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#1
第061回国会 社会労働委員会 第22号
昭和四十四年六月十日(火曜日)
   午後一時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田忠三郎君
    理 事
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                大橋 和孝君
                上林繁次郎君
    委 員
                黒木 利克君
                塩見 俊二君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                山崎 五郎君
                山本  杉君
                横山 フク君
                上田  哲君
                小野  明君
                中村 英男君
                藤原 道子君
                渋谷 邦彦君
                中沢伊登子君
       発  議  者  藤原 道子君
   委員以外の議員
       発  議  者  柏原 ヤス君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤  昇君
   政府委員
       人事院事務総局
       職員局長     島 四男雄君
       厚生省環境衛生
       局長       金光 克己君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       厚生省児童家庭
       局長       渥美 節夫君
       厚生省援護局長  実本 博次君
       労働省労働基準
       局賃金部長    小鴨 光男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安課長      小野島嗣男君
       大蔵省主計局主  辻  敬一君
       計官
       文部省大学学術
       局大学病院課長  吉田 寿雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○母子保健法の一部を改正する法律案(柏原ヤス
 君外一名発議)
○看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律
 案(藤原道子君外一名発議)
○社会保障制度等に関する調査
 (中央学院における児童虐待事件に関する件)
 (看護婦の充足に関する件)
 (看護職員の不足対策に関する決議の件)
 (米ぬか油中毒事件に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田忠三郎君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#3
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族及び未帰還者の留守家族等に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法、未帰還者留守家族等援護法等により、各般にわたる援護の措置が講ぜられてきたところでありますが、今般さらにこれらの援護措置の改善をはかることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。
 その改正の第一点は、別途今国会に提案されております恩給法の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料の増額に関連いたしまして、障害年金及び障害一時金並びに先順位遺族にかかる遺族年金及び遺族給与金の額をそれぞれ増額することとしたものでありまして、その増額の程度につきましては、恩給法にならっております。
 改正の第二点は、特別項症から第六項症までの障害者及び第一款症の障害者に対する障害年金の加給額は、現在定額となっておりますが、これを扶養親族数等に応じ、軍人軍属であった障害者の場合、現在の七千円を、配偶者について一万二千円、その他の扶養親族についてそのうち最初の一人は七千二百円、その他は一人につき四千八百円とし、準軍属であった障害者の場合もこれに準じて引き上げることといたしたことであります。
 改正の第三点は、軍人軍属の後順位遺族にかかる遺族年金の額は、法制定以来五千円に据え置かれてまいりましたが、これを七千円に増額することとし、これに準じて準軍属の後順位遺族にかかる遺族給与金の額についても引き上げることとしたことであります。
 改正の第四点は、勤務に関連する傷病により死亡した被徴用者、動員学徒等の遺族に対し、弔慰金及び特例遺族給与金を支給することとしたことであります。
 改正の第五点は、軍人軍属の勤務に関連する傷病により死亡したことを事由として支給される弔慰金は、一般傷病については在職期間経過後四年以内、結核及び精神病については在職期間経過後十二年以内に死亡した場合に支給することとされておりますが、この期間による制限を撤廃することとしたことであります。
 改正の第六点は、在職期間内に公務上の傷病にかかり、その傷病によらないで死亡した軍人軍属の遺族に対して支給する遺族一時金は、一般傷病については在職期間経過後二年以内、結核及び精神病については在職期間経過後六年以内に死亡した場合に支給することとされておりますが、これを、一般傷病については在職期間経過後四年以内、結核及び精神病については在職期間経過後八年以内に死亡した場合に支給することとしたことであります。
 改正の第七点は、旧防空法の規定による防空監視隊員を新たに準軍属の範囲に加え、障害年金、遺族給与金等を支給することとしたことであります。
 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。
 その改正の第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金の額の増額に準じて、留守家族手当の額を増額し、加給についても改善することとしたことであります。
 改正の第二点は、未帰還者の死亡の事実が判明した場合にその遺族に支給する葬祭料の額を八千四百円から一万円に増額することとしたことであります。
 第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正であります。
 その改正の第一点は、旧防空法の規定による防空監視隊員を戦傷病者の範囲に加え、療養の給付、更生医療の給付等の対象としたことであります。
 改正の第二点は、長期入院患者に支給する療養手当の月額を三千六百円から三千八百円に増額することとしたことであります。
 改正の第三点は、療養の給付受給者が死亡した場合にその遺族に支給する葬祭費の額を八千四百円から一万円に増額することとしたことであります。
 第四は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正でありまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法による弔慰金の受給者が死亡している場合などに、戦没者の死亡当時戦没者と生計関係を有した戦没者の兄弟姉妹等に支給される特別弔慰金を、戦没者の死亡当時戦没者と生計関係を有しなかった戦没者の兄弟姉妹等にも支給することとしたことであります。
 第五は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正でありまして、特別項症から第六項症までの障害者及び第一款症の障害者の妻に対して特別給付金が支給されておりますが、第二款症及び第三款症の障害者の妻にも特別給付金を支給することとしたことであります。
 第六は、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正でありまして、戦没者の死亡当時戦没者以外に子も孫もなかった戦没者の父母等に支給される特別給付金を、戦没者の死亡当時戦没者以外に子または孫がいたが、その子または孫がすべて戦没者の父母等と氏を異にしていたという場合にも支給することとしたことであります。
 以上のほか、所要の条文の整理を行なうことといたしております。
 以上がこの法律案を提案いたしました理由及び内容の概要でありますが、なお、この法律案は、衆議院において施行期日について修正がなされております。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。斎藤厚生大臣。
#6
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者につきましては、昭和三十二年に制定された原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、医療の給付、健康診断等を実施するほか、昨年制定された原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により、特別手当、健康管理手当等の各種手当の支給を行ない、被爆者の健康の保持向上とその生活の安定をはかってまいったところであります。
 しかしながら、原子爆弾の放射線を多量に浴びたいわゆる特別被爆者にあっては、放射能の影響により、一般的に負傷しまたは疾病にかかりやすく、また、負傷または疾病が治癒しにくい等の事情があり、これらの者は日ごろから死に対する特別な不安感を抱いているのであります。
 特別被爆者が、今なお、このような不安な日常生活を余儀なくされている状態にあることについては、政府としても特別被爆者の福祉という見地から、かねて深い関心を有しているところでありますが、今回、このような国家的な関心の表明として、特別被爆者が死亡し、その死亡が原子爆弾の傷害作用の影響に関連があると思われる場合に、その葬祭を行なう者に対し、特に葬祭料を支給することとし、これにより、これら特別の状態にある被爆者の福祉をはかることといたした次第であります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由でありますが、なお、この法律案は、衆議院において施行期日について修正がなされております。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、母子保健法の一部を改正する法律案(参第一六号)を議題といたします。
 発議者から提案理由の説明を聴取いたします。柏原ヤス君。
#9
○委員以外の議員(柏原ヤス君) ただいま議題となりました母子保健法の一部改正案についてその提案理由と概要について御説明申し上げます。
 わが国の母子保健活動は、昭和二十三年の児童福祉法によって実施されてまいりました。
 しかしながら、母子保健対策は、母子一体の体系のもとに進めることが、母子保健水準の向上のため、最も必要であるという観点に立って、昭和四十年四十九国会において母子保健法が制定されたことは、御承知のとおりであります。
 このような母子保健対策の推進により、わが国の母子保健の現状は、一歩前進を示しているが、いまだ改善しなければならない点が少なくないのであります。
 すなわち、先進諸国に比べてわが国の、妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、また戦後、著しい改善向上をみた乳幼児の死亡率、体位、栄養状態についても、その地域格差が依然として縮小されない等、なお努力を要する課題が多く残されております。
 このことは当然、本法を諮問した社会保険制度審議会の答申において「本案は、母子の健康確保の方向に、わずかに一歩を踏み出したにすぎないものであって、各部面に未熟、不備、不徹底な点が多く、特に優生保護法との関係、その他、医学的に検討すべきものがあるが、今後引き続き改善を図ることを条件として了承する」と述べられておりますことは、いまなお御記憶のあるところであります。
 さらに本法が、終始救貧対策にとどまっていたため実績が十分あがらなかったことは当初から憂慮されていたものであります。
 このような状況にかんがみまして、今後母子保健の向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護のための指導を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策の充実強化をはかる必要があると考えて、この改正案を提出する次第であります。
 次に改正案の概要について申し上げます。第一には、出産費の支給を新たに設けました。
 市町村長には、四万円を限度とし社会保険と調整してすべて出産費を公費で負担することといたしました。第二には、健康診査であります。
 健康診査は、三才児以外の幼児、乳児及び妊産婦に対しても行なわなければならないようにしたことであります。第三には、栄養の摂取に関する援助を強化することであります。妊産婦及び乳幼児に対する栄養の摂取に関する援助は、市町村長が栄養費の支給等を行なわなければならないことといたしました。第四には、妊産婦の受診に関する援助の強化であります。
 妊援婦の受診に関する援助は、都道府県知事が医療費の支給等を行なわなければならないように、義務づけることといたしました。第五には、母子健康センターの充実であります。
 母子健康センターは、市町村が必要に応じて設置することといたしました。
 最後に以上述べました五項目について国、都道府県及び市町村の負担割合を明記しました。
 なお、わが党の医療政策としては、将来、出産費については疾病と同様すべて医療保険の現物給付で行なうこととする所存であります。
 また、さきに提案理由の中で述べたとおり、優生保護法第十四条四項の規定を削除する改正を考慮いたしております。
 以上がこの改正案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上すみやかにご可決あらんことをお願いいたします。
#10
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案(参第一八号)を議題といたします。
 発議者から提案理由の説明を聴取いたします。藤原道子君。
#12
○藤原道子君 ただいま議題となりました看護婦国家試験の受験資格の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の御説明を申し上げます。
 昭和二十三年に制定された保健婦助産婦看護婦法によって、わが国の看護婦は、「甲種」と「乙種」の二種類に分けられたのであります。すなわち、甲種看護婦は、高等学校を卒業後、文部、厚生両大臣の指定する学校または養成所において、三カ年の専門教育を受け、国家試験に合格した者、乙種看護婦は、義務教育を終了後、厚生大臣の指定する養成所において、二カ年の専門教育を受け、地方庁が行なう試験に合格した者と定められたのであります。この乙種看護婦につきましては、全くわが国の特殊事情によって生まれたものでありまして、将来あるべき看護婦のあり方とは逆行し、むしろそれは妥協の産物であったと言っても決して過言ではございません。
 その後、昭和二十六年、法律の改正が行なわれまして、看護婦は、すべて甲種を基準とすることになりましたが、そのときもやはり、別に准看護婦の制度が設けられたのであります。
 ひるがえって、わが国医療の現状を見ますとき、その進歩発展は、まことに目ざましいものがあり、その内容もまた、複雑多岐をきわめてまいったのであります。したがいまして、医療のチーム・メートであります看護婦の業務につきましても、当然それに対応いたし、高度の知識と技術、水準の向上が要請されているのが現状であります。その意味から申しましても、看護婦は将来、高等学校を卒業後、学校教育法に基づく学校において正規の専門教育を受け、国家試験に合格した者に一元化され、真に医療専門職として、社会的地位はもちろん、賃金その他労働条件が飛躍的に改善されなければならないことは申すまでもございません。
 このような要請にこたえるためには、政策的に看護婦の増員こそ本来はかられるべきであったにもかかわらず、現実にはかえって准看護婦の比重が高められつつあるのであります。すなわち、昭和三十六年当時には、看護婦と准看護婦の比率は五八対四二でありました。ところがわずか五年後の昭和四十年には五三対四七と、ほとんど均衡の状態になってきたのであります。
 看護婦不足はここ十年来叫ばれており、これまでにもしばしば委員会で明らかにしたように、平均月十回にも及ぶ深夜勲等、その労働条件は非常に過酷なものであります。そのため看護婦の健康は著しくそこなわれ、異常産は五二%にもなっております。このため四十年には「二人夜勤、月八日以内に」という人事院判定が出されたのでありますが、それからすでに四年が経過するも何ら実行に移されず、放置されたままであります。このようなきびしい労働条件のため、年間一万人に近い看護婦が退職しており、今日約十万人の看護婦が不足しているのであります。この深刻な看護婦不足を解消するには、何よりもまずその社会的地位の向上、賃金その他労働条件の改善によって看護婦の充足をはからねばならないのですが、逆に看護高校の増設など、ますます准看護婦の養成に力点を置く傾向が強められつつありますことは、わが国の将来における看護水準に思いをはせますとき、まことに遺憾なことと言わざるを得ないのでございます。
 しかも、このように政策的に養成されました准看護婦は、准看護婦という資格である限り、いかに経験を経ようとも、永久に責任のある地位につくことができないばかりか、その賃金においても、看護婦との格差は永久に続くのであります。その上看護婦の絶対的な不足は、これら准看護婦に実際の看護業務において、たとえば一人夜勤など、全く看護婦と同様な職務を課するという法律違反をみずからの意思に反してしいられているのでございます。
 もちろん、これら准看護婦にも、看護婦への道が全く閉ざされているわけではありません。現在でも昼間二カ年、あるいは夜間三カ年の進学コースが設けられており、そのコースを修得した者については、看護婦国家試験の受験資格が与えられてはおります。しかしながらこの進学コースは、全国で今日百二十三カ所にすぎず、しかも、昼間二カ年の進学コースを修得しようと思えば、現在の職を放棄せざるを得ず、その間の生活保障も、ほとんどかえりみられてはいないのであります。
 また夜間三カ年の進学コースといえども、看護業務の特殊性から、現実には厚い壁となっているのであります。夜間進学コースは全国に四十六カ所しかなく、進学コースの存在しない地域の准看護婦は、その経験、能力のいかんにかかわらず、永久に看護婦への道を閉ざされていると言っても、決して言い過ぎではありません。事実、昭和四十三年度において、進学コースに進んだ准看護婦は、わずか三千五百四十四人にすぎず、看護婦への道は、文字どおり、せまき門となっているのでございます。
 したがいまして、これら准看護婦のうち、一定の経験年数を持ち、かつ看護婦として十分なる資格要件を備えている者に対し、その勤務する職場、居住する地域のいかんを問わず、看護婦国家試験の受験機会の増大と均等をはかって、等しく看護婦への門戸を開放し、その身分上、待遇上の差別を完全に撤廃するとともに、わが国の看護水準を総体的に向上させつつ、看護婦の充足をはかってまいりますことは、いまや緊急の政策課題と申すことができるのでございます。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由でございます。
 次にこの法律案の内容を御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、看護婦国家試験の受験資格につきまして、当分の間における特例を規定するものであります。すなわち、この特例法は、看護婦の充足をはかるためのものではありますが、あくまで准看護婦で、看護婦として十分なる資格要件を備えた者に対し、特例的に看護婦国家試験の受験資格を与えようとするものであり、いやしくもこれによって、看護水準の低下を招くようなことがあってはなりませんし、かつ将来は、看護婦資格の一元化を志向するものであるということでございます。
 第二に、そのため准看護婦として六年以上の実務経験を持つ者のうち、厚生大臣の定める養成課程を修め、必要な単位を取得した者に対し、看護婦国家試験の受験資格を与えるということでございます。
 第三に、その方法として、いかなる僻地に勤務する准看護婦でも、進学コースがないために看護婦国家試験の受験資格が得られないというような不平等をなくし、かつ業務のかたわら看護婦となるに必要な知識と技術を修得させることができるよう、従来の進学コースのほか、准看護婦の勤務時間に合わせて、三交代の定時制課程を設けたり、さらにはその可能な部分を通信課程で行ない得るような制度を設けようとするものでございます。
 第四に、この法律の趣旨を十分に生かし、かつ看護水準の低下を来たさないために、この養成課程で修得すべき学科、単位数など、養成課程に関して必要な重要事項については、厚生大臣が保健婦助産婦看護婦審議会に諮問することにいたし、養成課程の年限については、一年程度を期待しております。
 第五に、この法律は、准看護士の業務を行なう男子についても同様に適用することにいたしたのでございます。
 第六に、第三で申し上げました養成課程の充実強化をはかるため、それを国立病院及び国立療養所に付属して設置することができるなど、必要な整備を行なうことにいたしたのでございます。
 「我はここにつどいたる人びとの前に、おごそかに神に誓わん。わが生涯を清く過し、わが努めを忠実につくさんことを。我はこころより医師をたすけ、わが手に託された人びとの幸のために身を捧げん」
 ナイチンゲール誓詞の一節でございます。この美しい言葉をゆがめ伝え、今日まで看護婦に多くの犠牲と奉仕を強制してきたものは、ほかならぬ婦人労働者、特に看護婦に対する社会の誤った見方、それに便乗したとさえ疑われるわが国の看護制度でございます。ナイチンゲールは、決して、このような看護婦のあり方を志向したのではなく、彼女みずからも述べておりますように、「私が望むものは、宗教的な奉仕団を設立することではなく、高給に値するキャリアを開くことである」と、看護婦が専門職であり、その社会的地位は高く評価されるべきであることを期待したのでございます。
 全国約十二万人の准看護婦が、みずからの知識を高め、技術を向上させて、一人でも多く専門職としての看護婦への道を進むことによって、わが国の看護水準を総体的に高め、ひいては国民の健康と生命を守ろうとするこの法律案の趣旨に、必ずや御賛同いただけるものと確信いたす次第でございます。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容の説明でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せしめられますようお願い申し上げます。
#13
○委員長(吉田忠三郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(吉田忠三郎君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 御質疑のある方の発言を求めます。
#15
○渋谷邦彦君 過日の八王子の中央学院の収容児の虐待問題、まことに痛ましい事件ではなかったかと思うわけであります。ただ、今度の事件は氷山の一角、このように判断してよろしい内容を含むものである、このように私は理解をしているわけでありますが、こうした問題が出るたびごとに収容施設がどうであるとか、あるいはその実際の収容児を扱ういわゆる従事者、職員等を含めてのそういう立場の方が非常に少ない、もう毎回毎回社労委員会においてそうしたような結論しか聞けない。もうそれ自体すでに大きな問題ではないか、こう思うわけでございますが、まず最初に伺いたいことは、公共、民間を問わず、こうした施設に収容されている場合に、収容されている側からはこういう問題が起きているということを言えないわけですよ、精薄児だとか、そういう場合ですから。職員がうわさをして、近所周辺にうわさをばらまく、こういう話でも出てこない限りは、杳として、一体中でどういうことが行なわれているんだろうか。まあ、たまたま形式的に一年に何べんかの監査をやって、東京都の監査の内容もありますけれども、大体おおむね良好と、こういうことでずっときているわけですよ。おおむね良好とするならばこの種の事件が起こること自体がおかしいと、こういうふうにも考えられるわけでありますが、実際に当局として、こうした施設に収容されているいわゆる問題児あるいは精薄児ですね、こうした人たちが安心して、家族の方もまた収容されている子供たちも満足のできる条件のもとに収容されているかどうか。日本全体の現状についてまずお話をいただきたい。
#16
○政府委員(渥美節夫君) 今回の中央学院の事件につきましては、私ども、平素心がけてはおりましたのでございますが、このようなことが起こりましたことをたいへん遺憾に思い、残念に思っております。精神薄弱のおとな及び子供のための施設といたしましては、現在でも精神薄弱児施設、あるいは精神薄弱者通園施設、あるいは精神薄弱者の更生施設、授産施設といった種類のものに約三万以上の方々を収容いたしまして、指導訓練をいたしておるところでございます。その施設の運営につきましても、その精神薄弱の子供たち、あるいはおとなたちの適性に応じまして、施設長やあるいは作業指導員等の職員によりまして指導訓練をしておるわけでございますが、その際の日常の生活費等につきましても、毎年予算におきまして、随時必要に応じましてその内容を改善するとともに、職員の処遇につきましても、毎年のように内容の充実、改善をはかってきたところでございますけれども、今後ともに、このような事件を一つのきっかけといたしまして、特にこういった施設の監査につきましては、より実効のある監査を行なうようにやってまいりたい、かように思っております。
#17
○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりですね、こういう問題の起きないように十分に監査につとめていくと、じゃ、具体的にはどういうふうにやるのかということですね。大綱としてはわかりますよ。いま私どもが聞きたいことは、具体的に一体どういうふうに進めようとしているのか。たとえばわれわれがいまうわさに聞いている問題だけでも、千葉県に何とかいう施設がある、そこでもこれに準じたような問題がどうも起きているらしいと。これは風評程度ですから、ここではっきりしたことは申し上げかねますけれども、そういうふうにたどってまいりますと、大なり小なりこういう問題に類することは、特に民間施設等においてはあり得るんじゃなかろうかということをおそれるわけですね。しかも、日本としては、福祉国家を標榜しながらその道を歩んでいこうというけれども、実際に行なわれている施策というものは常に後向きの行き方をしていると、こう断定しても決して言い過ぎではないんではないか、こう思うわけでございまして、具体的にどういう一体監査の方法をやっていくのかということを、まずきめのこまかいそういうやり方について教えていただきたい。
#18
○政府委員(渥美節夫君) 監査の方法につきましての御指摘でございますが、これは、私どもといたしましても、常日ごろ考えており、それを実施いたしておるところでございますが、特に事務監査、施設監査の実施要領、これをこまかくつくっておりまして、たとえばその施設の職員の配置の状況でございますとか、経理の状況でございますとか、あるいは指導の内容でございますとか、こういった点につきまして事こまかく監査要領をつくりまして、これによりまして実施するように通知を出しておるわけでございます。問題は、この要領をいかにして現実的に監査しているかというところであろうかと考えるのでございますが、各都道府県におきましては、もう毎年必ず一回はこのような収容施設の監査をするということになっておるわけでございます。実は中央学院につきましても、東京都におきまして、毎年一回やっておりましたのでございますが、その監査の内容といたしまして、やはりもう少し問題点をはっきりさせまして、それを継続的にあるいは総合的に指導していくというところが欠けておったのではないかと、かように考えます。したがいまして、今回はさらに監査の指導につきまして通知を出しまして、実態的な、具体的な、かつ実効のあがる監査をさらに推し進めるように通知をいたしたところなのでございます。
 それからもう一つの問題といたしましては、施設が、自分自身におきまして向上するという自主的な――民間の施設でございますから、自主的な意欲というものを燃え上がらすということが非常に必要だと思うのございます。そういった点につきましては、たとえば精神薄弱児施設につきましては、都道府県単位におきまして施設長会議でありますとか、あるいは指導員の研修会でありますとか、保母の研修会でございますとか、そのような研修会あるいは相互の討論会等を実施するということが有効でございます。したがいまして、国におきましても、都道府県に対しまして、施設自体から燃え上がる自己研さんといいますか、そのような方法をとるようにも指導しておるところでございます。
#19
○渋谷邦彦君 いま御説明の内容を伺っておりますと、確かにいろんなりっぱな要綱がございます。私も若干読んでおります。ただしあまりにもきれいごと過ぎるのじゃないか。要は、いかにそれを実施させるかどうかというところに大きな課題があるわけでございまして、そうでなければ、この種の問題が起きるはずがないのじゃないか。おそらく東京都において監査した内容については、上級官庁である厚生省にもその報告がなされていると思うのであります。事件はことしでありますけれども、去年何回か監査がありました。その前四十二年にもやっているわけです。ところが、最低基準を満たす条件に全部合っている、こういう報告がきているわけですね。しかし、この内密とは全くうらはらの今回の事件が起こっているわけですよ。しかも、ことばをきわめて言うならば、虐待。一体福祉法人の認可を受け、社会事業というその美名のもとに隠れてそういうような問題が起きているということは、実に言語道断である、こう言わざるを得ないのであります。局長は、いまいろいろおっしゃいましたけれども、局長自身が、今回の事件ばかりじゃありませんけれども、実際具体的に現場を踏まれて実情をお調べになりましたか。
#20
○政府委員(渥美節夫君) 中央学院の問題につきましては、監査は毎年やっておりましたのですが、ただ東京都におきましても、あの学院において職員の交代が非常に激しい、そういうふうな状況も察知いたしまして、特に昭和四十四年度には特別監査を実施しておるというふうなことでございまして、定例の監査のほかに、やはりそのような事態を察知いたしましての監査を行なったということでございまして、このような特別監査といいますか、抜き打ち監査といいますか、このような方法も、もちろん私どもといたしましては、都道府県がとるように指導しているわけでございます。
 最後の、私が監査したかということでございますが、私自身はこの中央学院の監査はいたしませんが、私どもの児童家庭局におきまして、五人の監査員による監査班を編成いたしまして監査をいたしたのでございます。
#21
○渋谷邦彦君 いまのお話からもうかがえるように、職員の交代が非常に激しかった。この辺あたりからもう異常なことが察知されるわけですよ。一体、中で何が起こっているのだろう、経営それ自体のみならず、その収容されている児童に対して正常な取り扱いがなされているのかどうかというふうになるわけでありますが、まあそういう時点において職員の動きが非常に激しい、これも一つの現象だと私は思うのですね。事実問題が起きたときに手を打つというようなことになるのでしょうけれども、今回の場合も、もっと事前にこの問題が察知できて、公にならずとも事前に防止することができなかったのかどうかということを非常に残念に思うわけであります。新聞にも、相当内情のよくなかった点について糾弾されております。
 私も、いまここに、その当時子供たちがいかに虐待されたかという資料が一つあるんですよ。大臣、見てくださいよ。ひどいものですよ。子供が着たやつ。これはもうよほどおとなの力が入って、めちゃくちゃに破かれた。皆さん、見てください、これが中央学院で子供が着ていた衣料ですよ。こういうことが平然と放置されておることに問題があるのじゃないか。異常といえば異常ですね。こういうところに一体どうしてその福祉法人の資格が与えられたのか。その中にもありますよ、認可条件はどうこうということが条文に。どうして一体そういう認可が与えられたか。おそらくあなたたちは認可の要件を満たしていた、そういうものが整っていたがゆえに許したのだと思うが、そういう背景とかいろいろなことを考えた上で、その人の人となりも当然問題になるでしょうし、いままでその人がどういう経過をたどって今回のような中央学院を設置しようとされたのか、そういう考えというものをどういうふうに適切にとらまえて認可をされたのかどうか。
#22
○政府委員(渥美節夫君) 社会福祉法人の認可の問題でございますが、これは、先生もいま御指摘ございましたように、社会福祉事業法の第二十九条によりまして、申請されるそれぞれの項目がこの項目に合致しておるかどうか、こういうふうな点を中心といたしまして認可を決定するわけでございますが、この法人につきましては、昭和三十六年の十一月二十八日にそれらの条件を具備しておるというふうなことで認可をいたしたのでございます。
#23
○渋谷邦彦君 今回の事件から思いますことは、この認可条件についてもっと法改正をする必要があるのじゃないかということを感ずるわけですが、大臣、いかがでございましょうか。
#24
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、この福祉法人の認可につきましては、まずその役員構成と申しますか、そういう点にも十分配慮をしなければならぬと、かように考えます。私は法律改正をしなくても実際の運用において、たとえばこの場合においてはその点について少し調査をする点が足りなかったのじゃないかという感じがいたすわけでございます。一番大事な点は、この施設をつくってやっていこうという、いわゆる人的の要素、これをよく見きわめなければならないと、かように思っております。
#25
○渋谷邦彦君 この代表者という方は、過去において刑事事件に問われた犯罪を起こした。それ自体は問題がどうこうというわけじゃありませんけれども、やはりそういう場合に相当綿密に、いま大臣が所信の一端を述べられたとおり、もっともっとやはり細部にわたり資格審査というものをやるべきではなかったか、悔やまれてならないわけでございますけれども、今後一体どういうふうな考え方を持って、特に民間のこうした施設の申請があった場合に、どういう態度で臨まれるか、その今後の方向でございますね、できるならば今後のビジョンと申し上げてもいいかもしれませんけれども、そうした点について大臣の所見を伺いたいわけであります。
#26
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、やはり人柄の調査ということばは悪いかもわかりませんが、その方のいままでの経歴あるいは人望の程度というようなものをできるだけ側面的に知り得る材料を集めて判断をする、そのことに重点を置かなければならないということを痛感いたします。
#27
○渋谷邦彦君 当時国会がごたごたしておるときの事件でありまして、時期がずいぶんずれてしまったわけでありますが、その後福祉法人の資格については取消しがあるのですか、ないのですか。
#28
○政府委員(渥美節夫君) この中央学院につきましては、まず、東京都知事が五月二日に児童福祉法に基づますところの施設の運営の改善命令を出したのでございますが、次いで五月十二、十三日にさらに第二回の特別監査を行ないました。その結果によりまして、五月十四日に、これは児童福祉法によりますところの施設の認可の取り消しを行なったのでございます。問題は、こういった施設の取り消しが行なわれた場合に、次の問題といたしまして、法人の存立をどうするか、こういう問題が残るわけでございます。私どもといたしましては、社会福祉法人の取り消しにつきましては厚生大臣の権限に属するわけでございまして、いろいろなデータに基づきまして、社会福祉事業法の規定によりまする手続をしなければならないわけでございますが、先生御承知のとおり、この中央学院の施設長でございますが、これは警察によりまして逮捕をされております。同時に、書類その他も押収をされておるような現状でございますので、私どもの監査班によりまして調査はしておりますが、そのような関係書類が司直の調べるところにありますために、確実な証拠といいますか、書類をまだ私どもは手に入れることができません。そういったこともございまして、現在のところは、その社会福祉法人を解散するかいなか、そのための前提でありますところの調査が行き届いていないということ、そういった事情によりまして、この点についてはまだ決定的な段階に至っておりません。
#29
○渋谷邦彦君 なるほど、まだ捜査の段階のようであります。きょうももう一人逮捕されたようでありますけれども、もし捜査の段階が終わって、今度厚生省独自の調査をなさると、相当時間がかかるわけですね。それでなくても、世論は、そういうような不始末行為があった施設に対していつまでも社会福祉法人としての資格をそのままに存置さしておくのかという疑問が当然あらわれてくるんじゃないか。善意に基づいてりっぱにやっている方々もいるわけでありますので、そういうような方々の立場を守る上からも、やはり厳正にこれを取り扱うことが至当ではないかということで、先々の見込みということはここでどうかとは思いますけれども、おそらくいままでの調べられた範囲でもって、当局の方針としてはこうしていきたい、また、今後事件を再び繰り返さないという上からも厳格な処分ということが望ましいと考えていらっしゃるのかどうなのか。その点いかがですか、大臣。
#30
○国務大臣(斎藤昇君) 処分につきましては、まあ予断をもって臨むことはいけないかもわかりませんが、諸般の事情から考えまして、これはやはり存立せしめておくべきではないと、かように考えます。そういうような考え方で厳正に調査を進めて結論を出したい、さように思います。
#31
○渋谷邦彦君 その点は善処方を強く要望しておきたいと思うのであります。
 次に申し上げたいことは、最近の風潮として、まことに言いにくいことでありますけれども、社会福祉屋と称する――これはまあ俗語でございますからどうかと思うのでありますが、そういうようなたぐいの者がふえているのではなかろうか。昔は、こうしただれも好まないような仕事をやる場合には、相当私財があって何ら一生涯困らないという相当財産家が、慈善的に、そういう目的をもっておやりになるということは知っておりますけれども、最近の傾向としては、必ずしもそういう資産があるとか、財産があるということを前提とするのではなくして、ともかくそういう施設をつくれば国から補助金がもらえる、その補助金をうまく使えるんではあるまいか、どうせ収容されている子供たちはどんな不当な扱いを受けてもそれが表ざたになることはなかろう等々、いろいろなそういう見方も、うがって言うならばないとは言えない。すでにそういうようなことばが流布されている。こうした問題については一体どのようにお考えになっていらっしゃるのか。
#32
○政府委員(渥美節夫君) いまお話がございましたけれども、私どもといたしましては、公立もそうでございますが、特に民間の社会福祉施設あるいは児童福祉施設を経営されている方がそのような気持ちで臨んでいらっしゃるというふうには思っておらないのでございます。現実問題といたしましても、施設の経営につきまして、国のなすべき予算的な措置が十分であるというふうなことはまだとても言えないような段階でございます。したがいまして、これはもちろん施設の方々御自身も自戒されて施設を経営されていると思うのでございますけれども、とうてい私どもといたしましては、そのような、何といいますか、社会福祉屋というふうなことばに表現できるような態度で施設を経営していらっしゃるというふうには思っておらないのでございます。
#33
○渋谷邦彦君 当然それは政府のほうとして認可を与えるときにそんな人がいようはずはございませんしね。また認可をとろうとするときにはそういう意図があったとしても、それはまさかばかじゃあるまいし、わざわざ私は社会福祉屋でございますというようなことを標榜するわけはない。ともかく認可をとるためにはあらゆる条件というものを整えて、とにかく表面は全部法律にかなったものをつくって出す。当局としては、法律にかなった条件があれば、それは認可の対象になるわけですから、いままではそういうことはありませんというふうになるんだろうと思うんでありますが、一体こうした民間の施設に対する補助金というものは、まあ克明にということをいま申し上げるわけではございませんけれども、大まかに言ってどのように一体割り振りされてこうした団体に対して渡されているのかどうか、これの概要についておっしゃっていただけませんか。
#34
○政府委員(渥美節夫君) 社会福祉関係にはおとなの方々の施設、それから子供の関係の施設とございますが、私が担当いたしておりますところの児童福祉施設について申し上げますると、児童福祉施設につきましても補助金を差し上げる際の型が二つございまして、一つは二十四時間子供たちを収容していただいているいわゆる児童福祉施設のうちの収容施設、それからもう一つは保育所でございます。まあそう渡し方が違うというわけではございませんが、国がその経営費――その経営費の中には職員の人件費なり、建物の維持費、それから子供さんの生活費、指導費、こういう一切を含むわけでございます。つまり施設の運営費でございますが、その運営費に対しまして国が十分の八負担をいたしまして、あとの十分の二につきましては都道府県が負担をいたすわけでございます。保育所につきましては、国が十分の八持ちまして、都道府県が十分の一、それから市町村が十分の一、こういうふうなことで児童福祉施設――収容施設と保育所につきまして運営費の補助をいたしておるわけでございます。保育所につきましても職員あるいは子供の教材、保育費全部を含むわけでございます。もちろん先ほどちょっと触れましたように国及び都道府県、市町村で負担します費用が必ずしも満足でございませんので、特に民間施設等におきましては、御自身で、あるいは他の社会資源を活用いたしまして、その運営費に充てんをするという方法も講ぜられておる次第でございます。
#35
○渋谷邦彦君 いま資料がなかったらあとで出していただいてけっこうですけれども、全国の民間施設の数と、それに対する補助金の額、これをおっしゃっていただけませんか。
#36
○政府委員(渥美節夫君) この児童福祉施設の中で、先ほど大まかに二種類に分けたのでございますが、さらにこまかく分けますると、授産施設、乳児院、母子寮、保育所、養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設、教護院というふうなたくさんの種類がございます。そのおのおのにつきまして公立、私立に分けられるわけでございますが、保育所につきましては大体公立六割、私立四割の割合でございます。もう少し正確に申し上げますと、保育所一万二千六百九カ所――これは昭和四十三年七月一日現在でございます。この一万二千六百九カ所のうち市町村立を中心といたします公立が七千八百九十五カ所、私立が四千七百十四カ所、かように相なっております。それからいま問題になっております精神薄弱児施設でございますが、精神薄弱児施設の数は、同日現在で二百八十カ所でございますが、そのうち公立が百二カ所、私立、民間立が百七十八カ所、かように相なっております。民間のほうが非常に多い。児童福祉施設といたしましては、養護施設がございますが、これは全国で五百三十二カ所でございますが、公立が七十七カ所、私立が四百五十五カ所、かように相なっております。これら各種の児童福祉施設を一つ一つ申し上げてもたいへんでございますが、大体そのほかの施設につきましては、民間と公立が大体半分半分というふうなことで御理解いただければよいんじゃないか、かように思います。
#37
○渋谷邦彦君 いま金額の点にお触れになりませんでしたけれども、大体一つの施設について平均どのくらい補助金が出ているんですか。
#38
○政府委員(渥美節夫君) 金額のことを申し上げないでたいへん恐縮でございましたが、こういう各般の児童福祉施設につきましては、先ほど申し上げました児童保護措置費ということで昭和四十四年度の予算におきまして約四百五十億程度出ておるわけでございます。これは各施設ごとに少しずつ単価が違うわけでございますけれども、養護施設等におきましては一人一カ月当たり約二万円程度でございます。それから精神薄弱児施設におきましては一人一カ月当たり約二万五千円にあたる、かように相なっております。
#39
○渋谷邦彦君 確認しておきますけれども、その一人一カ月当たり二万五千円、これは収容児一人当たりということですか。
#40
○政府委員(渥美節夫君) これは先ほどちょっと触れましたが、その施設の経営費でありますところの職員の人件費、建物の維持費、それから児童に対する処遇費、これらを全部含めまして、子供一人一カ月に割りますとそのような金額になる、かような意味でございます。
#41
○渋谷邦彦君 こまかい数字はあとでいただくことにしまして、そのほかに、いま言われた金額の点は、年度内の予算によってきめられる補助金であろうと思いますが、寄付金の取り扱いについてはどうなっているのですか。赤い羽根だとか、いろいろありますね。
#42
○政府委員(渥美節夫君) 寄付金の中でも、寄付者の意思によりましていろいろ差があると思います。たとえば施設を改善する費用に充てるとか、あるいは子供さんのお菓子代に充るてというふうな例がそうなんでございますが、いま御指摘の赤い羽根あるいは自転車振興会のお金、船舶振興会のお金、いろいろとそういった民間の援助金がございますが、それぞれに応じましてその目的に従い充当されるわけでございますが、たとえば自転車振興会とかあるいは船舶振興会のお金は主として設備費に充てられる。共同募金につきましても、これは設備費に充てられるものもございますし、また、運営の経費に充てられるものもある。このように、必ずしも一言で申し上げられるような対象にはなっておりません。
#43
○渋谷邦彦君 寄付金の場合の収支決算について、どういうふうになっておりますか。
#44
○政府委員(渥美節夫君) 社会福祉法人の法人会計及びその中の重要な施設の会計でございますが、これらは毎年必ず報告をしていただきまして、監査をいたしておるわけでございますし、先ほども申し上げましたように、年に一回の定期監査におきましては、そのような寄付金収入によりますところの収入及びその支出の現状等は十分監査いたしておるわけでございます。
#45
○渋谷邦彦君 監査の状況でありますけれども、まあおそらく出された帳簿を見れば、これはもう字づらさえ合っていれば、数字面さえ合っておればオーケーという面もあるでしょう。どんなふうな監査のしかたをおやりになっていらっしゃるのですか。
#46
○政府委員(渥美節夫君) 先ほどちょっと触れましたが、たとえば施設整備につきまして寄付をしていただく場合に、寄付者自体において監査をするという場合もございます。たとえば自転車振興会からの益金の配分を受けました場合に、自転車振興会がいうような設備に使っているかということを監査される場合もございます。私どもといたしましては、それらを全部踏まえまして、どれだけの寄付がどこから何に使うように入ったか、そうしてその使途は厳正にその寄付の目的に従って使われておるかどうか、かような点に着目するわけでございます。ただ、もちろん子供のいろいろな雑費といいますか、クレヨンであるとか、絵の具であるとか、あるいはクリスマスのお菓子とか、このような要するに子供さんのために何とか使ってくれというふうな経費につきましては、その内容自体をこまかくせんさくはできませんけれども、考え方といたしましては、寄付金の収支を厳正に監査をする。使途に応じてうまく使っておるかどうか監査をするということでございます。
#47
○渋谷邦彦君 監査のときに、たまたま問題になることは、監査するほうの立場の人、人員構成であるとか、いままでよく問題にされておることは、この種の問題に限らず、ややもすると人員が足りないために手を抜いた監査が行なわれておるというようなことが起こるわけであります。いま額面どおりそういう話を聞いておりますと、まあ金にまつわる問題は今後とも絶対起きないという印象を受けるのでありますけれども、はたしてそうのよな期待を持っていいのかどうか、これはまだ相当疑問が残るように思うのであります。私はいまなぜそのことを聞いたかというと、冒頭に申し上げたように、局長自身はお聞きになったかどうか知らないけれども、風評として社会福祉屋などというものがあるという点から、やはり金に関する問題というのは、何といってもこの種の運営に当たっては最も焦点になる課題ではなかろうか、こういうふうに思うがゆえに、いま概要についてだけお話を伺ったわけであります。ただ、やはりいかに厳重にやりましても盲点というものがありますので、寄付金自体の取り扱いをどうするか、あるいは寄付金については直接そういう施設に持ってくる場合もありましょう。あるいは適切な、どこかの団体で吸い上げて、そこからまた配分するといういろいろな方法があるんでしょうけれども、いずれにしても、こうした金のルートというものはとかく国民の目をかすめる場合がありますので、特にその人手が不足であったとか、あとになってから、ここがああであった、こうであったというような、そういう問題が絶対に起きないように配慮をしてもらいたいものである、こう思うわけでございます。
 ついでに、関連して伺っておきたいことは、いまのお金に関しまして、たとえば、児童に集約して問題を申し上げるわけですけれども、重度身障者の場合と軽度身障者の場合と、それはやはり金の出方は違いますか。
#48
○政府委員(渥美節夫君) 精神薄弱関係におきましても、精神薄弱児の施設、それに、精神薄弱児の施設の中に重度の精神薄弱児を収容しておりますところの棟、寮がございます。それからさらに、重い肢体不自由児と重複しておられます重い精神薄弱の施設といたしまして、重症心身障害児施設というものがございます。三つの種類がございますけれども、金の支払いの方法におきましては、これは児童福祉法によりますところの児童福祉施設でございますから、先ほど御説明いたしましたような金の支払いでございます。国が十分の八を持ちまして、都道府県が十分の二を持つというふうなことになっております。
#49
○渋谷邦彦君 次に児童相談所の件について若干お尋ねをしたいのでありますけれども、今回の事件で一つ感じている問題があるわけです。二人の女の子がいたたまれなくなって学院を逃げ出した。それで、ある一人の女の子は自分の姉のところに行った。ところがそれから四、五日して、その姉の住んでいる地域の児童相談所長から電話がかかって、すぐ学院に戻れ、そういうきびしい通報を受けたというのですね。まあそのことについては、私、直接本人に会って確かめているわけでありませんので、どうこう言えないかもしれませんけれども、これは相当確実な話として私聞いております。こうした場合は、児童相談所長というものが、なぜ一体こういう問題が起こったのかという原因、結果というものをよく判断した上で、そうしてそのもとの場所に帰すとか、あるいはこれはもうむしろ問題を公にして、そうしてほかの施設へ移したほうがいいのじゃないだろうかどうか、そういう適切な措置というものが当然とられてしかるべきではないかと思うのでありますけれども、まず児童相談所の性格並びにその上級官庁として相談所に対する監督ですね、また、いま申し上げたような問題が起こった場合の措置等について、三点いま申し上げておりますが、お話しをいただきたいと思います。
#50
○政府委員(渥美節夫君) 児童相談所は、御指摘のように、児童福祉法の第一線機関でございまして、全都道府県に、全数といたしまして、百三十八カ所ございます。児童相談所自体は都道府県知事の指揮のもとに、そういった子供たちに対しますところの相談でありますとか、判定でありますとか、指導でありますとか、それから施設に対する措置、こういうことを行なっておるわけでございます。児童相談所長自体は、そのような第一線機関でございますから、児童福祉のほんとうの意味を十分心に体してやっていただいていると、かように思っているわけでございます。
 そこで、中央学院の問題でございますが、お話にございました点につきまして、私どもといたしましても、実はその二人の子供たちに帰れと言ったというふうなことの事実をまだ伺っておらないのでございます。この中央学院におきましては、ちょうど五月一日に四十九名の子供がございまして、それを親元に引き取ったりあるいは他の施設に措置がえをいたしまして、その子供の症状に応じましてあるいは能力に応じまして、ふさわしい施設に措置がえをしている。もちろん親元に引き取られた子供につきましても、児童相談所からは児童福祉司等がその指導にまいっているということを、東京都からは伺っているわけでございます。
#51
○渋谷邦彦君 伺った段階の話ではなくて、その種の問題が起こった場合、とにかく東京都からお聞きになっている範囲でもけっこうだと思うのですが、それが適切な措置であったかどうかということは、私自身もまだ疑問があるわけです。一体、これが福祉司のやる仕事なのか。もっとあたたかい心づかいをもってその情勢判断をされて、それに従った適切な対応措置というものがとられてしかるべきでなかったか。一人前の人間でありませんから、何かこう――言い過ぎになるかもしれませんが、まるで犬ネコを扱うみたいな考え方はないにしても、ままそういうようなやっかいな仕事でありますから、ときには感情的になることもあるでしょうし、何をやっているのだ、早く学院に帰らなければたいへんなことになっちゃうぞと言わんばかりのことを言うということは、十分予想される問題なんですね。そういう点について、一体上級官庁としてどういう指導監督をやっているかという問題、先ほど答えがない。またそういうことが事実発見された場合に、一体政府側として、厚生省側としてどういう指導をされるのか。その一番肝心なところをおっしゃっていただけませんか。
#52
○政府委員(渥美節夫君) この施設は、五月十四日に認可の取り消しに相なっているわけでございます。したがいまして、東京都といたしましては、その施設におりました子供を親元に引き取らせる者は引き取らせたのでございますけれど、そういったことができない子供につきまして、三十三名をとりあえず七生福祉園という精神薄弱児施設に移したのでございます。そうして、移した後におきまして、親御さんあるいは親御さんにかわってその子供をみております父兄等と相談をいたしまして、そのうち九名を七生福祉園に残す、それから友愛学園というほかの施設に八名、滝野川学園に二名、甲ノ原学園に六名、かように、親御さんの希望をお伺いをし、かつ子供の能力なり症状に応じまして移したのでございます。この際におきましても、先ほど御指摘のように、児童相談所長がかってにやったのではございませんで、子供の能力なり症状なりに応じ、かつ親御さんの希望を承って他の施設に措置がえをしたのでございます。三十三名のうち二十五名はそのようにいたしたのでございますが、なお残りの八名、この八名はおとなの、十八歳をこえた方でございますが、この八名のうち、現在のところ三名の方につきましては他の施設に入所をいたしているのでございます。それから親元におりまする子供につきましても、児童相談所におきましていろいろ在宅指導いたしまして、さらにその親元におられる子供のうち、十三名については別の施設に入所をあっせんをしているわけでございます。それから二名につきましてはこれはご自分で就職を考えているということでございまして、いずれにいたしましても、長々と申し上げましたが、児童相談所は父兄の方とあるいは施設と十分連絡をとりながら、子供に幸福をもたらするように配慮をしているというのが現状であります。
#53
○渋谷邦彦君 この問題は、これ以上申し上げてもどうかと思いますけれども、二人の名前がここに出ております。ただ未成年でありますから、私は、名前を伏せておきたい。
 それから時間的な問題についても、いま局長は五月十二日に学院は閉鎖になったということですが、これは閉鎖以前の問題です。
 それから、いま私が言っている児童相談所長、この名前も伏せてあります。こうした名前が私のところで掌握されているんですよ。ですから、どういう取り扱いをするのかと、抽象的な言い方であったかもしれませんけれども、別にこの人たちを責めたいとは思わない。ただ、こういうふうに児童相談所長が周囲のいろいろな事情というものを考えずに、独断的に判断をされて、そうしてその家族も大いに迷惑をするということがあってはならないというようなことから、いまお尋ねしたわけなんですよ。ですから、今度の問題が起こって、全部の児童相談所がそういう状態だと私申し上げているのではございません。しかし、一カ所でもあってはいけない、こうした問題については。そうした意味から当局の今後に対する配慮というものは、どういう決意をもって臨まれるかという、その点についても実はおっしゃっていただきたかったわけなんです。だから、その点は今後とも十分ひとつ遺漏のないようにお願いをしたい。おそらく遺漏のないようにいたしますとおっしゃるに違いないけれども……。
 次に、時間が――ほかの方の御質問もあるようですから、職員の待遇問題について最後にお尋ねをしたいと思いますが、今回の場合も職員の出入りが非常に多いということが事件の発端になったとも聞いております。えてしてこの種の施設で働いておられる方々の待遇というものは、いつも問題にされておりますように、依然として改善されない。そういう状態のもとに置かれているわけでありまして、これではやはりこういう施設の充実、強化といって並べ立ててみましても、しょせん、やはりいつまでたっても解決にはほど遠いということになりはしまいか。現在の保母を含めての話になりますけれども、こういう施設に従事する職員の待遇改善については、今後一体どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#54
○国務大臣(斎藤昇君) こまかしい点は局長からお答えいたしますが、先ほど渋谷委員の御質問について局長がお答えをいたしましたのは、少し御質問の趣旨を取り違えておったんじゃないかと思います。おそらく中央学院がああいうものであったということがわかる前に、子供が出てきて、あの施設はたいへんだ、あんなところにいられない、こういうふうに訴えてきた事柄ではなかったのかと私は思います。
#55
○渋谷邦彦君 そのとおりです。
#56
○国務大臣(斎藤昇君) したがって、答えておりましたのは、少し違った答えになっておったと思います。児童相談所長並びに職員は、自分の管下にあるそういった施設がほんとうにりっぱに運営されているかどうかということは、これは絶えず把握していなければならないわけでございます。一年に一回、二回、監査をいたしましても、それは定例監査でありますから、そういった子供の訴えがあった際には、はたしてあの施設は適正な施設であろうかという疑問も持つべきであろうと思います。ただ、一般的に、その施設をいままで信用しておった、その信用しておる施設から子供が訴えてきたというので、その施設に対して疑いを差しはさまないで、子供のほうに、そう言わないで施設に帰れというような措置をしたのじゃないかと思います。私としては、若干親切心が足りなかったと思いますが、少なくとも管下における施設について、この児童相談所長、職員は、一応は信頼をしておるというたてまえ、たてまえというか、そういう心情にあったから、そこでそういう措置になったんであろうと思います。したがって、相談所の職員は、絶えず措置児童の気持ちになって、そうして相談所がそういうように運営されているということを絶えず確かめ、子供のしあわせになるようにと、こういう考えをもってやっていくべきである。また、そういうような気持ちでやるように常日ごろからいろいろと指導もいたしておるわけでありますが、たまたまそういうようなことがあって、遺憾であったと、私はかように思います。
 なお、施設に働く人たちの処遇の問題でありますが、一般的に考えまして現在あまりよろしいとは考えられません。諸物価の上昇あるいは賃金ベースがどんどん上がっていくというような状況から考えまして、施設の職員にもそれに見合った処遇がなければならぬわけでございますから、したがって、先ほど政府委員が答弁をいたしました措置児童一人当たりに対する単価、その単価をはじき出してくるもとになります職員の給与の単価というものを、本年から三カ年かかって処遇の向上をはかろう、少なくとも三年以内に国家公務員としての処遇に見合うだけの引き上げをやろうというので、本年第一年として踏み出したわけでございます。今後さらにそういった職員の処遇の改善を、いま申しました方針に従ってやってまいりたい、かように思う次第でございます。
#57
○渋谷邦彦君 まず、公立の施設については、いま大臣の御答弁のように、一刻も早く国家公務員としての資格を与え、それに応じた給与体制をつくる、それはけっこうだと思います。ただし、国家公務員、一般の公務員の場合でもそうでありますけれども、施設の内容が内容だけに、私は特別給与を支給できるような配慮が望ましい。おそらく大臣もいろいろな施設をごらんになって痛切にお感じになっていらっしゃるのではないかと思う。ひどいものですよ。よくこういうところでしんぼう強く働いておられると思う。しかも、やっと成年に達したような若い女子職員が、苦労をいとわずやっている姿を見ると、ほんとうに何か気の毒になってしまう。一体待遇はどうなっているのかというふうに聞いてみると、まことに低いわけです。これでは人は行きませんよ、大体。もう待遇も悪くて、昭和元禄なんて言われている時代に、何でわざわざ好んで行きたがるか、こうなりますよ、人情として考えても。そんなことは当然な話なんです。何も金でつるというのではなくて、やはりそれなりにそれにふさわしい待遇改善ということは必要でございましょう。たとえば、金のみならず、住宅施設その他の厚生施設については、むしろほかと比較しても群を抜いてよろしいと、こうしなければその人たちが安心してやはり希望をもってその仕事に従事できないのじゃないかということを心配するわけですね。やはり公共の施設がまず先陣を切ってその模範を示さないことには、民間の場合でもそれに並行した待遇改善というものはまだまだ相当先にいかなければ望めないことではないか。しかしこの問題についてはいま急がねばならないのですね。したがいまして、いま大臣の国家公務員云々の御答弁がありましたけれども、もう一回念のために、私が申し上げた考え方に立って、さらにどのように具体的に、給与の問題のみならず、その他いま申し上げたことに関連しましてお考えになられているかどうか。本気になってこの問題にほんとうに取り組む姿勢がおありになるのかどうかということを聞いているわけなんですよ。そのためには、こういう問題が一つ一つ解決されて、それが上積みされていかない限りは、何回こういう話をして審議したって、らちはあかないということになるのですよ。最後にその点についての大臣の御決意のほどと申しますか、それをお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(斎藤昇君) 私が先ほど申し上げましたのは、公立のものをまずよくすると、こう申し上げたのではなくて、こういう私の施設で働いておられる方々も、少なくとも国家公務員並みの給与の支払えるようなそういう補助金を出すということを申し上げたのでございます。今日非常に低いことも私ども承知をいたしております。これに対する処遇をいたしますのは施設の長でございますが、それだけの処遇ができるだけの補助金をやはり出さないと、寄付その他だけでは十分まかなえないということにもなりましょうから、そこで補助金を出す単価を、先ほど児童一人当たり二万円とか、二万五千円とか申しておりましたが、この中にたとえば保母の単価を幾らに見るとかあるいは看護婦の単価を幾らに見るとかいうのがあるのでございますが、それを上げまして、そして少なくとも施設に働く方々の待遇が改善できるだけの補助金にアップするということを考えまして、三カ年以内にいまの施設に働く人たちの給与の改善をやるというので、その第一年度を本年踏み出したと、これは私の施設に対することを申し上げたわけでございます。
#59
○渋谷邦彦君 きょうのところはこの程度にしておきますけれども、いずれにしてもこの福祉関係の施設の問題については、まだまだ問題が山積しておりますし、いずれにしても、どうか願わくはこうした委員会等における責任ある答弁については、明確な見通しと、それから予算面についてはどうなるか、現状で間に合うのか、足りないのか。しからば次の年度からどうするのかという、もっと前向きの姿勢をもって取り組んでいただくことは当然だろうと思うのですね、私は。ただ技術的なここで討論をやっても何にもならない。むしろ率直にこうするんだ、いまこういう方向で考えているんだというふうに、明快な歯切れのいいお答えをいただきたいものだと思う。いずれにしても、ただいま申し上げたように、こうした問題についてはあまりにも問題が多過ぎるために、短時間でもって一切を結論づけるということは不可能なことでございます。また次の機会にあらためて別な観点から御質問を申し上げたいと、こう思っておりますので、本日のところは、以上をもって私の質問は終わります。
    ―――――――――――――
#60
○委員長(吉田忠三郎君) 次に看護婦の充足に関する問題に入ります。
#61
○藤原道子君 私は、看護婦不足の現状とその需給対策についてまずお伺いをしたいと思います。
 本問題は、十余年の長きにわたって本委員会でも、また他の委員会でも論議され、そのつど努力中である、検討中である、可及的すみやかになどと繰り返して答弁されてきたのでございます。また、過日、私の質問に対しまして、おそくとも需給計画は五月一ぱいには立てるという約束でございました。きょうは、六月十日でございます。すでにでき上がっていることと思うので、大臣からその点についての御説明を伺いたいと思います。さらにけさのNHKの一〇二、また新聞によりますと、厚生省が自民党に泣きついて、そして自民党の看護婦小委員会がいろいろと論議され、それが報道された。特に一〇二では、胸を張ってたいへん大言壮語をされておりました。したがいまして、それらをもあわせましてお聞かせを願いたいと思います。大臣にお願いいたします。
#62
○国務大臣(斎藤昇君) 看護婦の問題につきまして、基本的にその需給計画なり、これに対する対策を早急に抜本的に考えなければならないということは、前にも申し上げたとおりでございます。できるだけ早く需給計画を立てたいということを申し上げておったわけでございます。なかなかこの計画を立てますのには、将来の医療の改善の面、施設の面等を考えまして、まだ最終的な結論に達しておりません。少なくとも次の予算を要求するまでにはその根本対策を立てまして、それに基づいてまず来年度を初年度として踏み出してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 昨日、自民党の看護婦問題小委員会において、ある程度の当面の対策らしいものをお立てをいただいたと承知をいたしておりますが、これは政府が自民党に泣きついたわけでも何でもありません。自民党といたしましても、今日の現状から考えて看護婦問題はきわめて重要であるというので、いろいろと調査研究をしておられるわけでありますが、それについてまず当面中間的にと申しますか、さしあたりこういうことをまず考えろというので、政府に対してこういうことをやったらどうかということの御提案があったものだと、かように御承知をいただきたいと存じます。
#63
○藤原道子君 大臣、もっと勇気を持って御答弁願いたい。いま大臣の御答弁のような話ではないように私は伺っています。予算もある程度煮詰まっている、こういうふうなことでございましたが、この点はいかがなんでございますか。
#64
○国務大臣(斎藤昇君) 来年度予算につきましてまだ要求もしておりませんし、とうてい煮詰まるという段階ではございません。
#65
○藤原道子君 いやそうじゃなくて、予算については予備費あるいは追加予算ですか、これを要求するというふうに話がなったというふうに出ているんですよ。
#66
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、まだ予備費の流用あるいは追加予算というようなことについては、承知をいたしておりません。
#67
○藤原道子君 大臣がそうきめてしまわれては困るんですけれども、新聞にもそう出ているし、それからきのう医務局長に私の部屋に来てもらいました。そのときにも大体の話は伺ったんであります。見通しあるような医務局長の話でございましたが、その点はいかがなんですか。隠さずにおっしゃってください。
#68
○政府委員(松尾正雄君) 厚生省事務当局といたしまして、予算をただいま幾らにしてどういう要求をするかということをやっておりませんことは、大臣のお答えしたとおりでございます。私が承知しております範囲では、党の先生方がああいう対策を検討される過程におきまして、政調会長等に配慮してくれるようにという申し入れをしたということは仄聞をいたしております。
#69
○藤原道子君 そこでですね、そのお立てになりました対策の中で、潜在看護婦を掘り起こしを現職を通じてこれを行なう、全国的に進めたいということ、ことしから二部教育として、九月に生徒を再募集をする、こういうことが入っている。それから夜勤手当は民間病院並みにする、それから需給計画は、早ければ七月半ばごろまでに大蔵省交渉で大体の見込みがある、こういうことが論議されたやに伺っております。そこで、あした開かれる全国衛生部長会議にこの案で臨むんだ、こういうことでございますが、そこで、何でも隠そう、隠そうとしてのがれようとするんですけれども、具体的にお伺いしたいことは、二部教育をする、九月から生徒募集をして二部教育で看護婦のあれをやるんだ。こういう案は煮詰まっていると思います。それにつきまして、現在でさえ学院の教師が足りません。実習の場においても、いろいろ今日困難が起こっております。この教師の充足、それからあるいは教室の問題等々について、どういう確信を持ってこれをおやりになるか。いまでも教師は足りません、過労でございます。どんどん教師がやめていく傾向にございます。二部教育になって教師の充足がこのままだとするならば、これは非常な過重な労働になりますが、これらに対しては、どういうお考えを持っておいでになるかを伺わしてもらいたい。
#70
○政府委員(松尾正雄君) 看護婦の養成力をできるだけ早く増加したい、こういうことで、この秋にも再入学をさしたらどうかという案が出ておるわけでございます。御指摘のとおり、その専任教員という方々の資格を持った方が非常にたくさんいるというわけでもございませんし、また実習病院や、教室の点から見ましても、ことし直ちにこれを実施するということについていろんな隘路のあることは、私どもも承知しております。したがいまして、この方式がすべての看護婦養成所で一斉にとられるということを期待することは不可能だと存じます。しかしながら、現在持っておりますところの教室の状態、あるいはその病院内のいろいろな利用すべき施設の状態、あるいはすでに専任教員としての資格を持っておられますけれども、現在は個々の学院の教師になっていないという方々も、それぞれおありになるはずでございますので、そういった方々を組み合わせまして、実施可能なところは着手をする、こういうふうに進めるべきだと考えます。その際、ただいまの専任教員が、次の新しく入ってきたクラスまで同じ人が見るということは、これはとうていあり得ることじゃございませんで、やはり次の新しいクラスについては、それ相当の専任教員が配属されなければできない、こういう前提で考えてまいりたいと思います。
#71
○藤原道子君 私は、看護婦が足りないんでございますから、増員のためには、今日、六倍からの競争率でありながらほとんどふるい落とされている、そういう人たちの希望を達成するために九月にまた募集するということには、あながち反対ではない。しかしいままで一日かけていたものが、二部教育とすれば、昼間部と夜間部にするんですか、午前と午後にするんですか。いずれにいたしましても、二部教育となると、教育時間が短縮されるんじゃないでしょうか。こういう点はどういうふうにお考えになるか。それからもう一つは、二部教育にするのが全部の学院とは限らないというおことばでございましたが、どれくらいの学校で二部教育ができるというお見通しでございますか、あわせてお伺いいたします。
#72
○政府委員(松尾正雄君) 二部教育ということばになりますと、どうも昼間、夜間という印象が出てまいるのでございますけれども、私どもは、そういう意味じゃなくて、前期、後期という意味での二部というふうに理解をしております。したがいまして、授業時間を短縮をするというようなことでこれに対応しようとしているわけではございませんので、カリキュラムのやりくりなり、実習等との時間の操作なり、そういったことで、余裕のつく範囲で努力をして実施をしたい。決してこのために、両方のクラスの時間を大幅に短縮をする、そういうつもりではございません。
 それから、なお、どの程度やれるかということについては、ただいま申し上げましたような条件について、具体的にリストをあげてまいらなければならないわけでございますが、ただいまの段階で、国立病院についていえば、大体二百名ないし二百五十名程度の受け入ればいまでも可能ではなかろうか。なお、これからこまかく詰めていかなければならない条件はございますけれども、おおよそのところはそのくらいではなかろうかと予想しております。都道府県その他のところでどの程度こういうことでお引き受けいただけるかは、明日以後各県で詰めながら早く全体の数字をつかまえたい、こういうつもりでございます。
#73
○藤原道子君 それから、いままでは実習はどういうふうにしてやっていらっしゃるんでしょうか。聞くところによると、実習科目も二科目に減少するというようなことを承りましたが、実習が低下するのではないか、どういう方法でおやりになるのか伺いたい。
#74
○政府委員(松尾正雄君) 現在組まれておりますカリキュラムの実習科目並びに実習時間を短縮をしたり、変更をしたりするということは考えていないわけでございます。ただ、かような措置をとったりする場合にも、また、従来からでもそういう意見は非常に強く出ておったのでございますけれども、実習の主たる病院として選定をするものが、先生御承知のとおり、内科、外科、産婦人科、小児科、この四つのものを兼ね備えておりまして、その上に生徒の総定員の一・五倍以上のベッドを持っていなければならないということが一つの標準になっておるわけでございます。しかしながら、実習の実体というものを見ました場合には、内科と外科の病院であっても、そのほかについても十分実習のできるところもございます。また産科、小児科は他のそういう独特のものを持ったところにお願いをしても実習はできる。したがいまして、従来のように、形式的にただ一定の基準を満たしていればいいということではなくて、応用ができる範囲は十分応用して、そうして実習の実をあげたい、こういうつもりでございまして、決して実習時間の科目を減らしたりというつもりはございません。
#75
○藤原道子君 実習科目を二科目とする、内科、外科の実習にとどめる、こういうふうに伺いましたが、そんなことはないんですか、はっきり言ってください。
#76
○政府委員(松尾正雄君) そういうことはございません。考えておりません。
#77
○藤原道子君 信じていいんでしょうね。いつもすっぽかされるので、しかと承っておきます。
 それから看護学院の先生方の養成というようなものを考えておりますか。いま先生方が非常に忙しくて、用務員のすることまでしておる。これではほんとうに内容の充実した教育はできないと思います。これらに対してのお考えもこの際あわせて伺っていきたい。
#78
○政府委員(松尾正雄君) ただいま厚生省、文部省、あるいは日赤等でこういう看護学院の専任教員としての講習会、いわゆる六カ月コースでやっておりますものの大体一年間の養成の数は百五十名と見ております。しかしながら、今後の供給体制を考えます場合には、こういう計画をさらに増大していかなければならぬだろうというふうに考えております。しかし、そういう現在の配置されておる学院の教務主任、あるいは専任職員が非常に多忙である、何もかもその人たちの肩にかかっている、そういうことは私たちもよく承知いたしております。また、前にも先生から御指摘もあったかと思います。したがいまして、そういう貴重な人たちが本来の業務に専念をしていくためには、やはり養成所を持っている施設において、いろいろな雑用その他についてはやはり配慮ができる道があると、こういうふうに私はお答えしたと存じますが、そういうことを十分配慮していただいて、病院のほんとうの仕事がフルにできますような努力をしたいと思っております。
#79
○藤原道子君 よく聞き取れなかったのですけれども、とにかく看護学院へ行ってみると、用務員も事務員もだれもいないんです。全部先生方がやっておる。それらを解消するというふうにいまおっしゃったのですか。
#80
○政府委員(松尾正雄君) 用務員等の問題は解決の道があると、私は前にも申し上げたはずでございますので、それはたとえば国立病院でいえば大きな世帯の中でございますから、そういった学院のほうのいろいろな雑務もある程度やれる、そういう方々もおるはずだ、こういう意味で申し上げたわけでございまして、そういう意味の実現をはかりたいと思っております。
#81
○藤原道子君 できるはずだとおっしゃるけれども、できてないから問題なんです。きょうの御答弁によりましてぜひそういうふうにして、たださえ多くの生徒をかかえておる先生方が、看護教育に専念できるような態勢をつくっていただきたいと思うんです。大臣、いかがでございますか。
#82
○国務大臣(斎藤昇君) どうしてもそのようにしなければならぬと、かように考えております。
#83
○藤原道子君 次にお伺いしますが、夜勤手当が現在は百分の二十五で百円ですね。これを今度は民間並みにするというのが自民党の看護委員会ですか、小委員会で話し合われて、その席には医務局長もいられたと私は思う。その民間並みというのはどの程度を考えておいでになるか。私、調査したところによりますと、結局労災病院は百分の五十プラス百円、ところが日赤と社会保険病院は百分の五十、それが昨年の争議で七時間につき百円がプラスされることになったと、こういうことなんです。それから国家公務員共済病院では百分の二十五プラス夜勤回数によって手当がつき、夜勤回数五回以上のものは、深夜勤一回につき三百二十円、準夜勤には二百四十円というものがプラスされる。それから民間の場合は大体百分の五十に若干手当がついている。ところが慶応病院、これは準夜勤、深夜勤ともに五割増し、それに食事代として九十円つく。慈恵大病院は五割増しにプラス食事代として百五十円、こういうところが大体じゃなかろうかと思うんです。ところが国立の場合は百分の二十五、何回夜勤やりましょうとも、夜勤手当はたった百円なんです。民間病院では夜勤のときに自動車で送り迎えするチケットさえ出しておるというところがある。ところがそれがなされておりませんが、民間並みにするというのはどの程度を考えておいでになるのか、これをお聞かせ願いたい。だれが考えても夜勤手当百円なんていまどき考えられない。
#84
○政府委員(松尾正雄君) 小委員会のほうで民間並みにというのはどういうことでおっしゃったか、つぶさには存じておりませんけれども、ただ、一般の給与は、国家公務員のほうが民間に比べていいけれども、そういう夜勤手当に関する限りはどうも民間のほうにも、いろいろ聞いてみると、高いものがある、こういうことはいろいろなヒヤリングその他を通じて御認識になっていただいていると思います。したがいまして、これを上げなければならぬ、こういう趣旨で御発言いただいたものと私は理解しております。私のほうもできるだけこれは上げたいと考えておりますが、いま幾らにするということまではこまかくは検討しておりません。
#85
○藤原道子君 夜勤手当がたった百円ということ、まだはっきり考えていないというのでは困るので、大臣どうです、百円でいいんですか。
#86
○国務大臣(斎藤昇君) ちょっと百円では問題にならぬように思っております。ただ、国家公務員の給与の改善についての人事院勧告も近く行なわれると思いますので、そういう際に特にこういった医療職、ことに看護婦の給与の改善、夜勤手当も込めて十分な勧告をしてもらうように、人事院に事務的にも働きかけるようにというのが今日の現状でございます。
#87
○藤原道子君 この最後のほうで、国立病院の看護婦職の夜勤手当一回わずか百円を増額する等待遇改善をはかり、八月の人事院勧告の際看護婦待遇については特に優遇するというようなことが出ているんですが、人事院としてのお考えを聞きたい。なるほど初任給は看護婦のほうが一般高校卒の事務員より若干高い。ところが五年ぐらいたつと高校卒の事務員のほうが高くなる、こういうふうなことになっているのです。厚生省はいつでも民間よりは高い高いというのですけれども、高校卒業してプラス三年勉強してさらに国家試験を受けているのです。こういう待遇で、夜勤が十日も十五日もございますから、看護婦さんがやめていく。潜在看護力というのはいま働いておる人の数より上回っている。そしていま看護婦不足で困っておる。人事院としては二・八の判定をお出しいただきましたが、それで足れりということではないと思う。待遇の問題、これらについて人事院のお考えを聞きたいと思うのです。
#88
○政府委員(島四男雄君) お答えいたします。私のほうの所管ではございませんので、責任あるお答えはできかねますが、大体私のほうで給与局のほうから聞いておりますところによりますると、このただいま民間給与の調査をやっております。その中でももちろん民間病院の手当関係がどうなっているかという実態調査を現在やっておる最中でございますので、その結果がどのように出ますか、その結果いかんによっては勧告するということになろうと思います。
#89
○藤原道子君 とにかく看護婦さんを専門職という立場から位置づけていない、それで結局あまりにも処遇が悪過ぎるんですよ。とにかく短大以上の勉強をしているのですから。ことに国家試験という関門を通ってきている。それだのにいまのような状態では、どう努力したって看護婦の増員は望めないと思う。その点は特に御留意が願いたいということを強く要望いたしておきます。そこで、あした全国の衛生部長会議に提案されると言われておる中に、潜在看護力の掘り起こし、これを現職を通じて行なう、これは静岡県で現在やっているが、これを全国的に進めたい、こういうこともあったと聞いておりますが、潜在看護力の掘り起こしは、やるやるといってきょうまであまり効果が上がっておりません。これに対してどのようなPRをしてきたのか、どのような教育をしてきたのか、この点についてこれは局長からお伺いしたい。
#90
○政府委員(松尾正雄君) いわゆる潜在看護力の活用ということにつきましては、厚生省で四十二年からそういう講習会等の費用で着手いたしたわけであります。しかしながらその実績を見ましても、決して多くの数をつかんだとは申し上げられません。そういう結果になりましたのも、はなはだ広い地域で一カ所講習会をやるというようなやり方では、とてもこれはそういう方々まで及ぼし切れないと、反省を強くいたしておるわけでございます。したがいまして、いまお話がございました静岡県のような実例をわれわれも承知いたしております。また、ほかの県でもそういう実態から見まして強力に着手せなきゃならぬと、こういう気持ちを強く持っておりますので、私どもは、やはり各都道府県あるいはそれをさらに小さい単位で呼びかけていただいて、強力にその推進をしてもらいたい、そういうことを強く呼びかけるつもりでおります。
#91
○藤原道子君 私はきょうまで何人くらい教育したかということを伺いたい、潜在看護婦を。
#92
○政府委員(松尾正雄君) 四十二年でたしか四百五十人ぐらいでございます。それから四十三年度におきましては多少それより少ない数であったかと思いますが、これは直接地方医務局が担当した数でございます。はなはだ少ない状態でございます。
#93
○藤原道子君 二十五万といい、二十八万という潜在看護婦さん、この中でたった四百人や四百五十人ではお話しになりません。
 そこで、これは斎藤厚生大臣にぜひお考え願いたいと思う。五月の十五日の朝日新聞記者席によると、佐藤総理が、ブロック代表知事による地方行政連絡会議の席上で医師や看護婦の不足問題が話題になったときに、ゴルフ場へ行けばキャデーには若い女がたくさんなっておるが、これを看護婦に回せないかね、こういう発言をしていらっしゃる。私は、今日このくらい大きな社会問題になって、日本の医療が看護婦不足から破壊されるんじゃないか、ここまで憂えられておりますときに、こうした重要な会議の席上で一国の総理としてあまりにも不謹慎な発言であると思うので、まあ冗談に言ったんだとごまかすかもわからぬけれども、冗談にも限度があるわけです。厚生大臣として、この医療問題がいかに重大な段階にあるかということを閣議等の席上で話したことがあるんでしょうか。これをひとつ聞きたいんです。
 ところが、これとあわせまして対照的なのは、アメリカでもやはり同じく看護婦が不足いたしまして、一九七〇年までには八十五万人を必要とすると推測しておる、看護婦がですね。いま日本の六倍の看護婦を持っておる、人口の対比で。ところが一九六六年にジョンソン大統領が特別アピールによりまして、潜在看護婦掘り起こしで年間三万人の再教育を訴えた。それで保健教育大臣と看護婦協会に奮超を呼びかけており、直ちに一九六七年の議会に対して看護婦再教育プランを提示いたしまして、一カ月後には労働省に対しては五万ドル、保健教育省には二百万ドルの予算を決定して、いまや潜在看護力の掘り起こしに非常に努力している。それで、この一九六七年三月から再教育が発足して、現在三十一州百二十八カ所で講習を行なっておる。その講習は四週間から六週間ぐらい、そのうち半分か三分の二は実習をさせておる。ナイト・スクールもある、昼間は保育所も設置されておる、テレビも使用している、受講中は失業保険と同額の手当が出ております。そのためにわずか三カ月で五千名以上の就職者を得たと、こういうことがアメリカの雑誌によって報道されております。国民に対して特別アピールを行ない、大統領が、さらにはその教育に対して、受講中は失業保険並みの手当を出す。そして昼間の受講者のためには保育所までも備えて、国民の健康を守る大切な看護力の確保のために努力しておる。ところが、日本の総理大臣は、キャデーを回せないか――私はキャテーをべつ視するんじゃございません。キャデーさんはキャデーさんとしての仕事に対する認識を持ってやっていらっしゃる。これは看護婦になり手がないんじゃない、なり手は六倍以上ある。けれども、施設がない、設備がない。待遇が悪いから看護婦の定着率が悪くなる。これに対してこういう認識では、せっかく自民党さんが小委員会でいい案を出しておいでになるけれども、その実施が危ぶまれる。この潜在看護力の掘り起こしに対して、待遇の改善と報酬のあり方、それらについて大臣の御決意を私はこの際伺いたい。二十八万人になんなんとする看護婦さんか家庭に入っている。その人たらが――きのうだかの新聞にございましたけれども、私は看護婦の仕事にとうとい使命を感じているんだ、働きたいけれども、家庭を持ったのでは働けない、三交代制で保育所がなければ働けないんですという訴えをしていらっしゃる。またある人は、免状取り立ての看護婦さんのときより、子供を持ってみて初めて人情の機微がわかります、だから私は働くんです、こういうことを訴えておいでになる。これらをあわせまして大臣の看護婦充足について御熱意のほど、潜在看護婦掘り起こしに対してのお考えを伺いたいと思います。
#94
○国務大臣(斎藤昇君) 総理のキャデー・看護婦論というものは、私は直接伺っておりませんので、どういう趣旨かわかりませんが、少なくとも、総理のお考えは、ゴルフ場に行けば女の子が相当いるじゃないかという趣旨は、アメリカなんかにはまあ女の子のキャデーはそうないんだろうと思うんです。したがって人的資源がないわけではない、看護婦施策が足りないので、そこで看護婦は足りないんだ、施策をやればまだ人的資源はあるんだと、試験をやれば六倍もあるんだと、そこまではおっしゃいませんでしたでしょうけれども、そのところも踏まえて、施策よろしきを得れば看護婦になり手がないことはない、こんなにあるじゃないかと、したがって、そういう施策をやってもらいたい、またやりたいという、こういうお気持ちであろうと、私はさように考えます。
 アメリカの潜在看護婦の掘り起こし方策をただいま伺いまして、さすがはアメリカだという感じがいたします。日本もそれだけ資金をつぎ込んで大いにやりたい、かように思うわけでございます。何としてもやはり看護婦の所遇がまず第一、養成施設もまた必要でありますが、しかし年々やめていく看護婦をつなぎとめ、さらに潜在看護婦を呼び戻すということがまず緊急の要務であろう、かように考えます。
 御承知のように、アメリカの病院制度と日本の病院制度と、またこの報酬のあり方というものは違うわけであります。いま保険の診療報酬制度がいまのままでよろしいかということも私はそういう点にある、かように思うのであります。病院は看護婦の待遇をよくしたいと、公市立はそれぞれ規則できめられておりますが、私立病院は自由に幾らでも高い給料を払い得るわけなんです、制度といたしましては。しかしながら診療報酬というものがきめられているというようなことから、自然にそこにしわ寄せがくるというようなことであっては相ならない、かようにも思うわけであります。関係するところはきわめて広いと思っております。今日診療報酬の問題は中医協で審議をしてもらっておりますが、そういう観点からも審議をしてもらいたいと思っておるわけでございます。そういうことから始めて、そうしてとにかく先ほどおっしゃいます潜在看護婦をさらに顕在化するという点につきましても最善の案を考えて、そうして私は、自信のある案ができましたら、閣議の席においてもあるいは予算会議等においても、党のあれに対しても十分な説明と努力をいたして、今日のこういった危機に備えたい、かように思います。
#95
○藤原道子君 今日まで潜在看護力の講習その他に対して、どの程度の予算を出しておいでですか。
#96
○政府委員(松尾正雄君) 四十四年度で約二百八十万、それから四十三年度が百九十五万でございます。
#97
○藤原道子君 四十二年が二百七十万、四十三年が百九十五万ですか、減っているんですね。
#98
○政府委員(松尾正雄君) 私、あるいは言い間違えたかもしれませんが、四十三年が百九十五万でございます。四十四年は正確には二百七十八万七千でございます。
#99
○藤原道子君 アメリカのように予算、金のある国と違っているというような大臣のおことばでございましたが、これでは話になりませんね。一体医務局長あるいは大臣は、看護婦不足を真剣に考えているんですか、もし真剣に考えているとすれば、潜在看護力を掘り起こす、掘り起こすと言いながら、二百万や三百万足らずのお金でできるんでしょうか。今後はどういうお考えですか、お伺いいたします。
#100
○政府委員(松尾正雄君) 先ほど私申し上げましたように、そのやり方、方法におきましても、また、そういうことによって把握できる講習会等の人員にいたしましても、これは私どもも反省をしなければならぬような実績であると率直に申し上げたはずでございます。したがいまして、その原因というものは、この四十二、四十三と実施いたしましたその経験を生かしまして、できるだけ多くの人が受講できるような方法に組みかえたい、こう申し上げたわけであります。具体的にはこれから予算の問題として詰めてまいりますけれども、小さな単位、小さな地域で小まめにやっていけるような体制を組む、こういう方向でなければ容易に実現ができないであろうというふうに考えております。
#101
○国務大臣(斎藤昇君) 潜在看護婦の顕在化の問題は、いままで政府の予算は少ないとおっしゃいますが、それは少ないと思います。しかしながら、私は実際問題としましては、やはり看護婦という職場に魅力があるということでなければ、幾ら金を注いでも、そしていま何か他の仕事についている人に休業手当を出して再教育をするからと申しましても、つとめ先に魅力がなければ応じてこないというのは当然だと思うわけです。私が、アメリカは金があると申しましたのは、たとえば人がないと思えば、とにかく病院はうんと看護婦の給料を上げる、そして病院の診療費も上げるということのできるような制度になっておりますから、金持ちは幾らでも、どんな高くても病院へ入ってくるというようなことから、そこらの組織も違うからと私は申し上げたわけでございます。先般も、看護婦の二・八問題で争議をやっているところもありましたし、私は福岡に行ったときにも、そういった看護婦さんの団体の方にもお目にかかりましたが、県に対して、県立病院の看護婦を三カ年以内にどれだけ増せ、毎年どうだこれだけ増してくれという要求もしておられます。私は、それじゃ県が金を出したら、あんたたちいま看護婦をやめている人に連絡をとって、そうしてみんな働いてもらうために、出てきてもらうだけのあれがあると思いますかと、私自身が聞いたわけなんです。幾ら金を出しても、なり手がなければしょうがないんじゃないでしょうか。しかし潜在看護婦さんが相当あると聞いている。あなたらの知っている人たちにも相当仲間があるだろう、そういう人があるだろう、それらの人を呼び戻せますかと言いましたら、呼び戻せる自信があると、みな異口同音に言われたわけであります。そうしますと、政府が潜在看護婦を顕在化するためにいろいろと言うよりは、私立病院でも看護婦を雇えるだけの原資があり、そうして募集広告をする、あるいはまた現在の看護婦なり、いままでいた看護婦をたどってやるというのであれば、処遇がよく、その職場がいいなら堀り起こすことができるんじゃないか、日本の現状では、そうではなかろうかという気がするわけであります。したがって、まず第一の処遇の改善が何よりも退職者を少なくし、潜在看護婦を呼び戻してくるのに必要なあれではないだろうか。それなしに幾ら政府で鐘をたたいたところで潜在看護婦を呼び戻せない、かように思うわけでございます。したがって、政府の潜在看護婦に対する施策の金も、まあ昨年はこの程度であったと、ことしもこの程度であろう、それを再教育をするための費用というわけでやっているわけでありますが、政府の呼びかけに応じて来られる人が多くて、再教育をするための金がもっと要るというのであれば、これは幾らでもそんな程度のものは私は出し得ると、根本はそこにあると、かように考えます。そこで先ほど申しましたように、診療報酬制度の問題なり、それから国立病院、公立病院等における給与改善の問題、これを人事院にもよくお話を申し上げて、そうして魅力のあるような職場にしてまいりたい。民間の病院における看護婦と、それから国立病院、公立病院にある看護婦との給与差をもってそれでベースアップをするということでは、民間自身が他の職場に比べて非常に低いのでありますから、一般の公務員の場合の、民間の会社等における職員の給与ベースとの開きを公務員に積み重ねるということを、看護婦というその職種だけにおいて民間と比べてやられるということでは足りないであろう。その点は人事院と特に御相談を申し上げたい、かように思っているわけであります。
#102
○藤原道子君 まさに大臣の言うとおりなんです。魅力のある職場でなければ、幾ら再教育をしても職場へ帰ってこない、そのとおりでございます。したがって、看護婦の待遇の問題が出てくるわけでございます。
 そこで二・八制の問題は、人事院は当面ということばで出されて、私たちは夜勤は六日以内が妥当であるとこう考えております。それから四人に一人の問題でも、患者四人に対して看護婦一人あれば基準看護ということで、付き添いがなくても見てあげましょう、こういうことになっておりますが、四人に一人でやっているところはそれはひどいものでございます。慶応病院は二・六だか七に対して一人いるんです。それでも夜勤が平均して十日以上になっておるわけなんです。今日四人に一人という考え方は過去のものでございます。だからこのあり方を、四人に一人あれば基準看護だという考え方はこの際取り消してもらいまして、目標額だと、目標の計数だということを。それならば目標を――この前も二・五人に一人が妥当だということを言っておられるのです。衆議院の答弁で。私は、二対一が妥当である、そうなれば看護婦もいまのような過重にはなりません。夜勤もそれこそ六日以内におさまると思います。これらについては大臣はどうお考えでございますか。看護婦は四対一で基準看護、それが付き添いをつけなければめしも食えない、こういう状態に放置されて事足れりでは、看護婦は定着いたしません。
#103
○国務大臣(斎藤昇君) 四人に一人の基準看護というのは、いろいろと何といいますか、問題というか、起こしておるようでございます。この問題は保険の診療費とも関係を持つ問題のようでございますが、四人に一人でそれでいいという考え方は是正をしなければならぬと思っておりまするし、したがって四対一というあの考え方をいま再検討をするように私は言っておるわけであります。
#104
○藤原道子君 この前も再検討と言ったのです。ほんとうに考えておられるんですか。四人に一人では、いまの激務からは解放されません。これは魅力ある職場にするということとはほど遠いことでございまして、大体のめどはどのように考えておりますか。
#105
○政府委員(松尾正雄君) 大臣からもそういうような御指示をいただいておるわけでございますけれども、ただいま当面私どもが看護婦の需給計画の練り直しということに際会していろいろ作業を進めております段階においては、これは四人に一人というものを基準にして計算をしているものではございません。決して四人に一人ですべての需給関係をはじく、こういうことではございませんで、先般も申し上げたかと存じますけれども、一つの看護単位にどれだけの看護婦のやるべき業務量があるのか、その量はどれくらいの人でもって処理をしなければならないのか、またそれが同時に勤務体制といたしましてもきちんとその目標が実現できるような、そういうために一体何人の人間がなければならぬか、こういうことを積み上げていきまして全体の数を出したい、こういう作業をやっているわけでございます。したがいまして、四人に一人を金科玉条としてすべてのベースにおいて計算をしているというものではない。したがって、これをどういうふうに改めるかは、そういうものができ上がった暁にはこれが実際上世の中にいろいろな判断の基準あるいは金の支払いの基準として施行されるわけでありますから、それはそのときどきの情勢、供給計画というようなものとにらみ合わせて弾力的に改正をすべきものではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#106
○藤原道子君 それはおかしいのですよ。四対一であれば基準看護の病院として認められるんでしょう。それで二百十円出すんですね。ところが、四対一でやっているところでもうほとんど付き添いをつけている。あなただってこの間、二対三くらいになっているんじゃないですかと言ったじゃないですか。あまりにも開き過ぎて、目標をそのままにしておいたんじゃ何にもならない。それで点数の問題があるとか何とかおっしゃるけれども、低医療政策で押しまくろうとする政府に責任がある。国費を導入すべきですよ。この際、どうしてもこの四対一というのを是正してもらわなければ魅力ある職場にはなりません。いつごろできますか、その目標は。
#107
○政府委員(松尾正雄君) 本来、看護というものの人員が何人要るかということは、これは専門家のことばをお借りしますと、まさに数量的にあらわせないような、患者の病状に適した職員数が必要でございますということを専門の方々はおっしゃるわけでございます。そういうことは数に直しましても、それぞれの病院の患者の構成等によって弾力的にやはりあるのが当然であろうと私どもも考えております。ただ、四対一のようなしゃくし定木のような形が、標準とはいいながらも、とられておりますけれども、特にそれが基準看護というような形で社会保険の支払いのほうに及んでおるわけであります。したがって、私どもがこれに執着しないという態度はすでに申し上げておりますけれども、たとえば幾らあればどうなるのか、そういうことをいま基準といたしまして直ちに改正するということは、まわりの情勢がなお無理ではなかろうか、極端に申し上げますと、いままで看護婦が足りない、こういうベースの中には、いまなおかつ不合理であるぞと言われております四対一をもってしても、なおかつ全国の病院では足りない、こういう実態にあるということでございますので、そういう供給力というものを見ながらこういうものは変えていくべきではなかろうかと思うわけでございます。
#108
○藤原道子君 それでは伺いたいのですが、どういうふうに需給計画ができて、それでやるのですか。
 今度の看護婦争議でほとんど要求し、増員を約束して、増員を約束しているところでは四対一ではそれをオーバーすることになる。これはどういうふうに解釈されるのですか。公立病院でもみな三年以内に二・八が実現できるように努力をする、ことし何人、来年何人、再来年何人――大体三年ですよね、約束が。もしこれがそのときにいってできなかったらそれこそえらい騒ぎになる。これはどう解釈したらよろしいのですか。四対一はあるのです。あるけれども、それでは月内に十日、十五日、ひどいところは十九日も夜勤をしておる。これを是正しなければならぬ。それには四対一ということを、まず目標だけだといっても、それをはっきりしてもらわなければ話が追っつかないじゃないですか、どうでしょうか。
#109
○政府委員(松尾正雄君) 四対一というのは、これは医療法の問題と社会保険における基準看護の問題と二つがあるかと存じます。私、主として申し上げてまいりましたのは、医療法の四対一という標準の問題として先ほど来お答えしたつもりでございます。しかし四対一といっても、それをこえてはならないというものではございませんで、四対一ぴったりおれば何もかもいいという考え方でもございませんし、特に、御承知のとおり、小児科とかというようなところになれば、現在でも多数の看護婦さんを置いておる、集中配置しておるというふうに、一つの病棟を見てまいりましても、必ずしも四・一以上置いていかぬものでないということは実態があるわけでございます。ただ、いま御指摘のような情勢が出ておりまして、今後この現在の社会保険の基準看護量、こういうものをはるかにオーバーして看護婦さんを持っておるというようなことも実態として相当多く出てまいります。これは御指摘のとおりだと存じます。この点は社会保険のほうでも、それ以上の別の払い方を考えるかどうか、これは十分考えていただかなければならぬ問題であろうと思います。
#110
○藤原道子君 わかったようなわからないようなことですが、とにかくこの点は一日も早く明確に保険局とも話し合いで早く提示してください。いまのままでいって二・八ができるはずがないのですから。
 それから魅力ある職場にするためには、やはり働きよくしなければならない。それには職場にどうしても保育所が必要だと思う。保育所がないために看護婦さんたちは非常な苦労をしておる。看護婦の寄宿舎で独身の若い人が交代で子供を見てあげるようなことをしているところもある。あるいはこっそりあき部屋で子供を寝かして勤務についている。こういうことで事故が起こったらどうするかということなんです。全国的に見ましても、保育所のある病院はたった一%くらい、しかもそれはほとんど労働組合なり、あるいは共済組合が共同してやっている。病院当局が金を出しているところはほとんどございません。それと、看護婦さんの看護技術というものは、やはり結婚してからのほうが人情の機微がわかっていいということはあなた方もわかっていると思う。優秀な看護力が、保育所がないために職場から抜けていく。最近の新聞でも、残念ながらことし一ぱいでやめなければなりません、一人のうちは何とかなりましたが、あとができたのじゃやれません。こういう記事が出ているでしょう。これに対して長時間保育はどうとかこうとか、理屈を並べていらっしゃる。現実を無視したそういう考え方では困ると思いますが、病院の保育所というものに対してどうお考えでございますか。現在たくさん民間でもあるいは国立でも自分たちの手でやっておりますが、月に七千円から一万円、ひどい人は一万五千円くらい保育にかかるわけです。これをどのようにお考えですか。長時間保育は母を引き離すようなことになってあまり好ましくない、こういうことをいつもおっしゃる。地域に星の数ほど保育所があればよろしいのですが、地域には乳児保育というものがほとんどないのでございます。こういう場合に、病院内に保育所をつくることによって離職する人を食いとめることができる、こういうことに対してどうお考えでございましょうか。ことに東京都立の病院では、都のほうから二人の保母を補助するということでことしの四月からやっていらっしゃるようでございます。厚生当局としてこの問題はどのようにお考えでございましょうか。
#111
○政府委員(松尾正雄君) 保育という問題につきましては、単に私の立場だけから申し上げて終わるということは妥当でないかも存じませんけれども、現在、既婚者、家庭を持たれた看護婦さんが非常に年々ふえてきておるということは実態でございまして、従来にも増して、そういう保育機能を持つということが強い要求としてあがってきておりますことは、私どもも十分承知をいたしております。したがいまして、ただ児童福祉法で言うような保育所というような規模にこれを持っていくということになりますと、現在でも三十人以上というような規模になり、これは相当大きな病院をもってしましてもなかなか容易ではないのではなかろうかというような状況でございます。そうなりますと、児童福祉法以外の形で、保育所とは申し上げにくいかもわかりませんが、保育機能とでも申しましょうか、そういう保育施設というものをやはり考えていかざるを得ないということになりますが、この点私どもはむしろ現実にそういうものがないと困るという実態というものをむしろ直視したいというのが私どものほんとうの気持ちでございます。したがって、くふうは十分いたしまして、それぞれの病院の実態に応じてそういうものができやすいような誘導はいたしていきたいと思います。ただ、長時間保育というような、看護婦さんの勤務の性質上、地域の本来の自分の自宅の近くに預けて、からだだけおいでになるのが子供にとっては一番幸福であろうかと思いますけれども、しかしそれも時間の関係でできない。それも看護婦という特殊な勤務条件のためである、こういうことになって、いわゆる長時間保育という問題が出てくるだろうと思います。そういう意味でよくわかっておるつもりでございますけれども、長時間の乳児保育というようなものがまさに保育という面から見まして、子供という立場から見ましてはたしていいのかどうか、私どももっと専門家の御意見もよく聞いて慎重にこれをはかりたいと思うわけでございます。しかしながら、そういう赤ちゃんを持って保育をしなければならないという実態は現にあるわけでございます。それは保育所だけで解決さるべきものなのか、もう少し他に知恵の働かせ方はないのか、この点は十分ひとつ実態を見ながら前向きに検討を進めるべき問題だと思っております。
#112
○藤原道子君 専門家の意見を聞いてなんとおっしゃるけれども、この問題はずいぶん長い間委員会でも論議してきておる。一体やる気があるのかないのか。私は、いわゆる基準に合った保育所を各施設でつくれなんということを申し上げておりません。けれども絶対に必要なんですよ。なければ働けない。無理をして病気で倒れる看護婦さんたちもあるという現実を踏まえまして、こういうことも必要ではないかと、現にやっているところはうまくいっているのです。東京の逓信病院、あそこでも、試験保育と当局は言っているそうですけれども、月に一万円くらいの補助が出ている。東京都でも二人の保母さんを配属する。漸次他のほうではそういうふうに実際上に迫られてやっているのです。ですから、私は、厚生省がこの際こういうことに踏み切ってはどうだ、これを申し上げている。ことに東京の国立病院で今度新築ですか、改築ですか、それに際して保育所とかあるいは看護婦さんの住宅、こういうものもあわせつくりたいというようなことを予定されたそうですが、大蔵省でばっさり切られた、こういうことも伺っておりますが、看護婦さんが長時間の往復をする状態にあるとかあるいは寮生活、こういうものはもう時代おくれなんです。必要な人に必要なところで働いてもらうにはやはり働きいいような対策がなければだめじゃないですか。魅力のある職場にすると口ばかりで言ったって、具体的なものがあらわれなければ意味がないと思いますが、いかがですか、もう一ぺん御意見を伺います。
#113
○政府委員(松尾正雄君) 私も国立東一等の保育所の問題で行ってまいって、実情も承知したつもりでございます。したがいまして国立施設に関してのみだけいえば、私どもはやはりいろいろな方法はあろうかと思いますけれども、実質的にこれを積極的につくりやすくしていくということは、これは十分考えるべきことだと思います。ただ、一般論的に一般の病院まで含めましたそういういわば保育体制とでも申しますか、そういうことになりますと、先ほど来申し上げたようなこともいろいろあるであろうというような意味で申し上げたわけで、具体的な個々の問題としては私どもはやはり積極的にケース・バイ・ケースでやってまいりたいと思います。
#114
○藤原道子君 院内保育に対して若干でも国の責任でおやりになろうというお考えは大臣いかがでございましょうか、この際踏み切るべき段階だと私は思うのですが。
#115
○国務大臣(斎藤昇君) これはおっしゃいますように非常に必要なことには違いないという気がするのですが、どういう方法でやるか、いろいろと具体策を研究してもらっておるのでありますが、まだこれならというところに至っておらぬわけでございます。藤原委員におかれましても、ひとつ具体策を一緒に考えていただきたいと思うのでありますが、たとえば国立病院について申し上げますならば、これはやはり何といいますか、職員に対する一種の給与施策みたようなものでございます。したがって共済組合あたりで適当な共済組合施設としてやってもらうということであればできるのじゃないかと思うのでありますけれども、給与としてこれだけ出すというのに、さらに、何といいますか、そういうものが看護婦のために要るというのを大蔵省としてこれを切るというのは、私はこれも一つの理屈だろうと思うのです。そこでその理屈を克服するのにどうやっていくか、看護婦の給与の中にあるいは子持ちの看護婦については幾らというような、そういう給与基準を人事院で出していただければこれはひとつうまくいくと思うのでありますが、それも今日ではなかなかむずかしい。子供を持っておる婦人に対する給与というものに対して一体給与関係からどう考えるかというむずかしい問題に突き当たるわけであります。民間の病院であれば、金さえあればできるということでありますが、これも先ほど申しますように、このごろやはり民間病院でもほとんど保険の収入でやっているようで、それで先ほどの四対一というお話もありましたが、私は検討を命じておると申しますのも、これは診療報酬制度の中において改正する道しかない。そこで一ぺん考えないと四対一は解決しない、こう思って、いわゆる保険の診療報酬制度の根本的な改革の中にそういう点を入れて考えてまいりたい、こう思っているわけであります。そういうものと離れて、一般の公私立の保育所というようなものをどしどし病院のところに持っていくということができるのかできないか。これは地域的ないろいろな問題があるわけであります。さしあたっては、何といいますが、共済組合のようなところでやってもらって、それに何らかの助成ができるという道を考えるということではなかろうかと思っておるのでありますが、具体策につきましては、そういうような点をいろいろ考えながら、いま検討をしてもらっているわけでございます。
#116
○藤原道子君 問題は、生きた問題でございますから、しゃくし定木では解決ができない。私は、病院の施設として保育所があったっていいと思うのです。やり方はあると思うのです。それを、やれ保険の点数がどうだこうだということを言われますと、それなら医療の根本的な対策はいつできるのですか。医療制度の根本的な対策をつくると言い出して何年になりますか、いつ、できるお見通しですか。
#117
○国務大臣(斎藤昇君) 医療制度全般にわたりましては、まずもって保険制度の抜本的な考え方に着手をしなければならぬと思いますが、しかしそれを並行的にやってまいらなければならぬと思っております。これは二年以内にやるということはちょっとむずかしい。少なくとも四年、五年と日数をかけませんと、今日の現状に適した医療制度を立て直すということは、そう簡単にここでお約束するわけにはまいらない、かように考えます。
#118
○藤原道子君 健保特例法のときにも、それをやらなければならないが、間に合わないから暫定的にということだった。いまになって、まだ四年も五年も先だなんと言っていると、あなた方は国民の医療に熱意を持っているようにおっしゃるけれども、いつになったらそれができるか、まことに心もとない状態だと言わざるを得ません。その間、幾ら養成しても、二部教育をしても、働けない状態にあれば看護婦の定着はないじゃございませんか。私はもう少しきょうはいい答弁が聞かれると思っていた。需給計画は五月一ぱいにはできますと、はっきり松尾さんはこの前言っているんです。そうすると、今度は幾ら看護婦の養成をしても、魅力がなければだめだ、魅力を持たせるためにはこういうことが必要じゃないかということになると、それはむずかしい、これでは堂々めぐりでお話になりません。きょう、私は、衆参の各委員会で各委員が質問した当局の答弁をここに持ってきております。あまりにも私たちは当座のがれの答弁で今日まで振り回されてきた。看護婦さんたちにはまことに申しわけないという気持ちで一ぱいでございます。この医療の破壊さえ憂えられておりまする今日、もう少し真剣に考えていただきたい。強く要望いたします。
 そこで、そうした国の体制が、国立、公立のみならず、民間でも各所で争議が起こっております。
 私は、この間、慶応病院へ行ってまいりました。あそこでは確かに二・七六くらいに看護婦の定員はなっておりますけれども、実際の面では夜勤闘争であのような騒ぎになったわけであります。そうすると、病院のほうではまず外来患者の診療を中止するとか、あるいは保険だけで入院をする病棟を閉鎖して、差額ベッドのところだけはやって、それから救急施設も閉鎖する、こういうふうなやり方をしている。だから看護婦の不足ということが国民全体の健康に影響してくる。私は、この間慶応に行ってみて、しみじみ感じた。りっぱな病室はどんどん入院患者を受け入れていく。しかし差額でない病棟、これが閉鎖される。これはどういうように考えたらよろしいのでございますか。貧乏人はだめだ、金持ちだけの病院だということになるんではないでしょうか。きょうは文部省からもお見えいただいているはずでございますけれども、実際にはそういうことが行なわれている。救急でかつぎ込まれてきて、きょうはだめだと、またほかを探しているうちに命を落としたという例も出てきております。大学病院にはどういう方法で指導しておいでになるのでございましょうか。文部省にお伺いしたい。
#119
○説明員(吉田寿雄君) ただいまおことばにありましたように、慶応大学の附属病院では差額ベッドだけを動かしているということ、あるいは救急の患者は断わっているというおことばでございましたけれども、私いま初めてそれをお聞きしたわけでございます。したがいまして、どういう経緯でそういうようになったのか、時間をかしていただきまして調査させていただきたいと思います。
#120
○藤原道子君 それは文部省当局として怠慢だと思う。救急病院とか、小児科とか、そういうところが閉鎖されておるということは、当時の新聞にも報道されて、必要とあれば私が持っております資料をお見せしてもよろしい。こういうことで非常に慶応は恨まれている。それで看護婦はということになると、あれだけりっぱな病院で看護婦さんの定着率の平均年限が二年何カ月で、三年になっていない。いかに内部の運営が非民主的であるかということがわかると思う。生活保護の患者が参りましたら、きょうの入院は差額でないとあいておりません、それでは差額は幾らですか、保証金二万円持ってきたか、持っておりません、家に取りに行く、それで来てみたら、その子供がもう重体になっていたというような例もある。こういうことでは文部省の監督はいかがかと考えますけれども、どういう指導がなされているか。あそこではほとんどが差額ですよ。一番差額の多いのは二万八千円ですか、一日に対して二万八千円。これでは入院できる患者さんはそうざらにはございません。高度の技術を持った慶応病院、確かに技術は高度だと思いますけれども、一般大衆が入れないような病院では病院とは言えないと思います。いかがでございますか。
#121
○説明員(吉田寿雄君) 慶応大学をはじめ、私立大学の附属病院で差額ベッドを相当とっているということは、かねてから承知しておりますけれども、これがいいか悪いかということになりますと、やはり長い経緯がございまして、一がいにどうこうは言えないのではないか。特に文部省の立場として、それぞれの私立大学の財政事情がございますから、文部省でどうこう言うべきものではないというように私どもは従来考えているわけでございます。ただ、ただいまのお話にありましたように、救急患者が来られても、それを受け付けないというようなことになりますと、これは相当社会的にも、あるいは人道上にも非常に大きな問題でございますので、その辺十分大学当局に聞きただしまして、私たちのほうとしても、できるだけそういうことのないようにいろいろと助言をしたい、こういうように考えているわけでございます。
#122
○藤原道子君 きょうまで知らなかったと言えば、それだけで済むとお考えかと思いますが、もし知らなかったとすれば、重ねて申し上げますが、怠慢でございます。差額ベッドが全然ない病院はございませんけれども、二万八千円、少し豪華なホテルでも二万八千円というのはあまりないと思うのです。もう少し御調査なさいまして、私立だから云々ということでなしに、私立であろうと公立であろうと、病院の持つ使命というものには二つはないと考える。看護婦の闘争で夜勤看護婦が足りなくなったので、それでいろいろ閉鎖いたしました。そこを調べましたら、全部差額なしの病棟でございます。これも、私はうそは申し上げておりませんので、お調べをいただいて、今後はしかるべき指導をしていただかなきゃ困る。看護婦の待遇の問題もある。二万八千円取りながら、看護婦の待遇はあんまりよくない。こういうことはきょうは時間の関係であまり詳しくは申し上げませんけれども、御調査をいただいて、今後の対策等についてもまた日をあらためてお伺いをしたいと思います。
 さらに、東大病院はその後どういうふうになっておりますか。経過と現状をお聞かせいただきたい。
#123
○説明員(吉田寿雄君) 東京大学につきましては、すでに御承知のこととと思いますけれども、一応医学部のほうも授業を再開したというわけでございます。ただ、しかし、学生の出席率、その他につきましては、各学科によりまして、いろいろと格差はございます。付属病院でございますけれども、付属病院は現在は一応全診療科とも平常どおり運営は行なっておりますけれども、実際の患者数についてみますと、外来患者数も、入院患者数も、いわゆる紛争がなかった時期と比較しますと、相当に減っております。大まかに申しますと、大体正常時の七割程度になっているわけでございます。入院患者について申し上げますと、ベッド数これは実在のベッド数でございますけれども、ただいま千床足らず、正確に申しますと、九百七十四床でございますけれども、実際に入院しておられる患者の数は、昨日、六月九日現在で六百二十六名、こういう状況でございまして、約七割程度に減っているわけでございます。これらは主としてやはり無給医局員等の中で、医局の問題等につきましていろいろと、いわば何と申しますか、その改革をめぐりまして、ごたごた等がございます。そういうような関係で、一部の診療科では、無給医局員の方々が診療を拒否されているというような実態もございまして、こういうような状態になっているというふうに私ども見ているわけでございます。
#124
○藤原道子君 大蔵省みえていますね。――お聞きのとおりに、公立と言わず、私立と言わず、病院の実態は以上のような実態でございます。看護婦の不足はもう十分御認識であろうと考えます。ところが、今日看護婦の養成に対して、国立のほうは別といたしましても、ほとんどが療養費の中から養成がなされておるんであります。これは、私がたびたび申し上げますように、学校教育法に基づきました看護学校に短大だとか、大学だとか、こういうふうに統一をして国がもっと予算を出すべきだと考えますが、いかがでございましょう。
#125
○説明員(辻敬一君) 看護婦対策につきましては、従来からお尋ねのたびにお答え申し上げておるところでございますけれども、養成施設の整備あるいは修学資金の国庫補助というものを通じて、確保対策の充実につとめてきたところでございます。それから国立の病院、療養所等におきまして、直接国が養成所を運営しているわけでございますが、その経費は全額一般会計の負担でいたしておるわけでございます。一般会計から国立病院の特別会計に繰り入れをいたして、税金の負担でいたしております。
#126
○藤原道子君 奨学資金を出しておるとおっしゃるけれども、ことしの予算では、厚生省が一人五千円を要求いたしているのをばっさり切って三千円、人数も要求をはるかに下回っている。これで国が費用を出していると言えるでしょうか。この点が問題だと思うんです。こうした国民一般の健康を保持する上において欠くことのできない看護婦が今日多量に不足いたしている。幾ら大蔵省がきんちゃくのひもを締めようとしても、若い娘が一カ月に十四日も十五日も夜勤をしなきゃならない、だから職場を離れる。これに対する増員計画、これも切られ、奨学金も切られる。こういうことでどうしていつの日に看護婦の充足ができるでございましょうか。これは先ほど申し上げましたように、潜在看護力を掘り起こすだけでも二百五万ドルという金を出して、大統領がアッピールして、これに協力して、さらに看護協会にまで呼びかけてこの養成に努力しておられるという国もある。日本では、わずかに二十八万からある潜在看護婦の確保のために二百七十八万円、こんな金でどうして看護婦が充足できますか。大蔵省に、今度は厚生省もよほど肝を据えて要求されるだろうと私は期待いたしております。それに対してやはり相変わらずいまのような態度でお進みになるのでしょうか。看護婦が足りないのはひとり看護婦だけの問題ではありません。一般国民の問題、いま慶応病院のことも申し上げましたけれども、足りなくなったら保険の患者がまず第一に締め出されるのです。これで一体よろしいのでございましょうか。政府の低医療政策も、もうこの辺で改めてしかるべきだと思いますが、大蔵省の御意見を伺いたい。
#127
○説明員(辻敬一君) ただいま御指摘のございました看護婦修学資金の貸与金の単価につきましては、前回もお答え申し上げましたが、准看護婦が千五百円、それから看護婦が三千円となっておりますが、育英資金の単価と合わせているわけであります。育英資金の場合には高校が千五百円、大学が三千円となっておりますので、それとのバランス上、それ以上上げることが困難であったわけであります。
 それから、いろいろ御指摘のございました潜在看護婦の確保対策につきましては、四十二年度に新規に予算を組んだのですが、四十四年度につきましては、先ほど医務局長がお答え申し上げましたように、この経費を増額いたしたわけでありますが、私どもとしては、実績等を十分勘案した結果、前年度の五割増し程度ということでこの金額をきめたのであります。
#128
○藤原道子君 高校が千五百円だからこれを上回ることはできない、こうおっしゃいましたのですが、高校と国民の命を預かる看護婦の養成――看護婦が足りなくて病院を閉鎖したところがあるのです。看護婦が足りなくてせっかく新築しても開業できないところがあるのです。これと同額でなければいけないのでしょうか。おのずから私は次元が違うと思います。いかがでしょうか。いまこの深刻な看護婦不足に対して、このごろ看護婦を一人養成するのには年間十五万から二十万かかると言われておりますが、そこで養成してもみんなひもつきできている。そうして、卒業すればそこに残る歩どまりが三割ないし四割あればいい状態である。こういうことで政府が看護婦養成のための金を出し惜しむ、その結果こういうことを招いているということをお考えにならないですか。高等学校の奨学資金と看護婦養成の奨学金が同額でなければならないということは納得できないが、もう一度御答弁いただきたい。
#129
○説明員(辻敬一君) 准看護婦の場合には、中学を卒業して入りますし、看護婦の場合には、高校を卒業して入りますから、そういう単価といたしましては、中学卒の准看護婦の場合には高校生の育英資金の単価、看護婦の場合には高校を卒業しました大学生の育英資金の単価とのバランスをとるのが適切ではないか、かような考え方でございます。
#130
○横山フク君 関連。ちょっと大蔵省に伺いたいのですけれども、お医者さんの場合の奨学資金というのはあるんですか。医学部の場合でも奨学資金出るんでしょう。
#131
○説明員(辻敬一君) 保健所の医師でございますとか、防衛庁の医官でございますとか、そういう特殊な場合には奨学金の制度がございます。
#132
○横山フク君 一般の医者にはない――大学生としての一般例としてあるんじゃないですか。ないの、大学生として。じゃ一般はなくて、保健所のだけあるんですね。これは保健所の医者対策としてあるんでしょう。保健所の医者対策として、普通の基準は、あれ幾らくらいの基準になっていましたか。月に一万八千円かなんかですね。普通の一般大学の奨学資金やなんかよりはるか上回っている形になっていると思う。大学生にもあるでしょう、普通の大学にも。一般大学生には奨学資金というのはあるんでしょう。――ありますか。
#133
○説明員(吉田寿雄君) 特に医学部の学生という、そういうことではありませんで、一般の大学の学生ということで育英奨学資金はもちろんございます。
#134
○横山フク君 幾らあるんです、月額。
#135
○説明員(吉田寿雄君) これはいまお話のあった三千円ということですけれども、いま私たち所管でございませんではっきりしておりませんが、自宅から通学している者あるいは下宿通学というようないろいろな区別がございます。
#136
○横山フク君 区別があって幾らですか。区別があるのはわかった。いろいろの種類があって区別があると言いますけれども、その区別する中で基本的なのとして通学する形として自宅から、その場合だったら幾ら出しているんですか、一般大学生。
#137
○説明員(吉田寿雄君) 日本育英会からの育英奨学資金でございますけれども、一般の場合には、先ほど御答弁のございましたように、三千円ということでございますが、特別の場合には五千円という種類のもの、それから八千円という種類のものがございます。
#138
○横山フク君 一般の大学の場合には三千円、五千円、八千円、とにかくそういった奨学資金があるわけですね。ところが、保健所で医者が足りないからというので特別に一万八千円という奨学資金が出せるのですね。そしたら、看護婦の場合にも、看護婦が足りないんだから、高等学校になぞらった千五百円という形でなくて、特別な額というものを出したっていいのじゃないんですか。保健所の場合には一般大学よりもわりあい多く出せるけれども、看護婦の場合はそれは出せない、一般の高等学校にならう、あるいは大学にならう、そういうのはちょっとおかしいんじゃないですか。保健所の医者が足りないからその特別な形で保健所の医者になるという形において出しているんですね。そしたら、看護婦が足りないんだから特別の形で、普通の高等学校は、千五百円だけれども、准看の場合には三千円あるいは正看の場合には六千円とか出したっていいわけでしょう。どうして保健所の医者の場合には一万八千円ということを認めておきながら、看護婦の場合にはそれは認めない、一般の奨学資金と合わせなきゃならぬという理屈はどこにあるんでしょう。
#139
○委員長(吉田忠三郎君) だれが答弁しますかね。答弁はだれがしますか。
#140
○横山フク君 辻主計官にお願いしたい。
#141
○説明員(辻敬一君) お医者さんの場合は、先ほど文部省からお答え申し上げましたように、一般的には三千円でございます。大学の場合三千円でございまして、そのほかに特別貸与としまして五千円というようなものがございますのは、特別に成績が優秀である場合、そういう場合に限って特別貸与という制度があるように承知いたしております。それから保健所の場合には、月に六千円ということになっておりますが、これは御承知のように、きわめて特殊な職場でございますので、そういう点を考えまして特に六千円というようにいたしておる、かように承知いたしております。
#142
○横山フク君 特殊な職場だから――保健所の医者が足りないからですよ。それで保健所の医者対策としてそれがプラスアルファとして出されてきたと思うのです。そういう道がすでに医者の場合にはできているのに、こんなに看護婦が足りないといっているのに、なお奨学資金の場合には一般の高等学校と同じでございますという形がいま通用できるとは思えないんですね。それが何がしかで、それを倍にしろとか、五千円にしろとか、一万円にしろとかと言うんじゃない。保健所のほうは特別でありますから出しました、看護婦の場合には、足りなくても高等学校と同じように千五百円にいたします、これでは平仄が合わぬと思う。やはりそこら辺は考えて、いま看護婦対策というのは非常な問題になっているのですから、大蔵省もあまりがんこなことを言わぬで、流動するものがあると思う。今度、来年度には少しそれくらいのことは考えてほしいと思います。
#143
○委員長(吉田忠三郎君) 大蔵省の主計官、いまのことについて。
#144
○説明員(辻敬一君) 保健所の場合には、本来のお医者さまの仕事でございます診療という場をやや離れまして、いわば行政官として勤務していただくというような、かなり特殊な事情があろうかと思いますが、なお、この点につきましては、他の諸制度等も、いろいろ検討いたしまして、今後とも検討いたしてまいりたいと思います。
#145
○横山フク君 そこが大蔵省側のがんこなところだというのです。諸制度と関連しながら、関連しながらといっても、看護婦の足りないことは緊急なことですよ。それをほかのところと関連しながらやります、保健所は特殊でございます、行政官の仕事をしますからなんと言ったって、ほかの行政官でもってそんな特別貸与金を出しているところありませんよ。保健所の医者だけですよ。それを保健所の医者は医者のほかに行政的な仕事をしますと言っても理屈にならぬと思います。すなおに来年度考えますと言えないから、そういう理屈をおとりになりますなら別でございますけれども、どっちにしても来年度はそれを考えていただくということを確認いたしたいと思います。
#146
○中沢伊登子君 関連。いまの奨学金の問題ですけれども、看護婦に月三千円の奨学金を出しますね、勉強している間三千円ずつ三年間奨学金が出るわけですね。今度それが卒業しまして正看になった場合には、自分が学んだ、たとえば兵庫県なら兵庫県で奨学金を三千円ずついただいたら、卒業してから三年間でそれを返さなくちゃいけないんでしょう。それなんか、非常にきびしい追跡調査をして、三年間同じ兵庫県で看護婦になっていなければいけない、こういうような制度になっているように私は承っておりますけれども、そうですが。
#147
○政府委員(松尾正雄君) ただいまの奨学金の制度は、補助金といたしまして都道府県にこちらが出しておるものでございます。補助率二分の一で出しておるものでございます。したがって、都道府県がその奨学制度をつくる、こういうたてまえになっております。したがいまして、その都道府県の条例によってそれぞれきめるわけでありますが、一般的には、ただいま御指摘のように、普通の貸与の場合と同じように、三年間貸した場合にはその県内で三年間おれば免除する。それから二年間貸した場合は、二年間は一応その県内で働いてもらいたい。こういう条件をつけて貸しておるようでございます。
#148
○中沢伊登子君 そうすると、先ほどから横山先生や、藤原先生が言っていらっしゃるのはみなそのことですか。全部大蔵省が都道府県に貸し付けているんですか。補助金として出してやっているわけですか。
#149
○政府委員(松尾正雄君) 補助金として都道府県に出しているわけでございます。
#150
○中沢伊登子君 そうしますと、高等学校の生徒や、大学生に奨学金を出しておりますね、それは返済ば大体二十年ぐらいじゃないんですか。
#151
○説明員(辻敬一君) 育英資金の場合、私、直接の担当ではございませんが、償還期限につきましては、貸与期間終了後六カ月を経た後二十年以内というようになっていると思います。
#152
○中沢伊登子君 そうしますと、いま看護婦さんの場合は、三年間借りると、三年間同じ勤務地にいたら免除するわけですね。しかし、女の人のことですからね、ひょっとして結婚して兵庫県から大阪府に変わらないものでもない。そういう場合はどうなるんですか。
#153
○政府委員(松尾正雄君) いま御指摘のように、都道府県単位でやっておりますために、ほかの県に移った場合には返して行く、こういうシステムになっております。
#154
○中沢伊登子君 そこで、これだけ看護婦さんが足りない足りないと言っておりながら、看護婦さんに対してはそういう方式しかとれないわけですね。そうすると、わずかに三千円――その制度がいつできたのか知りませんけれども、その制度のできた年月日を教えてほしいんですが、まあ、いまの時代に三千円借りて、そして三年間なら三年間同じ勤務地にいなきゃいけないという、しかも、その追跡調査が相当きびしいということを私承っているわけです。そうすると、それまで借りて看護婦になろうかというような、そんな情熱をわかせる人はないと思うんですね。私、その辺がやっぱり少しおかしいんじゃないか。もう少し流動性を持って、もう少し頭をやわらかくして――これだけ看護婦さんが足りないと言っている。もう私が当選してから四年、私は初めから看護婦問題は足りない足りないということで何べんも聞かされておりますし、私自身も何べんも質問しておりますが、そういう中で、看護婦に対してはそういうきびしいやり方では、看護婦さんが足りないのはあたりまえだと思いますね。もっともっと、何といいますか、頭をやわらかくして、ほんとうに看護婦さんを養成する、それくらいの熱情を、大蔵省も、そして厚生省ももっと強くなってやるべきだと思いますが、一体いつできたんですか、それは。
#155
○政府委員(松尾正雄君) 看護婦の問題は全国的な資格で通用し、かつ、そういう要望も全国的に強い状態でございますので、ただいま御指摘のような点は、もっと流動性というものを考えていくという点については、十分私ども検討したいと考えます。ただ、別のところで本日も御指摘もあったのでございますけれども、せっかく苦心をして養成したけれども、その県内からほかへ全部出てしまうんだ、せっかく養成したのにどういうことなんだというおしかりもまた別の反面ございます。したがいまして、この奨学金制度ができました一面には、養成した看護婦さんが直ちにほかに行ってしまうということによる偏在を多少とも防止したいという気持ちが、三十七年にこの制度ができた当初には、あったように聞いております。
#156
○藤原道子君 大蔵省の答弁は、いま横山委員が言われたとおりに、看護婦の不足という、看護婦の持つ重要な使命ということに対する御理解が欠けていると思うのです。厚生省はいろいろ案を立てておられるけれども、あなたのほうが石頭では、この実現はまたまた延び延びになる危険性がございます。私は、この際ぜひとも特殊性ということ、看護婦がいないために医療が破壊されるんじゃないか、お医者さんたちもそういうことを懸念されております。こういう段階に来て、なお高校だから幾ら、大学だから幾ら、だからそれと並行しなければだめだというような考え方はぜひ是正してもらって、ほんとうに日本の医療を考えるならば、看護婦対策、需給対策に対して協力的な態度をとっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。いま言ったように、保健所の医者は別だ、それで看護婦は別じゃない、それじゃ看護婦の使命はもっと低いものだとお考えになっているかどうか。お聞かせを願いたいと思います。
#157
○説明員(辻敬一君) 先ほど保健所の医師の問題につきまして申し上げたのは、まあいわばお医者さまの本来の仕事でございます診療というものから多少離れまして、公衆衛生という特殊な分野に行かれる場合の、そういう特別なケースであるということを申し上げたわけでございますが、先ほど来御指摘のありました点につきましては、厚生省とも十分に相談してまいりたいと思っております。
#158
○藤原道子君 厚生省に申し上げます。厚生省と相談して善処するというんですからよほどしっかり交渉をしてもらわなければなかなかむずかしいと私は考えます。大臣が職を賭しても看護婦の充足のために努力する、その御決意があるかどうかを承りたいと思います。
#159
○国務大臣(斎藤昇君) 全くその決意でございます。したがいまして、大蔵省にも十分納得のしてもらえるような、そういう考え方をはっきり打ち立てる責任が厚生省にあると、かように考えております。
#160
○藤原道子君 私は時間もだいぶ経過いたしましたので、したがって、もう質問はやめなければなりませんけれども、とにかくどうもきょうの答弁を聞いて、まだまだ看護婦の充足に対しての危機感というものが政府には欠けておるように思う。
 そこで人事院にお伺いいたします。夜勤の問題についてひとつ規則化してはどうかということが、これは衆議院で山本政弘議員から質問されている。それについては、一度上司とよく相談して検討してみたいという御答弁が三月の二十日になされている。それで上司と御相談になった結果はどうなったか、それから現状をどう考えておいでになるか、それからまた改善のために今後どのような指導をなさるおつもりか、この点について人事院のお考えを承りたいと思います。
#161
○政府委員(島四男雄君) ただいま御指摘のような答弁を確かに私はしたわけでございます。この看護婦問題につきまして、藤原委員もよく御存じのような判定を出した立場上、それなりの責任は十分あるわけでございまして、いろいろの委員会等で看護婦問題の質疑が行なわれました。その内容については逐一上のほうに報告しているわけでございまして、この問題について人事院規則をつくって、月八日というような問題についてもっと強い規制をしたらどうかという御質問も確かにあったわけでございます。そのことにつきまして人事院会議のほうに一応報告いたしました。しかしながら、人事院といたしましては、この規則をつくることによって、直ちにそれが実現可能であればともかく、現状は非常に人事院判定の線から見ますと、かなり遠いものがある。したがって、そのような実現不可能なことを内容とするような人事院規則はかりにつくってみても、それはいわば空文化してかえって人事院規則の権威というものを失墜するような結果にもなるので、これは人事院規則をもってどうこうすべきような問題ではなく、やはりその看護婦の人員の充足とか、あるいはそれに付帯するいろいろの勤務条件を改善するとか、そういうものを待って初めてこの問題は解決するものであるというような結論が出ましたので、人事院規則をもって規制するということは、これは人事院としては現在の段階ではすべきでないと、このように考えたわけでございます。
 それから現状をどう思っておるかということでございますが、これは、もう申すまでもなく、なかなか深刻な問題があるということでございまして、厚生省当局からもいろいろその現状について報告をいただいておるわけでございますが、現在の人事院判定の線というものが早急にはなかなか実現できないというふうに、私どもは判断しているわけでございます。しかしながら、このような人事院判定を出したわれわれとしましては、当然この判定の内容が一日も早く実現されることを望んでおりますし、またそれがそのようになることに私どもはつとめなければならぬ責務を持っておるわけでございます。この問題につきまして、今後どうしたらいいかという御質問でございますが、私どもとしましては、厚生省なり、文部省等と緊密な連絡をとりまして、この実態について私どもみずからが調査いたしますとともに、その解決についてどういうふうにしたらいいか、文部省、厚生省と相談しながら当たっていきたい、このように考えている次第でございます。
#162
○藤原道子君 どうも実現不可能な規則は云々と言われるが、納得がいかない。大蔵省といわず、人事院といわず、看護婦問題がそれほど危機的な問題と認識していらっしゃらないように思う。これは上司ともさらにあらためて御相談願います。ほんとうに看護婦にふさわしい待遇、労働条件、さらには今度自民党さんでも小委員会で論議されたそうですが、号俸の改正等についても、ぜひとも真剣に取っ組んでいただきまして、魅力ある職場、国民が安心して医療を受けられる体制をぜひ早急につくり、指導に当たってほしい。時間がございませんので、もうこの程度にいたします。
 そこで、厚生省に申し上げたいのですが、容易でないということ、それから潜在看護力の掘り起こしについても、もう少し対策があろうかと思うのでございます。これらについても十分検討していただきたい。結局日本の医療がいま病んでおるということばが新聞で使われておりますけれども、まさにそのとおりだと思うのです。私は、結局利潤の追求にのみきゅうきゅうとしておるいまの社会情勢、看護婦は幾らふやしても点数にならない、こういうふうなこともここに起きてくるんじゃないか、どうか金や、技術のテクニックにおぼれることなく、人間の生命を守るのだ、このとうとい職務についておられる看護婦さんたち、その養成、その待遇に特段のひとつ熱意をもって解決に当たっていただきたいということを強く要望いたします。
 さらに大蔵省でもぜひお考えを改めていただきます。厚生省の要求がこの前もばっさり切られております。ふえました、ふえましたと言うけれども、たった二百七十八万円ですが、これは幾らふえたのですか。百九十五万円から二百七十八万円、これだけふえただけで事足れりというような、胸を張っての御答弁は納得がまいりません。諸外国でも看護婦問題については非常に力を入れてその充足に努力されております。国を金を出さない、そしてふところ手で何とかしろと号令かけたって動くものではございません。どうかその点もぜひお考えをいただきたい。
 厚生大臣に、最後にひとつ法人立あるいは私立等の養成所に対しましても、やはり国の補助であるとか、何らかの方法をとられて、企業内の養成所ですか、こういうところは育てても育てても歩どまりが三割くらい、四割いけばいいほうだ、これでは幾ら号令かけてもこのワクをふやすはずはないのでございますから、その点もお考えをいただきたい、このことを強く要望いたします。
 さらにいつごろになったら解決できるかを、充足の見通しがあるかを最後に伺わしていただきまして、質問を終わりたいと思います。
#163
○国務大臣(斎藤昇君) たびたび看護婦問題につきましては真剣な御意見を各委員から伺いまして、ことに、藤原委員からは格別御意見を伺っておるわけであります。いつも検討中だと、先ほどもおことばがございましたが、検討を重ねまして、最後にこれならという結論を出しますのは予算の要求、予算の編成のときでございます。それまでは十分検討をさしていただいて、いよいよ確信を得たというものを出してまいりたい、かように考えますので、途中でいろいろこういたします、ああいたしますと申しましても、結局問題はお金の問題、予算の問題になるわけでありますから、したがって、予算の編成までには確固たるものをつくり上げて、そして皆さんにさらに御協力をいただきたいと、かように思うわけでございます。
#164
○藤原道子君 いつごろまでに……。
#165
○国務大臣(斎藤昇君) 本年度の予算の編成でございますから、おのずから時期がきまるわけでございます。
#166
○委員長(吉田忠三郎君) 看護婦の充足に関する件についての質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
#167
○委員長(吉田忠三郎君) 大橋和孝君から発言を求められておりますので、これを許します。大橋君。
#168
○大橋和孝君 本委員会において、ただいまのように看護婦の増員、夜勤をめぐるいろいろな問題につきまして、すでに多くの委員からあらゆる側面から発言がありまして、政府の答弁もまた種々行なわれてきたことでありますが、それらの討議を通じて明らかになりました基本的な問題点といたしましては、一つは、やっぱり日本の医療、なかんづく看護婦の現状はまさに重大な危機的な状態に直面しておるということであります。また、早急に抜本的な対策を確立することがきわめて重要である、こういうようなことであります。第二には養成数、養成所の数の増加、未就業者の就業対策、職場保育所の設置、職場環境の改善等とともに、大幅な増員がきわめて緊急に必要であるということが指摘されております。また三つには、育児をはじめとする家庭生活とこの看護婦業の両立を保障するために、現状のこの無制限的な夜勤を法律、規則によって一定の規制を行なうことがあわせて必要であるということ、このようなことなどが基本的な諸点として指摘されておるのであります。これらの問題点につきましては、党派を越えて緊急に努力し合わなければならないことでありますが、当面的には、昭和四十年五月に看護婦夜勤の制限のために出されましたこの人事院の判定、すなわち夜勤の月八日実現、一人夜勤の計画的な解消、産後夜勤の免除、あるいはまた休憩時間を明示する等の緊急な実現、労働条件の改善のために、政府にこの実行の努力を強く要望いたしたいと、こういうふうに思っておるわけであります。
 そこで、本委員会といたしましては、次の委員会決議を行ないたいと思うわけであります。案文を読み上げますので、どうか各委員の御賛同をお願いいたしたいと思います。
  看護職員の不足対策に関する決議(案)
  近年、医療技術の進歩とともに、医療の需要
 は急増し、医療機関における治療件数、治療日
 数等も増加の一途をたどっている。
  これに対して、医療従事者特に看護職員の不
 足は憂慮すべき状態にあり、養成機関の充実と
 あわせて待遇、その他労働諸条件の改善をはか
 り、看護婦等の必要数の確保につとめなければ
 ならない。
  このため
 (1)政府及び関係機関は看護職員の確保のため、その養成機関の拡充整備をはかること。
 (2)看護職員の夜間勤務について必要な改善を行うこと。
 (3)看護職員の夜勤についての昭和四十年五月二十四日の「人事院判定」の速かな実行をはかること。
 (4)政府及び関係機関は、看護業務と労働諸条件を考慮し、その改善をはかること。
 (5)以上のことについては、両三年を目途としてその改善をはかること。
    右決議する。
 これでございますので、よろしくお願い申し上げます。
#169
○委員長(吉田忠三郎君) 別に御発言もなければ、大橋和孝君提出の決議案の採決を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
#170
○委員長(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認め、それでは本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
#171
○委員長(吉田忠三郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。斎藤厚生大臣。
#172
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま満場一致をもって、かような決議をいただきましたことは、厚生省といたしまして、むしろふだんの勉強の足りなかったという反省をいたさざるを得ないわけでございます。
 たびたび申し上げておりますように、厚生省といたしましても、この問題は、まことに緊急にして大事な問題だと考えておりますので、この決議の御趣旨を最大限度に実現をいたすよう努力をいたしたいと、かように存じます。
 たいへん決議に対して感謝を申し上げます。
    ―――――――――――――
#173
○委員長(吉田忠三郎君) なお引き続き、米ぬか油中毒事件に関する質疑を行ないます。
#174
○小野明君 時間ももうないようですから、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
 五月三十一日でありましたか、カネミ油の工場の営業が再開をされておるのであります。私ども、従来の経過から、この営業再開についてはいささかの疑問なしとしないのであります。厚生省として、新聞によりますと、これに賛成の意を表明をされておるようでありますが、この再開の根拠を伺いたいのであります。
#175
○政府委員(金光克己君) カネミ株式会社につきましては、五月三十一日に営業を許可いたしたわけでございます。したがいまして、五月三十一日で再開をいたしたということになります。この営業の許可につきましては、北九州市長が許可したわけでございますが、これにつきましては、厚生省といたしましても、その許可についての、現在までの措置につきましては了承いたしているわけでございます。したがいまして、この営業許可に至るまでの経過におきましては、北九州市におきましても、また福岡県におきましても、十分安全性を検討いたしまして、その結果によりまして許可したと、かような経過でございます。
#176
○小野明君 安全性を検討されたということでありますが、この再開の問題については、十二月十七日に環境衛生局長からこのような答弁があっておるのであります。製品の検査結果が出ずに再開させることはないという、「この検査の結果が出ませんと、実際の汚染経過というものが全貌がはっきりしないわけでございますので、」云々、こういう御答弁があっております。これについて、大臣もそれと同様の趣旨の発言をなさっておるのであります。ところが現在は実際の汚染経過というものがまだはっきりしておらぬ、このように私は見ております。九大におけるこの汚染経過に対する結論というものはいまどのようになっておるのか、これとの関連をひとつ説明をいただきたいと思う。
#177
○政府委員(金光克己君) このカネミ倉庫の油の製造過程におきまして、塩化ジフェニールで汚染されたという事実は、調査の結果はっきりしておるわけでございます。それで最終工程の脱臭タンクの六号管のステンレスのパイプにピンホールができまして、それから漏れたものであろうという公算が非常に大きいということがいままでの調査の結果それが出ておるわけでございます。それで、この結果は相当前に出ておるわけでございますが、その後の経過におきましても、別な原因といいますか、汚染経路というものが特別考えられないというような状態でございまして、決定的なことにつきましてはなお結論を得ていないという見方もあろうかと思いますが、現在までの経過におきまして相当期間たったわけでございますが、やはり六号管のピンホールから漏れたものと考えるのが最も妥当ではないかというような考えでございます。この問題につきましては、別途警察当局におかれましても調査が行なわれておるわけでございますが、そういうような状態でございますが、一応現在までの結果におきまして、そういう六号管というもののステンレスパイプから漏れたと考えざるを得ないであろうということと、もう一つはカネミ倉庫におきまして、いろいろと施設の改善をいたしまして、安全性というものを十分に考慮した措置を講じたということの上に立って許可された、こういうことでございます。
#178
○小野明君 実際の汚染経路というものがはっきりしておるような、おらぬような御答弁なんですが、九大油症班としては、六号管のパイプからカネクロールが漏れたんだ、こういう結論をすでに得られておるんですか、それは仮説ではないんですか。
#179
○政府委員(金光克己君) 仮説というわけではございませんで、いままでの最も考えられる汚染経路といたしましては、六号管のステンレスパイプのピンホールから漏れたと考えておるわけでございまして、穴があいておったということは事実でございます。そういうことで、これ以外にはいまのところ考え得る経路というものはないわけでございまして、そういう意味で、このピンホールから漏れた公算が大きい、こういう判断をいたしておるわけでございます。
#180
○小野明君 どうもおかしいと思いますがね、九大の油症班は少なくともやはり科学的な結論を得た上で発表されると思うんですが、局長は、どうも独断を下されておるのではないですか。もうすでに九大油症班のこの検証は終わったという事実を私は知らないわけですよ。九大油症班は、これについてはもう科学的な検証は終わったと、こういう発表をいつされたか、再度お尋ねいたします。
#181
○政府委員(金光克己君) 九大の油症研究班におきまして、九大といいますか、現地における油症研究班におきましてこの疫学調査はやっておるわけでございますが、これはかつて、かつてといいますが、この委員会におきましても御報告いたしましたように、六号管からのピンホールを発見して、それから漏れた公算が大きいと考えると言って以来、その後におきまして、特別に現地の調査班におきまして公式発表はないのでございます。ないのでございますが、現在までその後のいろいろの調査もいたしておるわけでございますが、その結果におきましては、特別な汚染経路というものは発見されてないということで、やはりこのピンホールから汚染されたという公算が大きいであろうという考え方はより強まってきておるという、その見解の上に立っておるわけでございます。
#182
○小野明君 公式発表がないと、こう言われるのですが、公式発表がない以上は、この実際の汚染経路というものは明確でないと、こういうのが常識ではないでしょうか、大臣に私はお尋ねをいたしたいのです。その際に、大臣はこういう新聞発表をなさっておられるのです。というのは、この汚染経路の問題を含めまして、疫学調査すべての調査が終わらなければカネミに営業を再開を許すことはないと、このようにおっしゃっておられるわけです。そうしますと、大臣は、この五月三十一日の段階ですべての調査結果が判明をしたと、このようにお考えですか、いかがです。
#183
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、汚染経路ははっきりとかように認識をいたしておるのでございます。当初発見をされたピンホールは一つであって非常に小さいもので、これではたしてそれだけの容量の塩化ジフェニールが流れ出るものかという疑点が若干あったそうでありますが、その後の調査におきまして、十分流れ出るだけの穴があいておったということが実証されたということでございまして、警察のほうにおいてもそれを確認をいたしております。それ以外に汚染経路はないというように私は聞いておるのでございます。
#184
○小野明君 大臣、いま私が申し上げましたように、九大の油症班がこれに当たっておられるのですけれども、まだ、局長が言われるように、九大のこの汚染経路というものに対する公式の発表というものがないわけです。そういたしますと、この汚染経路というものは、科学的にはまだ立証されておらぬということになる。あるいは疫学調査についても私は九大油症班の正式の発表は聞いておりません。そういたしますと、その辺の結論があいまいなままに営業再開を許すというのは、やはりこれは時期尚早といいますか、企業再開を急ぐのあまり結論を無理に引き出していった、こういうそしりを免れぬのではないかと思うのです。その辺を大臣はどのようにお考えなのか、再度お尋ねをしたいと思います。
#185
○国務大臣(斎藤昇君) 油症班がその汚染経路を公式に発表するかしないか、事実問題といたしましては、これ以外にないということを油症班なり、また警察の関係当局なり認めているという現実に立脚いたしまして、北九州市において、再開を許可をしたいということでございましたので、それならいいだろう、かようにこちらも承認をしたわけでございます。
#186
○小野明君 その辺が大臣、私はやっぱり誤まっておるのではないかと思うのです。
 それで、次に警察にお尋ねしたいと思うのです。
 現地の県警本部長も、なぜこの捜査が終了しないか、こうお尋ねしたときに、混入経路、それと分量というものが合わない、だから捜査を終了することができない、こう言われておる。これは何回目かの鑑定で九大油症班に依頼をしておるわけですね。ところが現在の段階では、警察のほうには九大の油症班から、この混入経路、汚染経路なり、量というものが報告になっておるのかどうか、これはいかがですか。
#187
○説明員(小野島嗣男君) カネミ倉庫株式会社の米ぬか油による中毒事件の捜査は、工場の製造設備などの解明という点と、被害者関係の究明という点で調査をいたしておりますが、工場の製造設備などのいまの混入経路等の解明につきましては、いままでに、大体昨年の十二月二十六日に第一次鑑定をお願をして、これは九大の工学部の篠原教授に嘱託いたしまして、総合的に取りまとめていただくことになっておるわけでありますが、その後第二次、第三次と何回も鑑定をお願いしまして、現在第六次鑑定をお願いしておるわけであります。したがいまして、その鑑定結果の正式の結論はまだ私どものほうにいただいておりません。近く鑑定の結果の正式の結論が私どものほうに来るものと期待いたしておりますが、そういう状況になっております。
#188
○小野明君 いま大臣もお聞きのように、現地の油症班から鑑定の結果は捜査をしておられる警察のほうにまだ送っておられない、そういった段階で疫学調査の結果なりあるいは汚染経路というものが明瞭である、これで終了をした、このように判断をするのはやっぱり無理があるのではないかと考えられますが、いかがですか。
#189
○政府委員(金光克己君) ただいま警察当局からお話がありましたように、警察当局の捜査の結果がまだ公式には発表されてない……。
#190
○小野明君 捜査の鑑定の結果が発表されてない、公式には。
#191
○政府委員(金光克己君) 捜査の鑑定の結果が公式には発表されていないということで、営業許可につきましては少し無理があるのではないか、こういう御趣旨のように聞きますが、その汚染経路ということにつきましては、これは厳密に言いますとなかなかむずかしい問題でございますが、大学におきまして扱ってきておるいろいろの現在までの調査というものを総合いたしますと、やはりピンホールから漏れたという以外の原因というものは、まずは考えられないというような状態でございます。そういうことでございますので、ほとんどこれ以外は考えられないという見解の上に立っておるわけでございまして、それともう一つは、営業許可ということにつきましては、いまの段階でこれを許可することが不適当であるということは、これは言えないと私は考えておるわけでございまして、十二月二十六日に施設の改善命令を北九州市長が出したわけでございます。それ以来いろいろと施設の改善、それから再開した場合のいろいろの運営方法等につきましても検討いたしておるわけでございますが、三月三十一日にこの改善の方法につきまして、完了報告を出してきておるわけでございます。そういう完了報告を出した時点では、もう再開したいという気持ちは多分にあったわけでございますが、なお行政当局といたしましては、念を入れまして、カネミ株式会社に対しまして、食用油の製造の維持管理といったようなことにつきましても、安全を期する意味でいろいろと検討させまして、五月二日に油の製造の維持管理の計画書というものを出してまいったわけでございます。そして、その計画書によりますと、いろいろと念を入れまして、十分なる安全性というものが確認されたということで再開を認めた、まあかようなる考え方で営業許可をしたということでございまして、相当の日数もたち、相当の検討をいたした今日におきましては、かような措置も適当ではないかと考えておるわけでございます。
#192
○小野明君 どうも、十二月十七日、あるいはこの委員会でいろいろ議論をし、あなた方が答弁をされた結果と食い違ってきておることをいまお尋ねをしておるわけなんですよ。どうもあまり長く営業停止をしてはいかぬという考えが先に立って、人命の尊重と完全な原因の除去という点にウエートが置かれていない、このようにしか考えられぬのです。
 それで、この再開された製品というのはいつどこで検査をしたわけですか、だれが検査をしましたか。
#193
○政府委員(金光克己君) この営業の再開に当たりましては、試験製造をいたしまして、北九州市の衛生研究所でいろいろと検査をいたしまして、その結果まあ心配はないという確認をいたしておるわけでございます。
#194
○小野明君 この製品については、市の衛生研究所では、当初問題になった際にやれなかった、だから県の衛生研究所に送った、あるいは九大油症班で検査をした、あるいは国立の衛生試験所ですか、そこでも検査をした。そういったたくさんの段階を経て初めてこのカネクロールというものが検出をされてまいった。これは製品検査については厚生大臣も権限があるわけですね、十四条の一でちゃんと規定をされておる。ところが再開に当たっては、市の衛生研究所だけで検査をして、ぽんと営業許可をした。この点が私は第二の疑問なところなんです。その辺は局長いかがですか。
#195
○政府委員(金光克己君) 事件が起きました当初におきましては、いろいろと汚染物質というものが何ものかというようなこともございまして、国立衛生試験所とかあるいは県の衛生研究所とか、大学等が協力したわけでございますが、今度営業再開にあたりましては、熱媒体は切りかえたわけでございます。問題となりますのは、やはり熱媒体が一番問題になるわけでございますが、これを安全な毒性の少ないものに切りかえたわけでございますが、また同じようにピンホールから漏れてはいかぬというようなこともあるわけでございます。やはり検査する上におきましては、そういった熱媒体を目標に検査するわけでございます。そういう意味で市の衛生研究所では十分能力があるということで許可いたしたわけでございます。
#196
○小野明君 局長は、あくまでもこのピンホールという点に、ここが原因だということを踏まえながら言われておる。ところが九大の油症班においては、まだ鑑定結果を公表してないんですよ。だからこの製品の段階で、脱臭工程を経た製品の段階が問題なのか、あるいは原油の段階ですでに問題があっておるのかということが化学的に証明されない現在だと、私は思うのです。そうした場合に製品検査、脱臭工程だけを抜いて製品検査をやる、しかも市の衛生研究所だけでやっておる。国立の衛生研究所ではやっておらぬ、あるいは九大においても、県の衛生研究所においても検査をやっておらぬ、市のものだけだ。この点はきわめて軽率のそしりを私は免れぬと思うんですがね、これは局長いかがですか。
#197
○政府委員(金光克己君) まあ市の衛生研究所におきます検査の能力というものは十分あると考えておるわけでございます。それから製品のでき上がったものにつきまして、ロットごとに自主検査もしますし、それから市の衛生研究所も検査をするというように、あわせてやることになっております。
#198
○小野明君 市の衛生研究所が私はその能力を持たないと言っているのじゃないんです。これだけの事件ですから、すべての試験研究機関が動員をされてやってきた。ところが再開の場合にはそういうものの動員をせずに、市の研究機関だけでこれを許可しておるというところが問題ではないか。厚生省もここに手ぬかりがあるのではないか。十分慎重な手続を経て営業再開を許可すべきではないか、こう私は申し上げたい。
 そうして、次に、すでに二月一日に原油については営業、販売停止を解除しておりますね、二月一日から、そうでしょう。そうすると、もう原油というものは二月一日から売られておる。あるいはすでにこれが問題になっておった十二月の九日の段階で原油の販売停止の命令も解除されておるわけです。そうしますと、原油というのは十二月九日からすでに売られておったのではないかということを疑問に思うわけです。この点はいかがですか。
#199
○政府委員(金光克己君) 十二月九日の時点におきまして、今回のこの事件につきましては、塩化ジフェニールが混入したという事実は、これはもう確認いたしたわけでございます。それで塩化ジフェニールが入ると推定されるのは、脱臭工程においてこの塩化ジフェニールを使用するわけでございますから、その際に入るか、あるいは特別な、何かの間違いでもとの原液のほうに故意に投入するとか――まあこれはたとえばの話でございますが、そういうことでもない限りは、まずはやはり脱臭工程以降におきまして塩化ジフェニールというものが問題になってくるわけでございます。そういう意味におきまして、脱臭工程以前の過程におきます原液というものにつきましては、これは心配はないと、このように考えまして、しかしながら念のために十分検査させるように指示をいたしまして、原液の製造につきましては了承したということでございます。それで法律的に申し上げますと、やはり食品衛生法では、びん詰め、たる詰めの製造ということで営業許可ということになっております。そういうことで、法律的な手続としましては、原液をつくり、売ることにつきましては、この食品衛生法でいうびん詰め、たる詰めの営業許可とは関係はないということにもなるのでございますけれども、しかしながら、これは事件が発生いたしておるのでございますから、その原液につきましては、まずは汚染されることはないという考え方と、もう一つは、十分検査をして扱わせるということで、十二月九日に原液の製造につきましては了承したという経過でございます。
#200
○小野明君 そうしますと、今日まで警察が独自の鑑定までやって、この捜査の終了を待っておる。これほど慎重にやっておる。あるいは九大の油症班においても、まだ汚染経路を正式に発表していない。こういった段階で、汚染経路というものがはっきりとしない、どこで汚染をされたかわからない。こういう段階においてすでに十二月九日から原油については売られておる。さらにまた、それを堂々と二月一日からこの原油を売っておる。実際、カネミの営業停止というのはほとんど二十日かあるいは一カ月程度のものであって、実態は全部原油というところでもってしり抜けであった、こういうことが言えるわけですね。
#201
○政府委員(金光克己君) これは検査をして出しておったわけでございます。
#202
○小野明君 検査をしなくて出したらたいへんですよ、これだけの問題になっておる中で。だから十二月九日あるいは二月一日の段階で検査をしたのは、おそらく、今回もされておるように、市の衛生研究所、検査所ですか、そこぐらいで検査をして出しておられたのじゃないかと私は思うのです、実際は。だから、カネミというのは、これは今日補償の問題にいたしましても、財務の状況が悪いとかいうことで、あまり応じないのですけれども、実際はそう影響を受けていない、こう見なければならぬのではないかと思うのです。そこで、二月一日の段階で市の報告書を見ますと、その他については精製して再検査の上、業務用とするものを売ることを許可した、こう書いてあるのですが、この際の検査、あるいは十二月九日の段階における検査はどこでやられたのか、あるいはこの「精製」というのはどこで精製をされたのか、それをひとつ明らかにしてもらいたい。
#203
○政府委員(金光克己君) 検査につきましては、市の衛生研究所でございます。
 それから精製でございますが、精製につきましては、精製をすることにはいたしておりますが、現在はまだ回収をしておるといった段階でございます。
#204
○小野明君 それは間違いでしょう。市の報告書によりますと、二月一日に、「精製して再検査のうえ業務用とするものに限り販売停止を解除した。」と、こう書いてあるから、精製というのはどこかで精製をされておらなきゃならぬ。原因がはっきりせぬ中で、どこで精製をやっておったのか、それを厚生省調べてないのですか。
#205
○政府委員(金光克己君) 二月一日の措置でございますが、これはそれまで製造日別に、各県に販売されております移動禁止をかけておりました製品につきまして、製造日別に検査をしておったわけでございます。その結果が出ましたので措置をとったわけでございます。それは二月、三月の、汚染は二月が主体でございまして、三月の初めも一部あったというようなことでございましたが、念のために二月、三月、四月の製造にかかるものにつきましては、これを廃棄処分にすることにいたしまして、それ以降のものにつきましては、回収の上精製をいたしまして、そうして検査をいたしました上で、これは検査の結果によって……。
#206
○小野明君 精製はどこでやったのかということを聞いている。
#207
○政府委員(金光克己君) そうして精製の上でこれの販売を許可をする、こういうことに二月一日にいたしたわけでございますが、現在の段階では回収をいたしただけでございまして、まだ精製という過程を踏んでいないわけでございます。
#208
○小野明君 そうすると、販売してないわけですか。
#209
○政府委員(金光克己君) 販売は事実上まだいたしておりません。
#210
○小野明君 そうすると、命令解除だけで、実際に原油の段階も――原油の話をしているのですよ。これはまだこれも売られておらんわけですか。原油は。もう十二月の九日ですから、あなた、売られているのじゃないですか。
#211
○政府委員(金光克己君) いま私が申し上げました二月一日のこの措置は、これは前製品でございまして、カネミで製造しまして各県に販売されておりました製品についての話でございまして、塩化ジフェニールで汚染されましたと考えられる二月、三月分、それに四月分は廃棄処分を命じた、そういうことでございまして、これは従来販売されました製品でございまして、原液につきましては、精製をいたしまして、精製といいますか、検査をいたしまして、市の衛生研究所で検査の上販売を認める、こういう形になったわけでございます。
#212
○小野明君 だから、その精製というのは一体――実際売られているわけです。この二月一日の精製というのはどういうことか、こう言っているのです。どこでやったか。
#213
○政府委員(金光克己君) 精製と申し上げましたのは、すでに売られた食用油でございまして、二月、三月、四月のものは廃棄させる、五月以降のものにつきましては、念のために精製をさせる、検査をさせて、その上で販売をしてもよろしい、こういう形をとったわけであります。これは販売された食用油でございまして、原液の問題につきましては、精製という過程でなしに、これは検査をいたして完全なものは販売してもいい、こういうことにいたしたのであります。
#214
○委員長(吉田忠三郎君) 局長、質問はね、きわめて簡潔に明快に聞いているのです。ですから君のほうも明快に答えなくちゃいかん。どこで一体精製をしたかということを聞いているので、それだけ答えればいいのです。こんにゃく問答みたいな答弁じゃあいかん。
#215
○政府委員(金光克己君) 原油につきましては、精製は特別いたしてないわけであります。
#216
○小野明君 精製してないから、原油というんだよ。
#217
○政府委員(金光克己君) 検査は行なっているわけでございます。
#218
○小野明君 だから二月一日のものによりますと、二月、三月のものについては廃棄処分をした、その他のものについては、だから五月からずっと操業やっておったものについては、精製をして再検査の上販売をした、こういうのだから、この精製というのはどこでやったか、こう聞いている。カネミの工場ならカネミの工場といえばいいのです。
#219
○政府委員(金光克己君) この二月、三月、四月、五月といったこの製品は、これは昨年の製品でございまして、したがって、これは精製することにはいたしておりますが、まだしていない。それで精製はそのカネミの株式会社ですることになっておるわけです。
#220
○小野明君 もう、しておるわけですね。これは市の報告書だから。
#221
○政府委員(金光克己君) いえ、まだしてないんで、することになっております。
#222
○小野明君 それでわかった。私は、この参議院社労委員会から現地の北九州市に質問状を出しまして、その報告書を見て尋ねておるわけです。それの二月一日のところに、二月、三月、四月中は廃棄処分にした、その他のものについては精製して再検査の上、業務用とするものに限り販売停止を解除した、ですから、五月以降のものは――昨年ですよ、これは。精製してそして販売停止を解除したというんだから、売られておるはずなんです。だから、昨年の五月以降のものについては売られておるはずなんですよ。それをどこで精製をしたかといまお尋ねしたら、カネミ工場で精製をしたと、こういうふうにおっしゃったから、それで私はわかりましたと、こう申し上げたいわけです。
 大臣、これでですね、実際は、もうカネミというのは、営業停止というのはごく短期間であって、十二月九日からもう原油は売られておった、二月一日から、いままで倉庫に積んでおった製品を、二、三、四だけを除いて、あとは市の衛生研究所だけで市の検査をして売っておったと、こういうわけでなんです。一方、九大の油症班については、十二月の段階においても、あるいは最近に至っても、まだこの汚染経路というものをパイプを切って調べておる、こういう実情にあるのです。それで、その際の私は大臣の言明といいますか、疫学調査もすべてがはっきりした上で再開を許可するのだ、営業を許可するのだと、こう言われておるのだけれども、実際の措置はきわめてこういった危険なものになっておるのではないか、このように私はお尋ねをしておるわけなんです。
#223
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、当委員会から北九州市に質問状を出して、その答えというものを見ておりませんからわかりませんが、私はいままでは、いまもそうですが、先般再開を認めるまでは精製ということはカネミ工場ではやっていなかった、やっていなかったはずと、かように私は考えています。
#224
○小野明君 そこで、実際はもう二月一日からそういうことが動いておったわけなんです。それらをあわせて見るときに、やっぱりこの再開の許可については、この検査機関としては、製品検査としては、市の衛生研究所だけでどんどんやっておるわけですからね。これだけの事件を起こした油ですから、それは、油は、いま食品衛生法によりますと、対象になっておらぬかもしれませんが、非常に危険な私は行政措置が行なわれておると、こういうことを指摘をしたいわけであります。再度、ですからこの点については検討をいただきたい、いま私が申し上げた点について一体どうなのか。私は市からこの委員会に報告をされた事実に基づいて質問をしておるのですから、これに間違いはないと思う。
 次に補償の問題ですが、これは大臣に私はお尋ねをしたいと思うのです。
 森永の場合は、事件が昭和三十年の八月に起こりまして、十二月には補償の基準あたりができた。ところがこのカネミは、もう去年から、一応名目は営業停止だけで、実際は違いますけれども、七カ月半にわたってまだ補償基準なるものもできておらぬ。ですから仲介の労をとる者がだれもおらぬわけなんです。森永の場合は、もちろん事件もこれよりも大きな規模でしたけれども、厚生省が音頭をとって五人委員会というものを組織をいたしました。そしてこの五人委員会に補償の問題について結論を得るために答申を求めたわけなんです。これは被害者のほうはもちろん納得をしておりませんけれども、森永は全面的にこれに協力をした、あるいはこの五人委員会の費用というものについては粉乳の工業会というものが全部持った、こういう事実がある。かなり急テンポにこの補償というものが答申をされておるわけなんです。今回はだれも仲介の労をとっておらぬ。それは大臣が知事に言われたから、知事は、見舞い金を出したらどうかということで見舞い金程度はやられました。しかし積極的にこの問題について仲介の労をとる者がおらぬものですから、患者の被害者の会とカネミとの間でエキサイトしてくる、激突してくる、こういう状態が出ておる。患者としては、まだ九大は治療法を究明しておらぬわけですから、やっぱり生命の不安だってあるわけです。そういった問題を含めて、前回の森永の際の厚生省の取り組みよりは非常にこのカネミの場合はおくれておる。こういった例にならって、やはり何らかの補償が一歩進むような措置というものは考えられないのかどうか、お尋ねをしたいと思うんです。
#225
○国務大臣(斎藤昇君) 御意見ごもっともに存じますが、先般も、私、九州に参りまして、九大の諸先生にもお目にかかっていろいろ意見も伺い、また北九州市及び福岡県の知事らにも会っていろいろと相談したわけでございますが、問題は、まだその病気が固定をしていないということで、聞くところによると、すでになおった者もあるということもあって、その辺はまだ相当微妙なんです。そこで油症にかかったという患者の方々のひとつ追跡調査をやってもらいたい、そしてすでにもうなおったという人があるのか、その後病状がどうなっているか、もちろん重い患者の方は九大の病院へ通っておられますからよくわかりますが、そうでない方も相当おられるようでありますので、そこでできるだけ可能な限りの追跡調査をやってもらいたいということで、皆さん賛成されまして、いまその追跡調査のやり方を検討し、近くやりたい、こういうような段階になっているわけであります。そういうようなことも踏まえまして、そして症状の固定化ということも私は補償と大きな関係を持つと、かように思いますので、それらの結果を見て適当な方法をわれわれなり、また知事なり、北九州市と相談をしてやってまいりたい、私自身としては、さように考えているわけであります。
#226
○小野明君 それを大臣一歩進めて、治療法については九大の油症班がやっておるわけですが、まだその結論は出ていない。森永の場合も、死亡者あるいは重患、軽患いろいろあった。それが中毒事件の発生後四カ月で、この五人委員会というものができまして、補償基準あるいは補償についての考え方、こういうものが明確に出されたわけですよ。それに基づいて、やはり一応のたたき台ができたものですから、それをめどにこの補償というものが進められた。これによりますと、補償というものは法律上の責任、これは刑事、民事とあります。それと習俗上の責任、それと道徳上の責任。この習俗上の責任というのは、お見舞いをする、あるいは香典を供えるとか、こういうことである。あるいは道徳上の責任というのは、遺族補償とか、こういうことになるわけですが、この三つに大体分類して考えられる。これはいろんな結論が出る前に発足をしてもよろしいのではないか、私はこう思うわけです。患者さんから言わせますと、治療法もわかっておらぬ、まだ原因もわかっておらぬのに、その企業の再開だけを急いでおるという行政措置をきわめて強く非難をしておるのが現状なんです。これは非難をするのは当然なんですけれども、厚生省としても、さらにこの仲介といいますか、それを積極的にいまの段階で進める、その中で法律上の責任というものはやっぱり考えられてくるものがあるのではないか、私はこのように考えるわけです。いま一歩大臣の態度を進めていただいてはどうだろうかと、こう思うわけです。
#227
○国務大臣(斎藤昇君) 私はこの森永の中毒事件の内容はよく存じませんが、このたびのカネミの塩化ジフェニールによる中毒とその症状は相当違っているものじゃないかと思うのです。したがいまして、その補償の内容も相当変わってくるものじゃないかと、かように思っているわけでありますが、いませっかくの御意見でもございますから、よく検討をいたしまして、できるだけ患者の方にも御満足のいくような方途を考えたいと思っているわけであります。
#228
○小野明君 森永の場合と今度の場合と違っておると言われますが、私は中毒の責任という点からいえば、いま環境衛生局長が言われるように、六号脱臭管からぴしゃっと出たんだ、むしろ中毒の原因というものは今回のカネミの際のほうがはっきりしているわけです。これについて前回の昭和三十年の場合は、積極的に厚生省がそういった中立の専門家の意見を、答申を求めて補償を進められた。今度の場合はもたもたして一年以上も放置されている。これはちょっとこの八百数十名の患者に対してやはり不親切ではないか、この事件に対する取り組みが熱意が足らぬのではないか、こう言わざるを得ぬわけです。再度私は大臣の答弁を求めたい。
#229
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま申し上げましたように、患者の追跡調査を近く始めるそうでございますから、それと関連をいたしまして、よく考えてみたいと存じます。
#230
○小野明君 これは十分に森永の例も大臣調べていただいて、この五人委員会の結論というのは、食品中毒事件というものを処理するに当たって、きわめて有効な事例だと思うわけです。ぜひこういった方向で、厚生省がその行政的責任を果たしていくという方向をとっていただきたいと思います。
 最後に治療法がまだ究明されておらぬわけですね。そこで前回お尋ねをしておきましたが、この病気の究明、中毒の究明の研究費あるいは予算をどれぐらいつぎ込むという御答弁はいただいておるのですが、どれだけ予算を充てるようになっているのか、それをお尋ねいたしたい。科学技術庁等の分もあわせて御答弁いただきたい。
#231
○政府委員(金光克己君) この医療研究費につきましては、とりあえずは厚生省の医療研究費、助成金の中で百五十万円支出することにいたしております。
 それからこれは昨年の研究費に続きまして、引き続き研究してもらうという趣旨でございますが、なおこれでは不十分であろうということでございまして、現在科学技術庁と相談して何とか必要な研究費は確保したいということで協議を進めておる段階でございます。
#232
○小野明君 百五十万だけきまって、大体昨年度並みには確保したい、こういう答弁であったと思うのですが、大体どれくらい研究に金がつけられるものか、その大ワクを言ってもらいたいと思う。
#233
○政府委員(金光克己君) 昨年は、治療の研究費といたしましては五百六十万円でございます。したがいまして、この厚生省の医療研究費からの百五十万円は厚生省自体で決定し得るものでございますので、とりあえず研究費として支出することにいたしまして、なお引き続き前年並みには確保したいということで関係方面と協議をしておるということでございます。
#234
○小野明君 警察庁にお尋ねしますが、この事件のめどというのは、いつごろつきますか。それと食品衛生法違反で告発をしておるあるいは過失傷害ということで告発をしておりますが、両方に該当をするかどうか、いまの段階でするのかどうか、あるいはまだわからぬとすれば、その原因といいますか、それについて御説明いただきたい。
#235
○説明員(小野島嗣男君) 捜査といたしましては、五月三十一日現在で捜査員延べ七千八百九十六人かけておるという福岡県警の報告でございますから、かなり積極的に捜査いたしております。したがいまして、先ほど申し上げました鑑定の最終結果がこちらに参りました場合においては、捜査がかなり進展するものと期待しておるわけでございます。
 それから現在食品衛生法違反と業務上過失傷害罪の疑いの両方で捜査を進めております。
 以上でございます。
#236
○小野明君 そのめどというのは、いつごろになりそうですか。その九大の鑑定の結果が来るのはいつごろになりそうか、あるいはもちろんこの過失傷害、食品衛生法ですが、すでにどれには該当するという結論をお持ちではないかと、こう思うわけですが、それが説明できるならば御説明いただきたいと思います。
#237
○説明員(小野島嗣男君) もちろん、捜査は事案の真相を明らかにして、迅速に適正な刑罰法令の適用を期するわけでございますから、できるだけ早く、私どもとしては、めどをつけたいということで努力をいたしております。いつの時期になるかということは申し上げかねますけれども、鑑定の結果が近く参ることを期待しておりますので、それが参りましたら、捜査はかなり早く進展するのではないかというふうに期待いたしております。
 それから食品衛生法違反か、業務上過失傷害罪かという御質問でございますが、これにつきましてはなお捜査を続行いたしまして、かなり先の段階で判断をいたすことになろうかと思います。
#238
○小野明君 最後に、大臣に、警察のほうの結論はいまのようである、九大の結論も出ておらぬ前にこういうふうに営業再開はされておった、こういうことで被害者も非常な不満を持っておるわけです。これはまあ国民にしても同様の私は疑惑と不満を持っておると思います。こういった段階でやはり治療法の究明、補償が先か、あるいは企業がもうけるのが先か、いろんな議論があるでしょうけれども、事態を解決するのはやっぱり補償問題をここに先行させるということが一つの方法ではないか。先ほど申し上げましたように、ひとつ積極的にこの問題に取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思うのです。最後にお尋ねします。
#239
○国務大臣(斎藤昇君) 御意見の次第、よくわかりました。森永の中毒事件のときの補償問題も、これは一つの重要な参考になると思いますし、ここいらを参考にいたしまして、できるだけ早く、ただいまおっしゃるような趣旨において実現をするように努力をいたします。
#240
○委員長(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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