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#1
第061回国会 社会労働委員会 第12号
昭和四十四年四月八日(火曜日)
   午後一時三十四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                上田  哲君
                小野  明君
                中村 英男君
                藤原 道子君
   委員以外の議員
       発  議  者  鈴木 一弘君
       発  議  者  多田 省吾君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生政務次官   粟山  秀君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省国立公園
       部長       広瀬 治郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○児童手当法案(鈴木一弘君外一名発議)
○社会保障基本法案(多田省吾君外一名発議)
○自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 児童手当法案(参第二号)を議題といたします。
 発議者から提案理由の説明を聴取いたします。鈴木一弘君。
#3
○委員以外の議員(鈴木一弘君) ただいま議題となりました児童手当法案につき提案者を代表いたしまして、提案理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。
 この児童手当法案は、国が児童について児童手当を支給することにより、児童の福祉を増進することを目的としております。
 児童の福祉を増進して、次代の社会をになう児童の心身ともに健全な成長を期することは両親の責任であるとともに、また社会の重大な責任であります。
 すなわち、児童の扶養義務は、まずその両親にあることは永久に変わりませんが、ますます複雑化する現代社会においては、ただ両親にまかせておいただけでは、児童福祉を完全に守っていくことは困難であります。
 ゆえに一九五九年の国連総会における「児童権利宣言」には、次のようにうたっています。
 すなわち、その第二条に「児童は、特別の保護を受け、また健全かつ正常な方法及び自由と尊厳の状態の下で、身体的、知能的、道徳的、精神的及び社会的に成長することができるための機会及び便益を、法律その他の手段によって与えられなければならない。
 この目的のために法律を制定するに当たっては、児童の最善の利益について、最高の考慮が払われなければならない」とあります。
 わが国においても一九五一年に児童憲章が制定され、その第一に「すべての児童は、心身ともに健やかに生まれ、育てられ、その生活を保障される」と定められているのであります。
 このような児童福祉の精神から、すでに児童に対して虐待の禁止、一定年齢以下の児童の就業禁止、義務教育の無償実施など多くの施策が講ぜられておりますが、さらに一歩前進して児童手当制度の実現こそわが国において緊急に要求される最も重要な政策であります。
 一九四七年(昭和二十二年)敗戦後の間もない時代に、すでに児童手当制度の創設が要望されていたにもかかわらず二十余年を経過した今日において、いまなお政府は調査や検討を続けているのみで、具体的な実施時期やその内容を明らかにしておりません。しかも政府が閣議決定をした昭和三十五年の「国民所得倍増計画」にも、昭和四十年の「中期経済計画」にも、昭和四十三年の「経済社会発展計画」にも、みな児童手当制度の早期実現を明らかにしておきながら、政府みずからこれを守ろうとしていないのであります。
 衆参両院の社会労働委員会においても、しばしば早期実現を与野党一致して決議しており、他方地方公共団体が現在すでに児童手当を条例により一県六市一村が実施しており、昭和四十四年以降、さらに全国的に三十数市――これはちょっと古いので、現在は四十幾つになっていると思いますが、に児童手当は実現しようとしている現状であります。国会に対する請願、陳情等による国民の創設を要望する声に至っては、枚挙にいとまがないのであります。さらに社会保障関係の各種審議会等においても、幾度かその実現を政府に対して要望してまいりました。
 公明党においては、昭和四十三年五月第五十八回国会に児童手当法案を提出して、その早期成立を強く要請してきました。しかるに政府は、その後も児童手当懇談会の結論を待つといっているのみで具体案の発表もなく、昨年末には懇談会の結論が出たにもかかわらず。ついに本制度の実現に踏み切らず、昭和四十四年度予算案には、わずかに厚生省設置法の一部改正によって臨時の児童手当審議会を二カ年間設置するにとどまったことは、児童手当の創設を引き延ばす以外の何ものでもありません。
 そもそも、児童手当制度の基本理念としては、いろいろの考え方がありますが、今日のわが国の現状において、この制度の実現が社会保障制度の充実に大きく貢献することを見のがすわけにはいきません。ILO第一〇二号条約は社会保障の対象として疾病、出産、失業、老齢、業務傷害、多子、廃疾遺族をあげておりますが、多子を除くすべての項目は厚い薄いの相違はあるにしても一応わが国においてその制度が確立しております。しかして、多子家庭の貧困化を防ぐことのみがわが国ではいまだに実現しておりません。
 わが国の社会保障が救貧から一歩を進めて防貧政策を立てるべきときであると、われわれは考えるのであります。児童手当は、児童の福祉の増進という広い目的のために支給されるのでありますが、結果としては、その他の効果と共に多子貧困の問題について、防貧をももたらすものであることは、あらためて言うをまたないところであります。
 わが公明党においては、党結成いらい社会保障政策に最も力を入れてまいりましたが、以上の理由から昭和四十四年度には必ずこの制度が実現すべきであると考えて、ここに児童手当法案を再提出する次第であります。
 以下その内容の概要を御説明いたします。
 第一に国が児童手当を支給することにより児童の福祉の増進をはかることを目的とすることといたしました。
 第二に、この法律において「児童」とは義務教育終了前の者をいうことといたしました。
 第三に、手当は児童一人につき月三千円を、その児童を監護養育している者に支給することにいたしました。したがって、第一子以降の児童に支給することとなります。
 第四に、高額の所得がある場合につきましては、支給制限を行なうこととし、さしあたり、昭和四十三年の年収が標準五人世帯で百三十万円以上の家庭には支給を制限することといたしました。
 なお、この年収百三十万円は、公明党が昭和四十四年度予算に対し、所得税の課税されるべきでない家庭の児童につきあまねく支給しようとするものであります。
 第五に、財源はすべて国の一般財源から支出することといたしました。
 第六に、付則において、将来は経済成長と生活水準の向上に伴い三千円を引き上げて児童福祉の充実を期するとともに、所得による支給制限を撤廃し、全児童に対し平等にその福祉を保障するように規定いたしました。
 法案の内容の概要は以上でありますが、次にこの児童手当の実施に当り、すみやかに改めるべき関連のある諸制度について申し上げます。
 児童福祉法では健全育成対策を推進し、また保育に欠ける乳幼児に対しては無料で保育所に入所せしめることとし、保育施設の拡充をはかる必要があります。
 また、生活保護費、母子福祉年金、児童扶養手当は、それぞれの目的をもって実施されている制度ゆえ、併給することといたしました。また、特別児童扶養手当は介護手当の性格に改め、金額を引き上げ、所得制限を緩和して併給するようにいたしたいと考えます。また、母子保健法の栄養の摂取に関する援助の規定を強化するとともに、新たに出産給付金を創設することにしました。また、各種公的年金の扶養加算や所得税の扶養控除は大幅に減免し、現行の税制を根本的に検討する必要があると考えます。また、優生保護法の経済的理由による人工妊娠中絶は将来削除することが望ましいのであります。さらに、児童手当制度とともに、完全雇用と公正な最賃金制度を確立し、いやしくも児童手当の創設が実質賃金の切り下げや労働強化の口実とされないよう政府は責任をもって福祉国家の実現に努力すべきであると考えます。また、義務教育の無償すら完全に実現していない現状にかんがみ、父兄負担の教育費を軽減するために文教政策を全からしめるようにつとめるべきものと考えております。
 最後に、この法案の実施に伴い国家財政の大きな負担になる点について申し上げます。
 わが国の社会保障関係の予算額は、欧米先進国に比してきわめて低額であることから考えますれば、社会保障関係の予算額が増加することは、いわば当然のことであります。
 一方、公明党からは近く社会保障基本法案を提出して、その成立を期することになっておりますが、この基本法の成立によって、国は所要の財源を十分に確保できることといたしております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますことを心よりお願い申し上げます。
#4
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、社会保障基本法案(参第四号)を議題といたします。
 発議者から提案理由の説明を聴取いたします。多田省吾君。
#6
○委員以外の議員(多田省吾君) ただいま議題となりました社会保障基本法案について提案理由並びに内容の概要を申し上げます。
 わが国の経済成長は年々増加の傾向をたどり、国民総生産ではついに世界第二位に成長し、本年も一〇%を大きく上回っていることは御承知のとおりであります。
 日本経済は表面的には大型になり繁栄する経済社会を現出してきているが、しかし他面一人当たりの年間国民所得は第二十一位という状態にあり、この大きな格差は歴代自民党内閣の責任であり、政治の貧困を如実に物語っているといえるのであります。
 さらに、社会保障の問題については、昭和三十七年八月の総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会は「社会保障制度の総合調整に関する基本方策についての答申および推進に関する勧告」を提出して昭和四十五年(一九七〇年)におけるわが国の社会保障が昭和三十六年当時(一九六一年)の西欧諸国の水準に追いつくよう要望したのであります。
 今日の段階において、その後の実績を見ると、社会保障制度審議会が昭和四十三年十二月二十三日の申し入れ書の中で「昭和四十年までは若干の進展があったがその後は停滞気味であり現在では人口一人当り水準でいえば目標のほぼ三分の一、国民所得に対する比率でいえば目標の二分の一にしか到達していない。すなわち、わが国の社会保障は表面的には大いに進んだ形になったがその実質はむしろ後退ぎみといわねばならない」と述べております。政府の経済社会発展計画によれば、昭和四十六年には振替所得を二%引き上げ七・七%程度に到達せしむるということであります。
 ちなみに、昭和三十六年当時の西欧諸国に到達するためには四十五年度までに一〇%以上の振替所得の上昇が必要であります。
 社会保障の国際比較を見ますと、西ドイツでは二〇・〇%、フランスで一九・三%、イタリアでは一六・四%と、主要諸国ではすでに二〇%台に達しているのであります。したがってこれでは先進国との格差はますます拡大の方向にあるといわねばなりません。わが党の主張する目標の一五%はこれを下回ってはならない最低の基準であります。
 経済社会発展計画の実績は、昭和四十一年度、四十二年度ともそれぞれ五・五%、昭和四十三年度四十四年度もほぼ同水準と見込まれ、ほとんど横ばいの状況にあります。今となっては二%の引き上げすらほとんど不可能といわなければなりません。
 このようにわが国の社会保障の渋滞あるいは後進性というものは種々要因がありますが、第一に指摘できることはいまだ社会保障の定義が明確でない、ということであります。
 政府部内においてもまた学者間においても異説のあるところであります。定義があいまいであるということでは有効な施策は期待できないのであります。
 わが党は、この機会に社会保障に関する施策を次のように主張するものであります。
 すなわち一には国民の疾病、負傷、出産、老齢等の事故に対し充実した経済的保障をすること。第二に生活困窮者に対する生活の確保。第三に児童、老人心身障害者等の援護。第四に医療及び公衆衛生の向上増進であります。
 次に、わが国において欠けているものは、社会保障計画の樹立であります。わが国にはそのビジョンがいまだかって明らかにされたことがありません。これは全く政府の怠慢というほかはございません。
 経済審議会も四十二年二月の「経済社会発展計画」の中で「わが国の経済社会の実態とその将来の進路に即した適切な社会保障長期計画を策定し、これにもとづく体系的整備を行なうことが不可欠である」と述べているのであります。人間性尊重の上に立って福祉国家の繁栄と発展を遂げるためにも当然長期展望を示すことが重要課題であります。
 目標がなく対症療法的施策に終始するならば、わが国の社会保障水準はいつまでも低迷を続けるでありましょう。
 さらに、わが国の社会保障の欠陥は、戦後において著しい進展を遂げたのでありますが、その発展の推移は、百花瞭乱のごとく乱立と分裂の歴史であり、制度に一貫性、総合性を欠いていることであります。そのためいまだに不均衡で実効ある施策が確立されておらない状況にあります。
 また、社会保障費は年々増大しているとはいうものの昭和四十四年度の予算ではその伸びはわずかに一六・一%となっており、これは当然増が大半で、先進国並みの水準にする努力は全く見られません。社会保障費は最優先的に確保し早急に拡充強化する必要があります。
 また、われわれが特に指摘すべきことは、わが国の社会保障制度の中で欠けている唯一のものは児童手当制度であります。すでに世界六十二カ国が実施しており、ILO加盟国中先進工業国で実現していないのはひとりわが国のみであります。昭和四十一年以来歴代厚相はその実現を言明しながら昭和四十四年度に至るもその公約は果されていません。これはまさに政府の無責任、無能を明白に示すものであります。また社会保障制度審議会の答申勧告が尊重されておりません。
 社会保障制度審議会が発足してから二十年を迎えますが、その間昭和二十五年度に社会保障制度に関する勧告をはじめとし多数の答申勧告が提出されているが、一部においては実施され大部分は軽視されて顧みられていない状況にあります。
 したがって、社会保障制度審議会の権限を名実ともに高めるため改組する必要があります。
 さらに、社会保障の国際的見地に立って見るとき、ILO第一〇二号条約、すなわち社会保障制度の最低基準の条約はすでに一九五二年に決定されておりますが、わが国はすでに批准のできる最低条件を十分満たしておりながらいまだに批准をいたしておりません。さらに一昨年第五十一回ILO総会で決議された第一二八号条約、すなわち障害、老齢及び遺族給付に関する条約についてもこれも早急に批准すべきであります。いまにして以上の障害を克服しなければ悔いを千載に残すことになるでありましょう。
 平和国家、福祉国家の建設はわが国の国民的な終局の願望であります。そしてその進歩の指標は具体的には社会保障の整備統合、発達をおいてないのであります。
 以上が本法案の提出の理由であります。
 次に本法案の大要について申し上げます。
 第一には、社会保障に関する施策であります。さきの提案理由の中で述べた社会保障の定義を具現化したものであります。
 第二には、国及び地方公共団体の責務を明らかにいたしました。
 第三には、年次報告及び社会保障整備五箇年計画の作成公表についてであります。政府が社会保障に関して講じた施策について国会に対し報告することとし、また社会保障整備五カ年計画の作成と公表を義務づけることとしました。
 第四には、社会保障番号についてであります。すべての国民について社会保障の記録を行うため個人ごとに社会保障番号及び社会保障手帳の交付を行なうこととしました。
 第五には、社会保障制度審議会の設置についてであります。設置される社会保障制度審議会の権限を強化し、勧告についてはこれを尊重することといたしました。
 第六には、社会保障費の優先確保についてであります。国の予算編成に当っては社会保障の予算を優先確保するため条文の上に明記しました。
 第七は、特別会計の設置であります。社会保険の収入及び支出は特別会計とすることとしました。
 第八は、専門職員の養成確保であります。国及び地方公共団体が社会福祉、医療及び公衆衛生等に関する専門の知識及び技能を有する職員の養成確保を行なうことを明記いたしました。
 第九は、社会保障省の設置であります。社会保障の施策を総合的かつ計画的に遂行するための行政機関として、社会保障省を設置することにしました。
 第十は、関連施策として最低賃金制雇用の安定、住宅、建設及び税制の改善等国民生活安定諸施策を推進することを明記しました。
 以上が本案の骨子であります。
 何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、自然公園法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#9
○小野明君 大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 この自然公園法の問題につきましては、昨年の四月に、「自然公園制度の基本的方策に関する答申」というのが出ておりまして、これにほとんどの問題が網羅をされているようであります。そこで、いまこの自然公園制度というのが持っております問題というのは、一つは、過剰利用現象に対しましてどう対処するかという問題。いま一つは、産業開発、国土開発、こういうものが進む中で、自然の保護というものをどう調整をし進めていくかという問題のようであります。この過剰利用現象の問題でありますが、これによりますと、国立公園の利用の状況というのは、最近の五カ年間で一・六倍で、二億からの国民が利用するようになっている。さらに、国定公園になりますというと、一・八倍、一億二千万からの国民が利用いたしておるようであります。非常に都市開発等が進む中で、屋外レクリエーションその他で、こういった自然を愛するという風潮が国民の間にみなぎりつつあるというのは、非常に重要な一つの現象であろうかと思います。
 そこで、この過剰利用に対処いたします方針といいますか、これをどのように厚生省としては見られておるのか、あるいはこの対策を考えておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#10
○国務大臣(斎藤昇君) 小野さんのおっしゃいますように、今日自然公園を利用する人が非常にふえてまいりました。過剰利用とまで言われるくらいに相なりましたことは、一面非常に喜ぶべきことだと存じますが、しかし一面、十分に利用をしきれないということだと考えます。現在ある自然公園それ自身も、まだ公園内の施設が不十分であるために十分利用されないという点が一つあると思いまするし、また、いま一つは、いまの自然公園では足りない、もっと自然公園を増すべきである、ことに都市周辺に利用のできる自然公園的なものがあれば、そういうものを利用の範囲に織り込めるようにすべきだと、こういうように答申にもいわれておりますし、私もさように考えております。したがって、現在の自然公園内の利用をもっと効率的に高めますためには、公園内の自然歩道あるいは自然研究のための歩道というようなものをもっと増しますとか、あるいは利用度を増しますために、自動車の駐車場を増しますとか、そういったような施設をもっと増してまいらなければならぬと思います。本年も予算は若干伸びましたけれども、まだ十分と思っておりません。今後その面に十分力を入れてまいりたいと思います。また新しく自然公園、自然公園的なものをふやしてまいるということにつきましても、いま各地方から要望がございます。その要望におこたえいたしますとともに、積極的に推進をしてまいりたいと、かように思うわけでございます。
#11
○小野明君 そうしますと、この過剰利用に対処いたします方向というのは、一つは、国立公園や、国定公園を今後ともふやしてまいるという問題、いま一つは、現在の公園の中にあります施設の整備というものが非常に不十分ではないかということで、こういう方面にも力を注いでまいる、このように承ってよろしいわけですか。
#12
○国務大臣(斎藤昇君) そのとおりでございます。
#13
○小野明君 次に非常にむずかしい問題でありますが、産業開発、国土開発、これが非常に叫ばれておるし、まあ現実に進行をいたしておる。東京、名古屋、大阪へ二十年後には七〇%の国民が集中をしていくというような予想も、この答申には出ておるようであります。こういった問題を考え合わせますと、結局自然が破壊をされていくということになると思うわけであります。それと、そういった国土開発と自然保護との調整といいますか、こういうことになりますと、かなりむずかしい問題が生じてまいるのではないか。たとえばこれは文化財を保護する行政と、それからこの国土開発とが非常に深刻な問題を各地に巻き起こしておるのでありますが、それと同様の問題がこの自然公園制度におきましても、これから大きく問題としてあげられてくるだろうと思う。その辺の基本的なかまえ方といいますか、調整はきわめて今後問題になってくるだろうと思います。その辺についてのお考えをお聞かせを願いたいと思います。
#14
○国務大臣(斎藤昇君) ただいままでは、御承知のとおり、この自然公園の地域は、風景のすぐれた、また保存度によりまして特別保護地区と、それから特別地域と、それから普通地域というように三種に分けているのでございます。したがいまして、特別保護地区と特別地域は、できるだけこのまま保存をいたしたい、普通地域も保存をいたしたいのでありますけれども、しかし産業開発との調和もはからなければなりませんから、そこはその調和をはかりながら見合ってまいりたい、こういう方針でおるのでありまして、いまのところ、さように考えているわけでございます。
#15
○小野明君 この問題とさらに関係がありますけれども、国立公園の管理というものをどう強化していくのかということにも問題があるように思うのであります。この自然保護あるいは自然公園制度を強化してまいる中で、いま一つの問題というのは、行政機構が非常に複雑化しておるということがあると思います。たとえば運輸省では観光をやる、文部省では文化財である、あるいは建設省では道路、河川、農林省では林業、鳥獣保護、通産省では鉱山、電源開発、こういうふうにそれぞれ機構が分かれておる。ここに一つ問題があると思うのですが、厚生省が、自然保護という観点において、あるいは国民の利用を増していこう、その利用に応じていこう、そうした場合に、非常に機構が複雑多岐にわたっておりますから困難が生じてまいるのではないか、こう考えられるわけであります。この辺の行政機構が分化しておるものをどう総合的に調整し、行政が一元化されていくかというところが次の問題であろうかと思うのです。これはなかなかむずかしい問題ですけれども、大臣のお考えをいただきたいと思います。
#16
○国務大臣(斎藤昇君) 小野さんのおっしゃいますように、これはまことにむずかしい問題だと思います。しょっちゅういわれておりますことですが、観光行政を一元化せいという議論がございます。しかし、これもなかなか容易にまとめにくいというのが今日の現状であります。私らのほうの自然公園という立場から申しますると、ただ今日の観光産業というような見方だけではちょっと割り切れないところがありますので、したがって、観光ということは、必ずしもお金もうけというだけではないと思いますけれども、それに陥りやすいというので、その点は相当に戒めている現状であります。したがいまして、道路については建設省、特定の古跡の保存というような面になると文部省、またホテルとかなんとかいう面になると運輸省、また交通という面から運輸省というような関係もありまして、それで運輸省の中でそういった連絡調整をとり、運輸省を中心にしていまやっておりますが、関係各省の持っている目的と衝突するような場合には、できだるけその間の調節をして、一致をさせて、一緒になって推進をしていくということをただいまやっておるわけであります。これはいろいろ行政管理庁が中心になって検討をしてもらっておるわけでありますけれども、ただいまの段階では、連絡調整を密にしてやっていくというのが今日の現状でございます。
 私のほうも、特に進んで観光行政の一元化を厚生省を中心にしてやっていくという考え方は、ただいまのところ持っておりません。
#17
○小野明君 大臣、今度、海中公園というものが新たに設けられようとしておるわけですが、これは非常に私はけっこうなことだと思います。ところが、産業開発、経済の発展という問題と、自然を保護するという問題を並べてみました場合には、どうしてもやはり産業開発という面にウエートが置かれてくる。これは自然保護という考え方が早くから出てこなければならなかったのでしょうが、非常に国土が破壊をされてくる、美しい自然が破壊をされてくるという現在になって、やっと自然保護をしなければならぬというような考え方が出てきたと思うのです。いわば立ちおくれの感があるのであります。そういった意味で言いますというと、この海中公園というのはいい考え方ではないかと思うのですが、これも結局、海中利用というような声が起きて、だんだん問題も出てきておるのでありますが、海中の開発、産業開発ということになりますというと、この問題に押されてしまってくるきらいもあるのではないかと考えられるのでありますが、これは先ほど質問を申し上げました自然保護との調整という問題でもあるわけですが、その辺の行政というのは、かなり強力にやりませんというと押されてしまうということになります。その辺のお考え方を再度ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#18
○国務大臣(斎藤昇君) 全く同意見でございまして、ともすると、再開発ということに押されがちであったり、あるいはおくれがちというよりは、ことに海中面についてはほったらかしてあったというのが今日の現状でございます。おそきに失すると、かように思っておるくらいでございます。
 私から申し上げるまでもなく、今日公害と戦いながらどうして国民のしあわせをかちとっていくかというのが大きな課題になってまいります。今後ますますそういうことになるだろうと思います。公害はただ陸上だけでなしに、海のほうにも及んでまいります。また、自然の風景を惜しげもなくぶちこわしていくという風潮も今後ふえてくるだろうと思います。したがいまして、海中の自然の環境を保護いたしますためには、消極的でなしに、積極的に海が汚水によって汚濁をされないように、必要なところは早く指定をいたしまして保存をし、一方、産業開発によって国民の健康がむしばまれるということに対処をするために、さらに一そう推進をしてまいらなければならない、かように思いますので、同意見でございます。
#19
○小野明君 次に、公園部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 いまの自然公園の体系に国立公園、国定公園、都道府県立公園、こういった三段階が設けられておるのでありますが、これが設けられた意義といいますか、その差異について御説明をいただきたいと思います。
#20
○説明員(広瀬治郎君) ただいまお話の国立公園、国定公園、都道府県立公園、この三つを総称いたしまして自然公園と呼んでおるわけでございますが、この三つとも自然公園法に書いてありますように、目的は、すぐれた自然の風景地を保護し、また同時にその利用の増進をはかりまして、国民の保健、休養に資することが目的でございます。しかしながら、この風景、景観の程度なり、規模もそれぞれ違うという点に着目いたしまして、わが国の風景を代表するに足りる一番傑出した自然の風景地を国立公園とし、それからこれに準ずるすぐれた自然の風景地を国定公園とし、それから、それ以下ではございますけれども、一般的にすぐれた風景地を都道府県立自然公園というふうにしているわけでございます。これは風景から見た要素でございます。
 制度的に見ますと、国立公園は厚生大臣が直接に指定いたしまして、また直接管理しております。国定公園は都道府県の申し出によりまして、厚生大臣が指定し、管理は都道府県が行なっております。また都道府県立自然公園は都道府県みずからが指定して、みずから管理する、そのような制度的な相違もあるわけでございます。
#21
○小野明君 この答申によりますと、「自然保存地区」という考え方が出されております。これは産業経済活動を極端に制限をしていくという考え方であります。それと同時に地域制、地域別の公園といいますか、こういう制度も打ち出されておるのでありますが、この二つの問題について実現できるのかどうか、この見通しをお聞かせいただきたいと思います。
#22
○説明員(広瀬治郎君) 国立公園の制度は、その所有権あるいは管理権につきましては国によって違いますが、たとえばアメリカの国立公園でございますと、国みずからがその土地を所有して、みずから管理しております。ところが、日本の国立公園は、土地の所有権者のいかんを問わず、ただいま申しましたように、非常に景色のいいところは国立公園に指定をして、いろいろの規制をして自然を守るということになっております。このような制度を私どもは地域制の公園と呼んでおるわけでございます。このような状況でありますので、ただいま大臣に対する御質問にありましたように、自然の保護と、それからこれは自分の土地であるから自分で開発をしたいという、開発との調整の問題が絶えず起こるわけでございます。ともすれば、開発が優先しまして、自然の保護が十分に行なわれないといううらみがあるわけでございます。この点につきまして、答申では「自然保存地区」というものを設けて、ここはもう一切開発をしないという制度をつくるべきであるという勧告がなされておるわけでございます。私どもは、この答申の御趣旨のように、ぜひ自然の景観のすぐれたところを「自然保存地区」として指定して、一切の開発を排斥したいと考えておるわけでございますが、その土地が民有地である場合には、なかなか現実には思うようにまいらないわけでございまして、そこで、まずこの「自然保存地区」を実現するためには、少なくともその土地を国なり県が取得し、これを管理することが先決問題であろうと考えております。そのためにごくわずかな予算ではございますが、民有地の買い上げの予算が五千万円ございまして、県がこのような土地を買う場合に、国が二分の一を補助をするということになっております。わずかではございますが、毎年少しずつ必要なところを買っておるわけでございます。このように所有権が国なり、県に移りますと、この答申のような「自然保存地区」というものが実現できるのだと考えておりまして、この制度の実現のためには、まず所有権を獲得することに最大の努力をしたい、そういうふうに考えております。
#23
○小野明君 その土地の買い上げという問題ですが、いま御説明のように、二分の一補助で五千万円の予算が組んである。五千万円で、どれだけ買えるかというと、国と県で半分ずつですから、一億ですね。それだけではとても自然保護といいますか、特に言われるような、産業開発を押えて確保できる「自然保存地区」の量はどれだけかといいますと、きわめてわずかなものにしかならぬわけですね。ですから、国の姿勢というものもこの辺の予算のつけ方を見るとわかるわけですよね。古都保存――奈良の場合でありますが、この古都保存の場合は五分の四である。近郊緑地の場合は三分の二である。しかも個人の民有地を買い上げた場合には、税制の上においても多少の考慮があるように承知をいたしておるのであります。ところが、この自然保護の場合は二分の一であるし、税制の面での考慮もない。こうなりますと、結局非常に熱意が薄いといいますか、緒についたばかりといいますか、いいことばで言えば。そういったことしかうかがえない。やはり強力に自然保護に踏み切るとすれば、国の直接買い上げ、こういう方向しか私はないと思うのであります。そこでそういった、現在は二分の一程度の補助しかない、これをどう打開していくか。国がこの自然保護のためにどう熱意を示していくかということは、結局金の面でうかがわれるわけですが、その辺の熱意のほどを伺いたいと思います。
#24
○説明員(広瀬治郎君) ただいま先生から御指摘のように、この土地買い上げの費用は、この答申の前に中間答申が出ましたが、これをきっかけにいたしまして、いま申しましたわずか五千万円、二分の一補助というのが実現したわけでございまして、やっと本年度で三年目でございます。しかし、いま御指摘のように、これだけの補助率、これだけの金額では、とうてい私どもの考えております必要な土地を買い上げることができませんので、私どもといたしましては、国立公園につきましては国が全額持って必要なところを買い上げる。それから国定公園につきましては、県が買うことにいたしまして、補助率をさらに高めて十分な補助金制度をつくりたいというふうに念願しております。今後その実現にできるだけ努力をしたいというふうに考えております。
#25
○小野明君 そういった買い上げの予算の問題にしましても、その程度しかない。しかも、私どもがこの国立公園、国定公園に参りますというと、遊びに行くというと、行楽日はごみの山である。そういうことから、この答申にも「自然保護憲章」というようなものにまで進んではどうかということも書いてあるのであります。さらに国の職員の数を見ましても、国立公園が二十三あって、国の職員は五十五人である。都道府県に委託をしております職員が十一人、これを入れますというと、一人が三万ヘクタールを受け持つことになるようであります。買い上げの予算にしてもそうである。国のこの自然公園を保全をするための、管理をするための職員の数もきわめてお茶を濁す程度にしか考えられていない。まあおたくの場合も一局削減で切り落とされたようですが、この職員のことを言ったほうが一番早いのですが、いかに熱意がないかということが、この職員の数の面からもうかがわれるわけであります。これはまあ大臣にお尋ねをしたほうがいいことかもしれませんが、部長の考えを承りたいと思います。
#26
○説明員(広瀬治郎君) この職員の点につきましても、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、私ども国立公園行政に携わっておる者としては、これだけのわずかの人数でこの広い国立公園の管理を十分にするということは、とうてい不可能でございます。私どもも外国の制度等をいろいろ調べて比較しておるわけでございますが、たとえば、アメリカに比しましても、十分の一程度の人数しかいないわけでございまして、この増員の点につきましても毎年増員要求をしておるわけでございますが、なかなか認められないというのが実情でございます。いずれにいたしましても、今後この国立公園行政、自然保護という仕事が非常に重要になってきますので、さらにこの点につきましても、今後とも一そうの努力をして、ぜひとも増員の実現をはかりたいと考えております。
#27
○小野明君 大臣が行かれるようですが、いまの問題についても、具体的な数字によってこの問題の熱意というのがうかがわれるのでありまして、大臣も今後この問題に積極的に取り組んでいただきたいと思うのでありますが、お考えをいただきたいと思います。
#28
○国務大臣(斎藤昇君) 土地の購入の問題、それから管理職員の問題、まことにごもっともに存じます。いままで自然公園は、むしろ地域の指定に重点を置いておりましたが、先ほども申しますように、さらに推し進めなければなりませんが、今後はその管理という点にも十分重点を置きまして、土地の買い上げやあるいは管理職員、それからまたこれに協力してくださる協力体制の拡充ということに十分意を注いでまいらなければならぬと思います。これは産業公害問題と同じように、いままではどちらかというと、あまり重要視されなかった。一部では非常に重要視され、強調されておりましたけれども、国民の全体の世論としてというところにまでなり切らなかったと思うのでありますが、今後さらにそういった方面の皆さん方の御協力を得まして推進を期してまいりたいと、かように思います。
#29
○小野明君 部長に重ねてお尋ねをいたしますが、この答申によりますというと、公園計画の再検討をやってはどうかと、こういうことがあがっておるのであります。そこで、一体どういう個所についていま再検討を始められておるのか。その構想について具体的に説明いただきたいと思います。
#30
○説明員(広瀬治郎君) この答申には、御指摘のとおり、最近の社会経済情勢の変化に対応して国立公園の再検討をするように書いてあるわけでございます。それで、最近のこの情勢の変化というものをまとめてみますと、一つは、国民のレクリエーション需要というものが非常に増大したということが一点だと思います。それから、第二点は産業開発が非常に進んできた。その産業開発と自然公園との調整をはかるという問題があるわけでございます。それからまた、産業開発に対応して自然保護を強化しなければならないという問題もあると思っております。
 私どもは、このような観点から、いろいろ公園計画の再検討を行なっておるわけでございますが、最初のレクリエーション需要の増大の対応策といたしましては、ただいま大臣から申しましたように、四十二年以来、十カ所の国定公園を新規に指定して、できるだけレクリエーションの場を広げたいということをしてまいったわけでございます。それから、ただいま御審議していただいております海中公園制度も、海中景観の保護をはかると同時に、また国民のレクリエーションの場としてもふさわしいところになるものと考えております。それから、第二のこの自然保護と開発との問題でございますが、具体的に申しますと、たとえば六甲山、これは瀬戸内海国立公園に入っております。六甲山とか、箱根のように、非常に都会に近いところで国立公園がございますが、最近だんだん開発が進み、特に宅地造成が進んでまいりまして、公園の中が住宅地になっているところも一部ありまして、もはや国立公園と称するには適当でないところがございます。それから、六甲とか、箱根の一部等につきましては、もはや国立公園というよりも、むしろ国民の住宅のために土地を開放したほうが適当であろうと考えられるところも若干あるわけでございます。そういうところはひとつ国立公園の区域からはずしまして、むしろ住宅等に利用してもらったほうがいいのではないかと考えております。また、一方同じこの六甲、箱根でございましても、山の中の部分的には非常に景観のよいところがございますが、このまま放置すれば、さらにそういうところまで開発されるおそれのあるところもございますので、そういうところはむしろ保護を強めまして、従来の特別地域を特別保護地区に格上げをして、保護を強化する。そういうふうにいたしまして、公園の区域からはずしたりあるいは公園の区域の中の保護計画を強化したりいたしまして、開発との調整をはかろうということで、具体的に案をつくりまして、関係県と目下意見の調整をしているわけでございます。そのほか具体的な場所といたしまして伊勢志摩等につきましても、さらに国立公園の区域を拡張してほしいという要望がありますが、そういう区域の拡張と同時に現在伊勢志摩国立公園の中には伊勢市の市街地そのものが公園の区画に入っているところもありますので、そういう市街地は除外する。そういうようなことを検討しておりまして、できるだけ現代社会に即応したような公園計画に持っていきたい。そういうふうに考えております。
#31
○小野明君 もう箱根や六甲は手がつかんから住宅地で開放したらどうか、この中でいま残っておるいいところだけを指定していこうというお考えですけれども、それもまあ現実的な考え方かもしれません。しかし、そうなりますと、次から次に住宅地として開発されてきてしまうわけですよ。ですから長期に、しかも強い決意でもって考えなければだめなんだ。そういうことでありませんと、やられてしまうわけです、全部。この公園計画の再検討というのは、そう長くかかるものではいけない、保存法でぴしっとここだけはもうだめなんだ、こういうことで強力にやってもらわんとだめだと思うのです。その辺を再度ひとつ説明いただきたいと思います。
#32
○説明員(広瀬治郎君) ちょっと私の言い方があまりうまくなかったかもしれませんが、ただいま六甲、箱根のお話をしましたが、もうすでに市街、温泉街になっているとか、住宅地になっておるごく一部のところにつきましては、もうやむを得ず、はずさざるを得ないだろうと考えておりますが、なお残った大事な自然のあるところは、むしろ保護を強化して、そこはできるだけ開発を許さないという、むしろ保護を強化する方向で再検討を進めていきたい。そういうふうに考えております。
#33
○小野明君 次にこの厚生年金、国民年金の還元融資によります特別地方債、この対象には国民宿舎と国民保養センターだけしかなっていない。そうしますと、この公園内には国道を新たに整備をしなければならぬでしょうし、あるいは駐車場も要るし、あるいは休憩所も要る、公衆便所もこれはもう必ず要るものなんですが、そういった必要なものについて、やはり整備をしてもらわなければならぬのですが、これらがやはり地方債の指定の対象に一体できないものかどうか。そういう働きかけは強力にやっておられるかどうか、お尋ねをいたします。
#34
○説明員(広瀬治郎君) この還元融資特別地方債の問題につきましては、ただいま先生から御指摘のとおり、国立公園関係では、現在国民宿舎と保養センターだけしか対象になっておりません。私どもといたしましては、先ほどもお話しがありましたように、公園の利用施設を急速に整備する必要があるわけでございまして、なかなか国の一般的な補助金だけでは、その目的が達成されないのが現状でございますので、むしろ有料であって、起債をしてもその償還財源のあるものにつきましては、できるだけ還元融資等を財源としてできるだけ早く整備をしたいと考えておるわけでございます。たとえば有料道路、公園道の有料のもの、あるいは駐車場でも有料のもの、あるいは有料のケビン、そういうものにつきましては、むしろ、還元融資の対象にしたほうがいいということで、関係の省といろいろ折衝をしておるわけでございますが、いまだに実現を見ないわけでございます。
 その理由の一つといたしましては、現にそれらのものの中には、公営企業債の対象になっているものもあるということと、それから国立公園の中だけのものをその対象にするということは、非常に行政としてよくないんで、やるなら国立公園外のものも全部やるべきではないか。しかし、そこまで国立公園部にやらせるのはおかしいというようなこまかい議論もありまして、まだその実現は見ていないわけでございますが、私どもといたしましては、当面、こういう償還能力のある有料の道路、あるいは有料の駐車場、有料のケビン等は、むしろ、この還元融資特別地方債の対象にしていただきまして、できるだけ早急に整備をはかりたいと考えておりますので、さらに、今後その実現につきまして努力をしていきたいと考えております。
#35
○小野明君 いまの問題は、大いにがんばってもらいませんと押し切られるわけですよね。
 それで、次に海中公園の問題ですが、この参考資料によりますというと、大体、四国や九州が多いですね。まあ福井の若狭湾がちょっと入っておるだけで、大体、四国、九州に重点が置かれている。この指定基準といいますか、それはどういうものか。北のほうは一向にこの海中公園の指定対象にならないかどうか、ひとつお尋ねをいたします。
#36
○説明員(広瀬治郎君) わが国は、申すまでもなく、四面海に囲まれておりまして、南のほうは暖流に洗われているわけでございますが、北のほうは寒流に洗われております。暖流に洗われておる海岸におきましては、御承知のように、サンゴ、熱帯魚等、熱帯的な海中景観があるわけでございます。また、北のほうの寒流に洗われている海岸は主として海藻類でございますが、その海藻も陸でいえば草原のような形をした海藻、あるいは北海道のようなところでは、大森林のような形をした雄大な海藻景観があるわけでございます。このように、わが国は北から南まで非常に特色のある海中景観があるわけでございまして、私どもは今後海中公園をつくるに当たりましては、単に南の部分のみならず、そういう草原景観、海藻景観を要素とした海中公園もつくるつもりでおります。ただ、いままでに調査したところは主として南のほうを中心にしたわけでございまして、まだ北のほうまで手が及ばなかったわけでございまして、本年度からできるだけ北のほうも調査に取りかかりたいと、そういうふうに考えております。
 それから御質問の海中公園の指定基準でございますが、ただいま申しましたように、海中の景観が何らかの意味で非常にすぐれているというのが第一の要件になりますが、そのほかに、やはり海中景観を観賞するためには、風波や潮流があまり激しくないことということも必要でありますし、当然水が清澄でなければならないという条件もございます。また、海中景観を保護するためには陸域の保護をいたしまして、陸のほうから汚い濁った水が流れてこないようにとか、いろいろと陸のほうの保護規制もする必要があるわけでございます。それからまた海の中のことでございますから、一番大切なことは、その地元の漁業協同組合等の漁業関係者の同意、協力を得られるということが事実上必要になってくるわけでございまして、そういう基準にすべてマッチしたところを海中公園として指定していきたいと、そういうふうに考えております。
#37
○小野明君 いままで調査をされたのは九つですね。この中を見ますと四国、九州が多い。それで、いまおっしゃるように、北のほうにもコンブ林等調査をしたいところがあると、こういうお話しなんですが、今後の調査地といいますかね、いわば海中公園の候補地なんでしょうが、それはどこどこが考えられておりますか。
#38
○説明員(広瀬治郎君) まだ具体的に候補地としてまではきめておりませんが、ぜひ海中公園にしたいから調査をしてほしいという希望のあるところは北海道、それから三陸海岸……。
#39
○小野明君 北海道のどこということを教えてください。
#40
○説明員(広瀬治郎君) 北海道の知床の付近、それから小樽の付近、それから岩手県の陸中海岸、そういうところでございます。
#41
○小野明君 北海道の小樽と知床、陸中、それだけですか。もうほかにはありませんか。
#42
○説明員(広瀬治郎君) それからまあ北のほうをもう少し広げまして、日本海のほうも入れますと、まだこれから調査をしたいと考えておりますところは、佐渡、それから能登半島はすでにやりましたが、若狭湾、それから山陰海岸、その付近も調査をしたいと考えております。
#43
○小野明君 それらの調査が終わりますと、最初の指定というのは大体いつごろになる予定ですか。
#44
○説明員(広瀬治郎君) 海中公園の調査は、私どもは最初は予備調査と申しまして、大体景観のあらましを主として調査をすることにしております。大体候補地――候補にしていいということになりますと、さらに詳細に調査をいたしまして、海中公園にする場合に、どこの地区の範囲とするとか、あるいはそこでとってはいけない海藻、サンゴ、熱帯魚等を指定するとか、非常に技術的なこまかい調査をやるわけでございます。それですでに予備調査を終わったところを、この法案が成立いたしますと、さらにもう一回詳細な調査をして、その区域、それから規制の対象にする魚類等をきめるわけでございますが、それも最終的に地元の漁業協同組合等と話し合いをもう一回する必要があるわけでございますが、いずれにいたしましても、海中公園は夏がシーズンでございますから、夏の始まるころには第一号を指定したい、そういうふうに考えております。
#45
○小野明君 先ほどお話のように、指定をする場合には、地元の漁業組合あるいは漁業者、関係者との調整が必要であろうと思います。特にまたこの動植物までも指定をするわけですからね。その辺をどのようにお考えであるのか、重ねてお尋ねをいたしておきます。
#46
○説明員(広瀬治郎君) いま御指摘のように、この海中公園が指定になりますと、いろいろ漁業の規制が伴うわけでございますので、法律上当然に関係省であります水産庁と協議をしなければならないわけであります。その協議をする原案をつくるに当りましては、地先の漁業関係者と十分話し合いをいたしまして、地元関係者がこの地区でサンゴ、熱帯魚あるいは海藻を許可なくしてとっていかぬということに賛成である場合には、その賛成であるという文書をいただきまして、それをつけて水産庁に協議をするという手続をとるように、水産庁と申し合わせをしておるわけであります。したがいましてかりに地元の漁業関係者が反対である場合には、事実問題としてはできないわけでございまして、その点地元漁業関係者の賛成、同意を得るということが先決問題になるわけでございます。したがいまして、逆に法律上無理やりに海中公園を指定して、地元の漁業従事者に迷惑をかけるということが現実にはないように運営していくわけでございます。
#47
○小野明君 そういたしますと、地元の漁業関係者が反対をするにもかかわらず、強力に上から押しつけていくというような、いままでよくあったようなトラブルはあり得ないと、こう考えてよろしゅうございますか。
#48
○説明員(広瀬治郎君) あり得ないわけでございます。
#49
○小野明君 いままでの調査地を資料によって見ますというと、いずれも国立公園、または国定公園であるわけです。そうなりますと、整備は国の手によって行なわれるのでありますが、予算を見ますと全然ついていないわけですね。予算をつけないでこの問題をやるというのは、一体どういうからくりになっておるのですか。
#50
○説明員(広瀬治郎君) 海中公園が実現いたしました場合に必要となる施設は二種類に分かれると思います。
 一つは、海中景観を観賞する施設でございますが、これはさしあたりは三十人くらい乗れるガラス底の船に乗りまして、そのガラス越しに海の中の景色、景観を観賞するということになると思います。このガラス底船は、これはもちろん有料で、適当な乗船料をとって利用してもらうわけでございますから、これは民間の企業でもあるいは地元の町村でも、あるいは地元の漁業協同組合等でも、希望の者があれば、そのうちから適当な者にそういうガラス底の船の営業をお願いするつもりでおります。したがいまして、これは補助をする必要はないと考えております。
 もう一つの種類は、先ほど申しましたように、陸のほうにも、その海中公園を利用するために、そこへ到達する道路が十分でない場合には道路をつけましたり、駐車場あるいは桟橋、それから園地、それから海中動植物の解説施設、こういう公共的な施設が必要になってくるわけでございまして、こういうものは原則として無料で利用してもらうということでございますので、これは当然国が補助金を出してつくらなければならないわけでございます。この補助金は、特別に海中公園用の施設整備費というのはございませんけれども、現在の国立公園等施設整備費、これはわずかでございますが、この項目の中に海中公園用も共通に入っておるわけでございまして、この中から海中公園のための公共施設費を支出できるわけでございますし、私どもはこれの一部をさいて海中公園の施設整備に充てたい、そういうふうに考えております。
#51
○小野明君 そうすると、予算としては大体どれぐらいを見込んでおられるわけですか。具体的にひとつお尋ねしておきます。
#52
○説明員(広瀬治郎君) 四十四年度のその国立公園等施設整備費は総額で七億七千八百万でございます。そのうち幾ら海中公園用に使うかということは、まだ海中公園を本年度中に何カ所を指定するかということが具体的にきまっておりませんので、まだ詳しい内訳はつくっておりません。
#53
○小野明君 それでは最後になりますが、ことしの一月でありますか、厚生省が「東海自然歩道」という構想を出されておるわけですね。これについて、この計画の実現に着手する時期は一体いつなのか、あるいは予算関係は一体どうなっておるのか、この計画を少し説明をいただきたいと思うんです。
#54
○説明員(広瀬治郎君) ただいまお話の「東海自然歩道」でございますが、これはことしの正月に発表いたしまして、国民の多くの方から非常に賛意と激励をいただいておるわけでございまして、私どもといたしましては、一日も早くこの実現を期したいと考えております。ただ具体的な今後の段取りといたしましては、いずれにいたしましても東京から大阪までの景色のいい山道を歩くという構想でございまして、一応地図の上ではその路線を考えたわけでございますが、はたしてそういう地図の上の路線が実際上適当であるかどうかということにつきまして、逐一現地につきましてその調査をしなければ最終的な路線が確定しないと考えておるわけでございます。したがいまして、今後の段取りといたしましては、四十四年度、本年度一ぱいにはその調査を終わり、最終的な路線を確定いたしまして、明四十五年度から三年計画でこの歩道を完成したい、そういうふうに考えております。したがいまして、予算につきましては、本格的な工事は来年度からでございますから、工事に必要な予算は来年度予算で要求するつもりでございます。ただ、さしあたりことしの調査につきましては、特別に予算が計上されておりませんが、現在経済企画庁にお願いいたしまして、特別調整費という費目がございますので、それの一部を自然歩道の調査費に充てていただきたいということで折衝をしているところでございます。
#55
○小野明君 これは、先ほど大臣にも質問をいたしたのでありますが、こういうふうに計画が具体化してまいりますと、各省の協調態勢というのはきわめて重要になってくるだろうと思います。その辺も遺漏のないように一元化した構想の中でおやりになっておるかどうかですね、念のためにお聞きしておきます。
#56
○説明員(広瀬治郎君) この「東海自然歩道」の建設につきましても、ただいま御指摘のとおり、いろいろの省に関係がございます。たとえばこの歩く道をつくるといたしましても、全部自然公園の中だけではありませんで、自然公園でないところも一部通ることになっております。そういう点につきましては、当然建設省との関係があるわけでございますし、また国立公園の中におきましても、国有林の中を通る場合には当然林野庁と関係があります。それから、また文部省の所管しておられる名勝史跡等を回る道をつけるという場合には当然文部省にも関係があるわけでございまして、すでに二回ほど関係省庁と打ち合わせをして、それぞれ全面的に協力をしてもらうことになっております。それからまた予算の要求につきましても、これに必要な費用を厚生省一本だけでまとめて要求するか、各省それぞれ自分の関係のところを分けて要求するか、その方法はまだきまっておりませんが、こういう「東海自然歩道」をつくるということにつきましては、関係各省とも全部了解をいただいており、大いにお互いに力を合わせてぜひ実現をしよう、こういうことになっております。
#57
○小野明君 先ほどの御説明によりますと、ほぼ本年度中に調査して確定をする、こういうことですが、来年度予算というのは八月から概算要求を始めるわけでしょうが、そういたしますと、ほぼ所要経費の見込みというのが出ておらなければなりません。それはどれくらいに推定をされるわけですか。
#58
○説明員(広瀬治郎君) きわめて概算でございますが、総工事費三十億円と推定しております。したがいまして、これを三年計画で三分の一ずつやるということにいたしますと、毎年十億ずつ必要だというふうに考えております。さらに現在のところ国が半分、県が半分というふうに考えておりますので、国の負担としては毎年五億ずつ程度必要であろう、そういうふうに考えております。
#59
○小野明君 アメリカの自然歩道の場合は、ロックフェラー財団というのが半分は寄付したらしいですわね。日本の場合はそういうことが考えられないのか、あるいはその寄付をしたときには、もちろん免税措置というものも必要になってくると思うんですが、その辺はひとつどういうふうな見通しなのか、念のためにお尋ねしておきます。
#60
○説明員(広瀬治郎君) この「東海自然歩道」は、単に役所だけがきめて、役所だけがかってにつくるというものではなしに、できるだけ国民に親しまれやすい道にしたいという考えを持っておりまして、実はこの名称も一般の国民から公募いたしまして、二万三千有余という非常にたくさんの名称の応募がございましたが、その中から「東海自然歩道」という名称が一番いいということで、国民の方からつけてもらったわけでございます。またこの道路をつくるに当たりましても、できるだけ国民の方からも協力をしてもらいたいということで、すでにこの道路につきまして、自分も若干寄付したいが、どこへ寄付したらいいかというような投書もあるわけでございます。したがいまして、主体は国なり、県なりの責任でつけるわけでございますが、できるだけ国民の力によってつくるという意味もかねまして、こういう御希望のある方からはできるだけ寄付もしていただきまして、この費用の一部に充てたいと考えておりますが、まだその具体的な方法については目下検討中でございます。
#61
○小野明君 その「東海自然歩道」にならいまして、九州のほうでも九州自然歩道というようなものをこしらえようという計画があるやに聞いておるのであります。それで、この話が厚生省のほうにいっておるのかどうか、この構想についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#62
○説明員(広瀬治郎君) 私どもの考えといたしましては、このような人間だけが景色のいいところを歩く、いわゆる自然歩道は、将来日本全国至るところにつけたいと考えております。ただし、同時にほうぼうでこの工事はできませんので、さしあたりその第一次計画といたしまして、東京−大阪間をつけるという構想でございまして、どういう順番になるかは別として、将来は順次九州、東北、至るところ、日本中に適当な道をつけたい、そういうふうに考えております。
#63
○小野明君 大体私の質問は以上で終わりなわけですが、先ほど大臣もおっしゃられたように、自然の景観を確保していくというのは、たいへんむずかしい仕事であると思います。
 それで次官にお尋ねをいたすのでありますが、こわされるばかりの自然というのが現状でありますから、これが産業開発等によってそういった状況が進行せぬように、実際歯どめになりますような自然公園制度といいますか、この制度にひとつ力を入れていただきたいと思うのですが、御意見を伺いたいと思います。
#64
○政府委員(粟山秀君) もうおっしゃるとおりだと思いますので、ぜひそういう日本の美しい自然をできるだけ守っていくように、役所としては全力をあげて今後もつとめたいと、そう思います。
#65
○小野明君 終わります。
#66
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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