くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第061回国会 社会労働委員会 第14号
昭和四十四年四月十五日(火曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四日十一日
    辞任         補欠選任
     上田  哲君     藤田  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山下 春江君
                山本  杉君
                横山 フク君
                小野  明君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       辻  敬一君
       厚生大臣官房国
       立公園部長    広瀬 治郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十一日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として藤田進君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田忠三郎君) 自然公園法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を行ないます。御質疑のある方の発言を求めます。
#4
○上林繁次郎君 まず質問に入る前にちょっと確認をしておきたいのですが、最近委員会軽視とかいうようなことが特に言われております。そういう中で特に私感ずるのですけれども、社労に対して各官庁の、大臣にしてもそれにかわる責任者にしても、何となく軽視をしているのじゃないかというような感じがするわけです。そこで、特に大蔵省のほうへ聞いてみたいのですが、大蔵省は特にそういうような感じがするわけですが、どうですか、そんなことはありませんか。
#5
○説明員(辻敬一君) 私どもが社会労働委員会を軽視しているようなことは毛頭ございません。きょうは衆議院の大蔵委員会と衆議院の決算委員会とがございまして、担当の政府委員がそちらのほうに出席いたしておりますので、申しわけございませんが、私がかわって出席いたしているような次第でございます。
#6
○上林繁次郎君 それじゃ、きょう主計官がおいでになった、それに対して私の質問、どういうような質問の内容であるかということはおわかりになっていますか。
#7
○説明員(辻敬一君) 予算問題につきまして御質疑があるように承っております。
#8
○上林繁次郎君 内容についてはよくわからないわけですね。
#9
○説明員(辻敬一君) 内容につきましては、詳細まだ承知いたしておりません。
#10
○上林繁次郎君 それじゃ私はまずいと思うのですね。少なくともあなたがここに出られるということは、どれだけかの責任を持って出てきているわけです。そういう立場で何も内容がわからないということでは、聞いても明確な答弁はできない。ほんとうに責任を持ってここに出てこられるならば、事前に上林の質問に対してはこの程度までは答えられるのだという、そういう線を私は出してきてしかるべきじゃないか。ここに出てきて、それはわからないからまた聞いてからお答えしましょうという態度では、ものの用に立たないということが言えるわけです。そういうことでは私は困ると思う。非常にそういう点からいって、最初に申し上げたように、委員会を軽視しているのじゃないかということは、あなたのいまの発言の中からもそういったことがうかがえるわけです。ほんとうに責任を持って答えていこうというならば、そのくらいのことは事前に知っておいて、この辺まで答えられるというくらいのことは協議しておくべきである、こう私は言いたいわけです。そういう考え方でおりますので、そういったことを含んだ上でひとつ答えてもらいたい、こう思います。
 質問に入ります。
 昭和四十三年四月に自然公園制度の基本的方策に関する答申、こういうものが出ましたね。これに基づきまして、今日までそれがどのように実現されてきたかという問題、こういった点から聞いてみたいと思うのです。基本的な問題ですから大臣に。
#11
○国務大臣(斎藤昇君) 昨年の四月でしたか、自然公園制度の基本的方策についての答申をいただきました。それに基づきまして予算の面におきましても、本年度第一歩を踏み出したようなわけでございますが、この自然公園――国定公園、国立公園等についてはまだ伸ばすべき場所がある、その場所についてはできるだけ今後指定を進めていくようにという方針につきましても、すでに相当国定公園あるいは国立公園の新しい指定また地域の拡張等もやっておりますが、今後ますます進めたいと思いまして、基本的な基礎調査をいまどんどんと進めておるわけでございます。
 さらに、国定公園、国立公園の中には民有地が相当ある。そうして、その民有地が、今後の経済の発展に伴って、必ずしも自然の環境を保護するという状態にない場所もある。そういうものについてはできるだけ国で買い取って保全をするように、また、どうしてもやむを得ない場所については、自然の保護というものと、経済の発展のために利用しなければならないということとはよく区別をしてやるようにという点につきましても、そういう方針に沿ってやってやってまいりたいと思います。
 なお、公園内の施設等につきましても、まだ十分ではないので、そういった施設を完備をして、国立公園、国定公園に参って自然を楽しむということのできるように施設をもっと進めるべきだ、これもさようにしまして、若干でありますが、本年度も幾らか予算を増してもらったというような状況でございます。
#12
○上林繁次郎君 ある程度のことはわかりましたけれども、たいしたことが行なわれてなかったということだけは言えるわけですね、答申があってから。今後の問題になってくると思うのですけれども、今後の問題、国立公園、国定公園に対して総合的に今後どのような計画、長期的な――こういうものはあるのかないのかという問題。その点はどうでしょう。
#13
○国務大臣(斎藤昇君) 具体的計画につきましては公園部長からお答えをいたさせますが、今後の考え方といたしましては、今日もうすでにそうでありますけれども、日本の産業の発展によって自然が非常におかされてまいっております。同時に都会等に住む人たちにいたしましても、一例をあげれば、あらゆる公害に悩むというような次第でございます。できるだけそういった自然と親しみ、そこで心身ともに健康を保持し、また精神を休めるという施策が必要だろう、そういう線に沿いまして、今後自然公園というものをますます重視をしていかなきゃならない。私は、答申の根本精神も、ねらいはそこにあると思いまするし、その考え方に沿って大いに力を入れてまいりたいと、かように思います。
#14
○上林繁次郎君 厚生省の国立公園計画というものが昭和二十六年に立てられましたが、昨年四十三年までにその二十六年に立てられた計画の二五%程度しか進められていないという現状であるわけですね。こういうような進み方ですと、当時、この二十六年にこれを立てたときには大いに自然の保護、そういう面から強力にこれを進めていこうと、こういうような考えのもとにこの計画が打ち立てられたと思うんです。いまその計画が立てられてから二十年になんなんとしておるその長い期間に、たったその計画の二五%程度しか行なわれておらないということは、これは非常にさびしいわけですね、ほんとうにできるかどうか、大臣はやるつもりでいらっしゃるかもしれないけれども、いままでの経過からして非常に疑われるわけです。こういう状態は、ちょうど百年河清を待つ、これにひとしいような状態ではないか、こう思うんですが、その辺の決意のほどと申しますか、いままでのような状態ではどうにもならぬわけですから、その辺のところをひとつお答え願いたいと思います。
#15
○国務大臣(斎藤昇君) 二十年前に立てられた計画がまだ遅々として進んでおらぬということにつきましては責任を感じておりますが、たとえば公害問題と同じように、十年前あたりからやかましくなってきて、やっと最近その緒につき、そしてまさに進もうとしている。それはやはり時代の要請を反映をして国会の皆さま方の御意見はもちろんのこと、一般の国民全体がそれを要望してきた、みんなにかわってきたというのが、やっとここ最近じゃないかと思います。そういう国民の全体の声を背景にいたしまして、今後やるのに非常にやりよくなってきたと思います。同時に日本の経済の発展に伴って予算の面もあるいは税収の面も以前に比べて相当大きくなって、予算も、毎年一五、六%とふえた予算が組めるようになってまいりましたが、こういう状態が続いてきているということは、それだけそういう方面に国の予算も今後使用できるという基礎づくりができてまいったわけでございますので、財政の面からも、もちろん大蔵当局の考え方もありますけれども、しかし、こういうふうになってまいれば、さいふのひももゆるくなり、必要な面に出せるというのが当然であり、あらゆる面から考えて実際やり得るときを迎えてきたと、かように私は思いますので、そういう考え方で進んでまいりたいと思います。
#16
○上林繁次郎君 当然予算の面が大きな問題になってくると思います。自然公園法なるものが設定されて、それに基づいていままでいろいろな計画がなされ、事業が推進されましたが、これは相当膨大な範囲にのぼるわけです。その中のいろいろな施設等も加味していけば当然相当な予算がかかる。いま申し上げたように、それがいままで進まなかったということは予算的な問題、予算上の問題ではなかったか、こう考えるわけですね。そこで、いま大臣がそういう積極的な姿勢を示したわけでありますから、そういった厚生省の積極的な姿勢、それに対して大蔵省のほうは今後どういうような考え方でこれに対して臨んでいくつもりですか。
#17
○説明員(辻敬一君) 国立公園関係の施設の整備につきましては、従来から重点的に整備をはかってきたところでございます。ただいま厚生大臣も申されましたように、予算額も漸次増額されてきております。四十四年度におきましても、おおよそ前年度に対しまして一割程度、七千万程度の増額をいたしたわけでございます。今後の問題といたしましては、全体としての財源なりあるいは他の事業とのバランスもございますけれども、引き続き充実に努力してまいりたい、かように考えております。
#18
○上林繁次郎君 増額、増額というのですけれども、私から言わせれば、そんなものは自然増であって、特に公園に対して力を入れてきたという問題ではない、こういうように言いたいわけです。去年の国の一般会計の伸び率と国立公園等の整備費の伸び率、これを比較してみますと、昭和四十三年度では、国立公園等の整備費、この伸び率が三・三%じゃないですか。国の一般会計の伸び率は一一・八%。四十四年度で公園の関係が九%、それから国の一般会計の伸び率が一五・八%。こういうふうにとても一般会計の伸び率に比べてもまるきり低いものである、こう言わざるを得ないと思うのですけれども、いまお答えがあったように、ほんとうに今後積極的に取り組んでこういった格差をなくしていくのだ、少なくとも来年度はそこまで持ってくるというけれども、そういう決意のほどというか、確信というか、そういうものを持っているのでしょうか、どうでしょうか。私もお聞きする以上、ただことばだけでもって終わったのでは質問する価値がなくなりますから、その辺のところを、いままでの例からいって、伸びた伸びたというけれども、現実に去年、今年の予算を見てもそうじゃないかと、こういうわけです。ほんとうに今後どのくらいまで伸ばしていく、まあ今後というよりもさしずめ現在の時点で、来年度はここまでというようなものを持っているのですか。
#19
○説明員(辻敬一君) ただいま一般会計全体の規模の増加の数字のことでお話がございましたが、御承知のように、一般会計の予算の中に国債費でございますとか、地方交付税交付金でございますとか、そういう特殊な経費もございます。したがいまして、そういう経費を除きました一般経費の増加というのは、それほど大きくないわけでございます。御承知のように、四十四年度におきましては、公共事業全体の伸びが一二%程度でございますし、官庁営繕の伸びは約五%程度でございますので、そういう他の事業の経費とのバランスも考えまして、先ほど申し上げたような予算を計上したわけでございます。
#20
○上林繁次郎君 その辺のところを議論してもしようがないかもしれませんけれども、よそとのつり合いだということは、それは一般並みなことであって、いまおっしゃったように、特にこれから力を入れていくということにはならない、こう言いたいわけです。
 そこで、次に移りますけれども、わが国の自然公園、日本の自然公園と諸外国の国立公園の予算あるいはその整備状態、こういう面でのいわゆる国際比較ですね。こういった点についてひとつわかる範囲お答え願いたいと思います。
#21
○説明員(広瀬治郎君) 各国それぞれ国立公園制度を持っておりまして、自然の保護に重点を置いておるわけですが、私どももあまり詳細には承知しておりませんが、わかっている程度で申し上げますと、まずアメリカにおきましては、国立公園と申しましても、日本と若干形態が違っておりまして、日本の国立公園は、私有地であっても風景のよいところは国立公園に指定をするわけでございますが、アメリカでは、民有地のある場合には全部買い取りまして国有地として国立公園というふうに運営をしております。それからイギリスは、日本と同様に、私有地であってもそのまま風景のよいところは国立公園として指定をしております。それからフランスにおきましては、利用よりもむしろ自然保護に重点を置きまして、その土地は大部分国有でございますが、公園の目的のためだけで使わせておる。一部森林の伐採等があるようでございます。そういうことで、それぞれ国立公園の基礎的な条件のあり方が違うわけでございますが、そういう意味におきまして、アメリカは予算規模そのものが違うわけでございますが、相当膨大な予算をこれに充てておるということを聞いております。各国の予算規模その他詳細は存じませんが、大ざっぱに申しましてそういう状態でございます。
#22
○上林繁次郎君 いまアメリカの例だけをあげられましたが、日本の国土に、人口の面からいっても、広さからいっても、よく似ているベルギーだとか、イギリスだとか、ドイツだとか、そういうようなところの比較はありませんか。
#23
○説明員(広瀬治郎君) いまイギリスの資料は若干手元にありますので、イギリスについて申しますと、先ほど申しました土地の関係は、日本と同じように私有地もございます。それから公園の数にいたしますと、イギリスは十カ所でございます。日本は、御承知のように、国立公園が現在二十三、それから国定公園が四十、両方合わせますと六十三ということになっております。それから国土に対する公園面積の比較でございますが、日本は、七・九%が国立公園または国定公園になっております。イギリスが五・六%ということで、人口一人当たりにいたしますと、日本は人口一人に対しまして公園面積が三百平米、それからイギリスが二百平米、大体そういうことで、かなり似通った点があるわけでございます。それから他のヨーロッパの諸国は、一般的に申しまして、日本のほうは、自然の保護と同時に利用ということが同じ重さで目的になっておりますが、ヨーロッパのほうは、概して利用よりもむしろ自然の保護ということに重点が置かれているように聞いております。
#24
○上林繁次郎君 そこで聞きたいのは、何のために国際比較ということを私が言っているかということですね。やはりそういう諸外国の例からいって、予算の問題、あるいはまたその整備状況、これが知りたいわけなんです。特に予算の面なんかはどのような規模になっておるか、そういった点が知りたいわけです。
#25
○説明員(広瀬治郎君) アメリカについて申しますと、国立公園の数が三十二でございますが、大体施設整備費につきまして、日本円に直しますと、おおむね三百億程度と承知しております。
#26
○上林繁次郎君 あとは、わかりませんか。
#27
○説明員(広瀬治郎君) あとはちょっと承知しておりません。
#28
○上林繁次郎君 いずれにしても、日本よりは諸外国のほうが多いように感じます。そこで、この問題にしましても、社会保障費にしても、ヨーロッパのいわゆる先進国並みに持っていこうと努力をしているわけなんですね、そこまでなかなかいかないけれども。こういう公園の問題にいたしましても、やはり国際的に日本がひけをとらないだけのそういう態勢整備、これをしていく必要があると思うのですね。そのためにはやっぱり予算というものが大きな問題になってくるわけです。そこまでとにかく持って行く努力をしていただきたい。特に大蔵省に強くそれを要望するわけなんです。大蔵省の今後この問題に対する決意のほどをひとつ述べていただきたいと思います。
#29
○説明員(辻敬一君) 先ほど来施設整備の予算額を申し上げておりますが、そのほかに、御承知のように、融資も行なっておりまして、たとえば国民休暇村でございますとかあるいは国民宿舎の関係、いずれも公園に関係の深い施設でございますが、そういうものに対しましては融資を行なっております。四十一年から四十三年まで三カ年で、国民休暇村につきましては約十一億円、国民宿舎につきましては同じく三カ年で四十六億円というような融資も行なっております。そういうものも勘案しながら、先ほど申し上げましたように、施設の整備の充実につきましては今後とも努力してまいりたいと、かように考えております。
#30
○上林繁次郎君 集団施設地区というのがございます。これは厚生大臣の指定によるものであります。国立公園あるいはまた国定公園の利用のための集団的な施設にあっては、具体的な施設として宿舎、駐車場、公衆便所、広場あるいは休憩所、自然教室、そういうようなことになっておるわけですけれども、こういう面のわが国における整備状況、これはどういうふうになっておりますか。
#31
○説明員(広瀬治郎君) まあ理想的な整備状況を一〇〇といたしますと、まあ三分の一程度でございます。
#32
○上林繁次郎君 先ほども話がありましたように、自然を保護するという面と、それから利用という面、やはり日本の場合には利用という面が特に大きいわけですから、こういった問題が一つ一つ解決されていかなくちゃならぬというふうに思うわけです。まあお聞きしますところによると、三分の一程度であると、こういうことなんです。こういった点について、特にこれだけのということはおかしいかもしれませんけれども、まあいつごろまでに――こういったものの利用の程度が今後増大するということだけははっきりしているわけですから、こういう問題をおろそかにしておくわけにいかないわけで、それに対応するためにも施設の整備ということに対してどういう計画といいますかね、ものを持っているか、お答え願いたいのです。
#33
○説明員(広瀬治郎君) 国立公園は、御承知のとおり、非常に広大な面積でございまして、施設の整備その他につきましてもいろいろなことをしたいわけでございますが、当面はやはり重点目標をきめまして、最も大事なところから整備をしていきたい、そういう考え方でおります。ただいまお話のありました集団施設地区、これはやはり公園事業の中心地域でございますので、こういう地区を重点的にできるだけ早く整備したいと考えておりまして、私どもといたしましては、五カ年計画を立てまして、それに基づいて逐次整備をしていきたい、そういうふうに考えております。
#34
○上林繁次郎君 次に、清掃問題についてお尋ねしてみたいと思います。
 国立公園は、とにかくすぐれた自然の風景地であるということだけは間違いない。これがその利用という立場から、最近非常に汚されておるという、これは各地どこでもそういう傾向であるということは言えると思います。そこで、こういう公園区域内の清潔保持ですね。したがって清掃の問題ということになりますが、またこれに対する取り締まり、こういうものはどのような形でいままで行なわれてきておるのかということですね。
#35
○説明員(広瀬治郎君) 清掃の問題につきましては、ただいまお話がありましたように、国立公園の中でも、非常に人の集まる時期にはかなりごみ、その他食べかすが捨てられて非常にきたないところもあるわけでございまして、私どもは国立公園である以上、最もきれいにすべきところであるというように考えておるわけでございます。それで清掃につきましては、基本的には清掃法に基づきまして清掃を行なうべきたてまえではございますが、一方国立公園につきましては、自然公園法そのものにも規定がございまして、利用者はみだりにごみやその他の汚物を捨ててはいけないという規定がありまして、一万円以下の罰金という罰則もついておるわけでございます。また、厚生省の所管している地区につきましては、国費で清掃をするということになっておりまして、大体四十カ所程度でございますが、国や中心になりまして、それに地元の市町村なり、県あるいは近所の業者、そういうものが協力をいたしまして美化清掃組織をつくりまして清掃につとめておるわけでございます。それからまた行政指導といたしましては、国立公園の中にその利用施設といたしまして、旅館とかあるいは食堂、あるいはロープウエー、そういうものの事業認可をいたします場合には、必ずその認可条件といたしまして、その施設の中はもとより、その周辺につきましても必ず清掃をするように義務づけて認可をしておる、こういうことで、できるだけ清掃につとめておるわけでございます。
#36
○上林繁次郎君 清掃法の問題が出ましたけれども、清掃法第六条によりますと、清掃の結果生ずる汚物は、それが集められた状態になれば、市町村が収集処分の義務が生ずると、こういうのがあります。第七条で、市町村長は、指定する場所への運搬または処分を命ずることができる、こういうようなことがあります。これはそういうふうに規定をされておりますけれども、その責任体制といいますか、実際よごれている、そのよごれているものをどこのだれが処分するか、そういった責任体制が確立されてないんじゃないか、こう考えるのですね。その辺のところを明らかにしなければ、これはまずいじゃないか、こう思うわけなんですが、その点はどうでしょう。
#37
○説明員(広瀬治郎君) ただいま御指摘の点はもっともの点でございまして、清掃法と申しましても、やはり一定の場所にそれぞれ個人個人がおのおの汚物を集めてもらうということが前提であるわけでございます。したがいまして、ただいま申しましたように、国立公園といたしましても、その清掃については努力しておるわけでございますが、やはり国立公園の中を利用される利用者そのものも、ごみ等を捨てないように、やはり捨てる場合には一定のごみの捨て場に捨てるように極力指導もし、またそういう公衆道徳も涵養していきたい、そういうふうに考えております。
#38
○上林繁次郎君 そういうふうにしていきたいと、こういうわけですね。だけれども、いま私が言っているのは、最終的な責任者というものは、これは明確じゃないじゃないかと、相手に対してはごみを捨てるなとか何とか言うけれども、捨てちゃったらどうするか、そのあとをちゃんとする体制、責任体制ができてないんじゃないか、こういうことを聞いているわけなんですがね。
#39
○説明員(広瀬治郎君) ただいま御指摘の点につきましては、これは法律上の問題でございませんが、先ほど申しましたように、美化清掃組織をつくりまして、そういう関係者が力を合わせて美しくするということに努力しておるわけでございます。
#40
○上林繁次郎君 それは、力を合わせてとかなんとかいうことは非常にけっこうなことですけれども、はたしてそれができるかどうかということが疑問になってくるわけですね、そこでね、国立公園あるいはまた国定公園の管理体制という問題が一つの今後大きな問題になってくるのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。現在のわが国における自然公園についての管理体制、それはどういうふうになっておりますか。
#41
○説明員(広瀬治郎君) 現在国立公園の現地におきましては、専門の学門を修得しました管理員、まあ俗にレンジャーと呼んでおりますが、現地に五十五名配置されております。それからまた、きわめて重要な地点におきましては管理事務所を設けまして、所長も置き、そういう体制で管理に当たっております。現在、管理事務所の置かれておるのは四カ所でございます。
#42
○上林繁次郎君 管理事務所が四カ所、それからレンジャーというのですか、五十五名。相当広範囲にのぼっているのですが、こういう体制では清掃の問題一つ取り上げても、これはなかなかたいへんなことなんで、こういうような体制で、はたして完全な管理ができるかどうか、こういうことが心配になってくるわけですけれども、この点はどうでしょうか。
#43
○説明員(広瀬治郎君) この点も御指摘のとおり、この広い国立公園の地域を完全に管理するためには相当人数が不足でございますし、また、組織もまた弱いわけでございまして、それから先ほどお話のありましたアメリカとも比較したわけでございますが、いろいろな情勢の相違は別として、大体アメリカと比較いたしますと、受け持ち面積がアメリカのレンジャー一人当たりの十倍くらい持っている。逆に言えば、アメリカ並みにするためにはこの十倍くらい人が要るというような比較もございますので、私どもは、さらにこの管理体制の強化につきまして努力をしていきたいと考えております。
#44
○上林繁次郎君 先ほどからいろいろなことを聞いてきているわけですけれども、この自然公園法の一部を改正する法律案、参考書がここにございますけれども、やはりこういう法律があるということは、この法律にのっとってだんだん理想に近づけていかなければならぬと思うわけですね。特に日本においては利用度ということがよその国に比べて非常に高くなっていく、こういう可能性は十分あるわけです。そこで、どうしてもこの自然を守るという立場からいうならば、いまおっしゃったレンジャーあるいは管理事務所、こういうものがこのままの体制ではどうにもならない。そこでやはりこういう具体的な問題を、ただ今後力を入れていきますと、大蔵省は金を少しでもよけい出していくようにしますと、こういっても、具体的な問題を一つ一つ検討した上でそれに対する計画が立てられていかなければ、これは進むものではないわけです。そこで、そのアメリカ並みに持っていくには十倍程度のレンジャーが必要なんだと、こういうことを言っているわけですが、それに近づけていくためにはどのくらいの予算がかかって、どのくらいの期間でそれをやろうというふうに考えておるのかどうかですね。
#45
○説明員(広瀬治郎君) 先ほどまあ、アメリカの話をしたわけでございますが、これはまあ理想でございまして、なかなか一挙に理想に到達するわけにはいきませんので、現実問題といたしましては、さしあたり管理事務所を今後はやはりブロック単位程度には置きたい、それから管理員の増員につきましても、これはまあ多々ますます弁ずでございますが、単に人をふやすということだけではなしに、できるだけ機動力を持たせて、かりに定員その他の関係であまり人がふえなくても、それをカバーし得るだけの機動力をできるだけ持たせたい、その両方からできるだけ充実をしたい、そういうふうに考えております。
#46
○上林繁次郎君 ブロック単位というお話がありましたけれども、現在、四カ所ありますが、その四カ所はどことどこで、それからそのブロック単位ということは、どの範囲を一ブロックとするかということなんですが、その点ひとつ明らかにしておいてもらいたい。
#47
○説明員(広瀬治郎君) 現在、管理事務所のありますところは日光国立公園、それから富士箱根伊豆国立公園、それから阿蘇国立公園――これは昨年実現しました。それから本年度は阿寒国立公園、以上の四つでございます。それから今後ブロック単位と申しましたのは、必ずしも俗に言われているブロックという意味ではなしに、やはり国立公園体系から申しまして、大体全国で、七つ、八つという感じで申し上げたわけでございます。
#48
○上林繁次郎君 ブロック体制と、こう言ったわけですよね。ですから、そんなごまかしみたいのでなく、とにかく管理事務所は足りない、だからこのブロック体制を考えておるのだということは、ふやしていくのだ、その場合には、こことここと、こことをふやすのだと、こういうものが考えられていなければ、これはさっぱり進まないのじゃないか。ばく然とした状態の中で、これを進めようといったって進められるわけがないのですから、その点を私は聞いているわけなんですよ。そういう計画がないなら、ないと言ってください。あるなら、こことここと、ここだと、それを聞いているわけです。
#49
○説明員(広瀬治郎君) この四つのほかに、私どもがぜひ置きたいと考えておりますところは、東北地区、それから中部地区、それから中国四国を合わせた地区、それから関東地区、大体そういうブロックを考えております。
#50
○上林繁次郎君 しつこいようですけれども、それはどのくらいの計画で実現しょうと考えているのですか。
#51
○説明員(広瀬治郎君) いままでの実績から申しまして、昨年一カ所、本年一カ所というのが実績でございますから、実績は必ずしも先例にはならないわけでございますけれども、私どもは、できれば一年に二カ所ぐらいずっと思っておりますが、最小限度一年に一カ所ずつはぜひとも実現をしたい、そういうふうに考えております。
#52
○上林繁次郎君 これは、どうしても管理体制をはっきりしておかないと、もうさっきから何回も言っているように、利用度が高まってくるわけですから、当然荒れてくることはさまっている。管理体制ができていなかったら荒れほうだいということになってしまうわけです。そういう意味で私は申し上げているわけです。何となくその辺も明らかな計画もないようでありますが、私に言わせれば、国立公園が二十三カ所、この少なくとも二十三カ所については、一カ所について一管理事務所、そこには何人かのレンジャーがおるというような体制がとられなかったら、ほんとうの管理というものはできないのじゃないかというふうに考えるわけです。これはしろうと考えかもしれませんが、そういう意味で、今後ブロック別という話は聞きましたけれども、将来はそこまで持っていくべきじゃないか、こう私は思うわけですね。いわゆる一国立公園に対して一管理事務所という考え方については、どういうふうに考えておりますか。
#53
○説明員(広瀬治郎君) 先ほどお話のありましたこの答申にも、やはり将来、理想としては一国立公園に一つの管理事務所を置くように勧告をされておるわけでありまして、そういうふうになるのが理想であると、私どもも思っております。しかし、さしあたり、ただいま申しましたような単位でまず管理事務所を確立し、それからさらに必要なところを順次充実していきたいと、そういうふうに考えております。
#54
○上林繁次郎君 それじゃ一歩譲りまして、将来はそういうように理想――これは理想じゃないと私は思うのですね。当然のことだと、こう思うのです。理想なんというと、何か実現できなくてもしようがないみたいな考え方になるかもしれないけれども、これはそうではない。理想ではなくて、あたりまえのことだと、こう私は思うわけであります。
 そこで、あなたがおっしゃるように、ブロック別でもいいです。その体制をつくり上げるには、どのくらいの予算がかかるのか。
#55
○説明員(広瀬治郎君) 管理事務所そのものにつきましては、大した予算はかからないわけでございまして、問題は、管理事務所をつくりましても、それに対応する職員を充実することが一番大事なことでございまして、主としてそれに要する人件費、それに伴う若干の庁費等でございます。そういうことで、予算面の問題よりも、むしろあまり定員をふやせられない現状におきまして、管理員の増員ということが一番大きな問題になると思っております。
#56
○上林繁次郎君 今度は人の問題になってきますね。その人の問題、人と同時に金の問題が結局そこにからまってくるわけです。どうしても結論的にはやはり金の問題、予算の問題が一番大きな問題になってくるのじゃないかと、こう思うわけです。
 そこで、大蔵省のほうに聞きたいのだけれども、そういう構想を持っておる、そうしてまた諸外国に比べて日本の場合にはおくれておる。そういう中で、この体制はどうしてもつくっていかなければならないわけですが、大蔵省としては、厚生省のほうでそういう考え方を持っておるわけでありますから、それに対して、一日も早くそれが実現できるよう予算の面で大いに協力していく、またその要望に十分今後こたえていってあげられるのかどうかという問題ですね。そういった点についてひとつはっきりこたえてもらえませんか。
#57
○説明員(辻敬一君) 国立公園の管理体制の問題につきましては、先ほど公園部長から御説明申し上げましたように、漸次充実をはかってまいりたいと思っております。また、四十四年度におきましては、機動力を充実するという意味で、ジープを四台購入する予算を計上いたしております。なお、そのほか、御承知のとおり、県に対する委託費を計上いたしておりまして、いわゆる委託技師という形で、県にいま十一名ほどの職員を置いております。そのほか、民間の有志の協力活動を仰ぐという意味におきまして、自然公園指導員が約八百名おるわけでございますから、これに対しましても、必要な予算を計上いたしておるわけでございます。
 要するに、ただいま申し上げましたような各種の施策を合わせまして、今後とも管理体制の充実をはかってまいりたいと思っておるわけでございます。
#58
○上林繁次郎君 それでは、先にいきます。
 国立公園は、国で直接指定しておるが、国定公園というのは、これは県知事なら県知事が要請して厚生大臣の指定を受ける、こういうことになると思いますけれども、この国定公園に対する補助金というようなものは、どういうふうになっておるのですか。
#59
○説明員(広瀬治郎君) 国定公園に対しましては、必要な施設につきまして国が二分の一の補助をするというたてまえになっております。
#60
○上林繁次郎君 それは、国定というふうに定められた公園に対して、いまあなたがおっしゃったように、二分の一ですね。それが各国定公園に対して毎年何らかの施設、そういうものを設置するに当って各県に支給されているのかどうか、補助金が出されているのかどうかということです。それはまた県のほうから上がってきた段階でもって査定して、これはだめなんだ、あれはだめだ、こういうようなことで査定されてしまって、落とされてしまう。そしてその一年の国定公園に対する補助金を見れば、ほんとうにわずかなものであった、こういうことになったのでは、この補助金制度が何にもならない。その辺のところはどういうふうになっているのですかね。
#61
○説明員(広瀬治郎君) 現実問題は、県からいろいろ補助金の申請があるわけでございますが、大体その申請額は、国の予算の二倍あるいは二倍強というところが大体毎年の通例でございます。したがいまして、国が出す補助金は、結局予算の範囲内に限られるわけでございますから、後段にお話がありましたように、優先度をきめまして、査定をして、予算の範囲内において重要なものから優先的に予算のあるだけを補助する、そういうことになるわけです。したがいまして、半分ぐらいは、希望があっても、補助金が渡せないというのが実情であります。
#62
○上林繁次郎君 そうしますと、県のほうから国定公園のいろいろな整備をしたいと、こういうことについて国に対して要望がある。それを全部満たすというわけにはいかないわけですね。まあ私は千葉県に住んでおりますけれども、千葉県の例を見ましても、昭和四十三年、――昨年ですね。清澄、あの一帯が国定公園になっているわけですけれども、昨年、国から整備費用としてもらったその額は百六十五万円、駐車場の整備ということについて百六十五万円をもらっているわけです。これはいまの話からいえば、それが必要であろううという立場で補助金が出されたということ、よその県は相当削られているところもあると思う。そういう査定の中に入ったものでもわずか百六十五万円かそこらしか出されていない。こういった状態では、ほんとうに法律をつくってみてもこういう公園の整備、また保護、これはとてもできるものではない、こういうふうに考えるわけですね。ですから、もっともっとこういった点において国定公園等について予算面でもっと補助をしていくべきである。現地の話を聞いても、やはり一番困ることは、これを維持していくための、整備していくための予算がほしいということを言っているわけです。そういう実情をやはり国のほうでもしっかりと把握しなければならない、こう思います。そういったことでこういう国定公園に対する補助金に対して、今後どのような姿勢で、いままでと同じような状態でいくのか、もっと今度は前向きでいこうというふうに考えているのかという点をひとつ明らかにしていただきたい。
#63
○説明員(広瀬治郎君) 先ほど大臣からもお話がございましたように、最近非常に国定公園の数をふやしてきたわけでございまして、今後また適当なものがあればふやすつもりでおります。したがいまして、そういう新しい国定公園の整備という問題もございまして、とうてい既定の予算では足りないわけでございまして、そういう新規の分も整備すること等も含めまして、もっともっと増額をしなければならない、また増額していきたい、そういうように考えております。
#64
○上林繁次郎君 いまのその考え方に対して、大蔵省どうでしょう、それにこたえていかれますか。
#65
○説明員(辻敬一君) 国定公園の補助金につきましては、四十四年度に増額いたして、一億六千八百万円計上しておりますが、実は御承知のように、明治百年の記念事業といたしまして明治の森の補助を従来やっていたわけでございます。それが四十三年度では六千五百万でございました。したがいまして、四十三年度におきましては、その他の国定公園の整備に充てられる分は、それを引いた八千万強であったのございますが、それに対しまして、四十四年度はかなり増額したということになっております。今後とも全体としての財源その他のバランスもございますが、充実につとめてまいりたいと考えます。
#66
○上林繁次郎君 充実につとめてまいりたいというので、非常に抽象的なのですけれどもしょうがないでしょう。とにかくそういったことですから、これもわずかなものでは、ほんとうに都道府県においては、これを整備していくわけにいかないわけです。ですから、もっともっとこういった補助金というものに対しては、前向きの姿勢でやるべきである、こう思うわけです。
 もう一つ聞いておきたいことは、県立公園というのがあるわけです。この県立公園については、何も国の補助というものはないように伺っております。やはり自然の保護という立場から言うならば、これは県立といえども、国のどれだけかの補助があってもいいのではないか。県立とか、国立とかいうけれども、自然の保護という大きな立場から言うならば、当然これは現在県立公園に対しても補助があってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そういった県立に対する今後の考え方はいかがでしょうか。
#67
○説明員(広瀬治郎君) 県立の自然公園に対する補助金の問題でございますが、ただいまのところ、御指摘のとおり、補助金はつけておりません。私どもの気持ちといたしましては、これもひとしく自然公園の一つでありまして、重要な役割りも果たしているわけでございますから、ぜひ補助の対象にしたいとは考えておりますけれども、何しろより重要な国立公園、国定公園の整備状況が、先ほど申しましたように、非常にまだ貧弱な状態でありますので、さしあたりはやはり国立、国定公園の整備に重点を置いて、それがある程度めどがつけば、県立公園のほうも考えていきたいというふうに考えております。ただし、補助金ではございませんが、先ほど話のありました国民宿舎等につきましては、融資を財源として、県立公園のような景色のいいところには、そういう必要な施設はつくっております。
#68
○上林繁次郎君 いままでずっといろいろな話を聞いてきたのですけれども、やはり何といっても予算の面だという感じがしますね。せっかくこういう法律をつくって、自然を保護しようということなんです。どっちかといえば、保護地域というものを法律によってきめるわけですね。ところがいままでの話を聞いている中で感ずることは、わが国では今後これは進まない、いまのままでは。なぜかというと、金がない、予算がない。厚生省のほうでこれを指定しようとしても、今度それには必ず予算が伴なってくるわけです。それを考えると、これはうっかり指定はできないというような消極的な姿勢になってしまうのではないか、当然こういうことが考えられるわけです。そこが私は一番大きな問題じゃないかと思うのです。こういう法律があるのですから、この法律にのっとってどんどんといわゆる自然の保護ということにつとめていかなきゃならない、また利用度を高めていかなきゃならない、国民の健康のために。そうでしょうね。ですから、それにもっと金をつぎ込んであげなければ、それは進んでいかないという感じがするわけなんですがね。そういう意味で、ひとつ大蔵省も、これは大蔵省の腹いかんでこれが大きく伸びるか、あるいはまた現状維持か、あるいは縮まるかがきまると思うんですね。ですから、厚生省のほうは計画は立てるかもしれないが、その計画も、先ほどから言ったように、二十六年から四十三年に至る約二十年の間、たった二五%しかその計画がなされていないということは、私から言わせれば、全部それは金の問題である。大蔵省が出さない、そんなものは金使う必要がないというのが大蔵省の姿勢だと、こういうふうに感ずるわけです。そういった点、大蔵省は何回もいろんな問題で答えているけれども、もう一度念のために、そんなことはないと、今後はもっともっと力を入れて、この問題に取り組んでいくという姿勢を持っているかどうかということについて答えていただきたい。
#69
○説明員(辻敬一君) 全体としての財源の制約もございますし、それから先ほど申し上げましたように、公共事業の経費、その他、他の事業とのバランスもございます。また、融資によって解決していく施策もございますが、いろいろの御指摘がございましたので、今後私どもといたしましても、十分検討してまいりたいと思います。
#70
○上林繁次郎君 だから、そんな程度の答えだから、ぼくはしかるべき人に来てもらいたいということを言ってきたわけなんです。そういう答えだったら私だって答えられるんですよ。それは無責任な答弁というよりほかないと思う。あなた、頭かしげるかもしれないけれども、私に言わせれば、そうなんだ。努力していきます、じゃあどういうふうに努力するんだと、突っ込んで私は聞きたいということになるんです。ですから、さっきから私がしつこく言っていることは、具体的に具体的にということで厚生省にも質問しているわけです。だから、予算の面でも具体的にこうだというぐらいのものを持って、ここのところに臨んでもらいたいということです。一番最初、冒頭に申し上げたことはそういう意味を言ってるんだ。
 そこで、いわゆる今度海中公園ですね。この海中公園というのは、どういう形でもってこれをやっていこうというわけなんですか。
#71
○説明員(広瀬治郎君) 今度新しくつくりたいと考えております海中公園につきましても、基本的な考え方は陸の自然公園と同様でありまして、御承知のように、日本の近海には、南のほうですと、サンゴ、熱帯魚というような、非常に美しい景観があり、また北のほうですと、雄大な海草の群落があるわけでございます。こういうふうな海中の美しい自然を保護すると同時に、これを観賞し、あわせて国民のレクリエーションの場として、最終的には国民の保健休養に役立てるというのが目的でございます。具体的には海中景観のすぐれたところを海中公園地区ということで指定をいたしまして、その指定になった地区では、許可なくしてそういう熱帯魚、サンゴ等を採捕をしちゃいかぬという、自然保護をはかると同時に、それを観賞するために必要な施設、たとえばガラス底の船に乗りまして、ガラスごしに観賞するというようなことでこれを利用していきたい、そういうふうに考えております。
#72
○上林繁次郎君 そうすると、観賞するという面のほうが大きいのか、それとも保護するという面が大きいのか、どっちなんですか。
#73
○説明員(広瀬治郎君) この大きさは平等でございます。と申しますのは、自然公園法の目的にも、自然の保護と同時に自然を利用してレクリエーションをすると、この保護と利用が同じウェートで書いてあるわけでございまして、海中公園につきましても、自然の保護とその利用を同じ重さで考えていきたいと考えております。
#74
○上林繁次郎君 この海中公園は、今度一カ所でございますけれども、今後計画的にこの海中公園をつくっていくという考え方を持っているのかどうかということですね。その点、また持っているとすれば、どの地域を今後指定していきたいという、こういう考え方を持っているんだという点を明らかにしておいてもらいたい。
#75
○説明員(広瀬治郎君) 現在厚生省が海中公園の候補地につきまして調査した個所を簡単に申し上げますと、鹿児島の佐多岬、錦江湾、それから熊本の天草下島、それから宮崎の大島、小夫婦村、それから愛媛の鹿島、高知県の竜串、見残、和歌山県の潮ノ岬、福井の烏辺島、能登半島の木の浦、それから小笠原の父島、母島でございます。これは厚生省が調査したわけでございますが、まだこのほかにも海中公園に指定してほしいという要望がある個所で、まだ時間的に調査をしていない個所がかなりあります。たとえば北のほう、北海道につきましては知床岬あるいは礼文島、積丹あるいは宮城の気仙沼、それから千葉県の白浜あるいは伊豆七島、そういうところでいろいろ希望があります。私どもも、この調査はなかなか専門家でないと十分できませんので、そういう人的な面もございますが、調査漏れのところはできるだけ早く調査をいたしまして、その結果、適当なところとあるいは適当でないところが出るかもしれませんが、海中公園地区に指定をして、適当なところにつきましてはできるだけ早く調査を完了して順次指定をしていきたいと、こういうふうに考えております。
#76
○上林繁次郎君 できるだけ早くということはわかるのですけれども、今回一カ所指定するということなんですが、やはりやるからには、この問題についても長期的なといいますか、計画をやはり明らかにしていかなければならないので、そうでなければ、できるだけ早い機会に努力をしますということは、非常に無責任な言い方である。やはり一つのことを実施するにはそれだけの綿密な計画がなければならぬ。そういう計画もなくて、ただできるだけ努力する、努力したけれどもできなかったと言われればそれまでの話です。そういったいいかげんなことではうまくないと思うのですがね。
#77
○説明員(広瀬治郎君) 先ほど私の説明が少し足りませんでしたので、追加して御説明申し上げたいと思います。ただいま御審議をしていただいておりますこの自然公園法の改正が成立いたしますと、すでにいま調査した個所が、ただいま申しましたように、数カ所あるわけでございまして、ほとんど準備のでき上がっておるところもあります。海中公園は、何と申しましても夏がシーズンでございますので、その夏の初めまでには調査の済んだところは直ちに第一の海中公園地区として数カ所指定したいと思っております。それから残ったいろいろ要望のあるところにつきましては、調査をして、大体三年をめどに全部調査を一とおり終わり、適当なところは逐次三年計画で指定をしていきたいと、そういうふうに考えております。
#78
○上林繁次郎君 それをやる場合にも結局また予算です。その点、予算はどのくらいかけてそれをやるつもりなんですか。
#79
○説明員(広瀬治郎君) 海中公園の調査そのものにつきましては、本年度も必要な調査費が予算に組まれておるわけでございます。それから指定後の施設の整備ということもあるわけでございまして、これにつきましても必要な予算がかかるわけでございますが、ただ海中公園の場合には、海の中にある施設としては、先ほど申しましたように、いまのところガラス底の船しか考えられませんので、これは当然有料施設でございますので、そういう事業をやりたいという希望者に事業を認可してもらいまして、これは有料でやってもらう。したがいまして、ガラス底船につきましては補助金を出す考えはありません。問題は、その海中公園近くの陸地に到達するための道路がまだ十分でないとか、あるいは駐車場が必要であるとか、あるいは公衆便所が必要であるとか、そういう陸地の施設整備が必要でございますので、これは本来陸の国立公園の施設整備費等と同じ性格のものでございますから、それとあわせて今後増額しながらその一部を使っていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
#80
○上林繁次郎君 わかりました。
 最後に要望でございますけれども、せっかくやるのですから、自然の保護という立場と観賞という立場、それはいまのお話からいいますと、並行していた、同じ比重を持っていた、こういうことなのですが、いまの話を聞いていますと、自然の保護のほうが勝つのじゃないかと思います。いわゆる観賞という面ではだいぶパーセンテージが低くなるような感じがするのです。その辺のところをよほどきちんとしていかないと、行く行くはそういう大きな差が出てくる。観賞という面ではずっとおくれてくる、こういうことが考えられるわけで、その点を明らかにしてひとつこれを進めていってもらいたい、こう思うのですね。それについては当然また予算というものもついてくる。これをやるからには大蔵省としても力を入れて、とにかくいまの日本の諸情勢を考えても、工業の発展とともに公害問題等が非常に大きく取り扱われている時代ですし、そういう自然というものが失われていく、これを保護するという立場――保護するということは、そこには必ず予算が伴う。いわゆる人命尊重という立場からも大蔵省は大いに金を使っていかなければならない。人間の健康のために、生命の尊重のために、大いに金を使っていかなければならない重要問題である、こういうふうに私は言いたいわけであります。そういう意味で、ひとつ大いに大蔵省もハッスルして、そしてこの面の充実に力を注いでいってもらいたいことを要望して終わりたいと思います。
#81
○中沢伊登子君 初めに厚生大臣にお伺いをいたします。
 最近は全国的に都市化が進んできて、地域開発が進行してまいっておりますが、いまも上林委員からいろいろ御質問がありましたが、自然の開発と自然の保護について、大臣はどのようにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。
#82
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど上林委員にお答えをいたしましたように、これからの日本の経済の発展を考えますると、いまより以上にやはり自然の保護、それから自然を愛し、楽しみ、国民の健康を保持するという必要がますます多くなってまいっている、かように考えまして、そういう観点から自然保護に取り組みたいと思います。
#83
○中沢伊登子君 このたびの海中公園について二、三お伺いをいたします。
 いま候補地をいろいろあげられましたけれども、その候補地をきめられました基準ですね。いろいろ調査をしてきめられたその基準は、どのようなものでございますか。そして、そのときに海中公園の、海のことだけでなくて、海のその公園を見に参りますと、やっぱり陸がすぐ目につきますから、そこら辺の陸の景観と抱き合わせて考えられる必要があるのではないかと思います。その辺について伺いたい。
#84
○説明員(広瀬治郎君) 海中公園の指定の基準として私どもが考えております点は、ただいまお話のように、単に海がきれいであるだけではいけないので、その海の周辺の陸がやはり自然のままに十分保護されていることが非常に大事であるわけでございます。と申しますのは、陸域の自然が十分に保護されておりませんと、勢いその影響が海中に及びまして、海の景観そのものが破壊されるおそれがあるからでございます。したがいまして、第一の条件といたしましては、その周辺の陸域が、海域とともに国立公園、または国定公園の区域として指定されておる、あるいは現在されていなくとも今後され得るものということを条件として、陸域の自然の保護が十分にはかられるということを第一の条件にしております。
 それから第二の基準といたしましては、海中そのものの景観でございますが、海中動植物が非常に豊富であり、かつその種類が多い、また学術的にも非常に貴重なものである、見た目も美しい、すばらしい海中の景観があるところというのが第二の条件でございます。
 それからまた、海の水が澄んでおりまして、透明度がよいということが第三の条件になるわけでございまして、これが透明度が悪く、あるいは濁っておりますと、海中の生物そのものが十分生息いたしませんし、また観賞のためにも透明度が悪うございますと十分観賞ができませんので、海水が清澄で、透明度がよいということを条件にしております。
 それからまた、海の深さでございますが、あまり深いところですと太陽の光が届きませんので、これも観賞の用に立ちませんので、水深二十メートル以内を標準にしております。ところによりまして例外は若干あると思いますが、大体深さ二十メートル程度を考えております。
 それからまた、海の潮の流れ、波が非常に激しいところもありますが、そういう潮流、波浪のあまり激しくないところ、それから先ほどもお答えいたしましたが、海中公園を利用するためには陸上にその休憩所なり、あるいは駐車場なり、あるいは桟橋なり、そういう施設が当然に必要でございますが、そういう必要な陸上の施設を設け得る土地があること、大体以上が条件でございますが、最後に一番大事なことは、何と申しましても、海の中のことでございますので、至るところに漁業権が張りめぐらされております。したがいまして、この海中公園地区を指定するにあたりましても、漁業権との調整が可能でありまして、特に海中の景観の保護につきまして、地元の漁業関係者に十分にこれに協力してもらえるということが実質上の条件になる、そのように考えております。
#85
○中沢伊登子君 この海中公園を指定したときの管理体制はどのようにされますか。
#86
○説明員(広瀬治郎君) 海中公園地区も、先ほど申しましたように、国立公園、または国定公園の一部でございますから、その管理につきましては、陸の国立公園または国定公園と同様の管理体制になるわけでございますが、問題はそれだけに保護すべき場所がふえるわけでございまして、従来の人員では、たださえ人数が足りないのに、ますます管理人の人手不足という問題になりますので、先ほど申しましたように、そういう必要な管理人の増員ということも当然考えなければならないわけでございます。しかしながら、何しろこういう広大な地区でございますので、単に管理人だけの問題では解決をしないわけでございまして、やはり特に海中という特殊な場所でございますので、やはり地元関係者の協力を得まして、十分この海中公園の目的が達せられるように関係者に協力を仰ぎたい、このように考えております。
#87
○中沢伊登子君 今度は危険防止のことについて少しお伺いいたしますけれども、たとえば最近はやっておりますアクアラング、そういうようなものをかってにつけて見に行かれる、そういうようなこともおそらく起こるであろうと思います。そうしたときの危険防止というもの、事故防止、あるいはそれの監督、こういうことも考えておられるのでございましょうね。
#88
○説明員(広瀬治郎君) ただいまお話の危険防止という点につきましては、何しろ海の上、あるいは海の中のことでございますから、御指摘のように、危険防止が一番大事な問題だと考えております。そこで私どもは、その海中景観を観賞するために、ほんとうは海にもぐってその景観を観賞するのが一番いい方法だと言われておりますけれども、御承知のように、アクアラングをつけて水中にもぐるということは非常に高度の技術を要することでございますし、また、ときどき事故もあるわけでございますので、私どもは、この海中景観の観賞という点につきましては、先ほど申しましたガラス底船によって観賞してもらう。これですと泳げない人でも、老若男女を問わず、すべての入が船に乗って観賞することができるわけでございます。それで、一部そういう泳ぎの達者の人でアクアラングで海中にもぐりたいという人もおると思いますが、何しろこの海中景観のすぐれたところは非常に狭い地区でございまして、そこにいま申しましたガラス底船も来るわけでございまして、その船と衝突するとか、いろいろ危険なこともありますので、私どもは、こういうアクアラングによって海中を観察するということは非常に危険が伴いますので、こういう点は、まあ法律上禁止するということはできないと思いますが、指導上できるだけやめていただくように指導したいと考えております。
#89
○中沢伊登子君 この危険防止には特に力を入れていただきたいと同時に、いまおっしゃったように、その海中景観を観賞するときに、ガラス底の船を利用する、そのガラス底の船を利用される何というのですか、事業者というのですか、そういうものは一体だれがやるのですか。
#90
○説明員(広瀬治郎君) そういうガラス底船でございますが、これも公園事業として必要な事業でございますので、事業認可をするわけでございますが、私どもは、やはりこの海中公園制度をりっぱに育て上げ活用していくためには、その第一条件としてやはり地元の関係者の協力を得るということが一番大事なことだと思います。したがいまして、こういう公園事業に必要な事業も、地元の関係者、たとえば地元の漁業協同組合あるいは地元の市町村でもいいわけでございますが、なるべくこの地元の方に、そういう希望があって適当な方であれば、優先的にそういう認可をしていきたいと、そういうふうに思っております。
#91
○中沢伊登子君 最近沿岸漁業ですか、こういうものがいろいろな廃液だの、公害だのということで非常に不振でございますね。それでその漁業組合というのも困っているわけです。ですから、この利用事業という点については、もしできることならば、観光事業のたてまえから漁業組合の人なんかにさせてもいいのではないかと、私自身もこのように、しろうと考えですけれども、思っているわけですね。ところが、これを小さなところにさせますと、この事業者に今度は保護管理の責任を持たせるべきだと考えるわけですけれども、そうすると、あまり小さいいいかげんなところにこの利用事業の認可をさせますと、あとの海中公園の保護管理の責任がとれないのではないか、こう考えてまいりますと、この利用事業の認可に当ってはやはり相当基準を設けて、はっきりといろいろな面でさせなければいけないのではないか、このように考えます。そうなりますと、また、これは地方公共団体にさせるとか、あるいは地方公営企業にさせるとか、いろいろな考え方があろうかと思いますけれども、その辺のことをもう一ぺん伺わしていただきたい。
#92
○説明員(広瀬治郎君) ただいま御指摘のように、この事業をするにはやはり一定の資本、財産が必要になるわけでございまして、あまり資産のない人が申請をされても、それはお断わりせざるを得ないと考えております。それから、これは単に金もうけのための企業と考えられては困るわけでございまして、もちろん有料事業ではございますけれども、あくまでも自然公園の利用施設でございますので、そういう認識の十分ある方でありたいと考えております。このような意味からいたしまして、地元の市町村なりあるいは地元の漁業協同組合等でそういう希望があればまず優先的に認可をしたいと、そういうふうに考えております。
#93
○中沢伊登子君 先ほども少しお話がございましたけれども、その漁業組合と、こういう海中公園を指定いたしますと、そういう点で何か紛争が起こりはしないかと、このようなことが心配になるわけです。そこで、もしもその紛争が起きたときの調整はどのようになさるか、その辺もうすでにお考えになっていらっしゃるかどうか。
#94
○説明員(広瀬治郎君) 海中公園地区の指定にあたりましては、指定しましたあとはそこで厚生大臣の指定した魚類等は許可なくしてとってはいけないという規制がありますので、この運用についてはできるだけ慎重にしておるわけでございます。まず法律上の制度といたしましては、海中公園地区、どの地区を指定するかという問題につきましても、その海中公園地区の中で許可なくしてとってはいけないサンゴ、熱帯魚等、何を指定するか、これは厚生大臣が指定するわけでございますが、地区の指定あるいは厚生大臣が指定する行為につきましても、決して厚生省だけで一方的にはできないわけでございまして、関係のある省庁に法律上協議をしなければならないということになっております。この場合特に関係がある省庁と申しますと水産庁でございます。したがいまして、海中公園地区の指定にあたりまして、当然水産庁と協議をし、その同意を得ることが第一の前提になっております。それから第二に、水産庁と協議する場合に、御指摘のように、水産庁も地元といろいろトラブルがあっては困ると、ところが水産庁自体も全国の地元の事情がよくわからないから、厚生省が水産庁に協議をする場合に、地元の漁業協同組合が喜んでこの海中公園地区を指定してくださいと、こういう魚は許可なくしてとってはいけないことに同意しますと、けっこうでございますという趣旨の文書を添えて水産庁に協議をしてほしいということになっておるわけでございます。したがいまして、実際問題といたしましては、どの地区を海中公園地区にするか、またその地区においていかなる魚を許可なくしてとっていけないことにするかということは、すべて十分に地元の関係者、特に地元の漁業協同組合と話をしてその同意を得た上で初めてこの指定ができるわけでございますので、指定したあとでいろいろ問題が起こるということはないような仕組みになっておるわけでございます。
#95
○中沢伊登子君 次に、陸地の公園についても同時に質問をさしていただきたいと思いますが、自然公園というのは、自然の景観の保護を基調とすべきでございますのに、最近は非常にそういうところが荒らされる傾向があるように感じます。そこで、先ほども上林さんからいろいろお話がございましたけれども、その保護管理についてどういうふうな対策を講じていますか、その荒らされる傾向についてですね。そうしてまた、今後の方向はどのように考えておられますか。
#96
○説明員(広瀬治郎君) 確かに御指摘のように、自然公園の中で一部非常に荒らされる例があるわけでございますが、その原因をいろいろ考えてみますと、一つは、そういう荒らしてはいけないということを承知の上で珍しい植物とか石を持って帰る、あるいはそれを持って帰って商売として金もうけをするという非常に悪徳な一部の業者もおります。しかし多くの人は、この自然公園のものは、まあこん虫をとっちゃいかぬとかあるいは草花をとっちゃいかぬとかいうことはあまり罪の意識なしに、何となく心にとがめるという程度ではあるでしょうけれども、あまり罪の意識なしに無関心に荒らすというのもかなりあるだろうと思います。前者の、悪意による荒らし方につきましては、これはそれぞれ法律に照らしまして、悪質なものにつきましては罰則をかけるしか手がないわけでございますが、後者の、まあ無関心あるいは無知識のために心ならずもそういうことをするという方もかなりあると思いますので、その点につきましては、私どもはやはり国立公園の用地に自然教室――ビジター・センターと言っておりますが、そういうものを設けまして、やはり自然公園の意義、そのとうとさ、そこにある自然の特色、そういうものを十分解説した施設を置き、やはり基本的には自然をみんなが大事にしようという精神を涵養することにつとめておるわけでございます。
 それから、数少ないわけでございますが、指導員も監視員も、そういう不心得のものがわかった場合にはそれぞれ注意を与えて、以後そういうことがないようにつとめておるわけでございます。いずれにいたしましても、シーズンになりますと公園利用者が非常に多くなるわけでございまして、管理体制の強化ということもございますけれども、やはり根本的には、利用者自身が自然を大事にするという精神を涵養することが一番大切だと思っておりまして、私ども国立公園部といたしましては、毎年夏に、自然に親しむ運動というのを一カ月間やっておりまして、これは各府県協力いたしまして、自然に親しみながら自然を大切にするという、自然を愛護するという精神を涵養することにつとめておるわけでございます。
#97
○中沢伊登子君 精神の涵養については、後ほど厚生大臣にひとつ御質問申し上げたいと思いますが、いま私の立てている順序を追って、もう一つついでに質問申し上げますと、自然の景観を完全に保護していくためには、公園専用の土地を確保する措置をしなければならないと思います。先ほど厚生大臣は、民有地がその中にあればこれを買い上げたい、このようにおっしゃっておられましたが、どうしても完全に保護していくのには民有地を買わなければいけないのではないか、私どももこのように思いますけれども、その対策はもう講じられておられるのですか、いかがですか。
#98
○説明員(広瀬治郎君) 御指摘のように、国立公園の中でも一番大事なところで、もう自然をそのまま、何らの人工の手も加えないで保存しなければならないというところにつきましては、その土地が民有地である場合にはなかなかその目的が達成できませんので、これはどうしても買い上げをしなければならないわけでございます。従来はこの買い上げという制度がなかったわけでございますが、先ほどお話がございました答申の際にも、そういう意見が中間的な答申として出まして、その答申の結果、四十二年度から買い上げ制度という制度ができたわけでございます。ただ、この内容はまだ非常に貧弱でございまして、県がこれを買い上げる場合に国が二分の一を補助するという内容でございまして、まだその予算も五千万円でございますので、それを倍にしてもまだ年間一億しか買い上げられない程度でございます。しかし、まあ非常に少額ではありますけれども、昨年、一昨年、白山のふもとの原生林、あるいは箱根の仙石原の湿原地帯等、民間の土地を買い上げてこういうものにしたわけでございますが、現在こういう制度はございますけれども、予算の面、補助率の面におきましてまだまだ不十分な点がありますので、今後これの強化につきまして、できるだけの努力をしたいと考えております。
#99
○中沢伊登子君 武蔵野が非常にいいと昔から言われておりまして、私も東京に来てから一ぺん武蔵野を見たい、こう思った。武蔵野というのは、一体どこへ行けば武蔵野の、何というか、風物を見られるかと伺ったら、井の頭公園だろう、こういうふうなことを言われましたので、四、五年前、井の頭公園に行ったことがあるのですね。ところが、最近の井の頭公園は、その四、五年の間に、もうすっかり面目が変わってしまった。こういうことでありますから、厚生省は、よく弱い弱いと言われますけれども、大蔵省に食いついてせいぜい予算をたくさんとって、早くそういうところを買い占めてほしい、こういうふうに思います。
 それから、自然公園の利用者が最近非常に増加をしております。そのための利用施設に投下される資金ですね。そういうものが大部分は民間企業によるホテルとか、旅館等の施設に投ぜられておりますけれども、自然公園の本来の目的である利用者と自然の交流ということをはかるためには、ずいぶん何か違ったものになってきた。そこで、私どもとしては自然研究路といいますか、国民歩道といいますか、自然歩道といいますか、そういったものやら、あるいはそこに行けばいろいろ植物の名前も覚えられたり、植物の性質もわかったりというような自然教室ですね、そういったような公共利用施設を早くつくるべきだ。しかし、そういうものがやはりいま非常におくれておるのではないか、こう考えておりますが、今後どういう計画を持っておられますか。またその自然教室というものはどこにございますか、教えていただきたいと思います。
#100
○説明員(広瀬治郎君) ただいま御指摘のように、国立公園の中には民間企業のホテル等が非常に多くございますけれども、ほんとうに国立公園を利用するための必要な施設、たとえば自然教室、あるいはいまお話のありました自然研究路あるいはキャンプ場など、ほんとうに人と自然との親しむ場所というものがまだまだ十分ではないわけでございます。私どもは、その民間の有料施設につきましては、これは特別補助金は出していないわけでございますが、ただいまお話の自然教室とか、あるいは自然研究路、そういうものはもちろん無料のものでございますので、これは全部公共施設として国と県が力を合わせて整備していかなければならないわけでございます。御指摘のように、現在ビジター・センターとか、自然研究路は非常に少ないわけでございまして、自然研究路は現在二十六路線ございます。これも三十九年度よりようやく整備を始めたばかりでございますが、人間が自然に親しむ方法としては一番いい方法でありまして、これは単に自然の中の細道を歩くだけではなしに、その周囲にある自然の動植物の解説をしたり、いろいろの施設があるわけでございまして、自然を理解し、自然と親しむに最もいい方法であろうと思います。それからいま一つ自然教室につきましては、これも現在六、七カ所程度しかないわけでございますが、これもやはり先ほど申しましたように、基本的には当該地区の自然の概況なり、地形なり、地質なり、かなり専門的な解説を加えまして、それからシーズンになりますと、監視員そのものがそこに行きまして、利用者に対しましていろいろ質問に答えたりするわけでございます。こういう制度は、アメリカでは非常に発達しておるわけでございますが、日本は非常におくれておりますので、今後こういう点につきましても重点的に整備をしていきたいと考えております。
#101
○中沢伊登子君 今度お考えになられた国民自然歩道ですね。これの構想は、先ほどちょっと読ましていただきましたが、非常に私どもこういうものをつくっていただくことはうれしいと思います。しかし、この「東海道自然歩道」というものは第一次計画ですね。まだ第二次計画、第三次計画と次から次とおそらく考えていただけるかと思います。その中で一つ、二つ御質問申し上げたいのは、もちろん重要文化財ですね、そういうものもその歩道のところに取り入れていただいて、国民が皆そういうところにも寄って重要文化財を見たり、あるいは研究をしたりすることもできるようにして、そうしていただいてはおるようでございますけれども、せっかくこう歩くときに、もっと貴重な歴史のあと、そういうところも探索さして、歴史のことももう少し国民の頭に入れる必要があるのではないか、こういうふうに考えます。その点もひとつお考えに入れていただきたいことと、いまも武蔵野のことを例にとりましたけれども、あまり開発され過ぎると、せっかくの自然歩道というものが私どもの思いと違ったものになってまいります。先ほど申し上げましたように、民間企業があまりホテルや旅館というふうなものを建て過ぎて、公園みたいなところも少し開発され過ぎておるのではないか、このようなことが非常に残念でならないのでございます。そこで今度の自然歩道ですか、そういうものについては原生林だの、あるいは高山植物あるいは鳥だの、虫だの、そういったような野生動物、そういうものの管理保護、保存、かようなものにも十分力を尽してほしいと思いますが、その辺のことについてお考えをひとつ伺いたい。それと同時に、先ほどから何べんも申しておりますけれども、このようなものに機会を得て、やはりいかがわしいホテルや休憩所をつくらせないようにすることが必要ではないか。そして商売優先ではなくて、自然保護が優先であり、人間優先にしてほしいと思いますけれども、そこら辺までお考えをいただいているかどうか、お答えをいただきたい。
#102
○説明員(広瀬治郎君) 自然歩道のお話でございますが、ただいまお話がありましたように、私どもは将来こういう人だけが歩く自然の道を全国的につくりたいと考えております。「東海自然歩道」と申しますのは、その第一次計画といたしまして、とりあえず東京−大阪間の山道を歩く、そういう道を考えたわけでございまして、これだけで事終われりというわけではないわけでございます。
 そこで、この自然歩道をつくるに当たりまして、いまいろいろ貴重な御意見を賜わったわけでございますが、御意見のとおり、私どもも単にこれは自然だけではなしに、神社仏閣もあり、それから名勝地もあるわけでございます。それからまた関ケ原等のように、古戦場、歴史にちなむところも非常に多いわけでございまして、回り道をしてもなるべくそういう興味のある地点を通るようにいま計画をしておるわけでございます。
 それから、いまお話のありましたように、できるだけ歴史的な地域も加味するようにというお話でございましたが、いずれこの「東海自然歩道」ができました場合には、解説書をつくりたいと思っております。これは、単に自然の動植物のみならず、そういう歴史的な話、あるいは名所旧跡、故事来歴、そういうものもすべて織り込んだ相当膨大な解説書をつくり、それを見ながら歩いていただけば非常に役立つであろうと思われるものをつくるつもりでおるわけでございます。
 それから、御指摘のように、この歩道をつくりましても、その周囲の動植物その他の風景を維持することが一番大事なことであるわけでございます。それで、この「東海自然歩道」は、現在国立公園、国定公園になっておるところも通りますれば、まだ現在そうでないところも通るわけでございます。現に国立または国定公園になっておりますと、いろいろの規制がありますので、それで規制はできるわけでございますが、現在自然公園になっていないところにつきましては、何ら法律上の規制が生じませんので、私どもは、でき得ればこの東海自然歩道の両側相当の幅をもちまして、自然公園にでき得るところはできるだけ自然公園にしていって、自然公園ということでその保護管理に当たりたいと考えております。
 それから、もう一つ御指摘の、国立公園全般につきまして、非常に民間の施設が多過ぎるというお話でございますが、確かに、ところによりましては非常にこういうものが多過ぎて、景観、美観を害しているところがあるのも事実でございます。実は、この自然歩道をつくるに当たりましても、非常に人の多く利用するところでは、必ず売店その他が乱立するということが予想されますので、そういう要所につきましては、できれば県なり国が補助を出して買い取って、そういう見苦しい売店等が乱立しないような措置をできるだけ講じていって、ほんとうに自然の中を人間が自然と語らいながら歩き得る道をつくっていきたい、そういうふうに考えております。
#103
○中沢伊登子君 もう一つ、二つで終わりますが、私、昨年欧米に行かしていただいたわけですが、いろいろなヨーロッパなんかの公園を見てまいりますと、ほんとうにそういった売店がほとんどないわけですね。それで、ただベンチぐらいが置いてあって、ほんとうにみんなが自然と親しんでゆっくりとそういうところで休んでおられる。そうすると、もちろんごみも散らかさない。そういうところで、非常に気持ちがよくって、ほんとに自然を楽しんでいる。こういうような状態をあっちこっちで見てまいりまして、非常に私はうらやましいと思って帰ったわけです。
 そこで、いまの私の質問にいろいろお答えをいただきましたが、やっぱりあんまり開発されないように、リクリエーションの場としての自然公園と、いわゆる自然景観を保護する目的とは多少違うと思います。そういう点で、あまり変なものを建てることはいけないという規制をする方法があるかないか、この点が一つと、もう一つは、最近の野外リクリエーションという需要が非常に大きくなっておりますね。それですから少し遠いところまで歩いていくとか、車に乗っていくとか、乗りものを利用して遠いところまで行くのではなくして、大都会周辺の適当なところに新たなリクリエーションの場としての自然公園を開発する必要があるのではないか、このように思いますが、その二点についてお答えをいただきたい。
#104
○説明員(広瀬治郎君) この規制の方法でございますが、これは先ほど申しましたように、国立公園なりあるいは国定公園の地区に入れますと、許可なくしてかってにホテルをつくったり、売店をつくったりはできないわけでございまして、建てていかぬ場所は、かりに申請があっても許可をしないということで規制をしていきたいと思っております。
 それから都市周辺につきまして、もっと身近かなところヘリクリエーションをするために大いに自然公園をつくるべしという御意見でございますが、私どもも全くそのように考えておるわけでございまして、できるだけ居住地から近くて野外リクリエーションを楽しめるような場所を今後大いに指定をし、あるいは拡張していきたいと考えております。
#105
○中沢伊登子君 それでは最後にお伺いをいたしますが、先ほどから上林さんの御質問にもありましたし、私もずいぶん心配でいろいろ御質問を申し上げた問題は、やはり国立公園あるいは国定公園、そういったようなりっぽな自然公園ですね。そういう自然公園の利用のしかた、利用者の公徳心のレベルアップというような問題、あるいは景観をこわすような営利主義の商業道徳、そういったようなものからいって、こういうことばが適当かどうかわかりませんけれども、国民の質の向上をこの際はかるべきだ、大いにこれは厚生大臣にひとつやっていただきたい。根本的には、もうでき上がったおとなは何ともしようがないとおっしゃるかもしれませんが、これからの時代を背負っていく青少年ですね、若い人たち。そういう人たちが大いにこういう自然公園を利用する、その利用のしかたあるいは国民の質の向上にまでこの際これを利用しながら、私は国民の再教育をやっていくべきではないか、このように考えます。もちろんこれは文部省とタイアップしなければならないと思いますけれども、まず公園を大事にする、自然を大事にする、あるいは虫を大事にする、そういうような点からも私はやっていただきたい、このように思います。厚生大臣にぜひひとつそういう国民の教育までやっていただきたい、このように思います。昨日のテレビでしたか、この間の日曜日がお花見の最高の日曜日でございまして、花の吉野山といいますけれども、その吉野山に七万人とか、十万人とか人が行って、そのあとの紙くずあるいはごみ、そういったものを集めますと、くずかごに相当な量で、これはトラックに載せれば一万五千台分だとかなんとかで、相当の日数がかからないと吉野山がもう一ぺんきれいにならない、このようなことがテレビで報道されていたわけですね。そのような問題を含めて今度のこの法律案、これに対して基本的に大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、その基本的な考え方をひとつお伺いをいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
#106
○国務大臣(斎藤昇君) 私も、かねがねただいまの御意見のとおりに痛感をいたしておった次第でございます。日本人は非常に欧米人よりは自然を愛するのだ、自然と親しむのだ、わびの気持ちがあるのだ、こう言われているにもかかわらず、やはり大衆の人たちの動きを見ておりますと、全くそれに反するような、いわゆる一言で言えば公徳心と申しますか――きょうも閣議の始まる前に閣僚が集まっているところで、私は、いまおっしゃいました、日曜日の上野公園なりあるいは吉野山の様子等の話をいたしまして、まあ何という情けないことだろうかというお話をしたようなわけでございますが、この自然公園を利用し、育てていくという面からも、いまおっしゃいましたような趣旨を特に重点的に考えまして施設の運営管理をし、国民が少しでもそういう自然を愛し、動物を愛し、また公徳心を養っていくという方向に持ってまいりたいと思います。同時に、やはりもう子供のころから、幼稚園から小学校、中学校、高等学校と、教育の面におきましてもさらに進めてもらうように文部当局とも話し合ってまいりたいと思いまするし、われわれだけの力ではまいりませんが、あらゆるそういった団体なり機関なりの働きによって、国民的なひとつ運動といいますか、として盛り上げてまいるように、微力ながら今後力をいたしたいと、私も痛感をいたしているわけでございます。
#107
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局をしたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 自然公園法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#110
○委員長(吉田忠三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後三時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト