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#1
第061回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十四年二月二十五日(火曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     藤原 道子君     吉田忠三郎君
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     加瀬  完君     藤原 道子君
 二月二十二日
    辞任         補欠選任
     藤原 道子君     阿具根 登君
    ―――――――――――――
   委員長の異動
 二月二十一日加瀬完君委員長辞任につき、その
 補欠として吉田忠三郎君を議院において委員長
 に選任した。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                阿具根 登君
                上田  哲君
                小野  明君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省社会局長  今村  譲君
       厚生省児童家庭
       局長       渥美 節夫君
       厚生省保険局長  梅本 純正君
       社会保険庁医療
       保険部長     加藤 威二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生大臣官房企
       画室長      首尾木 一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (社会保険診療報酬に関する件)
 (沖繩の風しん障害児対策に関する件)
 (人口問題、児童手当及び老人医療対策に関す
 る件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、藤原道子君が委員を辞任され、その補欠として阿具根登君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 議事に入るに先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
 私、このたび、皆さんの御推挙によりまして本委員会の委員長に選任されましたが、何ぶんにして不なれな者でございまして、委員の皆さんの御鞭撻と御協力によってこの重責を果たしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 きわめて簡単でございますが、ごあいさつにかえる次第でございます。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○大橋和孝君 私は、きょうは、最近中医協でも審議されております診療費の緊急是正の問題について少しくお伺いをしたいと思います。
 第一番目に、現在中医協でいろいろはかられているようでございますが、われわれ委員といたしましてその内容を十分に聞くことができていないので、差しつかえない程度に詳しくいままでの審議の状況を聞かしていただいて、それからまたいろいろ質問に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
#6
○政府委員(梅本純正君) 中央医療協議会におきまして診療報酬の改定の問題が取り扱われることになっておりますことは、御承知のとおりでございます。中央医療協議会におきましては、四十二年の十二月一日――一昨年でございますが、十二月一日付で七・六八%の診療報酬の引き上げがあったことは、御承知のとおりでございます。その後、中央医療協議会におきましては、薬価の問題をめぐるいろいろの問題につきまして御審議が進行中でございましたが、昨年四十三年の八月になりまして、二十六日でございましたか、日本医師会から診療報酬の引き上げの要求が出てまいりました。それから九月二十日、日本歯科医師会から要求が出てまいりましたし、十月五日でございましたか、日本薬剤師会からも調剤料その他の引き上げの要求が出てきたわけでございます。この要求の形といたしましては、おのおのの先ほど申しました団体から中央医療協議会の会長東輝先生あてにその要求が出たわけでございます。
 その内容でございますが、必要があればまたそのおのおのの団体の要求の資料を御提出してもよろしゅうございますが、まず、日本医師会の要求としましては、病院・診療所の経費のうち、人件費の上昇に対応する部分、それから物件費の上昇に対応する部分、それからまた消費水準の上昇に対応する部分、そういう部分につきましておのおの上昇があるのだ、しかも、その基礎としましては、昭和四十二年一月から十二月の平均値に対する昭和四十四年の一月から十二月の平均値の上昇率というものを根拠にされまして、相当上昇をしておるので、現在の医療費は一二・五%引き上げられなければならない。で、その引き上げを要求するというのが日本医師会の要求の骨子でございます。それから日本歯科医師会につきましては、やはり同じような趣旨で、経済変動、特に人件費、諸物価の上昇、並びに歯科医療の急激な構造変化等に基づく諸問題が歯科医療を圧迫し、困難にしている面が多いので、これらに検討を加えた結果、今回、歯科医療費の二三%アップをすみやかに緊急是正すべきだ。これが日本歯科医師会の要求であります。それから日本薬剤師会の関係におきましての要求は、一日分調剤手数料現行二十円でございますが、これを四十円に、それから外用薬一剤現行二十九円でございますが、これを六十円に改正されたく要望するという形で、おのおのいま申しました団体の推薦されます中央医療協議会の委員の連名をもちまして東畑会長に要求された、こういうことでございます。
 そういたしましてこの要求が出たわけでございますが、先ほど申しましたように日本医師会の推薦の委員からはすでに八月に出ておりましたけれども、その後におきまして調査その他の問題で支払い側といわゆる診療担当側とでいろいろの問題がございまして少し延びましたが、四十三年昨年の十二月二十一日に中央医療診療協議会は総会を開催されまして、このおのおのの委員から出ております医療費の引き上げについて説明を聞いたわけでございます。そうしまして、四十四年本年に入りまして、二月十四日、それから二月二十四日、その二回にわたりまして、この引き上げ要求に対する主として現在のところ支払い側からの質問が展開をされておるというふうな状況でございます。中医協におきましては、二十六日にまた開催をされまして審議が続けられる。会長のお話では、できるだけ一週間に何回か回数を重ねて審議を続けていきたい、こういうふうな状況になっております。
#7
○大橋和孝君 その二十四日ぐらいからの質問のおもなる点をちょっと聞かせていただけますか。
#8
○政府委員(梅本純正君) まず、質問の中心になりましたのは、一つは、八月に要求がありまして、そのあと少しおくれまして日本医師会からの資料が出てまいりました。そのときには一二%の引き上げという資料でございました。最近の審議が始まりましてから、その日本医師会の要求の一二%が一二・五%の要求に訂正されたわけでございます。そのときの御説明が、自分たちは相当早く緊急是正をやるべきであるということで資料を出したのだけれども、これだけおくれたので、おくれた分〇・五を足したという御説明がございましたので、その辺が論争になりまして、そうして、それでは一体この中央医療協議会の結論が出る時点で一カ月に〇・五ずつ足して結論を出す必要があるのか、あるいは、この一二・五でセットしてこれでやるべきかどうかということを中心に審議していいのかどうかというふうな点が中心になりました。また、おのおのの出ました資料につきまして、いろいろと関連しました資料要求がいわゆる支払い側と称しますかそちらのほうから出てまいりまして、その間におきます人件費等の指数の根拠、あるいは物件費の上昇の根拠、あるいは引き上げるべき点数はなぜこういうふうな項目になっておるのかというふうな点につきましてのいろいろの質問なりあるいは付随的な根拠の資料の提出を求めておられる、そういうふうな状況でございます。
#9
○大橋和孝君 そういうふうな資料を含めて、先ほどの医師会にあとから求められた資料あたりを資料としてちょっといただきたいと思います。初めに出た資料のことは大体見当がついていますけれども、その後論争の過程で中医協の中で求められた資料を、いますぐではたいへんでしょうから、あとから資料をいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
#10
○委員長(吉田忠三郎君) 資料の提出はいいですか。
#11
○政府委員(梅本純正君) よろしゅうございます。
#12
○大橋和孝君 それでは、数点について質問をさせていただきたいと思います。
 薬価基準が引き下げられたわけでありますが、この影響をどんなふうに考えておられるのか。私の手元にある資料では、診療所では三%ないし四%、これは京都のあれであります。神奈川県では二・八%、これは十一の診療所でとっております。埼玉県あたりでは三・五%から三・七%の影響が出ておると、こういうふうにいっております。これは、一方的な薬価の引き下げによって、公的とかあるいは私的とかを問わないで、各病院または診療所の経営が悪化しつつあるということで、これは公的医療機関からのあれもあると思いますが、この実態をどのように受けとめておられるか。
 それからいままで、厚生省に対して、病院あるいはその他から診療報酬の引き上げについてどのような要求が出ておるか。たとえば病院協会からも出ておるようでありますが、あとほかにもたくさん出ておるような話を聞いておりますが、これはどんなものが出て、どんなふうに受けとめておられるか、それをお聞きしたいと思います。
#13
○政府委員(梅本純正君) 薬価基準の引き下げは、最近におきましては五・六%の引き下げをやったわけでございますが、ここで一つお断わりしておきますが、われわれのほうで、診療報酬の引き上げ、先ほど申しました七・六八%、あるいは薬価基準の引き下げ何%というふうに一応推計して申し上げておりますけれども、これはそのやります時点におきます一定の診療行為――先生御承知のように、診療行為は刻々と変わっておりますし、投薬の方法も変わっております。しかし、そういうのをそのままストップしたほんの一定の時点におきまして、資料といたしましては、御承知のように、社会医療調査とか、あるいは患者調査、統計調査部でやっておりますその調査しか現在ございません。これは話が余談になりますけれども、ここ十年来根拠になる基礎数字がございませんので、それでただいま医療経営実態調査という大がかりな調査もございます。そういうことであります、資料を使いまして一定の時点のマクロで見ました推計でございます。そういう意味におきまして、五・六%という引き下げをやりました場合に、推計といたしましてその薬剤が総医療費に占めます比率が大体四〇%というふうなところ、構成比がそういう比率になっておりますところから、総医療費におきましてもおおむね二%前後であろうというふうな推定を出しておるものでございますので、その点はパーセントにおきましてはそういう観点でごらんいただきまして、これが四%が全医療機関にあるいはすべてのお医者さんに必ず響いてくるという種類のものではございませんで、マクロで見ましてそういうふうな影響があるというようなことでございますので、御指摘のように、各医療機関あるいは各病院、診療所、開業医の方、そういうところにつきましては影響がいろいろ違ってくるというのはひとつ御了承をお願いいたしたいのでございます。
 それからその次に、各関係者からの要望がどういうふうに出ているかということでございますが、耳鼻咽喉科の処置料の減点の復元につきましては、日本耳鼻咽喉科の医会連合会というところからこの前の診療報酬点数の改定をやりました直後から問題になりましたことは、御承知のとおりであります。それからまた、結核予防会から結核専門医療機関に対する診療報酬の改善、それから全国公私立病院連盟から入院料の緊急是正ということで、これは入院料の三五%アップの要求が出ております。それから日本精神病協会から入院料の再是正、それから日本結核療養所協会から結核患者特別処置料の復活、それから保険医団体連絡会から診療報酬の引き上げを伴わない薬価基準の引き下げ反対というふうな要求が出ておりますが、これらの要求の点につきましては、中央医療協議会の会長のほうにもよくお伝えをいたしまして、今度の診療報酬の改定の審議の際に十分御考慮を願えるように連絡をとっていくつもりでございます。
#14
○大橋和孝君 いまお話を承ったように、各方面から非常に要望も出ているようであります。というのは、それだけ各病院の経営が相当苦しくなっておるということを意味しておると思うわけでありますが、これは病院が経営を合理化してそれが患者にしわ寄せしなければいいと思うわけでありますが、先ほど、それは大まかなマクロの数字であるからして、各診療所では多少違うだろうと言っておりますけれども、私がいま申したのは、最低二・八%から多くは三・七%の影響を及ぼしておる。だから、五・六%下げたためにそういうふうな大きな変化を与えておるということは、これは患者自身にも影響を及ぼすのではないかということが考えられますので、そういう点については、相当実態を把握して、十分な処置をしてもらいたい、こういうふうに思います。
 それから昭和四十二年度総医療費の推計とその対前年度伸び率はどうなっておるのか。また、四十三年度の見込み、及び四十四年度以降の推移についてどういうふうに見ておられるのか。これの、何と申しますか、薬価基準の引き下げがいままでどういうふうな状況になっておるか、あわせてお知らせ願いたいと思います。
#15
○政府委員(梅本純正君) まず、最近三カ年間におきます国民総医療費の推移でございますけれども、四十年度には一兆一千七百三十七億円、対前年度の増加比率は一八・六%、四十一年度は一兆三千五百十五億円で、増加率は一五・一%、四十二年度は一兆五千四百四十四億円、増加率一四・二%でございまして、傾向といたしましては、一〇%をこえます比率をもちまして増加の傾向にございます。また、そのうちにおきます国民総医療費に対する保険者負担分でございますが、この三カ年の趨勢を見てみますと、四十年度におきましては六三・四%で、七千四百四十二億円、四十一年度におきましては六四・七%で八千七百四十九億円、四十二年度は六六・一%で一兆二百九億円というふうな推移になっております。こういう状態でございますので、ごらんのように、相当の伸びをもちまして国民総医療費は伸びておると思います。したがいまして、先生御指摘の薬価基準の引き下げ分、それから一昨年に改訂しました七・六八の診療報酬の改訂分という行政的な措置はございましたけれども、その辺の関係はこの大きな国民総医療費の動きの中におきましては吸収された形におきまして伸びておるということで、その中からこれだけを取り出すということは、資料もございませんので、非常に困難でございます。
#16
○大橋和孝君 いまのような状態で、この四十四年度の予算案における一般会計の医療費の伸びをどの程度見ておられるのか、その計算基礎の詳しい説明をお聞きしたいと思います。また、健康保険特別会計予算における伸び率をどのように見ていらっしゃるか、その点もひとつ算定基礎をお示し願いたいと思います。
#17
○政府委員(加藤威二君) 政管健保におきまして四十四年度の予算におきます医療費の見込みは四千二百十二億でございまして、四十三年度前年度に対しまする伸び率は一三・二%でございます、医療費総額の伸び率が。これはどういうぐあいにして算定するかという御質問でございますが、医療費は私ども結局三つの要素によってきまるということを申しているわけでございますが、その第一は一日当たり金額でございます。被保険者あるいは家族がお医者さんところへ一日出ていくと幾らかかるかという平均一日当たり金額。それから第二の要素は一件当たりの日数でございます。一回病気にかかったときにお医者さんに三日通うのか、四日通うのか、そういう日数でございます。それから第三の要素が受診率、一年間に何回病気になってお医者さんにかかるかという受診率でございます。この三つの要素によって医療費を推計いたすわけでございます。それで、過去三年間のこの一日当たり金額、それから一件当たり日数、受診率、それがどういう推移を示しているかということによって毎年医療費を推定いたしておるわけでございます。いま申し上げた一日当たり金額、一件当たり日数、受診率を全部被保険者と被扶養者に分けまして、それから入院、入院外、歯科とそれぞれ要素に分けて、そうして推定する、こういうやり方をやっておるわけでございます。そして、推計をいたしました結果、四十四年度は前年度に比べて一三・二%の伸び、こういうぐあいに見ておるわけでございます。
#18
○大橋和孝君 特別会計予算のほうをちょっと示してください。
#19
○政府委員(加藤威二君) いまのが健保でございます。
#20
○大橋和孝君 いまのが健保ですか、総医療費じゃなくて。
#21
○政府委員(加藤威二君) はい。
#22
○大橋和孝君 わかりました。
 それでは、四十年度まで国民総医療費は増高傾向にあった、しかし四十一年度以降は横ばいの傾向であるが、この原因をどのように見ておられるか。
#23
○政府委員(梅本純正君) その原因というふうにおっしゃいますが、われわれのほうとしまして、まことに申しわけございませんが、その明確な原因ということにつきましてはよくわからないということでございます。これは論理的にはいろいろ推定ができまして、医学医術の進歩によりまして、また、薬剤のいわゆる進歩によりまして、一日当たりの金額、そういうふうなものにつきましては相当の伸びをいたしております。したがいまして、そういう診療内容の向上と薬剤のいわゆる進歩、そういうふうなものが一つの大きな要素であろうとも思いますし、また、これは計数的にはわずかでございますけれども、いわゆる被保険者の伸びというふうなものが計数的に出ますけれども、先生御指摘のような主要な原因につきましては、論理的にはそういう点は出てまいりますけれども、この伸びというものにつきまして分析しました形におきましてはつかみにくい。いろいろ研究はしますけれども、この関係の学者その他におきましてもいろいろ見方が違う、こういうふうな問題でございます。
#24
○大橋和孝君 その質問に対しては大体そういう答弁をいただくことになるだろうとは思ったのでございますが、しかし、局長のほうでも、いろんな点は――大体この計算そのものがマクロの計算であって推定だといまおっしゃっているようなわけですから、そういう観点からいえば、この傾向はもう少し具体的に説明をしていただかなければほんとうは私は納得できないわけなんです。それは、いろいろ説が違うとか、見方も違うとか、逃げ道は幾らでもあると思いますけれども、この辺のところはもう少し詳しく説明を聞きたいと思うのです。しかし、わからぬとおっしゃっていれば、押し問答してもしようがありませんから、質問の方向を変えていきたいと思います。
 昭和三十六年度の消費者物価指数を一〇〇としたときに、三十七年度以降は一〇六・八、三十八年には一一四・九、三十九年には一一九・三、四十年には一二八・四、四十一年には一三五・〇、四十二年には一四〇・三となる。このようにして見ていきますと、民間の給与ではこの六年間に一八二・九、生産者米価あたりでは一七七・〇、こういうふうになっています。これと比べて、診療報酬の引き上げ率は一一五・六ときわめて低いのであります。引き上げは、四十年一月の九・五%と、四十二年の十二月には仰せのように七・七%の引き上げがなされたのでありますけれども、この毎年毎年の物価及び人件費の値上がりの指数を考えてみますと、これらの関係をどのように一体お考えになるのか、大臣のほうから、この物価の上がり、人件費の上がり、こういうふうなものに比べての診療報酬の引き上げの率、こういうふうなものをどうお考えになっているのか、ちょっと御意見を伺っておきたいと思います。
#25
○国務大臣(斎藤昇君) 物価の値上がり、それから人件費の値上がり、これはどうしても診療報酬の改定に考えられる一番大きな基礎的な要件だと、かように思います。そこで、それを点数にどうあらわすかということがいま中医協で審議してもらっている中心になるだろう、そういう抽象的なことしか申し上げられませんが、それが報酬点数にどの程度はね返っていくかという具体的の数字につきましては、私、ちょっと専門家でございませんので、専門の者、また中医協にお願いをしているわけでございます。
#26
○大橋和孝君 大臣にお伺いしたい主点は、先ほど申したように、物価の指数、人件費の指数は相当高騰しておりますね。そのわりあいに、診療費というのは一一五・六ということですから、非常にアップ率が低い。こういうふうな点からいったら、やはり大臣のほうではそういう関係で診療費というものは上げなくちゃいかぬ、こういうお考えであるかどうか、端的にお聞きしたいわけです。
#27
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、率直に言って、ある程度上がるのは当然だと、こう考えております。
#28
○大橋和孝君 私どももそう考えておるわけであります。
 四十二年十月の一〇・二%の薬価基準の引き下げ、それから今度四十四年一月、ことしの一月に五・六%ただいまお話のありましたように薬価基準が引き下げられております。これを国立病院とか国立療養所等の政府の公的機関とそれからもう一つは別に一般の診療所なんかに分けて考えていただいて、これがどんなふうに影響していると実際において把握しておられるか、その影響についてデータがあったら示していただきたい。きょうは時間もありませんから、それをいろいろ聞くのはあれだとするならば、それを資料としていただきたい、そういうふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
#29
○政府委員(梅本純正君) 先ほども申し上げましたように、このパーセントの点につきましては一定時点の推計でございまして、私のほうではその各部門別に集めました資料は現在のところ持っておりません。――私どものほうでそういう全国的にいろいろ資料を持っておりませんが、医務局のほうで国立病院の関係につきましてはあるそうでございます。
#30
○大橋和孝君 それでは、医務局長のほうで、それを説明してもらうのに時間がかかればあとで資料で出していただいてもいいのですが、概略のところでもちょっと御説明いただければ……。
#31
○政府委員(松尾正雄君) 後ほど資料で差し上げますけれども、来年度見込んでおります薬価基準の影響は、たしか二%であったと記憶いたしております。
#32
○大橋和孝君 資料で見せていただきますけれども、われわれのほうの考えとしてはわりあいパーセントが少ないと、こういうふうに考えますが、それは資料の上で判断さしていただいて、また次の質問に移りたいと思います。
 それからもう一つ、最近は、国立病院におきましても、一六・二%、これは三十九年三月三十一日、それから四十三年の四月二十日には一九・九%、これは差額ベットから受ける費用であります。公立病院では、二五・九%が三十九年の三月の末、これが四十三年の四月二十日現在では二九・六ですね。それからその他の公的医療機関で三七・七が四一・八、こういうふうにして差額ベッドがふえている。これは、私は、いま言うような診療費の値上げ分を差額ベッドで国立病院ですらカバーしているのではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、この差額ベッドの猛烈なる伸び方、差額ベッドによって医療の赤字を解消していこうとするやり方、こういうことは民間からは非常に批判の的になっていると思うのですが、こういう点についてはどういうふうにお考えでありましょうか、ちょっとその御意見を大臣から伺っておきたいと思います。
#33
○政府委員(松尾正雄君) ただいま御指摘のいわゆる差額ベッドにつきましては、一部先生御指摘のような背景もございましてふえていく傾向にあろうかと推察できる面もあるかと思います。また、一面には、社会生活がいろいろと複雑になりましたりいたしまして、患者さん方の御希望といったものがどうしてもある種のベッドを必要とするという御要望もあってまあそういう問題が出てくるかと存じますけれども、ともあれ公的な性格を持ちます病院においていたずらにそういう差額ベッドをふやすということは、これは私どもといたしましても賛成しかねる点であります。さきに、医療審議会におきましても、そのような方向の御意見をいただいておるわけでございます。できるだけ差額ベッドは公的機関においては特に厳正な態度で縮小をはかってまいりたい、こう考えているわけであります。
#34
○大橋和孝君 全国の医療機関に働いておるところの医療労働者といいますか従事者の数が、四十二年末では九十三万九千人を数え、そのうち、医師は、四十一年末で十三万八千人である。医療とは、建物、設備、薬といった物質的なもの、及び、医師、看護婦といった医療をささえている人々の精神的または肉体的な労働が大きな役割りをしておるわけであります。こうした医療従事者が医療をささえていることは、昨日の「朝日新聞」の”看護婦は訴える”というこの欄の中にも非常に端的にあらわされておったのを見て私は感動したわけでありますが、病院における費用のうちの半分は人件費であるともいわれておるわけであります。先ほど、局長は、四〇%とか言っておられましたが、まあ半分ぐらい。この医療従事者の賃金は診療報酬の中から支払われるわけであります。しかし、診療報酬の改定にあたって、この医療従事者の賃金が正しく組み込まれておるかといえば、そうではない。ここに数字をあげて持っておりますけれども、実際の賃金との差はかなりあるわけであります。また、診療報酬は、医療従事者の数を確保するものでなくてはならない。しかし、これも確保できないという状態であります。毎年賃金が上がるのに、診療報酬の改定がない。この現実を厚生省としてはほんとうに考えてもらわなければならない。これはやはり医療従事者にも大きな影響を及ぼす。医療従事者が少なくなる原因は、医療費にこれが十分組み込まれていないのが一つの原因ではないかと思うのでありますが、こうしたことを厚生省としてはどう考えておられるか。国の責任で国民の健康と生命を守ると言っておられるわけでありますけれども、ほんとうに守るならば、この医療を守る医師及び医療従事者のこうした実態を今後診療費の改定の中でどう考えていただけるか、この点をひとつ御説明願いたいと思います。
#35
○政府委員(梅本純正君) 先生御指摘の点につきましては、われわれ医療保険行政を担当しておる者といたしまして十分にいつも考えておる点でございます。この点につきまして、十分いままでそういう点に着手できなかった点は、御承知のように、十数年来その基礎的なデータにつきまして調査が諸種の関係でできなかったという点が一つございます。それで、四十二年の九月に、中央医療協議会におきましては、支払い側はもちろんのこと、診療担当者側も出られまして、全員一致で建議が出ております。その建議の中ではっきり合意されましたのは、三年に一回医業経営実態調査を行なおうということが合意をされまして、十一月を調査月としましてその大調査が行なわれ、ただいまその集計をしておるところでございます。御指摘の問題につきましては、こういう実態調査をもとにしまして、そしてまた、三年おきに調査があるわけでございますので、そういう点は今後は資料も出てまいりますし、また、その資料の結果を待ちましてすでに中央医療協議会におきましては診療報酬の抜本的な適正化について審議を始めるという約束にもなっておりますので、そういう点を進めまして、また、その中におきましては、御指摘のように、医師の技術料というものの評価につきましてデータに基づいた十分の評価をするとともに、できるだけ物と技術というもので分離できるものは分離するという方向にまいりまして、御指摘のような線に沿ってまいるであろうと思いますし、われわれもいきたいと思っております。
#36
○大橋和孝君 いまの御答弁の中で三年に一回実態調査をしてやっていくということ、そして薬価基準は毎年一回ずつ実態に合わして引き下げていく。それから三年の間にもし実態調査に従ってそしてそういうものを改定していくとするならば、三年までの上がる分を見て薬価の中に入れていくかというと、なかなかそうはいかぬわけですからね、あとからいくから。そうすると、いまのような矛盾というものが拡大こそすれ、縮小はしていかない。だからして、改善どころじゃなくて改悪ばかりになっていく。やはり、医療従事者に対しての待遇というものは、診療報酬の中から見れば、いつも後退後退をたどっているわけだ。これは公務員の賃金のことからもそういうことがいえるわけでありますが、この医療の大事なことから考えてみたら、追いかけごっこで、あとから三年ごとに――下げるものは毎年下げておいて、上げるものは三年ごとに上げていくという姿勢では、やはり従事者に対しての待遇は改善されていかない。ますますこのような物価の指数の上がりぐあい、いま人件費の上がりぐあいを申し上げたわけでありますが、そういうものに合わせれば、実態はだんだん悪くなっていくのではないか。そういうようなことを考えてみると、私は非常に問題がそこにあると思います。ですから、こういうことに対して、ほんとうに実態を十分に踏まえたそうした改正を中医協のほうに対しても厚生省としては意見具申をすべきではないか。三年たってゆっくりと改定していきますということでは、いまのようなこの従事者の足らない場合、あるいはまた、資格を持っておってもいまでは働かない。ほかのほうへ行ったほうが給料がよければ、苦しいまた危険を伴うそうした医療に従事することは避けていく。たとえば看護婦さんでも、看護婦の免状を持っておりながら働いていない人がたくさんいるわけであります。これは、ほかのほうに比べて、医療のほうが体がつらくて、収入が少ないから。これはやっぱり診療費の中にそういう人件費の見積もり方が低いからだと、こういうふうに思うわけですから、そういう点から考えて、いまのようにされることだと思いますとか、三年ごとにやるのですとか、そういう、なまちょろい考え方では、医療の従事者を確保し、あるいはまた、よりすぐれた技術を持った人を集めて、国民の生命をほんとうに大事にする、健康を管理するという上からいって、非常に大事な問題じゃないかと思いますので、そういう観点は十分ここらのところで踏んまえて考えていただきたい、こういうことを要望したいと思います。
 それから次の問題は、厚生省は、再診料とか処置料、こういうものについてどのようにお考えになっておるのか。また、先ほど局長もお触れになりました耳鼻咽喉科の問題、耳鼻咽喉科からあの改正の直後に申請が出されて、処置料三点を二点にしたのはどういうわけだ、それを前の厚生大臣は約束をしておられるわけでありますが、こうしたものに対して具体的な実現を今度どういうふうにはかられるお考えか、これもあわせて尋ねておきたいと思います。
#37
○政府委員(梅本純正君) 先生の先ほどのお話にもございますが、われわれ行政を進めてまいります際に、中央医療協議会というものを諮問機関としてやっております。中央医療協議会におきましては、御承知のように、三師会から推薦の委員もおられますし、それからまた、保険料を負担されるいわゆる保険者団体――日経連、あるいは総評、同盟の労働組合、それからの推薦の委員もございます。医療保険につきましては、保険料を負担される者、あるいは医療費の支払いを受けられる側、こういうふうな利害が少し対立した形でございますので、そういう点につきましてその委員会で御意見を十分戦わしていただきまして、できるだけその結論をわれわれの行政としては尊重をしていきたいという基本的な態度で進めていきたいと思います。前にも、厚生大臣自身が、その審議会との関係から少し前に出まして職権告示とかいうような問題になりました場合に、非常に世間を騒がすような問題がここにあったことも事実でございますので、そういう点、中央医療協議会のそういう委員構成になっております点から見まして、できるだけ尊重して行政をしていきたいというふうに考えております。
 ただいまの再診料、処置料、いわゆるお医者さんの技術料の関係でございますが、これはやっとこの前の再三申し上げました建議におきまして初めて出てきた線でございます。従来のいわゆる緊急是正といわれますものは、従来の点数はそのままにしておいて何%上げるというふうな単純なものでございましたが、この前の建議におきましてやっとそういうふうな再診料をよくみるというふうな点が出てまいりましたので、今後の審議におきましてもできるだけそういう技術料の評価を適正にするということと、それから物と技術料をできるだけ分離するというような方向で御審議をお願いしたいというふうに考えております。
#38
○大橋和孝君 再診料なり処置料を見る場合に、特にこの点をいつも診療報酬を考える場合に大きく取り上げてもらわないとこれができない。特に薬価というものは、いままでの考え方は、薬価そのものじゃなくて、調剤手数料とかいうものを入れて、そしてそこの再診料あるいはまた処置料の中に入れられる医者の技術料、調剤料というものを何か低過ぎるのをカバーしているというような形でいままでの薬価基準というものが裁量されておった。最近はそれを実勢に合わしていくように毎年毎年改定していくということになると、やはり技術というものをそこに出してこなければ、従来の考え方では、薬価基準の中にそういうものを含めてやったと、多少ゆとりを持たせておったという観点からいえば、一方的な切り下げといったような形になるのじゃないかという声もたくさん聞いておりますから、そういう点についても特に今度の問題も配慮していただきたいということを一言申し上げておきたいと思います。
 それから耳鼻科の問題を今度どうされるかということもあわしてちょっと聞いておきたい。
 それから診療報酬については、中医協でやられているわけでありますが、どういうふうに考えてこれを実施されるのか、中医協の答申どおりにやられるのかどうか。それからその点でもう一点聞いておきたいのは、予算はどういうふうに考えられているのか、いわゆる財源についてはどういうふうに考えているか。もし上げられるとすれば、そういうことについての考え方をあわせてちょっと聞いておきたい。
#39
○政府委員(梅本純正君) 耳鼻咽喉科の問題は、この前問題が起こりましたあとから中医協のほうに十分連絡をいたしまして、今度の抜本的適正化の際には十分審議の対象にするということになっております。
 それから今後の中医協の問題につきましては、われわれのほうとしましては、中医協の建議といいますか答申は十分尊重して実施したいということでございます。
 それから予算的な問題につきましては、この上げ幅その他そういう点がまだきまりませんので、そのきまりました時点で財政的には善処いたしたいと思っております。
#40
○大橋和孝君 いまの耳鼻科の件は、抜本改正と言われますが、健康保険の抜本改正ですか、今度の診療報酬ですか、どっちですか。
#41
○政府委員(梅本純正君) 私の申し上げましたのは、中医協を舞台にしまして医療費すなわち診療報酬体系の抜本的な適正化というのが、前から、調査の結果がもう出ますから、そのときに根本的にやるというふうな合意ができております。そういう際には必ず取り上げると、こういうことでございます。
#42
○大橋和孝君 緊急じゃないのですね。今度の緊急の場合と違うのですね。
#43
○政府委員(梅本純正君) その点は、緊急の場合に取り上げられるかもわかりませんし、この要求が出ておりますが、ただし、医師会からの要求の中には入っておりません。しかし、その辺はまたいろいろ審議の過程におきましてその議題になるかもわかりませんが、この前の問題のときには、調査の結果を待ったときの議題にしよう、こういうふうになっております。
#44
○大橋和孝君 非常にそこのところぼけておりますので、できるだけひとつ今度診療報酬の緊急是正の際にこれは入れてもらうべきだ、大臣の約束もありますから、それを一言申し添えて強く要望しておきたいと思います。
 それからもう一点は、厚生省では、国民の健康管理、こういうものの診療報酬の組み込みに対してどういうふうに考えておられるか。国民が病気になってからだけ健康保険の報酬体系の中に入れないで、これは根本的な制度の改正になるかもしれませんが、もう少し予防的なもの、国民の健康管理的なものを報酬の中に組み込めるものは組み込んでみたらどうか、あるいはまた、体系の中でどういうふうな位置づけをして国民の健康管理というものを組み込まれようとしておるのか、その考え方について聞いておきたいと思います。
#45
○政府委員(梅本純正君) ちょっと私がお答えするのは不適当かと思いますが、先生のおっしゃる健康管理ということにつきましては、疾病の予防の関係、予防対策、それからいわゆる職場における健康管理という意味の、厚生省で申しておりますような予防接種そのほかの予防対策でない意味の常時健康をみていくというような管理の問題も含めておっしゃっておると思いますが、確かに、わが国の医療保険におきましては、疾病の診療の際のいわゆる健康管理といいますか、それにつきましては、初診料、再診料、入院料、それから各種の指導料、そういうふうなところに包含されおるという程度になっております。先生のおっしゃるもっと広い意味の予防対策並びに常時の健康管理というものにつきまして、これを保険の中に入れますか、あるいは公費負担の医療という形でこれを拡大していきますか、その点につきましては、やはり今後の問題としまして抜本的な改正その他のときに一つの重要項目として議論されるというふうなことになると思いますが、現在のところ、保険の観点からいたしました場合には、保険という形でそういうふうに伸びていきますことにつきましては、私としましてはちょっと問題があるというふうな考えを持っております。
#46
○大橋和孝君 時間がありませんので、医務局長のほうに、先ほど私のほうからちょっとデータは概略のものを申しましたが、いま、国立病院、国立療養所、あるいはまた保険局のほうでは保険局病院、こういうところでいわゆる差額ベッドをどういうふうにして徴収しておられるか、現在の実態を、一個室何ぼのものを何ぼずつ、合計何ぼの差額ベッド、それからそのパーセントがどうなっておるかというのをひとつお知らせいただきたい。それをデータでお願いしたいと思います。
 それから最後にちょっと大臣のほうにお伺いしたいと思いますが、先ほど来申しましたように、医療の経営は、医療従事者の人件費あるいはまた物件費の上昇、特に私はその中で申し上げたいのは、医療従事者の充足率が非常に悪くなっておる。けれども、いまの医療はその充足率を非常に高く要望しておる。こういう状態でありますのに、これができていないというのは、私は診療費の中にその役割りを十分に認めていないというところに非常に問題があるように感じます。ですから、そういう観点から見て、やはり国民の生命と健康というものを守る立場からいえば、それをほんとうに責任をとっていただくのは厚生省でありますので、こうした問題は軽々になってはいけない、これは国民の健康にも大きく影響いたしますので、どうかひとつこの点を十分考えていただいて、こういう診療費の緊急是正なんかは当然物価のあれにスライドするように、ことに、先ほど議論を申しましたように、三年に一ぺんやって三年先まで現在の物価のスライドをしわ寄せしてそれから上げるというようなことでは、やはりこのしわ寄せが大きくなりますので、そういう観点をあわせてこの診療報酬の是正に対しては配慮していただきたい。
 特に私はそこで一言大臣のお気持ちを聞いておきたいのは、そういうことをするために今度は被保険者のほうに負担をさせるということは避けるべきではないか。みな国が責任を持つという観点からいえば、病人にだけ負担をさしていくということは非常に酷に思います。ですから、できるだけ国の責任においてそうしたものを負担してもらいたい、こういう考えを持つわけでありますので、そういう点についての大臣の御見解を伺って、もっといろいろ詳しいことをお願いしたいのは次回に回して、細目については、抜本改正にあわせて質問さしていただきたい、こう思いますので、ひとつ御見解を聞かしていただきたいと思います。
#47
○国務大臣(斎藤昇君) 大橋委員の御所見は、私も同感の点が多々あります。ほとんど同感と申してもけっこうであります。それを中医協の審議の場でできるだけ審議をしていただくように私も配慮いたしたい。
 それから診療費を値上げした場合の負担をどうするか。ただいまのところ、そのために保険料を増徴しようという考えは持っておりません。
#48
○政府委員(松尾正雄君) 先ほど御指摘の差額徴収関係の資料は、できるだけ詳しいものを提供いたします。
#49
○上原正吉君 関連して。ただいまの質疑応答を伺っておりましてちょっと不思議に思うことがあるのですが、薬価基準を引き下げれば製薬業者が損害をこうむることは、これはもう火を見るよりも明らかであります。何ほどの損害になったかわかりません。しかるに、薬価基準を引き下げたために、病院も医院も薬局もみな損害をするように応答から聞こえたわけです。そうして、そのこうむった損害は、薬価基準を引き下げた損害よりもはるかに大きいのじゃないかというふうに感じたわけでございます。そうすると、薬価基準を引き下げたために全部が損をしているようなことになるので、全体の薬価基準を引き下げた損害はどこへ行ってしまったんだろうという不思議な感じがしたのですが、これはどうなったのでしょうか。
#50
○政府委員(梅本純正君) 薬価基準の引き下げでいままで言われておりましたのは、薬価基準と実勢価格に差があるということが世間の非難の的でございました。数年前はいわゆる潜在技術料というふうなことも巷間言われた形でございまして、たとえば、お医者さんにおかれて仕入れの値段が七十円、ところが今度は支払基金に医療機関が請求されるのは、薬価基準で百円であれば、百円ということで、三十円というのが潜在技術料と巷間言われるような形でお医者さんのふところに入っておったわけでございます。そういうようなことはおかしいということで、やはり薬については実勢価格をよく調べて、実勢価格と薬価基準との間に差がないようにすべきであるというのが数年来世間のお話であったわけでございます。われわれのほうとしましては、これが七千品目にわたりますものにつきまして現在の世の中におきましていわゆる公定しているような形になっております。そういうふうな制度でございまして、刻々と実勢価格に合わせることは非常に行政的にも困難でございますけれども、せめて一年に一回以上は調査をして、できるだけ実勢価格と薬価基準との間に差がないようにということにしませんと医療費の関係につきましては、薬価基準が実勢価格より高い場合におきましては、自己負担のかかっております被保険者につきましてはその分だけ負担分がふえてくるわけでございますので、この辺はやはり調査をよくいたしまして、実勢価格と薬価基準の差をなくしていくということが方向であろうというふうにわれわれは確信をいたしております。
#51
○上原正吉君 そうしますと、薬価基準という価格は架空のもので、薬の値段とははっきり言えばあまり関係がなかったと。それを薬の値段に薬価基準を合わせる。そうすると、診療者の支払う薬の値段とそれから国家から受け取る薬の値段との違いが動くと、こういうことなんですね。
#52
○政府委員(梅本純正君) Aというお医者さんが患者をみられました場合に、お医者さんの技術に属するいろいろな手術とかそういうものをおやりになりますけれども、薬を投与したということであれば、その投与した事実をもとにしまして今度は保険のほうから金を請求されるわけでございます。そのときに、この薬につきましては薬価基準で、二つあれば、百円、百五十円で請求してよろしいということを告示してございますから、それで甲、乙という薬について百円、百五十円で保険のほうから請求される。ところが、そのお医者さんは、薬屋さんからは百円と五十円で仕入れておられた場合には、その差というものがお医者さんのほうにとまる形になるわけでございまして、今度は患者さんから見ました場合に、百円と百五十円の薬でありました場合に、給付率で見ました場合に、国民健康保険ですと三割の自己負担がありますから、百円、百五十円の三割分が自己負担になる。ところが、百円と五十円になれば、それの三割ということで、患者さんの負担も薬について割ってみればそういうことになりますから、この辺については、やはりお医者さんが薬でもうけるというふうな現象はおかしいのではないか、薬は薬で実勢価格にぴったり合わせるとともに技術料というものは別の体系ではっきりと評価をすべきではないか、こういうのが年来の問題でございまして、中央医療協議会も、二年間の御審議の結果、薬については、毎年一回調査をし、刻々と実勢価格に合わせるべきである。一方、お医者さんが潜在技術料ということで薬のいわゆる小売り屋さんみたいな形で収入になっておったのは変則である。そういうものは、あまりに技術料が低いからそういう現象が起こるのである。であるから技術料として適正に評価すべきであるということで、その方向に姿勢を正していくべきであるということでございます。
#53
○阿具根登君 大臣がお見えになっておりますから、観念的ではありますけれども、関連した質問を申し上げたいと思うわけでございます。
 いま薬の問題が話題になっておりますが、テレビを見ておれば、ほとんど薬屋さんの宣伝が大部分で、この薬を飲んだらあなたの胃腸は一ぺんになおりますと、医者も何も要らぬような宣伝がなされておる。そうすると、それが一つの薬ならいいけれども、胃腸病だって何十という薬が登録されておるわけであります。そうすると、胃腸に対しては極端に違う薬があるのだろうが、胃腸の悪い方には大体どういう薬だということがはっきりされておると思うのです。それが、どの胃腸病の薬でも、この薬を飲めばなおります、胃潰瘍がなおりますということを宣伝されておる。ばく大な金がかかっておる。そうして、それを許可されておるのが厚生省であって、今度汚職の問題が出てきております。私きょうは資料を持ってきておりませんが、これはまたあとの機会にでも質問をいたしますけれども、一体こういう宣伝とそれから薬のはんらんというものはどうなのか、私はこう思うのです。だから、ほとんど似通ったような薬じゃなかろうか。また、似通っておらないような薬であったならば、同じ胃腸の薬に対しても、お医者さんが、あなたの胃にはこの薬がききます、あなたの胃にはこの薬がききますと言うならば、薬屋さん自体が胃腸の薬はこれで何でもきくんだというような今日の宣伝のあり方はいかがなものか、こういう考えを私を持っておる。このごろは、非常に薬も売れますし、ぼくらも飲みます。しかし、最近の新聞でも見ましたが、きかない薬については何とか考えなければならぬ、こういうことを言われておるんだけれども、許可された厚生省がそういうことを言わないということならば、きかない薬もきくように宣伝されておるのか。各社各社で営業上やられるのはやむを得ないし、それは当然宣伝の時代だからあたりまえだとは思うんですけれども、そんなに極端に違った薬じゃないと私は思うんです。いまの薬であったならば、大体どういう薬がどのくらい入っておるというような分析をその薬屋さんはそれぞれされておる。しかし、これは、ほとんどの人が、よくドイツ語かで書いてあるから、何が何やらわかりゃしない。そういう薬に対して厚生省はもっと親切に指導する方法はないだろうか。みんなにわかるように、たとえば、胃腸の場合はこうですよというような何か宣伝の方法はないだろうか。また、薬に明示する場合でも、胃酸過多の人はこういうのだからこの薬がいいですよ、あるいは、胃潰瘍の方はこういうのがいいですということになっておるならいいけれども、いまの宣伝では、これは薬ばかりでないですけれども、ここは厚生省の管轄だから薬のことを言っているんですけれども、とにかく自分のところが一番よく、あとのところはきかないんだと各社から言われるものだから、聞いておる者はどれがいいかわからない。それを許可されるのが厚生省で、しかも薬屋さんとの間に汚職まで起こっておる。けしからぬことだと思うんです。大臣、この点をはっきり釈明しておいてもらいたいと思うんですがね。
#54
○国務大臣(斎藤昇君) 薬務局長がおりませんから、私から概括的に申し上げますが、まず、きく薬、きかぬ薬というこの点は、厚生省のほうで最初許します際には、新薬の場合には薬事審議会にかけまして、その前に薬の認可申請があった際には、臨床のデータを添えさして、そしてそれを薬事審議会にかけて、そしてきくということで許可いたしているわけであります。ところが、最近、許可された薬で全くきかないんだという学者の説も出てきております。はたしてきくのかきかないか、一般に聞いてみますと、いやおれはあれを飲んできいているように思うという人もあるし、わからんという人もありますが、ひどいものにつきましては、またそういう学者の方の御意見等も薬事審議会ではかってもらって、そしてほんとうにきくのかきかないのか、きかないということがわかれば取り消しもしなければならぬと思っておりますが、そういうことをやっていきたいと、こう考えております。いままではきくという自信をもって許可をいたしておるわけであります。
 それから薬の宣伝でありますが、医者にかからなければその薬を飲んでは危険だというようなものにつきましては、これは医者の指示がなければ売ってはいけないということにいたしておるわけでございます。医者の指示なくて売れるいわゆる一般の保健薬と言われているようなもの、あるいは胃散だとか胃にいいとかいうような薬は、医者の指示がなくても売れることになっていると思いますが、これは医者の指示がなくても差しつかえないというので これは要指示薬ということにはしておらないわけであります。
 ところが、同じ胃腸薬で何種類かあると。そのとおりであります。しかし、薬の中の使用法の中に必要な指示事項を書き入れ、また、薬の分析表も入れさせることにいたしておるわけであります。ただ、薬の宣伝が多過ぎるじゃないか、その宣伝費をもう少し新薬の開拓なりあるいは薬価の値下げなりに使ったらどうだという意見も多いわけでありまするので、これは行政指導をいたしまして、薬の宣伝の費用はこの程度でなければならぬというような行政指導を今日いたしておるというのが現状でございます。
 ただいまおっしゃいますような点につきましては、私らもいい方法があればできるだけやってまいりたい、かように考えておりますが、一面、自由競争という点も考えなければなりませんし、ことに、最近問題になっておりますのは、薬の申請が非常に多い。それも根本的に違う薬、新薬の申請が多いというならこれはむしろ喜ばしいことでありますが、そうでなくて、既存の薬に若干栄養剤みたいものをちょっとまぜて名前を変えるとか、あるいは、いわゆる模倣薬とかいわれておりますが、そういうものを今後もう少し規制をしていったらどうだろう、そういうものは認めないというようにしていったらどうだろうというので、薬事審議会等ともはかってその対策をいま進めつつあるわけでございます。
#55
○阿具根登君 関連ですからやめますけれども、大臣が言われたきかない薬――きかない薬があるだろうかと私思うんですな。科学的な分析によって、そして中には何がどのくらい入っている、何がどのくらいだということまで分析されているやつだから、きくからこそ私は許可されたと思うんです。そうして許可された薬会社というのは、これをテレビでどんどん宣伝される。飲まされる国民はそれこそ哀れです。きかない薬を宣伝されてそして飲まされた。そして、今度、これはきかぬじゃないかということになってくると、きかない薬は売っちゃいかぬとか、誇大広告しちゃならぬということでは。これは薬ですからね。ほかのものじゃないんですから。だから、ほかの営業では、たとえば毒にならない人体に悪影響を及ぼさないというような治療法もあります。そういうやつは許可されておるわけなんです。薬というやつは口から飲むものです。ですから、よほど厳重にやってもらわなければならない。
 それと、大臣よく御存じでいま言われましたけれども、栄養剤がちょっと入っておったとか、極端なのは、包んである糖衣が変わっていたとか、糖衣の色が違うとか、そういうのは薬じゃないはずなんです。そういうので新薬だ新薬だと宣伝されたのではたまらないんです。病気に対する新しい薬ができてくるのはこれはけっこうなんです。けっこうなんだけれども、あまりにも多過ぎやしないか。だから、わずかな差をこうやっておられる。薬と保健とこれは別個に分けられたらいいんじゃないかと思うです。保健のための薬、これは薬じゃないんだと。病気にかからないようにやるやっと病気になってからやるやつは違うんだと。そうしないと、みんな混同してしまっているんです、国民は。保健薬だといわれているやつも、これを飲めばきくんだと思ってがぶがぶ飲んでいるけれども、きくわけがない。その辺を何かはっきりしてもらわないと、宣伝に迷わされて、それは自由競争だからけっこうかもしれぬけれども、きかない薬を宣伝できくように売ってもらってはかなわぬと思うです。そういうことをひとつ十分注意してやってもらいたいと思うんです。この次は資料をもって質問します。
    ―――――――――――――
#56
○大橋和孝君 時間が超過いたして申しわけありませんが、いま沖繩で風疹が非常に問題になっておりますので、二、三点ちょっとお伺いしたいと思います。
 御存じのように、三十九年から四十年にかけて、沖繩本島だけでなくて、あるいは八重山とか宮古島あたり全体にかけて非常に風疹がはやって、御存じのようにこれはウイルスなわけでありますが、ことに妊娠の初期に罹患した人が子供さんに対して異常を来たす。
 特に先天性の白内障でありますとか、あるいはまた難聴だとか、いろいろこうした問題が出てきているわけであります。特に、その状態は、ことしになって一月の終わりごろから調査団が行かれたわけでありますが、その間四十年から長い間を経過いたしておりますけれども、もしこれが内地で起こったとするならば、大問題になっていると思うのであります。これが沖繩であるために、沖繩琉球政府が見かねてこれを本土に要請をしてきた、だからしてこれをやったというわけでありますけれども、その結果を見てみますと、非常な大きな結果に私もびっくりしているわけであります。
 特に、難聴なんかにおきましては、五百五十五人の身体障害児を検査した中で三百三十九人もあった。その中で、ほとんど聞こえない人が二百二十八人もおる。こういう三歳から三歳半ぐらいの子供があるということであります。また、心臓病なんかにいたしましても、五十二人ぐらいおって、それは手術しなきゃならぬ人が何人でしたか、二十何人おる。特に、二つも三つも重なってきて、あるいはまた、心臓なんかも重症でいますぐやらなければいけないというような人も三名か数名あったというような報告を聞いておるわけです。白内障についても、二十一名か二十二名かあって、みな手術を要する状態だという報告を聞いた。これが発表されたのが今月の二十何日でありますけれども、これを見て私は非常に問題があると、こう思います。
 私は、時間がありませんから、問題点だけをちょっと伺っておきたいと思いますが、こういう状態が起こってきたのが内地で起こったとするならば、いま申したように大問題でありますが、これはいままでの沖繩における母子の健康管理ですね、こういうようなものが全然なされていない、こういうことが大きな原因ではなかろうか、こういうふうに思います。この中で、問題点を四つ、五つ申し上げますから、これについての御答弁を願って、時間がありませんからとめていきたいと、こう思います。
 沖繩においては、医者の率なんかは、人口十万人に対して、日本の最低の県に比べても、その半分か三分の一しかない、こういうようなことで、ことに眼科なんかは全土に対して六人ぐらいしかいらっしゃらない。その中で眼科の手術ができるような設備を持っているのは二カ所しかないというんですね。これは全体の人口から比べましたらたいへんな問題だと思うのです。こんなことで少なくとも眼の管理はできない。眼というのは非常にたいへんな問題ですから、こういうようなことを考えてみると、私は非常に大きな問題があると思います。ですから、この調査をされた中でいろんな調査があると思いますが、私はこの調査の結果を、厚生省のほうにも報告が来ていると思いますから、詳しいデータをひとついただきたいと思います。ことに、いままでの間に、こういう生まれた赤ちゃんから三歳児になるまでに、こういうような関係があって、たとえば重症な心臓とか、あるいはほかのものとが重なっていたために、亡くなってしまっている人もかなりあるんじゃないかと思いますから、そういうことも含めた詳しいデータを、今度調査されましたいろんな項目についての詳しいデータをあとから御報告を願いたいと思います。
 それから同時に、ここで医療従事者というのは非常に大きな問題があります。特に、この中で、あれは何といいますか、准医師といいますか、医者でなくて沖繩だけで許可をしている医者の代行のような資格があるわけであります。このあいだも何かで見ますと、弁護士とか公認会計士とかああいうようなものも沖繩では特別な身分でできている、これを本土並みにするにはどうかという問題も出ているといわれておりますが、こういうようなことで、医者の充足はどうするか、あるいはまた従業員の充足をどうするか、あるいはまたそうした医者でない身分の人、こういうようなものを本土並みにするにはどうするか、こういうような観点なんかでひとつ考え方をお聞きしておきたいと思います。
 それからもう一点は、ここでこういうような母子を管理するために、本土では保健所が十分な機能を発揮しているわけでありますが、沖繩ではおそらく保健所システムがなかったと私は調査に行ったときは見てまいりました。ですから、そういう状態で、一体母子保健の健康を管理するのはだれがやってどうしているのか、こういうようなことについてもひとつお聞かせいただきたい。
 それからまた、医療制度を考えてみますと、これは前にもこの委員会でお考えを聞いたことがありますけれども、療養費払いと申しますか、医者にかかっておいてあとから医療費を返してもらうというシステムです。このデータは、たくさん前にもあれを持っておりますが、時間がありませんから申し上げませんが、その受診率においても、あるいはまた掛け金から払い戻されるところの金額においても、ほとんど三分の一ぐらいじゃなかったかと思います。もっともあすこは住民は国民健康保険がありませんから、被用者保険だけでありますけれども、本人が七割、家族が五割になっておったはずであります。その掛け金、保険料を払っておきながら、今度病気になったときに医者に払った金額の領収書を持っていってそれで払い戻してもらうわけですが、その量は掛けた金額から比べたらおそらく半分以下だったと思います。だから、琉球政府では、健康保険をやりながら、返す金が少ないためにものすごくもうかっているという非常に理想的だといわれた健康保険システムです。ところが、政府のほうでは理想的だろうが、患者はかかれない、こういうことも原因して私はこういうことが起こっているのではないかと思います。実にこれから将来をになうところの子供たちに対しては惨酷きわまりない結果をきたしている、こう思うわけであります。こういう点から言いましても、健康保険制度あるいはまた医療制度というものを本土並みにするにはそう長くかけてはいけない、早くこれを引き上げなくてはならないと思うのでありますが、こういう点についてもちょっとお考えを聞いておきたいと思います。
#57
○政府委員(渥美節夫君) 昭和三十九年から昭和四十年までに沖繩におきまして流行いたしました風疹の問題につきまして、総理府の要請に基づきまして、厚生省を主体といたしまして検疹班を派遣いたしましたので、その点に関しまする調査結果等を中心として、私から申し上げたいと思います。なお、沖繩におきます医療制度あるいは健康保険制度等につきましては、私よりも適当な局長が御答弁したほうがよろしいかと、かように考えます。
 御指摘のように、風疹が妊娠特に妊娠初期の妊婦の胎児に影響いたしますることは、もうすでに十七年ぐらい前から学界でも報告されております。それで、昭和三十九年から昭和四十年に生まれました子供につきましての問題点が数年前から言われておったのでございますが、先生御指摘になりますように、沖繩におきまする専門の医者が非常に少ないというふうなこと、それから言語の発達がやはりその年齢によりまして三歳ぐらいからでないと明白にわからないというふうないろんな点がありまして、最近までこの調査が行なわれなかったわけでございますが、琉球政府の要請によりまして、総理府から私どもに調査につきましての要請がございました。そこで、この一月の終わりから二月の十六日にかけまして厚生省があっせんをいたしまして、小児科、耳鼻科、眼科、精神科、整形外科の専門の医師、それから聴能訓練、言語、児童心理等、児童の専門の職員、こういう方々からなる十二名の調査団を派遣いたしました。五つの地域に分けまして、五つの保健所におきまして検疹をいたしました。
 検診に来られました子供さん方五百五十五名のうちで、いわゆる先天性風疹症に基づいて異常がある、かように考えられました症例は、五百五十五人のうち三百六十人でございました。このうち、先天性心疾患を持ちます子供さん方が五十二名、それから先天性の白内障、いわゆる白そこひでございますが、こういった先天性の白内障である子供さんが二十八名、最も多いのは聴力障害でございまして、三百三十九名、かようになっております。いまの数字のうちには合併症の子供さんも含まれております。特に、合併症で、心臓疾患、それから視力障害、聴力障害、この三つをすべて合併している子供さんの数が二十一例というふうなことでございます。したがいまして、こういった子供さんにつきましては、その症例によりましてそれぞれ適切な処置を講じなければならないわけでございます。
 先天性心疾患につきましては、このうち緊急に手術を要するという子供さんが二名でございましたが、その他の者につきましては、あと三、四年待って手術をいたすほうが適切であろう、かように考えております。
 それから先天性の白内障でございますが、二十八例ございます。このうち特に二十人の子供さんにつきましては、現地あるいは本土に移送いたしまして早急に手術をする必要があると思います。
 三百三十九例の聴力障害の子供さんにつきましては、ともかくそういった聴力の聴能訓線が必要でございまして、そのためには補聴器を大至急支給いたしまして、それによりましての言語訓練を行なう必要があるわけでございます。そういったことで、このような点につきましては琉球政府それから総理府と十分連絡をいたしまして厚生省といたしましての協力体制をとりたい、かように考えておりまして、この三月には、すでにいろいろと計画を立てておりますが、特に聴力障害の聴能訓練あるいは言語訓練につきましての専門の医師あるいは指導団を派遣したい、かように考えておるところでございます。
 なお、最も大きな問題は、こういった聴力障害の子供が非常に多発しておるわけでございまして、三年後あるいは二年後に控えておりますところの義務教育をいかにすべきかという問題がございます。この点につきましては、さらに文部省とも十分連絡をとりたい、かように考えておるわけございます。
 先ほど、沖繩におきまして保健所システムがどうかというお話がございましたが、ただいま保健所と申しましたのも、名護、コザ、覇那、宮古、八重山、こういった五つの保健所を中心としてやりまして、ここには医師のほかに公衆衛生看護婦と称せられる職制がございまして、こういった方の協力も非常にあったわけでございます。もちろん、医師が、先ほど御指摘のように、本土に比べまして非常に少ないということがございますから、今後とも、聴力障害、あるいは白内障、心疾患の子供たちに対しましては、内地から専門の医師の派遣でございますとか、あるいは子供たちを内地に移送いたしましての手術というふうなことで現実的には解決しなければならないわけでございまして、本質的には沖繩の医師が非常に少ないというふうなこと、あるいはそれに従事する職員が非常に少ないというふうなことが問題にされることと思うのございます。
 なお、母子保健体制につきましての御質問でございました、内地におきましては、児童福祉法のほかに母子保健法という法律がございまして、諸制度が不十分ではございますが確立されておりますが、沖繩におきましては、児童福祉法はございますけれども、母子保健法はまだ規定されておりません。現在の議会におきまして提案されておりまして、この次の年度から沖繩におきましても母子保健法が制定されるという見通しがあるということは伺っておりますが、そういった点では不十分であろう、かように考えております。
 以上児童家庭局の所管につきましての御説明を申し上げました。
#58
○政府委員(松尾正雄君) 沖繩の医療の問題につきましてのお話でございましたので、簡単にお答え申し上げます。
 医者の数は、御指摘のとおり、本土の人口がほぼ沖繩に匹敵するようなところに比べまして、たとえば高知県、島根県、香川県といったような百万前後の人口というところの指数にいたしまして、大体半分またはそれ以下という実態にございます。したがいまして、その他の職種におきましても不足ではございますけれども、ただいま、こういう実態に即応いたしまして、御承知のとおり医療援助という形でやっておりまして、保健所をはじめ、僻地、離島にあるいは精神、結核といったようなそれぞれの専門家を毎年約百名前後現地に派遣いたしまして、とりあえずそういうハンディを埋めるという措置をとっておるわけでございます。
 なお、将来の医師の充足問題といたしましては、琉球政府の奨学金をもらって本土の医学部に入学をしておられる学生の方々が、卒業されて向こうへ戻らないという悩みを非常に訴えておられたわけでございます。したがって、なるべくその出身者の方々が帰っていかれるような促進策を講じなければならないということでございますので、政府立の中部病院というものの整備を十分にいたしまして、ずいぶんりっぱなものができてまいっておりますが、そこで、例の、過去におきましてはインターン、現在におきましては臨床研修というものが受けられるように体制を整備いたしまして、すでに十一、二名の学生がそこに帰って勉強しておるような実態でございます。
 そのほか、一般のほかの職種の充足につきましても、琉球大学に保健学部を設置するというような計画が進んでおります。これらが設置できますならば、それに付属する病院とともに、より高度の医療あるいは訓練ということが可能になろうかと考えております。
 そのほか、ただいま、こちらに収容してというようなお話が風疹につきましてもございましたが、沖繩の結核患者につきましては全部本土の療養所で収容するという方針をとってまいりまして、現在までに二千百五十三名ともいうのが国立療養所に入りまして手術を受けております。
 それから、らい患者につきましては、らいの療養所は向こうのほうにもございますけれども、らいの高等学校というものがございません。これも国立の内地における高等学校に二十名収容するということで、できるだけ向こうの不足分をカバーするように努力しておるような次第でございます。
#59
○大橋和孝君 時間がありませんので、もう一つだけにしぼってお尋ねしておきます。
 保健所のあり方も、いま五カ所あると聞いたわけですが、私の聞いているところでは、ほとんどその機能が麻痺しておると、私はそういうふうに伺っておるわけであります。最小限本土と比較してみますと、一県で五カ所ぐらいの保健所で県の全体をまかなうことができるか、管理ができるかということになると、本土のほうでは五カ所ぐらいしかないという県はおそらくない。こういうようなことから考えましても、いかに母子保健対策というものが欠けておったかということが如実にわかると思うわけであります。
 それからいろいろ向こうでも報ぜられていることを聞いてみるならば、非常に重症になった、沖縄ではできないから、田畑をみな売り払ってしまって鹿児島なりあるいは本土にみてもらいに来た、それが見込み違いで大したことがなかったという笑い話になるような話もあるわけなんです。実に、沖繩でいかに医療というものが十分でないための苦しみというものがあるかわかるわけであります。ですから、私はここで特にお尋ねしておきたいことは、いまちょっと医務局長がお触れになりましたが、琉球大学に医学部を置けということは、琉球政府が考えたのだが、アメリカの高等弁務官のほうから難色を示されたためにそれが実現しなかったということが前に報道されているのを見たことを私は覚えておるわけであります。こういうふうにしていまのこういう状態を見てみるならば、そういう機構がもし琉球大学にあったとしたならば、もっと研究者も集まるし、また、医療の完備のために大きな役割りを演ずるのではないか。これができていないことも、今日このような大きな惨事を起こした一つの原因であると思われるわけです。ですからして、医者及び医療従事者をほんとうに沖繩で十分確保するための対策というものは、いま局長が言われたように、結核の患者を預かります、らいの患者を預かりますというくらいの程度ではお話にならない程度でありますので、こういう大きな惨事を起こしたわけでありますからして、この際、医者と看護婦、あるいはそういう医療従事者、あるいは保健婦などの指導者、こういうふうなものを整備するための抜本的な力の入れ方をしてもらわなければこれは解決できないと思うので、これに対する所見もひとつ聞いておきたい。
 それからもう一つは、治療患者がたくさん出ておりまして、内地へも来て手術する人もあります。先ほど御説明のような補聴器を二百何十人に渡さなさやならない。これを渡してやったら、おくれておるところの聴力の訓練あるいはまた言語の障害の訓練というのを相当やってやらなきゃならぬと思いますが、そういうものの費用、こういうものはやっぽり国で負担してやらなきゃいかぬと思うんですが、そういう観点についてのお考え、こういうものを伺って、そして、内地で起これば非常に悲惨なこういう大きな患者多発、しかもこれから発育する三歳児あたりで発見されて、もう大きなハンディキャップを受けておる。中には知能の発達のおくれている人もある。あるいはまた、言語障害に至っては、いまからやってほんとうに学童適齢期になるまでに補いのつかない人が大部分だろうと思います。そういうことから考えてみまして、そういう者に対してすべて手厚い手当てを国のほうで大きく力を入れていただきたいと私は思うのでありますが、こういうことに対するお考えを伺っておきたいと、こう思います。
#60
○国務大臣(斎藤昇君) 総括的に私からお答えを申し上げますが、こういった医療、あるいは保健、あるいはその他厚生関係につきましては、できるだけ沖繩が返還されたと同じ程度に一日も早く引き上げていくように沖繩援助の金でやってまいりたい、内地同様にいけるようにいたしたい、かように思っておりますので、総理府もその考えでおりますから、着々と進めてまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
#61
○上林繁次郎君 私は、最初に、人口問題をお尋ねしてみたいと思います。
 私が申すまでもなく、わが国の人口問題、これからの人口問題というものは、重要な問題であります。そういうことで、三十八年から四十二年までのわが国の増加年率を見てみますと、一%である。世界人口の年率を見ますと、一・九%である。こういうふうに、わが国の増加年率は世界の約半分である。こういった問題は、非常に低率であるだけに、今後心配になってくるわけであります。そういう理由として、いわゆる出生率が急激に低下している、こういうようなことが言われているわけでありますけれども、そこで、わが国の人口問題、この現状、推移、これらについてお聞かせをいただきたいと、こう思います。
#62
○説明員(首尾木一君) 昭和四十二年現在におきましてわが国の人口は約一億ということでございますが、人口問題研究所の推計によりますと、今後、わが国は、昭和六十年にはおよそ一億一千六百万人、昭和七十年には一億二千万人、これは現在の出生率あるいは死亡率の動向が現在の趨勢で推移した場合の推計でございますが、そういうようなことに推定されているわけでありまして、さらにその後に至りますと、現在のような出生率の低下の状況でありますと先には人口の絶対数も減少するというようなことも見込まれているわけでございます。このような結果、人口の構成の老齢化ということが顕著な特徴になっているわけでございまして、現在では六十五歳以上の人口というものが約七%というようなところでございまして、それから十五歳以下の人口というものが約二三%程度でございますが、この状況で進みますと、昭和六十年には、六十五歳以上人口が約一〇%に達します。それから十五歳未満人口が約二一%というようなことで、減少するというふうに見込まれているわけでございます。
 なお、現在の出生率の低下の状況についてお話がございましたが、わが国の出生率は、昭和四十二年現在で、人口一〇〇〇対一九・三ということになっておりまして、出生力といたしましては昭和四十二年で純再生産率が一程度になっておりますが、これは最近の傾向といたしましてはここ十数年来人口の再生産率が一を割るというような状況が続いているわけでございまして、非常に低い出生力になっておる。その結果、出生率も、ただいま申しましたように、一九・三というようなことに下がっておるわけでございます。一方でまあ死亡率の減少ということがございますので、先ほど先生の申されましたように、人口といたしましては、昭和六十五年‐六十七年の間の人口増加率は、年〇・九九%、約一%の人口増というような現状になっておるわけでございます。
#63
○上林繁次郎君 六十五年になると九・九%という、こういうことですね。そうすると、だんだんと低下をしてくると、こういうことでありますけれども、これはこのままにほうっておくわけにはいかないわけでありますが、どうしてもやはりその対策が重要な問題になってくるわけであります。この対策についてどのようなものを持っておるか、また、考えておるかという、こういった点についてひとつ聞かしてもらいたいと思います。
#64
○国務大臣(斎藤昇君) 上林委員の御心配のように、私も日本の今後の人口の推移というものを非常に心配をいたしておるのでございます。ただいま説明員からお答えをいたしましたが、特に出生率が再生産率を割っているということであります。それがもう十年来続いている。したがいまして、統計で見ましても、昭和三十年以降、十五歳未満の児童の総数というものが年々減ってきておるのでございまして、昭和三十年に十五歳未満の児童の数が二千九百七十九万八千であったものが、四十年には二千四百七十六万七千人に減ってきております。四十五年は推定でありますが、二千三百八十一万になるだろうという推計でございまして、こういう状態から考えますると、もう当然人口が減少していくという要素をここ十年間はらんでおるわけでございます。ただいま説明員から申しましたように、今日、平均寿命が伸びておりますから、したがって、総人口は一%台伸びておるわけであります。しかしながら、老齢人口は必ず死亡していくわけでありますから、再生産を割っておるということは、しばらくすれば、日本の人口はこのままでいけば減少傾向に入っていく。そこで、再生産率を割っているというこういう現象は、世界の国でいまどこにもないわけであります。欧州におきましても、あるいは西独、あるいはフランス、イギリスにおきましても、再生産率を割ったことがございますが、しかし、十年以上も続いているという国はございません。このままに放置しておってそうして今後出生率が増すだろうか、こう考えますると、必ずしもほうっておいても増すだろう、こうは言えないのじゃないだろうかと考えます。
 なぜ子供をあまり生まなくなってきたかという点を考えてみますると、生活水準が高まってき、子供の養育費がふえてまいる。したがって、できるだけ子供を生んで養育をしていくよりも、自分たちの生活水準を高めていきたいというような気風がそういう結果になっているのじゃないだろうか、かように思います。ちょっと時間をかけて申しわけございませんが、内閣の調査室の調査によりますると、大都市になぜあるべき子供の数をあなたたちは生まないのかという調査を先年したことがあるのでありますが、その結果を見ますると、ただいまの養育費にかかるからというのがなべて多うございます。同時に、大都会においては住宅が不自由であるからとかいう理由もございますが、町村、農村部におきましては、むしろ子供をあまり生まないというそういう一般の傾向だから私も生まないのですという答えが相当数多いのであります。これは私は重大なことであると、かように考えます。
 人の説によりますると、まあ私もそう思うのでありますが、もう少し国民の平均所得が上がってまいれば、ほうっておいても子供をもっと生むようになるだろう、こういう考えを持つ人もありますが、しかし、これからの日本の国民の生活水準の向上、平均所得の向上ということを考えますると、日本のこれからのとっていくいわゆる経済政策にもよるわけでありますけれども、しかし、日本の生活水準はいま世界でいえば二十番目、平均所得は二十番目程度であります。総生産は二番か三番になりましたけれども、人口が一億あるわけでありますから、一人当たりにいたしますと二十番目。そして、これは外国の学者も言っておりますが、日本の生活水準はもっと伸びていくだろう、総生産ももっと上がっていくだろう。いまの行き方で行けば、日本の国民の平均所得は西独並みあるいはアメリカ並みにまで将来なるだろう。それには二十年か三十年かかるだろう。二十年、三十年の間、まだまだ日本の国民の所得は上がってまいりますが、同時に生活水準も上がってまいるわけであり、そして一流国並みの生活水準をしたいというのが国民の要望でありますから、ほうっておけば、そこまで達するまでの間はやはり生活水準を高めたいという欲望のほうが強うございますから、したがって、ここ十年、あるいは二十年というものは、ほうっておけば、ふところがよくなってまいって、国民も子供を育てていいという風潮はなかなか起こってこないんじゃないだろうかと考えます。したがいまして、相当いろいろな手を用いませんと、日本の人口がだんだん減っていくという形をさらに十年、二十年続けるんじゃないだろうか、こう私なりに考える。したがって非常に重要だと考えております。
 もちろん、生まれてまいった子供が若いうちに死ぬとかというようなことのないように、できてきた子供はもう全部健全に育つようにという、いわゆる妊娠前から、妊娠中から、生まれてきた後からの手当て、注意が必要でございます。したがって、そういった方面における厚生行政も進めてまいらなければなりませんので、本年もその方向に相当の国費を充てることにいたしました。しかしながら、出生率を上げていくということにつきましては、やはり児童手当というようなことも必要ではなかろうか。それからいま中絶があまりにむぞうさに行なわれているという点もあるのではなかろうか。その点も十分調査をいたしまして、優生保護法を守ってもらうというような施策も必要ではなかろうか、かように思いまして、妊娠中絶の実情調査の費用を数百万円本年度予算にとりまして、その実態も調べてみたい、そういうようなことも考えているわけでございます。
 とにかく、日本の人口がこれでいいのかということにつきまして、各界の皆さん方の御意見も伺い、そうして百年に悔いのないようにいたしたい。いま明治百年と言っておりますが、百年前には三千五百万であった人口が一億になりましたけれども、あと百年たったときに、それが半減はしますまいが、何千万というように減ってくるということでは、一体日本の産業を維持していけるのか。日本の労働問題としても、労働省にもここ十年後の労働対策をどうするかということを人口減少から非常に頭の痛い問題として検討してもらっているわけでありますので、ひとつ十分御批判をいただき、また、建設的な御意見を伺って、将来に悔いを残さないようにいたしたいと、かように考えております。
#65
○上林繁次郎君 すでにかつて昭和三十四年の「厚生白書」でございますが、これに福祉計画と人間の福祉のための投資、こういうことが載せられております。いろいろな角度から人間投資の問題については研究されてきておる。また、人口問題審議会においては、人口の量的調整に関する決議、あるいは人口資質向上に関する決議、いろいろこういうものがなされてきております。重要な、それらの決議がなされてきたわけでありますけれども、それからもうすでに十年たつわけです。その十年たった今日、それがどのように具体化し、実行されてきたか、これは私は問題ではないか、こう思うわけです。いま厚生大臣からいろいろお話がございました。そういったことまですでに実行されていなければならない。いま申し上げたように十年たっている。そういったことで、この具体化、実行化いとうことがどのようにされてきておるか、こういった点についてお尋ねしてみたいと思います。
 また、人間投資ということは、一朝一夕でこれはできる問題ではありません。これは私が申すまでもない。相当年月がかかる。いまも厚生大臣からお話がありましたけれども、いままでにすでに、この人口問題についてのあらゆる施策がなされてきていなければならない。いまのお話を聞いていると、今後こうやらなければならないということであって、いままでこうやってきたというこういう確たるお話はなかったわけでありますが、その辺のところをもう少しお話しをいただきたいと、こう思います。
#66
○国務大臣(斎藤昇君) 私の見ましたところでは、いわゆる人口問題という点から深く掘り下げた施策というものはほとんど放置されておった、こう言って、いいと思うのであります。もちろん、社会保障という観点から、あるいは母子福祉というような観点から、児童の減少を忠実に守っていこうということから、あるいは出産、あるいは乳児、幼児の保育という面につきましてはいままで施策を進めてまいっておりまして、それはいま申し上げるような観点からやっておったと、私はかように考えます。
 一つは、人口問題を口にし、出生率の少ないのを何とかしなければならぬじゃないかということはうすうす感じておっても、一般のあれとして、また戦前の生めよふやせよの政策になるのかと言われることがタブーであったかのような、そういう印象が私は一般に風潮としてあったと思うのであります。そこで、上林委員のいまおっしゃいますように、これを率直に世間に訴えて、そしてこれでいいのかということで進んでまいりませんと、なかなか進めにくい。
 児童手当の問題も、社会福祉の観点から私は言われておったと思います。世界各国の児童手当制度を調べてみますると、そのやり方はいろいろございますが、日本では児童手当制度がない。したがって、社会保障制度の一つの柱が欠けておるということがいままで言われております。それは福祉の面から主として言われておったのであって、そしてこれが人口問題ともある程度関係を持つものだというような発想というものはあまり行なわれていなかったと、私はずっといろいろ調べてみてさように考えます。私は、党にありましたときの感触もそういう感触でございました。各国の児童手当を調べてみますると、必ずしも社会福祉だけでなくて、その国の人口問題というものと関連をしてやった国も相当あるように見られます。それらの国は、一時減少傾向をみたけれども、今日は相当ふえてきている。一番近い適例はフランスであります。それから西独も、あるいはイギリスも、児童手当制度ができたときの人口、出生増加率がどのくらいであったか調べてくれといっていま調べてもらっておりますが、これらの国においても人口減少をたどった時期が前にあるわけでございますから、これは表面には出しておりませんが、表面に出ておるのはフランスが一般に言われておりますけれども、しかし日本もいまやそういうときではないだろうかと、かように思っております。
#67
○上林繁次郎君 問題はちょっとこまかくなりますが、乳児の死亡率がヨーロッパ水準並みに低下した、こういうふうにいわれておりますけれども、まだ妊産婦の死亡率は依然と高率を示しているわけです。その実態はどういうことなのか。また、そのような高率を示しているという原因についてお話を伺いたいと思います。また、さらに、乳児の死亡率は最近下がってはきた、だけれども逆に幼児については高率を示している、こういうような状況になっているわけであります。そういった点について、その原因等についてお話を承りたいと、このように考えます。
#68
○説明員(首尾木一君) お尋ねのいわゆる乳幼児死亡率の点でございますが、わが国の乳幼児死亡率といたしまして、一九六七年のもので、ちょっとこまかくなりますが、数字を少し申し上げてみたいと思います。男の場合がゼロ歳が一七・四――これはパーミルでございまして、千人に対して一七・四の死亡率でございます。女が一三・六。それから一歳の場合が二・〇と一・八パーミルでございます。二歳が男の場合が一・三、女が一・○というようなことでございます。こまかい数字がたくさんあるわけでございますが、そういう状況でございます。これに対しまして、ヨーロッパの中でも乳幼児死亡率が非常に少ない国といたしまして、スウェーデンの例をあげて申し上げますと、ゼロ歳の場合、男が一六・六、女が一二・九ということでございます。一歳が男が一・〇、女が〇・九、二歳の場合に男が〇・九、女が〇・六ということでございまして、わが国の場合、乳幼児死亡率というものは過去に比べますと非常によくなりまして半減をいたしてまいっておるわけでございますけれども、しかし、スウェーデンのこういった数字に比べますと、一歳で男の場合約二・〇と一・〇ということでございますから、倍程度のまだ死亡率になっておるということでございます。
 それから妊産婦死亡率の国際比較をちょっと数字を当たってみますと、これは一九六五年、昭和四十年の数字で申し上げてみますと、出生一〇万に対しまして、日本の場合が八六・四でございます。西ドイツが六九・四、ベルギーが三〇・八、フランスが三一・〇、それからイギリスが二五・五、スウェーデンが一三・八といったような数字になっております。わが国の場合、妊産婦死亡率がこれらの西欧諸国に比べましてかなり高いということが指摘されているところでございます。これらの原因は何かという点でございますけれども、これらの点につきましては、専門家が参っておりませんので、概括的なお話を申し上げてみますと、わが国の場合、妊産婦死亡率が高いということにつきましては、特に妊娠中毒症によるものが非常に多いということでございます。それから出血というものがその次に多いということでございまして、わが国の場合顕著でございますのは、妊娠中毒症が出生一〇万に対しまして三五・四というふうになっておりますが、これが西ドイツでは一五・四、その他の国では一〇を割るような数字になっております。それから出血について見ましても、日本の場合が一〇万に対して二四・六であるのに対しまして、他の国におきましてはいずれも一〇を割る低い数字になっておるわけでございます。そういうような点から考えますと、やはり妊娠中毒といったようなことについての問題点が多いということでございます。
 大体以上のようなことでございます。
#69
○上林繁次郎君 まあそれらについての対策等が大きな問題になってくるわけですけれども、そういった点についてもほんとうはお尋ねをしておきたいと思いますけれども、次に移りまして、本題に入ってまいりたいと思います。
 いずれにしましても、現在のままで行きますと縮小再生産となる。先ほどお話がありましたけれども、そういうようなことで、何とかしていかなければならない問題であります。これから問題になってくることは、出生の抑制ですね、これをどうしていくか。ただ呼びかけだけではそれが解消できるとは考えられない。大臣からもお話がありましたように、住宅事情であるとか、あるいはまた生活環境、子女の養育費の負担、また保育所の拡充、いろいろな問題が含まれていると思います。その中で、わが国においては、大臣がおっしゃったように、住宅問題にいたしましても、保育所の問題にいたしましても、環境整備の問題にいたしましても、一応どれだけかは手が打たれておる、しかしその中で欠けているのは児童手当である、このようにおっしゃっておりました。私もそのとおりであると思うわけであります。先日の衆議院の予算委員会のときに、わが党の伏木議員が大臣に質問をいたしました。そのときに、厚生大臣は、明年度から児童手当を実施していきたい、こういうような意向を披瀝しておったわけでありますけれども、これは間違いなく大臣のその考えで児童手当制度については今後進めていくお考えであるのか。また、考えだけでなくて、必ず昭和四十五年度においては児童手当制度を実現するという確信があるのかどうか、こういった点についてお伺いしたいと思います。
#70
○国務大臣(斎藤昇君) この国会に児童手当審議会をつくっていただくように提案をいたしているのでございます。児童手当懇談会を厚生大臣の相談機関として設けていただきまして、一応の検討はいただきましたけれども、これをさらに検討をいたしまして、そして厚生省の原案をつくり、児童手当審議会に諮問をいたしまして、私は少なくとも来年の国会には提案のできるようにいたしたい、かようにいま思っているわけであります。まだまだ党のほうも十分御相談が進んでいるわけではございませんが、しかし、児童手当が必要であるということにつきましては、総理も大蔵大臣も十分認識をしてもらっておりまするので、したがって、その内容さえできれば、もちろん国費の関係もございますが、来年度は出し得るだろうと、そういういま見通しを持っておりますので、最大の努力をいたしまして、来国会には提案のできるように処置したい、こう思って準備を進めておるわけでございます。
#71
○上林繁次郎君 よくわかりました。そういたしますと、児童手当審議会、これの設置の問題になってくると思いますけれども、まあ大臣がそういう考えで来年度を目途にこれを進めていきたい、こういうことでありますと、児童手当審議会をなぜこの段階でもってつくらなければならないのか。いままで児童手当懇談会でいろいろと審議が尽くされてきておる。また、そういったことで、大臣がそういうふうにおっしゃっているにもかかわらず、この審議会をつくるという意図、理由が私にはちょっと解せないわけです。その点についてひとつお話をいただきたいと思います。
#72
○国務大臣(斎藤昇君) 児童手当懇談会の御答申の中にも、児童手当審議会をつくって、そこでさらに十分検討する要があるという答申をいただいているわけであります。この答申自身の内容も、一応こういう方法でというのがあるわけでありますが、他の制度と関連するところも非常に多うございまするし、それから、やるならこういう方法が一番よかろうという方法、それではたしてやれるだろうかどうだろうかという疑問も私自身も持つわけであります。というのは、いわゆる保険と同じように、一般健康保険制度とそれから国民保険制度と二本立てのような答申をいただいております。しかし、その答申ではたしていいのかどうかという疑問を持ちます。いま医療保険の抜本改正をしなきゃならぬというときに入っておるわけでありますから、したがって、そうでなしに一本立てでいかないものだろうかという気持ちを私は切に持っております。したがって、これはやはり児童手当懇談会の御答申に基づいてその審議会にもう一ぺんはかるということが適当ではなかろうかと私は判断をいたしましたので、審議会制度の設置をお願いしたわけであります。
#73
○上林繁次郎君 その点はよくわかりました。そこで、やっぱり考え方の相違といいますか、今後これでいいかということでまあいろいろな点でもう一歩突っ込んで考えていき、審議もしていこうという、こういう意図らしいんですけれども、もしそうだとすれば、もう児童手当審議会、いわゆる厚生省の段階で考えていくという、そういう問題ではなくして、労使の関係だとか、そういう問題がからまってくるわけです。大臣の諮問機関である社会保障制度審議会、ここはもうあらゆる方たちが網羅されている。労使の関係、あるいは児童手当懇談会のメンバーもいる。いろいろな方たちが網羅されているので、いままでも児童手当懇談会においては勉強しておりまして、私もまあそのうちの一員でありますけれども、そういったことで、広い視野の上に立って児童手当の問題については考えていく問題ではないか、私はこう考えるわけです。そうなってきますと、そういう考え方が正しいんじゃないか。したがって、そうだとすれば、一時的に二年を目途にしてつくろうとする児童手当審議会は必要ないんじゃないか。で、厚生省設置法等の一部を改正する法律案ですね、この中に掲げられておりますように、まあそのためにではないかと思われるんですが、あらゆるそのほかの審議会がなくなっておる。こうなりますと、やっぱり問題点が出てくるんじゃないか。わずか一年か二年かの間の審議会をつくるために、それらのいままで既存の審議会をなくすという必要はないのじゃないか、それまでしてやる必要ないのじゃないか、十分社会保障制度審議会等で審議ができるんじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
#74
○国務大臣(斎藤昇君) 厚生省設置法の改正の中で他の審議会の統合廃止も同時にお願いをいたしておりますが、これは児童手当審議会を設けるために他方を整理をしたのではございません。これはそれぞれの理由があって、そのほうがよかろう、かように思って整理をいたしたわけであります。児童手当審議会は社会保障制度審議会もあるから要らぬじゃないかというお説も、これはごもっともだと思います。審議会ができますと、それだけ率直に申し上げまして手数がよけいかかるわけでありますから、社会保障制度審議会だけでいけば、そのほうがあるいはいいということもこれは考えられますが、しかし、一つにはやはり政府の児童手当制度に対する意味を示すという意味からも、児童手当審議会を設けて、そうしてそうした以上は政府が変わってもですよ、佐藤内閣が変わっても、もう政府としての姿勢が示されたということで進んでいくのじゃないだろうか。われわれ大臣も、あるいは総理も、みんな生き身でありますし、やりたいと思ったものが、何か変わった場合に、また流れるというようなことがあっちゃなりませんから、政府全体の姿勢という意味で、審議会を設けるということはそういう政治的な意味でいいのじゃないだろうかと考えておりま。
#75
○上林繁次郎君 ちょっと問題点がはずれますけれども、その他の審議会を廃統合するという問題それは児童手当審議会をつくるためではないんだ、こういうお話でありましたけれども、そうしますと、ここでちょっとお尋ねしておきたいんですけれども、たとえば薬剤師試験委員であるとか、あるいは栄養士管理栄養士試験委員とか、こういうような委員が、こういう制度といいますか、こういうものができるわけですが、これはどういうような内容を持ったものなんでしょうか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
#76
○国務大臣(斎藤昇君) ちょっとその薬剤師試験委員やなんかの点は私まだ詳しく専門的に聞いておりませんので、詳しい内容の御説明等を申し上げかねるのでありますが、試験委員はこれは存続をさして試験委員というものは置きますけれども、審議会というものは総括的なところの審議会にしたらよかろう、こういう考え方でございます。
#77
○上林繁次郎君 大臣がちょっとこのところがわからないということで、私もよくわからいなのでお尋ねしているわけなんですが、薬剤師試験審議会か、これがなくなるわけですね。で、残るのがこの薬剤師試験委員である。そうすると、なるほど審議会はなくなるけれども、委員は残る。その委員は何をやるか知りませんけれども、そうすると、審議会という形はなくなるけれども、やはりそれは必要であるからこういうものが残されるという感じを受けるけわなんです。その辺のところはどうでしょうか。
#78
○国務大臣(斎藤昇君) 審議会の委員はいま薬剤師その他と分かれているわけでありますが、それは一般の試験審議会というものに統括をいたしまして、方針はそこできめていただく。その方針に従って試験委員は試験をやっていただく、こういう関係になります。
#79
○上林繁次郎君 いずれにしても私はそういう感じがするんですが、私の意見としましては、意見じゃまずいかもしれませんが、いずれにしましても、児童手当審議会は、十分社会保障制度審議会において児童手当については審議することができる。先ほども申し上げたように、広い視野の上に立ってまたやるべき段階である。厚生省だけで考えていく問題ではない、こういうふうに強く考えるわけであります。したがって、この審議会は私から言わせれば、これはつくる必要がない。あくまでも社会保障制度審議会で審議していくべき問題である、こういうふうに強く申し上げておきたいわけであります。
 児童手当については以上でございますが、次に、先ほどから人口問題を取り上げてまいりましたけれども、人口の老齢化、こういった問題があるわけでございまして、老人対策は今後の日本の一つの大きな課題になってくるのは当然であります。今後のわが国の人口構造が老齢化してくる、いま申し上げたとおりでありますけれども、またその施策としては最もおくれている分野である、こう言えるわけであります。老人福祉の総合対策は、将来どのように考えておられるのか、こういった点についてひとつお話を伺いたいと思います。
#80
○国務大臣(斎藤昇君) 日本の人口の老齢化してまいります現況にかんがみまして、老人福祉問題は非常に大事な問題だというふうに考えております。しばしば言われておりまする老人に対するいわゆる医療を完全にやるために、本人負担をなくしてしまうというようなことなども問題になっているのでありますが、全部保険給付でいま直ちにやるかどうかという問題は、医療保険の抜本改正の際に一緒にして考えたいというのでこの際は見送りました。そのほか、寝たきり老人に対する問題、さらに施設に入ってもらうためのベッド数をふやすとか、あるいは家庭で寝ておられる老人に対して診断に回ってもらうように医師を派遣するとか、あるいは介護人を雇う場合の介護手当を出すとか、そういうふうな方法について今後の予算で若干新しく予算を組みまして、そうして寝たきり老人等に対して少しでも援護の手の届くように、かような方針でまいっているわけでございます。
#81
○上林繁次郎君 この老人問題はいろいろな施策を考えていかなきゃならないわけでありますけれども、重点施策の一つとしていままで掲げられてきました老人医療の公費負担という、こういう問題があるわけでありますが、昭和四十四年度の予算ではこれが落とされているわけです。いわゆる医療の抜本対策、これが、御承知のように、健保の特例法が時限立法で二年ということで成立したわけでございますけれども、それがまた今度二年延びる。そういうようなことで、それまでのつなぎとして老人医療という問題は考えられてきた。それが、昭和四十四年の段階でその老人に対する医療の公費負担というものが落とされておる。これは後退であるという以外にないので、この点でなぜ落とされたのかということですね、そういう理由についてひとつお話を伺いたいと思います
#82
○国務大臣(斎藤昇君) それは、ただいま申し上げましたように、医療保険の抜本改正の際に検討をしようということになったわけでございます。
#83
○上林繁次郎君 そうしますと、前厚生大臣の考えでは、抜本改正をやるまでのいま言ったようにつなぎとしてこういった老人医療の公費負担ということを掲げたわけなんです。それが今度また抜本対策をこれに含めていくのだ、こういう厚生大臣のお話でありますけれども、いつごろ抜本対策はまとめられるのか、こういった問題が一つの問題点となると思うのですけれども、こういった点についてはいかがですか。
#84
○国務大臣(斎藤昇君) 抜本改正は、実は、御承知のように、厚生省は一昨年の十一月に一応の試案をつくって発表いたしたわけでありますが、各界、各方面から、いろいろと、反対や、あるいは注文や御意見が殺到いたしてまいりました。そこで、まず党の意見もきめてもらわなければならぬというので、党の医療基本問題調査会で各方面の意見を聞いて、いま成案を得ようと努力をいたしてもらっているわけであります。私のほうも非常に急いでおりますが、間もなく案をまとめてもらえる、かように思います。厚生省も、これに関係をして案をまとめまして、そして来年度の通常国会にはぜひ成案を得て提案をいたしたい、御審議をいただきたい、かように思っております。それまでにまた各種の審議会がございますので、この国会の終わるまでには少なくとも審議会に諮問できるようにいたしたい、かような手順でいま考えている次第でございます。
#85
○上林繁次郎君 わかりました。そこで、老人の医療の公費負担は、いまの厚生大臣のお話によりますと、抜本改正に含めていくと、それも来年出したいと、こういうことで、今回昭和四十四年度の予算には載らなかったんだ、こういうお話です。そうしますと、これは反論というような形になるかもしれませんけれども、抜本対策がその実施が近いとするならば、社会保険審議会で審議中の健保特例法案はもとより、日雇健康保険法の一部改正案、従来からいわれているように、医療保険の抜本対策の中でこれは行なうべきじゃないか、こういう考えがするわけです。で、老人医療のほうはこうだと。こちらの日雇健康保険法の一部を改正して、これは保険料が高くなってくる。これは当然抜本対策の中で考えていくべき問題じゃないか、それまで待つべきじゃないか、こういうような考えがするわけですけれども、こういった点についてはいかがでしょうか。
#86
○国務大臣(斎藤昇君) 老人対策の問題といたしまして私はこの際今年度でぜひやりたいと思いましたのは、厚生年金の改正と同時に国民年金の改正もいたしたい、いわゆる二万円年金を実施いたしたい、これはまだ会計の再計算期といいますか、それに来ていないのでありますけれども、厚生年金とくつわを並べてやりたい。老人関係のほうの御意見を聞いてもそのほうを先にやってもらいたいという声もありましたので、二者択一というわけではありませんが、そのほうにまあ力を入れた結果、公費負担のほうはそれじゃ抜本対策のほうへ回そう、ざっくばらんに申し上げるとそういうことでございます。日雇保険の一部改正は、日雇保険の保険給付があまりにも低いものでありますから、この際、他のほうで出生手当金の増額と同様に、これは日雇保険にもやったほうがよかろう。その際に、同時に他の給付も高めますと同時に、保険料も上げるという措置をとったわけであります。
#87
○上林繁次郎君 私、厚生大臣のおっしゃることにはちょっと納得できないのであります。ということは、老人の年金の問題に力を入れたから医療のほうには力が入らなかった、こういうようなことでありますけれども、それと、日雇保険のほうはあまりにも率が低い、だからここでもって改正をしなければならぬ、こういうわけです。そうすると、日本の老人対策は非常におくれておる、これはもう御承知のとおりでありまして、現在のままでいいかと言えば、この医療の問題――いま医療の問題をお尋ねしているわけでありますけれども、決していまのままでいいというわけにはいかない。現実の問題として、日雇保険を考えるならば、当然老人の立場、その立場というものもあわせて考えていくべきではないか。年金の問題は将来の問題です。いますぐの問題ではない。やはり、医療の問題は、いま即座に老人に大きな影響を与える関係のある問題です。したがって、そういう立場から言うならば年金は年金として、また医療の問題は現実的ないますぐに間に合っていく問題としてこれは当然考えていくべき問題である、こういうふうに私は申し上げたいわけであります。抜本対策ということでその中に含めていくということですけれども、これはいま申し上げたとおりでありまして、切り離して来年度抜本対策が明らかになるということならば、当然日雇保険も、なるほど低いかもしれないけれども、それはその中に含めてやっていくべきだ、こういうふうに私は考えているわけであります。そういう私の考え方を一応述べさしていただいて、終わらしていただきたいと思うのですが、なお、わが党の老人対策に対する政策がございますが、ごらんをいただきましたでしょうか。これは老人の福祉等については十分に検討しましてここに掲げたわけでございまして、これらが一つ一つ実現されれば、どれほど老人に対する対策が充実してくるかということだけは間違いない、このように確信を持っておりますので、再三これをごらんになっていただきまして、これを生かしていく方向に努力をしていただくことを最後にお願いをいたしまして、終わりたいと思います。
#88
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にして、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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