郊の対策としていろいろ考えました中で、今回四十四年度の予算で都市近郊地域農地対策事業費というのを計上しておるわけでございます。その趣旨とするところは、今回の都市計画法が施行になりますと、市街化区域、調整区域を分けるという問題から問題が始まりますので、その場合に農業委員会を中心といたしまして、市町村なり農協なり、あるいは土地改良区と連絡会議を開かせるというような経費、それからそれをブロック段階におろして、いろいろ啓蒙宣伝といいますか、啓蒙いたします経費ということ、それから線引きがされましたあと、市街化区域ということになってまいりますと、直ちに先生おっしゃいましたように、それが、農地が農地でなくなるわけではもちろんございませんで、いずれその中では市街化区域から外に出て農業をやりたいという農家も出てまいります。そこで農業委員会におきましてアンケート調査等をやらせまして、農家の希望を聞く、そして中には外に出て農業をやりたいという農家に対しましては農地の取得につきましてのあっせんを考えたらどうかということで市街化区域ができますことに対応しましての都市近郊の農地対策として考えておるわけでございます。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
#227
○矢山有作君 まあ農林省が、農地の交換、転職のあっせんを農業委員会にまかせてしまったと言われる。これはもう責任転嫁もはなはだしいので、農業委員会でその農地の交換くらいはそれは考えられるかもしれませんが、離農転職のあっせんまでできるなんというのはまず私は考えられんのじゃないか、そういうように生活再建の措置について、農林省が全くほおかぶりして、農業委員会に責任を転嫁したという点については、私ども納得できませんし、これは一昨日でしたか、中村委員の質問の中で私どもも申し上げたところです。
 それからまた、建設省のほうでは、施行者に対して、この生活再建の措置をまかすということになっておりますが、施行者は、市町村長であり、知事であり、国の機関、さらに民間事業者が入る場合がある。この民間事業者等に、生活再建の措置をまかせると言ったところで、そんなことを民間事業者がどの程度やるかはきわめて疑問だし、法の規定自体が注意規定にしかすぎないということも、私はこの間申し上げたとおりです。それに対してこの問題については、建設省としても農林省としても、農業委員会に責任を転嫁したり、民間施行業者等に転嫁するという形でなしに、問題を処理していこうという決意の表明がありましたから、私はこれ以上申し上げませんけれども、この点は、特に生活再建の措置というのは、農地を失う農民にとっては大問題なんです。よそに責任を転嫁して知らぬ顔の半兵衛をきめ込むのではなしに、これはやはり十分責任をもって対処していただきたいと思います。
 それからわずかばかりになりましたが、二、三点お伺いいたします。「都市用排水の農林漁業との競合、農業用水の汚染等周辺の農林漁業に及ぼす影響に関し、市街化区域に関する都市計画がこれと一体的総合的に定められる都市施設の整備に関する都市計画等と相俟って被害防止に必要な配慮が十分なされているか否かを検討調整するとともに、かかる都市施設の整備に関する都市計画等の実施時期と当該区域における市街化の進展との関連で農林漁業に被害を与える場合における適正な措置についても十分調整を行なうものとする。」というふうに調整方針に記載されております。私はこの文書を何べんか読み直してみたのですが、一体これは具体的にはどういうことを言っているのだろうかということがはっきりしないのです。そこで、具体的にどういうことを言っておるのかということをひとつ御説明をいただきたいと思います。
#228
○政府委員(中野和仁君) 市街化区域になりますと、従来ありました用排水路等が都市排水にも使われるという問題が出てまいりますので、地域地域の実情に応じまして、用排水路の使い方と都市排水路との使い方を具体的に調整しなければならぬというふうに考えておりますので、こういうふうな文章にしてあるわけでございます。これは具体的には地域地域に当てはめまして、都市施設が一方的に農業用排水路をつぶしてしまうということがないように、両者の調整をとりたいという趣旨でございます。
#229
○矢山有作君 したがって、そういうことで被害が起こった場合に適正な措置についても十分調整を行なうというのですが、被害が発生して十分調整を行なう、適正な措置について十分調整を行なう、これはどういうことなんですか、具体的には。そういう場合には被害を受けたものに対しての補償措置というものはとられるという意味を含んでいるのですか。
#230
○政府委員(中野和仁君) 農業用排水路を都市排水に使うということになれば、当然被害を受けるわけでございますから、その都市施設をつくります町村なり何なりが土地改良区に補償的な意味で原状回復をいたしますか、あるいはできない場合には何らかの金銭的な補償をするという措置を当然含んでいるわけでございます。
#231
○矢山有作君 そこでもう一つ伺いたいのは、今度の場合、農地の転用が届け出制になりましたね。転用許可制が届け出制になると、従来は転用許可願いを出した場合に、その中で周囲の農地に対する被害防除の方策等を記載させて、これを農業委員会がちゃんと審査すると、こういうふうになっておったと思いますね。ところが、今度は転用が届け出制になって許可制でない。そこでこういうような周囲の農地に対する被害防除策を記載させるとか何とかというふうなことは、実際行なえなくなるだろうと思いますが、被害防除のための最小限度のあり方としても、転用許可制度の下で、転用許可申請者に対してやっておったと同じように転用届出の際に被害防除策というものを記載させて、農業委員会がその実施状況をちゃんと点検すると、こういうふうな形にしたらと思うのですけれども、この点はどうお考えでしょうか。
#232
○政府委員(中野和仁君) 現在の転用許可制度におきまして、農業委員会を経由して知事なり農林大臣が許可をいたします場合に、その辺の配慮を払っておったわけでございます。今回届け出制になりますけれども、今後の扱いといたしましても農業委員会を経由して知事に届け出をするということにしております。したがいまして、農業委員会といたしましても、どういうところが転用されるかということは承知できますから、その機会にそういうことのないような指導と申しましょうか、そういうことをやらせる必要があるというふうに考えますので、行政指導としてそういうことをやらせる方向で指導をいたしたいと考えております。
#233
○矢山有作君 最後にもう一つ。これは建設省のほうですが、都市計画法の七十五条で、「国、都道府県又は市町村は、都市計画事業によって著しく利益を受ける者があるときは、その利益を受ける限度において、当該事業に要する費用の一部を当該利益を受けとる者に負担させることができる。」ことになっておりますね。これも私は実際の運営に入っていった場合には非常にむずかしい面が出てくると思いますが、この利益を受ける限度というものの判定が第一むずかしい。さらに負担金を徴収される者の範囲や徴収方法、こういったこともいろいろあると思うのですけれども、これらは政令――この分は政令、条例の規定事項のようですが、そうすると具体的にはどういったことを考えておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
#234
○政府委員(竹内藤男君) この規定は、大体似たような規定が旧法にもあったわけでございます。それに基づきまして現在受益者負担金を取っておりますものは、公共下水道の場合には、公共下水道を敷設いたします地区の負担区というものを分けまして、そうしておおむね五年ぐらいで枝管まで敷設するという場合に、その負担区の中の所有権者なり借地権者に事業費の一部を負担させているわけです。その場合に、負担方法はおおむね五年ぐらいの延納というものを認めて、五年ぐらいの割賦分納を認めております。そういう形で現在公共下水道につきましては公共下水道の敷設によりまして土地の所有者なり権利者が受益をするという観点に着目いたしまして受益者負担金を取っております。ただ、道路等の場合におきましては、最近道路が通るということが必ずしも沿道の利益にならないというようなこともございまして、先生おっしゃいますように、なかなか利益を受ける限度の判定がむずかしいということで、現在この受益者負担金という制度によって地元の権利者に負担金を課しているということはございません。舗装等を一部商店街に持たせるということを任意の方法でやっているものはございますけれども、ただいまやっておりますものは下水道でございまして、下水道のやり方はただいま申し上げたような方法でやっているわけでございます。
#235
○矢山有作君 いまのお話を聞いておりますと、この受益者負担の制度が拡大されていくような心配もあまりないような受け取りをしているわけですが、この受益者負担の範囲が大きく広げられていくというと、これも農民にとっては非常な負担になるわけです。したがって、その点についてはあまり適用の範囲を広げないように特に私どもとしては要望しておきたいと思います。
 で、いろいろとこまかく市街化区域、市街化調整区域の問題都市とあるいは農村の接点の問題の調整をどうするか、いろいろやっていけばこれは切りのない話で、たくさん解明されない問題も残っていると思います。しかしながら、いずれにいたしましても、この都市計画法の施行に伴って農民に非常に大きな混乱が起こっておるということは事実でありますし、またこの都市計画法の運用が一歩誤るならば私は農業と農民に対しては非常な悪影響があるというふうに判断をいたしますし、それを最小限度にとどめていこうという受け身の立場から農業地域振興整備法案というものが提案されたと理解しておるのですが、そういう受け身の立場だけでは、いまの激しい都市化攻勢の中で、農業と農民を守り抜くことは私は不可能だろうと思います。そういう点では農林省としてはより前向きの姿勢で日本経済全体の中における農業の位置づけというものを明確にされて、そして農業の振興を積極的にはかっていく、そして農民生活を安定さしていくという点を重視されて今後のこの両法案の運用に当たっていただきたいということを最後につけ加えまして、私の質問は終わらしていただきます。
#236
○委員長(任田新治君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。
 矢山君から委員長の手元に修正案が提出されております。本修正の御意見は討論中にお述べを願います。
 なお、御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
#238
○矢山有作君 私は自由民主党、日本社会党、公明党及び民主社会党の四党共同提出による、農業振興地域の整備計画の作成及びその達成のために必要な国及び地方公共団体の援助の内容をさらに強化するとともに、都市計画法の施行期日との関連で附則第一項ただし書きの規定を削除する等の次の修正案を提案し、修正部分を除く原案に賛成するものであります。
 ここで私は日本社会党の立場から、第二十条の援助に関する規定に、「経費の補助」という字句を加えた趣旨について、若干の意見を述べておきたいと思います。
 当委員会の質疑応答を通じて明らかになっておりますように、都市計画法がすでに施行され、新しい都市計画を作成するための作業が着々進められておりまして、このため、都市近郊地帯では、いわゆる線引きの問題を通じて、都市近郊農業がいかにあるべきかという問題にいやおうなしに直面しております。
 都市化につきましては、農業は終始受け身の立場に置かれ、きわめて深刻な影響を受けているのでありますから、これを十分に補強する政策が必要であります。
 ところが、農業振興地域の整備に関する法律案と都市計画法とを比べてみますと、農振法案が単なる計画法であるのに対して、都計法は、計画法であるとともに、事業法であり規制法であるという性格をあわせ持っているのでありまして、国の補助につきましても明文化されているのであります。
 全国総都市化ともいわれている今日、私はこれに対応して、土地利用の高率化をはかり、農業及び農民を守っていくには、国及び地方公共団体が農業振興地域の整備計画の達成に必要な経費を補助するという積極的な姿勢を法文上明らかにすることがどうしても必要であると考えるのであります。これがこの修正を加えたいとする理由であります。
 言うまでもなく、単に法文を強化するだけでは無意味であります。政府は、この修正を行ないたいとする意図を十分理解されて、本法の積極的な運用をはかり、整備計画のすみやかな達成を期することを強く希望いたします。
 以上であります。
#239
○河田賢治君 私は日本共産党を代表して、ただいま提案されています農業振興地域の整備に関する法律案に対する修正案及び原案に反対の意思を表明します。
 反対理由の第一は、本法案が真に日本の農業と農民の経営、生活を守り、発展させる積極的な立場から立案されたものでなく、都市近郊農業をはじめ、日本農業に重大な打撃をもたらすところの新全国総合開発計画構想の実現の手段としての新都市計画法に全く従属するものとなっていることであります。
 すなわち、新都市計画法は周知のとおり、当面は全国の都市計画区域千三百五十市町村のうち、首都、中部、近畿圏と新産都市整備特別地域及び人口十万以上の都市に限って市街化区域と市街化調整区域に分け、続いて次第に小都市、町村に及ぼそうとするものであります。これによって市街化区域と工業整備区域では独占資本、大資本は要望する農地の収奪を容易にすることができ、他方農民の多くは、農業投資の対象からはずされ、農地転用許可の免除、農地の宅地並み評価課税、都市計画税、開発費負担など、税の増徴を通じて農業からの離脱を強要され、農民生活の基礎が破壊されるのであります。
 本法案は、このような新都市計画法の優位を認め、五年ごとに市街化区域を拡大し、農地の縮小をもたらすことができ、農業振興の美名と農用土地の保全を看板に掲げながら、独占資本、大資本の利益を守り、農民に犠牲を強いる結果を招くものであります。
 第二に、本法案は、知事が農業振興地域を指定して、市町村が地域の整備計画を立て、農用地を保全し、あるいは造成することが中心となっています。今日の農地の虫食い状態を招いたものは、経済成長政策のもとで安価な土地、安価な労働力を求める企業の進出という事情があるにせよ、各市町村長、農業委員会、府県知事、さらに農林大臣が責任を持って農業の発展をはかる意思があるならば、き然とした態度で農地の転用を禁じ、秩序立った農地の保全と農用地の高率的な使用ができていたはずであります。この現在までの誤りを認め、現在の諸法律を活用することによって、農用地の保全をはかることも可能であります。
 しかるに本法案は、審議の過程で再三明らかにされたように、農業振興地域の指定に五年も要し、かつ地域指定を受けても、この法案は直接の予算措置をとらなくて、宣言的なものであります。政府は農業振興地域に重点的な農業施策と資金の投入を言明していますが、農民の要求する農業振興を具体的に保障しない、実効性のないものとならざるを得ません。
 また、振興地域と、これから疎外される地域の境界、また同一地域内でも農用地区域の境界をはさんで農業施策上の差別を生み、農政の対象からはずされた大多数の農民は農業基盤を失い、農業上の過疎問題を一そう深刻なものにしていきます。
 第三の反対理由は、農業振興整備計画なるものが市町村単位で、農地利用計画として若干の農業関係団体の意見を聞き、立案されるものであるが、地方自治体、農業団体にはその運営上非民主的なものが少なからず存在しています。したがって、本法案実施は上からの決定であって、農民大多数がみずから参加して自主的に決定するという民主主義の原則が無視されています。総合農政の構想さえ具体化せず、食管制度の改廃、農産物の価格支持制度の後退、残存農産物輸入政策の進行の中で、営農と生活を保障されない場合、個々の農民が作物の転換をはかり、収益をあげるのは当然のことであります。この法案は用途の規制をもってかかる農民の営農上の自由や、農用地転用の制限によって、著しく固有の権利を制限するものであります。この趣旨に戻れば、農地保有の合理化、土地に関する権利の取得の円滑化の名のもとに、上からの半ば押しつけによって農民から土地を手放さすことになり、当事者同士の公正な話し合いを基礎としない、一方的な零細農民の離農の上に自主農家が築かれていくものであります。
 以上の理由からわが党は修正案及び原案に対して反対の態度を表明するものであります。
#240
○委員長(任田新治君) 他に御発言はございませんか。――他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#241
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより農業振興地域の整備に関する法律案について採決に入ります。
 まず、討論中にありました矢山君提出の修正案を問題に供します。矢山君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#242
○委員長(任田新治君) 多数と認めます。よって、矢山君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#243
○委員長(任田新治君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は多数をもって可決されました。
 以上の結果、本案は、多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 高橋君から発言を求められておりますのでこれを許します。高橋君。
#244
○高橋雄之助君 この際、私から、自民、社会、公明、民社各党の皆さんの御賛成をいただきまして、農業振興地域の整備に関する法律案に対する附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
   「農業振興地域の整備に関する法律案」に対する附帯決議(案)
 政府は、本法の施行にあたっては、左記事項に留意して、その運用の適正を期すべきである。
     記
一、本制度の適正な適用に資する指針として、全国的な農業の立地・長期見通し等に即した農業生産の地域分担のあり方、およびその整備開発方針を明らかにし、農業振興地域の指定およびその整備計画策定にあたっては、農業委員会の機能を活用するとともに、農業者および農業団体の意向を十分反映せしめること。また、優良農用地の確保、農業上の利用を相当とする未利用地と水資源の積極的な活用を図ること。
二、指定地域に対しては、国の農業施策を優先的、総合的に集中実施するよう努めるとともに、とくに農業の近代化、機械化に即応する生産基盤の整備を一段と促進するため、これに対する国の高率補助等助成措置の充実を図るよう努力すること。
三、本制度の運用にあたっては、都市計画やいわゆる工場適地調査団地など他制度との調整を配慮し、とくに都市計画における市街化区域と市街化調整区域との関係、並びにこれらと農業振興地域との関係を明らかにし、都市近郊農業の役割を適正に評価して、これに基づく調整方針を樹立し、もって農用地の保全・利用に支障なからしめるとともに、地価対策についても遺憾なきを期すること。
四、本制度の総合的な性格にかんがみ、制度の推進体制の整備およびその予算措置等につきその実効を確保するよう特段の努力をすること。
五、農村における生活環境の整備の立遅れが顕著となっていることにかんがみ、国の関係行政機関は相互の連けいを強化して、農村における道路、通信、住宅、保健衛生施設等の生活環境施設の整備の促進に努めること。
六、土地利用の効率化と農業の健全な発展を図るよう、農地等に対する固定資産税、相続税等について税制上特別のあつかいを配慮するとともに、長期低利資金の融通等農業金融を拡充すること。
 右決議する。
 以上であります。
#245
○委員長(任田新治君) おはかりいたします。
 高橋君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#246
○委員長(任田新治君) 多数と認めます。
 よって、附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し長谷川農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川農林大臣。
#247
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、指導、運営に万全を期してまいりたいと存じます。
#248
○委員長(任田新治君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#249
○委員長(任田新治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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